(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-18
(54)【発明の名称】延長放出組成物のための疎水性ペプチド塩
(51)【国際特許分類】
A61K 38/22 20060101AFI20221011BHJP
A61P 19/00 20060101ALI20221011BHJP
A61K 47/54 20170101ALI20221011BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20221011BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20221011BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20221011BHJP
C07K 14/58 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
A61K38/22
A61P19/00
A61K47/54
A61K9/20
A61K9/14
A61P19/02
C07K14/58 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022508820
(86)(22)【出願日】2020-08-12
(85)【翻訳文提出日】2022-03-11
(86)【国際出願番号】 US2020045885
(87)【国際公開番号】W WO2021030411
(87)【国際公開日】2021-02-18
(32)【優先日】2019-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506136483
【氏名又は名称】バイオマリン ファーマシューティカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】アン, ジェイク
(72)【発明者】
【氏名】バトゥ, スニル クマール
(72)【発明者】
【氏名】ラバー, ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】エストラーダ, カロル
(72)【発明者】
【氏名】レボウィッツ, ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ, ジョイス
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA94
4C076BB01
4C076BB15
4C076BB16
4C076BB40
4C076CC41
4C076DD04M
4C076DD05M
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4C076DD70M
4C076EE59
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4C076GG01
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA19
4C084DB02
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4C084NA12
4C084ZA96
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA50
4H045CA40
4H045DA32
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、一般に、水溶液中で低溶解性材料を形成し、対象に投与されたときにペプチド成分の延長放出または徐放が可能な親水性ペプチドの疎水性塩に関する。C型ナトリウム利尿ペプチドの疎水性塩およびその使用も開示される。本開示は、塩が水性媒体中で固体または半固体を形成するような、溶液への溶解度が低い静電的に帯電したペプチドの塩を含む組成物に関する。このような塩は、水溶液中のペプチドの非塩形態よりも溶解速度が遅く、典型的な延長放出形式で再処方する必要なしに延長放出治療剤に使用することができることが本明細書に示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)の疎水性塩を含む組成物であって、前記塩は、疎水性対イオンと錯体形成した前記CNPを含む、組成物。
【請求項2】
前記塩が、前記ペプチド-対イオン錯体と錯体形成した多価カチオンをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記CNP、疎水性対イオン、およびカチオンが非共有結合を介して錯体形成している、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記カチオンが+2、+3または+4の電荷を有する、請求項2または3に記載の組成物。
【請求項5】
前記カチオンが金属カチオンである、請求項2~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記カチオンが、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、白金(Pt)、銅(Cu)、および金(Au)からなる群から選択される金属を含む、請求項2~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記カチオンが亜鉛またはカルシウムを含む、請求項2~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記疎水性対イオンが約0~約10のcLogPを有するか、またはその共役酸が約-2~約5のpKaを有するか、またはそれらの両方である、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記疎水性対イオンが約2~約9のcLogPを有し、かつその共役酸が約5未満のpKaを有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記疎水性対イオンが、脱プロトン化脂肪酸、脱プロトン化胆汁酸、イオン性界面活性剤、ナフトエートおよびその誘導体、ニコチネートおよびその誘導体、アルキルスルホネート、ジアルキルスルホスクシネート、リン脂質、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルスルフェート、アリールスルフェート、デキストランスルフェート、アルキルベンゼンスルフェート、および上記のいずれかの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記疎水性対イオンが、パルミテート、デオキシコレート、オレエート、パモエート、ニコチネート、ドデシルスルフェート、ドキュセート、ミリステート、パルミテート、ステアレート、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルイノシトール(PL)、ホスファチデート、デカノエート、2-ナフタレンスルホネート、1-ヘプタンスルホネート、1-オクタンスルホネート一水和物、1-デカンスルホネート、ドデシルスルフェート、デキストランスルフェート、およびドデシルベンゼンスルホネートからなる群から選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記ペプチド塩が、固体、半固体、ゲル、結晶性、アモルファス、ナノ粒子、微粒子、アモルファスナノ粒子、アモルファス微粒子、結晶性ナノ粒子、または結晶性微粒子の形態である、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記CNPがCNPバリアントである、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記CNPが、
PGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Pro-Gly-CNP-37、配列番号1)
LQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-38)(配列番号2)、
QEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-37)(配列番号3)、
PNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-34)(配列番号4)、およびそれらの塩、からなる群から選択される、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記CNPがCNP-アセテートである、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記疎水性対イオンがオレエート、デオキシコレート、デカノエート、パモエート、ドキュセートまたはドデシルスルフェートである、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
カチオンがZn
2+またはCa
2+である、請求項2~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
賦形剤、希釈剤または担体をさらに含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記賦形剤、希釈剤または担体が薬学的に許容される賦形剤、希釈剤または担体である、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか一項に記載の組成物を含む、無菌薬学的組成物。
【請求項21】
C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)の塩を含む延長放出組成物であって、前記塩は、疎水性対イオンと錯体形成した静電的に帯電したペプチドを含む、延長放出組成物。
【請求項22】
前記塩が、前記ペプチド-対イオン錯体と錯体形成したカチオンをさらに含む、請求項21に記載の延長放出組成物。
【請求項23】
ペプチド塩の固体、半固体、ゲル、結晶性、アモルファス、ナノ粒子、微粒子、アモルファスナノ粒子、アモルファス微粒子、結晶性ナノ粒子または結晶性微粒子が水溶液または油中に再懸濁される、請求項21または22に記載の延長放出組成物。
【請求項24】
前記油がトリグリセリドまたは脂肪酸を含み、任意選択で前記脂肪酸が飽和または不飽和である、請求項23に記載の延長放出組成物。
【請求項25】
前記脂肪酸がC-6~C-20脂肪酸である、請求項23または24に記載の延長放出組成物。
【請求項26】
前記脂肪酸がヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、またはドデカン酸である、請求項23~25のいずれか一項に記載の延長放出組成物。
【請求項27】
前記水溶液が水、生理食塩水、または緩衝液である、請求項23に記載の延長放出組成物。
【請求項28】
pH7~7.6において
(i)ペプチドの20%未満が1日目までに放出され、
(ii)ペプチドの約90%が7日目までに放出されるか、またはペプチドの約90%が14日目までに放出されるか、またはペプチドの約90%が31日目までに放出される、請求項21~27のいずれか一項に記載の延長放出組成物。
【請求項29】
薬学的に許容される賦形剤、希釈剤または担体をさらに含む、請求項21~28のいずれか一項に記載の延長放出組成物。
【請求項30】
C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)の疎水性塩を含む組成物を作製する方法であって、
a)水溶液中のCNPを溶液中の疎水性対イオンと接触させることと、
b)ペプチドおよび対イオンが錯体形成するのに十分な様式で前記CNP溶液を前記疎水性対イオン溶液と混合することと、を含み、前記ペプチド-対イオン錯体の前記形成が、前記CNP塩を含む固体、半固体、ゲル、結晶性、アモルファス、ナノ粒子、微粒子、アモルファスナノ粒子、アモルファス微粒子、結晶性ナノ粒子、または結晶性微粒子の形態の形成をもたらす、方法。
【請求項31】
任意選択で、ステップ(b)の前に、溶液中の前記CNPを水溶液中の多価カチオンと接触させ、ペプチド-カチオン錯体を形成することを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
ステップ(c)前記疎水性CNP塩を緩衝液または水で洗浄することをさらに含む、請求項30または31に記載の方法。
【請求項33】
ステップ(d)遠心分離によって前記疎水性CNP塩を得て、CNP塩ペレットを形成することをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
ステップ(e)前記CNP塩ペレットから水を除去することをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記ペレットを水溶液または油に再懸濁することをさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記ペプチド:疎水性対イオン比が1:1~1:20である、請求項30~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記ペプチド:カチオン比が1:1~1:10である、請求項31~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
骨関連障害または骨格異形成の治療を必要とする対象において骨関連障害または骨格異形成を治療する方法であって、請求項1~29または44~52のいずれか一項に記載の疎水性CNP塩を含む組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項39】
前記骨関連障害または骨格異形成が、骨関節炎、低リン酸血症性くる病、軟骨無形成症、軟骨低形成症、低身症、小人症、骨軟骨異形成症、致死性異形成症、骨形成不全症、軟骨無発生症、点状軟骨異形成症、同型接合性軟骨形成不全症、点状軟骨異形成症、彎曲肢異形成症、先天性致死性低ホスファターゼ症、周産期致死型骨形成不全症、短肋軟骨無形成症、軟骨低形成症、肢根型点状骨端異形成、ヤンセン型骨幹端異形成症、先天性脊椎骨端骨異形成症、成長不全性骨形成症、捻曲性骨異形成症、先天性短大腿骨症、ランガー型中脚不形成症、ニーバーゲルト型中脚異形成症、ロビンノウ症候群、ラインハルト症候群、軟骨無形成症、末梢異形成症、ニースト異形成症、線維軟骨形成症、ロバーツ症候群、遠位中間肢異形成症、短肢症、モルキオ症候群、ニースト症候群、複合有機栄養性異形成、および脊椎骨端骨幹端異形成、NPR2変異、SHOX変異(ターナー症候群/レリワイル)、PTPN11変異(ヌーナン症候群)、インスリン成長因子1受容体(IGF1R)変異、および特発性低身長からなる群から選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
骨を伸ばすこと、または長骨の成長を増加させることを必要とする対象において骨を伸ばすまたは長骨の成長を増加させる方法であって、請求項1~29または44~52のいずれか一項に記載の疎水性CNP塩を含む組成物を前記対象に投与することを含み、前記投与が骨を伸ばす、または長骨の成長を増加させる、方法。
【請求項41】
前記組成物が、皮下、皮内、関節内、経口、または筋肉内投与される、請求項38~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記組成物が、1日1回、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、6週間に1回、2ヶ月に1回、3ヶ月に1回、または6ヶ月に1回投与される、請求項38~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記組成物が延長放出組成物である、請求項38~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
疎水性対イオンと錯体形成したCNPを含む、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)の疎水性塩。
【請求項45】
前記ペプチドおよび対イオンと錯体形成したカチオンをさらに含む、請求項44に記載の疎水性塩。
【請求項46】
前記疎水性対イオンが、オレエート、デオキシコレート、デカノエート、パモエート、ドキュセートまたはドデシルスルフェートからなる群から選択される、請求項44または45に記載の疎水性塩。
【請求項47】
カチオンがZn
2+またはCa
2+である、請求項44~46のいずれか一項に記載の疎水性塩。
【請求項48】
前記塩が、CNP-オレエート、CNP-パモエート、CNP-デオキシコレート、CNP-デカノエートおよびCNP-ドキュセートからなる群から選択される、請求項44~46のいずれか一項に記載の疎水性塩。
【請求項49】
前記塩が、CNP-Ca
+2(オレエート)、CNP-Ca
+2(パモエート)、CNP-Ca
+2(デオキシコレート)、CNP-Ca
+2(デカノエート)、CNP-Ca
+2(ドキュセート)、CNP-Zn
+2(オレエート)、CNP-Zn
+2(パモエート)、CNP-Zn
+2(デオキシコレート)、CNP-Zn
+2(デカノエート)、およびCNP-Zn
+2(ドキュセート)からなる群から選択される、請求項45~48のいずれか一項に記載の疎水性塩。
【請求項50】
前記CNPが、
PGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Pro-Gly-CNP-37、配列番号1)
LQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-38)(配列番号2)、
QEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-37)(配列番号3)、
PNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-34)(配列番号4)、およびそれらの塩、からなる群から選択される、請求項44~49のいずれか一項に記載の疎水性塩。
【請求項51】
前記CNPがCNP-アセテートである、請求項44~50のいずれか一項に記載の疎水性塩。
【請求項52】
精製されている、請求項44~51のいずれか一項に記載の疎水性塩。
【請求項53】
骨関連障害もしくは骨格異形成の治療に使用するため、または骨を伸ばすもしくは長骨の成長を増加させるための、請求項1~29または44~52のいずれか一項に記載の疎水性CNP塩を含む組成物。
【請求項54】
骨関連障害もしくは骨格異形成を治療するため、または骨を伸ばすもしくは長骨の成長を増加させるための薬剤の調製における、請求項1~29または44~52のいずれか一項に記載の疎水性CNP塩を含む組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年8月12日に出願された米国仮特許出願第62/885,705号、2019年11月13日に出願された米国仮定特許出願第62/935,052号、2020年1月20日に出願された米国仮定特許出願第62/963,354号、2020年1月23日に出願された米国仮特許出願第62/964,848号、および2020年6月12日に出願された米国仮特許出願第63/038,652号の優先権を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
電子的に提出された資料の参照による組み込み
本開示の一部である配列表を明細書と同時にテキストファイルとして提出する。配列表を含むテキストファイルの名称は、「54627_Seqlisting.txt」であり、これは2020年8月6日に作成され、サイズは54,454バイトである。配列表の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本開示は、一般に、水溶液中で低溶解性材料を形成し、対象に投与されたときにペプチド成分の延長放出または徐放が可能な親水性ペプチドの疎水性塩に関する。
【背景技術】
【0004】
徐放治療剤は、例えば、投与回数を減らすため、または治療効果を達成するために対象が受ける可能性のある薬物の量を減らすために望ましい。しかし、薬物中の特定の種類の有効成分は、治療剤を特定の部位にインビボで送達し得る、または薬物が時間の経過とともにゆっくりと粒子から逃げることを可能にする特定の遅効放出性を有する徐放組成物(例えば、腸溶コーティングされた用量応答性カプセルまたは錠剤、またはリポソームまたはナノ粒子などのミクロスフェア)に配合することが困難である。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、塩が水性媒体中で固体または半固体を形成するような、溶液への溶解度が低い静電的に帯電したペプチドの塩を含む組成物に関する。このような塩は、水溶液中のペプチドの非塩形態よりも溶解速度が遅く、典型的な延長放出形式で再処方する必要なしに延長放出治療剤に使用することができることが本明細書に示される。
【0006】
本明細書で提供されるのは、静電的に帯電したペプチドの疎水性塩を含む組成物であり、塩は、疎水性対イオンと錯体形成した静電的に帯電したペプチドを含む。様々な実施形態において、塩は疎水性ペプチド塩である。
【0007】
様々な実施形態において、ペプチド塩中のペプチド重量%は、ペプチド塩中の少なくとも約10重量%のペプチドである。様々な実施形態において、ペプチド塩中のペプチドは、重量で少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%またはそれ以上である。様々な実施形態において、ペプチド塩中の活性ペプチドの重量%は、少なくとも約5重量%である。様々な実施形態において、ペプチド塩中の活性ペプチドの重量%は、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%またはそれ以上である。様々な実施形態において、塩中に存在する総ペプチドと比較した%活性ペプチドは、少なくとも約50%、60%、70%である。80%以上。様々な実施形態において、疎水性ペプチド塩は溶解が遅く、1×リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に1mg/mLですぐには溶解しない。
【0008】
様々な実施形態において、疎水性対イオンは、非共有結合を介して静電的に帯電したペプチドと錯体形成する。
【0009】
様々な実施形態において、疎水性ペプチド塩は、ペプチド-疎水性対イオン錯体と錯体形成した多価カチオンをさらに含む。様々な実施形態において、静電的に帯電したペプチド、疎水性対イオン、および多価カチオンは、非共有結合を介して錯体形成する。様々な実施形態において、ペプチド-疎水性対イオン錯体と錯体を形成した多価カチオンは、金属カチオンである。
【0010】
様々な実施形態において、疎水性対イオンを含むペプチド塩が、約0~約10のcLogPを有するか、または疎水性対イオンの共役酸が、-2~5のpKaを有するか、またはその両方である。様々な実施形態において、疎水性対イオンを含むペプチド塩が、約2~約9のcLogPを有するか、または疎水性対イオンの共役酸が、約5未満のpKaを有するか、またはその両方である。様々な実施形態において、疎水性対イオンを含むペプチド塩は、約2~約9のcLogPを有し、かつ疎水性対イオンの共役酸は、約5未満のpKaを有する。様々な実施形態において、疎水性対イオンを含むペプチド塩は、約2~約9のcLogPを有し、かつ疎水性対イオンの共役酸は、約0~約5のpKaを有する。
【0011】
様々な実施形態において、疎水性対イオンは、脱プロトン化脂肪酸、脱プロトン化胆汁酸、ナフトエートおよびその誘導体、ニコチネートおよびその誘導体、アルキルスルホネート、ジアルキルスルホスクシネート、リン脂質、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルスルフェート、アリールスルフェート、デキストランスルフェート、アルキルベンゼンスルフェート、イオン性界面活性剤、および上記のいずれかの組み合わせからなる群から選択される。様々な実施形態において、疎水性対イオンは、パルミテート、デオキシコレート、オレエート、パモエート、ニコチネート、ドデシルスルフェート、ドキュセート、ミリステート、パルミテート、ステアレート、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルイノシトール(PL)、ホスファチデート、デカネート、2-ナフタレンスルホネート、1-ヘプタンスルホネート、1-オクタンスルホネート一水和物、1-デカンスルホネート、ドデシルスルフェート、デキストランスルフェート、およびドデシルベンゼンスルホネートからなる群から選択される。様々な実施形態において、疎水性対イオンは、オレエート、デオキシコレート、デカノエート、パモエート、ドキュセートまたはドデシルスルフェートである。様々な実施形態において、対イオンは、オレエート、パモエート、デオキシコレート、デカノエートおよびドキュセートからなる群から選択される。
【0012】
様々な実施形態において、多価カチオンは、+2、+3または+4、またはそれ以上の電荷を有する。様々な実施形態において、多価カチオンは、+2、+3、または+4の電荷を有する。特定の実施形態において、多価カチオンは、+2の電荷を有する。特定の実施形態において、多価カチオンは、+3の電荷を有する。特定の実施形態において、多価カチオンは、+4の電荷を有する。様々な実施形態において、カチオンは金属カチオンである。様々な実施形態において、カチオンは、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、バリウム(V)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)からなる群から選択される金属を含む。様々な実施形態において、カチオンは亜鉛またはカルシウムを含む。様々な実施形態において、カチオンは、Mg2+、Zn2+、またはCa2+である。様々な実施形態において、カチオンは、Zn2+またはCa2+である。特定の実施形態において、カチオンはZn2+である。特定の実施形態において、カチオンはCa2+である。
【0013】
様々な実施形態において、ペプチド塩は、固体、半固体、ゲル、結晶性、アモルファス、ナノ粒子、微粒子、アモルファスナノ粒子、アモルファス微粒子、結晶性ナノ粒子または結晶性微粒子の形態である。様々な実施形態において、ペプチド塩は固体形態である。様々な実施形態において、ペプチド塩はアモルファス形態である。様々な実施形態において、ペプチド塩はゲル形態である。様々な実施形態において、ペプチド塩は、ゲル中に懸濁されるか、またはゲルに連結される。
【0014】
様々な実施形態において、静電的に帯電したペプチドは、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)である。様々な実施形態において、CNPは、CNPバリアントである。本明細書で企図されるCNPおよびCNPバリアントは、詳細な説明においてより完全に説明される。様々な実施形態において、CNPは、疎水性対イオンと錯体形成して、疎水性CNP塩錯体を形成する。様々な実施形態において、疎水性CNP塩は、CNP-疎水性対イオン錯体と錯体を形成し、CNP-カチオン-疎水性対イオン塩錯体を形成する多価カチオンをさらに含む。様々な実施形態において、多価カチオンは金属カチオンである。
【0015】
様々な実施形態において、CNPは、
PGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Pro-Gly-CNP-37、配列番号1)
LQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-38)(配列番号2)、
QEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-37)(配列番号3)、
PNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-34)(配列番号4)およびそれらの塩、からなる群から選択される。様々な実施形態において、本明細書における疎水性CNP塩を形成するために有用なCNP塩は、CNP-アセテートである。
【0016】
様々な実施形態において、CNPは、
PGQEHPQARRYRGAQRRGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号5)、
PGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号1)、
PGQEHPNARRYRGANRRGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号6)、
PGQEHPNARRYRGANRRGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号6)、
PGQEHPQARRYRGAQRRGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号5)、および
PGQEHPQARKYKGAQKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号7)からなる群から選択される。
【0017】
様々な実施形態において、CNPバリアントペプチドは、アセチル基をさらに含む。様々な実施形態において、アセチル基は、ペプチドのN末端にある。様々な実施形態において、アセチル基は、ペプチド配列内のアミノ酸側鎖上にある。様々な実施形態において、ペプチドは、C末端にOHまたはNH2基をさらに含む。
【0018】
様々な実施形態において、CNPバリアントは、
Ac-PGQEHPQARRYRGAQRRGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC-OH(配列番号8)、
Ac-PGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC-NH2(配列番号9)、
Ac-PGQEHPNARRYRGANRRGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC-OH(配列番号10)、
Ac-PGQEHPNARRYRGANRRGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC-NH2(配列番号11)、
Ac-PGQEHPQARRYRGAQRRGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC-NH2(配列番号12)、
Ac-PGQEHPQARKYKGAQKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC-NH2(配列番号13)、および
Ac-PGQEHPQARKYKGAQKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC-OH(配列番号14)からなる群から選択される。
【0019】
様々な実施形態において、疎水性対イオンは、オレエート、デオキシコレート、デカノエート、パモエート、ドキュセートまたはドデシルスルフェートである。様々な実施形態において、多価カチオンが存在する場合、多価カチオンは、亜鉛またはカルシウムを含む。様々な実施形態において、多価カチオンが存在する場合、多価カチオンは、マグネシウム、亜鉛、またはカルシウムを含む。様々な実施形態において、カチオンは、Mg2+、Zn2+、またはCa2+である。様々な実施形態において、多価カチオンは、Zn2+またはCa2+である。様々な実施形態において、多価カチオンは、Zn2+である。様々な実施形態において、多価カチオンは、Ca2+である。
【0020】
様々な実施形態において、組成物は、賦形剤、希釈剤または担体をさらに含む。様々な実施形態において、賦形剤、希釈剤または担体は、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤または担体である。本明細書に記載の疎水性塩組成物を含む無菌薬学的組成物も提供される。
【0021】
本開示によってさらに企図されるのは、本明細書に記載の疎水性ペプチド塩を含む放出調節組成物である。様々な実施形態において、放出調節組成物は、延長放出組成物、徐放組成物、または遅延放出組成物である。
【0022】
様々な実施形態において、延長放出組成物は、疎水性ペプチド塩を含み、ペプチド塩固体、半固体、ゲル、結晶性、アモルファス、ナノ粒子、微粒子、アモルファスナノ粒子、アモルファス微粒子、結晶性ナノ粒子または結晶性微粒子が水溶液または油に再懸濁される。様々な実施形態において、水溶液は、水、生理食塩水、または緩衝液である。
【0023】
様々な実施形態において、油は、トリグリセリドまたは脂肪酸を含む。様々な実施形態において、脂肪酸は飽和または不飽和である。様々な実施形態において、脂肪酸は、短鎖、中鎖または長鎖脂肪酸である。様々な実施形態において、脂肪酸がトリグリセリド中にある場合、脂肪酸は飽和または不飽和であり、中鎖または長鎖脂肪酸であり得る。
【0024】
様々な実施形態において、脂肪酸は、C-6~C-20の脂肪酸である。様々な実施形態において、脂肪酸は、C-6、C-8、C-10、C-12、C-14、C-16、C-18、またはC-20脂肪酸である。様々な実施形態において、脂肪酸は、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、またはドデカン酸である。
【0025】
様々な実施形態において、延長放出組成物について、pH7~7.6において、(i)ペプチドの約20%未満が1日目までに放出される、および(ii)ペプチドの約90%が毎週放出されるか、またはペプチドの約90%が隔週で放出されるか、またはペプチドの約90%が毎月放出される。
【0026】
様々な実施形態において、ペプチドの約20%未満が、pH7~7.6において1日目までに放出される。さらに、(i)pH7.0~7.6において、ペプチドの約30%未満、または約40%、または約50%、または約60%が、1日目までに放出される、および(ii)pH7~7.6において、ペプチドの約90%が毎週放出されるか、またはペプチドの約90%が隔週で放出されるか、またはペプチドの約90%が毎月放出されることが企図される。さらに、(i)pH7.0~7.6において、ペプチドの約30%未満、または約40%、または約50%、または約60%が、1日目までに放出される(ii)pH7~7.6において、ペプチドの約70%、約80%、または約90%が毎週放出される、または、ペプチドの約70%、約80%、または約90%が隔週で放出される、または、ペプチドの約70%、約80%、または約90%が3週間ごとに放出される、または、ペプチドの約70%、約80%、または約90%が毎月放出されることが企図される。
【0027】
様々な実施形態において、(i)pH7.0~7.6において、ペプチドの約25%未満、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、または約75%が1日目までに放出される、および(ii)pH7~7.6において、ペプチドの約90%が毎週放出されるか、またはペプチドの約90%が隔週で放出されるか、またはペプチドの約90%が毎月放出される。さらに、(i)pH7.0~7.6において、ペプチドの約25%未満、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、または約75%が1日目までに放出される、および(ii)pH7.0~7.6において、ペプチドの約70%、約80%、もしくは約90%が毎週放出される、または、ペプチドの約70%、約80%、もしくは約90%が隔週で放出される、またはペプチドの約70%、約80%、もしくは約90%が3週間ごとに放出される、または、ペプチドの約70%、約80%、もしくは約90%が、毎月放出される、あるいは代替的に、ii)pH7~7.6において、ペプチドの約70%、約75%、約80%、約85%、もしくは約90%が毎週放出される、または、ペプチドの約70%、約75%、約80%、約85%、もしくは約90%が隔週で放出される、または、ペプチドの約70%、約75%、約80%、約85%、もしくは約90%が3週間ごとに放出される、または、ペプチドの約70%、約75%、約80%、約85%、もしくは約90%が毎月放出されることが企図される。
【0028】
様々な実施形態において、pH7~7.6において、ペプチドの約90%が毎週放出される。様々な実施形態において、pH7~7.6において、ペプチドの約90%が隔週で放出される。様々な実施形態において、pH7~7.6において、ペプチドの約90%が毎月放出される。さらに、放出は、pH7.0~7.6、pH7.1~7.5、pH7.2~7.4、pH7.2~7.6、またはpH7.0~7.4のpHであり得ることが企図される。
【0029】
様々な実施形態において、延長放出組成物は、賦形剤、希釈剤または担体を含む。様々な実施形態において、賦形剤、希釈剤または担体は、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤または担体である。様々な実施形態において、延長放出組成物を含む無菌薬学的組成物が提供される。
【0030】
疎水性CNP塩などの、本明細書に記載の疎水性ペプチド塩組成物を作製する方法も本明細書で提供される。極性頭部基は錯体形成pHに関係なく永久に帯電するため、イオン性界面活性剤は対イオンの良い候補である。錯体形成が起こるpHの調節は、ペプチドに異なる量の電荷をもたらし、これにより、ペプチド:界面活性剤錯体形成の化学量論の制御が可能になり、結果として生じる沈殿物のサイズを制御できる可能性がある。金属カチオンは、ペプチドアミノ酸のアニオン性側鎖がアニオン性疎水性対イオンに結合するためのブリッジとして使用することができる。ペプチドへのカチオンおよび対イオンの付加の順序および速度は、アニオン性疎水性対イオンによる金属カチオンの沈殿を最小限に抑えるために重要である。
【0031】
様々な実施形態において、本開示は、静電的に帯電したペプチドの塩を含む組成物を作製する方法を企図し、a)水溶液中の静電的に帯電したペプチドを溶液中の疎水性対イオンと接触させることと、b)静電的に帯電したペプチド溶液を、ペプチドと対イオンが錯体を形成するのに十分な様式で疎水性対イオン溶液と混合し、ペプチド-対イオン錯体の形成は、疎水性ペプチド塩を含む固体、半固体、ゲル、結晶、アモルファス、ナノ粒子、マイクロ粒子、アモルファスナノ粒子、アモルファスマイクロ粒子、結晶性ナノ粒子、または結晶性マイクロ粒子形態の形成をもたらすことと、を含む。様々な実施形態において、ペプチド塩は、疎水性CNP塩である。
【0032】
様々な実施形態において、この方法は、任意選択で、ステップ(b)の前に、溶液中の静電的に帯電したペプチドを水溶液中の多価カチオンと接触させ、ペプチド-カチオン錯体を形成することを含む。様々な実施形態において、多価カチオンは金属カチオンである。
【0033】
様々な実施形態において、混合は、静電的に帯電したペプチド溶液への疎水性対イオン溶液の滴下添加によって実施される。様々な実施形態において、溶液は、疎水性対イオン溶液の各液滴の添加後にボルテックスすることによって、または当技術分野で知られている他の混合手段によって混合される。
【0034】
様々な実施形態において、この方法は、ステップ(c)ペプチド塩を緩衝液または水で洗浄することをさらに含む。様々な実施形態において、洗浄は、水溶液、例えば、緩衝液または水中で実施される。
【0035】
様々な実施形態において、この方法は、ステップ(d)遠心分離によってペプチド塩を得て、ペプチド塩ペレットを形成することをさらに含む。様々な実施形態において、塩がゲル形態である場合、塩は、遠心分離によって、または液相をデカントし、続いて凍結乾燥または他の乾燥方法によって得られる。
【0036】
様々な実施形態において、この方法は、ステップ(e)ペプチド塩ペレットから水を除去することをさらに含む。水または別の水溶液は、当技術分野で知られている技術を使用して凍結乾燥または乾燥することによってペレットから除去することができると考えられる。
【0037】
様々な実施形態において、この方法は、ペレットを水溶液または油に再懸濁することをさらに含む。様々な実施形態において、水溶液は、水、生理食塩水、または緩衝液である。様々な実施形態において、油は、トリグリセリドまたは脂肪酸を含む。様々な実施形態において、脂肪酸は飽和または不飽和である。様々な実施形態において、トリグリセリド中の脂肪酸は、飽和または不飽和、あるいはそれらの組み合わせである。
【0038】
脂肪酸は、油自体またはトリグリセリドに含まれている可能性がある。様々な実施形態において、脂肪酸は、短鎖、中鎖または長鎖脂肪酸である。様々な実施形態において、脂肪酸がトリグリセリド中にある場合、脂肪酸は飽和または不飽和であり、中鎖または長鎖脂肪酸であり得る。様々な実施形態において、脂肪酸は、C-6~C-20の脂肪酸である。様々な実施形態において、脂肪酸は、C-6、C-8、C-10、C-12、C-14、C-16、C-18またはC-20脂肪酸である。様々な実施形態において、脂肪酸は、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、またはドデカン酸である。
【0039】
様々な実施形態において、合成方法は、ペプチド中の正に帯電したアミノ酸の総数に対する少なくとも1モル当量の疎水性対イオンのペプチド:疎水性対イオン比を使用することを企図する。様々な実施形態において、合成方法で使用されるペプチド:疎水性対イオン比は、1:1~1:20、または1:1~1:50である。合成方法で使用されるペプチド:対イオン比は、1:2~1:15、1:2~1:10、1:2~1:8、1:3~1:10、または1:4~1:10であり得る。様々な実施形態において、ペプチド:対イオン比は、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、である。1:11、1:12、1:13、1:14、1:15、1:16、1:17、1:18、1:19、または1:20である。様々な実施形態において、合成方法で使用されるペプチド:疎水性対イオン比は、ペプチド中の正に帯電したアミノ酸の総数に対する疎水性対イオンの少なくとも2モル当量である。様々な実施形態において、合成方法で使用されるペプチド:疎水性対イオン比は、ペプチド中の正に帯電したアミノ酸の総数に対する疎水性対イオンの少なくとも3モル当量である。
【0040】
様々な実施形態において、合成方法は、ペプチド中の負に帯電したアミノ酸の総数に対する少なくとも1モル当量のカチオンのペプチド:カチオン比を使用することを企図する。様々な実施形態において、合成方法で使用されるペプチド:カチオン比は、1:1~1:10である。合成方法で使用されるペプチド:カチオン比は、1:2~1:10、1:3~1:10、1:1~1:5、1:2~1:5、1:2~1:8であり得る。様々な実施形態において、合成方法で使用されるペプチド:カチオン比は、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、または1:10である。様々な実施形態において、合成方法で使用されるペプチド:カチオン比は、ペプチド中の負に帯電したアミノ酸の総数に対するカチオンの少なくとも2モル当量である。様々な実施形態において、合成方法で使用されるペプチド:カチオン比は、ペプチド中の負に帯電したアミノ酸の総数に対するカチオンの少なくとも3モル当量である。上記のペプチド:カチオンおよびペプチド:疎水性対イオン比の組み合わせがさらに企図される。
【0041】
例示的な比率は、ペプチドの正電荷ごとに1つの対イオンである。多価カチオンの場合、例示的な比率は、ペプチドの負電荷部位当たりおよそ1つの金属カチオン、および負電荷部位当たり2つの多価カチオン、または2倍モル過剰である。例えば、Zn2+またはCa2+などの1つまたは2つの多価カチオンを、6~8の対イオン、または疎水性相互作用が関与する場合はそれ以上と組み合わせて使用することができる。
【0042】
様々な実施形態において、疎水性対イオンは、非共有結合を介して錯体化されている。
【0043】
様々な実施形態において、塩錯体がペプチド-対イオン錯体と錯体形成した多価カチオンをさらに含む場合、カチオンは非共有結合を介して錯体化される。様々な実施形態において、静電的に帯電したペプチド、疎水性対イオン、およびカチオンは、非共有結合を介して錯体化している。
【0044】
様々な実施形態において、CNPは、
PGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Pro-Gly-CNP-37)(配列番号1)からなる群から選択される。
【0045】
記載されているような組成物および延長放出組成物を含む、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)の疎水性塩を含む組成物を対象に投与することを含む、骨関連障害または骨格異形成の治療を必要とする対象において骨関連障害または骨格異形成を治療する方法も提供される。
【0046】
様々な実施形態において、骨関連障害または骨格異形成は、骨関節炎、低リン酸血症性くる病、軟骨無形成症、軟骨低形成症、低身症、小人症、骨軟骨異形成症、致死性異形成症、骨形成不全症、軟骨無発生症、点状軟骨異形成症、同型接合性軟骨形成不全症、点状軟骨異形成症、彎曲肢異形成症、先天性致死性低ホスファターゼ症、周産期致死型骨形成不全症、短肋軟骨無形成症、低軟骨無形成症、肢根型点状骨端異形成、ヤンセン型骨幹端異形成症、先天性脊椎-骨端骨異形成症、成長不全性骨形成症、捻曲性骨異形成症、先天性短大腿骨症、ランガー型中脚不形成症、ニーバーゲルト型中脚異形成症、ロビンノウ症候群、ラインハルト症候群、軟骨無形成症、末梢異形成症、ニースト異形成症、線維軟骨形成症、ロバーツ症候群、肢端四肢中部短縮性異形成、短肢症、モルキオ症候群、ニースト症候群、複合有機栄養性異形成、および脊椎骨端骨幹端異形成、NPR2変異、SHOX変異(ターナー症候群/レリワイル)、PTPN11変異(ヌーナン症候群)、および特発性低身長からなる群から選択される。
【0047】
様々な実施形態において、CNPバリアントは、特発性低身長および他の骨格異形成を治療するための成長ホルモンの補助剤または代替物として有用である。
【0048】
様々な実施形態において、骨関連障害、骨格異形成または低身長障害は、NPR2変異、SHOX変異(ターナー症候群/レリワイル)、またはPTPN11変異(ヌーナン症候群)に起因する。
【0049】
様々な実施形態において、骨関連障害、骨格異形成または低身長障害は、NPR2変異、SHOX変異(ターナー症候群/レリワイル)、またはPTPN11変異(ヌーナン症候群)、またはインスリン成長因子1受容体(IGF1R)に起因する。
【0050】
様々な実施形態において、CNPバリアントは、家族性低身長、優性遺伝性低身長としても知られる優性家族性低身長、または特発性低身長を含む、成長板障害および低身長を治療するのに有用である。様々な実施形態において、低身長または成長板障害は、コラーゲン(COL2A1、COL11A1、COL9A2、COL10)、アグリカン(ACAN)、インディアンヘッジホッグ(IHH)、PTPN11、NPR2、NPPC、またはFGFR3の変異の結果である。
【0051】
様々な実施形態において、成長板障害または低身長は、RAS病に関連する遺伝子の1つ以上の変異に関連している。
【0052】
様々な実施形態において、骨関連障害、骨格異形成または低身長障害は、RAS病に起因する。様々な実施形態において、RAS病は、ヌーナン症候群、コステロ症候群、心臓顔面皮膚症候群、神経線維腫症1型、またはレオパード症候群である。
【0053】
一実施形態において、RAS病は、遺伝性歯肉線維腫症1型である。
【0054】
様々な実施形態において、CNPバリアントは、家族性低身長、優性遺伝性低身長としても知られる優性家族性低身長、または特発性低身長を含む、成長板障害および低身長を治療するのに有用である。様々な実施形態において、低身長または成長板障害は、コラーゲン(COL2A1、COL11A1、COL9A2、COL10)、アグリカン(ACAN)、インディアンヘッジホッグ(IHH)、PTPN11、NPR2、NPPC、FGFR3、またはインスリン成長因子1受容体(IGF1R)の変異の結果である。
【0055】
様々な実施形態において、低身長は、RAS病に関連する遺伝子の1つ以上の変異に関連している。
【0056】
様々な実施形態において、CNPバリアントは、-1.0、-1.5、-2.0、-2.5、または-3.0未満の身長SDSを有し、身長SDSが-1.0、-1.5、-2.0、または-2.5未満である少なくとも1つの親を有し、任意選択で、2番目の親の身長が通常の範囲内の身長を有する低身長の対象を治療するのに有用であり、様々な実施形態において、CNPバリアントは、-2.0~-3.0の身長SDSを有する低身長の対象を治療するのに有用である。様々な実施形態において、CNPバリアントは、-2.0~-2.5の身長SDSを有する低身長の対象を治療するのに有用である。様々な実施形態において、低身長は、コラーゲン(COL2A1、COL11A1、COL9A2、COL10)、アグリカン(ACAN)、インディアンヘッジホッグ(IHH)、PTPN11、NPR2、NPPC、FGFR3、またはインスリン成長因子1受容体(IGF1R)、またはそれらの組み合わせなどの低身長に関連する遺伝子の1つ以上の変異に関連する。様々な実施形態において、低身長は、RAS病に関連する遺伝子の1つ以上の変異に関連している。
【0057】
様々な実施形態において、低身長は、多遺伝子リスクスコア(PRS)によって決定されるような複数の遺伝子の変異の結果である。様々な実施形態において、対象は、NPR2に変異があり、PRSが低い。様々な実施形態において、対象は、FGFR3に変異があり、PRSが低い。様々な実施形態において、対象は、NPR2に変異があり、PRSが低い。様々な実施形態において、対象は、IGF1Rに変異があり、PRSが低い。様々な実施形態において、対象は、NPPCに変異があり、PRSが低い。様々な実施形態において、対象は、SHOXに変異があり、PRSが低い。様々な実施形態において、対象は、FGFR3、IGF1R、NPPC、NPR2およびSHOXのうちの1つ以上に1つ以上の変異を有し、PRSが低い。様々な実施形態において、PRSは1または2である。様々な実施形態において、PRSは1である。様々な実施形態において、PRSは2である。
【0058】
様々な実施形態において、CNPバリアントは、PGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Pro-Gly-CNP-37)(配列番号1)である。様々な実施形態において、ペプチドは、アセチル基をさらに含む。様々な実施形態において、アセチル基は、ペプチドのN末端にある。様々な実施形態において、アセチル基は、ペプチド配列内のアミノ酸側鎖上にある。様々な実施形態において、ペプチドは、C末端にOHまたはNH2基をさらに含む。様々な実施形態において、バリアントは、本明細書に記載されるような1つ以上のリンカー基を含む。様々な実施形態において、リンカーは、加水分解可能なリンカーである。様々な実施形態において、バリアントは、静電的に帯電したCNPペプチドの疎水性塩であり、この塩は、疎水性の対イオンと錯体形成した静電的に帯電したCNPペプチドを含む。
【0059】
本開示はまた、骨を伸ばすこと、または長骨の成長を増加させることを必要とする対象において骨を伸ばすまたは長骨の成長を増加させる方法を企図し、本方法は、本明細書に記載の組成物および延長放出組成物を含む、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)の塩を含む徐放組成物を対象に投与することを含み、投与が、骨を伸ばす、または長骨の成長を増加させる。
【0060】
様々な実施形態において、CNPは、CNPバリアントである。様々な実施形態において、CNPは、
PGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Pro-Gly-CNP-37、配列番号1)
LQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-38)(配列番号2)、
QEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-37)(配列番号3)、
PNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-34)(配列番号4)、および、それらの薬学的塩、からなる群から選択される。様々な実施形態において、CNPは、CNPアセテートである。
【0061】
様々な実施形態において、CNPは、
PGQEHPQARRYRGAQRRGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号5)、
PGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号1)、
PGQEHPNARRYRGANRRGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号6)、
PGQEHPNARRYRGANRRGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号6)、
PGQEHPQARRYRGAQRRGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号5)、および
PGQEHPQARKYKGAQKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号7)からなる群から選択される。
【0062】
様々な実施形態において、CNPバリアントは、アセチル基をさらに含む。様々な実施形態において、アセチル基は、ペプチドのN末端にある。様々な実施形態において、アセチル基は、ペプチドのアミノ酸の側基にある。様々な実施形態において、ペプチドは、C末端にOHまたはNH2基をさらに含む。
【0063】
様々な実施形態において、バリアントは、
Ac-PGQEHPQARRYRGAQRRGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC-OH(配列番号8)、
Ac-PGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC-NH2、(配列番号9)
Ac-PGQEHPNARRYRGANRRGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC-OH(配列番号10)、
Ac-PGQEHPNARRYRGANRRGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC-NH2(配列番号11)、
Ac-PGQEHPQARRYRGAQRRGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC-NH2(配列番号12)、
Ac-PGQEHPQARKYKGAQKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC-NH2(配列番号13)、および
Ac-PGQEHPQARKYKGAQKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC-OH(配列番号14)からなる群から選択される。
【0064】
様々な実施形態において、組成物は、皮下、皮内、関節内、経口、または筋肉内に投与される。
【0065】
様々な実施形態において、組成物は、1日1回、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、6週間に1回、2ヶ月に1回、3ヶ月に1回、または6ヶ月に1回投与される。
【0066】
様々な実施形態において、組成物は、延長放出組成物である。
【0067】
疎水性対イオンと錯体形成したCNPを含むC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)の疎水性塩も提供される。様々な実施形態において、疎水性CNP塩は、CNPおよび疎水性対イオンと錯体形成したカチオンをさらに含む。様々な実施形態において、疎水性CNP塩は、精製された塩である。場合によっては、塩は少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは99.5%、またはそれ以上の純度を有する。
【0068】
様々な実施形態において、疎水性塩は、オレエート、デオキシコレート、デカノエート、パモエート、ドキュセートまたはドデシルスルフェートからなる群から選択される疎水性対イオンを含む。様々な実施形態において、疎水性塩は、Zn2+またはCa2+のカチオンを含む。
【0069】
様々な実施形態において、疎水性塩は、CNP-オレエート、CNP-パモエート、CNP-デオキシコレート、CNP-デカノエートおよびCNP-ドキュセートからなる群から選択される。様々な実施形態において、疎水性塩は、CNP-Ca+2(オレエート)、CNP-Ca+2(パモエート)、CNP-Ca+2(デオキシコレート)、CNP-Ca+2(デカノエート)CNP-Ca+2(ドキュセート)、CNP-Zn+2(オレエート)、CNP-Zn+2(パモエート)、CNP-Zn+2(デオキシコレート)、CNP-Zn+2(デカノエート)、およびCNP-Zn+2(ドキュセート)からなる群から選択される。
【0070】
様々な実施形態において、疎水性塩は、PGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Pro-Gly-CNP-37、配列番号1)、LQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-38)(配列番号2)、QEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-37)(配列番号3)、PNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-34)(配列番号4)、およびそれらの塩、からなる群から選択されるCNPを含む。様々な実施形態において、疎水性塩は、CNP-アセテートであるCNPを含む。
【0071】
様々な実施形態において、CNPバリアントは、PGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Pro-Gly-CNP-37)(配列番号1)である。様々な実施形態において、ペプチドは、アセチル基をさらに含む。様々な実施形態において、アセチル基は、ペプチドのN末端にある。様々な実施形態において、アセチル基は、ペプチドのアミノ酸の側基にある。様々な実施形態において、ペプチドは、C末端にOHまたはNH2基をさらに含む。様々な実施形態において、バリアントは、本明細書に記載されるような1つ以上のリンカー基を含む。様々な実施形態において、リンカーは、加水分解可能なリンカーである。様々な実施形態において、ペプチドは、静電的に帯電したペプチドの疎水性塩を含み、塩は、疎水性対イオンと錯体形成した静電的に帯電したペプチドを含む。
【0072】
本開示はまた、本明細書に記載の骨格異形成または骨関連障害の治療に使用するための、本明細書に記載の疎水性ペプチド塩、例えば疎水性CNP塩を含む組成物を提供する。特定の実施形態において、本開示は、本明細書に記載の骨格異形成または骨関連障害を治療するための薬剤の調製において、本明細書に記載の疎水性ペプチド塩、例えば疎水性CNP塩を含む組成物の使用を提供する。様々な実施形態において、疎水性ペプチド塩は、本明細書に記載されるような疎水性CNP塩である。
【0073】
本明細書に記載の各特徴もしくは実施形態、または組み合わせは、本発明の態様のいずれかの非限定的で例示的な例であり、したがって本明細書に記載の任意の他の特徴もしくは実施形態、または組み合わせと組み合わせ可能であることが意図されることが理解される。例えば、特徴が、「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「ある特定の実施形態」、「さらなる実施形態」、「具体的な例示的な実施形態」、および/または「別の実施形態」などの言葉を用いて説明される場合、これらの種類の実施形態の各々は、あらゆる可能な組み合わせを列挙する必要なく、本明細書に説明される何らかの他の特徴または特徴の組み合わせと組み合わされることが意図される特徴の非限定的な例である。このような特徴または特徴の組み合わせは、本発明の態様のいずれにも適用される。範囲内に収まっている値の例が開示される場合、これらの例はいずれも、ある範囲に関する可能な終点として企図されており、このような終点と終点とのありとあらゆる数値が企図されており、上限終点および下限終点のありとあらゆる組み合わせが想定されている。
【0074】
本明細書中の見出しは、読者の便宜のためのものであり、限定的であることを意図しない。本発明のさらなる態様、実施形態、および変形は、詳細な説明および/または図面および/または特許請求の範囲から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【
図1A】
図1A~1Dは、pH6.5の水中での様々な疎水性CNP塩の溶解プロファイルを示す。
【
図1B】
図1A~1Dは、pH6.5の水中での様々な疎水性CNP塩の溶解プロファイルを示す。
【
図1C】
図1A~1Dは、pH6.5の水中での様々な疎水性CNP塩の溶解プロファイルを示す。
【
図1D】
図1A~1Dは、pH6.5の水中での様々な疎水性CNP塩の溶解プロファイルを示す。
【
図2】
図2は、pH6.5の水中での様々な疎水性CNP塩の溶解プロファイルを示す。対照はCNP-アセテートである。
【
図3】
図3は、cGMP刺激により測定した、NPR2ホモ接合またはヘテロ接合変異を有する細胞に対するCNPバリアント(Pro-Gly-CNP37)の効果を示す。
【
図4-1】
図4は、RCS細胞にトランスフェクトされたNPR2変異クローンの最初のエクソンのヌクレオチドと予測されるタンパク質配列を示す。
【
図4-2】
図4は、RCS細胞にトランスフェクトされたNPR2変異クローンの最初のエクソンのヌクレオチドと予測されるタンパク質配列を示す。
【
図4-3】
図4は、RCS細胞にトランスフェクトされたNPR2変異クローンの最初のエクソンのヌクレオチドと予測されるタンパク質配列を示す。
【
図5】
図5は、CNPへの応答について分析された例示的なNPR2変異を示す
【
図6-1】
図6は、FGFR3、IGF1R、NPPC、NPR2、SHOXの低身長に関連する変異の例を示す。
【
図6-2】
図6は、FGFR3、IGF1R、NPPC、NPR2、SHOXの低身長に関連する変異の例を示す。
【
図6-3】
図6は、FGFR3、IGF1R、NPPC、NPR2、SHOXの低身長に関連する変異の例を示す。
【
図6-4】
図6は、FGFR3、IGF1R、NPPC、NPR2、SHOXの低身長に関連する変異の例を示す。
【
図6-5】
図6は、FGFR3、IGF1R、NPPC、NPR2、SHOXの低身長に関連する変異の例を示す。
【
図6-6】
図6は、FGFR3、IGF1R、NPPC、NPR2、SHOXの低身長に関連する変異の例を示す。
【
図6-7】
図6は、FGFR3、IGF1R、NPPC、NPR2、SHOXの低身長に関連する変異の例を示す。
【
図6-8】
図6は、FGFR3、IGF1R、NPPC、NPR2、SHOXの低身長に関連する変異の例を示す。
【
図6-9】
図6は、FGFR3、IGF1R、NPPC、NPR2、SHOXの低身長に関連する変異の例を示す。
【
図6-10】
図6は、FGFR3、IGF1R、NPPC、NPR2、SHOXの低身長に関連する変異の例を示す。
【
図7A-7F】
図7A~7Fは、身長に対するPRSとまれなコーディングバリアントの複合効果を示す。
図7A量的形質としての身長への影響、サンプルはそれらのPRSに基づいて、5つのグループに分けられた。バイオリン図は、身長の25%、50%、75%のパーセンタイルを表す水平線で示されている。サンプルは、5つのコア遺伝子のいずれかでミスセンス、機能喪失、またはなしのステータスを持っていることによってグループ化された。
図7B「特発性低身長」またはISSのオッズ比に反映される効果。PRS=3を参照として使用するISSと他のPRSグループのオッズ。
図7C参照としてPRS=1を使用するISSのオッズと、コア遺伝子のミスセンスおよび/または機能喪失バリアントがあるオッズ。
図7D参照としてPRS=1非キャリアを使用するISSのオッズと、コア遺伝子のミスセンスおよび/または機能喪失バリアントがあるオッズ。
図7E参照としてPRS=2非キャリアを使用するISSのオッズと、コア遺伝子のミスセンスおよび/または機能喪失バリアントがあるオッズ。
図7F参照としてPRS=3の非キャリアを使用するISSのオッズと、コア遺伝子のミスセンスおよび/または機能喪失バリアントがあるオッズ。
【
図8A】
図8Aは、CNPパモ酸Zn塩の放出プロファイルを示す。示されているデータは3ウェルの平均である。
【
図8B】
図8Bは、様々なCNPペプチド塩の放出プロファイルを示す。示されているデータは4ウェルの平均である。
【
図9A】
図9A~9Bは、CNPパモ酸塩の溶解プロファイルを累積放出プロファイル(
図9A)または放出%(
図9B)として示す。示されているデータは、1xPBSデータの場合は3ウェルの平均、1xPBS+0.05%PS80データの場合は2ウェルである。
【
図9B】
図9A~9Bは、CNPパモ酸塩の溶解プロファイルを累積放出プロファイル(
図9A)または放出%(
図9B)として示す。示されているデータは、1xPBSデータの場合は3ウェルの平均、1xPBS+0.05%PS80データの場合は2ウェルである。
【
図11】
図11は、インビボでの7日間にわたるCNP塩の放出プロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0076】
本開示は、水溶液に入れられたときにペプチド活性成分の延長放出が可能な固体、半固体ゲルまたは他の塩形態である親水性ペプチドの塩に関する。例えば、本明細書では、予期せぬことに、親水性C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)と帯電した疎水性対イオンとの錯体形成が、水性条件下で低溶解性ペプチド塩を生成することが示される。本開示は、ペプチド-対イオン-カチオン錯体を含む塩を含むペプチド-疎水性対イオン塩錯体自体が、ペプチド錯体をリポソームまたはミクロスフェア/ナノ粒子にカプセル化する必要なしに、調節または延長放出組成物で使用することができることを示す。そのような組成物は、例えば、本明細書に記載されるような骨格異形成および骨成長障害を治療する際の延長放出用途に有用である。
【0077】
明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、不定冠詞「a」および「an」ならびに定冠詞「the」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数形および単数形の指示対象を含む。
【0078】
「約(about)」または「およそ(approximately)」という用語は、当業者によって決定される特定の値についての許容可能な誤差範囲内を意味し、これは、その値がどのように測定または決定されるに一部依存する。特定の実施形態において、「約」または「およそ」という用語は、1、2、3、または4標準偏差以内を意味する。特定の実施形態において、「約」または「およそ」という用語は、指定された値または範囲の30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.05%以内を意味する。「約」または「およそ」という用語が、一連の2つ以上の数値の最初の数値の前にあるときはいつでも、「約」または「およそ」という用語は、その一連の数値の各々に適用されることが理解される。
【0079】
本明細書で使用される「静電的に帯電したペプチド」という用語は、帯電したアミノ酸を含むペプチド、例えば、5から100アミノ酸までの一連のアミノ酸を指す。ペプチドは、正に帯電したアミノ酸、負に帯電したアミノ酸、または両方の混合物を有することができ、その結果、静電的に帯電したペプチドは、全体的な正味電荷を有し、他の帯電部分、例えば、対イオンが結合する可能性のあるペプチドの電荷と反対の電荷を持つ種を持っている、カチオン、アニオンまたは対イオンと相互作用することができる。静電的に帯電したペプチドは、正味の正電荷または正味の負電荷を持つことができる。ペプチドが正味の正電荷を持っている場合、1以上の負電荷を持っている帯電部分と相互作用することができる。ペプチドが正味の負電荷を持っている場合、1以上の正電荷を持つ帯電部分と相互作用する可能性がある。
【0080】
本明細書で使用される「疎水性対イオン」という用語は、本質的に疎水性であり、親水性ペプチドと相互作用することができる静電的に帯電した部分のグループを指す。様々な実施形態において、疎水性対イオンは、そのcLogP値、その共役酸のpKa値、またはその両方に基づいて選択される。様々な実施形態において、疎水性対イオンは、約0~約10のcLogP、または約-2~約5のその共役酸のpKa、またはその両方を有する。様々な実施形態において、疎水性対イオンは、正味の負電荷を有し、正味の正電荷を有する静電的に帯電したペプチドと相互作用することができる。様々な実施形態において、疎水性対イオンには、脱プロトン化脂肪酸、脱プロトン化胆汁酸、ナフトエートおよびその誘導体、ニコチネートおよびその誘導体、アルキルスルホネート、ジアルキルスルホスクシネート、リン脂質、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルスルフェート、アリールスルフェート、デキストランスルフェート、イオン性界面活性剤、およびアルキルベンゼンスルフェートが含まれる。いくつかの実施形態において、疎水性対イオンは、双性イオン(例えば、ホスファチジルエタノールアミン)である。様々な実施形態において、疎水性対イオンには、パルミテート、デオキシコレート、オレエート、パモエート、ニコチネート、ドデシルスルフェート、ドキュセート、ミリステート、パルミテート、ステアレート、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルセリン(PS)ホスファチジルイノシトール(PL)、ホスファチデート、デカノエート、2-ナフタレンスルホネート、1-ヘプタンスルホネート、1-オクタンスルホネート一水和物、1-デカンスルホネート、ドデシルスルフェート、デキストランスルフェート、およびドデシルベンゼンスルホネートが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、疎水性対イオンは、正味の正電荷を有し、正味の負電荷を有する静電的に帯電したペプチドと相互作用することができる。
【0081】
本明細書で使用される「ペプチド塩」または「疎水性ペプチド塩」という用語は、その部分が錯体になり、塩を形成するような、静電的に帯電したペプチドと対イオン、例えば疎水性対イオンとの錯体を指す。ペプチドと対イオンは非共有結合で錯体形成している可能性がある。様々な実施形態において、ペプチド対イオン塩は、錯体が錯体中にペプチド-カチオン-対イオンを含むように、多価カチオンをさらに含む。ペプチド塩または疎水性ペプチド塩は、ペプチド-対イオン錯体とペプチド-カチオン-対イオン錯体との両方を指す。
【0082】
様々な実施形態において、ペプチドおよびカチオンは、非共有結合的に錯体形成している。様々な実施形態において、ペプチド塩中のペプチド、カチオン、および疎水性対イオンは、非共有結合を介して錯体形成している。
【0083】
「C型ナトリウム利尿ペプチド」または「CNP」という用語は、C末端に17アミノ酸のループ構造を有する小さな一本鎖ペプチド(CNP前駆体タンパク質、NPPCに対するGenBank寄託番号NP_077720)、およびそのバリアントを指す。CNPは、最初はナトリウム利尿ペプチド前駆体C(NPPC)遺伝子から、切断されてプロCNPを生成する一本鎖126アミノ酸プレプロポリペプチド、および活性53アミノ酸ペプチド(CNP-53)として生成される。これは未知の酵素によって分泌され、再び切断されて、成熟した22アミノ酸ペプチド(CNP-22)を生成する。「CNP塩」または「疎水性CNP塩」は、それぞれ疎水性対イオンなどの対イオンを含み、任意選択で多価カチオンをさらに含み、CNPまたはCNPバリアントを含む、本明細書に記載の塩を指す。
【0084】
様々な実施形態において、「CNPバリアント」は、アミノ酸残基の同じ数にわたって野生型NPPCと少なくとも約40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%相同である。様々な実施形態において、CNPバリアントペプチドは、NPPCポリペプチドの約1~約53、または1~38、または1~37、または1~35、または1~34、または1~33、または1~32、または1~31、または1~27、または1~22、または10~35、または約15~約37残基を含み得る。一実施形態において、CNPバリアントは、NPPCポリペプチドに由来する1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、または53アミノ酸配列を含む。
【0085】
本明細書で提供されるのは、本明細書に記載の疎水性ペプチド塩を含む放出調節組成物である。放出調節組成物には、投与後の遅延(遅延放出投与量)または長期間(延長放出投与量)で薬物を送達するものが含まれる。本明細書で提供されるペプチド塩の様々な実施形態には、延長放出、徐放または制御放出、および遅延放出などの放出調節組成物が含まれる。「延長放出組成物」という用語は、投与後長期間にわたって有効成分/薬物を利用可能にする様式で配合された組成物を指す(米国薬局方)。延長放出投与量には、徐放(SR)または制御放出(CR)の形態が含まれる。徐放は持続的期間にわたって薬物放出を維持するが、必ずしも一定の速度である必要なく、一方CRはほぼ一定の速度で持続的期間にわたって薬物放出を維持する(Pharmaceutics:Drug Delivery and Targeting,Yvonne Perrie,Thomas Rades,Pharmaceutical Press,2009)。遅延放出組成物または製品は、最初の投与後の一定期間、原薬の放出を遅らせるように改変される。
【0086】
「有効量」という用語は、対象の健康状態、病状、または疾患に関して、または診断目的のために所望の結果を生み出すのに十分な投薬量を指す。望ましい結果は、投与量のレシピエントにおける主観的または客観的な改善を含み得る。「治療有効量」は、健康に対して意図される有益な効果を生み出すのに有効な薬剤の量を指す。個々の場合における適切な「有効な」量は、日常的な実験を使用して当業者によって決定され得る。特定の患者の特定の用量レベルおよび投与頻度は変化する可能性があり、使用される特定の化合物の活性、その化合物の生物学的利用能、代謝安定性、排泄率および作用の長さ、化合物の投与の様式および時間、患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別、および食事、ならびに特定の状態の重大度を含む様々な要因に依存することが理解されよう。
【0087】
「治療」とは、予防的治療または治療的治療または診断的治療を指す。特定の実施形態において、「治療」は、治療的、予防的または診断的目的のための対象への化合物または組成物の投与を指す。
【0088】
「予防的」治療は、病状を発症するリスクを低減する目的で、疾患の徴候または症状を示さないか、または疾患の初期の徴候のみを示す対象に投与される治療である。本開示の化合物または組成物は、病状を発症する可能性を低減するため、または病状が発症した場合はその重症度を最小限に抑えるための予防的治療として与えられ得る。
【0089】
「治療的」治療は、それらの徴候または症状を軽減または排除する目的で、病状の徴候または症状を示す対象に施される治療である。徴候または症状は、生化学的、細胞的、組織学的、機能的または物理的、主観的または客観的である可能性がある。本開示の化合物はまた、治療的治療としてまたは診断のために与えられ得る。
【0090】
「薬学的組成物」または「製剤」は、ヒトおよび哺乳動物を含む対象動物における薬学的使用に好適な組成物を指す。薬学的組成物は、治療有効量の疎水性ペプチド塩、例えば、CNP塩、任意選択で別の生物学的に活性な薬剤、および任意選択で薬学的に許容される賦形剤、担体または希釈剤を含む。一実施形態において、薬学的組成物は、有効成分、担体を構成する不活性成分、ならびに任意の2つ以上の成分、または1つ以上の成分の解離、または1つ以上の成分の他のタイプの反応または相互作用からの組み合わせ、錯体形成、または凝集から直接的または間接的に生じる任意の生成物を含む組成物を包含する。したがって、本開示の薬学的組成物は、本開示の化合物と薬学的に許容される賦形剤、担体または希釈剤とを混合することによって作製された任意の組成物を包含する。
【0091】
「薬学的に許容される担体」とは、リン酸緩衝生理食塩水溶液、デキストロースの5%水溶液、およびエマルジョン(例えば、油/水または水/油エマルジョン)などの標準的な薬学的担体、緩衝液などのいずれかを指す。賦形剤の非限定的な例には、アジュバント、結合剤、充填剤、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、湿潤剤、潤滑剤、流動促進剤、甘味剤、香味剤、および着色剤が含まれる。好適な薬学的担体、賦形剤および希釈剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,19th Ed.(Mack Publishing Co.,Easton,1995)に記載されている。好ましい薬学的担体は、活性薬剤の意図された投与様式に依存する。典型的な投与様式には、経腸(例えば、経口)または非経口(例えば、皮下、筋肉内、静脈内または腹腔内注射、または局所、経皮、または経粘膜投与)が含まれる。
【0092】
「薬学的に許容される塩」は、金属塩(例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなど)およびアンモニアまたは有機アミンの塩を含むがこれらに限定されない、薬学的用途の化合物に配合することができる塩である。
【0093】
「薬学的に許容される」または「薬理学的に許容される」とは、生物学的または他の方法で望ましくない材料を意味し、すなわち、材料は、望ましくない生物学的効果を引き起こすことなく、それが含まれている、または個体の体の上または中に存在する任意の成分を含む組成物のまたは成分のいずれかと有害な様式で相互作用することなく、個体に投与され得る。
【0094】
「生理学的状態」とは、動物(例えば、ヒト)の体内の状態を指す。生理学的条件には、体温、および生理学的イオン強度、pH、および酵素の水性環境が含まれるが、これらに限定されない。生理学的状態はまた、特定の対象の身体の状態を含み、これは、大多数の対象に存在する「通常の」状態とは異なり、例えば、およそ37℃の通常の人体温度とは異なるか、またはおよそ7.4の通常のヒトの血液pHとは異なる。
【0095】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、哺乳動物および非哺乳動物を包含する。哺乳動物の例には、哺乳動物クラスの任意のメンバーが含まれるが、これらに限定されない:ヒト、チンパンジーなどの非ヒト霊長類、および他の類人猿およびサル種、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、豚などの家畜、ウサギ、イヌ、ネコなどの家畜。ラット、マウス、モルモットなどの齧歯動物を含む実験動物。非哺乳動物の例には、鳥、魚などが含まれるが、これらに限定されない。この用語は、特定の年齢や性別を示すものではない。様々な実施形態において、対象は、ヒトである。様々な実施形態において、対象は、小児または青年である。様々な実施形態において、対象は、幼児である。
【0096】
静電的に帯電したペプチドおよびペプチド塩
ペプチド治療剤は魅力的な生物学的治療剤であるが、安定性が低く、溶液中での半減期が短いために不利になることがよくある(Tang et al.,Eur J Pharm Sci.102:63-70,2017)。ペプチド治療剤の効力を改善する試みには、親水性ペプチドをリポソームまたはポリマー粒子などの生分解性粒子にカプセル化する試みが含まれる。しかし、これらのペプチドのカチオン性および負に帯電したポリマーのリポソームと静電的に相互作用するそれらの能力のために、これは困難である(Griesser et al.,Int J Pharmaceutics 520:267-274,2017)。親水性ペプチドと疎水性部分の疎水性イオン対の生成は、親水性ポリマーの微粒子またはリポソームへのより良いカプセル化を可能にするために使用される1つの手段である(Lu et al.,Mol.Pharmaceutics 15:216-225,2018)。疎水性イオン対は、ペプチドの帯電した残基が疎水性部分の反対に帯電したイオンと相互作用するときに形成される(Tang et al.、上記)。特定の例では、溶液からの疎水性イオン対の沈殿を引き起こし、リポソームまたは高分子ナノ粒子へのカプセル化を容易にする可能性がある(Griesser et al.、上記)
【0097】
本明細書において、親水性CNPペプチドと疎水性対イオンとの疎水性イオン錯体が、CNPペプチド塩を生成することが発見された。親水性ペプチドと疎水性対イオンとの疎水性イオン対の生成は、最初に親水性ペプチドを多価カチオン(例えば、金属カチオン)と接触させて、ペプチドと疎水性対イオンとの相互作用を増強することによって増強することができる。例えば、多価カチオンは、親水性ペプチドの負に帯電した官能基と錯体形成し、疎水性アニオンなどの疎水性対イオンとの錯体形成に利用できる親水性ペプチドの正電荷の数を増やすことができる。したがって、多価カチオンは、親水性ペプチドの負電荷と疎水性対イオンの負電荷をつなぎ合わせることができる。さらに、本開示は、ペプチド-疎水性対イオン塩錯体またはペプチド-カチオン-疎水性対イオン塩錯体自体が、ペプチド錯体をリポソームまたはミクロスフェア/ナノ粒子にカプセル化する必要なしに、調節放出または延長放出組成物で使用することができることを示す。
【0098】
静電的に帯電したペプチドは、帯電したアミノ酸を含み、全体的に正味の電荷を持つ5~100アミノ酸の列のアミノ酸である可能性がある。ペプチドは、正に帯電したアミノ酸、負に帯電したアミノ酸、または両方の混合物を有することができ、その結果、静電的に帯電したペプチドは、他の帯電した部分、例えば、カチオン、アニオンまたは対イオン、またはそれらのペプチドと反対に帯電した種を有するそれらの組み合わせと相互作用することができる。様々な実施形態において、静電的に帯電したペプチドは、正味の正電荷を有する。正味の正電荷を有する静電的に帯電したペプチドは、正味の負電荷を有する疎水性対イオンなどの負電荷を有する疎水性対イオンと錯体形成することができる。様々な実施形態において、静電的に帯電したペプチドは、正味の負電荷を有する。正味の負電荷を有する静電的に帯電したペプチドは、正の正電荷を有する疎水性対イオンなどの正電荷を有する疎水性対イオンと錯体形成することができる。様々な実施形態において、静電的に帯電したペプチドは、同じタイプの電荷を有する少なくとも2つのアミノ酸(例えば、2つの正に帯電したアミノ酸または2つの負に帯電したアミノ酸)を有する。
【0099】
親水性ペプチドとは、水溶液への溶解度が高いペプチドのことである。本明細書で企図される親水性ペプチドには、+3~+15、または+4~+15、または+3~+12、または+4~+12、または+3、+4、+5、+6、+7、+8、+9、+10、+11、+12、+13、+14、または+15、もしくはこれらの数値の任意の範囲の正味電荷を有する5~100アミノ酸のペプチドが含まれる。様々な実施形態において、親水性ペプチドは、水溶液中で10mg/mLを超える溶解度、または5mg/mLを超える溶解度を有する。様々な実施形態において、親水性ペプチドはまた、水溶液への高い溶解度を有する、例えば、1未満のcLogPを有するペプチドを指す。
【0100】
疎水性対イオン
本明細書に記載されるように静電的に帯電したペプチドの塩を生成するために、ペプチドは対イオンと錯体形成する。親水性ペプチドの場合、対イオンは疎水性対イオンである。様々な実施形態において、疎水性対イオンは、正味の負電荷を有し、正味の正電荷を有する親水性ペプチドと塩を形成する。
【0101】
対イオンは、非共有結合を介して帯電ペプチドと錯体形成していると考えられる。対イオンは、静電相互作用を介してペプチドと非共有結合している可能性がある。
【0102】
疎水性対イオンを使用する場合、疎水性対イオンは約0~約10のcLogPを示すか、その共役酸は約-2~約5のpKaを示すか、またはその両方である。様々な実施形態において、疎水性対イオンは、約2~約9、約3~8、約4~7、または約5~9のcLogPを有する。様々な実施形態において、cLogPは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり得る。様々な実施形態において、疎水性対イオンの共役酸は、約-1~4、0~3、0~5、1~4または2~5のpKaを有する。様々な実施形態において、疎水性対イオンの共役酸は、約-2、-1、0、1、2、3、4、または5のpKaを有する。さらに企図されるのは、これらの値および値の範囲のいずれかの組み合わせを有する疎水性対イオンである。様々な実施形態において、疎水性対イオンは、約2~約9のcLogPを有するか、またはその共役酸は、約5未満のpKaを有するか、またはその両方である。様々な実施形態において、疎水性対イオンは、約2~約9のcLogPを有し、かつその共役酸は、約5未満のpKaを有する。
【0103】
様々な実施形態において、対イオンは陰イオンである。様々な実施形態において、対イオンは双性イオンである。様々な実施形態において、対イオンは、陰イオン性または双性イオン性洗剤である。様々な実施形態において、疎水性対イオンは、脱プロトン化脂肪酸、脱プロトン化胆汁酸、ナフトエートおよびその誘導体、ニコチネートおよびその誘導体、アルキルスルホネート、ジアルキルスルホスクシネート、リン脂質、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルスルフェート、アリールスルフェート、デキストランスルフェート、アルキルベンゼンスルフェート、およびイオン性界面活性剤からなる群から選択される。様々な実施形態において、疎水性対イオンは、パルミテート、デオキシコレート、オレエート、パモエート、ニコチネート、ドデシルスルフェート、ドキュセート、ミリステート、パルミテート、ステアレート、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルイノシトール(PL)、ホスファチデート、デカン酸ナトリウム、2-ナフタレンスルホン酸ナトリウム、1-ヘプタンスルホン酸ナトリウム、1-オクタンスルホン酸ナトリウム一水和物、1-デカンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムからなる群から選択される。様々な実施形態において、疎水性対イオンは、オレエート、パモエート、デオキシコレート、デカノエートまたはドキュセートである。
【0104】
様々な実施形態において、少なくとも1つの疎水性対イオンは、親水性ペプチド(多価カチオンが存在しない場合)または親水性ペプチドおよび多価カチオン(カチオンが存在する場合)を含む錯体と錯体形成する。様々な実施形態において、少なくとも2つの疎水性対イオンは、親水性ペプチド(カチオンが存在しない場合)または親水性ペプチドおよび多価カチオン(カチオンが存在する場合)を含む錯体と錯体形成する。様々な実施形態において、少なくとも3つの疎水性対イオンは、親水性ペプチド(カチオンが存在しない場合)または親水性ペプチドおよび多価カチオン(カチオンが存在する場合)を含む錯体と錯体形成する。様々な実施形態において、少なくとも4つの疎水性対イオンは、親水性ペプチド(カチオンが存在しない場合)または親水性ペプチドおよび多価カチオン(カチオンが存在する場合)を含む錯体と錯体形成する。様々な実施形態において、親水性ペプチドの各正電荷は、疎水性対イオンと錯体形成している。例えば、ペプチドに4つの正に帯電したアミノ酸がある場合、4つの疎水性対イオンと錯体形成する可能性がある。同様に、ペプチドが4つの正に帯電したアミノ酸を持ち、2つのカチオンと錯体形成し、合計6つの正電荷を持つ場合、ペプチドは6つの疎水性対イオンと錯体形成できる。様々な実施形態において、親水性ペプチド(カチオンが存在しない場合)または親水性ペプチドおよび多価カチオン(カチオンが存在する場合)を含む錯体の正電荷のすべてが疎水性対イオンに錯体形成するわけではない。例えば、ペプチドに4つの正に帯電したアミノ酸がある場合、3つの疎水性対イオン、2つの疎水性対イオン、または1つの疎水性対イオンと錯体形成する可能性がある。同様に、ペプチドが4つの正に帯電したアミノ酸を有し、2つのカチオンと錯体形成すると、合計6つの正電荷を有し、ペプチドは5つの疎水性対イオン、4つの疎水性対イオン、または3つの疎水性対イオン、または2つ疎水性対イオン、または1つの疎水性対イオンと錯体形成できる。
【0105】
多価カチオン
様々な実施形態において、ペプチド塩は、ペプチド-対イオン錯体と錯体形成した多価カチオンをさらに含む。カチオンは、非共有結合を介して帯電ペプチドと錯体形成していると考えられる。カチオンは、静電相互作用を介してペプチドと非共有結合している可能性がある。
【0106】
多価カチオンは、+2、+3、または+4以上の電荷を有すると考えられる。実施形態において、カチオンは+2の電荷を有する。実施形態において、カチオンは+3の電荷を有する。実施形態において、カチオンは+4の電荷を有する。様々な実施形態において、多価カチオンは金属カチオンである。金属カチオンには、II属およびIII属の金属のカチオンが含まれる。好適な多価カチオンは、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)からなる群から選択される金属を含み得る。様々な実施形態において、多価カチオンは、マグネシウム、亜鉛、またはカルシウムを含む。様々な実施形態において、多価カチオンは、亜鉛またはカルシウムを含む。様々な実施形態において、多価カチオンは亜鉛を含む。様々な実施形態において、多価カチオンはカルシウムを含む。様々な実施形態において、多価カチオンは、Mg2+、Zn2+、およびCa2+からなる群から選択される。様々な実施形態において、多価カチオンは、Zn2+またはCa2+である。様々な実施形態において、多価カチオンは、Zn2+である。様々な実施形態において、多価カチオンは、Ca2+である。
【0107】
様々な実施形態において、少なくとも1つの多価カチオンは、親水性ペプチドと錯体形成している。様々な実施形態において、少なくとも2つのカチオンが親水性ペプチドと錯体形成している。様々な実施形態において、少なくとも3つのカチオンが親水性ペプチドと錯体形成している。様々な実施形態において、親水性ペプチドの各負電荷は、多価カチオンと錯体形成している。例えば、ペプチドに4つの負に帯電したアミノ酸がある場合、4つの多価カチオン、3つの多価カチオン、2つの多価カチオン、または1つの多価カチオンと錯体形成できる。
【0108】
ペプチド塩
様々な実施形態において、ペプチド塩は、固体、半固体、ゲル、結晶性、アモルファス、ナノ粒子、微粒子、アモルファスナノ粒子、アモルファス微粒子、結晶性ナノ粒子または結晶性微粒子の形態である。様々な実施形態において、ペプチド塩は、固体、半固体、またはゲルの形態である。様々な実施形態において、ペプチド塩は、固体またはゲルの形態である。様々な実施形態において、ペプチド塩は固体形態である。様々な実施形態において、ペプチド塩はアモルファス形態である。様々な実施形態において、ペプチド塩はゲル形態である。様々な実施形態において、ペプチド塩は、ゲル中に懸濁されるか、またはゲルに連結される。
【0109】
ペプチド塩は粒子形態であり、特に固体粒子であると考えられる。様々な実施形態において、粒子は、1~10,000マイクロメートル(um)、1um~2000um、2um~1000um、5um~500um、10um~1000um、50um~500um、100um~800um、200um~600um、300um~500um、100um~300um、50um~100um、または10um~50umである。様々な実施形態において、粒子はナノ粒子である。様々な実施形態において、ナノ粒子は、5ナノメートル(nm)~1000nm、8nm~900nm、10nm~800nm、20nm~600nm、50nm~500nm、50nm~400nm、20~300nm、300~800nm、200~600nm、100nm~300nm、または50nm~200nmである。
【0110】
いくつかの実施形態において、ペプチド塩の親水性ペプチドは、本明細書に記載されるように、CNPまたはCNPバリアントであり、疎水性対イオンは、パルミテート、デオキシコレート、オレエート、パモエート、ニコチネート、ドデシルスルフェート、ドキュセート、ミリステート、パルミテート、ステアレート、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルイノシトール(PL)、ホスファチデート、デカン酸ナトリウム、2-ナフタレンスルホン酸ナトリウム、1-ヘプタンスルホン酸ナトリウム、1-オクタンスルホン酸ナトリウム一水和物、1-デカンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、親水性ペプチド塩は、本明細書に記載されるように、CNPまたはCNPバリアントであり、疎水性対イオンは、オレエート、パモエート、デオキシコレート、デカノエートからなる群から選択される。様々な実施形態において、ペプチド塩は、CNP-オレエート、CNP-パモエート、CNP-デオキシコレート、およびCNP-デカノエートからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、親水性ペプチド塩は、本明細書に記載されるように、CNPまたはCNPバリアントであり、疎水性対イオンは、オレエート、パモエート、デオキシコレート、デカノエートおよびドキュセートからなる群から選択される。様々な実施形態において、ペプチド塩は、CNP-オレエート、CNP-パモエート、CNP-デオキシコレート、CNP-デカノエートおよびCNP-ドキュセートからなる群から選択される。様々な実施形態において、ペプチド塩は、CNP-オレエート、CNP-パモエート、およびCNP-ドキュセートからなる群から選択される。様々な実施形態において、ペプチド塩は、CNP-デオキシコレート、CNP-デカノエートおよびCNP-ドキュセートからなる群から選択される。様々な実施形態において、ペプチド塩は、CNP-オレエートおよびCNP-パモエートからなる群から選択される。様々な実施形態において、ペプチド塩は、CNP-オレエートである。様々な実施形態において、ペプチド塩は、CNP-パモエートである。様々な実施形態において、ペプチド塩は、CNPドキュセートである。
【0111】
様々な実施形態において、ペプチド塩の親水性ペプチドは、Pro-Gly CNP37(PG-CNP37)であり、疎水性対イオンは、パルミテート、デオキシコレート、オレエート、パモエート、ニコチネート、ドデシルスルフェート、ドキュセート、ミリステート、パルミテート、ステアレート、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルイノシトール(PL)、ホスファチデート、デカン酸ナトリウム、2-ナフタレンスルホン酸ナトリウム、1-ヘプタンスルホン酸ナトリウム、1-オクタンスルホン酸ナトリウム一水和物、1-デカンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、親水性ペプチド塩は、本明細書に記載されるように、PG-CNP37であり、疎水性対イオンは、オレエート、パモエート、デオキシコレート、デカノエートからなる群から選択される。様々な実施形態において、ペプチド塩は、PG-CNP37-オレエート、PG-CNP37-パモエート、PG-CNP37-デオキシコレート、およびPG-CNP37-デカノエートからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、親水性ペプチド塩は、本明細書に記載されるように、PG-CNP37であり、および疎水性対イオンは、オレエート、パモエート、デオキシコレート、デカノエートおよびドキュセートからなる群から選択される。様々な実施形態において、ペプチド塩は、PG-CNP37-オレエート、PG-CNP37-パモエート、PG-CNP37-デオキシコレート、PG-CNP37-デカノエートおよびPG-CNP37-ドキュセートからなる群から選択される。様々な実施形態において、ペプチド塩は、PG-CNP37-オレエート、PG-CNP37-パモエート、およびPG-CNP37-ドキュセートからなる群から選択される。様々な実施形態において、ペプチド塩は、PG-CNP37-デオキシコレート、PG-CNP37-デカノエートおよびPG-CNP37-ドキュセートからなる群から選択される。様々な実施形態において、ペプチド塩は、PG-CNP37-オレエートおよびPG-CNP37-パモエートからなる群から選択される。様々な実施形態において、ペプチド塩は、PG-CNP37-オレエートである。様々な実施形態において、ペプチド塩は、PG-CNP37-パモエートである。様々な実施形態において、ペプチド塩は、PG-CNP37-ドキュセートである。
【0112】
様々な実施形態において、ペプチド対イオン塩は、多価カチオンをさらに含む。いくつかの実施形態において、ペプチド塩の親水性ペプチドは、本明細書に記載されるように、CNPまたはCNPバリアントである。疎水性対イオンは、パルミテート、デオキシコレート、オレエート、パモエート、ニコチネート、ドデシルスルフェート、ドキュセート、ミリステート、パルミテート、ステアレート、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルイノシトール(PL)、ホスファチデート、デカン酸ナトリウム、2-ナフタレンスルホン酸ナトリウム、1-ヘプタンスルホン酸ナトリウム、1-オクタンスルホン酸ナトリウム一水和物、1-デカンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムからなる群から選択され、多価カチオンは、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)からなる群から選択される金属を含む。様々な実施形態において、親水性ペプチド塩は、本明細書に記載されるように、CNPであり、疎水性対イオンは、オレエート、パモエート、デオキシコレート、デカノエートからなる群から選択される。多価カチオンは、Zn2+またはCa2+である。様々な実施形態において、ペプチド塩は、CNP-Ca+2(オレエート)、CNP-Ca+2(パモエート)、CNP-Ca+2(デオキシコレート)、CNP-Ca+2(デカノエート)、CNP-Zn+2(オレエート)、CNP-Zn+2(パモエート)、CNP-Zn+2(デオキシコレート)、およびCNP-Zn+2(デカノエート)からなる群から選択される。様々な実施形態において、親水性ペプチド塩は、本明細書に記載されるように、CNPであり、疎水性対イオンは、オレエート、パモエート、デオキシコレート、デカノエートおよびドキュセートからなる群から選択され、多価カチオンは、Zn2+またはCa2+である。様々な実施形態において、親水性ペプチド塩は、本明細書に記載されるように、CNPであり、疎水性対イオンは、オレエート、パモエート、およびドキュセートからなる群から選択され、多価カチオンは、Zn2+またはCa2+である。様々な実施形態において、親水性ペプチド塩は、本明細書に記載されるように、CNPであり、疎水性対イオンは、デオキシコレート、デカノエートおよびドキュセートからなる群から選択され、多価カチオンは、Zn2+またはCa2+である。様々な実施形態において、親水性ペプチド塩は、本明細書に記載されるように、CNPであり、疎水性対イオンは、オレエートおよびパモエートからなる群から選択され、多価カチオンは、Zn2+またはCa2+である。様々な実施形態において、親水性ペプチド塩は、本明細書に記載されるように、CNPであり、疎水性対イオンは、オレイン酸である。多価カチオンは、Zn2+またはCa2+である。様々な実施形態において、親水性ペプチド塩は、本明細書に記載されるように、CNPであり、疎水性対イオンは、パモ酸である。多価カチオンは、Zn2+またはCa2+である。
【0113】
様々な実施形態において、ペプチド塩は、CNP-Ca+2(オレエート)、CNP-Ca+2(パモエート)、CNP-Ca+2(デオキシコレート)、CNP-Ca+2(デカノエート)CNP-Ca+2(ドキュセート)、CNP-Zn+2(オレエート)、CNP-Zn+2(パモエート)、CNP-Zn+2(デオキシコレート)、CNP-Zn+2(デカノエート)およびCNP-Zn+2(ドキュセート)からなる群から選択される。様々な実施形態において、ペプチド塩は、CNP-Ca+2(オレエート)、CNP-Ca+2(パモエート)、CNP-Ca+2(ドキュセート)、CNP-Zn+2(オレエート)、CNP-Zn+2(パモエート)およびCNP-Zn+2(ドキュセート)からなる群から選択される。様々な実施形態において、ペプチド塩は、CNP-Ca+2(オレエート)、CNP-Ca+2(パモエート)およびCNP-Ca+2(ドキュセート)からなる群から選択される。様々な実施形態において、ペプチド塩は、CNP-Ca+2(デオキシコレート)、CNP-Ca+2(デカノエート)およびCNP-Ca+2(ドキュセート)からなる群から選択される。様々な実施形態において、ペプチド塩は、CNP-Ca+2(オレエート)およびCNP-Ca+2(パモエート)からなる群から選択される。様々な実施形態において、ペプチド塩は、CNP-Ca+2(オレエート)である。様々な実施形態において、ペプチド塩は、CNP-Ca+2(パモエート)である。様々な実施形態において、ペプチド塩は、CNP-Zn+2(オレエート)、CNP-Zn+2(パモエート)、CNP-Zn+2(デオキシコレート)、CNP-Zn+2(デカノエート)およびCNP-Zn+2(ドキュセート)からなる群から選択される。様々な実施形態において、ペプチド塩は、CNP-Zn+2(オレエート)、CNP-Zn+2(パモエート)およびCNP-Zn+2(ドキュセート)からなる群から選択される。様々な実施形態において、ペプチド塩は、CNP-Zn+2(デオキシコレート)、CNP-Zn+2(デカノエート)およびCNP-Zn+2(ドキュセート)からなる群から選択される。様々な実施形態において、ペプチド塩は、CNP-Zn+2(オレエート)およびCNP-Zn+2(パモエート)からなる群から選択される。様々な実施形態において、ペプチド塩は、CNP-Zn+2(オレエート)である。様々な実施形態において、ペプチド塩は、CNP-Zn+2(パモエート)である。
【0114】
様々な実施形態において、ペプチド塩は、PG-CNP37-Ca+2(オレエート)、PG-CNP37-Ca+2(パモエート)、PG-CNP37-Ca+2(デオキシコレート)、PG-CNP37-Ca+2(デカノエート)、PG-CNP37-Ca+2(ドキュセート)、PG-CNP37-Zn+2(オレエート)、PG-CNP37-Zn+2(パモエート)、PG-CNP37-Zn+2(デオキシコレート)、PG-CNP37-Zn+2(デカノエート)、およびPG-CNP37-Zn+2(ドキュセート)からなる群から選択される。様々な実施形態において、ペプチド塩は、PG-CNP37-Ca+2(オレエート)、PG-CNP37-Ca+2(パモエート)、PG-CNP37-Ca+2(ドキュセート)、PG-CNP37-Zn+2(オレエート)、PG-CNP37-Zn+2(パモエート)およびCNP-Zn+2(ドキュセート)からなる群から選択される。様々な実施形態において、ペプチド塩は、PG-CNP37-Ca+2(オレエート)、PG-CNP37-Ca+2(パモエート)およびPG-CNP37-Ca+2(ドキュセート)からなる群から選択される。様々な実施形態において、ペプチド塩は、CNP-Ca+2(デオキシコレート)、PG-CNP37-Ca+2(デカノエート)およびPG-CNP37-Ca+2(ドキュセート)からなる群から選択される。様々な実施形態において、ペプチド塩は、PG-CNP37-Ca+2(オレエート)およびPG-CNP37-Ca+2(パモエート)からなる群から選択される。様々な実施形態において、ペプチド塩は、PG-CNP37-Ca+2(オレエート)である。様々な実施形態において、ペプチド塩は、PG-CNP37-Ca+2(パモエート)である。様々な実施形態において、ペプチド塩は、PG-CNP37-Zn+2(オレエート)、PG-CNP37-Zn+2(パモエート)、PG-CNP37-Zn+2(デオキシコレート)、PG-CNP37-Zn+2(デカノエート)、およびPG-CNP37-Zn+2(ドキュセート)からなる群から選択される。様々な実施形態において、ペプチド塩は、PG-CNP37-Zn+2(オレエート)、PG-CNP37-Zn+2(パモエート)およびPG-CNP37-Zn+2(ドキュセート)からなる群から選択される。様々な実施形態において、ペプチド塩は、PG-CNP37-Zn+2(デオキシコレート)、PG-CNP37-Zn+2(デカノエート)、およびPG-CNP37-Zn+2(ドキュセート)からなる群から選択される。様々な実施形態において、ペプチド塩は、PG-CNP37-Zn+2(オレエート)およびPG-CNP37-Zn+2(パモエート)からなる群から選択される。様々な実施形態において、ペプチド塩は、PG-CNP37-Zn+2(オレエート)である。様々な実施形態において、ペプチド塩は、PG-CNP37-Zn+2(パモエート)である。
【0115】
製造方法
本明細書で企図されるのは、本明細書に記載されるような疎水性ペプチド塩を含む組成物を作製する方法でもある。
【0116】
様々な実施形態において、本開示は、以下を含む静電的に帯電したペプチドの塩を含む組成物を作製する方法を提供する:a)水溶液中の静電的に帯電したペプチドを疎水性対イオンと溶液中で接触させること、b)静電的に帯電したペプチド溶液を、ペプチドと対イオンが錯体形成するのに十分な様式で疎水性対イオン溶液と混合することであって、ペプチド-対イオン錯体の形成は、固体、半固体、ゲル、結晶、アモルファス、ナノ粒子、マイクロ粒子、アモルファスナノ粒子、アモルファスマイクロ粒子、結晶性ナノ粒子、またはペプチド塩を含む結晶性マイクロ粒子形態の形成をもたらす、混合すること。様々な実施形態において、ペプチド対イオン塩が多価カチオンをさらに含む場合、この方法は、ステップ(b)の前に、溶液中の静電的に帯電したペプチドを水溶液中の多価カチオンと接触させて、ペプチド-カチオン錯体形成することを含む。次に、ペプチド-カチオン錯体を疎水性対イオンと接触させて、ペプチド-カチオン-対イオン錯体形成する。
【0117】
様々な実施形態において、本開示は、(a)溶液中の静電的に帯電したペプチドを水溶液中の多価カチオンと接触させ、ペプチド-カチオン錯体形成することと、b)水溶液中のペプチド-カチオン錯体を溶液中の疎水性対イオンと接触させることと、c)ペプチド-カチオンおよび対イオンが錯体形成するのに十分な様式でペプチド-カチオン錯体溶液を疎水性対イオン溶液と混合することであって、ぺプチド-カチオン対イオン錯体の形成は、ペプチドの塩を含む固体、半固体、ゲル、結晶性、アモルファス、ナノ粒子、微粒子、アモルファスナノ粒子、アモルファス微粒子、結晶性ナノ粒子または結晶性微粒子の形態の形成をもたらす、混合することとを含む、静電的に帯電したペプチドの塩を含む組成物を製造する方法を提供する。
【0118】
様々な実施形態において、混合は、疎水性対イオン溶液をペプチド溶液に滴下することによって実施される。溶液は、疎水性対イオン溶液の各液滴の添加後にボルテックスすることによって、または当技術分野で知られている他の混合手段によって混合される。
【0119】
様々な実施形態において、この方法は、緩衝液または水中でペプチド塩を洗浄するステップ(c)または(d)をさらに含む。様々な実施形態において、洗浄は、水溶液、例えば、緩衝液または水中で実施される。
【0120】
様々な実施形態において、この方法は、遠心分離によってペプチド塩を取得してペプチド塩ペレットを形成するステップ(d)または(e)をさらに含む。様々な実施形態において、塩がゲル形態である場合、塩は、遠心分離によって、または液相をデカントし、続いて凍結乾燥または他の乾燥方法によって得られる。
【0121】
様々な実施形態において、この方法は、ペプチド塩ペレットから水を除去するステップ(e)または(f)をさらに含む。水または別の水溶液は、当技術分野で知られている技術を使用して凍結乾燥または乾燥することによってペレットから除去することができると考えられる。
【0122】
様々な実施形態において、この方法は、ペレットを水溶液または油に再懸濁することをさらに含む。様々な実施形態において、水溶液は、水、生理食塩水、または緩衝液である。様々な実施形態において、油は、トリグリセリドまたは脂肪酸を含む。様々な実施形態において、脂肪酸は飽和または不飽和である。様々な実施形態において、トリグリセリド中の脂肪酸は、飽和または不飽和、あるいはそれらの組み合わせである。
【0123】
脂肪酸は、油自体またはトリグリセリドに含まれている可能性がある。様々な実施形態において、脂肪酸は、短鎖、中鎖または長鎖脂肪酸である。様々な実施形態において、トリグリセリド中の脂肪酸は、飽和または不飽和であり、中鎖または長鎖脂肪酸であり得る。様々な実施形態において、脂肪酸は、C-6~C-20脂肪酸である。様々な実施形態において、脂肪酸は、C-6、C-8、C-10、C-12、C-14、C-16、C-18またはC-20脂肪酸である。様々な実施形態において、脂肪酸は、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、またはドデカン酸である。
【0124】
様々な実施形態において、本方法は、疎水性アニオンなどの少なくとも1モル当量の疎水性対イオンの1)カチオンが存在する場合の帯電アミノ酸の総数、または2)カチオンが存在しない場合の正電荷の総数、に対する使用を企図する。したがって、様々な実施形態において、本方法は、カチオンが存在しない場合の親水性ペプチドの正電荷の総数、または親水性ペプチドおよび多価カチオンが存在する場合はカチオンを含む錯体の正電荷の総数に対して、少なくとも1当量の疎水性対イオンの使用を企図する。この比率は、本明細書ではペプチド:疎水性対イオン比と称される。様々な実施形態において、ペプチド:疎水性対イオン比は、ペプチド(カチオンが存在しない場合)またはペプチドおよびカチオンを含む錯体(カチオンが存在する場合)中の正に帯電したアミノ酸の総数に対する疎水性対イオンの少なくとも1モル当量である。様々な実施形態において、ペプチド:疎水性対イオン比は、1:1~1:20、または1:1~1:50である。ペプチド:対イオン比は、1:2~1:15、1:2~1:10、1:2~1:8、1:3~1:10、または1:4~1:10であり得る。様々な実施形態において、ペプチド:疎水性対イオン比は、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:11、1:12、1:13、1:14、1:15、1:16、1:17、1:18、1:19、または1:20である。様々な実施形態において、ペプチド:疎水性対イオン比は1:1である。様々な実施形態において、ペプチド:疎水性対イオン比は1:2である。様々な実施形態において、ペプチド:疎水性対イオン比は1:3である。様々な実施形態において、ペプチド:疎水性対イオン比は1:4である。様々な実施形態において、ペプチド:疎水性対イオン比は1:5である。様々な実施形態において、ペプチド:疎水性対イオン比は1:6である。様々な実施形態において、ペプチド:疎水性対イオン比は1:7である。様々な実施形態において、ペプチド:疎水性対イオン比は1:8である。様々な実施形態において、ペプチド:疎水性対イオン比は1:9である。様々な実施形態において、ペプチド:疎水性対イオン比は1:10である。様々な実施形態において、ペプチド:疎水性対イオン比は、ペプチド(カチオンが存在しない場合)またはペプチドおよびカチオンを含む錯体(カチオンが存在する場合)中の正に帯電したアミノ酸の総数に対する疎水性対イオンの少なくとも2モル当量である。様々な実施形態において、ペプチド:疎水性対イオン比は、ペプチド(カチオンが存在しない場合)またはペプチドおよびカチオンを含む錯体(カチオンが存在する場合)中の正に帯電したアミノ酸の総数に対する少なくとも3モル当量の疎水性対イオンである。様々な実施形態において、ペプチド:疎水性対イオン比は、ペプチド(カチオンが存在しない場合)またはペプチドおよびカチオンを含む錯体(カチオンが存在する場合)中の正に帯電したアミノ酸の総数に対する少なくとも4モル当量の疎水性対イオンである。いくつかの実施形態において、ペプチド:疎水性対イオン比は、ペプチド中の正電荷の総数(カチオンが存在しない場合)またはペプチドおよびカチオンを含む錯体(カチオンが存在する場合)に対する疎水性対イオンの1モル当量未満である。様々な実施形態において、ペプチド塩は、ペプチド(カチオンが存在しない場合)またはペプチドおよびカチオンを含む錯体(カチオンが存在する場合)の正電荷に対して1モル当量少ない疎水性対イオンを有する。様々な実施形態において、ペプチド塩は、ペプチド(カチオンが存在しない場合)またはペプチドおよびカチオンを含む錯体(カチオンが存在する場合)の正電荷に対して2モル当量少ない疎水性対イオンを有する。様々な実施形態において、ペプチド塩は、ペプチド(カチオンが存在しない場合)またはペプチドおよびカチオンを含む錯体(カチオンが存在する場合)の正電荷に対して3モル当量少ない疎水性対イオンを有する。様々な実施形態において、この方法は、例えば、ペプチド(カチオンが存在する)またはペプチドおよびカチオンを含む錯体(カチオンが存在する場合)の正電荷の総数に対して、例えば、0.9、0.8、0.7、0.75、0.6、0.5、0.4、0.3、0.25、0.2または0.1モル当量の疎水性対イオンを導入することを企図する。
【0125】
様々な実施形態において、この方法は、ペプチド中の負に帯電したアミノ酸の総数に対して少なくとも1モル当量のカチオンを含むことを企図する。この比率は、本明細書ではペプチド:カチオン比と称される。様々な実施形態において、ペプチド:カチオン比は、1:1~1:10である。ペプチド:カチオン比は、1:2~1:10、1:3~1:10、1:1~1:5、1:2~1:5、1:2~1:8にすることができる。様々な実施形態において、ペプチド:カチオン比は、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、または1:10である。様々な実施形態において、ペプチド:カチオン比は1:1である。様々な実施形態において、ペプチド:カチオン比は1:2である。様々な実施形態において、ペプチド:カチオン比は1:3である。様々な実施形態において、ペプチド:カチオン比は1:4である。様々な実施形態において、ペプチド:カチオン比は1:5である。様々な実施形態において、ペプチド:カチオン比は1:6である。様々な実施形態において、ペプチド:カチオン比は1:7である。様々な実施形態において、ペプチド:カチオン比は1:8である。様々な実施形態において、ペプチド:カチオン比は1:9である。様々な実施形態において、ペプチド:カチオン比は1:10である。様々な実施形態において、本方法は、ペプチド中の負に帯電したアミノ酸の総数に対して1モル当量未満のカチオンを含むことを企図する。様々な実施形態において、本方法は、ペプチド上の負電荷の総数に対して、例えば、0.9、0.8、0.7、0.75、0.6、0.5、0.4、0.3、0.25、0.2または0.1モル当量のカチオンを導入することを企図する。
【0126】
C型ナトリウム利尿ペプチド
C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)(Biochem.Biophys.Res.Commun.,168:863-870(1990)(GenBank Accession No.NP_077720,for the CNP precursor protein,NPPC)(J.Hypertens.,10:907-912(1992))は、17アミノ酸のループ構造(Levin et al.,N.Engl.J.Med.,339:863-870(1998))を持ち、複数の生物学的プロセスで重要な役割を果たしているペプチドファミリー(ANP、BNP、CNP)の小さな一本鎖ペプチドである。CNPはナトリウム利尿ペプチド受容体-B(NPR-B、GC-B)と相互作用して、サイクリックグアノシン一リン酸(cGMP)の生成を刺激する(J.Hypertens.,10:1111-1114(1992))。CNPは、中枢神経系、生殖管、骨、血管内皮など、より広く発現している(Hypertension,49:419-426(2007))。
【0127】
ヒトでは、CNPは最初にナトリウム利尿ペプチド前駆体C(NPPC)遺伝子から一本鎖126アミノ酸プレプロポリペプチドとして産生される(Biochem.Biophys.Res.Commun.,168:863-870(1990))。シグナルペプチドの除去によりプロCNPが生成され、エンドプロテアーゼであるフューリンによるさらなる切断により、活性な53アミノ酸ペプチド(CNP-53)が生成される。これは、未知の酵素によって再度分泌および切断され、成熟した22アミノ酸ペプチドを生成する。(CNP-22)(Wu,J.Biol.Chem.278:25847-852(2003))。CNP-53とCNP-22は分布が異なり、CNP-53は組織で優勢であるが、CNP-22は主に血漿と脳脊髄液に見られる(J.Alfonzo,Recept.Signal.Transduct.Res.,26:269-297(2006))。CNP-53とCNP-22はどちらもNPR-Bと同様に結合する。
【0128】
様々な実施形態において、本開示のCNPは、ヒトCNP-17(hCNP-17)からヒトCNP-53(hCNP-53)までにわたり、hCNP-53に由来する野生型アミノ酸配列を有する短縮型CNPを含む。このような短縮されたCNPペプチドには次のものが含まれる。
DLRVDTKSRAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC
(CNP-53)(配列番号56)
LRVDTKSRAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC
(CNP-52)(配列番号15)、
RVDTKSRAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC
(CNP-51)(配列番号16)、
VDTKSRAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-50)(配列番号17:)、
DTKSRAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-49)(配列番号18)
TKSRAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-48)(配列番号19)、
KSRAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-47)(配列番号20)、
SRAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-46)(配列番号21)、
RAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-45)(配列番号22)、
AAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-44)(配列番号23)、
AWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-43)(配列番号24)、
WARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-42)(配列番号25)、
ARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-41)(配列番号26)、
RLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-40)(配列番号27)、
LLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-39)(配列番号28)、
LQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-38)(配列番号2)、
QEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-37)(配列番号3)、
EHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-36)(配列番号29)、
HPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-35)(配列番号30)、
PNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-34)(配列番号4)、
NARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-33)(配列番号31)、
ARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-32)(配列番号32)、
RKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-31)(配列番号33)、
KYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-30)(配列番号34)、
YKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-29)(配列番号35)、
KGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-28)(配列番号36)、
GANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-27)(配列番号37)、
ANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-26)(配列番号38)、
NKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-25)(配列番号39)、
KKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-24)(配列番号40)、
KGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-23)(配列番号41)、
GLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-22)(配列番号68)、
LSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-21)(配列番号42)、
SKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-20)(配列番号43)、
KGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-19)(配列番号44)、
GCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-18)(配列番号45)、および
CFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-17)(配列番号67)。
【0129】
様々な実施形態において、CNPバリアントペプチドは、改変されたCNP-37またはCNP-38ペプチドであり、任意選択で、フューリン切断部位(下線)に変異/置換を有し、および/またはN末端にグリシンまたはプロリン-グリシンを含む。例示的なCNP-37バリアントには、以下が含まれるが、これらに限定されない:
QEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSNSGLGC¥[CNP-37(M32N)、配列番号46]、
MQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Met-CNP-37、配列番号47)、
PQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Pro-CNP-37、配列番号48)、
GQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSNSGLGC¥[Gly-CNP-37(M32N)、配列番号49]、
PGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Pro-Gly-CNP-37、配列番号1)、
MGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Met-Gly-CNP-37、配列番号50)、および
GQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Gly-CNP-37:配列番号51)
【化1】
(配列番号52)、
【化2】
(配列番号53)、
【化3】
(配列番号54)、および
【化4】
(配列番号55)。
【0130】
様々な実施形態において、CNPは、
PGQEHPQARRYRGAQRRGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号5)、
PGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号1)、
PGQEHPNARRYRGANRRGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号6)、
PGQEHPNARRYRGANRRGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号6)、
PGQEHPQARRYRGAQRRGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号5)、および
PGQEHPQARKYKGAQKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号7)からなる群から選択される。
【0131】
様々な実施形態において、CNPバリアントペプチドは、アセチル基をさらに含む。様々な実施形態において、アセチル基は、ペプチドのN末端にある。様々な実施形態において、アセチル基は、ペプチド配列内のアミノ酸側鎖上にある。様々な実施形態において、ペプチドは、C末端にOHまたはNH2基をさらに含む。
【0132】
追加の実施形態において、アスパラギン(Asn/N)残基および/またはグルタミン(Gln/Q)残基を有する、本明細書に記載のCNPおよびCNPバリアントのいずれかについて、それらが野生型配列または非天然アミノ酸配列を有するか、任意のAsn残基および/または任意のGln残基は、AsnからGlnなどの保存的置換を含む、他の任意の天然または非天然アミノ酸で独立して置換することができる。このような置換は、アスパラギンおよび/またはグルタミンの潜在的な脱アミド化を最小化または回避するように部分的に設計されている。
【0133】
追加のCNPペプチドおよびバリアントは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,198,242号に開示されている。
【0134】
様々な実施形態において、静電的に帯電したペプチドは、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)またはCNPバリアントであり、親水性ペプチド塩は、CNPまたはCNPバリアントの塩である。様々な実施形態において、CNPは、本明細書に記載されるようなCNPバリアントである。
【0135】
様々な実施形態において、CNPは、
PGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Pro-Gly-CNP-37、配列番号1)LQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-38)(配列番号2)、
QEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-37)(配列番号3)、
PNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-34)(配列番号4)、
および、それらの薬学的塩、からなる群から選択される。様々な実施形態において、CNPは、CNPアセテートである。
【0136】
様々な実施形態において、疎水性ペプチド塩が疎水性CNP塩である場合、疎水性対イオンは、オレエート、デオキシコレート、デカノエート、パモエート、ドキュセートまたはドデシルスルフェートである。様々な実施形態において、多価カチオンが存在する場合、カチオンは、亜鉛、マグネシウムまたはカルシウムを含む。様々な実施形態において、カチオンが存在する場合、カチオンは亜鉛を含む。様々な実施形態において、カチオンはカルシウムを含む。様々な実施形態において、多価カチオンが存在する場合、カチオンは、Zn2+、Mg2+、またはCa2+である。様々な実施形態において、カチオンが存在する場合、カチオンはZn2+である。様々な実施形態において、カチオンが存在する場合、カチオンはCa2+である。
【0137】
様々な実施形態において、本開示は、疎水性対イオンと錯体形成したCNPペプチドを含むC型ナトリウム利尿ペプチドの疎水性塩を提供する。様々な実施形態において、塩は、多価カチオン、任意選択で金属カチオンをさらに含む。様々な実施形態において、塩は、精製されたCNP塩である。
【0138】
疎水性塩を精製する方法は当技術分野で知られており、本明細書で企図されている。場合によっては、疎水性塩は少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上の純度を有する。
【0139】
使用方法
軟骨無形成症は、線維芽細胞成長因子受容体3(FGFR-3)の遺伝子の常染色体優性変異の結果であり、軟骨形成の異常を引き起こす。FGFR-3は通常、軟骨細胞の成長、したがって骨の成長に対して負の調節効果を持っている。軟骨無形成症では、変異型のFGFR-3が構成的に活性であり、これにより骨が著しく短縮される。ヒトでは、FGFR-3の変異を活性化することが遺伝性小人症の主な原因である。FGFR-3を活性化したマウスは、骨格異形成症の最も一般的な形態である軟骨無形成症のモデルとして機能し、CNPの過剰発現はこれらの動物を小人症から救済する。したがって、CNPおよびCNPの機能的バリアントは、様々な骨格異形成の治療のための潜在的な治療法である。
【0140】
軟骨細胞のマトリックス産生、増殖および分化を刺激し、長骨成長を増加させることにより、本開示のCNP塩は、骨格異形成などの骨関連障害を患うヒトを含む哺乳動物を治療するのに有用である。CNP応答性骨関連障害および骨格異形成の非限定的な例には、軟骨無形成症、軟骨低形成症、低身長、矮性、骨軟骨異形成症、致死性骨異形成症、先天性骨形成症、軟骨無発生症、先天性軟骨異形成、先天性軟骨異形成症、屈曲肢異形成症、先天性致死性低ホスファターゼ症、周産期致死性タイプの骨形成先天性、短肋骨多指症候群、低軟骨形成症、根茎型の先天性軟骨異形成症、ヤンセン型骨幹端異形成、先天性脊椎骨幹端異形成、アテローム性異形成、ジストロフィー性異形成、先天性短大腿、ランガー型中脚異形成、ニーバーゲルト型中脚症、ロビンノウ症候群、ラインハルト症候群、先端骨形成不全、末梢異形成、ニースト異形成、線維軟骨形成、ロバーツ症候群、アクロメソメリック異形成、ミクロメリア、モルキオ症候群、ニースト症候群、複合有機栄養性異形成、脊椎骨端骨幹端異形成、NPR2変異、SHOX変異(ターナー症候群/ヌーナン症候群)およびPTPN11変異(ノーナン症候群)が含まれる。
【0141】
軟骨細胞のマトリックス産生、増殖および分化を刺激し、長骨成長を増加させることにより、本開示のCNPバリアントは、骨格異形成などの骨関連障害を患うヒトを含む哺乳動物を治療するのに有用である。CNP応答性骨関連障害および骨格異形成の非限定的な例には、軟骨無形成症、軟骨低形成症、低身症、小人症、骨軟骨異形成症、致死性異形成症、先天性骨形成不全症、軟骨無発生症、先天性軟骨異形成症、先天性軟骨異形成症、屈曲肢異形成症、先天性致死性低ホスファターゼ症、周産期致死性タイプの骨形成不全症、短肋骨多指症症候群、低軟骨形成症、先天性軟骨異形成症リゾメリック型、ヤンセン型骨幹端異形成、先天性脊椎骨幹端異形成、骨発生不全症、ジストロフィー性異形成、先天性短大腿骨、ランガー型脚中部異形成、ニーバーゲルト型骨幹端異形成、ロビンノウ症候群、ラインハルト症候群、アクロジストーシス、末梢異形成症、ニースト異形成、線維軟骨形成、ロバーツ症候群、アクロメソメリック異形成、ミクロメリア、モルキオ症候群、ニースト症候群、代謝性異形成、および脊椎骨端骨幹端異形成が含まれる。本明細書で企図される低身長、成長板障害、骨関連障害または骨格異形成には、NPR2変異、SHOX変異(ターナー症候群/レリワイル)、PTPN11変異(ヌーナン症候群)およびIGF1R変異に関連する障害が含まれる。
【0142】
本明細書で企図される低身長、成長板障害、骨関連障害または骨格異形成には、NPR2変異、SHOX変異(ターナー症候群/レリワイル)、およびPTPN11変異(ヌーナン症候群)に関連する障害が含まれる。
【0143】
この方法によって企図される追加の低身長および成長板障害には、コラーゲン(COL2A1、COL11A1、COL9A2、COL10)、アグリカン(ACAN)、インディアンヘッジホッグ(IHH)、PTPN11、NPR2、NPPC、またはFGFR3の変異に関連する障害が含まれる。
【0144】
この方法で企図される追加の低身長および成長板障害には、コラーゲン(COL2A1、COL11A1、COL9A2、COL10)、アグリカン(ACAN)、インディアンヘッジホッグ(IHH)、PTPN11、NPR2、NPPC、FGFR3、またはIGF1Rの変異に関連する障害が含まれる。
【0145】
さらに、CNP塩は、特発性の低身長および本明細書に記載の他の骨格異形成を治療するための成長ホルモンの補助剤または代替物として有用である。
【0146】
成長板障害には、低身長または異常な骨成長をもたらす障害が含まれ、コラーゲン(COL2A1、COL11A1、COL9A2、COL10)、アグリカン(ACAN)、インドヘッジホッグ(IHH)、PTPN11、NPR2、NPPC、またはFGFR3など、骨成長に関与する遺伝子の遺伝子変異の結果である可能性がある。様々な実施形態において、成長板障害は、低身長または異常な骨成長をもたらし、コラーゲン(COL2A1、COL11A1、COL9A2、COL10)、アグリカン(ACAN)、インディアンヘッジホッグ(IHH)、PTPN11、NPR2、NPPC、FGFR3、またはIGF1Rを含む、骨成長に関与する遺伝子の遺伝子変異の結果である可能性がある障害を含む。様々な実施形態において、成長板障害または低身長は、RAS病に関連する遺伝子の1つ以上の変異に関連している。様々な実施形態において、成長板障害を有する対象は、成長板遺伝子の変異についてヘテロ接合性である。様々な実施形態において、変異は、機能喪失変異である。様々な実施形態において、変異は機能獲得変異である。成長板障害には、家族性低身長、優性遺伝性低身長としても知られている優性家族性低身長、または特発性低身長が含まれるが、これらに限定されない。例えば、Plachy et al.,J Clin Endocrinol Metab 104:4273-4281,2019を参照されたい。
【0147】
ACANの変異は、家族性離断性骨軟骨炎および低身長、そして最終的には関節の骨の端からの軟骨と時には骨の剥離によって引き起こされる骨損傷(または病変)の領域を特徴とする変形性関節症を引き起こす可能性がある。成長中の骨の無秩序な軟骨ネットワークはそれらの成長を損ない、低身長につながることが示唆されている。ACANおよび低身長に関連する変異にはVal2303Metが含まれる。Stattin et al.,Am J Hum Genet 86(2):126-37,2010を参照されたい。低身長をもたらすACANの変異を有する患者は、投与がCNPとFGFR3との既知の相互作用によってこれらの患者の身長を増加させることができる可能性があるため、CNPによる治療から利益を得ると考えられる。
【0148】
受容体NPR2を含むナトリウム利尿ペプチドシステムは、軟骨内骨成長の調節に関与していることが示されている(Vasques et al.,Horm Res Pediat 82:222-229,2014)。研究によると、NPR2のホモ接合または複合ヘテロ接合の機能喪失型変異は、非常に低身長の骨格異形成である遠位中間肢異形成症異形成型マロトー(AMDM)を引き起こすことが示されている(Vasquez et al.,2014、上記)。低身長の原因としてヘテロ接合性の機能喪失(ドミナントネガティブなど)NPR2変異を示唆する報告があるが、機能獲得型NPR2ヘテロ接合性変異は高身長の原因であることがわかっている(Vasquez et al.,2014、上記)。cGMP生成を刺激するためのCNPのNPR2との相互作用を考慮すると、cGMPレベルを増加させることは、これらの状態において望ましく、これらの疾患および状態からの合併症の管理において治療上の利益を有するであろう。
【0149】
NPR2のヘテロ接合変異は、特発性低身長および他の形態の低身長をもたらすと考えられている。NPR2遺伝子の変異は、Amano et al.,J Clin Endocrinol Metab 99:E713-718,2014,Hisado-Oliva et al.,J Clin Endocrinol Metab 100:E1133-1142, 2015およびVasques et al.,J Clin Endocrinol Metab 98:E1636-1644,2013、に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に記載のCNPバリアントで治療される低身長を有する対象は、-1.0、-1.5、-2.0、-2.5、または-3.0未満の身長SDSを有し、少なくとも1人の親が-1.0、-1.5、-2.0、または-2.5未満の身長SDSを有し、任意選択で、2番目の親の身長が通常の範囲内にある。様々な実施形態において、CNPバリアントは、-2.0~-3.0の身長SDSを有する低身長の対象を治療するのに有用である。様々な実施形態において、CNPバリアントは、-2.0~-2.5の身長SDSを有する低身長の対象を治療するのに有用である。ただし、NPR2のdenovo変異は、身長SDSが-1.5、-2.0、-2.5、または-3.0未満であると定義されるように低身長になる可能性があるため、どちらの親も低身長を有さないNPR2の有害な変異のヘテロ接合性保因者の治療も考えられる。さらに企図されるのは、身長を改善し、および/または骨成長を増強するために、他の成長板遺伝子の有害な変異についてヘテロ接合である個体をCNPで治療することである。
【0150】
CNPバリアントで治療される可能性のある患者における例示的なNPR2変異には以下が含まれる:
【表2】
【表3】
【0151】
骨格の成長におけるNPPCの役割は十分に文書化されている。(Hisado-Oliva et al.,Genetics Medicine 20:91-97,2018)。NPPCノックアウトマウスは、手足の短縮や軟骨内骨化など、重度の不均衡な形態の小人症を示した(Hisado-Oliva et al.,2018、上記)。ヒトゲノム全体の研究では、NPPCと身長の関係が示されている(Hisado-Oliva et al.,2018、上記)。CNPハプロ不全は、ヒトの低身長の原因であると考えられているが、最近の研究では、低身長と手を持つ家族のヘテロ接合変異が特定された(Hisado-Oliva et al.,2018、上記)。これらの研究では、ヘテロ接合状態で測定した場合、cGMP産生の有意な減少が観察された(Hisado-Oliva et al.,2018、上記)。NPPCの変異には、Gly119Cysの変化を引き起こす355G>Tミスセンス変異と、Arg117Glyの変化を引き起こす349C>Gミスセンス変異が含まれる。CGMP産生を救済するCNPバリアントは、ヘテロ接合性の機能喪失型NPPC変異を有する患者の障害の管理に治療上の利益をもたらす可能性がある。
【0152】
Leri-Weill軟骨骨異形成症(LWD)は、前腕と下肢の短縮、手首の異常なずれ(手首のマーデルング変形)、および関連する低身長を特徴とするまれな遺伝性疾患である。LWDは、性染色体の偽常染色体領域1(PAR1)にある低身長ホメオボックス含有(SHOX)遺伝子またはその調節要素のヘテロ接合変異によって引き起こされる。(希少疾患データベースおよびCarmona et al.,Hum Mol Genet 20:1547-1559,2011を参照)。ランガー型中脚異形成は、SHOX変異が2つある場合に発生し、ホモ接合または複合ヘテロ接合変異のいずれかの各染色体上の変異に起因する可能性がある。SHOX変異のサブセットは、特発性低身長を引き起こす。ターナー症候群は、SHOX遺伝子を含む可能性のあるX染色体の欠失が原因で発生する。SHOXは、FGFR3転写の調節に関与し、骨成長の制御に寄与することが確認されている(Marchini et al.,Endocr Rev.37:417-448,2016)。SHOXの欠損はFGFR3シグナル伝達の増加につながり、SHOXがCNP/NPR2とも直接相互作用することを裏付ける証拠がいくつかある(Marchini、上記)。SHOXとFGFR3および骨成長との関連を考えると、ホモ接合性またはヘテロ接合性のSHOX変異を有する対象は、本明細書に記載のCNPバリアントによる治療から利益を得ると考えられる。
【0153】
RAS病は、Ras/マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路の遺伝子の変異によって引き起こされるまれな遺伝的状態のグループである。RAS病は、RAS/MAPK経路を介したシグナル伝達の増加を特徴とする一群の障害である。この経路は、RAF/MEK/ERK経路の下流の活性化につながる。低身長は、特定のRAS病の特徴である。例えば、CNPシグナル伝達はRAFを阻害し、MEKおよびERKの活性化を低下させる。
【0154】
本明細書では、RAS病の治療が企図されている。低身長に関連するRAS病には、ヌーナン症候群、コステロ症候群、心臓顔面皮膚症候群、神経線維腫症1型、およびレオパード症候群が含まれる。遺伝性歯肉線維腫症1型も、本明細書で企図されているRAS病である。RAS病患者(ヌーナン症候群、コステロ症候群、心臓顔面皮膚症候群、神経線維腫症1型、LEOPARD症候群、遺伝性歯肉線維腫症1型を含む)には、BRAF、CBL、HRAS、KRAS、LZTR1 MAP2K1、MAP2K2、MRAS、NF1、NRAS、PPP1CB、PTPN11、RAF1、RRAS、RIT1、SHOC2、SOS1、またはSOS2(Tajan et al.Endocr.Rev.2018、39(5):676-700)のうちの1つ以上の遺伝子にヘテロ接合型バリアントを持つ患者が含まれる。
【0155】
CFCは、K-Ras、B-Raf、Mek1、Mek2など、Ras/MAPKシグナル伝達経路のいくつかの遺伝子の変異によって引き起こされる。コステロ症候群は、顔面皮膚骨格(FCS)症候群とも呼ばれ、H-Ras遺伝子の変異を活性化することによって引き起こされる。遺伝性歯肉線維腫症I型(HGF)は、低分子量GTPアーゼのRasサブファミリーに作用するグアニンヌクレオチド交換因子(SOS)をコードするSOS1遺伝子(Son of Sevenlessホモログ1)の優性変異によって引き起こされる。神経線維腫症I型(NF1)は、Ras / MAPKシグナル伝達経路の負の調節因子をコードするニューロフィブロミン1遺伝子の変異によって引き起こされる。ヌーナン症候群(NS)は、SHP2をコードするPTPN11、SOS1、K-Ras、Raf-1など、いくつかの遺伝子の1つに変異が生じることで引き起こされる。
【0156】
CNPは、RAS病モデルにおいて効果的な治療法であることが実証されている。Onoらは、II型コラーゲン産生細胞においてNf1を欠損したマウスを生成した(Ono et al.,Hum.Mol.Genet.2013、22(15):3048-62).これらのマウスは、構成的なERK1/2活性化を示し、軟骨細胞の増殖と成熟を減少させた。これらのマウスにCNPを毎日注射すると、ERKリン酸化が減少し、低身長が矯正された。Braf変異(p.Q241R)を使用した心臓顔面皮膚症候群のマウスモデル(Inoue et al.Hum.Mol.Genet.2019、28(1):74-83)は、野生型と比較して、体長の減少と成長板幅の減少を示し、増殖および肥大型ゾーンが小さく、CNP投与によりこれらの動物の体長が増加した。
【0157】
複数の遺伝子の変異は、低身長、心臓の欠陥、出血の問題、および骨格の奇形を特徴とするヌーナン症候群を引き起こす可能性がある。PTPN11遺伝子の変異は、ヌーナン症候群の全症例の約半分を引き起こす。SOS1遺伝子の変異はさらに10~15%を引き起こし、RAF1およびRIT1遺伝子は各々、症例の約5%を占める。他の遺伝子の変異は各々、少数の症例を説明する。この障害を持つ人々の15~20パーセントのヌーナン症候群の原因は不明である。
【0158】
PTPN11、SOS1、RAF1、およびRIT1遺伝子はすべて、細胞分裂と成長(増殖)、分化、および細胞移動に必要なRAS/MAPK細胞シグナル伝達経路で重要なタンパク質をコードする。ヌーナン症候群に関連する遺伝子の変異の多くは、結果として生じるタンパク質をオン(アクティブ)にし、この長期の活性化は、通常のRAS/MAPKシグナル伝達を変化させ、細胞の成長と分裂の調節を妨害し、ヌーナン症候群の特徴をもたらす。Chen et al.,Proc Natl Acad Sci U S A.111(31):11473-8,2014,Romano et al.,Pediatrics.126(4):746-59,2010,およびMilosavljevic et al.,Am J Med Genet 170(7):1874-80,2016を参照されたい.MAPK経路を活性化する変異を有する対象は、骨成長および低身長を改善するために、本明細書に記載されるようなCNPバリアントによる治療から利益を得ると考えられる。MAPK経路を活性化する変異を有する対象は、NPR2受容体がその表面に発現される全身の他の細胞における過剰活性MAPK経路に関連する他の併存疾患を改善するために、本明細書に記載のCNPバリアントによる治療から利益を得るであろうことも企図される。
【0159】
非受容体タンパク質チロシンホスファターゼSHP-2をコードするPTPN11遺伝子の変異は、ヌーナン症候群などの低身長を特徴とする障害を引き起こす(Musente et al.,Eur J Hum Genet 11:201-206(2003)。Musente(上記)は、低身長につながるPTPN11遺伝子の多数の変異を特定している。機能変異の獲得は、SHP2を介した過剰活性なシグナル伝達を引き起こし、成長ホルモン誘発性のIGF-1放出を阻害し、それによって骨成長の低下に寄与する(Rocca Serra-Nedelec,PNAS 109:4257-4262,2012)。ホモ接合性またはヘテロ接合性のPTPN11変異を有する対象は、骨成長および低身長を改善するために、本明細書に記載されるようなCNPバリアントによる治療から利益を得ると考えられる。
【0160】
軟骨内骨化の調節に関連するインドのヘッジホッグ(IHH)遺伝子の変異は、低身長症候群にも関連している(Vasques et al.,J Clin Endocrinol Metab.103:604-614,2018)。同定された多くのIHH変異は、優性遺伝パターンで低身長で分離する。IHHと骨の成長および骨化との関連を考えると、ホモ接合性またはヘテロ接合性のIHH変異を有する対象は、本明細書に記載のCNPバリアントによる治療から利益を得ると考えられる。
【0161】
N540KおよびK650Nを含むFGFR3の変異は、低身長および低軟骨形成症を引き起こす。
【0162】
インスリン様成長因子1受容体(IGF1R)は、固有のキナーゼ活性を持つヘテロ四量体(α2β2)膜貫通型糖タンパク質である。IGF1Rは、出生前および出生後の成長に役割を果たすことが示されている。IGF1Rのヘテロ接合変異は、在胎不当過小児(SGA)および家族性低身長の個体で確認されている(Kawashima et al.,Endocrine J.59:179-185,2012)。低身長に関連するIGF1Rの変異には、R108Q/K115N、R59T、R709Q、G1050K、R481Q、V599E、およびG1125A(Kawashima、上記)が含まれる。
【0163】
身長は非常に遺伝性の高い形質であり、数百または数千の遺伝子の複合効果によって影響を受ける可能性がある(Wood et al.,Nature Genetics,46:1173-1189,2014)。個体の低身長は、単一の遺伝子が主要な原因ではなく、これらの遺伝子の複合効果の結果である可能性がある。-1.0、-1.5、-2.0、-2.5、または-3.0未満の身長SDSによって定義される低身長のそのような個体は、正常動物の長さを増加させるCNPの能力を考えると、CNPバリアントで有益に治療できると考えられ、例えば、骨の成長と骨の長さを向上させる。
【0164】
様々な実施形態において、CNPバリアントは、-1.0、-1.5、-2.0、-2.5、または-3.0未満の身長SDSを有し、身長SDS-1.0、-1.5、-2.0、または-2.5未満であるが少なくとも1つの親を有する低身長の対象を治療するのに有用であり、任意選択で、2番目の親の身長が通常の範囲内にある。様々な実施形態において、CNPバリアントは、-2.0~-3.0の身長SDSを有する低身長の対象を治療するのに有用である。様々な実施形態において、CNPバリアントは、-2.0~-2.5の身長SDSを有する低身長の対象を治療するのに有用である。様々な実施形態において、低身長は、コラーゲン(COL2A1、COL11A1、COL9A2、COL10)、アグリカン(ACAN)、インディアンヘッジホッグ(IHH)、PTPN11、NPR2、NPPC、FGFR3、またはインスリン成長因子1受容体(IGF1R)、またはそれらの組み合わせなどの低身長に関連する遺伝子の1つ以上の変異に関連する。
【0165】
様々な実施形態において、低身長は、RAS病に関連する遺伝子の1つ以上の変異に関連している。
【0166】
様々な実施形態において、低身長は、多遺伝子リスクスコア(PRS)によって決定されるような複数の遺伝子の変異の結果である。様々な実施形態において、対象は、NPR2に変異を有し、PRSが低い。様々な実施形態において、対象は、FGFR3に変異を有し、PRSが低い。様々な実施形態において、対象は、NPR2に変異を有し、PRSが低い。様々な実施形態において、対象は、IGF1Rに変異を有し、PRSが低い。様々な実施形態において、対象は、NPPCに変異を有し、PRSが低い。様々な実施形態において、対象は、SHOXに変異を有し、PRSが低い。様々な実施形態において、対象は、FGFR3、IGF1R、NPPC、NPR2およびSHOXのうちの1つ以上に1つ以上の変異を有し、PRSが低い。様々な実施形態において、PRSは1または2である。様々な実施形態において、PRSは1である。様々な実施形態において、PRSは2である。
【0167】
さらに、CNP塩は、くる病、低リン酸血症性くる病(X連鎖低リン酸血症性くる病(ビタミンD耐性くる病とも呼ばれる)および常染色体優性低リン酸血症性くる病を含む)、および骨軟化症(腫瘍誘発性骨軟化症(発癌性骨軟化症または発癌性低リン酸血症性骨軟化症とも呼ばれる)を含む)などの他の骨関連状態および障害の治療に有用である。
【0168】
本開示のCNP塩はまた、変形性関節症を治療するために使用することができる。変形性関節症は関節軟骨の変性疾患であり、高齢者に頻繁に発生する。変形性関節症は、関節の構成要素の変性に起因する軟骨の破壊および骨および軟骨の増殖性変化を伴い、その変化は二次性関節炎(例えば、滑膜炎)をもたらす。変形性関節症では、軟骨の機能的実体である細胞外マトリックスタンパク質が減少し、軟骨細胞の数が減少する(Arth.Rheum.46(8):1986-1996(2002))。軟骨細胞のマトリックス産生、成長および分化を促進することにより、CNP組成物は、FGF-2の望ましくない効果に対抗し、変形性関節症を含む関節炎を患う対象におけるマトリックス合成を増加させ、それにより変形性関節症を含む関節炎を治療するのに有用である。
【0169】
特定の実施形態において、本開示の同じものを含むCNP塩および組成物および製剤は、骨格異形成の1つ以上の症状または生理学的結果を改善するのに有用であり、改善は、絶対成長の増加、成長速度の増加、定性的コンピューター断層撮影(QCT)骨塩密度の増加、成長板形態の改善、長骨成長の増加、脊椎形態の改善、肘関節可動域の改善、および/または睡眠時無呼吸の減少であり得る。これに関して、「改善された」、「改善」、「増加」、「減少」という用語およびそれらの文法上の同等物はすべて、病状の症状または生理学的結果に関連して使用される場合に参照される相対的な用語であり、本発明のCNP塩(またはそれを含む組成物または製剤)で治療する前の疾患の同じ症状または生理学的結果と比較した(すなわち、「ベースライン」と比較した)、本発明のCNP塩(またはそれを含む組成物または製剤)での治療後の疾患の症状または生理学的結果の状態であることに留意されたい。上記のように、「ベースライン」状態は、治療前の対象の状態の測定(その後、治療後の同じ対象の状態と比較することができる)、または同じもしくは類似の特徴(例えば、年齢、性別および/または病状または進行)を共有する同じ苦痛に苦しんでいる対象の集団におけるその状態の測定のいずれかによって決定することができる。
【0170】
さらに別の実施形態において、本開示は、インビトロまたはインビボで、同じ濃度のwtCNP22(例えば、1uM)で生成されたcGMPレベルの少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%、または150%の産生を刺激するCNPバリアントの塩を提供する。さらに別の実施形態において、インビトロまたはインビボで本開示のCNPまたはCNPバリアントを含む疎水性塩は、同じ濃度のwtCNP22(例えば、1uM)で生成されたcGMPレベルの少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%、または150%の産生を刺激する。
【0171】
本明細書に記載のCNPバリアントのいずれかがこの方法において有用であると考えられる。
【0172】
様々な実施形態において、CNPバリアントは、PGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Pro-Gly-CNP-37(配列番号1))である。様々な実施形態において、ペプチドは、アセチル基をさらに含む。様々な実施形態において、アセチル基は、ペプチドのN末端にある。様々な実施形態において、アセチル基は、ペプチド配列内のアミノ酸側鎖上にある。様々な実施形態において、ペプチドは、C末端にOHまたはNH2基をさらに含む。様々な実施形態において、バリアントは、本明細書に記載されるような1つ以上のリンカー基を含む。様々な実施形態において、リンカーは、加水分解可能なリンカーである。様々な実施形態において、ペプチドは、静電的に帯電したペプチドの塩を含み、その塩は、疎水性の対イオンと錯体形成した静電的に帯電したペプチドを含む。
【0173】
治療の有効性は、様々なパラメーターによって測定される。様々な実施形態において、有効性は、ベースライン期間から介入期間への年間成長速度の変化として評価される。有効性は、CDC成長曲線を使用して測定された、ベースラインから治療終了までの身長SDSの変化としても評価され、成長速度SDSは、小児期の骨密度研究に基づいている(Kelly et al.,J.Clin.Endocrinol.Metab.2014、99(6):2104-2112)。
【0174】
低身長の若者の生活の質であるQoLISSYは、指示どおりに評価される(低身長の若者の生活の質-QoLISSYアンケートユーザーズマニュアル。Lengerich:Pabst Science Publishers、2013)。
【0175】
薬学的組成物
本開示は、本明細書に記載のペプチド塩、ならびに1つ以上の薬学的に許容される賦形剤、担体および/または希釈剤を含む、放出調節組成物を含む薬学的組成物を提供する。特定の実施形態において、組成物は、1つ以上の他の生物学的に活性な薬剤(例えば、プロテアーゼの阻害剤、受容体チロシンキナーゼ、および/またはクリアランス受容体NPR-C)をさらに含む。
【0176】
本開示は、本明細書に記載されるような疎水性ペプチド塩を含む放出調節組成物を提供する。様々な実施形態において、放出調節組成物は、延長放出組成物である。様々な実施形態において、延長放出組成物は、疎水性CNP塩を含む。様々な実施形態において、CNP塩中の疎水性対イオンは、オレエート、デオキシコレート、デカノエート、パモエート、ドキュセートまたはドデシルスルフェートである。様々な実施形態において、多価カチオンが存在する場合、カチオンは亜鉛またはカルシウムを含む。様々な実施形態において、カチオンが存在する場合、カチオンは、Zn2+またはCa2+である。
【0177】
沈殿したペプチド錯体は、沈殿が形成されたpH条件下で延長放出特性を示すことがある。沈殿したペプチド錯体は、ゆっくりと分解するミクロスフェア、ヒドロゲルなどの徐放のための追加の障壁を提供するマトリックスへのさらなる処理に使用することもできる。疎水性CNP塩は、固体、半固体、ゲル、結晶性、アモルファス、ナノ粒子、微粒子、アモルファスナノ粒子、アモルファス微粒子、結晶性ナノ粒子または結晶性微粒子であり、水溶液または油に再懸濁されると考えられる。様々な実施形態において、水溶液は、水、生理食塩水、または緩衝液である。様々な実施形態において、粒子は、1~10,000マイクロメートル(um)、1um~2000um、2um~1000um、5um~500um、10um~1000um、50um~500um、100um~800um、200~600um、300um~500um、100um~300um、50um~100um、または10um~50umである。様々な実施形態において、粒子はナノ粒子である。様々な実施形態において、ナノ粒子は、およそ5ナノメートル(nm)~1000nm、8nm~900nm、10nm~800nm、20nm~600nm、50nm~500nm、50~400nm、20~300nm、300~800nm、または200~600nmである。
【0178】
様々な実施形態において、油は、飽和または不飽和であり得るトリグリセリドまたは脂肪酸を含む。本明細書に記載のトリグリセリドおよび脂肪酸もまた、疎水性CNP塩組成物とともに使用することが企図されている。様々な実施形態において、脂肪酸は、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、またはドデカン酸である。様々な実施形態において、脂肪酸は、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸またはドキュセートである。
【0179】
様々な実施形態において、延長放出組成物について、pH7~7.6において(i)ペプチドの約20%未満が1日目までに放出され、(ii)ペプチドの約90%が毎週放出されるか、またはペプチドの約90%が隔週で放出されるか、またはペプチドの約90%が毎月放出される。
【0180】
様々な実施形態において、pH7~7.6において、ペプチドの約20%未満が、1日目までに放出される。さらに、(i)pH7.0~7.6において、ペプチドの約30%、または約40%、または約50%未満が、1日目までに放出され(ii)pH7~7.6において、ペプチドの約90%が毎週放出されるか、またはペプチドの約90%が隔週で放出されるか、またはペプチドの約90%が毎月放出されることが企図される。さらに、(i)pH7.0~7.6において、ペプチドの約30%、または約40%、または約50%、または約60%未満が1日目までに放出され、(ii)pH7.0~7.6において、ペプチドの約70%、約80%、または約90%が毎週放出され、またはペプチドの約70%、約80%、または約90%が隔週で放出され、またはペプチドの約70%、約80%、または約90%が3週間ごとに放出され、またはペプチドの約70%、約80%、または約90%が毎月放出されることが企図される。様々な実施形態において、pH7~7.6において、ペプチドの約90%が毎週放出される。様々な実施形態において、pH7~7.6において、ペプチドの約90%が隔週で放出される。様々な実施形態において、pH7~7.6において、ペプチドの約90%が毎月放出される。さらに、放出は、pH7.0~7.6、pH7.1~7.5、pH7.2~7.4、pH7.2~7.6、またはpH7.0~7.4のpHであり得ることが企図される。
【0181】
様々な実施形態において、(i)pH7.0~7.6において、約25%未満、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、または約75%のペプチドが1日目までに放出され、(ii)pH7~7.6において、ペプチドの約90%が毎週放出されるか、またはペプチドの約90%が隔週で放出されるか、またはペプチドの約90%が毎月放出される。さらに、(i)pH7.0~7.6において、約25%未満、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、または約75%のペプチドが1日目までに放出される。(ii)pH7~7.6において、ペプチドの約70%、約80%、または約90%が毎週放出されるか、または、ペプチドの約70%、約80%、または約90%が隔週で放出されるか、または、ペプチドの約70%、約80%、または約90%が3週間ごとに放出されるか、または、ペプチドの約70%、約80%、または約90%が毎月放出される。あるいは代替的に、ii)pH7~7.6において、ペプチドの約70%、約75%、約80%、約85%、または約90%が毎週放出されるか、または、ペプチドの約70%、約75%、約80%、約85%、または約90%が隔週で放出されるか、または、ペプチドの約70%、約75%、約80%、約85%、または約90%が3週間ごとに放出されるか、または、ペプチドの約70%、約75%、約80%、約85%、または約90%が、毎月放出されることが企図される。
【0182】
様々な実施形態において、延長放出組成物は、賦形剤、希釈剤または担体を含む。様々な実施形態において、賦形剤、希釈剤または担体は、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤または担体である。
【0183】
賦形剤、担体および希釈剤の非限定的な例には、ビヒクル、液体、緩衝剤、等張剤、添加剤、安定剤、保存剤、可溶化剤、界面活性剤、乳化剤、湿潤剤、補助剤などが含まれる。組成物は、液体(例えば、水、エタノール)を含むことができる。様々な緩衝液内容物の希釈剤(例えば、トリス-HCl、リン酸塩、酢酸塩緩衝液、クエン酸塩緩衝液)、pHおよびイオン強度、洗剤および可溶化剤(例、ポリソルベート20、ポリソルベート80)、抗酸化剤(例えば、メチオニン、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム)、防腐剤(例、チメロサール、ベンジルアルコール、m-クレゾール)、および増量物質(例えば、乳糖、マンニトール、ショ糖)を含むことができる。薬学的組成物の製剤における賦形剤、希釈剤および担体の使用は、当技術分野で知られており、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition,pages 1435-1712,Mack Publishing Co.(Easton,Pennsylvania(1990))を参照されたい。
【0184】
例えば、担体には、希釈剤、ビヒクルおよびアジュバント、ならびにインプラント担体、ならびに活性成分と反応しない不活性で非毒性の固体または液体充填剤およびカプセル化材料が含まれるが、これらに限定されない。担体の非限定的な例には、リン酸緩衝生理食塩水、生理食塩水、水、およびエマルジョン(例えば、油/水エマルジョン)が含まれる。担体は、例えば、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、植物油、およびそれらの混合物を含む溶媒または分散媒体であり得る。
【0185】
いくつかの実施形態において、組成物は液体製剤である。特定の実施形態において、製剤は、約0.1mg/ml~約20mg/ml、または約0.5mg/ml~約20mg/ml、または約1mg/ml~約20mg/ml、または約0.1mg/ml~約10mg/ml、または約0.5mg/ml~約10mg/ml、または約0.5~5mg/ml、または約0.5~3mg/ml、または約1mg/ml~約10mg/mlの濃度範囲の疎水性CNP塩を含む。様々な実施形態において、CNPバリアントは、0.8mg/mL~2mg/mLの濃度である。様々な実施形態において、CNPバリアントは、0.8mg/mLの濃度である。様々な実施形態において、CNPバリアントは、2.0mg/mLの濃度である。様々な実施形態において、CNPバリアントは、凍結乾燥粉末から再構成される。
【0186】
さらなる実施形態において、組成物は、CNP含有溶液または懸濁液のpHを所望の範囲内に維持するための緩衝液または緩衝剤を含む。緩衝液の非限定的な例には、リン酸緩衝生理食塩水、トリス緩衝生理食塩水、およびハンクス緩衝生理食塩水が含まれる。緩衝剤には、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、およびクエン酸ナトリウムが含まれるが、これらに限定されない。緩衝剤の混合物も使用することができる。特定の実施形態において、緩衝剤は、酢酸/酢酸塩またはクエン酸/クエン酸塩である。組成物に好適な緩衝剤の量は、使用される特定の緩衝液および溶液または懸濁液の所望のpHに部分的に依存する。いくつかの実施形態において、緩衝剤は、約10mM±5mMの濃度を有する。特定の実施形態において、組成物のpHは、約pH3~約pH9、または約pH3~約pH7.5、または約pH3.5~約pH7、または約pH3.5~約pH6.5、または約pH4~約pH6、または約pH4~約pH5、または約pH5.0±1.0である。様々な実施形態において、pHは、約5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9または6.0である。様々な実施形態において、pHは5.5である。
【0187】
他の実施形態において、組成物は、溶液または懸濁液を等張性にし、投与により適合するための等張性調整剤を含む。等張剤の非限定的な例には、NaCl、デキストロース、グルコース、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、およびエタノールが含まれる。特定の実施形態において、等張剤はNaClである。特定の実施形態において、NaClは、約160±20mM、または約140mM±20mM、または約120±20mM、または約100mM±20mM、または約80mM±20mM、または約60mM±20mMの濃度である。
【0188】
さらに他の実施形態において、組成物は防腐剤を含む。防腐剤には、m-クレゾールおよびベンジルアルコールが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、防腐剤は、約0.4%±0.2%、または約1%±0.5%、または約1.5%±0.5%、または約2.0%±0.5%の濃度である。
【0189】
さらに他の実施形態において、組成物は、吸着防止剤を含む(例えば、ガラスまたはプラスチックへのCNP塩の吸着を軽減するために)。吸着防止剤には、ベンジルアルコール、ポリソルベート20、およびポリソルベート80が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、吸着防止剤は、約0.001%~約0.5%、または約0.01%~約0.5%、または約0.1%~約1%、または約0.5%~約1%、または約0.5%~約1.5%、または約0.5%~約2%、または約1%~約2%の濃度である。
【0190】
追加の実施形態において、組成物は安定剤を含む。安定剤の非限定的な例には、グリセリン、グリセロール、チオグリセロール、メチオニン、およびアスコルビン酸ならびにそれらの塩が含まれる。いくつかの実施形態において、安定剤がチオグリセロールまたはアスコルビン酸またはそれらの塩である場合、安定剤は、約0.1%~約1%の濃度である。他の実施形態において、安定剤がメチオニンである場合、安定剤は、約0.01%~約0.5%、または約0.01%~約0.2%の濃度である。さらに他の実施形態において、安定剤がグリセリンである場合、安定剤は、約5%~約100%(ニート)の濃度である。
【0191】
さらなる実施形態において、組成物は抗酸化剤を含む。例示的な抗酸化剤には、メチオニンおよびアスコルビン酸が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、抗酸化剤対CNPのモル比は、約0.1:1~約15:1、または約1:1~約15:1、または約0.5:1~約10:1、または約1:1~約10:1または約3:1~約10:1である。
【0192】
無機酸塩(例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩)、有機酸の塩(例えば、酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、安息香酸塩、メシル酸塩、トシル酸塩)、およびアミンの塩(例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジエタノールアミン)を含むがこれらに限定されない、薬学的に許容される塩を組成物に使用することができる。製薬上許容される塩の完全な考察は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition,Mack Publishing Company,(Easton,Pennsylvania(1990))にある。
【0193】
薬学的組成物は、錠剤、カプセル、顆粒、粉末、溶液、懸濁液、乳濁液、軟膏、および経皮パッチなどの様々な形態で投与することができる。組成物の剤形は、組成物の所望の投与様式に合わせて調整することができる。経口投与の場合、組成物は、例えば、錠剤またはカプセル(ソフトゲルカプセルを含む)の形態をとることができ、または、例えば、水溶液または非水溶液、懸濁液またはシロップであり得る。経口投与用の錠剤およびカプセルは、マンニトール、ラクトース、グルコース、スクロース、デンプン、コーンスターチ、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、炭酸マグネシウム、および潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム)などの1つ以上の通常使用される賦形剤、希釈剤、および担体を使用することができる。必要に応じて、香味料、着色料、および/または甘味料を固体および液体製剤に加えることができる。経口製剤の他の任意の成分には、防腐剤、懸濁剤、および増粘剤が含まれるが、これらに限定されない。経口製剤は、胃の酸性環境からCNP塩を保護するために腸溶コーティングを施すこともできる。固体および液体剤形を調製する方法は、この分野の当業者に知られているか、または明らかであろう(例えば、上記で参照されたRemington’s Pharmaceutical Sciencesを参照されたい)。
【0194】
非経口投与用の製剤は、例えば、液体溶液または懸濁液として、注射前の液体媒体への可溶化または懸濁液に好適な固体形態として、またはエマルジョンとして調製することができる。例えば、無菌の注射可能な溶液および懸濁液は、好適な希釈剤、担体、溶媒(例えば、緩衝水溶液、リンゲル液、等張塩化ナトリウム溶液)、分散剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤などを使用して当技術分野で知られる技術に従って製剤できる。さらに、無菌不揮発油、脂肪酸エステル、ポリオール、および/または他の不活性成分を使用することができる。さらなる例として、非経口投与用の製剤には、抗酸化剤、緩衝液、静菌薬、および製剤を意図されたレシピエントの血液と等張にする溶質を含むことができる水性無菌注射可能溶液、および水性および非水性の無菌懸濁液が含まれこれには、懸濁剤および増粘剤を含めることができる。
【0195】
疎水性CNP塩を含む組成物はまた、凍結乾燥製剤であり得る。特定の実施形態において、凍結乾燥製剤は、緩衝剤および増量剤、ならびに任意選択で抗酸化剤を含む。例示的な緩衝液には、酢酸緩衝液およびクエン酸緩衝液が含まれるが、これらに限定されない。例示的な増量剤には、マンニトール、スクロース、デキストラン、ラクトース、トレハロース、およびポビドン(PVP K24)が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、マンニトールは、約3%~約10%、または約4%~約8%、または約4%~約6%の量である。特定の実施形態において、スクロースは、約6%~約20%、または約6%~約15%、または約8%~約12%の量である。例示的な抗酸化剤には、メチオニンおよびアスコルビン酸が含まれるが、これらに限定されない。
【0196】
様々な実施形態において、製剤は、クエン酸、クエン酸ナトリウム、トレハロース、マンニトール、メチオニン、ポリソルベート80、および任意選択で注射用無菌水(WFI)を含む。
【0197】
本開示はまた、例えば、ボトル、バイアル、アンプル、チューブ、カートリッジ、および/または液体(例えば、無菌注射可能)製剤または固体(例えば、凍結乾燥)製剤を含む注射器を含むキットを提供する。キットはまた、注射用にシリンジ内に凍結乾燥製剤を再構築することまたは濃縮物をより低い濃度に希釈するための注射器内の凍結乾燥製剤を含むが、これに限定されない、固形(例えば、凍結乾燥)製剤を投与用の溶液または懸濁液(例えば、注射による)に再構成するための薬学的に許容されるビヒクルまたは担体(例えば、溶媒、溶液および/または緩衝液)を含むことができる。さらに、即時注射溶液および懸濁液は、例えば、CNP含有組成物を含む無菌粉末、顆粒、または錠剤から調製することができる。キットには、エアロゾルまたは注射ディスペンシングデバイス、ペンインジェクター、自動インジェクター、無針インジェクター、注射器、および/または針などのディスペンシングデバイスも含まれる。
【0198】
非限定的な例として、キットは、シングルチャンバーまたはデュアルチャンバーを有する注射器を含むことができる。シングルチャンバーシリンジの場合、シングルチャンバーは、注射の準備ができている液体CNP製剤、または注射のための溶液または混濁液へと再構築できる比較的少量の好適な溶媒系(例えば、グリセリン)中の固体(凍結乾燥)CNP製剤またはCNP塩の液体製剤を含むことができる。デュアルチャンバーシリンジの場合、注射のために、一方のチャンバーには製薬上許容されるビヒクルまたは担体(例えば、溶媒系、溶液または緩衝液)を含むことができ、もう一方のチャンバーには、第1のチャンバーからのビヒクルまたは担体を使用して、溶液または懸濁液に再構成することができる比較的少量の好適な溶媒系(例えば、グリセリン)中に、固体(例えば、凍結乾燥)CNP製剤またはCNP塩の液体製剤を含むことができる。
【0199】
さらなる例として、キットは、1つ以上のペンインジェクターまたはオートインジェクターデバイス、およびデュアルチャンバーカートリッジを含むことができる。注射のために、カートリッジの一方のチャンバーは、製薬上許容されるビヒクルまたは担体(例えば、溶媒系、溶液または緩衝液)を含むことができ、他方のチャンバーは、注射用の第1のチャンバーからのビヒクルまたは担体を使用して、溶液または懸濁液に再構成することができる比較的少量の好適な溶媒系(例えば、グリセリン)中の固体(例えば、凍結乾燥)CNP製剤またはCNP塩の液体製剤を含むことができる。カートリッジは、所望の期間(例えば、2日、3日、1週間、2週間、3週間、4週間など)にわたって投薬するのに十分な量のCNP塩を含むことができる。ペンインジェクターまたはオートインジェクターは、カートリッジから所望の量のCNP製剤を投与するように調整できる。
【0200】
投与および投与量
疎水性CNP塩、またはそれらを含む薬学的組成物または製剤は、例えば、皮下、関節内、腹腔内、筋肉内、皮内または経口などの様々な方法で対象に投与することができる。一実施形態において、CNPペプチド塩組成物は、1日1回、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、6週間に1回、2ヶ月に1回、3ヶ月に1回、または6ヶ月に1回投与される。
【0201】
疎水性CNP塩または塩組成物はまた、作用の標的部位(例えば、異常または変性した関節または軟骨領域)にデポーを移植することによって投与することができる。代替的に、CNP塩は、舌下(例えば、舌下錠剤)に、経皮送達(例えば、皮膚上のパッチによる)によって、またはミクロスフェア、マイクロカプセル、リポソーム(非帯電または帯電(例えば、カチオン性))、高分子微粒子(例えば、ポリアミド、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ(ラクチド-グリコリド))、マイクロエマルジョンなどによって経口的に投与され得る。
【0202】
本明細書に記載の疎水性CNP塩組成物は、骨関連障害(例えば、軟骨無形成症を含む骨格異形成症)を治療、改善または予防するために、治療有効用量でそれを必要とする患者に投与することができる。CNP塩の安全性および治療効力は、細胞培養物または実験動物における標準的な薬学的手順によって、例えばLD50(集団の50%に対して致死的な用量)およびED50(集団の50%における治療有効用量)を決定することにより判定することができる。毒性効果と治療効果との用量比は治療指数であり、LD50/ED50比として表すことができる。通常、大きな治療指数を示す活性剤が好ましい。
【0203】
特定の実施形態において、本明細書に記載の疎水性CNP塩組成物は、約3または10nmol/kg~約300nmol/kg、または約20nmol/kg~約200nmol/kg、または約3nmol/kgから100nmol/kgの範囲の用量で投与される。いくつかの実施形態において、CNP塩組成物は、約3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、125、130、140、150、160、170、175、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、350、400、450、500、750、1000、1250、1500、1750または2000nmol/kgの用量、または治療を行う医師が適切とみなすその他の用量で投与される。他の実施形態において、CNP塩組成物は、約5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950または1000μg/kg、または約0.5、0.8、1.0、1.25、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5または10mg/kgの用量、または治療する医師によって適切と思われる他の用量で投与される。本明細書に記載の疎水性CNP塩の用量は、本明細書に記載の投与頻度/投与頻度に従って投与することができ、これには、毎日、週に2または3回、毎週、2週間ごと、3週間ごと、毎月などが含まれるが、これらに限定されない。様々な実施形態において、CNP塩は毎日皮下投与される。様々な実施形態において、CNP塩は毎週皮下投与される。様々な実施形態において、CNPバリアントは、2.5μg/kg/日~60μg/kg/日、10μg/kg/日~45μg/kg/日、または15μg/kg/日~30μg/kg/日の用量で投与される。様々な実施形態において、CNPバリアントは、15μg/kg/日の用量で投与される。様々な実施形態において、CNPバリアントは、30μg/kg/日の用量で投与される。
【0204】
特定の対象に対する疎水性CNP塩の投薬/投与の頻度は、治療される障害および治療に対する対象の状態および応答を含む様々な要因に応じて変化し得る。疎水性CNP塩は、単回投与または投与につき複数回投与することができる。特定の実施形態において、疎水性CNP塩組成物は、単回投与または複数回投与で、1日1回、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、6週間に1回、2ヶ月に1回、3ヶ月に1回または6ヶ月に1回、または治療を行う医師が適切とみなしたように投与される。様々な実施形態において、CNPバリアントは、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月またはそれ以上投与される。
【0205】
いくつかの実施形態において、疎水性CNP塩組成物は、成長期間(例えば、軟骨形成)、その後の回復期間(例えば、骨形成)を可能にするように投与される。例えば、CNP塩組成物は、皮下に、または別の様式によって、ある期間、毎日または週に複数回投与され、その後、治療されない期間が続き、その後、サイクルが繰り返される。いくつかの実施形態において、治療の初期期間(例えば、毎日または週に複数回のCNP塩組成物の投与)は、3日、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、または12週間である。関連する実施形態において、無治療の期間は、3日、1週間、2週間、3週間または4週間続く。特定の実施形態において、CNP塩組成物の投薬レジメンは、3日間毎日、その後3日間休止、または、1週間にわたって毎日または週に複数回、その後3日または1週間の休止、または2週間にわたって毎日または週に複数回、その後1週間または2週間休止、または、3週間にわたって毎日または週に複数回、その後1、2、または3週間休止、または、4、5、6、7、8、9、10、11、または12週間にわたって毎日または週に複数回、その後1、2、3、または4週間休止である。
【0206】
バイオマーカー
骨関連障害の治療では、子宮内および新生児の長骨成長測定や、CNP、cGMP、コラーゲンII、コラーゲンX、オステオカルシン、増殖細胞核抗原(PCNA)などの骨成長バイオマーカーの測定など、成長の指標を測定できる。
【0207】
1つのCNPシグナル伝達マーカーはcGMP(グアノシン3’、5’環状モノホスフェート)である。この細胞内シグナル伝達分子のレベルは、CNPがその同族受容体NPR-Bに結合して活性化した後に増加する。cGMPのレベルの上昇は、CNP曝露後の細胞培養抽出物(インビトロ)、CNP曝露後の骨外植物研究(エクスビボ)からの馴化培地、およびCNP皮下、静脈内、または当技術分野で知られている他の投与経路を介しての投与から数分以内の血漿(インビトロ)から測定できる。
【0208】
軟骨および骨に特異的な分析物(または軟骨および骨に関連するマーカー)を測定して、CNPの効力を評価することもできる。例えば、切断されたコラーゲンタイプIIの断片は、軟骨ターンオーバーの軟骨特異的マーカーである。II型コラーゲンは軟骨の主要な有機成分であり、II型コラーゲンの断片(切断されたコラーゲン)は循環系に放出され、軟骨ターンオーバーに続いて尿中に分泌される。軟骨の代謝回転は、新しい骨の形成に先行する。
【0209】
測定可能な骨形成の骨特異的バイオマーカーは、I型プロコラーゲン(PINP)のN末端プロペプチドである。I型コラーゲンは骨基質の主要な有機成分であるため、I型コラーゲンの合成は骨形成の重要なステップである。コラーゲン合成中に、プロペプチドはプロコラーゲン分子から放出され、血清中で検出することができる。さらに、I型コラーゲンの断片は骨吸収のマーカーとして測定できる。
【0210】
軟骨および骨の形成および成長に関する他の潜在的なバイオマーカーには、アグリカンコンドロイチンスルフェート(軟骨ターンオーバーの軟骨特異的マーカー)、II型コラーゲンのプロペプチド(軟骨形成の軟骨特異的マーカー)、アルカリホスファターゼ(骨特異的)およびオステオカルシン(骨形成のための骨特異的マーカー)が含まれる。軟骨および骨に関連するバイオマーカーは、例えば、市販のキットを使用して、効力/薬力学的インビボ研究からの血清中およびエクスビボ研究の馴化培地から測定することができる。
【0211】
一実施形態において、骨および軟骨の形成とインビボでの成長に対するCNP組成物の効果を監視するために、本明細書に記載のCNP塩または徐放組成物を投与された対象において、少なくとも1つの骨または軟骨関連バイオマーカーのレベルがアッセイまたは測定される。例えば、少なくとも1つの骨または軟骨に関連するバイオマーカーのレベルの増加は、CNP塩または徐放組成物の投与が骨の成長にプラスの効果をもたらし、CNP活性の低下に関連する骨格異形成および他の骨または軟骨関連の疾患または障害の有用な治療であることを示している可能性がある。例示的な骨または軟骨関連バイオマーカーには、CNP(例えば、内因性レベルのCNP)、cGMP、コラーゲンタイプIIのプロペプチドおよびそのフラグメント、コラーゲンタイプIIおよびそのフラグメント、オステオカルシン、増殖細胞核抗原(PCNA)、I型プロコラーゲン(PINP)のプロペプチドおよびその断片、I型コラーゲンおよびその断片、アグリカンコンドロイチンスルフェート、ならびにアルカリホスファターゼが含まれるが、これらに限定されない。
【0212】
様々な実施形態において、バイオマーカーは、CNP塩または徐放組成物が投与される、投与されている、または投与された対象から生物学的サンプルを取得することによって測定される。バイオマーカーは、ウエスタンブロット、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、および酵素活性アッセイを含むがこれらに限定されない、当技術分野で知られている技術を使用して測定することができる。生物学的サンプルは、血液、血清、尿、または他の体液である可能性がある。
【0213】
本開示のさらなる態様および詳細は、限定的ではなく例示的であることが意図される以下の実施例から明白であろう。
【実施例】
【0214】
例1:疎水性CNP塩の生成
親水性ペプチドCNPを疎水性対イオンと錯体化してその電荷を安定化することが治療目的のCNPの配合物を改善するのに有効かどうかを判断するために、他のイオン成分と組み合わせてCNPの静電荷を変更する実験を行った。
【0215】
CNPペプチドおよび疎水性対イオン種の静電錯体形成を最適化し、ペプチド錯体の沈殿を制御するには、溶液環境で両方の種の大集団をイオン化できるようにする必要がある。両方の溶液のpHを10(CNPのpI)と対イオンの酸性pKa(例えば、対イオン種のオレイン酸の例のpKaは約4~5)の中間値に調整することは、ペプチド錯体の収量にとって重要である。
【0216】
CNPバリアントを含む疎水性CNP塩を生成するには、CNP-アセテートを水または緩衝液に入れる。最初の実験では、水中に20mg/mLのCNPを含むストック溶液を調製した。100mM Tris、pH9.00も溶媒として有効である。パモ酸二ナトリウム、オレイン酸、またはドキュセートナトリウムを、CNP上の反対に帯電した基の数よりもモル過剰、この場合はCNPに対して12モル過剰の対イオンの濃度で緩衝液に入れた。CNPにはpH7で6つの正に帯電した基があり、これは正に帯電した基の数の2倍過剰である。緩衝液(76mM酢酸緩衝液pH4.84および100mMリン酸緩衝液pH6.61)では、対イオンは容易に溶解せず、緩衝液に不溶性または低溶解性の対イオンの懸濁液を形成することがわかったが、水および100mM Tris pH9.00対イオンでは、オレイン酸、パモ酸二ナトリウム、およびドキュセートナトリウムは可溶性であった。
【0217】
塩の沈殿を促進するために金属カチオンを添加した場合、金属カチオンを水に溶解し、対イオン溶液ではなくCNP溶液に添加した場合、金属カチオンを対イオンに直接添加すると、対イオン溶液の沈殿が誘発されることが観察された。少量をCNP溶液に加えることができ、濃度またはpHを著しく変化させないように、金属カチオン溶液(例えば、ZnCl2)を高濃度(>100mg/mL)で水に溶解した。金属カチオンは様々な濃度で添加できるが、最初の実験では、CNP濃度に対して4モル過剰で添加された(CNPには2つの負に帯電したアミノ酸があり、これは1モルの負に帯電したアミノ酸当たり2モルの亜鉛になるように添加された)。次に、対イオン溶液を、金属カチオンを含むまたは含まないCNP溶液に滴下して添加し、添加するたびに、チューブを最高設定で1秒間ボルテックスした。
【0218】
対イオンに対するCNPの望ましい比率になるように十分な溶液を加えた後、反応管を10,000xgの遠心分離機で5分間回転させて、塩の沈殿物をペレット化した。回転後、上澄みを除去し、除去した上澄みと等量の水を加え、ペレットを再懸濁した。今回は、チューブを7500xgで3~5分間回転させ、塩がペレット化するのを観察できた。回転後、塩ペレットを再び水で洗浄し、再懸濁した。チューブを再度回転させ、上澄みを除去した。次に、内容物をバイアル(例えば、6Rホウケイ酸ガラスバイアル)に移し、栓をして、凍結し、凍結乾燥した。
【0219】
次に、その後の塩粉末を様々な緩衝液への溶解度について評価した。最初に、約1mgの粉末をチューブに量り取り、適切な量の溶媒を加えて1mg/mLにした。チューブを約37℃で一晩揺り動かしたままにした。オレイン酸塩は20%酢酸に溶解することがわかった。パモ酸塩はジメチルスルホキシド(DMSO)に可溶であった。
【0220】
これらの実験は、水不溶性/低溶解性凝集体への直径5ナノメートル~1ミリメートルの範囲のサイズの高水溶性ペプチドの沈殿が可能であることを示す。
【0221】
例2--CNP塩の特性評価
CNPの疎水性塩を実施例1のように作製し、沈殿および溶解度について試験した。表1は、様々な疎水性対イオンと錯体形成したCNPが沈殿または固体の形成をもたらすことを示す。
【表1】
【0222】
溶解研究も塩沈殿物を用いて実施された。1mgのCNP塩を50mLの1XPBS、pH6.5に37℃に再懸濁し、固体の溶解とCNPの溶液への放出を7日間測定した。緩衝剤は毎日交換しなかった。
図1A~1Dおよび
図2は、疎水性塩の溶解がCNP-アセテート組成物の溶解よりも遅いことを示す。
【0223】
例3:ヘテロ接合NPR2変異はCNP治療に反応する
NPR2変異に起因する低身長の対象に対するCNPの効果を決定するために、NPR2変異の細胞モデルが開発された。分析された例示的なNPR2変異を
図5に示す。NPR2遺伝子のノックアウトまたはヘテロ接合性の機能喪失変異を有するラット軟骨肉腫(RCS)細胞は、125ngのNPR2バリアントまたはRCSまたはHEK293細胞にトランスフェクトされた野生型NPR2プラスミドDNAを使用したRCS細胞へのRNPトランスフェクションによって作製された。単一細胞クローンを播種し、サンガー配列決定によって遺伝子型を決定した。細胞モデルは、様々な変異の公開されたcGMP表現型を再現することができる。
【0224】
NPR2クローンは、RCS細胞のNPR2の最初のエクソンに挿入と削除を作成することによって作成された。NPR2の最初のエクソンの配列は、次世代配列決定によって確認され、
図4に示されている。NPR2変異細胞は、6nMのPro-Gly CNP37で処理した後、CatchPoint環状-GMP蛍光アッセイを使用したcGMP刺激アッセイによってCNP投与に応答する活性について試験された。簡単に説明すると、NIH3T3細胞(ATCC、CRL-1658)およびNPRでトランスフェクトされたHEK293細胞を、96ウェルプレート(96ウェルブラックイメージングプレート、Grenier、#655090)に60,000細胞/ウェルで播種した。RCS(ラット軟骨肉腫)細胞を40,000細胞/ウェルで播種した。培地は次のとおりである。NIH3T3培地:DMEM高グルコース、ピルビン酸塩(Thermo、11995-073)+10%FBS+1xPenStrep(P/Sと略記、Thermo、カタログ番号15140122)。NIH3T3は、cGMPアッセイHEK293培地の対照系であった:EMEM+10%FBS+1xP/S+1xGMAX。RCS培地:DMEM+10%FBS+1xPenStrep。無血清NIH3T3培地:IBMX(CAS28822-58-4)で細胞を処理するためのDMEM+1xP/S、BSAを含む無血清NIH3T3培地:CNPで細胞を処理するためのDMEM+1xP/S+0.5mg/mL BSA(Thermo、A9418-100G)。
【0225】
細胞を37℃および5%CO2で24時間インキュベートした。CNPバリアントで処理する細胞の場合、プレートを使用の15分前にIBMX(Enzo life sciences、89161-340、1g)で前処理した。IBMXは、ホスホジエステラーゼの強力な非特異的阻害剤である。IBMXの800mMストック溶液をIBMX希釈培地(無血清培地(1xPBSと1:1で混合したDMEM+1xPBS))で0.75mMワーキングストックに希釈する。
【0226】
細胞処理のために、細胞をインキュベーターから取り出し、増殖培地を細胞から取り出し、細胞をIBMXで処理した。80μLの0.75mM IBMXを各ウェルに添加し、細胞を37℃のインキュベーターに15分間戻した。15分後、CNP(40μL/ウェル)を各試験ウェルに加え、細胞を37℃のインキュベーターに15分間戻す。プレートを軽くたたいて混合し、Solentimセルメトリックで画像化して細胞を視覚化し、細胞が浮き上がっているかどうかを判断してから、37°Cのインキュベーターに戻した。
【0227】
反応を停止し、40μLの溶解緩衝液(cGMPキットから)を添加して細胞を溶解した。プレートをシェーカーに5分間置き、溶解を完了した。細胞溶解物をcGMPアッセイで使用した。
【0228】
cGMPアッセイは、cGMPキャリブレーター、ウサギ抗cGMP抗体、および製造業者のプロトコルに従って調製されたHRP-cGMPを使用して実施された。40μLのキャリブレーターを抗cGMP抗体でコーティングされ播種されたウェルに添加し、分析対象のライセート40μLを適切なウェルに添加した。40μLの再構成ウサギ抗cGMP抗体をすべてのウェルに添加し、プレートをシェーカーに5分間置いて混合した。40μLの再構成されたHRP-cGMPを各ウェルに加え、室温で2時間インキュベートした。プレートを手動で吸引し、300μLの洗浄緩衝液で4回洗浄した。100μLのストップライトレッド基質を各ウェルに加え、プレートを覆い、光から保護し室温で少なくとも10分間放置した。プレートは、Spectramax Mまたは同様の機器で、励起530nmおよび発光590nmでの蛍光強度について読み取られた。
【0229】
図3は、外因性Pro-Gly-CNP37バリアントを追加すると、NPR2+/-ラット軟骨肉腫細胞モデルでcGMPの読み取りが救済されることを示す。以前の活性化データは、PRKG2の活性化について40~360nMの範囲のcGMP EC50を報告している(Campbell et al.,ACS Chem Biol 12,2388-2398,2017)、Vaandrager et al.,J Biol Chem 272,11816-23,1997)、Pohler et al.,FEBS Lett 374,419-25,1995)。ヘテロ接合型NPR2ノックアウト細胞では、CNP用量>0.163nMで、PRKG2活性化cGMPのEC50範囲を超える細胞内濃度を達成できる(
図1)。一方、野生型細胞では、0.040nMのCNP用量で同じcGMP濃度を達成できる。これらの結果は、CNP補給が、NPR2の機能喪失型変異を有する細胞におけるPRKG2の活性化および増殖に必要なcGMPレベルを達成できることを示す。
【0230】
これらの結果はまた、CNPバリアントの投与が、NPR2の活性が低下している低身長の被験者の骨成長を回復するのに有用であることを示唆している。さらに、CNPバリアントによる治療は、cGMPシグナル伝達が損なわれる可能性がある他の成長板遺伝子に変異を有する対象において有益であると考えられる。
【0231】
例4:低身長に関連する変異の同定
遺伝的に駆動される双方向効果の明確な証拠を示す遺伝子は、幅広い患者集団で効果的に調節できる治療標的を表す可能性が高いと仮定されている。成長のコアレギュレーターである遺伝子を特定するために、ゲノムワイド関連解析(GWAS)からの遺伝子のリストを含む、5つの遺伝子リストの共通部分を分析した。コア成長レギュレーターは、双方向効果(すなわち、低身長または骨格異形成および高身長または過成長)を伴うまれなコーディング変異を含む可能性が最も高いであろう。
【0232】
照会されたデータベースには次のものが含まれる。GWAS:約700,000人の個体を使用した身長の大規模なGWASメタ分析によって報告された3,290の独立した遺伝的バリアントの各々について2,067の非反復の最も近い遺伝子が抽出された。HGMD:HGMDバージョンv2019_2の「allmut」テーブルを照会して、同じ遺伝子に「低身長」と「高身長または過成長」のいずれかを持つ「DM」とラベル付けされたすべての病原性バリアントを探した。OMIM:成長障害に関連するOMIM遺伝子のリストは以前に説明されており、低身長、過成長、骨格異形成、短指症というキーワードを使用して作成された。
【0233】
最初に、ヒト遺伝子変異データベース(HGMDバージョンv2019_2)で、低身長または高身長に関連する遺伝子が照会された(Stenson et al.,Hum Genet 136:665-677,2017)。「低身長」を引き起こすと文献で報告されている少なくとも1つの病原性バリアントと注釈が付けられた47の遺伝子があった。高身長または過成長遺伝子として注釈が付けられたのは20個の遺伝子だけであった。次に、キーワード:低身長、過成長、骨格異形成、短指症を使用して作成された258個のOMIM遺伝子の手動でキュレートされたリスト(低身長248個、高身長20個)が使用された(Wood et al.,Nat Genet 46:1173-86,2014)。三番目に、これらのリストの共通部分をGWASの遺伝子リストと比較した。これらのリストの共通部分には、身長に関連することが知られている3つの遺伝子(IGF1R、NPPC、NPR2)があり、さらに2つの遺伝子(FGFR3、SHOX)が特定された。
【0234】
追加の分析により、身長が大幅に減少し(β=-0.20、95%CI[-0.26~-0.14]、p=4.04x10-11)、特発性低身長のリスクが大幅に増加(ISS)(OR=2.75、95%CI[1.92~3.96]した5つのコア遺伝子の新しいグループが生成された。コア5遺伝子(FGFR3、IGF1R、NPPC、NPR2、およびSHOX)の各々は、個別に検討した場合は身長に関連し、他の変異と組み合わせた場合は低身長にも関連していた。FGFR3、IGF1R、NPPC、NPR2、およびSHOXの変異の例を
図6に示す。
【0235】
NPR2とIGF1RのLoF(機能喪失)とミスセンスバリアントの組み合わせも、ISSのリスク増加と関連していた(それぞれOR=3.31、P=0.001、OR=2.85、P=0.002)。SHOX、IGF1R、NPPC、NPR2のタンパク質機能の喪失を引き起こす遺伝子全体の欠失および/または変異は、様々な程度の重症度の家族性低身長で報告されている。
【0236】
分析は、5つのコア遺伝子のいずれかのバリアントの保因者はISSのリスクがおよそ3倍高く、ISSの総人口の6.7%を占めることを示す。さらに、外因性CNPを追加した後のNPR2ハプロ不全の細胞モデルにおけるNPR2シグナル伝達の用量依存的な救済が実証された。
【0237】
オムニジェニックモデル(Liu、et al.,Cell 177:1022-1034 e6(2019)、Boyle et al.,Cell 169:1177-1186(2017))によると、これらの遺伝子がコアヒト成長遺伝子である場合、それらの効果は調節ネットワークを駆動する複数のより弱い一般的な遺伝子バリアントによって調節されるべきである。この仮説を間接的に試験するために、英国バイオバンクプロジェクトからのサンプルを含まない身長に関する公開された最大のGWASメタ分析を使用して、身長の多遺伝子リスクスコア(PRS)を計算した。コホートは、5つの同じサイズ(n=6,824)のPRS五分位数に分割された(PRS1が最低の身長、PRS5が最高の身長)。PRSスコアの増加と平均身長との間には用量依存的な関係があった(PRS五分位の増加ごとにβ=0.30)(
図7A)。5つのコア遺伝子のLoFバリアントの保因者は、5つの異なるPRSバックグラウンド全体で非保因者よりも一貫して短かった。
図7を参照されたい。データは、PRSとまれなタンパク質バリアントの複合効果が相加モデルと一致していることを示唆している:多遺伝子性効果は、保因者と非保因者の両方で身長を調節した。
【0238】
PRSグループにわたるISSのリスクは、PRS=3を参照として使用して計算された。最も低いPRSグループはISSのリスクの増加と関連し、最も高いPRSグループはリスクの減少と関連していた(PRS1およびPRS5についてそれぞれOR=5.43、P=8.58x10-34、OR=0.22、P=4.49x10-7)。5つのコア遺伝子のまれなコーディングバリアントの効果は、PRSグループによって層別化されたISSについて評価された。5つのコア遺伝子のいずれかの保因者は、最初の3つの五分位でISSのリスクが高かった(OR=2.64、P=3.09x10-5、OR=2.17、P=0.04、OR=5.29、P=1.58x10-5、OR=2.72、P=0.09
図7C~F)。PRSによって層別化されたISSリスクに対する各個々のコア遺伝子の保因者について、一貫した影響の方向が観察された(
図7C~F)。
【0239】
さらに、PRSの相加効果は、主に個々の小さな効果を伴う複数の一般的な遺伝的変異に由来し、データセットの身長の分散の20.1%を予測した。PRSのこれらの相加効果は、コア遺伝子のまれなコーディング変異のキャリアおよび非キャリアに対して同様の大きさを持っているように見えた。この観察結果は、PRSがまれな病原性バリアントの浸透度の違いに大きく寄与する可能性があることを示す(特に、ここで説明するようなハプロ不全のモデルにおいて)。この考えを支持して、低いNPR2活性を持つ8つのNPR2バリアントキャリアのうちの2つが低い通常の身長を有することが観察された。このデータは、NPR2に変異を有するほとんどのISS個体が、NPR2活性を失うという病原性の影響を受けやすくなる多遺伝子性の背景を持っている可能性があることを示唆している。
【0240】
これらの結果は、CNPベースの治療がNPR2ハプロ不全患者集団に有効である可能性があるという考えを支持している。さらに、一般集団のNPR2保因者におけるcGMPレベルと身長の有意な双方向(LoFおよびGoF)相関を示す結果は、この受容体をCNP類似体で標的化することがすべてのISS個体にとって効果的な治療法である可能性があることを示唆している。
【0241】
例5:インビトロでのCNP塩の放出プロファイル
疎水性CNP塩の放出分析も実施された。簡単に説明すると、15mLの媒体中に、Pro-Gly-CNP37 ZnパモエートおよびPro-Gly-CNP37Zn-オレエートを新たに作成し、それが作られた同じ日に、250RPMで回転するインペラー、温度制御設定値37.4°Cの溶解装置であるPionmicroDissに入れた。24時間ごとに4日間、容器の内容物をVWRポリプロピレン「Falcon」チューブに移し、4000xgで30分間スピンダウンし、RP-UPLCサンプルを採取/凍結し、固形物を新鮮な培地(15mL)に再懸濁した。塩をRP-UPLCでシグナルを取得し、検量線との比較から濃度を取得した。放出された塩のパーセントは、放出された質量を、塩の製造に使用された初期質量のPro-Gly-CNP37と比較することによって得られた。
【0242】
図8Aおよび
図8Bは、7日間にわたるCNPペプチド塩の累積放出プロファイルを、CNPペプチド塩の総量のパーセンテージとして示す。
【0243】
上記のプロトコルを使用して、追加の放出プロファイルが実行された。約16.6mgのPro-Gly-CNP37-アセテート(塩を作るための出発物質)またはPro-Gly-CNP37Zn-パモエート塩を各ウェルに入れた。CNP塩を作成し、凍結乾燥し、密封し、使用前に4℃で保存した。CNPアセテート対照の場合、1xPBSの容器1、1xPBS+0.05%PS80の容器5。24時間ごとに7日間、容器の内容物をVWRポリプロピレン「ファルコン」チューブに移し、4000xgで30分間スピンダウンし、UPLCサンプルを採取/凍結し、固形物を新鮮な培地(15mL)に再懸濁した。CNP塩をRP-UPLCで分析し、シグナルと検量線との比較から得られた濃度を取得した。7日間の累積放出プロファイルを
図9Aおよび9Bに示す。
【0244】
Pro-Gly-CNP-37-ドキュセートおよびPro-Gly-CNP-37-Zn-ドキュセート塩は、解離のためのPionで使用する前に、新たに生成するか、作成して凍結乾燥し、ガラスバイアルに密封した。24時間ごとに4日間、容器の内容物をVWRポリプロピレン「ファルコン」チューブに移し、4000xgで30分間スピンダウンし、サンプルを採取/凍結し、固形物を新鮮な培地(15mL)に再懸濁した。塩をLC-MSで分析して定量し、溶解容器に入れられた最初の塩と比較し、放出された塩の割合を調べた。
【0245】
図10A~10Cは、4日間(
図10A)または7日間(
図10Bおよび10C)にわたるドキュセート塩の累積放出プロファイルを示す。
【0246】
例6:インビボでのCNP塩の放出プロファイル
次に、サンプル塩であるCNP-パモエートの放出プロファイルを、CNP塩の皮下注射後7日間にわたってラットのインビボでの放出プロファイルについて分析した。
【0247】
図11は、7日間にわたる塩から血漿へのPro-Gly-CNP37の放出プロファイルを示す。塩の放出は、24時間にわたる最初のバーストとして観察され、時間の経過とともにいくらかの塩の放出が見られた。
【0248】
本明細書の任意の単一の実施形態は、本明細書の任意の1つ以上の他の実施形態からの1つ以上の要素で補足され得る。
【0249】
したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲、上記の説明、次の番号の節、および/または添付の図面によって定義される本発明の精神および範囲内にあるすべての変更を網羅することを意図していることが理解される。
【0250】
実施形態の例:
節1.静電的に帯電したペプチドの塩を含む組成物であって、疎水性の対イオンと錯体形成している静電的に帯電したペプチドを含む、組成物。
【0251】
節2.疎水性対イオンが非共有結合を介して錯体形成している、節1に記載の組成物。
【0252】
節3.疎水性対イオンが、切断可能なリンカーを介して静電的に帯電したペプチドと錯体形成している、節1に記載の組成物。
【0253】
節4.塩がペプチド-対イオン錯体と錯体形成したカチオンをさらに含む、節1~3のいずれか1つに記載の組成物。
【0254】
節5.静電的に帯電したペプチド、疎水性対イオン、およびカチオンが非共有結合を介して錯体形成している、節4に記載の組成物。
【0255】
節6.カチオンが+2、+3または+4の電荷を有する、節4または5に記載の組成物。
【0256】
節7.カチオンが金属カチオンである、節4~6のいずれか1つに記載の組成物。
【0257】
節8.カチオンがベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)からなる群から選択される、節4~7のいずれか1つに記載の組成物。代替の実施形態において、カチオンがベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、タリウム(Ti)、バナジウム(V)、および金(Au)からなる群から選択される、節4~7のいずれか1つに記載の組成物が提供される。
【0258】
節9.疎水性対イオンが約0~約10のcLogPを有するか、または約-2~約5のpKaを有するか、またはその両方を有する、節1~8のいずれか1つに記載の組成物。
【0259】
節10.疎水性対イオンが、約2~約9のcLogPおよび約5未満のpKaを有する、節1~9のいずれか1つに記載の組成物。
【0260】
節11.疎水性対イオンがパルミテート、デオキシコレート、オレエート、パモエート、ニコチネート、ドデシルスルフェート、ドキュセート、ミスチリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルイノシトール(PL)、ホスファチジン酸、デカン酸ナトリウム、2-ナフタレンスルホン酸ナトリウム、1-ヘプタンスルホン酸ナトリウム1-オクタンスルホン酸ナトリウム一水和物、1-デカンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムからなる群から選択される、節1~10のいずれか1つに記載の組成物。代替の実施形態において、疎水性対イオンがパルミテート、デオキシコレート、オレエート、パモエート、ニコチネート、ドデシルスルフェート、ドキュセート、ミスチリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルイノシトール(PL)、ホスファチジン酸、デカン酸ナトリウム、2-ナフタレンスルホン酸ナトリウム、1-ヘプタンスルホン酸ナトリウム1-オクタンスルホン酸ナトリウム一水和物、1-デカンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムおよびイオン性界面活性剤からなる群から選択される、節1~10のいずれか1つに記載の組成物が提供される。
【0261】
節12.ペプチド塩が固体、半固体、ゲル、結晶性、無定形、ナノ粒子、微粒子、アモルファスナノ粒子、アモルファス微粒子、結晶性ナノ粒子または結晶性微粒子の形態である、節1~11のいずれか1つに記載の組成物。
【0262】
節13.静電的に帯電したペプチドがC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)である、節1~12のいずれか1つに記載の組成物。
【0263】
節14.CNPがCNPバリアントである、節13に記載の組成物。
【0264】
節15.CNPが、
PGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Pro-Gly-CNP-37、配列番号1)
LQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-38)(配列番号2)、
QEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-37)(配列番号3)、
PNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-34)(配列番号4)およびそれらの薬学的塩、からなる群から選択される、節13または14に記載の組成物。
【0265】
節16.CNPがCNP-アセテートである節15に記載の組成物。
【0266】
節17.疎水性対イオンがオレエート、デオキシコレート、デカノエート、パモエート、ドキュセート、またはドデシルスルフェートである、節13~16のいずれか1つに記載の組成物。
【0267】
節18.カチオンが存在する場合、カチオンは亜鉛またはカルシウムである、節13~17のいずれか1つに記載の組成物。
【0268】
節19.賦形剤、希釈剤または担体をさらに含む、節1~18のいずれか1つに記載の組成物。
【0269】
節20.賦形剤、希釈剤または担体が薬学的に許容される賦形剤、希釈剤または担体である、節19に記載の組成物。
【0270】
節21.節1~20のいずれか1つに記載の組成物を含む無菌薬学的組成物。
【0271】
節22.静電的に帯電したペプチドの塩を含む延長放出組成物であって、塩が疎水性対イオンと錯体形成している静電的に帯電したペプチドを含む、延長放出組成物。
【0272】
節23.疎水性対イオンが非共有結合を介して錯体形成している、節22に記載の延長放出組成物。
【0273】
節24.疎水性対イオンが切断可能なリンカーを介して静電的に帯電したペプチドと錯体形成している、節23に記載の延長放出組成物。
【0274】
節25.塩がペプチド-対イオン錯体と錯体形成したカチオンをさらに含む、節22~24のいずれか1つに記載の延長放出組成物。
【0275】
節26.静電的に帯電したペプチド、疎水性対イオン、およびカチオンが非共有結合を介して錯体形成している、節25に記載の延長放出組成物。
【0276】
節27.カチオンが+2、+3または+4の電荷を有する、節26に記載の延長放出組成物。
【0277】
節28.カチオンが金属カチオンである、節25~27のいずれか1つに記載の延長放出組成物。
【0278】
節29.カチオンがベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)からなる群から選択される、節25~28のいずれか1つに記載の延長放出組成物。
【0279】
節30.疎水性対イオンが約0~約10のcLogPを有するか、または約-2~約5のpKaを有するか、またはその両方である、節22~29のいずれか1つに記載の延長放出組成物。
【0280】
節31.疎水性対イオンが約2~約9のcLogPおよび約5未満のpKaを有する、節22~30のいずれか1つに記載の延長放出組成物。
【0281】
節32.疎水性対イオンがパルミテート、デオキシコレート、オレエート、パモエート、ニコチネート、ドデシルスルフェート、ドキュセート、ミリステート、パルミテート、ステアレート、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルイノシトール(PL)、ホスファチデート、デカノエート、2-ナフタレンスルホネート、1-ヘプタンスルホネート、1-オクタンスルホネート一水和物、1-デカンスルホネート、ドデシルスルフェート、デキストランスルフェート、およびドデシルベンゼンスルホネートからなる群から選択される、節22~31のいずれか1つに記載の延長放出組成物。
【0282】
節33.CNP塩が固体、半固体、ゲル、結晶性、アモルファス、ナノ粒子、微粒子、アモルファスナノ粒子、アモルファス微粒子、結晶性ナノ粒子または結晶性微粒子の形態である、節22~32のいずれか1つに記載の延長放出組成物。
【0283】
節34.静電的に帯電したペプチドがC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)である、節22~33のいずれか1つに記載の延長放出組成物。
【0284】
節35.CNPがCNPバリアントである、節34に記載の延長放出組成物。
【0285】
節36.CNPが、
PGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Pro-Gly-CNP-37、配列番号1)
LQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-38)(配列番号2)、
QEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-37)(配列番号3)、
PNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-34)(配列番号4)、およびそれらの薬学的塩、からなる群から選択される、節34または35に記載の組成物。
【0286】
節37.CNPがCNP-アセテートである、節36に記載の延長放出組成物。
【0287】
節38.疎水性対イオンがオレエート、デオキシコレート、デカノエート、パモエート、ドキュセート、またはドデシルスルフェートである、節34~37のいずれか1つに記載の延長放出組成物。
【0288】
節39.カチオンが存在する場合、カチオンは亜鉛またはカルシウムである、節34~38のいずれか1つに記載の延長放出組成物。
【0289】
節40.ペプチド塩固体、半固体、ゲル、結晶性、アモルファス、ナノ粒子、微粒子、アモルファスナノ粒子、アモルファス微粒子、結晶性ナノ粒子または結晶性微粒子が水溶液または油中に再懸濁される、節33~39のいずれか1つに記載の延長放出組成物。
【0290】
節41.水溶液が水、食塩水、または緩衝液である、節40に記載の延長放出組成物。
【0291】
節42.油がトリグリセリドまたは脂肪酸を含む、節40に記載の延長放出組成物。
【0292】
節43.脂肪酸が飽和または不飽和である、節42に記載の延長放出組成物。
【0293】
節44.脂肪酸がC-6~C-20脂肪酸である、節42または43に記載の延長放出組成物。
【0294】
節45.脂肪酸がヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、またはドデカン酸である、節42~44のいずれか1つに記載の延長放出組成物。
【0295】
節46.pH7~7.6において、(i)ペプチドの20%未満が1日目までに放出され、
ii)ペプチドの約90%が7日目までに放出されるか、またはペプチドの約90%が14日目までに放出されるか、またはペプチドの約90%が31日目までに放出される、節22~45のいずれか1つに記載の延長放出組成物。
【0296】
節47.pH7~7.6において、ペプチドの約20%未満が1日目までに放出される、節22~46のいずれか1つに記載の延長放出組成物
【0297】
節48.pH7~7.6において、ペプチドの約90%が7日目までに放出される、節22~47のいずれか1つに記載の延長放出組成物。
【0298】
節49.pH7~7.6において、ペプチドの約90%が30日目までに放出される、節22~47のいずれか1つに記載の延長放出組成物。
【0299】
節50.賦形剤、希釈剤または担体をさらに含む、節22~49のいずれか1つに記載の延長放出組成物。
【0300】
節51.賦形剤、賦形剤、希釈剤または担体が、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤または担体である、節50に記載の延長放出組成物。
【0301】
節52.節22~51のいずれか1つに記載の延長放出組成物を含む無菌薬学的組成物。
【0302】
節53.
a)水溶液中の静電的に帯電したペプチドを溶液中の疎水性対イオンと接触させることと、
b)静電的に帯電したペプチド溶液を、ペプチドと対イオンが錯体形成するのに十分な様式で疎水性対イオン溶液と混合することであって、ペプチド-対イオン錯体の形成は、ペプチド塩を含む固体、半固体、ゲル、結晶、アモルファス、ナノ粒子、マイクロ粒子、アモルファスナノ粒子、アモルファスマイクロ粒子、結晶性ナノ粒子、または結晶性マイクロ粒子形態の形成をもたらす、混合することと、を含む、静電的に帯電したペプチドの塩を含む組成物を作製する方法。
【0303】
節54.任意選択で、ステップ(b)の前に、溶液中の静電的に帯電したペプチドを水溶液中のカチオンと接触させ、ペプチド-カチオン錯体を形成することを含む、節53に記載の方法。
【0304】
節55.ステップ(c)ペプチド塩を緩衝液または水中で洗浄することをさらに含む、節53または54に記載の方法。
【0305】
節56.ステップ(d)遠心分離によってペプチド塩を得てペプチド塩ペレットを形成することをさらに含む、節55に記載の方法。
【0306】
節57.ステップ(e)ペプチド塩ペレットから水を除去することをさらに含む、節56に記載の方法。
【0307】
節58.ペレットを水溶液または油に再懸濁することをさらに含む、節57に記載の方法。
【0308】
節59.ペプチド:疎水性対イオン比が1:1~1:20である、節53~58のいずれか1つに記載の方法。
【0309】
節60.ペプチド:カチオン比が1:1~1:10である、節54~59のいずれか1つに記載の方法。
【0310】
節61.疎水性対イオンが非共有結合を介して錯体形成する、節53~60のいずれか1つに記載の方法。
【0311】
節62.疎水性対イオンが、切断可能なリンカーを介して静電的に帯電したペプチドと錯体形成する、節61に記載の組成物。
【0312】
節63.塩がペプチド-対イオン錯体と錯体形成したカチオンをさらに含む場合、カチオンは共有結合または非共有結合、あるいはそれらの混合を介して錯体形成する、節54~62のいずれか1つに記載の方法。
【0313】
節64.カチオンが非共有結合を介してペプチド-疎水性対イオン錯体と錯体形成する、節63に記載の方法。
【0314】
節65.静電的に帯電したペプチド、疎水性対イオン、およびカチオンが非共有結合を介して錯体形成する、節63または64に記載の組成物。
【0315】
節66.カチオンが+2、+3または+4の電荷を有する、節54~65のいずれか1つに記載の方法。
【0316】
節67.カチオンが金属カチオンである、節54~66のいずれか1つに記載の方法。
【0317】
節68.カチオンがベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、および金(Au)からなる群から選択される、節54~67のいずれか1つに記載の方法。さらに企図されるのは、カチオンがベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)からなる群から選択される、節54~67のいずれか1つに記載の方法である。
【0318】
節69.疎水性対イオンが約0~約10のcLogPを有するか、または約-2~約5のpKaを有するか、またはその両方である、節46~58のいずれか1つに記載の方法。
【0319】
節70.疎水性対イオンが約2~約9のcLogPおよび約5未満のpKaを有する、節53~69のいずれか1つに記載の方法。
【0320】
節71.疎水性対イオンがパルミテート、デオキシコレート、オレエート、パモエート、ニコチネート、ドデシルスルフェート、ドキュセート、ミスチリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルイノシトール(PL)、およびホスファチデートからなる群から選択される、節53~70のいずれか1つに記載の方法。
【0321】
節72.静電的に帯電したペプチドが、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)である、節53~71のいずれか1つに記載の方法。
【0322】
節73.CNPがCNPバリアントである、節72に記載の方法。
【0323】
節74.CNPが、
PGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Pro-Gly-CNP-37、配列番号1)
LQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-38)(配列番号2)、
QEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-37)(配列番号3)、
PNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-34)(配列番号4)、
およびそれらの塩、からなる群から選択される、節72または73に記載の方法。
【0324】
節75.CNPがCNP-アセテートである、節74に記載の方法。
【0325】
節76.疎水性対イオンがオレエート、デオキシコレート、デカノエート、パモエート、ドキュセートまたはドデシルスルフェートである、節72~75のいずれか1つに記載の方法。
【0326】
節77.カチオンが存在する場合、カチオンが亜鉛またはカルシウムである、節72~76のいずれか1つに記載の方法。
【0327】
節78.節1~52のいずれか1つに記載のC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)の疎水性塩を含む組成物を対象に投与することを含む、骨関連障害または骨格異形成の治療を必要とする対象において骨関連障害または骨格異形成を治療する方法。
【0328】
節79.骨関連障害または骨格異形成症が、骨関節炎、低リン酸血症性くる病、軟骨無形成症、軟骨低形成症、低身症、小人症、骨軟骨異形成症、致死性異形成症、骨形成不全症、軟骨無発生症、点状軟骨異形成症、同型接合性軟骨形成不全症、点状軟骨異形成症、彎曲肢異形成症、先天性致死性低ホスファターゼ症、周産期致死型骨形成不全症、短肋軟骨無形成症、低軟骨低形成症、肢根型点状骨端異形成、ヤンセン型骨幹端異形成症、先天性脊椎骨端骨異形成症、成長不全性骨形成症、捻曲性骨異形成症、先天性短大腿骨症、ランガー型中脚不形成症、ニーバーゲルト型中脚異形成症、ロビンノウ症候群、ラインハルト症候群、先端異骨症、末梢異形成症、ニースト異形成症、線維軟骨形成症、ロバーツ症候群、遠位中間肢異形成症、短肢症、モルキオ症候群、ニースト症候群、複合有機栄養性異形成、および脊椎骨端骨幹端異形成、NPR2変異、SHOX変異(ターナー症候群/レリワイル)、PTPN11変異(ヌーナン症候群)、インスリン成長因子1受容体(IGF1R)変異、および特発性低身長からなる群から選択される、節78に記載の方法。
【0329】
節80.骨を伸ばすこと、または長骨の成長を増加させることを必要とする対象において骨を伸ばすまたは長骨の成長を増加させる方法であって、節1~52のいずれか1つに記載のC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)の塩を含む延長放出組成物を対象に投与することを含み、投与することが、骨を伸ばす、または長骨の成長を増加させる、方法。
【0330】
節81.CNPがCNPバリアントである、節78~80のいずれか1つに記載の方法。
【0331】
節82.CNPが、
PGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Pro-Gly-CNP-37、配列番号1)
LQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-38)(配列番号2)、
QEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-37)(配列番号3)、
PNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-34)(配列番号4)、
および、それらの塩、からなる群から選択される、節78~81のいずれか1つに記載の方法。
【0332】
節83.CNPがCNPアセテートである、節83に記載の方法。
【0333】
節84.組成物が皮下、皮内、関節内、経口、または筋肉内に投与される、節78~83のいずれか1つに記載の方法。
【0334】
節85.組成物が1日1回、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、6週間に1回、2ヶ月に1回、3ヶ月に1回、または6ヶ月に1回投与される、節78~84のいずれか1つに記載の方法。
【0335】
節86.組成物が延長放出組成物である、節78~85のいずれか1つに記載の方法。
【0336】
節87.疎水性対イオンと錯体形成したCNPペプチドを含む、C型ナトリウム利尿ペプチドの塩。
【0337】
節88.疎水性対イオンが非共有結合を介して錯体形成されている、節87に記載の塩。
【0338】
節89.疎水性対イオンが約2~約9のcLogPを有するか、または約5未満のpKaを有するか、あるいはその両方である、節87または88に記載の塩。
【0339】
節90.疎水性対イオンが約2~約9のcLogPおよび約5未満のpKaを有する、節87~89のいずれか1つに記載の塩。
【0340】
節91.疎水性対イオンがパルミテート、デオキシコレート、オレエート、パモエート、ニコチネート、ドデシルスルフェート、ドキュセート、ミスチリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルイノシトール(PL)、およびホスファチジン酸からなる群から選択される、節87~90のいずれか1つに記載の塩。
【0341】
節92.ペプチドおよび対イオンと錯体形成したカチオンをさらに含む、節87~91のいずれか1つに記載の塩。
【0342】
節93.カチオンが非共有結合を介して錯体形成している、節92に記載の塩。
【0343】
節94.カチオンが+2、+3または+4の電荷を有する、節92または93に記載の塩。
【0344】
節95.カチオンが金属カチオンである、節92~94のいずれか1つに記載の塩。
【0345】
節96.カチオンがベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、および金(Au)からなる群から選択される、節92~95のいずれか1つに記載の塩。さらに企図されるのは、カチオンがベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)からなる群から選択される、節92~95のいずれか1つに記載の塩である。
【0346】
節97.CNP塩が、固体、半固体、ゲル、結晶性、アモルファス、ナノ粒子、微粒子、アモルファスナノ粒子、アモルファス微粒子、結晶性ナノ粒子または結晶性微粒子の形態である、節87~96のいずれか1つに記載の塩。
【0347】
節98.CNPがCNPバリアントである、節87~97のいずれか1つに記載の塩。
【0348】
節99.CNPが、
PGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Pro-Gly-CNP-37、配列番号1)
LQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-38)(配列番号2)、
QEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-37)(配列番号3)、
PNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-34)(配列番号4)、および、それらの薬学的塩、からなる群から選択される、節87~98のいずれか1つに記載の塩。
【0349】
節100.CNPがCNP-アセテートである、節99に記載の塩。
【0350】
節101.疎水性対イオンがオレエート、デオキシコレート、デカノエート、パモエート、ドキュセートまたはドデシルスルフェートである、節87~100のいずれか1つに記載の塩。
【0351】
節102.カチオンが存在する場合、カチオンが亜鉛またはカルシウムである、節87~101のいずれか1つに記載の塩。
【0352】
節103.精製されている、節87~102のいずれか1つに記載の塩。
【0353】
節104.骨関連障害もしくは骨格異形成の治療に使用するため、または骨を伸ばすもしくは長骨の成長を増加させるための、節1~52または87~103のいずれか1つに記載の疎水性塩を含む組成物。
【0354】
節105.骨関連障害もしくは骨格異形成を治療するための、または骨を伸ばすもしくは長骨の成長を増加させるための薬剤の調製における、節1~52または87~103のいずれか1つに記載の疎水性塩を含む組成物の使用。
【0355】
節106.組成物が延長放出組成物である、節104または105に記載の組成物または使用。
【配列表】
【国際調査報告】