IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オキュラス ブイアール,エルエルシーの特許一覧

特表2022-544437導波路ディスプレイのための様々な厚さを有する空間多重化体積ブラッグ格子
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-19
(54)【発明の名称】導波路ディスプレイのための様々な厚さを有する空間多重化体積ブラッグ格子
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20221012BHJP
   G02B 5/18 20060101ALI20221012BHJP
   G02B 5/32 20060101ALI20221012BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B5/18
G02B5/32
H04N5/64 511A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021572584
(86)(22)【出願日】2020-08-24
(85)【翻訳文提出日】2022-02-04
(86)【国際出願番号】 US2020047636
(87)【国際公開番号】W WO2021041314
(87)【国際公開日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】62/891,167
(32)【優先日】2019-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/840,119
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515046968
【氏名又は名称】メタ プラットフォームズ テクノロジーズ, リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】META PLATFORMS TECHNOLOGIES, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002974
【氏名又は名称】弁理士法人World IP
(72)【発明者】
【氏名】チー, ワンリー
(72)【発明者】
【氏名】マイザー, ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ラム, ワイ ゼ ティファニー
(72)【発明者】
【氏名】サーリッコ, パシ
(72)【発明者】
【氏名】ホアン, ニンフォン
【テーマコード(参考)】
2H199
2H249
【Fターム(参考)】
2H199CA02
2H199CA12
2H199CA23
2H199CA25
2H199CA42
2H199CA53
2H199CA66
2H199CA67
2H199CA68
2H199CA70
2H199CA83
2H199CA92
2H199CA94
2H199CA96
2H199CA97
2H249AA02
2H249AA12
2H249AA25
2H249AA34
2H249AA50
2H249AA60
2H249AA62
2H249AA64
2H249CA01
2H249CA04
2H249CA09
2H249CA15
2H249CA22
(57)【要約】
導波路ディスプレイは、導波路と、表示光を導波路内にカップリングするか、または導波路からカップリングアウトするように構成される格子カプラとを含む。格子カプラは、スタックで配置される第1の格子層および第2の格子層を少なくとも含む。第1の格子層は、第1の厚さによって特徴付けられ、第1の視野からの第1の波長の表示光を回折するように構成される第1の透過VBGを含む。第2の格子層は、第1の厚さよりも大きい第2の厚さによって特徴付けられ、第1の視野より大きい第2の視野からの第1の波長の表示光を回折するように構成される第2の透過VBGを含む。
【選択図】図24
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導波路と、
表示光を前記導波路内にカップリングするか、または前記導波路からカップリングアウトするように構成される格子カプラであって、前記格子カプラが、スタックで配置される第1の格子層および第2の格子層を少なくとも備える、格子カプラと、
を備える、導波路ディスプレイであって、
前記第1の格子層は、第1の厚さによって特徴付けられ、第1の視野からの第1の波長の表示光を回折するように構成される第1の透過体積ブラッグ格子(VBG)を含み、
前記第2の格子層は、前記第1の厚さよりも大きい第2の厚さによって特徴付けられ、前記第1の視野より大きい第2の視野からの前記第1の波長の表示光を回折するように構成される第2の透過VBGを含む、導波路ディスプレイ。
【請求項2】
前記第1の透過VBGは、前記第1の波長よりも長い第2の波長の、および前記第1の視野よりも小さい第3の視野からの、表示光を回折するようにさらに構成され、
前記第2の透過VBGは、前記第2の波長の、および前記第2の視野よりも小さい第4の視野からの、表示光を回折するようにさらに構成される、請求項1に記載の導波路ディスプレイ。
【請求項3】
前記第1の格子層および前記第2の格子層は各々、ホログラフィック材料層を含む、請求項1または2に記載の導波路ディスプレイ。
【請求項4】
前記第1の格子層は、第1の複数のホログラフィック記録露光において記録される第1の複数の透過VBGを含む第1の多重化VBGを含み、
前記第2の格子層は、第2の複数のホログラフィック記録露光において記録される第2の複数の透過VBGを含む第2の多重化VBGを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の導波路ディスプレイ。
【請求項5】
前記第1の格子層と前記第2の格子層との間に基板をさらに備え、前記基板が可視光を透過させる、請求項1から4のいずれか一項に記載の導波路ディスプレイ。
【請求項6】
前記格子カプラは、前記スタック内に第3の格子層をさらに備え、前記第3の格子層は、前記第2の厚さよりも大きい第3の厚さによって特徴付けられ、前記第2の視野よりも大きい第3の視野からの前記第1の波長の表示光を回折するように構成される第3の透過VBGを含み、
任意選択的に、前記第3の厚さは、100μm未満である、請求項1から5のいずれか一項に記載の導波路ディスプレイ。
【請求項7】
前記導波路が可視光を透過させ、かつ
前記格子カプラが、周囲環境からの可視光を透過させること、
前記導波路ディスプレイが、前記表示光を前記導波路内にカップリングするか、もしくは前記導波路からカップリングアウトするように、または
前記導波路内の前記表示光の伝播方向を変化させるように構成される第2の格子カプラを備えること、
のうちの1つまたは複数である、請求項1から6のいずれか一項に記載の導波路ディスプレイ。
【請求項8】
導波路と、
表示光を前記導波路内にカップリングするか、または前記導波路からカップリングアウトするように構成される格子カプラであって、前記格子カプラが、非均一の厚さによって特徴付けられ、かつ少なくとも第1の領域および第2の領域を含む、格子層を備える、格子カプラと、
を備える、導波路ディスプレイであって、
前記格子層の前記第1の領域は、第1の厚さによって特徴付けられ、第1の視野からの第1の波長の表示光を回折するように構成される第1の透過体積ブラッグ格子(VBG)を含み、
前記格子層の前記第2の領域は、前記第1の厚さよりも大きい第2の厚さによって特徴付けられ、前記第1の視野より大きい第2の視野からの前記第1の波長の表示光を回折するように構成される第2の透過VBGを含む、導波路ディスプレイ。
【請求項9】
前記第1の透過VBGは、前記第1の波長よりも長い第2の波長の、および前記第1の視野よりも小さい第3の視野からの、表示光を回折するようにさらに構成され、
前記第2の透過VBGは、前記第2の波長の、および前記第2の視野よりも小さい第4の視野からの、表示光を回折するようにさらに構成される、請求項8に記載の導波路ディスプレイ。
【請求項10】
前記第1の領域は、第1の複数のホログラフィック記録露光において記録される第1の複数の透過VBGを含む第1の多重化VBGを含み、
前記第2の領域は、第2の複数のホログラフィック記録露光において記録される第2の複数の透過VBGを含む第2の多重化VBGを含む、請求項8または9に記載の導波路ディスプレイ。
【請求項11】
第2の非均一の厚さを有する基板をさらに備え、
前記格子層は、前記基板上に形成され、
前記基板は、前記格子層の前記第1の領域において第3の厚さ、および前記格子層の前記第2の領域において第4の厚さを有し、前記第3の厚さが前記第4の厚さよりも大きく、
任意選択的に、前記基板および前記格子層は、均一の厚さによって特徴付けられる結合層を形成する、請求項8から10のいずれか一項に記載の導波路ディスプレイ。
【請求項12】
ポリマー層をさらに備え、前記ポリマー層は、前記ポリマー層および前記格子層が均一の厚さによって特徴付けられる結合層を形成するように前記格子層の前記非均一の厚さに補完的である第2の非均一の厚さを有し、
任意選択的に、
前記第2の非均一の厚さを有する前記ポリマー層は、非均一の光パターンを使用して、前記均一の厚さによって特徴付けられるホログラフィック材料層を選択的に減感することによって形成され、
前記格子層は、前記ホログラフィック材料層の感光性部分に形成される、請求項8から11のいずれか一項に記載の導波路ディスプレイ。
【請求項13】
前記格子層の最大厚さは、100μm未満である、請求項8から12のいずれか一項に記載の導波路ディスプレイ。
【請求項14】
前記導波路が可視光を透過させ、かつ
前記格子カプラが、周囲環境からの可視光を透過させること、
前記導波路ディスプレイが、前記表示光を前記導波路内にカップリングするか、もしくは前記導波路からカップリングアウトするように、または前記導波路内の前記表示光の伝播方向を変化させるように構成される第2の格子カプラをさらに備えること、
のうちの1つまたは複数である、請求項8から13のいずれか一項に記載の導波路ディスプレイ。
【請求項15】
導波路と、
表示光を前記導波路内にカップリングするか、または前記導波路からカップリングアウトするように構成される格子カプラであって、前記格子カプラが、
スタックで配置され、異なるそれぞれの厚さによって特徴付けられる複数の格子層であって、少なくとも第1の格子層および第2の格子層を含む、複数の格子層、および
前記複数の格子層と交互に配置される複数の基板であって、可視光を透過させる、複数の基板を備える、格子カプラと、
を備える、導波路ディスプレイであって、
前記第1の格子層は、第1の厚さによって特徴付けられ、第1の視野からの第1の波長の表示光を回折するように構成される第1の透過体積ブラッグ格子(VBG)を含む第1の多重化透過VBGを含み、
前記第2の格子層は、前記第1の厚さよりも大きい第2の厚さによって特徴付けられ、前記第1の視野より大きい第2の視野からの前記第1の波長の表示光を回折するように構成される第2の透過VBGを含む第2の多重化透過VBGを含む、導波路ディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、ニアアイディスプレイのための体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドマウントディスプレイ(HMD)またはヘッドアップディスプレイ(HUD)システムなどの人工現実システムは一般的に、例えば、ユーザの目の前約10~20mm以内の電子または光学ディスプレイを介して、ユーザにコンテンツを提示するように構成されるニアアイディスプレイ(例えば、ヘッドセットまたは眼鏡の形態にある)を含む。ニアアイディスプレイは、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、または複合現実(MR)応用のように、仮想物体を表示し得るか、または実物体の画像を仮想物体と組み合わせ得る。例えば、ARシステムにおいて、ユーザは、例えば、透明なディスプレイグラスまたはレンズを通して見ることによって(しばしば、光学シースルーと呼ばれる)、仮想物体(例えば、コンピュータ生成画像(CGI))および周囲環境の両方の画像を見ることができる。
【0003】
光学シースルーARシステムの一例は、導波路ベースの光学ディスプレイを使用し得、この場合、投射画像の光は、導波路(例えば、透明基板)内にカップリングされ、導波路内を伝播し、異なる場所で導波路からカップリングアウトされ得る。いくつかの実装形態において、投射画像の光は、格子などの回折光学素子を使用して、導波路内にカップリングされ得るか、または導波路からカップリングアウトされ得る。周囲環境からの光は、導波路のシースルー領域を通過し、同様にユーザの目に到達し得る。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、概して、ニアアイディスプレイのための体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイに関する。より詳細には、本明細書に開示されるのは、アイボックスを拡張するため、表示ヘイズを低減するため、物理的サイズを低減するため、光学効率を向上するため、光学アーチファクトを低減するため、および体積ブラッグ格子(VBG)カプラを使用して光学シースルーニアアイディスプレイシステムの視野を増大するための技法である。デバイス、システム、方法などを含む様々な発明の実施形態が本明細書に説明される。
【0005】
1つの態様において、本発明は、導波路と、表示光を導波路内にカップリングするか、または導波路からカップリングアウトするように構成される格子カプラとを含み得る導波路ディスプレイを提供する。格子カプラは、スタックで配置される第1の格子層および第2の格子層を少なくとも含み得る。第1の格子層は、第1の厚さによって特徴付けられ得、第1の視野からの第1の波長の表示光を回折するように構成される第1の透過VBGを含み得る。第2の格子層は、第1の厚さよりも大きい第2の厚さによって特徴付けられ得、第1の視野より大きい第2の視野からの第1の波長の表示光を回折するように構成される第2の透過VBGを含み得る。
【0006】
導波路ディスプレイのいくつかの実施形態において、第1の透過VBGは、第1の波長よりも長い第2の波長の、および第1の視野よりも小さい第3の視野からの、表示光を回折するようにさらに構成され得る。第2の透過VBGは、第2の波長の、および第2の視野よりも小さい第4の視野からの、表示光を回折するようにさらに構成され得る。第1の格子層および第2の格子層は各々、ホログラフィック材料層を含み得る。第1の格子層は、第1の複数のホログラフィック記録露光において記録される第1の複数の透過VBGを含む第1の多重化VBGを含み得る。第2の格子層は、第2の複数のホログラフィック記録露光において記録される第2の複数の透過VBGを含む第2の多重化VBGを含み得る。導波路ディスプレイは、第1の格子層と第2の格子層との間に基板をさらに含み得、基板は、可視光を透過させ得る。
【0007】
導波路ディスプレイのいくつかの実施形態において、格子カプラは、スタック内に第3の格子層をさらに含み得、第3の格子層は、第2の厚さよりも大きい第3の厚さによって特徴付けられ得、第2の視野よりも大きい第3の視野からの第1の波長の表示光を回折するように構成される第3の透過VBGを含み得る。いくつかの実施形態において、第3の厚さは、100μm未満であってもよい。
【0008】
いくつかの実施形態において、導波路は、可視光を透過させ得、格子カプラは、周囲環境からの可視光を透過させ得る。いくつかの実施形態において、導波路ディスプレイは、表示光を導波路内にカップリングするか、もしくは導波路からカップリングアウトするように、または導波路内の表示光の伝播方向を変化させるように構成される第2の格子カプラをさらに含み得る。
【0009】
別の態様において、本発明は、導波路と、表示光を導波路内にカップリングするか、または導波路からカップリングアウトするように構成される格子カプラとを含み得る導波路ディスプレイを提供する。格子カプラは、非均一の厚さによって特徴付けられ、かつ少なくとも第1の領域および第2の領域を含む、格子層を含み得る。格子層の第1の領域は、第1の厚さによって特徴付けられ得、第1の視野からの第1の波長の表示光を回折するように構成される第1の透過VBGを含み得る。格子層の第2の領域は、第1の厚さよりも大きい第2の厚さによって特徴付けられ得、第1の視野より大きい第2の視野からの第1の波長の表示光を回折するように構成される第2の透過VBGを含み得る。
【0010】
導波路ディスプレイのいくつかの実施形態において、第1の透過VBGは、第1の波長よりも長い第2の波長の、および第1の視野よりも小さい第3の視野からの、表示光を回折するようにさらに構成され得る。第2の透過VBGは、第2の波長の、および第2の視野よりも小さい第4の視野からの、表示光を回折するようにさらに構成され得る。いくつかの実施形態において、第1の領域は、第1の複数のホログラフィック記録露光において記録される第1の複数の透過VBGを含む第1の多重化VBGを含み得、第2の領域は、第2の複数のホログラフィック記録露光において記録される第2の複数の透過VBGを含む第2の多重化VBGを含み得る。
【0011】
いくつかの実施形態において、導波路ディスプレイは、第2の非均一の厚さを有する基板をさらに含み得、格子層は、基板上に形成され得、基板は、格子層の第1の領域において第3の厚さ、および格子層の第2の領域において第4の厚さを有し得る。第3の厚さは、第4の厚さよりも大きくてもよい。基板および格子層は、均一の厚さによって特徴付けられる結合層を形成し得る。
【0012】
いくつかの実施形態において、導波路ディスプレイは、ポリマー層をさらに含み得、ポリマー層は、ポリマー層および格子層が均一の厚さによって特徴付けられる結合層を形成するように格子層の非均一の厚さに補完的である第2の非均一の厚さを有する。第2の非均一の厚さを有するポリマー層は、非均一の光パターンを使用して、均一の厚さによって特徴付けられるホログラフィック材料層を選択的に減感することによって形成され得る。格子層は、ホログラフィック材料層の感光性部分に形成され得る。
【0013】
導波路ディスプレイのいくつかの実施形態において、格子層の最大厚さは、100μm未満であってもよい。いくつかの実施形態において、導波路は、可視光を透過させ得、格子カプラは、周囲環境からの可視光を透過させ得る。いくつかの実施形態において、導波路ディスプレイは、表示光を導波路内にカップリングするか、もしくは導波路からカップリングアウトするように、または導波路内の表示光の伝播方向を変化させるように構成される第2の格子カプラをさらに含み得る。
【0014】
さらなる態様において、本発明は、導波路と、表示光を導波路内にカップリングするか、または導波路からカップリングアウトするように構成される格子カプラとを含み得る導波路ディスプレイを提供する。格子カプラは、スタックで配置され、異なるそれぞれの厚さによって特徴付けられる、複数の格子層と、複数の格子層と交互に配置される複数の基板とを含み得る。複数の基板は、可視光を透過させ得る。複数の格子層は、少なくとも第1の格子層および第2の格子層を含み得る。第1の格子層は、第1の厚さによって特徴付けられ得、第1の視野からの第1の波長の表示光を回折するように構成される第1の透過VBGを含む第1の多重化透過VBGを含み得る。第2の格子層は、第1の厚さよりも大きい第2の厚さによって特徴付けられ得、第1の視野より大きい第2の視野からの第1の波長の表示光を回折するように構成される第2の透過VBGを含む第2の多重化透過VBGを含み得る。
【0015】
この発明の概要は、特許請求された主題の主要または必須の特徴を特定することを意図するものでも、特許請求された主題の範囲を決定するために孤立して使用されることを意図するものでもない。主題は、本開示の明細書全体の適切な部分、任意またはすべての図面、および各特許請求項への参照により理解されるものとする。前述したことは、他の特徴および例と併せて、以下に続く明細書、特許請求の範囲、および添付の図面において、以下により詳細に説明される。本明細書に説明される態様のいずれかにおいて包含に好適であるとして論じられるいかなる特徴も、任意の組み合わせで他の態様のいずれかにおいても包含に好適であるということを理解されたい。
【0016】
例証的な実施形態は、以下に続く図を参照して、以下に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】特定の実施形態に従う、ニアアイディスプレイシステムを含む人工現実システム環境の例の簡略ブロック図である。
図2】本明細書に開示される例のいくつかを実施するためのヘッドマウントディスプレイ(HMD)デバイスの形態にあるニアアイディスプレイシステムの例の斜視図である。
図3】本明細書に開示される例のいくつかを実施するための眼鏡の形態にあるニアアイディスプレイシステムの例の斜視図である。
図4】ニアアイディスプレイシステム内の光学システムの例を例証する簡略図である。
図5】特定の実施形態に従う、射出瞳拡大のための導波路ディスプレイを含む光学シースルー拡張現実システムの例を例証する図である。
図6】特定の実施形態に従う、射出瞳拡大のための導波路ディスプレイを含む光学シースルー拡張現実システムの例を例証する図である。
図7A】反射体積ブラッグ格子(VBG)の例のスペクトルバンド幅および透過性表面レリーフ格子(SRG)の例のスペクトルバンド幅を例証する図である。
図7B】反射VBGの例の角度バンド幅および透過性SRGの例の角度バンド幅を例証する図である。
図8A】特定の実施形態に従う、射出瞳拡大のための導波路ディスプレイおよび表面レリーフ格子を含む光学シースルー拡張現実システムの例を例証する図である。
図8B】特定の実施形態に従う、二次元複製された射出瞳を含むアイボックスの例を例証する図である。
図9A】導波路ディスプレイにおける射出瞳拡大のための表面レリーフ格子の例によって回折された光の波動ベクトル、および複数の色のための射出瞳を例証する図である。
図9B】導波路ディスプレイにおける射出瞳拡大のための表面レリーフ格子の例による視野クリッピングを例証する図である。
図10A】特定の実施形態に従う、体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイの例を例証する図である。
図10B図10Aに示される体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイの例の上面図である。
図10C図10Aに示される体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイの例の側面図である。
図11】特定の実施形態に従う、体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイの例における光分散を例証する図である。
図12A】体積ブラッグ格子(VBG)の例を例証する図である。
図12B図12Aに示される体積ブラッグ格子のためのブラッグ条件を例証する図である。
図13A】特定の実施形態に従う、射出瞳拡大および分散低減を伴う体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイの例の前面図である。
図13B図13Aに示される体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイの例の側面図である。
図14A】特定の実施形態に従う、反射体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイにおける異なる視野からの光の伝播を例証する図である。
図14B】特定の実施形態に従う、透過体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイにおける異なる視野からの光の伝播を例証する図である。
図15】特定の実施形態に従う、射出瞳拡大および分散低減を伴う反射体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイの例を例証する図である。
図16】特定の実施形態に従う、射出瞳拡大および形状因子低減を伴う透過体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイの例を例証する図である。
図17A】特定の実施形態に従う、導波路ディスプレイにおける透過体積ブラッグ格子の例を例証する図である。
図17B】導波路ディスプレイにおける透過VBGの例を例証する図であり、反射VBGによって回折された光が、完全には反射されず導波路内で導かれない。
図17C】特定の実施形態に従う、導波路ディスプレイにおける反射体積ブラッグ格子の例を例証する図である。
図17D】導波路ディスプレイにおける反射VBGの例を例証する図であり、透過VBGによって回折された光が、完全には反射されず導波路内で導かれない。
図18A】特定の実施形態に従う、導波路ディスプレイにおける反射体積ブラッグ格子の例による光分散を例証する図である。
図18B】特定の実施形態に従う、導波路ディスプレイにおける透過体積ブラッグ格子の例による光分散を例証する図である。
図19A】特定の実施形態に従う、射出瞳拡大および分散低減を伴う体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイの例の前面図である。
図19B】特定の実施形態に従う、画像プロジェクタおよび複数のポリマー層を含む体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイの例の側面図である。
図20A】特定の実施形態に従う、射出瞳拡大、分散低減、形状因子低減、および電力効率向上を伴う体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイの別の例を例証する図である。
図20B図20Aに示される体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイのアイボックスにおける複製された射出瞳の例を例証する図である。
図21A】特定の実施形態に従う、射出瞳拡大、分散低減、および形状因子低減を伴う体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイの例を例証する図である。
図21B】特定の実施形態に従う、射出瞳拡大、分散低減、形状因子低減、および効率向上を伴う体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイの例を例証する図である。
図22A】特定の実施形態に従う、2つの画像プロジェクタを含む体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイの例の前面図である。
図22B】特定の実施形態に従う、2つの画像プロジェクタを含む体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイの例の側面図である。
図23A】特定の実施形態に従う、単一の画像プロジェクタおよび視野貼り合わせのための格子を含む体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイの例の前面図である。
図23B】特定の実施形態に従う、単一の画像プロジェクタおよび視野貼り合わせのための格子を伴う体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイの例の側面図である。
図24】特定の実施形態に従う、異なる視野および/または光波長のための複数の格子層を含む体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイの例を例証する図である。
図25】特定の実施形態に従う、体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイの例における複数の格子の視野を例証する図である。
図26A】体積ブラッグ格子の例による、異なる対応する視野からの異なる色の光の回折を例証する図である。
図26B】体積ブラッグ格子の格子周期と異なる色の入射光のための対応する視野との関係を例証する図である。
図27A】同じ厚さだが異なる屈折率変調を有する透過体積ブラッグ格子の例の回折効率を例証する図である。
図27B】同じ厚さだが異なる屈折率変調を有する反射体積ブラッグ格子の例の回折効率を例証する図である。
図28A】ブラッグ条件からの入射角の偏差の関数としての第1の屈折率変調を伴う透過体積ブラッグ格子の例の回折効率を例証する図である。
図28B】ブラッグ条件からの入射角の偏差の関数としての第2の屈折率変調を伴う透過体積ブラッグ格子の例の回折効率を例証する図である。
図28C】ブラッグ条件からの入射角の偏差の関数としての第3の屈折率変調を伴う透過体積ブラッグ格子の例の回折効率を例証する図である。
図28D】ブラッグ条件からの入射角の偏差の関数としての第4の屈折率変調を伴う透過体積ブラッグ格子の例の回折効率を例証する図である。
図29A】ブラッグ条件からの入射角の偏差の関数としての第1の屈折率変調を伴う反射体積ブラッグ格子の例の回折効率を例証する図である。
図29B】ブラッグ条件からの入射角の偏差の関数としての第2の屈折率変調を伴う反射体積ブラッグ格子の例の回折効率を例証する図である。
図29C】ブラッグ条件からの入射角の偏差の関数としての第3の屈折率変調を伴う反射体積ブラッグ格子の例の回折効率を例証する図である。
図29D】ブラッグ条件からの入射角の偏差の関数としての第4の屈折率変調を伴う反射体積ブラッグ格子の例の回折効率を例証する図である。
図30A】異なる視野からの青色光について第1の屈折率変調を伴う透過VBGの例の回折効率を例証する図である。
図30B】異なる視野からの緑色光について第1の屈折率変調を伴う透過VBGの例の回折効率を例証する図である。
図30C】異なる視野からの赤色光について第1の屈折率変調を伴う透過VBGの例の回折効率を例証する図である。
図30D】異なる視野からの青色光について第2の屈折率変調を伴う透過VBGの例の回折効率を例証する図である。
図30E】異なる視野からの緑色光について第2の屈折率変調を伴う透過VBGの例の回折効率を例証する図である。
図30F】異なる視野からの赤色光について第2の屈折率変調を伴う透過VBGの例の回折効率を例証する図である。
図30G】異なる視野からの青色光について第3の屈折率変調を伴う透過VBGの例の回折効率を例証する図である。
図30H】異なる視野からの緑色光について第3の屈折率変調を伴う透過VBGの例の回折効率を例証する図である。
図30I】異なる視野からの赤色光について第3の屈折率変調を伴う透過VBGの例の回折効率を例証する図である。
図31A】異なる色の光について回折飽和を達成するために異なる格子周期を有する透過体積ブラッグ格子の最小屈折率変調を例証する図である。
図31B】青、緑、および赤色光について屈折率変調飽和を回避するために異なる格子周期を有する透過格子の最大屈折率変調を示す図である。
図31C】特定の実施形態に従う、最適化された回折効率および均一性のための異なるピッチおよび屈折率変調の多重化VBGを含む格子層の例を例証する図である。
図32A】多重化体積ブラッグ格子の例によって引き起こされたFOVクロストークを例証する図である。
図32B】体積ブラッグ格子の格子周期と異なる色の入射光のための対応する視野との関係を例証する図である。
図33A】異なる視野についての透過体積ブラッグ格子および反射体積ブラッグ格子のブラッグピークの線幅を例証する図である。
図33B】異なる視野についての透過体積ブラッグ格子のブラッグピークの例を例証する図である。
図33C】異なる視野についての反射体積ブラッグ格子のブラッグピークの例を例証する図である。
図34A】多重化体積ブラッグ格子の例におけるクロストークと効率との間のトレードオフを例証する図である。
図34B】多重化体積ブラッグ格子の例におけるクロストークと効率との間のトレードオフを例証する図である。
図35A】多重化透過体積ブラッグ格子における最小回折効率と合計屈折率変調と対応するクロストークとの関係を例証する図である。
図35B】多重化反射体積ブラッグ格子における最小回折効率と合計屈折率変調と対応するクロストークとの関係を例証する図である。
図36A】特定の実施形態に従う、異なる厚さを有する空間多重化体積ブラッグ格子を含む導波路ディスプレイの例を例証する図である。
図36B】特定の実施形態に従う、非均一の厚さを有する多重化体積ブラッグ格子を含む導波路ディスプレイの別の例を例証する図である。
図36C】特定の実施形態に従う、非均一の厚さを有する多重化体積ブラッグ格子を含む導波路ディスプレイの別の例を例証する図である。
図37】特定の実施形態に従う、2つの多重化体積ブラッグ格子および2つの多重化体積ブラッグ格子間の偏光変換器を含む導波路ディスプレイの例を例証する図である。
図38】特定の実施形態に従う、反射防止層および角度選択的な透過層を含む導波路ディスプレイの例を例証する図である。
図39】特定の実施形態に従う、ニアアイディスプレイの例における電子システムの例の簡略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図は、例証の目的のためだけに、本発明の実施形態を描写する。当業者は、以下の説明から、例証された構造および方法の代替の実施形態が、添付の特許請求の範囲に規定されるような本発明の、原則、または、うたわれた利益から逸脱することなく採用され得ることを理解するものとする。
【0019】
添付の図において、同様の構成要素および/または特徴は、同じ参照ラベルを有し得る。さらに、同じタイプの様々な構成要素は、参照ラベルにダッシュ記号を続けることによって、および同様の構成要素同士を区別する第2のラベルによって区別され得る。第1の参照ラベルのみが明細書において使用される場合、その説明は、第2の参照ラベルにかかわらず、同じ第1の参照ラベルを有する同様の構成要素のうちの任意の1つに適用可能である。
【0020】
本発明は、概して、ニアアイディスプレイシステムのための体積ブラッグ格子(VBG)ベースの導波路ディスプレイに関する。ニアアイディスプレイシステムにおいては、概して、アイボックスを拡大すること、表示ヘイズを低減すること、画像品質(例えば、解像度およびコントラスト)を向上すること、物理的サイズを低減すること、電力効率を増大すること、および視野を増大することが望ましい。導波路ベースのニアアイディスプレイシステムにおいて、投射画像の光は、導波路(例えば、透明基板)内にカップリングされ、導波路内を伝播し、射出瞳を複製しアイボックスを拡大するために異なる場所で導波路からカップリングアウトされ得る。2つ以上の格子が、射出瞳を2つの次元において拡大するために使用され得る。拡張現実応用のための導波路ベースのニアアイディスプレイシステムにおいて、周囲環境からの光は、導波路ディスプレイの少なくともシースルー領域(例えば、透明基板)を通過し、ユーザの目に到達し得る。いくつかの実装形態において、投射画像の光は、格子などの回折光学素子を使用して、導波路内にカップリングされ得るか、または導波路からカップリングアウトされ得る。
【0021】
回折光学素子を使用して実装される光学カプラは、格子効率の角度依存に起因して、限られた視野を有し得る。したがって、複数の入射角からの(例えば、異なる視野からの)カプラへの光入射は、等価または同様の効率で回折されない場合がある。加えて、回折光学素子を使用して実装されるカプラは、異なる色の光の間で分散を引き起こし得、異なる色の光では異なる回折角度を有し得る。したがって、カラー画像内の異なる光成分は、互いと重複しない場合がある。故に、表示された画像の品質(例えば、色再現中立性)が低減され得る。さらには、異なる色の光のための視野は、導波路ディスプレイによって導かれ得る光の、光分散および波動ベクトルの限られた範囲に起因して、低減され得るか、または部分的にクリッピングされ得る。分散を低減し、視野(FOV)範囲および回折効率を向上するために、異なる色成分のための異なる視野をカバーするために多くの多重化格子を含む厚い透過および/または反射VBG格子が使用され得、これは、多くの場合は非実用的であり得、ならびに/または格子の厚さおよび多重化VBG格子を記録するための大量の露光に起因して、著しい表示およびシースルーヘイズを引き起こし得る。例えば、いくつかの場合においては、1mmよりも大きい厚さを有する透過VBG格子が、分散を低減し、所望のFOV範囲および回折効率を達成するために必要とされ得る。比較的より小さい厚さを有する反射VBG格子が、所望の性能を達成するために使用されてもよい。しかしながら、反射格子では、二次元瞳拡大のための格子は、重複しない場合があり、故に、導波路ディスプレイの物理的サイズは大きくなり得、表示ヘイズは、依然として著しくなり得る。
【0022】
特定の実施形態によると、一致する格子ベクトルを伴う(例えば、透明基板の面法線方向に垂直の平面において同じ格子ベクトルを有する)2つのVBG格子(または同じ格子の2つの部分)が、表示光を回折し、射出瞳を1つの次元において拡大するために使用され得る。2つのVBG格子は、2つのVBG格子における反対のブラッグ条件(例えば、+1次および-1次回折)に起因して、互いによって引き起こされる表示光の分散を補償して、分散全体を低減し得る。したがって、薄いVBG格子が使用され得、所望の解像度を依然として達成し得る。分散補償が理由で、薄い透過VBG格子が、所望の解像度を達成するために使用され得、二次元瞳拡大のための格子は、導波路ディスプレイの物理的サイズを低減するために少なくとも部分的に重複し得る。
【0023】
いくつかの実施形態において、所望のFOV、カップリング効率、ならびに全FOVおよび色スペクトルにわたるカップリング効率均一性を達成するため、多重化VBGを含む複数のVBG層が、1つまたは複数の導波路プレートに形成され得る。各VBG層は、比較的高い効率で特定のFOVおよび/または色範囲内の光をカップリングするために使用され得、複数のVBG層の組み合わせが、比較的高くかつ均一なカップリング効率で所望のFOVおよび色範囲の完全なカバレッジを提供し得る。
【0024】
いくつかの実施形態において、第1のVBG格子の対(または格子の2つの部分)は、射出瞳を1つの次元において拡大し、互いによって引き起こされる分散を補償するために使用され得、第2のVBG格子の対(または格子の2つの部分)は、射出瞳を別の次元において拡大するために使用され得、互いによって引き起こされる分散を補償し得る。故に、射出瞳は、2つの次元において複製され得、表示画像の解像度は、両方の次元において高くなり得る。
【0025】
透過VBGについてのブラッグピークおよびサイドローブの半値全幅(FWHM)角度範囲は、対応する視野と共に増大し得る。VBGはまた、異なるそれぞれの視野からの異なる色の光を回折し得る。したがって、VBGは、異なる色の光では異なるFWHM角度範囲を有し得る。例えば、VBGは、より広い視野からの青色光およびより小さい視野からの赤色光の両方を回折し得、故に赤色光よりも青色光ではより幅広いFWHM角度範囲を有し得る。1つのVBGの回折効率曲線が別のVBGの回折効率曲線と部分的に重複するとき、一部の表示光は、クロストークに起因して望ましくない回折角度にある格子によって不必要に回折され得、ゴースト画像または他の光学アーチファクトを引き起こす。大きい(例えば、正の)視野からの青色光についてクロストークを回避するために、透過VBGは、多重化格子において疎に多重化され得、これが、小さい(例えば、負の)視野からの赤色光についてカバレッジおよび全体的な回折効率を低減し得る。故に、透過VBGベースの導波路ディスプレイの全体的な効率は、クロストークによって制限され得る。
【0026】
特定の実施形態によると、所望のFOVを提供しながらクロストークを増大させることなく透過格子の回折効率を向上させるため、格子カプラは、異なる厚さを有する透過VBGを含み得る。例えば、大きい(例えば、正の)視野からの青色光を回折するため、ホログラフィック材料層は、そこに記録される格子の線幅を低減するためにより高い厚さを有し得、その結果としてより多くの格子が、クロストークを増大することなくホログラフィック材料層において多重化され得る。小さい(例えば、負の)視野からの赤色光では、ホログラフィック材料層の厚さを増加させることもまた、大きい視野からの青色光の場合よりも低い比率ではあるが、線幅を低減し得る。故に、比較的密に多重化された格子が記録されているより厚いホログラフィック材料層は、大きい視野からの青色光について所望のクロストーク性能を有し得、また小さい視野からの赤色光について高い回折効率を有し得る。小さい視野からの赤、緑、および青色光についての透過VBGの線幅は、互いに対して比較的近くてもよい。故に、より薄いホログラフィック材料層が、そこに透過格子を記録するために使用されて、より小さい視野からの表示光を回折し得る。透過VBGは、ゴースト画像または他の光学アーチファクトを引き起こし得る多重化VBG間の回折クロストークを引き起こすことなく、より小さい視野からの表示光について高い効率を達成するために多重化され得る。
【0027】
1つの例において、導波路ディスプレイは、導波路と、表示光を導波路内にカップリングするか、または導波路からカップリングアウトするように構成される少なくとも1つの格子カプラとを含み得る。格子カプラは、スタックで配置される複数の格子層を含み得る。複数の格子層内の各格子層は、異なるそれぞれの厚さを有し得、異なるそれぞれの視野からの特定の波長の表示光を回折するための透過VBGを含み得る。より高い厚さを有する格子層は、より大きい視野からの特定の波長の表示光を回折するために使用され得る。より低い厚さを有する格子層は、より小さい視野からの特定の波長の表示光を回折するために使用され得る。
【0028】
例えば、格子層は、スタック内に少なくとも第1の格子層および第2の格子層を含み得る。第1の格子層は、第1の厚さによって特徴付けられ得、第1の(例えば、負の)視野からの第1の波長の表示光(例えば、青色光)を回折するように構成される第1の透過VBGを含み得る。第2の格子層は、第1の厚さよりも大きい第2の厚さによって特徴付けられ得、第1の視野より大きい第2の(例えば、正の)視野からの第1の波長の表示光を回折するように構成される第2の透過VBGを含み得る。第1の透過VBGは、第1の波長よりも長い第2の波長の、および第1の視野よりも小さい第3の視野からの、表示光(例えば、赤色光)を回折するようにさらに構成され得る。第2の透過VBGは、第2の波長の、および第2の視野よりも小さい第4の視野からの、表示光を回折するようにさらに構成され得る。第1の格子層は、第1の複数のホログラフィック記録露光において記録される第1の複数の透過VBGを含む第1の多重化VBGを含み得る。第2の格子層は、第2の複数のホログラフィック記録露光において記録される第2の複数の透過VBGを含む第2の多重化VBGを含み得る。第1の格子層および第2の格子層は、可視光を透過させる基板によって分離され得る。
【0029】
特定の実施形態によると、導波路ディスプレイは、導波路と、表示光を導波路内にカップリングするか、または導波路からカップリングアウトするように構成される少なくとも1つの格子カプラとを含み得る。格子カプラは、非均一の厚さによって特徴付けられる格子層を含み得る。透過VBGは、上に説明されるように異なる視野からの異なる表示光を回折するために、異なる厚さを有する格子層の異なる領域に記録され得る。非均一の厚さを有する格子層は、非均一の厚さを有する基板上にホログラフィ材料層をコーティングすることによって、または均一の厚さを有する基板上にホログラフィ材料層をコーティングし、非均一の光パターンを使用してホログラフィ材料層の部分を選択的に減感することによって、形成され得る。
【0030】
以下の説明において、デバイス、システム、方法などを含む様々な発明の実施形態が説明される。説明の目的のため、特定の詳細事項は、本発明の例の完全な理解を提供するために明記される。しかしながら、様々な例が、これらの特定の詳細事項なしに実践され得ることは明白である。例えば、デバイス、システム、構造体、アセンブリ、方法、および他の構成要素は、不必要な詳細事項において例を不明瞭にすることがないように、ブロック図の形態にある構成要素として示され得る。他の場合において、周知のデバイス、プロセス、システム、構造体、および技法は、例を不明瞭にすることを回避するために、必要な詳細事項なしに示され得る。図および説明は、制限的であることは意図されない。本開示において採用されている用語および表現は、制限ではなく説明の用語として使用され、そのような用語および表現の使用において、示され説明される特徴の任意の等価物またはそれらの部分を排除する意図はない。「例」という言葉は、「例、事例、または例証としての役割を果たす」ことを意味するために本明細書で使用される。「例」として本明細書に説明される任意の実施形態または設計は、必ずしも、他の実施形態または設計よりも、好ましい、または有利であると解釈されるべきではない。
【0031】
図1は、特定の実施形態に従う、ニアアイディスプレイ120を含む人工現実システム環境100の例の簡略ブロック図である。図1に示される人工現実システム環境100は、ニアアイディスプレイ120、任意選択の外部撮像デバイス150、および任意選択の入力/出力インターフェース140を含み得、これらの各々が、任意選択のコンソール110に結合され得る。図1は、1つのニアアイディスプレイ120、1つの外部撮像デバイス150、および1つの入力/出力インターフェース140を含む人工現実システム環境100の例を示すが、任意の数のこれらの構成要素が、人工現実システム環境100に含まれてもよく、または構成要素のうちのいずれかが省略されてもよい。例えば、コンソール110と通信状態にある1つまたは複数の外部撮像デバイス150によって監視される複数のニアアイディスプレイ120が存在してもよい。いくつかの構成において、人工現実システム環境100は、外部撮像デバイス150、任意選択の入力/出力インターフェース140、および任意選択のコンソール110を含まなくてもよい。代替の構成において、異なるまたは追加の構成要素が、人工現実システム環境100に含まれてもよい。
【0032】
ニアアイディスプレイ120は、ユーザにコンテンツを提示するヘッドマウントディスプレイであってもよい。ニアアイディスプレイ120によって提示されるコンテンツの例は、画像、動画、音声、またはそれらの任意の組み合わせのうちの1つまたは複数を含む。いくつかの実施形態において、音声は、ニアアイディスプレイ120、コンソール110、または両方から音声情報を受信し、この音声情報に基づいて音声データを提示する外部デバイス(例えば、スピーカおよび/またはヘッドフォン)を介して提示され得る。ニアアイディスプレイ120は、互いに剛結合または非剛結合され得る1つまたは複数の剛体を含み得る。剛体同士の剛結合は、結合した剛体を単一の剛実体として作用させ得る。剛体同士の非剛結合は、剛体が互いに対して移動することを可能にし得る。様々な実施形態において、ニアアイディスプレイ120は、眼鏡を含む、任意の好適な形状因子で実装され得る。ニアアイディスプレイ120のいくつかの実施形態は、図2および図3に関して以下にさらに説明される。加えて、様々な実施形態において、本明細書に説明される機能性は、ニアアイディスプレイ120の外部の環境の画像および人工現実コンテンツ(例えば、コンピュータ生成画像)を組み合わせるヘッドセットにおいて使用され得る。したがって、ニアアイディスプレイ120は、拡張現実をユーザに提示するために、生成されたコンテンツ(例えば、画像、動画、音など)を用いてニアアイディスプレイ120の外部の物理的な現実世界環境の画像を拡張し得る。
【0033】
様々な実施形態において、ニアアイディスプレイ120は、ディスプレイ電子機器122、ディスプレイ光学系124、およびアイトラッキングユニット130のうちの1つまたは複数を含み得る。いくつかの実施形態において、ニアアイディスプレイ120はまた、1つまたは複数のロケータ126、1つまたは複数の位置センサ128、および慣性測定ユニット(IMU)132を含み得る。ニアアイディスプレイ120は、アイトラッキングユニット130、ロケータ126、位置センサ128、およびIMU132のうちのいずれかを省略し得るか、または様々な実施形態において追加の要素を含み得る。加えて、いくつかの実施形態において、ニアアイディスプレイ120は、図1と併せて説明される様々な要素の機能を組み合わせた要素を含み得る。
【0034】
ディスプレイ電子機器122は、例えば、コンソール110から受信されるデータに従って、ユーザに対して画像を表示し得るか、または画像の表示を促進し得る。様々な実施形態において、ディスプレイ電子機器122は、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、無機発光ダイオード(ILED)ディスプレイ、微小発光ダイオード(μLED)ディスプレイ、アクティブマトリックスOLEDディスプレイ(AMOLED)、透明OLEDディスプレイ(TOLED)、または何らかの他のディスプレイなど、1つまたは複数の表示パネルを含み得る。例えば、ニアアイディスプレイ120の1つの実装形態において、ディスプレイ電子機器122は、前面TOLEDパネル、背面表示パネル、および前面表示パネルと背面表示パネルとの間の光学構成要素(例えば、減衰器、偏光子、または回折もしくは分光フィルム)を含み得る。ディスプレイ電子機器122は、赤、緑、青、白、または黄などの主色の光を放出するために画素を含み得る。いくつかの実装形態において、ディスプレイ電子機器122は、画像の奥行きの主観的知覚を作り出すために、二次元パネルによって生成される立体視効果を通じて三次元(3D)画像を表示し得る。例えば、ディスプレイ電子機器122は、ユーザの左目および右目の前にそれぞれ位置付けられる左ディスプレイおよび右ディスプレイを含み得る。左および右ディスプレイは、立体視効果(例えば、画像を見ているユーザによる画像の奥行きの知覚)を作り出すために、互いに対して水平にシフトされた画像のコピーを提示し得る。
【0035】
特定の実施形態において、ディスプレイ光学系124は、画像コンテンツを(例えば、光導波路およびカプラを使用して)光学的に表示するか、またはディスプレイ電子機器122から受信される画像光を拡大し、画像光と関連付けられた光学誤差を補正し、補正した画像光をニアアイディスプレイ120のユーザに提示し得る。様々な実施形態において、ディスプレイ光学系124は、例えば、基板、光導波路、アパーチャ、フレネルレンズ、凸レンズ、凹レンズ、フィルタ、入力/出力カプラ、またはディスプレイ電子機器122から放出される画像光に影響を及ぼし得る任意の他の好適な光学素子など、1つまたは複数の光学素子を含み得る。ディスプレイ光学系124は、異なる光学素子の組み合わせ、ならびに組み合わせた光学素子の相対的な間隔および配向を維持するための機械的結合を含み得る。ディスプレイ光学系124内の1つまたは複数の光学素子は、反射防止コーティング、反射コーティング、フィルタリングコーティング、または異なる光学コーティングの組み合わせなど、光学コーティングを有し得る。
【0036】
ディスプレイ光学系124による画像光の拡大は、ディスプレイ電子機器122が、物理的により小さくなること、重さが軽くなること、およびより大きいディスプレイよりも少ない電力を消費することを可能にし得る。加えて、拡大は、表示コンテンツの視野を増大させ得る。ディスプレイ光学系124による画像光の拡大の量は、光学素子を調節すること、追加すること、またはディスプレイ光学系124から除去することによって変更され得る。いくつかの実施形態において、ディスプレイ光学系124は、ニアアイディスプレイ120よりもユーザの目から離れたところにあり得る1つまたは複数の画像平面に表示画像を投射し得る。
【0037】
ディスプレイ光学系124はまた、二次元光学誤差、三次元光学誤差、またはそれらの任意の組み合わせなど、1つまたは複数のタイプの光学誤差を補正するように設計され得る。二次元誤差は、2つの次元に発生する光学収差を含み得る。二次元誤差の例となるタイプは、たる形ひずみ、糸巻形ひずみ、軸上色収差、および倍率色収差を含み得る。三次元誤差は、3つの次元に発生する光学誤差を含み得る。三次元誤差の例となるタイプは、球面収差、コマ収差、像面湾曲、および非点収差を含み得る。
【0038】
ロケータ126は、互いに対してニアアイディスプレイ120上の特定の位置に、およびニアアイディスプレイ120上の基準点に対して、位置する物体であり得る。いくつかの実装形態において、コンソール110は、人工現実ヘッドセットの位置、配向、または両方を決定するために、外部撮像デバイス150によって捕捉される画像内でロケータ126を特定し得る。ロケータ126は、LED、コーナーキューブリフレクタ、反射マーカ、ニアアイディスプレイ120が動作する環境と対照をなす光源のタイプ、またはそれらの任意の組み合わせであってもよい。ロケータ126がアクティブ構成要素(例えば、LEDまたは他のタイプの発光デバイス)である実施形態において、ロケータ126は、可視バンド(例えば、約380nm~750nm)、赤外(IR)バンド(例えば、約750nm~1mm)、紫外バンド(例えば、約10nm~約380nm)、電磁スペクトルの別の部分、または電磁スペクトルの部分の任意の組み合わせで光を放出し得る。
【0039】
外部撮像デバイス150は、1つもしくは複数のカメラ、1つもしくは複数のビデオカメラ、ロケータ126のうちの1つもしくは複数を含む画像を捕捉することができる任意の他のデバイス、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。加えて、外部撮像デバイス150は、1つまたは複数のフィルタを含み得る(例えば、信号対雑音比を増加させるため)。外部撮像デバイス150は、外部撮像デバイス150の視野内のロケータ126から放出または反射される光を検出するように構成され得る。ロケータ126がパッシブ素子(例えば、逆反射体)である実施形態において、外部撮像デバイス150は、ロケータ126のうちのいくつかまたはすべてを照明する光源を含み得、これらのロケータ126は、外部撮像デバイス150内の光源に光を再帰反射し得る。低速較正データが、外部撮像デバイス150からコンソール110へ通信され得、外部撮像デバイス150は、1つまたは複数の撮像パラメータ(例えば、焦点距離、焦点、フレームレート、センサ温度、シャッター速度、アパーチャなど)を調節するために、コンソール110から1つまたは複数の較正パラメータを受信し得る。
【0040】
位置センサ128は、ニアアイディスプレイ120の動きに応答して1つまたは複数の測定信号を生成し得る。位置センサ128の例は、加速度計、ジャイロスコープ、磁力計、他の動き検出もしくは誤差補正センサ、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。例えば、いくつかの実施形態において、位置センサ128は、並進運動(例えば、前後、上下、または左右)を測定するための複数の加速度計、および回転運動(例えば、ピッチ、ヨー、またはロール)を測定するための複数のジャイロスコープを含み得る。いくつかの実施形態において、様々な位置センサは、互いに直交して配向され得る。
【0041】
IMU132は、位置センサ128のうちの1つまたは複数から受信される測定信号に基づいて高速較正データを生成する電子デバイスであってもよい。位置センサ128は、IMU132の外部に、IMU132の内部に、またはそれらの任意の組み合わせで、位置し得る。1つまたは複数の位置センサ128からの1つまたは複数の測定信号に基づいて、IMU132は、ニアアイディスプレイ120の初期位置に対するニアアイディスプレイ120の推定位置を示す高速較正データを生成し得る。例えば、IMU132は、速度ベクトルを推定するために加速度計から経時的に受信される測定信号を統合し、ニアアイディスプレイ120上の基準点の推定位置を決定するために速度ベクトルを経時的に統合し得る。代替的に、IMU132は、高速較正データを決定し得るコンソール110にサンプリングされた測定信号を提供し得る。基準点は、一般的に、空間内の点として規定され得るが、様々な実施形態において、基準点はまた、ニアアイディスプレイ120内の点(例えば、IMU132の中心)として規定され得る。
【0042】
アイトラッキングユニット130は、1つまたは複数のアイトラッキングシステムを含み得る。アイトラッキングは、ニアアイディスプレイ120に対する、目の配向および場所を含む目の位置を決定することを指し得る。アイトラッキングシステムは、1つまたは複数の目を撮像するために撮像システムを含み得、任意選択的に、目によって反射される光が撮像システムによって捕捉され得るように目に向けられる光を生成し得る発光体を含み得る。例えば、アイトラッキングユニット130は、可視スペクトルまたは赤外スペクトルで光を放出する非コヒーレント光源またはコヒーレント光源(例えば、レーザダイオード)、およびユーザの目によって反射される光を捕捉するカメラを含み得る。別の例として、アイトラッキングユニット130は、小型レーダーユニットによって放出された反射電波を捕捉し得る。アイトラッキングユニット130は、目を傷つけない、または身体的な不快感を引き起こさない周波数および強度で光を放出する低出力発光体を使用し得る。アイトラッキングユニット130は、アイトラッキングユニット130によって消費される電力全体を低減(例えば、アイトラッキングユニット130に含まれる発光体および撮像システムによって消費される電力を低減)しながら、アイトラッキングユニット130によって捕捉された目の画像におけるコントラストを増大させるように配置され得る。例えば、いくつかの実装形態において、アイトラッキングユニット130は、100ミリワット未満の電力を消費し得る。
【0043】
ニアアイディスプレイ120は、例えば、ユーザの瞳間距離(IPD)を決定するため、視線方向を決定するため、奥行きの手がかりを導入するため(例えば、ユーザの主な視線の外側のぶれ画像)、VRメディア内のユーザインタラクションに関するヒューリスティックスを収集するため(例えば、露光刺激の関数としての任意の特定の対象、物体、またはフレームに費やした時間)、ユーザの目の少なくとも一方の配向に部分的に基づくいくつかの他の機能、またはそれらの任意の組み合わせのために、目の配向を使用し得る。配向がユーザの両目に対して決定され得ることから、アイトラッキングユニット130は、ユーザがどこを見ているのかを決定することが可能であり得る。例えば、ユーザの視線の方向を決定することは、ユーザの左目および右目の決定された配向に基づいて収束点を決定することを含み得る。収束点は、ユーザの目の2つの中心窩軸が交差する点であり得る。ユーザの視線の方向は、収束点およびユーザの目の瞳の間の中点を通過する線の方向であり得る。
【0044】
入力/出力インターフェース140は、ユーザがコンソール110にアクション要求を送信することを可能にするデバイスであってもよい。アクション要求は、特定のアクションを実施するための要求であってもよい。例えば、アクション要求は、アプリケーションを開始すること、もしくは終了すること、またはアプリケーション内で特定のアクションを実施することであってもよい。入力/出力インターフェース140は、1つまたは複数の入力デバイスを含み得る。例となる入力デバイスは、キーボード、マウス、ゲームコントローラ、グローブ、ボタン、タッチスクリーン、または、アクション要求を受信し、受信したアクション要求をコンソール110に通信するための任意の他の好適なデバイスを含み得る。入力/出力インターフェース140によって受信されたアクション要求は、コンソール110に通信され得、このコンソール110が、要求されたアクションに対応するアクションを実施し得る。いくつかの実施形態において、入力/出力インターフェース140は、コンソール110から受信した命令に従ってユーザに触覚フィードバックを提供し得る。例えば、入力/出力インターフェース140は、アクション要求が受信されるとき、またはコンソール110が要求されたアクションをすでに実施しており、命令を入力/出力インターフェース140に通信するとき、触覚フィードバックを提供し得る。いくつかの実施形態において、外部撮像デバイス150は、コントローラ(例えば、IR光源を含み得る)またはユーザの手の場所または位置を追跡してユーザの動きを決定することなど、入力/出力インターフェース140を追跡するために使用され得る。いくつかの実施形態において、ニアアイディスプレイ120は、コントローラまたはユーザの手の場所または位置を追跡してユーザの動きを決定することなど、入力/出力インターフェース140を追跡するために1つまたは複数の撮像デバイスを含み得る。
【0045】
コンソール110は、外部撮像デバイス150、ニアアイディスプレイ120、および入力/出力インターフェース140のうちの1つまたは複数から受信される情報に従ったユーザに対する提示のため、ニアアイディスプレイ120にコンテンツを提供し得る。図1に示される例において、コンソール110は、アプリケーションストア112、ヘッドセットトラッキングモジュール114、人工現実エンジン116、およびアイトラッキングモジュール118を含み得る。コンソール110のいくつかの実施形態は、図1と併せて説明されるものとは異なるモジュールまたは追加のモジュールを含み得る。以下にさらに説明される機能は、ここに説明されるものとは異なる様式で、コンソール110の構成要素に分散され得る。
【0046】
いくつかの実施形態において、コンソール110は、プロセッサ、およびプロセッサによって実行可能な命令を記憶する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を含み得る。プロセッサは、命令を並行して実行する複数の処理ユニットを含み得る。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、ハードディスクドライブ、リムーバブルメモリ、ソリッドステートドライブ(例えば、フラッシュメモリまたはダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM))など、任意のメモリであってもよい。様々な実施形態において、図1と併せて説明されるコンソール110のモジュールは、プロセッサによって実行されるとき、以下にさらに説明される機能をプロセッサに実施させる非一時的なコンピュータ可読記憶媒体内の命令として符号化され得る。
【0047】
アプリケーションストア112は、コンソール110による実行のための1つまたは複数のアプリケーションを記憶し得る。アプリケーションは、プロセッサによって実行されるとき、ユーザに対する提示のためのコンテンツを生成する命令のグループを含み得る。アプリケーションによって生成されるコンテンツは、ユーザの目の運動を介してユーザから受信される入力、または入力/出力インターフェース140から受信される入力に応答したものであり得る。アプリケーションの例は、ゲーミングアプリケーション、会議アプリケーション、動画再生アプリケーション、または他の好適なアプリケーションを含み得る。
【0048】
ヘッドセットトラッキングモジュール114は、外部撮像デバイス150からの低速較正情報を使用してニアアイディスプレイ120の運動を追跡し得る。例えば、ヘッドセットトラッキングモジュール114は、低速較正情報からの観察したロケータおよびニアアイディスプレイ120のモデルを使用してニアアイディスプレイ120の基準点の位置を決定し得る。ヘッドセットトラッキングモジュール114はまた、高速較正情報からの位置情報を使用してニアアイディスプレイ120の基準点の位置を決定し得る。加えて、いくつかの実施形態において、ヘッドセットトラッキングモジュール114は、ニアアイディスプレイ120の今後の場所を予測するために、高速較正情報、低速較正情報、またはそれらの任意の組み合わせの部分を使用し得る。ヘッドセットトラッキングモジュール114は、ニアアイディスプレイ120の推定または予測した今後の位置を人工現実エンジン116に提供し得る。
【0049】
人工現実エンジン116は、人工現実システム環境100内でアプリケーションを実行し、ニアアイディスプレイ120の位置情報、ニアアイディスプレイ120の加速度情報、ニアアイディスプレイ120の速度情報、ニアアイディスプレイ120の予測した今後の位置、またはそれらの任意の組み合わせをヘッドセットトラッキングモジュール114から受信し得る。人工現実エンジン116はまた、推測した目の位置および配向情報をアイトラッキングモジュール118から受信し得る。受信した情報に基づいて、人工現実エンジン116は、ユーザへの提示のためにニアアイディスプレイ120に提供するためのコンテンツを決定し得る。例えば、受信した情報が、ユーザが左を見たことを示す場合、人工現実エンジン116は、仮想環境におけるユーザの目の運動を左右逆にする、ニアアイディスプレイ120のためのコンテンツを生成し得る。加えて、人工現実エンジン116は、入力/出力インターフェース140から受信されるアクション要求に応答してコンソール110に対して実行するアプリケーション内のアクションを実施し、アクションが実施されたことを示すフィードバックをユーザに提供し得る。フィードバックは、ニアアイディスプレイ120を介した視覚もしくは可聴フィードバック、または入力/出力インターフェース140を介した触覚フィードバックであり得る。
【0050】
アイトラッキングモジュール118は、アイトラッキングユニット130からアイトラッキングデータを受信し、アイトラッキングデータに基づいてユーザの目の位置を決定し得る。目の位置は、ニアアイディスプレイ120に対する目の配向、場所、もしくは両方、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。目の回転軸が眼窩内の目の場所の関数として変化することから、眼窩内の目の場所を決定することは、アイトラッキングモジュール118が目の配向をより正確に決定することを可能にし得る。
【0051】
図2は、本明細書に開示される例のいくつかを実施するための、HMDデバイス200の形態にあるニアアイディスプレイの例の斜視図である。HMDデバイス200は、例えば、VRシステム、ARシステム、MRシステム、またはそれらの任意の組み合わせ、の部分であってもよい。HMDデバイス200は、本体部220およびヘッドストラップ230を含み得る。図2は、本体部220の下側223、前側225、および左側227を斜視図で示す。ヘッドストラップ230は、調節可能または伸長可能な長さを有し得る。ユーザがHMDデバイス200をユーザの頭に装着するのを可能にするため、HMDデバイス200の本体部220とヘッドストラップ230との間には十分な空間が存在し得る。様々な実施形態において、HMDデバイス200は、追加の、より少ない、または異なる構成要素を含み得る。例えば、いくつかの実施形態において、HMDデバイス200は、ヘッドストラップ230ではなく、例えば、下の図3に示されるような、眼鏡テンプルおよびテンプル先端部を含み得る。
【0052】
HMDデバイス200は、コンピュータ生成要素と共に物理的な現実世界環境の仮想および/または拡張視点を含むメディアをユーザに提示し得る。HMDデバイス200によって提示されるメディアの例は、画像(例えば、二次元(2D)または三次元(3D)画像)、動画(例えば、2Dまたは3D動画)、音声、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。画像および動画は、HMDデバイス200の本体部220に収納された1つまたは複数のディスプレイアセンブリ(図2に示されない)によってユーザの各目に提示され得る。様々な実施形態において、1つまたは複数のディスプレイアセンブリは、単一の電子表示パネルまたは複数の電子表示パネル(例えば、ユーザの各目に1つの表示パネル)を含み得る。電子表示パネルの例は、例えば、LCD、OLEDディスプレイ、ILEDディスプレイ、μLEDディスプレイ、AMOLED、TOLED、何らかの他のディスプレイ、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。HMDデバイス200は、2つのアイボックス領域を含み得る。
【0053】
いくつかの実装形態において、HMDデバイス200は、奥行きセンサ、動きセンサ、位置センサ、およびアイトラッキングセンサなど、様々なセンサ(示されない)を含み得る。これらのセンサのうちのいくつかは、センシングのために構造化光パターンを使用し得る。いくつかの実装形態において、HMDデバイス200は、コンソールとの通信のために入力/出力インターフェースを含み得る。いくつかの実装形態において、HMDデバイス200は、HMDデバイス200内でアプリケーションを実行し、HMDデバイス200の、奥行き情報、位置情報、加速度情報、速度情報、予測した今後の位置、またはそれらの任意の組み合わせを様々なセンサから受信することができる仮想現実エンジン(示されない)を含み得る。いくつかの実装形態において、仮想現実エンジンによって受信される情報は、1つまたは複数のディスプレイアセンブリへの信号(例えば、表示命令)を生成するために使用され得る。いくつかの実装形態において、HMDデバイス200は、互いに対して、および基準点に対して、本体部220上の固定位置に位置するロケータ(示されない、ロケータ126など)を含み得る。ロケータの各々は、外部撮像デバイスによって検出可能な光を放出し得る。
【0054】
図3は、本明細書に開示される例のいくつかの実施するための眼鏡の形態にあるニアアイディスプレイ300の例の斜視図である。ニアアイディスプレイ300は、図1のニアアイディスプレイ120の特定の実装形態であり得、仮想現実ディスプレイ、拡張現実ディスプレイ、および/または複合現実ディスプレイとして動作するように構成され得る。ニアアイディスプレイ300は、フレーム305およびディスプレイ310を含み得る。ディスプレイ310は、ユーザにコンテンツを提示するように構成され得る。いくつかの実施形態において、ディスプレイ310は、ディスプレイ電子機器および/またはディスプレイ光学系を含み得る。例えば、図1のニアアイディスプレイ120に関して上に説明されるように、ディスプレイ310は、LCD表示パネル、LED表示パネル、または光学表示パネル(例えば、導波路ディスプレイアセンブリ)を含み得る。
【0055】
ニアアイディスプレイ300は、フレーム305上、またはフレーム305内に、様々なセンサ350a、350b、350c、350d、および350eをさらに含み得る。いくつかの実施形態において、センサ350a~350eは、1つまたは複数の奥行きセンサ、動きセンサ、位置センサ、慣性センサ、または周囲光センサを含み得る。いくつかの実施形態において、センサ350a~350eは、異なる方向における異なる視野を表す画像データを生成するように構成される1つまたは複数の画像センサを含み得る。いくつかの実施形態において、センサ350a~350eは、ニアアイディスプレイ300の表示コンテンツを制御する、もしくはこれに影響を及ぼすため、および/またはニアアイディスプレイ300のユーザにインタラクティブなVR/AR/MR体験を提供するために、入力デバイスとして使用され得る。いくつかの実施形態において、センサ350a~350eはまた、立体撮像のために使用され得る。
【0056】
いくつかの実施形態において、ニアアイディスプレイ300は、物理的環境内へ光を投射するために、1つまたは複数の照明器具330をさらに含み得る。投射光は、異なる周波数帯(例えば、可視光、赤外光、紫外光など)と関連付けられ得、様々な目的を果たし得る。例えば、照明器具330は、暗い環境(または低強度の赤外光、紫外光などを伴う環境)において光を投射して、暗い環境内で異なる物体の画像を捕捉することにおいてセンサ350a~350eを支援することができる。いくつかの実施形態において、照明器具330は、環境内の物体上に特定の光パターンを投射するために使用され得る。いくつかの実施形態において、照明器具330は、図1に関して上に説明されるロケータ126など、ロケータとして使用され得る。
【0057】
いくつかの実施形態において、ニアアイディスプレイ300はまた、高解像度カメラ340を含み得る。カメラ340は、視野内の物理的環境の画像を捕捉し得る。捕捉画像は、捕捉画像に仮想物体を追加する、または捕捉画像内の物理的物体を修正するために、例えば、仮想現実エンジン(例えば、図1の人工現実エンジン116)によって処理され得、処理画像は、ARまたはMRアプリケーションのためのディスプレイ310によってユーザに表示され得る。
【0058】
図4は、ニアアイディスプレイシステム400内の光学システムの例を例証する簡略図である。光学システム400は、画像源410およびプロジェクタ光学系420を含み得る。図4に示される例において、画像源410は、プロジェクタ光学系420の前にある。様々な実施形態において、画像源410は、ユーザの目490の視野の外側に位置し得る。例えば、1つまたは複数の反射体または方向性カプラが、ユーザの目490の視野の外側にある画像源からの光を偏向させて、この画像源が図4に示される画像源410の場所にあるように見せるために使用され得る。画像源410上のエリア(例えば、画素または発光デバイス)からの光は、プロジェクタ光学系420によって、コリメートされて射出瞳430へ向けられ得る。故に、画像源410上の異なる空間的位置にある物体は、異なる視野角(FOV)においてユーザの目490から離れた物体であるように見え得る。異なる視野角からのコリメート光は、次いで、ユーザの目490の水晶体によってユーザの目490の網膜492の異なる場所へと集束され得る。例えば、光の少なくともいくつかの部分は、網膜492上で中心窩494に集束され得る。画像源410上のエリアからの、同じ方向からユーザの目490に入射するコリメート光線は、網膜492上の同じ場所へ集束され得る。そのようなものとして、画像源410の単一の画像が、網膜492上に形成され得る。
【0059】
人工現実システムを使用するというユーザ体験は、視野(FOV)、画像品質(例えば、角度分解能)、アイボックスのサイズ(目および頭の運動に適応するため)、およびアイボックス内の光の明るさ(またはコントラスト)を含む、光学システムのいくつかの特性に依存し得る。視野は、片目(単眼HMDの場合)または両目(双眼または両眼いずれかのHMDの場合)によって観察されるような、通常、度の単位で測定される、ユーザが見る画像の角度範囲を説明する。人間視覚システムは、約200°(水平)×130°(垂直)の合計両眼FOVを有し得る。完全没入型の視覚環境を作り出すには、大きいFOV(例えば、約60°より大きい)は、画像を単に見ているのではなく、画像「の中にいる」という感覚を提供し得ることから、大きいFOVが望ましい。視野が小さくなることも、いくつかの重要な視覚情報を妨げ得る。例えば、小さいFOVを有するHMDシステムは、ジェスチャインターフェースを使用し得るが、ユーザは、自分が正しい動きを使用していることを確信するために小さいFOV内で自分の手を見ることができない。その一方で、より広い視野は、より大きいディスプレイまたは光学システムを必要とし得、これは、HMDのサイズ、重量、費用、および使い心地に影響を及ぼし得る。
【0060】
解像度は、ユーザの前に現れる表示された画素もしくは画像要素の角度サイズ、またはユーザがある画素および/もしくは他の画素によって画像化されるような物体を見て正しく解釈することができる能力を指し得る。HMDの解像度は、所与のFOV値についての画像源上の画素の数として指定され得、そこから角度分解能が、1つの方向におけるFOVを画像源上の同じ方向にある画素の数で割ることによって決定され得る。例えば、40°の水平FOVおよび画像源上の水平方向における1080画素の場合、対応する角度分解能は、Snellen20/20ヒト視力と関連付けられた1分分解能と比較して、約2.2分であり得る。
【0061】
場合によっては、アイボックスは、ユーザの目の前にある二次元ボックスであってもよく、この二次元ボックスから、画像源からの表示画像を見ることができる。ユーザの瞳がアイボックスの外側へ動く場合、表示画像は、ユーザによって見られない場合がある。例えば、非瞳成形構成においては、HMD画像源の非ビネット視聴が中に存在することになる視聴アイボックスが存在しており、表示画像は、ビネットであり得るか、またはクリッピングされ得るが、ユーザの目の瞳が視聴アイボックスの外側にあるときに依然として可視であり得る。瞳成形構成において、画像は、射出瞳の外側では可視ではない場合がある。
【0062】
最も高い分解能が網膜上で達成され得る人間の目の中心窩は、約2°~約3°のFOVに対応し得る。これは、軸外の物体を最も高い解像度で見るために、目が回転することを必要とし得る。軸外の物体を見るための目の回転は、目が瞳の約10mm後ろにある点の周りを回転することから、瞳の移動をもたらし得る。加えて、ユーザは常に、ユーザの目の瞳(例えば、約2.5mmの半径を有する)をアイボックス内の理想の場所に正確に位置付けることができるわけではない。さらには、HMDが使用される環境は、例えば、HMDが動く車両において使用されるとき、またはユーザが歩いている間に使用されるように設計されるとき、HMDに対するユーザの目および/または頭の運動を可能にするためにアイボックスがより大きいことを必要とし得る。これらの状況における運動の量は、HMDがユーザの頭にどれくらいきちんと結合されるかに依存し得る。
【0063】
故に、HMDの光学システムは、HMDに対するユーザの瞳の運動を受け入れるために、十分に大きい射出瞳またはフル解像度で全FOVを見るための視聴アイボックスを提供することを必要とし得る。例えば、瞳成形構成においては、12mm~15mmの最小サイズが射出瞳に所望され得る。アイボックスが小さすぎる場合、目とHMDとの小さなずれが、画像の少なくとも部分的損失を結果としてもたらし得、ユーザ体験は、実質的に損なわれ得る。一般に、アイボックスの横方向の広がりは、アイボックスの垂直の広がりよりも重要である。これは、ユーザ間の目の分離距離における著しい相違、ならびに、アイウェアのずれが横寸法においてより頻繁に発生する傾向があるということ、およびユーザが視線を上下に調節するよりも、自らの視線を左右に、より大きい振幅で、より頻繁に調節する傾向があるということに部分的に起因し得る。故に、アイボックスの横寸法を増加させることができる技法は、HMDを用いたユーザの体験を実質的に向上させ得る。その一方で、アイボックスが大きくなるほど、光学系はより大きくなり、ニアアイディスプレイデバイスはより重く、よりかさばることになり得る。
【0064】
明るい背景に対して表示画像を見るためには、AR HMDの画像源は、十分に明るい必要があり得、光学システムは、表示画像が太陽光などの強い周囲光を含む背景において可視であり得るように、ユーザの目に明るい画像を提供するのに効率的である必要があり得る。HMDの光学システムは、アイボックス内に光を集中させるように設計され得る。アイボックスが大きいときは、高出力の画像源が、大きいアイボックス内で可視の明るい画像を提供するために使用され得る。故に、アイボックスのサイズ、費用、明るさ、光学複雑性、画像品質、ならびに光学システムのサイズおよび重量の間にはトレードオフが存在し得る。
【0065】
図5は、特定の実施形態に従う、射出瞳拡大のための導波路ディスプレイを含む光学シースルー拡張現実システム500の例を例証する。拡張現実システム500は、プロジェクタ510およびコンバイナ515を含み得る。プロジェクタ510は、光源または画像源512およびプロジェクタ光学系514を含み得る。いくつかの実施形態において、光源または画像源512は、1つまたは複数のマイクロLEDデバイスを含み得る。いくつかの実施形態において、画像源512は、LCD表示パネルまたはLED表示パネルなど、仮想物体を表示する複数の画素を含み得る。いくつかの実施形態において、画像源512は、コヒーレントまたは部分的にコヒーレントな光を生成する光源を含み得る。例えば、光源512は、レーザダイオード、垂直キャビティ面発光レーザ、LED、スーパールミネッセントLED(sLED)、および/または上に説明されるマイクロLEDを含み得る。いくつかの実施形態において、画像源512は、各々が主色(例えば、赤、緑、または青)に対応する単色画像光を放出する複数の光源(例えば、上に説明されるLEDのアレイ)を含み得る。いくつかの実施形態において、画像源512は、マイクロLEDの3つの二次元アレイを含み得、マイクロLEDの各二次元アレイが、主色(例えば、赤、緑、または青)の光を放出するように構成されるマイクロLEDを含み得る。いくつかの実施形態において、画像源512は、空間光変調器などの光学パターン生成器を含み得る。プロジェクタ光学系514は、画像源512からの光を拡大すること、コリメートすること、スキャンすること、またはコンバイナ515に投射することなど、画像源512からの光を調整することができる1つまたは複数の光学構成要素を含み得る。1つまたは複数の光学構成要素は、例えば、1つまたは複数のレンズ、液体レンズ、ミラー、遊離型光学系、アパーチャ、および/または格子を含み得る。例えば、いくつかの実施形態において、画像源512は、マイクロLEDの1つまたは複数の一次元アレイまたは細長の二次元アレイを含み得、プロジェクタ光学系514は、画像フレームを生成するためにマイクロLEDの一次元アレイまたは細長の二次元アレイをスキャンするように構成される1つまたは複数の一次元スキャナ(例えば、マイクロミラーまたはプリズム)を含み得る。いくつかの実施形態において、プロジェクタ光学系514は、画像源512からの光をスキャンするのを可能にする複数の電極を有する液体レンズ(例えば、液晶レンズ)を含み得る。
【0066】
コンバイナ515は、プロジェクタ510からの光をコンバイナ515の基板520内にカップリングするための入力カプラ530を含み得る。入力カプラ530は、体積ホログラフィック格子または別の回折光学素子(DOE)(例えば、表面レリーフ格子(SRG))、基板520の傾斜した反射面、または屈折カプラ(例えば、ウェッジまたはプリズム)を含み得る。例えば、入力カプラ530は、反射体積ブラッグ格子または透過体積ブラッグ格子を含み得る。入力カプラ530は、可視光の場合、30%、50%、75%、90%、またはそれ以上のカップリング効率を有し得る。基板520内にカップリングされた光は、例えば、全内部反射(TIR)を通じて、基板520内を伝播し得る。基板520は、眼鏡のレンズの形態にあってもよい。基板520は、平坦または湾曲表面を有し得、ガラス、クォーツ、プラスチック、ポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、水晶、セラミック、または同様のものなど、1つまたは複数のタイプの誘電材料を含み得る。基板の厚さは、例えば、約1mm未満~約10mm以上の範囲に及び得る。基板520は、可視光を透過させ得る。
【0067】
基板520は、複数の出力カプラ540を含み得るか、またはこれに結合され得、各々が、基板520によって導かれ、かつ基板520内を伝播する光の少なくとも一部分を基板520から抽出し、抽出した光560を、拡張現実システム500が使用中であるときに拡張現実システム500のユーザの目590が位置し得るアイボックス595に向けるように構成される。複数の出力カプラ540は、表示画像がより大きいエリアにおいて可視であり得るように、アイボックス595のサイズを増大させるために射出瞳を複製し得る。入力カプラ530のように、出力カプラ540は、格子カプラ(例えば、体積ホログラフィック格子または表面レリーフ格子)、他の回折光学素子(DOE)、プリズムなどを含み得る。例えば、出力カプラ540は、反射体積ブラッグ格子または透過体積ブラッグ格子を含み得る。出力カプラ540は、異なる場所では異なるカップリング(例えば、回折)効率を有し得る。基板520はまた、コンバイナ515の前の環境からの光550がほとんど損失なしに通過することを可能にする。出力カプラ540はまた、光550がわずかな損失で通過することを可能にし得る。例えば、いくつかの実装形態において、出力カプラ540は、光550が屈折され得るか、または別途わずかな損失で出力カプラ540を通過し得るように、光550の非常に低い回折効率を有し得、故に、抽出した光560よりも高い強度を有し得る。いくつかの実装形態において、出力カプラ540は、光550の高い回折効率を有し得、光550をわずかな損失で特定の所望の方向(すなわち、回折角度)に回折し得る。その結果として、ユーザは、コンバイナ515の前の環境の画像とプロジェクタ510によって投射された仮想物体の画像とを組み合わせたものを見ることができてもよい。いくつかの実装形態において、出力カプラ540は、光550の高い回折効率を有し得、光550をわずかな損失で特定の所望の方向(例えば、回折角度)に回折し得る。
【0068】
いくつかの実施形態において、プロジェクタ510、入力カプラ530、および出力カプラ540は、基板520の任意の側面にあってもよい。入力カプラ530および出力カプラ540は、表示光を基板520内にカップリングする、または基板520からカップリングアウトするために、反射性格子(反射格子とも称される)または透過性格子(透過格子とも称される)であってもよい。
【0069】
図6は、特定の実施形態に従う、射出瞳拡大のための導波路ディスプレイを含む光学シースルー拡張現実システム600の例を例証する。拡張現実システム600は、拡張現実システム500と同様であってもよく、導波路ディスプレイ、ならびに光源または画像源612およびプロジェクタ光学系614を含み得るプロジェクタを含み得る。導波路ディスプレイは、拡張現実システム500に関して上に説明されるように、基板630、入力カプラ640、および複数の出力カプラ650を含み得る。図5は、単一の視野からの光の伝播のみを示すが、図6は、複数の視野からの光の伝播を示す。
【0070】
図6は、射出瞳が出力カプラ650によって複製されて、集合した射出瞳またはアイボックスを形成することを示し、異なる視野(例えば、画像源612上の異なる画素)は、アイボックスへ向かう異なるそれぞれの伝播方向と関連付けられ得、同じ視野(例えば、画像源612上の同じ画素)からの光は、異なる個々の射出瞳について同じ伝播方向を有し得る。故に、画像源612の単一の画像は、アイボックス内のどこにでも位置するユーザの目によって形成され得、異なる個々の射出瞳からの、同じ方向に伝播する光は、画像源612上の同じ画素からのものであり得、ユーザの目の網膜上の同じ場所へ集束され得る。図6は、ユーザの目がアイボックス内の異なる場所へ動くとしても、画像源の画像がユーザの目によって見ることができることを示す。
【0071】
多くの導波路ベースのニアアイディスプレイシステムにおいて、導波路ベースのニアアイディスプレイのアイボックスを2つの次元において拡大するため、2つ以上の出力格子が、表示光を2つの次元において、または2つの軸に沿って拡大する(二軸瞳拡大と称され得る)ために使用され得る。2つの格子は、一方の格子が1つの方向において射出瞳を複製するために使用され得、他方の格子が別の方向において射出瞳を複製するために使用され得るように、異なる格子パラメータを有し得る。
【0072】
上に説明されるように、上に説明される入力および出力格子カプラは、非常に異なるKlein-CookパラメータQ:
を有し得る体積ホログラフィック格子または表面レリーフ格子であってもよく、式中、dは、格子の厚さであり、λは、自由空間内の入射光の波長であり、Λは、格子周期であり、nは、記録媒体の屈折率である。Klein-CookパラメータQは、格子による光回折を3つのレジームに分割し得る。格子がQ<<1によって特徴付けられるとき、格子による光回折は、Raman-Nath回折と称され得、複数の回折次数が、垂直および/または斜入射光の場合に発生し得る。格子がQ>>1(例えば、Q≧10)によって特徴付けられるとき、格子による光回折は、ブラッグ回折と称され得、一般的にはゼロ次および±1回折次数が、ブラッグ条件を満足する角度で格子に入射する光の場合に発生し得る。格子がQ≒1によって特徴付けられるとき、格子による回折は、Raman-Nath回折とブラッグ回折との間であり得る。ブラッグ条件を満たすため、格子の厚さdは、媒体の体積を占有するために(表面においてではなく)特定の値よりも高くてもよく、故に、体積ブラッグ格子と称され得る。VBGは、一般的に、比較的小さい屈折率変調(例えば、Δn≦0.05)ならびに高いスペクトルおよび角度選択性を有し得る一方、表面レリーフ格子は、一般的に、大きい屈折率変調(例えば、Δn≧0.5)ならびに幅広のスペクトルおよび角度バンド幅を有し得る。
【0073】
図7Aは、体積ブラッグ格子(例えば、反射VBG)の例のスペクトルバンド幅、および表面レリーフ格子(例えば、透過性SRG)の例のスペクトルバンド幅を例証する。水平軸は、入射可視光の波長を表し、垂直軸は、回折効率に対応する。曲線710によって示されるように、反射VBGの回折効率は、緑色光などの狭い波長範囲において高い。対照的に、透過性SRGの回折効率は、曲線720によって示されるように、青色~赤色光などの非常に幅広の波長範囲において高くなり得る。
【0074】
図7Bは、体積ブラッグ格子(例えば、反射VBG)の例の角度バンド幅、および表面レリーフ格子(例えば、透過性SRG)の例の角度バンド幅を例証する。水平軸は、格子に入射する可視光の入射角を表し、垂直軸は、回折効率に対応する。曲線715によって示されるように、反射VBGの回折効率は、完璧なブラッグ条件から約±2.5°など、狭い角度範囲から格子に入射する光では高い。対照的に、透過性SRGの回折効率は、曲線725によって示されるように、約±10°超またはそれより幅広いなど、非常に幅広い角度範囲において高い。
【0075】
ブラッグ条件における高いスペクトル選択性に起因して、反射VBGなどのVBGは、主色間のクロストークなしの単一導波路設計を可能にし得、また優れたシースルー品質を呈し得る。しかしながら、スペクトルおよび角度選択性は、全FOV内の表示光の一部分のみが回折されてユーザの目に到達し得ることから、より低い効率をもたらし得る。
【0076】
図8Aは、特定の実施形態に従う、射出瞳拡大のための導波路ディスプレイ800および表面レリーフ格子を含む光学シースルー拡張現実システムの例を例証する。導波路ディスプレイ800は、基板520と同様であり得る基板810(例えば、導波路)を含み得る。基板810は、可視光を透過させ得、例えば、ガラス、クォーツ、プラスチック、ポリマー、PMMA、セラミック、水晶基板を含み得る。基板810は、平坦な基板または湾曲した基板であってもよい。基板810は、第1の表面812および第2の表面814を含み得る。表示光は、入力カプラ820によって基板810内にカップリングされ得、また表示光が基板810内で伝播し得るように、全内部反射を通じて第1の表面812および第2の表面814によって反射され得る。上に説明されるように、入力カプラ820は、格子、屈折カプラ(例えば、ウェッジまたはプリズム)、または反射カプラ(例えば、基板810に対して傾斜角を有する反射面)を含み得る。例えば、1つの実施形態において、入力カプラ820は、異なる色の表示光を同じ屈折角で基板810内にカップリングし得るプリズムを含み得る。別の例において、入力カプラ820は、異なる色の光を異なる方向で基板810内へ回折し得る格子カプラを含み得る。入力カプラ820は、可視光の場合、10%、20%、30%、50%、75%、90%、またはそれ以上のカップリング効率を有し得る。
【0077】
導波路ディスプレイ800は、アイボックス(または出力もしくは射出瞳)を表示光で満たすために、入射表示光ビームを2つの次元において拡大するための、基板810の1つまたは2つの表面(例えば、第1の表面812および第2の表面814)に位置付けられた第1の格子830および第2の格子840を含み得る。第1の格子830は、およそx方向など、1つの方向に沿って、表示光ビームの少なくとも一部分を拡大するように構成され得る。基板810内にカップリングされた表示光は、線832によって示される方向に伝播し得る。表示光は、線832によって示される方向に沿って基板810内を伝播するが、表示光の一部分は、基板810内を伝播する表示光が第1の格子830に到達する度に、線834によって示されるように、第1の格子830の一部分によって第2の格子840の方へ回折され得る。第2の格子840は、次いで、基板810内を伝播する表示光が第2の格子840に到達する度に表示光の一部分をアイボックスへ回折することによって、第1の格子830からの表示光を異なる方向に(例えば、およそy方向に)拡大し得る。第2の格子840において、出口領域850は、アイボックス内の1つの瞳の場所(例えば、アイボックスの中心)における全FOVのための表示光が導波路ディスプレイ800からカップリングアウトされ得る領域を表す。
【0078】
図8Bは、二次元複製された射出瞳を含むアイボックスの例を例証する。図8Bは、単一の入力瞳805が、個々の射出瞳852の二次元アレイを含む集合射出瞳860を形成するために、第1の格子830および第2の格子840によって複製され得ることを示す。例えば、射出瞳は、第1の格子830によっておよそx方向に、第2の格子840によっておよそy方向に複製され得る。上に説明されるように、個々の射出瞳852からの、同じ方向に伝播する出力光は、ユーザの目の網膜内の同じ場所へ集束され得る。故に、単一の画像が、個々の射出瞳852の二次元アレイ内の出力光から、ユーザの目によって形成され得る。
【0079】
図9Aは、導波路ディスプレイにおける射出瞳拡大のための表面レリーフ格子の例によって回折された光の波動ベクトル、および複数の色のための射出瞳を例証する。円910は、導波路によって導かれ得る光の波動ベクトルを表し得る。円910の外側の波動ベクトルを有する光の場合、光は、エバネッセントになり得る。円920は、全内部反射条件が満たされないために導波路から漏れ出し得る光の波動ベクトルを表し得る。故に、円910と円920との間の輪は、導波路によって導かれ得、TIRを通じて導波路内を伝播することができる光の波動ベクトルを表し得る。波動ベクトル932は、入力格子によって引き起こされる光分散を示し、異なる色の光は、異なる波動ベクトルおよび異なる回折角度を有し得る。波動ベクトル942は、前方格子(例えば、第1の格子830)によって引き起こされる光分散を示し、異なる色の光は、異なる回折角度を有し得る。波動ベクトル952は、後方格子(例えば、第2の格子840)によって引き起こされる光分散を示し、異なる色の光は、異なる回折角度を有し得る。各色の波動ベクトルは、それぞれの閉じた三角形を形成し得、異なる色の三角形は、共通の原頂点922を共有し得る。故に、3つの格子による分散全体は、ゼロに近くなり得る。
【0080】
3つの格子による全体的な分散がゼロになり得るとしても、各格子による分散は、光が円910と円920との間の輪によって示されるような導波路によって導かれ得る条件に起因して、導波路ディスプレイの視野の低減またはクリッピングを引き起こし得る。例えば、FOV924では、入力格子による回折の後のFOVのフットプリントは、入力格子による分散に起因して、異なる色では異なり得る。図9Aに示される例において、第1の色の光のためのFOVのフットプリント936は、輪内に位置し得るが、第2の色の光のためのFOVのフットプリント934の一部分および第3の色の光のためのFOVのフットプリント938の一部分は、輪の外側に入り得、故に、導波路によって導かれない場合がある。加えて、前方格子による回折の後のFOVのフットプリントは、さらにクリッピングまたは低減され得る。図9Aに示される例において、第1の色の光のためのFOVのフットプリント946のわずかな部分、第2の色の光のためのFOVのフットプリント944の大部分、および第3の色の光のためのFOVのフットプリント948の大部分は、輪の外側に入り得、故に、射出瞳に到達するために、導波路によって導かれず後方格子によって回折されない場合がある。
【0081】
図9Bは、導波路ディスプレイにおける射出瞳拡大のための表面レリーフ格子の例による視野クリッピングを例証する。例えば、後方格子による回折の後の第1の色の光のためのFOVは、フットプリント956によって示され得、これは、全FOVに近くてもよい。第2の色の光の場合、FOVの上部分は、第1の格子による回折の後にクリッピングされ得、FOVの右部分は、前方格子による回折の後にクリッピングされ得る。故に、後方格子による回折の後の第2の色の光のためのFOVは、フットプリント954によって示され得、これは、全FOVよりもはるかに小さくてもよい。同様に、第3の色の光の場合、FOVの下部分は、第1の格子による回折の後にクリッピングされ得、FOVの左部分は、前方格子による回折の後にクリッピングされ得る。故に、後方格子による回折の後の第3の色の光のためのFOVは、フットプリント958によって示され得、これは、全FOVよりもはるかに小さくてもよい。故に、画像の特定の色成分は、特定の視野では欠けている場合がある。そのようなものとして、異なる色のための全FOVを達成するために、2つ以上の導波路および対応する格子が使用され得る。加えて、上に説明されるように、SRGの幅広い帯域幅が、異なる主色の光間の、および/または異なるFOVからのクロストークを引き起こし得、故に、複数の導波路もまた、クロストークを回避するために使用され得る。
【0082】
ブラッグ条件における高いスペクトル選択性に起因して、反射VBGなどのVBGは、体積ブラッグ格子における主色間のクロストークなしの単一導波路設計を可能にし得、また優れたシースルー品質を達成し得る。故に、入力カプラ530または640および出力カプラ540または650は、体積ブラッグ格子を含み得、この体積ブラッグ格子は、2つ以上のコヒーレント光ビーム間の干渉によって生成される光パターンにホログラフィック記録材料を露光することによってホログラフィック記録材料に記録される体積ホログラムであってもよい。体積ブラッグ格子において、入射光の入射角および波長は、入射光がブラッグ格子によって回折されるように、ブラッグ位相整合条件を満足する必要があり得る。単一のブラッグ格子が導波路ベースのニアアイディスプレイにおいて使用されるとき、体積ブラッグ格子のスペクトルおよび角度選択性は、表示光の一部分のみが回折されて、ユーザの目に到達し得ることから、より低い効率をもたらし得、導波路ベースのニアアイディスプレイの視野および作動波長範囲は限られ得る。いくつかの実施形態において、多重化VBGが、効率を向上し、FOVを増大させるために使用され得る。
【0083】
図10Aは、特定の実施形態に従う、体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイ1000の例の前面図である。導波路ディスプレイ1000は、基板520と同様であり得る基板1010を含み得る。基板1010は、可視光を透過させ得、例えば、ガラス、クォーツ、プラスチック、ポリマー、PMMA、セラミック、水晶基板を含み得る。基板1010は、平坦な基板または湾曲した基板であり得る。基板1010は、第1の表面1012および第2の表面1014を含み得る。表示光は、入力カプラ1020によって基板1010内にカップリングされ得、また表示光が基板1010内で伝播し得るように、全内部反射を通じて第1の表面1012および第2の表面1014によって反射され得る。上に説明されるように、入力カプラ1020は、回折カプラ(例えば、体積ホログラフィック格子または表面レリーフ格子)、屈折カプラ(例えば、ウェッジまたはプリズム)、または反射カプラ(例えば、基板1010に対して傾斜角を有する反射面)を含み得る。例えば、1つの実施形態において、入力カプラ1020は、異なる色の表示光を同じ屈折角で基板1010内にカップリングし得るプリズムを含み得る。別の例において、入力カプラは、異なる色の光を異なる方向で基板1010内に回折し得る格子カプラを含み得る。
【0084】
導波路ディスプレイ1000は、アイボックスを表示光で満たすために、入射表示光ビームを2つの次元において拡大するための、基板1010の1つまたは2つの表面(例えば、第1の表面1012および第2の表面1014)に位置付けられた第1の格子1030および第2の格子1040を含み得る。第1の格子1030は、各々が表示光ビーム(例えば、特定の視野および/または波長範囲に対応する光)の少なくとも一部分を、線1032、1034、および1036によって示されるように、1つの方向に沿って、拡大するように構成される1つまたは複数の多重化体積ブラッグ格子を含み得る。例えば、表示光は、線1032、1034、または1036によって示される方向に沿って基板1010内を伝播するが、表示光の一部分は、基板1010内を伝播する表示光が第1の格子1030に到達する度に、第1の格子1030によって第2の格子1040へ回折され得る。第2の格子1040は、次いで、基板1010内を伝播する表示光が第2の格子1040に到達する度に表示光の一部分をアイボックスへ回折することによって、第1の格子1030からの表示光を異なる方向に拡大し得る。第2の格子1040において、出口領域1050は、アイボックス内の1つの瞳の場所(例えば、アイボックスの中心)における全FOVのための表示光が導波路ディスプレイ1000からカップリングアウトされ得る領域を表す。
【0085】
上に説明されるように、第1の格子1030および第2の格子1040は各々、各々が特定のFOV範囲および/または波長範囲のために設計される複数のVBGを含む多重化VBGを含み得る。例えば、第1の格子1030は、数百以上の露光によって記録される数百以上のVBG(例えば、約300~約1000のVBG)を含み得、各VBGは異なる条件下で記録され得る。第2の格子1040もまた、数十または数百の露光によって記録される数十または数百のVBG(例えば、50以上のVBG)を含み得る。第1の格子1030および第2の格子1040は各々、透過格子または反射格子であり得る。
【0086】
図10Bおよび図10Cは、それぞれ、体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイ1000の上面図および側面図を例証する。入力カプラ1020は、プロジェクタ光学系(示されない、例えば、レンズ)およびプリズムを含み得る。表示光は、プロジェクタ光学系によって、コリメートされてプリズム上に投射され得、プリズムによって基板1010内にカップリングされ得る。プリズムは、基板1010の屈折率に一致する屈折率を有し得、基板1010内にカップリングされる光が基板1010の臨界角よりも大きい入射角で基板1010の表面1012または1014に入射し得るように特定の角度を有するウェッジを含み得る。そのようなものとして、基板1010内にカップリングされる表示光は、全内部反射を通じて基板1010によって導かれ得、上に説明されるように、第1の格子1030の複数の領域によって第2の格子1040の方へ回折され得る。第2の格子1040は、次いで、表示光を複数の領域で基板1010の外へ回折して、射出瞳を複製し得る。
【0087】
図11は、特定の実施形態に従う、導波路ディスプレイ1000などの体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイの例における光分散を例証する。例に示されるように、球1110は、導波路によって導かれ得る光の波動ベクトルを表し得る。球1110の外側の波動ベクトルを有する光の場合、光は、エバネッセントになり得る。錐体1120は、全内部反射条件が満たされないために導波路から漏れ出し得る光の波動ベクトルを表し得る。故に、錐体1120の外側の球1110の領域は、導波路によって導かれ得、TIRを通じて導波路内を伝播することができる光の波動ベクトルを表し得る。点1130は、例えば、プリズムによって、導波路内にカップリングされる表示光の波動ベクトルを表し得る。波動ベクトル1140は、第1の格子1030によって引き起こされる光分散を示し、異なる色の光は、異なる回折角度を有し得る。波動ベクトル1150は、第2の格子1040によって引き起こされる光分散を示し、異なる色の光は、異なる回折角度を有し得る。故に、基板からカップリングアウトされる光は、異なる色の画像が互いと完璧に重複せずに1つの画像を形成し得るように、いくらかの分散を有し得る。したがって、表示画像は、ぼやけている場合があり、表示画像の解像度は低減され得る。
【0088】
図12Aは、体積ブラッグ格子1200の例を例証する。図12Aに示される体積ブラッグ格子1200は、厚さDを有する透過ホログラフィック格子を含み得る。体積ブラッグ格子1200の屈折率nは、振幅Δnで変調され得、体積ブラッグ格子1200の格子周期は、Λであり得る。波長λを有する入射光1210は、入射角θで体積ブラッグ格子1200に入射し得、体積ブラッグ格子1200内を角度θで伝播する入射光1220として体積ブラッグ格子1200内へ屈折され得る。入射光1220は、体積ブラッグ格子1200によって回折光1230へと回折され得、この回折光1230は、体積ブラッグ格子1200内を回折角度θで伝播し得、回折光1240として体積ブラッグ格子1200の外へ屈折され得る。
【0089】
図12Bは、図12Aに示される体積ブラッグ格子1200のためのブラッグ条件を例証する。体積ブラッグ格子1200は、透過格子であってもよい。ベクトル1205は、
を表し得、ここで、
である。ベクトル1225は、
を表し得、ベクトル1235は、
を表し得、ここで、
である。ブラッグ位相整合条件下では、
である。故に、所与の波長λの場合、ブラッグ条件を完璧に満たす、入射角θ(またはθ)および回折角度θの1つのペアのみが存在し得る。同様に、所与の入射角θの場合、ブラッグ条件を完璧に満たす1つの波長λが存在し得る。そのようなものとして、回折は、小さい波長範囲について、および完璧なブラッグ条件周辺の小さい入射角範囲において発生し得る。体積ブラッグ格子1200の回折効率、波長選択性、および角度選択性は、体積ブラッグ格子1200の厚さDの関数であり得る。例えば、ブラッグ条件周辺の体積ブラッグ格子1200のFWHM波長範囲およびFWHM角度範囲は、体積ブラッグ格子1200の厚さDに反比例し得るが、ブラッグ条件での最大回折効率は、sin(a×Δn×D)の関数であり得、式中、aは、係数である。反射体積ブラッグ格子では、ブラッグ条件での最大回折効率は、tanh(a×Δn×D)の関数であり得る。
【0090】
上に説明されるように、いくつかの設計において、大きいFOV(例えば、±30°よりも大きい)および異なる色の回折光を達成するために、各々が異なる色(例えば、R、G、またはB)および/または異なるFOVのためにブラッグ格子を含む複数のポリマー層が、ユーザの目に表示光をカップリングするためにスタックで配置され得る。いくつかの設計において、多重化ブラッグ格子が使用され得、この場合、多重化ブラッグ格子の各部分は、異なるFOV範囲および/または異なる波長範囲内の光を回折するために使用され得る。故に、いくつかの設計において、全可視スペクトル(例えば、約400nm~約700nm、または約450nm~約650nm)について所望の回折効率および大きいFOVを達成するために、各々が、数百または1000超など、大量の露光によって記録される(例えば、ホログラフィック記録)大量の格子(またはホログラム)を含む1つまたは複数の厚い体積ブラッグ格子が使用され得る。
【0091】
上に説明されるVBGまたは他のホログラフィック光学素子は、ホログラフィ材料(例えば、フォトポリマー)層に記録され得る。いくつかの実施形態において、VBGは、まず記録され、次いでニアアイディスプレイシステム内の基板にラミネートされ得る。いくつかの実施形態において、ホログラフィ材料層が、基板にコーティングまたはラミネートされ得、次いでVBGが、ホログラフィ材料層に記録され得る。
【0092】
一般に、感光材料層にホログラフィック光学素子を記録するためには、2つのコヒーレントビームは、特定の角度で互いと干渉して、感光材料層内に特有の干渉パターンを生成し得、今度はこれが、感光材料層内に特有の屈折率変調パターンを生成し得、この屈折率変調パターンは、干渉パターンの光強度パターンに対応し得る。感光材料層は、例えば、ハロゲン化銀乳剤、重クロム酸化ゼラチン、ポリマーマトリックス中に浮遊した光重合性モノマーを含むフォトポリマー、光屈折結晶、および同様のものを含み得る。ホログラフィック記録のための感光材料層の一例は、ホログラフィック記録をし、ホログラフィック記録のためのモノマーを書き込む前に、高分子バインダを形成するために予備硬化され得るマトリックス前駆体を含み得る二段フォトポリマーである。
【0093】
1つの例において、感光材料層は、高分子バインダ、モノマー(例えば、アクリルモノマー)、および開始剤、連鎖移動剤、または感光色素などの、起爆剤を含み得る。高分子バインダは、支持マトリックスとして作用し得る。モノマーは、支持マトリックス内に分散され得、屈折率変調器としての役割を果たし得る。感光色素は、光を吸収し、開始剤と相互作用してモノマーを重合し得る。故に、各露光(記録)において、干渉パターンは、明るいフリンジに対してモノマーの重合および拡散を引き起こし得、屈折率変調を結果としてもたらし得る濃度および密度勾配を生成する。例えば、より高い濃度のモノマーおよび重合を伴うエリアは、より高い屈折率を有し得る。露光および重合が進むにつれて、重合に利用可能なモノマーは少なくなり得、拡散は抑えられ得る。すべてまたは実質的にすべてのモノマーが重合された後は、感光材料層に記録される新たな格子はなくなり得る。大量の露光において記録される大量の格子を含む厚いVBGにおいては、表示ヘイズが著しい場合がある。
【0094】
上に説明されるように、いくつかの導波路ベースのニアアイディスプレイシステムにおいて、導波路ベースのニアアイディスプレイのアイボックスを拡大するため、2つの出力格子(または、2つの格子層もしくは多重化格子の2つの部分)が、一般的に、表示光を2つの次元において、または二軸瞳拡大のための2つの軸に沿って拡大するために使用され得る。2つの出力格子を空間的に分離し、各出力格子のための合計露光数を低減することは、導波路ベースのニアアイディスプレイのシースルー領域(例えば、中央)が1つの出力格子のみを含み得ることから、表示ヘイズを低減するのを助け得る。例えば、いくつかの実施形態において、第1の出力格子は、より多くの露光(例えば、>500または>1000回)により記録され得、導波路ベースのニアアイディスプレイのシースルー領域の外側に位置付けられ得る。第2の出力格子は、より少ない露光(例えば、<100または<50回)により記録され得、導波路ベースのニアアイディスプレイのシースルー領域に位置付けられ得る。故に、シースルー領域内の表示ヘイズは、著しく低減され得る。しかしながら、2つの出力格子の空間分離が理由で、導波路ベースのニアアイディスプレイの全体的なサイズは非常に大きくなり得る。
【0095】
上に説明される格子カプラは、いくつかの同様の特徴およびいくつかの異なる特徴を有し得る透過VBGまたは反射VBGを含み得る。例えば、上に説明されるように、ブラッグ条件近くの透過または反射体積ブラッグ格子のFWHM波長範囲およびFWHM角度範囲は、透過または反射体積ブラッグ格子の厚さDに反比例し得る。透過VBGのためのブラッグ条件での最大回折効率は、sin(a×Δn×D)の関数であり得、式中、aは、係数であり、Δnは、屈折率変調であるが、反射VBGのためのブラッグ条件での最大回折効率は、tanh(a×Δn×D)の関数であり得る。加えて、透過および反射体積ブラッグ格子のパラメータ(例えば、格子傾斜角)は、カップリングされた表示光がTIRを通じて導波路によって導かれ得るように特定の角度で表示光を導波路内にカップリングするために異なり得る。異なる格子パラメータが理由で、透過格子および反射格子の分散特徴は異なり得る。
【0096】
図13Aは、特定の実施形態に従う、射出瞳拡大および分散低減を伴う体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイ1300の例の前面図を例証する。図13Bは、特定の実施形態に従う、射出瞳拡大および分散低減を伴う体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイ1300の例の側面図を例証する。導波路ディスプレイ1300は、導波路ディスプレイ1000と同様であり得、入力カプラ1020と比較して異なる場所に入力カプラ1320を含み得る。導波路ディスプレイ1300は、基板1310、ならびに基板1310上または基板1310内に形成される第1の格子1330および第2の格子1340を含み得る。入力カプラ1020のように、入力カプラ1320は、プロジェクタ光学系1322(例えば、レンズ)およびプリズム1324を含み得る。表示光は、入力カプラ1320によって基板1310内にカップリングされ得、基板1310によって導かれ得る。表示光は、第1の格子1330の第1の部分1332に到達し得、第1の格子1330の第1の部分1332によって回折されて伝播方向を変え、第1の格子1330の他の部分に到達し得、この他の部分が各々、表示光を第2の格子1340の方へ回折し得る。第2の格子1340は、上に説明されるように表示光を異なる場所で基板1310の外へ回折して、複数の射出瞳を形成し得る。
【0097】
第1の格子1330の第1の部分1332および他の部分の各々は、一致する格子ベクトル(例えば、x-y平面において同じ格子ベクトルを有し、ならびにz方向において同じ格子ベクトル、反対の格子ベクトル、または同じ格子ベクトルおよび反対の格子ベクトルの両方を有するが、異なる回折効率を達成するために異なる露光持続時間で記録される)を有し得る。したがって、それらは、第1の格子1330の第1の部分1332および他の部分の各々における回折の反対のブラッグ条件(例えば、+1次および-1次回折)に起因して、互いによって表示光の分散を補償して、全体的な分散を低減し得る。したがって、導波路ディスプレイ1300による表示光の全体的な分散は、少なくとも1つの方向において低減され得る。
【0098】
図14Aは、特定の実施形態に従う、反射体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイ1400における異なる視野からの光の伝播を例証する。導波路ディスプレイ1400は、反射VBG1410を含み得る。反射VBG1410の格子傾斜角および故に格子ベクトルに起因して、正の視野からの光(線1422によって示される)は、反射VBG1410のフリンジに対するより小さい入射角、およびまた導波路ディスプレイ1400の上面1402に対するより小さい入射角を有し得る。その一方で、負の視野からの光(線1424によって示される)は、反射VBG1410のフリンジに対するより大きい入射角、およびまた導波路ディスプレイ1400の上面1402に対するより大きい入射角を有し得る。
【0099】
図14Bは、特定の実施形態に従う、透過体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイ1450における異なる視野からの光の伝播を例証する。導波路ディスプレイ1450は、透過VBG1460を含み得る。格子傾斜角差に起因して、透過VBG1460は、反射VBG1410と比較して異なる様式で異なる視野からの光を回折し得る。例えば、例証されるように、正の視野からの光(線1472によって示される)は、透過VBG1460のフリンジに対してより小さい入射角を有し得るが、導波路ディスプレイ1450の下面1452に対してより大きい入射角を有し得る。その一方で、負の視野からの光(線1474によって示される)は、透過VBG1460のフリンジに対するより大きい入射角を有し得るが、導波路ディスプレイ1450の下面1452に対するより小さい入射角を有し得る。反射または透過格子による異なる視野からの光の回折の様式は、導波路ディスプレイの因子および性能に影響を及ぼし得る。
【0100】
図15は、特定の実施形態に従う、射出瞳拡大および分散低減を伴う反射体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイ1500の例を例証する。導波路ディスプレイ1500は、上部格子1505および下部格子1515を含み得る。例証された例において、上部格子1505は、反射VBGであってもよく、下部格子1515もまた、反射格子であってもよい。下部格子1515において、出口領域1550は、アイボックス内の1つの瞳の場所(例えば、アイボックスの中心)における全FOVのための表示光が下部格子からカップリングアウトされ得る領域を表す。図15に示されるように、右上角1522と左上角1524との間の線によって表される出口領域1550における上部FOVは、上部格子1505上の曲線1530にマッピングし得、出口領域1550の右上角1522および左上角1524が、それぞれ上部格子1505上の場所1532および場所1534にマッピングし得る。右下角1542と左下角1544との間の線によって表される出口領域1550における下部FOVは、下部格子1505上の曲線1510にマッピングし得、出口領域1550の右下角1542および左下角1544が、それぞれ下部格子1505上の場所1512および場所1514にマッピングし得る。故に、曲線1530が、出口領域1550の右上角1522と左上角1524との間の線より下にある場合、何らかのFOVクリッピングが存在し得る。そのようなものとして、全FOVを保護するため、曲線1530は、出口領域1550の右上角1522と左上角1524との間の線より上にあり得る。したがって、導波路ディスプレイ1500のサイズは、大きくなり得る。
【0101】
図16は、特定の実施形態に従う、射出瞳拡大および形状因子低減を伴う透過体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイ1600の例を例証する。導波路ディスプレイ1600は、上部格子1605および下部格子1615を含み得る。例証された例において、上部格子1605は、反射VBGであってもよく、下部格子1615は、透過VBGであってもよい。下部格子1615において、出口領域1650は、アイボックス内の1つの瞳の場所(例えば、アイボックスの中心)における全FOVのための表示光が下部格子からカップリングアウトされ得る領域を表す。図16に示されるように、右上角1622と左上角1624との間の線によって表される出口領域1650における上部FOVは、上部格子1605上の曲線1610にマッピングし得、出口領域1650の右上角1622および左上角1624が、それぞれ上部格子1605上の場所1612および場所1614にマッピングし得る。右下角1642と左下角1644との間の線によって表される出口領域1650における下部FOVは、下部格子1605上の曲線1630にマッピングし得、出口領域1650の右下角1642および左下角1644が、それぞれ下部格子1605上の場所1632および場所1634にマッピングし得る。故に、導波路ディスプレイ1600の全体的なサイズを低減するために上部格子1605と下部格子1615との間にはいくらかの重複が存在し得る。例えば、場所1632は、右上角1622よりも低くてもよく、依然として右下角1642にマッピングされ得る。
【0102】
図17Aは、特定の実施形態に従う、導波路ディスプレイにおける透過体積ブラッグ格子1700の例を例証する。透過VBG1700の格子傾斜角αは、表示光を透過的に回折するために特定の範囲内にある必要があり得る。例えば、透過VBG1700の格子傾斜角αが特定の値よりも小さい場合、透過VBG1700は、反射VBGになり得、表示光が格子に到達し得る2つの連続した場所の間の距離は、大きすぎる場合がある(および故に、射出瞳がアイボックス内で疎に複製され得る)か、または表示光は、エバネッセントになり得る。故に、透過VBG1700の格子傾斜角αは、表示光を透過的に回折するために特定の値よりも大きい必要がある。
【0103】
図17Bは、導波路ディスプレイにおける透過VBG1710の例を例証し、透過VBGによって回折された光は、完全には反射されず導波路内で導かれない場合がある。透過VBG1710の格子傾斜角αは、約60°より大きいなど、特定の値よりも大きくてもよい。そのようなものとして、導波路内にカップリングされた光は、臨界角よりも小さい入射角で導波路の表面に入射し得、故に、完全には反射されず導波路内で導かれない場合がある。故に、透過VBGの格子傾斜角αはまた、回折光が全内部反射を通じて導波路によって導かれ得るように表示光を導波路内に透過的に回折するために特定の値(例えば、約60°)よりも小さい必要があり得る。そのようなものとして、透過VBGの格子傾斜角αは、特定の範囲内にある必要があり得る。
【0104】
図17Cは、特定の実施形態に従う、導波路ディスプレイにおける反射体積ブラッグ格子1750の例を例証する。反射VBG1750の格子傾斜角αもまた、表示光を反射的に回折するために特定の範囲内にある必要があり得る。反射VBG1750の格子傾斜角αが特定の値よりも大きい場合、反射VBG1750は、透過VBGになり得、表示光が格子に到達し得る2つの連続した場所の間の距離は、大きすぎる場合がある(および故に、射出瞳がアイボックス内で疎に複製され得る)か、または表示光は、エバネッセントになり得る。故に、反射VBGの格子傾斜角αもまた、表示光を反射的に回折するために特定の値よりも小さい必要がある。1つの例において、反射VBG1750の格子傾斜角αは、約30°であってもよい。
【0105】
図17Dは、導波路ディスプレイにおける反射VBG1760の例を例証する図であり、反射VBGによって回折された光は、完全には反射されず導波路内で導かれない。図17Dに示される反射VBG1760の格子傾斜角αは、特定の値よりも小さくてもよい。そのようなものとして、導波路内にカップリングされた光は、臨界角よりも小さい入射角で導波路の表面に入射し得、故に、完全には反射されず導波路内で導かれない場合がある。反射VBG1760の格子傾斜角αは、約30°よりも小さくてもよい。故に、反射VBGの格子傾斜角αはまた、特定の値よりも大きい必要があり得る。そのようなものとして、反射VBGの格子傾斜角αはまた、回折光が全内部反射を通じて導波路によって導かれ得るように表示光を導波路内に反射的に回折するために特定の範囲内にある必要があり得る。図17A図17Dは、格子傾斜角αが反射格子の場合は透過格子の場合よりも小さくなり得ることを示す。
【0106】
図18Aは、特定の実施形態に従う、導波路ディスプレイにおける反射体積ブラッグ格子1800の例による光分散を例証する。反射VBG1800は、格子ベクトルkg、厚さd、および平均屈折率nによって特徴付けられ得る。反射VBG1800の面法線方向は、Nである。反射VBG1800による光分散の量は、
によって決定され得、式中、λは、ブラッグ条件を完璧に満たす光の波長であり、koutは、反射VBG1800によって回折される光の波動ベクトルである。反射VBG1800の格子傾斜角αが約30°であるとき、反射VBG1800による光分散の量は、およそ、
であり得る。故に、角度分解能約2分を達成するために、反射VBG1800の厚さdは、少なくとも約0.5mmであり得る。
【0107】
図18Bは、特定の実施形態に従う、導波路ディスプレイにおける透過体積ブラッグ格子1850の例による光分散を例証する。透過VBG1850は、同様に、格子ベクトルkg、厚さd、および平均屈折率nによって特徴付けられ得る。透過VBG1850の面法線方向は、Nである。透過VBG1850による光分散の量は、
によって決定され得、式中、λは、ブラッグ条件を完璧に満たす光の波長であり、koutは、透過VBG1850によって回折される光の波動ベクトルである。透過VBG1850の格子傾斜角αが約60°であるとき、透過VBG1850による光分散の量は、およそ、
であり得る。故に、角度分解能約2分を達成するために、透過VBG1850の厚さdは、少なくとも約1.5mmであり得、これは、同じ角度分解能を有する反射VBGの厚さの約3倍であり、達成が困難であり得るか、または著しい表示ヘイズを引き起こし得る。
【0108】
VBGベースの導波路ディスプレイの物理的サイズを低減し、VBGの厚さおよび表示ヘイズを低減し、所望の解像度を達成するため、分散補償が、VBGベースの導波路ディスプレイにおいて所望され得る。特定の実施形態によると、一致する格子ベクトルを有し、反対の回折条件(例えば、+1次回折対-1次回折)で動作する1つまたは複数の格子対(例えば、透過格子)は、互いによって引き起こされる分散を補償するために使用され得る。
【0109】
図19Aは、特定の実施形態に従う、射出瞳拡大および分散低減を伴う体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイ1900の例の前面図である。図19Bは、特定の実施形態に従う、射出瞳拡大および分散低減を伴う体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイ1900の例の側面図である。導波路ディスプレイ1900は、導波路ディスプレイ1300と同様であり得るが、入力カプラ1320とは異なる入力カプラを含み得る。導波路ディスプレイ1900は、基板1910、ならびに基板1910上または基板1910内に形成される第1の格子1930および第2の格子1940を含み得る。入力カプラは、プロジェクタ光学系1920(例えば、レンズ)、および、プリズムではなく入力格子1922を含み得る。表示光は、プロジェクタ光学系1920によってコリメートされ、入力格子1922上に投射され得、この入力格子1922が、例えば、図5および図6に関して上に説明されるように回折によって表示光を基板1910内にカップリングし得る。表示光は、第1の格子1930の第1の部分1932に到達し得、第1の格子1930の第1の部分1932によって回折されて伝播方向を変え、第1の格子1930の他の部分に到達し得、この他の部分が各々、表示光を第2の格子1940の方へ回折し得る。第2の格子1940は、上に説明されるように表示光を異なる場所で基板1910の外へ回折して、複数の射出瞳を形成し得る。
【0110】
第1の格子1930の第1の部分1932および他の部分の各々は、一致する格子ベクトル(例えば、x-y平面において同じ格子ベクトルを有し、ならびにz方向において同じ格子ベクトルおよび/または反対の格子ベクトルを有するが、異なる回折効率を達成するために異なる露光持続時間で記録される)を有し得る。したがって、それらは、第1の格子1930の第1の部分1932および他の部分の各々における回折の反対のブラッグ条件(例えば、+1次および-1次回折)に起因して、互いによって引き起こされる表示光の分散を補償して、1つの方向において全体的な分散を低減し得る。加えて、入力格子1922および第2の格子1940は、一致する格子ベクトル(例えば、x-y平面において同じ格子ベクトルを有し、ならびにz方向において同じおよび/または反対の格子ベクトルを有するが、異なる回折効率を達成するために異なる露光持続時間で記録される)を有し得、入力格子1922は、表示光を基板1910内にカップリングし得るが、第2の格子1940は、表示光を導波路からカップリングアウトし得る。したがって、入力格子1922および第2の格子1940は、入力格子1922および第2の格子1940における回折の反対の回折方向および反対のブラッグ条件(例えば、+1次および-1次回折)に起因して、互いによって引き起こされる表示光の分散を補償して、少なくとも1つの方向において全体的な分散を低減し得る。このやり方では、第1の格子1930の第1の部分1932および他の部分の各々による全体的な分散は、低減または相殺され得、入力格子1922および第2の格子1940による全体的な分散もまた、低減または相殺され得る。したがって、導波路ディスプレイ1900による表示光の全体的な分散は、任意の方向において最小化され得る。そのようなものとして、表示画像のより高い解像度が達成され得る。故に、薄い反射または透過VBGは、入力および出力カプラとして使用され得、依然として所望の解像度を達成し得る。透過VBGはまた、上に説明されるように導波路ディスプレイの物理的寸法を低減するために第1および第2の格子が少なくとも部分的に重複されることを可能にし得る。
【0111】
導波路ディスプレイ1900は、1つまたは複数の導波路プレート上に複数のポリマー層を含み得、入力格子1922、第1の格子1930、および第2の格子1940は各々、複数のポリマー層に記録される複数の格子へと分かれ得る。各ポリマー層上の格子は、異なるそれぞれのFOVおよび光スペクトルをカバーし得、複数のポリマー層の組み合わせが、全FOVおよびスペクトルカバレッジを提供し得る。このやり方では、各ポリマー層は、薄くてもよく(例えば、約20μm~約100μm)、より少ない格子を記録するためにより少ない回数(例えば、約100未満)露光されて、曇りを低減し得、複数のポリマー層の全体的な効率は、全FOVおよびスペクトルについては依然として高くなり得る。図19Aおよび図19Bに示される例において、導波路ディスプレイ1900は、1つまたは複数のプレートまたは基板上に第1のポリマー層1912および第2のポリマー層1914を含み得る。各ポリマー層1912または1914は、入力格子1922、第1の格子1930、および/または第2の格子1940の部分を含み得る。
【0112】
図20Aは、特定の実施形態に従う、射出瞳拡大、分散低減、形状因子低減、および効率向上を伴う体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイ2000の別の例を例証する。導波路ディスプレイ2000のように、導波路ディスプレイ2000は、基板1910と同様であり得る基板2010を含み得る。基板2010は、第1の表面2012および第2の表面2014を含み得る。光源(例えば、LED)からの表示光は、入力カプラ2020によって基板2010内にカップリングされ得、また表示光が基板2010内を(例えば、-y方向に)伝播し得るように、全内部反射を通じて第1の表面2012および第2の表面2014によって反射され得る。上に説明されるように、入力カプラ2020は、異なる回折角度で異なる色の表示光を基板2010内へカップリングし得る、多重化VBGなどの回折カプラを含み得る。
【0113】
導波路ディスプレイ2000は、第1の表面2012および/または第2の表面2014に形成される第1の格子2030および第2の格子2040を含み得る。導波路ディスプレイ2000はまた、第1の表面2012および/または第2の表面2014に形成される第3の格子2060および第4の格子2070を含み得る。第3の格子2060および第4の格子2070は各々、複数のVBGを含む多重化VBGであってもよい。いくつかの実施形態において、第3の格子2060、第4の格子2070、および第1の格子2030は、基板2010の同じ表面または異なる表面にあってもよい。いくつかの実施形態において、第3の格子2060、第4の格子2070、および第1の格子2030は、同じ格子または同じ格子材料層の異なる領域にあってもよい。
【0114】
いくつかの実施形態において、第1の格子2030、第3の格子2060、および第4の格子2070は各々、複数のVBGを含み得る。第3の格子2060および第1の格子2030は、第3の格子2060内の各VBGが第1の格子2030内のそれぞれのVBGに一致し得る(例えば、x-y平面において同じ格子ベクトルを有し、z方向において同じおよび/または反対の格子ベクトルを有する)ように、複数の露光において、および同様の記録条件下で、記録され得る(しかしながら、異なる回折効率を達成するために異なる露光持続時間にわたって記録され得る)。例えば、いくつかの実施形態において、第3の格子2060内のVBGおよび第1の格子2030内の対応するVBGは、同じ格子周期および同じ格子傾斜角(および故に同じ格子ベクトル)、ならびに同じ厚さを有し得る。第4の格子2070および第1の格子2030は、第4の格子2070内の各VBGが第1の格子2030内のそれぞれのVBGに一致し得る(例えば、x-y平面において同じ格子ベクトルを有し、z方向において同じおよび/または反対の格子ベクトルを有する)ように、複数の露光において、および同様の記録条件下で、記録され得る(しかしながら、異なる露光持続時間にわたって)。いくつかの実施形態において、第3の格子2060を記録するための記録条件は、第3の格子2060および第4の格子2070が異なるブラッグ条件(および異なる格子ベクトル)を有し得、故に、異なるFOV範囲および/または波長範囲からの光を回折して、大きいFOV範囲内の可視光の全体的な回折効率を向上させるように、第4の格子2070を記録するための記録条件とは異なり得る。いくつかの実施形態において、第3の格子2060および第4の格子2070は、同様の格子ベクトルを有し得、故に、同じFOV範囲および/または波長範囲からの光を、同様または異なる回折効率で回折して、特定のFOV範囲および/または波長範囲内の光の全体的な回折効率を向上させ得る。
【0115】
いくつかの実施形態において、第3の格子2060内のVBGに一致する第1の格子2030内のVBGは、第1の格子2030の1つのエリア(例えば、上方領域)に記録され得るが、第4の格子2070内のVBGに一致する第1の格子2030内の他のVBGは、第1の格子2030の異なるエリア(例えば、下方領域)に記録され得る。1つの例において、第3の格子2060および第4の格子2070は各々、厚さ約20μmを有し得、各々、約20回の露光を通じて記録される約20個のVBGを含み得る。例において、第1の格子2030は、厚さ約20μm以上を有し得、約40回の露光を通じて異なる領域に記録される約40個のVBGを含み得る。第2の格子2040は、厚さ約20μm以上を有し得、約50回の露光を通じて記録される約50個のVBGを含み得る。
【0116】
入力カプラ2020は、光源からの表示光を基板2010内へカップリングし得る。表示光は、第3の格子2060に直接到達し得るか、または第1の表面2012および/もしくは第2の表面2014によって第3の格子2060へ反射され得、表示光ビームのサイズは、入力カプラ2020におけるサイズよりもわずかに大きくなり得る。第3の格子2060内の各VBGは、VBGのブラッグ条件をほぼ満足するFOV範囲および波長範囲内の表示光の一部分を第1の格子2030の上方領域へ回折し得る。上に説明されるように、第1の格子2030の上方領域は、第3の格子2060内のVBGに一致するVBGを含み得る。したがって、第3の格子2060内のVBGによって回折される表示光は、全内部反射を通じて基板2010内を(例えば、線2032によって示される方向に沿って)伝播するが、表示光の一部分は、基板2010内を伝播する表示光が第1の格子2030に到達する度に、第1の格子2030内の対応するVBGによって第2の格子2040へ回折され得る。
【0117】
第3の格子2060によって回折されない表示光(例えば、100%未満の回折効率に起因して、またはブラッグ条件近くの小さいFOV範囲および/または波長範囲に起因して)は、基板2010内を伝播し続け得、第4の格子2070に到達し得る。第4の格子2070内の各VBGは、VBGのブラッグ条件をほぼ満足するFOV範囲および波長範囲内の表示光の一部分を第1の格子2030の下方領域へ回折し得る。上に説明されるように、第1の格子2030の下方領域は、第4の格子2070内のVBGに一致するVBGを含み得る。したがって、第4の格子2070内のVBGによって回折される表示光は、全内部反射を通じて基板2010内を(例えば、線2034によって示される方向に沿って)伝播するが、表示光の一部分は、基板2010内を伝播する表示光が第1の格子2030に到達する度に、第1の格子2030内の対応するVBGによって第2の格子2040へ回折され得る。第2の格子2040は、基板2010内を伝播する表示光が第2の格子2040に到達する度に、表示光の一部分をアイボックス2050(例えば、+zまたは-z方向において第2の格子2040から約18mmの距離にある)へ回折することによって、第1の格子2030からの表示光を異なる方向に(例えば、およそy方向に)拡大し得る。このやり方では、表示光は、アイボックス2050を満たすために2つの次元において拡大され得る。
【0118】
図20Bは、体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイ2000のアイボックス2080(例えば、アイボックス2050)における複製された射出瞳を例証する。射出瞳は、格子2060、2030、および2040によって複製される射出瞳2082の第1のセット、ならびに格子2070、2030、および2040によって複製される射出瞳2084の第2のセットを含み得る。格子2060および2070が異なる格子ベクトルを有する実施形態において、射出瞳2082の第1のセットおよび射出瞳2084の第2のセットは、異なるFOV範囲および/または異なる波長範囲に対応し得る。格子2060および2070が同様の格子ベクトルを有する実施形態において、射出瞳2082の第1のセットおよび射出瞳2084の第2のセットは、同じFOV範囲および/または波長範囲に対応し得る。射出瞳2082の第1のセットおよび射出瞳2084の第2のセットは、重複、または部分的に重複し得る。故に、瞳複製密度は、増大され得、光は、2つの空間的に多重化したVBGのセットによる表示光の回折に起因して、アイボックス内でより均一であり得る。
【0119】
加えて、分散は、上に説明されるように反対のブラッグ条件下で動作する一対の一致する格子による各次元における二重回折に起因して、2つの次元において低減され得る。さらには、より幅広いバンド幅にある表示光は、より少ない数の露光(および故に、各VBGのより高い屈折率変調Δn)が理由で、格子によってより高い回折効率でアイボックスへ回折され得る。故に、導波路ディスプレイの電力効率は向上され得る。いくつかの実施形態において、第1の格子2030および第2の格子2040は、上に説明されるように導波路ディスプレイ2000の形状因子を低減するために少なくとも部分的に重複し得る。
【0120】
図21Aは、特定の実施形態に従う、射出瞳拡大、分散低減、および形状因子低減を伴う体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイ2100の別の例を例証する。導波路ディスプレイ2100のように、導波路ディスプレイ2100は、基板2110と同様であり得る基板2110を含み得る。基板2110は、第1の表面2112および第2の表面2114を含み得る。光源(例えば、LED)からの表示光は、入力カプラ2120によって基板2110内にカップリングされ得、また表示光が基板2110内を伝播し得るように、全内部反射を通じて第1の表面2112および第2の表面2114によって反射され得る。上に説明されるように、入力カプラ2120は、VBGなどの回折カプラを含み得る。導波路ディスプレイ2100はまた、第1の表面2112および/または第2の表面2114に形成される第1の格子2130および第2の格子2140を含み得る。図21Aに示される例において、第1の格子2130および第2の格子2140は、x方向において異なる場所にあってもよく、導波路ディスプレイ2100のシースルー領域の少なくとも一部分において重複し得る。第1の格子2130および第2の格子2140は、アイボックス2150(例えば、+zまたは-z方向において第2の格子2140から約18mmの距離にある)を表示光で満たすために、入射表示光ビームを2つの次元において拡大するための二軸瞳拡大のために使用され得る。例えば、第1の格子2130は、表示光ビームをおよそy方向に拡大し得るが、第2の格子2140は、表示光ビームをおよそx方向に拡大し得る。
【0121】
加えて、導波路ディスプレイ2100は、第1の表面2112および/または第2の表面2114に形成される第3の格子2160を含み得る。いくつかの実施形態において、第3の格子2160および第1の格子2130は、基板2110の同じ表面上に、y方向において異なる場所に配置され得る。いくつかの実施形態において、第3の格子2160および第1の格子2130は、同じ格子または同じ格子材料層の異なる領域にあってもよい。いくつかの実施形態において、第3の格子2160は、第1の格子2130から空間的に離れていてもよい。いくつかの実施形態において、第3の格子2160および第1の格子2130は、第3の格子2160内の各VBGが第1の格子2130内のそれぞれのVBGに一致し得る(例えば、x-y平面において同じ格子ベクトルを有し、z方向において同じおよび/または反対の格子ベクトルを有する)ように、同じ数の露光において、および同様の記録条件下で、記録され得る(しかしながら、異なる回折効率を達成するために異なる露光持続時間にわたって記録され得る)。
【0122】
入力カプラ2120は、光源からの表示光を基板2110内にカップリングし得る。表示光は、基板2110内をおよそx方向に沿って伝播し得、第3の格子2160に直接到達し得るか、または第1の表面2112および/または第2の表面2114によって第3の格子2160へ反射され得る。第3の格子2160内の各VBGは、VBGのブラッグ条件をほぼ満足するFOV範囲および波長範囲内の表示光の一部分を第1の格子2130へと下方へ回折し得る。第3の格子2160内のVBGによって回折される表示光は、全内部反射を通じて基板2110内をある方向に沿って(例えば、およそ、線2132によって示されるy方向に)伝播するが、表示光の一部分は、基板2110内を伝播する表示光が第1の格子2130に到達する度に、第1の格子2130内の対応するVBGによって第2の格子2140へ回折され得る。第2の格子2140は、次いで、基板2110内を伝播する表示光が第2の格子2140に到達する度に表示光の一部分をアイボックス2150へ回折することによって、第1の格子2130からの表示光を異なる方向に(例えば、およそx方向に)拡大し得る。入力カプラ2120および第2の格子2140は、入力カプラ2120および第2の格子2140によって引き起こされる全体的な分散を低減するために、一致するVBG(例えば、x-y平面において同じ格子ベクトル、z方向において同じまたは反対の格子ベクトルを有するVBG)を含み得る。同様に、格子2130および2160は、格子2130および2160によって引き起こされる全体的な分散を低減するために、一致するVBG(例えば、x-y平面において同じ格子ベクトルを有し、z方向において同じおよび/または反対の格子ベクトルを有するVBG)を含み得る。故に、導波路ディスプレイ2100内の格子による全体的な分散は、低減されるか、最小限にされ得る。
【0123】
第1の格子2130および第2の格子2140の各々は、例えば、100μm(例えば、20μm)未満の厚さを有し得、例えば、50個未満のVBGを含み得る。故に、導波路ディスプレイ2100の光学シースルー領域内の任意のエリアは、100個未満のVBGを含み得る。したがって、表示ヘイズは、大きくならない場合がある。加えて、第1の格子2130および第2の格子2140は、導波路ディスプレイ2100の形状因子を低減するために少なくとも部分的に重複し得、故に導波路ディスプレイ2100の物理的寸法は、通常の眼鏡のレンズの物理的寸法と同様であり得る。
【0124】
図21Bは、特定の実施形態に従う、射出瞳拡大、分散低減、形状因子低減、および効率向上を伴う体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイ2105の例を例証する。導波路ディスプレイ2100のように、導波路ディスプレイ2105は、基板2115の第1の表面2116および/または第2の表面2118に形成される第1の格子2135、第2の格子2145、第3の格子2165、および第4の格子2175を含み得る。第1の格子2135、第2の格子2145、第3の格子2165、および第4の格子2175は各々、複数のVBGを含む多重化VBGを含み得る。いくつかの実施形態において、第3の格子2165、第4の格子2175、および第1の格子2135は、基板2115の同じ表面にあってもよい。いくつかの実施形態において、第3の格子2165、第4の格子2175、および第1の格子2135は、同じ格子または同じ格子材料層の異なる領域にあってもよい。
【0125】
第3の格子2165内の各VBGは、第1の格子2135内のそれぞれのVBGの格子ベクトルに一致する格子ベクトル(例えば、x-y平面において同じ格子ベクトルを有し、z方向において同じおよび/または反対の格子ベクトルを有する)を有し得る。第4の格子2175内の各VBGは、第1の格子2135内のそれぞれのVBGの格子ベクトルに一致する格子ベクトル(例えば、x-y平面において同じ格子ベクトルを有し、z方向において同じおよび/または反対の格子ベクトルを有する)を有し得る。いくつかの実施形態において、第3の格子2165および第4の格子2175は、異なる格子ベクトルを有し得、故に、異なるFOV範囲および/または波長範囲からの光を回折して、大きいFOV範囲内の可視光の全体的な回折効率を向上させ得る。いくつかの実施形態において、第3の格子2165および第4の格子2175は、同様の格子ベクトルを有し得、故に、同じFOV範囲および/または波長範囲からの光を、同様または異なる回折効率で回折して、特定のFOV範囲および/または波長範囲内の光の全体的な回折効率を向上させ得る。
【0126】
入力カプラ2125は、光源からの表示光を基板2115内にカップリングし得る。表示光は、第3の格子2165に直接到達し得るか、または第1の表面2116および/または第2の表面2118によって第3の格子2165へ反射され得る。第3の格子2165内の各VBGは、VBGのブラッグ条件をほぼ満足するFOV範囲および波長範囲内の表示光の一部分を第1の格子2135の左領域へ回折し得る。第3の格子2165内のVBGによって回折される表示光は、全内部反射を通じて基板2115内を(例えば、線2136によって示される方向に沿って)伝播するが、表示光の一部分は、基板2115内を伝播する表示光が第1の格子2135に到達する度に、第1の格子2135内の対応するVBGによって第2の格子2145へ回折され得る。
【0127】
第3の格子2165によって回折されない表示光(例えば、100%未満の回折効率に起因して、またはブラッグ条件近くの小さいFOV範囲および/または波長範囲に起因して)は、基板2115内を伝播し続け得、第4の格子2175に到達し得る。第4の格子2175内の各VBGは、VBGのブラッグ条件をほぼ満足するFOV範囲および波長範囲内の表示光の一部分を第1の格子2135の右領域へ回折し得る。第4の格子2175内のVBGによって回折される表示光は、全内部反射を通じて基板2115内を(例えば、線2138によって示される方向に沿って)伝播するが、表示光の一部分は、基板2115内を伝播する表示光が第1の格子2135に到達する度に、第1の格子2135内の対応するVBGによって第2の格子2145へ回折され得る。
【0128】
第2の格子2145は、基板2115内を伝播する表示光が第2の格子2145に到達する度に表示光の一部分をアイボックス2155(例えば、+zまたは-z方向において第2の格子2145から約18mmの距離にある)へ回折することによって、第1の格子2135からの表示光を異なる方向に(例えば、およそx方向に)拡大し得る。このやり方では、表示光は、アイボックス2155を満たすために2つの次元において拡大され得る。結果として生じる射出瞳は、格子2165、2135、および2145によって複製される射出瞳の第1のセット、ならびに格子2175、2135、および2145によって複製される射出瞳の第2のセットを含み得る。格子2165および2175が異なる格子ベクトルを有する実施形態において、射出瞳の第1のセットおよび射出瞳の第2のセットは、異なるFOV範囲および/または異なる波長範囲に対応し得る。格子2165および2175が同様の格子ベクトルを有する実施形態において、射出瞳の第1のセットおよび射出瞳の第2のセットは、同じFOV範囲および/または波長範囲に対応し得る。射出瞳の第1のセットおよび射出瞳の第2のセットは、重複、または部分的に重複し得る。故に、瞳複製密度は、増大され得、光は、2つの空間的に多重化したVBGのセットによる表示光の回折に起因して、アイボックス内でより均一であり得る。
【0129】
いくつかの実施形態において、表示画像の全FOV範囲は、2つ以上の格子のセットによってカバーされるように2つ以上のFOV範囲に分割され得る。2つ以上のFOV範囲は、一緒に貼り合わせられて、全視野を提供し得る。各FOV範囲について、格子のセットは、アイボックスを満たすために射出瞳を2つの次元において拡大するために使用され得る。
【0130】
図22Aは、特定の実施形態に従う、2つの画像プロジェクタ2220および2250を含む体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイ2200の例の前面図である。図22Bは、特定の実施形態に従う、2つの画像プロジェクタ2220および2250を含む体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイ2200の例の側面図である。画像プロジェクタ2220、第1の入力格子2222、第1の上部格子2230、および下部格子2240は、導波路ディスプレイ2200の全FOVの第1の部分(例えば、左半分)を提供するために使用され得る。全FOVの第1の部分の表示光は、コリメートされ、第1の入力格子2222上に投射され得、この第1の入力格子2222が、例えば、図5図6に関して上に説明されるように回折によって表示光を導波路2210内にカップリングし得る。表示光は、第1の上部格子2230の第1の部分2232に到達し得、第1の上部格子2230の第1の部分2232によって回折されて伝播方向を変え、第1の上部格子2230の他の部分に到達し得、この他の部分が各々、表示光を下部格子2240の方へ回折し得る。下部格子2240は、上に説明されるように表示光を異なる場所で導波路2210の外へ回折して、複数の射出瞳を形成し得る。第1の上部格子2230の第1の部分2232および第1の上部格子2230の他の部分の各々は、同様の格子パラメータを有し得る(しかしながら、異なる回折効率を達成するために異なる露光持続時間において記録され得る)。したがって、それらは、第1の上部格子2230の第1の部分2232および第1の上部格子2230の他の部分の各々における回折の反対のブラッグ条件(例えば、+1次および-1次回折)に起因して、互いによって引き起こされる表示光の分散を補償して、全体的な分散を低減し得る。
【0131】
加えて、第1の入力格子2222および下部格子2240は、少なくともx-y平面において同様の格子パラメータまたは同様の格子ベクトルを有し得(しかしながら、異なる回折効率を達成するために異なる露光持続時間において記録され得る)、第1の入力格子2222は、表示光を導波路2210内にカップリングする一方、下部格子2240は、表示光を導波路2210からカップリングアウトし得る。したがって、第1の入力格子2222および下部格子2240は、それぞれの回折についての反対の回折方向および反対のブラッグ条件(例えば、+1次および-1次回折)に起因して、互いによって引き起こされる表示光の分散を補償して、全体的な分散を低減し得る。このやり方では、第1の上部格子2230の第1の部分2232および第1の上部格子2230の他の部分の各々による分散は、相殺され得、第1の入力格子2222および下部格子2240による分散もまた、相殺され得る。
【0132】
同様に、画像プロジェクタ2250、第2の入力格子2252、第2の上部格子2260、および下部格子2240(または異なる下部格子)は、導波路ディスプレイ2200の全FOVの別の部分(例えば、右半分)を提供するために使用され得る。上に説明されるように、下部格子2240は、視野の両方の部分のために使用され得るか、または視野の一部分に1つずつ2つの格子を含み得る。第2の上部格子2260の第1の部分2262および他の部分の各々による分散は、相殺され得、第2の入力格子2252および下部格子2240による分散もまた、相殺され得る。したがって、導波路ディスプレイ2200による表示光の全体的な分散は、任意の方向において最小化され得る。そのようなものとして、表示画像のより高い解像度は、ポリマー層が薄く、透過VBGが薄いポリマー層に記録されるとしても、達成され得る。
【0133】
導波路ディスプレイ2200は、第1の導波路プレート2212および第2の導波路プレート2214など、1つまたは複数の導波路プレート上に複数のポリマー層を含み得る。入力格子2222および2252、上部格子2230および2260、ならびに下部格子2240は各々、複数のポリマー層に記録される複数の格子に分かれ得る。各ポリマー層上の格子は、異なるそれぞれのFOVおよび光スペクトルをカバーし得る。複数のポリマー層の組み合わせは、全FOVおよびスペクトルカバレッジを提供し得る。このやり方では、各ポリマー層は、薄くてもよく(例えば、約20μm~約100μm)、より少ない格子を記録するためにより少ない回数(例えば、約100未満)露光され得、故にシースルー画像の曇りを低減する。複数のポリマー層の全体的な効率は、全FOVおよび可視光スペクトルについて依然として高くなり得る。
【0134】
図23Aは、特定の実施形態に従う、単一の画像プロジェクタ2320および視野貼り合わせのための格子を含む体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイ2300の例の前面図である。図23Bは、特定の実施形態に従う、画像プロジェクタ2320および視野貼り合わせのための格子を有する体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイ2300の例の側面図である。導波路ディスプレイ2300は、1つまたは複数の導波路プレート2310上に複数のポリマー層を含み得る。画像プロジェクタ2320、入力格子2330、上部格子2340、および下部格子2350は、導波路ディスプレイ2300の全FOVの第1の部分(例えば、左半分)を提供するために使用され得る。上に説明されるように、FOVの第1の部分の表示光は、コリメートされ、入力格子2330上に投射され得、この入力格子2330が、例えば、上に説明されるように回折によって表示光を導波路プレート2310内にカップリングし得る。表示光は、上部格子2340の第1の部分に到達し得、上部格子2340の第1の部分によって上部格子2340の他の部分へ回折され得、この他の部分が各々、表示光を下部格子2350の方へ回折し得る。下部格子2350は、上に説明されるように表示光を異なる場所で導波路プレート2310の外へ回折して、射出瞳を複製し得る。上部格子2340の第1の部分および他の部分の各々は、互いによって引き起こされる分散を補償し得、入力格子2330および下部格子2350もまた、上に説明されるように互いによって引き起こされる分散を補償し得る。
【0135】
画像プロジェクタ2320、入力格子2332、上部格子2342、および下部格子2352は、導波路ディスプレイ2300の全FOVの一部分(例えば、右半分)を提供するために使用され得る。表示光は、入力格子2332によって、コリメートされて、導波路プレート2310内にカップリングされ得る。表示光は、上部格子2342の第1の部分に到達し得、上部格子2342の第1の部分によって上部格子2342の他の部分へ回折され得、この他の部分が各々、表示光を下部格子2352の方へ回折し得る。下部格子2352は、上に説明されるように表示光を異なる場所で導波路プレート2310の外へ回折して、射出瞳を複製し得る。上部格子2342の第1の部分および他の部分の各々は、互いによって引き起こされる分散を補償し得、入力格子2332および下部格子2352もまた、上に説明されるように互いによって引き起こされる分散を補償し得る。
【0136】
導波路ディスプレイ2300は、1つまたは複数の導波路プレート2310上に複数のポリマー層を含み得、入力格子2330および2332、上部格子2340および2342、ならびに下部格子2350および2352は各々、複数のポリマー層に記録される複数の格子へ分かれ得、各ポリマー層上の格子は、異なるそれぞれのFOVおよび光スペクトルをカバーし得る。複数のポリマー層の組み合わせは、全FOVおよびスペクトルカバレッジを提供し得る。このやり方では、各ポリマー層は、薄くてもよく(例えば、約20μm~約100μm)、より少ない格子を記録するためにより少ない回数(例えば、約100未満)露光されて、曇りを低減し得、複数のポリマー層の全体的な効率は、全FOVおよび可視光スペクトルについては依然として高くなり得る。
【0137】
図23Bに示される例において、入力格子2330、上部格子2340、および下部格子2350の各々は、2つの多重化格子へ分かれ得、この2つの多重化格子は各々、それぞれのポリマー層に記録され、また各々、それぞれのFOVをカバーし、複数のVBGが、各々それぞれのポリマー層に記録されて、多重化格子を形成し得る。同様に、入力格子2332、上部格子2342、および下部格子2352の各々は、2つの多重化格子へ分かれ得、この2つの多重化格子は各々、それぞれのポリマー層に記録され、また各々、それぞれのFOVをカバーし、複数のVBGが、各々それぞれのポリマー層に記録されて、多重化格子を形成し得る。図23Bに示されるように、入力格子2332および2330は、異なるポリマー層にあってもよい。同様に、上部格子2340および2342は、異なるポリマー層にあってもよく、下部格子2350および2352は、異なるポリマー層にあってもよい。故に、これらの間のクロストークは低減され得る。
【0138】
図24は、特定の実施形態に従う、異なる視野および/または光波長のための複数の格子層を含む体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイ2400の例を例証する。VBGベースの導波路ディスプレイ2400は、上に説明されるVBGベースの導波路ディスプレイ2300の例であり得る。導波路ディスプレイ2400において、格子は、z方向に沿って空間的に多重化され得る。例えば、導波路ディスプレイ2400は、基板2410、2412、2414、および同様のものなど、複数の基板を含み得る。基板は、同様の屈折率を有する同じ材料(複数可)を含み得る。1つまたは複数のVBG(例えば、VBG2420、2422、2424など)は、基板上に形成されるホログラフィ材料層に記録されるなど、各基板上に作製され得る。VBGは、反射格子または透過格子であってもよい。VBGを伴う基板は、空間多重化のためz方向に沿って基板スタックで配置され得る。各VBGは、異なる波長範囲および/または異なるFOV内の表示光を導波路内にカップリングするため、または導波路からカップリングアウトするための異なるブラッグ条件のために設計される複数の格子を含む多重化VBGであってもよい。
【0139】
図24に示される例において、VBG2420は、導波路内の光線2444によって示されるように、正の視野からの光2434を導波路内にカップリングし得る。VBG2422は、導波路内の光線2440によって示されるように、約0°視野からの光2430を導波路内にカップリングし得る。VBG2424は、導波路内の光線2442によって示されるように、負の視野からの光2432を導波路内にカップリングし得る。上に説明されるように、VBG2420、2422、および2424の各々は、多くの露光を伴う多重化VBGであってもよく、故に、異なるFOV範囲からの光を、導波路内にカップリングし得るか、または導波路からカップリングアウトし得る。
【0140】
図25は、特定の実施形態に従う、体積ブラッグ格子ベースの導波路ディスプレイの例における複数の格子の視野を例証する。いくつかの実施形態において、格子の各々は、それぞれの格子層内またはそれぞれの導波路プレート上にあってもよい。格子の各々は、多くの露光を含む多重化格子であってもよく、複数のFOV範囲からの表示光を高効率で、導波路内にカップリングし得るか、または導波路からカップリングアウトし得る。例えば、曲線2510は、異なる視野からの光についての第1のVBG(例えば、図24のVBG2422)の回折効率を示し得る。曲線2520は、異なる視野からの光についての第2のVBG(例えば、図24のVBG2420)の回折効率を示し得る。曲線2530は、異なる視野からの光についての第3のVBG(例えば、図24のVBG2424)の回折効率を示し得る。第1、第2、および第3のVBGは、スタックで配置されるとき、全視野(例えば、約-20°~約20°)内の光を高効率でより均一に回折し得る。いくつかの実施形態において、第1のVBG、第2のVBG、および第3のVBGは、同じ色の表示光をカップリングするために使用され得る。異なるVBGのセットは、異なる色の表示光のための全視野をカバーするために使用され得る。
【0141】
1つの波長内および1つの角度範囲からの光を回折するように設計されるVBGはまた、別の波長内および別の角度範囲からの光を回折し得る。例えば、特定の周期および傾斜角によって特徴付けられるVBGは、異なる波長内および異なる入射角からの光を回折し得る。
【0142】
図26Aは、体積ブラッグ格子2610の例による、対応する視野からの異なる色の光の回折を例証する。例に示されるように、VBG2610は、第1の入射角からの青色光2602を第1の回折角度で導波路内へ回折し得る。VBG2610はまた、第2の入射角からの緑色光2604を第2の回折角度で導波路内へ回折し得る。VBG2610はさらに、第3の入射角からの赤色光2606を第3の回折角度で導波路内へ回折し得る。
【0143】
図26Bは、体積ブラッグ格子の格子周期と異なる色の入射光のための対応する視野との関係を例証する。曲線2620は、異なる視野からの赤色光が、異なる格子周期を有するVBGによって回折され得ることを示す。同様に、曲線2630は、異なる視野からの緑色光が、異なる格子周期を有するVBGによって回折され得ることを示し、曲線2630は、異なる視野からの青色光が、異なる格子周期を有するVBGによって回折され得ることを示す。図26Bはまた、特定の格子周期および傾斜角を有するVBGが、異なる波長内および異なる入射角からの(例えば、異なる視野からの)光を回折し得ることを示す。図26Bの領域2605は、2つ以上のそれぞれのFOVからの2つ以上の色の光を回折し得る格子を示す。例えば、図26Bの破線2650は、格子周期約450nmを有するVBGに対応し得、このVBGは、約-7°視野からの赤色光を回折し、約2°視野からの緑色光を回折し、約6°視野からの青色光を回折し得る。
【0144】
上に説明されるように、VBGは、反射VBGまたは透過VBGであってもよい。反射VBGおよび透過VBGは、異なる回折特性を有し得る。例えば、図18Aおよび図18Bに関して上に説明されるように、反射格子は、同様の厚さの透過格子よりも比較的低い分散を有し得る。出力格子として使用される透過格子は、図16に関して上に説明されるように、導波路ディスプレイの物理的サイズを低減するために、二次元射出瞳複製のための格子の重複を可能にし得るが、反射格子は、図15に関して上に説明されるように、そうではない場合がある。
【0145】
図27Aは、同じ厚さだが異なる屈折率変調を有する透過体積ブラッグ格子の例の回折効率を例証する。回折効率は、偏光依存であり得る。曲線2710は、s偏光された光についての透過VBGの例の回折効率を示す一方、曲線2720は、p偏光された光についての透過VBGの例の回折効率を示す。曲線2730は、s偏光された光およびp偏光された光(例えば、無偏光の光)についての透過VBGの例の平均回折効率を示す。図27Aに示されるように、曲線2710および曲線2720は、シヌソイド関数の二乗に比例する関数に対応し得る(例えば、∝sin(a×n1×D))。透過格子の回折効率は、屈折率変調の増加に伴って増加または減少し得る。故に、透過VBGの屈折率変調を増加させることは、必ずしも透過VBGの回折効率を増加させない場合がある。
【0146】
図27Bは、同じ厚さだが異なる屈折率変調を有する反射体積ブラッグ格子の例の回折効率を例証する。反射VBGの回折効率もまた、偏光依存である。曲線2760は、s偏光された光についての反射VBGの例の回折効率を示す一方、曲線2720は、p偏光された光についての反射VBGの例の回折効率を示す。曲線2730は、s偏光された光およびp偏光された光(例えば、無偏光の光)についての反射VBGの例の平均回折効率を示す。図27Bに示されるように、反射VBGの回折効率は、屈折率変調の増加に伴って増加し得(例えば、∝tanh(a×n1×D))、屈折率変調が特定の値に到達するときに飽和し得る。
【0147】
図28A図28Dは、ブラッグ条件からの入射角の偏差の関数としての異なる屈折率変調を伴う透過体積ブラッグ格子の例の回折効率を例証する。図28Aの曲線2810は、屈折率変調約0.002を伴う透過VBGの例の回折効率を示し、主ローブのピーク回折効率は100%に近い。図28Bの曲線2820は、屈折率変調約0.004を伴う透過VBGの例の回折効率を示し、図28Aの透過VBGと比較して、ピーク回折効率は、約0°で約0に下がり、回折効率曲線2820は2つのピークを有し、サイドローブは増加する。図28Cの曲線2830は、屈折率変調約0.0054を伴う透過VBGの例の回折効率を示し、図28Bの透過VBGと比較して、ピーク回折効率、主ローブのFWHM角度範囲、およびサイドローブは、増加し得る。図28Dの曲線2840は、屈折率変調約0.0078を伴う透過VBGの例の回折効率を示し、図28Cの透過VBGと比較して、ピーク回折効率は減少し、回折効率曲線2840は2つのピークを有し、サイドローブは増加する。
【0148】
図29A図29Dは、ブラッグ条件からの入射角の偏差の関数としての異なる屈折率変調を有する反射体積ブラッグ格子の例の回折効率を例証する。図29Aの曲線2910は、屈折率変調約0.002を伴う反射VBGの例の回折効率を示し、主ローブのピーク回折効率は80%よりも大きい。図29Bの曲線2920は、屈折率変調約0.004を伴う反射VBGの例の回折効率を示し、図29Aの反射VBGと比較して、ピーク回折効率は100%まで増加し、主ローブのFWHM角度範囲は増加し、サイドローブは増加する。図29Cの曲線2930は、屈折率変調約0.0054を伴う反射過VBGの例の回折効率を示し、図29Bの反射VBGと比較して、ピーク回折効率は約100%であり、主ローブのFWHM角度範囲はさらに増加し、およびサイドローブも同様にさらに増加する。図29Dの曲線2940は、屈折率変調約0.0078を伴う反射VBGの例の回折効率を示し、図29Cの反射VBGと比較して、ピーク回折効率は約100%であり、主ローブのFWHM角度範囲はさらに増加し、およびサイドローブも同様にさらに増加する。
【0149】
透過VBGの場合、偏光された光の回折効率は、図27Aに示されるように、屈折率変調の関数(例えば、∝sin(a×n1×D))であり得る。加えて、回折効率は、色依存であり得る。例えば、透過VBGは、1つの色(例えば、青)について別の色(例えば、緑または赤)よりも、図27Aに示される第1の回折ピークに到達するために低い屈折率変調を必要とし得る。図27Aに示される第1の回折ピークに対応する屈折率変調よりも低い特定の屈折率変調を伴う格子は、青色光については緑または赤色光よりも高い回折効率を有し得る。
【0150】
図30A図30Cは、第1の屈折率変調(例えば、約0.01)を伴う透過VBGの例の回折効率を例証する。透過VBGは、図26Aおよび図26Bに関して上に説明されるように、異なるそれぞれの視野からの異なる色の光を異なるそれぞれの回折効率で回折し得る。例えば、図30Aの曲線3010は、約14°視野からの青色光についての透過VBGの回折効率を例証し得、ピーク回折効率は100%に近い場合がある。図30Bの曲線3020は、約10°視野からの緑色光についての同じ透過VBGの回折効率を例証し得、ピーク回折効率は、まだ100%に到達していない(例えば、約90%)。図30Cの曲線3030は、約3°視野からの赤色光についての同じ透過VBGの回折効率を例証し得、ピーク回折効率は、約80%であり得る。
【0151】
図30D図30Fは、第2の屈折率変調(例えば、0.012)を伴う透過VBGの例の回折効率を例証する。透過VBGは、図30A図30Cと関連付けられた透過VBGとは屈折率変調のみが異なり得る。透過VBGは、異なるそれぞれの視野からの異なる色の光を異なるそれぞれの回折効率で回折し得る。例えば、図30Dの曲線3012は、約14°視野からの青色光についての透過VBGの回折効率を例証し得、ピーク回折効率は、屈折率変調が図30Aに示されるような第1の回折効率ピークと関連付けられた屈折率変調よりも大きいことから、図30Aに示される約100%のピーク値から減少している場合がある。図30Eの曲線3022は、約10°視野からの緑色光についての同じ透過VBGの回折効率を例証し得、ピーク回折効率は、増加している場合がある(例えば、90%よりも大きい)。図30Fの曲線3032は、約3°視野からの赤色光についての同じ透過VBGの回折効率を例証し得、ピーク回折効率は、80%超まで増加している場合がある。
【0152】
図30G図30Iは、第3の屈折率変調(例えば、0.015)を伴う透過VBGの例の回折効率を例証する。透過VBGは、図30A図30Fと関連付けられた透過VBGとは屈折率変調のみが異なり得る。透過VBGは、異なるそれぞれの視野からの異なる色の光を異なるそれぞれの回折効率で回折し得る。例えば、図30Gの曲線3014は、約14°視野からの青色光についての透過VBGの回折効率を例証し得、ピーク回折効率は、屈折率変調が図30Aに示されるような第1の回折効率ピークと関連付けられた屈折率変調よりも大きいことから、図30Dに示される値からさらに減少している場合がある。図30Hの曲線3024は、約10°視野からの緑色光についての同じ透過VBGの回折効率を例証し得、ピーク回折効率はまた、その最大値から減少している場合がある。図30Iの曲線3034は、約3°視野からの赤色光についての同じ透過VBGの回折効率を例証し得、ピーク回折効率は、さらに増加している場合がある。
【0153】
対照的に、反射VBGの場合、図27Bおよび図29A図29Dに示されるように、回折効率は、屈折率変調の増加に伴って減少しない場合がある。回折効率曲線の主ローブおよびサイドローブのFWHM角度範囲は、屈折率変調の増加に伴って増加し得る。
【0154】
図31Aは、異なる色について回折飽和を達成するために、異なる格子周期を有する透過体積ブラッグ格子の最小屈折率変調を例証する。曲線3110は、赤色光について最大回折効率を達成するための透過VBGの最小屈折率変調を示し、曲線3120は、緑色光について最大回折効率を達成するための透過VBGの最小屈折率変調を示す一方、曲線3130は、青色光について最大回折効率を達成するための透過VBGの最小屈折率変調を示す。例証されるように、所与の格子周期および厚さを有する格子の場合、最大回折効率を達成するための最小屈折率変調は、異なる色では異なり得る。例えば、青色光の場合の最大回折効率のための最小屈折率変調は、緑色光または赤色光の場合のものよりも低くてもよい。故に、図30A図30Iにも例証されるように、複数の色にある光を回折することができる格子の場合、屈折率変調が青色光について最も高い回折効率を達成することができる値にあるとき、緑色光および赤色光についての同じ格子の回折効率は、より低くてもよく、屈折率変調が赤色光について最も高い回折効率を達成することができる値にあるとき、青色光および緑色光についての同じ格子の回折効率は、それらのピーク値から減少し得る。したがって、異なる色についての回折効率間に何らかのトレードオフが存在する必要があり得る。
【0155】
図31Bは、任意の色の屈折率変調飽和を回避するために異なる格子周期を有する透過格子の屈折率変調を示す曲線3140を例証する。例えば、青色光を回折し得る格子の場合、屈折率変調は、青色光の屈折率変調飽和に基づいて決定され得る。緑色および赤色光のみを回折し得る格子の場合、屈折率変調は、緑色光の屈折率変調飽和に基づいて決定され得る。赤色光のみを回折し得る格子の場合、屈折率変調は、赤色光の屈折率変調飽和に基づいて決定され得る。
【0156】
上に説明されるように、赤、緑、および青色光のための全視野をカバーするために、VBGは、異なる記録光パターンに複数回露光される多重化格子であってもよく、各露光が、異なるそれぞれの視野からの赤、緑、および青色光を回折し得る格子を記録し得る。多重化VBG内の格子は、異なる格子周期を有し得る。多重化VBGは、全視野からのすべての色の光を回折するために使用され得る。加えて、多重化VBG内の格子は、異なる色についての回折効率を最適化するために異なる屈折率変調を有し得る。
【0157】
図31Cは、特定の実施形態に従う、最適化された回折効率および回折効率均一性のための異なるピッチおよび異なる屈折率変調の多重化VBGを含む格子層の例を例証する図解3150である。図解3150内の各データ点3152は、格子の周期および対応する屈折率変調を示す。例証された例において、格子層は、40超の格子を含み得る。格子層は、約0.08の最大屈折率変調を有し得る。各格子は、約0.002以下の屈折率変調を有し得る。多重化格子は、組み合わせて、可視光のための全FOVを提供し得る。
【0158】
大きい視野のための光の回折効率を増加させるために多重化VBG内のより多くの格子を多重化することが、一般的には望ましい場合がある。しかしながら、多くの格子が多重化VBGにおいて多重化されるとき、クロストークが格子間に発生し得る。
【0159】
図32Aは、導波路ディスプレイ3200における多重化体積ブラッグ格子の例によって引き起こされたクロストークを例証する。導波路ディスプレイ3200は、入力格子3212を含む多重化入力格子を含み得る。導波路ディスプレイ3200はまた、同じ格子層または複数の格子層に記録され得る、第1の出力格子3214および第2の出力格子3216など、2つ以上の出力格子を含む多重化出力格子3210を含み得る。第1の色にある、また第1の視野のための、表示光は、入力格子3212によって導波路内にカップリングされ得、第1の出力格子3214によって、入力角度に等しい出力角度(例えば、例証された例では約90°)など、所望の角度で導波路からカップリングアウトされ得る。入力格子3212および第1の出力格子3214は、一致する格子ベクトル(例えば、少なくともx-y平面において)を有し得、故に、互いによって引き起こされる分散を補償し、入力角度に等しい出力角度を保持し得る。
【0160】
第2の出力格子3216と関連付けられたFOVは、例えば、図28A図30Iに示されるような各格子の回折効率曲線の非ゼロ幅に起因して、第1の出力格子3214と関連付けられた第1のFOVと少なくとも部分的に重複し得る。したがって、第1の視野からの、および入力格子3212によって導波路内にカップリングされる、表示光は、第2の出力格子3216によって、望ましくない角度で導波路から少なくとも部分的にカップリングアウトされ得る。入力格子3212と第2の出力格子3216との格子ベクトル不一致が理由で、入力角度(例えば、例では約90°)、ならびに第1のFOV内の、および第2の出力格子3216によって導波路からカップリングアウトされる、表示光の出力角度は、図32Aに示されるように異なり得る。故に、望ましくないゴースト画像が生成され得る。
【0161】
図32Bは、体積ブラッグ格子の格子周期と異なる色の入射光のための対応する視野との関係を例証する。例証されるように、同じVBG(例えば、線3230によって表されるVBG)は、負の視野(線3230および曲線3240の交差点によって示されるような)からの第1の波長にある赤色光を回折し得る。同じVBGはまた、異なる負の視野(線3230および曲線3242の交差点によって示されるような)からの異なる(例えば、第2の)波長にある赤色光を回折し得る。第1の波長および第2の波長にある赤色光は、狭いスペクトル範囲にある光を放出する同じ光源(例えば、赤色LED)によって放出され得る。同様に、同じVBGは、正の視野(線3230および曲線3250の交差点によって示されるような)からの第3の波長にある緑色光、および異なる正の視野(線3230および曲線3252の交差点によって示されるような)からの異なる(例えば、第4の)波長にある緑色光を回折し得る。第3の波長および第4の波長にある緑色光は、狭いスペクトル範囲にある光を放出する同じ光源(例えば、緑色LED)によって放出され得る。同じVBGは、正の視野(線3230および曲線3260の交差点によって示されるような)からの第5の波長にある青色光、および異なる正の視野(線3230および曲線3262の交差点によって示されるような)からの異なる(例えば、第6の)波長にある青色光を回折し得る。第5の波長および第6の波長にある青色光は、狭いスペクトル範囲にある光を放出する同じ光源(例えば、青色LED)によって放出され得る。
【0162】
場合によっては、ゴースト効果が、異なる視野のための格子による第1の視野のための表示光の望ましくない回折によって引き起こされ得る。例えば、ゴースト画像は、FOVの左半分のための表示光がFOVの右半分のための上部格子によって回折される場合、またはFOVの右半分のための表示光がFOVの左半分のための上部格子によって回折される場合に存在し得る。いくつかの実施形態において、ゴースト効果を低減するため、2つ以上の上部格子は、互いからオフセットされ得、重複しない場合がある。いくつかの実施形態において、2つ以上の上部格子は、格子による表示光の望ましくない回折がアイボックスに到達することができず、故にユーザによって観察されることができないように設計され得る。
【0163】
上に説明されるように、透過格子および反射格子は、回折効率、回折効率飽和、分散、FWHM角度範囲、および同様のものなど、異なる性能特徴を有し得る。例えば、透過格子は、反射格子よりも幅の広いブラッグピーク線幅を有し得る。加えて、透過VBGまたは反射VBGについてのブラッグピーク線幅は、対応する視野により変化し得る。
【0164】
図33Aは、異なる視野についての透過体積ブラッグ格子および反射体積ブラッグ格子のブラッグピークの線幅を例証する。曲線3310は、異なる視野のための透過VBGのブラッグピークの線幅を示す。曲線3310は、透過VBGのブラッグピークの線幅が対応する視野の増大と共に著しく増大し得ることを示す。曲線3320は、異なる視野のための反射VBGのブラッグピークの線幅を例証する。曲線3320は、反射VBGのブラッグピークの線幅が対応する視野の増大と共にわずかにのみ増大し得ることを示す。
【0165】
図33Bは、異なる視野についての透過体積ブラッグ格子のブラッグピーク3330の例を例証する。示されるように、より大きい視野のための透過VBGの線幅は、より小さい視野のための透過VBGの線幅よりもはるかに幅広くてもよく、故に、より大きいFOV範囲をカバーし得る。
【0166】
図33Cは、異なる視野についての反射体積ブラッグ格子のブラッグピーク3340の例を例証する。示されるように、より大きい視野のための反射VBGの線幅は、より小さい視野のための反射VBGの線幅とほぼ同じであり得る。
【0167】
図34Aは、複数のVBGを含む多重化体積ブラッグ格子の例におけるクロストークと効率との間のトレードオフを例証する。図34Aに示される例において、VBGは、曲線3410によって示されるように、ブラッグピーク重複、および故に大きい正の視野からの青色光のためのVBG間のクロストークを回避するために疎に多重化され得る。上に説明されるように、VBGは、他の視野からの他の色の光も回折し得る。故に、正の視野からの青色光を回折するための格子は、負の視野からの赤色光も回折し得る。しかしながら、図33A図33Bに関して上に説明されるように、格子が疎に多重化され、透過格子のブラッグピークの線幅が負の視野においてより狭いことから、いくつかの負の視野からの赤色光は、曲線3420内のピーク間の空隙によって示されるように格子によって回折されない場合があり、故に、特定の負の視野における赤色光についての効率性を低減する。
【0168】
図34Bは、複数のVBGを含む多重化体積ブラッグ格子の例におけるクロストークと効率との間のトレードオフを例証する。例証された例において、VBGは、曲線3440によって示されるように赤色光のための負の視野のカバレッジを増大するために密に多重化され得る。密に多重化されたVBGは、正の視野からの青色光も回折し得る。VBGが密に多重化され、透過格子のブラッグピークの線幅が正の視野においてより幅広いことから、正の視野における青色光のブラッグピークは、曲線3430によって示されるように、重複し、大きい正の視野からの青色光のためのVBG間のクロストークを引き起こし得る。
【0169】
故に、透過格子において、クロストークを最小限にし、かつ効率を最大限にするのは困難であり得る。多くの場合、透過VBGベースの導波路ディスプレイの最大限の達成可能な効率は、最大許容クロストークによって制限され得る。
【0170】
図35Aは、多重化透過体積ブラッグ格子における最小回折効率と合計屈折率変調と対応するクロストークとの関係を例証する。図35Aの水平軸は、所望の最小効率に対応する。データ点3520は、対応する所望の最小回折効率を達成するための最小屈折率変調を示す。データ点3510は、対応する所望の最小効率を達成するための対応する最小屈折率変調と関連付けられた最大クロストーク値を示す。
【0171】
図35Aに示される例において、所望のクロストークは、破線3530によって示されるように、例えば、0.06未満であってもよい(チェッカーボードコントラストが約30であり得るように)。各導波路プレートには、2つのポリマー層が装着されていてもよい。各ポリマー層における最大屈折率変調は、合計屈折率変調が破線3540によって示されるように約0.1であり得るように、例えば、約0.05であってもよい。データ点3542によって示されるように、2つのポリマー層の合計屈折率変調が、所望の効率を達成するために0.1であるとき、クロストークは、破線3530によって示される最大許容クロストークよりもはるかに高くてもよい。データ点3532によって示されるように、0.06未満のクロストークを達成するため、ポリマー層の最大屈折率変調は、完全に利用されなくてもよく、最小効率は比較的低くなり得る。図35Aのデータ点3532によって示される例において、2つのポリマー層の合計屈折率変調の約20%のみが、クロストーク性能を達成するために利用され得る。故に、透過VBGベースの導波路ディスプレイの効率は、最大許容クロストークによって制限され得る。
【0172】
図35Bは、多重化反射体積ブラッグ格子における最小回折効率と合計屈折率変調と対応するクロストークとの関係を例証する。水平軸は、所望の最小効率に対応する。データ点3570は、対応する所望の最小効率を達成するための屈折率変調を示す。データ点3560は、対応する所望の最小効率を達成するための対応する屈折率変調と関連付けられた最大クロストーク値を示す。
【0173】
図35Bに示される例において、各導波路プレートには、2つのポリマー層が装着されていてもよい。各ポリマー層における最大屈折率変調は、合計屈折率変調が破線3580によって示されるように、例えば、約0.1であり得るように、例えば、約0.05であってもよい。図35Bの点3582によって示されるように、ポリマー層の最大屈折率変調(例えば、0.1)が完全に利用されるとき、格子のクロストークは、線3590によって示されるように最大許容クロストークよりも依然としてはるかに低く(例えば、約0.06)、効率は比較的高くなり得る。故に、反射VBGベースの導波路ディスプレイにおいて、回折効率は、ポリマー層の最大屈折率変調によって制限され得る。
【0174】
透過VBGおよび反射VBGの特徴、ならびに、効率、視野、解像度、コントラスト、クロストーク、ゴースト画像、レインボー効果、物理的寸法(または形状因子)、および同様のものなどの導波路ディスプレイの所望の特徴に基づいて、透過VBGまたは反射VBGが、導波路ディスプレイを実装するために選択され得る。例えば、図16に関して上に説明されるように、透過VBGは、導波路ディスプレイの物理的寸法を低減するために使用され得る。透過VBGの分散は、上に説明されるように、一致する格子ベクトルを有するVBGの対を使用して補償され得る。図33A図35Bに関して上に説明されるように、透過VBGベースの導波路ディスプレイの全体的な効率は、多重化VBGのクロストーク性能によって制限され得る。いくつかの実施形態において、透過VBGの効率およびクロストーク性能は、上または下に説明される技法を使用して、向上され得るか、または平衡を保たれ得る。
【0175】
特定の実施形態によると、所望のFOVを提供しながらクロストークを増大させることなく透過格子の回折効率を向上させるため、格子カプラは、異なる厚さを有する透過VBGを含み得る。例えば、大きい(例えば、正の)視野からの青色光を回折するため、ホログラフィック材料層は、そこに記録される格子の線幅を低減するためにより高い厚さを有し得、その結果としてより多くの格子が、クロストークを増大することなくホログラフィック材料層において多重化され得る。小さい(例えば、負の)視野からの赤色光では、ホログラフィック材料層の厚さを増加させることもまた、大きい視野からの青色光の場合よりも低い比率ではあるが、線幅を低減し得る。故に、比較的密に多重化された格子が記録されているより厚いホログラフィック材料層は、大きい視野からの青色光については所望のクロストーク性能を有し得、また小さい視野からの赤色光については高い回折効率を有し得る。小さい視野からの赤、緑、および青色光についての透過VBGの線幅は、互いに対して比較的近くてもよい。故に、より薄いホログラフィック材料層が、そこに透過格子を記録するために使用されて、より小さい視野からの表示光を回折し得る。透過VBGは、ゴースト画像または他の光学アーチファクトを引き起こし得る多重化VBG間の回折クロストークを引き起こすことなく、より小さい視野からの表示光について高い効率を達成するために多重化され得る。クロストークを低減し、効率を向上させるために異なる厚さを有する空間多重化体積ブラッグ格子のいくつかの例は、以下に詳細に説明される。
【0176】
図36Aは、特定の実施形態に従う、クロストークを低減し、効率を向上させるために異なる厚さを有する空間多重化体積ブラッグ格子を含む導波路ディスプレイ3600の例を例証する。導波路ディスプレイ3600は、第1のホログラフィック材料層3612、第2のホログラフィック材料層3616、および第3のホログラフィック材料層3620を含み得る。第1のホログラフィック材料層3612は、第1のプレート3610および第2のプレート3614によって挟まれ得る。第2のホログラフィック材料層3616は、第3のプレート3618および第2のプレート3614によって挟まれ得る。第3のホログラフィック材料層3620は、第4のプレート3622および第3のプレート3618によって挟まれ得る。第1のホログラフィック材料層3612、第2のホログラフィック材料層3616、および第3のホログラフィック材料層3620は、上に説明されるフォトポリマーなど、任意の好適なホログラフィック材料を含み得る。
【0177】
例に例証されるように、第1のホログラフィック材料層3612、第2のホログラフィック材料層3616、および第3のホログラフィック材料層3620は、異なる厚さを有し得、異なる視野からの表示光を回折するために使用され得る。例えば、第1のホログラフィック材料層3612に記録されるVBGは、図26Bおよび図32Bに示されるように、負の視野からの青色光および負の視野からの赤色光の両方を回折するために使用され得る。図33A図33Cによって例証されるように、異なる対応する負の視野からの赤、緑、および青色光のための透過VBGの線幅は、負の視野についての曲線3310のより小さい傾斜に起因して、同様であり得る。したがって、透過VBGは、ゴースト画像または他の光学アーチファクトを引き起こし得る多重化VBG間の回折クロストークを引き起こすことなく、負の視野からの表示光について高い効率を達成するために、第1のホログラフィック材料層3612において多重化され得る。
【0178】
図36Aに示される例において、第2のホログラフィック材料層3616に記録されるVBGは、0°近くの視野からの青色光、および0°近くまたはこれより下の視野からの赤色光を回折するために使用され得る。第2のホログラフィック材料層3616は、第1のホログラフィック材料層3612よりも高い厚さを有し得るため、第2のホログラフィック材料層3616内の透過VBGの線幅は、依然として小さくてもよく、異なる対応する視野からの赤、緑、および青色光について、それらの対応するFOVが第1のホログラフィック材料層3612内の透過VBGのものよりも大きいとしても、同様であり得る。したがって、透過VBGは、ゴースト画像または他の光学アーチファクトを引き起こし得る多重化VBG間の回折クロストークを引き起こすことなく、0°近くまたはこれより下の視野内の表示光について高い効率を達成するために、第2のホログラフィック材料層3616において比較的密に多重化され得る。
【0179】
第3のホログラフィック材料層3620は、さらにより高い厚さを有し得る。透過VBGは、例えば、正の視野からの青色光、およびより小さい正(例えば、0°に近い)または負の視野からの赤色光を回折するために、第3のホログラフィック材料層3620に記録され得る。第3のホログラフィック材料層3620は、第2のホログラフィック材料層3616よりも高い厚さを有し得るため、第3のホログラフィック材料層3620内の透過VBGの線幅は、依然として比較的小さくてもよく、異なる対応する視野からの赤、緑、および青色光について、それらの対応するFOVが第2のホログラフィック材料層3616内の透過VBGのものよりも大きいとしても、同様であり得る。そのようなものとして、透過VBGは、ゴースト画像または他の光学アーチファクトを引き起こし得る多重化VBG間の回折クロストークを引き起こすことなく、異なる色の表示光について高い効率を達成するために、第3のホログラフィック材料層3616においてより密に多重化され得る。したがって、導波路ディスプレイ3600は、大きい視野からの青色光についてはクロストークを回避し、かつ負の視野からの赤色光については回折効率を向上させ得る。
【0180】
第1のホログラフィック材料層3612、第2のホログラフィック材料層3616、および第3のホログラフィック材料層3620は、任意の順序で配置され得るということに留意されたい。例えば、いくつかの実施形態において、第3のホログラフィック材料層3620は、第1のホログラフィック材料層3612と第2のホログラフィック材料層3616との間にあってもよい。いくつかの実施形態において、第1のホログラフィック材料層3612は、第3のホログラフィック材料層3620と第2のホログラフィック材料層3616との間にあってもよい。いくつかの実施形態において、格子カプラは、2つまたは4つのホログラフィック材料層など、2つ以上のホログラフィック材料層を含み得る。
【0181】
図36Bは、特定の実施形態に従う、クロストークを低減し、効率を向上させるために非均一の厚さを有する多重化体積ブラッグ格子を含む導波路ディスプレイ3630の例を例証する。例証された例において、導波路ディスプレイ3630は、第1の基板3632、第2の基板3636、および第1の基板3632と第2の基板3636との間のホログラフィック材料層3640を含み得る。第1の基板3632および第2の基板3636のうちの少なくとも一方は、ホログラフィック材料層3640の厚さが1つまたは2つの次元において変化し得るようにテーパー状であり得る。いくつかの実施形態において、第1の基板3632および第2の基板3636のうちの少なくとも一方は、図36Bの破線3645によって示されるように複数の厚さレベルを含み得る。より低い厚さを有するホログラフィック材料層3640の第1の領域3642は、例えば、より小さい(例えば、負の)視野からの表示光のための格子を記録するために使用され得る。より高い厚さを有するホログラフィック材料層3640の第2の領域3644は、約0°近くの視野からの表示光のための格子を記録するために使用され得る。さらに高い厚さを有するホログラフィック材料層3640の第3の領域3646は、より大きい(例えば、正の)視野からの表示光のための格子を記録するために使用され得る。
【0182】
図36Aに関して上に説明されるように、異なる領域の異なる厚さおよび異なる対応する視野に起因して、ホログラフィック材料層3640の各領域内の透過VBGの線幅は、比較的小さくてもよく、同じ透過VBGによって回折される赤、緑、および青色光(それらのそれぞれの視野からの)について同様であり得る。そのようなものとして、透過VBGは、ゴースト画像または他の光学アーチファクトを引き起こし得る多重化VBG間の回折クロストークを引き起こすことなく、高い効率を達成するために、ホログラフィック材料層3640において比較的密に多重化され得る。したがって、導波路ディスプレイ3630は、大きい視野からの青色光についてはクロストークを回避し、かつ負の視野からの赤色光については回折効率を向上させ得る。
【0183】
図36Cは、特定の実施形態に従う、クロストークを低減し、効率を向上させるために非均一の厚さを有する多重化体積ブラッグ格子を含む導波路ディスプレイ3650の別の例を例証する。導波路ディスプレイ3650は、第1の基板3660、第2の基板3680、および第1の基板3660と第2の基板3680との間のホログラフィック材料層3670を含み得る。第1の基板3660および第2の基板3680は各々、比較的均一の厚さまたは平坦な表面を有し得る。ホログラフィック材料層3670の部分3672は、例えば、非均一の強度を有する光パターンへの露光によって、減感され得、その結果として、感光性のままであるホログラフィック材料層3670の部分の厚さは、VBGがホログラフィック材料層3670の感光性部分に記録される前に、1つまたは2つの次元において変化し得る。ホログラフィック材料層3670の感光性部分は、ホログラフィック材料層3640と同様であってもよく、テーパー状の形状または異なる厚さの複数の段を含み得る。例えば、いくつかの実施形態において、減感後のホログラフィック材料層3670の感光性部分は、図36Cの破線3675によって示されるように複数の厚さレベルを含み得る。ホログラフィック材料層3670は、次いで、ホログラフィック材料層3670の異なる領域に異なる視野のためのVBGを記録するために使用され得る。例えば、より低い厚さを有するホログラフィック材料層3670の第1の領域3674は、例えば、より小さい(例えば、負の)視野からの表示光のための格子を記録するために使用され得る。より高い厚さを有するホログラフィック材料層3670の第2の領域3676は、約0°近くの視野からの表示光のための格子を記録するために使用され得る。さらにより高い厚さを有するホログラフィック材料層3670の第3の領域3678は、大きい(例えば、正の)視野からの表示光のための格子を記録するために使用され得る。このやり方では、導波路ディスプレイ3650は、導波路ディスプレイ3630に関して上に説明されるように、大きい視野からの青色光についてはクロストークを回避し、かつ負の視野からの赤色光については回折効率を向上させ得る。
【0184】
図36A図36Cに関して説明される透過VBGは、導波路ディスプレイの物理的寸法を低減しながら、効率、表示画像品質、シースルー画像品質、瞳拡大、および同様のものにおける所望の性能を達成するために、必要に応じて、本明細書に説明される入力カプラ、上部格子、下部格子、出力カプラ、および同様のもののうちのいずれかとして使用され得る。
【0185】
いくつかの実施形態において、透過格子の回折効率が偏光感受型であり、入ってくる表示光が無偏光であり得ることから、表示光のいくつかの成分は、格子によって回折されない場合があり、故に、導波路ディスプレイの効率は低減され得る。無偏光の光または特定の偏光状態にある光の効率を向上させるため、偏光変換器および2つの空間的に多重化された格子が、表示光を導波路内にカップリングするため、または導波路からカップリングアウトするために使用され得る。
【0186】
図37は、特定の実施形態に従う、2つの多重化体積ブラッグ格子3710および3740、ならびに2つの多重化体積ブラッグ格子3710および3740間の偏光変換器3730を含む導波路ディスプレイ3700の例を例証する図である。いくつかの実施形態において、透過格子の回折効率が偏光感受型であり、入ってくる表示光が無偏光であり得ることから、表示光のいくつかの成分は、格子によって回折されない場合があり、故に、導波路ディスプレイの効率は低減され得る。無偏光の光または特定の偏光状態にある光の効率を向上させるため、偏光変換器および2つの空間的に多重化された格子が、表示光を導波路内にカップリングするため、または導波路からカップリングアウトするために使用され得る。第1のVBG3710は、基板3720上、または偏光変換器3730の表面上に形成され得る。第2のVBG3740は、基板3750上、または偏光変換器3730の別の表面上に形成され得る。
【0187】
無偏光の光3702は、s偏光された光およびp偏光された光を含み得る。第1のVBG3710は、回折光3704によって示されるように、s偏光された光の大部分およびp偏光された光の一部分を回折し得る。回折光3704は、偏光変換器3730によって部分的に変換され、ブラッグ条件が満足されないため、透過光3706によって示されるように、第2のVBG3740によって回折されることなく第2のVBG3740を通過し得る。第1のVBG3710によって回折されないp偏光された光の部分3708は、偏光変換器3730を通過し得、s偏光された光へと変換され得、第2のVBG3740によって回折され得、回折光3712は、透過光3706と同じ伝播方向を有し得る。このやり方では、無偏光の光3702は、導波路ディスプレイ3700によってより効率的に回折され得る。
【0188】
外部光(例えば、ランプまたは太陽などの外部光源からの)は、格子カプラの表面において反射されて、格子カプラへ戻り得、反射光は、格子カプラによって回折されてレインボー画像を生成し得る。何らかの導波路ディスプレイにおいて、導波路ディスプレイのシースルー視野の外側の大きい入射角を有する周囲光もまた、格子カプラによって回折されてレインボー画像を生成し得る。いくつかの実施形態によると、反射コーティング層(例えば、大きいシースルーFOVからの光のため)および/または反射防止コーティング層(例えば、小さいシースルーFOVからの光のため)などの追加の構造体が、レインボー効果などの光学アーチファクトを低減するために導波路ディスプレイにおいて使用され得る。例えば、角度選択的な透過層が、外部光源によって引き起こされるアーチファクトを低減するために導波路および導波路ディスプレイの格子カプラの前(または後ろ)に置かれ得る。角度選択的な透過層は、ニアアイディスプレイのシースルー視野内の周囲光が通過して、ほとんど損失なしにユーザの目に到達することを可能にしながら、導波路ディスプレイのシースルー視野の2分の1よりも大きい入射角を有する周囲光を反射、回折、または吸収するように構成され得る。角度選択的な透過層は、例えば、1つまたは複数の誘電層、格子(例えば、メタ格子)などの回折素子、ナノ構造体(例えば、ナノワイヤ、ナノピラー、ナノプリズム、ナノピラミッド)、および同様のものを含み得るコーティングを含み得る。
【0189】
図38は、特定の実施形態に従う、反射防止層3850および角度選択的な透過層3840を含む導波路ディスプレイ3800の例を例証する。導波路ディスプレイ3800は、導波路3810、および導波路3810の下面に格子カプラ3820を含み得る。格子カプラ3820は、上に説明される格子カプラと同様であり得る。導波路3810に入射する外部光3830は、外部光3832として導波路3810内へ屈折され得、次いで、格子カプラ3820によって回折され得る。回折光は、0次回折3834(例えば、屈折回折)および-1次回折(示されない)を含み得る。格子カプラ3820の高さ、周期、および/または傾斜角は、-1次回折が、外部光について低減または最小限にされ得るように構成され得る。
【0190】
導波路ディスプレイ3800は、格子カプラ3820の下面3822に反射防止層3850を含み得る。反射防止層3850は、例えば、下面3822に被覆された1つもしくは複数の誘電薄膜層または他の反射防止層を含み得、下面3822において外部光の反射を低減するために使用され得る。故に、格子カプラ3820の下面3822において反射されて格子カプラ3820に戻り得る外部光はほとんどなく、したがって、さもなければ格子カプラ3820によって下面3822において反射される外部光の回折に起因して形成され得るレインボーゴーストは、低減または最小限にされ得る。表示光のいくつかの部分は、格子カプラ3820によって回折され得、ユーザの目の方へ導波路3810からカップリングアウトされ得る(例えば、-1次回折に起因して)。反射防止層3850はまた、格子カプラ3820によって導波路3810からカップリングアウトされる表示光の部分の反射を低減するのを助け得る。
【0191】
角度選択的な透過層3840は、導波路3810の上面または格子カプラ3820に被覆され得る。角度選択的な透過層3840は、特定のしきい値よりも大きい入射角を有する入射光について、高反射性、高回折効率、または高吸収を有し得、しきい値よりも低い入射角を有する入射光については低損失を有し得る。しきい値は、導波路ディスプレイ3800のシースルー視野に基づいて決定され得る。例えば、シースルー視野よりも大きい入射角を有する入射光3860は、角度選択的な透過層3840によって、大半が反射、回折、または吸収され得、故に、導波路3810に到達しない場合がある。シースルー視野内の入射角を有する外部光3830は、大半が、角度選択的な透過層および導波路3810を通過し得、格子カプラ3820によって屈折または回折され得る。
【0192】
上に説明される角度選択的な透過層3840は、様々なやり方で実装され得る。いくつかの実施形態において、角度選択的な透過層は、1つまたは複数の誘電層(またはエアギャップ)を含み得る。各誘電層は、それぞれの屈折率を有し得、隣接する誘電層は、異なる屈折率を有し得る。いくつかの実施形態において、角度選択的な透過層は、例えば、マイクロミラーまたはプリズム、格子、メタ格子、ナノワイヤ、ナノピラー、または他のマイクロもしくはナノ構造体を含み得る。いくつかの例において、角度選択的な透過層は、基板上に形成される小さい格子周期を有する格子(例えば、表面レリーフ格子またはホログラフィック格子)を含み得る。格子は、大きい入射角(例えば、約75°~約90°)を有する光のみを回折し得、回折光は、回折光がアイボックスに到達することができないような方向に伝播し得る。格子周期は、角度選択的な透過層がシースルー視野内の光に影響を及ぼし得ないように、例えば、280nm未満(例えば、約200nm)であり得る。いくつかの例において、角度選択的な透過層は、大きい入射角を有する入射光を反射、回折、または吸収し得るマイクロスケールまたはナノスケールの異方構造体を含み得る。異方構造体は、例えば、透明媒質、ナノワイヤアレイ、特定の液晶材料、および同様のものの中に整列および浸漬された大きいアスペクト比のナノ粒子を含み得る。
【0193】
本発明の実施形態は、人工現実システムの構成要素を実装するために使用され得るか、または人工現実システムと併せて実装され得る。人工現実は、例えば、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、複合現実(MR)、ハイブリッド現実、またはそれらの何らかの組み合わせおよび/もしくは派生物を含み得る、ユーザへの提示前に何らかの様式で調節されている現実の形態である。人工現実コンテンツは、完全に生成したコンテンツ、または捕捉した(例えば、現実世界)コンテンツと組み合わせた生成したコンテンツを含み得る。人工現実コンテンツは、動画、音声、触覚フィードバック、またはそれらの何らかの組み合わせを含み得、それらのうちのいずれかが、単一のチャネルまたは複数のチャネルにおいて提示され得る(視聴者に三次元効果をもたらすステレオ動画像など)。加えて、いくつかの実施形態において、人工現実はまた、例えば、人工現実においてコンテンツを作成するために使用される、および/または人工現実において別途使用される(例えば、人工現実においてアクティビティを実施する)、アプリケーション、製品、アクセサリ、サービス、またはそれらの何らかの組み合わせと関連付けられ得る。人工現実コンテンツを提供する人工現実システムは、ホストコンピュータシステムに接続されたヘッドマウントディスプレイ(HMD)、スタンドアローンHMD、モバイルデバイスもしくはコンピューティングシステム、または1もしくは複数の視聴者に人工現実コンテンツを提供することができる任意の他のハードウェアプラットフォームを含む、様々なプラットフォームに実装され得る。
【0194】
図39は、本明細書に開示される例のいくつかを実施するための、例となるニアアイディスプレイ(例えば、HMDデバイス)の例となる電子システム3900の簡略ブロック図である。電子システム3900は、上に説明されるHMDデバイスまたは他のニアアイディスプレイの電子システムとして使用され得る。この例では、電子システム3900は、1つまたは複数のプロセッサ3910およびメモリ3920を含み得る。プロセッサ3910は、いくつかの構成要素において動作を実施するための命令を実行するように構成され得、例えば、汎用プロセッサ、またはポータブル電子デバイス内の実装に好適なマイクロプロセッサであり得る。プロセッサ3910は、電子システム3900内の複数の構成要素と通信可能に結合され得る。この通信可能な結合を実現するため、プロセッサ3910は、バス3940にわたる他の例証された構成要素と通信し得る。バス3940は、電子システム3900内でデータを転送するように適合される任意のサブシステムであってもよい。バス3940は、データを転送するために複数のコンピュータバスおよび追加の回路を含み得る。
【0195】
メモリ3920は、プロセッサ3910に結合され得る。いくつかの実施形態において、メモリ3920は、短期および長期記憶の両方を提供し得、いくつかのユニットに分割され得る。メモリ3920は、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)および/もしくはダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)などの揮発性、ならびに/またはリードオンリメモリ(ROM)、フラッシュメモリ、および同様のものなどの不揮発性であってもよい。さらには、メモリ3920は、セキュアデジタル(SD)カードなどのリムーバブルストレージデバイスを含み得る。メモリ3920は、電子システム3900のためのコンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、および他のデータのストレージを提供し得る。いくつかの実施形態において、メモリ3920は、異なるハードウェアモジュールに分散され得る。命令および/またはコードのセットが、メモリ3920に記憶され得る。命令は、電子システム3900によって実行可能であり得る実行可能なコードの形態をとり得、ならびに/または、電子システム3900上でのコンパイルおよび/もしくはインストール(例えば、様々な一般的に利用可能なコンパイラ、インストールプログラム、圧縮/解凍ユーティリティなどのいずれかを使用すること)の際に実行可能なコードの形態をとり得る、ソースおよび/もしくはインストール可能なコードの形態をとり得る。
【0196】
いくつかの実施形態において、メモリ3920は、任意の数のアプリケーションを含み得る複数のアプリケーションモジュール3922~3924を記憶し得る。アプリケーションの例は、ゲーミングアプリケーション、会議アプリケーション、動画再生アプリケーション、または他の好適なアプリケーションを含み得る。アプリケーションは、奥行き感知機能またはアイトラッキング機能を含み得る。アプリケーションモジュール3922~3924は、プロセッサ3910によって実行されるべき特定の命令を含み得る。いくつかの実施形態において、特定のアプリケーションまたはアプリケーションモジュール3922~3924の部分は、他のハードウェアモジュール3980によって実行可能であり得る。特定の実施形態において、メモリ3920は、追加的に、コピーまたはセキュアな情報への他の不正アクセスを防ぐために追加のセキュリティ制御を含み得るセキュアメモリを含み得る。
【0197】
いくつかの実施形態において、メモリ3920は、そこにロードされたオペレーティングシステム3925を含み得る。オペレーティングシステム3925は、アプリケーションモジュール3922~3924によって提供される命令の実行を開始するように、および/または、1つもしくは複数のワイヤレストランシーバを含み得るワイヤレス通信サブシステム3930を用いて他のハードウェアモジュール3980ならびにインターフェースを管理するように動作可能であり得る。オペレーティングシステム3925は、スレッディング、リソース管理、データ記憶制御、および他の同様の機能性を含む、電子システム3900の構成要素にわたる他の動作を実施するように適合され得る。
【0198】
ワイヤレス通信サブシステム3930は、例えば、赤外通信デバイス、ワイヤレス通信デバイスおよび/もしくはチップセット(ブルートゥース(登録商標)デバイス、IEEE802.11デバイス、Wi-Fiデバイス、WiMaxデバイス、セルラ通信施設など)、ならびに/または同様の通信インターフェースを含み得る。電子システム3900は、ワイヤレス通信サブシステム3930の部分として、またはシステムの任意の部分に結合された別個の構成要素として、ワイヤレス通信のための1つまたは複数のアンテナ3934を含み得る。所望の機能性に応じて、ワイヤレス通信サブシステム3930は、ワイヤレス広域ネットワーク(WWAN)、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)、またはワイヤレスパーソナルエリアネットワーク(WPAN)などの異なるデータネットワークおよび/またはネットワークタイプと通信することを含み得る、ベーストランシーバ基地局ならびに他のワイヤレスデバイスおよびアクセスポイントと通信するために別個のトランシーバを含み得る。WWANは、例えば、WiMax(IEEE802.16)ネットワークであってもよい。WLANは、例えば、IEEE802.11xネットワークであってもよい。WPANは、例えば、ブルートゥースネットワーク、IEEE802.15x、またはいくつかの他のタイプのネットワークであってもよい。本明細書に説明される技法は、WWAN、WLAN、および/またはWPANの任意の組み合わせのためにも使用され得る。ワイヤレス通信サブシステム3930は、データが、ネットワーク、他のコンピュータシステム、および/または本明細書に説明される任意の他のデバイスと交換されることを許可し得る。ワイヤレス通信サブシステム3930は、アンテナ3934およびワイヤレスリンク3932を使用して、HMDデバイスの識別子、位置データ、地理的地図、ヒートマップ、写真、または動画などのデータを送信または受信するための手段を含み得る。ワイヤレス通信サブシステム3930、プロセッサ3910、およびメモリ3920は一緒に、本明細書に開示されるいくつかの機能を実施するための手段のうちの1つまたは複数の少なくとも一部を備え得る。
【0199】
電子システム3900の実施形態はまた、1つまたは複数のセンサ3990を含み得る。センサ3990は、例えば、画像センサ、加速度計、圧力センサ、温度センサ、近接センサ、磁力計、ジャイロスコープ、慣性センサ(例えば、加速度計およびジャイロスコープを組み合わせたモジュール)、周囲光センサ、または、奥行きセンサもしくは位置センサなど、センサ出力を提供するように、および/もしくはセンサ入力を受信するように動作可能な任意の他の同様のモジュールを含み得る。例えば、いくつかの実装形態において、センサ3990は、1つもしくは複数の慣性測定ユニット(IMU)および/または1つもしくは複数の位置センサを含み得る。IMUは、位置センサのうちの1つまたは複数から受信される測定信号に基づいて、HMDデバイスの初期位置に対するHMDデバイスの推定位置を示す較正データを生成し得る。位置センサは、HMDデバイスの動きに応答して1つまたは複数の測定信号を生成し得る。位置センサの例は、限定されるものではないが、1つもしくは複数の加速度計、1つもしくは複数のジャイロスコープ、1つもしくは複数の磁力計、動きを検出する別の好適なタイプのセンサ、IMUの誤り補正のために使用されるタイプのセンサ、またはそれらの何らかの組み合わせを含み得る。位置センサは、IMUの外部に、IMUの内部に、またはそれらの任意の組み合わせで位置し得る。少なくともいくつかのセンサは、センシングのために構造化光パターンを使用し得る。
【0200】
電子システム3900は、ディスプレイモジュール3960を含み得る。ディスプレイモジュール3960は、ニアアイディスプレイであってもよく、画像、動画、および様々な命令などの情報を、電子システム3900からユーザへ図式で提示し得る。そのような情報は、1つまたは複数のアプリケーションモジュール3922~3924、仮想現実エンジン3926、1つもしくは複数の他のハードウェアモジュール3980、それらの組み合わせ、またはユーザのためのグラフィックコンテンツを(例えば、オペレーティングシステム3925によって)分解するための任意の他の好適な手段から導出され得る。ディスプレイモジュール3960は、液晶ディスプレイ(LCD)技術、発光ダイオード(LED)技術(例えば、OLED、ILED、μLED、AMOLED、TOLEDなどを含む)、発光ポリマーディスプレイ(LPD)技術、または何らかの他のディスプレイ技術を使用し得る。
【0201】
電子システム3900は、ユーザ入力/出力モジュール3970を含み得る。ユーザ入力/出力モジュール3970は、ユーザがアクション要求を電子システム3900に送信することを可能にし得る。アクション要求は、特定のアクションを実施するための要求であってもよい。例えば、アクション要求は、アプリケーションを開始もしくは終了すること、またはアプリケーション内で特定のアクションを実施することであってもよい。ユーザ入力/出力モジュール3970は、1つまたは複数の入力デバイスを含み得る。例となる入力デバイスは、タッチスクリーン、タッチパッド、マイク、ボタン、ダイアル、スイッチ、キーボード、マウス、ゲームコントローラ、またはアクション要求を受信し、受信したアクション要求を電子システム3900に通信するための任意の他の好適なデバイスを含み得る。いくつかの実施形態において、ユーザ入力/出力モジュール3970は、電子システム3900から受信した命令に従ってユーザに触覚フィードバックを提供し得る。例えば、触覚フィードバックは、アクション要求が受信されるとき、または実施されたときに提供され得る。
【0202】
電子システム3900は、例えば、ユーザの目の位置をトラッキングするための、ユーザの写真または動画を撮るために使用され得るカメラ3950を含み得る。カメラ3950はまた、例えば、VR、AR、またはMRアプリケーションのための環境の写真または動画を撮るために使用され得る。カメラ3950は、例えば、数百万または数千万の画素を有する相補形金属酸化膜半導体(CMOS)画像センサを含み得る。いくつかの実装形態において、カメラ3950は、3D画像を捕捉するために使用され得る2つ以上のカメラを含み得る。
【0203】
いくつかの実施形態において、電子システム3900は、複数の他のハードウェアモジュール3980を含み得る。他のハードウェアモジュール3980の各々は、電子システム3900内の物理モジュールであってもよい。他のハードウェアモジュール3980の各々は、構造体として永久に構成され得るが、他のハードウェアモジュール3980のいくつかは、特定の機能を実施するように一時的に構成され得るか、または一時的に起動され得る。他のハードウェアモジュール3980の例は、例えば、音声出力および/または入力モジュール(例えば、マイクまたはスピーカ)、近距離無線通信(NFC)モジュール、再充電バッテリ、バッテリ管理システム、有線/ワイヤレスバッテリ充電システムなどを含み得る。いくつかの実施形態において、他のハードウェアモジュール3980の1つまたは複数の機能は、ソフトウェアにおいて実施され得る。
【0204】
いくつかの実施形態において、電子システム3900のメモリ3920はまた、仮想現実エンジン3926を記憶し得る。仮想現実エンジン3926は、電子システム3900内でアプリケーションを実行し、HMDデバイスの位置情報、加速度情報、速度情報、予測した今後の位置、またはそれらの何らかの組み合わせを様々なセンサから受信し得る。いくつかの実施形態において、仮想現実エンジン3926によって受信される情報は、ディスプレイモジュール3960への信号(例えば、表示命令)を生成するために使用され得る。例えば、受信した情報が、ユーザが左を見たことを示す場合、仮想現実エンジン3926は、仮想環境におけるユーザの運動を左右逆にする、HMDデバイスのためのコンテンツを生成し得る。加えて、仮想現実エンジン3926は、ユーザ入力/出力モジュール3970から受信されるアクション要求に応答してアプリケーション内のアクションを実施し、フィードバックをユーザに提供し得る。提供されたフィードバックは、視覚、可聴、または触覚フィードバックであり得る。いくつかの実装形態において、プロセッサ3910は、仮想現実エンジン3926を実行し得る1つまたは複数のGPUを含み得る。
【0205】
様々な実装形態において、上で説明したハードウェアおよびモジュールは、単一のデバイス、または有線もしくはワイヤレス接続を使用して互いと通信することができる複数のデバイスに実装され得る。例えば、いくつかの実装形態において、GPU、仮想現実エンジン3926、およびアプリケーション(例えば、トラッキングアプリケーション)などのいくつかの構成要素またはモジュールは、ヘッドマウントディスプレイデバイスとは別個のコンソールに実装され得る。いくつかの実装形態において、1つのコンソールが、2つ以上のHMDに接続され得るか、またはこれをサポートし得る。
【0206】
代替の構成において、異なるおよび/または追加の構成要素が、電子システム3900に含まれてもよい。同様に、構成要素のうちの1つまたは複数の機能性は、上に説明される様式とは異なる様式で構成要素間に分散され得る。例えば、いくつかの実施形態において、電子システム3900は、ARシステム環境および/またはMR環境などの他のシステム環境を含むために修正され得る。
【0207】
上で論じられる方法、システム、およびデバイスは、例である。様々な実施形態は、必要に応じて、様々な手順または構成要素を省略、置換、または追加し得る。例えば、代替の構成において、説明される方法は、説明されるものとは異なる順で実施され得、および/または様々なステージが、追加される、省略される、および/または組み合わされ得る。また、特定の実施形態に関して説明される特徴は、様々な他の実施形態において組み合わされ得る。実施形態の異なる態様および要素は、同様の様式で組み合わされ得る。また、技術は進化するものであり、故に、要素の多くは、それらの特定の例を本発明の範囲に限定しない例である。
【0208】
特定の詳細事項は、実施形態の完全な理解を提供するために説明において与えられる。しかしながら、実施形態は、これらの特定の詳細事項なしに実践され得る。例えば、周知の回路、プロセス、システム、構造体、および技法は、実施形態を不明瞭にすることを回避するために、不必要な詳細事項なしに示されている。この説明は、例となる実施形態を提供するにすぎず、本発明の範囲、適用性、または構成を制限することは意図されない。むしろ、実施形態の前述の説明は、様々な実施形態を実施するための実用可能な説明を当業者に提供するものである。様々な変更が、添付の特許請求の範囲に規定されるような本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、要素の機能および配置においてなされ得る。
【0209】
また、いくつかの実施形態は、フロー図またはブロック図として描写されたプロセスとして説明された。各々は逐次プロセスとして動作を説明し得るが、動作の多くは、並行して、または同時に実施され得る。加えて、動作の順序は、並べ替えられてもよい。プロセスは、図に含まれない追加のステップを有し得る。さらには、本方法の実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語、またはそれらの任意の組み合わせによって実施され得る。ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、またはマイクロコードにおいて実施されるとき、関連タスクを実施するためのプログラムコードまたはコードセグメントは、記憶媒体などのコンピュータ可読媒体に記憶され得る。プロセッサが、関連タスクを実施し得る。
【0210】
実質的な変動が特定の要件に従ってなされ得ることは当業者には明らかである。例えば、カスタマイズされたハードウェアもしくは特定用途向けハードウェアもまた使用され得、および/または特定の要素は、ハードウェア、ソフトウェア(アップレットなどのポータブルソフトウェアを含む)、または両方において実装され得る。さらに、ネットワーク入力/出力デバイスなどの他のコンピューティングデバイスへの接続が採用され得る。
【0211】
添付の図を参照して、メモリを含み得る構成要素は、非一時的なマシン可読媒体を含み得る。用語「マシン可読媒体」および「コンピュータ可読媒体」は、マシンを特定の方式で動作させるデータを提供することに参加する任意の記憶媒体を指し得る。本明細書内の上に提供される実施形態において、様々なマシン可読媒体は、命令/コードを実行のために処理ユニットおよび/または他のデバイスに提供することに関与し得る。追加的または代替的に、マシン可読媒体は、そのような命令/コードを記憶および/または保持するために使用され得る。多くの実装形態において、コンピュータ可読媒体は、物理および/または有形記憶媒体である。そのような媒体は、限定されるものではないが、不揮発性媒体、揮発性媒体、および伝送媒体を含む、多くの形態をとり得る。コンピュータ可読媒体の一般的形態は、例えば、コンパクトディスク(CD)もしくはデジタル多用途ディスク(DVD)などの磁気および/または光学媒体、パンチカード、ペーパーテープ、穴のパターンを有する任意の他の物理媒体、RAM、プログラマブルリードオンリメモリ(PROM)、消去可能なプログラマブルリードオンリメモリ(EPROM)、FLASH-EPROM、任意の他のメモリチップもしくはカートリッジ、本明細書内で以後説明されるような搬送波、またはコンピュータが命令および/もしくはコードを読むことができる任意の他の媒体を含み得る。コンピュータプログラム製品は、手順、機能、サブプログラム、プログラム、ルーチン、アプリケーション(App)、サブルーチン、モジュール、ソフトウェアパッケージ、クラス、または、命令、データ構造、もしくはプログラムステートメントの任意の組み合わせを表し得る、コードおよび/またはマシン実行可能命令を含み得る。
【0212】
当業者は、本明細書に説明されるメッセージを通信するために使用される情報および信号が、様々な異なる技術および技法のいずれかを使用して表され得ることを理解するものとする。例えば、上の説明全体を通して言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、符号、およびチップは、電圧、電流、電磁波、磁場もしくは磁性粒子、光場もしくは光粒子、またはそれらの任意の組み合わせによって表され得る。
【0213】
用語「および(and)」および「または(or)」は、本明細書で使用される場合、そのような用語が使用される文脈に少なくとも部分的に依存することも予期される様々な意味を含み得る。典型的には、「または」は、A、B、またはCなどのリストを関連付けるために使用される場合、包含的意味で使用される、A、B、およびC、ならびに排他的意味で使用される、A、B、またはCを意味することが意図される。加えて、用語「1つまたは複数」は、本明細書で使用される場合、任意の特徴、構造体、または特性を単数で説明するために使用され得るか、特徴、構造体、または特性の何らかの組み合わせを説明するために使用され得る。しかしながら、これは単に例証的な例であり、特許請求された主題はこの例に限定されないことに留意されたい。さらには、用語「少なくとも1つ」は、A、B、またはCなど、リストを関連付けるために使用される場合、A、AB、AC、BC、AA、ABC、AAB、AABBCCCなど、A、B、および/またはCの任意の組み合わせを意味するように解釈され得る。
【0214】
さらに、特定の実施形態は、ハードウェアおよびソフトウェアの特定の組み合わせを使用して説明されているが、ハードウェアおよびソフトウェアの他の組み合わせも可能であるということを理解されたい。特定の実施形態は、ハードウェアのみ、またはソフトウェアのみ、またはそれらの組み合わせを使用して、実施され得る。1つの例において、ソフトウェアは、本開示に説明されるステップ、動作、またはプロセスのいずれかまたはすべてを実施するための1つまたは複数のプロセッサによって実行可能なコンピュータプログラムコードまたは命令を含むコンピュータプログラム製品と共に実装され得る。本明細書に説明される様々なプロセスは、同じプロセッサまたは任意の組み合わせにある異なるプロセッサ上で実施され得る。
【0215】
デバイス、システム、構成要素、またはモジュールが、特定の動作または機能を実施するように構成されるものと説明される場合、そのような構成は、例えば、動作を実施するように電子回路を設計することによって、コンピュータ命令もしくはコードを実行することによってなど、動作を実施するようにプログラム可能電子回路(マイクロプロセッサなど)をプログラムすることによって、または非一時的なメモリ媒体に記憶されたコードもしくは命令を実行するようにプログラムされたプロセッサもしくはコア、またはそれらの任意の組み合わせによって達成され得る。プロセスは、プロセス間通信のための従来の技法を含むが、これに限定されない様々な技法を使用して通信することができ、異なるプロセス対は、異なる技法を使用し得るか、同じプロセス対は、異なる時に異なる技法を使用し得る。
【0216】
本発明は、添付の特許請求の範囲に規定される。明細書および図面は、したがって、制限的意味ではなく例証的意味と見なされるものとする。しかしながら、追加、減算、削除、ならびに他の修正および変更が、特許請求の範囲に明記される本発明の範囲から逸脱することなく、それらに対してなされ得ることは明らかである。故に、特定の実施形態が説明されているが、これらは、限定していることは意図されないものとする。様々な修正形態および等価物は、以下の特許請求項の範囲の範囲内である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A-B】
図8A-B】
図9A-B】
図10A-C】
図11
図12A-B】
図13A-B】
図14A-B】
図15
図16
図17A-D】
図18A-B】
図19A-B】
図20A-B】
図21A-B】
図22A-B】
図23A-B】
図24
図25
図26A-B】
図27A-B】
図28A-D】
図29A-D】
図30A-I】
図31A-C】
図32A-B】
図33A-C】
図34A-B】
図35A-B】
図36A-C】
図37
図38
図39
【国際調査報告】