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特表2022-544585人工ニューラルネットワークによって予測される故障モードに基づくレチクル強化技術レシピの適用
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  • 特表-人工ニューラルネットワークによって予測される故障モードに基づくレチクル強化技術レシピの適用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-19
(54)【発明の名称】人工ニューラルネットワークによって予測される故障モードに基づくレチクル強化技術レシピの適用
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/398 20200101AFI20221012BHJP
   G06F 30/27 20200101ALI20221012BHJP
   G03F 1/70 20120101ALI20221012BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20221012BHJP
   G06F 119/18 20200101ALN20221012BHJP
【FI】
G06F30/398
G06F30/27
G03F1/70
H01L21/66 J
G06F119:18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022509586
(86)(22)【出願日】2020-08-03
(85)【翻訳文提出日】2022-02-15
(86)【国際出願番号】 US2020044772
(87)【国際公開番号】W WO2021034495
(87)【国際公開日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】62/887,728
(32)【優先日】2019-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VERILOG
(71)【出願人】
【識別番号】597035274
【氏名又は名称】シノプシス, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SYN0PSYS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ラグ ロバート エム
(72)【発明者】
【氏名】ヒセロテ ジェイ エイ
【テーマコード(参考)】
2H195
4M106
5B146
【Fターム(参考)】
2H195BB02
2H195BB36
2H195BC09
4M106AA09
4M106CA39
4M106DJ19
4M106DJ27
5B146AA22
5B146DC03
5B146DJ15
5B146DL08
(57)【要約】
リソグラフィマスクレイアウト検証に関して、設計意図のセットの中の各設計意図に関する訓練データが、設計意図が製造されるときに生じることが予期される故障のセットを識別すること、および故障のセットの中の各故障の故障モードおよび位置を記録することによって収集される。次に、訓練データが、故障の故障モードおよび位置を予測するように機械学習モデル、例えば、人工ニューラルネットワークを訓練すべく訓練データを使用する。その後、訓練された機械学習モデルは、所与の設計意図に関する故障のセットを予測すべく使用される。次に、各予測される故障に関して、レチクル強化技術(RET)レシピが、故障の故障モードに基づいて選択されてよく、選択されたRETレシピが、故障の位置の周囲の区域に適用されてよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設計意図のセットの中の各設計意図に関する訓練データを、前記設計意図が製造されるときに生じることが予期される故障のセットを識別すること、および故障の前記セットの中の各故障の故障モードおよび位置を記録することによって収集すること、および
プロセッサにより、設計意図の前記セットの中の前記設計意図とは異なる第1の設計意図に関する故障の故障モードおよび位置を予測するようにニューラルネットワークを訓練すべく前記訓練データを使用すること
を含む方法。
【請求項2】
前記第1の設計意図が、ウェハ上に印刷されることが所望される形状を指定する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ニューラルネットワークを訓練すべく前記訓練データを前記使用することが、監督された学習を使用することを含み、設計意図が、入力として提供され、故障モードおよび位置が、所望される出力として提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記訓練データを収集することが、
リソグラフィ検証を使用してマスクレイアウト内の故障モードを識別すること、
前記故障モードの発生を解決すべくレチクル強化技術(RET)レシピを調整すること、および
前記調整されたRETレシピを前記マスクレイアウトに適用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記故障モードに属する故障の位置に印を付けるべく各故障モードに関して別個の設計層が作成される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
故障の各位置に、前記故障の前記位置の付近で前記設計層にポリゴンを配置することによって印が付けられる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記調整されたRETレシピを前記マスクレイアウトに前記適用することが、前記調整されたRETレシピを、前記故障モードに対応する前記設計層におけるポリゴン内の区域に適用することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
設計意図において生じることが予期される故障の故障モードおよび位置を識別すべく前記訓練されたニューラルネットワークを使用すること、ならびに
各故障に関して、前記故障の前記故障モードに基づいてRETレシピを選択すること、および
前記選択されたRETレシピを、前記故障の前記位置の周囲の区域に適用すること
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
プロセッサによって実行されたとき、前記プロセッサに、
リソグラフィ工程を使用して設計意図が印刷されるときに生じることが予期される故障の故障モードおよび位置を予測すべく訓練されたニューラルネットワークを使用すること、ならびに
各故障に関して、前記故障の前記故障モードに基づいてレチクル強化技術(RET)レシピを選択すること、および
前記選択されたRETレシピを、前記故障の前記位置の周囲の区域に適用することをさせる命令を記憶している非一過性の記憶媒体。
【請求項10】
前記プロセッサによって実行されたとき、前記プロセッサに、
訓練データを収集することであって、前記訓練データが、リソグラフィ検証ツールを使用して識別される故障のセットの中の各故障の故障モードおよび位置を含む、収集すること、および
所与の設計意図に関する故障の故障モードおよび位置を予測するよう、訓練されていないニューラルネットワークを訓練すべく前記訓練データを使用することをさせる命令を含む請求項9に記載の非一過性の記憶媒体。
【請求項11】
前記訓練データを前記収集することが、
前記リソグラフィ検証ツールを使用してマスクレイアウト内の故障モードを識別すること、
前記故障モードの発生を解決すべくレチクル強化技術(RET)レシピを調整すること、および
前記調整されたRETレシピを前記マスクレイアウトに適用することを備える、請求項10に記載の非一過性の記憶媒体。
【請求項12】
前記故障モードに属する故障の位置に印を付けるべく各故障モードに関して別個の設計層が作成される、請求項11に記載の非一過性の記憶媒体。
【請求項13】
故障の各位置に、前記故障の前記位置の付近で前記設計層にポリゴンを配置することによって印が付けられる、請求項12に記載の非一過性の記憶媒体。
【請求項14】
前記調整されたRETレシピを前記マスクレイアウトに前記適用することが、前記調整されたRETレシピを、前記故障モードに対応する前記設計層におけるポリゴン内の区域に適用することを含む、請求項13に記載の非一過性の記憶媒体。
【請求項15】
命令を記憶するメモリと、
前記メモリに結合されて、前記命令を実行すべきプロセッサと
を備える装置であって、
前記命令が実行されたとき、前記プロセッサに、
訓練データを収集することであって、前記訓練データが、リソグラフィ検証ツールを使用して識別される故障の故障モードおよび位置を含む、収集すること、
前記訓練データを使用して、訓練されていない機械学習モデルを訓練することによって訓練された機械学習モデルを獲得すること、
設計意図において生じることが予期される故障の故障モードおよび位置を予測すべく前記訓練された機械学習モデルを使用すること、ならびに
各予測される故障に関して、
前記故障の故障モードに基づいてレチクル強化技術(RET)レシピを選択すること、および
前記選択されたRETレシピを、前記故障の前記位置の周囲の区域に適用することをさせる、装置。
【請求項16】
前記訓練データを前記収集することが、
前記リソグラフィ検証ツールを使用してマスクレイアウト内の故障モードを識別すること、
前記故障モードの発生を解決すべくレチクル強化技術(RET)レシピを調整すること、および
前記調整されたRETレシピを前記マスクレイアウトに適用することを備える、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記訓練されていない機械学習モデルを前記訓練することが、監督された学習を使用することを含み、設計意図が、入力として提供され、故障の故障モードおよび位置が、所望される出力として提供される、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記故障モードに属する故障の位置に印を付けるべく各故障モードに関して別個の設計層が作成される、請求項16に記載の装置。
【請求項19】
故障の各位置に、前記故障の前記位置の付近で前記設計層にポリゴンを配置することによって印が付けられる、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記調整されたRETレシピを前記マスクレイアウトに前記適用することが、前記調整されたRETレシピを、前記故障モードに対応する前記設計層におけるポリゴン内の区域に適用することを含む、請求項19に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、事実上、内容の全体が参照により本明細書に組み込まれている、2019年8月16日に出願した米国特許仮出願第62/887,728号の利益を主張するものである。
【0002】
本開示は、一般に、集積回路(IC)設計に関する。より具体的には、本開示は、人工ニューラルネットワークによって予測される故障モードに基づいてレチクル強化技術(reticle enhancement technique,RET)レシピを適用することに関する。
【背景技術】
【0003】
加工技術の進歩、および計算およびストレージに対するほとんど無限の欲求が、IC設計のサイズと複雑度の急速な増大を促進してきた。これらの進歩は、単一のチップ上に数千万のデバイスを集積することを可能にする半導体設計技術および半導体製造技術の向上に帰せられ得る。
【発明の概要】
【0004】
本明細書において説明される一部の実施形態は、設計意図が製造されるときに生じることが予期される故障のセットを識別すること、および故障のセットの中の各故障の故障モードおよび位置を記録することによって設計意図のセットの中の各設計意図に関する訓練データを収集することが可能な方法および装置を特徴とする。一部の実施形態において、設計意図は、ウェハ上に印刷されることが所望される形状を指定してよく、すなわち、設計意図は、RETを使用して実行される変更を含まない可能性がある。一部の実施形態において、訓練データは、リソグラフィ検証を使用してマスクレイアウトにおける故障モードを識別すること、故障モードの発生を解決すべくRETレシピを調整すること、および調整されたRETレシピをマスクレイアウトに適用することを含む反復ループを実行することによって収集されてよい。次に、実施形態は、訓練中に使用された設計意図とは異なる所与の設計意図に関する故障の故障モードおよび位置を予測すべく、機械学習モデル、例えば、人工ニューラルネットワークを訓練するように訓練データを使用してよい。
【0005】
一部の実施形態において、監督された学習が、設計意図が入力として提供されてよく、かつ故障モードおよび位置が所望される出力として提供されてよい人工ニューラルネットワークを訓練すべく使用されてよい。
【0006】
一部の実施形態において、各故障モードに関して別個の設計層が、故障モードに属する故障の位置に印を付けるべく作成されてよく、故障の各位置は、その故障の位置の付近で設計層にポリゴンを配置することによって印が付けられてよい。これらの実施形態において、調整されたRETレシピは、故障モードに対応する設計層におけるポリゴン内にあるマスクレイアウト内の区域に適用されてよい。
【0007】
一部の実施形態は、設計意図において生じることが予期される故障の故障モードおよび位置を予測すべく訓練された人工ニューラルネットワークを使用してよい。次に、各予測される故障に関して、実施形態は、その故障の故障モードに基づいてRETレシピを選択してよく、選択されたRETレシピを、故障の位置に周囲の区域に適用してよい。
【0008】
本開示は、後段で与えられる詳細な説明、および添付の図に基づいて理解され得る。図は、例示を目的としており、本開示の範囲を限定することはない。さらに、図は、必ずしも一律の縮尺に従って描かれてはいない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本明細書において説明される一部の実施形態による故障モードを解決すべく設計意図における故障モード、およびRETレシピを決定するための工程を示す図である。
図2】本明細書において説明される一部の実施形態によるリソグラフィ検証を実行するための工程を示す図である。
図3】本明細書において説明される一部の実施形態によるマスクレイアウト内で故障モード位置にどのように印が付けられ得るかを示す図である。
図4】本明細書において説明される一部の実施形態による故障モードを予測すべく人工ニューラルネットワークを訓練するための工程を示す図である。
図5】本明細書において説明される一部の実施形態によるRETレシピをマスクレイアウトに選択的に適用すべく人工ニューラルネットワークを使用するための工程を示す図である。
図6】本明細書において説明される一部の実施形態によるIC設計および製造フローを示すフローチャートである。
図7】本明細書において説明される一部の実施形態による、マシンに、本明細書において説明される方法のうちの任意の1つまたは複数を実行させるために、命令のセットが内部で実行されてよいコンピュータシステムの例示的なマシンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
半導体製造技術は、ウェハ上に設計意図を移すべく多数の物理工程および/または化学工程を使用してよい。本開示において、「設計意図」という術語は、例えば、フォトリソグラフィを使用することによってウェハ上に印刷されることが所望される形状を指す。「マスクレイアウト」という用語は、設計意図を印刷すべくフォトリソグラフィにおいて使用されるフォトリソグラフィマスク上の形状を指す。半導体製造中に生じる物理現象および/または化学現象に起因して、設計意図は、設計意図がマスクレイアウトにおいてそのまま、すなわち、まったく変更なしに使用される場合、所望されるとおりに印刷されないことがある。
【0011】
RETレシピが、変更されたマスクレイアウトを獲得すべく設計意図を変更されるのに使用されてよく、変更されたマスクレイアウトが、次に、フォトリソグラフィにおいて使用されてよい。RETレシピによって加えられる変更は、印刷されるパターンが設計意図から逸れることを生じさせる物理効果または化学効果を補償してよい。具体的には、変更されたマスクレイアウトを包含するマスクレイアウトがフォトリソグラフィにおいて使用されるとき、ウェハ上の印刷された形状は、設計意図の容認できる許容差範囲内にあってよい。
【0012】
RETの実施例は、規則ベースのRET、工程モデルベースのRET、および逆イメージングベースのRET(逆リソグラフィ技術またはILTとしても知られる)を含むが、これには限定されない。各タイプのRETに関して、使用される計算リソースの量(例えば、RETによって使用されるランタイム、メモリ、および/または計算パワーの量)ともたらされる結果の品質の間に異なるトレードオフポイントが存在する可能性がある(例えば、結果の品質が、製造問題が解決される程度に対応する可能性がある)。具体的には、より高い品質の結果が所望される場合(例えば、すべての製造問題が解消されることが所望される場合)、大量の計算リソースが使用される可能性がある(例えば、RETに適用すべきランタイムが長い可能性がある)。
【0013】
本開示において、「RETレシピ」という術語は、RET技術、またはRET技術のシーケンスを指すことが可能であり、ここで、各RET技術は、使用される計算リソースの量ともたらされる結果の品質の間で特定のトレードオフポイントに設定される。「RETレシピを調整すること」という句は、使用されている1つまたは複数のRETのタイプを変えること、および/または使用される計算リソースの量ともたらされる結果の品質の間で1つまたは複数のRETのトレードオフポイントを変更することを指すことが可能である。
【0014】
マスクレイアウト全体を加工するのに非常に高い品質の結果をもたらすRETレシピを使用することは、実際的でない大量の計算リソースを使用する可能性がある。他方、マスクレイアウト全体に関して少量の計算リソースを使用するRETレシピを使用することは、劣悪な品質の結果をもたらし得る。単一の製造問題が、ICチップの完全な故障をもたらす可能性があることに留意されたい。いずれの区域がいずれのタイプの製造問題を被りやすいかが分かっていない場合、計算費用の高いRET技術が、マスクレイアウト全体に関して使用される結果となる可能性があり、このことが、RETに費やされる時間を大幅に増加させ得る。
【0015】
本開示において説明される実施形態は、マスクレイアウト内で生じることが予期される製造問題のタイプおよび位置を予測すべく、機械学習、例えば、人工ニューラルネットワークを使用することができる。さらに、製造問題の各タイプに関して、実施形態は、製造問題を解決することが予期される適切なRETレシピを決定してよい。次に、設計意図を所与として、実施形態は、設計意図において生じることが予期される製造問題のタイプおよび位置を予測すべく、訓練された機械学習モデル、例えば、訓練された人工ニューラルネットワークを使用してよい。予測される製造問題の各タイプに関して、実施形態は、予測される製造問題が生じることが予期される位置で適切なRETレシピ(前もって決定された)を選択的に適用することができる。
【0016】
本明細書において開示される実施形態の利点は、大量の計算リソースを使用することなしに、高品質のマスクレイアウト(例えば、製造問題をまったく有さないことが予期されるマスクレイアウト)を製造することができる工程を含むが、これには限定されない。
【0017】
図1は、本明細書において説明される一部の実施形態による設計意図における故障モード、およびその故障モードを解決すべきRETレシピを決定するための工程を示す。設計意図102が、ウェハ上に印刷されることが所望される形状を含んでよい。図1において、設計意図102は、2つのポリゴンを有して示されるが、通常、設計意図102は、多数のポリゴン(例えば、数千万のポリゴン)を有してよい。設計意図102は、実際のICチップの設計であってよい。しかし、設計意図102はまた、人工ニューラルネットワークを訓練するために作成された設計であってもよい。具体的には、設計意図102は、単位セルのランダムな配置を含んでよく、さらに/あるいはランダムなパターンおよび/またはプログラムされたパターンを含んでよい。
【0018】
RETレシピ104が、セリフ(serif)108および支援フィーチャ(assist feature)110などの、1つまたは複数の変更を含んでよいマスクレイアウト106を獲得すべく設計意図102に適用されてよい。一部の実施形態において、RETレシピ104は、妥当な品質の結果をもたらし、かつ妥当なランタイムを有するように選択されてよい。具体的には、RETレシピ104は、公称工程条件を考慮してよく、少数の調整反復を有してよい。少なくとも一部の製造問題は、RETレシピ104が設計意図102に適用された後、存在することが予期されることが可能である。リソグラフィ検証(ステップ112)が、マスクレイアウト106がウェハ上に高い忠実度で設計意図102を印刷することが予期されるか否かを決定すべく実行されることが可能である。非限定的な実施例として、シノプシス社(Synopsys)のProteus Lithography Rule Check(登録商標)(PLRC)などのリソグラフィ検証ツールが、リソグラフィ検証を実行すべく使用されてよい。
【0019】
図2は、本明細書において説明される一部の実施形態によるリソグラフィ検証を実行するための工程を示す。工程モデル202が、所与の半導体製造技術をモデル化すべく開発されてよく、製造中に生じる物理工程の効果および/または化学工程の効果をシミュレートすべく使用されてよい。マスクレイアウトを所与として、工程モデル202は、ウェハ上に印刷されることが予期される予測されるパターン204を生成してよい。工程モデル202に対する入力として提供されるマスクレイアウトは、RET変更を含んでも、含まなくてもよい。例えば、マスクレイアウト106は、設計意図102に1つまたは複数のRETを適用することによって生成されていることが可能な、セリフ108および支援フィーチャ110などのRET変更を含む。工程モデル202は、マスクレイアウト106に基づいて予測されるパターン204を生成してよい。次に、故障モードが、予測されるパターン204を設計意図102と比較することによってステップ206において識別されてよい。
【0020】
図1を参照すると、リソグラフィ検証(ステップ112)が、故障モード114を生成することができ、各故障モードは、設計意図とウェハ上に印刷されることが予期される形状の間の1つまたは複数の相違に対応する。許容差限度外の各相違が、故障として識別されてよい。故障のセットを生じさせる一般的な原因が、故障モードとして識別されてよい。
【0021】
各故障モードに関して、RETレシピが、故障モードを解決すべく調整されてよい(ステップ116)。言い換えると、RETレシピは、RETレシピによって行われる変更が設計意図とウェハ上に印刷されることが予期される形状の間の特定のタイプの相違を修正するように調整されてよい。次に、調整されたRETレシピが、マスクレイアウト120を獲得すべく現行のマスクレイアウトに適用されることが可能であり(ステップ118)、マスクレイアウト120は、反復の次回において現行のマスクレイアウトとなる。調整されたRETレシピは、マスクレイアウト全体にわたってではなく、相違の周囲の区域内で適用されてよいことに留意されたい。また、ステップ118に入力として提供されるマスクレイアウトは、RET処理の先行する回によって行われた変更を含んでよいことにも留意されたい。
【0022】
一部の実施形態において、故障モードの位置は、故障モードの位置の付近にポリゴンを配置することによって印が付けられてよい。具体的には、ポリゴンは、故障モードがポリゴンの境界内にあるように配置されてよく、ポリゴンは、故障モード位置の工程範囲内にある形状を含んでよい。一部の実施形態において、ポリゴンは、出力マスクの一部ではなくてもよいが、特定の故障モードが識別されている位置を追跡するのに使用されてよい新たな層の上に配置されてよい。RETレシピが調整されるとき、新たな層上のポリゴン内の区域は、調整が故障モードを解決するかどうかを決定するのに使用されてよい。
【0023】
一部の実施形態において、製造問題を別々の層に分類することを可能にしてよい、多数の新たな層が生成されてよい。例えば、リソグラフィ検証が、劣悪なプロセスウインドウの領域、および公称補正が容認できる値に収束していない区域を識別してよい。このシナリオにおいて、RETレシピは、これら2つのタイプの故障を扱うべく異なるように調整されてよい。具体的には、劣悪なプロセスウインドウを有する区域に関して、RETレシピは、プロセスウインドウを増大させるべく最適化費用関数において追加の項を含めることによって調整されてよい。劣悪な収束を有する区域に関して、RETレシピは、公称補正許容差を満たすべく最適化ステップの数を増加させることによって調整されてよい。
【0024】
図3は、本明細書において説明される一部の実施形態によりマスクレイアウト内で故障モード位置にどのように印が付けられ得るかを示す。図1に示される工程が、マスクレイアウト区域300内で故障モードを識別するのに使用され得る。図3において、各印影付きの長方形が、製造問題の位置に対応する。故障モードは、製造問題のタイプに対応する。例えば、製造問題位置302-1と製造問題位置302-2が、同一の故障モードに対応する。同様に、製造問題位置304-1と製造問題位置304-2が、製造問題位置302-1と製造問題位置302-2に対応する故障モードとは異なる同一の故障モードに対応する。最後に、製造問題位置306-1と製造問題位置306-2が、その他2つの故障モードとは異なる第3の故障モードに対応する。各故障モードは、その故障モードに関連する製造問題を解決することが予期されるRETレシピ調整に対応してよい。それ故、位置302-1および302-2における製造問題を解決するRETレシピ調整が開発されてよい。2つの故障モードに印を付けるべく配置されたポリゴンは、互いに重なり合うことが可能であり、例えば、故障モード位置304-2と故障モード位置306-2が、互いに重なり合う(図3に示される特定の実施例において、位置304-2におけるポリゴンと位置306-2におけるポリゴンは、異なる設計層上にあることが可能であるが、一般に、同一の層上のポリゴンは、互いに重なり合ってもよい)。
【0025】
一部の実施形態において、各故障モードには、別個の設計層が割り当てられてよく、各故障モードに対応する問題位置は、それぞれの設計層に含められてよい。それ故、製造問題302-1および302-2に対応する第1の故障モードに第1の設計層が割り当てられる場合、第1の設計層は、製造問題位置302-1および302-2だけを含んでよい。図3に示されるその他の製造問題位置(すなわち、304-1、304-2、306-1、および306-2)は、それらの製造問題位置のそれぞれの設計層に含められてよい。これらの実施形態において、所与の故障モードに対応するRETレシピ調整は、その故障モードに対応する設計層において指定されるすべての製造問題位置に適用されてよい。
【0026】
図1を参照すると、工程は、次に、マスクレイアウト120がウェハ上に設計意図102を印刷することが予期されるか否かを決定すべくリソグラフィ検証(ステップ112)を実行してよい。解決されないままの故障モードがある場合、または調整されたRETレシピが適用されたときに新たな故障モードが生じさせられた場合、ステップ114、116、118、120、および112が、再び実行されてよい。
【0027】
具体的には、ステップ112、114、116、118、および120を含むループは、すべての故障モードが考慮され、所定の許容差レベル内で解決されるまで、1回または複数回、実行されてよい。ループの反復の各回の間、マスクレイアウトの製造しやすさは、故障が調整されたRETレシピによって修正されるにつれ、向上することが可能である。しかし、故障の位置は、人工ニューラルネットワーク訓練目的で保持される。次々の反復の回で、新たな問題位置が発見されることが可能である。これらの新たな問題は、それまでに識別された問題を修正することの副次的効果として導入されることがある。新たな問題の数は、反復の各回で急速に小さくなることが予期され、ループの数回の反復だけしか、マスクレイアウト内のすべての製造問題を識別して、修正するのに必要とされないことが可能である。
【0028】
前段で説明されるとおり、図1に示される工程は、設計意図102における故障モード114を識別してよい。各故障モードは、マスクレイアウトの現行のバージョンが使用される場合、マスクレイアウトの特定の位置で生じることが予期される製造問題のタイプに対応することが可能である。リソグラフィ検証112によって識別される各故障モードに関して、また、図1に示される工程は、RETレシピ調整、製造問題位置の周囲の区域に適用されたとき、故障モードに関連する製造問題を部分的に、または完全に解決する、対応するRETレシピ調整を生成してもよい。
【0029】
RET、故障モード、および故障モードを解決することができるRETレシピの一部の非限定的な実施例について、次に説明される。規則ベースのRETが、行われるべき変更を決定すべく規則のセットを使用してよい。マスクレイアウト内で特定のパターンを検出すると、規則ベースのRETは、そのパターンに特定の変更を適用してよい。例えば、規則ベースのRETは、マスクレイアウト内の線-終端パターンのセットを識別してよく、線-終端短縮またはコーナラウンディング(corner rounding)、あるいはその両方によってもたらされる製造問題を低減すべく、または防止すべく各線-終端パターンにハマーヘッドセリフを追加してよい。使用される計算リソースの量ともたらされる結果の品質の間の異なるトレードオフポイントが、使用される規則の複雑度および数に基づいて存在することが可能である。具体的には、大量の複雑な規則が、比較的高い品質の結果をもたらすことがあるが、大量の計算リソースを使用する可能性がある。逆に、少数の単純な規則が、比較的低い品質の結果をもたらすことがあるが、少量の計算リソースを使用することが可能である。
【0030】
工程モデルベースのRETは、印刷されることが予期される形状を予測して、予測されるパターンと設計意図の間の相違を補正するようにマスクレイアウト上で摂動を反復して実行すべく工程モデルを使用する。工程モデルベースのRETは、ときとして、光近接効果補正(OPC)と呼ばれる。また、工程モデルベースのRETは、製造問題、例えば、小さいプロセスウインドウまたは浅い焦点深度によってもたらされる製造問題を解決すべく支援フィーチャを配置することも可能である。工程モデルの精度、および反復の回数に基づいて、使用される計算リソースの量ともたらされる結果の品質の間で異なるトレードオフポイントが存在することが可能である。具体的には、精度の高い工程モデルを使用すること、および多くの回数の反復を使用することが、比較的高い品質の結果をもたらすことがあるが、大量の計算リソースを使用する可能性がある。逆に、それほど精度が高くない高速の工程モデルを使用すること、および少ない回数の反復を使用することが、比較的より低い品質の結果をもたらすことがあるが、少量の計算リソースを使用することが可能である。
【0031】
逆イメージングベースのRETは、工程モデルを反転することに基づく。例えば、マスクレイアウトを印刷することは、以下のとおり、すなわち、
z(x,y)=T{m(x,y)}
として表現されることが可能であり、ここでT{.}は、工程モデル(例えば、我々がイメージング工程をモデル化している場合、ホプキンズイメージングモデル)であり、m(x,y)は、入力マスクレイアウトであり、z(x,y)は、印刷されるパターンである。z*(x,y)を設計意図とする。逆イメージング問題の目標は、もたらされる印刷されたパターンT{m(x,y)}が設計意図z*(x,y)に類似するようにマスクレイアウトm(x,y)を推定することである。具体的には、設計意図に対する印刷されたパターンの類似度は、その2つのパターンの間の距離メトリックを使用して測定されることが可能である。
【0032】
一部の実施形態は、逆イメージング問題を、設計意図と印刷されたパターンの間の差を示す費用関数に関する最適化問題として定式化してよい。具体的には、一部の実施形態において、費用関数fは、以下のとおりであってよい。すなわち、
【0033】
【数1】
【0034】
目的は、印刷されたパターンと設計意図の間の距離のL2ノルムを最小化するマスクレイアウトm(x,y)を推定することである。所望される目標に依存して、式(1)における費用関数は、イメージログスロープ最大化(image log-slope maximization)、支援フィーチャ印刷適性コンプライアンス、外形忠実度のための光近接効果補正、より良好なプロセスウインドウのための焦点感度最小化、その他のようなさらなる目的を含むべく増強されることも可能である。言い換えると、本明細書において説明される実施形態は、式(1)に示される費用関数を使用することに限定されない。一部の実施形態は、逆イメージング問題を解決すべくピクセルベースのパラメータ設定を使用してよい。式(1)に示される費用関数は、勾配下降法、共役勾配法、準ニュートン法、その他のような標準の最適化技術を使用して最適化されることが可能である。
【0035】
使用される費用関数、および/または最適化中に使用される反復の回数に基づいて、使用される計算リソースの量ともたらされる結果の品質の間の異なるトレードオフポイントが存在することが可能である。具体的には、多数の非線形項を有する複雑な費用関数、および多数回の最適化反復を使用することが、より高い品質の結果をもたらすことがあるが、大量の計算リソースを使用する可能性がある。逆に、比較的単純な費用関数、および少数回の最適化反復を使用することが、低い品質の結果をもたらすことがあるが、少量の計算リソースを使用する可能性がある。
【0036】
故障モードは、印刷された線の幅(すなわち、限界寸法)と設計意図における線の幅の間の差が許容差しきい値より大きいときに生じることがある。RETレシピは、印刷された線の幅が設計意図における線の幅と実質的に等しくなるように設計意図における線の幅を変更してよい(例えば、規則ベースのRETが、設計意図における線の幅を大きくしてよい)。
【0037】
別の故障モードが、線-終端において過度の短縮が生じたときに生じることがある。RETレシピが、この製造問題を解決すべく線-終端に1つまたは複数のセリフを追加してよい(例えば、工程モデルベースのRETレシピが、線-終端を反復的に摂動させてよく、代替として、逆イメージングベースのRETが、製造問題を解決する変更を含む線-終端形状を決定してよい)。
【0038】
さらに別の故障モードが、パターンが、小さいプロセスウインドウおよび/または浅い焦点深度を有するときに生じることがあり、例えば、パターンは、公称焦点条件で満足の行くように印刷されることが可能であるが、リソグラフィイメージングシステムの焦点がわずかに合っていないとき、深刻な製造問題を見せる可能性がある(例えば、線-終端短縮)。RETレシピが、焦点深度を増加させるべくパターン付近に1つまたは複数の支援フィーチャを追加してよい(例えば、工程モデルベースのRETレシピが、焦点深度を増加させるべく異なる支援フィーチャ構成を反復して試みてよく、代替として、費用関数において焦点深度項を含む逆イメージングベースのRETレシピが、焦点深度を増加させるべく1つまたは複数の支援フィーチャを配置してよい)。
【0039】
図4は、本明細書において説明される一部の実施形態による、故障モードを予測すべく人工ニューラルネットワークを訓練するための工程を示す。工程は、設計意図のセットの中の各設計意図に関して、設計意図が製造されるときに生じることが予期される故障のセットを識別すること、および故障のセットの中の各故障の故障モードおよび位置を記録することによって訓練データを収集することから始まってよい(ステップ402)。例えば、故障モードは、図1に示される工程を使用することによって決定され得る。
【0040】
次に、工程は、設計意図のセットの中の設計意図とは異なる所与の設計意図に関して故障の故障モードおよび位置を予測するように機械学習モデル、例えば、人工ニューラルネットワークを訓練すべく訓練データを使用してよい(ステップ404)。人工ニューラルネットワークに対する入力は、設計意図、すなわち、まったくRET変更なしにウェハ上に印刷されることが所望される形状であることが可能である。
【0041】
人工ニューラルネットワークは、設計意図が(まったくRET変更なしに)人工ニューラルネットワークに入力として提供されてよく、故障モードのセット、および故障モードの位置(例えば、図1に示される工程を使用することによって決定された)が所望される出力として提供されてよい、監督された学習を使用して訓練されることが可能である。
【0042】
一部の実施形態において、人工ニューラルネットワークは、入力層と、出力層と、1つまたは複数の隠された層とを含んでよい。設計意図は、ラスタライズされてよく、すなわち、2次元ピクセルマップに変換されてよい。各ピクセルは、入力層におけるノードに対応してよい。ピクセルの値は、0と1の間の浮動小数点数であってよく、ここで、0は、透明な区域に対応してよく、1は、不透明な区域に対応してよく、0と1の間の数は、ピクセル内の透明な区域/不透明な区域のパーセンテージに対応してよい。出力層は、ノードのセットを含んでよく、ここで、各ノードは、位置と故障モードの特定の組合せに対応してよい。監督された学習中、入力層ノードに、設計意図のラスタライズされた表現に基づく値が割り当てられてよく、出力層ノードに、予期される製造問題の位置および故障モードに基づく値が割り当てられてよい。次に、逆伝播技術が人工ニューラルネットワークにおける結合重みを調整すべく使用されてよい。人工ニューラルネットワークが訓練された後、人工ニューラルネットワークは、RETレシピを設計意図に選択的に適用するために使用されてよい。
【0043】
図5は、本明細書において説明される一部の実施形態による、RETレシピをマスクレイアウトに選択的に適用すべく人工ニューラルネットワークを使用するための工程を示す。工程は、リソグラフィ工程を使用して設計意図が印刷されるときに生じることが予期される故障の故障モードおよび位置を予測すべく、訓練された機械学習モデル、例えば、訓練された人工ニューラルネットワークを使用することから始まってよい(ステップ502)。次に、各予測される故障に関して、工程は、故障の故障モードに基づいてRETレシピを選択してよく、選択されたRETレシピを、故障の位置の周囲の区域に適用してよい(ステップ504)。
【0044】
図6は、本明細書において説明される一部の実施形態による、集積回路の設計、検証、および製作のための例示的なフロー600を示す。EDA工程612(頭字語「EDA」は、「Electronic Design Automation」を指す)が、集積回路を表現する設計データおよび設計命令を変換し、検証するのに使用されることが可能である。これらの工程の各々は、多数のモジュールまたは多数の動作として構造化され、使用可能にされ得る。
【0045】
フロー600が、EDA工程612を使用することによって変換され、検証された情報である、設計者によって供給される情報を用いた製品アイディア610の作成から開始することができる。設計が最終化されたとき、設計は、テープアウトされ634、これは、集積回路のためのアートワーク(例えば、形状パターン)がマスクセットを製造すべく製作施設に送られる時点であり、設計は、次に、集積回路を製造すべく使用される。テープアウトの後、半導体ダイが製作され636、製造されたICチップ640をもたらすべくパッケージングおよび組立て638が実行される。
【0046】
回路構造または電子構造のための仕様は、低レベルトランジスタ材料レイアウトから高レベル記述言語までの範囲にわたることがある。VHDL、Verilog、SystemVerilog、SystemC、MyHDL、またはOpenVeraなどのハードウェア記述言語(「HDL」)を使用する高レベルの抽象化が、回路およびシステムを設計すべく使用されてよい。HDL記述は、論理レベルレジスタ転送レベル(「RTL」)記述、ゲートレベル記述、レイアウトレベル記述、またはマスクレベル記述に変換されることが可能である。より抽象性の低い記述である、それぞれのより低い抽象化レベルは、設計記述にさらなる詳細を加える。より抽象性の低い記述である、より低いレベルの抽象化は、コンピュータによって生成されること、設計ライブラリから導き出されること、または別の設計自動化工程によって作成されることが可能である。より詳細な記述を指定するためのより低いレベルの抽象化言語における仕様言語の例が、SPICE(「Simulation Program with Integrated Circuit Emphasis」を表す)である。各レベルの抽象化における記述は、その層の対応するツール(例えば、形式検証ツール)によって使用されるのに充分である詳細を包含する。
【0047】
システム設計614中、製造されるべき集積回路の機能が、指定される。設計は、電力消費、パフォーマンス、区域(物理的区域、および/またはコードの行数)、および費用の低減、その他などの所望される特徴のために最適化されてよい。設計を異なるタイプのモジュールまたは構成要素に区分化することが、この段階で行われ得る。
【0048】
論理設計および機能検証616中、回路におけるモジュールまたは構成要素が、1つまたは複数の記述言語において指定され、仕様が、機能的精度に関して検査される。例えば、回路の構成要素が、設計されている回路またはシステムの仕様の要件と合致する出力を生成することが検証されてよい。機能検証は、テストベンチジェネレータ、静的HDLチェッカ、および形式ベリファイアなどのシミュレータおよびその他のプログラムを使用してよい。一部の実施形態において、「エミュレータ」または「プロトタイピングシステム」と呼ばれる構成要素の特殊なシステムが、機能検証を迅速化すべく使用される。
【0049】
試験のための統合および設計618の間に、HDLコードが、ネットリストに変換される。一部の実施形態において、ネットリストは、グラフ構造の端部が、回路の構成要素を表現し、グラフ構造のノードが、それらの構成要素がどのように互いに接続されるかを表現する、グラフ構造であってよい。HDLコードとネットリストはともに、集積回路が、製造されたとき、指定された設計によって実行されることを検証すべくEDA製品によって使用され得る階層型製造品である。ネットリストは、目標半導体製造技術のために最適化されることが可能である。さらに、完成した集積回路が、その集積回路が仕様の要件を満たすことを検証すべく試験されてよい。
【0050】
ネットリスト検証620中、ネットリストが、タイミング制約に対するコンプライアンス、およびHDLコードとの対応に関して検査される。設計計画622中、集積回路に関する全体的なフロアプランが構築され、タイミングおよびトップレベルルーティングに関して解析される。
【0051】
レイアウト中、または物理的実装624中、物理的配置(トランジスタまたはキャパシタなどの回路構成要素の位置付け)およびルーティング(多数の導体による回路構成要素の接続)が行われ、特定の論理関数を使用可能にすべくライブラリからのセルの選択が実行されることが可能である。本明細書において使用される「セル」という術語は、ブール論理関数(例えば、AND、OR、NOT、XOR)またはストレージ関数(フリップフロップもしくはラッチなどの)を提供するトランジスタ、他の構成要素、および相互接続のセットを指定してよい。本明細書において使用される回路「ブロック」は、2つ以上のセルを指すことがある。セルと回路ブロックはともに、モジュールまたは構成要素とも呼ばれることが可能であり、物理構造としても、シミュレーションにおいてもともに使用可能にされる。サイズなどのパラメータが、選択されたセルに関して指定され(「標準のセル」に基づいて)、EDA製品によって使用されるようにデータベースにおいてアクセス可能にされる。
【0052】
解析および抽出626中、回路機能が、レイアウトレベルで検証され、このことが、レイアウト設計の改良を可能にする。物理検証628中、レイアウト設計が、DRC制約、電気制約、リソグラフィ制約などの製造制約が正しいこと、および回路機能がHDL設計仕様と合致することを確実にすべく検査される。解像度強化630中、レイアウトの形状が、回路設計がどのように製造されるかを改良すべく変換される。
【0053】
テープアウト中、リソグラフィマスクの製造のために使用されるべきデータが作成される(適宜、リソグラフィ強化が適用された後)。マスクデータ準備632中、完成した集積回路を製造するのに使用されるリソグラフィマスクを製造すべく「テープアウト」データが使用される。
【0054】
コンピュータシステム(図7におけるコンピュータシステム700などの)のストレージサブシステムが、本明細書において説明されるEDA製品、ならびにライブラリのためのセルの開発のため、およびライブラリを使用する物理設計および論理設計のために使用される製品のうちのいくつか、またはすべてによって使用されるプログラムおよびデータ構造を記憶すべく使用されてよい。
【0055】
図7は、マシンに本明細書において説明される方法のうちの任意の1つまたは複数が実行させるための命令のセットがその内部で実行されてよい、コンピュータシステム700の例示的なマシンを示す。代替の実装形態において、マシンは、LAN、イントラネット、エクストラネット、および/またはインターネットにおいて他のマシンに接続されて(例えば、ネットワーク化されて)よい。マシンは、クライアント-サーバネットワーク環境におけるサーバマシンまたはクライアントマシンの資格で動作してよく、ピアツーピア(もしくは分散型)ネットワーク環境におけるピアマシンとして動作してよく、あるいはクラウドコンピューティングインフラストラクチャもしくはクラウドコンピューティング環境においてサーバマシンまたはクライアントマシンとして動作してよい。
【0056】
マシンは、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、携帯情報端末(PDA)、セルラ電話、ウェブ機器、サーバ、ネットワークルータ、スイッチもしくはブリッジ、あるいはマシンによって行われるべきアクションを指定する命令のセット(順次の、またはそれ以外の)を実行することができる任意のマシンであってよい。さらに、単一のマシンが示されるが、「マシン」という術語は、本明細書において説明される方法のうちの任意の1つまたは複数を実行すべく命令のセット(または多数のセット)を個々に、または一緒になって実行するマシンの任意の集まりを含むようにも解釈されるべきである。
【0057】
コンピュータシステム700の実施例は、バス730経由で互いに通信する処理デバイス702、メインメモリ704(例えば、読取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、シンクロナスDRAM(SDRAM)などのダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM))、スタティックメモリ706(例えば、フラッシュメモリ、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、その他)、およびデータストレージデバイス718を含む。
【0058】
処理デバイス702は、マイクロプロセッサ、中央処理装置、またはそれに類するものなどの1つまたは複数のプロセッサを表す。より詳細には、処理デバイスは、複合命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、またはその他の命令セットを実装するプロセッサ、あるいは命令セットの組合せを実装するプロセッサであってよい。また、処理デバイス702は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサ、またはそれに類するものなどの1つまたは複数の専用処理デバイスであってもよい。処理デバイス702は、本明細書において説明される動作およびステップを実行するための命令726を実行するように構成されてよい。
【0059】
コンピュータシステム700は、ネットワーク720を介して通信すべくネットワークインタフェースデバイス708をさらに含んでよい。また、コンピュータシステム700は、ビデオディスプレイユニット710(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)または陰極線管(CRT))、英数字入力デバイス712(例えば、キーボード)、カーソル制御デバイス714(例えば、マウス)、グラフィクス処理装置722、信号生成デバイス716(例えば、スピーカ)、グラフィクス処理装置722、ビデオ処理装置728、およびオーディオ処理装置732を含んでもよい。
【0060】
データストレージデバイス718は、本明細書において説明される方法または機能のうちの任意の1つまたは複数を実体化する1つまたは複数の命令のセット726またはソフトウェアが記憶された機械可読記憶媒体724(非一過性のコンピュータ可読媒体としても知られる)を含んでよい。命令726は、メインメモリ704内に完全に、もしくは少なくとも部分的に存在してもよく、さらに/またはコンピュータシステム700による命令726の実行中に処理デバイス702に存在してもよく、メインメモリ704と処理デバイス702もまた、機械可読記憶媒体を構成する。
【0061】
一部の実装形態において、命令726は、本開示に対応する機能を実装する命令を含む。機械可読記憶媒体724は、単一の媒体であるように例示的な実装形態に示されるが、「機械可読記憶媒体」という術語は、命令の1つまたは複数のセットを記憶する単一の媒体または多数の媒体(例えば、集中型データベースもしくは分散型データベース、さらに/または関連付けられたキャッシュおよびサーバ)を含むものと解釈されなければならない。また、「機械可読記憶媒体」という術語は、機械によって実行されて、機械および処理デバイス702に本開示の方法のうちの任意の1つまたは複数を実行させるように命令のセットを記憶すること、または符号化することができる任意の媒体を含むものとも解釈されなければならない。したがって、「機械可読記憶媒体」という術語は、ソリッドステートメモリ、光媒体、および磁気媒体を含むが、これには限定されないものと解釈されなければならない。
【0062】
前述の詳細な説明のいくつかの部分は、コンピュータメモリ内のデータビットに対する操作のアルゴリズムおよび記号表現の点で提示されてきた。これらのアルゴリズム上の説明および表現は、データ処理技術分野の業者によって、自らの作業の実質を他の同業者に最も効果的に伝えるべく使用される手法である。アルゴリズムは、所望する結果につながる動作のシーケンスであってよい。動作は、物理量の物理的操作を要求するものである。そのような量は、記憶されること、組み合わされること、比較されること、およびそれ以外で操作されることが可能な電気信号または磁気信号の形態をとってよい。そのような信号は、ビット、値、要素、記号、文字、項、または数と呼ばれること、あるいはそれに類するように呼ばれることがある。
【0063】
しかし、これら、および類似する術語のすべては、適切な物理用に関連付けられるべきであり、これらの量に適用される便利なラベルに過ぎないことに留意されたい。そうでないことが特に明記されない限り、本開示から明白なとおり、本説明全体にわたって、いくつかの術語は、コンピュータシステムのレジスタ内、およびメモリ内の物理(電子的)量として表されるデータを操作して、コンピュータシステムメモリ内、もしくはコンピュータシステムレジスタ内、または他のそのような情報ストレージデバイス内の物理量として同様に表される他のデータに変換するコンピュータシステムまたは類似した電子コンピューティングデバイスのアクションおよびプロセスを指すものと理解されたい。
【0064】
また、本開示は、本明細書における動作を実行するための装置にも関する。この装置は、意図される目的のために特別に構築されてよく、またはこの装置は、コンピュータに記憶されたコンピュータプログラムによって選択的に活性化される、または再構成されるコンピュータを含んでよい。そのようなコンピュータプログラムは、コンピュータシステムバスにそれぞれが結合された、フロッピディスク、光ディスク、CD-ROM、および光磁気ディスクを含む任意のタイプのディスク、読取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カードもしくは光カード、あるいは電子命令を記憶するのに適した任意のタイプの媒体などの、ただし、それには限定されないコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてよい。
【0065】
本明細書において提示されるアルゴリズムおよび表示は、いずれの特定のコンピュータまたは他の装置にも本来的に関係付けられていない。他の様々なシステムが、本明細書における教示によるプログラムと一緒に使用されてよく、あるいは方法を実行すべくより特化した装置を構築することが好都合であると判明する可能性がある。さらに、本開示は、いずれの特定のプログラミング言語を参照して説明がなされるわけでもない。様々なプログラミング言語が、本明細書において説明される開示の教示を実装すべく使用されてよいことを理解されたい。
【0066】
本開示による工程を実行すべくコンピュータシステム(または他の電子デバイス)をプログラムするのに使用されてよい命令が記憶されている機械可読媒体を含んでよい、コンピュータプログラム製品またはソフトウェアとして提供されてよい。機械可読媒体は、機械(例えば、コンピュータ)によって読取り可能な形態で情報を記憶するための任意の機構を含む。例えば、機械可読(例えば、コンピュータ可読)媒体は、読取り専用メモリ(「ROM」)、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、その他などの機械(例えば、コンピュータ)可読記憶媒体を含む。
【0067】
以上の開示において、本開示の実装形態が、本開示の特定の例示的な実装形態を参照して説明されてきた。添付の特許請求の範囲に記載される本開示の実装形態のより広い趣旨および範囲を逸脱することなく、それらの実装形態に様々な変更が行われてよいことが明白であろう。本開示が、一部の要素について単数形で述べる場合、複数の要素が図に示されることが可能であり、似通った要素には、似通った符号でラベルが付けられる。したがって、本開示および図面は、限定する意味ではなく、例示する意味で考慮されるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】