IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローカス アイピー カンパニー、エルエルシーの特許一覧

特表2022-544249健康及び水分補給を改善するための飲用サプリメント組成物
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-17
(54)【発明の名称】健康及び水分補給を改善するための飲用サプリメント組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/66 20150101AFI20221007BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20221007BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20221007BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20221007BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20221007BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20221007BHJP
   A61K 35/745 20150101ALI20221007BHJP
   A61K 35/747 20150101ALI20221007BHJP
   A61K 35/741 20150101ALI20221007BHJP
   A61K 38/43 20060101ALI20221007BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20221007BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20221007BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20221007BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20221007BHJP
   A61P 5/00 20060101ALI20221007BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20221007BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20221007BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20221007BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20221007BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221007BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20221007BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20221007BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20221007BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20221007BHJP
   A61P 13/02 20060101ALI20221007BHJP
   A61P 15/02 20060101ALI20221007BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20221007BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20221007BHJP
【FI】
A61K35/66
A61P3/00
A61K47/42
A61K47/24
A61K47/02
A61K47/04
A61K35/745
A61K35/747
A61K35/741
A61K38/43
A61K47/10
A61K47/22
A61P1/00
A61P37/02
A61P5/00
A61P9/00
A61P19/02
A61P9/12
A61P3/10
A61P35/00
A61P25/00
A61P25/22
A61P25/24
A61P31/04
A61P13/02 105
A61P15/02
A23L33/10
A23L33/135
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022508568
(86)(22)【出願日】2020-08-14
(85)【翻訳文提出日】2022-04-07
(86)【国際出願番号】 US2020046409
(87)【国際公開番号】W WO2021030702
(87)【国際公開日】2021-02-18
(31)【優先権主張番号】62/886,460
(32)【優先日】2019-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519246261
【氏名又は名称】ローカス アイピー カンパニー、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】特許業務法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファーマー,ショーン
(72)【発明者】
【氏名】アリベック,ケン
【テーマコード(参考)】
4B018
4C076
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
4B018MD01
4B018MD02
4B018MD03
4B018MD04
4B018MD07
4B018MD19
4B018MD20
4B018MD23
4B018MD45
4B018MD61
4B018MD86
4B018MD88
4B018MD90
4B018ME14
4B018MF01
4C076AA12
4C076AA16
4C076BB01
4C076CC07
4C076CC11
4C076CC14
4C076CC16
4C076CC17
4C076CC21
4C076CC22
4C076CC27
4C076CC32
4C076DD21
4C076DD23
4C076DD24
4C076DD25
4C076DD26
4C076DD38
4C076DD59
4C076EE41
4C084AA01
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA44
4C084DC01
4C084MA02
4C084MA52
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA01
4C084ZA36
4C084ZA42
4C084ZA66
4C084ZA81
4C084ZA96
4C084ZB07
4C084ZB26
4C084ZB35
4C084ZC03
4C084ZC21
4C084ZC35
4C084ZC54
4C084ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC56
4C087BC59
4C087MA02
4C087MA17
4C087MA21
4C087MA52
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZA01
4C087ZA36
4C087ZA42
4C087ZA66
4C087ZA81
4C087ZA96
4C087ZB35
4C087ZC03
4C087ZC21
4C087ZC35
4C087ZC54
4C087ZC75
(57)【要約】
本発明は、例えば、対象の腸内微生物叢を回復させること、心臓血管の健康を改善すること、及び/又は対象に治療物質を提供することによって、対象の健康を増強する組成物及び方法を提供する。ある特定の実施形態において、本発明は、対象の腸内にある1つ以上の有害な微生物の存在から生じる生理学的な悪影響を改善するのに用いることができる。ある特定の実施形態において、本発明はまた、例えば、嘔吐及び/又は下痢を引き起こす状態に苦しむ対象に対して、特に、水分補給や補水の増強用として用いることもできる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の健康を増強する方法であって、
水及び1つ以上の生物学的両親媒性分子、
1つ以上の電解質、
任意で、1つ以上の有益な微生物、並びに
任意で、エネルギー源、栄養素、ビタミン、ミネラル、ハーブ抽出物、タンパク質、アミノ酸、抗酸化剤、健康サプリメント及び酵素から選択される1つ以上の添加剤
を含む組成物を、前記対象に投与することを含み、
前記対象の消化管における水及び/若しくは電解質吸収の増加、前記対象の腸内微生物叢の回復、並びに/又は前記対象への治療物質の提供をもたらす、方法。
【請求項2】
前記生物学的両親媒性分子は、バイオサーファクタントである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記バイオサーファクタントは、精製糖脂質、リポペプチド及び/又はリン脂質である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記組成物は、摂取によって前記対象に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上の電解質は、ナトリウム、カリウム、リン酸塩、重炭酸塩、硫酸塩、塩化物、カルシウム及び/又はマグネシウムである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上の有益な微生物は、Bacillus spp.Bacteroides spp.Bifidobacterium spp.、及び/又はLactobacillus spp.である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記微生物は、Bacillus subtilis nattoBacillus amyloliquefaciens又はBacillus coagulansから選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ナットウキナーゼ、CoQ10及びカンナビジオールから選択される1つ以上の添加剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物は、4~24時間毎に8~24液量オンスの速度で対象に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記対象の腸内微生物叢は、抗生物質処置、疾患、感染、食事因子、放射線処置又は被ばく、結腸鏡検査、虫垂切除術、及び/又は加齢の結果として破壊されている、又は不均衡になっている、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記対象は、身体的労作、熱疲労、薬物副作用、又は嘔吐もしくは下痢を引き起こす状態により脱水している、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
消化器系、免疫系、内分泌系又は心血管系の機能が増強される、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記心血管系は、関節硬化性プラークの溶解、血液循環の改善、血圧の低下、及び/又は線維素溶解によって増強される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
過敏性腸症候群、1型糖尿病、セリアック病、結腸直腸癌、神経発達疾患又は神経変性疾患の症状を改善する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
脱水、悪心、嘔吐、下痢、便秘、ガス、膨満、食品感度、胸やけ、酸逆流、GERD、消化不良、及び腹部痙攣/疼痛から選択される消化状態及び/又は消化器症状が改善される、請求項1記載の方法。
【請求項16】
頭痛、めまい、疲労、背部痛、不眠症、摂食障害、栄養欠乏、うつ病、不安、受胎能問題、関節又は筋肉痛、脳霧、生殖器酵母感染、細菌性膣症、及び膀胱又は尿路感染症から選択される、健康状態に関連する腸管外症状が改善される、請求項1記載の方法。
【請求項17】
水及び1つ以上の生物学的両親媒性分子、
任意で、1つ以上の電解質、
任意で、1つ以上の有益な微生物、並びに、
任意で、エネルギー源、栄養素、ビタミン、ミネラル、ハーブ抽出物、タンパク質、アミノ酸、抗酸化剤、健康サプリメント及び酵素から選択される1つ以上の添加剤
を含む摂取可能な組成物。
【請求項18】
生物学的両親媒性分子は、バイオサーファクタントである、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記バイオサーファクタントは、精製糖脂質、リポペプチド及び/又はリン脂質である、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物は、経口投与のために調合されている、請求項17に記載の組成物。
【請求項21】
前記1つ以上の電解質は、ナトリウム、カリウム、リン酸塩、重炭酸塩、硫酸塩、塩化物、カルシウム及び/又はマグネシウムである、請求項17に記載の組成物。
【請求項22】
前記1つ以上の有益な微生物は、Bacillus spp.Bacteroides spp.Bifidobacterium spp.、及び/又はLactobacillus spp.である、請求項17に記載の組成物。
【請求項23】
前記微生物は、Bacillus subtilis nattoBacillus amyloliquefaciens又はBacillus coagulansから選択される、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
ナットウキナーゼ、CoQ10及びカンナビジオールから選択される1つ以上の添加剤を含む、請求項17に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願を相互参照
本出願は、2019年8月14日出願の米国仮出願第62/886,460号の優先権を主張するものであり、内容を参照することにより組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
腸内微生物叢(gut microbiota)は、多数の生命機能に関与する人体内の不可欠な生態系である。この系には細菌、真核生物、ウイルス、古細菌等さまざまな分類群が含まれている。何兆ものこれらの生物が複雑な共生関係を構築し、正常な生理機能や病気抵抗性を助ける等、宿主に多くの利益をもたらす可能性がある(非特許文献1)。
【0003】
各個人の微生物叢の組成は独特である。双生児でも、細菌分類群の類似性が50%未満であり、ウイルス類似性はさらに低いことが示されている(非特許文献2)。腸内微生物叢に存在する種の多くは、系統型Bacteroidetes及びFirmicutesに主に属する細菌であるが、ActinobacteriaProteobacteria及びVerrucomicrobiaを含む他のいくつかは微量成分である。メタン生成古細菌(主に、Methanobrevibacter smithii)、真核生物(主に、酵母)及びウイルス(主に、ファージ)も存在しうる。これらのグループは、腸内微生物叢内に普遍的に存在する傾向があるが、その相対的な割合と特定の種は個体間で異なる(非特許文献4)。この差は遺伝的影響によって決まる(非特許文献5)。
【0004】
個人の健康は、腸内微生物叢の健康と密接に結びついている。言い換えれば、腸内微生物叢の変化は、個人の健康状態の変化の原因又は影響のいずれかであることが多い。例えば、腸管マイクロフローラは、消化、免疫、内分泌及び心血管系機能と同様に、代謝機能において重要な役割を果たす。例えば、疾患、変容、病原性及び/又は共生生物の存在及び/又は過剰成長、寄生虫の存在、抗生物質の使用、食物アレルギー又は感受性、結腸鏡検査の実施、又は何らかの他の影響により、腸内微生物叢が破壊されたり、不均衡になると、これらの機能及び他の身体系機能も破壊される。
【0005】
嘔吐及び/又は下痢等、腸内微生物叢の破壊に関連する一部の症状及び/又は状態も、脱水症につながる可能性がある。治癒しなければ、脱水は、食欲不振、エネルギー低下、精神的鋭敏さの欠如、見当識障害及びめまい、腸内微生物叢の破壊を含む一連の他の生理学的症状を引き起こす可能性がある。脱水はまた、激しい運動、日光及び熱への暴露、飲料摂取の欠如によっても引き起こされる。
【0006】
現在、微生物叢を修復する最も一般的な方法は、L.acidophilusL.caseiL.rhamnousL.bulgaricusB.bifidumS.thermophilusB.coagulans等のプロバイオティクスの使用である。通常、プロバイオティクスには、腸内に一時的に定着し、下痢、便秘、腹部膨満、吐き気等の症状を緩和することのできる、1種類又は数種類の生きた細菌株が含まれている。
【0007】
腸内微生物叢を修復するさらなる方法は、糞便細菌療法、又は糞便移植による。この方法は、健常ドナーから生理食塩水で希釈した糞便を、経鼻十二指腸カテーテル又は浣腸を介して患者の消化管に導入することを含む。多くの場合、ドナーは患者の親戚である。これまでのところ、糞便移植は、主にClostridium difficile腸炎の処置に用いられてきたが、この方法は、IBSやクローン病等の他の疾患の処置にはそれほど有効ではなかった。さらに、この方法は、健康なドナーを見つける能力、この方法の安全性、腹部不快感、膨満、鼓腸、下痢、便秘、腹鳴、嘔吐、一過性の発熱、出血及び菌血症、ならびに感染及び/又は一部の慢性疾患の伝播のリスクを含む副作用によって制限される。
【0008】
個人の微生物叢が破壊されたり不均衡な場合、又はそのような破壊又は不均衡を引き起こす疾患や状態に個人が苦しんでいる場合、個人は、腸内微生物叢の改善された補水及びバランスのとれた状態への回復の方法があれば個人にとって有益である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Clemente, J. C., Ursell, L. K., Parfrey, L. W., & Knight, R. (2012). The Impact of the Gut Microbiota on Human Health: An Integrative View. Cell, 148(6), 1258-1270. doi:10.1016/j.cell.2012.01.035. ("Clemente 2012").
【非特許文献2】Turnbaugh, P.J., Quince, C., Faith, J.J., McHardy, A.C., Yatsunenko, T., Niazi, F., Affourtit, J., Egholm, M., Henrissat, B., Knight, R., and Gordon, J.I. (2010). Organismal, genetic, and transcriptional variation in the deeply sequenced gut microbiomes of identical twins. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 107, 7503-7508. ("Turnbaugh 2010").
【非特許文献3】Tannock, G. W. (2003). The Intestinal Microflora. In R. Fuller & G. Perdigon (Eds.), Gut Flora, Nutrition, Immunity and Health (pp. 1-23). Malden, USA: Blackwell Publishing Ltd. ("Tannock 2003").
【非特許文献4】Lozupone, C., Stombaugh, J., Gordon, J., Jansson, J., & Knight, R. (2012). Diversity, stability and resilience of the human gut microbiota. Nature, 489(7415), 220-230. doi: 10.1038/nature11550. ("Lozupone 2012").
【非特許文献5】Benson, A.K., Kelly, S.A., Legge, R., Ma, F., Low, S.J., Kim, J., Zhang, M., Oh, P.L., Nehrenberg, D., Hua, K., et al. (2010). Individuality in gut microbiota composition is a complex polygenic trait shaped by multiple environmental and host genetic factors. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 107, 18933-18938. ("Benson 2010").
【非特許文献6】Nagpal R, Mainali R, Ahmadi S, et al. Gut microbiome and aging: Physiological and mechanistic insights. Nutrition and Healthy Aging. 2018;4(4):267-285. doi:10.3233/NHA-170030. ("Nagpal 2018").
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、例えば、対象の腸内微生物叢を回復させること、心臓血管の健康を改善すること、及び/又は消化管における水、栄養素、及び電解質の吸収を増加させること等、1つ以上の方法で対象の健康を増強する組成物及び方法を提供する。
【0011】
好ましい実施形態において、水及び1つ以上の生物学的両親媒性分子を含む摂取可能な組成物が提供され、1つ以上の生物学的両親媒性分子の量は、水の表面張力を約45+/10mN/mまで低下させるのに十分な量である。
【0012】
一実施形態において、1つ以上のバイオサーファクタントは、臨界ミセル濃度(CMC)で組成物中に存在する。特定の実施形態において、組成物中のバイオサーファクタントの濃度は、約5ppm~約30ppmである。
【0013】
一実施形態において、生物学的両親媒性分子は、微生物バイオサーファクタントである。特定の実施形態において、微生物バイオサーファクタントは、例えば、糖脂質(例えば、ソホロ脂質、ラムノ脂質、セロビオース脂質、マンノシルエリスリトール脂質及びトレハロース脂質)、リポペプチド(例えば、サーファクチン、イチュリン、フェンギシン、アルスロファクチン及びリケニシン)、フラボ脂質、リン脂質(例えば、カルジオリピン及びグリセロリン脂質)、脂肪酸エステル化合物、ならびにリポタンパク質、リポ多糖‐タンパク質複合体、及び多糖‐タンパク質‐脂肪酸複合体等の高分子量ポリマーから選択される。
【0014】
本発明に従って使用されるバイオサーファクタントは、抗菌特性、抗バイオフィルム特性、抗ウイルス特性、抗炎症特性、及び免疫調節特性を有する。バイオサーファクタントはまた、消化器系における水、栄養素及び他の健康促進化合物の溶解度及びバイオアベイラビリティを増大させて、例えば、循環系への吸収及び輸送の増大を促進することもできる。
【0015】
ある実施形態において、生物学的両親媒性分子は、粗形態であり、これはそれらが、バイオサーファクタント生成微生物の培養から生じる上清中に存在することを意味する。粗形態は、任意で、残留栄養素、他の微生物成長副生成物、さらには微生物及び/又は細胞成分も含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、生物学的両親媒性分子は、培養生成物から抽出され、単離及び/又は精製される。
【0017】
1つ以上の生物学的両親媒性分子は、生物学的又は合成的に改質された形態を含む、バイオサーファクタントの改質形態、誘導体、フラクション、類似体、アイソフォーム、異性体又はサブタイプのいずれか1つ又は組み合わせをさらに含むことができる。
【0018】
特定の実施形態において、組成物は、1つ以上の電解質、例えば、ナトリウム、カリウム、リン酸塩、重炭酸塩、硫酸塩、塩化物、カルシウム及び/又はマグネシウムの供給源を含む。特定の好ましい実施形態において、1つ以上の電解質は、存在する場合、約1mEq/l~約50mEq/lの濃度で含まれる。
【0019】
特定の実施形態において、摂取可能な組成物は、1つ以上の有益な微生物及び/又はその成長副生成物をさらに含む。微生物は、生存可能であっても、不活性形態であってもよい。それらは、栄養細胞、胞子、分生子、菌糸体及び/又はそれらの組み合わせの形態である。
【0020】
いくつかの実施形態において、微生物は、残留成長培地及び/又は微生物の培養からの栄養素、及び/又は微生物によって生成される任意の成長副生成物を含む培養物の形態で添加される。これらは、例えば、酵素、バイオポリマー、溶剤、酸、タンパク質、アミノ酸、ポリケチド、バイオサーファクタント、又は、例えば、水分補給、腸の健康、心臓血管の健康、望ましくない微生物の制御及び/又は有益な微生物の成長に有用である他の代謝生成物を含む。
【0021】
好ましくは、有益な微生物は、消化管で成長及び/又は生存することができ、さらに、対象及び/又は対象の腸内微生物叢の健康を促進及び/又は改善する生きた細胞及び/又は胞子の形態である。例えば、一実施形態において、有益な微生物は、Bacillus spp.Bacteroidetes spp.Bifidobacterium spp.及び/又はLactobacillus spp.細菌である。微生物は、例えば、少なくとも1×106~1×1013CFU/mlの濃度で存在する。
【0022】
特定の実施形態において、微生物は、Bacillus subtilis nattoBacillus amyloliquefaciens(例えば、B. amyloliquefaciens NRRL B‐67928)、又はBacillus coagulansである。
【0023】
特定の実施形態において、摂取可能な組成物は、Bacillus subtilis nattoによって生成される酵素であるナットウキナーゼをさらに含む。ナットウキナーゼは、いくつかの実施形態において、他の健康上の利点の中でも特に、アテローム性動脈硬化プラークを溶解し、血液循環を支援する栄養補助食品である。
【0024】
本発明の組成物は、好ましくは、飲料として処方される。従って、特定の実施形態において、組成物は、例えば、エネルギー源、栄養素、ビタミン、ミネラル、ハーブ抽出物、タンパク質、アミノ酸、抗酸化剤、酵素及び/又は他の健康促進サプリメントである健康促進成分、同じく、例えば、香味料、防腐剤、プレバイオティクス、pH調整剤、甘味料及び/又は染料等の添加剤をさらに含むことができる。組成物はまた、炭酸塩化されていてもよい。
【0025】
一実施形態において、組成物は、水の添加によって飲料に再構成することができる脱水粉末又は濃縮物として調合される。
【0026】
好ましい実施形態において、本発明はさらに、例えば、対象の腸内微生物叢を回復させること、消化管における水及び電解質の吸収を増加させること、及び/又は疾患、障害又は健康状態を処置及び/又は予防するために対象に治療物質を提供することによって、それを必要とする対象の健康を増強する方法を提供する。
【0027】
特定の実施形態において、例えば、病原性微生物による感染、疾病、老化、食品因子(例えば、食品感度、摂食及び/又は栄養習慣の変化)、免疫系の変化、抗生物質による処置、放射線処置又は曝露、又は虫垂切除及び/又は結腸鏡検査等の実施のために、対象の腸内微生物叢が破壊されたり、不均衡になっている。
【0028】
特定の実施形態において、対象は、例えば、破壊された腸内微生物叢、身体的労作、熱疲労、嘔吐又は下痢を引き起こす状態、及び/又は薬物療法や放射線療法等の医学的処置の副作用として脱水する。
【0029】
特定の実施形態において、対象は、例えば、心血管系又は内分泌系に影響を及ぼす疾患、障害又は健康状態、例えば、糖尿病(1又は2)及び/又は心血管疾患を有するか、又はそのリスクがある。
【0030】
特定の実施形態において、本方法は、本発明の組成物を対象に、好ましくは、摂取によって投与することを含む。最適な投与速度は、例えば、対象の生理学的特徴、脱水及び/又は腸内微生物叢の変容の性質又は範囲、ならびに他の健康状態の存在及び/又は広範性に依存する。適用の例示的な速度は、4時間毎~24時間毎に約8~24液量オンスである。
【0031】
いくつかの実施形態において、本方法は、不均衡が疾患や対象の健康状態に対する別の変化の原因か影響であるかにかかわらず、対象の腸内微生物叢の回復、例えば、不均衡な腸内微生物叢の均衡化をもたらす。回復は、好ましくは、消化管中の過成長共生微生物、病原性微生物、及び/又はバイオフィルムの数を減少させること、及び/又は消化管中の有益な微生物の数を増加させることを含む。
【0032】
特定の実施形態において、本方法は、摂取可能な組成物の1つ以上の有益な微生物及び/又は微生物成長副生成物の作用により、1つ以上の望ましくない微生物の減少をもたらし、これは望ましくない微生物及び/又はバイオフィルムと競合し、かつ/又は直接制御をする。
【0033】
いくつかの実施形態において、本方法は、例えば、延長された身体活動、疾病、又は癌処置のために、脱水及び/又は特定の栄養素が枯渇しているか、又は脱水及び/又は栄養素の枯渇になるリスクのある対象のための水分補給及び/又は栄養素吸収の改善をもたらす。特定の実施形態において、本方法は、対象において電解質が補充される。
【0034】
特定の実施形態において、本発明は、対象の全体的な健康及び幸福を増強するために用いられる。一実施形態において、本発明は、代謝機能、消化器系、免疫系、内分泌系、及び/又は心血管系等の身体系、組織、又は器官の機能を増強するために用いられる。
【0035】
特定の実施形態において、本方法は、例えば、関節硬化プラークの減少及び血液循環の改善による心血管の健康の改善をもたらす。
【0036】
一実施形態において、本発明は、例えば、脱水処理症候群、過敏性腸症候群、1型糖尿病、他の自己免疫障害、結腸直腸癌、神経発生及び神経変性疾患等の、破壊された又は不均衡な腸内微生物叢の原因及び/又は結果である疾患、障害又は健康状態を処置及び/又は予防するために使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明は、例えば、対象の腸内微生物叢を回復させること、心臓血管の健康を改善すること、及び/又は消化管における水、栄養素、及び電解質の吸収を増加させること等、1つ以上の方法で対象の健康を増強する組成物及び方法を提供する。
【0038】
選択した定義
本明細書中で使用される場合、「単離された」又は「精製された」核酸分子、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、タンパク質、小分子等の有機化合物、又は他の化合物は、天然に存在する状態で隣接する他の化合物、例えば、細胞物質、遺伝子又は遺伝子配列、及びアミノ酸又はアミノ酸配列を実質的に含まない。精製又は単離された微生物株は、天然に存在する環境及び/又はそれが培養された環境から除去される。このように、単離された菌株は、例えば、生物学的に純粋な培養物として、又は胞子(又は菌株の他の形態)として存在する。
【0039】
特定の実施形態において、精製された化合物は、目的の化合物の少なくとも60重量%である。好ましくは、調製物は、目的の化合物の少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、最も好ましくは少なくとも99重量%である。例えば、精製された化合物は、重量基準で少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、98%、99%、又は100%(w/w)の所望の化合物である。純度は、任意の適切な標準的な方法、例えば、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、又は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析によって測定される。
【0040】
「代謝生成物」とは、代謝によって生成される任意の物質(例えば、成長副生成物)又は特定の代謝プロセスに関与するのに必要な物質をいう。代謝生成物は、代謝の出発物質、中間体、又は最終生成物である有機化合物である。代謝生成物の例としては、酵素、酸、溶剤、アルコール、タンパク質、炭水化物、ビタミン、ミネラル、微量元素、アミノ酸、ポリマー、及び界面活性剤が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0041】
本明細書中で使用される「微生物ベースの組成物」とは、微生物又は他の細胞培養物の成長の結果として生成された成分を含む組成物を意味する。このように、微生物ベースの組成物は、微生物自体及び/又は微生物成長副生成物を含む。微生物は、栄養状態、胞子形態、菌糸形態、任意の他の形態の微生物繁殖体、又はこれらの混合物である。微生物は、プランクトンであっても、バイオフィルム形態であっても、又は両方の混合物であってもよい。成長の副生成物は、例えば、代謝生成物(例えば、バイオサーファクタント)、細胞膜成分、発現タンパク質、及び/又は他の細胞成分である。微生物は、無傷であっても溶解されていてもよい。細胞は、存在していなくても、又は組成物1ミリリットル当たり少なくとも1×10、1×10、1×10、1×10、1×10、1×10、1×1010、1×1011、1×1012、1×1013以上のCFUの濃度が存在していてもよう。
【0042】
本発明はさらに、所望の結果を達成するために実際に適用される組成物である「微生物ベースの組成物」を提供する。微生物ベースの組成物は、単に、微生物培養プロセスから採取された微生物ベースの組成物である。あるいは、微生物ベースの組成物は、添加されたさらなる成分を含んでいてもよい。これらの追加の成分は、例えば、安定剤、緩衝剤、キャリア(例えば、水又は塩溶液)、さらなる微生物成長をサポートするために添加された栄養素、非栄養成長エンハンサー、及び/又は微生物及び/又はそれが適用される環境中の組成物の追跡を容易にする薬剤を含むことができる。また、微生物ベースの生成物は、微生物ベースの組成物の混合物を含んでいてもよい。また、微生物ベースの生成物は、濾過、遠心分離、溶解、乾燥、精製等のような、しかしこれらに限定されない、何らかの方法で処理された微生物ベースの組成物の1つ以上の成分を含んでいてもよい。
【0043】
本明細書で使用される「複数」という用語は、1を超える任意の数又は量を指す。
【0044】
本明細書中で使用される疾患、状態又は障害の「予防」は、その特定の徴候又は症状の発症又は進行を遅延、阻害、抑制、防止、及び/又は最小限にすることを意味する。予防には、必須ではないが、対象の寿命を通じて、無期限の、絶対的又は完全な予防が含まれ、これは徴候又は症状が、予防措置なしの場合よりも遅い時期に、及び/又は重症度がより低い状態でそれでも発現することを意味する。予防には、そのような疾患、状態又は障害の発症の重篤度を低下させること、及び/又はその状態又は障害の重症化を阻害することが含まれ得る。さらに、予防は、特定の疾患、状態又は障害を獲得又は発症する対象に対するリスクを減少させることを含む。
【0045】
本明細書で使用される「減少」という用語は、負の変化を意味し、「増加」という用語は、正の変化を意味し、負又は正の変化は、少なくとも1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%又は100%の変化である。
【0046】
本明細書中で使用される「基準」という用語は、標準又は対照条件を意味する。
【0047】
本明細書中で使用される「対象」という用語は、哺乳動物のような動物をいう。動物は、例えば、ブタ、ウマ、ヤギ、ネコ、マウス、ラット、イヌ、霊長類、例えば、類人猿、チンパンジー及びオランウータン、モルモット、ハムスター、ウシ、ヒツジ、鳥類、例えば、ニワトリ、爬虫類、魚類、同様に、任意の他の脊椎動物又は無脊椎動物である。本発明において好ましい対象は、任意の性別のヒトである。対象は、乳児、幼児、青年、ティーンエイジャー、成人、中年及び高齢を含む、任意の年齢又は発達段階のものである。いくつかの実施形態において、対象は、中年又は高齢の成人、例えば、50歳以上である。
【0048】
本明細書中で使用される「界面活性剤」という用語は、2つの液体間、液体と気体の間、又は液体と固体の間の表面張力(又は界面張力)を低下させる表面活性化合物を意味する。界面活性剤は、例えば、洗剤、湿潤剤、乳化剤、発泡剤、及び分散剤として作用する。「バイオサーファクタント」は、生細胞によって生成される表面活性物質である。
【0049】
本明細書中で使用される「処置」という用語は、健康状態、疾患又は障害の徴候又は症状を任意の程度まで根絶、減少、改善、又は逆転させることをいい、そして、必須ではないが、状態、疾患又は障害の完全な治癒を含む。処置は、障害を治癒、改善、又は部分的に改善することである。「処置」はまた、状態又は特性を改善又は増強すること、例えば、体内の特定の系の機能を健康又はホメオスタシスの増強された状態にすることを含む。
【0050】
本明細書で与えられる範囲は、その範囲内の全ての値について短縮されたものであると理解される。例えば、1~20の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20からなる群の任意の数、数の組み合わせ、又は下位範囲、同じく、例えば、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、及び1.9等の前述の整数の間の全ての介在する10進値を含むと理解される。下位範囲に関して、範囲のいずれかの終点から延びる「入れ子下位範囲」が特に考えられる。例えば、1~50の例示的な範囲の入れ子下位範囲は、一方向に1~10、1~20、1~30、及び1~40、又は他方向に50~40、50~30、50~20、及び50~10を含む。
【0051】
「有する(including)」又は「含有する(containing)」と同義である「含む(comprising)」という移行句は、包括的又はオープンエンドであり、追加の非記載要素又は方法ステップを排除しない。対照的に、「からなる(consisting of)」という移行句は、請求項に規定されていない任意の構成要件、ステップ、又は成分を排除する。「から基本的になる(consisting essentially of)」という移行句は、請求項の範囲を、特定の材料又はステップ及び請求項に記載された発明の「基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさないもの」に限定する。「含む」という用語の使用は、列挙された構成要素から「なる」又は「本質的になる」他の実施形態を意図するものである。
【0052】
具体的に述べられていない、又は文脈から明らかでない限り、本明細書で使用される「又は」という用語は、包括的であると理解される。本明細書で使用されるように、特に述べられていない、又は文脈から明らかでない限り、「1つ」及び「その」は、単数又は複数であると理解される。
【0053】
本明細書で使用されるように、特に述べられていない、又は文脈から明らかでない限り、「約」という用語は、当技術分野における通常の許容範囲内、例えば、平均の2標準偏差内と理解される。約は、記載された値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、又は0.01%以内と理解することができる。
【0054】
本明細書に記載される可変の任意の定義における化学基の列挙の引用は、任意の1つの基又は列挙された基の組み合わせとしてその可変の定義を含む。本明細書中の可変又は態様の実施形態の列挙は、その実施形態を任意の単一の実施形態として、もしくは任意の他の実施形態又はその一部と組み合わせて含む。
【0055】
本明細書中に提供される任意の組成物又は方法は、本明細書中に提供される任意の他の組成物及び方法のうちの1つ以上と組み合わせることができる。
【0056】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の好ましい実施形態の説明、及び請求項の範囲より明らかとなるのであろう。本明細書に引用される全ての参考文献は、参照により本明細書に援用される。
【0057】
組成物
好ましい実施形態において、摂取可能な組成物は、例えば、対象の腸内微生物叢を回復させること、消化管における水及び電解質の吸収を増加させること、及び/又は疾患、障害又は健康状態を処置及び/又は予防するために対象に治療物質を提供することによって、対象の健康を促進するために提供される。
【0058】
特定の実施形態において、組成物は、水及び1つ以上の生物学的両親媒性分子を含み、1つ以上の生物学的両親媒性分子の量は、水の表面張力を約45+/10mN/mまで低下させるのに十分な量である。
【0059】
典型的には、飲料水は、70mN/mを超える、又は約73~75mN/mの表面張力を有する。しかし、ヒトの血液の表面張力は50~55mN/mの範囲である。組成物中の水の表面張力を低下させることによって、生物学的両親媒性分子は、水分子及びその中に溶解及び/又は分散される他の化合物のバイオアベイラビリティを増加させる。
【0060】
一実施形態において、生物学的両親媒性分子は、微生物バイオサーファクタントである。バイオサーファクタントは、微生物によって生成される表面活性物質の構造的に多様な群である。バイオサーファクタントは生分解性であり、再生可能な基質上の選択された生物を用いて生成することができる。微生物バイオサーファクタントは、様々な微生物によって生成される。例えば、Pseudomonas spp.P. aeruginosaP. putidaP. florescensP. fragiP. syringae)、Flavobacterium spp.Bacillus spp.B. subtilisB. pumillusB. licheniformisB. amyloliquefaciensB. cereus)、Wickerhamomyces spp.(例えば、W. anomalus)、Candida spp.(例えば、C. albicansC. rugosaC. tropicalisC. lipolyticaC. torulopsis)、Rhodococcus spp.Arthrobacter spp.Campylobacter spp.Cornybacterium spp.Pichia spp.(例えば、P. anomalaP. guilliermondiiP. occidentalis)Starmerella spp.(例えば、S. bombicola)等である。
【0061】
全てのバイオサーファクタントは両親媒性物質である。それらは、2つの部分:極性(親水性)部分と非極性(疎水性)基からなる。脂肪酸の炭化水素鎖は、バイオサーファクタント分子の共通の親油性部分として作用し、一方、親水性部分は、中性脂質のエステル又はアルコール基によって、脂肪酸又はアミノ酸(又はペプチド)のカルボキシレート基によって、フラボ脂質の場合には有機酸によって、又は糖脂質の場合には炭水化物によって形成される。
【0062】
それらの両親媒性構造のために、バイオサーファクタントは、疎水性の水不溶性物質の表面積を増加させ、そのような物質の水バイオアベイラビリティを増加させ、細菌細胞表面の特性を変化させることができる。バイオサーファクタントは、界面に蓄積し、これにより界面張力を減少させ、溶液中に凝集ミセル構造を形成させる。バイオサーファクタントが孔を形成し、生体情報膜を不安定化する能力によって、抗菌剤、抗真菌剤、及び溶血剤として使用される。低有害性及び生分解性という特長を兼ね備えていることから、バイオサーファクタントは、ヒトの健康をはじめとする様々な用途に有利である。
【0063】
特定の実施形態において、微生物バイオサーファクタントは、例えば、糖脂質、リポペプチド、フラボ脂質、リン脂質、脂肪酸エステル化合物、リポタンパク質、リポ多糖-タンパク質複合体及び多糖‐タンパク質‐脂肪酸複合体等の高分子量ポリマーから選択される。
【0064】
一実施形態において、本発明によるバイオサーファクタントは、ラムノ脂質(RLP)、ソホロ脂質(SLP)、セロビオース脂質、トレハロース脂質(TL)及び/又はマンノシルエリトリトール脂質(MEL)等の糖脂質から選択される。
【0065】
一実施形態において、バイオサーファクタントは、例えば、サーファクチン、イチュリン、フェンギシン、アルスロファクチン、ビスコシン及び/又はリケニシンを含むリポペプチドから選択される。
【0066】
一実施形態において、バイオサーファクタントは、例えば、ホスファチジン酸、リゾ-ホスファチジルコリン酸、ホスファチジルコリン、リゾホスファチジルコリン、ホスファチジルグリセロール、ジホスファチジルグリセロール、ホスファチジルグリセロリン酸、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロールホスファグリセロール、ビス(モノアシルグリセロ)リン酸(BMP)、ビス(ジアシルグリセロ)リン酸(BDP)、アシルホスファチジルグリセロール、ホスファチジルエタノールアミン、N-アシルホスファチジルエタノールアミン、カルジオリピン、スフィンゴミエリン、及びプラスマローゲンから選択されるリン脂質である。
【0067】
一実施形態において、1つ以上のバイオサーファクタントは、臨界ミセル濃度(CMC)で組成物中に存在する。特定の実施形態において、組成物中のバイオサーファクタントの濃度は、約5ppm~約30ppm、又は約10ppm~約20ppmである。
【0068】
ある実施形態において、生物学的両親媒性分子は粗形態であり、それらが、バイオサーファクタント生成微生物の培養から生じる上清中に存在することを意味する。粗形態は、任意で、残留栄養素、他の微生物成長副生成物、さらには微生物及び/又は細胞成分も含むことができる。
【0069】
いくつかの実施形態において、生物学的両親媒性分子は、培養生成物から抽出され、単離及び/又は精製される。
【0070】
1つ以上の生物学的両親媒性分子は、生物学的又は合成的に改質された形態を含む、バイオサーファクタントの改質形態、誘導体、フラクション、類似体、アイソフォーム、異性体又はサブタイプのいずれか1つ又は組み合わせをさらに含むことができる。
【0071】
特定の実施形態において、組成物は、1つ以上の電解質、例えば、ナトリウム、カリウム、リン酸塩、重炭酸塩、硫酸塩、塩化物、カルシウム及び/又はマグネシウムの供給源を含む。特定の好ましい実施形態において、1つ以上の電解質は、存在する場合、約1mEq/L~約50mEq/L、又は約5mEg/L~約35mEq/Lの濃度で含まれる。
【0072】
特定の実施形態において、組成物は、1つ以上の有益な微生物を含むことができる。微生物は、生存可能であっても、不活性形態であってもよい。それらは、栄養細胞、胞子、分生子、菌糸体及び/又はそれらの組み合わせの形態である。
【0073】
いくつかの実施形態において、微生物は、微生物の培養からの残留成長培地及び/又は栄養素、及び/又は微生物によって生成される任意の成長副生成物を含む培養物の形態で添加される。これらは、例えば、酵素、バイオポリマー、溶剤、酸、タンパク質、アミノ酸、ポリケチド、バイオサーファクタント、又は、例えば、水分補給、腸の健康、心臓血管の健康、望ましくない微生物の制御及び/又は有益な微生物の成長に有用である他の代謝生成物を含むことができる。
【0074】
好ましくは、有益な微生物は、消化管で播種及び/又は生存することができ、さらに、対象及び/又は対象の腸内微生物叢の健康を促進及び/又は改善する生きた細胞及び/又は胞子の形態である。
【0075】
本発明による生物には、例えば、酵母、真菌、細菌及び古細菌が含まれる。好ましい実施形態において、微生物は、例えば、Bacillus spp.Bacteroides spp.Clostridium spp.Faecalibacterium spp.Eubacterium spp.Ruminococcus spp.Peptococcus spp.Peptostreptococcus spp.Enterococcus spp.Bifidobacterium spp.、Lactobacillus spp.Enterobacter spp.Klebsiella spp.及びEscherichia spp.等の細菌である。微生物は、例えば、少なくとも1×106~1×1013CFU/mlの濃度で存在する。
【0076】
特定の実施形態において、微生物は、Bacillus subtilis nattoBacillus amyloliquefaciens(例えば、B. amyloliquefaciens NRRL B‐67928)、又はBacillus coagulansである。
【0077】
特定の実施形態において、摂取可能な組成物は、Bacillus subtilis nattoによって生成される酵素であるナットウキナーゼをさらに含む。ナットウキナーゼは、アテローム性動脈硬化プラークを溶解し、血液循環をサポートし、血圧を低下させ、及び/又は対象に線溶療法を提供し、とりわけ、健康上の利益を提供しうる栄養補助食品である。ナットウキナーゼは、対象組成物の5~300mmg/用量、10~200mg/用量、又は20~100mg/用量で含まれる。
【0078】
いくつかの実施形態において、組成物は、腸内での有益な微生物の成長をサポートするためのプレバイオティクスをさらに含む。プレバイオティクスは、例えば、フルクタン及びキシランに由来する発酵性繊維、イヌリン、フラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖及びガラクトオリゴ糖を含むことができる。プレバイオティクスを含有することが知られている食品には、例えば、チコリー根、タマネギ、ニンニク、リーク、オートミール、コムギふすま、アスパラガス、タンポポ、エルサレムアーティチョーク、及びバナナが含まれる。
【0079】
一実施形態において、組成物は、経口消費可能な製品として処方され、動物又はヒト対象に経口投与される。
【0080】
本発明による経口消耗製品は、消費、栄養、口腔衛生又は快適さに適した任意の製剤又は組成物であり、ヒト又は動物の口腔に導入され、一定期間そこに留まり、次いで嚥下される(例えば、消費用の食物)か、又は再び口腔から除去される(例えば、チューインガムや口腔衛生製品又は医薬用マウスウォッシュ)ことを意図した製品である。これらの製品には、ヒト又は動物が加工、半加工又は未加工の状態で摂取することを意図した全ての物質又は製品が含まれる。これにはまた、生産、処置又は処理の間に経口消費可能な製品(特に食品及び医薬品)に添加され、ヒト又は動物の口腔に導入されることが意図される物質が含まれる。
【0081】
経口消費製品はまた、ヒト又は動物によって嚥下され、次いで、改変されていない、調製された、又は加工された状態で消化されることが意図される物質も含む。従って、本発明による経口消費製品はまた、製品と一緒に嚥下されることも意図されるか、又は嚥下が予想される、ケーシング、コーティング、又は他のカプセル化のものも含む。
【0082】
好ましい実施形態において、本組成物は、好ましくは飲料として調合される。従って、特定の実施形態において、組成物は、例えば、エネルギー源、栄養素、ビタミン、ミネラル、ハーブ抽出物、タンパク質、アミノ酸、抗酸化剤、酵素及び/又は他の健康促進サプリメントである成分、同様に、例えば、香味料、防腐剤、プレバイオティクス、pH調整剤、甘味料及び/又は染料等の添加剤をさらに含むことができる。組成物はまた、炭酸塩化されていてもよい。
【0083】
一実施形態において、組成物は、ビタミン、例えば、ビタミンA、C、D、E、K、B1(チアミン)、B2(リボフラビン)、B3(ナイアシン)、B6、B7(ビオチン)、B12、葉酸塩(又は葉酸)、パントテン酸、ニコチン酸、塩化コリン、カルニチン、イノシトール及びパラアミノ安息香酸を含む。特定の実施形態において、アジュバント組成物は、例えば、ビタミンA、D、E、及び/又はK等の親油性ビタミンの可溶化を促進するのを助ける。
【0084】
一実施形態において、組成物は、例えば、カルシウム、リン、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、塩化物、硫黄、鉄、マンガン、銅、ヨウ素、亜鉛、コバルト、フッ化物及びセレン等のマクロミネラル及び/又は微量ミネラルを含む。
【0085】
一実施形態において、組成物は、サプリメント、例えば、カフェイン、エキナセア、魚油、ニンジン、グルコサミン、コンドロイチン硫酸、ニンニク抽出物、セントジョーンズワート、ノコギリヤシ、イチョウ、オメガ-3脂肪酸、オメガ-6脂肪酸、メラトニン、フラボノイド(例:アントシアニン)、コラーゲンペプチド、アサイー、活性炭、アルファルファ、アルニカ、ゲンゲ属、アロエベラ、アシュワガンダ、ビーポーレン、ベラドンナエキス、ベルベリン、ビルベリー、ベタイン、ツルレイシ、ダイダイ、ブラックコホシュ、紅茶、オニアザミ、オオバコ、ブルーベリー緑藻、西洋フキ、キンセンカ、カンナビジオール(CBD)、カプサイシン、キャッツクロー、カモミール、チェストベリー、キトサン、シナモン、クローブ、ココナツ、肝油、コロイド銀、クランベリー、クレアチン、ダンデリオン、ロクジョウ、デビルズクロー、DHEA、ドンクアイ、エレウテロ、エフェドラ、ユーカリ、エルダーベリー、イブニングプリムローズ、フェヌグリーク、フィーバーヒュー、アマニ、ヒバマタ、しょうが、グリチルリチン、クコの実、ゴールデンシール、グレープ、グレープシード、グレープフルーツ、コーヒー生豆、緑茶、ガラナ、グアーガム、ギムネマ、サンザシ、麻、ハイビスカス、蜂蜜、ホノキオール、フーディア、ホップ、ホースチェストナッツ、ホーニーゴートウィード、ホーステール、ヒドラジン硫酸塩、カバ、コーラナッツ、ラベンダー、レモングラス、リコリス根、ルテイン、リコペン、マカ、マンゴスチン、メチルスルホニルメタン、ミルクシスル、ヤドリギ、モノラウリン、ナイアシンアミド、ノニ、オーツ、オリーブ、オレガノ、パーム油、パパイア、パウダルコ、ピーナッツ油、ペニロイヤル、ペパーミント、ザクロ、プロポリス、ケルセチン、ローズヒップ、ラズベリーケトン、レッドクローバー、紅麹、霊芝、レスベラトロール、セージ、パルメット、Satureja bachtiarica油、センナ、スリッパリエルム、大豆、スペアミント、ステビア、タルトチェリー、ティーツリー油、タイワンクロヅル、ビートルート、テリマグランジンII、ターメリック、バレリアン、ホエータンパク質、ワイルドヤム、樹皮、イエルバマテ、ヨヒンベ、5-HTP等を含む。
【0086】
一実施形態において、組成物は、酵素、例えば、補酵素Q10、リパーゼ、ブロメライン、パパイン、キモパパインA、キモパパインB、パパイアペプチダーゼA、トリプシン、キモトリプシン、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、パンクレリパーゼ、消化酵素、ラクターゼ、アルファ‐グラクトシダーゼ、セルラーゼ、フィターゼ、及びベータ‐グルカナーゼを含む。
【0087】
他の健康促進物質としては、抗酸化剤、ベータ‐グルカン、胆汁酸塩、コレステロール、カロテノイド、及び他の多くが挙げられるが、これらに限定されない。
【0088】
特定の例示的な実施形態において、組成物は、CoQ10、片頭痛、スタチンミオパシー、腎疾患、不妊症、皮膚老化、疲労、糖尿病、癌、神経変性疾患、及び/又は肺状態を処置及び/又は予防することができる酵素を含むことができる。組成物は、例えば、組成物の50~500mg/用量、又は約100~200mg/用量を含むことができる。
【0089】
特定の例示的な実施形態において、組成物は、カンナビジオール(CBD)を含む。CBDは、不安、認知、不眠、心血管系の健康及び運動障害を改善するほか、疼痛、IBS症状、及び発作活動を減少させる。組成物は、例えば、組成物の10~1,500mg/用量、又は約20~100mg/用量を含むことができる。
【0090】
一実施形態において、組成物は、水の添加によって飲料に再構成することができる脱水粉末又は濃縮物として処方される。一実施形態において、組成物は、ブレンドされたスムージー又はミルクシェイクとして処方される。
【0091】
一実施形態において、組成物は、消化管に直接投与するために処方することができる。例えば、組成物は、結腸鏡検査を介して近位下部消化管に、注腸又は直腸管を介して先端の下部消化管に、及び経鼻胃管、十二指腸管、及び内視鏡検査/胃鏡検査を介して上部消化管に投与するために処方することができる。
【0092】
組成物は、例えば、意図される用途、意図される適用方法、発酵容器のサイズ、及び微生物成長施設から使用場所への輸送の任意の様式を考慮して、適切なサイズの容器に配置される。従って、組成物が入れられる容器は、例えば、0.1ガロン~1,000ガロン以上であってもよい。組成物はさらに、組成物の個々の用量を分配するために、ボトル等の容器に入れることができる。
【0093】
方法
好ましい実施形態において、本発明はさらに、例えば、対象の腸内微生物叢を回復させること、消化管における水及び電解質の吸収を増加させること、及び/又は疾患、障害又は健康状態を処置及び/又は予防するために対象に治療物質を提供することによって、それを必要とする対象の健康を増強する方法を提供する。
【0094】
特定の実施形態において、対象は、例えば、身体的労作、熱疲労、嘔吐又は下痢を引き起こす状態、及び/又は薬物療法や放射線療法等の医学的処置の副作用により、脱水や脱水のリスクがある。
【0095】
特定の実施形態において、例えば、病原性微生物による感染、疾病、老化、食品因子(例えば、食品感度、食習慣及び/又は栄養習慣の変化)、免疫系の変化、抗生物質による処置、放射線処置又は被ばく、又は虫垂切除及び/又は結腸鏡検査等の実施に起因して、対象の腸内微生物叢が破壊されたり、不均衡になる、又は破壊されたり不均衡になる危険性がある。
【0096】
特定の実施形態において、対象は、疾患、障害又は健康状態、例えば、心血管系又は内分泌系、例えば、糖尿病(1又は2)及び/又は心血管疾患を有するか、又は有するリスクがある。
【0097】
好ましい実施形態において、本発明の方法は、腸内微生物叢が変容している対象の腸内微生物叢を増強及び/又は回復させるために使用される。破壊や不均衡は、例えば、病原性微生物(例えば、H. pylori)による感染、疾患、加齢、食事因子(例えば、食物感度、食事及び/又は栄養習慣の変化)、免疫系変化、放射線処置又は被ばく、抗生物質による処置、又は虫垂切除及び/又は結腸鏡検査のような実施の結果である。
【0098】
本明細書中で使用される「腸」又は「消化管」の「マイクロバイオーム」、「マイクロバイオータ(微生物叢)」、「微生物群」、「マイクロフローラ」又は「フローラ」とは、対象の腸及び/又は消化管内に生存する微生物の集団を意味する。いくつかの実施形態において、これらの微生物はまた、虫垂にも存在し得る。健康な、又は均衡のとれた腸内微生物叢は、種々の微生物種を含むものであり、これらの種の大部分は、好ましくは対象の健康に有益である。
【0099】
本明細書中で使用される場合、「有益な」微生物は、単に共生するもの(非有害かつ非相互共生で腸内に存在する)又は宿主に有害及び/又は寄生するものではなく、相互共生であると考えられるか、又はその宿主に利益を与えるものである。利益には、例えば、食物繊維の短鎖脂肪酸への消化及び特定のビタミンの合成が挙げられる。
【0100】
本明細書中で使用される場合、「破壊された」又は「不均衡である」腸内微生物叢は、変容しており、ここで、対象の腸内の微生物種は、疾患、不快感、栄養不良、栄養吸収障害及び/又は他の有害な健康上の結果を生じる、非有益な微生物の量、パーセンテージ又は数を含む。非有益な微生物には、病原体や寄生虫等の有害微生物のほか、宿主に直接害を与えないが、過剰に成長すると有益な腸内微生物叢を上回る共生微生物が含まれる。
【0101】
本明細書中で使用される場合、破壊された又は不均衡な腸内微生物叢を「回復する」とは、対象の腸内微生物群内の有益な微生物の優位性を確立又は再確立すること、又は腸内微生物叢を健康に及び/又は均衡させることをいう。腸内微生物叢を回復させることは、不均衡が疾患の原因であるか、疾患の影響であるか、又は対象の健康状態に対する別の変化であるかにかかわらず、不均衡な腸内微生物叢の均衡を保つことを含む。回復は、好ましくは、消化管中の過成長共生微生物、病原性微生物及び/又はバイオフィルムの数を減少させること、及び/又は消化管中の有益な微生物の数を増加させることを含む。
【0102】
特定の実施形態において、摂取可能な組成物の有益な微生物及び/又は微生物成長副生成物は、望ましくない腸内微生物叢を破壊し、及び/又は直接制御するため、腸内微生物叢を健康で均衡のとれた状態に回復させる。
【0103】
特定の実施形態において、本方法は、本発明の組成物を、対象に、好ましくは、経口摂取により投与することを含む。最適な投与速度は、例えば、対象の生理学的特徴、脱水及び/又は腸内微生物叢の変容の性質又は範囲、他の健康状態の存在及び/又は広範性に応じて異なる。適用速度の例を挙げると、4時間毎~24時間毎に約8~24液量オンスである。
【0104】
いくつかの実施形態において、本方法は、例えば、延長された身体活動、疾病、又は癌処置のために、脱水及び/又は特定の栄養素が枯渇している、又は脱水及び/又は栄養素枯渇になるリスクのある対象のための水分補給及び/又は栄養素吸収の改善をもたらす。利点を挙げると、一実施形態において、補水組成物の両親媒性分子が、水分子及び電解質イオンに結合し、腸上皮細胞を超えて移動するのを助けることである。従って、いくつかの実施形態において、本方法は、対象の消化管における水及び電解質の吸収を増加させることによって、対象の水分補給の増強を助ける。
【0105】
特定の実施形態において、本発明は、対象の全体的な健康及び幸福を増強するために使いられる。一実施形態において、本発明は、代謝機能、消化器系、免疫系、内分泌系、及び/又は心血管系等の身体系、組織、又は器官の機能を増強するために用いられる。
【0106】
特定の実施形態において、本方法は、例えば、摂取可能な処方にナットウキナーゼを含有させることによって、心臓血管の健康状態を改善する。利点を挙げると、ナットウキナーゼは、関節硬化性プラークの減少、血圧の減少、線維素溶解、及び/又は血液循環の改善を通して、心臓血管の健康に有益であると考えられる。
【0107】
いくつかの実施形態において、本発明は、例えば、脱水、過敏性腸症候群、1型糖尿病、セリアック病、他の自己免疫障害、結腸直腸癌、ALS、ASD及びアルツハイマー病等の神経発生及び神経変性疾患等の、腸内微生物叢の破壊又は不均衡の原因及び/又は結果である健康状態の症状を処置及び/又は改善するために用いられる。
【0108】
一実施形態において、本発明は、消化状態及び/又は症状、例えば、脱水、悪心、嘔吐、下痢、便秘、ガス、膨満、食品感度、胸やけ、酸逆流、GERD、消化不良、及び腹部痙攣/疼痛を処置及び/又は改善するために用いられる。一実施形態において、本発明は、例えば、頭痛、めまい、疲労、背部痛、不眠症、摂食障害、栄養素欠乏症、うつ病、不安、不妊症、受胎能問題、関節又は筋肉痛、脳霧、生殖器酵母感染症、細菌性膣症、膀胱又は尿路感染症、及び多くのその他の症状を含む、様々な健康状態に関連する腸外症状を処置及び/又は改善するために用いられる。
【0109】
腸内細菌は、哺乳動物の代謝及び消化過程の最も重要な構成要素である。これらの微生物は、腸肝循環を助け、エネルギー源と必須微量元素の消化と消化管系への同化を助ける。さらに、腸の嫌気性細菌は、食物繊維等の重炭水化物化合物を分解及び/又は発酵させて、酢酸塩、プロピオン酸塩及び酪酸塩等の短鎖脂肪酸にする。腸内微生物叢はまた、脂肪貯蔵、血糖値、及びビタミンの代謝の制御を助ける。例えば、腸内マイクロフローラは、プロトロンビンや他の凝固因子の生成に必要な補因子であるビタミンKを合成する。さらに、腸内細菌は、ビオチン、ビタミンB12、葉酸及びチアミンを合成する。
【0110】
腸内微生物叢と免疫系の間にも関係がある。ヒトの腸には、体の他の全ての部分よりも多くの免疫細胞が含まれている。均衡のとれた腸内微生物叢は、免疫細胞の活性化と制御、制御性T細胞の成長、好中球の活性化、単球とマクロファージの遊走等、免疫系の多くの機能を制御している。このように、消化管が妨害されると、免疫不全、感染症、炎症誘発及び抗炎症過程の誤った制御につながる可能性がある。さらに、自己免疫疾患から臨床的うつ病及び肥満に至るまで、他の様々な健康上の懸念は、免疫機能障害と関連し、これは不均衡な腸内微生物叢と関連する。
【0111】
均衡のとれた腸内微生物叢は、ホルモン制御にも重要である。例えば、睡眠、気分、性愛、母乳生成、呼吸、コミュニケーション、メラトニン及びアドレナリンの生成と制御等の処理に関与するホルモンであるセロトニン、及び他の多くは、クロム親和性細胞によって消化管で大部分(すなわち90%以上)生成される。消化管内の微生物構成は、適切なセロトニン生成及び制御において役割を果たしている。
【0112】
さらに、消化管の微生物叢の不均衡は、心臓血管系に影響を及ぼす。腸内微生物叢の破壊は、プラークの外観及びアテローム性動脈硬化症の進行の増加の一因となる。さらに、消化管は、糖尿病-心血消化疾患のリスクを大きく増加させる条件-につながる抵抗性、インスリンの制御に影響を及ぼす。さらに、腸内細菌叢が破壊すると、肝臓や心臓等の臓器に脂肪組織が蓄積する可能性があり、これらの臓器に関連する疾患のリスクも増大する。
【0113】
消化器系、代謝系、内分泌系及び心血管系に加えて、腸内微生物叢の変化も多くの自己免疫疾患と関連しており、これらの病態の原因及び/又は影響である。例えば、変化した微生物叢は、自己免疫応答及び炎症のトリガを介して、炎症性腸症候群(IBS)、クローン病、及び潰瘍性大腸炎の開始及び進行に役割を果たすと考えられている。自己免疫疾患であるセリアック病は、グルテンに対する腸粘膜反応を増強する細菌及び/又はウイルス感染によっても誘発される。さらに、1型糖尿病は免疫系の変化によっても引き起こされ、これは腸の粘膜内層及び腸管透過性に影響を及ぼす腸内微生物叢の変化によって引き起こされ、及び/又は進行する可能性がある。
【0114】
また、腸内微生物叢は、微生物病原体の発癌促進活性とメタボロームの影響という少なくとも2つの経路で大腸癌の病因となる可能性がある。例えば、炎症及び癌性細胞の抑制は、有益な腸内微生物叢によって生成される短鎖脂肪酸、酢酸塩、プロピオン酸塩及び酪酸塩の存在によって達成され、一方、他の化合物、例えば、二次胆汁酸は、発癌につながる。病原微生物は、腫瘍疾患につながる可能性のあるDNA変化を引き起こすこともある。
【0115】
変化した腸内微生物叢と神経発達(自閉症等)及び神経変性(アルツハイマー病等)疾患との関連性を示す証拠もある。例えば、アルツハイマー病は、脳内にアミロイド-β線維が蓄積することを特徴とする。腸内微生物叢は、大量のアミロイド及びリポ多糖を生成することが示され、これらは神経経路及びサイトカインの生成に影響を及ぼし、疾患の一員となる。
【0116】
さらに、自閉症患者が経験する不安や感覚感度は、消化管の課題と相関することが明らかにされており、実際、自閉症の小児の約70%に消化管の課題がある。さらに、自閉症の子供は健康な子供よりもClostridium histolyticumの値が高く、Desulfovibrio細菌等の特定の微生物が退行性自閉症の発症に何らかの役割を果たしている可能性がある。
【0117】
いくつかの実施形態において、本方法は、組成物の投与の前後に対象の健康を分析して、組成物の有効性を判断することを含む。
【0118】
対象の水分補給レベルは、例えば、電解質血液検査、尿検査、体重測定、排尿周波数測定、医療技術分野で知られている他の方法を使用して分析することができる。
【0119】
一実施形態において、対象の腸内微生物叢は、対象の消化管から微生物群を含む検体を採取することによって分析することができる。一実施形態において、検体は、対象の虫垂から採取される。一実施形態において、検体は、対象の消化管内の微生物群全体の代表を含む。
【0120】
検体は、医療技術分野で公知の手段によって収集することができる。例えば、検体は、糞便検体、腸粘膜洗浄検体、内視鏡検査及び/又は生検によって収集された腸及び/又は虫垂組織標本であり得る。
【0121】
次いで、検体を分析して、消化管の微生物群内に存在する微生物種を同定し、微生物群の他の種の各々に対する各種の集団割合を決定する。解析は、例えば、DNA配列決定、DNAフィンガープリンティング、ELISA、及び細胞プレーティングのような、当該分野で標準的な方法により行われる。
【0122】
本発明による微生物の成長
一実施形態において、本発明は、新規な形態の固体状態又は表面発酵を使用して、微生物の培養及び微生物代謝生成物及び/又は微生物成長の他の副生成物の生成する方法を提供する。ハイブリッドシステムを使用することもできる。本明細書中で使用される場合、「発酵」は、制御された条件下での細胞の成長をいう。成長は、好気性又は嫌気性である。
【0123】
一実施形態において、本発明は、バイオマス(例えば、生細胞物質)、細胞外代謝生成物(例えば、小分子、ポリマー及び排泄タンパク質)、残留栄養素及び/又は細胞内成分(例えば、酵素及び他のタンパク質)を生成するための物質及び方法を提供する。
【0124】
本発明に従って使用される微生物成長容器は、工業的使用のための任意の密閉発酵槽又は培養反応器である。一実施形態において、反応器は、例えば、生地をプルーフィングするための市販のベーキングに使用される標準的なオーブン等のプルーフィングオーブンである。一実施形態において、反応器は、例えば、同時にインキュベートされるマトリックス上で成長する培養物の数十又は数百のトレイを提供するために必要な構成要素を装備した、トレーラー又は部屋等のスケールアップされたエンクロージャの形態である。一実施形態において、反応器は、任意で、連続生成のための自動コンベヤシステム又はプーリシステムを備えることができる。
【0125】
一実施形態において、容器は、任意で、機能制御/センサを有する、又はpH、酸素、圧力、温度、撹拌機シャフト出力、湿度、粘度、及び/又は微生物密度及び/又は代謝生成物濃度等の培養プロセスにおける重要な因子を測定するために機能制御/センサに接続されていてもよい。しかしながら、好ましくは、そのような制御は必要ではない。
【0126】
さらなる実施形態において、容器は、容器内の微生物の成長(例えば、細胞数及び成長期の測定)をモニターすることもできる。あるいは、毎日のサンプルを容器から採取し、希釈プレーティング技術等の当技術分野で公知の技術によって計数してもよい。希釈プレーティングは、サンプル中の微生物の数を推定するために使用される単純な技術である。また、この技術は、異なる環境又は処理を比較することができる指標を提供することもできる。
【0127】
一実施形態において、この方法は、窒素源を用いて培養物を補充することを含む。窒素源は、例えば、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、アンモニア、尿素、及び/又は塩化アンモニウムである。これらの窒素源は、単独で、又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0128】
この方法は、成長培養物を酸素化することができる。一実施形態は、低酸素含有空気を除去し、酸素化空気を導入するために、緩慢な動きの空気を利用する。酸素化空気は、例えば、エアポンプを介して毎日補充される周囲空気であってもよい。
【0129】
本方法は、培養物に炭素源を補充することをさらに含む。炭素源は、典型的には、グルコース、スクロース、ラクトース、フルクトース、トレハロース、マンノース、マンニトール、及び/又はマルトース等の炭水化物、酢酸、フマル酸、クエン酸、プロピオン酸、リンゴ酸、マロン酸、及び/又はピルビン酸等の有機酸、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、イソブタノール、及び/又はグリセロール等のアルコール、大豆油、キャノーラ油、米ぬか油、オリーブ油、トウモロコシ油、ゴマ油、及び/又はアマニ油等の脂肪及び油である。これらの炭素源は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0130】
一実施形態において、微生物の成長因子、微量栄養素、及び/又は生体刺激剤が培地に含まれる。これは、必要とするビタミンの全てを生成することができない微生物を成長させる場合に特に好ましい。鉄、亜鉛、銅、マンガン、モリブデン及び/又はコバルトのような微量元素を含む無機栄養素もまた、培地に含まれる。さらに、ビタミン、必須アミノ酸、及び微量元素の源は、例えば、トウモロコシ粉等の穀粉又はミールの形態で、又はジャガイモエキス、ビーフエキス、大豆エキス、バナナ皮エキス等のエキスの形態で、又は精製された形態で含まれる。各種アミノ酸、例えば、タンパク質の生合成に有用な各種アミノ酸もまた含まれる。
【0131】
一実施形態において、無機塩も含まれる。使用可能な無機塩は、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸鉄(例えば、硫酸第一鉄七水和物)、塩化鉄、硫酸マンガン、硫酸マンガン一水和物、塩化マンガン、硫酸亜鉛、塩化鉛、硫酸銅、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、及び/又は炭酸ナトリウムである。これらの無機塩は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0132】
いくつかの実施形態において、培養方法は、任意で、培養プロセスの前及び/又は間に、追加の酸及び/又は抗菌剤を基質に添加することを含む。しかしながら、利点を挙げると、本発明の方法は、微生物の成長速度が遅いことに部分的に起因して、培養中の汚染からの保護の必要性を低減又は排除することである。
【0133】
混合物のpHは、目的の微生物に適切なものとすべきであるが、利点を挙げると、緩衝液又はpH調節剤を使用するpHの安定化は、本発明の培養方法を使用する場合に必要ないことである。
【0134】
微生物の培養及び微生物副生成物の生成する方法及び装置は、バッチ法又は準連続法で行うことができる。
【0135】
一実施形態において、微生物の培養方法は、約15~60℃、好ましくは25~40℃で実施され、特定の実施形態において、25~35℃、又は32~37℃で実施される。一実施形態において、培養は、一定温度で連続的に実施されてもよい。他の実施形態において、培養が変化する温度にさらされてもよい。周囲の空気を反応器にポンプで送り込み、全体に循環させることによって、温度を好ましい範囲内に保つことができる。
【0136】
一実施形態において、本発明の培養方法で使用される装置及び基質の全滅菌は必要ではない。しかしながら、装置及び基材は、任意で滅菌することができる。トレイは、例えばオートクレーブを使用して、栄養培地で広げられる前及び/又は後に滅菌される。さらに、スチームパンリッド及びパンバンドは、固体基質の接種前に、例えばオートクレーブ処理によって滅菌することができる。
【0137】
反応器/容器のような培養装置は、滅菌ユニット、例えば、オートクレーブから分離されてもよいが、接続されてもよい。また培養装置は、接種を開始する前にインサイチュで滅菌する滅菌ユニットを有してもよい。空気は、当技術分野で公知の方法によって滅菌することができる。例えば、周囲空気は、容器内に導入される前に、少なくとも1つのフィルタを通過する。他の実施形態において、培地は、低温殺菌されてもよく、又は、任意で、全く加熱されなくてもよく、低水分活性及び低pHの使用を利用して、細菌成長を制御してもよい。
【0138】
一実施形態において、本発明はさらに、成長及び代謝生成物の生成に適切な条件下で微生物株を培養することによって微生物代謝生成物を生成する方法を提供する。任意で、本方法は、代謝生成物を精製することを含む。本発明は、代謝生成物、例えば、バイオサーファクタント、バイオポリマー、エタノール、乳酸、ベータ-グルカン、タンパク質、ペプチド、代謝中間体、多価不飽和脂肪酸、脂質及び酵素を生成する方法を提供する。
【0139】
目的の微生物によって生成される微生物成長副生成物は、微生物中に保持されるか、又は基質中に分泌される。代謝生成物含量は、例えば、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%である。
【0140】
他の実施形態において、微生物成長副生成物を生成する方法は、目的の微生物成長副生成物を濃縮及び精製する工程をさらに含む。さらなる実施形態において、基質は、微生物成長副生成物の活性を安定化する化合物を含有する。
【0141】
一実施形態において、微生物培養組成物の全ては、培養の完了時に(例えば、所望の胞子密度、又は特定の代謝生成物の密度を達成した際に)除去される。このバッチ手順において、全く新しいバッチが、第1のバッチの採取時に開始される。
【0142】
他の実施形態において、発酵生成物の一部のみが、任意の時点で除去される。この実施形態において、生細胞を有するバイオマスは、新しい培養バッチのための接種物として容器内に残る。除去される組成物は、無細胞基質であってもよいし、細胞を含有していてもよい。このようにして、準連続装置が作製される。
【0143】
一実施形態において、本発明のシステム及び方法を用いて、微生物代謝生成物を生成することができる、微生物スラリーを乾燥する代わりに、微生物スラリーを濾過して、液体を固体から分離する。次いで、微生物代謝生成物を含む抽出される液体は、所望であれば、例えば、遠心分離、ロータリーエバポレーション、精密濾過、限外濾過及び/又はクロマトグラフィーを使用してさらに精製される。
【0144】
代謝生成物及び/又は成長副生成物は、例えば、バイオサーファクタント、酵素、バイオポリマー、酸、溶剤、アミノ酸、核酸、ペプチド、タンパク質、脂質及び/又は炭水化物である。具体的には、一実施形態において、本方法を用いて、バイオサーファクタントを生成することができる。
【0145】
利点を挙げると、本方法は、複雑な設備や高いエネルギー消費を必要としないことである。目的の微生物は、現場で小規模又は大規模に培養され、培地と混合されていても利用することができる。同様に、微生物代謝生成物はまた、必要な部位で大量に生成することもできる。
【0146】
利点を挙げると、微生物ベースの組成物は、遠隔地で生産することができることである。微生物成長施設は、例えば、太陽光、風力及び/又は水力を利用することによって、グリッドから外れて運転することができる。
【0147】
微生物ベースの組成物の現地生産
本発明の特定の実施形態において、微生物成長施設は、所望のスケールで、新鮮な高密度の微生物及び/又は目的の微生物成長副生成物を生成する。微生物成長施設は、適用部位又はその近くに位置していてもよい。この施設は、バッチ、準連続又は連続培養で高密度の微生物ベースの組成物を生成する。
【0148】
本発明の微生物成長施設は、微生物ベースの組成物が使用される場所に配置することができる。例えば、微生物成長施設は、使用場所から300、250、200、150、100、75、50、25、15、10、5、3、又は1マイル未満であってもよい。
【0149】
本発明の微生物成長施設は、微生物自体、微生物代謝生成物、及び/又は微生物が成長する培地の他の成分を含む新鮮な微生物ベースの組成物を生成する。所望であれば、組成物は、高密度の栄養細胞又は成長体、栄養細胞と成長体との混合物を有することができる。
【0150】
微生物ベースの生成物は、従来の微生物生産の微生物安定化、保存、貯蔵、及び輸送プロセスに頼ることなく、現地生産することができるので、非常に高密度で微生物を生成することができる。それによって、現場適用で使用するのに必要とされる微生物ベースの組成物が少ない体積で済み、所望の効力を達成するのが必要な場合、高密度の微生物の適用が可能となる。このシステムは効率的であり、細胞の安定化や培養培地から細胞の分離を必要としない。また、微生物ベースの生成物の現地生産では、生成物中へ成長培地を容易に含めることができる。培地は、発酵の間に生成された、現場使用に特によく適した薬剤を含有することができる。
【0151】
現地生産された高密度で頑強な微生物の培養は、サプライチェーンにしばらくの間残っていた場合よりも、現場でより有効である。本発明の微生物ベースの組成物は、発酵成長培地中に存在する代謝生成物及び栄養素から細胞が分離される従来の生成物と比較して特に有利である。輸送時間の短縮は、現場の要求に必要とされる時間と体積の微生物及び/又は代謝生成物の新鮮なバッチの生産及び配送を可能にする。
【0152】
一実施形態において、微生物成長施設は、微生物ベースの組成物が使用される場所に、又は、例えば、300マイル、200マイル、又はさらには100マイル以内に位置する。利点を挙げると、組成物を、特定の場所での使用のために調整することができることである。微生物ベースの組成物の製法及び効力は、特定の用途のために、及び適用時の対象の健康状態に従って、カスタマイズすることができる。
【0153】
利点を挙げると、分散型微生物成長施設は、上流での処理遅延、サプライチェーンのボトルネック、不適切な貯蔵、及び、例えば、細胞が本来成長する生存可能な高細胞数の生成物及び関連する培地及び代謝生成物のタイムリーな配送及び適用を妨げる他の不測事態に起因して、その生成物の品質が損なわれる、遠方の工業規模の生産者に依存するという現在の問題に対する解決策を提供することである。
【0154】
さらに、組成物を現場生産することによって、製法や効力は、特定の対象や適用時に存在する対象の健康状態に対してリアルタイムで調節される。これは、中央の場所で予め作製され、例えば、所定の対象に最適でない可能性のある設定比や処方を有する組成物を超える利点を提供する。
【0155】
微生物成長施設は、特定対象との相乗効果を改善するために微生物ベースの生成物を調整する能力によって、製造汎用性を提供する。利点を挙げると、好ましい実施形態において、本発明のシステムは、天然に存在する腸内微生物叢及びそれらの代謝副生成物の能力を利用することである。
【0156】
例えば、発酵の24時間以内の現場生産と配送は、純粋で、高い細胞密度の組成物及び実質的に低い輸送コストをもたらす。より効果的で強力な微生物接種材の開発における急速な進歩の見通しを考えると、微生物ベースの組成物を即時に配送できるようになることにより、消費者に非常に役立つ。
【国際調査報告】