(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-19
(54)【発明の名称】放熱部材を含む電池モジュール及び前記放熱部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6556 20140101AFI20221012BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20221012BHJP
H01M 10/6567 20140101ALI20221012BHJP
H01M 10/6568 20140101ALI20221012BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20221012BHJP
H01M 10/6551 20140101ALI20221012BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20221012BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20221012BHJP
【FI】
H01M10/6556
H01M50/211
H01M10/6567
H01M10/6568
H01M10/613
H01M10/6551
H01M50/204 401E
H01M10/647
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021545909
(86)(22)【出願日】2020-12-02
(85)【翻訳文提出日】2021-08-05
(86)【国際出願番号】 KR2020017427
(87)【国際公開番号】W WO2022004972
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】10-2020-0079312
(32)【優先日】2020-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ボム・チョ
(72)【発明者】
【氏名】ウン・ギュ・シン
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・ミン・ユ
(72)【発明者】
【氏名】スン・ジュン・キム
【テーマコード(参考)】
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H031BB02
5H031BB03
5H031BB04
5H040AA37
5H040AS07
5H040AS12
5H040AT04
5H040AT06
5H040JJ05
5H040LL06
5H040NN03
(57)【要約】
本発明は複数のパウチ型電池セルが積層されている電池セル積層体、前記電池セル積層体を収容する電池モジュールハウジング、及び前記電池モジュールハウジングの一部と結合された形態の放熱部材を含み、前記放熱部材は、前記電池セル積層体と対面する放熱板に貫通口が形成され、前記貫通口には密封部材が付加されている電池モジュール及び前記放熱部材の製造方法に関するものであり、電池モジュールの体積増加を最小化しながら発火した電池セルの熱暴走を効果的に防止することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパウチ型電池セルが積層されている電池セル積層体と、
前記電池セル積層体を収容する電池モジュールハウジングと、
前記電池モジュールハウジングの一部と結合された形態の放熱部材と、
を含み、
前記放熱部材は、前記電池セル積層体と対面する放熱板に貫通口が形成され、前記貫通口には密封部材が付加されている、電池モジュール。
【請求項2】
前記電池モジュールハウジングは上部板と下部板とを含み、
前記放熱部材は放熱板及び冷媒流動部を含み、
前記上部板と前記放熱板との間に冷媒流動部が形成されるように前記上部板及び前記放熱板が結合される、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記放熱部材は、前記下部板と放熱板との間に冷媒流動部が形成されるように前記下部板及び前記放熱板が結合される、請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記密封部材は、前記パウチ型電池セルから放出される高温ガス又はスパークによって溶融される素材からなる、請求項1~3のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記密封部材の溶融によって前記貫通口が開放され、
前記貫通口を通して前記パウチ型電池セルに冷媒が注入される、請求項4に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記冷媒は冷却水であり、前記冷却水には可燃性物質が含まれない、請求項5に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記上部板及び前記下部板には前記冷却水の流れをガイドするための流路が形成されている、請求項2を引用する請求項6に記載の電池モジュール。
【請求項8】
前記電池モジュールハウジングは上部板と下部板とを含み、
前記上部板の内側面に前記放熱部材としてウォータータンクが結合され、
前記ウォータータンクは、前記上部板の内側面と結合された第1面と対面する第2面には貫通口が形成され、前記貫通口には密封部材が付加されている、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項9】
前記電池モジュールハウジングは上部板と下部板とを含み、
前記下部板の内側面に前記放熱部材としてウォータータンクが結合され、
前記ウォータータンクは、前記下部板の内側面と結合された第1面と対面する第2面には貫通口が形成され、前記貫通口には密封部材が付加されている、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項10】
前記貫通口は、どのパウチ型電池セルが発火しても、発火したパウチ型電池セルに冷却水を供給することができる位置に形成され、
前記パウチ型電池セルの個数及び大きさによって前記貫通口の個数が決定される、請求項1~9のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項11】
前記密封部材は前記貫通口を満たしており、前記放熱板の内側面及び外側面で前記貫通口の周縁から外側にさらに延びた延長部を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項12】
前記放熱板の内側面及び放熱板の外側面のうち、前記延長部が形成された部分には溝が形成されている、請求項11に記載の電池モジュール。
【請求項13】
前記溝が形成された前記放熱板の垂直断面は、多角形、半円形及び半楕円形からなる群から選択されるいずれか一つ以上の形態を有する、請求項12に記載の電池モジュール。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の電池モジュールに含まれる放熱部材の製造方法であって、
(a)放熱部材の放熱板用平板をダイとホルダーとの間に配置する段階と、
(b)前記平板をパンチングして貫通口を形成して放熱板を製造する段階と、
(c)前記放熱板をインサート押出し成形のための型に装着する段階と、
(d)前記型に前記放熱板を固定し、密封部材用樹脂を注入する段階と、
(e)前記型を除去し、密封部材が付加された放熱板を収去する段階と、
を含み、
前記ダイとホルダーには前記放熱板に溝を形成するための突起が形成されている、放熱部材の製造方法。
【請求項15】
前記放熱板は電池モジュールハウジングの上部板及び下部板と離隔空間を置いて結合され、前記離隔空間に冷媒が流入及び流出する冷媒流動部が形成される、請求項14に記載の放熱部材の製造方法。
【請求項16】
前記放熱板は電池モジュールハウジングの上部板及び下部板と結合されるウォータータンクを構成し、前記上部板及び下部板と結合されるウォータータンクの一側面と対面する他側面に前記放熱板が配置される、請求項14に記載の放熱部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2020年6月29日付の韓国特許出願第2020-0079312号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容はこの明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は放熱部材を含む電池モジュール及び前記放熱部材の製造方法に関するものであり、具体的に、発火した電池セルに水を直接注入して熱暴走現象の発生を防止することができるように貫通口が形成された放熱部材を含む電池モジュール及び前記放熱部材の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
充放電の可能なリチウム二次電池は電池セルの交替が不必要であるから、内装型電池セルとして使うのに適切であり、前記リチウム二次電池の安全性向上及び容量増加が早くなされているので、多様なデバイスに適用されている。
【0004】
例えば、前記リチウム二次電池は、多機能小型製品である無線モバイル機器(wireless mobile device)又は身体に着用するウェアラブル機器(wearable device)のエネルギー源として広範囲に使われているだけではなく、大気汚染を誘発する既存のガソリン車両及びディーゼル車両に対する代案として提示される電気自動車、ハイブリッド電気自動車などのエネルギー源や電力貯蔵装置(ESS)としても使われている。
【0005】
このように、前記リチウム二次電池が大容量及び高出力のエネルギー源として使われるのに従い、前記リチウム二次電池の安全性を確保する問題が重要な関心対象になっている。
【0006】
一般に、電力貯蔵装置は、内部に収容された電池セルで火災が発生する場合、別途の注水装置を用いて電池モジュールや電池パックの内部に水を注入する方法を使っている。
【0007】
しかし、このような場合、前記注水装置を備えるための施設と空間が必要であり、電池セルのベンティング(venting)によって排出されたガスのセンシング時点から注水までかかる時間差によって発火が拡散する問題がある。
【0008】
もしくは、電池モジュールや電池パックの内部又は外部に断熱材、消火薬剤などを配置する構造を採択し、電池セルの間に熱が伝達されることを遮断するか発火した電池セルを冷却させる方法を使うことができる。
【0009】
このような方法は、別途の注水装置を備えるための施設及び空間が必要な問題を解決することはできるが、断熱材や消火薬剤などの高価によって電池モジュール及び電池パックのコストが増加することになる。また、別途の部品が付加されることによって電池モジュールや電池パックの体積が増加するから、エネルギー密度が低下する問題がある。その他にも、電池セルの内部に備えられた消火薬剤の量が電池セルから放出される熱エネルギーの全部を消火するのに足りない場合には、結局電池セルの発火を防止しにくい問題がある。
【0010】
これに関連して、特許文献1はエネルギー貯蔵システム用自動消火装置に関するものであり、連結ラインの一側が連結固定され、別途の電源印加なしに無電源方式で火災鎮火ラインの内部に二酸化炭素を供給するように高圧の二酸化炭素が圧縮貯蔵された二酸化炭素供給部材を含んでなる二酸化炭素供給部を含むが、特許文献1は火災鎮火ライン、二酸化炭素供給部材などの構成を別に必要とするから、電力貯蔵装置の大きさが増加する問題を解決することができない。
【0011】
特許文献2は消火剤のための貯蔵所と前記消火剤を案内するための導管手段とを含み、前記導管手段は複数の電池セルのいずれかの電池セルに形成されたベントホールから放出されたベントガスジェットとぶつかるように位置し、前記導管手段は前記ベントガスジェットによって溶融されるように構成される電池システムに関するものである。
【0012】
前記特許文献2の電池システムは消火剤を貯蔵するための貯蔵所、前記消火剤を案内するための導管手段などを備えているが、電池システムの体積が増加する問題を依然として解決することができない。
【0013】
このように、大容量及び高出力の電池モジュール及び電池パックが発火する場合、火炎が拡散することを最小化するとともにエネルギー密度が低くなることを防止することができる技術に対する必要性が高い実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】韓国登録特許第1984817号公報
【特許文献2】韓国公開特許第2019-0085005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は前記のような問題を解決するためのものであり、電池セルの発火及び爆発の際に隣接した電池セルに熱エネルギーが伝達されることを防止するために、電池モジュールの内部に備えられる放熱部材用冷媒が発火した電池セルに直接注入される構造を有する放熱部材を含む電池モジュール及び前記放熱部材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
このような目的を達成するための本発明による電池モジュールは、複数のパウチ型電池セルが積層されている電池セル積層体と、前記電池セル積層体を収容する電池モジュールハウジングと、前記電池モジュールハウジングの一部と結合された形態の放熱部材とを含み、前記放熱部材は、前記電池セル積層体と対面する放熱板に貫通口が形成され、前記貫通口には密封部材が付加されている。
【0017】
本発明による電池モジュールにおいて、前記電池モジュールハウジングは上部板と下部板とを含み、前記放熱部材は放熱板及び冷媒流動部を含み、前記上部板と前記放熱板との間に冷媒流動部が形成されるように前記上部板及び前記放熱板が結合されることができる。
【0018】
本発明による電池モジュールにおいて、前記放熱部材は、前記下部板と放熱板との間に冷媒流動部が形成されるように前記下部板及び前記放熱板が結合されることができる。
【0019】
本発明による電池モジュールにおいて、前記密封部材は、前記パウチ型電池セルから放出される高温ガス又はスパークによって溶融される素材からなることができる。
【0020】
また、前記密封部材の溶融によって前記貫通口が開放され、前記貫通口を通して前記パウチ型電池セルに冷媒が注入されることができる。
【0021】
本発明による電池モジュールにおいて、前記冷媒は冷却水であり、前記冷却水には可燃性物質が含まれないことができる。
【0022】
また、前記上部板及び前記下部板には前記冷却水の流れをガイドするための流路が形成されることができる。
【0023】
本発明による電池モジュールにおいて、前記電池モジュールハウジングは上部板と下部板とを含み、前記上部板の内側面に前記放熱部材としてウォータータンクが結合され、前記ウォータータンクは、前記上部板の内側面と結合された第1面と対面する第2面には貫通口が形成され、前記貫通口には密封部材が付加されることができる。
【0024】
本発明による電池モジュールにおいて、前記電池モジュールハウジングは上部板と下部板とを含み、前記下部板の内側面に前記放熱部材としてウォータータンクが結合され、前記ウォータータンクは、前記下部板の内側面と結合された第1面と対面する第2面には貫通口が形成され、前記貫通口には密封部材が付加されることができる。
【0025】
本発明による電池モジュールにおいて、前記貫通口は、どのパウチ型電池セルが発火しても、発火したパウチ型電池セルに冷却水を供給することができる位置に形成され、前記パウチ型電池セルの個数及び大きさによって前記貫通口の個数が決定されることができる。
【0026】
本発明による電池モジュールにおいて、前記密封部材は前記貫通口を満たしており、前記放熱板の内側面及び外側面で前記貫通口の周縁から外側にさらに延びた延長部を含むことができる。
【0027】
本発明による電池モジュールにおいて、前記放熱板の内側面及び放熱板の外側面のうち、前記延長部が形成された部分には溝が形成されることができる。
【0028】
また、前記溝が形成された前記放熱板の垂直断面は、多角形、半円形及び半楕円形からなる群から選択されるいずれか一つ以上の形態を有することができる。
【0029】
また、本発明は、前記電池モジュールに含まれる放熱部材の製造方法を提供する。具体的に、前記放熱部材の製造方法は、(a)放熱部材の放熱板用平板をダイとホルダーとの間に配置する段階と、(b)前記平板をパンチングして貫通口を形成して放熱板を製造する段階と、(c)前記放熱板をインサート押出し成形のための型に装着する段階と、(d)前記型に前記放熱板を固定し、密封部材用樹脂を注入する段階と、(e)前記型を除去し、密封部材が付加された放熱板を収去する段階とを含み、前記ダイとホルダーには前記放熱板に溝を形成するための突起が形成される。
【0030】
本発明による放熱部材の製造方法において、前記放熱板は電池モジュールハウジングの上部板及び下部板と離隔空間を置いて結合され、前記離隔空間に冷媒が流入及び流出する冷媒流動部が形成されることができる。
【0031】
本発明による放熱部材の製造方法において、前記放熱板は電池モジュールハウジングの上部板及び下部板と結合されるウォータータンクを構成し、前記上部板及び下部板と結合されるウォータータンクの一側面と対面する他側面に前記放熱板が配置されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明による電池モジュールの斜視図である。
【
図2】一実施例による電池モジュールの垂直断面図である。
【
図3】本発明による放熱部材を分解した状態の斜視図及び平面図である。
【
図6】溝が形成された放熱板に密封部材が付加された電池モジュールの垂直断面拡大図である。
【
図7】溝が形成された放熱板に密封部材が付加された状態の垂直断面図である。
【
図8】他の実施例による電池パックの垂直断面図である。
【
図9】放熱板の製造過程を模式的に示す正面図である。
【
図10】放熱板に密封部材を付け加える過程を模式的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付図面に基づいて本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が本発明を容易に実施することができる実施例を詳細に説明する。ただ、本発明の好適な実施例の動作原理を詳細に説明するに際して、関連した公知の機能又は構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不必要にあいまいにする可能性があると判断される場合にはその詳細な説明を省略する。
【0034】
また、図面全般にわたって類似の機能及び作用を果たす部分に対しては同じ図面符号を使う。明細書全般で、ある部分が他の部分と連結されていると言うとき、これは直接的に連結されている場合だけではなく、その中間に他の素子を挟んで間接的に連結されている場合も含む。また、ある構成要素を含むというのは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0035】
また、構成要素を限定するか付け加えて具体化する説明は、特別な制限がない限り、全ての発明に適用することができ、特定の発明に限定されない。
【0036】
また、本発明の説明及び請求範囲全般にわたって単数で示したものは、別に言及しない限り、複数の場合も含む。
【0037】
また、本発明の説明及び請求範囲全般にわたって、“又は”は、別に言及しない限り、“及び”を含むものである。したがって、“A又はBを含む”はAを含むか、Bを含むか、A及びBを含む前記三つの場合の全部を意味する。
【0038】
また、全ての数値範囲は、明確に除くという記載がない限り、両端の値とその間の全ての中間値を含む。
【0039】
本発明を図面を参照して実施例に基づいて詳細に説明する。
【0040】
【0041】
図1を参照すると、本発明による電池モジュール100は、複数のパウチ型電池セル101が積層された電池セル積層体を内部に収容する電池モジュールハウジングと、前記電池セル積層体の上面及び下面に配置される放熱部材とを含む。
【0042】
複数のパウチ型電池セル101として、
図1には電極リード102が互いに反対方向に突出する両方向パウチ型電池セル101が示されているが、これとは違い、陽極リード及び陰極リードが互いに同じ方向に突出する単方向パウチ型電池セルを使うことができるというのは言うまでもない。
【0043】
前記電池モジュールハウジングは、前記電池セル積層体の上部に配置される上部板110、前記電池セル積層体の下部に配置される下部板120、及び上部板110と下部板120との間に配置され、前記電池セル積層体の側面に配置される側面板130を含む。
【0044】
また、パウチ型電池セル101の電極リード102が突出した方向の外側にはエンドプレート(図示せず)が上部板110、下部板120及び側面板130と結合されることにより、電池モジュールのハウジングが組み立てられることができる。
【0045】
また、前記電池モジュールハウジングの形態は
図1に示した構造に限定されなく、
図1に示したものとは違い、電池モジュールハウジングは、モノフレーム形又はUフレーム形のフレームを使うことができる。
【0046】
図2は一実施例による電池モジュールの垂直断面図である。
【0047】
図2を参照すると、電池モジュールは、複数のパウチ型電池セル101が積層された電池セル積層体が上部板110及び下部板120を含む電池モジュールハウジング内に収納されている。
【0048】
放熱部材200は、放熱板210、及び冷媒が流入及び流出しながら移動する冷媒流動部220を含む。放熱板210は上部板110と離隔間隔を置いて結合され、前記離隔間隔が形成する空間が冷媒流動部220になる。したがって、上部板110、放熱板210及び冷媒流動部220が一体型構造になる。
【0049】
すなわち、放熱部材200は上部板110と一体型に結合されて電池セル積層体の上部に位置する。
【0050】
また、放熱部材200’は、放熱板210、及び冷媒が流入及び流出しながら移動する冷媒流動部220を含む。放熱板210は下部板120と離隔間隔を置いて結合され、前記離隔間隔が形成する空間が冷媒流動部220になる。したがって、下部板120、放熱板210及び冷媒流動部220が一体型構造になる。
【0051】
すなわち、放熱部材200’は下部板120と一体型に結合されて電池セル積層体の下部に位置する。
【0052】
放熱板210には貫通口230が形成され、貫通口230には密封部材240が備えられる。密封部材240はパウチ型電池セル101から放出される高温ガス又はスパークによって溶融される素材からなる。すなわち、パウチ型電池セル101のように、正常状態では密封部材240が貫通口230を密封した状態を維持するが、パウチ型電池セル103のように、温度が上がるか発火するときには密封部材240が溶融されて貫通口230が開放される。開放された前記貫通口を通して冷媒流動部220の冷媒がパウチ型電池セル103に直接注入される。このような過程により、過熱又は発火したパウチ型電池セルを早く冷却させることにより、熱暴走が拡大されることを速かに防止することができる。
【0053】
前記密封部材は、温度が増加したパウチ型電池セルのベンティング(venting)によって噴出される高温のガス又はスパークによって溶融される素材であるので、溶融点が約200℃以下の熱可塑性の高分子樹脂を適用することができる。例えば、前記熱可塑性の高分子樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレンなど、溶融点が約100℃以上200℃以下の物質を使うことができる。
【0054】
一方、前記冷媒として冷却水を適用する場合、前記冷却水がパウチ型電池セルの内部に直接注入される点を考慮すると、前記冷却水の注入によって前記パウチ型電池セルの火炎が大きくなるか爆発が発生することを防止する必要がある。したがって、前記冷却水に含まれる添加剤としては可燃性物質が含まれていないものが好ましい。もしくは、前記冷却水に可燃性物質が添加剤として含まれる場合、前記添加剤の量はパウチ型電池セルに対する2次爆発を防止することができる程度であるとともに前記冷却水が凍ることを防止するために不凍液として使われる程度であることができる。
【0055】
本発明による放熱部材において、
図2の放熱部材200は放熱板が上部板と結合された形態であり、放熱部材200’は放熱板が下部板と結合された形態である点を除き、全ての構成が同様に適用可能であるので、以下では放熱部材200を基準に説明する。
【0056】
図3は本発明による放熱部材を分解した状態の斜視図及び平面図である。
【0057】
図3を
図2とともに参照すると、上部板110と放熱板210が結合された放熱部材から放熱部材の内部構造を説明するために放熱板210を除去した状態の斜視図を(a)に示し、放熱板210の平面図を(b)に示した。
【0058】
上部板110には冷媒として使われる冷却水の流れをガイドするための隔壁215が形成され、隔壁215の間には流路が形成されている。
【0059】
上部板110の一側外周辺に、矢印で示した冷却水流入口及び冷却水排出口が隣接して形成され、前記冷却水流入口及び冷却水排出口は上部板の幅方向aの一側外周辺の中心部に形成される。
【0060】
このような場合、冷却水流入口に流入する冷却水は一番温度が低く、冷却水排出口から排出される冷却水は一番温度が高いから、冷媒流動部を流れる全体冷却水温度偏差が小さい状態になることができる。よって、このような形態の流路を形成する場合には、放熱部材の全体部分で均一な放熱性を発揮することができる。
【0061】
図3の(b)には放熱板210に貫通口230が形成された状態を示している。
【0062】
放熱板210には平面視で円形になる貫通口230が横方向及び縦方向に沿って一定の間隔で離隔するように配置されている。
【0063】
どのパウチ型電池セルが発火しても、発火したパウチ型電池セルに対する冷却水の供給が可能な位置に貫通口が形成されなければならない。すなわち、全てのパウチ型電池セルに対して冷却水が供給できるように全てのパウチ型電池セルごとに少なくとも1個の貫通口が配置されることが好ましい。よって、前記パウチ型電池セルの個数及びサイズによって貫通口の個数及び間隔を調節することができる。
【0064】
【0065】
図4を参照すると、放熱板210に形成された貫通口230’、230”の形態は
図3の貫通口230の形態と違いがある。
【0066】
図4に示した放熱板210の短軸方向と電池セルの長手方向Lが平行になるように電池セルが配置されるとき、貫通口230’は1個の貫通口が2個以上のパウチ型電池セルをカバーするように斜めに形成され、貫通口230”は2個以上のパウチ型電池セルをカバーするように電池セルの長手方向Lに垂直な方向に形成されている。
【0067】
このような形態の貫通口が形成される場合、いずれか一つのパウチ型電池セルの発熱及び爆発によって密封部材が溶融されれば貫通口が大きく形成されるから、発熱及び爆発した電池セルに隣接して位置するが発熱及び爆発しなかった電池セルの表面にも冷却水が供給されることができる。よって、前記発熱及び爆発しなかった電池セルの温度を低めることにより、熱暴走現象の発生を防止することができる。
【0068】
【0069】
図5を参照すると、放熱板210と上部板110との間に冷媒流動部220が形成され、冷媒流動部220内に隔壁215が形成されているので、隔壁215によって冷媒の流路が形成される。
【0070】
電池セル積層体と放熱板210との間に空間が形成されることができ、個別電池セル101ごとに電池セルと放熱板210との間の距離に偏差が発生することができる。このように、電池セル積層体と放熱板210との間に形成される空間によって電池モジュール内部の熱を電池モジュールの外に排出する放熱性が低下する。
【0071】
このような問題を防止するために、電池セル積層体と放熱板210との間の空間に熱伝導材料(Thermal interface material、TIM)390を充填することができる。
【0072】
熱伝導材料390は電池セル積層体と放熱板との間の熱接点を広げるから、電池セル積層体で発生した熱エネルギーを電池モジュールの内部に早く排出することができる。
【0073】
ただ、パウチ型電池セルから放出された熱エネルギーが熱伝導材料390によって前記密封部材に直接接触することができない場合、前記密封部材が溶融温度に到逹することができないことがある。よって、前記熱伝導材料の付加を省略することができる。
【0074】
もしくは、前記熱伝導材料は放熱板の貫通口の下部には形成されず、それ以外の部分にのみ付加される形態であることができる。このような場合、熱伝導材料が付加されてもベンティングされた電池セルの熱エネルギーが損失されずに前記密封部材に直接伝達されることができるので、密封部材が溶融され、前記ベンティングされた電池セルに対して冷媒が供給されることができる。
【0075】
一方、放熱板210を貫通する貫通口230には密封部材240が付加されている。例えば、密封部材240は貫通口230を満たしており、放熱板の内側面211及び放熱板の外側面212で貫通口230の周縁から外側にさらに延びた延長部241を含む。
【0076】
密封部材240に延長部241が形成されるから、冷媒流動部を流れる冷却水の圧力によって密封部材240が除去されて貫通口が開放されることを防止することができる。
【0077】
図6は溝が形成された放熱板に密封部材が付加された電池モジュールの垂直断面拡大図である。
【0078】
図6を参照すると、上部板110と放熱板310との間に冷媒流動部320が形成され、放熱板310の貫通口には密封部材340が付加されている。
【0079】
密封部材340は延長部341を含み、放熱板の内側面311及び放熱板の外側面312のうち延長部341が形成された部分には溝314が形成されている。
【0080】
溝314には延長部341を構成する密封部材の一部が挿入されて挿入部345を形成しているので、冷却水の水圧によって密封部材が除去されて貫通口が開放されることをより効果的に防止することができる。
【0081】
このように、延長部を含む密封部材を製造するために、溝が形成された放熱板に対して密封部材用樹脂を注入して製造するインサート射出法を使うことができる。もしくは、密封部材のうち貫通口を通過する部分は前記貫通口の形態及び大きさに対応する形態及び大きさを有する密封部材の中心部を準備し、前記密封部材の中心部に別途の部材を付け加えて延長部を形成することができる。ここで、前記密封部材の中心部と別に付加された延長部の結合は、接着物質による接着、ネジ締結、締まりばめ方式などによってなされ、その結合方法が限定されない。また、前記密封部材の中心部は高温で溶融される熱可塑性高分子樹脂からなり、前記別に付加された延長部の素材は高温で溶融されない素材からなることができる。
【0082】
図7は溝が形成された放熱板に密封部材が付加された状態の垂直断面図である。
【0083】
図7を参照すると、放熱板410、510、610のそれぞれには密封部材440、540、640が付加されている。
【0084】
放熱板410、510、610のそれぞれは延長部と会う部分に溝414、514、614が形成され、溝414、514、614の内部には挿入部445、545、645が形成される。
【0085】
放熱板410、510、610において溝414、514、614が形成された部分の垂直断面は、三角形、台形などを含む多角形、半円形、及び半楕円形からなる群から選択されるいずれか一つ以上の形態に形成されることができ、これらが混合されて形成されることができる。
【0086】
図7(c)を参照すると、密封部材640の中心部641の厚さは密封部材440の中心部の厚さ及び密封部材540の中心部の厚さより薄く形成される。このように、貫通口を密封する部分の厚さが相対的に薄く形成される場合には密封部材が溶融されて貫通口が開放されるまでの時間が縮まることができるので、電池セルに冷媒を速かに供給することができる。
【0087】
図8は他の実施例による電池パックの垂直断面図である。
【0088】
図8を参照すると、電池モジュールハウジングは、上部板110’と下部板120’とを含み、内部にパウチ型電池セル101が積層配列された電池セル積層体が収容される。
【0089】
上部板110’の内側面に放熱部材として機能するウォータータンク260が結合されている。ウォータータンク260は、上部板110’の内側面と結合された第1面261、及び第1面261と対面する第2面263を含み、第1面261と第2面263との間に形成される空間に冷却水262を収容している。
【0090】
第2面263には貫通口267が形成され、前記貫通口267には密封部材268が付加されている。
【0091】
密封部材268はパウチ型電池セル101が開放されて放出される高温ガス又はスパークによって溶融される素材からなるので、パウチ型電池セルが加熱されるか発火する場合、密封部材268が溶融されて貫通口267が開放されれば、冷却水262が発火したパウチ型電池セル101に直接注入されることにより、発火したパウチ型電池セルを冷却及び消火することができる。
【0092】
ウォータータンク260’は、下部板120の内側面と結合された第1面261’、及び第1面261’と対面する第2面263’を含み、第1面261’と第2面263’との間に形成される空間に冷却水262’を収容している。
【0093】
第2面263’には貫通口267’が形成され、前記貫通口267’には密封部材268’が付加されている。
【0094】
パウチ型電池セル101のベンティング又は発火による密封部材268’の溶融及びこれによる効果は密封部材268についての説明と同様に適用される。
【0095】
図9は放熱板の製造過程を模式的に示す正面図、
図10は放熱板に密封部材を付け加える過程を模式的に示す正面図である。
【0096】
図9及び
図10に基づいて本発明による電池モジュールに含まれる放熱部材の製造方法を説明する。
【0097】
具体的に、前記放熱部材の製造方法は、(a)放熱部材の放熱板用平板をダイとホルダーとの間に配置する段階、(b)パンチング機で前記平板をパンチングして貫通口を形成することで放熱板を製造する段階、(c)前記放熱板をインサート押出し成形のための型に装着する段階、(d)前記型に前記放熱板を固定し、密封部材用樹脂を注入する段階、及び(e)前記型を除去し、密封部材が付加された放熱板を収去する段階を含み、前記ダイとホルダーには前記放熱板に溝を形成するための突起が形成されることができる。
【0098】
図9及び
図10は
図7(a)に示した放熱板410を製造する過程を示す。前記放熱板を製造する段階は、放熱部材の放熱板用平板401をダイ710とホルダー720との間に配置し、貫通口を形成しようとする位置にパンチング機730でパンチングして貫通口を形成することで、放熱板410を製造することができる。パンチング機730によって切断された切断部217は除去される。
【0099】
ダイ710とホルダー720のそれぞれには突起711、721が形成されているので、放熱板410には突起711、721の形態に対応する大きさの溝414が形成される。
【0100】
放熱板410に密封部材440を成形する方法として、インサート押出し成形方法を使うことができる。上型801と下型802との間に放熱板410を配置する。その後、上型801に形成された注入口811を通して密封部材用樹脂447を注入する。密封部材用樹脂447が乾燥すれば、上型801と下型802との間に形成された内部空間の形態の密封部材440が付加された放熱板410が形成される。放熱板410の溝414の内部に密封部材の一部が挿入されるので、放熱板410に密封部材440が安定的に固定されることができる。
【0101】
このように製造された放熱板は電池モジュールハウジングの上部板及び下部板と離隔空間を置いて結合され、前記離隔空間に冷媒が流入及び流出する構造を有する放熱部材を製造することができる。
【0102】
また、前記放熱板は、電池モジュールハウジングの上部板及び下部板と結合されるウォータータンクを構成し、前記放熱板は前記上部板及び下部板と結合されるウォータータンクの一側面と対面する他側面を構成することができる。
【0103】
このように、本発明による電池モジュール及び前記電池モジュールに含まれた放熱部材の製造方法を使う場合には、発火した電池セルを速かに冷却させることができるので、安全性の向上した電池モジュールを提供することができる。
【0104】
本発明が属する分野で通常の知識を有する者であれば、前記内容に基づいて本発明の範疇内で多様な応用及び変形が可能であろう。
【産業上の利用可能性】
【0105】
以上で説明したように、本発明による電池モジュールは、別途の追加構成を付け加えず、既存に使っていた放熱部材の構造を変更することにより、発火した電池セルを早く冷却することができるので、電池モジュールの体積増加を最小化しながら電池セルの熱暴走現象を確かに抑制することができる。
【0106】
また、電池セルの高い温度によって放熱部材に付加された密封部材が溶融されれば、前記放熱部材から電池セルに直接冷媒が注入されるので、電池セルの温度を早く低めることができる。
【0107】
また、放熱部材に貫通口が形成され、前記貫通口に密封部材が付加されて前記貫通口を密封するので、消火構造の付加にもかかわらず、電池モジュールの重さ増加を最小化することができる。
【0108】
また、電池セル積層体を構成する全体電池セルの中でいずれか一つの電池セルがベンティングされてもこれに対する冷媒注入が可能な形態の放熱部材を使うので、大容量の電池モジュールに適用しても熱拡散遮断の効果を得ることができる。
【0109】
また、電池セルに高価の消火薬剤の代わりに水を注入するので、生産コストを節減することができる。
【符号の説明】
【0110】
100 電池モジュール
101、103 パウチ型電池セル
102 電極リード
110、110’ 上部板
120、120’ 下部板
130 側面板
200、200’ 放熱部材
210、310、410、510、610 放熱板
211、311 放熱板の内側面
212、312 放熱板の外側面
215 隔壁
217 切断部
220、320 冷媒流動部
230、230’、230”、267、267’ 貫通口
240、268、268’、340、440、540、640 密封部材
241、341 延長部
260、260’ ウォータータンク
261、261’ 第1面
262、262’ 冷却水
263、263’ 第2面
314、414、514、614 溝
345、445、545、645 挿入部
390 熱伝導材料
401 放熱板用平板
447 密封部材用樹脂
641 密封部材中心部
710 ダイ
720 ホルダー
730 パンチング機
711、721 突起
801 上型
802 下型
811 注入口
a 上部板の幅方向
L 電池セルの長手方向
【国際調査報告】