(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-18
(54)【発明の名称】ワークピースを加工する方法
(51)【国際特許分類】
B23K 26/53 20140101AFI20221011BHJP
【FI】
B23K26/53
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022508931
(86)(22)【出願日】2020-08-13
(85)【翻訳文提出日】2022-02-10
(86)【国際出願番号】 EP2020072754
(87)【国際公開番号】W WO2021028534
(87)【国際公開日】2021-02-18
(31)【優先権主張番号】102019121827.6
(32)【優先日】2019-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506065105
【氏名又は名称】トルンプフ レーザー- ウント ジュステームテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】TRUMPF Laser- und Systemtechnik GmbH
【住所又は居所原語表記】Johann-Maus-Strasse 2, D-71254 Ditzingen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マルテ クムカー
(72)【発明者】
【氏名】ミリアム カイザー
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AE01
4E168CB02
4E168DA02
4E168DA03
4E168DA04
4E168DA39
4E168DA45
4E168DA46
4E168EA17
4E168JA14
(57)【要約】
本発明は、ワークピース(1)を加工する方法に関し、方法は、レーザー放射によってワークピース(1)の材料内に複数の隣接する変更(2)を導入することと、主にレーザー放射によって変更済み材料を除去するために、第1の選択性を有する第1のエッチング工程においてワークピース(1)の材料をエッチングすることと、第1のエッチング工程の完了後、除去された変更済み材料間に残ったウェブを除去するために、第1の選択性とは異なる第2の選択性を有する第2のエッチング工程においてワークピース(1)の材料をエッチングすることと、からなるステップを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピース(1)を加工する方法であって、以下のステップ:
- レーザー放射によって前記ワークピース(1)の材料内に複数の隣接する変更(2)を導入することと、
- 主に前記レーザー放射によって変更された前記材料を除去するために、第1の選択性を有する第1のエッチング工程において前記ワークピース(1)の前記材料をエッチングすることと、
- 前記第1のエッチング工程の完了後、前記除去された変更済み材料間に残ったウェブを除去するために、前記第1の選択性とは異なる第2の選択性を有する第2のエッチング工程において前記ワークピース(1)の前記材料をエッチングすることと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1のエッチング工程及び前記第2のエッチング工程が、エッチング溶液の化学組成、温度、及び/若しくは濃度によって、並びに/又は超音波浴に導入される超音波出力によって異なる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の選択性及び前記第2の選択性が、少なくとも2倍、好ましくは100倍、より好ましくは10000倍異なる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の選択性が、前記第2の選択性よりも大きい、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ワークピース(1)の前記材料内に導入された前記変更(2)の少なくとも一部が、異なる長さを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記変更(2)が、前記レーザー放射の伝播方向で異なる長さを有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
複数の変更(2)が、輪郭に沿って互いに連続して前記ワークピース(1)の前記材料内に導入される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
各変更が前記ワークピース(1)の厚さにわたって拡大し、前記輪郭が閉じられ、前記第1及び第2のエッチング工程における前記エッチングが、前記輪郭で囲まれた前記材料の領域を除去する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の選択性が、前記第2の選択性よりも小さい、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ワークピース(1)の2つの部分が、高い選択性を有する前記第2のエッチング工程によって互いに分離され、前記第2のエッチング工程中に作成される前記分離エッジの丸みが、低い選択性を有する前記第1のエッチング工程によってもたらされる、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記第2のエッチング工程における前記材料の前記エッチングの完了後、それぞれが異なる選択性を有する、1つ以上の更なるエッチング工程が行われる、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記ワークピース(1)の前記材料が、前記レーザー放射の前記波長に対して透過性である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記変更(2)が、超短レーザーパルスによって前記ワークピース(1)の前記材料内に導入される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の方法によって生成された、複数の引き延ばされた穴を有するワークピース(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザーエッチングによって、特に、少なくとも1つの切り欠き又は開口部をワークピースに導入するための、ワークピースを加工する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザーエッチングでは、使用されるレーザー放射に対して透過性である材料が、1つ以上の超短レーザーパルスによって変更され、この焦点において、非線形に導入される吸収プロセス、例えば多光子吸収又はトンネルイオン化が発生する。それによって、材料の化学的及び/又は物理的特性が、材料がよりよくエッチングされ得るように変更される。後続のステップでは、変更済み材料は次いで、エッチングプロセスによって選択的に除去される。
【0003】
エッチング工程の選択性は、ここでは、変更済み材料の場合のエッチングレートと未変更材料の場合のエッチングレートとの間の比率を意味すると理解される。
【0004】
エッチング工程中に(よりゆっくりではあるが)未変更材料もまた除去される場合、1つのプロセスにおいて、導入された変更の形状によって、それのみで且つ直接、ワークピースに異なるサイズの正確な輪郭を作成することは可能ではない。
図1aに示されるように、材料厚さ全体にわたって完全に引き延ばされた変更を行うことにより、エッチング攻撃に応じて、透過性材料に異なるボイドを生成することができる。例えば、高い選択性を有する選択的エッチングステップでは、主に変更済み材料のみが攻撃され、未変更材料には最大限の耐性がある。このようにして、例えば、材料厚さ全体にわたって同じままである直径のスルーホールを、透過性材料で生成することができる(
図1bを参照)。高い選択性を有するエッチングステップの代わりに、変更後に低い選択性を有するエッチングステップが実施される場合、変更済み材料と(程度はより少ないが)非変更材料の両方をエッチングすることができる。このようにして、引き延ばされたレーザーによる変更から砂時計形状のスルーホールを作成することができる(
図1cを参照)。このプロセスでは、入口/出口からウエストまでの直径の比率を、エッチング時間により設定することができる。しかしながら、エッチング時間が長いと、エッチングステップの選択性が低くなることにより、材料厚さΔhの減少につながり得る。更に、エッチングアクセスが行われることで、表面近くのスルーホールの最小直径は、それに応じて材料厚さに依存する。
【0005】
(特許文献1)は、レーザーパラメータを変更することによって透過性材料に異なる変更を導入するレーザーエッチング用の方法を説明している。結果として、後続のエッチングステップにおいて、異なる選択性を、変更のタイプに応じて達成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2018/162385A1号パンフレット
【特許文献2】独国特許第102014116958B4号明細書
【特許文献3】国際公開第2016/079062A1号パンフレット
【特許文献4】欧州特許出願公開第1688807A1号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
既知の先行技術に基づいて、本発明の目的は、レーザーエッチングによってワークピースを加工する改善された方法を提供することである。
【0008】
この目的は、請求項1に記載の特徴を有する方法によって達成される。有利な進展は、従属クレーム、明細書、及び図面から明らかである。
【0009】
それに応じて、ワークピースを加工する方法が提案され、方法は、以下のステップ:レーザー放射によってワークピースの材料内に複数の隣接する変更を導入することと、次いで、主にレーザー放射によって変更済み材料を除去するために、第1の選択性を有する第1のエッチング工程においてワークピースの材料をエッチングすることと、次に、第1のエッチング工程の完了後、除去された変更済み材料間に残ったウェブを除去するために、第1の選択性とは異なる第2の選択性を有する第2のエッチング工程においてワークピース(1)の材料をエッチングすることと、を含む。
【0010】
変更により、エッチャントと比較して、変更済み材料の変化した挙動をもたらし得る。変更を表面においてのみでなくワークピースのより深い位置においても導入できるようにするために、ワークピースの材料は、好ましくは、少なくとも使用されるレーザー放射の波長に対して透過性である。レーザー放射が材料に入るときの損失を回避又は低減するために、表面は、可能な限り滑らかで汚染物質がないようにする必要がある。材料は、例えば、ガラス、透過性セラミック、ガラスセラミック、又はサファイアであり得る。
【0011】
ワークピースの材料の変更は、特にベッセルビームの形態のレーザービーム、特に引き延ばされた焦点ゾーンを有する(以下ではまた、単にベッセルビームとも呼ばれる)準ベッセルビームによって行われ得る。この引き延ばされた焦点ゾーンは、加工長さにわたって(例えば、ワークピースの厚さにわたって)本質的に同じままであるビームプロファイルを有する。実際には、10mmを超える長さの引き延ばされた焦点ゾーンが既に作成され得る。そのような準ベッセルビームの生成は、例えば、(特許文献2)及び(特許文献3)に記載されている。
【0012】
ワークピースの材料の変更はまた、集束されたガウスビームの形態のレーザービームによっても行うことができ、ここで、材料の変更は、本質的にレーザービームの焦点において行われる。
【0013】
レーザー光源は、ワークピースに対して、特にレーザービームの伝播方向に対して垂直な少なくとも2つの空間方向に移動動作可能に、しかしまた全ての空間方向に変位可能に、配置することができる。3つの空間方向の変位可能性がある場合、レーザービームの焦点は、ワークピースの表面に対して平行及び垂直な所望の方法で移動させることができる。
【0014】
次々に導入される複数の変更は、それらが重なり合わないように、互いに別々にワークピースの材料内に導入することができる。これにより、ワークピースの負荷が低減され、ワークピース内のクラック又は他の損傷のリスクが低減される。あるいは、次々に導入される変更が重なり合ってもよく、その結果、連続した変更が提供される。そのような重なり合う変更は、ここで及びこれ以降、1つの変更と見なされる。重なり合う変更と重なり合わない変更との組み合わせもまた、可能である。
【0015】
変更は、例えば、ワークピースの加工面から(すなわち、レーザービームがワークピースに入り込む表面から)、ワークピースの定義された深さまで(加工面から見て)、特に直線的に、且つレーザービームの伝播方向に沿って拡大することができる。この目的のために、材料厚さ全体にわたって変更が行われないように、例えば、材料厚さよりも短い焦点ゾーンを有するベッセルビームを使用することができ、又はより長い焦点ゾーンを有するベッセルビームを配置することができる。材料厚さよりも短い焦点ゾーンを有するベッセルビームによって、ワークピースの表面へのいかなる直接接続も有しない変更を、ワークピースの内部に組み込むこともできる。変更はまた、ワークピースの厚さ全体、すなわち、ワークピースの加工面から反対側の表面まで拡大することができる。
【0016】
少なくとも1つの変更を導入した後、ワークピースは、様々な選択性を有するエッチング工程を受ける。エッチング工程の選択性は、この場合、変更済み材料の場合のエッチングレートと未変更材料の場合のエッチングレートとの間の比率を意味すると理解される。エッチング工程の選択性は、特に、エッチャントの化学組成、温度、及び/又は濃度によって設定され得る。
【0017】
エッチング工程は、液体エッチング工程、ドライエッチング工程、又は気相エッチング工程であってもよい。液体エッチング工程の場合、KOHの水溶液を、例えばエッチャントとして使用することができる。例えば、エッチング工程は、超音波浴中に実行される液体エッチング工程であってもよい。次いで、エッチング工程の選択性はまた、導入される超音波出力によって設定され得る。
【0018】
エッチング工程の選択性を変動させるために、選択性を決定する1つ以上のパラメータを、エッチング工程中に変更することができる。例えば、温度を、増大又は低減させることができる。その結果、エッチング工程中に選択性が変化する。
【0019】
エッチング工程の選択性又はエッチング工程のそれぞれの段階に応じて、次いで主に又はほぼ排他的に、変更済み材料が除去されるが、未変更材料は、より少ない程度でしか、又はほとんど除去されない。
【0020】
様々な選択性を有するエッチング工程はまた、それぞれが固定された選択性を有する2つ以上のエッチング工程を含む。例えば、ワークピースは、最初に第1の選択性を有する第1のエッチング工程を受け、(第1のエッチング工程の完了後に)第2の選択性を有する第2のエッチング工程を受け得る。特に、ここでは2つのエッチング工程において異なるエッチャントを使用することができる。
【0021】
この場合、ワークピースの変更済み材料は、第1のエッチング工程において除去される。第1のエッチング工程は第1の選択性を有し、すなわち、変更済み材料の場合のエッチングレートと、未変更材料の場合のエッチングレートとの間の比率は、第1の値を有する。この場合、変更済み材料が未変更材料よりも迅速にエッチングされるため、ワークピースの材料は、主に変更に沿って除去される。
【0022】
第1のエッチング工程の間、ワークピースは、例えば、第1の濃度及び第1の温度を有する第1のエッチング溶液の浴内に初めて配置される。好ましくは、浴は超音波浴であり、すなわち、第1の超音波出力が浴内に導入される。
【0023】
第1のエッチング工程の完了後、ワークピースは、第2のエッチング工程を受ける。この場合、ワークピースの材料は、第2のエッチング工程において除去される。第2のエッチング工程は第2の選択性を有し、すなわち、変更済み材料の場合のエッチングレートと、未変更材料の場合のエッチングレートとの間の比率は、第2の値を有する。
【0024】
それに応じて、主にレーザー放射による変更済み材料は、高い選択性を有する第1のエッチング工程における材料のエッチングによって除去され得る。次いで、除去された変更済み材料間に残された未変更材料のウェブは、より低い選択性を有する第2のエッチング工程における材料のエッチングによって除去され得る。第2のエッチング溶液に対するアクセスは、第1のエッチング工程中に形成されたチャネルによって行われ、第2のエッチング溶液は、それらの全長にわたってウェブを攻撃することができる。このようにして、ウェブを迅速に除去することができ、ワークピースの残りの部分に対する第2のエッチング工程の影響を最小限に抑えることができる。これにより、特に任意の所望の形態の切り欠きをワークピース内に導入することができる。
【0025】
第1の選択性及び第2の選択性は、大きさが異なる。ここでも、変更済み材料は未変更材料よりも迅速にエッチングされるため、ワークピースの材料は主に変更に沿って除去されるが、エッチングレートの比率は、第2のエッチング工程において第1のエッチング工程の比率とは異なる。
【0026】
第2のエッチング工程の間、ワークピースは、例えば、第2の濃度及び第2の温度を有する第2のエッチング溶液の浴内にもう一度配置される。好ましくは、浴は超音波浴であり、すなわち、第2の超音波出力が浴内に導入される。ワークピースはまた、第2のエッチング工程のために第1の浴に残されてもよく、選択性を決定する浴のパラメータは変更され、例えば、温度及び/又は超音波出力が増大又は低減される。
【0027】
第1のエッチング工程及び第2のエッチング工程は、エッチング溶液の化学組成、温度、及び/若しくは濃度によって、並びに/又は超音波浴に導入される超音波出力によって異なり得る。2つのエッチング工程の選択性は、これらのパラメータによって設定され得る。
【0028】
特に、第1の選択性及び第2の選択性は、少なくとも2倍、好ましくは100倍、より好ましくは10000倍異なり得る。
【0029】
この方法のいくつかの実施形態では、第1の選択性は、第2の選択性よりも大きい。これは、第2のエッチング工程中よりも第1のエッチング工程中に、変更済み材料が未変更材料に比べて迅速に除去されることを意味する。
【0030】
結果として、例えば、第1のエッチング工程(高い選択性、例えば、少なくとも1000の選択性)中に本質的に変更済み材料のみを除去することが可能である。これにより、第2のエッチング工程中に第2のエッチング溶液が浸透することができ、且つそれに沿って次いで第2のエッチング溶液もまた未変更材料(より低い選択性、例えば最大100の選択性)を除去することができる、チャネルの作成を可能にする。次に、第2のエッチング溶液が、第2のエッチング工程の開始から既にチャネル内で作用し、チャネルをより迅速に所望の直径まで拡げることができるため、ワークピースの厚さの変化を最小限に抑えることができる。
【0031】
更なる実施形態では、少なくとも1つの変更の導入は、レーザー放射による材料内への複数の隣接する変更の導入を含む。変更は、例えば、輪郭に沿って、又は二次元又は三次元の配置で(グリッドの形態で規則的に、又は不規則に)直線的に導入され得る。変更は、特に、それらの間の間隔がそれぞれの変更の直径の5倍以下、好ましくは1倍であるときはいつでも、隣接していると見なされる。
【0032】
複数の変更は、特に、ワークピースの切り欠き用の所望の領域内、例えば、円又は多角形内、又はいくつかの他の、更には不規則な領域内に配置され得る。
【0033】
複数の変更のうちの全ての変更が、同じ長さを有してもよい。変更の少なくとも一部がまた、異なる長さを有してもよい。変更の全て又は少なくとも一部は、同じアライメントを有してもよく、すなわち、互いに平行であり得る。変更の全て又は少なくとも一部は、共通の平面に開始点を有することができ、例えば、変更の全て又は少なくとも一部は、加工面からワークピース内に拡大することができる。
【0034】
変更が領域内に配置されている場合、切り欠きの側壁の角度は、変更の長さの対応する選択によって決定され得る。例えば、最大の長さを有する1つ以上の変更を切り欠きの中央に配置することができ、変更の長さを切り欠きのエッジに向かって減少させることができる。
【0035】
ワークピースの材料内に導入される変更の長さは、好ましくは、使用されるレーザービームの伝播方向で異なる。
【0036】
更なる実施形態では、複数の変更が、輪郭に沿って互いに連続して材料内に導入される。輪郭は、ここでは事前選択されたパスを意味すると理解され、これは、例えば幾何学的図形(例えば、円、楕円、多角形など)の円周に対応するが、また不規則な形状であってもよい。パスがそれ自体と交差しないか、又は少なくとも接近しない限り、大部分の変更にはそれぞれ、2つの隣接する変更しかない。ある領域にわたってグリッド形状に配置された場合に、変更が材料内に次々に導入され、したがってまたパスに沿って導入されたとしても、そのような配置は、ここでは「輪郭に沿って」とは見なされない。
【0037】
更なる実施形態では、変更が材料内に導入される輪郭は閉じられており、すなわち、領域を(当然に、2つの隣接する変更ごとの間隔で)完全に取り囲んでいる。そのような輪郭は、特に、幾何学的図形(例えば、円、楕円、多角形など)の円周に対応し得る。この輪郭に沿った全ての変更は、ワークピースの厚さにわたって拡大し、すなわち、ワークピースの加工面から反対側の面まで拡大している。高い選択性を有する第1のエッチング工程における材料のエッチングは、主に、レーザー放射によって変更済み材料を除去するため、輪郭に囲まれた領域と輪郭の外側の領域は、依然として未変更材料のウェブによって接続されている。次いで、第2のエッチング工程における材料のエッチングは、除去された変更済み材料間に残ったウェブを除去し、その結果、輪郭によって囲まれた材料の領域は、外側の領域から分離されて除去され得る。
【0038】
この方法のいくつかの実施形態では、第1の選択性は、第2の選択性よりも小さい。これは、第2のエッチング工程中よりも第1のエッチング工程中に、変更済み材料が、未変更材料に比べてゆっくりと除去されることを意味する。
【0039】
第1の選択性が第2の選択性よりも小さい実施形態では、ワークピースの2つの部分は、高い選択性を有する第2のエッチング工程によって互いから分離される。これは、特に一連の隣接する変更によって起こり得、これらは全て、ワークピースの厚さにわたって、すなわちワークピースの加工面から反対側の面まで拡大して、ワークピースの材料内に導入され、変更済み材料は、高い選択性を有する第2のエッチングプロセスによって除去される。隣接する変更は、重なり合ってもよく、又は互いに分離されてもよい。重なり合わない変更間の間隔が十分に小さい(例えば、変更の直径の5倍未満)ことにより、第2のエッチング工程後に、ワークピースの2つの部分は、例えば引き離すことによって、互いに機械的に分離され得る。プロセスパラメータに応じて、2つの部分はまた、第2のエッチング工程中に既に一致しているそれら自身の互いから分離され得るが、これは、未変更領域における変更の結果として、変更と拡散との間にマイクロクラックが発生し得るためである。
【0040】
その前に行われる低い選択性を有する第1のエッチングプロセスでは、変更済み材料と、(より低い選択性のレベルに応じた、おそらくはより低いレートにおける)未変更材料との両方が、一連の変更に沿って除去され、それによって、一連の変更の両側に丸みを作成することができる。上述のワークピースの2つの部分の分離後、これらの丸みは、それぞれの場合に、2つの部分の丸みを帯びたエッジ(斜角又は面取りとも呼ばれる)を提供する。
【0041】
特に分離面を滑らかにするために、低い選択性を有する、又は更に選択性1を有する(すなわち、変更済み材料と未変更材料が同じレートでエッチングされる、すなわち選択性が存在しない)更なる第3のエッチング工程を実行することができる。
【0042】
この方法の更なる実施形態では、第2のエッチング工程における材料のエッチングの完了後、それぞれが異なる選択性を有する、すなわち、更なる各エッチング工程の選択性が、先行するエッチング工程の選択性とは異なり得る、1つ以上の更なるエッチング工程が行われてもよい。更なるエッチング工程の選択性は、第1の2つのエッチング工程の選択性に対応し得るか、又はそれらとは異なり得る。例えば、第2のエッチング工程における材料のエッチングの完了後、1つ以上の更なるエッチング工程が、第1の選択性及び第2の選択性で交互に行われてもよい。その結果、特に、ワークピースの厚さを超えて材料を貫通する変更が不可能な場合はいつでも、高い選択性を有するエッチング工程において本質的に変更済み材料が除去され得、且つ低い選択性を有するエッチング工程において未変更材料もまた除去され得、それによって、以前はエッチング溶液によって到達できなかった、変更済み材料を伴う更なる領域へのアクセスが行われ得る。次に、変更済み材料を伴うこれらの更なる領域は、この間に未変更材料もまた任意のかなりの程度まで除去されることなく、高い選択性を有するエッチング工程によって再び除去することができる。
【0043】
マルチスポット変更、すなわち、長手方向及び横断方向において複数の変更領域を伴う変更の助けを借りて、異なる選択性のエッチング溶液を使用する場合に、複雑な構造(例えばレンズ)もまた、透過性材料内に導入することができる。
【0044】
好ましくは、ワークピースの材料は、レーザー放射の波長に対して透過性である。
【0045】
好ましくは、変更は、超短レーザーパルスによってワークピースの材料内に導入される。
【0046】
提案された方法は、他の材料加工方法(例えば、レーザー穴あけなど)に対して、荷重下で又は時間の経過とともに材料にクラックにつながり得る応力がないか、又はわずかな応力しか材料内に導入されないという利点を有する。これは特に、隣接する変更が重なり合わないときはいつも適用されるため、未変更領域がそれらの間に残る。
【0047】
本発明はまた、本発明による方法によって生成された、複数の引き延ばされた穴を有するワークピースに関する。そのようなワークピースは、特に、一方の表面から反対側の表面に複数のスルーホールを有する、ガラス、透過性セラミック、ガラスセラミック、又はサファイアからなるふるいであり得る。好ましくは、スルーホールは、それらの長さにわたって本質的に一定の直径を有する。一実施形態では、スルーホールは、1μm未満、例えば、約500nm(「ナノシーブ」)の直径を有する。
【0048】
本発明の好ましい更なる実施形態は、以下の図の説明によってより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】レーザーエッチングの既知の方法の概略図を示す。
【
図2】レーザーエッチングのための本発明による方法の第1の実施形態の概略図を示す。
【
図3】レーザーエッチングのための本発明による方法の第2の実施形態の概略図を示す。
【
図4】レーザーエッチングのための本発明による方法の第3の実施形態の概略図を示す。
【
図5】レーザーエッチングのための本発明による方法の第4の実施形態の概略図を示す。
【
図6】レーザーエッチングのための本発明による方法の第5の実施形態の概略図を示す。
【
図7】本発明による方法によって生成されたワークピースの概略図を示す。
【
図8】レーザーエッチングのための本発明による方法の第6の実施形態の概略図を示す。
【
図9】レーザーエッチングのための本発明による方法の第7の実施形態の概略図を示す。
【
図10】レーザーエッチングのための本発明による方法の第8の実施形態の概略図を示す。
【
図11】レーザーエッチングのための本発明による方法の第9の実施形態の概略図を示す。
【
図12】ワークピースの材料を変更するレーザー加工デバイスの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
好ましい例示的な実施形態を、図を参照して以下に説明する。この場合、同一、類似、又は同一に作用する要素には、様々な図において同一の参照記号が設けられ、冗長性を回避するために、これらの要素を繰り返し説明することは、場合によっては省略される。
【0051】
図1~6、
図7a、及び
図9~11はそれぞれ、変更2を導入するために使用されるレーザービームのビーム伝播方向Sに沿ったワークピース1の断面を示す。
図7b及び
図8は、それぞれのワークピース1の平面図を示す。
【0052】
図1では、レーザーエッチングの既知の方法を模式的に示す。
図1aは、厚さhを有するワークピース1の詳細を示す。一方の表面3から他方の表面3’に拡大している、完全に貫通して引き延ばされた変更2が、ワークピース1の材料が透過性であるレーザー放射によって、ワークピース1の材料内に導入されている。
図1bでは、変更済み材料がエッチング溶液によって攻撃され、且つ高い選択性を有する選択的エッチングステップで除去された後のワークピース1を示す。エッチングステップの高い選択性の結果として、未変更材料は攻撃されていないか、又はほんのわずかしか攻撃されていない。その結果、本質的に同じままである直径d1を有するスルーホール4が、ワークピース1内に作成された。
【0053】
図1cでは、変更済み材料及びより少ない程度での未変更材料がエッチング溶液によって攻撃され、且つ高い選択性を有するエッチングステップの代わりに低い選択性を有するエッチングステップで除去された後のワークピース1を示す。変更済み材料が完全に除去されるまでエッチング工程にかかる時間にわたって、表面3、3’の近くの未変更材料がより長くエッチング溶液に曝露され、外部直径d2、及びウエストにおいてより小さい直径d3を有する砂時計形状のスルーホール5が作成された。この方法では、エッチング時間によりウエスト直径d3を設定することができる。
【0054】
エッチング時間が長いと(例えば、大きなウエスト直径d3を達成するために)、より低い選択性を有するエッチングステップでは、未変更材料がワークピース1の表面全体に沿って攻撃されるが、材料厚さが低減され得る。これは
図1dに概略的に示されており、ここでは、低い選択性を有する長時間のエッチング工程後のワークピース1の厚さが、低い選択性を有する短時間のみのエッチング工程後のワークピース1の厚さと比較して2Δhだけ減少している。
【0055】
この方法では、ウエスト直径d3に対する入口/出口の直径d2の比率は、選択性によってのみ設定できる。したがって、選択性が固定されたそのような方法は、非常に柔軟性がない。
【0056】
図2では、レーザーエッチングのための本発明による方法の第1の実施形態を概略的に示す。この実施形態では、砂時計形状のスルーホールは、異なる選択性を有する別個のエッチング工程によって、表面に沿った最小限の材料損失、したがって最小限の厚さ減少を伴って生成される。この目的のために、
図2aに示されるように、最初に、複数の引き延ばされた変更2が、ワークピース1の材料内に導入される。変更2はそれぞれ、表面3、3’から所望の深さまで、又は一方の表面3から反対側の表面3’までずっと拡大している。変更2は、砂時計形状のスルーホール5を生成するために、後続のエッチングステップにおいて除去される体積にわたって本質的に分散されている。この図では、全ての他の図と同様に、いずれの場合も、ワークピース1の断面がビーム伝播方向Sに沿って示されており、変更2はその断面にある。言うまでもなく、変更2は、平面内のみだけでなく、体積内に(すなわち、図面の平面の前及び/又は後ろに)も分散され得る。
【0057】
図2bは、変更済み材料がエッチング溶液によって攻撃され、且つ高い選択性を有する第1のエッチング工程で除去された後のワークピース1を示す。エッチング工程の高い選択性の結果として、未変更材料は攻撃されていないか、又はほんのわずかしか攻撃されていない。その結果、本質的に同じままである直径を有するスルーホール4及び止まり穴6が、ワークピース1に作成された。第1のエッチング工程で除去されなかった未変更材料は、ウェブ7の形態でスルーホール4と止まり穴6との間に残っている。
【0058】
これらのウェブ7は、低い選択性を有する第2のエッチング工程において攻撃されて除去される。結果として得られたワークピース1を、
図2cに示す。変更済み材料及びウェブ7の除去の結果として、砂時計形状のスルーホール6が作成された。このように、穴の直径は、エッチング工程の持続時間によってではなく、変更2の回数によって決定されるため、異なる直径を有する砂時計形状のスルーホール6を、同じプロセス内でワークピース1内に生成することができる。したがって、結果として得られたワークピースの厚さもまた、達成される直径に依存しない。
【0059】
選択的エッチングの結果として、ここでは、他の実施形態においても同様に、エッチング溶液として作用するより低い選択性のエッチングアクセスが作成される。結果として、低い選択性のエッチング工程は、第1のエッチング工程で除去された変更の全長にわたってすぐに行うことができ、最初に、ワークピース1の表面から内側に「進ませる」必要はない。したがって、低い選択性で作用する溶液への曝露時間は非常に短いため、目に見えるほどの材料損失は起こらず、特に、材料厚さにおける目に見えるほどの減少、又は変更領域の外側の表面近くでの不可避なエッチングも起こらない。結果として、明確に定義されたクリアランス及びスルーホールの生成が、互いに連続する変更の組み合わせによって可能である。クリアランス及びスルーホールの角度又は形状に対する制限は存在しない。
【0060】
図3では、レーザーエッチングのための本発明による方法の第2の実施形態を概略的に示す。ここでは、引き延ばされた変更2は、
図3aに示されるように、ワークピース1内に特定の深さまでしか到達しない。同様にワークピース内にこの深さまでしか到達しない、更なる隣接する変更が、図の平面の前及び/又は後ろに提供される。隣接する変更は、好ましくは個々の変更の直径の最大5倍までの間隔で、互いに離間して配置され得る。
図3bは、変更済み材料がエッチング溶液によって攻撃され、且つ高い選択性を有する第1のエッチング工程で除去された後のワークピース1を示す。エッチング工程の高い選択性の結果として、未変更材料は攻撃されていないか、又はほんのわずかしか攻撃されていない。その結果、ワークピース1には、本質的に同じままである直径を有する止まり穴6が作成され、その間に、未変更材料のウェブ(図示せず)が残っている。
【0061】
次いで、低い選択性を有する第2のエッチング工程において、第1のエッチング工程で作成された止まり穴6を拡げることができ、その結果、その間のウェブが除去される。このようにして、
図3cに示されるように、ワークピース1内にトレンチ8を生成することができる。任意の所望の形状に沿って変更2を配置することにより、選択的エッチングとより選択的でないエッチングの組み合わせによって、任意の所望の形状のトレンチをワークピース内に生成することができる。
【0062】
図4では、レーザーエッチングのための本発明による方法の第3の実施形態を概略的に示す。この実施形態では、クリアランス9は、異なる選択性を有する別個のエッチング工程によって、ワークピース1の表面3のうちの1つに生成される。この目的のために、
図4aに示されるように、最初に、複数の引き延ばされた変更2が、ワークピース1の材料内に導入される。変更2はそれぞれ、1つの表面3から所望の深さまで拡大している。この場合、クリアランス9の変更2は、長さが異なり(左側及び中央を参照)、また、同じ長さであり得る(右側を参照)。変更2は、クリアランス9を生成するために、後続のエッチングステップにおいて除去される体積にわたって本質的に配置される。この図では、他の全ての図と同様に、いずれの場合も、ワークピース1の断面が示されており、変更2は断面にある。言うまでもなく、変更2は、平面内だけでなく、体積内にも分散され得る。
【0063】
図4bでは、変更済み材料がエッチング溶液によって攻撃され、且つ高い選択性を有する第1のエッチング工程で除去された後のワークピース1を示す。エッチング工程の高い選択性の結果として、未変更材料は攻撃されていないか、又はほんのわずかしか攻撃されていない。その結果、本質的に同じままである直径を有する止まり穴6が、ワークピース1に作成された。第1のエッチング工程で除去されなかった未変更材料は、ウェブ7の形態で止まり穴6の間に残っている。
【0064】
これらのウェブ7は、低い選択性を有する第2のエッチング工程で攻撃されて除去される。結果として得られたワークピース1を、
図4cに示す。変更済み材料及びウェブ7の除去は、クリアランス9(この例では、三角形の断面(左側及び中央上)又は長方形の断面(右側上)、すなわち例えば、円錐形や立方体で示されている)を作成する効果を有する。このようにして、同じプロセス内で、異なる形状を有するクリアランス9をワークピース1内に生成することができる。
【0065】
図5では、レーザーエッチングのための本発明による方法の第4の実施形態を概略的に示す。この実施形態では、同じままである直径を有するワークピース1を貫通するスルーホール4は、異なる選択性を有する別個のエッチング工程によって生成される。この目的のために、
図5aに示されるように、最初に、引き延ばされた変更2が、ワークピース1の材料内に導入される。変更2は、一方の表面3から反対側の表面3’までずっと拡大している。
【0066】
図5bでは、変更済み材料がエッチング溶液によって攻撃され、且つ高い選択性を有する第1のエッチング工程で除去された後のワークピース1を示す。エッチング工程の高い選択性の結果として、未変更材料は攻撃されていないか、又はほんのわずかしか攻撃されていない。その結果、本質的に同じままである直径を有する(例えば、500nm未満の、変更の直径に対応する)スルーホール4が、ワークピース1内に作成された。
【0067】
低い選択性を有する後続の第2のエッチング工程では、
図5cに示されるように、スルーホール4の直径が、所望の直径に増大される。エッチング溶液が第2のエッチング工程の最初からワークピース1の厚さ全体にわたって攻撃することができる結果として、スルーホール4の拡がりはその長さにわたって均一に起こる。スルーホール4の拡がりは、選択性のより低いエッチング溶液の経時的な攻撃によって決定され得る。ここでも、エッチング攻撃に時間がかかりすぎると、
図5dに示されるように、材料厚さが減少し得る。
【0068】
同じままである直径を有するスルーホール4を生成することができる本発明による方法の更なる実施形態が、
図6に概略的に示されている。この実施形態は、過度の材料損失なしに、したがってワークピース1の過度の厚さ減少なしに、スルーホール4の直径に対してより高い柔軟性を提供する。この目的のために、
図6aに示されるように、最初に、複数の引き延ばされた変更2が、ワークピース1の材料内に導入される。変更2はそれぞれ、一方の表面3から反対側の表面3’までずっと拡大している。変更2は、スルーホール4を生成するために、後続のエッチングステップにおいて除去される体積にわたって本質的に配置される。この図では、他の全ての図と同様に、いずれの場合も、ワークピース1の断面が示されており、変更2は断面にある。言うまでもなく、変更2は平面内だけでなく、体積内にも分散され得る。
【0069】
図6bでは、変更済み材料がエッチング溶液によって攻撃され、且つ高い選択性を有する第1のエッチング工程で除去された後のワークピース1を示す。エッチング工程の高い選択性の結果として、未変更材料は攻撃されていないか、又はほんのわずかしか攻撃されていない。その結果、本質的に同じままである直径を有する(例えば、500nm未満、ガラスでは多くは約1μmの変更の直径に対応する)スルーホール4が、ワークピース1内に作成された。第1のエッチング工程で除去されなかった未変更材料は、ウェブ7の形態でスルーホール4の間に残る。
【0070】
これらのウェブ7は、低い選択性を有する第2のエッチング工程で攻撃されて除去される。結果として得られたワークピース1を、
図6cに示す。変更済み材料とウェブ7の除去の結果として、同じままの直径を有するスルーホール4が作成された。このように、穴の直径は、エッチング工程の持続時間によってではなく、変更2の回数によって決定されるため、それぞれの場合に異なる直径を有する複数のスルーホール4を、同じプロセス内でワークピース1内に生成することができる。したがって、結果として得られたワークピースの厚さもまた、達成される直径に依存しない。
【0071】
本発明による方法によって生成されたワークピースの概略図を、
図7に示す。それらの長さにわたって同じままである直径を有する複数のスルーホール4が、例えばガラス又はサファイアからなるワークピース1内に導入された。複数のスルーホール4が存在する、平面Aにおけるワークピース1の断面を、
図7aに示す。スルーホールは、ワークピース1の一方の表面3から反対側の表面3’まで拡大していることが分かり得る。本発明による方法により、高い選択性を有する第1のエッチングステップ及び低い選択性を有する第2のエッチングステップを用いて、それにもかかわらずそれらの長さにわたって本質的に一定である任意の所望の直径で、スルーホールを生成することができる。ワークピース1の平面図を
図7bに示す。ここで、ワークピース1は、平面Aだけでなく、平面Aに平行な平面にもスルーホール4を有することが分かり得る。スルーホール4の間隔、数、配置、及び直径は、必要に応じて設定され得る。そのようなツールは、例えば、ナノシーブ又はマイクロシーブとして使用することができる。この図のワークピース1の寸法は、他の図と同様に、縮尺どおりではない。特に、ワークピースは、長さや幅などの他の寸法よりも非常に薄い厚さを有してもよい。
【0072】
図8では、レーザーエッチングのための本発明による方法の第6の実施形態を概略的に示す。ここでは、方法をワークピース1の平面図に基づいて説明する。この実施形態では、ワークピース1の一部は、異なる選択性を有する別個のエッチング工程によって、ワークピースの残りの部分から切り離される。この目的のために、
図8aに示されるように、最初に、複数の引き延ばされた変更2が、ワークピース1の材料内に導入される。変更2は、一方の表面3から反対側の表面3’までずっと拡大している。変更2は、ここでは円として示されている輪郭10に沿って配置されている。詳細Dは、
図8b、8c、及び8dに拡張して示されている。
【0073】
図8bでは、変更された材料がエッチング溶液によって攻撃され、且つ高い選択性を有する第1のエッチング工程で除去された後の詳細の形態で、ワークピース1が示されている。エッチング工程の高い選択性の結果として、未変更材料は攻撃されていないか、又はほんのわずかしか攻撃されていない。その結果、スルーホール4がワークピース1内に形成された。第1のエッチング工程で除去されなかった未変更材料は、ウェブ7の形態でスルーホール4の間に残る。
【0074】
これらのウェブ7は、
図8cに詳細な形態で示されるように、低い選択性を有する第2のエッチング工程で攻撃されて除去される。第2のエッチング工程の持続時間に応じて、切り離されるワークピース1の部分とワークピース1の残りの部分との間にそれによって作成されるギャップ11の幅を設定することができる。低い選択性を有するエッチング工程中、通常、第1のエッチング工程で作成されるスルーホール4の直径もまた増大される。これは、現在の概略図には示されていない。また、例えば2つの変更ごとの間隔に応じて、変更済み材料のエッチング中にこれらの変更間にマイクロクラックが作成される場合があり、その結果、低い選択性を有する第2のエッチング工程が、輪郭10に沿って優先的に進行する。
図8dでは、ワークピース1は、
図8cよりも長い第2のエッチング工程の曝露時間後の詳細の形態で示されている。この場合、第1のエッチング工程において生成されたスルーホール4は、第2のエッチング工程のエッチング溶液に対するアクセスとして役立ち、それによって、最初からワークピース1の厚さ全体にわたって作用することができ、その結果、ギャップ11は、ワークピース1の厚さにわたって本質的に真っ直ぐな形態を有する。
【0075】
分離された部分を除去した後のワークピース1を、
図8eに示す。その結果、本発明の方法はまた、その内部からワークピースの部分の分離又は除去を可能にする。
【0076】
図9では、本発明によるレーザーエッチングの方法の第7の実施形態が概略的に示されている。この実施形態では、ワークピース1は、丸みを帯びたエッジ12を有する2つの部分に分割される。この目的のために、
図9aに示されるように、最初に、複数の引き延ばされた変更2が、ワークピース1の厚さ全体にわたってワークピース1の材料内に導入される。
図9aでは、1つの変更2のみが示されているが、更なる変更が、図面の平面に平行な平面に隣接して配置されている。隣接する変更は、
図3を参照して上述したように、重なり合うか又は重なり合わないものとして形成され得る。一実施形態では、変更は、約1μmの直径及び少なくとも1μmの間隔を有するため、隣接する変更は重なり合わないが、せいぜい接触するだけである。
【0077】
図9bでは、変更済み材料(部分的に)及び未変更材料の両方がエッチング溶液によって攻撃され、且つ低い選択性を有する第1のエッチング工程で除去された後のワークピース1を示す。これにより、一連の変更2に沿って両方の表面3、3’上に、トレンチ8、又は(変更間隔及び第1のエッチング工程の持続時間に応じて)漏斗形状のくぼみの列が作成される。低い選択性を有するエッチング工程の場合にも変更済み材料が好ましくは攻撃されるため、トレンチ8は、一連の変更2に沿って走る。隣接する変更が重なり合わない(すなわち、互いに離間している)場合、更なる実施形態(図示せず)では、完全に貫通する更なる変更を、例えば、エッジの所望の丸みの深さにわたってワークピースの材料内にのみ到達する、輪郭に沿って追加的に導入することができる。第1のエッチング工程中に、丸みを帯びたエッジを有するトレンチが次いで、完全に貫通するこの変更に沿って作成される。
【0078】
高い選択性を有する後続の第2のエッチング工程では、次いで(主に)変更済み材料のみが除去されるため、
図9cに示されるように、ワークピースの2つの部分を互いに分離することができる。ここで、トレンチ8の丸みを帯びた壁は、ワークピース1の2つの部分の丸みを帯びたエッジ12をそれぞれ提供する。
【0079】
図示されていない実施形態では、スルーホール及び止まり穴の開口部の、又はトレンチのエッジの丸みはまた、対応する前述の方法の前に、変更の周囲に漏斗状のくぼみが生成される、低い選択性を有するエッチング工程が行われることによって、
図9の方法に対応するような本発明による方法で達成され得る。
【0080】
エッジはまた、更に短い、低い選択性を有するエッチング工程によって真っ直ぐにされ、その結果、研磨され得る。
【0081】
図10では、本発明によるレーザーエッチングのための方法の第8の実施形態が概略的に示されている。この実施形態では、ワークピース1は、2つの部分に分割される。この目的のために、
図10aに示されるように、最初に、複数の引き延ばされた変更2が、ワークピース1の厚さ全体にわたってワークピース1を貫通して斜めにワークピース1の材料内に導入される。
図10aでは、1つの変更2のみが示されているが、更なる変更が、図面の平面に平行な平面に隣接して配置されている。隣接する変更は、
図3を参照して上述したように、重なり合うか、又は重なり合わないものとして形成され得る。一実施形態では、変更は、約1μmの直径及び少なくとも1μmの間隔を有するため、隣接する変更は重なり合わないが、せいぜい接触するだけである。引き延ばされた変更2のそれぞれは、ワークピース1の表面3に斜めに入射し、且つ縦方向に拡大された強度プロファイルを有するレーザービーム(例えば、引き延ばされた焦点ゾーンを有するベッセルビーム)によって、又は複数の変更の階段形状の連続によって、のいずれかで生成され得る。後者は、特に比較的大きな角度の場合に有利であり得る。
【0082】
階段形状の連続における複数の変更は、例えば、ワークピース1の表面3から異なる距離に短い焦点ゾーンを有するベッセルビームによって(又は、それに対応して、ワークピース1の表面3から異なる距離に焦点を有するガウスビームによって)、次々に生成され得る。ワークピースの表面からの焦点ゾーンの異なる距離は、例えば、レーザーとワークピースとの間の距離を設定することによって、又はレーザービームの異なるビーム成形によって達成され得る。階段形状の連続における複数の変更はまた、いわゆるマルチスポットレーザービームによっても生成され得、これは、例えば、ビーム方向に垂直な方向に拡がりを有し、焦点位置がビーム方向に対して垂直な方向に沿って変動するようなビーム成形によって形成される。そのようなビームはまた、それぞれが異なる焦点位置を有する複数の平行ビームと見なすことができる。
図10aに示されているビーム方向Sは、ベッセルビームがオンにされた変形例に対応する。
【0083】
図10bでは、変更済み材料がエッチング溶液によって攻撃され、且つ高い選択性を有する第1のエッチング工程で除去された後のワークピース1を示す。エッチング工程の高い選択性の結果として、未変更材料は攻撃されていないか、又はほんのわずかしか攻撃されていない。その結果、スルーホール4がワークピース内1に形成された。第1のエッチング工程で除去されなかった未変更材料は、ウェブの形態でスルーホール4の間に残る(図示せず)。
【0084】
これらのウェブは、
図10cに示されるように、低い選択性を有する第2のエッチング工程で攻撃されて除去される。その結果、ワークピース1は、2つの部分1’、1’’に分割される。低い選択性を有するエッチング工程中、第1のエッチング工程で生成されたスルーホール4が拡張され、その間のウェブが除去される。また、例えば2つの変更ごとの間隔に応じて、材料の変更中にこれらの変更間にマイクロクラックが作成される場合があり、その結果、低い選択性を有する第2のエッチング工程がウェブを通って優先的に進行する。
【0085】
図10dでは、分離された部分1’’が除去された後のワークピース1が示されている。
【0086】
図11では、本発明によるレーザーエッチングのための方法の第9の実施形態が概略的に示されている。プロセス及び/又は材料パラメータに応じて、広範囲の材料の変更が発生し得る。ワークピースの厚さ全体にわたって完全に変更された領域が可能でないか又は望ましくない場合、完全に貫通するエッチングが選択的に行われなくてもよい。例えば、
図11aに示されるように、円形又は細長い材料の変更により、ビーム伝播方向でのチェーンの方法(縦方向マルチスポット)で配置することができる。具体的には、変更中に可能な限り応力を小さくすることを意図している場合、マルチスポット変更は、完全に貫通した引き延ばされた変更と比較して有利であり得る。
【0087】
そのような場合、それにもかかわらず、特に可能な限り一定の直径を有する、ワークピース1を貫通するスルーホール4を生成できるようにするために、高い選択性を有するエッチング工程と低い選択性を有するエッチング工程との間の繰り返しの切り替えを実行することができる。高い選択性を有するエッチング工程中に、エッチング溶液に外部からアクセス可能な変更済み材料が除去される(
図11b及び
図11dを参照)。エッチング工程の高い選択性の結果として、未変更材料は攻撃されないか、又はほんのわずかしか攻撃されない。結果として、直径の望ましくない拡がりを可能な限り回避することができる。
【0088】
低い選択性を有するエッチング工程中に、未変更材料もまた除去されるため、その後、変更済み材料は、再びアクセス可能である(
図11c及び
図11eを参照)。高い選択性を有する次のエッチング工程では、エッチング溶液にアクセス可能な変更済み材料が再び除去される。高い選択性を有するエッチング工程と低い選択性を有するエッチング工程との間を繰り返して切り替えた後、
図11fに示されるように、スルーホール4が次いで、ワークピース1を通して作成される。
【0089】
そのような交互のエッチング、すなわち、選択性が高いものと選択性が低いものとの交互エッチング工程によって、たとえ変更が縦方向に完全に均一に形成されない場合でも、スルーホール及び止まり穴が所望の長さを有することを確実にすることができる。
【0090】
ここに提示された方法で、数百ナノメートルから数ミリメートルまでの任意の所望な直径のスルーホール及びクリアランスが生成され得る。低い選択性を有するエッチングによって材料損失を最小限に保つことができるため、達成可能な寸法は、ワークピースの材料厚さに依存しない。
【0091】
図12に示されるレーザー加工設備21では、光学系31は、例えば、ワークピース1の材料の変更のために使用され得る。レーザー加工設備21は、キャリアシステム23及びワークピース取り付けユニット25を有する。キャリアシステム23は、ワークピース取り付けユニット25に及び、レーザーシステムを搬送し、
図12では、例えば、キャリアシステム23の上部クロス部材23Aに統合されている。更に、光学系31は、クロス部材23AにX方向に移動可能に取り付けられ、その結果、両方の構成要素が、位置的に互いに近接して配置されている。代替的な実施形態では、例えば、レーザーシステムは、それ自体の外部ユニットとして提供されてもよく、そのレーザービームは、光ファイバーによって又は自由ビームとして、光学系31に導かれる。
【0092】
ワークピース取り付けユニット25は、X-Y平面内に拡大するワークピース1、例えば、ガラスのシート、又は使用されるレーザー波長に対して大部分が透過性であり、例えばサファイア又はシリコンなどの、セラミック又は結晶性材料からなるシートを搬送する。ワークピース取り付けユニット25は、キャリアシステム23に対してY方向にワークピースを移動させることを可能にするため、光学系31の移動能力と組み合わせて、X-Y平面に拡大する加工領域が利用可能である。
【0093】
更に、
図12によれば、ワークピースからの距離を設定できるようにするために、例えば光学系31又はクロス部材23Aの、Z方向の変位可能性が提供される。Z方向に走る変更の場合、レーザービームは通常、ワークピース上にZ方向(つまり、それに垂直)に向けられる。しかしながら、ブームアセンブリ27及び追加の回転軸29によって、例として
図12に示されるように、更なる加工軸が提供されてもよい。それに応じて、
図12による構成におけるブームアセンブリ27は、任意選択である。更に、例えば、ワークピース又は加速される光学系ではなく、よりコンパクトで適切に設計された構成要素であることによって、より大きなダイナミクスのために冗長な追加軸が提供され得る。
【0094】
レーザー加工設備21はまた、明示的に示されていないコントローラを有し、これは、例えば、キャリアシステム23に統合され、特に、ユーザによる工程パラメータの入力用のインターフェースを有する。一般に、コントローラは、例えば、レーザー加工設備21の電気的、機械的、及び光学的構成要素を、例えば、例えばレーザー出力のポンピング、冷却出力、レーザー設備の方向及び速度、並びに/又はワークピースの取り付け、光学素子(例えばSLM)の設定用の電気的パラメータ、並びに(例えばそれを回転させるための)光学素子の空間的アライメントなどの対応する工程パラメータをアクティブ化することによって、作動させるための要素を備える。
【0095】
多種多様な自由度を有するレーザー加工設備用の更なる配置は、例えば、(特許文献4)に開示されている。一般に、小さなワークピースの場合、多くはワークピースのみが移動し、かなり大きなワークピースの場合、レーザービームのみが移動するか、又は(
図12のように)ワークピース及びレーザービームが移動する。更に、2つ以上の光学系、したがって焦点ゾーンは、1つのレーザーシステムによって提供され得る。
【0096】
レーザー加工設備によって生成される材料での変更は、選択的レーザーエッチングのために使用することができる。したがって、変更の形状及びタイプの両方を適切にチェックできることが重要である。レーザー波長、経時的なパルス形状、パルス数、単一の変更を生成するパルスグループ内のパルスのエネルギー及び時間間隔、並びにまた、パルスエネルギー又はパルスグループエネルギーなどのパラメータとは別に、ここではビーム形状が決定的な役割を果たす。
【0097】
特に、引き延ばされた体積変更により、単一の加工ステップにおいて、ビーム伝播方向に長い範囲の体積領域にわたって加工することを可能にする。特に、前進方向の1つの場所において、単一の変更加工ステップのみで大きな範囲にわたる加工が行われ得る。
【0098】
更に、本質的に同一のレーザー加工状態が引き延ばされた焦点ゾーンに沿って優勢であることから、引き延ばされた焦点ゾーンは、不均一な材料の加工において役立ち得るため、そのような実施形態では、伝播方向での対応する追跡は必要でなくてもよく、又はその場合(必要とされる加工深さ/浸透深さを考慮すると)引き延ばされた焦点領域の長さよりも加工される材料の位置における偏差が大きい。
【0099】
引き延ばされた体積の吸収による透過性材料の加工に対して、吸収が起こるとすぐに、この吸収自体、又は結果として生じる材料特性の変化が、レーザービームの伝播に影響を与え得ることは一般的に真実である。したがって、ワークピースのより深い部分に、すなわちビーム伝播方向でのビームの下流に変更をもたらすことを意図するビーム成分が、本質的にかなりの吸収領域を通って導かれない場合が有利である。
【0100】
換言すれば、したがって、ビームの更に下流の変更に役立つビーム成分を、ある角度で相互作用ゾーンに供給することが好ましい。この例は準ベッセルビームであり、その場合、環状遠方場分布が存在し、そのリングの幅は通常、半径と比較して小さい。この場合、相互作用ゾーンのビーム成分は、本質的に、この角度で回転対称に供給される。同じことが、逆準ベッセルビーム、又は均質化又は変調された逆準ベッセルビームなどの、その変更及び補足にも当てはまる。更なる例は、逆加速された「準エアリービーム様」ビームであり、この場合、ビーム成分は、オフセット角度で変更に供給され、これは、例示として、例えば、湾曲した逆準ベッセルビームの場合のように、湾曲した変更ゾーンに対して、接線方向に(純粋な準ベッセルビームの場合のように回転対称ではなく)行われる。
【0101】
また、一方では所望の用途に適しているが、他方ではビームの下流にある更なる体積領域への伝播を大幅に妨害しないように、意図した体積領域において非線形吸収用の閾値を大幅に超え、且つこの体積領域の形状を選択するようにのみ、努力する必要がある。例えば、アポダイズされたベッセルビームプロファイルの二次最大値を、非線形吸収に必要な閾値強度未満に保持することが有利であり得る。
【0102】
前進方向で互いに続く変更に関して、変更された体積の形状はまた、複数の変更が進行方向に連続して配置されている場合に、以前に導入された変更がそれに続く変更の形成にわずかな影響しか与えないように選択され得る。
【0103】
急速加工の場合、単一の変更の生成は、単一のレーザーパルス/単一のレーザーパルスグループのみで行われ得るため、この場合、ワークピース上の位置は1度のみ接近した。
【0104】
超短パルスレーザーは、対応する長い相互作用ゾーンで十分に大きな材料の変更を引き起こすことができる強度(出力密度)を提供することを可能にし得る。この場合、変更の幾何学的範囲は、長い範囲の高い自由電子密度が材料の非線形吸収によって生成されるように、ビーム成形の助けを借りて固定される。より深い領域へのエネルギーの供給は横方向に行われるため、ガウス集束と比較してプラズマの早期相互作用によって、シールド効果が防止される。例えば、縦方向に均一に拡大するように作成された電子密度、又は空間的に高周波変調された電子密度が生成され得る。
【0105】
対応する強度で、十分に高い自由電子密度を有する領域において、材料の爆発的な膨張があり得るため、それによって、生成された衝撃波は、ナノスコピックな穴(ナノボイド)を生成することができる。変更(変更ゾーン)の更なる例は、屈折率の変化、圧縮及び/又は引張応力導入領域、微結晶、並びに化学量論における局所的変化である。
【0106】
この場合、変更形状は、主にビーム成形によって決定される(例えば、フィラメント化などの非線形伝播によってではなく)。空間勾配は、光学系によって生成されてもよく、時間勾配は、パルス列又はパルス成形によって生成され得る。
【0107】
一般に、ビーム形状の強度分布のスケーリングは、システムの画像化比率、特に画像化システムの近視野光学部品の焦点距離及び開口数によって提供され得る。スケーリングの更なる可能性は、追加のレンズの使用、並びにまたビーム成形要素及び/又は遠方場光学部品の変位によって提供される。その結果、ワークピース内のビームプロファイルの横方向及び縦方向の範囲が影響を受け得る。更に、空間フィルタ及びストップは、ビームを準備するために、ビーム成形用のビームパスにおいて使用され得る。
【0108】
例えば、超短パルスレーザーシステムのためレーザービームパラメータ、並びに本開示の範囲内で使用され得る光学系及び引き延ばされた焦点ゾーンのパラメータは、例として、以下のとおりである。
パルスエネルギーEp:1μJ~10mJ(例えば、20μJ~1000μJ)、
パルスグループのエネルギーEg:1μJ~10mJ
波長範囲:IR、VIS、UV(例えば、2μm>λ>200nm;例えば、1550nm、1064nm、1030nm、515nm、343nm)
パルス持続時間(FWHM):10fs~50ns(例えば、200fs~20ns)
曝露時間(前進速度に依存):100ns未満(例えば、5ps~15ns)
デューティサイクル(レーザーパルス/パルスグループの繰り返し時間に対する曝露時間):5%以下、例えば、1%以下
光学系に入る際の生ビーム直径D(1/e2):例えば、1mm~25mmの範囲において
近視野光学部品の焦点距離:3mm~100mm(例えば、10mm~20mm)
近視野光学部品の開口数NA:0.15≦NA≦0.5
材料におけるビームプロファイルの長さ:20μm超
おそらく短い方向での、材料におけるビームプロファイルの最大横方向範囲:20λ未満
アスペクト比:20超
伝播方向での変調:焦点ゾーンにわたって10期間超
例えば、分離に使用するための、2つの隣接する変更間の前進dv:
100nm<dv<10*前進方向での横方向範囲
曝露時間中の前進:例えば、前進方向での横方向範囲の5%未満
【0109】
ここで、パルス持続時間はレーザーパルスに関連し、曝露時間は、例えば、ある場所において単一の変更を形成するためのレーザーパルスのグループが材料と相互作用する時間範囲に関連する。ここでは、現在の前進レートに対して曝露時間が短いため、グループの全てのレーザーパルスが1つの場所において変更に寄与する。
【0110】
焦点ゾーンよりも薄いワークピースが長い場合、焦点ゾーンは部分的にワークピースの外側にあるため、焦点ゾーンよりも短い変更が存在し得る。そのような状況を有利に利用して、たとえ光学部分とワークピースとの間の距離に変動がある場合でも、加工プロセスを堅牢にすることができる。いくつかの実施形態では、ワークピース全体を貫通しない変更が有利であり得る。特に、焦点ゾーンの長さ及び/又はワークピース内のその場所を適合させることができる。一般に、ここで、非線形吸収用の閾値が異なるため、同一の強度が想定される焦点ゾーンが異なる材料で異なるサイズの変更をもたらし得ることに注意すべきである。
【0111】
アスペクト比は、加工される材料のビームプロファイル(焦点ゾーン)の形状、及びまたビームプロファイルで生成された変更の形状に関係する。非対称ビームプロファイル又は横方向で変調された(例えば、回転対称又は環状ではない)ビームプロファイルの場合、アスペクト比は、この長さの範囲内で発生する最短方向における最大横方向範囲に対する変更の長さの比率によって決定される。ここで、ビームプロファイルが横方向での変調を有する場合、例えば環状ビームプロファイルの場合は、アスペクト比は最大幅に関連し、環状ビームプロファイルの場合は、すなわち、例えばリングの厚さに関連する。横方向に離間して配置された複数の変更体積の形成の場合、アスペクト比は、個々の変更の横方向範囲に関連する。伝播方向で変調されたビームプロファイルの場合(例えば干渉のために)、アスペクト比は、一次全長を基準とする。
【0112】
特に近視野光学部品の焦点距離fNよりも大きく、空気に対する近視野光学部品のNAが>0.15である、ビーム成形要素と集束レンズ(近視野光学部品)との間の距離dに基づいて、ビーム成形要素の使用される角度スペクトルαは、tan(α)<f*NA/d<NA/2、好ましくは、tan(α)>f*NA/(d*4)の範囲にあり得る。
【0113】
適用可能な限りにおいて、例示的な実施形態に提示される全ての個々の特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、互いに組み合わせることができ、及び/又は相互交換することができる。
【符号の説明】
【0114】
1 ワークピース
2 変更
3,3’ 表面
4 スルーホール
5 砂時計形状のスルーホール
6 止まり穴
7 ウェブ
8 トレンチ
9 クリアランス
10 輪郭
11 ギャップ
12 丸みを帯びたエッジ
21 レーザー加工設備
23 キャリアシステム
23A クロス部材
25 ワークピース取り付けユニット
27 ブームアセンブリ
29 回転軸
31 光学系
【国際調査報告】