(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-17
(54)【発明の名称】土壌の健全性を回復させるための、および有害生物を制御するための、微生物ベースの組成物
(51)【国際特許分類】
C09K 17/32 20060101AFI20221007BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20221007BHJP
A01N 63/22 20200101ALI20221007BHJP
A01N 63/27 20200101ALI20221007BHJP
A01P 7/00 20060101ALI20221007BHJP
A01P 5/00 20060101ALI20221007BHJP
A01N 63/32 20200101ALI20221007BHJP
C12N 1/20 20060101ALN20221007BHJP
C09K 101/00 20060101ALN20221007BHJP
【FI】
C09K17/32 H ZNA
C09K17/32 ZBP
C09K17/32 ZAB
A01P3/00
A01N63/22
A01N63/27
A01P7/00
A01P5/00
A01N63/32
C12N1/20 A
C12N1/20 E
C09K101:00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022508760
(86)(22)【出願日】2020-08-12
(85)【翻訳文提出日】2022-03-16
(86)【国際出願番号】 US2020045845
(87)【国際公開番号】W WO2021030385
(87)【国際公開日】2021-02-18
(32)【優先日】2019-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519173484
【氏名又は名称】ローカス アグリカルチャー アイピー カンパニー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ファーマー ショーン
(72)【発明者】
【氏名】アリベック ケン
【テーマコード(参考)】
4B065
4H011
4H026
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA15X
4B065AA34X
4B065AA57X
4B065AA80X
4B065AC20
4B065CA47
4B065CA53
4B065CA60
4H011AA01
4H011AA03
4H011AA04
4H011AC01
4H011AC04
4H011BB08
4H011BB21
4H026AA08
4H026AB01
4H026AB03
4H026AB04
(57)【要約】
土壌の健全性および/または植物の健全性を増大させるための組成物および方法を提供する。特に、本発明は、肥沃度、塩度、水保持力、および他の土壌特徴の改善に使用するための、ならびに、有害生物の制御および植物の生育の刺激に使用するための、微生物および/またはその増殖時副生成物を含む組成物に関する。ある態様において、増殖時副生成物はバイオサーファクタントである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スターメレラ・ボンビコーラ(Starmerella bombicola)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、バチルス・モジャベンシス(Bacillus mojavensis)、バークホルデリア・タイランデンシス(Burkholderia thailandensis)、シュードザイマ・アフィディス(Pseudozyma aphidis)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、および/またはミクソコッカス・キサンタス(Myxococcus xanthus)である微生物と、それらの増殖時副生成物とを含み、任意で、該微生物が培養されていた発酵培養液および/または固相基材を含み、かつ任意で、プレバイオティクスの1種または複数種の供給源を含む、組成物であって、
該微生物が、生きているか、不活性化されているか、または、生きている細胞および不活性化されている細胞の組み合わせであり、かつ
該増殖時副生成物がバイオサーファクタントである、
前記組成物。
【請求項2】
プレバイオティクスの1種または複数種の供給源が、ケルプ抽出物、フルボ酸、キチン、フミン酸塩、および/またはフミン酸である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
S. ボンビコーラ、B. タイランデンシス、P. アフィディス、およびS. セレビシエによって産生されるバイオサーファクタントが、糖脂質として分類される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
糖脂質が、ラムノ脂質、マンノシルエリスリトール脂質、および/またはソホロ脂質である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
B. モジャベンシス、B. アミロリケファシエンス、およびM. キサンタスによって産生されるバイオサーファクタントが、リポペプチドである、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
リポペプチドが、サーファクチン、イツリン、および/またはフェンギシンである、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
以下の段階を含む、土壌の健全性および/または植物の健全性を増大させる方法:
生きているおよび/もしくは不活性化されているスターメレラ・ボンビコーラ、サッカロマイセス・セレビシエ、バチルス・モジャベンシス、バークホルデリア・タイランデンシス、シュードザイマ・アフィディス、バチルス・アミロリケファシエンス、ならびに/またはミクソコッカス・キサンタスである微生物と、それらの増殖時副生成物とを含み、任意で、該微生物が培養されていた発酵培養液および/または固相基材を含み、かつ任意で、プレバイオティクスの1種または複数種の供給源を含む、組成物を、土壌および/または植物に適用する段階。
【請求項8】
プレバイオティクスの1種または複数種の供給源が、ケルプ抽出物、フルボ酸、キチン、フミン酸塩、および/またはフミン酸である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
増殖時副生成物がバイオサーファクタントである、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
S. ボンビコーラ、B. タイランデンシス、P. アフィディス、およびS. セレビシエによって産生されるバイオサーファクタントが、糖脂質である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
糖脂質が、ラムノ脂質、マンノシルエリスリトール脂質、および/またはソホロ脂質である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
B. モジャベンシス、B. アミロリケファシエンス、およびM. キサンタスによって産生されるバイオサーファクタントが、リポペプチドである、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
リポペプチドが、フェンギシン、イツリン、および/またはサーファクチンである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
土壌の性質の1つまたは複数が改善される、請求項7に記載の方法。
【請求項15】
土壌の水保持能力が改善される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
土壌の排水能力および/または水分散能力が改善される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
土壌の栄養素含量が改善される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
土壌中の汚染物質が減少する、および/または除去される、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
土壌の塩度が減少する、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
土壌における浸透圧が減少する、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
有害生物を制御するために使用される、請求項7に記載の方法。
【請求項22】
植物の防御機構を活性化するために使用される、請求項7に記載の方法。
【請求項23】
植物の生育を刺激するために使用される、請求項7に記載の方法。
【請求項24】
GHG放出が減少する、請求項7に記載の方法。
【請求項25】
組成物を土壌に適用する段階の前に、土壌のタイプを特徴付けする段階をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年8月12日に提出された米国特許仮出願第62/885,455号、および2019年12月26日に提出された米国特許仮出願第62/953,632号の優先権を主張するものであり、両仮出願は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
農産業においては、いくつかの共通の課題が、生産量を最大にしつつ、コストを低く抑えるという農家の能力を妨害している。該課題は、細菌、真菌、ならびに他の有害生物および病原体によって引き起こされる、感染および伝染;環境および健康へのその影響を含め、高コストな化学的肥料および化学的除草剤;ならびにさまざまなタイプの土壌から、植物が効率良く栄養素および水を吸収することの困難性を含むが、これらに限定されない。
【0003】
特に、作物が生育するのに不適切ないくつかの性質を有する土壌タイプを有するさまざまな地理的領域において、繁茂する作物を生産するためには、効率の良い栄養素および水の吸収が特に重要である。土壌には、それに存在する粘土の、シルトの、または砂の粒子の量によって決定される、いくつかの異なるタイプがある。
【0004】
粘土質土壌は、粘土およびシルトを高いパーセンテージで含む。粒子は小さくかつ接着し合っていて、水および栄養素を十分に保持する;しかしながら、粘土質土壌は圧縮されやすく、該土壌では、上に重なる堆積物の重量によって、鉱物粒子は合わさって押しつぶされ、したがって土壌の多孔性は減少する。これは、植物の根が土壌に進入することを妨げ得るとともに、水分および栄養素の根に到達する能力をも妨げ得る。さらに、粘土質土壌は他の土壌タイプよりも水はけが遅く、しかも、寒くかつ凍結温度となる地域においては、春に暖まるかまたは解けるのにより長い時間を必要とし得る。粘土質土壌は、その粘着性で滑りやすい土質、および園芸用具に接着しやすいというその傾向によって、同定可能である。
【0005】
砂質土壌は、粘土質土壌よりも大きく粗い粒子から構成される。この土壌は水分および栄養素の保持能力が低く、そのため、他のタイプの土壌よりも高頻度に施肥および潅水を行わなければならない。粒子間に大きな間隙があるため、砂質土壌は典型的には、他の土壌タイプよりも肥沃ではない。これらの間隙は、水および栄養素をより容易に排出してしまう。このタイプの土壌は、その粗い質感と、握った時に接着し合うのではなく、ばらばらに崩れやすいというその傾向とによって、同定可能である。
【0006】
ローム質土壌は、あるバランスの粘土、シルト、砂、および有機物質を有し、このため該土壌は、ガーデニング目的にとって最も理想的なタイプの土壌となっており、かつ農業目的にとっても最も肥沃な土壌になっている。該土壌は、水分および栄養素を十分に保持することが可能である。ロームはまた、通気もされており、これは、空気が土壌を通って循環可能であること、およびより容易に排水可能であることを意味する。ロームは、軽く握った時にその形状を保持するその能力によって、同定可能であり、かつ他の土壌タイプよりも掘り進めることが容易である。
【0007】
シルト質土壌および泥炭質土壌という、他の2種類の土壌タイプは、排水が難しいことで知られている。シルト質土壌は通常、ロームと同様の水分保持能力を有する;しかしながら、粘土とシルトとの比に応じて、排水はより遅くなり得る。泥炭質土壌は、湿地の多い湿潤気候の地域において最も一般的に見出される。泥炭質土壌は栄養素に満ちているが、容易に水がたまりやすい。
【0008】
土壌のタイプおよび組成は、特定の植物および/または作物が繁茂するか否かという点において重要な因子である。ときおり、土壌改良剤と称される添加物が、その特定の必要性に基づいて、ある特定のタイプの作物のための土壌を改善するために必要とされる。土壌改良剤は、それが適用される土壌の物理的および/または化学的特徴を改善する、組成物である。土壌改良剤は圧縮を減少させ得、土壌の通気を良くし得、かつ、水および栄養素が土壌中をより容易に移動して植物の根に到達することを可能にし得る。いくつかの土壌改良剤はまた、土壌に栄養素を追加し、塩度を調節し、および/または水分を保持するのにも役立つ。
【0009】
土壌改良剤は有機物を含み得、これはたとえば、スファグナムピートモス、腐植質、厩肥、堆肥、表土、ならびにさまざまなミネラルおよび砂などである。一般に、土壌への物質の追加においては、植物がより良く生育できるように、土壌に適度な水保持力を提供し、かつ土壌中において望ましい量の通気性を提供するような、物質のバランスが達成されなければならない。たとえば、土壌は、水を保持する物質を適量有さねばならず、さらに同時に、過剰な水が植物の生育にダメージを与えること、および該生育を妨害することを防止するために、十分に排水可能でなくてはならない。
【0010】
土壌はまた、根の構造を維持し、かつ植物を支えるために、十分に高密度でなくてはならず、さらに同時に、根が拡張すること、および植物の生育を支援することが可能であるように、十分にゆるく充填されていなくてはならない。加えて、土壌は、適切な量の塩およびミネラル、たとえば、窒素、リン酸塩、カルシウム、銅、および鉄などを、含まねばならない。
【0011】
土壌の特性に加えて、有害生物の制御もまた、作物の生産の重要な局面である。しかしながら防除剤の使用は、土壌および農産物への、コンタミネーションならびに汚染のリスクがあり、しかもヒトに対して有害であり得、かつ有益な種を意図せずに害する可能性がある。さらに、特定の化学的防除剤への過度の依存およびその長期使用は、土壌の生態系を変えてしまう可能性があり、ストレスへの許容性を低下させる可能性があり、有害生物の抵抗性を増加させる可能性があり、かつ植物および動物の生育ならびに活力の妨げとなる可能性がある。
【0012】
化学物質および/または抗生物質の、利用可能性ならびにそれらの使用を規定する、規制指令の増加とともに、残留物の無い、持続可能に生育させた食物であって、環境への害を最小限に抑えるように生産された食物への消費者の需要もまた、有害生物の制御に関する産業に影響を及ぼしており、かつ多数の難題にどのように対処するかについての思想の進化を引き起こしている。より安全な防除剤への、および代替の有害生物制御戦略への需要は高まっている。化学物質をすべて排除することは、現時点では実現可能ではないが、統合栄養素管理(Integrated Nutrient Management)および統合有害生物管理(Integrated Pest Management)プログラムの実行可能な要素として、生物学的手段を使用することを、農家はますます好意的に受け入れている。
【0013】
食物および消耗品を生産する持続可能な方法への、世界的な必要性に対処するために、微生物、たとえば細菌、酵母、および真菌などは、それらの副生成物とともに、化学物質の農業適用への代替物としてますます有用となってきている。たとえば農家は、生物学的な作用物質、たとえば、生きている微生物、これらの微生物に由来するバイオ生成物、およびそれらの組み合わせなどを、土壌改良剤として、バイオ防除剤として、およびバイオ肥料として使用することを、好意的に受け入れている。これらの生物学的な作用物質は、慣用の化学物質と比較して害が少なく、それらはより効果的かつ特異的であり、かつそれらはしばしば速やかに生物分解されて、土壌および環境の汚染をもたらすことが少ない。
【0014】
現行の作物生産の方法の、経済的コストならびに健康および環境に対する有害な影響は、食物を生産するための、および作物に基づく消費者用の他の産物を生産するための持続可能性ならびに労力の、負担となり続けている。環境意識および消費者の需要は、たとえば、土壌の特徴を増大させるための、および/または有害生物を制御するための、改善された生成物の検索を促進している。
【発明の概要】
【0015】
本発明は、多機能な農業用組成物を提供し、かつ、土壌の健全性とともに、該土壌で生育する植物の健全性をも増大させるための、該組成物の使用方法を提供する。有利なことに、本発明である微生物ベースの生成物および方法は、環境に優しく、非毒性であり、かつ費用対効果が高い。
【0016】
好ましい態様において、本発明は、土壌の肥沃度および/または健全性を増大させるための組成物を提供する。いくつかの態様において、組成物はまた、たとえば、防除剤、植物の免疫調節剤、および/または植物の生育刺激剤としても作用し得る。
【0017】
ある態様において、組成物は、1種もしくは複数種の有益な微生物、および/または微生物の1種もしくは複数種の増殖時副生成物を含み、ここで該増殖時副生成物は、たとえば、バイオサーファクタント、酵素、および/または他の代謝物などである。組成物はまた、微生物が産生されていた発酵培地をも含み得る。
【0018】
組成物は、土壌に、ならびに/または植物の地上部分および地下部分に適用するために、製剤化され得る。たとえばある態様において、組成物は水と混合され得、そして灌水システムを介して植物および/または土壌に適用され得る。
【0019】
微生物は生きていてよく、および/または不活性化されていてもよい。好ましい態様において、有益な微生物は酵母および/または細菌である。特定の態様において、組成物は、スターメレラ・ボンビコーラ(Starmerella bombicola)酵母を含み得る。
【0020】
いくつかの態様において、組成物には、酵母抽出物、および/または微生物学分野において公知の手法によって作製された、他の微生物加水分解物が含まれる。
【0021】
ある態様において、微生物の増殖時副生成物は、たとえば、以下から選択されるバイオサーファクタントである:糖脂質(たとえば、ソホロ脂質、セロビオース脂質、ラムノ脂質、マンノシルエリスリトール脂質、およびトレハロース脂質)、リポペプチド(たとえば、サーファクチン、イツリン、フェンギシン、アルスロファクチン、およびリケニシン)、フラボ脂質(flavolipid)、脂肪酸エステル、リン脂質(たとえばカルジオリピン)、ならびに高分子量の重合体、これはたとえば、リポタンパク質、リポ多糖 - タンパク質複合体、および多糖 - タンパク質 - 脂肪酸複合体など。
【0022】
組成物は、たとえば、重量で0.001%~10%、0.01%~5%、0.05%~2%、および/または0.1%~1%の濃度で、1種または複数種のバイオサーファクタントを含み得る。ある態様において、バイオサーファクタントは糖脂質および/またはリポペプチドである。
【0023】
本発明の微生物ベースの組成物は、小スケールから大スケールにわたる培養プロセスによって入手され得る。これらの培養プロセスは、液内培養/液内発酵、固相発酵(SSF)、およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0024】
好ましい態様において、本発明は、土壌および/または植物の健全性を増大させるための方法を提供し、ここで、1種もしくは複数種の微生物および/または微生物の1種もしくは複数種の増殖時副生成物を含む組成物が、土壌および/または植物と接触するものであり、該増殖時副生成物は、たとえば、バイオサーファクタント、酵素、および/または他の代謝物などである。組成物はまた、微生物が産生されていた発酵培地をも含み得、これはたとえば、液内発酵培養液または固相基材などである。
【0025】
ある態様において、増殖時副生成物はバイオサーファクタントであり、これはたとえば、糖脂質および/またはリポペプチドなどである。
【0026】
微生物は、適用の時点で、生きているか、休眠状態であるか、または不活性であるか、のいずれかであり得る。いくつかの態様において、微生物は、酵母抽出物の形態、および/または別の微生物加水分解物の形態である。
【0027】
微生物の増殖時副生成物は、該微生物によって産生されたものであり得、および/または増殖時副生成物は、組成物の微生物によって産生された増殖時副生成物に追加して、適用され得る。
【0028】
方法は、適用前、適用中、および/または適用後に、微生物の増殖を増大させるための物質を添加すること(たとえば、栄養素および/またはプレバイオティクスを添加すること)を、さらに含み得る。したがって、生きている微生物はその場で増殖し得、かつ現場で活性化合物を産生し得る。その結果、高濃度の微生物およびその増殖時副生成物が、土壌において容易かつ連続的に取得され得る。
【0029】
いくつかの態様において、方法は、微生物無しに、微生物の1種または複数種の増殖時副生成物を土壌および/または植物に適用することを含む。具体的には、1つの態様において方法は、精製された糖脂質バイオサーファクタントおよび/またはリポペプチドバイオサーファクタントを含む組成物を、土壌および/または植物に適用することを含む。
【0030】
いくつかの態様において、方法は、土壌の健全性を回復させるために使用され、ここで、処置される土壌は、以前は健全であったが、いくらかの期間にわたって劣化した状態にある。回復は、以前の健全な状態へと、および/または健全性が増大した状態へと、土壌を戻すものであり得る。
【0031】
ある態様において、土壌の健全性の増大は、たとえば、以下のうちの1つまたは複数を含む:土壌からの汚染物質の除去、土壌の栄養素含量および栄養素利用可能性の改善、土壌の排水性および/もしくは水分保持特性の改善、土壌の塩度の改善、土壌マイクロバイオームの多様性の改善、ならびに/または土壌伝播性の有害生物の制御。
【0032】
いくつかの態様において、方法は、地上および地下の有害生物を制御するために使用される。いくつかの態様において、方法は、有害生物、たとえば、節足動物、線形動物、原生動物、細菌、真菌、および/またはウイルスなどを制御するために、有用であり得る。
【0033】
いくつかの態様において、方法は、植物の生育を刺激するために、ならびに/または雑草および不利益をもたらす他の植物を駆逐する植物の能力を改善するために、使用される。
【0034】
微生物ベースの生成物は、単独で、または土壌および/もしくは植物の健全性を効率よく増大させるための他の化合物との組み合わせてのいずれかで、使用され得る。たとえばいくつかの態様において、方法は、追加の成分、たとえば、除草剤、肥料、防除剤、および/または他の土壌改良剤などを、土壌および/または植物に適用することを含む。厳密な材料およびそれらの量は、たとえば、本願の開示の恩恵にあずかる栽培者または土壌学者によって、決定され得る。
【0035】
ある態様において、本発明の組成物は、たとえば、微生物培養物全体の使用が採用される場合に、バイオサーファクタント単独に勝る利点を有する。これらの利点は、以下のうちの1つまたは複数を含み得る:酵母の細胞壁の外側表面の一部としての、高濃度のマンノプロテイン;酵母の細胞壁におけるβ-グルカンの存在;組成物における発酵培養液および/または固体基材の含有;ならびに組成物における、たとえば、タンパク質、酵素、栄養素、他の代謝物の存在。
【0036】
有利なことに、本発明は、大量の汚染化合物を環境中に放出すること無しに使用され得る。実際、いくつかの態様において、本発明は、農作業の改善を通じて、温室効果ガスおよび他の大気汚染物質の放出を減少させるために、使用され得る。加えて、生物分解性であってかつ毒物学上安全である成分を、組成物および方法は利用する。したがって本発明は、「環境を損なわない(green)」農業用生成物として使用され得る。
【発明を実施するための形態】
【0037】
発明の詳細な説明
本発明は、微生物や、該微生物の増殖時の副生成物、たとえばバイオサーファクタントなどを提供するとともに、これら微生物およびそれらの副生成物を使用する方法をも提供する。より具体的には、本発明は、土壌および/または植物の健全性を増大させるための、微生物ベースの組成物、およびその使用方法を提供する。有利なことに、本発明である微生物ベースの生成物および方法は、環境に優しく、非毒性であり、かつ費用対効果が高い。
【0038】
抜粋された定義
本発明は「微生物ベースの組成物」を利用し、これは、微生物の増殖または他の細胞培養物の増殖の結果として産生された成分を含む、組成物を意味する。したがって、微生物ベースの組成物は、微生物それ自体、および/または微生物の増殖時の副生成物を含み得る。微生物は、生長能力のある(vegetative)状態か、胞子もしくは分生子の形か、菌糸の形か、繁殖体の任意の他の形か、またはこれらの混合物であり得る。微生物は、浮遊性であってよく、もしくはバイオフィルムの形であってもよい、または両方の混合物であってもよい。増殖時の副生成物は、たとえば、代謝物、細胞膜の成分、発現されたタンパク質、および/または細胞の他の成分であり得る。微生物はインタクトなものであってよく、または溶解されてもよい。いくつかの態様において、微生物は、そこでそれらが増殖した増殖培地とともに、微生物ベースの組成物中に存在する。微生物は、組成物1グラムあたり、または1 mlあたり、たとえば、少なくとも1 x 104 CFU、1 x 105 CFU、1 x 106 CFU、1 x 107 CFU、1 x 108 CFU、1 x 109 CFU、1 x 1010 CFU、1 x 1011 CFU、1 x 1012 CFU、もしくは1 x 1013 CFUか、またはより大きいCFUという濃度で存在し得る。
【0039】
本発明は、「微生物ベースの生成物」をさらに提供し、これは、所望の結果を達成するための実践において適用される生成物である。微生物ベースの生成物は、単に、微生物の培養プロセスから採取される、微生物ベースの組成物であり得る。あるいは、微生物ベースの生成物は、追加された、さらなる成分を含み得る。これらの追加の成分は、たとえば、安定剤や、緩衝剤や、水、塩溶液などの適した担体や、微生物のさらなる増殖を支援するための追加の栄養素や、無栄養価の増殖エンハンサーや、ならびに/または、それが適用される環境において、微生物および/もしくは組成物を追跡することを容易にする作用物質を、含み得る。微生物ベースの生成物はまた、微生物ベースの組成物の混合物をも含み得る。微生物ベースの生成物はまた、何らかの様式において加工されている、微生物ベースの組成物の、1種または複数種の成分をも含み得、ここで該様式は、たとえば濾過、遠心分離、溶解、乾燥、精製等であるが、これらに限定されない。
【0040】
本明細書において使用される場合、「バイオフィルム」とは、微生物の混成の集合体であり、ここで細胞は、互いに、および/または表面に、接着している。いくつかの態様において、細胞は、集合体全体を包み込む多糖バリアを分泌する。バイオフィルム中の細胞は、同じ生物の浮遊性の細胞、これは、液体培地中で浮遊または移動できる単細胞であるが、該浮遊性の細胞とは、生理学的に異なる。
【0041】
本明細書において使用される場合、「単離された」または「精製された」化合物、たとえば、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、天然においてはそれが結合している、および/またはそれが産生された際にはそれが結合している他の化合物から、たとえば、細胞中の物質、遺伝子、遺伝子配列、アミノ酸、またはアミノ酸配列などから、実質的に離れている。微生物株の文脈における「単離された」とは、それが天然において存在する環境から、および/またはそれが培養される環境から、移動された株を意味する。したがって、単離された株は、たとえば、生物学的に純粋な培養物として、または胞子(もしくは株の他の形)として、存在し得る。
【0042】
本明細書において使用される場合、「生物学的に純粋な培養物」とは、天然においてはそれが結合している、および/またはそれが培養される際にはそれが結合している物質から、単離されている培養物である。好ましい態様において、培養物は、他のすべての生細胞から単離されている。さらに好ましい態様において、生物学的に純粋な培養物は、それが天然において存在するような状態の同じ微生物の培養物と比較して、有益な特徴を有する。有益な特徴は、たとえば、1種または複数種の増殖時副生成物の、産生の増大であり得る。
【0043】
ある態様において、精製された化合物は、重量で少なくとも60%が、関心対象の化合物である。好ましくは調製物は、重量で少なくとも75%、より好ましくは少なくとも90%、および最も好ましくは少なくとも99%が、関心対象の化合物である。たとえば、精製された化合物は、重量で少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、98%、99%、または100%(w/w)が、所望の化合物であるものである。純度は、任意の適切な標準的方法によって、たとえば、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、または高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析によって、測定される。
【0044】
「代謝物」とは、代謝によって産生される任意の物質(たとえば増殖時副生成物)か、または特定の代謝プロセスに関与するのに必須な物質を指す。代謝物の例は、バイオサーファクタント、バイオポリマー、酵素、酸、溶媒、アルコール、タンパク質、ビタミン、ミネラル、微量元素、およびアミノ酸を含むが、これらに限定されない。
【0045】
本明細書において使用される場合、「調節する」とは、変化(たとえば、増加または減少)を引き起こすことを意味する。
【0046】
本明細書において提供される範囲は、範囲内のすべての値の略記として理解される。たとえば、1~20という範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20とともに、前述の整数の間にあるすべての小数の値、たとえば、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、および1.9などからなる群からの、任意の数を、数の任意の組み合わせを、または任意の部分範囲をも含むことが、理解される。部分範囲に関しては、範囲のいずれかの末端から拡張する「入れ子の部分範囲」が、具体的に意図される。たとえば、1~50という例示的な範囲の入れ子の部分範囲は、一方の方向において、1~10、1~20、1~30、および1~40を含み得、または他方の方向において、50~40、50~30、50~20、および50~10を含み得る。
【0047】
本明細書において使用される場合、「減少」とは負の変化を指し、「増加」とは正の変化を指し、そのそれぞれは、少なくとも1%、5%、10%、25%、50%、75%、または100%である。
【0048】
本明細書において使用される場合、「基準」とは、標準の条件または対照の条件を指す。
【0049】
本明細書において使用される場合、「界面活性剤」とは、2つの液体の間か、液体と気体との間か、または液体と固体との間の、表面張力(または界面張力)を低下させる化合物を指す。界面活性剤は、たとえば、洗剤、湿潤剤、乳化剤、起泡剤、および分散剤として作用する。「バイオサーファクタント」とは、生きている生物によって産生される界面活性剤である。
【0050】
本明細書において使用される場合、「農業」とは、食物、繊維、バイオ燃料、医薬、化粧品、サプリメント、観賞物としての目的のために、および他の使用のために、植物、藻類、および/または真菌類を栽培することならびに育種することを意味する。本発明においては、農業とは、園芸、造園、ガーデニング、植物保全、果樹栽培、および樹木栽培をも含み得る。農業には、土壌の、管理、モニタリング、および維持がさらに含まれる。
【0051】
本明細書において使用される場合、状態もしくは存在を「防止する」、またはそれらの「防止」とは、該状態もしくは存在の開始、拡大、または進行を、遅らせる、阻害する、抑制する、未然に防ぐ、および/または最小限にすることを意味する。防止とは、無期限の、絶対的な、または完全な防止を含み得るが、それらを要求するものではなく、状態または存在は後に依然として進行し得ることを意味する。防止とは、そのような状態もしくは存在の開始の重大性を減少させること、および/または、より重大なものもしくはより拡大したものへの、その進行を阻害することを含み得る。
【0052】
本明細書において使用される場合、有害生物への言及において使用される「制御」との語は、有害生物を死滅させること、有害生物を無力化させること、有害生物を移動不能にすること、もしくは有害生物の総数を減少させることを意味し、またはそうでなければ、有害生物を実質的に、害を引き起こすことができない状態、および/もしくは繁殖できない状態にすることを意味する。
【0053】
本明細書において使用される場合、「有害生物」とは、ヒト以外の任意の生物であって、ヒトに対して、もしくはヒトの関連物(たとえば、農業、園芸)に対して、破壊的である、有害である、および/または不利益である生物である。すべてではないが、いくつかの例においては、有害生物は病原性生物であり得る。有害生物は、感染、伝染、および/もしくは病気を引き起こし得るか、もしくはそれらの媒介者となり得、または有害生物は、生きている組織を単に摂食し得るか、もしくは該組織に他の物理的な害を引き起こし得る。有害生物は単細胞生物または多細胞生物であり得、これらは、ウイルス、真菌、細菌、寄生生物、節足動物、原生動物、および/または線形動物を含むが、これらに限定されない。
【0054】
本明細書において使用される場合、「土壌改良剤」または「土壌調整剤」とは、土壌の物理的特性および/または化学的特性を増大させるために土壌に添加される、任意の化合物、任意の材料、または化合物もしくは材料の任意の組み合わせである。土壌改良剤は、有機物および無機物を含み得、かつ、たとえば、微生物、肥料、防除剤、および/または除草剤をさらに含み得る。栄養素に富んだ、水はけのよい土壌は、植物の生育および健全性のために必須であり、かつしたがって、土壌改良剤は、たとえば土壌の栄養素含量および水分含量を変化させることによって、植物の生育および健全性を増大させるために、使用され得る。土壌改良剤はまた、土壌の健全性および/または肥沃度を増大させるためにも使用され得る。
【0055】
本明細書において使用される場合、「増大させる」とは、改善すること、または増加することを意味する。たとえば、土壌の健全性の増大とは、物理的構造(たとえば、多孔性、透過性、体積)の改善、肥沃度(たとえば、ミネラル含量、栄養素含量、有機物含量)の改善、濡れ性および/もしくは排水性の改善、塩度の改善、土壌の生物多様性の改善、ならびに/または、汚染物質および/もしくは有害生物の除去もしくは減少を意味する。いくつかの態様において、土壌の健全性の増大は、該土壌において生育させる特定の作物が必要とする特徴に応じて変化する。たとえば、いくつかの植物はより高い排水性を好み、一方で他のものは、より湿った土壌を好む。
【0056】
別の例として、植物の健全性の増大とは、種子の発芽および/もしくは出芽の増加を含めた、生育するおよび繁茂する植物の能力の改善、有害生物および/もしくは病気を撃退する能力の改善、たとえば干ばつおよび/もしくは水分過剰などの、環境ストレッサーを生き延びる能力の改善、望ましいサイズおよび/もしくは量に到達する能力の改善、植物1つあたりの果実、葉、根、抽出物、および/もしくは塊茎の、量ならびに/もしくはサイズの増加、ならびに/または、果実、葉、根、抽出物、および/もしくは塊茎の品質の改善(たとえば、味、食感、ブリックス、クロロフィル含量、および/もしくは色の改善)を意味する。
【0057】
「含む(comprising)」との移行語は、「含む(including)」、または「含む(containing)」と同義であって、包括的であるかまたはオープンエンド型であり、かつ、列挙されていない追加の要素や方法の段階を除外するものではない。対照的に、「からなる」との移行句は、特許請求の範囲において特定されていない、要素、段階、または成分を、一切含まない。「から本質的になる」との移行句は、ある請求項の範囲を、該請求項に記載の発明の、特定された材料または段階、「および基本的かつ新規な特徴に実質的な影響を及ぼさない、材料または段階」に限定する。「含む」との語の使用は、列挙された要素「からなる」か、または該要素「から本質的になる」という、他の態様の可能性がある。
【0058】
具体的に記述されるかまたは文脈から明らかでない限り、本明細書において使用される場合、「または」との語は包括的であると理解される。具体的に記述されるかまたは文脈から明らかでない限り、本明細書において使用される場合、「1つの(a)」、「および」、および「その(the)」との語は、単数であるかまたは複数であると理解される。
【0059】
具体的に記述されるかまたは文脈から明らかでない限り、本明細書において使用される場合、「約」との語は、当技術分野における通常の許容性の範囲内として、たとえば平均の標準偏差2以内として、理解される。約とは、記述される値の、10%以内、9%以内、8%以内、7%以内、6%以内、5%以内、4%以内、3%以内、2%以内、1%以内、0.5%以内、0.1%以内、0.05%以内、または0.01%以内として理解され得る。
【0060】
本明細書における、可変部分の任意の定義における化学基のリストの列挙は、任意の単一の基としての可変部分の定義を、またはリストに挙げられた基の任意の組み合わせとしての可変部分の定義を含む。本明細書における、可変部分または局面についての態様の列挙は、任意の単一の態様としてのその態様を、または任意の他の態様とのもしくはその部分との任意の組み合わせとしてのその態様を含む。
【0061】
本明細書において引用されるすべての参考文献は、それらの全体が参照によって本明細書に組み入れられる。
【0062】
組成物
好ましい態様において、本発明は、土壌の健全性、および/またはそこで生育する植物の健全性を増大させるための組成物を提供する。いくつかの態様において、組成物はまた、たとえば、防除剤、植物の免疫調節剤、および/または植物の生育刺激剤としても作用し得る。
【0063】
ある態様において、組成物は、1種もしくは複数種の有益な微生物、および/または微生物の1種もしくは複数種の増殖時副生成物を含み、ここで該増殖時副生成物は、たとえば、バイオサーファクタント、酵素、および/または他の代謝物などである。組成物はまた、微生物が産生されていた発酵培地をも含み得る。
【0064】
微生物は、たとえば、細菌、酵母、および/または真菌であり得る。これらの微生物は、天然の微生物であってよく、または遺伝的に改変された微生物であってもよい。たとえば、微生物は、特定の特徴を示すよう、特定の遺伝子を用いて形質転換され得る。微生物はまた、望ましい株の変異体であり得る。本明細書において使用される場合、「変異体」とは、基準となる微生物の、株、遺伝的バリアント、またはサブタイプを意味し、ここで変異体は、基準となる微生物と比べて、1つまたは複数の遺伝的な変化(たとえば、点変異、ミスセンス変異、ナンセンス変異、欠失、重複、フレームシフト変異、またはリピート伸長)を有する。変異体を作製するための手順は、微生物学分野において周知である。たとえば、UV変異導入およびニトロソグアニジンが、この目的に向けて広く使用される。
【0065】
1つの態様において、微生物は酵母または真菌である。本願発明による使用のために適した酵母および真菌の種は、以下を含む:オーレオバシディウム属(Aureobasidium)(たとえばA. プルランス(A. pullulans))、ブラケスレア属(Blakeslea)、カンジダ属(Candida)(たとえば、C. アピコーラ(C. apicola)、C. ボンビコーラ(C. bombicola)、C. ノダエンシス(C. nodaensis))、クリプトコッカス属(Cryptococcus)、デバリオマイセス属(Debaryomyces)(たとえばD. ハンセニイ(D. hansenii))、エントモフトラ属(Entomophthora)、ハンセニアスポラ属(Hanseniaspora)、(たとえばH. ウバラム(H. uvarum))、ハンセヌラ属(Hansenula)、イサチェンキア属(Issatchenkia)、クルイベロマイセス属(Kluyveromyces)(たとえばK. ファフィイ(K. phaffii))、モルティエレラ属(Mortierella)、マイコリザ属(Mycorrhiza)、メイエロザイマ・グイリエルモンディ(Meyerozyma guilliermondii)、ペニシリウム属(Penicillium)、ファイコマイセス属(Phycomyces)、ピキア属(Pichia)(たとえば、P. アノマラ(P. anomala)、P. グイリエルモンディ(P. guilliermondii)、P. オキシデンタリス(P. occidentalis)、P. クドリアブゼビイ(P. kudriavzevii))、プレウロタス属種(Pleurotus spp.)(たとえばP. オストレアタス(P. ostreatus))、シュードザイマ属(Pseudozyma)(たとえばP. アフィディス(P. aphidis))、サッカロマイセス属(Saccharomyces)(たとえば、S. ブラウディイ セクエラ(S. boulardii sequela)、S. セレビシエ(S. cerevisiae)、S. トルラ(S. torula))、スターメレラ属(Starmerella)(たとえばS. ボンビコーラ(S. bombicola))、トルロプシス属(Torulopsis)、トリコデルマ属(Trichoderma)(たとえば、T. リーセイ(T. reesei)、T. ハルジアナム(T. harzianum)、T. ハマタム(T. hamatum)、T. ビリデ(T. viride))、ウスチラゴ属(Ustilago)(たとえば、U. メイディス(U. maydis))、ウィッカーハモマイセス属(Wickerhamomyces)(たとえばW. アノマルス(W. anomalus))、ウィリオプシス属(Williopsis)(たとえばW.ムラキイ(W. mrakii))、ザイゴサッカロマイセス属(Zygosaccharomyces)(たとえばZ. バイリイ(Z. bailii))、および他のもの。
【0066】
ある態様において、微生物は、グラム陽性細菌およびグラム陰性細菌を含めた、細菌である。細菌は、たとえば、以下のものであり得る:アグロバクテリウム属(Agrobacterium)(たとえばA. ラジオバクター(A. radiobacter))、アゾトバクター属(Azotobacter)(A. ビネランディイ(A. vinelandii)、A. クロオコッカム(A. chroococcum))、アゾスピリラム属(Azospirillum)(たとえばA. ブラシリエンシス(A. brasiliensis))、バチルス属(Bacillus)(たとえば、B. アミロリケファシエンス(B. amyloliquefaciens)、B. サーキュランス(B. circulans)、B. フィルムス(B. firmus)、B. ラテロスポルス(B. laterosporus)、B. リケニフォルミス(B. licheniformis)、B. メガテリウム(B. megaterium)、B. モジャベンシス(B. mojavensis)、B. ムシラギノサス(B. mucilaginosus)、B. サブティリス(B. subtilis))、バークホルデリア属(Burkholderia)(たとえばB. タイランデンシス(B. thailandensis))、フラテウリア属(Frateuria)(たとえばF. アウランティア(F. aurantia))、ミクロバクテリウム属(Microbacterium)(たとえばM. レバニフォルマンス(M. laevaniformans))、ミクソバクテリア(たとえば、ミクソコッカス・キサンタス(Myxococcus xanthus)、スティグマテラ・アウランティアカ(Stignatella aurantiaca)、ソランギウム・セルロスム(Sorangium cellulosum)、ミニシスティス・ロセア(Minicystis rosea))、パエニバチルス・ポリミキサ(Paenibacillus polymyxa)、パントエア属(Pantoea)(たとえばP. アグロメランス(P. agglomerans))、シュードモナス属(Pseudomonas)(たとえば、P. アエルギノーサ(P. aeruginosa)、P. クロロラフィス亜種オーレオファシエンス(Kluyver)(P. chlororaphis subsp. aureofaciens (Kluyver))、P. プチダ(P. putida))、リゾビウム属種(Rhizobium spp.)、ロドスピリラム属(Rhodospirillum)(たとえばR. ラブラム(R. rubrum))、スフィンゴモナス属(Sphingomonas)(たとえばS. パウシモビリス(S. paucimobilis))、および/またはチオバチルス・チオオキシダンス(Thiobacillus thiooxidans)(アシドチオバチルス・チオオキシダンス(Acidothiobacillus thiooxidans))。
【0067】
ある態様において、組成物はスターメレラ・ボンビコーラを含み、これは、糖脂質バイオサーファクタント、たとえばソホロ脂質などの、有力な生産者である。
【0068】
ある態様において、組成物はサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)を含み、これは、糖脂質バイオサーファクタント、たとえば、ソホロ脂質および/またはラムノ脂質などを産生させるよう仕向けることができる。
【0069】
ある態様において、組成物はリポペプチド産生細菌を含み、これはたとえばバチルス・モジャベンシス(Bacillus mojavensis)であり、これは、バイオ乳化性化合物、プロテアーゼとともに、バイオサーファクタントであるフェンギシンおよび/またはサーファクチンをも産生することができる。
【0070】
ある態様において、組成物はミクソコッカス・キサンタスを含み、これは、リポペプチドを産生する土壌細菌である。
【0071】
ある態様において、組成物はB. アミロリケファシエンスNRRL B-67928を含み、これは、土壌中の栄養素を可溶化するのに役立つ有機酸に加えて、サーファクチン、イツリン、リケニシン、およびフェンギシンを産生することができる。
【0072】
ある態様において、組成物はバークホルデリア・タイランデンシス(Burkholderia thailandensis)を含み、これは、ラムノ脂質バイオサーファクタントを産生するよう仕向けることができる。
【0073】
たとえば、以下を含む他の微生物株が、本発明にしたがって使用され得る:その細胞壁において高濃度のマンノプロテインおよび/もしくはβ-グルカンを有する、任意の他の株、ならびに/または、土壌の健全性を増大させるのに有用な、有害生物を制御するのに有用な、および/もしくは植物の健全性を増大させるのに有用な、バイオサーファクタント、酵素、栄養素、および他の代謝物を産生する能力を有する、任意の他の株。
【0074】
本発明の微生物ベースの組成物は、小スケールから大スケールにわたる培養プロセスによって入手され得る。これらの培養プロセスは、液内培養/液内発酵、固相発酵(SSF)、およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0075】
ある態様において、微生物ベースの組成物は、微生物培養物、および/もしくは微生物によって産生された微生物代謝物、および/もしくは任意の残存栄養素を含む、発酵培養液ならびに/または固相基材を含み得る。発酵の生成物は、代謝物の抽出も精製も無しに、直接使用され得る。望ましい場合、抽出および精製は、標準的な抽出方法および/もしくは精製方法を用いて、または文献に記載される技術を用いて、容易に達成可能である。
【0076】
組成物は、重量で少なくとも1%、5%、10%、25%、50%、75%、または100%の、培養液および/または固体の基材であり得る。組成物中のバイオマスの量は、それらの間のすべてのパーセンテージを含めて、重量で0%~100%のうちのいずれかであってよく、たとえば、5 g/l~180 g/l、もしくはそれより多いか、または10 g/l~150 g/lである。
【0077】
微生物は生きていてよく、および/または不活性化されていてもよい。いくつかの態様において、組成物は不活性化された微生物を含み、これはたとえば、酵母抽出物、および/または別の微生物加水分解物の形態である。本発明においては、微生物の「加水分解物」は、非活性化された微生物の、破壊された細胞壁/細胞膜とともに、それらから放出された細胞の内容物をも含む。非活性化または加水分解のプロセスは、細胞および細胞壁/細胞膜からの化合物の放出をしばしば引き起こし、該化合物は、たとえば、代謝物、酵素、タンパク質、ペプチド、遊離のアミノ酸、ビタミン、ミネラル、および微量元素などである。
【0078】
好ましくは、微生物を不活性化する様式は、培養中に産生される生化学物質をも不活性化したり変性させたりするものではない。不活性化は、たとえば、以下を用いて達成され得る:煮沸、乾熱オーブン、オートクレーブ、低温殺菌、冷却、凍結、高圧処理、高気圧酸素処理、脱水、凍結乾燥、照射、超音波処理、HEPA(高効率粒子状空気)濾過、または膜濾過。
【0079】
ある態様において、本発明の組成物の、微生物の増殖時副生成物は、たとえば、以下から選択されるバイオサーファクタントである:糖脂質(たとえば、ソホロ脂質、セロビオース脂質、ラムノ脂質、マンノシルエリスリトール脂質、およびトレハロース脂質)、リポペプチド(たとえば、サーファクチン、イツリン、フェンギシン、アルスロファクチン、およびリケニシン)、フラボ脂質、脂肪酸エステル、リン脂質(たとえば、カルジオリピン、ホスファチジルグリセロール)、ならびに高分子量の重合体、これはたとえば、リポタンパク質、リポ多糖 - タンパク質複合体、および多糖 - タンパク質 - 脂肪酸複合体など。
【0080】
ある態様において、バイオサーファクタントはソホロ脂質である。ソホロ脂質は、たとえばスターメレラ属クレードのさまざまな酵母によって産生される、糖脂質バイオサーファクタントである。SLPは、長鎖ヒドロキシ脂肪酸が連結した、二糖であるソホロースからなる。SLPは、17-L-ヒドロキシオクタデカン酸に、または17-L-ヒドロキシ-Δ9-オクタデカン酸にβ-グリコシド結合した、部分的にアセチル化された2-O-β-D-グルコピラノシル-D-グルコピラノース単位を含み得る。ヒドロキシ脂肪酸は通常、炭素原子16個または18個であり、かつ1つまたは複数の不飽和結合を含み得る。さらに、ソホロース残基は6位および/または6'位においてアセチル化され得る。脂肪酸のカルボキシル基は、遊離(酸型もしくは直鎖型)であり得、または4"位において内部でエステル化され得る(ラクトン型)。
【0081】
いくつかの態様において、SLP、S. ボンビコーラ、およびそこでSLPが産生される基材は、アメリカ食品医薬品局(Food and Drug Administration)より、GRAS(一般に安全と認められる(Generally Regarded as Safe))ステータスを与えられている。1つの態様において、SLPの中毒量は、>375 mg/kg体重である。
【0082】
ある態様において、バイオサーファクタントはラムノ脂質(RLP)である。RLPは、ラムノースモエティ、および3-(ヒドロキシアルカノイルオキシ)アルカン酸の脂肪酸尾部を含む、糖脂質である。ラムノ脂質には、それぞれラムノース基を1つまたは2つ有するモノラムノ脂質およびジラムノ脂質という、2つのクラスが存在している。脂肪酸尾部の、長さおよび分岐の程度もまた、RLP分子の間で変動し得る。最も一般的には、RLPは、細菌であるシュードモナス・アエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)を用いて生産される;しかしながらP. アエルギノーサは、ヒトおよびいくつかの植物に対する、既知の病原体である。
【0083】
ある態様において、バイオサーファクタントはマンノシルエリスリトール脂質(MEL)である。MELは、4-O-B-D-マンノピラノシル-メソ-エリスリトールかまたは1-O-B-D-マンノピラノシル-メソ-エリスリトールのいずれかを親水性モエティとして含み、かつ脂肪酸基および/またはアセチル基を疎水性モエティとして含む、糖脂質バイオサーファクタントである。ヒドロキシル基の1つまたは2つ、典型的にはマンノース残基のC4および/またはC6にあるものが、アセチル化され得る。さらに、炭素8~12個かまたはそれより多い鎖長の、1~3個のエステル型脂肪酸が存在し得る。
【0084】
MEL分子は、合成または天然のいずれかで修飾され得る。たとえばMELは、異なる炭素長の鎖、または異なる数のアセチル基および/もしくは脂肪酸基を含み得る。それにより、該分子は以下のように分類され得る:MEL A(ジアセチル化)、MEL B(C4でモノアセチル化)、MEL C(C6でモノアセチル化)、MEL D(非アセチル化)、トリアセチル化MEL A、およびトリアセチル化MEL B/C。類似の構造および類似の特性を示す、他のMEL様分子は、マンノシル-マンニトール脂質(MML)、マンノシル-アラビトール脂質(MAL)、および/またはマンノシル-リビトール脂質(MRL)を含み得る。MELは一般的には、酵母であるシュードザイマ・アフィディス(Pseudozyma aphidis)によって産生される。
【0085】
ある態様において、バイオサーファクタントはリポペプチドである。リポペプチドは、巨大な多酵素複合体を用いて細菌により合成される、オリゴペプチドである。リポペプチドは、抗生物質化合物として頻繁に使用されており、かつ、界面活性剤としての活性に加えて、抗微生物作用の広いスペクトルを示す。すべてのリポペプチドは、ペプチドモエティに組み込まれたβ-アミノ脂肪酸またはβ-ヒドロキシ脂肪酸からなる、共通の環状構造を有する。バチルス属種(Bacillus spp.)の細菌の多くの株は、リポペプチドを産生することが可能であり、これはたとえば、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)およびバチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)である。
【0086】
最も広く研究されているリポペプチドのファミリーである、サーファクチンファミリーは、炭素原子13~15個を有するβ-ヒドロキシ脂肪酸を含む、ヘプタペプチドからなる。サーファクチンは、最も強力なバイオサーファクタントの一群であると考えられている。サーファクチンは、いくらかの抗ウイルス活性とともに、抗真菌活性の能力をも有し、かつそれらは、別のリポペプチドであるイツリンAと組み合わせて使用される場合に、強力な相乗効果を示す。さらに、サーファクチンはまた、安定なバイオフィルムの確立において鍵となる因子であり得る一方で、グラム陰性細菌を含めた、他の細菌のバイオフィルム形成を阻害もし得る。
【0087】
プリパスタチンを含んでいる、フェンギシンファミリーは、β-ヒドロキシ脂肪酸を有するデカペプチドを含む。フェンギシンは、たとえば、ペプチド部分におけるオルニチンの存在などの、いくつかのまれな特性を示す。フェンギシンは、糸状菌に対してより特異的であるが、抗真菌活性の能力を有する。
【0088】
たとえば、イツリンA、マイコスブチリン、およびバシロマイシンに代表されるイツリンファミリーは、β-アミノ脂肪酸を有するヘプタペプチドである。イツリンもまた、強力な抗真菌活性を示す。
【0089】
有用なさまざまな特徴を示す、他のリポペプチドが同定されている。数例を挙げると、それらには、クルスタキン(kurstakin)、アルスロファクチン、ビスコシン、グロモスポリン(glomosporin)、アンフィシン(amphisin)、およびシリンゴマイシンが含まれるが、これらに限定されない。
【0090】
有利なことに、いくつかの態様において、疎水性の土壌であっても、バイオサーファクタントは、凝集性および/または接着性の表面張力を低下させるその能力に起因して、湿潤剤として作用する。これは、水がより均等に分散すること、および土壌に浸透することを可能にする。加えてバイオサーファクタントは、たとえば、いくつかのタイプのバイオサーファクタントの、抗細菌能力、抗ウイルス能力、抗線形動物能力、および/または抗真菌能力に起因して、生物学的防除剤として作用し得る。さらに、バイオサーファクタントは生物分解性であり、それにより、化学的湿潤剤、化学的防除剤、および/または他の化学的農業用処理剤の適用からもたらされる負の副次的作用を、減少させる、および/または排除する。
【0091】
組成物は、たとえば、重量で0.001%~10%、0.01%~5%、0.05%~2%、および/または0.1%~1%の濃度で、1種または複数種のバイオサーファクタントを含み得る。
【0092】
その効果を改善するかまたは安定させるために、組成物は、適切なアジュバントと混和され得、そしてその後、そのまま使用され得、または必要であれば、希釈後に使用され得る。1つの態様において、生成物が乾燥形態で使用される場合に、保管および輸送の間の浸透圧を高めるために、組成物は、グルコース(たとえばモラセスの形で)、グリセロール、および/もしくはグリセリンを、浸透圧調節物質として含み得、またはそれらを、浸透圧調節物質に加えて含み得る。
【0093】
組成物は、単独で、または土壌の健全性、ならびに/もしくは植物の健全性、生育、および/もしくは収量を効率よく増大させるための他の化合物ならびに/もしくは他の方法との組み合わせとしてのいずれかで、使用され得る。たとえば1つの態様において、組成物は、植物および/もしくは微生物の生育を増大させるための、栄養素ならびに/もしくは微量栄養素を含み得、ならびに/またはそれらと同時に適用され得、これらはたとえば、マグネシウム、リン酸塩、窒素、カリウム、セレン、カルシウム、硫黄、鉄、銅、および亜鉛などであり;ならびに/または、たとえば、ケルプ抽出物、フルボ酸、キチン、フミン酸塩、および/もしくはフミン酸などの、1種もしくは複数種のプレバイオティクスである。厳密な材料およびそれらの量は、本願の開示の恩恵にあずかる栽培者または農学者によって決定され得る。
【0094】
組成物はまた、他の農業用化合物、および/または作物管理システムと組み合わせても使用され得る。1つの態様において、組成物は任意で、たとえば、天然のおよび/もしくは化学的な、防除剤、忌避剤、除草剤、肥料、水処理剤、非イオン界面活性剤、ならびに/または土壌改良剤を含み得るか、またはそれらとともに適用され得る。
【0095】
微生物ベースの生成物は、本願の開示の恩恵にあずかる当業者によって理解される手段によって、さまざまな様式で製剤化され得、これは、液体の、固体の、顆粒の、ダストの、または徐放用の生成物を含む。
【0096】
本発明の固体の調合物は、さまざまな形態および形状を有し得、これはたとえば、円柱、棒、ブロック、カプセル、錠剤、丸剤、ペレット、ストリップ、スパイク等である。固体の調合物はまた、すりつぶされ得、顆粒化され得、または粉末化され得る。顆粒化された、もしくは粉末化された物質は、錠剤へとプレスされ得、またはあらかじめ製造しておいたゼラチンカプセルもしくはシェル中に充填するために使用され得る。半固体の調合物は、ペースト、ワックス、ゲル、またはクリーム調製物として調製され得る。
【0097】
本発明の固体または半固体の組成物は、フィルムコーティング化合物を用いてコートされ得、該化合物は、たとえば、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ソルビトール、ガム、糖、またはポリビニルアルコールなどである。これは、錠剤またはカプセルに対しては、特に必須である。フィルムコーティングは、調合物中の有効成分に直接接触しないよう、作業者を保護することができる。加えて、苦味剤、たとえば安息香酸デナトニウムまたはクアシンなどもまた、調合物、コーティング、またはそれらの両方に組み込まれ得る。
【0098】
本発明の組成物はまた、粉末調合物としても調製され得、そしてそのまま使用され得、または任意で、あらかじめ製造しておいたゼラチンカプセル中に充填され得る。
【0099】
調合物中の成分の濃度、および組成物の適用速度は、土壌に応じて、処理される植物もしくはエリアに応じて、または適用方法に応じて、大幅に変動し得る。
【0100】
微生物ベースの組成物は、さらなる安定化、保存、および保管無しに使用され得る。有利なことに、これらの微生物ベースの組成物の直接の使用は、微生物を高生存率で保ち、外来物質および望ましくない微生物によるコンタミネーションの可能性を減少させ、かつ微生物の増殖時副生成物の活性を維持する。さらに、細胞、栄養素、基材、および/または代謝物を含む微生物培養物の直接の使用は、たとえば、抽出されそして精製された代謝物によって付与される恩恵の範囲を超えて、農業目的に関して該組成物がもたらす恩恵の数を増加させる。
【0101】
他の態様において、組成物(微生物、増殖時副生成物、増殖培地、またはそれらの組み合わせ)は、たとえば、使用用途、意図される適用方法、発酵容器のサイズ、および微生物の増殖設備から使用する場所への任意の輸送方式を考慮して、適切なサイズのコンテナ中に収められ得る。したがって、微生物ベースの組成物がその中に収められるコンテナは、たとえば、1パイント~1,000ガロン、またはそれより大きいものであり得る。ある態様において、コンテナは、1ガロン、2ガロン、5ガロン、25ガロンであるか、またはそれより大きい。
【0102】
さらなる成分が組成物に添加され得、これはたとえば、緩衝剤、担体、同じ設備または異なる設備で生産された、他の微生物ベースの組成物、粘度調整剤、保存剤、微生物増殖のための栄養素、追跡剤、殺生物剤、他の微生物、界面活性剤、乳化剤、滑沢剤、溶解性調整剤、pH調整剤、保存剤、安定剤、および紫外光耐性剤である。
【0103】
微生物ベースの組成物のpHは、関心対象の微生物にとって、および/または微生物の関心対象の増殖時副生成物にとって、適切であるべきである。好ましい態様において、組成物のpHは、約3.5~7.0か、約4.0~6.8か、または約5.0~6.5である。
【0104】
任意で、組成物は、使用の前に保管され得る。保管期間は、好ましくは短い。したがって、保管期間は、60日未満、45日未満、30日未満、20日未満、15日未満、10日未満、7日未満、5日未満、3日未満、2日未満、1日未満、または12時間未満であり得る。好ましい態様において、生細胞が生成物中に存在する場合、生成物は低温で保管され、これはたとえば、20℃未満、15℃未満、10℃未満、または5℃未満などである。
【0105】
ある態様において、本発明の組成物は、たとえば、バイオサーファクタント単独に勝る利点を有し、該利点は以下の1つまたは複数を含む:酵母の細胞壁の外側表面の一部としての、高濃度のマンノプロテイン;酵母の細胞壁におけるβ-グルカンの存在;ならびに培養物における、タンパク質、ポリヌクレオチド、脂質、アミノ酸、ビタミン、バイオサーファクタント、および他の代謝物の存在。
【0106】
土壌の健全性および/または植物の健全性を増大させる方法
好ましい態様において、本発明は、土壌の健全性および/または植物の健全性を増大させるための方法を提供し、ここで、1種もしくは複数種の微生物、および/または微生物の1種または複数種の増殖時副生成物を含む組成物が、土壌および/または植物に適用される。ある態様において、増殖時副生成物はバイオサーファクタントを含み、これはたとえば、糖脂質および/またはリポペプチドなどである。
【0107】
好ましい態様において、本発明による組成物は、前述のように、土壌および/または植物に適用される。本明細書において使用される場合、組成物もしくは生成物を「適用する」、または環境を「処理する」とは、組成物または生成物が、標的または場所に対して効果を有し得るように、組成物または生成物を、標的または場所に接触させることを指す。効果は、たとえば、微生物の増殖に、および/または代謝物の、酵素の、バイオサーファクタントの、もしくは他の増殖時副生成物の作用に、起因し得る。
【0108】
いくつかの態様において、適用は、土壌の表面に本発明の組成物を散布することによって実施される。これは、標準的な散布装置または噴霧装置を用いて実施され得る。いくつかの態様において、1回の散布ステップによって、適用プロセスが完了し得、ここで、成分のすべては単一の調合物中に含まれている。2つまたは複数のパートの調合物を使用する、他の態様においては、複数回の散布ステップが使用され得る。
【0109】
1つの態様において、機械的な作用を用いて、たとえば耕起によって、組成物は土壌にすりこまれ得、土壌へとブラシで適用され得、または土壌に組み込まれ得る。よりさらなる態様において、組成物の適用の後には、液体、たとえば水などの適用が続き得る。当業者に公知の標準的な方法を用いて、噴霧することで水が適用され得る。他の液体の湿潤剤、および湿潤用調合物もまた、使用され得る。
【0110】
ある態様において、本明細書において提供される組成物は、機械的に混入させること無しに、土壌の表面に適用される。土壌への適用の有益な効果は、降雨、散水装置、洪水、または点滴灌水によって活性化され得、そして続いて、たとえば植物の根に送達されて、根のマイクロバイオームに影響を与えるか、または、微生物生成物が適用される作物もしくは植物の維管束系への微生物生成物の取り込みを促進する。例示的な態様において、本明細書において提供される組成物は、センターピボット灌水システムを介して、または種子をまく溝(seed furrow)に向けた噴霧で、効率よく適用され得る。
【0111】
いくつかの態様において、本明細書において提供される組成物は、乾燥調合物もしくは液体調合物のいずれかとして、種子処理剤として適用されるか、または土壌表面に、もしくは植物の表面もしくは植物の一部の表面に(たとえば、植物の葉もしくは根の表面に)、適用され得る。
【0112】
方法は、たとえば、農地、牧草地、果樹園、草原、区画地、および/または森林において利用され得る。方法はまた、植物の生育にとって顕著に不適切な土壌を含むエリアにおいても利用され得、これはたとえば、以下の土壌である:過剰耕作された土壌、および/もしくは輪作が実施されていないか、もしくは土壌の肥沃度を保持するのに不十分である場所;防除剤、肥料、および/もしくは除草剤での過剰な処理によって汚染されている土壌;高い塩度を有する土壌;廃棄物投棄によって、もしくは化学物質もしくは炭化水素の流出によって汚染されている土壌;ならびに/または、火事、洪水、有害生物の蔓延、開発(たとえば、商業用の、居住用の、もしくは市街地の建築)、掘削、採鉱、伐採、家畜の飼育、および他の原因を含め、天然の原因もしくは人為的な原因によってダメージを受けたエリアにおける土壌。
【0113】
有利なことに、方法は、やせたまたはダメージを受けた土壌であっても、農業の収量を増大させるのに役立ち得;消耗した緑地、たとえば、牧草地、森林、湿地、および草原などを回復させるのに役立ち得;かつ、農業、森林再生、および/または植物生態系の自然による再生に使用できるように、耕作不可能な土地を回復させるのに役立ち得る。加えて、農作業の改善を通じて、方法は、温室効果ガスの放出により引き起こされる汚染を減少させるのに役立ち得る。
【0114】
適用される微生物は、適用の時点で、生きている(もしくは生存力がある)か、または不活性であるかのいずれかであり得る。いくつかの態様において、微生物は、酵母抽出物の形態、および/または別の微生物加水分解物の形態である。
【0115】
微生物の増殖時副生成物は、該微生物によって産生されたものであり得、および/または増殖時副生成物は、組成物の微生物によって産生された増殖時副生成物に追加して、適用され得る。
【0116】
方法は、適用中に、微生物の増殖を増大させるための物質を添加すること(たとえば、栄養素および/またはプレバイオティクスを添加すること)を、さらに含み得る。したがって、生きている微生物はその場で増殖し得、かつ現場で活性化合物を産生し得る。その結果、高濃度の微生物およびその増殖時副生成物が、土壌において容易かつ連続的に取得され得る。
【0117】
いくつかの態様において、方法は、微生物無しに、微生物の1種または複数種の増殖時副生成物を土壌および/または植物に適用することを含む。具体的には、1つの態様において方法は、粗な形もしくは純粋な形の糖脂質バイオサーファクタントおよび/またはリポペプチドバイオサーファクタントを含む組成物を、土壌および/または植物に適用することを含む。
【0118】
いくつかの態様において、方法は、液内発酵または固相発酵の培地内の不活性化された細胞を含む、微生物培養物全体を、適用することを含む。有利なことに、これは、本発明の組成物の産生の間に産生された廃棄物の量を減少させつつ、微生物代謝物の抽出および/または精製の段階を省くことによって、産生の効率を増加させる。さらに、不活性な細胞、および残存発酵培地を包含させることにより、土壌および/または植物の健全性を支援するのに必須な、有機栄養素および無機栄養素に富んだ供給源がもたらされる。
【0119】
微生物ベースの組成物の適用は、単独で、または土壌の健全性および/もしくは植物の健全性を増大させるための他の化合物の適用と組み合わせてのいずれかで、実施され得る。たとえば、市販のおよび/もしくは天然の、肥料、防除剤、除草剤、ならびに/または他の土壌改良剤が、微生物ベースの組成物とともに適用され得る。ある態様において、微生物ベースの組成物は、他の化合物の有効性を増大させるために使用され得、これはたとえば、土壌において該化合物の保持力を高めることによって、または土壌全体での該化合物のより均一な分散を可能にすることによって、行われる。
【0120】
他の適用において、土壌の所望の特性は、さまざまな物質を土壌中に混合することによって取得され得、これはたとえば、以下を含む:骨粉、アルファルファ、コーングルテン、カリ化合物、および/または、ウマ、ウシ、ブタ、ニワトリ、コウモリ、ヒツジを含めた、さまざまな動物由来の厩肥。添加され得る他の追加の元素は、たとえば、マグネシウム、リン酸塩、窒素、カリウム、セレン、カルシウム、硫黄、鉄、銅、および亜鉛などの、ミネラル栄養素を含むが、これらに限定されない。厳密な材料およびそれらの量は、土壌学者によって決定され得る。
【0121】
1つの態様において、本発明の微生物ベースの組成物は、土壌および/または植物において分散しつつ、担体に支持されている状態である。担体は、そこに微生物を比較的弱く保持することができる物質から製造され得、かつしたがって、上述のように増殖した微生物を容易に放出することができる。担体は、好ましくは安価であり、かつ、上述のように適用された微生物のための栄養素の供給源として、特に、徐々に放出され得る栄養素の供給源として、作用し得る。好ましい生物分解性の担体材料は、コーンハスク、製糖廃棄物、または任意の農業廃棄物を含む。担体の水の含量は、典型的には重量で1%~99%に変動するが、好ましくは重量で5%~90%、より好ましくは重量で10%~85%である。
【0122】
微生物の増殖、およびバイオサーファクタントの産生を増大させる物質もまた、微生物ベースの生成物に、および/または処置される場所に、添加され得る。これらの物質は、油、グリセロール、糖、または他の栄養素を含むが、これらに限定されない。たとえば、バイオサーファクタント産生微生物の増殖を支援する炭素基材が、組成物または標的エリアに添加され得る。バイオサーファクタントを産生する生物は、基材上で増殖することができ、そこでバイオサーファクタントを産生する。
【0123】
必須というわけではないが、乳化プロセスを開始するために、およびバイオサーファクタントを産生する生物と競合する、他の生物の増殖を阻害するかまたは減少させるために、十分な量の特定のバイオサーファクタントを炭素基材にスパイクするか、または該バイオサーファクタントで該炭素基材を改良することが好ましい可能性がある。
【0124】
ある態様において、土壌の健全性の増大は、土壌の性質の1つまたは複数を改善することを含む。これは、たとえば、以下を含み得る:土壌における汚染物質の除去および/もしくは減少、土壌の栄養素含量および栄養素利用可能性の改善、土壌の排水性および/もしくは水分保持特性の改善、土壌の塩度の改善、土壌マイクロバイオームの多様性の改善、ならびに/または土壌伝播性の有害生物の制御。他の改善は、風および/もしくは水によって浸食されている土壌への、体積ならびに/または構造物の追加、ならびに、風および/もしくは水による土壌の浸食の、防止ならびに/または遅延を含み得る。
【0125】
ある態様において、方法は、本方法による、土壌を処理する段階の前に、土壌のタイプおよび/または土壌の健全状態を特徴付けする段階を含む。したがって、方法はまた、特定の土壌タイプおよび/または土壌健全性の必要性を満たすための組成物を、条件どおりに作ることをも含み得る。土壌を特徴付けする方法は、農学分野において公知である。
【0126】
活性であっても、不活性であっても、微生物バイオマスは、たとえば体積を増すことによって、土壌の物理的構造を改善する有機物を提供し;水および風による土壌の浸食を減少させるのに役立ち;かつ土壌、特に多孔質な砂質土壌の水の保持力を増加させ得る。さらに、活性であってかつ朽ちつつある微生物バイオマスは、重くかつ圧縮された土壌の通気性を改善し、かつしたがって、水/栄養素の浸透性を改善する。
【0127】
微生物バイオマスの、土壌に対する他の恩恵は、以下を含む:植物のための、および他の土壌微生物のための栄養素供給源(たとえば窒素、リン、カリウム、硫黄等)の提供や、たとえば、好都合な陽イオン交換容量に起因して、植物の根に対してそのバイオアベイラビリティを増加させるような、不溶性の土壌ミネラルの溶解や、土壌温度の調節や、ならびに、防除剤、除草剤、および他の重金属残留物の緩衝。
【0128】
いくつかの態様において、方法は、土壌の健全性を回復させるために使用され、ここで、処置される土壌は、以前は健全であったが、いくらかの期間にわたって劣化した状態にある。回復は、以前の健全な状態へと、および/または健全性が増大した状態へと、土壌を戻すものであり得る。
【0129】
好ましい態様において、方法は、1種または複数種のバイオサーファクタントを土壌に適用することを含む。微生物バイオサーファクタントは、たとえば細菌、真菌、および酵母などの、さまざまな微生物によって産生される、化合物である。ある態様において、それらは、微生物ベースの組成物の微生物によって、産生される。
【0130】
バイオサーファクタントは、液体、固体、および気体の分子間の表面張力ならびに界面張力を減少させる。バイオサーファクタントは生物分解性であり、毒性が低く、土壌中の不溶性化合物の可溶化および分解に有効であり、かつ更新可能な資源を用いて生産できるため、これは土壌生物学において大きな潜在性を有している。さらに、バイオサーファクタントは強力な乳化特性および解乳化特性をも有し得、かつ土壌の濡れ性を得るために使用され得、かつ土壌における肥料、栄養素、および水の均等な分布を達成するために使用され得る。
【0131】
バイオサーファクタントは、それらが微生物発酵を介して産生される、という点で独特であるが、化学的な界面活性剤が持っているそれらの特性を有することに加えて、それらの合成アナログが持っていない他の特性も有している。バイオサーファクタントは水がたまりやすい傾向を低減させ、表面の接着性または濡れ性を改善して、土壌のより完全な含水をもたらし、かつバイオサーファクタントは、それが存在しなければ、点滴灌水システムおよびマイクロ灌水システムによって形成されたマイクロチャンネルを介して根圏よりも下に排水されまたは漏出してしまう水の量を、減少させる。この濡れ性はまた、根系のより優れた健全性を促進する、なぜならば、適切な根の生育、および適用された栄養素のより好ましい利用可能性を阻害する、脱水されている(または極度に乾燥している)領域がより少ないので、化学物質および微量栄養素がより完全に、利用可能となりかつ分布するからである。
【0132】
濡れ性の増大によって可能となった、土壌における水のより均一な分布はまた、最適な浸透レベルを上回って水が蓄積されるかまたは捕捉されることを防止し、それにより、酸素および炭素の自由な交換を阻害する嫌気的条件を、緩和する。バイオサーファクタントが適用されると、より多孔質であるかまたはより通気性のある土壌が樹立される。適切な含水と通気とが組み合わされた土壌はまた、土壌の有害生物および病原体(たとえば、線形動物ならびに土壌伝播性の真菌およびそれらの胞子など)の、有害生物制御剤に対する感受性を増加させる。加えて、いくつかのバイオサーファクタントは、抗細菌性、抗ウイルス性、および/または抗真菌性の特性を有する。したがってバイオサーファクタントは、病気および有害生物の制御を含めた、広範囲にわたる有用な適用のために使用され得る。
【0133】
ある態様において、方法は、炭化水素により汚染された土壌の復旧を含め、土壌からの汚染物質の除去および/または減少をもたらす。いくつかの態様において、適用される組成物の微生物により、汚染物質は直接分解される。いくつかの態様において、微生物の増殖時副生成物、たとえばバイオサーファクタントは、汚染物質の分解を促進し、かつイオン型金属および非イオン型金属をキレートし得、そしてそれらと錯体を形成し得、土壌からそれらを放出する。土壌汚染物質は、たとえば、残存肥料、防除剤、除草剤、殺真菌剤、炭化水素、化学物質(たとえば、ドライクリーニング処理剤、都市廃棄物、および産業廃棄物)、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、ならびに重金属を含む。
【0134】
いくつかの態様において、バイオサーファクタントは乳化剤として作用し、炭化水素汚染物質と安定なマイクロエマルションを形成することによって、該汚染物質の油-水界面を増加させる。その結果は、分解する微生物に対しての、汚染物質の移動性の増加およびバイオアベイラビリティの増加である。
【0135】
方法は、土壌全体に水溶液を循環させることによって、微生物に酸素および/または栄養素を供給することをさらに含み得、したがって、汚染物質を分解するよう、および/または汚染物質を分解する増殖時副生成物を産生するよう、適用された微生物とともに、天然に存在する土壌微生物をも刺激する。いくつかの態様において、汚染された土壌は、無害な有機改良剤、たとえば厩肥または農業廃棄物などと組み合わせられる。これらの有機物質の存在は、豊かな微生物集団の発達を支援し、かつ堆肥化の特徴である、温度上昇を支援する。したがって、バイオレメディエーションの速度は増加し得る。
【0136】
ある態様において、方法は、土壌における、栄養素含量の改善、および植物の根に対しての栄養素利用可能性の改善をもたらす。バイオサーファクタントは、土壌において、植物への金属の移動性を増大させる。さらに、生きているバイオマスおよび不活性なバイオマスを含め、微生物バイオマスは、栄養素、たとえば、窒素、リン、およびカリウム(NPK)、アミノ酸、ビタミン、タンパク質、ならびに脂質などの、供給源を提供する。
【0137】
ある態様において、方法は、乾燥した土壌の、水はけの悪い土壌の、多孔質の土壌の、やせた土壌の、圧縮された土壌の、および/もしくはそれらの組み合わせの、土壌の排水性ならびに/または水分保持特性の改善をもたらす。1つの態様において、方法は、水はけの悪い土壌における排水および/または水の分散を改善するために使用され得る。1つの態様において、方法は、乾燥した土壌における水の保持力を改善するために使用され得る。有利なことに、いくつかの態様において、方法は、干ばつであっても、水の農業用消費を減少させるのに役立つ。
【0138】
1つの態様において、方法は、高い排水性を有する、砂質のおよび疎水性の土壌の水保持力を改善するのに有用である。バイオサーファクタントは、凝集性および/または接着性の表面張力を低下させることによって、これらの土壌を濡らし、水がより均等に広がること、および土壌に浸透することを可能にする。
【0139】
ある態様において、方法は、塩含量を減少させることによって、土壌の塩度の改善をもたらす。塩性土壌は、ほとんどの作物植物の生育に悪影響を及ぼすことが可能な量の、中性の可溶性塩を含む。最も広く存在する可溶性の塩は、ナトリウム、カルシウム、およびマグネシウムの、塩化物ならびに硫酸塩である。硝酸塩は、あまり存在しないものであり得るが、多くの塩性土壌は、かなりの量の石膏(CaSO4・2H2O)を含む。
【0140】
低塩水に浸された際に、いくつかの塩性土壌は分散しやすく、特に土壌が重い粘土である場合に、水および空気の低い透過性をもたらす。微生物および/またはバイオサーファクタントの存在は、塩および/またはイオンの移動性を改善し、それにより、植物の根圏よりも下の深さへの、塩の排出を促進する。
【0141】
ある態様において、方法はまた、有益な土壌微生物の、土壌およびそこで生育する植物の根への定着を促進することによって、土壌マイクロバイオームの多様性を改善するのにも役立ち得る。栄養素を固定する微生物、たとえばリゾビウム属および/または菌根の増殖は、他の内在性の微生物および適用された微生物の増殖とともに促進され得、それにより、土壌マイクロバイオーム中のさまざまな種の数が増加する。
【0142】
いくつかの態様において、方法は、地上および地下の有害生物を制御するために使用される。いくつかの態様において、方法は、有害生物、たとえば、節足動物、線形動物、原生動物、細菌、真菌、および/またはウイルスなどを制御するために、有用であり得る。いくつかの態様において、方法は、有害生物に対する植物の生来の防御力を活性化するよう、植物の免疫系を調節するために有用であり得る。
【0143】
いくつかの態様において、方法は、植物の生育を刺激するために、植物の健全性および/もしくは収量を増大させるために、ならびに/または雑草および不利益をもたらす他の植物を駆逐する植物の能力を改善するために、使用される。
【0144】
微生物の増殖
本発明は、微生物の培養のための、ならびに微生物代謝物および/または微生物の増殖時の他の副生成物の生産のための方法を利用する。本発明は望ましいスケールでの、微生物の培養、および微生物代謝物の生産に適した培養プロセスを、さらに利用する。これらの培養プロセスは、液内培養/液内発酵、固相発酵(SSF)、ならびにそれらの改変物、それらの混成物、および/またはそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0145】
本明細書において使用される場合、「発酵」とは、制御された条件下での細胞の培養または増殖を指す。増殖は、好気的または嫌気的であり得る。ある態様においては、SSFおよび/またはその改変版を用いて、微生物を増殖させる。
【0146】
1つの態様において、本発明は、バイオマス(たとえば、生存力のある細胞材料)、細胞外代謝物(たとえば、小分子および排出されるタンパク質)、残存栄養素、ならびに/または細胞内の成分(たとえば、酵素および他のタンパク質)の生産のための、材料および方法を提供する。
【0147】
本発明によって使用される微生物増殖用の容器は、産業用途のための、任意の発酵槽または培養リアクターであり得る。1つの態様において、培養プロセスにおける重要な因子を、たとえば、pH、酸素、気圧、温度、湿度、微生物の密度、および/または代謝物濃度などを測定するために、容器は、機能制御手段/センサーを有してよく、または機能制御手段/センサーと連結されていてもよい。
【0148】
さらなる態様において、容器はまた、容器内の微生物の増殖(たとえば、細胞数および増殖期の測定)をモニター可能であり得る。あるいは、試料が容器から毎日採取され得、そして、当技術分野において公知の技術によって、たとえば希釈プレーティング技術などによって、計数され得る。希釈プレーティングは、試料中の生物の数を推定するために使用される、単純な技術である。該技術はまた、異なる環境または処理をそれによって比較することができる、指標をも提供し得る。
【0149】
1つの態様において、方法は、培養物に窒素源を補充することを含む。窒素源は、たとえば、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、アンモニア、尿素、および/または塩化アンモニウムであり得る。これらの窒素源は、独立して使用されてよく、または2種類以上の組み合わせとして使用されてもよい。
【0150】
方法は、増殖中の培養物への酸素供給を提供し得る。1つの態様は、低レベルの酸素を含む空気を取り除き、そして酸素が含まれる空気を導入するために、空気のゆるやかな動きを利用する。液内発酵の場合は、酸素が含まれる空気は、機構を介して毎日補充される外気であり得、該機構は、液体の機械的撹拌のためのインペラー、および酸素を液体中に溶解させるための、気体の泡を液体へと供給するエアスパージャーを含む。
【0151】
方法は、培養物に炭素源を補充することをさらに含み得る。炭素源は、典型的には、たとえば、グルコース、スクロース、ラクトース、フルクトース、トレハロース、マンノース、マンニトール、および/またはマルトースなどの、炭水化物;たとえば、酢酸、フマル酸、クエン酸、プロピオン酸、リンゴ酸、マロン酸、および/またはピルビン酸などの、有機酸;たとえば、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、イソブタノール、および/またはグリセロールなどの、アルコール;たとえば、ダイズ油、キャノーラ油、米ぬか油、オリーブ油、トウモロコシ油、ゴマ油、および/または亜麻仁油などの、脂肪ならびに油;等である。これらの炭素源は、独立して使用されてよく、または2種類以上の組み合わせとして使用されてもよい。
【0152】
1つの態様において、微生物のための増殖因子および微量栄養素が、培地に含められる。これは、それらが必要とするビタミンのすべてを産生することができない微生物を増殖させる場合に、特に好ましい。たとえば、鉄、亜鉛、銅、マンガン、モリブデン、および/またはコバルトなどの微量元素を含めた、無機栄養素もまた、培地に含まれ得る。さらに、ビタミン、必須アミノ酸、および微量元素の供給源は、たとえば、穀類の粉(flour)もしくは粗びき粉(meal)の形、たとえばトウモロコシ粉などの形で含まれ得、または抽出物の形、たとえば、酵母抽出物、ジャガイモ抽出物、ビーフ抽出物、ダイズ抽出物、バナナピール抽出物等の形で含まれ得、または精製された形で含まれ得る。アミノ酸、たとえばタンパク質の生合成に有用なアミノ酸などもまた、含まれ得る。
【0153】
1つの態様において、無機塩もまた含まれ得る。使用に適した無機塩は、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸鉄、塩化鉄、硫酸マンガン、塩化マンガン、硫酸亜鉛、塩化鉛、硫酸銅、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム、および/または炭酸ナトリウムであり得る。これらの無機塩は、独立して使用されてよく、または2種類以上の組み合わせとして使用されてもよい。
【0154】
いくつかの態様において、培養のための方法は、培養プロセスの前に、および/または培養プロセス中に、追加の酸および/または抗微生物剤を培地に添加することを、さらに含み得る。抗微生物剤または抗生物質は、コンタミネーションから培養物を保護するために使用される。
【0155】
加えて、液内培養の場合に泡の形成および/または蓄積を防止するために、消泡剤もまた、添加され得る。
【0156】
混合物のpHは、関心対象の微生物に適したものであるべきである。緩衝剤およびpH調整剤、たとえば炭酸塩およびリン酸塩などが、pHを好ましい値の近くに安定させるために使用され得る。金属イオンが高濃度で存在する場合、培地におけるキレート剤の使用が必要であり得る。
【0157】
微生物は、浮遊型として、またはバイオフィルムとして、増殖し得る。バイオフィルムの場合においては、容器はその中に、微生物がその上でバイオフィルム状態で増殖することができる、基材を有し得る。システムはまた、たとえば、バイオフィルムの増殖特性を促進および/または改善する刺激(たとえば剪断ストレスなど)を適用するための、容量を有し得る。
【0158】
1つの態様において、微生物の培養のための方法は、約5℃~約100℃で、好ましくは15~60℃で、より好ましくは25~50℃で、実施される。さらなる態様において、培養は一定の温度で連続的に実施され得る。別の態様において、培養は温度変化を受け得る。
【0159】
1つの態様において、方法および培養プロセスにおいて使用される装置は、滅菌される。培養装置、たとえばリアクター/容器などは、滅菌用ユニット、たとえばオートクレーブから分離され得るが、一方でそれに連結もされ得る。培養装置はまた、接種を開始する前にその場で滅菌する、滅菌用ユニットをも有し得る。空気は、当技術分野において公知の方法によって滅菌され得る。たとえば、外気は、容器中に導入される前に、少なくとも1つのフィルターを通過し得る。他の態様において、培地は低温殺菌されてよく、または任意で、まったく加熱されることがなくてもよく、その場合、低い水分活性および低いpHの使用が、望ましくない細菌の増殖を制御するために活用され得る。
【0160】
1つの態様において、本発明は、本発明の微生物株を、増殖および代謝物産生に適した条件下で培養する段階;ならびに、任意で、代謝物を精製する段階によって、微生物代謝物を、たとえば、バイオサーファクタント、酵素、タンパク質、エタノール、乳酸、βグルカン、ペプチド、代謝中間体、多価不飽和脂肪酸、および脂質などを生産するための方法を、さらに提供する。方法によって生産される代謝物の含量は、たとえば、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%であり得る。
【0161】
関心対象の微生物によって産生される、微生物の増殖時副生成物は、微生物内に保持されてよく、または増殖培地中に分泌されてもよい。培地は、微生物の増殖時副生成物の活性を安定させる化合物を含んでよい。
【0162】
発酵培地のバイオマス含量は、たとえば、5 g/l~180 g/l、もしくはそれより多いか、または10 g/l~150 g/lであり得る。
【0163】
細胞の濃度は、たとえば、少なくとも1 x 106~1 x 1012 CFU/ml、1 x 107~1 x 1011 CFU/ml、1 x 108~1 x 1010 CFU/ml、または1 x 109 CFU/mlであり得る。
【0164】
微生物の培養のための、および微生物副生成物の生産のための、方法ならびに装置は、バッチで、準連続的なプロセスで、または連続的なプロセスで、実施され得る。
【0165】
1つの態様において、微生物培養組成物のすべてが、培養の完了時に(たとえば、所望の細胞密度を、または特定の代謝物の所望の濃度を達成する時に)、取り出される。このバッチ手順においては、完全に新しいバッチが、最初のバッチが採取されてから開始される。
【0166】
別の態様においては、発酵生成物の一部分のみが、常に取り出される。この態様においては、生存力のある細胞、胞子、分生子、菌糸、および/または菌糸体を有するバイオマスが、新しい培養バッチのための接種原として、容器内に残される。取り出される組成物は、無細胞培地であり得、または細胞、胞子、もしくは他の生殖繁殖体、および/もしくはそれらの組み合わせを含み得る。この様式において、準連続的なシステムが作製される。
【0167】
有利なことに、方法は、複雑な装置を必要とせず、高エネルギー消費も必要としない。関心対象の微生物は、現場で小スケールまたは大スケールで培養され得、そして利用され得、それらの培地と混合され続けることすら可能である。
【0168】
有利なことに、微生物ベースの生成物は、遠隔地において生産され得る。微生物の増殖設備は、たとえば、太陽光、風力、および/または水力発電の電力を利用することにより、外部からの電力供給を受けずに稼働し得る。
【0169】
微生物ベースの生成物の調製
本発明の微生物ベースの生成物の1つは、単に、微生物、および/または微生物によって産生された微生物代謝物、および/または任意の残存栄養素を含む、発酵培地である。発酵の生成物は、抽出も精製も無しに、直接使用され得る。望ましい場合、抽出および精製は、標準的な抽出方法および/もしくは精製方法を用いて、または文献に記載される技術を用いて、容易に達成可能である。
【0170】
微生物ベースの生成物中の微生物は、活性型であっても、もしくは不活性型であってもよく、または、生長能力のある細胞の形、生殖胞子の形、分生子の形、菌糸体の形、菌糸の形、もしくは微生物繁殖体の任意の他の形であってもよい。微生物ベースの生成物はまた、微生物の、これらの任意の形の組み合わせを含み得る。好ましい態様において、微生物および/または繁殖体は不活性化される。
【0171】
1つの態様において、微生物の異なる株を別々に増殖させ、そしてその後、培養物をまとめて混合して、微生物ベースの生成物を生産する。微生物は任意で、混合の前に、そこでそれらが増殖する培地と混和され得、そして乾燥され得る。
【0172】
1つの態様において、異なる株はまとめて混合されることはないが、別々の微生物ベースの生成物として、土壌に適用される。
【0173】
微生物ベースの生成物は、さらなる安定化、保存、および保管無しに使用され得る。有利なことに、これらの微生物ベースの生成物の直接の使用は、微生物を高生存率で保ち、外来物質および望ましくない微生物によるコンタミネーションの可能性を減少させ、かつ微生物の増殖時副生成物の活性を維持する。
【0174】
しかしながら、いくつかの態様において、バイオサーファクタントおよび/または他の代謝物は、培養物から抽出され得、そして任意で精製され得る。さらなる態様において、抽出されたバイオサーファクタントおよび/または他の代謝物の2種類以上は、バイオサーファクタントカクテルを形成するために、まとめて混合され得る。
【0175】
微生物ベースの組成物が増殖容器から採取されると、採取された生成物がコンテナの中に収められる時に、またはそうでなければ採取された生成物が使用のために輸送される時に、さらなる成分が添加され得る。添加物は、たとえば、緩衝剤、担体、同じ設備または異なる設備で生産された、微生物ベースの他の組成物、粘度調整剤、保存剤、微生物増殖のための栄養素、界面活性剤、乳化剤、滑沢剤、溶解性調整剤、追跡剤、溶媒、殺生物剤、抗生物質、pH調整剤、キレート剤、安定剤、安定剤、紫外光耐性剤、他の微生物、およびそのような調製物のために慣例的に使用される、適切な他の添加剤であり得る。
【0176】
1つの態様において、有機酸およびアミノ酸、またはそれらの塩を含む緩衝剤が、添加され得る。適切な緩衝剤は、クエン酸塩、グルコン酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、酢酸塩、乳酸塩、シュウ酸塩、アスパラギン酸塩、マロン酸塩、グルコヘプトン酸塩、ピルビン酸塩、ガラクタル酸塩、グルカル酸塩、タルトロン酸塩、グルタミン酸塩、グリシン、リジン、グルタミン、メチオニン、システイン、アルギニン、およびそれらの混合物を含む。リン酸および亜リン酸、またはそれらの塩もまた、使用され得る。合成の緩衝剤は、使用されるのに適切であるが、天然の緩衝剤、たとえば上に列挙した、有機酸およびアミノ酸、またはそれらの塩などの使用が好ましい。
【0177】
さらなる態様において、pH調整剤は、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸カリウムもしくは重炭酸カリウム、塩酸、硝酸、硫酸、または混合物を含む。
【0178】
微生物ベースの組成物のpHは、関心対象の微生物に適したものであるべきである。好ましい態様において、組成物のpHは、約3.5~7.0であるか、または約4.0~6.8であるか、または約5.0~6.5である。
【0179】
1つの態様において、追加の成分、たとえば塩の水性調製物などが、調合物に含まれ得、該塩は、たとえば、重炭酸ナトリウムまたは炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムなどである。
【0180】
1つの態様において、グルコース、グリセロール、および/またはグリセリンが、保管および輸送の間に、たとえば浸透圧調節物質として作用するよう、微生物ベースの生成物に添加され得る。1つの態様において、モラセスが含まれ得る。
【0181】
1つの態様において、微生物の増殖を増大させるために、プレバイオティクスが、微生物ベースの生成物に添加され得、および/または該生成物と同時に適用され得る。適したプレバイオティクスは、たとえば、ケルプ抽出物、フルボ酸、キチン、フミン酸塩、および/またはフミン酸を含む。特定の態様において、適用されるプレバイオティクスの量は、約0.1 L/エーカー~約0.5 L/エーカー、または約0.2 L/エーカー~約0.4 L/エーカーである。
【0182】
任意で、生成物は、使用の前に保管され得る。保管期間は、好ましくは短い。したがって、保管期間は、60日未満、45日未満、30日未満、20日未満、15日未満、10日未満、7日未満、5日未満、3日未満、2日未満、1日未満、または12時間未満であり得る。好ましい態様において、生細胞が生成物中に存在する場合、生成物は低温で保管され、これはたとえば、20℃未満、15℃未満、10℃未満、または5℃未満などである。
【0183】
微生物ベースの生成物の、現地での生産
本発明のある態様において、微生物の増殖設備は、関心対象の新鮮な高密度の微生物、および/または微生物の関心対象の増殖時副生成物を、所望のスケールで生産する。微生物の増殖設備は、適用の場所に、またはその近くに設置され得る。設備は、高密度の微生物ベースの組成物を、バッチ培養、準連続的な培養、または連続的な培養において生産する。
【0184】
本発明の微生物の増殖設備は、微生物ベースの生成物が使用される場所(たとえば柑橘類農園)に設置され得る。たとえば、微生物の増殖設備は、使用の場所から300マイル未満、250マイル未満、200マイル未満、150マイル未満、100マイル未満、75マイル未満、50マイル未満、25マイル未満、15マイル未満、10マイル未満、5マイル未満、3マイル未満、または1マイル未満であり得る。
【0185】
微生物ベースの生成物は、従来の微生物生産における、微生物の安定化、保存、保管、および輸送のプロセスを用いること無しに、現地で生産することが可能なので、より高密度の微生物を生産することが可能であり、それにより、現場での適用において使用するために、より少量の微生物ベースの生成物しか必要とされないか、またはこれは、所望の効力を達成することが必要な場所での、より高密度の微生物の適用を可能にする。これは、バイオリアクターのスケールダウン(たとえばより小さい発酵容器や、より少量の、出発材料、栄養素、およびpH制御剤の供給)を可能にし、該スケールダウンは、システムを効率的にして、そして細胞を安定させる必要性、またはそれらの培養培地から細胞を分離する必要性を、排除し得る。微生物ベースの生成物の、現地での生産はまた、生成物中に増殖培地を含有させることを容易にする。培地は、現地での使用に特に適切な、発酵中に産生された作用物質を含み得る。
【0186】
現地で生産された、高密度で活発な微生物培養物は、しばらくの間サプライチェーンに留め置かれていたものよりも、圃場において有効である。本発明の微生物ベースの生成物は、細胞が、発酵増殖培地中に存在する代謝物および栄養素から分離されている従来の生成物と比較して、特に有益である。輸送時間の減少は、微生物および/またはそれらの代謝物の新鮮なバッチを、現地の需要が必要とする時に、かつ現地の需要が必要とする量を、生産することおよび送達することを、可能にする。
【0187】
本発明の微生物の増殖設備は、微生物それら自体を、微生物代謝物を、および/または微生物がその中で増殖する培地の他の成分を含む、微生物ベースの新鮮な組成物を生産する。望ましい場合、組成物は、高密度の、生長能力のある細胞もしくは繁殖体、または生長能力のある細胞および繁殖体の混合物を、有し得る。
【0188】
有利なことに、組成物は、特定の場所での使用に適合させることが可能である。1つの態様において、微生物の増殖設備は、微生物ベースの生成物が使用される場所(たとえば柑橘類農園)に設置されるか、またはその近くに設置される。
【0189】
有利なことに、これらの微生物の増殖設備は、遠方の産業的規模の製造者に依存することの現行の問題点への解決法を提供するものであり、ここで該製造者の生成物の品質は、上流での加工の遅れ、サプライチェーンのボトルネック、不適切な保管、および他の不測の事態に起因して悪影響を受けていて、これらは、たとえば、生存力があって細胞数の多い生成物、ならびに該細胞がもともとそこで増殖する、関連する培地および代謝物の、適時の送達および適用を阻害する。
【0190】
到達先の地理との相乗効果を改善するために、微生物ベースの生成物を条件どおりに作ることができる、というその能力によって、微生物の増殖設備は、製造の汎用性を提供する。有利なことに、好ましい態様において、本発明のシステムは、農業生産を改善するために、現地の天然の微生物、およびそれらの代謝副生成物の力を活用する。
【0191】
個々の容器についての培養時間は、たとえば、1~7日であってよく、またはより長くてもよい。培養生成物は、いくつかの異なる様式のうちの任意の様式で、採取され得る。
【0192】
発酵の、たとえば24時間以内の、現地での生産および送達は、純粋で、高い細胞密度の組成物をもたらし、そして輸送コストを実質的に低下させる。より有効かつ強力な微生物接種原の開発における、急速な進展の見込みを考慮すると、需要家は、微生物ベースの生成物を速やかに送達するこの能力から、大いに恩恵を受ける。
【実施例】
【0193】
本発明の、およびその多くの利点のより深い理解は、例証として提供される、以下の実施例から得られ得る。以下の実施例は、本発明のいくつかの方法、適用、態様、および変形の、例証である。それらは、本発明を限定するものとしてみなされるべきではない。多数の変更および改変が、本発明に関してなされ得る。
【0194】
実施例1 - 液内発酵を用いる、ソホロ脂質を含む組成物の調製
ソホロ脂質の混合物は、発酵培地におけるS. ボンビコーラの発酵によって合成され、該発酵培地は、水中に、100 g/L グルコース、10 g/L 酵母抽出物、1 g/L 尿素、100 ml/L キャノーラ油を含み、かつ0.01~0.5 g/Lの微量元素を含む。発酵培地のすべての成分は、GRASである。5~7日間の発酵後、およそ500 g/Lのソホロ脂質が、茶色の層として発酵容器の底に沈殿する。
【0195】
ソホロ脂質の層は回収され、そして4倍に希釈されて125 g/LのSLP濃度とされる。SLPは、毒性溶媒、たとえば酢酸エチルなどを用いて精製する必要はない、なぜならば、得られた粗バイオサーファクタントのすべての成分が、農業目的のために有益であるか、または無害であるからである。
【0196】
粗生成物中のSLPのパーセンテージは65~90%であり、少量の残存グルコースおよび脂肪酸も有する。ラクトン型SLPと酸型SLPの比は、約70:30である。そのような生成物での表面張力の減少は、≦ 100 ppmのCMCにおいて≦ 35 mN/mである。pHは、水酸化ナトリウムを用いて、たとえば6.5~7.0に調整され得る。
【0197】
実施例2 - 土壌の濡れ性、肥沃度、塩度、および浸透圧を改善するためのSLP
土壌の濡れ性
土壌の疎水性は、水が地面に浸透するのではなく土壌の表面に集まることの、原因となる。土壌の撥水性は、土壌粒子における疎水性コーティングの存在によって生じ得る。たとえば山火事は、土壌粒子をコートする蝋質の物質に起因して、土壌の疎水性をもたらし得、該物質は、ある種の植物性物質が燃焼することによって生成される。これは、撥水性、水および栄養素の流去、ならびに燃焼後の場所の浸食を増加させる。
【0198】
1つの態様において、疎水性SLP(たとえば、ラクトン型SLP、および/またはジアセチル化もしくはモノアセチル化酸型SLP)を含む組成物を用いる、疎水性土壌の処理は、疎水性土壌の撥水性を減少させて、土壌への水の浸透の増加を可能にし、かつ土壌での水および栄養素のより均等な分散を可能にする。
【0199】
土壌の肥沃度
1つの態様において、疎水性SLP(たとえば、ラクトン型SLP、および/またはジアセチル化もしくはモノアセチル化酸型SLP)を含む組成物は、植物の根による、土壌からの栄養素の吸収を増大させ得(たとえば、NPK、ホウ素、塩素、コバルト、銅、鉄、マンガン、マグネシウム、モリブデン、硫黄、亜鉛、カルシウム、ニッケル、ケイ素、およびナトリウム)、それにより、植物の生育を促進し、かつ作物の収量をより高める。加えて、土壌の濡れ性を増加させることによって、土壌全体での栄養素のより均等な分散もまた達成され得、それにより、植物の根に対しての栄養素利用可能性が増加する。
【0200】
土壌の塩度
塩性土壌は、化学的な改良剤や、調整剤や、肥料によって再生させることはできないが、代わりに、植物の根圏から塩を浸出させることによって再生させることができる。1つの態様において、疎水性SLP(ラクトン型SLP、および/またはジアセチル化もしくはモノアセチル化酸型SLP)を含む組成物は、土壌における、濡れ性、水の分散、および水の浸透を増加させる。したがって、組成物は経時的に、土壌中のより深くかつ根圏より下へと塩を「押し込み」、その結果、表面により近い土壌層は農業目的に使用可能となる。
【0201】
浸透圧
浸透圧は、異なるイオン濃度または溶質濃度の溶液が、半透性の膜で隔てられている場合に生じる。水分子および溶質分子の無作為な運動は、平衡状態に到達するまで、より高い溶質濃度の区画に向かう水の、正味の移動を作り出す。濃度の差異による、この正味の移動は、拡散と呼ばれる。
【0202】
土壌の水分含量が低い場合、植物の根および地上部分の両方において、組織液の浸透圧は経時的に増加し、これは、低速度の栄養成長、気孔開口の変化、デンプン貯蔵の枯渇、見かけの光合成の減少、および呼吸の増加をもたらす。
【0203】
1つの態様において、疎水性SLP(たとえば、ラクトン型SLP、および/またはジアセチル化もしくはモノアセチル化酸型SLP)を含む組成物は、土壌における、濡れ性、水の分散、および水の浸透を増加させる。したがって、植物組織の浸透圧は経時的に、減少し得、および/または平衡状態に近づき得、これは、植物がより早く、かつより大きく生育することを可能にし、かついくつかの例においては、他の侵略性植物または雑草を駆逐することを可能にする。
【0204】
実施例3 - 有害生物を制御するためのSLP
SLPは、強力な、抗細菌能力、抗真菌能力、および/または抗ウイルス能力を有し得る。1つの態様において、バイオ防除剤活性のためのSLPの有効濃度は0.009~10 mg/Lであるが、多くの場合、3 mg/Lを上回ることはない。
【0205】
SLPは、たとえば、以下のようないくつかの細菌の植物病原体に対して有効であり:アシドボラックス・カロトボラム(Acidovorax carotovorum)、エルウィニア・アミロボーラ(Erwinia amylovora)、シュードモナス・シコリイ(Pseudomonas cichorii)、シュードモナス・シリンガエ(Pseudomonas syringae)、ペクトバクテリウム・カロトボラム(Pectobacterium carotovorum)、ラルストニア・ソラナセアラム(Ralstonia solanacearum)、キシレラ・ファスティディオーサ(Xylella fastidiosa)、およびキサントモナス・カンペストリス(Xanthomonas campestris);
たとえば、以下のような真菌の植物病原体に対して有効であり:アルテルナリア属種(Alternaria spp.)、アスペルギルス属種(Aspergillus spp.)、フザリウム属種(Fusarium spp.)、ペニシリウム属種(Penicillium spp.)、ペニシリウム属種、サッカロマイセス属種(Saccharomyces spp.)、クラドスポリウム属種(Cladosporium spp.)、グレオフィラム属種(Gloeophyllum spp.)、およびシゾフィラム属種(Schizophyllum spp.)、ヘミレイア属種(Hemileia spp.)(たとえば、H. バスタトリクス(H. vastatrix))、ボトリティス・シネレア(Botrytis cineria)、およびファイトフトラ属種(Phytopthora spp.);
いくつかの植物ウイルス、たとえばヘルペスウイルスなどに対して有効であり;かつ、いくつかの線形動物に対して有効である。
【0206】
1つの態様において、組成物はラクトン型SLPを含む。ラクトン型SLPは、細胞壁の溶解に有用であり得、したがってこれは、組成物を、抗細菌適用および抗真菌適用にとって好都合なものにする。
【0207】
1つの態様において、組成物は酸型SLPを含み、これは抗ウイルス適用にとってより好都合である。
【0208】
1つの態様において、組成物は、約70%のラクトン型SLP、および30%の直鎖型SLPを含み、これは、細菌、真菌、ウイルス、および線形動物を含めた、さまざまな植物病原体に対する有効性を提供する。
【0209】
実施例4 - 固相発酵を用いる、ラムノ脂質を含む組成物の調製
ラムノ脂質(RLP)の最も高度な蓄積は、シュードモナス・アエルギノーサの液内培養によって示されているが、これは日和見病原体である。P. アエルギノーサの病原性の性質はまた、該微生物に曝露される作業者へのリスクに起因して、RLPの生産に制限をもたらしている。
【0210】
ある態様において、本発明は、RLPを生産するために、非病原性細菌であるバークホルデリア・タイランデンシスを利用する。固相またはマトリックスの発酵方法が利用され、ここで、コーンブランが固体の基材として使用される。グリセロール、酵母抽出物、ジャガイモデキストロース、および小量の数種の微量元素が、コーンブラン中に混合される。
【0211】
基材にはB. タイランデンシスを接種し、そして7~8日間にわたり培養し、そして任意で、乾燥させる。これは、乾燥させた培養物/基材(culuter/substrate)1キログラムにつき、約20~30 gのRLPを産生する。
【0212】
有利なことに、方法は、細菌細胞を乾燥させる段階および不活性化する段階は別として、いかなる追加の抽出段階も精製段階も必要としない、なぜならば、いくつかの態様において、コーンブラン、バークホルデリア細胞、およびRLPを含む、得られるバイオマスは、RLP単独よりも、土壌および植物にとって有益であるからである。ある態様において、これは、コーンブランに存在する、ビタミン、アミノ酸、タンパク質、ならびにミネラル(たとえば、ベタイン、コリン、葉酸塩、葉酸、ナイアシン、リボフラビン、ビタミンA、カロテン、Bビタミン、ビタミンK、カルシウム、銅、鉄、マンガン、マグネシウム、リン、セレン、カリウム、亜鉛、および他のものに起因するとともに;不活性化された細菌細胞に存在する栄養素(たとえば、有機窒素、炭素、硫黄、リン、カリウム、銅、マグネシウム、および他のもの)にも起因する。
【0213】
実施例5 - 土壌の肥沃度を改善するためのRLP
植物の根は、土壌および肥料化合物中に存在する、亜鉛、銅、鉄、マンガン、および他の微量元素を吸収することが、しばしば困難である。キレート剤の使用は、たとえば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびジエチレントリアミン五酢酸塩(diethylenetriamene pentaacetate)(DTPA)などは、土壌における微量元素の持続性を増加させるために一般的に使用されているが、金属-EDTA錯体および金属-DTPA錯体は、植物の根によって容易には吸収されず、これは、肥料の効力に制限をもたらしている。
【0214】
1つの態様において、RLPを含む組成物は、土壌において、植物の根による亜鉛および他の微量元素の吸収を促進することにより、土壌の肥沃度を改善するのに役立ち得る。1つの態様において、RLPは、亜鉛、銅、鉄、および/またはマンガンと、親油性の錯体を形成し、該錯体は、植物の根に対してのこれらの微量元素のバイオアベイラビリティを改善し得る。
【0215】
実施例6 - 土壌汚染物質を除去するためのRLP
農地の生産性は、作物植物に無生物的なストレスを与える有機汚染物質および無機汚染物質の存在によって、影響を受け得る。
【0216】
1つの態様において、容量で0.05%~0.5%、または約0.1%のRLPを含む組成物は、土壌からのヒ素および/または重金属汚染物質の除去を、これらの物質と錯体を形成することができるキレート剤として作用することによって増大させ、そして、植物の根圏の土壌層からのそれら物質の放出および/または排出を促進する。したがって、汚染された土壌は、農業目的用に土地を使用可能にするために、この様式で処理され得る。
【0217】
実施例7 - 有害生物を制御するためのRLP
1つの態様において、約0.04~35 mg/Lか、または0.1~25 mg/Lか、または0.5~15 mg/LのRLPを含む組成物は、有害生物を制御するのに、2種類の様式で有用であり得る。
【0218】
第一に、いくつかの態様において組成物は、RLPの防除特性に起因して、有害生物に対する直接的な効果を有し得る。ラムノ脂質は、たとえば、以下を含む細菌に対して活性であり:シュードモナス・アエルギノーサ、エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumonia)、ミクロコッカス属種(Micrococcus spp.)、ストレプトコッカス属種(Streptococcus spp.)、スタフィロコッカス属種(Staphylococcus spp.)、およびバチルス属種、キシレラ属種(Xylella spp.);かつ、たとえば、以下を含むいくつかの真菌に対して活性である:ボトリティス属種(Botrytis spp.)(たとえばB. シネレア(B. cinerea))、リゾクトニア属種(Rhizoctonia spp.)、ピシウム属種(Pythium spp.)、ファイトフトラ属種(Phytophtora spp.)、およびプラスモパラ属種(Plasmopara spp.)、ならびにムコール・ミエヘイ(Mucor miehei)およびニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)。
【0219】
ラムノ脂質はまた、いくつかの節足動物に対しても活性であり、これはたとえば、アエデス・アエジプティ(Aedes aegypti)の幼虫、モモアカアブラムシ(green peach Aphid)(マイザス・ペルシカエ(Myzus persicae))、蛛形類(arachnid)、バッタ(grasshopper)、およびボックスエルダーバグ(box-elder bug)である。
【0220】
第二に、RLPを含む組成物はまた、有害生物の制御に関して間接的な効果をも有し得、ここでRLPは、防御応答を誘発するよう、かつ、有害生物(たとえば、半生体栄養性の細菌)に対する、ならびに他の生物的および/または無生物的ストレッサーに対する病害抵抗性を誘導するよう、植物の免疫系を調節するのに役立つ。
【0221】
実施例8 - 固相発酵を用いる、マンノシルエリスリトール脂質を含む組成物の調製
1つの態様において、MELは、固相リアクターにおいて、シュードザイマ・アフィディスを用いて生産される。固体の基材は、ダイズ、酵母抽出物、エリスリトール、および少量の数種の微量元素の混合物を含む。
【0222】
固相リアクターにおいて、所望の細胞数および/または所望の代謝物濃度に到達したら、MEL、基材、および不活性化されたシュードザイマ(Pseydozyma)細胞を含む生成物を生産するために、培養物全体を乾燥させる。この生成物は、MEL単独よりも、土壌および植物にとって有益である、なぜならば、ダイズおよび不活性化された酵母細胞は両方とも、栄養素、たとえば、有機窒素、リン、およびカリウムなどの、優れた供給源であるからである。
【0223】
実施例9 - 有害生物を制御するためのMEL
MELの広範囲にわたる防除活性を考慮すると、MELを含む組成物は、有害生物の制御に有益である。ある態様において、MELは、以下の有害微生物を制御するために使用され得る:
ダイズおよび/またはキャノーラに対する有害微生物、これは、たとえば以下を含む:ファイトフトラ・メガスペルマ種グリシネア(Phytophthora megasperma sp. glycinea)、マクロフォミナ・ファゼオリナ(Macrophomina phaseolina)、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)、スクレロティニア・スクレロティオラム(Sclerotinia sclerotiorum)、フザリウム属種(たとえば、F. オキシスポラム(F. oxysporum)、F. セミテクタム(F. semitectum)、F. ロゼウム(F. roseum)、F. ソラニ(F. solani))、ジアポルテ属種(Diaporthe spp.)(たとえば、D. ファセオロラム変種ソジャエ(D. phaseolorum var. sojae)(フォモプシス・ソジャエ(Phomopsis sojae))、D. ファセオロラム変種カウリボーラ(D. phaseolorum var. caulivora))、アルテルナリア属種(たとえば、A. ブラシカエ(A. brassicae)、A. アルテルナータ(A. alternate))、スクレロティウム・ロルフシイ(Sclerotium rolfsii)、セルコスポラ属種(Cercospora spp.)(たとえば、C. キクチイ(C. kikuchii)、C. ソジナ(C. sojina))、ピシウム属種(たとえば、P. アファニデルマタム(P. aphanidermatum)、P. ウルティマム(P. ultimum)、P. デバリアナム(P. debaryanum))、ペロノスポラ属種(Peronospora spp.)(たとえば、P. マンシュリカ(P. manshurica)、P. パラシティカ(P. parasitica))、コレトトリカム・デマティウム(Colletotrichum dematium)(C. トランカタム(C. truncatum))、コリネスポラ・カシイコーラ(Corynespora cassiicola)、セプトリア・グリシネス(Septoria glycines)、フィロスティクタ・ソジコーラ(Phyllosticta sojicola)、シュードモナス・シリンガエ病原型グリシネア(Pseudomonas syringae p.v. glycinea)、キサントモナス・カンペストリス病原型ファセオリ(Xanthomonas campestris p.v. phaseoli)、ミクロスファエラ・ディフサ(Microsphaera diffusa)、フィアロフォラ・グレガタ(Phialophora gregata)、グロメレラ・グリシネス(Glomerella glycines)、ファコプソラ・パキリジ(Phakopsora pachyrhizi)、ヘテロデラ・グリシネス(Heterodera glycines)、レプトスファエリア・マキュランス(Leptosphaeria maculans)、マイコスファエレラ・ブラシシコーラ(Mycosphaerella brassiccola)、アルブゴ・カンジダ(Albugo candida)、ダイズモザイクウイルス(Soybean mosaic virus)、タバコ輪点ウイルス(Tobacco Ring spot virus)、タバコ条斑ウイルス(Tobacco Streak virus)、およびトマト黄化えそウイルス(Tomato spotted wilt virus);
アルファルファに対する有害微生物、これは、たとえば以下を含む:クラビバクター・ミシガネンシス亜種インシディオサム(Clavibacter michiganensis subsp. insidiosum)、ピシウム属種(たとえば、P. ウルティマム、P. イレギュラレ(P. irregulare)、P. スプレンデンス(P. splendens)、P. デバリアナム、P. アファニデルマタム)、ファイトフトラ・メガスペルマ(Phytophthora megasperma)、ペロノスポラ・トリフォリオラム(Peronospora trifoliorum)、フォーマ・メディカギニス変種メディカギニス(Phoma medicaginis var. medicaginis)、セルコスポラ・メディカギニス(Cercospora medicaginis)、シュードペジザ・メディカギニス(Pseudopeziza medicaginis)、レプトトロキラ・メディカギニス(Leptotrochila medicaginis)、フザリウム属種、キサントモナス・カンペストリス病原型アルファルファエ(Xanthomonas campestris p.v. alfalfae)、アファノマイセス・エウテイケス(Aphanomyces euteiches)、およびステムフィリウム属種(Stemphylium spp.)(たとえば、S. ヘルバレム(S. herbarum)、S. アルファルファ(S. alfalfa));
コムギに対する有害微生物、これは、たとえば以下を含む:シュードモナス属種(Pseudomonas spp.)(たとえば、P シリンガエ病原型アトロファシエンス(P syringae p.v. atrofaciens)、P シリンガエ病原型シリンガエ(P. syringae p. v. syringae))、ウロシスティス・アグロピリ(Urocystis agropyri)、キサントモナス・カンペストリス病原型トランスルセンス(Xanthomonas campestris p.v. translucens)、アルテルナリア・アルテルナータ(Alternaria alternata)、クラドスポリウム・ヘルバレム(Cladosporium herbarum)、フザリウム属種(たとえば、F. グラミネアラム(F. graminearum)、F. アベナセウム(F. avenaceum)、F.クルモラム(F. culmorum))、アスコキタ・トリティシ(Ascochyta tritici)、セファロスポリウム・グラミネウム(Cephalosporium gramineum)、コレトトリカム・グラミニコーラ(Collotetrichum graminicola)、エリシフェ・グラミニス分化型トリティシ(Erysiphe graminis fsp. tritici)、プクシニア属種(Puccinia spp.)(たとえば、P. レコンディータ分化型トリティシ(P. recondita fsp. tritici)、P. ストリイフォルミス(P. striiformis)、P. グラミニス分化型トリティシ(P. graminis fsp. tritici)、ピレノフォラ・トリティシ-レペンティス(Pyrenophora tritici-repentis)、セプトリア属種(Septoria spp.)(たとえば、S. ノドラム(S. nodorum)、S. トリティシ(S. tritici)、S. アベナエ(S. avenae))、シュードセロスポレラ・ヘルポトリコイデス(Pseudocercosporella herpotrichoides)、リゾクトニア属種(たとえば、R. ソラニ(R. solani)、R. セレアリス(R. cerealis))、ガエウマンノマイセス・グラミニス変種トリティシ(Gaeumannomyces graminis var. tritici)、ピシウム属種(たとえば、P. アファニデルマタム、P. アレノマネス(P. arrhenomanes)、P. ウルティマム、P. アレノマネス、P. グラミニコーラ(P. gramicola)、P. アファニデルマタム)、バイポラリス・ソロキニアナ(Bipolaris sorokiniana)、クラビセプス・プルプレア(Claviceps purpurea)、ティレティア属種(Tilletia spp.)(たとえば、T. トリティシ(T. tritici)、T. ラエビス(T. laevis)、T. インディカ(T. indica))、ウスチラゴ・トリティシ(Ustilago tritici)、オオムギ黄萎ウイルス(Barley Yellow Dwarf Virus)、ブロムモザイクウイルス(Brome Mosaic Virus)、コムギ萎縮ウイルス(Soil Borne Wheat Mosaic Virus)、コムギ条斑モザイクウイルス(Wheat Streak Mosaic Virus)、ウィートスピンドルストリークウイルス(Wheat Spindle Streak Virus)、アメリカンウィートストライアトウイルス(American Wheat Striate Virus)、ハイプレーンズウイルス(High Plains Virus)、およびヨーロピアンウィートストライアトウイルス(European wheat striate virus);
ヒマワリに対する有害微生物、これは、たとえば以下を含む:プラスモパラ・ハルステディイ(Plasmophora halstedii)、スクレロティニア・スクレロティオラム、セプトリア・ヘリアンティ(Septoria helianthi)、フォモプシス・ヘリアンティ(Phomopsis helianthi)、アルテルナリア属種(たとえば、A. ヘリアンティ(A. helianthi)、A. ジニア(A. zinnia))、ボトリティス・シネレア、フォーマ・マクドナルディイ(Phoma macdonaldii)、マクロフォミナ・ファゼオリナ、エリシフェ・シコラセアラム(Erysiphe cichoracearum)、リゾプス属種(Rhizopus spp.)(たとえば、R. オリザエ(R. oryzae)、R. アリザス(R. arrhizus)、R. ストロニフェラ(R. stolonifera))、プクシニア・ヘリアンティ(Puccinia helianthi)、バーティシリウム・ダリアエ(Verticillium dahliae)、エルウィニア・カロトボラム病原型カロトボーラ(Erwinia carotovorum p.v. carotovora)、セファロスポリウム・アクレモニウム(Cephalosporium acremonium)、ファイトフトラ・クリプトゲア(Phytophthora cryptogea)、アルブゴ・トラゴポゴニス(Albugo tragopogonis)、およびアスターイエロー(Aster Yellows);
トウモロコシに対する有害微生物、これは、たとえば以下を含む:フザリウム属種(たとえば、F. モニリフォルメ変種サブグルティナンス(F. moniliforme var. subglutinans)、F. バーティシリオイデス(F. verticilloides)、F. モニリフォルメ(F. moniliforme)、ジベレラ・ゼアエ(Gibberella zeae)(F. グラミネアラム))、ステノカルペラ・メイディス(Stenocarpella maydis)(ディプロディア・メイディス(Diplodia maydis))、ピシウム属種(たとえば、P. イレギュラレ、P.デバリアナム、P. グラミニコーラ(P. graminicola)、P. スプレンデンス、P. ウルティマム、P. アファニデルマタム)、アスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus)、バイポラリス・メイディスO、T(Bipolaris maydis O、T)(コクリオボルス・ヘテロストロファス(Cochliobolus heterostrophus))、ヘルミントスポリウム属種(Helminthosporium spp.)(たとえば、H. カルボナム(H. carbonum)I、II、およびIII(コクリオボルス・カルボナム(Cochliobolus carbonum))、H. ペディセラタム(H. pedicellatum))、エクセロヒラム・ツルシカム(Exserohilum turcicum)I、II、およびIII、ファイソデルマ・メイディス(Physoderma maydis)、フィロスティクタ・メイディス(Phyllosticta maydis)、カバティエラ・メイディス(Kabatiella maydis)、セルコスポラ・ソルギ(Cercospora sorghi)、ウスチラゴ・メイディス(Ustilago maydis)、プクシニア属種(たとえば、P. ソルギ(P. sorghi)、P. ポリソラ(P. polysora))、マクロフォミナ・ファゼオリナ、ペニシリウム・オキサリカム(Penicillium oxalicum)、ニグロスポラ・オリザエ(Nigrospora oryzae)、クラドスポリウム・ヘルバレム、カーブラリア属種(Curvularia spp.)(たとえば、C. ルナータ(C. lunata)、C. イナエクアリス(C. inaequalis)、C. パレセンス(C. pallescens))、クラビバクター・ミシガネンセ亜種ネブラスケンセ(Clavibacter michiganense subsp. nebraskense)、トリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)、クラビセプス・ソルギ(Claviceps sorghi)、シュードモナス・アベナエ(Pseudomonas avenae)、エルウィニア属種(Erwinia spp.)(たとえば、E. カロトボーラ(E. carotovora)、E. ステワルティイ(E. stewartii)、E. クリサンテミ病原型ゼア(E. chrysanthemi pv. Zea))、ディプロディア・マクロスポラ(Diplodia macrospora)、スクレロフトラ・マクロスポラ(Sclerophthora macrospora)、ペロノスクレロスポラ属種(Peronosclerospora spp.)(たとえば、P. ソルギ(P. sorghi)、P. フィリピネンシス(P. philippinensis)、P. メイディス(P. maydis)、P. サッカリ(P. sacchari))、スファセロセカ・レイリアナ(Sphacelotheca reiliana)、ファイソペラ・ゼアエ(Physopella zeae)、セファロスポリウム属種(Cephalosporium spp.)(たとえば、C. メイディス(C. maydis)、C. アクレモニウム(C. acremonium))、トウモロコシ萎縮モザイクウイルス(Maize Dwarf Mosaic Virus)AおよびB、コムギ条斑モザイクウイルス、メイズクロロティックドワーフウイルス(Maize Chlorotic Dwarf Virus)、コーンスタントスピロプラズマ(Corn stunt spiroplasma)、メイズクロロティックモトルウイルス(Maize Chlorotic Mottle Virus)、ハイプレーンズウイルス、メイズモザイクウイルス(Maize Mosaic Virus)、メイズラヤドフィノウイルス(Maize Rayado Fino Virus)、メイズストリークウイルス(Maize Streak Virus)、メイズストライプウイルス(Maize Stripe Virus)、ならびにメイズラフドワーフウイルス(Maize Rough Dwarf Virus);
ソルガムに対する有害微生物、これは、たとえば以下を含む:エクセロヒラム・ツルシカム(Exserohilum turcicum)、コレトトリカム・グラミニコーラ(グロメレラ・グラミニコーラ(Glomerella graminicola))、セルコスポラ・ソルギ、グロエオセルコスポラ・ソルギ(Gloeocercospora sorghi)、アスコキタ・ソルギナ(Ascochyta sorghina)、シュードモナス属種(たとえば、P アベナエ(P avenae)(P. アルボプレシピタンス(P. alboprecipitans))、P シリンガエ病原型シリンガエ、P. アンドロポゴニス(P. andropogonis))、キサントモナス・カンペストリス病原型ホルシコーラ(Xanthomonas campestris p.v. holcicola)、プクシニア・プルプレア(Puccinia purpurea)、マクロフォミナ・ファゼオリナ、ペリコニア・シルシナータ(Periconia circinata)、フザリウム属種(たとえば、P. モニリフォルメ(P. moniliforme)、F. グラミネアラム、F. オキシスポラム)、アルテルナリア・アルテルナータ、バイポラリス・ソルギコーラ(Bipolaris sorghicola)、ヘルミントスポリウム・ソルギコーラ(Helminthosporium sorghicola)、カーブラリア・ルナータ(Curvularia lunata)、フォーマ・インシディオーサ(Phoma insidiosa)、ラムリスポラ属種(Ramulispora spp.)(たとえば、R. ソルギ(R. sorghi)、R. ソルギコーラ(R. sorghicola))、フィラコラ・サッカリ(Phyllachara sacchari)、スポリソリウム属種(Sporisorium spp.)(たとえば、S. レイリアナム(S. reilianum)(スファセロセカ・レイリアナ)、S. ソルギ(S. sorghi))、スファセロセカ・クルエンタ(Sphacelotheca cruenta)、クラビセプス・ソルギ、リゾクトニア・ソラニ、アクレモニウム・ストリクタム(Acremonium strictum)、スクレロフトラ・マクロスポラ、ペロノスクレロスポラ属種(P. ソルギ、P. フィリピネンシス)、スクレロスポラ・グラミニコーラ(Sclerospora graminicola)、ピシウム属種(P. アレノマネス、P. グラミニコーラ)、サトウキビモザイクH(Sugarcane mosaic H)、ならびにトウモロコシ萎縮モザイクウイルスAおよびB;
ならびに、イネに対する有害微生物、これは、たとえば以下を含む:マグナポルテ・グリセア(Magnaporthe grisea)およびリゾクトニア・ソラニ。
【0224】
ある態様において、MELを含む組成物は、有害線形動物を制御するために使用され得、これは、たとえば以下を含む:ディティレンクス・ディプサシ(Ditylenchus dipsaci)、アフェレンコイデス・リツェマボシ(Aphelenchoides ritzemabosi)、ヘテロデラ属種(Heterodera spp.)(たとえば、H. トリフォリイ(H. trifolii)、H. シャクティイ(H. schachtii))、キシフィネマ・アメリカナム(Xiphinema americanum)、プラティレンクス属種(Pratylenchus spp.)、(たとえば、P. バルナス(P. vulnus)、P. ネグレクタス(P. neglectus)、P. ペネトランス(P. penetrans)、P. ハマタス(P. hamatus))、ロンギドラス属種(Longidorus spp.)、ロティレンクルス属種(Rotylenchulus spp.)、メロイドジン属種(Meloidogyne spp.)、(たとえば、M. アレナリア(M. arenaria)、M. キトウーディ(M. chitwoodi)、M. ハプラ(M. hapla)、M. インコグニータ(M. incognita)、M. ジャバニカ(M. javanica))、ヘリコティレンクス属種(Helicotylenchus spp.)、パラトリコドラス属種(Paratrichodorus spp.)、ティレンコリンクス属種(Tylenchorhynchus spp.)、(たとえば、T. セミペネトランス(T. semipenetrans))、ベロノライマス・ロンギカウダタス(Belonolaimus longicaudatus)、およびクリコネメラ・キセノプラクス(Criconemella xenoplax)。
【0225】
ある態様において、MELを含む組成物は、有害節足動物を制御するために使用され得、これは、たとえば以下を含む:アカリマ属(Acalymma)、アクレリス・バリエガーナ(Acleris variegana)、アフリカンアーミーワーム(African armyworm)、アフリカナイズドミツバチ(Africanized bee)、ハモグリバエ科(Agromyzidae)、アグロティス・ムンダ(Agrotis munda)、アグロティス・ポルフィリコリス(Agrotis porphyricollis)、アレウロカンタス・ウォグルミ(Aleurocanthus woglumi)、アレイロデス・プロレテラ(Aleyrodes proletella)、アナサ・トリスティス(Anasa tristis)、アニソプリア・オーストリアカ(Anisoplia austriaca)、アンソノマス・ポモラム(Anthonomus pomorum)、アンソノマス・シグナタス(Anthonomus signatus)、アオニディエラ・アウランティイ(Aonidiella aurantii)、アブラムシ(aphid)、アフィス・ファバエ(Aphis fabae)、アフィス・ゴシッピイ(Aphis gossypii)、アップルマゴット(apple maggot)、アルゼンチンアリ(Argentine ant)、アーミーカットワーム(army cutworm)、アロトロフォラ・アルクアタリス(Arotrophora arcuatalis)、アステロレカニウム・コフェアエ(Asterolecanium coffeae)、オーストラリアトビバッタ(Australian plague locust)、バクテリセラ・コケレリ(Bactericera cockerelli)、バクトロセラ・コレクタ(Bactrocera correcta)、バグラダ・ヒラリス(Bagrada hilaris)、バンデッドヒッコリーボーラー(banded hickory borer)、バンクシアボーリングモス(Banksia boring moth)、ビートアーミーワーム(beet armyworm)、ボゴンモス(bogong moth)、ワタミハナゾウムシ(boll weevil)、ブレビコリネ・ブラシカエ(Brevicoryne brassicae)、ブラウンローカスト(Brown locust)、クサギカメムシ(brown marmorated stink bug)、トビイロウンカ(brown planthopper)、ヨトウガ(cabbage moth)、キャベツワーム(cabbage worm)、カロソブルクス・マクラタス(Callosobruchus maculatus)、ケーンビートル(cane beetle)、キャロットフライ(carrot fly)、タマバエ科(Cecidomyiidae)、セラティティス・カピタータ(Ceratitis capitata)、シリアルリーフビートル(cereal leaf beetle)、クロロプス・プミリオニス(Chlorops pumilionis)、シトラスロングホーンドビートル(citrus long-horned beetle)、コッカス・ビリディス(Coccus viridis)、コドリンガ(codling moth)、コーヒーノミキクイムシ(coffee borer beetle)、コロラドハムシ(Colorado potato beetle)、ヒラタコクヌストモドキ(confused flour beetle)、クラムバス属(Crambus)、キューカンバービートル(cucumber beetle)、クルクリオ・ヌカム(Curculio nucum)、カットワーム(cutworm)、タマナヤガ(dark sword-grass)、デートストーンビートル(date stone beetle)、デリア(Delia)(属)、デリア・アンティクア(Delia antiqua)、デリア・フロラリス(Delia floralis)、デリア・ラディカム(Delia radicum)、サバクトビバッタ(desert locus)、ディアブロティカ属(Diabrotica)、コナガ(diamondback moth)、ディアファニア・インディカ(Diaphania indica)、ディアファニア・ニティダリス(Diaphania nitidalis)、ディアファニア・シトリ(Diaphorina citri)、ディアプレペス・アブレビアタス(Diaprepes abbreviatus)、ディファレンシャルグラスホッパー(differential grasshopper)、ドシオスタウラス・マロカナス(Dociostaurus maroccanus)、ドロソフィラ・スズキイ(Drosophila suzukii)、エリオノタ・スラクス(Erionota thrax)、エリオソマティナエ亜科(Eriosomatinae)、ユーメトピナ・フラビペス(Eumetopina flavipes)、ヨーロッパアワノメイガ(European Corn Borer)、ユーリデマ・オレラセア(Eurydema oleracea)、ユーリガスター・インテグリセプス(Eurygaster integriceps)、フォレストバグ(forest bug)、フランクリニエラ・オキシデンタリス(Frankliniella occidentalis)、フランクリニエラ・トライアド(Frankliniella triad)、ガレリア ・メロネラ(Galleria mellonella)、ガーデンダート(garden dart)、オンシツコナジラミ(greenhouse whitefly)、グリロタルパ・オリエンタリス(Gryllotalpa orientalis)、グリルス・ペンシルバニカス(Gryllus pennsylvanicus)、ジプシーモス(gypsy moth)、ヘリコベルパ・アルミゲラ(Helicoverpa armigera)、ヘリコベルパ・ゼア(Helicoverpa zea)、ヘノセピラキナ・ビギンティオクトプンクタータ(Henosepilachna vigintioctopunctata)、ヘシアンバエ(Hessian fly)、マメコガネ(Japanese beetle)、ヒメアカカツオブシムシ(Khapra beetle)、ランピデス・ボエティカス(Lampides boeticus)、リーフマイナー(leaf miner)、レピディオータ・コンソブリナ(Lepidiota consobrina)、レピドサフェス・ウルミ(Lepidosaphes ulmi)、レプトグロサス・ゾナタス(Leptoglossus zonatus)、レプトプテルナ・ドラブラータ(Leptopterna dolabrata)、コハチノスツヅリガ(lesser wax moth)、レウコプテラ属(Leucoptera)(蛾)、レウコプテラ・カフェイナ(Leucoptera caffeina)、リンゴウスチャイロハマキ(light brown apple moth)、リソロプトラス・オリゾフィルス(Lissorhoptrus oryzophilus)、ロングテイルドスキッパー(long-tailed Skipper)、ライガス属(Lygus)、マコネリコッカス・ヒルスタス(Maconellicoccus hirsutus)、マクロダクティルス・サブスピノサス(Macrodactylus subspinosus)、マクロシファム・ユーフォリビアエ(Macrosiphum euphorbiae)、コクゾウムシ(maize weevil)、マンデュカ・セクスタ(Manduca sexta)、マイエティオラ・ホルデイ(Mayetiola hordei)、コナカイガラムシ(mealybug)、リークモス(leek moth)、マイザス・ペルシカエ、ネザラ・ビリデュラ(Nezara viridula)、オリーブミバエ(olive fruit fly)、ヒメコバエ科(Opomyzidae)、パピリオ・デモドカス(Papilio demodocus)、パラコッカス・マルギナタス(Paracoccus marginatus)、パラタカルディナ・シュードロバータ(Paratachardina pseudolobata)、エンドウヒゲナガアブラムシ(pea aphid)、カメムシ上科(Pentatomoidea)、フトリマエア・オペルクレラ(Phthorimaea operculella)、フィロファーガ(Phyllophaga)(属)、フィロキセラ属(Phylloxera)、フィロキセロイデア上科(Phylloxeroidea)、ピンクボールワーム(pink bollworm)、プラティノータ・イダエウサリス(Platynota idaeusalis)、プラム・クルクリオ(Plum curculio)、シュードコッカス・ビバルニ(Pseudococcus viburni)、ピラリス・ファリナリス(Pyralis farinalis)、ヒアリ(red imported fire 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beetle)、ビラコラ・イソクラテス(Virachola isocrates)、ワックスワーム(waxworm)、ウェスタンコーンルートワーム(western corn rootworm)、グラナリアコクゾウムシ(wheat weevil)、ウィンターモス(winter moth)、およびキシレボラス・グラブラタス(Xyleborus glabratus)。
【0226】
実施例10 - 液内共培養を用いる、リポペプチドを含む組成物の調製
1つの態様において、リポペプチド(たとえばサーファクチン)を含む組成物は、バチルス・アミロリケファシエンスおよびミクソコッカス・キサンタスの共培養を用いて生産される。共に増殖させた場合、これらの種は互いを阻害しようとして、それにより、強力な抗細菌特性を有するリポペプチドを大量に産生する。
【0227】
バチルス・アミロリケファシエンスの接種原を、小スケールのリアクターにおいて24~48時間にわたり増殖させる。ミクソコッカス・キサンタスの接種原を、2 Lの作業容量の種培養フラスコにおいて、48~120時間にわたり増殖させる。発酵リアクターに、2種類の接種原を接種する。栄養培地は、以下を含む。
【0228】
微粒子を固定している担体が、栄養培地中に懸濁される。担体は、セルロース(1.0~5.0 g/L)および/またはトウモロコシ粉(1.0~8.0 g/L)を含む。
【0229】
2種の細菌は、液体の発酵培地にリポペプチドを産生する。その後、過剰な水を除去し、そして細菌細胞を不活性化するために、発酵後の培養液を乾燥させる。栄養培地、細胞、およびリポペプチドを含むこの生成物は、リポペプチド単独よりも、土壌および植物にとって有益である、なぜならば、不活性化された酵母細胞は、栄養素、たとえば、有機窒素、リン、およびカリウムなどの、優れた供給源であるからである。
【0230】
実施例11 - 有害生物を制御するためのリポペプチド
サーファクチンは、0.005%という低濃度で、水の表面張力を72 mN/mから27 mN/mへと減少させる能力を有する。サーファクチンは、強力な、抗細菌活性(抗バイオフィルム活性を含む)、抗ウイルス活性、および抗マイコプラズマ活性を有するが、抗真菌活性は弱い。
【0231】
イツリンは、膜孔形成リポペプチドの1クラスであり、さまざまな病原性酵母および真菌に対する抗真菌活性を有する。イツリンは、イオンが通過する孔を形成することによって、微生物の細胞膜の透過性を増加させることができる。その抗真菌活性は、標的細胞の形質膜とのイツリンリポペプチドの相互作用と、大きく増加するK+透過性とに関連している。
【0232】
フェンギシンもまた強力な抗真菌活性を示し、かつ広範囲にわたる植物病原体、特に糸状菌の増殖を阻害する。
【0233】
これらのリポペプチドの1種または複数種を含む組成物は、たとえば、ボトリティス・シネレア、スクレロティニア・スクレロティオラム、コレトトリカム・グロエオスポリオイデス(Colletotrichum gloeosporioides)、フォーマ・コンプラナータ(Phoma complanata)、フザリウム属種、アスペルギルス属種、バイポラリス・ソロキニアナ(Biopolaris sorokiniana)、キシレラ・ファスティディオーサ、ならびにモニリニア属種(Monilinia spp.)(たとえば、M. ラクサ(M. laxa)およびM. フルクティコーラ(M. fructicola))の増殖を阻害し得る。
【0234】
実施例12 - 微生物細胞を伴うバイオサーファクタント
有利なことに、本発明による、微生物細胞培養物を含む組成物は、植物、ヒト、および動物の存在下での適用に関して安全である。不活性化された微生物細胞は、タンパク質、RNA、脂質、アミノ酸、ビタミン、ミネラル、および微量元素を、高濃度で含み得る。
【0235】
好ましくは、本発明による微生物培養物の生産のために使用される基材は、すべて食品グレードの、安全な生産物である。発酵サイクルが終了したら、生産されたバイオサーファクタント、微生物細胞、ならびに残存する培養液および/または固体の基材を含む、得られる組成物は、過剰な水の余剰を蒸発させ、そして細胞を不活性化するために、乾燥され得る。得られる乾燥マスは、最終的な農業用生成物として使用され得、および/または他の乾燥した微生物培養物と混合され得る。
【0236】
1つの例示的な態様において、S. ボンビコーラの細胞は、植物の重要な栄養素である、窒素、リン、およびカリウムの供給源となり得る。さらに酵母は、培養中に、金属、たとえば、鉄、銅、および亜鉛などについて富化され得、したがって、土壌に適用された場合に、植物のための、これらの栄養素の供給源を提供する。
【0237】
1つの態様において、生きていても、または不活性であっても、S. ボンビコーラの細胞を含む組成物は、植物の根による、土壌からの栄養素の取り込みを増加させ得、根およびシュートのサイズの拡大をもたらし得る。加えて、1つの態様において、S. ボンビコーラの加水分解物を含む組成物は、たとえば、培養物中の、抗細菌性および/または抗真菌性バイオサーファクタント、ならびに他の代謝物の存在に加えて、植物の天然の防御機構の増大および/または活性化に起因して、細菌および/または真菌による病気を防止するのに役立ち得る。
【0238】
実施例13 - 温室効果ガスの減少
主要な温室効果ガスは3種類である:二酸化炭素、メタン、および亜酸化窒素。ある態様において、本発明の方法および組成物は、これらのガスおよび他の大気汚染ガスの放出を減少させる様式で、農作業を増大させるのに役立つ。
【0239】
1つの態様において、大気の温室効果ガスの放出の前駆化合物として作用し得る、化学的な、肥料、除草剤、防除剤、燻蒸剤、殺真菌剤、および生育刺激剤の代替物として、本組成物は作用する。
【0240】
1つの態様において、本発明の方法の組成物および方法は、大気中の二酸化炭素を減少させる。バイオサーファクタントは、生育のエンハンサーとして作用し、植物の根およびシュートのサイズの拡大を可能にする。したがって、より健全で、かつより強健な植物は、カーボンシンクとして作用し、光合成の間に炭素を固定し、そして過剰な炭素をバイオマスとして貯蔵する。
【0241】
1つの態様において、方法は、メタンの放出を減少させる。メタンは、メタン生成古細菌によって、および反芻家畜の消化器系に存在する細菌によって、産生される。本発明による組成物は、放牧地および/または家畜飼料に適用され、そしてその後、動物によって摂取された場合に、動物の消化管中のメタン生成生物の量を減少させ得、それにより、メタン産生を減少させ得る。
【0242】
1つの態様において、方法は、亜酸化窒素の放出を減少させる。亜酸化窒素に変換される、硝酸塩ベースおよび亜硝酸塩ベースの肥料を利用する農作業によって、大気中の亜酸化窒素の約60%が生成される。したがって、本発明による組成物は、無機肥料の代替物として適用された場合に、農産業によって発生する亜酸化窒素の量を減少させ得る。
【0243】
実施例14 - 固相「マトリックス」発酵
微生物を培養する、および/または微生物の増殖時副生成物を生産する方法は、以下を含み得る:マトリックスを形成するために、トレイ上に、水と混合された固体の基材の層、および任意で、微生物の増殖を増大させるための栄養素を、広げる段階、;微生物の接種原を、マトリックスの表面上に適用する段階;接種されたトレイを、発酵リアクター内に収める段階;温度を25~40℃の間に安定させるために、リアクター内に空気を通過させる段階;ならびに、マトリックス全体に微生物を繁殖させる段階。
【0244】
好ましい態様において、本方法によるマトリックス基材は、食材を含む。食材は、たとえば、以下を含み得る:コメ、マメ(bean)もしくはマメ(legume)、レンズマメ、キヌア、フラックスシード、チア、トウモロコシ、他の穀物、パスタ、ウィートブラン、穀類の粉もしくは粗びき粉(たとえば、トウモロコシ粉、ニシュタマライズされたトウモロコシ粉、部分的に加水分解されたトウモロコシの粗びき粉)、ならびに/または、微生物培養物が増殖および/もしくは摂取するための表面エリアを提供するための、他の類似の食材。
【0245】
1つの態様において、培養方法は、トレイを調製することを含み、該トレイはたとえば、標準的な発酵オーブンに適合する、金属製の天板または蒸し器であり得る。いくつかの態様において、「トレイ」は、基材および培養物を保持することが可能な、任意の容器またはコンテナであり得、これはたとえば、プラスチック製、金属製、もしくはガラス製の、たとえば、フラスコ、カップ、バケツ、プレート、平鍋、タンク、たる、皿、またはカラムなどである。
【0246】
調製は、トレイの内側表面を、たとえばホイルで覆うことを含み得る。調製はまた、たとえばオートクレーブすることによって、トレイを滅菌することも含み得る。
【0247】
次に、食材品、水、ならびに任意で、微生物の増殖を支援するための追加の塩および/または栄養素を混合することによって、マトリックス基材が調製される。
【0248】
混合物はその後、トレイ上に広げられ、そして層状にして、およそ1~12インチ、好ましくは1~6インチの厚さを有するマトリックスを形成する。マトリックスの厚さは、それが調製されるトレイまたは他のコンテナの容量に応じて変動し得る。
【0249】
好ましい態様において、マトリックス基材は、そこで微生物が増殖し得る十分な表面エリアとともに、酸素供給を利用する機会の増大をも提供する。したがって、微生物がそこで増殖および繁殖する基材は、微生物のための栄養培地としても作用し得る。
【0250】
接種されたトレイはその後、温度制御された空間、という形の、発酵リアクターの内側に収められ得る。発酵のパラメーターは、産生される所望の生成物(たとえば、所望の微生物バイオサーファクタント)、および培養される微生物に基づいて、調整され得る。
【0251】
リアクター内の温度は培養される微生物に応じて変わるが、一般的には、温度制御された空気循環を用いて、約25~40℃の間に維持される。循環する空気は、培養物への連続的な酸素供給をも提供し得る。空気循環はまた、所望のレベル、たとえば約90%の外気に、DOを維持するのにも役立ち得る。
【0252】
培養物は、微生物が所望の濃度に到達することを可能にする期間にわたってインキュベートされ得、好ましくは1日~14日、より好ましくは2日~10日である。
【0253】
いくつかの態様において、微生物は、発酵期間中に、マトリックス基材の一部か、またはその全体のいずれかを消費する。
【手続補正書】
【提出日】2022-04-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の段階を含む、土壌の健全性および/または植物の健全性を増大させる方法:
生きているおよび/もしくは不活性化されているスターメレラ・ボンビコーラ、サッカロマイセス・セレビシエ、バチルス・モジャベンシス、バークホルデリア・タイランデンシス、シュードザイマ・アフィディス、バチルス・アミロリケファシエンス、ならびに/またはミクソコッカス・キサンタスである微生物と、それらの増殖時副生成物とを含み、任意で、該微生物が培養されていた発酵培養液および/または固相基材を含み、かつ任意で、プレバイオティクスの1種または複数種の供給源を含む、組成物を、土壌および/または植物に適用する段階。
【請求項2】
プレバイオティクスの1種または複数種の供給源が、ケルプ抽出物、フルボ酸、キチン、フミン酸塩、および/またはフミン酸である、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
増殖時副生成物がバイオサーファクタントである、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
S. ボンビコーラ、B. タイランデンシス、P. アフィディス、およびS. セレビシエによって産生されるバイオサーファクタントが、糖脂質である、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
糖脂質が、ラムノ脂質、マンノシルエリスリトール脂質、および/またはソホロ脂質である、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
B. モジャベンシス、B. アミロリケファシエンス、およびM. キサンタスによって産生されるバイオサーファクタントが、リポペプチドである、
請求項3に記載の方法。
【請求項7】
リポペプチドが、フェンギシン、イツリン、および/またはサーファクチンである、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
土壌の性質の1つまたは複数が改善される、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
土壌の水保持能力が改善される、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
土壌の排水能力および/または水分散能力が改善される、
請求項8に記載の方法。
【請求項11】
土壌の栄養素含量が改善される、
請求項8に記載の方法。
【請求項12】
土壌中の汚染物質が減少する、および/または除去される、
請求項8に記載の方法。
【請求項13】
土壌の塩度が減少する、
請求項8に記載の方法。
【請求項14】
土壌における浸透圧が減少する、
請求項8に記載の方法。
【請求項15】
有害生物を制御するために使用される、
請求項1に記載の方法。
【請求項16】
植物の防御機構を活性化するために使用される、
請求項1に記載の方法。
【請求項17】
植物の生育を刺激するために使用される、
請求項1に記載の方法。
【請求項18】
GHG放出が減少する、
請求項1に記載の方法。
【請求項19】
組成物を土壌に適用する段階の前に、土壌のタイプを特徴付けする段階をさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
有利なことに、本発明は、大量の汚染化合物を環境中に放出すること無しに使用され得る。実際、いくつかの態様において、本発明は、農作業の改善を通じて、温室効果ガスおよび他の大気汚染物質の放出を減少させるために、使用され得る。加えて、生物分解性であってかつ毒物学上安全である成分を、組成物および方法は利用する。したがって本発明は、「環境を損なわない(green)」農業用生成物として使用され得る。
[本発明1001]
スターメレラ・ボンビコーラ(Starmerella bombicola)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、バチルス・モジャベンシス(Bacillus mojavensis)、バークホルデリア・タイランデンシス(Burkholderia thailandensis)、シュードザイマ・アフィディス(Pseudozyma aphidis)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、および/またはミクソコッカス・キサンタス(Myxococcus xanthus)である微生物と、それらの増殖時副生成物とを含み、任意で、該微生物が培養されていた発酵培養液および/または固相基材を含み、かつ任意で、プレバイオティクスの1種または複数種の供給源を含む、組成物であって、
該微生物が、生きているか、不活性化されているか、または、生きている細胞および不活性化されている細胞の組み合わせであり、かつ
該増殖時副生成物がバイオサーファクタントである、
前記組成物。
[本発明1002]
プレバイオティクスの1種または複数種の供給源が、ケルプ抽出物、フルボ酸、キチン、フミン酸塩、および/またはフミン酸である、本発明1001の組成物。
[本発明1003]
S. ボンビコーラ、B. タイランデンシス、P. アフィディス、およびS. セレビシエによって産生されるバイオサーファクタントが、糖脂質として分類される、本発明1002の組成物。
[本発明1004]
糖脂質が、ラムノ脂質、マンノシルエリスリトール脂質、および/またはソホロ脂質である、本発明1003の方法。
[本発明1005]
B. モジャベンシス、B. アミロリケファシエンス、およびM. キサンタスによって産生されるバイオサーファクタントが、リポペプチドである、本発明1002の組成物。
[本発明1006]
リポペプチドが、サーファクチン、イツリン、および/またはフェンギシンである、本発明1005の組成物。
[本発明1007]
以下の段階を含む、土壌の健全性および/または植物の健全性を増大させる方法:
生きているおよび/もしくは不活性化されているスターメレラ・ボンビコーラ、サッカロマイセス・セレビシエ、バチルス・モジャベンシス、バークホルデリア・タイランデンシス、シュードザイマ・アフィディス、バチルス・アミロリケファシエンス、ならびに/またはミクソコッカス・キサンタスである微生物と、それらの増殖時副生成物とを含み、任意で、該微生物が培養されていた発酵培養液および/または固相基材を含み、かつ任意で、プレバイオティクスの1種または複数種の供給源を含む、組成物を、土壌および/または植物に適用する段階。
[本発明1008]
プレバイオティクスの1種または複数種の供給源が、ケルプ抽出物、フルボ酸、キチン、フミン酸塩、および/またはフミン酸である、本発明1007の方法。
[本発明1009]
増殖時副生成物がバイオサーファクタントである、本発明1007の方法。
[本発明1010]
S. ボンビコーラ、B. タイランデンシス、P. アフィディス、およびS. セレビシエによって産生されるバイオサーファクタントが、糖脂質である、本発明1009の方法。
[本発明1011]
糖脂質が、ラムノ脂質、マンノシルエリスリトール脂質、および/またはソホロ脂質である、本発明1010の方法。
[本発明1012]
B. モジャベンシス、B. アミロリケファシエンス、およびM. キサンタスによって産生されるバイオサーファクタントが、リポペプチドである、本発明1009の方法。
[本発明1013]
リポペプチドが、フェンギシン、イツリン、および/またはサーファクチンである、本発明1012の方法。
[本発明1014]
土壌の性質の1つまたは複数が改善される、本発明1007の方法。
[本発明1015]
土壌の水保持能力が改善される、本発明1014の方法。
[本発明1016]
土壌の排水能力および/または水分散能力が改善される、本発明1014の方法。
[本発明1017]
土壌の栄養素含量が改善される、本発明1014の方法。
[本発明1018]
土壌中の汚染物質が減少する、および/または除去される、本発明1014の方法。
[本発明1019]
土壌の塩度が減少する、本発明1014の方法。
[本発明1020]
土壌における浸透圧が減少する、本発明1014の方法。
[本発明1021]
有害生物を制御するために使用される、本発明1007の方法。
[本発明1022]
植物の防御機構を活性化するために使用される、本発明1007の方法。
[本発明1023]
植物の生育を刺激するために使用される、本発明1007の方法。
[本発明1024]
GHG放出が減少する、本発明1007の方法。
[本発明1025]
組成物を土壌に適用する段階の前に、土壌のタイプを特徴付けする段階をさらに含む、本発明1007の方法。
【国際調査報告】