(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-19
(54)【発明の名称】非常電源供給装置
(51)【国際特許分類】
H02J 9/06 20060101AFI20221012BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20221012BHJP
H02J 7/10 20060101ALI20221012BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
H02J9/06 110
H02J7/00 302A
H02J7/10 B
H01M10/48 P
H01M10/48 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506939
(86)(22)【出願日】2021-02-08
(85)【翻訳文提出日】2022-02-03
(86)【国際出願番号】 KR2021001656
(87)【国際公開番号】W WO2021162385
(87)【国際公開日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】10-2020-0017877
(32)【優先日】2020-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】キ-ドク・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジン-ヒョン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジョ-ヨン・ファン
【テーマコード(参考)】
5G015
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G015FA13
5G015GB05
5G015JA08
5G015JA52
5G015KA03
5G015KA12
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA11
5G503DA13
5G503GA11
5G503GA12
5H030AA06
5H030AS20
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
(57)【要約】
本発明の一実施形態による非常電源供給装置は、バッテリーに接続され、バッテリーの可用電圧範囲を制限するように構成された保護回路部と、保護回路部に並列で接続され、配置されたスイッチング素子の動作状態によってバッテリーから出力された電流の迂回経路を形成するように構成されたバイパス部と、スイッチング素子の動作状態をターンオン状態に制御して、バイパス部によって形成される迂回経路を通電させるように構成された制御部と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーに接続され、前記バッテリーの可用電圧範囲を制限するように構成された保護回路部と、
前記保護回路部に並列で接続され、配置されたスイッチング素子の動作状態によって前記バッテリーで出力された電流の迂回経路を形成するように構成されたバイパス部と、
前記スイッチング素子の動作状態をターンオン状態に制御して、前記バイパス部によって形成される迂回経路を通電させるように構成された制御部と、を含む非常電源供給装置。
【請求項2】
前記バイパス部は、前記スイッチング素子の動作状態がターンオン状態に制御されると、前記バッテリーの電流が前記保護回路部を迂回するように構成された前記迂回経路を形成するように構成されたことを特徴とする、請求項1に記載の非常電源供給装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記迂回経路を通電させて前記可用電圧範囲に対する制限を解除するように構成されたことを特徴とする、請求項1に記載の非常電源供給装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記迂回経路を通電させ、前記保護回路部によって制限された電圧範囲のうち低電圧範囲に対する制限を解除するように構成されたことを特徴とする、請求項3に記載の非常電源供給装置。
【請求項5】
前記制御部は、非常電源供給要請が入力されると、前記スイッチング素子の動作状態をターンオン状態に制御するように構成されたことを特徴とする、請求項1に記載の非常電源供給装置。
【請求項6】
前記制御部は、予め設定された初期挙動時間に前記スイッチング素子の動作状態をターンオン状態に制御するように構成されたことを特徴とする、請求項1に記載の非常電源供給装置。
【請求項7】
前記バッテリーの電圧を測定するように構成された測定部をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の非常電源供給装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記バッテリーが連続的に放電される放電時間を測定し、測定された放電時間及び測定された電圧のうち少なくとも一つが所定の条件を満たす場合、前記スイッチング素子の動作状態をターンオン状態に制御するように構成されたことを特徴とする、請求項7に記載の非常電源供給装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記測定された電圧が予め設定された低電圧範囲に含まれる間に前記放電時間を測定し、前記測定された放電時間が基準時間以上であれば、前記スイッチング素子の動作状態をターンオン状態に制御するように構成されたことを特徴とする、請求項8に記載の非常電源供給装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記スイッチング素子の動作状態をターンオン状態に制御した後、前記バッテリーの充電が開始されるとき、前記測定部で測定された前記バッテリーの充電開始電圧によって前記スイッチング素子の動作状態を制御するように構成されたことを特徴とする、請求項9に記載の非常電源供給装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記充電開始電圧が前記予め設定された低電圧範囲に含まれると、前記スイッチング素子の動作状態をターンオフ状態に制御し、前記充電開始電圧が前記予め設定された低電圧範囲の下限未満であれば、前記スイッチング素子の動作状態をターンオン状態に制御するように構成されたことを特徴とする、請求項10に記載の非常電源供給装置。
【請求項12】
前記保護回路部は、前記バッテリーの可用電圧範囲を区間別に制限するように構成された複数の単位保護回路部を含み、
前記バイパス部は、前記複数の単位保護回路部のうち少なくとも一つに並列で接続されるように構成された複数の単位バイパス部を含むことを特徴とする、請求項7に記載の非常電源供給装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記複数の単位保護回路部のうち制限する電圧区間が前記バッテリーの現在電圧に最も近接した単位保護回路部を選択し、選択された単位保護回路部に対応する単位バイパス部に配置されたスイッチング素子の動作状態をターンオン状態に制御するように構成されたことを特徴とする、請求項12に記載の非常電源供給装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の非常電源供給装置を含むバッテリマネジメントシステム(BMS)。
【請求項15】
請求項1から13のいずれか一項に記載の非常電源供給装置を含むバッテリーパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非常電源供給装置に関し、より詳しくは、バッテリーの可用電圧範囲を確張して非常電源を供給可能な非常電源供給装置に関する。
【0002】
本出願は、2020年2月13日出願の韓国特許出願第10-2020-0017877に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
最近、ノートブックPC、ビデオカメラ、携帯電話などのような携帯用電子製品の需要が急増し、電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星などの開発が本格化するにつれ、反復的な充放電の可能な高性能バッテリーについての研究が活発に進行しつつある。
【0004】
現在、商用化したバッテリーとしては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウムバッテリーなどがあり、このうち、リチウムバッテリーは、ニッケル系のバッテリーに比べてメモリ効果がほとんど起こらず、充放電が自由で、自己放電率が非常に低くてエネルギー密度が高いという長所から脚光を浴びている。
【0005】
通常、バッテリーは、過放電または過充電される場合、バッテリーに損傷が加えられて劣化が加速化し得、バッテリーが膨張するスウェリング現象が起こり得る。また、ひどい場合、バッテリーの爆発事故が発生することがある。
【0006】
従来には、バッテリーに保護回路を接続し、バッテリーが過放電または過充電されることを防止していた(特許文献1)。即ち、特許文献1は、保護回路を用いてバッテリーの電圧を上位臨界電圧と下位臨界電圧との間に維持させる構成を開示している。
【0007】
しかし、緊急状況が発生してバッテリーから追加の電源を受けなければならない状況においても保護回路が動作するようになると、バッテリーから追加の電源を充分に受けることができるにもかかわらず、過放電状態として認識されてしまい、バッテリーと負荷との接続が解除されるという問題がある。したがって、緊急状況が発生した場合には、保護回路が動作しないようにすることで、非常電源を供給可能な技術の開発が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2003-0078289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、保護回路によって制限されるバッテリーの可用電圧範囲を解除して、緊急状況が発生した場合、非常電源を供給することができる非常電源供給装置を提供することを目的とする。
【0010】
本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解でき、本発明の実施形態によってより明らかに理解されるであろう。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示される手段及びその組合せによって実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一面による非常電源供給装置は、バッテリーに接続され、バッテリーの可用電圧範囲を制限するように構成された保護回路部と、保護回路部に並列で接続され、配置されたスイッチング素子の動作状態によってバッテリーで出力された電流の迂回経路を形成するように構成されたバイパス部と、スイッチング素子の動作状態をターンオン状態に制御して、バイパス部によって形成される迂回経路を通電させるように構成された制御部と、を含み得る。
【0012】
バイパス部は、スイッチング素子の動作状態がターンオン状態に制御されると、バッテリーの電流が保護回路部を迂回するように構成された迂回経路を形成するように構成され得る。
【0013】
制御部は、迂回経路を通電させて可用電圧範囲に対する制限を解除するように構成され得る。
【0014】
制御部は、迂回経路を通電させ、保護回路部によって制限された電圧範囲のうち低電圧範囲に対する制限を解除するように構成され得る。
【0015】
制御部は、非常電源供給要請が入力されると、スイッチング素子の動作状態をターンオン状態に制御するように構成され得る。
【0016】
制御部は、予め設定された初期挙動時間にスイッチング素子の動作状態をターンオン状態に制御するように構成され得る。
【0017】
本発明の他面による非常電源供給装置は、バッテリーの電圧を測定するように構成された測定部をさらに含み得る。
【0018】
制御部は、バッテリーが連続的に放電される放電時間を測定し、測定された放電時間及び測定された電圧のうち少なくとも一つが所定の条件を満たす場合、スイッチング素子の動作状態をターンオン状態に制御するように構成され得る。
【0019】
制御部は、測定された電圧が予め設定された低電圧範囲に含まれる間に放電時間を測定し、測定された放電時間が基準時間以上であれば、スイッチング素子の動作状態をターンオン状態に制御するように構成され得る。
【0020】
制御部は、スイッチング素子の動作状態をターンオン状態に制御した後、バッテリーの充電が開始されるとき、測定部で測定されたバッテリーの充電開始電圧によってスイッチング素子の動作状態を制御するように構成され得る。
【0021】
制御部は、充電開始電圧が予め設定された低電圧範囲に含まれると、スイッチング素子の動作状態をターンオフ状態に制御するように構成され得る。
【0022】
制御部は、充電開始電圧が予め設定された低電圧範囲の下限未満であれば、スイッチング素子の動作状態をターンオン状態に制御するように構成され得る。
【0023】
保護回路部は、バッテリーの可用電圧範囲を区間別に制限するように構成された複数の単位保護回路部を含み得る。
【0024】
バイパス部は、複数の単位保護回路部のうち少なくとも一つに並列で接続されるように構成された複数の単位バイパス部を含み得る。
【0025】
制御部は、複数の単位保護回路部のうち制限する電圧区間がバッテリーの現在電圧に最も近接した単位保護回路部を選択し、選択された単位保護回路部に対応する単位バイパス部に配置されたスイッチング素子の動作状態をターンオン状態に制御するように構成され得る。
【0026】
本発明のさらに他面によるBMSは、本発明の一面による非常電源供給装置を含み得る。
【0027】
本発明のさらに他面によるバッテリーパックは、本発明の一面による非常電源供給装置を含み得る。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一面によると、所定の条件下で、バッテリーの可用電圧範囲に対する制限を解除して非常電源を供給することができる長所がある。
【0029】
また、本発明の一面によると、非常電源供給装置が自ら緊急状況の発生有無を判断することで非常電源が円滑に供給されるため、バッテリーと負荷との接続が予期せず解除されることを防止することができる。
【0030】
本発明の効果は上述した効果に制限されず、言及されていない本発明の他の効果は請求範囲の記載から当業者により明らかに理解されるだろう。
【0031】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施形態を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の一実施形態による非常電源供給装置を概略的に示した図である。
【
図2】本発明の一実施形態による非常電源供給装置を含むバッテリーパックの構成を概略的に示した図である。
【
図3】本発明の一実施形態による非常電源供給装置を含むバッテリーパックの例示的構成を示した図である。
【
図4】本発明の一実施形態による非常電源供給装置に接続したバッテリーの電圧範囲を概略的に示した図である。
【
図5】バッテリーの異常挙動の例示を概略的に示した図である。
【
図6】本発明の一実施形態による非常電源供給装置がバッテリーの可用電圧範囲に対する制限を解除する実施形態を示した図である。
【
図7】本発明の他の実施形態による非常電源供給装置を含むバッテリーパックの例示的構成を示した図である。
【
図8】本発明のさらに他の実施形態による非常電源供給装置を含むバッテリーパックの例示的構成を示した図である。
【
図9】本発明の一実施形態による非常電源供給装置がバッテリーの可用電圧範囲に対する制限を解除する他の実施形態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0034】
したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0035】
また、本発明に関連する公知の機能または構成についての具体的な説明が、本発明の要旨をぼやかすと判断される場合、その説明を省略する。
【0036】
第1、第2などのように序数を含む用語は、多様な構成要素のうちいずれか一つを残りと区別する目的として使用され、このような用語によって構成要素が限定されることではない。
【0037】
なお、明細書の全体にかけて、ある部分が、ある構成要素を「含む」とするとき、これは特に反する記載がない限り、他の構成要素を除くことではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0038】
また、明細書に記載の「制御部」のような用語は、少なくとも一つの機能や動作を処理する単位を示し、これはハードウェアやソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの結合せにより具現され得る。
【0039】
さらに、明細書の全体に亘って、ある部分が他の部分と「連結(接続)」されているとするとき、これは、「直接的に連結(接続)」されている場合のみならず、その中間に他の素子を介して「間接的に連結(接続)」されている場合も含む。
【0040】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。
図1は、本発明の一実施形態による非常電源供給装置100を概略的に示した図である。
【0041】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による非常電源供給装置100は、保護回路部110、バイパス部120及び制御部130を含み得る。
【0042】
先ず、保護回路部110は、バッテリー10に接続され得る。
【0043】
ここで、バッテリー10は、負極端子及び正極端子を備え、物理的に分離可能な一つの独立したセルを意味する。一例で、パウチ型リチウムポリマーセル一つがバッテリーセルとして看做され得る。また、バッテリー10は、一つ以上のバッテリーセルが直列及び/または並列で接続されて備えられたバッテリーモジュールを意味することもある。以下では、説明の便宜のために、バッテリー10を一つの独立的なバッテリーセルとして説明する。
【0044】
保護回路部110は、バッテリー10の可用電圧範囲を制限するように構成され得る。
【0045】
即ち、保護回路部110は、バッテリー10の可用電圧範囲を制限することで、バッテリー10が過充電または過放電されることを防止し得る。
【0046】
例えば、保護回路部110が4.5Vバッテリー10に接続されたと仮定する。保護回路部110は、バッテリー10が過充電または過放電されることを防止するために、可用電圧範囲を2.7V以上4V以下に制限するように構成され得る。
【0047】
バイパス部120は、保護回路部110に並列で接続され得る。
【0048】
具体的には、
図2を参照して保護回路部110とバイパス部120との接続関係を説明する。
【0049】
図2は、本発明の一実施形態による非常電源供給装置100を含むバッテリーパック1の構成を概略的に示した図である。
【0050】
図2を参照すると、保護回路部110は、バッテリー10の両端に電気的に接続され得る。例えば、保護回路部110の一端は、バッテリー10の正極端子に接続され、保護回路部110の他端は、バッテリー10の負極端子に接続され得る。即ち、保護回路部110の一端は、バッテリー10の正極端子とバッテリーパック1の正極端子P+との間に接続され、保護回路部110の他端は、バッテリー10の負極端子とバッテリーパック1の負極端子P-との間に接続され得る。そして、バイパス部120の一端は、バッテリー10の負極端子に接続され、バイパス部120の他端は、バッテリーパック1の負極端子P-に接続され得る。
【0051】
ここで、バッテリーパック1の正極端子P+及び負極端子P-には、負荷が接続され得る。例えば、負荷は、バッテリー10を充電できる充電端末であってもよく、バッテリー10から電源を受ける端末であってもよい。
【0052】
また、バイパス部120は、配置されたスイッチング素子121の動作状態によってバッテリー10から出力された電流の迂回経路を形成するように構成され得る。
【0053】
具体的には、バイパス部120は、スイッチング素子121の動作状態がターンオン状態に制御されると、バッテリー10の電流が保護回路部110を迂回するように構成された迂回経路を形成するように構成され得る。
【0054】
図3を参照して保護回路部110及びバイパス部120の例示的構成を説明する。
【0055】
図3は、本発明の一実施形態による非常電源供給装置100を含むバッテリーパック1の例示的構成を示した図である。
【0056】
図3を参照すると、バイパス部120は、スイッチング素子121を含み得る。スイッチング素子121の一端は、バッテリー10の負極端子に接続され、他端は、バッテリーパック1の負極端子P-に接続されるように構成され得る。
【0057】
例えば、
図3の実施形態で、バイパス部120が通電されると、バッテリー10の負極端子とバッテリーパック1の負極端子P-とを接続する迂回経路を形成し得る。
【0058】
また、
図3を参照すると、保護回路部110は、複数の抵抗R1、R2、R3、キャパシタC、ICT(インサーキットテスタ)111及びスイッチングユニット112を含み得る。このような保護回路部110の構成によって、バッテリー10の可用電圧範囲が制限され得る。
【0059】
制御部130は、スイッチング素子121の動作状態をターンオン状態に制御して、バイパス部120によって形成される迂回経路を通電させるように構成され得る。
【0060】
具体的には、制御部130は、スイッチング素子121の動作状態をターンオン状態またはターンオフ状態に制御するように構成され得る。もし、制御部130がスイッチング素子121の動作状態をターンオン状態に制御した場合、バイパス部120によって形成される迂回経路が通電され得る。この場合、バッテリー10から出力された電流が保護回路部110を通らず、迂回経路を通して流れ得る。
【0061】
例えば、
図3の実施形態で、スイッチング素子121は、MOSFET(Metal‐oxide semiconductor field effect transistor;モス電界効果トランジスタ)を適用し得る。スイッチング素子121は、ドレイン端子D、ソース端子S及びゲート端子Gを含み得る。制御部130は、スイッチング素子121のゲート端子Gに電気的に接続され、ゲート端子Gに制御信号を出力し得る。制御部130によって出力された制御信号に応じて、スイッチング素子121の動作状態がターンオン状態またはターンオフ状態に制御され得る。
【0062】
本発明の一実施形態による非常電源供給装置100は、バイパス部120に備えられたスイッチング素子121の動作状態を制御することで、バッテリー10から出力された電流がバイパス部120または保護回路部110を通して流れるように制御可能な長所がある。
【0063】
一方、非常電源供給装置100に備えられた制御部130は、本発明で行われる多様な制御ロジッグを実行するために当業界に知られたプロセッサ、ASIC(application specific integrated circuit;特定用途向け集積回路)、他のチップセット、論理回路、レジスター、通信モデム、データ処理装置などを選択的に含み得る。また、制御ロジッグがソフトウェアとして具現されるとき、制御部130は、プログラムモジュールの集合によって具現され得る。この際、プログラムモジュールはメモリに保存され、制御部130によって実行され得る。メモリは、制御部130の内部または外部に設けられ得、公知の多様な手段で制御部130と接続し得る。
【0064】
また、本発明の一実施形態による非常電源供給装置100は、保存部(図示せず)をさらに含み得る。保存部は、制御部130がスイッチング素子121を制御するのに必要なプログラム及びデータなどを保存し得る。即ち、保存部は、非常電源供給装置100の各構成要素が動作及び機能を行うのに必要なデータやプログラムまたは動作及び機能が行われる過程で生成されるデータなどを保存し得る。保存部は、データを記録、消去、更新及び読出可能であると知られている公知の情報保存手段であれば、その種類は特に制限がない。一例として、情報保存手段としては、RAM、フラッシュメモリ、ROM、EEPROM、レジスターなどが挙げられる。また、保存部は、制御部130によって実行可能なプロセスが定義されたプログラムコードを保存し得る。
【0065】
望ましくは、制御部130は、迂回経路を通電させて可用電圧範囲に対する制限を解除するように構成され得る。
【0066】
図4は、本発明の一実施形態による非常電源供給装置100に接続されたバッテリー10の電圧範囲を概略的に示した図である。
【0067】
例えば、
図4の実施形態のバッテリー10は、4.5Vのパウチ型バッテリーセルが適用された例である。
【0068】
図4の実施形態で、バッテリー10の可用電圧範囲は、2.7V以上かつ4V以下に制限され得る。制限された可用電圧範囲は、通常、バッテリー10の電圧が2.7V未満であるか、または4V超の場合、バッテリー10の劣化速度が増加し得ることから、バッテリー10の劣化を防止するために任意に設定された電圧範囲であり得る。但し、バッテリー10の可用電圧範囲は、
図4に示した範囲と相違に設定され得、図示された数値及び本願の実施形態によって可用電圧範囲が限定して解釈されないことに留意されたい。
【0069】
制御部130がバイパス部120に備えられたスイッチング素子121の動作状態をターンオン状態に制御した場合、バイパス部120によって形成される迂回経路は通電され得る。この場合、バッテリー10から出力された電流は、保護回路部110を通過しないため、保護回路部110によって制限された電圧範囲が解除され得る。
【0070】
例えば、
図4の実施形態で、制御部130が迂回経路を通電させた場合、0V以上かつ2.7V未満の電圧範囲と、4V超の電圧範囲に対する制限が解除され得る。
【0071】
これによって、バッテリー10の可用電圧範囲が拡張されるため、バッテリー10を長く使用可能である。
【0072】
望ましくは、制御部130は、迂回経路を通電させ、保護回路部110によって制限された電圧範囲のうち低電圧範囲に対する制限を解除するように構成され得る。
【0073】
バッテリー10が携帯端末に備えられた場合を例に挙げて説明する。バッテリー10の電圧が可用電圧範囲の下限に近接してバッテリー10の残量があまり残っておらず、かつバッテリー10が充電されていない状況で、携帯端末の使用が緊急に必要な場合が発生し得る。例えば、暗い空間で携帯端末のフラッシュをつけなければならない場合、緊急な通話中の場合が挙げられる。
【0074】
他の例で、バッテリー10が自動車に備えられた場合を例に挙げて説明する。自動車運転中の場合、運転手の安全のためにバッテリー10の電圧が可用電圧範囲の下限に到達しても非常電源を供給するためにバッテリー10を続けて駆動させなければならない場合が発生し得る。
【0075】
上述した例示的な実施形態のように、バッテリー10の劣化が速く進むとしても、バッテリー10を緊急に尚しなければならぬ場合において、制御部130は、バッテリー10の可用電圧範囲に対する制限を解除するために、迂回経路を通電させ得る。そして、バッテリー10の可用電圧範囲が拡張されたため、バッテリー10がより長く駆動可能になる。
【0076】
したがって、本発明の一実施形態による非常電源供給装置100は、緊急な状況が発生した場合、バイパス部120による迂回経路を通電させることでバッテリー10の可用電圧範囲に対する制限を解除できる。これによって、緊急状況でバッテリー10の駆動時間が増加できるので、使用者のバッテリー10によって供給される非常電源を用いて、緊急状況で適切な措置を取ることができるという長所がある。
【0077】
以下では、制御部130がバイパス部120に備えられたスイッチング素子121の動作状態をターンオン状態に制御する各々の実施形態について説明する。
【0078】
先ず、制御部130は、非常電源供給要請が入力されると、スイッチング素子121の動作状態をターンオン状態に制御するように構成され得る。
【0079】
例えば、制御部130は、外部と通信可能に構成され得る。制御部130は、外部から非常電源供給要請を受信すると、スイッチング素子121の動作状態をターンオン状態に制御し得る。この場合、バッテリー10の可用電圧範囲が拡張され、バッテリー10の放電が持続できる。これによって、負荷に非常電源の供給が可能になる。
【0080】
他の実施形態で、制御部130は、予め設定された初期挙動時間にスイッチング素子121の動作状態をターンオン状態に制御するように構成され得る。
【0081】
具体的には、制御部130は、予め設定された初期挙動時間をバッテリー10の駆動が開始された時点から起算し得る。即ち、制御部130は、バッテリー10の駆動が開始されるとき、予め設定された初期挙動時間にスイッチング素子121の動作状態をターンオン状態に制御して、保護回路部110によって制限された電圧範囲を解除し得る。
【0082】
ここで、予め設定された初期挙動時間は、制御部130または保存部に予め保存され得る。
【0083】
図5は、バッテリー10の異常挙動の例示を概略的に示した図である。
【0084】
例えば、
図5の実施形態で、バッテリー10の初期挙動時間に、バッテリー10の電圧が非正常に一時的に減少し得る。
【0085】
ここで、初期挙動時間は、バッテリー10の最大容量に対応するように設定され得る。即ち、バッテリー10の最大容量[mAh]が大きいほど初期挙動時間が長く設定され得る。例えば、
図2の実施形態で、初期挙動時間は10秒に設定され得る。
【0086】
バッテリー10は、物理的特性及び化学的特性を共に有していることから、バッテリー10が駆動され始めるとき、外部要因によって非正常にバッテリー10の電圧が減少する場合が発生し得る。例えば、バッテリー10が駆動され始めるとき、バッテリー10の温度が基準温度範囲から外れて非常に低い場合または非常に高い場合、バッテリー10の電圧が一時的に減少する場合が発生し得る。他の例で、バッテリー10の劣化によって、バッテリー10が駆動され始めるとき、バッテリー10の電圧が一時的に減少する場合が発生することがある。
【0087】
図5の実施形態のように、バッテリー10の電圧が非正常に可用電圧範囲未満まで減少した場合、保護回路部110が作動するようになると、バッテリー10と負荷との接続が即時に遮断され得る。即ち、バッテリー10の異常挙動によってバッテリー10と負荷との接続が予期せず遮断される場合が発生し得る。
【0088】
制御部130は、バッテリー10の異常挙動に対応するために、初期挙動時間には、バイパス部120のスイッチング素子121の動作状態をターンオン状態に制御し得る。これによって、
図5の実施形態で、バッテリー10の電圧が初期挙動時間内に2.7Vに到達するとしても、バッテリー10と負荷との接続は遮断されない。そして、制御部130は、予め設定された初期挙動時間の以後では、バイパス部120のスイッチング素子121の動作状態をターンオフ状態に制御することで、保護回路部110が動作するようにし得る。
【0089】
本発明の一実施形態による非常電源供給装置100は、予め設定された初期挙動時間に保護回路部110が動作することを防止することで、バッテリー10が駆動され始めるとき、バッテリー10の異常挙動によってバッテリー10と負荷との接続が予期せず解除されることを防止できる長所がある。
【0090】
以下では、制御部130がスイッチング素子121の動作状態を制御するさらに他の実施形態について説明する。
【0091】
先ず、
図1を参照すると、本発明の一実施形態による非常電源供給装置100は、バッテリー10の電圧を測定するように構成された測定部140をさらに含み得る。
【0092】
例えば、
図2の実施形態で、測定部140は、バッテリー10の両端に電気的に直接接続され得る。測定部140は、バッテリー10の正極電圧及び負極電圧を測定し、測定した正極電圧と負極電圧との差を算出してバッテリー10の電圧を測定し得る。
【0093】
そして、測定部140は、測定したバッテリー10の電圧を制御部130に伝送し得る。
【0094】
制御部130は、バッテリー10が連続的に放電する放電時間を測定するように構成され得る。
【0095】
例えば、制御部130は、バッテリー10の充電及び放電が交互に行われる場合、バッテリー10が連続的に放電される放電時間を測定し得る。即ち、制御部130は、バッテリー10が放電される総時間を測定せず、連続的に放電される放電時間を測定するように構成され得る。
【0096】
制御部130は、測定された放電時間及び測定された電圧のうち少なくとも一つが所定の条件を満たす場合、スイッチング素子121の動作状態をターンオン状態に制御するように構成され得る。
【0097】
即ち、制御部130は、測定された放電時間及び測定部140によって測定された電圧のうち少なくとも一つに基づき、非常電源を供給しなければならない緊急状況が発生したか否かを判断し得る。そして、制御部130は、緊急状況が発生したと判断された場合、バイパス部120に備えられたスイッチング素子121の動作状態をターンオン状態に制御して負荷に非常電源を供給し得る。
【0098】
したがって、本発明の一実施形態による非常電源供給装置100は、外部から非常電源供給要請が入力されなくても、バッテリー10の電圧及び放電時間のうち少なくとも一つに基づいて緊急状況の発生有無を判断できる。そして、非常電源供給装置100は、緊急状況が発生したと判断されると、負荷に非常電源を供給するために迂回経路を通電させ得る。これによって、使用者が非常電源供給を要請できない場合や、非常電源供給要請が正常に制御部130に伝達されなかった場合にも、非常電源供給装置100は、自ら緊急状況の発生有無を判断して非常電源が供給可能であるという長所がある。
【0099】
望ましくは、制御部130は、測定された電圧が予め設定された低電圧範囲に含まれる間、放電時間を測定するように構成され得る。
【0100】
具体的には、制御部130は、測定部140から受信したバッテリー10の電圧が予め設定された低電圧範囲に含まれる場合に限って放電時間を測定し得る。
【0101】
ここで、予め設定された低電圧範囲は、制御部130または保存部に予め保存され得る。
【0102】
図6は、本発明の一実施形態による非常電源供給装置100がバッテリー10の可用電圧範囲に対する制限を解除する実施形態を示した図である。
【0103】
例えば、
図6の実施形態で、バッテリー10が0秒から連続的に放電されたと仮定する。そして、予め設定された低電圧範囲は、2.7V以上かつ2.8V以下であると仮定する。制御部130は、測定部140から受信したバッテリー10の電圧が予め設定された低電圧範囲に含まれるt2時点からバッテリー10の放電時間を測定し得る。
【0104】
そして、制御部130は、測定された放電時間が基準時間以上であれば、スイッチング素子121の動作状態をターンオン状態に制御するように構成され得る。
【0105】
例えば、
図6の実施形態で、t2時点から測定されたバッテリー10の放電時間が基準時間を経過すると、制御部130は、スイッチング素子121の動作状態をターンオン状態に制御し得る。即ち、制御部130は、t3時点でスイッチング素子121の動作状態をターンオン状態に制御し、可用電圧範囲(2.7V以上かつ4V以下)を0V以上かつ4V以下に拡張し得る。
【0106】
具体的には、制御部130は、バッテリー10が連続的に放電する過程で、バッテリー10の電圧が予め設定された低電圧範囲に属する時間が基準時間以上である場合に緊急状況が発生したと判断し得る。例えば、バッテリー10の残量があまり残っておらず、バッテリー10も充電できない状況で、バッテリー10を継続的に使用しなければならない場合がこのような場合に当たる。
【0107】
したがって、本発明の一実施形態による非常電源供給装置100は、自ら緊急状況の発生有無を判断することで、使用者が非常電源供給を直接要請しなければならない煩雑さを減らすことができる長所がある。また、制御部130の自らの判断によって非常電源が供給されるため、バッテリー10と負荷との予期せぬ接続解除によって発生し得る事故を未然に防止できる長所がある。
【0108】
制御部130は、スイッチング素子121の動作状態をターンオン状態に制御した後、バッテリー10の充電が始まるとき、測定部140で測定されたバッテリー10の充電開始電圧によってスイッチング素子121の動作状態を制御するように構成され得る。
【0109】
具体的には、測定部140は、スイッチング素子121の動作状態がターンオン状態に制御された後、バッテリー10の充電が開始されるときのバッテリー10の充電開始電圧を測定し得る。
【0110】
そして、制御部130は、バッテリー10の充電開始電圧が予め設定された低電圧範囲に含まれるか否かによってスイッチング素子121の動作状態を制御し得る。
【0111】
例えば、制御部130は、充電開始電圧が予め設定された低電圧範囲に含まれると、スイッチング素子121の動作状態をターンオフ状態に制御するように構成され得る。逆に、制御部130は、充電開始電圧が予め設定された低電圧範囲の下限未満であれば、スイッチング素子121の動作状態をターンオン状態に制御するように構成され得る。
【0112】
即ち、制御部130は、バッテリー10の充電開始電圧によって、バイパス部120によって形成された迂回経路を解除または遮断し得る。
【0113】
例えば、スイッチング素子121の動作状態がターンオン状態に制御され、バイパス部120によって迂回経路が形成されると、バッテリー10は、非常電源を供給し得る。このような過程でバッテリー10の電圧が予め設定された低電圧範囲未満に低くなった場合、バッテリー10の充電が開始されてもバッテリー10の電圧が予め設定された低電圧範囲未満であり得る。このような場合、制御部130がスイッチング素子121の動作状態をターンオフ状態に切り換えると、保護回路部110が動作してバッテリー10と負荷との接続が解除され得る。即ち、バッテリー10に対する充電が開始されたが、既に非常電源を供給したバッテリー10の電圧は可用電圧範囲に含まれない。これによって、制御部130は、バッテリー10の充電が開始されたという事情のみでスイッチング素子121の動作状態をターンオフ状態に制御せず、バッテリー10の充電開始電圧を考慮してスイッチング素子121の動作状態を制御できる。
【0114】
望ましくは、バッテリー10の充電が開始されてから、制御部130は、バッテリー10の電圧が予め設定された低電圧範囲に含まれると、スイッチング素子121の動作状態をターンオフ状態に制御し、保護回路部110が動作されるようにし得る。
【0115】
例えば、
図6の実施形態で、t3時点で、スイッチング素子121の動作状態がターンオン状態に制御され、可用電圧範囲が0V以上かつ4V以下に拡張されたと仮定する。また、t3時点以後にバッテリー10の電圧が、予め設定された低電圧範囲の下限(2.7V)未満に低くなったと仮定する。以後、バッテリー10が充電されても、バッテリー10の電圧は2.7V未満であり得る。これによって、制御部130は、バッテリー10の電圧が予め設定された低電圧範囲(2.7V以上かつ2.8V以下)に含まれると、スイッチング素子121の動作状態をターンオフ状態に制御してバイパス部120によって形成される迂回経路を遮断し、保護回路部110を動作させ得る。
【0116】
より望ましくは、制御部130は、バッテリー10の電圧及び放電時間のみならず、バッテリー10の電流をさらに考慮して、スイッチング素子121の動作状態をターンオン状態に制御するように構成され得る。
【0117】
先ず、測定部140は、バッテリー10の電流をさらに測定するように構成され得る。
【0118】
例えば、
図2の実施形態で、測定部140は、バッテリー10の電流を測定するための電流測定素子Aと接続され得る。ここで、電流測定素子Aは、電流計及び/またはセンス抵抗であり得る。
【0119】
測定部140は、測定したバッテリー10の電流を制御部130に送信し、制御部130は、測定部140からバッテリー10の電圧と共にバッテリー10の電流を受信し得る。
【0120】
そして、制御部130は、測定された電流が予め設定された低電流範囲に含まれ、測定された電圧が予め設定された低電圧範囲に含まれる間、放電時間を測定するように構成され得る。
【0121】
ここで、予め設定された低電流範囲は、制御部130または保存部に予め保存され得る。
【0122】
具体的には、制御部130は、バッテリー10の電圧が予め設定された低電圧範囲に含まれるのみならず、バッテリー10の電流が予め設定された低電流範囲に含まれる場合に限り、バッテリー10が連続的に放電する放電時間を測定し得る。即ち、制御部130は、バッテリー10が低電力モードで駆動される間に、放電時間を測定し得る。
【0123】
制御部130は、測定された放電時間が基準時間以上であれば、スイッチング素子121の動作状態をターンオン状態に制御するように構成され得る。
【0124】
例えば、制御部130は、バッテリー10が充電されないながら低電力モードで基準時間以上に使用される場合、バッテリー10の使用が必要な緊急状況であると判断し得る。この場合、制御部130は、スイッチング素子121の動作状態をターンオン状態に制御することで、負荷に非常電源を供給するように構成され得る。
【0125】
図7は、本発明の他の実施形態による非常電源供給装置100を含むバッテリーパック1の例示的構成を示した図である。
図8は、本発明のさらに他の実施形態による非常電源供給装置100を含むバッテリーパック1の例示的構成を示した図である。
【0126】
保護回路部110は、バッテリー10の可用電圧範囲を区間別に制限するように構成された複数の単位保護回路部110を含み得る。
【0127】
例えば、
図7及び
図8を参照すると、非常電源供給装置100には、第1単位保護回路部110a及び第2単位保護回路部110bが含まれ得る。但し、複数の単位保護回路部110の個数は、
図7及び
図8に示した実施形態によって限定されないことに留意する。
【0128】
また、バイパス部120は、複数の単位保護回路部110のうち少なくとも一つに並列で接続するように構成された複数の単位バイパス部120を含み得る。
【0129】
例えば、
図7は、非常電源供給装置100に第1単位バイパス部120a及び第2単位バイパス部120bが含まれた実施形態である。具体的には、第1単位バイパス部120aは、第1単位保護回路部110aに並列で接続され、第2単位バイパス部120bは、第2単位保護回路部110bに並列で接続され得る。
【0130】
他の例で、
図8は、非常電源供給装置100に第1単位バイパス部120aのみが含まれた実施形態である。第1単位バイパス部120aは、第1単位保護回路部110aに並列で接続し得る。この場合、第2単位バイパス部120bが含まれていないため、バッテリー10から出力された電流は第2単位保護回路部110bを迂回できない。これによって、制御部130は、第2単位保護回路部110bによる電圧範囲に対する制限を解除できない。
【0131】
即ち、
図8に示した非常電源供給装置100は、第1単位バイパス部120aのみを含んでいる。非常電源供給装置100は、所定の場合に第1単位保護回路部110aによって制限された第1電圧範囲まで可用電圧範囲を拡張させ得るが、バッテリー10の深刻な劣化を防止するために、第2単位保護回路部110bは常時駆動するように構成され得る。
【0132】
望ましくは、複数の単位保護回路部110は、制限するバッテリー10の電圧範囲が相異なってもよい。より望ましくは、複数の単位保護回路部110は、バッテリーパック1の電極端子側に近く備えられるほど、バッテリー10の可用電圧範囲に近接した電圧範囲を制限するように構成され得る。
【0133】
図9は、本発明の一実施形態による非常電源供給装置100がバッテリー10の可用電圧範囲に対する制限を解除する他の実施形態を示した図である。
【0134】
例えば、
図9の実施形態で、制限された第1電圧範囲は、2.5V以上かつ2.7V未満、4V超かつ4.2V以下の範囲であって、第1単位保護回路部110aによって制限された電圧範囲である。制限された第2電圧範囲は、2.5V未満、4.2V超の範囲であって、第2単位保護回路部110bによって制限された電圧範囲である。
【0135】
したがって、本発明の他の実施形態による非常電源供給装置100は、複数の単位保護回路部110を含むことで、バッテリー10の電圧範囲をより細かく区分して制限可能な長所がある。
【0136】
望ましくは、制御部130は、複数の単位保護回路部110のうち、制限する電圧区間がバッテリー10の現在電圧に最も近接した単位保護回路部110を選択するように構成され得る。
【0137】
そして、制御部130は、選択された単位保護回路部110に対応する単位バイパス部120に配置されたスイッチング素子121の動作状態をターンオン状態に制御するように構成され得る。
【0138】
例えば、
図9の実施形態で、制御部130は、第1電圧範囲を制限する第1単位保護回路部110aを選択し得る。
【0139】
バッテリー10の電圧が予め設定された低電圧範囲に属するが、制御部130が第2単位バイパス部120bに配置されたスイッチング素子121の動作状態をターンオン状態に制御したと仮定する。この場合、第1電圧範囲は依然として制限されているため、第2電圧範囲の制限が解除されたことに拘わらず、負荷に非常電源が供給されない問題が発生し得る。
【0140】
したがって、制御部130は、バッテリー10の現在電圧に最も近接した電圧範囲に対する制限を解除することで、非常電源が円滑に供給されるようにすることができる。
【0141】
本発明による非常電源供給装置100は、BMS(Battery Management System;バッテリマネージメントシステム)に適用可能である。即ち、本発明によるBMSは、上述した非常電源供給装置100を含み得る。このような構成において、非常電源供給装置100の各構成要素の少なくとも一部は、従来のBMSに含まれた構成の機能を補完または追加することで具現され得る。例えば、非常電源供給装置100の保護回路部110、バイパス部120、測定部140及び制御部130は、BMSの構成要素として具現され得る。
【0142】
また、本発明による非常電源供給装置100は、バッテリーパック1に備えられ得る。即ち、本発明によるバッテリーパック1は、上述した非常電源供給装置100及び一つ以上のバッテリーセルを含み得る。また、バッテリーパック1は、電装品(リレー、ヒューズなど)及びケースなどをさらに含み得る。
【0143】
以上で説明した本発明の実施形態は、必ずしも装置及び方法を通じて具現されることではなく、本発明の実施形態の構成に対応する機能を実現するプログラムまたはそのプログラムが記録された記録媒体を通じて具現され得、このような具現は、本発明が属する技術分野における専門家であれば、前述した実施形態の記載から容易に具現できるはずである。
【0144】
以上、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【0145】
また、上述の本発明は、本発明が属する技術分野における通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想から脱しない範囲内で多様な置換、変形及び変更が可能であるため、上述の実施形態及び添付された図面によって限定されず、多様な変形が行われるように各実施形態の全部または一部を選択的に組み合わせて構成可能である。
【符号の説明】
【0146】
1 バッテリーパック
10 バッテリー
100 非常電源供給装置
110 保護回路部
120 バイパス部
121 スイッチング素子
130 制御部
140 測定部
【国際調査報告】