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特表2022-544362改善されたプロファイルを有するギアホイール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-18
(54)【発明の名称】改善されたプロファイルを有するギアホイール
(51)【国際特許分類】
   F04C 2/18 20060101AFI20221011BHJP
【FI】
F04C2/18 311A
F04C2/18 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506510
(86)(22)【出願日】2020-07-30
(85)【翻訳文提出日】2022-03-22
(86)【国際出願番号】 EP2020071508
(87)【国際公開番号】W WO2021019014
(87)【国際公開日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】102019000013713
(32)【優先日】2019-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520228186
【氏名又は名称】セッティマ メッカニカ ソチエタ ア レスポンサビリタ リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロッシ、マヌエレ
(72)【発明者】
【氏名】チェルッティ、アンドレア
【テーマコード(参考)】
3H041
【Fターム(参考)】
3H041AA02
3H041BB02
3H041CC11
3H041CC13
3H041CC20
3H041DD05
3H041DD06
3H041DD36
3H041DD38
(57)【要約】
液圧装置のためのギアホイール(10)は、回転軸(H-H)の周りに回転可能であり、断面のプロファイル(P)を有する複数の歯(11)を備え、回転軸(H-H)の周りの回転運動中に、別のギアホイールのそれぞれの歯と噛み合うように構成され、少なくとも1つの歯(11)は、少なくとも1つの刃先部(12)であって、ギアホイール(10)の回転中に、少なくとも1つの刃先部(12)によって接触される本体から、材料、特に、研削くずを除去するように構成される、少なくとも1つの刃先部(12)を有するように形付けられる。好適には、刃先部(12)は、歯(11)の高さ(H’)の0.2%から5%までの量だけ低くされる、少なくとも1つの溝部(14)によって画定され、溝部(14)は、プロファイル(P)に沿って、刃先部(12)から離れるにつれて減少する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の歯(11)を備え、回転軸(H-H)の周りに回転可能に配置され、液圧装置のためのギアホイール(10)であって、
前記歯(11)は、断面のプロファイル(P)を有し、前記回転軸(H-H)の周りの回転運動中に、別のギアホイールのそれぞれの歯と噛み合うように構成され、
少なくとも1つの歯(11)は、少なくとも1つの刃先部(12)であって、前記ギアホイール(10)の回転中に、前記少なくとも1つの刃先部(12)によって接触される本体から、材料を除去するように構成される、少なくとも1つの刃先部(12)を有するように形付けられ、
前記刃先部(12)は、前記歯(11)の高さ(H’)の0.2%から5%までの量だけ低くされる、少なくとも1つの溝部(14)によって画定され、
前記溝部(14)は、前記プロファイル(P)に沿って、前記刃先部(12)から離れるにつれて減少することを特徴とする、ギアホイール(10)。
【請求項2】
前記溝部(14)は、前記歯(11)の丸みを帯びた前記プロファイル(P)に対して、0.01mmから1mmまでの量だけ突出する突起(16)を形成する、
請求項1記載のギアホイール(10)。
【請求項3】
前記刃先部(12)は、前記歯(11)の頂部にあり、前記頂部は、前記ギアホイール(10)の基準円の中心(O)から最も離れた歯の部分である、
請求項1または2記載のギアホイール(10)。
【請求項4】
前記刃先部(12)は、前記歯の全長にわたって延在し、前記歯の全長は、前記回転軸(H-H)に平行な方向における前記歯(11)の寸法である、
請求項1~3のいずれか1項に記載のギアホイール(10)。
【請求項5】
それぞれの歯(11)は、前記刃先部(12)を備える、
請求項1~4のいずれか1項に記載のギアホイール(10)。
【請求項6】
少なくとも1つの歯(11)は、互いに離間する複数の刃先部(12)を備える、
請求項1~5のいずれか1項に記載のギアホイール(10)。
【請求項7】
前記刃先部(12)は、前記歯(11)の前記プロファイル(P)を規定する関数において不連続性を導入するものであり、
前記刃先部(12)は、不連続点に配置される、
請求項1~6のいずれか1項に記載のギアホイール(10)。
【請求項8】
前記不連続性は、第1種の不連続性である、
請求項7記載のギアホイール(10)。
【請求項9】
前記刃先部(12)は、前記歯(11)の前記プロファイル(P)を規定する関数において、微分不可能な点を導入するものである、
請求項1~6のいずれか1項に記載のギアホイール(10)。
【請求項10】
前記歯(11)の前記プロファイル(P)は、対称なプロファイルである、
請求項1~9のいずれか1項に記載のギアホイール(10)。
【請求項11】
前記刃先部(12)は、前記歯(11)の長手方向の軸に沿って形成される前記溝部(14)の縁部であり、前記長手方向の軸は、前記回転軸(H-H)に平行な軸である、
請求項1~10のいずれか1項に記載のギアホイール(10)。
【請求項12】
前記刃先部(12)は、四角形状またはくさび形状を有する部分(13)の縁部である、
請求項11記載のギアホイール(10)。
【請求項13】
前記歯(11)は、らせん形状または二重らせん形状の歯である、
請求項1~12のいずれか1項に記載のギアホイール(10)。
【請求項14】
5~12個の間の数の歯を有する、
請求項1~13のいずれか1項に記載のギアホイール(10)。
【請求項15】
前記歯(11)の前記プロファイル(P)を規定する関数は、その頂部において、前記ギアホイール(10)の前記回転軸(H-H)を中心とする円であって、前記ギアホイール(10)を収容する孔の直径と等しいか、または大きい直径を有する円の円弧を、その頂部において描き、
前記歯(11)の前記頂部は、前記ギアホイール(10)の基準円の中心から最も離れた歯の部分である、
請求項1記載のギアホイール(10)。
【請求項16】
前記刃先部(12)は、前記歯(11)から材料を除去することによって得られる、
請求項1記載のギアホイール(10)。
【請求項17】
前記刃先部(12)の形状は、単一形状の研削ホイールまたはネジ研削ホイールを用いた形状研削によって得られる、
請求項16記載のギアホイール(10)。
【請求項18】
前記突起(16)は、0.01mmから1mmまでの幅を有する、
請求項2記載のギアホイール(10)。
【請求項19】
液圧装置(100)であって、
ケーシング(110)と、
一対のギアホイールと
を備え、
前記ギアホイールのうちの少なくとも1つが、請求項1~18のいずれか1項に記載されるものであり、前記ギアホイール(10)は、前記ケーシング(110)の収容孔(120)の中に収容され、
前記刃先部(12)は、前記ギアホイール(10)の回転中に、前記刃先部によって接触される材料を、前記ケーシング(110)の前記収容孔(120)の内面から除去するように構成される、液圧装置(100)。
【請求項20】
前記液圧装置(100)は、ギアホイール付きの回転容積式ポンプまたは液圧モータである、
請求項19記載の液圧装置(100)。
【請求項21】
回転軸(H-H)の周りで回転可能な種類のギアホイール(10)であって、前記回転軸(H-H)の周りの回転動作の間に、別のギアホイールのそれぞれの歯と噛み合うように構成される複数の歯(11)を備えるギアホイール(10)を製造するための方法であって、
加工される対象の本体を用意するステップと、
複数の歯(11)を形成するステップと、
少なくとも1つの歯(11)から、前記歯(11)における少なくとも1つの刃先部(12)を形成するように、材料を除去するステップであって、前記刃先部(12)が、前記ギアホイール(10)の回転中に、前記刃先部によって接触される本体から材料を除去するように構成される、材料を除去するステップと
を含み、
前記材料を除去するステップは、前記歯(11)の高さ(H’)の0.2%から5%までの量だけ低くされる、少なくとも1つの溝部(14)によって、前記刃先部(12)を画定するステップであって、プロファイル(P)に沿って、前記刃先部(12)から離れるにつれて減少する、少なくとも1つの溝部(14)によって、前記刃先部(12)を画定する、前記刃先部(12)を画定するステップを含む、方法。
【請求項22】
単一形状の研削ホイールまたはネジ研削ホイールを使用することによって、前記少なくとも1つの歯(11)の前記プロファイルの形状研削を行うステップを含む、
請求項21記載の方法。
【請求項23】
回転式研削機によって前記ギアホイール(10)の直径を研削するステップを含む、
請求項21記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液圧装置のためのギアホイールに言及し、たとえば、ギア付きの回転容積式ポンプのためのギアホイールに言及し、以下の説明は、その説明を簡略化する目的のみによって、本応用分野を参照してなされる。
【背景技術】
【0002】
よく知られているように、ギア付きの回転容積式ポンプは通常、2つのギアホイール(またはギア)を備え、これらギアのうちの一方は、駆動ホイールと呼ばれ、駆動シャフトに接続され、従動ホイールと呼ばれる他方のホイールの回転をもたらす。各ギアホイールは、直歯またははす歯の複数の斜歯を備え、ホイールの回転中に、連続的に噛み合う構成によって、互いに噛み合うように構成される。
【0003】
本出願人によって以前設計された、図1および2に図示される既知の解決策によれば、ギア付きの回転容積式ポンプが、歯2が頂部において丸みを帯びるか、またはアーチ形状によって特徴付けられるプロファイルを有する一対のギアホイール1を備える。
【0004】
この種のギアホイールは、2つの噛み合うホイールがどんな角度位置であっても、2つの噛み合う歯の頂部と底部の間で流体の封じ込めがないように、これら噛み合う2つホイールのプロファイル間での連続した接触を可能にする。このことは、たとえば、歯の頂部での形状が円または楕円の円弧を記述する関数によって規定されるときに起こり、この場合、その中心またはその焦点が、ギアホイール1の外径と内径との間で、歯自身の内側に位置する。
【0005】
この既知の解決策は、多くの長所、なかでも雑音がないことであること、流体の封じ込めがないこと、吐出ポートにおいて非常に低振動であること、という長所を有しているが、それらが収容されるポンプの本体またはケーシング3とギアホイール1との正しい相互作用を保証しない。
【0006】
具体的には、この種のポンプの最大で重大な問題は、動作段階の間に起こり、この場合、ギアホイール1は、吐出ポートにおいて生じた圧力による負荷を受け、ポンプの本体3において、ギアホイール1自身の着座部を生じさせる。実際に、動作段階において、ギアホイール1は、低圧ポートに近い領域において、ポンプの本体3の内壁と接触し、ギアホイール自身は、本体3の材料よりも硬い材料で構成されるので、本体3の幾何学形状が変わる。
【0007】
換言すれば、動作段階の間に生じた負荷の下で、ギアホイールの弾性降伏、および/または回転軸に対する当該ギアホイールの径方向の位置のずれが生じ、度々の予測不可能かつ潜在的に有害な結果を伴う、ポンプ本体3の塑性的な摩耗をもたらす。
【0008】
よりさらに具体的には、図2に示される模式的な例を参照すると、上で説明した解決策においては、ギアホイールによって輸送される流体の圧力による力の作用の下で、当該ホイールの軸受ブッシュに収容された滑り軸受の弾性降伏が存在するということが起き、この降伏は、動作圧力およびギアホイールの長さに比例し、使用される材料に依存する。特定の動作条件の下では、ギアホイール1が収容されている本体3の孔の内壁と、ギアホイール1自身との間において、機械的な干渉が発生する。
【0009】
したがって、丸みを帯びた先端部を有する歯の特定の形状のために、この干渉は、材料(たとえば、アルミニウム。しかし、ギアホイールの材料、通常は焼入焼戻鋼の材料に比べて延性がありかつ可鍛性のある、鋳鉄などの他の材料も除外されない)の塑性変形と、その後に生じる、本体3における孔の空の壁上に薄い層としての除去された材料の散布とによって引き起こされる摩耗現象となる。
【0010】
さらに、動作中において、過度の摩擦は、エネルギ散逸(熱)を生じさせ、上述の摩耗現象は、よりさらに強まり、制御下に留まることは困難である。
【0011】
除去されて孔の壁の空の領域に堆積する材料の散布の効果は、上述の歯の丸みを帯びた形状のために、設計段階の間に定められた公差に依る。ギアホイールと液圧システムの本体との間の相互作用が大きくなると、生成される熱および除去される材料の体積が大きくなり、したがって、熱膨張は、大きくなり、除去された(剥がされた)後に堆積する(散布される)材料の体積は、大きくなる。
【0012】
特定の場合においては、ギアホイールによって生じる着座部は、開始時の温度にひとたび戻ると、ギアホイール自身の回転に干渉するように変形した幾何学形状を有する。変形の程度も、予測するのは困難である。
【0013】
この現象は、測定可能であり実験的にも見出される。駆動ホイールを回転させようとすると、この回転は、困難であり、痙攣性動作(in jerks)を生じさせるか、またはむしろ完全に妨げられさえする。このことは、品質管理の失敗による製品の消耗をもたらす。
【0014】
このことは全て、ポンプにとって非常に危険な結果を有し、低温始動時において、度々、その後の体積効率の損失によるポンプ本体への損傷が存在する。したがって、ギアホイールが収容されるポンプの動作中に、最初に、この不都合が起きないことが望ましい。
【0015】
特許文献1は、そのギアホイールが特にねずみ鋳鉄からなるときに、ポンプのケーシングから材料を除去するための刃先部を備えた歯を備えるポンプを開示している。刃先部は、基本的には、歯の顕著な突起であり、鋭角の切削角度を画定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】独国特許出願公開第102012209775号明細書
【発明の概要】
【0017】
本発明の技術的な課題は、既知の解決策に依然として影響を与える限界および欠点を克服することを可能にするような構造および機能的特徴を有する、ギアホイールおよび関連する液圧装置、具体的には、動作段階の間に、ギアホイールを収容する孔の表面上の材料の、その後の散布によりポンプ本体の塑性変形を引き起こさない、ギアホイールおよび関連する液圧装置を提供することである。
【0018】
本発明の根底にある解決策の思想は、その歯が切断要素を備えるギアホイールであって、切削要素がその頂部に配置され、かつ動作段階の間に研削くずを除去することによって、既知の解決策において引き起こされるポンプ本体の塑性変形を制限するか、または回避するように、切削要素がポンプから材料を除去することが可能であるギアホイールを提供することである。除去される材料は、収容孔の壁上への材料の散布を制限するか、または散布さえない状態で、吐出ポートによってポンプで注入される流体によって放出される。
【0019】
この解決のための思想に基づいて、上記技術的課題は、複数の歯を備え、回転軸の周りに回転可能に配置され、液圧装置のためのギアホイールであって、歯は、断面のプロファイルを有し、回転軸の周りの回転運動中に、別のギアホイールのそれぞれの歯と噛み合うように構成され、少なくとも1つの歯は、少なくとも1つの刃先部であって、ギアホイールの回転中に、少なくとも1つの刃先部によって接触される本体(たとえば、ケーシング)から、材料、具体的には材料の研削くず、を除去するように構成される、少なくとも1つの刃先部を有するように形付けられる、ギアホイールによって解決される。有利には、刃先部は、歯の高さの0.2%から5%までの量だけ低くされる、少なくとも1つの溝部によって画定され、溝部は、プロファイルに沿って、刃先部から離れるにつれて減少する。
【0020】
より具体的には、本発明は、単独で、または必要であれば、組み合わせで、以下の追加的かつ選択的な特徴を備える。
【0021】
本発明の態様によれば、溝部は、歯の丸みを帯びたプロファイルに対して、0.01mmから1mmまでの量だけ、好ましくは、0.03mmの量だけ突出する突起)を形成し得る。このように、歯の形状は、過度に変更されず、たとえば、当初の公称プロファイルに沿って、わずかな不連続性が導入されることで、刃先部の顕著な性能を得る。突起は、0.01mm~1mmの間の幅を有し得る。
【0022】
本発明の態様によれば、刃先部は、歯の頂部に配置してもよく、頂部は、ギアホイールの基準円の中心から最も離れた歯の部分である。
【0023】
本発明の態様によれば、刃先部は、歯の全長にわたって延在させてもよく、歯の全長は、回転軸に平行な方向における歯の寸法である。
【0024】
本発明の別の態様によれば、ギアホイールのそれぞれの歯は、刃先部を備え得る。
【0025】
本発明の別の態様によれば、少なくとも1つの歯は、互いに離間する複数の刃先部を備え得る。
【0026】
本発明の別の態様によれば、刃先部は、歯のプロファイルを規定する関数において不連続性を導入するものであってもよく、刃先部は、不連続点に配置される。たとえば、不連続性は、第1種の不連続性であり得る。
【0027】
代替的に、刃先部は、歯のプロファイルを規定する関数において不連続性を導入するものであり得る。
【0028】
本発明の別の態様によれば、歯のプロファイルは、対称なプロファイルであり得る。
【0029】
本発明の別の態様によれば、刃先部は、歯の長手方向の軸に沿って形成される溝部の縁部であってもよく、長手方向の軸は、回転軸に平行な軸である。
【0030】
本発明の別の実施形態によれば、刃先部は、四角形状またはくさび形状を有する部分(13)のリム部または縁部(すなわち、角部)であり得る。
【0031】
追加的に、歯は、らせん形状(または、二重らせん形状)の歯であってもよく、ギアホイールは、5~12個の間の数の歯を有し得る。
【0032】
本発明のさらに別の態様によれば、歯のプロファイルを規定する関数は、その頂部において、ギアホイールの回転軸を中心とする円であって、ギアホイールを収容する孔の直径と等しいか、または大きい直径を有する円の円弧を、その頂部において描き得る。歯の頂部は、ギアホイールの基準円の中心から最も離れた歯の部分であり得る。
【0033】
本発明のさらに別の態様によれば、刃先部は、歯から材料を除去することによって得られ得る。
【0034】
最後に、刃先部の形状は、単一形状の研削ホイールまたはネジ研削ホイールを用いた形状研削によって得られ得ることが見て取れる。
【0035】
本発明はまた、ケーシングと、一対のギアホイールとを備える液圧装置(100)であって、ギアホイールのうちの少なくとも1つが、上記のように規定され、ギアホイールは、ケーシングの収容孔の中に収容され、刃先部は、ギアホイールの回転中に、刃先部によって接触される材料、具体的には、研削くず、をケーシングの収容孔の内面から除去するように構成される、液圧装置に言及する。
【0036】
したがって、2つのギアホイールを備える本発明の装置は、ギアホイールの1つのみが、上述の実施形態による刃先部を備えるか、またはそれら両方が備え得ることは明らかである。
【0037】
より詳細には、液圧装置は、ギアホイール付きの回転容積式ポンプまたは液圧モータであり得る。
【0038】
本発明はまた、回転軸の周りで回転可能な種類のギアホイールであって、回転軸の周りの回転動作の間に、別のギアホイールのそれぞれの歯と噛み合うように構成される複数の歯を備えるギアホイールを製造するための方法であって、
加工される対象の本体を用意するステップと、
複数の歯を形成するステップと、
少なくとも1つの歯から、歯における少なくとも1つの刃先部を形成するように、材料を除去するステップであって、刃先部が、ギアホイールの回転中に、刃先部によって接触される本体から材料を除去するように構成される、材料を除去するステップと
を含む方法に言及する。好適には、材料を除去するステップは、歯の高さの0.2%から5%までの量だけ低くされる、少なくとも1つの溝部によって、刃先部を画定するステップであって、プロファイルに沿って、刃先部から離れるにつれて減少する、少なくとも1つの溝部によって、刃先部を画定する、刃先部を画定するステップを含む。
【0039】
本発明の態様によれば、上記方法は、単一形状の研削ホイールまたはネジ研削ホイールを使用することによって、少なくとも1つの歯のプロファイルの形状研削を行うステップを含み得る。
【0040】
本発明の別の態様によれば、上記方法は、回転式研削機によってギアホイールの直径を研削するステップを含み得る。
【0041】
本発明による装置および方法のギアホイールの特徴および利点が、以下でなされる、直接的かつ非限定的な例によって与えられるそれら実施形態の記載から、添付の図面を参照して、明らかであろう。
【0042】
図面において、以下の点が説明されている。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】既知の解決策による、ギアホイールのプロファイルを模式的に示す。
図2】既知の解決策による、ギアホイールを備える流体機械を模式的に示す。
図3】本発明による、ギアホイールのプロファイルを模式的に示す。
図4】本発明による、ギアホイールのプロファイルの詳細を示す。
図5】本発明による、ギアホイールの斜視図を示す。
図6】本発明による、ギアホイールの歯の斜視図を示す。
図7】本発明による、ギアホイールの実施形態を模式的に示す。
図8】本発明による、ギアホイールを備える液圧装置を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
これら図を参照すると、本発明によるギアホイールは、全体的かつ模式的に、「10」で示されている。
【0045】
図は、模式図を表し、縮尺に合わせて描かれてはいないが、その代わりに、それらは、本発明の重要な特徴を強調するように描かれていることを特に言及することは注目に値する。また、図において、様々な要素が模式的な手法で描かれ、それらの形状は、所望の用途に応じて異なる。図において、同じ符号は、形状または機能に関して一致する要素のことを指すことも注目される。最後に、1つの図に図示されている一実施形態に関連して図示される特定の特徴は、その他の図に図示されるその他の実施形態にも適用可能である。
【0046】
本発明のギアホイール10は、容積式ギアポンプ(volumetric gear pump)(ギア付きの回転容積式ポンプ(geared rotary positive displacement pump))などの液圧装置において、または流体ギアモータにおいても使用される。以下でより詳細に記載されるように、ギアホイール10は、一対の噛み合うギアホイールを備える液圧装置において使用され、使用の際に、これらのギアホイールに回転軸に対して略横方向である流れを有する流体の入口側と出口側との間で、ケーシングまたは筐体の本体において相互に回転可能であるように、これらのギアホイールは、取り付けられる。それらの相互の回転において、これら噛合するギアホイールは、革新的な噛み合い構成を有する。
【0047】
具体的には、開示される教示内容がモータなどの他の液圧システムにも適用可能であるが、本発明は、ギアホイール10がギアポンプに使用される好ましい例によって、以下に説明される。
【0048】
図3を具体的に参照すると、本発明のギアホイール10は、本分野では回転子(rotor)とも呼ばれるが、複数の歯11であって、回転中に、別のギアホイールの対をなすそれぞれの歯と噛み合うように構成される複数の歯11を有するように加工される本体を備える。
【0049】
より詳細には、ギアホイール10は、本明細書では軸H-Hとして示される回転軸であって、図の平面に対して垂直であり、ギアホイール10の中心Oを通る、すなわち、基準円(primitive circle)の中心から通る軸として構成される軸H-Hの周りを回転可能であるように配置される。それぞれの歯11は、回転軸H-Hに直交する平面において、所定の関数によって規定される断面プロファイルPを有する。
【0050】
具体的には、歯11のプロファイルPを規定する関数は、歯の頂部において円の円弧を描いてもよく、当該円は、中心Oを中心とし、加工公差を除いて、ポンプ本体において、ホイールを収容する孔の直径と略等しいか、または孔の直径よりも大きい直径を有する。一実施形態において、本発明は、歯の頂部に丸みを帯びた形状を有するこの種の形状によって創出される。
【0051】
具体的には、好適には本発明によって、ギアホイール10の少なくとも1つの歯11は、少なくともその一部である部分13に、たとえば、歯の頂部に、刃先部12を備えるように形付けられる。歯11の刃先部12は、以下でより詳細に説明されるように、刃先部と接触する本体から、たとえば、ポンプケーシングの収容孔の表面から、具体的には、それが収容される装置の動作段階において、ギアホイール10の回転中に、材料を除去するように構成される、その活性端部(active end)である。
【0052】
そのため、歯11の加工に続いて、そのプロファイルPを規定する関数は、たとえば、不連続性、または一般的には不規則性を導入することによって、適切に変更される。
【0053】
図3の模式的で非限定的な例を参照すると、刃先部12は、好ましくは、歯11またはホイール10の全長または全深さに影響を与える長手方向の溝部14の縁部として得られる。
【0054】
換言すると、本発明によれば、ホイールの回転中に材料を除去するための少なくとも1つの切削面がギアホイール10の歯11に設けている。以下で詳細に説明されるように、この構成は、特に、ポンプの動作段階の間に、かなりの利点を及ぼす。
【0055】
上述のように、刃先部12が形成される歯11の部分13は、歯11の頂部であり、ここで、本明細書において、用語「頂部」は、ギアホイール10の基準円の中心Oから最も最も遠い歯の部分を意味する。さらに、本発明の好適な実施形態では、刃先部12は、歯11の全長または全深さにわたって延在し、本明細書において、用語「歯の長さ」は、回転軸H-Hに平行な方向に沿った歯11の寸法を意味する。
【0056】
図4においてより良く図示されるように、刃先部12は、歯11から、具体的には、歯11の部分13において、たとえば、部分13の一側方において、材料を除去し、歯11の発達(development)(深さ(depth))とともに、長手方向に延伸する前述の溝部14を形成することによって得られる。本発明の好適な実施形態では、溝部14に類似する第2の溝部15が、(たとえば、部分13の別の一側方に)溝部14と平行に形成され、これら溝部の間で、本実施形態において部分13に対応する突起16を画定する。
【0057】
図4において、符号P’は、典型的な、途切れなく丸いか、または丸みを帯びた形状を有する既知の解決策の歯のプロファイルを示し、その箇所において、本発明の歯11のプロファイルPは、たとえば突起16の長手方向の縁部上の刃先部12の形成とともに、2つの平行な溝部14および15による前述の材料の除去によって得られる突起16を有する。
【0058】
ギアホイール10の加工技術は多くあり、本発明は、それらの技術の1つに特に限定されることはない。たとえば、本発明の一実施形態において、刃先部12の形状は、たとえば単一形状の研削ホイールを使用することで、溝部14(および、その結果としての刃先部12)を得るための形状研削によって得られるか、またはネジ研削ホイール(screw grinding wheel)を使用することで得られる。
【0059】
本発明の一実施形態において、ギアホイール10の外径の研削は、回転式研削機(round grinding machine)によって達成されるので、上述のように、歯11のプロファイルPを規定する関数は、それぞれの歯の頂部において、ギアホイール10の回転軸H-Hを中心とし、収容孔の直径に等しい(または収容孔の直径より大きい)直径を有する円の円弧を記述する。
【0060】
ここでまた、非限定的な例として、(既知の解決策の歯の最大高さに好ましくは略相当する)歯11の最大高さに関して、材料の除去による既知の形状の変更は、約0.1mmに等しい(刃先部12の脚部における)歯の高さの減少をもたらすことがあり、刃先部12から離れるにつれて、この値はますます小さくなり、残りのプロファイルの残部に対する突起16の突出は、約0.03mmとなる。
【0061】
図5に図示される好適な実施形態において、他の解決策も本発明の範囲内ではあるが、ギアホイール10のそれぞれの歯11は、刃先部12を備える。実際に、刃先部12がギアホイールのいくつかの歯上にのみ存在する構成、たとえば、刃先部を備える歯が刃先部を有していない歯と交互に存在する構成を提供することが可能である。
【0062】
さらに、少なくとも1つの歯11が、プロファイルPに沿って、互いに離間して配置される、たとえばのこぎりの歯などのように、たとえば等間隔で離間する、複数の刃先部12を備える一実施形態を提供することも可能である。換言すれば、本実施形態において、歯11は、刃先部12を有する複数の部分13を備え、当該部分は、歯11のプロファイルPに沿って、互いに空間的に離間している(たとえば、等間隔に離間している)。
【0063】
上述のように、刃先部12は、プロファイルPを描く関数が、右から近づくときに有している値とは異なる値を有する切削点(cutting point)に、刃先部12の左において近づく不連続性、たとえば、第1種の(たとえば、階段の形状の)不連続性を、歯11のプロファイルPを規定する関数において導入する。上述のように、刃先部12は、歯11のプロファイルPを規定する関数に、不連続性、たとえば、第1種の(たとえば、階段の形態で)不連続性を関数において導入し、この場合、刃先部12の左では、このプロファイルPを記述する関数は、それが右から近づくときに有するものとは異なる値で、切削点(cutting point)に近づく。
【0064】
本発明の別の実施形態では、刃先部12は、歯11のプロファイルPを規定する関数において、微分不可能な点を導入する。たとえば、刃先部12は、端点(corner point)または尖点(cusp)を導入し得る。
【0065】
可能な限りの異なるプロファイルが、図7に模式的に図示されるが、網羅的なものではなく、本発明の原理が、歯11のプロファイルPについての多数の候補形状に適用可能であることを示す。実際には、本発明は、歯11の特定の形状、具体的には、刃先部12を備える歯の部分13の形状に限定されず、必要性および/または状況に応じて変わり得ることが見て取れる。
【0066】
より詳細には、図7は、部分13での歯11の箇所(すなわち、頂部)を図示する、文字(a)~(p)で示される様々な代替的な解決策を示す。解決策(a)は、上述の図3~6の例示的な実施形態に概略対応し、その他の解決策は、代替的な実施形態と見なされ得る。
【0067】
その結果として、刃先部12を備える歯部分13は、たとえば、図3~6および図7(a)の実施形態のように、頂部プロファイルに形成されるか、または一般的には少なくとも1つの長手方向の溝部14によって得られる、好ましくは、歯の全長にわたって延在する突起16であると見なされ得る。
【0068】
本発明に関連して、図3~6および図7(a)の実施形態の突起16は、当該突起の側面でのくぼみ(へこみ)に対して、相対的に理解され得る。換言すると、突起16は、歯の全長または全深さにわたって延在する、少なくとも1つの溝部14によって形成される不連続性であり、それは、歯11の有効プロファイルPである丸みを帯びた線を大きく超えては突出せず(それは、実際に好ましくは、約0.03mmだけ、一般的には、0.01mmから1mmまでの範囲において突出する)、この歯11の中心Oに対する高さ(level)の変化が引き起こす少なくとも1つの縁部において、刃先部12を画定する。いずれの場合でも、突起16での最大高さは、上述のように、そこから材料が除去されて突起16を得る、既知の解決策の歯の形状の最大高さに、好ましくは、略等しい。
【0069】
一実施形態において、突起16は、0.01mm~1mmの間の(歯の長さに対する横方向の寸法として意図される)幅を有する。
【0070】
換言すると、刃先部12は、歯11の高さH’の0.2%から5%までの量、好ましくは、0.2%から1.5%までの量、よりさらに好ましくは、0.8%の量だけ低くされた少なくとも1つの溝部14によって形成され、溝部14は、歯11のプロファイルPに沿って、刃先部12から離れるにつれて減少する。たとえば、刃先部12は、歯11の頂部において、そのような低くされた溝部14によって形成される歯11のプロファイルを規定する関数における不連続性を導入する。本発明に関連して、用語「高さH’」は、歯の頂部と基準円での基部との間の、たとえば、歯の長さに直交する方向に沿って測定される間隔を意味する。
【0071】
たとえば、3.93cmの高さを有する歯11について、溝部14は、0.01から0.2cmまで、好ましくは、0.03cmまで変化し得る。上記範囲の最大値は、たとえば、10cmより大きい高さを有する大きいサイズの歯に対してより適している。
【0072】
有利には、説明された構成は、刃先部12が非常に少ししか突出しないので、破損の対象とならない極めて耐性のある刃先部12を得ることを可能にする。さらに、説明された構成は、複雑な加工を必要とすることなく容易に作成でき、前述の溝部14を形成するために、材料の最小限度の除去を要求するだけである。
【0073】
刃先部12は、部分13の周縁部(すなわち、当該部分の縁部である)に配置され、したがって、任意の形状、たとえば、四角形の形状またはくさび形状を有し得る。そのため、一般的に、歯11は、先鋭な部分を設けたプロファイルPを有する。
【0074】
歯11のプロファイルPは、(図3~6および図7(a)の実施形態のプロファイルなどの)対称なプロファイルであり得るか、またはプロファイルPは、非対称なプロファイルであり得ることが、さらに見て取れる。
【0075】
本発明の一実施形態において、歯11は、らせん形状の歯であり、ギアホイール10は、5~21の間の、好ましくはその数が5~11の、よりさらに好ましくはその数が8の歯を有する。
【0076】
さらに、本発明によるギアホイール10は、それがらせん形状であるときに、(F*n)/0.5>Pe>(F*n)/1.3、好ましくはPe=(F*n)/0.7に等しい(mmで測定される)らせんピッチPeを有し、ここで、Fは、ギアホイールのバンド長さ(gear wheel band length)の長さであり、nは歯数である。
【0077】
明らかであるように、本発明の原理は、直歯を有するギアホイールと同様に、たとえば、本出願人の名義の特許出願である特許出願番号第102016000076227号明細書に記載される種類のギアホイールなどの、二重らせんギアホイール(bi-helical gear wheel)、にも適用される。
【0078】
ギアホイール10に採用される上述の構成は、多くの利点を有し、本発明の技術的課題を有効に解決することを可能にする。
【0079】
この点について、図8を参照すると、本発明による一対のギアホイール10を含む液圧装置100が開示される。これらの相互の回転において、ギアホイール10は、それぞれの連携する歯の間の噛み合いをもたらす。
【0080】
上述のように、ギアホイール10の外径の研削は、歯11のプロファイルPを規定する関数が、それぞれの歯の頂部において、ギアホイール10の回転軸H-Hを中心とし、加工公差を除いて、ホイールを収容する孔の直径に等しい直径を有する円の円弧を、記述するものである。
【0081】
一実施形態において、歯11のその頂部での当初の形状は、円または楕円の円弧を描く関数によって表現され、円または楕円の中心または焦点は、(ギアホイールの外径と内径との間において)歯自身の内側に位置する円または楕円の円弧を描く関数によって表現される。
【0082】
刃先部を備える改善された形状は、いずれの場合にも、ほとんど全体のプロファイルに沿って、「連続的な接触」を持つギアホイールを得ることを可能にする。すなわち、噛み合っている間に、流体の閉じ込めの領域を発生させることなく(すなわち、流体を封じ込めない)、ギアホイールの一側面から他側面に連続的に移動する1つの理論的な接触点が存在する。上記接触は、刃先部12によって影響を受ける部分のみにおいて起きるわけではない。この場合、小さな封じ込めの体積が形成されるが、刃先部12は、上記変更を完全に感知不能にするように設計および寸法決めされる。実際に、本出願人によって行われた試験からは、注入される流体の漏れによる容積損失はなく、これらの装置の優れた無雑音の特性が維持されている。
【0083】
このように、封じ込めのないプロファイルは、本発明の刃先部12を導入することによって、適切に変更される。
【0084】
別の実施形態において、刃先部が形成される当初プロファイルは、いわゆる、半封じ込めプロファイル(semi-encapsulating profile)であり、この場合、流体の閉じ込め、または封じ込めが形成される領域は、2つの噛み合うギアホイールの歯の間で形成され、当該領域は、ギアホイールの回転中に、ギアホイールの歯の頭部が他方のギアホイールの歯の底部と接触するときに実質的に解消されるまで、徐々に減少する。
【0085】
装置100は、ケーシングまたは本体10を備え、ギアホイール10を収容するための収容貫通孔120を提供する。
【0086】
上述のように、液圧装置100は、容積式回転ギアポンプまたは液圧モータであり得る。
【0087】
装置100の動作中において、ギアホイールによって輸送される流体の圧力による力の作用の下では、ブッシュに収容される滑り軸受の弾性的な降伏が存在することが知られている。この降伏は、動作圧力、回転子の長さに比例し、使用される材料にも依存する。このすべてが、ケーシング110の収容孔120の内壁と、ギアホイール10との間の機械的な干渉の発生を引き起こす。
【0088】
ギアホイール10は、ケーシング110の材料、たとえばアルミニウムよりも大きな硬さを有する材料、たとえば鋼からなるので、ギアホイール10とケーシング110との間の機械的な干渉は、既知の解決策では、塑性変形により、具体的には、頂部において丸みを帯びた回転子の歯の特定の形状により、摩耗現象を発生させる。
【0089】
有利には、本発明によれば、刃先部12は、ギアホイール10の回転中に、刃先部によって接触される材料の研削くずを、ケース110の収容孔120の内面から除去するように構成される。
【0090】
このように、動作段階の間、刃先部12は、研削くずの形態で、材料を除去することによって作用し、当該材料は、その際に、収容孔120の内面において、材料の限定的な充填/分布で、または当該材料の充填/分布がなく、注入される流体とともに、吐出ポートから排出される。(わずかな公差寸法であると予測され得る)収容孔の最終的な幾何学形状は、装置の性能に影響を与えない。
【0091】
したがって、動作段階の終了時に、収容孔の内面上への望ましくない材料の堆積/散布によって引き起こされる全ての問題は、もはや起こらないということは明らかであるが、そのような散布は、既知の解決策においては、体積効率のその後の損失とともに、性能のバラツキと、低温状態での始動の困難とをもたらす機械的なガタツキの望ましくない完全に予測不能な修正をもたらす。
【0092】
したがって、ギアホイール10の歯11のプロファイルPに対してなされる革新は、動作時間を短縮化し、それを特徴付けるパラメータの不変性、信頼性、および反復性の観点から、全体の品質の改善を保証することによって、ギアホイール10を組み入れる液圧装置100の性能および動作寿命を向上させることを可能にする。歯11の頂部における刃先部12は、実際には、単に丸みを帯びただけの形状によって、動作段階の終了時に、装置自身の本体に対して、しばしば回復不能な損傷をもたらす、いくつかの既知のプロファイルの問題を排除する。
【0093】
採用される構成は、いずれの場合にも、流体の漏れによる損失を最小にすることを可能にし、一般的には、ポンプの性能は、刃先部12の存在によって決して影響を受けない。
【0094】
そのような構成は、性能を変えることなく、いずれの場合にも、具体的には、刃先部の特定の形状によって、性能、摩耗、耐久性、機械効率、および容積効率の信頼性、再現性の観点において、著しい改善を可能にする。
【0095】
最後に、プロファイルは、(溝部の深さが非常に小さいのであまり突出していない)刃先部12を形成するための頂部でのみ最小限に変更され、このことは、動作段階の後であっても、最大限の性能を常に保証することが可能であり、刃先部12は、装置に注入される流体とともに続けて排出される材料の研削くずを適切に除去するので、(連続的な接触状態である)既知の解決策の全ての利点が維持されることに注意すべきである。
【0096】
本出願人によって行われた試験は、極めて小さな寸法の刃先部12が、ポンプの動作後の段階において、どんな欠点も伴わないどころか、極めて低減されたポンプの無雑音性を維持しつつ、容易に排出される流体の微小な封じ込めのための最小の回避ルートを表していることを証明している。
【0097】
明らかに、当業者であれば、付随する特定の要求を満たすために、上述のギアホイール、装置、および方法に対して、様々な修正、変形、および以降に記載する請求項によって画定されるような発明の保護範囲内に含まれる全てをなすであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】