(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-18
(54)【発明の名称】膜性能のための光硬化
(51)【国際特許分類】
B01D 63/10 20060101AFI20221011BHJP
B01D 67/00 20060101ALI20221011BHJP
B01D 69/10 20060101ALI20221011BHJP
B01D 69/12 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
B01D63/10
B01D67/00 500
B01D69/10
B01D69/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506873
(86)(22)【出願日】2020-08-06
(85)【翻訳文提出日】2022-03-25
(86)【国際出願番号】 US2020045198
(87)【国際公開番号】W WO2021030143
(87)【国際公開日】2021-02-18
(32)【優先日】2019-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519350775
【氏名又は名称】アクア メンブレインズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ヘリントン,ロドニー,イー.
(72)【発明者】
【氏名】ベックマン,クレイグ
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA03
4D006GA06
4D006GA07
4D006HA61
4D006HA62
4D006JA05A
4D006JA06A
4D006JA19A
4D006JA22A
4D006MA03
4D006MB06
4D006MB07
4D006MC09X
4D006MC22
4D006MC62
4D006NA42
4D006PA01
4D006PB08
(57)【要約】
本発明は、螺旋型膜エレメントの設計に関し、平膜は選択的な透過流束及び脱塩率特性を有するように製造され、これらは、次に透過流束又は脱塩率等の平膜の特性を最適化するためにUV又は可視スペクトル等のエネルギの各種の強度及び波長を使って変更可能であり、フォトポリマスペーサを平膜の活性表面の上又は活性表面の下の何れかに最適に結合するために利用できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜の製造方法であって、
(a)透過性支持層シートを提供することと、
(b)前記透過性支持層シートの第一の表面上にポリマコーティングを配置することであって、前記ポリマコーティングは露光により変化させることのできる1つ又は複数の特性を有する、配置することと、
(c)前記ポリマコーティングに、螺旋型ろ過エレメントでの使用にとって望ましい透過流束及び脱塩率特性を有する膜を製造するための波長及び強度の光を供給することと、
を含む方法。
【請求項2】
ステップ(c)は、光を前記第一の表面の側から前記透過性支持層シートに向かって案内し、前記光が前記透過性支持層シートに到達する前に前記ポリマコーティングに到達するようにすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(c)は、光を前記第一の表面の側と反対から前記透過性支持層シートに向かって案内し、前記光が前記透過性支持層シートを通過した後に前記ポリマコーティングに到達するようにすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(c)は、光源を固定位置に提供することと、前記透過性支持層シートを前記光源に関して移動させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(c)は、光源を前記透過性支持層シートに関して移動可能な場所に提供することと、前記光源を前記透過性支持層シートに関して移動させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(c)は、前記膜の領域によって変化する強度、波長、又は両方を有する光を供給することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリマコーティングは厚さを有し、ステップ(c)は、前記ポリマコーティングの前記厚さに応じて変化する強度、波長、又は両方を有する光を供給することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(c)は、前記膜の第一の次元に一定であり、前記膜の第二の次元に沿って変化する強度、波長、又は両方を有する光を供給することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記平膜は厚さを有し、ステップ(c)は、前記平膜の前記厚さに応じて変化する強度、波長、又は両方を有する光を供給することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(c)は、前記膜の前記透過流束が前記膜の第一の端又は面の付近で第一の値を、及び前記膜の第二の、反対の端又は面の付近で第二の値を有し、前記第二の値は前記第一の値より大きくなるように光を供給することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記膜の前記透過流束は、前記第一及び第二の端又は面との間で前記第一の値から前記第二の値へとスムーズに変化する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(c)は、前記膜の前記脱塩率が前記膜の第一の端又は面の付近で第一の値を、及び前記膜の、前記膜の前記第一の端又は面の反対の第二の端又は面の付近で第二の値を有し、前記第二の値は前記第一の値より大きくなるように光を供給することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
前記膜の前記脱塩率は、前記第一及び第二の端又は面との間で前記第一の値から前記第二の値へとスムーズに変化する、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
膜の製造方法であって、
(a)平膜を提供することと、
(b)前記平膜の第一の表面上に1つ又は複数のスペーシング特徴物を配置することであって、前記スペーシング特徴物は、露光により変化させることのできる1つ又は複数の特性を有する材料を含む、配置することと、
(c)前記スペーシング特徴物に、所望の特性を有するスペーシング特徴物を生成するための波長及び強度の光を供給することと、
を含む方法。
【請求項15】
前記光は紫外線を含む、請求項1~14の何れか一項に記載の方法。
【請求項16】
螺旋型ろ過エレメントで使用するための膜であって、前記膜の第一の端又は面の付近で第一の値を、及び前記膜の第二の、反対の端又は面の付近で第二の値を有する透過流束又は脱塩率を有する膜。
【請求項17】
前記膜の前記透過流束又は脱塩率は、前記第一及び第二の端又は面との間で前記第一の値から前記第二の値へとスムーズに変化する、請求項16に記載の膜。
【請求項18】
前記膜の第一の端又は面の付近で第一の透過流束の値を、及び前記膜の第二の、反対の端又は面の付近で第二の透過流束の値を有する透過流束を有し、前記第二の透過流束の値は前記第一の透過流束の値より大きく、前記膜の第一の端又は面の付近で第一の脱塩率の値を、及び前記膜の第二の、反対の端又は面の付近で第二の脱塩率の値を有する脱塩率を有し、前記第二の脱塩率の値は前記第一の脱塩率の値より大きい、請求項16に記載の膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、流体成分の分離に利用される膜システム、特に螺旋型膜エレメントに関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
螺旋型膜ろ過エレメントは当業界で知られており、典型的に、リーフと呼ばれる積層構造を含み、これは3辺で透過性透過液担体に、又はその周囲にシールされた平膜からなる。透過性透過液担体は、一方の端で封筒状膜を越えて延びて中心管の周囲を包囲し、中心管は、中心管内の穴を通って中心管の端の外へと透過液を排出するための、中心管の軸に垂直な経路を作る。積層構造は、中心管の周囲を螺旋状に包囲し、透過性供給側スペーサによりそれ自体から離間されて、原液が螺旋型エレメントの供給側端からリジェクト端へとエレメント内を軸方向に流れるようになっている。従来、供給側スペーサは、原水が流れることができ、その一部分が膜を通って螺旋型エレメントへと流れ、リジェクト水がエレメントから中心管に平行に、エレメント構成に対して軸方向に出ることができるようにするために使用される。螺旋型膜エレメントは1つのリーフを利用するものもあれば、中心管の周囲に螺旋状に巻き回された複数のリーフを含むものもある。幾つかの構成において、リーフは比較的正方形であり、これはリーフの幅がリーフの幅に比較的近いことを意味する。これは典型的に、例えば2.5”、4”、8”、及び16”等の標準的な直径で一般的な長さ40”のエレメントの場合に当てはまる。他の構成では、特に、例えば住宅又は照明用の商業的利用分野で使用されるもののように長さが40”より短い、より小型の螺旋型膜エレメントの場合、膜のリーフは中心管に水平な寸法より中心管に垂直な寸法の方が長く、これはクロスフローがそれに沿って発生する典型的な軸である。幾つかのケースにおいて、このような構成のリーフの長さは、リーフの幅の3倍又はそれ以上である。リーフの長さがリーフの幅よりかなり小さい構成でエレメントが製作されることはまれである。
【0003】
螺旋型エレメントの設計の改良版が、Barger et al.の米国特許第6,632,357号、Bradford et al.の米国特許第7,311,831号、並びにRoderick et al.の“Improved Spiral Wound Element Construction”と題するオーストラリア特許(第2014223490号)及び日本特許(第6499089号)において開示されており、これは従来の供給側スペーサの代わりに膜の内面又は外面に堆積されるか、直接エンボス加工されるアイランド又は突出部を用いる。典型的に、流体供給流は螺旋型エレメントの中心管に垂直である。製造時に、螺旋状にエレメントを巻き回した後、封筒状平膜を糊付けしてから裁断し、すると封筒状膜の供給側エッジは原水の流れに対して平坦な面を提示する。Beckman, et al.の“Entrance Features in Spiral Wound Elements”と題する仮特許出願第62849952号には、封筒状平膜のテーパ付きの先頭エッジが記載されている。Roderick, et al.の“Graded Spacers for Filtration Wound Elements”と題するPCT特許出願第PCT/US2018/016318号には、供給側スペース及び透過液担体スペースの長さにわたり可変的な高さを有する供給側スペーサの特徴が記載されている。Herrington, et al.の“Flow Directing Devices for Spiral Wound Elements”と題する米国特許出願第PCT/US17/62425号には、流体流が螺旋型エレメントの供給端を洗い流して、原水ストリーム中の粒子の障害物が封筒状膜の端に衝突するのを回避するのを助ける回転ベーンを内蔵するテレスコープ防止装置が記載されている。
【0004】
メッシュスペーサではなくプリントスペーサの製造において、様々な接着剤が使用されて供給側スペースコンポーネントが製作され、これらが平膜の活性表面に結合される。他の用途では、供給側スペースコンポーネントは平膜の不活性面に取り付けられる。これらのケースの多くにおいて、供給側スペースを製作するために膜に塗布される接着剤はフォトポリマを含み、これは、フォトポリマ材料に紫外線(UV)エネルギを加えることによって急速に硬化するため、急速に硬化して、設定された物理的形状をとる。ポリマ膜表面の組成に応じて、UV露光によって透過流束の特性及び活性ポリマコーティングの脱塩率特性が変化する可能性がある。幾つかのケースにおいて、UV露光は透過流束と脱塩率について有害となる可能性がある。他のケースでは、UVエネルギは、透過流束を増大させることによって、又は脱塩率を改善することによって、透過流束特性を改善できる。この場合、平膜の脱塩率を高めることができ、その結果、より高品質の生産流体、すなわち塩イオンのより少ないものが生成されることから、膜の効率を改善できる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の開示
本発明の理解は、Barger et al.の米国特許第6,632,357号、Bradford et al.の米国特許第7,311,831号、並びにRoderick et al.の“Improved Spiral Wound Element Construction”と題するオーストラリア特許(第2014223490号)及び日本特許(第6499089号)の内容により促進でき、これらの各々を参照によって本願に援用する。
【0006】
螺旋型エレメントの多くの設計パラメータがエレメントの性能に影響を与える。流速等の流体流特性、流路形状、及び供給側スペーサの幾何学形状が滞留時間、せん断、及び乱流に影響し、それらが今度は膜システムの膜透過流束、脱塩率、及び回収率等の性能特性に影響を与える。螺旋型ろ過エレメントの「回収率」とは、膜エレメント内の透過液流量対原水流量の比と定義される。現在使用されている逆浸透エレメントの典型的な単一エレメント回収率は10%~30%の範囲であり、これは、原水の70~90%がリジェクトストリーム中でエレメントから出ることを意味する。例えば、家庭用逆浸透システムでは、リジェクトストリームを減らして、下水道へと廃棄される水が飲料用に生成される水(すなわち、透過液)に対して少なくなるようにすることが、経済的且つ環境的により道義的であり得る。平膜製造におけるポリマ層の製造及び流延中に、膜の透過流束と脱塩率を製造中のポリマ配合組成によって調整できる。例えば、透過流束は化学的配合組成の調整によって劇的に増大させることができる。同様に、膜の脱塩率も調整できる。幾つかのケースでは、例えば、透過流束と脱塩率の両方に影響を与え、透過流束が増大し、脱塩率が低下するようにすることができる。これらの条件が完成平膜中に存在する場合、平膜へのUV露光によって透過流束を損なわずに脱塩率を改善できる。UV光は、膜の活性表面の上又は膜の活性表面の下の何れに当てることもできる。UV光を平膜の長さ(又は幅)に沿って走査させることも、平膜をUV光源の固定位置に沿って引っ張ることも、又はその組合せとすることもできる。UV光はまた、平膜の長さに沿って、又はそれを横切る方向に変化させることもでき、それによって平膜に沿って、又はそれを横切る方向に脱塩率を変化させて、より均一な品質の透過液が得やすくなる。膜の流延は常に均一なプロセスとは限らず、膜母材上のポリマコーティングの厚さにばらつきが出る可能性がある。平膜の活性コーティングの厚さが変動する場合、UV光の強度を変化させて、平膜のいずれの点においても所望の適正な透過流束と脱塩率が確実に所望の値となるようにすることができる。同様にして、UV光の強度を変化させて、適正な量のUVエネルギが平膜上のスペーサとして使用される感光性ポリマに確実に付与されるようにすることができ、スペーサは膜活性表面の上又は下の何れかに適用される。エネルギの異なる波長も使用でき、これには可視波長とUV波長が含まれるが、これらに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図面の簡単な説明
【
図1】ロール形成前の従来の螺旋型膜エレメントの図である。
【
図2】平膜がUV光の固定位置を横切って移動しているときの、膜の活性表面の上にUV光が当てられている平膜の図である。
【
図3】平膜がUV光の固定位置を横切って移動しているときの、膜の活性表面の下にUV光が当てられている平膜の図である。
【
図4】UV光が平膜の固定位置に関して移動しているときの、膜の活性表面の下にUV光が当てられている平膜の図である。
【
図5】平膜の活性表面の下にパターンが印刷されているときの、膜の活性表面の下にUV光が当てられている平膜の図である。
【
図6】平膜の長さに沿ってUV光の強度が線形に変化するときの平膜の図である。
【
図7】平膜の上でのUV強度が平膜の長さに沿って所望の値であるようにUV光の強度が平膜の長さに沿って平膜中の材料の厚さに対応して可変的に変化するときの平膜の図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施態様と産業上の利用分野
図1は、従来の螺旋型膜エレメント10の要素の概略図である。透過液集水管12は、集水管12の穴14を含み、そこで透過液が透過液供給側スペーサ22から回収される。製造中、平膜24及び28は1枚のシートを中心線30で折り畳んだものを含む。平膜24及び28は典型的に、透過性支持層、例えばポリスルフォン又はポリエチレン上のポリスルフォンと、支持層の上に結合又は流延された活性ポリマ膜層からなる。活性ポリマ膜表面24は、供給側スペーサメッシュ26に隣接し、不活性の支持層28は透過液担体22に隣接する。原水16は、活性ポリマ膜表面24間に入り、供給側スペーサメッシュ26内の開放空間を通って流れる。原水16が供給側スペーサメッシュ26を流れるとき、全溶解固形物(TDS)イオンは活性ポリマ膜表面で阻止され、透過流体の分子、例えば水分子は活性ポリマ膜表面24を通過して、透過性透過液担体22に入る。原水16が活性ポリマ膜表面24に沿って移動すると、バルク原水16中では透過流体の損失によってTDSイオン濃度が上昇し、それによって活性ポリマ平膜24のリジェクト端から、原水16より高いTDSを有するリジェクト水18として出る。透過液担体22内の透過流体は、透過液担体22の先端34から中心管12の方向へと流れ、そこで透過流体は中心管入口穴14を通って中心管12に入り、中心管12から透過水20として出る。透過流体に原水16が混入するのを回避するために、活性ポリマ膜表面24は透過液担体22を通じて接着剤ライン32に沿って接着剤でシールされ、それによってシールされた封筒状膜が作られ、そこでの透過水20のための出口経路は中心管12を通る経路しかない。
【0009】
図2に示される本発明の例示的な実施形態において、平膜42上の活性膜表面は、膜表面において所望の透過流束と脱塩率を得るように配合できる。UV光を活性膜表面に照射して、活性膜層の透過流束及び脱塩率性能を変更又は最適化できる。可視光等の波長も使用できる。UV光源44は、平膜42の上方に位置付けられる。平膜42は、固定されたUV光源44に沿って引っ張られる。平膜42の移動速度のほか、UV源44の強度も変化させて、個々の用途のための所望の透過流束及び脱塩率の値を実現できる。
【0010】
図3に示される本発明の例示的な実施形態において、UV光源44は平膜42の下方に設置され、平膜42はUV又は可視光に対してある程度の透過性を有する。平膜42は固定されたUV源44に沿って引っ張られる。平膜42の移動速度のほか、UV源44の強度も変化させて、個々の用途のための所望の透過流束及び脱塩率の値を実現することができる。使用する処理パラメータは、アミンローディング、ポリマコーティング、及びクリーニングプロトコル等の膜特性並びに、所望の性能特性に依存し得る。膜の所望の特性には、脱塩率(膜表面で阻止される塩の量又はパーセンテージ)及び透過流束(ある表面積の膜表面において膜表面を通過する流体の量)を含めることができる。脱塩率と透過流束は、処理後の活性表面に依存する可能性がある。当業者であれば、関係する様々な依存性に詳しく、処理パラメータを使用中の特定の膜及びその用途にとって望ましい特性に基づいて選択できる。
【0011】
図4に示される本発明の例示的な実施形態において、UV光源44は平膜42の下に設置され、平膜42はUV又は可視光に対してある程度の透過性を有する。UV源44は平膜42に沿って引っ張られる。UV源44の移動速度のほか、UV源44の強度を変化させて、と個々の用途にとって望ましい透過流束及び脱塩率の値を実現できる。
【0012】
図5に示される本発明の例示的な実施形態において、供給側43は平膜42の活性表面上に適用して、平膜42の表面を横切って原水の流れのための流体供給路を作ることができる。スペーサはまた、平膜42の底面にも適用でき、供給側スペースは、供給側スペース内に圧力をかけ、圧力が原水にかかると、平膜42がスペーサ上に押し付けられて凹凸ができることで、平膜42の活性表面上に作られる。UV光源44により照射されるUV光の適当なエネルギ強度により、フォトポリマスペーサを硬化させることができ、それと同時に膜の透過流束と脱塩率特性を変更できる。供給側スペーサ43は、平膜上にフォトポリマをオフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、又は平膜42にスペーシング材料を適用し得るその他の技術によって直接印刷することにより適用できる。
【0013】
図6に示される本発明の例示的な実施形態において、UV源44の強度を平膜42の直線又は横方向の何れか又は両方に沿って変化させて、平膜42上の何れの位置における平膜の透過流束と脱塩率特性も変化させることができる。例えば、原水が平膜42の表面に沿って流れると、塩イオンが阻止され、膜表面での塩の濃度は上昇する。平膜42のこれらの領域での増大した透過流束又は改善された脱塩率特性を有して、膜エレメント又はシステムの全体的な性能を高めることが望ましい可能性がある。これらの性能特性は、従来の膜エレメントにとって、及び例えばPentair CorporationがGROの名称で製造するもののようなエレメントの回収率(原水に対する透過液の比)を改善するために平膜の長い長さに沿った供給流を有する膜エレメントにとって、又は浸透圧発電若しくは正浸透等の膜システムにとって有利である可能性がある。
【0014】
図7に示される本発明の例示的実施形態において、平膜42には平膜42の構成において厚さ又は半透明性のばらつき46があり得る。これらのばらつきは、UV露光装置の構成に応じて平膜42がUV源44に沿って移動するとき又はUV源44が平膜42に沿って移動するときにUV源44の波長又はエネルギ強度を変化させることによって補償できる。エネルギ強度は、平膜42の表面にわたり縦方向、横方向、又は両方に変更できる。エネルギ強度は、フォトポリマスペーサを固化させため、又は平膜42の透過流速若しくは脱塩率特性を最適化するため、又はそれらの両方のために最適化できる。
【0015】
本発明は、各種の例示的な実施形態に関連して説明されている。上記の説明は、明細書に照らして読むべき特許請求の範囲により特定される本発明の原理の応用を例示しているにすぎないと理解されたい。本発明の他の変形型や改良は当業者にとって明らかであろう。
【手続補正書】
【提出日】2022-04-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜の製造方法であって、
(a)透過性支持層シートを提供することと、
(b)前記透過性支持層シートの第一の表面上にポリマコーティングを配置することであって、前記ポリマコーティングは露光により変化させることのできる1つ又は複数の特性を有する、配置することと、
(c)前記ポリマコーティングに、螺旋型ろ過エレメントでの使用にとって望ましい透過流束及び脱塩率特性を有する膜を製造するための波長及び強度の光を供給することと、
を含む方法。
【請求項2】
ステップ(c)は、光を前記第一の表面の側から前記透過性支持層シートに向かって案内し、前記光が前記透過性支持層シートに到達する前に前記ポリマコーティングに到達するようにすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(c)は、光を前記第一の表面の側と反対から前記透過性支持層シートに向かって案内し、前記光が前記透過性支持層シートを通過した後に前記ポリマコーティングに到達するようにすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(c)は、光源を固定位置に提供することと、前記透過性支持層シートを前記光源に関して移動させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(c)は、光源を前記透過性支持層シートに関して移動可能な場所に提供することと、前記光源を前記透過性支持層シートに関して移動させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(c)は、前記膜の領域によって変化する強度、波長、又は両方を有する光を供給することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリマコーティングは厚さを有し、ステップ(c)は、前記ポリマコーティングの前記厚さに応じて変化する強度、波長、又は両方を有する光を供給することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(c)は、前記膜の第一の次元に一定であり、前記膜の第二の次元に沿って変化する強度、波長、又は両方を有する光を供給することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記平膜は厚さを有し、ステップ(c)は、前記平膜の前記厚さに応じて変化する強度、波長、又は両方を有する光を供給することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(c)は、前記膜の前記透過流束が前記膜の第一の端又は面の付近で第一の値を、及び前記膜の第二の、反対の端又は面の付近で第二の値を有し、前記第二の値は前記第一の値より大きくなるように光を供給することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記膜の前記透過流束は、前記第一及び第二の端又は面との間で前記第一の値から前記第二の値へとスムーズに変化する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(c)は、前記膜の前記脱塩率が前記膜の第一の端又は面の付近で第一の値を、及び前記膜の、前記膜の前記第一の端又は面の反対の第二の端又は面の付近で第二の値を有し、前記第二の値は前記第一の値より大きくなるように光を供給することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
前記膜の前記脱塩率は、前記第一及び第二の端又は面との間で前記第一の値から前記第二の値へとスムーズに変化する、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記光は紫外光を含む、請求項
1~13の何れか一項に記載の方法。
【請求項15】
螺旋型ろ過エレメントで使用するための膜であって、前記膜の第一の端又は面の付近で第一の値を、及び前記膜の第二の、反対の端又は面の付近で第二の値を有する透過流束又は脱塩率を有する膜。
【請求項16】
前記膜の前記透過流束又は脱塩率は、前記第一及び第二の端又は面との間で前記第一の値から前記第二の値へとスムーズに変化する、請求項
15に記載の膜。
【請求項17】
前記膜の第一の端又は面の付近で第一の透過流束の値を、及び前記膜の第二の、反対の端又は面の付近で第二の透過流束の値を有する透過流束を有し、前記第二の透過流束の値は前記第一の透過流束の値より大きく、前記膜の第一の端又は面の付近で第一の脱塩率の値を、及び前記膜の第二の、反対の端又は面の付近で第二の脱塩率の値を有する脱塩率を有し、前記第二の脱塩率の値は、前記第一の脱塩率の値より大きい、請求項
15に記載の膜。
【国際調査報告】