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特表2022-544625可搬型の超音波誘導下カニューレ挿入のためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-19
(54)【発明の名称】可搬型の超音波誘導下カニューレ挿入のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20221012BHJP
【FI】
A61B8/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022510155
(86)(22)【出願日】2020-08-17
(85)【翻訳文提出日】2022-04-08
(86)【国際出願番号】 US2020046702
(87)【国際公開番号】W WO2021034777
(87)【国際公開日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】62/888,059
(32)【優先日】2019-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506365393
【氏名又は名称】マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】ブラッテン ローラ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】サミア アンソニー イー.
(72)【発明者】
【氏名】テルファー ブライアン エイ.
(72)【発明者】
【氏名】デロサ ナンシー
(72)【発明者】
【氏名】ジェステビー ラーズ
(72)【発明者】
【氏名】ピアース セオドア ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ヒル ウェスティン
(72)【発明者】
【氏名】チャモロ アンドレス
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601DD14
4C601EE09
4C601EE11
4C601FF03
4C601GA20
4C601GA21
4C601GB03
4C601HH22
4C601HH29
4C601HH31
4C601HH38
4C601JC06
4C601JC16
4C601KK31
4C601KK47
(57)【要約】
半自動の可搬型の超音波誘導カニューレ挿入のためのシステム及び方法を提供する。画像解析のための本システム及び本方法は、画像データから関心対象の脈管のセグメント化を可能にする。画像解析は、被検体内へのカニューレ挿入システムの挿入のための誘導を提供し、その提供される誘導に基づいて経験不足者でも当該挿入を行うことができる。誘導は、関心対象の脈管を貫通するように被検体内に脈管カニューレ挿入システムを挿入するためにユーザを誘導するインジケータ又は機械的誘導部を含むことができる。
【選択図】図7A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の侵襲的処置において侵襲的装置を誘導するためのシステムであって、
超音波プローブと、
前記超音波プローブに結合された誘導システムであって、超音波プローブの視野(FOV)内に前記侵襲的装置を誘導する誘導システムと、
指令を記憶した非一時的なメモリと、
前記非一時的なメモリにアクセスし、前記指令を実行するプロセッサと、
を備えており、
前記プロセッサは、
前記超音波プローブを用いて前記被検体から取得された画像データであって前記被検体のターゲット構造の少なくとも1つの画像を含む画像データにアクセスし、
前記画像データから、前記被検体における前記ターゲット構造の位置を特定し、
前記ターゲット構造の位置に基づいて前記侵襲的装置の挿入ポイント位置を決定して、前記誘導システムを前記挿入ポイント位置に位置決めするために前記超音波プローブの配置を誘導し、
前記挿入ポイント位置から前記ターゲット構造まで前記侵襲的装置を追跡する
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記プロセッサはさらに
前記挿入ポイント位置から前記ターゲット構造への前記侵襲的装置の角度と、
前記被検体に対する前記超音波プローブの回転角度と、
前記挿入ポイント位置から前記ターゲット構造までの挿入距離と、
のうち少なくとも1つを特定する、
請求項1記載のシステム。
【請求項3】
さらに表示システムを備えており、
前記プロセッサはさらに、前記侵襲的装置の前記角度と、前記挿入ポイント位置と、前記ターゲット構造の位置と、前記挿入距離と、のうち少なくとも1つを前記表示システムに表示させる、
請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記表示システムは、前記システムに結合された照明ディスプレイによって、前記ターゲット構造付近に投影される前記挿入ポイント位置のインジケータと、前記挿入ポイント位置における前記超音波プローブ位置のインジケータと、のうち1つを提供する、
請求項3記載のシステム。
【請求項5】
前記プロセッサはさらに、前記挿入ポイント位置から前記ターゲット構造まで前記侵襲的装置を追跡して、前記侵襲的装置の追跡に基づきリアルタイムのフィードバックをユーザに提供する、
請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記プロセッサはさらに、前記ターゲット構造の外観に基づいて前記画像データをセグメント化し、前記ターゲット構造の位置及び前記ターゲット構造のアイデンティティのうち少なくとも1つを特定する、
請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記ターゲット構造は動脈、静脈、大腿動脈、大腿静脈、頸静脈、末梢静脈、鎖骨下静脈、気道、管腔、管腔器官、体腔、流体が充填された解剖学的空間、生検を要する位置、胸部、腎臓、リンパ節、脊柱管、神経ブロックを要する位置、腹膜腔、又は胸膜腔のいずれか1つである、
請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記画像データにアクセスする際に、リアルタイムで取得された前記被検体の前記ターゲット構造の複数の画像を受け取る、
請求項1記載のシステム。
【請求項9】
前記複数の画像は前記ターゲット構造の複数のビューを含み、
前記プロセッサは、前記複数のビューを評価して前記被検体におけるクリティカル構造を識別し、前記侵襲的装置が前記被検体における前記クリティカル構造を貫通することなく前記挿入ポイント位置から前記ターゲット構造に到達する前記被検体における位置を決定する、
請求項8記載のシステム。
【請求項10】
前記クリティカル構造は、骨、意図されない血管、非ターゲット器官、又は神経のうち少なくとも1つを含む、
請求項9記載のシステム。
【請求項11】
前記複数の画像は、複数の異なる時間フレームにおける画像を含む、
請求項9記載のシステム。
【請求項12】
前記誘導システムは、当該誘導システムのベースに結合された取り外し可能なカートリッジを備えており、
前記カートリッジは前記侵襲的装置を収容する、
請求項1記載のシステム。
【請求項13】
前記侵襲的装置は、針、ワイヤ、ダイレータ、呼吸チューブ、胸部チューブ、脈管カテーテル、血液凝固剤、又は医薬品のうちいずれか1つである、
請求項12記載のシステム。
【請求項14】
前記侵襲的装置は、脈管アクセス、器官若しくは体腔へのアクセス、輪状甲状膜切開術、組織サンプルの採取、又は気胸の緩和のうち少なくとも1つを行うためのものである、
請求項13記載のシステム。
【請求項15】
前記誘導システムは、超音波ハンドル固定具を用いて前記超音波プローブに着脱可能に結合されている、
請求項1記載のシステム。
【請求項16】
前記誘導システムは、ハウジングに入れられて前記超音波プローブと一体化することにより前記超音波プローブに結合されている、
請求項1記載のシステム。
【請求項17】
前記誘導システムは電源を備えている、
請求項15記載のシステム。
【請求項18】
前記誘導システムは前記侵襲的装置を自動的に誘導するように構成されている、
請求項1記載のシステム。
【請求項19】
被検体の侵襲的処置において侵襲的装置を誘導するためのシステムであって、
i)超音波プローブを用いて前記被検体から取得された画像データであって前記被検体のターゲット構造の少なくとも1つの画像を含む画像データにアクセスし、
ii)前記画像データから、前記被検体における前記ターゲット構造の位置を特定し、
iii)前記ターゲット構造の位置に基づいて前記侵襲的装置の挿入ポイント位置を決定して、前記誘導システムを前記挿入ポイント位置に位置決めするために前記超音波プローブの配置を誘導する
コンピュータシステムと、
超音波プローブと、
前記超音波プローブに結合された誘導システムであって、前記侵襲的装置を受容して超音波プローブの視野(FOV)内に誘導する誘導システムと、
前記侵襲的装置を前記挿入ポイント位置から前記ターゲット構造まで誘導するための表示部と、
を備えていることを特徴とするシステム。
【請求項20】
前記コンピュータシステムはさらに
前記挿入ポイント位置から前記ターゲット構造への前記侵襲的装置の角度と、
前記被検体に対する前記超音波プローブの回転角度と、
前記挿入ポイント位置から前記ターゲット構造までの挿入距離と、
のうち少なくとも1つを特定する、
請求項19記載のシステム。
【請求項21】
前記表示部はさらに、前記侵襲的装置の前記角度と、前記挿入ポイント位置と、前記ターゲット構造の位置と、前記挿入距離と、のうち少なくとも1つを表示する、
請求項19記載のシステム。
【請求項22】
前記表示システムは、前記システムに結合された照明ディスプレイによって、前記ターゲット構造付近に投影される前記挿入ポイント位置のインジケータと、前記挿入ポイント位置における前記超音波プローブ位置のインジケータと、のうち1つを提供する、
請求項21記載のシステム。
【請求項23】
前記コンピュータシステムはさらに、前記挿入ポイント位置から前記ターゲット構造まで前記侵襲的装置を追跡して、前記侵襲的装置の追跡に基づきリアルタイムのフィードバックをユーザに提供する、
請求項19記載のシステム。
【請求項24】
前記コンピュータシステムはさらに、前記ターゲット構造の外観に基づいて前記画像データをセグメント化し、前記ターゲット構造の位置及び前記ターゲット構造のアイデンティティのうち少なくとも1つを特定する、
請求項19記載のシステム。
【請求項25】
前記ターゲット構造は動脈、静脈、大腿動脈、大腿静脈、頸静脈、末梢静脈、鎖骨下静脈、気道、管腔、管腔器官、体腔、流体が充填された解剖学的空間、生検を要する位置、胸部、腎臓、リンパ節、脊柱管、神経ブロックを要する位置、腹膜腔、又は胸膜腔のいずれか1つである、
請求項19記載のシステム。
【請求項26】
前記コンピュータシステムはさらに、前記画像データにアクセスする際に、リアルタイムで取得された前記被検体の前記ターゲット構造の複数の画像を受け取る、
請求項19記載のシステム。
【請求項27】
前記複数の画像は前記ターゲット構造の複数のビューを含み、
前記コンピュータシステムはさらに、前記複数のビューを評価して前記被検体におけるクリティカル構造を識別し前記侵襲的装置が、前記被検体における前記クリティカル構造を貫通することなく前記挿入ポイント位置から前記ターゲット構造に到達する前記被検体における位置を決定する、
請求項26記載のシステム。
【請求項28】
前記クリティカル構造は、骨、意図されない血管、非ターゲット器官、又は神経のうち少なくとも1つを含む、
請求項27記載のシステム。
【請求項29】
前記複数の画像は、複数の異なる時間フレームにおける画像を含む、
請求項27記載のシステム。
【請求項30】
前記誘導システムは、当該誘導システムのベースに結合された取り外し可能なカートリッジを備えており、
前記カートリッジは前記侵襲的装置を収容する、
請求項19記載のシステム。
【請求項31】
前記侵襲的装置は、針、ワイヤ、ダイレータ、呼吸チューブ、胸部チューブ、脈管カテーテル、血液凝固剤、又は医薬品のうちいずれか1つである、
請求項30記載のシステム。
【請求項32】
前記侵襲的装置は、脈管アクセス、器官若しくは体腔へのアクセス、輪状甲状膜切開術、組織サンプルの採取、又は気胸の緩和のうち少なくとも1つを行うためのものである、
請求項31記載のシステム。
【請求項33】
前記誘導システムは、超音波ハンドル固定具を用いて前記超音波プローブに着脱可能に結合されている、
請求項19記載のシステム。
【請求項34】
前記誘導システムは、ハウジングに入れられて前記超音波プローブと一体化することにより前記超音波プローブに結合されている、
請求項19記載のシステム。
【請求項35】
前記誘導システムは電源を備えている、
請求項34記載のシステム。
【請求項36】
前記誘導システムは前記侵襲的装置を自動的に誘導するように構成されている、
請求項19記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本願は、米国仮特許出願第62/888,059号(出願日:2019年8月16日、発明の名称:Semi-automated portable vascular cannulation system)の利益を主張するものであり、同文献の記載内容は全て、本願明細書に記載されている場合と同様、本願明細書の記載内容に含まれているものとする。
【0002】
<連邦支援研究に関する言及>
本発明は、米国軍及び国防健康局により授与されたFA8702-15-D-0001による政府の支援によりなされたものである。政府は本発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
血管、静脈又は動脈へのカテーテルの挿入は、静脈若しくは動脈が体内の奥深くに位置していたり、特定の患者ではアクセスしにくい場合があり、又は、脈管の周囲領域の外傷により不明瞭になることがあるため、経験不足者や外傷用途では困難な作業となり得る。貫通を何度も試みると、患者に極度の不快感を与えたり、緊急事態の際に貴重な時間を失ったり、さらなる外傷を生じたりすることがある。さらに、中心静脈及び中心動脈は互いに非常に近接していることが多い。例えば、内頸静脈へのアクセスを試みているのに、内頸静脈ではなく頸動脈を穿刺してしまい、これにより、動脈内を流れる血液の血圧が上昇して失血することにより重篤な合併症を生じたり、死亡に至ることさえある。関連する神経経路も、例えば大腿動脈付近に位置する大腿神経等の脈管に近接していることがあり、かかる脈管を穿刺すると、患児にとって重大な疼痛又は機能喪失を引き起こす可能性がある。
【0004】
カニューレ挿入時の合併症を防止するために、超音波器具を用いて、貫通すべき脈管の位置及び方向を特定することができる。このような超音波誘導下カニューレ挿入の一手法として、超音波画像を手動で解釈して針を挿入する人間の専門家が関与するものがある。かかる手動の作業は、当該作業を定期的に行う専門家でしか上手くいかず、このような専門家なら脈管に正確にカニューレ挿入を行うことができる。
【0005】
専門家に課される負担を取り除き又は軽減する試みにおいて、針を挿入するためにロボットアームを用いるロボットシステム等のシステムが開発されてきた。かかるテーブルトップシステムやロボットアームは、可搬用には大きすぎるため、受傷した時点で医療従事者が利用できない場合がある。その上、上述のシステムは末梢静脈アクセスに限定され、より困難な脈管や静脈にカニューレを挿入するために使用できないことがある。
【0006】
さらに、脈管が位置する可能性のある場所を示すために皮膚上に画像オーバーレイを表示し、又は、末梢静脈が表面直下において位置している場所を強調するために使用されてきたシステムもある。しかし、これらのシステムもまた上記システムと同様に末梢静脈に限られており、カニューレ挿入を誘導するために経験不足者が利用できる深度情報を提供するものではなく、もちろん、不適切なレジストレーション(位置合わせ)に繋がる誤りや難点を生じてしまう。
【0007】
したがって、比較的煩雑ではなく、より正確で、経験不足者によっても使用できる血管のカニューレ挿入を改善する技術が必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
本願開示は、誘導下の脈管カニューレ挿入のための新規のシステム及び方法を提供することにより、前記の欠点に対応するものである。本システム及び本方法は、画像データから関心対象の脈管のセグメンテーションのための画像解析を提供するものである。この画像解析は、カニューレ挿入システムを処置対象に挿入するための誘導を提供するものであり、提供された誘導に基づき経験不足者でも行うことができる。誘導は、関心対象の脈管を貫通するように脈管カニューレ挿入システムを処置対象に挿入する際にユーザを誘導するためのインジケータ又は機械的誘導部を含むことができる。
【0009】
一構成では、処置対象の侵襲的処置において侵襲的装置を誘導するためのシステムが提供される。本システムは、超音波プローブと、超音波プローブに固定位置で結合された誘導システムであって侵襲的装置を超音波プローブの視野(FOV)内に誘導するように構成された誘導システムと、を備えている。また、このシステムは、指令を記憶した非一時的なメモリと、当該指令を実行するために非一時的なメモリにアクセスするように構成されたプロセッサと、を備えている。これにより前記プロセッサは、前記超音波プローブを用いて前記処置対象から取得された画像データであって前記処置対象における前記ターゲット構造の位置を含む画像データにアクセスし、前記ターゲット構造の位置に基づいて前記侵襲的装置の挿入ポイント位置を決定して、前記誘導システムを前記挿入ポイント位置に位置決めするために前記超音波プローブの配置を誘導し、前記挿入ポイント位置から前記ターゲット構造まで前記侵襲的装置を追跡する。
【0010】
他の一構成では、処置対象の侵襲的処置において侵襲的装置を誘導するためのシステムが提供される。システムはコンピュータシステムを備えており、コンピュータシステムは、超音波プローブを用いて前記処置対象から取得された画像データであって前記処置対象のターゲット構造の少なくとも1つの画像を含む画像データにアクセスし、前記画像データから、前記処置対象における前記ターゲット構造の位置を特定し、前記ターゲット構造の位置に基づいて前記侵襲的装置の挿入ポイント位置を決定して、前記誘導システムを前記挿入ポイント位置に位置決めするために前記超音波プローブの配置を誘導する。本システムはまた、超音波プローブと、超音波プローブに固定位置で結合された誘導システムであって、侵襲的装置を受容して超音波プローブの視野(FOV)内に誘導するように構成された誘導システムと、を備えている。本システムはまた、侵襲的装置を挿入ポイント位置からターゲット構造へ誘導するように構成された表示部も備えている。
【0011】
本願開示の前述及びその他の側面及び利点は、以下の説明から明らかである。以下の説明は添付の図面を参照して記載されており、同図面は以下の説明の一部を構成するが、好適な実施形態を例示するものである。しかし、この好適な実施形態は、必ずしも本発明の全範囲というわけではないので、本発明の範囲の解釈に当たっては特許請求の範囲を参酌する。以下の説明では、各図の間で同様の部分については、同様の符号を使用する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本願開示に記載されたシステム及び方法を実施することができる非限定的な一例の超音波システムの模式図である。
図2】超音波プローブを用いて関心対象の脈管への針の挿入を誘導するための非限定的な一例の構成の模式図である。
図3】脈管カニューレ挿入を誘導するためのシステムを動作する方法の非限定的な一例の各ステップのフローチャートである。
図4A】脈管カニューレ挿入を誘導するためのシステムを動作する方法の非限定的な一例の各ステップの他のフローチャートである。
図4B】関心対象の脈管の針貫通を誘導する方法の非限定的な一例の各ステップのフローチャートである。
図5】機械学習と機構的モデルとのハイブリッドを用いて関心対象の脈管の画像を生成するため、又は、関心対象の脈管の位置を他の態様で測定若しくは予測するための関心対象脈管画像処理システムを実装できる一例システムのブロック図である。
図6図5のシステムのハードウェア構成要素例のブロック図である。
図7A】超音波プローブに結合された非限定的な一例の侵襲的装置誘導部の斜視図である。
図7B図7Aの侵襲的装置誘導部の側面図である。
図7C図7Bの侵襲的装置誘導部のためのベース及び超音波プローブ固定具の側面図である。
図7D図7Bの注射アセンブリに適合する非限定的な一例のカートリッジの断面図である。
図8A】超音波プローブと一体化された非限定的な一例の侵襲的装置誘導部の斜視図である。
図8B図8Aの一体化された侵襲的装置誘導部及び超音波プローブの分解図である。
図9A】本願開示における使用のための非限定的な一例の輪状甲状膜切開術用カートリッジの斜視図である。
図10A】侵襲的装置誘導部への非限定的な一例の拡張要素の挿入の側面図である。
図10B】非限定的な一例の拡張要素と侵襲的装置誘導部とのアライメントと、針を前進させて当該非限定的な一例の拡張要素を処置対象内に誘導する様子を示す側面図である。
図10C】処置対象内へ針を覆うように非限定的な一例の拡張要素を進める様子の側面図である。
図10D】針を後退させて処置対象内に非限定的な一例の拡張要素を残す様子の側面図である。
図10E】侵襲的装置誘導部を除去して処置対象に非限定的な一例の拡張要素を残す様子の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本願開示の方法を実施できる超音波システム1300の一例を示す。超音波システム100は、別々に駆動される複数のトランスデューサエレメント104を有するトランスデューサアレイ102を備えている。トランスデューサアレイ102は、直線アレイ、曲線アレイ、フェーズドアレイ等を含めた任意の適切な超音波トランスデューサアレイを含むことができる。また、トランスデューサアレイ102は1次元トランスデューサ、1.5次元トランスデューサ、1.75次元トランスデューサ、2次元トランスデューサ、3次元トランスデューサ等を含むことも可能である。
【0014】
送信器106により通電されると、特定のトランスデューサ素子104が超音波エネルギーのバーストを生成する。調査対象又は処置対象から反射してトランスデューサアレイ102に戻った超音波エネルギー(例えばエコー等)は各トランスデューサ素子104によって電気信号(例えばエコー信号等)に変換され、スイッチのセット110によって別々に受信器108に印加されることができる。送信器106、受信器108及びスイッチ110はコントローラ112の制御下で動作し、このコントローラ112は1つ又は複数のプロセッサを備えることができる。一例として、コントローラ112はコンピュータシステムを備えることができる。
【0015】
送信器106は、無集束又は集束した超音波を送信するようにプログラミングされることができる。一部の構成では、送信器106は発散波、球面波、円柱波、平面波、又はこれらの組み合わせを送信するようにプログラミングされることも可能である。また、送信器106は、空間的又は時間的にエンコードされたパルスを送信するようにプログラミングされることも可能である。
【0016】
受信器108は、目下のイメージングタスクのための適切な検出シーケンスを実現するようにプログラミングされることができる。一部の実施形態ではこの検出シーケンスは、ラインごとの走査、合成平面波イメージング、合成開口イメージング、合成発散ビームイメージングのうち1つ又は複数を含むことができる。
【0017】
一部の構成では、送信器106及び受信器108は高いフレームレートを実現するようにプログラミングされることができる。例えば、少なくとも100Hzの取得パルス繰り返し周波数(PRF)に対応するフレームレートを実現することができる。一部の構成では、超音波システム100は時間方向におけるエコー信号の少なくとも100の集合体(ensemble)をサンプリング及び記憶することができる。
【0018】
コントローラ112は、本願開示に記載された技術を使用して、又は当該分野において知られている他の態様でイメージングシーケンスを実行するようにプログラムされることができる。一部の実施形態では、コントローラ112は、イメージングシーケンスの設計において使用される各種ファクタを定義するユーザ入力を受け取る。
【0019】
走査は、実施されるイメージングシーケンスに従い1つの送信プロセス中に各スイッチ110をその送信位置に設定して、トランスデューサ素子104を通電するために送信器1306をオンすることにより、行うことができる。その後、スイッチ110を受信位置に設定し、1つ又は複数の検出されたエコーに応じてトランスデューサ素子104により生成された連続するエコー信号が測定されて、受信器108に印加される。各トランスデューサ素子104からの別々のエコー信号は、受信器108において組み合わせて1つのエコー信号とすることができる。
【0020】
エコー信号は処理ユニット114に送られて処理され、又はエコー信号から生成された画像が処理される。この処理ユニット1314は、ハードウェアプロセッサとメモリとによって具現化することができる。一例として、処理ユニット1314は本願開示の方法を用いて関心対象の脈管へのカニューレ挿入を誘導することができる。処理ユニット114によってエコー信号から生成された画像は、表示システム116上で表示することができる。
【0021】
一部の構成では、非限定的な一例の方法を市販のイメージングシステム等のイメージングシステムに適用して、脈管カニューレ挿入誘導を備えた可搬型超音波システムを提供することができる。この方法は、ユーザ又は医療従事者が超音波プローブを動かす際に、静脈又は動脈等の関心対象の脈管の位置を特定することができる。システム及び方法は、超音波プローブを最適な針挿入ポイントに位置決めするために、ユーザに対してリアルタイムの誘導を提供することができる。プローブは、固定された針誘導装置、調整可能な機械的針誘導部、表示画像針誘導部等のうちの1つ又は複数を備えることができる。調整可能な誘導部は、調整可能な角度及び/又は深度を有することができる。システムは、針の誘導部の配置又は調整を誘導し、又は通信することができる。システムはまた、関心対象の脈管の計算された深度に基づいて針挿入距離を規制することができる。その後ユーザは、適切な挿入を保証するように、プローブに取り付けられた機械的誘導部を介して針を挿入し、又はプローブから投影された誘導表示を介して針を挿入することができる。針挿入時には、システムは、血管を貫通するまでターゲットの血管及び針の追跡を進めることができる。医療従事者が所望の血管を特定できるようにし、処理全般にわたって医療従事者に対してフィードバックを提供するため、グラフィックユーザインターフェースを使用することができる。
【0022】
本願開示及び添付の特許請求の範囲において、「リアルタイム」との用語あるいはその関連用語は、特定のイベントの発生から当該イベントに対してシステムが応答するまでの動作上のタイムリミットに基づく性能として解されるシステムのリアルタイム性能をいい、またかかるリアルタイム性能として定義される。例えば、取得した超音波データに基づくデータのリアルタイム抽出及び/又はかかるデータのリアルタイム表示は、信号取得処理の中断と同時に、又は当該中断を伴わずにトリガ及び/又は実行されるものとすることができる。
【0023】
一部の構成では、システムは全ての超音波画像読影及び挿入計算を自動化することができ、また、プローブを動かしたり針を挿入する等の器用さを要するステップは、医療従事者又はユーザが行うことができる。このように作業を分担することにより、器用なロボットアームの使用を回避して、任意の必要な医療技術を取り込む小型のシステムを得ることができる。
【0024】
図2は、大腿動脈230又は大腿静脈240への針挿入を誘導するための非限定的な実施形態例を示す略図である。大腿動脈230、大腿静脈240、及び大腿神経250等の他の関心対象物の一部を含む関心対象領域の画像220を取得するため、超音波プローブ21が使用される。大腿動脈230、大腿静脈240及び大腿神経250の位置には、画像220上で注釈を付することができる。図示のように、大腿静脈240等の関心対象の脈管を貫通するように針270を誘導するための機械的針誘導部260を備えることができる。一部の構成では、図示のように大腿動脈230等の関心対象の脈管を貫通するように針270を誘導するための貫通誘導画像266を処置対象の表面上に投影する視覚的針誘導部265を設けることができる。貫通誘導画像266は、処置対象に投影されるときに、貫通される関心対象の脈管の実寸又は実際の深度を反映することができ、又は、測定値又は貫通されるポイントターゲット等の他のインジケータを提示することができる。
【0025】
関心対象の脈管は、大腿動脈,大腿静脈,頸静脈,末梢静脈,鎖骨下静脈、及び/又は他の脈管若しくは非脈管構造を含み得る。非限定的な適用例としては、緊張性気胸(虚脱肺)に対する針減圧術や(気道アクセス確保のための)針輪状甲状膜切開術等の付加的な救急針挿入処置を行う際に医療従事者を補助することが挙げられる。可搬型超音波は、緊張性気胸と針挿入ポイント(肋間隙、肋骨間)とを検出したり、輪状甲状膜と針挿入ポイントとを検出するために用いることができる。
【0026】
図3を参照すると、脈管カニューレ挿入を誘導するためのシステムを動作させる方法の非限定的な一例の各ステップのフローチャートが提示されている。ステップ310において、撮像データにアクセスする。これは、撮影取得を行うことにより、及び/又は事前取得された画像データにアクセスすることによって行うことができる。撮像データは超音波データを含むことができ、及び/又は、磁気共鳴画像(MRI)、コンピュータ断層撮影(CT)、PET、SPECT、X線透視法等の任意の他の形態の医用撮像データを含むことができる。ステップ320において、撮像データを用いて関心対象の脈管を特定することができる。その位置は、撮像データ中の関心対象の脈管をセグメンテーションすることによって特定することができる。関心対象の脈管は、大腿動脈,大腿静脈,頸静脈,末梢静脈,鎖骨下静脈等を含み得る。その後、ステップ330において脈管カニューレ挿入システムの挿入ポイントを決定することができる。挿入ポイントの決定は、関心対象の脈管の特定された位置と、処置対象の表面から関心対象の脈管まで神経等の他の関心対象器官を貫通することなくカニューレ挿入システムが通過できる深度及び経路の計算と、に基づいて行うことができる。ステップ340において、ユーザに対して上記の挿入ポイントを決定することができる。挿入ポイントは、処置対象の表面の一部を照明することによって、又は機械的針誘導部をユーザのために適切な設定に調整すること等によって識別することができる。また、針貫通の深度は、機械的誘導部の設定又は高さによって制御することもできる。ステップ350において、脈管カニューレ挿入システムを関心対象の脈管に貫通させるように脈管に誘導することができる。脈管カニューレ挿入システムを誘導することは、処置対象に挿入されたカニューレ挿入システムとしての脈管カニューレ挿入システム及び関心対象の脈管の画像の取得と、追跡しているこれらの画像をユーザに対して表示することと、を含むことができる。
【0027】
図4Aを参照すると、脈管カニューレ挿入を誘導する方法を記載した他のフローチャートに、非限定的な一例の各ステップが示されている。ステップ410において、超音波トランスデューサを配置するターゲット位置に到達したことがシステムによって識別される。ステップ420において、ターゲット位置から超音波撮像データを取得する。ステップ430において、撮像データ中の関心対象の脈管の位置を特定する。ステップ440において、超音波撮像データにおいて関心対象の脈管をセグメンテーションする。その後、ステップ450において針の挿入ポイントを決定することができる。挿入ポイントの決定は、関心対象の脈管の特定及びセグメンテーションされた位置に基づいて行うことができる。一部の構成では、本方法は、処置対象の表面から関心対象の脈管までの経路上の例えば神経等の他の関心対象の器官や構造を針が貫通することなく、処置対象の表面から関心対象の脈管までの深度及び経路を計算することを含む。ステップ450において、ユーザに対して挿入ポイントを識別することもできる。挿入ポイントは上記のように、処置対象の表面の一部を照明することによって、固定された針誘導部が挿入ポイント上に配されていることを保証することによって、又は、調整可能な機械的針誘導部をユーザのために適切な設定に自動調整すること等によって識別することができる。また、針貫通の深度は、調整可能な機械的誘導部の設定の調整によって、又は固定された誘導部の固定された高さによって規制することもできる。ステップ460において針を追跡し、関心対象の脈管に貫通させるように当該脈管に誘導することができる。針を誘導することは、処置対象に挿入された針としての針及び関心対象の脈管の超音波画像の取得と、追跡しているこれらの画像をユーザに対して表示することと、を含むことができる。
【0028】
本願開示では、1次元、2次元、線形、フェーズドアレイ等を含めた任意の超音波プローブを使用することができる。一部の構成では、関心対象の脈管の画像に針の任意の追跡情報をオーバーレイして、当該画像をユーザに対して表示する。一部の構成では、ユーザに対して画像を表示せずに、処置対象の表面の一部を照明することによって挿入ポイントを識別するだけとすることが可能である。一部の構成では、画像を表示せずに、プローブが適切な位置に到達したことのみをユーザに通知し、これを以て機械的針誘導部が、例えば関心対象の脈管をターゲットとする角度及び/又は深度等の適切な設定に自動調整される。例えば光インジケータ、プローブの振動等の任意の適切な手段を用いて、プローブが適切な位置に到達したことをユーザに通知することができる。
【0029】
一部の構成では、ステップ410において、ターゲット位置に超音波トランスデューサが配置されたことの識別をシステムによって自動的に行うことができる。大腿三角や頚部等の解剖学的構造を識別するために画像データを使用することができ、画像データにシステムがアクセスして、超音波トランスデューサが配された場所の自動識別を提供することができる。一部の構成では、動脈又は静脈のいずれをターゲットとするか等、ターゲットとする関心対象の脈管をユーザが指定することができる。上記構成の非限定的な一例の組み合わせでは、処置対象における超音波トランスデューサの位置は、自動的に識別された解剖学的構造においてユーザが関心対象の脈管をターゲットに指定して、解剖学的構造の撮像と共に自動的に特定されることができる。使用されるユーザ入力を最小限にして、ユーザの時間負担を軽減することができる。
【0030】
ステップ440の関心対象の脈管のセグメンテーションは、超音波画像中の形態的情報及び空間的情報の機械学習に基づくことができる。一部の構成では、機械学習のためにニューラルネットワークを利用することができ、ニューラルネットワークが空間的及び時間的な複数のスケールで特徴を学習することができる。関心対象の脈管は、脈管壁の形状及び/若しくは外観、並びに/又は周囲組織の形状及び/若しくは外観等に基づいて区別することができる。非限定的な一例では、画像中の動脈を区別するために比較的硬い壁及び円形の形状を利用することができ、これに対して静脈を識別するためには楕円形の形状を利用することができる。時間的に訓練されたルーティンによって、従来のポストホック処理を要することなく、リアルタイム脈管セグメンテーションを可能にすることができる。
【0031】
ステップ440の関心対象の脈管のセグメンテーションでは、時間的情報を使用することができる。脈管の外観や形状は、心拍動に伴う変化や、低血圧状態と正常な緊張状態との間での外観差等、解剖学的構造の運動と共に経時的に変化し得る。機械学習ルーティンは、複数の異なる期間にわたって反映される解剖学的構造の差分を有する複数の期間からのデータを用いて訓練することができる。時間的に訓練された機械学習ルーティンにより、誤分類を生じることなく、また、関心対象の脈管を特定するために特定の時間フレームや特定のプローブ位置を見つける必要なく、時間的にロバストに処置対象について脈管セグメンテーションを行うことができる。
【0032】
一部の構成では、生じる可能性のあるいかなる矛盾した誤分類も防止するために、システムに情報チェックを設けることができる。矛盾情報チェックは、プローブの位置における解剖学的構造の全体構成を考慮することを含むことができる。非限定的な一例では、システムが当初、プローブの位置において2つの動脈を識別したが、プローブの当該位置における全体的な解剖学的構造が、2つの動脈ではなく1つの動脈と1つの静脈とを結果として返すべきであることを示唆している場合、システムはこの誤った2つの動脈ではなく1つの動脈と1つの静脈とを適正に識別するように自動補正して誤分類を防止することとなる。
【0033】
ステップ450のユーザに対する挿入ポイントの決定は、システムが身体におけるプローブの向きを自動的に考慮することを含むこともできる。従来の超音波プローブは、プローブの右側と左側とを示すためマークを当該プローブ表面上に有し、これにより、当該マークが例えば患者の右側に来るようにユーザがプローブの向きを調整できるようにされている。このプローブの向きの調整は、取得された超音波画像の解析、又は外部カメラ等によるマークの向きの監視から決定することもできる。一部の構成では、装置がプローブの向きと一致することを保証するために、針誘導アタッチメントがプローブ上のマークにフィットするように構成することができる。
【0034】
ステップ450の針の挿入ポイントの決定の一部として、安全確認を実施することもできる。安全確認には、例えば骨、意図されない血管、非ターゲット器官、神経等、針が脈管を貫通する経路上で妨害となるクリティカル構造が存在しないことを確認することを含むことができる。また、安全確認は、上述のようなクリティカル構造を貫通しないように貫通位置をシステムに変更させることを含むこともできる。一部の構成では、安全確認は、ステップ460において追跡及び誘導により、針が関心対象の脈管を貫通したことを確認することを含むことができる。また、安全確認は、超音波画像から、又はシステムのハンドルに設けられた慣性測定ユニットから検証することによって、ユーザがシステムを安定した位置に保持していることを特定することを含むこともできる。
【0035】
図4Bを参照すると、関心対象の脈管への針貫通を誘導する方法を記載したフローチャートに、非限定的な一例の各ステップが示されている。ステップ465において、超音波撮像データを取得してプローブ位置を特定する。ステップ470において画質を特定することができ、また、ステップ475において処置対象内の脈管を貫通するプローブ位置の安全性を特定することができる。ステップ480において、撮像データにおける関心対象の脈管の位置を特定することができる。ステップ485において、関心対象の脈管の境界をセグメンテーションして、関心対象の脈管の重心を計算することができる。ステップ490において、プローブを挿入ポイントに誘導することができる。ステップ495において、脈管間の離隔距離が十分であることを特定又は確認することができる。十分な離隔距離が無い場合は、ステップ490においてプローブを新たな挿入位置に誘導することができる。十分な離隔距離がある場合には、ステップ497において、針挿入を進めるための信号をユーザに提供することができる。かかる信号は、グラフィカルユーザインターフェース上、又はプローブのライト等で提供することができる。ステップ499において針を追跡し、脈管の貫通を確認することができる。
【0036】
一部の構成では、本方法は、処置対象への超音波プローブの配置に際してユーザを誘導することを含む。貫通するターゲットは、本願開示で機械学習等により識別することができ、また局所化することができる。次に、識別されたターゲット上に配置するために超音波プローブをどの方向に移動させるべきかについてユーザを誘導することができる。超音波プローブがターゲット位置に達した場合、ユーザがプローブの移動を止めるべきことを信号により示すことができる。非限定的な一例では、誘導は、プローブ上のライト等の信号によって提供することができる。ターゲットの位置に達した後、針の配置と貫通を進めることができる。
【0037】
図5を参照すると、本願開示に記載されているシステム及び方法の一部の実施形態の機械学習と機構的モデルとのハイブリッドを生成及び実行するためのシステム500の一例が示されている。図5に示すように、計算装置550は画像ソース502から1種類又は複数種類のデータ(例えば超音波、マルチパラメトリックMRIデータ、関心対象脈管画像データ等)を受け取ることができる。一部の実施形態では、計算装置550は、関心対象脈管画像処理システム504の少なくとも一部を実行することにより、関心対象の脈管の画像を生成し、又は、画像ソース502から受け取ったデータから関心対象の脈管を他の態様でセグメンテーションすることができる。
【0038】
追加的又は代替的に、一部の実施形態では、計算装置550は、画像ソース502から受け取ったデータに関する情報を、通信ネットワーク554を介してサーバ552へ伝送することができ、サーバ552は、関心対象脈管処理システム504の少なくとも一部を実行して関心対象の脈管の画像を生成し、又は、画像ソース502から受け取ったデータから関心対象の脈管を他の態様でセグメンテーションすることができる。かかる実施形態では、サーバ552は、関心対象脈管画像処理システム504の出力を示す情報を計算装置550(及び/又は他の任意の適切な計算装置)に返すことにより、関心対象の脈管の画像を生成することができ、又は、画像ソース502から受け取ったデータから関心対象の脈管を他の態様でセグメンテーションすることができる。
【0039】
一部の実施形態では、計算装置550及び/又はサーバ552は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ウェアラブルコンピュータ、サーバコンピュータ、物理的な計算装置によって実行される仮想マシン等、任意の適切な計算装置又は複数の装置の組み合わせとすることができる。計算装置550及び/又はサーバ552は、データから画像を再構成することもできる。
【0040】
一部の実施形態では画像ソース502は、超音波システム、他の計算装置(例えば、画像データを格納するサーバ)等の画像データの任意の画像データソース(例えば測定データ、測定データから再構成された画像等)とすることができる。一部の実施形態では、画像ソース502を計算装置550にローカルに設けることができる。例えば、画像ソース502は計算装置550と統合することができる(例えば計算装置550は、画像をキャプチャ、スキャン及び/又は格納するための装置の一部とすることができる)。他の一例として、画像ソース502は、ケーブル、直接ワイヤレスリンク等によって計算装置550に接続することができる。追加的又は代替的に、一部の実施形態では、画像ソース502を計算装置550にローカルに設置し、及び/又は計算装置550から遠隔に配置することができると共に、画像ソース502は通信ネットワーク(例えば通信ネットワーク554等)を介して計算装置550(及び/又はサーバ552)へデータを伝送することができる。
【0041】
一部の実施形態では、通信ネットワーク554は、任意の適切な通信ネットワーク又は通信ネットワークの組み合わせとすることができる。例えば、通信ネットワーク554は、Wi-Fiネットワーク(1つ以上の無線ルータ、1つ以上のスイッチ等を含むことができる)、ピアツーピアネットワーク(例えば、Bluetoothネットワーク)、セルラーネットワーク(例えば、3Gネットワーク、4Gネットワーク等)、CDMA、GSM、LTE、LTE Advanced、WiMAX等の任意の適切な標準に準拠する)、有線ネットワーク等を含むことができる。いくつかの実施形態において、通信ネットワーク108は、局所領域ネットワーク、広域ネットワーク、公的ネットワーク(例えば、インターネット)、私的又は半私的ネットワーク(例えば、企業又は大学のイントラネット)、任意の他の適切なタイプのネットワーク、又は任意の適切な組み合わせのネットワークであり得る。図5に示される通信リンクは、ワイヤードリンク、ファイバーオプティックリンク、Wi-Fiリンク、ブルートゥースリンク、セルラーリンク等の、通信リンクの任意の適切な通信リンク又は組合せであり得る。
【0042】
図6を参照すると、本願開示に記載されているシステム及び方法の一部の実施形態の画像ソース502、計算装置550、及びサーバ554を実装するためのハードウェア600の一例が示されている。図6に示されるように、一部の実施形態では、計算装置550は、プロセッサ602、表示部604、1つ以上の入力部606、1つ以上の通信システム608、及び/又はメモリ610を備えることができる。一部の実施形態では、プロセッサ602は、中央処理ユニット(「CPU」)、グラフィック処理ユニット(「GPU」)等の任意の適当なハードウェアプロセッサ、又は複数のプロセッサの組み合わせとすることができる。一部の実施形態では、表示部604は、コンピュータモニタ、タッチスクリーン、テレビジョン等の任意の適切な表示装置を含むことができる。一部の実施形態では、入力部606は、ユーザ入力を受け取るために使用できる任意の適切な入力装置及び/又はセンサ、例えばキーボード、マウス、タッチスクリーン、マイクロフォン等を含むことができる。
【0043】
一部の実施形態では、通信システム608は、通信ネットワーク554及び/又は任意の他の適切な通信ネットワークを介して情報を伝達するための任意の適切なハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを含むことができる。例えば、通信システム608は、1つ以上の送受信器、1つ以上の通信チップ及び/又はチップセット等を備えることができる。より具体的な例では、通信システム608は、Wi-Fi(登録商標)接続、ブルートゥース(Bluetooth、登録商標)接続、移動体通信接続、イーサネット接続等を確立するために使用できるハードウェア、ファームウェア及び/又はソフトウェアを備えることができる。
【0044】
一部の実施形態では、メモリ610は例えば、プロセッサ602等によって使用できる指令、値又はデータ等を記憶するため、表示部604を使用して記憶内容を提示するため、通信システム608を介してサーバ552と通信するため等に使用可能な、任意の適切な1つ以上の記憶装置を含むことができる。メモリ610は、任意の適切な揮発性メモリ、不揮発性メモリ、記録装置、又はそれらの任意の適切な組み合わせを含むことができる。例えば、メモリ610は、RAM、ROM、EEPROM、1つ以上のフラッシュドライブ、1つ以上のハードディスク、1つ以上のソリッドステートドライブ、1つ以上の光学ドライブ等を含むことができる。一部の実施形態ではメモリ610は、計算装置550の動作を制御するためのコンピュータプログラムを符号化したもの又は他の態様で記憶したものを有することができる。かかる実施形態では、プロセッサ602は、コンテンツ(例えば画像、ユーザインタフェース、グラフィック、テーブル等)を提示し、サーバ552からコンテンツを受信し、情報をサーバ552に送信する等のために、コンピュータプログラムの少なくとも一部を実行することができる。
【0045】
一部の実施形態では、サーバ552は、プロセッサ612、表示部614、1つ以上の入力部616、1つ以上の通信システム618、及び/又はメモリ620を含むことができる。一部の実施形態では、プロセッサ612は、CPU、GPU等の任意の適切なハードウェアプロセッサ又は複数のプロセッサの組み合わせとすることができる。一部の実施形態では、表示部614は、コンピュータモニタ、タッチスクリーン、テレビジョン等の任意の適切な表示装置を含むことができる。一部の実施形態では、入力部616は、ユーザ入力を受け取るために使用できる任意の適切な入力装置及び/又はセンサ、例えばキーボード、マウス、タッチスクリーン、マイクロフォン等を含むことができる。
【0046】
一部の実施形態では、通信システム618は、通信ネットワーク554及び/又は任意の他の適切な通信ネットワークを介して情報を伝達するための任意の適切なハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを含むことができる。例えば、通信システム618は、1つ以上の送受信器、1つ以上の通信チップ及び/又はチップセット等を備えることができる。より具体的な例では、通信システム608は、Wi-Fi(登録商標)接続、ブルートゥース(Bluetooth、登録商標)接続、移動体通信接続、イーサネット接続等を確立するために使用できるハードウェア、ファームウェア及び/又はソフトウェアを備えることができる。
【0047】
一部の実施形態では、メモリ620は例えば、プロセッサ612等によって使用できる指令、値又はデータ等を記憶するため、表示部614を使用して記憶内容を提示するため、1つ以上の計算装置550と通信するため等に使用可能な、任意の適切な1つ以上の記憶装置を含むことができる。メモリ620は、任意の適切な揮発性メモリ、不揮発性メモリ、記録装置、又はそれらの任意の適切な組み合わせを含むことができる。例えば、メモリ620は、RAM、ROM、EEPROM、1つ以上のフラッシュドライブ、1つ以上のハードディスク、1つ以上のソリッドステートドライブ、1つ以上の光学ドライブ等を含むことができる。一部の実施形態では、メモリ620は、サーバ552の動作を制御するためのサーバプログラムを符号化したものを有することができる。かかる実施形態では、プロセッサ612はサーバプログラムの少なくとも一部を実行して、情報及び/又はコンテンツ(例えばデータ、画像、ユーザインターフェース等)を1つ又は複数の計算装置550に送信し、1つ又は複数の計算装置550から情報及び/又はコンテンツを受け取り、1つ又は複数の装置(例えばパーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォン等)等から指令を受け取ることができる。
【0048】
一部の実施形態では、画像ソース502は、プロセッサ622、1つ以上の画像取得システム624、1つ以上の通信システム626、及び/又はメモリ628を備えることができる。一部の実施形態では、プロセッサ622は、CPU、GPU等の任意の適切なハードウェアプロセッサ又は複数のプロセッサの組み合わせとすることができる。一部の実施形態では、1つ以上の画像取得システム624は一般に、データ、画像、又はその両方を取得するように構成されており、MRIシステムのRF送受信サブシステムを備えることができる。追加的又は代替的に、一部の実施形態では、1つ以上の画像取得システム624は、MRIシステム又はMRIシステムのRFサブシステムに結合するため及び/又はその動作を制御するための任意の適切なハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを備えることができる。一部の実施形態では、1つ以上の画像取得システム624の1つ又は複数の一部分を取り外し可能及び/又は交換可能とすることができる。
【0049】
図示されていないが、画像ソース502は、任意の適切な入力部及び/又は出力部を備えることができる点に留意すべきである。例えば、画像ソース502は、キーボード、マウス、タッチスクリーン、マイクロフォン、トラックパッド、トラックボール等、ユーザ入力を受け取るために使用できる入力装置及び/又はセンサを備えることができる。他の一例として、画像ソース502は、コンピュータモニタ、タッチスクリーン、テレビジョン等の任意の適切な表示装置、1つ以上のスピーカ等を含むことができる。
【0050】
一部の実施形態では、通信システム626は、計算装置550へ情報を伝達するための(一部の実施形態では、通信ネットワーク554及び/又は任意の他の適切な通信ネットワークを介して計算装置550へ情報を伝達するための)任意の適切なハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを含むことができる。例えば、通信システム626は、1つ以上の送受信器、1つ以上の通信チップ及び/又はチップセット等を備えることができる。より具体的な例では、通信システム626は、任意の適切なポート及び/又は通信規格を用いた有線接続(例えばVGA、DVIビデオ、USB、RS-232等)、Wi-Fi(登録商標)接続、ブルートゥース(Bluetooth、登録商標)接続、移動体通信接続、イーサネット接続等を確立するために使用できるハードウェア、ファームウェア及び/又はソフトウェアを備えることができる。
【0051】
一部の実施形態では、メモリ618は例えば、1つ以上の画像取得システム624を制御するため及び/又は1つ以上の画像取得システム624からデータを受け取るためにプロセッサ622等によって使用できる指令、値又はデータ等を記憶するため、データから画像を得るため、表示部を使用してコンテンツ(例えば画像、ユーザインタフェース等)を提示するため、1つ以上の計算装置550と通信するため等に使用可能な、任意の適切な1つ以上の記憶装置を含むことができる。メモリ628は、任意の適切な揮発性メモリ、不揮発性メモリ、記録装置、又はそれらの任意の適切な組み合わせを含むことができる。例えば、メモリ628は、RAM、ROM、EEPROM、1つ以上のフラッシュドライブ、1つ以上のハードディスク、1つ以上のソリッドステートドライブ、1つ以上の光学ドライブ等を含むことができる。一部の実施形態ではメモリ628は、画像ソース502の動作を制御するためのプログラムを符号化したもの又は他の態様で記憶したものを有することができる。かかる実施形態では、プロセッサ622はプログラムの少なくとも一部を実行して、画像を生成し、情報及び/又はコンテンツ(例えばデータ、画像等)を1つ又は複数の計算装置550に送信し、1つ又は複数の計算装置550から情報及び/又はコンテンツを受け取り、1つ又は複数の装置(例えばパーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォン等)等から指令を受け取ることができる。
【0052】
一部の実施形態では、任意の適切なコンピュータ可読媒体は、本願明細書に記載されている機能及び/又はステップを実施するための指令を記憶するために使用することができる。例えば、一部の実施形態では、コンピュータ可読媒体は一時的又は非一時的とすることができる。例えば、非一時的コンピュータ可読媒体は、磁気媒体(例えば、ハードディスク、フロッピーディスク)、光学媒体(例えば、コンパクトディスク、デジタルビデオディスク、ブルーレイ(Blu-ray、登録商標)ディスク)、半導体媒体(例えば、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、フラッシュメモリ、電気的プログラマブルリードオンリーメモリ(「EPROM」)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(「EEPROM」)等)、伝送中に過渡的ではなく永続性のいかなる外形の欠落もない任意の適切な媒体、及び/又は任意の適切な有形媒体を含むことができる。他の一例として、一時的なコンピュータ可読媒体はネットワーク上、配線内、導体内、光ファイバ内、回路上、若しくは送信中に過渡的ではなく若しくは性能のいかなる外形も欠けない任意の適切な媒体上の信号、及び/又は任意の適切な無形媒体を含むことができる。
【0053】
図7Aは、超音波プローブに結合された非限定的な一例の侵襲的装置誘導注射アセンブリ700の斜視図である。同図にはベース740が示されており、ベース740には、超音波プローブ710との着脱可能な結合を提供する超音波ハンドル固定具730が設けられている。注射アセンブリ700は、超音波ハンドル固定具730を用いて超音波プローブ710にストラップ留めすること等により、いかなる超音波装置にも取り付けることができる。ベース740は、反動を最小限にして針の挿入精度を向上させるために、皮膚表面に載置される機械的支持体を含むことができる。
【0054】
図7Bは、図7Aの侵襲的装置誘導注射アセンブリ700の側面図である。非限定的な一例では、ベース740は、侵襲的装置を挿入する角度を設定するためのモータを備えており、侵襲的装置は針とすることができる。また、ベース740は、侵襲的装置を所望の深度まで駆動するための第2の駆動モータを備えることもできる。モータは、挿入深度を変えて針の挿入速度を変動するように制御されることができ、例えば、反動を最小限にして精度を向上させるために針を皮膚に比較的低速度で挿入してから、その後により高速に挿入することができる。一部の構成では、駆動モータの機能を機械的エネルギーを貯蔵するバネその他任意の適切な手法と、処置対象への注射を可能にするための追加のモータその他の適切な機械的作動手法とに置換し、又はこれらにより強化することができる。ベース740にはカートリッジ720が着脱可能に結合されており、実施される処置に対応した構成とすることができる。非限定的な複数の例では、カートリッジ720は、脈管アクセス、緊張性気胸、又は気道確保を要する適応症を処置するための構成を備えることができる。非限定的な一例のカートリッジ構成を以下の表1に列挙する。
【0055】
表1-非限定的な例示的カートリッジ構成
【表1】
【0056】
図7Cは、図7Bの侵襲的装置誘導部のためのベース及び超音波プローブ固定具の側面図である。ベース740は、カートリッジ結合部722によって結合されたカートリッジスロット725により保持される侵襲的装置の入角度及び/又は挿入深度を設定するための駆動モータ745を備えている。前進制御部755による作動によって侵襲的装置を前進させるための前進モータ747を設けることができ、前進制御部755は、非限定的な一例ではボタンである。電気的インタフェースコネクタ752が、超音波イメージングシステム又は別体の表示システムとの通信を提供することができる。ユーザ誘導信号750がユーザにフィードバックを提供し、装置の大まか及び/又は詳細な配置の際にユーザを導くことを意図する形態又は任意の表示をとることができる。非限定的な一例では、ユーザ誘導信号750はLEDの配列体を含む。一部の構成では、ユーザ誘導信号750をカートリッジ720に結合することができ、また、処置中の特定の表示に固有な信号とすることができる。
【0057】
図7Dは、図7Bの注射アセンブリ700に適合する非限定的な一例のカートリッジ720の断面図である。親ねじ760によってベース結合部770を作動させ、非限定的な一例のカートリッジ720を図7Bのベース740に結合させてもよい。針カートリッジ用途の非限定的な一例として、針カートリッジ765が示されている。
【0058】
図8Aは、超音波プローブと一体化された非限定的な一例の侵襲的装置誘導部の斜視図である。一体化された侵襲的装置誘導部800は、処置対象810上に配置されているのが示されている。一体化された侵襲的装置誘導部800は、超音波プローブと一体化した上述の注射アセンブリ700と同様の機能を備えることができる。一体化された侵襲的装置誘導部800は超音波誘導されることができ、本願開示では、ターゲット構造を貫通しターゲット構造の貫通を誘導するためにターゲット構造を識別するため、機械学習又は人工知能を用いることができる。一体化された超音波トランスデューサは、励振、ソースの読み取り、超音波信号の処理等を提供することができる。一体化された侵襲的装置誘導部800は、オンボードの人工知能アルゴリズム、モータ、関連する駆動回路、他の電子部品/機械部品等を備えることができ、これらはハウジング805内に収められて統合装置誘導部800を構成する。本願明細書に記載されているようなカートリッジは、一体化された侵襲的装置誘導部800に着脱可能に結合することができる。一部の構成では、一体化された侵襲的装置誘導800はロボット制御されることができる。
【0059】
図8Bは、図8Aの一体化された侵襲的装置誘導部800及び超音波プローブの分解図である。回路基板820が超音波トランスデューサ840による超音波誘導を提供することができ、本願開示では、ターゲット構造を貫通しターゲット構造の貫通を誘導するためにターゲット構造を識別するため、機械学習又は人工知能を用いることができる。バッテリ830が、上記の一体化された装置に電力を供給することができる。図8Bはバッテリセルが1つ示されているが、長寿命化のため2つのセルを使用する等、任意の数のバッテリセルを用いることができ、又は任意の他の形態の電源を用いることが可能であることが明らかである。ドライブトレイン850が、独立した針又は侵襲的装置の挿入及びカニューレの挿入を提供することができる。針及びカニューレ870は、モータ860を用いて処置対象に挿入することができる。
【0060】
図9は、本願開示における使用のための非限定的な一例の輪状甲状膜切開術用カートリッジ900の斜視図である。上記の表1に示すように、臨床適応症が異なると、体内に導入される必要な針又は他のハードウェア/医薬品の種類も異なることがある。非限定的な一例では、圧迫不可能な出血の場合には、血液製剤を迅速に導入しなければならないことがあり、また、流体の迅速な導入のために適切な径の経路を針シースが提供することがある。他の非限定的な一例では、カテーテルを導入したり、又はより大きな内腔を有する拡張要素が必要とされたりことがある。各カートリッジはそれぞれ、意図された用途で設計され、意図された用途を明確にラベル表示されることがある。一部の構成では、システムは、どの種類のカートリッジ装置が当該システムに「プラグイン」されるかを把握可能とすることができる。この情報は、カートリッジとベースとの間の無線周波数若しくは直接伝導信号等の電気通信、又はカートリッジとベースとの間の光通信、又は使用されるカートリッジの種類を示すカートリッジ/ベースアセンブリに固有の機械的キーイング等を介して伝えることができる。機械的キーイングの非限定的な一例では、表1の大腿動脈/静脈ジェネレーション1カートリッジは、当該カートリッジがベースのカートリッジスロット内の第1ボタンを押すように構成することができ、それに対して当該ファミリーのジェネレーション2カートリッジは、第2ボタンを押すように構成することができる。このようにして、ベースはどのカートリッジが挿入されたかを区別することができる。一部の構成では、カートリッジを滅菌サージカルバリアの内側に配すると共に、ベースを当該滅菌バリアの外側に配することができ、これによりバリアを通じてカートリッジの種類の伝達を行って、安全で効果的な治療を保証することができる。
【0061】
図10A~Eは、非限定的な一例の拡張要素1010を処置対象に挿入して除去する様子の側面図である。表1に示したカートリッジの種類の中には、針挿入プロセスを2以上の段階で行う必要があるものがある。非限定的な一例では、カートリッジは、拡張される内腔を設置するように構成することができ、この内腔の拡張は多段階プロセスを有することができる。非限定的な一例では、輪状甲状膜を経由して呼吸チューブを設置することは、拡張と場合によっては空気通過のための同軸要素に加えて、穿刺及び初期経路誘導のための鋭利な中心要素を備えた同軸アセンブリを含むことができ、これは図10A~10Eに示すように導入されることができる。
【0062】
図10A~10Eに示される手順は、その全部をシステムのモータ又は他の機械的作動によって自動化することができ、又は、自動化された作動と人間のハンドリングとの組み合わせとすることができる。図10Aは、処置対象への非限定的な一例の拡張要素1010の挿入の側面図である。一部の構成では、滅菌と安全性とを維持するため、プロテクタを除去して使い捨てタイプのダイレータ1010を挿入することができる。
【0063】
図10Bは、非限定的な一例の拡張要素1010を侵襲的装置誘導部1020とアライメントする様子の側面図である。針1030は装置のアライメントの後に展開することができ、このアライメントは拡張要素1010と同軸とすることができる。一部の構成では、受け入れ側の解剖学的構造は損傷を受けやすいことがあり、又は、より大きな径の要素を適切に導入するために追加の機械的誘導部を要することがある。かかる構成では、「誘導ワイヤ」装置を使用して、セルディンガー技術で使用される誘導ワイヤと同様の機能動作で、挿入されたアセンブリの先端から誘導ワイヤ装置を一時的に突出させることができる。「誘導ワイヤ」装置は、図10B及び図10Cに示されるステップ間で展開することができる。
【0064】
図10Cは、処置対象内へ針を覆うように非限定的な一例の拡張要素1010を進める様子の側面図である。拡張要素1010は針1030を覆うように進めることができ、また、針1030と同軸とすることができる。拡張要素1010は、挿入後に拡張による処置対象内部へのアクセスを提供することができる。図10Dは、処置対象から針1030を後退させる様子の側面図である。図10Eは、侵襲的装置誘導部1020を除去して拡張要素1010を処置対象内に保持する様子を示す側面図であり、これは侵襲的装置からアクセスするために用いることができる。
【0065】
本願開示は、1つ以上の好ましい実施形態を記載しており、本願にて明示的に記載されている実施形態の他、多くの均等態様、代替態様、変形態様及び改良態様が可能であり、本発明の範囲内であることが明らかである。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
【国際調査報告】