(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-17
(54)【発明の名称】1,4-ジヒドロ-4-オキソキノリン-2-カルボキシレート及びそれからの4-アミノキノリン化合物の調製方法
(51)【国際特許分類】
C07D 215/48 20060101AFI20221007BHJP
【FI】
C07D215/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022508808
(86)(22)【出願日】2020-08-12
(85)【翻訳文提出日】2022-04-07
(86)【国際出願番号】 US2020046038
(87)【国際公開番号】W WO2021030511
(87)【国際公開日】2021-02-18
(32)【優先日】2019-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521094942
【氏名又は名称】ロホクラ・リサーチ・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クラウスツキー,セルギー
(72)【発明者】
【氏名】トウィーディ,スコット
(72)【発明者】
【氏名】ラマムアシー,グルサンカー
(57)【要約】
アルキル5,7-ジハロ-1,4-ジヒドロ-4-オキソキノリン-2-カルボン酸エステルの調製方法を本明細書に説明する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキル5,7-ジハロ-1,4-ジヒドロ-4-オキソキノリン-2-カルボン酸エステルを調製する方法であって、以下の連続するステップ、すなわち、
(i) メタンスルホン酸中に約7~約10wt%のP
2O
5を含む試薬中に溶解した式IIIの化合物を含む第1の溶液を、前記試薬1mL当たり約0.15~約0.25グラムの式IIIの前記化合物の濃度で、約65~約75℃の範囲の選択された温度において、加熱された連続流通反応器コイルに通して、前記加熱されたコイル中で約15~40分の滞留時間を提供するのに十分な送液流量で送液することによって加熱し、式IVのアルキル5,7-ジハロ-1,4-ジヒドロ-4-オキソキノリン-2-カルボン酸エステルを含む、前記加熱されたコイルから流出する流出液を回収するステップ、
【化1】
【化2】
(ii) ステップ(i)から回収された前記流出液を、約15℃以下の水温を保ちつつ、撹拌しながら、前記流出液の1体積あたり少なくとも約5体積の水に加えて、式IVの前記エステルを含む第1の析出物を形成するステップ、並びに
(iii) 前記第1の析出物を回収するステップ
を含み、ここで式III及び式IVにおいて、各Xは独立にハロゲン原子であり、各Rは独立にC
1~C
4アルキルである方法。
【請求項2】
各Xが塩素原子である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各Rがエチルである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
各Xが塩素原子であり、各Rがエチルである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の溶液が、さらに炭化水素共溶媒又はハロゲン化炭化水素共溶媒を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記共溶媒がジクロロメタンを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
以下のステップ、すなわち
(iv) 第1の溶媒中の、ステップ(iii)から得られた前記第1の析出物を含む第1の懸濁液を、約40~50℃の範囲の温度で少なくとも約1時間撹拌するステップ、及び
(v) 前記第1の懸濁液から式IVの精製エステルを含む未溶解の固体粒子を回収するステップ
をさらに含み、ここで前記第1の溶媒は、アセトニトリル、メタノール、イソプロパノール、及びそれらの2種以上の組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の懸濁液が、前記第1の析出物1g当たり約3~約10mLの前記第1の溶媒を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
アルキル5,7-ジハロ-1,4-ジヒドロ-4-オキソキノリン-2-カルボキシレートを調製するための方法であって、以下の連続するステップ、すなわち、
(i) 第1の溶媒中に約15~約60wt%の式Iのジハロアニリンを含む第1の溶液を、約70~約100℃の選択された温度で少なくとも約0.9当量の式IIのジアルキルアセチレンジカルボキシレートと約6~約24時間接触させて、式IIIの化合物を形成するステップ、
【化3】
(ii) 前記第1の溶媒を除去して、式IIIの前記化合物を含む第1の残留物を形成するステップ、
(iii) メタンスルホン酸中に約7~約10wt%のP
2O
5を含む試薬に溶解した、ステップ(ii)からの前記第1の残留物を含む第2の溶液を、前記試薬1mL当たり約0.15~約0.25グラムの前記第1の残留物の濃度で、約65~約75℃の選択された温度において、加熱された連続流通反応器コイルに通して、前記加熱されたコイル中で約15~40分の滞留時間を提供するのに充分な送液流量で送液することによって加熱し、式IVのアルキル5,7-ジハロ-1,4-ジヒドロ-4-オキソキノリン-2-カルボン酸エステルを含む、前記加熱されたコイルから流出する流出液を回収するステップ、
【化4】
(iv) ステップ(iii)から回収された前記流出液を、約15℃以下の水温を保ちつつ、撹拌しながら、前記流出液の1体積当たり少なくとも約5体積の水に加えて、式IVのエステルを含む第1の析出物を形成するステップ、並びに
(v) 前記第1の析出物を回収するステップ
を含み、ここで式I、式II、式III及び式IVにおいて、各Xは独立にハロゲン原子であり、各Rは独立にC
1~C
4アルキルであり、前記第1の溶媒が非プロトン性溶媒である方法。
【請求項10】
各Xが塩素原子である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
各Rがエチルである、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
各Xが塩素原子であり、各Rがエチルである、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の溶液が、さらに炭化水素共溶媒又はハロゲン化炭化水素共溶媒を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記共溶媒がジクロロメタンを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ジフェニルウレイド-ジハロキヌレン酸アルキルエステルを調製する方法であって、請求項7のステップ(i)、(ii)、(iii)、(iv)及び(v)を実施し、次いで、
(vi) 極性非プロトン性溶媒中に式IVの前記精製エステルを含む第3の溶液を、約40~約80℃の温度でクロロスルホニルイソシアネートと、二酸化炭素ガスの発生が停止するまで接触させるステップ、
(vii) 前記第3の溶液に、C
1~C
4アルコールに溶解した酸を添加し、得られた酸性混合物を約65~約75℃の温度で加熱して、式Vの5,7-ジハロ-4-アミノキノリン-2-カルボン酸エステルを形成するステップ、
【化5】
(viii) 式Vの前記エステルを単離するステップ、
(ix) ステップ(viii)で単離された式Vの前記エステルを第2の極性非プロトン性溶媒中に含む第4の溶液を、塩基の存在下でジフェニルカルバモイルクロリドと接触させて、式VIのジフェニルウレイド-ジハロキヌレン酸アルキルエステルを形成するステップ、
【化6】
ここで、前記塩基が、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属水素化物からなる群から選択され、並びに
(x) 式VIの前記ジフェニルウレイド-ジハロキヌレン酸アルキルエステルを単離するステップ
を含み、ここで式I、式II、式III、式IV、式V、及び式VIにおいて、各Xは独立してハロゲン原子であり、各Rは独立してC
1~C
4アルキルである方法。
【請求項16】
各Xが塩素原子であり、各Rがエチルである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ステップ(iii)の前記第1の溶液が、さらに炭化水素共溶媒又はハロゲン化炭化水素共溶媒を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記共溶媒がジクロロメタンを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ステップ(ix)の前に、
(a) 第3の溶媒中の、ステップ(viii)で単離された式Vの前記エステルを含む第2の懸濁液を約40~50℃の範囲の温度で少なくとも約1時間撹拌し、及び
(b) 前記第2の懸濁液を約20~25℃の温度まで冷却し、次いで前記第2の懸濁液から式Vの精製エステルを含む未溶解の固体粒子を回収することによる、
式Vの前記エステルの精製ステップをさらに含み、
前記第3の溶媒が、C
2~C
3アルコール、C
2~C
3アルキルアセテート、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
ステップ(x)において、ステップ(ix)からの前記第3の溶液を撹拌しながら約26~約30体積の水性酸に加えて、式VIの前記エステルを含む第3の析出物を形成し、次いで濾過又は遠心分離によって式VIの前記エステルを回収することによって、式VIの前記ジフェニルウレイド-ジハロキヌレン酸アルキルエステルが単離される、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記第3の析出物を酢酸エチル及びメチルエチルケトンの混合物に溶解し、次いで、蒸留により酢酸エチル及びメチルエチルケトンの体積を減少させて、式VIの前記化合物を結晶化させるステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
ステップ(i)における式IIIの前記化合物が、約15~約60重量%の式Iのジハロアニリンを含む第1の溶液を、約70~約100の選択された温度で少なくとも約0.9当量の式IIのジアルキルアセチレンジカルボキシレートと約6~約24時間接触させて、式IIIの化合物を形成することによって形成され、
【化7】
式IIIの前記化合物は、さらに精製することなくステップ(i)で利用される、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
請求項15の式VIの前記化合物を水性塩基で加水分解するステップを含む、式VIIのジフェニルウレイド-ジハロキヌレン酸塩を形成する方法。
【化8】
[式中、Xはハロゲンである。]
【請求項24】
請求項23の式VIIの前記化合物を強酸で中和するステップを含む、式VIIIのジフェニルウレイド-ジハロキヌレン酸を形成する方法。
【化9】
[式中、Xはハロゲンである。]
【請求項25】
請求項23の式VIIの前記化合物を少なくとも2当量のp-トルエンスルホン酸と接触させるステップを含む、式IXのジフェニルウレイド-ジハロキヌレン酸p-トルエンスルホン酸の付加塩を形成する方法。
【化10】
[式中、Xはハロゲンである。]
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ある種の1,4-ジヒドロ-4-オキソキノリン-2-カルボン酸エステルを調製する方法に関する。特に、この発明は、5,7-ジハロ-1,4-ジヒドロ-4-オキソキノリン-2-カルボン酸エステルの改善された調製、及びその後の4-アミノキノリン化合物(酸及びそのエステルを含む)への該オキソキノリンエステルの変換に関する。
【背景技術】
【0002】
4-ウレイド-5,7-ジハロ-キノリン-2-カルボキシレート化合物、特にジフェニルウレイド-ジクロロキヌレン酸(DCUKA)化合物及びそのエステルは鎮痛活性を有し、慢性疼痛及びアルコール依存症の治療、並びにアルコール中毒患者の再発予防に有用であると報告されている。4-ウレイド-5,7-ジハロ-キノリン-2-カルボキシレート化合物の商業的開発における1つの難点は、4-ウレイド-5,7-ジハロ-キノリン-2-カルボキシレート化合物の合成の中間体である5,7-ジハロ-1,4-ジヒドロ-4-オキノリン-2-カルボキシレートの調製に必要な過酷な条件であった。DCUKAエステル化合物(例えば、メチルエステル又はエチルエステル)を調製するための公表されたアプローチをエチル(Et)エステルについてスキーム1に例示する。以下のスキーム1中の反応Aは、3,5-ジクロロアニリン1とジエチルアセチレンジカルボキシレート(例えば、テトラヒドロフラン(THF)中の2)との混合物を約70℃で加熱して、マイケル付加物3を得ることを含む。反応Bはジフェニルエーテル溶媒中で、約250℃でマイケル付加物3を加熱し、エチル5,7-ジクロロ-1,4-ジヒドロ-4-オキソキノリン-2-カルボン酸エステル4を得る。次に、アセトニトリル中のクロロスルホニルイソシアネートとエステル4を反応させ、続いて塩酸でクエンチング(まとめて反応C)して、エチル4-アミノ-5,7-ジクロロ-キノリン-2-カルボン酸エステル5を得、次にこれをNaHの存在下でジフェニルカルバモイルクロリドとジメチルホルムアミド(DMF)中で反応させてDCUKAエチルエステルを得るか(反応D)、あるいは所望ならばエステル基のインサイチュー加水分解によってDCUKA酸を単離することができる。スキーム1の反応Bは、反応の高温、及び溶媒の経費、並びに生成物の精製及び溶媒の回収の難点のために、DCUKA化合物の商業規模の生産に対する潜在的障害である。本明細書に記載する方法は、この問題に対処するものである。
【0003】
【発明の概要】
【0004】
以下に式IVのアルキル5,7-ジハロ-1,4-ジヒドロ-4-オキソキノリン-2-カルボン酸エステルを調製する方法を本明細書に記載する。この方法は、式IIIのジアルキル1-(3,5-ジハロフェニルアミノ)エチレン-1,2-ジカルボキシレート化合物を、加熱された連続流通反応器中でメタンスルホン酸中のP2O5(しばしばイートン試薬と呼ばれる)で環化して、式IVのアルキル1,4-ジヒドロ-4-オキソキノリン-2-カルボン酸エステルを形成することを含む。任意に、ジクロロメタンのような共溶媒をイートン試薬とともに含むことができる。式IVのアルキル5,7-ジハロ-1,4-ジヒドロ-4-オキソキノリン-2-カルボン酸エステルから式VIのジフェニルウレイド-ジハロキヌレン酸エステルを調製する方法についても述べた。ジフェニルウレイド-ジハロキヌレン酸アルキルエステル(例えば、DCUKAエチルエステル)は、慢性疼痛及びアルコール依存症の治療、並びにアルコール中毒患者における再発の予防に有用な鎮痛薬である。スキーム2は、本明細書に記載される方法による式VIのジフェニルウレイド-ジハロキヌレン酸アルキルエステルの合成を要約する。
【0005】
【0006】
スキーム2の式I、II、III、IV、V及びVIの化合物において、各Xはそれぞれ独立にハロゲン、例えば、F、Cl、Br又はIであり、各RはC1~C4アルキル基、例えば、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(Pr)、イソプロピル(iPr)、ブチル(Bu)などである。1つの好ましい実施形態において、各XはClである。別の好ましい実施形態において、各Rはエチルである。さらに別の好ましい実施形態において、各XはClであり、各Rはエチルである。
【0007】
スキーム2において、反応(a)は、典型的には、式Iの3,5-ジハロアニリンの加熱溶液に式IIのジアルキルアセチレンジカルボキシレートを付加することを含むマイケル付加反応である。式IIIのジアルキル1-アリールアミノ-エチレン-1,2-ジカルボキシレートマイケル付加物を単離、精製することができ、反応(b)では粗製形態で用いることができる。
【0008】
Tabakoffらによる化合物3(各XがClであり、各Rがエチルである式III)の以前に報告されたシクロアシル化は、ジフェニルエーテルなどの高沸点溶媒中で、約250℃で化合物3の溶液を加熱することによって完全に熱により推進される(スキーム1の反応Aとして示される)。この反応は典型的にはバルク反応器で行われ、高温及び生成物の比較的低い溶解度のため、流通反応器では行うのが困難である可能性がある。反応に必要な高温も安全性の問題をもたらす。反応の高温条件下では、反応に存在するどのアニリンもエステル基と反応してアミドを生成するので、化合物3には未反応の3,5-ジクロロアニリン(化合物1)が相対的に含まれていてはならない。
【0009】
本明細書中に記載される方法において、式IVの1,4-ジヒドロ-4-オキソキノリン化合物を形成するための式IIIのマイケル付加物のシクロアシル化、スキーム2の反応(b)は、メタンスルホン酸中のP2O5(例えば、メタンスルホン酸中の約7~約10重量%(wt%)のP2O5、イートン試薬としても知られる)を利用して、従来公知の熱シクロアシル化よりもはるかに低い温度で実施される。本明細書に記載されているように、反応(b)は、唯一の溶媒としての無溶媒イートン試薬中で、又はイートン試薬と炭化水素共溶媒又はハロゲン化炭化水素共溶媒とを用いて、流通反応器中で行われる。
【0010】
イートン試薬の使用は、フェニル環上の他の置換パターンを有するアニリン誘導体のシクロアシル化については、Zewgeら(J.Org.Chem.、2007、71:4276-4279)によって報告されている一方で、スキーム1の化合物3のような3,5-二置換-アニリンマイケル付加物によるシクロアシル化反応は、報告も示唆もされていなかった。事実、Zewgeらは、アニリン誘導体のイートン試薬によるシクロアシル化は、共溶媒の存在下では効果的には進行せず、メタ置換基を有するアニリン誘導体は、煩雑な反応プロフィールを提供し(脚注15)、メタ-メトキシアニリン化合物の場合(脚注22)、わずか30%の所望の生成物の収率を有することを報告した。したがって、式IIIの3,5-ジハロアニリンマイケル付加物とイートン試薬との効果的なシクロアシル化は予想外である。さらに驚くべきことは、共溶媒を用いるZewgeらが報告した非常に否定的な結果を考えると、共溶媒が流通反応にイートン試薬とともに含まれ得ることである。
【0011】
シクロアシル化反応(b)にイートン試薬を用いる別の予想外の利点は、式Iの未反応ジハロアニリン(例えば、化合物1)の比較的高レベル(最大25%以上)が、反応を著しく阻害することなくシクロアシル化の間に存在し得ることである。したがって、1つの好ましい実施形態において、式Iの未反応アニリンをかなりの量含有する、マイケル付加、反応(a)から得られる式IIIの単離された粗生成物は、マイケル付加反応において使用される溶媒から粗生成物を単離する以外は、さらなる精製なしに、シクロアシル化において使用される。
【0012】
シクロアシル化反応から得られる式IVの粗生成物は、流通反応器からの流出液の生成物含有部分の粉砕(例えば、流出液を冷水に添加することによって)によって単離され得、顆粒状固体析出物として式IVの粗1,4-ジヒドロ-4-オキソキノリンを得る。次いで、顆粒状固体は、該析出物を溶媒(例えば、アセトニトリル、メタノール、又はイソプロパノール、好ましくはイソプロパノール又はアセトニトリル)中で穏やかに加熱しながら(例えば、約40℃)でスラリーにすることにより精製され、不純物を液相中に追い出し、次いで、残りの固体をスラリーから回収して(例えば、濾過により)、式IVの十分に精製された(HPLCによる90%以上)化合物を得ることができる。
【0013】
スキーム2の反応(c)は、非プロトン性溶媒(例えば、アセトニトリル)中で1,4-ジヒドロ-4-オキノリン化合物とクロロスルホニルイソシアネートとの反応によって、式IVの1,4-ジヒドロ-4-オキソキニリンを式Vの4-アミノキノリン化合物に変換するものである。粗4-アミノキノリン生成物は、該生成物を溶媒(例えば、酢酸エチル、エタノール、又はイソプロパノール)中で穏やかに加熱しながら(例えば、約50℃)液相中に不純物を追い出し、スラリーから残りの固体を回収して、式Vの十分に精製された(HPLCによる90%超)化合物を得ることによって、精製することができる。
【0014】
スキーム2の反応(d)は、極性非プロトン性溶媒(例えば、ジメチルアセトアミド、「DMAc」)中の塩基(例えば、水素化ナトリウム)の存在下でのジフェニルカルバモイルクロリドとの反応による、式VIのジフェニルウレイド-ジハロキヌレン酸エステルへの式Vの4-アミノキノリン化合物の変換である。
【0015】
以下の非限定的な実施形態は、本明細書に記載される方法を例示するために提供される。
【0016】
第1の実施形態は、アルキル5,7-ジハロ-1,4-ジヒドロ-4-オキソキノリン-2-カルボン酸エステルを調製する方法である。この方法は、以下の連続するステップを含む。
【0017】
(i) メタンスルホン酸中に約7~約10wt%のP2O5を含む試薬中に溶解した式IIIの化合物を含む溶液を、試薬1mL当たり約0.15~約0.25グラムの式IIIの化合物の濃度で、約65~約75℃の範囲の選択された温度において、加熱されたコイルにおいて約15~40分の滞留時間を提供するのに十分な送液流量で加熱された連続流通反応器コイルに通して、第1の溶液を送液することによって加熱し、式IVのアルキル5,7-ジハロ-1,4-ジヒドロ-4-オキソキノリン-2-カルボン酸エステルを含む、加熱されたコイルから流出する流出液を回収するステップ、
【0018】
【0019】
【化4】
(ii) ステップ(i)から回収した流出液を、約15℃以下の水温を保ちつつ、撹拌しながら、流出液の体積あたり少なくとも約5体積の冷水に加えて、式IVのエステルを含む析出物を形成するステップ、並びに
(iii) 析出物を回収するステップ(例えば、濾過又は遠心分離)、
ここで式III及び式IVにおいて、各Xは独立にハロゲン原子(例えば、Cl)であり、各Rは独立にC
1~C
4アルキル(例えば、Et)である。任意に、ステップ(i)は、炭化水素共溶媒又はハロゲン化炭化水素共溶媒(例えば、ジクロロメタン)の存在下で行うことができる。
【0020】
また、この方法は、所望ならば、式IVのエステルの精製を含むことができる。精製は以下によって行われる。
【0021】
(iv) 溶媒中の、ステップ(iii)から得られた析出物を含む懸濁液(例えば、析出物1g当たり約3~約10mLの溶媒)を、約40~50℃の範囲の温度で少なくとも約1時間撹拌し、続いて
(v) 懸濁液から式IVの精製エステルを含む未溶解の固体粒子を回収すること(例えば、濾過又は遠心分離)、
ここで、溶媒は、アセトニトリル、メタノール、イソプロパノール、及びそれらの2種以上の組合せからなる群から選択される有機溶媒である。式IVのエステルの精製には、アセトニトリル及びイソプロパノールが好ましい溶媒である。
【0022】
第2の実施形態は、以下の連続するステップを含む、アルキル5,7-ジハロ-1,4-ジヒドロ-4-オキソキノリン-2-カルボキシレートを調製するための方法である。
【0023】
(i) 非プロトン性溶媒(例えば、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルTHFなど)中に約15~約60wt%の式Iのジハロアニリンを含む溶液を、約70~約100℃の選択された温度で少なくとも約0.9当量の式IIのジアルキルアセチレンジカルボキシレートと約6~約24時間接触させて、式IIIの化合物を形成するステップ、
【0024】
【化5】
(ii) 溶媒を除去して(例えば、蒸留による)式IIIの化合物を含む残留物を形成するステップ、
(iii) 約65~約75℃の選択された温度で、試薬1mL当たり約0.15~約0.25グラムの残留物の濃度で、メタンスルホン酸中に約7~約10重量%のP
2O
5を含む試薬に溶解した、ステップ(ii)からの残留物を含む溶液を、加熱されたコイルにおいて約15~40分の滞留時間を提供するのに十分な送液流量で、加熱された連続流通反応器コイルに通して送液することにより加熱し、式IVのアルキル5,7-ジハロ-1,4-ジヒドロ-4-オキソキノリン-2-カルボン酸エステルを含む、加熱されたコイルから流出する流出液を回収するステップ、
【0025】
【化6】
(iv) ステップ(ii)で回収した流出液を、約15℃以下の水温を保ちつつ、撹拌しながら、流出液の体積当たり約5体積以上の冷水に加え、式IVのエステルを含む析出物を形成するステップ、並びに
(v) 析出物を回収するステップ(例えば、濾過又は遠心分離)、
ここで式I、式II、式III及び式IVにおいて、各Xは独立にハロゲン原子(例えば、Cl)であり、各Rは独立にC
1~C
4アルキル(例えば、Et)である。任意に、ステップ(iii)は、炭化水素共溶媒又はハロゲン化炭化水素共溶媒(例えば、ジクロロメタン)の存在下で行うことができる。
【0026】
第2の実施形態の方法はまた、所望ならば、式IVのエステルを精製することを含むことができる。精製は以下によって行われる。
【0027】
(vi) 溶媒中の、ステップ(v)から得られた析出物を含む懸濁液(例えば、析出物1g当たり約3~約10mLの溶媒)を約40~50℃の範囲の温度で少なくとも約1時間撹拌し、ここで、溶媒は、アセトニトリル、メタノール、イソプロパノール、及びそれらの2種以上の組合せからなる群から選択され、次いで
(vii) 懸濁液から式IVの精製エステルを含む未溶解の固体粒子を回収すること(例えば、濾過又は遠心分離による)。アセトニトリル及びイソプロパノールは、第1の実施形態と同様に、式IVのエステルを精製するための好ましい溶媒である。
【0028】
第3の実施形態は、第1の実施形態のステップ(i)、(ii)、及び(iii)を実施し、次いで
(iv) 溶媒中の、ステップ(iii)から得た析出物の懸濁液を約40~50℃の範囲の温度で少なくとも約1時間撹拌することにより式IVのエステルを精製し、ここで、第1の溶媒は、アセトニトリル、メタノール、イソプロパノール、及びそれらの2種以上の組合せからなる群から選択され(アセトニトリル及びイソプロパノールは、式IVのエステルを精製するための好ましい溶媒である)、次いで
(v) 懸濁液から式IVの精製エステルを含む未溶解の固体粒子を回収し、
(vi) 極性非プロトン性溶媒(例えば、アセトニトリル、THF、2-メチル-THF)中の式IVの精製エステルを含む溶液を、約40~約80℃の温度でクロロスルホニルイソシアネートと、二酸化炭素ガスの発生が停止するまで接触させ、
(vii) ステップ(vi)からの溶液に、C1~C4アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、ブタノールなど)中の酸(例えば、HClなどの強酸)を添加し、得られた酸性混合物を約65~約75℃(例えば、約70℃)の温度で加熱して、式Vの5,7-ジハロ-4-アミノキノリン-2-カルボン酸エステルを形成し(好ましくは、アルコールは、Rと同じアルキル置換基を有するように選択される)、
【0029】
【化7】
(viii) 式Vのエステルを単離し、
(ix) 極性非プロトン性溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、プロピレンカーボネート、それらの2種以上の組合せの)中にステップ(viii)で単離された式Vのエステルを含む溶液を、塩基の存在下でジフェニルカルバモイルクロリドと接触させて、式VIのジフェニルウレイド-ジハロキヌレン酸エステルを形成し、
【0030】
【化8】
ここで、塩基は、アルカリ金属水酸化物(例えば、LiOH、KOH、又はNaOH)及びアルカリ金属水素化物(例えば、NaH又はKH)からなる群から選択され、好ましくは、塩基はNaH(例えば、60%NaH)又はNaOHであり、及び
(x) 式VIのジフェニルウレイド-ジハロキヌレン酸エステルを単離することを含み、
ここで、式I、式II、式III、式IV、式V、及び式VIにおいて、各Xは、独立して、ハロゲン原子(例えば、Cl)であり、各Rは、独立して、C
1~C
4アルキル(例えば、Et)である、ジフェニルウレイド-ジハロキヌレン酸アルキルエステルを調製する方法である。任意に、ステップ(iii)は、炭化水素共溶媒又はハロゲン化炭化水素共溶媒(例えば、ジクロロメタン)の存在下で行うことができる。
【0031】
式Vのエステルは、任意の所望の方法によりステップ(viii)で単離することができる。いくつかの実施形態において、式Vのエステルは、ステップ(vii)の酸性混合物のpHを約9~約10に調整して、式Vのエステルを含む第2の析出物を形成することにより、ステップ(viii)で単離され得、第2の析出物は、その後、例えば、濾過又は遠心分離により回収される。
【0032】
第3の実施形態の方法はまた、所望ならば、式Vのエステルの精製を含むことができる。精製は以下によって行われる。
【0033】
(a) 溶媒中の、ステップ(viii)で単離された式Vのエステルの懸濁液(例えば、式Vのエステル1g当たり約5~約10mLの溶媒)を約40~50℃の範囲の温度で少なくとも約1時間撹拌し、ここで、第3の溶媒は、C2~C3アルコール(例えば、エタノール又はイソプロパノール)、C2~C3アルキルアセテート(例えば、酢酸エチル又は酢酸イソプロピル)、及びそれらの組合せからなる群から選択され、
(b) ステップ(a)の懸濁液を約20~25℃の温度に冷却した後、懸濁液から式Vの精製エステルを含む未溶解の固体粒子を回収すること(濾過又は遠心など)。エタノール、イソプロパノール及び酢酸エチルは、式Vのエステルを精製するのに好ましい溶媒である。
【0034】
式VIのジフェニルウレイド-ジハロキヌレン酸エステルは、任意の所望の方法によりステップ(x)で単離することができる。いくつかの実施形態において、式VIのエステルは、ステップ(ix)からの溶液を、撹拌しながら約28~約30体積の水性酸(例えば、10wt%酢酸)に加えることによってステップ(x)で単離され、式VIのエステルを含む析出物を形成し、該析出物はその後、例えば、濾過又は遠心分離によって回収される。
【0035】
所望ならば、第3の実施形態の方法は、同様に、式VIのジフェニルウレイド-ジハロキヌレン酸エステルの精製を含むことができる。精製は以下によって行われる。
【0036】
(c) ステップ(x)で単離された式VIのエステルを、水と混和しない溶媒又は少なくとも1種の水と混和しない溶媒(例えば、ジクロロメタン、酢酸エチル/エタノール混合物、メチル-t-ブチルエーテル、2-メチル-THF)を含む溶媒混合物中に含む溶液を形成し、続いて溶液を水性塩基、続いて水性酸で連続的に洗浄し、
(d) ステップ(c)の溶液か全ての残留溶媒を除去して、式VIのエステルを含む残留物を回収し、
(e) 溶媒中の、ステップ(d)からの残留物を含む懸濁液(例えば、残留物1g当たり約5~約10mLの溶媒)を、約40~50℃の範囲の温度で少なくとも約1時間撹拌し、ここで、溶媒は、1種以上のC2~C3アルコール(例えば、エタノール、プロパノール、又はイソプロパノール)を含み、及び
(f) ステップ(e)からの懸濁液を約20~25℃の温度まで冷却した後、懸濁液から式VIの精製エステルを含む未溶解の固体こと粒子を回収する(例えば、濾過又は遠心分離)。エタノール及びイソプロパノールは、式VIのエステルを精製するのに好ましい溶媒である。
【0037】
第4の実施形態は、第2の実施形態のステップ(i)、(ii)、(iii)、(iv)及び(v)を実施し、次いで
(vi) 溶媒中の、ステップ(v)から得た析出物を含む懸濁液を、約40~50℃の範囲の温度で少なくとも約1時間撹拌して、式IVのエステルを精製し、ここで、第2の溶媒は、アセトニトリル、メタノール、イソプロパノール、及びそれらの2種以上の組合せからなる群から選択され、
(vii) ステップ(vi)の懸濁液から式IVの精製エステルを含む未溶解の固体粒子を回収し、
(viii) 式IVの精製エステルを含む溶液を、極性非プロトン性溶媒(例えば、アセトニトリル)中、約40~約80℃の温度で、二酸化炭素ガスの発生が停止するまでクロロスルホニルイソシアネートと接触させ、
(ix) C1~C4アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、ブタノールなど)中の強酸(例えば、HCl)をステップ(viii)の溶液に添加し、得られた酸性混合物を約65~約75℃(例えば、約70℃)の温度で加熱して、式Vの5,7-ジハロ-4-アミノキノリン-2-カルボン酸エステルを形成し(好ましくは、アルコールは、Rと同じアルキル置換基を有するように選択される)、
【0038】
【化9】
(x) 式Vのエステルを単離し、
(xi) 極性非プロトン性溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、プロピレンカーボネート又はそれらの2種以上の組合せ)中にステップ(x)で単離されたエステルを含む溶液を、塩基の存在下でジフェニルカルバモイルクロリドと接触させ、式VIのジフェニルウレイド-ジハロキヌレン酸エステルを生成し、
【0039】
【化10】
ここで、塩基は、アルカリ金属水酸化物(例えば、LiOH、KOH、又はNaOH)及びアルカリ金属水素化物(例えば、NaH又はKH)からなる群から選択され、好ましくは、塩基はNaH(例えば、60%NaH)又はNaOHであり、
(xii) 式VIのジフェニルウレイド-ジハロキヌレン酸エステルを単離することを含み、
ここで、式I、式II、式III、式IV、式V、及び式VIにおいて、各Xは、独立して、ハロゲン原子(例えば、Cl)であり、各Rは、独立して、C
1~C
4アルキル(例えば、Et)である、ジフェニルウレイド-ジハロキヌレン酸アルキルエステルを調製するための方法である。任意に、ステップ(v)は、炭化水素共溶媒又はハロゲン化炭化水素共溶媒(例えば、ジクロロメタン)の存在下で行うことができる。いくつかの実施形態において、75%酢酸エチル及び25%メチルエチルケトン(v/v)の組み合わせは、ジクロロメタンを使用せずに、精製のために式(VI)の化合物を溶解するのに驚くべき効果のある溶媒であった。
【0040】
式Vのエステルは、任意の所望の方法によりステップ(x)で単離することができる。いくつかの実施形態において、式Vのエステルは、ステップ(ix)の酸性混合物のpHを約9~10に調整することによりステップ(x)で単離されて、式Vのエステルを含む第2の析出物を形成し、その後、該析出物は、例えば、濾過又は遠心分離によって回収される。
【0041】
第4の実施形態の方法はまた、所望ならば、式Vのエステルの精製を含むことができる。精製は以下によって行われる。
【0042】
(a) 溶媒中の、ステップ(x)で単離された式Vのエステルを含む第2の懸濁液(例えば、式Vのエステル1グラム当たり約5~約10mLの溶媒)を、約40~50℃の範囲の温度で少なくとも約1時間撹拌し、ここで、溶媒は、C2~C3アルコール(例えば、エタノール又はイソプロパノール)、C2~C3アルキルアセテート(例えば、酢酸エチル又は酢酸イソプロピル)、及びそれらの組み合わせ(好ましくは、エタノール、イソプロパノール、又は酢酸エチル)からなる群から選択され、
(b) ステップ(a)からの懸濁液を約20~25℃の温度まで冷却した後、懸濁液から式Vの精製エステルを含む未溶解の固体粒子を回収すること(濾過、遠心分離など)。
【0043】
式VIのジフェニルウレイド-ジハロキヌレン酸エステルは、任意の所望の方法によりステップ(xii)で単離することができる。いくつかの実施形態において、式VIのエステルは、ステップ(xi)からの溶液を、撹拌しながら、約26~約30体積までの水性酸(例えば、10wt%酢酸)に添加することによって、ステップ(xii)で単離されて、式VIのエステルを含む析出物を形成し、該析出物は、例えば、濾過又は遠心分離によって回収される。
【0044】
所望ならば、第3の実施形態の方法は、同様に、式VIのジフェニルウレイド-ジハロキヌレン酸エステルの精製を含むことができる。精製は以下によって行われる。
【0045】
(c) 水と混和しない溶媒(ジクロロメタン、酢酸エチル、メチル-t-ブチルエーテル、メチルエチルケトン、それらの組合せなど)中のステップ(xii)で単離された式VIのエステルを含む溶液を形成して、溶液を水性塩基で、続いて水性酸で連続的に洗浄し、
(d) ステップ(c)から溶媒を除去して、式VIのエステルを含む残留物を回収し、
(e) 溶媒中の、ステップ(d)からの残留物を含む懸濁液(例えば、第2の残留物1g当たり約5~約10mLの第5の溶媒)を約40~50℃の範囲の温度で少なくとも約1時間撹拌し、ここで、溶媒は、1種以上のC2~C3アルコール(例えば、エタノール、プロパノール、又はイソプロパノール、好ましくは、エタノール又はイソプロパノール)を含み、
(f) ステップ(e)の懸濁液を約20~25℃の温度まで冷却した後、懸濁液から式VIの精製エステルを含む未溶解の固体粒子を回収すること(例えば、濾過又は遠心分離)。
【0046】
所望ならば、式VIの精製エステルを、加水分解により対応するカルボン酸(例えば、DCUKA)又はその塩に変換することができる。さらに、カルボン酸又はカルボン酸塩は、ジフェニルウレイド-ジハロキヌレン酸の複素環窒素がプロトン化されるように、p-トルエンスルホン酸のような強酸により付加塩に変換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】図は、本明細書に記載される方法に使用する流通反応器を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
上述したように、DCUKAエチルエステル及びメチルエステルの合成法(エチルエステルについてスキーム1に示した)についての以前に報告された手順は、還流条件下で、THF中で3,5-ジクロロアニリン1をジエチルアセチレンジカルボキシレート2で処理し、マイケル付加物3を得、これを次に、ジフェニルエーテル(Ph2O)中で、250℃で熱により環化し、エチル5,7-ジクロロ-1,4-ジヒドロ-4-オキソキノリン-2-カルボン酸エステル4を得ることから始まる4段階を含む。次に、エステル4を還流条件下で、クロロスルホニルイソシアネートで処理し、4-アミノキノリン5を得る。次いで、化合物5のアミノ基を、DMF中、NaHの存在下でジフェニルカルバモイルクロリドと反応させて、目標のDCUKAエチルエステル6を得る。エステル6及びそれに対応する酸(エチル基、EtがHに置き換わる)は鎮痛薬であり、慢性疼痛及びアルコール依存症のほか、他の関連病態の治療に有用である。
【0049】
本明細書では、シクロアシル化反応のためのメタンスルホン酸中の五酸化二リンの溶液(イートン試薬としても知られる)の使用を含み、シクロアシル化反応における高温の必要性を排除し、流通反応器条件での使用に適したDCUKAエステルの合成における重要な進歩について説明する。
【0050】
<スキーム2のアザマイケル反応(a)>
化合物3(各XがClであり、各RがEtである式III)の調製によって例示されるように、アザマイケル反応は、約1.1当量(eq)のジエチルアセチレンジカルボキシレート1のTHF溶液を、約1eqの3,5-ジクロロアニリン2のTHF溶液に滴下し、次いで得られた混合物を約70℃で数時間(時間)、例えば約4~7時間加熱して、シス異性体及びトランス異性体の混合物としての粗マイケル付加生成物3を生成する。化合物3は、これらの条件下で約75%(3,5-ジクロロアニリン1の消費量に基づく)の変換率で得られており、この反応を24時間加熱しても改善されなかった。別途記載しない限り、本明細書の他の場所で記載した通り、変換率はHPLCの曲線下面積(AUC)測定により決定した。化合物3への変換率は、さらに0.5eqのジエチルアセチレンジカルボキシレートを添加し、追加で、70℃で約22時間加熱することにより、約98%まで上昇させることができる。しかし、ジエチルアセチレンジカルボキシレートは熱に安定ではなく、かなりのエネルギー放出を伴って分解するので、安全のためにはジエチルアセチレンジカルボキシレートの充填量を1当量未満(例えば、約0.9eq)に制限することが好ましい。約75%の3,5-ジクロロアニリン(HPLCで測定)を消費すると、THFは蒸留によって除去され、粗マイケル付加物の混合物は、以下に記載されるように、化合物4を生成するためのその後のシクロアシル化反応に直接使用することができる。この手順はマルチキロスケールでのマイケル付加物材料の製造に適していることが分かった。
【0051】
<スキーム2のシクロアシル化(b)>
化合物4(xがClであり、RがEtである式IV)のような式IVの化合物を形成するシクロアシル化ステップは、もともと、ジフェニルエーテル中、250℃で実施された。このような条件下で連続流通反応器でこの反応を行い、より実用的な大規模合成を提供する試みは、高背圧のために危険な条件を引き起こす反応器系統へのジフェニルエーテルからの環化生成物の部分的析出を導いた。この問題を回避するために、代替のシクロアシル化方法を検討した。
【0052】
式IIIの化合物(例えば、化合物3)のシクロアシル化及び酸性度の高いイートン試薬に対する適合性を、化合物3のグラムあたり約4~6mLのイートン試薬(便宜上、4~6体積のイートン試薬とも言う)の濃度で、化合物3と無溶媒イートン試薬とのバルク反応によって小規模に調べた。反応は60℃で行ったが、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により反応を追跡した。HPLCの結果は、有意な副生成物なしに新しいピークの形成を伴う化合物3の消費を示した。
【0053】
小規模のバルクシクロアシル化で成功して、この手順を流動条件下で調べ、さらに最適化した。無溶媒イートン試薬による化合物3(2つのメタ-クロロ置換基を有する)のシクロアシル化は、20~25%の未反応ジクロロアニリン(化合物1)を含有する粗化合物3による場合でさえ、流動条件下で驚くほど良好に進行した。流通反応は、化合物3のバルクシクロアシル化反応(約2時間加熱後に約75%の変換率しか提供せず、その後の変換率のさらなる上昇は提供しなかった)と比較して、有意に高い変換率(例えば、化合物3の初期量に基づいて85~95%)を提供した。意外なことに、共溶媒(例えば、ジクロロメタン)は、少なくとも調べた20時間の反応時間枠で、共溶媒がほとんど反応を停止させることを示したZewgeら(脚注15)が報告した結果とは対照的に、流動条件下でシクロアシル化反応を有意に阻害しなかった。
【0054】
有利には、約75モル%の3及び約20~25%の未反応3,5-ジクロロアニリン1を含む粗化合物3を、未反応アニリン化合物からの有意な阻害なしに、イートン試薬とともにシクロアシル化において利用することができる。例えば、70℃で約40mL(4体積)のイートン試薬に溶解した約10gの粗化合物3を利用する反応において、滞留時間20分、背圧約15ポンド/平方インチ(psi)を用いて、HPLCデータからのAUC測定に基づいて、約73%の4及び約22%の3,5-ジクロロアニリンを含む粗生成物が得られ、粗出発材料中の化合物3が化合物4に非常に高く変換されていることが示された(例えば、95%を超える)。
【0055】
上述のように、流通反応器条件下では、シクロアシル化反応はまた、イートン試薬に添加された共溶媒を用いて驚くべきことに良好に進行する。これは、イートンの試薬及び共溶媒(トルエン、キシレン、スルホラン)を、溶媒対イートン試薬の比率1:1及び2:1でバルク反応に用いた類似のシクロアシル化において報告された試み(Zewgeらにより極めて遅いと報告されており、最良の変換率は、1:1トルエン/イートン(Easton)試薬を用いて100℃で20時間後にわずか約3%であった(Zewge他の脚注15))とは全く対照的である。
【0056】
<式IVの化合物の単離> 粗化合物3とイートン試薬との反応で化合物4を生成することで示されるように、シクロアシル化反応(スキーム2の反応(b))からの粗生成物は、粉砕により、例えば、冷たい(例えば、0~15℃)水(典型的には流出液の体積当たり約5~20体積の水)に生成物含有流出液を激しく撹拌しながら(典型的には数分から数時間かけて)加えて、生成物を析出させた後、濾過して析出物を回収し、回収した析出物を真空下で乾燥させることにより、粒状固体として容易に単離することができる。任意に、水は、メタンスルホン酸及び流出液を水に添加する際に形成され得る任意のリン酸を中和又は部分的に中和するために塩基を含むことができる。この粉砕手順は、ジクロロメタンなどの共溶媒が流出液中に存在する場合でも使用することができる。
【0057】
幾分かの未反応の化合物3、かなりの量の未反応の3,5-二置換アニリン1、及びいくつかの副生成物を依然として含有する可能性がある粗析出物は、粗化合物4を酢酸ナトリウムなどの塩基性塩の水溶液(例えば、粗化合物4のグラム当たり約5~20mLの塩水溶液)中でスラリー化することによって、さらに精製することができる。それに代えて、又はそれに加えて、粗化合物4は、生成物が中程度から低い程度の溶解度を有する有機溶媒、例えば、C1~C3アルコール(例えば、メタノール又はイソプロパノール)又はアセトニトリル中で固体をスラリー化することによって精製することができる。イソプロパノール及びアセトニトリルで、95%までの純度が得られ、粗固形生成物中に目標生成物の理論量の90%までの回収率が得られる。
【0058】
<スキーム2のアミノ化(c)>
手持ちの高品質の化合物4を用いて、アミノ化反応の評価を開始した。アセトニトリル中の化合物4の懸濁液にクロロスルホニルイオシアネートを23℃で添加した。文献によるとクロロスルホニルイオシアネートは最も反応性の高いイオシアネートの一つであるが、添加中に発熱は認められなかった。添加終了後、混合物を還流(約75~80℃)まで約1時間加熱し、その間、反応をHPLCで追跡した。約40~45℃の温度に達すると、反応混合物は透明な褐色溶液となり、CO2の連続発生が観察され、これは約65~70℃の温度で停止した。HPLCプロファィルに新しい広いピークが現れ、同時に化合物4が消費された。この時点で、混合物を約35~40℃まで冷却し、メタノール中の1.5M HClを添加し、続いて約70℃でさらに1時間加熱還流して、最初の反応で形成された中間生成物をクエンチし、4-アミノキノリン生成物、化合物5を放出させた。広いピークの消失を伴うHPLCプロファイルにおける新しいピークの出現により、生成物を放出する反応の進行が確認された。
【0059】
<式Vの化合物の単離> 初期最適化の一環として、0~5℃で直接反応混合物に0.5N NaOHを添加し、pHメーターで測定して混合物のpHを約9~10に調整した。得られた濃厚スラリーを濾過し、水で洗浄して黄褐色のフィルターケーキを回収し、これを40~45℃で調整した。フィルターケーキのHPLC純度は約88%と評価され、濾液及び洗浄液中での生成物の消失は認められなかった。
【0060】
エチルからメチルへの幾分かのエステル交換がメタノール中のHClで観察されたので、代わりにHCl-エタノールを用いてこの手順を修正した。このように、クエンチ溶液に用いられるアルコールは、反応生成物中のエステルと同じアルキル基を有することが好ましい。方法の安全性を高めるためには、クロロスルホニルイオシアネートを化合物5の溶液に、23℃の代わりに約70℃で添加することが好ましく、これにより、全添加中のCO2の発生が制御される。この手順に従い、粗化合物5が最大93%の収率で、最大90%の純度で単離される。
【0061】
<式Vの粗化合物の精製> エタノール、イソプロパノール及び酢酸エチルをはじめとする種々の溶媒中でスラリー化することによって、粗化合物5を容易に精製した。例えば、3~5体積のイソプロパノール(すなわち、粗生成物1g当たり3~5mL)中でスラリー化すると、HPLCで測定した純度94~97%で化合物5の約85%が回収された。回収率がわずかに低く(64~72%)、純度はわずかに高かった(98~99%)ものの、3~5体積のエタノールでも同様の結果が得られた。約3~10体積の酢酸エチルによるスラリー精製では、HPLC純度93~97%で最高回収率(88~90%)が得られた。
【0062】
<カルバミル化(スキーム2の(d))>
式VIのジフェニルウレイド-ジハロキヌレン酸エステルを生成する式Vの化合物のカルバミル化は、DCUKAエチルエステル6への化合物5の変換によって例示される。カルバミル化は、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、N-メチルピロリドン(NMP)、プロピレンカーボネート(PC)などの極性非プロトン性溶媒中で、NaOHなどのアルカリ金属水酸化物、又はNaHなどのアルカリ金属水素化物の存在下で、式Vの化合物、例えば、化合物5の溶液にジフェニルカルバモイルクロリドを添加することにより行う。DMAcは、この反応のための好ましい溶媒であり、60%水素化ナトリウムは好ましい塩基である。
【0063】
多数の塩基をこの反応のために評価した。THF溶媒中のリチウムヘキサメチルジシラジン及びナトリウムヘキサメチルジシラジン(LiHMDS及びNaHMDS)の両方は、HPLCによって決定されるように、化合物5の損失をもたらしたが、代わりに、所望のDCUKAエチルエステル化合物6の形成なしに、化合物5の酸形態(EtがHによって置換される)が形成された。同様の結果は、カリウムtert-ブトキシド及びナトリウムエトキシドでも観察された。ピリジン、トルエン中のジイソプロピルエチルアミン、及びDMF中のセシウムカーボネートなどのより弱い塩基も、無溶媒ピリジンと同様に、所望の生成物を与えることができなかった。
【0064】
THFにおけるNaHの使用も成功しなかったが、反応はDMF、DMAc、NMP及びプロピレンカーボネート(PC)において効果的であった。DMAc中のNaOH及びLiOHの使用は確かに化合物6の生成をもたらし、NaOHは85~90%の変換率をもたらしたが、より長い反応時間(16時間)が必要であった。LiOHはDMAcでわずか25%の変換率をもたらした。全体として、DMAc溶媒中の60% NaHの使用は、DMAcがNaHの存在下で本質的に不活性であるため、大規模バッチに対して反応時間の短縮、最も高い変換率、及び最良の安全性を提供した。要約すると、DMAcによる60% NaHは、塩基の完全な添加後1時間以内に95%を超える変換率で目的生成物を提供した。
【0065】
<式VIの化合物の単離及び精製>
HPLCで確認したカルバミル化反応の完了時に、クエンチ方法を評価した。最初に反応混合物を冷水(0~5℃)に徐々に充填し、生成物を析出させた。この手順は確かに機能するが、エステル基のいくらかの加水分解が起こり得るので、化合物6中のエチルエステルの加水分解を回避するために、10wt%の酢酸(AcOH)などの酸性溶液中で反応をクエンチすることが望ましい。濾過してフィルターケーキを回収した後の生成物の粗収率は、HPLCによる約85~90%の純度で一貫して約85~90%であった。反応中に生成する副生成物DCUKA酸を除去するために、酸/塩基後処理、続く結晶化又はスラリー洗浄精製を開発した。例えば、粗フィルターケーキを約10体積のジクロロメタン(DCM)に溶解し、約3体積の0.5M NaOH溶液で洗浄した後、約3体積の0.3Mクエン酸溶液で洗浄することができ、これによりHPLCで観察された不純物の一部が除去される。あるいは、60体積の75%/25% v/v EtOAc/MEKを使用して、DCMの代わりに粗DCUKA酸を溶解することができる。
【0066】
あるいは、粗生成物中に観察される2つの未知の不純物をパージするために、結晶化法及びスラリー精製方法を開発した。イソプロパノール(IPA)及びエタノール(EtOH)によるスラリー精製は不純物の除去に有効であり、全体的な回収率は良好であった。DCMを除去して乾燥させ、粗化合物6を約10体積のIPA又はEtOHに懸濁させ、40℃で一晩スラリー化させた後、23℃まで冷却した。濾過はIPA及びEtOHの両方から高純度(98%超)の化合物6をもたらし、1H-NMRスペクトルは溶媒を除いて追加のピークを示さなかった。
【0067】
DCMからEtOHへの溶媒スワップによって開始される結晶化も、この材料がEtOHに比較的不溶性であるため、高純度の化合物6を提供した。あるいは、EtOAcとMEKとの混合物を使用して粗DCUKA酸を溶解することができ、この溶媒の組み合わせは、DCMの場合と同様にEtOHとの溶媒スワップによって除去することができる。有機相を45℃での蒸留に供し、DCMの体積レベルを初期体積から約4~5倍に低下させ、次いでEtOHを連続的に滴下して添加し、蒸留中にさらにDCMを除去した。約6体積のEtOHを添加した後、混合物を約70℃で約45分間維持し、1H-NMR分析で決定したようにDCM対EtOH比約1:22を得た。得られたスラリーを20℃までゆっくりと冷却し、20℃で一晩維持した。濾過、その後フィルターケーキのHPLC分析を行った結果、両不純物が完全に除去されたことが確認された。全体として、この単離及び精製方法により、約65%の回収率で化合物6が得られ、純度は98%超であった。
【0068】
さらに別の代替として、DCMは、式VIの化合物(例えば、化合物6)についての結晶化方法から排除され得る。EtOAc/EtOH、EtOAc/THF、EtOAc/MEKをはじめとするDCMに代わるいくつかの溶媒をスクリーニングした。80/20~60/40の溶媒比をスクリーニングした。スクリーニングした全ての溶媒から、EtOAc/MEKのみが、EtOAc/MEKの75/25比で、50体積で化合物6を溶解することに成功した。
【0069】
<式VIIの酸を形成するための式VIの化合物の加水分解>
式VIの化合物は、対応する式VIIの塩又は式VIIIの酸に加水分解することができる。
【0070】
【化11】
式中、Mはカチオン(例えば、Na
+)である。式VIIの塩は、水性溶媒(例えば、水とアルコールとの混合物)中で塩基加水分解し、続いてpHを約5に調整して塩を析出させることによって形成される。例えば、穏やかに加熱(例えば50℃)しながら化合物6の水溶液(例えば、水-アルコール混合物)に水酸化ナトリウムのような塩基(例えば、2eq)を加えると、塩化合物7(各XがClであり、MがNaである式VII)への完全な加水分解が生じた。弱酸(例えば、酢酸)でpHを約5に調整すると、溶液から塩が析出する。次に、化合物7を濾過によって単離し、濾液をアルコール(例えば、メタノール)及び水でスラリー化することによって精製することができる。式VIIIのカルボン酸(例えば、DCUKA)も、強酸で中和することによって式VIIの塩から生成することができる。
【0071】
所望ならば、式VIIの塩を過剰のp-トルエンスルホン酸(TSOH)のような強酸で処理して、式IXの付加塩を形成することにより、ジフェニルウレイド-ジハロキヌレン酸の付加塩を形成することができる。
【0072】
【化12】
式中、xはハロゲンである。例えば、化合物7の溶液へ2当量のTsOHを添加すると、非常に高い変換率(約100%まで)で、TsOH付加塩、化合物8の形成がもたらされた。
【0073】
<シクロアシル化のための流通反応器の設計>
添付の図は、シクロアシル化反応を行うための反応器10を模式的に示す。反応器10は、流入部14、調整コイル部22、反応器コイル部24、及び流出部26を有する送り管12を含む。流入部14は、ポンプ18と流体流接続しており、ポンプは、調整コイル部22と流体流接続している。調整コイル部22は、反応器コイル部24と流体流接続している。調整コイル部22及び反応器コイル部24は、加熱されたチャンバー20内に収容される。反応器コイル部24は、流出部26と流体流接続している。操作において、反応混合物は反応物貯蔵器16に充填され、管12の流入部14を介してポンプ18に引き込まれ、ポンプ18から調整コイル部22に排出され、そこで反応混合物は反応物コイル部24に流入し、その後、管12の流出部26を介して加熱されたチャンバー20から排出貯蔵器28に流出する。
【0074】
使用時、反応混合物の流れは、広い矢印Aの方向にある。加熱されたチャンバー20を、反応コイル部24の内容物を所望の反応温度まで加熱するのに十分な温度まで加熱する。調整コイル部22及び反応器コイル部24の全内部容積は、ポンプ18の送液速度と組み合わせて、加熱されたチャンバー20内の反応混合物に所望の滞留時間を与えるように選択される。典型的には、管12は、最初に反応溶媒で満たされ、これは、送液が進むにつれて反応混合物によって置換される。シクロアシル化反応からの生成物のいずれも含有しない流出液は、典型的には、生成物を含有する流出液を回収する前に廃棄される。送液効率を維持するために、反応物貯蔵器16は必要に応じて再充填されるか、あるいは1つの貯蔵器が消耗されるにつれて、追加の反応物貯蔵器をポンプ18に接続することができる。操作の最終段階では、溶媒を管12に通して送液し、反応器を通して最後に残った反応混合物を置き換えることができる。
【0075】
以下の非限定的な実施例を提供して、本明細書に記載された方法のある態様及び特徴を説明する。
【実施例】
【0076】
実験手順
試薬及び溶剤はいずれも市販の供給元から購入し、受領時に使用した。1H-NMRスペクトルは、300MHz及び500MHzのBRUKER AVANCE 300又はAVANCE 500分光器を用いて得た。NMR溶媒からのテトラメチルシランを内部基準として用いた。HPLC分析はVARIAN PROSTAR機器を用いて行った。
【0077】
<HPLC分析法>
カラム:WATERS XBRIDGE PHENYL、3.5μM、4.6×150mm
検出器波長:254nm、
流量:1.0mL/分、
移動相A:水中の0.05%ギ酸、
移動相B:アセトニトリル中の0.05%ギ酸、
希釈液(反応(a)、(b)及び(c)の場合はアセトニトリル、反応(d)の場合はアセトニトリル及び0.1%のTFA)
溶出勾配を表1に示す。
【0078】
【0079】
[例1.化合物3を生成するためのアザマイケル反応]
3,5-ジクロロアニリン1(100.0g、0.617mol、1.0eq)を、機械的撹拌器、還流冷却器及び温度プローブを備えた1リットルの三つ首のジャケット付き反応器に充填し、続いてTHF(700mL、7体積)を充填した。次にジエチルアセチレンジカルボキシレート2(126.0g、0.741mol、1.2eq)を無溶媒でこの反応器に添加した。ジエチルアセチレンジカルボキシレートの添加は、いかなる発熱についても注意深く監視した。添加終了後、得られた混合液を約70~75℃で撹拌し、その間反応をHPLCで追跡した(反応混合液約1μLを1.5mLのMeCNに溶解し、そのうち5μLをHPLCカラムに注入した)。反応の終点は、HPLC曲線下面積(AUC)測定に基づいて、3,5-ジクロロアニリン(保持時間:RT=14.8分)の少なくとも75%が化合物3(RT=17.5分)へ変換されるように選択した。この変換率を達成すると、還流冷却器を蒸留ヘッドに置き換え、減圧下でTHFを除去した。THF蒸留の終点は1H-NMRで決定した。得られた生成物の1H-NMRは化合物3の構造と一致した。
【0080】
[例2.化合物3の連続流通合成]
<A.流通反応器設計> 流体ポンプを、加熱ユニット内部の1/8インチ外径(約3.18mm)、0.069インチ内径(約1.75mm)のステンレス鋼管の340フィートコイルに接続した。この管は、反応混合物の予熱に3.1mLの体積を提供し、反応器の加熱コイル内の反応混合物に適した滞留時間を提供するために約247mLの体積を提供した。送液速度約4.1mL/分を用いると、約60分(分)の滞留時間が達成できる。ヒーター温度は、流通反応のための所望の温度に設定することができる。好ましくは、背圧調整器は、滑らかな流速を維持するのを助けるために、流線に連結される。
【0081】
<B.流通反応器の操作> 腐食性のある溶媒を用いたピストンポンプを使用することは不可能なため、この反応には蠕動ポンプ(例えば、WATSON-MARLOW 530Sポンプ)を使用した。というのはこのポンプ内の耐久管はそのような腐食性の高い環境での使用に適しているからである。無溶媒イートン試薬中の反応のために、基材化合物3を貯蔵器中でイートン試薬に溶解し、一方、反応器コイルをメタンスルホン酸で予め満たし、所望の反応温度(例えば、70℃)まで加熱した。次いで、反応混合物を、加熱コイル内の所望の滞留時間(例えば、15~40分)を達成するのに十分な速度で、流通反応器コイルを通って貯蔵器から送液した。貯蔵器からの反応混合物の全てをコイルに送液した直後に、少なくとも1つのコイル体積のメタンスルホン酸のチェイサーをコイルに通して送液し、反応混合物の全てが加熱されたコイルから確実に溶出させた。化合物4の単離のために加熱されたコイルを出た後、環化生成物を含む流出液を回収した。反応器をメタンスルホン酸の代わりに共溶媒(例えば、DCM)で予め満たし、前記チェイサーはメタンスルホン酸ではなく、少なくとも1コイル体積の共溶媒である以外は、イートン試薬及び共溶媒を用いる反応のために同じ方法に従った。
【0082】
<C.54gの試験反応と20分の目標滞留時間> 腐食性溶媒を用いたピストンポンプの使用は不可能である。したがって、この組立体で使用される耐久管を蠕動ポンプ用に特別に作成したので、この反応ではCOLE-PARMER L/S蠕動ポンプを使用した。反応器をDCMで満たし、50~70psiの内圧で70℃まで加熱した。化合物3(54g)をDCM(216ml、4体積)に溶解し、イートン試薬(211ml、4体積)を加えた。化合物3の溶液を反応器に通して送液し、続いてチェイサー溶媒としてDCMを送液した。送液速度の調整後、滞留時間はタイマー及びメスシリンダーを用いて23分であることが示された。得られた反応混合物を回収し、反応混合物のHPLC分析を行ったところ、85.5%のAUCの化合物4、保持時間(RT)1.05分で5.8%のAUCの副生成物、および4.2%のAUCの化合物3を示した。
【0083】
<D.20分の目標滞留時間を用いた230gの反応> この流通合成にはWATSON-MARLOW 530Sの蠕動ポンプを使用し、より高い流量を得た。反応器をDCMで満たし、50~70psiの内圧で70℃まで加熱した。化合物3(230g)をDCM(920ml、4体積)に溶解し、イートン試薬(920ml、4体積)を加えた。化合物3の溶液を反応器に通して送液し、続いてチェイサー溶媒としてDCMを送液した。ストップウォッチを用いると、滞留時間は19.25分であることが示された。得られた反応混合物を回収し、反応混合物のHPLC分析を行ったところ、84.9%のAUCの化合物4及び4.7%のAUCの1.05RT副生成物を示し、0.6%のAUCの化合物3が残存していた。送液中、流量の試験はポンプ内への逆流のため7mL/分しか示さなかった。この反応方法の終了時に、平均滞留時間は約32分であると判定した。
【0084】
<E.20分間の目標滞留時間を用いた10gの反応> この流通合成には、WATSON-MARLOW 530Sポンプを使用した。反応器をメタンスルホン酸で満たし、背圧調節器なしで70℃まで加熱した。幾分かの残留化合物1を含む粗化合物3をイートン試薬(40ml、4体積)で希釈した。化合物3の溶液を反応器に通して送液し、続いてチェイサー溶媒としてメタンスルホン酸を送液した。ストップウォッチを用いると、滞留時間は16.5分であり、目標滞留時間20分未満であることが示された。得られた反応混合物を回収し、反応混合物のHPLC分析を行ったところ、73.7%のAUCの化合物4、及び20.7%のAUCの化合物1を示した。
【0085】
<F.20分間の目標滞留時間を用いた10gの反応> この流通合成には、WATSON-MARLOW 530Sポンプを使用した。反応器をメタンスルホン酸で満たし、15psiに設定した背圧調節器を用いて70℃まで加熱し、出力の一定で円滑な流れを可能にした。化合物1を含む粗化合物3をイートン試薬(40ml、4体積)で希釈した。化合物3の溶液を反応器に通して送液し、続いてチェイサー溶媒としてメタンスルホン酸を送液した。ストップウォッチを用いると、滞留時間は16分であり、目標滞留時間20分未満であることが示された。得られた反応混合物を回収し、反応混合物のHPLC分析を行ったところ、72.7%のAUCの化合物3及び22.3%AUCの化合物1を示した。
【0086】
<G.単離及び精製> 流通反応混合物(1.1L中199g)を、バッチ温度を15℃未満に保つことにより-5℃までジャケット付き反応器中で冷却した水(2.4L、12体積)中に40mL/分の速度で充填した。完全に添加すると、バッチを23℃に加温し、さらに0.5時間撹拌した。その後、バッチを濾過して固体を回収した。完全に溶媒を除去すると、濾液のpHは約0であった。フィルターケーキを28wt%のNaOAc溶液(2.1L、2×5体積)でスラリー洗浄し、ケーキのpHを約5~6に調整した。次にフィルターケーキを水(2.0L、2×5体積)で洗浄し、無機塩を除去した。真空下でケーキを調整すると、ケーキをガラストレーに移し、ケーキの恒量に達するまで35~40℃の真空オーブンでさらに調整した。フィルターケーキ、母液、洗浄液をHPLCで分析した。フィルターケーキの粗重量はHPLCによる67%の純度で197.8gであった。
【0087】
[例3.化合物5を生成するための化合物4のアミノ化]
機械的撹拌器、温度プローブ及び還流冷却器を備えた四つ首の1Lのジャケット付き反応器に、化合物4(50g、1eq、0.175mol)を充填した後、23℃でアセトニトリル(MeCN、500mL、10体液)を充填した。スラリーを70℃まで加熱し、シリンジポンプ(0.26分/mL)を用いてクロロスルホニルイソシアネート(17mL、1.1eq、0.192mol)を1時間かけてゆっくりと加えた。イソシアネートの添加中にCO2の制御された発生が観察された。完全に添加した後、混合物を70℃でさらに30分間撹拌した。最初の中間生成物(RT:15~20分)への化合物4(RT:14.1分)の消費をHPLCにより監視するため、クロロスルホニルイソシアネートの添加の前後に試料を採取した。完全変換すると、1.5M HCl-EtOH(163mL、1.4当量、3.2体積)を、シリンジポンプ(2.5mL/分)を用いて70℃で1時間かけて加えた。この添加をHPLCで追跡したところ、15~20分で中間体が消失し、11.6分で新しいピークが出現した。その後、バッチを50~55℃(内温)で真空蒸留し、バッチ体積を約1/2に減少させた。次に得られたスラリーを0℃まで冷却し、pH(1~2)を0.5N NaOH(165mL、1.04eq、3.2体積)を用いてpH約9~10に調整した。得られた濃厚スラリーを5℃まで加温し、さらに0.5時間撹拌し、濾過してフィルターケーキを回収した。フィルターケーキ及び濾液の両方をHPLCで分析した。フィルターケーキ、化合物5を一晩45~50℃の真空オーブン中で調整した。単離された粗製物の乾燥重量は46.1g(粗収率=93%、純度:90%)であった。
【0088】
粗化合物5(31g)を、機械的撹拌器、温度プローブ及び還流冷却器を備えた四つ首の250mLのジャケット付き反応器に充填した。EtOAc(155mL、5体積)を反応器に充填し、スラリーを23℃で10分間撹拌し、次いで50℃まで加熱し、14時間撹拌した。14時間後、混合物を撹拌しながら23℃までゆっくりと冷却した。このスラリーを濾過してフィルターケーキを回収し、フィルターケーキ及び濾液の両方をHPLCで分析した。フィルターケーキをさらに40~45℃で4時間調整し、HPLCによる82%収率で純度95.8%の化合物4を25.3g得た。
【0089】
[例4.化合物6を生成するためのカルバミル化]
化合物5(10g、0.035mol、1eq)を、機械的撹拌器と温度プローブを備えた四つ首の500Lのジャケット付き反応器に加え、続いてDMAc(70mL、7体積)を加え、得られた溶液を5℃まで冷却した後、ジフェニルカルバモイルクロリド(9.8g、0.042mol、1.2eq)を固体として一度に加えた。この溶液を5℃で10分間撹拌し、次いでNaH(60%、2.8g、0.2462モル、2eq)を5℃で1時間かけて少しずつ添加した。添加が完了したら、濃赤色混合物をさらに1時間撹拌した。反応の進行をHPLCで監視した。10wt%のAcOH溶液(280mL、DMAc体積に基づいて4体積)を、機械的撹拌器と温度プローブを備えた別の三つ首の1Lのジャケット付き反応器に加え、約5℃まで冷却した。次いで、DMAc溶液を10wt%のAcOH溶液中にゆっくりと送液し、中間生成物をクエンチし、内部温度を5℃付近に保つことによって粗化合物6を析出させた。完全にクエンチしたら、スラリー(pH=3)を5℃でさらに30分間撹拌し、次いで濾過してフィルターケーキを回収した。フィルターケーキを水(2×140ml、2×2体積)で洗浄し、フィルターケーキ、濾液、洗浄液をHPLCで分析した。回収したフィルターケーキをさらに真空オーブン中で一晩45~50℃で調整し、HPLCによる純度87%の14.6g(87%)を得た。
【0090】
粗化合物6(42g)を三つ首の1Lのジャケット付き反応器に充填し、DCM(420mL、10体積)を加えて、この材料を溶解した。完全に溶解すると、0.5N NaOH(125mL、3体積)を反応器に加え、混合物を約5~10分間激しく撹拌した後、撹拌を停止して相を分離させた。有機相を回収し、反応器に戻し、0.5N NaOHの洗浄を3回繰り返した。0.5N NaOH洗浄液(3×3体積)が完了すると、有機層を0.3Mクエン酸(125mL、1×3体積)で洗浄した。各洗浄後にHPLCにより有機相及び水相の両方を分析したところ、16.7分の不純物が塩基洗浄で部分的にパージされたが、15.9分の不純物に加えて、有機相中に依然として残っていることを示した。
【0091】
有機相(400mL)を機械的撹拌器、熱電対、添加漏斗及びDean-Stark冷却器を備えた500mLの反応器に移し、45℃までゆっくり加熱して、DCMを除去した。DCMを約6体積まで除去すると、EtOHを連続的に滴下し、6体積の溶媒を単式蒸留釜に維持し、一方、DCMを蒸留除去した。混合物の温度は、EtOHの一定滴下添加で70℃までゆっくりと上げ、その間結晶化/析出が観察された。全体で約250mLのEtOH(6体積)を加え、混合物を70℃で約45分間維持した。1H-NMRは、EtOH:DCMの22:1比と大部分のDCMのEtOHへの交換の成功を確認した。
【0092】
スラリーを1時間かけて20℃までゆっくりと冷却し、撹拌しながら一晩20℃に維持した。次にスラリーを濾過して固体を回収し、フィルターケーキ及び濾液の両方をHPLCで分析した。フィルターケーキのHPLCデータから、EtOH中の15.9分及び16.7分RTの不純物の両方のパージングを確認した。フィルターケーキを4時間真空オーブン中で、50℃でさらに調整し、HPLCによる98%超の純度で65%の収率で27.4gの精製化合物6を得た。
【0093】
別の調製では、化合物5(20.0g、0.07mol、1当量)をDMAc(140mL、7体積)に溶解し、機械的撹拌器と温度プローブを備えた四つ首の1000Lのジャケット付き反応器中で5℃まで冷却した。ジフェニルカルバモイルクロリド(19.6g、0.084mol、1.2eq)を、一度に固体として化合物5の溶液に加えた。得られた反応溶液を5℃で15分間撹拌し、次いでNaH(60%、5.6g、0.52モル、2当量)を5℃で1時間かけて少しずつ添加した。添加が完了したら、得られた茶色の混合物をさらに1時間撹拌した。反応の進行をHPLCで監視し、1時間後に完了させた。機械的撹拌器及び温度プローブを備えた別の三つ首の1Lのジャケット付き反応器に10wt%のAcOH溶液を充填し、5℃まで冷却した。主反応混合物を10wt%のAcOH溶液(560mL、DMAcに基づいて4体積)中に5℃でゆっくりと加え、内部温度を5℃付近に保つことによって粗化合物6を析出させた。反応混合物を完全にクエンチングすると、得られたスラリー(pH=3)を5℃でさらに30分間撹拌した後、濾過してフィルターケーキを回収した。フィルターケーキを水(2×280mL、DMAcに基づいて2×2体積)で洗浄し、フィルターケーキ、濾液、洗浄液をHPLCで分析した。回収したフィルターケーキをさらに真空オーブン中で45~50℃で一晩(20時間)調整し、純度86%の33.2g(98.5%)の化合物6を得た。
【0094】
粗化合物6を2つの部分に分けた。すなわち、部分I(16.6g)を三つ首の1Lのジャケット付き反応器に充填し、酢酸エチル:メチルエチルケトン(825mL、75:25、50体積)に50℃で溶解した。完全に溶解したら、溶液を約22℃まで冷却し、0.5NのNaOH(50mL、3体積)を、約5~10分間激しく撹拌しながら混合物中に添加し、その後、撹拌を停止して、相の分離(phase cut)を可能にした。有機相を回収し、反応器に戻し、0.5N NaOHで3回洗浄した。次に有機層を0.3Mクエン酸(50mL、1×3体積)で洗浄した。各洗浄後にHPLCにより有機相及び水相の両方を分析した。
【0095】
洗浄した有機相(700mL)を1Lの反応器ジャケット付き反応器に移し、真空下で40℃までゆっくり加熱し、酢酸エチル及びメチルエチルケトンの量を約6体積に減少させた。次いで、エタノール(170mL、10体積)を反応器に加え、混合物を再び6体積まで蒸留した。最終混合物を約22℃まで冷却した。得られたスラリーを濾過し、エタノール250mL(15体積)で洗浄し、次いで真空オーブン中、40℃で3日間乾燥させて、白色固体の化合物6を得た(10.77g、64%収率、91.6%純度)。
【0096】
[例5.化合物7を生成するための塩基加水分解]
【0097】
【0098】
化合物6を水酸化ナトリウムで加水分解してナトリウム塩、化合物7を形成した。反応条件は、100gスケールでGMPロット(ラン8、表1)を用いて実証した。反応は、2eqのNaOHを用いて進行し、100gスケールで、50℃で3時間以内に完了した(表2の100gスケールランを参照)。この時間後に、反応混合物を室温まで冷却して、濾過した。固形物をメタノール(2.5体積)及び水(7.5体積)でスラリー化した。氷酢酸を用いてスラリーのpHを5に調整し、混合物を一晩撹拌し、その後pHを再び5に調整し、スラリーを濾過し、メタノール(2体積)で洗浄し、真空オーブン中、45℃で一晩乾燥させて、所望の生成物を89%の収率(88g)で得た。表2に示したように、同様に様々な条件をスクリーニングしたが、いずれも化合物7への高い変換をもたらした。
【0099】
【0100】
[例6.トシレート付加塩、化合物8の形成]
【0101】
【0102】
化合物8の形成は、化合物7に約2当量のp-トルエンスルホン酸を添加することによって達成された。表3に示すように、様々な反応条件を検討した。方法の説明として、200gのスケールラン(表3)を提供する。乾燥した化合物7物質を酢酸エチル(1.2L、6体積)中でスラリー化し、約40℃まで加温した。p-トルエンスルホン酸の2.1M水溶液(240mLの水に溶解した160gのp-トルエンスルホン酸一水和物から調製)を前記酢酸エチルスラリーに加え、次いで40℃で10時間撹拌し、次いで1時間かけて10℃まで冷却した。この時点でのプロトンNMRは、所望の塩への約80%の変換率を示した。次にスラリーを40℃まで再び加温し、さらに2.1Mのp-TsOH溶液(100mL、60mLの水中の40gp-トルエンスルホン酸)を加えて処理し、40℃で2時間撹拌した後、プロトンNMRはトシレート付加塩への完全変換を示した。その後、1時間かけてスラリーを10℃まで冷却し、10℃で1時間熟成させた後、濾過した。フィルターケーキを酢酸エチル(2×400mL、2×2体積)で洗浄し、45℃で乾燥させ、220gの所望の生成物を84%収率で得た。
【0103】
【0104】
本発明の好ましい実施形態を本明細書で記載しており、発明者らが知っている本発明を実施するための最良の形態を含んでいる。これらの好ましい実施形態の変形は、上述の説明を読めば当業者には明らかとなり得る。したがって、本発明は、準拠法で許されているように、本明細書に添付された特許請求の範囲に記載の主題の修正及び均等物を全て含む。さらに、あらゆる可能な変形における上述の要素のあらゆる組み合わせが、本明細書に別段の指示がない限り、又は明らかに文脈に矛盾しない限り、本発明に包含される。
【手続補正書】
【提出日】2022-04-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0003】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
【国際調査報告】