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特表2022-544583ピリミジノ-ジアゼピン誘導体の調製のための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-19
(54)【発明の名称】ピリミジノ-ジアゼピン誘導体の調製のための方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20221012BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221012BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20221012BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20221012BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20221012BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20221012BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20221012BHJP
   C07D 295/135 20060101ALI20221012BHJP
   A61K 31/551 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
C07D487/04 151
A61P35/00
A61P35/02
A61P29/00 101
A61P17/06
A61P13/12
A61P37/02
A61P29/00
C07D295/135
A61K31/551
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022509581
(86)(22)【出願日】2020-08-14
(85)【翻訳文提出日】2022-04-11
(86)【国際出願番号】 GB2020051950
(87)【国際公開番号】W WO2021032958
(87)【国際公開日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】1911796.9
(32)【優先日】2019-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2008591.6
(32)【優先日】2020-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506138030
【氏名又は名称】サイクラセル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】スケード ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ロンデスボロー デレク
(72)【発明者】
【氏名】チジェフスキ ミハル
(72)【発明者】
【氏名】アサートン クリス
(72)【発明者】
【氏名】ジル クリス
(72)【発明者】
【氏名】ハドソン アレックス
【テーマコード(参考)】
4C050
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050AA07
4C050BB08
4C050CC11
4C050EE04
4C050FF04
4C050GG03
4C050HH04
4C086AA04
4C086CB11
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA20
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZB07
4C086ZB11
4C086ZB15
4C086ZB26
4C086ZB27
(57)【要約】
1つの態様において、本発明は、式(XII)(式中、PGは、保護基である)の化合物、又は式(XI)の化合物を調製するための方法であって、(i)式XIII(式中、PGは、保護基である)の化合物をN-メチルピペラジンで処理して、式XIIの化合物を生成するステップであって、式XIIの前記化合物が、シス及びトランス異性体の混合物の形態である、ステップと、(ii)ステップ(i)において生成された混合物を有機溶媒と合わせ、そのように生成された溶媒混合物を加熱するステップと、(iii)ステップ(ii)において生成された溶媒混合物から式XIIの化合物のトランス異性体を単離するステップと、(iv)任意に式XIIの化合物の前記トランス異性体を酸で処理して、式XIの化合物を生成し、式XIの前記化合物を単離するステップとを含む、方法に関する。本発明のさらなる態様は、上記の方法及び中間体を使用して、ピリミド-ジアゼピノン誘導体を調製するための方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(XII)(式中、PGは、保護基である)の化合物、又は式(XI)の化合物を調製するための方法であって、
【化1】

(i)式XIII(式中、PGは、保護基である)の化合物をN-メチルピペラジンで処理して、式XIIの化合物を生成するステップであって、式XIIの前記化合物が、シス及びトランス異性体の混合物の形態である、ステップと、
(ii)ステップ(i)において生成された前記混合物を有機溶媒と合わせ、そのように生成された溶媒混合物を加熱するステップと、
(iii)ステップ(ii)において生成された前記溶媒混合物から式XIIの前記化合物の前記トランス異性体を単離するステップと、
(iv)任意に式XIIの前記化合物の前記トランス異性体を酸で処理して、式XIの化合物を生成し、式XIの前記化合物を単離するステップと
を含む、前記方法。
【請求項2】
PGが、アセチル、tert-ブトキシカルボニル(BOC)及びジベンジル(Bn)から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
保護基PGが、アセチルである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
保護基PGが、tert-ブトキシカルボニル(BOC)である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
保護基PGが、ジベンジル(Bn)である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(i)が、
(a)式XIIIの化合物、N-メチルピペラジン、溶媒及び酸を含む混合物を生成し、前記混合物を加熱するステップと、
(b)ステップ(a)において得られた前記混合物を冷却し、溶媒で希釈するステップと、
(d)ステップ(b)において得られた前記混合物を還元剤で処理するステップと、
(e)シス及びトランス異性体の混合物として式XIIの化合物を単離するステップと
を含む、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
ステップ(d)における還元剤が、NaBHである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(d)における還元剤が、LiBHである、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(i)(a)における溶媒が、トルエンであり、酸が、ベンゼンスルホン酸、パラ-トルエンスルホン酸及びメタンスルホン酸から選択されるスルホン酸であり、より好ましくはメタンスルホン酸である、請求項6~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
ステップ(ii)における有機溶媒が、アセトニトリルである、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
ステップ(ii)が、溶媒混合物を加熱するステップを含む、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
ステップ(iii)が、式XIIの化合物が溶液から沈殿するように混合物を冷却するステップと、そのように生成された沈殿物を濾過するステップと、任意に前記沈殿物を洗浄及び/又は乾燥するステップとを含む、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
ステップ(iii)が、混合物を0~約15℃、より好ましくは、約5~約10℃の温度に冷却するステップを含む、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
ステップ(iii)において得られた式XIIの化合物が、シス異性体を実質的に含まない、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
式XIIの化合物を酸で処理して、式XIの化合物を生成するステップを含む、請求項1~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
式XIIの化合物を濃HClで処理するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩を調製する方法であって、
(I)請求項1~16のいずれかに記載の方法により式XIの化合物を調製するステップと、
(II)式XIの前記化合物を式IIの化合物と接触させて、式Iの化合物を生成するステップ
【化2】

と、
(III)式Iの前記化合物を単離するステップと、
(IV)任意に式Iの前記化合物をその薬学的に許容される塩形態に変換するステップと
を含む、前記方法。
【請求項18】
式XIの化合物が、シス異性体を実質的に含まない、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ステップ(II)が、ジクロロメタン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)及び(2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)の存在下で行われる、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
式IIIの化合物を式Xの化合物と接触させるステップを含む反応により式IIの化合物を調製するステップ:
【化3】

をさらに含む、請求項17~19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
反応が、N-メチルピロリドン中で行われ、反応混合物が、少なくとも110℃、より好ましくは、約115℃~約125℃の温度に加熱される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
式IVの化合物をMeIで処理するステップを含む反応により式IIIの化合物を調製するステップ
【化4】

をさらに含む、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
反応が、t-BuOK及びTHFの存在下で行われ、好ましくは前記反応が、約10℃未満の温度で、より好ましくは、約0~約5℃の温度で行われる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
酢酸の存在下で式Vの化合物をFe粉末で処理するステップを含む反応により式IVの化合物を調製するステップ:
【化5】

をさらに含む、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
反応が、約25~約30℃の温度で行われる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
式VIの化合物を式IXの化合物と接触させるステップを含む反応により式Vの化合物を調製するステップ:
【化6】

をさらに含む、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項27】
反応が、アセトン及びKCOの存在下で、好ましくは約10℃未満、より好ましくは、約5℃未満の温度で行われる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
還元剤の存在下で式VIIの化合物をシクロペンタノンと接触させるステップを含む反応により式VIの化合物を調製するステップ:
【化7】

をさらに含む、請求項26又は27に記載の方法。
【請求項29】
反応が、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(STAB)及びジクロロメタンの存在下で行われる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
溶媒及びラネーニッケル触媒の存在下で式VIIIの化合物を水素化することにより式VIIの化合物を調製するステップ:
【化8】

をさらに含む、請求項28又は29に記載の方法。
【請求項31】
式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩を調製する方法であって、
(A)ラネーニッケル触媒の存在下で式VIIIの化合物を水素化して、式VIIの化合物を生成するステップ
【化9】

と、
(B)式VIIの前記化合物をシクロペンタノンと接触させて、式VIの化合物を生成するステップ
【化10】

と、
(C)式VIの前記化合物を式IXの化合物と接触させて、式Vの化合物を生成するステップ
【化11】

と、
(D)酢酸の存在下で式Vの前記化合物をFe粉末で処理して、式IVの化合物を生成するステップ
【化12】

と、
(E)式IVの前記化合物をMeIで処理して、式IIIの化合物を生成するステップ
【化13】

と、
(F)式IIIの前記化合物を式Xの化合物と接触させて、式IIの化合物を生成するステップ
【化14】

と、
(G)式IIの前記化合物を式XIの化合物と接触させて、式Iの化合物を生成するステップであって、好ましくは式XIの前記化合物が、シス異性体を実質的に含まない、ステップ
【化15】

と、
(H)式Iの前記化合物を単離するステップと、
(I)任意に式Iの前記化合物をその薬学的に許容される塩形態に変換するステップと
を含む、前記方法。
【請求項32】
式XIの化合物が、請求項1~16のいずれかに記載の方法により調製される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
式IIの化合物を調製するための方法であって、
N-メチルピロリドン中で式IIIの化合物を式Xの化合物と接触させるステップ、及び式IIの前記化合物を単離するステップ:
【化16】

を含む、前記方法。
【請求項34】
式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩を調製する方法であって、
(I’)請求項33に記載の方法により式IIの化合物を調製するステップと、
(II’)式IIの前記化合物を式XIの化合物と接触させて、式Iの化合物を生成するステップと、
(III’)式Iの前記化合物を単離するステップと、
(IV’)任意に式Iの前記化合物をその薬学的に許容される塩形態に変換するステップと
を含む、前記方法。
【化17】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピリミド-ジアゼピノン誘導体を調製するための方法、及びそれにおいて有用な中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポロ様キナーゼは、細胞周期進行及びDNA損傷応答の決定的な制御因子であるセリントレオニンキナーゼの一ファミリーである(Petronczki et al, Curr Opin Cell Biol. 2008 Dec; 20(6):650-60)。PLK1は、がんにおいて頻繁に過剰発現され、そのレベルは、攻撃性と相関し、かつ結果の予測に関して予後的価値を有する(Kanaji et al. Oncology. 2006; 70(2):126-33)。がん細胞増殖は、小分子PLK1阻害剤及びPLK1アンチセンス/siRNAによりインビトロ及びインビボで阻止される(Spankuch et al, Oncogene, 2007 Aug 23; 26(39):5793-807)。PLK1阻害剤は、有糸分裂停止及びその後のアポトーシス誘導を引き起こす。有糸分裂及び細胞分裂におけるPLK1の中心的役割のために、急速に増殖する正常細胞もPLK1阻害剤により影響される。結果として臨床PLK1阻害剤は、狭い治療域を示しており、著しい血液毒性を引き起こすことが示されている(Schoffski et al, Eur J Cancer, 2012 Jan; 48(2):179-86)。治療域を広げることになる患者/腫瘍選択マーカー及び治療レジメンの特定は、これらの薬剤の開発の成功にとって決定的である。変異体TP53は、PLK1阻害剤への感受性の1つのそのような予測マーカーになり得ることが示されている(Degenhardt et al, Clin Cancer Res. 2010 Jan 15; 16(2):384-9)。
【0003】
小分子ベンゾチアゾール-3-オキシドPLK1阻害剤及び増殖性障害の治療におけるその使用が、Cyclacel Limited社の名義の国際特許出願国際公開第2004/067000号に記載されている。加えて、一連のピリミド-ジアゼピノン分子は、PLK1を強力かつ選択的に阻害することも示されており(国際特許出願国際公開第2009/040556号;Cyclacel Limited社参照)、インビトロ及びインビボでの強い抗増殖活性を実証している。
【0004】
4-((9’-シクロペンチル-5’-メチル-6’-オキソ-5’,6’,8’,9’-テトラヒドロスピロ-[シクロプロパン-1,7’-ピリミド[4,5-b][1,4]ジアゼピン]-2’-イル)アミノ)-3-メトキシ-N-((trans)-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)ベンズアミド、又は4-(9’-シクロペンチル-5’-メチル-6’-オキソ-5’,6’,8’,9’-テトラヒドロスピロ[シクロプロパン-1,7’-ピリミド[4,5-b][1,4]ジアゼピン]-2’-イルアミノ)-N((trans)-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)-3-メトキシベンズアミドとしても既知の化合物Iは、国際公開第2009/040556号において最初に開示され、以下に示される構造を有する:
【0005】
【化1】
【0006】
研究は、化合物Iがポロ様キナーゼ1(PLK1, polo-like kinase 1)の強力な阻害剤であり、それによって、ある範囲の増殖性障害(がん、白血病、リンパ腫、糸球体腎炎、関節リウマチ及び乾癬を包含するがこれらに限定されない)、免疫介在性及び炎症性障害、自己免疫性及び自己免疫介在性障害、腎臓障害並びにウイルス性障害の治療において化合物Iを治療的に有用にすることを実証した。
【0007】
国際公開第2009/040556号には、DMF中のDIPEA及びTBTUの存在下で式(II)の化合物を4-(4-メチルピペラジン-1-イル)シクロヘキサンアミンと反応させ、続いて分取RP-HPLC-MSによりトランス異性体を分離して、所望の生成物を18%の収率で産生することにより化合物Iが調製され得ることが開示されている:
【0008】
【化2】
【0009】
国際公開第2009/040556号には、酢酸及びナトリウムトリアセトキシボロヒドリドの存在下でN-ベンジルオキシカルボニル-4-アミノシクロヘキサノンをN-メチルピペラジンで処理し、続いて水素化することによりシス/トランス異性体の混合物の形態の4-(4-メチルピペラジン-1-イル)シクロヘキサンアミンが調製され得ることが開示されている。
【0010】
本発明は、化合物Iを調製するための代替の方法、及び前記方法における使用のための中間体を提供しようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第2004/067000号
【特許文献2】国際公開第2009/040556号
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Petronczki et al, Curr Opin Cell Biol. 2008 Dec; 20(6):650-60
【非特許文献2】Kanaji et al. Oncology. 2006; 70(2):126-33
【非特許文献3】Spankuch et al, Oncogene, 2007 Aug 23; 26(39):5793-807
【非特許文献4】Schoffski et al, Eur J Cancer, 2012 Jan; 48(2):179-86
【非特許文献5】Degenhardt et al, Clin Cancer Res. 2010 Jan 15; 16(2):384-9
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様は、式(XII)(式中、PGは、保護基である)の化合物、又は式(XI)の化合物を調製するための方法であって、
【0014】
【化3】
【0015】
(i)式XIII(式中、PGは、保護基である)の化合物をN-メチルピペラジンで処理して、式XIIの化合物を生成するステップであって、式XIIの前記化合物が、シス及びトランス異性体の混合物の形態である、ステップと、
(ii)ステップ(i)において生成された前記混合物を有機溶媒と合わせ、そのように生成された溶媒混合物を加熱するステップと、
(iii)ステップ(ii)において生成された溶媒混合物から式XIIの化合物のトランス異性体を単離するステップと、
(iv)任意に式XIIの化合物の前記トランス異性体を酸で処理して、式XIの化合物を生成し、式XIの前記化合物を単離するステップと
を含む、前記方法に関する。
【0016】
化合物XIは、化合物(I)の調製における有用な中間体である。化合物(I)を調製するための先行技術の方法には、合成における中間体としての化合物XIのシス/トランス混合物の使用が記載されている。有利に、化合物XIIのトランス異性体(したがってXI)を単離することは、収率の著しい改善につながる。
【0017】
本発明の第2の態様は、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩を調製する方法であって、
(I)前記第1の態様において上記した通りの方法により式XIの化合物を調製するステップと、
(II)式XIの前記化合物を式IIの化合物と接触させて、式Iの化合物を生成するステップと、
【0018】
【化4】
【0019】
(III)式Iの前記化合物を単離するステップと、
(IV)任意に式Iの前記化合物をその薬学的に許容される塩形態に変換するステップと
を含む、前記方法に関する。
【0020】
本発明の第3の態様は、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩を調製する方法であって、
(A)ラネーニッケル触媒の存在下で式VIIIの化合物を水素化することにより式VIIの化合物を生成するステップと、
【0021】
【化5】
【0022】
(B)還元剤の存在下で式VIIの前記化合物をシクロペンタノンと接触させて、式VIの化合物を生成するステップと、
【0023】
【化6】
【0024】
(C)式VIの前記化合物を式IXの化合物と接触させて、式Vの化合物を生成するステップと、
【0025】
【化7】
【0026】
(D)酢酸の存在下で式Vの前記化合物をFe粉末で処理して、式IVの化合物を生成するステップと、
【0027】
【化8】
【0028】
(E)式IVの前記化合物をMeIで処理して、式IIIの化合物を生成するステップと、
【0029】
【化9】
【0030】
(F)式IIIの前記化合物を式Xの化合物と接触させて、式IIの化合物を生成するステップと、
【0031】
【化10】
【0032】
(G)式IIの前記化合物を式XIの化合物と接触させて、式Iの化合物を生成するステップであって、好ましくは式XIの化合物が、シス異性体を実質的に含まない、ステップと、
【0033】
【化11】
【0034】
(H)式Iの化合物を単離するステップと、
(I)任意に式Iの前記化合物をその薬学的に許容される塩形態に変換するステップと
を含む、前記方法に関する。
【0035】
本発明の第4の態様は、式IIの化合物を調製するための方法であって、N-メチルピロリドン中で式IIIの化合物を式Xの化合物と接触させ、式IIの化合物を単離するステップ:
【0036】
【化12】
【0037】
を含む、方法に関する。
【0038】
本発明の第5の態様は、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩を調製する方法であって、
(I’)上の第4の態様に記載した通りの方法により式IIの化合物を調製するステップと、
(II’)式IIの前記化合物を式XIの化合物と接触させて、式Iの化合物を生成するステップと、
【0039】
【化13】
【0040】
(III’)式Iの化合物を単離するステップと、
(IV’)任意に式Iの前記化合物をその薬学的に許容される塩形態に変換するステップと
を含む、方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0041】
式XII又はXIの化合物を調製するための方法
本発明の第1の態様は、式XII(式中、PGは、保護基である)の化合物を調製するための方法であって、
【0042】
【化14】
【0043】
(i)式XIII(式中、PGは、保護基である)の化合物をN-メチルピペラジンで処理して、式XIIの化合物を生成するステップであって、式XIIの前記化合物が、シス及びトランス異性体の混合物の形態である、ステップと、
(ii)ステップ(i)において生成された前記混合物を有機溶媒と合わせ、そのように生成された溶媒混合物を加熱するステップと、
(iii)ステップ(ii)において生成された前記溶媒混合物から式XIIの前記化合物の前記トランス異性体を単離するステップと
を含む、前記方法に関する。
【0044】
1つの実施形態において、前記方法は、式トランスXIIの前記化合物を酸で処理することにより、式トランスXIIの前記化合物を式XIの化合物に変換し、式XIの前記化合物を単離するステップをさらに含む。
【0045】
本明細書において使用されるとき、「PG」は、アミノ保護基を指す。当業者は、適切なアミノ保護基についてよく知っているであろう。アミノ保護基の例は、Green et al, "Protective Groups in Organic Chemistry", (Wiley, 2nd ed. 1991)及びHarrison et al, "Compendium of Synthetic Organic Methods", Vols. 1-8 (John Wiley and Sons, 1971-1996)に見出され得る。代表的なアミノ保護基は、ホルミル、アセチル(Ac, acetyl)、トリフルオロアセチル、ベンジル(Bn, benzyl)、ジベンジル(Bn, dibenzyl)、メチルカルバメート、ホルムアミド、ベンジルオキシカルボニル(CBZ, benzyloxycarbonyl)、tert-ブトキシカルボニル(BOC, t-butoxycarbonyl)、トリメチルシリル(TMS, trimethylsilyl)、2-トリメチルシリルエタンスルホニル、(SES, 2-trimethylsilylethanesulfonyl)、トリチル及び置換トリチル基、アリルオキシカルボニル、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC, 9-fluorenylmethyloxycarbonyl)、ニトロベラトリルオキシカルボニル(NVOC, nitroveratryloxycarbonyl)及び同種のものを包含するが、これらに限定されない。
【0046】
本出願人による検討は、還元剤の選択肢と組み合わせた保護基PGの性質が、本発明の第1の態様による方法のステップ(i)において生成されるシス異性体に対するトランスの比に影響し得ることを実証した。この点に関して、ある種の保護基は、シス異性体に比べて、優先的にトランス異性体の生成につながる。理論によって束縛されることは望まないが、シス異性体に対してより大きい割合のトランスを含有する混合物は、操作及び精製するのが一般により容易であること、及びいくつかのケースにおいて、所望のトランス異性体は、クロマトグラフィーを必要とせずに得られ得ることが考えられる。これは、スケールアップの点で明白な利益を有する。
【0047】
好ましくは、シス異性体に対するトランスの比は、少なくとも約60~約40(重量パーセントで)、より好ましくは、少なくとも約65~約35、さらにより好ましくは少なくとも約70~約30、さらにより好ましくは、少なくとも約75~約25、より好ましくは少なくとも約80~約20、より好ましくは少なくとも約85~約15、さらにより好ましくは少なくとも約90~約10である。
【0048】
好ましくは、方法のステップ(i)において生成された混合物は、シス異性体に比べて、少なくとも60%の割合のトランス異性体、より好ましくは少なくとも約65%、さらにより好ましくは少なくとも約70%、さらにより好ましくは、少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約85%、さらにより好ましくは少なくとも約90%のトランス異性体を含む。
【0049】
好ましくは、シス異性体に対するトランスの比は、シス異性体に比べて、トランス異性体に有利に、少なくとも60%(重量)、トランス異性体に有利に、より好ましくは少なくとも約65%、さらにより好ましくは少なくとも約70%、さらにより好ましくは、少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約85%、さらにより好ましくは少なくとも約90%である。
【0050】
1つの好ましい実施形態において、シス異性体に対するトランスの比は、約60~約40(重量パーセントで)、より好ましくは、約65~約35、さらにより好ましくは約70~約30、さらにより好ましくは、約75~約25、より好ましくは約80~約20、より好ましくは約85~約15、さらにより好ましくは約90~約10である。
【0051】
1つの特に好ましい実施形態において、PGは、アセチル基である。実例として、本出願人による検討は、アセチル保護基の使用が、そのように生産された粗材料において、ステップ(i)におけるトランスXII対シスXIIの特に有利な比、例えば、約65:35%のトランスXII対シスXIIの比につながることを実証した。次いで、トランス異性体(トランスXII)は、粗混合物から分離され、さらに精製され得る。次いで、アセチル基が除去され、化合物XIが、従来の手段によりさらに精製され得る。
【0052】
別の特に好ましい実施形態において、PGは、tert-ブトキシカルボニル(BOC)である。例として、本出願人による検討は、BOC保護基の使用が、そのように生産された粗材料において、トランス/シス異性体のさらにいっそう有利な比、例えば、約75:25%のトランスXII対シスXIIの比につながることを実証した。次いで、トランス異性体(トランスXII)は、粗混合物から分離され、さらに精製され得る。BOC保護基の使用は、アセチル保護基(約25%)と比べて、トランスXIIの改善された収率(約32%)にもつながる。次いで、BOC基が除去され、化合物XIが、従来の手段によりさらに精製され得る。有利に、BOC-保護された誘導体XIIは結晶性であり、したがって、実験室内で操作及び精製するのが容易である(例えば、クロマトグラフィーの必要を回避することによる)。これは、収率最適化及びスケールアップにおいて重要な要素である。さらに、BOC保護基は、穏やかな条件下で除去され得、これもやはり、スケールアップ手順の開発のための重要な要素である。
【0053】
別の好ましい実施形態において、PGは、ジベンジル(Bn)である。
【0054】
1つの好ましい実施形態において、ステップ(i)は、(a)式XIIIの化合物、N-メチルピペラジン、溶媒及び酸を含む混合物を生成し、前記混合物を加熱するステップを含む。
【0055】
1つの好ましい実施形態において、ステップ(i)は、(b)ステップ(a)において得られた混合物を冷却し、溶媒で希釈するステップをさらに含む。
【0056】
1つの好ましい実施形態において、ステップ(i)は、(c)ステップ(b)において得られた混合物を還元剤で処理するステップをさらに含む。
【0057】
1つの好ましい実施形態において、ステップ(i)は、(d)シス及びトランス異性体の混合物として式XIIの化合物を単離するステップをさらに含む。
【0058】
1つの好ましい実施形態において、ステップ(i)は、
(a)式XIIIの化合物、N-メチルピペラジン、溶媒及び酸を含む混合物を生成し、前記混合物を加熱するステップと、
(b)ステップ(a)において得られた前記混合物を冷却し、溶媒で希釈するステップと、
(c)ステップ(b)において得られた前記混合物を還元剤で処理するステップと、
(d)シス及びトランス異性体の混合物として式XIIの化合物を単離するステップと
を含む。
【0059】
1つの好ましい実施形態において、ステップ(i)(a)における反応混合物は、少なくとも60℃、さらにより好ましくは少なくとも70℃、より好ましくは少なくとも80℃、さらにより好ましくは少なくとも90℃の温度に加熱される。
【0060】
好ましくは、ステップ(i)(a)における反応混合物は、共沸蒸留に供される。より好ましくは、共沸蒸留は、ディーン・スターク装置を使用して行われる。
【0061】
ディーン・スターク装置は、典型的には、共沸蒸留において、例えば反応中に生み出された水の除去のために、使用される。ディーン・スターク装置を使用するとき、反応は、水と不混和性である溶媒中で実施され、これは、水とのより低沸点の共沸混合物を生成し、これは、水より低い密度を有する。還流条件下、ディーン・スターク装置は、溶媒を反応混合物に連続的に戻すことを可能にし、一方、水は、ディーン・スターク装置内に捕集され、その後、排出される。ディーン・スターク装置を使用する、反応からの水の抽出に適切な溶媒の例は、トルエン、ベンゼン、及びキシレンを包含する。
【0062】
1つの好ましい実施形態において、ステップ(i)(a)における溶媒は、水と不混和性である。
【0063】
1つの好ましい実施形態において、ステップ(i)(a)における溶媒は、水とのより低沸点の共沸混合物を生成する。
【0064】
1つの好ましい実施形態において、ステップ(i)(a)における溶媒は、水より低い密度を有する。
【0065】
1つの好ましい実施形態において、ステップ(i)(a)における溶媒は、水と不混和性であり、水とのより低沸点の共沸混合物を生成し、かつ水より低い密度を有する。
【0066】
1つの好ましい実施形態において、ステップ(i)(a)における溶媒は、トルエン、ベンゼン、及びキシレンから選択される。
【0067】
1つの好ましい実施形態において、ステップ(i)(a)における溶媒は、トルエンである。
【0068】
1つの好ましい実施形態において、酸は、スルホン酸であり、より好ましくはベンゼンスルホン酸、パラ-トルエンスルホン酸及びメタンスルホン酸から選択される。1つの特に好ましい実施形態において、酸は、メタンスルホン酸である。
【0069】
1つの非常に好ましい実施形態において、ステップ(i)における溶媒は、トルエンであり、酸は、メタンスルホン酸である。
【0070】
1つの好ましい実施形態において、ステップ(i)(a)は、混合物を加熱して、還流させるステップを含む。好ましくは、混合物は、還流温度で少なくとも2時間、より好ましくは少なくとも3時間、より好ましくは少なくとも4時間、さらにより好ましくは少なくとも5時間の期間加熱される。好ましくは、反応は、ディーン・スターク装置内で行われる。
【0071】
1つの好ましい実施形態において、ステップ(i)(b)は、混合物を約50℃~約60℃、より好ましくは、約50℃~約55℃、さらにより好ましくは、約50℃の温度に冷却するステップを含む。
【0072】
全体を通じて使用されるとき、用語「冷却する」は、温度、例えば、反応混合物の温度を下げることを指す。用語は、積極的な方法(例えば、反応容器を冷却浴に浸すなど、反応混合物を冷却条件に供する)、及び消極的な方法、例えば、熱源を除去することにより反応混合物を冷ますこと(例えば、室温まで)を包含する。
【0073】
1つの好ましい実施形態において、ステップ(i)(b)は、アルコール、より好ましくは、アルキルアルコール、より好ましくはエタノール又はメタノール、さらにより好ましくは、エタノールで混合物を希釈するステップを含む。
【0074】
1つの好ましい実施形態において、ステップ(i)(c)は、ステップ(i)(b)において生成された混合物(中間体エナミン化学種を含む)を還元剤で処理するステップを含む。
【0075】
【化15】

【0076】
好ましくは、還元剤は、ボロヒドリド還元剤、より好ましくは、NaBH又はLiBHである。
【0077】
1つの特に好ましい実施形態において、還元剤は、NaBHである。
【0078】
別の特に好ましい実施形態において、還元剤は、LiBHである。
【0079】
当業者は、ピコリン-ボラン、ボラザン及びナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(STAB, sodium triacetoxyborohydride)を包含するがこれらに限定されない他の還元剤もステップ(i)(c)における使用に適切であろうことを理解するであろう。
【0080】
1つの好ましい実施形態において、ステップ(i)(c)は、ステップ(i)(b)において生成された混合物(中間体エナミン化学種を含む)を還元剤、例えば、NaBH又はLiBHで処理するステップを含み、ここで還元剤は、約10℃~約25℃、より好ましくは、約15℃~約20℃の温度で添加される。好ましくは、生じる混合物は、少なくとも2時間、より好ましくは少なくとも3時間、より好ましくは少なくとも4時間、さらにより好ましくは少なくとも5時間、さらにより好ましくは、一晩撹拌される。次いで、還元剤(例えばNaBH又はLiBH)は、酸、好ましくはHClで、好ましくは約10℃~約20℃、より好ましくは、約10℃~約15℃の温度で処理することにより分解される。次いで、水性層は、塩基(例えばKCO)で処理され、固体は濾別され、有機溶媒(例えばジクロロメタン)で洗浄される。次いで、濾液は濃縮され、有機溶媒(例えばジクロロメタン)で抽出され、およそ10のpHまで(好ましくはKOHで)塩基性化され、有機溶媒(例えばジクロロメタン)でさらに抽出される。次いで、合わせた有機層は乾燥され、濃縮される。粗生成物は、カラムクロマトグラフィーにより、例えば、塩基性アルミナを使用して精製されて、シス及びトランス異性体の混合物を含有する化合物XIIに対応する固体を与えることになる。
【0081】
本発明の方法は、シス及びトランス異性体の混合物から化合物XIIのトランス異性体を単離するステップをさらに含む。本出願人は、これが、シス及びトランス異性体を含有する溶媒混合物から化合物XIIのトランス異性体を沈殿させることにより達成され得ることを実証した。したがって、本発明は、
(ii)ステップ(i)において生成された混合物を有機溶媒と合わせ、そのように生成された溶媒混合物を加熱するステップと、
(iii)ステップ(ii)において生成された前記溶媒混合物から式XIIの化合物のトランス異性体を単離するステップと
をさらに含む。
【0082】
1つの好ましい実施形態において、ステップ(ii)における有機溶媒はアセトニトリルである。
【0083】
1つの好ましい実施形態において、ステップ(ii)は、溶媒混合物を加熱して、シス及びトランス異性体の混合物を溶解するステップを含む。好ましくは、混合物は、少なくとも40℃、さらにより好ましくは、少なくとも50℃、さらにより好ましくは少なくとも60℃、さらにより好ましくは少なくとも70℃、より好ましくは少なくとも80℃の温度に加熱される。1つの好ましい実施形態において、混合物は、還流温度に加熱される。好ましくは、混合物は、還流温度に少なくとも5分、より好ましくは少なくとも10分、さらにより好ましくは少なくとも15分の期間加熱される。冷却すると、トランス異性体は、溶液から析出し、濾過により単離され得る(ステップ(iii))。好ましくは、化合物XIIのトランス異性体は、結晶性形態である。
【0084】
したがって、1つの好ましい実施形態において、ステップ(iii)は、式XIIのトランス異性体が溶液から析出するように混合物を冷却するステップと、そのように生成された沈殿物を濾過するステップと、任意に沈殿物を洗浄及び/又は乾燥するステップとを含む。
【0085】
1つの好ましい実施形態において、沈殿物は、約5%未満のシス異性体、より好ましくは、約2%未満、さらにより好ましくは約1%未満、さらにより好ましくは約0.5%又は0.1%未満のシス異性体を含む。
【0086】
好ましくは、沈殿物は、95%以上のトランス異性体、より好ましくは、98%以上、さらにより好ましくは99%以上、さらにより好ましくは99.5%以上又は99.9%以上のトランス異性体を含む。
【0087】
1つの好ましい実施形態において、化合物XIIのトランス異性体は、シス異性体を実質的に含まない。本明細書において使用されるとき、「シス異性体を実質的に含まない」は、シス異性体がH NMRスペクトロスコピーにより検出不可能であるようなレベルでそれが存在することを意味する。
【0088】
1つの好ましい実施形態において、ステップ(iii)は、混合物を約0~約15℃、より好ましくは、約5~約10℃の温度に冷却するステップを含む。
【0089】
1つの好ましい実施形態において、本発明の方法は、化合物XIIから保護基PGを除去して、化合物XIを生成するステップをさらに含む。当業者は、保護基の除去のために要求される条件についてよく知っているであろう。1つの好ましい実施形態において、方法は、式XIIの前記化合物を酸で処理して、式XIの化合物を生成するステップ(ステップ(iv))を含む。好ましくは、酸は、強酸である。
【0090】
1つの好ましい実施形態において、本発明の方法は、式XIIの化合物を濃HClで処理して、保護基PGを除去するステップを含む。当業者は、他の酸(例えばトリフルオロ酢酸)も適切であろうこと、及び酸の選択肢は、保護基の性質に依存し得ることを理解するであろう。好ましくは、反応混合物は、少なくとも100℃、より好ましくは、少なくとも105℃の温度に、好ましくは少なくとも1時間の期間加熱される。より好ましくは、次いで、反応混合物は、約95℃~約105℃の温度で少なくとも10時間、より好ましくは少なくとも12時間、さらにより好ましくは少なくとも15時間加熱される。好ましくは、次いで、反応混合物は、約15℃~約25℃の温度に冷却された後、水酸化カリウムが分割添加されて、約12の最終pHとするる。次いで、式XIの化合物は、従来の方法により単離されて、HRGCによりトランス異性体であることが示された低融点固体を産生し得る。
【0091】
式IIの化合物を調製するための方法
本発明の別の態様は、式IIの化合物を調製するための方法であって、N-メチルピロリドン中で式IIIの化合物を式Xの化合物と接触させ、式IIの化合物を単離するステップを含む方法に関する。
【0092】
【化16】

【0093】
有利に、このステップにおける溶媒としてのN-メチルピロリドンの使用は、収率を著しく高める。例えば、反応は、トリフルオロ酢酸及び2,2,2-トリフルオロエタノールの混合物中で行われるときの74%と比べて、N-メチルピロリドン中で行われると91%の収率で進む(国際公開第2009/040556号参照)。
【0094】
好ましくは、反応混合物は、少なくとも110℃の温度に、より好ましくは、約115℃~約125℃に加熱される。好ましくは、混合物は、少なくとも24時間、より好ましくは、少なくとも36時間の期間加熱される。化合物IIは、従来の方法を使用して単離及び精製され得る。
【0095】
式Iの化合物を調製するための方法
本発明の別の態様は、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩を調製するための方法であって、
(I)本発明の第1の態様に上記した通りの方法により式XIの化合物を調製するステップと、
(II)式XIの前記化合物を式IIの化合物と接触させて、式Iの化合物を生成するステップと、
【0096】
【化17】
【0097】
(III)式Iの前記化合物を単離するステップと、
(IV)任意に式Iの前記化合物をその薬学的に許容される塩形態に変換するステップと
を含む、前記方法に関する。
【0098】
1つの好ましい実施形態において、式XIの化合物は、約5%未満のシス異性体、より好ましくは、約2%未満、さらにより好ましくは約1%未満、さらにより好ましくは約0.5%又は0.1%未満のシス異性体を含む。
【0099】
好ましくは、式XIの化合物は、95%以上のトランス異性体、より好ましくは、98%以上、さらにより好ましくは99%以上、さらにより好ましくは99.5%以上又は99.9%以上のトランス異性体を含む。
【0100】
1つの好ましい実施形態において、式XIの化合物は、シス異性体を実質的に含まない。
【0101】
有利に、本出願人は、化合物Iへの化合物IIの転換においてトランス化合物XI(シス/トランス化合物XIの混合物ではなく)を使用することが、収率の劇的な改善につながることを示した(国際公開第2009/040556号に記載されたシス/トランス化合物XIの混合物を使用する18%と比べて、トランス化合物XIを使用する86%)。
【0102】
1つの好ましい実施形態において、ステップ(II)は、有機溶媒、塩基及びカップリング試薬の存在下で行われる。適切な溶媒は、当業者によく知られているであろうし、例えば、ジクロロメタン及びジメチルホルムアミドを包含する。適切なカップリング試薬は、当業者によく知られているであろうし、例えば、(2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチル-ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)及び2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)を包含する。適切な塩基は、当業者によく知られているであろうし、例えば、三級脂肪族アミン塩基を包含する。より好ましくは、塩基は、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、トリ-プロピルアミン、及びトリ-ブチルアミンから選択される。さらにより好ましくは、塩基は、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)である。
【0103】
1つの好ましい実施形態において、ステップ(II)は、ジクロロメタン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)及び(2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチル-ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)の存在下で行われる。
【0104】
別の好ましい実施形態において、ステップ(II)は、DMF、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)及び2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)の存在下で行われる。
【0105】
好ましくは、ステップ(II)は、式IIの化合物を前記有機溶媒に懸濁させ、それに前記カップリング試薬を約15℃~約25℃の温度で添加するステップを含む。次いで、混合物を同じ温度範囲内に保ちながら、前記塩基が添加される。次いで、混合物を同じ温度範囲内に保ちながら、化合物XIが混合物に添加される。生成物、化合物Iは、従来の方法を使用して単離され得る。
【0106】
より好ましくは、ステップ(II)は、式IIの化合物をジクロロメタンに懸濁させ、それにHBTUを約15℃~約25℃の温度で添加するステップを含む。次いで、混合物を同じ温度範囲内に保ちながら、DIPEAが添加される。次いで、混合物を同じ温度範囲内に保ちながら、化合物XIが混合物に添加される。生成物、化合物Iは、従来の方法を使用して単離され得る。
【0107】
1つの好ましい実施形態において、方法は、式IIIの化合物を式Xの化合物と接触させることにより式IIの化合物を調製するステップをさらに含む。
【0108】
【化18】

【0109】
1つの好ましい実施形態において、化合物IIIを化合物IIへと変換する反応は、N-メチルピロリドン中で行われる。好ましくは、反応混合物は、少なくとも110℃の温度に、より好ましくは、約115℃~約125℃に加熱される。好ましくは、混合物は、少なくとも24時間、より好ましくは、少なくとも36時間の期間加熱される。化合物IIは、従来の方法を使用して単離及び精製され得る。
【0110】
代替の好ましい実施形態において、化合物IIIを化合物IIへと変換する反応は、トリフルオロ酢酸(TFA, trifluoroacetic acid)及び2,2,2-トリフルオロエタノール(TFE, trifluoroethanol)の存在下で行われる。好ましくは、反応は、式IIIの化合物に対して5当量のTFAの存在下で行われる。
【0111】
1つの好ましい実施形態において、本発明の方法は、式IVの化合物をMeIで処理することにより式IIIの化合物を調製するステップをさらに含む。
【0112】
【化19】

【0113】
好ましくは、反応は、有機溶媒、より好ましくはTHF中で行われる。当業者は、他の溶媒も適切であろうことを認識するであろう。
【0114】
1つの好ましい実施形態において、化合物IIIへの化合物IVの変換は、THF及びt-BuOKの存在下で行われる。好ましくは、反応は、約10℃未満の温度で、より好ましくは、約0~約5℃の温度で行われる。好ましくは、式IVの化合物は、THF中のt-BuOKの懸濁液に分割して添加され、続いてそれにMeIが添加される。好ましくは、生じる反応混合物は、約0~約5℃の温度で少なくとも15分間撹拌され、次いで、約20℃~約25℃の温度に加温される。好ましくは、次いで、混合物は、約20℃~約25℃の温度、少なくとも6時間、より好ましくは少なくとも12時間撹拌される。化合物IIIは、従来の方法を使用して単離及び精製され得る。
【0115】
代替の好ましい実施形態において、化合物IIIへの化合物IVの変換は、DMF中のMeI及びNaHを使用して行われる。当業者は、アルキル化ステップのための他の条件及び/又は試薬も使用され得ることを認識するであろう。
【0116】
1つの好ましい実施形態において、本発明の方法は、酢酸の存在下で式Vの化合物をFe粉末で処理することにより式IVの化合物を調製するステップをさらに含む。
【0117】
【化20】

【0118】
1つの好ましい実施形態において、化合物Vから化合物IVの変換は、約25~約30℃の温度で行われる。
【0119】
好ましくは、酢酸は、少なくとも50℃、より好ましくは少なくとも60℃に加熱され、それにFe粉末が添加される。次いで、混合物は、約25℃に冷却され、それに化合物Vが添加される。好ましくは、生じる混合物は、約25℃で、少なくとも6時間、より好ましくは少なくとも12時間の期間撹拌される。化合物IVは、従来の方法を使用して単離及び精製され得る。
【0120】
1つの好ましい実施形態において、本発明の方法は、式VIの化合物を式IXの化合物と接触させることにより式Vの化合物を調製するステップをさらに含む。
【0121】
【化21】

【0122】
1つの好ましい実施形態において、化合物VI及びIXを化合物Vに変換する反応は、溶媒及び塩基の存在下で行われる。
【0123】
1つの好ましい実施形態において、化合物VI及びIXを化合物Vに変換する反応は、アセトン及びKCOの存在下で行われる。好ましくは、反応は、約10℃未満、より好ましくは、約5℃未満の温度で行われる。
【0124】
好ましくは、アセトン中の化合物IXの溶液が、約0℃~約5℃の温度に冷却され、それにKCOが添加される。次いで、アセトン中の化合物VIの溶液が前記混合物に添加される。化合物Vは、従来の方法を使用して単離及び精製され得る。
【0125】
1つの好ましい実施形態において、本発明の方法は、還元剤の存在下で式VIIの化合物をシクロペンタノンと接触させることにより(すなわち還元的アミノ化反応において)式VIの化合物を調製するステップをさらに含む。
【0126】
【化22】

【0127】
好ましくは、反応は、有機溶媒、より好ましくは、ジクロロメタン中で行われる。当業者は、他の有機溶媒も適切であろうことを認識するであろう。好ましくは、還元剤は、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(STAB)であるが、当業者は、他の還元剤も適切であろうことを理解するであろう。1つの好ましい実施形態において、化合物VIIを化合物VIに変換する反応は、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(STAB)及びジクロロメタンの存在下で行われる。好ましくは、反応は、室温で行われる。好ましくは、反応混合物は、約25℃で、少なくとも6時間、より好ましくは少なくとも12時間の期間撹拌される。化合物VIは、従来の方法を使用して単離及び精製され得る。
【0128】
1つの好ましい実施形態において、本発明の方法は、好ましくは溶媒及びラネーニッケル触媒の存在下で、式VIIIの化合物を、水素化することにより式VIIの化合物を調製するステップをさらに含む。
【0129】
【化23】

【0130】
好ましくは、水素化反応のための溶媒は、エタノールである。当業者は、水素化ステップのための他の溶媒及び/又は反応条件も適切であろうことを認識するであろう。
【0131】
1つの好ましい実施形態において、方法は、式Iの化合物をその薬学的に許容される塩形態に変換するステップを含む。式Iの化合物の薬学的に許容される塩は、当業者によく知られているであろうルーチンな手法を使用して得られ得る。
【0132】
本明細書において使用されるとき、薬学的に許容される塩という用語は、その適切な酸付加塩又は塩基塩を包含する。適切な薬学的塩の総説は、Berge et al, J Pharm Sci, 66, 1-19 (1977)に見出され得る。塩は、例えば鉱酸、例えば硫酸、リン酸若しくはハロゲン化水素酸などの強い無機酸と;酢酸などの、非置換であるか、若しくは置換されている(例えば、ハロゲンで)、1~4個の炭素原子のアルカンカルボン酸などの強い有機カルボン酸と;飽和若しくは不飽和ジカルボン酸、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸若しくはテトラフタル酸と;ヒドロキシカルボン酸、例えばアスコルビン酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸若しくはクエン酸と;アミノ酸、例えばアスパラギン酸若しくはグルタミン酸と;安息香酸と;又はメタン-若しくはp-トルエンスルホン酸などの、非置換であるか、若しくは置換されている(例えば、ハロゲンで)(C-C)-アルキル-若しくはアリール-スルホン酸などの有機スルホン酸と生成される。好ましくは、薬学的に許容される塩は、HCl塩である。
【0133】
したがって、1つの好ましい実施形態において、本発明は、上記した通りの適切な酸で式(I)の化合物を処理し、生じる薬学的に許容される塩を単離するステップをさらに含む。好ましくは、反応は、適切な溶媒、例えば、エタノール又はエタノール/THFの混合物の存在下で起こる。好ましくは、薬学的に許容される塩は、濾過により単離され、真空中で乾燥される。
【0134】
本発明の別の態様は、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩を調製する方法であって、
(I’)N-メチルピロリドン中で式IIIの化合物を式Xの化合物と接触させることにより式IIの化合物を調製し、式IIの化合物を単離するステップと、
【0135】
【化24】
【0136】
(II’)式IIの前記化合物を式XIの化合物と接触させて、式Iの化合物を生成するステップと、
【0137】
【化25】
【0138】
(III’)式Iの前記化合物を単離するステップと、
(IV’)任意に式Iの前記化合物をその薬学的に許容される塩形態に変換するステップと
を含む、方法に関する。
【0139】
1つの好ましい実施形態において、式XIの化合物は、約5%未満のシス異性体、より好ましくは、約2%未満、さらにより好ましくは約1%未満、さらにより好ましくは約0.5%又は0.1%未満のシス異性体を含む。
【0140】
好ましくは、式XIの化合物は、95%以上のトランス異性体、より好ましくは、98%以上、さらにより好ましくは99%以上、さらにより好ましくは99.5%以上又は99.9%以上のトランス異性体を含む。
【0141】
1つの好ましい実施形態において、式XIの化合物は、シス異性体を実質的に含まない。
【0142】
本発明の別の態様は、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩を調製する方法であって、
(A)ラネーニッケル触媒の存在下で式VIIIの化合物を水素化して、式VIIの化合物を生成するステップと、
【0143】
【化26】
【0144】
(B)還元剤の存在下で式VIIの前記化合物をシクロペンタノンと接触させて、式VIの化合物を生成するステップと、
【0145】
【化27】
【0146】
(C)式VIの前記化合物を式IXの化合物と接触させて、式Vの化合物を生成するステップと、
【0147】
【化28】
【0148】
(D)酢酸の存在下で式Vの前記化合物をFe粉末で処理して、式IVの化合物を生成するステップと、
【0149】
【化29】
【0150】
(E)式IVの前記化合物をMeIで処理して、式IIIの化合物を生成するステップと、
【0151】
【化30】
【0152】
(F)式IIIの前記化合物を式Xの化合物と接触させて、式IIの化合物を生成するステップと、
【0153】
【化31】
【0154】
(G)式IIの前記化合物を式XIの化合物と接触させて、式Iの化合物を生成するステップと、
【0155】
【化32】
【0156】
(H)式Iの化合物を単離するステップと、
(I)任意に式Iの前記化合物をその薬学的に許容される塩形態に変換するステップと
を含む、方法に関する。
【0157】
1つの好ましい実施形態において、ステップ(G)における式XIの化合物は、約5%未満のシス異性体、より好ましくは、約2%未満、さらにより好ましくは約1%未満、さらにより好ましくは約0.5%又は0.1%未満のシス異性体を含む。
【0158】
好ましくは、ステップ(G)における式XIの化合物は、95%以上のトランス異性体、より好ましくは、98%以上、さらにより好ましくは99%以上、さらにより好ましくは99.5%以上又は99.9%以上のトランス異性体を含む。
【0159】
好ましくはステップ(G)における式XIの化合物は、シス異性体を実質的に含まない。
【0160】
第3の態様のステップ(A)~(I)に好ましい実施形態は、本発明の第2の態様について上記した通りである。
【0161】
以下の非限定的な例によって、本発明をさらに記載する。
[実施例]
【0162】
略語
EtOH エタノール
MeOH メタノール
EtOAc 酢酸エチル
DCM ジクロロメタン
DMF ジメチルホルムアミド
RT 室温
EtO ジエチルエーテル
MeI ヨウ化メチル
t-BuOK カリウムtert-ブトキシド
NMP N-メチルピロリドン
HPLC 高性能液体クロマトグラフィー
HBTU (2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
TBTU 2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート
DIPEA N,N-ジイソプロピルエチルアミン
HOBt ヒドロキシベンゾトリアゾール
HRGC 高分解能ガスクロマトグラフィー
KF カールフィッシャー
MeCN アセトニトリル
【0163】
機器及び方法
溶液プロトンNMR
オートサンプラーを備えたJEOL社製EX 270MHz分光計を使用してH NMRスペクトルを収集した。試料を、分析のために適切な重水素化溶媒に溶解した。Delta NMR Processing and Control Software version 4.3を使用してデータを取得した。
【0164】
高分解能ガスクロマトグラフィー(HRGC)
ヘッドスペースサンプラーを装備したAgilent社製6890シリーズガスクロマトグラフィーによりHRGCスペクトルを得た。試料はメタノールに溶解した。
[実施例1]
【0165】
化合物(I)の調製
遊離塩基形態の化合物(I)は、以下にスキーム1、2及び3に示される合成に従って調製され得る:
【0166】
【化33】
【0167】
【化34】
【0168】
【化35】

[実施例1]
【0169】
化合物(I)の合成
1.1 化合物(III)の合成
(i)化合物VII
【0170】
【化36】
【0171】
ラネーニッケル触媒(200g、50%水)をEtOHで洗浄した(3×100ml、溶媒をデキャントした)。次いで、触媒をエタノール(200ml)に懸濁させた。EtOH(3L)中のラネーニッケル(200g、EtOH中50%懸濁液)の懸濁液に、エチル-1-シアノシクロプロパンカルボキシレートVIII(600g、4.3119mol)を添加した。水素化装置をN(3×)及びH(3×)でパージした。反応を水素で20barに加圧し、室温で一晩撹拌した。混合物をCelite(500g)のパッドに通して濾過し、エタノール(2×0.6L)で洗浄した。濾液を濃縮した。残留物をDCM(1.8L)に溶解し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。これは、透明な油として生成物VIIを与えた(収率580g、94%)。
【0172】
(ii)化合物VI
【0173】
【化37】
【0174】
DCM(8L)中のアミンVII(800g、5.5874mol)及びシクロペンタノン(520ml、5.867mol)の溶液に、NaBH(OAc)(1777g、8.381mol)を室温で~1.5時間にわたって分割して添加した。次いで、反応混合物を室温で一晩撹拌した。過剰の還元剤を分解するために、水(8L)中のKCOの飽和溶液を添加し、反応混合物をRTで1時間撹拌した(ガス発生、pH=8)。層を分離し、水性層をDCM(4L)で抽出した。合わせた有機層をKCOaq(4L)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。これは、透明な油として1210.3gの生成物VIを与えた(1157g活性(4.3%DCMを含有した)、収率98%)。
【0175】
(iii)化合物V
【0176】
【化38】
【0177】
アセトン(11.4L)中の2,4-ジクロロ-5-ニトロピリミジンIX(1309.4g、6.750mol)の溶液を0~5℃に冷却し、KCO(933g、6.750mol)を添加した。次いで、温度を5℃未満に維持しながら、アセトン(2.9L)中のアミンVI(1426.3g、6.750mol)の溶液を1.5時間にわたって滴加した。1時間後、HNMR分析は、約6%の2,4-ジクロロ-5-ニトロピリミジンを示し、化合物VIを示さなかった。アセトン(50ml)中の化合物VI(86g、0.407mol)を添加し、混合物をRTで1時間撹拌した。固体を濾別し、アセトン(1L)で洗浄した。濾液を25℃(より高い温度で生成物は重合する)で濃縮し、残留物をDCM(8L)に溶解し、水(2L)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、25℃で濃縮した。これは、橙色油状固体として生成物を与えた(2755g、LC 純度85%)。生成物をEtO(475ml)に懸濁させ、室温で15分間撹拌した。ヘプタン(475ml)を添加し、懸濁液を室温で1時間撹拌した。その時間の後、混合物を濾過し、濾過ケークをEtO/ヘプタン(1:1、2×950ml)で洗浄し、真空オーブン内で25℃で一晩乾燥した。これは、黄色固体として1762.2gの生成物Vを与えた(収率71%、LC 純度96.99%)。
【0178】
(iv)化合物IV
【0179】
【化39】
【0180】
AcOH(7.6L)を60℃に加熱し、加熱マントルを取り外した。Fe粉末(431g、7.727mol)を60℃で15分にわたって分割して添加した(発熱なし、わずかなガス発生)。次いで、混合物を25℃(氷浴)に冷却し、化合物V(950g、2.576mol)を3時間にわたって分割して添加した(わずかな発熱が観察され、氷/水で冷却し、反応温度を25~30℃に維持した)。反応混合物を25℃で一晩撹拌した。その時間の後、LC完了チェックは、82.0%生成物を指示した。混合物を水で希釈し(15.2L、発熱なし)、濾布を使用して生成物を濾別した。濾過ケークを水(500ml)で洗浄し、次いで、飽和NaHCOaq(2L、ガス発生)で処理した。固体を濾別(濾紙)し、水(3×500ml)で洗浄した。湿気のあるケーク(1717g)を、同じ方法により調製された化合物IVの3つのバッチ[バッチ1(950g)-1668g水湿、バッチ2(950g)-1701g水湿、バッチ3(581.1g)1113g水湿]と合わせ、水(5L)中で室温で1時間撹拌した。固体を濾別し、真空オーブン内で50℃で5日間乾燥した。これは、褐色固体として2972.4gの化合物IVを与えた(収率約100%、LC 純度94.5%、KF 0.65%、Fe塩を含有する)。生成物を精製せずに次のステージで使用した。
【0181】
(v)化合物III
【0182】
【化40】
【0183】
化合物IV(2019.1g総量、1850.0g活性-前のステップにおいて収率100%を仮定した)を、THF(19.0L)中のt-BuOK(854.3g)の懸濁液に0~10℃の指定範囲内で10分にわたって分割して添加した。反応混合物を0~10℃の指定範囲内(最終温度5.47℃)で30分間撹拌し、次いで、温度を0~5℃の指定範囲内に維持しながら、ヨウ化メチル(440ml)を23分にわたって滴加した。混合物を0~5℃の指定範囲内で15分間撹拌し、次いで2.5時間にわたって20℃に加温し、次いで20~25℃の指定範囲内で一晩(12時間)撹拌した。HPLCによる完了分析は、反応が完了したことを示した(0.5%化合物IV残存、目標1.0%以下残存)。塩を濾別し、THF(1920mL)で洗浄した。濾液を真空中で濃縮し、残留物(2321.2g)をDCM(5770mL)と水(1150mL)の間で分配させた。有機層をMgSO(426.2g)で乾燥し、濾過し、DCM(1000mL)で洗浄し、真空中で濃縮した。これは、淡黄色固体として生成物を与え(1924.3g)、これを40℃で24時間オーブン乾燥して、化合物IIIを与えた。収量=(1502.2g、77.5%)。材料 HPLCによる純度98.48%(0.0%化合物IV)。
【0184】
1.2 トランス化合物XIの合成
(i)還元的アミノ化によるトランス化合物XIIの合成
【0185】
【化41】
【0186】
トルエン(6.8L)中の4-アセトアミドシクロヘキサノンXIII(850g、5.477mol)、N-メチルピペラジン(729ml、6.573mol)及びMeSOH(28.5ml、0.438)を、ディーン&スターク分離器を利用して還流させながら5時間加熱した(94mlの水が捕集された)。当業者は、代替のアミン保護基、例えばBOC、Bn及び同種のものが化合物XIIIで使用され得ることを理解するであろう。その時間の後、混合物を50℃(より低い温度では混合物が固化する)に冷却し、EtOH(6.8L)で希釈した。中間体エナミンをNaBH(207.2g、5.477mol)で15~20℃で分割して処理し、室温で一晩撹拌した。過剰のNaBHを6M HCl(4L)で10~15℃で分解した。当業者は、代替の還元剤、例えば、NaBHの代わりにLiBHが使用され得ることを理解するであろう。層を分離し、水性層をKCO(1.2kg、pH=8を達成するため)で処理した。固体を濾別し、DCM(2.5L、これを抽出のために後で使用した)で洗浄した。濾液を濃縮した。残留物をDCM(2×2.5L)で抽出し、1.25M KOH(200ml、pH=10まで)で塩基性化し、DCM(2.5L)で抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗生成物(1020g)を、同じ方法により調製されたバッチ1~3からの3792gの生成物と合わせ、50%ヘプタン/DCM(16L)、75%ヘプタン/DCM(32L)、DCM(40L)、次いで10L 1%MeOH/DCMで溶出しながら塩基性アルミナ(16.5kg)で精製した。これは、白色固体として生成物を与えた(収率2410g、47%;シス:トランス比36:64)。
【0187】
生成物を、753.7gのシス/トランス生成物と合わせ、還流させながらMeCN(9.32L)に溶解し、RTまで一晩徐冷した。懸濁液を5~10℃に冷却し、2時間撹拌した。沈殿物を濾別し、MeCN(1×3.1L、1×2L及び1×1L)で洗浄し、フィルター上で吸引乾燥した。生成物を45℃で一晩乾燥した。これは、白色固体として544.9gの生成物トランスXIIを与えた(1613.2g、約25%収率、H NMRによる純度95%を超える、H NMRによりシス異性体は検出されなかった)。
【0188】
(ii)化合物トランスXI
【0189】
【化42】
【0190】
温度を20~40℃の指定範囲内(最終温度23.83℃)に維持しながら、濃塩酸(4500mL)を注水のための水(2240mL)に5分にわたって添加した。トランスXII(1100.9g)を4分にわたって添加し、次いで、反応を60分にわたって105℃に加熱した。反応を95~106℃で一晩(17.5時間)加熱し、その時間までにH NMRによるインプロセスチェックは、反応が完了したことを示した。反応混合物を72分にわたって15~25℃の指定範囲内に冷却した。温度を20~45℃の指定範囲内に維持しながら、固体水酸化カリウム(5890.1g)をおよそ1時間にわたってポーションで添加して、12の最終pHを与えた。反応混合物を15~25℃の指定範囲内に5分にわたって冷却し、15~25℃の指定範囲内で一晩(17.5時間)撹拌した(最終温度17.97℃)。懸濁液を濾過し、濾過ケークをTHF(6120mL×3、次いで4080mL)で洗浄した。合わせた濾液を容器に戻し、相を分離した。有機相をポーションで真空中で濃縮して、1287.4gの材料を与えた。トルエン(2025mL、次いで2020mL)と共沸させることにより残留水を除去した。次いで、生成物をDCM(2000mL)に溶解し、固体を濾別(少量の無機材料を除去)し、DCM(200ml)で洗浄し、濾液を真空中で濃縮した。これは、低融点固体として生成物を与えた(939.1g、定量的収率、活性収率(H NMRによる)888.4g、97.9%)。H NMRによる4.59%トルエン及び0.81%DCM、HRGCによる90.1%トランスXI。
【0191】
1.3 トランス化合物XIの代替合成
代替的に、還元的アミノ化ステップは、以下の通り行われ得る:
【0192】
【化43】
【0193】
Boc-4-アミノシクロヘキサノン(20g、93.8mmol)、続いてN-メチルピペラジン(13mL、117.2mmol)、メタンスルホン酸(0.5mL、7.7mmol)及びトルエン(140mL)をN下、RTでフラスコに添加した。スラリーを30分にわたって加熱して、ディーン-スタークセットアップ内で還流し[加温時に認められた発熱なし]、淡褐色溶液が生成した。溶液を110℃~115℃で6時間撹拌して、HOを除去し、この時点で、H NMRは、83%エナミンを示した。溶液を(氷/水浴を使用して)20分にわたって50℃に冷却し、EtOH(100mL)を添加した。次いで、溶液を20分にわたって20℃にさらに冷却し、LiBH(THF中2M、100mL、200.0mmol)を30分にわたって滴加した[発熱20~27℃及び著しいオフガス発生(off-gassing)が観察された]。反応をRTで18時間撹拌したままにした。この時点で、H NMRは、5%未満のエナミンを示した。pH2が観察されるまで15分にわたる6M HCl(約150mL、900.0mmol)の滴加を介して反応をクエンチした[発熱20~25℃及び軽微なオフガス発生]。相を分離し、有機層を除去した。次いで、pH8に達するまで、15分にわたるKCO(s)(30g、217.1mmol)の添加を介して水性を塩基性化した[発熱20~28℃及び著しいオフガス発生]。スラリーを濾過し、濾液を真空中で減量して、淡褐色油を与えた。濾過ケークをDCM(2×80mL)で洗浄した。褐色油を濾過ケーク洗浄からのDCMと2M NaOH(20mL)との間で分配させた。水性を除去し、DCM(90mL)で抽出した。合わせたDCM抽出物を乾燥(MgSO)し、濾過し、真空中で減量して、淡橙色油を与えた。油をMeCN(100mL)と共沸させて、23gのベージュ色固体を与えた(粗収率82%)。H NMRはトランス対シスの約75/25比及び約50%の全体の純度を示した。11gポーションの固体をMeCN(55mL)中でスラリー化し、70℃に加熱し[溶液が67℃で生成した]、次いで1時間にわたってRTに冷却した。スラリーをRTで18時間撹拌した。スラリーを濾過し、洗浄(MeCN、5mL)し、真空中で乾燥して、1%未満のシスと共に、H NMRによる95%純度で白色粉末として4.3gのトランス Boc-保護された生成物(収率32%)を与えた。
【0194】
次いで、上記セクション1.2(ii)において述べた同じ条件下の濃HClでの処理により、トランス Boc-保護された生成物を脱保護して、トランスXIを生成した。
【0195】
1.4 化合物Iの合成
(i)化合物II
【0196】
【化44】
【0197】
NMP(2960mL)中の、化合物III(1490.6g活性、1492.7g総量)及び化合物X(898.9g)の溶液を115~125℃の指定範囲内に51分にわたって加熱し、次いで、範囲115~125℃内で36時間加熱した。バッチを撹拌しながら4時間冷却し、この時間の後、それを撹拌せずに冷却したままにした(冷却されたとき、バッチは、容易に撹拌しない著しい量の固体を含有する)。おおよそ29時間静置後、バッチを52℃に加温して、流動性の均質な懸濁液としてバッチをサンプリングすることを可能にした。HPLCによる分析は、反応が完了したことを示した(83.35%化合物IIが存在、目標GT75%)。バッチを20℃に冷却し、混合物を注水のための水(6000mL)で希釈し、中程度の発熱が観察され、これはバッチを26.8℃に温める原因となり、外部冷却を適用し、次いで、バッチを10~25℃の指定範囲内で40分間撹拌し、生成物を濾過し、注水のための水(2×1500mL)で洗浄し、吸引乾燥し、45~55℃の指定範囲内で18~20時間オーブン乾燥し、その時間までに3つのオーブン乾燥トレイのそれぞれの中の生成物は、LT10%(KF分析による)の水含有量を示した。未反応化合物IIIを除去するために、粗生成物(2212.7g)をトルエン(6630mL)中で10~25℃(最終温度18.3℃)で74分間スラリー化した。固体を濾過し、トルエン(1520mL)で洗浄し、45~55℃の指定範囲内で17時間オーブン乾燥した。3つのオーブン乾燥トレイのそれぞれの中の固体に対するインプロセス分析は、HPLCによる、0.21~0.35%化合物III(目標LT0.5%);H NMRによる1.56~1.85%NMP(目標NMT2.5%)を示し、トルエンは、H NMRにより検出されなかった(結果FOI)。次いで、固体をパッケージ化した。収量1905.8g(収率89.7%)。HPLCによる純度93.16%(0.30%化合物III)。
【0198】
(ii)化合物I
【0199】
【化45】
【0200】
15~25℃の指定範囲内でDCM(20mL)ですすぎ入れながら、DCM(18640mL)中の、化合物II(1869.8g活性、1896.5g総量)の懸濁液に、HBTU(1801.9g)を添加した。次いで、DIPEA(1500mL)を15~25℃の指定範囲内で滴加した。反応混合物を15~25℃の指定範囲で31分間撹拌し、その時間までにTLCによる分析は、化合物IIの完全消費を示した。温度を15~25℃の指定範囲内に維持しながら、トランス化合物XI(905.1g)を30分にわたって分割して添加した。反応混合物を15~25℃の指定範囲内で69分間撹拌した。次いで、バッチをサンプリングし、HPLCによる分析は、0.02%化合物II残存(目標LT0.5%)を示した。HOBtを除去するために、混合物をNaOH溶液(9440mL、次いで9400mL、次いで9420mL、0.4M NaOH)及び水(9400mL)で洗浄した。最終洗浄後、インプロセス分析は、HPLCによる0.05%HOBt(目標LT1%)を示した。著しい量の固体が有機層中で沈殿していたことが認められた。濾過中に固体が失われるであろうため、有機層をMgSOで直ちに乾燥することができなかった。有機相中の懸濁液を濾過し、濾過ケークをDCM(500mL)で洗浄した。次いで、濾液をMgSO(1284.3g)で乾燥し、濾過し、DCM(1500mL)で洗浄した。次いで、有機物を真空中40℃で濃縮した。次いで、濾過された固体を添加して、3489.9gの固体を与えた。粗生成物(6つのフラスコ中)をEtOAc(合計6500mL)から蒸発させた。生成物を50L容器に戻し、EtOAc(8500mL)中で10~25℃の指定範囲内で36分間スラリー化し、濾過し、EtOAc(2160mL、次いで2150mL)で洗浄し、45~55℃の指定範囲内で64.5時間乾燥した。これは、2475.3gの生成物を与えた(HNMRによる0%EtOAc、10.6%DCM)。生成物を、60~70℃の指定範囲内(最終温度62.7℃)でMeOH(5980mL)に溶解した。溶液を50L容器中に直ちに研磨濾過した(最終温度54.17℃)。溶液を60~70℃の指定範囲内(最終温度60.3℃)に加温した。60~70℃の指定範囲内の温度を維持しながら、注水のための水(5760mL)を39分にわたって滴加した。混合物を60~70℃の指定範囲内で10分間撹拌し、次いで123分にわたって25℃に冷却した。15~25℃の指定範囲内で21分間撹拌(最終温度19.16℃)後、懸濁液を濾過し、注水のための水(2880mL、次いで2700mL)中のMeOHの(1:1)溶液で洗浄し、フィルター上で吸引乾燥し、45~55℃の指定範囲内で19.5時間オーブン乾燥して、2076.3g(収率78.8%)の生成物を与えた。HPLCによる純度96.43%(0.33%化合物Iシス、0.01%化合物II、0.01%HOBt、仕様(specification)NLT95.0%);KFによる2.75%水。
【0201】
比較例(国際公開第2009/040556号による)
(i)4-(4-メチルピペラジン-1-イル)シクロヘキサンアミン
THF(5mL)、N-メチルピペラジン、酢酸及びナトリウムトリアセトキシボロヒドリドを含有する反応管にN-ベンジルオキシカルボニル-4-アミノシクロヘキサノン(1mmol)を添加した。反応を周囲温度で20時間撹拌した。反応をNaHCO溶液(2mL)でクエンチした後、1N HCl溶液でpH2に酸性化した。混合物をEtOAcで洗浄した後、水性層を分離し、2N NaOH溶液でpH10に塩基性化した。生成物をEtOAcに抽出し、これをsat.NaClで洗浄し、乾燥(MgSO)し、減圧下で蒸発させた。そのように生成された生成物を、0.05Mの濃度にメタノールに溶解した。H-Cube(商標)(ThalesNano Inc.社)フロー反応器を使用して全水素モード下、5~60oc加熱された10%Pd/C触媒で1mL/min流速で水素化を実行した。減圧下の濃縮は、4-(4-メチルピペラジン-1-イル)シクロヘキサンアミンを提供した。
【0202】
(ii)化合物I
化合物III(66mg、0.15mmol、1eq)、DIPEA(52μl、0.3mmol、2eq)及びTBTU(54mg、0.17mmol、1.1eq)を1mL DMFに添加し、生じる溶液を室温で20分間撹拌した後、DMF(0.5mL)に溶解した4-(4-メチルピペラジン-1-イル)シクロヘキサンアミン(35mg、0.18mmol、1.2eq)を添加した。次いで、反応混合物を室温で2時間撹拌した後、分取RP-HPLC-MSにより精製して、白色固体として化合物Iを提供した(17mg、18%)。
【0203】
本発明の記載された態様の種々の修正形態及び変形形態が、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく当業者に明らかになるであろう。具体的な好ましい実施形態に関連して本発明が記載されてきたが、特許請求される通りの本発明は、そのような具体的な実施形態に不当に限定されるべきではないことが理解されるべきである。実際、関連分野の当業者には明白である、本発明を行う記載されたモードの種々の修正形態は、以下の特許請求の範囲の範囲内であることが意図される。

【国際調査報告】