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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-18
(54)【発明の名称】SOFC-伝導
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04014 20160101AFI20221011BHJP
   H01M 8/2475 20160101ALI20221011BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20221011BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20221011BHJP
【FI】
H01M8/04014
H01M8/2475
H01M8/04 N
H01M8/12 101
H01M8/12 102B
H01M8/12 102A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022508536
(86)(22)【出願日】2020-08-14
(85)【翻訳文提出日】2022-04-04
(86)【国際出願番号】 US2020046458
(87)【国際公開番号】W WO2021030728
(87)【国際公開日】2021-02-18
(31)【優先権主張番号】62/886,406
(32)【優先日】2019-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519044667
【氏名又は名称】アップスタート パワー、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パルンボ、ネイサン
(72)【発明者】
【氏名】オセナー、ポール
(72)【発明者】
【氏名】オーティス、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ピルチャック、ジェイムズ
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126AA23
5H126BB06
5H126CC02
5H126EE13
5H126GG02
5H126GG08
5H126HH01
5H126HH02
5H126HH04
5H126JJ00
5H126JJ03
5H126JJ08
5H127AA07
5H127BA02
5H127BA13
5H127BA34
5H127BA37
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB19
5H127BB27
5H127BB37
5H127CC18
5H127EE03
5H127EE15
5H127EE16
5H127EE29
(57)【要約】
固体酸化物形燃料電池(SOFC)システムは、熱伝導による熱エネルギー伝達を高めるために、銅などの高熱伝導率の材料を含む。銅はニッケル電気めっきによって酸化から保護され、燃焼室内部に耐酸化性ライナーを提供することによって熱損傷から保護される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体酸化物燃料電池(SOFC)スタック内の温度のバランスをとるための一次エンクロージャ壁アセンブリ(8045)であって、前記一次エンクロージャ壁アセンブリは、
前記SOFCスタックを出る使用済み燃料流および使用済み陰極空気流を収集するための前記SOFCスタックの出口端の周りに燃焼領域を画定する燃焼領域壁であって、前記使用済み燃料と前記使用済み陰極空気は、前記燃焼領域内で混合し、燃焼し、熱を発生し、前記熱は、対流によって燃焼混合物から前記燃焼領域壁に伝達される、燃焼領域壁と、
前記SOFCスタックのガス流軸(x)に沿って前記燃焼領域壁から延在する第1の側壁とを含み、
前記側壁は、前記SOFCスタックの入口端に隣接する遠位端を有し、
前記燃焼領域壁によって吸収された前記熱は、前記第1の側壁の前記遠位端に熱伝導され、
前記第1の側壁の前記遠位端に伝導された前記熱は、前記燃焼領域壁から前記SOFCスタックの前記入口端まで延在する前記第1側壁の表面から電池の外面へと放射され、対流によって陰極空気流に伝達されて、前記燃焼領域壁の温度を下げ、前記燃焼領域壁から前記SOFCスタックの前記入口端まで延在する前記第1の側壁の表面の温度を上げる、一次エンクロージャ壁アセンブリ(8045)。
【請求項2】
前記側壁に対向する前記燃焼領域壁から延在する第2の側壁をさらに含み、
前記第1の側壁および前記第2の側壁は、前記SOFCスタックの反対側に面しており、
前記第1の側壁および前記第2の側壁の各々に結合された第1および第2のホットゾーン・エンクロージャ端壁(8080、8085)が、陰極室(8055)の内側で前記SOFCスタックを囲む、請求項1に記載の一次エンクロージャ壁アセンブリ(8045)。
【請求項3】
燃料入力マニホールド(8015)またはホットゾーン・エンクロージャ・ベース壁、または前記陰極室の底部境界を提供するように配置された中間室エンクロージャベース壁(9010)をさらに含む、請求項1に記載の一次エンクロージャ壁アセンブリ(8045)。
【請求項4】
前記燃焼領域壁および前記第1の側壁は、350℃を超える温度で100W/m・Kを超える熱伝導率係数を有する熱伝導性コアを含む、請求項1に記載のホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリ(8042)。
【請求項5】
前記燃焼領域壁、前記第1の側壁、および前記第2の側壁は、350℃を超える温度で100W/m・Kを超える熱伝導率係数を有する熱伝導性コアを含む、請求項2に記載のホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリ(8042)。
【請求項6】
前記熱伝導性コアは、銅および銅合金、モリブデン、アルミニウム銅合金、銅ニッケル合金、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される材料から製造される、請求項5に記載のホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリ(8042)。
【請求項7】
燃料電池スタック形状は、楕円形、正方形、長方形、および三角形からなる群から選択される、請求項6に記載のホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリ(8042)。
【請求項8】
前記SOFCスタックは、前記側壁によって分離されたSOFC電池の1つまたは複数の列を含む、請求項1に記載のホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリ。
【請求項9】
前記燃焼領域壁から延在し、前記少なくとも2つの列のうちの第1の列を前記側壁で囲む、第1の外側側壁と、
前記燃焼領域壁から延在し、前記少なくとも2つの列のうちの第2の列を前記側壁で囲む、第2の外側側壁とをさらに含み、
前記第1の外側側壁および前記第2の外側側壁は、熱伝導によって前記燃焼領域壁から熱を受け取り、熱を前記SOFCスタックの前記入口端に放射する、請求項8に記載のホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリ。
【請求項10】
エンクロージャ壁アセンブリを製造する方法であって、前記方法は、
a)熱伝導性コアを形成することと、
b)前記熱伝導性コアの外面が、その長手方向軸(x)に沿ってSOFCスタックに面し、前記SOFCスタックの個々の燃料電池の燃料出力端(8025)と燃料入力端(8020)との間に延在するように配置されるように、前記熱伝導性コアを成形することと、
c)保護層で前記熱伝導性コアを酸化から遮蔽し、前記熱伝導性コア間の接触が前記保護層によって酸素に富む陰極空気流への曝露から保護されるようにすることとを含む、方法。
【請求項11】
複数の熱伝導性コアを形成することをさらに含む、請求項10に記載のエンクロージャ壁アセンブリを製造する方法。
【請求項12】
前記熱伝導性コアを成形することは、前記熱伝導性コアをU字形構造に成形することを含む、請求項10に記載のエンクロージャ壁アセンブリを製造する方法。
【請求項13】
前記保護層を貫通する入力ポートを形成することをさらに含む、請求項10に記載のエンクロージャ壁アセンブリを製造する方法。
【請求項14】
一次壁アセンブリ(8045)であって、内部に陰極室(8055)を囲むように構成され、前記一次壁アセンブリの異なる領域間に延在する1つまたは複数の熱伝導経路を提供するように形成された、一次壁アセンブリ(8045)と、
前記一次壁アセンブリによって囲まれたSOFCスタック(8005)であって、前記一次壁アセンブリの第1の部分は、前記一次壁アセンブリによって囲まれた燃焼領域から熱を受け取り、前記熱を前記一次壁アセンブリの第2の部分に伝導し、前記第2の部分は、前記固体酸化物燃料電池の第1の部分に熱を放射し、熱交換によって前記一次壁アセンブリの表面を通過する陰極空気流に熱を伝達する、SOFCスタック(8005)とを含む、固体酸化物燃料電池(SOFC)システム。
【請求項15】
ホットゾーン・エンクロージャを形成する方法であって、
熱伝導経路を形成する熱伝導材料のシートを提供するステップと、
外層をその露出面に塗布することにより、前記シートを酸化から保護するステップと、
前記平坦なシートをSOFCスタックに隣接して取り付け、前記シートは前記SOFCスタックの高温部分から低温部分に延在し、前記高温部分から熱を伝導し、前記低温部分に熱を放射するようにするステップとを含む、方法。
【請求項16】
熱伝導性コア(8200)が、0.127~6.0mm(0.005~0.24インチ)の範囲の厚さを有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
熱伝導性コアを曲げてU字形要素を形成するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
保護層が、電気めっきまたは無電解めっきプロセスによって少なくとも0.0005インチ(0.0127mm)の厚さに塗布されたニッケルめっきを含み、350~1200℃の作動温度で前記保護層を通って酸素が拡散するのを防ぐ、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
保護層が、陽極酸化、溶射、プラズマ溶射、化学蒸着によって形成される、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
保護層が、熱接着、ホットプレス、コールドプレス、インパクトプレス、共圧延、または共押出しを含むクラッディングプロセスを介して形成される方法。
【請求項21】
前記外層のうちの少なくとも1つが、前記SOFCスタックの動作中に酸化物層を形成する、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
固体酸化物燃料電池(SOFC)スタック内の温度のバランスをとるためのホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリ(8042)であって、前記ホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリは、
前記SOFCスタックを出る陽極燃料および陰極空気を収集するための前記SOFCスタックの出口端の周りに燃焼領域を画定する燃焼領域壁であって、前記陽極燃料と前記陰極空気は、前記燃焼領域内で燃焼し、熱を発生し、その結果、前記熱は、前記燃焼領域壁によって吸収される、燃焼領域壁と、
前記SOFCスタックに沿って前記燃焼領域壁から延在する側壁とを含み、
前記側壁は、前記SOFCスタックの入口端に隣接する遠位端を有し、
前記吸収された熱は、伝導によって前記側壁の前記遠位端に伝わり、
前記吸収された熱は、前記SOFCスタックの前記遠位端から前記入口端へと放射され、前記SOFCスタックに沿って温度のバランスを取る、ホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリ(8042)。
【請求項23】
前記側壁に対向する前記燃焼領域壁から延在する第2の側壁と、
前記側壁(8070)および第2の側壁に結合されたホットゾーン・エンクロージャ・ベース壁(8075)と、
前記燃焼領域壁、前記側壁、および前記第2の側壁に結合されて前記SOFCスタックを囲む第1および第2のホットゾーン・エンクロージャ端壁(8080、8085)とをさらに含む、請求項22に記載のホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリ(8042)。
【請求項24】
前記燃焼領域壁は熱伝導性コアを含む、請求項22に記載のホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリ(8042)。
【請求項25】
前記熱伝導性コアは、350℃を超える温度で100W/m・Kを超える熱伝導率係数を有する、請求項24に記載のホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリ(8042)。
【請求項26】
前記熱伝導性コアは、銅、モリブデン、アルミニウム銅、銅ニッケル合金、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される材料から製造される、請求項24に記載のホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリ(8042)。
【請求項27】
前記SOFCスタックの入口端に隣接する燃料入力マニホールド(8015)をさらに含む、請求項22に記載のホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリ(8042)。
【請求項28】
前記SOFCスタックは、外部空気流源から陰極ガスを受け取るように構成され、前記陰極ガスは、前記SOFCスタック内の燃料電池の陰極層表面と反応する、請求項22に記載のホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリ(8042)。
【請求項29】
燃料電池スタック形状は、楕円形、正方形、長方形、および三角形からなる群から選択される、請求項28に記載のホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリ(8042)。
【請求項30】
前記SOFCスタックは、前記側壁によって分離されたSOFC電池の少なくとも2つの列である、請求項22に記載のホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリ。
【請求項31】
前記燃焼領域壁から延在し、前記少なくとも2つの列のうちの第1の列を前記側壁で囲む、第1の外側側壁と、
前記燃焼領域壁から延在し、前記少なくとも2つの列のうちの第2の列を前記側壁で囲む、第2の外側側壁とをさらに含み、
前記第1の外側側壁および前記第2の外側側壁は、熱伝導によって前記燃焼領域壁から熱を受け取り、熱を前記SOFCスタックの前記入口端に放射する、請求項30に記載のホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリ。
【請求項32】
エンクロージャ壁アセンブリを製造する方法であって、前記方法は、
a)熱伝導性コアを形成することと、
b)前記熱伝導性コアの外面が、SOFCスタックに面するように配置されるように、前記熱伝導性コアを成形することと、
c)保護層で前記熱伝導性コアを酸化から遮蔽し、前記熱伝導性コア間の接触が前記保護層によって酸素に富む陰極空気流への曝露から保護されるようにすることとを含む、方法。
【請求項33】
複数の熱伝導性コアを形成することをさらに含む、請求項32に記載のエンクロージャ壁アセンブリを製造する方法。
【請求項34】
前記熱伝導性コアを成形することは、前記熱伝導性コアをT字形構造に成形することを含む、請求項32に記載のエンクロージャ壁アセンブリを製造する方法。
【請求項35】
前記保護層を貫通する入力ポートを形成することをさらに含む、請求項32に記載のエンクロージャ壁アセンブリを製造する方法。
【請求項36】
軸に沿ってホットゾーンキャビティ内部に配置された細長いSOFCスタックであって、前記細長いSOFCスタックは、上端および下端を有する、細長いSOFCスタックと、
前記ホットゾーンキャビティから熱を受け取り、前記軸に沿って前記上端から前記下端に熱を伝導し、前記軸に対して放射状に前記下端に熱を放射する熱塊とを含む、固体酸化物燃料電池(SOFC)システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書における例示的で具体的な技術は、固体酸化物燃料電池(SOFC)のシステム、使用方法、およびSOFCシステムの製造方法に関するものである。特に、例示的で具体的な技術は、SOFCシステム内の熱エネルギー管理のための改善されたシステムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のSOFCシステムは、より高い作動温度(例えば、SOFC技術に応じて、動作中は350℃または500℃を超える)に維持されるシステムコンポーネントを含むか、または少なくとも部分的に取り囲むホットゾーンを含む。ホットゾーンには、SOFCエネルギー発生器または固体酸化物燃料電池スタックが収容されている。従来のSOFC燃料電池スタックは、1つまたは複数の燃料電池によって形成され、各電池は電流を生成する電気化学反応に関与する。燃料電池は、電池スタックの所望の出力電圧を提供するために、必要に応じて直列または並列に電気的に相互接続される。各燃料電池は、3つの一次層、陽極層または燃料電極、陰極層または空気電極、および陽極層を陰極層から分離する電解質層を含む。
【0003】
陽極層は、少なくとも水素ガス(H)および/または一酸化炭素(CO)を含有するガス状または蒸気状の燃料にさらされる。同時に、陰極層は、空気または他のガスなどの陰極ガスまたは蒸気状酸素(O)源にさらされる。陰極層では、陰極層に供給された酸素(空気)が電子を受け取り、酸素イオン(0-2)になる。酸素イオンは、陰極層からセラミックス電解質層を通って陽極層へと通過する。三相境界では、陽極層で、燃料によって陽極層に供給された水素(H)および/または一酸化炭素(CO)が酸化物イオンと反応して水と二酸化炭素を生成し、この反応中に放出された電子が電気と熱を生成する。燃料流の中の生成物による他の反応には、メタン、エタン、またはエチレンが含まれる場合がある。電気化学反応によって生成された電気は、電気負荷に電力を供給するためにDC電源端子に引き出される。
【0004】
一般的な陽極材料には、ニッケルとドープしたジルコニア(Ni-YSZ)、ニッケルとドープしたセリア(Ni-SDCおよび/またはNi-GDC)、銅とドープしたセリアなどのサーメットが含まれる。La0.75Sr0.25Cr0.5Mn0.53-δ(LSCM)およびその他のABO構造などのペロブスカイト陽極材料も使用できる。一般的な陰極材料には、ランタンストロンチウムコバルト酸化物(LSC)、ランタンストロンチウムコバルト鉄酸化物(LSCF)、およびランタンストロンチウムマンガナイト(LSM)が含まれる。電解質層はイオン伝導性セラミックスであり、通常はイットリアドープジルコニアまたはガドリニウムドープセリアなどの酸素イオン導電体である。あるいはまた、電解質層は、バリウムセレートまたはバリウムジコネートなどのプロトン伝導性セラミックスである。電解質層は、燃料と空気が混合して燃焼するのを防ぐために、ほぼ密閉されたバリアとして機能する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のSOFCシステムは、一般に復熱装置と呼ばれるクロスフロー型またはパラレルフロー型熱交換器を使用して、SOFCシステムに入る陰極ガス(空気)を加熱する。ガスフロー熱交換器は、ホットゾーンに入る冷たい空気とホットゾーンから出る熱い排気ガスとの間で熱エネルギーを交換することによって、ホットゾーンに入る冷たい空気を加熱する。空対空クロスフロー型熱交換器は、熱伝導による熱エネルギー伝達と比較して非効率的である。従来のSOFC発電システムは、熱エネルギー分布を管理するために、流入する陰極空気流に大きく依存している。しかしながら、陰極の空気流量は、SOFC反応を最適化するのではなく、熱エネルギーを再分配するために従来から選択されている。SOFC反応を最適化するために陰極空気の体積流量(例えば、リットル/秒)または質量流量(例えば、kg/s)を選択する場合、必要な体積流量または質量流量は、熱エネルギーを再分配するために必要な量よりも大幅に少なくなり、場合によっては、熱エネルギーの分配には、SOFC反応に必要とされるよりも300%多い陰極空気流量が必要である。SOFCシステムでより多くの体積の空気流量を使用することの1つの結果は、過剰な空気流を動かすために必要なエネルギーによる発電効率の低下である。また、過剰な空気流を加熱するために使用される熱エネルギーは、特に始動時に、SOFCスタックおよびその他の表面を加熱するために利用できない。
【0006】
従来のSOFCシステムでは、復熱装置またはガス向流熱交換器は、テールガス燃焼室から出る高温ガスを受け取り、共通の壁によって分離された向流導管でSOFCシステムに入る低温ガスを受け取るように配置されている。繰り返すが、燃焼器の熱導管壁からの高温ガスが出口ポートに通過し、導管壁が流入空気を加熱するため、対流および放射は、燃焼器の熱導管壁からの高温ガスとしての主要な熱エネルギー伝達機構である。要するに、テールガス燃焼器内部と復熱装置内部の両方での熱エネルギー交換は効率的ではない。その結果、従来のSOFCシステムは制御が難しいことで有名であり、多くの場合、燃焼エンクロージャの壁が熱くなりすぎると、壁を焼き尽くしてさえもエンクロージャの壁に損傷を与える可能性があるホットスポットが、例えば燃焼エンクロージャ内に、発生する。あるいはまた、例えば、燃料入力流量を減らし、ホットスポットを冷却するために入力陰極空気流量を増やすことにより、SOFCシステムの温度が下がったとき、SOFC反応が変化し、電力出力の低下、陽極表面に炭素の形成をもたらす不完全な燃料処理などの望ましくない動作につながることが多く、これは最終的に電気出力の低下と最終的な故障につながる。
【0007】
ホットスポットとコールドスポットに適切に対処するために、従来のSOFCシステムには、ホットスポットを回避してコールドスポットを防ぐために、温度を監視して動作を調整するために、様々なシステムポイントに配置された複数の熱電対またはサーミスタが含まれることがよくある。しかしながら、温度検知・監視システムは、SOFCシステムの作動温度が高いため(例えば、テールガス燃焼室の近くで350~1200℃)、コストがかかり、故障しがちである。さらに、SOFCシステムの損傷を回避するための手段として燃料入力を調整する必要があると、非効率的で変動する電力出力につながる。したがって、SOFCシステムの損傷を回避し、より安定した電力出力を送出し、発電効率を改善するために、温度勾配を回避し、ホットスポットを排除することが当技術分野で必要とされている。また、例えば、ホットスポットの温度を下げるために、熱エネルギー分布を管理するために燃料と空気の流量を変更することに依存しない、SOFCシステムにおける熱エネルギー管理のためのより効率的で受動的な方法を提供する必要がある。
【0008】
従来のSOFCシステムは、耐熱性と耐食性のある材料を使用して、高温での長時間の動作の影響、および金属表面を時には破壊するまで継続的に酸化する厳しい腐食環境の影響に耐える。インコネル、モネル、ハステロイなどの特殊な高温耐食性ニッケルクロム合金の使用は、SOFCシステムで一般的に使用されている。しかしながら、これらの材料は、SOFC発電機の高温の腐食しやすい環境で良好に機能するが、これらの材料は、例えば、銅、アルミニウム、モリブデンなどの、またはそれらを可能にする熱伝導性の高い材料と比較して、熱伝導率係数が非常に低い傾向がある。一例として、インコネルの熱伝導率は、概ね500℃で約370W/(m・K)~1027℃で332W/m・Kの範囲の熱伝導率を有する銅と比較して、150~875℃の温度範囲にわたって17~35W/(m・K)の範囲である。したがって、銅の熱伝導率は、インコネルの熱伝導率の10倍を超える。銅は高温非腐食性金属合金よりも高い熱伝導率を提供するが、銅は高温での酸化による破壊の影響を非常に受けやすく、したがってSOFCエンクロージャの材料としてこれまで避けられてきた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本技術は、U字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(8045)によって形成されたホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリ(8042)および2つのL字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(12045)を含むホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリ(12042)、ならびに1つまたは複数のU字形およびL字形一次エンクロージャ壁アセンブリを利用する他のホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリの実施形態(14042、15042)の構成を含む改良されたSOFCシステムの様々な実施形態を提供することによって、従来のSOFCシステムに関連する問題を克服する。各一次エンクロージャ壁アセンブリは、SOFCスタック(8005)、陰極室(8055、12055)、およびそれぞれ個々の燃料電池の燃料出力端(8025)の上方に位置する燃焼領域(8030)を囲むように形成されている。各一次エンクロージャ壁アセンブリは、燃焼領域を境界付けるように形成された燃焼領域壁(8060、12060)と、それぞれが燃焼領域壁(8060、12060)の縁部から個々の燃料電池の陰極入力端まで延在する少なくとも1つの対向する一次エンクロージャ側壁(8065、8070、12070)とを含み、SOFCスタックが、少なくともSOFCスタックの長手方向の全長(x)に沿って入力端(8020)に沿って一次エンクロージャ壁アセンブリによって取り囲まれるようにする。
【0010】
各一次エンクロージャ壁(8060、12060)、(8065)、および(8070、12070)は、その露出面に塗布された外層による酸化から保護された熱伝導性コア(8200)を含む。熱伝導性コア(8200)は、100W/(m・K)よりも大きい、好ましくは200W/(m・K)よりも大きい熱伝導率係数を有する1つまたは複数の材料を含む。熱伝導性コアは、銅またはモリブデン、またはアルミニウム銅または銅ニッケル合金、またはそれらの組み合わせから形成される。熱伝導性コアの厚さは、0.127~6.0mm(0.005~0.24インチ)の範囲である。
【0011】
熱伝導性コア(8200)の酸化を防ぐために、コア部分(8205、8210、8215、12010、12015、12017)はそれぞれ、熱伝導性コアの露出面にわたって塗布されたまたは露出面に取り付けられた保護層によって保護される。保護層は、少なくとも0.0005インチかつ最大0.002インチの範囲の厚さに、電気めっきプロセスによって各コア部分の表面に塗布されるニッケルめっきを含むことができる。代替的に、または追加的に、保護層は、3つのコア部分(8205)、(8210、12010)、および(8215、12015、1 2017)の各露出面と嵌合接触して配置された1つまたは複数の金属シートを含む。金属シートは、熱伝導性コアのコーティングされていない表面に直接塗布されるか、熱伝導性コアの電気めっきされた表面に塗布される。内側保護板金層(8220)は、内側保護層(8220)の内面がSOFCスタックに向いた状態で、3つのコア部分(8205)、(8210)、(8215)の各内面に付着するように形成されたU字形構造として製造される。外側保護層(8250)は、2つの実質的に同一の外側側壁部分(8255)および(8260)と、外側上部(8265)とを含む。3つの外側保護層部分は、互いに結合され、熱伝導性コアの対応する外面と共に結合されると、熱伝導性コア(8200)の外面に取り付けて、酸素が豊富な陰極空気流への曝露から熱伝導性コア(8200)の外面を保護するように形作られたU字形の板金構造を形成する。好ましくは、外側保護層の内面は、SOFCスタックとは反対側を向いている熱伝導性コアの対応する外面と嵌合接触している。内側保護層(12220)および外側保護層(12250)の第2の実施形態もまた、本明細書に記載されている。
【0012】
内側保護層と外側保護層の各々の壁部分は、例えば、米国イリノイ州アルシップのRolled Metal Productsから流通されている、Alloy18 SR(登録商標)ステンレス鋼などのフェライト鋼で製造される。Alloy18 SR(登録商標)ステンレス鋼は、1.5~2.5重量パーセントの範囲でアルミニウムを添加することにより達成された耐スケーリング性および耐食性が向上した高温用途向けに設計されたアルミニウム安定化フェライト系ステンレス鋼である。Alloy18 SR(登録商標)ステンレス鋼は、SOFCシステム(8000)の作動温度および条件下で、添加されたアルミニウム含有量が、内側保護層および外側保護層の露出表面の酸化を防ぐ酸化アルミニウムの表面層を有利に形成し、これは、酸化を防ぎ、Alloy18 SR(登録商標)ステンレス鋼からのクロムの浸出を防ぐため、好ましい。
【0013】
各ホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリ(8042、12042、14042、15042)は、任意選択で、陰極室(8055、12055)をさらに取り囲む端壁(8080、8085)および底壁(8075)を含むか、または陰極室は、端壁(9020、9025)および底壁(9010)を含む中間エンクロージャ(9000)によってさらに囲まれる。端壁(8080、8085)およびベース壁(8075)は、提供される保護層で構成された熱伝導性コアを含み、コア材料への酸化損傷を防止することができる。
【0014】
本技術の構成は、技術の詳細な説明および例示の目的で選択され、添付の図面に示されているその例示的な実施形態から最もよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本技術に係る第1の例示的なSOFCシステムの概略図を示す。
図2】本技術に係るSOFCシステムの例示的なホットゾーンの概略図を示す。
図3】本技術に係るSOFCシステムの例示的な燃料流路の概略図を示す。
図4】本技術に係るSOFCシステムの例示的な空気流路の概略図を示す。
図5A】本技術に係るSOFCシステムの第1の例示的なホットゾーン外壁を通る断面図を示す。
図5B】本技術に係るSOFCシステムの第2の例示的なホットゾーン外壁を通る断面図を示す。
図5C】本技術に係るSOFCシステムの熱伝導性塊を含む例示的な底部管支持壁を通る断面図を示す。
図5D】本技術に係るSOFCシステムの熱伝導性塊を含む例示的な燃焼領域端壁を通る断面図を示す。
図5E】本技術に係るSOFCシステムの熱伝導性塊を含む例示的な燃焼領域底壁を通る断面図を示す。
図6】本技術に係る2つの同心円形パターンに配置された複数の棒状燃料電池を有するSOFCシステムの概略上面断面図を示す。
図7A】本技術に係る単一のSOFCスタック上に配置された第1のU字形一次エンクロージャ壁アセンブリを含む第1の改良された燃料電池システムを概略的に示す。
図7B】矢印の付いた破線が、U字形の一次エンクロージャを通る合成ガスの流れと熱伝導性熱の流れを示し、矢印の付いた実線が、陰極ガスの流れと高温領域からの放射放出を示す、本技術に係る図7Aの第1の改良された燃料システムを概略的に示す。
図8A】本技術に係るホットゾーンアセンブリの中間エンクロージャの等角投影図を示す。
図8B】本技術に係る一次エンクロージャ壁アセンブリを通る断面図を示す。
図9A】本技術に係る改良されたホットゾーン構成の等角側面図を示す。
図9B】本技術に係るホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリ内に陰極を受け入れるための陰極流路の詳細な等角側面図を示す。
図9C】本技術に係る一次エンクロージャアセンブリの分解等角図を示す。
図10A】試験固定具燃料電池を操作してDC電流出力を生成するときに、SOFCスタック軸に沿った5点で燃料電池温度を測定するために使用されるSOFCスタック試験固定具を概略的に示す。
図10B】熱伝導性コアなしで試験固定具を操作した場合(黒で図示)と、熱伝導性コア層を取り付けた状態で試験固定具を操作した場合(斜線で図示)のSOFCスタック軸に沿った5点での燃料電池温度の比較をグラフで示す。
図11A】本技術の熱伝導性コアを使用しない場合の2.5時間の始動およびシャットダウンサイクルにわたるSOFCスタック軸に沿った5つの位置での温度測定をグラフで示す。
図11B】本技術の熱伝導性コアを使用した場合の2.5時間の始動およびシャットダウンサイクルにわたるSOFCスタック軸に沿った5つの位置での温度測定をグラフで示す。
図12】本技術の一態様に係る2つのSOFCスタック上に配置されたT字形一次エンクロージャ壁アセンブリを含む燃料電池システムを概略的に示す。
図13】本技術の一態様に係る、T字形一次エンクロージャ壁の2つの半分を含み、各々の半分がSOFCスタックおよび他の陰極室部分を取り囲むホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリの等角側面図を示す。
図13A】本技術の一態様に係る、組み立てられたL字形一次エンクロージャ壁アセンブリの等角側面図を示す。
図13B】本技術の一態様に係る、T字形一次エンクロージャ壁アセンブリの半分の分解等角側面図を示す。
図14】本技術の一態様に係る、1つのSOFCスタック上に配置されたL字形の一次エンクロージャ壁アセンブリを含む燃料電池システムを概略的に示す。
図15】本技術の一態様に係る、U字形の一次エンクロージャ壁アセンブリによってそれぞれが取り囲まれた2つのSOFCスタックを含む燃料電池システムを概略的に示す。
図16A】本技術の一態様に係る、図12図14、および図15のホットゾーンアセンブリを取り囲むための外側エンクロージャの側面等角図を示す。
図16B】本技術の一態様に係る、図12図14、および図15のホットゾーンアセンブリを取り囲むための外側エンクロージャおよび中間エンクロージャの分解側面等角図を示す。
図17】本技術の一態様に係る、図12図14、および図15のホットゾーンアセンブリを取り囲むための中間エンクロージャの分解側面等角図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
定義
特に明記されていない限り、以下の定義が全体を通して使用される。
【表1】
【0017】
特に明記されていない限り、以下の符号が全体で使用される。
【表2-1】

【表2-2】

【表2-3】

【表2-4】
【0018】
図1を参照すると、本技術の第1の実施形態の概略図は、固体酸化物燃料電池(SOFC)システム(100)を示す。システム(100)は、少なくとも1つのSOFC燃料電池、好ましくは、高い作動温度に維持されたSOFCスタックを形成する複数の燃料電池を含むホットゾーン(105)と、燃料入力および排気モジュール、DC電源出力モジュール、およびその他の制御要素を含むコールドゾーン(110)とを含む。ホットゾーン・エンクロージャ壁(115)は、内部にホットゾーンキャビティ(120)を囲むように配置されている。断熱層(130)がエンクロージャ壁(115)を取り囲み、ホットゾーン(105)を断熱する。断熱層(130)とホットゾーン・エンクロージャ壁(115)の側壁との間にエアギャップ(125)が提供され、エアギャップは、ガスがホットゾーン・エンクロージャ壁の外面上を流れるためのガス流導管を提供する。
【0019】
本技術の重要な一態様によれば、以下に説明するホットゾーン・エンクロージャ壁(115)および関連する熱エネルギー管理要素は、ホットゾーン・エンクロージャ壁(115)を介した熱伝導によるホットゾーンのすべての領域への熱エネルギー伝達のための熱伝導経路を提供するために、互いに熱連通している。より具体的には、ホットゾーン・エンクロージャ壁(115)および以下に説明する任意の熱エネルギー管理要素は、例えば、350~1200℃の範囲の温度で100~300W/(m・K)、好ましくは200W/(m・K)を超える高い熱伝導率係数を有する材料を含む。したがって、以下に説明するホットゾーン・エンクロージャ外壁および他の熱エネルギー管理要素は、銅、モリブデン、アルミニウム銅、銅ニッケル合金、またはそれらの組み合わせのうちの1つまたは複数から製造される。具体的には、ホットゾーン・エンクロージャ壁(115)および関連する熱エネルギー管理要素は、ホットゾーンのある領域から別の領域への熱エネルギーの迅速な伝導のための熱伝導経路を提供するように構成される。より具体的には、ホットゾーン・エンクロージャ壁(115)および関連する熱エネルギー管理要素は、ホットゾーンの高温領域からホットゾーンの低温領域に熱エネルギーを迅速に伝導することによってホットゾーン内の熱エネルギーを管理するように構成され、ホットゾーン全体が、従来のSOFCシステムで一般的であるよりも均一な温度に維持されるようにする。
【0020】
1つまたは複数の固体酸化物燃料電池(SOFC)または他のタイプの燃料電池を含む電気化学エネルギー発生器または燃料電池スタック(135)は、ホットゾーン(105)内に取り囲まれ、以下に説明する1つまたは複数の支持要素によってエンクロージャ壁(115)に対して支持される。燃料電池スタック(135)は、1つまたは複数の燃料電池を含み、各電池は、電流を生成する電気化学反応に関与している。燃料電池は、必要に応じて直列または並列に電気的に相互接続され、電池スタック(135)の所望の出力電圧を提供する。各燃料電池は、3つの一次層、陽極層または燃料電極(150)、陰極層または空気電極(155)、および陽極層を陰極層から分離する電解質層(145)を含む。
【0021】
陽極層(150)は、少なくとも水素ガス(H)および/または一酸化炭素(CO)を含むガス状または蒸気状の改質物などの反応物に曝露される。同時に、陰極層(155)は、空気または蒸気状酸素(O2)源または他の任意の酸化性ガスに曝露される。陰極層(155)では、陰極層に供給された酸素(空気)が電子を受け取り、酸素イオン(O-2)になる。陰極反応は、1/2O+2e=O-2であり、OIIと表記されることもある。
【0022】
酸素イオンは、電解質層(145)を通って陰極層から陽極層(150)へと通過する。陽極層では、燃料によって陽極層に供給された水素(H)および/または一酸化炭素(CO)が酸化物イオンと反応して水と二酸化炭素を生成し、この反応中に放出された電子が電気と熱を生成する。電気化学反応によって生成された電気は、電気負荷に電力を供給するためにDC電流出力端子(140)に引き出される。
【0023】
一般的な陽極材料には、ニッケルとドープしたジルコニア、ニッケルとドープしたセリア、銅とセリアなどのサーメットが含まれる。SrMg1-xMnMoO6-δまたはLa0.75Sr0.25Cr0.5Mn0.53-δなどのペロブスカイト陽極材料も使用できる。一般的な陰極材料には、ランタンストロンチウムコバルト酸化物(LSC)、ランタンストロンチウムコバルト鉄酸化物(LSCF)、およびランタンストロンチウムマンガナイト(LSM)が含まれる。電解質層はイオン伝導性セラミックスであり、通常はイットリアドープジルコニアまたはガドリニウムドープセリアなどの酸素イオン導電体である。あるいはまた、電解質層は、バリウムセレートまたはバリウムジコネートなどのプロトン伝導性セラミックスである。あるいは、電解質層は、バリウムセレートまたはバリウムジコネートなどのプロトン伝導性セラミックスである。電解質層は、燃料と空気が混合して燃焼するのを防ぐために、ほぼ密閉されたバリアとして機能する。電解質層は、燃料と空気が混合して燃焼するのを防ぐために、ほぼ密閉されたバリアとして機能する。
【0024】
一般的に、各燃料電池は、支持体または機械的構造要素として形成された陽極層(150)、陰極層(155)、または電解質層(145)のうちの1つで構成され、他の2つの層は、例えば、浸漬、噴霧などによって、支持要素上にコーティングされる。各燃料電池が、陽極層(150)が円筒形導管の内径を形成する円筒形ガス導管を形成する中空管として構成された陽極支持要素を含み、セラミックス電解質層(145)が構造的陽極層(150)の外径上にコーティングされ、陰極層(155)が電解質層(145)の外径上にコーティングされる、図2に示される非限定的な例示的な一実施形態を含む様々な支持要素構造が使用可能である。
【0025】
少なくとも水素(H)および/または一酸化炭素(CO)を含む燃料は、陽極層と接触している中空セラミックス管を通って流れ、空気は、陰極層と接触している中空管の表面上および外面を流れる。上記のように電流が生成される。
【0026】
図2の特定の電池スタックは複数の管状燃料電池を含むが、異なる既知の形状因子を有する燃料電池によって形成された他の電池スタックは、本技術から逸脱することなく使用可能である。これらは、各電池が、他の層が支持層上にコーティングされたシート形状の支持層と、他の層が支持層上にコーティングされた隣接する平坦な支持層間に配置されたセパレータとを含む、スタック内に形成された複数の平坦なシート型燃料電池から形成された燃料電池スタック(135)を含むことができる。
【0027】
供給燃料入力ライン(160)は、コールドゾーン(110)に貯蔵された供給燃料容器または外部供給燃料源から受け取ったガス状または蒸気状炭化水素燃料を含む供給燃料(8050)を送出する。電子コントローラ(190)と通信する供給燃料送出コントローラ(197)は、供給燃料入力レートを制御し、供給燃料を空気と混合するために、必要に応じて供給燃料入力体積または質量流量を調整するために、コールドゾーン内の供給燃料入力ライン(160)に沿って配置される。供給燃料入力ライン(160)は、燃料処理のために供給燃料・空気混合物(2025)を燃料改質器(165)に送出する。供給燃料・空気混合物(2025)は、燃料改質器(165)に流され、燃料改質器(165)は、混合物(2025)を分解して、以降燃料(2027)と呼ばれる改質物を形成する。燃料(2027)は、SOFCスタックの陽極表面との化学反応に適した反応物である。燃料(2027)または改質物には、通常、H、CO、CO、およびHOと微量のCHおよびその他の炭化水素の混合物が含まれている。他の改質物の内容物には、メタン、エタン、またはエチレンが含まれ得る。代替の一実施形態では、供給燃料(8050)は、主に水素(H)を含み、追加の成分をほとんどまたは全く含まず、改質器(165)は必要とされない。燃料改質器から、または供給燃料源から直接受け取った燃料は、陽極層(150)との電気化学反応のために陽極層(150)の表面を通過する。
【0028】
陰極ガス入力ライン(170)は、周囲空気または別の酸素源などのガス状または蒸気状の酸素を、例えば、吸気ファンなどを介して、コールドゾーン(110)に送出する。電子コントローラ(190)と通信する空気送出コントローラ(198)は、必要に応じて空気入力体積または質量流量を調整するために、任意選択でコールドゾーンの空気入力ライン(170)に沿って配置される。空気入力ライン(170)は、室温の空気を復熱装置(175)に送出し、復熱装置(175)は、高温ゾーンを出る高温ガスと流入する低温空気との間の熱エネルギー交換によって入力空気を加熱する。加熱された流入空気は、陰極層(155)との化学反応のために陰極層(155)の表面を通過する。
【0029】
使用済み燃料と酸素減少空気の両方が燃料電池スタック(135)を出て、燃焼領域またはテールガス燃焼器(180)内で混合する。テールガス燃焼器(180)に送出された未反応燃料と未反応空気の混合物は、その中で自然発火し、局所的に熱エネルギーを生成する。以下に詳述する燃焼器壁は、例えば、100~300W/(m・K)、好ましくは200W/(m・K)を超える、高い熱伝導率係数を有する材料を含む。また、燃焼器壁は、燃焼器(180)内部の燃焼によって生成された熱エネルギーが燃焼器壁を高温に加熱し、それがホットゾーン・エンクロージャ壁(115)を介した伝導性熱エネルギー伝達によってホットゾーンのすべての領域への熱エネルギー伝達を迅速に開始するように、ホットゾーン・エンクロージャ壁(115)と熱連通している。
【0030】
高温ガスを含むテールガス燃焼器(180)から出る燃焼副生成物は、復熱装置(175)に送出される。復熱装置は、燃焼高温副生成物からより冷たい流入空気に熱エネルギーを伝達するために提供される向流導管を備えたクロスフロー型熱交換器を含み、それにより、流入空気がSOFC燃料電池スタック(135)に入る前に流入空気を加熱する。復熱装置(175)を通過した後、燃焼副生成物は排気ポート(185)を通して排出される。
【0031】
熱電対または他の温度センサ(157)がエンクロージャ壁(115)の表面に取り付けられて、その温度を感知し、温度情報が電子コントローラ(190)に伝えられる。コントローラ(190)は、供給燃料送出コントローラ(197)、または空気送出コントローラ(198)および電力出力検出器などに結合された、1つまたは複数の電気的に操作可能なガス流バルブ、ガス流量検出器および/または変調器などの他の電子要素、およびSOFC(100)の様々な動作パラメータを制御するために必要とすることができる他の要素と通信している。電子コントローラ(190)は、DC電流出力ならびに熱電対で測定された温度を監視し、さらに、温度を制御する手段として、供給燃料入力および空気流量を変化させるように動作する。
【0032】
また、任意選択のコールドスタートモジュール(195)を提供して、始動時に入力供給燃料および/または空気を予熱することができる。コールドスタートモジュール(195)は、エンクロージャ壁を予熱するために供給燃料の一部を点火するために使用可能な供給燃料点火装置とすることができ、SOFCまたはコールドスタートモジュール(195)、または両者は、入力燃料を予熱するために使用可能な電気ヒーターを含むことができる。
【0033】
例示的なホットゾーンアーキテクチャ
ここで図2に目を向けると、本技術に係る、改良されたSOFCシステムホットゾーン(2000)の第1の非限定的な例示的な実施形態は、ホットゾーンキャビティ(2010)内に取り囲まれた複数の個別の燃料電池を含むSOFC燃料電池スタック(2005)を含む。ホットゾーンキャビティ(2010)は、エンクロージャ壁(2015)に囲まれており、エンクロージャ壁は、銅、モリブデン、アルミニウム銅、銅ニッケル合金、またはそれらの組み合わせのうちの1つまたは複数で形成されている。エンクロージャ壁は、熱エネルギーがホットゾーンから出るのを制限する断熱層(2012)で取り囲まれる。ホットゾーン・エンクロージャ壁(2015)と断熱層(2012)の間にエアギャップ(2155)が配置される。エアギャップ(2155)は、ホットゾーン出口ポート(2165)に通じる流体流れ導管を提供し、ホットゾーンから排気ガスを運ぶために使用される。
【0034】
エンクロージャ壁(2015)は、100~300W/(m・K)、好ましくは200W/(m・K)を超える熱伝導率係数を有する材料を含む熱伝導経路を提供するように構成される。さらに、熱伝導経路は、ホットゾーンの各領域の温度差を狭めるために、ホットゾーンの高温領域からホットゾーンの低温領域に熱エネルギーを伝導するのに適した熱エネルギー導管として機能するように配置される。
【0035】
改質器
非限定的な例示的な本実施形態のホットゾーンキャビティ(2010)は、側壁(2002)、上壁(2004)および底壁(2006)を含むホットゾーン・エンクロージャ壁(2015)によって境界付けられた缶形の円筒形容積である。ホットゾーン(2000)は、使用しているSOFC反応に応じて350℃を超えるまたは500℃を超える温度で最も効率的に動作し、350~1200℃の範囲の温度で動作することができる。したがって、本技術のホットゾーンの要素はそれぞれ、その要素に期待される最高温度、例えば、いくつかのゾーンでは350℃、燃料改質器内部(例えば、触媒反応に近接している)、または燃焼領域内部では最大1200℃で確実に動作するように構成される。
【0036】
本技術の好ましい非限定的な例示的な一実施形態によれば、発熱反応を使用して供給燃料・空気混合物(2025)を改質する燃料改質器(2020)が、燃料電池スタック(2005)の燃料電池の各々に送出するための燃料(2027)または改質物を生成するために供給燃料を改質するためにホットゾーンの内部または部分的に内部に提供される。例示的な本実施形態の改質器(2020)は、そこに送出される供給燃料・空気混合物(2025)を部分的に燃焼させる触媒部分酸化(CPOX)反応器を含む。供給燃料改質プロセスは、水素に富む燃料(2027)、例えば、改質物を生成する。CPOX反応器は、その内面にコーティングされたロジウム(Rh)の金属相または酸化物相または他の適切な触媒(例えば、Pt、Pd、Cu、Ni、Ru、およびCe)などの触媒媒体(2040)を含む。CPOX反応器を通過する供給燃料・空気混合物(2025)は、触媒媒体(2040)でコーティングされた表面を通過するときに触媒され、反応によって放出された熱が放射され、ホットゾーン・エンクロージャ壁(2015)に熱伝導され、燃料電池スタックを加熱するのを助長する。
【0037】
CPOX改質器(2020)は、円筒形触媒キャビティ(2035)を囲む改質器エンクロージャ壁(2030)を含む。円筒形触媒キャビティ(2035)は、内部で触媒媒体(2040)を支持する。本実施形態の例では、触媒媒体(2040)は、その露出面を適切な触媒でコーティングした正方形セル押し出しモノリスである。モノリスは、流入する供給燃料・空気混合物(2025)が、触媒作用のために正方形セル押し出しモノリスの露出面を通過して流れるように配置される。他の適切な触媒構造は、複数の平行板または同心リング構造、またはその露出面を触媒剤でコーティングして形成された焼結または押し出し要素などの多孔質金属またはセラミックス発泡体構造を含むことができる。あるいはまた、触媒構造は、触媒剤でコーティングされた露出面を有する複数のメッシュスクリーンを含むことができる。供給燃料・空気混合物(2025)は、改質器入力ポート(2045)を通って改質器(2020)に入り、触媒表面との接触によって改質するために触媒媒体(2040)を通って流れる。改質された燃料または改質物、以降「燃料」は、改質器出口ポート(2050)を通って改質器から出て、燃料入力マニホールド(2055)に流れ込む。
【0038】
非限定的な例示的な本実施形態では、改質器エンクロージャ壁(2030)は、円筒形または正方形の断面の触媒キャビティ(2035)を取り囲む円筒形または正方形の壁を含む。触媒媒体(2040)は、流入する供給燃料・空気混合物(2025)が触媒表面を通過して触媒構造を通って流れることを強いるように配置された触媒キャビティ(2035)の内側に支持される。断熱要素(2065)は、触媒キャビティ(2035)の外面を取り囲むように配置される。断熱要素(2065)は、熱エネルギーが触媒キャビティ(2035)に出入りするのを制限するために提供される。改質器エンクロージャ壁(2030)は、インコネルなどの高温鋼合金、高温銅合金(例えば、モネル)、または他の適切な高温材料を含むことができる。
【0039】
SOFC燃料電池スタック
SOFC燃料電池スタック(2005)は、缶形のホットゾーン・エンクロージャ壁(2015)の内側で支持されている。複数の棒状燃料電池(2080)が、陰極室(2090)の内側に長手方向に支持されている。陰極室(2090)は、ホットゾーン・エンクロージャ側壁(2002)と、一対の対向する円盤状の上部管支持壁(2070)および底部管支持壁(2075)によって境界付けられた円筒形室である。各管支持壁(2070、2075)は、溶接またはろう付けによって、ブラケット取り付けおよび機械式締結によってなど、適切な取り付け手段によって、側壁(2002)に取り付けられるか、またはクランプ力などによって締結具なしで所定の位置に保持される。好ましくは、燃料電池スタック(2005)は、ホットゾーン・エンクロージャ壁(2015)に設置する前に組み立てられ、例えば、必要に応じて電池スタックを修復または検査するために、ユニットとしてホットゾーン・エンクロージャ壁(2015)から取り外し可能である。したがって、上部および底部管支持壁(2070、2075)は、図示されない対向するエンドストップの間の所定の位置に捕捉することができる。上部管支持壁(2070)は、複数の棒状燃料電池(2080)の各々の上部または入力端と機械的に係合し、それを固定的に支持する。上部支持壁(2070)と複数の燃料電池入力端の各々との間の機械的インターフェースは、燃料入力マニホールド(2055)内の供給燃料・空気混合物(2025)が陰極室(2090)に入るのを防ぐために、実質的に気密インターフェースである。上部管支持壁(2070)は、好ましくはインコネルで形成される。また、上部エンドキャップ(2095)の各々もインコネルで形成されており、これは、高温環境でのクリープを回避するための効果的な材料である。底部管支持壁(2075)は、複数の棒状燃料電池(2080)の各々の底部または出力端と機械的に係合し、それを移動可能に支持する。特に、各燃料電池(2080)の出力端は、燃料電池が350~1200℃の間の作動温度まで加熱されるときの各燃料電池の長さの変化に対応するために、底部管支持壁(2075)に対して長手方向に移動可能である。本技術で使用可能な管支持システムの例は、「柔軟なロッド支持構造を備えた固体酸化物燃料電池(SOLID OXIDE FUEL CELL WITH FLEXIBLE ROD SUPPORT STRUCTURE)」と題され、2013年6月26日に出願された、関連する米国特許出願第13/927,418号においてPalumboによって開示されている。
【0040】
ここで図2および図5Cを参照すると、底部管支持壁(2075)は、100W/(m・K)を超える、好ましくは、200W/(m・K)を超える熱伝導率係数を有する1つまたは複数の材料(例えば、銅、モリブデン、アルミニウム銅、銅ニッケル合金、またはそれらの組み合わせのうちの1つまたは複数)を含む円盤状熱伝導性塊(2180)を含む。円盤状熱伝導性塊(2180)は、図5Cに関連して以下で説明する上部保護表面層(5045)および底部保護表面層(5050)によって保護される。非限定的な例示的な一実施形態では、各上部保護表面層(5045)および底部保護表面層(5050)は、円盤状熱伝導性塊(2180)と熱伝導性接触する別個の円盤状要素を含む。具体的には、陰極室(2090)に面する上面層(5045)は、モネルなどの円盤状のクロムを含まない高温金属合金で構成され、燃焼領域(2135)またはテールガス燃焼器に面する底面層(5050)は、ハステロイ合金などの円盤状の高温耐食性金属で構成される。
【0041】
好ましくは、上部保護表面層(5045)および底部保護表面層(5050)はそれぞれ、ホットゾーン・エンクロージャ円筒形側壁(2002)とも熱伝導性接触している熱伝導性塊(2180)と熱伝導性接触している。したがって、燃料空気混合物がテールガス燃焼器または燃焼領域(2135)内で燃焼されると、燃焼によって生成された熱エネルギーが燃焼領域(2135)を取り囲む壁に放射され、取り囲む壁から熱伝導性塊(2180)へ、およびホットゾーン・エンクロージャ壁(2015)を介してホットゾーンの他の領域へ熱伝導される。また、熱伝導性塊(2180)から放出された熱エネルギーは、陰極室(2090)に放射され、そこで陰極ガスまたはそこを通って流れる空気を加熱し、内部に取り囲まれた燃料電池の表面を加熱する。
【0042】
棒状燃料電池(2080)はそれぞれ、陽極層が支持層である管状環状壁(2085)を含む。管状環状壁(2085)は両端が開いている。管状環状壁(2085)は、陰極室(2090)を通って延在する燃料導管を形成し、そこを通って燃料(2027)を運ぶ。正方形、三角形、五角形、六角形などを含む他の棒形状は、本技術から逸脱することなく使用可能である。また、構造の完全性を提供するために、他の支持層が使用可能である。各燃料電池は、2つの金属エンドキャップ(2095)および(2100)または管状環状壁(2085)の2つの対向する端部の各々に取り付けられた1つのエンドキャップを備えた管マニホールドアダプタを含む。
【0043】
各エンドキャップ(2095)および(2100)または管マニホールドアダプタは、カップ形状の取り付け端(2105)およびジャーナル形状の支持端(2110)を含む。取り付け端(2105)は、内部に環状壁(2085)の外径を受け入れるサイズの止まり穴を含む。各取り付け端(2105)は、圧入または締まりばめ、またはホットゾーンの作動温度(350~1200℃)に適した材料を使用したろう付けまたは接着剤接合などの別の締結手段によって棒端部に固定的に取り付けられる。ジャーナル形状の支持端(2110)は、入力側の上部管支持壁(2070)を通過する対応する貫通穴および出力側の底部管支持壁(2075)を通過する対応する貫通穴と係合するサイズの外径で形成された環状壁を含む。ジャーナル形状の支持端(2110)は、そこを通過する貫通穴をさらに含み、棒状燃料電池の上端で電池入力ポート(2115)として、または棒状燃料電池(2080)の底端で電池出力ポート(2120)として機能する。好ましくは、エンドキャップ(2095および2100)または管マニホールドアダプタは、それぞれが燃料電池と熱的に適合性のある高温低Cr耐食性金属合金を含む。キャップは、Cr汚染を防ぐために、金属キャップ上にセラミックスコーティングで構成することができる。
【0044】
図2および図3を参照すると、各燃料電池(2080)の上端キャップ(2095)は、環状壁(2085)の外径がエンドキャップ(2095)を介して電気リード線(2125)上のDC電流出力端子(140)のうちの1つと電気的連通するように、環状壁(2085)または陰極層の外径との電気的連通を提供し得る。第2の電気リード線(2130)は、環状壁(2085)または陽極層の内径、およびDC電流出力端子(140)の異なる端子と電気的に連絡している。また、電気絶縁体(図示せず)が各エンドキャップ(2095)および(2100)と対応する上部管支持壁(2070)および底部管支持壁(2075)との間に提供され、ホットゾーン・エンクロージャ壁(2015)を燃料電池スタック(2005)によって生成中の電流から電気的に絶縁する。
【0045】
各棒状燃料電池は、内径および外径によって形成された構造的陽極材料層である陽極支持層を含む環状壁(2085)によって形成される。陽極支持層は、前述のように、サーメットを含むことができる。陽極支持層環状壁(2085)の外径は、イットリア安定化ジルコニアまたはセリウム(Ce)などのセラミックス電解質層またはランタンガレートベースのセラミックスで少なくとも部分的にコーティングされている。セラミックス電解質層の外径は、例えば、ランタンストロンチウムコバルト酸化物(LSC)、ランタンストロンチウムコバルト鉄酸化物(LSCF)、ランタンストロンチウムマンガナイト(LSM)などの陰極材料層で少なくとも部分的にコーティングされている。
【0046】
システムホットゾーン(2000)の第2の非限定的な例示的な一実施形態では、ホットゾーン・エンクロージャ壁および内部端壁の機械的構造は、図2に示され、上記で説明されたものと同様であるが、陽極層と陰極層は、セラミックス電解質層の反対側にある。具体的には、第2の実施形態では、陽極支持層環状壁(2085)の内径は、(外径とは対照的に、)イットリア安定化ジルコニアまたはセリウム(Ce)などのセラミックス電解質層またはランタンガレートベースのセラミックスで少なくとも部分的にコーティングされており、セラミックス電解質層の内径は、例えば、ランタンストロンチウムコバルト酸化物(LSC)、ランタンストロンチウムコバルト鉄酸化物(LSCF)、ランタンストロンチウムマンガナイト(LSM)などの陰極材料層で少なくとも部分的にコーティングされている。この例示的な実施形態では、環状壁(2085)の陽極支持層は、各燃料電池の外径であり、各燃料電池の内径は、陰極層である。したがって、第2の例示的な実施形態では、陰極室(2090)は陽極室になり、燃料は陽極室に送出され、一方、陰極ガス、空気は棒状の燃料電池を通って流れる。
【0047】
燃料(2027)は、電流の流れを生成するために、酸素含有ガス(例えば、空気)である陰極ガスが陰極材料層上を流れる間、陽極材料層上を流れる。電流の流れは、電池スタックから出て電気リード線(2125)および(2130)を経由してDC電流出力端子(140)へと通過し、外部装置に電力を供給するために使用され得る。上記で簡単に説明した第2の実施形態などの他の実施形態では、陽極表面および陰極表面は、燃料電池の内径上の陰極層および燃料電池の外径上の陽極層、および燃料電池によって形成されたガス流導管を通って流れる空気および燃料電池の外面上を流れる燃料によって、本技術から逸脱することなく反転させることができることに留意されたい。
【0048】
燃料入力マニホールド(2055)は、円盤状上壁(2170)および対向する円盤状上部管支持壁(2070)によって境界付けられた円筒形室を含む。円盤状燃料入力マニホールド上壁(2170)は、熱伝導性塊(2160)を含む。熱伝導性塊(2160)は、銅、モリブデン、アルミニウム銅、銅ニッケル合金、またはそれらの組み合わせのうちの1つまたは複数などの、100W/(m・K)を超える、好ましくは200W/(m・K)を超える熱伝導率係数を有する1つまたは複数の材料を含む。熱伝導性塊(2160)は、ホットゾーンエン・クロージャ壁(2015)、特に側壁(2002)と熱伝導性連通している。熱伝導性塊(2160)は、始動時に環状コールドスタート燃焼室(2305)内で燃焼される燃料から熱エネルギーを受け取るために、およびそこから受け取った熱エネルギーをホットゾーン外壁(2015)に熱伝導するために、以下に説明する環状コールドスタート燃焼室(2305)に近接して配置される。また、熱伝導性塊(2160)は、環状コールドスタート燃焼室(2305)内の燃料燃焼から受け取った熱エネルギー、および燃料入力マニホールド(2055)を通過するときに、ホットゾーン・エンクロージャ壁を介する燃料(2027)への熱伝導によって受け取った熱エネルギーを放射する。
【0049】
上部管支持壁(2070)は、各燃料電池上部エンドキャップ(2095)のジャーナル形状の支持端(2110)と気密シールを形成する。また、燃料電池(2080)はそれぞれ、ジャーナル形状の支持端(2110)またはそこを通るマニホールドアダプタを受け入れるための貫通穴を含む上部管支持壁(2070)に形成された機械的インターフェースによって上部管支持壁(2070)から固定的に吊るされている。また、燃料入力マニホールド(2055)は、側壁(2002)によって境界付けられている。
【0050】
本例示的実施形態は、発熱反応を使用して供給燃料を改質するCPOX改質器(2002)を利用するので、改質器(2020)は、燃料がホットゾーンに入るときに流入する供給燃料・空気混合物(2025)を加熱するためにホットゾーン(2000)内部に有利に配置される熱エネルギー源である。しかしながら、本技術のSOFCシステムの他の実施形態では、改質器(2020)は、吸熱反応(例えば、水蒸気改質器)か、または熱的に中性の反応(例えば、燃料を改質するための自動熱改質器)を利用することができ、これらの場合、改質器(2020)は、ホットゾーン(2000)の外側に配置し、代わりに図1に示されるコールドゾーン(110)に配置することができる。したがって、本技術の改良されたホットゾーン(2000)は、本技術から逸脱することなく、改質器(2020)なしで動作することができる。
【0051】
テールガス燃焼器
テールガス燃焼器または燃焼領域(2135)は、熱塊(2180)を含む円盤状底部管支持壁(2075)(両者とも上記され、図2に図示される)と、これもまた熱塊(2175)も含む円盤状燃焼器端壁(2140)との間に配置された環状容積である。両方の熱塊(2180)および(2175)は、銅、モリブデン、アルミニウム銅、銅ニッケル合金、またはそれらの組み合わせなど、100W/(m・K)を超える、好ましくは200W/(m・K)を超える熱伝導率係数を有する1つまたは複数の材料を含む。熱塊(2180)および(2175)は、燃焼領域(2135)から熱エネルギーを受け取るように配置され、燃焼領域から受け取った熱エネルギーをホットゾーン・エンクロージャ壁(2015)に伝導し、ならびに燃焼領域から受け取った熱エネルギーを陰極室(2090)および復熱装置室(2210)に放射するように構成される。
【0052】
環状燃焼器バッフル(2185)は、燃焼領域(2135)を通るガス流を向け直し、燃焼領域(2135)の側壁への対流エネルギー伝達を増加させる乱流を生成するために、環状燃焼器領域内部に設けられる。燃焼器バッフル(2185)は、ホットゾーン・エンクロージャ側壁(2002)に固定的に取り付けることができるか、または以下に説明する燃焼室ライナーの一部を含むことができる。
【0053】
以下に説明する陰極供給管(2145)は、中心長手方向軸(2060)に沿って燃焼領域(2135)を通過する。陰極供給管(2145)の壁は、燃焼領域(2135)内部の燃焼ガスからの対流熱エネルギー伝達によって加熱される。陰極供給管(2145)を通って陰極室(2090)に向かって流れる空気は、陰極供給管(2145)からそこを通って流れる空気に放射される熱エネルギーによって加熱される。
【0054】
燃焼領域(2135)の内壁は、ハステロイ合金などの高温耐食性金属で裏打ちされている。円盤状の底部管支持壁(2075)の場合、燃焼器領域に面する表面はハステロイを含む。燃焼器領域端壁(2140)の場合、燃焼器領域に面する表面はハステロイを含む。いずれの場合も、壁(2075)および(2140)は、それぞれ対応する熱塊(2180)および(2175)と熱伝導性接触するハステロイ円盤状ライナーを有する複合構造として形成される。燃焼領域(2135)の側壁も、ハステロイなどの高温耐食性金属で裏打ちされている。1つの非限定的な例示的な一実施形態では、側壁ライナーは、それと一体に形成された燃焼器バッフル(2185)を備えた管状開放端円筒壁として形成された別個の要素を含む。さらに、側壁ライナーは、ホットゾーン・エンクロージャ側壁(2002)内に、その開放端のいずれかから挿入され、壁ライナーの表面全体にわたって実質的に側壁(2002)と熱伝導性接触するように形成される。
【0055】
復熱装置
空気(2200)は、入力ポート(2205)を通って陰極供給管(2145)に入り、復熱装置室(2210)に流れ込む。復熱装置室(2210)は、燃焼領域(2135)内部で発生する使用済み燃料の燃焼によって生成される熱エネルギーを使用して流入空気(2200)を加熱するために、テールガス燃焼領域(2135)のすぐ近くに配置される。復熱装置室(2210)は、陰極供給管(2145)を取り囲む環状室であり、上面が円盤状燃焼器端壁(2140)によって、底面が円盤状ホットゾーン・エンクロージャ底壁(2006)によって、その側面がホットゾーン・エンクロージャ側壁(2002)によって境界付けられている。
【0056】
熱エネルギーは、ホットゾーン・エンクロージャ壁(2015)によって、燃焼器端壁(2140)によって、およびより少ない程度で陰極供給管(2145)によって、復熱装置室(2210)の壁に伝導される。熱エネルギーは、復熱装置室(2210)を通過するときに、復熱装置室壁から空気(2200)に放射される。復熱装置室(2210)の外壁は、燃焼領域(2135)から出る高温排気ガスによってさらに加熱される。特に、復熱装置室(2210)は、燃焼領域(2135)から燃焼器出口ポート(2150)を通ってホットゾーン出口ポート(2165)に出る高温排気ガスを運ぶエアギャップ(2155)に囲まれている。高温排気ガスからの熱エネルギーは、対流熱伝達によって復熱装置室壁の外壁部分を加熱する。
【0057】
復熱装置バッフル(2215)は、復熱装置室(2210)の内部に配置され、陰極供給管(2145)を通過し、陰極供給管(2145)を通る空気流を防ぐ。したがって、入力ポート(2205)を通って陰極供給管(2145)に入る空気(2200)は、陰極供給管内部の復熱装置バッフル(2215)に衝突し、1つまたは複数の空気入力ポート(2225)を通って復熱装置室(2210)に押し込まれる。空気入力ポート(2225)を通って復熱装置室に流入する入力空気(2200)は、復熱装置バッフル(2215)の周りを通過し、復熱装置室(2210)内で加熱された後、1つまたは複数の復熱装置空気出力ポート(2235)を通って陰極供給管に再び入る。
【0058】
コールドスタート燃焼器
図2を参照すると、SOFCホットゾーン(2000)は、任意選択で、350℃を超える作動温度に、または少なくともテールガス燃焼器領域で自然発火が起こるまで、ホットゾーンを最初に加熱するために提供されるコールドスタート燃焼器(2300)を含む。コールドスタート燃焼器は、環状始動燃焼室(2305)を含む。環状始動燃焼室(2305)は、触媒キャビティ(2035)および環状断熱要素(2065)を取り囲んでいる。環状始動燃焼室(2305)は、上部が円盤状ホットゾーン・エンクロージャ上壁(2004)によって、底部が円盤状燃料入力マニホールド上壁(2170)によって境界付けられており、これは環状熱塊(2175)を含む。環状始動燃焼室(2305)は、ホットゾーン・エンクロージャ側壁(2002)によってさらに境界付けられている。
【0059】
始動燃焼器入口ポート(2310)は、内部に未改質の始動燃料(2315)を始動燃料源(図示せず)から受け取る。始動燃料(2315)は、天然ガス、プロパン、メタン、水素、アルコール、または燃料と空気の混合物などの様々な可燃性気体状燃料または気化液体燃料を含むことができる。いくつかの例示的な実施形態では、始動燃料(2315)は、供給燃料・空気混合物(2025)を含む。始動燃料(2315)は、空気または他の酸素含有ガスと共に、燃焼器入口ポート(2310)を通って環状始動燃焼室(2305)に送出され、電気火花点火装置(2320)または他の点火源によって点火される。
【0060】
始動燃焼中、環状始動燃焼室(2305)内部の始動燃料燃焼によって生成された熱エネルギーは、対流熱エネルギー伝達によって、ホットゾーン・エンクロージャ上壁(2004)および側壁(2002)ならびに燃料入力マニホールド上壁(2170)に伝達される。これらの壁の各々から、始動燃焼からの熱エネルギーは、熱伝導性のホットゾーン・エンクロージャ壁(2015)によってホットゾーンの他の領域に伝導される。
【0061】
始動燃焼からの排気ガスは、ホットゾーン出口ポート(2165)につながるエアギャップ(2155)と流体連通している始動燃焼器出口ポート(2325)を通って環状始動燃焼室(2305)を出る。したがって、環状始動燃焼室(2305)からホットゾーン出口ポート(2165)に流れる排気ガスは、対流熱伝達によってホットゾーン・エンクロージャ壁(2015)の外面をさらに加熱する。
【0062】
環状始動燃焼室(2305)の内壁は、ハステロイなどの高温耐食性金属で裏打ちされている。円盤状ホットゾーン・エンクロージャ上壁(2004)の場合、この壁はその内面をハステロイ材料層で裏打ちされており、ハステロイ層はホットゾーン・エンクロージャ上壁(2004)と熱伝導性接触している。円盤状燃料入力マニホールド上壁(2170)の場合、この壁の上面は、環状熱伝導性塊(2175)と熱伝導性接触しているハステロイ材料層を含む。側壁の場合、ハステロイ材料を含む円筒壁ライナーが、ホットゾーン・エンクロージャ側壁(2002)と熱伝導性接触して始動燃焼室に挿入される。
【0063】
ガス流図
燃料流図
ここで図3を参照すると、概略的な燃料流図は、供給燃料・空気混合物(2025)がホットゾーン(2000)を通過するときの供給燃料・空気混合物(2025)の流路を示す。供給燃料・空気混合物(2025)は、改質器入力ポート(2045)に入り、改質器触媒キャビティ(2035)を通過して、燃料(2027)、例えば、改質物(改質燃料)を生成する。燃料(2027)は、改質器出口ポート(2050)を通って改質器を出て、燃料入力マニホールド(2055)に入る。入力マニホールド(2055)から、燃料は、対応する電池入力ポート(2115)を通って燃料電池(2080)の各々に入り、各燃料電池を通って流れ、対応する電池出力ポート(2120)を通って燃料電池を出る。燃料電池(2080)の内部では、燃料は電池環状壁(2085)の内面を形成する陽極材料層と反応する。電池出口ポート(2120)を通って燃料電池を出た後、未反応燃料と反応副生成物を含む残りの燃料(2027)は燃焼領域(2135)に入り、そこで陰極室(2090)から出る空気と混合して内部で自発的に燃焼する混合物を形成する。上記のように、燃焼領域(2135)での燃焼によって生成された熱エネルギーは、放射および対流によって燃焼器領域の側壁に伝達され、ホットゾーン・エンクロージャ壁(2015)を介してホットゾーンの他の領域に熱伝導される。また、燃焼領域(2135)での燃焼によって生成された熱エネルギーは、対流およびエンクロージャ壁を介した熱伝導によるガスから表面への熱伝達によって、燃焼器領域に近接する熱伝導性塊(2175)および(2180)の各々に伝達することができる。また、燃焼器領域に近接する熱伝導性塊(2175)および(2180)はそれぞれ、復熱装置室(2210)および陰極室(2090)に熱エネルギーを放射して、そこを通過する空気を加熱する。
【0064】
燃焼後、燃焼混合物からの排気ガス(破線の矢印として図示される)は、1つまたは複数の燃焼器出口ポート(2150)を通って燃焼領域(2135)を出て、エアギャップ(2155)に達する。エアギャップ(2155)から、燃焼混合物からの排気ガスは、ホットゾーン出口ポート(2165)を通ってホットゾーンを出る。
【0065】
燃料流図コールドスタート
図3にさらに示されるように、始動燃料(2315)および空気は、始動燃料が燃焼される始動燃焼器入口ポート(2310)を通って環状始動燃焼室(2305)に入る。
【0066】
燃焼後、排気ガス(破線の矢印として図示される)は、1つまたは複数の始動燃焼器出口ポート(2325)を通って燃焼領域(2135)を出て、エアギャップ(2155)に達する。エアギャップ(2155)から、始動燃焼器からの排気ガスは、ホットゾーン出口ポート(2165)を通ってホットゾーンを出る。
【0067】
空気流図
ここで図4を参照すると、概略的な空気流図は、空気(2200)がホットゾーン(2000)を通過するときの空気(2200)の流路を示す。空気(2200)は、空気入力ポート(2205)を通って陰極供給管(2145)に入る。空気(2200)は、復熱装置空気入力ポート(2230)を通って陰極供給管を出て、復熱装置室(2210)に入る。空気は復熱装置バッフル(2215)の周りを流れ、復熱装置の空気出力ポート(2235)を通って陰極供給管(2145)に再び入る。復熱装置室(2210)の内部では、空気(2200)は、復熱装置室壁(2006)、(2002)、および燃焼器端壁(2140)および関連する環状熱伝導性塊(2175)から放射される熱エネルギーによって加熱される。
【0068】
空気(2200)は、陰極供給管(2145)を通って流れるときに、燃焼領域(2135)を通過する。燃焼領域では、空気は、依然として陰極供給管(2145)を通って流れながら、陰極室(2090)に入る前に、陰極供給管(2145)の表面から放射する熱エネルギーによってさらに加熱される。空気(2200)は、陰極供給管を出て、陰極室(2090)内に延在する陰極供給管(2145)の長さの一部に沿って配置された複数の陰極室空気入力ポート(2240)を通って陰極室(2090)に入る。
【0069】
陰極室(2090)内に入ると、空気(2200)は陰極室を満たし、燃料電池(2080)の各外径または陰極層に衝突し、燃料電池の各外径の少なくとも一部にコーティングされた陰極材料層上で反応する。陰極材料層上を通過する空気と燃料電池の各内径を形成する陽極材料層上を通過する燃料(2027)との間の反応は、図3に示す電気リード線(2125)および(2130)上のDC電流出力端子(140)に運ばれる電流の流れを生成する。
【0070】
燃料電池の各々にコーティングされた陰極材料層と反応した後、酸素還元空気(2200)(破線の流れの線として図示される)は、燃焼領域(2135)につながる1つまたは複数の陰極室出力ポート(2245)を通って陰極室(2090)を出る。燃焼領域(2135)では、酸素が枯渇した空気が、燃料電池から出る未消費燃料(2027)と混合し、その混合物が燃焼される。燃焼混合物からの排気ガスは、エアギャップ(2155)につながる燃焼器出口ポート(2150)を通って燃焼領域(2135)を出る。エアギャップ(2155)は、排気ガスをホットゾーン出口ポート(2165)に運び、ホットゾーンから出す。
【0071】
図4は、2つの直径方向に反対側の復熱装置空気入力ポート(2230)、2つの直径方向に反対側の復熱装置空気出力ポート(2235)、および2つの直径方向に反対側の陰極室空気入力ポート(2240)のペアを概略的に示すが、実際の装置は、空気流の分配に必要な、陰極供給管(2145)の周囲に1つまたは複数の穴が配置された任意の穴パターンを含み得る。同様に、図4は、2つの直径方向に反対側の陰極室空気出力ポート(2245)と2つの直径方向に反対側の燃焼器出口ポート(2150)を示すが、実際の装置は、空気流の分配のために必要に応じて、円盤状の壁(2004)または側壁(2002)の周囲に1つ以上の穴が配置された任意の穴パターンを含み得る。あるいはまた、本技術から逸脱することなく、上記のガスポートのいずれかを、非円形の形状、例えば、正方形、長方形、および楕円形、またはスロット付きにすることができる。
【0072】
エンクロージャ壁面処理
本技術の一態様によれば、銅への酸化損傷を回避するために、銅表面は酸素/空気に曝露されない。これには、燃料と空気の両方に酸素が含まれている、または含まれている可能性があるため、燃料流路全体を形成するすべての表面と、空気流路全体を形成するすべての表面が含まれる。燃料流または空気流に曝露される可能性のある銅の表面は、少なくとも、電着めっきなどによって0.0005~0.0015インチ(12.5~38.1μm)の厚さに塗布されたニッケルめっきの層によって保護される。ニッケルめっきの厚さは、従来のニッケル電着コーティングの通常の厚さの100倍以上であり、ニッケルコーティングを介した酸素の拡散を実質的に防ぐために、より厚いニッケルコーティングが使用される。
【0073】
本技術のこの態様は、ホットゾーン・エンクロージャ壁(2015)のいずれか1つを通る非限定的な例示的な断面図を示す図5Aに示されている。ホットゾーンキャビティ壁セクション(5005)は、500℃で約370W/(m・K)および1027℃で332W/(m・K)の範囲の熱伝導率を有する銅を含む銅コア(5010)を含む。銅コア(5010)の厚さは0.01~0.125インチ(0.25~3.2mm)の範囲であるが、本技術から逸脱することなく他の厚さを使用可能である。より一般的には、ホットゾーンキャビティ壁の厚さは、特定の用途に対して必要に応じて増減できる。一般的に厚いエンクロージャの壁(例えば、最大約0.25インチ)は、所望の作動温度まで加熱するのに時間がかかるが、一旦作動温度まで加熱すると、壁が厚いほど熱伝導能力が高くなり、温度勾配が形成されにくく、壁が使用できなくなる程度に厚い壁が酸化するのには時間がかかるという理由だけで、表面酸化が故障モードである場合に、薄い壁よりも動作寿命が長くなるという利点がある。
【0074】
銅コア(5010)は、エンクロージャ壁の内面および外面を形成する2つの反対側の表面を含み、好ましい一実施形態では、銅コア(5010)の内面および外面はそれぞれ、内面上および外面上の電着ニッケルコーティング層(5015)および(5020)によって完全に覆われる。各ニッケルコーティング層は、ニッケルコーティング層を介した酸素の拡散を防ぐために適切な厚さである少なくとも0.0005インチ(12.5μm)の層の厚さに塗布される。より一般的には、0.0005~0.0015(12.5~38.1μm)の範囲の所望のニッケルコーティング層の厚さは、最大約40000時間の製品寿命の間、酸化からの適切な表面保護を提供し、より厚いニッケルコーティングは、本技術から逸脱することなく製品寿命を増加させるために使用できる。図2を参照すると、壁セクション(5005)は、側壁(2002)、円盤状上壁(2004)、円盤状底壁(2006)を含むホットゾーン・エンクロージャ壁(2015)の外壁を少なくとも表しており、改質器エンクロージャ壁(2030)のいくつかの壁を表すことができる。
【0075】
本技術の一態様によれば、燃焼室の表面は、高温の燃焼副生成物および腐食性要素への曝露による表面損傷から燃焼室の内面を保護するために、ハステロイ合金などの高温耐食性金属で裏打ちされている。あるいはまた、モネルまたはインコネルが、本技術から逸脱することなく使用できる。
【0076】
本技術のこの態様は、燃焼室の側壁を通る非限定的な例示的な断面図(5025)を示す図5Bに示されている。側壁セクション(5025)は、ホットゾーン・エンクロージャ側壁(2002)の銅コア(5010)と、上記のように銅コアの反対側に塗布された電着ニッケルコーティング層(5015)および(5020)とを含む。具体的には、断面図(5025)は、図5Aに示されるのと同じホットゾーン外壁(5005)を含む。また、燃焼室側壁セクション(5025)は、燃焼室の内面を裏打ちするように配置されたハステロイ合金ライナー(5030)をさらに含む。図2を参照すると、側壁セクション(5025)は、少なくとも、環状テールガス燃焼領域(2135)の円筒形外壁および環状コールドスタート燃焼室(2305)の円筒形外壁を表す。側壁セクション(5025)は、ハステロイ合金ライナー要素(5030)によって保護されたホットゾーン側壁(2002)を示す。テールガス燃焼領域(2135)の特定の例では、ハステロイ合金ライナー要素(5030)は、それに取り付けられた、またはそれと一体に形成された燃焼器バッフル(2185)も含む。しかしながら、燃焼器バッフル(2185)の存在を除いて、セクション(5025)はまた、環状コールドスタート燃焼室(2305)の上壁および側壁を表す。
【0077】
燃焼領域(2135)および(2305)はそれぞれまた、燃焼器領域の内側上面および内側底面を裏打ちするように配置された一対の対向する円盤状ハステロイ合金ライナー要素によって裏打ちされている。テールガス燃焼器領域(2135)の場合、その小室上壁は、図5Cに示すように、円盤状ハステロイ合金ライナー要素(5050)を含む底部管支持壁(2075)によって形成される。ライナー要素(5050)は、環状テールガス燃焼領域または室(2135)の内側に面するように配置されている。テールガス燃焼領域の底壁は、環状燃焼領域室(2135)の内側に面する円盤状ハステロイ合金ライナー(5060)も含む燃焼器端壁(2140)によって形成される。
【0078】
コールドスタート燃焼器(2300)の環状コールドスタート燃焼室(2305)の場合、その上部室壁は、環状コールドスタート燃焼室(2305)の内側上壁と接触する環状形状ハステロイ合金ライナー要素(5030)を含むホットゾーン・エンクロージャ上壁(2004)によって形成される。具体的には、ホットゾーン・エンクロージャ上壁(2004)、および環状コールドスタート燃焼室(2305)の上壁が、図5Bの断面図に詳しく記載されており、図5Bは、内面が電着ニッケル層(5015)、外面が電着ニッケル層(5020)で覆われた銅コア(5010)を示し、ニッケル層(5015)と接触するハステロイ合金ライナー要素(5030)を含む。断面図(5025)は垂直方向であり、ハステロイ燃焼器バッフル(2185)を含むが、断面は燃焼器バッフル(2185)を除いた上壁(2004)と同じであり、上壁(2004)のように水平方向に回転される。
【0079】
環状コールドスタート燃焼室(2305)の底壁は、燃料入力マニホールド(2170)の上壁によって形成されている。この壁には、図5Bに示すものと同様の、環状コールドスタート燃焼室(2305)の内側底壁と嵌合接触する環状形状ハステロイ合金ライナー要素(5060)も含まれている。
【0080】
本技術の一態様によれば、燃料電池(2080)の外面に塗布された陰極層の汚染を回避するために、クロムを含む材料から形成された表面に流入空気(2200)は曝露されない。これには、陰極供給管(2145)の内面、復熱装置室(2210)、復熱装置バッフル(2215)、陰極供給管(2145)の外面、陰極室(2090)の内面、および燃料電池エンドキャップ(2095)および(2100)ならびに上部管支持壁(2070)および底部管支持壁(2075)を含む陰極室内に収容された要素を含む、流入空気流路全体を形成するすべての表面が含まれる。
【0081】
非限定的な例示的な一実施形態では、陰極供給管(2145)、復熱装置バッフル(2215)、および底部エンドキャップ(2100)はそれぞれ、クロムを含まず、耐食性である高温金属合金(例えば、モネル合金)から形成される。また、復熱装置室(2210)の上面を形成する燃焼器端壁(2140)の少なくとも底面は、クロムを含まず、耐食性である高温金属合金(例えば、モネル合金)から形成された保護要素によって形成されるか、またはそれによって裏打ちされる。同様に、陰極室(2090)の底面を形成する底部管支持壁(2075)の少なくとも上面は、クロムを含まず、耐食性である高温金属合金(例えば、モネル)から形成された保護要素によって形成されるか、またはそれによって裏打ちされる。
【0082】
上記の電着ニッケルめっき層でコーティングされた流入空気流に関連する内面は、クロムに曝露されることなく空気流に曝露され得る。流入する空気流に接触する可能性のあるニッケルめっき表面には、復熱装置室(2210)および陰極室(2090)の各側壁を形成する側壁(2002)、および復熱装置室(2210)の底壁を形成する円盤状底壁(2006)が含まれる。表面は、それぞれが図5Aに示す断面(5005)を有する。また、それぞれがインコネルから形成された上部管支持壁(2070)および上部エンドキャップ(2095)などのクロム含有材料によって形成された陰極室(2090)内部の他の表面は、クロムによる空気汚染を避けるために、電着めっきなどにより0.0005~0.0015インチ(12.5~38.1μm)の厚さに塗布されたニッケルめっき層によって覆われている。
【0083】
ここで図5Cを参照すると、詳細な断面図は、底部管支持壁(2075)を通る断面(5040)を示す。詳細な断面図は、概ね500℃で370W/(m・K)~1027℃で332W/(m・K)の範囲の熱伝導率を有する銅の塊を含む熱伝導性塊(2180)を示す。銅の塊(2180)の厚さは0.01~0.375インチ(2.5~9.5mm)の範囲であるが、本技術から逸脱することなく他の厚さを使用できる。底部管支持壁(2075)の上面は、陰極室(2090)の内側に面しており、したがって、陰極ガスがクロムで汚染されるのを防ぐために、クロムを含まず、耐腐性である高温金属合金(例えば、モネル合金)から形成された円盤状ライナー要素(5045)で裏打ちされている。底部管支持壁(2075)の底面は、テールガス燃焼領域(2135)に面し、ハステロイ合金から形成された円盤状ライナー(5050)で裏打ちされている。
【0084】
ここで図5Dを参照すると、非限定的な例示的な詳細断面図は、燃焼器端壁(2140)を通る断面(5055)を示す。詳細な断面は、概ね500℃で370W/(m・K)~1027℃で332W/(m・K)の範囲の熱伝導率を有する銅の塊を含む熱伝導性塊(2140)を示す。銅の塊(2175)の厚さは0.01~0.375インチ(2.5~9.5mm)の範囲であるが、本技術から逸脱することなく他の厚さを使用できる。壁(2140)の上面は、テールガス燃焼領域(2135)の内側に面しており、したがって、固体ハステロイ合金から形成された環状ライナー要素(5060)で裏打ちされている。壁(2140)の底面は復熱装置室(2210)に面しており、クロムを含まず、耐食性である高温金属合金(例えば、モネル合金)で形成された環状ライナー(5065)で裏打ちされている。
【0085】
ここで図5Eを参照すると、非限定的な例示的な詳細断面図は、燃料入力マニホールド上壁(2170)を通る断面(5070)を示す。詳細断面図は、概ね500℃で370W/(m・K)~1027℃で332W/(m・K)の範囲の熱伝導率を有する銅の塊を含む熱伝導性塊(2160)を示す。熱伝導性銅塊(2160)は、0.01~0.375インチ(2.5~9.5mm)の範囲の厚さを有するが、本技術から逸脱することなく他の厚さを使用可能である。熱伝導性銅塊(2160)の反対側の上面と底面は、任意選択で、電着めっきなどによって0.0005~0.0015インチ(12.5~38.1μm)の厚さに塗布されたニッケルめっき層(5075)で覆われる。ニッケルめっきは、供給燃料・空気混合物(2025)と熱伝導性銅塊(2160)との接触を避け、銅塊表面の酸化を避けるために塗布される。燃料入力マニホールド上壁(2170)の上面は、環状コールドスタート燃焼室(2305)の内側に面しており、したがって熱伝導性塊(2160)を熱損傷から保護するために、固体ハステロイ合金から形成された環状ライナー要素(5080)で裏打ちされている。
【0086】
図5Dおよび図5Cに詳細に示されている壁(2075)および(2180)のさらなる変形例は、銅塊(2180)および(2175)の両側が、例えば、図5Eに関して、上記のような電着めっき等によって0.0005~0.0015インチ(12.5~38.1μm)の厚さに塗布されたニッケルめっき層で覆われていることである。ニッケルめっきは、供給燃料・空気混合物(2025)および/または空気(2200)と対応する銅塊(2180)および(2175)との間の接触を避け、銅塊表面の酸化を避けるようにするために含まれている。ハステロイ要素(5050)と(5060)およびモネル要素(5045)と(5065)が別個のライナー要素を含む場合、すなわち銅塊(2180)と一体的に形成されていない場合、銅塊は好ましくはその反対側の表面の両方に(例えば、図5Eに示すように)ニッケルめっきされる。しかしながら、円盤状または環状ライナー要素(5045)、(5050)、(5060)、(5065)が銅塊(2180)および/または(2175)と一体に形成されている他の場合では、銅塊のニッケルめっきは必要とされない可能性がある。
【0087】
一般的に、上記のハステロイおよびモネル要素は、様々な表面を損傷から保護するため、またはインコネルまたはハステロイ表面などのクロム含有表面との接触による流入空気の汚染を回避するために使用される。非限定的な例示的な一実施形態では、1つまたは複数の保護要素は、ホットゾーン・エンクロージャ壁(2015)とは別に製造され、保護されている表面に保護材料層をろう付けすることなどによって、組み立て時に所定の位置に設置される。図5Cおよび図5Dに示されている銅塊(2180、2175)の例では、保護モネル層およびハステロイ層は、銅塊にニッケルめっきを施すことなく、銅塊の反対側の表面に直接ろう付けされている。好ましくは、ろう付けステップは、銅塊を実質的にガスシールし、空気または燃料が銅塊の表面に接触して酸化するのを防ぐ。
【0088】
図5Eに示される熱伝導性銅塊(2160)の例では、保護ハステロイ層は、燃焼領域(2135)の内側に配置された銅塊の1つの表面のニッケル層(5075)に直接ろう付けされる。この非限定的な例示的な実施形態では、ハステロイ層は、銅塊の表面を燃焼および腐食性要素への直接の曝露から保護するために設置される。反対側の表面では、ニッケル層が銅塊表面を流入空気による酸化から保護すればよいので、ニッケルめっきされた保護層(5075)のみが、復熱装置室(2210)の内側に配置された銅塊表面に塗布される。図5Eの例では、銅の表面は、熱伝導性銅塊(2160)とハステロイ層(5080)との間に配置されたニッケル層(5075)によってすでに保護されているため、銅の表面をガスシールする必要なしに、例えば、締結具によってまたは所定の位置にクランプすることによって、ハステロイ層(5080)を機械的に取り付けることができる。
【0089】
したがって、上記のように、特に図5B図5C図5D、および図5Eに関して、ハステロイ要素およびモネル要素は、円盤状熱塊要素(2180)、(2175)、(2160)と嵌合接触する円盤状要素(5040)、(5050)(5060)、(5065)(5080)などの複数の別個の要素を含むことができるか、またはハステロイ要素およびモネル要素は、ホットゾーン・エンクロージャ壁の側壁(2002)などの燃焼室の内部円筒形壁面と嵌合接触して配置されている円筒形壁部分(例えば(5030))を含むことができる。円筒形壁部分は、ホットゾーン・エンクロージャ壁の内部の適切な位置(例えば、環状コールドスタート燃焼室(2305)の内部およびテールガス燃焼領域(2135)の内部)に挿入され、保護されている表面と嵌合接触する所定の位置にろう付け、溶接、またはその他の方法で締結またはクランプされる。いくつかの実施形態では、ハステロイ要素およびモネル要素は、実質的に気密シールを用いて、伝導性コア表面に直接塗布する(例えば、熱伝導性塊の表面に直接ろう付けする)ことができる。他の実施形態では、熱伝導性塊またはコア壁面はニッケルめっきされ、ハステロイ要素またはモネル要素は、実質的にガスシールを提供する必要なしに、そしてガスシールを提供するために表面全体をろう付けする代わりに、ニッケルめっき上に塗布することができ、要素は、クランプ、機械式締結具、または選択点でのろう付けまたはスポット溶接によって所定の位置に保持することができる。さらなる実施形態では、構造化された上記の壁のいずれかは、めっき、スパッタリング、スプレーコーティング、ホットディッピングなどを含む周知の方法によって、金属鋳造物の選択された表面上に形成された様々な保護材料層を備えた金属鋳造物として形成することができる。
【0090】
しかしながら、本技術の他の非限定的な実施形態では、ホットゾーン・エンクロージャ壁(2015)の外壁および/または内壁の部分は、既成の多層複合材料から形成されている。複合材料は、本明細書に記載の様々なホットゾーン・エンクロージャ壁を形成するために使用可能な複数の異種金属層で製造された板材および/または管類の金属材料を含む。
【0091】
第1のステップでは、異種金属のシートが、一般的にクラッディングと呼ばれる押し出しまたは圧延プロセスによって共に結合される。例示的な一実施形態では、図5Cを参照すると、銅塊(2180)、ハステロイ合金層(5050)、およびモネル合金層(5045)を含む複合シートが、ロール溶接されて複合シートを形成する。一旦形成されると、底部管支持壁(2075)は、複合シートから切り取られ、穴および他の構成が二次操作で追加され得る。次に、底部管支持壁(2075)は、ろう付け、溶接、機械式締結、クランプ、高温接着結合などによって、ホットゾーン・エンクロージャ壁(2015)に組み立てられる。また、図5Dに示されている壁(2140)には、図5Cに示されている底部管支持壁(2075)と同じ材料層が順序のみが逆に含まれており、同じ複合シートから切り取ることができ、穴およびその他の構成が二次操作で追加されている。次に、壁(2140)および底部管支持壁(2075)はそれぞれ、ろう付け、溶接、機械式締結、クランプ、高温接着結合などによって、ホットゾーン・エンクロージャ壁(2015)に組み立てられる。
【0092】
例示的な一実施形態では、図5Eを参照すると、熱伝導性銅塊(2160)およびハステロイ合金層(5080)を含む複合シートがロール溶接されて、複合シートを形成する。この例示的な実施形態では、複合シートが2つの層のみを有するように、ニッケル層(5075)を省略してもよい。一旦形成されると、燃料入力マニホールド上壁(2170)は、複合シートおよび二次操作で追加された穴および他の構成から切り取ることができる。次に、燃料入力マニホールド上壁(2170)は、ろう付け、溶接、機械式締結、クランプ、高温接着結合などによって、ホットゾーン・エンクロージャ壁(2015)に組み立てられる。さらなるステップでは、露出した銅表面の酸化を防ぐために、複合シートを少なくとも銅表面にニッケルめっきすることができる。
【0093】
同様に図5Bを参照すると、銅コア(5010)およびハステロイ層(5030)を含む2層複合シートがロール溶接されて複合シートを形成する。この例示的な実施形態では、複合シートが2つの層のみを有するように、ニッケル層(5015)および(5020)を省略してもよい。一旦形成されると、穴および他の構成が二次操作によって形成され、次に複合シートは円筒形の壁に形成される。円筒形の壁は、サイズに合わせて切断され、他の円筒形壁セクションと組み立てられて、燃焼領域を取り囲むことに関連するホットゾーン・エンクロージャ側壁(2002)の部分を形成する。円筒形壁部分は、ろう付け、溶接、機械式締結、クランプ、高温接着結合などによって共に接合することができる。さらなるステップでは、複合シートを片面または両面にニッケルめっきすることができ、組み立てられたホストゾーンエンクロージャの側壁をニッケルめっきして、露出した銅表面を酸化から保護することができる。
【0094】
SOFC燃料電池スタック構成
ここで図6を参照して、本技術で使用可能なSOFCシステムの実施形態(7000)の非限定的な例示的な実施形態の部分を、水平断面図に示す。構成(7000)は、水平断面図に示される円形のホットゾーン・エンクロージャ壁(7015)によって取り囲まれた陰極室(7010)を示す。円形エンクロージャ壁(7015)は、上記のようにガス流導管として使用可能な小さなエアギャップ(図示せず)によって円形エンクロージャ壁から分離された円形断熱層(7020)によって囲まれている。
【0095】
陰極供給管(7025)は、円形のホットゾーン・エンクロージャ壁(7015)に対して中央配置されている。複数の棒状燃料電池は、2つの同心円形パターンで配置され、各円形パターンは、同じ中心軸(7030)に対して中央配置される。内側の円形パターン(7035)は、8つの内側棒状燃料電池(7040)を含む。外側の円形パターン(7045)は、14個の外側棒状燃料電池(7050)を含む。本技術から逸脱することなく、他のエンクロージャ形状および燃料電池パターンが使用できる。
【0096】
代替SOFCシステムの実施形態
ここで図7図9および図12から図15に目を向けると、図7A図9Cに示される改良されたSOFCシステム(8000)の一部の第1の代替の非限定的な例示的な一実施形態は、SOFCスタック(8005)を取り囲むU字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(8045)を含む。改良されたSOFCシステムの一部の第2の代替の非限定的な例示的な一実施形態が、図12図13Bに示されている。第2の代替SOFCシステムは、2つのL字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(12045)を含み、各L字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(12045)は、単一のSOFCスタック(8005)を取り囲み、デュアルスタックSOFCシステム(12000)を提供する。改良されたSOFCシステム(14000)の一部の第3の代替の非限定的な例示的な一実施形態が、図14に示されている。第3の代替SOFCシステム(14000)は、単一のSOFCスタック(8005)を取り囲む1つのL字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(12045)を含む。改良されたSOFCシステム(15000)の一部の第4の代替の非限定的な一実施形態が図15に示されている。第4の代替SOFCシステム(15000)は、それぞれが異なるSOFCスタック(8005)を取り囲む2つのU字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(8045)を含む。各SOFCスタック(8005)は、複数の個別の燃料電池(8010)を含む。非限定的な例示的な一実施形態では、個々の燃料電池(8010)は、(図9A図12、および図14に示される)システム座標軸図(8100)によって定義されるように、スタック横方向幅軸(y)に沿って並んで配置された2つの個々の燃料電池の対に配置される。本実施形態では、2つの燃料電池(8010)の複数の対が、スタックの長手方向長さ軸(x)に沿って並んで配置されている。しかしながら、本明細書に記載の技術は、本実施形態における燃料電池の例示的な配置に限定されず、さらに、管状燃料電池に限定されない。本明細書に記載の技術の概念から逸脱することなく、SOFCスタック内の燃料電池の他の適切な配置を使用可能である。SOFCスタック内の燃料電池(8010)の数は、事前定義された発電需要またはその他のスタック容量の考慮事項を満たすように選択される。他の実施形態では、スタック横方向幅軸(y)またはスタック長手方向長さ軸(x)のいずれかに沿って配置された燃料電池の数は、1つまたは複数とすることができ、個々の燃料電池の総数(8010)は、事前定義された発電需要またはその他のスタック容量の考慮事項を満たすように選択される。
【0097】
非限定的な例示的な一実施形態では、各燃料電池(8010)は、導管の中心軸に沿って配置された開放端の中空流体導管を含む。中空流体導管の形状は、好ましくは円筒形または楕円形であるが、本技術から逸脱することなく、正方形、長方形、三角形、または他の多角形などの他の流体導管形状が使用可能である。あるいはまた、中空流体導管は、本技術から逸脱することなく、電解質層によって陰極層から分離された陽極層を含み、陽極ガス(例えば、改質物または合成ガス)が陽極層上を通過し、陰極ガス(例えば、空気)が陰極層上を通過する任意の実施形態で配置することができる。
【0098】
各燃料電池は、中空の流体導管を囲む周囲壁によって形成される。周囲壁は、それぞれが図1に概略的に示されている3つの主要な材料層で構成される。3つの主要な材料層は、陽極層または燃料電極(150)、陰極層または空気電極(155)、および陽極層を陰極層から分離する電解質層(145)を含む。すべての層は固体材料を含み、そのいくつか(例えば、陽極)は、多孔質構造で形成された固体材料を含むことができる。非限定的な例示的な本実施形態では、周壁は、陽極層によって形成された内面、陰極層によって形成された外面、および陽極層と陰極層との間に配置された電解質層とを含む。好ましくは、3つの層のうちの1つ、例えば、陽極層は、支持層として構成され、支持層は、以下に説明する作動位置でそれぞれ個々の燃料電池(8010)を支持するのに十分な構造的剛性および完全性を備えて形成される。
【0099】
図7Aおよび図7Bを参照すると、各燃料電池(8010)は、中空流体導管の反対側の開放端に対応する燃料入力端(8020)および燃料出力端(8025)を含む。少なくとも燃料入力端(8020)は、燃料入力マニホールド(8015)または他の支持構造とのインターフェースによって支持される。非限定的な一例では、各燃料電池の燃料入力端(8020)は、カップ形の取り付け端(2105)として形成されたエンドキャップ(2100)と、エンドキャップ(2100)が燃料入力端を燃料入力マニホールドと結合するように、各燃料電池の燃料入力端を燃料入力マニホールド(8015)と機械的にインターフェース接続するように構成されたジャーナル形の支持端部(2110)とを含む。本技術から逸脱することなく、燃料入力マニホールド(8015)を備えた各燃料電池の他の機械的インターフェースが使用可能である。各燃料電池(8010)と燃料入力マニホールド(8015)との機械的インターフェースは、作動位置でそれぞれ個々の燃料電池(8010)を固定的に支持するように構成され、それぞれ個々の燃料電池(8010)の中空流体導管の中心長手方向軸は、スタックガス流軸(z)と実質的に平行に支持される。燃料入力マニホールドとそれぞれ個々の燃料電池(8010)の燃料入力端(8020)との間の機械的インターフェースは、気密シールを形成する。好ましい一実施形態では、燃料電池(8010)の燃料出力端(8025)は支持されていないが、本技術から逸脱することなく、一次エンクロージャ壁に対して個々の燃料電池(8010)の燃料出力端(8025)を支持するための上部支持構造または他の機械的支持構造が使用可能である。
【0100】
燃料(2027)の流れをSOFCシステムの上部に送出し、陰極空気(2200)の流れをSOFCシステム(2000)の底部に送出する、図2に示され、上記の実施形態と比較して、図7A図7B図12図14、および図15に示すSOFCスタックを通る燃料流の方向は、対応する燃料入力マニホールド(8015)が、燃料入力マニホールド(8015)およびエンドキャップ(2100)またはその他の結合要素によって支持されている底部または燃料入力端(8020)のみを備えた対応するSOFCシステムのベースまたは底端の近くにあるため、逆になる。したがって、本技術の一態様によれば、個々の燃料電池の燃料出力端(8025)は、支持されていないか、またはSOFCシステムの他の要素と機械的にインターフェース接続されていない。この支持構造は、燃料電池が熱サイクル(例えば、オンオフサイクル)中に長手方向に膨張および収縮して、それによって熱サイクル中の燃料電池のストレスを回避することを可能にするので有利である。また、この支持構造は、燃料出力端(8025)にガスシールを必要としないので有利である。全体として、出力端支持体がないため、潜在的なシステム障害モードを排除することで信頼性を向上させながら、コストと複雑さを低減する。
【0101】
図7A図7B図12図14、および図15の各々に示されるように、それぞれ個々の燃料電池(8010)の燃料出力端(8025)は、燃料が中空導管を通過し、各中空導管の内面を形成する陽極層と相互作用した後、使用済み燃料を燃料出力端(8025)から燃焼領域(8030)に排出するように配置される。図7A図7B図12図14、および図15の破線の燃料流量指標線および矢印によって示されるように、燃料の供給は、燃料反応器または燃料改質器(8035)から出て、燃料送出導管(8040)を通って燃料入力マニホールド(8015)へと流れ、燃料入力マニホールド(8015)では、燃料流は、燃料入力マニホールドからそれぞれ個々の燃料電池(8010)の燃料入力端(8020)に分配される。
【0102】
燃料改質器(8035)は、上記では、図2に示される燃料改質器(2020)および図1に示される燃料改質器(165)として説明されている。燃料改質器(8035)の非限定的な実施形態の詳細は、2016年10月16日に出願され、2020年2月25日に米国特許第10573911B2号として公開された、関連する米国特許出願第15/287,402号に開示されている。燃料は、各燃料電池を通過する際に、陰極層から陽極層に渡される酸素イオン(O)と反応し、水素(H)と一酸化炭素(MO)が枯渇して電流の流れを生成する。枯渇された燃料または使用済み燃料は、各燃料電池から出力端(8025)を通って出て、燃焼領域(8030)で使用済み陰極空気と混合する。本技術から逸脱することなく、他の燃料改質器の構成および動作モードを使用可能である。
【0103】
図2図4に示され、上記のSOFCシステム(2000)は、SOFCスタックの上部に配置された個々の燃料電池入力ポートまたは入力端(2125)と、SOFCスタックの底部に配置される燃料電池出力ポートまたは出力端(2120)とによって構成される。SOFCシステム(2000)はまた、燃料入力マニホールド(2055)を燃料電池入力ポートまたは入力端(2125)の上方に配置する。SOFCシステム(2000)はまた、燃料改質器(2035)の触媒キャビティ(2035)を取り囲む環状コールドスタート燃焼室(2305)で構成される。SOFCシステム(2000)はまた、テールガス室(2135)および復熱装置室(2210)をSOFCスタックの底部に配置して、燃料電池出力ポートまたは出力端(2120)から使用済み燃料を受け取る。SOFCシステム(2000)は、SOFCシステム(2000)の底端に位置する空気入力ポート(2225)から復熱装置室(2210)に流入空気(陰極ガス)を受け取り、復熱装置室からホットゾーン出口ポート(2165)を通して排気ガスを排出する。さらに図2に示すように、供給燃料・空気混合物(2025)は、SOFCシステム(2000)に入り、定常状態での運転のために燃料改質器(2020)に、そして入口ポート(2310)を通って始動燃焼室(2305)に流入し、これらはどちらもSOFCスタックの最上端に配置されている。
【0104】
本技術の一態様によれば、本明細書に記載の代替SOFCシステム(8000、12000、14000、15000)は、上記のシステム(2000)のガス流特性と比較して、代替ガス流パターンを提供する。図7A図9A図12図14、および図15を参照すると、供給燃料・空気混合物(2025)は、SOFCシステムの上部にある対応する燃料改質器(8035)に受け入れられる。燃料改質器(8035)から、燃料(8150)は、燃料送出導管(8040)によって対応する燃料入力マニホールド(8015)に送出される。好ましい実施形態では、燃料送出導管(8040)は、それぞれが以下で説明される中間エンクロージャ(9000)または外側エンクロージャ(16000)の内部に収容される。
【0105】
図9Aに最もよく示されているように、始動燃料(8152)は、導管(8145)を通して燃焼器アセンブリ(8155)に送出される。燃焼器アセンブリは、対応する燃焼領域(8030)を通って延在し、コールドスタート作動中に始動燃料(8152)を燃焼領域に注入する。点火装置(8160)は、燃焼領域内部に配置されて、燃焼器アセンブリから出る燃料流に点火して、対応する燃焼領域(8030)内部で燃焼を開始する。図12および図15に示すように、SOFCシステムがデュエルスタックシステムである場合、これらのシステムは、好ましくは、各燃焼領域(8030)内に設けられた燃焼器アセンブリ(8155)および点火装置(8160)を含む。以下に詳述するように、各燃焼器アセンブリは、供給燃料入力ライン(160)との接続から、または別個の始動燃料源から始動燃料(8152)を受け取るための始動燃料導管(8145)を含む。各燃料送出導管(8040)は、始動中に使用するために、1つまたは複数の始動導管(8145)に接続された1つの導管セグメントを含むことができる。対応する燃料送出導管は、制御要素、例えば、電子コントローラ(190)による制御下で、燃料流を独立して調整する、および/または燃料を燃料改質器(8035)から1つまたは複数の燃料入力マニホールド(8015)に迂回させて、供給燃料を供給燃料入力ライン(160)から1つまたは複数の始動導管(8145)へ迂回させる、電子コントローラ(190)によって動作可能なバルブおよびバルブアクチュエータ要素を含むことができる。
【0106】
代替SOFCコールドスタート操作
図7A図9A図12図14、および図15を参照すると、陰極空気は、陰極入力ポート(9040)を介してSOFCシステムの上部にある対応する復熱装置室(9050)に受け入れられ、排気ガスは、同じくSOFCシステムの上部に配置された排気ポート(9045)を通して、ホットゾーン排気導管(9055)から外へと向けられる。したがって、図16Bに最もよく示されるように、本技術の代替SOFCシステム(8000、12000、14000、15000)はそれぞれ、SOFCシステムの上壁から延在するすべての入力および出口ガスポートで構成される。
【0107】
燃焼領域(8030)は、図9Aに示される燃焼器要素(8155)を含み、それを通して、コールドスタート操作中に、始動燃料入力導管(8145)を介して始動燃料が送出される。始動燃料は、コールドスタート操作中に1つまたは複数の一次エンクロージャ壁アセンブリ(例えば、(8045)または(12045))を加熱するための熱エネルギーを提供するために、例えば、電気点火装置(8160)によって、燃焼領域(8030)内で点火される。SOFCシステムが燃料電池でのSOFC反応をサポートできる作動温度に加熱された後、SOFC反応を開始するために、燃料改質器(8035)から入力マニホールド(8015)を介したSOFCスタックへの燃料流が開始される。始動燃料は、例えば、燃料(8150)が始動燃料(8052)、供給燃料・空気混合物(2025)、または代替始動燃料(8152)、例えば、プロパンなどとして始動導管(8145)に供給される場合、燃料改質器によって生成された改質物とすることができる。始動燃料は、例えば、図16Aに示す追加の始動燃料導管(16020)を介して、別の供給源から送出することができる。この実施形態では、始動入力導管(16020)は、1つまたは複数の始動導管(8145)と流体的にインターフェース接続されている。図7A図7B図12図14、および図15に示される燃焼領域(8030)の構成の利点は、燃焼領域(8030)が2つの動作モード、すなわち、燃料が燃焼器要素(8155)に送出される始動モード、および/または、燃料(8150)が燃料入力マニホールド(8015)から個々の燃料電池に送出され、使用済み燃料および使用済み陰極ガスが燃焼領域(8030)内で燃焼される定常状態発電モードのために構成されていることである。他の実施形態および動作モードでは、燃料送出導管(8040)は、始動導管(8145)の各々に供給し、始動モードは、対応する始動燃焼器要素(8155)および燃料入力マニホールド(8015)への燃料(8150)の同時送出を含む。始動および発電のための燃焼領域(8030)の機能的な組み合わせは、SOFCシステムの全体積を減らし、部品数および複雑さを減らし、ならびに以下に説明される一次エンクロージャ壁アセンブリ(8045)および(12045)、流入する陰極空気、および内面を通って流れる燃料によって内面が加熱され、陰極空気流によって、および一次エンクロージャ壁アセンブリから放射および対流伝達される熱エネルギーによって外面が加熱される燃料電池(8010)を直接加熱するので有利である。図1図4に示す実施形態と比較すると、始動室(2035)は燃料改質器をより直接的に加熱し、燃焼壁部分に囲まれた燃焼領域(8030)を含む流入陽極ガス構成は、燃焼領域(8030)から吸収された熱エネルギーを、熱伝導によって燃焼領域から遠位にある他の領域に再分配する一次エンクロージャ壁アセンブリ(8045、12045)をより直接的に加熱する。
【0108】
U字形一次エンクロージャ壁アセンブリ
図9Aおよび図9Cを参照すると、例示的なホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリ(8042)が側面等角図で示されている。ホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリ(8042)は、円筒形の半径で形成された燃焼領域壁(8060)と、燃焼領域壁(8060)の縁部から延在する2つの対向する一次エンクロージャ側壁(8065、8070)とを含むU字形の一次エンクロージャ壁アセンブリ(8045)を含む。側壁(8065、8070)はそれぞれ、燃焼領域壁からガス流軸(z)に平行な軸に沿って陰極室の下部容積(8142)まで、例えば、陰極室入力ポート(8095)の下まで延在する。ホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリ(8042)は、燃料入力マニホールド(8015)、任意選択のホットゾーン・エンクロージャ・ベース壁(8075)、および2つの任意選択のホットゾーンエンクロージャ端壁(8080、8085)をさらに含む。U字形の一次エンクロージャ壁アセンブリ(8045)は、(図7Aおよび図7Bの断面図に示される)陰極室(8055)を画定する。陰極室(8055)は、それぞれ個々の燃料電池(8010)の外面に形成された陰極層が陰極室(8055)に露出するように、SOFCスタック(8005)および燃焼領域(8030)を取り囲む。陰極室(8055)は、U字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(8045)、燃料入力マニホールド(8015)、任意選択でホットゾーンエンクロージャベース壁(8075)、および任意選択でホットゾーンエンクロージャ端壁(8080、8085)によって境界付けられている。
【0109】
陰極室(8055)は、外部空気流源から、例えば、図1に示す空気送出制御システム(198)から、加熱された陰極ガス、この場合は加熱された空気流の連続的な流れを受け取る。燃焼領域(8030)は、陰極室(8055)の上部の容積を形成する。燃料入力端(8020)に近接する陰極室の下部容積(8142)は、図9Bに示される複数の陰極室入力ポート(8095)を通して加熱された空気流(陰極ガス)を受け取る。陰極室の中間容積(8140)は、陰極室の下部容積(8142)からそれぞれ個々の燃料電池(8010)の燃料出力端(8025)まで延在する。加熱された陰極ガス流は、加熱された陰極ガス流が個々の燃料電池の外面を通過するときに、それぞれ個々の燃料電池(8010)の陰極層表面と反応する。
【0110】
U字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(8045)の非限定的な例示的な一実施形態は、燃焼領域(8030)を取り囲むように形成された燃焼領域壁(8060)を含む。燃焼領域壁(8060)は、実質的にスタック長さ軸(x)の全長に沿って燃焼領域(8030)の上部境界を提供し、スタック全長をさらに超えて延在することができる。U字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(8045)はさらに、2つの対向する一次エンクロージャ側壁(8065、8070)を含む。<0530各一次エンクロージャ側壁(8065、8070)は、燃焼領域壁(8060)から延在し、それに固定的に取り付けられるか、またはそれと一体的に形成される。好ましくは、各一次エンクロージャ側壁は、燃料電池スタック(8005)の長さを、開放された燃料出力端(8025)からガス流軸(z)と平行な燃料入力端(8020)まで延ばす。
【0111】
共に、2つの対向する一次エンクロージャ側壁(8065、8070)と燃焼領域壁(8060)は、スタック長さ軸(x)に沿って陰極室(8055)の上面と対向する側部を境界付け、これは、図7Bの断面図によって最もよく示されている。好ましくは、燃焼領域壁(8060)およびエンクロージャ側壁または壁(8065、8070)は、全体にわたって熱伝導を促進するための単一要素として形成される。しかしながら、燃焼領域壁(8060)およびエンクロージャ側壁(8065、8070)壁が個々の壁要素として形成される場合、個々の要素は、接合境界全域にわたって高い熱伝導率を提供する方法で、例えば、熱伝導率係数が100~300W/m・Kの接合材料を使用して、結合される。
【0112】
図9Cに示される非限定的な例示的な第1の一実施形態では、ホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリ・ベース壁(8075)は、2つの対向する一次エンクロージャ側壁(8065、8070)の各底縁部と機械的インターフェース接続される。機械的インターフェース接続は、溶接またははんだによる接続であるが、締結具、相互接続する締結要素(例えば、リベット)、クリップ、または2つの対向する一次エンクロージャ側壁(8065、8070)の各々と一体に形成された、および/またはホットゾーン・エンクロージャ・ベース壁(8075)と一体に形成されたインターロッキング機構を含む他の機械的インターフェース接続要素が使用可能であるか、またはホットゾーン・エンクロージャ・ベース壁(8075)は、2つの対向する一次エンクロージャ側壁(8065、8070)のうちの1つと一体に形成され得る。図9Aの非限定的な第1の実施形態では、燃料入力マニホールド(8015)は、必ずしも2つの対向する一次エンクロージャの側壁(8065、8070)の一方または両方とインターフェース接続する必要なしに、例えば、溶接、ろう付け、はんだ付け、または機械的締結具によって、ホットゾーン・エンクロージャ・ベース壁(8075)と機械的インターフェース接続することができる。
【0113】
図7Aに示される非限定的な第2の例示的な一実施形態では、2つの対向する一次エンクロージャアセンブリ側壁(8065、8070)はそれぞれ、ベース壁(8075)なしで燃料入力マニホールド(8015)と機械的インターフェース接続されるか、または機械的インターフェース接続され得る。各ホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリ側壁と燃料入力マニホールドとの間の機械的インターフェース接続は、溶接またははんだによる接続であるが、所望の機械的インターフェース接続を提供する方法で、2つの対向する一次エンクロージャアセンブリ側壁(8065、8070)の一方または両方と一体に形成された、および/または燃料入力マニホールド(8015)と一体に形成された、別個の締結具および/または締結要素を含む他の機械的インターフェース接続要素が使用可能である。図7Aの非限定的な第2の実施形態では、燃料入力マニホールド(8015)が、スタック長さ軸(x)の全長に沿って、場合によっては全スタック長さをさらに超えて、陰極室(8055)の下部境界として構成されている場合、ホットゾーン・エンクロージャ・ベース壁(8075)は任意選択である。好ましくは、2つの対向する一次エンクロージャアセンブリ側壁(8065、8070)と燃料入力マニホールド(8015)との間の機械的インターフェース接続は、ガスシールを形成するか、または陰極室(8055)の下部境界でガス流に対して高インピーダンスを提供して、陰極空気流が陰極室(8055)の下部境界から逃げるのを防止する。
【0114】
中間エンクロージャ
ホットゾーン・エンクロージャ壁アセンブリ(8042)は、図8Aの等角投影図に示されるように、中間エンクロージャ(9000)の内部に取り付けられる。中間エンクロージャは、対向する中間エンクロージャ上壁(9005)と中間エンクロージャ底壁(9010)、対向する中間エンクロージャ側壁(9015)と中間エンクロージャ側壁(9020)、および対向する中間エンクロージャ端壁(9025)と中間エンクロージャ端壁(9030)を含む気密ガス流室として形成されるか、または形成され得る。中間エンクロージャ(9000)は、そこを通って燃料送出導管(8040)を受け入れるための燃料アクセスポート(9035)、そこを通って陰極空気流を受け入れるための陰極入力ポート(9040)、およびそこから排気を排出するためのホットゾーン排気ポート(9045)を含む。ポート(9035)、(9040)、および(9045)はそれぞれ、適切なガス流インターフェース接続部を導くために、必要に応じて中間エンクロージャの壁を通過する。非限定的な例示的な一実施形態では、燃料ポートは、側壁(9015、9020)のうちの1つを通過し、陰極ガス入力ポート(9040)およびホットゾーン排気ポート(9045)はそれぞれ、中間エンクロージャ上壁(9005)を通過する。
【0115】
図7Aに示される復熱装置室(9050)とホットゾーン排気導管(9055)は、それぞれが中間エンクロージャ(9000)内部に形成されたガス流室であり、一緒になって向流ガス間熱交換器を形成する。復熱装置室(9050)は、陰極入力ポート(9040)を通って、陰極空気流源から、例えば、図1に示す空気送出制御要素(198)から流入する陰極空気流を受け取る。復熱装置室(9050)の内部では、流入する陰極空気流、例えば周囲温度の空気は、対流と、ホットゾーン排気導管(9055)の壁から放出される放射とによって加熱される。加熱された陰極空気流は、復熱装置室(9050)を強制的に通され、復熱装置室から出て、復熱装置出口ポート(9065)を通って陰極入力マニホールド(9070)に達する。陰極空気流源は、電気出力要求および他のプロセス制御コマンドに従って、流入する陰極空気流の流量を増減するように制御することができる可変速度空気移動装置(例えば、ファンまたはブロワー)を含む。
【0116】
ホットゾーン排気導管(9055)は、燃焼ゾーン(8030)から燃焼排気ポート(9060)を介して高温ガス混合物を受け取る。ホットゾーン排気導管(9055)の内部では、エネルギーが対流および放射的にホットゾーン排気導管(9055)の壁に伝達されるときに、高温ガス混合物が冷却される。高温ガス混合物は、制御可能な可変速空気移動装置(例えば、ファンまたはブロワー)の動作によって、強制的に燃焼排気チャネル(9060)を通され、ホットゾーン排気ポート(9045)を通ってSOFCシステムから外へ出され、流入する陰極空気流の流量を増減する。
【0117】
図7Aの非限定的な例示的な構成では、復熱装置室(9050)は、ホットゾーン排気導管(9055)の内部に形成され、2つの小室は、共通の壁(9075)を共有する。高温ガス混合物が燃焼領域(8030)からホットゾーン排気導管(9055)に押し込まれると、高温ガス混合物は、放射放出および対流によって熱エネルギーを共有壁(9075)に伝達する。次に、共有壁(9075)は、対流およびそこからの放射放出によって、復熱装置室(9050)を通過する陰極空気流に熱エネルギーを伝達する。本技術から逸脱することなく、直列または並列に接続された複数の熱交換室を提供することを含む他のガス間熱交換構成が使用可能である。
【0118】
復熱装置室(9050)およびホットゾーン排気導管(9055)はそれぞれ、好ましくは、スタック長さ軸(x)に沿ったSOFCスタックの長さに沿って配置される。陰極入力ポート(9040)、および/またはホットゾーン排気ポート(9045)、および/または燃焼排気ポート(9060)はそれぞれ、それぞれが単一のポートとして、例えば、スタック長さ軸(x)に沿って離間する複数のポートとして、および/または、例えば、ガス流路を提供する円形、スロット付き、またはその他の開口部として形成された、スタック長さ軸(x)に沿って配置された1つまたは複数の開口部として実施することができる。あるいはまた、復熱装置室(9050)およびホットゾーン排気導管(9055)はそれぞれ、スタック長さ軸(x)に沿って延在する単一の復熱装置室および単一の排気室として、またはスタック長さ軸(x)に沿って平行に配置され、それぞれの別個の小室は、それ自体の陰極入力ポート(9040)、および/またはホットゾーン排気ポート(9045)を備えた、複数の分離された復熱装置室および排気室として実施することができる。
【0119】
好ましい一実施形態では、中間エンクロージャ(9000)の各壁部分は、例えば、米国イリノイ州アルシップのRolled Metal Productsから流通されている、Alloy18 SR(登録商標)ステンレス鋼などのフェライト系ステンレス鋼から製造される。SOFCシステム(8000)作動温度および条件下で、添加されたアルミニウム含有量が酸化アルミニウムの表面層を有利に形成し、これが中間エンクロージャ(9000)の露出表面の酸化を防ぎ、これはAlloy18 SR(登録商標)ステンレス鋼からクロムが浸出するのをさらに防ぐため、Alloy 18 SR(登録商標)ステンレス鋼が好ましい。非限定的な一例では、Alloy18 SR(登録商標)ステンレス鋼は、おおよその重量パーセントで、炭素0.015、クロム18.0、マンガン0.30、ケイ素0.60、アルミニウム2.0、チタン0.25、残りの重量パーセントは鉄の化学組成を有する。Alloy18 SR(登録商標)ステンレス鋼の熱伝導率係数は、約22.8(W/m・K)、熱膨張係数は5.9×10-6(Ft/Ft/°F)または10.1×10-6(m/m/°K)である。少なくとも周囲の中間エンクロージャ壁(9005、9010、9015、9020、9025、9030)用のAlloy18 SR(登録商標)ステンレス鋼の好ましい厚さは、4mm(0.16インチ)であるが、0.127mm~8.0mm(0.005~0.32インチ)の厚さ範囲が使用可能であり、本技術から逸脱することなく、中間エンクロージャ(9000)の形状とサイズ、中間エンクロージャ(9000)の形成に使用される成形方法、標準的な圧延材の厚さの利用可能性、時間単位の所望の動作寿命などに依存し得る。
【0120】
材料の選択に関して、壁の厚さの選択は、壁の作動温度要件、SOFCシステムの望ましい動作寿命、熱エネルギー管理の要求、および/またはSOFCシステムごとの構造および製造技術の違いに依存する可能性があるため、中間エンクロージャ壁(9005、9010、9015、9020、9025、9030)を囲む壁は、ホットゾーン排気導管(9055)、復熱装置室(9050)、バッフル(9080)、および様々なポート(9040、9045、9060)を形成する壁とは異なる厚さを有し得る。代替の例示的な一実施形態では、中間エンクロージャ(9000)の壁の少なくとも一部は、アルミニウムおよびチタンの少量の添加を伴うニッケル-銅合金であるモネルなどのクロムを含まない高温金属合金を含むことができる。
【0121】
陰極入力マニホールド
図7A図8Aを参照すると、中間エンクロージャ(9000)は、復熱装置室(9050)および陰極入力マニホールド(9070)を含む陰極ガス流室として形成される。陰極入力マニホールドは、陰極入力マニホールド(9070)を満たす復熱装置室から流入する陰極空気流を受け取る。ホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリ(8042)は、陰極入力マニホールド(9070)の内部に取り付けられ、U字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(8045)は、陰極ガスが陰極室内を流れ、ガス流軸(z)に沿って各燃料電池の陰極の全長を通過するように、陰極室の底部容積に陰極ガス流を向けるために、陰極空気流が陰極入力マニホールドから複数のSOFC燃料電池のそれぞれの開放された燃料入力端(8020)に近接して配置された複数の陰極室入力ポート(8095)を通って陰極室へと通過できることを除いて、陰極入力マニホールドを陰極室(8055)から分離する。陰極入力マニホールド(9070)は、中間エンクロージャ底壁(9010)、中間エンクロージャ側壁(9015、9020)、中間エンクロージャ端壁(9025、9030)のそれぞれの内向きの表面によって、ホットゾーン排気導管(9055)の底壁(9059)の外向きの表面によって、およびU字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(8045)の外向きの表面によって境界付けられる。陰極入力マニホールド(9070)は、復熱装置出口ポート(9065)から加熱された陰極空気流を受け取る。陰極入力マニホールド(9070)の内部で、加熱された陰極空気流は、U字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(8045)および中間エンクロージャ壁、例えば、復熱装置出口ポート(9065)から受け取った加熱された陰極空気流として図8Aに示される(9005、9010、9015、9020、9025、9030)から放出される放射によって、および陰極入力マニホールドを通る陰極空気流の移動による対流によって、さらに加熱される。陰極空気流は、陰極入力マニホールド(9070)から出て、陰極入力マニホールド(9070)から陰極室(8055)の下部容積(8142)へと通過する1つまたは複数の陰極室入力ポート(8095)を通って陰極室(8055)に入る。好ましい一実施形態では、複数の陰極室入力ポート(8095)は、その底縁部に近接する一次エンクロージャ側壁(8065、8070)の各々を通過する。一旦陰極室(8055)内に入ると、予熱された陰極空気は、陰極室入力ポート(8095)から陰極室中間容積に上向きに流れ、そこで陰極空気は、燃料電池の外面と反応して、SOFC反応を促進する。次に、予熱された陰極空気は燃焼領域(8030)に到達し、そこで使用済み陰極空気が使用済み燃料と混合され、混合物が燃焼される。
【0122】
SOFCシステム(8000)を通る陰極空気流が図7Aに、陰極空気流の方向とその経路を示す黒い矢印の付いた黒い実線で示されるように、図示される。入力陰極空気流は、可変速ファンまたは他の空気移動装置および対応する空気流量送出コントローラを含む空気送出モジュール(198)から受け取られる。陰極空気流は、空気送出モジュール(198)から陰極入力ポート(9040)、復熱装置室(9050)へと通過し、復熱装置出口ポート(9065)を通って復熱装置室を出て、陰極入力マニホールド(9070)に達する。陰極入力マニホールド(9070)から、空気流は、陰極流路(8095)を通って、陰極室下部容積(8142)に入り、その後、それぞれ個々の燃料電池(8010)の陰極電極表面を通過し、次いで、それぞれ個々の燃料電池(8010)の燃料出力端(8025)から出る使用済み燃料と混合する。使用済み燃料および使用済み陰極空気は、燃焼領域(8030)内部で燃焼し、一次エンクロージャ壁アセンブリ(8045)をさらに加熱する。燃焼した高温ガス混合物は、燃焼領域(8030)からホットゾーン排気導管(9055)へ、そして燃焼排気ポート(9060)を通って通過し、次いで、ホットゾーン排気ポート(9045)を通ってシステムから流出する。
【0123】
SOFCシステムを通る燃料流は、図7Aにも示され、燃料流の方向とその経路を示す黒い破線と矢印によって示されている。空気と混合された水素に富む燃料供給物は、可変速ファン、圧力調整器、噴霧器、または他のガスまたは流体流量調整装置および対応する燃料送出流量コントローラを含む供給燃料送出制御システム(197)から受け取られる。燃料流は、燃料送出制御システムから燃料改質器(8035)へと通過し、そこで供給燃料が改質されて、燃料、通常は水素、一酸化炭素、および二酸化炭素を含む改質物を提供する。燃料は、燃料改質器(8035)から燃料送出導管(8040)を通って燃料入力マニホールド(8015)に流れる。燃料入力マニホールドの内部では、燃料が入力燃料マニホールド(8015)の壁を通過して流れるときに、放射と対流によって燃料が加熱される。燃料入力マニホールド(8015)から、燃料は、それぞれ個々の燃料電池(8010)の中空室に流れ込み、そこで、その陽極電極表面を通過して、SOFC反応に関与する。燃料は、開放された出力端(8025)を通って個々の燃料電池を出て、使用済み燃料が使用済み陰極空気と混合する燃焼領域(8030)に達する。使用済み燃料と使用済み陰極空気は、燃焼領域(8030)内で燃焼する。燃焼した高温ガス混合物は、燃焼領域(8030)から燃焼排気ポート(9060)を通ってホットゾーン排気導管(9055)へと通過し、次にホットゾーン排気ポート(9045)を通ってシステムから流出する。使用済み合成ガスと使用済み陰極空気の混合物を燃焼させることによって生成された熱エネルギーは、U字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(8045)の内部に伝達される。燃料送出制御システム(197)および陰極空気送出モジュール(198)の両方は、必要に応じて流量を変えるように独立して操作可能であり、例えば、燃料流量を変えることによって、電流出力を調整するか、または例えば、空気流量を変えることによって、スタック温度を調整する。
【0124】
熱流図とガス流図
図7Bに示される熱エネルギー流図は、本技術によって可能になる非限定的な熱エネルギー伝達パターンを示す。壁の表面から陰極または燃料流領域のいずれかに向かって内側を指す黒い矢印の頭が付いた黒い実線は、高温の壁表面から低温のガス流または他の壁(例えば、中間エンクロージャ(9000)の壁)の低温の表面への放射放出を表す。流れの矢印では示されていないが、高温の流体/ガス流から低温の流体/ガス領域への対流熱流は、高温の壁面に近接する高温のガス容積が、高温の表面から離れたより冷たいガス容積と混合するときに、ガス流の各々で発生する。陰極ガスの流れは、黒い実線の矢印の付いた黒い実線で示されている。陽極ガスの流れは、黒い実線の矢印が付いた黒い破線で示されている。上記のように、燃料流および陰極ガス流はそれぞれ、各燃料電池の入力端(8020)に近接する陰極室(8055)に入り、使用済み燃料ガスおよび使用済み陰極ガスが燃焼排気ポート(9060)を通って陰極室から復熱装置室(9050)に出る前に混合されて燃焼される燃焼領域(8030)に向かって上向きに流れる。また、以下に説明する、U字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(8045)の熱伝導性コア(8200)の内側に示されている黒い実線の矢印の付いた黒い破線は、それによって提供される熱伝導性経路に沿った熱伝導の方向と経路を示す。図示されるように、熱伝導性コア(8200)によって提供される熱伝導の方向は、高温燃焼領域壁部分(8060)から側壁(8065、8070)の各遠位端に向かう方向である。
【0125】
流入する陰極空気流は周囲温度で復熱装置室(9050)に入り、共有壁(9075)から復熱装置室(9050)に向けられた矢印で示されるように、高温の共有壁(9075)と低温の流入陰極空気流との間の熱交換によって陰極空気流が加熱されると陰極空気流の温度が上昇する。陰極入力マニホールド(9070)の内部では、U字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(8045)の外面から陰極入力マニホールド(9070)に向けられた矢印によって示されるように、高温のU字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(8045)と低温の陰極空気流との間の熱交換によって陰極空気流が加熱されると、陰極空気流の温度がさらに上昇する。また、中間エンクロージャ壁(9005、9010、9015、9020、9025、9030)はそれぞれ、高温のU字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(8045)からの放射放出によって、および陰極空気流との熱交換によって加熱される。陰極空気流は、中間エンクロージャ壁の温度が陰極空気流の温度よりも高いときはいつでも、中間エンクロージャ壁と陰極空気流との間の熱交換によってさらに加熱される。あるいはまた、中間エンクロージャ壁の温度が陰極空気流の温度よりも低い場合(例えば、始動サイクル中)、中間エンクロージャ壁は、高温陰極空気流と中間エンクロージャ壁との間の熱交換によって加熱される。
【0126】
陰極室(8055)の内部では、陰極空気流の温度は、U字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(8045)の内面、個々の燃料電池(8010)の外面、および入力燃料マニホールド(8015)の表面と、上記の表面から向けられた矢印および陰極空気流で示されるように、高温表面または高温ガス流領域から低温表面またはガス流領域に向かう熱流方向を伴う陰極ガス流との間の熱交換によってさらに上昇する。したがって、陰極空気流の温度は、それが陰極室流路(8095)から陰極室を通過して燃焼領域(8030)に流れるときに連続的に上昇する。
【0127】
非限定的な動作モードの例では、燃焼領域(8030)内、および電池内部の陽極表面の少なくとも一部の内部のガス混合物の温度は、定常状態のSOFC反応およびSOFCスタック(8005)からの出力されるDC電流を維持できる前に少なくとも350℃である。一旦定常状態のSOFC反応が確立されると、燃焼領域(8030)内の混合ガスの温度は、500℃を超える可能性がある。したがって、燃焼領域(8030)からホットゾーン排気導管(9055)を通ってホットゾーン排気ポート(9045)に通過する間のガス混合物は、流入する陰極空気流の温度よりもはるかに高く、ホットゾーン排気導管(9055)の周囲の壁よりも高い温度を有する。したがって、高温排気ガスと、共有壁(9075)を含むホットゾーン排気導管(9055)の壁との間の熱交換によって熱が伝達されるため、ガス混合物の温度は、ホットゾーン排気導管(9055)を通過する間に低下する。ホットゾーン排気導管(9055)の加熱された壁、特に共有壁(9075)は、流入する陰極空気が復熱装置室(9050)を通って流れるときに、より冷たい流入する陰極空気への熱交換を引き起こす。
【0128】
再び図7Bを参照すると、流入する燃料空気混合物は、周囲温度で燃料改質器(8035)に入り、触媒部分酸化(CPOX:Catalytic Partial Oxidation)反応器または燃料改質器(8035)による部分燃焼によって加熱される。CPOX反応中、燃料の温度は1200℃付近でピークに達する可能性がある。したがって、燃料改質器(8035)から出る燃料の温度は、燃料が燃料改質器から燃料導管(8040)および燃料入力マニホールド(8015)を通り、燃料入力端(8020)から燃料出力端(8025)まで燃料電池の各々を通過するにつれて低下する。したがって、定常状態運転中、出力電流を生成するSOFC反応が確立された後、燃料流の温度は、燃料改質器(8035)から入力燃料マニホールド(8015)まで延在する流路に沿って連続的に低下する可能性が高く、次に、燃料流が入力燃料マニホールドから燃焼領域(8030)に通過するときに、熱交換によって燃料流から燃料入力マニホールド(8015)の壁および燃料電池(8010)の壁を含む周囲の燃料通路のより低い温度の表面に熱が流れ、これは燃料流から熱の流れを吸収した結果として温度を上昇させるので、増加または減少する可能性がある。いくつかの実施形態では、熱交換の方向は、例えば、燃料流の温度が燃料電池の内壁の温度よりも低くなったとき、変化する可能性がある。上記のように、燃焼領域(8030)からのガス混合物の温度は、それがSOFCシステムから流出するにつれて低下し続ける。
【0129】
再び図7Bを参照すると、黒い矢印の付いた黒い破線は、熱伝導性コアの高温領域から熱伝導性コアの低温領域への熱伝導による熱エネルギー伝達の方向および経路を示す。熱伝導性コアは、コア上部(8215)とコア側壁(8205)および(8210)の各々との間の温度勾配を受動的に低減する。コア上部は、上記のように少なくとも350℃の温度を有し、最高約1200℃に達する燃焼領域(8030)を境界付ける。燃焼領域内部のガス混合物は、周囲の表面よりも高温であるので、熱は強制熱対流によってガス混合物から燃焼領域壁(8060)に流れ、燃焼領域壁によって吸収された放射エネルギーが、以下に説明するように、熱伝導によって側壁(8065、8075)の各々に伝達される。
【0130】
U字形ホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリ
ここで図7A図9A図9B、および図9Cを参照すると、ホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリ(8042)は、SOFCスタック(8005)、燃料入力マニホールド(8015)、およびU字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(8045)を含む。任意選択で、ホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリ(8042)は、ホットゾーン・エンクロージャ・ベース壁(8075)、第1のホットゾーン・エンクロージャ端壁(8080)、および第2のホットゾーン・エンクロージャ端壁(8085)をさらに含む。U字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(8045)は、燃焼領域壁部分(8060)、第1の一次エンクロージャ側壁(8065)および第2の一次エンクロージャ側壁(8070)を含み、これらは両方とも燃焼領域壁部分と結合されている。
【0131】
各一次エンクロージャ壁部分(8060)、(8065)、および(8070)は、熱伝導性コア(8200)を含み、コアは、その露出面に塗布された外層によって酸化から保護される。熱伝導性コア(8200)は、100W/(m・K)よりも大きく、好ましくは200W/(m・K)よりも大きい熱伝導率係数を有する1つまたは複数の材料を含む。非限定的な例示的な一実施形態では、1つまたは複数の熱伝導性コア材料は、銅、モリブデン、アルミニウム、ベリリウム、イリジウム、ロジウム、銀、タングステン、または合金またはそれらの組み合わせを含み、したがって、所望の熱伝導率で製造することができ、ホットゾーンの作動温度で構造要件を確実に満たすことができる。好ましい一実施形態では、熱伝導性コア(8200)は、上記のように、500℃で370(W/m・K)および1027℃で332(W/m・K)の熱伝導率を有する銅または銅合金を含む。熱伝導性コア(8200)は、好ましくは、0.127~3.2mm(0.005~0.125インチ)の範囲の厚さを有するが、本技術から逸脱することなく、他の厚さ(例えば、0.5~6.0mm(0.02~0.24インチ))を使用できる。コアの厚さは、設計要件を満たすために必要に応じて増減できる。より厚い熱伝導性コア(8200)(例えば、最大6.0mm(0.24インチ以上))では、コア材料を所望の作動温度に加熱するためにより多くの熱エネルギーが必要であるが、コアの厚さを増加させることは、コアのある領域から別の領域への熱エネルギーの移動速度を増加させ、熱エネルギーをより迅速に有利に再分配するので有益である。コアの厚さを増やす他の理由は、より長い距離にわたって熱エネルギーを伝導するため、または表面酸化が故障モードである可能性が高い場合はより長い動作寿命を達成するためである。認識されるように、熱伝導性コア(8200)が厚いほど、コアが使用できなくなる程度まで厚い壁が酸化するのにかかる時間が長くなる。また、アルミニウムは、SOFCシステムが約550℃を超える温度にコア材料をさらすことなく電力を生成できるときの電力を生成できるSOFCシステムのコア材料として使用できる。
【0132】
熱伝導性コア(8200)は、標準的な黒体の原理に従って、熱伝導性コアとその周囲の間の絶対温度差(単位:K)の4乗に比例して放射を放出し、放射を吸収する受動的要素である。また、熱エネルギーは、熱伝導性接触しているU字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(8045)の他の表面からの熱伝導によって、熱伝導性コアとの間で伝達される。領域間に熱伝導経路および温度の差がある場合、熱エネルギーは、伝導によって、熱伝導性コアのある領域から熱伝導性コアの別の領域にさらに伝達される。
【0133】
第1の非限定的な例示的な一実施形態では、熱伝導性コア(8200)は、SOFCスタック(8005)を取り囲み、スタックの周りに陰極室(8055)を形成するように形作られた単一要素である。単一要素は、上記のコア材料の平坦なシートから形成され、3つの一次エンクロージャ壁部分(8060)、(8065)、および(8070)を含むサイズにされ、曲げられて、図9Cに示されるU字形コア要素(8200)を形成する。認識されるように、U字形コア要素(8200)は、平らな金属シートを所望のU字形に曲げるように構成された金属曲げ締結具によって形成することができる。本技術から逸脱することなく、他の形状(例えば、長方形のコア要素)を使用できる。
【0134】
第2の非限定的な例示的な一実施形態では、熱伝導性コア(8200)は、3つの別個のコア部分(8205、8210、8215)を含み、それぞれが上記のコア材料のうちの1つまたは複数を含み、それぞれが上記の厚さ範囲内の壁厚を有する。3つの別個のコア部分は、2つの実質的に同一の側面部分(8205)と(8210)、およびコア上壁部分(8215)を含む。コア上壁部分(8215)は、その長手方向の長さに沿って円筒状の半径などで形成され、側面部分(8205)および(8210)はそれぞれ、平らな金属シートから形成される。スタック長さ軸(x)に沿った長手方向の寸法は、好ましくは、3つの別個のコア部分すべてに対して同じである。3つの別個のコア部分(8205、8210、8215)は、例えば、はんだ接合によって、ろう付け接合によって、溶接接合によって、または他の機械的接合技術によって、例えば、各側壁の嵌合縁部をコア上壁部分(8215)の対応する嵌合縁部と圧延またはプレスすることによって、異種金属のシートをコア部分の嵌合縁部間の接合部に沿って共に被覆することによって、または他の方法で各側壁のコア部分の嵌合縁部をコア上部(8215)の対応するコア部分縁部と締結することによって、共に接合される。締結または接合方法に関係なく、3つの別個のコア部分間の機械的インターフェースは、コア上部(8215)と2つの側面コア部分(8205)および(8210)の各々との間を通過する熱伝導経路を提供し、好ましくは、熱伝導経路は、接合されたコア壁部分の長手方向全長および全厚に沿っている。
【0135】
熱伝導性コア(8200)の酸化を防ぐために、コア部分(8205、8210、8215)はそれぞれ、熱伝導性コア(8200)の露出面に塗布または取り付けられた保護層によって保護される。第1の非限定的な例示的な一実施形態では、保護層は、電気めっきプロセスによって、少なくとも0.0005インチの厚さおよび最大0.002インチまたはそれ以上の範囲に塗布されたニッケルめっきを含む。ニッケルめっきは、350~1200℃の作動温度でのそれを通過する酸素の拡散を防ぐために塗布される。第2の非限定的な例示的な一実施形態では、保護層は、露出したコア材料上に形成された陽極酸化表面を含む。陽極酸化表面は、組み立て前に制御された電気めっきまたは酸素に富む環境で形成することができるか、または陽極酸化表面は、SOFCシステムの運転中の経時的な酸素(すなわち陰極空気流)への保護層表面の曝露によって形成することができる。非限定的な例示的な一実施形態では、コア材料がアルミニウムまたはアルミニウム銅合金を含む場合、陽極酸化表面はコア材料表面上に直接形成される。陽極酸化表面が電気めっきまたは酸素に富む陽極酸化プロセスによって組み立て前に制御された環境で形成される場合、陽極酸化層の所望の厚さは、好ましくは0.0005インチであるが、350~1200℃の作動温度で陽極酸化表面を介した酸素拡散を防ぐためにいくつかの用途では最大約0.002インチの範囲である。電気めっきプロセスまたは他の陽極酸化層の塗布タイプに関係なく、保護層の厚さは、熱伝導性コアに近接する平均および/またはピーク作動温度に基づいて、およびめっき厚が曝露される酸化剤濃度および/または酸化速度に基づいて、SOFCシステムまたは熱伝導性コアの所望の動作寿命に依存するであろう。
【0136】
第3の非限定的な例示的な一実施形態では、保護層は、3つのコア部分(8205)、(8210)、および(8215)の各露出面と嵌合接触して配置された1つまたは複数の金属シートを含む。金属シートは、熱伝導性コアのコーティングされていない表面に直接付けることができるか、または熱伝導性コアの電気めっきされた表面に付けることができる。しかしながら、上記のように、電気めっきされたニッケル層は、金属シートなしで保護層として機能することができる。図9Cの分解等角図に示されるように、内側保護板金層(8220)は、3つのコア部分(8205)、(8210)、(8215)の各内面に付着するように形成されたU字形構造として製造され、内側保護層(8220)の内面は、SOFCスタックに面している。好ましくは、SOFCスタックとは反対側に面する内側保護層(8220)の外面、および3つのコア壁部分(8205、8210、8215)の内面は、3つのコア壁部分の内面領域全体にわたって嵌合接触している。内側保護層(8220)は、例えば、スタック長手方向長さ軸(x)に沿った内側保護層(8220)の長手方向長さが熱伝導性コア(8200)の長手方向長さを超えて延在する場合、または、例えば、内側保護層(8220)の下縁部(8240、8245)のそれぞれが、ホットゾーン・エンクロージャ・ベース壁(8075)、または燃料入力マニホールド(8015)によって提供することができるような他の機械的インターフェース面と嵌合するように延在する、図9Cに示されるように、ガス流軸(z)に沿った内側保護層の寸法が同じ軸に沿った熱伝導性コアの寸法よりも大きい場合、U字形熱伝導性コア(8200)の部分を超えて延在することができる。同様に、内側保護層(8220)の側縁部は、例えば、ホットゾーン・エンクロージャの端壁(8080)および(8085)と嵌合するように、および/またはスタック長手方向軸(x)に沿って陰極室(8055)の長さを延長するように、3つすべてのコア部分(8205)、(8210)、(8215)の側縁部を超えて延在することができる。内側保護層(8220)は、スタック長さ軸(x)に沿った円筒半径で形成された内側上部(8225)と、内側上部(8225)の円筒半径の異なる縁部からそれぞれが延在する2つの対向する内側側壁部分(8230)および(8235)とを含む。
【0137】
内側保護層側壁部分(8230)および(8235)はそれぞれ、例えば、内側側壁底縁部(8240)および(8245)と、例えば、溶接、はんだ付け、またはガスシールとして構成されたまたはガス流に高インピーダンスを提供するように構成された他の機械的インターフェース接続によって、インターフェース接続部全体に沿って接合された一次エンクロージャベース壁(8075)との間の機械的インターフェース接続によって、ホットゾーン・エンクロージャ・ベース壁(8075)に取り付けられる。ホットゾーン・エンクロージャ・ベース壁(8075)はまた、中間エンクロージャ(9000)にその底壁(9010)および/または側壁および端壁(9015、9020、9025、9030)で取り付けられているので、内側側壁底縁部(8240)および(8245)と、一次エンクロージャベース壁との間の機械的インターフェース接続は、中間エンクロージャ(9000)内部のU字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(8045)を固定的に支持する。あるいはまた、内側保護層側壁部分(8230)および(8235)はそれぞれ、内側側壁底縁部(8240)および(8245)と中間エンクロージャ底壁(9010)との間の機械的インターフェース接続によって、中間エンクロージャ底壁(9010)に直接取り付けられており、それらは、溶接、ろう付け、はんだ付け、またはその他の機械的インターフェース接続によって固定的に取り付けられる。あるいはまた、側壁部分(8230)および(8235)はそれぞれ、内側側壁底縁部(8240)および(8245)と、燃料入力マニホールド(8015)との間の機械的インターフェース接続によって燃料入力マニホールド(8015)に取り付けられており、それらは、溶接、ろう付け、はんだ付け、またはその他の機械的インターフェース接続によって固定的に取り付けられる。この実施形態では、燃料入力マニホールド(8015)は、中間エンクロージャ底壁(9010)または他の中間エンクロージャ壁に取り付けられるので、内側側壁底縁部(8240)および(8245)と、燃料入力マニホールド(8015)との間の機械的インターフェース接続は、中間エンクロージャ(9000)内部のU字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(8045)を固定的に支持する。取り付け技術に関係なく、内側側壁底縁部(8240)および(8245)とホットゾーン・エンクロージャ・ベース壁(8075)との間、または内側側壁と入力燃料マニホールド(8015)との間、または内側側壁と中間エンクロージャ底壁(9010)との間の機械的インターフェース接続は、好ましくは、ガスシールを提供するか、または陰極室(8055)の下部境界に対応するガス流に対して高インピーダンスを提供する。好ましい一実施形態では、内側保護層側壁部分(8230)および(8235)はそれぞれ、その底縁部(8240)および(8245)に近接する熱伝導性コア側壁(8205)および(8210)の底縁部の下方に延在する内側側壁部分を通過する複数の陰極室入力ポート(8095)を含み、入力ポート(8095)は、スタック長さ軸(x)に沿って等間隔に配置されている。ガス流軸(z)に沿った陰極室入力ポート(8095)の位置は、燃料入力端(8020)に近接する陰極室(8055)の下部容積(8142)に陰極空気流を送出するように選択される。代替の陰極室入力ポートの実施形態は、単一のスロット付き開口部および/または例えば、円形、楕円形、正方形、長方形などの様々な開口部形状の複数の開口部を含む。あるいはまた、陰極室入力ポート(8095)の内面が、例えば、電気めっきまたは酸化を防ぐように構成されたインサートによって、酸化から保護されている場合、陰極室入力ポート(8095)は、内側側壁(8230、8235)およびコア側壁(8205、8210)を通過することができる。
【0138】
外側保護層(8250)は、2つの略同一の外側側壁部分(8255)および(8260)と、外側上部(8265)とを含む。図9Cの分解等角図に示されるように、3つの外側保護層部分は、互いに接合され、熱伝導性コア(8200)の対応する外面と共に接合されると、熱伝導性コア(8200)の外面に取り付けて、(例えば、陰極空気入力マニホールド(9070)を通って流れる)酸素が豊富な陰極空気流への曝露から保護するように形作られたU字形板金構造を形成する。好ましくは、外側保護層(8250)の内面は、SOFCスタックとは反対側を向いている熱伝導性コア(8200)の対応する外面と嵌合接触している。外側保護層上壁部分(8265)は、スタック長さ軸(x)に沿った円筒半径で形成され、外側保護層上壁部分(8260)の円筒半径の内側半径は、熱伝導性コア上部(8215)の円筒半径の外側半径と一致するので、内側半径と外側半径が共に接合されたときに、それらはそれらの間の嵌合接触を提供する。外側保護層側壁部分(8255)および(8260)はそれぞれ、ガス流軸(z)に沿った高さ寸法およびスタック長さ軸(x)に沿った長さ寸法で切断された平らな板金ブランクから形成される。各側壁部分(8255、8260)の高さ寸法は、外側側壁底縁部(8270)および(8275)を下に配置するか、または熱伝導性コア側壁部分(8205)および(8210)の対応する底縁部と一致するように選択される。陰極流路(8095)が内側側壁(8230、8235)のみを通過する場合、外側側壁(8255、8260)の高さ寸法は、外側側壁が陰極流路(8095)を覆うのを防ぐのに十分短い。他の実施形態では、陰極流路(8095)は、外側側壁(8260、8255)、コア側壁(8205、8210)、および内側側壁(8230、8235)を通過することができる。好ましくは、外側側壁(8255、8260)の内面およびコア側壁(8205、8210)の外面は、組み立て後に嵌合接触している。
【0139】
好ましい一実施形態では、内側保護層および外側保護層の各壁部分は、例えば、米国イリノイ州アルシップのRolled Metal Productsによって流通されている、Aloly18 SR(登録商標)ステンレス鋼などのフェライト鋼から製造される。SOFCシステム(8000)の作動温度と酸素が豊富な条件下で、内側保護層と外側保護層の露出面のさらなる酸化を防ぎ、Alloy18 SR(登録商標)ステンレス鋼からのクロムの浸出を防ぐ酸素曝露に反応して、添加されたアルミニウム含有量が酸化アルミニウムの表面層を有利に形成するため、Alloy18 SR(登録商標)ステンレス鋼が好ましい。Alloy18 SR(登録商標)ステンレス鋼の好ましい厚さは、4mm(0.16インチ)であるが、本技術から逸脱することなく、0.13~6.0mm(0.005~0.24インチ)の厚さ範囲が使用可能であり、内側保護層と外側保護層の形状とサイズ、内側保護層と外側保護層を形成するために使用される形成方法、標準的な圧延材の厚さの利用可能性、時間単位での所望の動作寿命などに依存する場合がある。代替の例示的な一実施形態では、内側保護層および外側保護層は、アルミニウムおよびチタンを少量添加したニッケル-銅合金であるモネルなどのクロムを含まない高温金属合金を少なくとも部分的に含む。各壁部分の好ましい厚さは、約4mm(0.16インチ)であるが、実際の厚さは、本技術から逸脱することなく、0.13~6.0mm(0.005~0.24インチ)の範囲にすることができる。
【0140】
ホットゾーン・エンクロージャ・ベース壁(8075)およびホットゾーン・エンクロージャ端壁(8080、8085)はそれぞれ、それぞれが任意選択で、例えば、図8Bの断面図に示されているように、熱伝導性コア部分(8200)と、内側保護層(8280)および外側保護層(8285)を含む2つの保護層部分とを含むことができる。本明細書に記載の他の保護層と同様に、内側保護層(8280)および外側保護層(8285)は、熱伝導性コアの露出表面に塗布されるニッケルめっきを含むことができるか、または熱伝導性層は、組み立て前に、またはSOFCシステムの動作中に陰極空気に曝露されることによって形成される、陽極酸化層を形成するように構成される上記の側壁(8230、8235、8255、8260)のように、内側保護層および外側保護層によって保護することができる。上記のように、熱伝導性コア(8200)の表面は、ニッケルが少なくとも0.0005インチ、最大0.002インチ以上の範囲の厚さに塗布される電気めっきプロセスによって、および/または厚さが4mm(0.16インチ)または厚さ範囲が0.13~6.0mm(0.005~0.24インチ)のAlloy18 SR(登録商標)ステンレス鋼で構成される板金フォームの取り付けによって保護される。
【0141】
熱伝導性コア部分(8200)と保護層部分(8280)および(8285)は、2つの保護層部分(8280)および(8285)による酸化から熱伝導性コア部分(8200)が保護されている上記の一次エンクロージャ壁(8060)、(8065)、および(8070)のように構成される。熱伝導性コア部分(8200)は、100W/(m・K)よりも大きく、好ましくは200W/(m・K)よりも大きい熱伝導率係数を有する1つまたは複数の材料を含む。
【0142】
より一般的には、図9Cに示される上記の保護層(8250、8220)および図8Bに示される保護層(8280、8285)の各々、ならびに電気めっきプロセスによって塗布されたニッケルめっきおよび/または陽極酸化層は、安定化された保護外層を通して酸素が拡散するのを防ぐ安定化された保護外層を提供するように選択される。好ましくは、安定化された保護層はクロムを含まないが、安定化された保護層は、好ましくは、安定化された保護層を通ってクロムが浸出するのを防ぐ。安定化された保護外層材料の例には、酸化アルミニウム、酸化チタン、または他の適切な酸化物または不動態化の層が含まれる。
【0143】
図9Aに示されるホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリ(8042)は、燃焼領域(8030)を通過する燃焼器要素(8155)と流体連通している始動燃料入力導管(8145)内に始動燃料流(8152)を送出するための、図1に示される燃料送出制御モジュール(197)と流体連通している始動燃料入力導管(8145)を備える。図7Aに示される燃料点火装置要素(8160)は、燃焼領域(8030)内に延在し、U字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(8045)とSOFCスタック(8005)の温度を急速に上げるために、コールドスタート中に燃焼領域内部の燃焼器要素(8155)から始動燃料流(8152)が出るときに、始動燃料流(8152)を点火するために使用される。始動燃料流(8152)は、水素に富む燃料と、改質されていない空気またはプロパンなどの改質されていない炭化水素に富むガスとの混合物を含む。SOFCシステムのコールドスタート中に、燃料送出制御モジュール(197)は、始動燃料流(8152)を燃焼器要素(8155)に直接送出し、点火装置要素(8160)を使用して燃焼器要素(8155)から出る燃料に点火することができる。また、図1に示す空気送出モジュール(198)は、復熱装置室(9050)に空気流を送出して、陰極入力マニホールド(9070)と陰極室(8055)を通過する前に加熱して、その後、燃焼領域(803)に到達することができる。U字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(8045)およびSOFCスタック(8005)が所定の始動温度に達すると、燃料送出制御モジュールは、始動燃料流(8152)を燃焼器要素(8155)に送出し、燃料流(8050)を燃料改質器(8035)に供給して、SOFCスタック(8005)を通る燃料(8150)の流れを開始することができ、一方、加熱された空気流は、最終的にSOFC反応を開始するために陰極室を通って移動する。
【0144】
エンクロージャ壁アセンブリの製造プロセス:
第1の非限定的な例示的な製造プロセスにおいて、内側保護層(8220)および熱伝導性コア(8200)はそれぞれ、上記の適切な材料から単一の平坦なシートとして形成される。各平坦なシートは、内側保護層と熱伝導性コアの最終寸法に対応する所定の最終寸法に切断される。いずれかのシートの追加処理は、単一の平坦なシートが依然として平坦なシートである間に完了することが好ましい。内側保護層底縁部(8240、8245)をホットゾーン・エンクロージャ・ベース壁(8075)に取り付けるため、または内側保護層底縁部(8240、8245)を入力燃料マニホールド(8015)に取り付けるため、および/または内側保護層底縁部(8240、8245)を中間エンクロージャ(9000)に取り付けるために使用される機械的インターフェース接続要素を提供する必要があり得るとき、追加処理は、内側保護層(8220)(または内側保護層およびコア)を通過する陰極室入力ポート(8095)の穴あけ、打ち抜き、または他の方法での形成と、他の穴または形成された構成の追加とを少なくとも含む。例えば、内側保護層(8220)をホットゾーン・エンクロージャ端壁(8080、8085)に取り付けるため、または内側保護層(8220)または外側保護層(8250)を熱伝導性コア(8200)に取り付けるため、または燃料または陰極空気流ポート(例えば、燃焼排気ポート(9060))を提供する、または燃料送出導管(8040)へのアクセスを提供するため、またはコールドスタート中に使用するための燃焼領域への燃料導管を提供するため、またはセンサ取り付け点などのための電気インターフェースへのアクセスを提供するためなど、他の機械的インターフェース機構を提供するために必要に応じて追加の穴または構成がまた、U字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(8045)を組み立てる前に追加される。
【0145】
電気めっき、機械加工、打ち抜きなどを含む組み立て用の平坦なシートを準備した後、例えば、2枚のシートを互いに嵌合接触させて位置合わせしてクランプし、2枚のシートを共に接合して、依然として平坦なシートである複合板金構造を形成することによって、内側保護層(8220)と熱伝導性コア(8200)が平坦に共に接合される。接合技術には、溶接、ろう付け、はんだ付け、締結、例えば、折りたたまれたタブジョイントによるリベット留め、セルフリベット留め、またはセルフクリンチングなどが含まれ得る。
【0146】
いずれかのシート材料が圧延シートである場合、粒子方向は圧延方向と平行に走る。したがって、シートを切断して共に組み立てる前に、各シートの圧延方向を特定する必要があり、シートが曲げられる場合は、曲げ軸に対して粒子方向を向けることを考慮する必要がある。また、熱伝導性コアの粒子方向は、コアシート材料の他の軸に対して異なる熱伝導率係数を有する可能性がある。したがって、熱伝導性コアは、コア上部(8215)からコア側壁(8205、8210)の底縁部に向けられる最も高い熱伝導率軸で配向されるべきである。
【0147】
次に、熱伝導性コア(8200)と内側保護層(8220)が嵌合接触で共に接合された複合シートを曲げて、図9Cに示すU字形構造を形成し、内側保護層をSOFCスタックに面するように配置する。円筒半径は、スタック長さ軸(x)に沿った長手方向軸を有する。非限定的な例示的な一実施形態では、曲げ半径は、プレスブレーキなどで、室温で複合板金構造を曲げる(空気曲げ)か、または形成するように動作可能な油圧曲げ装置によって形成される。材料に損傷を与えたり、スプリングバックなどの望ましくない結果を管理したりせずに曲げることができる曲げ半径は、材料特性(例えば、硬度、引張強度、材料の厚さ、材料の粒子方向など)の影響を受け、U字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(8045)の異なる実施形態の製造プロセスを決定する際に、これらの特性が考慮される。一般的に、材料のひび割れおよび接合された材料層の分離を避けるために、材料を材料の粒子方向に対して横方向に曲げることが好ましいが、これは材料の厚さによって異なる。複合板金構造は、曲げる前に、例えば、90~150°に予熱して、曲げ中の局所的な応力を低減させることができ、それによって材料の分離および/または望ましくない変形を防ぐのに役立つ。本技術を逸脱することなく、高温での鍛造などの他の成形方法を使用できる。
【0148】
第1の非限定的な例示的な製造プロセスにおいて、外側保護層(8250)は、上記の適切なシート材料の3つの別個の平坦なシートから形成される。3枚の別々の平坦なシートは、外側上部(8265)および2つの外側側部(8255)および(8260)の各々に対応する。各平坦なシートは、U字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(8045)の最終寸法に対応する所定の完成寸法に切断される。3枚の平坦なシートの各々に対する追加の処理は、シートがまだ平坦なシートである間に完了し、シートが最終的な寸法に切断される前に処理することができる。追加の処理には、穴あけ、打ち抜き、またはその他の方法で燃料または陰極空気流ポート(例えば、燃焼排気ポート(9060))を提供するための通路、またはコールドスタートアップ中に使用するための燃焼領域内への燃料送出導管へのアクセスを提供するための、または電流収集、センサ取り付け点などのための電気インターフェースへのアクセスを提供するための通路を形成することが含まれ得る。外側保護層要素(8265、8255、8260)を熱伝導性コア(8200)に、および/またはホットゾーン・エンクロージャ端壁(8080、8085)に取り付けるため、または必要に応じて外側保護層を内側保護層に取り付けるためなど、他の機械的インターフェース機構を提供するために必要に応じて追加の穴または構成が、製造プロセスのこの時点で追加される。
【0149】
電気めっき、機械加工、打ち抜きなどを含む、組み立て用の平坦なシートを準備した後、外側上部(8265)を曲げて、図9Cに示すU字形構造を形成し、外側上部の内側半径をSOFCスタックに面するように配置する。円筒半径は、スタック長さ軸(x)に沿った長手方向軸を有し、コア上部(8215)の外側半径と一致する内側半径を有する。曲げ半径は、プレスブレーキなどで、室温で平坦な板金構造を曲げる(空気曲げ)か、または形成するように動作可能な油圧曲げ装置によって形成される。材料に損傷を与えたり、スプリングバックなどの望ましくない結果を管理したりせずに曲げることができる曲げ半径は、材料特性(例えば、硬度、引張強度、材料の厚さ、材料の粒子方向など)の影響を受け、外側上部(8265)の異なる実施形態の製造プロセスを決定する際に、これらの特性が考慮される。一般的に、材料のひび割れおよび接合された材料層の分離を避けるために、材料を材料の粒子方向に対して横方向に曲げることが好ましいが、これは材料の厚さによって異なる。複合板金構造は、曲げる前に、例えば、90~150°に予熱して、曲げ中の局所的な応力を低減させることができ、それによって材料の分離および/または望ましくない変形を防ぐのに役立つ。対象の技術を逸脱することなく、高温での鍛造などの他の成形方法を使用できる。
【0150】
2枚の平坦なシート(8255、8260)と曲がった外側上部(8265)を機械加工、打ち抜きなどを含む組み立て用に準備した後、3つの外側保護層はそれぞれ、熱伝導性コア(8200)の外面に組み立てられ、熱伝導性コアに接合される。接合技術には、溶接、ろう付け、はんだ付け、締結、例えば、折りたたまれたタブジョイントによる、リベット留め、セルフリベット留め、またはセルフクリンチング、またはそれらの組み合わせが含まれ得る。上記のように、3つの外側保護層は、熱伝導性コア(8200)の外面を完全に覆うように組み立てられ、陰極空気流および/または燃焼領域(8030)における使用済み陰極ガスと使用済み合成ガスの混合物による酸化を防ぐ。
【0151】
製造プロセス:3枚のシートを共に接合する
第2の非限定的な例示的な製造プロセスにおいて、内側保護層(8220)、熱伝導性コア(8200)、および外側保護層(8250)はそれぞれ、上記のように、その適切なシート材料から単一の平坦なシートとして形成される。各平坦なシートは、U字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(8045)の最終寸法に対応する所定の完成寸法に切断される。単一平坦なシートがまだ平坦なシートである間に、3つの単一平坦なシートの各々に対する追加の処理が完了する。内側保護層底縁部(8240、8245)をホットゾーン・エンクロージャベース壁(8075)に取り付けるため、または内側保護層底縁部(8240、8245)を入力燃料マニホールド(8015)に取り付けるため、および/または内側保護層底縁部(8240、8245)を中間エンクロージャ(9000)に取り付けるために使用される機械的インターフェース接続要素を提供するために必要に応じて、追加処理は、内側保護層(8220)を通過する陰極室入力ポート(8095)の穴あけ、打ち抜き、または他の方法での形成と、他の穴または形成された構成の追加とを少なくとも含む。例えば、内側保護層(8220)をホットゾーン・エンクロージャ端壁(8080、8085)に取り付けるため、または内側保護層(8220)または外側保護層(8250)を熱伝導性コア(8200)に取り付けるため、または燃料または陰極空気流ポート(例えば、燃焼排気ポート(9060))を提供する、または燃料送出導管(8040)へのアクセスを提供するため、またはコールドスタート中に使用するための燃焼領域への燃料導管を提供するため、または電流収集、センサ取り付け点などのための電気インターフェースへのアクセスを提供するためなど、他の機械的インターフェース機構を提供するために必要に応じて追加の穴または構成がまた、U字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(8045)を組み立てる前に追加される。
【0152】
電気めっき、機械加工、打ち抜きなどを含む組み立て用の3枚の平坦なシートを準備した後、内側保護層(8220)および外側保護層(8250)に対応する平坦なシートは、例えば、3枚のシートを互いに嵌合接触させて整列させてクランプし、3枚のシートを共にろう付けして、依然として平坦なシートである複合板金構造を形成することによって、それぞれが熱伝導性コア(8200)に対応する平坦なシートに接合される。上記のように、各シートの圧延方向は、シートを切断して共に組み立てる前に識別され、内側上部(8225)、コア上壁(8215)、および外側上部(8265)の曲げ半径に対応する曲げ軸に対して粒子方向を向けることが考慮される。次に、複合板金構造を曲げて、図9Cに示すU字形構造を形成し、内側保護層をSOFCスタックに面するように配置する。円筒半径は、スタック長さ軸(x)に沿った長手方向軸を有する。曲げ半径は、プレスブレーキなどで、室温で複合板金構造を曲げる(空気曲げ)か、または形成するように動作可能な油圧曲げ装置によって形成される。材料に損傷を与えたり、スプリングバック、個々のシートの分離、曲げ軸に沿った亀裂などの望ましくない結果を管理したりせずに曲げることができる曲げ半径は、材料特性(例えば、硬度、引張強度、材料の厚さ、材料の粒子方向など)の影響を受け、U字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(8045)の異なる実施形態の製造プロセスを決定する際に、これらの特性が考慮される。一般的に、材料のひび割れおよび接合された材料層の分離を避けるために、材料を材料の粒子方向に対して横方向に曲げることが好ましいが、これは材料の厚さによって異なる。複合板金構造は、曲げる前に、例えば、90~150°に予熱して、曲げ中の局所的な応力を低減させることができ、それによって材料の分離および/または望ましくない変形を防ぐのに役立つ。対象の技術を逸脱することなく、高温での鍛造などの他の成形方法を使用できる。
【0153】
追加の製造プロセスの実施形態
上記の第1および第2の製造プロセスで説明したように、内側保護層(8220)、熱伝導性コア(8200)、および外側保護層(8250)のいずれか1つは、円筒半径に曲げられる上部と、円筒半径の対向する縁部から延在する2つの側面部分とを含む、3つの部分すべてを含む単一の平坦なシート材から形成することができる。さらなる製造プロセスによれば、単一の平坦なシート材部分の3つのうちの2つまたは3つは、クラッディングによって共に接合することができる。クラッディングは、内側保護層(8220)および外側保護層(8250)に対応する平坦なシート材がそれぞれ、単一のクラッディングまたは圧延ステップで熱伝導性コア(8200)に対応する平坦なシートに接合される単一のクラッディングステップによって実施することができる。あるいはまた、クラッディングは、内側保護層(8220)または外側保護層(8250)に対応する平坦なシート材が、熱伝導性コア(8200)に対応する平坦なシートに接合され、続いて、第2のクラッディングステップにおいて、内側保護層(8220)または外側保護層(8250)に対応する残りの平坦なシート材を、熱伝導性コア(8200)に対応する平坦なシートに接合する2段階プロセスで実施することができる。
【0154】
クラッディングプロセスでは、クラッディング材の幅は圧延方向を横切るので、クラッディング材の幅は、SOFCスタック軸(x)に沿ったU字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(8045)の所望の長さ寸法に対応するように選択されることが好ましい。
【0155】
クラッディング材から、複合クラッディングシートが、内側保護層、熱伝導性コア、および外側保護層の形成に対応する所定の完成寸法に切断される。複合クラッディングシートの追加処理は、複合クラッディングシートがまだ平坦な状態で完了する。追加の処理には、少なくとも、陰極室入力ポート(8095)の穴あけ、打ち抜き、またはその他の方法による形成が含まれ、さらに、複合クラッディングシートをホットゾーン・エンクロージャ・ベース壁(8075)に、および/または入力燃料マニホールド(8015)に、および/または中間エンクロージャ(9000)に取り付けるために使用される機械的インターフェース接続要素を提供する必要に応じて他の穴または形成された構成を追加することを少なくとも含み、例えば、複合クラッディングシートをホットゾーン・エンクロージャ端壁(8080、8085)に取り付けるため、または燃料または陰極空気流ポート(例えば、燃焼排気ポート(9060))を提供する、または燃料送出導管(8040)へのアクセスを提供するため、またはコールドスタートアップ中に使用するための燃焼領域への燃料導管を提供するため、または電流収集、センサ取り付け点などのための電気インターフェースへのアクセスを提供するためなど、他の機械的インターフェース機構を提供するために必要に応じて他の穴または構成がまた、単一のクラッディング平坦なシートの実施形態を曲げる前に追加される。
【0156】
電気めっき、機械加工、打ち抜きなどを含む、複合クラッディングシートを準備した後、複合クラッディングシートを曲げて、図9Cに示すU字形構造を形成し、内側保護層をSOFCスタックに面するように配置する。円筒半径は、スタック長さ軸(x)に沿った長手方向軸を有する。曲げ半径は、プレスブレーキなどで、室温で複合板金構造を曲げる(空気曲げ)か、または形成するように動作可能な油圧曲げ装置によって形成される。材料に損傷を与えたり、スプリングバック、個々のシートの分離、曲げ軸に沿った亀裂などの望ましくない結果を管理したりせずに曲げることができる曲げ半径は、材料特性(例えば、硬度、引張強度、材料の厚さ、材料の粒子方向など)の影響を受け、U字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(8045)の異なる実施形態の製造プロセスを決定する際に、これらの特性が考慮される。一般的に、材料のひび割れおよび接合された材料層の分離を避けるために、複合クラッディングシートを材料の粒子方向に対して横方向に曲げることが好ましいが、これは材料の厚さによって異なる。複合クラッディングシートは、曲げる前に、例えば、90~150°または最高1000℃に予熱して、曲げ中の局所的な応力を低減させることができ、それによって材料の分離および/または望ましくない変形を防ぐのに役立つ。
【0157】
上記の第1および第2の製造プロセスでさらに説明するように、内側保護層(8220)、熱伝導性コア(8200)および外側保護層(8250)のいずれか1つは、円筒半径に曲げられる上部と、円筒半径の対向する縁部から延在する2つの側面部分と円筒半径に曲げられる上部と、円筒半径の対向する縁部から延在する2つの側面部分とに対応する3つの別個の平坦なシート材要素と して形成することができる。熱伝導性コア(8200)の場合、コア材料の平坦なシートからコア上部(8215)および2つのコア側壁部分(8205、8210)のそれぞれを切断することによって製造される。その後、3つのコア部分がまだ平坦な間に、穴あけ、打ち抜き、機械加工、または電気めっきが実行される。次に、コア上部(8215)を所望の円筒半径に曲げ、次に2つのコア側壁部分(8205、8210)を円筒半径の異なる縁部に沿って取り付けて、組み立てられた熱伝導性コア(8200)を形成する。
【0158】
内側保護層(8220)および外側保護層(8250)のそれぞれは、内側上部(8225)と外側上部(8265)および内側側壁部分(8230、8235)と外側側壁部分(8255、8260)がコア材料の平坦なシートから形成されるのと同じ方法で製造される。その後、内側および外側保護層部分がまだ平坦な間に、穴あけ、打ち抜き、機械加工、または電気めっきが実行される。次に、内側上部(8225)および外側上部(8265)を、例えば、コア上部(8215)の対応する内側半径および外側半径に一致するように、所望の円筒半径に曲げる。その後、内側上部(8225)と外側上部(8265)、および内側側壁部分(8230、8235)と外側側壁部分(8255、8260)が、組み立てられた熱伝導性コアに取り付けられ、所定の位置にクランプされ、次に熱伝導性コアにはんだ付け、溶接、またはそれ他の方法で機械的に取り付けられる。
【0159】
上記の第1および第2の製造プロセスでさらに説明するように、内側保護層(8220)、熱伝導性コア(8200)および外側保護層(8250)のいずれか1つを、最終要素の上部と2つの側壁部分の3つすべてに対応する別個の平坦なシート材要素として形成することができる。その後、3つの別個の平坦なシート材要素がまだ平坦である間に、穴あけ、打ち抜き、機械加工、または電気めっきが実行される。その後、3つの別個の平坦なシート材要素のそれぞれが、3つの独立した曲げステップで所望の円筒半径に曲げられる。その後、以前に曲げられた3つの要素のそれぞれが共に組み立てられ、はんだ付け、溶接、またはその他の機械式締結要素によってクランプされ、接合される。
【0160】
コア材料を介した熱伝導
図7Bおよび図9Cを参照すると、燃焼領域(8030)から放射される熱エネルギーは、燃焼領域壁部分(8060)、特に内側上壁部分(8225)に主に衝突する。また、燃焼領域(8030)を通って移動するガスは、対流によって熱エネルギーを内側上壁部分(8225)に主に伝達する。同じ熱エネルギー伝達メカニズムが内側保護層側壁(8230、8235)のそれぞれで発生するが、燃焼領域壁部分(8060)内のガスからの熱エネルギー伝達の速度は、燃焼領域(8030)内のガスの温度がより高いため、燃焼領域にはないガスからの熱エネルギー伝達の速度よりも大きい。したがって、内側上壁部分(8225)への熱エネルギー伝達の速度は、内側側壁(8230、8235)への熱エネルギー伝達の速度よりも高い。
【0161】
内側保護層(8220)と熱伝導性コア(8200)の嵌合面間の熱伝導率の組み合わせと、高温面から低温面へと放出される放射によって、内側保護層(8220)から熱伝導性コア(8200)に熱エネルギーが伝達される。また、熱エネルギーは、内側層の材料を介した熱伝導によって、内側保護層の高温領域、この場合は内側保護上部(8225)から低温の内側側壁(8230、8235)に伝達される。同様に、熱エネルギーは、熱伝導性コアの材料を介した熱伝導によって、熱伝導性コアの高温領域、この場合はコア上部(8215)から、低温のコア側壁(8205、8210)に伝達される。しかしながら、熱伝導性コアの材料は、内側保護層(8220)の材料よりもはるかに高い熱伝導率係数を有するため、コア上部(8215)からコア側壁(8205)および(8210)のそれぞれへの熱伝導による熱エネルギー伝達の速度は、内側保護層上部(8025)から内側保護層側部(8235)および(8240)への熱エネルギー伝達の速度よりも7倍大きい。コア上部(8215)からコア側壁(8205)および(8210)のそれぞれへの熱伝導性エネルギー流路は、コア上部(8215)からコア側壁(8205)および(8210)のそれぞれに向けられた後ろ向き矢印を備えた黒い破線によって図7Bに示されている。コア上部(8215)からの熱エネルギーの伝達は、コア材料に存在する温度勾配を減少させ、その結果、コア上部の温度が低下し、それに対応してコア側壁部分の温度が上昇する。理想的には、熱伝導性コアの熱エネルギー伝達率の増加により、コア上部(8215)と2つのコア側壁(8205)および(8210)との間の温度勾配が受動的に減少し、その結果、内側保護層(8220)および外側保護層(8250)のそれぞれの温度勾配が減少する。温度勾配が減少すると、U字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(8045)全体がガス流軸(z)に沿ってより均一に熱エネルギーを放出するため、燃焼領域(8030)から受け取った熱エネルギーを、陰極室(8055)と陰極入力マニホールド(9070)の中間および下部容積を通過する陰極空気に、およびSOFC管(8010)および中間エンクロージャの壁に、再分配する。出願人は、本技術から逸脱することなしに、コア側壁(8205)または(8210)のいずれかなどの単一コア側壁を使用して、コア上部(8215)とコア側壁のみとの間の温度勾配の所望の受動的な低減を提供することができると述べている。
【0162】
ガス流軸(z)に沿った温度勾配の減少の重要な利点は、ガス流(z)軸に沿ったSOFCスタック(8005)に沿った温度勾配の減少である。最適なSOFC反応温度に維持される陽極層と陰極層の表面積を拡大することにより、例えば、合成ガス送出のユニットあたりのDC電流生成で測定されるとき、SOFC反応の収率が向上する。陽極と陰極の表面積の一部のみがSOFC反応に関与している場合、陽極と陰極の表面積の非関与部分が最適化された反応温度にない場合、または陰極ガス流が最適化された反応温度にない場合、上記のように、温度勾配の低下は、SOFCシステムの非関与SOFC反応部分を関与部分に変換する傾向があり、それにより、電流出力が増加する。
【0163】
第2の利点は、ガス流軸(z)に沿ったSOFCスタックの温度がより均一になると、熱膨張の不一致によって引き起こされるSOFC燃料電池およびその他の構成要素への損傷が減少する可能性があることである。燃料電池は、それぞれ異なる熱膨張係数を有する3つのセラミックス層で形成されている。3つのセラミックス層の亀裂または分離は、熱サイクルの間(例えば、始動またはシャットダウンの間)にガス流軸(z)に沿ったそれぞれの材料層の長さ変化が異なる場合の一般的な故障モードである。ガス流軸(z)に沿った温度勾配が減少すると、SOFC燃料電池への損傷が減少する可能性がある。同様に、ホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリ(8042)は、3つの壁、熱伝導性コア(8200)、およびそれぞれが異なる熱膨張係数を有する2つの異なる材料から形成された2つの保護層(8220、8250)を含む。3つの金属層の分離と変形は、異なる壁材料が異なる速度で膨張する場合の熱サイクル中の潜在的な故障モードである。ガス流軸(z)に沿った温度勾配の変動が減少すると、熱サイクル中のU字形ホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリ壁への損傷が減少する可能性がある。
【0164】
熱伝導は、(単位時間あたりの)熱エネルギー伝達率として表され、熱流または熱流束とも呼ばれ、1秒あたりのワットまたはジュール単位で表すことができる。以下の式1は、熱流束Qを次のように定義している。
【数1】
【0165】
ここで、(Q)は単位がワットの熱エネルギー伝達率、(k)は単位がW/(m・K)の熱伝導率係数、(A)は熱伝導経路の面積であり、例えば、単位は平方メートル(m)、(d)は伝導経路の長さ(単位はメートル)、(ΔT)は単位がケルビン度で表される温度勾配である。本実施形態の熱伝導性コアの場合、熱伝導性経路の長さ(d)は、熱伝導性コア上部(8215)の中心から側面部分(8205)および(8210)のうちの1つの底縁部までの直線距離に等しい。面積(A)の寸法は、熱伝導経路の厚さと、例えば、スタック長軸(x)に沿った、熱伝導経路の長さの積である。
【0166】
サンプル計算では、200°Kの温度勾配ΔT、350W/(m・K)の熱伝導率係数、2.5mm(0.0025m)のコアの厚さ、および0.4mの長さ寸法(d)に基づいて、例えば、コアの厚さに等しい正方形の寸法を有する、コア材料の単位面積は、単位面積あたり1.1Wの熱流または熱流束を提供し、単位面積は、2.5mm(0.1インチ)の側面寸法を有する正方形である。面積の寸法がスタックの長さの寸法全体(例えば、0.61mまたは24インチ)を超える場合、熱伝導率からの熱流または熱流束は、それぞれの側壁を介して267Wになる。比較すると、コア材料の熱伝導率係数が50W/(m・K)の場合、熱流または熱流束は、各側壁を38.0W通過する。したがって、本実施形態の熱伝導性コアは、50W/(m・K)以下の熱伝導率係数を有する従来の高温環境材料(例えば、ハステロイ、モネル、インコネルを含む鋼合金)から製造されたホットゾーン・エンクロージャ壁と比較して、熱伝導性コア(8200)を通る熱流の7倍の増加を潜在的に提供する。
【0167】
黒体の特性
熱伝導に加えて、熱伝導性コア(8200)は黒体の特性を有しており、すべての波長にわたって単位時間あたりの単位表面積あたりに放射されるエネルギーは、黒体の温度の4乗に比例する。黒体放射は図7Bに示され、ガス流から放射される黒体エネルギーを含めて上記で説明されている。熱伝導性コアの場合、それによって放出された放射は、内側保護層(8220)および外側保護層(8250)に入射する傾向があり、熱伝導性コアによって吸収された放射エネルギーは、内側保護層(8220)によって、および外側保護層(8250)上で放出される傾向がある。
【0168】
黒体の放射発散度は、放射体の表面放射率がそうではない可能性が高い1であると仮定して、式2で記述される。
【数2】
【0169】
ここで、Qは、単位時間あたりの熱エネルギー伝達率であり、単位はワット、Aは、放射面の面積であり、単位はm、σは、シュテファン定数(5.6703×10-8W/s)、Tirは、照射面の温度であり、Tsは、周囲の壁の温度であり、単位はケルビンである。認識されるように、熱エネルギーが熱伝導性コア(8200)によって、コア上部(8215)からコア側壁(8230、8235)の下端まで熱伝導されるとき、コア上部の温度は、コア側壁部分の温度が上昇する間、低下する。両方の壁の温度が変化すると、温度差の4乗に比例して、それぞれの位置での黒体の放射発散度が変化する。例示的な比較では、コアを介した熱伝導の結果として、一次エンクロージャ側壁(8065、8070)の下端の温度が650℃(923°K)から700℃(973°K)に上昇すると仮定し、周囲の壁面の温度は変化せず(例えば、550℃(823°K))、放射面の面積は上記で使用したように1平方センチメートル(1.0×10-4)であると仮定する。この例では、650℃の温度での熱エネルギー伝達率(放射発散度)は1.514Wである。700℃の上昇した温度では、熱エネルギー伝達率は2.481Wであり、これは1平方センチメートルあたりの放射発散度の64%の増加である。
【0170】
温度測定が受動的な温度勾配の減少を示す
ここで図10A図10B図11A、および図11Bを参照すると、試験固定具に取り付けられた複数の個々の燃料電池のガス流軸(z)に沿った温度勾配の受動的減少が、5つの熱電対装置によって行われた温度測定によって示されている。図10Aは、試験固定具(10000)上に配置された5つのSOFC燃料電池(10005)を概略的に示す。SOFC燃料電池は、流体導管を囲む円筒形の外壁を備えた管状である。各燃料電池の流体導管の内径に陽極表面が形成され、各燃料電池の外径に陰極表面が形成される。試験固定具は、その底端から各燃料電池を支持するように配置された燃料入力マニホールド(10010)を含む。合成ガスの流れは、燃料入力マニホールドによって各管の流体導管に送出される。陰極室は、上記のホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリ(8042)と同じ機能を提供するように設計された試験エンクロージャ内に試験固定具燃料電池を封入することによって形成される。以下に説明するように、2つの試験エンクロージャユニットが構築された。第1の試験エンクロージャは、本技術の熱伝導性コアを含まず、第2の試験エンクロージャは、本技術の熱伝導性コアを含む。
【0171】
試験固定具には、図10Aに示すように、5つの星印(10030)で示される5つの位置に配置された5つの熱電対(TC1~TC5)が含まれている。5つの熱電対(TC1~TC5)は、ガス流軸(z)に沿って分布され、等間隔に配置されている。熱電対は、燃料電池(10005)間に、または燃料電池のうちの1つの表面の近くに取り付けられる。ガス流軸(z)に沿った各燃料電池(10005)の長さは、所望の燃料電池の寸法(例えば、150~300mm(6~12インチ))に一致するように選択される。熱電対TC5は、SOFCスタックの上端から約15mm(0.6インチ)の位置にあり、残りの熱電対は電池の長さに沿って均等に分布されている。各熱電対(TC1~TC5)は、電子コントローラー(図示せず)と電気的にインターフェース接続されている。電子コントローラは、5つの熱電対のそれぞれから温度信号を受信して、温度信号を処理して(例えば、温度信号を温度較正表と比較して)、各熱電対によって一定期間検出された一連の温度信号を保存して、所与の期間の平均温度値を決定するように構成されている。
【0172】
温度測定の第1のセットでは、5つの熱電対のそれぞれを操作して、5つの星の位置(10030)のそれぞれで、2時間半の始動から冷却操作サイクルまでの温度を監視し、所定の時間間隔で温度データを記録し、平均温度を計算した。温度測定の第1のセットは、試験固定具がコールドスタートから電流出力の生成に対応する作動温度まで加熱されながら記録され、試験固定具が電流を生成している全時間の間記録され、試験固定具がコールドスタート温度まで冷却されながら記録された。本実施例では、電流出力の生成に対応する作動温度が約1時間半維持され、始動フェーズと冷却フェーズはそれぞれ約30分続いた。
【0173】
温度測定の第1のセットの間、スタックを取り囲む熱伝導性コアを設置せずに、試験固定具を炉内部で操作した。
【0174】
温度測定の第1のセットは、図10Bに黒いバー(10035)でグラフに示されており、それぞれの黒いバーは、定常状態の動作中の1つの熱電対に対応する平均温度を示す。破線(10050)は、それぞれの黒いバー(10035)と熱電対の1つ(TC1~TC5)の間に伸びており、平均温度値がどの熱電対に関連しているかを示す。黒いバー(10035)に対応する各温度測定値は、試験固定具によって出力される電流中に対応する熱電対によって測定された平均温度である。黒いバー(10035)で示されているように、TC1で測定された平均温度は約775℃、TC2で測定された平均温度は約700℃、TC3で測定された平均温度は約720℃、TC4で測定された平均温度は約630℃、TC5で測定された平均温度は約640℃である。温度は、約1時間の動作サイクルにわたって平均化された。
【0175】
温度測定の第2のセットの間、熱伝導性コアを含む第2の試験エンクロージャアセンブリを使用して試験固定具を操作した。第2の試験エンクロージャアセンブリは、図9Cに示すように、内側保護層(8220)、熱伝導性コア(8200)、および外側保護層(8250)を含む上記のU字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(8045)を使用した。第2の試験エンクロージャアセンブリの内側保護層(8220)と外側保護層(8250)は、熱伝導率係数が約22.8(W/m・K)で内側保護層と外側保護層の厚さが約4.0mm(0.16インチ)であるモネルから形成された。第2の試験エンクロージャの熱伝導性コア(8200)は、約350(W/m・K)の熱伝導率係数を有する銅合金から形成され、第2の試験エンクロージャに対応する熱伝導性コアの厚さは、約3.0mm(0.12インチ)であった。
【0176】
第2の試験エンクロージャに対応する温度測定の第2のセットは、図10Bに白い縞模様のバー(10040)でグラフに示されており、それぞれの白い縞模様のバーは、それぞれの白い縞模様のバー(10040)と熱電対(TC1~TC5)のうちの1つとの間に伸びる破線(10050)で示されるように1つの熱電対に関連付けられている。白い縞模様のバーに対応する各温度測定値は、試験固定具が電流出力を生成していた期間中に記録された平均温度である。白い縞模様のバー(10040)で示されているように、TC1で測定された平均温度は約710℃、TC2で測定された平均温度は約720℃、TC3で測定された平均温度は約730℃、TC4で測定された平均温度は約740℃、TC5で測定された平均温度は約710℃である。
【0177】
上記の説明で予測されたように、スタックガス流軸(z)に沿った温度勾配は、第2の試験固定具に銅コアを追加することによって減少する。熱伝導性コアを含まない第1の試験エンクロージャアセンブリを使用して測定された第1のセットの温度値と、(熱伝導性コアを含む)第2の試験エンクロージャアセンブリを使用して測定された第2セットの温度値の温度測定データが以下の表1にリストされる。表1にリストされ、図10Bにグラフで示されているデータから容易に明らかなように、第2の試験エンクロージャアセンブリに熱伝導性コアを追加すると、試験固定具燃料電池(10005)のガス流軸(z)に沿った温度勾配が減少する。出願人はさらに、熱伝導性コアを含む第2の試験エンクロージャアセンブリに対応する第2のデータセットにおいて、測定された最高温度はTC4であり、熱伝導性コアの追加が実際にピーク温度の位置を燃焼領域(8030)から燃料電池の中間点より下の点まで遠ざけていることを示していると述べている。
【0178】
【表3】
【0179】
図11Aは、熱伝導性コアを含まない第1の試験エンクロージャアセンブリを使用して、第1の試験サイクル中に記録された温度測定データをグラフで示している。図11Aのグラフ表示の縦軸は、5つの熱電対で測定された℃単位の温度に対応し、図11Aの横軸は、時間単位の時間に対応する。図11Aのグラフ表示には、5つの異なる温度対時間のプロットが含まれており、1つのプロットが5つの熱電対の位置のそれぞれに対応する。凡例(10045)は、どのデータプロットがどの熱電対の位置(TC1、TC2、TC3、TC4、TC5)に対応するかを示している。
【0180】
同様に、図11Bは、熱伝導性コアを含む第2の試験エンクロージャアセンブリを使用して、第2の試験サイクル中に記録された温度測定データをグラフで示している。図11Bのグラフ表示の縦軸は、5つの熱電対で測定された℃単位の温度に対応し、図11Bの横軸は、時間単位の時間に対応する。図11Bのグラフ表示には、5つの異なる温度対時間のプロットが含まれており、1つのプロットが5つの熱電対の位置のそれぞれに対応する。凡例(10055)は、どのデータプロットがどの熱電対の位置(TC1、TC2、TC3、TC4、TC5)に対応するかを示している。
【0181】
2つのプロットを比較すると、始動サイクル中に、熱電対の温度が約30分間で100℃から700℃を超えるまで上昇するとき、5つの熱電対位置のそれぞれでの温度上昇率は、熱伝導性コアが配置されている場合(図11B)はほぼ同じであり、熱伝導性コアが配置されていない場合(図11A)は明らかに同じではないことを示している。これは、図11Aの始動期間を図11Bの始動期間と比較すると明らかである。図11Aは、℃/単位時間での温度上昇率が熱電対位置(TC1)で最大で、熱電対位置(TC5)で最小であることを示している。逆に、図11Bは、始動期間全体を通じて、5つの熱電対位置(TC1、TC2、TC3、TC4、TC5)で、℃/単位時間での温度上昇率がはるかに均一であることを示している。
【0182】
個々の燃料電池(8010)の異なる部分が異なる速度で加熱されると、これは、燃料電池のセラミックス層の層の亀裂および/または欠け、ならびにスタック内のセラミックスおよび金属部品間のインターフェース接続の故障につながる可能性がある。同様に、ホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリ壁の異なる部分が異なる速度で加熱されると、これは、熱伝導性コアと内側保護層および外側保護層の層間剥離および/または座屈を引き起こす可能性がある。
追加のSOFCシステムの実施形態
【0183】
ここで図12を参照すると、非限定的な例示的なSOFCシステム(12000)は、2つのホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリ(12042)を含む。2つのホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリは、それぞれ、図9図16B、および図17に示される中間エンクロージャ(9000)内部に配置され、軸(y)を横切るスタックに沿って離間されている。各ホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリ(12042)には、SOFCスタック(8005)、燃料送出コンジット(8040)によって燃料改質器(8035)に流体接続された燃料入力マニホールド(8015)、およびL字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(12045)が含まれる。各SOFCスタック(8005)は、異なる陰極室(12055)内に封入されている。図13に示すように、各陰極室(12055)は、一部がL字形一次壁アセンブリ(12045)のうちの1つによって、一部が中間エンクロージャベース壁(9010)の側壁(9015または9020)によって境界付けられてる。また、各陰極室は、図9Cに示すように、対向する一次エンクロージャの端壁(8080、8085)と一次エンクロージャベース壁(8075)によって境界付けられ得る。
【0184】
図13は、2つのL字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(12045)を示しており、1つは第1のSOFCスタック(8005)の上に配置され、もう1つは別のSOFCスタック(8005)の上に配置されている。図13Aに示すように、各L字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(12045)は、3つの壁部分、つまり燃焼領域湾曲壁部分(12062)、湾曲した壁部分の第1の縁部から延在する燃焼領域平坦壁部分(12064)、および湾曲した壁部分の第2の縁部から延在する一次エンクロージャ側壁(12070)で形成される。湾曲した壁部分(12060)と燃焼領域平坦壁部分(12064)の組み合わせは、以下に説明する陰極室(12055)の上部境界を提供し、そこから熱エネルギーを受け取るために燃焼領域(8030)の上部境界を形成する。側壁部分は、湾曲した壁部分の縁部から延在し、SOFC管出力端(8025)とSOFC管入力端(8020)との間のガス流軸(z)に沿って配置される。
【0185】
各L字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(12045)は、陰極室(12055)を画定する。陰極室(12055)は、対応するSOFCスタック(8005)および燃焼領域(8030)を取り囲み、その結果、それぞれ個々の燃料電池(8010)の外面に形成された陰極層は、陰極室(12055)に曝露される。陰極室(12055)は、対応するL字形プライマリエンクロージャ壁アセンブリ(12045)によって、中間エンクロージャ側壁(9015または9020)によって、中間エンクロージャ底壁(9010)によって、または燃料入力マニホールド(8015)または別の底壁(例えば、図9Cに示されている(8075))によって、部分的に境界付けられている。各L字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(12045)は、異なる陰極室(12055)を画定する。
【0186】
SOFCシステム(12000)は、それぞれが中間エンクロージャ(9000)の内部に形成された、復熱装置室(9050)およびホットゾーン排気導管(9055)を含む。復熱装置室(9050)およびホットゾーンホットゾーン排気導管(9055)は一緒になって、図7Aおよび図7Bの説明において上記された向流ガス間熱交換器を形成する。周囲温度の陰極空気流は、陰極入力ポート(9040)を介して復熱装置室(9050)に受け取られ、排気ガスは、ホットゾーン排気ポート(9045)を介して排気導管から排出される。
【0187】
復熱装置室(9050)の内部では、流入する陰極空気流(例えば、周囲温度の空気)は、対流によって、および復熱装置室の壁、特にホットゾーン排気導管(9055)を復熱装置室(9050)から分離する共有壁(9075)から放出される放射によって加熱される。加熱された陰極空気流は、強制的に復熱装置室(9050)を通り、復熱装置室から1つまたは複数の復熱装置出口ポート(9065)を通って陰極入力マニホールド(13070)に出る。陰極空気流源は、電気出力要求および他のプロセス制御命令に従って、流入する陰極空気流の流量を増減するように制御することができる可変速度空気移動装置(例えば、ファン)を含む。
【0188】
ホットゾーン排気導管(9055)は、2つの燃焼ゾーン(8030)から2つの燃焼排気ポート(9060)を介して高温ガス混合物を受け取り、各燃焼排気ポート(9060)は、2つの燃焼領域(8030)のうちの1つからホットゾーン排気導管(9055)へと延在する。ホットゾーン排気導管(9055)の内部では、エネルギーが対流的および放射的にホットゾーン排気導管(9055)の壁に伝達されながら、高温ガス混合物が冷却される。高温ガス混合物は、燃焼領域(8030)からSOFCホットゾーンの出口を通ってホットゾーン排気ポート(9045)を通って通過し、最後にホットゾーン排気ポート(9045)を通ってSOFCホットゾーンを出る。
【0189】
復熱装置室(9050)およびホットゾーン排気導管(9055)のそれぞれは、好ましくは、スタック長さ軸(x)に沿ったSOFCスタックの全長に沿って配置される。陰極入力ポート(9040)、ホットゾーン排気ポート(9045)、および2つの燃焼排気ポート(9060)のそれぞれは、例えば、長さ軸(x)に沿ってスタック長さの中央または一端に配置された、3つのポートすべての単一の実例として実装することができるか、または複数の陰極入力ポート(9040)、ホットゾーン排気ポート(9045)、および燃焼排気ポート(9060)は、スタック長さ軸(x)に沿って離間し、陰極空気流を個々の燃料電池にさらに均一に分配し、SOFCホットゾーンからの排気ガスをより均一に分配することができる。ポート開口部は、スタック長さ軸(x)に沿って配置された、円形、スロット、またはその他のポート形状の実例にすることができる。あるいはまた、復熱装置室(9050)およびホットゾーン排気導管(9055)のそれぞれは、スタック長さ軸(x)全体に沿って延在する単一室の実例として実装することができるか、または復熱装置室および排気導管は、スタック長さ軸(x)に沿って並べて配置された複数の別個の小室および導管の実例として構成され、それぞれの別個の小室の実例は、それ自体の陰極入力ポート(9040)および/またはホットゾーン排気ポート(9045)と、各陰極室のための1つの燃焼排気ポート(9060)とを備えることができる。
【0190】
図12に示すように、単一の陰極入力マニホールド(13070)は、2つの陰極室(12055)によって共有される。陰極入力マニホールド(13070)の上部境界は、排気導管底壁(9059)によって画定される。対向する陰極入力マニホールドの側面境界は、2つのL字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(12045)のそれぞれの外面によって画定され、陰極入力マニホールド(13070)は、中間エンクロージャ底壁(9010)または上記の別の底壁(8070)またはその両方によって画定される底部境界を有する。陰極入力マニホールド(13070)の各端部は、中間エンクロージャ端壁(9025、9030)または上記の端壁(8065、8085)によって境界付けることができる。
【0191】
陰極ガスの流れは、図12に矢印の付いた実線の流線で示されている。陰極空気流は、陰極入力ポート(9040)を通って入り、復熱装置室(9050)を通過し、次いで、2つの復熱装置出口ポート(9065)のそれぞれを通って陰極入力マニホールド(13070)に入る。陰極入力マニホールド(13070)の内部では、陰極空気流は復熱装置出口ポート(9065)から下向きに導かれ、2組の陰極室入力ポート(8095)に入り、1組の陰極流路がそれぞれのL字形一次エンクロージャ壁(12045)に対応する。次に、陰極空気は、陰極入力マニホールド(13070)から2つの陰極室(12055)のそれぞれへと通過する。陰極室内部では、陰極ガスは、SOFCスタックの露出した陰極表面を通過して、使用済み陰極空気流が使用済み燃料と混合される燃焼領域(8030)に到達するまで上向きに流れる。使用済み燃料と使用済み陰極空気の混合物のさらなる流路は、燃焼領域(8030)から、それぞれの陰極室に対して1つの2つの燃焼排気ポート(9060)を通って、混合物が熱エネルギーを共有壁(9075)および他の壁面に伝達するホットゾーン排気導管(9055)を通って流れ、その後、ホットゾーン排気ポート(9045)を通ってSOFCシステムを出る、混合物を示す矢印の付いた破線の流線によって示されている。燃焼領域湾曲壁部分(12062)と平坦な燃焼領域壁(12264)で形成された燃焼領域壁部分(12060)は、それぞれ異なる中間エンクロージャ側壁(9015)または(9020)から延在し、対応する陰極室(12055)の上部境界を形成し、燃焼領域湾曲壁部分(12062)の第2の縁部から延在する一次エンクロージャ側壁(12070)は、対応する陰極室(12055)の側部境界を形成する。L字形一次エンクロージャ壁(12045)は、スタック長さ軸(x)の全長に沿って配置され、全スタック長さ寸法をさらに超えて延在することができる。
【0192】
図13Bおよび図14を参照すると、各L字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(12045)は、内側保護層(12220)および外側保護層(12250)によって保護された熱伝導性コア(12200)を含む。熱伝導性コア(12200)は、材料、構造、機能、および熱特性において、図7A図7B図8B図9A図9B、および図9Cに関連して本明細書で論じられる熱伝導性コア(8200)と実質的に類似しており、銅、モリブデン、アルミニウムニッケル、ベリリウム、イリジウム、ロジウム、銀、タングステン、または合金のうちの1つまたは複数またはそれらの組み合わせなど、100W/(m・K)を超える、好ましくは200W/(m・K)を超える熱伝導率係数を有するコア材料を含み、したがって、それは所望の熱伝導率で製造でき、ホットゾーンの作動温度で構造要件を確実に満たすことができる。特定の例示的な非限定的な一実施形態では、熱伝導性コア(12200)は、概ね500℃で370W/(m・K)および1027℃で332W/(m・K)の範囲の熱伝導率を有する銅塊を含む。
【0193】
L字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(12045)は、熱伝導性コア壁(12200)を酸化から保護するように構成された内側保護層(12220)および外側保護層(12250)を含む。内側保護層および外側保護層(12220、12250)の塗布は上記されている。第1の実施形態では、内側保護層(12220)および外側保護層(12250)のそれぞれは、電気めっきプロセスによって熱伝導性コア(12200)に少なくとも0.0005インチ、最大0.002インチまたはそれ以上の範囲の厚さまで塗布されるニッケルめっきを含む。ニッケルめっきは、350~1200℃の作動温度でそれを介した酸素の拡散を防ぐために塗布される。第2の実施形態では、350~1200℃の作動温度で保護層のいずれかを介した酸素拡散を防ぐために、内側保護層(12220)は、熱伝導性コア(12200)の内面と嵌合するように形成された内側板金層を含み、外側保護層(12250)は、熱伝導性コア(12200)の外面と嵌合するように形成された外側板金層を含む。
【0194】
内側および外側の保護板金層は、図9Cに示され、上記で説明された内側保護層(8220)および外側保護層(8250)について上記で説明されたものと同じ材料で製造される。例示的な非限定的な一実施形態では、各々の内側保護層(12220)および外側保護層(12250)は、SOFC作動条件での腐食および特に酸化に耐性のある材料から形成される。好ましい一実施形態では、各々の内側保護層(12220)および外側保護層(12250)は、例えば、米国イリノイ州アルシップのRolled Metal Productsから流通されている、Aloly18 SR(登録商標)ステンレス鋼などのフェライト系ステンレス鋼から製造される。図12に示すように、内側保護層(12220)は陰極室(12055)に面し、外側保護層(12250)は陰極入力マニホールド(13070)に面している。
【0195】
例示的な動作モードでは、燃焼領域(8030)内で生成された熱エネルギーは、放射および対流によって燃焼領域壁(12060)に伝達される。燃焼領域壁によって吸収された熱エネルギーは、内側保護層(12220)を通って伝導性コア(12200)に受動的に伝導される。伝導性コアに到達する熱エネルギーは、伝導性コア(12200)を介して、熱伝導性コアのより低い温度領域に、例えば、一次エンクロージャ側壁(12070)の遠位端に、受動的に伝導される。その結果、コア(12200)に存在する温度勾配が減少する。定常状態の運転中、燃焼領域壁(12060)と一次エンクロージャ側壁(12070)の底端との間の温度勾配が減少する。熱エネルギーは、主に放射を介して、各L字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(12045)とSOFC電池(8010)との間で交換される。しかしながら、燃焼領域の壁と側壁との間の温度勾配が減少すると、ガス流軸zに沿った各SOFC電池の長さに沿った対応する温度勾配も減少する。熱エネルギーは、伝導性コア(12200)と外側保護層(12250)との間で伝導される。外側保護層(12250)と陰極入力マニホールド(13070、14070、15070)内を流れる陰極ガスとの間の伝導および対流を介した熱エネルギー交換は、陰極ガスを加熱する。
【0196】
図13Bを参照すると、非限定的な例示的な一実施形態では、L字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(12045)は、内側側壁部分(12230)、内側湾曲壁部分(12225)、および内側上壁部分(12227)を有する単一の材料片として形成された内側保護層(12220)を含む。例示的な伝導性コア(12200)は、好ましくは、コア側壁部分(12210)、コア湾曲壁部分(12215)、およびコア上壁部分(12217)を有する単一の材料片から形成される。図13Bに示すように、外側保護層(12250)は、外側側壁部分(12260)、外側湾曲壁部分(12265)、および外側上壁部分(12267)の3つの別個の部分として形成される。内側保護層(12220)、熱伝導性コア(12200)、および外側保護層(12250)は、例えば、図9Cに示されているような、U字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(8045)に関連して説明した方法のいずれかを使用して形成および結合できる。
【0197】
図14を参照すると、SOFCシステム(14000)は、単一のSOFCスタック(8005)と入力燃料マニホールド(8015)および燃料送出導管(8040)を取り囲む単一のL字形ホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリ(14042)を含む。L字形ホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリ(14042)は、上記の図12図13Bに関連する説明において説明されている。単一のL字形ホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリ(14042)は、単一のL字形ホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリ(14042)を受け入れるサイズの中間エンクロージャ(9000)内部に取り付けられる。中間エンクロージャは、復熱装置室(9050)、ホットゾーン排気ポート(9045)、陰極入力ポート(9040)、陰極入力マニホールド(14070)、および陰極室(12055)を提供し、すべて上記において説明される。SOFCホットゾーン(14000)の利点は、そのコンパクトなサイズである。
【0198】
図15を参照すると、SOFCホットゾーン(15000)は、概略図に示されているホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリ(15042)を含む。ホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリ(15042)は、2つのSOFCスタック(8055)、2つの燃料入力マニホールド(8015)、およびそれぞれが2つのSOFCスタックのうちの1つを取り囲み、図7A図7B図9A図9B、および図9Cに関連して本明細書に記載されているような各SOFCスタックを取り囲む孤立した陰極室(8055)を形成するU字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(8045)を含む。陰極入力マニホールド(15070)は、内部にホットゾーン・エンクロージャ・アセンブリ(15042)を受け入れるようなサイズであり、中間エンクロージャ側壁(9015、9020)および中間エンクロージャ底壁(9010)の内向き表面によって、2つのU字形一次エンクロージャ壁アセンブリ(8045)のそれぞれの外向き表面によって、ホットゾーン排気導管(9055)の底壁(9059)によって、および図9Cに示されるホットゾーンエンクロージャ端壁(8080、8085)の内向きの表面によって、境界付けられている。
中間エンクロージャ
【0199】
ホットゾーン・エンクロージャ壁アセンブリ(12045、14045、15042)はそれぞれが、図16bおよび図17の等角図に示される中間エンクロージャ(9000)の内部に取り付けられる。中間エンクロージャは、対向する中間エンクロージャ上壁(9005)と中間エンクロージャ底壁(9010)、対向する中間エンクロージャ側壁(9015)と中間エンクロージャ側壁(9020)、および対向する中間エンクロージャ端壁(9025)と中間エンクロージャの端壁(9030)を含む小室として形成される。中間エンクロージャ(9000)は、中間エンクロージャ端壁(9025)とホットゾーン・エンクロージャ端壁(8080)との間のギャップ内に燃料送出導管(8040)を取り囲む。中間エンクロージャは、そこを通る陰極空気流を受け取るための陰極入力ポート(9040)と、そこから排気を排出するためのホットゾーン排気ポート(9045)とを含む。中間エンクロージャは、SOFCシステムの始動運転モード中に燃料流を受け取り、燃料流を始動燃焼器要素(8155)の各々に向けるための始動燃料入口ポート(8145)を含む。ポート(8145)、(9040)、および(9045)はそれぞれ、必要に応じて中間エンクロージャの壁を通過して、ガスの流れを受け取り領域のインターフェース接続部に向ける。非限定的な例示的な一実施形態では、燃料ポートは、側壁(9015、9020)のうちの1つを通過し、陰極ガス入力ポート(9040)およびホットゾーン排気ポート(9045)はそれぞれ、中間エンクロージャ上壁(9005)を通過する。中間室(9000)はまた、復熱装置室(9050)およびホットゾーン排気導管(9055)、ホットゾーン排気ポート(9045)、陰極入力ポート(9040)、燃焼排気ポート(9060、9060a、9060b)、復熱装置出口ポート(9065)を取り囲むか、または部分的に取り囲み、それらはそれぞれ、図7A図7B、および図8Aに関連して説明されているように機能する。
外側エンクロージャ
【0200】
図16A図16B、および図17に示されるように、中間エンクロージャ(9000)は、中間エンクロージャ表面を断熱するために、好ましくは、図示されない上部および底部を含む断熱層(2012)の内側に設置される。中間エンクロージャと周囲の断熱層は、それぞれが外側エンクロージャ(16000)の内側に設置される。第1の非限定的な例示的な一実施形態では、外側エンクロージャ(16000)は、2つの対向する外側エンクロージャ側壁(16015)と2つの対向する外側エンクロージャ端壁(16010)、外側エンクロージャ上壁(16005)、および対向する外側エンクロージャ底壁(16002)を含む。好ましくは、外側エンクロージャ壁は、中間エンクロージャ(9000)から断熱されている。好ましい一実施形態では、断熱層(2012)は、内側エンクロージャ(9000)と外側エンクロージャ(16000)との間に配置され、外壁の温度が、例えば、周囲温度より60℃高い、最高温度を超えることを防ぐように構成される。外側エンクロージャは、陽極ガス燃料および陰極空気導管とインターフェース接続するための様々な入力および出力ポート、排気ガス出口ポート、SOFCスタックからの電力出力、および温度および電力センサ、流体流量計、および必要に応じて他の制御要素を含む制御システムへのインターフェース接続部を提供するように形成される。好ましくは、外側エンクロージャは、内部中間エンクロージャ、燃料電池、および他の内部システムを衝撃または湿気による損傷から保護し、汚染物質がSOFCホットゾーンから逃げるおよび/または外部からSOFCホットゾーンに入るのを防ぐように設計された構造的完全性を備えて形成される。
【0201】
外側エンクロージャ(16000)は、好ましくは、金属壁、例えば、鋼、ステンレス鋼、アルミニウムなどによって形成される。いくつかの実施形態では、外側エンクロージャ、または外側エンクロージャまたは外側エンクロージャの内側から延在する要素の一部は、SOFCシステムの内側から(例えば、燃料改質器、排気ガス通路、または復熱装置から)吸収された熱エネルギーをSOFCホットゾーン周辺の空気へ放射するための放熱器として利用することができる。本明細書に開示されるすべての特許、特許出願、および他の参考文献は、参照によりそれらの全体が明示的に組み込まれる。
【0202】
技術は、好ましい実施形態に関して上で説明されてきたが、それに限定されないことも当業者によって認識されるであろう。上記の技術の様々な構成および態様は、個別にまたは一緒に使用することができる。さらに、技術は、特定の環境でのその実装形態の文脈で、特定の用途(例えば、固体酸化物燃料電池システム)について説明されてきたが、当業者は、その有用性がそれに限定されないこと、および本技術は、高温および腐食性環境で高熱伝導率材料を使用した熱伝導による熱エネルギー伝達を増加させることが望ましい、任意の数の環境および実装形態で有益に利用することができることを認識するであろう。したがって、以下に記載される特許請求の範囲は、本明細書に開示される技術の全幅および趣旨を考慮して解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13
図13A
図13B
図14
図15
図16A
図16B
図17
【国際調査報告】