(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-18
(54)【発明の名称】植物抽出方法
(51)【国際特許分類】
A61K 36/60 20060101AFI20221011BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20221011BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20221011BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20221011BHJP
A61K 36/605 20060101ALI20221011BHJP
A61K 36/896 20060101ALI20221011BHJP
A61K 36/34 20060101ALI20221011BHJP
A61K 36/88 20060101ALI20221011BHJP
A61K 36/342 20060101ALI20221011BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20221011BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20221011BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20221011BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20221011BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20221011BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20221011BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
A61K36/60
A61P3/10
A61P3/06
A61P1/00
A61K36/605
A61K36/896
A61K36/34
A61K36/88
A61K36/342
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/08
A61K9/10
A61K9/16
A23L33/105
A23L2/52
A23L2/00 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022512729
(86)(22)【出願日】2020-08-20
(85)【翻訳文提出日】2022-02-22
(86)【国際出願番号】 CN2020110179
(87)【国際公開番号】W WO2021036896
(87)【国際公開日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】201910794907.2
(32)【優先日】2019-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522069873
【氏名又は名称】ベイジン ウィ-ハンド-バイオ ファーマスーティカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BEIJING WEHAND-BIO PHARMACEUTICAL CO., LTD
【住所又は居所原語表記】No.30 Tianfu Street, Daxing Biomedical Industrial Base, Zhongguancun Science Park Beijing, 102600, China
(71)【出願人】
【識別番号】522069884
【氏名又は名称】グアンシー ウィ-ハンド-バイオ ファーマスーティカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GUANGXI WEHAND-BIO PHARMACEUTICAL CO., LTD
【住所又は居所原語表記】No.16 Jincheng Road, Qingyuan Town, Yizhou District, Hechi, Guangxi 546300, China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】リュウ,ユリン
(72)【発明者】
【氏名】ジュ,シャンヤン
(72)【発明者】
【氏名】ジン,イィチュン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ,ジィファ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ジュンドン
【テーマコード(参考)】
4B018
4B117
4C076
4C088
【Fターム(参考)】
4B018LE03
4B018LE05
4B018MD48
4B018MD61
4B018ME03
4B018ME04
4B018MF01
4B018MF06
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4B117LG18
4B117LP01
4C076AA11
4C076AA16
4C076AA31
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4C076AA53
4C076BB01
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4C076CC21
4C076FF70
4C088AB30
4C088AB34
4C088AB71
4C088AB85
4C088AC02
4C088AC04
4C088AC05
4C088AC06
4C088AC11
4C088AC12
4C088BA07
4C088BA08
4C088CA03
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4C088CA14
4C088CA19
4C088MA17
4C088MA22
4C088MA35
4C088MA37
4C088MA41
4C088MA52
4C088NA20
4C088ZA66
4C088ZC33
4C088ZC35
(57)【要約】
1)粗抽出液を調製する工程と、2)前記粗抽出液をカチオン樹脂及び必要に応じてアニオン樹脂で分離処理し、収集液を得る工程と、3)工程2)で得られた収集液を濃縮処理する工程と、4)工程3)で得られた濃縮液をアルコール沈殿処理する工程と、必要に応じて、5)濃縮乾燥処理を行う工程とを含む植物抽出方法。本方法は、抽出物中の重金属の含有量を効果的に低減し、抽出時のエタノールの使用量を削減することができ、製品の品質向上、製造コストの削減、工業生産の効率及び安全性の向上につながる。本方法により得られた抽出物は、脂質降下、耐糖能障害の治療、血糖異常に関する疾患の治療、腸内細菌叢の調節のための薬物の製造に使用でき、食品、健康製品又は飲料とすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)植物粗抽出液を調製する工程と、
2)前記粗抽出液をカチオン樹脂及び必要に応じてアニオン樹脂で分離処理し、収集液を得る工程と、
3)工程2)で得られた収集液を濃縮処理する工程と、
4)工程3)で得られた濃縮液をアルコール沈殿処理する工程と、
必要に応じて、5)濃縮乾燥処理を行う工程と
を含むことを特徴とする植物抽出方法。
【請求項2】
前記植物は、クワ科(Moraceae)、ユリ科(Liliaceae)、キキョウ科(Campanulaceae)、ツユクサ科(Commelinaceae)の植物であり、
好ましくは、前記植物はクワ属(Morus)、ヒヤシンス属(Hyacinthus)、ツリガネニンジン属(Adenophora)、ツユクサ属(Commelina)の植物であり、
好ましくは、前記植物はログワ(Morus multicaulis Perrott.)、マグワ(Morus alba L.)、カントングワカントングワ(Morus atropurpurea Roxb)、ミズホグワ(Morusmizuho Hotta)、ミドリグワ(Morus wittiorum Hand Mazz.)、ナガミグワ(Morus laevigata Wall)、クロミグワ(Morus nigra Linn.)、カラケグワ(Morus cathayana Hemsi.)、テンジクグワ(Morus serrata Roxb.)、モウコグワ(Morus mongolica Schneid.)、ヤマグワ(Morus bombycis Koidz.)、マルバグワ(Morus notabilis Schneid.)、カラオニグワ(Morus nigriformis Koidz.)、ウンナングワ(Morusyunnanensis Koidz.)、シマグワ(Morus australis Poir.)、オニグワ(Morus mongolica(Bur.)Schneid var.diabolica Koidz.)、大葉桑、シダレグワ(Morus alba Var.Pendula Dippel)、白脈桑、及び、上記桑種を用いて育成された桑品種、上記桑種の種内又は種間交雑で作られた雑種桑、並びにヒヤシンス(Hyacinthus orientalis)、ツリガネニンジン(Adenophora.triphylla var.japonica)、ツユクサ(Commelina communi)のうちのいずれか1つ以上であり、
好ましくは、前記植物は、カントングワ、ログワ、マグワ、テンジクグワ、ヤマグワ又は雑種桑から選択され、前記雑種桑は好ましくは粤桑11号、桂桑優62号又は桑特優2号であることを特徴とする請求項1に記載の抽出方法。
【請求項3】
前記抽出方法は、工程2)の前記分離の前に、前記植物粗抽出液を濃縮処理する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の抽出方法。
【請求項4】
工程2)における前記カチオン樹脂は、強酸性カチオン交換樹脂、弱酸性カチオン交換樹脂及び強アルカリ性第4級アンモニウム系カチオン樹脂から選択される1つ以上であり、
好ましくは、前記カチオン樹脂は、732型強酸性スチレン系カチオン交換樹脂、734型強酸性スチレン系カチオン交換樹脂、002SC型強酸性スチレン系カチオン交換樹脂、D001型マクロポーラス強酸性スチレン系カチオン交換樹脂、D113型マクロポーラス弱酸性アリルベンゼン系カチオン交換樹脂及びD254型マクロポーラス強アルカリ性第4級アンモニウム系カチオン交換樹脂から選択される1つ以上であり、
好ましくは、前記カチオン樹脂は、732型強酸性スチレン系カチオン交換樹脂、734型強酸性スチレン系カチオン交換樹脂及びD001型マクロポーラス強酸性スチレン系カチオン交換樹脂であり、
好ましくは、工程2)のカチオン樹脂による分離において、前記カチオン樹脂と植物原材料の投入量との重量比は1:1~30であり、好ましくは1:1~25であり、より好ましくは1:2~20であり、
好ましくは、工程2)の前記カチオン樹脂による分離に使用される溶出剤は、濃度0.04~5mol/Lのカチオンを含む溶液であり、
好ましくは、工程2)のカチオン樹脂による分離に使用される溶出剤の重量は、植物原材料の投入重量に対して0.1~30倍であり、好ましくは0.5~10倍であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の抽出方法。
【請求項5】
工程2)の前記アニオン樹脂は、強アルカリ性アニオン交換樹脂、弱アルカリ性アニオン交換樹脂又は弱酸性アニオン交換樹脂から選択される1つ以上であり、
好ましくは、前記アニオン樹脂は、717型強アルカリ性スチレン系アニオン交換樹脂、711型強アルカリ性スチレン系アニオン交換樹脂、D201型マクロポーラス強アルカリ性スチレン系アニオン交換樹脂、D218型マクロポーラス強アルカリ性アクリル系アニオン交換樹脂、D301-G型マクロポーラス弱酸型スチレン系アニオン交換樹脂及びD301型マクロポーラス弱アルカリ性スチレン系アニオン交換樹脂から選択される1つ以上であり、
好ましくは、前記アニオン樹脂は、717型強アルカリ性スチレン系アニオン交換樹脂、D201型マクロポーラス強アルカリ性スチレン系アニオン交換樹脂及びD218型マクロポーラス強アルカリ性アクリル系アニオン交換樹脂であり、
好ましくは、工程2)のアニオン樹脂による分離において、前記アニオン樹脂と植物原材料の投入量との重量比は1:1~80であり、好ましくは1:1~64であり、より好ましくは1:1~32であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の抽出方法。
【請求項6】
工程4)のアルコール沈殿処理に使用されるエタノールと植物原材料の投入量との重量比は1:4~600であり、好ましくは1:20~300であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の抽出方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の抽出方法により得られた植物抽出物。
【請求項8】
請求項7に記載の植物抽出物と、必要に応じて薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物であって、
好ましくは、前記医薬組成物の剤形は、経口固体製剤及び液体製剤を含み、
好ましくは、前記医薬組成物の剤形は、錠剤、カプセル剤、経口液剤、経口乳剤、丸剤及び顆粒剤を含む、ことを特徴とする医薬組成物。
【請求項9】
血糖降下薬を製造するための請求項7に記載の植物抽出物又は請求項8に記載の医薬組成物の使用。
【請求項10】
耐糖能障害の治療薬を製造するための請求項7に記載の植物抽出物又は請求項8に記載の医薬組成物の使用。
【請求項11】
血糖異常に関する疾患の予防及び/又は治療のための薬物を製造するための請求項7に記載の植物抽出物又は請求項8に記載の医薬組成物の使用。
【請求項12】
脂質降下薬を製造するための請求項7に記載の植物抽出物又は請求項8に記載の医薬組成物の使用。
【請求項13】
腸内細菌叢を調節するための薬物を製造するための請求項7に記載の植物抽出物又は請求項8に記載の医薬組成物の使用。
【請求項14】
請求項7に記載の植物抽出物を含むことを特徴とする食品、健康製品又は飲料。
【請求項15】
食品、健康製品又は飲料を製造するための請求項7に記載の植物抽出物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は植物抽出技術の分野に該当し、具体的には、植物抽出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
天然植物抽出物とは、植物を原料として、抽出による最終製品の用途に応じて、物理的・化学的抽出及び分離を行い、植物内の1つ以上の有効成分を、その有効な構造を変化させることなく、選択的に取得・濃縮することによって得られたものを指す。植物抽出物には、豊富で複雑な有機成分が含まれており、なかでも、多くの有機成分は、抗菌、静菌、抗酸化、身体の免疫機能の調節などの生物学的活性を持っている。植物抽出物は、グリーンで健康的、安全で高効率、かつ残留物無しという利点があるため、世界中の医薬品、ヘルスケア製品、化粧品、食品添加物、農薬、飼料、日用品などの分野で広く使用されている。中国はカイコ産業の発祥の地である。栄養価値及び薬用価値が高いことから、クワ科の植物は、古くから薬用及び食用の貴重な材料とみなされ、これまでの漢方薬典籍に多く記載されている。例えば、「本草綱目」には、「桑の葉は煎じて、渇きを止め消す」、「お茶の代わりに飲めば、渇きを止める」との記載がある。現代科学においても、クワ科植物の栄養成分、薬理学的有効成分、作用機序が確認されている。研究によると、クワ科植物の化学成分には、主にフラボノイド系化合物、多糖類化合物、アルカロイド及びアミノ酸に加えて、若干の揮発性油、タンニン、コハク酸、アデニン、ビタミンなども含まれ、抗真菌、抗炎症、血糖降下、抗酸化などの効果がある。
【0003】
植物の抽出方法は、伝統的な抽出方法と現代の抽出方法に分けられる。伝統的な抽出方法は、特別な設備を必要とせず、操作が簡単で、抽出コストが低く、主に溶媒抽出法、水蒸気蒸留法などが挙げられる。現代の抽出方法は、現代の先進装置による方法や、新しく開発された抽出方法であり、主に超音波抽出法、マイクロ波抽出法、酵素抽出法、固相抽出法などが挙げられる。植物抽出物の成分は、親油性と親水性に分けることができる。植物抽出物によって、異なる溶媒及び/又は抽出方法を採用できる。例えば、親油性植物成分の場合、有機溶媒を用いて浸出、低温浸漬、超音波処理、マイクロ波処理、還流抽出などを行うことができる。水溶性成分の場合、一般的に使用される抽出方法の1つは、水抽出・アルコール沈殿法であり、この方法は、漢方薬抽出物の精製及び不純物除去、有効成分の含有量向上、投与量低減、製造・成形の容易さなどを図る上で重要である。具体的な工程としては、水抽出、濃縮、アルコール沈殿、乾燥などがある。ここで、アルコール沈殿とは、粗抽出液にエタノールを適切な濃度まで加えることにより、エタノールに不溶な不純物を沈殿させた後、固液分離により精製の目的を達成することを指す。例えば、常星潔らは、水煎じ-濃縮-エタノール沈殿-エタノール回収の工程によりレンギョウの有効成分を抽出し(常星潔、丁倩、「レンギョウの水抽出・アルコール沈殿法におけるフォシチアサイドA及びフィリリン並びに静菌活性の変化」[J].中医薬導報、2018、24(9):39~41.)、沈愛英らは水抽出及びエタノール析出法により桑葉の多糖類を得た(沈愛英、朱子玉、張文良、「桑葉の水溶性多糖類の抽出方法に関する研究」[J].蚕業科学、2004、30(3):277~279.)。有効成分をさらに濃縮するために、アルコール沈殿処理後、精製の目的で樹脂分離、膜分離、限外ろ過、透析などを行うこともできる。
【0004】
植物抽出物に対する消費者のニーズが高まるにつれて、植物抽出技術が発展し、製品の品質も若干改善されているが、先進国と比較して、中国の植物抽出物には依然としていくつかの顕著な問題がある。その中でも、重金属、農薬残留などの製品の安全性問題は広く注目されている。研究により、一部の植物は、環境中の重金属(銅、鉛、カドミウム、亜鉛など)を大量に蓄積する性質があることが分かっている。例えば、張興らの研究によると、重金属の含有量が銅Cu(593.56mg/kg)、鉛Pb(825.41mg/kg)、カドミウムCd(8.11mg/kg)、亜鉛Zn(705.41mg/kg)である土壌に桑の木を植えた結果、その根中の重金属含有量はCu 33.13mg/kg、Pb 33.13mg/kg、Cd 4.53mg/kg、Zn 317.72mg/kg、葉中の重金属含有量はCu 13.18mg/kg、Pb 10.32mg/kg、Cd 1.90mg/kg、Zn 186.53mg/kgと高く、関係規制を遥かに上回っている(「薬用植物及び製剤の輸出入に関するグリーン産業基準」によれば、植物原料、飲片、抽出物及び製剤は、重金属総量≦20.0mg/kg、鉛Pb≦5mg/kg、カドミウムCd≦0.3mg/kg、水銀Hg≦0.2mg/kg、銅Cu≦20.0mg/kg、ヒ素As≦2.0mg/kgを条件とする)。如何にして重金属などの有害物質の残留を最小限に抑えるかということは、植物の抽出方法の研究において考慮すべき重要な側面である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的な研究及び工業生産では、水溶性の植物抽出物は通常、水抽出・アルコール沈殿法によって得られる。特定の成分の含有量を増やすことを考慮すると、アルコール沈殿処理後に樹脂分離、膜分離、限外ろ過、透析などを行ってさらに濃縮・精製することもある。しかし、植物抽出物、特にクワ科植物のように環境中の重金属を蓄積しやすい植物の場合、この抽出方法により抽出物を取得するだけでは、その残留重金属を十分に除去することはできない。本発明者らは、植物の抽出において、粗抽出液に対して樹脂分離、濃縮及びアルコール沈殿処理をこの順で行うことにより、有効成分の分離効率を改善するだけでなく、植物抽出物中の残留重金属を顕著に低減することも可能であることを知見した。この知見に基づき、本発明者らは、植物抽出物中の重金属含有量を効果的に低減するとともに、抽出に使用されるエタノールの量を大幅に削減することができる新規な植物抽出方法を提供する。本発明の方法によれば、製品の品質を改善するとともに、製造コストを削減することができ、さらに工業生産の効率及び安全性をある程度向上させることも可能である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上に鑑み、第1の側面によれば、本発明は、
1)粗抽出液を調製する工程と、
2)前記粗抽出液をカチオン樹脂で分離して、溶出液を収集し、必要に応じて前記溶出液をアニオン樹脂で分離し、流出液を収集する工程と、
3)工程2)で得られた収集液を濃縮処理する工程と、
4)工程3)で得られた濃縮液をアルコール沈殿処理する工程と、
必要に応じて、5)濃縮乾燥処理を行う工程とを含む
ことを特徴とする植物抽出方法を提供する。
【0007】
1)植物粗抽出液の調製
本発明において、前記植物は、好ましくはクワ科(Moraceae)、ユリ科(Liliaceae)、キキョウ科(Campanulaceae)、ツユクサ科(Commelinaceae)の植物であり、より好ましくはクワ属(Morus)、ヒヤシンス属(Hyacinthus)、ツリガネニンジン属(Adenophora)、ツユクサ属(Commelina)の植物であり、さらに好ましくは、前記植物は、ログワ(Morus multicaulis Perrott.)、マグワ(Morus alba L.)、カントングワ(Morus atropurpurea Roxb)、ミズホグワ(Morusmizuho Hotta)、ミドリグワ(Morus wittiorum Hand Mazz.)、ナガミグワ(Morus laevigata Wall)、クロミグワ(Morus nigra Linn.)、カラケグワ(Morus cathayana Hemsi.)、テンジクグワ(Morus serrata Roxb.)、モウコグワ(Morus mongolica Schneid.)、ヤマグワ(Morus bombycis Koidz.)、マルバグワ(Morus notabilis Schneid.)、カラオニグワ(Morus nigriformis Koidz.)、ウンナングワ(Morusyunnanensis Koidz.)、シマグワ(Morus australis Poir.)、オニグワ(Morus mongolica(Bur.)Schneid var.diabolica Koidz.)、大葉桑、シダレグワ(Morus alba Var.Pendula Dippel)、白脈桑、及び、上記桑種を用いて育成された桑品種、上記桑種の種内又は種間交雑で作られた雑種桑、及び、ヒヤシンス(Hyacinthus orientalis)、ツリガネニンジン(Adenophora.triphylla var.japonica)、ツユクサ(Commelina communi)のうちのいずれか1つ以上であり、好ましくは、前記植物は、カントングワ、ログワ、マグワ、テンジクグワ、ヤマグワ又は雑種桑であり、前記雑種桑は、好ましくは粤桑11号、桂桑優62号又は桑特優2号から選択される。前記植物の葉、根、枝、樹皮、芽、茎、果実などの様々な部分を使用できる。
【0008】
アルコール水溶液、水、アルカリ性水溶液又は酸性水溶液などの溶媒を用いて前記植物の粗抽出を行うことができ、好ましくは、粗抽出に使用する溶媒は水である。
抽出の際、植物を粉砕してから水に投入して熱抽出を行うことが好ましい。抽出時間は1回につき0.5~3時間とすることが好ましく、抽出回数は1~3回とする。
好ましい実施形態において、粉砕後の植物を抽出タンクに投入して抽出を行う。
【0009】
抽出の際、溶媒の添加量が多いほど、植物の抽出率が高くなるが、溶媒の添加量が多すぎると、その後の分離精製が難しくなる。溶媒の添加量は、好ましくは植物原材料の投入重量に対して3~20倍とし、より好ましくは4~15倍とする。これにより、溶液体積の過剰な増加による後処理の困難が生じることなく、植物抽出物を最大限取得することができる。
【0010】
煎出法、超音波抽出法又は還流抽出法により抽出を行うことができ、煎出法又は還流抽出法で抽出を行うことが好ましく、産業機器がより成熟した煎出法で抽出を行うことがより好ましい。
必要に応じ、抽出を繰り返して行い、抽出液を合流させてもよい。
好ましくは、抽出液をろ過して不溶物を除去し、植物粗抽出液を得る。
【0011】
2)カチオン樹脂及び必要に応じたアニオン樹脂による分離
本発明は、イオン交換樹脂により植物粗抽出液の成分の分離を行う。
工程2)において、植物粗抽出液をカチオン樹脂に注入し、カチオン樹脂で分離する。好ましくは、カチオン樹脂をカラムに充填した後、酸性溶液の通液、アルカリ性溶液の通液、酸性溶液の通液の順で活性化する。樹脂活性化方法により、樹脂環境のpH値を調節することもでき、さらにカチオン樹脂の吸着選択性を最適化し、分離効果を高めることもできる。
【0012】
好ましくは、溶出液のpHが8.0~9.5、好ましくは8.5~9.5となるまでアルカリ性溶液の通液を行う。
好ましくは、前記アルカリ性溶液は、アンモニア水溶液、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液又は炭酸ナトリウム溶液から選択され、好ましくはアンモニア水溶液、水酸化ナトリウム溶液である。好ましくは、前記アルカリ性溶液の濃度は0.5~4mol/Lとし、好ましくは1~2mol/Lとする。
【0013】
好ましくは、溶出液のpHが3.0~7.0、好ましくは4.5~6.5となるまで酸性溶液の通液を行う。
好ましくは、前記酸性溶液は、塩酸溶液、リン酸溶液、リン酸水素二ナトリウム-クエン酸緩衝液から選択され、より好ましくはリン酸水素二ナトリウム-クエン酸緩衝液である。好ましくは、前記酸性溶液の濃度は0.5~4mol/Lとし、好ましくは1~2mol/Lとする。
リン酸水素二ナトリウム-クエン酸緩衝液を酸性溶液として使用する場合、前記リン酸水素二ナトリウム-クエン酸緩衝液のpH値は、好ましくは4.0~6.5とし、より好ましくは4.5~5.0とする。
【0014】
必要に応じ、前記カチオン樹脂は、最終回の酸性溶液の通液を行った後、さらにカラム体積に対して3~5倍の脱イオン水で洗浄してもよい。
【0015】
好ましくは、前記カチオン樹脂は、強酸性カチオン交換樹脂、弱酸性カチオン交換樹脂及び強アルカリ性第4級アンモニウム系カチオン樹脂から選択される1つ以上である。
好ましくは、前記カチオン樹脂は、732型強酸性スチレン系カチオン交換樹脂、734型強酸性スチレン系カチオン交換樹脂、002SC型強酸性スチレン系カチオン交換樹脂、D001型マクロポーラス強酸性スチレン系カチオン交換樹脂、D113型マクロポーラス弱酸性アリルベンゼン系カチオン交換樹脂及びD254型マクロポーラス強アルカリ性第4級アンモニウム系カチオン交換樹脂から選択される1つ以上である。
好ましくは、前記カチオン樹脂は、732型強酸性スチレン系カチオン交換樹脂、734型強酸性スチレン系カチオン交換樹脂及びD001型マクロポーラス強酸性スチレン系カチオン交換樹脂である。
【0016】
研究によると、任意の理論に限られるものではないが、カチオン交換樹脂への注入過程、特に注入溶液の濃度及び樹脂の使用量は、植物成分の吸着及び分離の効果に大きな影響を与える。
好ましくは、前記カチオン樹脂の使用量と植物原材料の投入量との重量比は1:1~30であり、好ましくは1:1~25であり、より好ましくは1:2~20である。
【0017】
植物粗抽出液をカチオン樹脂に注入した後、溶出剤により注入後のカチオン樹脂の溶出を行う。好ましくは、前記溶出剤は、カチオンを含む塩溶液又はアルカリ性溶液であり、好ましくは塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、アンモニア水、塩化カリウム及び水酸化ナトリウムのうちの1つ以上である。
好ましくは、前記溶出剤中のカチオンの濃度は0.04~5mol/Lであり、好ましくは0.2~3mol/Lであり、より好ましくは0.5~2.5mol/Lである。
好ましくは、溶出剤の流速は1~15BV/hであり、好ましくは5~10BV/hである。
好ましくは、カチオン樹脂での分離に使用される溶出剤の重量は、植物原材料の投入重量に対して0.1~30倍であり、好ましくは、植物原材料の投入重量に対して0.5~10倍量の溶出剤で溶出する。
【0018】
溶出液がカチオン樹脂から流出すると、収集を開始する。カチオン樹脂流出液のpHにより、収集の開始時点を決めることができる。例えば、アンモニア水などのアルカリ性溶液で溶出する場合、カチオン樹脂流出液のpH>7の時から収集を開始する。また、分離される成分の性質により収集の開始時点を決めることもできる。例えば、呈色反応や沈殿反応により流出液収集の開始時点を決めてもよく、高速液体クロマトグラフィーなどの検出方法により収集の開始時点を決めてもよい。好ましくは、収集液の体積が植物原材料の投入重量に対して0.1~10倍となる時点で収集を停止し、より好ましくは、収集液の体積が植物原材料の投入重量に対して0.2~5倍となる時点で収集を停止する。
【0019】
カチオン樹脂で分離する場合、固定床イオン交換法を用いてもよく、連続イオン交換法を用いてもよい。好ましくは、より高度な自動化が可能な連続イオン交換法を採用する。
カチオン樹脂の分離効果を向上させるためには、カチオン樹脂で例えば2~5回の分離を行うなど、複数回分離してもよい。
【0020】
必要に応じ、収集された溶出液をアニオン樹脂で分離する。前記アニオン樹脂による分離の際、アニオン樹脂をカラムに充填した後、アルカリ性溶液の通液、酸性溶液の通液、アルカリ性溶液の通液の順で活性化する。
【0021】
好ましくは、溶出液のpHが3.0~7.0、好ましくは4.5~6.5となるまで酸性溶液の通液を行う。
好ましくは、前記酸性溶液は、塩酸溶液、リン酸溶液、リン酸水素二ナトリウム-クエン酸緩衝液から選択され、より好ましくはリン酸水素二ナトリウム-クエン酸緩衝液である。好ましくは、前記酸性溶液の濃度は0.5~4mol/Lとし、好ましくは1~2mol/Lとする。リン酸水素二ナトリウム-クエン酸緩衝液を酸性溶液として使用する場合、前記リン酸水素二ナトリウム-クエン酸緩衝液のpH値は、好ましくは4.0~6.5とし、より好ましくは4.5~5.0とする。
【0022】
好ましくは、溶出液のpHが8.0~9.5、好ましくは8.5~9.5となるまで、アルカリ性溶液の通液を行う。
好ましくは、前記アルカリ性溶液は、アンモニア水溶液、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液又は炭酸ナトリウム溶液から選択され、好ましくは水酸化ナトリウム溶液である。好ましくは、前記水酸化ナトリウム溶液の濃度は0.5~4mol/Lとし、好ましくは1~2mol/Lとする。
【0023】
好ましくは、前記アニオン樹脂は、強アルカリ性アニオン交換樹脂、弱アルカリ性アニオン交換樹脂又は弱酸性アニオン交換樹脂から選択される1つ以上である。
好ましくは、前記アニオン樹脂は、717型強アルカリ性スチレン系アニオン交換樹脂、711型強アルカリ性スチレン系アニオン交換樹脂、D201型マクロポーラス強アルカリ性スチレン系アニオン交換樹脂、D218型マクロポーラス強アルカリ性アクリル系アニオン交換樹脂、D301-G型マクロポーラス弱酸型スチレン系アニオン交換樹脂及びD301型マクロポーラス弱アルカリ性スチレン系アニオン交換樹脂から選択される1つ以上である。
好ましくは、前記アニオン樹脂は、717型強アルカリ性スチレン系アニオン交換樹脂、D201型マクロポーラス強アルカリ性スチレン系アニオン交換樹脂及びD218型マクロポーラス強アルカリ性アクリル系アニオン交換樹脂である。
【0024】
好ましくは、前記アニオン樹脂の使用量と植物原材料の投入量との重量比は1:1~80であり、好ましくは1:1~64であり、より好ましくは1:1~32である。
【0025】
液体がアニオン樹脂から流出すると、収集を開始する。好ましくは、収集液の体積が植物原材料の投入重量に対して0.05~10倍となる時点で収集を停止し、より好ましくは、収集液の体積が植物原材料の投入重量に対して0.1~5倍となる時点で収集を停止する。
必要に応じ、アニオン樹脂の分離効果を向上させるためには、アニオン樹脂で例えば2~4回の分離を行うなど、複数回分離してもよい。
【0026】
好ましくは、前記抽出方法は、工程2)の分離を行う前に、前記植物粗抽出液を濃縮処理する工程をさらに含む。
粗抽出液を濃縮する方法としては、熱濃縮、ナノろ過膜、逆イオン浸透膜による濃縮及びこれらの組み合わせが挙げられる。
好ましくは熱濃縮、逆イオン浸透膜又はこれらの組み合わせにより濃縮を行うことで、植物粗抽出液の濃度を高める。
【0027】
好ましくは、逆イオン浸透膜及びナノろ過膜を用いて濃縮を行う場合、濃縮効率を向上させるために、逆イオン浸透膜及びナノろ過膜による濃縮を行う前に、遠心分離、限外ろ過膜によるろ過、又は精密ろ過膜によるろ過を先に行って不純物を除去することができる。
【0028】
好ましくは、溶液中の固形物の質量濃度が1~15%、好ましくは2~10%になるまで、植物粗抽出液を濃縮する。前記固形物とは、溶液中の水分が除去された後に残った固形分をいう。
【0029】
必要に応じ、工程2)の樹脂分離処理を行う前に、濃縮処理された粗抽出液に対してアルコール沈殿処理を行ってもよい。アルコール沈殿処理において、粗抽出液にエタノールを加え、撹拌して均一に混合し、撹拌を停止してしばらく静置することで、その中の不溶物を沈殿させる。好ましくは、植物粗抽出液に0.2~20倍の体積のエタノールを加え、好ましくは0.4~10倍の体積のエタノールを加える。より好ましくは、アルコール沈殿タンクによりアルコール沈殿処理を行う。好ましくは、アルコール沈殿処理における撹拌速度は10~600rpmとし、好ましくは40~500rpmとし、より好ましくは80~400rpmとする。
【0030】
3)工程2)で得られた収集液の濃縮処理
工程3)の濃縮処理方法としては、熱濃縮、ナノろ過膜、逆イオン浸透膜による濃縮及びこれらの組み合わせが挙げられる。好ましくは、逆イオン浸透膜及びナノろ過膜による濃縮を行う前に、遠心、限外ろ過膜によるろ過又は精密ろ過膜によるろ過を先に行って不純物を除去する。
好ましくは、工程3)で得られた濃縮液体の比重は1.0~1.3である。この比重とは、同じ体積条件において前記濃縮液と水の質量比を指す。
【0031】
4)アルコール沈殿処理
工程4)のアルコール沈殿処理において、エタノールを用いて工程3)の濃縮液を処理する。具体的には、工程3)の濃縮液にエタノールを加え、撹拌して均一に混合し、撹拌を停止してしばらく静置することで、その中の不溶物を沈殿させる。
好ましくは、工程4)において、アルコール沈殿処理に用いられるエタノールと植物原材料の投入量との重量比は1:4~600であり、好ましくは1:20~300である。
アルコール沈殿処理は、好ましくはアルコール沈殿タンク内で行われる。
好ましくは、工程4)のアルコール沈殿処理において、撹拌速度は10~600rpmとし、好ましくは40~500rpmとし、より好ましくは80~400rpmとする。
【0032】
5)濃縮乾燥処理
必要に応じ、前記抽出方法は、5)濃縮乾燥処理工程をさらに含む。
アルコール沈殿処理した溶液をろ過して不溶物を除去し、減圧濃縮により植物抽出物ペーストを得るか、又は、乾燥により乾燥物を得る。
【0033】
第2の側面によれば、本発明は、上記抽出方法により得られた植物抽出物を提供する。
好ましくは、本発明の上記抽出方法により得られた植物抽出物は、重量含有量が3%以上のアルカロイド(好ましくは重量含有量が3~99%のアルカロイド、より好ましくは重量含有量が15~99%のアルカロイド、さらに好ましくは重量含有量が45~99%のアルカロイド、例えば35~70%、又は60~75%)、及び/又は、重量含有量が70%以下の多糖類(好ましくは重量含有量が0.2~50%の多糖類、より好ましくは0.2~35%の多糖類)、及び/又は、重量含有量が10%以下のフラボノイド(好ましくは重量含有量が0.05~5%のフラボノイド、より好ましくは0.05~2%のフラボノイド)、及び/又は、重量含有量が50%以下のアミノ酸(好ましくは重量含有量が0~40%のアミノ酸、より好ましくは0~25%のアミノ酸)、及び/又は、その他の成分(重量含有量が好ましくは0~25%であり、より好ましくは0~20%である。)を含む。各成分の含有量の合計は100%である。ここで、各成分とは、アルカロイド、多糖類、フラボノイド及びアミノ酸を含めて前記植物抽出物の全成分を指す。すなわち、前記植物抽出物は、アルカロイド、多糖類、フラボノイド及びアミノ酸に加え、その他の成分も含む。
【0034】
好ましくは、本発明の上記抽出方法で得られた植物抽出物は、下記重量比率で各成分を含む。
アルカロイド 3~99%
多糖類 0.2~70%
フラボノイド 0~10%
アミノ酸 0~50%
その他の成分 0~25%
【0035】
好ましくは、本発明の上記抽出方法で得られた前記植物抽出物は、下記重量比率で各成分を含む。
アルカロイド 5~99%
多糖類 0.2~50%
フラボノイド 0.05~5%
アミノ酸 0~40%
その他の成分 0~20%
【0036】
さらに好ましくは、本発明の上記抽出方法で得られた前記植物抽出物は、下記重量比率で各成分を含む。
アルカロイド 30~99%
多糖類 0.2~35%
フラボノイド 0.05~2%
アミノ酸 0~25%
その他の成分 0~20%
【0037】
好ましくは、前記アルカロイドは、重量含有量が30~99%、好ましくは50~95%、より好ましくは55~90%、さらに好ましくは60~90%の1-デオキシノジリマイシン(1-DNJ)を含む。
【0038】
第3の側面によれば、本発明は、上記植物抽出物と、必要に応じて薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0039】
前記賦形剤は、投与経路又は投与方法に適し、人体に毒性作用を及ぼさない不活性成分である。
前記賦形剤は固体賦形剤であってもよく、液体賦形剤であってもよい。固体賦形剤としては、例えば、乳酸ナトリウム、ポロキサマー、ラウリル硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ゼラチン、キサンタンガム、ポビドン、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、カルボキシメチルデンプンナトリウム及びタルクが挙げられる。液体賦形剤としては、例えば、水、エタノール、シロップ及びグリセリンが挙げられる。
【0040】
好ましくは、前記医薬組成物の剤形としては、経口投与製剤が挙げられる。
好ましくは、前記医薬組成物の剤形としては、錠剤、カプセル剤、経口液剤、経口乳剤、丸剤及び顆粒剤が挙げられる。
患者の年齢、体重、健康状態、食事、投与経路、併用薬、治療時間などによって、薬剤の具体的な投与量に個人差が生じる場合がある。
【0041】
第4の側面によれば、本発明は、血糖降下薬を製造するための上記植物抽出物又は上記医薬組成物の使用を提供する。
【0042】
別の側面によれば、本発明は、耐糖能障害の治療薬を製造するための上記植物抽出物又は上記医薬組成物の使用を提供する。
【0043】
別の側面によれば、本発明は、血糖異常に関する疾患の予防及び/又は治療のための薬物を製造するための上記植物抽出物又は上記医薬組成物の使用を提供する。前記疾患としては、糖尿病、糖尿病性腎症、糖尿病性足病変、糖尿病性眼合併症、高血糖症、高尿酸血症、高脂血症、腸内細菌叢の不均衡、および脳梗塞、脳出血、冠状動脈性心臓病、高血圧などの心血管疾患や脳血管疾患が挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
本発明はさらに、脂質降下薬を製造するための上記植物抽出物又は上記医薬組成物の使用を提供する。
【0045】
本発明はさらに、腸内細菌叢を調節するための薬物を製造するための上記植物抽出物又は上記医薬組成物の使用を提供する。
【0046】
別の側面によれば、本発明は、上記植物抽出物と、必要に応じて食品、健康製品又は飲料に許容される添加剤とを含むことを特徴とする食品、健康製品又は飲料を提供する。
【0047】
本発明はさらに、食品、健康製品又は飲料を製造するための植物抽出物の使用を提供する。好ましくは、前記食品、健康製品又は飲料は、血糖降下効果を有する機能性食品、健康製品又は飲料である。
【0048】
本発明にいう植物原材料とは、抽出に使用される植物原料を指し、新鮮な、または加工された植物又は植物部分を含むが、これらに限定されない。
【発明の効果】
【0049】
植物粗抽出液の樹脂分離、濃縮及びアルコール沈殿処理の工程をこの順で行う本発明は、一般の抽出方法に比べて、下記有利な効果を有する。
1.重金属の含有量レベルが著しく低減される。
2.一般の水抽出・アルコール沈殿法において使用されるエタノールは、植物原材料の投入重量に対して1/4~5倍であるのに対して、本発明の抽出方法において使用されるエタノール量は、植物原材料の投入重量に対して1/600と低くなる。このように、エタノール使用量を大幅に減少させ、製造コストをある程度削減することができ、工業生産の容易さ及び製造工程の安全性が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】
図1は、実施例1、2、3、5、6で得られた植物抽出物のマウスショ糖耐性試験である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、図面及び実施例により本発明をさらに詳しく説明する。これらの例示的な説明により、本発明の特徴及び利点がより明確になる。
ここで、用語「例示的」とは、「例、実施例又は説明用」を意味する。「例示的」に説明される任意の実施例は、他の実施例より優れると解釈されない。
さらに、以下に説明する本発明の各実施形態における構成は、互いに矛盾するものでなければ、組み合わせることができる。
【0052】
本発明における測定方法としては、以下の方法がある。
1.アルカロイド含有量の測定
適量の抽出物を取り、水を加え、超音波をかけて溶解させ、被検物溶液を調製する。別途、適量の1-デオキシノジリマイシン標準品を精密に量り、水を加えて溶解させ、標準品溶液を調製する。標準品溶液と被検物溶液をそれぞれ適量精密に量り取り、重炭酸ナトリウム溶液を加え、よく振り混ぜ、9-フルオレニルメチルクロロホルメート(FMOC-Cl)のアセトン溶液を加え、30℃で30分間加熱し、酢酸を加えて反応を停止させ、よく振り混ぜ、ろ過する。最初の分を捨て、その後のろ液を精密に吸い取り、液体クロマトグラフに注入する。ピーク面積から、外部標準法に従って被検物中の1-デオキシノジリマイシン及び総アルカロイドの含有量を算出する((1-デオキシノジリマイシンを基準に、相対保持時間が0.4~1.7の範囲のクロマトグラフィーピークを求める) (参考文献:夏学群、汪仁芸、劉玉玲、「プレカラム誘導体化RP-HPLC法による桑の枝中の総アルカロイドの測定」[J].中国新薬雑誌、2008、17(23):2044~2047.)。
【0053】
2.アミノ酸含有量の測定
適量の抽出物を取り、水を加え、超音波をかけて溶解させ、被検物溶液を調製する。別途、適量の混合アミノ酸標準品を精密に量り、水を加えて溶解させ、標準品溶液を調製する。他の操作はアルカロイド含有量の測定と同様である。
【0054】
3.多糖類含有量の測定
適量の抽出物を精密に量り、水を加え、超音波抽出を行い、4000rpmで10分間遠心処理し、上澄みを被検物溶液とする。上記被検物溶液2mlを精密に量り、栓付きの試験管に入れ、0.1%アントロン硫酸試薬6mlを加え、沸騰水浴で15分間加熱し、氷水浴に入れて15分間放置した後、かかる試薬をブランクとして使用し、625nmでの吸光度を直ちに測定し、グルコース線形回帰式により被検物中の多糖類濃度をグルコースで算出し、次の式により含有量を求める。
含有量=C*D*f/W
(式中、Wは試料の質量であり、Cはグルコース基準の多糖類濃度であり、fは変換係数(3.38)であり、Dは希釈係数である。)(参考文献:張作法、金潔、時連根.「桑の枝中の多糖類含有量の測定方法」、中国中薬雑誌[J].2018、33(4):462~464)。
【0055】
4.フラボノイド含有量の測定
適量のルチン標準品を量り、60%エタノールを加えて溶解させ、ルチン標準品ストック溶液を得る。それぞれ0.5、1.0、3.0、5.0、7.0mlを25mlのフラスコに精密に量り取り、5%亜硝酸ナトリウム溶液、10%硝酸アルミニウム溶液、1NのNaOH溶液10mlをそれぞれ加えた後、水を加えてマークまで希釈し、よく振り混ぜて標準品溶液とする。ブランクの標準液を基準とし、500nmでの吸光度を測定して、線形回帰式を描く。
適量の抽出物を精密に量り、60%エタノール溶液を加え、超音波をかけて溶解させ、よく振り混ぜ、4000rpmで10分間遠心処理した後、上澄みをフラボノイド抽出液とする。フラボノイド抽出液2.0mlを精密に量り、5%亜硝酸ナトリウム溶液、10%硝酸アルミニウム溶液、1NのNaOH溶液10mlをそれぞれ加えた後、水を加えてマークまで希釈し、よく振り混ぜ、15分間放置し、5000rpmで5分間遠心処理した後、上澄みを測定に供する。さらにフラボノイド抽出液2.0mlを精密に量り、呈色させずに、水を加え、25mlまで希釈してブランクの標準液とする。500nmでの各反応液の吸光度を測定し、線形回帰式によりフラボノイド濃度を算出し、そして秤量重量及び希釈倍数から、被検物中のルチン基準のフラボノイド含有量を求める。
【0056】
5.重金属含有量の測定
中国薬典2015版第四部通則0821に記載の第2法により、重金属の総含有量を測定する。詳細な方法は以下のとおりである。
(1) 鉛標準液の調製
硝酸鉛0.1599gを量り、1000mlのメスフラスコに入れ、硝酸5ml及び水50mlを加えて溶解させた後、水でマークまで希釈し、よく振り混ぜ、ストック溶液とする。ストック溶液0.5、1、2、5、8mlをそれぞれ精密に量り、5mlのメスフラスコに入れ、水を加えてマークまで希釈し、よく振り混ぜることで、5ppm、10ppm、20ppm、30ppm、40ppm、50ppm、80ppmの鉛標準液を得る。
(2)サンプルの測定
サンプル2gを取り、完全に炭化するまで徐々に加熱し、放冷し、硫酸0.5~1mlを加えて潤し、硫酸がなくなるまで低温で加熱する。その後、硝酸0.5mlを加え、酸化窒素蒸気がなくなるまで蒸発乾固し、放冷する。完全に灰化するまで500~600℃で加熱して、放冷し、塩酸2mlを加え、水浴上で蒸発乾固した後、水15mlを加える。アンモニア試液を、フェノールフタレイン指示薬がわずかなピンク色になるまで滴下し、酢酸塩緩衝液(pH3.5)2mlを加え、微熱で溶解した後、ネスラー比色管に移し、水を加えて25mlに希釈し、検液とする。別途、被検物溶液の調製用の試薬を磁製るつぼに入れて蒸発乾固し、酢酸塩緩衝液(pH3.5)2ml及び水15mlを加え、微熱で溶解し、ネスラー比色管に移す。それぞれに(1)の鉛標準液を一定の量加え、水で25mlに希釈し、対照液とする。次に、検液及び対照液にそれぞれチオアセトアミド試液2mlを加え、よく振り混ぜる。2分間放置し、両方とも白い紙の上に置き、上から透視し、対照液の色と比較して、サンプル中の重金属含有量を確認する。
【0057】
また、中国薬典2015版第四部通則0412に記載の誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS法)により、重金属である鉛、カドミウム、水銀、ヒ素の含有量を測定することも可能である。
重金属含有量の測定結果を「薬用植物及び製剤の輸出入に関するグリーン産業基準」と比較する。同基準には、植物原料、飲片、抽出物及び製剤中の重金属総量≦20.0mg/kg、鉛Pb≦5mg/kg、カドミウムCd≦0.3mg/kg、水銀Hg≦0.2mg/kg、銅Cu≦20.0mg/kg、ヒ素As≦2.0mg/kgとの規定がある。
【0058】
本発明者らは2つの重金属試験方法を比較した結果、2つの方法による測定結果が一致することを確認した。本発明の方法により得られた植物抽出物の重金属含有量は、「薬用植物及び製剤の輸出入に関するグリーン産業基準」の規定を満たす。好ましくは、本発明の方法により得られた植物抽出物の重金属含有量は20ppm以下であり、より好ましくは10ppm以下であり、さらに好ましくは5ppm以下である。
【実施例】
【0059】
(実施例1)
新鮮な桑の実(マグワ)100gを粉砕した後、アルコール水溶液300mlを2回に分けて加え、毎回、1時間加熱還流して抽出を行った。抽出液を合わせ、ろ過により不溶物を除去することで、粗抽出液を得た。測定した結果、粗抽出液中の重金属含有量は5~10ppmであり、鉛5.44ppm、カドミウム0.38ppm、水銀0.06ppm、ヒ素0.47ppmであった。固形物の含有量が2%になるまで粗抽出液を熱濃縮し、25℃に保持してカチオン樹脂カラムへの注入液とした。
【0060】
732型強酸性スチレン系カチオン樹脂5gをカラムに充填し、溶出液のpHが3.5となるまで2.5mol/Lの塩酸溶液を通液し、溶出液のpHが8.0となるまで1.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液を通液し、溶出液のpHが3.5となるまで2.5mol/Lの塩酸溶液を通液し、さらにカラム体積に対して3倍の脱イオン水で洗浄することで、活性化した。濃縮処理された抽出液を注入し、そして0.1mol/Lのアンモニア水3Lを用いて10BV/hの溶出速度で溶出した。カチオンカラムの流出液のpH>7を検出すると、溶出液を収集し、収集液が1Lになると、収集を停止し、収集液をそのままアニオンカラムで精製した。
【0061】
D218型マクロポーラス強アルカリ性アクリル系アニオン樹脂1.25gをカラムに充填し、溶出液のpHが9.0となるまで1.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液を通液し、溶出液のpHが3.5となるまで1.5mol/Lの塩酸溶液を通液し、溶出液のpHが9.0となるまで1.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液を通液することで、活性化した。収集されたカチオン樹脂の溶出液をアニオン樹脂に注入し、流出液が1Lになるまで流出液を収集した。
【0062】
アニオンカラムによる分離を経て得られた収集液を遠心処理して不純物を除去した後、逆イオン浸透膜による濃縮を行い、濃縮後の液体比重が1.0となった。これをアルコール沈殿タンク内に移し、撹拌ブレード100rpmの条件下で無水エタノール25gを加えた。エタノールの添加完了後、撹拌を停止し、24時間アルコール沈殿し、上澄みを真空乾燥させることで、抽出物を得た。
【0063】
また、上記方法と同じ抽出方法及び条件で、新鮮な桑の枝、桑白皮、桑の葉(マグワ)の抽出を行った。そのうち、桑の枝、桑白皮、桑の葉から得られた粗抽出液は、重金属含有量がいずれも5~10ppmであったが、鉛の含有量がそれぞれ5.51、5.87、6.12ppm、カドミウムの含有量がそれぞれ0.37、0.35、0.41ppm、水銀の含有量がそれぞれ0.07、0.08、0.06ppm、ヒ素の含有量がそれぞれ0.57、0.55、0.61ppmであった。
得られた桑の実、桑の枝、桑白皮及び桑の葉の抽出物中の成分及び重金属含有量を表1に示す。
【0064】
【0065】
(実施例2)
新鮮な桑の葉(カントングワ)100gを粉砕した後、酸水溶液2000mlを2回に分けて加え、毎回、煎出法により1時間抽出を行い、抽出液を合わせ、ろ過により不溶物を除去することで、粗抽出液を得た。測定した結果、粗抽出液中の重金属含有量は10~20ppmであり、鉛13.6ppm、カドミウム0.84ppm、水銀0.16ppm、ヒ素0.56ppmであった。粗抽出液を遠心処理して不純物を除去した後、逆イオン浸透膜によるろ過を行い、固形物の含有量が14.5%になるまで濃縮し、濃縮後の粗抽出液をアルコール沈殿タンク内に移し、撹拌ブレード300rpmの条件下で無水エタノール80g(約100ml)を加え、エタノールの添加完了後、撹拌を停止し、24時間アルコール沈殿し、上澄みをカチオン樹脂カラムへの注入液とした。
【0066】
734型強酸性スチレン系カチオン樹脂10gをカラムに充填し、溶出液のpHが4.5となるまで2mol/Lの塩酸溶液を通液し、溶出液のpHが8.5となるまで1mol/Lの水酸化ナトリウム溶液を通液し、溶出液のpHが4.5となるまで2mol/Lの塩酸溶液を通液し、さらにカラム体積に対して5倍の脱イオン水で洗浄することで、活性化した。濃縮及びアルコール沈殿処理後の抽出液を注入し、そして0.5mol/Lのアンモニア水2Lを用いて8BV/hの溶出速度で溶出し、カチオンカラムの流出液のpH>7を検出すると、溶出液を収集し、収集液が800mlになると、収集を停止し、収集液をそのままアニオンカラムで精製した。
【0067】
717型強アルカリ性スチレン系アニオン樹脂8gをカラムに充填し、溶出液のpHが9.0となるまで1.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液を通液し、溶出液のpHが3.5となるまで1.5mol/Lの塩酸溶液を通液し、溶出液のpHが9.0となるまで1.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液を通液することで、活性化した。収集されたカチオン樹脂溶出液をアニオン樹脂に注入し、流出液が750mlになるまで流出液を収集した。
【0068】
アニオンカラムによる分離を経て得られた収集液を熱濃縮し、濃縮後の液体比重が1.05となった。これをアルコール沈殿タンク内に移し、撹拌ブレード200rpmの条件下で無水エタノール12.5gを加えた。エタノールの添加完了後、撹拌を停止し、24時間アルコール沈殿し、上澄みを真空乾燥させることで、抽出物を得た。
また、上記方法と同じ抽出方法及び条件で、新鮮な桑の枝及び桑白皮(カントングワ)の抽出を行った。そのうち、桑の枝、桑白皮から得られた粗抽出液は、重金属含有量がいずれも10~20ppmであり、鉛含有量がそれぞれ14.5、15.8ppm、カドミウム含有量がそれぞれ0.78、0.77ppm、水銀含有量がそれぞれ0.17、0.18ppm、ヒ素含有量がそれぞれ0.57、0.55ppmであった。
得られた桑の枝、桑白皮及び桑の葉の抽出物中の成分及び重金属含有量を表2に示す。
【0069】
【0070】
(実施例3)
新鮮な桑の枝(粤桑11号)1000kgを粉砕した後、水4000Lを加え、加熱還流法により2時間抽出を行い、抽出液を合わせ、ろ過により不溶物を除去することで、粗抽出液を得た。測定した結果、粗抽出液中の重金属含有量は40~80ppmであり、鉛52ppm、カドミウム1.94ppm、水銀0.88ppm、ヒ素1.11ppmであった。固形物の含有量が4%になるまで粗抽出液を熱濃縮し、50℃に保持してカチオン樹脂カラムへの注入液とした。
【0071】
D113型マクロポーラス弱酸性アリルベンゼン系カチオン樹脂150kgをカラムに充填し、溶出液のpHが4.5となるまで2mol/Lの塩酸溶液を通液し、溶出液のpHが8.5となるまで1mol/Lの水酸化ナトリウム溶液を通液し、溶出液のpHが4.5となるまで2mol/Lの塩酸溶液を通液し、さらにカラム体積に対して5倍の脱イオン水で洗浄することで、活性化した。濃縮処理された抽出液を注入し、そして2.5mol/Lのアンモニア水1000Lを用いて6BV/hの溶出速度で溶出し、カチオンカラムの流出液のpH>7を検出すると、溶出液を収集し、収集液が900Lになると、収集を停止し、収集液をそのままアニオンカラムで精製した。
【0072】
D218型マクロポーラス強アルカリ性アクリル系アニオン樹脂62.5kgをカラムに充填し、溶出液のpHが9.0となるまで1.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液を通液し、溶出液のpHが3.5となるまで1.5mol/Lの塩酸溶液を通液し、溶出液のpHが9.0となるまで1.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液を通液することで、活性化した。収集されたカチオン樹脂溶出液をアニオン樹脂に注入し、流出液が870Lになるまで流出液を収集した。
【0073】
アニオンカラムによる分離を経て得られた収集液を精密ろ過膜によりろ過して不純物を除去した後、逆イオン浸透膜により濃縮し、濃縮後の液体比重が1.1となった。これをアルコール沈殿タンク内に移し、撹拌ブレード400rpmの条件下で無水エタノール15kgを加えた。エタノールの添加完了後、撹拌を停止し、24時間アルコール沈殿し、上澄みを減圧濃縮することで、抽出物ペーストを得た。
【0074】
また、上記方法と同じ抽出方法及び条件で、新鮮な桑白皮及び桑の葉(粤桑11号)の抽出を行った。そのうち、桑白皮及び桑の葉から得られた粗抽出液は、重金属含有量がいずれも40~80ppmであり、鉛含有量がそれぞれ48、53ppm、カドミウム含有量がそれぞれ1.78、1.77ppm、水銀含有量がそれぞれ0.77、0.78ppm、ヒ素含有量がそれぞれ0.87、0.95ppmであった。
得られた桑の枝、桑白皮及び桑の葉の抽出物ペースト中の成分及び重金属含有量を表3に示す。
【0075】
【0076】
(実施例4)
干された桑白皮(桂桑優62号)1000kgを粉砕した後、水10000Lを2回に分けて加え、毎回、加熱還流法により2.5時間抽出を行い、抽出液を合わせ、ろ過により不溶物を除去することで、粗抽出液を得た。測定した結果、粗抽出液中の重金属含有量は5ppm未満であり、鉛1.57ppm、カドミウム0.23ppm、水銀0.09ppm、ヒ素0.58ppmであった。粗抽出液を精密ろ過膜によりろ過して不純物を除去した後、固形物の含有量が6%になるまで逆イオン浸透膜により濃縮し、カチオン樹脂カラムへの注入液とした。
【0077】
D001型マクロポーラス強酸性スチレン系カチオン樹脂100kgをカラムに充填し、実施例3の方法によりカチオン樹脂を活性化した。濃縮処理された抽出液を注入し、そして0.2mol/Lの塩化アンモニウム500Lを用いて5BV/hの溶出速度で溶出し、20%シリコタングステン酸により流出液を測定し、白い沈殿物が生じると、収集を開始し、収集液が200Lになると、収集を停止し、収集液をそのままアニオンカラムで精製した。
【0078】
D201型マクロポーラス強アルカリ性スチレン系アニオン樹脂32kgをカラムに充填し、実施例3の方法によりアニオン樹脂を活性化した。収集されたカチオン樹脂溶出液をアニオン樹脂に注入し、流出液が100Lになるまで流出液を収集した。
【0079】
アニオンカラムによる分離を経て得られた収集液を熱濃縮し、濃縮後の液体比重が1.2となった。これをアルコール沈殿タンク内に移し、撹拌ブレード350rpmの条件下で無水エタノール3kgを加えた。エタノールの添加完了後、撹拌を停止し、24時間アルコール沈殿し、上澄みを減圧濃縮することで、抽出物ペーストを得た。
【0080】
また、上記方法と同じ抽出方法及び条件で、干された桑の枝(桂桑優62号)の抽出を行った。そのうち、桑の枝から得られた粗抽出液は、重金属含有量が5~10ppmであり、鉛含有量が1.66ppm、カドミウム含有量が0.25ppm、水銀含有量が0.07ppm、ヒ素含有量が0.60ppmであった。
得られた桑の枝、桑白皮の抽出物ペースト中の成分及び重金属含有量を表4に示す。
【0081】
【0082】
実施例5
新鮮な桑の枝(桑特優2号)10kgを粉砕した後、水150Lを2回に分けて加え、毎回、煎出法により3時間抽出を行い、抽出液を合わせ、ろ過により不溶物を除去した。固形物の含有量が8%になるまで抽出液を熱濃縮したものをアルコール沈殿タンクに移し、撹拌ブレード300rpmの条件下で2367.9gの無水エタノール(3L)を加えた。エタノールの添加完了後、撹拌を停止し、24時間アルコール沈殿し、上澄みをカチオン樹脂カラムへの注入液とした。
【0083】
002SC型強酸性スチレン系カチオン樹脂5kgをカラムに充填し、実施例3の方法によりカチオン樹脂を活性化した。濃縮及びアルコール沈殿処理後の抽出液を注入し、そして5mol/Lの塩化カリウム100Lを用いて5BV/hの溶出速度で溶出し、20%シリコタングステン酸により流出液を測定し、白い沈殿物が生じると、収集を開始し、収集液が25Lになると、収集を停止し、収集液をそのままアニオンカラムで精製した。
【0084】
711型強アルカリ性スチレン系アニオン樹脂10kgをカラムに充填し、実施例3の方法によりアニオン樹脂を活性化した。収集されたカチオン樹脂溶出液をアニオン樹脂に注入し、流出液が15Lになるまで流出液を収集した。収集液を再度、カチオン樹脂に注入し、上記方法に従って順次にカチオン樹脂及びアニオン樹脂を用いてさらに分離を2回行った。
【0085】
3回のカラム分離を経て得られた収集液を遠心処理して不純物を除去した後、逆イオン浸透膜による濃縮を行い、濃縮後の液体比重が1.25となった。これをアルコール沈殿タンク内に移し、撹拌ブレード1000rpmの条件下で無水エタノール125gを加えた。エタノールの添加完了後、撹拌を停止し、24時間アルコール沈殿し、上澄みを減圧濃縮することで、抽出物ペーストを得た。また、上記方法と同じ抽出方法及び条件で、新鮮な桑白皮及び桑の葉(桑特優2号)の抽出を行った。得られた桑の枝、桑白皮及び桑の葉の抽出物ペースト中の成分及び重金属含有量を表5に示す。
【0086】
【0087】
(実施例6)
新鮮な桑の根(粤桑11号)1kgを粉砕した後、アルコール水溶液6Lを3回に分けて加え、毎回、超音波抽出法により1時間抽出を行い、抽出液を合わせ、ろ過により不溶物を除去することで、粗抽出液を得た。粗抽出液をカチオン樹脂カラムへの注入液とした。
【0088】
D254型マクロポーラス強アルカリ性第4級アンモニウム系カチオン樹脂1kgをカラムに充填し、実施例3の方法によりカチオン樹脂を活性化した。粗抽出液を注入し、そして3mol/Lの塩化ナトリウム15Lを用いて5BV/hの溶出速度で溶出し、20%シリコタングステン酸により流出液を測定し、白い沈殿物が生じると、収集を開始し、収集液が5Lになると、収集を停止し、収集液をそのままアニオンカラムで精製した。
【0089】
D301型マクロポーラス弱アルカリ性スチレン系アニオン樹脂1kgをカラムに充填し、実施例3の方法によりアニオン樹脂を活性化した。収集されたカチオン樹脂溶出液をアニオン樹脂に注入し、流出液が5Lになるまで流出液を収集した。収集液を再度、カチオン樹脂に注入し、上記方法に従って順次にカチオン樹脂及びアニオン樹脂を用いて再度分離を行った。
【0090】
2回のカラム分離を経て得られた収集液を遠心処理して不純物を除去した後、逆イオン浸透膜による濃縮を行い、濃縮後の液体比重が1.2となった。これをアルコール沈殿タンク内に移し、撹拌ブレード600rpmの条件下で無水エタノール6.3gを加えた。エタノールの添加完了後、撹拌を停止し、24時間アルコール沈殿し、上澄みを減圧濃縮することで、抽出物ペーストを得た。また、上記方法と同じ抽出方法及び条件で、新鮮な桑の枝、桑の葉(粤桑11号)の抽出を行った。得られた桑の枝、桑の葉及び桑の根抽出物ペースト中の成分及び重金属含有量を表6に示す。
【0091】
【0092】
(実施例7)
新鮮な桑の枝(カントングワ)1000kgを粉砕した後、水11500Lを加え、2時間加熱還流して抽出を行い、抽出液を合わせ、ろ過により不溶物を除去することで、粗抽出液を得た。粗抽出液を遠心処理して不純物を除去した後、固形物の含有量が1%になるまで逆イオン浸透膜による濃縮を行ったものを、カチオン樹脂カラムへの注入液とした。
【0093】
D001型マクロポーラス強酸性スチレン系カチオン樹脂150kgをカラムに充填し、実施例3の方法によりカチオン樹脂を活性化した。濃縮処理された粗抽出液を注入し、0.04mol/Lの硝酸アンモニウム5000Lを用いて5BV/hの溶出速度で溶出し、20%シリコタングステン酸により流出液を測定し、白い沈殿物が生じると、収集を開始し、収集液が1000Lになると、収集を停止した。
【0094】
カチオンカラムによる分離を経て得られた収集液をナノろ過膜により濃縮し、濃縮後の液体比重が1.3となった。これをアルコール沈殿タンク内に移し、撹拌ブレード600rpmの条件下で無水エタノール1.7kgを加えた。エタノールの添加完了後、撹拌を停止し、24時間アルコール沈殿し、上澄みを減圧濃縮することで、抽出物ペーストを得た。
【0095】
また、上記方法と同じ抽出方法及び条件で、新鮮な桑白皮及び桑の葉(カントングワ)の抽出を行った。得られた桑の枝、桑白皮及び桑の葉の抽出物ペースト中の成分及び重金属含有量を表7に示す。
【0096】
【0097】
(実施例8)
新鮮な桑の枝(粤桑11号)1000kgを粉砕した後、水8000Lを2回に分けて加え、毎回、煎出法により2時間抽出を行い、抽出液を合わせ、ろ過により不溶物を除去することで、粗抽出液を得た。粗抽出液を精密ろ過膜によりろ過して不純物を除去した後、固形物の含有量が1%になるまで逆イオン浸透膜により濃縮したものを、カチオン樹脂カラムへの注入液とした。
【0098】
732型強酸性スチレン系カチオン樹脂41.7kgをカラムに充填し、実施例3の方法によりカチオン樹脂を活性化した。粗抽出液を注入し、そして0.1mol/Lの塩化ナトリウム1000Lを用いて5BV/hの溶出速度で溶出し、20%シリコタングステン酸により流出液を測定し、白い沈殿物が生じると、収集を開始し、収集液が500Lになると、収集を停止した。
【0099】
カチオンカラムによる分離を経て得られた収集液をナノろ過膜により濃縮し、濃縮後の液体比重が1.25となった。これをアルコール沈殿タンク内に移し、撹拌ブレード600rpmの条件下で無水エタノール15kgを加えた。エタノールの添加完了後、撹拌を停止し、24時間アルコール沈殿し、上澄みを減圧濃縮することで、抽出物ペーストを得た。
【0100】
また、上記方法と同じ抽出方法及び条件で、新鮮な桑白皮及び桑の葉(粤桑11号)の抽出を行った。得られた桑の枝、桑白皮及び桑の葉の抽出物ペースト中の成分及び重金属含有量を表8に示す。
【0101】
【0102】
(実施例9)
新鮮な桑の枝(カントングワ)100gを粉砕した後、水600mLを加え、1時間加熱還流して抽出を行った。ろ過により不溶物を除去することで、粗抽出液を得た。固形物の含有量が5%になるまで粗抽出液を熱濃縮したものを、カチオン樹脂カラムへの注入液とした。
【0103】
732型強酸性スチレン系カチオン樹脂3.85gをカラムに充填し、実施例3の方法によりカチオン樹脂を活性化した。粗抽出液を注入し、そして0.15mol/Lの塩化アンモニウム700mLを用いて5BV/hの溶出速度で溶出し、20%シリコタングステン酸により流出液を測定し、白い沈殿物が生じると、収集を開始し、収集液が100mLになると、収集を停止した。
【0104】
カチオンカラムによる分離を経て得られた収集液を熱濃縮し、濃縮後の液体比重が1.3となった。これをアルコール沈殿タンク内に移し、撹拌ブレード600rpmの条件下で無水エタノール25gを加えた。エタノールの添加完了後、撹拌を停止し、24時間アルコール沈殿し、上澄みを減圧濃縮することで、抽出物ペーストを得た。
【0105】
また、上記方法と同じ抽出方法及び条件で、新鮮な桑白皮及び桑の葉(カントングワ)の抽出を行った。得られた桑の枝、桑白皮及び桑の葉の抽出物ペースト中の成分及び重金属含有量を表9に示す。
【0106】
【0107】
(実施例10)
新鮮な桑の枝(桑特優2号)1000kgを粉砕した後、水5000Lを加え、1時間加熱還流して抽出を行った。ろ過により不溶物を除去することで、粗抽出液を得た。固形物の含有量が10%になるまで粗抽出液を熱濃縮したものを、カチオン樹脂カラムへの注入液とした。
【0108】
D254マクロポーラス強アルカリ性第4級アンモニウム系カチオン樹脂3.5gをカラムに充填し、実施例3の方法によりカチオン樹脂を活性化した。粗抽出液を注入し、そして0.15mol/Lの塩化カリウム200Lを用いて5BV/hの溶出速度で溶出し、20%シリコタングステン酸により流出液を測定し、白い沈殿物が生じると、収集を開始し、収集液が100Lになると、収集を停止した。
【0109】
カチオンカラムによる分離を経て得られた収集液を熱濃縮し、濃縮後の液体比重が1.05となった。これをアルコール沈殿タンク内に移し、撹拌ブレード600rpmの条件下で無水エタノール15kgを加えた。エタノールの添加完了後、撹拌を停止し、24時間アルコール沈殿し、上澄みを減圧濃縮することで、抽出物ペーストを得た。
【0110】
また、上記方法と同じ抽出方法及び条件で、新鮮な桑白皮(桑特優2号)の抽出を行った。得られた桑の枝、桑白皮の抽出物ペースト中の成分及び重金属含有量を表10に示す。
【0111】
【0112】
(実施例11)
新鮮な桑の枝(ヤマグワ)1000gを粉砕した後、酸水溶液10Lを3回に分けて加え、毎回、2時間の超音波抽出を行い、ろ過により不溶物を除去することで、粗抽出液を得た。粗抽出液を精密ろ過膜によりろ過して不純物を除去した後、固形物の含有量が4%になるまで逆イオン浸透膜により濃縮したものを、カチオン樹脂カラムへの注入液とした。
【0113】
D001型マクロポーラス強酸性スチレン系カチオン樹脂66.67gをカラムに充填し、実施例3の方法によりカチオン樹脂を活性化した。粗抽出液を注入し、そして1.5mol/Lのアンモニア水12Lを用いて5BV/hの溶出速度で溶出し、高速液体クロマトグラフィーにより、カチオンカラム流出液にアルカロイドが含まれていると検出すると、溶出液を収集し、収集液が100mLになると、収集を停止した。収集液をそのままアニオンカラムで精製した。
【0114】
D218型マクロポーラス強アルカリ性スチレン系アニオン樹脂13.3gをカラムに充填し、実施例3の方法によりアニオン樹脂を活性化した。収集されたカチオン樹脂溶出液をアニオンカラムに注入し、流出液が50mlになるまで流出液を収集した。
【0115】
アニオンカラムによる分離を経て得られた収集液を精密ろ過膜によりろ過して、不純物を除去した後、逆イオン浸透膜による濃縮を行い、濃縮後の液体比重が1.15となった。これをアルコール沈殿タンク内に移し、撹拌ブレード600rpmの条件下で無水エタノール25gを加えた。エタノールの添加完了後、撹拌を停止し、24時間アルコール沈殿し、上澄みを減圧濃縮することで、抽出物ペーストを得た。
【0116】
また、上記方法と同じ抽出方法及び条件で、新鮮な桑白皮及び桑の葉(ヤマグワ)の抽出を行った。得られた桑の枝、桑白皮及び桑の葉の抽出物ペースト中の成分及び重金属含有量を表11に示す。
【0117】
【0118】
(実施例12)
新鮮な桑白皮(桂桑優62号)100gを粉砕した後、アルコール水溶液1.2Lを加え、煎出法により1時間抽出を行い、ろ過により不溶物を除去することで、粗抽出液を得た。固形物の含有量が8%になるまで粗抽出液を熱濃縮したものを、カチオン樹脂カラムへの注入液とした。
【0119】
734型強酸性スチレン系カチオン樹脂33.34gをカラムに充填し、実施例3の方法によりカチオン樹脂を活性化した。粗抽出液を注入し、そして2.5mol/Lのアンモニア水50mLを用いて、5BV/hの溶出速度で溶出し、カチオンカラム流出液のpH>7を検出すると、溶出液を収集し、収集液が10mLになると、収集を停止した。
【0120】
カチオンカラムによる分離を経て得られた収集液を遠心処理して不純物を除去した後、逆イオン浸透膜による濃縮を行い、濃縮後の液体比重が1.2となった。これをアルコール沈殿タンク内に移し、撹拌ブレード600rpmの条件下で無水エタノール15gを加えた。エタノールの添加完了後、撹拌を停止し、24時間アルコール沈殿し、上澄みを減圧濃縮することで、抽出物ペーストを得た。
【0121】
得られた桑白皮抽出物ペーストにおいて、アルカロイドの含有量は15%、多糖類の含有量は38%、フラボノイドの含有量は2%、アミノ酸の含有量は40%であった。アルカロイドにおける1-DNJの含有量は52%であった。
重金属の合計含有量は5ppm未満であり、鉛含有量0.29ppm、カドミウム0ppm、水銀0.02ppm、ヒ素0.10ppmであった。
【0122】
(実施例13)
新鮮な桑の枝(マグワ)100gを粉砕した後、アルカリ水溶液300mlを加え、0.5時間加熱還流して抽出を行い、ろ過により不溶物を除去することで、粗抽出液を得た。粗抽出液を遠心処理して不純物を除去した後、固形物の含有量が6%になるまで逆イオン浸透膜により濃縮したものを、カチオン樹脂カラムへの注入液とした。
【0123】
732型強酸性スチレン系カチオン樹脂3.34gをカラムに充填し、実施例3の方法によりカチオン樹脂を活性化した。粗抽出液を注入し、そして1.0mol/Lのアンモニア水3Lを用いて、5BV/hの溶出速度で溶出し、20%シリコタングステン酸により流出液を測定し、白い沈殿物が生じると、収集を開始し、収集液が400mLになると、収集を停止した。
【0124】
カチオンカラムによる分離を経て得られた収集液を熱濃縮し、濃縮後の液体比重が1.25となった。これをアルコール沈殿タンク内に移し、撹拌ブレード600rpmの条件下で無水エタノール5gを加えた。エタノールの添加完了後、撹拌を停止し、24時間アルコール沈殿し、上澄みを減圧濃縮することで、抽出物ペーストを得た。
【0125】
得られた桑の枝の抽出物ペーストにおいて、アルカロイドの含有量は3%、多糖類の含有量は60%、フラボノイドの含有量は5%、アミノ酸の含有量は30%であった。アルカロイドにおける1-DNJの含有量は47%であった。
重金属の合計含有量は5ppm未満であり、鉛含有量0.31ppm、カドミウム0ppm、水銀0.01ppm、ヒ素0.14ppmであった。
【0126】
(実施例14)
新鮮な桑の葉(ログワ)100gを粉砕した後、アルコール水溶液500mlを加え、煎出法により0.5時間抽出を行い、ろ過により不溶物を除去することで、粗抽出液を得た。固形物の含有量が12%になるまで粗抽出液をナノろ過膜により濃縮したものを、カチオン樹脂カラムへの注入液とした。
【0127】
732型強酸性スチレン系カチオン樹脂25gをカラムに充填し、実施例3の方法によりカチオン樹脂を活性化した。粗抽出液を注入し、そして2.0mol/Lのアンモニア水2Lを用いて、5BV/hの溶出速度で溶出し、高速液体クロマトグラフィーにより、カチオンカラム流出液にアルカロイドが含まれていると検出すると、溶出液を収集し、収集液が800mLになると、収集を停止した。
【0128】
カチオンカラムによる分離を経て得られた収集液を熱濃縮し、液体比重が1.14となった濃縮後のものをアルコール沈殿タンク内に移し、撹拌ブレード600rpmの条件下で無水エタノール5gを加えた。エタノールの添加完了後、撹拌を停止し、24時間アルコール沈殿し、上澄みを減圧濃縮することで、抽出物ペーストを得た。
【0129】
得られた桑の葉の抽出物ペーストにおいて、アルカロイドの含有量は10%、多糖類の含有量は43%、フラボノイドの含有量は1%、アミノ酸の含有量は37%であった。アルカロイドにおける1-DNJの含有量は50%であった。
重金属の合計含有量は5ppm未満であり、鉛含有量0.33ppm、カドミウム0.01ppm、水銀0.02ppm、ヒ素0.15ppmであった。
【0130】
(実施例15)
新鮮なヒヤシンス(Hyacinthus orientalis)球根100gを粉砕した後、水700mLを2回に分けて加え、毎回、0.5時間超音波抽出を行い、抽出液を合わせ、ろ過により不溶物を除去することで、粗抽出液を得た。固形物の含有量が10%になるまで粗抽出液をナノろ過膜により濃縮したものを、カチオン樹脂カラムへの注入液とした。
【0131】
732型強酸性スチレン系カチオン樹脂3.5gをカラムに充填し、実施例3の方法によりカチオン樹脂を活性化した。濃縮処理された粗抽出液を注入し、1.75mol/Lの水酸化ナトリウム溶液10mlを用いて10BV/hの溶出速度で溶出し、カチオンカラムの流出液のpH>7を検出すると、溶出液を収集し、収集液が10mlになると、収集を停止し、収集液をそのままアニオンカラムで精製した。
【0132】
D218型マクロポーラス強アルカリ性スチレン系アニオン樹脂4gをカラムに充填し、実施例3の方法によりアニオン樹脂を活性化した。収集されたカチオン樹脂溶出液をアニオン樹脂に注入し、流出液が5mlになるまで流出液を収集した。
【0133】
アニオンカラムによる分離を経て得られた収集液を熱濃縮し、濃縮後の液体比重が1.1となった。これをアルコール沈殿タンク内に移し、撹拌ブレード100rpmの条件下で無水エタノール0.4gを加えた。エタノールの添加完了後、撹拌を停止し、24時間アルコール沈殿し、上澄みを真空乾燥させることで、ヒヤシンス球根の抽出物を得た。
【0134】
ヒヤシンス球根の抽出物において、アルカロイドの含有量は3%、多糖類の含有量は68%、フラボノイドの含有量は2%、アミノ酸の含有量は25%であった。
アルカロイドにおける1-DNJの含有量は30%であった。
重金属の合計含有量は5ppm未満であり、鉛含有量0.08ppm、カドミウム未検出、水銀0.01ppm、ヒ素0.15ppmであった。
【0135】
(実施例16)
新鮮なツユクサ(Commelina communi)の葉100gを粉砕した後、アルコール水溶液500mlを2回に分けて加え、毎回、1時間加熱還流して抽出を行った。抽出液を合わせ、ろ過により不溶物を除去した。固形物の含有量が10%になるまで抽出液を熱濃縮し、30℃に保持してカチオン樹脂カラムへの注入液とした。
【0136】
732型強酸性スチレン系カチオン樹脂3.5gをカラムに充填し、実施例3の方法によりカチオン樹脂を活性化した。濃縮処理された抽出液を注入し、そして2.3mol/Lのアンモニア水800mlを用いて10BV/hの溶出速度で溶出し、カチオンカラムの流出液のpH>7を検出すると、溶出液を収集し、収集液が300mlになると、収集を停止した。
【0137】
カチオンカラムによる分離を経て得られた収集液を限外ろ過膜によりろ過して不純物を除去した後、逆イオン浸透膜により濃縮し、濃縮後の液体比重が1.2となった。これをアルコール沈殿タンク内に移し、撹拌ブレード500rpmの条件下で無水エタノール5gを加えた。エタノールの添加完了後、撹拌を停止し、24時間アルコール沈殿し、上澄みを真空乾燥させることで、ツユクサの葉の抽出物を得た。
【0138】
ツユクサの葉の抽出物において、アルカロイドの含有量は10%、多糖類の含有量は27%、フラボノイドの含有量は10%、アミノ酸の含有量は50%であった。
アルカロイドにおける1-DNJの含有量は50%であった。
重金属の合計含有量は5ppm未満であり、鉛含有量0.05ppm、カドミウム未検出、水銀未検出、ヒ素0.17ppmであった。
【0139】
(比較例1)
実施例3と同じロットの新鮮な桑の枝(テンジクグワ)1000kgを実施例3の方法で粗抽出を行い、粗抽出液を熱濃縮処理し、濃縮後の液体比重が1.1となった。これをアルコール沈殿タンク内に移し、撹拌ブレード400rpmの条件下で無水エタノール62kgを加えた。エタノールの添加完了後、撹拌を停止し、24時間アルコール沈殿し、上澄みを減圧濃縮することで、桑の枝の抽出物ペーストを得た。アルカロイドの含有量は15%、多糖類の含有量は40%、フラボノイドの含有量は5.2%、アミノ酸の含有量は30%であった。
アルカロイドにおける1-DNJの含有量は55%であった。
重金属の合計含有量は30~40ppmであり、鉛含有量29.11ppm、カドミウム1.50ppm、水銀0.76ppm、ヒ素1.01ppmであり、鉛、カドミウム、水銀の含有量は基準を超えた。
カチオンカラム及びアニオンカラムによる分離工程を実施しなかったこの比較例は、実施例3と比較して、アルカロイドの含有量が低くなり、重金属含有量が大幅に多くなり、しかもエタノールの使用量が3倍も増えた。
【0140】
(比較例2)
実施例3と同じロットの新鮮な桑の枝(テンジクグワ)1000kgを実施例3の方法で粗抽出を行い、熱濃縮し、カチオン樹脂及びアニオン樹脂による分離を実施した。アニオンカラムによる分離を経て得られた収集液870Lをアルコール沈殿タンク内に移し、撹拌ブレード400rpmの条件下で無水エタノール135kgを加えた。エタノールの添加完了後、撹拌を停止し、24時間アルコール沈殿し、上澄みを濃縮し、減圧濃縮により桑の枝の抽出物ペーストを得た。アルカロイドの含有量は62%、多糖類の含有量は18%、フラボノイドの含有量は1.1%、アミノ酸の含有量は12%であった。
アルカロイドにおける1-DNJの含有量は68%であった。
重金属の合計含有量は10~20ppmであり、鉛含有量10.01ppm、カドミウム0.70ppm、水銀0.44ppm、ヒ素0.83ppmであり、鉛、カドミウム、水銀は基準を超えた。
樹脂による分離の後、アルコール沈殿の前に濃縮工程を実施しなかったこの比較例は、実施例3と比較して、重金属含有量が多くなり、しかもエタノールの使用量が8倍も増えた。
【0141】
(比較例3)
実施例3と同じロットの新鮮な桑の枝(テンジクグワ)1000kgを実施例3の方法で粗抽出を行い、加熱濃縮し、カチオン樹脂及びアニオン樹脂による分離を実施した。アニオンカラムによる分離を経て得られた収集液870Lを減圧濃縮し、桑の枝の抽出物ペーストを得た。アルカロイドの含有量は52%、多糖類の含有量は22%、フラボノイドの含有量は0.8%、アミノ酸の含有量は20%であった。
アルカロイドにおける1-DNJの含有量は60%であった。
重金属の合計含有量は20~40ppmであり、鉛含有量22.15ppm、カドミウム1.45ppm、水銀0.65ppm、ヒ素0.89ppmであり、鉛、カドミウム及び水銀の含有量は基準を超えた。
樹脂による分離後にアルコール沈殿工程を実施しなかったこの比較例は、実施例3と比較して、アルカロイドの含有量が低くなり、重金属含有量が大幅に多くなった。
【0142】
(比較例4)
実施例3と同じロットの新鮮な桑の枝(テンジクグワ)1000kgを粉砕した後、4倍のアルコール水溶液(4000L)を加え、加熱還流法により2時間抽出を行い、抽出液を合わせ、ろ過により不溶物を除去し、粗抽出液を熱濃縮し、濃縮後の液体比重が1.1となった。これをアルコール沈殿タンク内に移し、撹拌ブレード400rpmの条件下で無水エタノール62kgを加えた。エタノールの添加完了後、撹拌を停止し、24時間アルコール沈殿し、上澄みをカチオン樹脂に注入した。実施例3の方法に従ってカチオン樹脂150kgをカラムに充填し、分離及びアニオン樹脂による分離を行い、アニオンカラムによる分離を経て得られた収集液を減圧濃縮することで、桑の枝の抽出物ペーストを得た。アルカロイドの含有量は51%、多糖類の含有量は25%、フラボノイドの含有量は0.5%、アミノ酸の含有量は20%であった。
アルカロイドにおける1-DNJの含有量は55%であった。
重金属の合計含有量は10~20ppmであり、鉛含有量11.11ppm、カドミウム0.82ppm、水銀0.50ppm、ヒ素0.53ppmであり、鉛、カドミウム、水銀は基準を超えた。
カチオン樹脂分離工程の前にアルコール沈殿を実施したこの比較例は、実施例3と比較して、アルカロイドの含有量が低くなり、重金属含有量が多くなり、しかもエタノールの使用量が3倍も増えた。
【0143】
(比較例5)
実施例3と同じロットの新鮮な桑の枝(テンジクグワ)1000kgを実施例3の方法で粗抽出を行い、熱濃縮し、濃縮後の粗抽出液をそのままアニオン樹脂に注入した。実施例3の方法に従ってアニオン樹脂による分離を行い、流出液3000Lを収集した。アニオンカラムによる分離を経て得られた収集液を遠心処理して不純物を除去した後、ナノろ過膜により濃縮し、濃縮後の液体比重が1.1となった。これをアルコール沈殿タンク内に移し、撹拌ブレード400rpmの条件下で無水エタノール46kgを加えた。エタノールの添加完了後、撹拌を停止し、24時間アルコール沈殿し、上澄みを濃縮し、減圧濃縮により桑の枝の抽出物ペーストを得た。
桑の枝の抽出物ペーストにおいて、アルカロイドの含有量は40%、多糖類の含有量は35%、フラボノイドの含有量は1.5%、アミノ酸の含有量は22%であった。
アルカロイドにおける1-DNJの含有量は50%であった。
重金属の合計含有量は30~40ppmであり、鉛含有量30.01ppm、カドミウム1.24ppm、水銀0.21ppm、ヒ素0.85ppmであり、鉛、カドミウム及び水銀の含有量は基準を超えた。
カチオン樹脂分離工程を実施しなかったこの比較例は、実施例3と比較して、アルカロイドの含有量が低くなり、重金属含有量が大幅に多くなり、しかもエタノールの使用量が2倍も増えた。
【0144】
(試験例1)安定性に関する検討
実施例1で得られた桑の実の抽出物、実施例2、8、9で得られた桑の葉の抽出物、実施例3、5~7の桑の枝の抽出物及び実施例4、10の桑白皮の抽出物を複合フィルムバッグで密封包装した後、温度25℃±2℃、相対湿度RH60%±10%の条件下で24ヶ月保存し、そのアルカロイドの含有量を測定した。結果を下記の表に示す。
【0145】
【表12】
上記の表から明らかなように、本発明の抽出方法で得られた植物抽出物は安定性が良好であった。
【0146】
(試験例2)有機溶媒の残留量
実施例1~9で得られた植物抽出物に対して、n-ヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジビニルベンゼン、トルエン、ベンゼン、キシレン、スチレンを含め、樹脂残留物の有無をガスクロマトグラフィーにより確認した結果、樹脂残留物は検出されなかった。
【0147】
(試験例3)効能試験
正常なオスのICRマウスを体重によりランダムに6グループに分け(n=10)、実験前に一晩絶食させた。ショ糖溶液(4.0g/kg)を経口投与した1グループを対照グループ(Normal)とし、残りの5グループにそれぞれ、ショ糖と、実施例1で得られた桑白皮抽出物、実施例2で得られた桑の葉の抽出物、実施例3、5、6で得られた桑の枝の抽出物の試料(総アルカロイドでいずれも10mg/kg)とを経口投与し、実験グループとした。投与前(0分)及び投与後30分、60分、120分の血糖値を測定して、時間の経過と血糖値の変化をグラフにし、血糖曲線下の面積(AUC)を求め、結果を
図1に示す。
結果によれば、本発明の植物抽出方法で得られた植物抽出物は、正常なマウスのショ糖負荷後の血糖上昇を有意に降下させることができる。
【0148】
以上は好ましい実施形態を挙げて本発明を説明した。これらの実施形態は例示的なものにすぎず、説明用のものにすぎない。これらをベースとする本発明の様々な置き換え及び改善も、本発明の範囲内である。
【手続補正書】
【提出日】2022-09-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)植物粗抽出液を調製
し、前記植物粗抽出液を濃縮処理する工程と、
2)前記
濃縮処理された粗抽出液をカチオン樹脂及びアニオン樹脂で分離処理して、収集液を得る工程と、
3)工程2)で得られた収集液を濃縮処理する工程と、
4)工程3)で得られた濃縮液をアルコール沈殿処理する工程であって、
ここで、前記アルコール沈殿処理に使用されるエタノールと植物原材料の投入量との質量比は1:4~1:600である、工程と、
場合によっては、5)濃縮乾燥処理を行う工程と
を含む、植物抽出方法
であって、ここで、前記カチオン樹脂は、強酸性カチオン交換樹脂、弱酸性カチオン交換樹脂及び強アルカリ性第4級アンモニウム系カチオン樹脂から選択される1つ又はそれらの組み合わせであり、
前記カチオン樹脂と植物原材料の投入量との質量比は1:1~30であり、
前記カチオン樹脂の溶出剤は、塩溶液又はカチオンを含むアルカリ溶液であり、
前記溶出剤は、濃度0.04~5mol/Lのカチオンを含む溶液であり、
前記抽出液のpHが7より高い場合、又は、沈殿反応によって前記抽出液の収集開始点が決定される場合、収集が開始され、
前記カチオン樹脂による分離に用いられる前記溶出剤の質量は、投入される植物原材料の質量に対して0.1~30倍であり、ここで、
前記アニオン樹脂は、強アルカリ性アニオン交換樹脂、弱アルカリ性アニオン交換樹脂又は弱酸性アニオン交換樹脂から選択される1つ又はそれらの組み合わせであり、
前記アニオン樹脂と植物原材料の投入量との質量比は1:1~80であり、かつ、
前記収集液の収集が、投入した植物原料の質量の0.05~10倍に達した時点で、前記収集は終了され;ここで、
前記植物がクワ科の植物の一種であり、
前記植物抽出方法により、アルカロイドが30%~99%で、多糖類が0.2%~35%で、フラボンが0.05%~2%で、アミノ酸が0%~25%で、その他の成分が0%~20%が得られ、重金属含有量は10ppm以下であり、ここで、前記アルカロイドは質量比で50%から99%の1-デオキシノジリマイシンを含む抽出物が得られる、
抽出方法。
【請求項2】
前記植物は
、ログワ(Morus multicaulis Perrott.)、マグワ(Morus alba L.)、カントングワカントングワ(Morus atropurpurea Roxb)、ミズホグワ(Morusmizuho Hotta)、ミドリグワ(Morus wittiorum Hand Mazz.)、ナガミグワ(Morus laevigata Wall)、クロミグワ(Morus nigra Linn.)、カラケグワ(Morus cathayana Hemsi.)、テンジクグワ(Morus serrata Roxb.)、モウコグワ(Morus mongolica Schneid.)、ヤマグワ(Morus bombycis Koidz.)、マルバグワ(Morus notabilis Schneid.)、カラオニグワ(Morus nigriformis Koidz.)、ウンナングワ(Morusyunnanensis Koidz.)、シマグワ(Morus australis Poir.)、オニグワ(Morus mongolica(Bur.)Schneid var.diabolica Koidz.)、大葉桑(Morus alba L.var.macrophylla loud)、シダレグワ(Morus alba Var.Pendula Dippel)、白脈桑(Morus alba L.var.venosa Delili)、及び、上記桑種を用いて育成された桑品種、上記桑種の種内
交雑又は種間交雑で作られた雑種桑の
1つ又はそれらの組み合わせである、
請求項1に記載の抽出方法。
【請求項3】
前記
植物は、カントングワ、ログワ、マグワ、テンジクグワ、ヤマグワ又はクワの雑種桑である、請求項
2に記載の抽出方法。
【請求項4】
前記雑種桑は、粤桑11号、桂桑優62号又は桑特優2号である、請求項
3に記載の抽出方法。
【請求項5】
前記カチオン樹脂は、732型強酸性スチレン系カチオン交換樹脂、734型強酸性スチレン系カチオン交換樹脂、002SC型強酸性スチレン系カチオン交換樹脂、D001型マクロポーラス強酸性スチレン系カチオン交換樹脂、D113型マクロポーラス弱酸性アリルベンゼン系カチオン交換樹脂及びD254型マクロポーラス強アルカリ性第4級アンモニウム系カチオン交換樹脂から選択される
1つ又はそれらの組み合わせである、請求項1に記載の抽出方法。
【請求項6】
前記カチオン樹脂は、732型強酸性スチレン系カチオン交換樹脂、734型強酸性スチレン系カチオン交換樹脂及びD001型マクロポーラス強酸性スチレン系カチオン交換樹脂である、請求項1に記載の抽出方法。
【請求項7】
前記工程2)のカチオン樹脂による分離において、前記カチオン樹脂と植物原材料の投入量との質量比は1:1~1:25である、請求項1に記載の抽出方法。
【請求項8】
前記工程2)のカチオン樹脂による分離において、前記カチオン樹脂と植物原材料の投入量との質量比は1:2~1:20である、請求項7に記載の抽出方法。
【請求項9】
前記工程2)のカチオン樹脂による分離に使用される前記溶出剤の質量は、投入された植物原材料の質量に対して0.5~10倍である、請求項1に記載の抽出方法。
【請求項10】
前記アニオン樹脂は、717型強アルカリ性スチレン系アニオン交換樹脂、711型強アルカリ性スチレン系アニオン交換樹脂、D201型マクロポーラス強アルカリ性スチレン系アニオン交換樹脂、D218型マクロポーラス強アルカリ性アクリル系アニオン交換樹脂、D301-G型マクロポーラス弱酸型スチレン系アニオン交換樹脂及びD301型マクロポーラス弱アルカリ性スチレン系アニオン交換樹脂から選択される
1つ又はそれらの組み合わせである、請求項1に記載の抽出方法。
【請求項11】
前記アニオン樹脂は、717型強アルカリ性スチレン系アニオン交換樹脂、D201型マクロポーラス強アルカリ性スチレン系アニオン交換樹脂及びD218型マクロポーラス強アルカリ性アクリル系アニオン交換樹脂である、請求項10に記載の抽出方法。
【請求項12】
前記工程2)のアニオン樹脂による分離において、前記アニオン樹脂と植物原材料の投入量との質量比は1:1~64である、請求項1に記載の抽出方法。
【請求項13】
前記工程2)のアニオン樹脂による分離において、前記アニオン樹脂と植物原材料の投入量との質量比は1:1~32である、請求項1に記載の抽出方法。
【請求項14】
前記工程4)のアルコール沈殿処理に使用されるエタノールと植物原材料の投入量との
質量比は1:20~1:300である、請求項1又は2に記載の抽出方法。
【請求項15】
請求項1~
14のいずれか1項に記載の抽出方法により得られた植物抽出物。
【請求項16】
請求項
15に記載の植物抽出物と、
場合によっては、薬学的に許容される賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項17】
剤形は、経口固体製剤及び液体製剤を含む、
請求項16に記載された医薬組成物。
【請求項18】
剤形は、錠剤、カプセル剤、経口液剤、経口乳剤、丸剤及び顆粒剤を含む、
請求項16に記載された医薬組成物。
【国際調査報告】