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特表2022-544290KRASを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドを有する細胞外小胞
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-17
(54)【発明の名称】KRASを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドを有する細胞外小胞
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/113 20100101AFI20221007BHJP
   C12N 5/071 20100101ALI20221007BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221007BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20221007BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20221007BHJP
   A61K 47/65 20170101ALI20221007BHJP
   A61K 47/60 20170101ALI20221007BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20221007BHJP
   A61K 47/55 20170101ALI20221007BHJP
   A61K 47/58 20170101ALI20221007BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221007BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20221007BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20221007BHJP
   A61K 31/713 20060101ALI20221007BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20221007BHJP
   A61K 38/02 20060101ALI20221007BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20221007BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20221007BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20221007BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20221007BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20221007BHJP
   A61P 13/10 20060101ALI20221007BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20221007BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20221007BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20221007BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20221007BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20221007BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20221007BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20221007BHJP
   A61K 35/22 20150101ALI20221007BHJP
   C07K 16/00 20060101ALN20221007BHJP
   C12N 15/115 20100101ALN20221007BHJP
   C07K 16/46 20060101ALN20221007BHJP
   C07K 14/705 20060101ALN20221007BHJP
【FI】
C12N15/113 110Z
C12N5/071 ZNA
A61P35/00
A61P37/02
A61K35/12
A61K47/65
A61K47/60
A61K47/54
A61K47/55
A61K47/58
A61P43/00 105
A61K48/00
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K31/713
A61K31/7088
A61K38/02
A61K39/395 T
A61K39/395 N
A61P35/02
A61P1/16
A61P11/00
A61P1/04
A61P13/10
A61P13/12
A61P9/00
A61P9/10
A61P9/10 101
A61P19/02
A61P7/00
A61P17/00
A61P25/00
A61K35/22
C07K16/00
C12N15/115 Z
C07K16/46
C07K14/705
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022508819
(86)(22)【出願日】2020-08-14
(85)【翻訳文提出日】2022-04-08
(86)【国際出願番号】 US2020046564
(87)【国際公開番号】W WO2021030781
(87)【国際公開日】2021-02-18
(31)【優先権主張番号】62/886,885
(32)【優先日】2019-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520170759
【氏名又は名称】コディアック バイオサイエンシーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ブジン, ダリア
(72)【発明者】
【氏名】カメルカル, スシュルト
(72)【発明者】
【氏名】ブティン, アダム ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ブルーム, ウェンディ
(72)【発明者】
【氏名】サティヤナラヤナン, スリラム
(72)【発明者】
【氏名】カウケ, モニーク
(72)【発明者】
【氏名】ユー, ステファニー
(72)【発明者】
【氏名】ボッカー, マイケル
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C085
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AA93X
4B065AA93Y
4B065AB01
4B065AC20
4B065CA23
4B065CA44
4C076AA95
4C076CC41
4C076DD41
4C076DD55
4C076DD59
4C076DD60
4C076DD63
4C076DD70
4C076EE13
4C076EE23
4C076EE41
4C084AA13
4C084AA19
4C084CA53
4C084MA02
4C084MA05
4C084MA52
4C084MA55
4C084MA56
4C084MA65
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZA021
4C084ZA361
4C084ZA451
4C084ZA511
4C084ZA591
4C084ZA681
4C084ZA751
4C084ZA811
4C084ZA891
4C084ZA961
4C084ZB071
4C084ZB211
4C084ZB261
4C084ZB271
4C084ZC422
4C084ZC751
4C085AA14
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE03
4C085GG02
4C085GG08
4C085GG10
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA52
4C086MA55
4C086MA56
4C086MA65
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA36
4C086ZA45
4C086ZA51
4C086ZA59
4C086ZA68
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZA96
4C086ZB07
4C086ZB21
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB33
4C087BB41
4C087BB63
4C087MA02
4C087MA05
4C087MA52
4C087MA55
4C087MA56
4C087MA65
4C087MA66
4C087NA05
4C087NA13
4C087NA14
4C087ZA02
4C087ZA36
4C087ZA45
4C087ZA51
4C087ZA59
4C087ZA68
4C087ZA75
4C087ZA81
4C087ZA89
4C087ZA96
4C087ZB07
4C087ZB21
4C087ZB26
4C087ZB27
4C087ZC75
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA11
4H045BA12
4H045BA13
4H045BA14
4H045BA15
4H045BA16
4H045CA40
4H045CA41
4H045DA50
4H045DA86
4H045EA20
(57)【要約】
本開示は、KRAS mRNA及び/またはKRASタンパク質の発現を低減及び/または阻害することができるアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を含む改変された細胞外小胞(例えば、エキソソーム)に関する。改変された細胞外小胞と共に使用され得るASOも開示される。がんなどの疾患を処置及び/または予防するために、エキソソーム及びASOを使用するための方法も本明細書において提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
KRAS G12D転写物(配列番号1)のヌクレオチド5,568~5,606の範囲内の核酸配列に相補的な10~30ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を含む細胞外小胞。
【請求項2】
マクロファージを標的とする、請求項1に記載の細胞外小胞。
【請求項3】
前記連続ヌクレオチド配列が、前記KRAS G12D転写物内の前記核酸配列に少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または100%相補的である、請求項1または2に記載の細胞外小胞。
【請求項4】
前記ASOが、ヒト細胞(例えば、免疫細胞または腫瘍細胞)におけるKRAS G12Dタンパク質発現を低減することができ、前記ヒト細胞が、前記KRAS G12Dタンパク質を発現する、請求項1~3のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項5】
前記KRAS G12Dタンパク質発現が、前記ASOに曝露されていないヒト細胞におけるKRAS G12Dタンパク質発現と比較して少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または100%低減される、請求項4に記載の細胞外小胞。
【請求項6】
前記ASOが、ヒト細胞(例えば、免疫細胞または腫瘍細胞)におけるKRAS G12D mRNAのレベルを低減することができ、前記ヒト細胞が、前記KRAS G12D mRNAを発現する、請求項1~5のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項7】
KRAS G12D mRNAの前記レベルが、前記ASOに曝露されていないヒト細胞における前記KRAS G12D mRNAの前記レベルと比較して少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または100%低減される、請求項6に記載の細胞外小胞。
【請求項8】
変異型KRAS転写物の核酸配列の領域に相補的な10~30ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を含む細胞外小胞であって、前記ASOが相補性を示す前記核酸配列の前記領域が、野生型KRAS転写物の対応する領域と比較して変異を含む、前記細胞外小胞。
【請求項9】
前記ASOが、ヒト細胞(例えば、免疫細胞または腫瘍細胞)における変異型KRAS転写物によりコードされるタンパク質(「変異型KRASタンパク質」)の発現を低減することができ、前記ヒト細胞が、前記変異型KRASタンパク質を発現する、請求項8に記載の細胞外小胞。
【請求項10】
前記変異型KRASタンパク質の前記発現が、前記ASOに曝露されていないヒト細胞における対応する発現と比較して、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低減される、請求項9に記載の細胞外小胞。
【請求項11】
前記ASOが、ヒト細胞(例えば、免疫細胞または腫瘍細胞)における前記変異型KRAS転写物の発現を低減することができ、前記ヒト細胞が、前記変異型KRAS転写物を発現する、請求項8~9のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項12】
前記変異型KRAS転写物の前記発現が、前記ASOに曝露されていないヒト細胞における対応する発現と比較して少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低減される、請求項11に記載の細胞外小胞。
【請求項13】
前記ASOが、ヒト細胞(例えば、免疫細胞または腫瘍細胞)における野生型KRASタンパク質発現を低減することができ、前記ヒト細胞が、前記野生型KRASタンパク質を発現する、請求項1~7のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項14】
前記野生型KRASタンパク質発現が、前記ASOに曝露されていないヒト細胞における前記野生型KRASタンパク質発現と比較して少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低減される、請求項8に記載の細胞外小胞。
【請求項15】
前記ASOが、ヒト細胞(例えば、免疫細胞または腫瘍細胞)における野生型KRAS mRNAのレベルを低減することができ、前記ヒト細胞が、前記野生型KRAS mRNAを発現する、請求項1~9のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項16】
野生型KRAS mRNAの前記レベルが、前記ASOに曝露されていないヒト細胞における前記野生型KRAS mRNAの前記レベルと比較して少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低減される、請求項10に記載の細胞外小胞。
【請求項17】
前記ASOが、ヒト細胞(例えば、免疫細胞または腫瘍細胞)における野生型KRAS mRNAの前記レベルを低減せず、前記ヒト細胞が、前記野生型KRAS mRNAを発現する、請求項1~7のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項18】
前記ASOが、ギャップマー、ミックスマー、またはトータルマー(totalmer)である、請求項1~12のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項19】
前記ASOが、1つ以上のヌクレオシド類似体を含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項20】
前記ヌクレオシド類似体のうちの1つ以上が、2’-O-アルキル-RNA;2’-O-メチルRNA(2’-OMe);2’-アルコキシ-RNA;2’-O-メトキシエチル-RNA(2’-MOE);2’-アミノ-DNA;2’-フルオロ-RNA;2’-フルオロ-DNA;アラビノ核酸(ANA);2’-フルオロ-ANA;二環式ヌクレオシド類似体;またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項14に記載の細胞外小胞。
【請求項21】
前記ヌクレオシド類似体のうちの1つ以上が、糖修飾されたヌクレオシドである、請求項14または15に記載の細胞外小胞。
【請求項22】
前記糖修飾されたヌクレオシドが、親和性を増強する2’糖修飾されたヌクレオシドである、請求項16に記載の細胞外小胞。
【請求項23】
前記ヌクレオシド類似体のうちの1つ以上が、二環式糖を含むヌクレオシドを含む、請求項14~17のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項24】
前記ヌクレオシド類似体のうちの1つ以上がLNAを含む、請求項14~18のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項25】
前記ヌクレオシド類似体のうちの1つ以上が、拘束エチルヌクレオシド(cEt)、2’,4’-拘束2’-O-メトキシエチル(cMOE)、α-L-LNA、β-D-LNA、2’-O,4’-C-エチレン架橋核酸(ENA)、アミノLNA、オキシLNA、チオLNA、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項14~19のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項26】
前記ASOが、1つ以上の5’-メチル-シトシン核酸塩基を含む、請求項1~20のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項27】
前記連続ヌクレオチド配列が、図1の配列から選択される配列に相補的なヌクレオチド配列を含む、請求項1~21のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項28】
前記連続ヌクレオチド配列が、前記KRAS G12D転写物内のヌクレオチド配列に完全に相補的である、請求項1~22のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項29】
前記ASOが、配列番号4~85から選択されるヌクレオチド配列を、任意に1つまたは2つのミスマッチと共に含む、請求項1~23のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項30】
前記ASOが、LLLDLLL、LLLLDLLLL、LLLLLDLLLLL、LLLMMDMMLLL、LLLMDMLLL、LLLLMMDMMLLLL、LLLLMDMLLLL、LLLLLLMMDMMLLLLL、LLLLLLMDMLLLLL、またはそれらの組み合わせから選択される設計を有し、Lがヌクレオシド類似体(例えば、LNA)であり、DがDNAであり、Mが2’-MOEであり、nが4~24の間の任意の整数(例えば、3~15)であり得る、請求項1~24のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項31】
前記ASOが、14~20ヌクレオチド長である、請求項1~25のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項32】
前記連続ヌクレオチド配列が、1つ以上の修飾されたヌクレオシド間結合を含む、請求項1~26のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項33】
前記1つ以上の修飾されたヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエート結合である、請求項27に記載の細胞外小胞。
【請求項34】
少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%のヌクレオシド間結合が修飾されている、請求項27または28に記載の細胞外小胞。
【請求項35】
前記ASOにおける前記ヌクレオシド間結合の各々が、ホスホロチオエート結合である、請求項29に記載の細胞外小胞。
【請求項36】
アンカー部分を更に含む、請求項1~30のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項37】
前記ASOが前記アンカー部分に連結されている、請求項31に記載の細胞外小胞。
【請求項38】
外来性の標的化部分を更に含む、請求項1~32のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項39】
前記外来性の標的化部分が、ペプチド、抗体もしくはその抗原結合断片、化合物、RNAアプタマー、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項33に記載の細胞外小胞。
【請求項40】
前記外来性の標的化部分がペプチドを含む、請求項33または34に記載の細胞外小胞。
【請求項41】
前記外来性の標的化部分が、マイクロタンパク質、設計アンキリンリピートタンパク質(DARPin)、アンチカリン、アドネクチン、アプタマー、ペプチド模倣分子、受容体の天然リガンド、ラクダ科ナノボディ、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項33~35のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項42】
前記外来性の標的化部分が、全長抗体、単一ドメイン抗体、重鎖のみ抗体、一本鎖抗体、サメ重鎖のみ抗体、scFv、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項33~36のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項43】
前記抗体が一本鎖抗体である、請求項37に記載の細胞外小胞。
【請求項44】
前記抗体が単一ドメイン抗体である、請求項37に記載の細胞外小胞。
【請求項45】
前記単一ドメイン抗体が、ナノボディ、vNAR、または両方を含む、請求項38に記載の細胞外小胞。
【請求項46】
前記外来性の標的化部分が、前記細胞外小胞を肝臓、心臓、肺、脳、腎臓、中枢神経系、末梢神経系、脳脊髄液(CSF)、筋肉、骨、骨髄、血液、脾臓、リンパ節、胃、食道、横隔膜、膀胱、大腸、膵臓、甲状腺、唾液腺、副腎、下垂体、胸部、皮膚、卵巣、子宮、前立腺、精巣、頸部、またはそれらの任意の組み合わせに標的化する、請求項33~40のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項47】
前記外来性の標的化部分が、前記細胞外小胞を腫瘍細胞、樹状細胞、T細胞、B細胞、マクロファージ、NK細胞、血小板、神経細胞、肝細胞、造血幹細胞、脂肪細胞、またはそれらの任意の組み合わせに標的化する、請求項33~41のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項48】
前記外来性の標的化部分が腫瘍抗原に結合する、請求項33~42のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項49】
前記腫瘍抗原が、メソテリン、CD22、MAGEA、MAGEB、MAGEC、BAGE、GAGE、NY-ESO1、SSX、GRP78、CD33、CD123、WT1、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項43に記載の細胞外小胞。
【請求項50】
前記腫瘍抗原がメソテリンである、請求項44に記載の細胞外小胞。
【請求項51】
前記外来性の標的化部分を前記細胞外小胞に連結している足場部分を含む、請求項33~45のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項52】
前記アンカー部分及び/または前記足場部分が足場Xである、請求項31~46のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項53】
前記アンカー部分及び/または前記足場部分が足場Yである、請求項31~46のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項54】
前記足場Xが、前記細胞外小胞の内腔表面及び/または前記細胞外小胞の外部表面に前記ASOを係留することができる足場タンパク質である、請求項48に記載の細胞外小胞。
【請求項55】
前記足場Xが、プロスタグランジンF2受容体ネガティブレギュレーター(PTGFRNタンパク質);ベイシジン(BSGタンパク質);免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー2(IGSF2タンパク質);免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー3(IGSF3タンパク質);免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー8(IGSF8タンパク質);インテグリンβ1(ITGB1タンパク質);インテグリンα4(ITGA4タンパク質);4F2細胞表面抗原重鎖(SLC3A2タンパク質);ATP輸送タンパク質のクラス(ATP1A1、ATP1A2、ATP1A3、ATP1A4、ATP1B3、ATP2B1、ATP2B2、ATP2B3、ATP2B4タンパク質);それらの機能断片;及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項48または49に記載の細胞外小胞。
【請求項56】
前記アンカー部分及び/または前記足場部分が、PTGFRNタンパク質またはその機能断片である、請求項31~50のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項57】
前記アンカー部分及び/または前記足場部分が、配列番号302に記載のアミノ酸配列を含む、請求項31~51のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項58】
前記アンカー部分及び/または前記足場部分が、配列番号301と少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または約100%同一なアミノ酸配列を含む、請求項31~51のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項59】
前記足場Yが、前記細胞外小胞の内腔表面及び/または前記細胞外小胞の外部表面に前記ASOを係留することができる足場タンパク質である、請求項48に記載の細胞外小胞。
【請求項60】
前記足場Yが、ミリストイル化アラニンリッチプロテインキナーゼC基質(MARCKSタンパク質)、ミリストイル化アラニンリッチプロテインキナーゼC基質様1(MARCKSL1タンパク質)、脳酸可溶性タンパク質1(BASP1タンパク質)、それらの機能断片、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項48または54に記載の細胞外小胞。
【請求項61】
前記足場Yが、BASP1タンパク質またはその機能断片である、請求項48、54、及び55のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項62】
前記足場Yが、N末端ドメイン(ND)及びエフェクタードメイン(ED)を含み、前記ND及び/または前記EDが、前記細胞外小胞の内腔表面と会合している、請求項48及び54~56のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項63】
前記NDが、ミリストイル化により前記細胞外小胞の内腔表面と会合している、請求項57に記載の細胞外小胞。
【請求項64】
前記EDが、イオン相互作用により前記細胞外小胞の内腔表面と会合している、請求項57または58に記載の細胞外小胞。
【請求項65】
前記EDが、配列中に(i)塩基性アミノ酸または(ii)2つ以上の塩基性アミノ酸を含み、前記塩基性アミノ酸が、Lys、Arg、His、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項57~59のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項66】
前記塩基性アミノ酸が、(Lys)nであり、nが1~10の間の整数である、請求項60に記載の細胞外小胞。
【請求項67】
前記EDが、Lys(K)、KK、KKK、KKKK(配列番号405)、KKKKK(配列番号406)、Arg(R)、RR、RRR、RRRR(配列番号407);RRRRR(配列番号408)、KR、RK、KKR、KRK、RKK、KRR、RRK、(K/R)(K/R)(K/R)(K/R)(配列番号409)、(K/R)(K/R)(K/R)(K/R)(K/R)(配列番号410)、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項57~61のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項68】
前記NDが、G:X2:X3:X4:X5:X6で示されるアミノ酸配列を含み、GがGlyを表し、「:」がペプチド結合を表し、前記X2~前記X6の各々が独立してアミノ酸であり、前記X6が塩基性アミノ酸を含む、請求項57~62のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項69】
(i)前記X2が、Pro、Gly、Ala、及びSerからなる群から選択されるか、
(ii)前記X4が、Pro、Gly、Ala、Ser、Val、Ile、Leu、Phe、Trp、Tyr、Gln、及びMetからなる群から選択されるか、
(iii)前記X5が、Pro、Gly、Ala、及びSerからなる群から選択されるか、
(iv)前記X6が、Lys、Arg及びHisからなる群から選択されるか、または
(v)(i)~(iv)の任意の組み合わせである、請求項63に記載の細胞外小胞。
【請求項70】
前記NDが、G:X2:X3:X4:X5:X6のアミノ酸配列を含み、
(i)Gが、Glyを表し、
(ii)「:」が、ペプチド結合を表し、
(iii)前記X2が、Pro、Gly、Ala、及びSerからなる群から選択されるアミノ酸であり、
(iv)前記X3が、アミノ酸であり、
(v)前記X4が、Pro、Gly、Ala、Ser、Val、Ile、Leu、Phe、Trp、Tyr、Gln、及びMetからなる群から選択されるアミノ酸であり、
(vi)前記X5が、Pro、Gly、Ala、及びSerからなる群から選択されるアミノ酸であり、
(vii)前記X6が、Lys、Arg、及びHisからなる群から選択されるアミノ酸である、請求項57~64のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項71】
前記X3が、Asn、Gln、Ser、Thr、Asp、Glu、Lys、His、及びArgからなる群から選択される、請求項63~65のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項72】
前記ND及び前記EDが、リンカーにより連結されている、請求項57~66のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項73】
前記リンカーが1つ以上のアミノ酸を含む、請求項67に記載の細胞外小胞。
【請求項74】
前記NDが、(i)GGKLSKK(配列番号411)、(ii)GAKLSKK(配列番号412)、(iii)GGKQSKK(配列番号413)、(iv)GGKLAKK(配列番号414)、(v)GGKLSK(配列番号415)、及び(vi)それらの任意の組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項57~68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
前記NDが、(i)GGKLSKKK(配列番号438)、(ii)GGKLSKKS(配列番号439)、(iii)GAKLSKKK(配列番号440)、(iv)GAKLSKKS(配列番号441)、(v)GGKQSKKK(配列番号442)、(vi)GGKQSKKS(配列番号443)、(vii)GGKLAKKK(配列番号444)、(viii)GGKLAKKS(配列番号445)、及び(ix)それらの任意の組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項69に記載の細胞外小胞。
【請求項76】
前記NDが、アミノ酸配列GGKLSKK(配列番号411)を含む、請求項57~70のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項77】
前記足場Yが、少なくとも約8、少なくとも約9、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約16、少なくとも約17、少なくとも約18、少なくとも約19、少なくとも約20、少なくとも約21、少なくとも約22、少なくとも約23、少なくとも約24、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約45、少なくとも約50、少なくとも約55、少なくとも約60、少なくとも約65、少なくとも約70、少なくとも約75、少なくとも約80、少なくとも約85、少なくとも約90、少なくとも約95、少なくとも約100、少なくとも約105、少なくとも約110、少なくとも約120、少なくとも約130、少なくとも約140、少なくとも約150、少なくとも約160、少なくとも約170、少なくとも約180、少なくとも約190、または少なくとも約200アミノ酸の長さである、請求項48及び54~71のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項78】
前記足場Yが、(i)GGKLSKKKKGYNVN(配列番号446)、(ii)GAKLSKKKKGYNVN(配列番号447)、(iii)GGKQSKKKKGYNVN(配列番号448)、(iv)GGKLAKKKKGYNVN(配列番号449)、(v)GGKLSKKKKGYSGG(配列番号450)、(vi)GGKLSKKKKGSGGS(配列番号451)、(vii)GGKLSKKKKSGGSG(配列番号452)、(viii)GGKLSKKKSGGSGG(配列番号453)、(ix)GGKLSKKSGGSGGS(配列番号454)、(x)GGKLSKSGGSGGSV(配列番号455)、または(xi)GAKKSKKRFSFKKS(配列番号456)を含む、請求項48及び54~72のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項79】
前記足場Yが、(i)GGKLSKKKKGYNVN(配列番号446)、(ii)GAKLSKKKKGYNVN(配列番号447)、(iii)GGKQSKKKKGYNVN(配列番号448)、(iv)GGKLAKKKKGYNVN(配列番号449)、(v)GGKLSKKKKGYSGG(配列番号450)、(vi)GGKLSKKKKGSGGS(配列番号451)、(vii)GGKLSKKKKSGGSG(配列番号452)、(viii)GGKLSKKKSGGSGG(配列番号453)、(ix)GGKLSKKSGGSGGS(配列番号454)、(x)GGKLSKSGGSGGSV(配列番号455)、または(xi)GAKKSKKRFSFKKS(配列番号456)からなる、請求項48及び54~73のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項80】
前記足場YがN末端にMetを含まない、請求項48及び54~74のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項81】
前記足場Yが、前記足場タンパク質のN末端にミリストイル化されたアミノ酸残基を含む、請求項48及び54~75のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項82】
前記足場YのN末端の前記アミノ酸残基がGlyである、請求項76に記載の細胞外小胞。
【請求項83】
前記ASOが、前記細胞外小胞の外部表面で前記アンカー部分及び/または前記足場部分に連結されている、請求項31~77のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項84】
前記ASOが、前記細胞外小胞の内腔表面で前記アンカー部分及び/または前記足場部分に連結されている、請求項31~7888のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項85】
前記アンカー部分が、ステロール、GM1、脂質、ビタミン、低分子、ペプチド、またはそれらの組み合わせを含む、請求項31~79のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項86】
前記アンカー部分がコレステロールを含む、請求項31~80のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項87】
前記アンカー部分が、リン脂質、リゾリン脂質、脂肪酸、ビタミン(例えば、ビタミンD及び/またはビタミンE)、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項31~81のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項88】
前記ASOが、リンカーにより前記アンカー部分及び/または前記足場部分に連結されている、請求項31~82のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項89】
前記ASOが、リンカーにより前記細胞外小胞に連結されている、請求項1~83のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項90】
前記リンカーがポリペプチドである、請求項83または84に記載の細胞外小胞。
【請求項91】
前記リンカーが非ポリペプチド部分である、請求項83または84に記載の細胞外小胞。
【請求項92】
前記リンカーがエチレングリコールを含む、請求項83または84に記載の細胞外小胞。
【請求項93】
前記リンカーが、HEG、TEG、PEG、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項87に記載の細胞外小胞。
【請求項94】
前記リンカーが、アクリルホスホラミダイト(例えば、Acrydite(商標))、アデニル化、アジド(NHSエステル)、ジゴキシゲニン(NHSエステル)、コレステロール-TEG、I-LINKER(商標)、アミノ修飾体(例えば、アミノ修飾体C6、アミノ修飾体C12、アミノ修飾体C6 dT、またはUni-Link(商標)アミノ修飾体)、アルキン、5’-ヘキシニル、5-オクタジイニルdU、ビオチン化(例えば、ビオチン、ビオチン(アジド)、ビオチンdT、ビオチン-TEG、デュアルビオチン、PCビオチン、またはデスチオビオチン)、チオール修飾(チオール修飾体C3 S-S、ジチオール、またはチオール修飾体C6 S-S)、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項83または84に記載の細胞外小胞。
【請求項95】
前記リンカーが切断可能なリンカーである、請求項83~89のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項96】
前記リンカーが、(i)マレイミド部分及び(ii)バリン-アラニン-p-アミノベンジルカルバメートまたはバリン-シトルリン-p-アミノベンジルカルバメートを含む、請求項83~90のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項97】
前記リンカーが、バリン-アラニン-p-アミノベンジルカルバメートまたはバリン-シトルリン-p-アミノベンジルカルバメートを含む、請求項91に記載の細胞外小胞。
【請求項98】
前記細胞外小胞がエキソソームである、請求項1~92のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項99】
KRAS G12D転写物(配列番号1)のヌクレオチド5,568~5,606の範囲内の核酸配列に相補的な10~30ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)。
【請求項100】
前記連続ヌクレオチド配列が、前記KRAS G12D転写物内の前記核酸配列に少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%相補的である、請求項94に記載のASO。
【請求項101】
ヒト細胞(例えば、免疫細胞または腫瘍細胞)におけるKRAS G12Dタンパク質発現を低減することができ、前記ヒト細胞が、前記KRAS G12Dタンパク質を発現する、請求項94または95に記載のASO。
【請求項102】
前記KRAS G12Dタンパク質発現が、前記ASOに曝露されていないヒト細胞におけるKRAS G12Dタンパク質発現と比較して少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低減される、請求項96に記載のASO。
【請求項103】
ヒト細胞(例えば、免疫細胞または腫瘍細胞)におけるKRAS G12D mRNAのレベルを低減することができ、前記ヒト細胞が、前記KRAS G12D mRNAを発現する、請求項94~97のいずれか1項に記載のASO。
【請求項104】
KRAS G12D mRNAの前記レベルが、前記ASOに曝露されていないヒト細胞における前記KRAS G12D mRNAの前記レベルと比較して少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低減される、請求項98に記載のASO。
【請求項105】
ヒト細胞(例えば、免疫細胞または腫瘍細胞)における野生型KRASタンパク質発現を低減することができ、前記ヒト細胞が、前記野生型KRASタンパク質を発現する、請求項94~99のいずれか1項に記載のASO。
【請求項106】
前記野生型KRASタンパク質発現が、前記ASOに曝露されていないヒト細胞における前記野生型KRASタンパク質発現と比較して少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低減される、請求項100に記載のASO。
【請求項107】
ヒト細胞(例えば、免疫細胞または腫瘍細胞)における野生型KRAS mRNAのレベルを低減することができ、前記ヒト細胞が、前記野生型KRAS mRNAを発現する、請求項94~101のいずれか1項に記載のASO。
【請求項108】
野生型KRAS mRNAの前記レベルが、前記ASOに曝露されていないヒト細胞における前記野生型KRAS mRNAの前記レベルと比較して少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低減される、請求項102に記載のASO。
【請求項109】
ヒト細胞(例えば、免疫細胞または腫瘍細胞)における野生型KRAS mRNAの前記レベルを低減せず、前記ヒト細胞が、前記野生型KRAS mRNAを発現する、請求項94~99のいずれか1項に記載のASO。
【請求項110】
ギャップマー、ミックスマー、またはトータルマー(totalmer)である、請求項94~104のいずれか1項に記載のASO。
【請求項111】
1つ以上のヌクレオシド類似体を含む、請求項94~105のいずれか1項に記載のASO。
【請求項112】
前記ヌクレオシド類似体のうちの1つ以上が、2’-O-アルキル-RNA;2’-O-メチルRNA(2’-OMe);2’-アルコキシ-RNA;2’-O-メトキシエチル-RNA(2’-MOE);2’-アミノ-DNA;2’-フルオロ-RNA;2’-フルオロ-DNA;アラビノ核酸(ANA);2’-フルオロ-ANA;二環式ヌクレオシド類似体(LNA);またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項106に記載のASO。
【請求項113】
前記ヌクレオシド類似体のうちの1つ以上が、糖修飾されたヌクレオシドである、請求項106または107に記載のASO。
【請求項114】
前記糖修飾されたヌクレオシドが、親和性を増強する2’糖修飾されたヌクレオシドである、請求項108に記載のASO。
【請求項115】
前記ヌクレオシド類似体のうちの1つ以上が、二環式糖を含むヌクレオシドを含む、請求項106~109のいずれか1項に記載のASO。
【請求項116】
前記ヌクレオシド類似体のうちの1つ以上が、LNAを含む、請求項106~110のいずれか1項に記載のASO。
【請求項117】
前記ヌクレオシド類似体のうちの1つ以上が、拘束エチルヌクレオシド(cEt)、2’,4’-拘束2’-O-メトキシエチル(cMOE)、α-L-LNA、β-D-LNA、2’-O,4’-C-エチレン架橋核酸(ENA)、アミノLNA、オキシLNA、チオLNA、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項106~110のいずれか1項に記載のASO。
【請求項118】
1つ以上の5’-メチル-シトシン核酸塩基を含む、請求項94~112のいずれか1項に記載のASO。
【請求項119】
前記ASOが、配列番号4~配列番号85のいずれかを含む、請求項94~113のいずれか1項に記載のASO。
【請求項120】
前記ASOが、LLLDLLL、LLLLDLLLL、LLLLLDLLLLL、LLLMMDMMLLL、LLLMDMLLL、LLLLMMDMMLLLL、LLLLMDMLLLL、LLLLLLMMDMMLLLLL、LLLLLLMDMLLLLL、またはそれらの組み合わせから選択される設計を有し、Lがヌクレオシド類似体(例えば、LNA)であり、DがDNAであり、Mが2’-MOEであり、nが4~24の間の任意の整数(例えば、3~15)であり得る、請求項94~114のいずれか1項に記載のASO。
【請求項121】
前記ASOが14~20ヌクレオチド長である、請求項94~115のいずれか1項に記載のASO。
【請求項122】
前記連続ヌクレオチド配列が、1つ以上の修飾されたヌクレオシド間結合を含む、請求項94~116のいずれか1項に記載のASO。
【請求項123】
前記1つ以上の修飾されたヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエート結合である、請求項117に記載のASO。
【請求項124】
少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%のヌクレオシド間結合が修飾されている、請求項117または118に記載のASO。
【請求項125】
前記ASOにおける前記ヌクレオシド間結合の各々が、ホスホロチオエート結合である、請求項119に記載のASO。
【請求項126】
前記ASOが、少なくとも1種の非ヌクレオチドまたは非ポリヌクレオチド部分に共有結合している、請求項94~120のいずれか1項に記載のASOを含むコンジュゲート。
【請求項127】
前記非ヌクレオチドまたは非ポリヌクレオチド部分が、タンパク質、脂肪酸鎖、糖残基、糖タンパク質、ポリマー、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項121に記載のコンジュゲート。
【請求項128】
請求項94~120のいずれか1項に記載のASOまたは請求項121もしくは122に記載のコンジュゲートを含む細胞外小胞。
【請求項129】
請求項1~83及び108のいずれか1項に記載の細胞外小胞、請求項94~120のいずれか1項に記載のASO、または請求項121もしくは122に記載のコンジュゲート、及び薬学的に許容される希釈剤、担体、塩、または補助剤を含む医薬組成物。
【請求項130】
前記薬学的に許容される塩が、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項124に記載の医薬組成物。
【請求項131】
少なくとも1種の追加の治療薬を更に含む、請求項124または125に記載の医薬組成物。
【請求項132】
前記追加の治療薬が、KRAS G12Dアンタゴニストである、請求項126に記載の医薬組成物。
【請求項133】
前記KRAS G12Dアンタゴニストが、化合物、siRNA、shRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、タンパク質、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項127に記載の医薬組成物。
【請求項134】
前記KRAS G12Dアンタゴニストが、抗KRAS G12D抗体またはその断片である、請求項127または128に記載の医薬組成物。
【請求項135】
請求項1~93及び123のいずれか1項に記載の細胞外小胞、請求項94~120のいずれか1項に記載のASO、請求項121もしくは122に記載のコンジュゲート、または請求項124~129のいずれか1項に記載の医薬組成物、及び使用説明書を含むキット。
【請求項136】
請求項1~93及び123のいずれか1項に記載の細胞外小胞、請求項94~120のいずれか1項に記載のASO、請求項121もしくは122に記載のコンジュゲート、または請求項124~129のいずれか1項に記載の医薬組成物、及び使用説明書を含む診断キット。
【請求項137】
細胞におけるKRAS G12Dタンパク質発現を阻害または低減する方法であって、KRAS G12Dタンパク質を発現する前記細胞に、請求項1~93及び123のいずれか1項に記載の細胞外小胞、請求項94~120のいずれか1項に記載のASO、請求項121もしくは122に記載のコンジュゲート、または請求項124~129のいずれか1項に記載の医薬組成物を投与することを含み、前記細胞における前記KRAS G12Dタンパク質発現が、前記投与後に阻害または低減される、前記方法。
【請求項138】
前記ASOが、前記投与後に前記細胞におけるKRAS G12D mRNAの発現を阻害または低減する、請求項132に記載の方法。
【請求項139】
前記KRAS G12D mRNA発現が、前記投与後に、前記ASOに曝露されていない細胞におけるKRAS G12D mRNA発現と比較して少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約100%低減される、請求項133に記載の方法。
【請求項140】
KRAS G12Dタンパク質の前記発現が、前記投与後に、前記ASOに曝露されていない細胞におけるKRAS G12Dタンパク質の前記発現と比較して少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%低減される、請求項132~134のいずれか1項に記載の方法。
【請求項141】
がんを処置する必要がある対象におけるがんを処置する方法であって、前記対象に有効量の請求項1~93及び123のいずれか1項に記載の細胞外小胞、請求項94~120のいずれか1項に記載のASO、請求項121もしくは122に記載のコンジュゲート、または請求項124~129のいずれか1項に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項142】
がんを処置する必要がある対象におけるがんを処置するための薬剤の製造における請求項1~93及び123のいずれか1項に記載の細胞外小胞、請求項94~120のいずれか1項に記載のASO、請求項121もしくは122に記載のコンジュゲート、または請求項124~129のいずれか1項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項143】
がんを処置する必要がある対象におけるがんの処置に使用するための請求項1~93及び123のいずれか1項に記載の細胞外小胞、請求項94~120のいずれか1項に記載のASO、請求項121もしくは122に記載のコンジュゲート、または請求項124~129のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項144】
前記細胞外小胞、前記ASO、前記コンジュゲート、または前記医薬組成物が、静脈内に、腫瘍内に、心臓内に、経口的に、非経口的に、クモ膜下腔内に、側脳室内に、肺に、局所的に、または脳室内に投与される、請求項132~136のいずれか1項に記載の方法、請求項137に記載の使用、または請求項138に記載の使用のための組成物。
【請求項145】
前記がんが、結腸直腸癌、肺癌(例えば、非小細胞肺癌(NSCLC))、膵臓癌(例えば、膵管腺癌)、白血病、子宮癌、卵巣癌、膀胱癌、胆管癌、胃癌(gastric cancer)、胃癌(stomach cancer)、精巣癌、食道癌、胆管癌、子宮頸癌、急性骨髄性白血病(AML)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBC)、肉腫、黒色腫、神経膠腫(例えば、低悪性度神経膠腫、例えば、グリア芽細胞腫)、中皮腫、肝臓癌、乳癌(例えば、浸潤性乳癌)、腎臓癌(例えば、乳頭状腎細胞癌(pRCC)及び嫌色素性腎細胞癌)、頭頸部癌、前立腺癌、腺様嚢胞癌(ACC)、胸腺癌、甲状腺癌、淡明細胞型腎細胞癌(CCRCC)、神経内分泌腫瘍(例えば、褐色細胞腫/傍神経節腫)、ブドウ膜黒色腫、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項136もしくは139に記載の方法、請求項137もしくは139に記載の使用、または請求項138もしくは139に記載の使用のための組成物。
【請求項146】
線維症を処置する必要がある対象における線維症を処置する方法であって、前記対象に有効量の請求項1~93及び123のいずれか1項に記載の細胞外小胞、請求項94~120のいずれか1項に記載のASO、請求項121もしくは122に記載のコンジュゲート、または請求項124~129のいずれか1項に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項147】
線維症を処置する必要がある対象における線維症を処置するための薬剤の製造における請求項1~93及び123のいずれか1項に記載の細胞外小胞、請求項94~120のいずれか1項に記載のASO、請求項121もしくは122に記載のコンジュゲート、または請求項124~129のいずれか1項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項148】
線維症を処置する必要がある対象における線維症の処置に使用するための請求項1~93及び123のいずれか1項に記載の細胞外小胞、請求項94~120のいずれか1項に記載のASO、請求項121もしくは122に記載のコンジュゲート、または請求項124~129のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項149】
前記細胞外小胞、前記ASO、前記コンジュゲート、または前記医薬組成物が、静脈内に、腫瘍内に、心臓内に、経口的に、非経口的に、クモ膜下腔内に、側脳室内に、肺に、局所的に、または脳室内に投与される、請求項141に記載の方法、請求項142に記載の使用、または請求項1438に記載の使用のための組成物。
【請求項150】
前記線維症が、肝臓線維症(NASH)、硬変、肺線維症、嚢胞性線維症、慢性潰瘍性大腸炎/IBD、膀胱線維症、腎臓線維症、CAPS(マックル-ウェルズ症候群)、心房線維症、心内膜心筋線維症、陳旧性心筋梗塞、グリア性瘢痕、動脈壁硬化、関節線維症、クローン病、デュピュイトラン拘縮、ケロイド線維症、縦隔線維症、骨髄線維症、ペーロニー病、腎性全身性線維症、進行性塊状線維症、後腹膜線維症、強皮症/全身性硬化症、癒着性関節包炎、神経線維腫症1型(NF1)、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項141もしくは144に記載の方法、請求項142もしくは144に記載の使用、または請求項143もしくは144に記載の使用のための組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本PCT出願は、2019年8月14日に出願の米国仮出願第62/886,885号の優先権の恩典を主張し、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
EFS-WEB介して電子的に提出された配列表の参照
本出願において提出された電子的に提出された配列表(名称:4000_062PC02_Seqlisting_ST25.txt、サイズ:432,896バイト;及び作成日付:2020年8月14日)の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
本開示は、KRASアンタゴニストを含む細胞外小胞(EV)、例えば、エキソソームに関する。幾つかの態様では、KRASアンタゴニストは、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を含む。本開示のある種の態様では、細胞外小胞は、足場タンパク質を更に含む。
【背景技術】
【0004】
エキソソームは、あらゆる真核細胞により自然に生成される小さな細胞外小胞である。エキソソームは、内部空間(すなわち、内腔)を囲む膜を含む。薬物送達媒体として、EV、例えば、エキソソームは、多数の疾患領域における新規な処置様式として従来の薬物送達方法に勝る多数の利点を提供する。特に、エキソソームは、異なる種に投与される場合でも、本質的に低い免疫原性を有する。
【0005】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、インビトロまたはインビボで標的遺伝子発現を調節する強力な手段として出現した。しかしながら、インビボでのASOの安定性及び標的化の改善が尚も必要とされている。
【0006】
従って、新規かつより効果的な操作されたEV(例えば、エキソソーム)、特に、疾患に関連する遺伝子(例えば、がんではKRAS)の発現を低減することができる治療薬を送達するために使用され得るものが、EVベースの技術の治療用途及び他の用途でのより有効な利用を可能にするために必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
KRAS G12D転写物(配列番号1)のヌクレオチド5,568~5,606の範囲内の核酸配列に相補的な10~30ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を含む細胞外小胞(EV)が、本明細書において開示される。ある種の態様では、連続ヌクレオチド配列は、KRAS G12D転写物内の核酸配列に少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%相補的である。
【0008】
幾つかの態様では、EVは、マクロファージを標的とする。
【0009】
幾つかの態様では、本明細書において開示されるEV(例えば、エキソソーム)のASOは、ヒト細胞(例えば、免疫細胞または腫瘍細胞)におけるKRAS G12Dタンパク質発現を低減することができ、ここで、当該ヒト細胞は、当該KRAS G12Dタンパク質を発現する。ある種の態様では、KRAS G12Dタンパク質発現は、ASOに曝露されていないヒト細胞におけるKRAS G12Dタンパク質発現と比較して少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低減される。
【0010】
幾つかの態様では、本明細書において開示されるEV(例えば、エキソソーム)のASOは、ヒト細胞(例えば、免疫細胞または腫瘍細胞)におけるKRAS G12D mRNAのレベルを低減することができ、ここで、当該ヒト細胞は、当該KRAS G12D mRNAを発現する。ある種の態様では、KRAS G12D mRNAのレベルは、ASOに曝露されていないヒト細胞におけるKRAS G12D mRNAのレベルと比較して少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低減される。
【0011】
変異型KRAS転写物の核酸配列の領域に相補的な10~30ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を含む細胞外小胞(EV)も本明細書において開示され、ここで、当該ASOが相補性を示す当該核酸配列の当該領域は、野生型KRAS転写物の対応する領域と比較して変異を含む。
【0012】
幾つかの態様では、ASOは、ヒト細胞(例えば、免疫細胞または腫瘍細胞)における変異型KRASの転写物によりコードされるタンパク質(「変異型KRASタンパク質」)の発現を低減することができ、ここで、当該ヒト細胞は、当該変異型KRASタンパク質を発現する。ある種の態様では、変異型KRASタンパク質の発現は、ASOに曝露されていないヒト細胞における対応する発現と比較して、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低減される。
【0013】
幾つかの態様では、ASOは、ヒト細胞(例えば、免疫細胞または腫瘍細胞)における変異型KRAS転写物の発現を低減することができ、ここで、当該ヒト細胞は、変異型KRAS転写物を発現する。ある種の態様では、変異型KRAS転写物の発現は、ASOに曝露されていないヒト細胞における対応する発現と比較して少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低減される。
【0014】
幾つかの態様では、本明細書において開示されるEVのASOは、ヒト細胞(例えば、免疫細胞または腫瘍細胞)における野生型KRASタンパク質発現を低減することができ、ここで、当該ヒト細胞は、当該野生型KRASタンパク質を発現する。ある種の態様では、野生型KRASタンパク質発現は、ASOに曝露されていないヒト細胞における野生型KRASタンパク質発現と比較して少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低減される。
【0015】
幾つかの態様では、本明細書において開示されるEVのASOは、ヒト細胞(例えば、免疫細胞または腫瘍細胞)における野生型KRAS mRNAのレベルを低減することができ、ここで、当該ヒト細胞は、当該野生型KRAS mRNAを発現する。ある種の態様では、野生型KRAS mRNAのレベルは、ASOに曝露されていないヒト細胞における野生型KRAS mRNAのレベルと比較して少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低減される。
【0016】
幾つかの態様では、本明細書において開示されるEVのASOは、ヒト細胞(例えば、免疫細胞または腫瘍細胞)における野生型KRAS mRNAのレベルを低減せず、ここで、当該ヒト細胞は、当該野生型KRAS mRNAを発現する。
【0017】
幾つかの態様では、本明細書において開示されるEV(例えば、エキソソーム)のASOは、ギャップマー、ミックスマー、またはトータルマー(totalmer)である。
【0018】
幾つかの態様では、本明細書において開示されるEV(例えば、エキソソーム)のASOは、1つ以上のヌクレオシド類似体を含む。ある種の態様では、ヌクレオシド類似体のうちの1つ以上は、2’-O-アルキル-RNA;2’-O-メチルRNA(2’-OMe);2’-アルコキシ-RNA;2’-O-メトキシエチル-RNA(2’-MOE);2’-アミノ-DNA;2’-フルオロ-RNA;2’-フルオロ-DNA;アラビノ核酸(ANA);2’-フルオロ-ANA;二環式ヌクレオシド類似体;またはそれらの任意の組み合わせを含む。幾つかの態様では、ヌクレオシド類似体のうちの1つ以上は、糖修飾されたヌクレオシドである。更なる態様では、糖修飾されたヌクレオシドは、親和性を増強する2’糖修飾されたヌクレオシドである。幾つかの態様では、ヌクレオシド類似体のうちの1つ以上は、二環式糖を含むヌクレオシドを含む。幾つかの態様では、ヌクレオシド類似体のうちの1つ以上は、LNAを含む。更なる態様では、ヌクレオシド類似体のうちの1つ以上は、拘束エチルヌクレオシド(cEt)、2’,4’-拘束2’-O-メトキシエチル(cMOE)、α-L-LNA、β-D-LNA、2’-O,4’-C-エチレン架橋核酸(ENA)、アミノLNA、オキシLNA、チオLNA、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0019】
幾つかの態様では、本明細書において開示されるEV(例えば、エキソソーム)のASOは、1つ以上の5’-メチル-シトシン核酸塩基を含む。
【0020】
幾つかの態様では、本明細書において開示されるEV(例えば、エキソソーム)のASOは、連続ヌクレオチド配列を含み、ここで、当該連続ヌクレオチド配列は、図1の配列から選択される配列に相補的なヌクレオチド配列を含む。ある種の態様では、連続ヌクレオチド配列は、KRAS G12D転写物内のヌクレオチド配列に完全に相補的である。
【0021】
幾つかの態様では、本明細書において開示されるEV(例えば、エキソソーム)のASOは、配列番号4~85から選択されるヌクレオチド配列を、任意に1つまたは2つのミスマッチと共に含む。
【0022】
幾つかの態様では、本明細書において開示されるEV(例えば、エキソソーム)のASOは、LLLDLLL、LLLLDLLLL、LLLLLDLLLLL、LLLMMDMMLLL、LLLMDMLLL、LLLLMMDMMLLLL、LLLLMDMLLLL、LLLLLLMMDMMLLLLL、LLLLLLMDMLLLLL、またはそれらの組み合わせから選択される設計を有し、ここで、Lはヌクレオシド類似体(例えば、LNA)であり、DはDNAであり、Mは2’-MOEであり、nは4~24の間の任意の整数(例えば、3~15)であり得る。幾つかの態様では、ASOは、14~20ヌクレオチド長である。
【0023】
幾つかの態様では、本明細書において開示されるEV(例えば、エキソソーム)のASOは、連続ヌクレオチド配列を含み、ここで、当該連続ヌクレオチド配列は、1つ以上の修飾されたヌクレオシド間結合を含む。ある種の態様では、1つ以上の修飾されたヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエート結合である。幾つかの態様では、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%のヌクレオシド間結合が修飾される。ある種の態様では、ASOにおけるヌクレオシド間結合の各々は、ホスホロチオエート結合である。
【0024】
幾つかの態様では、本明細書において開示されるEV(例えば、エキソソーム)は、アンカー部分を更に含む。ある種の態様では、本明細書において開示されるEV(例えば、エキソソーム)のASOは、アンカー部分に連結される。
【0025】
更なる態様では、本明細書において開示されるEV(例えば、エキソソーム)は、外来性の標的化部分を更に含む。ある種の態様では、外来性の標的化部分は、ペプチド、抗体もしくはその抗原結合断片、化合物、RNAアプタマー、またはそれらの任意の組み合わせを含む。ある種の態様では、外来性の標的化部分は、ペプチドを含む。幾つかの態様では、外来性標的化部分は、マイクロタンパク質、設計アンキリンリピートタンパク質(DARPin)、アンチカリン、アドネクチン、アプタマー、ペプチド模倣分子、受容体の天然リガンド、ラクダ科ナノボディ、またはそれらの任意の組み合わせを含む。ある種の態様では、外来性の標的化部分は、全長抗体、単一ドメイン抗体、重鎖のみ抗体、一本鎖抗体、サメ重鎖のみ抗体、scFv、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2、またはそれらの任意の組み合わせを含む。ある種の態様では、抗体は、一本鎖抗体である。ある種の態様では、抗体は、単一ドメイン抗体である。幾つかの態様では、単一ドメイン抗体は、ナノボディ、vNAR、または両方を含む。
【0026】
幾つかの態様では、外来性の標的化部分は、EVを肝臓、心臓、肺、脳、腎臓、中枢神経系、末梢神経系、脳脊髄液(CSF)、筋肉、骨、骨髄、血液、脾臓、リンパ節、胃、食道、横隔膜、膀胱、大腸、膵臓、甲状腺、唾液腺、副腎、下垂体、胸部、皮膚、卵巣、子宮、前立腺、精巣、頸部、またはそれらの任意の組み合わせに標的化する。ある種の態様では、外来性の標的化部分は、EVを腫瘍細胞、樹状細胞、T細胞、B細胞、マクロファージ、NK細胞、血小板、神経細胞、肝細胞、造血幹細胞、脂肪細胞、またはそれらの任意の組み合わせに標的化する。
【0027】
幾つかの態様では、外来性の標的化部分は、腫瘍抗原に結合する。ある種の態様では、腫瘍抗原は、メソテリン、CD22、MAGEA、MAGEB、MAGEC、BAGE、GAGE、NY-ESO1、SSX、GRP78、CD33、CD123、WT1、またはそれらの任意の組み合わせを含む。幾つかの態様では、腫瘍抗原は、メソテリンである。
【0028】
幾つかの態様では、本明細書において開示されるEV(例えば、エキソソーム)は、外来性の標的化部分を細胞外小胞に連結している足場部分を含む。
【0029】
幾つかの態様では、アンカー部分及び/または足場部分は、足場Xである。ある種の態様では、アンカー部分及び/または足場部分は、足場Yである。
【0030】
幾つかの態様では、足場Xは、細胞外小胞の内腔表面及び/または細胞外小胞の外部表面にASOを係留することができる足場タンパク質である。ある種の態様では、足場Xは、プロスタグランジンF2受容体ネガティブレギュレーター(PTGFRNタンパク質);ベイシジン(BSGタンパク質);免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー2(IGSF2タンパク質);免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー3(IGSF3タンパク質);免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー8(IGSF8タンパク質);インテグリンβ1(ITGB1タンパク質);インテグリンα4(ITGA4タンパク質);4F2細胞表面抗原重鎖(SLC3A2タンパク質);ATP輸送タンパク質のクラス(ATP1A1、ATP1A2、ATP1A3、ATP1A4、ATP1B3、ATP2B1、ATP2B2、ATP2B3、ATP2B4タンパク質);それらの機能断片;及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0031】
幾つかの態様では、アンカー部分及び/または足場部分は、PTGFRNタンパク質またはその機能断片である。ある種の態様では、アンカー部分及び/または足場部分は、配列番号302に記載のアミノ酸配列を含む。幾つかの態様では、アンカー部分及び/または足場部分は、配列番号301と少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または約100%同一なアミノ酸配列を含む。
【0032】
幾つかの態様では、足場Yは、細胞外小胞の内腔表面及び/または細胞外小胞の外部表面にASOを係留することができる足場タンパク質である。ある種の態様では、足場Yは、ミリストイル化アラニンリッチプロテインキナーゼC基質(MARCKSタンパク質)、ミリストイル化アラニンリッチプロテインキナーゼC基質様1(MARCKSL1タンパク質)、脳酸可溶性タンパク質1(BASP1タンパク質)、それらの機能断片、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。幾つかの態様では、足場Yは、BASP1タンパク質またはその機能断片である。
【0033】
幾つかの態様では、足場Yは、N末端ドメイン(ND)及びエフェクタードメイン(ED)を含み、ここで、当該ND及び/または当該EDは、細胞外小胞の内腔表面と会合している。ある種の態様では、NDは、ミリストイル化によりEVの内腔表面と会合している。ある種の態様では、EDは、イオン相互作用によりEVの内腔表面と会合している。
【0034】
幾つかの態様では、EDは、配列中に(i)塩基性アミノ酸または(ii)2つ以上の塩基性アミノ酸を含み、ここで、当該塩基性アミノ酸は、Lys、Arg、His、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。ある種の態様では、塩基性アミノ酸は、(Lys)nであり、ここで、nは1~10の間の整数である。幾つかの態様では、EDは、Lys(K)、KK、KKK、KKKK(配列番号405)、KKKKK(配列番号406)、Arg(R)、RR、RRR、RRRR(配列番号407);RRRRR(配列番号408)、KR、RK、KKR、KRK、RKK、KRR、RRK、(K/R)(K/R)(K/R)(K/R)(配列番号409)、(K/R)(K/R)(K/R)(K/R)(K/R)(配列番号410)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0035】
幾つかの態様では、NDは、G:X2:X3:X4:X5:X6で示されるアミノ酸配列を含み、ここで、GはGlyを表し、「:」はペプチド結合を表し、X2~X6の各々は独立してアミノ酸であり、X6は塩基性アミノ酸を含む。ある種の態様では、(i)X2は、Pro、Gly、Ala、及びSerからなる群から選択されるか、(ii)X4は、Pro、Gly、Ala、Ser、Val、Ile、Leu、Phe、Trp、Tyr、Gln、及びMetからなる群から選択されるか、(iii)X5は、Pro、Gly、Ala、及びSerからなる群から選択されるか、(iv)X6は、Lys、Arg、及びHisからなる群から選択されるか、または(v)(i)~(iv)の任意の組み合わせである。
【0036】
幾つかの態様では、NDは、G:X2:X3:X4:X5:X6のアミノ酸配列を含み、ここで、(i)GはGlyを表し、(ii)「:」はペプチド結合を表し、(iii)X2は、Pro、Gly、Ala、及びSerからなる群から選択されるアミノ酸であり、(iv)X3はアミノ酸であり、(v)X4は、Pro、Gly、Ala、Ser、Val、Ile、Leu、Phe、Trp、Tyr、Gln、及びMetからなる群から選択されるアミノ酸であり、(vi)X5は、Pro、Gly、Ala、及びSerからなる群から選択されるアミノ酸であり、(vii)X6は、Lys、Arg、及びHisからなる群から選択されるアミノ酸である。ある種の態様では、X3は、Asn、Gln、Ser、Thr、Asp、Glu、Lys、His、及びArgからなる群から選択される。
【0037】
幾つかの態様では、ND及びEDは、リンカーにより連結されている。ある種の態様では、リンカーは、1つ以上のアミノ酸を含む。
【0038】
幾つかの態様では、NDは、(i)GGKLSKK(配列番号411)、(ii)GAKLSKK(配列番号412)、(iii)GGKQSKK(配列番号413)、(iv)GGKLAKK(配列番号414)、(v)GGKLSK(配列番号415)、及び(vi)それらの任意の組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。ある種の態様では、NDは、(i)GGKLSKKK(配列番号438)、(ii)GGKLSKKS(配列番号439)、(iii)GAKLSKKK(配列番号440)、(iv)GAKLSKKS(配列番号441)、(v)GGKQSKKK(配列番号442)、(vi)GGKQSKKS(配列番号443)、(vii)GGKLAKKK(配列番号444)、(viii)GGKLAKKS(配列番号445)、及び(ix)それらの任意の組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。更なる態様では、NDは、アミノ酸配列GGKLSKK(配列番号411)を含む。
【0039】
幾つかの態様では、本明細書において開示されるEV(例えば、エキソソーム)の足場Yは、少なくとも約8、少なくとも約9、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約16、少なくとも約17、少なくとも約18、少なくとも約19、少なくとも約20、少なくとも約21、少なくとも約22、少なくとも約23、少なくとも約24、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約45、少なくとも約50、少なくとも約55、少なくとも約60、少なくとも約65、少なくとも約70、少なくとも約75、少なくとも約80、少なくとも約85、少なくとも約90、少なくとも約95、少なくとも約100、少なくとも約105、少なくとも約110、少なくとも約120、少なくとも約130、少なくとも約140、少なくとも約150、少なくとも約160、少なくとも約170、少なくとも約180、少なくとも約190、または少なくとも約200アミノ酸の長さである。
【0040】
幾つかの態様では、足場Yは、(i)GGKLSKKKKGYNVN(配列番号446)、(ii)GAKLSKKKKGYNVN(配列番号447)、(iii)GGKQSKKKKGYNVN(配列番号448)、(iv)GGKLAKKKKGYNVN(配列番号449)、(v)GGKLSKKKKGYSGG(配列番号450)、(vi)GGKLSKKKKGSGGS(配列番号451)、(vii)GGKLSKKKKSGGSG(配列番号452)、(viii)GGKLSKKKSGGSGG(配列番号453)、(ix)GGKLSKKSGGSGGS(配列番号454)、(x)GGKLSKSGGSGGSV(配列番号455)、または(xi)GAKKSKKRFSFKKS(配列番号456)を含む。更なる態様では、足場Yは、(i)GGKLSKKKKGYNVN(配列番号446)、(ii)GAKLSKKKKGYNVN(配列番号447)、(iii)GGKQSKKKKGYNVN(配列番号448)、(iv)GGKLAKKKKGYNVN(配列番号449)、(v)GGKLSKKKKGYSGG(配列番号450)、(vi)GGKLSKKKKGSGGS(配列番号451)、(vii)GGKLSKKKKSGGSG(配列番号452)、(viii)GGKLSKKKSGGSGG(配列番号453)、(ix)GGKLSKKSGGSGGS(配列番号454)、(x)GGKLSKSGGSGGSV(配列番号455)、または(xi)GAKKSKKRFSFKKS(配列番号456)からなる。
【0041】
幾つかの態様では、本明細書において開示されるEV(例えば、エキソソーム)の足場Yは、N末端にMetを含まない。ある種の態様では、足場Yは、足場タンパク質のN末端にミリストイル化されたアミノ酸残基を含む。更なる態様では、足場YのN末端のアミノ酸残基は、Glyである。
【0042】
幾つかの態様では、本明細書において開示されるEV(例えば、エキソソーム)のASOは、細胞外小胞の外部表面でアンカー部分及び/または足場部分に連結される。ある種の態様では、ASOは、EVの内腔表面でアンカー部分及び/または足場部分に連結される。
【0043】
幾つかの態様では、本明細書において開示されるEV(例えば、エキソソーム)のアンカー部分は、ステロール、GM1、脂質、ビタミン、低分子、ペプチド、またはそれらの組み合わせを含む。ある種の態様では、アンカー部分は、コレステロールを含む。幾つかの態様では、アンカー部分は、リン脂質、リゾリン脂質、脂肪酸、ビタミン(例えば、ビタミンD及び/またはビタミンE)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0044】
幾つかの態様では、本明細書において開示されるEV(例えば、エキソソーム)のASOは、リンカーを介してアンカー部分及び/または足場部分に連結される。幾つかの態様では、ASOは、リンカーを介して細胞外小胞に連結される。ある種の態様では、リンカーは、ポリペプチドである。他の態様では、リンカーは、非ポリペプチド部分である。更なる態様では、リンカーは、エチレングリコールを含む。ある種の態様では、リンカーは、HEG、TEG、PEG、またはそれらの任意の組み合わせを含む。更に他の態様では、リンカーは、アクリルホスホラミダイト(例えば、Acrydite(商標))、アデニル化、アジド(NHSエステル)、ジゴキシゲニン(NHSエステル)、コレステロール-TEG、I-LINKER(商標)、アミノ修飾体(例えば、アミノ修飾体C6、アミノ修飾体C12、アミノ修飾体C6 dT、またはUni-Link(商標)アミノ修飾体)、アルキン、5’-ヘキシニル、5-オクタジイニルdU、ビオチン化(例えば、ビオチン、ビオチン(アジド)、ビオチンdT、ビオチン-TEG、デュアルビオチン、PCビオチン、またはデスチオビオチン)、チオール修飾(チオール修飾体C3 S-S、ジチオールまたはチオール修飾体C6 S-S)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。幾つかの態様では、リンカーは、切断可能なリンカーである。ある種の態様では、リンカーは、(i)マレイミド部分及び(ii)バリン-アラニン-p-アミノベンジルカルバメートまたはバリン-シトルリン-p-アミノベンジルカルバメートを含む。幾つかの態様では、リンカーは、バリン-アラニン-p-アミノベンジルカルバメートまたはバリン-シトルリン-p-アミノベンジルカルバメートを含む。
【0045】
幾つかの態様では、細胞外小胞は、エキソソームである。
【0046】
KRAS G12D転写物(配列番号1)のヌクレオチド5,568~5,606の範囲内の核酸配列に相補的な10~30ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)も本明細書において開示される。幾つかの態様では、連続ヌクレオチド配列は、KRAS G12D転写物内の核酸配列に少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%相補的である。
【0047】
幾つかの態様では、本明細書において開示されるASOは、ヒト細胞(例えば、免疫細胞または腫瘍細胞)におけるKRAS G12Dタンパク質発現を低減することができ、ここで、当該ヒト細胞は、当該KRAS G12Dタンパク質を発現する。ある種の態様では、KRAS G12Dタンパク質発現は、ASOに曝露されていないヒト細胞におけるKRAS G12Dタンパク質発現と比較して少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低減される。
【0048】
幾つかの態様では、ASOは、ヒト細胞(例えば、免疫細胞または腫瘍細胞)におけるKRAS G12D mRNAのレベルを低減することができ、ここで、当該ヒト細胞は、当該KRAS G12D mRNAを発現する。ある種の態様では、KRAS G12D mRNAのレベルは、ASOに曝露されていないヒト細胞におけるKRAS G12D mRNAのレベルと比較して少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低減される。
【0049】
幾つかの態様では、ASOは、ヒト細胞(例えば、免疫細胞または腫瘍細胞)における野生型KRASタンパク質発現を低減することができ、ここで、当該ヒト細胞は、当該野生型KRASタンパク質を発現する。ある種の態様では、野生型KRASタンパク質発現は、ASOに曝露されていないヒト細胞における野生型KRASタンパク質発現と比較して少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低減される。
【0050】
幾つかの態様では、ASOは、ヒト細胞(例えば、免疫細胞または腫瘍細胞)における野生型KRAS mRNAのレベルを低減することができ、ここで、当該ヒト細胞は、当該野生型KRAS mRNAを発現する。ある種の態様では、野生型KRAS mRNAのレベルは、ASOに曝露されていないヒト細胞における野生型KRAS mRNAのレベルと比較して少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低減される。
【0051】
幾つかの態様では、ヒト細胞(例えば、免疫細胞または腫瘍細胞)における野生型KRAS mRNAのレベルを低減せず、ここで、当該ヒト細胞は、当該野生型KRAS mRNAを発現する。
【0052】
幾つかの態様では、ASOは、ギャップマー、ミックスマー、またはトータルマー(totalmer)である。
【0053】
幾つかの態様では、ASOは、1つ以上のヌクレオシド類似体を含む。ある種の態様では、ヌクレオシド類似体のうちの1つ以上は、2’-O-アルキル-RNA;2’-O-メチルRNA(2’-OMe);2’-アルコキシ-RNA;2’-O-メトキシエチル-RNA(2’-MOE);2’-アミノ-DNA;2’-フルオロ-RNA;2’-フルオロ-DNA;アラビノ核酸(ANA);2’-フルオロ-ANA;二環式ヌクレオシド類似体(LNA);またはそれらの任意の組み合わせを含む。ある種の態様では、ヌクレオシド類似体のうちの1つ以上は、糖修飾されたヌクレオシドである。更なる態様では、糖修飾されたヌクレオシドは、親和性を増強する2’糖修飾されたヌクレオシドである。幾つかの態様では、ヌクレオシド類似体のうちの1つ以上は、二環式糖を含むヌクレオシドを含む。ある種の態様では、ヌクレオシド類似体のうちの1つ以上は、LNAを含む。更なる態様では、ヌクレオシド類似体のうちの1つ以上は、拘束エチルヌクレオシド(cEt)、2’,4’-拘束2’-O-メトキシエチル(cMOE)、α-L-LNA、β-D-LNA、2’-O,4’-C-エチレン架橋核酸(ENA)、アミノLNA、オキシLNA、チオLNA、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0054】
幾つかの態様では、ASOは、1つ以上の5’-メチル-シトシン核酸塩基を含む。幾つかの態様では、ASOは、配列番号4~配列番号85のいずれか1つを含む。ある種の態様では、ASOは、LLLDLLL、LLLLDLLLL、LLLLLDLLLLL、LLLMMDMMLLL、LLLMDMLLL、LLLLMMDMMLLLL、LLLLMDMLLLL、LLLLLLMMDMMLLLLL、LLLLLLMDMLLLLL、またはそれらの組み合わせから選択される設計を有し、ここで、Lはヌクレオシド類似体(例えば、LNA)であり、DはDNAであり、Mは2’-MOEであり、nは4~24の間の任意の整数(例えば、3~15)であり得る。幾つかの態様では、ASOは、14~20ヌクレオチド長である。
【0055】
幾つかの態様では、本明細書において開示されるASOの連続ヌクレオチド配列は、1つ以上の修飾されたヌクレオシド間結合を含む。ある種の態様では、1つ以上の修飾されたヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエート結合である。更なる態様では、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%のヌクレオシド間結合が修飾される。幾つかの態様では、ASOにおけるヌクレオシド間結合の各々は、ホスホロチオエート結合である。
【0056】
本開示は、本明細書において開示されるASOのいずれかを含むコンジュゲートも提供し、ここで、ASOは、少なくとも1つの非ヌクレオチドまたは非ポリヌクレオチド部分に共有結合されている。幾つかの態様では、非ヌクレオチドまたは非ポリヌクレオチド部分は、タンパク質、脂肪酸鎖、糖残基、糖タンパク質、ポリマー、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0057】
本明細書において開示されるASOまたはコンジュゲートのいずれかを含む細胞外小胞が本明細書において提供される。
【0058】
本明細書において開示される細胞外小胞(例えば、エキソソーム)、ASO、またはコンジュゲート、及び薬学的に許容される希釈剤、担体、塩、または補助剤を含む医薬組成物も提供される。ある種の態様では、薬学的に許容される塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0059】
幾つかの態様では、医薬組成物は、少なくとも1種の追加の治療薬を更に含む。ある種の態様では、追加の治療薬は、KRAS G12Dアンタゴニストである。幾つかの態様では、KRAS G12Dアンタゴニストは、化合物、siRNA、shRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、タンパク質、またはそれらの任意の組み合わせである。更なる態様では、KRAS G12Dアンタゴニストは、抗KRAS G12D抗体またはその断片である。
【0060】
本明細書において開示される細胞外小胞、ASO、コンジュゲート、または医薬組成物、及び使用説明書を含むキットが本明細書おいて開示される。本明細書において開示される細胞外小胞、ASO、コンジュゲート、または医薬組成物、及び使用説明書を含む診断キットも開示される。
【0061】
本開示は、細胞におけるKRAS G12Dタンパク質発現を阻害または低減する方法であって、本明細書において開示される細胞外小胞、ASO、コンジュゲート、または医薬組成物を、KRAS G12Dタンパク質を発現する細胞に投与することを含み、当該細胞における当該KRAS G12Dタンパク質発現が、投与後に阻害または低減される、当該方法を提供する。
【0062】
幾つかの態様では、ASOは、投与後に細胞におけるKRAS G12D mRNAの発現を阻害または低減する。ある種の態様では、KRAS G12D mRNAの発現は、投与後に、ASOに曝露されていない細胞におけるKRAS G12D mRNAの発現と比較して少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約100%低減される。
【0063】
幾つかの態様では、KRAS G12Dタンパク質発現は、投与後に、ASOに曝露されていない細胞におけるKRAS G12Dタンパク質発現と比較して少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%低減される。
【0064】
がんを処置する必要がある対象におけるがんを処置する方法であって、有効量の本明細書において開示される細胞外小胞、ASO、コンジュゲート、または医薬組成物を当該対象に投与することを含む、当該方法が本明細書において開示される。がんを処置する必要がある対象におけるがんを処置するための薬剤の製造における本明細書において開示される細胞外小胞、ASO、コンジュゲート、または医薬組成物の使用も本開示において提供される。本開示は、がんを処置する必要がある対象におけるがんの処置に使用するための細胞外小胞、ASO、コンジュゲート、または医薬組成物も提供する。
【0065】
幾つかの態様では、本明細書において開示される細胞外小胞、ASO、コンジュゲート、または医薬組成物は、静脈内に、腫瘍内に、心臓内に、経口的に、非経口的に、クモ膜下腔内に、側脳室内に、肺に、局所的に、または脳室内に投与される。幾つかの態様では、本明細書において開示される細胞外小胞、ASO、コンジュゲート、または医薬組成物を用いて処置され得るがんには、結腸直腸癌、肺癌(例えば、非小細胞肺癌(NSCLC))、膵臓癌(例えば、膵管腺癌)、白血病、子宮癌、卵巣癌、膀胱癌、胆管癌、胃癌(gastric cancer)、胃癌(stomach cancer)、精巣癌、食道癌、胆管癌、子宮頸癌、急性骨髄性白血病(AML)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBC)、肉腫、黒色腫、神経膠腫(例えば、低悪性度神経膠腫、例えば、グリア芽細胞腫)、中皮腫、肝臓癌、乳癌(例えば、浸潤性乳癌)、腎臓癌(例えば、乳頭状腎細胞癌(pRCC)及び嫌色素性腎細胞癌)、頭頸部癌、前立腺癌、腺様嚢胞癌(ACC)、胸腺癌、甲状腺癌、淡明細胞型腎細胞癌(CCRCC)、神経内分泌腫瘍(例えば、褐色細胞腫/傍神経節腫)、ブドウ膜黒色腫、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0066】
本開示は、線維症を処置する必要がある対象における線維症を処置する方法であって、有効量の本明細書において開示される細胞外小胞、ASO、コンジュゲート、または医薬組成物のいずれかを投与することを含む、当該方法を更に提供する。線維症を処置する必要がある対象における線維症を処置するための薬剤の製造における本明細書において開示される細胞外小胞、ASO、コンジュゲート、または医薬組成物のいずれかの使用も本明細書において開示される。線維症を処置する必要がある対象における線維症の処置に使用するための本明細書において開示される細胞外小胞、ASO、コンジュゲート、または医薬組成物のいずれかが更に提供される。
【0067】
幾つかの態様では、本明細書において開示される処置する方法、使用方法、または使用するための組成物は、対象に細胞外小胞、ASO、コンジュゲート、または医薬組成物を、静脈内に、腫瘍内に、心臓内に、経口的に、非経口的に、クモ膜下腔内に、側脳室内に、肺に、局所的に、または脳室内に投与することを含む。
【0068】
幾つかの態様では、本開示により処置され得る線維症には、肝臓線維症(NASH)、硬変、肺線維症、嚢胞性線維症、慢性潰瘍性大腸炎/IBD、膀胱線維症、腎臓線維症、CAPS(マックル-ウェルズ症候群)、心房線維症、心内膜心筋線維症、陳旧性心筋梗塞、グリア性瘢痕、動脈壁硬化、関節線維症、クローン病、デュピュイトラン拘縮、ケロイド線維症、縦隔線維症、骨髄線維症、ペーロニー病、腎性全身性線維症、進行性塊状線維症、後腹膜線維症、強皮症/全身性硬化症、癒着性関節包炎、神経線維腫症1型(NF1)、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1-1】変異型KRAS転写物を標的とする例示的なASOを列挙する表を示す。表は、以下の情報(左から右)を含む:(i)ASO配列のみについて示される配列番号(1列目)、(ii)変異型KRASのゲノム配列(配列番号1)上の標的開始位置及び末端位置(それぞれ2列目及び3列目)、(iii)変異型KRASのmRNA配列(配列番号3)上の標的開始位置及び末端位置(それぞれ4列目及び5列目)、(iv)なんらの特定の設計または化学構造も有さないASO配列(6列目)、ならびに(v)化学構造を有するASO配列。ASOは5’~3’である(最後の列)。化学構造における記号は、以下の通りである:NbはLNAを意味し、dNはDNAを意味し、5MdCは 5-メチル-dCを意味し、NmはMOEを意味し、sはホスホロチオエートを意味する。
図1-2】同上。
図1-3】同上。
図1-4】同上。
図1-5】同上。
図1-6】同上。
図1-7】同上。
図2A】Hepa1-6レポーターアッセイを使用して測定される、野生型(丸)及びG12D変異型(四角)のKRAS mRNA転写物のASOによるノックダウンの阻害曲線を示す。試験されたASOは、(i)ASO-0007(図2A)である。ASOの各々でのASOノックダウンは、野生型またはG12D変異体配列を含有するDual-Gloレポータープラスミドで形質移入され、ASOで処理されたマウスHepa1-6細胞におけるパーセントKRAS mRNA発現として示される。対照/モックASOで処理された対応するHepa1-6細胞における野生型及びG12D変異型のKRAS mRNA転写物のノックダウンに正規化されたパーセントKRAS mRNA発現が示される。
図2B】Hepa1-6レポーターアッセイを使用して測定される、野生型(丸)及びG12D変異型(四角)のKRAS mRNA転写物のASOによるノックダウンの阻害曲線を示す。試験されたASOは、(ii)ASO-0008(図2B)である。ASOの各々でのASOノックダウンは、野生型またはG12D変異体配列を含有するDual-Gloレポータープラスミドで形質移入され、ASOで処理されたマウスHepa1-6細胞におけるパーセントKRAS mRNA発現として示される。対照/モックASOで処理された対応するHepa1-6細胞における野生型及びG12D変異型のKRAS mRNA転写物のノックダウンに正規化されたパーセントKRAS mRNA発現が示される。
図2C】Hepa1-6レポーターアッセイを使用して測定される、野生型(丸)及びG12D変異型(四角)のKRAS mRNA転写物のASOによるノックダウンの阻害曲線を示す。試験されたASOは、(iii)ASO-0009(図2C)である。ASOの各々でのASOノックダウンは、野生型またはG12D変異体配列を含有するDual-Gloレポータープラスミドで形質移入され、ASOで処理されたマウスHepa1-6細胞におけるパーセントKRAS mRNA発現として示される。対照/モックASOで処理された対応するHepa1-6細胞における野生型及びG12D変異型のKRAS mRNA転写物のノックダウンに正規化されたパーセントKRAS mRNA発現が示される。
図2D】Hepa1-6レポーターアッセイを使用して測定される、野生型(丸)及びG12D変異型(四角)のKRAS mRNA転写物のASOによるノックダウンの阻害曲線を示す。試験されたASOは、(iv)ASO-0021(図2D)である。ASOの各々でのASOノックダウンは、野生型またはG12D変異体配列を含有するDual-Gloレポータープラスミドで形質移入され、ASOで処理されたマウスHepa1-6細胞におけるパーセントKRAS mRNA発現として示される。対照/モックASOで処理された対応するHepa1-6細胞における野生型及びG12D変異型のKRAS mRNA転写物のノックダウンに正規化されたパーセントKRAS mRNA発現が示される。
図2E】Hepa1-6レポーターアッセイを使用して測定される、野生型(丸)及びG12D変異型(四角)のKRAS mRNA転写物のASOによるノックダウンの阻害曲線を示す。試験されたASOは、(v)ASO-0022(図2E)である。ASOの各々でのASOノックダウンは、野生型またはG12D変異体配列を含有するDual-Gloレポータープラスミドで形質移入され、ASOで処理されたマウスHepa1-6細胞におけるパーセントKRAS mRNA発現として示される。対照/モックASOで処理された対応するHepa1-6細胞における野生型及びG12D変異型のKRAS mRNA転写物のノックダウンに正規化されたパーセントKRAS mRNA発現が示される。
図2F】Hepa1-6レポーターアッセイを使用して測定される、野生型(丸)及びG12D変異型(四角)のKRAS mRNA転写物のASOによるノックダウンの阻害曲線を示す。試験されたASOは、(vi)ASO-0023(図2F)である。ASOの各々でのASOノックダウンは、野生型またはG12D変異体配列を含有するDual-Gloレポータープラスミドで形質移入され、ASOで処理されたマウスHepa1-6細胞におけるパーセントKRAS mRNA発現として示される。対照/モックASOで処理された対応するHepa1-6細胞における野生型及びG12D変異型のKRAS mRNA転写物のノックダウンに正規化されたパーセントKRAS mRNA発現が示される。
図2G】Hepa1-6レポーターアッセイを使用して測定される、野生型(丸)及びG12D変異型(四角)のKRAS mRNA転写物のASOによるノックダウンの阻害曲線を示す。試験されたASOは、(vii)ASO-0036(図2G)である。ASOの各々でのASOノックダウンは、野生型またはG12D変異体配列を含有するDual-Gloレポータープラスミドで形質移入され、ASOで処理されたマウスHepa1-6細胞におけるパーセントKRAS mRNA発現として示される。対照/モックASOで処理された対応するHepa1-6細胞における野生型及びG12D変異型のKRAS mRNA転写物のノックダウンに正規化されたパーセントKRAS mRNA発現が示される。
図2H】Hepa1-6レポーターアッセイを使用して測定される、野生型(丸)及びG12D変異型(四角)のKRAS mRNA転写物のASOによるノックダウンの阻害曲線を示す。試験されたASOは、(viii)ASO-0037(図2H)である。ASOの各々でのASOノックダウンは、野生型またはG12D変異体配列を含有するDual-Gloレポータープラスミドで形質移入され、ASOで処理されたマウスHepa1-6細胞におけるパーセントKRAS mRNA発現として示される。対照/モックASOで処理された対応するHepa1-6細胞における野生型及びG12D変異型のKRAS mRNA転写物のノックダウンに正規化されたパーセントKRAS mRNA発現が示される。
図2I】Hepa1-6レポーターアッセイを使用して測定される、野生型(丸)及びG12D変異型(四角)のKRAS mRNA転写物のASOによるノックダウンの阻害曲線を示す。試験されたASOは、(ix)ASO-0038(図2I)である。ASOの各々でのASOノックダウンは、野生型またはG12D変異体配列を含有するDual-Gloレポータープラスミドで形質移入され、ASOで処理されたマウスHepa1-6細胞におけるパーセントKRAS mRNA発現として示される。対照/モックASOで処理された対応するHepa1-6細胞における野生型及びG12D変異型のKRAS mRNA転写物のノックダウンに正規化されたパーセントKRAS mRNA発現が示される。
図2J】Hepa1-6レポーターアッセイを使用して測定される、野生型(丸)及びG12D変異型(四角)のKRAS mRNA転写物のASOによるノックダウンの阻害曲線を示す。試験されたASOは、(x)ASO-0039(図2J)である。ASOの各々でのASOノックダウンは、野生型またはG12D変異体配列を含有するDual-Gloレポータープラスミドで形質移入され、ASOで処理されたマウスHepa1-6細胞におけるパーセントKRAS mRNA発現として示される。対照/モックASOで処理された対応するHepa1-6細胞における野生型及びG12D変異型のKRAS mRNA転写物のノックダウンに正規化されたパーセントKRAS mRNA発現が示される。
図2K】Hepa1-6レポーターアッセイを使用して測定される、野生型(丸)及びG12D変異型(四角)のKRAS mRNA転写物のASOによるノックダウンの阻害曲線を示す。試験されたASOは、(xi)ASO-0059(図2K)である。ASOの各々でのASOノックダウンは、野生型またはG12D変異体配列を含有するDual-Gloレポータープラスミドで形質移入され、ASOで処理されたマウスHepa1-6細胞におけるパーセントKRAS mRNA発現として示される。対照/モックASOで処理された対応するHepa1-6細胞における野生型及びG12D変異型のKRAS mRNA転写物のノックダウンに正規化されたパーセントKRAS mRNA発現が示される。
図2L】Hepa1-6レポーターアッセイを使用して測定される、野生型(丸)及びG12D変異型(四角)のKRAS mRNA転写物のASOによるノックダウンの阻害曲線を示す。試験されたASOは、(xii)ASO-0071(図2L)である。ASOの各々でのASOノックダウンは、野生型またはG12D変異体配列を含有するDual-Gloレポータープラスミドで形質移入され、ASOで処理されたマウスHepa1-6細胞におけるパーセントKRAS mRNA発現として示される。対照/モックASOで処理された対応するHepa1-6細胞における野生型及びG12D変異型のKRAS mRNA転写物のノックダウンに正規化されたパーセントKRAS mRNA発現が示される。
図3-1】Hepa1-6レポーターアッセイを使用して測定される、本開示に記載される異なるASOのKRAS mRNAノックダウン効率を示す表を示す。ノックダウン効率は、異なるASOで形質移入された細胞において観察される野生型またはG12D KRAS mRNA発現の量として示される。野生型KRAS mRNA発現レベルからG12D KRAS mRNA発現レベルを減算することによりASOの選択性も示される(「KRAS G12Dを引いたKRAS野生型」と表記された列を参照のこと)。
図3-2】同上。
図3-3】同上。
図3-4】同上。
図4A】本明細書において開示される異なるASOによる処理の48時間後の膵癌細胞株におけるKRAS mRNA発現を示す。試験されたASOをグラフの右側に示す。図4Aにおいて、G12D変異についてヘテロ接合であるPanc-1細胞におけるG12D KRAS mRNA発現を阻害するASOの能力が評価された。図4A及び図4Bの各々について、PCRアッセイを使用してKRAS mRNA発現が測定され、RPS13に正規化して示された。
図4B】本明細書において開示される異なるASOによる処理の48時間後の膵癌細胞株におけるKRAS mRNA発現を示す。試験されたASOをグラフの右側に示す。図4Bにおいて、なんらのKRAS変異も含まないBxPC-3細胞における野生型KRAS mRNA発現を阻害するASOの能力が評価された。図4A及び図4Bの各々について、PCRアッセイを使用してKRAS mRNA発現が測定され、RPS13に正規化して示された。
図5】A、B、及びCは、2種の例示的なASO(すなわち、ASO-0082及びASO-0009)の、以下の3種の異なる膵癌細胞株:BxPC-3(KRAS変異なし)(黒丸)、AsPC-1(G12D変異についてホモ接合)(三角)、及びPanc-1(G12D変異についてヘテロ接合)(白丸)におけるKRAS mRNA発現を阻害する能力を示す。細胞が8つの異なる濃度のASOで処理され、ASO形質移入の48時間後にKRAS mRNA発現がqPCRアッセイを使用して測定された。図5Aは、ASO-0082での結果を提供する。図5Bは、ASO-0009での結果を提供する。図5Cは、異なる細胞株におけるASOのIC50値を提供する。
図6】A及びBは、本明細書において開示される異なる濃度の2種の例示的なASO(すなわち、ASO-0082(薄灰色棒)及びASO-0009(黒棒))で形質移入された2種の異なるサル腎臓細胞株(すなわち、それぞれFrHK-4及びCos-7)におけるKRAS mRNA発現を示す。スクランブル対照ASOで形質移入された細胞が、対照として使用された(濃灰色棒、すなわち、各図における最後の2本の棒)。形質移入の48時間後に、qPCRアッセイを使用してKRAS mRNA発現が測定された。KRAS mRNA発現は、GADPH及び未処理の細胞に正規化して示される。
図7】A及びBは、本明細書において開示されるASOをコンジュゲートするために使用され得る2つの例示的なコレステロール部分の具体例を提供する。図7Aは、Chol2の構造を提供する。図7Bは、Chol4の構造を提供する。
図8】A及びBは、それぞれPanc-1(G12D変異についてヘテロ接合)及びHEP3B(KRAS変異なし)膵臓癌細胞の増殖に対する本明細書において開示される例示的なコレステロールがタグ付けされたASOの効果を示す。図8Aの上3行及び図8Bの上2行は、コレステロールがタグ付けされた異なる濃度のASO-0009(すなわち、0nM、111nM、333nM、または1,000nM)で処理された細胞のコロニー形成を示す。図8Aの下3行及び図8Bの下2行は、コレステロールがタグ付けされたスクランブル対照で処理された細胞での結果を示す。
図9】A及びBは、以下のコレステロールがコンジュゲートされたASO:(i)ASO-0009、(ii)ASO-0082、または(iii)スクランブル対照ASOのうちの1つを含む表面が操作されたEV(例えば、エキソソーム)で処理されたPanc-1(G12D変異についてヘテロ接合)膵臓癌細胞におけるKRAS G12D mRNA発現を示す。KRAS G12D mRNA発現は、未処理の細胞及びRPS13に正規化して示される。図9Aは、以下の濃度のうちの1つでASO-0009を含むEVを使用した結果を示す:6,700nM;2,200nM;700nM;200nM;及び80nM(最初の5本の棒(左から右))。EV中のASOの量は、EV上にASOをロードした後に測定された。スクランブル対照ASOを含むEV(「scr」)及び最も高いASO濃度の遊離ASO-0009(すなわち、EVの一部でない)(すなわち、6,700nM)(「遊離」)が対照として使用された。図9Bは、以下の濃度のうちの1つでASO-0082を含むEVを使用した結果を示す:4,100nM;1,367nM;456nM;152nM;及び51nM(最初の5本の棒(左から右))。EV中のASOの量は、EV上にASOをロードした後に測定された。スクランブル対照ASOを含むEV(「scr」)及び最も高いASO濃度の遊離ASO-0082(「遊離」)(すなわち、4,100nM)が対照として使用された。
図10】以下のコレステロールがコンジュゲートされたASO:(i)ASO-0009、(ii)ASO-0082、または(iii)スクランブル対照ASOのうちの1つを含む表面が操作されたEV(例えば、エキソソーム)で処理されたPanc8.13(G12D変異についてホモ接合)膵臓癌細胞におけるKRAS G12D mRNA発現を示す。ロード後、ASOは、以下の濃度のうちの1つでEVに存在した:1,600nM;533.3nM;177.8nM;59.3nM;及び19.8nM。対照として、遊離ASO-0009、遊離ASO-0082、及び遊離スクランブル対照ASOが使用された(全て1,600nM)。KRAS G12D mRNA発現は、未処理の細胞及びRPS13に正規化して示される。
図11】以下のコレステロールがコンジュゲートされたASO:(i)ASO-0009、(ii)ASO-0082、または(iii)スクランブル対照ASOのうちの1つを含む表面が操作されたEV(例えば、エキソソーム)で処理されたAsPC-1(G12D変異についてホモ接合)膵臓癌細胞におけるKRAS G12D mRNA発現を示す。ロード後、ASOは、以下の濃度のうちの1つでEVに存在した:500nM、166.7nM、55.6nM、18.5nM、及び6.2nM。遊離ASO-0009、遊離ASO-0082、及び遊離スクランブル対照ASOが対照として使用された(全て500nMの濃度)。
図12】以下のコレステロールがコンジュゲートされたASO:(i)ASO-0009、(ii)ASO-0082、または(iii)スクランブル対照ASOのうちの1つを含む表面が操作されたEV(例えば、エキソソーム)で処理されたAsPC-1細胞の生存率を示す。EVは、以下の濃度のうちの1つでKRAS ASOを含んだ:3,000nM、600nM、120nM、24nM、及び1nM。遊離ASO-0082(白色棒)及び遊離ASO-0009(黒灰色棒)が対照として使用された(両方とも3,000nMの濃度)。生存率は、未処理の細胞または空のEV(すなわち、ASOを含まない)で処理された細胞における対応する値と比較して異なる処理群で観察された細胞の相対数(CTGを使用してATPレベルを測定することにより決定される)として示される。
図13】A及びBは、本明細書において開示されるEV(例えば、エキソソーム)の、以下の2種の異なる膵臓癌細胞株:それぞれ、Panc8.13(G12D変異についてホモ接合)及びPanc-1(G12D変異についてヘテロ接合)におけるpERK発現に対する効果を示す。膵臓癌細胞が、以下のコレステロールがコンジュゲートされたASOのうちの1つを含む表面が操作されたEV(例えば、エキソソーム)で処理された:(i)ASO-0009、(ii)ASO-0082、または(iii)スクランブル対照ASO。EVに存在するASOの濃度がx軸に沿って示される。空のEV(すなわち、ASOを含まない表面が操作されたEV;「PrXのみ」)(1,500nMまたは500nM)及び未処理の細胞が対照として使用された。pERK発現は、Cell-Titer-Glo2.0での読み取り及び未処理の細胞に正規化して示される。
図14】本明細書において開示されるASOの、AsPC-1(G12D変異についてホモ接合)(左パネル)及びPanc-1(G12D変異についてヘテロ接合)(右パネル)膵臓癌細胞におけるpERK発現を阻害する能力を示す。膵臓癌細胞が以下のコレステロールがコンジュゲートされたASOのうちの1つで処理された:(i)ASO-0009(「0009」)、(ii)ASO-0082(「0082」)、または(iii)スクランブル対照ASO(「scrm」)。ASOは、以下の濃度で使用された:50nM、100nM、及び200nM。形質移入の72時間後に、pERK発現が、ウェスタンブロットを使用して測定された。比較のために、ビンキュリン、KRAS G12Dタンパク質、及び総ERKの発現も同時に測定された。
図15A】様々なCD47-足場X融合構築物の概略図を示す。図15Aは、FLAGタグが付けられた(1083及び1084)またはFLAGタグが付けられていない(1085及び1086)全長足場X(1083及び1086)または切断型足場X(1084及び1085)のいずれかに融合された野生型CD47(C15S置換を有する)の細胞外ドメインを含む構築物を示す。
図15B】様々なCD47-足場X融合構築物の概略図を示す。図15Bは、FLAGタグが付けられた(1087及び1088)またはFLAGタグが付けられていない(1089及び1090)全長足場X(1087及び1090)または切断型足場X(1088及び1089)のいずれかに融合されたVelcro(登録商標)-CD47の細胞外ドメインを含む構築物を示す。
図15C】様々なCD47-足場X融合構築物の概略図を示す。図15Cは、野生型CD47(C15S置換を有する;1127及び1128)またはVelcro(登録商標)-CD47(1129及び1130)の第1膜貫通ドメインが足場Xの膜貫通ドメイン及び第1細胞外モチーフを含む足場Xの断片と置き換えられた構築物を示す。
図15D】様々なCD47-足場X融合構築物の概略図を示す。図15Dは、FLAGタグが付けられた(1158及び1159)またはFLAGタグが付けられていない(1160及び1161)全長足場X(1158及び1161)または切断型足場X(1159及び1160)のいずれかに融合された最小「自己」ペプチド(GNYTCEVTELTREGETIIELK;配列番号600)を含む様々な構築物を示す。
図16】改変されたエキソソームの表面に発現され得る例示的なマウスCD47-足場X融合構築物の発現を、本明細書に記載されるKRAS転写物を標的とするASOと共に示す。構築物は、FLAGタグが付けられた(1923及び1925)またはFLAGタグが付けられていない(1924及び1922)全長足場X(1923及び1922)または切断型足場X(1925及び1924)のいずれかに融合された野生型マウスCD47(C15S置換を有する)の細胞外ドメインを含む。
図17A】任意の他の部分、例えば、生物学的に活性な部分と共に送達され得る、ニューロトロフィン-足場X融合構築物を使用した、Trksを標的とする例示的な細胞外小胞(例えば、エキソソーム)の模式図を示す。ニューロトロフィンは、ホモ二量体としてTrk受容体に結合し、EVが感覚ニューロンを標的とするのを可能にする。
図17B】(i)向神経性及び(ii)抗貪食シグナル(例えば、CD47及び/またはCD24)であって、(iii)KRAS転写物を標的とするASOと共に送達され得るEVの外部表面上の当該抗貪食シグナルを有する例示的な細胞外小胞(例えば、エキソソーム)の模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0070】
本開示のある種の態様は、KRAS G12D変異体を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む細胞外小胞(EV)、例えば、エキソソームを対象とする。幾つかの態様では、ASOは、KRAS G12D変異体転写物内の核酸配列に相補的な10~30ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含む。
【0071】
I.定義
本明細書がより容易に理解され得るように、特定の用語が最初に定義される。追加の定義は、発明を実施するための形態の全体を通して記載される。
【0072】
用語「ある(a)」または「ある(an)」を付された物は、その物のうちの1つ以上を指すことに留意されたい。例えば、「ヌクレオチド配列」は、1つ以上のヌクレオチド配列を表すと理解される。従って、用語「ある(a)」(またはある「an」)、「1つ以上」、及び「少なくとも1つ」は、本明細書において互換的に使用され得る。
【0073】
更に、「及び/または」は、本明細書において使用される場合、2つの指定された特徴または成分の各々の、他方を伴うか、または伴わない具体的な開示とみなされるべきである。従って、本明細書において「A及び/またはB」などの語句で使用される用語「及び/または」は、「A及びB」、「AまたはB」、「A」(単独)、及び「B」(単独)を含むことを意図する。同様に、「A、B、及び/またはC」などの語句において使用される用語「及び/または」は、以下の態様の各々を包含することを意図する:A、B、及びC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);及びC(単独)。
【0074】
態様が用語「含む」を用いて本明細書に記載されている場合は、「からなる」及び/または「本質的にからなる」という言葉で記載された別様の類似した態様もまた提供されていると理解されよう。
【0075】
特に定義しない限り、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が関連する分野の当業者により一般に理解されるのと同じ意味を有する。例えば、Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology,Juo,Pei-Show,2nd ed.,2002,CRC Press;The Dictionary of Cell and Molecular Biology,3rd ed.,1999,Academic Press;及びOxford Dictionary of Biochemistry And Molecular Biology,Revised,2000,Oxford University Pressが、本開示において使用される用語の多くの一般的な辞書を当業者に提供している。
【0076】
単位、接頭辞、及び記号は、それらの国際単位系(SI)で認められた形態で表される。数値範囲は、その範囲を定義する数値を包括する。特に明記しない限り、ヌクレオチド配列は、5’から3’の方向で左から右へ記載される。特に明記しない限り、アミノ酸配列は、アミノからカルボキシの方向で、左から右へ記載される。本明細書において提供される見出しは、本明細書全体を参照することによって得られ得る本開示の様々な態様を限定するものではない。従って、直下に定義される用語は、明細書全体を参照することによって、より完全に定義される。
【0077】
用語「約」は、「ほぼ」、「大まかに」、「およそ」、または「の範囲で」を意味するように本明細書において使用される。用語「約」が数値の範囲と共に使用される場合、この用語は、記載される数値の上限及び下限を広げることによりその範囲を修正する。一般に、用語「約」は、例えば、10パーセントの上昇または下降(より高いまたはより低い)の変動で、明示される値の上及び下に数値を修正し得る。例えば、「ASOは、ASOの投与後の細胞におけるKRASタンパク質の発現を少なくとも約60%低減する」ことが明示される場合、KRASタンパク質の発現が50%~70%の範囲で低減されることが含まれる。
【0078】
用語「アンチセンスオリゴヌクレオチド」(ASO)は、ヌクレオチド間結合により互いに共有結合されているヌクレオシド、例えば、天然に存在するヌクレオシドまたはその修飾形態のオリゴマーまたはポリマーを指す。本開示に有用なASOは、少なくとも1つの非天然ヌクレオシドを含む。ASOは、当該ASOが標的核酸配列にハイブリダイズするように、少なくとも部分的に当該標的核酸に相補的である。
【0079】
用語「核酸」または「ヌクレオチド」は、複数の核酸を包含することを意図する。幾つかの態様では、用語「核酸」または「ヌクレオチド」は、標的配列、例えば、インビボまたはインビトロのプレmRNA、mRNA、またはDNAを指す。この用語が標的配列の核酸またはヌクレオチドを指す場合、核酸またはヌクレオチドは、細胞内に天然に存在する配列であり得る。他の態様では、「核酸」または「ヌクレオチド」は、本開示のASOの配列を指す。この用語がASOの配列を指す場合、核酸またはヌクレオチドは、非天然であり得、すなわち、化学合成され得るか、酵素により生成され得るか、組換えにより生成され得るか、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。幾つかの態様では、ASOの核酸またはヌクレオチドは、合成または組換えにより生成されるが、天然に存在する配列またはその断片ではない。幾つかの態様では、ASOの核酸またはヌクレオチドは、それらが自然界で天然に存在しない少なくとも1つのヌクレオシド類似体を含有するため、天然に存在しない。
【0080】
本明細書で使用する場合、用語「ヌクレオチド」は、糖部分、塩基部分、及び共有結合した基(結合基)、例えば、ホスフェートまたはホスホロチオエートヌクレオチド間結合基を含む配糖体を指し、DNAまたはRNAなどの天然に存在するヌクレオチド、ならびに本明細書において「ヌクレオチド類似体」とも称される、修飾された糖及び/または塩基部分を含む、非天然ヌクレオチドの両方を含む。本明細書において、単一ヌクレオチドは、モノマーまたは単位と称され得る。ある種の態様では、用語「ヌクレオチド類似体」は、修飾された糖部分を有するヌクレオチドを指す。修飾された糖部分を有するヌクレオチド(例えば、LNA)の非限定的な例は、本明細書の他箇所で開示される。他の態様では、用語「ヌクレオチド類似体」は、修飾された塩基部分を有するヌクレオチドを指す。修飾された核酸塩基部分を有するヌクレオチドとしては、限定されるものではないが、5-メチル-シトシン、イソシトシン、プソイドイソシトシン、5-ブロモウラシル、5-プロピニルウラシル、6-アミノプリン、2-アミノプリン、イノシン、ジアミノプリン、及び2-クロロ-6-アミノプリンが挙げられる。幾つかの態様では、用語「ヌクレオチド」、「単位」、及び「モノマー」は、互換的に使用される。ヌクレオチドまたはモノマーの配列に言及する場合、言及されるものが、A、T、G、C、またはUなどの塩基及びその類似体の配列であることが理解されるであろう。
【0081】
本明細書で使用する場合、用語「ヌクレオシド」は、糖部分及び塩基部分を含む配糖体を指すために使用され、従って、ASOのヌクレオチドの間のヌクレオチド間結合により共有結合されているヌクレオチド単位に言及する場合に使用され得る。バイオテクノロジーの分野において、用語「ヌクレオチド」は、多くの場合、核酸モノマーまたは単位を指すために使用される。ASOとの関係において、用語「ヌクレオチド」は、塩基のみ、すなわち、糖骨格及びヌクレオチド間結合の存在が暗黙的である、シトシン(DNA及びRNA)、グアニン(DNA及びRNA)、アデニン(DNA及びRNA)、チミン(DNA)、及びウラシル(RNA)を含む核酸塩基配列を指し得る。同様に、ヌクレオシド間結合基のうちの1つ以上が修飾されているオリゴヌクレオチドの場合は特に、用語「ヌクレオチド」は、「ヌクレオシド」を指し得る。例えば、用語「ヌクレオチド」は、ヌクレオシド間の結合の存在または性質を指定する場合でも使用され得る。
【0082】
本明細書で使用する場合、用語「ヌクレオチド長」は、所与の配列におけるヌクレオチド(モノマー)の総数を意味する。例えば、tcagctccaactac (配列番号4)の配列は、14個のヌクレオチドを有し、従って、配列のヌクレオチド長は、14である。従って、用語「ヌクレオチド長」は、本明細書において、「ヌクレオチド数」と互換的に使用される。
【0083】
当業者が理解するように、オリゴヌクレオチドの5’末端ヌクレオチドは、5’ヌクレオチド間結合基を含まないが、5’末端基を含み得る。
【0084】
本明細書に記載の化合物は、幾つかの不斉中心を含有し得、光学的に純粋なエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、例えば、ラセミ化合物、ジアステレオ異性体の混合物、ジアステレオ異性体ラセミ化合物またはジアステレオ異性体ラセミ化合物の混合物の形態で存在し得る。幾つかの態様では、不斉中心は、不斉炭素原子であり得る。用語「不斉炭素原子」は、4つの異なる置換基を有する炭素原子を意味する。カーン・インゴルド・プレローグ表示法に従って、不斉炭素原子は、「R」または「S」配置であり得る。
【0085】
本明細書で使用する場合、用語「二環式糖」は、4~7員環であって、当該4~7員環の2個の原子を連結して、第2の環を形成し、これにより、二環式構造をもたらす架橋を含む、当該4~7員環を含む修飾された糖部分を指す。幾つかの態様では、架橋は、LNAヌクレオシドにおいて見られるように、ヌクレオシドのリボース糖環のC2’及びC4’を連結する(すなわち、2’-4’架橋)。
【0086】
本明細書で使用する場合、「コード領域」または「コード配列」は、アミノ酸に翻訳可能なコドンからなるポリヌクレオチドの一部である。「終止コドン」(TAG、TGA、またはTAA)は、通常、アミノ酸に翻訳されないが、コード領域の一部と見なされ得る。しかし、隣接配列、例えば、プロモーター、リボソーム結合部位、転写ターミネーター、イントロン、非翻訳領域(「UTR」)などは、いずれもコード領域の一部ではない。コード領域の境界は、通常、得られるポリペプチドのアミノ末端をコードする5’末端の開始コドン、及び得られるポリペプチドのカルボキシル末端をコードする3’末端の翻訳終止コドンにより決定される。
【0087】
本明細書で使用する場合、用語「非コード領域」は、コード領域でないヌクレオチド配列を意味する。非コード領域の例としては、限定されるものではないが、プロモーター、リボソーム結合部位、転写ターミネーター、イントロン、非翻訳領域(「UTR」)、非コードエキソンなどが挙げられる。エキソンのうちの幾つかは、各転写物の5’非翻訳領域(5’UTR)または3’非翻訳領域(3’UTR)の全体または一部であり得る。非翻訳領域は、転写物の効率的な翻訳に、ならびに転写物の翻訳の速度及び半減期の制御に重要である。
【0088】
ヌクレオチド配列との関係において使用される場合、用語「領域」は、その配列の一部を指す。例えば、語句「ヌクレオチド配列内の領域」または「ヌクレオチド配列の相補体内の領域」は、それぞれ、特定のヌクレオチド配列内または当該ヌクレオチド配列の相補体内に位置する、当該ヌクレオチド配列よりも短いが、少なくとも10ヌクレオチドより長い配列を指す。用語「部分配列(sub-sequence)」または「部分配列(subsequence)」もヌクレオチド配列の領域を指し得る。
【0089】
ヌクレオチド配列に言及する場合、用語「下流」は、核酸またはヌクレオチド配列が参照ヌクレオチド配列の3’側に位置することを意味する。ある種の態様では、下流ヌクレオチド配列は、転写開始点に続く配列に関する。例えば、遺伝子の翻訳開始コドンは、転写開始部位の下流に存在する。
【0090】
用語「上流」は、参照ヌクレオチド配列の5’側に存在するヌクレオチド配列を指す。
【0091】
本明細書で使用する場合、用語「調節領域」は、連結されたコード領域の転写、RNAプロセシング、安定性、または翻訳に影響を及ぼす、コード領域の上流(5’非コード配列)、コード領域内、またはコード領域の下流(3’非コード配列)に存在するヌクレオチド配列を指す。調節領域としては、プロモーター、翻訳リーダー配列、イントロン、ポリアデニル化認識配列、RNAプロセシング部位、エフェクター結合部位、UTR、及びステムループ構造が挙げられる。コード領域が真核細胞での発現を意図する場合、ポリアデニル化シグナル及び転写終結配列は、通常、コード配列の3’側に存在する。
【0092】
本明細書で使用する場合、用語「転写物」は、DNAの転写により合成され、プロセシング後にメッセンジャーRNA(mRNA)になる、すなわち、前駆体メッセンジャーRNA(プレmRNA)及びプロセシングされたmRNA自体になる、一次転写物を指し得る。用語「転写物」は、「プレmRNA」及び「mRNA」と互換的に使用され得る。DNA鎖が一次転写物に転写された後、新たに合成された一次転写物は、幾つかの方法で修飾されて、異なるタンパク質及びRNA、例えば、mRNA、tRNA、rRNA、lncRNA、miRNAなどを生成するための成熟した機能的形態に変換される。従って、用語「転写物」は、エキソン、イントロン、5’UTR、及び3’UTRを含み得る。
【0093】
用語「発現」は、本明細書で使用する場合、ポリヌクレオチドが遺伝子産物、例えば、RNAまたはポリペプチドを生成するプロセスを指す。発現としては、限定されるものではないが、ポリヌクレオチドのメッセンジャーRNA(mRNA)への転写、及びmRNAのポリペプチドへの翻訳が挙げられる。発現により、「遺伝子産物」が生成される。本明細書で使用する場合、遺伝子産物は、核酸、例えば、遺伝子の転写によって生成されるメッセンジャーRNA、または転写物から翻訳されるポリペプチドのいずれかであり得る。更に本明細書に記載される遺伝子産物としては、転写後修飾、例えば、ポリアデニル化もしくはスプライシングを受けた核酸、または翻訳後修飾、例えば、メチル化、グリコシル化、脂質の付加、他のタンパク質サブユニットとの会合、もしくはタンパク質切断を受けたポリペプチドが挙げられる。
【0094】
2つ以上の核酸の文脈における用語「同一の」または「同一性」パーセントは、同一であるかまたは、なんらの保存的アミノ酸置換を配列同一性の一部とみなさずに最大の一致について比較及びアラインメント(必要に応じてギャップを導入)された場合に同一である特定の百分率のヌクレオチドもしくはアミノ酸残基を有する2つ以上の配列を指す。同一性パーセントは、配列比較ソフトウェアもしくはアルゴリズムを使用して、または目視検査により測定され得る。アミノ酸またはヌクレオチド配列のアラインメントを取得するために使用され得る様々なアルゴリズム及びソフトウェアが、当技術分野において公知である。
【0095】
配列アラインメントアルゴリズムのそのような非限定的な例の1つは、Karlin et al.,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.,90:5873-5877において改変されているような、Karlin et al.,1990,Proc.Natl.Acad.Sci.,87:2264-2268に記載されており、NBLAST及びXBLASTプログラムに組み込まれているアルゴリズムである(Altschul et al.,1991,Nucleic Acids Res.,25:3389-3402)。ある種の態様では、Altschul et al.,1997,Nucleic Acids Res.25:3389-3402に記載されているGapped BLASTが使用され得る。配列をアラインメントするために使用され得る追加の公開されているソフトウェアプログラムは、BLAST-2、WU-BLAST-2(Altschul et al.,1996,Methods in Enzymology,266:460-480)、ALIGN、ALIGN-2(Genentech、South San Francisco、California)、またはMegalign(DNASTAR)である。ある種の態様では、2つのヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、GCGソフトウェアパッケージのGAPプログラムを使用して(例えば、NWSgapdna.CMPマトリックス、及び40、50、60、70、または90のギャップの重み、及び1、2、3、4、5、または6の長さの重みを使用して)決定され得る。ある種の代替的態様では、Needleman-Wunschアルゴリズム(J.Mol.Biol.(48):444-453 (1970))が組み込まれた、GCGソフトウェアパッケージのGAPプログラムが、(例えば、BLOSUM 62マトリックスまたはPAM250マトリックス、及び16、14、12、10、8、6、または4のギャップの重み、及び1、2、3、4、5の長さの重みを使用して)2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントを決定するために使用され得る。あるいは、ある種の態様では、ヌクレオチドまたはアミノ酸配列間の同一性パーセントは、Myers及びMillerのアルゴリズム(CABIOS,4:11-17(1989))を使用して決定される。例えば、同一性パーセントは、ALIGNプログラム(バージョン2.0)を使用し、PAM120重み付け残基表、12のギャップ長ペナルティ、及び4のギャップペナルティを使用して決定され得る。当業者は、特定のアラインメントソフトウェアによる最大限のアラインメントのための適切なパラメータを決定することができる。ある種の態様では、アラインメントソフトウェアのデフォルトのパラメータが使用される。
【0096】
ある種の態様では、第1のヌクレオチド配列の第2のヌクレオチド配列に対する同一性パーセンテージ「X」は、100×(Y/Z)として計算され、式中、Yは、第1及び第2の配列のアラインメント(目視検査または特定の配列アライメントプログラムによりアラインメントされる)において完全な一致と評価されたアミノ酸残基の数であり、Zは、第2の配列における残基の総数である。第1の配列の長さが第2の配列を超える場合、第1の配列の第2の配列に対する同一性パーセントは、第2の配列の第1の配列に対する同一性パーセントより高くなるであろう。
【0097】
ポリヌクレオチド参照配列とアラインメントされている単一のポリヌクレオチド標的配列内の異なる領域は、それぞれ、それら自身の配列同一性パーセントを有し得る。配列同一性パーセント値は、小数第1位に丸められることに留意されたい。例えば、80.11、80.12、80.13、及び80.14は、80.1に切り捨てられるが、80.15、80.16、80.17、80.18、及び80.19は、80.2に切り上げられる。長さの値は常に整数であることにも留意されたい。
【0098】
本明細書で使用する場合、用語「相同な」及び「相同性」は、用語「同一性」及び「同一の」と互換的である。
【0099】
用語「天然に存在するそのバリアント」は、哺乳動物、例えば、マウス、サル、及びヒトなどの既定の分類群内に自然に存在する、KRASポリペプチド配列またはKRAS核酸配列(例えば、転写物)のバリアントを指す。典型的には、ポリヌクレオチドの「天然に存在するバリアント」に言及する場合、この用語は、染色体転座または重複による、染色体位置12p12.1(すなわち、GenBankアクセッション番号NC_000012の25,204,789~25,250,936)で見出されるKRASをコードするゲノムDNAの任意のアレルバリアント、及びRNA、例えば、ゲノムDNAから生じるmRNAも包含し得る。「天然に存在するバリアント」は、KRAS mRNAの選択的スプライシングから生じるバリアントを含み得る。特定のポリペプチド配列に言及する場合、例えば、この用語は、天然に存在する形態のタンパク質であって、従って、例えば、翻訳時または翻訳後修飾、例えば、シグナルペプチド切断、タンパク質切断、グリコシル化などによりプロセシングされ得る、当該天然に存在する形態のタンパク質も含む。
【0100】
本開示のASO(またはその領域)と、本明細書において開示されるものなどの哺乳動物KRAS(例えば、KRAS遺伝子)をコードする核酸の標的領域との間の「相補性」の程度を決定する際に、「相補性」(「相同性」または「同一性」とも称される)の程度は、ASO(またはその領域)の配列と、それと最適にアラインメントされている標的領域の配列(または標的領域の逆相補体)との間の同一性パーセンテージ(または相同性パーセンテージ)として表現される。百分率は、2つの配列の間で同一であるアラインメントされた塩基の数を計数し、ASOの連続したモノマーの総数で除算し、100を乗算することにより計算される。このような比較においてギャップが存在する場合、かかるギャップは、ギャップ内のモノマーの数が本開示のASOと標的領域との間で異なる領域ではなく、単にミスマッチにすぎないことが好ましい。
【0101】
本明細書で使用する場合、用語「相補体」は、参照配列に相補的な配列を指す。相補性がDNA複製及び転写の基本原理であることは周知である。相補性が2つのDNAまたはRNA配列の間で共有される性質である場合、結果として、それらが互いに逆平行にアラインメントされた場合、配列における各位置のヌクレオチド塩基は、鏡を見て、物を逆に見るように相補的となる。従って、例えば、5’「ATGC」3’の配列の相補体は、3’「TACG」5’または5’「GCAT」3’と書かれ得る。本明細書で使用する場合、用語「逆相補体」、「逆相補的」、及び「逆相補性」は、用語「相補体」、「相補的」、及び「相補性」と互換的である。幾つかの態様では、用語「相補的」は、KRAS転写物内の連続核酸配列に対する100%の一致または相補性(すなわち、完全に相補的)を指す。幾つかの態様では、用語「相補的」は、KRAS転写物内の連続核酸配列に対する少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の一致または相補性を指す。
【0102】
2つの別個の核酸またはヌクレオチド配列に言及する場合、用語「対応すること」及び「対応する」は、相同性及び/または機能性に基づいて互いに対応するか、または類似するが、特定の配列のヌクレオチドの番号付けが異なり得る配列の領域を明らかにするために使用され得る。例えば、遺伝子転写物の異なるアイソフォームは、選択的スプライシング及び/または他の修飾に基づいて番号付けがそれぞれのアイソフォームで異なり得る、ヌクレオチド配列の類似の部分または保存された部分を有し得る。加えて、核酸またはヌクレオチド配列を特徴付ける場合に、異なる番号付けシステム(例えば、遺伝子転写物及び配列の番号付けを翻訳開始コドンから始めるか、または5’UTRを含めるか)が用いられ得ることが理解されよう。更に、遺伝子または遺伝子転写物の異なるバリアントの核酸またはヌクレオチド配列が異なり得ることが理解されよう。しかしながら、本明細書で使用する場合、核酸またはヌクレオチド配列相同性及び/または機能性を共有するバリアントの領域は、互いに「対応する」とみなされる。例えば、配列番号1または配列番号3(「参照配列」)のヌクレオチドX~Yに対応するKRAS転写物のヌクレオチド配列は、(図1に示すような)配列番号1または配列番号3のヌクレオチドX~Yと同一の配列または類似の配列を有するKRAS転写物配列(例えば、KRASプレmRNAまたはmRNA)を指し、ここで、Xは開始部位であり、Yは末端部位である。当業者は、KRAS転写物配列を配列番号1または配列番号3とアラインメントすることにより、KRAS転写物配列における対応するX及びY残基を同定することができる。
【0103】
用語「対応するヌクレオチド類似体」及び「対応するヌクレオチド」は、ヌクレオチド類似体及び天然に存在するヌクレオチドにおける核酸塩基が、同じ対形成能またはハイブリダイズ能を有することを示すことを意図する。例えば、ヌクレオチドの2-デオキシリボース単位が、アデニンに結合されている場合、「対応するヌクレオチド類似体」は、アデニンに結合されたペントース単位を含有する(2-デオキシリボースと異なる)。
【0104】
ASO化学の注釈は、以下の通りである。β-D-オキシLNAヌクレオチドは、OxyBにより示され、ここで、Bは、ヌクレオチド塩基、例えば、チミン(T)、ウリジン(U)、シトシン(C)、5-メチルシトシン(MC)、アデニン(A)、またはグアニン(G)を示し、従って、β-D-オキシLNAヌクレオチドとしては、OxyA、OxyT、OxyMC、OxyC、及びOxyGが挙げられる。DNAヌクレオチドは、DNAbにより示され、ここで、小文字のbは、ヌクレオチド塩基、例えば、チミン(T)、ウリジン(U)、シトシン(C)、5-メチルシトシン(Mc)、アデニン(A)、またはグアニン(G)を示し、従って、DNAヌクレオチドとしては、DNAa、DNAt、DNA、及びDNAgが挙げられる。Cまたはcの前の文字Mは、5-メチルシトシンを示す。文字「s」は、ホスホロチオエートヌクレオチド間結合を示す。
【0105】
本明細書で使用する場合、用語「ASO番号」または「ASO No.」は、詳細な化学構造の構成要素、例えば、ヌクレオシド(例えば、DNA)、ヌクレオシド類似体(例えば、β-D-オキシ-LNA)、核酸塩基(例えば、A、T、G、C、U、またはMC)、及び主鎖構造(例えば、ホスホロチオエートまたはホスホロジエステル)を有するヌクレオチド配列に付与される固有の番号を指す。例えば、ASO-0004は、TbsCbsAbsdGs(5MdC)sdTs(5MdC)s(5MdC)sdAsdAs(5MdC)sTbsAbsCbを指し得、ここで、NbはLNAを意味し、dNはDNAを意味し、5MdCは 5-メチル-dCを意味し、NmはMOEを意味し、sはホスホロチオエートを意味する。
【0106】
「効力」は、特に明記しない限り、通常、μM、nM、またはpMでのIC50またはEC50値として表現される。効力は、パーセント阻害によっても表現され得る。IC50は、治療用分子の半数阻害濃度である。EC50は、ビヒクルまたは対照(例えば、生理食塩水)と比較した治療用分子の半数有効濃度である。機能アッセイにおいて、IC50は、治療用分子の濃度であって、生物学的反応、例えば、mRNA転写またはタンパク質発現を、当該治療用分子で達成される当該生物学的反応の50%まで低減する、当該濃度である。機能アッセイにおいて、EC50は、50%の生物学的反応、例えば、mRNA転写またはタンパク質発現をもたらす治療用分子の濃度である。IC50またはEC50は、当該技術分野において公知の任意の数の手段により計算され得る。
【0107】
本明細書で使用する場合、例えば、KRAS遺伝子転写物及び/またはKRASタンパク質の発現を「阻害する」という用語は、細胞または組織における当該KRAS遺伝子転写物及び/またはKRASタンパク質の発現を低減するASOを指す。幾つかの態様では、用語「阻害する」は、KRAS遺伝子転写物またはKRASタンパク質の完全な阻害(100%の阻害または検出不可能なレベル)を指す。他の態様では、用語「阻害する」は、細胞または組織におけるKRAS遺伝子転写物及び/またはKRASタンパク質発現の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%の阻害を指す。
【0108】
本明細書で使用する場合、用語「細胞外小胞」または「EV」は、内部空間を囲む膜を含む細胞由来の小胞を指す。細胞外小胞には、それらが由来する細胞より小さい直径を有する全ての膜結合型小胞(例えば、エキソソーム、ナノ小胞)が含まれる。幾つかの態様では、細胞外小胞は、直径が20nm~1000nmの範囲であり、内部空間(すなわち、内腔)内の様々な高分子ペイロード、細胞外小胞の外部表面に提示された様々な高分子ペイロード、及び/または膜を貫通する様々な高分子ペイロードのいずれかを含み得る。幾つかの態様では、ペイロードは、核酸、タンパク質、炭水化物、脂質、低分子、及び/またはそれらの組み合わせを含み得る。ある種の態様では、細胞外小胞は、足場部分を含む。一例として、かつ限定されるものではないが、細胞外小胞としては、アポトーシス小体、細胞の断片、直接的または間接的操作による(例えば、連続押出しまたはアルカリ性溶液での処理による)細胞由来の小胞、小胞化されたオルガネラ、及び生細胞により産生される小胞(例えば、直接的な形質膜出芽または後期エンドソームの形質膜との融合による)が挙げられる。細胞外小胞は、生きているか、もしくは死んだ生物、外植された組織もしくは器官、原核細胞または真核細胞、及び/または培養細胞に由来し得る。幾つかの態様では、細胞外小胞は、1種以上の導入遺伝子産物を発現する細胞により産生される。
【0109】
本明細書で使用する場合、用語「エキソソーム」は、20~300nm(例えば、40~200nm)の直径を有する細胞外小胞を指す。エキソソームは、内部空間(すなわち、内腔)を囲む膜を含み、幾つかの態様では、直接的な形質膜出芽により、または後期エンドソームの形質膜との融合により細胞(例えば、産生細胞)から生成され得る。ある種の態様では、エキソソームは、足場部分を含む。下記のように、エキソソームは、産生細胞に由来し得、そのサイズ、密度、生化学的パラメータ、またはそれらの組み合わせに基づいて産生細胞から単離され得る。幾つかの態様では、本開示のEV(例えば、エキソソーム)は、1種以上の導入遺伝子産物を発現する細胞により産生される。
【0110】
本明細書で使用する場合、用語「ナノ小胞」は、20~250nm(例えば、30~150nm)の直径を有する細胞外小胞を指し、ナノ小胞が操作なしに細胞により生成されないように、直接的または間接的操作により細胞(例えば産生細胞)から生成される。ナノ小胞を生成するための細胞の適切な操作としては、限定されるものではないが、連続押出し、アルカリ性溶液での処理、音波処理、またはそれらの組み合わせが挙げられる。幾つかの態様では、ナノ小胞の産生は、産生細胞の破壊をもたらし得る。幾つかの態様では、本明細書に記載されるナノ小胞の集団は、形質膜からの直接的な出芽または後期エンドソームの形質膜との融合による細胞に由来する小胞を実質的に含まない。ある種の態様では、ナノ小胞は、足場部分を含む。ナノ小胞は、産生細胞から生じると、そのサイズ、密度、生化学的パラメータ、またはそれらの組み合わせに基づいて産生細胞から単離され得る。
【0111】
本明細書で使用する場合、用語「表面が操作されたEV、例えば、エキソソーム」(例えば、足場Xにより操作されたEV、例えば、エキソソーム)は、操作されたEV、例えば、エキソソームの表面が、改変前のEV、例えば、エキソソームの、または天然に存在するEV、例えば、エキソソームの表面と異なるように、EV、例えば、エキソソームの膜または表面の組成が改変された当該EV、例えば、エキソソームを指す。操作は、EV、例えば、エキソソームの表面が改変されるように、EV、例えば、エキソソームの表面におけるもの、またはEV、例えば、エキソソームの膜におけるものであり得る。例えば、膜が、そのタンパク質組成、脂質組成、低分子組成、炭水化物組成などにおいて改変される。組成は、化学的、物理的、もしくは生物学的方法により改変され得るか、または化学的、物理的、もしくは生物学的方法により事前にもしくは同時に改変された細胞から産生されることにより改変され得る。具体的には、組成は、遺伝子操作により、または遺伝子操作により事前に改変された細胞から産生されることにより改変され得る。幾つかの態様では、表面が操作されたEV、例えば、エキソソームは、EV、例えば、エキソソームの表面に露出され得るか、またはEV、例えば、エキソソームの表面に露出される部分の係留(結合)点であり得る、外来性タンパク質(すなわち、EV、例えば、エキソソームが天然に発現しないタンパク質)またはその断片もしくはバリアントを含む。他の態様では、表面が操作されたEV、例えば、エキソソームは、EV、例えば、エキソソームの表面に露出され得るか、またはEV、例えば、エキソソームの表面に露出される部分の係留(結合)点であり得る、より高発現(例えば、より多数)の天然エキソソームタンパク質(例えば、足場X)またはその断片もしくはバリアントを含む。
【0112】
本明細書で使用する場合、用語「内腔が操作されたエキソソーム」(例えば、足場Yにより操作されたエキソソーム)は、操作されたEV、例えば、エキソソームの内腔が、改変前のEV、例えば、エキソソームの、または天然に存在するEV、例えば、エキソソームの内腔と異なるように、EV、例えば、エキソソームの膜または内腔の組成が改変された当該EV、例えば、エキソソームを指す。操作は、EV、例えば、エキソソームの内腔が改変されるように、EV、例えば、エキソソームの内腔または膜における直接的なものであり得る。例えば、膜が、EV、例えば、エキソソームの内腔が改変されるように、そのタンパク質組成、脂質組成、低分子組成、炭水化物組成などにおいて改変される。組成は、化学的、物理的、もしくは生物学的方法により、または化学的、物理的、もしくは生物学的方法により事前に改変された細胞から産生されることにより改変され得る。具体的には、組成は、遺伝子操作により、または遺伝子操作により事前に改変された細胞から産生されることにより改変され得る。幾つかの態様では、内腔が操作されたエキソソームは、EV、例えば、エキソソームの内腔に露出され得るか、またはEV、例えば、エキソソームの内層に露出される部分の係留(結合)点であり得る、外来性タンパク質(すなわち、EV、例えば、エキソソームが天然に発現しないタンパク質)またはその断片もしくはバリアントを含む。他の態様では、内腔が操作されたEV、例えば、エキソソームは、エキソソームの内腔に露出され得るか、またはエキソソームの内腔に露出される部分の係留(結合)点であり得る、より高発現の天然エキソソームタンパク質(例えば、足場Xまたは足場Y)またはその断片もしくはバリアントを含む。
【0113】
用語「改変された」は、本明細書に記載されるEV、例えば、エキソソームの文脈において使用される場合、改変されたEV、例えば、エキソソームが天然に存在するEV、例えば、エキソソームと異なるように、EV、例えば、エキソソーム及び/またはその産生細胞を改変または操作することを指す。幾つかの態様では、本明細書に記載される改変されたEV、例えば、エキソソームは、天然に存在するEV、例えば、エキソソームの膜と比較してタンパク質組成、脂質組成、低分子組成、炭水化物組成などが異なる膜を含む(例えば、膜は、より高密度またはより多数の天然エキソソームタンパク質を含み、及び/または膜は、エキソソームにおいて天然に見出されないタンパク質(例えば、ASO)を含む)。ある種の態様では、膜のかかる改変は、EV、例えば、エキソソーム(例えば、本明細書に記載される表面が操作されたEV、例えば、エキソソーム)の外部表面を変化させる。ある種の態様では、膜のかかる改変は、EV、例えば、エキソソーム(例えば、本明細書に記載される内腔が操作されたEV、例えば、エキソソーム)の内腔を変化させる。
【0114】
本明細書で使用する場合、用語「足場部分」は、EV、例えば、エキソソームの内腔表面または外部表面のいずれかで関心対象のペイロードまたは任意の他の化合物(例えば、本明細書において開示されるASO)をEV、例えば、エキソソームに係留するために使用され得る分子を指す。ある種の態様では、足場部分は、合成分子を含む。幾つかの態様では、足場部分は、非ポリペプチド部分を含む。他の態様では、足場部分は、EV、例えば、エキソソームにおいて天然に存在する脂質、炭水化物、またはタンパク質を含む。幾つかの態様では、足場部分は、EV、例えば、エキソソームにおいて天然に存在しない脂質、炭水化物、またはタンパク質を含む。ある種の態様では、足場部分は、足場Xである。幾つかの態様では、足場部分は、足場Yである。更なる態様では、足場部分は、足場X及び足場Yの両方を含む。本開示と共に使用され得る他の足場部分の非限定的な例としては、以下が挙げられる:アミノペプチダーゼN(CD13);ネプリライシン、別名:膜メタロエンドペプチダーゼ(MME);エクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼファミリーメンバー1(ENPP1);ニューロピリン-1(NRP1);CD9、CD63、CD81、PDGFR、GPIアンカータンパク質、ラクトアドヘリン(MFGE8)、LAMP2、及びLAMP2B。
【0115】
本明細書で使用する場合、用語「足場X」は、近年、エキソソームの表面に同定されたエキソソームタンパク質を指す。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第10,195,290号を参照のこと。足場Xタンパク質の非限定的な例としては、以下が挙げられる:プロスタグランジンF2受容体ネガティブレギュレーター(「PTGFRNタンパク質」);ベイシジン(「BSGタンパク質」);免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー2(「IGSF2タンパク質」);免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー3(「IGSF3タンパク質」);免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー8(「IGSF8タンパク質」);インテグリンβ1(「ITGB1タンパク質」);インテグリンα4(「ITGA4タンパク質」);4F2細胞表面抗原重鎖(「SLC3A2タンパク質」);ATP輸送タンパク質のクラス(「ATP1A1タンパク質」、「ATP1A2タンパク質」、「ATP1A3タンパク質」、「ATP1A4タンパク質」、「ATP1B3タンパク質」、「ATP2B1タンパク質」、「ATP2B2タンパク質」、「ATP2B3タンパク質」、「ATP2Bタンパク質」);及びそれらの機能断片。幾つかの態様では、足場Xタンパク質は、タンパク質全体またはその断片(例えば、機能断片、例えば、別の部分をEV、例えば、エキソソームの外部表面または内腔表面に係留することができる最小断片)であり得る。幾つかの態様では、足場Xは、部分(例えば、ASO)をエキソソームの外部表面または内腔表面に係留することができる。
【0116】
本明細書で使用する場合、用語「足場Y」は、エキソソームの内腔に新たに同定されたエキソソームタンパク質を指す。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際公開WO/2019/099942を参照のこと。足場Yタンパク質の非限定的な例としては、以下が挙げられる:ミリストイル化アラニンリッチプロテインキナーゼC基質(「MARCKSタンパク質」);ミリストイル化アラニンリッチプロテインキナーゼC基質様1(「MARCKSL1タンパク質」);及び脳酸可溶性タンパク質1(「BASP1タンパク質」)。幾つかの態様では、足場Yタンパク質は、タンパク質全体またはその断片(例えば、機能断片、例えば、部分をエキソソームの内腔表面に係留することができる最小断片)であり得る。幾つかの態様では、足場Yは、部分またはペイロード(例えば、ASO)をEV、例えば、エキソソームの内腔表面に係留することができる。幾つかの態様では、足場Yは、部分またはペイロード(例えば、ASO)をEV、例えば、エキソソームの外部表面に係留することができる。
【0117】
本明細書で使用する場合、タンパク質(例えば、治療タンパク質、足場X、または足場Y)の「断片」という用語は、タンパク質のアミノ酸配列であって、天然に存在する配列より短いか、N末端及び/またはC末端が欠失しているか、または天然に存在するタンパク質と比較して当該タンパク質の任意の部分が欠失している、当該タンパク質のアミノ酸配列を指す。本明細書で使用する場合、用語「機能断片」は、タンパク質機能を保持するタンパク質断片を指す。従って、幾つかの態様では、足場Xタンパク質の機能断片は、部分をEV、例えば、エキソソームの内腔表面または外部表面に係留する能力を保持する。同様に、ある種の態様では、足場Yタンパク質の機能断片は、部分をEV、例えば、エキソソームの内腔表面または外部表面に係留する能力を保持する。断片が機能断片であるかどうかは、ウェスタンブロット、FACS分析、及び当該断片の例えば、GFPのような自家蛍光タンパク質との融合が含まれる、EV、例えば、エキソソームのタンパク質含有量を決定するための、技術分野において公知の任意の方法により評価され得る。ある種の態様では、足場Xタンパク質の機能断片は、天然に存在する足場Xタンパク質の能力、例えば、部分を係留する能力のうちの少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約100%を保持する。幾つかの態様では、足場Yタンパク質の機能断片は、天然に存在する足場Yタンパク質の能力、例えば、別の分子を係留する能力のうちの少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約100%を保持する。
【0118】
本明細書で使用する場合、分子(例えば、機能分子、抗原、足場X及び/または足場Y)の「バリアント」という用語は、当該技術分野における公知の方法による比較時に、別の分子とある程度の構造的及び機能的同一性を共有する分子を指す。例えば、タンパク質のバリアントは、別のタンパク質における置換、挿入、欠失、フレームシフト、または再構成を含み得る。
【0119】
幾つかの態様では、足場Xのバリアントは、全長の成熟したPTGFRN、BSG、IGSF2、IGSF3、IGSF8、ITGB1、ITGA4、SLC3A2、もしくはATP輸送タンパク質、またはPTGFRN、BSG、IGSF2、IGSF3、IGSF8、ITGB1、ITGA4、SLC3A2、もしくはATP輸送タンパク質の断片(例えば、機能断片)に対する少なくとも約70%の同一性を有するバリアントを含む。幾つかの態様では、PTGFRNのバリアントまたは断片のバリアントは、配列番号301に記載のPTGFRNとの、またはその機能断片との少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を共有する。幾つかの態様では、BSGのバリアントまたは断片のバリアントは、配列番号303に記載のBSGとの、またはその機能断片との少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を共有する。幾つかの態様では、IGSF2のバリアントまたは断片のバリアントは、配列番号308に記載のIGSF2との、またはその機能断片との少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を共有する。幾つかの態様では、IGSF3のバリアントまたは断片のバリアントは、配列番号309に記載のIGSF3との、またはその機能断片との少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を共有する。幾つかの態様では、IGSF8のバリアントまたは断片のバリアントは、配列番号304に記載のIGSF8との、またはその機能断片との少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を共有する。幾つかの態様では、ITGB1のバリアントまたは断片のバリアントは、配列番号305に記載のITGB1との、またはその機能断片との少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を共有する。幾つかの態様では、ITGA4のバリアントまたは断片のバリアントは、配列番号306に記載のITGA4との、またはその機能断片との少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を共有する。幾つかの態様では、SLC3A2のバリアントまたは断片のバリアントは、配列番号307に記載のSLC3A2との、またはその機能断片との少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を共有する。幾つかの態様では、ATP1A1のバリアントまたは断片のバリアントは、配列番号310に記載のATP1A1との、またはその機能断片との少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を共有する。幾つかの態様では、ATP1A2のバリアントまたは断片のバリアントは、配列番号311に記載のATP1A2との、またはその機能断片との少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を共有する。幾つかの態様では、ATP1A3のバリアントまたは断片のバリアントは、配列番号312に記載のATP1A3との、またはその機能断片との少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を共有する。幾つかの態様では、ATP1A4のバリアントまたは断片のバリアントは、配列番号313に記載のATP1A4との、またはその機能断片との少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を共有する。幾つかの態様では、ATP1B3のバリアントまたは断片のバリアントは、配列番号314に記載のATP1B3との、またはその機能断片との少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を共有する。幾つかの態様では、ATP2B1のバリアントまたは断片のバリアントは、配列番号315に記載のATP2B1との、またはその機能断片との少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を共有する。幾つかの態様では、ATP2B2のバリアントまたは断片のバリアントは、配列番号316に記載のATP2B2との、またはその機能断片との少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を共有する。幾つかの態様では、ATP2B3のバリアントまたは断片のバリアントは、配列番号317に記載のATP2B3との、またはその機能断片との少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を共有する。幾つかの態様では、ATP2B4のバリアントまたは断片のバリアントは、配列番号318に記載のATP2B4との、またはその機能断片との少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を共有する。幾つかの態様では、本明細書において開示される足場Xタンパク質のバリアントまたは断片のバリアントは、EV、例えば、エキソソームに特異的に標的化される能力を保持する。幾つかの態様では、足場Xは、1つ以上の変異、例えば、保存的アミノ酸置換を含む。
【0120】
幾つかの態様では、足場Yのバリアントは、MARCKS、MARCKSL1、BASP1、またはMARCKS、MARCKSL1、もしくはBASP1の断片に対する少なくとも70%の同一性を有するバリアントを含む。幾つかの態様では、MARCKSのバリアントまたは断片のバリアントは、配列番号401に記載のMARCKSとの、またはその機能断片との少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を共有する。幾つかの態様では、MARCKSL1のバリアントまたは断片のバリアントは、配列番号402に記載のMARCKSL1との、またはその機能断片との少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を共有する。幾つかの態様では、BASP1のバリアントまたは断片のバリアントは、配列番号403に記載のBASP1との、またはその機能断片との少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を共有する。幾つかの態様では、足場Yタンパク質のバリアントまたは断片のバリアントは、EV、例えば、エキソソームの内腔表面に特異的に標的化される能力を保持する。幾つかの態様では、足場Yは、1つ以上の変異、例えば、保存的アミノ酸置換を含む。
【0121】
「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基と置き換えられる置換である。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野において規定されており、塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が挙げられる。従って、ポリペプチドのアミノ酸が同じ側鎖ファミリーの別のアミノ酸と置き換えられる場合、置換は保存的とみなされる。別の態様では、アミノ酸の連続配列は、側鎖ファミリーのメンバーの順序及び/または組成が異なる構造的に類似した連続配列と保存的に置き換えられ得る。
【0122】
2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列間の「配列同一性パーセント」または「同一性パーセント」という用語は、当該2つの配列の最適なアラインメントのために導入されなければならない付加または欠失(すなわち、ギャップ)を考慮した、比較ウィンドウにわたる、配列により共有される完全に一致した位置の数を指す。一致した位置は、同一のヌクレオチドまたはアミノ酸が標的及び参照配列の両方で示される任意の位置である。標的配列において示されるギャップは、ギャップがヌクレオチドまたはアミノ酸でないため、計数されない。同様に、参照配列において示されるギャップは、標的配列ヌクレオチドまたはアミノ酸が計数され、参照配列のヌクレオチドまたはアミノ酸は計数されないため、計数されない。
【0123】
配列同一性の百分率は、同一のアミノ酸残基または核酸塩基が両方の配列において生じる位置の数を決定して、一致した位置の数を得、一致した位置の数を比較ウィンドウ内の位置の総数で除算し、結果に100を乗算して、配列相同性の百分率を得ることにより計算される。配列の比較及び2つの配列間の配列同一性パーセントの決定は、オンライン使用及びダウンロードの両方で容易に利用可能なソフトウェアを使用して達成され得る。タンパク質及びヌクレオチド配列のアラインメントのための好適なソフトウェアプログラムは、様々な供給源から利用可能である。配列同一性パーセントを決定するための1つの好適なプログラムは、米国政府のNational Center for Biotechnology InformationのBLASTウェブサイト(blast.ncbi.nlm.nih.gov)から利用可能なBLASTプログラム集の一部であるbl2seqである。Bl2seqは、BLASTNまたはBLASTPアルゴリズムを使用して2つの配列間の比較を実行する。BLASTNは核酸配列を比較するために使用されるが、BLASTPはアミノ酸配列を比較するために使用される。他の好適なプログラムは、例えば、EMBOSSバイオインフォマティクスプログラム集の一部であり、またworldwideweb.ebi.ac.uk/Tools/psaのEuropean Bioinformatics Institute(EBI)から利用可能である、Needle、Stretcher、Water、またはMatcherである。
【0124】
ポリヌクレオチドまたはポリペプチド参照配列とアラインメントされている単一のポリヌクレオチドまたはポリペプチド標的配列内の異なる領域は、それぞれ、それら自身の配列同一性パーセントを有し得る。配列同一性パーセント値は、小数第1位に丸められることに留意されたい。例えば、80.11、80.12、80.13、及び80.14は、80.1に切り捨てられるが、80.15、80.16、80.17、80.18、及び80.19は、80.2に切り上げられる。長さの値は常に整数であることにも留意されたい。
【0125】
当業者は、配列同一性パーセントの計算のための配列アライメントの作成が、もっぱら一次配列データにより駆動される2つの配列間比較に限定されないことを当業者は理解するであろう。配列アラインメントは、多重配列アラインメントにより得られ得る。多重配列アラインメントを生成するための1つの好適なプログラムは、www.clustal.orgで利用可能なClustalW2である。別の好適なプログラムは、www.drive5.com/muscle/から利用可能なMUSCLEである。代替的にClustalW2及びMUSCLEは、例えば、EBIから利用可能である。
【0126】
配列アライメントは、配列データを異種の供給源由来のデータ、例えば、構造データ(例えば、タンパク質結晶構造)、機能データ(例えば、変異の位置)、または系統学的データと統合することにより生成され得ることも理解されよう。異種のデータを統合して多重配列アラインメントを生成する好適なプログラムは、www.tcoffee.orgで利用可能であり、代替的に例えば、EBIから利用可能なT-Coffeeである。配列同一性パーセントを計算するために使用される最終的なアラインメントは、自動または手動のいずれかで管理され得ることも理解されよう。
【0127】
ポリヌクレオチドバリアントは、コード領域、非コード領域、または両方における変化を含有し得る。一態様では、ポリヌクレオチドバリアントは、サイレント置換、付加、または欠失をもたらすが、コードされるポリペプチドの特性または活性を変化させない変化を含有する。別の態様では、ヌクレオチドバリアントは、遺伝コードの縮重に起因するサイレント置換により生成される。他の態様では、5~10アミノ酸、1~5アミノ酸、または1~2アミノ酸が、任意の組み合わせで置換されているか、欠失しているか、または付加されているバリアント。ポリヌクレオチドバリアントは、種々の理由のために、例えば、特定の宿主での発現のためにコドンを最適化する(ヒトmRNAにおけるコドンを他における、例えば、E.coliなどの細菌宿主におけるコドンに変更する)ために生成され得る。
【0128】
天然に存在するバリアントは、「アレルバリアント」と称され、生物の染色体上の所与の遺伝子座を占める遺伝子の幾つかの代替型のうちの1つを指す(Genes II,Lewin,B.,ed.,John Wiley & Sons,New York(1985))。これらのアレルバリアントは、ポリヌクレオチド及び/またはポリペプチドレベルで異なり得、本開示に含まれる。あるいは、非天然バリアントが、変異誘発技術により、または直接合成により生成され得る。
【0129】
ポリペプチドの特性を改善するか、または変化させるために、タンパク質工学及び組換えDNA技術の既知の方法を使用して、バリアントが生成され得る。例えば、生物学的機能を実質的に喪失することなく、1つ以上のアミノ酸が分泌されたタンパク質のN末端またはC末端から除去され得る。Ron et al.,J.Biol.Chem.268:2984-2988(1993)(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)により、アミノ末端の3、8、または27アミノ酸残基を除去した後でさえヘパリン結合活性を有するバリアントKGFタンパク質が報告された。同様に、インターフェロンγは、このタンパク質のカルボキシ末端から8~10アミノ酸残基を除去した後に、最高10倍高い活性を示した。(Dobeli et al.,J.Biotechnology 7:199-216(1988)、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0130】
更に、バリアントが、多くの場合、天然に存在するタンパク質の生物活性と同様の生物活性を保持することを十分な証拠が実証している。例えば、Gayle及び共同研究者(J.Biol.Chem 268:22105-22111(1993)、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)は、ヒトサイトカインIL-1aの大規模な変異解析を実施した。彼らはランダム変異誘発を使用して、バリアント当たり平均2.5アミノ酸のこの分子の全長にわたる変化を有する3,500種を超える別個のIL-1a変異体を作製した。複数の変異が、可能な全てのアミノ酸位で調査された。研究者は、「ほとんどの分子が[結合活性または生物活性]のいずれかにほとんど影響を及ぼさずに改変され得る」ことを発見した。(要約を参照のこと)。実際、調査された3,500種を超えるヌクレオチド配列のうちの23種の固有のアミノ酸配列のみが、活性が野生型と顕著に異なるタンパク質をもたらした。
【0131】
上記のように、ポリペプチドバリアントは、例えば、修飾されたポリペプチドを含む。修飾としては、例えば、アセチル化、アシル化、ADPリボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合架橋の形成、システインの形成、ピログルタミン酸の形成、ホルミル化、γ-カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、PEG化(Mei et al.,Blood 116:270-79(2010)、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、タンパク質分解プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化(selenoylation)、硫酸化、転移RNAにより媒介されるタンパク質へのアミノ酸の付加、例えば、アルギニル化及びユビキチン化が挙げられる。幾つかの態様では、足場X及び/または足場Yは、任意の都合のよい位置で修飾される。
【0132】
本明細書で使用する場合、用語「連結された」または「コンジュゲートされた」は、互換的に使用され、第1の部分と第2の部分、例えば、それぞれ足場XとASO、例えば、それぞれ、細胞外小胞内で、または細胞外小胞上に発現している足場部分、例えば、細胞外小胞の内腔表面または外部表面の足場X(例えば、PTGFRNタンパク質)とASOとの間で形成される共有結合または非共有結合を指す。
【0133】
用語「カプセル化された」またはこの用語の異なる文法形式(例えば、カプセル化またはカプセル化すること)は、2つの部分を化学的または物理的に連結することなく、第1の部分(例えば、ASO)を第2の部分(例えば、EV、例えば、エキソソーム)の内部に有する状態またはプロセスを指す。幾つかの態様では、用語「カプセル化された」は、「の内腔に」と互換的に使用され得る。第2の部分(例えば、EV、例えば、エキソソーム)への第1の部分(例えば、ASO)のカプセル化の非限定的な例は、本明細書の他箇所で開示される。
【0134】
本明細書で使用する場合、用語「産生細胞」は、EV、例えば、エキソソームを生成するために使用される細胞を指す。産生細胞は、インビトロの培養細胞またはインビボの細胞であり得る。産生細胞としては、限定されるものではないが、EV、例えば、エキソソームを生成するのに効果的であることが公知の細胞、例えば、HEK293細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、間葉系幹細胞(MSC)、BJヒト包皮線維芽細胞、fHDF線維芽細胞、AGE.HN(登録商標)神経前駆細胞、CAP(登録商標)羊膜細胞、脂肪由来間葉系幹細胞(adipose mesenchymal stem cell)、RPTEC/TERT1細胞が挙げられる。ある種の態様では、産生細胞は、抗原提示細胞でない。幾つかの態様では、産生細胞は、樹状細胞、B細胞、マスト細胞、マクロファージ、好中球、Kupffer-Browicz細胞、これらの細胞のいずれかに由来する細胞、またはそれらの任意の組み合わせではない。幾つかの態様では、本開示において有用なEV、例えば、エキソソームは、EV、例えば、エキソソームの表面に露出したMHCクラスIまたはクラスII分子上の抗原を保有しないが、その代わりに、足場X及び/または足場Yへの結合により、EV、例えば、エキソソームの内腔に、またはEV、例えば、エキソソームの表面上に抗原を保有し得る。
【0135】
本明細書で使用する場合、用語「単離する」、「単離された」、及び「単離すること」、または「精製する」、「精製された」、及び「精製すること」、ならびに「抽出された」及び「抽出すること」は、互換的に使用され、1つ以上の精製プロセス、例えば、所望のEV調製物の選別または濃縮を受けた所望のEVの調製の状態(例えば、複数の既知または未知の量及び/または濃度)を指す。幾つかの態様では、本明細書で使用する場合、単離または精製は、産生細胞を含有する試料からEVを取り出す、(例えば、画分を)部分的に取り出すプロセスである。幾つかの態様では、単離されたEV組成物は、検出可能な望ましくない活性を有さないか、または代替的に、望ましくない活性のレベルもしくは量が許容可能なレベルまたは量以下である。他の態様では、単離されたEV組成物は、許容可能な量及び/または濃度以上の量及び/または濃度の所望のEVを有する。他の態様では、単離されたEV組成物は、組成物が取得される出発物質(例えば、産生細胞調製物)と比較して濃縮される。この濃縮は、出発物質と比較して10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、99.99%、99.999%、99.9999%、または99.9999%超であり得る。幾つかの態様では、単離されたEV調製物は、残留する生物学的産物を実質的に含まない。幾つかの態様では、単離されたEV調製物は、任意の混入している生物学的物質を100%、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、または90%含まない。残留する生物学的産物としては、非生物的物質(化学物質が挙げられる)、または望ましくない核酸、タンパク質、脂質、もしくは代謝産物が挙げられ得る。残留する生物学的産物を実質的に含まないことは、EV組成物が、検出可能な産生細胞を含有せず、EVのみが検出可能であることを意味し得る。
【0136】
本明細書で使用する場合、用語「ペイロード」は、EVと接触している標的(例えば、標的細胞)に作用する薬剤を指す。EV、例えば、エキソソームに含まれ得るペイロードの非限定的な例はASOである。EV、例えば、エキソソーム及び/または産生細胞に導入され得るペイロードとしては、薬剤、例えば、ヌクレオチド(例えば、検出可能部分もしくは毒素を含むか、または転写を阻害するヌクレオチド)、核酸(例えば、酵素などのポリペプチドをコードするDNAもしくはmRNA分子、または調節機能を有するRNA分子、例えば、miRNA、dsDNA、lncRNA、及びsiRNA)、アミノ酸(例えば、検出可能部分もしくは毒素を含むか、または翻訳を阻害するアミノ酸)、ポリペプチド(例えば、酵素)、脂質、炭水化物、及び低分子(例えば、低分子薬物及び毒素)が挙げられる。ある種の態様では、ペイロードは、ASOを含む。本明細書で使用する場合、用語「抗体」は、天然であるか、または一部もしくは全体が合成により生成されたかどうかにかかわらず、免疫グロブリン及びその断片を包含する。この用語は、免疫グロブリン結合ドメインに相同である結合ドメインを有する任意のタンパク質も包含する。「抗体」としては、抗原を特異的に結合及び認識する、免疫グロブリン遺伝子またはその断片由来のフレームワーク領域を含むポリペプチドも更に挙げられる。本明細書で使用する場合、用語「抗原」は、対象に導入される場合に、それ自身に対する免疫反応(細胞性または体液性)を誘発する任意の作用物質を指す。抗体という用語の使用は、全長抗体、ポリクローナル、モノクローナル、及び組換え抗体、それらの断片を含み、一本鎖抗体、ヒト化抗体、マウス抗体、キメラ、マウス/ヒト、マウス/霊長類、霊長類/ヒトモノクローナル抗体、抗イディオタイプ抗体、抗体断片、例えば、scFv、(scFv)、Fab、Fab’、及びF(ab’)、F(ab1)、Fv、dAb、ならびにFd断片、ダイアボディ、ならびに抗体関連ポリペプチドを更に含むことを意図する。抗体としては、所望の生物活性を示すか、または機能する限り、二重特異性抗体及び多特異性抗体が挙げられる。
【0137】
用語「個体」、「対象」、「宿主」、及び「患者」は、本明細書において互換的に使用され、診断、処置、または治療が望まれる任意の哺乳動物対象、特にヒトを指す。本明細書に記載される組成物及び方法は、ヒト治療及び獣医学的用途の両方に適用可能である。幾つかの態様では、対象は哺乳動物であり、他の態様では、対象はヒトである。本明細書で使用する場合、「哺乳動物対象」としては、限定されるものではないが、ヒト、家庭用動物(例えば、イヌ、ネコなど)、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマなど)、及び実験動物(例えば、サル、ラット、マウス、ウサギ、モルモットなど)が挙げられる、全ての哺乳動物が挙げられる。
【0138】
用語「医薬組成物」は、活性成分の生物活性が有効となるのを可能にする形態であり、組成物が投与される対象に対して許容できないほど有毒である追加の成分を含有しない調製物を指す。かかる組成物は無菌であり得る。
【0139】
本明細書で使用する場合、用語「実質的に含まない(substantially free)」は、EV、例えば、エキソソームを含む試料が、質量/体積(m/v)%濃度で、10%未満の高分子を含むことを意味する。幾つかの画分は、0.001%未満、0.01%未満、0.05%未満、0.1%未満、0.2%未満、0.3%未満、0.4%未満、0.5%未満、0.6%未満、0.7%未満、0.8%未満、0.9%未満、1%未満、2%未満、3%未満、4%未満、5%未満、6%未満、7%未満、8%未満、9%未満、または10%(m/v)未満の高分子を含み得る。
【0140】
本明細書で使用する場合、用語「高分子」は、核酸、夾雑タンパク質、脂質、炭水化物、代謝産物、またはそれらの組み合わせを意味する。
【0141】
本明細書で使用する場合、用語「従来のエキソソームタンパク質」は、限定されるものではないが、CD9、CD63、CD81、PDGFR、GPIアンカータンパク質、ラクトアドヘリン(MFGE8)、LAMP2、及びLAMP2B、それらの断片、またはそれらに結合するペプチドが含まれる、エキソソームにおいて豊富であることが既に公知のタンパク質を意味する。
【0142】
本明細書で使用する場合、「投与すること」は、本明細書において開示されるEV、例えば、エキソソームを含む組成物を薬学的に許容される経路により対象に投与することを意味する。投与経路は、静脈内、例えば、静脈内注射及び静脈内注入であり得る。追加の投与経路としては、例えば、皮下投与、筋肉内投与、経口投与、経鼻投与、及び肺投与が挙げられる。EV、例えば、エキソソームは、少なくとも1種の賦形剤を含む医薬組成物の一部として投与され得る。
【0143】
例えば、本明細書において開示されるASOまたは細胞外小胞の「有効量」は、具体的に記載される目的を実施するのに十分な量である。「有効量」は、経験的に、及び記載される目的に関して定型的な方法で決定され得る。
【0144】
本明細書で使用する場合、「処置する」、「処置」、または「処置すること」は、例えば、疾患または状態の重症度の低減;疾患経過の期間の低減;疾患または状態に関連する1つ以上の症状の改善または除去;疾患または状態を必ずしも治療しない、当該疾患または状態を有する対象に対する有益な効果の提供を指す。この用語は、疾患もしくは状態またはそれらの症状の予防または防止も含む。一態様では、「処置する」または「処置」は、造血を誘発する必要がある対象における造血を誘発することを含む。幾つかの態様では、疾患または状態は、造血または造血不全に関連する。ある種の態様では、疾患または状態は、がんである。幾つかの態様では、処置は、がんを有する対象における造血を増強し、ここで、造血の増強は、当該対象における1種以上の免疫細胞の増殖及び/または分化の増加を含む。
【0145】
本明細書で使用する場合、「予防する」または「予防」は、特定の結果の発生または重症度を減少させるか、または低減することを指す。幾つかの態様では、結果を予防することは、予防処置により達成される。幾つかの態様では、本明細書に記載されるASOを含むEV、例えば、エキソソームが対象に予防投与される。幾つかの態様では、対象は、がんを発症するリスクがある。幾つかの態様では、対象は、造血障害を発症するリスクがある。
【0146】
II.アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)
本開示は、哺乳動物KRASをコードする核酸分子、例えば、KRAS核酸、例えば、KRASプレmRNA及びKRAS mRNAが含まれるKRAS転写物、または哺乳動物KRASをコードするかかる核酸分子の天然に存在するバリアントの機能を調節するのに使用するためのアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を用いる。本開示の文脈において、用語「ASO」は、2つ以上のヌクレオチドの共有結合により形成された分子(すなわち、オリゴヌクレオチド)を指す。
【0147】
本開示のASOは、約10~約30、例えば、10~20、14~20、16~20、または15~25ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含む。ある種の態様では、ASOは、20ヌクレオチド長である。ある種の態様では、ASOは、18ヌクレオチド長である。ある種の態様では、ASOは、19ヌクレオチド長である。ある種の態様では、ASOは、17ヌクレオチド長である。ある種の態様では、ASOは、16ヌクレオチド長である。ある種の態様では、ASOは、15ヌクレオチド長である。ASOの長さに関する更なる開示は、本開示の他箇所で提供される(例えば、セクションII.C「ASOの長さ」を参照のこと)。本明細書で使用する場合、用語「アンチセンスASO」、「アンチセンスオリゴヌクレオチド」、及び「オリゴマー」は、用語「ASO」と互換的である。本開示に有用なASOは、天然に存在せず、自然界には見出されない。幾つかの態様では、ASOは、化学修飾される。
【0148】
配列番号への言及は、特定の核酸塩基配列を含むが、なんらの設計または化学構造全体を含まない。更に、本明細書において開示されるASOに関連する、示されるいずれの設計も、特に明記しない限り、限定することを意図しない。例えば、請求項(または本明細書)が、配列番号4を参照する場合、それは、tcagctccaactacのヌクレオチド配列のみを含む。本明細書において開示される任意のASOの設計は、例えば、5’末端から1番目のヌクレオチド、2番目のヌクレオチド、3番目のヌクレオチド、12番目のヌクレオチド、13番目のヌクレオチド、及び14番目のヌクレオチドの各々が修飾されたヌクレオチド、例えば、LNAであり、他のヌクレオチドの各々が未修飾のヌクレオチド(例えば、DNA)である、配列番号4と書かれ得る。
【0149】
各種の態様では、本開示のASOは、RNA(単位)を含まない。幾つかの態様では、ASOは、1つ以上のDNA単位を含む。一態様では、本開示によるASOは、直鎖状分子であるか、または直鎖状分子として合成される。幾つかの態様では、ASOは、一本鎖分子であり、例えば、同じASO内の対応する領域に相補的な少なくとも3、4、または5連続ヌクレオチドの短い領域(すなわち、二重鎖)を含まず、この点に関して、ASOは(基本的に)二本鎖ではない。幾つかの態様では、ASOは、基本的に二本鎖ではない。幾つかの態様では、ASOは、siRNAではない。各種の態様では、本開示のASOは、完全に連続ヌクレオチド領域からなり得る。従って、幾つかの態様では、ASOは、実質的に自己相補的ではない。
【0150】
他の態様では、本開示は、ASOの断片を含む。例えば、本開示は、本明細書において開示されるASOの少なくとも1つのヌクレオチド、少なくとも2つの連続ヌクレオチド、少なくとも3つの連続ヌクレオチド、少なくとも4つの連続ヌクレオチド、少なくとも5つの連続ヌクレオチド、少なくとも6つの連続ヌクレオチド、少なくとも7つの連続ヌクレオチド、少なくとも8つの連続ヌクレオチド、または少なくとも9つの連続ヌクレオチドを含む。本明細書において開示される配列のいずれかの断片は、本開示の一部であると意図される。
【0151】
幾つかの態様では、本開示のASOとしては、ホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー(PMO)またはペプチドがコンジュゲートされたホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー(PPMO)が挙げられる。
【0152】
II.A.標的
好適には、本開示のASOは、KRAS mRNAまたはタンパク質の発現を下方調節(例えば、低減または阻害)することができる。この点に関して、本開示のASOは、典型的には、哺乳動物細胞、例えば、ヒト細胞、例えば、腫瘍細胞におけるKRAS mRNAレベルの低減によって、KRASタンパク質の間接的な阻害に影響を及ぼし得る。幾つかの態様では、本開示は、KRASプレmRNAの1つ以上の領域(例えば、イントロン領域、エキソン領域、及び/またはエキソン-イントロンジャンクション領域)を標的とするASOを対象とする。更なる態様では、本明細書において開示されるASOは、KRAS mRNAの領域を標的とし得る。特に明記しない限り、本明細書で使用する場合、用語「KRAS」は、1つ以上の種(例えば、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ウシ、及びクマ)由来のKRASを指し得る。また特に明記しない限り、用語「KRAS」は、野生型または(例えば、G12Dアミノ酸置換を含む)そのバリアント型を指し得る。従って、ある種の態様では、本明細書において開示されるASOは、細胞(例えば、膵臓癌細胞)における野生型KRAS mRNA(またはそのコードされるタンパク質)の発現を下方調節することができる。幾つかの態様では、本明細書において開示されるASOは、細胞(例えば、膵臓癌細胞)における(例えば、G12D変異を含む)バリアントKRAS mRNA(またはそのコードされるタンパク質)の発現を下方調節することができる。幾つかの態様では、本明細書において開示されるASOは、細胞(例えば、膵臓癌細胞)における野生型KRAS mRNA及び(例えば、G12D変異を含む)バリアントKRAS mRNA(またはそれらのコードされるタンパク質)の両方の発現を下方調節することができる。
【0153】
いずれの理論にも拘束されるものではないが、幾つかの態様では、KRAS mRNA発現(またはそのコードタンパク質)の下方調節は、細胞生存率、細胞増殖、または両方の減少をもたらす。従って、幾つかの態様では、本明細書において開示されるASOは、KRAS転写物(例えば、mRNA)を発現する細胞の生存率、増殖、または両方を減少させることができる。幾つかの態様では、細胞は、異常なKRAS活性を発現するか、またはKRAS転写物バリアント、例えば、KRAS G12D mRNAを含む。幾つかの態様では、細胞の生存率、増殖、または両方は、ASOで処理されなかった対応する細胞の生存率、増殖、または両方と比較して少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約100%低減される。
【0154】
カーステンラット肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログ(KRAS)は、NRAS及びHRASも含むグアノシン-5-トリホスファターゼ(GTPアーゼ)タンパク質のスーパーファミリーのメンバーである。このスーパーファミリーのメンバーの主要な役割は、上流の細胞表面受容体(例えば、EGFR、FGFR、及びERBB2~4)からのシグナルを、下流の増殖及び生存経路、例えば、RAF-MEK-ERK、PI3K-AKT-mTOR、及びRALGDS-RAに伝達することである。Adderley,H.,et al.,EBioMedicine 41:711-716(2019)。kRAS変異は、膵臓癌のうちの90%超、結腸直腸癌のうちの35~45%、及び肺癌のうちの約25%が含まれる、多数の種類のがんに関係付けられている。Zeitouni,D.,et al.,Cancers 8(4):45(2016);Tan,C.,et al.,World J Gastroenterol 18(37):5171-5180(2012);及びRoman,M.,et al.,Molecular Cancer 17:33(2018)。kRAS変異は、極めて不良な予後(例えば、膵臓癌における約9%の5年生存率)にも関連し、KRAS変異を有する多数の患者が様々ながん治療に対し抵抗性を示す。Del Re,M.,et al.,Oncotarget 9(5):6630-6643(2017)。従って、KRAS変異に関連するがんの新規な、かつ改善された処置選択肢が必要である。本明細書に記載されるように、本開示は、異常なKRAS活性に関連するがんを処置するために使用され得るASO及びかかるASOを含むEV(例えば、エキソソーム)を提供する。
【0155】
KRASは、当技術分野において様々な名称で知られている。かかる名称としては、以下が挙げられる:KRASがん原遺伝子、GTPアーゼ;V-Ki-Ras2カーステンラット肉腫2ウイルスがん遺伝子ホモログ;GTPアーゼKRas;C-Ki-Ras;K-Ras2;KRAS2;RASK2;V-Ki-Ras2カーステンラット肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログ;カーステンラット肉腫ウイルスがん原遺伝子;細胞形質転換がん原遺伝子;細胞のC-Ki-Ras2がん原遺伝子;形質転換タンパク質P21;PR310 C-K-Rasがん遺伝子;C-カーステン-Rasタンパク質;K-Ras P21タンパク質;及びがん遺伝子KRAS2。
【0156】
ヒトKRAS遺伝子の配列は、染色体位置12p12.1で、及び公開されているGenBankアクセッション番号NC_000012(25,204,789~25,250,936)の下で見つけることができる。ヒト野生型KRAS転写物のゲノム配列は、NC_000012の残基25,204,789~25,250,936の逆相補体に相当する(配列番号87)。配列番号1に提供されるKRAS G12Dゲノム配列は、ヌクレオチド位置5,587でのグアニンからアデニンへの置換を有するという点で配列番号87と異なる。例示的なKRAS G12D mRNA配列は、配列番号3におけるヌクレオチド「t」がmRNAにおいて「u」として示されることを除き、配列番号3に提供される。配列番号3に提供されるKRAS G12D mRNAは、ヌクレオチド位置225でグアニンからアデニンへの置換を有するという点で野生型mRNA配列(例えば、GenBankアクセッション番号NM_004985.5;配列番号89)と異なる。ヒトKRASタンパク質について配列は、公開されているアクセッション番号:P01116(標準配列)、A8K8Z5、B0LPF9、P01118、及びQ96D10下で見つけることができ、これらの各々はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0157】
選択的スプライシングにより生じる、ヒト野生型KRASタンパク質(P01116)の2つのアイソフォームが存在する。アイソフォーム2A(アクセッション番号:P01116-1;配列番号:90)が標準配列である。これはK-Ras4Aとしても公知である。アイソフォーム2B(アクセッション番号:P01116-2;K-Ras4Bとしても公知;配列番号88)は、以下のように標準配列と異なる:(i)151-153:RVE→GVD;及び(ii)165-189:QYRLKKISKEEKTPGCVKIKKCIIM→KHKEKMSKDGKKKKKKSKTKCVIM。幾つかの態様では、本明細書において開示されるASOは、KRASタンパク質アイソフォーム2A、アイソフォーム2B、または両方の発現を低減または阻害し得る。


【表1-1】

【表1-2】

【表1-3】

【表1-4】

【表1-5】

【表1-6】
【0158】
ヒトKRAS遺伝子産物の天然のバリアントは、公知である。例えば、ヒトKRASタンパク質の天然のバリアントは、以下から選択される1つ以上のアミノ酸置換を含有し得る:K5E、K5N、G10GG、G10V、G12A、G12C、G12F、G12I、G12L、G12R、G12S、G12V、G13C、G13D、G13E、G13R、G13V、V14I、L19F、T20M、Q22E、Q22H、Q22K、Q22R、Q25H、N26Y、F28L、E31K、D33E、P34L、P34Q、P34R、I36M、R41K、D57N、T58I、A59T、G60D、G60R、G60S、G60V、Q61A、Q61H、Q61K、Q61L、Q61P、Q61R、E63K、S65N、R68S、Y71H、T74A、L79I、R97I、Q99E、M111L、K117N、K117R、D119G、S122F、T144P、A146P、A146T、A146V、K147E、K147T、R149K、L159S、I163S、R164Q、I183N、I84M、またはそれらの組み合わせ。KRASタンパク質アイソフォーム2Bに特異的な天然のバリアントは、V152G、D153V、F156I、F156L、またはそれらの組み合わせから選択される1つ以上のアミノ酸置換を含有する。本開示のASOは、KRASタンパク質のバリアント(例えば、当該技術分野において公知の任意のバリアント及び/または本明細書に記載されるもの)のうちの1つ以上の発現を低減または阻害するように設計され得る。本明細書において実証されるように、幾つかの態様では、本明細書に記載されるASOは、野生型KRASタンパク質の発現を低減または阻害することができる。幾つかの態様では、変異型KRASは、G12Dのアミノ酸置換を有する。幾つかの態様では、本開示のASOは、1つ以上の変異型KRASを標的とする。他の態様では、ASOが標的とする変異型KRASは、KRAS G12D(配列番号2)である。幾つかの態様では、本開示のASOは、G12Cアミノ酸置換を有する変異型KRASを標的とし得る。幾つかの態様では、本開示のASOは、G12Vアミノ酸置換を有する変異型KRASを標的とし得る。幾つかの態様では、本開示のASOは、G13D変異体を有する変異型KRASを標的とし得る。KRAS G12D変異体が本開示の様々な態様を記載するために使用されるが、本明細書において提供される本開示が、他の変異型KRAS(例えば、上記のもの)に同様に適用され得ることが、当業者にとって明らかである。
【0159】
本明細書で使用する場合、用語「変異型KRAS」及び「KRASバリアント」は、互換的に使用され得、野生型KRAS転写物及び/またはタンパク質(例えば、配列番号87~90)と配列が異なるKRASを指す。例えば、変異型KRASは、上記の置換のいずれかを含む。従って、用語「変異型KRAS転写物」は、野生型KRAS転写物と比較して1つ以上の変異を含むKRAS転写物(例えば、mRNA)を指す。同様に、用語「変異型KRASタンパク質」は、野生型KRASタンパク質と比較して1つ以上の変異(例えば、上記のもの)を含むKRASタンパク質を指す。本明細書で使用する場合、ASOが「変異型KRAS転写物の核酸配列の領域に相補的」である場合、当該領域は、当該変異型KRAS転写物の特異的な変異/バリアント(例えば、上記のもの)を含む。従って、本明細書において開示されるASOは、野生型KRAS転写物を特異的に標的とするように設計されなかった。
【0160】
幾つかの態様では、本明細書において開示されるASOの標的核酸配列は、KRASプレmRNAの1つ以上の領域を含む。例えば、(上記の)配列番号1は、配列番号1におけるヌクレオチド「t」が、プレmRNAにおいて「u」として示されることを除き、KRAS G12DプレmRNA配列と同一である。本明細書で使用する場合、用語「標的核酸配列」は、本明細書において開示されるASOに相補的な核酸配列を指す。ある種の態様では、標的核酸配列は、KRASタンパク質をコードする核酸またはその天然に存在するバリアント、及びそれらに由来するRNA核酸、例えば、プレmRNAのエキソン領域を含む。幾つかの態様では、標的核酸配列は、KRASタンパク質をコードする核酸またはその天然に存在するバリアント、及びそれらに由来するRNA核酸、例えば、プレmRNAのイントロンを含む。更なる態様では、標的核酸配列は、KRASタンパク質をコードする核酸またはその天然に存在するバリアント、及びそれらに由来するRNA核酸、例えば、プレmRNAのエキソン-イントロンジャンクションを含む。幾つかの態様では、例えば、研究または診断において使用される場合、標的核酸は、本明細書に記載されるDNAまたはRNA核酸標的から得られたcDNAまたは合成オリゴヌクレオチドであり得る。幾つかの態様では、標的核酸は、KRASタンパク質をコードする核酸またはその天然に存在するバリアントの非翻訳領域、例えば、5’UTR、3’UTR、または両方を含む。
【0161】
従って、幾つかの態様では、本明細書において開示されるASOは、KRAS転写物、例えば、配列番号1のエキソン領域にハイブリダイズする。幾つかの態様では、本開示のASOは、KRAS転写物、例えば、配列番号1のイントロン領域にハイブリダイズする。幾つかの態様では、ASOは、KRAS転写物、例えば、配列番号1のエキソン-イントロンジャンクションにハイブリダイズする。幾つかの態様では、本開示のASOは、KRAS転写物、例えば、配列番号1の範囲内の領域(例えば、イントロン、エキソン、またはエキソン-イントロンジャンクション)にハイブリダイズし、ここで、当該ASOは、本明細書における他箇所(例えば、セクションII.G)に記載される設計を有する。
【0162】
幾つかの態様では、本明細書において開示されるASOの標的核酸配列は、KRAS mRNA(例えば、配列番号3)である。従って、ある種の態様では、本明細書において開示されるASOは、KRAS mRNAの1つ以上の領域にハイブリダイズし得る。幾つかの態様では、本開示のASOは、KRASタンパク質の特定のアイソフォーム(例えば、アイソフォーム2Aまたはアイソフォーム2B)をコードするmRNAを標的とする。ある種の態様では、本明細書において開示されるASOは、任意のバリアントが含まれるKRASタンパク質の全てのアイソフォーム(例えば、本明細書に記載されるもの)を標的とし得る。幾つかの態様では、本開示のASOにより標的とされ得るKRASタンパク質は、G12Dアミノ酸置換を含む。
【0163】
幾つかの態様では、本開示のASOは、KRAS転写物、例えば、配列番号1または配列番号3の範囲内の核酸配列に相補的な連続ヌクレオチド配列(例えば、10~30ヌクレオチド長)を含む。
【0164】
幾つかの態様では、ASOは、KRAS転写物の核酸配列または当該配列の範囲内の領域(「標的領域」)にハイブリダイズする連続ヌクレオチド配列を含み、ここで、当該核酸配列は、配列番号1のヌクレオチド5,468~5,706に相当する。幾つかの態様では、ASOは、本明細書に記載される設計または本明細書における他箇所で示される化学構造(例えば、図1)のうちの1つを任意に有する。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号1のヌクレオチド5,568~5,606に相当する。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号1のヌクレオチド5,518~5,656に相当する。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号1のヌクレオチド5,568~5,606±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する。
【0165】
幾つかの態様では、本明細書において開示されるASOは、KRAS転写物の核酸配列または当該配列内の領域(「標的領域」)にハイブリダイズする連続ヌクレオチド配列を含み、ここで、当該核酸配列は、配列番号3のヌクレオチド106~344に相当する。ある種の態様では、ASOは、本明細書に記載される設計(例えば、セクションII.G)または本明細書における他箇所で示される化学構造(例えば、図1)のうちの1つを任意に有する。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド206~244に相当する。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド256~299に相当する。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド206~244±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する。
【0166】
幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド212~225に相当する(例えば、ASO-0004;配列番号4)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド213~226に相当する(例えば、ASO-0005;配列番号5)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド214~227に相当する(例えば、ASO-0006;配列番号6)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド215~228に相当する(例えば、ASO-0007;配列番号7)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド216~229に相当する(例えば、ASO-0008;配列番号8)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド217~230に相当する(例えば、ASO-0009;配列番号9)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド218~231に相当する(例えば、ASO-0010;配列番号10)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド219~232に相当する(例えば、ASO-0011;配列番号11)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド220~233に相当する(例えば、ASO-0012;配列番号12)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド221~234に相当する(例えば、ASO-0013;配列番号13)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド222~235に相当する(例えば、ASO-0014;配列番号14)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド223~236に相当する(例えば、ASO-0015;配列番号15)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド224~237に相当する(例えば、ASO-0016;配列番号16)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド225~238に相当する(例えば、ASO-0017;配列番号17)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド211~225に相当する(例えば、ASO-0018;配列番号18)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド212~226に相当する(例えば、ASO-0019;配列番号19)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド213~227に相当する(例えば、ASO-0020;配列番号20)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド214~228に相当する(例えば、ASO-0021;配列番号21)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド215~229に相当する(例えば、ASO-0022;配列番号22)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド216~230に相当する(例えば、ASO-0023;配列番号23)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド217~231に相当する(例えば、ASO-0024;配列番号24)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド218~232に相当する(例えば、ASO-0025;配列番号25)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド219~233に相当する(例えば、ASO-0026;配列番号26)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド220~234に相当する(例えば、ASO-0027;配列番号27)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド221~235に相当する(例えば、ASO-0028;配列番号28)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド222~236に相当する(例えば、ASO-0029;配列番号29)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド223~237に相当する(例えば、ASO-0030;配列番号30)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド224~238に相当する(例えば、ASO-0031;配列番号31)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド225~239に相当する(例えば、ASO-0032;配列番号32)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド210~225に相当する(例えば、ASO-0033;配列番号33)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド211~226に相当する(例えば、ASO-0034;配列番号34)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド212~227に相当する(例えば、ASO-0035;配列番号35)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド213~228に相当する(例えば、ASO-0036;配列番号36)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド214~229に相当する(例えば、ASO-0037;配列番号37)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド215~230に相当する(例えば、ASO-0038;配列番号38)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド216~231に相当する(例えば、ASO-0039;配列番号39)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド217~232に相当する(例えば、ASO-0040;配列番号40)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド218~233に相当する(例えば、ASO-0041;配列番号41)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド219~234に相当する(例えば、ASO-0042;配列番号42)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド220~235に相当する(例えば、ASO-0043;配列番号43)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド221~236に相当する(例えば、ASO-0044;配列番号44)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド222~237に相当する(例えば、ASO-0045;配列番号45)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド223~238に相当する(例えば、ASO-0046;配列番号46)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド224~239に相当する(例えば、ASO-0047;配列番号47)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド225~240に相当する(例えば、ASO-0048;配列番号48)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド209~225に相当する(例えば、ASO-0049;配列番号49)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド210~226に相当する(例えば、ASO-0050;配列番号50)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド211~227に相当する(例えば、ASO-0051;配列番号51)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド212~228に相当する(例えば、ASO-0052;配列番号52)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド213~229に相当する(例えば、ASO-0053;配列番号53)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド214~230に相当する(例えば、ASO-0054;配列番号54)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド215~231に相当する(例えば、ASO-0055;配列番号55)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド216~232に相当する(例えば、ASO-0056;配列番号56)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド217~233に相当する(例えば、ASO-0057;配列番号57)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド218~234に相当する(例えば、ASO-0058;配列番号58)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド219~235に相当する(例えば、ASO-0059;配列番号59)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド220~236に相当する(例えば、ASO-0060;配列番号60)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド221~237に相当する(例えば、ASO-0061;配列番号61)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド222~238に相当する(例えば、ASO-0062;配列番号62)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド223~239に相当する(例えば、ASO-0063;配列番号63)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド224~240に相当する(例えば、ASO-0064;配列番号64)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド225~241に相当する(例えば、ASO-0065;配列番号65)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド206~225に相当する(例えば、ASO-0066;配列番号66)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド207~226に相当する(例えば、ASO-0067;配列番号67)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド208~227に相当する(例えば、ASO-0068;配列番号68)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド209~228に相当する(例えば、ASO-0069;配列番号69)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド210~229に相当する(例えば、ASO-0070;配列番号70)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド211~230に相当する(例えば、ASO-0071;配列番号71)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド212~231に相当する(例えば、ASO-0072;配列番号72)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド213~232に相当する(例えば、ASO-0073;配列番号73)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド214~233に相当する(例えば、ASO-0074;配列番号74)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド215~234に相当する(例えば、ASO-0075;配列番号75)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド216~235に相当する(例えば、ASO-0076;配列番号76)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド217~236に相当する(例えば、ASO-0077;配列番号77)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド218~237に相当する(例えば、ASO-0078;配列番号78)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド219~238に相当する(例えば、ASO-0079;配列番号79)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド220~239に相当する(例えば、ASO-0080;配列番号80)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド221~240に相当する(例えば、ASO-0081;配列番号81)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド222~241に相当する(例えば、ASO-0082;配列番号82)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド223~242に相当する(例えば、ASO-0083;配列番号83)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド224~243に相当する(例えば、ASO-0084;配列番号84)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド225~244に相当する(例えば、ASO-0085;配列番号85)。
【0167】
幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド212~225±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0004;配列番号4)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド213~226±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0005;配列番号5)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド214~227±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0006;配列番号6)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド215~228±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0007;配列番号7)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド216~229±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0008;配列番号8)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド217~230±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0009;配列番号9)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド218~231±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0010;配列番号10)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド219~232±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0011;配列番号11)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド220~233±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0012;配列番号12)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド221~234±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0013;配列番号13)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド222~235±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0014;配列番号14)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド223~236±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0015;配列番号15)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド224~237±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0016;配列番号16)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド225~238±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0017;配列番号17)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド211~225±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0018;配列番号18)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド212~226±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0019;配列番号19)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド213~227±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0020;配列番号20)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド214~228±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0021;配列番号21)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド215~229±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0022;配列番号22)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド216~230±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0023;配列番号23)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド217~231±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0024;配列番号24)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド218~232±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0025;配列番号25)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド219~233±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0026;配列番号26)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド220~234±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0027;配列番号27)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド221~235±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0028;配列番号28)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド222~236±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0029;配列番号29)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド223~237±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0030;配列番号30)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド224~238±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0031;配列番号31)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド225~239±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0032;配列番号32)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド210~225±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0033;配列番号33)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド211~226±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0034;配列番号34)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド212~227±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0035;配列番号35)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド213~228±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0036;配列番号36)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド214~229±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0037;配列番号37)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド215~230±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0038;配列番号38)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド216~231±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0039;配列番号39)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド217~232±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0040;配列番号40)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド218~233±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0041;配列番号41)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド219~234±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0042;配列番号42)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド220~235±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0043;配列番号43)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド221~236±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/

または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0044;配列番号44)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド222~237±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0045;配列番号45)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド223~238±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0046;配列番号46)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド224~239±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0047;配列番号47)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド225~240±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0048;配列番号48)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド209~225±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0049;配列番号49)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド210~226±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0050;配列番号50)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド211~227±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0051;配列番号51)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド212~228±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0052;配列番号52)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド213~229±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0053;配列番号53)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド214~230±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0054;配列番号54)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド215~231±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0055;配列番号55)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド216~232±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0056;配列番号56)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド217~233±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0057;配列番号57)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド218~234±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0058;配列番号58)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド219~235±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0059;配列番号59)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド220~236±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0060;配列番号60)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド221~237±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0061;配列番号61)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド222~238±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0062;配列番号62)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド223~239±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0063;配列番号63)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド224~240±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0064;配列番号64)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド225~241±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0065;配列番号65)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド206~225±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0066;配列番号66)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド207~226±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0067;配列番号67)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド208~227±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0068;配列番号68)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド209~228±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0069;配列番号69)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド210~229±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0070;配列番号70)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド211~230±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0071;配列番号71)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド212~231±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0072;配列番号72)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド213~232±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0073;配列番号73)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド214~233±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0074;配列番号74)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド215~234±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0075;配列番号75)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド216~235±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0076;配列番号76)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド217~236±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0077;配列番号77)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド218~237±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0078;配列番号78)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド219~238±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0079;配列番号79)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド220~239±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0080;配列番号80)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド221~240±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0081;配列番号81)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド222~241±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0082;配列番号82)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド223~242±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0083;配列番号83)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド224~243±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0084;配列番号84)。幾つかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド225~244±10、±20

、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端ヌクレオチドに相当する(例えば、ASO-0085;配列番号85)。
【0168】
幾つかの態様では、本開示のASOは、生理的条件、すなわち、インビボ条件下で標的核酸(例えば、KRAS転写物)にハイブリダイズすることができる。幾つかの態様では、本開示のASOは、インビトロで標的核酸(例えば、KRAS転写物)にハイブリダイズすることができる。幾つかの態様では、本開示のASOは、インビトロでストリンジェント条件下で標的核酸(例えば、KRAS転写物)にハイブリダイズすることができる。インビトロでのハイブリダイゼーションのストリンジェンシー条件は、とりわけ、生産的な細胞への取り込み、RNAへの到達性、温度、会合の自由エネルギー、塩濃度、及び時間に依存する(例えば、Stanley T Crooke,Antisense Drug Technology:Principles,Strategies and Applications,2nd Edition,CRC Press(2007)を参照のこと)。一般に、異なる核酸間ではなく、実質的に類似する核酸間のハイブリダイゼーションを可能にするために、高ストリンジェンシーから中程度のストリンジェンシーまでの条件が、インビトロでのハイブリダイゼーションに使用される。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例としては、5X生理食塩水クエン酸ナトリウム(SSC)緩衝液(0.75Mの塩化ナトリウム/0.075Mのクエン酸ナトリウム)中で40℃にて1時間のハイブリダイゼーション、続いて、1X SSC中で40℃にて10回及び1X SSC緩衝液中で室温にて5回の試料の洗浄が挙げられる。インビボでのハイブリダイゼーション条件は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの標的配列とのハイブリダイゼーションを支配する細胞内条件(例えば、生理的pH及び細胞内イオン条件)からなる。インビボでの条件は、相対的に低いストリンジェンシー条件によりインビトロで模倣され得る。例えば、インビトロでのハイブリダイゼーションは、2X SSC(0.3Mの塩化ナトリウム/0.03Mのクエン酸ナトリウム)、0.1%のSDS中で37℃にて実施され得る。4X SSC、0.1%のSDSを含有する洗浄溶液が37℃で使用され得、1X SSC中で45℃にて最終洗浄される。
【0169】
幾つかの態様では、本開示のASOは、1つ以上の種(例えば、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ウシ、及びクマ)由来のKRAS転写物を標的とすることができる。従って、幾つかの態様では、ASOは、ヒト及び他の非ヒト種(例えば、げっ歯類、例えば、マウスまたはラット)におけるKRAS mRNAまたはタンパク質の両方の発現を下方調節(例えば、低減または阻害)することができる。幾つかの態様では、本明細書に記載される任意のASOは、少なくとも1種の非ヌクレオチドまたは非ポリヌクレオチドに共有結合されたASOを含むコンジュゲートの一部である。
【0170】
本開示のある種の態様は、本明細書に記載されるASOを含むコンジュゲートを対象とする。ある種の態様では、コンジュゲートは、少なくとも1種の非ヌクレオチドに共有結合されたASOを含む。ある種の態様では、コンジュゲートは、少なくとも1種の非ポリヌクレオチド部分に共有結合されたASOを含む。幾つかの態様では、非ヌクレオチドまたは非ポリヌクレオチド部分は、タンパク質、脂肪酸鎖、糖残基、糖タンパク質、ポリマー、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0171】
II.B.ASO配列
本開示のASOは、KRAS転写物、例えば、配列番号1または配列番号3に相当するヌクレオチド配列の領域の相補体に相当する連続ヌクレオチド配列を含む。
【0172】
ある種の態様では、本開示は、10~50ヌクレオチド、例えば、10~30、例えば、10~15ヌクレオチド、10~20ヌクレオチド、または10~25ヌクレオチドの長さのASOを提供し、ここで、連続ヌクレオチド配列は、KRAS転写物、例えば、配列番号1もしくは配列番号3またはそれらの天然に存在するバリアントの相補体内の領域に対する少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有する。従って、幾つかの態様では、ASOは、配列番号1の配列またはその一部を有する一本鎖核酸分子にハイブリダイズする。幾つかの態様では、ASOは、配列番号3の配列またはその一部を有する一本鎖核酸分子にハイブリダイズする。
【0173】
ASOは、哺乳動物KRASタンパク質をコードする核酸の対応する領域に十分に相補的な(完全に相補的な)連続ヌクレオチド配列を含み得る。ASOは、配列番号1または配列番号3のヌクレオチドX~Yに相当する核酸配列または当該配列内の領域に十分に相補的な(完全に相補的な)連続ヌクレオチド配列を含み得、ここで、X及びYは、図1に示すように、それぞれ開始部位及び末端部位である。
【0174】
幾つかの態様では、本開示のASOのヌクレオチド配列または連続ヌクレオチド配列は、配列番号4~85から選択される配列(すなわち、図1の配列)に対する少なくとも約80%の配列同一性、例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%の配列同一性、少なくとも約97%の配列同一性、少なくとも約98%の配列同一性、少なくとも約99%の配列同一性、例えば、約100%の配列同一性(相同的)を有する。幾つかの態様では、ASOは、本明細書における他箇所で記載される(例えば、セクションII.G)設計または本明細書における他箇所で示される化学構造(例えば、図1)を有する。
【0175】
幾つかの態様では、ASO(またはその連続ヌクレオチド部分)は、配列番号4~85からなる群から選択される配列のうちの1つまたはその少なくとも10連続ヌクレオチドの領域から選択されるか、またはそれを含み、ここで、ASO(またはその連続ヌクレオチド部分)は、対応するKRAS転写物(例えば、配列番号1または配列番号3)と比較される場合に、1つ、2つ、3つ、または4つのミスマッチを任意に含み得る。
【0176】
幾つかの態様では、ASOは、配列番号4~17からなる群から選択される配列を含む。幾つかの態様では、ASOは、配列番号4に記載の配列を含む(例えば、ASO-0004)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号5に記載の配列を含む(例えば、ASO-0005)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号6に記載の配列を含む(例えば、ASO-0006)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号7に記載の配列を含む(例えば、ASO-0007)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号8に記載の配列を含む(例えば、ASO-0008)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号9に記載の配列を含む(例えば、ASO-0009)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号10に記載の配列を含む(例えば、ASO-0010)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号11に記載の配列を含む(例えば、ASO-0011)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号12に記載の配列を含む(例えば、ASO-0012)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号13に記載の配列を含む(例えば、ASO-0013)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号14に記載の配列を含む(例えば、ASO-0014)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号15に記載の配列を含む(例えば、ASO-0015)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号16に記載の配列を含む(例えば、ASO-0016)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号17に記載の配列を含む(例えば、ASO-0017)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号18~32からなる群から選択される配列を含む。幾つかの態様では、ASOは、配列番号18に記載の配列を含む(例えば、ASO-0018)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号19に記載の配列を含む(例えば、ASO-0019)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号20に記載の配列を含む(例えば、ASO-0020)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号21に記載の配列を含む(例えば、ASO-0021)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号22に記載の配列を含む(例えば、ASO-0022)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号23に記載の配列を含む(例えば、ASO-0023)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号24に記載の配列を含む(例えば、ASO-0024)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号25に記載の配列を含む(例えば、ASO-0025)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号26に記載の配列を含む(例えば、ASO-0026)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号27に記載の配列を含む(例えば、ASO-0027)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号28に記載の配列を含む(例えば、ASO-0028)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号29に記載の配列を含む(例えば、ASO-0029)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号30に記載の配列を含む(例えば、ASO-0030)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号31に記載の配列を含む(例えば、ASO-0031)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号32に記載の配列を含む(例えば、ASO-0032)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号33~48からなる群から選択される配列を含む。幾つかの態様では、ASOは、配列番号33に記載の配列を含む(例えば、ASO-0033)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号34に記載の配列を含む(例えば、ASO-0034)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号35に記載の配列を含む(例えば、ASO-0035)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号36に記載の配列を含む(例えば、ASO-0036)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号37に記載の配列を含む(例えば、ASO-0037)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号38に記載の配列を含む(例えば、ASO-0038)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号39に記載の配列を含む(例えば、ASO-0039)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号40に記載の配列を含む(例えば、ASO-0040)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号41に記載の配列を含む(例えば、ASO-0041)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号42に記載の配列を含む(例えば、ASO-0042)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号43に記載の配列を含む(例えば、ASO-0043)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号44に記載の配列を含む(例えば、ASO-0044)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号45に記載の配列を含む(例えば、ASO-0045)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号46に記載の配列を含む(例えば、ASO-0046)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号47に記載の配列を含む(例えば、ASO-0047)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号48に記載の配列を含む(例えば、ASO-0048)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号49~65からなる群から選択される配列を含む。幾つかの態様では、ASOは、配列番号49に記載の配列を含む(例えば、ASO-0049)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号50に記載の配列を含む(例えば、ASO-0050)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号51に記載の配列を含む(例えば、ASO-0051)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号52に記載の配列を含む(例えば、ASO-0052)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号53に記載の配列を含む(例えば、ASO-0053)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号54に記載の配列を含む(例えば、ASO-0054)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号55に記載の配列を含む(例えば、ASO-0055)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号56に記載の配列を含む(例えば、ASO-0056)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号57に記載の配列を含む(例えば、ASO-0057)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号58に記載の配列を含む(例えば、ASO-0058)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号59に記載の配列を含む(例えば、ASO-0059)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号60に記載の配列を含む(例えば、ASO-0060)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号61に記載の配列を含む(例えば、ASO-0061)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号62に記載の配列を含む(例えば、ASO-0062)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号63に記載の配列を含む(例えば、ASO-0063)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号64に記載の配列を含む(例えば、ASO-0064)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号65に記載の配列を含む(例えば、ASO-0065)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号66~85からなる群から選択される配列を含む。幾つかの態様では、ASOは、配列番号66に記載の配列を含む(例えば、ASO-0066)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号67に記載の配列を含む(例えば、ASO-0067)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号68に記載の配列を含む(例えば、ASO-0068)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号69に記載の配列を含む(例えば、ASO-0069)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号70に記載の配列を含む(例えば、ASO-0070)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号71に記載の配列を含む(例えば、ASO-0071)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号72に記載の配列を含む(例えば、ASO-0072)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号73に記載の配列を含む(例えば、ASO-0073)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号74に記載の配列を含む(例えば、ASO-0074)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号75に記載の配列を含む(例えば、ASO-0075)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号76に記載の配列を含む(例えば、ASO-0076)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号77に記載の配列を含む(例えば、ASO-0077)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号78に記載の配列を含む(例えば、ASO-0078)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号79に記載の配列を含む(例えば、ASO-0079)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号80に記載の配列を含む(例えば、ASO-0080)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号81に記載の配列を含む(例えば、ASO-0081)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号82に記載の配列を含む(例えば、ASO-0082)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号83に記載の配列を含む(例えば、ASO-0083)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号84に記載の配列を含む(例えば、ASO-0084)。幾つかの態様では、ASOは、配列番号85に記載の配列を含む(例えば、ASO-0085)。
【0177】
幾つかの態様では、本開示のASOは、標的核酸配列(例えば、KRAS転写物)に結合し、KRAS転写物の発現を、細胞における正常な(すなわち、対照)発現レベルと比較して少なくとも10%または20%、例えば、正常な発現レベル(例えば、ASOに曝露されなかった細胞における発現レベル)と比較して少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%阻害または低減することができる。
【0178】
ある種の態様では、本開示のASOは、以下からなる群から選択される少なくとも1つの特性を有する:(i)哺乳動物細胞(例えば、腫瘍細胞)におけるKRASタンパク質をコードするmRNAのレベルを低減する特性;(ii)哺乳動物細胞(例えば、腫瘍細胞)におけるKRASのタンパク質レベルを低減する特性;(iii)がんの1つ以上の症状を低減、改善、または処置する特性、及び(iv)それらの任意の組み合わせ。
【0179】
幾つかの態様では、本開示のASOは、例えば、インビトロで、細胞がASOと接触される場合、ASOと接触していない(例えば、生理食塩水または対照ASOと接触した)細胞と比較して、標的細胞において、KRAS mRNAの発現を少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%低減することができる。本明細書で使用する場合、用語「対照ASO」は、本明細書において開示されるKRAS転写物に特異的でない(すなわち、KRAS転写物に結合することができない)ASOを指す。ある種の態様では、KRAS mRNAは、野生型KRAS mRNA(配列番号89)である。ある種の態様では、KRAS mRNAは、KRAS G12D mRNA(配列番号3)である。幾つかの態様では、ASOは、野生型KRAS及びG12D KRAS mRNAの両方の発現を低減することができる。
【0180】
幾つかの態様では、本開示のASOは、例えば、インビトロで、細胞がASOと接触される場合、ASOと接触していない(例えば、生理食塩水または対照ASOと接触した)細胞と比較して、標的細胞において、KRASタンパク質の発現を少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%低減することができる。幾つかの態様では、KRASタンパク質は、野生型KRASタンパク質(配列番号90(アイソフォーム2A)または配列番号88(アイソフォーム2B))である。幾つかの態様では、KRASタンパク質は、G12D変異(配列番号86(アイソフォーム2A)または配列番号2(アイソフォーム2B))を含む。ある種の態様では、ASOは、野生型KRASタンパク質及びG12D KRASタンパク質の発現を低減することができる。
【0181】
本開示の他箇所で示されるように、幾つかの態様では、本開示のASOは、KRAS転写物発現の阻害における高い効力を示す。本明細書で使用する場合、用語「高い効力」または「非常に強力な」は、本明細書に記載されるHepa1-6レポーターアッセイ(実施例4を参照のこと)を使用して測定されるように、約10nM未満のIC50値でKRAS転写物(例えば、mRNA)の発現を低減することができるASOを指す。例えば、ある種の態様では、高い効力を有する本開示のASOは、Hepa1-6レポーターアッセイを使用して測定されるように、約10nM未満、約9nM未満、約8nM未満、約7nM未満、約6nM未満、約5nM未満、約4nM未満、約3nM未満、約2nM未満、または約1nM未満のIC50値でKRAS G12D mRNA発現を低減することができる。幾つかの態様では、本開示の非常に強力なASOは、KRAS mRNAの複数のバリアント、例えば、当技術分野において公知のもの及び/または本明細書に記載されるものの発現を低減することができる。ある種の態様では、非常に強力なASOは、Hepa1-6レポーターアッセイを使用して測定されるように、例えば、約10nM未満のIC50値で、野生型KRAS mRNA及びG12D KRAS mRNAの両方の発現を低減することができる。
【0182】
幾つかの態様では、本開示のASOは、それらがハイブリダイズまたは結合する標的に選択性が高い。本明細書で使用する場合、用語「選択性が高い」または「高い選択性」は、特定のKRAS転写物に特異的なASOを指す。例えば、幾つかの態様では、本明細書に記載される選択性が高いASOは、KRAS G12D mRNAに特異的であり、従って、KRAS G12D mRNAの発現を下方調節することが可能であるが、他のKRAS mRNA(例えば、野生型)の発現に対する最小限の効果を有する。
【0183】
本明細書において実証されるように、幾つかの態様では、KRAS転写物(またはそのコードされるタンパク質)発現の減少は、標的細胞、例えば、異常なKRAS活性を示す腫瘍細胞の生存率及び/または増殖の減少に関連する。従って、ある種の態様では、本開示のASOは、KRAS転写物(例えば、KRAS G12D mRNA)を発現する細胞の生存率及び/または増殖を低減することができる。ある種の態様では、生存率及び/または増殖は、細胞がASOと接触される場合、ASOと接触していない(例えば、生理食塩水または対照ASOと接触した)細胞と比較して、標的細胞において少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または100%低減される。
【0184】
また本明細書において実証されるように、幾つかの態様では、KRAS転写物(またはコードされるタンパク質)発現の減少は、MAPキナーゼ経路に関連するタンパク質の発現の減少に関連する。ある種の態様では、MAPキナーゼ経路に関連するタンパク質は、リン酸化ERK(pERK)である。従って、ある種の態様では、本明細書に記載されるASOは、MAPキナーゼ経路に関連するタンパク質(例えば、pERK)の発現を低減することができる。ある種の態様では、発現は、細胞がASOと接触される場合、ASOと接触していない(例えば、生理食塩水または対照ASOと接触した)細胞と比較して、標的細胞において少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または100%低減される。
【0185】
幾つかの態様では、ASOは、標的配列にハイブリダイズする際に、1つ、2つ、3つ、または4つ(またはそれ以上)のミスマッチを許容することができ、依然として標的に十分に結合して、所望の効果、すなわち、標的mRNA及び/またはタンパク質の下方調節を示す。ミスマッチは、例えば、ASOヌクレオチド配列の長さの増加及び/または本明細書における他箇所で開示されるヌクレオチド類似体の数の増加により補償され得る。
【0186】
幾つかの態様では、本開示のASOは、標的配列にハイブリダイズする際に、3つ以下のミスマッチを含む。他の態様では、連続ヌクレオチド配列は、標的配列にハイブリダイズする際に、2つ以下のミスマッチを含む。他の態様では、連続ヌクレオチド配列は、標的配列にハイブリダイズする際に、1つ以下のミスマッチを含む。
【0187】
II.C.ASOの長さ
ASOは、合計10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30連続ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含み得る。ASOまたは連続ヌクレオチド配列の長さについて範囲が与えられる場合、当該範囲は、当該範囲に示される下限及び上限を含み、例えば、10から30(または10~30)は、10及び30の両方を含むことを理解すべきである。
【0188】
幾つかの態様では、ASOは、合計約14~20、14、15、16、17、18、19、または20連続ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含む。ある種の態様では、本開示のASOは、14ヌクレオチド長である。幾つかの態様では、本明細書において開示されるASOは、15ヌクレオチド長である。他の態様では、ASOは、16ヌクレオチド長である。更なる態様では、本開示で提供されるASOは、17ヌクレオチド長である。ある種の態様では、本開示のASOは、18ヌクレオチド長である。ある種の態様では、本開示のASOは、19ヌクレオチド長である。更に他の態様では、ASOは、20ヌクレオチド長である。幾つかの態様では、ASOは、14ヌクレオチド長である。ある種の態様では、ASOは、13ヌクレオチド長である。ある種の態様では、ASOは、12ヌクレオチド長である。ある種の態様では、ASOは、11ヌクレオチド長である。ある種の態様では、ASOは、10ヌクレオチド長である。
【0189】
幾つかの態様では、ASOは、約10~約50ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列、例えば、約10~約45、約10~約40、約10または約35、または約10~約30ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含む。ある種の態様では、ASOは、21ヌクレオチド長である。ある種の態様では、ASOは、22ヌクレオチド長である。ある種の態様では、ASOは、23ヌクレオチド長である。ある種の態様では、ASOは、24ヌクレオチド長である。ある種の態様では、ASOは、25ヌクレオチド長である。ある種の態様では、ASOは、26ヌクレオチド長である。ある種の態様では、ASOは、27ヌクレオチド長である。ある種の態様では、ASOは、28ヌクレオチド長である。ある種の態様では、ASOは、29ヌクレオチド長である。ある種の態様では、ASOは、30ヌクレオチド長である。ある種の態様では、ASOは、31ヌクレオチド長である。ある種の態様では、ASOは、32ヌクレオチド長である。ある種の態様では、ASOは、33ヌクレオチド長である。ある種の態様では、ASOは、34ヌクレオチド長である。ある種の態様では、ASOは、35ヌクレオチド長である。ある種の態様では、ASOは、36ヌクレオチド長である。ある種の態様では、ASOは、37ヌクレオチド長である。ある種の態様では、ASOは、38ヌクレオチド長である。ある種の態様では、ASOは、39ヌクレオチド長である。ある種の態様では、ASOは、40ヌクレオチド長である。ある種の態様では、ASOは、41ヌクレオチド長である。ある種の態様では、ASOは、42ヌクレオチド長である。ある種の態様では、ASOは、43ヌクレオチド長である。ある種の態様では、ASOは、44ヌクレオチド長である。ある種の態様では、ASOは、45ヌクレオチド長である。ある種の態様では、ASOは、46ヌクレオチド長である。ある種の態様では、ASOは、47ヌクレオチド長である。ある種の態様では、ASOは、48ヌクレオチド長である。ある種の態様では、ASOは、49ヌクレオチド長である。ある種の態様では、ASOは、50ヌクレオチド長である。
【0190】
II.D.ヌクレオシド及びヌクレオシド類似体
本開示の一態様では、ASOは、1つ以上の非天然ヌクレオシド類似体を含む。「ヌクレオシド類似体」は、本明細書で使用する場合、天然ヌクレオシド、例えば、DNAまたはRNAヌクレオシドの、糖及び/または塩基部分における修飾によるバリアントである。類似体は、オリゴヌクレオチドの文脈において、基本的には単に天然ヌクレオシドに対して「無影響(silent)」であり得るか、またはそれと「等価」であり得、すなわち、オリゴヌクレオチドが標的遺伝子発現を阻害するために機能する様式に対して機能的影響を及ぼさない。それにもかかわらず、かかる「等価な」類似体は、例えば、それらが製造するのにより容易であるか、もしくはより安価であるか、または保存もしくは製造条件に対してより安定であるか、またはタグもしくは標識となる場合、有用であり得る。しかしながら、幾つかの態様では、類似体は、例えば、標的に対する結合親和性の増加及び/または細胞内ヌクレアーゼに対する耐性の増加及び/または細胞内への輸送の容易さの増加をもたらすことにより、ASOが発現を阻害するために機能する様式に対して機能的影響を及ぼす。ヌクレオシド類似体の具体例は、例えば、Freier & Altmann;Nucl.Acid Res.,1997,25,4429-4443及びUhlmann;Curr.Opinion in Drug Development,2000,3(2),293-213により、ならびにスキーム1に記載されている。本開示のASOは、1つ超、2つ超、3つ超、4つ超、5つ超、6つ超、7つ超、8つ超、9つ超、10超、11超、12超、13超、14超、15超、16超、18超、19超、または20超のヌクレオシド類似体を含有し得る。幾つかの態様では、ASOのヌクレオシド類似体は同一である。他の態様では、ASOのヌクレオシド類似体は異なる。ASOのヌクレオチド類似体は、以下のヌクレオシド類似体のいずれか1つまたはその組み合わせであり得る。
【0191】
幾つかの態様では、ヌクレオシド類似体は、2’-O-アルキル-RNA;2’-O-メチルRNA(2’-OMe);2’-アルコキシ-RNA;2’-O-メトキシエチル-RNA(2’-MOE);2’-アミノ-DNA;2’-フルオロ-RNA;2’-フルオロ-DNA;アラビノ核酸(ANA);2’-フルオロ-ANA;二環式ヌクレオシド類似体;またはそれらの任意の組み合わせを含む。幾つかの態様では、ヌクレオシド類似体は、糖修飾されたヌクレオシドを含む。幾つかの態様では、ヌクレオシド類似体は、二環式糖を含むヌクレオシドを含む。幾つかの態様では、ヌクレオシド類似体は、LNAを含む。幾つかの態様では、ヌクレオシド類似体は、2’-MOEを含む。
【0192】
幾つかの態様では、ヌクレオシド類似体は、拘束エチルヌクレオシド(cEt)、2’,4’-拘束2’-O-メトキシエチル(cMOE)、α-L-LNA、β-D-LNA、2’-O,4’-C-エチレン架橋核酸(ENA)、アミノLNA、オキシLNA、チオLNA、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。幾つかの態様では、ASOは、1つ以上の5’-メチル-シトシン核酸塩基を含む。
【0193】
II.D.1.核酸塩基
核酸塩基という用語は、核酸ハイブリダイゼーションにおいて水素結合を形成する、ヌクレオシド及びヌクレオチドに存在するプリン(例えば、アデニン及びグアニン)及びピリミジン(例えば、ウラシル、チミン及びシトシン)部分を含む。本開示の文脈において、核酸塩基という用語は、天然に存在する核酸塩基と異なり得るが、核酸ハイブリダイゼーション時に機能する修飾された核酸塩基も包含する。幾つかの態様では、核酸塩基部分は、核酸塩基を修飾するか、または置き換えることにより修飾される。この文脈において、「核酸塩基」は、天然に存在する核酸塩基、例えば、アデニン、グアニン、シトシン、チミジン、ウラシル、キサンチン、及びヒポキサンチン、ならびに非天然バリアントの両方を指す。かかるバリアントは、例えば、Hirao et al.,(2012) Accounts of Chemical Research vol 45 page 2055及びBergstrom (2009)Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry Suppl.37 1.4.1に記載されている。
【0194】
幾つかの態様では、核酸塩基部分は、プリンまたはピリミジンを修飾されたプリンまたはピリミジン、例えば、置換プリンまたは置換ピリミジン、例えば、イソシトシン、プソイドイソシトシン、5-メチル-シトシン、5-チアゾロ(thiozolo)-シトシン、5-プロピニル-シトシン、5-プロピニル-ウラシル、5-ブロモウラシル、5-チアゾロ-ウラシル、2-チオ-ウラシル、2’チオ-チミン、イノシン、ジアミノプリン、6-アミノプリン、2-アミノプリン、2,6-ジアミノプリン、及び2-クロロ-6-アミノプリンから選択される核酸塩基に変化させることにより修飾される。
【0195】
核酸塩基部分は、各対応する核酸塩基の文字コード、例えば、A、T、G、C、またはUにより示され得、各文字は、同等の機能の修飾された核酸塩基を任意に含み得る。例えば、例示されるオリゴヌクレオチドにおける核酸塩基部分は、A、T、G、C、及び5-メチル-シトシンから選択される。LNAギャップマーでは、5-メチル-シトシンLNAヌクレオシドが任意に使用され得る。
【0196】
II.D.2.糖修飾
本開示のASOは、DNA及びRNAにおいて見出されるリボース糖部分と比較して修飾された糖部分、すなわち、糖部分の修飾を有する1つ以上のヌクレオシドを含み得る。リボース糖部分の修飾を有する多数のヌクレオシドが、主にオリゴヌクレオチドの特定の特性、例えば、親和性及び/またはヌクレアーゼ耐性を改善する目的で作製されている。
【0197】
かかる修飾としては、例えば、ヘキソース環(HNA)、または通常、リボース環上のC2’炭素とC4’炭素との間にビラジカル架橋を有する二環式環(LNA)、または通常、C2’とC3’炭素との間の結合を欠く非連結リボース環(例えば、UNA)との置き換えによりリボース環状構造が修飾されているものが挙げられる。他の糖修飾されたヌクレオシドとしては、例えば、ビシクロヘキソース核酸(WO2011/017521)または三環式核酸(WO2013/154798)が挙げられる。修飾されたヌクレオシドとしては、例えば、ペプチド核酸(PNA)またはモルホリノ核酸の場合のように、糖部分が非糖部分と置き換えられているヌクレオシドも挙げられる。
【0198】
糖修飾としては、リボース環の置換基を水素以外の基、またはRNAヌクレオシドにおいて天然に見出される2’-OH基に変化させることによりなされる修飾も挙げられる。例えば、置換基は、2’、3’、4’、または5’位に導入され得る。修飾された糖部分を有するヌクレオシドとしては、2’修飾されたヌクレオシド、例えば、2’置換ヌクレオシドも挙げられる。実際、2’置換ヌクレオシドを開発することに大きな焦点が向けられ、多数の2’置換ヌクレオシドが、オリゴヌクレオチドに組み込まれる場合に、増強されたヌクレオシド耐性及び増強された親和性などの有益な特性を有することが分かっている。
【0199】
II.D.2.a 2’修飾されたヌクレオシド
2’糖修飾されたヌクレオシドは、2’位にHまたは-OH以外の置換基を有する(2’置換ヌクレオシド)か、または2’連結ビラジカルを含むヌクレオシドであり、2’置換ヌクレオシド及びLNA(2’-4’ビラジカル架橋)ヌクレオシドが挙げられる。例えば、2’修飾された糖は、増強された結合親和性(例えば、親和性を増強する2’糖修飾されたヌクレオシド)及び/または増加したヌクレアーゼ耐性をオリゴヌクレオチドに付与し得る。2’置換修飾されたヌクレオシドの例は、2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA(MOE)、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-RNA、2’-フルオロ-DNA、アラビノ核酸(ANA)、及び2’-フルオロ-ANAヌクレオシドである。更なる例については、例えば、Freier & Altmann;Nucl.Acid Res.,1997,25,4429-4443;Uhlmann,Curr.Opinion in Drug Development,2000,3(2),293-213;及びDeleavey and Damha,Chemistry and Biology 2012,19,937を参照されたい。以下は、2’置換修飾されたヌクレオシドの幾つかの例である。
【化1】
【0200】
II.D.2.b ロックド核酸ヌクレオシド(LNA)
LNAヌクレオシドは、リボース環の立体構造を制限または固定する、ヌクレオシドのリボース糖環のC2’とC4’との間のリンカー基(ビラジカルまたは架橋と称される)(すなわち、2’-4’架橋)を含む修飾されたヌクレオシドである。これらのヌクレオシドは、文献において架橋核酸または二環式核酸(BNA)とも名付けられている。リボースの立体構造の固定は、オリゴヌクレオチドにLNAが組み込まれた場合の相補的なRNAまたはDNA分子に対するハイブリダイゼーションの親和性の増強(二重鎖安定化)に関連する。これは、オリゴヌクレオチド/相補体二重鎖の融解温度を測定することにより定型的に決定され得る。
【0201】
非限定的な例示的LNAヌクレオシドは、WO99/014226、WO00/66604、WO98/039352、WO2004/046160、WO00/047599、WO2007/134181、WO2010/077578、WO2010/036698、WO2007/090071、WO2009/006478、WO2011/156202、WO2008/154401、WO2009/067647、WO2008/150729、Morita et al.,Bioorganic & Med.Chem.Lett.12,73-76,Seth et al.,J.Org.Chem.2010,Vol 75(5) pp.1569-81、及びMitsuoka et al.,Nucleic Acids Research 2009,37(4),1225-1238に開示されている。
【0202】
幾つかの態様では、本開示のASOの修飾されたヌクレオシドまたはLNAヌクレオシドは、一般式IまたはIIの構造を有し:
【化2】

式中、
Wは、-O-、-S-、-N(R)-、-C(R)-、特に、-O-から選択され、
Bは、核酸塩基または修飾された核酸塩基部分であり、
Zは、隣接するヌクレオシドまたは5’末端基へのヌクレオシド間結合であり、
Z*は、隣接するヌクレオシドまたは3’末端基へのヌクレオシド間結合であり、
、R、R、R、及びR5*は、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミル、アジド、ヘテロ環、及びアリールから独立して選択され、
X、Y、R、及びRは、本明細書において定義される通りである。
【0203】
幾つかの態様では、-X-Y-、Rは、水素またはアルキル、特に、水素またはメチルである。-X-Y-の幾つかの態様では、Rは、水素またはアルキル、特に、水素またはメチルである。-X-Y-の他の態様では、R及びRの一方または両方は、水素である。-X-Y-の更なる態様では、R及びRの一方のみが水素である。-X-Y-の幾つかの態様では、R及びRの一方はメチルであり、他方は水素である。-X-Y-のある種の態様では、R及びRの両方が同時にメチルである。
【0204】
幾つかの態様では、-X-、Rは、水素またはアルキルであり、特に、水素またはメチルである。-X-の幾つかの態様では、Rは、水素またはアルキルであり、特に、水素またはメチルである。-X-の他の態様では、R及びRの一方または両方は、水素である。-X-のある種の態様では、R及びRの一方のみが水素である。-X-のある種の態様では、R及びRの一方はメチルであり、他方は水素である。-X-の他の態様では、R及びRの両方が同時にメチルである。
【0205】
幾つかの態様では、-Y-、Rは、水素またはアルキルであり、特に、水素またはメチルである。-Y-のある種の態様では、Rは、水素またはアルキルであり、特に、水素またはメチルである。-Y-の他の態様では、R及びRの一方または両方は、水素である。-Y-の幾つかの態様では、R及びRの一方のみが水素である。-Y-の他の態様では、R及びRの一方はメチルであり、他方は水素である。-Y-の幾つかの態様では、R及びRの両方が同時にメチルである。
【0206】
幾つかの態様では、R、R、R、R、及びR5*は、水素及びアルキル、特に、水素及びメチルから独立して選択される。
【0207】
幾つかの態様では、R、R、R、R、及びR5*は、全て同時に水素である。
【0208】
幾つかの態様では、R、R、Rは、全て同時に水素であり、R及びR5*の一方は水素であり、他方は上記記載の通り、特に、アルキル、より具体的にはメチルである。
【0209】
幾つかの態様では、R、R、Rは、全て同時に水素であり、R及びR5*の一方は水素であり、他方はアジドである。
【0210】
幾つかの態様では、-X-Y-は-O-CH-であり、Wは、酸素であり、R、R、R、R、及びR5*は、全て同時に水素である。かかるLNAヌクレオシドは、WO99/014226、WO00/66604、WO98/039352、及びWO2004/046160(これらは全て参照により本明細書に組み込まれる)に開示されており、かかるLNAヌクレオシドとしては、β-D-オキシLNA及びα-L-オキシLNAヌクレオシドとして当該技術分野において一般に公知であるものが挙げられる。
【0211】
幾つかの態様では、-X-Y-は、-S-CH-であり、Wは、酸素であり、R、R、R、R、及びR5*は、全て同時に水素である。かかるチオLNAヌクレオシドは、参照により本明細書に組み込まれる、WO99/014226及びWO2004/046160に開示されている。
【0212】
幾つかの態様では、-X-Y-は、-NH-CH-であり、Wは、酸素であり、R、R、R、R、及びR5*は、全て同時に水素である。かかるアミノLNAヌクレオシドは、参照により本明細書に組み込まれる、WO99/014226及びWO2004/046160に開示されている。
【0213】
幾つかの態様では、-X-Y-は、-O-CHCH-または-OCHCHCH-であり、Wは、酸素であり、R、R、R、R、及びR5*は、全て同時に水素である。かかるLNAヌクレオシドは、参照により本明細書に組み込まれる、WO00/047599及びMorita et al.,Bioorganic & Med.Chem.Lett.12,73-76に開示されており、かかるLNAヌクレオシドとしては、2’-O-4’C-エチレン架橋核酸(ENA)として当該技術分野において一般に公知であるものが挙げられる。
【0214】
幾つかの態様では、-X-Y-は、-O-CH-であり、Wは、酸素であり、R、R、Rは、全て同時に水素であり、R及びR5*の一方は、水素であり、他方は、水素ではなく、例えば、アルキル、例えば、メチルである。かかる5’置換されたLNAヌクレオシドは、参照により本明細書に組み込まれる、WO2007/134181に開示されている。
【0215】
幾つかの態様では、-X-Y-は、-O-CR-であり、式中、R及びRの一方または両方は、水素ではなく、特に、アルキル、例えば、メチルであり、Wは、酸素であり、R、R、Rは、全て同時に水素であり、R及びR5*の一方は、水素であり、他方は、水素ではなく、特に、アルキル、例えば、メチルである。かかるビス修飾されたLNAヌクレオシドは、参照により本明細書に組み込まれる、WO2010/077578に開示されている。
【0216】
幾つかの態様では、-X-Y-は、-O-CH(CH-O-CH)-である(「2’O-メトキシエチル二環式核酸」、Seth et al.,J.Org.Chem.2010,Vol 75(5) pp.1569-81)。
【0217】
幾つかの態様では、-X-Y-は、-O-CHR-であり、Wは、酸素であり、R、R、R、R、及びR5*は、全て同時に水素である。かかる6’置換LNAヌクレオシドは、WO2010/036698及びWO2007/090071に開示されており、これらは両方が参照により本明細書に組み込まれる。かかる6’置換LNAヌクレオシドにおいて、Rは、特にC1~C6アルキル、例えば、メチルである。
【0218】
幾つかの態様では、-X-Y-は、-O-CH(CH-O-CH)-であり、Wは、酸素であり、R、R、R、R、及びR5*は、全て同時に水素である。かかるLNAヌクレオシドは、環状MOE(cMOE)としても当技術分野において公知であり、WO2007/090071に開示されている。
【0219】
幾つかの態様では、-X-Y-は、-O-CH(CH)-である。
【0220】
幾つかの態様では、-X-Y-は、-O-CH-O-CH-である(Seth et al.,J.Org.Chem 2010、前掲)。
【0221】
幾つかの態様では、-X-Y-は、-O-CH(CH)-であり、Wは、酸素であり、R、R、R、R、及びR5*は、全て同時に水素である。かかる6’-メチルLNAヌクレオシドは、cETヌクレオシドとしても当該技術分野において公知であり、WO2007/090071(β-D)及びWO2010/036698(α-L)(これらは両方が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されているように、(S)-cETまたは(R)-cETジアステレオ異性体のいずれかであり得る。
【0222】
幾つかの態様では、-X-Y-は、-O-CR-であり、式中、RもRも水素ではなく、Wは、酸素であり、R、R、R、R、及びR5*は、全て同時に水素である。ある種の態様では、R及びRの両方が同時にアルキルであり、特に、両方が同時にメチルである。かかる6’ジ置換LNAヌクレオシドは、参照により本明細書に組み込まれる、WO2009/006478に開示されている。
【0223】
幾つかの態様では、-X-Y-は、-S-CHR-であり、Wは、酸素であり、R、R、R、R、及びR5*は、全て同時に水素である。かかる6’置換チオLNAヌクレオシドは、参照により本明細書に組み込まれる、WO2011/156202に開示されている。かかる6’置換チオLNAのある種の態様では、Rは、アルキル、特にメチルである。
【0224】
幾つかの態様では、-X-Y-は、-C(=CH)C(R)-であり、例えば、Wは、酸素であり、R、R、R、R、及びR5*は、全て同時に水素である。かかるビニルカルボLNAヌクレオシドは、WO2008/154401及びWO2009/067647(これらは両方が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0225】
幾つかの態様では、-X-Y-は、-N(OR)-CH-であり、Wは、酸素であり、R、R、R、R、及びR5*は、全て同時に水素である。幾つかの態様では、Rは、アルキル、例えば、メチルである。かかるLNAヌクレオシドは、N置換LNAとしても公知であり、参照により本明細書に組み込まれる、WO2008/150729に開示されている。
【0226】
幾つかの態様では、-X-Y-は、-O-NCH-である(Seth et al.,J.Org.Chem 2010、前掲)。
【0227】
幾つかの態様では、-X-Y-は、ON(R)-、-N(R)-O-、-NR-CR-CR-、または-NR-CR-であり、Wは、酸素であり、R、R、R、R、及びR5*は、全て同時に水素である。ある種の態様では、Rは、アルキル、例えば、メチルである。(Seth et al.,J.Org.Chem 2010、前掲)。
【0228】
幾つかの態様では、R及びR5*は、両方が同時に水素である。他の態様では、R及びR5*の一方は、水素であり、他方は、アルキル、例えば、メチルである。かかる態様では、R、R、及びRは、特に水素であり得、-X-Y-は、特に、-O-CH-または-O-CHC(R-、例えば、-O-CH(CH)-であり得る。
【0229】
幾つかの態様では、-X-Y-は、-CR-O-CR-、例えば、-CH-O-CH-であり、Wは、酸素であり、R、R、R、R、及びR5*は、全て同時に水素である。かかる態様では、Rは、特にアルキル、例えば、メチルであり得る。かかるLNAヌクレオシドは、立体配座固定ヌクレオチド(CRN)としても公知であり、参照により本明細書に組み込まれる、WO2013/036868に開示されている。
【0230】
幾つかの態様では、-X-Y-は、-O-CR-O-CR-、例えば、-O-CH-O-CH-であり、Wは、酸素であり、R、R、R、R、及びR5*は、全て同時に水素である。ある種の態様では、Rは、特にアルキル、例えば、メチルであり得る。かかるLNAヌクレオシドは、COCヌクレオチドとしても公知であり、参照により本明細書に組み込まれる、Mitsuoka et al.,Nucleic Acids Research 2009,37(4),1225-1238に開示されている。
【0231】
明記しない限り、LNAヌクレオシドは、β-D型またはα-L型ステレオアイソフォームであり得ることが理解されるであろう。
【0232】
LNAヌクレオシドの特定の例は、スキーム1に示される。


【化3】
【0233】
他箇所で示されるように、本開示の幾つかの態様では、オリゴヌクレオチドにおけるLNAヌクレオシドは、β-D-オキシ-LNAヌクレオシドである。
【0234】
II.E.ヌクレアーゼにより媒介される分解
ヌクレアーゼにより媒介される分解は、相補的なヌクレオチド配列と二重鎖を形成する場合に、このような配列の分解を媒介することができるオリゴヌクレオチドを指す。
【0235】
幾つかの態様では、オリゴヌクレオチドは、ヌクレアーゼにより媒介される標的核酸の分解により機能し得、ここで、本開示のオリゴヌクレオチドは、ヌクレアーゼ、及び特にエンドヌクレアーゼ、好ましくはエンドリボヌクレアーゼ(RNアーゼ)、例えば、RNアーゼHを動員することができる。ヌクレアーゼにより媒介されるメカニズムにより機能するオリゴヌクレオチド設計の例は、典型的には、少なくとも5つまたは6つのDNAヌクレオシドの領域を含み、片側または両側が親和性を増強するヌクレオシド、例えば、ギャップマーと隣接するオリゴヌクレオチドである。
【0236】
II.F.RNアーゼH活性及び動員
アンチセンスオリゴヌクレオチドのRNアーゼH活性は、相補的RNA分子との二重鎖である場合に、RNアーゼHを動員し、相補的RNA分子の分解を誘発するアンチセンスオリゴヌクレオチドの能力を指す。WO01/23613は、RNアーゼH活性を決定するためのインビトロでの方法を提供し、これはRNアーゼHを動員する能力を決定するために使用され得る。典型的には、オリゴヌクレオチドは、相補的な標的核酸配列が与えられる時に、そのオリゴヌクレオチドが、試験される修飾されたオリゴヌクレオチドと同じ塩基配列を有するが、DNA単量体のみを含有するオリゴヌクレオチドであって、当該オリゴヌクレオチドにおける全ての単量体間にホスホロチオエート結合を有する当該オリゴヌクレオチドを使用し、WO01/23613の実施例91~95により提供される方法を使用する場合に決定された初速度の少なくとも5%、例えば、少なくとも10%または20%超の初速度(pmol/l/分で測定される)を有する場合、RNアーゼHを動員することができるとみなされる。
【0237】
幾つかの態様では、オリゴヌクレオチドは、相補的な標的核酸が与えられる時に、RNアーゼH初速度(pmol/l/分で測定される)が、試験されるオリゴヌクレオチドと同じ塩基配列を有するが、DNA単量体のみを含有し、2’置換を有さないオリゴヌクレオチドであって、当該オリゴヌクレオチドにおける全ての単量体間にホスホロチオエート結合を有する当該オリゴヌクレオチドを使用し、WO01/23613の実施例91~95により提供される方法を使用する場合に決定された初速度の20%未満、例えば、10%未満、例えば、5%未満である場合、本質的にRNアーゼHを動員することができないとみなされる。
【0238】
II.G.ASOの設計
本開示のASOは、ヌクレオシド及びヌクレオシド類似体を含むヌクレオチド配列を含み得、ギャップマー、ミックスマー、またはトータルマー(totalmer)の形態であり得る。幾つかの態様では、ASOは、ギャップマーである。幾つかの態様では、ASOは、ミックスマーである。幾つかの態様では、ASOは、トータルマー(totalmer)である。本開示のASOと共に使用され得るギャップマー、ミックスマー、またはトータルマー(totalmer)の構成の例は、米国特許出願公開第2012/0322851号に記載されており、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0239】
本明細書で使用する場合、用語「ギャップマー」は、RNアーゼHを動員するオリゴヌクレオチドの領域(ギャップ)を含み、この領域の5’及び3’が1つ以上の親和性を増強する修飾されたヌクレオシド(隣接部)と隣接しているアンチセンスオリゴヌクレオチドを指す。用語「LNAギャップマー」は、少なくとも1つの親和性を増強する修飾されたヌクレオシドがLNAヌクレオシドであるギャップマーオリゴヌクレオチドである。用語「混合ウィングギャップマー」は、隣接領域が少なくとも1つのLNAヌクレオシド及び少なくとも1つのDNAヌクレオシドまたは非LNA修飾されたヌクレオシド、例えば、少なくとも1つの2’置換修飾されたヌクレオシド、例えば、2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA(MOE)、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-RNA、2’-フルオロ-DNA、アラビノ核酸(ANA)、及び2’-フルオロ-ANAヌクレオシド(複数可)を含むLNAギャップマーを指す。
【0240】
「ミックスマー」と称される他の「キメラ」ASOは、(i)RNアーゼにより認識可能及び切断可能なDNA単量体またはヌクレオシド類似体単量体、及び(ii)RNアーゼを動員しないヌクレオシド類似体単量体の交互組成からなる。
【0241】
「トータルマー(totalmer)」は、非天然ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体のみを含む一本鎖ASOである。
【0242】
幾つかの態様では、一部のヌクレオシド類似体は、標的領域に対するASOの親和性を増強するだけでなく、RNアーゼ(例えば、RNアーゼH)結合及び切断も媒介する。α-L-LNA単量体は、RNアーゼH活性をある程度動員するため、幾つかの態様では、α-L-LNA単量体を含有するASOのギャップ領域(例えば、本明細書において述べる領域B)は、RNアーゼHにより認識可能及び切断可能なより少数の単量体からなり、ミックスマーの構築により多くの柔軟性がもたらされる。
【0243】
II.G.1.ギャップマーの設計
幾つかの態様では、本開示のASOは、ギャップマーであり、本明細書において領域B(B)と称される、RNアーゼHなどのRNアーゼを動員することができる連続したヌクレオチドの区間(例えば、1つ以上のDNA)を含み、ここで、領域Bは、5’側及び3’側の両方が領域Bの連続ヌクレオチド区間の5’及び3’側に存在するヌクレオシド類似体の領域と隣接している。これらの領域は、それぞれ領域A(A)及びC(C)と称される。幾つかの態様では、ヌクレオシド類似体は、糖修飾されたヌクレオシド(例えば、高親和性糖修飾されたヌクレオシド)である。ある種の態様では、領域A及びCの糖修飾されたヌクレオシドは、標的核酸に対するASOの親和性を増強する(すなわち、親和性を増強する2’糖修飾されたヌクレオシド)。幾つかの態様では、糖修飾されたヌクレオシドは、2’糖修飾されたヌクレオシド、例えば、高親和性2’糖修飾、例えば、LNA及び/または2’-MOEである。
【0244】
ギャップマーにおいて、領域Bのほとんどの5’及び3’ヌクレオシドは、DNAヌクレオシドであり、それぞれ領域A及びCのヌクレオシド類似体(例えば、高親和性糖修飾されたヌクレオシド)に隣接して配置される。幾つかの態様では、領域A及びCは、領域Bから最も遠い末端に(すなわち、領域Aの5’末端及び領域Cの3’末端に)ヌクレオシド類似体を有すると更に定義され得る。
【0245】
幾つかの態様では、本開示のASOは、式(5’~3’)A-B-Cのヌクレオチド配列を含み、式中、(A)(5’領域または第1のウィング配列)は、少なくとも1つのヌクレオシド類似体(例えば、3~5LNA単位)を含み、(B)は、RNアーゼを動員することができる(相補的RNA分子、例えば、プレmRNAまたはmRNA標的と共に二重鎖が形成される場合に)少なくとも4つの連続ヌクレオシド(例えば、4~24DNA単位)を含み、(C)(3’領域または第2のウィング配列)は、少なくとも1つのヌクレオシド類似体(例えば、3~5LNA単位)を含む。
【0246】
幾つかの態様では、領域Aは、3~5つのヌクレオチド類似体、例えば、LNAを含み、領域Bは、6~24(例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、または14)DNA単位からなり、領域Cは、3または4つのヌクレオチド類似体、例えば、LNAからなる。かかる設計(A-B-C)の非限定的な例としては、3-8-3、3-9-3、3-10-3、3-11-3、3-12-3、3-13-3、3-14-3、4-9-4、4-10-4、4-11-4、4-12-4、及び5-10-5が挙げられる。幾つかの態様では、ASOは、LLLDLLL、LLLLDLLLL、またはLLLLLDLLLLLの設計を有し、ここで、Lはヌクレオシド類似体であり、DはDNAであり、nは4~24の任意の整数であり得る。幾つかの態様では、nは、6~14の任意の整数であり得る。幾つかの態様では、nは、8~12の任意の整数であり得る。幾つかの態様では、ASOは、LLLMMDMMLLL、LLLMDMLLL、LLLLMMDMMLLLL、LLLLMDMLLLL、LLLLLLMMDMMLLLLL、またはLLLLLLMDMLLLLLの設計を有し、ここで、DはDNAであり、nは3~15の任意の整数であり得、LはLNAであり、Mは2’MOEである。
【0247】
更なるギャップマー設計は、WO2004/046160、WO2007/146511、及びWO2008/113832に開示されており、これらの各々は参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0248】
II.H.ヌクレオチド間結合
本明細書に記載されるASOの単量体は、結合基により連結されている。好適には、各単量体は、結合基により3’側に隣接する単量体に連結されている。
【0249】
当業者は、本開示の文脈において、ASOの5’末端の単量体が5’結合基を含まないが、5’末端基を含んでいても含んでいなくてもよいことを理解するであろう。
【0250】
幾つかの態様では、連続ヌクレオチド配列は、1つ以上の修飾されたヌクレオシド間結合を含む。用語「結合基」または「ヌクレオシド間結合」は、2つのヌクレオシドを共有結合的に連結することができる基を意味することを意図する。非限定的な例としては、リン酸基及びホスホロチオエート基が挙げられる。
【0251】
本開示のASOのヌクレオシドまたはその連続ヌクレオシド配列は、結合基により連結されている。好適には、各ヌクレオシドは、結合基により3’側に隣接するヌクレオシドに連結されている。
【0252】
幾つかの態様では、ヌクレオシド間結合は、その通常のホスホジエステルからヌクレアーゼ攻撃に対してより耐性を示すもの、例えば、RNアーゼHにより切断可能であり、標的遺伝子の発現の低減におけるアンチセンス阻害の経路も可能にするホスホロチオエートに修飾される。幾つかの態様では、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のヌクレオシド間結合が修飾される。
【0253】
III.細胞外小胞、例えば、エキソソーム
本明細書において、例えば、哺乳動物細胞、例えば、腫瘍細胞、例えば、膵臓腫瘍細胞におけるKRAS転写物(例えば、KRAS mRNA)またはKRASタンパク質の発現を低減及び/または阻害することができるEV、例えば、エキソソームが開示される。本開示において有用なEV、例えば、エキソソームは、ASO(例えば、本明細書に記載されるASO)を産生するように操作されている。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、ASO(例えば、本明細書に記載されるASO)を含む。本明細書に記載されるように、幾つかの態様では、EVは、変異型KRAS転写物の核酸配列の領域に相補的なASOを含み、ここで、当該ASOが相補性を示す当該核酸配列の当該領域は、野生型KRAS転写物の対応する領域と比較して変異を含む。かかる変異の非限定的な例は、本開示の他箇所で開示される。ある種の態様では、本明細書において開示されるEV(例えば、エキソソーム)は、KRAS G12D転写物の核酸配列の領域に相補的なASOを含み、ここで、当該領域は、G12D変異/バリアントをコードする。
【0254】
幾つかの態様では、本明細書に記載されるEV、例えば、エキソソームは、少なくとも1種のASOを含む。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、少なくとも2種のASO、例えば、第1のヌクレオチド配列を含む第1のASO及び第2のヌクレオチド配列を含む第2のASOを含む。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、少なくとも3種のASO、少なくとも4種のASO、少なくとも5種のASO、少なくとも6種のASO、または6種超のASOを含む。幾つかの態様では、第1のASO、第2のASO、第3のASO、第4のASO、第5のASO、第6のASO、及び/または第NのASOの各々は異なる(例えば、異なる連続ヌクレオチド配列、異なる設計、または本明細書において開示される任意の他の修飾を含む)。
【0255】
幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、第1のASO及び第2のASOを含み、ここで、当該第1のASOは、第1の転写物の第1の標的配列に相補的な第1の連続ヌクレオチド配列を含み、当該第2のASOは、当該第1の転写物の第2の標的配列に相補的な第2のヌクレオチド配列を含む。幾つかの態様では、第1の標的配列は、第2の標的配列と重複しない。幾つかの態様では、第1の標的配列は、転写物の5’UTR内の少なくとも1ヌクレオチドを含み、第2の標的配列は、5’UTR内のヌクレオチドを含まない。幾つかの態様では、第1の標的配列は、転写物の3’UTR内の少なくとも1ヌクレオチドを含み、第2の標的配列は、3’UTR内のヌクレオチドを含まない。幾つかの態様では、第1の標的配列は、転写物の5’UTR内の少なくとも1ヌクレオチドを含み、第2の標的配列は、3’UTR内の少なくとも1ヌクレオチドを含む。
【0256】
幾つかの態様では、第1のASOは、エキソン-イントロンジャンクション内の配列を標的とし、第2のASOは、エキソン-イントロンジャンクション内の配列を標的とする。幾つかの態様では、第1のASOは、エキソン-イントロンジャンクション内の配列を標的とし、第2のASOは、エキソン内の配列を標的とする。幾つかの態様では、第1のASOは、エキソン-イントロンジャンクション内の配列を標的とし、第2のASOは、イントロン内の配列を標的とする。幾つかの態様では、第1のASOは、エキソン内の配列を標的とし、第2のASOは、エキソン内の配列を標的とする。幾つかの態様では、第1のASOはイントロン内の配列を標的とし、第2のASOはエキソン内の配列を標的とする。幾つかの態様では、第1のASOはイントロン内の配列を標的として、第2のASOはイントロン内の配列を標的とする。
【0257】
幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、第1のASO及び第2のASOを含み、ここで、当該第1のASOは、第1の転写物の第1の標的配列に相補的な第1のヌクレオチド配列を含み、当該第2のASOは、第2の転写物の第2の標的配列に相補的な第2のヌクレオチド配列を含み、当該第1の転写物は、当該第2の転写物と同一遺伝子の生成物ではない。
【0258】
ある種の態様では、本開示のEV、例えば、エキソソームは、対象内の特定の細胞または組織を標的とするように操作され得る。例えば、幾つかの態様では、本開示のEV(例えば、エキソソーム)は、EVの表面に1種以上の標的化/指向性部分を提示するように改変され得る。本明細書に記載されるように、かかる部分は、EVの特定の細胞または組織への移動を変化させ、及び/または増強することができる。かかるEVに関する更なる開示が本開示の他箇所で提供される。
【0259】
本明細書において開示されるEV(例えば、エキソソーム)により標的とされ得る細胞の非限定的な例としては、以下が挙げられる:腫瘍細胞、樹状細胞、T細胞、B細胞、好中球、骨髄由来抑制性細胞(MDSC、例えば、単球型MDSCまたは顆粒球型MDSC)、単球、マクロファージ、NK細胞、血小板、神経細胞、肝細胞、造血幹細胞、脂肪細胞、好塩基球、好酸球、またはそれらの任意の組み合わせ。幾つかの態様では、本明細書において開示されるEV(例えば、KRASを標的とするASOを含むエキソソーム)は、腫瘍細胞を標的とする。幾つかの態様では、腫瘍細胞は、結腸直腸癌、肺癌(例えば、非小細胞肺癌(NSCLC))、膵臓癌(例えば、膵管腺癌(PDAC))、白血病、子宮癌、卵巣癌、膀胱癌、胆管癌、胃癌(gastric cancer)、胃癌(stomach cancer)、精巣癌、食道癌、胆管癌、子宮頸癌、急性骨髄性白血病(AML)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBC)、肉腫、黒色腫、神経膠腫(例えば、低悪性度神経膠腫、例えば、グリア芽細胞腫)、中皮腫、肝臓癌、乳癌(例えば、浸潤性乳癌)、腎臓癌(例えば、乳頭状腎細胞癌(pRCC)及び嫌色素性腎細胞癌)、頭頸部癌、前立腺癌、腺様嚢胞癌(ACC)、胸腺癌、甲状腺癌、淡明細胞型腎細胞癌(CCRCC)、神経内分泌腫瘍(例えば、褐色細胞腫/傍神経節腫)、ブドウ膜黒色腫、またはそれらの任意の組み合わせから選択されるがんに由来する。ある種の態様では、腫瘍細胞は、膵臓癌細胞である。ある種の態様では、本開示のEVは、マクロファージを標的とする。本開示のEV(例えば、エキソソーム)により標的とされ得る組織の非限定的な例としては、肝臓、心臓、肺、脳、腎臓、中枢神経系、末梢神経系、脳脊髄液(CSF)、筋肉(例えば、骨格筋、心筋)、骨、骨髄、血液、脾臓、リンパ節、胃、食道、横隔膜、膀胱、大腸、膵臓、甲状腺、唾液腺、副腎、下垂体、胸部、皮膚、卵巣、子宮、前立腺、精巣、頸部、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0260】
上記のように、本明細書に記載されるEV、例えば、エキソソームは、約20~300nmの直径を有する細胞外小胞である。ある種の態様では、本開示のEV、例えば、エキソソームは、約20~290nm、20~280nm、20~270nm、20~260nm、20~250nm、20~240nm、20~230nm、20~220nm、20~210nm、20~200nm、20~190nm、20~180nm、20~170nm、20~160nm、20~150nm、20~140nm、20~130nm、20~120nm、20~110nm、20~100nm、20~90nm、20~80nm、20~70nm、20~60nm、20~50nm、20~40nm、20~30nm、30~300nm、30~290nm、30~280nm、30~270nm、30~260nm、30~250nm、30~240nm、30~230nm、30~220nm、30~210nm、30~200nm、30~190nm、30~180nm、30~170nm、30~160nm、30~150nm、30~140nm、30~130nm、30~120nm、30~110nm、30~100nm、30~90nm、30~80nm、30~70nm、30~60nm、30~50nm、30~40nm、40~300nm、40~290nm、40~280nm、40~270nm、40~260nm、40~250nm、40~240nm、40~230nm、40~220nm、40~210nm、40~200nm、40~190nm、40~180nm、40~170nm、40~160nm、40~150nm、40~140nm、40~130nm、40~120nm、40~110nm、40~100nm、40~90nm、40~80nm、40~70nm、40~60nm、40~50nm、50~300nm、50~290nm、50~280nm、50~270nm、50~260nm、50~250nm、50~240nm、50~230nm、50~220nm、50~210nm、50~200nm、50~190nm、50~180nm、50~170nm、50~160nm、50~150nm、50~140nm、50~130nm、50~120nm、50~110nm、50~100nm、50~90nm、50~80nm、50~70nm、50~60nm、60~300nm、60~290nm、60~280nm、60~270nm、60~260nm、60~250nm、60~240nm、60~230nm、60~220nm、60~210nm、60~200nm、60~190nm、60~180nm、60~170nm、60~160nm、60~150nm、60~140nm、60~130nm、60~120nm、60~110nm、60~100nm、60~90nm、60~80nm、60~70nm、70~300nm、70~290nm、70~280nm、70~270nm、70~260nm、70~250nm、70~240nm、70~230nm、70~220nm、70~210nm、70~200nm、70~190nm、70~180nm、70~170nm、70~160nm、70~150nm、70~140nm、70~130nm、70~120nm、70~110nm、70~100nm、70~90nm、70~80nm、80~300nm、80~290nm、80~280nm、80~270nm、80~260nm、80~250nm、80~240nm、80~230nm、80~220nm、80~210nm、80~200nm、80~190nm、80~180nm、80~170nm、80~160nm、80~150nm、80~140nm、80~130nm、80~120nm、80~110nm、80~100nm、80~90nm、90~300nm、90~290nm、90~280nm、90~270nm、90~260nm、90~250nm、90~240nm、90~230nm、90~220nm、90~210nm、90~200nm、90~190nm、90~180nm、90~170nm、90~160nm、90~150nm、90~140nm、90~130nm、90~120nm、90~110nm、90~100nm、100~300nm、110~290nm、120~280nm、130~270nm、140~260nm、150~250nm、160~240nm、170~230nm、180~220nm、または190~210nmの直径を有する。本明細書に記載されるEV、例えば、エキソソームのサイズは、以下に記載される方法により測定され得る。
【0261】
幾つかの態様では、本開示のEV、例えば、エキソソームは、内部(内腔)表面及び外部表面を含む二重脂質膜(「EV、例えば、エキソソームの膜」)を含む。ある種の態様では、内部(内腔)表面は、EV、例えば、エキソソームの内核(すなわち、内腔)に面する。ある種の態様では、外部表面は、産生細胞または標的細胞のエンドソーム、多胞体、または膜/細胞質と接触し得る。
【0262】
幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームの膜は、脂質及び脂肪酸を含む。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームの膜は、リン脂質、糖脂質、脂肪酸、スフィンゴ脂質、ホスホグリセリド、ステロール、コレステロール、及びホスファチジルセリンを含む。
【0263】
幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームの膜は、内葉及び外葉を含む。内葉及び外葉の組成は、当該技術分野において公知の二重層内分布アッセイにより決定され得る。例えば、Kuypers et al.,Biohim Biophys Acta 1985 819:170を参照のこと。幾つかの態様では、外葉の組成は、約70~90%のコリンリン脂質、約0~15%の酸性リン脂質、及び約5~30%のホスファチジルエタノールアミンである。幾つかの態様では、内葉の組成は、約15~40%のコリンリン脂質、約10~50%の酸性リン脂質、及び約30~60%のホスファチジルエタノールアミンである。
【0264】
幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームの膜は、1種以上の多糖、例えば、グリカンを含む。
【0265】
幾つかの態様では、本開示のEV、例えば、エキソソームは、ASOを含み、ここで、当該ASOは、EVの外部表面またはEVの内腔表面のいずれかで足場部分を介してEVに連結される。
【0266】
幾つかの態様では、ASOを含むEV、例えば、エキソソームは、ASOとエキソソーム膜との間のリンカーを任意に含むアンカー部分を含む。リンカーの非限定的な例は、本明細書の他箇所で開示される。
【0267】
III.A.アンカー部分(AM)
ASOを本開示のEVに係留するために、1種以上のアンカー部分(AM)が使用され得る。幾つかの態様では、ASOは、アンカー部分に直接的に、またはリンカーを介して連結される。幾つかの態様では、ASOは、「反応性基」(RG;例えば、アミン、チオール、ヒドロキシ、カルボン酸、またはアジド)と「反応性部分」(RM;例えば、マレイミド、コハク酸、NHS)との間の反応によりアンカー部分またはリンカーの組み合わせに結合され得る。幾つかの可能な合成経路、例えば、以下が想定される:
[AM]-/反応性部分/ + /反応性基/-[ASO]
[AM]-[リンカー]n-/反応性部分/ + /反応性基/-[ASO]
[AM]-/反応性部分/ + /反応性基/-[リンカー]n-[ASO]
[AM]-[リンカー]n-/反応性部分/ + /反応性基/-[リンカー]n-[ASO]
【0268】
アンカー部分は、EV、例えば、エキソソームの脂質二重層に挿入され得、これにより、エキソソームへのASOのローディングが可能となる。現在、極性のASOの送達媒体としてのエキソソームの商業化における主な障害は、非常に非効率的なローディングである。この障害は、エキソソームにASOをロードする前に、極性のASOを修飾することにより克服され得る。従って、本明細書に記載されるように、ASOの修飾は、エキソソームへのそれらのローディングを促進する。
【0269】
本明細書に記載される修飾された極性のASOをエキソソームにロードする方法は、例えば、エレクトロポレーションまたはカチオン脂質形質移入による未修飾のASOのエキソソームへの導入について以前に報告されたローディング効率と比較して、ローディング効率を大幅に改善する。
【0270】
幾つかの態様では、修飾は、ASOの疎水性を天然(未修飾)のASOと比較して少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、または少なくとも約10倍増加させる。幾つかの態様では、修飾は、ASOの疎水性を天然(未修飾)のASOと比較して少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9、または少なくとも約10桁増加させる。
【0271】
幾つかの態様では、修飾は、ASOの疎水性を天然(未修飾)のASO、例えば、対応する未修飾ASOと比較して少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約175%、少なくとも約200%、少なくとも約250%、少なくとも約300%、少なくとも約350%、少なくとも約400%、少なくとも約450%、少なくとも約500%、少なくとも約600%、少なくとも約700%、少なくとも約800%、少なくとも約900%、または少なくとも約1000%増加させる。疎水性の増加は、任意の好適な方法を使用して評価され得る。例えば、疎水性は、水などの水性溶媒での溶解度と比較したオクタノールなどの有機溶媒での溶解度百分率を測定することにより決定され得る。
【0272】
幾つかの態様では、ASOの疎水性性質を増強するために、アンカー部分がASOに化学的にコンジュゲートされ得る。代表的な態様では、アンカー部分は、ステロール(例えば、コレステロール)、GM1、脂質、ビタミン、低分子、ペプチド、またはそれらの組み合わせである。幾つかの態様では、部分は、脂質である。幾つかの態様では、アンカー部分は、ステロール、例えば、コレステロールである。追加の疎水性部分としては、例えば、リン脂質、リゾリン脂質、脂肪酸、またはビタミン(例えば、ビタミンDまたはビタミンE)が挙げられる。
【0273】
幾つかの態様では、アンカー部分は、ASOの末端に直接コンジュゲートされるか、または1つ以上のリンカーを介してコンジュゲートされるかのいずれかである(すなわち、「末端修飾」)。他の態様では、アンカー部分は、ASOの他の部分にコンジュゲートされる。
【0274】
幾つかの態様では、ASOは、検出可能な標識を含み得る。例示的な標識としては、蛍光標識及び/または放射性標識が挙げられる。幾つかの態様では、ASOが蛍光標識される場合、検出可能な標識は、例えば、Cy3であり得る。ASOへの検出可能な標識の付加は、エキソソームを標識する方法及びそれらの体内分布を追跡する方法として使用され得る。他の態様では、検出可能な標識は、例えば、エキソソーム脂質及び/またはエキソソームペプチドを標識することによりエキソソームに直接結合され得る。
【0275】
ASOの異なる構成要素(すなわち、アンカー部分、リンカー及びリンカーの組み合わせ、ならびにASO)は、アミド、エステル、エーテル、チオエーテル、ジスルフィド、ホスホロアミダート、ホスホトリエステル、ホスホロジチオエート、メチルホスホネート、ホスホジエステル、もしくはホスホロチオエート結合、または代替的に任意の、もしくは他の結合により連結され得る。
【0276】
幾つかの態様では、ASOの異なる構成要素は、二官能性リンカー(すなわち、2つの官能基を含有するリンカー)を使用したリンカー、例えば、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート、N-4-マレイミド酪酸、S-(2-ピリジルジチオ)システアミン、ヨードアセトキシスクシンイミド、N-(4-マレイミドブチルオキシ)スクシンイミド、N-[5-(3’-マレイミドプロピルアミド)-1-カルボキシペンチル]イミノ二酢酸、N-(5-アミノペンチル)-イミノ二酢酸などであり得る。
【0277】
III.A.1.アンカー部分
ASOをEV、例えば、エキソソームの表面に係留することができる好適なアンカー部分は、以下で詳細に記載されるように、例えば、ステロール(例えば、コレステロール)、脂質、リゾリン脂質、脂肪酸、または脂溶性ビタミンを含む。
【0278】
幾つかの態様では、アンカー部分は、脂質であり得る。脂質アンカー部分は、当該技術分野において公知の任意の脂質、例えば、パルミチン酸またはグリコシルホスファチジルイノシトールであり得る。幾つかの態様では、脂質は、脂肪酸、ホスファチド、リン脂質(例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、またはホスファチジルエタノールアミン)、またはその類似体(例えば、ホスファチジルコリン、レシチン、ホスファチジルエタノールアミン、ケファリン、もしくはホスファチジルセリン、またはそれらの類似体もしくは一部、例えば、それらの部分的に加水分解された部分)である。ある種の態様では、アンカー部分は、コレステロールである。本開示に有用なコレステロール分子の非限定的な例は、図6A及び6Bに提供される。幾つかの態様では、アンカー部分は、図6Aに示すコレステロールである(本明細書において「Chol2」とも称される)。幾つかの態様では、アンカー部分は、図6Bに示すコレステロールである(本明細書において「Chol4」とも称される)。コレステロールアンカー部分に関する追加の開示が以下で更に提供される。
【0279】
通常、アンカー部分は化学的に結合される。しかしながら、アンカー部分は、酵素によりASOに結合され得る。幾つかの態様では、細胞培養条件の改変によりアンカー部分をASOに結合させることができる。例えば、ミリスチン酸が制限された培養培地を使用することにより、より短鎖かつ不飽和の脂肪酸が含まれる幾つかの他の脂肪酸がN末端グリシンに結合され得る。例えば、BKチャネルにおいて、ミリステートが、ヒドロキシエステル結合を介して内部セリン/トレオニンまたはチロシン残基に翻訳後に結合されることが報告されている。
【0280】
アンカー部分は、化学的に可能な任意の位置で、例えば、ASOの5’及び/または3’末端で直接的に、またはリンカーの組み合わせを介して間接的にASOに結合され得る。一態様では、アンカー部分は、ASOの3’末端のみにコンジュゲートされる。一態様では、アンカー部分は、ASOの5’末端のみにコンジュゲートされる。一態様では、アンカー部分は、ASOの3’末端または5’末端でない位置でコンジュゲートされる。
【0281】
本開示の方法を実施するために使用され得る幾つかの種類の膜アンカーが以下の表に掲示される。
【化4】
【0282】
幾つかの態様では、本開示のアンカー部分は、本明細書において開示される2種類以上のアンカー部分を含み得る。例えば、幾つかの態様では、アンカー部分は、まとめると6~80個の炭素原子(すなわち、6~80の等価炭素数(ECN))を有する2種の脂質、例えば、リン脂質及び脂肪酸、または2種のリン脂質、または2種の脂肪酸、または脂質及びビタミン、またはコレステロール及びビタミンなど、を含み得る。
【0283】
幾つかの態様では、アンカー部分の組み合わせ、例えば、脂質(例えば、脂肪酸)の組み合わせは、6~80、8~80、10~80、12~80、14~80、16~80、18~80、20~80、22~80、24~80、26~80、28~80、30~80、4~76、6~76、8~76、10~76、12~76、14~76、16~76、18~76、20~76、22~76、24~76、26~76、28~76、30~76、6~72、8~72、10~72、12~72、14~72、16~72、18~72、20~72、22~72、24~72、26~72、28~72、30~72、6~68、8~68、10~68、12~68、14~68、16~68、18~68、20~68、22~68、24~68、26~68、28~68、30~68、6~64、8~64、10~64、12~64、14~64、16~64、18~64、20~64、22~64、24~64、26~64、28~64、30~64、6~60、8~60、10~60、12~56、14~56、16~56、18~56、20~56、22~56、24~56、26~56、28~56、30~56、6~52、8~52、10~52、12~52、14~52、16~52、18~52、20~52、22~52、24~52、26~52、28~52、30~52、6~48、8~48、10~48、12~48、14~48、16~48、18~48、20~48、22~48、24~48、26~48、28~48、30~48、6~44、8~44、10~44、12~44、14~44、16~44、18~44、20~44、22~44、24~44、26~44、28~44、30~44、6~40、8~40、10~40、12~40、14~40、16~40、18~40、20~40、22~40、24~40、26~40、28~40、30~40、6~36、8~36、10~36、12~36、14~36、16~36、18~36、20~36、22~36、24~36、26~36、28~36、30~36、6~32、8~32、10~32、12~32、14~32、16~32、18~32、20~32、22~32、24~32、26~32、28~32、または30~32のECNを有する。
【0284】
III.A.1.a.コレステロール及び他のステロール
幾つかの態様では、アンカー部分は、ステロール、ステロイド、ホパノイド、水酸化ステロイド、セコステロイド、または親油性を有するそれらの類似体を含む。幾つかの態様では、アンカー部分は、ステロール、例えば、植物ステロール、菌類ステロール、または動物ステロールを含む。例示的な動物ステロールとしては、コレステロール及び24S-ヒドロキシコレステロールが挙げられる。例示的な植物ステロールとしては、エルゴステロール(菌類ステロール)、カンペステロール、シトステロール、及びスチグマステロールが挙げられる。幾つかの態様では、ステロールは、エルゴステロール、7-デヒドロコレステロール、コレステロール、24S-ヒドロキシコレステロール、ラノステロール、シクロアルテノール、フコステロール、サリンゴステロール、カンペステロール、β-シトステロール、シトスタノール、コプロスタノール、アベナステロール、またはスチグマステロールから選択される。ステロールは、遊離ステロール、アシル化されたステロール(ステロールエステル)、アルキル化されたステロール(ステリルアルキルエーテル)、硫酸化されたステロール(硫酸ステロール)、またはグリコシド部分に連結されたステロール(ステリルグリコシド)のいずれかとして見出され得、グリコシド部分に連結されたステロールは、それ自体がアシル化され得る(アシル化ステロールグリコシド)。
【0285】
幾つかの態様では、アンカー部分は、ステロイドを含む。幾つかの態様では、ステロイドは、ジヒドロテストステロン、ウバオール、ヘコゲニン(hecigenin)、ジオスゲニン、プロゲステロン、またはコルチゾールから選択される。
【0286】
例えば、ステロールは、ステロールの利用可能な-OH基でASOに直接的に、またはリンカーの組み合わせを介してコンジュゲートされ得る。例示的なステロールは、以下に示される一般的な骨格を有する:
【化5】
【0287】
更なる例として、エルゴステロールは、以下の構造を有する:
【化6】
【0288】
コレステロールは、以下の構造を有する:
【化7】
【0289】
従って、幾つかの態様では、ステロールまたはステロイドの遊離-OH基は、ASOを当該ステロール(例えば、コレステロール)またはステロイドに直接的に、またはリンカーの組み合わせを介してコンジュゲートするために使用される。
【0290】
III.A.1.b.脂肪酸
幾つかの態様では、アンカー部分は、脂肪酸である。幾つかの態様では、脂肪酸は、短鎖、中鎖、または長鎖脂肪酸である。幾つかの態様では、脂肪酸は、飽和脂肪酸である。幾つかの態様では、脂肪酸は、不飽和脂肪酸である。幾つかの態様では、脂肪酸は、一不飽和脂肪酸である。幾つかの態様では、脂肪酸は、多価不飽和脂肪酸、例えば、ω-3(オメガ-3)またはω-6(オメガ-6)脂肪酸である。
【0291】
幾つかの態様では、脂質、例えば、脂肪酸は、C~C60鎖を有する。幾つかの態様では、脂質、例えば、脂肪酸は、C~C28鎖を有する。幾つかの態様では、脂肪酸は、C~C40鎖を有する。幾つかの態様では、脂肪酸は、C~C12鎖またはC~C12鎖を有する。幾つかの態様では、脂肪酸は、C~C40鎖を有する。幾つかの態様では、脂肪酸は、C~C40、C~C38、C~C36、C~C34、C~C32、C~C30、C~C30、C~C28、C~C28、C~C26、C~C26、C~C24、C~C24、C~C24、C~C24、C10~C24、C~C22、C~C22、C~C22、C~C22、C10~C22、C~C20、C~C20、C~C20、C~C20、C10~C20、C~C18、C~C18、C~C18、C~C18、C10~C18、C12~C18、C14~C18、C16~C18、C~C16、C~C16、C~C16、C~C16、C10~C16、C12~C16、C14~C16、C~C15、C~C15、C~C15、C~C15、C~C15、C10~C15、C11~C15、C12~C15、C13~C15、C~C14、C~C14、C~C14、C~C14、C~C14、C10~C14、C11~C14、C12~C14、C~C13、C~C13、C~C13、C~C13、C~C13、C~C13、C10~C13、C10~C13、C11~C13、C~C12、C~C12、C~C12、C~C12、C~C12、C~C12、C10~C12、C~C11、C~C11、C~C11、C~C11、C~C11、C~C11、C~C10、C~C10、C~C、C~C、C~C、C~C、C~C、C~C、またはC~C鎖を有する。幾つかの態様では、脂肪酸は、C、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20、C21、C22、C23、C24、C25、C26、C27、C28、C29、C30、C31、C32、C33、C34、C35、C36、C37、C38、C39、C40、C41、C42、C43、C44、C45、C46、C47、C48、C49、C50、C51、C52、C53、C54、C55、C56、C57、C58、C59、またはC60鎖を有する。
【0292】
幾つかの態様では、アンカー部分は、2つの脂肪酸を含み、これらの各々は、前述の範囲または炭素原子数のいずれか1つを有する鎖を有する脂肪酸から独立して選択される。幾つかの態様では、脂肪酸のうちの一方は、独立してC6~C21鎖を有する脂肪酸であり、一方は、独立してC12~C36鎖を有する脂肪酸である。幾つかの態様では、各脂肪酸は、独立して、11、12、13、14、15、16、または17個の炭素原子の鎖を有する。
【0293】
好適な脂肪酸としては、飽和直鎖脂肪酸、飽和分枝脂肪酸、不飽和脂肪酸、ヒドロキシ脂肪酸、及びポリカルボン酸が挙げられる。幾つかの態様では、かかる脂肪酸は、最高32個の炭素原子を有する。
【0294】
有用な飽和直鎖脂肪酸の例としては、偶数の炭素原子を有するもの、例えば、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ヘキサコサン酸、オクタコサン酸、トリアコンタン酸、及びn-ドトリアコンタン酸、ならびに奇数の炭素原子を有するもの、例えば、プロピオン酸、n-吉草酸、エナント酸、ペラルゴン酸、ウンデカン酸(hendecanoic acid)、トリデカン酸、ペンタデカン酸、ヘプタデカン酸、ノナデカン酸、ヘンエイコサン酸.トリコサン酸、ペンタコサン酸、及びヘプタコサン酸が挙げられる。
【0295】
好適な飽和分枝脂肪酸の例としては、イソ酪酸、イソカプロン酸、イソカプリル酸、イソカプリン酸、イソラウリル酸、11-メチルドデカン酸、イソミリスチン酸、13-メチル-テトラデカン酸、イソパルミチン酸、15-メチル-ヘキサデカン酸、イソステアリン酸、17-メチルステアリン酸(17-methyloctadecanoic acid)、イソアラキン酸、19-メチル-エイコサン酸、α-エチル-ヘキサン酸、α-ヘキシルデカン酸、α-ヘプチルウンデカン酸、2-デシルテトラデカン酸、2-ウンデシルテトラデカン酸、2-デシルペンタデカン酸、2-ウンデシルペンタデカン酸、及びファインオキソコール1800酸(Nissan Chemical Industries,Ltd.の製品)が挙げられる。好適な飽和奇数炭素分枝脂肪酸としては、イソブチル基で終わるアンテイソ脂肪酸、例えば、6-メチル-オクタン酸、8-メチル-デカン酸、10-メチル-ドデカン酸、12-メチル-テトラデカン酸、14-メチル-ヘキサデカン酸、16-メチル-ステアリン酸(16-methyl-octadecanoic acid)、18-メチル-エイコサン酸、20-メチル-ドコサン酸、22-メチル-テトラコサン酸、24-メチル-ヘキサコサン酸、及び26-メチルオクタコサン酸が挙げられる。
【0296】
好適な不飽和脂肪酸の例としては、4-デセン酸、カプロレイン酸、4-ドデセン酸、5-ドデセン酸、ラウロレイン酸、4-テトラデセン酸、5-テトラデセン酸、9-テトラデセン酸、パルミトオレイン酸、6-オクタデセン酸、オレイン酸、9-オクタデセン酸、11-オクタデセン酸、9-エイコセン酸、シス-11-エイコセン酸、セトレイン酸、13-ドコセン酸、15-テトラコセン酸、17-ヘキサコセン酸、6,9,12,15-ヘキサデカテトラエン酸、リノール酸、リノレン酸、α-エレオステアリン酸、β-エレオステアリン酸、プニカ酸、6,9,12,15-オクタデカテトラエン酸、パリナリン酸、5,8,11,14-エイコサテトラエン酸、5,8,11,14,17-エイコサペンタエン酸、7,10,13,16,19-ドコサペンタエン酸、4,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸などが挙げられる。
【0297】
好適なヒドロキシ脂肪酸の例としては、α-ヒドロキシラウリン酸、α-ヒドロキシミリスチン酸、α-ヒドロキシパルミチン酸、α-ヒドロキシステアリン酸、ω-ヒドロキシラウリン酸、α-ヒドロキシアラキン酸、9-ヒドロキシ-12-オクタデセン酸、リシノール酸、α-ヒドロキシベヘン酸、9-ヒドロキシ-trans-10,12-オクタデカジエン酸、カモレン酸、イプロリン酸、9,10-ジヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸などが挙げられる。
【0298】
好適なポリカルボン酸の例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、D,L-リンゴ酸などが挙げられる。
【0299】
幾つかの態様では、各脂肪酸は、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ヘンイコシル酸、ベヘン酸、トリコシル酸、リグノセリン酸、ペンタコシル酸、セロチン酸、ヘプタコシル酸、モンタン酸、ノナコシル酸、メリシン酸、ヘナトリアコンチル酸、ラッセル酸、プシリン酸、ゲダ酸、セロプラスチン酸、ヘキサトリアコンチル酸、ヘプタトリアコンタン酸、またはオクタトリアコンタン酸から独立して選択される。
【0300】
幾つかの態様では、各脂肪酸は、α-リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リノール酸、γ-リノール酸、ジホモ-γ-リノール酸、アラキドン酸、ドコサテトラエン酸、パルミトオレイン酸、バクセン酸、パウリン酸、オレイン酸、エライジン酸、ゴンドイック酸、エルカ酸、ネルボン酸、ミード酸、アドレン酸、ボセオペンタエン酸、オズボンド酸、イワシ酸、ニシン酸、ドコサヘキサエン酸、もしくはテトラコサノールペンタエン酸、または別の一不飽和もしくは多価不飽和脂肪酸から独立して選択される。
【0301】
幾つかの態様では、脂肪酸のうちの一方または両方が必須脂肪酸である。ある種の必須脂肪酸の有益な健康効果を考慮して、開示される治療薬がロードされたエキソソームの治療効果は、かかる脂肪酸を治療薬に含めることにより増加し得る。幾つかの態様では、必須脂肪酸は、リノレン酸、γ-リノレン酸、ジホモ-γ-リノレン酸、アラキドン酸、アドレン酸、ドコサペンタエン酸(n-6)、α-リノレン酸、ステアリドン酸、20:4n-3酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸(n-3)、またはドコサヘキサエン酸からなる群から選択されるn-6またはn-3必須脂肪酸である。
【0302】
幾つかの態様では、各脂肪酸は、all-cis-7,10,13-ヘキサデカトリエン酸、α-リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサトリエン酸、エイコサテトラエン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、テトラコサペンタエン酸、テトラコサヘキサエン酸、またはリポ酸から独立して選択される。他の態様では、脂肪酸は、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、またはリポ酸から選択される。脂肪酸の他の例としては、all-cis-7,10,13-ヘキサデカトリエン酸、α-リノレン酸(ALAまたはall-cis-9,12,15-オクタデカトリエン酸)、ステアリドン酸(STDまたはall-cis-6,9,12,15-オクタデカテトラエン酸)、エイコサトリエン酸(ETEまたはall-cis-11,14,17-エイコサトリエン酸)、エイコサテトラエン酸(ETAまたはall-cis-8,11,14,17-エイコサテトラエン酸)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサペンタエン酸(DPA、クルパノドン酸、またはall-cis-7,10,13,16,19-ドコサペンタエン酸)、ドコサヘキサエン酸(DHAまたはall-cis-4,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸)、テトラコサペンタエン酸(all-cis-9,12,15,18,21-ドコサヘキサエン酸)、またはテトラコサヘキサエン酸(ニシン酸またはall-cis-6,9,12,15,18,21-テトラコセン酸)が挙げられる。幾つかの態様では、脂肪酸は、リポ酸などの中鎖脂肪酸である。
【0303】
脂肪酸鎖は、それらの鎖の長さが大きく異なり、例えば、短鎖~超長鎖のように、鎖長により分類され得る。短鎖脂肪酸(SCFA)は、約5個以下の炭素の鎖を有する脂肪酸である(例えば、酪酸)。幾つかの態様では、脂肪酸は、SCFAである。中鎖脂肪酸(MCFA)としては、中鎖トリグリセリドを形成し得る約6~12個の炭素の鎖を有する脂肪酸が挙げられる。幾つかの態様では、脂肪酸は、MCFAである。長鎖脂肪酸(LCFA)としては、13~21個の炭素の鎖を有する脂肪酸が挙げられる。幾つかの態様では、脂肪酸は、LCFAである。幾つかの態様では、脂肪酸は、LCFAである。超長鎖脂肪酸(VLCFA)としては、22個以上の炭素、例えば、22~60個、22~50個、または22~40個の炭素の鎖を有する脂肪酸が挙げられる。幾つかの態様では、脂肪酸は、VLCFAである。
【0304】
III.A.1.c.リン脂質
幾つかの態様では、アンカー部分は、リン脂質を含む。リン脂質は、全ての細胞膜の主要成分である脂質の種類である。それらは、両親媒性の特徴のために脂質二重層を形成することができる。リン脂質分子の構造は、通常、2本の疎水性脂肪酸の「尾部」及びリン酸基からなる親水性の「頭部」からなる。例えば、リン脂質は、以下の式による脂質であり得る:
【化8】

式中、Rは、リン脂質部分を表し、R及びRは、同一であっても異なっていてもよい不飽和を有するか、または有さない脂肪酸部分を表す。
【0305】
リン脂質部分は、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、2-リゾホスファチジルコリン、及びスフィンゴミエリンからなる非限定的な群から選択され得る。
【0306】
特定のリン脂質は、脂質二重層、例えば、エキソソーム膜の脂質二重層への融合を促進し得る。例えば、カチオン性リン脂質は、膜の1種以上の負に荷電したリン脂質と相互作用し得る。リン脂質の膜への融合は、脂質を含有する組成物の1種以上の要素が当該膜に結合するか、または当該膜を貫通するのを可能にし得る。
【0307】
脂肪酸部分は、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトオレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、α-リノレン酸、エルカ酸、フィタン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ベヘン酸、ドコサペンタエン酸、及びドコサヘキサエン酸からなる非限定的な群から選択され得る。
【0308】
本開示においてアンカー部分として使用するリン脂質は、天然または非天然リン脂質であり得る。分枝形成、酸化、環化、及びアルキンが含まれる修飾及び置換を有する天然種が含まれる非天然リン脂質種も意図される。例えば、リン脂質は、1つ以上のアルキン(例えば、1つ以上の二重結合が三重結合と置き換えられているアルケニル基)によって官能化され得るか、またはそれに架橋され得る。アルキン基は、適切な反応条件下でアジドに曝露にされると銅触媒環化付加を起こし得る。
【0309】
リン脂質としては、限定されるものではないが、グリセロリン脂質、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、及びホスファチジン酸が挙げられる。
【0310】
本明細書において開示されるアンカー部分に使用され得るリン脂質の例としては、以下が挙げられる。
●ホスファチジルエタノールアミン:例えば、ジラウロイルホスファチジルエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン、1-パルミトイル-2-オレイルホスファチジルエタノールアミン、1-オレイル-2-パルミトイルホスファチジルエタノールアミン、及びジエルコイルホスファチジルエタノールアミン;
●ホスファチジルグリセロール:例えば、ジラウロイルホスファチジルグリセロール、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、ジステアロイルホスファチジルグリセロール、ジオレオイルホスファチジルグリセロール、1-パルミトイル-2-オレイル-ホスファチジルグリセロール、1-オレイル-2-パルミトイル-ホスファチジルグリセロール、及びジエルコイルホスファチジルグリセロール;
●ホスファチジルセリン:例えば、ジラウロイルホスファチジルセリン、ジミリストイルホスファチジルセリン、ジパルミトイルホスファチジルセリン、ジステアロイルホスファチジルセリン、ジオレオイルホスファチジルセリン、1-パルミトイル-2-オレイル-ホスファチジルセリン、1-オレイル-2-パルミトイル-ホスファチジルセリン、及びジエルコイルホスファチジルセリン;
●ホスファチジン酸:例えば、ジラウロイルホスファチジン酸、ジミリストイルホスファチジン酸、ジパルミトイルホスファチジン酸、ジステアロイルホスファチジン酸、ジオレオイルホスファチジン酸、1-パルミトイル-2-オレイルホスファチジン酸、1-オレイル-2-パルミトイル-ホスファチジン酸、及びジエルコイルホスファチジン酸;ならびに
●ホスファチジルイノシトール:例えば、ジラウロイルホスファチジルイノシトール、ジミリストイルホスファチジルイノシトール、ジパルミトイルホスファチジルイノシトール、ジステアロイルホスファチジルイノシトール、ジオレオイルホスファチジルイノシトール、1-パルミトイル-2-オレイル-ホスファチジルイノシトール、1-オレイル-2-パルミトイルホスファチジルイノシトール、及びジエルコイルホスファチジルイノシトール。
【0311】
リン脂質は、対称型または非対称型のものであり得る。本明細書で使用する場合、用語「対称型リン脂質」は、同一の脂肪酸部分及びスフィンゴ脂質を有するグリセロリン脂質を含み、ここで、可変的な脂肪酸部分及びスフィンゴシン骨格の炭化水素鎖は、同等の数の炭素原子を含む。本明細書で使用する場合、用語「非対称型リン脂質」は、異なる脂肪酸部分(例えば、異なる数の炭素原子及び/または不飽和(例えば、二重結合)を有する脂肪酸部分)及びスフィンゴ脂質を有するリゾ脂質、グリセロリン脂質を含み、ここで、可変的な脂肪酸部分及びスフィンゴシン骨格の炭化水素鎖は、異なる数の炭素原子を含む(例えば、可変的な脂肪酸部分は、炭化水素鎖より少なくとも2個多くの炭素原子または炭化水素鎖より少なくとも2個少ない炭素原子を含む)。
【0312】
幾つかの態様では、アンカー部分は、少なくとも1種の対称型リン脂質を含む。対称型リン脂質は、以下からなる非限定的な群から選択され得る:
1,2-ジプロピオニル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(03:0 PC)、
1,2-ジブチリル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(04:0 PC)、
1,2-ジペンタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(05:0 PC)、
1,2-ジヘキサノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(06:0 PC)、
1,2-ジヘプタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(07:0 PC)、
1,2-ジオクタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(08:0 PC)、
1,2-ジノナノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(09:0 PC)、
1,2-ジデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(10:0 PC)、
1,2-ジウンデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(11:0 PC、DUPC)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(12:0 PC)、
1,2-ジトリデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(13:0 PC)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(14:0 PC、DMPC)、
1,2-ジペンタデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(15:0 PC)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(16:0 PC、DPPC)、
1,2-ジフィタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(4ME 16:0 PC)、
1,2-ジヘプタデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(17:0 PC)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0 PC、DSPC)、
1,2-ジノナデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(19:0 PC)、
1,2-ジアラキドイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(20:0 PC)、
1,2-ジヘンアラキドイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(21:0 PC)、
1,2-ジベヘノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(22:0 PC)、
1,2-ジトリコサノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(23:0 PC)、
1,2-ジリグノセロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(24:0 PC)、
1,2-ジミリストレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(14:1(Δ9-Cis)PC)、
1,2-ジミリステライドイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(14:1(Δ9-Trans)PC)、
1,2-ジパルミトレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(16:1(Δ9-Cis)PC)、
1,2-ジパルミテライドイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(16:1(Δ9-Trans)PC)、
1,2-ジペトロセレノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:1(Δ6-Cis)PC)、
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:1(Δ9-Cis)PC、DOPC)、
1,2-ジエライドイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:1(Δ9-Trans)PC)、
1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:2(Cis)PC、DLPC)、
1,2-ジリノレノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:3(Cis)PC、DLnPC)、
1,2-ジエイコセノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(20:1(Cis)PC)、
1,2-ジアラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(20:4(Cis)PC、DAPC)、
1,2-ジエルコイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(22:1(Cis)PC)、
1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(22:6(Cis)PC、DHAPC)、
1,2-ジネルボノイル(dinervonoyl)-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(24:1(Cis)PC)、
1,2-ジヘキサノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(06:0 PE)、
1,2-ジオクタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(08:0 PE)、
1,2-ジデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(10:0 PE)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(12:0 PE)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(14:0 PE)、
1,2-ジペンタデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(15:0 PE)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(16:0 PE)、
1,2-ジフィタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(4ME 16:0 PE)、
1,2-ジヘプタデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(17:0 PE)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(18:0 PE、DSPE)、
1,2-ジパルミトレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(16:1 PE)、
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(18:1(Δ9-Cis)PE、DOPE)、
1,2-ジエライドイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(18:1(Δ9-trans)PE)、
1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(18:2 PE、DLPE)、
1,2-ジリノレノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(18:3 PE、DLnPE)、
1,2-ジアラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(20:4 PE、DAPE)、
1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(22:6 PE、DHAPE)、
1,2-ジ-O-オクタデセニル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0 ジエーテルPC)、
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-rac-(1-グリセロール)ナトリウム塩(DOPG)、及びそれらの任意の組み合わせ。
【0313】
幾つかの態様では、アンカー部分は、DLPC、DMPC、DOPC、DPPC、DSPC、DUPC、18:0 ジエーテルPC、DLnPC、DAPC、DHAPC、DOPE、4ME 16:0 PE、DSPE、DLPE、DLnPE、DAPE、DHAPE、DOPG、及びそれらの任意の組み合わせからなる非限定的な群から選択される少なくとも1種の対称型リン脂質を含む。
【0314】
幾つかの態様では、アンカー部分は、少なくとも1種の非対称型リン脂質を含む。非対称型リン脂質は、以下からなる非限定的な群から選択され得る:
1-ミリストイル-2-パルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(14:0-16:0 PC、MPPC)、
1-ミリストイル-2-ステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(14:0-18:0 PC、MSPC)、
1-パルミトイル-2-アセチル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(16:0-02:0 PC)、
1-パルミトイル-2-ミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(16:0-14:0 PC、PMPC)、
1-パルミトイル-2-ステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(16:0-18:0 PC、PSPC)、
1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(16:0-18:1 PC、POPC)、
1-パルミトイル-2-リノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(16:0-18:2 PC、PLPC)、
1-パルミトイル-2-アラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(16:0-20:4 PC)、
1-パルミトイル-2-ドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(14:0-22:6 PC)、
1-ステアロイル-2-ミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0-14:0 PC、SMPC)、
1-ステアロイル-2-パルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0-16:0 PC、SPPC)、
1-ステアロイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0-18:1 PC、SOPC)、
1-ステアロイル-2-リノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0-18:2 PC)、
1-ステアロイル-2-アラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0-20:4 PC)、
1-ステアロイル-2-ドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0-22:6 PC)、
1-オレオイル-2-ミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:1-14:0 PC、OMPC)、
1-オレオイル-2-パルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:1-16:0 PC、OPPC)、
1-オレオイル-2-ステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:1-18:0 PC、OSPC)、
1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(16:0-18:1 PE、POPE)、
1-パルミトイル-2-リノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(16:0-18:2 PE)、
1-パルミトイル-2-アラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(16:0-20:4 PE)、
1-パルミトイル-2-ドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(16:0-22:6 PE)、
1-ステアロイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(18:0-18:1 PE)、
1-ステアロイル-2-リノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(18:0-18:2 PE)、
1-ステアロイル-2-アラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(18:0-20:4 PE)、
1-ステアロイル-2-ドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(18:0-22:6 PE)、
1-オレオイル-2-コレステリルヘミサクシノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(OChemsPC)、及び
それらの任意の組み合わせ。
【0315】
より顕著なヌクレアーゼ耐性、細胞取り込み効率、及びより顕著なRNA干渉効果を得るために、ホスファチジルエタノールアミン、例えば、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、1-パルミトイル-2-オレイル-ホスファチジルエタノールアミン、及びジオレオイルホスファチジルエタノールアミンが、アンカー部分として使用され得る。
【0316】
脂質(例えば、リン脂質)及びリンカーの組み合わせまたはBAM(例えば、ASO)の結合部位は、脂質及びリンカーまたはASOの種類に従って適切に選択され得る。脂質の疎水基以外の任意の位置が、化学結合によりリンカーまたはASOに連結され得る。例えば、ホスファチジルエタノールアミンを使用する場合、連結は、ホスファチジルエタノールアミンのアミノ基とリンカーまたはASOとの間でアミド結合などを形成することによりなされ得る。ホスファチジルグリセロールを使用する場合、連結は、グリセロール残基のヒドロキシル基とリンカーまたはASOとの間でエステル結合、エーテル結合などを形成することによりなされ得る。ホスファチジルセリンを使用する場合、連結は、セリン残基のアミノ基またはカルボキシル基とリンカーまたはASOとの間でアミド結合またはエステル結合などを形成することによりなされ得る。ホスファチジン酸を使用する場合、連結は、リン酸残基とリンカーまたはASOとの間でリン酸エステル結合などを形成することによりなされ得る。ホスファチジルイノシトールを使用する場合、連結は、イノシトール残基のヒドロキシル基とリンカーまたはASOとの間でエステル結合、エーテル結合などを形成することによりなされ得る。
【0317】
III.A.1.d.リゾ脂質(例えば、リゾリン脂質)
幾つかの態様では、アンカー部分は、リゾ脂質、例えば、リゾリン脂質を含む。リゾ脂質は、脂肪族アシル鎖のうちの一方または両方が、通常、加水分解により除去された脂質の誘導体である。リゾリン脂質は、脂肪族アシル鎖のうちの一方または両方が加水分解により除去されたリン脂質の誘導体である。
【0318】
幾つかの態様では、アンカー部分は、アシル鎖のうちの一方または両方が加水分解により除去されており、これにより、得られるリゾリン脂質が、1つの脂肪酸アシル鎖を含むか、または脂肪酸アシル鎖を含まない、上記に開示されたリン脂質のいずれかを含む。
【0319】
幾つかの態様では、アンカー部分は、リゾグリセロリン脂質、リゾグリコスフィンゴ脂質、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルイノシトール、またはリゾホスファチジルセリンを含む。
【0320】
幾つかの態様では、アンカー部分は、以下からなる非限定的な群から選択されるリゾ脂質を含む:
1-ヘキサノイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(06:0 リゾPC)、
1-ヘプタノイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(07:0 リゾPC)、
1-オクタノイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(08:0 リゾPC)、
1-ノナノイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(09:0 リゾPC)、
1-デカノイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(10:0 リゾPC)、
1-ウンデカノイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(11:0 リゾPC)、
1-ラウロイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(12:0 リゾPC)、
1-トリデカノイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(13:0 リゾPC)、
1-ミリストイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(14:0 リゾPC)、
1-ペンタデカノイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(15:0 リゾPC)、
1-パルミトイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(16:0 リゾPC)、
1-ヘプタデカノイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(17:0 リゾPC)、
1-ステアロイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0 リゾPC)、
1-オレオイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:1 リゾPC)、
1-ノナデカノイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(19:0 リゾPC)、
1-アラキドイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(20:0 リゾPC)、
1-ベヘノイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(22:0 リゾPC)、
1-リグノセロイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(24:0 リゾPC)、
1-ヘキサコサノイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(26:0 リゾPC)、
1-ミリストイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(14:0 リゾPE)、
1-パルミトイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(16:0 リゾPE)、
1-ステアロイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(18:0 リゾPE)、
1-オレオイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(18:1 リゾPE)、
1-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(C16 リゾPC)、及び
それらの任意の組み合わせ。
【0321】
III.A.1.e.ビタミン
幾つかの態様では、アンカー部分は、親油性ビタミン、例えば、葉酸、ビタミンA、ビタミンE、またはビタミンKを含む
【0322】
幾つかの態様では、アンカー部分は、ビタミンAを含む。ビタミンAは、一群の不飽和栄養有機化合物であり、これには、レチノール、レチナール、レチノイン酸、及び幾つかのプロビタミンAカロテノイド(とりわけβカロチン)が挙げられる。幾つかの態様では、アンカー部分は、レチノールを含む。幾つかの態様では、アンカー部分は、レチノイドを含む。レチノイドは、ビタミンAのビタマーであるか、またはビタミンAに化学的に関連する化合物のクラスである。幾つかの態様では、アンカー部分は、第一世代レチノイド(例えば、レチノール、トレチノイン、イソトレチノイン(isotreatinoin)、またはアリトレチノイン)、第二世代レチノイド(例えば、エトレチナートまたはアシトレチン)、第三世代レチノイド(例えば、アダパレン(adapalene)、ベキサロテン、またはタザロテン)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。


【化9】
【0323】
幾つかの態様では、アンカー部分は、ビタミンEを含む。トコフェロールは、メチル化フェノールのクラスであり、それらの多くがビタミンE活性を有する。従って、幾つかの態様では、アンカー部分は、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール、またはそれらの組み合わせを含む。
【化10】
【0324】
トコトリエノールもビタミンE活性を有する。トコトリエノールとトコフェロールとの間の重要な化学的構造差は、トコフェロールが飽和側鎖を有するのに対して、トコトリエノールが3つの炭素-炭素二重結合を有する不飽和イソプレノイド側鎖を有することである。幾つかの態様では、アンカー部分は、α-トコトリエノール、β-トコトリエノール、γ-トコトリエノール、δ-トコトリエノール、またはそれらの組み合わせを含む。トコトリエノールは、以下の式により表され得る:
【化11】
【0325】
幾つかの態様では、アンカー部分は、ビタミンKを含む。化学的にビタミンKファミリーは、2-メチル-1,4-ナフトキノン(3-)誘導体を含む。ビタミンKとしては、2つの天然ビタマー:ビタミンK及びビタミンKが挙げられる。ビタミンK(フィトナジオン、フィロキノン、または(E)-フィトナジオンとしても公知)の構造は、フィチル基の存在により特徴付けられる。ビタミンK(メナキノン)の構造は、分子に存在する、6~13のイソプレニル単位を含有し得るポリイソプレニル側鎖により特徴付けられる。従って、ビタミンKは、イソプレノイド基の原子からできている異なる長さの炭素側鎖を有する多数の関連する化学的サブタイプからなる。MK-4は、最も一般的な種類のビタミンKである。長鎖型、例えば、MK-7、MK-8、及びMK-9は、主に発酵食品に含まれる。より長鎖型のビタミンK、例えば、MK-10~MK-13は、細菌により合成されるが、それらは吸収されにくく、ほとんど生物学的機能を有さない。天然形のビタミンKに加えて、多数の合成型のビタミンK、例えば、ビタミンK(メナジオン;2-メチルナフタレン-1,4-ジオン)、ビタミンK、及びビタミンKが存在する。
【0326】
従って、幾つかの態様では、アンカー部分は、ビタミンK、K(例えば、MK-4、MK-5、MK-6、MK-7、MK-8、MK-9、MK-10、MK-11、MK-12、またはMK-13)、K、K、K、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【化12】
【0327】
IV.A.2.リンカー組み合わせ
幾つかの態様では、ASOは、切断可能なリンカー及び/または切断可能でないリンカーの任意の組み合わせを含み得るリンカー組み合わせを介して本明細書において開示される疎水性膜アンカー部分に連結される。リンカー組み合わせの主な機能は、アンカー部分または複数のアンカー部分とBAM標的との間に最適な間隔を提供することである。例えば、ASOの場合、リンカー組み合わせは、立体障害を低減し、ASOが標的核酸、例えば、mRNAまたはmiRNAと相互作用できるように、ASOを配置するはずである。
【0328】
リンカーは、切断に感受性で有り得(「切断可能なリンカー」)、これにより、生物活性分子の放出を容易にする。従って、幾つかの態様では、本明細書において開示されるリンカー組み合わせは、切断可能なリンカーを含み得る。かかる切断可能なリンカーは、生物活性分子が活性を維持する条件で、例えば、酸により誘発される切断、光誘発性切断、ペプチダーゼにより誘発される切断、エステラーゼにより誘発される切断、及びジスルフィド結合切断に感受性であり得る。あるいは、リンカーは、切断に対して実質的に耐性を示し得る(「切断可能でないリンカー」)。幾つかの態様では、切断可能なリンカーは、スペーサーを含む。幾つかの態様では、スペーサーは、PEGである。
【0329】
幾つかの態様では、リンカー組み合わせは、本明細書において開示される少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つまたは、または少なくとも6つ以上の異なるリンカーを含む。幾つかの態様では、リンカー組み合わせにおけるリンカーは、エステル結合(例えば、ホスホジエステルまたはホスホロチオエートエステル)により連結され得る。
【0330】
幾つかの態様では、リンカーは、アンカー部分とBAM(例えば、ASO)との間の直接的結合である。
【0331】
III.A.2.a.切断可能でないリンカー
幾つかの態様では、リンカー組み合わせは、「切断可能でないリンカー」を含む。「切断可能でないリンカーは、本開示の改変された生物活性分子の2つ以上の構成要素(例えば、生物活性分子及びアンカー部分;生物活性分子及び切断可能なリンカー;アンカー部分及び切断可能なリンカー)を安定した共有結合により連結することができる任意の化学部分であり、切断可能なリンカーの上記の分類に入らない。従って、切断可能でないリンカーは、酸により誘発される切断、光誘発性切断、ペプチダーゼにより誘発される切断、エステラーゼにより誘発される切断、及びジスルフィド結合切断に対して実質的に耐性を示す。
【0332】
更に、切断可能でないとは、リンカーにおける化学結合またはリンカーに隣接する化学結合が、環状ジヌクレオチド及び/または抗体がその活性を消失しない条件で酸、感光性の切断剤、ペプチダーゼ、エステラーゼ、またはジスルフィド結合を切断する化合物もしくは生理学的化合物により誘発される切断に耐える能力を指す。幾つかの態様では、生物活性分子は、別のリンカー、例えば、自壊性リンカーを介してリンカーに結合される。
【0333】
幾つかの態様では、リンカー組み合わせは、例えば、テトラエチレングリコール(TEG)、ヘキサエチレングリコール(HEG)、ポリエチレングリコール(PEG)、スクシンイミド、またはそれらの任意の組み合わせを含む切断可能でないリンカーを含む。幾つかの態様では、切断可能でないリンカーは、生物活性分子を切断可能でないリンカーに連結するためのスペーサー単位を含む。
【0334】
幾つかの態様では、1つ以上の切断可能でないリンカーは、互いに連結されたより小さな単位(例えば、HEG、TEG、グリセロール、C2~C12アルキルなど)を含む。一態様では、連結は、エステル結合(例えば、ホスホジエステルまたはホスホロチオエートエステル)または他の連結である。
【0335】
III.A.2.b.エチレングリコール(HEG、TEG、PEG)
幾つかの態様では、リンカー組み合わせは、切断可能でないリンカーを含み、ここで、当該切断可能でないリンカーは、式:R-(O-CH-CH-またはR-(0-CH-CH-O-を特徴とするポリエチレングリコール(PEG)を含み、Rは、水素、メチル、またはエチルであり、nは、2~200の値を有する。幾つかの態様では、切断可能なリンカーは、スペーサーを含む。幾つかの態様では、スペーサーは、PEGである。
【0336】
幾つかの態様では、PEGリンカーは、オリゴエチレングリコール、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール(TEG)、ペンタエチレングリコール、またはヘキサエチレングリコール(HEG)リンカーである。
【0337】
幾つかの態様では、nは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17,18,19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、189、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、または200の値を有する。
【0338】
幾つかの態様では、nは、2~10、10~20、20~30、30~40、40~50、50~60、60~70、70~80、80~90、90~100、100~110、110~120、120~130、130~140、140~150、150~160、160~170、170~180、180~190、または190~200である。
【0339】
幾つかの特定の態様では、nは、3~200、3~20、10~30、または9~45の値を有する。
【0340】
幾つかの態様では、PEGは、分枝鎖PEGである。分枝鎖PEGは、中心コア基から延びる3~10本のPEG鎖を有する。
【0341】
ある種の態様では、PEG部分は、単分散ポリエチレングリコールである。本開示の文脈において、単分散ポリエチレングリコール(mdPEG)は、単一の既定の鎖長及び分子量を有するPEGである。mdPEGは、通常、クロマトグラフィーによる重合混合物からの分離により生成される。特定の式において、単分散PEG部分は、略語mdPEGを割り当てられる。
【0342】
幾つかの態様では、PEGは、Star PEGである。Star PEGは、中心コア基から延びる10~100本のPEG鎖を有する。
【0343】
幾つかの態様では、PEGは、Comb PEGである。Comb PEGは、通常、ポリマー主鎖上に接ぎ木された複数のPEG鎖を有する。
【0344】
ある種の態様では、PEGは、100g/mol~3000g/mol、具体的には100g/mol~2500g/mol、より具体的には約100g/mol~2000g/molのモル質量を有する。ある種の態様では、PEGは、200g/mol~3000g/mol、具体的には300g/mol~2500g/mol、より具体的には約400g/mol~2000g/molのモル質量を有する。
【0345】
幾つかの態様では、PEGは、PEG100、PEG200、PEG300、PEG400、PEG500、PEG600、PEG700、PEG800、PEG900、PEG1000、PEG1100、PEG1200、PEG1300、PEG1400、PEG1500、PEG1600、PEG1700、PEG1800、PEG1900、PEG2000、PEG2100、PEG2200、PEG2300、PEG2400、PEG2500、PEG1600、PEG1700、PEG1800、PEG1900、PEG2000、PEG2100、PEG2200、PEG2300、PEG2400、PEG2500、PEG2600、PEG2700、PEG2800、PEG2900、またはPEG3000である。特定の一態様では、PEGは、PEG400である。別の特定の態様では、PEGは、PEG2000である。
【0346】
幾つかの態様では、本開示のリンカー組み合わせは、幾つかのPEGリンカー、例えば、PEG、HEG、またはTEGリンカーに挟まれた切断可能なリンカーを含み得る。
【0347】
幾つかの態様では、リンカー組み合わせは、(HEG)n及び/または(TEG)nを含み、ここで、nは、1~50の整数であり、各単位は、例えば、リン酸エステルリンカー、ホスホロチオエートエステル結合、またはそれらの組み合わせを介して連結されている。
【0348】
III.A.2.c.グリセロール及びポリグリセロール(PG)
幾つかの態様では、リンカー組み合わせは、グリセロール単位、または式((R-O-(CH-CHOH-CHO)-)で表現され、R3は、水素、メチル、またはエチルであり、nは、3~200の値を有するポリグリセロール(PG)を含む切断可能でないリンカーを含む。幾つかの態様では、nは、3~20の値を有する。幾つかの態様では、nは、10~30の値を有する。
【0349】
幾つかの態様では、PGリンカーは、ジグリセリン、トリグリセロール、テトラグリセロール(TG)、ペンタグリセロール、またはヘキサグリセロール(HG)リンカーである。
【0350】
幾つかの態様では、nは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17,18,19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、189、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、または200の値を有する。
【0351】
幾つかの態様では、nは、2~10、10~20、20~30、30~40、40~50、50~60、60~70、70~80、80~90、90~100、100~110、110~120、120~130、130~140、140~150、150~160、160~170、170~180、180~190、または190~200である。
【0352】
これらの態様の幾つかの代替例では、nは、9~45の値を有する。幾つかの態様では、異種部分は、式(R-O-(CH-CHOR-CH-O)-)で表現され、Rが水素である分枝鎖状ポリグリセロールまたは式(R-O-(CH-CHOH-CH-O)-)で表現される直鎖状グリセロール鎖であり、Rは、水素、メチル、またはエチルである。幾つかの態様では、異種部分は、式(R-O-(CH-CHOR-CH-O)-)で表現され、Rが水素である超分岐ポリグリセロール、または式(R-O-(CH-CHOR-CH-O)-)で表現され、Rが水素であるグリセロール鎖、または式(R-O-(CH-CHOR-CH-O)-)で表現され、Rが水素であるグリセロール鎖、または式(R-O-(CH-CHOH-CH-O)-)で表現される直鎖状グリセロール鎖であり、Rは、水素、メチル、またはエチルである。超分岐グリセロール及びその合成方法は、Oudshorn et al.(2006) Biomaterials 27:5471-5479;Wilms et al.(2010) Acc.Chem.Res.43,129-41、及びその中で引用される参考文献に記載されている。
【0353】
ある種の態様では、PGは、100g/mol~3000g/mol、具体的には100g/mol~2500g/mol、より具体的には約100g/mol~2000g/molのモル質量を有する。ある種の態様では、PGは、200g/mol~3000g/mol、具体的には300g/mol~2500g/mol、より具体的には約400g/mol~2000g/molのモル質量を有する。
【0354】
幾つかの態様では、PGは、PG100、PG200、PG300、PG400、PG500、PG600、PG700、PG800、PG900、PG1000、PG1100、PG1200、PG1300、PG1400、PG1500、PG1600、PG1700、PG1800、PG1900、PG2000、PG2100、PG2200、PG2300、PG2400、PG2500、PG1600、PG1700、PG1800、PG1900、PG2000、PG2100、PG2200、PG2300、PG2400、PG2500、PG2600、PG2700、PG2800、PG2900、またはPG3000である。特定の一態様では、PGは、PG400である。別の特定の態様では、PGは、PG2000である。
【0355】
幾つかの態様では、リンカー組み合わせは、(グリセロール)n、及び/または(HG)n、及び/または(TG)nを含み、ここで、nは、1~50の整数であり、各単位は、例えば、リン酸エステルリンカー、ホスホロチオエートエステル結合、またはそれらの組み合わせを介して連結されている。
【0356】
III.A.2.d.脂肪族(アルキル)リンカー
幾つかの態様では、リンカー組み合わせは、少なくとも1つの脂肪族(アルキル)リンカー、例えば、プロピル、ブチル、ヘキシル、またはC2~C12アルキル、例えば、C2~C10アルキルまたはC2~C6アルキルを含む。
【0357】
幾つかの態様では、リンカー組み合わせは、アルキル鎖、例えば、非置換アルキルを含む。幾つかの態様では、リンカー組み合わせは、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アルキニル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキルアリールアルキル、アルキルアリールアルケニル、アルキルアリールアルキニル、アルケニルアリールアルキル、アルケニルレイルアルケニル(alkenyl Reyl alkenyl)、アルケニルアリールアルキニル、アルキニルアリールアルキル、アルキニルアリールアルケニル、アルキニルアリールアルキニル、アルキルヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールアルケニル、アルキルヘテロアリールアルキニル、アルケニルヘテロアリールアルキル、アルケニルヘテロアリールアルケニル、アルケニルヘテロアリールアルキニル、アルキニルヘテロアリールアルキル、アルキニルヘテロアリールアルケニル、アルキニルヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロシクリルアルキル、アルキルヘテロシクリルアルケニル、アルキルヘテロシクリルアルキニル、アルケニルヘテロシクリルアルキル、アルケニルヘテロシクリルアルケニル、またはアルケニルヘテロシクリルアルキニルを含む。
【0358】
これらの構成要素は、任意に置換される。置換基としては、アルコール、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、及びプロポキシ)、直鎖または分枝鎖アルキル(例えば、C1~C12アルキル)、アミン、アミノアルキル(例えば、アミノC1~C12アルキル)、ホスホラミダイト、ホスフェート、ホスホロアミダート、ホスホロジチオエート、チオホスフェート、ヒドラジド、ヒドラジン、ハロゲン(例えば、F、Cl、Br、またはI)、アミド、アルキルアミド(例えば、アミドC1~C12アルキル)、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボン酸無水物、カルボン酸ハライド、エーテル、ハロゲン化スルホニル、イミド酸エステル、イソシアネート、イソチオシアネート、ハロホルメート(haloformate)、カルボジイミド付加物、アルデヒド、ケトン、スルフヒドリル、ハロアセチル、ハロゲン化アルキル、アルキルスルホネート、C(=O)CH=CHC(=O)(マレイミド)、チオエーテル、シアノ、糖(例えば、マンノース、ガラクトース、及びグルコース)、α,β-不飽和カルボニル、アルキル水銀化合物、またはα,β-不飽和スルホンが挙げられる。
【0359】
用語「アルキル」は、特に明記しない限り、単独で、または別の置換基の一部として、指定の炭素原子数(例えば、C~C10は、1~10個の炭素原子を意味する)を有する直鎖または分枝鎖炭化水素ラジカルを意味する。典型的には、アルキル基は、1~24個の炭素原子を有し、例えば、1~10個の炭素原子、1~8個の炭素原子、または1~6個の炭素原子を有する。「低級アルキル」基は、1~4個の炭素原子を有するアルキル基である。用語「アルキル」は、二価及び多価ラジカルを含む。例えば、用語「アルキル」は、適切な場合、例えば、式が、アルキル基が二価であることを示す場合、または置換基が連結されて、環を形成する場合、「アルキレン」を含む。アルキル基の例としては、限定されるものではないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、ならびに例えば、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、及びn-オクチルのホモログ及びアイソマーが挙げられる。
【0360】
用語「アルキレン」は、単独で、または別の置換基の一部として、二価の(ジラジカル)アルキル基を意味し、ここで、アルキルは本明細書において定義される。「アルキレン」は、限定されるものではないが、-CHCHCHCH-により例示される。典型的には、「アルキレン」基は、1~24個の炭素原子を有し、例えば、10個以下の炭素原子(例えば、1~8または1~6個の炭素原子)を有する。「低級アルキレン」基は、1~4個の炭素原子を有するアルキレン基である。
【0361】
用語「アルケニル」は、単独で、または別の置換基の一部として、2~24個の炭素原子及び少なくとも1つの二重結合を有する直鎖または分枝鎖炭化水素ラジカルを指す。典型的なアルケニル基は、2~10個の炭素原子及び少なくとも1つの二重結合を有する。一態様では、アルケニル基は、2~8個の炭素原子または2~6個の炭素原子及び1~3つの二重結合を有する。例示的なアルケニル基としては、ビニル、2-プロペニル、1-ブタ-3-エニル、クロチル、2-(ブタジエニル)、2,4-ペンタジエニル、3-(1,4-ペンタジエニル)、2-イソペンテニル、1-ペント-3-エニル、1-ヘキサ-5-エニルなどが挙げられる。
【0362】
用語「アルキニル」は、単独で、または別の置換基の一部として、2~24個の炭素原子及び少なくとも1つの三重結合を有する直鎖または分枝鎖の不飽和またはポリ不飽和炭化水素ラジカルを指す。典型的な「アルキニル」基は、2~10個の炭素原子及び少なくとも1つの三重結合を有する。本開示の一態様では、アルキニル基は、2~6個の炭素原子及び少なくとも1つの三重結合を有する。例示的なアルキニル基としては、プロパ-1-イニル、プロパ-2-イニル(すなわち、プロパルギル)、エチニル、及び3-ブチニルが挙げられる。
【0363】
用語「アルコキシ」、「アルキルアミノ」、及び「アルキルチオ」(またはチオアルコキシ)は、それらの通常の意味で使用され、それぞれ酸素原子、アミノ基、または硫黄原子を介して分子の残部に結合されているアルキル基を指す。
【0364】
用語「ヘテロアルキル」は、単独で、または別の用語と組み合わせて、明示される数の炭素原子(例えば、C~C10またはC~C)及び例えば、N、O、S、Si、B、及びP(一態様では、N、O、及びS)から選択される少なくとも1つのヘテロ原子からなる安定した直鎖または分枝鎖炭化水素ラジカルを意味し、ここで、窒素、硫黄、及びリン原子は、任意に酸化されており、窒素原子(複数可)は、任意に四級化されている。ヘテロ原子(複数可)は、ヘテロアルキル基の任意の内部位置に配置される。ヘテロアルキル基の例としては、限定されるものではないが、-CH-CH-O-CH、-CH-CH-NH-CH、-CH-CH-N(CH)-CH、-CH-S-CH-CH、-CH-CH-S(O)-CH、-CH-CH-S(O)-CH、-CH=CH-O-CH、-CH-Si(CH、-CH-CH=N-OCH、及び-CH=CH-N(CH)-CHが挙げられる。例えば、-CH-NH-OCH及び-CH-O-Si(CHのように、最大2個のヘテロ原子が連続し得る。
【0365】
同様に、用語「ヘテロアルキレン」は、単独で、または別の置換基の一部として、限定されるものではないが、-CH-CH-S-CH-CH-及び-CH-S-CH-CH-NH-CHにより例示される、ヘテロアルキルから誘導される二価のラジカルを意味する。典型的には、ヘテロアルキル基は、3~24個の原子(炭素及び水素を除くヘテロ原子)を有する(3~24員ヘテロアルキル)。別の例では、ヘテロアルキル基は、合計3~10個の原子(3~10員ヘテロアルキル)または3~8個の原子(3~8員ヘテロアルキル)を有する。用語「ヘテロアルキル」は、適切な場合、例えば、式が、ヘテロアルキル基が二価であることを示す場合、または置換基が連結されて、環を形成する場合、「ヘテロアルキレン」を含む。
【0366】
用語「シクロアルキル」は、単独で、または他の用語と組み合わせて、3~24個の炭素原子を有する、例えば、3~12個の炭素原子を有する飽和または不飽和の非芳香族炭素環式ラジカルを意味する(例えば、C~CシクロアルキルまたはC~Cシクロアルキル)。シクロアルキルの例としては、限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、1-シクロヘキセニル、3-シクロヘキセニル、シクロヘプチルなどが挙げられる。用語「シクロアルキル」は、架橋多環式(例えば、二環式)構造、例えば、ノルボルニル、アダマンチル、及びビシクロ[2.2.1]ヘプチルも含む。「シクロアルキル」基は、アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアリール(例えば、ピリジル)、及び非芳香族(例えば、炭素環式または複素環式)環から選択される少なくとも1つの(例えば、1~3つ)他の環に縮合され得る。「シクロアルキル」基が縮合されたアリール、ヘテロアリール、または複素環を含む場合、「シクロアルキル」基は、炭素環を介して分子の残部に結合している。
【0367】
用語「ヘテロシクロアルキル」、「複素環式」、「ヘテロ環」、または「ヘテロシクリル」は、単独で、または他の用語と組み合わせて、例えば、N、O、S、Si、B、及びP(例えば、N、O、及びS)から選択される少なくとも1個かつ最大5個のヘテロ原子であって、窒素、硫黄、及びリン原子は、任意に酸化されており、窒素原子(複数可)は、任意に四級化されている、当該ヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子)を含有する炭素環式非芳香族環(例えば、3~8員環、及び例えば、4員環、5員環、6員環、または7員環)、または少なくとも1個かつ最大10個(例えば、N、O、及びSから選択される1~5個のヘテロ原子)のヘテロ原子を、当業者に公知の安定した組み合わせで含有する4~8員環の縮合環系を意味する。例示的なヘテロシクロアルキル基としては、縮合フェニル環が挙げられる。「複素環式」基が縮合アリール、ヘテロアリール、またはシクロアルキル環を含む場合、「複素環式」基は、ヘテロ環を介して分子の残部に結合している。ヘテロ原子は、当該ヘテロ環が分子の残部に結合している位置を占め得る。
【0368】
本開示の例示的なヘテロシクロアルキルまたは複素環基としては、モルホリニル、チオモルホリニル、チオモルホリニルS-オキシド、チオモルホリニルS,S-ジオキシド、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピロリジニル、ピロリニル、イミダゾリジニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピペリジニル、ホモピペリジニル、ホモモルホリニル、ホモチオモルホリニル、ホモチオモルホリニルS,S-ジオキシド、オキサゾリジノニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピロリル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロフリル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチエニルS-オキシド、テトラヒドロチエニルS,S-ジオキシド、ホモチオモルホリニルS-オキシド、1-(1,2,5,6-テトラヒドロピリジル)、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、4-モルホリニル、3-モルホリニル、テトラヒドロフラン-2-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、テトラヒドロチエン-2-イル、テトラヒドロチエン-3-イル、1-ピペラジニル、2-ピペラジニルなどが挙げられる。
【0369】
「アリール」は、単環(例えば、フェニル)を有するか、または他の芳香族もしくは非芳香族環(例えば、1~3つの他の環)に縮合されている5、6、または7員の芳香族炭素環式基を意味する。「アリール」基が(例えば、1,2,3,4-テトラヒドロナフチルにおける)非芳香族環またはヘテロアリール基を含む場合、「アリール」基は、アリール環(例えば、フェニル環)を介して分子の残部に結合している。アリール基は、(例えば、本明細書に記載される1~5つの置換基で)任意に置換されている。1つの例では、アリール基は、6~10個の炭素原子を有する。アリール基の非限定的な例としては、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、キノリン、インダニル、インデニル、ジヒドロナフチル、フルオレニル、テトラリニル、ベンゾ[d][1,3]ジオキシリル、または6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾ[a]シクロヘプテニルが挙げられる。一態様では、アリール基は、フェニル、ベンゾ[d][1,3]ジオキシリル、及びナフチルから選択される。更に別の態様では、アリール基は、フェニルである。
【0370】
用語「アリールアルキル」または「アラルキル」は、アリール基またはヘテロアリール基がアルキル基に結合して、ラジカルである-アルキル-アリール及び-アルキル-ヘテロアリールを生じているラジカルを含むことを意図し、ここで、アルキル、アリール、及びヘテロアリールは、本明細書において定義される。例示的な「アリールアルキル」または「アラルキル」基としては、ベンジル、フェネチル、ピリジルメチルなどが挙げられる。
【0371】
「アリールオキシ」は、-O-アリール基を意味し、ここで、アリールは、本明細書において定義される通りである。1つの例では、アリールオキシル基のアリール部分は、フェニルまたはナフチルである。一態様では、アリールオキシル基のアリール部分は、フェニルである。
【0372】
用語「ヘテロアリール」または「複素環式芳香族」は、N、O、S、Si、及びB(例えば、N、O、及びS)から選択される少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、1~5個のヘテロ原子、例えば、1~3個のヘテロ原子)を含有する5、6、または7員のポリ不飽和芳香族部分を指し、ここで、窒素及び硫黄原子は、任意に酸化されており、窒素原子(複数可)は任意に四級化されている。「ヘテロアリール」基は、単環であってもよく、または他のアリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキル環(例えば、1~3つの他の環)に縮合されていてもよい。「ヘテロアリール」基が、縮合されたアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキル環を含む場合、「ヘテロアリール」基は、ヘテロアリール環を介して分子の残部に結合している。ヘテロアリール基は、炭素原子またはヘテロ原子を介して分子の残部に結合していてもよい。
【0373】
1つの例では、ヘテロアリール基は、4~10個の炭素原子及びO、S、及びNから選択される1~5個のヘテロ原子を有する。ヘテロアリール基の非限定的な例としては、ピリジル、ピリミジニル、キノリニル、ベンゾチエニル、インドリル、インドリニル、ピリダジニル、ピラジニル、イソインドリル、イソキノリル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、インドリジニル、インダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、フラニル、チエニル、ピロリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソチアゾリル、ナフチリジニル、イソクロマニル、クロマニル、テトラヒドロイソキノリニル、イソインドリニル、イソベンゾテトラヒドロフラニル、イソベンゾテトラヒドロチエニル、イソベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ピリドピリジル、ベンゾテトラヒドロフラニル、ベンゾテトラヒドロチエニル、プリニル、ベンゾジオキソリル、トリアジニル、プテリジニル、ベンゾチアゾリル、イミダゾピリジル、イミダゾチアゾリル、ジヒドロベンズイソキサジニル、ベンズイソキサジニル、ベンゾオキサジニル、ジヒドロベンズイソチアジニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、クロモニル、クロマノニル、ピリジル-N-オキシド、テトラヒドロキノリニル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロキノリノニル、ジヒドロイソキノリノニル、ジヒドロクマリニル、ジヒドロイソクマリニル、イソインドリノニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾオキサゾリノニル、ピロリルN-オキシド、ピリミジニルN-オキシド、ピリダジニルN-オキシド、ピラジニルN-オキシド、キノリニルN-オキシド、インドリルN-オキシド、インドリニルN-オキシド、イソキノリルN-オキシド、キナゾリニルN-オキシド、キノキサリニルN-オキシド、フタラジニルN-オキシド、イミダゾリルN-オキシド、イソオキサゾリルN-オキシド、オキサゾリルN-オキシド、チアゾリルN-オキシド、インドリジニルN-オキシド、インダゾリルN-オキシド、ベンゾチアゾリルN-オキシド、ベンズイミダゾリルN-オキシド、ピロリルN-オキシド、オキサジアゾリルN-オキシド、チアジアゾリルN-オキシド、トリアゾリルN-オキシド、テトラゾリルN-オキシド、ベンゾチオピラニルS-オキシド、ベンゾチオピラニルS,S-ジオキシドが挙げられる。例示的なヘテロアリール基としては、イミダゾリル、ピラゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、及びピリジルが挙げられる。他の例示的なヘテロアリール基としては、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、3-ピラゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、ピラジニル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、2-フェニル-4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、2-ピリジル、3-ピリジル、ピリジン-4-イル、2-ピリミジル、4-ピリミジル、5-ベンゾチアゾリル、プリニル、2-ベンズイミダゾリル、5-インドリル、1-イソキノリル、5-イソキノリル、2-キノキサリニル、5-キノキサリニル、3-キノリル、及び6-キノリルが挙げられる。上記のアリール及びヘテロアリール環系の各々の置換基は、以下に記載される許容されるアリール基の置換基の群から選択される。
【0374】
脂肪族リンカーの例としては、以下の構造が挙げられる:
-O-COO-
-NH-COO-
-NH-CO-NH-
-NH-(CHn1
-S-(CHn1
-CO-(CHn1-CO-
-CO-(CHn1-NH-
-NH-(CHn1-NH-
-CO-NH-(CHn1-NH-CO-
-C(=S)-NH-(CHn1-NH-CO-
-C(=S)-NH-(CHn1-NH-C-(=S)-
-CO-O-(CHn1-O-CO-
-C(=S)-O-(CHn1-O-CO-
-C(=S)-O-(CHn1-O-C-(=S)-
-CO-NH-(CHn1-O-CO-
-C(=S)-NH-(CHn1-O-CO-
-C(=S)-NH-(CHn1-O-C-(=S)-
-CO-NH-(CHn1-O-CO-
-C(=S)-NH-(CHn1-CO-
-C(=S)-O-(CHn1-NH-CO-
-C(=S)-NH-(CHn1-O-C-(=S)-
-NH-(CHCHO)n2-CH(CHOH)-
-NH-(CHCHO)n2-CH
-NH-(CHCHO)n2-CH-CO-
-O-(CHn3-S-S-(CHn4-O-P(=O)
-CO-(CHn3-O-CO-NH-(CHn4
-CO-(CHn3-CO-NH-(CHn4
-(CH2)n1NH-
-C(O)(CH2)n1NH-
-C(O)-(CH2)n1-C(O)-
-C(O)-(CH2)n1-C(O)O-
-C(O)-O-
-C(O)-(CH2)n1-NH-C(O)-
-C(O)-(CH2)n1
-C(O)-NH-
-C(O)-
-(CH2)n1-C(O)-
-(CH2)n1-C(O)O-
-(CH2)n1
-(CH2)n1-NH-C(O)-
n1は、1~40(例えば、2~20または2~12)の整数であり、n2は、1~20(例えば、1~10または1~6)の整数であり、n3及びn4は、同一であっても異なっていてもよく、1~20(例えば、1~10または1~6)の整数である。
【0375】
幾つかの態様では、リンカー組み合わせは、(C3)n、(C4)n、(C5)n、(C6)n、(C7)n、もしくは(C8)n、またはそれらの組み合わせを含み、ここで、nは、1~50の整数であり、各単位は、例えば、リン酸エステルリンカー、ホスホロチオエートエステル結合、またはそれらの組み合わせを介して連結されている。
【0376】
III.A.3.切断可能なリンカー
幾つかの態様では、本明細書において開示されるASOの異なる構成要素は、切断可能なリンカーによるリンカーであり得る。切断可能なリンカーという用語は、破壊または切断され得る少なくとも1つの連結または化学結合を含むリンカーを指す。本明細書で使用する場合、切断という用語は、相対的に大きな分子における、2つ以上の相対的により小さな分子を生じる様式での1つ以上の化学結合の破壊を指す。切断は、例えば、ヌクレアーゼ、ペプチダーゼ、プロテアーゼ、ホスファターゼ、オキシダーゼ、もしくはレダクターゼにより、または例えば、特定の物理化学的条件、例えば、酸化還元環境、pH、活性酸素種の存在、もしくは特定波長の光により媒介され得る。
【0377】
幾つかの態様では、本明細書で使用する場合、用語「切断可能な」は、例えば、急速に分解可能なリンカー、例えば、ホスホジエステル及びジスルフィドを指し、用語「切断可能でない」は、例えば、より安定した結合、例えば、ヌクレアーゼ耐性ホスホロチオエートを指す。
【0378】
幾つかの態様では、切断可能なリンカーは、ジヌクレオチドまたはトリヌクレオチドリンカー、ジスルフィド、イミン、チオケタール、val-citジペプチド、またはそれらの任意の組み合わせである。幾つかの態様では、切断可能なリンカーは、バリン-アラニン-p-アミノベンジルカルバメートまたはバリン-シトルリン-p-アミノベンジルカルバメートを含む。
【0379】
III.A.3.a.酸化還元により切断可能なリンカー
幾つかの態様では、リンカー組み合わせは、酸化還元により切断可能なリンカーを含む。非限定的な例として、切断可能なリンカーの1つの種類は、還元または酸化されると切断される酸化還元により切断可能な連結基である。
【0380】
幾つかの態様では、酸化還元により切断可能なリンカーは、ジスルフィド結合を含有し、すなわち、それは切断可能なジスルフィドリンカーである。
【0381】
酸化還元により切断可能なリンカーは、例えば、細胞内のメルカプタン、オキシダーゼ、またはレダクターゼにより還元され得る。
【0382】
III.A.3.b.活性酸素種(ROS)により切断可能なリンカー
幾つかの態様では、リンカー組み合わせは、例えば、活性化好中球などの炎症プロセスにより生成されるスーパーオキシド(Of)または過酸化水素(H2O2)などの活性酸素種(ROS)により切断され得る切断可能なリンカーを含み得る。幾つかの態様では、ROSにより切断可能なリンカーは、切断可能なチオケタールリンカーである。例えば、米国特許第8,354,455B2号(これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
【0383】
III.A.3.c.pH依存的な切断可能なリンカー
幾つかの態様では、リンカーは、酸性条件(pH7未満)で選択的に切断される連結基である酸により切断可能な連結基を含む「酸不安定リンカー」である。
【0384】
非限定的な例として、酸により切断可能な連結基は、酸性環境、例えば、約6.0、5.5、5.0、またはそれ以下で切断される。幾つかの態様では、pHは、約6.5以下である。幾つかの態様では、リンカーは、一般酸として作用し得る酵素などの作用物質、例えば、ペプチダーゼ(基質特異的であり得る)またはホスファターゼにより切断される。細胞内では、エンドソーム及びリソソームなどの特定の低pH細胞小器官が、酸により切断可能な連結基に切断環境を提供し得る。ヒト血清のpHは7.4であるが、細胞内の平均pHは、わずかにより低く、約7.1~7.3の範囲である。エンドソームも5.5~6.0の範囲の酸性pHを有し、リソソームは、約5.0の更に酸性のpHである。従って、pH依存的な切断可能なリンカーは、場合により、当該技術分野においてエンドソームに不安定なリンカーと称される。
【0385】
酸により切断可能な基は、一般式:-C=NN-、C(O)O、または-OC(O)を有し得る。別の非限定的な例では、エステル酸素(アルコキシ基)に結合している炭素が、アリール基、置換アルキル基、または三級アルキル基、例えば、ジメチルペンチルまたはt-ブチルに結合している場合。酸により切断可能な連結基の例としては、限定されるものではないが、アミン、イミン、アミノエステル、安息香酸イミン、ジオルトエステル、ポリホスホエステル、ポリホスファゼン、アセタール、ビニルエーテル、ヒドラゾン、cis-アコニテート、ヒドラジド、チオカルバモイル、イミジン、アジドメチル-メチルマレイン酸無水物、チオプロピオネート、マスク化エンドソーム溶解剤(masked endosomolytic agent)、シトラコニル基、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。ジスルフィド結合もpHに感受性である。
【0386】
幾つかの態様では、リンカーは、低pHに不安定なヒドラゾン結合を含む。かかる酸不安定結合は、コンジュゲート、例えば、抗体薬物コンジュゲートの分野において広範に使用されている。例えば、Zhou et al,Biomacromolecules 2011,12,1460-7;Yuan et al,Acta Biomater.2008,4,1024-37;Zhang et al,Acta Biomater.2007,6,838-50;Yang et al,J.Pharmacol.Exp.Ther.2007,321,462-8;Reddy et al,Cancer Chemother.Pharmacol.2006,58,229-36;Doronina et al,Nature Biotechnol.2003,21,778-84を参照のこと。
【0387】
ある種の態様では、リンカーは、以下から選択される低pHに不安定な結合を含む:酸性環境(例えば、7未満、約4超のpH)において不安定であり、ジオール及びケトンを形成するケタール;酸性環境(例えば、7未満、約4超のpH)において不安定であり、ジオール及びアルデヒドを形成するアセタール;酸性環境(例えば、7未満、約4超のpH)において不安定であり、アミン及びアルデヒドもしくはケトンを形成するイミンもしくはイミニウム;酸性条件で不安定であるケイ素-酸素-炭素結合;ケイ素-窒素(シラザン)結合;ケイ素-炭素結合(例えば、アリールシラン、ビニルシラン、及びアリルシラン);マレアマート(無水マレイン酸誘導体及びアミンから合成されるアミド結合);オルトエステル;ヒドラゾン;酸接触加水分解を受けるように設計された活性カルボン酸誘導体(例えば、エステル、アミド);またはビニルエーテル。
【0388】
更なる例は、米国特許第9,790,494B2号及び同8,137,695B2号に見出され得、これらの内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0389】
III.A.3.d.酵素切断可能なリンカー
幾つかの態様では、リンカー組み合わせは、細胞内または細胞外酵素、例えば、プロテアーゼ、エステラーゼ、ヌクレアーゼ、アミダーゼにより切断可能なリンカーを含み得る。リンカー組み合わせにおける特定のリンカーを切断することができる酵素の範囲は、リンカーの特定の結合及び化学構造に依存する。従って、ペプチドリンカーは、例えば、ペプチダーゼにより切断され得、エステル結合を含有するリンカーは、例えば、エステラーゼにより切断され得、アミド結合を含有するリンカーは、例えば、アミダーゼにより切断され得る、などである。
【0390】
III.A.3.e.プロテアーゼ切断可能なリンカー
幾つかの態様では、リンカー組み合わせは、プロテアーゼ切断可能なリンカー、すなわち、内因性のプロテアーゼにより切断され得るリンカーを含む。ある種のペプチドのみが細胞内または細胞外で容易に切断される。例えば、Trout et al.,79 Proc.Natl.Acad.Sci.USA,626-629(1982)及びUmemoto et al.43 Int.J.Cancer,677-684(1989)を参照のこと。切断可能なリンカーは、α-アミノ酸単位及びペプチド結合から構成される切断可能な部位を含有し得、ペプチド結合は、化学的には、1つのアミノ酸のカルボン酸ともう1つのアミノ酸のアミノ基との間のアミド結合である。他のアミド結合、例えば、カルボン酸とリジンのα-アミノ酸基との間の結合は、ペプチド結合ではないと理解され、切断可能でないとみなされる。
【0391】
幾つかの態様では、プロテアーゼにより切断可能なリンカーは、プロテアーゼ、例えば、ネプリライシン(CALLAまたはCD10)、チメットオリゴペプチダーゼ(TOP)、ロイコトリエンA4ヒドロラーゼ、エンドセリン変換酵素、ste24プロテアーゼ、神経溶解素、ミトコンドリア中間体ペプチダーゼ、間質コラゲナーゼ、コラゲナーゼ、ストロメライシン、マクロファージエラスターゼ、マトリライシン、ゼラチナーゼ、メプリン、プロコラーゲンCエンドペプチダーゼ、プロコラーゲンNエンドペプチダーゼ、ADAM及びADAMTメタロプロテイナーゼ、ミエリン関連メタロプロテイナーゼ、エナメリシン、腫瘍壊死因子α変換酵素、インスリシン、ナルディライジン、ミトコンドリアプロセシングペプチダーゼ、マグノリシン、ダクチリシン様メタロプロテアーゼ、好中球コラゲナーゼ、マトリックスメタロペプチダーゼ、膜型マトリックスメタロプロテイナーゼ、SP2エンドペプチダーゼ、前立腺特異抗原(PSA)、プラスミン、ウロキナーゼ、ヒト線維芽細胞活性化タンパク質(FAPα)、トリプシン、キモトリプシン、カルデクリン、膵臓エラスターゼ、膵臓エンドペプチダーゼ、エンテロペプチダーゼ、白血球エラスターゼ、骨髄芽球、キマーゼ、トリプターゼ、グランザイム、角質層キモトリプシン酵素、アクロシン、カリクレイン、補体成分及び補体因子、第2補体活性化経路c3/c5転換酵素、マンノース結合タンパク質関連セリンプロテアーゼ、凝固因子、トロンビン、プロテインC、u及びt型プラスミノーゲン活性化因子、カテプシンG、ヘプシン、プロスタシン、肝細胞増殖因子活性化エンドペプチターゼ、スブチリシン/ケキシン型プロタンパク質転換酵素、フューリン、プロタンパク質転換酵素、プロリルペプチダーゼ、アシルアミノアシルペプチダーゼ、ペプチジルグリカミナーゼ、シグナルペプチダーゼ、N末端求核性アミノヒドロラーゼ、20sプロテアソーム、γ-グルタミルトランスペプチダーゼ、ミトコンドリアエンドペプチダーゼ、ミトコンドリアエンドペプチダーゼIa、htra2ペプチダーゼ、マトリプターゼ、部位1プロテアーゼ、レグマイン、カテプシン、システインカテプシン、カルパイン、ユビキチンイソペプチダーゼT、カスパーゼ、グリコシルホスファチジルイノシトールタンパク質トランスアミダーゼ(glycosylphosphatidylinositoliprotein transamidase)、腫瘍凝固促進因子、プロホルモンチオールプロテアーゼ、γ-グルタミルヒドロラーゼ、ブレオマイシンヒドロラーゼ、セプラーゼ、カテプシンB、カテプシンD、カテプシンL、カテプシンM、プロテイナーゼK、ペプシン、キモシン、ガストリシン、レニン、ヤプシン、及び/またはマプシン(maspin)、前立腺特異的抗原(PSA)、または任意のAsp-N、Glu-C、Lys-C、またはArg-Cプロテアーゼ全般の切断部位を含む。例えば、Cancer Res.77(24):7027-7037(2017)(これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
【0392】
幾つかの態様では、切断可能なリンカー構成要素は、1~10アミノ酸残基を含むペプチドを含む。これらの態様では、ペプチドは、プロテアーゼによるリンカーの切断を可能にし、これにより、リソソーム酵素などの細胞内プロテアーゼへの曝露に際して生物活性分子の放出を促進する(Doronina et al.(2003) Nat.Biotechnol.21:778-784)。例示的なペプチドとしては、限定されるものではないが、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド、ペンタペプチド、及びヘキサペプチドが挙げられる。
【0393】
ペプチドは、天然に存在するアミノ酸残基及び/または非天然アミノ酸残基を含み得る。用語「天然に存在するアミノ酸」は、Ala、Asp、Cys、Glu、Phe、Gly、His、He、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gin、Arg、Ser、Thr、Val、Trp、及びTyrを指す。「非天然アミノ酸」(すなわち、天然に存在しないアミノ酸)は、非限定的な例として、ホモセリン、ホモアルギニン、シトルリン、フェニルグリシン、タウリン、ヨードチロシン、セレノシステイン、ノルロイシン(「Nle」)、ノルバリン(「Nva」)、β-アラニン、L-またはD-ナフチルアラニン(naphthalanine)、オルニチン(「Orn」)などが挙げられる。ペプチドは、特定の酵素、例えば、腫瘍関連プロテアーゼ、カテプシンB、C、及びD、またはプラスミンプロテアーゼによる酵素切断用に設計及び最適化され得る。
【0394】
アミノ酸としては、D型の天然及び非天然アミノ酸も挙げられる。「D」は、天然に存在する(「L」)アミノ酸における配置とは対照的に、「D」(右旋性)配置を有するアミノ酸を示す。天然及び非天然アミノ酸は、市販品(Sigma Chemical Co.、Advanced Chemtech)であり得るか、または当該技術分野において公知の方法を使用して合成され得る。
【0395】
例示的なジペプチドとしては、限定されるものではないが、バリン-アラニン、バリン-シトルリン、フェニルアラニン-リジン、N-メチル-バリン-シトルリン、シクロヘキシルアラニン-リジン、及びβ-アラニン-リジンが挙げられる。例示的なトリペプチドとしては、限定されるものではないが、グリシン-バリン-シトルリン(gly-val-cit)及びグリシン-グリシン-グリシン(gly-gly-gly)が挙げられる。
【0396】
III.A.3.f.エステラーゼ切断可能なリンカー
幾つかのリンカーは、エステラーゼにより切断される(「エステラーゼ切断可能なリンカー」)。ある種のエステルのみが、細胞内または細胞外に存在するエステラーゼ及びアミダーゼにより切断され得る。エステルは、カルボン酸及びアルコールの縮合により形成される。単純エステルは、単純アルコール、例えば、脂肪族アルコールならびに低分子環状アルコール及び低分子芳香族アルコールにより生成されるエステルである。エステルベースの切断可能な連結基の例としては、限定されるものではないが、アルキレン、アルケニレン、及びアルキニレン基のエステルが挙げられる。エステル切断可能な連結基は、一般式:-C(O)O-または-OC(O)-を有する。
【0397】
III.A.3.g.ホスファターゼ切断可能なリンカー
幾つかの態様では、リンカー組み合わせは、リン酸基を分解させるか、または加水分解する薬剤により切断されるリン酸ベースの切断可能な連結基を含み得る。細胞内でリン酸基を切断する作用物質の例は、細胞内ホスファターゼなどの酵素である。リン酸ベースの連結基の例は、-O-P(O)(ORk)-O-、-O-P(S)(OR)-O-、-O-P(S)(SR)-O-、-S-P(O)(OR)-O-、-O-P(O)(OR)-S-、-S-P(O)(OR)-S-、-O-P(S)(OR)-S-、-SP(S)(OR)-O-、-OP(O)(R)-O-、-OP(S)(R)-O-、-SP(O)(R)-O-、-SP(S)(R)-O-、-SP(O)(R)-S-、または-OP(S)(R)-S-である。
【0398】
各種の態様では、Rは、以下のうちのいずれかである:NH、BH、CH、C1~6アルキル、C6~10アリール、C1~6アルコキシ、及びC6~10アリールオキシ。幾つかの態様では、C1~6アルキル及びC6~10アリールは、非置換である。更なる非限定的な例は、-O-P(O)(OH)-O-、-O-P(S)(OH)-O-、-O-P(S)(SH)-O-、-S-P(O)(OH)-O-、-O-P(O)(OH)-S-、-S-P(O)(OH)-S-、-O-P(S)(OH)-S-、-S-P(S)(OH)-O-、-O-P(O)(H)-O-、-O-P(S)(H)-O-、-S-P(O)(H)-O-、-SP(S)(H)-O-、-SP(O)(H)-S-、-OP(S)(H)-S-、または-O-P(O)(OH)-O-である。
【0399】
III.A.3.h.光活性化切断可能なリンカー
幾つかの態様では、組み合わせリンカーは、光活性化切断可能なリンカー、例えば、ニトロベンジルリンカーまたはニトロベンジル反応性基を含むリンカーを含む。
【0400】
III.A.3.i.自壊性リンカー
幾つかの態様では、リンカー組み合わせは、自壊性リンカーを含む。幾つかの態様では、本開示のEV(例えば、エキソソーム)における自壊性リンカーは、プロテアーゼ切断可能なリンカーの酵素切断後に1,4脱離を起こす。幾つかの態様では、本開示のEV(例えば、エキソソーム)における自壊性リンカーは、プロテアーゼ切断可能なリンカーの酵素切断後に1,6脱離を起こす。幾つかの態様では、自壊性リンカーは、例えば、p-アミノベンジル(pAB)誘導体、例えば、p-アミノベンジルカルバメート(pABC)、p-アミノベンジルエーテル(PABE)、p-アミノベンジルカーボネート、またはそれらの組み合わせである。
【0401】
ある種の態様では、自壊性リンカーは、芳香族基を含む。幾つかの態様では、芳香族基は、ベンジル、シンナミル、ナフチル、及びビフェニルからなる群から選択される。幾つかの態様では、芳香族基は、複素環式である。他の態様では、芳香族基は、少なくとも1つの置換基を含む。幾つかの態様では、少なくとも1つの置換基は、F、Cl、I、Br、OH、メチル、メトキシ、NO、NH、NO3+、NHCOCH、N(CH、NHCOCF、アルキル、ハロアルキル、C~Cハロゲン化アルキル、カルボキシレート、スルファート、スルファメート、及びスルホネートからなる群から選択される。他の態様では、芳香族基における少なくとも1個のCは、N、O、またはC-R*で置換されており、式中、R*は、H、F、Cl、I、Br、OH、メチル、メトキシ、NO、NH、NO3+、NHCOCH、N(CH、NHCOCF、アルキル、ハロアルキル、C~Cハロゲン化アルキル、カルボキシレート、スルファート、スルファメート、及びスルホネートから独立して選択される。
【0402】
幾つかの態様では、自壊性リンカーは、アミノベンジルカルバメート基(例えば、パラアミノベンジルカルバメート)、アミノベンジルエーテル基、またはアミノベンジルカーボネート基を含む。一態様では、自壊性リンカーは、p-アミノベンジルカルバメート(pABC)である。
【0403】
pABCは、自壊性の部位特異的プロドラッグ活性化のための最も効果的かつ最も普及しているコネクター結合である(例えば、Carl et al.J.Med.Chem.24:479-480(1981);WO1981/001145;Rautio et la,Nature Reviews Drug Discovery 7:255-270(2008);Simplicio et al.,Molecules 13:519-547(2008)を参照のこと)。
【0404】
幾つかの態様では、自壊性リンカーは、生物活性分子(例えば、ASO)を、プロテアーゼ切断可能な基質(例えば、Val-Cit)に連結する。特定の態様では、pABC自壊性リンカーのカルバメート基は、生物活性分子(例えば、ASO)のアミノ基に連結されており、pABC自壊性リンカーのアミノ基は、プロテアーゼ切断可能な基質に連結されている。
【0405】
アミノベンジル基の芳香環は、芳香環上の水素と置き換わる1つ以上の(例えば、R及び/またはR)置換基で任意に置換され得、この水素は、置換されない場合に、環を形成している4つの非置換炭素のうちの1個に結合している。本明細書で使用する場合、記号「R」(例えば、R、R、R、R)は、本明細書に記載される置換基を表す一般的な略語である。
【0406】
置換基は、p-アミノベンジル基の自壊能力を改善し得る(Hay et al.,J.Chem Soc.,Perkin Trans.1:2759-2770(1999);Sykes et al.J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1:1601-1608(2000)も参照のこと)。
【0407】
自壊的脱離は、例えば、1,4脱離、1,6脱離(例えば、pABC)、1,8脱離(例えば、p-アミノ-シンナミルアルコール)、β-脱離、環化脱離(例えば、4-アミノブタノールエステル及びエチレンジアミン)、環化/ラクトン化、環化/ラクトール化などにより起こり得る。例えば、Singh et al.Curr.Med.Chem.15:1802-1826(2008);Greenwald et al.J.Med.Chem.43:475-487(2000)を参照のこと。
【0408】
幾つかの態様では、自壊性リンカーは、例えば、シンナミル、ナフチル、またはビフェニル基を含み得る(例えば、Blencowe et al.Polym.Chem.2:773-790(2011)を参照のこと)。幾つかの態様では、自壊性リンカーは、複素環を含む(例えば、米国特許第7,375,078号;同7,754,681号を参照のこと)。多数のホモ芳香族(例えば、Carl et al.J.Med.Chem.24:479(1981);Senter et al.J.Org.Chem.55:2975(1990);Taylor et al.J.Org.Chem.43:1197(1978);Andrianomenjanahary et al.Bioorg.Med.Chem.Lett.2:1903(1992)を参照のこと)、及びクマリン(例えば、Weinstein et al.Chem.Commun.46:553(2010)参照のこと)、フラン、チオフェン、チアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピロール、ピラゾール(例えば、Hay et al.J.Med.Chem.46:5533(2003)を参照のこと)、ピリジン(例えば、Perry-Feigenbaum et al.Org.Biomol.Chem.7:4825(2009)を参照のこと)、イミダゾール(例えば、Nailor et al.Bioorg.Med.Chem.Lett.Z:1267(1999);Hay and Denny,Tetrahedron Lett.38:8425(1997)を参照のこと)、及びトリアゾール(例えば、Bertrand and Gesson,J.Org.Chem.72:3596(2007)を参照のこと)ベースの、水性条件及び生理的条件下の両方で自壊性である複素環式芳香族基が当技術分野において公知である。米国特許第7,691,962号;同7,091,186号;米国特許公開第US2006/0269480号;同US2010/0092496号;同US2010/0145036号;同US2003/0130189号;同US2005/0256030号も参照のこと。
【0409】
幾つかの態様では、本明細書において開示されるリンカー組み合わせは、2つ以上の自壊性リンカー、例えば、2つ以上のpABC単位を直列に含む。例えば、de Groot et al.J.Org.Chem.66:8815-8830(2001)を参照のこと。幾つかの態様では、本明細書において開示されるリンカー組み合わせは、発蛍光性プローブに連結された自壊性リンカー(例えば、p-アミノベンジルアルコールまたはp-カルボキシベンズアルデヒドもしくはグリオキシル酸のヘミチオアミナール誘導体)を含み得る(例えば、Meyer et al.Org.Biomol.Chem.8:1777-1780(2010)を参照のこと)。
【0410】
自壊性リンカーにおける置換基が、左から右に記載される慣例的な化学式により特定される場合、それらは、その構造を右から左に記載することにより得られる化学的に同一な置換基を同様に包含する。例えば、「-CHO-」は、「-OCH-」とも記載されることを意図する。
【0411】
自壊性リンカーにおける置換基、例えば、上記のようなp-アミノベンジル自壊性リンカーにおけるR及び/またはR置換基としては、例えば、アルキル、アルキレン、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアミノ、アルキルチオ、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールなどが挙げられ得る。本開示の化合物が2つ以上の置換基を含む場合、置換基の各々は独立して選択される。
【0412】
幾つかの特定の態様では、切断可能なペプチドリンカーに結合した自壊性リンカーは、以下の式を有し、組み合わせは以下の式を有する:
-A-Y
式中、各-A-は、独立してアミノ酸単位であり、aは、独立して1~12の整数であり、-Y-は、自壊性スペーサーであり、yは、1または2である。幾つかの態様では、-A-は、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド、ペンタペプチド、またはヘキサペプチドである。幾つかの態様では、-A-は、バリン-アラニン、バリン-シトルリン、フェニルアラニン-リジン、N-メチルバリン-シトルリン、シクロヘキシルアラニン-リジン、及びβ-アラニン-リジンからなる群から選択される。幾つかの態様では、-A-は、バリン-アラニンまたはバリン-シトルリンである。
【0413】
幾つかの態様では、自壊性リンカー-Y-は、以下の式を有する:
【化13】

式中、各Rは、独立して、C1~8アルキル、-O-(C1~8アルキル)、ハロゲン、ニトロ、またはシアノであり、mは、0~4の整数である。幾つかの態様では、mは、0、1、または2である。幾つかの態様では、mは0である。
【0414】
幾つかの態様では、切断可能なリンカーは、バリン-アラニン-p-アミノベンジルカルバメートまたはバリン-シトルリン-p-アミノベンジルカルバメートである。
【0415】
III.A.4.反応性部分(RM)
本開示のASOは、化学合成により、または、それらの構成要素間の化学反応により生成され得る。例えば、幾つかの態様では、反応性基(例えば、マレイミド)を含むアンカー部分は、マレイミド反応基を含むASOと反応して、本開示の疎水性修飾されたASOを生じ得、ここで、アンカー部分は、エキソソームの膜の脂質二重層に挿入され得、これにより、ASOがエキソソームの表面に付着され得る。
【0416】
本開示の疎水性修飾されたASOの任意の構成要素または構成要素の基は、少なくともRG及び/またはRMを含み得、これは、1つの反応または一連の反応により構成要素の結合を可能にして、本開示の疎水性修飾されたASOを生じる。疎水性修飾されたASOの生成のための例示的な合成スキームとしては、以下が挙げられる:
[AM]-/RG/+/RM/-[ASO]→[AM]-[ASO]
[AM]-/RM/+/RG/-[ASO]→[AM]-[ASO]
[AM]-[L]-/RM/ + /RG/-[ASO]→[AM]-[L]-[ASO]
[AM]-[L]-/RG/ + /RM/-[ASO]→[AM]-[L]-[ASO]
[AM]-/RM/ + /RG/-[L]-[ASO]→[AM]-[L]-[ASO]
[AM]-/RG/ + /RM/-[L]-[ASO]→[AM]-[L]-[ASO]
[AM]-[L]-/RM/ + /RG/-[L]-[ASO]→[AM]-[L]-[L]-[ASO]
[AM]-[L]-/RG/ + /RM/-[L]-[ASO]→[AM]-[L]-[L]-[ASO]
式中、[AM]は、アンカー部分であり、[ASO]は、アンチセンスオリゴヌクレオチドであり、[L]は、リンカーまたはリンカー組み合わせであり、/RM/は、反応性部分であり、/RG/は、反応性基である。提供される概略図のいずれかにおいて、ASOは、例えば、その5’末端または3’末端で結合され得る。
【0417】
ASOの合成における中間体の生成の例示的な合成スキームとしては、以下が挙げられる:
[AM]-/RM/+ /RG/-[L]→[AM]-[L]
[AM]-/RG/ + /RM/-[L]→[AM]-[L]
[L]-/RM/+ /RG/-[L]→[L]-[L]
[L]-/RG/ + /RM/-[L]→[L]-[L]
[L]-/RM/+ /RG/-[ASO]→[L]-[ASO]
[L]-/RG/ +/RM/-[ASO]→[L]-[ASO]
式中、[AM]は、アンカー部分であり、[ASO]は、アンチセンスオリゴヌクレオチドであり、[L]は、リンカーまたはリンカー組み合わせであり、/RM/は、反応性部分であり、/RG/は、反応性基である。提供される概略図のいずれかにおいて、ASOは、例えば、その5’末端または3’末端で結合され得る。
【0418】
幾つかの態様では、反応性基「/RG/」は、例えば、アミノ基、チオール基、ヒドロキシル基、カルボン酸基、またはアジド基であり得る。これらの反応性基と反応することができる特定の反応性部分「/RM/」は、以下でより詳細に記載される。
【0419】
[AM]-(/RM/)n + (/RG/-[L]-[ASO])n→[AM]-[L]-[ASO]
【0420】
本明細書において開示されるアンカー部分、リンカーもしくはリンカー組み合わせ、またはASOのいずれかは、反応性部分、例えば、アミノ反応性部分(例えば、NHSエステル、p-ニトロフェノール、イソチオシアネート、イソシアネート、またはアルデヒド)、チオール反応性部分(例えば、アクリレート、マレイミド、またはピリジルジスルフィド)、ヒドロキシ反応性部分(例えば、イソチオシアネート、またはイソシアネート)、カルボン酸反応性部分(例えば、エポキシド)、またはアジド反応性部分(例えば、アルキン)にコンジュゲートされ得る。
【0421】
本明細書において開示される2つの構成要素(例えば、アンカー部分及びASO、またはアンカー部分及びリンカー、またはアンカー部分及びリンカー、または2つのリンカー、またはリンカー及びASO、または2つのアンカー部分)を共有結合させるために使用され得る例示的な反応性部分としては、例えば、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート、N-4-マレイミド酪酸、S-(2-ピリジルジチオ)システアミン、ヨードアセトキシスクシンイミド、N-(4-マレイミドブチリルオキシ)スクシンイミド、N-[5-(3’-マレイミドプロピルアミド)-1-カルボキシペンチル]イミノ二酢酸、N-(5-アミノペンチル)イミノ二酢酸、及び1’-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホラミダイト)が挙げられる。二官能性リンカー(2つの官能基を含有するリンカー)も使用可能である。
【0422】
幾つかの態様では、アンカー部分、リンカー、またはASOは、末端オキシアミノ基、例えば、-ONH2、ヒドラジノ基、-NHNH2、メルカプト基(すなわち、SHまたはチオール)、またはオレフィン(例えば、CH=CH2)を含み得る。幾つかの態様では、アンカー部分、リンカーまたは、ASOは、例えば、末端位置に、求電子部分、例えば、アルデヒド、ハロゲン化アルキル、メシラート、トシラート、ノシラート、もしくはブロシラート、または活性化カルボン酸エステル、例えば、NHSエステル、ホスホラミダイト、もしくはペンタフルオロフェニルエステルを含み得る。幾つかの態様では、共有結合は、リガンドの求核基、例えば、ヒドロキシル、チオール、またはアミノ基を求電子基とカップリングさせることにより形成され得る。
【0423】
本発明は、限定されるものではないが、当技術分野において公知のものが含まれるあらゆる種類の反応性基及び反応性部分に適している。
【0424】
本明細書で使用する場合、用語「保護基」は、限定されるものではないが、ヒドロキシル、アミノ、及びチオール基が含まれる反応性基を、合成手順の間、望ましくない反応から保護することが当技術分野において公知の不安定な化学部分を指す。保護基は、通常、他の反応部位での反応の間、部位を保護するために選択的及び/または直交的に使用され、次いで、基が保護されていない状態にするために、または更なる反応に利用可能にするために、除去され得る。当該技術分野において公知の保護基は、一般に、Greene and Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,3rd edition,John Wiley & Sons,New York(1999)に記載されている。
【0425】
加えて、目的の化合物を得るために、様々な合成ステップが、代替的な順番または順序で実行され得る。本明細書に記載の化合物を合成するのに有用な化学合成変換及び保護基操作方法(保護及び脱保護)は、当技術分野において公知であり、例えば、R.Larock,Comprehensive Organic Transformations,VCH Publishers (1989);T.W.Greene and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,2d.Ed.,John Wiley and Sons(1991);L.Fieser and M.Fieser,Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons(1994);及びL.Paquette,ed.,Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons(1995)、ならびにそれらの後続の版に記載されるものなどが挙げられる。
【0426】
追加的または代替的に、当該技術分野において公知の固相法が用いられ得る。自動化合成技術が含まれる好適な固相法は、F.Eckstein(ed.),Oligonucleotides and Analogues,a Practical Approach,Oxford University Press,New York(1991)及びToy,P.H.;Lam,Y(ed.),Solid-Phase Organic synthesis,concepts,Strategies,and Applications,John Wiley & Sons,Inc.New Jersey(2012)に記載されている。
【0427】
幾つかの態様では、反応性基は、以下に記載される反応性部分のうちの2つ以上と代替的に反応することができる。
【0428】
III.A.4.a.アミン反応性部分
幾つかの態様では、反応性部分は、アミン反応性部分である。本明細書で使用する場合、用語「アミン反応性部分」は、アミノ部分を有する反応性基、例えば、一級アミンと反応することができる化学基を指す。例示的なアミン反応性部分は、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(NHSエステル)、p-ニトロフェノール、イソチオシアネート、イソシアネート及びアルデヒドである。一級アミンと反応する代替的な反応性部分も当該技術分野において周知である。幾つかの態様では、アミン反応性部分は、アンカー部分、リンカー組み合わせ、または本開示のASOの末端位置に結合され得る。
【0429】
幾つかの態様では、アミン反応性部分は、NHSエステルである。通常、NHSエステル反応性部分は、反応性基の一級アミンと反応して、安定したアミド結合及びN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を生じる。
【0430】
幾つかの態様では、アミン反応性部分は、p-ニトロフェノール基である。通常、p-ニトロフェノール反応性部分は、反応性基の一級アミンと反応して、安定したカルバメート部分及びp-ニトロフェノールを生じる活性カルバメートである。
【0431】
幾つかの態様では、アミン反応性部分は、イソチオシアネートである。通常、イソチオシアネートは、反応性基の一級アミンと反応して、安定したチオ尿素部分を生じる。
【0432】
幾つかの態様では、アミン反応性部分は、イソシアネートである。通常、イソシアネートは、反応性基の一級アミンと反応して、安定した尿素部分を生じる。
【0433】
幾つかの態様では、アミンである、反応性部分は、アルデヒドである。典型的には、アルデヒドは、一級アミンと反応して、シッフ塩基を形成し、これは更に還元されて、還元的アミノ化により共有結合を形成し得る。
【0434】
III.A.4.b.チオール反応性部分
幾つかの態様では、反応性部分は、チオール反応性部分である。本明細書で使用する場合、用語「チオール反応性部分」は、チオール部分(またはメルカプト基)を有する反応性基と反応し得る化学基を指す。例示的なチオール反応性部分は、アクリレート、マレイミド、及びピリジルジスルフィドである。チオールと反応する代替的な反応性部分も当該技術分野において周知である。幾つかの態様では、チオール反応性部分は、アンカー部分、リンカー組み合わせ、または本開示のASOの末端位置に結合され得る。
【0435】
幾つかの態様では、チオール反応性部分は、アクリレートである。通常、アクリレートは、アクリレートのカルボニルに対してβ位炭素でチオールと反応して、安定したスルフィド結合を形成する。
【0436】
幾つかの態様では、チオール反応性部分は、マレイミドである。通常、マレイミドは、カルボニルに対してβ位炭素のいずれかでチオールと反応して、安定したスルフィド結合を形成する。
【0437】
幾つかの態様では、チオール反応性部分は、ピリジルジスルフィドである。通常、ピリジルジスルフィドは、ピリジルに対してβ位硫黄原子でチオールと反応して、安定したジスルフィド結合及びピリジン-2-チオンを形成する。
【0438】
III.A.4.c.ヒドロキシ反応性部分
幾つかの態様では、反応性部分は、ヒドロキシル反応性部分である。本明細書で使用する場合、用語「ヒドロキシル反応性部分」は、ヒドロキシル部分を有する反応性基と反応し得る化学基を指す。例示的なヒドロキシル反応性部分は、イソチオシアネート及びイソシアネートである。ヒドロキシル部分と反応する代替的な反応性部分も当該技術分野において周知である。幾つかの態様では、ヒドロキシル反応性部分は、アンカー部分、リンカー組み合わせ、または本開示のASOの末端位置に結合され得る。
【0439】
幾つかの態様では、ヒドロキシル反応性部分は、イソチオシアネートである。通常、イソチオシアネートは、反応性基のヒドロキシルと反応して、安定したカルバモチオエート部分を生じる。
【0440】
幾つかの態様では、アミンである、反応性部分は、イソシアネートである。通常、イソシアネートは、反応性基のヒドロキシルと反応して、安定したカルバメート部分を生じる。
【0441】
III.A.4.d.カルボン酸反応性部分
幾つかの態様では、反応性部分は、カルボン酸反応性部分である。本明細書で使用する場合、用語「カルボン酸反応性部分」は、カルボン酸部分を有する反応性基と反応し得る化学基を指す。例示的なカルボン酸反応性部分は、エポキシドである。カルボン酸部分と反応する代替的な反応性部分も当該技術分野において周知である。幾つかの態様では、カルボン酸反応性部分は、アンカー部分、リンカー組み合わせ、または本開示のASOの末端位置に結合され得る。
【0442】
幾つかの態様では、カルボン酸反応性部分は、エポキシドである。通常、エポキシドは、エポキシドの炭素原子のいずれかで反応性基のカルボン酸と反応して、酢酸2-ヒドロキシエチル部分を形成する。
【0443】
III.A.4.e.アジド反応性部分
幾つかの態様では、反応性部分は、アジド反応性部分である。本明細書で使用する場合、用語「アジド反応性部分」は、アジド部分を有する反応性基と反応し得る化学基を指す。例示的なアジド反応性部分は、アルキンである。アジド部分と反応する代替的な反応性部分も当該技術分野において周知である。幾つかの態様では、カルボン酸反応性部分は、アンカー部分、リンカー組み合わせ、または本開示のASOの末端位置に結合され得る。
【0444】
幾つかの態様では、アジド反応性部分は、アルキンである。通常、アルキンは、「クリックケミストリー」とも称される1,3-双極子付加環化反応により反応性基のアジドと反応して、1,2,3-トリアゾール部分を形成する。
【0445】
III.A.5.具体例及びトポロジー
本開示の特定の態様では、リンカー組み合わせは、以下の式のリンカーからなる:
[アルキルリンカー]m-[PEG1]n-[PEG2]o
式中、m、n、及びoは、0または1であり、m、n、またはoのうちの少なくとも1つは、ゼロではない。かかる式による例示的なリンカー組み合わせは、C6-TEG-HEG、C6-HEG、C6-TEG、C6、TEG-HEG、TEG、C8-TEG-HEG、C8-HEG、C8-TEG、及びC8である。
【0446】
幾つかの態様では、リンカー組み合わせは、1つ以上の切断可能なリンカーと組み合わされた切断可能でないリンカー(例えば、TEGまたはHEG)、例えば、酵素切断可能なリンカー及び自壊性リンカーを含む。
【0447】
特定の態様では、リンカー組み合わせは、以下に示すように、TEG(切断可能でないリンカー)-Val-Cit(切断可能なリンカー)-pAB(自壊性リンカー)のリンカー組み合わせを含む。
【化14】
【0448】
アンカー部分及びリンカー組み合わせの特定の組み合わせは、以下の表に示される。
【表2】


【表3】
【0449】
本開示のASOなどの特定のオリゴヌクレオチドが、以下に例示される。
【化15】

式中、[コレステロール]は、コレステロールアンカー部分であり、[TEG]は、切断可能でないTEGリンカーであり、[HEG]は、切断可能でないHEGリンカーであり、[SS]は、酸化還元により切断可能なジスルフィドリンカーであり、[C6]は、切断可能でないアルキルリンカーであり、[SMal]は、S-マレイミドであり、[Val-Cit]は、切断可能なバリン-シトルリンリンカーであり、[pAB]は、自壊性pABリンカーである。幾つかの態様では、本開示のASOは、1つ以上の構成要素が、例に示されたものと同じ種類の構成要素と置き換えられた、上記で提供された例示的な構造による構造を有する。例えば、[コレステロール]アンカー部分が、本明細書において開示される別のアンカー部分と置換され得るか、[TEG]が、本明細書において開示される別の切断可能でないポリマーリンカー(例えば、HEG、PEG、PG)と置換され得るか、[Val-Cit]が、別のペプチダーゼ切断可能なリンカーと置換され得るか、または[pAB]が、別の自壊性リンカーと置換され得る。
【0450】
III.B.足場部分
1種以上の足場部分がEVにおいて発現され得る。幾つかの態様では、1種以上の足場部分が、ASOを本開示のEV(例えば、エキソソーム)に係留するために使用される。他の態様では、1種以上の足場部分が、タンパク質または分子をEVに加えてASOに係留するために使用される。従って、本開示のEVは、ASOを連結するアンカー部分、及びタンパク質または分子、例えば、標的化部分を連結する足場部分を含む。幾つかの態様では、ASOは、足場部分に連結される。幾つかの態様では、EVは、2種以上の足場部分を含む。幾つかの態様では、第1のASOは、第1の足場部分に連結され、第2のASOは、第2の足場部分に連結される。幾つかの態様では、第1の足場部分及び第2の足場部分は、同じ種類の足場部分であり、例えば、第1及び第2の足場部分は、両方とも足場Xタンパク質である。幾つかの態様では、第1の足場部分及び第2の足場部分は、異なる種類の足場部分であり、例えば、第1の足場部分は、足場Yタンパク質であり、第2の足場部分は、足場Xタンパク質である。幾つかの態様では、第1の足場部分は、本明細書において開示される足場Yである。幾つかの態様では、第1の足場部分は、本明細書において開示される足場Xである。幾つかの態様では、第2の足場部分は、本明細書において開示される足場Yである。幾つかの態様では、第2の足場部分は、本明細書において開示される足場Xである。
【0451】
幾つかの態様では、EVは、ASOをEV、例えば、エキソソームに(例えば、内腔表面または外部表面のいずれかで)係留することができる1種以上の足場部分を含む。ある種の態様では、足場部分は、ポリペプチド(「足場タンパク質」)である。ある種の態様では、足場タンパク質は、エキソソームタンパク質またはその断片を含む。他の態様では、足場部分は、非ポリペプチド部分である。幾つかの態様では、足場タンパク質としては、様々な膜タンパク質、例えば、エキソソーム膜に豊富に含まれる膜貫通タンパク質、膜内在性タンパク質(integral protein)、及び周辺タンパク質が挙げられる。それらとしては、様々なCDタンパク質、輸送体、インテグリン、レクチン、及びカドヘリンが挙げられ得る。ある種の態様では、足場部分(例えば、足場タンパク質)は、足場Xを含む。他の態様では、足場部分(例えば、エキソソームタンパク質)は、足場Yを含む。更なる態様では、足場部分(例えば、エキソソームタンパク質)は、足場X及び足場Yの両方を含む。
【0452】
III.B.1.足場Xにより操作されたEV、例えば、エキソソーム
幾つかの態様では、本開示のEV、例えば、エキソソームは、組成が改変された膜を含む。例えば、それらの膜組成は、膜のタンパク質、脂質、またはグリカン含量を変化させることにより改変され得る。
【0453】
幾つかの態様では、表面が操作されたEV、例えば、エキソソームは、化学的及び/または物理的方法、例えば、PEGにより誘発される融合及び/または超音波による融合により生成される。他の態様では、表面が操作されたEV、例えば、エキソソームは、遺伝子操作により生成される。遺伝子改変された産生細胞または遺伝子改変された細胞の子孫から産生されたEV、例えば、エキソソームは、改変された膜組成を有し得る。幾つかの態様では、表面が操作されたEV、例えば、エキソソームは、より高密度もしくはより低密度(例えば、より多量)の足場部分(例えば、エキソソームタンパク質、例えば、足場X)を有するか、または足場部分のバリアントもしくは断片を含む。
【0454】
例えば、表面が(例えば、足場Xにより)操作されたEVは、足場部分(例えば、エキソソームタンパク質、例えば、足場X)またはそのバリアントもしくは断片をコードする外来性配列で形質転換された細胞(例えば、HEK293細胞)から産生され得る。外来性配列から発現された足場部分を含むEVは、改変された膜組成を含み得る。
【0455】
足場部分の様々な改変または断片が、本開示の態様に使用され得る。例えば、結合剤を使用して精製され得る表面が操作されたEVを生成するために、結合剤に対する増強された親和性を有するように改変された足場部分が使用され得る。EV及び/または膜により効果的に標的化されるように改変された足場部分が使用され得る。エキソソーム膜への特異的かつ効果的な標的化に必要とされる最小断片を含むように改変された足場部分も使用され得る。
【0456】
足場部分は、融合分子、例えば、足場XのASOとの融合分子として発現されるように操作され得る。例えば、融合分子は、ASOに連結された本明細書において開示される足場部分(例えば、足場X、例えば、PTGFRN、BSG、IGSF2、IGSF3、IGSF8、ITGB1、ITGA4、SLC3A2、ATP輸送体、またはそれらの断片もしくはバリアント)を含み得る。
【0457】
幾つかの態様では、本明細書に記載される表面が(例えば、足場Xにより)操作されたEVは、当該技術分野において公知のEVと比較して優れた特性を示す。例えば、表面が(例えば、足場Xにより)操作されたものは、天然に存在するEVまたは従来のエキソソームタンパク質を使用して生成されたEVと比べてより高度に濃縮された改変されたタンパク質をそれらの表面に含有する。更に、本開示の表面が(例えば、足場Xにより)操作されたEVは、天然に存在するEVまたは従来のエキソソームタンパク質を使用して生成されたEVと比べてより高い、より特異的な、またはより制御された生物活性を有し得る。
【0458】
幾つかの態様では、足場Xは、プロスタグランジンF2受容体ネガティブレギュレーター(PTGFRNポリペプチド)を含む。PTGFRNタンパク質は、CD9パートナー1(CD9P-1)、Glu-Trp-Ile(EWI)モチーフ含有タンパク質F(EWI-F)、プロスタグランジンF2α受容体調節タンパク質、プロスタグランジンF2α受容体関連タンパク質、またはCD315とも称され得る。ヒトPTGFRNタンパク質(Uniprotアクセッション番号Q9P2B2)の全長アミノ酸配列は、配列番号301として表2に示される。PTGFRNポリペプチドは、シグナルペプチド(配列番号301のアミノ酸1~25)、細胞外ドメイン(配列番号301のアミノ酸26~832)、膜貫通ドメイン(配列番号301のアミノ酸833~853)、及び細胞質ドメイン(配列番号301のアミノ酸854~879)を含有する。成熟PTGFRNポリペプチドは、シグナルペプチド、すなわち、配列番号301のアミノ酸26~879のない配列番号301からなる。幾つかの態様では、本開示のために有用なPTGFRNポリペプチド断片は、PTGFRNポリペプチドの膜貫通ドメインを含む。他の態様では、本開示に有用なPTGFRNポリペプチド断片は、PTGFRNポリペプチドの膜貫通ドメイン、ならびに(i)膜貫通ドメインのN末端の少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150アミノ酸、(ii)膜貫通ドメインのC末端の少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、もしくは少なくとも25アミノ酸、または(i)及び(ii)の両方を含む。
【0459】
幾つかの態様では、PTGFRNポリペプチドの断片は、1つ以上の機能または構造ドメイン(例えば、IgV)を欠く。
【0460】
他の態様では、足場Xは、配列番号301のアミノ酸26~879と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含む。他の態様では、足場Xは、配列番号302と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含む。他の態様では、足場Xは、配列番号302のアミノ酸配列の他に、1アミノ酸変異、2アミノ酸変異、3アミノ酸変異、4アミノ酸変異、5アミノ酸変異、6アミノ酸変異、または7アミノ酸変異を含む。変異は、置換、挿入、欠失、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。幾つかの態様では、足場Xは、配列番号302のアミノ酸配列、ならびに配列番号302のN末端及び/またはC末端の1アミノ酸、2アミノ酸、3アミノ酸、4アミノ酸、5アミノ酸、6アミノ酸、7アミノ酸、8アミノ酸、9アミノ酸、10アミノ酸、11アミノ酸、12アミノ酸、13アミノ酸、14アミノ酸、15アミノ酸、16アミノ酸、17アミノ酸、18アミノ酸、19アミノ酸、または20アミノ酸以上を含む。
【0461】
他の態様では、足場Xは、配列番号301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、または318と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含む。他の態様では、足場Xは、配列番号301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、または318のアミノ酸配列の他に、1アミノ酸変異、2アミノ酸変異、3アミノ酸変異、4アミノ酸変異、5アミノ酸変異、6アミノ酸変異、または7アミノ酸変異を含む。変異は、置換、挿入、欠失、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。幾つかの態様では、足場Xは、配列番号301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、または318のアミノ酸配列、ならびに配列番号301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、または318のN末端及び/またはC末端の1アミノ酸、2アミノ酸、3アミノ酸、4アミノ酸、5アミノ酸、6アミノ酸、7アミノ酸、8アミノ酸、9アミノ酸、10アミノ酸、11アミノ酸、12アミノ酸、13アミノ酸、14アミノ酸、15アミノ酸、16アミノ酸、17アミノ酸、18アミノ酸、19アミノ酸、または20アミノ酸以上を含む。
【表4】
【0462】
他の態様では、足場Xは、配列番号319、320、321、322、323、323、または325と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含む。他の態様では、足場Xは、配列番号319、320、321、322、323、323、または325のアミノ酸配列の他に、1アミノ酸変異、2アミノ酸変異、3アミノ酸変異、4アミノ酸変異、5アミノ酸変異、6アミノ酸変異、または7アミノ酸変異を含む。変異は、置換、挿入、欠失、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。幾つかの態様では、足場Xは、配列番号319、320、321、322、323、323、または325のアミノ酸配列、ならびに配列番号319、320、321、322、323、323、または325のN末端及び/またはC末端の1アミノ酸、2アミノ酸、3アミノ酸、4アミノ酸、5アミノ酸、6アミノ酸、7アミノ酸、8アミノ酸、9アミノ酸、10アミノ酸、11アミノ酸、12アミノ酸、13アミノ酸、14アミノ酸、15アミノ酸、16アミノ酸、17アミノ酸、18アミノ酸、19アミノ酸、または20アミノ酸以上を含む。
【表5-1】

【表5-2】

【表5-3】

【表5-4】
【0463】
幾つかの態様では、足場Xは、配列番号303により示されるベイシジン(BSGタンパク質)を含む。BSGタンパク質は、5F7、コラゲナーゼ刺激因子、細胞外マトリックスメタロプロテイナーゼ誘導物質(EMMPRIN)、白血球活性化抗原M6、OK血液型抗原、腫瘍細胞由来コラゲナーゼ刺激因子(TCSF)、またはCD147としても公知である。ヒトBSGタンパク質のUniprot番号は、P35613である。BSGタンパク質のシグナルペプチドは、配列番号303のアミノ酸1~21である。配列番号303のアミノ酸138~323は、細胞外ドメインであり、アミノ酸324~344は、膜貫通ドメインであり、配列番号303のアミノ酸345~385は、細胞質ドメインである。
【0464】
他の態様では、足場Xは、配列番号303のアミノ酸22~385と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含む。幾つかの態様では、BSGポリペプチドの断片は、1つ以上の機能または構造ドメイン、例えば、IgV、例えば、配列番号303のアミノ酸221~315を欠く。他の態様では、足場Xは、配列番号326、327、または328と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含む。他の態様では、足場Xは、配列番号326、327、または328のアミノ酸配列の他に、1アミノ酸変異、2アミノ酸変異、3アミノ酸変異、4アミノ酸変異、5アミノ酸変異、6アミノ酸変異、または7アミノ酸変異を含む。変異は、置換、挿入、欠失、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。幾つかの態様では、足場Xは、配列番号326、327、または328のアミノ酸配列、ならびに配列番号326、327、または328のN末端及び/またはC末端の1アミノ酸、2アミノ酸、3アミノ酸、4アミノ酸、5アミノ酸、6アミノ酸、7アミノ酸、8アミノ酸、9アミノ酸、10アミノ酸、11アミノ酸、12アミノ酸、13アミノ酸、14アミノ酸、15アミノ酸、16アミノ酸、17アミノ酸、18アミノ酸、19アミノ酸、または20アミノ酸以上を含む。
【0465】
幾つかの態様では、足場Xは、CD81パートナー3、Glu-Trp-Ile EWIモチーフ含有タンパク質2(EWI-2)、ケラチノサイト関連膜貫通タンパク質4(KCT-4)、LIR-D1、プロスタグランジン調節様タンパク質(PGRL)、またはCD316としても公知である、免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー8(IgSF8またはIGSF8タンパク質)を含む。全長ヒトIGSF8タンパク質は、Uniprotアクセッション番号Q969P0であり、本明細書において配列番号304として示される。ヒトIGSF8タンパク質は、シグナルペプチド(配列番号304のアミノ酸1~27)、細胞外ドメイン(配列番号304のアミノ酸28~579)、膜貫通ドメイン(配列番号304のアミノ酸580~600)、及び細胞質ドメイン(配列番号304のアミノ酸601~613)を有する。
【0466】
他の態様では、足場Xは、配列番号304のアミノ酸28~613と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含む。幾つかの態様では、IGSF8タンパク質は、1つ以上の機能または構造ドメイン(例えば、IgV)を欠く。他の態様では、足場Xは、配列番号330、331、332、または333と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含む。他の態様では、足場Xは、配列番号330、331、332、または333のアミノ酸配列の他に、1アミノ酸変異、2アミノ酸変異、3アミノ酸変異、4アミノ酸変異、5アミノ酸変異、6アミノ酸変異、または7アミノ酸変異を含む。変異は、置換、挿入、欠失、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。幾つかの態様では、足場Xは、配列番号330、331、332、または333のアミノ酸配列、ならびに配列番号330、331、332、または333のN末端及び/またはC末端の1アミノ酸、2アミノ酸、3アミノ酸、4アミノ酸、5アミノ酸、6アミノ酸、7アミノ酸、8アミノ酸、9アミノ酸、10アミノ酸、11アミノ酸、12アミノ酸、13アミノ酸、14アミノ酸、15アミノ酸、16アミノ酸、17アミノ酸、18アミノ酸、19アミノ酸、または20アミノ酸以上を含む。
【0467】
幾つかの態様では、本開示の足場Xは、Glu-Trp-Ile EWIモチーフ含有タンパク質3(EWI-3)としても公知であり、配列番号309のアミノ酸配列として示される、免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー3(IgSF3またはIGSF3タンパク質)を含む。ヒトIGSF3タンパク質は、シグナルペプチド(配列番号309のアミノ酸1~19)、細胞外ドメイン(配列番号309のアミノ酸20~1124)、膜貫通ドメイン(配列番号309のアミノ酸1125~1145)、及び細胞質ドメイン(配列番号309のアミノ酸1146~1194)を有する。
【0468】
他の態様では、足場Xは、配列番号309のアミノ酸28~613と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含む。幾つかの態様では、IGSF3タンパク質は、1つ以上の機能または構造ドメイン(例えば、IgV)を欠く。
【0469】
幾つかの態様では、本開示の足場Xは、フィブロネクチン受容体サブユニットβ、糖タンパク質IIa(GPIIA)、VLA-4サブユニットβ、またはCD29としても公知であり、配列番号305のアミノ酸配列として示される、インテグリンβ-1(ITGB1タンパク質)を含む。ヒトITGB1タンパク質は、シグナルペプチド(配列番号305のアミノ酸1~20)、細胞外ドメイン(配列番号305のアミノ酸21~728)、膜貫通ドメイン(配列番号305のアミノ酸729~751)、及び細胞質ドメイン(配列番号305のアミノ酸752~798)を有する。
【0470】
他の態様では、足場Xは、配列番号305のアミノ酸21~798と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含む。幾つかの態様では、ITGB1タンパク質は、1つ以上の機能または構造ドメイン(例えば、IgV)を欠く。
【0471】
他の態様では、足場Xは、シグナルペプチド(配列番号306のアミノ酸1~33)のない配列番号306と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含むITGA4タンパク質を含む。幾つかの態様では、ITGA4タンパク質は、1つ以上の機能または構造ドメイン、例えば、IgVを欠く。
【0472】
他の態様では、足場Xは、シグナルペプチドのない配列番号307と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含むSLC3A2タンパク質を含む。幾つかの態様では、SLC3A2タンパク質は、1つ以上の機能または構造ドメイン、例えば、IgVを欠く。
【0473】
他の態様では、足場Xは、シグナルペプチドのない配列番号310と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含むATP1A1タンパク質を含む。幾つかの態様では、ATP1A1タンパク質は、1つ以上の機能または構造ドメイン、例えば、IgVを欠く。
【0474】
他の態様では、足場Xは、シグナルペプチドのない配列番号311と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含むATP1A2タンパク質を含む。幾つかの態様では、ATP1A2タンパク質は、1つ以上の機能または構造ドメイン、例えば、IgVを欠く。
【0475】
他の態様では、足場Xは、シグナルペプチドのない配列番号312と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含むATP1A3タンパク質を含む。幾つかの態様では、ATP1A3タンパク質は、1つ以上の機能または構造ドメイン、例えば、IgVを欠く。
【0476】
他の態様では、足場Xは、シグナルペプチドのない配列番号313と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含むATP1A4タンパク質を含む。幾つかの態様では、ATP1A4タンパク質は、1つ以上の機能または構造ドメイン、例えば、IgVを欠く。
【0477】
他の態様では、足場Xは、シグナルペプチドのない配列番号314と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含むATP2B1タンパク質を含む。幾つかの態様では、ATP2B1タンパク質は、1つ以上の機能または構造ドメイン、例えば、IgVを欠く。
【0478】
他の態様では、足場Xは、シグナルペプチドのない配列番号315と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含むATP2B2タンパク質を含む。幾つかの態様では、ATP2B2タンパク質は、1つ以上の機能または構造ドメイン、例えば、IgVを欠く。
【0479】
他の態様では、足場Xは、シグナルペプチドのない配列番号316と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含むATP2B3タンパク質を含む。幾つかの態様では、ATP2B3タンパク質は、1つ以上の機能または構造ドメイン、例えば、IgVを欠く。
【0480】
他の態様では、足場Xは、シグナルペプチドのない配列番号317と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含むATP2B4タンパク質を含む。幾つかの態様では、ATP2B4タンパク質は、1つ以上の機能または構造ドメイン、例えば、IgVを欠く。
【0481】
他の態様では、足場Xは、シグナルペプチドのない配列番号318と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含むIGSF2タンパク質を含む。幾つかの態様では、IGSF2タンパク質は、1つ以上の機能または構造ドメイン、例えば、IgVを欠く。
【0482】
他の足場Xタンパク質の非限定的な例は、2019年2月5日に発行された米国特許第US10195290B1号(その全体が参照により組み込まれる)に見出され得る。
【0483】
幾つかの態様では、配列は、天然タンパク質のN末端からの少なくとも5、10、50、100、200、300、400、500、600、700、または800アミノ酸を欠く足場部分の断片をコードする。幾つかの態様では、配列は、天然タンパク質のC末端からの少なくとも5、10、50、100、200、300、400、500、600、700、または800アミノ酸を欠く足場部分の断片をコードする。幾つかの態様では、配列は、天然タンパク質のN末端及びC末端の両方からの少なくとも5、10、50、100、200、300、400、500、600、700、または800アミノ酸を欠く足場部分の断片をコードする。幾つかの態様では、配列は、天然タンパク質の1つ以上の機能または構造ドメインを欠く足場部分の断片をコードする。
【0484】
幾つかの態様では、足場部分、例えば、足場X、例えば、PTGFRNタンパク質は、1つ以上の異種タンパク質に連結される。1つ以上の異種タンパク質は、足場部分のN末端に連結され得る。1つ以上の異種タンパク質は、足場部分のC末端に連結され得る。幾つかの態様では、1つ以上の異種タンパク質は、足場部分のN末端及びC末端の両方に連結される。幾つかの態様では、異種タンパク質は、哺乳動物タンパク質である。幾つかの態様では、異種タンパク質は、ヒトタンパク質である。
【0485】
幾つかの態様では、足場Xは、任意の部分、例えば、ASOを、EV、例えば、エキソソームの内腔表面及び外部表面に同時に連結するために使用され得る。例えば、PTGFRNポリペプチドが、ASOを、EV、例えば、エキソソームの外部表面に加えて内腔内に(例えば、内腔表面に)連結するために使用され得る。従って、ある種の態様では、足場Xは、2つの目的、例えば、EV、例えば、エキソソームの内腔表面のASO及び外部表面のASOのために使用され得る。幾つかの態様では、足場Xは、ASOをEVの内腔表面及び/またはEVの外部表面に係留することができる足場タンパク質である。
【0486】
III.B.2.足場Yにより操作されたEV、例えば、エキソソーム
幾つかの態様では、本開示のEV、例えば、エキソソームは、天然に存在するEVの内部空間(すなわち、内腔)と異なる内部空間(すなわち、内腔)を含む。例えば、EVは、EV、例えば、エキソソームの内腔表面の組成が、天然に存在するエキソソームの組成と異なるタンパク質、脂質、またはグリカン含量を有するように、改変され得る。
【0487】
幾つかの態様では、操作されたEV、例えば、エキソソームは、EV、例えば、エキソソームの内腔表面の組成または含量を変化させる足場部分(例えば、エキソソームタンパク質、例えば、足場Y)または足場部分の改変型もしくは断片をコードする外来性配列で形質転換された細胞から産生され得る。EV、例えば、エキソソームの内腔表面に発現され得るエキソソームタンパク質の様々な改変型または断片が本開示の態様に使用され得る。
【0488】
幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームの内腔表面を変化させ得るエキソソームタンパク質としては、限定されるものではないが、ミリストイル化アラニンリッチプロテインキナーゼC基質(MARCKS)タンパク質、ミリストイル化アラニンリッチプロテインキナーゼC基質様1(MARCKSL1)タンパク質、脳酸可溶性タンパク質1(BASP1)タンパク質、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0489】
幾つかの態様では、足場Yは、MARCKSタンパク質(Uniprotアクセッション番号P29966;配列番号401)を含む。MARCKSタンパク質は、プロテインキナーゼC基質、80kDaタンパク質、軽鎖としても公知である。全長ヒトMARCKSタンパク質は、332アミノ酸長であり、アミノ酸残基152~176にカルモジュリン結合ドメインを含む。幾つかの態様では、足場Yは、MARCKSL1タンパク質(Uniprotアクセッション番号P49006;配列番号402)を含む。MARCKSL1タンパク質は、MARCKS様タンパク質1及びマクロファージミリストイル化アラニンリッチCキナーゼ基質としても公知である。全長ヒトMARCKSL1タンパク質は、195アミノ酸長である。MARCKSL1タンパク質は、脂質結合及びカルモジュリン結合に関与するエフェクタードメインをアミノ酸残基87~110に有する。幾つかの態様では、足場Yは、BASP1タンパク質(Uniprotアクセッション番号P80723;配列番号403)を含む。BASP1タンパク質は、22kDa神経組織富酸性タンパク質(22 kDa neuronal tissue-enriched acidic protein)または神経細胞軸索膜タンパク質(NAP-22)としても公知である。全長のヒトBASP1タンパク質配列(アイソマー1)は、227アミノ酸長である。選択的スプライシングにより生成されるアイソマーは、配列番号403のアミノ酸88~141を欠損している(アイソマー1)。表7は、本明細書において開示される例示的な足場Y(すなわち、MARCKS、MARCKSL1、及びBASP1タンパク質)の全長の配列を提供する。
【表6】
【0490】
成熟BASP1タンパク質配列は、配列番号403の最初のMetを欠損しており、従って、配列番号403のアミノ酸2~227を含有する。同様に、成熟MARCKS及びMARCKSL1タンパク質も、それぞれ配列番号401及び402の最初のMetを欠く。従って、成熟MARCKSタンパク質は、配列番号401のアミノ酸2~332を含有する。成熟MARCKSL1タンパク質は、配列番号402のアミノ酸2~227を含有する。
【0491】
他の態様では、本開示に有用な足場Yは、配列番号403のアミノ酸2~227と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含む。他の態様では、足場Yは、配列番号404~567のいずれか1つと少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含む。他の態様では、本開示に有用な足場Yは、配列番号403のアミノ酸配列の他に、1アミノ酸変異、2アミノ酸変異、3アミノ酸変異、4アミノ酸変異、5アミノ酸変異、6アミノ酸変異、または7アミノ酸変異を含む。他の態様では、本開示に有用な足場Yは、配列番号403のアミノ酸残基1のMetのない配列番号403のアミノ酸配列の他に、1アミノ酸変異、2アミノ酸変異、3アミノ酸変異、4アミノ酸変異、5アミノ酸変異、6アミノ酸変異、または7アミノ酸変異を含む。変異は、置換、挿入、欠失、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。幾つかの態様では、本開示に有用な足場Yは、配列番号404~567のいずれか1つのアミノ酸配列、ならびに配列番号404~567のN末端及び/またはC末端の1アミノ酸、2アミノ酸、3アミノ酸、4アミノ酸、5アミノ酸、6アミノ酸、7アミノ酸、8アミノ酸、9アミノ酸、10アミノ酸、11アミノ酸、12アミノ酸、13アミノ酸、14アミノ酸、15アミノ酸、16アミノ酸、17アミノ酸、18アミノ酸、19アミノ酸、または20アミノ酸以上を含む。
【0492】
幾つかの態様では、配列番号404~567のいずれかのタンパク質配列は、本開示の足場Y(例えば、ASOに連結された足場部分)となるのに十分である。
【0493】
幾つかの態様では、本開示に有用な足場Yは、GXKLSKKKを有するペプチドを含み、ここで、Xは、アラニンまたは任意の他のアミノ酸(配列番号404)である。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、(G)(π)(ξ)(Φ/π)(S/A/G/N)(+)(+)の配列を有するペプチドを含み、ここで、各括弧位置は、アミノ酸を表し、πは、(Pro、Gly、Ala、Ser)からなる群から選択される任意のアミノ酸であり、ξは、(Asn、Gln、Ser、Thr、Asp、Glu、Lys、His、Arg)からなる群から選択される任意のアミノ酸であり、Φは、(Val、Ile、Leu、Phe、Trp、Tyr、Met)からなる群から選択される任意のアミノ酸であり、(+)は、(Lys、Arg、His)からなる群から選択される任意のアミノ酸であり、5位は(+)ではなく、6位は(+)でも(AspまたはGlu)でもない。更なる態様では、本明細書に記載されるエキソソーム(例えば、操作されたエキソソーム)は、(G)(π)(X)(Φ/π)(π)(+)(+)の配列を有するペプチドを含み、ここで、各括弧位置は、アミノ酸を表し、πは、(Pro、Gly、Ala、Ser)からなる群から選択される任意のアミノ酸であり、Xは、任意のアミノ酸であり、Φは、(Val、Ile、Leu、Phe、Trp、Tyr、Met)からなる群から選択される任意のアミノ酸であり、(+)は、(Lys、Arg、His)からなる群から選択される任意のアミノ酸であり、5位は(+)ではなく、6位は(+)でも(AspまたはGlu)でもない。アミノ酸命名法については、Aasland et al.,FEBS Letters 513(2002) 141-144を参照のこと。
【0494】
他の態様では、足場Xは、配列番号404~567のいずれか1つと少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含む。
【0495】
本明細書に記載される足場Yにより操作されたEV、例えば、エキソソームは、配列番号404~567に記載される配列で形質転換された細胞から産生され得る。
【0496】
幾つかの態様では、本開示に有用な足場Yタンパク質は、「N末端ドメイン」(ND)及び「エフェクタードメイン」(ED)を含み、ここで、当該ND及び/またはEDは、EV、例えば、エキソソームの内腔表面に会合している。幾つかの態様では、本開示に有用な足場Yタンパク質は、細胞内ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞外ドメインを含み、ここで、当該細胞内ドメインは、「N末端ドメイン」(ND)及び「エフェクタードメイン」(ED)を含み、当該ND及び/またはEDは、EV、例えば、エキソソームの内腔表面に会合している。本明細書で使用する場合、用語「に会合している」は、膜成分への共有結合を伴わない足場タンパク質とEV、例えば、エキソソームの内腔表面との間の相互作用を指す。例えば、本開示に有用な足場は、例えば、脂質アンカー(例えば、ミリスチン酸)及び/または膜リン脂質の負に荷電した頭部と静電的相互作用する多塩基性ドメインを介してEVの内腔表面に会合していてもよい。他の態様では、足場Yタンパク質は、N末端ドメイン(ND)及びエフェクタードメイン(ED)を含み、ここで、当該NDは、EVの内腔表面に会合しており、当該EDは、イオン相互作用によりEVの内腔表面に会合しており、当該EDは、配列に少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、または少なくとも7つの連続した塩基性アミノ酸、例えば、リジン(Lys)を含む。
【0497】
他の態様では、足場Yタンパク質は、N末端ドメイン(ND)及びエフェクタードメイン(ED)を含み、ここで、当該NDは、EV、例えば、エキソソームの内腔表面に会合しており、当該EDは、イオン相互作用によりEVの内腔表面に会合しており、当該EDは、配列に少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、または少なくとも7つの連続した塩基性アミノ酸、例えば、リジン(Lys)を含む。
【0498】
幾つかの態様では、NDは、脂質化により、例えば、ミリストイル化によりEV、例えば、エキソソームの内腔表面に会合している。幾つかの態様では、NDは、N末端にGlyを有する。幾つかの態様では、N末端Glyは、ミリストイル化される。
【0499】
幾つかの態様では、EDは、イオン相互作用によりEV、例えば、エキソソームの内腔表面に会合している。幾つかの態様では、EDは、静電的相互作用、特に、静電引力相互作用によりEV、例えば、エキソソームの内腔表面に会合している。
【0500】
幾つかの態様では、EDは、(i)塩基性アミノ酸(例えば、リジン)、または(ii)相互に隣接する2つ以上の塩基性アミノ酸(例えば、リジン)をポリペプチド配列内に含む。幾つかの態様では、塩基性アミノ酸は、リジン(Lys;K)、アルギニン(Arg、R)、またはヒスチジン(His、H)である。幾つかの態様では、塩基性アミノ酸は、(Lys)nであり、ここで、nは1~10の間の整数である。
【0501】
他の態様では、EDのN末端がNDのC末端のリジンに直接連結されている場合、EDは、少なくともリジンを含み、NDは、C末端にリジンを含み、すなわち、リジンがEDのN末端に存在し、NDのC末端のリジンに融合されている。他の態様では、EDは、EDのN末端がリンカー、例えば、1つ以上のアミノ酸を介してNDのC末端に連結されている場合、少なくとも2つのリジン、少なくとも3つのリジン、少なくとも4つのリジン、少なくとも5つのリジン、少なくとも6つのリジン、または少なくとも7つのリジンを含む。
【0502】
幾つかの態様では、EDは、K、KK、KKK、KKKK(配列番号405)、KKKKK(配列番号406)、R、RR、RRR、RRRR(配列番号407);RRRRR(配列番号408)、KR、RK、KKR、KRK、RKK、KRR、RRK、(K/R)(K/R)(K/R)(K/R)(配列番号409)、(K/R)(K/R)(K/R)(K/R)(K/R)(配列番号410)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。幾つかの態様では、EDは、KK、KKK、KKKK(配列番号405)、KKKKK(配列番号406)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。幾つかの態様では、NDは、G:X2:X3:X4:X5:X6で示されるアミノ酸配列を含み、ここで、Gは、Glyを表し、「:」は、ペプチド結合を表し、X2~X6の各々は、独立してアミノ酸を表し、X6は、塩基性アミノ酸を表す。幾つかの態様では、X6アミノ酸は、Lys、Arg、及びHisからなる群から選択される。幾つかの態様では、X5アミノ酸は、Pro、Gly、Ala、及びSerからなる群から選択される。幾つかの態様では、X2アミノ酸は、Pro、Gly、Ala、及びSerからなる群から選択される。幾つかの態様では、X4は、Pro、Gly、Ala、Ser、Val、Ile、Leu、Phe、Trp、Tyr、Gln、及びMetからなる群から選択される。
【0503】
幾つかの態様では、足場Yタンパク質は、N末端ドメイン(ND)及びエフェクタードメイン(ED)を含み、ここで、NDは、G:X2:X3:X4:X5:X6で示されるアミノ酸配列を含み、Gは、Glyを表し、「:」は、ペプチド結合を表し、X2~X6の各々は、独立してアミノ酸であり、X6は、塩基性アミノ酸を含み、EDは、ペプチド結合によりX6に連結されており、EDのN末端に少なくとも1つのリジンを含む。
【0504】
幾つかの態様では、足場Yタンパク質のNDは、G:X2:X3:X4:X5:X6のアミノ酸配列を含み、ここで、Gは、Glyを表し、「:」は、ペプチド結合を表し、X2は、Pro、Gly、Ala、及びSerからなる群から選択されるアミノ酸を表し、X3は、任意のアミノ酸を表し、X4は、Pro、Gly、Ala、Ser、Val、Ile、Leu、Phe、Trp、Tyr、Gln、及びMetからなる群から選択されるアミノ酸を表し、X5は、Pro、Gly、Ala、及びSerからなる群から選択されるアミノ酸を表し、X6は、Lys、Arg、及びHisからなる群から選択されるアミノ酸を表す。
【0505】
幾つかの態様では、X3アミノ酸は、Asn、Gln、Ser、Thr、Asp、Glu、Lys、His、及びArgからなる群から選択される。
【0506】
幾つかの態様では、ND及びEDは、リンカーにより連結される。幾つかの態様では、リンカーは、1つ以上のアミノ酸を含む。幾つかの態様では、用語「リンカー」は、ペプチドもしくはポリペプチド配列(例えば、合成ペプチドまたはポリペプチド配列)または非ポリペプチド、例えば、アルキル鎖を指す。幾つかの態様では、2つ以上のリンカーが、直列に連結され得る。一般に、リンカーは、柔軟性を提供するか、または立体障害を防止/改善する。リンカーは、通常切断されないが、ある種の態様では、かかる切断が所望され得る。従って、幾つかの態様では、リンカーは、リンカーの配列内に存在し得るか、またはリンカー配列のいずれかの末端でリンカーと隣接し得る、1つ以上のプロテアーゼ切断可能部位を含み得る。ND及びEDがリンカーにより連結される場合、EDは、少なくとも2つのリジン、少なくとも3つのリジン、少なくとも4つのリジン、少なくとも5つのリジン、少なくとも6つのリジン、または少なくとも7つのリジンを含む。
【0507】
幾つかの態様では、リンカーは、ペプチドリンカーである。幾つかの態様では、ペプチドリンカーは、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約10、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約45、少なくとも約50、少なくとも約55、少なくとも約60、少なくとも約65、少なくとも約70、少なくとも約75、少なくとも約80、少なくとも約85、少なくとも約90、少なくとも約95、または少なくとも約100アミノ酸を含み得る。
【0508】
幾つかの態様では、リンカーは、グリシン/セリンリンカーである。幾つかの態様では、ペプチドリンカーは、式[(Gly)n-Ser]mによるグリシン/セリンリンカーであり、式中、nは、1~100の任意の整数であり、mは、1~100の任意の整数である。他の態様では、グリシン/セリンリンカーは、式[(Gly)x-Sery]zによるものであり、式中、xは、1~4の整数であり、yは、0または1であり、zは、1~50の整数である。幾つかの態様では、ペプチドリンカーは、配列Gnを含み、式中、nは、1~100の整数であり得る。幾つかの態様では、ペプチドリンカーは、配列(GlyAla)nを含み得、式中、nは、1~100の整数である。他の態様では、ペプチドリンカーは、配列(GlyGlySer)nを含み得、式中、nは、1~100の整数である。
【0509】
幾つかの態様では、ペプチドリンカーは、合成、すなわち、非天然である。一態様では、ペプチドリンカーは、第1の直鎖状アミノ酸配列を、自然界において自然に連結または遺伝子的に融合されない第2の直鎖状アミノ酸配列に連結または遺伝子的に融合させるアミノ酸配列を含むペプチド(またはポリペプチド)(例えば、天然または非天然ペプチド)を含む。例えば、一態様では、ペプチドリンカーは、天然に存在するポリペプチドの改変形態である(例えば、付加、置換、または欠失などの変異を含む)非天然ポリペプチドを含み得る。
【0510】
他の態様では、ペプチドリンカーは、非天然アミノ酸を含み得る。更なる他の態様では、ペプチドリンカーは、天然に存在しない直鎖状配列で生じる天然に存在するアミノ酸を含み得る。更に他の態様では、ペプチドリンカーは、天然に存在するポリペプチド配列を含み得る。
【0511】
本開示は、足場Yタンパク質に連結されたASOを含む単離された細胞外小胞(EV)、例えば、エキソソームも提供し、ここで、足場Yタンパク質は、ND-EDを含み、NDは、G:X2:X3:X4:X5:X6を含み、Gは、Glyを表し、「:」は、ペプチド結合を表し、X2は、Pro、Gly、Ala、及びSerからなる群から選択されるアミノ酸を表し、X3は、任意のアミノ酸を表し、X4は、Pro、Gly、Ala、Ser、Val、Ile、Leu、Phe、Trp、Tyr、Glu、及びMetからなる群から選択されるアミノ酸を表し、X5は、Pro、Gly、Ala、及びSerからなる群から選択されるアミノ酸を表し、X6は、Lys、Arg、及びHisからなる群から選択されるアミノ酸を表し、「-」は、任意のリンカーを表し、EDは、(i)ペプチド結合もしくは1つ以上のアミノ酸によりX6に連結されている少なくとも2つの連続したリジン(Lys)、または(ii)ペプチド結合によりX6に直接連結されている少なくとも1つのリジンを含むエフェクタードメインである。
【0512】
幾つかの態様では、X2アミノ酸は、Gly及びAlaからなる群から選択される。幾つかの態様では、X3アミノ酸は、Lysである。幾つかの態様では、X4アミノ酸は、LeuまたはGluである。幾つかの態様では、X5アミノ酸は、Ser及びAlaからなる群から選択される。幾つかの態様では、X6アミノ酸は、Lysである。幾つかの態様では、X2アミノ酸は、Gly、Ala、またはSerであり、X3アミノ酸は、LysまたはGluであり、X4アミノ酸は、Leu、Phe、Ser、またはGluであり、X5アミノ酸は、SerまたはAlaであり、X6アミノ酸は、Lysである。幾つかの態様では、「-」リンカーは、ペプチド結合または1つ以上のアミノ酸を含む。
【0513】
幾つかの態様では、足場タンパク質におけるEDは、Lys(K)、KK、KKK、KKKK(配列番号405)、KKKKK(配列番号406)、Arg(R)、RR、RRR、RRRR(配列番号407);RRRRR(配列番号408)、KR、RK、KKR、KRK、RKK、KRR、RRK、(K/R)(K/R)(K/R)(K/R)(配列番号409)、(K/R)(K/R)(K/R)(K/R)(K/R)(配列番号410)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0514】
幾つかの態様では、足場Yタンパク質は、(i)GGKLSKK(配列番号411)、(ii)GAKLSKK(配列番号412)、(iii)GGKQSKK(配列番号413)、(iv)GGKLAKK(配列番号414)、または(v)それらの任意の組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0515】
幾つかの態様では、足場Yタンパク質におけるNDは、(i)GGKLSK(配列番号415)、(ii)GAKLSK(配列番号416)、(iii)GGKQSK(配列番号417)、(iv)GGKLAK(配列番号418)、または(v)それらの任意の組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、足場タンパク質におけるEDは、K、KK、KKK、KKKG(配列番号419)、KKKGY(配列番号420)、KKKGYN(配列番号421)、KKKGYNV(配列番号422)、KKKGYNVN(配列番号423)、KKKGYS(配列番号424)、KKKGYG(配列番号425)、KKKGYGG(配列番号426)、KKKGS(配列番号427)、KKKGSG(配列番号428)、KKKGSGS(配列番号429)、KKKS(配列番号430)、KKKSG(配列番号431)、KKKSGG(配列番号432)、KKKSGGS(配列番号433)、KKKSGGSG(配列番号434)、KKSGGSGG(配列番号435)、KKKSGGSGGS(配列番号436)、KRFSFKKS(配列番号437)を含む。
【0516】
幾つかの態様では、本開示に有用な足場Yタンパク質のポリペプチド配列は、(i)GGKLSKK(配列番号411)、(ii)GAKLSKK(配列番号412)、(iii)GGKQSKK(配列番号413)、(iv)GGKLAKK(配列番号414)、または(v)それらの任意の組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸配列からなる。
【0517】
幾つかの態様では、足場Yタンパク質は、(i)GGKLSKKK(配列番号438)、(ii)GGKLSKKS(配列番号439)、(iii)GAKLSKKK(配列番号440)、(iv)GAKLSKKS(配列番号441)、(v)GGKQSKKK(配列番号442)、(vi)GGKQSKKS(配列番号443)、(vii)GGKLAKKK(配列番号444)、(viii)GGKLAKKS(配列番号445)、及び(ix)それらの任意の組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0518】
幾つかの態様では、本開示に有用な足場Yタンパク質のポリペプチド配列は、(i)GGKLSKKK(配列番号438)、(ii)GGKLSKKS(配列番号439)、(iii)GAKLSKKK(配列番号440)、(iv)GAKLSKKS(配列番号441)、(v)GGKQSKKK(配列番号442)、(vi)GGKQSKKS(配列番号443)、(vii)GGKLAKKK(配列番号444)、(viii)GGKLAKKS(配列番号445)、及び(ix)それらの任意の組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸配列からなる。
【0519】
幾つかの態様では、足場Yタンパク質は、少なくとも約8、少なくとも約9、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約16、少なくとも約17、少なくとも約18、少なくとも約19、少なくとも約20、少なくとも約21、少なくとも約22、少なくとも約23、少なくとも約24、少なくとも約25、少なくとも約26、少なくとも約27、少なくとも約28、少なくとも約29、少なくとも約30、少なくとも31、少なくとも約32、少なくとも約33、少なくとも約34、少なくとも約35、少なくとも約36、少なくとも約37、少なくとも約38、少なくとも約39、少なくとも約39、少なくとも約40、少なくとも約41、少なくとも約42、少なくとも約43、少なくとも約44、少なくとも約50、少なくとも約46、少なくとも約47、少なくとも約48、少なくとも約49、少なくとも約50、少なくとも約55、少なくとも約60、少なくとも約65、少なくとも約70、少なくとも約75、少なくとも約80、少なくとも85、少なくとも約90、少なくとも約95、少なくとも約100、少なくとも約105、少なくとも約110、少なくとも約115、少なくとも約120、少なくとも約125、少なくとも約130、少なくとも約135、少なくとも約140、少なくとも約145、少なくとも約150、少なくとも約155、少なくとも約160、少なくとも約165、少なくとも約170、少なくとも約175、少なくとも約180、少なくとも約185、少なくとも約190、少なくとも約195、少なくとも約200、少なくとも約205、少なくとも約210、少なくとも約215、少なくとも約220、少なくとも約225、少なくとも約230、少なくとも約235、少なくとも約240、少なくとも約245、少なくとも約250、少なくとも約255、少なくとも約260、少なくとも約265、少なくとも約270、少なくとも約275、少なくとも約280、少なくとも約285、少なくとも約290、少なくとも約295、少なくとも約300、少なくとも約305、少なくとも約310、少なくとも約315、少なくとも約320、少なくとも約325、少なくとも約330、少なくとも約335、少なくとも約340、少なくとも約345、または少なくとも約350アミノ酸の長さである。
【0520】
幾つかの態様では、足場Yタンパク質は、約5~約10、約10~約20、約20~約30、約30~約40、約40~約50、約50~約60、約60~約70、約70~約80、約80~約90、約90~約100、約100~約110、約110~約120、約120~約130、約130~約140、約140~約150、約150~約160、約160~約170、約170~約180、約180~約190、約190~約200、約200~約210、約210~約220、約220~約230、約230~約240、約240~約250、約250~約260、約260~約270、約270~約280、約280~約290、約290~約300、約300~約310、約310~約320、約320~約330、約330~約340、または約340~約350アミノ酸の長さである。
【0521】
幾つかの態様では、足場Yタンパク質は、(i)GGKLSKKKKGYNVN(配列番号446)、(ii)GAKLSKKKKGYNVN(配列番号447)、(iii)GGKQSKKKKGYNVN(配列番号448)、(iv)GGKLAKKKKGYNVN(配列番号449)、(v)GGKLSKKKKGYSGG(配列番号450)、(vi)GGKLSKKKKGSGGS(配列番号451)、(vii)GGKLSKKKKSGGSG(配列番号452)、(viii)GGKLSKKKSGGSGG(配列番号453)、(ix)GGKLSKKSGGSGGS(配列番号454)、(x)GGKLSKSGGSGGSV(配列番号455)、または(xi)GAKKSKKRFSFKKS(配列番号456)を含む。
【0522】
幾つかの態様では、本開示に有用な足場Yタンパク質のポリペプチド配列は、(i)GGKLSKKKKGYNVN(配列番号446)、(ii)GAKLSKKKKGYNVN(配列番号447)、(iii)GGKQSKKKKGYNVN(配列番号448)、(iv)GGKLAKKKKGYNVN(配列番号449)、(v)GGKLSKKKKGYSGG(配列番号450)、(vi)GGKLSKKKKGSGGS(配列番号451)、(vii)GGKLSKKKKSGGSG(配列番号452)、(viii)GGKLSKKKSGGSGG(配列番号453)、(ix)GGKLSKKSGGSGGS(配列番号454)、(x)GGKLSKSGGSGGSV(配列番号455)、または(xi)GAKKSKKRFSFKKS(配列番号456)からなる。
【0523】
本開示に有用な足場Yタンパク質の非限定的な例は、以下に列挙される。幾つかの態様では、足場Yタンパク質は、配列番号411、438、446、及び456~567のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む。幾つかの態様では、足場Yタンパク質は、配列番号411、438、446、及び456~567のいずれか1つで記載されるアミノ酸配列からなる。
【0524】
幾つかの態様では、本開示に有用な足場Yタンパク質は、N末端Metを含有しない。幾つかの態様では、足場Yタンパク質は、足場タンパク質のN末端に、脂質アンカーとして機能する脂質付加されたアミノ酸、例えば、ミリストイル化アミノ酸を含む。幾つかの態様では、足場タンパク質のN末端のアミノ酸残基は、Glyである。N末端Glyの存在は、N-ミリストイル化の絶対条件である。幾つかの態様では、足場タンパク質のN末端のアミノ酸残基は、合成である。幾つかの態様では、足場タンパク質のN末端のアミノ酸残基は、グリシン類似体、例えば、アリルグリシン、ブチルグリシン、またはプロパルギルグリシンである。
【0525】
足場タンパク質の非限定的な例は、2019年5月23日に公開されたWO/2019/099942及び2020年5月22日に公開されたWO/2020/101740に見出され得、これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0526】
他の態様では、脂質アンカーは、当該技術分野において公知の任意の脂質アンカー、例えば、パルミチン酸またはグリコシルホスファチジルイノシトールであり得る。珍しい場合では、例えば、ミリスチン酸が制限された培養培地を使用することにより、より短鎖かつ不飽和の脂肪酸が含まれる幾つかの他の脂肪酸がN末端グリシンに結合され得る。例えば、BKチャネルにおいて、ミリステートが、ヒドロキシエステル結合を介して内部セリン/トレオニンまたはチロシン残基に翻訳後に結合されることが報告されている。当該技術分野において公知の膜アンカーは、以下の表に示される。
【化16】
【0527】
III.C.リンカー
上記のように、本開示の細胞外小胞(EV)(例えば、エキソソーム及びナノ小胞)は、関心対象の分子(例えば、ASO)をEVに(例えば、内腔表面または外部表面に)連結する1つ以上のリンカーを含み得る。幾つかの態様では、ASOは、EVに直接的に、または足場部分(例えば、足場Xまたは足場Y)を介して連結される。ある種の態様では、ASOは、リンカーを介して足場部分に連結される。ある種の態様では、ASOは、リンカーを介して第2の足場部分に連結される。
【0528】
ある種の態様では、ASOは、足場Xを介してエキソソームの外部表面に連結される。更なる態様では、ASOは、足場Xまたは足場Yを介してエキソソームの内腔表面に連結される。リンカーは、当該技術分野において公知の任意の化学部分であり得る。
【0529】
本明細書で使用する場合、用語「リンカー」は、ペプチドもしくはポリペプチド配列(例えば、合成ペプチドまたはポリペプチド配列)または非ポリペプチド、例えば、アルキル鎖を指す。幾つかの態様では、2つ以上のリンカーが、直列に連結され得る。複数のリンカーが存在する場合、リンカーの各々は同一であっても異なっていてもよい。一般に、リンカーは、柔軟性を提供するか、または立体障害を防止/改善する。リンカーは、通常切断されないが、ある種の態様では、かかる切断が所望され得る。従って、幾つかの態様では、リンカーは、リンカーの配列内に存在し得るか、またはリンカー配列のいずれかの末端でリンカーと隣接し得る、1つ以上のプロテアーゼ切断可能部位を含み得る。
【0530】
幾つかの態様では、リンカーは、ペプチドリンカーである。幾つかの態様では、ペプチドリンカーは、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約10、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約45、少なくとも約50、少なくとも約55、少なくとも約60、少なくとも約65、少なくとも約70、少なくとも約75、少なくとも約80、少なくとも約85、少なくとも約90、少なくとも約95、または少なくとも約100アミノ酸を含み得る。
【0531】
幾つかの態様では、ペプチドリンカーは、合成、すなわち、非天然である。一態様では、ペプチドリンカーは、第1の直鎖状アミノ酸配列を、自然界において自然に連結または遺伝子的に融合されない第2の直鎖状アミノ酸配列に連結または遺伝子的に融合させるアミノ酸配列を含むペプチド(またはポリペプチド)(例えば、天然または非天然ペプチド)を含む。例えば、一態様では、ペプチドリンカーは、天然に存在するポリペプチドの改変形態である(例えば、付加、置換、または欠失などの変異を含む)非天然ポリペプチドを含み得る。
【0532】
リンカーは、切断に感受性で有り得(「切断可能なリンカー」)、これにより、生物活性分子(例えば、ASO)の放出を容易にする。
【0533】
幾つかの態様では、リンカーは、「還元感受性リンカー」である。幾つかの態様では、還元感受性リンカーは、ジスルフィド結合を含有する。幾つかの態様では、リンカーは、「酸不安定リンカー」である。幾つかの態様では、酸不安定リンカーは、ヒドラゾンを含有する。好適な酸不安定リンカーとしては、例えば、cis-アコニット酸リンカー、ヒドラジドリンカー、チオカルバモイルリンカー、またはそれらの任意の組み合わせも挙げられる。
【0534】
幾つかの態様では、リンカーは、切断可能でないリンカーを含む。
【0535】
幾つかの態様では、リンカーは、アクリルホスホラミダイト(例えば、Acrydite(商標))、アデニル化、アジド(NHSエステル)、ジゴキシゲニン(NHSエステル)、コレステロール-TEG、I-LINKER(商標)、アミノ修飾体(例えば、アミノ修飾体C6、アミノ修飾体C12、アミノ修飾体C6 dT、またはUni-Link(商標)アミノ修飾体)、アルキン、5’-ヘキシニル、5-オクタジイニルdU、ビオチン化(例えば、ビオチン、ビオチン(アジド)、ビオチンdT、ビオチン-TEG、デュアルビオチン、PCビオチン、またはデスチオビオチン)、チオール修飾(チオール修飾体C3 S-S、ジチオール、またはチオール修飾体C6 S-S)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0536】
幾つかの態様では、リンカーは、テルペン、例えば、ネロリドール、ファルネソール、リモネン、リナロール、ゲラニオール、カルボン、フェンコン、もしくはメントール;脂質、例えば、パルミチン酸もしくはミリスチン酸;コレステロール;オレイル;レチニル;コレステリル残基;コール酸;アダマンタン酢酸;1-ピレン酪酸;ジヒドロテストステロン;1,3-ビス-O(ヘキサデシル)グリセロール;ゲラニルオキシヘキシル基;ヘキサデシルグリセロール;ボルネオール;1,3-プロパンジオール;ヘプタデシル基;O3-(オレオイル)リトコール酸;O3-(オレオイル)コレン酸;ジメトキシトリチル;フェノキサジン、マレイミド部分、グルクロニダーゼ型、CL2A-SN38型、葉酸;炭水化物;ビタミンA;ビタミンE;ビタミンK、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0537】
III.D.標的化部分
幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、標的化部分、例えば、外来性の標的化部分を含む。幾つかの態様では、標的化部分は、ペプチド、抗体もしくはその抗原結合断片、化合物、またはそれらの任意の組み合わせを含む。幾つかの態様では、標的化部分は、マイクロタンパク質、設計アンキリンリピートタンパク質(DARPin)、アンチカリン、アドネクチン、アプタマー、ペプチド模倣分子、受容体の天然リガンド、ラクダ科ナノボディ、またはそれらの任意の組み合わせを含む。幾つかの態様では、標的化部分は、全長抗体、単一ドメイン抗体、重鎖のみ抗体、一本鎖抗体、サメ重鎖のみ抗体、scFv、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2、またはそれらの任意の組み合わせを含む。幾つかの態様では、抗体は、一本鎖抗体である。幾つかの態様では、標的化部分として使用され得る抗体は、単一ドメイン抗体(例えば、VHHまたはvNAR)である。
【0538】
幾つかの態様では、標的化部分は、EV(例えば、エキソソーム)を肝臓、心臓、肺、脳、腎臓、中枢神経系、末梢神経系、筋肉、骨、関節、皮膚、腸管、膀胱、膵臓、リンパ節、脾臓、またはそれらの任意の組み合わせに標的化する。幾つかの態様では、標的化部分は、EV(例えば、エキソソーム)を腫瘍細胞、腫瘍微小環境、樹状細胞、T細胞、B細胞、マクロファージ、神経細胞、肝細胞、クッパー細胞、骨髄細胞系列細胞(例えば、好中球、単球、またはマクロファージ)、造血幹細胞、またはそれらの任意の組み合わせに標的化する。
【0539】
幾つかの態様では、標的化部分は、EV(例えば、エキソソーム)を腫瘍細胞に標的化する。いずれか1つの理論にも拘束されるものではないが、幾つかの態様では、標的化部分は、腫瘍細胞に発現される1種以上の腫瘍抗原に結合することにより腫瘍細胞への標的化を促進する。幾つかの態様では、腫瘍抗原は、メソテリン、CD22、MAGEA、MAGEB、MAGEC、BAGE、GAGE、NY-ESO1、SSX、GRP78、CD33、CD123、WT1、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0540】
幾つかの態様では、標的化部分は、足場タンパク質によりEV、例えば、エキソソームに連結される。幾つかの態様では、足場タンパク質は、本明細書において開示される任意の足場タンパク質である。幾つかの態様では、足場タンパク質は、足場X(例えば、PTGFRN)である。幾つかの態様では、足場タンパク質は、足場Yである。
【0541】
本明細書に記載されるように、幾つかの態様では、本明細書に記載されるEV(例えば、エキソソーム)と共に使用され得る標的化部分は、単一ドメイン抗原結合部分を含む。本明細書で使用する場合、用語「単一ドメイン抗原結合部分」は、標的分子(例えば、CD33、メソテリン、または両方)と可逆的に相互作用することができるポリペプチドを指す。本明細書に記載されるように、幾つかの態様では、単一ドメイン抗原結合部分は、単一ドメイン抗体(例えば、ナノボディ)において観察されるものなどの単一の単量体の可変的抗体結合断片を含む。幾つかの態様では、単一ドメイン抗原結合部分は、一本鎖抗体、例えば、一本鎖Fab(scFab)抗体を含む。
【0542】
幾つかの態様では、単一ドメイン抗原結合部分は、抗体に由来する。ある種の態様では、単一ドメイン抗原結合部分は、ラクダ科抗体に由来する。幾つかの態様では、ラクダ科抗体に由来する単一ドメイン抗原結合部分は、VHHである。本明細書で使用する場合、「VHH」(ナノボディとも称される)は、重鎖抗体の定常領域を欠く単一可変ドメインである。VHHは、本来サメ及びラクダ科において天然に生成される抗体などの重鎖のみ抗体(HcAb)の抗原結合部分である(例えば、Bever at al.,Anal.Bioananl Chem 408(22):5985-6002(2016)(これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照のこと)。ラクダ科抗体は、2本の重鎖で構成されるホモ二量体を特徴とし、各重鎖は、単一の重鎖可変領域(VHH)及び2つの重鎖定常領域を有する。
【0543】
当該技術分野において公知の任意のVHHが、本明細書において開示される方法において使用され得る。幾つかの態様では、VHHは、ラクダ科抗体に由来する。幾つかの態様では、VHHは、ラクダ科抗体の断片である。幾つかの態様では、VHHは、合成ポリペプチドである。幾つかの態様では、VHHは、組換えポリペプチドである。幾つかの態様では、VHHは、VHHの標的抗原への結合親和性を増強するための1つ以上の変異を含む。幾つかの態様では、VHHは、VHHの安定性を増強するための1つ以上の変異を含む。
【0544】
幾つかの態様では、単一ドメイン抗原結合部分は、vNARである。本明細書で使用する場合、「vNAR」は、IgNAR抗体の可変領域を含むポリペプチドを指す。IgNAR抗体は、2本の重鎖で構成される重鎖ホモ二量体であり、各重鎖は、重鎖可変領域(vNAR)及び5つの重鎖定常領域を有する。IgNARは、軟骨魚類及びサメにおいて天然に発現される(例えば、Dooley et al.,Molecular Immunology 40:25-33(2003);及び国際公開第WO2016/077840A2号(これらの各々はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと)。
【0545】
当該技術分野において公知の任意のvNARが、本明細書において開示される方法において使用され得る。幾つかの態様では、vNARは、IgNARに由来する。幾つかの態様では、vNARは、IgNARに由来する。幾つかの態様では、vNARは、サメIgNAR抗体の断片である。幾つかの態様では、vNARは、合成ポリペプチドである。幾つかの態様では、vNARは、組換えポリペプチドである。幾つかの態様では、vNARは、vNARの標的抗原への結合親和性を増強するための1つ以上の変異を含む。幾つかの態様では、vNARは、vNARの安定性を増強するための1つ以上の変異を含む。
【0546】
幾つかの態様では、本明細書において開示される単一ドメイン抗原結合部分は、従来のヒト抗体及びそのscFc断片より小さく、このことにより、より高濃度の抗原結合部分が表面にロードされたEV(例えば、エキソソーム)の生成を可能にする。例えば、VHH及びvNARの抗原結合ドメインは、それぞれ約12~15kDaの分子量を有する(IgGの1/10サイズかつscFvのほぼ半分のサイズ)。
【0547】
任意の特定のメカニズムに拘束されるものではないが、本明細書において開示される単一抗原結合部分は、エキソソームを産生する細胞により効率的に発現され、それらは、普通抗体と比較してEV、例えば、エキソソームの内腔及び/または外部表面のより少ない空間を占める。このことは、表面のより高密度の結合部分を可能にする。内部へのローディングについて、このことは、少なくとも2つの利点を提供する。第1に、より高密度の抗原結合部分を有することは、抗原結合部分に結合され得るより高密度の特定のカーゴをロードする能力を可能にする。第2に、抗原結合部分が普通抗体より小さいため、EVに、抗原結合部分により消費される空間がより少ない、より大きなカーゴがロードされ得る。外部へのローディングについて、本明細書において開示されるより小さな抗原結合部分を使用することにより、より高密度のカーゴが抗原結合部分との相互作用により結合されることも可能にする。より高い密度は、EVの標的抗原に対する全体的な指向性を増加させ、EVと標的抗原との間の相互作用の可能性を増加させるのにも役立つ。
【0548】
従って、幾つかの態様では、本明細書に記載されるEV(例えば、エキソソーム)(例えば、KRAS G12D mRNAに特異的なASOを含む)は、表面(例えば、外部表面)に1種以上の単一ドメイン抗原結合部分(例えば、VHH及び/またはvNAR)を含み、ここで、当該表面上の当該1種以上の単一ドメイン抗原結合部分の濃度は、1つのEV当たり少なくとも約100コピー、1つのEV当たり少なくとも約150コピー、1つのEV当たり少なくとも約200コピー、1つのEV当たり少なくとも約250コピー、1つのEV当たり少なくとも約300コピー、1つのEV当たり少なくとも約350コピー、1つのEV当たり少なくとも約400コピー、1つのEV当たり少なくとも約450コピー、1つのEV当たり少なくとも約500コピー、1つのEV当たり少なくとも約600コピー、1つのEV当たり少なくとも約700コピー、1つのEV当たり少なくとも約800コピー、1つのEV当たり少なくとも約900コピー、1つのEV当たり少なくとも約1000コピー、1つのEV当たり少なくとも約1250コピー、1つのEV当たり少なくとも約1500コピー、1つのEV当たり少なくとも約2000コピー、1つのEV当たり少なくとも約2500コピー、1つのEV当たり少なくとも約3000コピー、1つのEV当たり少なくとも約3500コピー、1つのEV当たり少なくとも約4000コピー、1つのEV当たり少なくとも約4500コピー、または1つのEV当たり少なくとも約5000コピーである。
【0549】
幾つかの態様では、単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHH及び/またはvNARは、EV、例えば、エキソソームの外部表面に局在するタンパク質に融合される。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、足場Xタンパク質に融合された少なくとも約100コピーのVHHをEV、例えば、エキソソームの外部表面に含む。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、足場Xタンパク質に融合された少なくとも約1000コピーのVHHをEV、例えば、エキソソームの外部表面に含む。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、足場Xタンパク質に融合された少なくとも約100コピーのvNARをEV、例えば、エキソソームの外部表面に含む。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、足場Xタンパク質に融合された少なくとも約1000コピーのvNARをEV、例えば、エキソソームの外部表面に含む。
【0550】
幾つかの態様では、EVは、少なくとも約100コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの外部表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約150コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの外部表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約200コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの外部表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約250コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの外部表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約300コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの外部表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約350コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの外部表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約400コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの外部表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約450コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの外部表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約500コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの外部表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約600コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの外部表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約700コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの外部表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約800コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの外部表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約900コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの外部表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約1000コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの外部表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約1100コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの外部表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約1200コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの外部表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約1300コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの外部表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約1400コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの外部表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約1500コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの外部表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約1600コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの外部表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約1700コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの外部表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約1800コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの外部表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約1900コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの外部表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約2000コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの外部表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約2250コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの外部表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約2500コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの外部表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約2750コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの外部表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約3000コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの外部表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約3250コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの外部表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約3500コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの外部表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約3750コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの外部表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約4000コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの外部表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約4250コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの外部表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約4500コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの外部表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約4750コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの外部表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約5000コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの外部表面に含む。
【0551】
幾つかの態様では、単一ドメイン抗原結合部分は、EV、例えば、エキソソームの内腔(すなわち内部)表面にロードされる。単一ドメイン抗原結合部分は、従来のIgGベースの抗体及びその断片より大幅に小さいため、本明細書において開示される方法は、より高濃度の抗原結合部分がEVの内腔表面に局在することを可能にする。このことは、EV、例えば、エキソソームにカーゴをロードする場合に非常に有益であり得、より高密度のカーゴが単一のEVにロードされることを可能にし、抗原結合部分により占められる空間の量を最小限にすると同時に、より大きなカーゴ、例えば、AAVが内腔表面に会合することを可能にする。従って、幾つかの態様では、単一ドメイン抗原結合部分は、本明細書において開示される足場Yタンパク質に連結され、EV、例えば、エキソソームの内腔表面に局在する。
【0552】
幾つかの態様では、単一ドメイン抗原結合部分(例えば、VHH及び/またはvNAR)は、EV、例えば、エキソソームの内腔表面に局在するタンパク質に融合される。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、足場Yタンパク質に融合された少なくとも約100コピーのVHHをEV、例えば、エキソソームの内腔表面に含む。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、足場Yタンパク質に融合された少なくとも約1000コピーのVHHをEV、例えば、エキソソームの内腔表面に含む。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、足場Yタンパク質に融合された少なくとも約100コピーのvNARをEV、例えば、エキソソームの内腔表面に含む。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、足場Yタンパク質に融合された少なくとも約1000コピーのvNARをEV、例えば、エキソソームの内腔表面に含む。
【0553】
本開示のある種の態様は、高密度の標的化部分をEV、例えば、エキソソームの内腔表面にロードする方法であって、1つ以上の単一ドメイン抗原結合部分をEV足場タンパク質に融合させることを含む、当該方法を対象とする。幾つかの態様では、本明細書において開示される方法は、1つのEV当たり少なくとも約100コピー、1つのEV当たり少なくとも約150コピー、1つのEV当たり少なくとも約200コピー、1つのEV当たり少なくとも約250コピー、1つのEV当たり少なくとも約300コピー、1つのEV当たり少なくとも約350コピー、1つのEV当たり少なくとも約400コピー、1つのEV当たり少なくとも約450コピー、1つのEV当たり少なくとも約500コピー、1つのEV当たり少なくとも約600コピー、1つのEV当たり少なくとも約700コピー、1つのEV当たり少なくとも約800コピー、1つのEV当たり少なくとも約900コピー、1つのEV当たり少なくとも約1000コピー、1つのEV当たり少なくとも約1250コピー、1つのEV当たり少なくとも約1500コピー、1つのEV当たり少なくとも約2000コピー、1つのEV当たり少なくとも約2500コピー、1つのEV当たり少なくとも約3000コピー、1つのEV当たり少なくとも約3500コピー、1つのEV当たり少なくとも約4000コピー、1つのEV当たり少なくとも約4500コピー、または1つのEV当たり少なくとも約5000コピーの単一ドメイン抗原結合部分のEVの内腔表面での密度を有するEV、例えば、エキソソームの生成を可能にする。
【0554】
幾つかの態様では、EVは、少なくとも約100コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの内腔表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約150コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの内腔表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約200コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの内腔表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約250コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの内腔表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約300コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの内腔表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約350コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの内腔表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約400コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの内腔表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約450コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの内腔表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約500コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの内腔表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約600コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの内腔表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約700コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの内腔表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約800コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの内腔表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約900コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの内腔表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約1000コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの内腔表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約1100コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの内腔表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約1200コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの内腔表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約1300コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの内腔表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約1400コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの内腔表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約1500コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの内腔表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約1600コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの内腔表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約1700コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの内腔表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約1800コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの内腔表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約1900コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの内腔表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約2000コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの内腔表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約2250コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの内腔表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約2500コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの内腔表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約2750コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの内腔表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約3000コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの内腔表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約3250コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの内腔表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約3500コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの内腔表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約3750コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの内腔表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約4000コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの内腔表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約4250コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの内腔表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約4500コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの内腔表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約4750コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの内腔表面に含む。幾つかの態様では、EVは、少なくとも約5000コピーの単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHHまたはvNARをEVの内腔表面に含む。
【0555】
幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、同様の技術を使用してEV上にロードされた普通抗体のコピー数と比べて少なくとも約2倍多いコピーの単一ドメイン抗原結合部分を含む。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、同様の技術を使用してEV上にロードされた普通抗体のコピー数と比べて少なくとも約3倍多いコピーの単一ドメイン抗原結合部分を含む。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、同様の技術を使用してEV上にロードされた普通抗体のコピー数と比べて少なくとも約4倍多いコピーの単一ドメイン抗原結合部分を含む。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、同様の技術を使用してEV上にロードされた普通抗体のコピー数と比べて少なくとも約5倍多いコピーの単一ドメイン抗原結合部分を含む。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、同様の技術を使用してEV上にロードされた普通抗体のコピー数と比べて少なくとも約10倍多いコピーの単一ドメイン抗原結合部分を含む。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、同様の技術を使用してEV上にロードされた普通抗体のコピー数と比べて少なくとも約15倍多いコピーの単一ドメイン抗原結合部分を含む。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、同様の技術を使用してEV上にロードされた普通抗体のコピー数と比べて少なくとも約20倍多いコピーの単一ドメイン抗原結合部分を含む。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、同様の技術を使用してEV上にロードされた普通抗体のコピー数と比べて少なくとも約25倍多いコピーの単一ドメイン抗原結合部分を含む。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、同様の技術を使用してEV上にロードされた普通抗体のコピー数と比べて少なくとも約30倍多いコピーの単一ドメイン抗原結合部分を含む。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、同様の技術を使用してEV上にロードされた普通抗体のコピー数と比べて少なくとも約35倍多いコピーの単一ドメイン抗原結合部分を含む。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、同様の技術を使用してEV上にロードされた普通抗体のコピー数と比べて少なくとも約40倍多いコピーの単一ドメイン抗原結合部分を含む。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、同様の技術を使用してEV上にロードされた普通抗体のコピー数と比べて少なくとも約45倍多いコピーの単一ドメイン抗原結合部分を含む。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、同様の技術を使用してEV上にロードされた普通抗体のコピー数と比べて少なくとも約50倍多いコピーの単一ドメイン抗原結合部分を含む。
【0556】
幾つかの態様では、単一ドメイン抗原結合部分は、本明細書において開示される任意の標的抗原に結合し得る。本明細書に記載されるように、幾つかの態様では、単一ドメイン抗原結合部分は、メソテリンに結合する。従って、ある種の態様では、本開示のEV(例えば、エキソソーム)は、KRAS転写物(例えば、KRAS G12D mRNA)を標的とするASO及びメソテリンに結合する単一ドメイン抗原結合部分を含む。幾つかの態様では、単一ドメイン抗原結合部分は、VHHである。幾つかの態様では、単一ドメイン抗原結合部分は、一本鎖Fab(scFab)である。幾つかの態様では、ASOは、リンカー(例えば、TEGリンカー)を介してコレステロールにコンジュゲートされる。幾つかの態様では、ASO、単一ドメイン抗原結合部分、または両方が、EV(例えば、エキソソーム)の外部表面に直接付着される。幾つかの態様では、ASO、単一ドメイン抗原結合部分、または両方が、足場部分(例えば、足場X、例えば、PTGFRN)を使用してEV(例えば、エキソソーム)の外部表面に付着される。
【0557】
III.D.1.改変された標的化能力を有するEV(例えば、エキソソーム)
本明細書に記載されるように、本開示のEV(例えば、エキソソーム)(例えば、KRAS転写物を標的とするASOを含む)は、例えば、免疫親和性リガンドまたは同族受容体リガンドの組み込みにより、その特性(例えば、体内分布)を調整するために操作され得る。例えば、本明細書に記載されるEV(例えば、エキソソーム)は、それらを特定の細胞型、例えば、膵臓細胞、結腸直腸細胞、肺細胞、子宮細胞、胃細胞、精巣胚細胞、卵巣細胞、食道細胞、膀胱細胞、子宮頚部細胞、皮膚細胞、肝細胞、乳房細胞、前立腺細胞、シュワン細胞、感覚ニューロン、運動ニューロン、髄膜マクロファージ、腫瘍細胞、またはそれらの組み合わせに指向するために操作され得る。ある種の態様では、本開示のEV(例えば、エキソソーム)は、それらを膵臓細胞、結腸直腸細胞、肺細胞、及びそれらの組み合わせに指向するために操作される。ある種の態様では、本明細書に記載されるEV(例えば、エキソソーム)は、それらの特定の区画、例えば、CNS(クモ膜下腔内区画での保持を改善するために)または腫瘍微小環境への移行を増強するために操作され得る。
【0558】
幾つかの態様では、EV(例えば、エキソソーム)は、(i)本明細書において開示されるASO及び(ii)体内分布を修飾する薬剤または標的化部分を含む。幾つかの態様では、体内分布を修飾する薬剤または標的化部分は、単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHH及び/またはvNARを含む。かかる単一ドメイン抗原結合部分に関する更なる開示は、本開示の他箇所で提供される。本明細書で使用する場合、用語「体内分布を修飾する薬剤」及び「標的化部分」は、互換的に使用され、インビボまたはインビトロでの(例えば、異なる種類の細胞の混合培養における)細胞外小胞(例えば、エキソソーム、ナノ小胞)の分布を修飾することができる薬剤を指す。幾つかの態様では、標的化部分は、EV(例えば、エキソソーム)の指向性を変化させ、すなわち、標的化部分は「指向性部分」である。本明細書で使用する場合、用語「指向性部分」は、EV(例えば、エキソソーム)で発現される場合、EVの本来の移動を変化させ、及び/または増強する標的化部分を指す。例えば、幾つかの態様では、指向性部分は、EV(例えば、エキソソーム)が、特定の細胞、組織、または器官(例えば、膵臓細胞)により取り込まれるのを促進し得る。従って、幾つかの態様では、特に明記しない限り、用語「標的化部分」及び「指向性部分」は、互換的に使用され得る。
【0559】
幾つかの態様では、本明細書に記載されるEV(例えば、エキソソーム)は、個々の細胞種及び組織における優先的な取り込みを示し、それらの指向性は、それらの表面に標的細胞の表面上の受容体と相互作用するタンパク質を追加することにより誘導され得る。指向性部分は、生体分子、例えば、タンパク質、ペプチド、脂質、もしくは炭水化物、または合成分子を含み得る。例えば、幾つかの態様では、指向性部分は、親和性リガンド、例えば、抗体(例えば、抗CD19ナノボディ、抗CD22ナノボディ、抗CLEC9Aナノボディ、または抗CD3ナノボディ)、VHHドメイン、ファージディスプレイペプチド、フィブロネクチンドメイン、ラクダ科ナノボディ、及び/またはvNARを含み得る。幾つかの態様では、指向性部分は、例えば、合成ポリマー(例えば、PEG)、天然リガンド/分子(例えば、CD40L、アルブミン、CD47、CD24、CD55、CD59)、及び/または組換えタンパク質(例えば、XTEN)を含み得る。
【0560】
幾つかの態様では、指向性部分は、細胞によるEV(例えば、エキソソーム)の取り込みを増加させ得る。幾つかの態様では、細胞によるEV(例えば、エキソソーム)の取り込みを増加させ得る指向性部分は、リンパ球抗原75(DEC205またはCD205としても公知)、C型レクチンドメインファミリー9メンバーA(CLEC9A)、C型レクチンドメインファミリー6(CLEC6)、C型レクチンドメインファミリー4メンバーA(DCIRまたはCLEC4Aとしても公知)、樹状細胞特異的細胞間接着分子3捕捉非インテグリン(DC-SIGNまたはCD209としても公知)、レクチン型酸化LDL受容体1(LOX-1)、コラーゲン様構造マクロファージ受容体(MARCO)、C型レクチンドメインファミリー12メンバーA(CLEC12A)、C型レクチンドメインファミリー10メンバーA(CLEC10A)、DCアシアロ糖タンパク質受容体(DC-ASGPR)、DC免疫受容体2(DCIR2)、デクチン1、マクロファージマンノース受容体(MMR)、BDCA-2(CD303、CLEC4C)、デクチン2、BST-2(CD317)、ランゲリン、CD206、CD11b、CD11c、CD123、CD304、XCR1、AXL、SIGLEC6、CD209、SIRPA、CX3CR1、GPR182、CD14、CD16、CD32、CD34、CD38、CD10、抗CD3抗体、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0561】
幾つかの態様では、膵臓に対する指向性が望ましい場合、本明細書に記載されるEV(例えば、エキソソーム)は、EV(例えば、エキソソーム)の膵臓内の特定の区画または膵臓細胞に対する指向性を増加させる組織または細胞特異的な標的リガンドを含むように改変され得る。幾つかの態様では、結腸直腸組織に対する指向性が望ましい場合、本明細書に記載されるEV(例えば、エキソソーム)は、EV(例えば、エキソソーム)の結腸直腸組織内の特定の区画または結腸直腸細胞に対する指向性を増加させる組織または細胞特異的な標的リガンドを含むように改変され得る。幾つかの態様では、肺に対する指向性が望ましい場合、本明細書に記載されるEV(例えば、エキソソーム)は、EV(例えば、エキソソーム)の肺組織内の特定の区画または肺細胞に対する指向性を増加させる組織または細胞特異的な標的リガンドを含むように改変され得る。
【0562】
幾つかの態様では、中枢神経系(CNS)に対する指向性が望ましい場合、本開示のEV(例えば、エキソソーム)は、EV、例えば、エキソソームの特定の中枢神経系組織または細胞に対する指向性を増加させる組織または細胞特異的な標的リガンドを含み得る。幾つかの態様では、細胞は、グリア細胞である。幾つかの態様では、グリア細胞は、オリゴデンドロサイト、アストロサイト、上衣細胞、ミクログリア細胞、シュワン細胞、サテライトグリア細胞、嗅神経鞘細胞、またはそれらの組み合わせである。幾つかの態様では、細胞は、神経幹細胞である。幾つかの態様では、細胞は、感覚ニューロンである。
【0563】
幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームのシュワン細胞に対する指向性を増加させる細胞特異的標的化リガンド(すなわち、標的化/指向性部分)は、シュワン細胞表面マーカー、例えば、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、ミエリンタンパク質ゼロ(P0)、P75NTR、NCAM、PMP22、トランスフェリン受容体(TfR)(例えば、TfR1またはTfR2)、アポリポタンパク質D(ApoD)、ガレクチン1(LGALS1)、ミエリンプロテオリピドタンパク質(PLP)、グリピカン-1、シンデカン-3、またはそれらの任意の組み合わせに結合する。幾つかの態様では、細胞特異的指向性部分は、抗体またはその抗原結合性部分、アプタマー、またはシュワン細胞表面に発現される受容体のアゴニストもしくはアンタゴニストを含む。幾つかの態様では、EV(例えば、エキソソーム)のシュワン細胞に対する指向性を増加させる標的化部分は、トランスフェリン(またはそのバリアント及び/または断片)を含む。本開示に有用であるトランスフェリンの非限定的な例としては、血清トランスフェリン、ラクトトランスフェリン(ラクトフェリン)、オボトランスフェリン、メラノトランスフェリン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。幾つかの態様では、トランスフェリン受容体を標的とし得る指向性部分は、抗トランスフェリン受容体可変新規抗原受容体(vNAR)、例えば、一般的なモチーフ構造(FW1-CDR1-FW2-3-CDR3-FW4)を有する結合ドメインを含む。例えば、US2017/0348416(これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照のこと。幾つかの態様では、標的化部分として使用され得るトランスフェリン受容体を標的とする抗体は、US2019/0202936に記載されている(これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)低親和性抗トランスフェリン受容体抗体を含む。
【0564】
幾つかの態様では、EV(例えば、エキソソーム)のCNSへの指向性を増加させる標的化部分は、感覚ニューロンで発現されるリガンドに結合する。例えば、ある種の態様では、標的化部分は、トロポミオシン受容体キナーゼ(Trk)受容体(例えば、TrkA、TrkB、TrkC、またはそれらの組み合わせ)に結合する。幾つかの態様では、Trk受容体に結合する標的化部分は、ニューロトロフィンを含む。ニューロトロフィンの非限定的な例としては、神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン-3(NT-3)、ニューロトロフィン-4(NT-415)、ニューロトロフィン-6(NT-5)、線維芽細胞成長因子(FGF)-2及び他のFGF、エリスロポエチン(EPO)、肝細胞増殖因子(HGF)、上皮成長因子(EGF)、トランスフォーミング増殖因子(TGF)-a、TGF-(3、血管内皮増殖因子(VEGF)、インターロイキン-1受容体アンタゴニスト(IL-1ra)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、グリア由来神経栄養因子(GDNF)、ニュールツリン、血小板由来増殖因子(PDGF)、ヘレグリン、ニューレグリン、アルテミン、ペルセフィン、インターロイキン、顆粒球コロニー形成促進因子(CSF)、顆粒球マクロファージCSF、ネトリン、カルジオトロフィン-1、ヘッジホグ、白血病抑制因子(LIF)、ミドルシン(midlcine)、プレイオトロフィン、骨形成タンパク質(BMP)、ネトリン、サポシン、セマフォリン、ならびに幹細胞因子(SCF)(それらの断片及び/またはバリアントが含まれる)、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。例えば、US8,053,569;Leibrock,J.et al.,Nature,341:149-152(1989);Ernfors,P.et al.,Neuron 1:983-996(1990);Ibanez et al.,EMBO J.,10,2105-2110,(1991);LeSauteur et al.J.Biol.Chem.270,6564-6569(1995);Longo et al.,J.Neurosci.Res.,48,1-17(1997)を参照のこと(これらの各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。幾つかの態様では、Trk受容体に結合することができる標的化部分は、例えば、Kramer et al.,Eur.J.Cancer,33,2090-2091,(1997)(これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている、モノクローナル抗体5C3、MC192、または両方を含む。幾つかの態様では、EV(例えば、エキソソーム)の感覚ニューロンに対する指向性を増加させる標的化部分は、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)ペプチドを含む。
【0565】
幾つかの態様では、EV(例えば、エキソソーム)のCNSに対する指向性を増加させる標的化部分は、運動ニューロンで発現されるリガンドに結合する。かかる標的化部分の非限定的な例としては、狂犬病ウイルス糖タンパク質(RVG)ペプチド、標的化軸索輸送(TAxI)ペプチド、P75Rペプチド、Tet-Cペプチド、またはそれらの組み合わせが挙げられる。例えば、US2014/00294727;US9,757,470;US9,056,892;Sellers et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 113:2514-2519(2016)を参照のこと(これらの各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。幾つかの態様では、本開示に有用な標的化部分は、表8(以下)に提供されるペプチドBBBシャトルを含む。例えば、Oller-Salvia et al.(2016) Chem.Soc.Rev.45,4690-4707、及びJafari et al.(2019) Expert Opinion on Drug Delivery 16:583-605(これらは参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)を参照のこと。


【表7】
【0566】
幾つかの態様では、腫瘍細胞及び/または腫瘍微小環境に対する指向性が望ましい場合、本明細書に記載されるEV(例えば、エキソソーム)は、腫瘍細胞及び/または腫瘍微小環境で発現される抗原に結合する標的化部分を含むように改変され得る。本開示から明らかであるように、幾つかの態様では、かかる標的化部分は、標的化部分のない対応するEVと比較して、EV(例えば、エキソソーム)の腫瘍細胞及び/または腫瘍微小環境に対する指向性を増加させる。
【0567】
幾つかの態様では、標的化部分は、メソテリンまたはその断片に結合する抗原結合部分を含む。メソテリンまたはその断片に結合することができる当技術分野において公知の任意の抗原結合部分が本明細書において開示されるEV(例えば、KRAS G12D mRNAに特異的なASOを含むエキソソーム)と共に使用され得る。
【0568】
メソテリンは、肺の中皮細胞において、ならびに低レベルで心臓、胎盤、及び腎臓において発現される膜係留型タンパク質であり、メソテリンは、細胞接着に関与し得る。メソテリンは、中皮腫、卵巣癌、及び一部の扁平上皮細胞癌の腫瘍細胞でも発現され、このことは、メソテリンを腫瘍抗原標的候補にする。メソテリンの配列は、当技術分野において公知である。例えば、ヒトメソテリンの標準アミノ酸配列は、配列番号91に示される(UniProt識別子:Q13421-1)。ヒトメソテリンの以下の少なくとも3つのアイソフォームが存在し、これらは選択的スプライシングの結果である:(i)アイソフォーム2(UniProt識別子:Q13421-3;配列番号92);(ii)アイソフォーム3(UniProt識別子:Q13421-2;配列番号93);及び(iii)アイソフォーム4(UniProt識別子:Q13421-4;配列番号94)。幾つかの態様では、本明細書において開示される標的化部分は、本明細書において開示されるヒトメソテリンタンパク質のうちの1種以上に結合し得る。
【0569】
原理上は、ASO及び少なくとも1種の指向性部分を含む本開示のEV(例えば、エキソソーム)は、指向性部分の存在が、(単独で、または抗貪食シグナル、例えば、CD47の存在及び特定の投与経路の使用と組み合わせて)EV、例えば、エキソソームの所望の標的細胞または組織(例えば、膵臓、結腸直腸組織、または肺)に対する指向性を誘発するため、当該技術分野において公知の任意の好適な投与方法(例えば、静脈内注射または注入)を使用して投与され得る。
【0570】
ある種の態様では、指向性部分は、EV、例えば、エキソソームの外部表面の足場部分、例えば、足場Xタンパク質またはその断片に連結される、例えば、マレイミド部分を介して化学的に連結される。指向性は、抗貪食シグナル(例えば、CD47及び/またはCD24)、半減期延長部分(例えば、アルブミンまたはPEG)、またはそれらの任意の組み合わせの本開示のEV、例えば、エキソソームの外部表面への結合により更に改善され得る。ある種の態様では、抗貪食シグナルは、EV、例えば、エキソソームの外部表面の足場部分、例えば、足場Xタンパク質またはその断片に、連結される、例えば、マレイミド部分を介して化学的に連結される。
【0571】
薬物動態、体内分布、ならびに特に所望の組織または解剖学的位置への指向性及びそれらでの保持は、適切な投与経路(例えば、中枢神経系に対する指向性を改善するためのクモ膜下腔内投与または眼内投与)を選択することによっても達成され得る。
【0572】
幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、少なくとも2種の異なる指向性部分を含む。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、3種の異なる指向性部分を含む。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、4種の異なる指向性部分を含む。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、5種以上の異なる指向性部分を含む。幾つかの態様では、指向性部分の1種以上は、細胞によるEV、例えば、エキソソームの取り込みを増加させる。幾つかの態様では、各指向性部分は、足場部分、例えば、足場Xタンパク質またはその断片に結合される。幾つかの態様では、複数の指向性部分が、同じ足場部分、例えば、足場Xタンパク質またはその断片に結合され得る。幾つかの態様では、幾つかの指向性部分が、直列に足場部分、例えば、足場Xタンパク質またはその断片に結合され得る。幾つかの態様では、本明細書において開示される指向性部分またはそれらの組み合わせは、リンカーまたはスペーサーを介して足場部分、例えば、足場Xタンパク質またはその断片に結合される。幾つかの態様では、リンカーもしくはスペーサーまたはそれらの組み合わせは、本明細書において開示される2つの指向性部分の間に配置される。
【0573】
本開示のEV、例えば、エキソソームを神経系の異なる細胞種に指向することができる指向性部分の非限定的な例は、以下で開示される。
【0574】
III.E.抗貪食シグナル
投与されたEV、例えば、エキソソームの身体の免疫系による排除は、投与されたEV、例えば、エキソソーム治療の有効性を低減し得る。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームの表面は、免疫系の細胞、例えば、マクロファージによるEV、例えば、エキソソームの取り込みを制限または阻害するように改変される。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームの表面は、マクロファージによるEV、例えば、エキソソームの取り込みを阻害する1種以上の表面抗原を発現するように改変される。幾つかの態様では、表面抗原は、EV(例えば、エキソソーム)の外部表面に会合している。
【0575】
本開示に有用である表面抗原としては、限定されるものではないが、細胞を「自己」細胞として標識する抗原が挙げられる。幾つかの態様では、表面抗原は、抗貪食シグナルを含む。幾つかの態様では、抗貪食シグナルは、CD47、CD24、それらの断片、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。ある種の態様では、抗貪食シグナルは、CD24、例えば、ヒトCD24を含む。幾つかの態様では、抗貪食シグナルは、CD24、例えば、ヒトCD24の断片を含む。ある種の態様では、EV、例えば、エキソソームは、EV、例えば、エキソソームの外部表面にCD47またはその断片を発現するように改変される。
【0576】
本明細書で使用する場合、白血球表面抗原CD47及びインテグリン関連タンパク質(IAP)とも称されるCD47は、身体の多数の細胞上に見出される膜貫通タンパク質である。CD47は、それが免疫細胞、特に骨髄性細胞に、CD47を発現する特定の細胞が外来細胞でないことを伝達するため、多くの場合、「私を食べないで」シグナルと称される。CD47は、SIRPAの受容体であり、この受容体への結合は、未成熟な樹状細胞の成熟を防止し、成熟樹状細胞によるサイトカイン産生を阻害する。CD47のSIRPGとの相互作用は、細胞間接着を媒介し、スーパー抗原依存的T細胞媒介増殖を増強し、T細胞活性化を同時刺激する。CD47は、血小板上のTHBS1に対する接着受容体として作用することによる細胞接着及びインテグリンの調節の両方における役割を有することも公知である。CD47は、(類似性により)海馬における記憶形成及びシナプス可塑性においても重要な役割を果たす。加えて、CD47は、膜輸送及び/またはインテグリン依存性シグナル伝達において役割を果たし得、赤血球の早期除去を防止し得、ウイルス感染後に誘発される膜透過性の変化に関与し得る。
【0577】
幾つかの態様では、本明細書において開示されるEV、例えば、エキソソームは、EV、例えば、エキソソームの表面上にヒトCD47を発現するように改変される。ヒトCD47の標準アミノ酸配列及び様々な公知のアイソフォームは、表9に示される(UniProtKB:Q08722;配列番号629~632)。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、配列番号629に記載されるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその断片を発現するように改変される。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、配列番号630に記載されるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその断片を発現するように改変される。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、配列番号631に記載されるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその断片を発現するように改変される。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、配列番号632に記載されるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその断片を発現するように改変される。
【表8-1】

【表8-2】
【0578】
幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、EV、例えば、エキソソームの表面に全長CD47を発現するように改変される。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、EV、例えば、エキソソームの表面にCD47の断片を発現するように改変され、ここで、当該断片は、CD47、例えば、ヒトCD47の細胞外ドメインを含む。マクロファージによるファゴサイトーシスを阻止及び/または阻害する能力を保持するCD47の任意の断片が、本明細書において開示されるEV、例えば、エキソソームに使用され得る。幾つかの態様では、断片は、ヒトCD47標準配列のアミノ酸19~約141(例えば、配列番号629のアミノ酸19~141)を含む。幾つかの態様では、断片は、ヒトCD47標準配列のアミノ酸19~約135(例えば、配列番号629のアミノ酸19~135)を含む。幾つかの態様では、断片は、ヒトCD47標準配列のアミノ酸19~約130(例えば、配列番号629のアミノ酸19~130)を含む。幾つかの態様では、断片は、ヒトCD47標準配列のアミノ酸19~約125(例えば、配列番号629のアミノ酸19~125)を含む。
【0579】
幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、ヒトCD47標準配列のアミノ酸19~約141(例えば、配列番号629のアミノ酸19~141)に対する少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチドを発現するように改変される。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、ヒトCD47標準配列のアミノ酸19~約135(例えば、配列番号629のアミノ酸19~135)に対する少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチドを発現するように改変される。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、ヒトCD47標準配列のアミノ酸19~約130(例えば、配列番号629のアミノ酸19~130)に対する少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチドを発現するように改変される。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、ヒトCD47標準配列のアミノ酸19~約125(例えば、配列番号629のアミノ酸19~125)に対する少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチドを発現するように改変される。
【0580】
幾つかの態様では、CD47またはその断片は、CD47及びそのリガンドであるSIRPαの親和性を増加させるように改変される。幾つかの態様では、CD47の断片は、Velcro(登録商標)-CD47を含む(例えば、Ho et al.,JBC 290:12650-63(2015)(これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと)。幾つかの態様では、Velcro(登録商標)-CD47は、野生型ヒトCD47配列(配列番号629)と比較してC15S置換を含む。
【0581】
幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、未改変のEV、例えば、エキソソームより高いレベルでEV、例えば、エキソソームの表面に発現されたCD47またはその断片を含む。幾つかの態様では、CD47またはその断片は、足場タンパク質と融合される。本明細書において開示される任意の足場タンパク質が、EV、例えば、エキソソームの表面にCD47またはその断片を発現させるために使用され得る。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、足場Xタンパク質のN末端に融合されたCD47の断片を発現するように改変される。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、PTGFRNのN末端に融合されたCD47の断片を発現するように改変される。
【0582】
幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、少なくとも約20分子、少なくとも約30分子、少なくとも約40、少なくとも約50、少なくとも約75、少なくとも約100、少なくとも約125、少なくとも約150、少なくとも約200、少なくとも約250、少なくとも約300、少なくとも約350、少なくとも約400、少なくとも約450、少なくとも約500、少なくとも約750、または少なくとも約1000分子のCD47をEV、例えば、エキソソームの表面に含む。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、少なくとも約20分子のCD47をEV、例えば、エキソソームの表面に含む。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、少なくとも約30分子のCD47をEV、例えば、エキソソームの表面に含む。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、少なくとも約40分子のCD47をEV、例えば、エキソソームの表面に含む。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、少なくとも約50分子のCD47をEV、例えば、エキソソームの表面に含む。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、少なくとも約100分子のCD47をEV、例えば、エキソソームの表面に含む。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、少なくとも約200分子のCD47をEV、例えば、エキソソームの表面に含む。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、少なくとも約300分子のCD47をEV、例えば、エキソソームの表面に含む。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、少なくとも約400分子のCD47をEV、例えば、エキソソームの表面に含む。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、少なくとも約500分子のCD47をEV、例えば、エキソソームの表面に含む。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、少なくとも約1000分子のCD47をEV、例えば、エキソソームの表面に含む。
【0583】
幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームの表面でのCD47またはその断片の発現は、CD47またはその断片を発現しないEV、例えば、エキソソームと比較して、骨髄性細胞によるEV、例えば、エキソソームの取り込みの減少をもたらす。幾つかの態様では、CD47またはその断片を発現するEV、例えば、エキソソームの骨髄性細胞による取り込みは、CD47またはその断片を発現しないEV、例えば、エキソソームの骨髄性細胞による取り込みと比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%減少する。
【0584】
幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームの表面でのCD47またはその断片の発現は、CD47またはその断片を発現しないEV、例えば、エキソソームと比較して、EV、例えば、エキソソームの肝臓への局在化の減少をもたらす。幾つかの態様では、CD47またはその断片を発現するEV、例えば、エキソソームの肝臓への局在化は、CD47またはその断片を発現しないEV、例えば、エキソソームの肝臓への局在化と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%減少する。
【0585】
幾つかの態様では、CD47またはその断片を発現するEV、例えば、エキソソームのインビボ半減期は、CD47またはその断片を発現しないEV、例えば、エキソソームのインビボ半減期と比較して増加する。幾つかの態様では、CD47またはその断片を発現するEV、例えば、エキソソームのインビボ半減期は、CD47またはその断片を発現しないEV、例えば、エキソソームのインビボ半減期と比較して、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約4.5倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、または少なくとも約10倍増加する。
【0586】
幾つかの態様では、CD47またはその断片を発現するEV、例えば、エキソソームは、CD47またはその断片を発現しないEV、例えば、エキソソームの循環血液、例えば、血漿中での保持と比較して、循環血液、例えば、血漿中での保持の増加を有する。幾つかの態様では、CD47またはその断片を発現するEV、例えば、エキソソームの循環血液、例えば、血漿中での保持は、CD47またはその断片を発現しないEV、例えば、エキソソームの循環血液、例えば、血漿中での保持と比較して、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約4.5倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、または少なくとも約10倍増加する。
【0587】
幾つかの態様では、CD47またはその断片を発現するEV、例えば、エキソソームは、CD47またはその断片を発現しないエキソソームと比較した場合に、変化した体内分布を有する。幾つかの態様では、変化した体内分布は、内皮細胞、T細胞への取り込みの増加、または限定されるものではないが、肝臓、心臓、肺、脳、腎臓、中枢神経系、末梢神経系、脳脊髄液(CSF)、筋肉(例えば、骨格筋、心筋)、骨、骨髄、血液、脾臓、リンパ節、胃、食道、横隔膜、膀胱、大腸、膵臓、甲状腺、唾液腺、副腎、下垂体、胸部、皮膚、卵巣、子宮、前立腺、精巣、頸部、もしくはそれらの任意の組み合わせが含まれる種々の組織における蓄積の増加をもたらす。
【0588】
IV.操作されたエキソソームの産生のための産生細胞
本開示のEV、例えば、エキソソームは、インビトロで増殖された細胞または対象の体液から産生され得る。エキソソームがインビトロ細胞培養物から産生される場合、様々な産生細胞、例えば、HEK293細胞、CHO細胞、及びMSCが使用され得る。ある種の態様では、産生細胞は、樹状細胞、マクロファージ、B細胞、マスト細胞、好中球、Kupffer-Browicz細胞、これらの細胞のいずれかに由来する細胞、またはそれらの任意の組み合わせではない。
【0589】
幾つかの態様では、産生細胞は、ヒト胎児腎臓293細胞である。多くの場合、HEK293、HEK-293、293細胞、またはより不正確にHEK細胞とも称される、ヒト胎児腎臓293細胞は、元々組織培養で増殖されたヒト胎児腎臓細胞に由来する特定の細胞株である。
【0590】
HEK293細胞は、オランダのライデンのAlex van der Ebの研究室において、正常ヒト胎児腎臓細胞の培養物の切断されたアデノウイルス5型DNAでの形質移入により、1973年に作製された。細胞は培養され、アデノウイルスにより形質移入された。その後の解析により、ウイルスゲノムのレフトアームから約4.5キロベースを挿入することにより形質転換が引き起こされ、これはヒト19番染色体に組み込まれたことが示された。
【0591】
HEK293及び5つの派生細胞株のゲノム及びトランスクリプトームの網羅的研究により、HEK293のトランスクリプトームがヒト腎臓、副腎、下垂体、及び中枢神経組織のものと比較された。HEK293パターンは、多数の神経特性を有する副腎細胞のものと最も酷似していた。
【0592】
HEK293細胞は、複雑な核型を有し、2コピー以上の各染色体を示し、64の最頻染色体数を有する。それらは、一倍体のヒト配偶子の染色体数の3倍未満の染色体数を有する低三倍体と記載されている。染色体異常としては、合計3コピーのX染色体ならびに4コピーの染色体17及び染色体22が挙げられる。
【0593】
EVを生成するのに有用なHEK293細胞のバリアントとしては、限定されるものではないが、HEK293F、HEK293FT、及びHEK293Tが挙げられる。
【0594】
産生細胞は、本明細書に記載されるEVを生成するために、ASOをコードする外来性配列を含むように遺伝子改変され得る。遺伝子改変された産生細胞は、一過性または安定性形質転換により外来性配列を含有し得る。外来性配列は、プラスミドとして形質転換され得る。幾つかの態様では、外来性配列は、ベクターである。外来性配列は、産生細胞のゲノム配列の標的部位またはランダムな部位に安定的に組み込まれ得る。幾つかの態様では、内腔が操作されたエキソソームの生成のために、安定細胞株が作製される。
【0595】
外来性配列は、産生細胞のゲノム配列に挿入され得、エキソソームタンパク質をコードする内因性配列の配列内、その上流(5’末端)、またはその下流(3’末端)に存在し得る。当該技術分野において公知の様々な方法が、産生細胞に外来性配列を導入するために使用され得る。例えば、様々な遺伝子編集方法(例えば、相同組換え、トランスポゾンにより媒介されるシステム、loxP-Creシステム、CRISPR/Cas9またはTALENを使用した方法)を使用して改変された細胞が本開示の範囲内である。
【0596】
外来性配列は、本明細書において開示される足場部分またはその断片もしくはバリアントをコードする配列を含み得る。余分なコピーの足場部分をコードする配列が、本明細書に記載されるエキソソーム(例えば、EV、例えば、エキソソームの表面または内腔表面により高密度の足場部分を有するエキソソーム)を生成するために導入され得る。足場部分の改変型または断片をコードする外来性配列は、当該足場部分の当該改変型または当該断片を含有する内腔が操作され、及び/または表面が操作されたエキソソームを生成するために導入され得る。
【0597】
幾つかの態様では、産生細胞は、ASOに連結された足場部分をコードする1種以上のベクターで改変、例えば、形質移入され得る。
【0598】
幾つかの態様では、本開示のEV、例えば、エキソソーム(例えば、表面が操作され、及び/または内腔が操作されたエキソソーム)は、本明細書において開示される全長の成熟足場部分またはASOに連結された足場部分をコードする配列で形質転換された細胞から産生され得る。本明細書に記載される足場部分のいずれかは、プラスミド、ゲノムに挿入された外来性配列、または他の外来性核酸、例えば、合成メッセンジャーRNA(mRNA)から発現され得る。
【0599】
V.医薬組成物
本明細書において、所望の純度を有する本開示のEV、例えば、エキソソーム、及び薬学的に許容される担体または賦形剤を、対象への投与に好適な形態で含む医薬組成物が提供される。薬学的に許容される賦形剤または担体は、投与される特定の組成物、及び組成物を投与するために使用される特定の方法により部分的に決定され得る。従って、複数の細胞外小胞を含む医薬組成物の多種多様な好適な製剤が存在する(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.21st ed.(2005)を参照のこと)。医薬組成物は、一般に、無菌かつU.S.Food and Drug Administrationによる全ての優良医薬品製造基準(GMP)の規定に完全準拠で製剤化される。
【0600】
幾つかの態様では、医薬組成物は、1種以上の治療薬及び本明細書に記載されるエキソソームを含む。ある種の態様では、EV、例えば、エキソソームは、薬学的に許容される担体中の1種以上の追加の治療薬と同時投与される。幾つかの態様では、本開示のためのASO及び1種以上の追加の治療薬は、同じEVで投与され得る。他の態様では、本開示のためのASO及び1種以上の追加の治療薬は、異なるEVで投与される。例えば、本開示は、ASOを含むEV及び追加の治療薬を含むEVを含む医薬組成物を含む。幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームを含む医薬組成物は、追加の治療薬(複数可)の投与前に投与される。他の態様では、EV、例えば、エキソソームを含む医薬組成物は、追加の治療薬(複数可)の投与後に投与される。更なる態様では、EV、例えば、エキソソームを含む医薬組成物は、追加の治療薬(複数可)と同時に投与される。
【0601】
許容可能なキャリア、賦形剤、または安定剤は、用いられる投与量及び濃度でレシピエント(例えば、動物またはヒト)に対し無毒性であり、これらとしては、緩衝剤、例えば、リン酸、クエン酸、及び他の有機酸;アスコルビン酸及びメチオニンが挙げられる抗酸化剤;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル、またはベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチルまたはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10残基未満の)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリジン;グルコース、マンノース、またはデキストリンが挙げられる単糖、二糖、及び他の炭水化物;キレート剤、例えば、EDTA;糖、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロース、またはソルビトール;塩形成性対イオン、例えば、ナトリウム;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);及び/または非イオン性界面活性剤、例えば、TWEEN(登録商標)、PLURONICS(登録商標)、またはポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。
【0602】
キャリアまたは希釈剤の例としては、限定されるものではないが、水、生理食塩水、リンガー液、デキストロース溶液、及び5%のヒト血清アルブミンが挙げられる。薬学的活性物質のためのかかる媒体及び化合物の使用は、当該技術分野において周知である。任意の従来の媒体または化合物が本明細書に記載される細胞外小胞と適合しない場合を除いて、組成物におけるそれらの使用が意図される。補助的治療薬も組成物に組み込まれ得る。通常、医薬組成物は、その意図される投与経路と適合可能となるように製剤化される。EV、例えば、エキソソームは、非経口、局所、静脈内、経口、皮下、動脈内、皮内、経皮、直腸、頭蓋内、腹腔内、鼻腔内、腫瘍内、筋肉内経路により、または吸入剤として投与され得る。ある種の態様では、エキソソームを含む医薬組成物は、例えば、注射により静脈内投与される。EV、例えば、エキソソームは、任意に、EV、例えば、エキソソームが対象とする疾患、障害、または状態を処置するのに少なくとも部分的に効果的である他の治療薬と組み合わせて投与され得る。
【0603】
溶液または懸濁液は、以下の成分を含み得る:無菌の希釈剤、例えば、水、生理食塩液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の合成溶媒;抗菌化合物、例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベン;抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウム;キレート化合物、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA);緩衝剤、例えば、酢酸塩、クエン酸塩またはホスフェート、及び張度の調整のための化合物、例えば、塩化ナトリウムまたはデキストロース。pHは、酸または塩基、例えば、塩酸または水酸化ナトリウムにより調整され得る。調製物は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨て注射器、または多人数用バイアルに入れられ得る。
【0604】
注射用途に好適な医薬組成物としては、無菌の水溶液(水溶性である場合)または分散体及び無菌の粉末が挙げられる。静脈内投与に好適なキャリアとしては、生理的食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF、Parsippany、N.J.)、またはリン酸緩衝食塩水(PBS)が挙げられる。組成物は、一般に、無菌かつ注射針通過が容易である程度まで流動的である。キャリアは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、及び好適なそれらの混合物を含有する溶媒または分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングを使用することによって、分散体の場合に必要な粒子サイズを維持することによって、及び界面活性剤を使用することによって維持され得る。微生物の活動の防止は、様々な抗細菌化合物及び抗真菌化合物、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどにより達成され得る。必要に応じて、等張性化合物、例えば、糖、多価アルコール、例えば、マンニトール、ソルビトール、及び塩化ナトリウムが組成物に添加され得る。注射可能な組成物の吸収の延長は、吸収を遅延させる化合物、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを組成物に入れることにより引き起こされ得る。
【0605】
無菌注射溶液は、所望される場合、本明細書において列挙されるか、当該技術分野において公知の1種以上の成分と共に、EV、例えば、エキソソームを有効量で、かつ適切な溶媒中に組み込むことにより調製され得る。一般に、分散体は、EV、例えば、エキソソームを基本的な分散媒及び任意の所望の他の成分を含有する無菌のビヒクルに組み込むことにより調製される。無菌注射溶液を調製するための無菌粉末の場合、調製法は、事前に滅菌濾過された溶液から活性成分及び任意の更なる所望の成分の粉末を生じる真空乾燥及びフリーズドライである。EV、例えば、エキソソームは、EV、例えば、エキソソームの持続放出またはパルス放出を可能にするような様式で製剤化され得る、蓄積注射またはインプラント調製物の形態で投与され得る。
【0606】
またエキソソームを含む組成物の全身投与は、経粘膜手段によるものであってもよい。経粘膜投与用には、透過されるべきバリアに適した浸透剤が製剤中に使用される。かかる浸透剤は、一般に当技術分野において公知であり、例えば、経粘膜投与用の、界面活性剤、胆汁酸塩、及びフシジン酸誘導体が挙げられる。経粘膜投与は、例えば、鼻内噴霧を使用することにより達成され得る。
【0607】
ある種の態様では、EV、例えば、エキソソームを含む医薬組成物は、医薬組成物から恩恵を受ける対象に静脈内投与される。ある種の他の態様では、組成物は、例えば、リンパ管内注射もしくは結節内注射(例えば、Senti et al.,PNAS 105(46):17908(2008)参照のこと)によりリンパ系に、または筋肉内注射により、皮下投与により、腫瘍内注射により、胸腺または肝臓への直接注入により投与される。
【0608】
ある種の態様では、エキソソームを含む医薬組成物は、懸濁液として投与される。ある種の態様では、医薬組成物は、投与後に貯留物を形成することができる製剤として投与される。ある種の好ましい態様では、貯留物は、EV、例えば、エキソソームを血行にゆっくりと放出するか、または貯留物形態で残存する。
【0609】
通常、薬学的に許容される組成物は、夾雑物を含まないように高度に精製されており、生体適合性であり、かつ有毒でなく、対象への投与に適している。水がキャリアの構成成分である場合、水は、夾雑物(例えば、エンドトキシン)を含まないように高度に精製及び処理される。
【0610】
薬学的に許容されるキャリアは、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビアゴム、リン酸カルシウム、アルギナート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、タルク、ステアリン酸マグネシウム、及び/または鉱油であり得るが、それらに限定されない。医薬組成物は、滑沢剤、湿潤剤、甘味剤、調味料、乳化剤、沈殿防止剤、及び/または防腐剤を更に含み得る。
【0611】
幾つかの態様では、本明細書に記載される医薬組成物は、薬学的に許容される塩を含む。幾つかの態様では、薬学的に許容される塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0612】
本明細書に記載される医薬組成物は、本明細書に記載されるEV、例えば、エキソソーム及び任意に追加の薬学的活性薬剤または治療薬を含む。追加の治療薬は、生物学的薬剤、低分子薬剤、または核酸薬剤であり得る。幾つかの態様では、追加の治療薬は、追加のKRASアンタゴニストである。幾つかの態様では、KRASアンタゴニストは、本明細書において開示される任意のKRASアンタゴニストである。幾つかの態様では、追加のKRASアンタゴニストは、抗KRAS抗体である。幾つかの態様では、追加のKRASアンタゴニストは、低分子である。幾つかの態様では、追加のKRASアンタゴニストは、低分子である。ある種の態様では、追加の治療薬は、抗がん療法である。かかる抗がん療法の非限定的な例としては、外科療法、化学療法、放射線治療、寒冷療法、ホルモン療法、免疫療法、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0613】
幾つかの態様では、追加のKRASアンタゴニストは、ASOを含む。幾つかの態様では、追加のKRASアンタゴニストは、本明細書に記載される任意のASOを含む。
【0614】
本明細書に記載されるEV、例えば、エキソソームを含む医薬組成物を含む剤形が提供される。幾つかの態様では、剤形は、静脈内注射のための懸濁液として製剤化される。幾つかの態様では、剤形は、腫瘍内注射のための懸濁液として製剤化される。
【0615】
ある種の態様では、エキソソームの調製物は、残存する複製能のある核酸に損傷を与えるために、放射線照射、例えば、X線、γ線、β粒子、α粒子、中性子、プロトン、元素核、紫外線に供される。
【0616】
ある種の態様では、エキソソームの調製物は、1kGy超、5kGy、10kGy、15kGy、20kGy、25kGy、30kGy、35kGy、40kGy、50kGy、60kGy、70kGy、80kGy、90kGy、100kGy、または100kGy超の照射線量を使用してγ線照射に供される。
【0617】
ある種の態様では、エキソソームの調製物は、0.1mSv超、0.5mSv、1mSv、5mSv、10mSv、15mSv、20mSv、25mSv、30mSv、35mSv、40mSv、50mSv、60mSv、70mSv、80mSv、90mSv、100mSv、200mSv、300mSv、400mSv、500mSv、600mSv、700mSv、800mSv、900mSv、1000mSv、2000mSv、3000mSv、4000mSv、5000mSv、6000mSv、7000mSv、8000mSv、9000mSv、10000mSv、または10000mSv超の照射線量を使用してX線照射に供される。
【0618】
VI.キット
また本明細書において、本明細書に記載される1種以上のEV(例えば、エキソソーム)を含むキットも提供される。幾つかの態様では、本明細書に記載される医薬組成物の成分のうちの1つ以上、例えば、本明細書において提供される1種以上のエキソソームが充填された1つ以上の容器、任意の使用説明書を含む医薬パックまたはキットが本明細書において提供される。幾つかの態様では、キットは、本明細書に記載の医薬組成物及び任意の予防薬または治療薬、例えば、本明細書に記載されるものを含有する。幾つかの態様では、キットは、本明細書において開示される任意の方法に従ってEVを投与するための説明書を更に含む。幾つかの態様では、キットは、造血に関連する疾患または状態の処置に使用するためのものである。幾つかの態様では、キットは、診断キットである。
【0619】
VII.EVを生成する方法
幾つかの態様では、本開示は、本明細書に記載されるEVを生成する方法も対象とする。幾つかの態様では、本方法は、産生細胞からEV、例えば、エキソソームを得ることであって、当該産生細胞がEV、例えば、エキソソームの1種以上の構成要素(例えば、ASO)を含有する、当該得ること;及び任意に得られたEV、例えば、エキソソームを単離することを含む。幾つかの態様では、本方法は、本明細書において開示されるEVの1種以上の構成要素(例えば、ASO)を導入することにより産生細胞を改変すること;改変された産生細胞から、EV、例えば、エキソソームを得ること;及び任意に得られたEV、例えば、エキソソームを単離することを含む。更なる態様では、本方法は、産生細胞からEVを得ること;得られたEVを単離すること;及び単離されたEVを改変することを含む。ある種の態様では、本方法は、単離されたEVを医薬組成物に製剤化することを更に含む。
【0620】
VII.A.産生細胞を改変する方法
上記のように、幾つかの態様では、EVを生成する方法は、1種以上の部分(例えば、ASO)で産生細胞を改変することを含む。ある種の態様では、1種以上の部分は、ASOを含む。幾つかの態様では、1種以上の部分は、本明細書において開示される足場部分(例えば、足場Xまたは足場Y)を更に含む。
【0621】
幾つかの態様では、産生細胞は、哺乳動物細胞株、植物細胞株、昆虫細胞株、真菌細胞株、または原核細胞株であり得る。ある種の態様では、産生細胞は、哺乳動物細胞株である。哺乳動物細胞株の非限定的な例としては、以下が挙げられる:ヒト胎児腎臓(HEK)細胞株、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、HT-1080細胞株、HeLa細胞株、PERC-6細胞株、CEVEC細胞株、線維芽細胞株、羊膜細胞株、上皮細胞株、間葉系幹細胞(MSC)細胞株、及びそれらの組み合わせ。ある種の態様では、哺乳動物細胞株には、HEK-293細胞、BJヒト包皮線維芽細胞、fHDF線維芽細胞、AGE.HN(登録商標)神経前駆細胞、CAP(登録商標)羊膜細胞、脂肪由来間葉系幹細胞(adipose mesenchymal stem cell)、RPTEC/TERT1細胞、またはそれらの組み合わせが含まれる。幾つかの態様では、産生細胞は、初代細胞である。ある種の態様では、初代細胞は、初代哺乳動物細胞、初代植物細胞、初代昆虫細胞、初代真菌細胞、または初代原核細胞であり得る。
【0622】
幾つかの態様では、産生細胞は、免疫細胞、例えば、抗原提示細胞、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、マクロファージ、ヘルパーT細胞、または制御性T細胞(Treg細胞)ではない。他の態様では、産生細胞は、抗原提示細胞(例えば、樹状細胞、マクロファージ、B細胞、マスト細胞、好中球、Kupffer-Browicz細胞、または任意のかかる細胞に由来する細胞)ではない。
【0623】
幾つかの態様では、1種以上の部分は、導入遺伝子またはmRNAで有り得、形質移入、ウイルス形質導入、エレクトロポレーション、押出し、音波処理、細胞融合、または当業者に公知の他の方法により産生細胞に導入され得る。
【0624】
幾つかの態様では、1種以上の部分は、形質移入により産生細胞に導入される。幾つかの態様では、1種以上の部分は、合成高分子、例えば、カチオン脂質及びポリマーを使用して好適な産生細胞に導入され得る(Papapetrou et al.,Gene Therapy 12:S118-S130(2005))。幾つかの態様では、カチオン脂質は、電荷相互作用により1種以上の部分と複合体を形成する。これらの態様の幾つかでは、正に荷電した複合体は、負に荷電した細胞表面に結合し、エンドサイトーシスにより細胞に取り込まれる。幾つかの他の態様では、カチオン性ポリマーが、産生細胞を形質移入するために使用され得る。これらの態様の幾つかでは、カチオン性ポリマーは、ポリエチレンイミン(PEI)である。ある種の態様では、化学物質、例えば、リン酸カルシウム、シクロデキストリン、またはポリブレンが、産生細胞に1種以上の部分を導入するために使用され得る。1種以上の部分は、物理的方法、例えば、粒子により媒介される形質移入、「遺伝子銃」、微粒子銃、または粒子衝撃法を使用して産生細胞に導入され得る(Papapetrou et al.,Gene Therapy 12:S118-S130(2005))。例えば、β‐ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、ルシフェラーゼ、または緑色蛍光タンパク質などのレポーター遺伝子が、産生細胞の形質移入効率を評価するために使用され得る。
【0625】
ある種の態様では、1種以上の部分は、ウイルス形質導入により産生細胞に導入される。モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、レンチウイルス、及びスプマウイルスが含まれる多数のウイルスが遺伝子導入媒体として使用され得る。ウイルスに媒介される遺伝子導入の媒体には、DNAウイルス、例えば、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、及びヘルペスウイルスに基づくベクター、ならびにレトロウイルスに基づくベクターが含まれる。
【0626】
ある種の態様では、1種以上の部分は、エレクトロポレーションにより産生細胞に導入される。エレクトロポレーションは、一過性に細胞膜に孔を生じさせ、細胞への様々な分子の導入を可能にする。幾つかの態様では、DNA及びRNA、ならびにポリペプチド及び非ポリペプチド治療薬が、エレクトロポレーションにより産生細胞に導入され得る。
【0627】
ある種の態様では、1種以上の部分は、マイクロインジェクションにより産生細胞に導入される。幾つかの態様では、ガラスマイクロピペットが、顕微鏡レベルで産生細胞に1種以上の部分を注入するために使用され得る。
【0628】
ある種の態様では、1種以上の部分は、押出しにより産生細胞に導入される。
【0629】
ある種の態様では、1種以上の部分は、音波処理により産生細胞に導入される。幾つかの態様では、産生細胞は、一過性に細胞膜の破壊を引き起こす高強度音波に曝露され、これにより、1種以上の部分のローディングが可能となる。
【0630】
ある種の態様では、1種以上の部分は、細胞融合により産生細胞に導入される。幾つかの態様では、1種以上の部分は、電気的細胞融合により導入される。他の態様では、産生細胞を融合するために、ポリエチレングリコール(PEG)が使用される。更なる態様では、産生細胞を融合するために、センダイウイルスが使用される。
【0631】
幾つかの態様では、1種以上の部分は、低張圧による溶解により産生細胞に導入される。かかる態様において、産生細胞は、それらを破裂させる低イオン強度緩衝液に曝露され得、これにより、1種以上の部分のローディングが可能となる。他の態様では、産生細胞を膨張させ、産生細胞の膜に孔を生じさせるために、低張液に対する制御された透析が使用され得る。その後、産生細胞は、膜の再封鎖を可能にする条件に曝露される。
【0632】
幾つかの態様では、1種以上の部分は、界面活性剤処理により産生細胞に導入される。ある種の態様では、産生細胞は、孔を生じさせることにより産生細胞の膜を一過性に傷つける弱い界面活性剤で処理され、これにより、1種以上の部分のローディングが可能となる。産生細胞がロードされた後、界面活性剤は洗い流され、これにより、膜が再封鎖される。
【0633】
幾つかの態様では、1種以上の部分は、受容体により媒介されるエンドサイトーシスにより産生細胞に導入される。ある種の態様では、産生細胞は、1種以上の部分の結合時に、受容体及び会合した部分の内部移行を誘発する表面受容体を有する。
【0634】
幾つかの態様では、1種以上の部分は、濾過により産生細胞に導入される。ある種の態様では、産生細胞及び1種以上の部分は、産生細胞より小さい孔径のフィルターを通して押し出され得、これにより、産生細胞の膜の破壊を一過性に引き起こし、1種以上の部分が産生細胞に入るのを可能にする。
【0635】
幾つかの態様では、産生細胞は、細胞膜の破壊をもたらす数回の凍結融解サイクルに供され、これにより、1種以上の部分のローディングが可能となる。
【0636】
VII.B.EV、例えば、エキソソームを改変する方法
幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームを生成する方法は、1種以上の部分をEVに直接導入することにより、単離されたEVを改変することを含む。ある種の態様では、1種以上の部分は、ASOを含む。幾つかの態様では、1種以上の部分は、本明細書において開示される足場部分(例えば、足場Xまたは足場Y)を含む。
【0637】
ある種の態様では、1種以上の部分は、形質移入によりEVに導入される。幾つかの態様では、1種以上の部分は、合成高分子、例えば、カチオン脂質及びポリマーを使用してEVに導入され得る(Papapetrou et al.,Gene Therapy 12:S118-S130(2005))。ある種の態様では、化学物質、例えば、リン酸カルシウム、シクロデキストリン、またはポリブレンが、EVに1種以上の部分を導入するために使用され得る。
【0638】
ある種の態様では、1種以上の部分は、エレクトロポレーションによりEVに導入される。幾つかの態様では、EVは、EV膜に一過性に孔を生じさせる電界に曝露され、これにより、1種以上の部分のローディングが可能となる。
【0639】
ある種の態様では、1種以上の部分は、マイクロインジェクションによりEVに導入される。幾つかの態様では、ガラスマイクロピペットが、顕微鏡レベルでEVに1種以上の部分を直接注入するために使用され得る。
【0640】
ある種の態様では、1種以上の部分は、押出しによりEVに導入される。
【0641】
ある種の態様では、1種以上の部分は、音波処理によりEVに導入される。幾つかの態様では、EVは、一過性にEV膜の破壊を引き起こす高強度音波に曝露され、これにより、1種以上の部分のローディングが可能となる。
【0642】
幾つかの態様では、1種以上の部分は、EVの表面にコンジュゲートされ得る。コンジュゲーションは、当該技術分野において公知の方法により化学的に、または酵素的により達成され得る。
【0643】
幾つかの態様では、EVは、化学的にコンジュゲートされている1種以上の部分を含む。化学的コンジュゲーションは、リンカー使用をした、または使用しない1種以上の部分の別の分子との共有結合形成により達成され得る。かかるコンジュゲートの形成は、当業者の技術の範囲内であり、コンジュゲーションを達成するための様々な技術が公知であり、特定の技術の選択は、コンジュゲートされる物質により左右される。ある種の態様では、ポリペプチドは、EVにコンジュゲートする。幾つかの態様では、非ポリペプチド、例えば脂質、炭水化物、核酸、及び低分子が、EVにコンジュゲートされる。
【0644】
幾つかの態様では、1種以上の部分は、低張圧による溶解によりEVに導入される。かかる態様において、EVは、それらを破裂させる低イオン強度緩衝液に曝露され得、これにより、1種以上の部分のローディングが可能となる。他の態様では、EVを膨張させ、EV膜に孔を生じさせるために、低張液に対する制御された透析が使用され得る。その後、EVは、膜の再封鎖を可能にする条件に曝露される。
【0645】
幾つかの態様では、1種以上の部分は、界面活性剤処理によりEVに導入される。ある種の態様では、細胞外小胞は、孔を生じさせることによりEV膜を一過性に傷つける弱い界面活性剤で処理され、これにより、1種以上の部分のローディングが可能となる。EVがロードされた後、界面活性剤は洗い流され、これにより、膜が再封鎖される。
【0646】
幾つかの態様では、1種以上の部分は、受容体により媒介されるエンドサイトーシスによりEVに導入される。ある種の態様では、EVは、1種以上の部分の結合時に、受容体及び会合した部分の内部移行を誘発する表面受容体を有する。
【0647】
幾つかの態様では、1種以上の部分は、機械的発射によりEVに導入される。ある種の態様では、細胞外小胞は、金マイクロキャリアなどの重い粒子または帯電粒子に付着した1種以上の部分を照射され得る。これらの態様の幾つかでは、粒子は、それがEV膜を横切るように、機械的または電気的に加速され得る。
【0648】
幾つかの態様では、細胞外小胞は、EV膜の破壊をもたらす数回の凍結融解サイクルに供され、これにより、1種以上の部分のローディングが可能となる。
【0649】
VII.C.EV、例えば、エキソソームを単離する方法
幾つかの態様では、本明細書において開示されるEVを生成する方法は、産生細胞からEVを単離することを含む。ある種の態様では、EVは、産生細胞により細胞培養培地に放出される。EVの全ての既知の単離方法が本明細書における使用に好適とみなされることが意図される。例えば、EVの物理的性質を用いて、それらが培地または他の供給源物質から分離され得、これには、電荷(例えば、電気泳動分離)、サイズ(例えば、濾過、分子篩操作など)、密度(例えば、標準的な遠心分離または勾配遠心分離)、スベドベリ定数(例えば、外力による沈降または外力によらない沈降など)に基づく分離が含まれる。あるいは、または加えて、単離は、1つ以上の生物学的性質に基づき得、これには、表面マーカーを用い得る方法が挙げられる(例えば、沈降の場合、固相への可逆的な結合、FACS分離、特異的なリガンド結合、非特異的なリガンド結合、親和性精製など)。
【0650】
単離及び濃縮は、通常、連続的な遠心分離が含まれる、一般的な方法及び非選択的な方法でなされ得る。あるいは、単離及び濃縮は、より特異的な方法及び選択的な方法で、例えば、EVまたは産生細胞特異的表面マーカーを使用してなされ得る。例えば、特異的表面マーカーが、免疫沈降、FACS選別、親和性精製、及びビーズに結合されたリガンドによる磁気分離において使用され得る。
【0651】
幾つかの態様では、サイズ排除クロマトグラフィーがEVを単離するために利用され得る。サイズ排除クロマトグラフィー技術は、当技術分野において公知である。例示的な非限定的技術が本明細書において提供される。幾つかの態様では、ボイド容量画分が単離され、関心対象のEVを含む。更に幾つかの態様では、当技術分野において一般的に公知であるように、EVは、(1つ以上のクロマトグラフィー画分の)遠心分離技術によるクロマトグラフ分離後に更に単離され得る。幾つかの態様では、例えば、密度勾配遠心分離が細胞外小胞を更に単離するために利用され得る。ある種の態様では、産生細胞に由来するEVを他の起源のEVから更に分離することが望ましい場合がある。例えば、産生細胞に由来するEVは、産生細胞に特異的な抗原抗体を使用した免疫吸着捕捉により産生細胞に由来しないEVから分離され得る。
【0652】
幾つかの態様では、EVの単離は、限定されるものではないが、分画遠心分離、サイズに基づく膜分離、免疫沈降、FACS選別、及び磁気分離が挙げられる方法の組み合わせを含み得る。
【0653】
VIII.使用する方法
本開示は、疾患または障害を予防及び/または処置する必要がある対象の疾患または障害を予防及び/または処置する方法であって、本明細書において開示される(例えば、本開示のASOを含む)EV(例えば、エキソソーム)を当該対象に投与することを含む、当該方法も提供する。本開示は、細胞(例えば、腫瘍細胞)におけるKRAS転写物(例えば、mRNA)及び/またはKRASタンパク質の発現を低減及び/または阻害する(インビトロまたはインビボでの)方法を更に提供する。ある種の態様では、KRAS転写物(例えば、mRNA)及び/またはKRASタンパク質の発現を低減及び/または阻害するインビトロでの方法は、本明細書において開示されるEV、ASO、コンジュゲート、または医薬組成物を、当該KRAS転写物及び/またはKRASタンパク質を発現する細胞に接触させることを含む。ある種の態様では、KRAS転写物(例えば、mRNA)及び/またはKRASタンパク質の発現を低減及び/または阻害するインビボでの方法は、本開示のEV、ASO、コンジュゲート、または医薬組成物を、投与する必要がある対象に投与することを含む。
【0654】
幾つかの態様では、細胞に接触させること、または対象に投与することは、KRAS mRNA及び/またはKRASタンパク質の発現の低減及び/または阻害をもたらす。ある種の態様では、KRAS mRNAは、ASOに曝露されていない細胞におけるKRAS mRNA発現と比較して、投与後に少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約100%低減される。幾つかの態様では、KRASタンパク質は、ASOに曝露されていない細胞におけるKRASタンパク質の発現と比較して、投与後に少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%低減される。本明細書に記載されるように、KRAS mRNA及び/またはKRASタンパク質は、野生型またはそのバリアント(例えば、G12D変異を含む)であり得る。
【0655】
本明細書に記載されるように、幾つかの態様では、KRAS mRNA及び/またはKRASタンパク質の発現の低減は、細胞、例えば、異常なKRAS活性を示す腫瘍細胞の生存率及び/または増殖の減少をもたらす。ある種の態様では、細胞の生存率及び/または増殖は、本開示のEV、ASO、コンジュゲート、または医薬組成物で処理されなかった対応する細胞の生存率及び/または増殖と比較して少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約100%低減される。
【0656】
幾つかの態様では、KRAS mRNA及び/またはKRASタンパク質の発現の減少は、細胞、例えば、異常なKRAS活性を示す腫瘍細胞におけるMAPキナーゼ経路(例えば、pERK)に関連するタンパク質の発現の減少をもたらす。ある種の態様では、MAPキナーゼ経路に関連するタンパク質の発現は、本開示のEV、ASO、コンジュゲート、または医薬組成物で処理されなかった対応する細胞のMAPキナーゼ経路に関連するタンパク質と比較して少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約100%低減される。ある種の態様では、タンパク質の発現の低減は、MAPキナーゼ経路によるシグナル伝達の低減及び/または阻害をもたらす。
【0657】
本明細書に記載されるように、本開示に有用なASOは、KRAS転写物(例えば、プレmRNAまたはmRNA)の1つ以上の領域に特異的にハイブリダイズすることができ、細胞におけるKRASタンパク質発現の低減及び/または阻害をもたらす。従って、かかるASOを含むEV(例えば、エキソソーム)(例えば、本明細書において開示されるEV)は、KRASタンパク質の発現の増加及び/または異常な活性に関連する任意の疾患または障害を予防及び/または処置するのに有用であり得る。
【0658】
幾つかの態様では、本発明の方法により処置され得る疾患または障害には、がんが含まれる。幾つかの態様では、がんは、固形腫瘍に関連する。幾つかの態様では、がんは、液性腫瘍に関連する。本明細書で使用する場合、用語「固形腫瘍」は、嚢胞または液体領域を有さず、通常、骨、筋肉、及び器官に生じる異常な組織塊を指す。本明細書で使用する場合、用語「液性腫瘍」は、体液(例えば、血液及び骨髄)において生じる腫瘍を指す。ある種の態様では、がんは、KRASタンパク質の発現の増加に関連する。幾つかの態様では、KRASタンパク質は、変異、例えば、G12Dを含む。
【0659】
本開示により処置され得るがんの非限定的な例としては、結腸直腸癌、肺癌(例えば、非小細胞肺癌(NSCLC))、膵臓癌(例えば、膵管腺癌)、白血病、子宮癌、卵巣癌、膀胱癌、胆管癌、胃癌(gastric cancer)、胃癌(stomach cancer)、精巣癌、食道癌、胆管癌、子宮頸癌、急性骨髄性白血病(AML)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBC)、肉腫、黒色腫、神経膠腫(例えば、低悪性度神経膠腫、例えば、グリア芽細胞腫)、中皮腫、肝臓癌、乳癌(例えば、浸潤性乳癌)、腎臓癌(例えば、乳頭状腎細胞癌(pRCC)及び嫌色素性腎細胞癌)、頭頸部癌、前立腺癌、腺様嚢胞癌(ACC)、胸腺癌、甲状腺癌、淡明細胞型腎細胞癌(CCRCC)、神経内分泌腫瘍(例えば、褐色細胞腫/傍神経節腫)、ブドウ膜黒色腫、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。ある種の態様では、がんは、膵臓癌である。幾つかの態様では、がんは、結腸直腸癌である。幾つかの態様では、がんは、肺癌である。
【0660】
がんを有する対象に投与される場合、ある種の態様では、本開示のEV(例えば、エキソソーム)は、免疫反応を上方調節し、対象の免疫系の腫瘍標的化を増強することができる。幾つかの態様では、処置されるがんは、白血球(T細胞、B細胞、マクロファージ、樹状細胞、単球)の腫瘍微小環境への浸潤、またはいわゆる「熱い腫瘍」もしくは「炎症性腫瘍」を特徴とする。幾つかの態様では、処置されるがんは、低レベルもしくは検出不可能なレベルの腫瘍微小環境への白血球浸潤、またはいわゆる「冷たい腫瘍」もしくは「非炎症性腫瘍」を特徴とする。幾つかの態様では、EVは、「冷たい腫瘍」を「熱い腫瘍」に変えるのに十分な量で、かつ十分な時間投与される。すなわち、上記投与は、白血球(例えば、T細胞)の腫瘍微小環境への浸潤をもたらす。ある種の態様では、がんには、膀胱癌、子宮頸癌、腎細胞癌、精巣癌、結腸直腸癌、肺癌、頭頸部癌、及び卵巣癌、リンパ腫、肝臓癌、グリア芽細胞腫、黒色腫、骨髄腫、白血病、膵臓癌、またはそれらの組み合わせが含まれる。他の用語、「遠位腫瘍」または「遠隔腫瘍」は、最初の(原発)腫瘍から遠位器官または遠隔組織、例えば、リンパ節に拡散した腫瘍を指す。幾つかの態様では、本開示のEVは、転移拡散後の腫瘍を処置する。
【0661】
幾つかの態様では、本明細書において開示される(例えば、KRAS G12D mRNAを標的とするASOを含む)EV、例えば、エキソソームの投与は、対象における腫瘍の成長を阻害及び/または低減する。幾つかの態様では、腫瘍の成長(例えば、腫瘍容積または腫瘍重量の増加)は、参照(例えば、ASOを含有しないEV、例えば、エキソソームの投与後の対応する対象における腫瘍容積)と比較して少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約100%低減される。
【0662】
幾つかの態様では、本明細書において開示されるEV(例えば、エキソソーム)は、線維症を処置するために使用され得る。処置され得る線維症の非限定的な例としては、肝臓線維症(NASH)、硬変、肺線維症、嚢胞性線維症、慢性潰瘍性大腸炎/IBD、膀胱線維症、腎臓線維症、CAPS(マックル-ウェルズ症候群)、心房線維症、心内膜心筋線維症、陳旧性心筋梗塞、グリア性瘢痕、動脈壁硬化、関節線維症、クローン病、デュピュイトラン拘縮、ケロイド線維症、縦隔線維症、骨髄線維症、ペーロニー病、腎性全身性線維症、進行性塊状線維症、後腹膜線維症、強皮症/全身性硬化症、癒着性関節包炎、神経線維腫症1型(NF1)、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。ある種の態様では、線維症は、がん(例えば、膵管腺癌(PDAC))に関連する。
【0663】
幾つかの態様では、EV(例えば、エキソソーム)は、対象の循環器系に静脈内投与される。幾つかの態様では、EVは、好適な液体に注入され、対象の静脈に投与される。
【0664】
幾つかの態様では、EV(例えば、エキソソーム)は、対象の循環器系の動脈内に投与される。幾つかの態様では、EVは、好適な液体に注入され、対象の動脈に投与される。
【0665】
幾つかの態様では、EV(例えば、エキソソーム)は、クモ膜下腔内投与により対象に投与される。幾つかの態様では、EVは、それが脳脊髄液(CSF)に到達するように、注射により脊柱管またはクモ膜下腔に投与される。幾つかの態様では、EV(例えば、エキソソーム)は、クモ膜下腔内投与により投与され、続いて、胴体に機械的な対流力が加えられる。例えば、Verma et al.,Alzheimer’s Dement.12:e12030(2020)を参照のこと(これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる)。従って、本開示のある種の態様は、EV、例えば、エキソソームを投与する必要がある対象に投与する方法であって、当該EV、例えば、エキソソームを当該対象に脊髄内注射により投与し、続いて、当該対象の胴体に機械的な対流力を加えることを含む、当該方法を対象とする。幾つかの態様では、機械的な対流力は、高頻度に胸壁または腰胸椎を振動させる呼吸器クリアランス装置(例えば、Smart VestまたはSmart Wrap、ELECTROMED INC、New Prague、MN、USA)を使用して達成される。幾つかの態様では、機械的な対流力、例えば、振動ベストは、クモ膜下腔内に投与されたEV、例えば、エキソソームが神経に沿って更に拡散するのを促進し、これにより、より良好なEV、例えば、エキソソームの神経への送達を可能にする。
【0666】
幾つかの態様では、エキソソームの区画内及び区画間体内分布は、エキソソームの区画への送達後の対象に作用する外因的な体外の力により操作され得る。これは、例えば、身体の区画または身体全体に衝撃、振動、振盪、マッサージを加えることにより機械的な対流を加えることを含む。例えば、クモ膜下腔内投与後に、機械式の振動ジャケットが含まれる幾つかの手段により胸壁振動を加えることにより、中枢神経軸に沿って、または脳神経及び脊髄神経に沿ってエキソソームの体内分布を拡散することができ、これは、薬物を輸送するエキソソームによる神経障害の処置に有用であり得る。
【0667】
幾つかの態様では、振動ジャケットまたは他の同様の手段による外部からの機械的な対流力の印加は、クモ膜下腔の脳脊髄液からエキソソーム及び他の物質を除去し、末梢循環に移動させるために使用され得る。この態様は、内因性の有毒なエキソソーム及び他の有害な高分子、例えば、β-アミロイド、tau、αシヌクレイン、TDP43、神経フィラメント、及び過剰な脳脊髄液をクモ膜下腔から排出のために末梢に移動させるのに役立ち得る。
【0668】
幾つかの態様では、脳室内経路により送達されたエキソソームは、腰椎穿刺を同時に組み込み、エキソソーム投与後に追加の液体が脳室に注入される一方で、腰椎穿刺により既に存在する脳脊髄柱のCSFが出て行くことが可能となる脳室腰部灌流を可能にすることにより脳脊髄軸の全体にわたり移動させられる。脳室腰部灌流は、軟膜腫及び他の疾患を処置するために、ICV投与されたエキソソームが脳脊髄軸全体に沿って拡散し、クモ膜下腔の全体に及ぶのを可能にし得る。
【0669】
幾つかの態様では、外部からの体外集束超音波、熱エネルギー(加熱)または冷却の適用が、これらの現象に感受性を示すように操作されたエキソソームの区画薬物動態及び薬物放出特性を操作するために使用され得る。
【0670】
幾つかの態様では、常磁性物質を含有するように操作されたエキソソームの区画内挙動及び体内分布が、外部からの磁石または磁界の適用により操作され得る。
【0671】
幾つかの態様では、EV(例えば、エキソソーム)は、対象の1つ以上の腫瘍に腫瘍内に投与される。
【0672】
幾つかの態様では、EV(例えば、エキソソーム)は、鼻腔内投与により対象に投与される。幾つかの態様では、EVは、局所投与または全身投与のいずれかの形態で鼻を通して吸入され得る。ある種の態様では、EVは、鼻内噴霧として投与される。
【0673】
幾つかの態様では、EV(例えば、エキソソーム)は、腹腔内投与により対象に投与される。幾つかの態様では、EVは、好適な液体に注入され、対象の腹膜に注入される。幾つかの態様では、腹腔内投与は、EVのリンパ管への分配をもたらす。幾つかの態様では、腹腔内投与は、EVの胸腺、脾臓、及び/または骨髄への分配をもたらす。幾つかの態様では、腹腔内投与は、EVの1つ以上のリンパ節への分配をもたらす。幾つかの態様では、腹腔内投与は、EVの頸部リンパ節、鼠径リンパ節、縦隔リンパ節、または胸骨リンパ節のうちの1つ以上への分配をもたらす。幾つかの態様では、腹腔内投与は、EVの膵臓への分配をもたらす。
【0674】
幾つかの態様では、EV、例えば、エキソソームは、眼周囲投与により対象に投与される。幾つかの態様では、EVは、眼周囲組織に注入される。眼周囲薬物投与としては、結膜下投与、前部テノン嚢下投与、後部テノン嚢下投与、及び眼窩内投与の経路が挙げられる。
【0675】
本開示の実施は、特に明記しない限り、当業者の技能範囲内にある、細胞生物学、細胞培養、分子生物学、トランスジェニック生物学、微生物学、組換えDNA、及び免疫学の従来技術を用いるであろう。このような技術は、文献において詳細に説明されている。例えば、Sambrook et al.,ed.(1989) Molecular Cloning A Laboratory Manual(2nd ed.;Cold Spring Harbor Laboratory Press);Sambrook et al.,ed.(1992) Molecular Cloning:A Laboratory Manual,(Cold Springs Harbor Laboratory,NY);D.N.Glover ed.,(1985) DNA Cloning,Volumes I and II;Gait,ed.(1984) Oligonucleotide Synthesis;Mullis et al.、米国特許第4,683,195号;Hames and Higgins,eds.(1984) Nucleic Acid Hybridization;Hames and Higgins,eds.(1984) Transcription And Translation;Freshney (1987) Culture Of Animal Cells(Alan R.Liss,Inc.);Immobilized Cells And Enzymes(IRL Press)(1986);Perbal (1984) A Practical Guide To Molecular Cloning;the treatise,Methods In Enzymology (Academic Press,Inc.,N.Y.);Miller and Calos eds.(1987) Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells,(Cold Spring Harbor Laboratory);Wu et al.,eds.,Methods In Enzymology,Vols.154 and 155;Mayer and Walker,eds.(1987) Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology(Academic Press,London);Weir and Blackwell,eds.,(1986) Handbook Of Experimental Immunology,Volumes I-IV;Manipulating the Mouse Embryo,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,(1986););Crooke,Antisense drug Technology:Principles,Strategies and Applications,2nd Ed.CRC Press(2007)、及びAusubel et al.(1989) Current Protocols in Molecular Biology(John Wiley and Sons,Baltimore,Md.)を参照のこと。
【0676】
上記で引用された参考文献の全て、及び本明細書において引用される全ての参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0677】
以下の実施例は、例証として提供されるものであり、限定するために提供されるものではない。
【実施例
【0678】
実施例1:エキソソームの作成
本明細書に記載されるエキソソームを生成するために、ヒト胎児腎臓(HEK)細胞株(例えば、HEK293SF)を使用する。細胞を、足場X、足場Y、及び/または関心対象の薬剤に連結されたアンカー部分で安定的に形質移入する。
【0679】
形質移入後、HEK細胞を合成培地中で高密度に7日間増殖させる。次いで、馴化細胞培養培地を収集し、室温にて300~800×gで5分間遠心分離して、細胞及び大きな細片を除去する。培地の上澄みに1000U/LのBENZONASE(登録商標)を補足し、ウォーターバス内で37℃にて1時間インキュベートする。上澄みを収集し、4℃にて16,000×gで30分間遠心分離して、残存する細胞片及び他の大きな夾雑物を除去する。次いで、上澄みを4℃にて133,900×gで3時間にわたり超遠心して、エキソソームをペレット化する。上澄みを廃棄し、残存する培地をチューブの底から全て吸引する。ペレットを、200~1000μLのPBS(-Ca、-Mg)中に再懸濁する。
【0680】
エキソソーム集団を更に濃縮するために、ペレットを密度勾配精製(スクロースまたはOPTIPREP(商標))により処理する。
【0681】
勾配を、SW 41 Tiローターに配置した12mLのUltra-Clear(344059)チューブ中で4℃にて200,000×gで16時間遠心して、エキソソーム画分を分離する。
【0682】
次いで、エキソソームの層を上層から穏やかに取り出し、38.5mLのUltra-Clear(344058)チューブ中の約32.5mLのPBS中に希釈し、4℃にて133,900×gで3時間再び超遠心して、精製されたエキソソームをペレット化する。得られるペレットを最小容量のPBS(約200μL)中に再懸濁し、4℃で保存する。
【0683】
OPTIPREP(商標)勾配について、等しい容量の10%、30%、及び45%のOPTIPREP(商標)を用いて3層の無菌の勾配を、SW 41 Tiローター用の12mLのUltra-Clear(344059)チューブ中に調製する。ペレットをOPTIPREP(商標)勾配に添加し、4℃にて200,000×gで16時間にわたり超遠心して、エキソソーム画分を分離する。次いで、エキソソームの層をチューブの上部約3mLから穏やかに収集する。
【0684】
エキソソーム画分を、38.5mLのUltra-Clear(344058)チューブ中の約32mLのPBS中に希釈し、4℃にて133,900×gで3時間にわたり超遠心して、精製されたエキソソームをペレット化する。次いで、ペレット化されたエキソソームを最小容量(約200μL)のPBS中に再懸濁し、使用する準備ができるまで4℃で保存する。
【0685】
実施例2:KRAS mRNA及び/またはKRASタンパク質低減のインビトロ分析
本明細書において開示される例示的なASOは、G12D変異を有するKRASタンパク質をコードするKRAS転写物を特異的に標的とするように設計された。図1を参照のこと。本開示のASOを、ウミシイタケルシフェラーゼの上流に野生型(WT)またはG12DアレルのヒトKRAS mRNAを含有するレポーター細胞株におけるKRAS mRNA及び/またはKRASタンパク質発現をノックダウンする能力について試験する。一般的な細胞毒性を考慮に入れるために、細胞株は、ホタルルシフェラーゼも含有する。KRASに特異的なsiRNAを陽性対照として使用する。
【0686】
要約すると、WTまたはG12D変異体KRASタンパク質を発現するレポーター細胞株を、細胞培養培地で増殖させ、96ウェルプレート上に播種する。次いで、細胞を本明細書において開示される1種以上のASOを含む異なる濃度のEV(例えば、エキソソーム)(「EV-ASO」)で処理する。EV-ASO処理の約3日後、細胞を収集し、RNA及び/またはタンパク質を細胞から精製する。次いで、細胞におけるKRAS mRNA及び/またはKRASタンパク質発現レベルを、アッセイ、例えば、qPCR及びウェスタンブロットを使用して定量化する。
【0687】
実施例3:KRAS mRNA/KRASタンパク質低減のインビボ分析
インビボでのKRAS mRNA及び/またはKRASタンパク質レベルの低減における、本明細書において開示される1種以上のASOを含むEV(例えば、エキソソーム)の効力を評価するために、腫瘍マウスモデルを使用する。本明細書において開示されるASOを、様々な投与計画で腫瘍マウスに投与する。マウスを腫瘍成長について定期的にモニタリングする。最終的にマウスを屠殺し、様々な細胞におけるKRAS mRNA及び/またはKRASタンパク質レベルを評価する。
【0688】
実施例4:KRAS転写物を標的とするASOの構築及び特徴付け
本開示の操作されたEV(例えば、エキソソーム)を作製する際に、G12D変異を含むKRAS転写物を標的とするASOを構築した。異なる長さのASOを作製するために、G12D変異にわたるASOのTilling法を実行した。これにより、14、15、16、17、及び20ヌクレオチド長を有し、参照KRAS mRNA配列(NM_004985.5;配列番号89)のヌクレオチド206~245を網羅するASOが得られた。図1は、構築された例示的なASOを列挙する表を提供する。
【0689】
構築されたASOのKRAS G12D転写物を阻害する能力を特徴付けるために、KRASレポーター構築物及びASOの同時形質移入アプローチを使用した。KRASレポーター構築物(Dual-Gloレポータープラスミド)は、ウミシイタケルシフェラーゼの上流に野生型(WT)またはG12DアレルのヒトKRAS mRNAを含有した。ウミシイタケルシフェラーゼの発現を、KRAS mRNAノックダウンのレベルの代用物として使用した。一般的な細胞毒性を考慮に入れるために、KRASレポーター構築物は、ホタルルシフェラーゼも含有した。陽性対照として、2種の異なるKRAS G12D siRNAを使用した(選択的なsiRNA及び非選択的なsiRNA)。
【0690】
次いで、上記のKRASレポーター構築物を使用して、本明細書に記載されるASOと共にHepa1-6細胞を形質移入した。細胞を異なる濃度のASOで形質移入した(使用した最も高い最終ASO濃度=10nM)。形質移入の24時間後、WTまたはG12D KRAS mRNAの発現を、Dual-Gloアッセイを用いてウミシイタケルシフェラーゼレベルを測定することにより評価した。
【0691】
図2A~2Lは、本明細書において開示される12種の異なる例示的なASOについて、正規化されたWT及びG12D KRAS mRNAの発現を示す。(以下の)表10は、試験された異なるASOについて、長さ、IC50(nM)値、及びWT対G12D KRAS mRNA発現の比率を提供する。図3を参照のこと。示すように、一般的にASOは、WT KRAS mRNAと比べてG12D KRAS mRNAの発現のノックダウンにおいてより効果的であった。これらの結果は、本明細書において開示されるASOが、KRAS mRNA、特にG12D変異を含むKRAS mRNAを特異的に標的とすることができることを実証する。
【表9】
【0692】
実施例5:ヒト膵臓癌細胞におけるKRAS mRNAノックダウンの解析
本明細書に記載されるように、KRAS変異は、膵臓癌が含まれる多数の種類のがんに関連する。従って、本明細書において開示されるASOが膵臓癌細胞におけるKRAS mRNA発現を特異的に阻害することができるかどうかを評価するために、様々な膵臓癌細胞株を使用した。
【0693】
要約すると、Panc-1細胞(G12D変異についてヘテロ接合)またはBxPC-3細胞(KRAS変異を含まない)を96ウェルプレートに播種した(5,000細胞/ウェル)。次いで、約24時間後、RNAiMAXを使用して、細胞を本明細書において開示される(5つの異なる濃度の)例示的なASOで形質移入した。形質移入の48時間後に、qPCRアッセイを使用して、KRAS G12D mRNA発現(Panc-1細胞)または総KRAS mRNA発現(BxPC-3細胞)を測定した。
【0694】
図4Aに示すように、試験された全てのASOが、用量依存的様式でPanc-1細胞におけるKRAS G12D mRNA発現を減少させることができた。対照的に、試験された多数のASOが、いずれのKRAS変異も含まないBxPC-3細胞におけるKRAS mRNA発現に対してほとんど効果を有さなかった(図4Bを参照のこと)。図5A~5Cに示すように、一部のASOはより強力であった(例えば、WT及びG12D KRAS mRNAの両方をノックダウンすることができる)が、他はより選択的であった(例えば、G12D KRAS mRNAをノックダウンすることができるが、WT KRAS mRNAに対する効果をほとんど有さない)。これらの結果は、本明細書において開示されるASOの特異性及び/または効力を強調し、それらが本明細書において開示される疾患、例えば、KRAS G12D変異に関連するもの(例えば、膵臓癌)を処置するのに有用であり得ることを示唆する。
【0695】
実施例6:サル腎臓細胞におけるKRAS mRNAノックダウンの解析
本明細書において開示されるASOが他の種由来のKRASを標的とすることができるかどうか評価するために、サル腎臓細胞を使用した。要約すると、FrHK-4細胞(アカゲザル胎児腎臓細胞)またはCos-7(アフリカミドリザル腎臓線維芽細胞様細胞)を、96ウェルプレートに播種し、異なる濃度のASOで形質移入し(ASO-0009、ASO-0082、またはスクランブル対照)、KRAS mRNA発現を実施例5に記載したように評価した。
【0696】
図6A及び6Bに示すように、ASO-0009は、FrHK-4細胞におけるKRAS mRNA発現に対して効果を有さず、Cos-7細胞における限定的なノックダウンを示した。ASO-0009と比較して、ASO-0082は、FrHK-4及びCos-7細胞におけるKRAS mRNA発現に対するより大きな効果を有し、Cos-7細胞においてわずかにより強いノックダウンが観察された(図6A及び6Bを参照のこと)。しかしながら、ASO-0082は、ヒト細胞と比較して(図5Cを参照のこと)、サル腎臓細胞におけるKRAS mRNA発現のノックダウン効率が低かった(FrHK-4におけるIC50=50nM;Cos-7におけるIC50=20nM)。
【0697】
上記のデータは、実施例5の結果を更に支持し、本明細書において開示される一部のASO(例えば、ASO-0082)が非常に強力であり、WT及びG12D KRAS mRNAの両方をノックダウンすることができるだけでなく、他の種(例えば、サル)由来のKRAS mRNAもノックダウンすることができることを実証する。上記の結果は、本明細書において開示される一部のASO(例えば、ASO-0009)の選択性も実証する。
【0698】
実施例7:コレステロールでタグ付けされたASO
本明細書に記載されるように、ASOは、アンカー部分を使用して操作されたEV(例えば、エキソソーム)の表面に付着され得る。アンカー部分、例えば、コレステロールは、ASOの疎水性を増強するのに役立ち得、EVの表面でのより良好な発現を可能にし得る。従って、ASOのコレステロール部分へのコンジュゲートがASOの活性に対して何らかの効果を有するかどうかを評価した。特に、ASOの膵臓癌細胞の増殖を阻害する能力及び膵臓癌細胞におけるKRAS発現を阻害する能力に対するコレステロール部分の効果を評価した。図7A及び7Bは、本明細書において開示されるASOにタグ付けするために使用され得る2つの例示的なコレステロール分子の構造を提供する。
【0699】
本明細書において開示されるASOの細胞増殖に対する効果を評価するために、コレステロールがタグ付けされたASOを使用して、以下の2種の異なるヒト膵臓癌細胞株を形質移入した:Panc-1(G12D変異についてヘテロ接合)及びHEP3B(KRAS変異を有さない)細胞。要約すると、細胞を12ウェルプレート(500細胞/ウェル)に播種し、次いで、約24時間後に、細胞を異なる濃度のコレステロールがタグ付けされたASO-0009またはコレステロールがタグ付けされたスクランブル対照ASOで処理した。次いで、細胞を16日間培養した(形質移入後の6日目に培地及び処理を新鮮なものと交換した)。形質移入後の16日目に、細胞を固定し、クリスタルバイオレットで染色し、コロニー形成を定量化した。
【0700】
図8Aに示すように、Panc-1細胞が1,000nMのコレステロールがタグ付けされたASO-0009で形質移入された場合にコロニー形成数が顕著に減少した。対照的に、試験された全ての濃度で、コレステロールがタグ付けされた対照ASOによる阻害はほとんど観察されなかった。更に、コロニー形成の減少は、上記したように、野生型KRAS転写物を含むHEP3B細胞においてより明白でなかった(図8Bを参照のこと)。これらの結果は、本明細書において開示されるASOの効力及び選択性を実証するのに役立つ。
【0701】
コレステロールがタグ付けされたASOのノックダウン効率を評価するために、AsPC-1(G12D変異についてホモ接合)及びPanc-1(G12D変異についてヘテロ接合)細胞を、6ウェルプレート(200,000細胞/ウェル)に播種し、本明細書に記載される異なる濃度のコレステロールがタグ付けされたASOで形質移入した(ASO-0009、ASO-0082、またはスクランブル対照)。次いで、形質移入の72時間後に、細胞を収集し、RIPA緩衝液を使用してタンパク質可溶化液を調製し、続いて、ウェスタンブロットを行った。以下のタンパク質の発現を評価した:ビンキュリン(対照)、KRAS G12D、pERK、及び総ERK。
【0702】
図14に示すように、AsPC-1及びPanc-1細胞において、対照ASOと比較して、コレステロールがタグ付けされたASO-0082及びコレステロールがタグ付けされたASO-0009でKRAS G12タンパク質発現が減少した。上記で提供された細胞増殖データと一致して、コレステロールがタグ付けされたASO-0082及びコレステロールがタグ付けされたASO-0009で形質移入された細胞においてpERK発現も低減された。
【0703】
まとめると、上記の結果は、コレステロール部分がほとんど影響を及ぼさず、本開示のコレステロールがタグ付けされたASOが完全に機能的であり、例えば、膵臓癌細胞において増殖を阻害し、KRAS発現をノックダウンすることができることを実証する。
【0704】
実施例8:ASOを含む操作されたEVのノックダウン効率
ASOがEV(例えば、エキソソーム)を使用して細胞に効果的に送達され得、KRAS発現を阻害し得るかどうかと評価するために、コレステロールがタグ付けされたASO(すなわち、ASO-0009、ASO-0082、またはスクランブル対照)を表面が操作されたEV(例えば、エキソソーム)上にロードした。当該技術分野において公知の任意の好適な方法、例えば、本開示の他箇所で記載されるものが、EVにASOをロードするために使用され得る。次いで、異なる濃度のEVを使用して、以下の3種の異なるヒト膵臓癌細胞株を形質移入した:(i)Panc-1(G12D変異についてヘテロ接合)、(ii)Panc8.13(G12D変異についてホモ接合)、及び(iii)AsPC-1(G12D変異についてホモ接合)細胞。細胞を1日前に96ウェルプレートに蒔いた(5,000細胞/ウェル)。コレステロールがタグ付けされた遊離(すなわち、EVの一部でない)ASO-0009及びASO-0082のASOを対照として使用した。形質移入後の4日目に、qPCRを使用してKRAS G12D mRNA発現を評価した。
【0705】
それぞれ図9A及び9Bに示すように、コレステロールがタグ付けされたASO-0009またはコレステロールがタグ付けされたASO-0082を含むEVで形質移入された細胞において、KRAS G12D mRNA発現の顕著なノックダウン(より高濃度で約90%)が観察された。より高EV濃度でのノックダウン効率は、遊離ASOを用いて観察されたものと同様であった。このことは、EV上へASOのロードによりASOの活性が損なわれないことを示唆する。同様の結果が、Panc8.13細胞(より高濃度で約80%のノックダウン)(図10を参照のこと)及びAsPC-1細胞(より高濃度で約50%のノックダウン)(図11を参照のこと)の両方で観察された。
【0706】
上記の結果は、本明細書に記載される(例えば、KRAS G12D転写物を標的とするASOを含む)操作されたEV(例えば、エキソソーム)が、膵臓癌細胞におけるKRAS mRNA発現を効果的にノックダウンするために使用され得ることを実証する。
【0707】
実施例9:ASOを含む操作されたEVの細胞増殖に対する効果
本明細書に記載される(例えば、コレステロールがタグ付けされたASOを含む)操作されたEVを更に特徴付けるために、3D CTGアッセイを使用して、コレステロールがタグ付けされたASOを含むEVで形質移入された細胞の生存率を測定した。要約すると、AsPC-1(G12D変異についてホモ接合)細胞を、超低接着表面プレート(Corning、カタログ番号:7007)に播種し、次いで、1日後に異なる濃度の上記の操作されたEVで形質移入した。コレステロールがタグ付けされた遊離(すなわち、EVの一部でない)ASO-0009及びASO-0082を対照として使用した。形質移入後の5日目に、培地及びEV処理の両方を新鮮なものに交換した。形質移入後の10日目に、CELLTITER-GLO(登録商標) 3D Cell Viability Assay(Promega、カタログ番号:G9683)を使用して細胞の生存率を評価した。
【0708】
前述のコレステロールがタグ付けされたASOで観察されたように(実施例7を参照のこと)、コレステロールがタグ付けされたASO-0009またはコレステロールがタグ付けされたASO-0082を含む操作されたEVは、形質移入されたAsPC-1細胞の生存率を減少させることもできた(図12を参照のこと)。
【0709】
上記の結果を確証するために、形質移入されたPanc8.13(G12D変異についてホモ接合)及びPanc-1(G12D変異についてヘテロ接合)細胞におけるpERK発現を測定した。要約すると、細胞を96ウェルプレート(5,000細胞/ウェル)に播種し、次いで、コレステロールがタグ付けされたASO(すなわち、ASO-0009、ASO-0082、及びスクランブル対照)を含む異なる濃度の上記の操作されたEVで形質移入した。形質移入後の4日目に、pERK aLISAキット(Perkin Elmer、カタログ番号:ALSU-PAKT-B500)を使用して細胞におけるpERK発現を評価した。
【0710】
細胞生存率データと一致して、コレステロールがタグ付けされたASO-0009またはコレステロールがタグ付けされたASO-0082を含む操作されたEVで形質移入されたPanc8.13及びPanc-1細胞は、対照細胞(すなわち、空のEVまたはコレステロールがタグ付けされたスクランブル対照ASOを含むEVで形質移入された)と比較して有意に低いレベルのpERK発現を示した(図13A及び13Bを参照のこと)。
【0711】
まとめると、上記の結果は、本明細書に記載される(例えば、コレステロールがタグ付けされたASOを含む)EVの、例えば、特定のがん細胞(例えば、膵臓癌細胞)の増殖を低減すること、及びKRAS mRNA発現、特にG12D変異を含むものを阻害することによる潜在的治療能力を実証する。
【0712】
実施例10:KRAS転写物を標的とするASO及び抗メソテリン標的化部分を含むEVの構築及び特徴付け
上記で提供される例に加えて、KRAS転写物を標的とするASO及び抗メソテリン標的化部分を含むEV(例えば、エキソソーム)が作製される。幾つかの態様では、抗メソテリン標的化部分が足場X(例えば、PTGFRNまたはその断片)に融合され、EV(例えば、エキソソーム)の外部表面に付着される。幾つかの態様では、ASOがリンカー(例えば、TEG)を介してコレステロール分子にタグ付けされ、足場部分を使用してEVの表面に(例えば、足場X、例えば、PTGFRNまたはその断片を使用してEVの外部表面に)連結される。
【0713】
上記のEV(例えば、エキソソーム)は、本開示において記載されるものが含まれる、当該技術分野において公知の様々な方法を使用して特徴付けられる。例えば、以下の特性のうちの1つ以上が評価される:(i)メソテリン+細胞に対するEVの指向性;(ii)EVの取り込み;(iii)KRAS G12D転写物及び/またはKRAS G12Dタンパク質のノックダウン;ならびに(iv)抗腫瘍効力。
【0714】
参照による組み込み
本出願において引用される全ての刊行物、特許、特許出願、及び他の文書は、各個別の刊行物、特許、特許出願、または他の文書が全ての目的のために参照により組み込まれることが個別に示されている場合と同程度まで、全ての目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0715】
等価物
様々な特定の態様が例示及び記載されたが、上記の明細書は限定するものではない。本発明(複数可)の要旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更がなされ得ることが理解されよう。本明細書を検討することにより、多数の変形形態が当業者に明らかとなるであろう。
図1-1】
図1-2】
図1-3】
図1-4】
図1-5】
図1-6】
図1-7】
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図2J
図2K
図2L
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図3-4】
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図15D
図16
図17A
図17B
【配列表】
2022544290000001.app
【国際調査報告】