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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-19
(54)【発明の名称】脊髄性筋萎縮症のための併用療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7088 20060101AFI20221012BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20221012BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20221012BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20221012BHJP
   A61K 31/501 20060101ALI20221012BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20221012BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20221012BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20221012BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
A61K31/7088
A61K45/00
A61P25/14
A61P21/00
A61K31/501
A61K31/519
C12N15/12 ZNA
C12N15/113 Z
C12N7/01
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022509053
(86)(22)【出願日】2020-08-14
(85)【翻訳文提出日】2022-04-12
(86)【国際出願番号】 US2020046546
(87)【国際公開番号】W WO2021030766
(87)【国際公開日】2021-02-18
(31)【優先権主張番号】62/887,579
(32)【優先日】2019-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】398050098
【氏名又は名称】バイオジェン・エムエイ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Biogen MA Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】マッキャンベル, アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4B065AA90Y
4B065AA95X
4B065AB01
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA01
4B065CA23
4B065CA24
4B065CA44
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZA221
4C084ZA222
4C084ZA941
4C084ZA942
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC41
4C086CB09
4C086EA16
4C086GA07
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZA22
4C086ZA94
(57)【要約】
本出願の態様は、対象における脊髄性筋萎縮症を処置するための組成物および方法に関する。特に、本出願は、SMN機能を促進する低分子、および/または生存運動ニューロン1(SMN1)タンパク質をコードする組換え核酸(例えば、ウイルスベクター中の)、および/または全長生存運動ニューロン2(SMN2)mRNAを増加させるアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)(例えば、生存運動ニューロン2(SMN2)をコードする核酸分子に標的化され、SMN2 mRNAにおけるエクソン7の包含を促進する)の治療用組合せを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脊髄性筋萎縮症(SMA)を有する対象におけるSMAを処置する方法であって、前記対象に、
a)SMN機能を増加させる低分子、および
b)生存運動ニューロン1(SMN1)タンパク質をコードする組換え核酸
を投与することを含む、方法。
【請求項2】
脊髄性筋萎縮症(SMA)を有する対象におけるSMAを処置する方法であって、前記対象に、
a)SMN機能を増加させる低分子、および
b)全長生存運動ニューロン2(SMN2)mRNAを増加させるアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)
を投与することを含む、方法。
【請求項3】
脊髄性筋萎縮症(SMA)を有する対象におけるSMAを処置する方法であって、前記対象に、
a)SMN機能を増加させる低分子、
b)生存運動ニューロン1(SMN1)タンパク質をコードする組換え核酸、および
c)全長生存運動ニューロン2(SMN2)mRNAを増加させるアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)
を投与することを含む、方法。
【請求項4】
前記対象が、それぞれの生存運動ニューロン1(SMN1)対立遺伝子に欠失または変異を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記対象が、SMN1遺伝子の変異についてホモ接合性である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記対象が、SMAの1つまたは複数の症状を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記症状が、四肢筋の萎縮、歩行困難もしくは歩行不能、または呼吸困難を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記対象が、小児および成人の集団から選択されるヒト対象である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
SMN機能を増加させる前記低分子が、置換ピリダジンである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記低分子薬物が、式(I’)の置換ピリダジン:
【化48】
またはその薬学的に許容される塩
[式中、
Aは、C~Cアルキル(ここで、2個のC~Cアルキル基は、それらが結合する原子と組み合わされて、5~6員環を形成することができ、かつオキソ、オキシムおよびヒドロキシから選択される0または1個の置換基で置換されている)、ハロC~Cアルキル、ジハロC~Cアルキル、トリハロC~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cアルコキシ-、C~Cシクロアルキル、ハロC~Cアルコキシ、ジハロC~Cアルコキシ、トリハロC~Cアルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、アミノ、モノおよびジ-C~Cアルキルアミノ、ヘテロアリール、ヒドロキシで置換されたC~Cアルキル、アリールで置換されたC~Cアルコキシ、アミノ、-C(O)NH、C~Cアルキル、-ヘテロアリール、-NHC(O)-、C~Cアルキル-、ヘテロアリール、C~Cアルキル-C(O)NH-、ヘテロアリール、C~CアルキルNHC(O)-ヘテロアリール、3~7員シクロアルキル、5~7員シクロアルケニル、またはS、OおよびNから独立して選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含有する5、6もしくは9員複素環から独立して選択される0、1、2または3個の置換基で置換された2-ヒドロキシ-フェニルであり、ここで、ヘテロアリールは、5、6または9個の環原子、N、OおよびSから選択される1、2または3個の環ヘテロ原子を有し、オキソ、ヒドロキシ、ニトロ、ハロゲン、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルコキシ、C~Cシクロアルキル、C~Cアルキル-OH、トリハロC~Cアルキル、モノおよびジ-C~Cアルキルアミノ、-C(O)NH、-NH、-NO、ヒドロキシC~Cアルキルアミノ、ヒドロキシC~Cアルキル、4~7員複素環C~Cアルキル、アミノC~Cアルキルならびにモノおよびジ-C~CアルキルアミノC~Cアルキルから独立して選択される0、1または2個の置換基で置換され;あるいは
Aは、必要に応じて、ヒドロキシにより3位が置換され、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルコキシから選択される0、1または2個の置換基でさらに置換された2-ナフチルであり、ここで、前記アルコキシは、無置換であるか、またはヒドロキシ、C~Cアルコキシ、アミノ、N(H)C(O)C~Cアルキル、N(H)C(O)~Cアルキル、アルキレン4~7員複素環、4~7員複素環ならびにモノおよびジ-C~Cアルキルアミノで置換され;あるいは
Aは、1~3個の環窒素原子を有する6員ヘテロアリールであり、前記6員ヘテロアリールは、フェニル、または5もしくは6個の環原子、N、OおよびSから独立して選択される1もしくは2個の環ヘテロ原子を有し、C~Cアルキル、モノおよびジ-C~Cアルキルアミノ、ヒドロキシC~Cアルキルアミノ、ヒドロキシC~Cアルキル、アミノC~Cアルキルならびにモノおよびジ-C~CアルキルアミノC~Cアルキルから独立して選択される0、1もしくは2個の置換基で置換されたヘテロアリールによって置換されている;あるいは
Aは、9~10個の環原子およびN、OまたはSから独立して選択される1、2または3個の環ヘテロ原子を有する二環式ヘテロアリールであり、前記二環式ヘテロアリールは、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cアルコキシならびにヒドロキシ、C~Cアルコキシ、アミノおよびモノおよびジ-C~Cアルキルアミノで置換されたC~Cアルコキシから独立して選択される0、1または2個の置換基で置換され;あるいは
Aは、12または13個の環原子およびN、OまたはSから独立して選択される1、2もしくは3個の環ヘテロ原子を有する三環式ヘテロアリールであり、前記三環式ヘテロアリールは、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cアルコキシ、ヒドロキシで置換されたC~Cアルコキシ、C~Cアルコキシ、アミノ、モノおよびジ-C~Cアルキルアミノならびにヘテロアリールから独立して選択される0、1または2個の置換基で置換され、ここで、前記ヘテロアリールは、5、6または9個の環原子、N、OおよびSから選択される1、2または3個の環ヘテロ原子を有し、オキソ、ヒドロキシ、ニトロ、ハロゲン、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルコキシ、C~Cシクロアルキル、C~Cアルキル-OH、トリハロC~Cアルキル、モノおよびジ-C~Cアルキルアミノ、-C(O)NH、-NH、-NO、ヒドロキシC~Cアルキルアミノ、ヒドロキシC~Cアルキル、4~7員複素環C~Cアルキル、アミノC~Cアルキルならびにモノおよびジ-C~CアルキルアミノC~Cアルキルから独立して選択される0、1または2個の置換基で置換され;
Bは、式の基:
【化49】
[式中、
m、nおよびpは、0または1から独立して選択され;
R、R、R、RおよびRは、水素、C~Cアルキルからなる群から独立して選択され、前記アルキルは、必要に応じて、ヒドロキシ、アミノまたはモノおよびジ-C~Cアルキルアミノで置換され;
およびRは、水素およびフッ素から独立して選択され;あるいは
RおよびRは、組み合わされて、N、OまたはSから選択される0または1個のさらなる環ヘテロ原子を有する縮合5または6員複素環式環を形成し;
およびRは、組み合わされて、C~Cアルキレン基を形成し;
およびRは、組み合わされて、C~Cアルキレン基を形成し;
およびRは、それらが結合する炭素原子と組み合わされて、スピロ環式C~Cシクロアルキルを形成し;
Xは、CR、O、NRまたは結合であり;
は、水素またはC~Cアルキルであり;
およびRは、水素およびC~Cアルキルから独立して選択されるか、またはRおよびRは、組み合わされて、二価C~Cアルキレン基を形成し;
Zは、CRまたはNであり;ZがNである場合、Xは結合であり;
は、水素であるか、またはRと組み合わされて、二重結合を形成する]
であり;あるいは
Bは、式の基:
【化50】
[式中、
pおよびqは、0、1および2からなる群から独立して選択され;
およびR13は、水素およびC~Cアルキルから独立して選択され;
10およびR14は、水素、アミノ、モノおよびジ-C~CアルキルアミノならびにC~Cアルキルから独立して選択され、前記アルキルは、必要に応じて、ヒドロキシ、アミノまたはモノおよびジ-C~Cアルキルアミノで置換され;
11は、水素、C~Cアルキル、アミノまたはモノおよびジ-C~Cアルキルアミノであり;
12は、水素またはC~Cアルキルであり;あるいは
およびR10は、組み合わされて、4~7個の環原子を有する飽和アザ環を形成し、前記飽和アザ環は、必要に応じて、1~3個のC~Cアルキル基で置換され;あるいは
11およびR12は、組み合わされて、4~7個の環原子を有する飽和アザ環を形成し、前記飽和アザ環は、必要に応じて、1~3個のC~Cアルキル基で置換されている]
であり;
Cは、原子価が許容するかぎり、Hまたは非存在である]
である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
Aが、C~Cアルキル(ここで、2個のC~Cアルキル基は、それらが結合する原子と組み合わされて、5~6員環を形成することができ、かつオキソ、オキシムおよびヒドロキシから選択される0または1個の置換基で置換されている)、ハロC~Cアルキル、ジハロC~Cアルキル、トリハロC~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cアルコキシ-、C~Cシクロアルキル、ハロC~Cアルコキシ、ジハロC~Cアルコキシ、トリハロC~Cアルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、アミノ、モノおよびジ-C~Cアルキルアミノ、ヘテロアリール、ヒドロキシで置換されたC~Cアルキル、アリールで置換されたC~Cアルコキシ、アミノ、-C(O)NH、C~Cアルキル、-ヘテロアリール、-NHC(O)-、C~Cアルキル-、ヘテロアリール、C~Cアルキル-C(O)NH-、ヘテロアリール、C~CアルキルNHC(O)-ヘテロアリール、3~7員シクロアルキル、5~7員シクロアルケニル、またはS、OおよびNから独立して選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含有する5、6もしくは9員複素環から独立して選択される0、1、2または3個の置換基で置換された2-ヒドロキシ-フェニルであり、ここで、ヘテロアリールが、5、6または9個の環原子、N、OおよびSから選択される1、2または3個の環ヘテロ原子を有し、オキソ、ヒドロキシ、ニトロ、ハロゲン、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルコキシ、C~Cシクロアルキル、C~Cアルキル-OH、トリハロC~Cアルキル、モノおよびジ-C~Cアルキルアミノ、-C(O)NH、-NH、-NO、ヒドロキシC~Cアルキルアミノ、ヒドロキシC~Cアルキル、4~7員複素環C~Cアルキル、アミノC~Cアルキルならびにモノおよびジ-C~CアルキルアミノC~Cアルキルから独立して選択される0、1または2個の置換基で置換されている、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
Aが、式:
【化51】
[式中、R16は、1個の環窒素原子およびN、OまたはSから選択される0または1個のさらなる環ヘテロ原子を有する5員ヘテロアリールであり、ここで、前記ヘテロアリールは、必要に応じて、C~Cアルキルで置換されている]
である、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
Aが、式:
【化52】
である、請求項11または12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
Aが、9~10個の環原子およびN、OまたはSから独立して選択される1、2または3個の環ヘテロ原子を有する二環式ヘテロアリールであり、前記二環式ヘテロアリールが、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cアルコキシならびにヒドロキシ、C~Cアルコキシ、アミノおよびにモノおよびジ-C~Cアルキルアミノで置換されたC~Cアルコキシから独立して選択される0、1または2個の置換基で置換されている、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
Aが、必要に応じて、ヒドロキシにより3位が置換され、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルコキシから選択される0、1または2個の置換基でさらに置換された2-ナフチルであり、ここで、前記アルコキシは、無置換であるか、またはヒドロキシ、C~Cアルコキシ、アミノ、N(H)C(O)C~Cアルキル、N(H)C(O)~Cアルキル、アルキレン4~7員複素環、4~7員複素環ならびにモノおよびジ-C~Cアルキルアミノで置換されている、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
Aが、1~3個の環窒素原子を有する6員ヘテロアリールであり、前記6員ヘテロアリールは、フェニル、または5もしくは6個の環原子、N、OおよびSから独立して選択される1もしくは2個の環ヘテロ原子を有し、C~Cアルキル、モノおよびジ-C~Cアルキルアミノ、ヒドロキシC~Cアルキルアミノ、ヒドロキシC~Cアルキル、アミノC~Cアルキルならびにモノおよびジ-C~CアルキルアミノC~Cアルキルから独立して選択される0、1もしくは2個の置換基で置換されたヘテロアリールによって置換されている、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
Aが、12または13個の環原子およびN、OまたはSから独立して選択される1、2もしくは3個の環ヘテロ原子を有する三環式ヘテロアリールであり、前記三環式ヘテロアリールは、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cアルコキシ、ヒドロキシで置換されたC~Cアルコキシ、C~Cアルコキシ、アミノ、モノおよびジ-C~Cアルキルアミノならびにヘテロアリールから独立して選択される0、1または2個の置換基で置換され、ここで、前記ヘテロアリールは、5、6または9個の環原子、N、OおよびSから選択される1、2または3個の環ヘテロ原子を有し、オキソ、ヒドロキシ、ニトロ、ハロゲン、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルコキシ、C~Cシクロアルキル、C~Cアルキル-OH、トリハロC~Cアルキル、モノおよびジ-C~Cアルキルアミノ、-C(O)NH、-NH、-NO、ヒドロキシC~Cアルキルアミノ、ヒドロキシC~Cアルキル、4~7員複素環C~Cアルキル、アミノC~Cアルキルならびにモノおよびジ-C~CアルキルアミノC~Cアルキルから独立して選択される0、1または2個の置換基で置換されている、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
Bが、式:
【化53】
[式中、
m、nおよびpは、0または1から独立して選択され;
R、R、R、RおよびRは、水素、C~Cアルキルからなる群から独立して選択され、前記アルキルは、必要に応じて、ヒドロキシ、アミノまたはモノおよびジ-C~Cアルキルアミノで置換され;
およびRは、水素およびフッ素から独立して選択され;あるいは
RおよびRは、組み合わされて、N、OまたはSから選択される0または1個のさらなる環ヘテロ原子を有する縮合5または6員複素環式環を形成し;
およびRは、組み合わされて、C~Cアルキレン基を形成し;
およびRは、組み合わされて、C~Cアルキレン基を形成し;
およびRは、それらが結合する炭素原子と組み合わされて、スピロ環式C~Cシクロアルキルを形成し;
Xは、CR、O、NRまたは結合であり;
は、水素またはC~Cアルキルであり;
およびRは、水素およびC~Cアルキルから独立して選択されるか、またはRおよびRは、組み合わされて、二価C~Cアルキレン基を形成し;
Zは、CRまたはNであり;ZがNである場合、Xは結合であり;
は、水素であるか、またはRと組み合わされて、二重結合を形成する]
である、請求項10~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
Bが、式:
【化54】
[式中、
pおよびqは、0、1および2からなる群から独立して選択され;
およびR13は、水素およびC~Cアルキルから独立して選択され;
10およびR14は、水素、アミノ、モノおよびジ-C~CアルキルアミノならびにC~Cアルキルから独立して選択され、前記アルキルは、必要に応じて、ヒドロキシ、アミノまたはモノおよびジ-C~Cアルキルアミノで置換され;
11は、水素、C~Cアルキル、アミノまたはモノおよびジ-C~Cアルキルアミノであり;
12は、水素またはC~Cアルキルであり;あるいは
およびR10は、組み合わされて、4~7個の環原子を有する飽和アザ環を形成し、前記飽和アザ環は、必要に応じて、1~3個のC~Cアルキル基で置換され;あるいは
11およびR12は、組み合わされて、4~7個の環原子を有する飽和アザ環を形成し、前記飽和アザ環は、必要に応じて、1~3個のC~Cアルキル基で置換されている]
である、請求項10~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
Bが、式:
【化55】
[式中、R17は、Hまたは無置換メチルである]
である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
Bが、式:
【化56】
である、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
式(I’)の前記置換ピリダジンが、式(II’):
【化57】
またはその薬学的に許容される塩
[式中、R16は、1個の環窒素原子およびN、OまたはSから選択される0または1個のさらなる環ヘテロ原子を有する5員ヘテロアリールであり、ここで、前記ヘテロアリールは、必要に応じて、C~Cアルキルで置換されている]
である、請求項10~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
16が、チオフェン、フラン、ピロール、ジヒドロピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピラジン、イソチアゾール、イソキサゾール、トリアゾール、テトラゾール、オキサゾール、イソキサゾール、チアゾールまたはイソチアゾールである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
16が、ピラゾールである、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
16が、
【化58】
である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
式(II’)の前記置換ピリダジンが、式:
【化59】
またはその薬学的に許容される塩である、請求項22~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記置換ピリダジンが、式(III)の化合物:
【化60】
またはその薬学的に許容される塩
[式中、Rは、水素またはC1~7アルキルであり;
は、水素、シアノ、C1~7アルキル、C1~7ハロアルキルまたはC3~8シクロアルキルであり;
は、水素、C1~7アルキルまたはC3~8シクロアルキルであり;
Aは、N-ヘテロシクロアルキルまたはNR1213であり、ここで、N-ヘテロシクロアルキルは、1または2個の窒素環原子を含み、必要に応じて、R14から選択される1、2、3または4個の置換基で置換され;
12は、1個の窒素環原子を含むヘテロシクロアルキルであり、ここで、ヘテロシクロアルキルは、必要に応じて、R14から選択される1、2、3または4個の置換基で置換され;
13は、水素、C1~7アルキルまたはC3~8シクロアルキルであり;
14は、水素、C1~7アルキル、アミノ、アミノ-C1~7アルキル、C3~8シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルから独立して選択されるか、または2個のR14は、一緒にC1~7アルキレンを形成し;
ただし、Aが、1個の窒素環原子のみを含むN-ヘテロシクロアルキルである場合、少なくとも1個のR14置換基は、アミノまたはアミノ-C1~7アルキルである]
である、請求項9に記載の方法。
【請求項28】
式(III)の前記化合物が、式:
【化61】
またはその薬学的に許容される塩
[式中、
は、水素またはC1~7アルキルであり;
は、水素、シアノ、C1~7アルキル、C1~7ハロアルキルまたはC3~8シクロアルキルであり;
は、水素、C1~7アルキルまたはC3~8シクロアルキルであり;
Aは、1または2個の窒素環原子を含むN-ヘテロシクロアルキルであり、ここで、N-ヘテロシクロアルキルは、必要に応じて、R14から選択される1、2、3または4個の置換基で置換され;
14は、水素、C1~7アルキル、アミノ、アミノ-C1~7アルキル、C3~8シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルから独立して選択されるか、または2個のR14は、一緒にC1~7アルキレンを形成し;
ただし、Aが、1個の窒素環原子のみを含むN-ヘテロシクロアルキルである場合、少なくとも1個のR14置換基は、アミノまたはアミノ-C1~7アルキルである]
である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
が、C1~7アルキルである、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
が、メチルである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
が、水素である、請求項27~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
が、C1~7アルキルである、請求項27~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
が、メチルである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
が、水素である、請求項27~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
が、C1~7アルキルである、請求項27~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
が、メチルである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
Aが、N-ヘテロシクロアルキルまたはNR1213であり、ここで、N-ヘテロシクロアルキルは、1または2個の窒素環原子を含み、必要に応じて、R14から選択される1、2、3または4個の置換基で置換され;
12が、1個の窒素環原子を含むヘテロシクロアルキルであり、ここで、ヘテロシクロアルキルは、必要に応じて、R14から選択される1、2、3または4個の置換基で置換され;
13が、水素、C1~7アルキルまたはC3~8シクロアルキルであり;
14が、水素、C1~7アルキル、アミノ、アミノ-C1~7アルキル、C3~8シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルから独立して選択されるか、または2個のR14は、一緒にC1~7アルキレンを形成し;
ただし、Aが、1個の窒素環原子のみを含むN-ヘテロシクロアルキルである場合、少なくとも1個のR14置換基は、アミノまたはアミノ-C1~7アルキルである、請求項27~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
12が、必要に応じて、R14から選択される1、2、3または4個の置換基で置換されたピペリジニルである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
Aが、式:
【化62】
[式中、
Xは、NまたはCHであり;
は、水素、C1~7アルキルまたは-(CH-NR10であり;
は、水素またはC1~7アルキルであり;
は、水素またはC1~7アルキルであり;
は、水素またはC1~7アルキルであり;
は、水素またはC1~7アルキルであり;
およびR10は、水素、C1~7アルキルおよびC3~8シクロアルキルから独立して選択され;
13は、水素、C1~7アルキルまたはC3~8シクロアルキルであり;
nは、0、1または2であり;
mは、0、1、2または3であり;
あるいは、RおよびRは、一緒にC1~7アルキレンを形成し;
あるいは、RおよびRは、一緒にC1~7アルキレンを形成し;
あるいは、RおよびRは、一緒にC2~7アルキレンを形成し;
あるいは、RおよびRは、一緒にC1~7アルキレンを形成し;
あるいは、RおよびRは、一緒にC1~7アルキレンを形成し;
あるいは、RおよびRは、一緒にC2~7アルキレンを形成し;
あるいは、RおよびRは、一緒にC1~7アルキレンを形成し;
あるいは、RおよびR10は、一緒にC2~7アルキレンを形成し;
ただし、Xが、CHである場合、Rは、-(CH-NR10であり;
ただし、Xが、Nであり、Rが、-(CH-NR10である場合、mは、2または3である]
である、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
Aが、式:
【化63】
[式中、
Xは、NまたはCHであり;
は、水素、C1~7アルキルまたは-(CH-NR10であり;
は、水素またはC1~7アルキルであり;
は、水素またはC1~7アルキルであり;
は、水素またはC1~7アルキルであり;
は、水素またはC1~7アルキルであり;
およびR10は、水素、C1~7アルキルおよびC3~8シクロアルキルから独立して選択され;
nは、0、1または2であり;
mは、0、1、2または3であり;
あるいは、RおよびRは、一緒にC1~7アルキレンを形成し;
あるいは、RおよびRは、一緒にC1~7アルキレンを形成し;
あるいは、RおよびRは、一緒にC2~7アルキレンを形成し;
あるいは、RおよびRは、一緒にC1~7アルキレンを形成し;
あるいは、RおよびRは、一緒にC1~7アルキレンを形成し;
あるいは、RおよびRは、一緒にC2~7アルキレンを形成し;
あるいは、RおよびRは、一緒にC1~7アルキレンを形成し;
あるいは、RおよびR10は、一緒にC2~7アルキレンを形成し;
ただし、Xが、CHである場合、Rは、-(CH-NR10であり;
ただし、Xが、Nであり、Rが、-(CH-NR10である場合、mは、2または3である]
である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
Xが、Nである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
nが、1である、請求項40または41に記載の方法。
【請求項43】
が、水素、メチルまたは-(CH-NR10である、請求項40~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
が、水素である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
が、メチルである、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
が、水素である、請求項40~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
が、メチルである、請求項40~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
mが、0である、請求項40~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
およびRが、一緒にプロピレンを形成する、請求項40~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
およびRが、一緒にエチレンを形成する、請求項40~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
およびR10が、一緒にブチレンを形成する、請求項40~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
Aが、式:
【化64】
である、請求項47または39~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
Aが、
【化65】
である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記ピリダジン誘導体が、式:
【化66】
またはその薬学的に許容される塩である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記ピリダジン誘導体が、リスジプラムである、請求項9に記載の方法。
【請求項56】
前記ピリダジン誘導体が、ブラナプラムである、請求項9に記載の方法。
【請求項57】
前記ASOが、生存運動ニューロン2(SMN2)プレmRNAのスプライシングパターンを変化させる、請求項1~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記ASOが、生存運動ニューロン2(SMN2)mRNAにおけるエクソン7の包含を促進する、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記ASOが、配列番号1の核酸配列を含む、請求項1~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記ASOが、ヌシネルセンである、請求項1~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
SMN機能を増加させる前記低分子およびrAAVが、同時に投与される、請求項1~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
SMN機能を増加させる前記低分子および前記ASOが、同時に投与される、請求項1~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記低分子、rAAVおよび前記ASOが、同時に投与される、請求項1~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
SMN機能を増加させる前記低分子およびrAAVが、併せて投与される、請求項1~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
SMN機能を増加させる前記低分子および前記ASOが、併せて投与される、請求項1~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
SMN機能を増加させる前記低分子、rAAVおよび前記ASOが、併せて投与される、請求項1~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
SMN機能を増加させる前記低分子およびrAAVが、逐次に投与される、請求項1~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
SMN機能を増加させる前記低分子および前記ASOが、逐次に投与される、請求項1~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
SMN機能を増加させる前記低分子、rAAVおよび前記ASOが、逐次に投与される、請求項1~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
脊髄性筋萎縮症(SMA)を有する対象におけるSMAを処置する方法であって、全長SMN2 mRNAを増加させるASOを含む有効量の組成物を、SMN機能を増加させる低分子が以前に投与された対象に投与することを含む、方法。
【請求項71】
脊髄性筋萎縮症(SMA)を有する対象におけるSMAを処置する方法であって、SMN1をコードするrAAVを含む有効量の組成物を、SMN機能を増加させる低分子が以前に投与された対象に投与することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2019年8月15日に出願された米国仮特許出願第62/887,579号に対する米国特許法第119条(e)の優先権を主張し、これは、その全体がこれにより参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
本出願は、脊髄性筋萎縮症(SMA)を処置するための方法および組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
脊髄性筋萎縮症(SMA)は、スプライソソームのバイオジェネシスに関与する遍在性発現タンパク質(生存運動ニューロン-SMN)をコードする遺伝子である、テロメアのSMN1の変異または欠失によって引き起こされる神経筋疾患である。
【0004】
SMN遺伝子産物は、細胞内に存在し、SMNの欠損は、下位運動ニューロンに選択毒性をもたらし、進行性のニューロンの喪失および筋力低下をもたらす。疾患の重症度は、ごく少量の全長SMN転写物の産生をもたらすスプライス部位変異を持つ相同遺伝子(SMN2)のセントロメアにおける重複のコピー数によって修飾される。SMN2の1~2つのコピーを持つ患者は、生後数か月での発症および呼吸不全への急速な進行によって特徴付けられる重症形態のSMAを示す。SMN2の3つのコピーを有する患者は、一般に、典型的には、生後6か月の後に現われる、疾患の軽症型を示す。多くは歩行能力を得ることは決してないが、患者は、呼吸不全に進行するのは稀であり、多くの場合、成人期まで生きる。4つのSMN2のコピーを有する患者では成人期まで疾患が現われない場合があり、筋力低下が徐々に発症する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
SMAのためのいくつかの治療が開発されているが、異なるレベルの疾患の重症度を有する患者のための脊髄性筋萎縮症に関与する運動ニューロン中の細胞内SMN活性を上昇させる処置に対する必要性が残されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
一部の態様では、本出願は、脊髄性筋萎縮症(SMA)を有する対象におけるSMAを処置する方法であって、対象に、a)SMN機能を増加させる低分子、およびb)生存運動ニューロン1(SMN1)タンパク質をコードする組換え核酸を投与することを含む、方法に関する。
【0007】
一部の態様では、本出願は、脊髄性筋萎縮症(SMA)を有する対象におけるSMAを処置する方法であって、対象に、a)SMN機能を増加させる低分子、およびb)全長生存運動ニューロン2(SMN2)mRNAを増加させるアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を投与することを含む、方法に関する。
【0008】
一部の態様では、本出願は、脊髄性筋萎縮症(SMA)を有する対象におけるSMAを処置する方法であって、対象に、a)SMN機能を増加させる低分子、b)生存運動ニューロン1(SMN1)タンパク質をコードする組換え核酸、およびc)全長生存運動ニューロン2(SMN2)mRNAを増加させるアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を投与することを含む、方法に関する。
【0009】
一部の態様では、本出願は、脊髄性筋萎縮症(SMA)を有する対象への、SMN機能を増加させる低分子ならびに生存運動ニューロン1(SMN1)をコードする組換え核酸および/または全長生存運動ニューロン2(SMN2)mRNAを増加させるオリゴマー化合物の投与(例えば、併せてまたは逐次に)を含むSMAのための併用療法に関する。一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子は、対象における全長SMN2 mRNAを増加させる低分子である。一部の態様では、SMN1をコードする組換え核酸は、ウイルスベクターで、例えば、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)で提供される。一部の態様では、オリゴマー化合物は、対象において全長SMN2 mRNAを増加させる(例えば、SMN2プレmRNAスプライシングをモジュレートして、SMN2 mRNAにおけるエクソン7の包含を増加させることによって)アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)である。
【0010】
一部の態様では、本出願は、脊髄性筋萎縮症(SMA)を有する対象への、SMN機能を増加させる低分子ならびに生存運動ニューロン1(SMN1)をコードする組換え核酸および/または生存運動ニューロン2(SMN2)mRNAをコードする核酸においてエクソンスキッピングをモジュレートする(例えば、エクソン7包含を促進する)オリゴマー化合物の投与(例えば、併せてまたは逐次に)を含むSMAのための併用療法に関する。一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子は、対象における全長SMN2 mRNAを増加させる低分子である。一部の態様では、SMN1をコードする組換え核酸は、ウイルスベクターで、例えば、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)で提供される。一部の態様では、SMN2をコードする核酸においてエクソンスキッピングを誘導するオリゴマー化合物は、SMN2プレmRNAにおいてエクソンスキッピングをモジュレートする(例えば、エクソン7包含を促進する)アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)である。
【0011】
一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子は、スプライスモジュレーター、HDAC阻害剤、またはmRNAデキャッピング酵素の活性をモジュレートする分子である。一部の態様では、低分子は、スプライスモジュレーターである。一部の態様では、スプライスモジュレーターは、SMN2スプライスモジュレーターである。一部の態様では、スプライスモジュレーターは、7-二置換フェニルテトラサイクリンである。一部の態様では、スプライスモジュレーターは、置換イソインドリノンである。一部の態様では、スプライスモジュレーターは、置換カルバゾール誘導体である。一部の態様では、SMN2スプライスモジュレーターは、置換1,4-ジアゼパンである。一部の態様では、SMN2スプライスモジュレーターは、置換ピリダジンである。一部の態様では、SMN2スプライスモジュレーターは、リスジプラムである。一部の態様では、SMN2スプライスモジュレーターは、ブラナプラムである。
【0012】
一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)ならびに組換え核酸(例えば、rAAVなどのウイルスベクター中の)および/またはSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、別々の組成物として提供されるが、対象に、併せて(例えば、同時にまたは同時期に(contemporaneously)、例えば、同じ訪問診療中、例えば、同じ時間または同じ日の間で)投与される。一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)ならびに組換え核酸(例えば、rAAVなどのウイルスベクター中の)および/またはSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、別々の組成物として提供され、対象に、処置の経過の間(例えば、1週間、2~4週間、1か月、1~12か月、1年、2~5年、またはそれよりも長い間の処置レジメン中)の、別々の訪問診療中に(例えば、異なる時間に、例えば、異なる日に)逐次に対象に投与される。一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)は、組換え核酸(例えば、rAAV)および/またはSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)の前および/または後に投与される。一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)ならびに組換え核酸(例えば、rAAVなどのウイルスベクター中の)および/またはSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、異なる頻度で(例えば、併せてまたは逐次に)投与される。一部の態様では、対象は、SMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、組換え核酸(例えば、rAAVなどのウイルスベクター中の)またはASOのいずれかを含む別々の組成物の組合せで処置され、ここで、組成物は、異なる頻度で(例えば、併せてまたは逐次に)投与される。
【0013】
一部の態様では、2種またはそれよりも多くの異なるSMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)が、対象に投与される。一部の態様では、2種またはそれよりも多くの異なる組換えSMN1核酸(例えば、rAAV中の)が、対象に投与される。一部の態様では、2種またはそれよりも多くの異なるSMN2 ASOが、対象に投与される。一部の態様では、異なる組換えSMN1核酸(例えば、rAAV中の)および/または異なるSMN2 ASOは、異なる訪問診療中に、対象に投与される。
【0014】
したがって、一部の態様では、SMAを有する対象(例えば、ヒト対象)におけるSMAを処置する方法は、対象に、SMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)ならびにSMN1をコードする組換え核酸(組換えSMN1遺伝子とも称する)(例えば、rAAV中の)および/または対象における全長SMN2 mRNAを増加させるSMN2 ASO(SMN2 ASOとも称する)を投与することを含む。一部の態様では、対象におけるSMAを処置する方法は、有効量のSMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)ならびに組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)および/またはSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)を、SMAを有する対象に投与することを含む。
【0015】
一部の態様では、SMAを有する対象は、SMAの1つまたは複数の症状(例えば、四肢筋の萎縮、歩行困難もしくは歩行不能、呼吸困難、またはSMAの他の症状)を有する。一部の態様では、SMAを有する対象は、ゲノムSMN1遺伝子の2つの変異体対立遺伝子を有する。一部の態様では、対象は、それぞれのSMN1対立遺伝子に欠失または変異(例えば、機能消失点変異)を有する。一部の態様では、対象は、SMN1遺伝子変異についてホモ接合性である。一部の態様では、対象は、2つの異なるSMN1遺伝子変異についてヘテロ接合性である。
【0016】
一部の態様では、対象は、ヒト対象である。一部の態様では、対象は、小児および成人の集団から選択される。一部の態様では、対象は、18歳より上、または18歳に等しい(例えば、18歳またはそれよりも年上)である。一部の態様では、対象は、18歳より若い、10歳より若い、または6歳より若い。一部の態様では、対象は、およそ2週齢、1か月齢、3か月齢、6か月齢、1歳、2歳、3歳、4歳または5歳である。
【0017】
一部の態様では、組換えSMN1遺伝子は、プロモーターに機能的に連結されている。一部の態様では、SMN1遺伝子は、ヒトSMN1遺伝子である。一部の態様では、SMN1遺伝子は、(例えば、ヒトにおける発現について)コドン最適化される。一部の態様では、SMN1遺伝子をコードする組換え核酸は、隣接AAV逆位末端反復配列(ITR)を含む組換えAAVゲノムである。一部の態様では、組換え核酸は、AAV粒子内で投与される。一部の態様では、AAV粒子は、AAVキャプシドタンパク質(例えば、AAV9、AAVrh10、AAV8キャプシドタンパク質)を含む。一部の態様では、AAV粒子は、AAVhu68キャプシドタンパク質を含む。一部の態様では、AAV粒子は、AAV9キャプシドタンパク質を含む。
【0018】
一部の態様では、SMN2 ASOは、生存運動ニューロン2(SMN2)プレmRNAのスプライシングパターンを変化させる。一部の態様では、SMN2 ASOは、生存運動ニューロン2(SMN2)mRNAにおけるエクソン7の包含を促進する。一部の態様では、SMN2 ASOは、SMN2タンパク質をコードする核酸(例えば、SMN2遺伝子またはSMN2プレmRNA)分子のイントロン6またはイントロン7に相補的な配列を含む。一部の態様では、SMN2 ASOは、SMN2タンパク質をコードする核酸分子(例えば、SMN2遺伝子またはSMN2プレmRNA)のイントロン6に相補的な配列を含む。一部の態様では、SMN2 ASOは、SMN2タンパク質をコードする核酸分子(例えば、SMN2遺伝子またはSMN2プレmRNA)のイントロン7に相補的な配列を含む。一部の態様では、SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、配列番号1、25または26の配列を含む。一部の態様では、ASOは、ヌシネルセンである。一部の態様では、SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、1つもしくは複数の核酸塩基または骨格の修飾を含む。
【0019】
一部の態様では、組換えSMN1遺伝子(例えば、ウイルスベクター中の)は、SMN機能を増加させる低分子および/またはSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)治療で以前に処置された対象に投与される(例えば、1回または複数回)。一部の態様では、組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAVなどのウイルスベクター中の)は、SMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)および/またはSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)治療で現在処置が行われている対象に投与される(例えば、1回または複数回)。一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)ならびにa)組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAVなどのウイルスベクター中の)および/またはb)SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)の並行投与または逐次投与を含む治療が、対象に対して開始される。
【0020】
一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)ならびにa)組換えSMN1遺伝子を含むrAAV(SMN1 rAAVとも称する)および/またはb)SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、同時に投与される。一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)ならびにSMN1 rAAVおよび/またはSMN2 ASOは、併せて投与される。一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)ならびにSMN1 rAAVおよび/またはSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、異なる組成物で別々に投与される。一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)ならびにSMN1 rAAVおよび/またはSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、逐次に投与される。一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)ならびにSMN1 rAAVおよび/またはSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、異なる頻度で投与される。一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)は、1年に1~6回、またはそれよりも多くの頻度で(例えば、毎週、または1か月に2~4回)投与される。一部の態様では、SMN1 rAAVは、1回投与される。一部の態様では、SMN2 ASOは、1年に1~6回投与される。一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)単独、および/またはSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)とともに2回またはそれよりも多くのその後の投与は、SMN1 rAAVおよびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)の初回投与後に施行される。一部の態様では、対象は、SMN1 rAAVの1回または複数回の追加投与を受ける。一部の態様では、SMN1 rAAVの1回目および2回目の投与は、対象に、6か月より長く離して、または1年より長く離して、提供される。一部の態様では、1回目および2回目のSMN1 rAAV組成物は、同じrAAVキャプシドタンパク質を含む。一部の態様では、1回目および2回目のSMN1 rAAV組成物は、異なるrAAVキャプシドタンパク質を含む。
【0021】
一部の態様では、SMN1 rAAVは、1×1010~5×1014GCの用量で投与される。一部の態様では、SMN1 rAAVは、2×1010~2×1014GCの用量で投与される。一部の態様では、SMN1 rAAVは、3×1013~5×1014GCの用量で投与される。一部の態様では、SMN1 rAAVは、2×1014GCの用量で投与される。
【0022】
一部の態様では、用量当たり合計5mg~60mgのSMN2 ASOが、対象に投与される。一部の態様では、用量当たり合計5mg~20mgのSMN2 ASOが、対象に投与される。一部の態様では、用量当たり合計12mg~50mgのSMN2 ASOが、対象に投与される。一部の態様では、用量当たり合計12mg~48mgのSMN2 ASOが、対象に投与される。一部の態様では、用量当たり合計12mg~36mgのSMN2 ASOが、対象に投与される。一部の態様では、用量当たり合計28mgのSMN2 ASOが、対象に投与される。一部の態様では、用量当たり合計12mgのSMN2 ASOが、対象に投与される。一部の態様では、投与体積は、5mLである。
【0023】
一部の態様では、低分子は、好適な経路(例えば、経口)を介して投与され、rAAVおよび/またはSMN2 ASOは、処置(複数可)に好適な経路、例えば、髄腔内、大槽内空間、静脈内または筋肉内投与を介して、独立して、例えば、(注射または注入を介して)投与される。一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、SMN1 rAAVおよび/またはSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、対象の髄腔内空間に投与される。一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、SMN1 rAAVおよび/またはSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、対象の大槽内空間に投与される。一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)および/またはSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)の初回および/またはその後の投与は、静脈内または筋肉内に施行される。
【0024】
一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)ならびにSMN1 rAAVおよび/またはSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)の投与は、対象における細胞内SMNタンパク質レベルを増加させる。一部の態様では、SMNタンパク質レベルは、対象の頸髄部、胸髄部および腰髄部において増加する(例えば、対象の脳および/または脊髄における運動ニューロンにおいて)。
【0025】
一部の態様では、SMAを有する対象におけるSMNタンパク質発現は、対象に、有効量のSMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)ならびにSMN1 rAAVおよび/またはSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)を(例えば、併せてまたは逐次に)投与することによって増加する。一部の態様では、対象は、SMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)で以前に処置されている。一部の態様では、対象は、SMN1 rAAVを以前に投与されている。一部の態様では、対象は、SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)で以前に処置されている。一部の態様では、SMN1 rAAVで以前に処置された対象におけるSMNタンパク質発現は、有効量のSMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)および/またはSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)を対象に投与することによって増加する。一部の態様では、SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)で以前に処置された対象におけるSMNタンパク質発現は、有効量のSMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)および/またはSMN1 rAAVを対象に投与することによって増加する。一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)で以前に処置された対象におけるSMNタンパク質発現は、有効量のSMN1 rAAVおよび/またはSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)を対象に投与することによって増加する。
【0026】
一部の態様では、組成物は、SMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)を含む。一部の態様では、組成物は、組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)を含む。一部の態様では、組成物は、SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)を含む。一部の態様では、本明細書に記載される医薬組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含む。一部の態様では、治療有効量の医薬組成物は、それを必要とする対象に投与される。本明細書に記載される組成物のいずれかは、薬学的に許容される担体をさらに含む医薬組成物であり得る。一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)を含む医薬組成物は、対象に、低分子薬物を投与するために好適な任意の公知の経路を介して(例えば、経口投与)、投与される。一部の態様では、組換えSMN1遺伝子を含む医薬組成物は、対象に、組換えSMN1遺伝子を投与するために好適な任意の公知の経路を介して(例えば、静脈内注射を介して)、投与される。一部の態様では、SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)を含む医薬組成物は、対象に、ASOを投与するために好適な任意の公知の経路を介して(例えば、髄腔内注射)、投与される。一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、SMN1 rAAVおよび/またはSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)の1つまたは複数は(例えば、2つまたは3つの別々の組成物として)、対象(例えば、ヒト対象)に、髄腔内経路を介して、投与される。一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、SMN1 rAAVおよび/またはSMN2 ASOの1つまたは複数は(例えば、2つまたは3つの別々の組成物として)、脊柱管、くも膜下腔、脳室または腰部CSFに、後頭下穿刺によって、または他の好適な経路によって、投与される(例えば、注射、注入を介して、ポンプおよびカテーテルを使用して、または他の好適な技法を介して)。一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)および/またはSMN2 ASOの1つまたは複数は(例えば、2つまたは3つの別々の組成物として)、対象(例えば、ヒト対象)に、頭蓋内、脳室内、大脳内、実質内、静脈内または他の好適な経路を介して、投与される。一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)は、対象に、経口投与を介して投与されるが、SMN1 rAAVおよび/またはSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は(例えば、2つまたは3つの別々の組成物として)、対象(例えば、ヒト対象)に、注射(例えば、静脈内、髄腔内、筋肉内、頭蓋内、脳室内、大脳内または実質内)を介して、投与される。一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)は、対象に、経口投与を介して投与されるが、SMN1 rAAVおよび/またはSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は(例えば、2つまたは3つの別々の組成物として)、脊柱管、くも膜下腔、脳室または腰部CSFに、後頭下穿刺によって、または他の好適な経路によって、投与される(例えば、注射、注入を介して、ポンプおよびカテーテルを使用して、または他の好適な技法を介して)。併せてまたは逐次に投与されるかどうかにかかわらず、SMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、SMN1 rAAVおよびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)のそれぞれは、当技術分野において公知の任意の好適または適切な手段によって投与されてもよく(例えば、髄腔内、静脈内など)、SMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、SMN1 rAAVおよびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、同じ手段によって、または異なる手段によって、投与されてもよい(例えば、同じまたは異なる投与の経路を介して)。
【0027】
一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、SMN1 rAAVおよび/またはSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、脊髄性筋萎縮症(SMA)などの生存運動ニューロンタンパク質(SMN)に関連する疾患または状態を処置するための医薬(例えば、2つまたは3つの別々の医薬として)の製造において使用される。
【0028】
一部の態様では、本開示は、脊髄性筋萎縮症(SMA)を有する対象におけるSMAを処置する方法であって、有効量のSMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)および/または組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)を別々の組成物で、全長SMN2 mRNAを増加させるASOで以前に処置された対象に投与することを含む、方法に関する。一部の態様では、ASO処置は、中止され、低分子および/または組換えSMN1遺伝子は、補充療法として提供され得る。一部の態様では、ASO処置は、継続され、低分子および/または組換えSMN1遺伝子は、付加療法として(例えば、補助療法として)提供され得る。
【0029】
一部の態様では、本開示は、脊髄性筋萎縮症(SMA)を有する対象におけるSMAを処置する方法であって、有効量のSMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)および/または全長SMN2 mRNAを増加させるASO(例えば、ヌシネルセン)を別々の組成物で、組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)が以前に投与された対象に投与することを含む、方法に関する。一部の態様では、対象は、低分子および/またはASOの投与が開始された後、任意の追加の組換えSMN1遺伝子を受けない。一部の態様では、組換えSMN1遺伝子および/または低分子の1回または複数回の追加投与は、低分子および/またはASOの投与が開始された後に投与される。一部の態様では、1つまたは複数の療法の投与スケジュールは、付加療法が開始された時に、維持することができ、または変更することができる。一部の態様では、組換えSMN1遺伝子の投与スケジュールは、SMN機能を増加させる低分子および/またはSMN2 ASOの投与が開始された後に、維持することができ、または変更することができる。一部の態様では、SMN2 ASOの投与スケジュールは、SMN機能を増加させる低分子および/または組換えSMN1遺伝子の投与が開始された後に、維持され、または変更される。一部の態様では、SMN機能遺伝子を増加させる低分子の投与スケジュールは、組換えSMN1遺伝子および/またはSMN2 ASOの投与が開始された後に、維持され、または変更される。
【0030】
一部の態様では、本開示は、脊髄性筋萎縮症(SMA)を有する対象におけるSMAを処置する方法であって、有効量の組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)および/もしくは全長SMN2 mRNAを増加させるASO(例えば、ヌシネルセン)または別々の組成物を、SMN機能を増加させるSMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)で以前に処置された対象に投与することを含む、方法に関する。一部の態様では、低分子処置は、中止され、ASOおよび/または組換えSMN1遺伝子は、補充療法として提供され得る。一部の態様では、低分子処置は、継続され、ASOおよび/または組換えSMN1遺伝子は、付加療法として(例えば、補助療法として)提供され得る。
【0031】
本開示の他の態様は、SMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、SMN1をコードするrAAV、または全長SMN2 mRNAを増加させることができるASO(例えば、ヌシネルセン)を含む別々の組成物に関する。一部の態様では、rAAVは、AAV9キャプシドタンパク質を含む。一部の態様では、ASOは、ヌシネルセンである。一部の態様では、低分子は、リスジプラムまたはブラナプラムである。一部の態様では、組成物または別々の組成物は、医薬組成物であり、薬学的に許容される担体を含む。
【0032】
本発明の他の態様および利点は、本発明の以下の詳細な説明から容易に明らかである。
【0033】
下記の図面は、本明細書の一部を形成し、本出願のある特定の態様をさらに実証するために含まれ、これは、これらの図面の1つまたは複数を本明細書において示される具体的な態様の詳細な説明と組み合わせて参照することによってより良く理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、SMN1をコードする組換え核酸および全長SMN2 mRNAを増加させる(例えば、SMN2 mRNAにおけるエクソン7包含を促進する)アンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、ヌシネルセン)による組合せ処置を受けている対象におけるより多くの数の運動ニューロン中のSMN活性の増加したレベルを図示する。
【0035】
図2図2は、SMN1をコードする核酸の非限定的な例の略図である。
【0036】
図3-1】図3は、全長SMN2 mRNAを増加させる(例えば、SMN2 mRNAにおけるエクソン7包含を促進する)アンチセンスオリゴヌクレオチドの非限定的な例であるヌシネルセンの化学構造を図示する。
図3-2】図3は、全長SMN2 mRNAを増加させる(例えば、SMN2 mRNAにおけるエクソン7包含を促進する)アンチセンスオリゴヌクレオチドの非限定的な例であるヌシネルセンの化学構造を図示する。
【0037】
図4A-4B】図4A~4Bは、非ヒト霊長類における異なる投与の様式後のrAAVの分布を示す。図4Aは、SMN1をコードするrAAVの腰椎穿刺(LP)または大槽内(ICM)注射後の頸部脊髄、胸部脊髄および腰部脊髄中のrAAV分布を示す。図4Bは、SMN1をコードするrAAVの腰椎穿刺(LP)、大槽内(ICM)注射または静脈内(IV)注射後の頸部脊髄、胸部脊髄および腰部脊髄中のrAAV分布を示す。
【0038】
図5A-5E】図5A~5Eは、SMN1をコードする組換え核酸および全長SMN2 mRNAを増加させる(例えば、SMN2 mRNAにおけるエクソン7包含を促進する)アンチセンスオリゴヌクレオチドの物理的ならびに生物学的適合性を図示する。図5Aは、SMN1をコードするrAAVのSEC-HPLC分析を示す。図5Bは、全長SMN2を増加させるASOのSEC-HPLC分析を示す。図5Cは、SMN1をコードするrAAVおよび全長SMN2を増加させるASOのSEC-HPLC分析を示す。図5Dは、SMN1 rAAVベクター単独での送達またはSMN1 rAAVベクターとSMN2 ASOとの送達のいずれかによるin vitroでの細胞におけるSMN1 rAAVの感染力についてのデータを提供する。結果は、SMN1 rAAVの感染力が、共製剤中のSMN2 ASOの存在によって有意に影響を受けないことを示す。図5Eは、SMN1 rAAV、SMN2 ASOまたはその両方による処置後の細胞における細胞内SMNタンパク質発現レベルおよびGEM形成を示す。
【0039】
図6A-6B】図6A~6Bは、SMN1遺伝子(例えば、rAAVベクター中の)またはSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン、例えば、単一用量中)のいずれかの投与が、投与後に、出生後日数(PND)8に運動機能が部分的にレスキューされ**、PND16に運動機能が完全にレスキューされることを示す。それらは、体重が、WT対照に遅れていることも示す。図6Aは、ASO(ヌシネルセン)の8および16日後の4つの別々の群の立ち直り反射(RR)を示す一連のグラフである。図6Bは、ASO(ヌシネルセン)の8および16日後の4つの別々の群の体重を示す一連のグラフである。RR(PND7~16)および体重の部分的なレスキューは、この前臨床モデルにおいて併用療法の追加の利点についての機会を提供する。
【0040】
図7A-7B】図7A~7Cは、SMN1遺伝子治療(rAAVベクター中の)およびSMN2 ASO(ヌシネルセン)による処置についてのプライマリーエンドポイントとして体重およびRRを用いる最初の研究の結果を示す。図7Aは、体重変化を経時的に(日数で)示すグラフである。図7Bは、RR変化を経時的に(日数で)示すグラフである。図7Cは、3つの試験群についての条件の概要を示すチャートである。
図7C図7A~7Cは、SMN1遺伝子治療(rAAVベクター中の)およびSMN2 ASO(ヌシネルセン)による処置についてのプライマリーエンドポイントとして体重およびRRを用いる最初の研究の結果を示す。図7Aは、体重変化を経時的に(日数で)示すグラフである。図7Bは、RR変化を経時的に(日数で)示すグラフである。図7Cは、3つの試験群についての条件の概要を示すチャートである。
【0041】
図8A図8A~8Cは、SMN1遺伝子治療(rAAVベクター中の)およびSMN2 ASO(ヌシネルセン)による処置についてのプライマリーエンドポイントとして体重およびRRを用いる2回目の研究の結果を示す。図8Aは、3つの試験群についての条件の概要を示すチャートである。図8Bは、体重変化を経時的に(日数で)示すグラフである。図8Cは、RR変化を経時的に(日数で)示すグラフである。
図8B-8C】図8A~8Cは、SMN1遺伝子治療(rAAVベクター中の)およびSMN2 ASO(ヌシネルセン)による処置についてのプライマリーエンドポイントとして体重およびRRを用いる2回目の研究の結果を示す。図8Aは、3つの試験群についての条件の概要を示すチャートである。図8Bは、体重変化を経時的に(日数で)示すグラフである。図8Cは、RR変化を経時的に(日数で)示すグラフである。
【0042】
図9A-9B】図9A~9Bは、PND7~PND13の体重の変化%の比較を示す。図9Aは、遺伝子治療(rAAV):1×1010GC/ASO(ヌシネルセン):1μgの用量での体重の変化%を示す。図9Bは、遺伝子治療(rAAV):3×1010GC/ASO(ヌシネルセン):3μgの用量での体重の変化%を示す。
【0043】
図10A-10B】図10A~10Bは、PND7~PND13のRRの変化%の比較を示す。図10Aは、遺伝子治療(rAAV):1×1010GC/ASO(ヌシネルセン):1μgでの用量のRRの変化%を示す。図10Bは、遺伝子治療(rAAV):3×1010GC/ASO(ヌシネルセン):3μgの用量でのRRの変化%を示す。
【0044】
図11図11は、SMAを処置するために併用療法を使用するニューロン細胞および非ニューロン細胞における相補性を示すモデルを図示する。例えば、療法1は、ASO(例えば、SMN2 ASO)、SMN機能を増加させる低分子、またはASOおよびSMN機能を増加させる低分子の併用療法(例えば、併せてまたは逐次に投与される)であり得る。療法2は、SMN1遺伝子治療、SMN機能を増加させる低分子、またはSMN1遺伝子治療およびSMN機能を増加させる低分子の併用療法(例えば、併せてまたは逐次に投与される)であり得る。例えば、一部の態様では、療法1は、ASO(例えば、SMN2 ASO)であり、療法2は、SMN機能を増加させる低分子である。療法1および2は、療法1または療法2において使用されない療法を含む、任意の他の療法または併用療法であり得る。
【発明を実施するための形態】
【0045】
詳細な説明
一部の態様では、本出願は、対象における、例えば、脊髄性筋萎縮症(SMA)を有するヒト対象におけるSMAを処置するための組成物および方法に関する。
【0046】
一部の態様では、本出願は、脊髄性筋萎縮症(SMA)を有する対象におけるSMAを処置する方法であって、対象に、a)SMN機能を増加させる低分子、およびb)生存運動ニューロン1(SMN1)タンパク質をコードする組換え核酸を投与することを含む、方法に関する。
【0047】
一部の態様では、本出願は、脊髄性筋萎縮症(SMA)を有する対象におけるSMAを処置する方法であって、対象に、a)SMN機能を増加させる低分子、およびb)全長生存運動ニューロン2(SMN2)mRNAを増加させるアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を投与することを含む、方法に関する。
【0048】
一部の態様では、本出願は、脊髄性筋萎縮症(SMA)を有する対象におけるSMAを処置する方法であって、対象に、a)SMN機能を増加させる低分子、b)生存運動ニューロン1(SMN1)タンパク質をコードする組換え核酸、およびc)全長生存運動ニューロン2(SMN2)mRNAを増加させるアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を投与することを含む、方法に関する。
【0049】
本出願は、併用療法を使用して、対象、例えば、脊髄性筋萎縮症(SMA)を有するヒト対象におけるSMAを処置するための組成物および方法に関する。
【0050】
一部の態様では、併用療法は、SMAを有する対象に、対象におけるSMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)ならびにa)SMN1遺伝子を発現する組換え核酸(例えば、SMN1をコードするrAAVなどのウイルスベクター中の)および/またはb)全長SMN2 mRNAを増加させるアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)(例えば、ヌシネルセンなどのSMN2 mRNAにおけるエクソン7の包含を促進するASO)を、(例えば、併せてまたは逐次に)投与することを含む。「併用療法」、「組合せ処置」、「組合せ治療」または「組合せ処置」は、本明細書で使用される場合、本明細書に記載される治療(例えば、組換えSMN1遺伝子、SMN2 ASO、SMN機能を増加させる低分子、または前述のいずれかの医薬組成物)の1つまたは複数を対象に投与することによる、脊髄性筋萎縮症(SMA)を処置するための方法を指す。
【0051】
一部の態様では、SMN機能を増加させることができる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)ならびにSMN1を発現する組換え核酸(例えば、rAAV中の)および/またはSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)の投与は、組換え核酸、SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)またはSMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)の単独のいずれかによる処置と比べて、一部の運動ニューロン中の細胞内SMNタンパク質レベルの増強および細胞内生存運動ニューロン(SMN)タンパク質レベルが上昇する運動ニューロンの数の増加を提供することができる。
【0052】
SMN機能を増加させることができる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)および/またはSMN1を発現する組換え核酸(例えば、rAAV中の)および/または全長SMN2 mRNAを増加させるASO(例えば、ヌシネルセンなどのSMN2 mRNAにおけるエクソン7の包含を促進するASO)の投与のための方法および組成物は、SMAを有する対象における治療有効レベルのSMNタンパク質を提供するために、および異なるレベルの疾患の重症度を有する対象を処置するためにも、有用であり得る。
【0053】
脊髄性筋萎縮症または近位脊髄性筋萎縮症(SMA)は、脊髄運動ニューロンの喪失によって特徴付けられる遺伝性の神経変性障害である。SMAは、早発性の常染色体劣性疾患であり、現在のところ、幼児の中で死因のトップである。SMAの重症度は、患者の間で変わり、そのため、発症の年齢および運動発達のマイルストーンに応じて異なる型に分類されている。SMA0の指定は、出生前の発症、ならびに重度の関節拘縮、顔面両麻痺および呼吸不全を反映することが提案されている。SMAの出生後形態の3つの型が指定されている。I型SMA(ウェルドニッヒホフマン病とも呼ばれる)は、出生時または生後6か月以内の発症を伴う最も重症の形態であり、典型的には、2年以内に死に至る。I型SMAを有する小児は、座ることも歩行することもできず、重症の呼吸機能障害を有する。II型SMAは、最初の2年以内の発症を伴う中間形態である。II型SMAを有する小児は、座ることはできるが、立つことも歩行することもできない。III型(クーゲルベルグウェランダー病とも呼ばれる)は、18か月齢~2歳以降に始まり(Lefebvre et al., Hum. Mol. Genet., 1998, 7, 1531-1536)、通常、慢性的に進行する。III型SMAを有する小児は、少なくとも幼児期は自力で立つことおよび歩行することができる。成人形態(IV型)は、30歳以降の発症を伴う最も穏やかな形態のSMAであり、わずかな症例が報告されている。III型およびIV型のSMAは、遅発性SMAとしても公知である。
【0054】
SMAの分子的機序は、生存運動ニューロン遺伝子1(SMN1)の両方のコピーの喪失から生じ、これは、snRNPのバイオジェネシスおよび再利用に関与すると考えられる複数のタンパク質複合体の一部であるタンパク質のSMNテロメリックとしても公知であり得る。SMNセントロメリックとしても公知であり得るほぼ同一の遺伝子であるSMN2は、染色体5q13上の重複領域中に存在し、疾患の重症度をモジュレートする。正常なSMN1遺伝子の発現は、単独で、生存運動ニューロン(SMN)タンパク質の発現をもたらす。SMN1およびSMN2は、潜在的に同じタンパク質をコードするが、SMN2は、エクソン7の+6位に翻訳的にサイレントな変異を含有し、これは、SMN2転写物におけるエクソン7の不十分な包含をもたらす。したがって、優勢な形態のSMN2は、エクソン7を欠く切断型バージョンであり、これは、不安定および不活性である(Cartegni and Krainer, Nat. Genet., 2002, 30, 377-384)。SMN2遺伝子の発現は、およそ10~20%のSMNタンパク質、および80~90%の不安定/非機能性SMNデルタ7タンパク質をもたらす。SMNタンパク質は、スプライソソームのアセンブリーにおいて十分に確立された役割を果たし、ニューロンの軸索および神経終末におけるmRNAの輸送も媒介し得る。
【0055】
SMAは、SMN1遺伝子の両方の機能性コピーのホモ接合性の喪失によって引き起こされるが、SMN2遺伝子は、SMN1と同じタンパク質をコードし、そのため、SMA患者の遺伝的欠陥を克服する可能性を有する。SMN2は、エクソン7の+6位に翻訳的にサイレントな変異(C→T)を含有し、これは、SMN2転写物におけるエクソン7の不十分な包含をもたらす。したがって、優勢な形態のSMN2は、エクソン7を欠くものであり、不安定で不活性である。SMN2遺伝子から生じるフルサイズのタンパク質は、SMN1と呼ばれる類似の遺伝子から生じるタンパク質と同一である。しかしながら、すべての機能性SMNタンパク質のうちのわずか10~15パーセントが、SMN2遺伝子から産生される(残りは、SMN1遺伝子から産生される)。典型的には、人々は、それぞれの細胞中に、SMN1遺伝子の2つのコピー、およびSMN2遺伝子の1~2つのコピーを有する。しかしながら、SMN2遺伝子のコピーの数はさまざまであり、一部の人々は、最大で8つのコピーを有する。有するSMN2遺伝子のコピーが多くなると、産生するSMNタンパク質が多くなる。SMN2遺伝子の余分なコピーは、SMAの重症度を修飾し得る。脊髄性筋萎縮症を有するすべての個体は、SMN1遺伝子の両方のコピーに変異を有するので、これにより、SMNタンパク質がSMN1からわずかに産生されるか、またはまったく産生されず、SMN2遺伝子は、SMNタンパク質の欠如の一部を置き換えるのを助けることができる。脊髄性筋萎縮症を有する人々では、SMN2遺伝子の複数のコピーを有することは、通常、高齢期に発生する状態のあまり重症ではない特徴に関連する。SMN2遺伝子の1または2つの機能性コピーを有する罹患個体は、一般に、出生時または幼児期に始まる深刻な筋力低下を有する。SMN2遺伝子の4つまたはそれよりも多くのコピーを有する罹患個体は、典型的には、成人期まで目立たない場合がある軽症の筋力低下を有する。一部の態様では、本明細書に記載される1つもしくは複数の処置の異なる用量および/または設計は、異なる数のSMN2遺伝子を有する異なる対象に施行され得る。
【0056】
一部の態様では、細胞内SMNタンパク質レベルは、運動ニューロンを、SMN機能を増加させることができる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)ならびにa)組換えSMNタンパク質の細胞内発現を促進する組換えSMN1遺伝子をコードする組換え核酸および/またはb)エクソン7を含有する細胞SMN2転写物のパーセンテージを増加させ、それによって細胞SMN2転写物からの全長SMNタンパク質の増加した発現をもたらすように、細胞内SMN2スプライシングをモジュレートするASOと接触させることによって増加させることができる。一部の態様では、併用療法は、SMN機能を増加させることができる低分子、SMN1遺伝子をコードする組換え核酸(本明細書では、組換えSMN1遺伝子とも称する)および全長SMN2 mRNAを増加させるSMN2 ASO(例えば、全長SMN2 mRNAの細胞内レベルを、例えば、SMN2 mRNAにおけるエクソン7の包含を促進することによって、増加させるASO)を投与することを含む。一部の態様では、SMN2 mRNAは、ヌシネルセンである。一部の態様では、全長SMN2 mRNAの細胞内レベルを増加させることは、SMAの複数の態様を標的とするのに有用であり、SMN2遺伝子の異なるゲノムコピー数を有する患者を含むSMAの異なる型を有する患者を含めて、異なる疾患の重症度を有するある範囲の対象を処置するために有用であり得る。一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子および組換えSMN1遺伝子は、併せて投与される。一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子およびSMN2 ASOは、併せて投与される。一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子、組換えSMN1遺伝子およびSMN2 ASOは、併せて投与される。一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子および組換えSMN1遺伝子は、逐次に投与される。一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子およびSMN2 ASOは、逐次に投与される。一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子、組換えSMN1遺伝子およびSMN2 ASOは、逐次に投与される。
【0057】
一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子、組換えSMN1遺伝子またはSMN2 ASOは、別々に製剤化される。一部の態様では、それぞれの分子についての投与の経路は、異なり得、対象に投与される分子の種類によって影響される(例えば、組換え遺伝子、低分子またはアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与するために好適な公知の方法)。
【0058】
一部の態様では、組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)は、組換え遺伝子を対象に送達するために好適な医薬組成物として製剤化される。組換えSMN1遺伝子の投与は、組換えSMN1遺伝子を投与するために好適な任意の公知の経路を介してであり得る。一部の態様では、組換えSMN1遺伝子を含む医薬組成物は、rAAVに基づく送達に好適である(例えば、注射用液剤)。一部の態様では、SMAを処置するための組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)の投与は、注射によって(例えば、静脈内注射、CNSへの直接注射または任意の他の好適な経路を介して)である。
【0059】
一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)は、低分子薬物を対象に送達するために好適な医薬組成物として製剤化される(例えば、1つまたは複数の錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤または液剤などの形態において)。SMN機能を増加させる低分子の投与は、低分子薬物を投与するために好適な任意の公知の経路を介してであり得る(例えば、経口投与)。一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子は、対象に、経口投与によって与えられる。
【0060】
一部の態様では、SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、オリゴヌクレオチドを送達するために好適な医薬組成物として(例えば、注射用液剤として)製剤化される。SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)の投与は、ASOを投与するために好適な任意の公知の経路を介してであり得る。一部の態様では、SMAを処置するためのSMN2 ASOは、対象に、脳室内(ICV)注射、静脈内(IV)注射または髄腔内(IT)注射によって(例えば、腰椎穿刺(LP)および/または大槽内(ICM)送達を介して)投与される。一部の態様では、SMAを処置するためのSMN2 ASOは、対象に、髄腔内(IT)注射によって投与される。
【0061】
一部の態様では、本明細書に記載される医薬組成物のいずれかは、薬学的に許容される担体(例えば、賦形剤)をさらに含む。薬学的に許容される担体は、本明細書で使用される場合、組成物の活性成分および/または遺伝子治療剤(例えば、rAAV)と適合し(および好ましくは、活性成分を安定化することができる)、投与される対象に有害ではない担体を指す。薬学的に許容される担体は、限定されるものではないが、賦形剤、バッファー、1種または複数の好適な塩、界面活性剤、抗酸化剤などを含む、当技術分野において公知の任意の好適な薬学的に許容される担体であり得る。
【0062】
本方法で使用される医薬組成物は、凍結乾燥製剤または水性溶液の形態の薬学的に許容される担体、賦形剤または安定剤を含むことができる(Remington: The Science and Practice of Pharmacy 20th Ed. (2000) Lippincott Williams and Wilkins, Ed. K. E. Hoover)。
【0063】
in vivo投与のために使用される医薬組成物は、無菌であり得る。これは、限定されるものではないが、滅菌濾過膜を通す濾過を含む、当技術分野において公知の任意の手段によって達成することができる。
【0064】
本明細書に記載される医薬組成物は、限定されるものではないが、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、液剤もしくは懸濁剤、または坐剤などの当技術分野において公知の好適な単位剤形であり得る。
【0065】
一部の態様では、組合せ処置は、SMN機能を増加させる低分子を含む第1の組成物および組換えSMN1遺伝子を含む別々の第2の組成物を、(例えば、併せてまたは逐次に)投与することを含む。一部の態様では、組合せ処置は、SMN機能を増加させる低分子を含む第1の組成物およびSMN2 ASOを含む別々の第2の組成物を、(例えば、併せてまたは逐次に)投与することを含む。一部の態様では、組合せ処置は、SMN機能を増加させる低分子を含む第1の組成物、組換えSMN1遺伝子を含む別々の第2の組成物およびSMN2 ASOを含む別々の第3の組成物を、(例えば、併せてまたは逐次に)投与することを含む。一部の態様では、第1および第2の組成物は、本明細書に定義されるように、併せて投与される。一部の態様では、第1、第2および第3の組成物は、本明細書に定義されるように、併せて投与される。一部の態様では、第1および第2の組成物は、本明細書に定義されるように、対象に逐次に投与される。一部の態様では、第1、第2および第3の組成物は、本明細書に定義されるように、対象に逐次に投与される。
【0066】
並行投与は、本明細書で使用される場合、同時のまたは同じ訪問診療中の異なる時間での、対象への、SMAを処置するための本明細書に記載される治療(例えば、組換えSMN1遺伝子、SMN2 ASOまたはSMN機能を増加させる低分子)の2つまたはそれよりも多くの投与を指す。例えば、病院、診療所または他の医療センターへの同じ来院の間に、対象は、本明細書に記載される治療の2つまたはそれよりも多くを投与されるが、投与は、個々の治療によって規定されるように、相隔たり得る。
【0067】
逐次投与は、本明細書で使用される場合、異なる投与スケジュールの下、SMAを処置するための本明細書に記載される治療(例えば、組換えSMN1遺伝子、SMN2 ASOまたはSMN機能を増加させる低分子)の2つまたはそれよりも多くの投与を指す。例えば、治療は、異なる訪問診療中の、異なる日、週、月または年で投与されてもよい。本明細書に記載される治療は、(例えば、医師による処置計画において決定される)任意の順序で、対象に投与され得る。一部の態様では、逐次投与は、異なる頻度または投与スケジュールでの本明細書に記載される組換えSMN1遺伝子、SMN2 ASOおよび/またはSMN機能を増加させる低分子のそれぞれの投与を含む。
【0068】
したがって、一部の態様では、本明細書に記載される第1および第2の組成物は、異なる時間に(例えば、1日の異なる時間で、同じ週もしくは月の異なる日に、または異なる週、月もしくは年に)、別々に対象に投与される。一部の態様では、本明細書に記載される第1、第2および第3の組成物は、異なる時間に(例えば、1日の異なる時間で、同じ週の異なる日に、または異なる週に)、別々に対象に投与される。一部の態様では、本明細書に記載される第1および第2の組成物は、異なる頻度で投与される。一部の態様では、本明細書に記載される第1、第2および第3の組成物は、異なる頻度で投与される。一部の態様では、組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)を含む組成物は、SMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)を含む組成物よりも少ない頻度で投与される。一部の態様では、組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)を含む組成物は、SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)を含む組成物またはSMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)を含む組成物よりも少ない頻度で投与される。
【0069】
一部の態様では、組換えSMN1遺伝子は、対象がSMN機能を増加させる低分子またはSMN2 ASOで処置される前に、対象に投与される。しかしながら、他の態様では、対象は、組換えSMN1遺伝子を投与される前に、SMN機能を増加させる低分子および/またはSMN2 ASOで既に処置されている。一部の態様では、組換えSMN1遺伝子は、SMN機能を増加させる低分子および/またはSMN2 ASOを既に受けている対象に投与される。
【0070】
一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子は、対象が組換えSMN1遺伝子および/またはSMN2 ASOで処置される前に、対象に投与される。しかしながら、他の態様では、対象は、SMN機能を増加させる低分子を投与される前に、組換えSMN1遺伝子および/またはSMN2 ASOで処置される。一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子は、組換えSMN1遺伝子および/またはSMN2 ASO処置を既に受けている対象に投与される。一部の態様では、SMN2 ASOは、対象が組換えSMN1遺伝子および/またはSMN機能を増加させる低分子で処置される前に、対象に投与される。しかしながら、他の態様では、対象は、SMN2 ASOを投与される前に、組換えSMN1遺伝子および/またはSMN機能を増加させる低分子で処置される。一部の態様では、SMN2 ASOは、組換えSMN1遺伝子および/またはSMN機能を増加させる低分子を既に受けている対象に投与される。
【0071】
一部の態様では、組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)もしくはSMN2 ASO単独、または組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)およびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)の1回、2回またはそれよりも多くのその後の投与は、SMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)の初回投与後に施行される。一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)もしくはSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)単独、またはSMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)およびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)の1回、2回またはそれよりも多くのその後の投与は、組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)の初回投与後に施行される。一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)もしくは組換えSMN1遺伝子、またはSMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)および組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)の1回、2回またはそれよりも多くのその後の投与は、SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)の初回投与後に施行される。一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)の1回、2回またはそれよりも多くのその後の投与は、組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)およびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)の初回投与後に施行される。一部の態様では、組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)およびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、SMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)単独の初回投与後に投与される。
【0072】
in vitroでSMN発現および活性レベルを測定するための種々のアッセイが存在する。例えば、上記で引用したTanguy et al, 2015を参照されたい。本明細書に記載される方法は、SMAまたはその症状の処置のための任意の他の治療と組み合わせることもできる。SMAのための現在の標準治療の議論を提供するWang et al, Consensus Statement for Standard of Care in Spinal Muscular Atrophy、およびhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK1352/ (Prior TW, Leach ME, Finanger E. Spinal Muscular Atrophy. 2000 Feb 24. GeneReviews)も参照されたい。例えば、SMAにおいて栄養摂取が懸案される場合、胃瘻チューブの留置が適切である。呼吸機能の悪化につれて、気管切開術または非侵襲性の呼吸補助が提供される。睡眠呼吸障害は、連続的な陽性気道内圧の夜間の使用により処置することができる。SMA IIおよびSMA IIIを有する個体における脊柱側弯の手術は、努力肺活量が30%~40%を超える場合、安全に行うことができる。電動車椅子および他の機器は、クオリティオブライフを改善し得る。参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,211,631号も参照されたい。
【0073】
SMN機能を増加させることができる低分子
一部の態様では、医薬組成物は、SMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)を含み、対象におけるSMAを処置するために、(i)組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)を含む医薬組成物(複数可)および/または(ii)SMN2 ASOを含む医薬組成物(複数可)との組合せで(例えば、並行または逐次処置において)使用される。
【0074】
一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子薬物は、SMN遺伝子(例えば、SMN1またはSMN2)のスプライシングをモジュレートし、それを安定化し、および/またはその転写もしくは翻訳を増加させることができる。一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子薬物は、それを必要とする対象に投与された場合に、組成物中の他の活性剤(例えば、組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)、SMN2 ASO)の活性(例えば、効力および/または有効性)を改善することができる。
【0075】
一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子薬物は、スプライスモジュレーターである。一部の態様では、スプライスモジュレーターは、SMN2スプライスモジュレーターである。一部の態様では、スプライスモジュレーターは、7-二置換フェニルテトラサイクリンである。7-置換フェニルテトラサイクリンSMN2スプライスモジュレーターの非限定的な例は、国際公開第2013/181391号に記載されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。一部の態様では、スプライスモジュレーターは、置換イソインドリノンである。置換イソインドリノンSMN2スプライスモジュレーターの非限定的な例は、米国特許出願公開第2009/0031435号に記載されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。一部の態様では、スプライスモジュレーターは、置換カルバゾール誘導体である。SMN2スプライスモジュレーターとして作用する置換カルバゾール誘導体の非限定的な例は、国際公開第2005/023255号に記載されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。一部の態様では、SMN2スプライスモジュレーターは、置換1,4-ジアゼパンである。SMN2スプライスモジュレーターとして作用する置換1,4-ジアゼパンの非限定的な例は、国際公開第2019/028440号に記載されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。一部の態様では、SMN2スプライスモジュレーターは、置換ピリダジンである。SMN2スプライスモジュレーターとして作用する置換ピリダジンの非限定的な例は、国際公開第2015/017589号、国際公開第2014/028459号、米国特許第10,195,196号、米国特許第9,545,404号、米国特許第8,729,263号および国際公開第2015/173181号に記載されており、それらのそれぞれの内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0076】
一部の態様では、置換ピリダジンは、式(I’)の化合物:
【化1】
またはその薬学的に許容される塩である
[式中、
Aは、C~Cアルキル(ここで、2個のC~Cアルキル基は、それらが結合する原子と組み合わされて、5~6員環を形成することができ、かつオキソ、オキシムおよびヒドロキシから選択される0または1個の置換基で置換されている)、ハロC~Cアルキル、ジハロC~Cアルキル、トリハロC~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cアルコキシ-、C~Cシクロアルキル、ハロC~Cアルコキシ、ジハロC~Cアルコキシ、トリハロC~Cアルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、アミノ、モノおよびジ-C~Cアルキルアミノ、ヘテロアリール、ヒドロキシで置換されたC~Cアルキル、アリールで置換されたC~Cアルコキシ、アミノ、-C(O)NH、C~Cアルキル、-ヘテロアリール、-NHC(O)-、C~Cアルキル-、ヘテロアリール、C~Cアルキル-C(O)NH-、ヘテロアリール、C~CアルキルNHC(O)-ヘテロアリール、3~7員シクロアルキル、5~7員シクロアルケニル、またはS、OおよびNから独立して選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含有する5、6もしくは9員複素環から独立して選択される0、1、2または3個の置換基で置換された2-ヒドロキシ-フェニルであり、ここで、ヘテロアリールは、5、6または9個の環原子、N、OおよびSから選択される1、2または3個の環ヘテロ原子を有し、オキソ、ヒドロキシ、ニトロ、ハロゲン、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルコキシ、C~Cシクロアルキル、C~Cアルキル-OH、トリハロC~Cアルキル、モノおよびジ-C~Cアルキルアミノ、-C(O)NH、-NH、-NO、ヒドロキシC~Cアルキルアミノ、ヒドロキシC~Cアルキル、4~7員複素環C~Cアルキル、アミノC~Cアルキルならびにモノおよびジ-C~CアルキルアミノC~Cアルキルから独立して選択される0、1または2個の置換基で置換され;あるいは
Aは、必要に応じて、ヒドロキシにより3位が置換され、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルコキシから選択される0、1または2個の置換基でさらに置換された2-ナフチルであり、ここで、前記アルコキシは、無置換であるか、またはヒドロキシ、C~Cアルコキシ、アミノ、N(H)C(O)C~Cアルキル、N(H)C(O)~Cアルキル、アルキレン4~7員複素環、4~7員複素環ならびにモノおよびジ-C~Cアルキルアミノで置換され;あるいは
Aは、1~3個の環窒素原子を有する6員ヘテロアリールであり、前記6員ヘテロアリールは、フェニル、または5もしくは6個の環原子、N、OおよびSから独立して選択される1もしくは2個の環ヘテロ原子を有し、C~Cアルキル、モノおよびジ-C~Cアルキルアミノ、ヒドロキシC~Cアルキルアミノ、ヒドロキシC~Cアルキル、アミノC~Cアルキルならびにモノおよびジ-C~CアルキルアミノC~Cアルキルから独立して選択される0、1もしくは2個の置換基で置換されたヘテロアリールによって置換されている;あるいは
Aは、9~10個の環原子およびN、OまたはSから独立して選択される1、2または3個の環ヘテロ原子を有する二環式ヘテロアリールであり、前記二環式ヘテロアリールは、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cアルコキシならびにヒドロキシ、C~Cアルコキシ、アミノおよびモノおよびジ-C~Cアルキルアミノで置換されたC~Cアルコキシから独立して選択される0、1または2個の置換基で置換され;あるいは
Aは、12または13個の環原子およびN、OまたはSから独立して選択される1、2もしくは3個の環ヘテロ原子を有する三環式ヘテロアリールであり、前記三環式ヘテロアリールは、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cアルコキシ、ヒドロキシで置換されたC~Cアルコキシ、C~Cアルコキシ、アミノ、モノおよびジ-C~Cアルキルアミノならびにヘテロアリールから独立して選択される0、1または2個の置換基で置換され、ここで、前記ヘテロアリールは、5、6または9個の環原子、N、OおよびSから選択される1、2または3個の環ヘテロ原子を有し、オキソ、ヒドロキシ、ニトロ、ハロゲン、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルコキシ、C~Cシクロアルキル、C~Cアルキル-OH、トリハロC~Cアルキル、モノおよびジ-C~Cアルキルアミノ、-C(O)NH、-NH、-NO、ヒドロキシC~Cアルキルアミノ、ヒドロキシC~Cアルキル、4~7員複素環C~Cアルキル、アミノC~Cアルキルならびにモノおよびジ-C~CアルキルアミノC~Cアルキルから独立して選択される0、1または2個の置換基で置換され;
Bは、式の基:
【化2】
[式中、
m、nおよびpは、0または1から独立して選択され;
R、R、R、RおよびRは、水素、C~Cアルキルからなる群から独立して選択され、前記アルキルは、必要に応じて、ヒドロキシ、アミノまたはモノおよびジ-C~Cアルキルアミノ(akylamino)で置換され;
およびRは、水素およびフッ素から独立して選択され;あるいは
RおよびRは、組み合わされて、N、OまたはSから選択される0または1個のさらなる環ヘテロ原子を有する縮合5または6員複素環式環を形成し;
およびRは、組み合わされて、C~Cアルキレン基を形成し;
およびRは、組み合わされて、C~Cアルキレン基を形成し;
およびRは、それらが結合する炭素原子と組み合わされて、スピロ環式C~Cシクロアルキルを形成し;
Xは、CR、O、NRまたは結合であり;
は、水素またはC~Cアルキルであり;
およびRは、水素およびC~Cアルキルから独立して選択されるか、またはRおよびRは、組み合わされて、二価C~Cアルキレン基を形成し;
Zは、CRまたはNであり;ZがNである場合、Xは結合であり;
は、水素であるか、またはRと組み合わされて、二重結合を形成する]
であり;あるいは
Bは、式の基:
【化3】
[式中、
pおよびqは、0、1および2からなる群から独立して選択され;
およびR13は、水素およびC~Cアルキルから独立して選択され;
10およびR14は、水素、アミノ、モノおよびジ-C~CアルキルアミノならびにC~Cアルキルから独立して選択され、前記アルキルは、必要に応じて、ヒドロキシ、アミノまたはモノおよびジ-C~Cアルキルアミノで置換され;
11は、水素、C~Cアルキル、アミノまたはモノおよびジ-C~Cアルキルアミノであり;
12は、水素またはC~Cアルキルであり;あるいは
およびR10は、組み合わされて、4~7個の環原子を有する飽和アザ環を形成し、前記飽和アザ環は、必要に応じて、1~3個のC~Cアルキル基で置換され;あるいは
11およびR12は、組み合わされて、4~7個の環原子を有する飽和アザ環を形成し、前記飽和アザ環は、必要に応じて、1~3個のC~Cアルキル基で置換されている]
であり;
Cは、原子価が許容するかぎり、Hまたは非存在である]。
【0077】
一部の態様では、置換ピリダジンは、式(I)の化合物:
【化4】
またはその薬学的に許容される塩である
[式中、
Aは、C~Cアルキル(ここで、2個のC~Cアルキル基は、それらが結合する原子と組み合わされて、5~6員環を形成することができ、かつオキソ、オキシムおよびヒドロキシから選択される0または1個の置換基で置換されている)、ハロC~Cアルキル、ジハロC~Cアルキル、トリハロC~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cアルコキシ-、C~Cシクロアルキル、ハロC~Cアルコキシ、ジハロC~Cアルコキシ、トリハロC~Cアルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、アミノ、モノおよびジ-C~Cアルキルアミノ、ヘテロアリール、ヒドロキシで置換されたC~Cアルキル、アリールで置換されたC~Cアルコキシ、アミノ、-C(O)NH、C~Cアルキル、-ヘテロアリール、-NHC(O)-、C~Cアルキル-、ヘテロアリール、C~Cアルキル-C(O)NH-、ヘテロアリール、C~CアルキルNHC(O)-ヘテロアリール、3~7員シクロアルキル、5~7員シクロアルケニル、またはS、OおよびNから独立して選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含有する5、6もしくは9員複素環から独立して選択される0、1、2または3個の置換基で置換された2-ヒドロキシ-フェニルであり、ここで、ヘテロアリールは、5、6または9個の環原子、N、OおよびSから選択される1、2または3個の環ヘテロ原子を有し、オキソ、ヒドロキシ、ニトロ、ハロゲン、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルコキシ、C~Cシクロアルキル、C~Cアルキル-OH、トリハロC~Cアルキル、モノおよびジ-C~Cアルキルアミノ、-C(O)NH、-NH、-NO、ヒドロキシC~Cアルキルアミノ、ヒドロキシC~Cアルキル、4~7員複素環C~Cアルキル、アミノC~Cアルキルならびにモノおよびジ-C~CアルキルアミノC~Cアルキルから独立して選択される0、1または2個の置換基で置換され;あるいは
Aは、必要に応じて、ヒドロキシにより3位が置換され、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルコキシから選択される0、1または2個の置換基でさらに置換された2-ナフチルであり、ここで、前記アルコキシは、無置換であるか、またはヒドロキシ、C~Cアルコキシ、アミノ、N(H)C(O)C~Cアルキル、N(H)C(O)~Cアルキル、アルキレン4~7員複素環、4~7員複素環ならびにモノおよびジ-C~Cアルキルアミノで置換され;あるいは
Aは、1~3個の環窒素原子を有する6員ヘテロアリールであり、前記6員ヘテロアリールは、フェニル、または5もしくは6個の環原子、N、OおよびSから独立して選択される1もしくは2個の環ヘテロ原子を有し、C~Cアルキル、モノおよびジ-C~Cアルキルアミノ、ヒドロキシC~Cアルキルアミノ、ヒドロキシC~Cアルキル、アミノC~Cアルキルならびにモノおよびジ-C~CアルキルアミノC~Cアルキルから独立して選択される0、1もしくは2個の置換基で置換されたヘテロアリールによって置換されている;あるいは
Aは、9~10個の環原子およびN、OまたはSから独立して選択される1、2または3個の環ヘテロ原子を有する二環式ヘテロアリールであり、前記二環式ヘテロアリールは、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cアルコキシならびにヒドロキシ、C~Cアルコキシ、アミノおよびモノおよびジ-C~Cアルキルアミノで置換されたC~Cアルコキシから独立して選択される0、1または2個の置換基で置換され;あるいは
Aは、12または13個の環原子およびN、OまたはSから独立して選択される1、2もしくは3個の環ヘテロ原子を有する三環式ヘテロアリールであり、前記三環式ヘテロアリールは、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cアルコキシ、ヒドロキシで置換されたC~Cアルコキシ、C~Cアルコキシ、アミノ、モノおよびジ-C~Cアルキルアミノならびにヘテロアリールから独立して選択される0、1または2個の置換基で置換され、ここで、前記ヘテロアリールは、5、6または9個の環原子、N、OおよびSから選択される1、2または3個の環ヘテロ原子を有し、オキソ、ヒドロキシ、ニトロ、ハロゲン、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルコキシ、C~Cシクロアルキル、C~Cアルキル-OH、トリハロC~Cアルキル、モノおよびジ-C~Cアルキルアミノ(mono- and di-Ci-C4alkylamino)、-C(O)NH、-NH、-NO、ヒドロキシC~Cアルキルアミノ、ヒドロキシC~Cアルキル、4~7員複素環C~Cアルキル、アミノC~Cアルキルならびにモノおよびジ-C~CアルキルアミノC~Cアルキルから独立して選択される0、1または2個の置換基で置換され;
Bは、式の基:
【化5】
[式中、
m、nおよびpは、0または1から独立して選択され;
R、R、R、RおよびRは、水素、C~Cアルキルからなる群から独立して選択され、前記アルキルは、必要に応じて、ヒドロキシ、アミノまたはモノおよびジ-C~Cアルキルアミノで置換され;
およびRは、水素およびフッ素から独立して選択され;あるいは
RおよびRは、組み合わされて、N、OまたはSから選択される0または1個のさらなる環ヘテロ原子を有する縮合5または6員複素環式環を形成し;
およびRは、組み合わされて、C~Cアルキレン基を形成し;
およびRは、組み合わされて、C~Cアルキレン基を形成し;
およびRは、それらが結合する炭素原子と組み合わされて、スピロ環式C~Cシクロアルキルを形成し;
Xは、CR、O、NRまたは結合であり;
は、水素またはC~Cアルキルであり;
およびRは、水素およびC~Cアルキルから独立して選択されるか、またはRおよびRは、組み合わされて、二価C~Cアルキレン基を形成し;
Zは、CRまたはNであり;ZがNである場合、Xは結合であり;
は、水素であるか、またはRと組み合わされて、二重結合を形成する]
であり;あるいは
Bは、式の基:
【化6】
[式中、
pおよびqは、0、1および2からなる群から独立して選択され;
およびR13は、水素およびC~Cアルキルから独立して選択され;
10およびR14は、水素、アミノ、モノおよびジ-C~CアルキルアミノならびにC~Cアルキルから独立して選択され、前記アルキルは、必要に応じて、ヒドロキシ、アミノまたはモノおよびジ-C~Cアルキルアミノで置換され;
11は、水素、C~Cアルキル、アミノまたはモノおよびジ-C~Cアルキルアミノであり;
12は、水素またはC~Cアルキルであり;あるいは
およびR10は、組み合わされて、4~7個の環原子を有する飽和アザ環を形成し、前記飽和アザ環は、必要に応じて、1~3個のC~Cアルキル基で置換され;あるいは
11およびR12は、組み合わされて、4~7個の環原子を有する飽和アザ環を形成し、前記飽和アザ環は、必要に応じて、1~3個のC~Cアルキル基で置換されている]
である。
【0078】
一部の態様では、Aは、C~Cアルキル(ここで、2個のC~Cアルキル基は、それらが結合する原子と組み合わされて、5~6員環を形成することができ、かつオキソ、オキシムおよびヒドロキシから選択される0または1個の置換基で置換されている)、ハロC~Cアルキル、ジハロC~Cアルキル、トリハロC~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cアルコキシ-、C~Cシクロアルキル、ハロC~Cアルコキシ、ジハロC~Cアルコキシ、トリハロC~Cアルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、アミノ、モノおよびジ-C~Cアルキルアミノ、ヘテロアリール、ヒドロキシで置換されたC~Cアルキル、アリールで置換されたC~Cアルコキシ、アミノ、-C(O)NH、C~Cアルキル、-ヘテロアリール、-NHC(O)-、C~Cアルキル-、ヘテロアリール、C~Cアルキル-C(O)NH-、ヘテロアリール、C~CアルキルNHC(O)-ヘテロアリール、3~7員シクロアルキル、5~7員シクロアルケニル、またはS、OおよびNから独立して選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含有する5、6もしくは9員複素環から独立して選択される0、1、2または3個の置換基で置換された2-ヒドロキシ-フェニルであり、ここで、ヘテロアリールは、5、6または9個の環原子、N、OおよびSから選択される1、2または3個の環ヘテロ原子を有し、オキソ、ヒドロキシ、ニトロ、ハロゲン、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルコキシ、C~Cシクロアルキル、C~Cアルキル-OH、トリハロC~Cアルキル、モノおよびジ-C~Cアルキルアミノ、-C(O)NH、-NH、-NO、ヒドロキシC~Cアルキルアミノ、ヒドロキシC~Cアルキル、4~7員複素環C~Cアルキル、アミノC~Cアルキルならびにモノおよびジ-C~CアルキルアミノC~Cアルキルから独立して選択される0、1または2個の置換基で置換されている。一部の態様では、Aは、式:
【化7】
[式中、R16は、1個の環窒素原子およびN、OまたはSから選択される0または1個のさらなる環ヘテロ原子を有する5員ヘテロアリールであり、ここで、ヘテロアリールは、必要に応じて、C~Cアルキルで置換されている]である。一部の態様では、Aは、式:
【化8】
である。一部の態様では、Aは、式:
【化9】
[式中、R16は、1個の環窒素原子およびN、OまたはSから選択される0または1個のさらなる環ヘテロ原子を有する5員ヘテロアリールであり、ここで、ヘテロアリールは、必要に応じて、C~Cアルキルで置換されている]である。一部の態様では、Aは、式:
【化10】
である。
【0079】
一部の態様では、Aは、必要に応じて、ヒドロキシにより3位が置換され、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルコキシから選択される0、1または2個の置換基でさらに置換された2-ナフチルであり、ここで、前記アルコキシは、無置換であるか、またはヒドロキシ、C~Cアルコキシ、アミノ、N(H)C(O)C~Cアルキル、N(H)C(O)~Cアルキル、アルキレン4~7員複素環、4~7員複素環ならびにモノおよびジ-C~Cアルキルアミノで置換されている。
【0080】
一部の態様では、Aは、1~3個の環窒素原子を有する6員ヘテロアリールであり、前記6員ヘテロアリールは、フェニル、または5もしくは6個の環原子、N、OおよびSから独立して選択される1もしくは2個の環ヘテロ原子を有し、C~Cアルキル、モノおよびジ-C~Cアルキルアミノ、ヒドロキシC~Cアルキルアミノ、ヒドロキシC~Cアルキル、アミノC~Cアルキルならびにモノおよびジ-C~CアルキルアミノC~Cアルキルから独立して選択される0、1もしくは2個の置換基で置換されたヘテロアリールによって置換されている。
【0081】
一部の態様では、Aは、9~10個の環原子およびN、OまたはSから独立して選択される1、2または3個の環ヘテロ原子を有する二環式ヘテロアリールであり、前記二環式ヘテロアリールは、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cアルコキシならびにヒドロキシ、C~Cアルコキシ、アミノおよびモノおよびジ-C~Cアルキルアミノで置換されたC~Cアルコキシから独立して選択される0、1または2個の置換基で置換されている。
【0082】
一部の態様では、Aは、12または13個の環原子およびN、OまたはSから独立して選択される1、2もしくは3個の環ヘテロ原子を有する三環式ヘテロアリールであり、前記三環式ヘテロアリールは、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cアルコキシ、ヒドロキシで置換されたC~Cアルコキシ、C~Cアルコキシ、アミノ、モノおよびジ-C~Cアルキルアミノならびにヘテロアリールから独立して選択される0、1または2個の置換基で置換され、ここで、前記ヘテロアリールは、5、6または9個の環原子、N、OおよびSから選択される1、2または3個の環ヘテロ原子を有し、オキソ、ヒドロキシ、ニトロ、ハロゲン、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルコキシ、C~Cシクロアルキル、C~Cアルキル-OH、トリハロC~Cアルキル、モノおよびジ-C~Cアルキルアミノ、-C(O)NH、-NH、-NO、ヒドロキシC~Cアルキルアミノ、ヒドロキシC~Cアルキル、4~7員複素環C~Cアルキル、アミノC~Cアルキルならびにモノおよびジ-C~CアルキルアミノC~Cアルキルから独立して選択される0、1または2個の置換基で置換されている。
【0083】
一部の態様では、Bは、式の基:
【化11】
[式中、
m、nおよびpは、0または1から独立して選択され;
R、R、R、RおよびRは、水素、C~Cアルキルからなる群から独立して選択され、前記アルキルは、必要に応じて、ヒドロキシ、アミノまたはモノおよびジ-C~Cアルキルアミノで置換され;
およびRは、水素およびフッ素から独立して選択され;あるいは
RおよびRは、組み合わされて、N、OまたはSから選択される0または1個のさらなる環ヘテロ原子を有する縮合5または6員複素環式環を形成し;
およびRは、組み合わされて、C~Cアルキレン基を形成し;
およびRは、組み合わされて、C~Cアルキレン基を形成し;
およびRは、それらが結合する炭素原子と組み合わされて、スピロ環式C~Cシクロアルキルを形成し;
Xは、CR、O、NRまたは結合であり;
は、水素またはC~Cアルキルであり;
およびRは、水素およびC~Cアルキルから独立して選択されるか、またはRおよびRは、組み合わされて、二価C~Cアルキレン基を形成し;
Zは、CRまたはNであり;ZがNである場合、Xは結合であり;
は、水素であるか、またはRと組み合わされて、二重結合を形成する]
である。
【0084】
一部の態様では、Bは、式の基:
【化12】
[式中、
pおよびqは、0、1および2からなる群から独立して選択され;
およびR13は、水素およびC~Cアルキルから独立して選択され;
10およびR14は、水素、アミノ、モノおよびジ-C~CアルキルアミノならびにC~Cアルキルから独立して選択され、前記アルキルは、必要に応じて、ヒドロキシ、アミノまたはモノおよびジ-C~Cアルキルアミノで置換され;
11は、水素、C~Cアルキル、アミノまたはモノおよびジ-C~Cアルキルアミノであり;
12は、水素またはC~Cアルキルであり;あるいは
およびR10は、組み合わされて、4~7個の環原子を有する飽和アザ環を形成し、前記飽和アザ環は、必要に応じて、1~3個のC~Cアルキル基で置換され;あるいは
11およびR12は、組み合わされて、4~7個の環原子を有する飽和アザ環を形成し、前記飽和アザ環は、必要に応じて、1~3個のC~Cアルキル基で置換されている]
である。
【0085】
一部の態様では、Bは、
【化13】
である。一部の態様では、Bは、
【化14】
である。一部の態様では、Bは、
【化15】
である。一部の態様では、Bは、
【化16】
である。一部の態様では、Bは、
【化17】
[式中、R17は、Hまたは無置換メチルである]である。一部の態様では、Bは、
【化18】
[式中、R17は、Hまたは無置換メチルである]である。一部の態様では、Bは、
【化19】
[式中、R17は、Hまたは無置換メチルである]である。一部の態様では、Bは、
【化20】
である。一部の態様では、Bは、
【化21】
である。一部の態様では、Bは、
【化22】
である。
【0086】
一部の態様では、式(I’)の置換ピリダジンは、式(II’):
【化23】
またはその薬学的に許容される塩
[式中、R16は、1個の環窒素原子およびN、OまたはSから選択される0または1個のさらなる環ヘテロ原子を有する5員ヘテロアリールであり、ここで、ヘテロアリールは、必要に応じて、C~Cアルキルで置換されている]である。
【0087】
一部の態様では、式(I)の置換ピリダジンは、式(II):
【化24】
またはその薬学的に許容される塩
[式中、R16は、1個の環窒素原子およびN、OまたはSから選択される0または1個のさらなる環ヘテロ原子を有する5員ヘテロアリールであり、ここで、前記ヘテロアリールは、必要に応じて、C~Cアルキルで置換されている]
である。一部の態様では、R16は、チオフェン、フラン、ピロール、ジヒドロピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピラジン、イソチアゾール、イソキサゾール、トリアゾール、テトラゾール、オキサゾール、イソキサゾール、チアゾール、イソチアゾールである。一部の態様では、R16は、ピラゾールである。一部の態様では、R16は、
【化25】
である。
【0088】
一部の態様では、式(I)の置換ピリダジンは、式:
【化26】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0089】
一部の態様では、式(I)の置換ピリダジンは、式:
【化27】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0090】
一部の態様では、置換ピリダジンは、式(III)の化合物:
【化28】
またはその薬学的に許容される塩
[式中、Rは、水素またはC1~7アルキルであり;
は、水素、シアノ、C1~7アルキル、C1~7ハロアルキルまたはC3~8シクロアルキルであり;
は、水素、C1~7アルキルまたはC3~8シクロアルキルであり;
Aは、N-ヘテロシクロアルキルまたはNR1213であり、ここで、N-ヘテロシクロアルキルは、1または2個の窒素環原子を含み、必要に応じて、R14から選択される1、2、3または4個の置換基で置換され;
12は、1個の窒素環原子を含むヘテロシクロアルキルであり、ここで、ヘテロシクロアルキルは、必要に応じて、R14から選択される1、2、3または4個の置換基で置換され;
13は、水素、C1~7アルキルまたはC3~8シクロアルキルであり;
14は、水素、C1~7アルキル、アミノ、アミノ-C1~7アルキル、C3~8シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルから独立して選択されるか、または2個のR14は、一緒にC1~7アルキレンを形成し;
ただし、Aが、1個の窒素環原子のみを含むN-ヘテロシクロアルキルである場合、少なくとも1個のR14置換基は、アミノまたはアミノ-C1~7アルキルである]
である。
【0091】
一部の態様では、式(III)の化合物は、式:
【化29】
またはその薬学的に許容される塩
[式中、
は、水素またはC1~7アルキルであり;
は、水素、シアノ、C1~7アルキル、C1~7ハロアルキルまたはC3~8シクロアルキルであり;
は、水素、C1~7アルキルまたはC3~8シクロアルキルであり;
Aは、1または2個の窒素環原子を含むN-ヘテロシクロアルキルであり、ここで、N-ヘテロシクロアルキルは、必要に応じて、R14から選択される1、2、3または4個の置換基で置換され;
14は、水素、C1~7アルキル、アミノ、アミノ-C1~7アルキル、C3~8シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルから独立して選択されるか、または2個のR14は、一緒にC1~7アルキレンを形成し;
ただし、Aが、1個の窒素環原子のみを含むN-ヘテロシクロアルキルである場合、少なくとも1個のR14置換基は、アミノまたはアミノ-C1~7アルキルである]
である。
【0092】
一部の態様では、Rは、C1~7アルキルである。一部の態様では、Rは、メチルである。
【0093】
一部の態様では、Rは、水素またはC1~7アルキルである。一部の態様では、Rは、水素またはメチルである。一部の態様では、Rは、水素である。一部の態様では、Rは、メチルである。
【0094】
一部の態様では、Rは、水素またはC1~7アルキルである。一部の態様では、Rは、水素またはメチルである。一部の態様では、Rは、水素である。一部の態様では、Rは、メチルである。
【0095】
一部の態様では、Aは、N-ヘテロシクロアルキルまたはNR1213であり、ここで、N-ヘテロシクロアルキルは、1または2個の窒素環原子を含み、必要に応じて、R14から選択される1、2、3または4個の置換基で置換され;
12が、1個の窒素環原子を含むヘテロシクロアルキルであり、ここで、ヘテロシクロアルキルは、必要に応じて、R14から選択される1、2、3または4個の置換基で置換され;
13が、水素、C1~7アルキルまたはC3~8シクロアルキルであり;
14が、水素、C1~7アルキル、アミノ、アミノ-C1~7アルキル、C3~8シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルから独立して選択されるか、または2個のR14は、一緒にC1~7アルキレンを形成し;
ただし、Aが、1個の窒素環原子のみを含むN-ヘテロシクロアルキルである場合、少なくとも1個のR14置換基は、アミノまたはアミノ-C1~7アルキルである。
【0096】
一部の態様では、R12は、必要に応じて、R14から選択される1、2、3または4個の置換基で置換されたピペリジニルである。
【0097】
一部の態様では、Aは、式:
【化30】
[式中、
Xは、NまたはCHであり;
は、水素、C1~7アルキルまたは-(CH-NR10であり;
は、水素またはC1~7アルキルであり;
は、水素またはC1~7アルキルであり;
は、水素またはC1~7アルキルであり;
は、水素またはC1~7アルキルであり;
およびR10は、水素、C1~7アルキルおよびC3~8シクロアルキルから独立して選択され;
13は、水素、C1~7アルキルまたはC3~8シクロアルキルであり;
nは、0、1または2であり;
mは、0、1、2または3であり;
あるいは、RおよびRは、一緒にC1~7アルキレンを形成し;
あるいは、RおよびRは、一緒にC1~7アルキレンを形成し;
あるいは、RおよびRは、一緒にC2~7アルキレンを形成し;
あるいは、RおよびRは、一緒にC1~7アルキレンを形成し;
あるいは、RおよびRは、一緒にC1~7アルキレンを形成し;
あるいは、RおよびRは、一緒にC2~7アルキレンを形成し;
あるいは、RおよびRは、一緒にC1~7アルキレンを形成し;
あるいは、RおよびR10は、一緒にC2~7アルキレンを形成し;
ただし、Xが、CHである場合、Rは、-(CH-NR10であり;
ただし、Xが、Nであり、Rが、-(CH-NR10である場合、mは、2または3である]
のものである。
【0098】
一部の態様では、Aは、式:
【化31】
[式中、
Xは、NまたはCHであり;
は、水素、C1~7アルキルまたは-(CH-NR10であり;
は、水素またはC1~7アルキルであり;
は、水素またはC1~7アルキルであり;
は、水素またはC1~7アルキルであり;
は、水素またはC1~7アルキルであり;
およびR10は、水素、C1~7アルキルおよびC3~8シクロアルキルから独立して選択され;
nは、0、1または2であり;
mは、0、1、2または3であり;
あるいは、RおよびRは、一緒にC1~7アルキレンを形成し;
あるいは、RおよびRは、一緒にC1~7アルキレンを形成し;
あるいは、RおよびRは、一緒にC2~7アルキレンを形成し;
あるいは、RおよびRは、一緒にC1~7アルキレンを形成し;
あるいは、RおよびRは、一緒にC1~7アルキレンを形成し;
あるいは、RおよびRは、一緒にC2~7アルキレンを形成し;
あるいは、RおよびRは、一緒にC1~7アルキレンを形成し;
あるいは、RおよびR10は、一緒にC2~7アルキレンを形成し;
ただし、Xが、CHである場合、Rは、-(CH-NR10であり;
ただし、Xが、Nであり、Rが、-(CH-NR10である場合、mは、2または3である]
のものである。
【0099】
一部の態様では、Xは、Nである。
【0100】
一部の態様では、nは、1である。
【0101】
一部の態様では、Rは、水素、メチルまたは-(CH-NR10である。一部の態様では、Rは、水素またはメチルである。一部の態様では、Rは、水素である。一部の態様では、Rは、メチルである。
【0102】
一部の態様では、Rは、水素またはメチルである。
【0103】
一部の態様では、mは、0である。
【0104】
一部の態様では、RおよびRは、一緒にプロピレンを形成する。一部の態様では、RおよびRは、一緒にエチレンを形成する。一部の態様では、RおよびR10は、一緒にブチレンを形成する。
【0105】
一部の態様では、Aは、
【化32】
である。一部の態様では、Aは、
【化33】
である。一部の態様では、Aは、
【化34】
である。一部の態様では、Aは、
【化35】
である。一部の態様では、Aは、
【化36】
である。一部の態様では、Aは、
【化37】
である。一部の態様では、Aは、
【化38】
である。一部の態様では、Aは、
【化39】
である。一部の態様では、Aは、
【化40】
である。
【0106】
一部の態様では、Aは、
【化41】
である。
【0107】
一部の態様では、式(III)の置換ピリダジンは、式:
【化42】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0108】
一部の態様では、SMN2スプライスモジュレーターは、リスジプラムである。一部の態様では、SMN2スプライスモジュレーターは、ブラナプラムである。
【0109】
一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子薬物は、mRNAデキャッピング酵素の活性をモジュレートする。一部の態様では、低分子薬物は、mRNAデキャッピング酵素の活性を阻害する。一部の態様では、低分子薬物は、DcpS阻害剤である。一部の態様では、DcpS阻害剤は、C5置換2,4-ジアミノキナゾリン(2,4-DAQ)である。一部の態様では、2,4-DAQは、RG3039である。一部の態様では、DcpS阻害剤は、2,4-DAQ誘導体である。一部の態様では、2,4-DAQ誘導体は、D156844である。
【0110】
一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子薬物は、HDAC阻害剤である。一部の態様では、HDAC阻害剤は、桂皮酸化合物およびそれら由来の誘導体である。HDAC阻害剤として作用する桂皮酸化合物の非限定的な例は、米国特許出願公開第2010/0256401号および欧州特許出願公開第2236503号に記載されており、それらの内容は、参照により本明細書に組み込まれる。一部の態様では、HDAC阻害剤は、ヒドロキサム酸インダン誘導体である。HDAC阻害剤として作用するヒドロキサム酸インダン誘導体の非限定的な例は、国際公開第2017/218,950号に記載されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。一部の態様では、HDAC阻害剤は、3-スピロ-7-ヒドロキサム酸テトラリンである。HDAC阻害剤として作用する3-スピロ-7-ヒドロキサム酸テトラリンの非限定的な例は、国際公開第2016/168660号に記載されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。一部の態様では、HDAC阻害剤は、3-アルキル二環式[4,5,0]ヒドロキサム酸である。HDAC阻害剤として作用する3-アルキル二環式[4,5,0]ヒドロキサム酸の非限定的な例は、国際公開第2016/126722号に記載されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。一部の態様では、HDAC阻害剤は、縮合ピリミジンヒドロキサメート誘導体である。HDAC阻害剤として作用する縮合ピリミジンヒドロキサメート誘導体の非限定的な例は、米国特許出願公開第2018/0265512号に記載されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。一部の態様では、HDAC阻害剤は、テトラヒドロインドールおよび/またはテトラヒドロインダゾール誘導体である。HDAC阻害剤として作用するテトラヒドロインドールおよびテトラヒドロインダゾール(tetrahydroindazoled)の非限定的な例は、国際公開第2009114470号A2に記載されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。一部の態様では、HDAC阻害剤は、ベンズイミダゾールである。HDAC阻害剤として作用するベンズイミダゾールの非限定的な例は、国際公開第2005/028447号に記載されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。一部の態様では、HDAC阻害剤は、2-プロピルペンタン酸誘導体である。HDAC阻害剤として作用する2-プロピルペンタン酸の非限定的な例は、米国特許出願公開第2012/0071554号に記載されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。一部の態様では、HDAC阻害剤は、ピメリン酸誘導体である。HDAC阻害剤として作用するピメリン酸誘導体の非限定的な例は、国際公開第2010/028193号に記載されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。一部の態様では、HDAC阻害剤は、6-アミノヘキサン酸である。HDAC阻害剤として作用する6-アミノヘキサン酸の非限定的な例は、米国特許第9,796,664号に記載されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。一部の態様では、HDAC阻害剤は、ヒドロキサム酸化合物である。HDAC阻害剤として作用するヒドロキサム酸化合物の非限定的な例は、国際公開第2006/101456号、米国特許出願公開第2010/0261710号に記載されており、それらのそれぞれの内容は、参照により本明細書に組み込まれる。一部の態様では、HDAC阻害剤は、ヒドロキサム酸化合物である。HDAC阻害剤として作用するヒドロキサム酸化合物の非限定的な例は、米国特許出願公開第2010/0105721号、米国特許出願公開第2008/0085896号に記載されており、それらのそれぞれの内容は、参照により本明細書に組み込まれる。一部の態様では、HDAC阻害剤は、ベンゾチオフェン誘導体である。HDAC阻害剤として作用するベンゾチオフェン誘導体の非限定的な例は、国際公開第2006/101454号に記載されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。一部の態様では、HDAC阻害剤は、ヘテロアリールアミド誘導体である。HDAC阻害剤として作用するヘテロアリールアミド誘導体の非限定的な例は、国際公開第2019/012172号に記載されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。一部の態様では、HDAC阻害剤は、置換二環式[4.6.0]ヒドロキサム酸である。HDAC阻害剤として作用する置換二環式[4.6.0]ヒドロキサム酸の非限定的な例は、米国特許出願公開第2016/0221997号に記載されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。一部の態様では、HDAC阻害剤は、アミノベンズイミダゾール誘導体である。HDAC阻害剤として作用するアミノベンズイミダゾール誘導体の非限定的な例は、国際公開第2019/051125号に記載されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0111】
一部の態様では、HDAC阻害剤は、イミダゾ[1,2-a]ピリジン誘導体である。HDAC阻害剤として作用するイミダゾ[1,2-a]ピリジン誘導体の非限定的な例は、米国特許出願公開第2008/0085896号に記載されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0112】
一部の態様では、HDAC阻害剤は、ピリミジンヒドロキシ化合物である。HDAC阻害剤として作用するピリミジンヒドロキシ化合物の非限定的な例は、米国特許出願公開第2017/0096403号に記載されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0113】
HDAC阻害剤の低分子薬物の他の非限定的な例は、以下に記載されており、それらのそれぞれの内容は、参照により本明細書に組み込まれる:国際公開第2018/165520号、米国特許出願公開第2017/0050984号、米国特許出願公開第2007/0219244号、米国特許出願公開第2017/0305900号、米国特許出願公開第2017/0224684号A1、米国特許出願公開第2008/0312175号、国際公開第2018/129533号、国際公開第2018/119362号、国際公開第2018/017858号、国際公開第2018/009531号、国際公開第2017/004522号、米国特許出願公開第2018/0057456号、国際公開第2016/020369号、国際公開第2014/143666号、日本特許第6336562号、米国特許出願公開第2011/0300134号、米国特許出願公開第2011/0218221号、米国特許第8,008,344号、欧州特許出願公開第2045247号、日本特許出願公開第2009507829号、中国特許出願公開第102271668号、米国特許第9,855,267号、米国特許出願公開第2018/0362472号、米国特許出願公開第2017/0349573号、日本特許第5838157号、国際公開第2019/007836号、台湾特許出願公開第200911230号、豪州特許出願第2007/21678。
【0114】
例示的なHDAC阻害剤としては、限定されるものではないが、バルプロ酸、ヒドロキシブチレート、フェニルブチレート、フェニルブチレート誘導体、トリコスタチンA(TSA)およびスベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)も挙げられる。例示的なメチラーゼ阻害剤は、5-アザシチジンである。
【0115】
本明細書で使用される場合、「低分子」という用語は、天然に存在するか、または(例えば、化学合成を介して)人工的に創製されたかにかかわらず、比較的低い分子量を有する分子を指す。典型的には、低分子は、有機化合物である(すなわち、これは、炭素を含有する)。低分子は、複数の炭素-炭素結合、立体中心および他の官能基(例えば、アミン、ヒドロキシル、カルボニルおよび複素環式環など)を含有していてもよい。ある特定の態様では、低分子の分子量は、多くて約1,000g/mol、多くて約900g/mol、多くて約800g/mol、多くて約700g/mol、多くて約600g/mol、多くて約500g/mol、多くて約400g/mol、多くて約300g/mol、多くて約200g/molまたは多くて約100g/molである。ある特定の態様では、低分子の分子量は、少なくとも約100g/mol、少なくとも約200g/mol、少なくとも約300g/mol、少なくとも約400g/mol、少なくとも約500g/mol、少なくとも約600g/mol、少なくとも約700g/mol、少なくとも約800g/mol、または少なくとも約900g/mol、または少なくとも約1,000g/molである。上記の範囲の組合せ(例えば、少なくとも約200g/molで多くて約500g/mol)も可能である。ある特定の態様では、低分子は、薬物(例えば、連邦規則集(C.F.R.)に提供される米国食品医薬品局によって承認された分子)などの治療活性剤である。低分子はまた、1つもしくは複数の金属原子および/または金属イオンと錯体形成していてもよい。この例では、低分子は、「有機金属低分子(small organometallic molecule)」とも称される。好ましい低分子は、生物学的に活性であり、それらは、動物、好ましくは、哺乳動物、より好ましくは、ヒトにおいて、生物学的効果を生じる。ある特定の態様では、低分子は、薬物である。好ましくは、必ずしもそうではないが、薬物は、適切な政府機関または規制機関によって、ヒトまたは動物における使用のために安全で有効であると既にみなされたものである。例えば、ヒトの使用のために承認された薬物は、参照により本明細書に組み込まれる21 C.F.R.§§330.5、331~361および440~460の下でFDAによってリストされており、動物の使用のための薬物は、参照により本明細書に組み込まれる21 C.F.R.§§500~589の下でFDAによってリストされている。すべてのリストされた薬物が、本発明による使用のために許容されると考えられる。
【0116】
ある特定の官能基および化学用語の定義を、下記に、より詳細に記載する。化学元素は、Elements, CAS version, Handbook of Chemistry and Physics, 75th Ed.の中表紙の元素の周期表に従って特定され、具体的な官能基は、一般に、それらに記載される通り定義される。加えて、有機化学の一般原理、ならびに具体的な官能部分および反応性は、Thomas Sorrell, Organic Chemistry, University Science Books, Sausalito, 1999;Michael B. Smith, March's Advanced Organic Chemistry, 7th Edition, John Wiley & Sons, Inc., New York, 2013;Richard C. Larock, Comprehensive Organic Transformations, John Wiley & Sons, Inc., New York, 2018;およびCarruthers, Some Modern Methods of Organic Synthesis, 3rd Edition, Cambridge University Press, Cambridge, 1987に記載されている。
【0117】
本明細書に記載される化合物は、1つまたは複数の不斉中心を含むことができ、したがって、さまざまな立体異性体形態、例えば、エナンチオマーおよび/またはジアステレオマーで存在することができる。例えば、本明細書に記載される化合物は、個々のエナンチオマー、ジアステレオマーまたは幾何異性体の形態であり得るか、またはラセミ混合物および1つもしくは複数の立体異性体が富化された混合物を含む立体異性体の混合物の形態であり得る。異性体は、キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)ならびにキラル塩の形成および結晶化を含む、当業者に公知の方法によって、混合物から単離することができ、または好ましい異性体は、不斉合成によって調製することができる。例えば、Jacques et al., Enantiomers, Racemates and Resolutions (Wiley Interscience, New York, 1981);Wilen et al., Tetrahedron 33:2725 (1977);Eliel, E.L. Stereochemistry of Carbon Compounds (McGraw-Hill, NY, 1962);および Wilen, S.H., Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p. 268 (E.L. Eliel, Ed., Univ. of Notre Dame Press, Notre Dame, IN 1972)を参照されたい。本発明は、他の異性体を実質的に含まない個々の異性体として、あるいはさまざまな異性体の混合物としての化合物をさらに包含する。
【0118】
「互変異性体」または「互変異性の」という用語は、少なくとも1つの水素原子の形式移動(formal migration)および原子価の少なくとも1つの変化(例えば、単結合と二重結合、三重結合と単結合、またはその逆)から生じる2つまたはそれよりも多くの相互転換可能な化合物を指す。互変異性体の正確な比は、温度、溶媒およびpHを含むいくつかの因子に依存する。互変異性化(すなわち、互変異性の対を提供する反応)は、酸または塩基によって触媒されてもよい。本明細書に記載される化合物は、1つまたは複数の互変異性形態を含むことができ、したがって、互変異性体として存在することができる。
【0119】
例示的な互変異性化としては、ケト-エノール、アミド-イミド、ラクタム-ラクチム、エナミン-イミンおよびエナミン-(異なるエナミン)の互変異性化が挙げられる。例えば、ケト-エノール互変異性化は、以下を含み得る。
【化43】
【0120】
式中、結合
【化44】
は、単結合であり、破線
【化45】
は、単結合であるか、または存在せず、結合
【化46】
は、単結合または二重結合である。
【0121】
他に提示されない限り、式は、同位体富化された原子を含まない化合物、また同位体富化された原子を含む化合物も含む。同位体富化された原子を含む化合物は、例えば、生物学的アッセイにおける分析ツールおよび/またはプローブとして有用であり得る。
【0122】
値の範囲(「範囲」)がリストされる場合、それぞれの値および範囲内の下位範囲を包含することを意図する。範囲は、他に提示されない限り、範囲の2つの端の値を含む。例えば、「C1~6アルキル」は、C、C、C、C、C、C、C1~6、C1~5、C1~4、C1~3、C1~2、C2~6、C2~5、C2~4、C2~3、C3~6、C3~5、C3~4、C4~6、C4~5およびC5~6アルキルを包含することを意図する。
【0123】
「脂肪族」という用語は、アルキル、アルケニル、アルキニルおよび炭素環式基を指す。同様に、「ヘテロ脂肪族」という用語は、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニルおよび複素環式基を指す。
【0124】
「アルキル」という用語は、1~20個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状の飽和炭化水素基のラジカルを指す(「C1~20アルキル」)。一部の態様では、アルキル基は、1~12個の炭素原子を有する(「C1~12アルキル」)。一部の態様では、アルキル基は、1~10個の炭素原子を有する(「C1~10アルキル」)。一部の態様では、アルキル基は、1~9個の炭素原子を有する(「C1~9アルキル」)。一部の態様では、アルキル基は、1~8個の炭素原子を有する(「C1~8アルキル」)。一部の態様では、アルキル基は、1~7個の炭素原子を有する(「C1~7アルキル」)。一部の態様では、アルキル基は、1~6個の炭素原子を有する(「C1~6アルキル」)。一部の態様では、アルキル基は、1~5個の炭素原子を有する(「C1~5アルキル」)。一部の態様では、アルキル基は、1~4個の炭素原子を有する(「C1~4アルキル」)。一部の態様では、アルキル基は、1~3個の炭素原子を有する(「C1~3アルキル」)。一部の態様では、アルキル基は、1~2個の炭素原子を有する(「C1~2アルキル」)。一部の態様では、アルキル基は、1個の炭素原子を有する(「Cアルキル」)。一部の態様では、アルキル基は、2~6個の炭素原子を有する(「C2~6アルキル」)。C1~6アルキル基の例としては、メチル(C)、エチル(C)、プロピル(C)(例えば、n-プロピル、イソプロピル)、ブチル(C)(例えば、n-ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、イソブチル)、ペンチル(C)(例えば、n-ペンチル、3-ペンタニル、アミル、ネオペンチル、3-メチル-2-ブタニル、tert-アミル)およびヘキシル(C)(例えば、n-ヘキシル)が挙げられる。アルキル基の追加の例としては、n-ヘプチル(C)、n-オクチル(C)、n-ドデシル(C12)などが挙げられる。他に規定されない限り、アルキル基のそれぞれの例は、独立して、無置換であるか(「無置換アルキル」)、または1個もしくは複数個の置換基(例えば、Fなどのハロゲン)で置換されている(「置換アルキル」)。ある特定の態様では、アルキル基は、無置換C1~12アルキル(無置換C1~6アルキルなど、例えば、-CH(Me)、無置換エチル(Et)、無置換プロピル(Pr、例えば、無置換n-プロピル(n-Pr)、無置換イソプロピル(i-Pr))、無置換ブチル(Bu、例えば、無置換n-ブチル(n-Bu)、無置換tert-ブチル(tert-Buまたはt-Bu)、無置換sec-ブチル(sec-Buまたはs-Bu)、無置換イソブチル(i-Bu))である。ある特定の態様では、アルキル基は、置換C1~12アルキル(置換C1~6アルキルなど、例えば、-CHF、-CHF、-CF、-CHCHF、-CHCHF、-CHCFまたはベンジル(Bn))である。
【0125】
「ハロアルキル」という用語は、1個または複数の水素原子が、独立して、ハロゲン、例えば、フルオロ、ブロモ、クロロまたはヨードによって置き換わっている、置換アルキル基である。「パーハロアルキル」は、ハロアルキルのサブセットであり、すべての水素原子が、独立して、ハロゲン、例えば、フルオロ、ブロモ、クロロまたはヨードによって置き換わっている、アルキル基を指す。一部の態様では、ハロアルキル部分は、1~12個の炭素原子を有する(「C1~12ハロアルキル」)。一部の態様では、ハロアルキル部分は、1~10個の炭素原子を有する(「C1~10ハロアルキル」)。一部の態様では、ハロアルキル部分は、1~9個の炭素原子を有する(「C1~9ハロアルキル」)。一部の態様では、ハロアルキル部分は、1~8個の炭素原子を有する(「C1~8ハロアルキル」)。一部の態様では、ハロアルキル部分は、1~7個の炭素原子を有する(「C1~7ハロアルキル」)。一部の態様では、ハロアルキル部分は、1~6個の炭素原子を有する(「C1~6ハロアルキル」)。一部の態様では、ハロアルキル部分は、1~5個の炭素原子を有する(「C1~5ハロアルキル」)。一部の態様では、ハロアルキル部分は、1~4個の炭素原子を有する(「C1~4ハロアルキル」)。一部の態様では、ハロアルキル部分は、1~3個の炭素原子を有する(「C1~3ハロアルキル」)。一部の態様では、ハロアルキル部分は、1~2個の炭素原子を有する(「C1~2ハロアルキル」)。一部の態様では、ハロアルキルの水素原子はすべて、独立して、フルオロで置き換えられて、「パーフルオロアルキル」基を提供する。一部の態様では、ハロアルキルの水素原子はすべて、独立して、クロロで置き換えられて、「パークロロアルキル」基を提供する。ハロアルキル基の例としては、-CHF、-CHF、-CF、-CHCF、-CFCF、-CFCFCF、-CCl、-CFCl、-CFClなどが挙げられる。
【0126】
「ヘテロアルキル」という用語は、親鎖内(例えば、その隣接炭素原子の間に挿入される)の、および/または親鎖の1つもしくは複数の末端位に配置された、酸素、窒素または硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、1、2、3または4個のヘテロ原子)をさらに含む、アルキル基を指す。ある特定の態様では、ヘテロアルキル基は、親鎖内に1~12個の炭素原子および1個または複数個のヘテロ原子を有する飽和基を指す(「ヘテロC1~12アルキル」)。一部の態様では、ヘテロアルキル基は、親鎖内に1~11個の炭素原子および1個または複数個のヘテロ原子を有する飽和基である(「ヘテロC1~11アルキル」)。一部の態様では、ヘテロアルキル基は、親鎖内に1~10個の炭素原子および1個または複数個のヘテロ原子を有する飽和基である(「ヘテロC1~10アルキル」)。一部の態様では、ヘテロアルキル基は、親鎖内に1~9個の炭素原子および1個または複数個のヘテロ原子を有する飽和基である(「ヘテロC1~9アルキル」)。一部の態様では、ヘテロアルキル基は、親鎖内に1~8個の炭素原子および1個または複数個のヘテロ原子を有する飽和基である(「ヘテロC1~8アルキル」)。一部の態様では、ヘテロアルキル基は、親鎖内に1~7個の炭素原子および1個または複数個のヘテロ原子を有する飽和基である(「ヘテロC1~7アルキル」)。一部の態様では、ヘテロアルキル基は、親鎖内に1~6個の炭素原子および1個または複数個のヘテロ原子を有する飽和基である(「ヘテロC1~6アルキル」)。一部の態様では、ヘテロアルキル基は、親鎖内に1~5個の炭素原子および1個または2個のヘテロ原子を有する飽和基である(「ヘテロC1~5アルキル」)。一部の態様では、ヘテロアルキル基は、親鎖内に1~4個の炭素原子および1個または2個のヘテロ原子を有する飽和基である(「ヘテロC1~4アルキル」)。一部の態様では、ヘテロアルキル基は、親鎖内に1~3個の炭素原子および1個のヘテロ原子を有する飽和基である(「ヘテロC1~3アルキル」)。一部の態様では、ヘテロアルキル基は、親鎖内に1~2個の炭素原子および1個のヘテロ原子を有する飽和基である(「ヘテロC1~2アルキル」)。一部の態様では、ヘテロアルキル基は、1個の炭素原子および1個のヘテロ原子を有する飽和基である(「ヘテロCアルキル」)。一部の態様では、ヘテロアルキル基は、親鎖内に2~6個の炭素原子および1個または2個のヘテロ原子を有する飽和基である(「ヘテロC2~6アルキル」)。他に規定されない限り、ヘテロアルキル基のそれぞれの例は、独立して、無置換であるか(「無置換ヘテロアルキル」)、または1個もしくは複数個の置換基で置換されている(「置換ヘテロアルキル」)。ある特定の態様では、ヘテロアルキル基は、無置換ヘテロC1~12アルキルである。ある特定の態様では、ヘテロアルキル基は、置換ヘテロC1~12アルキルである。
【0127】
「アルケニル」という用語は、1~12個の炭素原子および1個または複数個の炭素-炭素二重結合(例えば、1、2、3または4個の二重結合)を有する直鎖状または分枝状の炭化水素基のラジカルを指す。一部の態様では、アルケニル基は、1~12個の炭素原子を有する(「C1~12アルケニル」)。一部の態様では、アルケニル基は、1~11個の炭素原子を有する(「C1~11アルケニル」)。一部の態様では、アルケニル基は、1~10個の炭素原子を有する(「C1~10アルケニル」)。一部の態様では、アルケニル基は、1~9個の炭素原子を有する(「C1~9アルケニル」)。一部の態様では、アルケニル基は、1~8個の炭素原子を有する(「C1~8アルケニル」)。一部の態様では、アルケニル基は、1~7個の炭素原子を有する(「C1~7アルケニル」)。一部の態様では、アルケニル基は、1~6個の炭素原子を有する(「C1~6アルケニル」)。一部の態様では、アルケニル基は、1~5個の炭素原子を有する(「C1~5アルケニル」)。一部の態様では、アルケニル基は、1~4個の炭素原子を有する(「C1~4アルケニル」)。一部の態様では、アルケニル基は、1~3個の炭素原子を有する(「C1~3アルケニル」)。一部の態様では、アルケニル基は、1~2個の炭素原子を有する(「C1~2アルケニル」)。一部の態様では、アルケニル基は、1個の炭素原子を有する(「Cアルケニル」)。1個または複数個の炭素-炭素二重結合は、内部(例えば、2-ブテニルにおける)または末端(例えば、1-ブテニルにおける)であり得る。C1~4アルケニル基の例としては、メチリデニル(C)、エテニル(C)、1-プロペニル(C)、2-プロペニル(C)、1-ブテニル(C)、2-ブテニル(C)、ブタジエニル(C)などが挙げられる。C1~6アルケニル基の例としては、前述のC2~4アルケニル基、およびペンテニル(C)、ペンタジエニル(C)、ヘキセニル(C)などが挙げられる。アルケニルの追加の例としては、ヘプテニル(C)、オクテニル(C)、オクタトリエニル(C)などが挙げられる。他に規定されない限り、アルケニル基のそれぞれの例は、独立して、無置換であるか(「無置換アルケニル」)、または1個もしくは複数個の置換基で置換されている(「置換アルケニル」)。ある特定の態様では、アルケニル基は、無置換C1~12アルケニルである。ある特定の態様では、アルケニル基は、置換C1~12アルケニルである。アルケニル基では、立体化学が規定されていないC=C二重結合(例えば、-CH=CHCHまたは
【化47】
)は、(E)-または(Z)-配置であり得る。
【0128】
「ヘテロアルケニル」という用語は、親鎖内(例えば、その隣接炭素原子の間に挿入される)の、および/または親鎖の1つもしくは複数の末端位に配置された、酸素、窒素または硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、1、2、3または4個のヘテロ原子)をさらに含むアルケニル基を指す。ある特定の態様では、ヘテロアルケニル基は、親鎖内に1~12個の炭素原子、少なくとも1個の二重結合および1個または複数個のヘテロ原子を有する基を指す(「ヘテロC1~12アルケニル」)。ある特定の態様では、ヘテロアルケニル基は、親鎖内に1~11個の炭素原子、少なくとも1個の二重結合および1個または複数個のヘテロ原子を有する基を指す(「ヘテロC1~11アルケニル」)。ある特定の態様では、ヘテロアルケニル基は、親鎖内に1~10個の炭素原子、少なくとも1個の二重結合および1個または複数個のヘテロ原子を有する基を指す(「ヘテロC1~10アルケニル」)。一部の態様では、ヘテロアルケニル基は、親鎖内に1~9個の炭素原子、少なくとも1個の二重結合および1個または複数個のヘテロ原子を有する(「ヘテロC1~9アルケニル」)。一部の態様では、ヘテロアルケニル基は、親鎖内に1~8個の炭素原子、少なくとも1個の二重結合および1個または複数個のヘテロ原子を有する(「ヘテロC1~8アルケニル」)。一部の態様では、ヘテロアルケニル基は、親鎖内に1~7個の炭素原子、少なくとも1個の二重結合および1個または複数個のヘテロ原子を有する(「ヘテロC1~7アルケニル」)。一部の態様では、ヘテロアルケニル基は、親鎖内に1~6個の炭素原子、少なくとも1個の二重結合および1個または複数個のヘテロ原子を有する(「ヘテロC1~6アルケニル」)。一部の態様では、ヘテロアルケニル基は、親鎖内に1~5個の炭素原子、少なくとも1個の二重結合および1個または2個のヘテロ原子を有する(「ヘテロC1~5アルケニル」)。一部の態様では、ヘテロアルケニル基は、親鎖内に1~4個の炭素原子、少なくとも1個の二重結合および1個または2個のヘテロ原子を有する(「ヘテロC1~4アルケニル」)。一部の態様では、ヘテロアルケニル基は、親鎖内に1~3個の炭素原子、少なくとも1個の二重結合および1個のヘテロ原子を有する(「ヘテロC1~3アルケニル」)。一部の態様では、ヘテロアルケニル基は、親鎖内に1~2個の炭素原子、少なくとも1個の二重結合および1個のヘテロ原子を有する(「ヘテロC1~2アルケニル」)。一部の態様では、ヘテロアルケニル基は、親鎖内に1~6個の炭素原子、少なくとも1個の二重結合および1個または2個のヘテロ原子を有する(「ヘテロC1~6アルケニル」)。他に規定されない限り、ヘテロアルケニル基のそれぞれの例は、独立して、無置換であるか(「無置換ヘテロアルケニル」)、または1個もしくは複数個の置換基で置換されている(「置換ヘテロアルケニル」)。ある特定の態様では、ヘテロアルケニル基は、無置換ヘテロC1~20アルケニルである。ある特定の態様では、ヘテロアルケニル基は、置換ヘテロC1~20アルケニルである。
【0129】
「アルキニル」という用語は、1~10個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状の炭化水素基のラジカルを指す(「C1~10アルキニル」)。一部の態様では、アルキニル基は、1~9個の炭素原子を有する(「C1~9アルキニル」)。一部の態様では、アルキニル基は、1~8個の炭素原子を有する(「C1~8アルキニル」)。一部の態様では、アルキニル基は、1~7個の炭素原子を有する(「C1~7アルキニル」)。一部の態様では、アルキニル基は、1~6個の炭素原子を有する(「C1~6アルキニル」)。一部の態様では、アルキニル基は、1~5個の炭素原子を有する(「C1~5アルキニル」)。一部の態様では、アルキニル基は、1~4個の炭素原子を有する(「C1~4アルキニル」)。一部の態様では、アルキニル基は、1~3個の炭素原子を有する(「C1~3アルキニル」)。一部の態様では、アルキニル基は、1~2個の炭素原子を有する(「C1~2アルキニル」)。一部の態様では、アルキニル基は、1個の炭素原子を有する(「Cアルキニル」)。1個または複数個の炭素-炭素三重結合は、内部(例えば、2-ブチニルにおける)または末端(例えば、1-ブチニルにおける)であり得る。C~4アルキニル基の例としては、限定されないが、メチリジニル(C)、エチニル(C)、1-プロピニル(C)、2-プロピニル(C)、1-ブチニル(C)、2-ブチニル(C)などが挙げられる。C1~6アルキニル基の例としては、前述のC2~4アルキニル基、およびペンチニル(C)、ヘキシニル(C)などが挙げられる。アルキニルの追加の例としては、ヘプチニル(C)、オクチニル(C)などが挙げられる。他に規定されない限り、アルキニル基のそれぞれの例は、独立して、無置換であるか(「無置換アルキニル」)、または1個もしくは複数個の置換基で置換されている(「置換アルキニル」)。
【0130】
「ヘテロアルキニル」という用語は、親鎖内(例えば、その隣接炭素原子の間に挿入される)の、および/または親鎖の1つもしくは複数の末端位に配置された、酸素、窒素または硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、1、2、3または4個のヘテロ原子)をさらに含むアルキニル基を指す。ある特定の態様では、ヘテロアルキニル基は、親鎖内に1~10個の炭素原子、少なくとも1個の三重結合および1個または複数個のヘテロ原子を有する基を指す(「ヘテロC1~10アルキニル」)。一部の態様では、ヘテロアルキニル基は、親鎖内に1~9個の炭素原子、少なくとも1個の三重結合および1個または複数個のヘテロ原子を有する(「ヘテロC1~9アルキニル」)。一部の態様では、ヘテロアルキニル基は、親鎖内に1~8個の炭素原子、少なくとも1個の三重結合および1個または複数個のヘテロ原子を有する(「ヘテロC1~8アルキニル」)。一部の態様では、ヘテロアルキニル基は、親鎖内に1~7個の炭素原子、少なくとも1個の三重結合および1個または複数個のヘテロ原子を有する(「ヘテロC1~7アルキニル」)。一部の態様では、ヘテロアルキニル基は、親鎖内に1~6個の炭素原子、少なくとも1個の三重結合および1個または複数個のヘテロ原子を有する(「ヘテロC1~6アルキニル」)。一部の態様では、ヘテロアルキニル基は、親鎖内に1~5個の炭素原子、少なくとも1個の三重結合および1個または2個のヘテロ原子を有する(「ヘテロC1~5アルキニル」)。一部の態様では、ヘテロアルキニル基は、親鎖内に1~4個の炭素原子、少なくとも1個の三重結合および1個または2個のヘテロ原子を有する(「ヘテロC1~4アルキニル」)。一部の態様では、ヘテロアルキニル基は、親鎖内に1~3個の炭素原子、少なくとも1個の三重結合および1個のヘテロ原子を有する(「ヘテロC1~3アルキニル」)。一部の態様では、ヘテロアルキニル基は、親鎖内に1~2個の炭素原子、少なくとも1個の三重結合および1個のヘテロ原子を有する(「ヘテロC1~2アルキニル」)。一部の態様では、ヘテロアルキニル基は、親鎖内に1~6個の炭素原子、少なくとも1個の三重結合および1個または2個のヘテロ原子を有する(「ヘテロC1~6アルキニル」)。他に規定されない限り、ヘテロアルキニル基のそれぞれの例は、独立して、無置換であるか(「無置換ヘテロアルキニル」)、または1個もしくは複数個の置換基で置換されている(「置換ヘテロアルキニル」)。
【0131】
「カルボシクリル」または「炭素環式」という用語は、非芳香族環系中に3~10個の環炭素原子(「C3~10カルボシクリル」)およびゼロ個のヘテロ原子を有する非芳香族環式炭化水素基のラジカルを指す。一部の態様では、カルボシクリル基は、3~10個の環炭素原子を有する(「C3~10カルボシクリル」)。一部の態様では、カルボシクリル基は、3~8個の環炭素原子を有する(「C3~8カルボシクリル」)。一部の態様では、カルボシクリル基は、3~7個の環炭素原子を有する(「C3~7カルボシクリル」)。一部の態様では、カルボシクリル基は、3~6個の環炭素原子を有する(「C3~6カルボシクリル」)。一部の態様では、カルボシクリル基は、4~6個の環炭素原子を有する(「C4~6カルボシクリル」)。一部の態様では、カルボシクリル基は、5~6個の環炭素原子を有する(「C5~6カルボシクリル」)。一部の態様では、カルボシクリル基は、5~10個の環炭素原子を有する(「C5~10カルボシクリル」)。例示的なC3~6カルボシクリル基としては、シクロプロピル(C)、シクロプロペニル(C)、シクロブチル(C)、シクロブテニル(C)、シクロペンチル(C)、シクロペンテニル(C)、シクロヘキシル(C)、シクロヘキセニル(C)、シクロヘキサジエニル(C)などが挙げられる。例示的なC3~8カルボシクリル基としては、前述のC3~6カルボシクリル基、ならびにシクロヘプチル(C)、シクロヘプテニル(C)、シクロヘプタジエニル(C)、シクロヘプタトリエニル(C)、シクロオクチル(C)、シクロオクテニル(C)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル(C)、ビシクロ[2.2.2]オクタニル(C)などが挙げられる。例示的なC3~10カルボシクリル基としては、前述のC3~8カルボシクリル基、ならびにシクロノニル(C)、シクロノネニル(C)、シクロデシル(C10)、シクロデセニル(C10)、オクタヒドロ-1H-インデニル(C)、デカヒドロナフタレニル(C10)、スピロ[4.5]デカニル(C10)などが挙げられる。例示的なC3~8カルボシクリル基としては、前述のC3~10カルボシクリル基などが挙げられる。前述の例が説明するように、ある特定の態様では、カルボシクリル基は、単環式(「単環式カルボシクリル」)もしくは多環式(例えば、二環式系(「二環式カルボシクリル」)または三環式系(「三環式カルボシクリル」)などの縮合、架橋またはスピロ環系を含有する)のいずれかであり、飽和であり得るか、あるいは1個もしくは複数個の炭素-炭素二重結合または三重結合を含有し得る。「カルボシクリル」は、上記で定義されたカルボシクリル環が、1個もしくは複数個のアリール基またはヘテロアリール基と縮合し、結合点が、カルボシクリル環上にある環系も含み、そのような例でも、炭素の数は、炭素環式環系中の炭素の数をやはり表す。他に規定されない限り、カルボシクリル基のそれぞれの例は、独立して、無置換であるか(「無置換カルボシクリル」)、または1個もしくは複数個の置換基で置換されている(「置換カルボシクリル」)。ある特定の態様では、カルボシクリル基は、無置換C3~10カルボシクリルである。ある特定の態様では、カルボシクリル基は、置換C3~10カルボシクリルである。一部の態様では、シクロアルキル基は、3~10個の環炭素原子を有する(「C3~10シクロアルキル」)。一部の態様では、シクロアルキル基は、3~8個の環炭素原子を有する(「C3~8シクロアルキル」)。一部の態様では、シクロアルキル基は、3~6個の環炭素原子を有する(「C3~6シクロアルキル」)。一部の態様では、シクロアルキル基は、4~6個の環炭素原子を有する(「C4~6シクロアルキル」)。一部の態様では、シクロアルキル基は、5~6個の環炭素原子を有する(「C5~6シクロアルキル」)。一部の態様では、シクロアルキル基は、5~10個の環炭素原子を有する(「C5~10シクロアルキル」)。C5~6シクロアルキル基の例としては、シクロペンチル(C)およびシクロヘキシル(C)が挙げられる。C3~6シクロアルキル基の例としては、前述のC5~6シクロアルキル基、ならびにシクロプロピル(C)およびシクロブチル(C)が挙げられる。C3~8シクロアルキル基の例としては、前述のC3~6シクロアルキル基、ならびにシクロヘプチル(C)およびシクロオクチル(C)が挙げられる。他に規定されない限り、カルボシクリル基のそれぞれの例は、独立して、無置換であるか(「無置換シクロアルキル」)、または1個もしくは複数個の置換基で置換されている(「置換シクロアルキル」)。ある特定の態様では、シクロアルキル基は、無置換C3~14シクロアルキルである。ある特定の態様では、シクロアルキル基は、置換C3~14シクロアルキルである。ある特定の態様では、カルボシクリルは、原子価が許容するかぎり、炭素環式環系中に0、1または2個のC=C二重結合を含む。
【0132】
「ヘテロシクリル」または「複素環式」という用語は、環炭素原子および1~4個の環ヘテロ原子を有する3~14員非芳香族環系のラジカルを指し、それぞれのヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素および硫黄から選択される(「3~14員ヘテロシクリル」)。1個または複数個の窒素原子を含有するヘテロシクリル基では、結合点は、原子価が許容するかぎり、炭素原子または窒素原子であり得る。ヘテロシクリル基は、単環式(「単環式ヘテロシクリル」)もしくは多環式(例えば、二環式系(「二環式ヘテロシクリル」)または三環式系(「三環式ヘテロシクリル」)などの縮合、架橋またはスピロ環系)のいずれかであり得、飽和であり得るか、あるいは1個もしくは複数個の炭素-炭素二重結合または三重結合を含有し得る。ヘテロシクリル多環式環系は、1個または両方の環中に、1個または複数個のヘテロ原子を含むことができる。「ヘテロシクリル」は、上記に定義されたヘテロシクリル環が、1個または複数個のカルボシクリル基と縮合し、結合点が、カルボシクリル環またはヘテロシクリル環上のいずれかにある環系、あるいは上記に定義されたヘテロシクリル環が、1個もしくは複数個のアリール基またはヘテロアリール基と縮合し、結合点が、ヘテロシクリル環上にある環系も含み、そのような例でも、環員の数は、ヘテロシクリル環系中の環員の数をやはり表す。他に規定されない限り、ヘテロシクリル基のそれぞれの例は、独立して、無置換であるか(「無置換ヘテロシクリル」)、または1個もしくは複数個の置換基で置換されている(「置換ヘテロシクリル」)。ある特定の態様では、ヘテロシクリル基は、無置換ヘテロ3~14員ヘテロシクリルである。ある特定の態様では、ヘテロシクリル基は、置換ヘテロ3~14員ヘテロシクリルである。ある特定の態様では、ヘテロシクリルは、置換または無置換の3~7員の単環式ヘテロシクリルであり、複素環式環系中の1、2または3個の原子は、原子価が許容するかぎり、独立して、酸素、窒素または硫黄である。
【0133】
一部の態様では、ヘテロシクリル基は、環炭素原子および1~4個の環ヘテロ原子を有する5~10員非芳香族環系であり、それぞれのヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素および硫黄から選択される(「5~10員ヘテロシクリル」)。一部の態様では、ヘテロシクリル基は、環炭素原子および1~4個の環ヘテロ原子を有する5~8員非芳香族環系であり、それぞれのヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素および硫黄から選択される(「5~8員ヘテロシクリル」)。一部の態様では、ヘテロシクリル基は、環炭素原子および1~4個の環ヘテロ原子を有する5~6員非芳香族環系であり、それぞれのヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素および硫黄から選択される(「5~6員ヘテロシクリル」)。一部の態様では、5~6員ヘテロシクリルは、窒素、酸素および硫黄から選択される1~3個の環ヘテロ原子を有する。一部の態様では、5~6員ヘテロシクリルは、窒素、酸素および硫黄から選択される1~2個の環ヘテロ原子を有する。一部の態様では、5~6員ヘテロシクリルは、窒素、酸素および硫黄から選択される1個の環ヘテロ原子を有する。
【0134】
1個のヘテロ原子を含有する例示的な3員ヘテロシクリル基としては、アジルジニル(azirdinyl)、オキシラニルおよびチイラニルが挙げられる。1個のヘテロ原子を含有する例示的な4員ヘテロシクリル基としては、アゼチジニル、オキセタニルおよびチエタニルが挙げられる。1個のヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロシクリル基としては、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ジヒドロチオフェニル、ピロリジニル、ジヒドロピロリルおよびピロリル-2,5-ジオンが挙げられる。2個のヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロシクリル基としては、ジオキソラニル、オキサチオラニルおよびジチオラニルが挙げられる。3個のヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロシクリル基としては、トリアゾリニル、オキサジアゾリニルおよびチアジアゾリニルが挙げられる。1個のヘテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロシクリル基としては、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピリジニルおよびチアニルが挙げられる。2個のヘテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロシクリル基としては、ピペラジニル、モルホリニル、ジチアニルおよびジオキサニルが挙げられる。3個のヘテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロシクリル基としては、トリアジニルが挙げられる。1個のヘテロ原子を含有する例示的な7員ヘテロシクリル基としては、アゼパニル、オキセパニルおよびチエパニルが挙げられる。1個のヘテロ原子を含有する例示的な8員ヘテロシクリル基としては、アゾカニル、オキセカニルおよびチオカニルが挙げられる。例示的な二環式ヘテロシクリル基としては、インドリニル、イソインドリニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチエニル、テトラヒドロベンゾチエニル、テトラヒドロベンゾフラニル、テトラヒドロインドリル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、デカヒドロイソキノリニル、オクタヒドロクロメニル、オクタヒドロイソクロメニル、デカヒドロナフチリジニル、デカヒドロ-1,8-ナナフチリジニル、オクタヒドロピロロ[3,2-b]ピロール、インドリニル、フタルイミジル、ナフタルイミジル、クロマニル、クロメニル、1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピニル、1,4,5,7-テトラヒドロピラノ[3,4-b]ピロリル、5,6-ジヒドロ-4H-フロ[3,2-b]ピロリル、6,7-ジヒドロ-5H-フロ[3,2-b]ピラニル、5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラニル、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジニル、2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジニル、4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジニル、4,5,6,7-テトラヒドロフロ[3,2-c]ピリジニル、4,5,6,7-テトラヒドロチエノ[3,2-b]ピリジニル、1,2,3,4-テトラヒドロ-1,6-ナフチリジニルなどが挙げられる。
【0135】
「アリール」という用語は、芳香族環系に提供される6~14個の環炭素原子および0個のヘテロ原子を有する、単環式または多環式(例えば、二環式または三環式)の4n+2芳香族環系(例えば、環式配列において共有される6、10または14個のπ電子を有する)のラジカルを指す(「C6~14アリール」)。一部の態様では、アリール基は、6個の環炭素原子を有する(「Cアリール」;例えば、フェニル)。一部の態様では、アリール基は、10個の環炭素原子を有する(「C10アリール」;例えば、1-ナフチルおよび2-ナフチルなどのナフチル)。一部の態様では、アリール基は、14個の環炭素原子を有する(「C14アリール」;例えば、アントラシル)。「アリール」は、上記で定義されたアリール環が、1個もしくは複数個のカルボシクリル基またはヘテロシクリル基と縮合し、ラジカルまたは結合点が、アリール環上にある環系も含み、そのような例でも、炭素原子の数は、アリール環系中の炭素の数をやはり表す。他に規定されない限り、アリール基のそれぞれの例は、独立して、無置換であるか(「無置換アリール」)、または1個もしくは複数個の置換基で置換されている(「置換アリール」)。ある特定の態様では、アリール基は、無置換C6~14アリールである。ある特定の態様では、アリール基は、置換C6~14アリールである。
【0136】
「アラルキル」は、「アルキル」のサブセットであり、アリール基によって置換されたアルキル基を指し、結合点は、アルキル部分上にある。
【0137】
「ヘテロアリール」という用語は、芳香族環系に提供される環炭素原子および1~4個のヘテロ原子を有する、5~14員の単環式または多環式(例えば、二環式または三環式)の4n+2芳香族環系(例えば、環式配列において共有される6、10または14個のπ電子を有する)のラジカルを指し、それぞれのヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素および硫黄から選択される(「5~14員ヘテロアリール」)。1個または複数個の窒素原子を含有するヘテロアリール基では、結合点は、原子価が許容するかぎり、炭素原子または窒素原子であり得る。ヘテロアリール多環式環系は、1個または両方の環中に、1個または複数個のヘテロ原子を含むことができる。「ヘテロアリール」は、上記で定義されたヘテロアリール環が、1個もしくは複数個のカルボシクリル基またはヘテロシクリル基と縮合し、結合点が、ヘテロアリール環上にある環系を含み、そのような例でも、環員の数は、ヘテロアリール環系中の環員の数をやはり表す。「ヘテロアリール」は、上記で定義されたヘテロアリール環が、1個もしくは複数個のアリール基と縮合し、結合点が、アリール環またはヘテロアリール環上のいずれかにある環系も含み、そのような例では、環員の数は、縮合多環式(アリール/ヘテロアリール)環系中の環員の数を表す。1個の環がヘテロ原子を含有しない(例えば、インドリル、キノリニル、カルバゾリルなど)多環式ヘテロアリール基の結合点は、いずれかの環上、例えば、ヘテロ原子を有する環(例えば、2-インドリル)上またはヘテロ原子を含有しない環(例えば、5-インドリル)上のいずれかにあり得る。ある特定の態様では、ヘテロアリールは、置換または無置換の5または6員の単環式ヘテロアリールであり、ヘテロアリール環系中の1、2、3または4個の原子は、独立して、酸素、窒素または硫黄である。ある特定の態様では、ヘテロアリールは、置換または無置換の9または10員の二環式ヘテロアリールであり、ヘテロアリール環系中の1、2、3または4個の原子は、独立して、酸素、窒素または硫黄である。
【0138】
一部の態様では、ヘテロアリール基は、芳香族環系に提供される環炭素原子および1~4個の環ヘテロ原子を有する5~10員芳香族環系であり、それぞれのヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素および硫黄から選択される(「5~10員ヘテロアリール」)。一部の態様では、ヘテロアリール基は、芳香族環系に提供される環炭素原子および1~4個の環ヘテロ原子を有する5~8員芳香族環系であり、それぞれのヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素および硫黄から選択される(「5~8員ヘテロアリール」)。一部の態様では、ヘテロアリール基は、芳香族環系に提供される環炭素原子および1~4個の環ヘテロ原子を有する5~6員芳香族環系であり、それぞれのヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素および硫黄から選択される(「5~6員ヘテロアリール」)。一部の態様では、5~6員ヘテロアリールは、窒素、酸素および硫黄から選択される1~3個の環ヘテロ原子を有する。一部の態様では、5~6員ヘテロアリールは、窒素、酸素および硫黄から選択される1~2個の環ヘテロ原子を有する。一部の態様では、5~6員ヘテロアリールは、窒素、酸素および硫黄から選択される1個の環ヘテロ原子を有する。他に規定されない限り、ヘテロアリール基のそれぞれの例は、独立して、無置換であるか(「無置換ヘテロアリール」)、または1個もしくは複数個の置換基で置換されている(「置換ヘテロアリール」)。ある特定の態様では、ヘテロアリール基は、無置換5~14員ヘテロアリールである。ある特定の態様では、ヘテロアリール基は、置換5~14員ヘテロアリールである。
【0139】
1個のヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロアリール基としては、ピロリル、フラニルおよびチオフェニルが挙げられる。2個のヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロアリール基としては、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリルおよびイソチアゾリルが挙げられる。3個のヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロアリール基としては、トリアゾリル、オキサジアゾリルおよびチアジアゾリルが挙げられる。4個のヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロアリール基としては、テトラゾリルが挙げられる。1個のヘテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロアリール基としては、ピリジニルが挙げられる。2個のヘテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロアリール基としては、ピリダジニル、ピリミジニルおよびピラジニルが挙げられる。3個または4個のヘテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロアリール基としては、それぞれ、トリアジニルおよびテトラジニルが挙げられる。1個のヘテロ原子を含有する例示的な7員のヘテロアリール基としては、アゼピニル、オキセピニルおよびチエピニルが挙げられる。例示的な5,6-二環式ヘテロアリール基としては、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾイソフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンズチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズチアジアゾリル、インドリジニルおよびプリニルが挙げられる。例示的な6,6-二環式ヘテロアリール基としては、ナフチリジニル、プテリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キノキサリニル、フタラジニルおよびキナゾリニルが挙げられる。例示的な三環式ヘテロアリール基としては、フェナントリジニル、ジベンゾフラニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニルおよびフェナジニルが挙げられる。
【0140】
「ヘテロアラルキル」は、「アルキル」のサブセットであり、ヘテロアリール基によって置換されたアルキル基を指し、結合点は、アルキル部分上にある。
【0141】
「不飽和結合」という用語は、二重結合または三重結合を指す。
【0142】
「不飽和」または「部分的に不飽和」という用語は、少なくとも1個の二重結合または三重結合を含む部分を指す。
【0143】
「飽和」または「完全に飽和」という用語は、二重結合も三重結合も含有しない部分、例えば、単結合のみを含有する部分を指す。
【0144】
「-エン(-ene)」という接尾辞を基に付けると、基が二価部分であることを示し、例えば、アルキレンはアルキルの二価部分であり、アルケニレンはアルケニルの二価部分であり、アルキニレンはアルキニルの二価部分であり、ヘテロアルキレンはヘテロアルキルの二価部分であり、ヘテロアルケニレンはヘテロアルケニルの二価部分であり、ヘテロアルキニレンはヘテロアルキニルの二価部分であり、カルボシクリレンはカルボシクリルの二価部分であり、ヘテロシクリレンはヘテロシクリルの二価部分であり、アリーレンはアリールの二価部分であり、ヘテロアリーレンはヘテロアリールの二価部分である。
【0145】
基は、他に明示的に提示されない限り、必要に応じて置換されている。「必要に応じて置換されている」という用語は、置換されているか、または無置換であることを指す。ある特定の態様では、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、ヘテロアルケニル基、ヘテロアルキニル基、カルボシクリル基、ヘテロシクリル基、アリール基およびヘテロアリール基は、必要に応じて置換されている。「必要に応じて置換されている」とは、置換または無置換であり得る基(例えば、「置換」または「無置換」のアルキル基、「置換」または「無置換」のアルケニル基、「置換」または「無置換」のアルキニル基、「置換」または「無置換」のヘテロアルキル基、「置換」または「無置換」のヘテロアルケニル基、「置換」または「無置換」のヘテロアルキニル基、「置換」または「無置換」のカルボシクリル基、「置換」または「無置換」のヘテロシクリル基、「置換」または「無置換」のアリール基、あるいは「置換」または「無置換」のヘテロアリール基)を指す。一般に、「置換されている」という用語は、基に存在する少なくとも1個の水素が、許容される置換基、例えば、置換の際に、安定な化合物、例えば、転位、環化、脱離または他の反応などによる変換を自発的に受けない化合物をもたらす置換基で置き換えられることを意味する。他に指示されない限り、「置換された」基は、基の1つまたは複数の置換可能な位置に置換基を有し、任意の所与の構造中の2つ以上の位置が置換されている場合、置換基は、それぞれの位置で、同じか異なるかのいずれかである。「置換されている」という用語は、有機化合物のすべての許容される置換基による置換を含むことを企図し、安定な化合物の形成をもたらす本明細書に記載される置換基のいずれかを含む。本発明は、安定な化合物に到達するために、ありとあらゆるそのような組合せを企図する。本発明の目的のために、窒素などのヘテロ原子は、水素置換基および/またはヘテロ原子の原子価を満たし、安定な部分の形成をもたらす本明細書に記載される任意の好適な置換基を有していてもよい。本発明は、本明細書に記載される例示的な置換基によって、如何なる方法でも限定されることを意図するものではない。
【0146】
例示的な炭素原子の置換基としては、ハロゲン、-CN、-NO、-N、-SOH、-SOH、-OH、-ORaa、-ON(Rbb、-N(Rbb、-N(Rbb 、-N(ORcc)Rbb、-SH、-SRaa、-SSRcc、-C(=O)Raa、-COH、-CHO、-C(ORcc、-COaa、-OC(=O)Raa、-OCOaa、-C(=O)N(Rbb、-OC(=O)N(Rbb、-NRbbC(=O)Raa、-NRbbCOaa、-NRbbC(=O)N(Rbb、-C(=NRbb)Raa、-C(=NRbb)ORaa、-OC(=NRbb)Raa、-OC(=NRbb)ORaa、-C(=NRbb)N(Rbb、-OC(=NRbb)N(Rbb、-NRbbC(=NRbb)N(Rbb、-C(=O)NRbbSOaa、-NRbbSOaa、-SON(Rbb、-SOaa、-SOORaa、-OSOaa、-S(=O)Raa、-OS(=O)Raa、-Si(Raa、-OSi(Raa -C(=S)N(Rbb、-C(=O)SRaa、-C(=S)SRaa、-SC(=S)SRaa、-SC(=O)SRaa、-OC(=O)SRaa、-SC(=O)ORaa、-SC(=O)Raa、-P(=O)(Raa、-P(=O)(ORcc、-OP(=O)(Raa、-OP(=O)(ORcc、-P(=O)(N(Rbb、-OP(=O)(N(Rbb、-NRbbP(=O)(Raa、-NRbbP(=O)(ORcc、-NRbbP(=O)(N(Rbb、-P(Rcc、-P(ORcc、-P(Rcc 、-P(ORcc 、-P(Rcc、-P(ORcc、-OP(Rcc、-OP(Rcc 、-OP(ORcc、-OP(ORcc 、-OP(Rcc、-OP(ORcc、-B(Raa、-B(ORcc、-BRaa(ORcc)、C1~20アルキル、C1~20パーハロアルキル、C1~20アルケニル、C1~20アルキニル、ヘテロC1~20アルキル、ヘテロC1~20アルケニル、ヘテロC1~20アルキニル、C3~10カルボシクリル、3~14員ヘテロシクリル、C6~14アリールおよび5~14員ヘテロアリールが挙げられ、ここで、それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールは、独立して、0、1、2、3、4または5個のRdd基で置換され;式中、Xは、対イオンであり;
あるいは、炭素原子上の2個のジェミナル水素は、基=O、=S、=NN(Rbb、=NNRbbC(=O)Raa、=NNRbbC(=O)ORaa、=NNRbbS(=O)aa、=NRbbまたは=NORccで置き換えられ;
それぞれのRaaの例は、独立して、C1~20アルキル、C1~20パーハロアルキル、C1~20アルケニル、C1~20アルキニル、ヘテロC1~20アルキル、ヘテロC1~20アルケニル、ヘテロC1~20アルキニル、C3~10カルボシクリル、3~14員ヘテロシクリル、C6~14アリールおよび5~14員ヘテロアリールから選択されるか、あるいは2個のRaa基は、結合して、3~14員ヘテロシクリル環または5~14員ヘテロアリール環を形成し、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールのそれぞれは、独立して、0、1、2、3、4または5個のRdd基で置換され;
それぞれのRbbの例は、独立して、水素、-OH、-ORaa、-N(Rcc、-CN、-C(=O)Raa、-C(=O)N(Rcc、-COaa、-SOaa、-C(=NRcc)ORaa、-C(=NRcc)N(Rcc、-SON(Rcc、-SOcc、-SOORcc、-SORaa、-C(=S)N(Rcc、-C(=O)SRcc、-C(=S)SRcc、-P(=O)(Raa、-P(=O)(ORcc、-P(=O)(N(Rcc、C1~20アルキル、C1~20パーハロアルキル、C1~20アルケニル、C1~20アルキニル、ヘテロC1~20アルキル、ヘテロC1~20アルケニル、ヘテロC1~20アルキニル、C3~10カルボシクリル、3~14員ヘテロシクリル、C6~14アリールおよび5~14員ヘテロアリールから選択されるか、あるいは2個のRbb基は、結合して、3~14員ヘテロシクリル環または5~14員ヘテロアリール環を形成し、ここで、それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールは、独立して、0、1、2、3、4または5個のRdd基で置換され;
それぞれのRccの例は、独立して水素、C1~20アルキル、C1~20パーハロアルキル、C1~20アルケニル、C1~20アルキニル、ヘテロC1~20アルキル、ヘテロC1~20アルケニル、ヘテロC1~20アルキニル、C3~10カルボシクリル、3~14員ヘテロシクリル、C6~14アリールおよび5~14員ヘテロアリールから選択されるか、あるいは2個のRcc基は、結合して、3~14員ヘテロシクリル環または5~14員ヘテロアリール環を形成し、ここで、それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールは、独立して、0、1、2、3、4または5個のRdd基で置換され;
それぞれのRddの例は、独立して、ハロゲン、-CN、-NO、-N、-SOH、-SOH、-OH、-ORee、-ON(Rff、-N(Rff、-N(Rff 、-N(ORee)Rff、-SH、-SRee、-SSRee、-C(=O)Ree、-COH、-COee、-OC(=O)Ree、-OCOee、-C(=O)N(Rff、-OC(=O)N(Rff、-NRffC(=O)Ree、-NRffCOee、-NRffC(=O)N(Rff、-C(=NRff)ORee、-OC(=NRff)Ree、-OC(=NRff)ORee、-C(=NRff)N(Rff、-OC(=NRff)N(Rff、-NRffC(=NRff)N(Rff、-NRffSOee、-SON(Rff、-SOee、-SOORee、-OSOee、-S(=O)Ree、-Si(Ree、-OSi(Ree、-C(=S)N(Rff、-C(=O)SRee、-C(=S)SRee、-SC(=S)SRee、-P(=O)(ORee、-P(=O)(Ree、-OP(=O)(Ree、-OP(=O)(ORee、C1~10アルキル、C1~10パーハロアルキル、C1~10アルケニル、C1~10アルキニル、ヘテロC1~10アルキル、ヘテロC1~10アルケニル、ヘテロC1~10アルキニル、C3~10カルボシクリル、3~10員ヘテロシクリル、C6~10アリール、5~10員ヘテロアリールから選択され、ここで、それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールは、独立して、0、1、2、3、4または5個のRgg基で置換されているか、あるいは2個のジェミナルRdd置換基は、結合して、=Oまたは=Sを形成することができ;式中、Xは、対イオンであり;
それぞれのReeの例は、独立して、C1~10アルキル、C1~10パーハロアルキル、C1~10アルケニル、C1~10アルキニル、ヘテロC1~10アルキル、ヘテロC1~10アルケニル、ヘテロC1~10アルキニル、C3~10カルボシクリル、C6~10アリール、3~10員ヘテロシクリルおよび3~10員ヘテロアリールから選択され、ここで、それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールは、独立して、0、1、2、3、4または5個のRgg基で置換され;
それぞれのRffの例は、独立して、水素、C1~10アルキル、C1~10パーハロアルキル、C1~10アルケニル、C1~10アルキニル、ヘテロC1~10アルキル、ヘテロC1~10アルケニル、ヘテロC1~10アルキニル、C3~10カルボシクリル、3~10員ヘテロシクリル、C6~10アリールおよび5~10員ヘテロアリールから選択されるか、あるいは2個のRff基は、結合して、3~10員ヘテロシクリル環または5~10員ヘテロアリール環を形成し、ここで、それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールは、独立して、0、1、2、3、4または5個のRgg基で置換され;
それぞれのRggの例は、独立して、ハロゲン、-CN、-NO、-N、-SOH、-SOH、-OH、-OC1~6アルキル、-ON(C1~6アルキル)、-N(C1~6アルキル)、-N(C1~6アルキル) 、-NH(C1~6アルキル) 、-NH(C1~6アルキル)、-NH 、-N(OC1~6アルキル)(C1~6アルキル)、-N(OH)(C1~6アルキル)、-NH(OH)、-SH、-SC1~6アルキル、-SS(C1~6アルキル)、-C(=O)(C1~6アルキル)、-COH、-CO(C1~6アルキル)、-OC(=O)(C1~6アルキル)、-OCO(C1~6アルキル)、-C(=O)NH、-C(=O)N(C1~6アルキル)、-OC(=O)NH(C1~6アルキル)、-NHC(=O)(C1~6アルキル)、-N(C1~6アルキル)C(=O)(C1~6アルキル)、-NHCO(C1~6アルキル)、-NHC(=O)N(C1~6アルキル)、-NHC(=O)NH(C1~6アルキル)、-NHC(=O)NH、-C(=NH)O(C1~6アルキル)、-OC(=NH)(C1~6アルキル)、-OC(=NH)OC1~6アルキル、-C(=NH)N(C1~6アルキル)、-C(=NH)NH(C1~6アルキル)、-C(=NH)NH、-OC(=NH)N(C1~6アルキル)、-OC(NH)NH(C1~6アルキル)、-OC(NH)NH、-NHC(NH)N(C1~6アルキル)、-NHC(=NH)NH、-NHSO(C1~6アルキル)、-SON(C1~6アルキル)、-SONH(C1~6アルキル)、-SONH、-SO1~6アルキル、-SOOC1~6アルキル、-OSO1~6アルキル、-SOC1~6アルキル、-Si(C1~6アルキル)、-OSi(C1~6アルキル) -C(=S)N(C1~6アルキル)、C(=S)NH(C1~6アルキル)、C(=S)NH、-C(=O)S(C1~6アルキル)、-C(=S)SC1~6アルキル、-SC(=S)SC1~6アルキル、-P(=O)(OC1~6アルキル)、-P(=O)(C1~6アルキル)、-OP(=O)(C1~6アルキル)、-OP(=O)(OC1~6アルキル)、C1~10アルキル、C1~10パーハロアルキル、C1~10アルケニル、C1~10アルキニル、ヘテロC1~10アルキル、ヘテロC1~10アルケニル、ヘテロC1~10アルキニル、C3~10カルボシクリル、C6~10アリール、3~10員ヘテロシクリルまたは5~10員ヘテロアリールであるか;あるいは2個のジェミナルRgg置換基は、結合して、=Oまたは=Sを形成することができ;ならびに
それぞれのXは、対イオンである。
【0147】
ある特定の態様では、炭素原子の置換基は、独立して、ハロゲン、置換された(例えば、1個または複数個のハロゲンで置換された)もしくは無置換のC1~6アルキル、-ORaa、-SRaa、-N(Rbb、-CN、-SCN、-NO、-C(=O)Raa、-COaa、-C(=O)N(Rbb、-OC(=O)Raa、-OCOaa、-OC(=O)N(Rbb、-NRbbC(=O)Raa、-NRbbCOaaまたは-NRbbC(=O)N(Rbbである。ある特定の態様では、炭素原子の置換基は、独立して、ハロゲン、置換された(例えば、1個または複数個のハロゲンで置換された)もしくは無置換のC1~10アルキル、-ORaa、-SRaa、-N(Rbb、-CN、-SCN、-NO、-C(=O)Raa、-COaa、-C(=O)N(Rbb、-OC(=O)Raa、-OCOaa、-OC(=O)N(Rbb、-NRbbC(=O)Raa、-NRbbCO2Raaまたは-NRbbC(=O)N(Rbbであり、式中、Raaは、水素、置換された(例えば、1個または複数個のハロゲンで置換された)もしくは無置換のC1~10アルキル、酸素原子に結合する場合に酸素保護基(例えば、シリル、TBDPS、TBDMS、TIPS、TES、TMS、MOM、THP、t-Bu、Bn、アリル、アセチル、ピバロイルまたはベンゾイル)、または硫黄原子に結合する場合に硫黄保護基(例えば、アセトアミドメチル、t-Bu、3-ニトロ-2-ピリジンスルフェニル、2-ピリジンスルフェニルまたはトリフェニルメチル)であり;それぞれのRbbは、独立して、水素、置換された(例えば、1個または複数個のハロゲンで置換された)もしくは無置換のC1~10アルキルまたは窒素保護基(例えば、Bn、Boc、Cbz、Fmoc、トリフルオロアセチル、トリフェニルメチル、アセチルまたはTs)である。ある特定の態様では、炭素原子の置換基は、独立して、ハロゲン、置換された(例えば、1個または複数個のハロゲンで置換された)もしくは無置換のC1~6アルキル、-ORaa、-SRaa、-N(Rbb、-CN、-SCNまたは-NOである。ある特定の態様では、炭素原子の置換基は、独立して、ハロゲン、置換された(例えば、1個または複数個のハロゲンで置換された)もしくは無置換のC1~10アルキル、-ORaa、-SRaa、-N(Rbb、-CN、-SCNまたは-NOであり、式中、Raaは、水素、置換された(例えば、1個または複数個のハロゲンで置換された)もしくは無置換のC1~10アルキル、酸素原子に結合する場合に酸素保護基(例えば、シリル、TBDPS、TBDMS、TIPS、TES、TMS、MOM、THP、t-Bu、Bn、アリル、アセチル、ピバロイルまたはベンゾイル)、または硫黄原子に結合する場合に硫黄保護基(例えば、アセトアミドメチル、t-Bu、3-ニトロ-2-ピリジンスルフェニル、2-ピリジンスルフェニルまたはトリフェニルメチル)であり;それぞれのRbbは、独立して、水素、置換された(例えば、1個または複数個のハロゲンで置換された)もしくは無置換のC1~10アルキルまたは窒素保護基(例えば、Bn、Boc、Cbz、Fmoc、トリフルオロアセチル、トリフェニルメチル、アセチルまたはTs)である。
【0148】
ある特定の態様では、炭素原子の置換基の分子量は、250g/molよりも少なく、200g/molよりも少なく、150g/molよりも少なく、100g/molよりも少なく、または50g/molよりも少ない。ある特定の態様では、炭素原子の置換基は、炭素、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、酸素、硫黄、窒素および/またはケイ素原子からなる。ある特定の態様では、炭素原子の置換基は、炭素、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、酸素、硫黄および/または窒素原子からなる。ある特定の態様では、炭素原子の置換基は、炭素、水素、フッ素、塩素、臭素および/またはヨウ素原子からなる。ある特定の態様では、炭素原子の置換基は、炭素、水素、フッ素および/または塩素原子からなる。
【0149】
「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、フッ素(フルオロ、-F)、塩素(クロロ、-Cl)、臭素(ブロモ、-Br)またはヨウ素(ヨード、-I)を指す。
【0150】
「ヒドロキシル」または「ヒドロキシ」という用語は、-OH基を指す。「置換されたヒドロキシル」または「置換されたヒドロキシル」という用語は、ひいては、親分子に直接結合する酸素原子が、水素以外の基で置換されたヒドロキシル基を指し、-ORaa、-ON(Rbb、-OC(=O)SRaa、-OC(=O)Raa、-OCOaa、-OC(=O)N(Rbb、-OC(=NRbb)Raa、-OC(=NRbb)ORaa、-OC(=NRbb)N(Rbb、-OS(=O)Raa、-OSOaa、-OSi(Raa、-OP(Rcc、-OP(Rcc 、-OP(ORcc、-OP(ORcc 、-OP(=O)(Raa、-OP(=O)(ORccおよび-OP(=O)(N(Rbb))から選択される基を含み、式中、X、Raa、RbbおよびRccは、本明細書に定義される通りである。
【0151】
「チオール」または「チオ」という用語は、-SH基を指す。「置換されたチオール」または「置換されたチオ」という用語は、ひいては、親分子に直接結合する硫黄原子が、水素以外の基で置換されたチオール基を指し、-SRaa、-S=SRcc、-SC(=S)SRaa、-SC(=S)ORaa、-SC(=S)N(Rbb、-SC(=O)SRaa、-SC(=O)ORaa、-SC(=O)N(Rbbおよび-SC(=O)Raaから選択される基を含み、式中、RaaおよびRccは、本明細書に定義される通りである。
【0152】
「アミノ」という用語は、-NH基を指す。「置換されたアミノ」という用語は、ひいては、一置換アミノ、二置換アミノまたは三置換アミノを指す。ある特定の態様では、「置換されたアミノ」は、一置換アミノ基または二置換アミノ基である。
【0153】
「一置換アミノ」という用語は、親分子に直接結合する窒素原子が、1個の水素および水素以外の1個の基で置換されたアミノ基を指し、-NH(Rbb)、-NHC(=O)Raa、-NHCOaa、-NHC(=O)N(Rbb、-NHC(=NRbb)N(Rbb、-NHSOaa、-NHP(=O)(ORccおよび-NHP(=O)(N(Rbbから選択される基を含み、式中、Raa、RbbおよびRccは、本明細書に定義される通りであり、-NH(Rbb)基のRbbは、水素ではない。
【0154】
「二置換アミノ」という用語は、親分子に直接結合する窒素原子が、水素以外の2個の基で置換されたアミノ基を指し、-N(Rbb、-NRbbC(=O)Raa、-NRbbCOaa、-NRbbC(=O)N(Rbb、-NRbbC(=NRbb)N(Rbb、-NRbbSOaa、-NRbbP(=O)(ORccおよび-NRbbP(=O)(N(Rbbから選択される基を含み、式中、Raa、RbbおよびRccは、本明細書に定義される通りであり、ただし、親分子に直接結合する窒素原子は水素で置換されていない。
【0155】
「三置換アミノ」という用語は、親分子に直接結合する窒素原子が、3個の基で置換されたアミノ基を指し、-N(Rbbおよび-N(Rbb から選択される基を含み、式中、RbbおよびXは、本明細書に定義される通りである。
【0156】
「スルホニル」という用語は、-SON(Rbb、-SOaaおよび-SOORaaから選択される基を指し、式中、RaaおよびRbbは、本明細書に定義される通りである。
【0157】
「スルフィニル」という用語は、-S(=O)Raa基を指し、式中、Raaは、本明細書に定義される通りである。
【0158】
「アシル」という用語は、一般式-C(=O)RX1、-C(=O)ORX1、-C(=O)-O-C(=O)RX1、-C(=O)SRX1、-C(=O)N(RX1、-C(=S)RX1、-C(=S)N(RX1および-C(=S)S(RX1)、-C(=NRX1)RX1、-C(=NRX1)ORX1、-C(=NRX1)SRX1、ならびに-C(=NRX1)N(RX1を有する基を指し、式中、RX1は、水素;ハロゲン;置換もしくは無置換のヒドロキシル;置換もしくは無置換のチオール;置換もしくは無置換のアミノ;置換もしくは無置換のアシル、環式もしくは非環式の、置換もしくは無置換の、分枝状もしくは非分枝状脂肪族;環式もしくは非環式の、置換もしくは無置換の、分枝状もしくは非分枝状のヘテロ脂肪族;環式もしくは非環式の、置換もしくは無置換の、分枝状もしくは非分枝状のアルキル;環式もしくは非環式の、置換もしくは無置換の、分枝状もしくは非分枝状のアルケニル;置換もしくは無置換のアルキニル;置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、脂肪族オキシ、ヘテロ脂肪族オキシ、アルキルオキシ、ヘテロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、脂肪族チオキシ、ヘテロ脂肪族チオキシ、アルキルチオキシ、ヘテロアルキルチオキシ、アリールチオキシ、ヘテロアリールチオキシ、モノもしくはジ脂肪族アミノ、モノもしくはジヘテロ脂肪族アミノ、モノもしくはジアルキルアミノ、モノもしくはジヘテロアルキルアミノ、モノもしくはジアリールアミノまたはモノもしくはジヘテロアリールアミノであり;あるいは、2個のRX1基は、一緒になって、5~6員複素環式環を形成する。例示的なアシル基としては、アルデヒド(-CHO)、カルボン酸(-COH)、ケトン、ハロゲン化アシル、エステル、アミド、イミン、カーボネート、カルバメートおよび尿素が挙げられる。アシル置換基としては、限定されるものではないが、安定な部分の形成をもたらす本明細書に記載される置換基のいずれかが挙げられる(例えば、脂肪族、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロ脂肪族、複素環式、アリール、ヘテロアリール、アシル、オキソ、イミノ、チオキソ、シアノ、イソシアノ、アミノ、アジド、ニトロ、ヒドロキシル、チオール、ハロ、脂肪族アミノ、ヘテロ脂肪族アミノ、アルキルアミノ、ヘテロアルキルアミノ、アリールアミノ、 ヘテロアリールアミノ、アルキルアリール、アリールアルキル、脂肪族オキシ、ヘテロ脂肪族オキシ、アルキルオキシ、ヘテロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、脂肪族チオキシ、ヘテロ脂肪族チオキシ、アルキルチオキシ、ヘテロアルキルチオキシ、アリールチオキシ、ヘテロアリールチオキシ、アシルオキシなど、それらのそれぞれは、さらに置換されていてもよく、またはさらに置換されていなくてもよい)。
【0159】
「カルボニル」という用語は、親分子に直接結合する炭素が、sp混成であり、酸素、窒素または硫黄原子で置換された基、例えば、ケトン(-C(=O)Raa)、カルボン酸(-COH)、アルデヒド(-CHO)、エステル(-COaa、-C(=O)SRaa、-C(=S)SRaa)、アミド(-C(=O)N(Rbb、-C(=O)NRbbSOaa、-C(=S)N(Rbb)およびイミン(-C(=NRbb)Raa、-C(=NRbb)ORaa)、-C(=NRbb)N(Rbb)から選択される基を指し、式中、RaaおよびRbbは、本明細書に定義される通りである。
【0160】
本明細書で使用される場合、「塩(salt)」または「塩(salts)」という用語は、本発明の化合物の酸付加塩または塩基付加塩を指す。「塩」としては、特に、「薬学的に許容される塩」が挙げられる。
【0161】
「薬学的に許容される塩」という用語は、本発明の化合物の生物学的な有効性および特性を保持し、典型的には、生物学的にもその他の点で望ましくはないものでもない、塩を指す。多くの場合では、本発明の化合物は、アミノ基および/もしくはカルボキシル基、またはそれらに類似する基の存在のおかげで、酸および/または塩基の塩を形成することができる。
【0162】
薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸および有機酸と形成され得、例えば、酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、臭化物/臭化水素酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、カンファースルホン酸塩、塩化物/塩酸塩、クロルテオフィロネート(chlortheophyllonate)、クエン酸塩、エタンジスルホン酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、馬尿酸塩、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフトエ酸塩、ナプシレート、ニコチン酸塩、硝酸塩、オクタデカン酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、ポリガラクツロ酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、スルホサリチル酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩およびトリフルオロ酢酸塩であり得る。
【0163】
塩が由来し得る無機酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。
【0164】
塩が由来し得る有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸、スルホサリチル酸などが挙げられる。薬学的に許容される塩基付加塩は、無機塩基および有機塩基と形成され得る。
【0165】
塩が由来し得る無機塩基としては、例えば、アンモニウム塩、および周期表のI~XII列からの金属が挙げられる。ある特定の態様では、塩は、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、銀、亜鉛および銅に由来し、特に好適な塩としては、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウムおよびマグネシウムの塩が挙げられる。
【0166】
塩が由来し得る有機塩基としては、例えば、第一級、第二級および第三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂などが挙げられる。ある特定の有機アミンとしては、イソプロピルアミン、ベンザチン、コリネート、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、リシン、メグルミン、ピペラジンおよびトロメタミンが挙げられる。
【0167】
本開示の薬学的に許容される塩は、従来の化学方法によって、親化合物の塩基性または酸性部分から合成することができる。一般に、そのような塩は、これらの化合物の遊離酸形態を化学量論量の適切な塩基(例えば、Na、Ca、MgまたはKの水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩など)と反応させることによって、またはこれらの化合物の遊離塩基形態を化学量論量の適切な酸と反応させることによって、調製することができる。そのような反応は、典型的には、水中もしくは有機溶媒中、またはその2つの混合物中で行われる。一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリルのような非水性媒体の使用は、使用可能な場合、望ましい。さらなる好適な塩のリストは、例えば、"Remington's Pharmaceutical Sciences", 20th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., (1985);および"Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use" by Stahl and Wermuth (Wiley-VCH. Weinheim, Germany, 2002)に見出すことができる。
【0168】
SMN1をコードする組換え核酸
一部の態様では、SMAを処置するための組合せ治療は、本明細書に記載される他の治療(例えば、SMN2 ASOまたはSMN機能を増加させる低分子)に加えて、SMN1をコードする組換え核酸の投与(例えば、併せてまたは逐次に)を含む(例えば、rAAVなどのウイルスベクターで投与される)。一部の態様では、SMN1をコードする組換え核酸(本明細書では、組換えSMN1遺伝子とも称される)は、プロモーターに(例えば、運動ニューロン細胞中で活性なプロモーターに)機能的に連結されたSMN1遺伝子を含む。一部の態様では、SMN1をコードする組換え核酸は、非ウイルスベクター中(例えば、非ウイルスプラスミド中)で提供される。しかしながら、一部の態様では、SMN1をコードする組換え核酸は、組換えウイルスベクター中(例えば、ウイルスキャプシド内にパッケージングされた組換えウイルスゲノム中)で提供される。一部の態様では、組換えSMN1遺伝子は、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ゲノムで提供され、AAVキャプシド粒子内にパッケージングされる。
【0169】
一部の態様では、組換えSMN1遺伝子は、ウイルスベクターで対象に投与される。一部の態様では、組換えSMN1遺伝子は、隣接AAV逆位末端反復配列(ITR)を含む組換えAAVゲノムで投与される。したがって、一部の態様では、SMN1をコードする遺伝子を含む組換えウイルス粒子(例えば、rAAV粒子)は、SMN2 ASOと一緒に対象に投与される。
【0170】
図2は、プロモーターに作動可能に連結されたSMN1遺伝子を含む組換えウイルスゲノムの非限定的な例を提供する。図2は、AAV ITRに挟まれたSMN1遺伝子を図示する。SMN1遺伝子は、ヒトSMN1コドン最適化SMN1オープンリーディングフレームを含み、CB7プロモーター(サイトメガロウイルス(CMV)エンハンサーを有するニワトリベータアクチンプロモーター)に作動可能に連結される。組換えAAVゲノムは、ニワトリベータ-アクチンイントロンおよびウサギベータ-グロビンポリAシグナルも含む。図2に図示されるrAAVゲノムは、非限定的なものであり、代替のSMN1コード配列、プロモーターおよび他の調節エレメントを使用することができる。
【0171】
一部の態様では、rAAVゲノムは、ウイルスキャプシド中にパッケージングされる。一部の態様では、キャプシドタンパク質は、hu68血清型キャプシドタンパク質である。しかしながら、他の血清型の他のキャプシドタンパク質を使用することができる。
【0172】
組換えSMN1遺伝子のこれらの態様および他の態様を、以下の段落において、より詳細に記載する。
【0173】
SMN1コード配列:
一部の態様では、野生型ヒトSMNタンパク質をコードするコード配列(例えば、SMN1 cDNA配列)が提供される。ヒトSMN1をコードする核酸配列は、当技術分野において公知である。例えば、ヒトSMN1の核酸配列の非限定的な例について、GenBank受託番号NM_001297715.1;NM_000344.3;NM_022874.2.、DQ894095、NM_000344、NM_022874およびBC062723を参照されたい。野生型ヒトSMNタンパク質についてのアミノ酸配列の非限定的な例は、UniProtKB/Swiss-Prot:Q16637.1において提供される。SMN1コード配列が記載されている他の刊行物は、例えば、それらの全内容が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2010129021号A1および国際公開第2009151546号A2を参照されたい。
【0174】
一部の態様では、機能性SMNタンパク質をコードするコード配列が提供される。一部の態様では、機能性SMN1のアミノ酸配列は、ヒトSMN1タンパク質のものであるか、またはそれと95%の同一性を共有する配列である。
【0175】
一部の態様では、改変hSMN1コード配列が提供される。一部の態様では、改変hSMN1コード配列は、全長ネイティブhSMN1コード配列と、約80%未満の同一性、好ましくは、約75%またはそれよりも低い同一性を有する。一部の態様では、改変hSMN1コード配列は、AAV媒介送達(例えば、rAAV粒子を使用する)の後、ネイティブhSMN1と比較して、改善された翻訳率によって特徴付けられる。一部の態様では、改変hSMN1コード配列は、全長ネイティブhSMN1コード配列と、約80%、79%、78%、77%、76%、75%、74%、73%、72%、71%、70%、69%、68%、67%、66%、65%、64%、63%、62%、61%未満、またはそれよりも低い同一性を共有する。
【0176】
「同一性パーセント(%)」、「配列同一性」、「配列同一性パーセント」または「同一パーセント」という用語は、核酸配列の文脈では、対応させるために整列させたときに同じである2つの配列中の残基を指す。配列同一性の比較の長さは、ゲノムの全長にわたっていてもよく、遺伝子コード配列の全長、または少なくとも約500~5000ヌクレオチドの断片が望ましい。しかしながら、より小さな断片、例えば、少なくとも約9ヌクレオチド、通常、少なくとも約20~24ヌクレオチド、少なくとも約28~32ヌクレオチド、少なくとも約36またはそれよりも多くのヌクレオチドの間での同一性が望ましい場合もある。
【0177】
「整列された」配列または「整列」は、参照配列と比較して、多くの場合、塩基もしくはアミノ酸の欠失または付加に対する補正を含有する、複数の核酸配列またはタンパク質(アミノ酸)配列を指す。
【0178】
整列は、種々の公的または商業的に利用可能な複数の配列整列プログラムのいずれかを使用して行うことができる。配列整列プログラムは、アミノ酸配列に対して利用可能であり、例えば、「Clustal X」、「MAP」、「PIMA」、「MSA」、「BLOCKMAKER」、「MEME」および「Match-Box」プログラムが利用可能である。一般に、これらのプログラムのいずれかは、デフォルト設定で使用されるが、当業者であれば、必要により、これらの設定を変更することができる。あるいは、当業者であれば、参照アルゴリズムおよび参照プログラムによって提供されるものと少なくとも同一性または整列のレベルを提供する別のアルゴリズムまたはコンピュータープログラムを利用することができる。例えば、J. D. Thomson et al, Nucl. Acids. Res., "A comprehensive comparison of multiple sequence alignments", 27(13):2682-2690 (1999)を参照されたい。
【0179】
複数の配列整列プログラムが、核酸配列についても利用可能である。そのようなプログラムの例としては、「Clustal W」、「CAP Sequence Assembly」、「BLAST」、「MAP」および「MEME」が挙げられ、これらは、インターネット上のウェブサーバーを通じてアクセス可能である。そのようなプログラムの他の供給元は、当業者に公知である。あるいは、Vector NTIユーティリティも使用される。上記に記載されるプログラムに含有されるものを含め、ヌクレオチド配列同一性を測定するために使用され得る当技術分野において公知の多くのアルゴリズムもある。別の例として、ポリヌクレオチド配列は、GCGバージョン6.1中のプログラムであるFasta(商標)を使用して比較することができる。Fasta(商標)は、クエリ配列および検索配列の間で最適な重複の領域の整列および配列同一性パーセントを提供する。例えば、核酸配列間の配列同一性パーセントは、参照により本明細書に組み込まれるGCGバージョン6.1中で提供されるFasta(商標)とそのデフォルトパラメーター(ワードサイズ6、およびスコアリング行列のためのNOP AM係数)とを使用して決定することができる。
【0180】
一部の態様では、改変hSMN1コード配列は、対象種における発現について最適化されたコドン最適化配列である。本明細書で使用される場合、「対象」は哺乳動物、例えば、ヒト、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、またはサル、チンパンジー、ヒヒもしくはゴリラなどの非ヒト霊長類である。一部の態様では、対象は、ヒトである。したがって、一部の態様では、SMN1コード配列は、ヒトにおける発現についてコドンが最適化される。
【0181】
コドン最適化コード領域は、さまざまな異なる方法によって設計することができる。この最適化は、オンラインで利用可能な方法(例えば、GeneArt)、公開された方法、またはコドン最適化サービスを提供する企業、例えば、DNA2.0(Menlo Park、CA)を使用して行ってもよい。1つのコドン最適化方法は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国の国際公開第2015/012924号に記載されている。例えば、米国特許出願公開第2014/0032186号および米国特許出願公開第2006/0136184号も参照されたい。
【0182】
一部の態様では、オープンリーディングフレーム(ORF)の全長が改変される。しかしながら、一部の態様では、ORFの断片のみが変更される。これらの方法の1つを使用することによって、任意の所与のポリペプチド配列に頻度を適用し、ポリペプチドをコードするコドン最適化コード領域の核酸断片を生成することができる。したがって、一部の態様では、コドン最適化SMN1コード配列が使用される(例えば、コドン最適化hSMN1 ORF)。一部の態様では、SMN1コード配列の1つまたは複数の部分(例えば、最大でORF全体)が、ヒトにおける発現についてコドン最適化される。
【0183】
多くの選択肢が、コドンに対する実際の変更を行うため、または本明細書に記載されるように設計されるコドン最適化コード領域を合成するために利用可能である。そのような改変または合成は、当業者に周知の標準的および日常的な分子生物学的操作を使用して行うことができる。1つの手法では、長さがそれぞれ80~90ヌクレオチドの、所望の配列の長さにおよぶ一連の相補的オリゴヌクレオチド対が、標準的な方法によって合成される。これらのオリゴヌクレオチド対は、アニーリングの際に、それらが、付着末端を含有する80~90塩基対の二本鎖断片を形成するように合成され、例えば、対におけるそれぞれのオリゴヌクレオチドは、対における他のオリゴヌクレオチドに相補的である領域を超えて3、4、5、6、7、8、9、10またはそれよりも多くの塩基が伸長するように合成される。オリゴヌクレオチドのそれぞれの対の一本鎖末端は、オリゴヌクレオチドの別の対の一本鎖末端とアニーリングするように設計される。オリゴヌクレオチド対はアニーリングすることが可能であり、次いで、これらの二本鎖断片のおよそ5~6つは、付着一本鎖末端を介して一緒にアニーリングすることが可能であり、次いで、それらは、一緒にライゲートされ、標準的な細菌クローニングベクター、例えば、Invitrogen Corporation、Carlsbad、Califから利用可能なTOPO(登録商標)ベクターにクローニングされる。次いで、構築物は、標準的な方法によって配列決定される。所望の配列全体が、一連のプラスミド構築物で表されるように、一緒にライゲートされた80~90の塩基対断片の5~6の断片、すなわち、約500塩基対の断片からなるこれらの構築物のいくつかが、調製される。次いで、これらのプラスミドの挿入物が、適切な制限酵素で切断され、一緒にライゲートされて、最終構築物が形成される。次いで、最終構築物は、標準的な細菌クローニングベクターにクローニングされ、配列決定される。追加または代替の方法も使用され得る(例えば、商業的に利用可能な遺伝子合成サービスを含む)。
【0184】
一部の態様では、SMNl cDNA配列は、当技術分野において公知の技法を使用して、in vitroで合成的に作製することができる。例えば、Xiong et al, PCR-based accurate synthesis of long DNA sequences, Nature Protocols 1, 791 - 797 (2006)に記載されているように、長鎖DNA配列のPCRに基づく高精度合成(PAS)法を利用してもよい。二重非対称PCR法およびオーバーラップ伸長PCR法を組み合わせる方法は、Young and Dong, Two-step total gene synthesis method, Nucleic Acids Res. 2004; 32(7): e59によって記載されている。Gordeeva et al, J Microbiol Methods. Improved PCR-based gene synthesis method and its application to the Citrobacter freundii phytase gene codon modification. 2010 May;81(2): 147-52. Epub 2010 Mar 10も参照されたい;またオリゴヌクレオチド合成および遺伝子合成に対する以下の特許のGene Seq. 2012 Apr;6(l): 10-21;米国特許第8008005号および米国特許第7985565号も参照されたい。これらの文書のそれぞれは、参照により本明細書に組み込まれる。加えて、PCRを介してDNAを作製するためのキットおよびプロトコールが商業的に利用可能である。これらには、限定されないが、Taqポリメラーゼ;OneTaq(登録商標)(New England Biolabs);Q5(登録商標)High-Fidelity DNA Polymerase(New England Biolabs);およびGoTaq(登録商標)G2 Polymerase(Promega)を含む、ポリメラーゼの使用を含む。DNAはまた、本明細書に記載されるhSMN配列を含有するプラスミドをトランスフェクトされた細胞からも作製されてもよい。キットおよびプロトコールは、公知であり、商業的に利用可能であり、限定されないが、QIAGENプラスミドキット;Chargeswitch(登録商標)Pro Filter Plasmid Kits(Invitrogen);およびGenElute(商標)Plasmid Kits(Sigma Aldrich)が挙げられる。本明細書で有用な他の技法としては、熱循環についての必要性を除いた配列特異的な等温増幅法が挙げられる。熱の代わりに、これらの方法は、典型的には、Bst DNA Polymerase、Large Fragment(New England Biolabs)のような鎖置換DNAポリメラーゼを用いて、二本鎖DNAを分離する。DNAはまた、RNA依存性DNAポリメラーゼである逆転写酵素(RT)の使用を介した増幅によりRNA分子から作製されてもよい。RTは、元のRNA鋳型に相補的でありcDNAと称される、DNAの鎖を重合する。次いで、このcDNAは、上記で概説されたPCR法または等温法によりさらに増幅され得る。カスタムDNAは、限定されないが、GenScript;GENEWIZ(登録商標);GeneArt(登録商標)(Life Technologies);およびIntegrated DNA Technologiesを含む企業から商業的に作製することもできる。
【0185】
「機能性SMN1」とは、ネイティブSMNタンパク質をコードする遺伝子、あるいは少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、もしくはほぼ同じ、または100%より高いネイティブ生存運動ニューロンタンパク質の生物活性レベルを提供する別のSMNタンパク質をコードする遺伝子、あるいは疾患に関連しないそれらの天然バリアントまたは多型を意味する。加えて、SMNlホモログであるSMN2はまた、SMNタンパク質をコードするが、機能性タンパク質のプロセシングはあまり効率的ではない。SMN2のコピー数に基づいて、機能性hSMNl遺伝子を欠く対象は、異なる程度のSMAを実証する。したがって、一部の対象については、SMNタンパク質がネイティブSMNタンパク質の生物活性の100%未満を提供し得ることが望ましい場合がある。
【0186】
一部の態様では、そのような機能性SMNは、ネイティブタンパク質に対して約95%もしくはそれよりも高い、またはアミノ酸レベルで、約97%もしくはそれよりも高い、または約99%の同一性を有する配列を有する。そのような機能性SMNタンパク質は、天然の多型も包含し得る。同一性は、配列の整列を準備することによって、ならびに当技術分野において公知のもしくは商業的に利用可能な種々のアルゴリズムおよび/またはコンピュータープログラム(例えば、BLAST、ExPASy;ClustalO;FASTA;例えば、Needleman-Wunschアルゴリズム、Smith-Watermanアルゴリズムを使用すること)の使用により、決定され得る。
【0187】
同一性パーセントは、タンパク質の全長、ポリペプチド、約32アミノ酸、約330アミノ酸もしくはそのペプチド断片にわたるアミノ酸配列、または配列をコードする対応する核酸配列について、容易に決定され得る。好適なアミノ酸断片は、少なくとも約8アミノ酸長であり得、最大で約700アミノ酸であり得る。一般に、2つの異なる配列間の「同一性」、「相同性」または「類似性」に言及する場合、「同一性」、「相同性」または「類似性」は、「整列された」配列に関して決定される。
【0188】
一部の態様では、本明細書に記載される改変SMN1(例えば、hSMN1)遺伝子は、ウイルスベクターを作製するため、および/または宿主細胞に送達するために有用な、そこに運ばれるSMN1配列を移す、好適な遺伝エレメント(例えば、ベクター)、例えば、ネイキッドDNA、ファージ、トランスポゾン、コスミド、エピソームなどへと操作される。選択されるベクターは、トランスフェクション、電気穿孔、リポソーム送達、膜融合技法、高速度DNAコーティングペレット、ウイルス感染およびプロトプラスト融合を含む任意の好適な方法によって送達され得る。そのような構築物を作製するために使用される方法は、核酸操作における当業者に公知であり、遺伝子操作、組換え操作および合成技法が挙げられる。例えば、Sambrook et al, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, NYを参照されたい。
【0189】
一部の態様では、SMN1(例えば、hSMN1)核酸配列(複数可)を含む発現カセットが提供される。本明細書で使用される場合、「発現カセット」は、プロモーターに作動可能に連結されたSMN1配列を含み、他の調節配列を含んでいてもよい核酸分子を指す。一部の態様では、発現カセットは、ウイルスベクターのキャプシド(例えば、ウイルス粒子)にパッケージングされる。典型的には、ウイルスベクターを作製するためのそのような発現カセットは、ウイルスゲノムのパッケージングシグナルおよび本明細書に記載されるものなどの他の発現制御配列に挟まれた本明細書に記載されるSMN1(例えば、hSMN1)配列を含有する。例えば、AAVウイルスベクターについて、パッケージングシグナルは、5’逆位末端反復配列(ITR)および3’ITRである。AAVキャプシドにパッケージングされる場合、発現カセットとともにITRは、本明細書では、rAAV粒子またはキャプシド内の「組換えAAV(rAAV)ゲノム」または「ベクターゲノム」と称される。
【0190】
「発現」という用語は、本明細書において、その最も広い意味で使用され、RNAの産生またはRNAおよびタンパク質の産生を含む。RNAに関して、「発現」または「翻訳」という用語は、特に、ペプチドまたはタンパク質の産生に関する。発現は、一過性であってもよく、または安定的であってもよい。
【0191】
「翻訳」という用語は、本発明の文脈では、mRNA鎖がアミノ酸配列のアセンブリーを制御して、タンパク質またはペプチドを生成するリボソームでのプロセスに関する。
【0192】
プロモーターおよび調節エレメント:
一部の態様では、発現構築物は、SMN1遺伝子のコード配列の発現を促進する配列、例えば、コード配列に作動可能に連結された発現制御配列を含む1つまたは複数の領域を含む。発現制御配列の非限定的な例としては、プロモーター、インスレーター、サイレンサー、応答エレメント、イントロン、エンハンサー、開始部位、終結シグナルおよびポリ(A)テイルが挙げられる。そのような制御配列の任意の組合せが、本明細書で企図される(例えば、プロモーターおよびエンハンサー)。
【0193】
一部の態様では、発現カセットは、発現制御配列の一部としてプロモーター配列を含有し、例えば、5’ITR配列およびSMN1コード配列の間に位置する。本明細書に記載される例示のプラスミドおよびベクターは、CMV前初期エンハンサー(CMV IE)を有するユビキタスニワトリβ-アクチンプロモーター(CB)を使用する。あるいは、他のニューロン特異的プロモーターが使用されてもよい(例えば、http://chinook.uoregon.edu/promoters.htmlでアクセス可能なLockery Labニューロン特異的プロモーターデータベースを参照されたい)。そのようなニューロン特異的プロモーターとしては、限定されないが、シナプシンI(SYN)、カルシウム/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼII、チューブリンアルファI、ニューロン特異的エノラーゼおよび血小板由来成長因子ベータ鎖プロモーターが挙げられる。参照により本明細書に組み込まれるHioki et al, Gene Therapy, June 2007, 14(l l):872-82を参照されたい。他のニューロン特異的プロモーターとしては、67kDaのグルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD67)、ホメオボックスDlx5/6、グルタミン酸受容体1(GluRl)、プレプロタキキニン1(Tacl)、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)およびドーパミン作動性受容体1(Drdla)のプロモーターが挙げられる。例えば、Delzor et al, Human Gene Therapy Methods. August 2012, 23(4): 242-254を参照されたい。別の態様では、プロモーターは、http://www.jci.Org/articles/view/41615#B30のGUSbプロモーターである。
【0194】
構成的プロモーター、調節可能プロモーター(例えば、国際公開第2011/126808号および国際公開第2013/04943号を参照されたい)または生理学的な合図に応答性のプロモーターなどの他のプロモーターを使用してもよい。プロモーター(複数可)は、異なる供給源、例えば、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)前初期エンハンサー/プロモーター、SV40初期エンハンサー/プロモーター、JCポリオーマウイルスプロモーター、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)またはグリア線維酸性タンパク質(GFAP)プロモーター、単純ヘルペスウイルス(HSV-1)潜伏関連プロモーター(LAP)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)長鎖末端反復配列(LTR)プロモーター、ニューロン特異的プロモーター(NSE)、血小板由来成長因子(PDGF)プロモーター、hSYN、メラニン凝集ホルモン(MCH)プロモーター、ニワトリベータ-アクチン(CBA)プロモーターおよびマトリックス金属タンパク質(MPP)プロモーターから選択することができる。
【0195】
プロモーターに加えて、発現カセットおよび/またはベクターは、1つまたは複数の他の適切な転写開始配列、終結配列、エンハンサー配列、スプライシングおよびポリアデニル化(ポリA)シグナルなどの有効なRNAプロセシングシグナル;細胞質mRNAを安定化させる配列、例えばWPRE;翻訳効率を増強する配列(すなわち、コザックコンセンサス配列);タンパク質の安定性を増強する配列;ならびに所望される場合、コードされる産物の分泌を増強する配列を含有していてもよい。好適なポリA配列の例としては、例えば、SV40、SV50、ウシ成長ホルモン(bGH)、ヒト成長ホルモンおよび合成ポリAが挙げられる。好適なエンハンサーの例は、CMVエンハンサーである。他の好適なエンハンサーとしては、CNSの徴候に適したものが挙げられる。一部の態様では、発現カセットは、1つまたは複数の発現エンハンサーを含む。一部の態様では、発現カセットは、2つまたはそれよりも多くの発現エンハンサーを含有する。これらのエンハンサーは、互いに同じであってもよく、または互いに異なっていてもよい。例えば、エンハンサーは、CMV前初期エンハンサーを含んでいてもよい。このエンハンサーは、互いに隣接して位置する2つのコピー中に存在していてもよい。あるいは、エンハンサーの二重コピーは、1つまたは複数の配列によって分離されていてもよい。さらに別の態様では、発現カセットは、イントロン、例えば、ニワトリベータ-アクチンイントロンをさらに含有する。他の好適なイントロンとしては、当技術分野において公知のものが挙げられ、例えば、国際公開第2011/126808号などに記載されている。一部の態様では、イントロンは、コード配列の上流に組み込まれて、mRNAの5’キャッピングおよび安定性を改善する。必要に応じて、1つまたは複数の他の配列が、mRNAが安定化するように選択されてもよい。そのような配列の例は、改変WPRE配列であり、これは、ポリA配列の上流およびコード配列の下流の位置で操作され得る(例えば、MA Zanta-Boussif, et al, Gene Therapy (2009) 16: 605-619を参照されたい)。
【0196】
一部の態様では、これらの制御配列は、SMN1遺伝子配列に「作動可能に連結され」ている。本明細書で使用される場合、「作動可能に連結される」という用語は、目的の遺伝子と隣接する発現制御配列、およびトランスで作用して、または離れて、目的の遺伝子を制御する発現制御配列の両方を指す。
【0197】
組換えウイルスベクター:
一部の態様では、AAVキャプシドおよび少なくとも1つの発現カセットを含むアデノ随伴ウイルスベクターが提供される。一部の態様では、少なくとも1つの発現カセットは、SMN1をコードする核酸配列、および宿主細胞においてSMN1配列の発現を指示する発現制御配列を含む。rAAVベクター遺伝子は、AAV ITR配列を含むこともできる。一部の態様では、ITRは、rAAVゲノムをパッケージングするために使用されるキャプシドタンパク質の血清型と異なるAAV血清型に由来する。一部の態様では、ITR配列は、AAV2またはその欠失バージョン(AITR)に由来し、これは、便宜上、および規制当局の承認を加速するために使用され得る。しかしながら、他のAAV起源由来のITRを選択してもよい。ITRの起源がAAV2由来であり、AAVキャプシドが別のAAV起源由来である場合、得られるベクターは、シュードタイプ化と称される場合がある。典型的には、rAAVベクターゲノムは、AAV 5’ITR、SMN1コード配列および任意の調節配列、ならびにAAV 3’ITRを含む。しかしながら、これらのエレメントの他の配置も好適であり得る。AITRと称される5’ITRの短縮バージョンが記載されており、そこでは、D-配列および末端分解部位(trs)が欠失している。他の態様では、全長AAV 5’ITRおよびAAV 3’ITRが使用される。
【0198】
本明細書に記載される核酸または核酸ベクターのITR配列は、任意のAAV血清型(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10)に由来し得るか、または2以上の血清型に由来し得る。一部の態様では、ITR配列およびITR配列を含有するプラスミドは、当技術分野において公知であり、商業的に利用可能である(例えば、Vector Biolabs、Philadelphia、PA;Cellbiolabs、San Diego、CA;Agilent Technologies、Santa Clara、CaおよびAddgene、Cambridge、MAから利用可能な製品およびサービス;ならびにGene delivery to skeletal muscle results in sustained expression and systemic delivery of a therapeutic protein. Kessler PD, Podsakoff GM, Chen X, McQuiston SA, Colosi PC, Matelis LA, Kurtzman GJ, Byrne BJ. Proc Natl Acad Sci U S A. 1996 Nov 26;93(24):14082-7;およびCurtis A. Machida. Methods in Molecular Medicine(商標). Viral Vectors for Gene Therapy Methods and Protocols. 10.1385/1-59259-304-6:201 (C) Humana Press Inc. 2003. Chapter 10. Targeted Integration by Adeno-Associated Virus. Matthew D. Weitzman, Samuel M. Young Jr., Toni Cathomen and Richard Jude Samulski;米国特許第5,139,941号および同第5,962,313号を参照されたい、それらのすべては、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0199】
一部の態様では、rAAV核酸またはゲノムは、一本鎖(ss)であり得る。しかしながら、一部の態様では、rAAV核酸またはゲノムは、自己相補性(sc)AAV核酸ベクターであり得る。一部の態様では、組換えAAV粒子は、一本鎖(ss)または自己相補性(sc)のAAV核酸ベクターなどの核酸ベクターを含む。一部の態様では、核酸ベクターは、SMN1遺伝子、および発現構築物に隣接する逆位末端反復(ITR)配列(例えば、野生型ITR配列または操作されたITR配列)を含む1つまたは複数の領域を含有する。一部の態様では、核酸は、ウイルスキャプシドによってキャプシド封入される。
【0200】
したがって、一部の態様では、AAV粒子は、ウイルスキャプシド、およびウイルスキャプシドによってキャプシド封入される本明細書に記載される核酸ベクターを含む。一部の態様では、ウイルスキャプシドは、VP1、VP2、およびVP3を含む60個のキャプシドタンパク質サブユニットを含む。一部の態様では、VP1、VP2およびVP3サブユニットは、それぞれ、およそ1:1:10の比でキャプシド中に存在する。
【0201】
一部の態様では、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)は、標的細胞への送達のために核酸配列がパッケージングされたAAVタンパク質キャプシドを有するAAV DNase抵抗性粒子である。一部の態様では、AAVキャプシドは、選択されるAAVに応じて、およそ1:1:10~1:1:20の比で、正二十面体対称で配置された60個のキャプシド(cap)タンパク質サブユニットのVP1、VP2およびVP3で構成される。AAVキャプシドは、そのバリアントを含む当業者に公知のものから選択されてもよい。一部の態様では、AAVキャプシドは、ニューロン細胞を効率的に形質導入するものから選択される。一部の態様では、AAVキャプシドは、AAV1、AAV2、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh10、AAV5、AAVhu11、AAV8DJ、AAVhu32、AAVhu37、AAVpi2、AAVrh8、AAVhu48R3、AAVhu68およびそれらのバリアントから選択される。それらのそれぞれが参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2018160585号A2、国際公開第2018160582号A1、Royo, et al, Brain Res, 2008 Jan, 1190: 15-22;Petrosyan et al, Gene Therapy, 2014 Dec, 21(12):991-1000;Holehonnur et al, BMC Neuroscience, 2014, 15:28;およびCearley et al, Mol Ther. 2008 Oct; 16(10): 1710-1718を参照されたい。本明細書で有用な他のAAVキャプシドとしては、AAVrh39、AAVrh20、AAVrh25、AAV10、AAVbb1およびAAVbb2、ならびにそれらのバリアントが挙げられる。例えば、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV6.2、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh10、AAVrh64Rl、AAVrh64R2、AAVrh8、および公知もしくは言及されたAAVまたはまだ発見されていないAAVのいずれかのバリアントを含む、他のAAV血清型を、AAVウイルスベクター(DNase抵抗性ウイルス粒子)のキャプシドのための起源として選択してもよい。例えば、米国特許出願公開第2007-0036760号A1;米国特許出願公開第2009-0197338号A1;欧州特許出願公開第1310571号を参照されたい。国際公開第2003/042397号(AAV7および他のサルAAV)、米国特許第7790449号および米国特許第7282199号(AAV8)、国際公開第2005/033321号および米国特許第7,906,111号(AAV9)、ならびに国際公開第2006/110689号、ならびに国際公開第2003/042397号(rh10)も参照されたい。あるいは、列挙されたAAVのいずれかに基づく組換えAAVを、AAVキャプシドのための起源として使用してもよい。これらの文書は、AAVを作製するために選択され得る他のAAVも記載しており、参照により本明細書に組み込まれる。一部の態様では、ウイルスベクターにおける使用のためのAAV capは、前述のAAV Capの1つまたはそのコード核酸の変異誘発によって(例えば、挿入、欠失または置換によって)作製することができる。一部の態様では、AAVキャプシドは、前述のAAVキャプシドタンパク質の2つまたは3つまたは4つまたはそれよりも多くに由来するドメインを含むキメラである。一部の態様では、AAVキャプシドは、2つもしくは3つの異なるAAVまたは組換えAAVに由来するVp1、Vp2およびVp3モノマーのモザイクである。一部の態様では、rAAV組成物は、前述のCapの2つ以上を含む。本明細書で使用される場合、AAVに関して、バリアントという用語は、公知のAAV配列に由来する任意のAAV配列を意味し、アミノ酸配列または核酸配列にわたって、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%、またはそれよりも高い配列同一性を共有するものを含む。別の態様では、AAVキャプシドとしては、記載されるまたは公知のAAVキャプシド配列のいずれかと最大で約10%の変動を含み得るバリアントが挙げられる。すなわち、AAVキャプシドは、本明細書で提供される、および/または当技術分野において公知のAAVキャプシドと、約90%の同一性~約99.9%の同一性、約95%~約99%の同一性、または約97%~約98%の同一性を共有する。一部の態様では、AAVキャプシドは、AAVキャプシドと少なくとも95%の同一性を共有する。AAVキャプシドの同一性パーセントを決定する場合、比較を、可変タンパク質(例えば、vp1、vp2またはvp3)のいずれかにわたって行い得る。一部の態様では、AAVキャプシドは、AAV8 vp3と少なくとも95%の同一性を共有する。
【0202】
一部の態様では、自己相補性AAVが提供される。この文脈における「sc」という略語は、自己相補性を指す。「自己相補性AAV」は、組換えAAV核酸配列によって運ばれるコード領域が、分子内二本鎖DNA鋳型を形成するように設計されている構築物を指す。感染の際に、第2の鎖の細胞媒介合成を待つよりもむしろ、scAAVの2つの相補性の半分が会合して、即時の複製および転写の準備が整った1つの二本鎖DNA(dsDNA)ユニットが形成される。例えば、D M McCarty et al, "Self-complementary recombinant adeno-associated virus (scAAV) vectors promote efficient transduction independently of DNA synthesis", Gene Therapy, (August 2001), Vol 8, Number 16, Pages 1248-1254を参照されたい。自己相補性AAVは、例えば、米国特許第6,596,535号、同第7,125,717号および同第7,456,683号に記載されており、それらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0203】
対象への送達に好適なAAVウイルスベクターを作製および単離するための方法は、当技術分野において公知である。例えば、米国特許出願公開第2007/0036760号(2007年2月15日)、米国特許第7790449号;米国特許第7282199号;国際公開第2003/042397号;国際公開第2005/033321号、国際公開第2006/110689号;および米国特許第7588772号B2を参照されたい。1つの系では、産生細胞系は、ITRに挟まれた導入遺伝子をコードする構築物、ならびにrepおよびcapをコードする構築物(複数可)で、一過性にトランスフェクトされる。第2の系では、repおよびcapを安定的に供給するパッケージング細胞系は、ITRに挟まれた導入遺伝子をコードする構築物で一過性にトランスフェクトされる。これらの系のそれぞれでは、AAVビリオンが、ヘルパーアデノウイルスまたはヘルペスウイルスによる感染に応答して産生し、混入ウイルスからのrAAVの分離が必要である。AAVを回復させるためのヘルパーウイルスによる感染を必要としない系も開発されており、必要なヘルパー機能(例えば、アデノウイルスのEl、E2a、VAおよびE4、またはヘルペスウイルスのUL5、UL8、UL52およびUL29、ならびにヘルペスウイルスポリメラーゼ)も系によってトランスで供給される。これらの系では、ヘルパー機能は、必要なヘルパー機能をコードする構築物による細胞の一過性トランスフェクションによって供給することができ、または細胞は、ヘルパー機能をコードする遺伝子を安定に含有するように操作することができ、その発現は、転写または転写後レベルで制御することができる。さらに別の系では、ITRに挟まれた導入遺伝子およびrep/cap遺伝子は、バキュロウイルス系ベクターによる感染によって昆虫細胞に導入される。これらの産生系に対する総説については、一般に、例えば、そのそれぞれの内容が、その全体が参照により本明細書に組み込まれるZhang et al, 2009, "Adenovirus-adeno-associated virus hybrid for large-scale recombinant adeno-associated virus production," Human Gene Therapy 20:922-929を参照されたい。これらのおよび他のAAV産生系を作製および使用する方法は、そのそれぞれの内容が、その全体が参照により本明細書に組み込まれる以下の米国特許にも記載されている:第5,139,941号;第5,741,683号;第6,057,152号;第6,204,059号;第6,268,213号;第6,491,907号;第6,660,514号;第6,951,753号;第7,094,604号;第7,172,893号;第7,201,898号;第7,229,823号および第7,439,065号。
【0204】
必要に応じて、本明細書に記載されるSMN1遺伝子を使用して、rAAV以外のウイルスベクターを作製してもよく、これはまた、SMN2 ASOとの併用療法において使用することができる。そのような他のウイルスベクターとしては、使用され得る遺伝子治療に好適な任意のウイルスが挙げられ得、限定されるものではないが、アデノウイルス;ヘルペスウイルス;レンチウイルス;レトロウイルスなどが挙げられる。好適には、これらの他のベクターの1つが作製される場合、それは、複製欠陥ウイルスベクターとして生成される。
【0205】
「複製欠陥ウイルス」または「ウイルスベクター」は、目的の遺伝子を含有する発現カセットがウイルスキャプシドもしくはエンベロープにパッケージングされた合成または人工ウイルス粒子を指し、ここで、ウイルスキャプシドまたはエンベロープ内にパッケージングされる任意のウイルスゲノム配列も複製欠損であり、すなわち、それらは、子孫ビリオンを生成することができないが、標的細胞に感染する能力を保持する。一部の態様では、ウイルスベクターのゲノムは、複製に必要な酵素をコードする遺伝子を含まないが(ゲノムは、「弱く」なるように操作され得、人工ゲノムの増幅およびパッケージングに必要なシグナルに挟まれた目的の導入遺伝子のみを含有する)、これらの遺伝子は、産生の間に供給され得る。したがって、子孫ビリオンによる複製および感染が、複製に必要なウイルス酵素が存在する場合を除いて起こり得ないので、遺伝子治療における使用のために安全と見なされる。そのような複製欠陥ウイルスは、アデノ随伴ウイルス(AAV)、アデノウイルス、レンチウイルス(組み込み型もしくは非組み込み型)、または別の好適なウイルス起源であり得る。
【0206】
開示されるAAV粒子、発現構築物または核酸ベクターの少なくとも1つを含む宿主細胞も提供される。そのような宿主細胞としては、哺乳動物宿主細胞、例えば、ヒト宿主細胞が挙げられ、細胞培養または組織培養のいずれかにおいて単離され得る。遺伝子改変動物モデル(例えば、マウス)の場合では、形質転換される宿主細胞は、非ヒト動物それ自体の身体内に含まれていてもよい。
【0207】
全長SMN2 mRNAの産生を増加させるオリゴマー化合物
一部の態様では、SMAを処置するための組合せ治療は、本明細書に記載される他の治療(例えば、組換えSMN1遺伝子および/またはSMN機能を増加させる低分子)に加えて、SMN2をコードするプレmRNAに相補的なASO(本出願では、SMN2 ASOとも称される)を(例えば、併せてまたは逐次に)投与することを含む。一部の態様では、ASOは、全長SMN2 mRNAを増加させる。一部の態様では、ASOは、SMN2プレmRNAのスプライシングを変化させる。一部の態様では、ASOは、SMN2 mRNAにおけるエクソン7包含を促進する。SMN2のスプライシングを変化させるために有用な一部の配列および領域は、PCT/US06/024469号(国際公開第2007/002390号として公開)および国際公開第2018014041号A2において見出すことができ、これらは、任意の目的のために、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0208】
一部の態様では、SMN2 ASOは、SMN2のスプライシングを効率的にモジュレートし、SMN2 mRNAにおけるエクソン7包含の増加、最終的には、エクソン7に対応するアミノ酸を含むSMN2タンパク質の増加をもたらす。そのような代替SMN2タンパク質は、野生型SMNタンパク質と100%同一である。
【0209】
SMN2 mRNAの発現を効率的にモジュレートして、機能性SMNタンパク質を産生するASOは、活性なASOと考えられる。SMN2の発現のモジュレーションは、体液において測定することができ、これは、動物の細胞、組織もしくは器官を含有していてもよく、またはそれらを含有していなくてもよい。分析のための試料、例えば、体液(例えば、痰、血清、CSF)、組織(例えば、生検)または器官を得る方法、および分析を可能にするための試料の調製の方法は、当業者に周知である。処置の効果は、本出願に記載される1つまたは複数の組成物を接触させた動物から収集される、1つもしくは複数の生体液、組織または器官における標的遺伝子発現に関連するバイオマーカーを測定することによって評価することができる。
【0210】
一部の態様では、全長SMN2 mRNAの増加は、全長SMN2 mRNAの細胞内レベルが、参照レベル、例えば、対照(例えば、SMN2 ASOが投与されていない対象)における全長SMN2 mRNAのレベルよりも高いことを意味する。細胞内全長SMN2 mRNAの増加は、SMN2遺伝子から産生する全長タンパク質および/またはmRNAのレベルの増加として測定することができる。一部の態様では、全長SMN2 mRNAの増加は、細胞もしくは生物体の外面的特性の調査によって(例えば、下記の実施例において記載される通り)、あるいはRNA溶液ハイブリダイゼーション、ヌクレアーゼ保護、ノーザンハイブリダイゼーション、逆転写、マイクロアレイによる遺伝子発現のモニタリング、抗体結合、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、核酸配列決定、ウエスタンブロット、ラジオイムノアッセイ(RIA)、他のイムノアッセイ、蛍光活性化細胞分析(FACS)、または全長SMN2 mRNAもしくはタンパク質(例えば、対象または対象から得られる試料中)の存在を検出することができる任意の他の技法もしくは技法の組合せなどのアッセイ技法によって、決定することができる。
【0211】
一部の態様では、SMN2 ASO処置を受けている対象から得られた試料における全長SMN2 mRNAのレベルを、SMN2 ASOで処置されていない対象における全長SMN2 mRNAのレベルと比較することによって、SMN2 ASOが全長SMN2 mRNAを増加させた程度を決定することができる。一部の態様では、全長SMN2 mRNAの参照レベルは、SMN2 ASOを受ける前の同じ対象から得られる。一部の態様では、全長SMN2 mRNAの参照レベルは、SMN2 ASOを受けていない対象の集団によって決定される範囲である。
【0212】
一部の態様では、全長SMN2 mRNAの増加レベルは、例えば、参照値よりも、1倍よりも高い、1.5~5倍、5~10倍、10~50倍、50~100倍、約1.1倍、1.2倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、またはそれよりも高い。
【0213】
一部の態様では、SMN2 ASO投与を受けている対象における全長SMN2 mRNAのより短いSMN2 mRNA(例えば、エクソン7なしのSMN2 mRNA)に対する比を参照比と比較することによって、SMN2 ASOが全長SMN2 mRNAの増加をもたらしたかどうかを決定することができる。一部の態様では、参照比は、SMN2 ASOの投与前の、全長SMN2 mRNAの短いSMN2 mRNA(例えば、エクソン7なしのSMN2 mRNA)に対する比である。一部の態様では、SMN2 ASOを受けている対象における全長SMN2 mRNAの短いSMN2 mRNA(例えば、エクソン7なしのSMN2 mRNA)に対する比は、例えば、参照比よりも、1倍よりも高い、1.5~5倍、5~10倍、10~50倍、50~100倍、約1.1倍、1.2倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、またはそれよりも高い。
【0214】
一部の態様では、対象における全長SMN2 mRNAの増加は、参照レベルと比較して、全長SMNタンパク質の増加によって示すことができる。一部の態様では、全長SMNタンパク質の参照レベルは、処置前にSMAを有する対象またはSMAを有する危険性がある対象から得た全長SMNタンパク質のレベルである。一部の態様では、エクソン7含有SMNタンパク質の産生は、参照値よりも、少なくとも約、例えば、1倍超、1.5~5倍、5~10倍、10~50倍、50~100倍、約1.1倍、1.2倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、またはそれよりも高いエクソン7含有SMNタンパク質レベルの増強を伴って、SMN2 ASO投与を受けている対象において増加する。体液、器官または組織を、有効量の本出願に記載される1つまたは複数の組成物と接触させることによる方法も企図される。体液、器官または組織は、1つまたは複数の組成物と接触させることができ、体液、器官または組織の細胞においてSMN1の発現、およびSMN2発現のモジュレーションをもたらす。組成物の有効量は、対象に投与されるか、または細胞と接触される組換えSMN1遺伝子およびSMN2 ASOの機能性SMNタンパク質の発現に対する効果をモニタリングすることによって決定することができる。
【0215】
1.アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)
一部の態様では、ヒトSMN2をコードする核酸に相補的な配列を含むASOは、脊髄性筋萎縮症(SMA)などの生存運動ニューロンタンパク質(SMN)に関連する疾患または状態の処置(例えば、組換えSMN1遺伝子および/またはSMN機能を増加させる低分子による)に使用するために提供される。一部の態様では、ヒトSMN2をコードする核酸に相補的な配列を含むASOは、ASOを中枢神経系(CNS)またはCSFに直接投与することによる、生存運動ニューロンタンパク質(SMN)に関連する疾患または状態の処置(例えば、組換えSMN1遺伝子および/またはSMN機能を増加させる低分子による)に使用するために提供される。
【0216】
本明細書で使用される場合、「オリゴマー化合物」という用語は、オリゴヌクレオチドを含む化合物を指す。一部の態様では、オリゴマー化合物は、オリゴヌクレオチドからなる。本明細書で使用される場合、「オリゴヌクレオチド」という用語は、リン酸連結基、複素環式塩基部分および糖部分を含む化合物を指す。一部の態様では、オリゴマー化合物は、1つまたは複数のコンジュゲート基および/または末端基をさらに含む。一部の態様では、オリゴマー化合物は、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)である。本明細書で使用される場合、「アンチセンスオリゴヌクレオチド」または「ASO」という用語は、オリゴマー化合物を指し、その少なくとも一部が、それをハイブリダイズする標的核酸に少なくとも部分的に相補的であり、ここで、そのようなハイブリダイゼーションは、少なくとも1つのアンチセンス活性をもたらす。
【0217】
一部の例では、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)は、対象における全長SMNタンパク質を増加させる。一部の例では、ASOは、対象における全長SMN2 mRNAを増加させる。一部の態様では、全長SMN2 mRNAを増加させるASOは、SMN2をコードする核酸に相補的であるアンチセンスオリゴヌクレオチドである。一部の態様では、ASOは、SMN2プレmRNAのスプライシングパターンを変化させることによって、全長SMN2 mRNAを増加させる。一部の態様では、ASOは、SMN2プレmRNAのスプライシングの間に、エクソンスキッピングを促進する。一部の態様では、ASOは、SMN2 mRNAにおけるエクソン7の包含を促進する。一部の態様では、ASOは、SMN2プレmRNAのイントロン6、イントロン7またはエクソン7と隣接イントロンの間の境界を標的化して、SMN2 mRNAにおけるエクソン7の包含を促進するように設計される。一部の態様では、ASOは、SMN2プレmRNAのイントロン6に相補的な核酸塩基配列を含む。一部の態様では、ASOは、SMN2プレmRNAのエクソン6に相補的な核酸塩基配列を含む。一部の態様では、ASOは、SMN2プレmRNAのイントロン7に相補的な核酸塩基配列を含む。一部の態様では、SMN2プレmRNAのイントロン7を標的化するASOは、配列番号1のヌクレオチド配列を含む。一部の態様では、SMN2プレmRNAのイントロン7を標的化するASOは、ヌシネルセンである。一部の態様では、本明細書に記載されるASOの1つまたは複数を、全長SMNタンパク質および/または全長SMN2 mRNAのレベルを増加させるために対象に投与することができる。SMN2のスプライシングを変化させるために有用な配列および領域の非限定的な例は、PCT/US06/024469号において見出すことができ、これは、任意の目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。一部の態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、SMN2のイントロン7に相補的である核酸塩基配列を有する。そのような核酸塩基配列の非限定的な例を、下記の表に例示する。
【0218】
【表1-1】
【表1-2】
【0219】
一部の態様では、ASOは、SMN2プレmRNAのイントロン7を標的にする。一部の態様では、ASOは、配列:TCACTTTCATAATGCTGG配列(配列番号1)の少なくとも10個の核酸塩基を含む核酸塩基配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号1の少なくとも11個の核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。一部の態様では、ASOは、配列番号1の少なくとも12個の核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。一部の態様では、ASOは、配列番号1の少なくとも13個の核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。一部の態様では、ASOは、配列番号1の少なくとも14個の核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。一部の態様では、ASOは、配列番号1の少なくとも15個の核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。一部の態様では、ASOは、配列番号1の少なくとも16個の核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。一部の態様では、ASOは、配列番号1の少なくとも17個の核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。一部の態様では、ASOは、配列番号1の核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。一部の態様では、ASOは、配列番号1の核酸塩基からなる核酸塩基配列を有する。一部の態様では、ASOは、10~18個の連結ヌクレオシドからなり、配列:TCACTTTCATAATGCTGG(配列番号1)の等しい長さの部分と100%同一の核酸塩基配列を有する。
【0220】
一部の態様では、SMN2 ASOは、SMN2タンパク質をコードする核酸分子に相補的である。一部の態様では、ASOは、SMN2タンパク質をコードする核酸分子のイントロン6、エクソン7(またはエクソン7および隣接イントロンの境界)またはイントロン7に相補的である。一部の態様では、ASOは、SMN2プレmRNAのイントロン7を標的にする。一部の態様では、SMN2プレmRNAのイントロン7を標的化するSMN2 ASOは、ヌシネルセンである。ヌシネルセンについての例示的なヌクレオチド配列は、5’-UCACUUUCAUAAUGCUGG-3’(配列番号26)である。活性物質のヌシネルセン(ISIS396443とも称される)は、配列:5’-MeMeCAMeMeMeMeMeCAMeUAAMeUGMeMeUGG-3’(配列番号25)を有する18個のヌクレオチド残基からなる均一に修飾された2’-O-(2-メトキシエチル)ホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチドである。一部の態様では、SMN2 ASOは、配列番号25または26の核酸塩基を含む核酸塩基配列を含む。
【0221】
ヌシネルセンナトリウムの化学名は、分子式C234H323N61O128P17S17Na17に対応する、2’-O-(2-メトキシエチル)-5-メチル-P-チオウリジリル-(3’-O→5’-O)-2’-O-(2-メトキシエチル)-5-メチル-P-チオシチジリル-(3’-O→5’-O)-2’-O-(2-メトキシエチル)-P-チオアデニリル-(3’-O→5’-O)-2’-O-(2-メトキシエチル)-5-メチル-P-チオシチジリル-(3’-O→5’-O)-2’-O-(2-メトキシエチル)-5-メチル-P-チオウリジリル-(3’-O→5’-O)-2’-O-(2-メトキシエチル)-5-メチル-P-チオウリジリル-(3’-O→5’-O)-2’-O-(2-メトキシエチル)-5-メチル-P-チオウリジリル-(3’-O→5’-O)-2’-O-(2-メトキシエチル)-5-メチル-P-チオシチジリル-(3’-O→5’-O)-2’-O-(2-メトキシエチル)-P-チオアデニリル-(3’-O→5’-O)-2’-O-(2-メトキシエチル)-5-メチル-P-チオウリジリル-(3’-O→5’-O)-2’-O-(2-メトキシエチル)-P-チオアデニリル-(3’-O→5’-O)-2’-O-(2-メトキシエチル)-P-チオアデニリル-(3’-O→5’-O)-2’-O-(2-メトキシエチル)-5-メチル-P-チオウリジリル-(3’-O→5’-O)-2’-O-(2-メトキシエチル)-P-チオグアニリル-(3’-O→5’-O)-2’-O-(2-メトキシエチル)-5-メチル-P-チオシチジリル-(3’-O→5’-O)-2’-O-(2-メトキシエチル)-5-メチル-P-チオウリジリル-(3’-O→5’-O)-2’-O-(2-メトキシエチル)-P-チオグアニリル-(3’-O→5’-O)-2’-O-(2-メトキシエチル)グアノシンであり、相対分子質量7501.0g/molおよび図3に示される構造を有する。
【0222】
アンチセンスは、1つまたは複数の特異的な遺伝子産物の発現をモジュレートするための有効な手段であり、多くの治療、診断および研究の適用において比類なく有用である。標的の占有に基づくアンチセンス機構を含むアンチセンス作用機構を介して遺伝子発現をモジュレートするために有用なアンチセンス化合物が本明細書に提供される。一態様では、本明細書で提供されるアンチセンス化合物は、標的遺伝子のスプライシングをモジュレートする。そのようなモジュレーションとしては、エクソンの包含を促進すること、またはそれを阻害することが挙げられる。エクソンのスプライシングエンハンサー、エクソンのスプライシングサイレンサー、イントロンのスプライシングエンハンサーおよびイントロンのスプライシングサイレンサーを含む、プレmRNA分子中に存在するシスのスプライシング調節エレメントを標的化するアンチセンス化合物が本明細書にさらに提供される。シスのスプライシング調節エレメントの破壊は、スプライス部位の選択を変化させると考えられ、これは、スプライス産物の組成の変化をもたらし得る。
【0223】
真核生物のプレmRNASのプロセシングは、適切なmRNAスプライシングを達成するために多数のシグナルおよびタンパク質因子を必要とする複雑なプロセスである。スプライソソームによるエクソンの定義は、イントロン-エクソン境界を定義する標準的なスプライシングシグナルよりも多くを必要とする。そのような追加のシグナルの1つは、シス作用性の調節エンハンサーおよびサイレンサー配列によって提供される。エクソンのスプライシングエンハンサー(ESE)、エクソンのスプライシングサイレンサー(ESS)、イントロンのスプライシングエンハンサー(ISE)およびイントロンのスプライシングサイレンサー(ISS)は、それらの部位および作用機序に応じて、スプライスドナー部位もしくはスプライスアクセプター部位の使用を抑制または増強するかのいずれかのものとして同定されている(Yeo et al. 2004, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 101(44): 15700-15705)。これらの調節配列に特異的なタンパク質(トランス因子)の結合は、スプライシングプロセスを指示し、特定のスプライス部位の使用を促進または阻害し、そのようにして、スプライシング産物の比をモジュレートする(Scamborova et al. 2004, Mol. Cell. Biol. 24(5):1855-1869: Hovhannisyan and Carstens, 2005, Mol. Cell. Biol. 25(1):250-263;Minovitsky et al. 2005, Nucleic Acids Res. 33(2):714-724)。
【0224】
一部の態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、DNAまたはRNAなどの天然に存在するオリゴマーのオリゴヌクレオチドと比較して、1つまたは複数の修飾を含む。そのような修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の望ましい特性を持つ場合がある。一部の態様では、修飾は、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドのその標的核酸に対する親和性を増加させること、1つもしくは複数のヌクレアーゼに対するその抵抗性を増加させること、および/またはオリゴヌクレオチドの薬物動態もしくは組織分布を変化させることによって、アンチセンスオリゴヌクレオチドのアンチセンス活性を変化させる。一部の態様では、修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドは、1つもしくは複数の修飾ヌクレオシドおよび/または1もしくは複数の修飾ヌクレオシド連結および/または1つもしくは複数のコンジュゲート基を含む。
【0225】
a.修飾ヌクレオシド
一部の態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の修飾ヌクレオシドを含む。そのような修飾ヌクレオシドは、修飾糖および/または修飾核酸塩基を含み得る。一部の態様では、そのような修飾ヌクレオシドのオリゴヌクレオチド中への組み込みは、限定されるものではないが、ヌクレアーゼによる分解に対する抵抗性の増加、ならびにまたは修飾オリゴヌクレオチドの毒性および/もしくは取り込み特性の改善を含む、標的核酸に対する親和性の増加および/または安定性の増加をもたらす。
【0226】
i.核酸塩基
天然に存在するヌクレオシドの塩基部分は、複素環式塩基であり、典型的には、プリンおよびピリミジンである。プリン核酸塩基のアデニン(A)およびグアニン(G)ならびにピリミジン核酸塩基のチミン(T)、シトシン(C)、およびウラシル(U)などの「未修飾」または「天然」核酸塩基に加えて、当業者に公知の多くの修飾核酸塩基または核酸塩基模倣体が、本明細書に記載される化合物への組み込みに適している。一部の態様では、修飾核酸塩基は、例えば、7-デアザプリン、5-メチルシトシンまたはG-クランプなどの、親核酸塩基に構造がかなり類似した核酸塩基である。一部の態様では、核酸塩基模倣体は、例えば、三環式フェノキサジン核酸塩基模倣体などのより複雑な構造を含む。修飾核酸塩基を調製するための方法は、当業者に周知である。
【0227】
ii.修飾糖および糖代替物
本出願のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、必要に応じて、天然糖と比較して糖部分が修飾された、1つまたは複数のヌクレオシドを含有することができる。糖修飾ヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチドは、ヌクレアーゼ安定性が増強され得るか、結合親和性が増加し得るか、また一部の他の有利な生物学的特性を有し得る。そのような修飾としては、限定されないが、例えば、2’-F-5’-メチル置換ヌクレオシド(他の開示された5’,2’-ビス置換ヌクレオシドについては2008年8月21日に公開されたPCT国際出願公開第2008/101157号を参照されたい)またはリボシル環酸素原子のSでの置き換えと2’位のさらなる置換(2005年6月16日に公開された米国特許出願公開第20050130923号を参照されたい)または代替のBNAの5’-置換(LNAが、例えば、5’-メチル基または5’-ビニル基で置換されている、2007年11月22日に公開されたPCT国際出願公開第2007/134181号を参照されたい)などの、置換基の付加、非ジェミナル環原子を架橋して二環式核酸(BNA)の形成、リボシル環酸素原子のS、N(R)またはC(R)(R)(R=H、C~C12アルキルまたは保護基)での置き換え、およびこれらの組合せが挙げられる。
【0228】
修飾糖部分を有するヌクレオシドの例としては、限定されないが、5’-ビニル、5’-メチル(RまたはS)、4’-S、2’-F、2’-OCHおよび2’-O(CHOCH置換基を含むヌクレオシドが挙げられる。2’位の置換基はまた、アリル、アミノ、アジド、チオ、O-アリル、O-C~C10アルキル、OCF、O(CH)SCH、O(CH-O-N(R)(R)およびO-CH-C(=O)-N(R)(R)(式中、それぞれのRおよびRは、独立して、Hまたは置換もしくは無置換のC~C10アルキルである)からも選択することができる。
【0229】
二環式核酸(BNA)の例としては、限定されないが、4’および2’リボシル環原子の間に架橋を含むヌクレオシドが挙げられる。一部の態様では、本明細書で提供されるアンチセンス化合物は、架橋が以下の式の1つを含む1つまたは複数のBNAヌクレオシドを含む:4’-ベータ-D-(CH)-O-2’(ベータ-D-LNA);4’-(CH)-S-2:4’-アルファ-L-(CH)-O-2’(アルファ-L-LNA);4’-(CH-O-2’(ENA);4’-C(CH-O-2’(PCT/US2008/068922号を参照されたい);4’-CH(CH)-O-2’および4’-C-H(CHOCH)-O-2’(2008年7月15日に発行された米国特許第7,399,845号を参照されたい);4’-CH-N(OCH)-2’(PCT/US2008/064591号を参照されたい);4’-CH-O-N(CH)-2’(2004年9月2日に公開された米国特許出願公開第2004-0171570号を参照されたい);4’-CH-N(R)-O-2’(2008年9月23日に発行された米国特許第7,427,672号を参照されたい);4’-CH-C(CH)-2’および4’-CH-C(=CH)-2’(PCT/US2008/066154号を参照されたい);ここで、Rは、独立して、H、C~C12アルキル、または保護基である。
【0230】
一部の態様では、修飾糖部分を含む修飾ヌクレオシドは、二環式糖部分ではない。一部の態様では、ヌクレオシドの糖環は、任意の位置で修飾されていてもよい。有用な糖修飾の例としては、限定されるものではないが、OH、F、O-アルキル、S-アルキル、N-アルキルまたはO-アルキル-O-アルキルから選択される糖置換基を含む化合物が挙げられ、ここで、アルキル、アルケニルおよびアルキニルは、置換もしくは無置換のC~C10アルキルまたはC~C10アルケニルおよびC~C10アルキニルであり得る。一部の態様では、そのような置換基は、糖の2’位にある。
【0231】
一部の態様では、修飾ヌクレオシドは、糖の2’位に置換基を含む。一部の態様では、そのような置換基は、ハロゲン化物(限定されないが、Fを含む)、アリル、アミノ、アジド、チオ、O-アリル、O-C~C10アルキル、-OCF、O-(CH-O-CH、2’-O(CHSCH、O-(CH-O-N(R)(R)またはO-CH-C(=O)-N(R)(R)(式中、それぞれのRおよびRは、独立して、Hまたは置換もしくは無置換のC~C10アルキルである)の中から選択される。
【0232】
一部の態様では、本発明における使用に好適な修飾ヌクレオシドは、2-メトキシエトキシ、2’-Oメチル(2’-O CH)、2’-フルオロ(2’-F)である。
【0233】
一部の態様では、O[(CHO]CH、O(CHNH、O(CHCH、O(CHONH、OCHC(=O)N(H)CHおよびO(CHON[(CHCH(式中、nおよびmは、1~約10である)から選択された、2’位に置換基を有する修飾ヌクレオシド。他の2’-糖置換基としては、C~C10アルキル、置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アルカリル、アラルキル、O-アルカリルまたはO-アラルキル、SH、SCH、OCN、Cl、Br、CN、CF、OCF、SOCH、SOCH、ONO、NO、N、NH、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、レポーター基、インターカレーター、オリゴマー化合物の薬物動態特性を改善するための基またはオリゴマー化合物の薬力学的特性を改善するための基、および類似の特性を有する他の置換基が挙げられる。
【0234】
一部の態様では、修飾ヌクレオシドは、2’-MOE側鎖を含む(Baker et al., J. Biol. Chem., 1997, 272, 11944-12000)。そのような2’-MOE置換は、未修飾ヌクレオシド、ならびに2’-O-メチル、O-プロピルおよびO-アミノプロピルなどの他の修飾ヌクレオシドと比較して、改善された結合親和性を有するものとして記載されている。2’-MOE置換基を有するオリゴヌクレオチドは、in vivoでの使用のために有望な特徴を有する遺伝子発現のアンチセンス阻害剤であることも示されている(Martin, P., Helv. Chim. Acta, 1995, 78, 486-504; Altmann et al., Chimia, 1996, 50, 168-176;Altmann et al., Biochem. Soc. Trans., 1996, 24, 630-637;およびAltmann et al., Nucleosides Nucleotides, 1997, 16,917-926)。
【0235】
一部の態様では、2’-糖置換基は、アラビノ(上向き)位またはリボ(下向き)位のいずれかにある。一部の態様では、2’-アラビノ修飾は、2’-Fアラビノ(FANA)である。同様の修飾を、糖の他の位置、特に、3’末端ヌクレオシドまたは2’-5’連結オリゴヌクレオチドの糖の3’位、および5’末端ヌクレオチドの5’位で行うこともできる。
【0236】
一部の態様では、好適なヌクレオシドは、リボフラノシル糖の代わりに、シクロブチルなどの糖代替物を有する。そのような修飾糖構造の調製を教示する代表的な米国特許としては、限定されないが、米国特許第4,981,957号;同第5,118,800号;同第5,319,080号;同第5,359,044号;同第5,393,878号;同第5,446,137号;同第5,466,786号;同第5,514,785号;同第5,519,134号;同第5,567,811号;同第5,576.427号;同第5,591,722号;同第5,597,909号;同第5,610,300号;同第5,627,053号;同第5,639,873号;同第5,646,265号;同第5,658,873号;同第5,670,633号;同第5,792,747号;および同第5,700,920号が挙げられ、それらのそれぞれが、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0237】
一部の態様では、ヌクレオシドは、糖の2’位に修飾を含む。一部の態様では、ヌクレオシドは、糖の5’位に修飾を含む。一部の態様では、ヌクレオシドは、糖の2’位および5’位に修飾を含む。一部の態様では、修飾ヌクレオシドは、オリゴヌクレオチドへの組み込みに有用であり得る。一部の態様では、修飾ヌクレオシドは、オリゴヌクレオチドの5’末端でオリゴヌクレオシドに組み込まれる。
【0238】
b.ヌクレオシド間連結
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、必要に応じて、1つまたは複数の修飾ヌクレオシド間連結を含有することができる。連結基の2つの主なクラスは、リン原子の存在または非存在によって定義される。代表的なリン含有連結としては、限定されるものではないが、ホスホジエステル(P=O)、ホスホトリエステル、メチルホスホネート、ホスホロアミデートおよびホスホロチオエート(P=S)が挙げられる。代表的な非リン含有連結基としては、限定されるものではないが、メチレンメチルイミノ(-CH-N(CH)-O-CH2)、チオジエステル(-O-C(O)-S-)、チオノカルバメート(-O-C(O)(NH)-S-)、シロキサン(-O-Si(H)-O-)およびN,N’-ジメチルヒドラジン(-CH-N(CH)-N(CH)-)が挙げられる。非リン連結基を有するオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオシドと称される。天然のホスホジエステル結合と比較して修飾された連結を、オリゴヌクレオチドのヌクレアーゼ抵抗性を変化させるため、典型的には、増加させるために使用することができる。一部の態様では、キラル原子を有する連結は、ラセミ混合物として、別々のエナンチオマーとして調製することができる。代表的なキラル連結としては、限定されるものではないが、アルキルホスホネートおよびホスホロチオエートが挙げられる。リン含有連結および非リン含有連結の調製の方法は、当業者に周知である。
【0239】
本明細書に記載されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の不斉中心を含有することができ、そのため、エナンチオマー、ジアステレオマー、および絶対立体化学に関して、糖アノマーなどについて(R)もしくは(S)として、またはアミノ酸などについて(D)もしくは(L)として、定義され得る他の立体異性体配置が生じ得る。本明細書で提供されるアンチセンス化合物は、そのような可能性がある異性体ならびにそれらのラセミ形態および光学的に純粋な形態をすべて含み得る。
【0240】
一部の態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1個の修飾ヌクレオシド間連結を有する。一部の態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも2個の修飾ヌクレオシド間連結を有する。一部の態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも3個の修飾ヌクレオシド間連結を有する。一部の態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも10個の修飾ヌクレオシド間連結を有する。一部の態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドのそれぞれのヌクレオシド間連結は、修飾ヌクレオシド間連結である。一部の態様では、そのような修飾ヌクレオシド間連結は、ホスホロチオエート連結である。
【0241】
c.長さ
一部の態様では、本発明は、種々の範囲の長さのいずれかのアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。一部の態様では、アンチセンス化合物またはアンチセンスオリゴヌクレオチドは、X-Yの連結ヌクレオシドを含むか、またはそれらからなり、ここで、XおよびYは、それぞれ独立して、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49および50から選択され、ただし、X-Yである。例えば、一部の態様では、アンチセンス化合物またはアンチセンスオリゴヌクレオチドは、8~9、8~10、8~11、8~12、8~13、8~14、8~15、8~16、8~17、8~18、8~19、8~20、8~21、8~22、8~23、8~24、8~25、8~26、8~27、8~28、8~29、8~30、9~10、9~11、9~12、9~13、9~14、9~15、9~16、9~17、9~18、9~19、9~20、9~21、9~22、9~23、9~24、9~25、9~26、9~27、9~28、9~29、9~30、10~11、10~12、10~13、10~14、10~15、10~16、10~17、10~18、10~19、10~20、10~21、10~22、10~23、10~24、10~25、10~26、10~27、10~28、10~29、10~30、11~12、11~13、11~14、11~15、11~16、11~17、11~18、11~19、11~20、11~21、11~22、11~23、11~24、11~25、11~26、11~27、11~28、11~29、11~30、12~13、12~14、12~15、12~16、12~17、12~18、12~19、12~20、12~21、12~22、12~23、12~24、12~25、12~26、12~27、12~28、12~29、12~30、13~14、13~15、13~16、13~17、13~18、13~19、13~20、13~21、13~22、13~23、13~24、13~25、13~26、13~27、13~28、13~29、13~30、14~15、14~16、14~17、14~18、14~19、14~20、14~21、14~22、14~23、14~24、14~25、14~26、14~27、14~28、14~29、14~30、15~16、15~17、15~18、15~19、15~20、15~21、15~22、15~23、15~24、15~25、15~26、15~27、15~28、15~29、15~30、16~17、16~18、16~19、16~20、16~21、16~22、16~23、16~24、16~25、16~26、16~27、16~28、16~29、16~30、17~18、17~19、17~20、17~21、17~22、17~23、17~24、17~25、17~26、17~27、17~28、17~29、17~30、18~19、18~20、18~21、18~22、18~23、18~24、18~25、18~26、18~27、18~28、18~29、18~30、19~20、19~21、19~22、19~23、19~24、19~25、19~26、19~29、19~28、19~29、19~30、20~21、20~22、20~23、20~24、20~25、20~26、20~27、20~28、20~29、20~30、21~22、21~23、21~24、21~25、21~26、21~27、21~28、21~29、21~30、22~23、22~24、22~25、22~26、22~27、22~28、22~29、22~30、23~24、23~25、23~26、23~27、23~28、23~29、23~30、24~25、24~26、24~27、24~28、24~29、24~30、25~26、25~27、25~28、25~29、25~30、26~27、26~28、26~29、26~30、27~28、27~29、27~30、28~29、28~30または29~30の連結ヌクレオシドを含むか、またはそれらからなる。
【0242】
一部の態様では、アンチセンス化合物またはアンチセンスオリゴヌクレオチドは、15ヌクレオシド長である。一部の態様では、アンチセンス化合物またはアンチセンスオリゴヌクレオチドは、16ヌクレオシド長である。一部の態様では、アンチセンス化合物またはアンチセンスオリゴヌクレオチドは、17ヌクレオシド長である。一部の態様では、アンチセンス化合物またはアンチセンスオリゴヌクレオチドは、18ヌクレオシド長である。一部の態様では、アンチセンス化合物またはアンチセンスオリゴヌクレオチドは、19ヌクレオシド長である。一部の態様では、アンチセンス化合物またはアンチセンスオリゴヌクレオチドは、20ヌクレオシド長である。
【0243】
d.オリゴヌクレオチドモチーフ
一部の態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、それらの長さに沿って特定の方向で配置された化学修飾されたサブユニットを有する。一部の態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、完全に修飾されている。一部の態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、均一に修飾されている。一部の態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、均一に修飾され、それぞれのヌクレオシドは、2-MOE糖部分を含む。一部の態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、均一に修飾され、それぞれのヌクレオシドは、2’-OMe糖部分を含む。一部の態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、均一に修飾され、それぞれのヌクレオシドは、モルホリノ糖部分を含む。
【0244】
一部の態様では、オリゴヌクレオチドは、交互モチーフを含む。一部の態様では、交互修飾型は、2’-MOE、2’-F、二環式糖修飾ヌクレオシドおよびDNA(未修飾2’-デオキシ)の中から選択される。一部の態様では、それぞれの交互領域は、単一のヌクレオシドを含む。
【0245】
一部の態様では、オリゴヌクレオチドは、第1の型のヌクレオシドの1つまたは複数のブロック、および第2の型のヌクレオシドの1つまたは複数のブロックを含む。
【0246】
一部の態様では、交互モチーフ中の1つまたは複数の交互領域は、ある型の単一ヌクレオシドよりも多くを含む。例えば、オリゴマー化合物は、以下のヌクレオシドモチーフ:
【表2】
のいずれかの1つまたは複数の領域を含んでいてもよく、ここで、Nu1は、第1の型のヌクレオシドであり、Nu2は、第2の型のヌクレオシドである。一部の態様では、Nu1およびNu2の一方は、2’-MOEヌクレオシドであり、Nu1およびNu2の他方は、2’-OMe修飾ヌクレオシド、BNAおよび未修飾DNAまたはRNAヌクレオシドから選択される。
【0247】
2.オリゴマー化合物
一部の態様では、オリゴマー化合物は、オリゴヌクレオチドのみから構成される。一部の態様では、オリゴマー化合物は、オリゴヌクレオチドならびに1つもしくは複数のコンジュゲート基および/または末端基を含む。そのようなコンジュゲート基および/または末端基は、本出願に記載される化学モチーフのいずれかを有するオリゴヌクレオチドに付加され得る。したがって、例えば、交互ヌクレオシドの1つまたは複数の領域を有するオリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物は、末端基を含み得る。
【0248】
a.コンジュゲート基
一部の態様では、オリゴヌクレオチドは、1つまたは複数のコンジュゲート基の結合によって修飾される。一般に、コンジュゲート基は、限定されるものではないが、薬力学、薬物動態、安定性、結合、吸収、細胞分布、細胞の取り込み、電荷およびクリアランスを含む、結合されたオリゴマー化合物の1つまたは複数の特性を改変する。コンジュゲート基は、化学の技術分野において日常的に使用されており、オリゴヌクレオチドなどのオリゴマー化合物などの親化合物に対して、直接的に連結されるか、または必要に応じて、コンジュゲート連結部分もしくはコンジュゲート連結基を介して連結される。コンジュゲート基としては、限定されないが、インターカレーター、レポーター分子、ポリアミン、ポリアミド、ポリエチレングリコール、チオエーテル、ポリエーテル、コレステロール、チオコレステロール、コール酸部分、葉酸、脂質、リン脂質、ビオチン、フェナジン、フェナントリジン、アントラキノン、アダマンタン、アクリジン、フルオレセイン、ローダミン、クマリンおよび色素が挙げられ得る。ある特定のコンジュゲート基は以前に記載されている、例えば:コレステロール部分(Letsinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1989, 86, 6553-6556)、コール酸(Manoharan et al., Bioorg. Med. Chem. Let., 1994, 4, 1053-1060)、チオエーテル、例えば、ヘキシル-S-トリチルチオール(Manoharan et al., Ann. N.Y. Acad. Sci., 1992, 660, 306-309;Manoharan et al., Bioorg. Med. Chem. Let., 1993, 3, 2765-2770)、チオコレステロール(Oberhauser et al., Nucl. Acids Res., 1992, 20, 533-538)、脂肪族鎖、例えば、ド-デカン-ジオール残基もしくはウンデシル残基(Saison-Behmoaras et al., EMBO.J., 1991, 10, 1111-1118;Kabanov et al., FEBS Lett., 1990, 259, 327-330;Svinarchuk et al., Biochimie, 1993, 75, 49-54)、リン脂質、例えば、ジ-ヘキサデシル-rac-グリセロールもしくはトリエチル-アンモニウム1,2-ジ-O-ヘキサデシル-rac-グリセロ-3-H-ホスホネート(Manoharan et al., Tetrahedron Lett., 1995, 36, 3651-3654;Shea et al., Nucl. Acids Res., 1990, 18, 3777-3783)、ポリアミン鎖もしくはポリエチレングリコール鎖(Manoharan et al., Nucleosides & Nucleotides, 1995, 14,969-973)、またはアダマンタン酢酸(Manoharan et al., Tetrahedron Lett., 1995, 36, 3651-3654)、パルミチル部分(Mishra et al., Biochim. Biophys. Acta, 1995, 1264. 229-237)、またはオクタデシルアミン部分もしくはヘキシルアミノ-カルボニル-オキシコレステロール部分(Crooke et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 1996, 277, 923-937)。
【0249】
一部の態様では、コンジュゲート基は、活性薬物物質、例えば、アスピリン、ワルファリン、フェニルブタゾン、イブプロフェン、スプロフェン、フェン-ブフェン、ケトプロフェン、(S)-(+)-プラノプロフェン、カルプロフェン、ダンシルサルコシン、2,3,5-トリヨード安息香酸、フルフェナム酸、フォリン酸、ベンゾチアジアジド、クロロチアジド、ジアゼピン、インドメタシン(indo-methicin)、バルビツレート、セファロスポリン、サルファ薬、抗糖尿病薬、抗細菌薬または抗生物質を含む。オリゴヌクレオチド-薬物コンジュゲートおよびそれらの調製は、米国特許出願第09/334,130号に記載されている。
【0250】
オリゴヌクレオチドコンジュゲートの調製を教示する代表的な米国特許としては、限定されるものではないが、U.S.:4,828,979:4,948,882:5,218,105:5,525,465;5,541, 313;5,545,730;5,552,538;5,578,717, 5,580,731:5,580,731:5,591,584;5,109,124;5,118,802;5,138,045;5,414,077;5,486,603:5,512.439;5,578,718;5,608,046;4,587,044;4,605,735;4,667,025;4,762,779;4,789,737;4,824,941;4,835,263;4,876,335;4,904,582:4,958,013;5,082,830;5,112,963:5,214,136;5,082,830;5,112,963:5,214,136:5,245,022:5,254,469;5,258,506;5,262,536;5,272,250;5,292,873;5,317,098:5,371,241,5,391,723;5,416,203,5,451,463,5,510,475;5,512,667:5,514,785:5,565,552;5,567,810;5,574,142;5,585,481:5,587,371;5,595,726;5,597.696;5,599,923;5,599,928および5,688,941が挙げられる。コンジュゲート基は、オリゴヌクレオチドのいずれかもしくは両方の末端に(末端コンジュゲート基)および/または任意の内部部分で結合され得る。
【0251】
b.末端基
一部の態様では、オリゴマー化合物は、一方または両方の末端に末端基を含む。一部の態様では、末端基は、本出願に記載されるコンジュゲート基のいずれかを含んでいてもよい。一部の態様では、末端基は、追加のヌクレオシドおよび/または逆位無塩基ヌクレオシドを含んでいてもよい。一部の態様では、末端基は、安定化基である。
【0252】
一部の態様では、オリゴマー化合物は、例えば、ヌクレアーゼ安定性などの特性を増強する1つまたは複数の末端安定化基を含む。安定化基には、キャップ構造が含まれる。「キャップ構造」または「末端キャップ部分」という用語は、本明細書で使用される場合、オリゴマー化合物の末端の一方または両方に結合され得る化学修飾を指す。ある特定の末端修飾は、末端核酸部分を有するオリゴマー化合物をエキソヌクレアーゼの分解から保護し、細胞内への送達および/または細胞内での局在化を助けることができる。キャップは、5’末端(5’-キャップ)もしくは3’末端(3’-キャップ)に存在し得るか、または両方の末端に存在し得る(より非限定的な詳細については、Wincottらの国際PCT公開第97/26270号;Beaucage and Tyer, 1993, Tetrahedron 49, 1925;米国特許出願公開第2005/0020525号;および国際公開第03/004602号を参照されたい)。
【0253】
一部の態様では、1つまたは複数の追加のヌクレオシドが、オリゴマー化合物のオリゴヌクレオチドの一方または両方の末端に付加される。そのような追加の末端ヌクレオシドは、本明細書では、末端基ヌクレオシドと称される。二本鎖化合物では、そのような末端基ヌクレオシドは、末端(3’および/または5’)オーバーハングである。二本鎖アンチセンス化合物の状況では、そのような末端基ヌクレオシドは、標的核酸に相補的であってもよく、または相補的でなくてもよい。一部の態様では、末端基は、非ヌクレオシド末端基である。そのような非末端基は、ヌクレオシド以外の任意の末端基であってもよい。
【0254】
c.オリゴマー化合物モチーフ
一部の態様では、オリゴマー化合物は、モチーフ:T-(Nun1,-(Nun2-(Nun3-(Nun4-(Nun5-T2
[式中、
Nuは、第1の型のヌクレオシドであり、
Nuは、第2の型のヌクレオシドであり、
n1およびn5のそれぞれは、独立して、0~3であり、
n2とn4の合計は、10と25の間であり、
n3は、0~5であり、
それぞれのTおよびTは、独立して、H、ヒドロキシル保護基、必要に応じて連結されたコンジュゲート基またはキャッピング基である]
を含む。
【0255】
一部の態様では、n2およびn4の合計は、13または14であり、n1は、2であり、n3は、2または3であり、n5は、2である。一部の態様では、オリゴマー化合物は、表Aから選択されるモチーフを含む。
【0256】
【表A】
【0257】
3.アンチセンス
一部の態様では、オリゴマー化合物は、アンチセンス化合物である。したがって、一部の態様では、オリゴマー化合物は、標的核酸(例えば、標的プレmRNAまたは標的mRNA)とハイブリダイズし、アンチセンス活性をもたらす。
【0258】
a.ハイブリダイゼーション
一部の態様では、アンチセンス化合物は、特異的結合が望ましい条件下(例えば、in vivoアッセイまたは治療的処置の場合に生理学的条件下、およびin vitroアッセイの場合にアッセイが行われる条件下)、非標的核酸配列へのアンチセンス化合物の非特異的結合を回避するために十分な程度の相補性が存在する場合、標的核酸に特異的にハイブリダイズする。
【0259】
したがって、「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」または「ストリンジェントな条件」は、アンチセンス化合物が標的配列にハイブリダイズするが、他の配列の数を最小化する条件を意味する。ストリンジェントな条件は、配列依存性であり、異なる状況下では異なり、アンチセンスオリゴヌクレオチドが標的配列にハイブリダイズする「ストリンジェントな条件」は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの性質および組成、ならびにそれらが調べられるアッセイによって決定される。
【0260】
当技術分野では、ヌクレオチドの親和性修飾の組み込みは、未修飾化合物と比較して、より多くのミスマッチの数を可能にし得ることが理解される。同様に、ある特定の核酸塩基配列は、他の核酸塩基配列よりもミスマッチに対して寛容性が高い場合がある。当業者であれば、例えば、融解温度(Tm)を決定することによって、オリゴヌクレオチド間、またはアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび標的核酸の間の適切なミスマッチの数を決定することができる。TmまたはATmは、当業者に知られた技法によって算出することができる。例えば、Freier et al.(Nucleic Acids Research, 1997, 25, 22: 4429-4443)に記載される技法は、当業者が、RNA:DNA二本鎖の融解温度を増加させるそれらの能力についてヌクレオチド修飾を評価することを可能にする。
【0261】
b.プレmRNAプロセシング
一部の態様では、本明細書で提供されるアンチセンス化合物は、プレmRNAに相補的である。一部の態様では、そのようなアンチセンス化合物は、プレmRNAのスプライシングを変化させる。一部の態様では、標的プレmRNAに対応する成熟mRNAの1つのバリアントのその成熟mRNAの別のバリアントに対する比が変化する。一部の態様では、標的プレmRNAから発現するタンパク質の1つのバリアントのタンパク質の別のバリアントに対する比が変化する。プレmRNAのスプライシングを変化させるために使用され得るある特定のオリゴマー化合物および核酸塩基配列は、例えば、米国特許第6,210,892号;米国特許第5,627,274号;米国特許第5,665,593号;米国特許第5,916,808号;米国特許第5,976,879号;米国特許出願公開第2006/0172962号;米国特許出願公開第2007/002390号;米国特許出願公開第2005/0074801号;米国特許出願公開第2007/0105807号;米国特許出願公開第2005/0054836号;国際公開第2007/090073号;国際公開第2007/047913号;Hua et al., PLoS Biol 5(4):e73;Vickers et al., J. Immunol. 2006 Mar. 15; 176(6):3652-61;およびHua et al., American J. of Human Genetics (April 2008) 82, 1-15において見出すことができ、それらのそれぞれは、任意の目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。一部の態様では、スプライシングを変化させるアンチセンス配列は、本出願に記載されるモチーフに従って修飾される。
【0262】
一部の態様では、ASOまたはオリゴマー化合物は、国際公開第2018/014043号(PCT/US2017/042465号)、国際公開第2018/014042号(PCT/US2017/042464号)、国際公開第2018/014041号(PCT/US2017/042463号)に記載される1つまたは複数の修飾を含んでいてもよく、それらの内容は、それらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0263】
投与および処置
一部の態様では、「治療有効」量のSMN機能を増加させることができる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、組換えSMN1遺伝子(例えば、ウイルスベクター中の、例えば、rAAV中の)および/またはSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、本明細書に記載される対象に送達されて(例えば、並行または逐次投与を介して)、所望の結果、例えば、SMAまたはその1つもしくは複数の症状の処置を達成する。一部の態様では、SMAは、体重の減少、減少した筋力、減少した筋緊張、脊柱側弯、振戦もしくは攣縮の存在、および/または減少した呼吸器の健康状態などの臨床症状によって評価される。一部の態様では、SMAは、年齢および能力に適切な運動機能のスケール、ならびに運動単位の健康状態の電気生理学的測定によって評価される。一部の態様では、対象の運動ニューロン機能は、フィラデルフィア小児病院乳児神経筋疾患検査(CHOP INTEND)(例えば、Glanzman AM, et al. The Children's Hospital of Philadelphia Infant Test of Neuromuscular Disorders (CHOP INTEND): test development and reliability. Neuromuscul Disord. 2010;20(3):155-161;Glanzman AM, Validation of the Children's Hospital of Philadelphia Infant Test of Neuromuscular Disorders (CHOP INTEND). Pediatr Phys Ther. 2011;23(4):322-326、CHOP INTENDに関する内容は、参照により本明細書に組み込まれる)によって試験することができる。一部の態様では、後期発症SMAを有する対象の運動ニューロン機能は、拡大Hammersmith運動機能評価スケール(HFMSE)(例えば、Glanzman AM et al; the Pediatric Neuromuscular Clinical Research Network for Spinal Muscular Atrophy (PNCR), and the Muscle Study Group (MSG). Validation of the Expanded Hammersmith Functional Motor Scale in spinal muscular atrophy type II and III. J Child Neurol. 2011;26(12):1499-1507;The Pediatric Neuromuscular Clinical Research Network for SMA. Expanded Hammersmith Functional Motor Scale for SMA (HFMSE). March 7, 2009、HFMSEに関する内容は、参照により本明細書に組み込まれる)によって評価される。一部の態様では、複合筋活動電位(CMAP)および/または運動単位数推定(MUNE)を使用して、運動ニューロンの電気生理学的機能を評価する。CAMP応答は、神経支配の神経の刺激後の特異的な筋肉または筋肉群からの電気生理学的出力の尺度であり、これは、Arnold WD, Sheth KA, et al. Electrophysiological motor unit number estimation (MUNE) measuring compound muscle action potential (CMAP) in mouse hindlimb muscles. J Vis Exp. 2015;103:1-8)に記載されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。一部の態様では、CMAP値は、SMAを有する対象において減少する。一部の態様では、CMAPは、身体症状が現れる前に減少する。運動単位数推定(MUNE)は、神経によって供給される筋肉の群を刺激する下位運動ニューロンの数を推定するための電気生理学方法であり、SMAにおける運動ニューロンの喪失を評価するために十分に適しており、これは、Bromberg MB, Swoboda KJ. Motor unit number estimation in infants and children with spinal muscular atrophy. Muscle Nerve. 2002;25(3):445-447に記載されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。MUNE値は、最大複合筋活動電位(CMAP)の平均単一運動単位電位(SMUP)に対する比から算出される。
【0264】
一部の態様では、所望の結果には、筋力低下を低減すること、筋力および筋緊張を増加させること、脊柱側弯を予防もしくは低減すること、または呼吸器の健康状態を維持もしくは増加させること、または振戦もしくは攣縮を低減することを含む。他の所望のエンドポイントは、医師によって決定され得る。
【0265】
一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)および組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)は、対象に(例えば、併せておよび逐次に)投与されて、体重を増加させる。一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)およびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、対象に(例えば、併せておよび逐次に)投与されて、体重を増加させる。一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)およびSMN2 ASOは、対象に(例えば、併せておよび逐次に)投与されて、体重を増加させる。一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)および組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)は、対象に(例えば、併せておよび逐次に)投与されて、筋力低下を予防または低減する。一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)およびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、対象に(例えば、併せておよび逐次に)投与されて、筋力低下を予防または低減する。一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)およびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、対象に(例えば、併せておよび逐次に)投与されて、筋力低下を予防または低減する。一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)および組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)は、対象に(例えば、併せておよび逐次に)投与されて、筋力を増加させる。一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子およびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、対象に(例えば、併せておよび逐次に)投与されて、筋力を増加させる。一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)およびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、対象に(例えば、併せておよび逐次に)投与されて、筋力を増加させる。一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)および組換えSMN1遺伝子は、対象に(例えば、併せておよび逐次に)投与されて、筋緊張を増加させる。一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)およびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、対象に(例えば、併せておよび逐次に)投与されて、筋緊張を増加させる。一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)およびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、対象に(例えば、併せておよび逐次に)投与されて、筋緊張を増加させる。一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子および組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)は、対象に(例えば、併せておよび逐次に)投与されて、脊柱側弯を予防または低減する。一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)およびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、対象に(例えば、併せておよび逐次に)投与されて、脊柱側弯を予防または低減する。一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子、組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)およびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、対象に(例えば、併せておよび逐次に)投与されて、脊柱側弯を予防または低減する。一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)および組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)は、対象に(例えば、併せておよび逐次に)投与されて、振戦または攣縮を低減する。一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)およびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、対象に(例えば、併せておよび逐次に)投与されて、振戦または攣縮を低減する。一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)およびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、対象に(例えば、併せておよび逐次に)投与されて、振戦または攣縮を低減する。一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)および組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)は、対象に(例えば、併せておよび逐次に)投与されて、呼吸器の健康状態を維持または増加させる。一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)およびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、対象に(例えば、併せておよび逐次に)投与されて、呼吸器の健康状態を維持または増加させる。一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)およびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、対象に(例えば、併せておよび逐次に)投与されて、呼吸器の健康状態を維持または増加させる。一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)および組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)は、対象に(例えば、併せておよび逐次に)投与されて、ニューロンの喪失を予防または低減する。一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)およびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、対象に(例えば、併せておよび逐次に)投与されて、ニューロンの喪失を予防または低減する。一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)およびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、対象に(例えば、併せておよび逐次に)投与されて、ニューロンの喪失を予防または低減する。一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)および組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)は、対象に(例えば、併せておよび逐次に)投与されて、運動ニューロンの喪失を予防または低減する。一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子およびSMN2 ASOは、対象に(例えば、併せておよび逐次に)投与されて、運動ニューロンの喪失を予防または低減する。一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)およびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、対象に(例えば、併せておよび逐次に)投与されて、運動ニューロンの喪失を予防または低減する。一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)および組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)は、対象に(例えば、併せておよび逐次に)投与されて、運動ニューロン機能試験および/または電気生理学的試験のいずれかのスコアを改善する。一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子およびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、対象に(例えば、併せておよび逐次に)投与されて、運動ニューロン機能試験および/または電気生理学的試験のいずれかのスコアを改善する。一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)およびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、対象に(例えば、併せておよび逐次に)投与されて、運動ニューロン機能試験および/または電気生理学的試験のいずれかのスコアを改善する。
【0266】
一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)および組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)、またはSMN機能を増加させるための低分子およびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)、またはSMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)およびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)の投与は、本明細書に記載される試験のいずれかによって測定されるように、相乗効果を生じる。一部の態様では、本明細書に記載される方法は、SMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)の効果を強化し、対象に投与されるSMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)のより低い用量を可能にする。一部の態様では、本明細書に記載される方法は、組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)の効果を強化し、対象に送達されるより低い用量(例えば、組換えSMN1遺伝子をコードするrAAVのより低い用量)を可能にする。一部の態様では、本明細書に記載される方法は、SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)の効果を強化し、対象に投与されるよりASO(例えば、ヌシネルセン)の低い用量を可能にする。一部の態様では、組換えSMN1遺伝子をコードするrAAVのより低い用量は、1×1010GC未満である。一部の態様では、組換えSMN1遺伝子をコードするrAAVのより低い用量は、1.0×10~1.0×1010GCである。一部の態様では、組換えSMN1遺伝子をコードするrAAVのより低い用量は、1.0×10~1.0×1010GCである。一部の態様では、組換えSMN1遺伝子をコードするrAAVのより低い用量は、1.0×1010~1.0×1013GCである。一部の態様では、ヒト対象に投与される組換えSMN1遺伝子をコードするrAAVのより低い用量は、3×1013GCである。一部の態様では、ヒト対象に投与される組換えSMN1遺伝子をコードするrAAVのより低い用量は、1×1014GC未満であり、例えば、ヒト対象に投与される用量当たり、1×1013~1×1014GC、1×1012~1×1013GC、1×1011~1×1012GC、1×1010~1×1011GCもしくは1×10~1×1010GC、またはそれよりも少ない。一部の態様では、SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)のより低い用量は、12mgである。用量当たり合計5mg~60mgのSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)が、対象に投与される。一部の態様では、用量当たり合計12mg~48mgのSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)が、対象に投与される。一部の態様では、用量当たり合計12mg~36mgのSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)が、対象に投与される。一部の態様では、用量当たり合計12mgのSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)が、対象に投与される。
【0267】
一部の例では、SMAは、妊娠30~36週あたりの胎児において検出される。この状況では、分娩後、可能な限り早く、新生児を処置することが望ましい場合がある。子宮内の胎児を処置することも望ましい場合がある。したがって、SMAを有する新生児対象をレスキューおよび/または処置する方法であって、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)および組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)、またはSMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)およびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)、またはSMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)およびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)を、胎児および/または新産児対象(例えば、ヒト胎児および/または新産児)のニューロン細胞に、(例えば、併せてまたは逐次に)投与するステップを含む方法が提供される。一部の態様では、SMAを有する胎児をレスキューおよび/または処置する方法であって、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)および組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)、またはSMN機能を増加させるための低分子およびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)、またはSMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、組換えSMN1遺伝子およびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)を、子宮内の胎児のニューロン細胞に、(例えば、併せてまたは逐次に)投与するステップを含む方法が提供される。一部の態様では、方法は、髄腔内注射を介して本明細書に記載される1つまたは複数の組成物を、(例えば、併せてまたは逐次に)投与することを含む。一部の態様では、子宮内処置は、胎児におけるSMAの検出後、本明細書に記載されるSMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)および組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)、またはSMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)およびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)、またはSMN2機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)およびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)を(例えば、併せておよび逐次に)投与することとして定義される。例えば、参照により本明細書に組み込まれるDavid et al, Recombinant adeno-associated virus-mediated in utero gene transfer gives therapeutic transgene expression in the sheep, Hum Gene Ther. 2011 Apr;22(4):419-26. doi: 10.1089/hum.2010.007. Epub 2011 Feb 2を参照されたい。
【0268】
一部の態様では、新生児処置は、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)および組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)、またはSMN2機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)およびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)、またはSMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)およびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)の組合せの少なくとも1用量を、分娩の8時間以内、最初の12時間以内、最初の24時間以内または最初の48時間以内に送達することを含む。別の態様では、特に霊長類(ヒトまたは非ヒト)について、新生児送達は、約12時間~約1週間、2週間、3週間もしくは約1か月の期間内、または約24時間~約48時間後である。
【0269】
一部の態様では、遅発性のSMAについて、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)および組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)、またはSMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)およびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)の組合せ、またはSMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)およびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)の組合せは、症状の発症後に投与される。一部の態様では、患者の処置(例えば、最初の注射)は、1歳になる前に開始される。別の態様では、処置は、1歳以降、または2~3歳以降、5歳以降、11歳以降、またはそれよりも高い年齢で開始される。
【0270】
一部の態様では、SMN2機能を増加させるための低分子および組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)、またはSMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)およびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)、またはSMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)およびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、後日、再投与される。
【0271】
一部の態様では、2回以上の再投与が提供される。そのような再投与は、同じ型のウイルスベクターで、異なるウイルスベクターで(例えば、異なる血清型のAAVカプシドタンパク質を使用する)、または非ウイルス送達を介して、組換えSMN1遺伝子を再投与することを含み得る。例えば、患者が、SMN1をコードする第1のrAAV(例えば、rAAV9)で処置され、(例えば、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)または低分子およびSMN2 ASOを受けるのに加えて)組換えSMN1遺伝子による第2の処置を必要とする事象では、組換えSMN1遺伝子をコードする第2の異なるrAAV(例えば、rAAVhu68)を、その後に投与することができ、逆もまた同様である。また、患者が、第1のrAAV血清型に対する中和抗体を有するならば、その結果、第2の異なるrAAV血清型を使用して、第2の用量の組換えSMN1遺伝子を対象に送達することができる。
【0272】
一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)および組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)、またはSMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)およびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)、またはSMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)およびSMN2 ASOによるSMA患者の処置は、本出願に記載される組成物による処置の前、その間および/またはその後の免疫抑制薬による一過性の共処置などのさらなる治療を必要とする場合がある。そのような共治療のための免疫抑制薬としては、限定されるものではないが、ステロイド、代謝拮抗剤、T細胞阻害剤およびアルキル化剤、またはプラスマフェレーシスなどの循環抗体を除去する手順が挙げられる。例えば、そのような一過性の処置としては、約60mgで開始し10mg/日ずつ減量する減少用量(7日目は投与なし)で、毎日1回、7日間、投与されるステロイド(例えば、プレドニゾンまたはプレドニゾロン)が挙げられ得る。他の用量および免疫抑制薬を選択してもよい。
【0273】
一部の態様では、対象は、SMAの1つまたは複数の指標を有する。一部の態様では、対象は、1つまたは複数の筋肉の電気的活動が低下している。一部の態様では、対象は、変異体SMN1遺伝子(例えば、SMN1遺伝子の2つ変異体対立遺伝子)を有する。一部の態様では、対象のSMN1遺伝子(例えば、SMN1遺伝子の両対立遺伝子)は、非存在であるか、または機能性SMNタンパク質を産生することができない。一部の態様では、対象は、それぞれのSMN1対立遺伝子に欠失または機能喪失点変異を有する。一部の態様では、対象は、SMN1遺伝子変異についてホモ接合性である。一部の態様では、対象は、遺伝子検査によって診断される。一部の態様では、対象は、筋肉生検によって特定される。一部の態様では、対象は、背筋を伸ばして座ることができない。一部の態様では、対象は、立つことや歩くことができない。一部の態様では、対象は、呼吸および/または摂食に支援を必要とする。一部の態様では、対象は、筋肉の電気生理学的測定および/または筋肉生検によって特定される。
【0274】
一部の態様では、対象は、I型SMAを有する。一部の態様では、対象は、II型SMAを有する。一部の態様では、対象は、III型SMAを有する。一部の態様では、対象は、子宮内でSMAを有すると診断される。一部の態様では、対象は、出生後1週間以内にSMAを有すると診断される。一部の態様では、対象は、出生後1か月以内にSMAを有すると診断される。一部の態様では、対象は、3か月齢までにSMAを有すると診断される。一部の態様では、対象は、6か月齢までにSMAを有すると診断される。一部の態様では、対象は、1歳までにSMAを有すると診断される。一部の態様では、対象は、1~2歳の間にSMAを有すると診断される。一部の態様では、対象は、1~15歳の間にSMAを有すると診断される。一部の態様では、対象は、対象が15歳よりも上であるときに、SMAを有すると診断される。
【0275】
一部の態様では、医薬組成物(例えば、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)、SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)、または両方)の最初の用量は、子宮内投与される。一部のそのような態様では、最初の用量は、血液脳関門の完全な発達の前に投与される。一部の態様では、最初の用量は、子宮内に対象に全身投与される。一部の態様では、最初の用量は、血液脳関門の形成後に子宮内投与される。一部の態様では、最初の用量は、CSFに投与される。
【0276】
一部の態様では、医薬組成物(例えば、リスジプラムもしくはブラナプラムなどのSMN機能を増加させるための低分子、組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)、SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)、または両方)の最初の用量は、対象が1週齢未満であるときに投与される。一部の態様では、最初の用量は、対象が1か月齢未満であるときに投与される。一部の態様では、最初の用量は、対象が3か月齢未満であるときに投与される。一部の態様では、最初の用量は、対象が6か月齢未満であるときに投与される。一部の態様では、最初の用量は、対象が1歳未満であるときに投与される。一部の態様では、最初の用量は、対象が2歳未満であるときに投与される。一部の態様では、最初の用量は、対象が15歳未満であるときに投与される。一部の態様では、最初の用量は、対象が15歳より上であるときに投与される。
【0277】
一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)および/またはSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、1年に1~6回投与され、組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)は、最初に1回投与される。一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)および/またはSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)の2回またはそれよりも多くのその後の投与は、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)および組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)の初回投与の後、施行される。一部の態様では、SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、毎月2回投与される。一部の態様では、そのような投与は、1か月ごとに施行される。一部の態様では、SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、2か月ごとに投与される。一部の態様では、SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、6か月ごとに投与される。一部の態様では、組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)は、例えば、初回投与の1年またはそれよりも後(例えば、2~5年、5~10年、10~15年、15~20年、またはそれより後)に再投与される。
【0278】
一部の態様では、少なくとも1つの医薬組成物(例えば、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)および/またはSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)の)の投与は、対象における表現型の変化をもたらす。一部の態様では、そのような表現型の変化としては、限定されるものではないが、エクソン7を含む組換えSMN mRNAおよび/または細胞SMN mRNAの絶対量の増加;エクソン7を欠くSMN mRNAに対するエクソン7を含むSMN mRNAの比の増加;エクソン7を含むSMNタンパク質の絶対量の増加;エクソン7を欠くSMNタンパク質に対するエクソン7を含むSMNタンパク質の比の増加;筋力の改善;少なくとも1つの筋肉における電気的活動の改善;呼吸の改善;体重増加;および生存が挙げられる。一部の態様では、少なくとも1つの表現型の変化は、対象の運動ニューロンにおいて検出される。一部の態様では、本出願に記載される少なくとも1つの医薬組成物の投与により、対象は、上体を起こすこと、立つことおよび/または歩くことができるようになる。一部の態様では、少なくとも1つの医薬組成物の投与により、対象は、支援なしで、食べること、飲むことおよび/または呼吸することができるようになる。一部の態様では、処置の有効性は、筋肉の電気生理学的評価によって評価される。一部の態様では、医薬組成物の投与は、SMAの少なくとも1つの症状を改善し、炎症作用はほとんどまたは全くない。一部の態様では、炎症作用の非存在は、処置の際に、Aif1レベルの有意な増加の非存在によって決定される。
【0279】
一部の態様では、少なくとも1つの医薬組成物の投与は、SMAの少なくとも1つの症状の発症を遅延させる。一部の態様では、少なくとも1つの医薬組成物の投与は、SMAの少なくとも1つの症状の進行を遅らせる。一部の態様では、少なくとも1つの医薬組成物の投与は、SMAの少なくとも1つの症状の重症度を低減する。一部の態様では、少なくとも1つの医薬組成物の投与は、望ましくない副作用をもたらす。一部の態様では、望ましくない副作用を回避しながら症状の望ましい改善をもたらす処置レジメンが特定される。
【0280】
投与量および製剤
したがって、一部の態様では、治療有効量のSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、SMAを有する対象に投与される。一部の態様では、SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、単独で対象に投与される。一部の態様では、SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、他の化合物および/または医薬組成物と一緒に対象に投与される。一部の態様では、SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)および組換え核酸(例えば、rAAV中の)、またはSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)およびSMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)は、対象に投与される。一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)および/またはSMN1をコードする組換え核酸(例えば、rAAV中の)は、併せて(例えば、同時に、または同じ訪問診療中に)、または逐次に(例えば、異なる訪問診療中に)、対象に投与される。一部の態様では、SMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)および組換え核酸は、別々に対象に投与される。
【0281】
一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)およびSMN1をコードする組換え核酸(例えば、rAAV中の)は、対象に、併せて(例えば、同時に、または病院、診療所もしくは他の医療センターへの来院の間の異なる時間に、例えば、訪問診療の同じ日の間の異なる時間にのいずれか)、投与される。一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)およびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、対象に併せて投与される。一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、SMN1をコードする組換え核酸(例えば、rAAV中の)およびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、対象に併せて投与される。したがって、一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)およびSMN1をコードする組換え核酸を併せて投与することは、同じ訪問診療中(例えば、同じ診療日の間)の投与を意味する。一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)およびSMN1をコードする組換え核酸を併せて投与することは、同じ来院の間(例えば、同じ診療日の間)の異なる時間での投与を意味する。一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、SMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)およびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)の並行投与は、新たな治療の開始である。他の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、SMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)およびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)の並行投与は、異なる組成物で現在処置されている対象に対する付加療法である。
【0282】
一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)およびSMN1をコードする組換え核酸(例えば、rAAV中の)は、対象に、異なる来院の間(例えば、異なる診療日)に逐次に投与される。一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)およびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、対象に、異なる来院の間(例えば、異なる診療日)に逐次に投与される。一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、SMN1をコードする組換え核酸およびSMN2遺伝子(例えば、rAAV中の)は、対象に、異なる来院の間(例えば、異なる診療日)に逐次に投与される。一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)およびSMN1をコードする組換え核酸を逐次に投与することは、最初の来院の間のSMN1をコードする組換え核酸(例えば、rAAV中の)の投与、続いて異なる来院の間(例えば、異なる診療日)の低分子および/またはSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)の投与を意味する。一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)およびSMN1をコードする組換え核酸を逐次に投与することは、最初の来院の間のSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)の投与、続いて異なる来院の間(例えば、異なる診療日)のSMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)および/またはSMN1をコードする組換え核酸(例えば、rAAV中の)の投与を意味する。一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)およびSMN1をコードする組換え核酸を逐次に投与することは、最初の来院の間のSMN機能を増加させる低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)の投与、続いて異なる来院の間(例えば、異なる診療日)のSMN1をコードする組換え核酸および/またはSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)の投与を意味する。一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、SMN1をコードする組換え核酸およびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、異なる頻度で投与される。本明細書で使用される場合、逐次投与は、訪問診療中の第1の治療(例えば、リスジプラムまたはブラナプラムなどのSMN2機能を増加させるための低分子)の投与が、1回または複数回の異なる訪問診療中の、第2の治療(例えば、SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)および/もしくはSMN1をコードする組換え核酸(例えば、rAAV中の)、またはそれらの組合せ)の1回もしくは複数回の投与に続くか、またはそれに先行し得る、投与プロトコールを含み得る。
【0283】
一部の態様では、SMN2機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)および組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)は、異なる頻度で投与される。一部の態様では、SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)またはSMN2機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)は、対象に、1年に1~6回投与される。一部の態様では、組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)は、1回投与される。一部の態様では、SMN2機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)および/またはSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)の2回またはそれよりも多くのその後の投与は、SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)および組換えSMN1遺伝子の初回投与後に施行される。一部の態様では、SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、SMN2機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、SMN2 ASOおよび/または組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)の投与前に対象に投与される。一部の態様では、SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、対象の体重1キログラム当たり0.01~25ミリグラム(例えば、0.01~10ミリグラム、0.05~5ミリグラム、0.1~2ミリグラムまたは0.5~1ミリグラム)の用量で対象に投与され、組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)は、2×1010~2×1014GC(例えば、1.0×1013~1.0×1014GC、または例えば、IT投与については、約1.0×1013~5.0×1014GC)の用量で、rAAVで投与される。一部の態様では、SMN2 ASOは、対象の体重1キログラム当たり0.001~25ミリグラム(例えば、0.001~10ミリグラム、0.005~5ミリグラム、0.01~2ミリグラムまたは0.05~1ミリグラム)の用量で対象に投与され、組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)は、1×1010~2×1014GC(例えば、1.0×1013~1.0×1014GC、または例えば、IT投与については、約1.0×1013~5.0×1014GC)、または例えば、IV投与については、約3×1013~5×1014GCの用量で、rAAVで投与される。一部の態様では、SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、対象の体重1キログラム当たり0.01~10ミリグラムの用量で投与される。一部の態様では、SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、対象の体重1キログラム当たり0.001~10ミリグラムの用量で投与される。一部の態様では、SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)は、対象の体重1キログラム当たり0.001ミリグラム未満の用量で投与される。
【0284】
一部の態様では、用量当たり合計5mg~60mgのSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)が、対象に投与される。一部の態様では、用量当たり合計5mg~20mgのSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)が、対象に投与される。一部の態様では、用量当たり合計12mg~48mgのSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)が、対象に投与される。一部の態様では、用量当たり合計12mg~36mgのSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)が、対象に投与される。一部の態様では、用量当たり合計28mgのSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)が、対象に投与される。一部の態様では、用量当たり合計12mgのSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)が、対象に投与される。一部の態様では、SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)および/または組換えSMN1遺伝子は、対象に、静脈内または筋肉内投与される。一部の態様では、SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)および/または組換えSMN1遺伝子は、対象の髄腔内空間に投与される。一部の態様では、SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)および/または組換えSMN1遺伝子は、対象の大槽内空間に投与される。一部の態様では、SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)および組換え核酸の投与は、対象における細胞内SMNタンパク質レベルを増加させる。一部の態様では、SMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)および組換え核酸の投与は、対象における運動ニューロンの頸髄部、胸髄部および腰髄部における細胞内SMNタンパク質レベルを増加させる。
【0285】
一部の態様では、SMN2機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)およびSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)の用量は、CSFへのボーラス注射によって投与される。一部の態様では、用量は、LPおよび/またはICMボーラス注射によって投与される。一部の態様では、用量は、ボーラス全身注射(例えば、皮下、筋肉内または静脈内注射)によって投与される。一部の態様では、対象は、CSFへのボーラス注射およびボーラス全身注射を受ける。一部の態様では、CSFボーラスおよび全身ボーラスの用量は、互いに同じまたは異なっていてもよい。一部の態様では、CSFおよび全身の用量は、異なる頻度で投与される。
【0286】
一部の態様では、SMN2機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)および/またはSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)を含む医薬組成物が提供される。医薬組成物は、任意の適切な経路による(例えば、それぞれの治療について好適な異なる経路による)、それを必要とする対象への送達のために設計することができる。例えば、1つまたは複数の組成物は、脳室内(ICV)、静脈内(IV)および髄腔内(IT)(例えば、腰椎穿刺(LP)および/または大槽内(ICM)送達を介する)を含む経路を使用して、ヒト対象に投与され得る。
【0287】
一部の態様では、CNSへの直接送達が、望ましく、髄腔内注射を介して行われ得る。「髄腔内投与」という用語は、脳脊髄液(CSF)を標的にする送達を指す。これは、脳室または腰部のCSFへの直接注射によって、後頭下穿刺によって、または他の好適な手段によって行われ得る。Meyer et al, Molecular Therapy (31 October 2014)は、IV適用と比較して、10倍低い用量を使用した場合にマウスおよび非ヒト霊長類の脊髄全体にわたって広範な導入遺伝子発現をもたらす直接CSF注射の有効性を実証した。この文書は、参照により本明細書に組み込まれる。一部の態様では、組換えSMN1遺伝子は、脳室内ウイルス注射を介して送達される(例えば、参照により本明細書に組み込まれるKim et al, J Vis Exp. 2014 Sep 15;(91):51863を参照されたい)。参照により本明細書に組み込まれるPassini et al, Hum Gene Ther. 2014 Jul;25(7):619-30も参照されたい。一部の態様では、組成物は、腰部注射を介して送達される。
【0288】
一部の態様では、送達手段および製剤は、本出願に記載されるAAV組成物(複数可)を含有する懸濁液の直接全身送達を回避するように設計される。好適には、これは、全身投与と比較して全身曝露を低減する、毒性を低減する、ならびに/またはAAVおよび/もしくは導入遺伝子産物に対する望ましくない免疫応答を低減するという利点を有し得る。
【0289】
SMN2機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)および/またはSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)を含む組成物は、任意の好適な投与の経路(例えば、経口、吸入、鼻腔内、気管内、動脈内、眼内、静脈内、筋肉内および他の非経口経路)のために製剤化され得る。
【0290】
一部の態様では、本出願に記載される組換えSMN1遺伝子送達構築物は、単一の組成物または複数の組成物において送達され得る。一部の態様では、2つまたはそれよりも多くの異なるAAVが送達され得る(例えば、国際公開第2011/126808号および国際公開第2013/049493号を参照されたい)。一部の態様では、そのような複数のウイルスは、異なる複製欠陥ウイルス(例えば、AAV、アデノウイルスおよび/またはレンチウイルス)を含有し得る。あるいは、送達は、例えば、ミセル、リポソーム、カチオン性脂質-核酸組成物、ポリ-グリカン組成物および他のポリマー、脂質および/またはコレステロール系核酸コンジュゲートを含む、さまざまな送達組成物およびナノ粒子と組み合わされた、非ウイルス構築物、例えば、「ネイキッドDNA」、「ネイキッドプラスミドDNA」、RNA、およびmRNA、ならびに例えば、本出願に記載または当技術分野において公知の他の構築物によって、媒介され得る。例えば、その両方が参照により本明細書に組み込まれる、X. Su et al, Mol. Pharmaceutics, 2011, 8 (3), pp 774-787; web publication: March 21, 2011;国際公開第2013/182683号、国際公開第2010/053572号および国際公開第2012/170930号を参照されたい。非ウイルスSMN1送達構築物も、任意の好適な投与の経路のために製剤化され得る。
【0291】
ウイルスベクターまたは非ウイルスDNAもしくはRNA移入部分は、遺伝子導入および遺伝子治療の適用における使用のための生理学的に許容される担体を用いて製剤化され得る。多くの好適な精製方法が選択され得る。ベクター粒子から空キャプシドを分離するための好適な精製方法の例は記載されており、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、「AAV8のためのスケーラブルな精製方法」という名称の2016年12月9日に出願された国際特許出願第PCT/US16/65976号ならびにその優先権文書である2016年4月13日に出願された米国特許出願第62/322,098号および2015年12月11日に出願された米国特許出願第62/266,341号に記載されるプロセスである。参照により本明細書に組み込まれる、2016年12月9日に出願された国際特許出願第PCT/US16/65974号ならびにその優先権文書である2016年4月13日に出願された米国特許出願第62/322,083号および2015年12月11日に出願された同第62/266,351号(AAV1);2016年12月9日に出願された国際特許出願第PCT/US16/66013号ならびにその優先権文書である2016年4月13日に出願された米国仮出願第62/322,055号および2015年12月11日に出願された同第62/266,347号(AAVrhlO);ならびに2016年12月9日に出願された国際特許出願第PCT/US16/65970号ならびにその優先権出願である米国仮出願第62/266,357号および同第62/266,357号(AAV9)に記載される精製方法も参照されたい。簡潔には、ゲノム含有rAAVベクター粒子をrAAV産生細胞培養物の清澄化濃縮上清から選択的に捕捉および単離する2ステップの精製スキームが、記載されている。プロセスは、高塩濃度で行われる親和性捕捉方法、続いて高pHで行われるアニオン交換樹脂方法を利用して、rAAV中間体を実質的に含まないrAAVベクター粒子を提供する。
【0292】
AAVウイルスベクターの場合では、ゲノムコピー(「GC」)の定量は、製剤中に含有される用量の尺度として使用され得る。当技術分野において公知の任意の方法を使用して、本発明の複製欠陥ウイルス組成物のゲノムコピー(GC)数を決定することができる。AAV GC数の滴定を行うための1つの方法は、下記の通りである。精製AAVベクター試料を、DNaseで最初に処理して、産生プロセス由来の混入宿主DNAを排除する。次いで、DNase抵抗性粒子を、熱処理に供して、ゲノムをキャプシドから放出させる。次いで、放出されたゲノムを、ウイルスゲノムの特定の領域(例えば、ポリAシグナル)を標的にするプライマー/プローブセットを使用するリアルタイムPCRによって定量する。ゲノムコピーを決定するための別の好適な方法は、定量的PCR(qPCR)、特に、最適化qPCRまたはデジタル液滴PCR(Lock Martin, et al, Human Gene Therapy Methods. April 2014, 25(2): 115-125. doi: 10.1089/hgtb.2013.131、編集に先立って2013年12月13日にオンライン公開)である。
【0293】
一部の態様では、複製欠陥ウイルス組成物は、投与量単位で、範囲内のすべての整数または分数の量を含め、約1.0×10GC~約1.0×1015GCの範囲(例えば、体重70kgの平均的な対象を処置するため)、好ましくは、ヒト患者については、1.0×1012GC~1.0×1014GCの複製欠陥ウイルスの量を含有するように製剤化され得る。対象に投与される総用量は、投与の経路に依存し得る。一部の態様では、組成物は、範囲内のすべての整数または分数の量を含め、用量当たり少なくとも1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10または9×10GCを含有するように製剤化される。別の態様では、組成物は、範囲内のすべての整数または分数の量を含め、用量当たり少なくとも1×1010、2×1010、3×1010、4×1010、5×1010、6×1010、7×1010、8×1010または9×1010GCを含有するように製剤化される。別の態様では、組成物は、範囲内のすべての整数または分数の量を含め、用量当たり少なくとも1×1011、2×1011、3×1011、4×1011、5×1011、6×1011、7×1011、8×1011または9×1011GCを含有するように製剤化される。別の態様では、組成物は、範囲内のすべての整数または分数の量を含め、用量当たり少なくとも1×1012、2×1012、3×1012、4×1012、5×1012、6×1012、7×1012、8×1012または9×1012GCを含有するように製剤化される。別の態様では、組成物は、範囲内のすべての整数または分数の量を含め、用量当たり少なくとも1×1013、2×1013、3×1013、4×1013、5×1013、6×1013、7×1013、8×1013または9×1013GCを含有するように製剤化される。別の態様では、組成物は、範囲内のすべての整数または分数の量を含め、用量当たり少なくとも1×1014、2×1014、3×1014、4×1014、5×1014、6×1014、7×1014、8×1014または9×1014GCを含有するように製剤化される。別の態様では、組成物は、範囲内のすべての整数または分数の量を含め、用量当たり少なくとも1×1015、2×1015、3×1015、4×1015、5×1015、6×1015、7×1015、8×1015または9×1015GCを含有するように製剤化される。一部の態様では、ヒト適用のために、ウイルスの(例えば、rAAVの)用量は、範囲内のすべての整数または分数の量を含め、用量当たり1×1010~約1×1012GCの範囲であり得る。
【0294】
これらの上記の用量は、処置される領域のサイズ、使用されるウイルス力価、投与の経路および方法の所望の効果に応じて、範囲内のすべての数字を含め、約25マイクロリットルから、約1,000マイクロリットルまで、または約10ミリリットルまで、または最大で20ミリリットルまでの範囲の種々の体積の薬学的に許容される担体、賦形剤またはバッファー製剤で投与され得る。一部の態様では、薬学的に許容される担体、賦形剤またはバッファーの体積は、少なくとも約25μlである。一部の態様では、体積は、約50μlである。別の態様では、体積は、約75μlである。別の態様では、体積は、約100μlである。別の態様では、体積は、約125μlである。別の態様では、体積は、約150μlである。別の態様では、体積は、約175μlである。さらに別の態様では、体積は、約200μlである。別の態様では、体積は、約225μlである。さらに別の態様では、体積は、約250μlである。さらに別の態様では、体積は、約275μlである。さらに別の態様では、体積は、約300μlである。さらに別の態様では、体積は、約325μlである。別の態様では、体積は、約350μlである。別の態様では、体積は、約375μlである。別の態様では、体積は、約400μlである。別の態様では、体積は、約450μlである。別の態様では、体積は、約500μlである。別の態様では、体積は、約550μlである。別の態様では、体積は、約600μlである。別の態様では、体積は、約650μlである。別の態様では、体積は、約700μlである。別の態様では、体積は、約700~1000μlである。
【0295】
他の態様では、約1μl~150mLの体積が選択され得、より多くの体積が成人のために選択される。典型的には、新生乳児については、好適な体積は、約0.5mL~約10mLである。より年長の乳児については、約0.5mL~約15mLが選択され得る。幼児については、約0.5mL~約20mLの体積が選択され得る。小児については、最大で約30mLの体積が選択され得る。前青年期および青年期の者については、最大で約50mLの体積が選択され得る。さらに他の態様では、患者は、約5mL~約15mLが選択される、または約7.5mL~約10mLの体積で髄腔内投与を受け得る。他の好適な体積および投与量が決定されてもよい。投与量は、任意の副作用に対する治療利益のバランスをとるように調整され、そのような投与量は、組換えベクターが用いられる治療用途に応じて変わり得る。
【0296】
組換えSMN1遺伝子、例えば、ウイルスベクター中のもの(例えば、rAAV中にパッケージングされる)は、好適な方法を使用して宿主細胞に送達され得る。好ましくは、生理学的に適合する担体(例えば、薬学的に許容される担体)に懸濁されたrAAVは、ヒトまたは非ヒト哺乳動物患者に投与されてもよい。一部の態様では、組成物は、薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤および/または補助剤を含む。好適な担体は、投与の経路に対して選択され得る。例えば、好適なある担体としては、食塩水が挙げられ、これは、種々の緩衝溶液(例えば、リン酸緩衝食塩水)を用いて製剤化され得る。他の例示的な薬学的に許容される担体としては、滅菌食塩水、ラクトース、スクロース、リン酸カルシウム、ゼラチン、デキストラン、寒天、ペクチン、ピーナッツ油、ゴマ油および水が挙げられる。
【0297】
一部の態様では、組成物は、SMN1 rAAV、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)および/またはASO(例えば、ヌシネルセン)、ならびに薬学的に許容される担体(複数可)に加えて、保存剤または化学安定剤などの他の従来の医薬成分を含有し得る。好適な例示的な保存剤としては、クロロブタノール、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸、二酸化硫黄、没食子酸プロピル、パラベン、エチルバニリン、グリセリン、フェノールおよびパラクロロフェノールが挙げられる。好適な化学安定剤としては、ゼラチンおよびアルブミンが挙げられる。
【0298】
一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子(例えば、リスジプラムまたはブラナプラム)、SMN1 rAAVおよび/またはSMN2 ASO(例えば、ヌシネルセン)を含む組成物は、薬学的に許容される担体を含んでいてもよく、および/あるいは注射、浸透圧ポンプ、髄腔内カテーテルを介した対象への送達のため、または別のデバイスもしくは経路による送達のために設計された好適な賦形剤と混合されていてもよい。一例では、組成物は、髄腔内送達のために製剤化される。一部の態様では、髄腔内送達は、脊柱管、例えば、くも膜下腔への注射を包含する。
【0299】
本出願に記載されるウイルスベクターは、SMN1を、それを必要とする対象(例えば、ヒト患者)に送達して、機能性SMNを対象に供給するため、および/または1つもしくは複数のSMN2 ASOとの併用療法において脊髄性筋萎縮症を処置するための医薬(例えば、併せてまたは逐次に投与される)の調製において使用され得る。
【0300】
一部の態様では、rAAVを含む薬学的に許容される担体(例えば、バッファー、塩および/または医薬製剤の他の構成成分)を含む医薬組成物は、注入チューブへのrAAVの付着を防止するが、in vivoでのrAAVの結合活性を妨げない1つまたは複数の構成成分を含むように選択される。
【0301】
一部のそのような態様では、ASO(例えば、SMN2 ASO)は、用量当たり5mg~60mgの範囲のASOの量での送達のため(例えば、全身投与のため)に製剤化される。一部のそのような態様では、ASO(例えば、SMN2 ASO)は、用量当たり5mg~20mgの範囲のASOの量での送達のため(例えば、全身投与のため)に製剤化される。一部のそのような態様では、ASO(例えば、SMN2 ASO)は、用量当たり12mg~50mgの範囲のASOの量での送達のため(例えば、全身投与のため)に製剤化される。一部のそのような態様では、ASO(例えば、SMN2 ASO)は、用量当たり12mg~48mgの範囲のASOの量での送達のため(例えば、全身投与のため)に製剤化される。一部のそのような態様では、ASO(例えば、SMN2 ASO)は、用量当たり12mg~36mgの範囲のASOの量での送達のため(例えば、全身投与のため)に製剤化される。一部のそのような態様では、ASO(例えば、SMN2 ASO)は、用量当たり28mgのASOの量での送達のため(例えば、全身投与のため)に製剤化される。一部のそのような態様では、ASO(例えば、SMN2 ASO)は、用量当たり12mgのASOの量での送達のため(例えば、全身投与のため)に製剤化される。一部のそのような態様では、投与体積は、5mLである。
【0302】
一部のそのような態様では、ASO(例えば、SMN2 ASO)(単独で、あるいは組換えSMN1遺伝子およびまたはリスジプラムもしくはブラナプラムなどのSMN機能を増加させるための低分子とともに)は、0.1mg/kg~200mg/kg(ASO/患者体重)の範囲での送達のため(例えば、全身投与のため)に製剤化される。一部の態様では、用量は、0.1mg/kg~100mg/kgである。一部の態様では、用量は、0.5mg/kg~100mg/kgである。一部の態様では、用量は、1mg/kg~100mg/kgである。一部の態様では、用量は、1mg/kg~50mg/kgである。一部の態様では、用量は、1mg/kg~25mg/kgである。一部の態様では、用量は、0.1mg/kg~25mg/kgである。一部の態様では、用量は、0.1mg/kg~10mg/kgである。一部の態様では、用量は、1mg/kg~10mg/kgである。一部の態様では、用量は、1mg/kg~5mg/kgである。
【0303】
一部の態様では、ASOによる対象の投与は、誘導段階および維持段階に分けられる。一部のそのような態様では、誘導段階の間に投与される用量は、維持段階の間の投与される用量よりも多い。一部の態様では、誘導段階の間に投与される用量は、維持段階の間の投与される用量よりも少ない。一部の態様では、誘導段階は、ボーラス注射によって達成され、維持段階は、持続注入によって達成される。一部の態様では、併用製剤は、誘導段階の間に使用される。
【0304】
一部の態様では、医薬組成物は、ボーラス注射として投与される。一部のそのような態様では、ボーラス注射の用量は、用量当たり合計5mg~60mgのアンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、SMN2 ASO)を含有する。一部のそのような態様では、ボーラス注射の用量は、用量当たり合計5mg~20mgのアンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、SMN2 ASO)を含有する。一部のそのような態様では、ボーラス注射の用量は、用量当たり合計12mg~50mgのアンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、SMN2 ASO)を含有する。一部のそのような態様では、ボーラス注射の用量は、用量当たり合計12mg~48mgのアンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、SMN2 ASO)を含有する。一部のそのような態様では、ボーラス注射の用量は、用量当たり合計12mg~36mgのアンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、SMN2 ASO)を含有する。一部のそのような態様では、ボーラス注射の用量は、用量当たり合計28mgのアンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、SMN2 ASO)を含有する。一部のそのような態様では、ボーラス注射の用量は、用量当たり合計12mgのアンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、SMN2 ASO)を含有する。一部のそのような態様では、投与体積は、5mLである。
【0305】
一部の態様では、医薬組成物は、ボーラス注射として投与される。一部のそのような態様では、ボーラス注射の用量は、対象の体重1キログラム当たり0.01~25ミリグラムのアンチセンス化合物である。一部のそのような態様では、ボーラス注射の用量は、対象の体重1キログラム当たり0.01~10ミリグラムのアンチセンス化合物である。一部の態様では、用量は、対象の体重1キログラム当たり0.05~5ミリグラムのアンチセンス化合物である。一部の態様では、用量は、対象の体重1キログラム当たり0.1~2ミリグラムのアンチセンス化合物である。一部の態様では、用量は、対象の体重1キログラム当たり0.5~1ミリグラムのアンチセンス化合物である。
【0306】
一部の態様では、そのような用量は、毎月2回投与される。一部の態様では、そのような用量は、1か月ごとに投与される。一部の態様では、そのような用量は、2か月ごとに投与される。一部の態様では、そのような用量は、6か月ごとに投与される。一部の態様では、そのような用量は、CSFへのボーラス注射によって投与される。一部の態様では、そのような用量は、髄腔内ボーラス注射によって投与される。一部の態様では、そのような用量は、ボーラス全身注射(例えば、皮下、筋肉内または静脈内注射)によって投与される。一部の態様では、対象は、CSFへのボーラス注射およびボーラス全身注射を受ける。そのような態様では、CSFボーラスおよび全身ボーラスの用量は、互いに同じまたは異なっていてもよい。一部の態様では、CSFおよび全身の用量は、異なる頻度で投与される。一部の態様では、本発明は、少なくとも1回のボーラス髄腔内注射および少なくとも1回のボーラス皮下注射を含む投与レジメンを提供する。
【0307】
一部の態様では、医薬組成物は、持続注入によって投与される(例えば、ここで、用量は、一定期間、例えば、24時間の期間にわたって投与され得る)。そのような持続注入は、医薬組成物をCSFに送達する注入ポンプによって達成され得る。一部の態様では、そのような注入ポンプは、医薬組成物をITまたはICVに送達する。一部のそのような態様では、投与される用量は、1日当たり用量当たり5mg~60mgのアンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、SMN2 ASO)である。一部のそのような態様では、投与される用量は、1日当たり用量当たり5mg~20mgのアンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、SMN2 ASO)である。一部のそのような態様では、投与される用量は、1日当たり用量当たり12mg~50mgのアンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、SMN2 ASO)である。一部のそのような態様では、投与される用量は、1日当たり用量当たり12mg~48mgのアンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、SMN2 ASO)である。一部のそのような態様では、投与される用量は、1日当たり用量当たり12mg~36mgのアンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、SMN2 ASO)である。一部のそのような態様では、投与される用量は、1日当たり用量当たり28mgのアンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、SMN2 ASO)である。一部のそのような態様では、投与される用量は、1日当たり用量当たり12mgのアンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、SMN2 ASO)である。一部のそのような態様では、投与体積は、5mLである。
【0308】
一部の態様では、投与される用量は、1日当たり対象の体重1キログラム当たり0.05~25ミリグラムのアンチセンス化合物である。一部の態様では、投与される用量は、1日当たり対象の体重1キログラム当たり0.1~10ミリグラムのアンチセンス化合物である。一部の態様では、投与される用量は、1日当たり対象の体重1キログラム当たり0.5~10ミリグラムのアンチセンス化合物である。一部の態様では、投与される用量は、1日当たり対象の体重1キログラム当たり0.5~5ミリグラムのアンチセンス化合物である。一部の態様では、投与される用量は、1日当たり対象の体重1キログラム当たり1~5ミリグラムのアンチセンス化合物である。
【0309】
一部の態様では、本発明は、CNSへの注入および少なくとも1回のボーラス全身注射を含む投与レジメンを提供する。一部の態様では、本発明は、CNSへの注入および少なくとも1回のボーラス皮下注射を含む投与レジメンを提供する。一部の態様では、用量は、ボーラスまたは注入にかかわらず、CNS組織1グラム当たり0.1~100マイクログラムのアンチセンス化合物の濃度を達成または維持するように調整される。一部の態様では、用量は、ボーラスまたは注入にかかわらず、CNS組織1グラム当たり1~10マイクログラムのアンチセンス化合物の濃度を達成または維持するように調整される。一部の態様では、用量は、ボーラスまたは注入にかかわらず、CNS組織1グラム当たり0.1~1マイクログラムのアンチセンス化合物の濃度を達成または維持するように調整される。
【0310】
したがって、一部の態様では、本発明は、1つまたは複数の治療用分子、例えば、1つまたは複数の組換え核酸(例えば、ウイルスベクター中、例えば、rAAV内にパッケージングされる)および/またはアンチセンス化合物を含む医薬組成物を提供する。一部の態様では、そのような医薬組成物は、滅菌食塩水溶液および1つまたは複数の治療用分子を含む。一部の態様では、そのような医薬組成物は、滅菌食塩水溶液および1つまたは複数の治療用分子からなる。一部の態様では、治療用分子は、医薬組成物または製剤の調製のために、薬学的に許容される活性物質および/または不活性物質と混合され得る。医薬組成物の製剤化のための組成物および方法は、限定されるものではないが、投与の経路、疾患の程度または投与される用量を含む多くの基準に依存する。一部の態様では、治療用分子は、そのような治療用分子を好適な薬学的に許容される希釈剤または担体と組み合わせることによって、医薬組成物において利用することができる。一部の態様では、薬学的に許容される希釈剤としては、リン酸緩衝食塩水(PBS)が挙げられる。PBSは、非経口的に送達される組成物での使用に好適な希釈剤である。したがって、一部の態様では、本明細書に記載される方法において用いられるのは、1つまたは複数の治療用分子および薬学的に許容される希釈剤を含む医薬組成物である。一部の態様では、薬学的に許容される希釈剤は、PBSである。本出願に記載される1つまたは複数の治療用分子を含む医薬組成物は、任意の薬学的に許容される塩、エステルまたはそのようなエステルの塩を包含する。一部の態様では、ASOを含む医薬組成物は、ヒトを含む動物への投与の際に、その生物学的に活性な代謝産物または残留物を(直接的または間接的に)提供することができる1つまたは複数のオリゴヌクレオチドを含む。したがって、一部の態様では、ASOの薬学的に許容される塩、プロドラッグ、そのようなプロドラッグの薬学的に許容される塩、および他の生物学的同等物が提供される。好適な薬学的に許容される塩としては、限定されるものではないが、ナトリウムおよびカリウムの塩が挙げられる。
【0311】
一部の態様では、プロドラッグは、身体内の内因性ヌクレアーゼによって切断されて、活性なアンチセンスオリゴマー化合物を形成する、オリゴマー化合物の一方または両方の末端での追加のヌクレオシドの組み込みを含み得る。脂質系ベクターは、種々の方法で核酸治療において使用されている。例えば、一方法では、核酸は、カチオン性脂質および中性脂質の混合物で構成される予め形成されたリポソームまたはリポプレックスに導入される。別の方法では、モノ-またはポリ-カチオン性の脂質とのDNA複合体は、中性脂質の存在なしで形成される。一部の調製は、その全体が参照により本明細書に組み込まれるAkinc et al., Nature Biotechnology 26, 561-569 (1 May 2008)に記載されている。
【0312】
キット
一部の態様では、SMN機能を増加させるための低分子、組換えSMN1遺伝子(例えば、rAAV中の)および/またはSMN2 ASO、例えば、医薬組成物中のものを含むキットが提供される。一部の態様では、そのようなキットは、1つまたは複数の免疫抑制剤などの追加の治療剤をさらに含む。一部の態様では、そのようなキットは、送達の手段、例えば、シリンジまたは注入ポンプをさらに含む。
【0313】
下記の実施例は実例にすぎず、本発明を限定することを意図するものではない。
【実施例
【0314】
(実施例1)
hSMN1遺伝子を含有するrAAVベクター
コドン最適化ヒトSMN1 cDNAを保有する組換え神経向性AAVウイルスを構築した。
【0315】
(実施例2)
全長SMN2 mRNAを増加させるASO(例えば、hSMN2 mRNAにおけるエクソン7包含を促進することによって)
全長SMN2 mRNAを増加させる(例えば、SMN2 mRNAにおけるエクソン7包含を促進する)ASOを調製した(図3)。
【0316】
(実施例3)
hSMN1遺伝子を含有するrAAVベクターと全長SMN2 mRNAを増加させる(例えば、SMN2 mRNAにおけるエクソン7包含を促進する)ASOとの投与および生体内分布
実施例1のrAAVおよび実施例2のASOを、動物SMA疾患モデル、ならびにマウス、ブタおよび非ヒト霊長類(例えば、マカク)を含む対照動物に、SMA疾患モデルならびに対照動物モデルに投与する。
【0317】
rAAVおよびASOを、髄腔内および全身経路を介して(例えば、腰椎穿刺、大槽内および静脈内送達を介して)を含む異なる経路を介して投与する。
【0318】
rAAVおよびASOの分布を、動物モデルにおいて評価する。特に、脊髄内での分布を評価して、例えば、脊髄の頸部、胸部および腰部におけるrAAVおよび/またはASOの相対量を決定する。
【0319】
図4は、腰椎穿刺または大槽内送達を介して投与された3×1013GCのrAAVを使用した結果、および静脈内投与された2×1014GCを使用した結果を図示する。
【0320】
(実施例4)
hSMN1遺伝子を含有するrAAVベクターと全長SMN2 mRNAを増加させる(例えば、SMN2 mRNAにおけるエクソン7包含を促進する)ASOの共製剤
図5は、rAAVベクターhSMN1遺伝子(an rAAV vector an hSMN1 gene)、および全長SMN2 mRNAを増加させる(例えば、SMN2 mRNAにおけるエクソン7包含を促進する)ASOの両方を含む組成物の物理的および生物学特徴付けの非限定的な例を図示する。
【0321】
図5Aは、rAAVベクター単独のSEC-HPLCプロファイルを示す。図5Bは、ASO単独のSEC-HPLCプロファイルを示す。図5Cは、rAAVベクターおよびASOが同じ製剤中に存在する場合のそれらのSEC-HPLCプロファイルを示す。rAAVベクターおよびASOのHPLCプロファイルは、図5Cにおいて依然として同じであり、rAAVおよびASOを共製剤化した場合に有意な不適合性が存在しないことを示す。
【0322】
図5Dは、rAAVベクター単独での送達またはrAAVベクターとASOとの送達のいずれかの際のin vitroでの細胞におけるrAAVの感染力についてのデータを提供する。結果は、rAAVの感染力が、共製剤中のASOの存在によって有意に影響を受けないことを示す。
【0323】
図5Eは、rAAV、ASOまたはその両方による処置後の細胞における細胞内SMNタンパク質発現レベルおよびGEM形成を示す。
【0324】
(実施例5)
ヌシネルセンおよびAAV-SMN1の脳室内(ICV)投与
マイクロ浸透圧ポンプ(ALZET Osmotic Pumps、Cupertino、Calif.、USA)を使用して、ヌシネルセンおよびAAV-SMN1を、ヒトSMN2導入遺伝子を有する新生仔(P0~P1)SMAマウスにおいて、右側脳室を通して脳脊髄液(CSF)に送達する。低用量または高用量のヌシネルセン(それぞれ、1μgおよび4μg)を、低用量または高用量のAAV-SMN1(それぞれ、1×1010GCまたは8×1010GC)と一緒に、出生時(P0~P1)にマウスに投与する。マウスの体重および立ち直り反射を測定し、ヌシネルセンまたはAAV-SMN1単独のいずれかを受けている同じ遺伝子型の対照マウスの体重および立ち直り反射と比較する。
【0325】
ヌシネルセンおよびAAV-SMN1の両方が投与されたマウスは、対照と比較して、有意により高い体重およびより速い立ち直り反射を有する。
【0326】
研究は、ヌシネルセンおよびAAV-SMN1の脳室内(ICV)投与が、脊髄におけるSMN2のエクソン7包含を増加させることを明らかにする。さらなる研究は、より多くの数の脊髄運動ニューロンが、対照と比較して、SMN発現が増加していたことを示す。
【0327】
(実施例6)
ヌシネルセンおよびAAV-SMN1の組成物の投与
マイクロ浸透圧ポンプ(ALZET Osmotic Pumps、Cupertino、Calif.、USA)を使用して、ヌシネルセンおよびAAV-SMN1の組成物を、ヒトSMN2導入遺伝子を有する新生仔(P0~P1)SMAマウスにおいて、右側脳室を通して脳脊髄液(CSF)に送達する。低用量のヌシネルセン(1μg)および低用量のAAV-SMN1(1×1010GC)の組成物、または低用量のヌシネルセン(1μg)および高用量のAAV-SMN1(8×1010GC)の組成物、または高用量のヌシネルセン(4μg)および低用量のAAV-SMN1(1×1010GC)の組成物、または高用量のヌシネルセン(4μg)および高用量のAAV-SMN1(8×1010GC)の組成物を、出生時(P0~P1)にマウスに投与する。マウスの体重および立ち直り反射を測定し、ヌシネルセンまたはAAV-SMN1単独のいずれかを受けている同じ遺伝子型の対照マウスの体重および立ち直り反射と比較する。
【0328】
ヌシネルセンおよびAAV-SMN1の組成物が投与されたマウスは、対照と比較して、有意により高い体重およびより速い立ち直り反射を有する。
【0329】
研究は、ヌシネルセンおよびAAV-SMN1の組成物の脳室内(ICV)投与が、脊髄におけるSMN2のエクソン7包含を増加させることを明らかにする。さらなる研究は、より多くの数の脊髄運動ニューロンが、対照と比較して、SMN発現が増加していたことを示す。
【0330】
(実施例7)
非ヒト哺乳動物におけるヌシネルセンおよびAAV-SMN1の投与およびその分布の分析
SMAのマウス、アカゲザルおよびカニクイザルを使用して、異なる用量および投与の経路でのヌシネルセンおよびAAV-SMN1組成物の分布を評価する。ヌシネルセンおよびAAV-SMN1組成物を、一部のマウスおよび一部のサルに、24時間の期間にわたる、脳室内(ICV)注入によって、または髄腔内(IT)注入によって、約1mg/kgの用量で投与する。動物を、注入期間の終了の96時間後に屠殺し、組織を回収する。ヌシネルセンおよびAAV-SMN1の濃度を、脊髄の頸部、胸部および腰部に由来する試料において測定する。
【0331】
上記と同じ遺伝子型の追加のマウス、アカゲザルおよびカニクイザルに、ヌシネルセンおよびAAV-SMN1組成物を、ICV注入によって、またはIT注入によって、約1mg/kgの同じ用量で投与する。動物に、ヌシネルセンおよびAAV-SMN1組成物を3日間、7日間または14日間の期間にわたって投与した後、注入期間の終了の5日後に屠殺する。
【0332】
(実施例8)
ヒト対象へのヌシネルセンおよびAAV-SMN1の投与
ヌシネルセンおよびAAV-SMN1を、脳室内(ICV)、静脈内(IV)および髄腔内(IT)(例えば、腰椎穿刺(LP)および/または大槽内(ICM)送達を介して)を含む経路を使用して、ヒト対象に投与する。組成物は、小児および成人の両方において試験する。
【0333】
一部の態様では、rAAV-SMN1組成物を、例えば、腰椎穿刺(LP)注入によって(例えば、24時間の期間にわたって)、小児(例えば、SMAを有する)に約1×1014GCの用量で投与する。一部の態様では、rAAV-SMN1組成物を、例えば、大槽内(ICM)注入によって(例えば、24時間の期間にわたって)、成人(例えば、SMAを有する)に約1.5×1014GCの用量で投与する。
【0334】
一部の態様では、他のrAAV-SMN1用量、例えば、約5~6×1013GCまたはそれよりも高い、例えば、およそ1.2×1014GCまたは1.5~1.8×1014GCを使用することができる。例えば、IT送達を介する(例えば、24時間の期間にわたる注入)、例えば、LP送達またはICM送達を介する任意の適切な投与の経路を使用することができる。
【0335】
(実施例9)
ヌシネルセンおよびAAV-SMN1の脳室内(ICV)投与
ヌシネルセンおよびAAV-SMN1を、ヒトSMN2導入遺伝子を有する新生仔(P0~P1)SMAマウスに投与した。低用量または高用量のヌシネルセン(それぞれ、1μgおよび3μg)を、低用量または高用量のAAV-SMN1(それぞれ、1×1010GCまたは3×1010GC)と一緒に、出生時(P0~P1)にマウスに投与した。マウスの体重および立ち直り反射を測定し、ヌシネルセンまたはAAV-SMN1単独のいずれかを受けている同じ遺伝子型の対照マウスの体重および立ち直り反射と比較した。
【0336】
ヌシネルセンおよびAAV-SMN1の両方が投与されたマウスは、対照と比較して、有意により高い体重およびより速い立ち直り反射を有する。
【0337】
図6A~6B、SMN1遺伝子(例えば、rAAVベクター中の)またはヌシネルセンなどのASO(例えば、単一用量中)のいずれか。実験は、投与後に、出生後日数(PND)8で運動機能の部分的なレスキュー**、PND16で運動機能の完全なレスキューを示す。図6Aは、ヌシネルセンの8および16日後の4つの別々の群のマウスの立ち直り反射(RR)を示す。図6Bは、ヌシネルセンの8および16日後の4つの別々の群のマウスの体重を示す。併用療法は、単剤療法で見られたRR(PND7~16)および体重の部分的なレスキューを改善することができる。
【0338】
図7A~7Cは、SMN1遺伝子治療とヌシネルセンとの体重およびRRに対する効果を示す最初の併用療法研究の結果を示す。図7Aは、経時的な体重変化を示す。図7Bは、経時的なRR変化を示す。図7Cは、試験された3つの動物群についての条件の概要を示すチャートである。
【0339】
図8A~8Cは、SMN1遺伝子治療とヌシネルセンとの体重およびRRに対する効果を示す2回目の併用療法の結果を示す。図8Aは、試験された3つの動物群についての条件の概要を示すチャートである。図8Bは、経時的な体重変化を示し、図8Cは、経時的なRR変化を示す(日数で)。
【0340】
図9A~9Bは、PND7~PND13の体重の変化%の比較を示す。図9Aは、遺伝子治療(rAAV):1×1010GC/ASO(ヌシネルセン):1μgの用量での体重の変化%を示す。図9Bは、遺伝子治療(rAAV):3×1010GC/ASO(ヌシネルセン):3μgの用量での体重の変化%を示す。図10A~10Bは、PND7~PND13のRRの変化%の比較を示す。図10Aは、遺伝子治療(rAAV):1×1010GC/ASO(ヌシネルセン):1μgの用量でのRRの変化%を示す。図10Bは、遺伝子治療(rAAV):3×1010GC/ASO(ヌシネルセン):3μgの用量でのRRの変化%を示す。
【0341】
他の態様
本明細書に開示されるすべての特徴は、任意の組合せで組み合わせてもよい。本明細書に開示されるそれぞれの特徴は、同じ、同等または同様の目的を果たす代替の特徴によって置き換えられてもよい。したがって、他に明確に述べられない限り、開示されるそれぞれの特徴は、一般的な一連の同等または同様の特徴の一例にすぎない。
【0342】
上記の説明から、当業者であれば、本開示の必須の特徴を容易に確かめることができ、その精神および範囲から逸脱することなく、本開示にさまざまな変更および改変を行って、それをさまざまな使用法および条件に適応させることができる。したがって、他の態様も特許請求の範囲内である。
【0343】
均等物
いくつかの本発明の態様を本明細書に記載および説明したが、当業者であれば、本明細書に記載される機能を行うため、ならびに/あるいは本明細書に記載される結果および/または1つもしくは複数の利点を得るために、種々の他の手段および/または構造を容易に想定するであろうし、そのような変形および/または改変のそれぞれは、本明細書に記載される本発明の態様の範囲内であると見なされる。より一般には、当業者であれば、本明細書に記載されるすべてのパラメーター、寸法、材料および配置が例示的であることを意味すること、ならびに実際のパラメーター、寸法、材料および/または配置が、本発明の教示を使用するための具体的な1つまたは複数の適用に依存することを、容易に理解する。当業者であれば、ただの日常的な実験を使用して、本明細書に記載される具体的な発明の態様に対する多くの均等物を、認識し、または確かめることができる。したがって、前述の態様が例としてのみ提示されること、添付の特許請求の範囲およびそれに対する均等物の範囲内で、本発明の態様を、具体的に記載され、かつ特許請求の範囲に記載される以外の他のもので実行し得ることが理解されるべきである。本開示の発明の態様は、本明細書に記載されるそれぞれの個々の特徴、系、物品、材料、キットおよび/または方法に対する。加えて、2つまたはそれよりも多くのそのような特徴、系、物品、材料、キットおよび/または方法の任意の組み合わせは、そのような特徴、系、物品、材料、キットおよび/または方法が互いに不整合でなければ、本開示の発明の範囲内に含まれる。
【0344】
本明細書で定義および使用されるすべての定義は、辞書の定義、参照によって組み込まれる文書における定義、および/または定義される用語の通常の意味に対して優先することが理解されるべきである。
【0345】
本明細書に開示されるすべての参考文献、特許および特許出願は、それぞれの引用される主題に関して、参照によって組み込まれ、それは、一部の場合では、文書の全体を包含する場合がある。
【0346】
本明細書および特許請求の範囲でここに使用される場合、「a」および「an」という不定冠詞は、逆のことが明確に示されない限り、「少なくとも1つ」を意味することを理解されるべきである。
【0347】
「および/または」という語句は、本明細書および特許請求の範囲でここに使用される場合、そのように結合される要素、すなわち、一部の場合で結合して存在し、他の場合で分離して存在する要素の「いずれかまたは両方」を意味することが理解されるべきである。「および/または」を用いて列挙される複数の要素は、同じ様式で解釈されるべきであり、すなわち、そのように結合される要素の「1つまたは複数」であると解釈されるべきである。他の要素は、必要に応じて、具体的に特定されるこれらの要素と関連するか関連しないかにかかわらず、「および/または」節によって具体的に特定される要素以外に存在してもよい。したがって、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」に対する言及は、「含む」などのオープンエンドの語と併用される場合、一態様では、Aのみ(必要に応じて、B以外の要素を含む)を指すことができ、別の態様では、Bのみ(必要に応じて、A以外の要素を含む)を指すことができ、さらに別の態様では、AおよびBの両方(必要に応じて、他の要素を含む)を指すことができる。
【0348】
本明細書および特許請求の範囲でここに使用される場合、「または」は、上記で定義される「および/または」と同じ意味を有することが理解されるべきである。例えば、リスト中の項目が「または」または「および/または」によって分離されている場合、包括的であるとして、すなわち、要素の少なくとも1つの包含だけでなく、多くの要素もしくは要素のリストの2つ以上、および必要に応じてリストされていない項目も含むとして、解釈されるべきである。「の1つのみ」もしくは「の正確に1つ」、または特許請求の範囲で使用される場合に「からなる」などの、それとは反対に明確に示す、のみという用語は、正確に1つの要素または多くの要素もしくは要素のリストの包含を指す。一般に、「または」という用語は、本明細書で使用される場合、「いずれか」、「の1つ」、「の1つのみ」または「の正確に1つ」などの排他性の用語に先行する場合、排他的な選択肢を示す(すなわち、「1つまたは他のものであるが、両方ではない」)としてのみ解釈されるべきである。「から本質的になる」は、特許請求の範囲で使用される場合、特許法の分野で使用されるその通常の意味を有するものとする。
【0349】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「少なくとも1つ」という語句は、1つまたは複数の要素のリストに関して、要素のリスト中の要素のいずれか1つまたは複数から選択される少なくとも1つの要素を意味するが、要素のリスト内で具体的にリストされたありとあらゆる要素の少なくとも1つを含むことは必ずしも必要ではなく、要素のリスト中の要素の任意の組合せを除外しないことが理解されるべきである。この定義は、要素が、具体的に特定されたこれらの要素と関連するか関連しないかにかかわらず、「少なくとも1つ」という語句が指す要素のリスト内で具体的に特定された要素以外に必要に応じて存在していてもよいことも許容する。したがって、非限定的な例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(または同等に、「AまたはBの少なくとも1つ」、または同等に、「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」)は、一態様では、Bが存在しない、必要に応じて2つ以上のAを含む少なくとも1つのA(および必要に応じて、B以外の要素を含む)を指すことができ、別の態様では、Aが存在しない、必要に応じて2つ以上のBを含む少なくとも1つのB(および必要に応じて、A以外の要素を含む)を指すことができる、さらに別の態様では、必要に応じて2つ以上のAを含む少なくとも1つのA、および必要に応じて2つ以上のBを含む少なくとも1つのB(および必要に応じて、他の要素を含む)などを指すことができる。
【0350】
逆のことが明確に示されない限り、2つ以上のステップまたは行為を含む、特許請求の範囲に記載されるここで任意の方法では、方法のステップまたは行為の順序は、方法のステップまたは行為が列挙される順序に必ずしも限定されないことも理解されるべきである。
【0351】
特許請求の範囲ならびに上記の本明細書では、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「持つ(carrying)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「含む(involving)」、「保持する(holding)」、「で構成される(composed of)」などのようなすべての移行句は、オープンエンドであること、すなわち、含むが、限定されないことを意味することが理解されるべきである。「からなる」および「から本質的になる」という移行句のみを、それぞれ、米国特許庁特許審査便覧のセクション2111.03に記述されている通り、クローズまたはセミクローズの移行句とする。オープンエンドの移行句(例えば、「含む」)を使用して本文書に記載される態様は、代替の態様では、オープンエンドの移行句によって記載される特徴「からなる」および「から本質的になる」も企図することが理解されるべきである。例えば、本開示が「AおよびBを含む組成物」と記載する場合、本開示は、「AおよびBからなる組成物」および「AおよびBから本質的になる組成物」という代替の態様も企図する。
【0352】
この出願に添付される配列表は、必要により、それぞれの配列を「RNA」または「DNA」のいずれかとして特定するが、実際には、これらの配列は、化学修飾の任意の組合せで修飾されていてもよい。当業者であれば、修飾オリゴヌクレオチドを記載するための「RNA」または「DNA」としてのそのような指定は、一部の場合では、任意であることを容易に理解する。例えば、2’-OH糖部分およびチミン塩基を含むヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチドは、修飾糖(DNAの天然の2’-Hが2’-OH)を有するDNAとして、または修飾塩基(RNAの天然のウラシルがチミン(メチル化ウラシル))を有するRNAとして、記載され得る。
【0353】
したがって、限定されるものではないが、配列表中のものを含めて、本明細書で提供される核酸配列は、限定されるものではないが、修飾核酸塩基を有するそのような核酸を含む、天然または修飾のRNAおよび/もしくはDNAの任意の組合せを含有する核酸を包含することが意図される。さらなる例として、限定されないが、「ATCGATCG」という核酸塩基配列を有するオリゴマー化合物は、修飾または未修飾にかかわらず、そのような核酸塩基配列を有する任意のオリゴマー化合物を包含し、限定されるものではないが、「AUCGAUCG」という配列を有するものなどのRNA塩基を含むそのような化合物、ならびに「AUCGATCG」などの一部のDNA塩基および一部のRNA塩基を有するもの、ならびに「AT“CGAUCG」(ここで、“Cは、5位にメチル基を含むシトシン塩基を示す)などの他の修飾塩基を有するオリゴマー化合物が挙げられる。
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図4A-4B】
図5A-5E】
図6A-6B】
図7A-7B】
図7C
図8A
図8B-8C】
図9A-9B】
図10A-10B】
図11
【配列表】
2022544538000001.app
【国際調査報告】