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特表2022-544246修飾された多量体二環式ペプチドリガンド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-17
(54)【発明の名称】修飾された多量体二環式ペプチドリガンド
(51)【国際特許分類】
   C07K 7/52 20060101AFI20221007BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20221007BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221007BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20221007BHJP
   A61K 49/00 20060101ALI20221007BHJP
   A61K 47/62 20170101ALI20221007BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20221007BHJP
【FI】
C07K7/52 ZNA
C07K16/28
A61P35/00
A61P35/02
A61K49/00
A61K47/62
A61K45/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022508564
(86)(22)【出願日】2020-08-13
(85)【翻訳文提出日】2022-04-04
(86)【国際出願番号】 GB2020051923
(87)【国際公開番号】W WO2021028686
(87)【国際公開日】2021-02-18
(31)【優先権主張番号】62/885,947
(32)【優先日】2019-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/GB2020/051831
(32)【優先日】2020-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519226757
【氏名又は名称】バイスクルテクス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】ケビン マクドネル
(72)【発明者】
【氏名】プニット ウパディヤヤ
(72)【発明者】
【氏名】ジェマ マッド
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE59
4C084AA17
4C084NA13
4C084ZB261
4C084ZB271
4C085HH11
4C085KA27
4C085KB55
4C085KB82
4C085LL18
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA17
4H045BA30
4H045BA31
4H045BA41
4H045EA20
4H045FA33
(57)【要約】
本発明は、2以上のペプチドループがスキャフォールドへの取付点の間に内在するように分子スキャフォールドに共有結合しているポリペプチドの多量体であって、該多量体結合複合体がそれにコンジュゲートされた修飾因子基をさらに含むことを特徴とする、ポリペプチドの多量体に関する。本発明はまた、ポリペプチド内の様々な結合部位を用いる様々な化学的リンカー並びに様々な長さ及び剛性のヒンジを介するポリペプチドの多量体化を記載している。特に、本発明は、CD137の高親和性バインダー及びアクチベーターであるペプチドの多量体を記載している。本発明はまた、1以上のエフェクター及び/又は官能基にコンジュゲートされた該多量体結合複合体を含む薬物コンジュゲート、該多量体結合複合体及び薬物コンジュゲートを含む医薬組成物、並びにCD137によって媒介される疾患又は障害の予防、抑制、又は治療における該多量体結合複合体及び薬物コンジュゲートの使用、並びに分析方法における(すなわち、トレーサー又はタグとしての)使用を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの二環式ペプチドリガンドを含む多量体結合複合体であって、該ペプチドリガンドが同じであっても異なっていてもよく、その各々が、少なくとも2つのループ配列によって隔てられた少なくとも3つの反応基及び該ポリペプチドの反応基と共有結合を形成する分子スキャフォールドを含むポリペプチドを含み、その結果、少なくとも2つのポリペプチドループが分子スキャフォールド上に形成され、該多量体結合複合体がそれにコンジュゲートされた修飾因子基をさらに含むことを特徴とする、前記多量体結合複合体。
【請求項2】
前記修飾因子基が、トレーサー分子、検出可能部分、又は脂質を含む、請求項1記載の多量体結合複合体。
【請求項3】
前記トレーサー分子が、フルオレセイン、Alexa Fluor(商標) 488、シアニン-5、及びBODIPY(商標) FLから選択されるフルオロフォアである、請求項2記載の多量体結合複合体。
【請求項4】
前記検出可能部分が、ビオチン含有部分、特に、ビオチンを含有し、かつペグ化された部分、例えば、ビオチン-Peg4及びビオチン-Peg12などの結合検出可能部分である、請求項2記載の多量体結合複合体。
【請求項5】
前記脂質がパルミトイル含有部分である、請求項2記載の多量体結合複合体。
【請求項6】
式(I)の化合物を含む、請求項1~5のいずれか一項記載の多量体結合複合体:
【化1】
(式中、CHMは、中心のヒンジ部分を表し;
S1及びS2は、スペーサー基を表し;
二環1及び二環2は、請求項1記載の二環式ペプチドリガンドを表し;
mは、1~9から選択される整数を表し;かつ
修飾因子は、請求項1~5のいずれか一項記載の修飾因子基を表す)。
【請求項7】
式(II)の化合物を含む、請求項1~5のいずれか一項記載の多量体結合複合体:
【化2】
(式中、CHMは、中心のヒンジ部分を表し;
S1及びS2は、スペーサー基を表し;
二環1は、請求項1記載の二環式ペプチドリガンドを表し;
nは、2~10から選択される整数を表し;かつ
修飾因子は、請求項1~5のいずれか一項記載の修飾因子基を表す)。
【請求項8】
m及びnが、2~9、例えば、2又は3から選択される整数を表す、請求項6又は請求項7記載の多量体結合複合体。
【請求項9】
m及びnが3を表し、かつCHMが式(A)のモチーフである、請求項8記載の多量体結合複合体:
【化3】
(式中、「-----」は、各々のスペーサー基(S1又はS2)への結合点を表す)。
【請求項10】
nが3を表し、かつCHMが式(B)のモチーフである、請求項8記載の多量体結合複合体:
【化4】
(式中、「-----」は、スペーサー基への結合点を表し;かつ
【化5】
は、前記修飾因子基への結合点を表す)。
【請求項11】
nが2を表し、かつCHMが式(C)のモチーフである、請求項8記載の多量体結合複合体:
【化6】
(式中、「-----」は、スペーサー基への結合点を表し;かつ
【化7】
は、前記修飾因子基への結合点を表す)。
【請求項12】
nが2を表し、かつCHMが式(D)のモチーフである、請求項8記載の多量体結合複合体:
【化8】
(式中、「-----」は、スペーサー基への結合点を表し;かつ
【化9】
は、前記修飾因子基への結合点を表す)。
【請求項13】
前記スペーサー(S1及びS2)が、スペーサーSA、SB、SC、SD、SE、SF、SG、及びSHのいずれか1つから選択される、請求項6~12のいずれか一項記載の多量体結合複合体:
【化10】
(式中、「-----」は、前記CHM基への結合点を表し;かつ
【化11】
は、前記二環又は修飾因子基、例えば、SAへの結合点を表し、ここで、nは、5、10、又は23、例えば、10又は23である)。
【請求項14】
前記スペーサー(S1及びS2)が存在しない、請求項6~12のいずれか一項記載の多量体結合複合体。
【請求項15】
前記ペプチドリガンドのうちの少なくとも1つがCD137に特異的であり、例えば、該ペプチドリガンドの各々がCD137に特異的である、請求項1~14のいずれか一項記載の多量体結合複合体。
【請求項16】
前記ループ配列が6つのアミノ酸を含む、請求項1~15のいずれか一項記載の多量体結合複合体。
【請求項17】
前記ペプチドリガンドが、
【化12】
(ここで、Ci、Cii、及びCiiiは、それぞれ、第一、第二、及び第三のシステイン残基を表し、Nleはノルロイシンを表し、PYAはプロパルギル酸を表し、かつtBuAlaはt-ブチル-アラニンを表す)
:から選択されるコアアミノ酸配列、又はその医薬として許容し得る塩を含む、請求項1~16のいずれか一項記載の多量体結合複合体。
【請求項18】
前記ペプチドリガンドがN及びC末端付加を含み、かつ
Ac-A-(配列番号1)-[Dap(PYA)]-CONH2(以後、BCY7741と称される);
Ac-A-(配列番号1)-[Dap(Lys(PYA))]-CONH2(以後、BCY12799と称される);
Ac-(配列番号2)-A-Pra-CONH2(以後、BCY7077と称される);
Ac-A-(配列番号3)-A-CONH2(以後、BCY7744と称される);
Ac-A-(配列番号3)-K-CONH2(以後、BCY11613と称される);
Ac-[dA]-(配列番号4)-[dA]-CONH2(以後、BCY11506と称される);
Ac-[dA]-(配列番号5)-[dK]-CONH2(以後、BCY12144と称される);
Ac-(配列番号6)-A-CONH2(以後、BCY8927と称される);
Ac-(配列番号6)-K-CONH2(以後、BCY12357と称される);
Ac-(配列番号7)-A(本明細書において、BCY8928と称される);及び
Ac-(配列番号7)-K(本明細書において、BCY13389と称される)
(ここで、Dapはジアミノプロピオン酸を表し、PYAはプロパルギル酸を表し、かつPraはプロパルギルグリシンを表す)
:から選択されるアミノ酸配列、又はその医薬として許容し得る塩を含む、請求項17記載の多量体結合複合体。
【請求項19】
前記反応基がシステインを含む、請求項1~18のいずれか一項記載の多量体結合複合体。
【請求項20】
前記分子スキャフォールドが1,1',1''-(1,3,5-トリアジナン-1,3,5-トリイル)トリプロパ-2-エン-1-オン(TATA)である、請求項1~19のいずれか一項記載の多量体結合複合体。
【請求項21】
非結合対照BCY12374を除いて、表1に掲載されている、請求項1~20のいずれか一項記載の多量体結合複合体。
【請求項22】
前記ペプチドリガンドのうちの少なくとも1つ(例えば、2つ)がCD137に特異的であり、かつ該ペプチドリガンドのうちの少なくとも1つ(例えば、1つ)が、ネクチン-4、例えば、表2に掲載されているものに特異的である、請求項1~14のいずれか一項記載の多量体結合複合体。
【請求項23】
前記ペプチドリガンドのうちの少なくとも1つ(例えば、2つ)がCD137に特異的であり、かつ該ペプチドリガンドのうちの少なくとも1つ(例えば、1つ)が、EphA2、例えば、表3に掲載されているものに特異的である、請求項1~14のいずれか一項記載の多量体結合複合体。
【請求項24】
前記医薬として許容し得る塩が、遊離酸又はナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム塩から選択される、請求項1~23のいずれか一項記載の多量体結合複合体。
【請求項25】
前記CD137がヒトCD137である、請求項13~24のいずれか一項記載の多量体結合複合体。
【請求項26】
1以上のエフェクター及び/又は官能基にコンジュゲートされた、請求項1~25のいずれか一項記載の多量体結合複合体を含む、薬物コンジュゲート。
【請求項27】
請求項1~25のいずれか一項記載の多量体結合複合体又は請求項26記載の薬物コンジュゲートを1以上の医薬として許容し得る賦形剤との組合せで含む、医薬組成物。
【請求項28】
CD137によって媒介される疾患又は障害の予防、抑制、又は治療において使用するための、請求項1~25のいずれか一項記載の多量体結合複合体又は請求項26記載の薬物コンジュゲート。
【請求項29】
分析方法における(すなわち、トレーサー又はタグとしての)、請求項1~25のいずれか一項記載の多量体結合複合体の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、2以上のペプチドループがスキャフォールドへの取付点の間に内在するように分子スキャフォールドに共有結合しているポリペプチドの多量体であって、該多量体結合複合体がそれにコンジュゲートされた修飾因子基をさらに含むことを特徴とする、ポリペプチドの多量体に関する。本発明はまた、ポリペプチド内の様々な結合部位を用いる様々な化学的リンカー並びに様々な長さ及び剛性のヒンジを介するポリペプチドの多量体化を記載している。特に、本発明は、CD137の高親和性バインダー及びアクチベーターであるペプチドの多量体を記載している。本発明はまた、1以上のエフェクター及び/又は官能基にコンジュゲートされた該多量体結合複合体を含む薬物コンジュゲート、該多量体結合複合体及び薬物コンジュゲートを含む医薬組成物、並びにCD137によって媒介される疾患又は障害の予防、抑制、又は治療における該多量体結合複合体及び薬物コンジュゲートの使用、並びに分析方法における(すなわち、トレーサー又はタグとしての)使用を含む。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
タンパク質-タンパク質相互作用は、細胞機能の重要な調節因子である。これらの相互作用は、通常、大きな表面積を必要とし、したがって、容易に阻害することも、通常の小分子治療剤を用いて模倣することもできない。さらに、多くの重要な受容体クラス(受容体チロシンキナーゼ、サイトカイン受容体、腫瘍壊死因子(TNF)受容体、T-細胞受容体、及びG-タンパク質共役受容体)は、受容体シグナル伝達経路を活性化するために、特定の配向での受容体単量体ユニットオリゴマー化を必要とする。モノクローナル抗体及び融合タンパク質(例えば、リガンド-Fc融合体)などの組換えタンパク質は、高い親和性及び多価結合の可能性を有する大きな相互作用表面積のために、そのような受容体に結合し、そのオリゴマー化を誘導することができる。しかしながら、大きいタンパク質は、組織への透過に非効率であり、受容体、特に、血管形成が不十分であるか又は膵臓癌で見られる間質障壁などの透過に対する障壁によって囲まれている細胞で見られる受容体を調節するための理想的な治療モダリティとなり得ない。小分子よりも大きい相互作用表面を有する合成的かつモジュール式の小型の治療モダリティは、透過障壁を迂回し、かつ標的受容体をオリゴマー化によって活性化させるのに理想的である。
【0003】
様々なタイプの癌の治療における抗PD-1及び抗PD-L1抗体などの免疫チェックポイントインヒビターの最近の成功は、T細胞上のCD137を含む共刺激標的を活性化させる分子に対する関心を高めた。CD137(4-1BB/TNFRSF9)は、TNF受容体スーパーファミリーに属し、T細胞に対する共刺激シグナル伝達をもたらす。
【0004】
誘導性CD137発現は、活性化されたT-細胞、B-細胞、樹状細胞、及びナチュラルキラー(NK)細胞で見られる。その天然リガンドであるCD137Lによるか、又は作動性抗体によるCD137の刺激は、激しいT-細胞増殖を誘導し、活性化によって誘導される細胞死を妨げる。4-1BBは、2つのTNF受容体関連因子であるTRAF-1とTRAF-2との連結複合体からなるヘテロ三量体複合体を形成する。白血球特異的タンパク質-1(LSP-1)を介するこの相互作用は、JNK及びERK経路を介するシグナル伝達、並びにβ-カテニン及びAKTを介するシグナル伝達を強化する。これらのシグナル伝達経路は、マスター転写因子NF-κBに集結して、4-1BBシグナル伝達、及びエフェクター免疫応答を調節する。
【0005】
作動性抗CD137抗体は、マウスモデルにおいて、強力な、多くの場合、治癒的な抗腫瘍活性を示している。その抗腫瘍活性は、抗PD-1又は抗CTLA-4抗体との組合せでさらに一層亢進される。これらの効果は、主に、細胞傷害性T細胞によって媒介され、長く続く記憶応答を生成させる。2つのヒト抗CD137抗体が現在臨床試験を受けており:ウレルマブは、メラノーマで単剤部分応答を示したが、肝毒性が≧1mg/kgの用量で観察され、結果として、これは、0.1mg/kgの準最適用量で他の免疫療法と組み合わされており;ウトリムマブも、固形腫瘍で他の免疫療法と組み合わせて評価されているが、肝毒性が5mg/kgまで観察されなかった一方、単剤活性がほとんど又は全くない。
【0006】
環状ペプチドは、高い親和性及び標的特異性でタンパク質標的に結合することができ、それゆえ、治療薬の開発のための魅力的な分子クラスである。実際、いくつかの環状ペプチドは、例えば、抗菌ペプチドのバンコマイシン、免疫抑制薬のシクロスポリン、又は抗癌薬のオクトレオチドのように、診療所で使用されるのに既に成功している(Driggersらの文献(2008), Nat Rev Drug Discov 7(7), 608-24)。優れた結合特性は、ペプチドと標的との間で形成される比較的大きな相互作用表面だけでなく、環状構造の立体構造可撓性の低下にも起因する。通常、大環状分子は、例えば環状ペプチドCXCR4アンタゴニストCVX15(400Å2; Wuらの文献(2007), Science 330, 1066-71)、インテグリンαVβ3に結合するArg-Gly-Aspモチーフを有する環状ペプチド(355Å2)(Xiongらの文献(2002), Science 296(5565), 151-5)、又はウロキナーゼ型プラスミノゲン活性化因子に結合する環状ペプチド阻害剤ウパイン-1(603Å2; Zhaoらの文献(2007), J Struct Biol 160(1), 1-10)のように、数百平方オングストロームの表面に結合する。
【0007】
Bicycles(登録商標)は、従来の小分子アプローチでは達成不可能な高い親和性及び優れた標的特異性を有する新規の治療クラスの完全合成された拘束性二環式ペプチドである。Bicycle(登録商標)プラットフォームは、ファージディスプレイを用いて、親和性及び物理化学的特性を調整するように後から容易に化学的に最適化することができるバインダーを速やかに同定し、最適化する。その小さいサイズ(1.5~2kDa)は、腫瘍透過における利点をもたらし、迅速な腎排出は、特定の抗体を含む他の薬物モダリティに付随することが多い肝臓及び胃腸毒性を回避する。迅速な腎クリアランスを有し、かつFc受容体相互作用を欠くBicycle(登録商標) CD137アゴニストであれば、肝毒性を回避しながら、抗腫瘍活性を誘導することができる。
【0008】
該二環式ペプチドを検出し、追跡し、タグ付けし、又はその薬物動態プロファイルを改変することができる修飾された特性を有する代替の二環式ペプチドを提供する必要がある。
【発明の概要】
【0009】
(発明の概要)
本発明の第一の態様によれば、少なくとも2つの二環式ペプチドリガンドを含む多量体結合複合体であって、該ペプチドリガンドが同じであっても異なっていてもよく、その各々が、少なくとも2つのループ配列によって隔てられた少なくとも3つの反応基及び該ポリペプチドの反応基と共有結合を形成する分子スキャフォールドを含むポリペプチドを含み、その結果、少なくとも2つのポリペプチドループが分子スキャフォールド上に形成され、該多量体結合複合体がそれにコンジュゲートされた修飾因子基をさらに含むことを特徴とする、多量体結合複合体が提供される。
【0010】
本発明のさらなる態様によれば、1以上のエフェクター及び/又は官能基にコンジュゲートされた本明細書で定義される多量体結合複合体を含む薬物コンジュゲートが提供される。
【0011】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書で定義される多量体結合複合体又は薬物コンジュゲートを1以上の医薬として許容し得る賦形剤との組合せで含む医薬組成物が提供される。
【0012】
本発明のさらなる態様によれば、疾患又は障害、例えば、CD137によって媒介される疾患又は障害の予防、抑制、又は治療において使用するための本明細書で定義される多量体結合複合体又は薬物コンジュゲートが提供される。
【0013】
本発明のさらなる態様によれば、分析方法における(すなわち、トレーサー又はタグとしての)本明細書で定義される多量体結合複合体の使用が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
(図面の簡単な説明)
図1図1: CD137Lと比較したBCY7340、BCY9931、及びBCY9932についてのCD137レポーター細胞活性アッセイデータ。
図2図2: CD137Lと比較したBCY9931及びBCY9932についてのCD137レポーター細胞ウォッシュアウトアッセイ。
図3図3: (A)ヒトPBMCから単離された純化されたCD8+/CD137+ T細胞に対するBCY9931、BCY9932、及びBCY7340の結合。BCY0215は、結合の陰性対照として使用された蛍光EphA2二環式ペプチド単量体である。(B)CD3+/CD137+初代ヒト免疫細胞に対するBCY12239及びBCY11856の結合。BCY11856は、非結合蛍光多量体として設計された。
図4図4: カニクイザルPBMCから単離された純化されたCD8+/CD137+ T細胞に対するBCY9931、BCY9932、及びBCY7340の結合。BCY0215は、結合の陰性対照として使用された蛍光EphA2二環式ペプチド単量体である。
図5図5: 標識試薬としてのBCY7340とともにBCY8945、BCY7842、BCY7839、及びBCY11451(非修飾多量体)で処理したときのT-細胞上の遊離CD137受容体のレベルを測定するための受容体占有アッセイ。BCY11451は、非結合多量体として合成された。
図6図6: A)CD4+ T-細胞亜集団又はB) CD8+ T-細胞亜集団のいずれかにおけるCD137+又はCD137-細胞に対する蛍光標識CD137二量体(BCY15416)の細胞結合。
図7図7: 標識試薬としてのBCY15416とともにBCY12491(EphA2/CD137ヘテロタンデム)及びBCY12797(非結合対照)で処理したときのT-細胞上の遊離CD137受容体のレベルを測定するための受容体占有アッセイ。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(発明の詳細な説明)
本発明の第一の態様によれば、少なくとも2つの二環式ペプチドリガンドを含む多量体結合複合体であって、該ペプチドリガンドが同じであっても異なっていてもよく、その各々が、少なくとも2つのループ配列によって隔てられた少なくとも3つの反応基及び該ポリペプチドの反応基と共有結合を形成する分子スキャフォールドを含むポリペプチドを含み、その結果、少なくとも2つのポリペプチドループが分子スキャフォールド上に形成され、該多量体結合複合体がそれにコンジュゲートされた修飾因子基をさらに含むことを特徴とする、多量体結合複合体が提供される。
【0016】
本発明は、該修飾因子基の存在によって、その非修飾多量体に優る種々の利点が提供される修飾された多量体結合複合体を記載している。例えば、そのような修飾された多量体複合体は、分析方法又は改善された治療方法のために、トレーサー、タグとして機能することができるか、又はその薬物動態プロファイルを改変することさえできる。したがって、本発明によれば、分析方法における(すなわち、トレーサー又はタグとしての)本明細書で定義される多量体結合複合体の使用が提供される。本発明によれば、治療方法における(すなわち、改善された薬物動態プロファイルを有する治療薬としての)本明細書で定義される多量体結合複合体の使用も提供される。
【0017】
本明細書における「修飾因子」という用語への言及は、非修飾多量体結合複合体の性質及び/又は特徴を修飾することができる任意の基を指す。
【0018】
一実施態様において、修飾因子基は、トレーサー分子、検出可能部分、又は脂質を含む。
【0019】
一実施態様において、修飾因子基は、トレーサー分子を含む。そのようなトレーサー分子は、インビトロ実験又はインビボ実験のいずれかにおける多量体結合複合体の存在を追跡、タグ化、又はフラグ化する能力において特別な有用性を見出す。或いは、そのようなトレーサー分子の存在は、該多量体結合複合体との結合パートナーを同定又は決定することができる。さらなる実施態様において、トレーサー分子は、フルオロフォアである。またさらなる実施態様において、トレーサー分子は、フルオレセイン、Alexa Fluor(商標) 488、シアニン-5、及びBODIPY(商標) FLから選択されるフルオロフォアである。
【0020】
代わりの実施態様において、修飾因子基は、検出可能部分を含む。さらなる実施態様において、修飾因子基は、結合検出可能部分を含む。またさらなる実施態様において、修飾因子基は、ビオチン含有部分、例えば、ビオチンを含有し、かつペグ化された部分、例えば、ビオチン-Peg4及びビオチン-Peg12を含む。
【0021】
代わりの実施態様において、修飾因子基は、脂質を含む。そのような脂質分子の存在は、例えば、多量体結合複合体の薬物動態プロファイルを、該多量体結合複合体の半減期を修飾することにより修飾するという利点を提供する。さらなる実施態様において、脂質は、パルミトイル含有部分である。
【0022】
一実施態様において、修飾因子基は、フルオロフォア、ビオチン、又は脂質から選択される。
【0023】
理論によって束縛されるものではないが、多量体化二環式ペプチドは、複数の同じ受容体をホモ架橋することによって受容体を活性化することができると考えられている。したがって、一実施態様において、該二環式ペプチドリガンドは、同じ標的に特異的である。さらなる実施態様において、多量体結合複合体は、少なくとも2つの同一の二環式ペプチドリガンドを含む。「同一の」により、二環式ペプチドが同じアミノ酸配列を有することを意味し、最も厳密には、同じアミノ酸配列は、該二環式ペプチドの結合部分を指す(例えば、配列は、結合位置が様々に異なり得る)。この実施態様において、多量体結合複合体内の二環式ペプチドの各々は、同じ標的上の全く同じエピトープに結合し-それゆえ、結果として生じる標的結合複合体は、ホモ二量体(多量体複合体が2つの同一の二環式ペプチドを含む場合)、ホモ三量体(多量体複合体が3つの同一の二環式ペプチドを含む場合)、又はホモ四量体(多量体複合体が4つの同一の二環式ペプチドを含む場合)などを生成する。
【0024】
代わりの実施態様において、多量体結合複合体は、少なくとも2つの異なる二環式ペプチドリガンドを含む。「異なる」により、二環式ペプチドが異なるアミノ酸配列を有することを意味する。この実施態様において、多量体結合複合体内の異なる二環式ペプチドリガンドは、同じ標的上の異なるエピトープに結合し-それゆえ、結果として生じる標的結合複合体は、二重パラトピックのもの(多量体複合体が2つの異なる二環式ペプチドを含む場合)、三重パラトピックのもの(多量体複合体が3つの異なる二環式ペプチドを含む場合)、又は四重パラトピックのもの(多量体複合体が4つの異なる二環式ペプチドを含む場合)などを生成する。
【0025】
理論によって束縛されるものではないが、多量体化二環式ペプチドは、異なる標的、例えば、異なる標的受容体をヘテロ架橋することによって受容体を活性化することができると考えられている。したがって、一実施態様において、該二環式ペプチドリガンドは、異なる標的に特異的である。この実施態様において、多量体結合複合体は、少なくとも2つの異なる二環式ペプチドリガンド(すなわち、異なるアミノ酸配列を有する二環式ペプチドリガンド)を含むことが理解されるであろう。この実施態様において、多量体結合複合体内の二環式ペプチドの各々は、異なる標的上の異なるエピトープに結合し-それゆえ、結果として生じる標的結合複合体は、二重特異性多量体結合複合体(多量体複合体が2つの異なる二環式ペプチドを含む場合)、三重特異性多量体結合複合体(多量体複合体が3つの異なる二環式ペプチドを含む場合)、又は四重特異性多量体結合複合体(多量体複合体が4つの異なる二環式ペプチドを含む場合)などを生成する。
【0026】
本発明の多量体結合複合体を、様々な異なる標的、例えば、受容体に結合することができるように設計することができることが理解されるであろう。好適な例としては、癌に関与する任意の標的(すなわち、受容体)、例えば、TNF受容体スーパーファミリーのメンバー(すなわち、CD137)、受容体チロシンキナーゼ(RTK)、Igドメイン受容体(免疫チェックポイント)などが挙げられる。先に言及された二重、三重、及び四重特異性多量体結合複合体について、二環式ペプチドは、少なくとも2つの異なる細胞(例えば、T細胞、NK細胞、又は他の免疫細胞)上の標的に結合し得ることが理解されるであろう。
【0027】
本発明の多量体結合複合体内の二環式ペプチドは、いくつかの異なる選択肢によって会合させることができる。例えば、その各々が二環式ペプチドを含有する該ヒンジ又は分岐点から放射状に伸びているスペーサー又はアーム要素を有する中心のヒンジ部分又は分岐部分が存在していてもよい。或いは、円形の支持部材が内部に又は外部に突き出ているいくつかの二環式ペプチドを保持し得ることを想定することができる。
【0028】
一実施態様において、各々の二環式ペプチドリガンドは、スペーサー基(S1又はS2)によって中心のヒンジ部分(CHM)に接続され、修飾因子基は、多量体結合複合体内の二環式ペプチドのうちの1つに直接コンジュゲートされる。したがって、一実施態様において、多量体結合複合体は、式(I)の化合物を含む:
【化1】
(式中、CHMは、中心のヒンジ部分を表し;
S1及びS2は、スペーサー基を表し;
二環1及び二環2は、本明細書で定義される二環式ペプチドリガンドを表し;
mは、1~9から選択される整数を表し;かつ
修飾因子は、本明細書で定義される修飾因子基を表す)。
【0029】
代わりの実施態様において、各々の二環式ペプチドリガンドは、スペーサー基(S1)によって中心のヒンジ部分(CHM)に接続され、修飾因子基も、さらなるスペーサー基(S2)によって中心のヒンジ部分(CHM)に接続される。したがって、一実施態様において、多量体結合複合体は、式(II)の化合物を含む:
【化2】
(式中、CHMは、中心のヒンジ部分を表し;
S1及びS2は、スペーサー基を表し;
二環1は、本明細書で定義される二環式ペプチドリガンドを表し;
nは、2~10から選択される整数を表し;かつ
修飾因子は、本明細書で定義される修飾因子基を表す)。
【0030】
一実施態様において、mは、2~9から選択される整数を表す。さらなる実施態様において、mは、2又は3から選択される整数を表す。
【0031】
mが3を表すとき、中心のヒンジ部分は、4つの結合点(すなわち、3つの二環1部分への3つの結合点及び単一の二環2部分との1つの結合点)を必要とすることが理解されるであろう。
【0032】
またさらなる実施態様において、mは3を表す。mが3を表すとき、中心のヒンジ部分は、4つの結合点(すなわち、3つの二環1部分への3つの結合点及び単一の二環2部分との1つの結合点)を必要とすることが理解されるであろう。
【0033】
したがって、一実施態様において、mは3を表し、CHMは、式(A)のモチーフである:
【化3】
(式中、「-----」は、各々のスペーサー基(S1又はS2)への結合点を表す)。
【0034】
一実施態様において、nは、2~9から選択される整数を表す。さらなる実施態様において、nは、2又は3から選択される整数を表す。
【0035】
nが3を表すとき、中心のヒンジ部分は、4つの結合点(すなわち、3つの二環1部分への3つの結合点及び修飾因子基との1つの結合点)を必要とすることが理解されるであろう。したがって、一実施態様において、nは3を表し、CHMは、式(A)のモチーフである:
【化4】
(式中、「-----」は、修飾因子基又は二環の各々のスペーサー基(S1又はS2)への結合点を表す)。
【0036】
代わりの実施態様において、nは3を表し、CHMは、式(B)のモチーフである:
【化5】
(式中、「-----」は、スペーサー基への結合点を表し;かつ
【化6】
は、修飾因子基への結合点を表す。
【0037】
nが2を表すとき、中心のヒンジ部分は、3つの結合点(すなわち、2つの二環1部分への2つの結合点及び修飾因子基との1つの結合点)を必要とすることが理解されるであろう。したがって、一実施態様において、nは2を表し、CHMは、式(C)のモチーフである:
【化7】
(式中、「-----」は、スペーサー基への結合点を表し;かつ
【化8】
は、修飾因子基への結合点を表す。
【0038】
代わりの実施態様において、nは2を表し、CHMは、式(D)のモチーフである:
【化9】
(式中、「-----」は、スペーサー基への結合点を表し;かつ
【化10】
は、修飾因子基への結合点を表す。
【0039】
1つの特定の実施態様において、CHMは、
【化11】
である。
【0040】
代わりの中心のヒンジ部分をm及びnの値に応じてどのように構築することができるかということが当業者には容易に明らかであろう。
【0041】
スペーサー(S1及びS2)は、二環式ペプチドの中心のヒンジ部分を二環式ペプチドに連結させる任意の好適な構築物であり得ることが理解されるであろう。一実施態様において、スペーサー(S1及びS2)は、トリアゾリル部分を含む。この実施態様の利点は、トリアゾリル部分を、一般に利用可能な「クリック」化学を用いる合成の範囲内で組み入れることができることである。好適なスペーサー(S1及びS2)基の例としては、1以上のPEG部分、ペプチド配列、炭水化物、脂質などが挙げられる。
【0042】
さらなる実施態様において、スペーサー(S1及びS2)は、1以上のPEG部分を含む。「PEG」への本明細書における言及は、一般構造:(CH2CH2O)n-(ここで、nは、1~30などの任意の数を表す)の規則的な反復単位を有する直鎖状ポリマーを指す。
【0043】
したがって、さらなる実施態様において、スペーサー(S1及びS2)は、スペーサーSA、SB、SC、SD、SE、SF、SG、及びSHのうちのいずれか1つから選択される:
【化12】
(式中、「-----」は、CHM基への結合点を表し;かつ
【化13】
は、二環又は修飾因子基への結合点を表す)。
【0044】
またさらなる実施態様において、スペーサー(S1及びS2)はSAであり、かつnは、5、10、又は23、例えば、10又は23である。
【0045】
二環式ペプチドリガンドをいくつかの手段を介してスペーサーに結合させることができることが理解されるであろう。一実施態様において、二環式ペプチドリガンドは、結合ペアの一方の半分にコンジュゲートされ、該結合ペアの該もう一方の半分は、二環式ペプチドの各々をスペーサーに連結させる。
【0046】
一実施態様において、該結合ペアは、ビオチン及びストレプトアビジンを含む。したがって、各々の二環式ペプチドリガンドは、ビオチンにコンジュゲートされ、ストレプトアビジンを介して、スペーサーに連結される。
【0047】
一実施態様において、該スペーサー(S1及びS2)の一方又は両方は存在しない、すなわち、二環1とCHM及び/又は二環2とCHM及び/又はCHMと修飾因子のいずれかを連結させる直接結合が存在する。さらなる実施態様において、該スペーサー(S1及びS2)は両方とも存在しない。またさらなる実施態様において、nは2を表し、CHMは、式(D)のモチーフであり、該スペーサー(S1及びS2)は両方とも存在しない。
【0048】
(二環式ペプチド)
本明細書における多量体結合複合体は、複数の単量体二環式ペプチドを含むことが理解されるであろう。
【0049】
(CD137二環式ペプチド単量体)
一実施態様において、該ペプチドリガンド(すなわち、単量体)の各々は、CD137、例えば、ヒトCD137に特異的である。
【0050】
一実施態様において、該ループ配列は、6つのアミノ酸を含む。
【0051】
さらなる実施態様において、該ループ配列は、その両方が6つのアミノ酸からなる2つのループ配列によって隔てられた3つのシステイン残基を含む。
【0052】
またさらなる実施態様において、該ペプチドリガンドは、
【化14】
(ここで、Ci、Cii、及びCiiiは、それぞれ、第一、第二、及び第三のシステイン残基を表し、Nleはノルロイシンを表し、PYAはプロパルギル酸を表し、かつtBuAlaはt-ブチル-アラニンを表す)
:から選択されるコアアミノ酸配列、又はその医薬として許容し得る塩を含む。
【0053】
またさらなる実施態様において、該ペプチドリガンドは、N及びC末端付加を含み、かつ
Ac-A-(配列番号1)-[Dap(PYA)]-CONH2(以後、BCY7741と称される);
Ac-A-(配列番号1)-[Dap(Lys(PYA))]-CONH2(以後、BCY12799と称される);
Ac-(配列番号2)-A-Pra-CONH2(以後、BCY7077と称される);
Ac-A-(配列番号3)-A-CONH2(以後、BCY7744と称される);
Ac-A-(配列番号3)-K-CONH2(以後、BCY11613と称される);
Ac-[dA]-(配列番号4)-[dA]-CONH2(以後、BCY11506と称される);
Ac-[dA]-(配列番号5)-[dK]-CONH2(以後、BCY12144と称される);
Ac-(配列番号6)-A-CONH2(以後、BCY8927と称される);
Ac-(配列番号6)-K-CONH2(以後、BCY12357と称される);
Ac-(配列番号7)-A(本明細書において、BCY8928と称される);及び
Ac-(配列番号7)-K(本明細書において、BCY13389と称される)
(ここで、Dapはジアミノプロピオン酸を表し、PYAはプロパルギル酸を表し、かつPraはプロパルギルグリシンを表す)
:から選択されるアミノ酸配列、又はその医薬として許容し得る塩を含む。
【0054】
(ネクチン-4二環式ペプチド単量体)
代わりの実施態様において、該ペプチドリガンド(すなわち、単量体)のうちの少なくとも1つは、CD137に特異的であり(すなわち、上述のCD137二環式ペプチド単量体のうちの1つ又は複数(例えば、2つ)から選択され)、かつ該ペプチドリガンド(すなわち、単量体)のうちの少なくとも1つ(例えば、1つ)は、ネクチン-4に特異的である。
【0055】
一実施態様において、該ループ配列は、3又は8つのアミノ酸を含む。
【0056】
さらなる実施態様において、該ループ配列は、その一方が3つのアミノ酸からなり、そのもう一方が8つのアミノ酸からなる2つのループ配列によって隔てられた3つのシステイン残基を含む。
【0057】
またさらなる実施態様において、該ペプチドリガンドは、
【化15】
(ここで、Ci、Cii、及びCiiiは、それぞれ、第一、第二、及び第三のシステイン残基を表し、1Nalは1-ナフチルアラニンを表し、HArgはホモアルギニンを表し、かつHyPはヒドロキシプロリンを表す)
:であるコアアミノ酸配列、又はその医薬として許容し得る塩を含む。
【0058】
(EphA2二環式ペプチド単量体)
代わりの実施態様において、該ペプチドリガンド(すなわち、単量体)のうちの少なくとも1つはCD137に特異的であり(すなわち、上述のCD137二環式ペプチド単量体のうちの1つ又は複数(例えば、2つ)から選択され)、該ペプチドリガンド(すなわち、単量体)のうちの少なくとも1つ(例えば、1つ)は、EphA2に特異的である。
【0059】
一実施態様において、該ループ配列は、6つのアミノ酸を含む。
【0060】
さらなる実施態様において、該ループ配列は、その両方が6つのアミノ酸からなる2つのループ配列によって隔てられた3つのシステイン残基を含む。
【0061】
またさらなる実施態様において、該ペプチドリガンドは、
【化16】
(ここで、Ci、Cii、及びCiiiは、それぞれ、第一、第二、及び第三のシステイン残基を表し、1Nalは1-ナフチルアラニンを表し、HArgはホモアルギニンを表し、かつHyPはヒドロキシプロリンを表す)
:から選択されるコアアミノ酸配列、又はその医薬として許容し得る塩を含む。
【0062】
またさらなる実施態様において、該ペプチドリガンドは、N及びC末端付加を含み、かつ
A-[HArg]-D-(配列番号9)(本明細書において、BCY9594と称される);及び
A-[HArg]-D-(配列番号10)(本明細書において、BCY13118と称される)
(ここで、HArgはホモアルギニンを表す)
:から選択されるアミノ酸配列、又はその医薬として許容し得る塩を含む。
【0063】
一実施態様において、分子スキャフォールドは、1,1',1''-(1,3,5-トリアジナン-1,3,5-トリイル)トリプロパ-2-エン-1-オン(TATA)である。
【0064】
別途定義されない限り、本明細書で使用される技術的及び科学的用語は全て、当該分野、例えば、ペプチド化学、細胞培養、及びファージディスプレイ、核酸化学、並びに生化学の分野の専門家によって一般に理解されているものと同じ意味を有する。標準的な技法が、分子生物学、遺伝学、及び生化学の方法に使用される(引用により本明細書中に組み込まれる、Sambrookらの文献、分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)、第3版、2001, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY; Ausubelらの文献、分子生物学のショートプロトコル(Short Protocols in Molecular Biology)(1999) 第4版、John Wiley & Sons社を参照)。
【0065】
(付番)
本発明のペプチド内のアミノ酸残基位置に言及する場合、システイン残基(Ci、Cii、及びCiii)は不変であるので、これらは付番から省略され、それゆえ、本発明のペプチド内のアミノ酸残基の付番は、以下のように言及される:
Ci-I1-E2-E3-G4-Q5-Y6-Cii-F7-A8-D9-P10-Y11-Nle12-Ciii(配列番号1)
【0066】
この説明のために、全ての二環式ペプチドは、TBMB(1,3,5-トリス(ブロモメチル)ベンゼン)又は1,1',1''-(1,3,5-トリアジナン-1,3,5-トリイル)トリプロパ-2-エン-1-オン(TATA)で環化され、三置換構造を生じると考えられる。TBMB及びTATAによる環化は、Ci、Cii、及びCiii上で生じる。
【0067】
(分子フォーマット)
二環コア配列へのN-又はC-末端伸長は、ハイフンによって隔てられた、配列の左側又は右側に付加される。例えば、N-末端βAla-Sar10-Alaテールは:
βAla-Sar10-A-(配列番号X)
と表される。
【0068】
(逆向きのペプチド配列)
Nairらの文献(2003) J Immunol 170(3), 1362-1373における開示を考慮して、本明細書に開示されるペプチド配列は、そのレトロ-インベルソ(retro-inverso)形態でも有用性を見出すことが想定される。例えば、配列が逆転し(すなわち、N-末端がC-末端になり、C-末端がN-末端になる)、その立体化学も同様に逆転する(すなわち、D-アミノ酸がL-アミノ酸になり、L-アミノ酸がD-アミノ酸になる)。
【0069】
(ペプチドリガンド)
本明細書において言及されるペプチドリガンドは、分子スキャフォールドに共有結合したペプチドを指す。典型的には、そのようなペプチドは、スキャフォールドとの共有結合を形成することができる2以上の反応基(すなわち、システイン残基)と、ペプチドがスキャフォールドに結合するときにループを形成するのでループ配列と呼ばれる、該反応基間に内在する配列とを含む。この場合、ペプチドは、少なくとも3つのシステイン残基(本明細書において、Ci、Cii、及びCiiiと称される)を含み、かつスキャフォールド上に少なくとも2つのループを形成する。
【0070】
(多量体結合複合体)
一実施態様において、修飾された多量体結合複合体は、以下の表1に記載されている結合複合体を含む:
表1:例示されている本発明の修飾された多量体結合複合体
【表1】
【0071】
一実施態様において、修飾された多量体結合複合体は、BCY12374以外のものである結合複合体を含む。BCY12374は、非結合対照を表す。
表2:ネクチン-4を標的とする修飾された多量体複合体の組成
【表2】
表3: EphA2を標的とする修飾された多量体複合体の組成
【表3】
【0072】
(医薬として許容し得る塩)
塩形態は本発明の範囲内であり、ペプチドリガンドへの言及が該リガンドの塩形態を含むことが理解されるであろう。
【0073】
本発明の塩は、従来の化学的方法、例えば、医薬塩:特性、選択、及び使用(Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use)、P. Heinrich Stahl(編者)、Camille G. Wermuth(編者)、ISBN: 3-90639-026-8, Hardcover, 388頁、August 2002に記載されている方法によって、塩基性又は酸性部分を含有する親化合物から合成することができる。通常、そのような塩は、これらの化合物の遊離酸又は塩基形態を、適切な塩基又は酸と、水中もしくは有機溶媒中で、又はこれら2つの混合物中で反応させることにより調製することができる。
【0074】
酸付加塩(モノ塩又はジ塩)は、無機と有機の両方の多種多様な酸で形成することができる。酸付加塩の例としては、酢酸、2,2-ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸(例えば、L-アスコルビン酸)、L-アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4-アセトアミド安息香酸、ブタン酸、(+)カンファー酸、カンファースルホン酸、(+)-(1S)-カンファー-10-スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、粘液酸、ゲンチジン酸、グルコヘプトン酸、D-グルコン酸、グルクロン酸(例えば、D-グルクロン酸など)、グルタミン酸(例えば、L-グルタミン酸など)、α-オキソグルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、ハロゲン化水素酸(例えば、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸)、イセチオン酸、乳酸(例えば、(+)-L-乳酸、(±)-DL-乳酸)、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、(-)-L-リンゴ酸、マロン酸、(±)-DL-マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロト酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、ピルビン酸、L-ピログルタミン酸、サリチル酸、4-アミノサリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)-L-酒石酸、チオシアン酸、p-トルエンスルホン酸、ウンデシレン酸、及び吉草酸、並びにアシル化アミノ酸及び陽イオン交換樹脂からなる群から選択される酸で形成されるモノ塩又はジ塩が挙げられる。
【0075】
塩の1つの特定の群は、酢酸、塩酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、クエン酸、乳酸、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸、イセチオン酸、フマル酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、硫酸、メタンスルホン酸(メシル酸)、エタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、吉草酸、プロパン酸、ブタン酸、マロン酸、グルクロン酸、及びラクトビオン酸から形成される塩からなる。1つの特定の塩は、塩酸塩である。別の特定の塩は、酢酸塩である。
【0076】
化合物がアニオン性であるか、又はアニオン性であり得る官能基を有する(例えば、-COOHが-COO-であり得る)場合、塩を有機又は無機塩基で形成させ、好適なカチオンを生成させることができる。好適な無機カチオンの例としては、Li+、Na+、及びK+などのアルカリ金属イオン、Ca2+及びMg2+などのアルカリ土類金属カチオン、及びAl3+又はZn+などの他のカチオンが挙げられるが、これらに限定されない。適切な有機カチオンの例としては、アンモニウムイオン(すなわち、NH4 +)及び置換アンモニウムイオン(例えば、NH3R+、NH2R2 +、NHR3 +、NR4 +)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの好適な置換アンモニウムイオンの例としては、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、コリン、メグルミン、及びトロメタミン、並びにリジン及びアルギニンなどのアミノ酸:に由来するものが挙げられる。一般的な第四級アンモニウムイオンの例は、N(CH3)4 +である。
【0077】
本発明のペプチドがアミン機能を含有する場合、これらは、例えば、当業者に周知の方法によるアルキル化剤との反応によって、第四級アンモニウム塩を形成し得る。そのような第四級アンモニウム化合物は、本発明のペプチドの範囲内である。
【0078】
(同位体バリエーション)
本発明は、1以上の原子が、同じ原子番号を有するが、天然に通常見られる原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子によって置き換えられている、本発明の医薬として許容し得る全ての(放射性)同位体標識ペプチドリガンド、並びに関連する(放射性)同位体を保持することができる金属キレート基が取り付けられている本発明のペプチドリガンド(「エフェクター」と呼ばれる)、並びに特定の官能基が関連する(放射性)同位体又は同位体標識された官能基で共有結合的に置き換えられている本発明のペプチドリガンドを含む。
【0079】
本発明のペプチドリガンドに含めるために好適な同位体の例は、水素の同位体、例えば、2H(D)及び3H(T)、炭素の同位体、例えば、11C、13C及び14C、塩素の同位体、例えば、36Cl、フッ素の同位体、例えば、18F、ヨウ素の同位体、例えば、123I、125I、及び131I、窒素の同位体、例えば、13N及び15N、酸素の同位体、例えば、15O、17O、及び18O、リンの同位体、例えば、32P、硫黄の同位体、例えば、35S、銅の同位体、例えば、64Cu、ガリウムの同位体、例えば、67Ga又は68Ga、イットリウムの同位体、例えば、90Y、並びにルテチウムの同位体、例えば、177Lu、並びにビスマスの同位体、例えば、213Biを含む。
【0080】
本発明の特定の同位体標識ペプチドリガンド、例えば、放射性同位体を組み込んでいるものは、薬物及び/又は基質の組織分布研究において、並びに罹患組織上のCD137標的の存在及び/又は不在を臨床的に評価するために有用である。本発明のペプチドリガンドは、標識化合物と他の分子、ペプチド、タンパク質、酵素、又は受容体との間の複合体の形成を検出又は同定するために使用することができるという点で、価値ある診断特性をさらに有することができる。検出又は同定方法は、例えば、放射性同位体、酵素、蛍光物質、発光物質(例えば、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、イクオリン、及びルシフェラーゼ)などの標識剤で標識されている化合物を使用することができる。放射性同位体のトリチウム、すなわち、3H(T)及び炭素-14、すなわち、14Cは、その組込みの容易さ及び検出の手段が用意されていることを考慮して、この目的のために特に有用である。
【0081】
重水素、すなわち、2H(D)などのより重い同位体による置換は、より大きい代謝安定性、例えば、増加したインビボ半減期又は低下した必要投薬量の結果として得られる、特定の治療的利点をもたらす場合があり、それゆえ、いくつかの状況では、好ましい場合がある。
【0082】
11C、18F、15O、及び13Nなどの陽電子放出同位体による置換は、標的占有率を調べるための陽電子放出トポグラフィー(PET)試験において有用であり得る。
【0083】
本発明のペプチドリガンドの同位体標識化合物は、通常、当業者に公知の従来の技法によるか、又は以前に利用されていた非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用する添付の実施例に記載されているものと類似のプロセスによって調製することができる。
【0084】
(分子スキャフォールド)
分子スキャフォールドは、例えば、WO 2009/098450号及びその中で引用されている参考文献、特に、WO 2004/077062号及びWO 2006/078161号に記載されている。
【0085】
前述の文書に記載されているように、分子スキャフォールドは、低有機分子などの小分子であってもよい。
【0086】
一実施態様において、分子スキャフォールドは、高分子であってもよい。一実施態様において、分子スキャフォールドは、アミノ酸、ヌクレオチド、又は炭水化物から構成される高分子である。
【0087】
一実施態様において、分子スキャフォールドは、ポリペプチドの官能基と反応して、共有結合を形成することができる反応基を含む。
【0088】
分子スキャフォールドは、ペプチドとの結合を形成する化学基、例えば、アミン、チオール、アルコール、ケトン、アルデヒド、ニトリル、カルボン酸、エステル、アルケン、アルキン、アジド、無水物、スクシンイミド、マレイミド、ハロゲン化アルキル、及びハロゲン化アシルを含み得る。
【0089】
一実施態様において、分子スキャフォールドは、ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、特に、1,3,5-トリアクリロイルヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン(「TATA」)、もしくはその誘導体を含み得るか、又はこれらからなり得る。
【0090】
一実施態様において、分子スキャフォールドは、2,4,6-トリス(ブロモメチル)メシチレンである。この分子は、1,3,5-トリス(ブロモメチル)ベンゼン(TBMB)と類似しているが、ベンゼン環に結合した3つのさらなるメチル基を含有する。これは、さらなるメチル基がポリペプチドとのさらなる接触を形成し、それゆえ、さらなる構造的制約を付加することができるという利点を有する。
【0091】
本発明の分子スキャフォールドは、本発明のコードされたライブラリーのポリペプチドの官能基が分子スキャフォールドとの共有結合を形成するのを可能にする化学基を含有する。該化学基は、アミン、チオール、アルコール、ケトン、アルデヒド、ニトリル、カルボン酸、エステル、アルケン、アルキン、無水物、スクシンイミド、マレイミド、アジド、ハロゲン化アルキル、及びハロゲン化アシルを含む広範な官能基から選択される。
【0092】
システインのチオール基と反応させるために分子スキャフォールド上で使用することができるスキャフォールド反応基は、ハロゲン化アルキル(又はハロゲノアルカンもしくはハロアルカンとも命名されている)である。
【0093】
例としては、ブロモメチルベンゼン又はヨードアセトアミドが挙げられる。化合物をタンパク質中のシステインに選択的にカップリングさせるために使用される他のスキャフォールド反応基は、マレイミド、αβ不飽和カルボニル含有化合物、及びα-ハロメチルカルボニル含有化合物である。本発明において分子スキャフォールドとして使用し得るマレイミドの例としては:トリス-(2-マレイミドエチル)アミン、トリス-(2-マレイミドエチル)ベンゼン、トリス-(マレイミド)ベンゼンが挙げられる。αβ不飽和カルボニル含有化合物の例は、1,1',1''-(1,3,5-トリアジナン-1,3,5-トリイル)トリプロパ-2-エン-1-オン(TATA)である(Angewandte Chemie, International Edition(2014), 53(6), 1602-1606)。α-ハロメチルカルボニル含有化合物の例は、N,N',N''-(ベンゼン-1,3,5-トリイル)トリス(2-ブロモアセトアミド)である。セレノシステインも、システインと同様の反応性を有する天然アミノ酸であり、同じ反応に使用することができる。したがって、システインが言及されている場合はいつでも、文脈上、別のことが示唆されない限り、一般に、セレノシステインを代わりに用いることが許される。
【0094】
(エフェクター及び官能基)
本発明のさらなる態様によれば、1以上のエフェクター及び/又は官能基にコンジュゲートされた本明細書で定義される多量体結合複合体を含む薬物コンジュゲートが提供される。
【0095】
エフェクター及び官能基は、例えば、ポリペプチドのN及び/もしくはC末端に、ポリペプチド内のアミノ酸に、又は分子スキャフォールドに取り付けることができる。
【0096】
適切なエフェクター基は、抗体及びその部分又は断片を含む。例えば、エフェクター基は、1以上の定常領域ドメインの他に、抗体軽鎖定常領域(CL)、抗体CH1重鎖ドメイン、抗体CH2重鎖ドメイン、抗体CH3重鎖ドメイン、又はこれらの任意の組合せを含むことができる。エフェクター基は、抗体のヒンジ領域(IgG分子のCH1ドメインとCH2ドメインの間に通常見られるそのような領域)を含むこともできる。
【0097】
本発明のこの態様のさらなる実施態様において、本発明によるエフェクター基は、IgG分子のFc領域である。有利には、本発明によるペプチドリガンド-エフェクター基は、1日以上、2日以上、3日以上、4日以上、5日以上、6日以上、もしくは7日以上のtβ半減期を有するペプチドリガンドFc融合体を含むか、又はそれからなるものである。最も有利には、本発明によるペプチドリガンドは、1日以上の半減期を有するペプチドリガンドFc融合体を含むか、又はそれからなる。
【0098】
官能基としては、一般に、結合基、薬物、他の実体の取付けのための反応基、大環状ペプチドの細胞への取込みを補助する官能基などが挙げられる。
【0099】
ペプチドが細胞内に透過する能力は、細胞内標的に対するペプチドが効果的になることを可能にする。細胞内に透過する能力を有するペプチドによりアクセスされ得る標的としては、転写因子、チロシンキナーゼなどの細胞内シグナル伝達分子、及びアポトーシス経路に関与する分子が挙げられる。細胞の透過を可能にする官能基としては、ペプチド又はペプチドもしくは分子スキャフォールドのいずれかに付加されたペプチド又は化学基が挙げられる。例えば、Chen及びHarrisonの文献、Biochemical Society Transactions(2007)、第35巻、第4部、821頁; Guptaらの文献、Advanced Drug Discovery Reviews(2004)、第57巻、9637に記載されている、例えば、VP22、HIV-Tat、ショウジョウバエのホメオボックスタンパク(アンテナペディア)などに由来するものなどのペプチド。細胞膜を通る移動に効率が良いことが示されている短いペプチドの例としては、ショウジョウバエのアンテナペディアタンパク質由来の16アミノ酸のペネトラチンペプチド(Derossiらの文献(1994) J Biol. Chem. 第269巻、10444頁)、18アミノ酸の「モデル両親媒性ペプチド」(Oehlkeらの文献(1998) Biochim Biophys Acts、第1414巻、127頁)、HIV TATタンパク質のアルギニンリッチ領域が挙げられる。非ペプチド性アプローチとしては、生体分子に容易に取り付けることができる低分子模倣物又はSMOCの使用が挙げられる(Okuyamaらの文献(2007) Nature Methods、第4巻、153頁)。分子にグアニジニウム基を付加する他の化学的戦略も、細胞透過を増強する(Elson-Scwabらの文献(2007) J Biol Chem、第282巻、13585頁)。ステロイドなどの低分子量の分子を分子スキャフォールドに付加して、細胞への取込みを増強することができる。
【0100】
ペプチドリガンドに取り付けることができる官能基の1つのクラスとしては、抗体及びその結合断片、例えば、Fab、Fv、又は単一ドメイン断片が挙げられる。特に、ペプチドリガンドの半減期をインビボで増加させることができるタンパク質に結合する抗体を使用することができる。
【0101】
一実施態様において、本発明によるペプチドリガンドエフェクター基は: 12時間以上、24時間以上、2日以上、3日以上、4日以上、5日以上、6日以上、7日以上、8日以上、9日以上、10日以上、11日以上、12日以上、13日以上、14日以上、15日以上、又は20日以上からなる群から選択されるtβ半減期を有する。有利には、本発明によるペプチドリガンド-エフェクター基又は組成物は、12時間~60時間の範囲のtβ半減期を有する。さらなる実施態様において、それは、1日以上のtβ半減期を有する。なおさらなる実施態様において、それは、12~26時間の範囲である。
【0102】
本発明の1つの特定の実施態様において、官能基は、医薬関連の金属放射性同位体を錯化させるのに好適である金属キレート剤から選択される。
【0103】
可能なエフェクター基としては、例えば、ペプチドリガンドがADEPTにおいて抗体の代わりになる酵素/プロドラッグ療法において使用するためのカルボキシペプチダーゼG2などの酵素も挙げられる。
【0104】
一実施態様において、本発明の多量体結合複合体は、ジスルフィド結合又はプロテアーゼ感受性結合などの切断可能な結合を含有する。理論によって束縛されるものではないが、そのような切断可能な部分は、それが腫瘍微小環境に達するまで、該複合体を失活させると考えられる。この実施態様の利益は、標的への結合後にサイズが低下することになる複合体をもたらす。さらなる実施態様において、ジスルフィド結合に隣接する基は、ジスルフィド結合の障害、並びにこれにより、結合剤の切断及びそれに付随する放出の速度を制御するように修飾される。
【0105】
発表された研究により、ジスルフィド結合のどちらかの側に立体障害を導入することにより、還元に対するジスルフィド結合の感受性を修飾する可能性が確立された(Kelloggらの文献(2011) Bioconjugate Chemistry, 22, 717)。より大きい程度の立体障害は、細胞内グルタチオン、そしてまた細胞外(全身)還元剤による還元の速度を低下させ、結果的に、細胞の内側と外側の両方において、毒素が放出される容易さを低下させる。したがって、細胞内環境における効率的な放出(これは、治療効果を最大化する)の最適化と対比した循環中のジスルフィド安定性(これは、毒素の望ましくない副作用を最小化する)における最適条件の選択は、ジスルフィド結合のどちらかの側における障害の程度の注意深い選択によって達成することができる。
【0106】
ジスルフィド結合のどちらかの側における障害は、標的化実体(ここでは、二環式ペプチド)に1以上のメチル基を導入することにより調節される。
【0107】
(合成)
本発明のペプチドは、標準的な技法によって合成的に製造した後、インビトロで分子スキャフォールドと反応させることができる。これを実施する場合、標準的な化学を使用することができる。これにより、さらなる下流での実験又は検証のための可溶性材料の迅速な大規模調製が可能になる。そのような方法は、Timmermanらの文献(上記)に開示されているもののような従来の化学を用いて達成され得る。
【0108】
したがって、本発明はまた、本明細書に記載されているように選択されるポリペプチド又はコンジュゲートの製造に関するものであり、ここで、該製造は、以下に説明されるような任意のさらなる工程を含む。一実施態様において、これらの工程は、化学合成によって作られた最終生成物のポリペプチドコンジュゲートに対して実施される。
【0109】
任意に、対象となるポリペプチド中のアミノ酸残基は、コンジュゲート又は複合体を製造するときに置換されてもよい。
【0110】
ペプチドを伸長させて、例えば、別のループを組み込み、それゆえ、複数の特異性を導入することもできる。
【0111】
ペプチドを伸長させるために、それは、単純に、標準的な固相又は液相化学を用いて、直交保護されたリジン(及び類似体)を用いて、そのN-末端もしくはC-末端で又はループ内で化学的に伸長されてもよい。標準的な(バイオ)コンジュゲーション技法を用いて、活性化された又は活性化可能なN-又はC-末端を導入してもよい。或いは、付加は、例えば、(Dawsonらの文献、1994、ネイティブケミカルライゲーションによるタンパク質の合成(Synthesis of Proteins by Native Chemical Ligation). Science 266:776-779)に記載されている断片縮合もしくはネイティブケミカルライゲーションによるか、又は例えば(Changらの文献、Proc Natl Acad Sci U S A. 1994 Dec 20; 91(26):12544-8もしくはHikariらの文献、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters、第18巻、第22号、2008年11月15日、6000~6003頁)に記載されているサブチリガーゼを用いて、酵素により行われてもよい。
【0112】
或いは、ペプチドは、ジスルフィド結合を介するさらなるコンジュゲーションによって伸長又は修飾されてもよい。これは、第一及び第二のペプチドが細胞の還元環境内で互いに解離することを可能にするという追加の利点を有する。この場合、分子スキャフォールド(例えば、TATA)は、3つのシステイン基と反応するように第一のペプチドの化学合成の間に付加されることができ;その後、さらなるシステイン又はチオールが第一のペプチドのN又はC-末端に付加されることができ、その結果、このシステイン又はチオールが第二のペプチドの遊離のシステイン又はチオールとのみ反応して、ジスルフィド結合した二環式ペプチド-ペプチドコンジュゲートを形成した。
【0113】
同様の技法は、四重特異性分子を潜在的に生じさせる、2つの二環式二重特異性大環状分子の合成/カップリングに等しく適用される。
【0114】
さらに、他の官能基又はエフェクター基の付加は、適切な化学を用いて、N-もしくはC-末端で、又は側鎖を介してカップリングさせて、同じ方法で達成されてもよい。一実施態様において、カップリングは、いずれかの実体の活性を遮断しないような方法で実行される。
【0115】
(医薬組成物)
本発明のさらなる態様によれば、本明細書で定義される多量体結合複合体又は薬物コンジュゲートを1以上の医薬として許容し得る賦形剤との組合せで含む医薬組成物が提供される。
【0116】
通常、本ペプチドリガンドは、薬理学的に適切な賦形剤又は担体と一緒に精製された形態で利用される。典型的には、これらの賦形剤又は担体は、生理食塩水及び/又は緩衝化媒体を含む、水性もしくはアルコール/水性溶液、エマルジョン、又は懸濁液を含む。非経口ビヒクルとしては、塩化ナトリウム溶液、リンガーデキストロース、デキストロース、及び塩化ナトリウム、並びに乳酸加リンガーが挙げられる。生理的に許容し得る好適なアジュバントは、ポリペプチド複合体を懸濁状態に保つために必要な場合、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、及びアルギネートなどの増粘剤から選択されてもよい。
【0117】
静脈内ビヒクルとしては、流体及び栄養補充液及び電解質補充液、例えば、リンガーデキストロースに基づくものが挙げられる。また、防腐剤並びに他の添加物、例えば、抗微生物薬、抗酸化剤、キレート剤、及び不活性ガスが存在してもよい(Mack社(1982)、レミントンの医薬品科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)、第16版)。
【0118】
本発明のペプチドリガンドは、別々に投与される組成物として、又は他の薬剤と併せて使用されてもよい。これらとしては、抗体、抗体断片、並びに様々な免疫療法薬、例えば、シクロスポリン、メトトレキサート、アドリアマイシン、又はシスプラチン、及び免疫毒素を挙げることができる。医薬組成物は、本発明のタンパク質リガンドと併せた様々な細胞毒性剤もしくは他の薬剤の「カクテル」、又は投与前にプールされているか、プールされていないかを問わず、異なる標的リガンドを用いて選択されたポリペプチドなどの、異なる特異性を有する本発明による選択されたポリペプチドの組合せさえも含むことができる。
【0119】
本発明による医薬組成物の投与の経路は、当業者に一般的に公知の任意のものであってもよい。療法のために、本発明のペプチドリガンドは、標準的な技法に従って任意の患者に投与することができる。投与は、非経口、静脈内、筋肉内、腹腔内、経皮的、肺経路を介するもの、又は同じく適切に、カテーテルを用いる直接注入によるものを含め、任意の適切な様式によるものであることができる。好ましくは、本発明による医薬組成物は、吸入によって投与される。投薬量及び投与の頻度は、患者の年齢、性別、及び状態、他の薬物の同時的な投与、禁忌、並びに臨床医によって考慮される他のパラメータによって決まる。
【0120】
本発明のペプチドリガンドは、保存前に凍結乾燥し、使用前に好適な担体中で再構成することができる。この技法は、効果的であることが示されており、当技術分野で公知の凍結乾燥及び再構成技法を利用することができる。凍結乾燥及び再構成は様々な程度の活性損失をもたらし得ること、及び補償するために、レベルを上方に調整する必要があり得ることが当業者によって理解されるであろう。
【0121】
本発明のペプチドリガンド又はそのカクテルを含有する組成物は、予防的及び/又は治療的処置のために投与することができる。特定の治療用途において、選択される細胞の集団の少なくとも部分的な阻害、抑制、調節、死滅化、又は何らかの他の測定可能なパラメータを達成するために十分な量は、「治療有効用量」として定義される。この投薬量を達成するために必要とされる量は、疾患の重症度及び患者自身の免疫系の全般的な状態によって決まるが、概ね、体重1キログラム当たり0.005~5.0mgの選択されるペプチドリガンドの範囲であり、0.05~2.0mg/kg/用量の用量がより一般的に使用される。予防用途のために、本ペプチドリガンド又はそのカクテルを含有する組成物はまた、同様の又はわずかに少ない投薬量で投与されてもよい。
【0122】
本発明によるペプチドリガンドを含有する組成物を予防的及び治療的な設定で利用して、哺乳動物における選択標的細胞集団の変化、不活性化、死滅化、又は除去を助けることができる。さらに、本明細書に記載されるペプチドリガンドを体外で又はインビトロで用いて、細胞の異成分集合体から標的細胞集団を選択的に死滅させるか、枯渇させるか、又は他の形で効果的に除去することができる。哺乳動物由来の血液を選択されたペプチドリガンドと体外で組み合わせることができ、それにより、標準的な技法に従って哺乳動物に戻すために、望ましくない細胞を死滅させるか、又は別の形で血液から除去する。
【0123】
(治療的使用)
本発明の二環式ペプチドは、CD137結合剤としての具体的な有用性を有する。
【0124】
CD137は、腫瘍壊死因子(TNF)受容体ファミリーのメンバーである。その代替名は、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー9(TNFRSF9)、4-IBB、及び白血球活性化により誘導されるもの(ILA)である。CD137は、活性化T細胞によって、しかし、CD4+ T細胞よりもCD8+ T細胞で大きく発現されることができる。さらに、CD137発現は、樹状細胞、濾胞樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、顆粒球、及び炎症部位の血管壁の細胞で見られる。CD137の1つの特徴付けられた活性は、活性化T細胞に対するその共刺激活性である。CD137の架橋によって、T細胞増殖、IL-2分泌、生存、及び細胞溶解活性が増強される。さらに、これによって、マウスで免疫活性が増強され、腫瘍を排除することができる。
【0125】
CD137は、TCR活性化時に誘導されるT細胞共刺激受容体である(Namらの文献、Curr. Cancer Drug Targets, 5:357-363(2005); Waitsらの文献、Annu. Rev, Immunol., 23:23-68(2005))。活性化されたCD4+及びCD8+ T細胞でのその発現に加えて、CD137は、CD4+CD25+調節性T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞及びNK-T細胞、単球、好中球、並びに樹状細胞でも発現される。その天然リガンドであるCD137Lは、B細胞、単球/マクロファージ、及び樹状細胞を含む抗原提示細胞で記載されている(Wattsらの文献、Annu. Rev. Immunol, 23:23-68(2005))。そのリガンドと相互作用すると、CD137によって、TCR誘導性のT細胞増殖の増加、サイトカイン産生、機能的成熟、及びCD8+ T細胞生存の延長がもたらされる(Namらの文献、Curr. Cancer Drug Targets, 5:357-363(2005), Wattsらの文献、Annu. Rev. Immunol, 23:23-68(2005))。
【0126】
CD137L又はCD137に対する作動性モノクローナル抗体(mAb)のいずれかによるCD137を介するシグナル伝達によって、TCR誘導性のT細胞増殖の増加、サイトカイン産生及び機能的成熟、並びにCD8+ T細胞生存の延長がもたらされる。これらの効果は、(1)NF-κB、c-Jun NH2-末端キナーゼ/ストレス活性化タンパク質キナーゼ(JNK/SAPK)、及びp38マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)シグナル伝達経路の活性化、並びに(2)抗アポトーシス及び細胞周期関連遺伝子発現の制御:に起因する。
【0127】
CD137欠損マウスとCD137L欠損マウスの両方において実施された実験により、完全にコンピテントなT細胞応答の発生におけるCD137共刺激の重要性がさらに示されている。
【0128】
IL-2及びIL-15によって活性化されたNK細胞はCD137を発現し、作動性mAbによるCD137のライゲーションは、NK細胞増殖及びIFN-γ分泌を刺激するが、その細胞溶解活性は刺激しない。
【0129】
さらに、CD137によって刺激されたNK細胞は、インビトロで活性化T細胞の増殖を促進する。
【0130】
その共刺激機能によれば、CD137に対するアゴニストmAbは、心臓及び皮膚の同種移植片の拒絶を促進し、定着した腫瘍を根絶し、一次抗ウイルスCD8+ T細胞応答を拡大し、T細胞の細胞溶解能を高めることが示されている。これらの研究は、CD137シグナル伝達が、腫瘍及び感染に対する免疫を増強し得るT細胞機能を促進するという見解を裏付ける。
【0131】
本発明の方法に従って選択されたポリペプチドリガンドは、インビボでの治療的及び予防的用途、インビトロ及びインビボでの診断用途、インビトロでのアッセイ及び試薬用途などにおいて利用することができる。選択されたレベルの特異性を有するリガンドは、交差反応性が望ましい非ヒトの動物における試験を伴う用途において、又はホモログもしくはパラログとの交差反応性を注意深く制御する必要がある診断用途において有用である。ワクチン用途などの一部の用途では、所定の範囲の抗原に対する免疫応答を誘発する能力を活用して、特定の疾患及び病原体に合わせたワクチンを作成することができる。
【0132】
少なくとも90~95%の均質性の実質的に純粋なペプチドリガンドは、哺乳動物への投与に好ましく、98~99%又はそれを上回る均質性は、特に、哺乳動物がヒトである場合、医薬としての使用に最も好ましい。部分的に又は所望の均質性になるまで精製したら、選択されたポリペプチドを、診断的にもしくは治療的に(体外を含めて)使用してもよく、又はアッセイ手順、免疫蛍光染色などを開発及び実施する際に使用してもよい(Lefkovite及びPernisの文献(1979年及び1981年)、免疫学的方法(Immunological Methods)、第I巻及び第II巻、Academic Press, NY)。
【0133】
本発明のさらなる態様によれば、CD137によって媒介される疾患又は障害の予防、抑制、又は治療において使用するための、本明細書で定義される多量体結合複合体又は薬物コンジュゲートが提供される。
【0134】
本発明のさらなる態様によれば、CD137によって媒介される疾患又は障害を予防、抑制、又は治療する方法であって、それを必要としている患者に、エフェクター基及び本明細書で定義される多量体結合複合体の薬物コンジュゲートを投与することを含む、方法が提供される。
【0135】
一実施態様において、CD137は、哺乳動物CD137である。さらなる実施態様において、哺乳動物CD137は、ヒトCD137(hCD137)である。
【0136】
一実施態様において、CD137によって媒介される疾患又は障害は、癌、感染症、及び炎症から選択される。さらなる実施態様において、CD137によって媒介される障害又は疾患は、癌から選択される。
【0137】
治療(又は抑制)され得る癌(及びその良性対応物)の例としては、上皮起源の腫瘍(腺癌、扁平上皮癌、移行細胞癌、及び他の癌腫を含む、様々なタイプの腺腫及び癌腫)、例えば、膀胱及び尿路、乳房、消化管(食道、胃(stomach)(胃(gastric))、小腸、結腸、直腸、並びに肛門を含む)、肝臓(肝細胞癌)、胆嚢及び胆管系、外分泌膵臓、腎臓、肺(例えば、腺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、気管支肺胞上皮癌、及び中皮腫)、頭頸部(例えば、舌、口腔、喉頭、咽頭、上咽頭、扁桃、唾液腺、鼻腔、及び副鼻腔の癌)、卵巣、卵管、腹膜、膣、外陰部、陰茎、子宮頸部、子宮筋層、子宮内膜、甲状腺(例えば、甲状腺濾胞癌)、副腎、前立腺、皮膚、及び付属器の癌(例えば、黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、角化棘細胞腫、異形成母斑);血液悪性腫瘍(すなわち、白血病、リンパ腫)並びに前悪性血液障害及びリンパ系譜の血液悪性腫瘍及び関連疾患を含む境界領域悪性腫瘍(例えば、急性リンパ性白血病[ALL]、慢性リンパ性白血病[CLL]、B細胞リンパ腫、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫[DLBCL]、濾胞性リンパ腫、バーキットリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫及び白血病、ナチュラルキラー[NK]細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、有毛細胞白血病、意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症、形質細胞腫、多発性骨髄腫、及び移植後リンパ増殖性障害)、並びに骨髄系譜の血液悪性腫瘍及び関連疾患(例えば、急性骨髄性白血病[AML]、慢性骨髄性白血病[CML]、慢性骨髄単球性白血病[CMML]、好酸球増多症候群、骨髄増殖性障害、例えば、真性多血症、本態性血小板血症、及び原発性骨髄線維症、骨髄増殖性症候群、骨髄異形成症候群、並びに前骨髄細胞性白血病);間葉起源の腫瘍、例えば、軟部組織、骨、もしくは軟骨の肉腫、例えば、骨肉腫、線維肉腫、軟骨肉腫、横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、血管肉腫、カポジ肉腫、ユーイング肉腫、滑膜肉腫、類上皮性肉腫、消化管間質性腫瘍、良性及び悪性の組織球腫、並びに隆起性皮膚線維肉腫;中枢もしくは末梢神経系の腫瘍(例えば、星細胞腫、神経膠腫、及び膠芽細胞腫、髄膜腫、上衣腫、松果体腫瘍、及びシュワン細胞腫);内分泌腫瘍(例えば、下垂体腫瘍、副腎腫瘍、膵島細胞腫瘍、副甲状腺腫瘍、カルチノイド腫瘍、及び甲状腺の髄様癌);眼球及び付属器腫瘍(例えば、網膜芽腫);生殖細胞及び栄養膜腫瘍(例えば、奇形腫、精上皮腫、未分化胚細胞腫、胞状奇胎、及び絨毛癌);並びに小児性及び胎児性腫瘍(例えば、髄芽腫、神経芽腫、ウィルムス腫瘍、および未分化神経外胚葉性腫瘍);又は患者を悪性腫瘍に罹りやすい状態にしておく先天性もしくはその他の症候群(例えば、色素性乾皮症)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0138】
さらなる実施態様において、癌は、例えば、非ホジキンリンパ腫(NHL)、バーキットリンパ腫(BL)、多発性骨髄腫(MM)、B慢性リンパ球性白血病(B-CLL)、B及びT急性リンパ球性白血病(ALL)、T細胞リンパ腫(TCL)、急性骨髄性白血病(AML)、有毛細胞白血病(HCL)、ホジキンリンパ腫(HL)、並びに慢性骨髄性白血病(CML):から選択される造血器悪性腫瘍から選択される。
【0139】
「予防」という用語への本明細書における言及は、疾患の誘導前の防御的な組成物の投与を含む。「抑制」は、誘導性事象の後であるが、疾患の臨床的出現の前の組成物の投与を指す。「治療」は、疾患症状が顕在化した後の防御的な組成物の投与を含む。
【0140】
疾患からの防御又は疾患の治療におけるペプチドリガンドの有効性をスクリーニングするために使用することができる動物モデル系が利用可能である。動物モデル系の使用は、ヒト及び動物の標的と交差反応することができるポリペプチドリガンドの開発を可能にする本発明によって促進される。
【0141】
本発明を、以下の実施例を参照して、以下でさらに説明する。
【実施例
【0142】
(実施例)
(材料及び方法)
(ペプチド合成)
ペプチド合成は、Fmoc化学に基づき、Peptide Instrumentsにより製造されたSymphonyペプチド合成装置及びMultiSynTech製のSyro II合成装置を使用した。標準的なFmoc-アミノ酸(Sigma, Merck)を適切な側鎖保護基とともに利用し:適用可能な場合、標準的なカップリング条件を各々の場合に使用し、その後、標準的な方法論を用いて、脱保護を行った。HPLCを用いてペプチドを精製し、単離後、これを1,3,5-トリアクリロイルヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン(TATA、Sigma)で修飾した。このために、直鎖状ペプチドを50:50のMeCN:H2Oで約35mLまで希釈し、アセトニトリル中の約500μLの100mM TATAを添加し、H2O中の5mLの1M NH4HCO3で反応を開始させた。反応をRTで約30分から60分間進行させておき、(MALDI-MSにより判断して)反応が終了したら、凍結乾燥させた。終了したら、H2O中の1mlの1M L-システイン塩酸塩一水和物(Sigma)を反応液にRTで約60分間添加して、余分なTATAをクエンチした。
【0143】
凍結乾燥後、修飾されたペプチドを上記のように精製し、一方、Luna C8をGemini C18カラム(Phenomenex)と交換し、酸を0.1%トリフルオロ酢酸に変更した。正しいTATA修飾材料を含有する純粋な画分をプールし、凍結乾燥させ、保存のために-20℃で保持した。
【0144】
別途特記しない限り、アミノ酸は全て、L-立体配置で使用した。
【0145】
(多量体合成)
(BCY9931)
【化17】
(BCY9297の調製)
【化18】
化合物1(2g、20.4mmol)のDCM(50mL)溶液に、EDCI(7.82g、40.8mmol)及び化合物2(2.58g、22.43mmol、1.1当量)を添加した。混合物を25~30℃で1時間撹拌した。TLC(溶離剤:石油エーテル:ジクロロメタン=0:1、呈色試薬:ブロモクレゾールグリーン、Rf=0.44)により、反応物1が完全に消費され、1つの新しいスポットが形成されることが示された。TLCによると、反応液は透明であった。その後、反応混合物を減圧下で濃縮すると、残渣が得られ、その後、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標); 40g SepaFlash(登録商標)シリカフラッシュカラム、0~50%酢酸エチル/石油エーテル勾配の溶離剤@40mL/分)により精製すると、化合物3(2.8g、13.63mmol、66.8%収率)が白色の固形物として得られた。
【0146】
【化19】
化合物4(200mg、707.3μmol、HCl)及び化合物3(151.8mg、778.0μmol)のDCM(10mL)溶液に、DIEA(457.0mg、3.54mmol、616μL)を添加した。混合物を25~30℃で2時間撹拌した。LC-MSにより、所望の質量が検出されることが示された(観測されたm/z、[M+Na+]、349.2)。反応混合物を減圧下で濃縮して、溶媒を除去すると、残渣が得られた。残渣を分取HPLC(中性条件)により精製すると、化合物5(200mg、551.49μmol、77.9%収率、90%純度)が白色の固形物として得られた。
【0147】
【化20】
化合物5(20mg、61.28μmol)のDMF(5mL)溶液に、HOSu(8.46mg、73.53μmol)、化合物6(134.9mg、61.28μmol)、及びEDCI(14.10mg、73.53μmol)、DMAP(2.25mg、18.38μmol)を添加した。混合物を25℃で2時間撹拌した。LC-MSにより、所望の質量が検出されることが示された(計算されたMW: 2509.83、観測されたm/z[(M-Boc)/5+H+] 482.3)。残渣を分取HPLC(中性条件)により精製すると、化合物7(95mg、37.85μmol、61.7%収率)が白色の固形物として得られた。
【0148】
【化21】
化合物7(95mg、37.85μmol)のDCM(5mL)溶液に、TFA(4.32mg、37.85μmol、2.80μL)を添加した。混合物を25℃で0.5時間撹拌した。LC-MSにより、反応物1が完全に消費され、所望のm/zを有する1つの主要なピーク(計算されたMW: 2409.71、観測されたm/z:[M/2+H+] 1205.3、[M/3+H+] 803.8)が検出されることが示された。反応混合物を減圧下で濃縮して、溶媒を除去すると、残渣が得られた。残渣を分取HPLC(中性条件)により精製すると、化合物8(60mg、24.90μmol、65.8%収率)が白色の固形物として得られた。
【0149】
【化22】
化合物8(60mg、24.9μmol、5.0当量)、化合物9(23.6mg、5.0μmol、1.0当量)のDMF(5mL)溶液に、CuI(23.71mg、124.5μmol、24.9当量)を添加した。混合物を、N2雰囲気下、25℃で16時間撹拌した。LC-MSにより、化合物8が完全に消費され、所望のm/zがHRMSで検出されることが示された(計算されたMW: 14388.41、観測されたm/z:[M/10+H] 1439.8430)。残渣を分取HPLC(TFA条件)により精製すると、BCY9297-1(6.3mg、95.30%)及びBCY9297-2(9.8mg、69.40%)が白色の固形物として得られた。
【0150】
(BCY9931の調製)
BCY9297のDMF(370μL、1mM、3.7×10-7mol)溶液に、Alexa Fluor 488のDMF(370μL、1.5mM、5.6×10-7mol)溶液を添加した。DIPEA(25μL)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。溶液を10mLまで6M塩酸グアニジニウムを用いて希釈し、半分取RP-HPLCを用いて精製し、その後、凍結乾燥させると、BCY9931が所望のm/z(計算されたMW: 14906.01、観測されたm/z:[M/11+H+] 1356.03)を有する黄色の固形物(350ug、2.34×10-8mol、6.3%)として得られた。
【0151】
(BCY9932)
【化23】
(化合物3の調製)
【化24】
化合物1(200.0mg、471.3μmol、1.0当量)、化合物2(179.3mg、471.3μmol、1.0当量)、EDCI(99.4mg、518.4μmol、1.1当量)、DMAP(63.3mg、518.4μmol、1.1当量)、HOBt(70.0mg、518.4μmol、1.1当量)の混合物を10mL DCMに溶解させ、よく混合し、その後、DIEA(304.5mg、2.36mmol、410.4μL)を添加した。混合物を、N2雰囲気下、15~25℃で2時間撹拌した。LC-MSにより、反応物1が完全に消費され、所望の質量を有する1つの主要なピーク(計算されたMW: 786.86、観測されたm/z: 787.2[M+H+])が検出されることが示された。反応混合物を濾過し、減圧下で濃縮すると、残渣が得られた。残渣を分取HPLC(TFA条件)により精製すると、化合物3(45mg、57.19 umol、12.1%収率)が黄色の油状物として得られた。
【0152】
(化合物5の調製)
【化25】
化合物3(20.0mg、25.42μmol、1.0当量)、化合物4(53.5mg、101.67μmol、4.0当量)のDMF(0.5mL)の溶液に、HATU(28.03mg、73.71μmol、2.9当量)及びDIEA(19.7mg、152.51μmol、26.6μL、6.0当量)を添加した。その後、反応混合物を20℃で16時間撹拌した。LCMSにより、反応物3が完全に消費され、所望のm/zを有する1つの主要なピーク(計算されたMW: 2312.68、観測されたm/z: 1156.9[M/2+H+])が検出されることが示された。反応混合物を1mL H2Oで希釈し、その後、分取HPLC(TFA条件)により精製すると、化合物5(40mg、17.30μmol、68.05%収率)が無色の油状物として得られた。
【0153】
(化合物6の調製)
【化26】
化合物5(40.0mg、17.30μmol)のDCM(0.75mL)溶液に、TFA(385.0mg、3.38mmol、0.25mL)を添加した。その後、反応混合物を15℃で2時間撹拌した。LC-MSにより、所望のm/zを有する1つの主要なピーク(計算されたMW: 2212.56、観測されたm/z:[M/3+H+] 738.1)が示された。反応混合物を20mL DCMで希釈し、その後、減圧下で5回濃縮して、TFAを除去した。反応混合物を、精製することなく、次の工程にそのまま使用すると、化合物6(30mg、13.56μmol、78.4%収率)が白色の固形物として得られた。
【0154】
(BCY9295の調製)
【化27】
化合物6(30mg、13.56μmol、1.0当量)、単量体2A(123.74mg、54.24μmol、4.0当量)、CuI(41.25mg、216.59μmol、16.0当量)の混合物をDMF(20mL、溶媒を脱気し、N2で3回パージしたもの)に溶解させ、その後、混合物を、N2雰囲気下、15℃で2時間撹拌した。LCMSにより、所望のm/zが検出されることが示された(計算されたMW: 9057.19、観測されたm/z: 1510.2 [M/6+H+]、1294.3[M/7+H+]、1132.5[M/8+H+])、1006.8[M/9+H+]))。反応混合物を2mL H2Oで希釈した。残渣を分取HPLC(TFA条件)により精製すると、BCY9295(18mg、1.99μmol、53.6%純度、14.66%収率)が白色の固形物として得られた。
【0155】
(BCY9932の調製)
BCY9295のDMF(90μL、10mM、9×10-7mol)溶液をAlexa Fluor 488のDMF(90μL、15mM、1.35×10-6mol)溶液に添加した。DIPEA(16μL)を添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。追加の90μLのAF488のDMF(15mM)溶液を添加し、混合物を一晩撹拌した。溶液を10mLまで6M塩酸グアニジニウムを用いて希釈し、半分取RP-HPLCを用いて精製し、その後、凍結乾燥させると、BCY9932が所望のm/z(計算されたMW: 9574.73、観測されたm/z:[M/6+H+] 1596.68)を有する黄色の固形物(1.1mg、1.15×10-7mol、12.8%)として得られた。
【0156】
(BCY7340)
(BCY7080の調製)
【化28】
BCY7077のDMF(1mL、11.1mM、1.1×10-5mol)溶液をBoc-AHDA-[Peg23-N3]2(247μL、20mM、4.95×10-6mol)の溶液に添加し、得られた混合物をN2で5分間パージした。別のチューブで、CuSO4.5H2O(165μL、200mM、3.3×10-5mol)の溶液をアスコルビン酸(1.1mL、200mM、2.2×10-4mol)の溶液とともに混合した。両方の混合物を合わせ、1時間反応させておいた。反応混合物を50mM EDTA溶液で9mLまで希釈し、分取RP-HPLCを用いて精製した。純粋な生成物を含有する画分を回収し、凍結乾燥させると、BCY7080(19mg、2.9×10-6 mol、59%)が白色の固形物として得られた。
【0157】
(BCY7083の調製)
BCY7080(19mg、2.9×10-6mol)を1mL DCM/TFAに溶解させ、混合物を1時間撹拌した。溶媒をN2流下で吹き飛ばし、残渣を6Mグアニジン塩酸塩に溶解させ、分取RP-HPLCを用いて精製した。きれいな画分をプールし、凍結乾燥させると、BCY7083が白色の固形物としての白色の固形物(15.9mg、2.4×10-6mol、83%)として得られた。
【0158】
(BCY7340の調製)
BCY7083のDMSO(25μL、24.7mM、6.17×10-7mol)溶液をフルオレセイン-NHSの(30μL、50mM、1.5×10-6mol)溶液とともに混合し、DIPEA(2.5μL)を添加した。2時間後、混合物を10mLまで6Mグアニジン塩酸塩を用いて希釈し、分取RP-HPLCにより精製した。きれいな所望の材料を含有する試料をプールし、凍結乾燥させると、BCY7340が黄色の固形物として得られた。
【0159】
(BCY11467)
【化29】
(Tet-[Peg10-N3]4の調製)
【化30】
化合物1(100mg、235.63μmol、1当量)のDMF(1mL)溶液に、EDCI(200mg、1.04mmol、4.43当量)及びHOBt(140mg、1.04mmol、4.4当量)及びDIPEA(185.50mg、1.44mmol、0.25mL、6.09当量)を添加した。DMF(1mL)中の化合物2(500mg、949.45μmol、4.03当量)を滴加した。混合物を25~30℃で12時間撹拌した。LC-MSにより、主要な生成物としての新しいピークの形成が示された。反応混合物を分取HPLC(TFA条件)により精製すると、Tet-[Peg10-N3]4(385mg、148.75μmol、63.13%収率、95%純度)が薄黄色の油状物として得られた。
【0160】
(化合物3の調製)
【化31】
Tet-[Peg10-N3]4(42.0mg、17.1μmol、1.0当量)及び化合物2(6.0mg、17.1μmol、1.0当量)をまず2mLのt-BuOH/H2O(1:1)に溶解させ、その後、CuSO4(0.4M、45.0μL、1.0当量)、VcNa(9.0mg、45.4μmol、2.6当量)、及びTHPTA(9.0mg、20.7μmol、1.2当量)を添加した。最後に、0.2M NH4HCO3を添加して、pHを8に調整した。ここの全ての溶媒を脱気し、N2で3回パージした。反応混合物を、N2雰囲気下、40℃で16時間撹拌した。反応混合物を、それ以上精製することなく、次の工程に使用した。
【0161】
(BCY11467の調製)
【化32】
化合物3(32.0mg、11.4μmol、1.0当量)及びBCY7744(90.0mg、38.5μmol、3.4当量)をまず2mLのt-BuOH/H2O(1:1)に溶解させ、その後、CuSO4(0.4M、30.0μL、1.0当量)、VcNa(6.0mg、30.3μmol、2.6当量)、及びTHPTA(10.0mg、23.0μmol、2.0当量)を添加した。最後に、0.2M NH4HCO3を添加して、pHを8に調整した。ここの全ての溶媒を脱気し、N2で3回パージした。反応混合物を、N2雰囲気下、40℃で16時間撹拌した。LC-MSにより、所望のm/zを有する1つの主要なピークが示された(計算されたMW: 9823.29 観測されたm/z: 1228.7([M/8+H]+))。反応混合物を分取HPLC(TFA条件)により精製すると、BCY11467(4.3mg、0.41μmol、3.65%収率、97.32%純度)が白色の固形物として得られた。
【0162】
(BCY11554)
【化33】
(化合物3の調製)
【化34】
Tet-[Peg10-N3]4(11.0mg、4.5μmol、1.0当量)及び化合物2(1.0mg、4.4μmol、1.0当量)をまず2mLのt-BuOH/H2O(1:1)に溶解させ、その後、CuSO4(0.4M、12.0μL、1.1当量)、VcNa(2.0mg、10.1μmol、2.2当量)、及びTHPTA(3.0mg、6.9μmol、1.5当量)を添加した。最後に、0.2M NH4HCO3を添加して、pHを8に調整した。ここの全ての溶媒を脱気し、N2で3回パージした。反応混合物を、N2雰囲気下、40℃で16時間撹拌した。反応混合物を、それ以上精製することなく、次の工程に使用した。
【0163】
(BCY11554の調製)
【化35】
化合物3及びBCY7744(38.0mg、16.3μmol、3.6当量)をまず2mLのt-BuOH/H2O(1:1)に溶解させ、その後、CuSO4(0.4M、12.0μL、1.1当量)、VcNa(2.0mg、10.1μmol、2.2当量)、及びTHPTA(3.0mg、6.9μmol、1.5当量)を添加した。最後に、0.2M NH4HCO3を添加して、pHを8に調整した。ここの全ての溶媒を脱気し、N2で3回パージした。反応混合物を、N2雰囲気下、40℃で16時間撹拌した。LC-MSにより、所望のm/zを有する1つの主要なピークが示された(計算されたMW: 9929.35、観測されたm/z: 1419.2([M/7+H]+)及び1242.0([M/8+H]+))。反応混合物を分取HPLC(TFA条件)により精製すると、BCY11554(4.3mg、0.43μmol、9.67%収率、99.52%純度)が白色の固形物として得られた。
【0164】
(BCY11856)
【化36】
(化合物2の調製)
【化37】
Tet-[Peg10-N3]4(12mg、4.9μmol、1.0当量)、BCY11506(35mg、15.0μmol、3.1当量)、THPTA(0.4M、12.2μL、1.0当量)の溶液をt-BuOH/H2O(1:1、2mL、予め脱気し、N2で3回パージしたもの)に溶解させ、その後、CuSO4(0.4M、24.4μL、2.0当量)及びVcNa(0.4M、24.4μL、2.0当量)をN2下で添加した。この溶液のpHを0.2M NH4HCO3(1:1のt-BuOH/H2O中)の滴加により8に調整すると、溶液は薄黄色になった。LC-MSにより、化合物1が完全に消費され、所望のm/zを有するいくつかのピーク(MW: 9474.69、観測されたm/z: 1052.83([M/9+H]+)、1184.66([M/8+H]+))が検出されることが示された。反応混合物を減圧下で濃縮して、溶媒を除去すると、残渣が得られた。残渣を分取HPLC(TFA条件)により精製した。化合物2(6.8mg、6.47e-1μmol、13.25%収率、90.10%純度)が白色の固形物として得られた。
【0165】
(BCY11856の調製)
【化38】
化合物2(6.1mg、6.44e-1μmol、1.0当量)、Alexa488-Pra-OH(0.5mg、6.44e-1μmol、1.0当量)、THPTA(0.3mg、6.90e-1μmol、1.0当量)の混合物をt-BuOH/H2O(1:1、2mL、予め脱気し、N2で3回パージしたもの)に溶解させ、その後、CuSO4(0.4M、1.6μL、1.0当量)及びVcNa(0.4M、3.2μL、2.0当量)をN2下で添加した。この溶液のpHを0.2M NH4HCO3(1:1のt-BuOH/H2O中)の滴加により8に調整すると、溶液は薄黄色になった。反応混合物を、N2雰囲気下、40℃で16時間撹拌した。LC-MSにより、化合物2が完全に消費され、1つの主要なピークが粗HPLCで検出されることが示された。反応混合物を分取HPLC(TFA条件)によりそのまま精製した。BCY11856(2.5mg、0.24μmol、32%収率、84.78%純度)がピンク色の固形物として得られた(計算されたMW: 10044.24、観測されたm/z1256.39([M/8+H]+)、1435.7([M/7+H]+))。
【0166】
(BCY11862)
【化39】
(Tet-Peg23-N3の調製)
【化40】
化合物1のDMF(1mL)溶液に、HOBt(56mg、414.45μmol、4.40当量)及びEDCI(80mg、417.32μmol、4.43当量)及びDIEA(73.09mg、565.51μmol、98.50μL、6.0当量)を添加し、その後、DMF(1mL)中の化合物2(420mg、382.06μmol、4.05当量)を滴加した。混合物を20℃で12時間撹拌した。LC-MSにより、化合物1が完全に消費され、新しいピークが主要な生成物として形成されることが示された。混合物を分取HPLC(TFA条件)により精製すると、Tet-Peg23-N3(225mg、47.37μmol、50.26%収率、100%純度)が白色の固形物として得られた。
【0167】
(化合物3の調製)
【化41】
Tet-[Peg23-N3]4(30mg、6.3μmol、1.0当量)、化合物2(44.5mg、19.0μmol、3.0当量)、及びTHPTA(8.5mg、19.6μmol、3.1当量)の混合物をt-BuOH/H2O(1:1、1mL、予め脱気し、N2で3回パージしたもの)に溶解させ、その後、CuSO4(0.4M、48μL、3.0当量)及びVcNa(8.0mg、40.4μmol、6.4当量)をN2下で添加した。この溶液のpHを0.2M NH4HCO3(1:1のt-BuOH/H2O中)の滴加により8に調整すると、溶液は薄黄色になった。反応混合物を、N2雰囲気下、40℃で4時間撹拌した。LC-MSにより、Tet-[Peg23-N3]4が完全に消費され、所望のm/zを有する1つの主要なピーク(計算されたMW: 11762.46、観測されたm/z: 1176.96([(M/10+H]+)、1307.57([(M/9+H]+))が検出されることが示された。反応混合物を濾過し、減圧下で濃縮すると、残渣が得られた。粗生成物を分取HPLC(TFA条件)により精製すると、化合物3(21.0mg、1.27μmol、20.18%収率、71.4%純度)が白色の固形物として得られた。
【0168】
(BCY11861の調製)
【化42】
化合物3(21.0mg、1.8μmol、1.0当量)、BCY11613(4.7mg、2.0μmol、1.1当量)、及びTHPTA(1.0mg、2.3μmol、1.3当量)の混合物をt-BuOH/H2O(1:1、1mL、予め脱気し、N2で3回パージしたもの)に溶解させ、その後、CuSO4(0.4M、4.5μL、1.0当量)及びVcNa(1.0mg、5.0μmol、2.8当量)をN2下で添加した。この溶液のpHを0.2M NH4HCO3(1:1のt-BuOH/H2O中)の滴加により8に調整すると、溶液は薄黄色になった。反応混合物を、N2雰囲気下、40℃で2時間撹拌した。LC-MSにより、化合物3が完全に消費され、所望のm/zを有する1つの主要なピーク(計算されたMW: 14157.2、観測されたm/z: 1287.34([M/11+H]+)、1180.2([M/12+H]+))が検出されることが示された。反応混合物を濾過し、減圧下で濃縮すると、残渣が得られた。粗生成物を分取HPLC(TFA条件)により精製すると、BCY11861(4.2mg、0.29μmol、16.37%収率、98.5%純度)が白色の固形物として得られた。
【0169】
(BCY11862の調製)
【化43】
BCY11861(5.0mg、0.35μmol、1.0当量)、化合物2(0.4mg、0.42μmol、1.2当量)、及びDIEA(0.1mg、0.74μmol、0.14μL、2.1当量)の混合物をDMF(0.5mL)に溶解させた。反応混合物を25℃で1時間撹拌した。LC-MSにより、化合物1が完全に消費され、所望のm/zを有する1つの主要なピーク(MW: 14983.2、観測されたm/z: 1500.29([(M/10+H+])、1362.66([(M/11+H+]))が検出されることが示された。反応混合物を減圧下で濃縮して、溶媒を除去すると、残渣が生じた。その後、残渣を分取HPLC(中性条件)により精製した。BCY11862(3.7mg、0.23μmol、65.79%収率、94.1%純度)が白色の固形物(MW: 14983.2、観測されたm/z: 1873.9180([(M/8+H+]))として得られた。
【0170】
(BCY12239)
【化44】
【化45】
BCY11861(4.2mg、0.30μmol、1.0当量)、化合物2(0.4mg、0.38μmol、1.3当量)、及びDIEA(0.1mg、0.74μmol、0.14μL、2.5当量)の混合物をDMF(0.5mL)に溶解させた。反応混合物を25℃で1時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して、溶媒を除去すると、残渣が生じた。その後、残渣を分取HPLC(中性条件)により精製した。BCY12239(1.8mg、0.12μmol、42.34%収率、98.9%純度)がピンク色の固形物(計算されたMW: 14672.69、観測されたm/z: 2099.6074([(M/7+H++H2O])として得られた。
【0171】
(BCY12240)
【化46】
【化47】
BCY11861(4.0mg、0.28μmol、1.0当量)、化合物2(0.2mg、0.50μmol、1.8当量)、及びDIEA(0.1mg、0.74μmol、0.14μL、2.6当量)の混合物をDMF(0.5mL)に溶解させた。反応混合物を25℃で1時間撹拌した。LC-MSにより、化合物1が完全に消費され、所望のm/zを有する1つの主要なピーク(MW: 14622.89、観測されたm/z: 1219.0([(M/12+H+]))が検出されることが示された。反応混合物を減圧下で濃縮して、溶媒を除去すると、残渣が生じた。その後、残渣を分取HPLC(中性条件)により精製した。BCY12240(3.4mg、0.21μmol、77.13%収率、93.9%純度)が薄青色の固形物として得られた(MW: 14622.89、観察されたTOF m/z: 14622.41) 1330.2719([(M/11+H+])。
【0172】
(BCY12380)
【化48】
【化49】
BCY11861(4.2mg、0.29μmol、1.0当量)、化合物2(0.13mg、0.33μmol、1.2当量)、及びDIEA(0.1mg、0.78μmol、0.14μL、2.8当量)の混合物をDMF(0.5mL)に溶解させた。反応混合物を25℃で1時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して、溶媒を除去すると、残渣が生じた。その後、残渣を分取HPLC(中性条件)により精製した。BCY12380(0.8mg、0.21μmol、21.4%収率、87.3%純度)が薄緑色の固形物として得られた(計算されたMW: 14431.31、観測されたm/z: 1804.8426([(M/8+H+])。
【0173】
(BCY12374)
【化50】
(化合物3の調製)
【化51】
Tet-[Peg23-N3]4(60mg、12.63μmol、1.0当量)、BCY12144(8.3mg、8.84μmol、0.7当量)、及びTHPTA(5.5mg、1.0当量)の混合物をt-BuOH/H2O(1:1、1mL、予め脱気し、N2で3回パージしたもの)に溶解させ、その後、CuSO4(0.4M、32.0μL、1.0当量)及びVcNa(5.5mg、2.0当量)をN2下で添加した。この溶液のpHを0.2M NH4HCO3(1:1のt-BuOH/H2O中)の滴加により8に調整すると、溶液は薄黄色になった。反応混合物を、N2雰囲気下、40℃で4時間撹拌した。LC-MSにより、BCY12144が完全に消費され、所望のm/zを有する主要な生成物ピーク(計算されたMW: 7144.27、観測されたm/z: 1021.3([(M/7+H]+)が検出されることが示された。反応混合物を濾過し、減圧下で濃縮すると、残渣が得られた。粗生成物を分取HPLC(TFA条件)により精製すると、化合物3(21.5mg、2.90μmol、22.94%収率、96.3%純度)が白色の固形物として得られた。
【0174】
(BCY12373の調製)
【化52】
化合物3(21.5mg、3.01μmol、1.0当量)、BCY11506(21.2mg、9.03μmol、3.0当量)、及びTHPTA(4.0mg、3.0当量)の混合物をt-BuOH/H2O(1:1、1mL、予め脱気し、N2で3回パージしたもの)に溶解させ、その後、CuSO4(0.4M、23.0μL、3.0当量)及びVcNa(4.0mg、20.2μmol、6.0当量)をN2下で添加した。この溶液のpHを0.2M NH4HCO3(1:1のt-BuOH/H2O中)の滴加により8に調整すると、溶液は薄黄色になった。反応混合物を、N2雰囲気下、40℃で3時間撹拌した。LC-MSにより、化合物3が完全に消費され、所望のm/zを有する1つの主要なピーク(計算されたMW: 14160.15、観測されたm/z: 1288.1([M/11+H]+))が検出されることが示された。反応混合物を濾過し、減圧下で濃縮すると、残渣が得られた。粗生成物を分取HPLC(TFA条件)により精製すると、BCY12373(28.7mg、1.86μmol、61.96%収率、92.0%純度)が白色の固形物として得られた。
【0175】
(BCY12374の調製)
【化53】
BCY12373(5mg、0.37μmol、1.0当量)、化合物2(0.4mg、0.37μmol、1.0当量)、及びDIEA(0.1mg、0.74μmol、0.14μL、2.0当量)の混合物をDMF(0.5mL)に溶解させた。反応混合物を25℃で1時間撹拌した。LC-MSにより、BCY12373が完全に消費されることが示された。反応混合物を減圧下で濃縮して、溶媒を除去すると、残渣が生じた。その後、残渣を分取HPLC(中性条件)により精製した。BCY12374(2.4mg、0.15μmol、42.13%収率、92.9%純度)が白色の固形物として得られた(計算されたMW: 14983.24、観測されたm/z: 1873.8652([(M/8+H+])。
【0176】
(BCY12657)
【化54】
(化合物3の調製)
【化55】
Tet-[Peg23-N3]4(150mg、31.6μmol、1.0当量)、化合物2(49mg、22.1μmol、0.7当量)、及びTHPTA(14.0mg、32.2μmol、1.0当量)の混合物をt-BuOH/H2O(1:1、1mL、予め脱気し、N2で3回パージしたもの)に溶解させ、その後、CuSO4(0.4M、80μL、1.0当量)及びVcNa(13.0mg、65.6μmol、2.1当量)をN2下で添加した。この溶液のpHを0.2M NH4HCO3(1:1のt-BuOH/H2O中)の滴加により8に調整すると、溶液は薄黄色になった。反応混合物を、N2雰囲気下、40℃で4時間撹拌した。LC-MSにより、化合物2が完全に消費され、1つの主要なピークが検出されることが示された。反応混合物を濾過し、減圧下で濃縮すると、残渣が得られた。粗生成物を分取HPLC(TFA条件)により精製すると、化合物3(45.8mg、6.17μmol、19.53%収率、93.8%純度)が白色の固形物として得られた。
【0177】
(BCY12480の調製)
【化56】
化合物3(45.8mg、6.6μmol、1.0当量)、BCY8927(42.6mg、19.7μmol、3.0当量)、及びTHPTA(9.0mg、20.7μmol、3.1当量)の混合物をt-BuOH/H2O(1:1、1mL、予め脱気し、N2で3回パージしたもの)に溶解させ、その後、CuSO4(0.4M、50.0μL、3.0当量)及びVcNa(8.0mg、40.4μmol、6.1当量)をN2下で添加した。この溶液のpHを0.2M NH4HCO3(1:1のt-BuOH/H2O中)の滴加により8に調整すると、溶液は薄黄色になった。反応混合物を、N2雰囲気下、40℃で3時間撹拌した。LC-MSにより、化合物3が完全に消費され、所望のm/zを有する1つの主要なピーク(計算されたMW: 13444.8、観測されたm/z: 1494.6([M/9+H]+)、1681.6([M/8+H]+))が検出されることが示された。反応混合物を濾過し、減圧下で濃縮すると、残渣が得られた。粗生成物を分取HPLC(TFA条件)により精製すると、BCY12480(32.0mg、2.26μmol、34.32%収率、96.6%純度)が白色の固形物として得られた。
【0178】
(BCY12657の調製)
【化57】
BCY12480(10mg、0.74μmol、1.0当量)、化合物2(0.7mg、0.74μmol、1.0当量)、及びDIEA(0.2mg、1.48μmol、0.3μL、2.0当量)の混合物をDMF(0.5mL)に溶解させた。反応混合物を25℃で1時間撹拌した。LC-MSにより、化合物1が完全に消費され、所望のm/zを有する1つの主要なピーク(MW: 14270.8、観測されたm/z: 1586.3([(M/9+H+]), 1428([(M/10+H+]), 1298.6([(M/11+H+]))が検出されることが示された。反応混合物を減圧下で濃縮して、溶媒を除去すると、残渣が生じた。その後、残渣を分取HPLC(中性条件)により精製した。BCY12657(4.2mg、0.29μmol、38.10%収率、96.3%純度)が白色の固形物として得られた。
【0179】
(BCY12660)
【化58】
【化59】
BCY12480(5mg、0.37μmol、1.0当量)、化合物2(0.2mg、0.51μmol、1.4当量)、及びDIEA(0.1mg、0.74μmol、0.14μL、2.0当量)の混合物をDMF(0.5mL)に溶解させた。反応混合物を25℃で1時間撹拌した。LC-MSにより、BCY12480が完全に消費され、所望のm/zを有する1つの主要なピーク(MW: 13718.9、観測されたm/z: 1525.1([(M/9+H]+)、1247.6([(M/11+H]+))が検出されることが示された。反応混合物を減圧下で濃縮して、溶媒を除去すると、残渣が生じた。その後、残渣を分取HPLC(中性条件)により精製した。BCY12660(2.6mg、0.17μmol、47.69%収率、93.6%純度)が薄緑色の固形物として得られた(計算されたMW: 13718.9、観測されたm/z: 1715.8014([(M/8+H+])。
【0180】
(BCY12658)
【化60】
【化61】
BCY12480(5.0mg、0.37μmol、1.0当量)のDMF(0.5mL)溶液に、DIEA(0.15mg、1.12μmol、0.2μL、3.0当量)を添加し、暗所で5分間撹拌した。その後、Alexa488-NHS(0.24mg、0.37μmol、1.0当量)をN2雰囲気下で混合物に添加した。混合物を暗所25℃で3時間撹拌した。LC-MSにより、BCY12480が完全に消費され、所望のm/zを有する1つの主要なピーク(計算されたMW: 13960.25、観測されたm/z: 1748.4 [(M+7H++Na+)/8])が検出されることが示された。反応混合物を分取HPLC(A: H2O中の0.075%TFA、B: ACN)により精製すると、BCY12658(1.20mg、8.18e-2μmol、22.0%収率、95.1%純度)がピンク色の固形物として得られた(計算されたMW: 13960.25、観測されたm/z: 1995.4625([(M/7+H+])。
【0181】
(BCY12659)
【化62】
【化63】
BCY12480(5.0mg、0.37μmol、1.0当量)のDMF(0.5mL)溶液に、DIEA(0.15mg、1.12μmol、0.2μL、3.0当量)を添加し、暗所で5分間撹拌した。その後、Cy5-NHS(0.3mg、0.45μmol、1.2当量)をN2雰囲気下で混合物に添加した。混合物を暗所25℃で3時間撹拌した。LC-MSにより、BCY12480が完全に消費され、所望のm/zを有する1つの主要なピーク(計算されたMW: 13910.49、観測されたm/z: 1740.1 [M/8+H]+)が検出されることが示された。反応混合物を分取HPLC(A: H2O中の0.075%TFA、B: ACN)により精製すると、BCY12659(1.10mg、7.24e-2μmol、19.5%収率、91.5%純度)が薄青色の固形物として得られた(計算されたMW: 13910.49、観測されたm/z: 1265.5352([(M/11+H+])。
【0182】
(BCY15459)
【化64】
【化65】
化合物1(10.0mg、18.16μmol、1.0当量)、化合物2(84.5mg、38.1μmol、2.1当量)、及びTHPTA(7.9mg、18.16μmol、1.0当量)の混合物をt-BuOH/0.2M(水性)NH4HCO3(1:1、0.5mL)に溶解させ、脱気し、N2でパージし、その後、CuSO4(0.4M、45.4μL、1.0当量)及びVc(14.5mg、72.64μmol、4.0当量)の水性溶液をN2下で添加した。この溶液のpHを8に調整すると、溶液は薄黄色になった。反応混合物を、N2雰囲気下、25℃で2時間撹拌した。LC-MSにより、BP-24369が完全に消費され、所望のm/zを有する1つの主要なピークが検出されることが示された。反応混合物を濾過し、減圧下で濃縮すると、残渣が得られた。粗生成物を分取HPLCにより精製すると、BCY15459(55mg、10.48 umol、57.71%収率、97.5%純度)が白色の固形物として得られた。計算されたMW: 4985.8、観測されたm/z: 1247.7[M+4H]4+、998.4[M+5H]5+
【0183】
(BCY15416)
【化66】
【化67】
化合物1(20.0mg、4.01μmol、1.0当量)、化合物2(5.0mg、8.02μmol、2.0当量)の混合物をDMF(0.5mL)に溶解させた。この溶液のpHをDIEA(5.2mg、40.11μmol、7.0μL、10当量)の滴加により8に調整した。反応混合物を25℃で1時間撹拌した。LC-MSにより、BCY15459が残存していることが示された(計算されたMW: 4985.8、観測されたm/z: 1247.9([M/4+H]+)、998.1([M/5+H]+)。その後、追加の化合物2(5.0mg、8.02μmol、2.0当量)を反応混合物に添加し、反応混合物を25℃で1時間撹拌した。LC-MSにより、BCY15459が完全に消費され、所望のm/zを有する1つの主要なピーク(計算された(MW: 5502.27、観測されたm/z: 1376.8([M/4+H]+)、1100.8([M/5+H]+))が検出されることが示された。反応混合物を濾過し、減圧下で濃縮すると、残渣が得られた。粗生成物を分取HPLCにより精製すると、BCY15416(9.8mg、1.72μmol、42.76%収率、96.3%純度)が赤色の固形物として得られた。
【0184】
(BCY15985)
【化68】
【化69】
化合物1(30.0mg、6.02μmol、1.0当量)、化合物2(8.49mg、9.03μmol、1.5当量)の混合物をDMF(0.5mL)に溶解させた。この溶液のpHを0.1M DIEA(7.7mg、60.17μmol、10.5μL、10.0当量)の滴加により8に調整した。反応混合物を25℃で1.0時間撹拌した。LC-MSにより、BCY15459が完全に消費され、所望のm/zを有する1つの主要なピーク(計算されたMW: 5811.8、観測されたm/z: 1454.3([M/4+H]+)、1163.4([M/5+H]+)、969.7([M/6+H]+)、831.4([M/7+H]+))が検出され、BCY15459-2当量のビオチオン-PEG12-NHS(計算されたMW: 6637.8、観測されたm/z: 1328.7([M/5+H]+))も観察されることが示された。反応混合物を濾過し、減圧下で濃縮すると、残渣が得られた。粗生成物を分取HPLC(TFA条件)により精製すると、BCY15985(21mg、3.53μmol、58.61%収率、97.6%純度)が白色の固形物として得られた。
【0185】
(BCY13390)
(BCY12476の調製のための手順)
【化70】
N-(酸-PEG3)-N-ビス(PEG3-アジド)(70.0mg、112.2μmol、1.0当量)、HATU(51.2mg、134.7μmol、1.2当量)、及びDIEA(29.0mg、224.4μmol、40μL、2.0当量)の混合物をDMF(2mL)に溶解させ、5分間混合した。その後、BCY8116(294.0mg、135.3μmol、1.2当量)を添加した。反応混合物を40℃で16時間撹拌した。LC-MSにより、所望のm/zを有する1つの主要なピークが示された。反応混合物を減圧下で濃縮して、溶媒を除去すると、残渣が生じた。その後、残渣を分取HPLCにより精製した。BCY12476(194.5mg、66.02μmol、29%収率、94%純度)が白色の固形物として得られた。計算されたMW: 2778.17、観測されたm/z: 1389.3([M+2H]2+)、926.7([M+3H]3+)。
【0186】
【化71】
(BCY13689の調製のための手順)
【化72】
BCY12476(47.0mg、16.91μmol、1.0当量)、BCY8928(30.0mg、13.53μmol、0.8当量)、及びTHPTA(36.7mg、84.55μmol、5.0当量)の混合物をt-BuOH/H2O(1:1、8mL、予め脱気し、N2でパージしたもの)に溶解させ、その後、CuSO4(0.4M、21.0μL、0.5当量)及びVcNa(67.0mg、338.21μmol、20.0当量)をN2下で添加した。この溶液のpHを0.2M NH4HCO3(1:1のt-BuOH/H2O中)の滴加により8に調整すると、溶液は薄黄色になった。反応混合物を、N2雰囲気下、25℃で1.5時間撹拌した。LC-MSにより、一部のBCY12476が残存し、BCY8928が完全に消費され、所望のm/zを有するピークが検出されることが示された。反応混合物を濾過し、減圧下で濃縮すると、残渣が得られた。粗生成物を分取HPLCにより精製すると、BCY13689(25.3mg、4.56μmol、27%収率、90%純度)が白色の固形物として得られた。計算されたMW: 4995.74、観測されたm/z: 1249.4([M+4H]4+)、999.9([M+5H]5+)。
【0187】
(BCY13390の調製のための手順)
【化73】
BCY13689(43.6mg、8.73μmol、1.0当量)、BCY13389(20.8mg、9.16μmol、1.05当量)、及びTHPTA(3.8mg、8.73μmol、1.0当量)の混合物をt-BuOH/H2O(1:1、1mL、予め脱気し、N2でパージしたもの)に溶解させ、その後、CuSO4(0.4M、22.0μL、1.0当量)及びVcNa(3.5mg、17.45μmol、2.0当量)をN2下で添加した。この溶液のpHを0.2M NH4HCO3(1:1のt-BuOH/H2O中)の滴加により8に調整すると、溶液は薄黄色になった。反応混合物を、N2雰囲気下、25℃で2時間撹拌した。LC-MSにより、所望のm/zに対応する顕著なピークが示された。反応混合物を濾過し、減圧下で濃縮すると、残渣が得られた。粗生成物を分取HPLCにより精製すると、BCY13390(33.8mg、4.21μmol、48%収率、90%純度)が白色の固形物として得られた。計算されたMW: 7270.41、観測されたm/z: 1454.9([M+5H]5+)、1213.2([M+6H]6+)。
【0188】
(BCY13582)
【化74】
(BCY13582の調製のための手順)
【化75】
BCY13390(5.0mg、0.6μmol、1.0当量)、ビオチン-PEG12-NHSエステル(CAS 365441-71-0、0.7mg、0.72μmol、1.1当量)の混合物をMeCN/H2O(1:1、2mL)に溶解させた。この溶液のpHを1.0M NaHCO3の滴加により8に調整した。反応混合物を25℃で0.5時間撹拌した。LC-MSにより、BCY13390が完全に消費され、所望のm/zを有する1つの主要なピークが検出されることが示された。反応混合物を濾過し、減圧下で濃縮すると、残渣が得られた。粗生成物を分取HPLCにより精製すると、BCY13582(2.5mg、0.30μmol、43%収率、96%純度)が白色の固形物として得られた。計算されたMW: 8096.43、観測されたm/z: 1351.1([M+6H]6+)、1158.5([M+7H]7+)。
【0189】
(BCY13583)
【化76】
(BCY13583の調製のための手順)
【化77】
BCY13390(15.0mg、2.06μmol、1.0当量)及びAlexa fluor(登録商標) 488 NHSエステル(2.5mg、4.12μmol、2.0当量)の混合物をDMF(0.5mL)に溶解させた。その後、DIEA(2.6mg、20.63μmol、3.6μL、10当量)を滴加した。反応混合物を25℃で1時間撹拌した。LC-MSにより、BCY13390が残存し、所望のm/zを有する1つの主要なピークが検出されることが示された。追加のAlexa fluor(登録商標) 488 NHSエステル(2.0mg、3.09μmol、1.5当量)を反応混合物に添加し、反応混合物を25℃でもう1時間撹拌した。HPLCにより、BCY13390が完全に消費されることが示された。反応混合物を濾過し、減圧下で濃縮すると、残渣が得られた。粗生成物を分取HPLCにより精製すると、BCY13583(5mg、0.61μmol、29%収率、95%純度)が赤色の固形物として得られた。計算されたMW: 7787.9、観測されたm/z: 1948.8([M+4H+H2O]4+)、1558.6([M+5H+H2O]5+)、1299.1([M+7H+H2O]7+)。
【0190】
(BCY13628)
【化78】
(BCY13628の調製のための手順)
【化79】
BCY13390(5.6mg、0.77μmol、1.0当量)及びシアニン5 NHSエステル(0.5mg、0.85μmol、1.1当量)の混合物をMeCN/H2O(1:1、2mL)に溶解させた。この溶液のpHを1.0M NaHCO3の滴加により8に調整した。反応混合物を25℃で0.5時間撹拌した。LC-MSにより、BCY13390が完全に消費され、所望のm/zを有する1つの主要なピークが検出されることが示された。反応混合物を濾過し、減圧下で濃縮すると、残渣が得られた。粗生成物を分取HPLCにより精製すると、BCY13628(2.9mg、0.36μmol、46%収率、95%純度)が青色の固形物として得られた。計算されたMW: 7736.06、観測されたm/z: 1289.9([M+6H]6+)、1105.5([M+7H]7+)。
【0191】
(BCY14414の調製のための手順)
【化80】
BCY14798(21.0mg、4.02μmol、1.0当量)、BCY13389(10.0mg、4.42μmol、1.1当量)、及びTHPTA(1.8mg、4.02μmol、1.0当量)の混合物をt-BuOH/0.2M NH4HCO3(1:1、0.5mL、予め脱気し、N2でパージしたもの)に溶解させ、その後、CuSO4(0.4M、5.0μL、0.5当量)及びアスコルビン酸ナトリウム(2.8mg、16.06μmol、4.0当量)をN2下で添加した。この溶液のpHを0.2M NH4HCO3(1:1のt-BuOH/0.2M NH4HCO3中)の滴加により7.5に調整すると、溶液は薄黄色になった。反応混合物を、N2雰囲気下、25℃で2時間撹拌した。LC-MSにより、BCY14798が完全に消費され、一部のBCY13389が残存し、所望のm/zを有する1つの主要なピークが検出されることが示された。反応混合物を濾過し、減圧下で濃縮すると、残渣が得られた。粗生成物を分取により精製すると、BCY14414(20mg、2.40μmol、59.73%収率、90.9%純度)が白色の固形物として得られた。計算されたMW: 7503.74、観測されたm/z: 1251.5([M+5H]5+)、1072.9([M+7H]7+)。
【0192】
(BCY14417)
【化81】
(BCY14417の調製のための手順)
【化82】
BCY14414(13.0mg、1.73μmol、1.0当量)及びビオチン-PEG12-NHSエステル(CAS 365441-71-0、4.2mg、4.50μmol、2.6当量)の混合物をDMF(0.5mL)に溶解させた。この溶液のpHをDIEAの滴加により8に調整した。反応混合物を25℃で0.5時間撹拌した。LC-MSにより、BCY14414が完全に消費され、所望のm/zを有する1つの主要なピークが検出されることが示された。反応混合物を濾過し、減圧下で濃縮すると、残渣が得られた。粗生成物を分取HPLCにより精製すると、BCY14417(9.0mg、1.07μmol、80.49%収率、90.8%純度)が白色の固形物として得られた。計算されたMW: 8329.74、観測されたm/z: 1389.6([M+6H]6+)、1191.9([M+7H]7+)。
【0193】
(BCY14418)
【化83】
(BCY14418の調製のための手順)
【化84】
BCY14414(5.6mg、0.75μmol、1.0当量)及びAlexa fluor(登録商標) 488(0.9mg、1.49μmol、2.0当量)の混合物をDMF(0.3mL)に溶解させた。その後、この溶液のpHをDIEAの滴加により8に調整した。反応混合物を25℃で1.0時間撹拌した。LC-MSにより、BCY14414が完全に消費され、所望のm/zを有する1つの主要なピークが検出されることが示された。反応混合物を濾過し、減圧下で濃縮すると、残渣が得られた。粗生成物を分取HPLCにより精製すると、BCY14418(2.3mg、0.25μmol、32.89%収率、85.6%純度)が赤色の固形物として得られた。計算されたMW: 8020.19、観測されたm/z: 1337.2([M+6H]6+)。
【0194】
(BCY14413)
【化85】
(BCY9594-BP-23825-BCY8928の調製のための手順)
【化86】
化合物1(50.0mg、16.6μmol、1.0当量)、化合物2(29.5mg、13.3μmol、0.8当量)、及びTHPTA(36.1mg、83.1μmol、5.0当量)の混合物をt-BuOH/H2O(1:1、8mL、脱気し、N2でパージしたもの)に溶解させ、その後、CuSO4(0.4M、20.8μL、0.5当量)及びVcNa(65.9mg、332.6μmol、20.0当量)の水性溶液をN2下で添加した。この溶液のpHを0.5mLの0.2M NH4HCO3(1:1のt-BuOH/H2O中)の滴加により7.5に調整すると、溶液は薄黄色になった。その後、反応混合物を、N2雰囲気下、25℃で24時間撹拌した。反応液を2つのバッチ用に並行して準備した。LC-MSにより、化合物1及び少量の化合物2が残存し、所望のm/zが検出されることが示された。反応混合物を濾過して、不溶性残渣を除去した。粗生成物を分取HPLCにより精製すると、化合物3(31.5mg、5.44μmol、16.36%収率、90.22%純度)が白色の固形物として得られた。計算されたMW: 5224.07、観測されたm/z: 1306.9([M+4H]4+)、871.6([M+6H]6+)。
【0195】
(BCY14413の調製のための手順)
【化87】
化合物1(31.5mg、6.03μmol、1.0当量)、化合物2(14.4mg、6.33μmol、1.05当量)、及びTHPTA(2.62mg、6.03μmol、1.0当量)の混合物をt-BuOH/H2O(1:1、1.0mL、脱気し、N2でパージしたもの)に溶解させ、その後、CuSO4(0.4M、15.07μL、1.0当量)及びVcNa(4.78mg、24.12μmol、4.0当量)の水性溶液をN2下で添加した。この溶液のpHを0.5mLの0.2M NH4HCO3(1:1のt-BuOH/H2O中)の滴加により7.5に調整すると、溶液は薄黄色になった。その後、反応混合物を、N2雰囲気下、25℃で3時間撹拌した。LC-MSにより、少量の化合物2が残存し、化合物1が完全に消費され、所望のm/zを有する1つの主要なピークが検出されることが示された。反応混合物を濾過して、不溶性残渣を除去した。粗生成物を分取HPLCにより精製すると、BCY14413(22.5mg、3.00μmol、43.10%収率、86.63%純度)が白色の固形物として得られた。計算されたMW: 7498.75、観測されたm/z: 938.3([M+8H]8+)、1072.2([M+7H]7+)、1250.9([M+6H]6+)、1500.8([M+5H]5+)。
【0196】
(BCY14415)
【化88】
(BCY14415の調製のための手順)
【化89】
BCY14413(10.0mg、1.33μmol、1.0当量)及びビオチン-Peg12-NHS(2.6mg、2.80μmol、2.6当量)の混合物をDMF(0.3mL)に溶解させた。この溶液のpHをDIEAの滴加により8に調整した。反応混合物を25℃で0.5時間撹拌した。LC-MSにより、BCY14413が完全に消費され、所望のm/zを有する1つの主要なピークが検出されることが示された。反応混合物を濾過し、減圧下で濃縮すると、残渣が得られた。粗生成物を分取HPLCにより精製すると、BCY14415(10mg、1.07μmol、80.49%収率、90.2%純度)が白色の固形物として得られた。計算されたMW: 8324.73、観測されたm/z: 1388.4([M+6H]6+)、1190.2([M+7H]7+)、1041.5([M+8H]8+)、926.0([M+9H]9+)。
【0197】
(BCY14416)
【化90】
(BCY14416の調製のための手順)
【化91】
化合物BCY14413(5.1mg、0.68μmol、1.0当量)及びAlexa Fluor 488 NHSエステル(0.5mg、8.16e-1μmol、1.2当量)の混合物をDMF(0.3mL)に溶解させた。この溶液のpHをDIEAの滴加により8に調整した。反応混合物を25℃で0.5時間撹拌した。LC-MSにより、一部のBCY14413が残存し、所望のm/zを有する1つの主要なピークが検出されることが示された。反応混合物を濾過し、減圧下で濃縮すると、残渣が得られた。粗生成物を分取HPLCにより精製すると、主要なピークが異なる純度を有する2つの画分として回収され、BCY14416(0.7mg、0.065μmol、9.84%収率、96.4%純度)及び(0.5mg、0.047μmol、7.03%収率、91.2%純度)が赤色の固形物として得られた。計算されたMW: 8015、観測されたm/z: 1336.5([M+7H]7+)。
【0198】
(非修飾多量体結合複合体の調製)
以下の非修飾多量体結合複合体をPCT/GB2019/050485号に記載されているのと全く同じように調製した:
表4:非修飾多量体結合複合体
【表4】
【0199】
BCY12491をPCT/GB2020/051831号の実施例2に記載されている通りに調製した。
【0200】
(生物学的データ)
(1. CD137レポーター細胞活性ウォッシュアウトアッセイ)
CD137を過剰発現し、かつNF-κBプロモーター下のルシフェラーゼ遺伝子を発現するように改変されたJurkat細胞をPromegaから購入した。レポーター細胞を、10nMのCD137アゴニストとともに、1%FBSを含むRPMI1640培地中、37℃で表示された時間インキュベートした。30分、60分、又は120分のいずれかの後、細胞を過剰の培養培地中で洗浄し、75μLの新鮮な培地に再懸濁させたか、又は洗浄を行わなかった(ウォッシュアウトなし)。全てのウォッシュアウト条件を2連で行った。その後、細胞を合計6時間(曝露時間に対して、それぞれ、さらに5.5、5、又は4時間)インキュベートし続けた。インキュベーション後、75μLのBio-Glo試薬(Promega)を各々のウェルに添加し、室温で10分間平衡化させておいた。発光をClariostarプレートリーダー(BMG LabTech)で読み取った。発光シグナルをバックグラウンドウェル(アゴニストが添加されないレポーター細胞)で割ることにより、誘導倍率を計算した。データをPrismでグラフ化した。これは、標準偏差エラーバーを有する平均又は反復の棒グラフとして示されている。
【0201】
図2に示されているデータは、蛍光CD137多量体(BCY9931及びBCY9932)が、三量体CD137受容体複合体に対する極めて強い結合と一致して、ウォッシュアウト後にCD137アゴニズム活性を維持することを示している。図1のデータは、蛍光CD137多量体BCY9931及びBCY9932がCD137レポーター細胞アッセイにおいてNFkB-ルシフェラーゼ活性の用量応答性誘導を示すことを示している。これらは、CD137リガンドの活性と比較して示されている。
【0202】
(2.蛍光多量体ヒト免疫細胞直接結合アッセイ)
ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、標準的なプロトコルに従って、2人のドナー由来のバフィーコートから単離した。PBMCを次の工程に使用したか、或いはその後、CD8+ T細胞を、製造元のプロトコル(Miltenyi Biotec)に従ってMACS CD8+ T細胞単離キット(陰性ビーズ選択)を用いて、PBMCから単離した。その後、PBMC又は純化したCD8+ T細胞を、R10培地(RPMI1640+10%FBS+1×Pen-Strep)中のCD3抗体でコーティングした組織培養フラスコ中で24時間活性化させた。或いは、細胞を、1μg/mlの可溶性CD3抗体(OKT3)を含有するR10培地中で24時間インキュベートした。その後、細胞をCD3コーティングした96ウェル平底プレートに移し、様々な濃度の蛍光CD137多量体又は蛍光EphA2二環式ペプチド単量体(BCY0215)(これは陰性対照として使用された)の存在下、R10培地中、37℃で1時間インキュベートした。1時間後、細胞をV-底プレートに移し、洗浄し、FACs解析用に染色した。簡潔に述べると、細胞を1×Live/Dead BV510中で15分間染色し、洗浄し、その後、表面を以下の抗体: CD8-BV785(又はCD3-BV605)及びCD137-PECy5(1:100希釈したもの)で染色した。その後、細胞を洗浄し、2%パラホルムアルデヒド(PFA)で固定した。細胞をBD FACSCelestaで流し、FCSファイルをFlowJoで解析した。細胞に、単一/生存/リンパ球/CD8+(又はCD3+)/CD137+又はCD137-でゲートをかけた。CD137+集団のFITC幾何平均が示されている。
【0203】
図3Aに示されているデータは、蛍光CD137多量体(BCY7340、BCY9931、及びBCY9932)が用量応答性の様式でヒトCD137+ T細胞に結合する一方、蛍光EphA2単量体(BCY0215)は結合しないことを示している。蛍光CD137二量体(BCY7340)は、蛍光三量体(BCY9932)及び四量体(BCY9931)よりもやや弱い結合を示す。図3Bのデータは、蛍光CD137多量体(BCY12239)のヒトCD137+ T細胞への用量応答性結合を示している。非結合バージョンの蛍光CD137多量体(BCY11856)は、結合しない。
【0204】
(3.蛍光多量体カニクイザル免疫細胞直接結合アッセイ)
凍結保存されたPBMCをWorldwide Primatesから購入し、標準的なプロトコルに従って解凍した。その後、CD8+ T細胞を、製造元のプロトコル(Miltenyi Biotec)に従ってMACS CD8+ T細胞単離キット(陰性ビーズ選択)を用いて、PBMCから単離した。その後、純化したCD8+ T細胞を、R10培地(RPMI1640+10%FBS+1×Pen-Strep)中のCD3抗体(1μg/ml)でコーティングした96ウェルプレート中で48時間活性化させた。細胞を、様々な濃度の蛍光CD137多量体又は蛍光EphA2二環式ペプチド単量体(BCY0215)(これは陰性対照として使用された)の存在下、R10培地中、37℃で1時間でインキュベートした。1時間後、細胞をV-底プレートに移し、洗浄し、FACs解析用に染色した。簡潔に述べると、細胞を1×Live/Dead BV510中で15分間染色し、洗浄し、その後、表面を以下の抗体: CD8-BV785及びCD137-PECy5(2%FBS/PBSに1:100で希釈したもの)で染色した。その後、細胞を洗浄し、2%パラホルムアルデヒド(PFA)で固定した。細胞をBD FACSCelestaで流し、FCSファイルをFlowJoで解析した。細胞に、単一/生存/リンパ球/CD8+/CD137+又はCD137-でゲートをかけた。CD137+集団のFITC幾何平均が示されている。
【0205】
図4に示されているデータは、蛍光CD137多量体(BCY7340、BCY9931、及びBCY9932)が用量応答性の様式でカニクイザルCD137+ T細胞に結合する一方、蛍光EphA2単量体(BCY0215)は結合しないことを示している。蛍光CD137二量体(BCY7340)は、蛍光三量体(BCY9932)及び四量体(BCY9931)よりも弱い結合を示す。
【0206】
(4.未修飾多量体二環式ペプチドBCY8945及びBCY7842を用いた蛍光多量体ヒトT-細胞競合アッセイ)
ヒトPBMCを、標準的なプロトコルに従って、2人のドナー由来のバフィーコートから単離した。その後、CD8+ T細胞を、製造元のプロトコル(Miltenyi Biotec)に従ってMACS CD8+ T細胞単離キット(陰性ビーズ選択)を用いる陰性磁気ビーズ選択によってPBMCから単離した。その後、純化したCD8+ T細胞を、R10培地(RPMI1640+10%FBS+1×Pen-Strep)中のCD3抗体(1μg/ml)でコーティングしたプレート中で72時間刺激した。その後、細胞を、様々な濃度の非標識CD137多量体とともに、2%FBS中、室温で30分間インキュベートした。その後、細胞を洗浄し、FACS解析用に染色した。簡潔に述べると、細胞を1×Live/Dead BV510中で15分間染色し、洗浄し、その後、表面を、飽和濃度(10nM)のBCY7340を含む一次抗体カクテル(CD8-BV785、CD3-BV605、及びCD137-PECy5)で染色した。細胞を室温で30分間インキュベートし、洗浄し、2%PFAで固定した。細胞をBD FACSCelestaで流し、FCSファイルをFlowJoで解析した。細胞に、単一/生存/リンパ球/CD8+(又はCD3+)/CD137+又はCD137-でゲートをかけた。CD137+集団のAlexa Fluor 488幾何平均が示されている。
【0207】
図5において、蛍光CD137多量体(BCY7340)は、ヒトT細胞上の遊離/未結合CD137受容体のレベルを測定する標識試薬として使用されている。非標識CD137多量体(BCY7839、BCY7842、及びBCY8945)を漸増させると、未結合CD137受容体(及びBCY7340結合)の用量応答性減少が見られる。BCY11451は、非結合CD137多量体であり、それゆえ、CD137受容体は未結合のままであり、蛍光CD137多量体結合は高いままである。
【0208】
(5. CD4及びCD8陽性T-細胞へのBCY15416の直接結合)
本明細書においてBCY15416と称される、Alexa Fluor(登録商標) 488にコンジュゲートされたCD137二量体 Bicycle(登録商標)ペプチドの親和性を評価するために、CD3で刺激された初代末梢血単核細胞(PBMC)を利用する結合アッセイを実施した。
【0209】
実験当日、RPMI-1640(Gibco(商標) 11875-093; L-グルタミンを含む)を10%熱非働化胎仔ウシ血清(FBS; Corning(登録商標) 35-011-CV)、10mM HEPES(Gibco(商標) 15-630-080)、及び1%ペニシリンストレプトマイシン(Corning(商標) 30-002-CI)で補うことにより、培地を調製した(本明細書において、作業培地と称される)。全血由来の前もって単離されたヒト末梢血単核細胞(PBMC)を水浴中で素早く解凍し、10mLの予め温めた作業培地中で1回、500rpmで5分間洗浄した。その後、PBMCペレットを作業培地に3×106細胞/mLの濃度で再懸濁させた。その後、100μLの細胞懸濁液を平底組織培養コーティング96-ウェルプレート(Greiner CellStar(登録商標) 655180)にプレーティングした。抗ヒトCD3(200ng/mL; BioLegend(登録商標) 317347;クローンOKT3)を細胞プレートに100ng/mLの最終濃度で添加した(100μL/ウェル)。一方、未刺激対照については、100μLの作業培地を添加した。細胞を37℃、5%CO2で一晩(12~24時間)インキュベートした。
【0210】
一晩のインキュベーションの後、作業培地に希釈したBCY15416を、12点連続希釈を行うために1/4希釈系列で滴定された300nMの提案された出発濃度で、PBMC細胞プレートに添加した。その後、プレートを37℃、5%CO2で1時間インキュベートした。インキュベーション後、プレートを500rpmで5分間遠心分離し、上清を廃棄した。その後、試料を、200μLの1×リン酸緩衝液生理食塩水(PBS; Gibco(商標) 10-010-023)中で1回、500rpmで5分間洗浄した。細胞を200μLのPBSに再懸濁させ、96-ウェルV-底ポリプロピレンプレート(Greiner Bio-One 651201)に移した。その後、試料を500rpmで5分間遠心分離し、上清を廃棄した。
【0211】
フローサイトメトリー用の試料の調製: Zombie Violet(商標) Fixable Viability Dye(BioLegend(登録商標) 423113)をPBS中の1:1000希釈液として調製し、100μLの生死判定色素を各々のウェルに添加し、暗所4℃で30分間インキュベートした。その後、ウェルを100μLのPBSで500rpmで5分間洗浄し、上清を廃棄した。次に、1.5μLのFcXを25μLの染色バッファー(2%FBSが補充された1×PBS)に希釈することにより、ヒトTruStain FcX(商標)ブロック(BioLegend(登録商標) 422302)を調製した。Fcブロック溶液(25μL/ウェル)を暗所室温(RT)で10分間インキュベートした。100μLの染色バッファー当たり1.5μLの以下の抗体: Brilliant Violet 605(商標)抗ヒトCD4(BD Horizon(商標) 563875;クローンSK3)、Brilliant Violet 785(商標)抗ヒトCD8a(BioLegend(登録商標) 301046;クローンRPA-T8)、及びPE/シアニン5抗ヒトCD137(BioLegend(登録商標) 309808;クローン4B4-1)を希釈することにより、抗体マスターミックスカクテルを調製した。細胞をマスターミックスカクテル(100μL)に再懸濁させ、暗所4℃で30分間インキュベートした。その後、細胞を、100μLの染色バッファー中、500rpmで5分間、3回洗浄し、上清を廃棄した。細胞を200μLの染色バッファーに再懸濁させ、BD FACSCelesta(商標)フローサイトメーターによって読み取るまで、暗所4℃で保持し、FCSファイルをFlowJo(商標)で解析した。
【0212】
細胞に、リンパ球→シングレット→生存→CD4+又はCD8+→CD137+/-でゲートをかけ、Alexa Fluor(登録商標) 488(BCY15416にコンジュゲートされたもの)の幾何平均を以下に示されているようにCD137+及びCD137-集団から計算した。図6は、3人のヒトPBMCドナーにわたる用量依存的なCD137+ CD4+ T-細胞及びCD137+ CD8+ T-細胞のみに対するBCY15416結合を示している。各々のドナーについての計算された結合親和性(kd、app)は、表5に見られる。BCY15416の結合親和性は、CD137+ CD4+集団とCD137+ CD8+集団の両方について、ナノモル以下の範囲であることが明らかになった。しかしながら、CD4+とCD8+の両方についてのCD137-集団では、結合親和性を計算することができなかった。
表5: CD137二量体(BCY15416)のkd、app値を全ドナーのCD4+ CD137+集団及びCD8+ CD137+集団においてlog(アゴニスト)対応答の4パラメータ可変勾配を用いて計算した
【表5】
【0213】
図6A及び6Bは、BCY15416がCD137+ CD4 T細胞及びCD137+ CD8 T細胞に特異的に結合することができる一方、CD137- CD4 T細胞及びCD137- CD8 T細胞に結合しないことを示している。したがって、これをBCY15416と同じ部位に結合する他のCD137バインダーの受容体占有率を測定するためのツールとして使用することができる。
【0214】
(6. BCY15416をプローブとして使用することにより測定されたBCY12491の受容体占有率)
本明細書においてBCY15416又はCD137二量体と称される、Alexa Fluor(登録商標) 488にコンジュゲートされた競合CD137二量体 Bicycle(登録商標)ペプチドを利用することにより、免疫細胞集団上に存在する受容体に対するCD137結合Bicycles(登録商標)の結合を評価するために受容体占有アッセイを開発した。
【0215】
実験当日、RPMI-1640(Gibco(商標) 11875-093; L-グルタミンを含む)を10%熱非働化胎仔ウシ血清(FBS; Corning(登録商標) 35-011-CV)、10mM HEPES(Gibco(商標) 15-630-080)、及び1%ペニシリンストレプトマイシン(Corning(商標) 30-002-CI)で補うことにより、培地を調製した(本明細書において、作業培地と称される)。全血由来の前もって単離されたヒト末梢血単核細胞(PBMC)を水浴中で素早く解凍し、10mLの予め温めた作業培地中で1回、500rpmで5分間洗浄した。その後、PBMCペレットを作業培地に3×106細胞/mLの濃度で再懸濁させた。その後、100μLの細胞懸濁液を平底組織培養コーティング96-ウェルプレート(Greiner CellStar(登録商標) 655180)にプレーティングした。抗ヒトCD3(200ng/mL; BioLegend(登録商標) 317347;クローンOKT3)を細胞プレートに100ng/mLの最終濃度で添加した(100μL/ウェル)。一方、未刺激対照については、100μLの作業培地を添加した。細胞を37℃、5%CO2で一晩(12~24時間)インキュベートした。
【0216】
一晩のインキュベーションの後、試験品を作業培地に希釈し、12点連続希釈を行うために1/4希釈系列で滴定された300nMの提案された出発濃度で、PBMC細胞プレートに添加した。その後、プレートを37℃、5%CO2で1時間インキュベートした。インキュベーション後、プレートを500rpmで5分間遠心分離し、上清を廃棄した。その後、試料を、200μLの1×リン酸緩衝液生理食塩水(PBS; Gibco(商標) 10-010-023)中で1回、500rpmで5分間洗浄した。細胞を200μLのPBSに再懸濁させ、96-ウェルV-底ポリプロピレンプレート(Greiner Bio-One 651201)に移した。
【0217】
その後、試料を500rpmで5分間遠心分離し、上清を廃棄した。
【0218】
フローサイトメトリー用の試料の調製: Zombie Violet(商標) Fixable Viability Dye(BioLegend(登録商標) 423113)をPBS中の1:1000希釈液として調製し、100μLの生死判定色素を各々のウェルに添加し、暗所4℃で30分間インキュベートした。その後、ウェルを100μLのPBSで500rpmで5分間洗浄し、上清を廃棄した。次に、1.5μLのFcXを25μLの染色バッファー(2%FBSが補充された1×PBS)に希釈することにより、ヒトTruStain FcX(商標)ブロック(BioLegend(登録商標) 422302)を調製した。Fcブロック溶液(25μL/ウェル)を暗所室温(RT)で10分間インキュベートした。100μLの染色バッファー当たり1.5μLの以下の抗体: Brilliant Violet 605(商標)抗ヒトCD4(BD Horizon(商標) 563875;クローンSK3)、Brilliant Violet 785(商標)抗ヒトCD8a(BioLegend(登録商標) 301046;クローンRPA-T8)、及びPE/シアニン5抗ヒトCD137(BioLegend(登録商標) 309808;クローン4B4-1)を希釈することにより、抗体マスターミックスカクテルを調製した。さらに、1nMの最終濃度のBCY15416又はCD137二量体をマスターミックスカクテルに添加した。細胞をマスターミックスカクテル(100μL)に再懸濁させ、暗所4℃で30分間インキュベートした。その後、細胞を、100μLの染色バッファー中、500rpmで5分間、3回洗浄し、上清を廃棄した。細胞を200μLの染色バッファーに再懸濁させ、BD FACSCelesta(商標)フローサイトメーターによって読み取るまで、暗所4℃で保持し、FCSファイルをFlowJo(商標)で解析した。
【0219】
フローデータは、.fcs形式ファイルで取得する。各々の.fcsファイルは、96-ウェルプレート上の1つの固有の試料又はウェルに相当する。ソフトウェアFlowJo(商標)を用いて、フローサイトメトリーデータを解析した。以下に示されているフロー解析は、このアッセイで使用されたパネルのフローデータ解析の表示である:
【化92】
【0220】
全CD137(PE CY5) +及び全CD137(PE CY5) -細胞のサブセット由来のCD137二量体-AF488陽性(高)細胞の平均蛍光強度(MFI)を取得し、BCY12491の濃度に対してプロットした。図7は、BCY12491などのCD137結合ヘテロタンデムの受容体占有率を決定するプローブとしてのBCY15416の能力を示している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-05-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
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【国際調査報告】