(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-18
(54)【発明の名称】多層カテーテル構造
(51)【国際特許分類】
A61M 25/00 20060101AFI20221011BHJP
【FI】
A61M25/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022508549
(86)(22)【出願日】2020-08-12
(85)【翻訳文提出日】2022-02-08
(86)【国際出願番号】 US2020045943
(87)【国際公開番号】W WO2021030441
(87)【国際公開日】2021-02-18
(32)【優先日】2019-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521011710
【氏名又は名称】シャンハイ ワラビー メディカル テクノロジーズ シーオー.,インク.
(71)【出願人】
【識別番号】521011721
【氏名又は名称】バーズリ,アール
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バーズリ,アール
(72)【発明者】
【氏名】フェング,チェンチェン
(72)【発明者】
【氏名】ディン,リン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ジェロム
(72)【発明者】
【氏名】イアン,チェン
(72)【発明者】
【氏名】ディン,タン
(72)【発明者】
【氏名】サン,ジャ
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA05
4C267BB13
4C267CC08
4C267HH03
4C267HH04
(57)【要約】
本発明は、医療機器の送達および配置と、閉塞の吸引除去において使用するためのカテーテルシャフトの設計および構成を提供する。具体的には、本発明の1つの態様は、超薄内層、第1のコイル中間層、第2の編組み中間層、および外部ジャケット層の4層構造を有するカテーテルシャフトの設計を提供する。カテーテルシャフトの第1のコイル中間層は、少なくとも2:1の幅対厚さ比を備えたフラットワイヤから作製される。カテーテルシャフトの外部ジャケット層は、外部ジャケットの遠位部分を形成する軟質デュロメーター材料、外部ジャケットの中間/移行部分を形成する中間デュロメーター材料、および外部ジャケットの近位部分を形成する硬質デュロメーター材料による、3つの異なる材料から作製される。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機器を送達および配置するためのカテーテルシャフトであって、
超薄内部カテーテル層と、第1のコイル中間層と、第2の編組み中間層(40)と、外部ジャケット層と、を具備し、
前記超薄内部カテーテル層は、管腔壁厚を有し、
前記第1のコイル中間層は、少なくとも2:1の幅対厚さ比を備えたフラットワイヤから作製され、
前記外部ジャケット層は、外部ジャケットの遠位部分を形成する軟質デュロメーター材料、前記外部ジャケットの中間部分を形成するある範囲の中間デュロメーター材料、および前記外部ジャケットの近位部分を形成する硬質デュロメーター材料を備えた複数の材料から作製される、カテーテルシャフト。
【請求項2】
前記内部カテーテルライナは、延伸PTFE管から作製される、請求項1に記載のカテーテルシャフト。
【請求項3】
前記内部カテーテルライナは、ともに接合された遠位ポリウレタン管および近位PTFE管から作製される、請求項1に記載のカテーテルシャフト。
【請求項4】
前記第1のコイル中間層は、0.06mmの最大厚さを有する、請求項1に記載のカテーテルシャフト。
【請求項5】
前記第2の編組み中間層は、ダイヤ形編組み様式を有する、請求項1に記載のカテーテルシャフト。
【請求項6】
前記第1のコイル中間層は、前記内部カテーテルライナの管腔外面の少なくとも30%の面積を覆う、請求項1に記載のカテーテルシャフト。
【請求項7】
前記第2の編組み中間層は、0.066mmの最大厚さを有する、請求項1に記載のカテーテルシャフト。
【請求項8】
前記内部カテーテルライナおよび前記外部ジャケット層は、同一の長さである、請求項1に記載のカテーテルシャフト。
【請求項9】
前記第1のコイル中間層および第2の編組み中間層は、前記内部カテーテルライナおよび前記外部ジャケット層の両方の内部で被包される、請求項1に記載のカテーテルシャフト。
【請求項10】
前記外部ジャケット層は、前記第1のコイル中間層および前記第2の編組み中間層を形成するワイヤ間の隙間を通過して、前記内部カテーテルライナと結合する、請求項1に記載のカテーテルシャフト。
【請求項11】
前記第1のコイル中間層は、同一方向に巻回された少なくとも2つのワイヤから作製される、請求項1に記載のカテーテルシャフト。
【請求項12】
前記第1のコイル中間層は、反対方向に巻回された少なくとも2つのワイヤから作製される、請求項1に記載のカテーテルシャフト。
【請求項13】
前記第2の編組み中間層は、前記第1のコイル中間層と前記外部ジャケット層との中間に設置される、請求項1に記載のカテーテルシャフト。
【請求項14】
前記第2の編組み中間層は、前記第1のコイル中間層の少なくとも近位および中間部分上に配置される、請求項13に記載のカテーテルシャフト。
【請求項15】
前記第2の編組み中間層は、前記第1のコイル中間層の前記中間部分よりも少なくとも20mm短い、請求項14に記載のカテーテルシャフト。
【請求項16】
前記カテーテルシャフトは、少なくとも1.2:1の外径対管腔内径比を有する、請求項1に記載のカテーテルシャフト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年8月13日出願の、「Multi-layer Catheter Construction(多層カテーテル構造)」を発明の名称とする、米国仮特許出願第62/886,322号に対する優先権およびその利益を主張する。米国仮特許出願第62/886,322号の記載内容すべてを、本明細書に引用することで組み込む。
【0002】
本発明は、一般的に、神経脈管用途のために使用される、ガイド、吸引または遠位アクセスカテーテルシャフトの設計に関する。カテーテルシャフトは、特に、神経脈管系内部で、インプラント送達用の上外潤滑性、および上内潤滑性を追跡するための優れた遠位可撓性、近位安定性を提供する。
【背景技術】
【0003】
ほとんどすべての神経脈管デバイスの設置または治療は、首部内またはその上方で行われる。このため、神経脈管系内部で使用するカテーテルは、蛇行性解剖学的組織そのものの交差可能性が必須である。このようなカテーテルは、カテーテルシャフト内に最高のトルク付与性および耐キンク特性、意図された治療位置に到達するための可撓性の遠位部分を有し、周辺脈管を損傷することなく、治療を送達するように設計されなければならない。これには、医療用インプラントの送達と、再灌流閉塞脈管まで吸引するための管腔内部の他のカテーテルの動作用に、外部側面の可能な限りの最小化と内部管腔の可能な限りの最大化とのバランスを慎重に保つ必要がある。さらに、このようなカテーテルはまた、蛍光透視検査下で可視でなければならない。
【0004】
神経脈管用途用のカテーテルの設計において、エンジニアは、カテーテル追跡可能性、可撓性、押込み性およびトルク付与性(透過率またはねじり力)に関する基本的な標的を備えて、機能性と構造との間のバランスを保つことが必須である。
【0005】
PTFE材料は、最高の潤滑性を備えた優れた耐摩耗性を提供し、カテーテルの内壁には理想的な選択となる。PTFEライナの管腔内面が平滑なため、デバイスがカテーテル管腔の密な境界部を通過して押される際に、医療機器とカテーテルとの間の摩擦が低減される。浸漬被覆および押出は、PTFEライナを作製するための2つの一般的な作製方法である。浸漬被覆プロセスは、PTFEライナを実現するために使用される1つの方法である。このプロセスは、カテーテルシャフトの構造プロセスの部分として、マンドレル上で実行可能である。被覆膜が一旦硬化すると、例えば、ナイロン外被、組ひものカテーテルの追加の構成要素は、硬化済みの浸漬被覆されたマンドレル上に設置される。浸漬被覆は、当初単純なプロセスであるように思われるものの、いくつかの制限を有する。浸漬被覆は、オレンジの皮の表面に類似するむらを受け得る。浸漬被覆面は、時として、被覆プロセス中の振動に起因する、ビビリと称する多くの断面線の外観を有する場合がある。浸漬被覆面はまた、被覆プロセス中に、水分を含む汚染物質により発生させられる硬化層内に、クレーター、凹部、または孔ですら有し得る。これらすべての欠陥は、カテーテル管腔の内部潤滑性に悪影響を与え、したがって、カテーテル使用を顕著に妨げる。これらの欠陥が異なる方法で対処可能である一方、浸漬被覆プロセスの最高の精度に求められるコストや時間は、典型的に増加する。
【0006】
押出PTFE管の敷設は、PTFEカテーテルインナーライナを作製する別の方法である。押出PTFEが最小の摩擦係数を有するものの、典型的な押出PTFE管は、約0.001インチの壁厚を有する。この壁厚により、結果として、カテーテルの剛性が全体的に増加し得、神経脈管系の蛇行性経路を通過して移動するには理想的ではない。
【0007】
神経脈管用途用の理想的なカテーテルは、小さい脈管系を通過して移動するための最小外径と、医療機器/インプラントを送達するための最大内径を有するべきである。これにより、超薄カテーテルインナーライナへのニーズが必然的に発生する。しかしながら、超薄カテーテルインナーライナにより、エンジニアは、編組み側面またはコイル側面のいずれかで、内部カテーテルライナを覆う金属ワイヤ層等のシャフト支持構成要素を組み込んで、カテーテルの押込み性および耐キンク性を高める必要がある。最小接触圧は、カテーテル構造の一体性を維持するために、金属ワイヤ層と内部カテーテルライナとの間で必須である。このような最小接触圧により、内部カテーテルライナ(20)の内面粗さの増加や、内面潤滑性の大幅な低減が頻繁に起こる。
【0008】
このため、押込み性、追跡可能性、可撓性、およびトルク付与性の増加の目標を達成する神経脈管用途用のカテーテルを開発するニーズが存在する他、大きい管腔は、最大化された吸引流れ、標的治療位置への脈管をさらに損傷することなく、カテーテルをより小さい脈管まで追跡可能にさせる外径の低減、外面潤滑性、および最高の内面潤滑性を達成して、展開力を低減することが求められる。
【発明の概要】
【0009】
本発明のある態様は、医療機器を送達および配置するためのカテーテルシャフトを提供することである。カテーテルシャフトは、超薄内部カテーテルライナと、第1のコイル中間層と、第2の編組み中間層と、外部ジャケット層と、を具備する。第1のコイル中間層は、少なくとも2:1の幅対厚さ比を備えたフラットワイヤから作製される。外部ジャケット層は、外部ジャケットの遠位部分を形成する軟質デュロメーター材料と、外部ジャケットの中間部分を形成する中間デュロメーター材料と、外部ジャケットの近位部分を形成する硬質デュロメーター材料と、を含む材料から作製される。
【0010】
本発明の1つの実施形態は、カテーテルシャフトの内部カテーテルライナが、少なくとも10:1の外径対厚さ比を有することを規定する。内部カテーテルライナは、0.8mmの最小内径を有する。本発明の1つの実施形態は、カテーテルシャフトの第1のコイル中間層が、0.06mmの最大厚さを有することを規定する。本発明の別の実施形態は、カテーテルシャフトの第1のコイル中間層が、0.08mmの最小幅を有することを規定する。
【0011】
本発明の1つの実施形態は、カテーテルシャフトの第1のコイル中間層が、内部カテーテルライナの管腔外面の少なくとも30%の面積を覆うことを規定する。別の実施形態において、所望の剛性により、内部カテーテルラインの管腔外面にわたるカテーテルシャフトの第1のコイル中間層の被覆面積は、30~75%の範囲である。当業者は、第1のコイル中間層と内部カテーテルライナとの間の被覆面積が小さいほど、カテーテル全体が可撓性を増すことを理解されたい。
【0012】
本発明の1つの実施形態は、カテーテルシャフトの第2の編組み中間層(40)が、0.03mmの最大厚さを有することを規定する。
【0013】
本発明の1つの実施形態は、カテーテルシャフトの内部カテーテルライナおよび外部ジャケット層が、同一長さであることを規定する。本発明の別の実施形態は、第1のコイル中間層および第2の編組み中間層が、内部カテーテルライナおよび外部ジャケット層の両方の内部で被包されることを規定する。
【0014】
本発明の1つの実施形態は、外部ジャケット層が、第1のコイル中間層(30)と第2の編組み中間層を形成するワイヤ間の隙間を通過して、内部カテーテルライナと結合することを規定する。
【0015】
本発明の1つの実施形態は、カテーテルシャフトの第1のコイル中間層が、同一方向に巻回された少なくとも2つのワイヤから作製されることを規定する。本発明の別の実施形態は、カテーテルシャフトの第1のコイル中間層が、反対方向に巻回された少なくとも2つのワイヤから作製されることを規定する。
【0016】
本発明の1つの実施形態は、第2の編組み中間層(40)が、第1のコイル中間層と外部ジャケット層との中間に配置されることを規定する。本発明の別の実施形態は、第2の編組み中間層が、第1のコイル中間層の少なくとも近位および中間部分上に配置されることを規定する。本発明の別の実施形態は、第2の編組み中間層が、第1のコイル中間層よりも少なくとも20mm短いことを規定する。
【0017】
本発明の1つの実施形態は、カテーテルシャフトが、少なくとも1.2:1の外径対管腔内径比を有することを規定する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1A】
図1Aは、本発明に係る、カテーテルシャフトおよび近位制御機構を有するカテーテルの斜視図である。
【
図1B】
図1Bは、本発明に係る、多層カテーテルシャフト構造の典型的な実施形態の斜視図である。
【
図2A】
図2Aは、本発明に係る、カテーテルシャフトの典型的な第1のコイル中間層の斜視図である。
【
図2B】
図2Bは、本発明に係る、カテーテルシャフトの典型的な第1のコイル中間層の斜視図である。
【
図2C】
図2Cは、本発明に係る、カテーテルシャフトの典型的な第1のコイル中間層の斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明に係る、カテーテルシャフトの典型的な第2の編組み中間層の斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明に係る、カテーテルシャフトの典型的な外部ジャケット層の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
特定の具体的な詳細は、本発明の様々な実施形態を理解するために、以下の説明および図面に明記されている。当業者は、本明細書記載の1つ以上の詳細がなくとも、本発明の他の実施形態を実施可能であることが理解されよう。このため、出願人は、添付の特許請求の範囲をこのような詳細に制限または何らかの方法で限定することを意図するものではない。以下の開示では、様々なプロセスがステップおよびシーケンスに準拠して記載されるものの、当該のステップおよびステップのシーケンスを、本発明のすべての実施形態を実施するための要件として行うべきものではない。
【0020】
本明細書で使用する用語「管腔」は、管、導管、または静脈、動脈、脈管、毛細脈管、腸等を含む、対象の体内の略管状空間または腔を意味する。用語「管腔」はまた、カテーテル、鞘、中空針、管等の管状空間を指し得る。
【0021】
本明細書で使用する用語「近位」は、オペレータに近い(体内側への程度が少ない)、用語「遠位」は、オペレータから離れた(さらに体内側)位置を意味するものとする。医療機器を患者の体内に配置する際、「遠位」はカテーテル挿入位置から比較的離れた方向を指し、「近位」は挿入位置に比較的近い方向を指す。
【0022】
本明細書で使用する用語「ワイヤ」は、ストランド、ひも、繊維、糸、フィラメント、ケーブル、撚り糸等であり得、これらの用語は言い換え可能に使用され得る。
【0023】
本明細書で使用する用語「鞘」は、「カテーテル」として記載可能でもあり、このため、これらの用語は言い換え可能に使用され得る。
【0024】
別段の規定がない限り、明細書および特許請求の範囲で使用する量、測定値、および他の特性またはパラメータを表すすべての数字は、すべての場合において、用語「約」により意味が限定されるものとして理解されるものとする。したがって、別段の指摘がない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に明記される数値パラメータは近似値であることを理解すべきである。少なくとも、均等論を請求項の範囲に制限して適用する試みとしてではなく、報告された有効数字の桁数と通常の丸め技法の用途を鑑みて、数値パラメータを読み取るべきである。
【0025】
「具備する、含む(comprising)」(「具備する」の任意の変化形)、「有する(having)」(「有する」の任意の変化形)、「含む(including)」(「含む」の任意の変化形)または「包含する(containing)」(「包含する」の任意の変化形)を本明細書で使用する場合、記載された機構、整数、ステップ、操作、要素、および/または、構成要素の存在を特定するが、1つ以上の他の機構、整数、ステップ、操作、要素、構成要素および/またはそれらのグループの存在または付加を排除するものではないと理解されたい。
【0026】
本明細書では、第1、第2、第3等の用語を様々な制限、要素、構成要素、領域、層および/または部分を記載するために使用可能であるが、これらの制限、要素、構成要素、領域、層および/または部分は、これらの用語により制限されるべきではないことをさらに理解するものとする。これらの用語は、1つの制限、要素、構成要素、領域、層または部分を別の制限、要素、構成要素、領域、層または部分と区別するためにのみ使用される。このため、以下で説明する第1制限、要素、構成要素、領域、層または部分は、本出願の記載内容から逸脱することなく、第2制限、要素、構成要素、領域、層または部分と称し得る。
【0027】
ある要素が他の要素の「上にある」、「結合された」、「接続された」または「連結された」と言及される場合、該要素は、他の要素の上またはその上方に直接接続または連結可能で、または1つ以上の介在要素が存在してもよいことをさらに理解されたい。それに対して、ある要素が他の要素「上に直接ある」、「に直接結合された」、「に直接接続された」または「に直接連結された」と言及される場合、介在要素は存在しない。要素間の関係を記載するために使用する他の単語は、同様の方法で解釈されるべきである(例:「間」対「直接間」、「隣接」対「直接隣接」等)。
【0028】
第1要素が第2要素「内」、「上」および/または「内部」にあると言及される場合、第1要素は、第2要素の内部空間の内部、第2要素の部分の内部(例:第2要素の壁の内部)、第2要素の外表面および/または内表面上、およびこれらの1つ以上の組み合わせに配置されることをさらに理解されたい。
【0029】
例えば、図示の通り、「下(beneath)」、「下方(below)」、「下部(lower)」、「上方(above)」、「上部(upper)」等の空間的に相対的な用語は、他の要素および/または機構に対するある要素および/または機構の関係を記載するために使用してよい。空間的に相対的な用語は、使用する装置の異なる配向および/または図示配向とは別の配向を包含するよう意図されることをさらに理解するものとする。例えば、図中の装置がひっくり返される場合、他の要素または機構の「下方」および/または「下」にあると記載された要素は、他の要素または機構の「上」に配向されることになるであろう。該装置は他の方向に配向可能で(例:90度または他の配向に回転させる)、本明細書で使用する空間的に相対的な記述語は、それに応じて解釈される。
【0030】
用語「減少する(reduce)」、「減少している(reducing)」、「減少(reduction)」などは、ゼロへの減少を含む、量の減少を含むものとする。発生の可能性の低減には、その発生の防止が含まれるものとする。
【0031】
本明細書で使用する用語「および/または」は、2つの指定された機構または構成要素のいずれか一方が、他方に関わらず、具体的に開示されていると解釈されるべきである。例えば、「Aおよび/またはB」は、各々が個々に本明細書に明記されているかの如く、(i)A、(ii)Bおよび(iii)AとBを各々に特定して開示するものと解釈されるべきである。
【0032】
非円形の幾何学的形状を記載するために本明細書で使用する用語「直径(~径)」は、記載の幾何学的形状に近似する仮想円の直径として解釈されるものとする。例えば、構成要素の断面等の断面を記載する場合、用語「直径(~径)」は、記載の構成要素の断面と同じ断面積を有する仮想円の直径を表すものと解釈されるものとする。
【0033】
本明細書で使用する構成要素の用語「長軸」および「短軸」はそれぞれ、構成要素を完全に取り囲むことができる最小体積の仮想円筒の長さと直径である。
【0034】
別個の実施形態の文脈で明瞭目的に記載される、本発明の特定の機構は、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよいことを理解すべきである。逆に、単一の実施形態の文脈で簡潔目的に記載される、本発明の様々な機構は、別々にまたは任意の適切なサブコンビネーションで提供されてよい。例えば、請求項のいずれかに明記された全ての特徴(独立請求項または従属請求項かに関わらず)は、任意の所定方法で組み合わせ可能なことを理解するものとする。
【0035】
本発明は、単一の管腔、大孔、および薄いカテーテル壁を有するカテーテルシャフトに関する。本発明の1つの実施形態によれば、開示されたカテーテル構成は、優れた遠位可撓性、突出した近位押込み性・トルク付与性、最高の外部潤滑性、および最高の内面潤滑性を提供する。
【0036】
図1Aおよび
図1Bに示す通り、カテーテルシャフト(10)は、4層構造を有する。カテーテルシャフト(10)の内層(20)は、1つの端部から別の端部に延伸する中央管腔(21)を備えた全長の超薄内部カテーテルライナ(20)を具備する。カテーテルシャフト(10)の第1の中間層(30)は、内部カテーテルライナ(20)の管腔外面(24)にわたって巻回するフラットワイヤコイル(31)を具備する。カテーテルシャフト(10)の第2の中間層(40)は、第1のコイル中間層(30)の管腔外面にわたって配置するワイヤ編組みを含む。カテーテルシャフト(10)の外層は、カテーテルシャフト(10)の第2の編組み中間層(40)にわたって配置し、融解され、カテーテルの2つの中間層(30、40)を通過して、カテーテルシャフト(10)の内層(20)に結合される管状ジャケット(50)を具備する。さらに、本発明の1つの実施形態によれば、カテーテルシャフト(10)の外層(50)および内層(20)は、略同一長さで、カテーテルシャフト(10)の2つの中間層(30、40)が、外層(50)および内層(20)の両方よりもわずかに短く、カテーテルシャフト(10)の外層(50)および内層(20)間およびそれらの中で被包される。
【0037】
引き続き
図1Aを参照すると、放射線不透過性マーカーバンドは、カテーテルシャフト(10)組立体の遠位端で固定され、蛍光透視検査により可視性を可能にする。
図1Aはまた、カテーテルシャフト(10)の近位端(14)が、カテーテル近位制御機構(8)に接続することを示す。特定の近位制御機構の設計は、意図された用途により異なる。このため、
図1Aは、本発明の説明を目的とする一例に過ぎない。
【0038】
本発明の1つの実施形態によれば、カテーテルシャフト(10)組立体は、1100~1400mmの全長、1.4~2.7mmの外径、1.2~2.3mmの管腔内径を有する。当業者は、カテーテルシャフト(10)組立体の全長および大きさが、特定の用途に適合するように容易に修正し得ることを理解されたい。このため、本明細書で開示された数は、参考程度に検討すべきもので、特許請求の範囲を限定するものとみなすべきではない。
【0039】
図1Bを参照すると、本発明の1つの実施形態によれば、カテーテルシャフト(10)の内層(20)は、1つの端部から別の端部まで延伸する中央管腔(21)を備えた管状側面を有する。本発明の1つの実施形態によれば、カテーテルシャフト(10)の内層(20)は、1150~1400mmの長さ、1.75~1.85mmの外径、1.73~1.83mmの管腔内径、0.013mm~0.025mm(または0.0005インチ~0.001インチ)の管腔壁厚を有する。本発明の1つの実施形態によれば、カテーテルシャフト(10)の内層(20)は、比較的薄い管腔壁を有するように設計される。このようにすることで、カテーテルシャフト(10)の側面全体が低減するだけではなく、カテーテルシャフト(10)の全体の可撓性も改良し得る。
【0040】
1つの実施形態によれば、カテーテルシャフト(10)の内層(20)の管腔内面は、カテーテルシャフトがカテーテルを通過して移動する際に、医療機器/インプラントに直接接する。このため、カテーテルシャフト(10)のこの内層(20)の管腔内面は、デバイス/インプラントをカテーテル管腔(21)を通過して押すのに要する力を最小限にする、十分な潤滑性を提供するように設計される。
【0041】
1つの実施形態によれば、カテーテルシャフト(10)の内層(20)は、押出PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)から作製される。別の実施形態において、カテーテルシャフト(10)の内層(20)は、ePTFEとも称される延伸PTFEから作製される。ePTFE内部カテーテルライナ(20)は、押出PTFE管を所望の温度まで加熱し、その後、コアマンドレルにわたってその内径を拡大する等、基準外の作製プロセスを使用して、PTFE管を慎重に拡大することで作製される。このような押出後プロセスにより、内管径が拡大され、微細小孔を備えた超薄管状壁が作製される。結果生じるePTFE内部カテーテルライナ(20)は、空気透過性で軟質かつ可撓性の物理的特性を有し、ある程度平滑性があり、膜のように吸収性を持つ感触を呈する。結果生じるePTFE内部カテーテルライナ(20)はまた、高直線強度、化学的不活性の特性を有し、低圧で水密が保持され、低誘電率を有し、優れた半径方向膨張性および耐紫外線性を提供する。
【0042】
当業者は、押出PTFEと延伸PTFE(ePTFE)管が、本発明を説明する目的として本明細書に記載されたものの、カテーテルシャフト(10)の内層(20)は、超薄管腔壁を実現するために、直接押出および/または押出後軸延伸および/または半径方向膨張等の分野で公知の任意の作製プロセスにより、FEP(フッ素化エチレンプロピレン)、FEP(フッ素化エチレンプロピレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ピロアミド/Pebax等の他の材料から作製され得ることを理解されたい。
【0043】
本発明の代替の実施形態において、内層は、ともに接合された2つの材料から作製され得る。例えば、内層の遠位部分は、ポリウレタン管から作製され得る一方、内層の残部は押出PTFEから作製される。押出PTFEは、カテーテルシャフトに押込み性を提供し、ポリウレタン遠位部分は、カテーテルシャフトに可撓性と軟質遠位端を提供して、神経脈管系内部で追跡をより良好に行う。1つの典型的な実施形態によれば、内層の遠位ポリウレタン部分は、0.013mm~0.025mm(または0.0005インチ~0.001インチ)の管腔壁厚を備えたポリウレタン管から作製され得る。このような遠位ポリウレタン管は、その後、熱封、または該分野での他の公知の方法により、PTFE部分の残部と接合する。ポリウレタンとPTFEの組み合わせが、1つの典型的な内層構造として本明細書に開示されているものの、当業者は、他の材料の組み合わせが、超薄管腔壁および平滑で潤滑された管腔内面を備えたカテーテルシャフトの内層である、本発明の設計目的を達成するように組み込まれ得、最小侵襲法用に良好な加工性を提供することを理解されたい。
【0044】
引き続き
図1Bを参照すると、カテーテルシャフト(10)の第1の中間層(30)は、内部カテーテルライナ(20)の管腔外面にわたって巻回するワイヤコイル(31)を具備する。ワイヤコイル中間層(30)は、内部カテーテルライナ(20)への支持体として添設され、遠位外側の可撓性を高める一方、より良好な耐キンク性のためにさらに、フープ強度を付加する。1つの実施形態によれば、カテーテルシャフト(10)組立体のコイル中間層(30)を形成するために使用するワイヤは、略平らな構成を有する。フラットワイヤを内層にわたって使用することで、フラットワイヤと内層との間の接触圧が低いため、提供される管腔内面は平滑になる。低接触圧の結果として、コイル層が内層上に形成する変形や模様は低減される。フラットワイヤコイルを組み込むことで、カテーテルシャフトの内層は、超薄管腔壁厚に適応し得る。フラットワイヤおよび超薄内層構造を備えたカテーテルシャフトは、インプラント送達用の所望の内径を提供する一方、脈管系内部のより良好な性能のために外部側面をより小さく維持する。
【0045】
当業者は、
図1Bが、本発明の1つの実施形態に係る、カテーテルシャフトの4層構造を記載・説明する目的で提供されることを理解されたい。
図1Bは、カテーテルシャフトの各層の長さまたは相対的長さを実際に表示することを意図しない。
【0046】
即ち、
図2Aに示す通り、ワイヤ(100)の断面は、その厚さよりも大きい幅を有する。このため、本実施形態は、カテーテルシャフト(10)の内層(20)との最大接触面積を備えたコイル中間層(30)を生成する。カテーテルシャフト(10)の内層(20)が超薄管腔壁を有するため、コイル中間層(30)と内部カテーテル層(20)の管腔外面との間の接触面積が大きいほど、内層(20)の管腔面は平滑になる。当業者は、コイル幅が同一であることで、コイル厚が大きいほど、耐キンク性が良好になることを理解されたい。このため、カテーテルシャフト(10)の適切な耐キンク性と小さい全体側面との間で設計のトレードオフを達成しなければならない。
【0047】
1つの実施形態によれば、かつ
図2Aに示す通り、ワイヤコイル(31)は、0.04~0.11mmの幅と0.02~0.06mmの厚さを有する。1つの実施形態において、ワイヤコイル(31)は、0.003インチの幅と0.0015インチの厚さを有する。本発明の別の実施形態によれば、コイル中間層(30)を形成するワイヤ(100)の断面積は、0.001~0.007mm
2であり、幅対厚さ比は、少なくとも2:1である。1つの実施形態によれば、第1のコイル中間層(30)は、内部カテーテル層(20)の管腔外面の少なくとも38%の面積を覆う。本発明のさらに別の実施形態によれば、コイル(31)は、0.12~0.25mmのピッチを有し、各螺旋回転の中間での最小隙間は、0.025mmである。別の実施形態において、コイル(31)は、左手方向または右手方向に巻回可能である。
【0048】
本発明の別の実施形態によれば、第1の中間層(30)は、一定のピッチを備えた螺旋コイル(31)である。本発明の別の実施形態によれば、コイル中間層(30)を形成するワイヤ(100)は、その全長にわたって、一定の厚さと一定の幅を有する。本発明のさらに別の実施形態において、カテーテルシャフト(10)の所望の可動性を達成する一方、カテーテルシャフト(10)の遠位部分で可撓性を増大するために、螺旋コイル(31)は、カテーテルシャフト(10)の近位部分では小さいピッチを、カテーテルの遠位部分では大きいピッチを、中間では徐々に変化するピッチを有し得る。本発明の別の実施形態において、ワイヤ厚が同一に保持される一方、螺旋コイル(31)を形成するワイヤ(100)は、カテーテルシャフト(10)の近位部分では大きい幅を、カテーテルシャフト(10)の遠位部分では小さい幅の側面を、中間では徐々に変化する幅を有する。このため、本明細書で説明・記載された特定の実施形態は、本発明の範囲を限定するために使用される。
【0049】
当業者は、丸いワイヤコイルと比較して、フラットワイヤコイルが、フラットワイヤが丸いワイヤと同一の断面積を有する場合、丸いワイヤコイルと少なくとも同一の耐キンク性を提供するが、全体の壁厚の側面が少なくとも33%低減することを理解されたい。このため、本発明の実施形態では、カテーテル半径方向の側面の増加が最小となる。言い換えれば、本発明は、内部カテーテル管腔の大きさをできるだけ最大に提供する一方、外部半径方向のカテーテル側面をできるだけ最小に保つ。
【0050】
1つの実施形態によれば、コイル中間層(30)を形成するフラットワイヤは、ステンレス鋼、タングステン、コバルトクロム合金等で形成され得る。別の実施形態において、コイル中間層(30)を形成するフラットワイヤ(100)は、ニチノール等の超弾性材料で形成され得る。1つの実施形態において、ニチノールにより、コイル中間層(30)は、カテーテルが使用中によじれる場合でさえ、その予め構成された円形の管腔形状に戻ることができ得る。
【0051】
図2Aは、単一ワイヤの螺旋コイル(31)を示す。当業者は、マルチワイヤコイル(131、231)がまた、第1のコイル中間層(30)の構造に組み込み可能であることを理解されたい。例えば、
図2Bに示す通り、コイル中間層(30)を形成するマルチワイヤコイル(131)は、各々異なる材料で、同一方向に巻回された2つのワイヤ(110、120)から作製され得る。このようにすることで、コイル中間層(30)は、2つの材料の合成強度および他の機械的特性を達成し得る。
図2Cに示す別の典型的な実施形態において、コイル中間層(30)を形成するマルチワイヤコイル(231)は、各々異なる材料で、反対方向に巻回された2つのワイヤ(130、140)から作製され得る。1つの実施形態によれば、
図2Bおよび
図2Cに示す典型的な実施形態の両方に対して、2つのワイヤ(130、140)は、それらが略同一層にあるように、交互に巻回され得る。別の実施形態において、該1つのワイヤは、他のワイヤにより形成されるコイルの上部に巻回され得る。当業者は、その幅および厚さを含む各ワイヤ(110、120、130、140)構成が、コイルピッチや巻き付け角度と同様に、最適の結果を達成するためにすべて独立して調整可能であることを理解されたい。1つの実施形態によれば、マルチワイヤコイル(131、231)は、2~4本のワイヤを具備する。別の実施形態において、マルチワイヤコイル(131、231)は、左手方向または右手方向に巻回され得る。別の実施形態において、マルチワイヤコイル(131、231)は、0.07~0.5mmのピッチを有し得る。さらに他の実施形態において、マルチワイヤコイル管構造で使用するワイヤは、幅が0.04~0.11mm、厚さが0.02~0.06mmの範囲である。
【0052】
引き続き
図1Bを参照すると、1つの実施形態によれば、第2の中間層(40)は、第1のコイル中間層(30)の外面にわたって配置される。第2の中間層(40)は、管状ワイヤ編組み(41)から作製される。該管状ワイヤ編組み(41)は、カテーテルシャフト(10)の軸方向およびねじれ制御を高め、医師による押し/引きまたは回転入力に付随する遅れを低減またはほぼ除去する。
【0053】
図3は、1つの典型的な編組み様式を示す。本発明の1つの実施形態によれば、第2の編組み中間層(40)の管状ワイヤ編組み(41)は、16本のワイヤと正規の編組み様式から作製される。別の実施形態において、第2の編組み中間層(40)は、16本のワイヤと、より良好なトルクとより高い耐キンク性を提供する傾向がある正規のダイヤ形編組み様式から作製され得る。当業者は、編組み様式と編組み用に使用するワイヤの数が変更され得ることを理解されたい。このため、本明細書で開示されたものは、本発明の範囲を限定するために使用されるべきではない。
【0054】
本発明の1つの実施形態によれば、第2の中間層(40)は、
図1Bに示す通り、第1のコイル中間層(30)の外面にわたって配置される。本発明の1つの実施形態によれば、第2の編組み中間層(40)は、0.025~0.066mmの全体厚さを有し、各ワイヤは、0.013~0.0033mmの外部厚さを有する編組みを作製する。本発明の1つの実施形態によれば、第2の編組み中間層(40)は、1150~1400mmの長さを有し、第1のコイル中間層(30)の長さと略同一である。別の実施形態によれば、第2の編組み中間層(40)は、第2の編組み中間層(40)が、第1のコイル中間層(30)の遠位部分を覆うことなく、第1のコイル中間層(30)の中間および近位部分のみを覆うように、第1のコイル中間層(30)よりも大幅に短い1100~1350mmの長さを有する。さらに別の実施形態によれば、第2の編組み中間層(40)は、
図1Bに示す第1のコイル中間層(30)の遠位端で、第1のコイル中間層(30)より2cm短い。
【0055】
引き続き
図1Bを参照すると、1つの実施形態によれば、高分子製ジャケット(50)は、カテーテルの外層を形成する第2の編組み中間層(40)を配置する。1つの実施形態によれば、外部ジャケット(50)は、第2の編組み中間層(40)の上に横に配置された、当初の管状構成を有する。カテーテルシャフト(10)組立体全体は、その後、リフロー処理にかけられ、それによって、外部ジャケット(50)および/またはインナーライナ材料は、融解され、複合カテーテルシャフト(10)を形成する。本発明の1つの実施形態によれば、外部ジャケット層(50)材料は、融解し、第2の編組み(40)と第1のコイル中間層(30)のワイヤ間の隙間を通過して流れ、下部のカテーテルシャフト(10)の内層(20)に付着する。当業者は、カテーテルシャフト(10)の内層(20)との結合を形成するために、外部ジャケット層(50)を融解するために使用される温度が、溝や谷様部を、カテーテル管腔の平滑性および潤滑性に影響し得るカテーテルシャフト(10)の内層(20)の管腔内面に導入することなく、ワイヤ間の隙間を通過する十分な材料流れを可能にするよう、バランスが保たれることを理解されたい。
【0056】
1つの実施形態によれば、外部ジャケット層(50)は、一定のデュロメーターを有するナイロンまたはPEBAX等の単一材料から作製される。本発明の別の実施形態によれば、外部ジャケット層(50)は、25~80ショアDのデュロメーター、20~500mmの長さ、2.0~2.5mmの外径、および0.025~0.13mmの壁厚を有する。1つの実施形態によれば、外部ジャケット層(50)は、2つの中間層(30、40)の全長およびカテーテルシャフト(10)の内層(20)の全長を覆う。
【0057】
外部ジャケット層(50)の別の実施形態を示す
図4を参照する。1つの実施形態によれば、外部ジャケット層(50)は、異なるデュロメーターを有する異なる材料で各々作製される複層部分を有する。例えば、
図4に示す通り、外部ジャケット層(50)の遠位部分は、デュロメーターが約ショア60AのTPU等の超低デュロメーター材料から作製される。外部ジャケット層(50)の近位部分は、デュロメーターが約ショア75Dのナイロン等のデュロメーターが比較的高い材料から作製される。外部ジャケット層(50)の遠位と近位部分との間の移行部分は、デュロメーターがショア30D~63Dの範囲のPEBAX等のデュロメーターが比較的高い材料から作製される。したがって、低デュロメーターの遠位外層は、カテーテルシャフト(10)組立体に、小さい脈管系の蛇行性経路を通過して移動するための最高の可撓性を提供する。外部ジャケット層(50)の高デュロメーター近位部分は、カテーテルシャフト(10)組立体に、剛性および最高の可制御性を提供する。さらに、移行部分は、遠位の超軟質部分から近位の剛性および支持部分までを徐々に移行することが可能である。
【0058】
引き続き
図4を参照すると、1つの実施形態によれば、外部ジャケット層(50)の遠位部分は、100~200mmの長さを有し、外部ジャケット層(50)の移行部分は、10~30mmの長さを有し、外部ジャケット層(50)の近位部分は、1000~1200mmの長さを有する。本発明の1つの実施形態によれば、外部ジャケット層(50)の遠位、移行、および近位部分は、略類似の厚さを有する。
【0059】
本発明の別の実施形態によれば、追加の被覆層は、本発明に記載のカテーテル構造に付加可能である。例えば、平坦で滑りやすい表面を実現するための親水性被膜により、カテーテルは、脈管系内で容易に追跡可能である。
【0060】
上記開示には具体的に記載されていないものの、当業者は、1つ以上の放射線不透過性マーカーが、フルオロスコープ、X線、CTスキャナ、MRI、超音波イメージャ等の撮像装置により、可視化の一助となるように使用されることを理解されたい。本明細書開示のマーカーは、本発明のカテーテルシャフト(10)の任意の部分に適用可能である。放射線不透過性マーカーは、接着、カシメ加工、圧着、その他の方式でカテーテルシャフト(10)の中または上に配置して固定することができる。放射線不透過性マーカーは、タンタル、タングステン、白金、イリジウム、金、またはこれらの材料の合金、または当業者に公知の他の材料から作製可能である。放射線不透過性マーカーはまた、クロム(III)、マンガン(II)、鉄(III)、鉄(II)、コバルト(II)、銅(II)、ニッケル(II)、プラセオジム(III)、ネオジム(III)、サマリウム(III)、イッテルビウム(III)、ガドリニウム(III)、テルビウム(III)、ジスプロシウム(III)、ホルミウム(III)およびエルビウム(III)等の原子番号21~29、42、44および58~70を持つ1つ以上の元素を含む複数の常磁性材料、または当業者に公知の他のMR可視材料から作製可能である。
【0061】
当業者は、上述のほとんどの典型的な実施形態が、神経脈管系用途用に使用されるカテーテルシャフト(10)を指すものの、本発明の典型的な実施形態は、他の任意の好適な最小侵襲用途で使用され得ることを理解されたい。例えば、本発明の典型的な実施形態は、虚血性脳梗塞用等に、脈管閉塞デバイス、ステント、吸引、ステント回収器を送達するために使用され得る。別の実施例において、本発明の典型的な実施形態は、インプラントを、脳動脈瘤等の動脈瘤に正確に送達するために使用され得る。別の実施例において、本発明の典型的な実施形態は、脳の血管、開いた血管、または他の位置等の血管にインプラントを正確に送達するように使用され得る。
【0062】
前述の記載および添付の図面は、現在の代表的な実施形態の複数の実施例を明記する。前述の記載事項を鑑みて、前述記載ではなく以下の特許請求の範囲によって示される、本発明の趣旨から逸脱することなく、または本発明の範囲を超えることなく、様々な修正および代替設計は当業者には自明であろう。請求項の均等物の意味および範囲内に含まれるすべての変更および変形は、その範囲内に包含されるものとする。
【手続補正書】
【提出日】2022-04-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機器を送達および配置するためのカテーテルシャフトであって、
超薄内部カテーテル層と、第1のコイル中間層と、第2の編組み中間層(40)と、外部ジャケット層と、を具備し、
前記第1のコイル中間層は、前記超薄内部カテーテル層の上に配置され、前記第2の編組み中間層は、前記第1のコイル中間層の上に配置され、および前記外部ジャケット層は、前記第2の編組み中間層の上に配置され、
前記外部ジャケット層は、前記第1のコイル中間層および前記第2の編組み中間層を通して溶解し、前記超薄内部カテーテル層に結合し、
前記第1のコイル中間層は、少なくとも2:1の幅対厚さ比を備えたフラットワイヤから作製され、
前記外部ジャケット層は、外部ジャケットの遠位部分を形成する軟質デュロメーター材料、前記外部ジャケットの中間部分を形成するある範囲の中間デュロメーター材料、および前記外部ジャケットの近位部分を形成する硬質デュロメーター材料を備えた複数の材料から作製される、カテーテルシャフト。
【請求項2】
前記内部カテーテルライナは、延伸PTFE管から作製される、請求項1に記載のカテーテルシャフト。
【請求項3】
前記内部カテーテルライナは、ともに接合された遠位ポリウレタン管および近位PTFE管から作製される、請求項1に記載のカテーテルシャフト。
【請求項4】
前記第1のコイル中間層は、0.06mmの最大厚さを有する、請求項1に記載のカテーテルシャフト。
【請求項5】
前記第2の編組み中間層は、ダイヤ形編組み様式を有する、請求項1に記載のカテーテルシャフト。
【請求項6】
前記第1のコイル中間層は、前記内部カテーテルライナの管腔外面の少なくとも30%の面積を覆う、請求項1に記載のカテーテルシャフト。
【請求項7】
前記第2の編組み中間層は、0.066mmの最大厚さを有する、請求項1に記載のカテーテルシャフト。
【請求項8】
前記内部カテーテルライナおよび前記外部ジャケット層は、同一の長さである、請求項1に記載のカテーテルシャフト。
【請求項9】
前記第1のコイル中間層および第2の編組み中間層は、前記内部カテーテルライナおよび前記外部ジャケット層の両方の内部で被包される、請求項1に記載のカテーテルシャフト。
【請求項10】
前記第1のコイル中間層は、同一方向に巻回された少なくとも2つのワイヤから作製される、請求項1に記載のカテーテルシャフト。
【請求項11】
前記第1のコイル中間層は、反対方向に巻回された少なくとも2つのワイヤから作製される、請求項1に記載のカテーテルシャフト。
【請求項12】
前記第2の編組み中間層は、前記第1のコイル中間層の少なくとも近位および中間部分上に配置される、請求項13に記載のカテーテルシャフト。
【請求項13】
前記第2の編組み中間層は、前記第1のコイル中間層の前記中間部分よりも少なくとも20mm短い、請求項14に記載のカテーテルシャフト。
【請求項14】
前記カテーテルシャフトは、少なくとも1.2:1の外径対管腔内径比を有する、請求項1に記載のカテーテルシャフト。
【請求項15】
前記第1のコイル中間層は、近位部分により小さいピッチおよび遠位部分により大きいピッチを有する、請求項1に記載のカテーテルシャフト。
【国際調査報告】