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特表2022-544268解剖ツールのためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-17
(54)【発明の名称】解剖ツールのためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/3203 20060101AFI20221007BHJP
   A61B 18/14 20060101ALI20221007BHJP
【FI】
A61B17/3203
A61B18/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022508772
(86)(22)【出願日】2020-08-11
(85)【翻訳文提出日】2022-02-28
(86)【国際出願番号】 US2020045688
(87)【国際公開番号】W WO2021030304
(87)【国際公開日】2021-02-18
(31)【優先権主張番号】62/887,230
(32)【優先日】2019-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】リチャーズ、ローラ エミリー
(72)【発明者】
【氏名】キリンガー、カイラ
(72)【発明者】
【氏名】リナバリー、キルステン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160FF10
4C160KK03
(57)【要約】
一例によれば、医療デバイス(102)が提供される。医療デバイスは、流体供給デバイスと境界を有する状態で接続するための近位開口部を有する近位端部(110)を有する本体(108)を備える。本体は、近位開口部から、本体の長手方向軸に沿って流体ジェット(118)を放射するように構成された遠位開口部(109)までのチャネルを画定する。本体は、長手方向軸を横断する方向に延在する表面を有し、流体ジェットを受け取るために遠位開口部に面する遠位壁表面をさらに含む。本体は、遠位壁表面と遠位開口部との間の空間も画定する。遠位壁は、組織と係合するように構成された突起を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療デバイスであって、
近位開口部を有する近位端部を有する本体であって、前記本体は、前記近位開口部から遠位開口部までのチャネルを画定しており、該チャネルは前記本体の長手方向軸に沿って流体ジェットを放射するように構成されている、本体
を備え、
前記本体は、前記長手方向軸を横断する方向に延在する表面を有し、前記流体ジェットを受け取るために前記遠位開口部に面する遠位壁表面をさらに含み、前記本体は、前記遠位壁表面と前記遠位開口部との間の空間を画定し、前記遠位壁は、組織と係合するように構成された突起を含む、医療デバイス。
【請求項2】
前記遠位開口部は、前記組織を穿孔する圧力で前記流体ジェットを放射する、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
前記圧力は、1723.69キロパスカル(250ポンド/平方インチ)以下である、請求項2に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記遠位開口部は、約1ミリメートル以下の直径を有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【請求項5】
前記近位開口部は、前記遠位開口部の直径よりも大きい直径を有する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【請求項6】
前記チャネルは、断面サイズにおいて前記遠位開口部から前記近位開口部へテーパ状になっている、請求項1または5に記載の医療デバイス。
【請求項7】
前記突起は、前記組織と係合するための1つまたは複数の尖った先端を備える、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【請求項8】
前記本体は、前記近位開口部において流体を受け取り、前記流体の圧力が所定の閾値を超えるまで、前記本体内に前記流体を維持するように構成された弁およびばねをさらに備える、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【請求項9】
前記弁は、前記ばねに対して固定的に結合され、前記弁および前記ばねは、前記近位開口部と前記遠位開口部との間に配置され、前記弁は、前記ばねに近接する、請求項1または8に記載の医療デバイス。
【請求項10】
前記弁は、一方向弁であり、前記ばねは、前記本体内に固定された遠位端部を有するコイルばねである、請求項1、8または9に記載の医療デバイス。
【請求項11】
前記本体は、前記組織に対して無線周波数(RF)エネルギーを供給するために電気的医療である、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【請求項12】
前記本体に対して供給される前記RFエネルギーは、前記遠位壁表面へ伝導される、請求項1または11に記載の医療デバイス。
【請求項13】
前記本体は、前記近位開口部と前記遠位壁表面との間に前記長手方向軸に沿って配設された、組織と係合する領域を画定するための底面をさらに備える、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【請求項14】
前記本体の前記近位端部に対して結合される可撓性チューブをさらに備え、前記可撓性チューブは、前記本体に対して流体を供給するためのチャネルを含む、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【請求項15】
前記可撓性チューブは、前記本体に対する無線周波数(RF)エネルギーの供給のための導電性のチューブ、ワイヤ、ケーブル、またはブレードを含む、請求項1または14に記載の医療デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、組織切除のための内視鏡デバイスを含む医療デバイスに関する。特に、本開示の実施形態は、流体駆動内視鏡解剖ツールのためのシステムおよびデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
腫瘍切除および他の組織治療は、組織を破壊するために無線周波数(RF)エネルギーを供給することによって医療デバイス(例えば、内視鏡デバイス)によって実行されることが多い。悪性腫瘍切除の場合、正確な診断を確認するために、ならびに組織の完全な除去および治療を確認するために、組織構造を保存することが望ましいことがある。組織構造は、RFエネルギー供給期間中に破壊され得るので、組織切除成功の医療確認が遅延することまたは不完全なことがある。例えば、破壊された組織構造は、治療された組織の適当な生検および分類を遅延または抑制することがある。また、RFエネルギー供給デバイスは、例えば、遅延した組織効果の結果として、術後合併症および組織アーチファクトを引き起こすことがある。したがって、最小限の付随的組織損傷を伴う、高速で、正確で、かつ、精密な方法に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0003】
一例によれば、医療デバイスが提供される。医療デバイスは、近位開口部を有する近位端部を有する本体を備える。本体は、近位開口部から、本体の長手方向軸に沿って流体ジェットを放射するように構成された遠位開口部までのチャネルを画定する。本体は、長手方向軸を横断する方向に延在する表面を有し、流体ジェットを受け取るために遠位開口部に面する遠位壁表面をさらに含む。本体は、遠位壁表面と遠位開口部との間の空間を画定する。遠位壁は、組織と係合するように構成された突起を含む。
【0004】
別の例示的な実施形態において、医療デバイスは、流体源に結合可能な近位端部と遠位端部とを有する管状部材を備える。医療デバイスは、管状部材内に配設される流体チャネルを有し、流体を管状部材の近位端部から管状部材を通って遠位端部へ供給するように構成される。医療デバイスは、管状部材の遠位端部に位置するノズルを有する。ノズルは、長手方向軸に沿って流体ジェットを放射するように構成される。遠位壁は、長手方向軸を横断する方向に延在する表面を有し、流体ジェットを受け取るためにノズルに面する。壁は、組織と係合するように構成された突起を含む。医療デバイスは、ノズルと遠位壁との間の空間を画定する。
【0005】
別の実施形態において、医療組織の方法が提供される。本方法は、関心のある組織に近接して医療デバイスを配置する工程と、関心のある組織に近接した位置において医療デバイスを保持するために、関心のある組織を医療デバイスの突起と係合させる工程と、医療デバイスの遠位開口部から医療デバイスの遠位壁表面へ長手方向軸に沿って流体を放射する工程とを備える。流体は、関心のある組織を穿孔する。
【0006】
いくつかの例示的な実施形態において、遠位開口部は、組織を穿孔する圧力で流体ジェットを放射する。流体ジェットの圧力は、1723.69キロパスカル(250ポンド/平方インチ)以下とし得、遠位開口部は、約1ミリメートル以下の直径を有し得る。近位開口部は、遠位開口部の直径よりも大きい直径を有する。チャネルは、断面サイズにおいて遠位開口部から近位開口部へテーパ状になっており、突起は、組織と係合するための1つまたは複数の尖った先端を備える。
【0007】
付加的な実施形態において、本体は、弁およびばねをさらに備え、弁は、ばねに対して固定的に結合され、ばねに近接して配設され、管状部材の近位開口部と遠位開口部との間に配置される。本体は、組織に対して無線周波数(RF)エネルギーを供給するために導電性とし得る。本体に対して供給されるRFエネルギーは、遠位壁表面へ伝導する。本体は、近位開口部と遠位壁表面との間に長手方向軸に沿って配設された、組織と係合する領域を画定するための底面を備える。医療デバイスは、本体の近位端部に結合される可撓性チューブも備える。可撓性チューブは、本体に対して流体を供給するためのチャネルを有する。可撓性チューブは、本体に対する無線周波数(RF)エネルギーの供給のための導電性チューブ、ワイヤ、ケーブル、またはブレードを含む。
【0008】
前述の一般的な説明と以下の詳細な説明との両方は、例示および説明的なものにすぎず、特許請求されているような本発明を制限するものでないことが理解され得る。本明細書において使用される場合、「備え」、「備える」という用語、またはこれらの任意の他のバリエーションは、非排他的な包含物を網羅するように意図されており、それにより、要素のリストを備えるプロセス、方法、物品、または装置は、それらの要素のみを含むのではなく、明示的に列挙されていない、またはそのようなプロセス、方法、物品、もしくは装置に固有の、他の要素を含んでもよい。「例示的な」という用語は、「理想的な」というよりも、「例」の意味で使用される。本明細書において使用される場合、「近位」という用語は、操作者に対してより近い方向を意味し、「遠位」という用語は、操作者からより遠い方向を意味する。内視鏡検査が本明細書において参照されているが、そのような参照は、開示されているツールの可能な適用を限定するものとして解釈されるべきでない。例えば、開示されているツールは、気管支鏡検査、尿管鏡検査、大腸内視鏡検査、または身体内の他の処置などの処置において使用されてもよい。
【0009】
本明細書に援用され、かつ、本明細書の一部を構成する、添付の図面は、本開示の例を例示しており、説明と共に、本開示の原理を解説する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態による、流体駆動組織解剖を実行する医療デバイスの斜視図。
図2A図1の医療デバイスの遠位端部を示す図。
図2B図1の医療デバイスの遠位端部を示す図。
図3図1の医療デバイスの断面図。
図4A】医療デバイスの別の実施形態の断面図。
図4B】医療デバイスの別の実施形態の断面図。
図4C】医療デバイスの別の実施形態の断面図。
図5】組織に対してデュアル流体駆動組織解剖およびRFエネルギー供給を実行するように構成された、本開示による医療デバイスのさらに別の実施形態の断面図。
図6】流体駆動組織解剖を実行するための動作を図示する例示的なフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
組織解剖、ならびに特に組織/腫瘍切除および除去は、最小限の付随的組織損傷を伴う、高速で、正確で、かつ、精密な方法を実装する医療デバイスから恩恵を受け得る。そのような医療デバイスは、例えば、医学的診断の確認のために、および効果的な組織治療のために組織構造を保存することによって、組織切除を実行するために無線周波数(RF)エネルギーのみを供給する医療デバイスよりも、効果的かつ有利となり得る。いくつかの実施形態において、組織解剖技法(例えば、粘膜下層剥離術)を実行するために、流体が供給され得る。流体駆動システムは、高精度および低発熱で組織を効果的に解剖または切除するように構成され得る。また、流体駆動切除システムは、組織切除期間中に凝固および止血機能を提供するために、RFエネルギー供給技術または他のエネルギー供給技術と組み合わされてもよい。一例において、流体駆動組織切除技法は、外科処置期間中の失血の低減につながり得、低温は、組織および血管構造を保存するのに役立つ。切除深さも、可変の流体圧力印加によって制御されることが可能である。したがって、本開示の態様は、流体駆動組織切除システムを有する医療デバイスに対して向けられる。
【0012】
ここで、図1が参照される。図1は、例示的な医療デバイス102を示す。医療デバイス102は、例えば、組織切除方法(例えば、粘膜下層組織剥離術)を実行するために使用される、カテーテルなどの内視鏡医療デバイスであり得る。医療デバイス102は、近位端部(図示せず)と遠位端部106とを備えた管状部材104を有する。管状部材104は、内視鏡検査などの医療処置のために使用される、任意の知られているまたは想定される管状部材104であってもよく、例えば、1つまたは複数のチャネルまたは内腔が内部に配設され、医療動作のために管状部材104の近位端部と遠位端部106との間に延在する、可撓性チューブ状部材であってもよい。一例において、管状部材104は、カテーテルであり、カテーテルは、ソリッド型、スロット型、ブレード型、射出成形型、またはリフロー型であってもよい。図1および図2Aに示されるように、管状部材104の少なくとも遠位部分は、例えば、管状部材104に対して可撓性を加えるために、スロットを有する。スロットを有する部分は、以下に説明される本体108に結合する、遠位端部106におけるスロットを有しない部分へ延在し得る。一例において、管状部材は、押し出しデバイスであってもよい。医療デバイス102は、管状部材104の近位端部に対して接続されるハンドル(図示せず)も有する。操作者は、ハンドルを使用して、本明細書における例によって説明される動作を含む、医療デバイス102の動作を実行し得る。ハンドルは、医療処置のために使用される、任意の知られているまたは想定されるハンドルであってもよく、流体および/またはエネルギー供給のための適切なポートおよびプラグを含み得る。また、医療デバイス102は、管状部材104の近位端部に位置する流体供給機構(図示せず)を有する。流体供給機構は、ハンドルの一部であってもよく、またはハンドルの一部でなくてもよく、流体が管状部材104の近位端部から、1つまたは複数の内部チャンネルまたは内腔を介して、遠位端部106へ、および最終的には本体108へ流れることを可能にして、本明細書において説明される流体駆動組織切除技法を実行する。一例において、流体供給機構は、管状部材104の近位端部、例えば、ハンドル内に配設される流体源を含んでもよい。別の例において、流体供給機構は、遠隔の流体源から管状部材104(例えば、ポンプ)を通じて流体を駆動するための機構であってもよい。
【0013】
医療デバイス102は、管状部材104の遠位端部106に配設される本体108も含む。本体108は、近位端部110と遠位端部112とを有する。一例において、本体108の近位端部110は、管状部材104の遠位端部106と境界を有する状態で接続する(interface)/係合するように構成される。例えば、本体108は、管状部材104の遠位端部106における嵌合コンポーネント内へ差し込まれてもよい。いかなる内部ワーキングチャンネルおよび/または内腔も、本体108および管状部材104とアラインされ得ることが認識されるべきである。他の例において、本体108は、(例えば、管状部材104に対して接合されること、または他の方法で付着させられることもしくは取り付けられることによって)管状部材104と一体的に形成され、管状部材104に対して恒久的に固定されてもよい。本体108は、近位開口部(図1に図示せず)と遠位開口部109とを有する。
【0014】
図1は、組織境界114も示す。組織境界114は、人体内の任意の組織層であり得る。図1は、参照符号116において対象組織も示す。一例において、対象組織116は、胃腸(GI:gastrointestinal)内皮内に位置する腫瘍であり得るが、対象組織116は、人体における任意の組織であってよいことが認識されるべきである。本明細書において説明される技法は、例えば、流体駆動組織切除方法を提供することによって、対象組織116の治療を可能にする。図1は、組織境界114の下に埋め込まれた本体108の遠位端部112を示す。参照符号118は、治療が適用されている組織境界114および組織領域120を穿孔するために、十分に高圧で流体が供給され得る方向を示す。最終的に、医療デバイス102は、対象組織116を切除するために使用される。これらのシステムおよび方法は、本明細書において、より詳細に説明される。
【0015】
ここで、図2Aが参照され、図2Aは、1つの例示的な実施形態による管状部材104の遠位端部106における本体108を示す。上述されたように、本体108は、例えば、管状部材104の遠位端部106における開口部(図1に図示せず)内へ差し込むことによって、管状部材104と境界を有する状態で接続するように構成される。本体108は、図1に示される近位開口部(図1に図示せず)と遠位開口部109とを有する。中間流体チャネル(図1に図示せず)は、本明細書において説明されるように、本体108の近位開口部と本体108の遠位開口部109との間の本体108において形成される。一例において、中間流体チャネルは、管状部材104(例えば、カテーテル)の少なくとも1つのチャネルまたは内腔とアラインすることが認識されるべきである。図2Aは、本体108の遠位開口部109から軸(例えば、長手方向軸)に沿って放射される流体ジェット210を示す。図2Aは、参照符号211において、軸に沿った流体流れの方向も示す。本体108の近位開口部は、医療デバイス102の内部および/または外部にある流体供給デバイス(例えば、図1に関連して説明された流体供給機構)と境界を有する状態で接続するように、かつ、流体供給デバイスから流体を受け取るように構成される。本体108の遠位開口部109は、流体供給デバイスから供給された流体を放射するように構成される。中間流体チャネル(図2Aに図示せず)は、本明細書において説明されるように、本体108の近位開口部と本体108の遠位開口部109との間の本体108において形成される。一例において、流体供給デバイスは、流体(例えば、水または生理食塩水)が医療デバイス102の近位端部における源から、本体108の遠位開口部109を通じた排出のために本体108の近位開口部へ供給されるように、医療デバイス102の管状部材104内に配設された流体内腔またはチャネルであり得る。この例において、本体108は、流体が流体供給デバイスから放射される際に、流体ジェット210を供給するように構成される。
【0016】
流体ジェット210は、組織切除のために十分な流体圧力で供給される水、食塩水、または他の液体の流体ジェットであり得る。例えば、流体ジェット210は、最大60大気圧バー(「bar」)、または最大約5998.44kPa(870ポンド/平方インチ(psi))の流体圧力で、本体108の遠位開口部109を通って放射され得る。1つの実施形態において、本体108の遠位開口部109の直径が1ミリメートル(mm)である場合、流体ジェット210は、1723.69kPa(250psi)以下の流体圧力で放射される。適切な流体圧力は、組織タイプ、流体ジェット210のために使用される流体、本体108の遠位開口部109の直径等を含むが、これらに限定されない、システムパラメータおよびデバイスパラメータに応じて変わり得ることが認識されるべきである。一例において、遠位開口部109の直径は、管状部材104のチャネルと、流体ジェット210の組織衝撃の意図されるエリアの所望のサイズとに基づいて異なる。例えば、約20~60バーの間の流体圧力が、組織切除のために使用されてもよく、例えば、比較的低い圧力は、よりきれいで、かつ、より精密な組織穿孔または組織貫通を提供して、リスクを最小限にする。一例において、遠位開口部109が約0.1016センチメートル(0.04インチ)の直径を有する場合、約1723.69kPa(約250psi)未満の流体圧力は、組織(例えば、筋組織、病変組織、または医療デバイス102によって治療されるべき他のタイプの組織)を穿孔するのに十分であり得、遠位開口部109が約0.127センチメートル(約0.05インチ)の直径を有する場合、約689.476kPa(約100psi)未満の流体圧力は、組織を穿孔するのに十分であり得る。GI管の粘膜層および粘膜下層は筋肉よりも頑丈であり得るので、筋組織に対する流体圧力とは対照的に、粘膜層および/または粘膜下層の組織切除に対しては、より高い流体圧力が望ましいことがある。一例において、約4136.85kPa(約600psi)の流体圧力は、粘膜組織および/または粘膜下層組織を貫通し得る。流体圧力は、遠位開口部109のタイプ(例えば、遠位開口部109の内部形状および幾何学的形状)にも基づいて変わり得る。一例において、遠位開口部109は、圧力を分散させるために面取りされてもよく、または流体のストリーム(例えば、流体ジェット210)を集中させるために内向きの円錐形/テーパ状(近位から遠位の方向へテーパ状)にされていてもよい。
【0017】
図2Aは、遠位壁220の外面も示す。遠位壁220は、流体ジェット210が放射される長手方向軸を横断する方向に延在する。例示的な実施形態による本体108の図を示す図2Bを参照すると、遠位壁220の、近位に面した内面は、参照符号220aにおいて示されている。内面220aは、本体108の遠位開口部109に面する。流体が本体108を通って供給される場合、流体ジェット210は、本体108の遠位開口部109から放射され、流体ジェット210は、遠位壁220の内面220aにおいて受け取られる。図2Bは、遠位壁220の上部端部において突起230を有し、流体ジェット210が放射される長手方向軸を横断する方向に延在する遠位壁220も示す。突起230は、半径方向外向きの方向を指す、遠位壁220の比較的鋭い先端であり得る。突起230は、組織に係合する(例えば、組織表面を穿孔する、および/または組織表面上に配置される)ように構成される。例えば、突起230は、図1に関連して説明された組織境界114に係合して、本明細書において説明される流体駆動組織切除方法の最終的な実行のために、関心のある組織(例えば、対象組織116)に近接する領域に対して本体108を案内する、または取り付ける。一例において、突起230は、組織に係合し、取り付けられるように構成されるフックまたはフック状特徴部である。突起230は、1つまたは複数の先端またはプロング(prongs)を含んでもよい。
【0018】
流体ジェット210が、組織を切除するために十分に高い流体圧力で放射される際に、意図されない組織貫通を最小限にすることまたは軽減することに対する要望がある。一例において、流体ジェット210をブロックするためのバリアを有しない軽減されていない流体流れは、組織治療が意図されない器官/組織を迅速に貫通し得る。突起230は、突起230によって獲得される組織を流体流れが通過することをブロックすることによって、意図されない組織貫通を防止または制限し得る。突起230は、流体ジェット210が衝突する固体表面(例えば、遠位壁220の内面220a)を提供し、固体表面は、流体ジェット210の力を放散させ得る。流体ジェット210が固体表面に衝突する際に、流体は「はね返り」得る。流体のはね返りによる意図されない組織貫通を軽減または防止するために、流体のはね返りは、周囲の健全な組織に対して損傷を引き起こさないように(および、例えば、動作のカメラ視界をさえぎることを回避するように)十分に低いエネルギーであり得る。したがって、突起230は、流体ジェット210が突起230に衝突する際に、はね返りの流体エネルギーを最小限にするような形状にされ得る。例えば、固体表面(例えば、遠位壁220の内面220(a))は、流体ジェット210の流れに対して平坦、凸状、または凹状であってもよい。一般に、遠位壁220および突起230の輪郭は、はね返りを安全に誘導するために、遠位開口部109からの距離、形状、材料、および厚さの観点において最適化され得る。図2Aを再び参照すると、この放散は、参照符号240において示されており、流体は、本体108および遠位壁220の縁部および側面に沿って放散し、最小限の意図されない組織貫通を引き起こし、または意図されない組織貫通を引き起こさない。
【0019】
図2Bは、本体108のベッド領域(「ベッド」)250も示す。ベッド250は、一例において、本体108の遠位開口部109と本体108の遠位壁220との間の長手方向軸に沿って配設された面である。ベッド250は、遠位開口部109と遠位壁220との間で組織を受け入れるための、本体108における空間を画定し得る。一例において、ベッド250は、遠位壁220の内面220aを、本体108の遠位開口部109を有する本体108の側面へ接続する面である。ベッド250は、切除された組織を患者の身体から除去するために、医療処置期間中に使用され得る。例えば、対象組織116が流体駆動切除方法により治療された後に、本体108は、対象組織116がベッド250上に配置され、医療デバイス102が除去される際に患者の身体から除去されるように、操作されてもよい。切除された組織を捕捉し、患者から医療デバイス102を退避させる期間中に、切除された組織を保持するのを支援するために、ベッド250の面は、切除された組織がベッド250の面に付着するように、粘着性コーティングにより処理されてもよく、または他の方法で処理されてもよい。
【0020】
ここで、図3が参照され、図3は、医療デバイス102の断面図を示す。図3は、本体108の断面図と、医療デバイス102の管状部材104の遠位端部とを示す。図3は、本体108内の中間流体チャネル330と、管状部材104内の一次流体チャネル340とを示す。図2Aに関連して説明されたように、中間流体チャネル330は、本体108における近位開口部と、本体108の遠位開口部109との間に形成される。図3において、一次流体チャネル340内の流体は、矢印350によって示されるように、本体108の近位開口部(図3に図示せず)を介して、中間流体チャネル330へ流れる。言い換えれば、本体108の近位開口部は、一次流体チャネル340の遠位開口部と境界を有する状態で接続し、それにより、流体は、一次流体チャネル340と中間流体チャネル330との間を流れ得る。中間流体チャネル330は、近位端部から遠位端部へテーパ状にされている。言い換えれば、中間流体チャネル330の断面積および/または直径は、その近位端部からその遠位端部へ向かって減少している。結果として、流体が中間流体チャネル330を通って(矢印360において示される)遠位方向へ流れるにつれて、流体圧力が増加する。したがって、流体は、中間流体チャネル330の近位端部における流体流れと比較した場合、および一次流体チャネル340内の流体流れと比較した場合、中間流体チャネル330の遠位端部に向かって、より高い圧力で流れる。結果として、流体ジェット210が、本体108の遠位開口部109において中間流体チャネル330から出て行く際に、流体ジェット210は、一次流体チャネル340の流体圧力に比べて、より高い流体圧力で放射される。この例において、本体108の遠位開口部109は、高い相対的流体圧力で流体ジェット210を放射するためのノズルとして動作する。本明細書において説明されるように、流体ジェット210の流体圧力は、組織切除動作を実行するのに十分な高さである。参照240における水の放散によって示されるように、はね返りは制限される。
【0021】
ここで、図4A図4Cが参照され、図4A図4Cは、医療デバイス102’の別の実施形態の断面図を示す。図4Aは、管状部材410と、遠位端部構造420と、本体425とを示す。管状部材410は、管状部材104の構造および機能を有し得、本体425は、本体108の構造および機能を有し得る。遠位端部構造420は、遠位端部106の構造および機能を有し得る。遠位端部構造420は、弁450と、ばね460とをさらに含む。図4Aに図示された例において、流体は、医療デバイス102’の遠位端部へ供給され得る。遠位端部においては、流体が管状部材410を通って、430において示される中間流体チャネルへ進んだ後に、中間流体チャネル430は、中間流体チャネル430が狭くなるにつれて流体を保持する。
【0022】
弁450は、中間流体チャネル430の狭窄部435から遠位にある、中間流体チャネル430の遠位部分に位置する。狭窄部435は、狭窄部435の遠位にあるチャネル430の部分、および近位にあるチャネル430の部分に比べて、より小さい直径および/または断面積を有する。弁450は、中間流体チャネル430に対して固定されず、したがって、例えば、矢印405によって示される方向に沿って、チャネル430内で長手方向に並進することができる。ばね460も、弁450から遠位にある、中間流体チャネル430の遠位部分に位置する。ばね460は、ばね460の近位端部において弁450に取り付けられる。
【0023】
ばね460および弁450は、参照462において示される、中間流体チャネル430の近位開口部と、本体425の近位端部との間に配置される。一例において、本体425は、遠位端部構造420に接合され、それにより、ばね460が、ばね460の遠位端部において本体425の表面に取り付けられる。一例において、ばね460は、圧力の印加時に(例えば、弁450に対する方向405に沿った流体圧力の印加時に)圧縮可能なコイルばねである。一例において、弁450は、流体が中間流体チャネル430から単一方向に出て行くことを可能にする一方向弁である。
【0024】
ここで、図4Bおよび図4Cが参照される。図4Bは、弁450の閉鎖状態構成を示す。図4Bにおいて、矢印470a~470cは、中間流体チャネル430へ流れ込む流体を表す。流体圧力は、中間流体チャネル430が弁450に向かって狭くなるにつれて、矢印470cにおいて増加する。図4Bにおいて、弁は閉鎖されており、したがって、流体は、中間流体チャネル430から出て行かない。図4Cは、弁450の開放状態構成を示す。図4Cにおいて、流体が十分な圧力(例えば、閾値圧力)に達すると、弁450に対してばね460によって加えられる近位力が克服され、圧力は、ばね460に向かって遠位方向に(例えば、方向405に沿って)弁450を付勢し、したがって、ばね460を遠位方向に圧縮する。遠位運動が始まると、弁450の形状は、弁450のより大きい面積が流体流れに対して暴露されることをもたらし、弁450を迅速に開放させる。したがって、ばね460が圧縮状態にある場合(例えば、弁450およびばね460が、閾値圧力に起因して閾値距離を超えて遠位方向に移動した場合)、流体は、矢印472a~472dにおいて示されるように弁のまわりを流れて、参照480において示される排出チャネルに流れ込み得る。排出チャネル480は、近位開口部462から遠位端部構造420に延在し得、それにより、流体は、例えば、矢印472a~472dの方向に、本体425に向かって流れ得る。流体は、排出チャネル480を離れ、突起(例えば、突起230)に向かって流れる。中間流体チャネル430内の流体圧力が減少するにつれて(例えば、デバイス102’に対して供給される流体が減少する場合)、弁450に対するばね460の近位圧力は、弁450に対して加えられる流体圧力よりも大きくなり得、弁450は、図4Bに示される閉鎖状態に後退し(例えば、近位方向に進み)得る。
【0025】
一例において、流体は、一定の圧力または比較的一定の圧力で中間流体チャネル430から放射される。したがって、図4A図4Cにおいて説明される機構は、流体が一定の圧力またはほぼ一定の圧力で排出チャネル480から放射されることを可能にし、これは、中間流体チャネル430および遠位開口部462からの流体排出期間中に、流体圧力が徐々に上昇するシナリオを回避する。いくつかの例において、圧力上昇または次善の組織切除期間中の意図しない組織損傷を回避するために、実質的に一定の圧力で排出チャネル480から流体が放射されることは有利である。
【0026】
ここで、図5が参照される。図5は、500において医療デバイスのさらに別の実施形態の断面図を示す。一般に、デバイス500は、流体駆動組織解剖および組織に対するRFエネルギー供給のために構成される。図5は、管状部材520と本体530との断面図を示す。管状部材520および本体530は、管状部材104、420、および本体108、410の構造および機能のいずれかをそれぞれ有することができる。医療デバイス500は、流体駆動システムによって実行される組織切除機能に加えて、RF供給により凝固機能を提供するための内視鏡処置に有利である。本体530は、管状部材520に対して接合され、または他の方法で取り付けられ得る。本体530は、金属または他の導電性材料から作製される。本体530は、RFエネルギーを伝導するように構成される。例えば、RFエネルギーは、医療デバイス500の導電性チューブ、ワイヤ、ケーブル、またはブレードを介して本体530に対して供給されてもよい。導電性チューブは、本体530と管状部材520との間の接合部の拡大図において、参照符号540で示されている。導電性チューブ540は、参照符号550(内側絶縁体)および560(外側絶縁体)で示される絶縁材によって囲まれ得る。したがって、導電性チューブ540は、医療動作期間中に組織を凝固させるために、RFエネルギーを本体530へ、および最終的には遠位壁535へと伝送するための導電路を形成する。したがって、本体530のRFアクティブコンポーネントは、遠位壁535を含む。したがって、一例において、遠位壁535は、凝固のためのRFエネルギーを供給するための、組織に対する接触点として動作し得る。
【0027】
ここで、図6が参照され、図6は、本明細書において説明される、流体駆動組織切除技法を実行するための動作を図示する例示的なフローチャート600を示す。動作610において、切除デバイスが、関心のある組織に近接して配置される。切除デバイスは、本明細書において説明される医療デバイス102、102’、500のいずれであってもよい。動作620において、関心のある組織が、関心のある組織において、ある位置で切除デバイスを保持するために、切除デバイスの突起と係合される。動作630において、流体が、切除デバイスの遠位開口部から切除デバイスの遠位壁表面に向かって長手方向軸に沿って放射される。流体は、関心のある組織を切除する。
【0028】
本開示の他の実施形態は、本明細書において開示される本発明の仕様および実施の考察から、当業者にとって明らかになるであろう。仕様および例は、例示的なものとしてのみ考察されることが意図されており、本発明の真の範囲および趣旨は、以下の特許請求の範囲によって示される。
【0029】
本明細書において説明される医療デバイスのいずれかの態様のうちの1つまたは複数は、本技術分野において知られている任意の他の医療デバイス、例えば、医療撮像システムまたは他のスコープ、例えば、大腸内視鏡、気管支内視鏡、尿管内視鏡、十二指腸内視鏡、または他のタイプの撮像装置などと組み合わせて使用されてもよいことが理解されるべきである。
【0030】
本明細書において説明される医療デバイスのいずれかの1つまたは複数の態様は、人体の任意の部分において組織を切除、切断、または他の方法で解剖するために使用され得ることも理解されるべきである。例えば、本明細書において説明される医療デバイスのいずれも、組織の除去および/または検出が必要とされる医療処置において使用され得る。
【0031】
本開示の原理が、特定の用途についての例証的な例を参照して、本明細書において説明されているが、本開示は、それらに限定されないことが理解されるべきである。本技術分野における通常の技術を有し、本明細書において提供される教示に対してアクセスできる者は、付加的な変形、適用、および均等物の置換がすべて、本明細書において説明される例の範囲以内に収まることを認識するであろう。したがって、本発明は、前述の説明によって限定されるものとして考察されるべきではない。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
【国際調査報告】