特表 2022-544614 骨折の破片の一時的なブリッジのためのプレート

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公表特許公報(A)

(11)【公表番号】

(43)【公表日】2022-10-19

(54)【発明の名称】骨折の破片の一時的なブリッジのためのプレート

(51)【国際特許分類】

   A61B 17/80 20060101AFI20221012BHJP

【ＦＩ】

A61B17/80

【審査請求】未請求

【予備審査請求】未請求

(21)【出願番号】P 2022509725

(86)(22)【出願日】2020-08-12

(85)【翻訳文提出日】2022-04-13

(86)【国際出願番号】 EP2020072657

(87)【国際公開番号】W WO2021032571

(87)【国際公開日】2021-02-25

(31)【優先権主張番号】19192018.0

(32)【優先日】2019-08-16

(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP

(81)【指定国・地域】

(71)【出願人】

【識別番号】517037630

【氏名又は名称】メダルティス・ホールディング・アクチェンゲゼルシャフト

【氏名又は名称原語表記】ＭＥＤＡＲＴＩＳ ＨＯＬＤＩＮＧ ＡＧ

(74)【代理人】

【識別番号】110001195

【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】エドワーズ，スコット・グラハム

(72)【発明者】

【氏名】エビ，ダニエル

(72)【発明者】

【氏名】ファッシアン，ユリア

(72)【発明者】

【氏名】スカエッツル，ジーモン・マルティン

【テーマコード（参考）】

4C160

【Ｆターム（参考）】

4C160LL21

4C160LL29

4C160LL33

(57)【要約】

本発明は、骨折の破片を一時的にブリッジするためのプレート（１０）に関し、近位部（１１）、遠位部（１２）、および近位部（１１）と遠位部（１２）との間に配置された中間部（１３）を有する。近位部（１１）は、第１の管状骨（１）に適用されて取り付けられるように適合された近位取り付けゾーン（１４）を有する。遠位部（１２）は、第２の管状骨（２）に適用されて取り付けられるように適合された遠位取り付けゾーン（１５）を有する。中間部（１３）は、第１の管状骨（１）と第２の管状骨（２）との間の関節（３）、それによって少なくとも１つのさらなる骨を、特に少なくとも１つのさらなる骨への取り付けなしにブリッジするように適合される。プレート（１０）は、近位取り付けゾーン（１４）と遠位取り付けゾーン（１５）との間に少なくとも１つの湾曲領域（１６，１７）を有する。さらに、本発明は、特にこのようなプレートを使用することができる複雑関節骨折を治療するための方法に関する。

【特許請求の範囲】

【請求項1】

骨折の破片を一時的にブリッジするためのプレート（１０）であって、近位部（１１）、遠位部（１２）、および前記近位部（１１）と前記遠位部（１２）との間に配置された中間部（１３）を備え、
前記近位部（１１）は、第１の管状骨（１）に適用されて固定されるように適合された近位取り付けゾーン（１４）を有し、
前記遠位部（１２）は、第２の管状骨（２）に適用されて固定されるように適合された遠位取り付けゾーン（１５）を有し、
前記中間部（１３）は、前記第１の管状骨（１）と前記第２の管状骨（２）との間の関節（３）、それによって少なくとも１つのさらなる骨を、特に前記少なくとも１つのさらなる骨への取り付けなしにブリッジするように適合され、
前記プレート（１０）は、前記近位取り付けゾーン（１４）と前記遠位取り付けゾーン（１５）との間に少なくとも１つの湾曲領域（１６，１７）を有することを特徴とする、プレート（１０）。

【請求項2】

前記近位取り付けゾーン（１４）は、橈骨に適用されて取り付けられるように適合され、前記遠位取り付けゾーン（１５）は、中手骨に適用されて取り付けられるように適合される、請求項１に記載のプレート（１０）。

【請求項3】

前記近位取り付けゾーン（１４）は、脛骨に取り付けられるように適合され、前記遠位取り付けゾーン（１５）は、中足骨に取り付けられるように適合される、請求項１に記載のプレート（１０）。

【請求項4】

第１の湾曲領域（１６）は、平面視で見たときに好ましくはＵ字型またはＺ字型に湾曲している、先行する請求項のいずれか１項に記載のプレート（１０）。

【請求項5】

前記第１の湾曲領域（１６）の前記湾曲は、軟組織の炎症が排除または少なくとも最小化されるように、特に伸筋腱または屈筋腱のための空間が設けられるように設計される、請求項４に記載のプレート（１０）。

【請求項6】

前記第１の湾曲領域（１６）の前記湾曲は、内半径（Ｒ_ｉ１）が１５ｍｍ～２２ｍｍ、特に１９ｍｍである少なくとも１つの方向変化を有し、および／または、
前記第１の湾曲領域（１６）の前記湾曲は、少なくとも１０°～６０°の角度量の第１の方向変化を有し、および／または、
前記第１の湾曲領域（１６）の前記湾曲は、少なくとも３ｍｍである横方向オフセットＶ１を生じさせる、請求項４または５に記載のプレート（１０）。

【請求項7】

前記第１の湾曲領域（１６）は、前記第１の管状骨（１）の前記遠位端に位置決め可能である、先行する請求項のいずれか１項に記載のプレート（１０）。

【請求項8】

前記第１の湾曲領域（１６）の前記第２の方向変化の前記場所（１８）は、前記プレート（１０）の前記近位端（１９）から１１０ｍｍ～１３０ｍｍ、好ましくは１２０ｍｍの距離（Ａ１）を有する、先行する請求項のいずれか１項に記載のプレート（１０）。

【請求項9】

前記プレート（１０）は、前記第１の湾曲領域（１６）の前記第２の方向変化の前記場所（１８）が前記第１の管状骨（１）の前記遠位端から１０ｍｍ～１２ｍｍ、好ましくは１１ｍｍの距離（Ｄ１）に配置され得るように設計される、先行する請求項のいずれか１項に記載のプレート（１０）。

【請求項10】

第２の湾曲領域（１７）は、側面視において好ましくはＺ字型またはＵ字型に湾曲している、先行する請求項のいずれか１項に記載のプレート（１０）。

【請求項11】

前記第２の湾曲領域（１７）の前記湾曲は、前記領域（１７）が前記関節の前記軟組織の下を摺動可能であるようなものである、請求項１０に記載のプレート（１０）。

【請求項12】

前記第２の湾曲領域（１７）の前記湾曲は、内半径（Ｒ_ｉ２）が１２ｍｍ～１８ｍｍ、特に１２ｍｍである少なくとも１つの方向変化を有し、および／または、
前記第２の湾曲領域（１６）の前記湾曲は、少なくとも１０°～６０°の角度量の第１の方向変化を有し、および／または、
前記第２の湾曲領域（１７）の前記湾曲は、少なくとも３ｍｍである垂直方向オフセットＶ２を生じさせる、請求項１０または１１に記載のプレート（１０）。

【請求項13】

前記第２の湾曲領域（１７）は、前記中間部に配置される、請求項１０～１２のいずれか１項に記載のプレート（１０）。

【請求項14】

前記第２の湾曲領域（１７）は、貫通孔を含まない、請求項１０～１３のいずれか１項に記載のプレート（１０）。

【請求項15】

前記第２の湾曲領域（１７）の前記第２の方向変化の前記場所（２０）は、前記プレート（１０）の前記遠位端（２１）から５０ｍｍ～７０ｍｍ、好ましくは６１ｍｍの距離（Ａ２）を有し、および／または、
前記プレート（１０）は、前記第２の湾曲領域（１７）の前記第２の方向変化の前記場所（２０）が前記第２の管状骨（２）の前記近位端（２５）から１０ｍｍ～１２ｍｍ、好ましくは１１ｍｍの距離（Ｄ２）に配置され得るように設計される、請求項１０～１４のいずれか１項に記載のプレート（１０）。

【請求項16】

前記近位取り付けゾーン（１４）および／または前記第１の湾曲領域（１６）および／または前記遠位取り付けゾーン（１５）には少なくとも１つのねじ孔（２２）および／または少なくとも１つの長円形の孔（２３）および／または少なくとも１つのＫ－ワイヤ孔（２４）が設けられる、先行する請求項のいずれか１項に記載のプレート（１０）。

【請求項17】

前記近位部（１１）の長手方向軸は、平面視において前記遠位部（１２）の長手方向軸と＋４５°～－４５°、好ましくは０°の角度を内包しており、および／または、側面視において－４５°～＋４５°、好ましくは１２°の角度（α）を内包している、先行する請求項のいずれか１項に記載のプレート（１０）。

【請求項18】

前記近位部（１１）における前記プレート（１０）の前記厚みは、前記近位端（１９）に向かって小さくなっていき、および／または、前記遠位部（１２）における前記プレート（１０）の前記厚みは、前記遠位端（２１）に向かって小さくなっていく、先行する請求項のいずれか１項に記載のプレート（１０）。

【請求項19】

複雑関節骨折を治療するための方法であって、前記関節（３）は、人間の患者の２つの管状骨（１，２）の間に位置しており、前記骨折の破片の一時的なブリッジのためにプレート（１０）が設けられ、前記プレート（１０）は、近位部（１１）、遠位部（１２）、および前記近位部（１１）と前記遠位部（１２）との間に配置された中間部（１３）を有し、特に請求項１～１８のいずれか１項に記載のプレート（１０）であり、
前記近位部（１１）は、第１の管状骨（１）に適用されて固定される近位取り付けゾーン（１４）を備え、
前記遠位部（１２）は、第２の管状骨（２）に適用されて固定される遠位取り付けゾーン（１５）を有し、
前記中間部（１３）は、前記第１の管状骨（１）と前記第２の管状骨（２）との間の前記関節（３）、それによって少なくとも１つのさらなる骨を、特に前記少なくとも１つのさらなる骨への取り付けなしにブリッジし、
前記プレート（１０）は、前記近位取り付けゾーン（１４）と前記遠位取り付けゾーン（１５）との間に少なくとも１つの湾曲領域（１６，１７）を有することを特徴とする、方法。

【請求項20】

前記近位取り付けゾーン（１４）は、橈骨に適用されて固定され、前記遠位取り付けゾーン（１５）は、中手骨に適用されて固定され、または、
前記近位取り付けゾーン（１４）は、脛骨に取り付けられ、前記遠位取り付けゾーン（１５）は、中足骨に取り付けられる、請求項１９に記載の方法。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、骨折の破片の一時的なブリッジのためのプレートに関する。

【背景技術】

【0002】

関節疾患の治療の分野において、たとえば位置合わせを誤ったまたは変形した手首の骨を再び位置合わせするための外科手術後に、外科医は、関節プレートを移植する場合がある。このプレートは、通常、１つまたは複数の骨固定装置を関節の骨の所望の場所に取り付けるために使用される。このプレートは、関節の骨が互いに対して所望の位置合わせを有するように所望の位置に固定される。

【0003】

関節で終わる腱、筋肉および神経の複雑なネットワークは、適切な固定を難しくする可能性がある。外科医は、関節プレートを固定する際に周囲の組織を傷つけないようにできる限り注意しなければならない。

【0004】

ＤＥ １０ ２００８ ０３９ ６９３ Ａ１から手首関節形成プレートが公知であり、この手首関節形成プレートは、手首関節形成プレートの長手方向に対して横断的に貫通孔が間隔をあけて配置された拡大手根骨固定セクションを有する。軟組織干渉を回避するために、手首関節形成プレートは、３ｍｍ未満の材料厚みを有する。手首を緩和状態に固定するために、手根骨固定セクションは、形状が球形であり、すなわち背部へ立ち上がっている。また、このセクションは、スプーン形状であり得る。

【0005】

ＥＰ ２，６０６，８４３ Ｂ１は、中央セクションが長手方向軸から手のひら方向に湾曲している手首固定プレートを示している。

【0006】

ＵＳ ５，８５３，４１３は、近位端および遠位端を有する手首固定プレートを示しており、近位端および遠位端の各々は、鞍状領域から離れるように延在しており、長手方向軸を規定している。遠位端の長手方向軸は、内側／外側方向に近位端の長手方向軸と軸方向に位置合わせされていない。

【0007】

広範な複雑骨折（多発外傷）の場合、破片を詳細に治療するのではなく、それらを一時的にブリッジするだけにするものとする場合がある。なぜなら、患者にそれ以上のストレスをかけることは望ましくないからである。体外整復を使用して個々の骨片を元の位置に持って行こうと試みる（リガメントタキシス）。そうすると、それらはそこで大なり小なり治癒する。いわゆるテンショニングプレートを使用してこの破片のゾーンをブリッジする。手首では、たとえば橈骨体は中手骨に接続されているが、指は可動のままであることができる。

【0008】

手首関節の一時的なブリッジのために、長手方向に延在する、大部分が単純な形状のプレートが使用される。

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0009】

本発明のタスクは、公知のプレートの不利点を回避して、特に軟組織の炎症が排除または少なくとも最小化されることを保証する、骨折の破片の一時的なブリッジのためのプレートを提供することである。

【課題を解決するための手段】

【0010】

このタスクは、独立請求項の特徴を有する、骨折の破片の一時的なブリッジのためのプレートによって解決される。

【0011】

このプレートは、好ましくは、哺乳動物、特に人間の骨破片をブリッジするために使用される。

【0012】

このプレートは、近位部、遠位部、および近位部と遠位部との間に配置された中間部を有する。

【0013】

近位部は、第１の管状骨に適用されて取り付けられるように構成された近位取り付けゾーンを有する。

【0014】

特に、近位取り付けゾーンは、プレートの近位部に位置しており、プレートの全長の最大３０％～５０％、特に最大２５％～３０％を占める。

【0015】

代替的にまたはさらに、近位取り付けゾーンは、貫通孔が存在しているプレートの近位領域によって形成され、貫通孔の互いからのそれぞれの距離は、２０ｍｍという長さを超えない。言い換えれば、これは、プレートの近位部では他の部分にも貫通孔が存在し得ることを意味している。しかし、取り付けゾーンは、互いに十分に近くにある貫通孔群によってのみ規定される。

【0016】

近位取り付けゾーンは、実質的に湾曲をもたない近位部の一部であると考えることもできる。

【0017】

近位部は、平面視および／または側面視において、第１の長手方向軸を規定し得て、実質的にこの第１の長手方向軸に沿って近位部が延在している。

【0018】

セクションの長手方向軸は、プレートの切断面の重心の線形補間によって規定され得て、切断部は、このセクションの広がりの実質的な方向に対して垂直である。たとえば、切断面は、切断部の平面におけるプレートの幅および厚みによって示される輪郭を有し得る。

【0019】

近位取り付けゾーンは、好ましくは、締結具（釘、ねじまたはワイヤなど）を挿入することができる貫通孔を備えている。

【0020】

遠位部は、第２の管状骨に適用されて固定されるように適合された遠位取り付けゾーンを有する。

【0021】

特に、遠位取り付けゾーンは、プレートの遠位部に位置しており、プレートの全長の最大３０％～５０％、特に最大２５％～３０％を占める。

【0022】

代替的にまたはさらに、遠位取り付けゾーンは、貫通孔が存在しているプレートの遠位領域によって形成され、貫通孔の互いからのそれぞれの距離は、２０ｍｍという長さを超えない。言い換えれば、貫通孔は、プレートの遠位部の他の部分にも存在し得る。しかし、取り付けゾーンは、互いに十分に近くにある貫通孔群によってのみ規定される。

【0023】

遠位取り付けゾーンは、実質的に湾曲をもたない遠位部の一部であると考えることもできる。

【0024】

遠位部は、平面視および／または側面視において、第２の長手方向軸を規定し得て、実質的にこの第２の長手方向軸に沿って遠位部が延在している。この長手方向軸は、交点重心の線形補間からもたらされ得る。

【0025】

遠位取り付けゾーンは、好ましくは、締結具（釘、ねじまたはワイヤなど）を挿入することができる貫通孔を備えている。

【0026】

中間部は、第１の管状骨と第２の管状骨との間の関節、およびその過程における少なくとも１つの他の骨をブリッジするように設計される。

【0027】

特に、ブリッジは、ブリッジされた領域における少なくとも１つのさらなる骨への取り付けなしに実行される。したがって、中間部には貫通孔を配置しなくてもよい。それは、締結具を受けるための貫通孔がなくてもよい。

【0028】

たとえば、近位取り付けゾーンは、橈骨に適用されて固定されるように構成され得て、遠位取り付けゾーンは、中手骨に適用されて固定されるように構成され得る。

【0029】

代替的に、近位取り付けゾーンは、脛骨または距骨に取り付けられるように構成されてもよく、遠位取り付けゾーンは、中足骨に取り付けられるように構成されてもよい。別段の指示がない限り、下記の寸法は、橈骨および中手骨への適用例に向けられる。脛骨または距骨および中足骨への適用例では、プレートの寸法は、サイズ比率に従って調整されるべきである。

【0030】

本発明によれば、プレートは、近位取り付けゾーンと遠位取り付けゾーンとの間に少なくとも１つの湾曲領域を有する。

【0031】

湾曲領域とは、プレートが位置合わせ軸に対して、たとえば第１または第２の長手方向軸に対して、少なくとも一度、好ましくは少なくとも二度方向を変化させる領域を意味する。

【0032】

プレートは、好ましくは、実質的に細長い平面体として形成され、その長さは幅よりも大きく、特に１０倍以上であり、その厚みまたは材料厚みは幅未満である。幅は、たとえば２ｍｍ～２５ｍｍ、好ましくは５ｍｍ～１５ｍｍであり、材料厚みは、たとえば１ｍｍ～５ｍｍ、好ましくは２．８ｍｍ～３．８ｍｍ、特に好ましくは３．４ｍｍである。

【0033】

プレートは、一般に、１０ｃｍ～３０ｃｍ、好ましくは１５～２５ｃｍ、特に好ましくは約２０ｃｍの全長を有する。

【0034】

プレートは、好ましくは、金属、たとえばチタンまたはチタン合金またはインプラント鋼でできている。他の生体適合性材料、特に炭素、移植可能なプラスチックおよびそれらの組み合わせも考えられる。

【0035】

平面視において、プレートは、実質的に、管状骨、たとえば近位管状骨および／または遠位管状骨のうちの１つの長手方向と好ましくは一致し得る向きに延在している。

【0036】

側面視において、プレートは、好ましくは、近位部および遠位部の長手方向軸に対応する２つの長手方向軸を有し、これら２つの長手方向軸は、所望の関節固定に従った角度を含む。

【0037】

一直線に固定される関節の場合、長手方向軸は、少なくとも側面視において、互いに一致していてもよく、または互いに平行であってもよい。

【0038】

第１の湾曲領域は、平面視において湾曲していてもよい。
上面視は、長さおよび幅がはっきり分かるプレート本体の側に向けられる。

【0039】

好ましくは、第１の湾曲領域は、Ｚ字型またはＵ字型である。
Ｚ字型湾曲の場合、向きは、近位端から遠位端の方向に二度変化し、Ｕ字型湾曲の場合、方向は、近位部および／または遠位部、特にそれぞれの長手方向軸の実質的な向きに対して三度変化する。

【0040】

第１の湾曲領域は、好ましくは、軟組織の炎症が排除または少なくとも最小化されるように、特に伸筋腱または屈筋腱のための空間が設けられるように設計される。

【0041】

手首の固定中に腱に常に炎症が起こる場合、これは腱の損傷および指の剛化につながる可能性がある。湾曲領域は、腱がゆとりを有してプレートによって影響を受けないことを保証する。

【0042】

たとえば橈骨を中指骨に接続する場合、平面視においてＵ字型の領域を使用することができる。湾曲は、指の腱のためのゆとりを残す。

【0043】

たとえば橈骨が人差し指骨または薬指骨に接続される場合、平面視においてＺ字型の領域を使用することができる。湾曲は、指の腱のためのゆとりを残す。

【0044】

第１の湾曲領域の湾曲は、内半径（Ｒ_ｉ１）が内縁において１５ｍｍ～２２ｍｍ、特に１９ｍｍである方向変化を有し得る。特に、全ての方向変化は、対応する内半径を有する。

【0045】

代替的にまたはさらに、第１の湾曲領域の湾曲は、プレートの幅の少なくとも半分、一般に少なくとも約３ｍｍに対応する横方向／側方オフセットを提供するように設計されてもよい。

【0046】

第１の湾曲領域は、一直線に延在する中間部を有し得る。
代替的にまたはさらに、第１の湾曲領域は、近位端から遠位端の方向に、１０°～６０°の角度量の第１の方向変化と、１０°～６０°の角度量の第２の方向変化と、任意に１０°～６０°の角度量の第３の方向変化とを有してもよい。一般に、いずれの場合にも、方向は、平面視においてＺ字型またはＵ字型が形成されるように変化する。

【0047】

プレートは、好ましくは、第１の湾曲領域が第１の管状骨の遠位端において位置決め可能であるように構成される。

【0048】

第１の湾曲領域は、近位部に位置し得て、取り付けのための貫通孔も含み得る。
好ましくは、方向変化が起こる少なくとも１つの領域、好ましくは第２の方向変化の領域に、少なくとも１つの取り付け孔が設けられる。

【0049】

一般にプレートの最大横方向たわみが存在する第１の湾曲領域の第２の方向変化の場所は、プレートの近位端から１１０ｍｍ～１３０ｍｍ、好ましくは１２０ｍｍの距離を有する。

【0050】

代替的にまたはさらに、プレートは、第１の湾曲領域の第２の方向変化の場所が第１の管状骨（１）の遠位端から１０ｍｍ～１２ｍｍ、好ましくは１１ｍｍの距離に位置することができるように設計されてもよい。

【0051】

これは、第２の方向変化の場所が中間部の近位端から１０ｍｍ～１２ｍｍ、好ましくは約１１ｍｍの距離にあることを意味する。

【0052】

代替的にまたはさらに、第２の方向変化は、第１の方向変化から２５ｍｍ～４５ｍｍ、好ましくは３０ｍｍ～４０ｍｍの距離に位置してもよい。

【0053】

プレートの有利な実施形態において、プレートは、側面視において湾曲している第２の湾曲領域を備える。

【0054】

側面視は、長さおよび厚みがはっきり分かるプレート本体の側に向けられる。
好ましくは、第２の湾曲領域は、Ｚ字型またはＵ字型に湾曲している。好ましくは、湾曲は、骨に対して向けられることができるプレートの下側から延在している。したがって、Ｕ字型湾曲の場合、Ｕ字型断面の脚部および基部は、特に、骨の方に向けられることができるプレートの下側から延在しており、そのため、第２の湾曲の結果として窪みが上側に形成される。

【0055】

第２の湾曲領域は、好ましくは中間部に配置される。好ましくは、第２の湾曲領域は、貫通孔を含まないため、骨に固定されるよう意図されていない。

【0056】

特に、第２の湾曲領域の湾曲は、第２の湾曲領域が関節の軟組織の下を摺動可能であるようなものである。その場合、たとえば、プレートは、関節の腱の下を摺動可能であり得る。

【0057】

したがって、第１および第２の湾曲領域を有するプレートは、軟組織の周りを摺動可能であり、それらが動くためのゆとりを残す。

【0058】

第２の湾曲領域は、患者にとって適切なプレートのサイズが選択されるという前提で、プレートが適用されたときに自動的に最適な位置をとることを可能にする。

【0059】

プレートは、手首プレートとして設計される場合、伸筋腱区画における遠位橈骨に位置決めされることができる。

【0060】

第２の湾曲領域の湾曲は、内半径（Ｒ_ｉ２）が内側湾曲に面するプレートの端縁において１２ｍｍ～１８ｍｍ、特に１２ｍｍである方向変化を有し得る。特に、全ての方向変化は、このような内半径を有する。

【0061】

代替的にまたはさらに、第２の湾曲領域の湾曲は、垂直方向オフセット（すなわち、プレートの平面に対するオフセット）が１ｍｍ～１０ｍｍ、好ましくは３ｍｍ～４ｍｍであるように選択されてもよい。第２の湾曲領域は、一直線に延在する中間部を有し得る。

【0062】

第２の湾曲領域は、近位端から遠位端の方向に、１０°～６０°の角度量の第１の方向変化と、１０°～６０°の角度量の第２の方向変化と、任意に１０°～６０°の角度量の第３の方向変化とを有してもよい。一般に、いずれの場合にも、方向は、側面視においてＺ字型またはＵ字型が形成されるように変化する。

【0063】

好ましくは、方向変化は、（近位端から遠位端の方向における）第１、第２および任意に第３の方向変化の後に、側面視における近位部および遠位部の長手方向軸が所望の関節位置の角度、すなわち接続対象の管状骨が含む角度を含むようなものである。

【0064】

プレートの有利な実施形態において、第２の湾曲領域は、一般にプレートの最大垂直方向たわみが生じる第２の方向変化の場所を有する。たとえば、この場所は、プレートの遠位端から５０ｍｍ～７０ｍｍ、好ましくは６１ｍｍの距離を有する。

【0065】

代替的にまたはさらに、プレートは、第２の湾曲領域の第２の方向変化の場所が第２の管状骨の近位端から１０ｍｍ～１５ｍｍ、好ましくは１１ｍｍの距離に位置することができるように構成される。

【0066】

これは、第１の方向変化の前のプレートの領域から最大の横方向／横方向距離を有する第２の湾曲領域の地点が遠位部の近位端から１０ｍｍ～１２ｍｍ、好ましくは１１ｍｍの距離にあることを意味する。

【0067】

プレートの有利な実施形態において、近位取り付けゾーンおよび／または第１の湾曲領域および／または遠位取り付けゾーンにおける貫通孔は、少なくとも１つのねじ孔、長円形の孔および／またはＫ－ワイヤ孔として形成される。

【0068】

ねじ留めの前にＸ線制御下で位置を確認することができるように、Ｋ－ワイヤ孔を用いてプレートを予め固定することができる。

【0069】

近位部の長手方向軸は、平面視において遠位部の長手方向軸と＋４５°～－４５°の角度を含み得る。

【0070】

接続対象の管状骨（たとえば、橈骨および中指）が平面視においておよそ位置合わせされても、長手方向軸が平面視においてある角度を包含していればそれは有利であろう。たとえば、長手方向軸は、一般に直径がより小さい遠位管状骨の長手方向軸に沿って配置され得る。また、骨モデルによっては、近位部の長手方向軸は、平面視において、取り付けられた状態で、近位管状骨の長手方向軸に対して傾けられてもよい。近位端の長手方向軸に沿ったいくつかの取り付け孔は、より短い骨片に位置してもよい。したがって、同様の固定安定性を達成しながら、プレートを全体的により短くすることができる。

【0071】

近位部の長手方向軸は、側面視において遠位部の長手方向軸と－４５°～＋４５°の角度を含み得る。手首プレートでは、これらの長手方向軸は、好ましくは、側面視において１２°の角度を含む。

【0072】

有利なことに、近位部におけるプレートの厚みは、近位端に向かって減少し、および／または、遠位部におけるプレートの厚みは、遠位端に向かって減少している。特に、平面プレートの材料厚みは、端部に向かって減少している。

【0073】

そのため、より容易にプレートを関節領域に挿入することができ、曲げモーメントにおける途切れは、プレートと骨との間の遷移部において防止される。

【0074】

問題はさらに、複雑関節骨折を治療するための方法によって解決され、関節は、人間の患者の２つの管状骨の間に位置する。

【0075】

好ましくは、上記のように、骨折の破片を一時的にブリッジするためのプレートが提供され、このプレートは、近位部、遠位部、および近位部と遠位部との間に配置された中間部を有する。

【0076】

近位部は、第１の管状骨に適用されて固定される近位取り付けゾーンを有する。
遠位部は、第２の管状骨に適用されて取り付けられる遠位取り付けゾーンを有する。

【0077】

中間部は、第１の管状骨と第２の管状骨との間の関節、それによって少なくとも１つのさらなる骨を、特に少なくとも１つのさらなる骨への取り付けなしにブリッジする。

【0078】

近位取り付けゾーンと遠位取り付けゾーンとの間のプレートは、少なくとも１つの湾曲領域を含む。

【0079】

近位取り付けゾーンは、橈骨に適用されて固定され得て、遠位取り付けゾーンは、中手骨に適用されて固定され得る。

【0080】

代替的に、近位取り付けゾーンは、脛骨に取り付けられてもよく、遠位取り付けゾーンは、中足骨に取り付けられてもよい。

【0081】

添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について以下の説明でより詳細に説明する。

【図面の簡単な説明】

【0082】

【図1】プレートの平面図である。

【図2】プレートの側面図である。

【発明を実施するための形態】

【0083】

図１は、手首の骨折の破片の一時的なブリッジのためのプレート１０の平面図である。プレート１０は、近位部１１、遠位部１２、および近位部１１と遠位部１２との間に位置する中間部１３を有する。

【0084】

近位部１１は、第１の管状骨１、この場合橈骨に適用されて取り付けられるように構成された近位取り付けゾーン１４を有する。

【0085】

遠位部１２は、第２の管状骨２、この場合中指骨に適用されて固定されるように適合された遠位取り付けゾーン１５を有する。

【0086】

中間部１３は、橈骨１と中指骨２との間の手首３をブリッジし、手根骨の上に横たわっている。

【0087】

中間部１３は、手根骨に取り付けられていない。
プレート１０は、近位取り付けゾーン１４と遠位取り付けゾーン１５との間に、Ｕ字型に湾曲した第１の湾曲領域１６を有する。第１の湾曲領域１６は、橈骨１の遠位端に位置決めされている。

【0088】

したがって、プレート１０は、伸筋腱または屈筋腱（ここでは図示せず）の絞扼を防止するように構成される。

【0089】

第１の湾曲領域１６の湾曲は、内半径Ｒ_ｉ１が１５ｍｍ～２２ｍｍ、特に１９ｍｍである第２の方向変化の場所１８を有する。

【0090】

横方向オフセットＶ１は、プレートの平均幅におよそ対応し、約１０ｍｍである。
オフセットＶ１を有する最大横方向たわみを有する第２の方向変化の場所１８は、プレート１０の近位端１９から１１０ｍｍ～１３０ｍｍ、好ましくは１２０ｍｍの距離Ａ１を有し得る。

【0091】

最大横方向たわみを有する場所１８は、好ましくは、橈骨１の遠位端から１０ｍｍ～１２ｍｍ、好ましくは１１ｍｍの距離Ｄ１に位置している。

【0092】

近位取り付けゾーン１４、第１の湾曲領域１６および遠位取り付けゾーン１５には、ねじ孔２２が設けられている。近位取り付けゾーン１４および遠位取り付けゾーン１５の各々には、長円形の孔２３も設けられている。また、第１の湾曲領域１６にはＫ－ワイヤ孔２４が位置している。

【0093】

図２は、プレート１０の側面図である。
プレート１０は、近位取り付けゾーン１４と遠位取り付けゾーン１５との間に、側面視においてＵ字型に湾曲した第２の湾曲領域１７を有する。

【0094】

第２の湾曲領域１７は、図に不図示の関節の軟組織の下を摺動可能である。
一般にオフセットＶ２を有する最大垂直方向たわみが存在する第２の湾曲領域１７の第２の方向変化の場所２０は、１２ｍｍ～１８ｍｍ、特に１２ｍｍの内半径Ｒ_ｉ２を有し得る。垂直方向オフセットＶ２は、およそ３ｍｍである。

【0095】

最大垂直方向たわみを有する場所２０は、プレート１０の遠位端２１から５０ｍｍ～７０ｍｍ、好ましくは６１ｍｍの距離Ａ２を有し得る。

【0096】

第２の湾曲領域１７の第２の方向変化の場所２０は、中節骨の近位端２５から１０ｍｍ～１２ｍｍ、好ましくは１１ｍｍの距離Ｄ２に位置し得る。

【0097】

近位部１１の長手方向軸２６は、側面視において、遠位部１２の長手方向軸２７と約１２°の角度αをなしている。

【0098】

プレート１０の厚みは、プレートの端部１９，２１に向かって減少している。

【0099】

【表1】

【図1】

【図2】

【国際調査報告】