(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-17
(54)【発明の名称】位置の測定および遠隔支援によって歩行を支援する装置
(51)【国際特許分類】
A61H 3/00 20060101AFI20221007BHJP
【FI】
A61H3/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022508780
(86)(22)【出願日】2020-08-11
(85)【翻訳文提出日】2022-02-09
(86)【国際出願番号】 IB2020057541
(87)【国際公開番号】W WO2021028829
(87)【国際公開日】2021-02-18
(31)【優先権主張番号】102019000014640
(32)【優先日】2019-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522053492
【氏名又は名称】クイックリープロ ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ
(71)【出願人】
【識別番号】515351356
【氏名又は名称】ウニベルシータ デグリ ストゥーディ ディ ベルガモ
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】ルッソ ダヴィデ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルジミッリ アレッシオ
(72)【発明者】
【氏名】サーラ ニコロ
【テーマコード(参考)】
4C046
【Fターム(参考)】
4C046AA22
4C046AA25
4C046BB07
4C046CC01
4C046DD39
4C046DD45
4C046EE02
4C046EE04
4C046EE09
4C046EE23
4C046EE32
4C046FF22
(57)【要約】
本発明は歩行の支援のためのウェアラブル装置に関し、その装置は、少なくとも1つの支持体、電力供給手段、少なくとも1つの光源、センサ、歩行中にその少なくとも1つの光源の作動および停止を制御することを意図した少なくとも1つの処理ユニット、その歩行の支援の対象である人の身体の少なくとも一部分の位置の線形および/もしくは角度的な変動の測定、保存、および/もしくは送信を担う少なくとも1つの機関、少なくとも1つのローカルステーションならびに/または、その少なくとも1つの機関から来るデータを処理するために遠隔通信ネットワークを通して遠隔接続されたステーションを含む。本発明は、上記に開示された装置で人の歩行を支援するための方法をさらに定める。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行支援ウェアラブル装置であって、
それぞれの取り付け位置において人の身体に取り外し可能に取り付けられるように意図された少なくとも1つの支持体と、
前記少なくとも1つの支持体に取り付けられた少なくとも電力供給手段と、
前記少なくとも1つの支持体(2)上に取り付けられ、前記少なくとも電力供給手段(3)に電気接続された少なくとも1つの光源であって、使用中に、前記人が歩行の方向に沿って前方に移動するために足を移動させる必要のある少なくとも1つの前側踏み込み点に、少なくとも1つの可視光ビームを地面に向けて放射するように意図された少なくとも1つの光源と、
少なくとも、歩行状況を特定する少なくとも1つの制御パラメータ(p
c)を検出するように意図されたセンサ手段と、
前記少なくとも電力供給手段、前記少なくとも1つの光源、および、前記少なくともセンサ手段に動作可能に接続された少なくとも1つの処理ユニットであって、前記少なくとも1つの光源の作動-停止を、歩行中に前記装置を装着した身体の少なくとも一部分の瞬間的位置に関する角度または変位の測定に対応する、前記少なくとも1つの制御パラメータ(p
c)の関数として制御するように意図された少なくとも1つの処理ユニットと、
を備え、前記装置が、前記歩行の支援の対象である前記人の前記身体の少なくとも一部分の位置の線形および/または角度的な変動の測定、保存、および/または送信を担う少なくとも1つの機関を備え、
前記少なくとも1つの制御パラメータが、少なくとも1つの時刻に、前記歩行の支援の対象である前記人の前記身体の少なくとも一部分の位置の線形および/または角度的な変動の前記少なくとも1つの測定機関の関数として判断されることを特徴とする、
装置。
【請求項2】
前記位置の線形および/または角度的な変動を測定するための前記少なくとも1つの部材が、例えば、可変周波数および/もしくは可変時間長のパルスシーケンス、ならびに/または既知の周波数の正弦波などの1つ以上のタイプから任意選択的に選択される所定の波形を有する信号の空間内の伝播を分析することよって前記位置の前記変動を判断する、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記位置の線形および/または角度的な変動を測定するための前記少なくとも1つの部材が、反射現象を使用して、空間内の並進および/または回転を判断する、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記信号が、例えば、レーダーおよび/またはレーザおよび/または超音波技術などの知られている技術などの、前記変位を測定するために使用可能な電磁放射および/または電気音響発振現象からなる、請求項1~3の一項に記載の装置。
【請求項5】
前記線形および/または角度的な変動を測定するための前記少なくとも1つの部材が、空間を伝搬する前記信号の1つまたは組み合わせを使用する、請求項1~4の一項に記載の装置。
【請求項6】
前記線形および/または角度的な変動を測定するための前記少なくとも1つの部材が、少なくとも1つの信号源および少なくとも1つの信号受信機を含み、任意に選択された前記少なくとも1つの信号源および前記少なくとも1つの信号受信機の量ならびに/または相互的および/もしくは絶対的な位置決めであることができる、請求項1~5の一項に記載の装置。
【請求項7】
前記線形および/または角度的な変動を測定するための前記少なくとも1つの部材が、前記装置を装着している前記同じ人の前記身体の少なくとも1つの部分に対する前記距離を好ましくは2つの下肢間の前記変位を参照して検出することによって、前記位置の前記変動を判断する、請求項1~6の一項に記載の装置。
【請求項8】
前記線形および/または角度的な変動を測定するための前記少なくとも1つの部材が、前記装置を装着している前記人の外部にある基準に対して作用することによって、前記位置の前記変動を判断する、請求項1~7の一項に記載の装置。
【請求項9】
前記線形および/または角度的な変動を測定するための前記少なくとも1つの部材が、床に対して、かつ/または、前記人の前方の平面に平行に配置された少なくとも1つの平坦面に対して作用することによって前記位置の前記変動を判断し、前記平坦面が歩行の開始時に前記前側平面に対して所定の距離にある、請求項1~8の一項に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの信号源および前記少なくとも1つの信号受信機が、異なる同時送受信技術および/または遅延送受信技術を使用して、別個の識別可能な波形を有する信号を管理し、前記波形が、同時にまたは異なる時間に放射されることができる、請求項1~9の一項に記載の装置。
【請求項11】
前記線形および/または角度的な変動を測定するための前記少なくとも1つの部材が、少なくとも2つ以上の信号源および/または、2つ以上の、また同時に動作している信号受信機を含む、請求項1~10の一項に記載の装置。
【請求項12】
前記線形および/または角度的な変動を測定するための前記少なくとも1つの部材が、前記人の身体形状に適合可能で、かつ前記人に任意の位置で適用可能な少なくとも1つの付属品を含み、前記付属品が、使用される前記送受信技術と組み合わされた反射特性によって特徴付けられ、前記付属品が、前記装置によって本発明の範囲内で使用される信号の反射に寄与することができる、請求項1~11の一項に記載の装置。
【請求項13】
前記線形および/または角度的な変動を測定するための前記少なくとも1つの部材が、前記歩行中および/または後続の時間ステップ内に処理するために静的および/または動的な画像を取得する、前記処理システムに接続されたシステムを備える、請求項1~12の一項に記載の装置。
【請求項14】
前記線形および/または角度的な変動を測定するための前記少なくとも1つの部材が、自律型システムを使用して、前記線形加速度および/もしくは角加速度ならびに/または極性配向を判断し、前記自律型システムが、慣性測定ユニットとして当技術分野で知られた加速度計、ジャイロスコープ、および磁気検出器を含むことができる、請求項1~13の一項に記載の装置。
【請求項15】
前記固定位置が下肢にあり、例えば、膝および/もしくは足首の近く、ならびに/または、足の下部および/もしくは後部の近くなど、前記装置を着用する前記下肢の様々な領域に対応することができる、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記線形および/または角度的変動を測定するための前記少なくとも1つの部材が、前記人の矢状対称性の平面に対して、または実質的に前記矢状対称の平面に対して、実質的に外側の位置または実質的に内側の位置で前記少なくとも1つの支持体に固定される、請求項8に記載の装置。
【請求項17】
前記線形および/または角度的な位置を測定するための前記少なくとも1つの部材が、前記少なくとも1つの光源と一体的に配置され、かつ/または前記少なくとも1つの支持体上に固定されている、請求項1~16の一項に記載の装置。
【請求項18】
少なくとも1つの追加のローカル支持システムが存在し、前記ローカル支持システムが、前記ウェアラブル装置から分離されており、かつ、少なくとも1つの電力供給ユニットと、
少なくとも1つのエネルギー伝達ユニットと、
少なくとも1つの電子プロセッサを備える少なくとも1つの処理ユニットと、
少なくとも1つの不揮発性記憶ユニットと、
少なくとも1つの揮発性記憶ユニットと、
前記装置から来る情報を受信するための少なくとも1つのモジュールであって、前記モジュールが電磁信号によって動作することができ、前記電磁信号が、様々な様式で、かつ、同時に、例えば、空気によって、および/または少なくとも1本の電気ケーブルおよび/または少なくとも1本の光ファイバーおよび/または音の伝播によって伝播されることができる、モジュールと、
少なくとも1つの表示ユニットを有する少なくとも1つのグラフィック処理ユニットと、
前記センサから来る前記データを処理するための少なくとも1つのアルゴリズムであって、前記アルゴリズムの動作ステップおよび関連する命令が、前記追加のローカル支持システムによって呼び出され、実行され得る処理プログラムの一部として符号化されているアルゴリズムと
を含んでいる可能性があり、
前記少なくとも1つの追加のローカル支持システムが、前記制御アルゴリズムの動作ステップの実行に続いて前記少なくとも1つの制御パラメータを補足する前記予測および/または補正措置が定義されるように構成されており、よって、前記装置自体および/または前記装置が適用される前記身体の挙動に応じて前記ウェアラブル装置の動作に寄与することができる、
請求項1~17の一項に記載の装置。
【請求項19】
前記再充電ステーションによって検出および/または処理された前記情報もまた、遠隔の記憶および処理ユニットに転送され、前記遠隔ユニットが外部ユーザによってアクセス可能である、請求項1~18の一項に記載の装置。
【請求項20】
前記情報の前記転送が、例えば、最新技術で利用可能な無線および/または有線公共ネットワークなどの、商業的性質をもつ遠隔通信システムを使用する、請求項1~19の一項に記載の装置。
【請求項21】
アルゴリズムの形で実施される、遠隔データを管理するための機能を含み、前記アルゴリズムの動作ステップおよび関連する命令が、汎用または専用のコンピュータプラットフォームによって呼び出されて実行され得る処理プログラムの一部として符号化されており、前記管理が、前記歩行疾患の治療を支援するために、医師および/または患者などのオペレータによる前記遠隔データの利用を目標とする措置を含むことができる、請求項1~20の一項に記載の装置。
【請求項22】
既知の特性を有する少なくとも1つの波形をもつ少なくとも1つの電気信号を生成することと、
前記信号を、空白の空間に移送しやすい形に、電磁波または前記空白の空間に含まれる送信媒体上で伝播される波形の形で変換することと、
前記装置が装着されている前記身体の領域を通過する横方向の解剖学的平面を基準として少なくとも1つの方向に、かつ、既知の所定の方向に向かって前記波形を放射することと、
遠隔表面によって送信される前記波形の前記反射から来る少なくとも1つの反射波形を受信することと、
前記反射波形を、前記装置によって処理されるように適合された電気反射信号に変換することと、
前記信号を処理することであって、とりわけ、前記波形および前記反射波形によってカバーされる経路の特性を判定するために、前記送信された波形の特性の前記フィルタリングおよび認識のステップを含む、前記信号を処理することと、
前記波形によってカバーされる前記経路の前記特性を、1つ以上の形式で、かつ/または、前記特性の記述的パラメータを一時的または永続的に記憶するように適合された1つ以上の支持体に格納することと、
先行のステップを1つ以上の所定の期間に繰り返すことであって、前記期間には1ミリ秒~10秒の間隔、好ましくは1秒に近い値の間隔が含まれることができることと、
前記先行する時間に検出された前記波形によってカバーされる前記経路の前記特性を比較して、経時的な距離および/または角度の変動の概要を得ることと、
前記経時的な距離および/または角度の変動に関する情報を、前記遠隔ユニットに記憶し、かつ/または、前記遠隔ユニットに向けて転送することと、
前記光マーカーの前記記述的パラメータを、前記マーカーの前記地面に対する指向を検証または修正するために変化させることと
を含む、
請求項1~21の一項に記載の装置を備えた人の歩行を支援する方法。
【請求項23】
前記波形の放射が、少なくとも1つの膝の近くに位置付けられ、前記人の前記身体の前記水平方向平面に実質的に平行な平面内に構成された2つ以上の供給源によって、前記平面内の0°~360°、好ましくは180°の範囲の角度間隔をカバーするように行われ、対応する円弧が前記人の横-横軸を中心として、対向する膝の方向に配向されている、
請求項22に記載の人の歩行を支援する方法。
【請求項24】
前記供給源が前記遠隔面に向かって前記波形を放射し、前記遠隔面が、例えば、前記人の前および/または後ろに配置された、部屋の1つまたは2つの壁など、実質的に平坦で、かつ、前記人の前記身体の前記矢状面に対して実質的に平行である、請求項22に記載の人の歩行を支援する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、対応する独立請求項のプリアンブルに従う歩行支援ウェアラブル装置および対応する方法である。
【0002】
本発明は、例えば、外科手術もしくは事故後の回復段階にある、またはパーキンソン病もしくは実際に移動能力の問題を引き起こす他の疾患などの医学的状態を経験している人々のリハビリテーションの分野に特に適用可能である。
【0003】
特にパーキンソン病について言えば、そのような疾患に罹患している人々に影響を与える、よく見られる問題は、「フリーズすること」、すなわち、人が歩こうという衝動に駆られても、踏み出すために地面から足を上げることができない障害である。
【背景技術】
【0004】
「フリーズすること」の問題および、より一般的には歩行支援の問題の解決を試みる様々な装置が長年にわたって開発されてきた。そのような装置では、業界用語ではマーカーとも呼ばれる可視光を、地面における人の前方の、ある距離のところに投影することが配慮されている。マーカーは、人がそれを踏んで通過するように求められるものであり、例えば、前進方向に垂直な線または、明るい、もしくは周囲の地面よりも明るいスポットなどの任意の所望の追加形状を有する。
【0005】
この種の装置は、例えば、同一出願人によって所有される文献国際公開第2019/069217号に記載されているように、長期にわたり知られている。この文献では、歩行を制御するシステムおよび対応する方法が開示され、これは、病状に苛まれている人のリハビリテーションを、底部に対して投影されるマーカーによって助けることができ、当該マーカーは下肢の交互変位の間、当該マーカーの制御に関与する光源および/または反射機構の変位および回転に対して作用することにより安定させられる。同じ文献国際公開第2019/069217号は、1つ以上の制御信号(Sc)に関連付けられた少なくとも1つの制御パラメータ(Pc)をさらに開示し、当該の少なくとも1つの制御パラメータ(Pc)は、歩行中に、装置を装着している人の身体の少なくとも一部分の瞬間的な位置に相関する角度または変位の測定値に対応する。上記の特許では、当該の制御パラメータを当該の関連する制御信号とともに適用することは、マーカーを指示された目標として安定させるために確実に役に立つが、変位および/または捻れの測定値は、装置を装着している人の身体内に含まれる制御信号に制限され、よって、測定値の不正確さに影響され、特に、動きの変則的な状況および/または、人の自律的な動きに関する病状に影響されていない人の一般的な解剖学的動力学に基づいては容易に予測できない動きを非明示的に定める、運動困難のうちの1つなどのような状況において影響を受ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さらに、従来技術で知られている技術では、上述の制御パラメータに基づく動作は、土壌におけるマーカーの位置決めの補正の措置に基づいて制限され、この措置は時間に厳密な歩行の状態に基づくが、治療が本装置を装着している人に関与する場合には改善を目標とする措置を行うことのできる専門担当者によってリアルタイムにまたは異なる時間に、ならびに/またはある場所において分析するための外部装置との相互作用は許可されない。
【0007】
したがって、前述の限界を克服するために、国際公開第2019/069217号に開示されているとおりの歩行支援に関与する最新技術を改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明の主な目的は、地面に明るい足跡を投影できるようにする、歩行支援ウェアラブル装置および対応する方法を提供することであり、当該の足跡はまた、その瞬間および/または後続する歩行の状態の関数として安定化されて、当該の歩行の運動を記述するパラメータを獲得する段階を改善する。
【0009】
本発明の別の目的は、歩行を支援するためのウェアラブル装置および対応する方法を提供することであり、当該の装置および当該の方法は、装置を装着している人の歩行の有効な運動を、地面におけるマーカーの正しい位置決めの目的に適した測定精度で測定することができ、当該の測定精度は、運動パラメータの有効値と、目標に到達しやすく特殊装置によって既に測定されている値との間の相違の測定の精度であり、1ミリメートルから50センチメートルまで、好ましくは5センチメートル近傍までの範囲の測定精度が適切であると意図される。
【0010】
本発明のさらに別の目的は、歩行支援ウェアラブル装置および対応する方法を提供することであり、この方法は装置を装着している人の有効歩行運動を測定し、この装置は歩行運動を記述するパラメータを、病状の治療に関与する専門オペレータおよび/または医療装置に対してこれらのパラメータが利用可能になるように電子形式で処理し、当該の専門オペレータおよび/または当該の医療装置は、ローカルで、ならびに/または、最新技術で知られている、および/もしくは将来実施されるであろう遠隔通信技術によって遠隔で操作することができる。
【0011】
本発明のこれらおよびさらに他の目的は、添付の図面に例示されるいくつかの例示的な実施形態の以下の説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】膝に設置される、知られている技術による歩行支援装置の一実施形態であって、光源によって直接照射される、楕円形を有する足跡を地面に提供する実施形態を示す図である。
【
図2a】装置が複数のセンサを備え、また、装置によって支援されることが意図される、人の膝または脚の大腿部に装着される実施形態の上面図である。
【
図2b】装置が複数のセンサを備え、また、装置によって支援されることが意図される、人の足に装着される別の実施形態の上面図である。
【
図3a】例えば壁などの外面に対する変位のパラメータを測定するために装置が使用される、さらに別の実施形態の上面図である。
【
図3b】例えば壁などの外面に対する変位のパラメータを測定するために装置が使用される、さらに別の実施形態の上面図である。
【
図4】2つの外面、特に壁および地面に対する変位のパラメータを判断するために装置が使用される、さらなる実施形態の下肢の側面図による図である。
【
図5a】歩行している人の下肢の膝および他方の下肢の足にそれぞれ分かれて設置されている信号源および受信器によって装置が目的を達成する実施形態を示す図である。
【
図5b】当該の信号源と、送信された信号の返信手段としての当該の受信器との間の2本の有線接続を示す図である。
【
図6】装置が両方の下肢によって膝の高さで装着され、装置が複数の方向の反射によって動作する好ましい実施形態の、矢状面に平行な外面図である。
【
図7】装置を装着している人の前側平面に平行な2つの表面に受信/送信が向かう、
図6による装置の上面図である。
【
図8】受信と送信、および/または運動パラメータの処理ならびに/もしくは表示などの動作の支援のため、ならびに、そのような機能を備える一実施形態におけるウェアラブル装置の充電を支援するためのローカルステーションをさらに備える
図6に記載の装置をさらに示す図である。
【
図9】
図8によるローカルまたは遠隔の支持ステーションの考え得る実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
現在の最新技術には、長年にわたって開発されてきた歩行を支援するための複数の装置が含まれ、その多くは、パーキンソン症候群または移動困難を示唆する一般的な病状などの病状を経験している患者に適合するための様々な形状および/もしくは強度および/もしくは色を有する明るい足跡を地面に投影することを含む視覚的技術、ならびに/または、両下肢間の調整および希望する方向への1歩以上の踏み出しの実施を刺激するための信号を採用している。関与する病状にならび、リハビリテーションの医学的概念は明らかに本発明の一部ではないが、いくつかの神経生理学的状態において、特に患者が高齢であって回復の能力に関して制限されている可能性がある場合、患者の病状の退行過程を遅らせることができるなら、あるリハビリテーション過程が十分満足なものであると考えられることには注目する価値がある。
【0014】
したがって、歩行に使用されるツールが当該の歩行に対して支援措置の最大有効性を提供することが重要であり、また、医学的治療および/またはその特定患者に対してより好適な装置のパラメータ表現を定めることができるようにするために、歩行挙動、および/またはリハビリテーション治療の異なるセッション中の挙動を説明することができるようにする様式で、その人の挙動を運動中に監視できることもまた重要である。
【0015】
同じ出願人のものであり、またその記載が参照により本発明の一部として組み込まれている文献国際公開第2019/069217号は、ある病状に苛まれている人のリハビリテーションを地面に投影されたマーカーによって助けることのできる、歩行の制御のためのシステムおよび対応する方法を提供し、当該のマーカーは両下肢の交互の動きの間、例えば、当該のマーカーの制御に関与する光源および/または反射構造の変位および/または回転に対向することによって、安定させられる。同じ文献国際公開第2019/069217号は、1つ以上の制御信号(Sc)に関連付けられた少なくとも1つの制御パラメータ(Pc)を示し、当該の少なくとも1つの制御パラメータ(Pc)は、歩行中に、装置を装着している人の身体の少なくとも1つの部分の瞬間的な位置に相関する角度または変位の測定値に対応する。
【0016】
文献国際公開第2019/069217号に基づいて、出願人は動作能力を改善する必要性を見出したため、本発明は歩行を支援するウェアラブル装置に言及する。この装置は、
それぞれの取り付け位置において、人の身体に取り外し可能に取り付けられるように意図された少なくとも1つの支持体と、
当該の少なくとも1つの支持体に取り付けられた少なくとも電力供給ユニットと、
当該の少なくとも1つの支持体上に取り付けられ、当該の少なくとも1つの電力供給ユニットに電気接続された少なくとも1つの光源であって、使用中に、人が歩行の方向に沿って前方に移動するために足を移動させる必要のある少なくとも1つの前側踏み込み点に、少なくとも1つの可視光ビームを地面に向けて放射するように意図された少なくとも1つの光源と、
少なくとも、歩行状況を特定する少なくとも1つの制御パラメータ(pc)を検出するように意図されたセンサと、
当該の少なくとも1つの電力供給ユニット、当該の少なくとも1つの光源、および、当該の少なくとも1つのセンサユニットに動作可能に接続された少なくとも1つの処理ユニットであって、当該の少なくとも1つの光源の作動-停止を、歩行中に装置を装着する人の身体の少なくとも一部分の瞬間的位置に関する角度または変位の測定に対応する、当該の少なくとも1つの制御パラメータの関数として制御するように意図された処理ユニットと、
当該の歩行支援装置が対象とする人の身体の少なくとも一部分の位置の線形および/もしくは角度的な変動を測定、保存、および/または送信するために提供される少なくとも1つのユニットと、
を備え、
当該の少なくとも1つの制御パラメータは、1つの時刻に、当該の歩行支援装置が対象とする人の身体の少なくとも一部分の位置の線形および/または角度的な変動を測定する、その少なくとも1つのユニットの関数として判断される。
【0017】
本発明によれば、
図1に示すように前方に移動する方向x-xにほぼ沿った患者の歩行を記述するために、位置、よって、その位置の空間内の変動を判断するために1つ以上の機関が関与する。当該の機関は、歩行の動作中に動く、身体の様々な部分に配置または装着することができ、多くの場合は下肢に配置されるが、これは厳密に要求されることではなく、例えば、胸部および/または腹部などの身体の他の部分での使用は、動作基準が当該の特定の態様を無視する本発明の範囲内にある。
【0018】
この特定の実施形態はまた、採用するには、達成可能な結果の品質のみならず、例えば、構築の簡素性および使用の実用性、運動の測定に関与する信号の選択などを考慮する必要のある技術に関係する。現在の測定技術は、距離を測定するための方法の広い範囲に対応し、その多くは物理基準に依存しており、この物理基準に従って、波形は、任意選択的に透過性媒体に支持されて、空間を伝播する際に一定の距離を進むために一定の時間を必要とする。当業者には古くから知られたよく使われる技術には、例えば、超音波信号、無線波またはマイクロ波のスペクトル範囲による電磁放射(英語話者に由来するRADAR(レーダー)という頭字語としても知られる)、適切に増幅された光線(英語話者に由来するLASER(レーザー)という頭字語としても知られる)がある。
【0019】
図2aに記載の実施形態では、装置は左肢02dのみに装着され、人の身体の水平方向平面に対して実質的に平行な平面内に設置された受信/送信装置11dが備わっており、その受信/送信装置11dは、当該の平面内で、人の横-横軸を中心として、対向する膝の方向に配向された対応する円弧の180°の角度内をカバーするようになっている。この実施形態では、均等に離間した5つの装置が、人の前または後ろにある物体に対する距離を、左肢02sに関連して測定するために使用される。測定は、送信される信号20tにより行われ、反射ゾーンとされているところの近傍に設けられると考えられ、かつ、有利には人の身体の形状に適合可能であるウェアラブル機器において、この信号は信号20rの形で反射し、当該の機器は使用される受信/送信の技術に関連する反射特性によって特徴付けられ、当該の機器は本発明の範囲内で装置によって使用される信号の反射に寄与することができる。
【0020】
上記の実施形態の1つの代替実施形態は、
図2bに示すように、足の先端に配置された受信/送信装置を提供する。その前の図との比較を形成、装置の数が削減されていることがわかり、このことは、人の四肢の間の距離、特に左足01sが右足の前に位置するときの当該の右足01dと当該の左足01sの間の距離のみに測定を制限するという意図により正当化される。次いで、反転した両足について同様の測定が行われ、歩行の行程でこれが交互に繰り返される。
【0021】
図3aおよび
図3bは、例えば、部屋31の壁などの安定した平坦面の存在を前提とする特定の実施形態を示し、その壁は人の前側の平面に平行に、正確には両肩に平行に設置されている。また、この実施形態では、本発明は、矢状軸に沿って放射される信号20tおよび、部屋31の当該の壁との相互作用の後に受信される信号20rによって、既知の信号の反射を使用する。この表現では、既知の信号20tおよび20rの両方の処理には1つのユニット11dのみが関与する。他方の肢に装着され、同一の機能を有する対応するユニット11sが提供され、上記ユニット11dおよび11sは、それぞれ
図3aまたは
図3bに従って、中央または外側の横位置に配置され得る。送信された信号20tおよび反射された信号20rへの言及は、右肢の装置11dおよび、左肢の第2の装置11sの同様の構成に言及していることに気付くことができる。上記の装置11dおよび11sは、それらが対象とする肢の運動の関数として交互に、例えば、歩行中に体重がどこに位置するかに基づいて作動し、圧力が高い方、つまり踏み込み中に地面に対して静置されている肢の装置を停止する。
【0022】
次いで、
図4に示すように、別の実施形態は、地面32に対する足01の変位を判断するための追加の装置を提供する。この実施態様には、構築の単純性のために90°に配向された2つのセンサ11、11'が存在すること、および、実施の選択のために、それらのセンサは脚023の下部に配置されており、正しいパラメータ表現が得られた後は、この位置は本発明の機能に影響を与えることなく変更可能であることは注目に値する。
【0023】
図5aのさらなる実施形態は、反射の教示を、送信と受信の機能の分離によって実施し、それらの機能は異なる物理装置によって行われ、患者の身体上で異なった位置に配置される。この実施態様では2つの異なる種類の信号、好ましくは電磁波および超音波を使用し、送信ユニット11tsによって生成された波形が、非可聴周波数の音響波形によって受信ユニット11rdに向かって伝搬され、受信ユニットは、1つ以上の導体111によってその送信ユニット11tsに接続されている(
図5b)。よって、2つの異なる送信手段が存在し、その特徴は先験的に知られており、特に、伝播速度を使用して、各時点で送信ユニット11sと受信ユニット11rdとの間の相互の変位を患者の歩行運動を定義するための即時的な結果として定めることができる。
図5aの実施形態は、左脚02sのおおよそ膝での送信ユニット11tsの配置および、右脚02dの踵の周りでの受信ユニットの配置を提供するが、本発明は、歩行困難を有する人の身体の異なる部分にも関与する所定の目標を達成することができる。
【0024】
さらに好ましい実施形態について、
図6~
図9を利用して説明する。文献国際公開第2019/069217号の開示によるウェアラブル装置は、人の身体に、その人の膝022sの近傍の固定位置で、取り外し可能な方法で固定されるるよう定められた少なくとも1つの支持体10を含む。当該の支持体10は、歩行を支援するシステムの多様な機関を含む機能を有し、それらのうちには光源14sがあり、これは、
図1に示すように前進の方向x-xにほぼ沿った、11と記された発光の地面への投影の起こり得る段階のうちの1つの間において図に表現されており、当該の光源は、文献国際公開第2019/069217号に既に開示されている事項によって、地面に対して実質的に垂直で、かつ、対向する脚02dの近傍での前進の方向x-xに平行な平面内における変位を許容するようになっている作動手段を備える。
【0025】
当該の支持体10には、後方壁31に向かう距離を測定するため、および前方壁33に向かう距離を測定するためにそれぞれ使用される2ペアの装置(11td、11rd)、(11td'、11rd')もまた固定されており、距離は、電磁信号および/または音響振動が当該の距離にわたって進むために必要な時間との関連で測定されるように意図されており、本発明の使用分野を考慮すれば、例えば音波などのように信号が低速で伝播する場合でも、送信される信号11td、11td'および反射される信号11rd、11rd'の伝播速度は、歩行の運動に関連する速度の大きさよりも少なくとも2桁は高いという仮説が立てられる。
【0026】
例えば、電磁ノイズまたは音響ノイズなどの外部の信号源に起因して起こり得る環境的干渉は、例えば、可変の周波数および/もしくは時間的長さを有するパルスシーケンス、ならびに/または、受信段階において一義的に特定されるような既知の周波数の正弦波などの、予め決まっている波形によって特徴付けられる信号を送信することによって制限することができる。有利なことに、当該の送信機は、正確な時刻に信号の起源を一義的に特定するために所定の順序で作動させることができ、よって、装置の内部の信号源との望ましくない干渉効果を制限することができる。
【0027】
この実施形態では第2のウェアラブル装置がさらに提供され、その装置は、上述と同様の様式で、ただし、人の矢状面に対して対称の構成で動作し、実際は、当該の装置が固定されている脚の変位を測定することによって、対応する脚の動きを助けるためのマーカーを投影する。
【0028】
したがって、この実施形態は、以前に広く開示されているように、ある基準からの距離のパラメータを測定することができる装置の考え得る構成を示し、その基準は、ここに示す形では装置を装着している人の外部にある基準を形成する1つ以上の外壁にある。
【0029】
本明細書に示される実施形態の説明から、ある瞬間の一時的な位置を十分な精度で判定することができ、また、その結果、適切に処理されれば患者の運動を時間単位内の空間の変動として意図された直線速度および/または角速度の関数として定めることのできる情報のセット、人の移動挙動の分析を有利に助けることができ、よって参照文献国際公開第2019/069217号に開示されているように装置の挙動を統制するパラメータを改善するために、支援の有効性を検証することのできる機能の利用可能性を十分な精度で判断することのできる方法および装置の存在を推定することができる。動作段階中に採取された情報の分析および使用の可能性を高めるために、本発明は、ローカル処理ステーション40を含み、これは任意選択としてウェアラブル装置のエネルギー再充電のためのモジュールに組み込まれ、このモジュールはウェアラブル装置によって提供される、考え得る再充電可能エネルギー源の復旧のための台として提供されることができる。
【0030】
このローカル処理ステーションの考え得るブロック図を
図9に示す。このローカル処理ステーションは、少なくとも1つの電力供給ユニット61と、少なくとも1つの電子プロセッサ64を含む少なくとも1つの処理ユニットと、少なくとも1つの揮発性メモリユニット65aと、少なくとも1つの揮発性メモリユニット65bと、装置66から来る情報を受信するための少なくとも1つのモジュールと、少なくとも1つのグラフィック処理ユニット63と、少なくとも1つの表示ユニット62とを備え、当該の機関は、センサから来るデータの処理の1つ以上のアルゴリズムを、処理プログラムの一部として符号化された動作命令のセットによって支援するという目標にあわせて定義されている。
【0031】
本発明は、ウェアラブル装置によって生成され、受信/送信ユニット66によって採取され、1つ以上のメモリユニット65a、65bに記憶されるデータのセットを処理して医師および、患者自身にとって利用可能になるようにするために、当該のユニットを備える。処理アルゴリズムによって、当該のデータは、変位の単純な時系列の形で表現されることができ、さらに、英語話者に由来する頭字語GPUとして一般に知られるグラフィックユニット63によって、当該のデータのセットを、最適には多次元のグラフィック形式で、または、当業者に知られており、データの読み取りと歩行の改善措置の定義とを助けることを目標とする別の形で医師または患者に提示するために、分析することができる。
【0032】
ローカルステーションは、装置の制御パラメータを管理するために提供される追跡モジュール67をさらに含み、このモジュールはまた、開示するとおり、患者に適用されている間にウェアラブル装置が行う測定の関数として処理の有効性を進行的な踏み出しのために最大化するように、モジュールの制御パラメータのうち少なくとも1つに関連して調整されることができる。
【0033】
最後に、物理的に立ち会うことなく最新の医療に従って治療に寄与できるようにするために、当該の治療が行われている現場からどれほど地理的に距離がある場所のオペレータまたは装置にも当該のローカルステーションの考え得る最大数の機能が利用可能になるように、少なくとも1つの遠隔通信インフラストラクチャ50によって接続された遠隔ステーション42内に当該のローカルステーションの機能の少なくとも一部を複製または備えることができる。
【0034】
上記の開示から、本発明によって所定の目標が達成されることは明らかである。
【0035】
本発明の主題は、添付の特許請求の範囲に表現される本発明の概念にそれぞれが含まれる、多くの修正および変形を受けることができる。全ての項目は、技術的に同等な他の要素によって置換されてもよく、材料は、本発明の保護範囲を放棄することなく、必要に応じて異なってもよい。
【0036】
本主題について、添付の図を具体的に参照して説明してきたが、説明および特許請求の範囲で使用される参照番号は、本発明の理解を改善するためにのみ使用され、特許請求される保護範囲のいかなる限定も成さない。
【図】
【国際調査報告】