(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-19
(54)【発明の名称】複数の屈曲部を有する医療デバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 1/005 20060101AFI20221012BHJP
A61B 1/307 20060101ALI20221012BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20221012BHJP
A61B 1/008 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
A61B1/005 522
A61B1/307
A61B1/00 714
A61B1/008 511
A61B1/00 655
A61B1/00 621
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022509088
(86)(22)【出願日】2020-08-14
(85)【翻訳文提出日】2022-03-24
(86)【国際出願番号】 IB2020057688
(87)【国際公開番号】W WO2021028883
(87)【国際公開日】2021-02-18
(32)【優先日】2019-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518083032
【氏名又は名称】オーリス ヘルス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ウォン・カ・チュン
(72)【発明者】
【氏名】ス・ジェイソン・ジェイ
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA15
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF33
4C161FF43
4C161GG13
4C161HH32
4C161HH56
4C161LL02
(57)【要約】
特定の態様は、様々な器官の自然な開口部及び管腔を介して様々な器官において病理をアクセス、視覚化、及び治療するための内視鏡システムのシステム及び技術に関する。一態様では、システムは、患者の尿路に挿入するように構成された細長いシャフトを含む。細長いシャフトは、近位部、遠位部、先端部分、及び細長いシャフトに沿って延在し、細長いシャフトの先端部分で終端する複数のプルワイヤを含むことができる。複数のプルワイヤは、第1及び第2のプルワイヤを含み得る。第1のプルワイヤは、近位部及び遠位部の各々を第1の方向に関節運動させるように構成され得る。第2のプルワイヤは、近位部とは独立して遠位部を第2の方向に関節運動させるように構成され得、第2の方向は、第1の方向に対して横方向である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿管鏡であって、
患者の尿路に挿入するように構成された細長いシャフトであって、近位部、遠位部、及び先端部分を備える、細長いシャフトと、
前記細長いシャフトに沿って延在し、前記細長いシャフトの前記先端部分で終端する複数のプルワイヤであって、第1のプルワイヤ及び第2のプルワイヤを備える、複数のプルワイヤと、を含み、
前記第1のプルワイヤが、前記近位部及び前記遠位部の各々を第1の方向に関節運動させるように構成され、
前記第2のプルワイヤが、前記近位部とは独立して、前記遠位部を第2の方向に関節運動させるように構成され、前記第2の方向は、前記第1の方向に対して横方向である、尿管鏡。
【請求項2】
前記先端部分にカメラを更に備え、前記第1の方向が、前記カメラの基準系に対して水平軸に沿っており、前記第2の方向が、前記カメラの前記基準系に対して垂直軸に沿っている、請求項1に記載の尿管鏡。
【請求項3】
前記細長いシャフトに結合された器具基部を更に備え、前記細長いシャフトが、長手方向軸を画定し、前記細長いシャフトが、前記長手方向軸を中心に前記器具基部に対して回転するように構成されている、請求項1に記載の尿管鏡。
【請求項4】
前記器具基部に対して回転するように構成された前記細長いシャフトが、前記患者の下-上軸に沿って前記第1の方向を、前記患者の前-後軸に沿って前記第2の方向を整列させるように動作可能である、請求項3に記載の尿管鏡。
【請求項5】
前記複数のプルワイヤが、
前記近位部及び前記遠位部の各々を前記第1の方向とは反対の第3の方向に関節運動させるように構成された第3のプルワイヤと、
前記近位部とは独立して、前記遠位部を第4の方向に関節運動させるように構成された第4のプルワイヤであって、前記第4の方向が、前記第2の方向と反対である、第4のプルワイヤと、を更に含み、
前記第1の方向は、前記第2の方向に直交し、
前記第3の方向は、前記第4の方向に直交する、請求項1に記載の尿管鏡。
【請求項6】
前記第1のプルワイヤに引張力を加えると、前記遠位部の遠位部分が、前記近位部の近位部分よりも小さい屈曲半径で前記第1の方向に屈曲するように構成されている、請求項1に記載の尿管鏡。
【請求項7】
前記第1のプルワイヤに前記引張力を加えると、前記遠位部の近位部分が、前記近位部の遠位部分と同じ屈曲半径で前記第1の方向に屈曲するように構成されている、請求項6に記載の尿管鏡。
【請求項8】
前記細長いシャフトを通って延在する作業チャネルを更に備え、前記作業チャネルが、バスケット用具又はレーザー用具のうちの少なくとも1つが前記作業チャネルを通して挿入されて、前記患者の前記尿路内の標的と相互作用することを可能にする、請求項1に記載の尿管鏡。
【請求項9】
前記近位部が、前記第1の方向におけるその屈曲を可能にし、前記第2の方向におけるその屈曲に抵抗し、
前記遠位部が、前記第1の方向及び前記第2の方向におけるその屈曲を可能にする、請求項1に記載の尿管鏡。
【請求項10】
前記近位部が、一連の整列したヒンジを介して接続された一連のリンクを備え、
前記遠位部が、一連の千鳥状ヒンジを介して接続された一連のリンクを備える、請求項1に記載の尿管鏡。
【請求項11】
前記近位部の前記一連の整列したヒンジの各々が、隣接するヒンジに平行な枢動軸を中心に隣接する一対のリンクを回転可能に接続し、
前記遠位部の前記一連の千鳥状ヒンジの各々は、隣接するヒンジに垂直な枢動軸を中心に隣接する一対のリンクを回転可能に接続する、請求項10に記載の尿管鏡。
【請求項12】
前記近位部が、前記第1の方向よりも前記第2の方向により大きな屈曲剛性を有する変形可能な屈曲部を備え、
前記遠位部が、前記第1の方向及び前記第2の方向に同じ屈曲剛性を有する変形可能な屈曲部を備える、請求項1に記載の尿管鏡。
【請求項13】
尿管鏡であって、
医療ロボットシステムに結合するように構成された器具基部と、
前記器具基部から延在する可撓性シャフトであって、前記可撓性シャフトが、患者の尿管を横断するように構成された第1の関節部及び第2の関節部を備える、可撓性シャフトと、を含み、
前記第1の関節部が、第1の平面に沿ってその屈曲を可能にし、前記第1の平面に直交する第2の平面に沿ってその屈曲に抵抗し、
前記第2の関節部が、前記第1の平面及び前記第2の平面に沿ってその屈曲を可能にする、尿管鏡。
【請求項14】
前記第1の関節部及び前記第2の関節部が各々、複数のリンクを備え、前記第1の関節部及び前記第2の関節部の各リンクが、前記リンクを近位リンクに接続するための第1のヒンジ部材と、前記リンクを遠位リンクに接続するための第2のヒンジ部材と、を備える、請求項13に記載の尿管鏡。
【請求項15】
前記第1の関節部内の前記複数のリンクの各々について、前記第1のヒンジ部材及び前記第2のヒンジ部材が、整列され、
前記第2の関節部内の前記複数のリンクの各々について、前記第1のヒンジ部材及び前記第2のヒンジ部材が、互いに90度オフセットされ位置決めされている、請求項14に記載の尿管鏡。
【請求項16】
前記第1の関節部が、前記第2の関節部よりも長い、請求項13に記載の尿管鏡。
【請求項17】
前記第1の関節部と前記第2の関節部との長さの比が、60:40~50:50である、請求項13に記載の尿管鏡。
【請求項18】
前記可撓性シャフトが、管を備え、
前記第1の関節部は、180度の回転対称で前記管の周りに半径方向に位置決めされた一連の切り欠きを備え、
前記第2の関節部は、90度の回転対称で前記管の周りに半径方向に位置決めされた一連の切り欠きを備える、請求項13に記載の尿管鏡。
【請求項19】
前記器具基部内の複数の駆動入力と、
前記複数の駆動入力に結合され、前記可撓性シャフトに沿って延在する複数の制御ケーブルと、を更に備え、
前記医療ロボットシステムからの駆動出力に応答して、前記複数の駆動入力が、前記複数の制御ケーブルに張力を印加して、前記第1の関節部及び前記第2の関節部を前記第1の平面に沿って屈曲させ、前記第2の関節部を前記第1の平面及び前記第2の平面に沿って屈曲させるように構成されている、請求項13に記載の尿管鏡。
【請求項20】
ロボット医療システムであって、
可撓性の細長いシャフトと、前記可撓性の細長いシャフトに沿って延在する複数の制御ケーブルとを備える医療器具であって、前記可撓性の細長いシャフトが、近位屈曲部及び遠位屈曲部を有し、前記近位屈曲部が、第1の平面に沿って屈曲するように拘束され、前記遠位屈曲部が、前記第1の平面に沿って前記第1の平面の外で屈曲可能である、医療器具と、
前記医療器具を運ぶように構成されたロボットアームであって、前記ロボットアームが、前記複数の制御ケーブルに張力を加えて、前記近位屈曲部及び前記遠位屈曲部の各々を屈曲させるように構成されている、ロボットアームと、を備える、ロボット医療システム。
【請求項21】
前記近位屈曲部が、前記可撓性の細長いシャフトの粗偏向を含み、前記遠位屈曲部が、前記可撓性の細長いシャフトの微細な関節運動を含む、請求項20に記載のロボット医療システム。
【請求項22】
前記可撓性の細長いシャフトが、前記可撓性の細長いシャフトを通って延在する作業チャネルを備え、前記作業チャネルが、そこを通って用具が挿入されて、患者の尿路内の標的と相互作用することを可能にする、請求項20に記載のロボット医療システム。
【請求項23】
前記用具が、前記患者の前記尿路内に位置する腎臓結石に適用されるように構成されたエネルギーを送達するように構成されたレーザー用具を備える、請求項22に記載のロボット医療システム。
【請求項24】
前記用具が、前記患者の前記尿路内に位置する腎臓結石又は腎臓結石の一部分を捕捉するように構成されたバスケット用具を備える、請求項22に記載のロボット医療システム。
【請求項25】
前記近位屈曲部は、双方向偏向部を備え、前記遠位屈曲部は、四方向偏向部を備える、請求項20に記載のロボット医療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2019年8月15日に出願の米国仮出願第62/887,560号の利益を主張するものである。
【0002】
(発明の分野)
本明細書に開示されるシステム及び方法は、医療システム及び手順に関し、より具体的には、複数の屈曲部を有する医療デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
内視鏡検査などの医療処置では、診断及び/又は治療目的で患者の解剖学的構造の内部にアクセスし可視化を行う場合がある。例えば、泌尿器科、又は尿管鏡検査は、医師が、腎臓などの尿管又は器官などの患者の管腔を調べることを可能にする医療処置を含み得る。これらの処置の間、内視鏡として知られる細く、可撓性のある管状用具又は器具を、開口部(自然開口部など)を通して患者に挿入し、その後の診断及び/又は治療を行うために特定された組織部位に向かって前進させる。医療用器具は、解剖学的構造を通じたナビゲーションを容易にするために制御可能かつ関節運動可能であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0004】
開示される態様は、以下、添付の図面と併せて説明され、開示された態様を例示するが、限定するものではなく、同様の称号は同様の要素を示す。
【
図1】診断及び/又は治療用気管支鏡検査のために配置されたカートベースのロボットシステムの実施形態を示す。
【
図2】
図1のロボットシステムの更なる態様を描写する。
【
図3】尿管鏡検査のために配置された
図1のロボットシステムの実施形態を示す。
【
図4】血管処置のために配置された
図1のロボットシステムの実施形態を示す。
【
図5】気管支鏡検査処置のために配置されたテーブルベースのロボットシステムの実施形態を示す。
【
図6】
図5のロボットシステムの代替的な図を提供する。
【
図7】ロボットアーム(複数可)を収容するように構成された例示的なシステムを示す。
【
図8】尿管鏡検査処置のために構成されたテーブルベースのロボットシステムの実施形態を示す。
【
図9】腹腔鏡処置のために構成されたテーブルベースのロボットシステムの実施形態を示す。
【
図10】ピッチ又は傾斜調整を備えた
図5~
図9のテーブルベースのロボットシステムの実施形態を示す。
【
図11】
図5~
図10のテーブルベースのロボットシステムのテーブルとカラムとの間のインターフェースの詳細な図示を提供する。
【
図12】テーブルベースのロボットシステムの代替的実施形態を示す。
【
図13】
図12のテーブルベースのロボットシステムの端面図を示す。
【
図14】ロボットアームが取り付けられた、テーブルベースのロボットシステムの端面図を示す。
【
図16】対の器具ドライバを備えた例示的な医療用器具を示す。
【
図17】駆動ユニットの軸が器具の細長いシャフトの軸に平行である、器具ドライバ及び器具の代替的な設計を示す。
【
図18】器具ベースの挿入アーキテクチャを有する器具を示す。
【
図20】例示的な実施形態にかかる、
図16~
図18の器具の位置など、
図1~
図10のロボットシステムの1つ以上の要素の位置を推定する位置特定システムを示すブロック図を示す。
【
図22B】腎臓の自然な管腔を通してナビゲートされる尿管鏡を示す。
【
図23】尿管鏡処置のために尿管鏡を関節運動させるための例示的な技術を示すフローチャートである。
【
図24A】1つの平面内で偏向可能な尿管鏡の一部の例示的な実施形態を示す。
【
図24B】2つの平面内で偏向可能な尿管鏡の一部の例示的な実施形態を示す。
【
図25】尿管鏡の関節部の例示的な実施形態を示す。
【
図27A】1つの平面内で偏向可能な尿管鏡の一部の例示的な実施形態を示す。
【
図27B】2つの平面内で偏向可能な尿管鏡の一部の例示的な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0005】
1.概論
本開示の態様は、腹腔鏡などの低侵襲性、及び内視鏡などの非侵襲性の両方の処置を含む、様々な医療処置を行うことができるロボットで使用可能な医療用システムに統合され得る。内視鏡処置のうち、システムは、気管支鏡検査、尿管鏡検査、胃鏡検査などを行うことができる。
【0006】
幅広い処置を行うことに加えて、システムは、医師を支援するための強調された撮像及び誘導などの追加の利益を提供することができる。追加的に、システムは、厄介な腕の動作及び姿勢を必要とせずに、人間工学的位置から処置を行う能力を医師に提供することができる。また更に、システムは、システムの器具のうちの1つ以上が単一のユーザによって制御され得るように、改善された使いやすさで処置を行う能力を医師に提供することができる。
【0007】
以下、説明を目的として、図面と併せて、様々な実施形態が説明される。開示される概念の多くの他の実装態様が可能であり、開示される実装態様で様々な利点が達成され得ることを理解されたい。見出しが、参照のために本明細書に含まれ、様々な部の位置を特定する支援となる。これらの見出しは、それに関して説明される概念の範囲を限定することを意図するものではない。そのような概念は、本明細書全体にわたって適用可能性を有し得る。
【0008】
A.ロボットシステム-カート
ロボットで使用可能な医療用システムは、特定の処置に応じて様々な方法で構成され得る。
図1は、診断及び/又は治療用気管支鏡検査処置のために配置された、ロボットで使用可能なカートベースのシステム10の実施形態を示す。気管支鏡検査の間、システム10は、気管支鏡検査のための処置専用気管支鏡であり得る操縦可能な内視鏡13などの医療用器具を、診断及び/又は治療用具を送達するための自然開口部アクセスポイント(すなわち、本実施例ではテーブル上に位置決めされている患者の口)に送達するための1つ以上のロボットアーム12を有するカート11を含むことができる。示されるように、カート11は、アクセスポイントへのアクセスを提供するために、患者の上部胴体に近接して位置決めすることができる。同様に、ロボットアーム12は、アクセスポイントに対して気管支鏡を位置決めするために作動させることができる。
図1の配置はまた、胃腸管(GI)処置を、GI処置のための特殊な内視鏡である胃鏡を用いて行うときに利用することができる。
図2は、カートの例示的な実施形態をより詳細に示す。
【0009】
図1を引き続き参照し、カート11が適切に位置決めされると、ロボットアーム12は、操縦可能な内視鏡13をロボットで、手動で、又はそれらの組み合わせで患者内に挿入することができる。示されるように、操縦可能な内視鏡13は、内側リーダ部分及び外側シース部分などの少なくとも2つの入れ子式部品を含んでもよく、各部分は、器具ドライバの組28から別個の器具ドライバに結合され、各器具ドライバは、個々のロボットアームの遠位端に結合されている。リーダ部分をシース部分と同軸上に整列するのを容易にする、器具ドライバ28のこの直線配置は、1つ以上のロボットアーム12を異なる角度及び/又は位置に操作することによって空間内に再位置決めされ得る「仮想レール」29を作成する。本明細書に記載される仮想レールは、破線を使用して図に示されており、したがって破線は、システムの物理的構造を示さない。仮想レール29に沿った器具ドライバ28の並進は、外側シース部分に対して内側リーダ部分を入れ子にするか、又は内視鏡13を患者から前進若しくは後退させる。仮想レール29の角度は、臨床用途又は医師の好みに基づいて調整、並進、及び枢動させられてもよい。例えば、気管支鏡検査では、示されるような仮想レール29の角度及び位置は、内視鏡13を患者の口内に屈曲することによる摩擦を最小限に抑えながら内視鏡13への医師のアクセスを提供する妥協を表す。
【0010】
内視鏡13は、標的の目的地又は手術部位に到達するまで、ロボットシステムからの正確なコマンドを使用して挿入後に患者の気管及び肺の下方に向けられてもよい。患者の肺網を通したナビゲーションを高め、及び/又は所望の標的に到達するために、内視鏡13を操縦して、内側リーダ部分を外側シース部分から入れ子状に延在させ、高められた関節運動及びより大きな屈曲半径を得てもよい。別個の器具ドライバ28の使用により、リーダ部分及びシース部分が互いに独立して駆動されることも可能となる。
【0011】
例えば、内視鏡13は、例えば、患者の肺内の病変又は小結節などの標的に生検針を送達するように方向付けられてもよい。針は、内視鏡の長さにわたる作業チャネルの下方に展開されて、病理医によって分析される組織サンプルを得てもよい。病理の結果に応じて、追加の生検のために追加の用具が内視鏡の作業チャネルの下方に展開されてもよい。小結節を悪性と識別した後、内視鏡13は、潜在的な癌組織を切除するために用具を内視鏡的に送達してもよい。場合によっては、診断及び治療的処置は、別々の手順で提供することができる。これらの状況において、内視鏡13はまた、標的小結節の場所を「マーク」するために基準を送達するのに使用されてもよい。他の例では、診断及び治療的処置は、同じ処置中に送達されてもよい。
【0012】
システム10はまた、カート11に支持ケーブルを介して接続されて、カート11への制御、電子機器、流体工学、光学系、センサ、及び/又は電力のための支持を提供し得る移動可能なタワー30を含んでもよい。タワー30内にこのような機能を置くことにより、動作を行う医師及びそのスタッフがより容易に調整及び/又は再位置決めすることができるより小さいフォームファクタのカート11が可能となる。追加的に、カート/テーブルと支持タワー30との間の機能の分割は、手術室の乱雑さを低減し、臨床ワークフローの改善を促進する。カート11は患者に近接して配置されてもよいが、タワー30は、処置中に邪魔にならないように離れた場所に格納されてもよい。
【0013】
上述のロボットシステムの支持において、タワー30は、例えば、永続的な磁気記憶ドライブ、ソリッドステートドライブなどの非一時的コンピュータ可読記憶媒体内にコンピュータプログラム命令を記憶するコンピュータベースの制御システムの構成要素を含んでもよい。これらの命令の実行は、実行がタワー30内で行われるのか又はカート11で行われるのかにかかわらず、システム全体又はそのサブシステムを制御してもよい。例えば、コンピュータシステムのプロセッサによって実行されるとき、命令は、ロボットシステムの構成要素に、関連するキャリッジ及びアームマウントを作動させ、ロボットアームを作動させ、医療用器具を制御させてもよい。例えば、制御信号を受信したことに応答して、ロボットアームの関節内のモータは、アームをある特定の姿勢に位置決めしてもよい。
【0014】
タワー30は、内視鏡13を通して配備することができるシステムに、制御された灌注及び吸引機能を提供するために、ポンプ、流量計、弁制御、及び/又は流体アクセスも含むことができる。これらの構成要素はまた、タワー30のコンピュータシステムを使用して制御されてもよい。いくつかの実施形態では、灌注及び吸引能力は、別個のケーブルを通して内視鏡13に直接送達されてもよい。
【0015】
タワー30は、フィルタリングされ、保護された電力をカート11に提供するように設計された電圧及びサージ保護具を含んでもよく、それによって、カート11内に電力変圧器及び他の補助電力構成要素を配置することが回避され、カート11はより小さく、より移動可能になる。
【0016】
タワー30は、ロボットシステム10全体に配備されたセンサのための支持機器も含んでもよい。例えば、タワー30は、ロボットシステム10全体の光センサ又はカメラから受信したデータを検出、受信、及び処理するためのオプトエレクトロニクス機器を含んでもよい。制御システムと組み合わせて、このようなオプトエレクトロニクス機器は、タワー30内を含むシステム全体に展開された任意の数のコンソール内に表示するためのリアルタイム画像を生成するために使用されてもよい。同様に、タワー30はまた、展開された電磁(EM)センサから信号を受信し、受信した信号を処理するための電子サブシステムも含んでもよい。タワー30はまた、医療用器具内又は医療用器具上のEMセンサによる検出のためにEM場発生器を収容し、位置決めするためにも使用されてもよい。
【0017】
タワー30はまた、システムの残りの部分で利用可能な他のコンソール、例えば、カートの上部上に装着されたコンソールに追加して、コンソール31を含んでもよい。コンソール31は、オペレータである医師のためのユーザインターフェース及びタッチスクリーンなどの表示画面を含んでもよい。システム10内のコンソールは、一般に、ロボット制御、並びに内視鏡13のナビゲーション情報及び位置特定情報などの処置の術前及びリアルタイム情報の両方を提供するように設計される。コンソール31が医師に利用可能な唯一のコンソールではない場合、コンソール31は、看護師などの第2のオペレータによって使用されて、患者の健康又はバイタル、及びシステム10の動作を監視し、並びにナビゲーション及び位置特定情報などの処置固有のデータを提供してもよい。その他の実施形態では、コンソール30は、タワー30とは別個の本体内に収容される。
【0018】
タワー30は、1つ以上のケーブル又は接続部(図示せず)を介してカート11及び内視鏡13に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、タワー30からの支持機能は、単一ケーブルを通してカート11に提供されることにより、手術室を簡略化し、整理整頓することができる。他の実施形態では、特定の機能は、別個の配線及び接続部で結合されてもよい。例えば、単一の電力ケーブルを通してカート11に電力が供給されてもよい一方、制御、光学、流体工学、及び/又はナビゲーションのための支持体は、別個のケーブルを通して提供されてもよい。
【0019】
図2は、
図1に示されるロボットで使用可能なカートベースのシステムからのカート11の実施形態の詳細な図を提供する。カート11は、概して、細長い支持構造14(「カラム」と呼ばれることが多い)、カート基部15、及びカラム14の頂部にあるコンソール16を含む。カラム14は、1つ以上のロボットアーム12(
図2には3つ示されている)の展開を支持するためのキャリッジ17(代替的に「アーム支持体」)などの1つ以上のキャリッジを含んでもよい。キャリッジ17は、患者に対してより良好に位置決めするために垂直軸に沿って回転してロボットアーム12の基部を調整する、個別に構成可能なアームマウントを含んでもよい。キャリッジ17はまた、キャリッジ17がカラム14に沿って垂直方向に並進することを可能にするキャリッジインターフェース19を含む。
【0020】
キャリッジインターフェース19は、キャリッジ17の垂直方向の並進を誘導するためにカラム14の両側に位置決めされているスロット20などのスロットを通してカラム14に接続されている。スロット20は、カート基部15に対して様々な垂直方向の高さでキャリッジ17を位置決めし、保持するための垂直方向の並進インターフェースを含む。キャリッジ17の垂直方向の並進により、カート11は、様々なテーブルの高さ、患者のサイズ、及び医師の好みを満たすようにロボットアーム12のリーチを調整することが可能となる。同様に、キャリッジ17上の個別に構成可能なアームマウントにより、ロボットアーム12のロボットアーム基部21を様々な構成で角度付けすることが可能となる。
【0021】
いくつかの実施形態では、キャリッジ17が垂直方向に並進するときにカラム14の内部チャンバ及び垂直方向の並進インターフェース内に汚れ及び流体が侵入するのを防止するために、スロット20には、スロット表面と同一平面及び平行であるスロットカバーが追加されてもよい。スロットカバーは、スロット20の垂直方向の頂部及び底部付近に位置決めされているばねスプールの対を通じて展開されてもよい。カバーは、キャリッジ17が上下に垂直方向に並進するにつれてコイル状から伸縮するように展開されるまで、スプール内でコイル巻きにされている。スプールのバネ荷重は、キャリッジ17がスプールに向かって並進する場合にカバーをスプールに引き込む力を提供し、一方、キャリッジ17がスプールから離れて並進する場合にはぴったりとした封止も維持する。カバーは、キャリッジ17が並進するときにカバーが適切に伸縮するのを確実にするために、例えば、キャリッジインターフェース19内のブラケットを使用してキャリッジ17に接続されてもよい。
【0022】
カラム14は、例えば、コンソール16からの入力などのユーザ入力に応答して生成された制御信号に応答してキャリッジ17を機械的に並進させるために垂直方向に整列された主ねじを使用するように設計された、ギア及びモータなどの機構を内部に含んでもよい。
【0023】
ロボットアーム12は、一般に、一連の関節24によって接続されている一連のリンク23によって分離されたロボットアーム基部21及びエンドエフェクタ22を含んでもよく、各関節は独立したアクチュエータを含み、各アクチュエータは、独立して制御可能なモータを含む。独立して制御可能な各関節は、ロボットアーム12が利用可能な独立した自由度を表す。ロボットアーム12の各々は、7つの関節を有してもよく、したがって、7つの自由度を提供することが可能である。多数の関節は、多数の自由度をもたらし、「冗長」自由度を可能にする。冗長自由度を有することにより、ロボットアーム12は、異なるリンク位置及び関節角度を使用して空間内の特定の位置、向き、及び軌道で、それらのそれぞれのエンドエフェクタ22を位置決めすることが可能となる。これにより、システムが空間内の所望のポイントから医療用器具を位置決めし、方向付けることが可能になると同時に、医師がアーム関節を患者から離れる臨床的に有利な位置へと移動させて、アームの衝突を回避しながらよりよいアクセスを生み出すことを可能にする。
【0024】
カート基部15は、床の上のカラム14、キャリッジ17、及びロボットアーム12の重量の釣り合いをとる。したがって、カート基部15は、電子機器、モータ、電源、並びにカート11の移動及び/又は静止のいずれかを可能にする構成要素などの、より重い部品を収容する。例えば、カート基部15は、処置前にカート11が部屋中をあちこちに容易に移動することを可能にする、転動可能なホイール形状のキャスタ25を含む。適切な位置に到達した後、キャスタ25は、処置中にカート11を所定の場所に保持するためのホイールロックを使用して静止させられてもよい。
【0025】
カラム14の垂直方向の端に位置決めされたコンソール16は、ユーザ入力を受信するためのユーザインターフェース及び表示画面(又は、例えば、タッチスクリーン26などの二重目的デバイス)の両方を、術前データ及び術中データの両方を医師であるユーザに提供することを可能にする。タッチスクリーン26上の潜在的な術前データは、術前計画、術前コンピュータ断層撮影(CT)スキャンから導出されたナビゲーション及びマッピングデータ、並びに/又は術前の患者への問診からのメモを含んでもよい。ディスプレイ上の術中データは、用具から提供される光学情報、センサからのセンサ及び座標情報、並びに呼吸、心拍数、及び/又はパルスなどの不可欠な患者統計を含んでもよい。コンソール16は、医師が、キャリッジ17の反対側のカラム14側からコンソール16にアクセスすることを可能にするように位置決めされ、傾斜が付けられてもよい。この位置から、医師は、コンソール16をカート11の背後から操作しながら、コンソール16、ロボットアーム12、及び患者を見ることができる。示されるように、コンソール16はまた、カート11の操作及び安定化を支援するハンドル27を含む。
【0026】
図3は、尿管鏡検査のために配置された、ロボットで使用可能なシステム10の実施形態を示す。尿管鏡検査処置では、カート11は、患者の尿道及び尿管を横断するように設計された処置専用内視鏡である尿管鏡32を患者の下腹部領域に送達するように位置決めされてもよい。尿管鏡検査では、尿管鏡32が患者の尿道と直接整列され、領域内の敏感な解剖学的構造に対する摩擦及び力を低減することが望ましいことがある。示されるように、カート11は、ロボットアーム12が尿管鏡32を、患者の尿道に直線状に直接アクセスするために位置決めすることを可能にするように、テーブルの脚部に整列されてもよい。テーブルの脚部から、ロボットアーム12は、尿道を通して患者の下腹部に直接、仮想レール33に沿って尿管鏡32を挿入してもよい。
【0027】
気管支鏡検査におけるのと同様の制御技法を使用して尿道に挿入した後、尿管鏡32は、診断及び/又は治療用途のために、膀胱、尿管、及び/又は腎臓にナビゲートされてもよい。例えば、尿管鏡32を尿管及び腎臓に方向付けて、尿管鏡32の作動チャネルの下方に配備されたレーザー又は超音波結石破砕デバイスを使用して、腎臓結石の蓄積を破砕することができる。砕石術が完了した後、結果として得られた結石片は、尿管鏡32の下方に配備されたバスケットを使用して除去されてもよい。
【0028】
図4は、血管処置のために同様に配置された、ロボットで使用可能なシステム10の実施形態を示す。血管処置において、システム10は、カート11が、操縦可能なカテーテルなどの医療用器具34を、患者の脚内の大腿動脈内のアクセスポイントに送達することができるように構成され得る。大腿動脈は、ナビゲーションのためのより大きな直径と、患者の心臓への、遠回りが比較的少ない曲がりくねった経路の両方を示すが、これはナビゲーションを簡素化する。尿管鏡検査処置のように、カート11は、患者の脚及び下腹部に向かって位置決めされて、ロボットアーム12が患者の大腿/腰領域内の大腿動脈アクセスポイントへの直接的な線形アクセスで仮想レール35を提供することを可能にしてもよい。動脈内への挿入後、器具ドライバ28を並進させることによって医療用器具34が方向付けられ、挿入されてもよい。代替的には、カートは、例えば、肩及び手首付近の頸動脈及び腕動脈などの代替的な血管アクセスポイントに到達するために、患者の上腹部の周囲に位置決めされてもよい。
【0029】
B.ロボットシステム-テーブル
ロボットで使用可能な医療用システムの実施形態は、患者テーブルも組み込んでもよい。テーブルの組み込みは、カートをなくすことによって手術室内の資本設備の量を低減し、患者へのより大きなアクセスを可能にする。
図5は、気管支鏡検査処置のために配置された、そのようなロボットで使用可能なシステムの実施形態を示す。システム36は、床の上にプラットフォーム38(「テーブル」又は「ベッド」として図示)を支持するための支持構造体又はカラム37を含む。カートベースのシステムと同様に、システム36のロボットアーム39のエンドエフェクタは、器具ドライバ42の線形アライメントから形成された仮想レール41を通して、又はそれに沿って、
図5の気管支鏡40などの細長い医療用器具を操作するように設計された器具ドライバ42を含む。実際には、蛍光透視撮像を提供するためのCアームは、放射器及び検出器をテーブル38の周囲に置くことによって、患者の上部腹部領域の上方に位置決めされてもよい。
【0030】
図6は、説明を目的として、患者及び医療用器具なしのシステム36の代替的な図を提供する。示されるように、カラム37は、1つ以上のロボットアーム39の基部となり得る、システム36内でリング形状として図示される1つ以上のキャリッジ43を含んでもよい。キャリッジ43は、カラム37の長さにわたる垂直方向のカラムインターフェース44に沿って並進して、ロボットアーム39が患者に到達するように位置決めされ得る異なるバンテージポイントを提供してもよい。キャリッジ43は、カラム37内に位置決めされている機械的モータを使用してカラム37の周りを回転して、ロボットアーム39が、例えば、患者の両側などのテーブル38の多数の側部へのアクセスを有することを可能にしてもよい。複数のキャリッジを有する実施形態では、キャリッジはカラム上に個別に位置決めされてもよく、他のキャリッジとは独立して並進及び/又は回転してもよい。キャリッジ43はカラム37を取り囲む必要はなく、又は更には円形である必要もないが、図示されるようなリング形状は、構造的バランスを維持しながらカラム37の周りでのキャリッジ43の回転を容易にする。キャリッジ43の回転及び並進により、システム36は、内視鏡及び腹腔鏡などの医療用器具を患者の異なるアクセスポイントに整列することができる。他の実施形態(図示せず)では、システム36は、並行して延在するバー又はレールの形態の調整可能なアーム支持体を有する患者テーブル又はベッドを含むことができる。1つ以上のロボットアーム39を、(例えば、肘関節を有する肩部を介して)垂直方向に調整することができる調整可能なアーム支持体に取り付けることができる。垂直方向の調整を提供することによって、ロボットアーム39は、有利には、患者テーブル又はベッドの下にコンパクトに収容されることが可能であり、その後、処置中に引き上げられることが可能である。
【0031】
ロボットアーム39は、ロボットアーム39に追加の構成可能性を提供するために個別に回転及び/又は入れ子式に延在し得る一連の関節を含むアームマウント45の組を介してキャリッジ43に装着されてもよい。追加的に、アームマウント45は、キャリッジ43が適切に回転されると、アームマウント45がテーブル38の同じ側(
図6に示すように)、テーブル38の両側(
図9に示すように)、又はテーブル38の隣接する側部(図示せず)のいずれかに位置決めされ得るように、キャリッジ43上に位置決めされ得る。
【0032】
カラム37は、テーブル38の支持及びキャリッジ43の垂直方向の並進のための経路を構造的に提供する。内部に、カラム37は、キャリッジの垂直方向の並進を誘導するための主ねじ、及び主ねじに基づくキャリッジ43の並進を機械化するためのモータを備えていてもよい。カラム37はまた、キャリッジ43及びその上に装着されたロボットアーム39に電力及び制御信号を伝達してもよい。
【0033】
テーブル基部46は、
図2に示すカート11のカート基部15と同様の機能を果たし、テーブル/ベッド38、カラム37、キャリッジ43、及びロボットアーム39の釣り合いをとるためにより重い構成要素を収容する。テーブル基部46はまた、処置中に安定性を提供するために剛性キャスタを組み込んでもよい。テーブル基部46の底部から展開されるキャスタは、基部46の両側で反対方向に延在し、システム36を移動させる必要があるときに引き込んでもよい。
【0034】
引き続き
図6を参照すると、システム36はまた、テーブルとタワーとの間でシステム36の機能を分割して、テーブルのフォームファクタ及びバルクを低減するタワー(図示せず)を含んでもよい。先に開示された実施形態と同様に、タワーは、処理、計算、及び制御能力、電力、流体工学、並びに/又は光学及びセンサ処理などの様々な支持機能をテーブルに提供してもよい。タワーはまた、医師のアクセスを改善し、手術室を整理整頓するために、患者から離れて位置決めされるように移動可能であってもよい。追加的に、タワー内に構成要素を配置することにより、ロボットアーム39の潜在的な収容のために、テーブル基部46内により多くの保管空間を可能にする。タワーはまた、キーボード及び/又はペンダントなどのユーザ入力のためのユーザインターフェースと、リアルタイム撮像、ナビゲーション、及び追跡情報などの術前及び術中情報のための表示画面(又はタッチスクリーン)との両方を提供するマスターコントローラ又はコンソールも含んでもよい。いくつかの実施形態では、タワーはまた、送気のために使用されるガスタンク用のホルダを含んでもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、テーブル基部は、使用されていないときにロボットアームを収容して格納してもよい。
図7は、テーブルベースのシステムの実施形態におけるロボットアームを収容するシステム47を示す。システム47では、キャリッジ48は、ロボットアーム50、アームマウント51、及びキャリッジ48を基部49内に収容するために、基部49内へと垂直方向に並進させられてもよい。基部カバー52は、並進及び後退して、キャリッジ48、アームマウント51、及びロボットアーム50をカラム53の周りに展開させるように開き、使用されていないときにそれらを収容して保護するように閉じられてもよい。基部カバー52は、閉じたときに汚れ及び流体の侵入を防止するために、その開口部の縁部に沿って膜54で封止されてもよい。
【0036】
図8は、尿管鏡検査処置のために構成されたロボットで使用可能なテーブルベースシステムの実施形態を示す。尿管鏡検査では、テーブル38は、患者をカラム37及びテーブル基部46からオフアングルに位置決めするためのスイベル部分55を含んでもよい。スイベル部分55は、スイベル部分55の底部をカラム37から離すように位置決めするために、枢動点(例えば、患者の頭部の下方に配置)を中心に回転又は枢動してもよい。例えば、スイベル部分55の旋回により、Cアーム(図示せず)が、テーブル38の下のカラム(図示せず)と空間を奪い合うことなく、患者の下部腹部の上方に位置決めされることを可能にする。カラム37の周りにキャリッジ35(図示せず)を回転させることにより、ロボットアーム39は、尿道に到達するように、仮想レール57に沿って、患者の鼠径部領域に尿管鏡56を直接挿入してもよい。尿管鏡検査では、処置中に患者の脚の位置を支持し、患者の鼠径部領域への明確なアクセスを可能にするために、テーブル38のスイベル部分55にあぶみ58が固定されてもよい。
【0037】
腹腔鏡処置では、患者の腹壁内の小さな切開部を通して、低侵襲性器具を患者の解剖学的構造に挿入してもよい。いくつかの実施形態では、低侵襲性器具は、患者内の解剖学的構造にアクセスするために使用されるシャフトなどの細長い剛性部材を含む。患者の腹腔の膨張後、器具は、把持、切断、アブレーション、縫合などの外科的又は医療的タスクを実施するように方向付けられてもよい。いくつかの実施形態では、器具は、腹腔鏡などのスコープを含むことができる。
図9は、腹腔鏡検査処置のために構成されたロボットで使用可能なテーブルベースのシステムの実施形態を示す。
図9に示されるように、システム36のキャリッジ43は回転し、垂直方向に調整されて、器具59が患者の両側の最小切開部を通過して患者の腹腔に到達するようアームマウント45を使用して位置決めされ得るように、ロボットアーム39の対をテーブル38の両側に位置決めしてもよい。
【0038】
腹腔鏡処置に対応するために、ロボットで使用可能なテーブルシステムはまた、プラットフォームを所望の角度に傾斜させてもよい。
図10は、ピッチ又は傾斜調整を有するロボットで使用可能な医療用システムの実施形態を示す。
図10に示されるように、システム36は、テーブル38の傾斜に適応して、テーブルの一方の部分を他方の部分より床から離れた距離に位置決めすることができる。追加的に、アームマウント45は、ロボットアーム39がテーブル38と同じ平面関係を維持するように、傾斜に一致するように回転してもよい。より急な角度に適応するために、カラム37はまた、テーブル38が床に接触したりテーブル基部46と衝突したりするのを防ぐためにカラム37が垂直方向に延在するのを可能にする入れ子部分60を含んでもよい。
【0039】
図11は、テーブル38とカラム37との間のインターフェースの詳細な図を提供する。ピッチ回転機構61は、カラム37に対するテーブル38のピッチ角を多数の自由度で変更するように構成されてもよい。ピッチ回転機構61は、カラム-テーブルインターフェースでの直交軸1、2の位置決めによって可能にされてもよく、各軸は、電気ピッチ角コマンドに応答して別個のモータ3、4によって作動させられる。一方のねじ5に沿った回転は、一方の軸1における傾斜調整を可能にし、他方のねじ6に沿った回転は、他方の軸2に沿った傾斜調整を可能にする。いくつかの実施形態では、カラム37に対するテーブル38のピッチ角を複数の自由度で変更するために、玉継ぎ手が使用されてもよい。
【0040】
例えば、ピッチ調整は、テーブルをトレンデレンブルグ位置に位置決めしようとするときに、すなわち下腹部手術のために患者の下腹部を患者の上腹部よりも床からより高い位置に位置決めしようとするときに、特に有用である。トレンデレンブルグ位置は、重力によって患者の内臓を患者の上腹部に向かって摺動させ、低侵襲性用具が入って腹腔鏡前立腺切除術などの下腹部の外科又は医療処置を行うために、腹腔を空にする。
【0041】
図12及び
図13は、テーブルベースの外科用ロボットシステム100の別の実施形態の等角図及び端面図を示す。外科用ロボットシステム100は、テーブル101に対して1つ以上のロボットアームを支持するように構成され得る1つ以上の調整可能なアーム支持体105(例えば、
図14参照)を含む。図示される実施形態では、単一の調整可能なアーム支持体105が示されているが、テーブル101の反対側に追加のアーム支持体を設けることができる。調整可能アーム支持体105は、テーブル101に対して移動して、調整可能アーム支持体105及び/又はテーブル101に対してそれに装着された任意のロボットアームの位置を調整及び/又は変更できるように構成され得る。例えば、調整可能なアーム支持体105は、テーブル101に対して1つ以上の自由度で調整することができる。調整可能なアーム支持体105は、1つ以上の調整可能なアーム支持体105及びそれに取り付けられた任意のロボットアームをテーブル101の下に容易に収容する能力を含む、システム100への高い汎用性を提供する。調整可能なアーム支持体105は、収容位置からテーブル101の上面の下の位置まで上昇させることができる。他の実施形態では、調整可能なアーム支持体105は、収容位置からテーブル101の上面の上方の位置まで上昇させることができる。
【0042】
調整可能なアーム支持体105は、リフト、横方向並進、傾斜などを含む、いくつかの自由度を提供することができる。
図12及び
図13の図示の実施形態では、アーム支持体105は、4自由度で構成され、
図12に矢印で示されている。第1の自由度は、z方向における調整可能なアーム支持体105の調整(「Zリフト」)を可能にする。例えば、調整可能なアーム支持体105は、テーブル101を支持するカラム102に沿って、又はそれに対して上下に動くように構成されたキャリッジ109を含むことができる。第2の自由度は、調整可能なアーム支持体105が傾斜することを可能にする。例えば、調整可能なアーム支持体105は、回転接合部を含むことができ、それは、調整可能なアーム支持体105を、トレンデレンブルグ位置のベッドと整列させることを可能にできる。第3の自由度は、調整可能なアーム支持体105が「上方枢動する」ことを可能にでき、それを使用して、テーブル101の側部と調整可能なアーム支持体105との間の距離を調整することができる。第4の自由度は、テーブルの長手方向の長さに沿って調整可能なアーム支持体105の並進を可能にする。
【0043】
図12及び
図13の外科用ロボットシステム100は、基部103に装着されたカラム102によって支持されるテーブルを含むことができる。基部103及びカラム102は、支持面に対してテーブル101を支持する。床軸131及び支持軸133は、
図13に示される。
【0044】
調整可能なアーム支持体105は、カラム102に装着することができる。他の実施形態では、アーム支持体105は、テーブル101又は基部103に装着することができる。調整可能なアーム支持体105は、キャリッジ109、バー又はレールコネクタ111、及びバー又はレール107を含むことができる。いくつかの実施形態では、レール107に装着された1つ以上のロボットアームは、互いに対して並進及び移動することができる。
【0045】
キャリッジ109は、第1の接合部113によってカラム102に取り付けられてもよく、それにより、キャリッジ109がカラム102に対して移動することが可能になる(例えば、第1又は垂直軸123の上下など)。第1の接合部113は、調整可能なアーム支持体105に第1の自由度(「Zリフト」)を提供することができる。調整可能なアーム支持体105は、第2の自由度(傾斜)を調整可能なアーム支持体105に提供する第2の接合部115を含むことができる。調整可能なアーム支持体105は、第3の自由度(「上方枢動」)を調整可能なアーム支持体105に提供することができる第3の接合部117を含むことができる。レールコネクタ111が第3の軸127を中心にして回転させられるときにレール107の方向を維持するように第3の接合部117を機械的に拘束する、追加の接合部119(
図13に示す)を設けることができる。調整可能なアーム支持体105は、第4の自由度(並進)を第4の軸129に沿って調整可能なアーム支持体105に提供することができる第4の接合部121を含むことができる。
【0046】
図14は、テーブル101の両側に装着された2つの調整可能なアーム支持体105A、105Bを有する、外科用ロボットシステム140Aの端面図を示す。第1のロボットアーム142Aは、第1の調整可能なアーム支持体105Bのバー又はレール107Aに取り付けられる。第1のロボットアーム142Aは、レール107Aに取り付けられた基部144Aを含む。第1のロボットアーム142Aの遠位端は、1つ以上のロボット医療用器具又は用具に取り付けることができる器具駆動機構146Aを含む。同様に、第2のロボットアーム142Bは、レール107Bに取り付けられた基部144Bを含む。第2のロボットアーム142Bの遠位端は、器具駆動機構146Bを含む。器具駆動機構146Bは、1つ以上のロボット医療用器具又は用具に取り付けるように構成され得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、ロボットアーム142A、142Bのうちの1つ以上は、7以上の自由度を有するアームを含む。いくつかの実施形態では、ロボットアーム142A、142Bのうちの1つ以上は、挿入軸(挿入を含む1自由度)、リスト(リストピッチ、ヨー及び圧延を含む3自由度)、肘部(エルボピッチを含む1自由度)、肩部(ショルダピッチ及びヨーを含む2自由度)、及び基部144A、144B(並進を含む1自由度)、を含む8自由度を含むことができる。いくつかの実施形態では、挿入自由度は、ロボットアーム142A、142Bによって提供することができるが、他の実施形態では、器具自体は、器具ベースの挿入アーキテクチャを介して挿入を提供する。
【0048】
C.器具ドライバ及びインターフェース
システムのロボットアームのエンドエフェクタは、(i)医療用器具を作動させるための電気機械的手段を組み込む器具ドライバ(代替的には、「器具駆動機構」又は「器具デバイスマニピュレータ」と呼ばれる)と、(ii)モータなどの任意の電気機械的構成要素を欠いていてもよい除去可能な又は取り外し可能な医療用器具と、を含み得る。この二分法は、医療処置に使用される医療用器具を滅菌する必要性、それらの複雑な機械的アセンブリ及び繊細な電子機器により、高価な資本設備を十分に滅菌することができないことを根拠とする場合がある。したがって、医療用器具は、医師又は医師のスタッフによる個々の滅菌又は廃棄のために、器具ドライバ(したがってそのシステム)から取り外され、除去され、及び交換されるように設計することができる。対照的に、器具ドライバは交換又は滅菌される必要がなく、保護のために掛け布をすることができる。
【0049】
図15は、例示的な器具ドライバを示す。ロボットアームの遠位端に配置される器具ドライバ62は、駆動シャフト64を介して医療用器具に制御されたトルクを提供するために平行軸を伴って配置された1つ以上の駆動ユニット63を含む。各駆動ユニット63は、器具と相互作用するための個々の駆動シャフト64と、モータシャフトの回転を所望のトルクに変換するためのギアヘッド65と、駆動トルクを生成するためのモータ66と、モータシャフトの速度を測定し、制御回路にフィードバックを提供するエンコーダ67と、制御信号を受信し、駆動ユニットを作動させるための制御回路68と、を含む。各駆動ユニット63は、独立して制御され電動化され、器具ドライバ62は、複数(例えば
図15に示すように4つ)の独立した駆動出力を医療器具に提供することができる。動作中、制御回路68は、制御信号を受信し、モータ66にモータ信号を送信し、エンコーダ67によって測定された結果として得られたモータ速度を所望の速度と比較し、モータ信号を変調して所望のトルクを生成する。
【0050】
無菌環境を必要とする処置のために、ロボットシステムは、器具ドライバと医療用器具との間に位置する、滅菌ドレープに接続された滅菌アダプタなどの駆動インターフェースを組み込んでもよい。滅菌アダプタの主な目的は、器具ドライバの駆動シャフトから器具の駆動入力に角度運動を伝達する一方で、駆動シャフトと駆動入力との間の物理的分離、したがって無菌性を維持することである。したがって、例示的な滅菌アダプタは、器具ドライバの駆動シャフトと嵌合されることが意図された一連の回転入力及び出力と、器具に対する駆動入力と、を含み得る。滅菌アダプタに接続される滅菌ドレープは、透明又は半透明プラスチックなどの薄い可撓性材料で構成され、器具ドライバ、ロボットアーム、及び(カートベースのシステムにおける)カート又は(テーブルベースのシステムにおける)テーブルなどの資本設備を覆うように設計される。ドレープの使用により、滅菌を必要としない領域(すなわち、非滅菌野)に依然として位置決めされている間に、資本設備を患者に近接して配置することが可能となる。滅菌ドレープの反対側では、医療用器具は、滅菌を必要とする領域(すなわち、滅菌野)において患者とインターフェースしてもよい。
【0051】
D.医療用器具
図16は、対の器具ドライバを備えた例示的な医療用器具を示す。ロボットシステムと共に使用するために設計された他の器具と同様に、医療用器具70は、細長いシャフト71(又は細長い本体)及び器具基部72を含む。医師による手動相互作用が意図されているその設計により「器具ハンドル」とも呼ばれる器具基部72は、一般に、ロボットアーム76の遠位端において器具ドライバ75上の駆動インターフェースを通って延在する駆動出力74と嵌合するように設計された、回転可能な駆動入力73、例えば、レセプタクル、プーリ、又はスプールを含んでもよい。物理的に接続、ラッチ、及び/又は結合される場合、器具基部72の嵌合された駆動入力73は、器具ドライバ75における駆動出力74と回転軸を共有して、駆動出力74から駆動入力73へのトルクの伝達を可能とすることができる。いくつかの実施形態では、駆動出力74は、駆動入力73上のレセプタクルと嵌合するように設計されたスプラインを含んでもよい。
【0052】
細長いシャフト71は、例えば、内視鏡におけるような解剖学的開口部若しくは管腔、又は例えば、腹腔鏡検査におけるような低侵襲性切開部のいずれかを通して送達されるように設計される。細長いシャフト71は、可撓性(例えば、内視鏡と同様の特性を有する)若しくは剛性(例えば、腹腔鏡と同様の特性を有する)のいずれかであってもよく、又は可撓性部分及び剛性部分の両方のカスタマイズされた組み合わせを含んでもよい。腹腔鏡検査のために設計される場合、剛性の細長いシャフトの遠位端は、少なくとも1つの自由度を有するクレビスから形成された接合されたリストから延在するエンドエフェクタ、及び駆動入力が器具ドライバ75の駆動出力74から受信したトルクに応答して回転するときに、腱からの力に基づいて作動され得る、例えば、把持具又ははさみなどの外科用用具又は医療用器具に接続することができる。内視鏡検査のために設計される場合、可撓性の細長いシャフトの遠位端は、器具ドライバ75の駆動出力74から受信したトルクに基づいて関節運動及び屈曲され得る操縦可能又は制御可能な屈曲部を含んでもよい。
【0053】
器具ドライバ75からのトルクは、細長いシャフト71に沿った腱を使用して細長いシャフト71の下流に伝達される。プルワイヤなどのこれらの個々の腱は、器具ハンドル72内の個々の駆動入力73に個別に固定されてもよい。ハンドル72から、腱は、細長いシャフト71に沿って1つ以上のプルルーメン(pull lumens)の下方に向けられ、細長いシャフト71の遠位部分、又は細長いシャフトの遠位部分のリストに固定される。腹腔鏡、内視鏡、又はハイブリッド処置などの外科処置中、これらの腱は、リスト、把持具、又ははさみなどの遠位に装着されたエンドエフェクタに結合されてもよい。このような構成の下で、駆動入力73に及ぼされるトルクは、腱に張力を伝達し、それによってエンドエフェクタを何らかの方法で作動させる。いくつかの実施形態では、外科処置中に、腱は、関節を軸の周りで回転させることができるが、それによってエンドエフェクタを一方向又は別の方向に移動させる。代替的には、腱は、細長いシャフト71の遠位端で把持具の1つ以上のジョーに接続されてもよく、腱からの張力によって把持具は閉鎖される。
【0054】
内視鏡検査では、腱は、接着剤、制御リング、又は他の機械的固定を介して、細長いシャフト71に沿って(例えば、遠位端に)位置決めされている屈曲部又は関節部に結合されてもよい。屈曲部の遠位端に固定的に取り付けられる場合、駆動入力73に及ぼされるトルクは、腱の下流に伝達され、より軟質の屈曲部(関節運動可能部又は関節運動可能領域と呼ばれることがある)を屈曲又は関節運動させる。非屈曲部分に沿って、個々の腱を内視鏡シャフトの壁に沿って(又は内側に)向く個々のプルルーメンを螺旋状又は渦巻状にして、プルワイヤにおける張力からもたらされる半径方向の力の釣り合いをとることが有利であり得る。螺旋の角度及び/又はそれらの間の間隔は、特定の目的のために変更又は設計することができ、よりきつい螺旋は負荷力の下でより少ないシャフト圧縮を示し、一方、より少ない量の螺旋は負荷力の下でより大きなシャフト圧縮をもたらすが、屈曲を制限する。スペクトルのもう一方の端では、プルルーメンは、細長いシャフト71の長手方向軸に平行に方向付けられて、所望の屈曲部又は関節運動可能部における制御された関節運動を可能にしてもよい。
【0055】
内視鏡検査では、細長いシャフト71は、ロボット処置を支援するいくつかの構成要素を収容する。シャフト71は、シャフト71の遠位端における手術領域に対して外科用用具(又は医療用器具)を展開する、灌注する、及び/又は吸引するための作業チャネルを含んでもよい。シャフト71は、遠位先端の光学アセンブリに信号を伝送するためのワイヤ及び/又は光ファイバも収容してもよく、これは光学カメラを含んでもよい。シャフト71はまた、発光ダイオードなどの近位に位置する光源からシャフト71の遠位端に光を搬送するための光ファイバを収容してもよい。
【0056】
器具70の遠位端では、遠位先端は、診断及び/又は治療、灌注、及び吸引のために用具を手術部位に送達するための作業チャネルの開口部を含んでもよい。遠位先端はまた、内部解剖学的空間の画像をキャプチャするために、ファイバスコープ又はデジタルカメラなどのカメラのためのポートを含んでもよい。関連して、遠位先端はまた、カメラを使用する場合に解剖学的空間を照明するための光源用のポートを含んでもよい。
【0057】
図16の例では、駆動シャフト軸、すなわち駆動入力軸は、細長いシャフト71の軸に直交する。しかしながら、この配置は、細長いシャフト71の圧延能力を複雑にする。駆動入力73を静止させながら、細長いシャフト71をその軸に沿って転がすことにより、腱が駆動入力73から延在し、細長いシャフト71内のプルルーメンに入るときに、腱の望ましくない絡まりをもたらす。そのような腱の結果としての絡まりは、内視鏡処置中の可撓性の細長いシャフト71の動きを予測することを意図した制御アルゴリズムを混乱させる可能性がある。
【0058】
図17は、駆動ユニットの軸が器具の細長いシャフトの軸に平行である、器具ドライバ及び器具の代替的な設計を示す。示されるように、円形の器具ドライバ80は、ロボットアーム82の端において平行に整列された駆動出力81を備える4つの駆動ユニットを含む。駆動ユニット及びそれらのそれぞれの駆動出力81は、アセンブリ83内の駆動ユニットのうちの1つによって駆動される器具ドライバ80の回転アセンブリ83内に収容される。回転駆動ユニットによって提供されるトルクに応答して、回転アセンブリ83は、回転アセンブリ83を器具ドライバ80の非回転部分84に接続する円形ベアリングに沿って回転する。電力及び制御信号は、ブラシ付きスリップリング接続(図示せず)による回転を通して維持され得る電気接点を介して、器具ドライバ80の非回転部分84から回転アセンブリ83に伝達されてもよい。他の実施形態では、回転アセンブリ83は、非回転可能部分84に一体化され、したがって他の駆動ユニットと平行ではない別個の駆動ユニットに応答してもよい。回転機構83は、器具ドライバ80が、器具ドライバ軸85周りの単一ユニットとして、駆動ユニット及びそれらのそれぞれの駆動出力81を回転させることを可能にする。
【0059】
先に開示した実施形態と同様に、器具86は、細長いシャフト部分88と、器具ドライバ80内の駆動出力81を受容するように構成された複数の駆動入力89(レセプタクル、プーリ、及びスプールなど)を含む器具基部87(説明目的のために透明な外部スキンで示される)と、を含んでもよい。先の開示された実施形態とは異なり、器具シャフト88は、器具基部87の中心から延在し、軸は駆動入力89の軸に実質的に平行であり、
図16の設計にあるように直交してはいない。
【0060】
器具ドライバ80の回転アセンブリ83に結合されると、器具基部87及び器具シャフト88を含む医療用器具86は、器具ドライバ軸85を中心にして回転アセンブリ83と一緒に回転する。器具シャフト88は器具基部87の中心に位置決めされているため、器具シャフト88は、取り付けられたときに器具ドライバ軸85と同軸である。したがって、回転アセンブリ83の回転により、器具シャフト88は、それ自体の長手方向軸を中心に回転する。更に、器具基部87が器具シャフト88と共に回転すると、器具基部87内の駆動入力89に接続された任意の腱は、回転中に絡まらない。したがって、駆動出力81、駆動入力89、及び器具シャフト88の軸の平行性は、制御腱を絡めることなくシャフト回転を可能にする。
【0061】
図18は、いくつかの実施形態による、器具ベースの挿入アーキテクチャを有する器具を示す。器具150は、上述の器具ドライバのいずれかに結合することができる。器具150は、細長いシャフト152と、シャフト152に接続されたエンドエフェクタ162と、シャフト152に結合されたハンドル170と、を含む。細長いシャフト152は、近位部分154及び遠位部分156を有する管状部材を含む。細長いシャフト152は、その外側表面に沿った1つ以上のチャネル又は溝158を含む。溝158は、1つ以上のワイヤ又はケーブル180をそれを通して受容するように構成されている。したがって、1つ以上のケーブル180は、細長いシャフト152の外側表面に沿って延びる。他の実施形態では、ケーブル180は、細長いシャフト152を通って延びることもできる。ケーブル180のうちの1つ以上の操作(例えば、器具ドライバを介して)により、エンドエフェクタ162の作動がもたらされる。
【0062】
器具基部とも称され得る器具ハンドル170は、一般に、器具ドライバの取り付け面上で1つ以上のトルクカプラと往復嵌合するように設計された1つ以上の機械的入力174、例えばレセプタクル、プーリ又はスプールを有する取り付けインターフェース172を含むことができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、器具150は、細長いシャフト152がハンドル170に対して並進することを可能にする一連のプーリ又はケーブルを含む。換言すれば、器具150自体は器具の挿入に適応する器具ベースの挿入アーキテクチャを含み、それによって器具150の挿入を提供するためにロボットアームへの依存を最小化する。他の実施形態では、ロボットアームは、器具の挿入に大きく関与することができる。
【0064】
E.コントローラ
本明細書に記載の任意のロボットシステムは、ロボットアームに取り付けられた器具を操作するための入力デバイス又はコントローラを含むことができる。いくつかの実施形態では、コントローラは、器具と結合(例えば、通信的に、電子的に、電気的に、無線的に、及び/又は機械的に)することができ、それによりコントローラの操作は、例えば、マスタースレーブ制御を介して、器具の対応する操作を引き起こす。
【0065】
図19は、コントローラ182の実施形態の斜視図である。本実施形態では、コントローラ182は、インピーダンス制御及びアドミタンス制御の両方を有することができるハイブリッドコントローラを含む。他の実施形態では、コントローラ182は、インピーダンス又は受動的制御だけを利用することができる。他の実施形態では、コントローラ182は、アドミタンス制御だけを利用することができる。ハイブリッドコントローラであることにより、コントローラ182は、有利には、使用中、より低い知覚慣性を有することができる。
【0066】
図示される実施形態では、コントローラ182は、2つの医療用器具の操作を可能にするように構成され、2つのハンドル184を含む。ハンドル184の各々は、ジンバル186に接続されている。各ジンバル186は、位置決めプラットフォーム188に接続されている。
【0067】
図19に示されるように、各位置決めプラットフォーム188は、プリズム接合部196によってカラム194に結合されたSCARAアーム(selective compliance assembly robot arm)198を含む。プリズム接合部196は、(例えば、レール197に沿って)カラム194に沿って並進して、ハンドル184の各々がz方向に並進され、第1の自由度を提供するように構成されている。SCARAアーム198は、x-y平面におけるハンドル184の動作を可能にし、2つの更なる自由度を提供するように構成されている。
【0068】
いくつかの実施形態では、1つ以上のロードセルがコントローラ内に位置決めされる。例えば、いくつかの実施形態では、ロードセル(図示せず)は、ジンバル186の各々の本体内に位置決めされる。ロードセルを設けることによって、コントローラ182の一部分は、アドミタンス制御下で動作することができ、それによって、使用中にコントローラの知覚慣性を有利に低減する。いくつかの実施形態では、位置決めプラットフォーム188はアドミタンス制御用に構成され、一方、ジンバル186はインピーダンス制御用に構成されている。他の実施形態では、ジンバル186はアドミタンス制御用に構成され、一方、位置決めプラットフォーム188はインピーダンス制御用に構成されている。したがって、いくつかの実施形態では、位置決めプラットフォーム188の並進又は位置自由度は、アドミタンス制御に依存することができ、一方、ジンバル186の回転自由度はインピーダンス制御に依存する。
【0069】
F.ナビゲーション及び制御
従来の内視鏡検査は、オペレータである医師に腔内誘導を提供するために、蛍光透視法(例えば、Cアームを通して送達され得るような)、及び他の形態の放射線ベースの撮像モダリティの使用を伴うことがある。対照的に、本開示によって企図されるロボットシステムは、放射線への医師の暴露を低減し、手術室内の機器の量を低減するために、非放射線ベースのナビゲーション及び位置特定手段を提供することができる。本明細書で使用するとき、用語「位置特定」は、基準座標系内のオブジェクトの位置を判定及び/又は監視することを指すことがある。術前マッピング、コンピュータビジョン、リアルタイムEM追跡、及びロボットコマンドデータなどの技術は、放射線を含まない動作環境を達成するために個別に又は組み合わせて使用されてもよい。放射線ベースの撮像モダリティが依然として使用されるその他の場合、術前マッピング、コンピュータビジョン、リアルタイムEM追跡、及びロボットコマンドデータは、放射線ベースの撮像モダリティによってのみ取得される情報を改善するために、個別に又は組み合わせて使用されてもよい。
【0070】
図20は、例示的な実施形態にかかる、器具の場所など、ロボットシステムの1つ以上の要素の場所を推定する位置特定システム90を示すブロック図である。位置特定システム90は、1つ以上の命令を実行するように構成されている1つ以上のコンピュータデバイスの組であってもよい。コンピュータデバイスは、上で考察された1つ以上の構成要素内のプロセッサ(又は複数のプロセッサ)及びコンピュータ可読メモリによって具現化されてもよい。例として、限定するものではないが、コンピュータデバイスは、
図1に示されるタワー30内にあっても、
図1~
図4に示されるカート11内にあっても、
図5~
図14に示されるベッド内にあってもよい。
【0071】
図20に示されるように、位置特定システム90は、入力データ91~94を処理して医療用器具の遠位先端の場所データ96を生成する位置特定モジュール95を含んでもよい。場所データ96は、基準系に対する器具の遠位端の場所及び/又は向きを表すデータ又は論理であってもよい。基準系は、患者の解剖学的構造、又はEM場発生器(EM場発生器についての以下の考察を参照)などの既知の物体に対する基準系とすることができる。
【0072】
ここで、様々な入力データ91~94についてより詳細に説明する。術前マッピングは、低用量CTスキャンの群を使用して達成することができる。術前CTスキャンは、例えば、患者の内部解剖学的構造の断面図の「スライス」として可視化される三次元画像へと再構成される。全体として分析される場合、患者の肺網などの患者の解剖学的構造の解剖学的空腔、空間、及び構造のための画像ベースのモデルが生成され得る。中心線形状(center-line geometry)などの手法をCT画像から決定及び近似して、モデルデータ91(術前CTスキャンのみを使用して生成された場合は「術前モデルデータ」とも称される)と称される患者の解剖学的構造の三次元ボリュームを作成することができる。中心線形状の使用は、米国特許出願第14/523,760号で考察されており、その内容はその全体が本明細書に組み込まれる。ネットワーク位相モデルもまた、CT画像から導出されてもよく、気管支鏡検査に特に適している。
【0073】
いくつかの実施形態では、器具はカメラを装備して、視覚データ(又は画像データ)92を提供してもよい。位置特定モジュール95は、視覚データ92を処理して、1つ以上の視覚ベースの(又は画像ベースの)位置追跡モジュール又は機能を有効にしてもよい。例えば、術前モデルデータ91は、医療用器具(例えば、内視鏡又は内視鏡の作業チャネルを通って前進する器具)のコンピュータビジョンベースの追跡を可能にするために、視覚データ92と共に使用されてもよい。例えば、術前モデルデータ91を使用して、ロボットシステムは、内視鏡の予想される移動経路に基づいて、モデルから、予測される内視鏡画像のライブラリを生成することができ、各画像はモデル内の場所にリンクされる。手術中に、このライブラリは、カメラ(例えば、内視鏡の遠位端でのカメラ)でキャプチャされたリアルタイム画像を画像ライブラリ内のものと比較して、位置特定を支援するために、ロボットシステムによって参照することができる。
【0074】
他のコンピュータビジョンベースの追跡技術は、追跡機能を使用して、カメラ、したがって内視鏡の動作を決定する。位置特定モジュール95のいくつかの特徴は、解剖学的管腔に対応する術前モデルデータ91内の円形幾何学形状を特定し、どの解剖学的管腔が選択されたか、並びにカメラの相対的な回転及び/又は並進運動を決定するために、それらの幾何学的形状の変化を追跡してもよい。位相マップの使用は、視覚ベースのアルゴリズム又は技術を更に向上させることがある。
【0075】
光学フロー、別のコンピュータビジョンベースの技術は、カメラの移動を推測するために、視覚データ92内のビデオシーケンス内の画像ピクセルの変位及び並進を分析してもよい。光学フロー技術の例としては、動作検出、オブジェクトセグメンテーション計算、輝度、動作補償符号化、立体視差測定などを挙げることができる。複数の反復にわたり多数のフレームを比較することにより、カメラ(及びしたがって内視鏡)の移動及び位置を判定することができる。
【0076】
位置特定モジュール95は、リアルタイムEM追跡を使用して、術前モデルによって表される患者の解剖学的構造に登録され得るグローバル座標系内に、内視鏡のリアルタイムの場所を生成することができる。EM追跡では、医療用器具(例えば、内視鏡器具)内の1つ以上の位置及び向きに埋め込まれた1つ以上のセンサコイルを含むEMセンサ(又はトラッカー)は、既知の位置に配置された1つ以上の静的EM場発生器によって生成されるEM場の変動を測定する。EMセンサによって検出された位置情報は、EMデータ93として記憶される。EM場発生器(又は送信機)は、埋め込まれたセンサが検出し得る低強度磁場を生成するために、患者に近接して配置することができる。磁場はEMセンサのセンサコイル内に小さな電流を誘導し、EMセンサとEM場発生器との間の距離及び角度を判定するためにこの電流が分析され得る。これらの距離及び向きは、患者の解剖学的構造の術前モデル内の位置と座標系内の単一の場所を整列させる幾何学的変換を判定するために、患者の解剖学的構造(例えば、術前モデル)に術中「登録」され得る。一旦登録されると、医療用器具の1つ以上の位置(例えば、内視鏡の遠位先端)に埋め込まれたEMトラッカは、患者の解剖学的構造を通る医療用器具の進行のリアルタイム表示を提供することができる。
【0077】
ロボットコマンド及び運動学データ94はまた、ロボットシステムのための位置特定データ96を提供するために、位置特定モジュール95によって使用されてもよい。関節運動コマンドから生じるデバイスピッチ及びヨーは、術前較正中に判定され得る。術中、これらの較正測定値は、既知の挿入深度情報と組み合わせて使用されて、器具の位置を推定し得る。代替的には、これらの計算は、EM、視覚、及び/又は位相モデリングと組み合わせて分析して、ネットワーク内の医療用器具の位置を推定し得る。
【0078】
図20が示すように、多くの他の入力データは、位置特定モジュール95によって使用することができる。例えば、
図20には示していないが、形状感知ファイバを利用する器具は、位置特定モジュール95が器具の場所及び形状を判定するために使用し得る形状データを提供することができる。
【0079】
位置特定モジュール95は、入力データ91~94を組み合わせて使用することができる。場合によっては、このような組み合わせは、位置特定モジュール95が入力データ91~94の各々から判定された場所に信頼重み(confidence weight)を割り当てる確率的アプローチを使用し得る。したがって、EMデータが信頼でき得ない場合(EM干渉が存在する場合など)、EMデータ93によって判定された場所の信頼性を低下させることになり、位置特定モジュール95は、視覚データ92並びに/又はロボットコマンド及び運動学データ94により重く依存してもよい。
【0080】
上で考察されるように、本明細書で考察されるロボットシステムは、上述の技術のうちの1つ以上の組み合わせを組み込むように設計することができる。タワー、ベッド、及び/又はカートをベースとするロボットシステムのコンピュータベースの制御システムは、例えば、永続的な磁気記憶ドライブ、ソリッドステートドライブなどの非一時的コンピュータ可読記憶媒体内に、コンピュータプログラム命令を記憶してもよく、コンピュータプログラム命令は、実行されると、システムに、センサデータ及びユーザコマンドを受信及び分析させ、システム全体の制御信号を生成させ、グローバル座標系内の器具の位置、解剖学的マップなどのナビゲーション及び位置特定データを表示させる。
【0081】
2.偏向可能な内視鏡。
本開示の実施形態は、尿管鏡検査のための腎臓などの様々な器官の開口部及び管腔を介して、様々な器官における病態にアクセス、視覚化、診断、及び/又は治療するための、可撓性内視鏡のためのシステム及び技術に関する。標的部位は内部にあることが多いため、医療用器具を標的部位に正確に誘導することが困難な場合がある。例えば、尿管鏡検査は、腎臓結石の治療に一般的に使用される医療処置である。処置中、尿管鏡又は内視鏡などの薄い可撓性管状用具又は医療器具が、尿道、膀胱及び尿管を通して、腎臓の腎盂内に挿入され、腎臓の所望の杯内に挿入され得る。
【0082】
腎臓などの様々な器官の開口部及び管腔を通してナビゲートするために、内視鏡又は尿管鏡は、1つ以上の方向に可撓性であり、偏向可能であるべきである。尿管鏡は、狭い自然な開口部及び管腔(例えば、尿道又は尿管)に適合するように適切にサイズ決定されるように十分に狭くなるべきであり、自然管腔のねじれ及び回転を適切にナビゲートするか、又は器官内の所望の領域に到達するのに十分に可撓性であり、かつ支持を提供する器官の構造を有さない所望の形状及び偏向を維持するのに十分に安定である。尿管鏡は、異なる直径、形状、及び構成の解剖学的構造の様々な部分を通って移動するように構成され得る。尿管鏡の直径は、解剖学的構造の様々な部分を通って移動するのに十分に小さくなければならず、一方で、尿管鏡の安定性及び制御を維持するのに十分大きくなければならない。尿管鏡は、解剖学的制約をナビゲートしながら様々な量の関節運動を実行するように構成することができる。
【0083】
尿管鏡検査の課題の1つは、尿管鏡の遠位先端又は末端近くの正確な制御を提供することができない可能性があり、特に尿管鏡がすでに有意に屈曲又は偏向されて、腎臓内の所望の標的(例えば、特定の杯内)に到達することができない場合がある。例えば、腎臓の中間又は下部の極性領域に到達するために有意な偏向又は屈曲半径がある場合、それは、尿管鏡を関節運動させて、例えば、前方又は後方向きの杯などの特定の杯を選択することが困難であり得る。
【0084】
それが、特に近位部がすでに有意に偏向されたときに、尿管鏡の遠位部又は端を細かく正確に関節運動させることが困難であり得る。それは、可撓性尿管鏡の近位又は中央領域の予測不可能な挙動を引き起こすことなく、遠位端を適切に制御することは困難であり得る。
【0085】
尿管鏡は、第1の平面内の1つ又は2つの方向に偏向可能であり得る。尿管鏡はまた、2つの平面の各々において1つ又は2つの方向に偏向可能であり得る。例えば、尿管鏡は、第1の平面内で2つの方向に偏向することができ、尿管鏡(又はその少なくとも一部)が4つの方向に偏向可能であるように、第2の平面内で2つの方向に偏向することもできる。更に、それは、少なくとも遠位部が、特定の前方又は後方向きの杯などの所望の領域に到達するように、1つ以上の平面で偏向可能であることが望ましい。
【0086】
図21は、本開示の態様による医療機器又は尿管鏡200の例示的な実施形態を示す。
図21に示す実施形態では、尿管鏡200は、器具基部又はハンドル210、細長いシャフト220、及び関節部230を含むことができるロボット制御器具であり得る。細長いシャフト220は、器具基部又はハンドル210から延在することができる。関節部230は、近位部240及び遠位部250を含むことができる。遠位部250の遠位端又は先端は、先端部分272を含み得る。近位部240はまた、第1又は近位関節部、関節部、屈曲部、又は偏向部、並びに双方向偏向部と呼ばれ得る。遠位部250はまた、遠位又は第2の関節部、関節部、屈曲部、又は偏向部、並びに4方向偏向部と呼ばれ得る。関節部230はまた、シャフト220の遠位端と見なすことができ、関節部、屈曲部、又は偏向部と呼ぶこともできる。
【0087】
1つ以上のケーブル、プルワイヤ、又はプルワイヤセグメントは、シャフト220及び関節部230の外面に沿って延びることができる。更に、1つ以上のケーブルは、シャフト220の中央管腔に沿って延びることができる。1つ以上のプルワイヤセグメントは、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又はそれ以上のプルワイヤ又はセグメントを含むことができる。
【0088】
1つ以上のケーブルの操作は、関節部230の作動又は偏向をもたらす。1つ以上のケーブルの操作は、器具基部又はハンドル210内に位置決めされた、又はそれに接続された1つ以上の器具ドライバを介して制御され得る。器具基部とも称され得る器具ハンドル210は、一般に、器具ドライバの取り付け面上で1つ以上のトルクカプラと往復嵌合するように設計された1つ以上の機械的入力、例えばレセプタクル、プーリ又はスプールを有する取り付けインターフェースを含むことができる。器具基部210は複数の駆動入力を含むことができる。複数の制御ケーブルが、複数の駆動入力に結合され、可撓性シャフト220に沿って延在する。複数の駆動入力は、
図1~
図20に記載されるものなどの、医療ロボットシステムからの駆動出力に応答して、複数のプルワイヤ又は制御ケーブルに張力を制御又は印加するように構成されている。更に、医療ロボットシステムのロボットアームは、尿管鏡を運ぶように構成することができる。ロボットアームは、複数の制御ケーブルに張力を加えて、関節部230を屈曲するように構成することができる。
【0089】
図21に示される実施形態では、尿管鏡200は、4つのプルワイヤ又はプルワイヤセグメント260、262、264、266を含む。複数のプルワイヤ又はプルワイヤセグメント260、262、264、266は、細長いシャフト220に沿って延在し、細長いシャフト220の先端部分272で終端することができる。いくつかの実施形態では、器具200は、1つ以上のケーブル260、262、264、266がシャフト220がハンドル210に対して並進することを可能にするように動作可能に結合され得る一連のプーリを備える。特定の器具200の実装態様に応じて、器具200は、1つ以上のプルワイヤ又はケーブル260、262、264、266に張力をかけることによって達成することができる1つ以上の異なる医療及び/又は外科的タスクを実行するように具体化することができるエンドエフェクタ(図示せず)を含むことができる。エンドエフェクタは、器具200の遠位端に位置決めされ得る。エンドエフェクタは、例えば、バスケット又はエネルギー放出用具などの1つ以上の用具を含むことができる。いくつかの例では、器具200は、細長いシャフト220を通って延在する作業チャネル270を含むことができ、バスケット又はレーザー用具などの少なくとも1つの用具(図示せず)が作業チャネルを通して挿入されて、患者の尿路内などの標的領域と相互作用させることができる。レーザー用具は、腎臓石のサイズを低減するために、患者の尿路内に位置する腎臓結石に適用されるように構成されたエネルギーを送達するように構成することができる。バスケット用具は、患者の尿路内に位置する腎石又はその部分を捕捉するように構成することができる。
【0090】
図22Aは、近位部240及び遠位部250の両方を含み得る、細長いシャフト220及び関節部230を含む、尿管鏡200の様々な部分の偏向の方向を示す医療器具又は尿管鏡200の例示的な実施形態を示す。
図22Aに示されるようなこれらの様々な偏向方向は、
図21に示され、説明される複数のプルワイヤ260、262、264、266によって制御又は作動され得る。解剖学的構造を通して尿管鏡200をナビゲートするために、近位部240及び遠位部250の両方は、第1の平面内の湾曲軸232に沿って2つの方向、例えば、第1の方向及び第3の方向に偏向可能であり得、第1及び第3の方向は、湾曲軸232に沿って互いに反対側にある(例えば、左/右又は下/後方)。遠位部250は、第2の平面内の湾曲軸234に沿って2つの方向に、例えば第2の平面内の第2の方向及び第4の方向に更に偏向可能であり得、第2及び第4の方向は、湾曲軸234(例えば、上/下又は前方/後方)に沿って互いに反対である。第1の平面は、第2の平面に対して直交又は横方向であり得る。第1の方向は、第2の方向に直交又は横方向であり得る。第3の方向は、第4の方向に直交又は横方向であり得る。したがって、遠位部250は、2つの平面及び4つの方向(例えば、左/右及び上/下)で偏向可能であり得る。
【0091】
図21に示される4つのプルワイヤ260、262、264、266は、関節部230を様々な方向(例えば、上下、左、右)に偏向させるように構成され得る。
図21に示されるような第1のプルワイヤ260は、関節部230を第1の平面内で第1の方向に偏向させるように構成され得る。第2のプルワイヤ262は、第2の平面内で関節部230を第2の方向に偏向させるように構成することができ、第2の平面は、第1の平面に横方向又は直交する。第3のプルワイヤ264は、第1の平面内の第1の方向とは反対の第3の方向に関節部230を関節運動させるように構成され得る。第4のプルワイヤ266は、第2の平面内の第2の方向とは反対の第4の方向に関節部230を関節運動させるように構成され得る。
【0092】
いくつかの実施形態では、尿管鏡200は、先端部分272に画像センサ又はカメラ650(
図26B)を含み得る。第1のプルワイヤ260は、カメラの基準系に対して水平軸に沿って第1の平面内で関節部230を第1の方向に関節運動させることができる。第2のプルワイヤ262は、カメラの基準系に対して垂直軸に沿って第2の平面内で関節部230を第2の方向に関節運動させることができる。いくつかの実施形態では、先端部分272は、1つ以上の光源(例えば、発光ダイオード)又は光ファイバなどの照明器750(
図26B)を含むことができ、(例えば、タワー内の)遠隔光源から光を搬送するように構成されている。照明器750は、カメラで取得された画像を介した視覚化を容易にするために、標的解剖学的構造を照明するように構成することができる。
【0093】
いくつかの実施形態では、第1のプルワイヤ260は、第1の平面内の第1の湾曲軸232に沿って第1の方向に近位部240及び遠位部250の両方を偏向させるように構成されている。いくつかの実施形態では、第2のプルワイヤ262は、第2の平面内の第2の湾曲軸234に沿って第2の方向に近位部240及び遠位部250の両方を偏向させるように構成されている。いくつかの実施形態では、第2のプルワイヤ262は、近位部240とは独立して、遠位部250を第2の方向に関節運動させるように構成され、第2の湾曲軸234に沿った第2の方向は、例えば、第1の湾曲軸232に沿って第1の方向に横方向である。
【0094】
更に、近位部240及び遠位部250は各々、異なる屈曲半径を有することができる。いくつかの実施形態では、第1のプルワイヤ260に引張力を加えると、遠位部250の遠位部分は、近位部240の近位部よりも小さい屈曲半径で第1の平面内の第1の方向に屈曲するように構成されている。いくつかの実施形態では、第1のプルワイヤ260に引張力を加えると、遠位部250の近位部分は、近位部240の遠位部分と同じ又はほぼ同じ屈曲半径で第1の方向に屈曲するように構成されている。いくつかの実施形態では、近位部240は、第1の平面内で第1の方向におけるその屈曲を可能にし、第2の平面内の第2の方向におけるその屈曲に抵抗する。いくつかの実施形態では、遠位部250は、(例えば、それぞれの第1及び第2の湾曲軸232、234に沿った)第1及び第2の方向におけるその屈曲を可能にする。
【0095】
図21に示されるように、器具基部210は、細長いシャフト220に結合することができる。細長いシャフト220は、長手方向軸線を画定し得る。細長いシャフト220は、細長いシャフト220の長手方向軸を中心に器具基部210に対して回転するように構成され得る。また、
図22Aに示されるように、細長いシャフト220は、細長いシャフト220の長手方向軸を中心として方向222に回転又は転がすことができる。器具基部210に対する細長いシャフト220の回転は、患者の下-上平面であり得る第1の平面内の第1の方向と、患者の前-後平面であり得る第2の平面内の第2の方向との両方を整列させるように動作可能であり得る。細長いシャフト220の圧延方向222は、関節部230の第1の方向を所望の第1の方向に方向付けるか、又は整列させるように構成され得る。例えば、尿管鏡200が先端部分272の視点から左右に回転するように方向付けられると、細長いシャフト220は、長手方向軸を中心として方向222に巻かれて、上下などの異なる方向に偏向を方向付けることができる。
【0096】
図22Bは、腎臓300の自然な管腔を通してナビゲートされる尿管鏡の例示的な実施形態を示す。腎臓300は、形状、サイズ、及び構成で広く変化するが、上部、中間及び下部極を有する平面構造としてほぼ一般化可能である。これらの極の各々から、前方又は後方にある一連の杯をステムする。尿管鏡200は、患者の尿路に挿入するように構成することができる。尿管鏡200を回転させることができ、それによって細長いシャフト220が細長いシャフト220の周りに巻かれて、関節部230を正しい方向に指す又は整列する。
【0097】
近位部240及び遠位部250の両方を含む関節部230の全長である尿管鏡200の複合偏向は、双方向偏向内視鏡として機能することができる。関節部230は、第1の平面(例えば、左及び/又は右)内の第1の方向に1つのユニットとして屈曲して、尿道、膀胱内、及び腎盂を通って移動するときに尿管鏡200を操縦することができる。双方向偏向部は、患者の尿管を横切るように構成することができる。関節部230の双方向偏向部は、腎臓300の様々な極にアクセスするように第1の方向に偏向するように構成することができる。偏向部は、第1の平面内の第1の湾曲軸232に沿って第1の方向に偏向して、腎臓300の特定の極にアクセスするように構成することができ、これは、偏向部230が著しく屈曲され得るため、尿管鏡200の一次偏向又は粗偏向と見なすことができる。いくつかの実施形態では、双方向及び4方向関節運動の両方を使用して、腎臓の様々な極にナビゲートすることができる。
【0098】
所望の極にアクセスした後、遠位部250の4方向屈曲部又は4方向偏向は、前方及び後方を指す杯を副選択するように構成することができる。所望の杯のサブ選択などの解剖学的構造を通して尿管鏡200の遠位端をナビゲートするために、遠位部250は、第1の方向を横切る第2の方向に偏向させることができる。4方向屈曲部の偏向は、より小さい又は正確な屈曲と見なすことができる。近位部240は、可撓性の細長いシャフトの一次又は粗偏向を含むことができる。遠位屈曲部は、可撓性の細長いシャフトの二次又は微細な関節運動を含むことができる。正確な第2の方向は、第2の平面内の第2の湾曲軸234に沿っていてもよく、関節部230の一次偏向曲線を維持しながら、尿管鏡200が前方及び後方を指す杯を副選択することを可能にすることができる。杯の漏斗に到達した後、関節部230の遠位部250は、第2の湾曲軸234に沿って第2の方向に方向付けられて、所望の前方又は後方向きの杯を選択することができる。
【0099】
細長いシャフト220、遠位部250、又は近位部240の長さは可変であり、その結果、長さは、尿管鏡200が杯の大部分又は腎臓の様々な極に到達することを可能にするように調整され得る。
【0100】
図23は、処置のために医療用器具又は尿管鏡を偏向させることを含む、医療処置を実行するための方法400の実施形態を示すフローチャートである。方法400は、ブロック402で始まり、ここで、器具の遠位部は、患者の尿管を介して腎臓又は患者に挿入される。本明細書に記載されるように、器具は、遠位部及び近位部を含むことができる。器具は、第1の平面及び第2の平面内で関節運動可能な屈曲部を含むことができ、第2の平面は、第1の平面に直交する。器具の近位部は、第1の平面内で関節運動するように拘束された屈曲部を含むことができる。器具は、例えば、
図1~
図22を参照して上述したロボットで使用可能な医療システムを用いて、ロボット制御することができる。器具は、手動で制御することができる。いくつかの実施形態では、初期アクセスは、尿道を介してなど、経皮的に、又は自然な患者の開口部を通して挿入される。
【0101】
次に、方法400は、ブロック404に移動し、ここで、器具は、屈曲部分の第1の平面を腎臓の平面と整列させるように転がす。いくつかの実施形態では、腎臓の平面は、腎臓の主平面又は腎臓の冠状面であり得る。
【0102】
次いで、方法400は、ブロック406に移動し、ここで、器具の関節部は、第1の平面内で関節運動される。いくつかの実施形態では、近位部は、第1の平面内でのみ関節運動するように制限又は拘束され得る。
【0103】
最後に、方法400は、ブロック408に移動し、ここで、器具の遠位部は、第1の平面及び第2の平面のうちの少なくとも1つ内で関節運動される。いくつかの実施形態では、器具の遠位部が、屈曲部分の唯一の部分であり得、第2の平面内で関節運動又は偏向され得る。いくつかの実施形態では、第2の平面は、第1の平面に対して直交又は横方向である。いくつかの実施形態では、第1の平面は、下-上平面であり得る。いくつかの実施形態では、第2の平面は、前-後平面であり得る。
【0104】
いくつかの実施形態では、方法400は器具を、膀胱、尿管、腎盂、及び所望の杯の漏斗を介してナビゲートするように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、ブロック406において、関節部の近位部分を関節運動させることは、一次偏向曲線を達成するように構成され得る。更に、ブロック408において、器具は、近位部分の一次偏向曲線を維持しながら、遠位部分を関節運動させるように構成され得る。加えて、いくつかの実施形態では、ブロック408において、遠位部分を関節運動させることは、遠位部分を通って漏斗を通って所望の杯までナビゲートするように構成されて、標的領域に到達することができる。
【0105】
図24Aは、単一平面内で偏向可能な尿管鏡の一部の例示的な実施形態を示す。この部分は、第1の平面内の1つ以上の軸232に沿って偏向可能である尿管鏡における第1の屈曲部450であり得る。第1の屈曲部440は、一連の整列したヒンジを介して接続された一連のリンク442a~cを含むことができる。前述のように、第1の屈曲部440は、尿管鏡の近位部分であり得る。第1の屈曲部440は、一連の整列したヒンジを介して接続された一連のリンク442を含むことができる。第1の屈曲部440は、第1の屈曲部440の各リンク442が、リンク442bを近位リンク442cに接続するための第1のヒンジ部材と、リンク442bを遠位リンク442aに接続するための第2のヒンジ部材とを含む、複数のリンク442を含むことができる。第1の屈曲部440は、任意の可変数の複数のリンクを含むことができる。
【0106】
各リンク442は、各リンク442の近位側又は底面に雌ヒンジ部材を提供する湾曲面、凹部又は開口部446を含むことができる。各リンク442は、リンク442の遠位側又は上面に雄型ヒンジ部材を提供する突出部444を含むことができる。突出部444は、リンク442の遠位側又は上面から遠位に延在することができる。凹部446は、隣接するリンク442の突出部444を受容又は係合するように構成することができる。凹部446は、カップ形状又はU字形であり得る。ヒンジは、隣接するリンク442(442a及び442bなど)間に形成され得る。ヒンジは、隣接するリンク442a又は442cの突出部444を受容する第1のリンク442bの凹部446によって形成することができる。凹部446及び突出部444の対応する形状は、第1の平面内の第1の湾曲軸232に沿った第1の方向における別のリンク442a又は442cに対する1つのリンク442bの回転を可能にすることができる。近位部440の整列したヒンジの各々は、隣接するヒンジに平行な枢動軸を中心に隣接するリンク442の一対を回転可能に接続することができる。各リンク442は、ヒンジが整列されるように整列させることができ、突出部444及び凹部446は、各リンク442上で互いに半径方向に整列している。第1の屈曲部440内のリンク442の各々について、第1のヒンジ部材及び第2のヒンジ部材は、整列されている。
【0107】
図24Bは、2つの異なる平面内で偏向可能な尿管鏡の一部の例示的な実施形態を示す。2つの平面内で偏向可能なこの部分(例えば、湾曲軸232、234に沿って)は、尿管鏡の第2の屈曲部450であり得る。第2の屈曲部450は、一連の千鳥状ヒンジを介して接続された一連のリンク452を含むことができる。前述のように、第2の屈曲部450は、尿管鏡の遠位部分であり得る。第2の屈曲部450は、複数のリンク452を含み、各リンク452は、リンク452を隣接する近位に位置するリンクに接続するように構成された第1のヒンジ部材(例えば、リンク452bを近位リンク452cに接続する)、及びリンクを隣接する遠位に位置するリンク(例えば、リンク452bに接続するリンク452aに接続する)に接続するように構成された第2のヒンジ部材を含む。関連する態様では、第2のヒンジ部材は、第1のヒンジ部材から、例えば、約90度で回転可能にオフセットされ得る。第2の屈曲部450は、任意の可変数の複数のリンクを含むことができる。
【0108】
近位部440のリンク442と同様に、第2の屈曲部450の各リンク452は、各リンク452の近位側又は底面に湾曲面、凹部又は開口部456を含むことができる。各リンク452は、リンク452の遠位側又は上面に突出部454を含むことができる。1つのリンク452bの凹部456は、隣り合う又は隣接するリンク452a又は452cの突出部454を受容又は係合するように構成され得る。ヒンジは、隣接するリンク452(452a及び452bなど)間に形成され得る。ヒンジは、隣接するリンク452a又は452cの突出部454を受容する第1のリンク452bの凹部456によって形成することができる。様々な実施形態では、雄及び雌のヒンジ部材の位置決めを逆にするか、又は修正することができることが理解されよう。例えば、雄ヒンジ部材は、各リンクの近位側に位置決めすることができ、雌ヒンジ部材は、各リンクの遠位側に位置決めすることができる。
【0109】
第2の屈曲部450では、隣接するリンク452の各対を接続するヒンジは、千鳥状になっている。ヒンジの千鳥状は、遠位部450が第1の平面内(例えば、第1の湾曲軸232に沿って)並びに(例えば、第2の湾曲軸234に沿った)第2の平面の両方で関節運動することを可能にすることができる。遠位部450の千鳥状ヒンジの各々は、隣接するヒンジに垂直な枢動軸を中心に隣接するリンク452の一対を回転可能に接続することができる。第2の屈曲部450内のリンク452a~cの各々について、他のすべてのヒンジ部材は、互いに90度オフセットされ位置決めされ得る。第1のヒンジ部材及び第2のヒンジ部材は、互いに90度オフセットされ位置決めされ得る。
【0110】
第2/遠位部450のリンクヒンジの千鳥配置は、
図24B及び
図25に示されており、他のすべてのヒンジ部材が互いにオフセットされているが、ヒンジ部材の千鳥状は、第3、第4、又は第5のヒンジ部材、又は任意の他のパターン又は数であり得る。例えば、第2の屈曲部450は、第1の対(A-A)が互いに整列され、第2の対(B-B)が互いに整列し、第1の対(A-A)から90度オフセットされ位置決めされ、第3の対(A-A)が互いに整列され、第2の対(B-B)から90度オフセットされ位置決めされるようなものであり得る。第3の対(AA)は、第1の対(A-A)と整列される。この交互の対は、A-A-B-Bヒンジパターンと呼ぶことができる。いくつかの実施形態では、この繰り返しパターンは、対の代わりに、3つ、4つ、5つ、又は任意の数のヒンジの交互のグループであり得る。
【0111】
交互のパターンは、ヒンジ数の等しい比率を有するか、又はヒンジ部材の比率が変化することができる。例えば、第1のヒンジ部材(A)は、第2のヒンジ部材(B)から90度オフセットされ得る。第3のヒンジ部材(B)は、第2のヒンジ部材(B)と整列させることができる。次いで、パターンは繰り返され、第4のヒンジ(A)部材は、第1のヒンジ部材(A)と整列させることができる。これは、A-B-Bパターンと呼ぶことができる。
【0112】
整列した千鳥状のヒンジのパターンは、第2の屈曲部450全体にわたって一貫し得る。整列した千鳥状のヒンジのパターンはまた、第2の屈曲部450を介して変化し得る。例えば、第2の屈曲部450の近位部分は、前述の2つの整列した交互ヒンジを有することができ、第2の屈曲部450の遠位部は、前述のように(
図24Bに示されるように)他のすべての千鳥状ヒンジを有することができる。
【0113】
第2の屈曲部450の千鳥状ヒンジ部材は、ヒンジ部材が互いに90度オフセットされているように示されているが、ヒンジ部材は、45~90度、50~75度、60~80度、80~90度など、任意の数の度で互いにオフセットされ得る。
【0114】
この第2の屈曲部450内のヒンジのパターン、範囲、又は長さを千鳥状で作成することができる様々なパターンがある。これにより、第2の屈曲部250は、ナビゲートされる所望の制御及び特定の患者の解剖学的構造に応じてカスタマイズ可能である、特定の屈曲半径又は屈曲プロファイルを有することを可能にする。同様に、(各部のリンク数又は個々のリンクの長さを有する)長さの異なる変形は、特定の屈曲半径又は屈曲プロファイルを変更することができ、したがって、第1の湾曲軸232及び/又は第2の屈曲部分がそれに沿って移動し得る第2の湾曲軸の形状を変更することができる。
【0115】
第1の屈曲部440のリンク442及び第2の屈曲部のリンク452は、各リンク442、452の遠位表面から遠位に延在する一連のポスト472を含み得る。一連のポスト472は、突出部444よりも長さが短く、各リンク442、452の半径の周りに位置決めされ得る。ポスト472は、遠位隣接リンクの底部又は近位面に接触し、係合するように構成され得る。これらのポスト472は、リンクが所望の方向に偏向されるときに支持を提供し得る。
【0116】
図25は、非偏向状態の尿管鏡の関節部430の例示的な実施形態を示す。尿管鏡は、
図24Aに記載されるような近位部440及び
図24Bに記載される遠位部450を含むことができる。
【0117】
近位部440の長さ及び遠位部450の長さは変化し得る。いくつかの実施形態では、近位部440の長さ及び遠位部450の長さは、等しくてもよい。他の実施形態では、近位部440の長さは、遠位部450の長さよりも長くてもよい。いくつかの実施形態では、近位部440の長さと遠位部550の長さとの比は、75:25、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、25:75、又は任意の他の好適な比であり得る。
【0118】
第1の屈曲部440の個々のリンク442の長さは変化し得る。例えば、一連のリンク442は、遠位方向に短縮する勾配長を有することができる(遠位リンク442は、第1の屈曲部440内の近位リンク442よりも長さが短い)。別の例では、第1の屈曲部440の近位部分は、第1の屈曲部440の遠位部分のリンク442よりも長い長さを有するリンク442を有することができる。同様に、第2の屈曲部450の個々のリンク452の長さは、同様の方法で変化することができる。追加的又は代替的に、隣接するリンクを互いに対して屈曲することができる角度は、屈曲半径を決定するように調整することができる。例えば、隣接するリンク間のヒンジ部材又は停止部を使用して、屈曲部の最小屈曲半径を拘束することができる。
【0119】
図26Aは、単一の平面内で関節運動した
図25の関節部430を示す。第1の屈曲部440及び第2の屈曲部450の両方は、同じ平面内で屈曲される。
図26Aに示すように、第2の屈曲部450内のリンク452の長さは、第1の屈曲部440内のリンク442の長さよりも短く、第1の屈曲部440の屈曲半径と比較して、第2の屈曲部450のより小さな屈曲半径を作り出す。
【0120】
図26Bは、
図25の尿管鏡を示し、
図26Aは2つの平面内に関節運動する。第1の屈曲部440は、第1の平面内で第1の方向に偏向される。第1の屈曲部404は、第1の平面内で屈曲するように拘束され得る。第2の屈曲部450は、第2の平面(第1の平面に直交する)内の第2の方向(第1の平面から、又は第1の方向から横方向に)で偏向される。第2の屈曲部は、第1の平面に沿って、かつ第1の平面の外に屈曲可能であり得る。
【0121】
図27Aは、1つの平面に偏向可能な尿管鏡の一部の別の例示的な実施形態を示す。この第1の部分は、1つの平面のみで偏向可能な尿管鏡の第1の屈曲部540であり得る。第1の屈曲部540は、第1の平面内よりも第2の平面においてより大きな屈曲剛性を有する変形可能な屈曲部を含むことができる。第1の屈曲部540の変形可能な屈曲部は、第1の管部を含むことができ、空隙542の第1のパターンは、その長手方向軸を中心に二次回転対称を有する。可撓性シャフトは、第1の屈曲部分540が、180度の回転対称を有する管の周りに一連の切り欠き542を含む管であり得る。一連の切り欠き又は空隙542は、一連の切り欠き又は空隙542が第1の屈曲部540の長さに沿って同じ場所に半径方向になるように、第1の屈曲部540の長さに沿って互いに整列され得る。一連の切り欠き又は空隙542は、それらが半径方向に互いに180度離れて位置決めされるように、長手方向軸の反対側に位置決めされ得る。一連の切り欠き又は空隙542は、第1の屈曲部540が可撓性を増加させ、第1の屈曲部540が第1の平面内で屈曲することを可能にする。
【0122】
図27Bは、2つの平面に偏向可能な尿管鏡の一部の例示的な実施形態を示す。この第2の部分は、2つの平面内で偏向可能な尿管鏡内の第2の屈曲部550であり得る(例えば、第1及び第2の平面が直交する)。第2の屈曲部550は、第1及び第2の平面において同じ屈曲剛性を有する変形可能な屈曲部を含むことができる。第2の屈曲部550の変形可能な屈曲部は、第1の屈曲部540と同様の第1のパターンを有する第2の管部を備え、第2の管部は、空隙552の第1のパターンを有し、尿管鏡が1つの平面内で偏向可能である。
【0123】
第1の屈曲部540内の空隙542の第1のパターンと同様に、第2の屈曲部550の変形可能な屈曲部は、第2の管部を含むことができ、第2の管部は、その長手方向軸を中心に二次回転対称を有する空隙552の第1のパターンを有する。第2の屈曲部550の変形可能な屈曲部はまた、その長手方向軸の周りにn次の回転対称を有する空隙554の第2のパターンを含み得、nは4の整数倍である。
【0124】
第1の屈曲部分540における第1の一連の切り欠き542と同様に、第2の屈曲部550は、180度の回転対称を有する管の周りの一連の切り欠き552を含む管であり得る。第2の屈曲部550は、90度の回転対称で管の周りに半径方向に位置決めされた第2の一連の切り欠き554を更に有することができる。
【0125】
第1の一連の切り欠き又は空隙552は、第1の一連の切り欠き又は空隙552が第2の屈曲部550の長さに沿って半径方向に同じ場所にあるように、第2の屈曲部550の長さに沿って互いに整列され得る。同様に、第2の一連の切り欠き又は空隙554は、第2の一連の切り欠き部554が第2の屈曲部550の長さに沿って半径方向に同じ位置にあるように、第2の屈曲部550の長さに沿って互いに整列されてもよい。第1の一連の切り欠き部又は空隙552は、長手方向軸の両側に位置決めされてもよく、その結果、それらは半径方向に180度離れて位置決めされてもよい。同様に、第2の一連の切り欠き又は空隙554は、それらが半径方向に互いに180度離れて位置決めされるように、長手方向軸の反対側に位置決めされ得る。
【0126】
図28Aは、1つの構成による例示的な内視鏡1210の一部分の底面図を示し、これは、
図21及び
図22A~
図22Bを参照して上述した実施形態と同様の器具200に結合され、器具と共に使用され得る。図示されるように、内視鏡1210は、内視鏡基部1211(又は内視鏡ハンドル)及び細長いシャフト(図示せず)を含む。細長いシャフト(
図21及び
図22A~
図22Bに示されるような細長いシャフト220など)は、内視鏡出口1242から遠位に延在し得る。細長いシャフトは、医療処置中、患者に挿入するように構成されている。細長いシャフトは、細長いシャフトが患者の解剖学的構造を通ってナビゲート及び操縦され得るように、関節運動可能かつ制御可能であるように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、細長いシャフト203は、尿道、尿管、胃腸管、食道、肺の気道(など)といった患者管腔に挿入され、そこを通って誘導されるように構成されている、細く可撓性のある本体を備える。上記のように、プルワイヤ(プルワイヤ260、262、264、266など)は、細長いシャフトの関節運動を制御するために、細長いシャフトの中又は上に含めることができる。細長いシャフトは、遠位端と近位端との間に延在することができる。遠位端は、患者に挿入されるように構成され得る。近位端は、内視鏡出口1242を介して内視鏡基部211に取り付けることができる。細長いシャフトは、遠位端に送達するために追加の器具又は用具が通過できる作業チャネル(図示せず)を含むことができる。内視鏡1210は、作業チャネルへのアクセスを可能にするように構成されている作業チャネル入口ポート(図示せず)を含み得る。器具シャフト入口1256は、器具シャフト(後述)の結合をその中に挿入することができ、作業チャネル入口ポート及び作業チャネル内に結合されることを可能にすることができる。
【0127】
内視鏡基部1211は、内視鏡1210の手動制御及びロボット制御の両方を可能にするように構成されている。例えば、内視鏡基部1211を、物理的に保持し、手動で操作して手動制御を提供する、及び、器具駆動機構に結合してロボット制御を提供するように構成されている。いくつかの実施形態では、滅菌アダプタを内視鏡基部1211と器具駆動機構との間に位置決めし、医療処置中に滅菌野を維持することができる。
【0128】
示されるように、内視鏡基部1211はハウジング1212を含むことができる。図示されるように、ハウジング1212はまた、それに結合された器具を含むように成形することができる。内視鏡基部1211は、1つ以上の内視鏡受容要素1276を含む。内視鏡受容要素1276は、別の器具の対応する要素(例えば、上述の器具200)と結合するように構成されている。例えば、内視鏡受容要素1276は、
図21に示されるように、器具基部又はハンドル210の対応する要素(図示せず)と結合することができる。内視鏡基部1211のハウジング1212は、施術者の手にある器具のハンドルに人間工学的にフィットするように、及び/又は別の器具を結合するように成形することができる。例えば、ハウジング1212は、手動制御中に内視鏡基部1211をより容易に又は快適に保持することを可能にできる。代替的に又は追加的に、ハウジング1212は、以下に説明するように、器具駆動機構上の1つ以上の未使用のロボット駆動出力へのアクセスを提供(又はブロックしない)できる。内視鏡基部1211は、医療器具システムの1つ以上の器具に電力を供給するために電力ユニットに接続するための電力アクセス1214を含むことができる。電力アクセス1214は、内視鏡1210に電気的及び/又は視覚的接続を提供するように構成することができる。図示される実施形態では、電力アクセス1214は、タワーにおいてコネクタにつながる、アンビリカルケーブルのストレインリリーフとして示されている。
【0129】
内視鏡基部1211は、その中に器具(例えば、上述の器具200)の挿入を可能にする器具シャフト入口1256を含むことができる。器具入口は、器具入口アクチュエータ1229を含み得る。器具入口アクチュエータ1229は、器具のシャフトの手動制御を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、器具入口アクチュエータ1229を締め付けて、器具シャフトと内視鏡1210との間の接続を改善することができる。器具入口アクチュエータ1229は、ルアーロックアセンブリを含むことができる。いくつかの実施形態では、器具入口アクチュエータ1229は、器具シャフト入口1256内の器具シャフトの不注意な滑り(例えば、並進、回転)を防止することができる。追加的又は代替的に、器具入口アクチュエータ1229は、施術者が器具シャフトを手動で回転させることを可能にするように構成され得る。
【0130】
内視鏡基部1211は、手動アクチュエータ1236を含むことができる。図示される実施形態では、手動アクチュエータ1236はレバーとして構成されているが、スライダ又はホイールなどの他の機械的構造が可能である。以下でより詳細に説明するように、手動アクチュエータ1236は、内視鏡1210の手動双方向偏向制御を提供するように構成されている。図示の実施形態では、手動アクチュエータ1236は、操作又は前後に回転されるように構成されている。手動アクチュエータ1236を第1の方向に動かすと、第1の平面内で第1の関節運動方向に細長いシャフトの関節運動を引き起こすことができ、手動アクチュエータ236を第2の方向(第1の方向の反対)に動かすと、第1の平面内で第3の関節方向(第1の関節方向の反対)に細長いシャフトの関節運動を引き起こすことができる。第1及び第3の関節運動方向は、実質的に反対(例えば、上下)であってもよいが、これは全ての実施形態ではそうである必要はない。
【0131】
内視鏡基部1211はまた、内視鏡出口1242によって制御可能な手動圧延入力を含むことができる。図示されていないが、内視鏡1210の細長いシャフトの遠位端は、内視鏡出口1242に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、細長いシャフトは、内視鏡出口1242を通って内視鏡1210のハウジング1212内に延在する。内視鏡出口1242は、細長いシャフトが内視鏡基部1211に対して回転することを可能にするように構成することができる。図示されるように、内視鏡出口1242は、ハウジング1212に対して回転できるツイスタ又は回転可能なハンドル又は把持部であり得る。例えば、内視鏡出口1242は、時計回り及び/又は反時計回りの動きで回転することができる。いくつかの実施形態では、内視鏡出口1242は時計回り及び反時計回りの両方向に回転する。内視鏡出口1242の回転が細長いシャフトの回転を引き起こすように、細長いシャフトは内視鏡出口1242に対して回転可能に固定され得る。細長いシャフトの回転は、内視鏡出口1242の対応する運動と同じ方向であり、それと等しくすることができるが、これは全ての実施形態ではそうである必要はない。細長いシャフトは、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも310、少なくとも320、少なくとも330、少なくとも340、少なくとも350、又は少なくとも360度の両方の回転方向へ回転(圧延)を可能にする。この圧延制御は任意であり、特定の実施形態では、圧延は、例えば、内視鏡1210を回転させることによって手動で制御され得る。
【0132】
図28Aを引き続き参照すると、内視鏡1210は、複数のロボット内視鏡駆動入力1262を含む。図示される実施形態では、内視鏡1210は3つのロボット内視鏡駆動入力1262を含むが、他の実施形態では、他の数のロボット内視鏡駆動入力1262が使用されてもよい。ロボット内視鏡駆動入力1262は、内視鏡基部1211が器具駆動機構に取り付けられたときに、器具駆動機構上の対応するロボット駆動出力と係合するように構成されている。例示的なロボット駆動出力及び器具駆動機構を
図15~
図17(前述)に示す。器具駆動機構のロボット駆動出力は、ロボット内視鏡駆動入力1262に係合し、トルクを伝達し、それを回転させる。いくつかの実施形態では、ロボット内視鏡駆動入力1262のそれぞれは、時計回り及び反時計回りの両方向に回転可能である。図示される実施形態では、ロボット内視鏡駆動入力1262は溝付き又はキー付きの凹部として構成され、突出スプラインとして構成されるロボット駆動出力と係合するように構成されている。ロボット駆動出力は、モータによって駆動され時計回り及び反時計回り方向に回転することができる。ロボット駆動出力がロボット内視鏡駆動入力1262と係合すると、ロボット駆動入力はロボット内視鏡駆動入力1262に回転運動を伝達する。いくつかの実施形態では、ロボット駆動出力はロボット内視鏡駆動入力1262を駆動する。いくつかの実施形態では、この構成は逆であってもよく、又はロボット駆動入力及び出力の他の種類及び構成を使用することができる。
【0133】
内視鏡1210の図示された実施形態は、少なくともロボット4方向偏向制御及びロボット圧延制御のために構成されている。この実施形態では、ロボット駆動入力1262のうちの2つが偏向制御用に構成され、ロボット駆動入力1262のうちの別のものが圧延制御用に構成される。偏向制御用に構成されているロボット駆動入力1262のうちの2つのそれぞれは、双方向偏向制御を可能にでき、これにより、一緒になって4方向偏向制御を達成することができる。
【0134】
以下でより詳細に説明するように、いくつかの実施形態では、ロボット内視鏡駆動入力1262の1つの第1のロボット駆動入力の作動は、手動駆動入力の作動と同じ細長いシャフトの関節運動を引き起こすように構成することができる。例えば、第1のロボット駆動入力及び手動アクチュエータ1236の両方は、細長いシャフトを上下方向に関節運動させるように構成することができる。これは、以下で説明するように、第1のロボット駆動入力及び手動アクチュエータ1236の両方が、内視鏡基部1211のハウジング1212内の同じ関節機構(例えば、対応するプーリ)に接続できるためである可能性がある。いくつかの実施形態では、手動アクチュエータ1236によって提供される双方向偏向制御は、第1のロボット駆動入力よって提供される双方向偏向制御と同じである。
【0135】
図28Bは、内視鏡基部211の内部構成要素の一部を示す。内視鏡基部1211の第1の側面図は、内部構成要素のいくつかを見るために、ハウジング1212の一部が除去されて示されている。示されるように、2つのプーリ(又はプーリアセンブリ)、である第1のプーリ1310a及び第2のプーリ1310bは、ハウジング1212内に位置決めされている。この実施形態では、第1のプーリ1310a及び第2のプーリ1310bのそれぞれは、細長いシャフトの4つの関節運動方向のうちの2つに関連付けられる。いくつかの実施形態では、関節運動の各平面(例えば、上下又は左右)は、1つのプーリアセンブリにリンクされ得る。例えば、細長いシャフトの上下関節運動は第1のプーリ1310aに関連付けられてもよく、細長いシャフトの左右関節運動は第2のプーリ1310bに関連付けられてもよい。
【0136】
図示される実施形態では、第1のプーリ1310aは対応する第1のロボット駆動入力に回転可能に結合され、第2のプーリ1310bは対応する第2のロボット駆動入力に回転可能に結合されている。したがって、第1のロボット駆動入力の回転は第1のプーリ1310aの対応する回転を引き起こすことができ、第2のロボット駆動入力の回転は第2のプーリアセンブリ1310bの対応する回転を引き起こすことができる。上記のように、第1のプーリ1310aの回転は、第1及び第3の方向(上下方向など)内の第1の平面内の細長いシャフトの関節運動を引き起こす可能性があり、第2のプーリ1310bの回転は、第2の方向及び第4の方向(左右の方向など)の第2の平面内の細長いシャフトの関節運動を引き起こす可能性がある。したがって、いくつかの実施形態では、ロボット4方向偏向制御は、第1及び第2のロボット駆動入力、並びに第1及び第2のプーリアセンブリ1310a、1310bによって達成され得る。あるいは、4つの別個のプーリを、4つの対応するロボット駆動入力と共に使用することができる。
【0137】
上記のように、手動アクチュエータ1236を使用して第1のプーリ1310aを回転できるように、手動アクチュエータ1236をまた第1のプーリ1310aに回転可能に結合することもできる。第1のプーリ1310aの回転は、第1及び第3の方向(上下方向など)内の第1の平面内の細長いシャフトの関節運動を引き起こす可能性がある。したがって、図示される実施形態では、手動アクチュエータ1236及び第1のロボット駆動入力の両方は、それぞれ第1のプーリ1310aに回転可能に結合されており、その結果、両方が、第1の平面内で第1及び第3の方向(例えば、上下方向)に細長いシャフトの関節運動を引き起こす可能性がある。図示される実施形態では、手動アクチュエータ1236は、第1のプーリ1310aに強固に取り付けられたレバーとして構成されている。例えば、手動アクチュエータ1236の端は、第1のプーリ1310aのシャフトに取り付けることができる。したがって、手動アクチュエータ1236の任意の動きは、第1のプーリ1310aに直接伝達され得る。したがって、内視鏡1210は、手動双方向偏向制御(手動アクチュエータ1236による)及び4方向偏向制御(第1及び第2のロボット駆動入力による)を行うように構成されている。
【0138】
図示される実施形態では、第2のプーリ1310bは、第2のロボット駆動入力でのみ関節運動可能である。いくつかの実施形態では、第2の手動アクチュエータ(図示せず)を第2のプーリ1310bに回転可能に結合させて、第2及び第4の方向(例えば、左及び右方向)の第2の平面内の細長いシャフトの手動制御を更に可能にすることができる。
【0139】
いくつかの例では、手動アクチュエータ1236は、近位部240及び/又は遠位部250を含む関節部230の関節運動を引き起こす可能性がある。例えば、手動アクチュエータ1236は、関節部230が2つの方向の偏向に制御されるように、(左/右又は下/後側など)内の近位部240及び遠位部250の両方の関節運動を引き起こす可能性がある。いくつかの例では、ロボットアームは、第1のロボット駆動入力又は第2のロボット駆動入力を介して、近位部240及び/又は遠位部250などの関節部230の部のうちの1つ以上の関節運動を引き起こし得る。いくつかの例では、ロボットアームは、遠位部250が4つの方向の偏向を達成するように制御され得るように、第1の平面内に(例えば、左端/右側又は下方/後方)及び第2の平面内にある(例えば、上下/後方又は前/後)関節運動を引き起こす可能性がある。いくつかの例では、近位部240は、手動アクチュエータ1236を通してなど、ユーザからの手動入力又は相互作用に応答して屈曲され得るが、遠位部250は、第1及び第2のロボット駆動入力を介してなど、ロボットアームによる制御に応答して屈曲することができる。別の例では、遠位部250は、手動アクチュエータ1236を通してなど、ユーザとの手動入力又は相互作用に基づいて、第1の平面で屈曲することができる。次いで、遠位部250は、第1、第2、及び/又は第3のロボット駆動入力(複数可)を通るなど、ロボットアームによる制御に基づいて、第1の平面から、及び第2の平面内で屈曲することができる。
【0140】
ロボットシャフト圧延は、第1のベベルギア1320及び第2のベベルギア1330によって達成され得る。第1のベベルギア1320は、第3のロボット駆動入力に取り付けられてもよく、これにより、第3のロボット駆動入力の回転が、第1のベベルギア1320の回転を引き起こすことができる。第2のベベルギア1330は、第2のベベルギア1330の回転が内視鏡基部1211に対して細長いシャフトの回転を引き起こし得るように、内視鏡1210の細長いシャフトの近位端に取り付けることができる。第1及び第2のベベルギア1320、1330は、第3のロボット駆動入力の回転運動を内視鏡1210の細長いシャフトに伝達するように係合され得る。例えば、示されるように、駆動ベルト1324を使用して、第1のベベルギア1320を第3のロボット駆動入力(図示せず)に距離から動作可能に結合することができる。第3の駆動入力は、第1のベベルギア1320の近位にあってもよい。第3の駆動入力は、内視鏡1210の第1のロボット駆動入力と第2のロボット駆動入力との間に配置され得る。第3のロボット駆動入力の回転運動を内視鏡1210の細長いシャフトに伝達するための他の方法及び機構も可能である。いくつかの実施形態では、細長いシャフトが転がされると、内部構成要素(コイルパイプ、プルワイヤ、電線、及び光ファイバなど)は、内視鏡1210の細長いシャフトの近位端と遠位端の両方に固定できるため、ねじることができる。内部構成要素のねじれは、細長いシャフト203の長さの全体にわたって達成することができ、近位及び遠位終端に加えられる結果として生じる力/トルクを最小化する。
【0141】
内視鏡1210はまた、電子コントローラ1328を含み得る。電子コントローラ1328は、電力アクセス1214を介して電力に結合され得る。電子コントローラ1328は、内視鏡1210の細長いチャネルの作業チャネルの内側に配置された1つ以上の要素の電子制御を提供するように構成することができる。例えば、内視鏡1210は、カメラ、光源、マイクロフォン、別のセンサ、及び/又は医療処置中に使用するための別の用具を含み得る。電子コントローラ1328は、これらの用具のうちの1つ以上の電力及び/又は信号を提供することができる。追加的又は代替的に、電子コントローラ1328は、これらの用具のうちの1つ以上から信号を受信し、その情報をコンピュータ(図示せず)に渡すことができる。例えば、電子コントローラ1328は、動画及び/又は音声信号を遠隔ディスプレイに通過させて、手術中に施術者を支援することができる。
【0142】
内視鏡1210は、1つ以上のガイド要素1332を含み得る。ガイド要素1332は、それを通る1つ以上のプルワイヤ(プルワイヤ260、262、264、266など)を受容し、内視鏡1210の細長いシャフトの作業チャネルを通過するのを促進するように配置及びサイズ決定することができる。ガイド要素1332は、有利には、細長いシャフトを関節運動させるため、プルワイヤ(プルワイヤ260、262、264、266など)に対する摩擦の損傷効果を低減し得る。ガイド要素1332は、第1及び/又は第2のプーリアセンブリ1310a、1310bと内視鏡出口1242との間に、プルワイヤ(プルワイヤ260、262、264、266など)を誘導することができる。ガイド要素1332の第1のレベルは、第1のプーリ1310aからプルワイヤを誘導するように構成され得、ガイド要素1332の第2のレベルは、第2のプーリ1310bからプルワイヤを誘導するように構成され得る。第1及び第2のレベルは、互いに(例えば、第1及び/又は第2のプーリアセンブリ1310a、1310bのうちの1つ以上の回転軸にほぼ平行な軸に沿って)離間され得る。
【0143】
プーリ1310a、1310bのうちの1つ又はそれぞれは、
図28Bに示されるような対応するプーリラチェット1314a、1314b及び/又はプーリロック機構1318a、1318bを含むことができる。明確にするために、第1のプーリ1310aを参照するが、同じ機能性が第2のプーリ1310bに適用され得る。プーリラチェット1314a、1314bは、製造中など、対応するプーリ1310a、1310bに初期張力を提供するために使用され得る。したがって、プーリラチェット1314a、1314bを回転させることによってプルワイヤ(プルワイヤ260、262、264、266など)が適切に張力をかけられると、プーリロック機構1318a、1318bは、プーリラチェット1314a、1314bが反対方向に回転するのを防ぐ。
【0144】
3.実装システム及び用語
本明細書に開示される実装態様は、様々な器官の自然な開口部及び管腔を介して様々な器官における病態にアクセス、視覚化、及び治療するための内視鏡検査のためのシステム、方法、及び装置を提供する。
【0145】
本明細書で使用するとき、用語「結合する」、「結合している」、「結合された」、又は結合という単語の他の変形は、間接的接続又は直接的接続のいずれかを示し得ることに留意されたい。例えば、第1の構成要素が第2の構成要素に「結合される」場合、第1の構成要素は、別の構成要素を介して第2の構成要素に間接的に接続される、又は第2の構成要素に直接的に接続される、のいずれかであってもよい。
【0146】
本明細書に記載の内視鏡システム機能の制御及び使用は、プロセッサ可読媒体又はコンピュータ可読媒体上の1つ以上の命令として記憶されてもよい。用語「コンピュータ可読媒体」は、コンピュータ又はプロセッサによってアクセスすることができる任意の利用可能な媒体を指す。一例として、限定するものではないが、このような媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気的消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、又は他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置、若しくは他の磁気記憶デバイス、又は命令若しくはデータ構造の形態で所望のプログラムコードを記憶するために使用することができ、コンピュータによってアクセスされ得る任意の他の媒体を含んでもよい。コンピュータ可読媒体は、有形であり、非一時的であってもよいことに留意されたい。本明細書で使用するとき、用語「コード」は、コンピューティングデバイス又はプロセッサによって実行可能であるソフトウェア、命令、コード、又はデータを指してもよい。
【0147】
本明細書に開示される方法は、記載される方法を達成するための1つ以上のステップ又は行為を含む。方法ステップ及び/又は行為は、特許請求の範囲から逸脱することなく互いに交換されてもよい。換言すれば、記載されている方法の適切な動作のために特定の順序のステップ又は行為が必要とされない限り、特許請求の範囲から逸脱することなく、特定のステップ及び/又は行為の順序及び/又は使用を修正してもよい。
【0148】
本明細書で使用するとき、用語「複数」は、2つ以上を示す。例えば、複数の構成要素は、2つ以上の構成要素を示す。用語「判定する」は、多種多様な行為を包含し、したがって、「判定する」は、計算する、演算する、処理する、算出する、調査する、ルックアップする(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造を見ること)、確認することなどを含むことができる。また、「判定する」は、受信する(例えば、情報を受信すること)、アクセスする(例えば、メモリ内のデータにアクセスすること)などを含むことができる。また、「判定する」は、解決する、選択する、選出する、確立するなどを含むことができる。
【0149】
語句「基づく」は、別途明示的に指定されない限り、「のみに基づく」ことを意味しない。換言すれば、語句「基づく」は、「のみに基づく」及び「少なくとも基づく」の両方を記載する。
【0150】
開示される実装形態の前述の説明は、任意の当業者が本発明を製造すること、又は使用することを可能にするために提供される。これらの実装形態に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかになり、かつ、本明細書で規定される一般的な原理は、本発明の範囲から逸脱することなく、他の実装形態に適用され得る。例えば、当業者であれば、用具構成要素の締結、装着、結合、又は係合の均等の方法、特定の作動運動を生み出すための均等の機構、及び電気エネルギーを送達するための均等の機構など、多くの対応する代替的かつ均等の構造的詳細を採用することができると理解されるであろう。したがって、本発明は、本明細書に示される実装形態に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示される原則及び新規な特徴と一致する最も広い範囲が与えられるものである。
【0151】
〔実施の態様〕
(1) 尿管鏡であって、
患者の尿路に挿入するように構成された細長いシャフトであって、近位部、遠位部、及び先端部分を備える、細長いシャフトと、
前記細長いシャフトに沿って延在し、前記細長いシャフトの前記先端部分で終端する複数のプルワイヤであって、第1のプルワイヤ及び第2のプルワイヤを備える、複数のプルワイヤと、を含み、
前記第1のプルワイヤが、前記近位部及び前記遠位部の各々を第1の方向に関節運動させるように構成され、
前記第2のプルワイヤが、前記近位部とは独立して、前記遠位部を第2の方向に関節運動させるように構成され、前記第2の方向は、前記第1の方向に対して横方向である、尿管鏡。
(2) 前記先端部分にカメラを更に備え、前記第1の方向が、前記カメラの基準系に対して水平軸に沿っており、前記第2の方向が、前記カメラの前記基準系に対して垂直軸に沿っている、実施態様1に記載の尿管鏡。
(3) 前記細長いシャフトに結合された器具基部を更に備え、前記細長いシャフトが、長手方向軸を画定し、前記細長いシャフトが、前記長手方向軸を中心に前記器具基部に対して回転するように構成されている、実施態様1に記載の尿管鏡。
(4) 前記器具基部に対して回転するように構成された前記細長いシャフトが、前記患者の下-上軸に沿って前記第1の方向を、前記患者の前-後軸に沿って前記第2の方向を整列させるように動作可能である、実施態様3に記載の尿管鏡。
(5) 前記複数のプルワイヤが、
前記近位部及び前記遠位部の各々を前記第1の方向とは反対の第3の方向に関節運動させるように構成された第3のプルワイヤと、
前記近位部とは独立して、前記遠位部を第4の方向に関節運動させるように構成された第4のプルワイヤであって、前記第4の方向が、前記第2の方向と反対である、第4のプルワイヤと、を更に含み、
前記第1の方向は、前記第2の方向に直交し、
前記第3の方向は、前記第4の方向に直交する、実施態様1に記載の尿管鏡。
【0152】
(6) 前記第1のプルワイヤに引張力を加えると、前記遠位部の遠位部分が、前記近位部の近位部分よりも小さい屈曲半径で前記第1の方向に屈曲するように構成されている、実施態様1に記載の尿管鏡。
(7) 前記第1のプルワイヤに前記引張力を加えると、前記遠位部の近位部分が、前記近位部の遠位部分と同じ屈曲半径で前記第1の方向に屈曲するように構成されている、実施態様6に記載の尿管鏡。
(8) 前記細長いシャフトを通って延在する作業チャネルを更に備え、前記作業チャネルが、バスケット用具又はレーザー用具のうちの少なくとも1つが前記作業チャネルを通して挿入されて、前記患者の前記尿路内の標的と相互作用することを可能にする、実施態様1に記載の尿管鏡。
(9) 前記近位部が、前記第1の方向におけるその屈曲を可能にし、前記第2の方向におけるその屈曲に抵抗し、
前記遠位部が、前記第1の方向及び前記第2の方向におけるその屈曲を可能にする、実施態様1に記載の尿管鏡。
(10) 前記近位部が、一連の整列したヒンジを介して接続された一連のリンクを備え、
前記遠位部が、一連の千鳥状ヒンジを介して接続された一連のリンクを備える、実施態様1に記載の尿管鏡。
【0153】
(11) 前記近位部の前記一連の整列したヒンジの各々が、隣接するヒンジに平行な枢動軸を中心に隣接する一対のリンクを回転可能に接続し、
前記遠位部の前記一連の千鳥状ヒンジの各々は、隣接するヒンジに垂直な枢動軸を中心に隣接する一対のリンクを回転可能に接続する、実施態様10に記載の尿管鏡。
(12) 前記近位部が、前記第1の方向よりも前記第2の方向により大きな屈曲剛性を有する変形可能な屈曲部を備え、
前記遠位部が、前記第1の方向及び前記第2の方向に同じ屈曲剛性を有する変形可能な屈曲部を備える、実施態様1に記載の尿管鏡。
(13) 尿管鏡であって、
医療ロボットシステムに結合するように構成された器具基部と、
前記器具基部から延在する可撓性シャフトであって、前記可撓性シャフトが、患者の尿管を横断するように構成された第1の関節部及び第2の関節部を備える、可撓性シャフトと、を含み、
前記第1の関節部が、第1の平面に沿ってその屈曲を可能にし、前記第1の平面に直交する第2の平面に沿ってその屈曲に抵抗し、
前記第2の関節部が、前記第1の平面及び前記第2の平面に沿ってその屈曲を可能にする、尿管鏡。
(14) 前記第1の関節部及び前記第2の関節部が各々、複数のリンクを備え、前記第1の関節部及び前記第2の関節部の各リンクが、前記リンクを近位リンクに接続するための第1のヒンジ部材と、前記リンクを遠位リンクに接続するための第2のヒンジ部材と、を備える、実施態様13に記載の尿管鏡。
(15) 前記第1の関節部内の前記複数のリンクの各々について、前記第1のヒンジ部材及び前記第2のヒンジ部材が、整列され、
前記第2の関節部内の前記複数のリンクの各々について、前記第1のヒンジ部材及び前記第2のヒンジ部材が、互いに90度オフセットされ位置決めされている、実施態様14に記載の尿管鏡。
【0154】
(16) 前記第1の関節部が、前記第2の関節部よりも長い、実施態様13に記載の尿管鏡。
(17) 前記第1の関節部と前記第2の関節部との長さの比が、60:40~50:50である、実施態様13に記載の尿管鏡。
(18) 前記可撓性シャフトが、管を備え、
前記第1の関節部は、180度の回転対称で前記管の周りに半径方向に位置決めされた一連の切り欠きを備え、
前記第2の関節部は、90度の回転対称で前記管の周りに半径方向に位置決めされた一連の切り欠きを備える、実施態様13に記載の尿管鏡。
(19) 前記器具基部内の複数の駆動入力と、
前記複数の駆動入力に結合され、前記可撓性シャフトに沿って延在する複数の制御ケーブルと、を更に備え、
前記医療ロボットシステムからの駆動出力に応答して、前記複数の駆動入力が、前記複数の制御ケーブルに張力を印加して、前記第1の関節部及び前記第2の関節部を前記第1の平面に沿って屈曲させ、前記第2の関節部を前記第1の平面及び前記第2の平面に沿って屈曲させるように構成されている、実施態様13に記載の尿管鏡。
(20) ロボット医療システムであって、
可撓性の細長いシャフトと、前記可撓性の細長いシャフトに沿って延在する複数の制御ケーブルとを備える医療器具であって、前記可撓性の細長いシャフトが、近位屈曲部及び遠位屈曲部を有し、前記近位屈曲部が、第1の平面に沿って屈曲するように拘束され、前記遠位屈曲部が、前記第1の平面に沿って前記第1の平面の外で屈曲可能である、医療器具と、
前記医療器具を運ぶように構成されたロボットアームであって、前記ロボットアームが、前記複数の制御ケーブルに張力を加えて、前記近位屈曲部及び前記遠位屈曲部の各々を屈曲させるように構成されている、ロボットアームと、を備える、ロボット医療システム。
【0155】
(21) 前記近位屈曲部が、前記可撓性の細長いシャフトの粗偏向を含み、前記遠位屈曲部が、前記可撓性の細長いシャフトの微細な関節運動を含む、実施態様20に記載のロボット医療システム。
(22) 前記可撓性の細長いシャフトが、前記可撓性の細長いシャフトを通って延在する作業チャネルを備え、前記作業チャネルが、そこを通って用具が挿入されて、患者の尿路内の標的と相互作用することを可能にする、実施態様20に記載のロボット医療システム。
(23) 前記用具が、前記患者の前記尿路内に位置する腎臓結石に適用されるように構成されたエネルギーを送達するように構成されたレーザー用具を備える、実施態様22に記載のロボット医療システム。
(24) 前記用具が、前記患者の前記尿路内に位置する腎臓結石又は腎臓結石の一部分を捕捉するように構成されたバスケット用具を備える、実施態様22に記載のロボット医療システム。
(25) 前記近位屈曲部は、双方向偏向部を備え、前記遠位屈曲部は、四方向偏向部を備える、実施態様20に記載のロボット医療システム。
【0156】
(26) 尿管鏡処置のための器具を使用する方法であって、前記器具が、遠位部及び近位部を備え、前記方法が、
前記器具の前記遠位部を、患者の尿管を介して前記患者の腎臓に挿入することであって、前記器具の前記遠位部が、第1の平面及び第2の平面内で関節運動可能である屈曲部を備え、前記第2の平面が、前記第1の平面に直交し、前記器具の前記近位部が、前記第1の平面内で関節運動するように拘束された屈曲部を含む、挿入することと、
前記第1の平面内で前記器具の前記近位部を関節運動させることと、
前記第1の平面及び前記第2の平面のうちの少なくとも1つの中で前記器具の前記遠位部を関節運動させることと、を含む、方法。
(27) 前記第1の平面を前記腎臓の平面と整列させるように前記器具を転がすことを更に含み、前記第1の平面が下-上平面を備え、前記第2の平面が前-後平面を含む、実施態様26に記載の方法。
(28) 前記近位部及び前記遠位部を関節運動させることが、前記近位部及び前記遠位部を、膀胱、尿管、腎盂、及び所望の杯の漏斗を介してナビゲートすることを含む、実施態様26に記載の方法。
(29) 前記遠位部を関節運動させることが、前記遠位部を、漏斗及び所望の杯を介して、標的領域に到達するようにナビゲートすることを含む、実施態様26に記載の方法。
(30) 前記近位部を関節運動させることが、所望の標的領域に到達するために粗偏向曲線を達成することを含み、前記遠位部を関節運動させることは、前記近位部の前記粗偏向曲線を維持することを含む、実施態様26に記載の方法。
【国際調査報告】