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特表2022-544465高無機充填剤含有量およびヒドロキシル官能性有機ポリシロキサンを含むPVC配合物
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  • 特表-高無機充填剤含有量およびヒドロキシル官能性有機ポリシロキサンを含むPVC配合物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-19
(54)【発明の名称】高無機充填剤含有量およびヒドロキシル官能性有機ポリシロキサンを含むPVC配合物
(51)【国際特許分類】
   C08L 27/06 20060101AFI20221012BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20221012BHJP
   C08K 3/26 20060101ALI20221012BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20221012BHJP
   C08L 83/06 20060101ALI20221012BHJP
   B29B 7/38 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
C08L27/06
C08K3/013
C08K3/26
C08K3/34
C08L83/06
B29B7/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506687
(86)(22)【出願日】2020-08-06
(85)【翻訳文提出日】2022-02-01
(86)【国際出願番号】 US2020045121
(87)【国際公開番号】W WO2021026302
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】62/883,839
(32)【優先日】2019-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ネルカール、マノジ
(72)【発明者】
【氏名】チョルバス、イゴール
(72)【発明者】
【氏名】クオ、ハイラン
【テーマコード(参考)】
4F201
4J002
【Fターム(参考)】
4F201AA15
4F201AB11
4F201AB16
4F201BA01
4F201BC01
4F201BD05
4F201BK02
4F201BK13
4F201BK26
4J002BD031
4J002CP062
4J002DE137
4J002DE236
4J002DJ046
4J002FD016
4J002FD047
4J002FD067
4J002FD097
4J002FD137
4J002FD177
4J002FD187
4J002FD207
4J002FD327
4J002GC00
4J002GL00
4J002GN00
4J002GQ00
4J002GQ01
4J002GT00
(57)【要約】
ポリマー複合体物品を調製するためのポリ塩化ビニル(PVC)組成物および方法。組成物は、(A)47.5~75重量%の量の無機充填剤を含む。組成物はまた、(B)25~50重量%未満の量のPVCポリマーであって、(A)無機充填剤の量が、(B)PVCポリマーの量よりも多い、PVCポリマーも含む。さらに、組成物は、(C)0超~5重量%の量のオルガノポリシロキサンであって、(C)オルガノポリシロキサンが、少なくとも1つのケイ素結合ヒドロキシル基および25℃で1,000~60,000mPasの粘度を有する、オルガノポリシロキサンを含む。成分(A)~(C)の範囲は、組成物中の成分(A)、(B)、および(C)の総重量に基づく。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー複合体物品を調製するためのポリ塩化ビニル組成物であって、前記組成物が、
(A)47.5~75重量%の量の無機充填剤と、
(B)25~50重量%未満の量のポリ塩化ビニルポリマーであって、前記(A)無機充填剤の量が、前記(B)ポリ塩化ビニルポリマーの量よりも多い、ポリ塩化ビニルポリマーと、
(C)0超~5重量%の量のオルガノポリシロキサンであって、前記(C)オルガノポリシロキサンが、少なくとも1つのケイ素結合ヒドロキシル基および25℃で1,000~60,000mPa・sの粘度を有する、オルガノポリシロキサンと、を含み、
各々が、前記組成物中の成分(A)、(B)、および(C)の総重量に基づく、ポリ塩化ビニル組成物。
【請求項2】
(i)前記(C)オルガノポリシロキサンが25℃で液体として存在するか、(ii)前記(C)オルガノポリシロキサンが25℃で2,000~50,000mPa・sの粘度を有するか、または(iii)(i)および(ii)の組み合わせである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記(C)オルガノポリシロキサンが、以下の平均単位式を有し、
[R 3-n(OH)SiO1/2a’[R 2-m(OH)SiO2/2b’[RSiO3/2c’[SiO4/2d’
式中、各Rが独立して選択されたヒドロカルビル基であり、nが0、1、2、または3であり、mが0、1、または2であるが、ただし、nおよびmが同時に0ではないことを条件とし、0<a’<1、0<b’<1、0≦c’≦0.1、かつ0≦d’≦0.1であるが、ただし、a’+b’+c’+d’=1であることを条件とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記(C)オルガノポリシロキサンが、以下の平均単位式(I)または(II)を有し、
[R 3-n(OH)SiO1/2a’’[R 2-m(OH)SiO2/2b’’(I)
式中、各Rが独立して選択されたヒドロカルビル基であり、nが0、1、2、もしくは3であり、mが0、1、もしくは2であるが、ただし、nおよびmが同時に0ではないことを条件とし、0<a’’<1、0<b’’<1であるが、ただし、a’’+b’’=1であることを条件とするか、または
3-x(OH)SiO[SiR O]c’’Si(OH) 3-y(II)
式中、各Rが独立して選択されたヒドロカルビル基であり、xが0、1、2、もしくは3であり、yが0、1、2、もしくは3であるが、ただし、xおよびyが同時に0ではないことを条件とし、c’’が60~1,200である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項5】
(i)前記(A)無機充填剤が50~65重量%の量で存在し、(ii)前記(B)ポリ塩化ビニルポリマーが35~50重量%未満の量で存在し、(iii)前記(C)オルガノポリシロキサンが0.1~2.5重量%の量で存在する、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
(i)前記(A)無機充填剤が52~60重量%の量で存在し、(ii)前記(B)ポリ塩化ビニルポリマーが40~48重量%の量で存在し、(iii)前記(C)オルガノポリシロキサンが0.25~2.0重量%の量で存在する、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記無機充填剤が、炭酸カルシウム、タルク、およびそれらの組み合わせから選択される、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
着色剤、発泡剤、UVおよび/または光安定剤、加工助剤、防腐剤、殺生物剤、難燃剤および/または煙抑制剤、衝撃改良剤、熱安定剤、ならびに潤滑剤から選択される1つ以上の添加剤をさらに含む、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物を調製する方法であって、
(A)前記無機充填剤と、(B)前記ポリ塩化ビニルポリマーと、(C)前記オルガノポリシロキサンと、を組み合わせ、それにより、前記組成物を調製することを含む、方法。
【請求項10】
ポリマー複合体物品を調製する方法であって、
請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物から前記ポリマー複合体物品を調製することを含む、方法。
【請求項11】
前記方法が、
高温で前記(A)無機充填剤と、前記(B)ポリ塩化ビニルポリマーと、前記(C)オルガノポリシロキサンと、を混合しながら組み合わせて、流動性混合物を得ることと、
前記流動性混合物から前記ポリマー複合体物品を形成することと、を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
(i)前記(C)オルガノポリシロキサンが、前記流動性混合物を(C)オルガノポリシロキサンと組み合わせるときに液体である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
(i)前記組成物から前記ポリマー複合体物品を調製することが、前記組成物を所望の形状に形成することをさらに含むか、(ii)前記組成物から前記ポリマー複合体物品を調製することが、前記組成物を押し出すことを含むか、(iii)前記組成物から前記ポリマー複合体物品を調製することが、前記組成物を成形することを含むか、または(iv)(i)~(iii)の任意の組み合わせである、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
押出機で行われ、(i)前記押出機内の前記組成物の押出加工温度が、前記(C)オルガノポリシロキサンを含まない前記(A)無機充填剤と前記(B)ポリ塩化ビニルポリマーとの混合物の押出加工温度と比較して低減され、かつ/または(ii)前記組成物を混合するときの前記押出機のトルクが、前記(C)オルガノポリシロキサンを含まない前記(A)充填剤と前記(B)ポリマーとの混合物を押し出すときの前記押出機のトルクと比較して低減される、請求項9~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
請求項9~14のいずれか一項に記載の方法によって調製される、ポリマー複合体物品。
【請求項16】
前記物品が、デッキ、手すり、サイディング、フェンス、窓枠、床材、タイル、および幅木からなる群から選択される、請求項14に記載のポリマー複合体物品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ポリ塩化ビニル(PVC)組成物に関し、より具体的には、ポリマー複合体物品を調製するためのPVC組成物、PVC組成物およびそれを用いたポリマー複合体物品を調製する方法、ならびにそれにより形成されたポリマー複合体物品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマー複合体物品は、当技術分野で知られており、様々な最終使用用途に利用される。ポリマー複合体物品は、物理的および機械的特性を含む、ポリマー複合体物品に関連するコストおよび望ましい特性に起因して、消費者に人気が高まっている。
【0003】
PVC産業では、複合体物品に充填剤を含めることが、一般的である。充填剤は、比較的安価であり、多くの場合、コストを下げるために使用される。そのような複合体物品は、典型的には、充填剤とPVCとを完全に混合して、混合物を得ることによって生成される。しかしながら、高レベルの充填剤は、複合体物品の特性に悪影響を与え得る。例えば、大量の充填剤は、密度、伸びパーセント(%)、衝撃強度、表面仕上げ、溶融流動、溶融粘度、溶融強度、加工性などの重要な特性に影響を与え得る。
【0004】
PVCの性質により、それは、それ自体で処理されることはできない。安定剤、加工助剤、潤滑剤などの他の添加剤は、ポリマーの加工性および性能を得るために必要とされる。典型的には、これらの添加剤は、ドライブレンドを作成するために高速混合機/ブレンダー中で混合され得る。高い充填剤レベルは、均一なドライブレンドを形成することを困難にする。系は、多くの場合、ほこりで汚れ、取り扱い困難になる。充填剤はまた、混合機の壁およびブレードに付着する傾向があり、その結果、ブレンド中の充填剤の所望の量が少なくなる。充填剤が付着することはまた、機器の洗浄時間も増加させ、次のバッチの汚染も増加させ得る。
【0005】
従来の低コストの有機加工助剤は、より速い生産速度を達成するために高充填量を必要とし、それにより、コストおよび/または性能特性に影響を与えるという欠点を一般に抱えている。加えて、多くの従来の加工助剤は、特に高温での使用において、複合体物品の物理的特性に悪影響を及ぼし、機械的特性(耐衝撃性、曲げ強度、曲げ弾性率)を低減させる可能性がある。従来の加工助剤はまた、ポリマー複合体物品から移行し得、したがって、時間の経過と共に、物理的特性、外観、感触、外側被覆成形する能力、共押出する能力、ポリマー複合体物品の表面に付着する能力、表面を印刷する能力、および表面を塗装する能力などの、ポリマー複合体物品の1つ以上の特性に悪影響を与える。加えて、有機加工助剤のいくつかは、より高い適用温度で揮発し、ポリマー複合体物品における形成または気泡および亀裂を引き起こす可能性があり、これらの物品の長期性能を損なう可能性がある。
【0006】
高い充填剤レベルはまた、ポリマー系の密度を増加させる傾向にある。増加した密度は最終的な複合体物品の重量を増加させ、次に関連する輸送コストを増加させ得る。発泡する際に、高い充填剤レベルはまた、ポリマーの膨張を抑制する。
【0007】
高い充填剤レベルは、典型的には、ポリマー系を剪断感受性にする。これらの系は、より高いシアシニング(shear thinning)挙動を実証する。
【0008】
無機充填剤の使用は、炭含有量を増加させ、煙および炎の特性を改善する可能性がある一方で、伸びパーセント(%)および衝撃強度などの機械的特性は、多くの場合、減少する。
【0009】
現在のPVC組成物は、別の利益のために少なくとも1つの特性の犠牲を必要とする。例えば、PVC組成物は、衝撃強度を改善するように配合され得るが伸びパーセント(%)を低下させることになるか、または表面仕上げを改善するがスループットを低下させることになるか、または所望の密度を提供し得るが他の物理的特性に影響を与えることになる。
【0010】
上記の問題のうちの1つ以上に対処する高い充填剤含有量を有するポリマー系を提供することが、望ましいであろう。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、ポリマー複合体物品を調製するためのPVC組成物を提供する。組成物は、(A)47.5~75重量%の量の無機充填剤を含む。組成物はまた、(B)25~50重量%未満の量のポリ塩化ビニルポリマーも含む。(A)無機の量は、(B)ポリ塩化ビニルポリマーの量よりも多い。さらに、組成物は、(C)0超~5重量%の量のオルガノポリシロキサンを含み、(C)オルガノポリシロキサンは、少なくとも1つのケイ素結合ヒドロキシル基および25℃で1,000~60,000mPa・sの粘度を有する。成分(A)~(C)の範囲は、組成物中の成分(A)、(B)、および(C)の総重量に基づく。
【0012】
組成物を調製する方法もまた、提供される。組成物を調製する方法は、(A)無機充填剤と、(B)ポリ塩化ビニルポリマーと、(C)オルガノポリシロキサンと、を組み合わせ、それにより、組成物を調製することを含む。
【0013】
さらに、ポリマー複合体物品を調製するための方法が、本発明によって提供される。方法は、PVC組成物からポリマー複合体物品を調製することを含む。加えて、方法に従って形成されたポリマー複合体物品もまた、提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態による配合物の粘度および剪断速度のグラフを示す。
図2】本発明による配合物の光学顕微鏡画像を示す。
図3】本発明による配合物の光学顕微鏡画像を示す。
図4】Rabinowitsch補正が本発明による配合物を必要とするというグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、ポリマー複合体物品を調製するためのPVC組成物を提供する。ポリマー複合体物品は、以下に記載されるように、優れた物理的特性を有し、無数の最終使用用途に好適である。ポリマー複合体物品を調製する方法、およびそれによって形成されるポリマー複合体物品もまた、以下に提供および記載される。
【0016】
ポリマー複合体物品を調製するための組成物は、(A)47.5~75重量%の量の無機充填剤と、(B)25~50重量%未満の量のポリ塩化ビニルポリマーであって、(A)無機充填剤の量が(B)ポリ塩化ビニルポリマーの量よりも多い、ポリ塩化ビニルポリマーと、(C)0超~5重量%の量のオルガノポリシロキサンと、を含み、各々は、組成物中の成分(A)、(B)、および(C)の総重量に基づく。
【0017】
成分(A)無機充填剤
組成物は、(A)無機充填剤を含む。(A)無機充填剤は、ポリマー複合体物品を調製するための組成物およびそのように調製された複合体物品中に不連続相を形成し得る。
【0018】
(A)無機充填剤は、未処理であり得るか、前処理され得るか、または任意選択の充填剤処理剤と組み合わせて添加され得、そのように添加されるとき、(A)無機充填剤を、その場で、または(A)無機充填剤を組成物に組み込む前に処理し得る。処理されるとき、(A)無機充填剤は、当技術分野で知られている任意の従来の充填剤処理剤によって処理され得る。(A)無機充填剤は、単一の充填剤、あるいは充填剤のタイプ、調製方法、処理もしくは表面化学、充填剤組成、充填剤形状、充填剤表面積、平均粒径、および/または粒径分布などの少なくとも1つの特性において異なる2つ以上の充填剤の組み合わせであり得る。
【0019】
好ましくは、(A)無機充填剤は、PVC組成物中の充填剤の総重量の少なくとも90重量%を含み、すなわち、PVC組成物は、最大10重量%の非無機充填剤を含み得る。より好ましくは、(A)無機充填剤は、PVC組成物中の充填剤の総重量の少なくとも95重量%を含む。さらにより好ましくは、PVC組成物中の充填剤は、少なくとも1つの無機充填剤から本質的になるか、またはそれからなる。本明細書で使用される場合、「本質的になる」は、PVC組成物中に存在する無機充填剤以外のいずれの充填剤も、PVC組成物の物理的特性および/またはPVC組成物の加工性のうちのいずれにも悪影響を及ぼさないことを意味する。好ましくは、PVC組成物は、5重量%未満のリグノセルロース充填剤または有機充填剤を含む。より好ましくは、PVC組成物は、リグノセルロース充填剤または有機充填剤を含まない。
【0020】
(A)無機充填剤の形状および寸法はまた、具体的に限定されない。例えば、(A)無機充填剤は、球形、長方形、卵形、不規則であり得、例えば、粉末、細粉、繊維、粒子、およびそれらの組み合わせの形態にあり得る。寸法および形状は、典型的には、利用される(A)無機充填剤のタイプ、組成物内に含まれる他の成分の選択、およびそれらを用いて形成されたポリマー複合体物品の最終使用用途に基づいて選択される。
【0021】
増量または補強充填剤として機能し得る無機充填剤の非限定的な例には、石英および/もしくは破砕石英、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、シリカ(例えば、ヒュームド、粉砕、沈降)、水和ケイ酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、シリコーン樹脂、ウォラストナイト、ソープストーン、カオリナイト、カオリン、雲母白雲母(mica muscovite)、金雲母、ハロイサイト(水和ケイ酸アルミニウム)、ケイ酸アルミニウム、アルミノケイ酸ナトリウム、ガラス(例えば、風力タービンまたは他の供給源からのリサイクルガラスを含む、繊維、ビーズまたは粒子)、粘土、磁鉄鉱、赤鉄鉱、沈降、ヒュームド、および/もしくは粉砕炭酸カルシウムなどの、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、メタケイ酸カルシウム、酸化亜鉛、タルク、珪藻土、酸化鉄、粘土、雲母、チョーク、二酸化チタン(チタニア)、ジルコニア、グラファイト、無煙炭、亜炭、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、オキシ硫酸マグネシウム繊維、アルミニウム三水和物、アルミニウムオキシ水和物、顔料(例えば、二酸化チタン、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、およびバリウムの非水和、部分水和、または水和したフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、クロメート、カーボネート、水酸化物、ホスフェート、リン酸水素塩、ニトレート、酸化物、およびスルフェート);五酸化アンチモン、三酸化アンチモン、酸化ベリリウム、酸化クロム、リトポン、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、もしくはホウ酸アルミニウムなどの、ホウ酸塩、バーミキュライト、ベントナイト、軽石、パーライト、飛灰、粘土、およびシリカゲルなどの、混合金属酸化物;パイロフィライト、セピオライト、スズ酸亜鉛、硫化亜鉛、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。あるいは、増量または補強充填剤は、炭酸カルシウム、タルク、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0022】
増量充填剤は、当技術分野で知られており、例えば、Berkeley Springs,WVのU.S.SilicaによってMIN-U-SILという名称で販売されている粉砕シリカが市販されている。好適な沈降炭酸カルシウムには、SolvayのWinnofil(商標)SPM、ならびにSMIのUltra-pflex(商標)およびUltra-pflex(商標)100が含まれる。
【0023】
(A)無機充填剤は、組成物中の(A)、(B)、および(C)の総重量に基づいて、47.5~75、あるいは50~70、あるいは50~65、あるいは52~60重量パーセントの量で、組成物中に存在する。47.5~70重量パーセントの間のすべての端点および部分範囲は、本明細書に含まれ、開示される。あるいは、ある特定の用途では、組成物中の(A)無機充填剤の相対量を最大にすることが望ましく、そのことは、それを用いて形成されたポリマー複合体物品の望ましい特性が維持されるか、または得られる限り、その全体のコストを低減する。当業者は、以下に記載されるように、コストおよび得られる特性のバランス、ならびに他の任意選択の成分の有無を含む、この目的のために、(A)充填剤の量が変更され得ることを、理解する。
【0024】
(B)PVCポリマー
組成物は、(B)PVCポリマーをさらに含む。PVCポリマーは、ポリマー複合体物品を調製するための組成物およびそれから調製された複合体物品中に連続相の全部または一部を形成し得る。(B)PVCポリマーの選択は、典型的には、様々なポリマーが異なる融点温度(および/またはガラス転移温度)および物理的/機械的特性、ならびに好適または許容可能な連続使用用途温度を有するため、組成物で形成されたポリマー複合体物品の所望の最終使用用途により変化する。ある特定の実施形態では、(B)PVCポリマーは、組成物中の他の成分の分解温度よりも低い軟化点温度を有する。これらの実施形態では、(B)PVCポリマーは、250℃未満、あるいは225℃未満、あるいは200℃未満の軟化点温度を有する。軟化点温度は、加工温度と呼ばれることもある。少なくとも1つの実施形態では、(B)PVCポリマーは、160~220℃または170~210℃などの、150~250℃の範囲の軟化点温度を有する。好ましくは、(B)PVCポリマーは、粉末である。
【0025】
エラストマーおよび/またはゴムは、衝撃強度などの特性を改良または改善するために、(B)PVCポリマーに添加され得るか、またはPVCポリマーと配合され得る。好ましくは、(B)PVCポリマーは、少なくとも1つのアクリル加工添加剤を含む。添加剤は、参照により本明細書に組み込まれるStevenson et al.,Journal of Vinyl Technology,December 1993,Vol.15,No.4,pages 244-251によって開示された添加剤などの、当技術分野で知られているものを含み得る。
【0026】
ある特定の実施形態では、PVC組成物中のポリマーは、PVCポリマーから本質的になる。本質的にからなるとは、(B)PVCポリマーが、ポリビニル以外の1つ以上の追加のポリマーを含み得ることを意味するが、これは、そのような追加のポリマーが、(B)PVCポリマーと共に加工されて、ポリマー複合体物品を形成することができる場合に限られる。(B)PVCポリマーがPVCポリマーからならないとき、(B)PVCポリマーは、典型的には、組成物中で利用される(B)PVCポリマーの総重量に基づいて、少なくとも50、あるいは少なくとも60、あるいは少なくとも65、あるいは少なくとも70、あるいは少なくとも75、あるいは少なくとも80、あるいは少なくとも85、あるいは少なくとも90、あるいは少なくとも95、あるいは少なくとも96、あるいは少なくとも97、あるいは少なくとも98、あるいは少なくとも99重量%の量のPVCポリマーを含む。
【0027】
(B)PVCポリマーが、PVC以外の、かつPVCに加えてポリマーを含むとき、(B)PVCポリマーは、PVCと完全にまたは部分的に熱力学的に混和性である少なくとも1つのポリマーをさらに含み得る。そのようなポリマーは、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリカプロラクトン(CPL)、およびスチレン-アクリロニトリル樹脂(SAN)を含むが、これらに限定されない。他の熱力学的に混和性のポリマーは、当技術分野で知られており、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Robeson, L. M.(1990),Miscible polymer blends containing poly(vinyl chloride).J.Vinyl Addit.Technol.,12:89-94において開示される。(B)PVCポリマーは、エラストマーをさらに含み得る。エラストマーの非限定的な例には、スチレン-ブタジエンゴム、ポリエーテルウレタンゴム、ポリエステルウレタンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム(ネオプレン)、ポリアクリレートゴム、エチレンアクリレートゴム、エチレン-プロピレンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)、エチレンプロピレンゴム(EPR)、フルオロシリコーンゴム、フルオロカーボンゴム、全フッ素置換化エラストマー、スチレンブタジエンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリイソプレンゴム、ポリスルフィドゴム、エチレンアクリレートゴム、エピクロロヒドリンゴム、全フッ素化エラストマー(例えば、Kalrez(商標))、ポリスルフィドゴム、塩素化ポリエチレン(例えば、最大40重量パーセントの塩素を含む塩素化ポリエチレン)、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0028】
利用される(B)PVCポリマーに関係なく、(B)PVCポリマーは、未使用のポリマーおよび/またはリサイクルされたポリマーを含み得る。リサイクルされたポリマーは、利用される場合、工業生産ストリームから、ならびに工業後(post-industrial)供給源および/または消費後(post-consumer)供給源から供給され得る。(B)PVCポリマー、ならびに協調して利用される場合の未使用のポリマー対リサイクルされたポリマーの任意の比率の選択は、典型的には、それを用いて形成されたポリマー複合体物品のコストおよび所望の特性により変化する。
【0029】
(A)無機充填剤の量は、PVC組成物中の(B)PVCポリマーの量よりも多く、すなわち、(A)無機充填剤対(B)PVCポリマーの比率は、1より大きい。
【0030】
(B)PVCポリマーは、組成物中の(A)、(B)、および(C)の総重量に基づいて、25~50未満、あるいは30~50未満、あるいは35~50未満、あるいは40~48の重量パーセントの量で、組成物中に存在し得る。特定の実施形態では、組成物中の(B)PVCポリマーの相対量を最小限に抑えることが望ましく、そのことは、それを用いて形成されたポリマー複合体物品の望ましい特性が維持されるか、または得られる限り、選択に応じてその全体のコストを低減し得る。当業者は、以下に記載されるように、コストおよび得られる特性のバランス、ならびに他の任意選択の成分の有無を含む、この目的のために、(B)PVCポリマーの量が変更され得ることを、理解する。
【0031】
(C)オルガノポリシロキサン
組成物は、(C)オルガノポリシロキサンをさらに含む。(C)オルガノポリシロキサンは、少なくとも1つのケイ素結合ヒドロキシル基を有する。(C)オルガノポリシロキサンは、25℃で少なくとも120mPa・s、あるいは120mPa・s~250,000mPa・sの粘度を有する。ある特定の実施形態では、(C)オルガノポリシロキサンは、25℃で1,000~60,000、あるいは1,000~50,000、あるいは2,000~50,000mPa・sの粘度を有する。粘度は、#52スピンドルを備えたBrookfield DV-IIIコーンおよびプレート粘度計で、25℃での0.1~50RPMで測定され得る。当業者は、オルガノポリシロキサンの粘度が増加するにつれて、粘度試験方法のRPMが50~0.1RPMに減少することを理解するであろう。
【0032】
あるいは、(C)オルガノポリシロキサンにおいて、ケイ素結合OH基は、(C)オルガノポリシロキサンの重量に基づいて、少なくとも50ppmの量で存在し得る。あるいは、ケイ素結合OH基は、同じ基準で、50ppm~15,000ppm、あるいは50ppm~10,000ppm、あるいは2,500ppm~7,500ppm、あるいは10,000~15,000ppmの量で存在し得る。ケイ素結合OH含有量は、フーリエ変換赤外線(FTIR)分光法により測定され得る。
【0033】
(C)オルガノポリシロキサンは、独立して選択され得る2つ以上の異なるオルガノポリシロキサンを含み得る。典型的には、(C)オルガノポリシロキサンは、組成物およびポリマー複合体物品において加工助剤として機能する。理論に縛られることを望まないが、(C)オルガノポリシロキサンは、内部および/または外部の加工助剤であり得る。しかしながら、(C)オルガノポリシロキサンは、例えば、組成物およびポリマー複合体物品の物理的もしくは機械的特性を改良するための加工助剤として機能することに加えて、またはその代替として、他の目的に機能し得る。
【0034】
一般には、様々な利点が、(A)無機充填剤、(B)PVCポリマー、および(C)オルガノポリシロキサンの組み合わせによって実現され得る。例えば、組成物が押出機内で混合されるとき、(A)無機充填剤、(B)PVCポリマー、および(C)オルガノポリシロキサンの組み合わせは、一般に、押出機内の組成物の溶融温度を低減させる。溶融温度の低減は、組成物中(および押出機内)の任意の1つの個々の成分の融点温度とは対照的に、押出機およびBrabender内の組成物の温度を指す。重要なことに、これにより、低温での組成物の加工が可能になり、コストおよび美観を含む無数の利益が提供される。例えば、リグノセルロース充填剤などのある特定の充填剤は、典型的には、組成物を流動性にするために必要である組成物のある特定の高い加工温度で炭化または分解し得る。(A)無機充填剤、(B)PVCポリマー、および(C)オルガノポリシロキサンの組み合わせの使用は、(A)無機充填剤およびポリマー複合体物品の他の態様に分解するか、炭化するか、または他の点で悪影響を与えることなく、低温でポリマー複合体物品を調製することを可能にする。さらに、組成物が押出機内で混合されるとき、押出機のトルクは、一般に、(A)無機充填剤、(B)PVCポリマー、および(C)オルガノポリシロキサンの組み合わせによって低減される。トルクの低減により、より大きな出力が可能になり、これは、生成スループットの観点から特に重要である。
【0035】
(C)オルガノポリシロキサンは、線状、分岐状、部分分岐状、環状、樹脂状(すなわち、三次元ネットワークを有する)であり得るか、または異なる構造の組み合わせを含み得る。例えば、(C)オルガノポリシロキサンは、(C)オルガノポリシロキサンが少なくとも1つのケイ素結合ヒドロキシル基を含む限り、M、D、T、および/またはQシロキシ単位の任意の組み合わせを含み得る。これらのシロキシ単位は、様々な様式で組み合わされて、環状、線状、分岐状、および/または樹脂状(三次元ネットワーク)構造を形成することができる。
【0036】
ある特定の実施形態では、(C)オルガノポリシロキサンは、以下の平均単位式を有し、
[RSiO1/2[RSiO2/2[RSiO3/2[SiO4/2
式中、各Rは独立して、OHおよびヒドロカルビル基から選択されるが、ただし、少なくとも1つの分子において、少なくとも1つのRがOHであることを条件とし、0<a≦0.99、0<b≦0.99、0≦c≦0.2、かつ0≦d≦0.2であるが、ただし、a+b+c+d=1であることを条件とする。
【0037】
OHではない各Rは独立して、線状、分岐状、環状、またはそれらの組み合わせであり得る。環状ヒドロカルビル基は、アリール基、ならびに飽和または非共役環状基を包含する。アリール基は、単環式または多環式でもよい。線状および分岐状ヒドロカルビル基は独立して、飽和または不飽和であり得る。線状および環状ヒドロカルビル基の組み合わせの一例は、アラルキル基である。Rがアリール基でない場合、Rは飽和しており、すなわち、Rはエチレン性不飽和を含まない。
【0038】
ヒドロカルビル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、または類似のアルキル基;およびフェニル、トリル、キシリル、ナフチル、または類似のアリール基;ベンジル、フェネチル、または類似のアラルキル基により例示され得る。
【0039】
ケイ素結合OH基(複数可)は、(C)オルガノポリシロキサン中に存在する任意のM、D、および/またはTシロキシ単位中に存在し、同じケイ素原子に結合し得る(Mおよび/またはDシロキシ単位の場合)。(C)オルガノポリシロキサンは、例えば、Mシロキシ単位として、(RSiO1/2)、(R(OH)SiO1/2)、(R(OH)SiO1/2)、および/または((OH)SiO1/2)を含み得る。(C)オルガノポリシロキサンは、例えば、Dシロキシ単位として、(RSiO2/2)、(R(OH)SiO2/2)、および/または((OH)SiO2/2)を含み得る。(C)オルガノポリシロキサンは、例えば、Tシロキシ単位として、(RSiO3/2)および/または((OH)SiO3/2)を含み得る。そのようなシロキシ単位は、任意の様式で、任意選択で、Qシロキシ単位と組み合わされて、少なくとも1つのケイ素結合OH基を有するオルガノポリシロキサンを得ることができる。
【0040】
(C)オルガノポリシロキサンは、(C)オルガノポリシロキサンがTシロキシ単位および/またはQシロキシ単位を含む場合、分岐状または樹脂状である。(C)オルガノポリシロキサンが分岐状または樹脂状である場合、(C)オルガノポリシロキサンは、典型的には、Mシロキシ単位および/またはDシロキシ単位と組み合わせて、Tシロキシ単位および/またはQシロキシ単位を含むコポリマーである。例えば、(C)オルガノポリシロキサンは、DT樹脂、MT樹脂、MDT樹脂、DTQ樹脂、MTQ樹脂、MDTQ樹脂、DQ樹脂、MQ樹脂、DTQ樹脂、MTQ樹脂、またはMDQ樹脂であり得る。あるいは、ある特定の実施形態では、(C)オルガノポリシロキサンは線状であり、その場合、(C)オルガノポリシロキサンは、Mシロキシ単位と組み合わせてDシロキシ単位を含む。
【0041】
ある特定の実施形態では、(C)オルガノポリシロキサンは、以下の平均単位式を有し、
[R 3-n(OH)SiO1/2a’[R 2-m(OH)SiO2/2b’[RSiO3/2c’[SiO4/2d’
式中、各Rは独立して選択されたヒドロカルビル基であり、nは0、1、2、または3であり、mは0、1、または2であるが、ただし、nおよびmが同時に0ではないことを条件とし、0<a’<1、0<b’<1、0≦c’≦0.1、かつ0≦d’≦0.1であるが、ただし、a’+b’+c’+d’=1であることを条件とする。この平均単位式において、少なくとも1つのケイ素結合OH基は、(C)オルガノポリシロキサンのMおよび/またはDシロキシ単位中に存在する。
【0042】
特定の実施形態では、(C)オルガノポリシロキサンは、実質的に線状、あるいは線状である。これらの実施形態では、(C)オルガノポリシロキサンは、Tシロキシおよび/またはQシロキシ単位を実質的に含まないか、あるいは含まない。例えば、これらの特定の実施形態では、(C)オルガノポリシロキサンは、以下の平均単位式を有し得、
[R 3-n(OH)SiO1/2a’’[R 2-m(OH)SiO2/2b’’
式中、各Rは独立して選択されたヒドロカルビル基であり、nは0、1、2、または3であり、mは0、1、または2であるが、ただし、nおよびmが同時に0ではないことを条件とし、0<a’’<1、0<b’’<1であるが、ただし、a’’+b’’=1であることを条件とする。ある特定の実施形態では、nは、1、2、または3である。これらまたは他の実施形態では、ケイ素結合OH基(複数可)がMシロキシ単位に位置し、したがって末端であるように、mは0である。(C)オルガノポリシロキサンの粘度を考慮すると、上で紹介され、以下に記載されるように、典型的にはb’’>a’’である。各Rは、典型的には、メチルである。
【0043】
(C)オルガノポリシロキサンが実質的に線状、あるいは線状であり、末端ケイ素結合OH基(複数可)を含む場合、(C)オルガノポリシロキサンは、以下の平均単位式を有し得、
3-x(OH)SiO[SiR O]c’’Si(OH) 3-y
式中、各Rは独立して選択されたヒドロカルビル基であり、xは0、1、2、または3であり、yは0、1、2、または3であるが、ただし、xおよびyが同時に0ではないことを条件とし、c’’は(C)オルガノポリシロキサンの所望の粘度を提供するのに十分な値を有するか、あるいはc’’は60~1200であるか、あるいは100~1200である。ある特定の実施形態では、xは1、2、または3であり、yは1、2、または3である。下付き文字c’’は、繰り返しD単位の数および(C)オルガノポリシロキサンの重合度(DP)に関連する。当技術分野で理解されているように、Rの選択およびDPの両方が、(C)オルガノポリシロキサンの粘度に影響を与える。
【0044】
利用される(C)オルガノポリシロキサンに関係なく、(C)オルガノポリシロキサンは、#52スピンドルを備えたBrookfield DV-IIIコーンおよびプレート粘度計で、25℃での0.1~50の範囲のRPMで測定される、少なくとも1,000mPa・sの粘度を有する。例えば、(C)オルガノポリシロキサンは、上記の条件下で試験した25℃で120~250,000、あるいは10,000~100,000mPa・sの粘度を有し得る。典型的には、(C)オルガノポリシロキサンは、上記の条件下で試験した25℃で1,000~60,000、あるいは1,000~50,000、あるいは2,000~50,000mPa・sの粘度を有する。
【0045】
(C)オルガノポリシロキサンは、典型的には、組成物中の(A)、(B)、および(C)の総重量に基づいて、0超~5、あるいは0.05~3、あるいは0.1~2.5、あるいは0.25~2.0重量パーセントの量で利用され得る。
【0046】
(C)オルガノポリシロキサンは、ニートな(純粋な)形態で利用され得るが、あるいは、任意の他の好適な形態で提供され得、例えば、担体ビヒクルと組み合わせて希釈液体形態で提供され得るか、またはあるいはペレット形態として(例えば、PVCポリマーとブレンドされペレット化される)、もしくは粉末として(例えば、充填剤とブレンドされる)などの固体形態で提供され得る。ある特定の実施形態では、(C)オルガノポリシロキサンは、25℃で液体である。
【0047】
ある特定の実施形態では、成分(A)無機充填剤、(B)PVCポリマー、および(C)オルガノポリシロキサンに加えて、上記のポリマー複合体物品を調製するための組成物は、着色剤(例えば、顔料および/または染料)、発泡剤(例えば、化学的および/または物理的)、UVおよび/または光安定剤、加工助剤、防腐剤、殺生物剤(例えば、殺真菌剤、除草剤、農薬、抗微生物剤)、難燃剤および/または煙抑制剤、衝撃改良剤、熱安定剤、ならびに潤滑剤から選択される1つ以上の添加剤をさらに含む。これらの成分は、当技術分野で既知であり、従来の慣行に従って使用され得る。各添加剤は、利用される場合、組成物の総重量に基づいて、0超~30重量パーセントの量で組成物中に存在し得る。組成物はまた、当技術分野で知られているように、他の任意選択の添加剤も含み得る。そのような添加剤は、例えば、Walker,Benjamin M.,and Charles P.Rader,eds.Handbook of thermoplastic elastomers.New York:Van Nostrand Reinhold,1979、Murphy,John,ed.Additives for plastics handbook.Elsevier,2001に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0048】
ポリマー複合体物品を調製するための方法も提供される。方法は、組成物からポリマー複合体物品を調製することを含む。ある特定の実施形態では、方法は、組成物を形成することをさらに含む。組成物は、少なくとも成分(A)無機充填剤、(B)PVCポリマー、および(C)オルガノポリシロキサンを、組成物中に存在する任意の任意選択の成分と共に組み合わせることによって形成される。
【0049】
組成物の成分は、任意の順序で、かつ任意の好適な様式を介して組み合わされ得る。ある特定の実施形態では、例えば、(B)PVCポリマーは、組成物の形成の前、最中、および/または後に溶融され得る。例えば、(B)PVCポリマーは、(A)無機充填剤および(C)オルガノポリシロキサンが(B)PVCポリマーの溶融形態と組み合わされるように、成分を組み合わせる前および/またはその最中に加熱され得る。(A)充填剤および(C)オルガノポリシロキサンは、任意の順序で、例えば、個別に、連続して、一緒に、または同時に(B)PVCポリマーの溶融形態と組み合わされ得る。しかしながら、あるいは、(B)PVCポリマーは、組成物を調製するときに(B)PVCポリマーが固体で未溶融または軟化していない形態にあるように、(B)ポリマーを加熱または溶融する前に(A)無機充填剤および(C)オルガノポリシロキサンと組み合わされ得る。あるいは、(A)無機充填剤および(C)オルガノポリシロキサンは、組み合わせされ加熱され、次いで、組成物を調製するときに固体または液体形態の(B)PVCポリマーに添加される場合がある。
【0050】
好ましくは、(A)無機充填剤、(B)PVCポリマー、および(C)オルガノポリシロキサンは、同時に添加される。
【0051】
(B)PVCポリマーの融点温度(またはガラス転移温度)は、典型的には、利用される(B)PVCポリマーにより変化する。例えば、ある特定の種のポリマーは、他の種のポリマーとは異なる融点温度を有する。ある特定の実施形態では、(B)PVCポリマーは、組成物の形成の前、最中、および/または後に、(B)PVCポリマーの融点温度よりも大きい、例えば、(B)PVCポリマーの融点温度よりも10~90、あるいは10~40℃高い温度に加熱される。このことは、(B)PVCポリマーの単なる軟化よりもむしろ溶融を確実にする。あるいは、より低い温度が剪断または混合と組み合わせて利用されて、(B)PVCポリマーの軟化および/または溶融を確実にし得る。
【0052】
ポリマー複合体物品を調製するための組成物は、例えば、好適な混合機器を用いて、混合または剪断下で形成され得る。例えば、組成物は、攪拌機および/または混合ブレードを備えた容器内で形成され得る。容器は、例えば、バンバリー、シグマ(Z)ブレード、またはキャビティトランスファースタイル混合機などの内部混合機であり得る。あるいはまたはさらに、組成物は、任意の押出機、例えば、回転および/もしくは往復(共混練機)スクリューを備えた単軸スクリュー押出機、ならびに接線方向または部分的/完全に噛み合って整列され得、同方向もしくは逆回転方向に回転する2つ以上のスクリューを備える多軸スクリューデバイスであり得る押出機内で形成され得るか、またはそれによって加工され得る。あるいは、本明細書に記載の組成物を形成するために、円錐形押出機が使用され得る。
【0053】
上で紹介されるように、方法は、ポリマー複合体物品を調製するための組成物からポリマー複合体物品を調製することも含む。組成物は、例えば、容器内で形成され、その後容器から取り出されて、別個の機器でポリマー複合体物品を形成し得る。あるいは、同じ機器が、組成物を調製し、その後ポリマー複合体物品を形成するために利用され得る。例えば、組成物は、押出機内で調製および/または混合され得、押出機は、組成物を用いてポリマー複合体物品を調製するために利用され得る。あるいは、ポリマー複合体物品は、例えば、圧縮、射出成形またはトランスファー成形プロセスを用いた成形を介して形成され得る。組成物は、金型内でその場で形成されるか、または独立して形成され、形成されると金型内に配置される場合がある。あるいは、さらに、ポリマー複合体物品は、フィルムであり得る。そのような実施形態では、組成物は、容器内で、任意選択で、高温での混合下で形成または配置され、組成物からフィルムを調製するための機器内またはその上に配置され得る。組成物、特に組成物の(B)PVCポリマーのような熱可塑性物質を含むものからフィルムを調製するためのそのような機器および技法は、当技術分野でよく知られている。
【0054】
ある特定の実施形態では、組成物からポリマー複合体物品を調製することは、組成物を所望の形状に形成することをさらに含む。所望の形状は、ポリマー複合体物品の最終使用用途に依存する。当業者は、押出用のダイおよび成形用の金型が、ポリマー複合体物品の所望の形状に基づいて、どのように選択および作成され得るかを理解する。
【0055】
ある特定の実施形態では、方法は、二軸スクリュー押出機(スクリューが、部分的または完全に噛み合いながら同時に回転するか、あるいは接線方向に、部分的に、または完全のいずれかで噛み合いながら整列して、逆回転する)などの押出機内で連続的または半連続的に行われる。一実施形態では、(C)オルガノポリシロキサンは、(A)無機充填剤および(B)PVCポリマーと同時に押出機内に配置される。あるいは、(C)オルガノポリシロキサンは、(B)PVCポリマーを溶融した後、かつ(A)無機充填剤を添加する前に押出機内に配置され得る。あるいは、(C)オルガノポリシロキサンは、(A)無機充填剤および(B)PVCポリマーが押出機を出た後、かつポリマー複合体物品が押出機を出る前に、押出機内に配置され得る。あるいは、(A)無機充填剤は、(C)オルガノポリシロキサンと同時に押出機内に配置され得、ここで、それらは加熱されて、(C)オルガノポリシロキサンを用いた(A)無機充填剤の表面処理を有効にし、次いで、(B)PVCポリマーは押出機内に配置されて、混合物を得、温度は、混合物を配合しポリマー複合体物品を形成するのに好適な温度まで増加する。押出機は、出発材料が添加され得る1つ以上のゾーン、例えば、1~3個、または3~8個、または1~12個のゾーンを有し得る。ゾーンは、異なる温度で加熱され得る。
【0056】
本発明のポリマー複合体物品は限定されず、無数の最終使用用途および産業に合わせてカスタマイズされ得る。単なる例として、ポリマー複合体物品は、管;配管;ホース;絶縁(例えば、熱的および/または電気的絶縁)物品;インテリア構成要素、例えば、床マットを含む、自動車の構成要素もしくは用途;消費者製品および用途、工業用もしくは商業用製品および用途、航空宇宙製品および用途、輸送用製品および用途、航空機製品および用途、電子製品および用途、住宅もしくは商業用建築および建設製品および用途、例えば、デッキ、手すり、サイディング、フェンス、窓枠、床材、タイル、幅木などにおいて利用され得るか、またはそれらとして利用され得る。
【0057】
本発明は例示的な様式で記載されており、使用されている用語は、限定というよりむしろ記載の言葉の性質にあるように意図されることを理解されたい。明らかに、上記の教示に照らして、本発明の多くの修正および変形が可能である。本発明は、具体的に記載されるのとは他の方法で実践され得る。
【0058】
産業上の利用可能性
理論に縛られることを望まないが、(A)無機充填剤、(B)PVCポリマー、および(C)オルガノポリシロキサンの組み合わせは、本明細書に記載のポリマー複合体および/またはそれらを作製するためのプロセスに1つ以上の利益を提供し得ることが、考えられる。これらは、以下を含む。
【0059】
発泡ポリマー組成物の減少した密度;より低いコストにつながること;
同じ発泡剤および加工助剤の充填量レベルでより厚い製品、効率的で費用効果の高い配合物が得られる、発泡ポリマー組成物のより高い膨張;
より低いレベルのほこりおよび/もしくはブレンダーと、ブレードと、への充填剤の付着によるより良い混合、ブレンダーの容易な洗浄;
頑健な加工につながる改善された溶融強度、膨張を最大化する、最大のガス封じ込め;
より良い難燃性能および煙抑制性能をもたらす、増加した炭含有量;
改善されたトライボロジー特性、より良い耐摩耗性
より広い加工ウィンドウにつながる、より低いシアシニング;
発泡物品における改善されたセル構造;
配合中のより低いトルクは、加工のためのより低い電力消費につながり、より高いスループットを可能にして、生産量を改善する;
増加した配合スループットおよびもしくはより低いエネルギー消費;
配合および成形中のより良い充填剤分散および低減したガラス繊維の破断(ガラス繊維が使用されている場合);
改善されたメルトフローによる、より薄い壁を成形する能力;
コスト節約につながる高い充填剤充填量を含む能力;
離型時のより低い不良率、
より高い充填剤レベルで課題となり得る、より良い表面品質および/もしくは仕上げ;
より高い充填剤充填量に関係なく改善された伸び
より高い充填剤充填量に関係なく改善された衝撃強度
改善された融合特徴、
より高い充填剤充填量でも重要な特性を維持もしくは改善し、配合コストを低下させる一方でより良い性能、加工をもたらす
頑健な加工を提供する、より剪断の影響を受けにくい配合物をもたらす、改善された溶融レオロジー
改善された疎水性;
より多くの割合のリサイクルされたポリマーもしくは異なるグレードのポリマーを利用する能力;ならびに/または
強度と、改善された率および剛性などの他の特性と、を改善する添加剤を可能にすること。
【実施例
【0060】
例示的なポリ塩化ビニル配合物を、表1における材料を順次添加することによって調製した。ドライブレンドを、室温でPVCをGunther Papenmeier/Welexブレンダーに添加し、電力を15Aに上げ、125°FでTM 181を添加し、150°Fでシロキサンを含む潤滑剤パッケージを添加し、170°Fでアクリル加工助剤を添加し、190°FでTiO2、195°FでCaCO3を添加することによって調製した。ブレンドされた粉末は、室温まで冷たくなった後。
【表1-1】
【表1-2】
【0061】
表1の組成物を、0.3mmのギャップを有する電気Collin Rollミルで5分間170℃でミリングして、各組成物からミリングしたシートを得、次いで、ミリングしたシートを、175℃で厚さ3.2mmのプラークに圧縮成形した。試料を、ノッチ付きアイゾット衝撃強度(ASTM D256に従って測定される)、引張強度(ASTM D 638)、および熱変形温度(ASTM D648)のために切断した。密度、膨張、および加工条件の研究のために、フォームロッド(foam rod)を、4.78mmのロッドダイを有するPolylabからの実験室二軸スクリュー押出機RS 5000を使用して押し出した。押出温度設定は、スクリュー速度60RPMで175C/185C/190C/160C(ダイ)であった。床までの時間(time to floor)を、溶融物/ロッドがダイから床に到達するのにかかった時間として報告した。融合研究を、Brabender Intelli Torque 7150で、190℃、60 rpm、7分、100PHR CaCO3について74グラム、120PHR CaCO3について76グラム、140PHR CaCO3について78グラムで行った。ブラベンダーからの材料を平らなプラークにプレスし、それを細かく切断して、レオメーターのキャピラリーに供給して、190℃での溶融粘度測定を提供した。熱重量分析(TGA)を、20℃/分のランプ速度で50~800℃の成形プラークに対して行った。本発明による試料は、視覚的に改善された表面仕上げを有した。分析からの結果を、以下の表に提供する。
【表2】
【0062】
上の表2に見られるように、高い充填剤レベルとポリシロキサンとの組み合わせを含む試料は、驚くべきことに、ポリシロキサンを含まない試料と比較してより低い密度を示した。さらに、より高い床までの時間の値は、本発明による配合物が、より高い充填剤充填量でさえ改善された溶融強度を示したことを示す。床までの時間の値は、押出物がダイから出たときに床に到達するのにかかる時間の尺度である。溶融強度に乏しい配合物は、自重で落下し、床に到達するまでにより短い時間がかかる。本発明の製剤はまた、驚くべきことに、改善されたまたは同等の膨張を示した。一般に、増加した充填剤レベルは、より低い膨張をもたらすが、本発明の組成物は、実際には、改善された、または同等の膨張を実証した。本発明の配合物はまた、熱変形温度(HDT)のわずかな改善を維持および/または提供した。対照は、63.4℃のHDTを示した。
【表3】
【0063】
典型的には、充填剤のより高いレベルは、融合および平衡トルクを増加させ、加工を困難にする。本発明による配合物は、増加した充填剤レベルでもトルクを維持した。
【表4】
【0064】
上の表4に示されるように、トルク、圧力、溶融温度、およびスループットに置ける顕著な変化は観察されなかった。したがって、変化は、製造現場での加工中に必要とされない。図1Aから1Cに示されるように、配合物は、より高い充填剤レベルで溶融粘度を維持した。典型的には、より高い充填剤レベルは、溶融粘度を増加させ、より高いトルクおよび圧力をもたらし、全体的な生産量を限定する可能性がある。高い溶融粘度は、スループットおよびフロー限定し、薄い壁を埋める能力に影響を与える可能性がある。シロキサンを含まない配合物は、より高い剪断速度で顕著なシアシニングを示し、非常に低い粘度をもたらし、また、加工にも影響を及ぼす可能性があり、加工条件の変化を必要とし、また、セル構造、膨張、および表面仕上げなどの製品品質にも影響を与える可能性がある。シロキサンを有する配合物は、シアシニングを最小限に抑えて、原物と(低充填剤レベルで)一致し、より多くの充填剤を添加する一方でレオロジーの変化をもたらさない。
【表5】
【0065】
表5に見られるように、本発明の配合物は、増加した炭含有量をもたらし、改善された煙抑制および難燃性をもたらし得る。
【表6】
【0066】
表6に示されるように、本発明による配合物は、それらの表面エネルギーを維持した。表面エネルギーの変化は、表面の印刷適性に影響を与える可能性がある。表面エネルギーはまた、積層および層間接着に影響を与える可能性があるため、多層構造にとっても重要である。したがって、本発明による配合物は、高い充填剤レベルでもその加工および表面エネルギーを維持した。
【0067】
表6はまた、本発明による配合物が、より高い充填剤レベルでも伸びパーセントの改善を示したことを示す。より高いレベルのネッキングが、本発明による配合物において観察された。アイゾット衝撃強度もまた改善され、弾性率は維持された。
【0068】
セル構造分析を、光学顕微鏡画像によって行った。図2および3に示されるように、本発明による配合物は、改善されたセル構造を示した。光学顕微鏡画像は、セルの破裂または崩壊を示さず、そのことは、配合物が、発泡剤によって生成されたガスが保持されることを可能にすることを意味する。
【0069】
トライボロジー評価を、トライボロジー測定のためのボールオン3プレートフィクスチャを備えたAnton-Paar MCR 502で行った。本発明による配合物は、室温で、かつまた溶融加工中の高温での摩擦係数を低下させることによって、トライボロジー特性を改善した。図4Aおよび4Bに示されるように、より高いポリシロキサン含有量を有する本発明による配合物は、異なる壁滑りを示すより低いRabinowitsch補正を必要とする。
【0070】
用語の定義および用法
本明細書の文脈により別段の指示がない限り、すべての量、比率、およびパーセンテージは重量によるものであり、すべての試験方法は、本開示の出願日現在のものである。冠詞「a」、「an」、および「the」は各々、1以上を指す。添付の特許請求の範囲は、「発明を実施するための形態」の表現、およびそこに記載される特定の化合物、組成物、または方法に限定されず、添付の特許請求の範囲の範疇の特定の実施形態間で異なり得ることを解されたい。様々な実施形態の特定の特徴または態様を説明するための本明細書に依拠する任意のマーカッシュグループに関して、他のすべてのマーカッシュメンバーから独立したそれぞれのマーカッシュグループの各メンバーから異なる、特別な、かつ/または予期しない結果が得られる可能性がある。マーカッシュグループの各メンバーは、個別に、かつまたは組み合わせて依拠され得、添付の特許請求の範囲の範疇の具体的な実施形態に適切なサポートを提供する。
【0071】
さらに、本発明の様々な実施形態の説明に依拠する任意の範囲および部分範囲は、添付の特許請求の範囲の範疇に独立してかつ集合的に含まれ、そのような値が本明細書に明示的に書かれていない場合であっても、それらの全体および/または小数値を含むすべての範囲を説明および企図すると理解される。当業者は、列挙された範囲および部分範囲が、本発明の様々な実施形態を十分に説明し、有効にし、そのような範囲および部分範囲が、関連する半分、3分の1、4分の1、5分の1などにさらに詳しく説明され得ることを容易に認識する。単なる一例として、「0.1~0.9の」範囲は、下3分の1、すなわち0.1~0.3、中3分の1、すなわち0.4~0.6、および上3分の1、すなわち0.7~0.9にさらに詳しく説明され、これらは、個別にかつ集合的に添付の特許請求の範囲の範疇にあり、個別に、かつ/または集合的に依拠され、添付の特許請求の範囲の範疇の具体的な実施形態に適切なサポートを提供する。加えて、「少なくとも」、「超」、「未満」、「以下」などの範囲を定義または修飾する文言に関して、そのような文言が部分範囲および/または上限もしくは下限を含むことを理解されたい。別の例として、「少なくとも10」という範囲には、少なくとも10~35の部分範囲、少なくとも10~25の部分範囲、25~35の部分範囲などが本質的に含まれ、各部分範囲は、個別に、かつ/または集合的に依拠され、添付の特許請求の範囲の範疇の具体的な実施形態に適切なサポートを提供する。最後に、開示された範囲内の個々の数字は、依拠され、添付の特許請求の範囲の範疇の具体的な実施形態に適切なサポートを提供する。例えば、「1~9」という範囲には、3などの様々な個々の整数、ならびに4.1などの小数点(または分数)を含む個々の数値が含まれ、このことは、依拠され、添付の特許請求の範囲の範疇の具体的な実施形態に適切なサポートを提供する。
【0072】
本明細書で使用される、「組成物」という用語は、組成物を含む材料(複数可)、ならびに組成物の材料から形成された反応生成物および分解生成物を含む。
【0073】
「含むこと」という用語およびその派生語は、それらが本明細書において開示されているかどうかにかかわらず、任意の追加の成分、ステップ、または手順の存在を排除することを意図しない。いかなる疑いも回避するために、「含むこと」という用語の使用を通じて本明細書において特許請求されるすべての組成物は、矛盾する記述がない限り、ポリマー性かまたは別様かにかかわらず、任意の追加の添加剤、補助剤、または化合物を含み得る。対照的に、「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、操作性に必須ではないものを除いて、あらゆる後続の記載の範疇から、任意の他の成分、ステップ、または手順を排除する。「からなる」という用語は、具体的に規定または列記されていないいずれの構成要素、ステップ、または手順も除外する。
【0074】
本明細書で使用される場合、「ポリマー」という用語は、同じ種類のものか、または異なるタイプのものかにかかわらず、モノマーを重合することによって調製されるポリマー化合物を指す。したがって、ポリマーという総称は、ホモポリマーという用語(微量の不純物がポリマー構造に組み込まれ得るという理解の下に、唯一のタイプのモノマーから調製されるポリマーを指すために用いられる)、および本明細書において以下に定義されるようなインターポリマーという用語を包含する。微量の不純物が、ポリマーに、かつ/またはポリマー内に組み込まれ得る。
【0075】
「ブレンド」、「ポリマーブレンド」、および同様の用語は、2つ以上のポリマーの組成物を意味する。そのようなブレンドは、混和性であっても、そうでなくてもよい。そのようなブレンドは、相分離していても、していなくてもよい。そのようなブレンドは、透過電子分光法、光散乱、X線散乱、および当技術分野で知られている任意の他の方法から決定される、1つ以上のドメイン構成を含有しても、そうでなくてもよい。ブレンドは積層体ではないが、積層体の1つ以上の層がブレンドを含有してもよい。

図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】