(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-19
(54)【発明の名称】縫合装置およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/04 20060101AFI20221012BHJP
【FI】
A61B17/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022500747
(86)(22)【出願日】2020-08-10
(85)【翻訳文提出日】2022-03-07
(86)【国際出願番号】 IB2020057513
(87)【国際公開番号】W WO2021024236
(87)【国際公開日】2021-02-11
(32)【優先日】2019-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522007130
【氏名又は名称】ノベルラッド エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ローテム,シャハル
(72)【発明者】
【氏名】シャラバニ,ネタネル
(72)【発明者】
【氏名】ゴールドル,オリ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160BB01
4C160BB30
(57)【要約】
【解決手段】縫合装置は、縫合糸を保持するためのシャトルと、シャトル受渡部と、シャトル受容部とを含む。シャトル受渡部は、シャトルを保持するためのシャトル保持部と、シャトル保持部に対して変位可能である、シャトル保持部からシャトルを解放するためのシャトル解放部とを含む。シャトル保持部は、シャトルがシャトル受容部と係合するまで、シャトルを保持しながら第1の位置で物質を通って進む。シャトル解放部は、その後、シャトル保持部からシャトルを解放して、シャトルをシャトル受容部と係合させたままシャトル受渡部を物質に通して引き抜く。シャトル受渡部は、シャトル受容部と反対にある第2の位置で物質を貫通し、シャトルを回収し、第2の位置で物質に通して引き抜く間はシャトルを保持する。この順序を繰り返して、血管を閉塞するために幅広い範囲の複数の縫い目パターンと、幅広い範囲の他の用途を形成する。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縫合糸を、第1の位置で物質の第1の側から第2の側へ前記物質に通し、第2の位置で前記物質の前記第2の側から前記第1の側へ前記物質に通して戻すための縫合装置であって、該縫合装置は、
(a)縫合糸を保持するためのシャトルと、
(b)前記シャットルを保持するためのシャットル保持部と、前記シャットル保持部に対して変位可能である、前記シャットル保持部から前記シャトルを解放するためのシャットル解放部とを含むシャトル受渡部と、
(c)前記物質の前記第2の側で前記シャトルを受容するためのシャトル受容部と、
を含み、
前記シャトル保持部は、前記シャトルを保持し、それによって、前記シャトルと前記シャトル受渡部とが共に、前記シャトルが前記シャトル受容部と係合するまで前記第1の位置で前記シャトルを前記物質に通して進めるように移動可能である第1の貫通構成を形成し、
前記シャトル解放部は、前記シャトル保持部から前記シャトルを解放して、前記シャトルを前記シャトル受容部と係合させたまま前記第1の位置で前記シャトル受渡部を前記物質に通して引き抜き、
前記シャトル受渡部は、前記シャトル受容部と反対にある第2の位置と並ぶときに移動可能である、前記第2の位置で前記物質を貫通する貫通用先端を伴う第2の貫通構成を呈し、
前記シャトル保持部は、前記シャトルを保持して、前記第2の位置で前記シャトルを前記物質に通して引き抜く、縫合装置。
【請求項2】
前記シャトルは、前記第1の貫通構成用の尖った遠位先端を有する、請求項1に記載の縫合装置。
【請求項3】
前記シャトルは、前記縫合糸を接続するための中間領域と、前記シャトル保持部と係合するための近位領域とを有する、請求項2に記載の縫合装置。
【請求項4】
前記中間領域は、前記シャトル全体の直径内に縫合糸を収容するように構成された少なくとも1つの凹部を有する、請求項3に記載の縫合装置。
【請求項5】
前記中間領域は、縫合糸の一部を受容するための横方向の開口部を含む、請求項3に記載の縫合装置。
【請求項6】
前記近位領域は、少なくとも部分的に円錐状の外面と、軸方向凹部とを有する、請求項3に記載の縫合装置。
【請求項7】
前記近位領域は、第1の直径D
1を有する部分的に円筒状の面と、少なくとも1つの面取り面とを含む係合面を有し、それによって、前記係合面の外周は、πD
1より小さい、請求項3に記載の縫合装置。
【請求項8】
前記シャトル保持部は、直径D
2を有する筒状要素を含み、D
2は、D
1より小さく、前記筒状要素は、前記係合面の上に嵌まり込むように弾性変形可能である、請求項7に記載の縫合装置。
【請求項9】
前記シャトル保持部は、筒状要素を含む、請求項8に記載の縫合装置。
【請求項10】
前記筒状要素は、超弾性合金で形成される、請求項9に記載の縫合装置。
【請求項11】
前記シャトル受渡部の前記シャトル保持部に、前記シャトルの前記近位領域と係合するための少なくとも1つの弾性機構が形成される、請求項3に記載の縫合装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの弾性機構は、前記シャトルの前記近位領域と協動して、前記シャトル保持部と前記シャトルをスナップ係合させる、請求項11に記載の縫合装置。
【請求項13】
前記シャトル解放部は、前記シャトル保持部に対して変位可能であり、前記シャトルから前記少なくとも1つの弾性機構を係脱する、請求項11に記載の縫合装置。
【請求項14】
前記縫合装置は、前記シャトル受渡部と前記シャトル受容部の並びを維持するように、前記シャトル受渡部と前記シャトル受容部とに機械的に連通した架橋部分をさらに含む、請求項1に記載の縫合装置。
【請求項15】
前記シャトル受容部は、前記架橋部分に後退可能に取り付けられる、請求項14に記載の縫合装置。
【請求項16】
後退位置から延伸位置への前記シャトル受容部の延びは、第1の可動域を通るアクチュエータ要素の変位によって行われ、そして、前記第1の可動域を超える、前記アクチュエータ要素のさらなる変位によって、前記シャトル受容部を、後退しないように係止する、請求項15に記載の縫合装置。
【請求項17】
前記縫合装置は、前記架橋部分に遠位方向に展開されたダイレータをさらに含み、前記ダイレータは、回転可能かつ撓み可能な関節部を介して前記架橋部分に相互接続される、請求項14に記載の縫合装置。
【請求項18】
前記縫合装置は、
前記架橋部分から近位方向に延びるシャフト部と、
前記架橋部分の抽気ポート開口部と、
抽気筒部であって、前記抽気筒部は、前記シャフト部に沿って近位方向に、前記抽気ポート開口部から抽気筒部出口へ延びる、抽気筒部と、
をさらに含む、請求項14に記載の縫合装置。
【請求項19】
前記縫合装置は、
縫合糸解放開口部に連通した縫合糸送り容積部と、
縫合糸であって、前記縫合糸は、前記縫合糸送り容積部内に部分的に位置し、前記縫合糸解放開口部から前記シャトルへ延び、前記シャトルに取り付けられる、縫合糸と、
をさらに含み、
前記シャトル受渡部と前記シャトル受容部は、第1の軸に沿って並び、前記架橋部分の少なくとも一部は、前記第1の軸から第1の方向にずれ、前記縫合糸解放開口部は、前記第1の軸とは反対を向くように配向され、前記第1の方向に向かって開口する、請求項14に記載の縫合装置。
【請求項20】
前記シャトル受渡部は、前記第1の位置と前記第2の位置とで前記物質を行き来するための貫通長さを有する貫通部分を有し、前記貫通長さは、前記シャトルの長さより大きい、請求項1に記載の縫合装置。
【請求項21】
前記シャトル受渡部は、可撓性シャフト部と関連付けられる、請求項1に記載の縫合装置。
【請求項22】
前記シャトル受容部は、前記シャトルを受容するためのポケットを含む、請求項1に記載の縫合装置。
【請求項23】
前記縫合装置は、弾性保有要素であって、前記ポケットに関連付けられ、前記ポケット内で前記シャトルを解放可能に保有するように構成された、弾性保有要素をさらに含む、請求項22に記載の縫合装置。
【請求項24】
前記シャトル受渡部は、シャフト部内で軸方向に変位可能であり、前記シャフト部は、前記シャフト部内に前記シャトルを捕捉するために、縫合過程が完了した後に前記シャフト部内で前記シャトルが引き抜かれるのに対して効果があるシャトルロックをさらに含む、請求項1に記載の縫合装置。
【請求項25】
前記シャトル受渡部は、予圧部材であって、前記シャトル受渡部が前記物質を通って貫通する前に、前記予圧部材と前記シャトル受容部との間で前記物質を把持するように選択的に変位可能である、予圧部材をさらに含む、請求項1に記載の縫合装置。
【請求項26】
前記予圧部材は、前記シャトル保持部を中心として同心状に展開される、請求項1に記載の縫合装置。
【請求項27】
物質を縫合する縫合方法であって、該縫合方法は、
(a)
(i)縫合糸を保持するシャトルと、
(ii)前記シャトルを選択的に保持または解放するように構成されたシャトル受渡部であって、前記シャトルを保持しているときの前記シャトル受渡部は、第1の貫通構成を形成し、前記シャトルを解放した後の前記シャトル受渡部は、第2の貫通構成を呈する、シャトル受渡部と、
(iii)前記シャトルを受容するためのシャトル受容部と、
を設ける、工程と、
(b)前記第1の貫通構成において、前記シャトル受渡部を進める工程であって、それによって、少なくとも前記シャトルが第1の位置で前記物質を貫通し、前記シャトル受容部と係合する、工程と、
(c)前記シャトル受渡部から前記シャトルを解放して、前記物質から、前記シャトルを伴わずに前記シャトル受渡部を引き抜く工程と、
(d)前記シャトル受渡部と前記シャトル受容部を位置変更する工程であって、それによって、前記シャトル受渡部と前記シャトルは、第2の位置で前記物質の両側に並ぶ、工程と、
(e)前記第2の貫通構成において、前記シャトル受渡部を進める工程であって、それによって、前記第2の場所で、前記シャトルに向かう方向で前記物質を貫通する、工程と、
(f)前記シャトル受渡部を伴って前記シャトルを保持し、前記第2の位置で、前記シャトルを前記物質に通して引き抜く工程であって、前記シャトルは共に、前記縫合糸を引き寄せ、それによって、前記縫合糸は、前記第1の位置で前記物質内に入り、前記第2の位置で前記物質外に出るように延びる、工程と、
を含む、縫合方法。
【請求項28】
前記縫合方法は、前記物質の少なくとも別の1つの縫合糸刺入位置で工程(b)および(c)を繰り返すことと、前記物質の少なくとも別の1つの縫合糸抜出位置で工程(d)および(e)を繰り返すことと、をさらに含み、それによって、複数の縫い目パターンを形成する、請求項27に記載の縫合方法。
【請求項29】
前記複数の縫い目パターンは、前記物質の開口部に実質的に外接する、請求項28に記載の縫合方法。
【請求項30】
前記複数の縫い目パターンは、前記物質の開口部に実質的に外接する巾着縫合である、請求項29に記載の縫合方法。
【請求項31】
前記複数の縫い目パターンは、螺旋縫合である、請求項28に記載の縫合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、縫合装置を対象とし、特に、切開部を閉塞したり、組織または組織領域を接合したり、および/または、組織の形状を変形したりするなどの縫合用途用の縫合装置を対象とする。
【背景技術】
【0002】
縫合は、手術または他の医療処置中に通常施される組織および血管の切開部を閉塞するために用いられる一般的な技術である。様々な縫合パターンが望まれる場合は、外科医は、異なる縫合装置を使用しなければならない。さらに、縫合作業に応じて、特に、血管などの狭い限られた空間において、縫合は、多数の異なる道具または人手による、外科医の高い技量レベルを必要としなければならない。
【発明の概要】
【0003】
開示の対象は、血管などの狭い限られた手術用空間において、複数の種類の縫い目の正確な縫合作業を行う縫合器を対象とする。
【0004】
よって、本発明の実施形態によると、縫合糸を、第1の位置で物質の第1の側から第2の側へ前記物質に通し、第2の位置で前記物質の前記第2の側から前記第1の側へ前記物質に通して戻すための縫合装置であって、該縫合装置は、(a)縫合糸を保持するためのシャトルと、(b)前記シャットルを保持するためのシャットル保持部と、前記シャットル保持部に対して変位可能である、前記シャットル保持部から前記シャトルを解放するためのシャットル解放部とを含むシャトル受渡部と、(c)前記物質の前記第2の側で前記シャトルを受容するためのシャトル受容部と、を含み、前記シャトル保持部は、前記シャトルを保持し、それによって、前記シャトルと前記シャトル受渡部とが共に、前記シャトルが前記シャトル受容部と係合するまで前記第1の位置で前記シャトルを前記物質に通して進めるように移動可能である第1の貫通構成を形成し、前記シャトル解放部は、前記シャトル保持部から前記シャトルを解放して、前記シャトルを前記シャトル受容部と係合させたまま前記第1の位置で前記シャトル受渡部を前記物質に通して引き抜き、前記シャトル受渡部は、前記シャトル受容部と反対にある第2の位置と並ぶときに移動可能である、前記第2の位置で前記物質を貫通する貫通用先端を伴う第2の貫通構成を呈し、前記シャトル保持部は、前記シャトルを保持して、前記第2の位置で前記シャトルを前記物質に通して引き抜く、縫合装置、が提供される。
【0005】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、前記シャトルは、前記第1の貫通構成用の尖った遠位先端を有する。
【0006】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、前記シャトルは、前記縫合糸を接続するための中間領域と、前記シャトル保持部と係合するための近位領域とを有する。
【0007】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、前記中間領域は、前記シャトル全体の直径内に縫合糸を収容するように構成された少なくとも1つの凹部を有する。
【0008】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、前記中間領域は、縫合糸の一部を受容するための横方向の開口部を含む。
【0009】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、前記近位領域は、少なくとも部分的に円錐状の外面と、軸方向凹部とを有する。
【0010】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、前記近位領域は、第1の直径D1を有する部分的に円筒状の面と、少なくとも1つの面取り面とを含む係合面を有し、それによって、前記係合面の外周は、πD1より小さい。
【0011】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、前記シャトル保持部は、直径D2を有する筒状要素を含み、D2は、D1より小さく、前記筒状要素は、前記係合面の上に嵌まり込むように弾性変形可能である。
【0012】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、前記シャトル保持部は、筒状要素を含む。
【0013】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、前記筒状要素は、超弾性合金で形成される。
【0014】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、前記シャトル受渡部の前記保持部に、前記シャトルの前記近位領域と係合するための少なくとも1つの弾性機構が形成される。
【0015】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、前記少なくとも1つの弾性機構は、前記シャトルの前記近位領域と協動して、前記保持部と前記シャトルをスナップ係合させる。
【0016】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、前記解放部は、前記保持部に対して変位可能であり、前記シャトルから前記少なくとも1つの弾性機構を係脱する。
【0017】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、前記シャトル受渡部と前記シャトル受容部の並びを維持するように、前記シャトル受渡部と前記シャトル受容部とに機械的に連通した架橋部分も設けられる。
【0018】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、前記シャトル受容部は、前記架橋部分に後退可能に取り付けられる。
【0019】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、前記シャトル受容部が後退位置から延伸位置へ延びるのは、第1の可動域を通るアクチュエータ要素の変位によって実施され、そして、前記第1の可動域を超える、前記アクチュエータ要素のさらなる変位によって、前記シャトル受容部を、後退しないように係止する。
【0020】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、前記架橋部分に遠位方向に展開されたダイレータも設けられ、前記ダイレータは、回転可能かつ撓み可能な関節部を介して前記架橋部分に相互接続される。
【0021】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、前記架橋部分から近位方向に延びるシャフト部と、前記架橋部分の抽気ポート開口部と、抽気筒部(bleeder tube)であって、前記抽気筒部は、前記シャフト部に沿って近位方向に、前記抽気ポート開口部から抽気筒部出口へ延びる、抽気筒部と、も設けられる。
【0022】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、縫合糸解放開口部に連通した縫合糸送り容積部と、縫合糸であって、前記縫合糸は、前記縫合糸送り容積部内に部分的に位置し、前記縫合糸解放開口部から前記シャトルへ延び、前記シャトルに取り付けられる、縫合糸と、も設けられ、前記シャトル受渡部と前記シャトル受容部は、第1の軸に沿って並び、前記架橋部分の少なくとも一部は、前記第1の軸から第1の方向にずれ、前記縫合糸解放開口部は、前記第1の軸とは反対を向くように配向され、前記第1の方向に向かって開口する。
【0023】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、前記シャトル受渡部は、前記第1の位置と前記第2の位置とで前記物質を行き来するための貫通長さを有する貫通部分を有し、前記貫通長さは、前記シャトルの長さより大きい。
【0024】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、前記シャトル受渡部は、可撓性シャフト部と関連付けられる。
【0025】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、前記シャトル受容部は、前記シャトルを受容するためのポケットを含む。
【0026】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、弾性保有要素であって、前記ポケットに関連付けられ、前記ポケット内で前記シャトルを解放可能に保有するように構成された、弾性保有要素も設けられる。
【0027】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、前記シャトル受渡部は、シャフト部内で軸方向に変位可能であり、前記シャフト部は、前記シャフト部内に前記シャトルを捕捉するために、縫合過程が完了した後に前記シャフト部内で前記シャトルが引き抜かれるのに対して効果があるシャトルロックをさらに含む。
【0028】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、前記シャトル受渡部は、予圧部材であって、前記シャトル受渡部が前記物質を通って貫通する前に、前記予圧部材と前記シャトル受容部との間で前記物質を把持するように選択的に変位可能である、予圧部材をさらに含む。
【0029】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、前記予圧部材は、前記シャトル保持部を中心として同心状に展開される。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、物質を縫合する縫合方法であって、該縫合方法は、(a)(i)縫合糸を保持するシャトルと、(ii)前記シャトルを選択的に保持または解放するように構成されたシャトル受渡部であって、前記シャトルを保持しているときの前記シャトル受渡部は、第1の貫通構成を形成し、前記シャトルを解放した後の前記シャトル受渡部は、第2の貫通構成を呈する、シャトル受渡部と、(iii)前記シャトルを受容するためのシャトル受容部と、を設ける工程と、(b)前記第1の貫通構成において、前記シャトル受渡部を進める工程であって、それによって、少なくとも前記シャトルが第1の位置で前記物質を貫通し、前記シャトル受容部と係合する、工程と、(c)前記シャトル受渡部から前記シャトルを解放して、前記物質から、前記シャトルを伴わずに前記シャトル受渡部を引き抜く工程と、(d)前記シャトル受渡部と前記シャトル受容部を位置変更する工程であって、それによって、前記シャトル受渡部と前記シャトルは、第2の位置で前記物質の両側に並ぶ、工程と、(e)前記第2の貫通構成において、前記シャトル受渡部を進める工程であって、それによって、前記第2の場所で、前記シャトルに向かう方向で前記物質を貫通する、工程と、(f)前記シャトル受渡部を伴って前記シャトルを保持し、前記第2の位置で、前記シャトルを前記物質に通して引き抜く工程であって、前記シャトルは共に、前記縫合糸を引き寄せ、それによって、前記縫合糸は、前記第1の位置で前記物質内に入り、前記第2の位置で前記物質外に出るように延びる、工程と、を含む、縫合方法も提供される。
【0031】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、工程(b)および(c)は、前記物質の少なくとも別の1つの縫合糸刺入位置で繰り返され、工程(d)および(e)は、前記物質の少なくとも別の1つの縫合糸抜出位置で繰り返され、それによって、複数の縫い目パターンを形成する。
【0032】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、前記複数の縫い目パターンは、前記物質の開口部に実質的に外接する。
【0033】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、前記複数の縫い目パターンは、前記物質の開口部に実質的に外接する巾着縫合である。
【0034】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、前記複数の縫い目パターンは、螺旋縫合である。
【0035】
本明細書において別段の定義がない限り、本明細書で使用される技術用語および/または科学用語はすべて、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されているのと同様のまたは同等の方法および材料を、本発明の実施形態を実施または試験するのに使用してもよいが、以下に例示的な方法および/または材料を記載する。矛盾する場合は、定義を含めて、本特許明細書が優先する。加えて、材料、方法および例は、例示に過ぎず、必ずしも限定を意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明のいくつかの実施形態を、単なる一例として、添付の図面を参照しながら本明細書で説明する。図面について特に詳細に参照するが、示している詳細は一例に過ぎず、本発明の実施形態の例示的な考察のためであることを強調しておく。これに関連して、図面とともになされる本説明によって、本発明の実施形態をどのように実施することができるかを当業者に明らかにする。
【0037】
ここで、図面に注目するが、図面では、同様の参照番号または文字が、対応するまたは同様の構成要素を示す。図面において、
【
図1A】血管閉塞用途用の、開示の主題の一実施形態による縫合器の斜視図である。
【
図4A】
図1Aの縫合器の代わりの縫合モジュールの斜視図である。
【
図4B】
図1Aの縫合器の代わりの縫合モジュールの斜視図である。
【
図5A】
図1Aの縫合器の別の代わりの縫合モジュールの斜視図である。
【
図5B】
図1Aの縫合器の別の代わりの縫合モジュールの斜視図である。
【
図5C】
図1Aの縫合器の別の代わりの縫合モジュールの斜視図である。
【
図6A】
図1Aの縫合器の別の代わりの縫合モジュールの斜視図である。
【
図6B】
図1Aの縫合器の別の代わりの縫合モジュールの斜視図である。
【
図6C】
図1Aの縫合器の別の代わりの縫合モジュールの斜視図である。
【
図6D】
図1Aの縫合器の別の代わりの縫合モジュールの斜視図である。
【
図7A】
図1Aの縫合器の別の代わりの縫合モジュールの斜視図である。
【
図7B】
図1Aの縫合器の別の代わりの縫合モジュールの斜視図である。
【
図8A】
図1Aの縫合器の別の代わりの縫合モジュールの斜視図である。
【
図8B】
図1Aの縫合器の別の代わりの縫合モジュールの斜視図である。
【
図8C】
図1Aの縫合器の別の代わりの縫合モジュールの斜視図である。
【
図9A】
図1Aの縫合器用の、シャトル針を含むシャトルの図である。
【
図9B】
図1Aの縫合器用の、シャトル針を含むシャトルの図である。
【
図9C】
図1Aの縫合器用の、シャトル針を含むシャトルの図である。
【
図12A】
図11のシャトル針などの一例のシャトル針への縫合糸の取り付けを示す。
【
図12B】
図11のシャトル針などの一例のシャトル針への縫合糸の取り付けを示す。
【
図15A】
図1Aの縫合器用のシャトル受容部と、作動機構との断面図である。
【
図15B】
図1Aの縫合器用のシャトル受容部と、作動機構との断面図である。
【
図15C】
図1Aの縫合器用のシャトル受容部と、作動機構と、係止機構との断面図である。
【
図15D】
図1Aの縫合器用のシャトル受容部と、作動機構と、係止機構との断面図である。
【
図15E】
図1Aの縫合器用の、代わりのシャトル受容部と、作動機構と、係止機構との断面図である。
【
図15F】
図1Aの縫合器用の、代わりのシャトル受容部と、作動機構と、係止機構との断面図である。
【
図16A】
図1Aの縫合器用の、ポケットを含むシャトル受容部の断面図である。
【
図16B】シャトル針と係合する
図16Aのポケットを含むシャトル受容部の断面図である。
【
図16C】
図1Aの縫合器用の、ポケットにスナップ要素を備えた、代わりのシャトル受容部の斜視図である。
【
図16D】
図16Cの受容部のポケットへのシャトル針の挿入および係合の断面図である。
【
図16E】
図1Aの縫合器用の、ポケットを含む、代わりのシャトル受容部の斜視図である。
【
図18】
図1Aの縫合器の架橋部分と、可撓性関節部と、ダイレータとの断面図である。
【
図19A】縫合器の架橋部分に対する、可撓性関節部の回転機構の概略図である。
【
図19B】縫合器の架橋部分に対する、可撓性関節部の回転機構の概略図である。
【
図19C】縫合器の架橋部分に対する、可撓性関節部の回転機構の概略図である。
【
図19D】縫合器の架橋部分に対する、可撓性関節部の回転機構の概略図である。
【
図19E】縫合器の架橋部分に対する、可撓性関節部の回転機構の概略図である。
【
図20】
図1Aの縫合器のハンドル部を通る断面図であり、シャトル受渡部の保持状態と解放状態にそれぞれ対応する2つの作業状態の装置を図示する。
【
図21】
図1Aの縫合器のハンドル部を通る断面図であり、シャトル受渡部の保持状態と解放状態にそれぞれ対応する2つの作業状態の装置を図示する。
【
図22A】
図1Aの縫合器用の、一体型針受容部を含む縫合モジュールの斜視図である。
【
図23A】シャトル(針)挿入の作業順序の図である。
【
図23B】シャトル(針)挿入の作業順序の図である。
【
図23C】シャトル(針)挿入の作業順序の図である。
【
図23D】シャトル(針)挿入の作業順序の図である。
【
図23E】シャトル(針)挿入の作業順序の図である。
【
図23F】シャトル(針)挿入の作業順序の図である。
【
図23G】シャトル(針)挿入の作業順序の図である。
【
図24】縫合糸固定作業におけるシャトルの斜視図である。
【
図25A】シャトル(針)後退の作業順序の図である。
【
図25B】シャトル(針)後退の作業順序の図である。
【
図25C】シャトル(針)後退の作業順序の図である。
【
図25D】シャトル(針)後退の作業順序の図である。
【
図25E】シャトル(針)後退の作業順序の図である。
【
図25F】シャトル(針)後退の作業順序の図である。
【
図25G】シャトル(針)後退の作業順序の図である。
【
図28】詳細図を含む、挟持部材の作業を示す、針の挿入の図である。
【
図29A】縫合作業を行う、予圧部材を備えた器具の図である。
【
図29B】縫合作業を行う、予圧部材を備えた器具の図である。
【
図29C】縫合作業を行う、予圧部材を備えた器具の図である。
【
図29D】縫合作業を行う、予圧部材を備えた器具の図である。
【
図29E】縫合作業を行う、予圧部材を備えた器具の図である。
【
図30A】縫合作業中の縫合糸の移動を示す、予圧部材を備えた器具の図である。
【
図30B】縫合作業中の縫合糸の移動を示す、予圧部材を備えた器具の図である。
【
図30C】縫合作業中の縫合糸の移動を示す、予圧部材を備えた器具の図である。
【
図31A】針受容部からの縫合糸を伴って針を回収する、予圧部材を備えた器具の図である。
【
図31B】針受容部からの縫合糸を伴って針を回収する、予圧部材を備えた器具の図である。
【
図31C】針受容部からの縫合糸を伴って針を回収する、予圧部材を備えた器具の図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
開示の主題の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、開示の主題は、その適用において、以下の説明に記載および/または図面に図示される構成要素および/または方法の構造および配置の詳細に必ずしも限定されないことを理解されたい。開示の主題は、他の実施形態が可能であり、あるいは様々な手法で実施または実行可能である。
【0039】
本文献にわたって、方向、例えば近位、遠位、内向き、外向き、内部、外部、上側、下側、上方、下方、上、下、右、左、前方、後方などについて言及を行う。その派生語を含む、これらの方向の言及は、図面(図)に示される器具(100)および/またはその構成要素の通常の向きを意味する。これらは、例示に過ぎず、いかなる点においても限定的なものではなく、記載および説明を目的とするものである。
【0040】
図面を参照する前に、導入として、本発明の一態様は、外科的処置の一部として、物質(複数可)、例えばインビボの生体組織を縫合するための装置および方法に関する。一般的な用語にすると、装置および方法は、縫合糸を保持する、通常は尖ったシャトル針の形のシャトルと、シャトルを選択的に保持して解放するシャトル受渡部とを用いる。シャトル受渡部は、シャトルを保持するときは、第1の貫通構成を形成し、シャトルを解放した後は、第2の貫通構成を呈する。この第2の貫通構成において、シャトル受渡部は、通常は、尖った針のような端部を呈するように構成される。
【0041】
シャトル受渡部は、物質の一方の側(任意に近位側と称する)からシャトルを操作し、縫合糸を、近位側から遠位側へ、遠位側から近位側へ通し、それによって、広範囲の走り縫いパターンを容易にする。具体的には、近位側から遠位側へ通すのは、第1の貫通構成において、すなわち、シャトルが把持されている間に、シャトル受渡部を進めることによって行われ、それによって、少なくともシャトルが第1の位置で物質を貫通し、その後、シャトルがシャトル受渡部から解放され、好ましくは、シャトル受容部によって一時的に保持されて、物質から、シャトルを伴わずにシャトル受渡部を引き抜く。縫合糸を遠位側から近位側へ通すのは、第2の貫通構成において、すなわち、シャトルを伴わずにシャトル受渡部を進めることによって行われ、シャトルを、縫合される物質に通して収集および回収する。シャトル受渡部は、シャトル受容部に一時的に保有されているシャトルと並ぶ第2の位置で物質を貫通し、シャトルと係合して保持し、第2の位置で、シャトルを物質に通して引き抜く。それぞれ通す間に、シャトルは共に、縫合糸を引き寄せ、それによって、縫合糸は、第1の位置で物質内に入り、第2の位置で物質外に出るように延びる。
【0042】
よって、シャトル針受渡部は、対応するシャトル針が以下の作業を行うための「プッシュプル機構」(PPM)として機能する。
1.針を、縫合される媒体に通して押し込む。
2.針を、媒体の反対側または媒体の内側に押し出し、針を伴わずに後退させる。
3.貫通端を設けるように再度構成する。
4.媒体を再度貫通し、針と再度係合させ/針を収集し、針を伴って引き出す/後退させる。
【0043】
シャトルを交互の方向で物質に通すこの過程は、一連の位置で繰り返されてもよく、それによって、広範囲の異なる用途で広範囲の走り縫いの縫合構成を形成することができる。
【0044】
シャトル受渡部を遠位から近位へ通すことによってシャトルの収集を容易にするために、シャトルとシャトル受渡部の両方が、好ましくは、第2の位置で物質と並ぶように配置される。シャトルは、有利には、シャトル受渡部から解放されている間は、シャトル受容部によって保持されて配置され、シャトル受容部は、シャトルを受容して保有するように構成される。縫合される物質の両側にあるシャトル受渡部とシャトル受容部の並びは、架橋部分によって維持されてもよく、架橋部分は、シャトル受渡部とシャトル受容部との間の機械的な相互接続部を形成する。これらの構造のそれぞれの様々な非限定的な例を、以下に詳細に説明する。
【0045】
本発明の態様は、非医療分野と医療分野の両方において広範囲の用途を見出す。医療分野内では、本発明の態様は、外部/表面の浅い切開部であるか、低侵襲的処置であるか、従来の外科的処置であるか否かにかかわらず、広範囲の処置に適用可能である。非限定的な1組の例示的な好ましい実装形態として、本明細書では、主に血管閉塞用装置の観点から本発明を例示する。当業者には明らかであるように、この例は、当該技術の多数の好適な用途のうちの1つに過ぎないことが理解されるであろう。さらなる用途の他の多数の非限定的な例について、以下で簡単に言及を行う。
【0046】
ここで、
図1Aの非限定的な例を参照すると、これは、特に血管閉塞用途に適応させた、開示の主題の実施形態による縫合器(100)を示す。縫合器(100)は、近位端(110p)および遠位端(110d)を備えた、任意選択でシャフト部(110)で形成された縫合モジュール(102)と、シャフト部(110)の遠位端(110d)から横方向に延びる架橋部分(120)とを含む。架橋部分(120)は、近位端(120p)および遠位端(120d)を含み、近位端(120p)でシャフト部(110)に接続する。任意選択のハンドル部(130)は、シャフト部(110)の近位端(110p)にあり、縫合モジュール(102)の構成要素を操作するために使用される。可撓性連結具(140)が、架橋部分(120)の遠位端(120d)から延び、任意選択のダイレータ(150)が、可撓性連結具(140)から遠位方向に延びる。架橋部分(120)は、可撓性連結具(140)に対して回転可能であるように、例えば、可撓性連結具(140)に接続される。
【0047】
図1Bは、縫合器(100)の遠位部分の拡大図であり、縫合モジュール(102)と、縫合処置および/または血管アクセス点を介して行われる別の処置の準備中に血管を拡張するために用いられるダイレータ(150)の例示的な実装形態とを示す。ダイレータ(150)は、遠位に円錐状の部分(150a)を有し、円錐状の部分(150a)は、挿入されたときに血管を拡張するのを容易にする。内部チャネルは、側面入口点(150b)から、ダイレータの中空先端(150c)にある開口部へ延びる。この内部チャネルは、当該技術分野で公知の方法である、装置のオーバーザワイヤー挿入に役立つ。
【0048】
図2A~2Cにも注目するが、これらは、縫合器(100)の縫合モジュール(102)を示す(
図1A)。縫合モジュールまたは縫合機構(102)(これらの用語は、本明細書において互換可能に使用される)は、シャトル受渡部(200)と、シャトルであって、通常はシャトル針(210)として実装される(任意選択で縫合糸(212)または縫合糸フィラメントと係合した)シャトルと、シャトル(針)受容部(220)とを含む。縫合モジュール(102)は、以下で詳述されるようにモジュールの構造および機能から明らかになるように、針(210)の長さよりはるかに厚い媒体を縫合するように設計され構成されてもよい。シャフト部(110)は、シャフト部(110)内で近位方向に、および遠位方向に移動可能であるシャトルまたは針受渡部(200)を支持し、この移動は、本明細書において以下で詳述するようにハンドル部(130)によって制御可能である。シャトルまたは針受渡部(200)は、針(210)を、縫合される媒体(例えば組織)に通して押し込んだり引き出したりするように構成されてもよい。
【0049】
シャトル(210)は、本明細書において、シャトルが貫通点を有して針として機能する実装形態で主に例示される。よって、シャトル(210)は、互換可能に「シャトル針(210)」と称され、場合によっては単に「針(210)」と称される。同様に、「シャトル受渡部(200)」および「シャトル受容部(220)」は、代わりに、針受渡部(200)および針受容部(220)とそれぞれ称されてもよい。しかし、本発明は、例えば、
図9Cを参照して以下で述べるように、貫通点なしでシャトルを用いて実施されてもよく、本明細書に記載されるすべての特徴は、別段の明確な記載がない限り、このような実施形態に同等に適用可能であることに留意されたい。
【0050】
機能的には、針受渡部(200)は、シャトル(210)を保持するためのシャトル保持部と、シャトル保持部に対して変位可能である、シャトル保持部からシャトル(210)を解放するためのシャトル解放部とを含む。ここで例示される非限定的な例では、
図3C~
図8Cを参照して以下にさらに説明するように、シャトル保持部は、シャトル(210)の外部の係合面と係合する筒状要素(例えば筒部(204))として実装され、一方で、解放部は、筒状要素内で内側に変位可能なロッド部(206)として実装される。用語「筒状要素」は、本明細書において、通常筒状の外観を有する任意の中空要素について言及するために使用され、これには、円形、多角形または他の断面形状の一般的な筒部、正の係合のためのある形状の内部輪郭を備えたこのような筒部、ならびに、可撓性を増すための、または係合構成を設けるための切欠溝または他の機構を備えた筒部を含むが、これらに限定されない。シャットル保持部とシャットル解放部のこれらの実装形態は、特に単純かつ小型であるので有利と考えられるが、実質的には、任意の保持構成を使用して、外側で、内側で、または任意の他の好適な機械的な係合具を介して、摩擦によって、機械的な係合によって、または任意の他の形態または保有にかかわらず、シャットル(210)を保持してもよいことに留意されたい。いずれの場合も、対応する解放部が設けられる。解放部は、保持作用または把持作用を無くす(解放する)ように保持部と相互作用する要素として、あるいは保持部によって加えられる保持力に勝ることによって、シャトルを押し出すようにシャトルと直接相互作用することができる要素として、あるいは上記の何らかの組み合わせのいずれかとして実装されてもよい。
【0051】
ここで例示される実装形態では、シャトル受渡部(200)は、筒部(204)と、例えば互いに同軸に、かつ、例えば互いに軸方向に変位可能に配置されたロッド部(206)とを含む。筒部(204)は、シャフト部(110)で近位方向に、および遠位方向に移動可能であり、移動は、以下に詳述するように、例えばハンドル部(130)によって制御される。ロッド部(206)は、筒部(204)内および外で近位方向に、および遠位方向に移動可能であり、移動は、以下に詳述するように、例えばハンドル部(130)によって制御される。
【0052】
筒部(204)は、有利には、異なる寸法の領域を有してもよく、その遠位端の近くに第1の寸法を備え、その遠位端から遠くなるにつれて直径が増す(あるいは、円形でない場合は、横方向の寸法が増す)領域を備えてもよい。これによって、ガイドチャネル内に引き抜かれたときにシャトル(210)の周りを空けて、筒部に沿って縫合糸用の空間を残すのを容易にする(以下の
図25Hに示すように)。ここで例示される実装形態では、直径が増すことは、筒部(204)の外部にある別の外筒部(202)を設けることによって実施される。ある実装形態では、外筒部(204)は、筒部(202)に対して固定され、この場合、それらは交互に、外径が変動するように形成された単一の要素として実装されてもよい。代わりに、
図6A~
図6Dを参照して以下に説明するように、外筒部(202)は、筒部(204)に沿って変位可能であってもよく、保持部の係止に関連した別の機能を設けてもよい。
【0053】
この例では、ロッド部(206)は、その遠位端(206d)に尖った先端(206a)を含み、これは、本明細書に詳述される様々な用途で組織を刺すためのものである。ロッド部(206)は、シャトル(210)の押出部(または「解放部」)としても機能する。ロッド部(206)は、例えば、針(210)が、縫合される媒体に通されて移動させられた後に、受渡部(200)から針(210)を押し出す。針(210)を押し出すのは、例えば、針(210)が確実に針受容部(220)の内側(ポケット(224))に位置した後に実施される。針受渡部(200)が係脱し、任意選択で、縫合される媒体を通って後退する間は、ロッド部(206)が針(210)を受容部(220)の内側に保持して、この過程中に針(210)が針受容部(220)から解放されるのを阻止してもよい。よって、ロッド部(206)と筒部(204)の相対運動により、ロッド部(206)は、シャトル針(210)が静止している間にシャトル針(210)を解放してもよい。この例では、ロッド部(206)は、その遠位端として、尖った縫合針のような形状(206a)を有する。針受渡部(200)が作動する前に、例えば、針(210)を伴わずに縫合される媒体に通して、針受容部(220)に位置する針(210)と係合するために、押出部(206)が、筒部(204)の遠位端に対して進められ、前述の第2の貫通構成をもたらす。ロッド部(206)のさらなる用途は、下記に詳述する。
【0054】
針受渡部(200)の少なくとも貫通長さ(229)(
図3B)は、通常は、ロッド部(押出部材)(206)と筒部(204)と、おそらくさらなる要素とを含むが、これらは、通常は、シャトル針(210)以下の大きさの断面を有する。ある用途では、断面は、USP#4-0または同様の範囲に対応する寸法を有してもよい。
【0055】
筒部(204)の遠位端(204d)は、ロッド部(206)の尖った先端(206a)と結合され、シャトル(210)の保持機構または係合機構を形成し、保持機構または係合機構は、筒部(204)によって保持または係合されて図示されている。さらに、
図23A~
図23Gおよび
図24に示して以下に詳述するように、シャトル(210)の押出作業および挿入作業の一部として、筒部(204)の遠位端(204d)は、ロッド部(206)の尖った先端(206a)と結合され、シャトル(210)の(シャトル受容部(220)のポケット(224)内への)解放部または押出部を形成し、ならびに、
図25A~
図25Gに示して以下に詳述するように、シャトル(210)の再接続作業および後退作業の一部として、シャトル(210)を把持して係合し、ポケット(224)からシャトル(210)を取り出すための機構を形成する。
【0056】
シャトル(210)は、例えば、例えば
図9Aおよび
図9Bに示して以下に詳述するように、シャトル針であり、
図9Cに示すように、シャトルである。シャトル(210)は、例えば、シャフト部(110)の開口部(縫合糸解放開口部)(214)から延びる縫合糸(212)を受容して保持し、ここで、縫合糸(212)は、内腔に沿って送られるか、あるいは縫合糸送り容積部に収容される。開口部(214)は、例えば、縫合作用線(230)の反対側にあるシャフト部(110)に位置する(
図2C)。この特徴の代わりの幾何学的な定義として、シャトル受渡部(200)とシャトル受容部(220)とは、好ましくは、「縫合作用線」に対応する第1の軸(230)に沿って並べられる。架橋部分の少なくとも一部は、この第1の軸から第1の方向(233)にずれる。縫合糸解放開口部(214)は、好ましくは、第1の軸とは反対を向くように配向され、好ましくは、第1の方向に向かって開口する。すなわち、直感的な言葉にすると、縫合解放開口部は、現在の縫合作用線に対して装置の「後方」に位置し、通常は現在の縫合作用線から離れる方向に縫合糸を送るために最適化される。ある用途およびある縫合パターンでは、この縫合糸解放開口部を好ましく位置付けることは、作業中に装置の向きが変えられたときに縫合糸が装置の周りに絡まる恐れを最小限にするという重要な役割を果たす。この特徴は、
図30A~
図30Cを参照するとよりよく理解されるであろう。
【0057】
シャトル受渡部(200)は、外筒部(202)、筒部(204)およびロッド部(206)を含み、シャトル(210)が取り付けられているが、これは、好ましくは、例えば
図2Bに示すように、シャフト部(110)内に完全に後退可能であり、ならびに、
図2Cの両矢印(211)で示すように、シャフト部(110)から延伸可能である。医療用途用に、筒部(204)とロッド部(206)の両方は、通常は、超弾性合金および形状記憶合金、ならびに、ニチノールなどの材料を含む外科グレードの金属でできているが、他の金属または非金属材料が使用されてもよい。
【0058】
架橋部分(120)は、シャトル受容部としても知られている受容部(220)(これらの用語は、本明細書において互換可能に使用される)を支持し、受容部(220)は、例えば、架橋部分(120)のスロット(222)に枢動可能に取り付けられて、
図2Cの湾曲した両矢印(223)で示すように、スロット(222)内に入り(
図2B)、そしてスロット(222)外に出る(
図2Aおよび
図2C)ように後退可能である。受容部(220)は、例えば、摩擦係合またはスナップロック係合でシャトル(210)を受容するためのポケット(224)を含む。摩擦係合は、シャトル(210)がポケット(224)内に配置され、そこで保持されることができるように、ならびに、シャトル受渡部(200)によってポケット(222)から取り出されることができるようになっている。受容部(220)の展開は、アクチュエータ(226)によって制御され、アクチュエータ(226)は、例えば、ばねのように動作するワイヤであり、好ましくは、前に進められたときに、偏向された形状に戻るように予め形作られ、それによって、受容部(220)を、架橋部分(120)のスロット(222)の内側にある後退位置に向かって付勢し、アクチュエータ(226)が引き出されると、受容部(220)を延伸位置に移動させ、架橋部分(120)のスロット(222)の外側に突き出すように動作可能である。アクチュエータ(226)は、以下に詳述するように、例えば、ハンドル部(130)を操作することによって制御される。アクチュエータ(226)は、超弾性合金および形状記憶合金、ならびに、ニチノールなどの材料を含む、外科グレードの金属でできていてもよい。
【0059】
架橋部分(120)は、好ましくは、抽気筒部(228)用の開口部またはポート(227a)も含む。抽気筒部は、シャフト部(110)およびポート(227b)へ延び、これを通して、血液が検出されることができる。血液が検出されることに基づいて、使用者は、架橋部分が、適切な手術部位(位置)の組織、例えば血管の内側にあることを判断することができる。
【0060】
また、
図2Cに示すように、架橋部分(120)は、近位端(120p)に偏向部分(120x)を含み、偏向部分(120x)は、ここでは平面部分(120y)として実施される、架橋部分(120)に続く方向(233)の縫合運動(230)の軸から横方向のずれを生み出す。この構造は結果として、縫合作用線(230)と回転部材の中心線との間に予め定められたずれを伴う縫合直線をもたらす。
【0061】
シャトル受渡部(200)の一実施形態を示す
図3A~
図3Cにも注目する。
図3Aに示すように、外筒部(202)は、筒部(204)を支持する。筒部(204)は、例えば、ニチノールなどの超弾性合金でできており、例えば、シャトル針などのシャトル(210)を把持して、シャトル(210)と係合する。ロッド部(206)は、シャトル針(210)と接触するように遠位方向に移動させられ、それによって、その尖った遠位先端(206a)は、
図3Cに示すようにシャトル針(210)の凹部(302)に着座する。この位置からのさらなる遠位方向の運動の結果として、ロッド部(206)は、シャトル針(210)を解放するための押出部または解放部として機能する。
【0062】
図3Bは、例えば、外筒部(202)から、通常は縫合される媒体の厚さより長い長さに延びる筒部(204)を示し、それによって、シャトル受渡部(200)の貫通長さを、角括弧(229)によって表されるように定める。縫合モジュール(102)を使用して縫合されることができる物質(例えば組織)の厚さを定めるのは、主にこの貫通長さであることに留意されたい。したがって、この貫通長さ(229)は、通常は、シャトル針(210)の長さより長いように選択され、ある好ましい場合では、シャトル針の長さの少なくとも2倍長い、より好ましくは少なくとも3倍長い、そして多くの場合は、5倍を超えるように選択される。よって、本発明のある実装形態は、シャトル針(210)の長さより大きい厚さを有する物質の双方向縫合を達成することができる。
【0063】
番号(229)で示される筒部(204)の細長い部分と、
図2Cに記載される架橋部分に対して平行な作用線を有する縫合機構の全体的な構造ととによって、縫合装置を、縫合される媒体に対して可変的(flexible)に、軸方向に、位置付けることができる。これによって、物質が、行ったり来たりして渡される(それ故に、用語「シャトル」)シャトル針の長さより厚い場合でさえ、(229)より薄い血管または任意の縫合物質にあるアクセス点で縫合することができる。
【0064】
図3Cは、シャトル受容部(220)内へ押し出される前にシャトル受渡部(200)によって把持または係合されるシャトル針(210)を示す。この実施形態では、シャトル針(210)は、その近位端(210p)にオーバーサイズ直径部分(304)を含み、オーバーサイズ直径部分(304)は、筒部(204)の直径より大きい直径のものである。筒部(204)は、好ましくは、ニチノールでできており、ロッド部(206)が、その先端(206a)がシャトル針(210)の凹部(302)に着座した状態で(矢印(305)で示すように)遠位方向に移動させられると、シャトル針(210)を遠位方向に押し込み、それによって、シャトル針(210)のオーバーサイズ直径部分(304)が、筒部(204)を外向きに押し込み、筒部(204)を変形させて、縫合中にシャトル針(210)を引き出すことができる係合力を生み出す。
【0065】
図4Aおよび
図4Bは、シャトル針などのシャトル(210)を把持(係合または保持とも称される)するための筒部(204)の別の実施形態を示す。ここで、筒部(204)は、例えば遠位端(204d)に、任意選択で、例えば、筒部の幅を広くする外周バンドの形の、予め形成された内部凹部(231)を含んでもよい。この内部凹部(231)は、シャトル針(210)の周りに対応するように形作られた隆起部(306)を係合するための捕捉チャンバを形成し、筒部(204)と係合する所定の位置にシャトル針(210)を保持する。隆起部(306)は、有利には、縫合糸を接続するための中間領域と、シャトル保持部と係合するための近位領域との間の変わり目に形成されてもよく、ここで、近位領域は、少なくとも部分的に円錐状の外面を有し、隆起部(306)は、円錐状の外面の大径側縁部に形成される。例えば、隆起部(306)にあるシャトル針(210)が筒部(204)の直径より大きい直径のものであり、そして、最も好ましくは、筒部(204)がニチノールなどの超弾性合金のものである場合は、シャトル針(210)が遠位方向に移動すると、筒部(204)を外向きに押し込み、筒部(204)を変形させ、縫合中にシャトル針(210)を引き出すことができる係合力を生み出す。
【0066】
これらの図、ならびに、その後のシャトル針の様々な実装形態の図は、シャトル針の多数のさらなる特に好ましいが非限定的な特徴および特性を例示する。具体的には、シャトルの中間領域には、好ましくは、少なくとも一方の側に陥凹部が設けられ、これによって、通常は、縫合糸が、シャトルと縫合糸の断面全体の寸法を拡大することなく、針の次についていくことができる。
図12Aおよび
図12Bを参照して以下でさらに述べるように、縫合糸を取り付けるために、好ましくは、シャトルの中間領域に、任意選択で1つ以上の直径を有する側面開口部(506)が設けられる。シャトル針の近位領域は、好ましくは、少なくとも部分的に円錐状の外面と、中央凹部とを有する。円錐状の外面は、シャトル受渡部がポケットからシャトル針を収集するときに受渡部とシャトル針を並べるのに役立つ。ある実装形態では、円錐状の面の後ろに半径方向内向きの段部があることによって、中間領域に、細いネック部分を備えた、矢のようなヘッド部(軸方向凹部の場合は鋭い先端を備えない)が設けられる。筒状要素(例えば、筒部(204))の形のシャトル保持部の場合は、筒状要素は、好ましくは、少なくとも部分的に円錐状の面の最も広い領域と係合するのに十分に小さいものの、細いネック部分より大きい寸法および/または形状を有する。
【0067】
図5A~
図5Cは、機械的に保持する中間域(235)によってシャトル針などのシャトル(210)を把持(係合)するための、筒部(204)を含むシャトル受渡部(200-1)の別の実施形態を示す。例えば、シャトル針(210)は、以上に詳述した
図3A~
図3Cのシャトル針であってもよい。ここで、筒部(204)は、その遠位端(204d)に、凹部(242)に連通した隙間(240a)を備えたヒダ(240)と、近位方向に延びたスリット(244)とを含む。スリット(244)は、遠位側幅狭部分(244a)を含み、これは、幅広の近位部分(244b)に近位方向外向きに先細りになる。スリット(244)は、ロッド部(206)の凸部(246)を収容するように設計される。
【0068】
図5Bに示すように、最初に、ロッド部(206)の凸部(246)が、スリット(244)の幅広部分(244b)内に載せられ、それによって、シャトル針(210)が、ヒダ(240)によって係合(保持)される。シャトル針(210)が解放されると、ロッド部(206)が遠位方向(矢印(247))に移動させられ、それによって、
図5Cに示すように、凸部(246)が、スリット(244)の幅狭部分(244a)に挿入されて遠位方向に移動させられる。
図5Cに示すように、この遠位方向の移動によって、ヒダ(240)を含む筒部(204)の部分を(矢印(249)で示すように)外向きに押し進め、ヒダ(240)の隙間(240a)の幅を広げ、そして、例えば、ニチノールなどの形状記憶合金でできた筒部(204)と結合されることによって、筒部(204)からシャトル針(210)を解放させる。
【0069】
代わりの実施形態では、ヒダ(240)は、機械的なフィンガー部によって、機械的なフィンガー部のそれぞれの間の隙間を用いることで代用されてもよい。これによって、上記で
図5A~
図5Dについて詳述したように、外筒部(202)が広げられることができる。
【0070】
図6A~
図6Dは、コレットのような中間域を含むシャトル受渡部(200-2)を示す。
図6Aおよび
図6Bに示すように、筒部(204)は、ニチノールなどの形状記憶合金の筒部(204)と結合されるスリット(260)を含み、それによって、筒部(204)は、半径方向外向きに拡張し、筒部(204)で把持係合されているところからシャトル針(210)を解放することができる。
図6Aに示すように、外筒部(202)は、筒部(204)に被さって、シャトル針(210)を所定の位置に係止する。
図6Bでは、外筒部(202)は(矢印(262)のとおり)近位方向に移動させられると、筒部(204)を露出し、それによって、筒部(204)は(矢印(264)で示すように)外向きに延びることができ、ロッド部(206)が遠位方向に移動(矢印(266))すると結合され、
図6Cに示すように、筒部(204)で把持係合されているところからシャトル針(210)を解放する。
【0071】
図6Dは、シャトル受渡部(200-2)の実装形態の詳細図を示し、ここで、筒部(204)は、内向きに向けられた保持歯(270)(個別のもの、またはそのリング)を含み、保持歯(270)は、シャトル針(210)の陥凹部(310)と係合して、さらなる摩擦および/または機械的な係合をもたらす。これらの保持歯(270)の形状は、ある閾値を超える軸方向の力が加えられた際に外向きに撓ませられてシャトル針(210)を解放するが、外筒部(202)が筒部(204)の周りを進むとこの外向きの撓みが阻止されて、それによって、正の係止をもたらすように選択される。外筒部(202)の運動は、好ましくは、他の可動要素と同様に装置のハンドル部から制御される。筒部(260)は、好ましくは、ニチノールなどの超弾性の予め形作られた合金でできていてもよい。
【0072】
図7Aおよび
図7Bは、スナップ保持する中間域を含むシャトル受渡部(200-3)を示す。ここで、筒部(204)は、1つ以上の陥凹部(276)を含み、陥凹部(276)は、シャトル針の近位方向内向きの中間区域(316)の接合部で形成された凹部(314)と、シャトル針の近位側ネック部(320)の肩部(318)との間に嵌まり込む。筒部(204)に、シャトル針の最も広い部分が着座させられる傾向にある開口部または「窓部」を形成することによって、同様の作用が達成されることができる。シャトル針(210)の凹部(302)に着座させられたロッド部(206)は、
図7Aに示すように、遠位方向に移動させられ、筒部(204)内で陥凹部によって加えられる保有力に勝って、シャトル針(210)を遠位方向に押し出し、それによって、筒部(204)の把持係合されているところから解放する。この場合の筒部(204)は、任意の好適な弾性変形可能な材料でできていてもよく、任意選択で、可撓性の向上をもたらすためにスロットが入れられてもよく、および/または、ニチノールなどの超弾性合金が使用されてもよい。
【0073】
図7Bは、シャトル受渡部(200-3)の代わりの実施形態を示し、ここで、筒部(204)は、筒部(204)の遠位端(204d)から近位方向に延びる1つ以上のスリット(278)を含む。これらのスリット(278)は、シャトル針(210)がロッド部(206)によって遠位方向に押し込まれたときに、筒部(204)を外向きに撓ませるのを容易にする。
【0074】
内向きに向けられた保持歯(270)(個別のもの、またはそのリング)は、シャトル針(210)の陥凹部(310)と係合して、さらなる摩擦係合をもたらす。
【0075】
図8A~
図8Cは、シャトル受渡部(200-4)を示し、ここで、筒部(204)は、シャトル針(210)の係合面(ネック部)(330)と摩擦係合する(
図8A)。係合面は、第1の直径D
1を有する部分的に円筒状の面(330a)と、少なくとも1つの面取り面(330b)とを含み、それによって、前記係合面の外周は、完全に円筒である場合のものより小さい(すなわち、πD
1より小さい)。筒部(204)は、少なくとも1つの内部寸法を有し、通常は、その直径D
2はD
1より小さく、変形することなく係合面の上に嵌まり込むことはできないが、通常は、係合面の上に嵌まり込むように弾性変形可能である、ニチノールなどの超弾性材料を使用することによって、十分な可撓性をもって実装される。この解決手段は、明らかに、様々な幾何学形態の係合面と筒部の端部とで実施されることができ、係合面と筒部の端部とは、筒部を変形することなく一方が他方に嵌まり込むことができない不適合な形状で形成されるものの、共に嵌まり込むように弾性変形されることができ、それによって、シャトル針の摩擦保有力を生み出す。ロッド部(206)などの解放部が、筒部(204)に対して進むことによって、この摩擦保有力に勝ってもよく、それによって、摩擦保有力に勝って、シャトル針を押し出す。
【0076】
図9A~
図9Cは、シャトル(210)の通常の例を示す(例えば、
図2Aに示すように)。
図9Aおよび
図9Bは、針(シャトル針)(402)、(404)の形のシャトルを示し、一方で、
図9Cは、シャトル(406)を示す。例えば、
図9Aでは、シャトル針(402)は、筒部(204)内で移動可能であるロッド部(206)によって摩擦係合されるので、雌型である。例えば、
図9Bでは、シャトル針(404)は、シャトル針(404)を係脱することが望まれると、筒部(204)によって摩擦係合され、ロッド部(206)によって遠位方向に押し込まれるので、雄型である。
【0077】
穿刺用先端を備えたシャトル針のそれぞれの場合は、穿刺用先端は、縫合される、対応する物質を刺すのに好適な任意の形を有してもよく、円錐状の先端に限定されないことに留意されたい。代わりの形には、斜角および/または尖った隆起部を有するか、3回対称、4回対称または他の対称を有するか、あるいは非対称の先端を有する様々な形が含まれる。
【0078】
図9Cでは、シャトル(406)は、中央が開口した中心部(408)を含み、ロッド部(206)の穿刺用先端(206a)は、シャトル(406)の穿刺用先端として機能するために、中心部(408)を通って延びる。ロッド部(206)は、シャトル(406)と摩擦係合するように、中心部(408)の直径と少なくとも同等の直径、通常は、それより大きい直径のものである。シャトル(406)を、ロッド部(206)と係合されているところから解放することが望まれるときは、筒部(204)が遠位方向に移動させられて、シャトル(406)をロッド部(206)から押し出すか、あるいはロッド部(206)が近位方向に移動させられて、シャトル(406)と筒部(204)との間を接触させることによって、シャトル(406)を、ロッド部と係合されているところから解放するか、あるいは前述の移動の両方の組み合わせである。
【0079】
図9A~9Cのそれぞれの任意選択では、針受渡部は、シャトルまたはシャトル針が存在しなくても、針のような尖った端部を呈するように構成されてもよい。
【0080】
図10は、シャトル針(210-1)を、その実施形態で示す。一般的な用語にすると、シャトル針は、通常は、組織を貫通するために構成される遠位端と、通常は、縫合用糸/フィラメントを係合するために中間域として構成される中央(中間)区域と、通常は、針受渡モジュールとの中間域として構成される近位端とを含む。よって、ここに例示される例では、シャトル針(210-1)は、組織を刺すための尖った先端(504)を備えた遠位端(502d)と、近位端(502p)とを含む。遠位端(502d)の鋭い先端(504)の近位に、縫合糸用中間域(506)があり、これは、縫合糸を受容してそれをシャトル針(210-1)に固定するための開口部(508)を含む。シャトル針は、側面に1つ以上の、好ましくは2つの陥凹部を含んでもよく、これらは、任意選択で互いに反対に位置する。陥凹部は、針の中央(中間)区域のみにあってもよいが、任意選択で針の他の区域にもあってもよい。1つ以上の陥凹部を有するいくつかの実施形態では、陥凹部はそれぞれ、異なる形状や形態を有してもよい。シャトル針の中央区域は、縫合用糸またはフィラメントを受容するための開口部を含んでもよい。開口部は、すり割り形状、好ましくは、一定の直径を備えた円形状、任意選択で先細りの形状を有してもよい。さらに別の実施形態では、開口部は、いくつかの直径を含み、それぞれが異なる、限定された開口深さであってもよい。
【0081】
近位方向内向きの、先細り中間ネック部(512a)は、近位方向内向きに先細りにされた、先細り近位端区域(512b)と接合する。先細り中間ネック部(512a)は、近位端区域(512b)の平坦な円形状の基部と接合する。円形状の基部(516)の直径は、中間ネック部(512a)の近位端より大きく、肩部(518)を形成する。近位端区域(512b)は、近位側は凹部(516)で終端する。以上で詳述したように、凹部(516)は、シャトル受渡部(200)のロッド部(206)の穿刺用先端(206a)を受容する。
【0082】
図11は、シャトル針(210-2)を、別の実施形態で示す。このシャトル針(210-2)は、
図10のシャトル針(210-1)と同様であり、以上の
図10と同じ番号および説明をとる同じまたは同一の要素を備える。ただし、先細り中間ネック部(512a)は、基部(514)の直径より小さい直径の、円筒状の中間ネック部(512a’)と置き換えられて、肩部(518a)を形成する。第2の肩部(518b)は、遠位端(502d)と、円筒状の中間ネック部(512a’)との接合部に形成される。側面にある凹部または平坦部(519)は、遠位端(502d)にあるシャトル針(210-2)の横側面にあってもよい。
【0083】
図12Aおよび
図12Bは、縫合糸(212)を保持する、
図11のシャトル針(210-2)を示す。開口部(506)は、例えば、丸みを付けられ(円形状)、2つの異なる直径部分(506q)、(506r)からなり、縫合糸(212)が、小径部分(506q)に通されて大径部分(506r)に延びて、大径部分(506r)は、縫合糸(212)を結び目(212a)として受容し、
図12Aに示すように、紫外線(UV)型接着剤などの接着剤(520)で充填される。代わりに、
図12Bに示すように、
図12Aと同様であるが、縫合糸(212)(大きいモノフィラメント(212b))は、球状または円筒状の切り欠き(522)を備えるように変形されて、縫合糸(212)(モノフィラメント)の「リビングヒンジ」と、小さい屈曲半径を生み出す。ここでは、縫合糸の端部の近くを取り付けるように図示されているが、同様に、シャトル針に縫合糸を取り付けるのは、縫合糸の長さに沿った任意の位置であってもよく、これには、縫合糸の開口部を通すループに取り付けることも含まれる。
【0084】
多くの場合は、縫合糸(212)は、シャトルの中間領域から横方向に出てきており、貫通用遠位先端と、シャトル保持部によって把持される近位部分とを設けることが望ましい場合は、特にそうであることに、補足的に留意されたい。シャトル受渡部が、外筒部(202)に嵌まり込む大きさのガイドチャネル内に後退されると、シャトル針および/または筒部(204)に沿って縫合糸を収容するのに、前述の、外筒部(202)と筒部(204)との間の外径の違いが役立つ。
【0085】
図13は、シャトル針(210-3)を、別の実施形態で示す。このシャトル針(210-3)は、
図11のシャトル針(210-2)と同様であり、以上の
図11と同じ番号および説明をとる同じまたは同一の要素を備える。シャトル針(210-2)とのシャトル針(210-3)の違いには、近位端部区域(512b)が含まれ、また、1つ以上の陥凹部、平坦部分、またはポリゴンパラメータ(523)が含まれてもよく、例えば、これらの要素(523)のうちの2つが互いに反対側に配置されてもよい。
【0086】
図14A~
図14Dは、代わりのシャトル針(210-4)、(210-5)、(210-6)、(210-7)を示す。
図14Aのシャトル針(210-4)は、
図10のものと同様の遠位端(502d)と、遠位端(502d)と近位端(502p)との間の隙間(530)とを含む。近位端(502p)は、円錐状の部分(534)に接する円筒状の中間ネック部(532)を含み、これは、近位方向内向きに先細りになり、凹部(516)で終端する。
図14Bのシャトル針(210-5)は、
図14Aのシャトル針(210-4)と同様である。ただし、隙間(530)が存在せず、ネック部(532)が長く、一方で、円錐状の部分(534)が短いものである。
図14Cは、
図11のシャトル針(210-2)と同様のシャトル針(210-6)を示す。ただし、円筒状の中間ネック部(512a’)は、遠端部(502d)から近位方向に延びる円錐状の部分(538)を含み、円筒状の中間ネック部(512a’)の周りに内方向に先細りの淵部を形成する。
図14Dは、
図8Aのシャトル針(210)であるシャトル針(210-7)を示し、以上に説明した説明が、ここで適用可能である。
【0087】
図15Aおよび
図15Bは、受容部(シャトル受容部)(220)の例示的な実装形態を詳細に示す。受容部(220)は、ピン(600)または他の構造によって架橋部分(120)に取り付けられ、ピン(600)または他の構造は、ヒンジ軸を定めるか、あるいは受容部(220)の展開運動または後退運動を導き、それによって、受容部(220)の回転運動が可能になる。受容部(220)は、
図15Aに示す展開位置または延伸位置と、
図15Bに示すように非展開位置または後退位置との間で受容部を移動させるアクチュエータ(226)によって、回転移動させられる。アクチュエータ(226)が(矢印(602)のとおり)近位方向に引き出されると、受容部(220)が展開位置または延伸位置(
図15A)内へと外向きに移動し、シャトル(210)を受容して係合し、そして、アクチュエータ(226)が(矢印(604)のとおり)遠位方向に押し込まれると、受容部(220)がスロット(222)(
図15B)(非展開位置または後退位置)内に移動する。アクチュエータ(226)は、例えば、ニチノールなどの形状記憶合金でできており、好ましくは、ばねとして機能する予め形成された屈曲部(226x)を含み、受容部(220)をスロット(222)内に入れ、その後退位置まで後退させる。アクチュエータ(226)は、溶接、接着剤、または、ヒダ(605)などの機械的な固定具のうちの1つ以上によって、受容部(220)のチャネル(220x)に取り付けられる。さらに、または代わりに、係止ピン(220y)がアクチュエータ(226)を所定の位置に保持する。
【0088】
スロット(222)を出て延びる受容部(220)の端部は、シャトル(210)、例えば、以上に詳述したシャトル針(210)~(201-7)のいずれかを受容して係合するためのポケット(224)を含む。ポケット(224)は、通常は、シャトル(210)の形状に対応した形状である。ここに例示される例では、リング状または筒状の形の可撓性要素(224r)は、ポケット内に押し込まれたときにシャトルを受容して係合するように位置付けられ、構成され、また、本明細書で説明するように、シャトル受渡部(200)によってシャトルを引き抜くことができるように位置付けられ、構成される。ここで例示される実装形態では、可撓性要素(224r)は、受容部(220)の少なくとも一部にわたって横方向に延びる係止ピン(224x)によって保有される。
【0089】
図15Cおよび
図15Dは、係止部材(610)が追加された、
図15Aおよび
図15Bの受容部(シャトル受容部)(220)を示す。係止部材(610)は、ワイヤなどであり、
図15Cに示すように、受容部(220)の取付端とスロット(222)の壁(222x)との間の空間(612)に入って、受容部(220)を展開位置または延伸位置に維持する。例えば、受容部(220)が(アクチュエータ(226)が矢印(614a)のとおり近位方向に移動させられることによって移動させられて)展開位置に来ると、係止部材(610)が(矢印(614b)のとおり)遠位方向に移動させられて空間(612)内に入り、受容部(220)を展開位置に留める。受容部(220)が展開し終わると、
図15Dに示すように、係止部材(610)が(矢印(618a)のとおり)近位方向に移動させられ、受容部(220)が離れると、アクチュエータ(226)が(矢印(618b)のとおり)遠位方向に移動させられ、それによって、受容部(220)が、(両矢印(619)で示すように、ピン(600)を中心として枢動または回転移動させられることによって)スロット(222)内に後退させられる。係止部材(610)は、例えば、架橋部分(120)から延びてシャフト部(110)に通され、ハンドル部(130)から制御される。係止部材(610)と係合することで、処置を施している間にアクチュエータ(226)に張力を加え続ける必要なく、受容部(220)をその展開位置で継続して確実に展開することができる。
【0090】
図15Eおよび
図15Fは、アクチュエータ要素(620)が係止部材とアクチュエータとの両方として機能する、代わりの受容部(シャトル受容部)(220-1)を示す。係止部材(620)は、例えば、架橋部分(120)からシャフト部(110)を通って延び、ハンドル部(130)から制御される。アクチュエータ要素(620)は、例えば、(
図15Fに示す)機械的なピン(220q)によって、受容部(220)のチャネル(220c)内で受容部(220)に取り付けられたワイヤであるが、これは、接着剤、溶接などによって取り付けられてもよい。アクチュエータ要素(620)は、第1の可動域を通して(矢印(622a)のとおり)遠位方向に移動させられると、受容部(220)を展開位置に移動させる。アクチュエータ要素(620)は、さらに変位されると、係止部材(610)に対応するアクチュエータ要素の厚みのある部分を、係止位置に移し、受容部(220)の取付端とスロット(222)の壁(222x)との間の空間(612)に入り、受容部(220)を所定の位置に保持する。アクチュエータ要素(620)は、予め形成された屈曲部(620x)を含み、屈曲部(620x)は、アクチュエータ要素(620)が遠位方向に押し込まれたときに、受容部(220)を展開するためのばねとして機能する。受容部(220)を展開する必要がなくなると、
図15Fに示すように、アクチュエータ要素(620)が(矢印(618b)のとおり)近位方向に移動させられ、それによって、係止部材(610)が係脱され、その後、アクチュエータ要素(620)がさらに動かされると、受容部(220)が、(両矢印(619)で示すように、ピン(600)を中心として枢動または回転移動させられることによって)スロット(222)に位置する後退位置に、非展開位置または後退位置に戻される。
【0091】
図16Aは、受容部(220)のポケット(224)を示し、一方で、
図16Bは、ポケット(224)内に係合されたシャトル針(210)を示す。ポケット(224)は、例えば、シャトル、例えばシャトル針を受容して係合する(保持する)ための3つの区域(224a)、(224b)、(224c)を含む。第1の区域は、大径区域または上側区域(224a)である。この区域(224a)は、シャトル受渡部(200)の筒部(204)とロッド部(206)とを挿入し、かつ、この区域で筒部(204)を半径方向に拡張できるような、ならびに、シャトルに沿って縫合用糸またはフィラメントを収容するための隙間を設けるような直径のものである。中部区域または中径区域(224b)は、好ましくは、シャトル針(210)の最大径を収容するような大きさであり、例えば、シャトル針(210)の最大径の部分の形状に対応するように形作られ、好ましくは、ポケット(224)内に係合されたシャトル針(210)を所定の位置に把持、あるいは保持する機構が設けられる。ポケット(224)の小径区域または下側区域(224c)は、シャトル針(210)の尖った先端を含む最遠位端を受容し、区域(224b)と(224c)との間の変わり目に形成された肩部は、それがポケット(224)内に配置されると、シャトル針(210)が遠位方向に移動するのに対するストッパとして機能する。ストッパの機能は、明らかに、多数の異なる形態で実施されることができ、ポケットは、下側の端部が開口していても、または閉口していてもよい。
【0092】
図16は、スナップまたは把持要素(224e)を備えたポケット(224-1)を示す。シャトル受容部(220)は、ここでは、可撓性材料、おそらくポリマー材料から形成され、好ましくは、中央に、ポケットを2つの部分に分けるスロット(225)を有し、それによって、スナップ(224e)がシャトル針(210)と係合するように、広がって内向きにぱちんと戻るためのばねのような動作が可能である。スナップ(把持要素)(224e)の遠位端は、好ましくは、内向きに先細りにされ、シャトル針(210)が近位方向に移動させられて後退させられると、シャトル針(210)に後退力を加えて、ポケットの2つの部分を広げることができ、したがって、スナップ(フランジ)(224e)も広げることができる。
【0093】
これらのスナップ(224e)は、ポケット(224-1)自体の壁の一部(例えば、一体)であってもよい。この「スナップ」構造によって、好ましくは、凹型の側面の有無にかかわらず、シャトル針(210)は、任意の回転方向の半径方向の位置に保持されることができる。さらに、シャトル受渡部(200)の筒部(204)は、ポケット(224-1)に挿入されている間は、外向きに拡張して、シャトル針(210)を回収することができるように設計されてもよい。
【0094】
図16Dは、シャトル針(210)がポケット(224-1)に挿入されたときのシャトル針(210)の3つの位置を示す。これらの位置には、シャトル針(210)がポケット内に挿入される「位置1」が含まれる。この運動は、シャトル針(210)が「位置2」で(矢印624で示す)スナップしてポケット(224-1)内に入るまで継続し、この地点で、解放部が作動して、シャトル受渡部がシャトル針を保持するのを解放する。これによって、シャトル受渡部を引き抜くと、「位置3」で示すように、シャトル針(210)をポケット(224-1)内に一時的に保有されたままにすることができ、ここで、縫合工程のために一時的に保持される。
【0095】
ポケット全体が可撓性である代わりとして、比較的剛性のポケットを用いて、シャトル針と係合または把持するための1つ以上の弾性要素を設けることによって、シャトル針をポケット内に一時的に保有するのを達成してもよい。
図16Eの例では、ポケット(224)は、弾性要素(224f)を含む。この弾性要素(224f)は、シャトル針(210)と係合するためのさらなる力をもたらす。ばね(224f)は、通常はエラストマー材料から、または超弾性形状記憶合金から形成されたOリング、金属Cリング、あるいはシャトル針をポケット(224)の内側に確実に係合する任意の他の金属またはポリマー要素であってもよい。シャトル受容部(220)の材料に応じて、
図1の変形実装形態で図示するように、一体型スプリングリーフ(224g)によって、1つ以上の弾性要素がポケットの部材と一体に形成されてもよい。
【0096】
図17は、シャフト部(110)の例示的な実装形態を示す。この例では、シャフト部(110)は、シャフト包囲部(110x)を含み、シャフト包囲部(110x)はシャフトインサート(110y)を支持し、シャフトインサート(110y)は、縫合糸コンベヤ管腔および抽気筒部を収容する多管腔管として実装されてもよい。シャフトインサート(110y)は、チャネル(110y-1)を含み、チャネル(110y-1)は、外筒部(202)を支持することによって、シャトル受渡部(200)を支持し、それによって、アクチュエータ(226)がシャフトインサート(110y)に沿って(両矢印(652)のとおり)近位方向に、および遠位方向に移動可能であるように、(両矢印(650)で示すように)近位方向に、および遠位方向に移動可能である。縫合糸管状コンベア(110y-2)は、縫合糸(212)がそこを通るのを容易にする。抽気筒部(228)も、シャフトインサート(110y)によって支持される。
【0097】
図18は、可撓性連結具(140)を示し、これは、好ましくは、回転可能な関節部の一部も形成し、その近位端(140p)で架橋部分(120)に回転可能に接続され、その遠位端(140d)でダイレータ(150)に回転可能に接続される。ここで例示される実装形態では、可撓性連結具(140)は、筒部連結具(702)を含み、筒部連結具(702)は、架橋部分(120)の遠位端に取り付けられる。筒部連結具(702)は、外筒部(704)にも取り付けられる。筒部連結具(702)は、通常は、ニチノールなどの超弾性ワイヤ、あるいは他の可撓性金属またはプラスチックでできた、中央可撓性部材(706)を受容する。この非限定的な例では、中央可撓性部材(706)は、連結具にわたって一次機械式連係を形成し、一方で、筒部連結具(702)は、架橋部分(120)とダイレータ(150)との間に連続平滑管状を設ける。中央可撓性部材(706)は、ダイレータ(150)内に中央に延びる。筒部連結具(702)と中央可撓性部材(706)との間の旋回軸受(708)によって、ハンドル部(130)と縫合モジュール(102)(シャフト部(110)と架橋部分(120))が、可撓性連結具(140)とダイレータ(150)を中心として回転することができ、これは、シャトルを(ポケット(224)内で最初にシャトルを係合させたところから)後退させて、その後、ポケット(224)内でシャトル(210)をシャトル係合させるために、縫合モジュールを位置変更するためである。
【0098】
本発明が実施されるある特に好ましい実装形態によれば、例えば、血管閉塞用装置の観点から、装置は、有利には、ダイレータ(150)と一体化され、ダイレータ(150)は、シャフト部(110)と架橋部分(120)とのために、血管内へのアクセ部位を拡張するのに役立つ。ここで図示されるように、ダイレータ(150)は、ダイレータ(150)を可撓性連結具(140)と接合するための中央連結具(720)を含む管状構造である。ダイレータ(150)では、任意選択で、中央連結具(720)とダイレータ外筒部(722)との間に、旋回軸受(708)がある。ダイレータ(150)は、血管内に挿入されると、血管の方向と並べられ、通常は、縫合装置の長手方向軸に対して約45度である。可撓性連結具(140)の一方または両方の端部における回転可能な接続部によって、縫合装置の回転を容易にし、ダイレータが血管と並んだままで、通常は回転しないで、円形状の縫合パターンを形成する。しかし、可撓性連結具(140)は、血管内に挿入され、および取り出される間に、架橋部分(120)からの軸方向の力を伝導して、ダイレータ(150)を引き出し、または押し込むべきである。同時に、例えば、好ましくは、ダイレータ(150)が血管に位置付けられた後に、可撓性部材(140)は、例えば、ダイレータ(150)を回転させることなく、その作用線を中心として架橋部分(120)を回転させることができる。
【0099】
架橋部分(120)と可撓性連結具(140)の外筒部(704)とは、例えば、互いに対して軸方向に並ぶ。架橋部分(120)、可撓性連結具(140)の外筒部(704)、およびダイレータ(150)の外筒部(722)の面は、この例では、互いに同一平面上にあり、平滑な管面を有する。ダイレータ(150)を縫合モジュール(102)と接続するのは、可撓性連結具(140)を介して実施されるが、これによって、例えば、ダイレータ(150)自体は、通常は架橋部分(120)に対して約45度で血管内に並ぶことができる。可撓性連結具(140)は、例えば、架橋部分(120)からの軸方向の力を伝導して、ダイレータ(150)を血管内に押し込み、または引き出す。ダイレータ(150)と架橋部分(120)とが血管内に配置されると同時に、可撓性連結具(140)は、ダイレータ(150)を回転させることなく、縫合モジュール(102)をダイレータ(150)を中心として回転させることができる。
【0100】
図19A~
図19Eは、可撓性連結具(140)を介した、架橋部分(120)とダイレータ(150)との間の様々な回転可能な連結具の概略図を示す。様々な回転は、
図19A~
図19Eのそれぞれの矢印に従う。
【0101】
図19Aは、架橋部分(120)とダイレータ(150)との固定結合部を有する可撓性部材としての可撓性連結具(140)を示す。可撓性部材は、例えば、ニチノールなどの形状記憶合金でできており、半径方向の力および半径方向のトルクを伝導するのに役立つ。
【0102】
図19Bは、中央球状ボールソケット軸受(140f)を備えた可撓性関節部(140)を含む可撓性連結具(140)を示す。この構成によって、ダイレータ(150)が固定されたままで、架橋部分(120)が回転することができる。
【0103】
図19Cは、可撓性連結具とダイレータ(150)との間の旋回軸受取付具(708)を示し、一方で、架橋部分(120)と可撓性連結具との間の結合部は「固定」されている(すなわち回転不可能)。
【0104】
図19Dは、架橋部分(120)の旋回軸受取付具(708’)と、ダイレータ(150)への固定接続部とを示し、ダイレータ(150)が固定されたままで、架橋部分(120)が回転することができる。よって、
図19Cおよび
図19Dは、それぞれ、
図18の可撓性関節構成の簡略化した(部分的な)実装形態に対応し、これは、可撓性連結具の両端に旋回関節部を含んでいた。
【0105】
図19Eは、架橋部分(120)とダイレータ(150)とに中央球状ボールソケット軸受(752)、(754)を備えた、可撓性関節部(140)を示す。球状軸受(752)および(754)との間の接続ロッド部は、可撓性であっても、または剛性であってもよい。この構成では、ダイレータ(150)に対する架橋部分(120)の回転は、球状軸受(752)および(754)の一方または両方によって収容されることができる。
【0106】
図20および
図21は、ハンドル部(130)を示す。ハンドル部(130)は、シャトル(シャトル針)を挿入および後退させるための制御機構として、ならびに、受容部(220)を展開させる、および後退させることが望ましいときに、シャトル受容部(220)を、架橋部分(120)のスロット(222)内に入れ、そこから出すように移動させるために、アクチュエータ(226)を移動させるための制御機構として機能する。
【0107】
ハンドル部(130)は、本体部(802)を含み、本体部(802)は、シャフト部(110)(図示せず)を受容して、シャフト部(110)に取り付けられる。シャトル受容部が後退可能である実施形態において、ハンドル部(130)は、通常は、シャトル受容部を展開させる、および後退させるのを制御するための係止可能な摺動子(図示せず)または他のアクチュエータを有する。好ましくは、シャトル受渡部を遠位方向に、および近位方向に変位させるために、第1のノブ(804)がシャトル受渡部に関連付けられ、一方で、シャトル受渡部とシャトルの解放を達成するように、あるいは再度係合を可能にするように、第2のノブ(または押しボタン)(806)が、シャトル保持部とシャトル解放部の相対運動を作動させた。シャトルが通される間の縫合モジュール(102)の回転または他の運動は、ハンドル部(130)全体の運動によって達成されてもよい。ハンドル部(130)は、縫合モジュール(102)の制御を実施するのに必要とされる範囲でここで説明したが、当業者が容易に実施することができるものである。
【0108】
図22Aは、縫合器(100)用の代わりの縫合モジュール(102-1)を示す。このモジュール(102-1)は、一体型シャトル(針)受容部(220’)を含み、これは、シャトル(針)受容部(220)と同様のものであるが、モジュール(102-1)と一体型である。シャトル受渡モジュール(200)は、変更を加えた架橋部分(120)と一体化され、一体型針受容部(220’)と並べられ、それによって、以上の
図2Cに示すものと同等の機能をもたらす。変更を加えた架橋部分(120)は、縫合モジュールの回転の中心を規定する機構として機能し、可撓性関節部(140)に対して回転可能であるか、あるいは上記で詳述したように、少なくともダイレータに対して回転可能である。装置のこの実施形態および他の実施形態は、回転の有無にかかわらず、変位構成要素を用いたパターンで縫合するためにも使用されてもよい。
【0109】
図22Bは、代わりの縫合器(100-1)を示す。この縫合器(100-1)は、上記の
図1について上記で説明したような縫合モジュール(102)を含むが、これは、架橋部分から延びる短い直線シャフト区分(110x1)を含む。区分(110x1)は、内部縫合部材の直線運動のために構造されて配置され、シャフト部(110x2)は、アクチュエータ、エフェクタ、管部などのすべてを含む。シャフト部(110x2)は、例えば、低侵襲外科的処置を施すために、湾曲した、あるいは回旋した経路を介して体内の位置に挿入するのに好適な可撓性シャフト部として構成される。可撓性シャフト部は、可撓性材料から形成されてもよく、および/または、図示するように、区分間の屈曲部を収容する、連結された、または屈曲可能に相互接続された区分からなる構造を用いてもよい。装置は、当該技術分野で公知であるように操舵機構を含むことによって操舵可能であってもよい。
【0110】
処置-縫合過程
1.シャトル挿入
図23A~
図23Gに注目するが、これらは、シャトル挿入過程を示す。筒部(204)とロッド部(206)の運動は、
図24A~
図24Eの断面図でも特に明らかにわかる。縫い目を形成する、縫合作業の第1の部分であるシャトル挿入過程を説明する上で、図面の
図1A~
図22Bの要素について、以上に提示した要素の説明と合わせて参照を行う。
【0111】
図23Aは、シャトル挿入過程および縫合糸挿入過程の第1のサブ過程である。
図2Bに示すように、縫合糸(212)は、シャトル針(210)と接合され、シャトル受渡部(200)は、シャフト部(110)内に後退させられる。架橋部分(120)の一部は、組織、例えば血管(1002)内に挿入されており、この部分は、例えば、少なくともシャトル受容部(220)と、抽気筒部(228)のポート(227a)とを含む。血液が、シャフト部(110)にある抽気筒部(228)のポート(227a)を出ると、血管(1002)にある架橋部分(120)の位置が確認されることができる。シャトル受容部(220)が展開されるか、あるいは延伸位置にあり、シャトル針(210)を受容する。従来の挿入処置によって、架橋部分(120)、可撓性関節部(140)およびダイレータ(150)が、血管(1002)内に挿入されている。
【0112】
図23Bおよび
図24Aは、次のサブ過程を示し、ここで、シャトル受渡部(200)、例えば筒部(204)(およびロッド部(206))で係合されているシャトル針(210)が(縫合糸(212)を伴って)、シャトル受容部(220)に向かって遠位方向に進められる。
【0113】
少なくとも筒部(204)が遠位方向に移動されることによって、シャトル針(210)が進められ続け、それによって、
図23Cに示すように、シャトル針(210)の遠位端(210d)にある尖った先端が組織に接触し、最終的には、
図23Dに示すように、組織、例えば血管壁(1002)を刺して貫通する。さらに、
図23Dにおいて、シャトル針(210)が、シャトル受容部(220)のポケット(224)に挿入され、シャトル針(210)が、遠位端(210d)の先端まで遠位方向に移動され続けると、ポケット(224)の小径区域(224c)に着き、シャトル針(210)が遠位方向に移動するのに対する「ストッパ」として機能する。ここで、例えば、
図16Aおよび
図16D(位置2)で示すように、シャトル針(210)は、例えば、摩擦力によって、シャトル受容部(220)のポケット(224)内に係合される。これは、
図24Bの状態に対応する。この時点で、シャトルは、シャトル受渡部によって解放される。ここで図示される例では、これは、ロッド部(206)が、シャトル針(210)の近位部分と係合するまで進めることによって達成され(
図24C)、その後、ロッド部(206)が、遠位方向に押して、シャトル針(210)をポケットに保持している間に、筒部(204)を引き抜く(
図24D)。その後、シャトル針をシャトル受容部のポケットに残したまま、シャトル受渡部(200)が引き抜かれることができる。この説明は、シャトル受渡部(200)の保持部および解放部の特定の非限定的な実装形態にも適用されることに留意されたい。代わりの実装形態によると、対応する段階、例えば、
図5A~
図5Cおよび
図6A~
図6Dを参照して以上に図示されるものなどは、当業者には明らかであろう。
【0114】
筒部(204)およびロッド部(206)は、
図23Fに示すように、血管(1002)および組織外に出て、
図24Gに示すように、完全に後退されて外筒部(202)およびシャフト部(110)内に入るまで近位方向に後退され続ける。
図23E、
図23Fおよび
図23Gに示すように、縫合糸(212)を保持するシャトル針(210)は、以上で説明したように、摩擦力によってシャトル(針)受容部(220)のポケット(224)内に係合(保持または把持)される。
【0115】
図24Fは、代わりの過程を示し、ここで、シャトル針(210)は、シャトル受渡部(200)によってシャトル受容部(220)のポケット(224)内に配置される代わりに、シャトル受容部(220)は、この過程に関与しない。むしろ、シャトル針(210)は、縫合糸(212)を伴って、物質(1003)内に配置され、物質(1003)は、縫合される物質であっても、あるいは何らかの他のすぐ傍の物質であってもよい。シャトル針(210)は、その後、縫合糸(212)のアンカーとして機能してもよい。これは、縫合過程の最後の工程として使用されてもよく、ここで、シャトル針は、縫合糸の端部のアンカーとして組織に留まる。
【0116】
2.シャトル後退
図25A~
図25Gに注目するが、これらは、シャトル後退過程を示す。ロッド部(206)と筒部(204)と対応する作業は、
図24A~
図24Eの状態と逆順で対応すると理解されることができる。縫い目を形成する、縫合作業の第2の部分であるシャトル後退過程を説明する上で、図面の
図1A~
図22Bの要素について、以上に提示した要素の説明と合わせて参照を行う。
【0117】
図25Aにおいて、縫合糸(212)は、シャフト部(110)から出され、架橋部分(120)とシャフト部(110)とは、(
図23Gに示す位置から)回転させられており、それによって、シャトル受渡部(200)と、外筒部(202)、筒部(204)およびロッド部(206)とは、シャトル受容部(220)のポケット(224)と並べられ、ポケット(224)は、縫合糸(212)を保持するシャトル針(210)と係合(保持または把持)する。
【0118】
シャトル受渡部(200)、すなわち、外筒部(202)、筒部(204)およびロッド部(206)は、ここで、
図25Bに示すように、シャフト部(110)外に出て遠位方向に移動させられることによって後退させられる。ロッド部(206)の穿刺用先端(206a)が組織および血管(1002)を刺している間は、遠位方向に移動させられ続け、
図25Cに示すように、ロッド部(206)に続いて筒部(204)も遠位方向に移動させられる。
【0119】
図25Dに示すように、ロッド部(206)と筒部(204)とは、ポケット(224)に挿入されて、ロッド部(204)は、シャトル針(210)と凹部(302)で接触し、筒部(204)は、シャトル針(210)と摩擦係合する。筒部(204)とシャトル針(210)のこの摩擦係合は、十分に強い力を備え、それによって、筒部(204)とロッド部(206)とは、近位方向に移動させられることによって後退させられたときに、シャトル針(210)とポケット(224)の係合を引外すのに十分な力で、シャトル針(210)が、筒部(204)によって把持され、係合される。
【0120】
図25Eにおいて、筒部(204)とロッド部(206)とは、例えば、摩擦力によって筒部に把持(係合)されたシャトル針を伴って近位方向に移動させられることによって後退させられ、それによって、シャトル針(210)は、縫合糸(212)を伴って後退させられる。
図25Fに示すように、筒部(204)、筒部(204)、ロッド部(206)、および任意選択で外筒部(202)に係合されたシャトル針(210)が近位方向に移動させられると、後退させられ続ける。
図25Gに示すように、ここで、それらの要素がすべてシャフト部(110)の内側に来ると、筒部(204)、筒部(204)、ロッド部(206)、および任意選択で外筒部(202)に係合されたシャトル針(210)の近位方向への移動が完了する。完了済みの後退の詳細図は、
図25Hに示す。
【0121】
ここで、器具(100)は、
図23Aに示すものの位置および向き、あるいはそれらと同様の位置および向きに戻されて、その次の、すなわちその後の縫合を行ってもよい。
【0122】
図26A~
図26Eは、
図23A~
図25Hの縫合過程によって生成された様々な縫合パターンを示し、これらは、好ましくは、偶数の縫合(貫通)点を含む。
図26Aは、巾着縫合パターン(PSS)を示し、好ましくは偶数の縫合点があり、通常は少なくとも4つの縫合点がある。
【0123】
図26Fは、走り縫いを形成する際の、より具体的には、螺旋縫合を形成する際の、1~5で表示された段階を示し、ここで、縫い目のいくつか、またはすべてが、切開部または創部の2つの側面間、あるいは横に並べられた2つの物質の隣接縁間を横切り、連続する縫い目間の相対運動によって、装置が、物質の縁部に沿って進められる。また、縫合糸の一方または両方の端部を固定するための任意選択の手法がここに例示されているが、他の文脈においても適用可能であり、これは、物質上の密接位置で貫通を繰り返すことによって、重なり合う複数の縫い目を施し、それによって、縫合糸の端部のセルフロックまたは結び目による固定を達成する。結び目は、ここで(212k)で表示される。この手法は、縫合糸の始まりまたは終わりのいずれか、あるいはその両方で使用されてもよい。
【0124】
図27~
図27Cは、代わりの実施形態を示し、ここで、器具(100)は、針受渡部(200)の一部として予圧部材(1102)を含む。予圧部材(1102)は、針(210)を、縫合される媒体に通して何らかの挿入または後退させる前に作動してもよい。予圧部材(1102)の遠位端(1102a)は、例えば、血管壁などの管面に異なる角度で挟持力を実施することができる球状の形状を有する。
図27Aにおいて、縫合モジュールが最初の位置にある、血管(1002)の断面を示す。
図27Bにおいて、血管(1002)壁が挟持される。
図27Cにおいて、縫合が実施される。
【0125】
例えば、
図28に示すように、針挿入過程の一部として、針(210)は、押出ロッド部(206)によって針受容部(200)の内側に保持されることが示される。針受渡部(200)(すなわち、筒部(204))が後退している間に、予圧部材(1102)が、縫合動作を開始する前に作動して、縫合される媒体を所定の位置に係止し、挟持部材として作業する。
【0126】
図29A~
図29Eは、
図27A~
図27Cの器具(100)の縫合用糸搬送作業を詳述する。縫合用糸は、例えば、縫合機構(102)に、通常は、シャフト部(110)によって隠れた第1の穿刺点に搬送される(送られる)。縫合孔、例えば血管の孔を形成するのに使用されると、器具(100)の回転アクセスの近位にある、シャフト部(110)のアクセス孔(114)で、搬送経路は終了する。糸(212)は、通常は、シャフト部(110)のアクセス孔(114)から、縫合機構(102)の近位側の針(210)に回される。これは、円形状の縫合パターンを実施している間に器具(100)の回転運動と反対にある側である。この構成によって、器具(100)に自由回転をもたらし、縫合用糸(212)を引っ張って器具(100)のシャフト部(110)に通して第1の穿刺点に渡す必要はない。
図29Aは、糸を搬送するための最初の状態を示す。
図29Bは、例えば、針(210)が針受渡部(220)に移動させられる第1の穿刺点の実装形態を示す。
図29Cは、新たな穿刺点で回転(例えば時計回り)させられている縫合機構(102)を示す。
図29Dは、新たな穿刺点が実装されることを示す。
図29Eは、第2の穿刺点で引き出される針(210)と、それに接続された縫合糸(212)とを示す。
【0127】
図30A~
図30Cは、縫合糸を搬送するための順序を示す。例えば、円形状の縫合パターン、任意選択で巾着縫合(PSS)パターンを進める縫合機構(102)の3次元図を示す。縫合用糸(212)は、中央に位置する送り孔に通されて第1の穿刺点に回されて送られ、縫合糸が進められている間に器具(100)(例えば、シャフト部(110)および架橋部分(120))の周りに糸が巻かれる、または捩れるのを阻止する。
図30Aは、第1の穿刺点の実装形態を示す。
図30Bは、第3の穿刺点の実装形態を示す。
図30Cは、第6の穿刺点の実装形態を示す。この順序は、ここでは任意に、予圧部材(1102)を有する縫合機構の例で例示されているが、このような予圧部材を備えていない実装形態にも同様に適用される。
【0128】
代わりに、他の部材、組立体および方法を使用して、縫合用糸を第1の穿刺点に搬送してもよい。例えば、糸(212)は、シャフト部(110)に沿って自由に回されてもよい。糸(212)は、シャフト部(110)に一時的につけられてもよく、通常は、回転中にシャフト部(110)から離れてもよい。糸は、シャフト部(110)の一部ではない管路に通されて回されてもよい。管路は、シャフト部(110)に一時的につけられてもよく、通常は、シャフト部(110)の回転中にシャフト部(110)から離れる。前述の管路は、リング状のヒンジを使用することによってシャフト部(110)に接続されてもよい。
【0129】
別の代替案は、縫合糸(212)を、孔(214)を介してシャフト部(110)に直接通して搬送することである(
図2A)。縫合機構(102)に近接し、かつ、器具(100)の回転線に近接した、シャフト部(110)にある孔によって、円形状の縫合を実施している間に、シャフト部(110)と針(210)との間に引き回し線が設けられる。
【0130】
図31A~
図31Cは、縫合糸回収過程における、
図267~
図27Cの器具(100)を示す。縫合を完了した後に、シャトル針(210)を回収する前に、針受渡部(200)は、縫合糸(212)に接続された針(210)を伴って、外向きに引き出されて、シャフト部(110)の、弾性部材(1118)などの内部係止部材が隠れている地点まで来てもよく、拡張されるか、あるいは変位されて、針(210)が逆向きに移動するのを妨げる。
図31Aは、針(210)が受容部(220)から最初に後退される際の縫合糸(212)を示す。
図31Bは、針(210)が、後退を完了し、係止部材(1118)、例えばばねが、針(210)がさらに遠位方向に移動するのを妨げている、シャフト部(110)の縫合糸(210)を示す。よって、係止部材(1118)は、シャトルロックとして機能し、シャトル針(210)がシャフト部から解放されるのを阻止し、使用者は、シャトルがシャトル受渡部(200)から離れてしまう恐れがあると懸念することなく、縫合糸に、シャフト部の軸方向に相当な張力を加えることができる。
図31Cは、針(210)に接続された縫合用糸(212)が、可撓性部材(1118)によって、(縫合糸(212)は、矢印(1120)の方向に、近位方向に移動させられるので)シャフト部(110)の内側に固定されることを示す。
【0131】
器具(100)の代わりの実施形態には、ロボット操作可能または手動操作可能なシャトル受渡部と、ロボット操作可能または手動操作可能なシャトル受容部とを含むものが含まれる。それぞれの受渡部/受容部は、第1/第2の位置で互いに反対に並べることができる。これは、例えば、2つのロボットサブシステムによって空間照合で、あるいは画像装置を使用することによってのいずれかで達成され、ロボットサブシステムを、組織の位置に対して手動で並べることができる。
【0132】
本発明の縫合機構は、血管閉塞用装置の観点から、以上に例示されているが、本発明の縫合機構は、他の観点で、他の処置のために容易に実施されることができ、これには、1つの物質の切開部、創部または傷部を閉塞すること、1つの物質の形状または他の特性を変更すること、重なり合って配置された2つ以上の物質を、両方の層に通して縫合することによって取り付けること、異なる物質の同じ種類または本体のものであり得る、物質の2つの領域の2つの縁部を結合すること、および、密接に物質に通して渡すのを繰り返して、重なり合った縫い目を形成して、物質に縫合糸を固定することが含まれるが、これらに限定されない。上記のあらゆるすべての当該物質は、天然の生体組織であってもよく、あるいは任意の他の物質であってもよい。装置および方法は、人工物または人口物質と、生体組織を相互接続するために縫合を行ってもよい。
【0133】
本発明の縫合装置を使用して実施するのに好適な別の1組の処置は、冠状動脈処置であって、これには、(PFO)卵円孔開存、(ASD)心房中隔欠損、および他の種類の構造心疾患が含まれるが、これらに限定されない。
【0134】
本開示の主題は、様々な心臓血管処置にも適用可能であり、これには、左心耳閉鎖術(LAAO)、左心耳閉鎖(LAAC)、(AAAまたはEVAR)動脈瘤修復、および、より一般的には、経カテーテル大動脈弁修復、および、低侵襲心尖閉塞もしくは低侵襲左心室修復が含まれるが、これらに限定されない。
【0135】
開示の主題は、広範囲の低侵襲処置にも適用可能であり、内視鏡処置、腹腔鏡処置、胃内視鏡検査処置、耳鏡処置、および低侵襲性婦人科処置中の縫合作業が含まれるが、これらに限定されない。
【0136】
開示の主題を、その具体的な実施形態と共に説明したが、多くの代替、修正および変形が当業者にとっては自明であることは、明らかである。したがって、添付の特許請求の範囲の精神および広い範囲内に入るすべてのそのような代替、修正および変形を包含することが意図されている。
【国際調査報告】