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特表2022-544631車両内においてオーディオ情報を提供するシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-19
(54)【発明の名称】車両内においてオーディオ情報を提供するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20221012BHJP
【FI】
G08G1/16 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520249
(86)(22)【出願日】2020-10-02
(85)【翻訳文提出日】2022-05-30
(86)【国際出願番号】 US2020053968
(87)【国際公開番号】W WO2021067718
(87)【国際公開日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】16/590,593
(32)【優先日】2019-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.SMALLTALK
(71)【出願人】
【識別番号】507342261
【氏名又は名称】トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100196601
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 祐市
(72)【発明者】
【氏名】ケナン クルトビク
(72)【発明者】
【氏名】マーク アディ
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA23
5H181BB13
5H181BB19
5H181BB20
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF27
5H181LL07
5H181LL09
(57)【要約】
本明細書において記述されているシステム、方法、及びその他の実施形態は、車両内においてオーディオ情報を提供することに関する。一実施形態において、方法は、少なくとも1つの車両アラートの車両による提供を要するかどうかを判定するステップと、少なくとも1つの車両アラートの提供を要するという判定に応答して、複数の周波数において少なくとも1つの車両アラート用のオーディオ信号を出力するステップと、を含む。複数の周波数は、既定の最小周波数値から既定の最大周波数値までの範囲を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内においてオーディオ情報を提供する方法であって、
少なくとも1つの車両アラートの前記車両による提供を要するかどうかを判定するステップと、
前記少なくとも1つの車両アラートの提供を要するという判定に応答して、複数の周波数において前記少なくとも1つの車両アラート用のオーディオ信号を出力するステップであって、前記複数の周波数は、既定の最小周波数値から既定の最大周波数値までの範囲を有する、ステップと、
を有する方法。
【請求項2】
前記オーディオ信号を出力するステップは、実質的に同時に前記複数の周波数において前記オーディオ信号を出力するステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記オーディオ信号を出力するステップは、連続的な方式で既定の時間の期間にわたって前記複数の周波数において前記オーディオ信号を出力するステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記連続的な方式は、前記既定の最小周波数値において開始し、且つ、前記既定の最大周波数値において終了している請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記連続的な方式は、前記既定の最大周波数値において開始し、且つ、前記既定の最小周波数値において終了している請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの車両アラートの提供を要するという判定に応答して、単一周波数において前記オーディオ信号を出力するステップと、
前記車両内の少なくとも一人の乗員が前記単一周波数における前記オーディオ信号に応答したように見えるかどうかを判定するステップであって、前記複数の周波数において前記オーディオ信号を出力するステップは、前記少なくとも一人の乗員が前記単一周波数において前記オーディオ信号に応答したように見えない際に実行される、ステップと、
を更に有する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
車両内においてオーディオ情報を提供するシステムであって、
1つ又は複数のオーディオ装置と、
1つ又は複数のプロセッサと、
前記1つ又は複数のプロセッサに通信自在に結合された、且つ、
前記1つ又は複数のプロセッサによって実行された際に前記1つ又は複数のプロセッサが少なくとも1つの車両アラートの前記車両による提供を要するかどうかを判定するようにする命令を含むアラート判定モジュール、及び、
1つ又は複数のプロセッサによって実行された際に前記1つ又は複数のプロセッサが前記少なくとも1つの車両アラートの提供を要するという判定に応答して前記1つ又は複数のオーディオ装置を介して複数の周波数において前記少なくとも1つの車両アラート用のオーディオ信号を出力するようにする命令を含むオーディオ出力制御モジュールであって、前記複数の周波数は、既定の最小周波数値から既定の最大周波数値までの範囲を有する、モジュール、
を保存するメモリと、
を有するシステム。
【請求項8】
前記オーディオ信号を出力するための前記命令は、実質的に同時に前記複数の周波数において前記オーディオ信号を出力するための命令を更に含む請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記オーディオ信号を出力するための前記命令は、連続的な方式で既定の時間の期間にわたって前記複数の周波数において前記オーディオ信号を出力するための命令を更に含む請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記連続的な方式は、前記既定の最小周波数値において開始し、且つ、前記既定の最大周波数値において終了している請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記連続的な方式は、前記既定の最大周波数値において開始し、且つ、前記既定の最小周波数値において終了している請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記車両内の少なくとも一人の乗員が前記オーディオ信号に応答したかどうかを判定するように動作可能なセンサを更に有し、
前記オーディオ出力制御モジュールは、前記少なくとも1つの車両アラートの提供を要するという判定に応答して前記1つ又は複数のオーディオ装置を介して単一の周波数において前記オーディオ信号を出力するための命令を更に含み、且つ、
前記複数の周波数において前記オーディオ信号を出力するための前記命令は、前記少なくとも1つの車両アラートの提供を要するという判定に応答して、前記少なくとも一人の乗員が前記オーディオ信号に応答しなかった際に前記複数の周波数において前記オーディオ信号を出力するための命令を更に含む請求項7に記載のシステム。
【請求項13】
前記オーディオ出力制御モジュールは、前記オーディオ信号を出力するための前記1つ又は複数のオーディオ装置の1つを判定するための命令を更に含む請求項7に記載のシステム。
【請求項14】
前記オーディオ出力制御モジュールは、
前記信号を出力するための前記1つ又は複数のオーディオ装置の1つを選択する、
前記選択されたオーディオ装置が前記オーディオ信号を出力する前記複数の周波数の1つを判定する、且つ、
前記選択されたオーディオ装置が前記オーディオ信号を出力する長さを判定する、
ための命令を含む請求項7に記載のシステム。
【請求項15】
車両内においてオーディオ情報を提供する、且つ、1つ又は複数のプロセッサによって実行された際に前記1つ又は複数のプロセッサが、
少なくとも1つの車両アラートの前記車両による提供を要するかどうかを判定する、且つ、
前記少なくとも1つの車両アラートの提供を要するという判定に応答して、複数の周波数において前記少なくとも1つの車両アラート用のオーディオ信号を出力し、前記複数の周波数は、既定の最小周波数値から既定の最大周波数値までの範囲を有する、
ようにする命令を含む一時的ではないコンピュータ可読媒体。
【請求項16】
前記命令は、実質的に同時に前記複数の周波数において前記オーディオ信号を出力するための命令を更に含む請求項15に記載の一時的ではないコンピュータ可読媒体。
【請求項17】
前記命令は、連続的な方式で既定の時間の期間にわたって前記複数の周波数において前記オーディオ信号を出力するための命令を更に含む請求項15に記載の一時的ではないコンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記連続的な方式は、前記既定の最小周波数値において開始し、且つ、前記既定の最大周波数値において終了している請求項17に記載の一時的ではないコンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記連続的な方式は、前記既定の最大周波数値において開始し、且つ、前記既定の最小周波数値において終了している請求項17に記載の一時的はないコンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記命令は、
前記少なくとも1つの車両アラートの提供を要するという判定に応答して、単一周波数において前記オーディオ信号を出力し、
前記車両内の少なくとも一人の乗員が前記単一周波数における前記オーディオ信号に応答したかどうかを判定する
ための命令を更に含み、且つ、
前記複数の周波数において前記オーディオ信号を出力するための前記命令は、前記少なくとも一人の乗員が前記単一周波数における前記オーディオ信号に応答しなかった際に前記複数の周波数において前記オーディオ信号を出力するための命令を更に含む請求項15の記載の一時的ではないコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書において記述されている主題は、一般に、車両に関し、且つ、更に詳しくは、車両内においてオーディオ情報を提供するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの車両は、オーディオ信号を使用して情報を提供している。これらのオーディオ信号は、差し迫った問題についてユーザー(例えば、運転者又は乗員)に警告するために使用することができる。例えば、オーディオ信号は、車両の盲点において物体が存在している、車両ドアが適切に閉められていない、或いは、シートベルトが固定されていないことを通知することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
但し、難聴を経験している又は聴覚障害を有するユーザーは、オーディオ信号がユーザーが聴取可能な周波数範囲の外側に含まれている単一周波数に設定されている場合には、オーディオ信号を聴取することができない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態において、車両内においてオーディオ情報を提供する方法が開示されている。一実施形態において、方法は、少なくとも1つの車両アラートの車両による提供を要するかどうかを判定するステップと、少なくとも1つの車両アラートの提供を要するという判定に応答して、少なくとも1つの車両アラート用のオーディオ信号を複数の周波数において出力するステップと、を含む。複数の周波数は、既定の最小周波数値から既定の最大周波数値までの範囲を有する。
【0005】
一実施形態において、車両内においてオーディオ情報を提供するシステムが開示されている。システムは、1つ又は複数のオーディオ装置を含む。システムは、1つ又は複数のプロセッサと、1つ又は複数のプロセッサに通信自在に結合されたメモリと、を含む。メモリは、1つ又は複数のプロセッサによって実行された際に1つ又は複数のプロセッサが少なくとも1つの車両アラートの車両による提供を要するかどうかを判定するようにする命令を含むアラート判定モジュールを保存している。メモリは、1つ又は複数のプロセッサによって実行された際に1つ又は複数のプロセッサが、少なくとも1つの車両アラートの提供を要するという判定に応答して、1つ又は複数のオーディオ装置を介して複数の周波数において少なくとも1つの車両アラート用のオーディオ信号を出力するようにする命令を保存するオーディオ出力制御モジュールを保存している。複数の周波数は、既定の最小周波数値から既定の最大周波数値までの範囲を有する。
【0006】
一実施形態において、車両内においてオーディオ情報を提供する且つ1つ又は複数のプロセッサによって実行された際に1つ又は複数のプロセッサが1つ又は複数の機能を実行するようにする命令を含む一時的ではないコンピュータ可読媒体が開示されている。命令は、少なくとも1つの車両アラートの車両による提供を要するかどうかを判定するための命令を含む。命令は、少なくとも1つの車両アラートの提供を要するという判定に応答して複数の周波数において少なくとも1つの車両アラート用のオーディオ信号を出力するための命令を更に含む。複数の周波数は、既定の最小周波数値から既定の最大周波数値までの範囲を有する。
【0007】
本明細書に包含されている且つその一部分を構成している添付図面は、本開示の様々なシステム、方法、及びその他の実施形態を示している。図中の示されている要素境界(例えば、ボックス、ボックスのグループ、又はその他の形状)は、境界の一実施形態を表していることを理解されたい。いくつかの実施形態において、1つの要素は、複数の要素として設計されてもよく、或いは、複数の要素は、1つの要素として設計されてもよい。いくつかの実施形態において、別の要素の内部コンポーネントとして示されている要素は、外部コンポーネントとして実装されてもよく、且つ、逆もまた真である。更には、要素は、正確な縮尺で描画されていない場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本明細書において開示されているシステム及び方法が実装され得る車両の一実施形態を示す図である。
図2図2は、オーディオ情報の車両内における提供と関連するマルチ周波数オーディオ出力システムの一実施形態を示す図である。
図3図3は、オーディオ情報の車両内における提供と関連する方法の一実施形態を示すフローチャート図である。
図4A】開示されている方式が複数の周波数においてオーディオ信号を出力し得る例示用のシナリオを示す図である。
図4B】開示されている方式が複数の周波数においてオーディオ信号を出力し得る例示用のシナリオを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
オーディオ信号の車両内における提供と関連するシステム、方法、及びその他の実施形態が開示されている。車両内に又はその近傍に存在している人物を含み得る車両の乗員は、乗員が聴覚障害を有する場合には、車両によって提供されるオーディオ警告を聴取することができない場合がある。更には、聴覚障害を有する乗員は、特定の周波数において音響を聴取することができない場合がある。
【0010】
この問題に対処するための従来の方法は、それぞれの乗員から個々の乗員が聴取可能な単一周波数を通知する情報を受け取るステップと、その単一周波数においてオーディオ警告を出力するステップと、を含んでいた。但し、自身が聴取可能な周波数を通知する情報を提供しなかった任意の乗員が排除される場合がある。
【0011】
本明細書において開示されている例示用のシステム及び方法は、乗員が自身が聴取可能な周波数に関する情報を提供したかどうかとは無関係に任意の乗員がオーディオ信号を聴取するチャンスを増大させるように、複数の周波数において車両アラートに関係するオーディオ信号を出力することに関係している。複数の乗員がそれぞれ聴覚障害を有する際には、開示されているシステム及び方法は、乗員の任意の者が排除され且つオーディオ信号を聴取できない可能性を低減することができる。
【0012】
一方式において、システムは、車両により、或いは、更に詳しくは、センサシステム(例えば、車両センサ)により、或いは、車両システム(例えば、制動システム、シグナリングシステム)により、提供される車両アラートを受け取っている。信号を受け取った際に、システムは、複数の周波数において車両アラートに関係するオーディオ信号を出力するように1つ又は複数のオーディオ装置を起動することができる。これは、システムが、起動対象の車両内のオーディオ装置を判定するステップと、周波数範囲を選択するステップと、その周波数範囲内の周波数を選択するステップと、どのオーディオ装置がどの周波数において且つどれだけの長さにわたって出力するのかを選択するステップと、含む。複数の周波数においてアラートを出力する1つの利点は、それぞれの乗員がオーディオメッセージを聴取し得るという点にある。換言すれば、すべての乗員が受益することができると共に、どの乗員も排除されることがない。
【0013】
別の方式においては、システムは、車両アラートの信号を受け取った際に、1つ又は複数のオーディオ装置を選択することができると共に、所定の時間の期間にわたって連続的に様々な周波数においてオーディオ信号を出力するように1つ又は複数のオーディオ装置のそれぞれを起動することができる。一連の周波数の値は、その時間期間において増大することができる。換言すれば、1つ又は複数のオーディオ装置は、最小値である第1周波数を出力するステップであって、これには連続的な周波数が後続している、ステップによって開始してもよく、この場合に、それぞれの連続的な周波数は、先行する周波数よりも大きく、且つ、その結果、最大値である最後の周波数によって終了している。或いは、この代わりに、一連の周波数の値は、1つ又は複数のオーディオ装置が、最大周波数を有するオーディオ信号を出力することによって開始し、且つ、最小周波数値に到達する時点まで、後になるほど減少する周波数を有するオーディオ信号を出力することを継続するように、所定の時間期間において減少することもできる。別の代替肢として、オーディオ装置は、ランダムな順番でオーディオ信号を出力することができる。
【0014】
図1を参照すれば、車両100の一例が示されている。本明細書において使用されている「車両」は、動力供給される任意の形態の輸送手段である。いくつかの実装形態において、車両100は自動車である。車両100は、手動的に運転されていてもよく、半自律型であってもよく、或いは、完全に自律型であってもよい。本明細書においては、構成について自動車との関係において説明するが、実施形態は、自動車に限定されるものではないことを理解されたい。いくつかの実装形態において、車両100は、任意のロボット装置であってもよく、或いは、例えば、1つ又は複数の自動化された又は自律型のシステムを含む、且つ、従って、本明細書において記述されている機能から受益する、動力供給された輸送手段の形態を有することができる。
【0015】
車両100は、センサシステム120と、オーディオ出力システム135と、マルチ周波数オーディオ出力システム170と、を含む。また、車両100は、図1に示されているように、その他の要素をも含む。様々な実施形態において、車両100が図1に示されている要素のすべてを有することが必須とはなり得ないことを理解されたい。車両100は、図1に示されている様々な要素の任意の組合せを有し得る。更には、車両100は、図1に示されているものに加えて更なる要素を有し得る。いくつかの構成において、車両100は、図1に示されている要素の1つ又は複数を伴うことなしに実装することができる。様々な要素は、図1においては車両100内に配置されるものとして示されているが、これらの要素の1つ又は複数は、車両100の外部において配置され得ることを理解されたい。更には、図示の要素は、大きな距離だけ、物理的に離隔することができると共に、リモートサービス(例えば、クラウド演算サービス)として提供することもできる。
【0016】
センサシステム120は、1つ又は複数のセンサを含むことができる。「センサ」は、なにかを検出、判定、評価、監視、計測、定量化、且つ/又は検知しうる任意の装置、コンポーネント、及び/又はシステムを意味している。1つ又は複数のセンサは、リアルタイムで検出、判定、評価、監視、計測、定量化、及び/又は検知するように構成することができる。本明細書において使用されている「リアルタイム」という用語は、乗員又はシステムが特定のプロセス又は判定が実施されるために十分即時に検知している又はプロセッサ110がなんらかの外部プロセスに追随することを可能にしている処理応答性のレベルを意味している。複数のセンサが存在している構成においては、センサは、互いに独立的に機能し得る。或いは、この代わりに、センサの2つ以上は、互いに組合せとして機能することもできる。このようなケースにおいては、2つ以上のセンサは、センサネットワークを形成し得る。センサは、マルチ周波数オーディオ出力システム170又は車両100のその他の要素(図1に示されている要素の任意のものを含む)に動作自在に接続することができる。センサは、任意の適切なタイプのセンサを含み得る。センサは、車両の内部に位置することができる。これに加えて又はこの代わりに、いくつかのセンサは、車両100の外部に位置することもできる。本明細書においては、様々なタイプのセンサの様々な例について説明する。但し、実施形態は、記述されている特定のセンサに限定されるものではないことを理解されたい。
【0017】
センサシステム120は、少なくとも1つの乗員を監視するように且つ少なくとも1つの乗員がオーディオ信号に応答したかどうかを判定するように構成することができる。センサシステム120は、様々なセンサの1つ又は組合せを使用して少なくとも一人の乗員を監視することができる。一例として、センサシステム120は、1つ又は複数のカメラ126を含み得る。1つ又は複数の構成において、1つ又は複数のカメラ126は、車両の内側又は外側において1つ又は複数の乗員を監視及び/又は追跡するように構成することができる。1つ又は複数のカメラ126は、スチール画像、ビデオ、ポイントクラウド、などとしてなどのように、様々な形態においてセンサデータを取得することができる。
【0018】
1つ又は複数の構成において、センサシステム120は、例えば、ニューラルネットワーク、ファジーロジック、又はその他の機械学習アルゴリズムなどの人工又は演算インテリジェンス要素を含むことができる。一例として、センサシステム120は、乗員の応答を解釈するために機械学習技法を使用することができる。その他の例として、センサシステム120は、乗員によって実行されている様々なアクションを識別するアクション識別データベースを含むことができる。このような例においては、センサシステム120は、乗員の応答を解釈するために、様々なセンサから受け取られた乗員のアクションをアクション識別データベース内において保存されている様々なアクションと比較することができる。
【0019】
車両100は、オーディオ出力システム135を含み得る。「オーディオ出力システム」は、可聴情報/データが任意のユーザー(例えば、運転者、乗員、任意のその他の占有者、又は車両の近傍の任意の人物)に提示されることを可能にする任意の装置、コンポーネント、構成、又はこれらのグループを含む。車両100内のオーディオ出力システム135は、オーディオ出力システム135がその上部においてオーディオ情報を出力しているオーディオ装置137などの複数のオーディオ装置137を含むことができる。1つ又は複数のオーディオ装置137は、複数の周波数においてオーディオ信号を出力するように構成することができる。一実施形態において、それぞれのオーディオ装置137は、既定の最小周波数から既定の最大周波数までの範囲を有する複数の周波数を出力する能力を有することができる。別の実施形態において、オーディオ装置137は、複数のグループに分割されてもよく、この場合に、それぞれのグループは、異なる周波数範囲を出力する能力を有する。
【0020】
オーディオ出力システム135は、実質的に同時に複数の周波数においてオーディオ信号を出力することができる。一実施形態において、オーディオ出力システム135は、相対的に短い時間期間内において異なる周波数において異なるオーディオ装置137(例えば、スピーカ)上においてオーディオ信号を出力することができる。別の実施形態において、オーディオ出力システム135は、相対的に短い時間期間内において複数の周波数において連続的にオーディオ信号を出力するために(複数の周波数においてオーディオ信号を出力する能力を有する)1つのオーディオ装置137を使用することができる。複数の周波数が相対的に短い時間期間において出力されるレートは、周波数の間の任意の遅延が人間の耳にとって弁別不能となり得るようなものであってよい。
【0021】
オーディオ装置137は、車両100の内側又は外側の任意の適切な場所において配置することができる。一例として、オーディオ装置137は、車両シート内において、ダッシュボード上において、且つ/又は車両の外部ボディ上において、配置することができる。
【0022】
図1には、車両100の可能な要素のいくつかが示されており、後続の図と共に、これらについて説明する。但し、図1の要素の多くのものの説明は、本説明の簡潔性を目的として、図2図4の説明の後に提供する。これに加えて、図示の簡潔性及び明瞭性を目的として、適宜、参照符号が、対応する又は類似の要素を通知するために異なる図の間において反復されていることをも理解されたい。これに加えて、説明は、本明細書において記述されている実施形態の十分な理解を提供するために多くの具体的な詳細について概説している。本明細書において記述されている実施形態は、これらの要素の様々な組合せを使用して実施され得ることを理解されたい。
【0023】
一実施形態において、車両100は、車両内においてオーディオ情報を提供するマルチ周波数オーディオ出力システム170を含む。スタンドアロンコンポーネントとして描かれているが、1つ又は複数の実施形態において、マルチ周波数オーディオ出力システム170は、車両100のコンポーネントと統合することができる。記述されている機能及び方法については、図の更なる説明により、更に明らかとなるであろう。
【0024】
図2を参照すれば、マルチ周波数オーディオ出力システム170の一実施形態が更に示されている。図示のように、マルチ周波数オーディオシステム170は、プロセッサ110を含む。従って、プロセッサ110は、マルチ周波数オーディオ出力システム170の一部であってもよく、或いは、マルチ周波数オーディオ出力システム170は、データバス又は別の通信経路を通じてプロセッサ110にアクセスすることもできる。1つ又は複数の実施形態において、プロセッサ110は、アラート判定モジュール205及びオーディオ出力制御モジュール210と関連する機能を実装するように構成された用途固有の集積回路(ASIC)である。一般に、プロセッサ110は、本明細書において記述されている様々な機能を実行する能力を有するマイクロプロセッサなどの電子プロセッサである。
【0025】
一実施形態において、マルチ周波数オーディオ出力システム170は、プロセッサ110に通信自在に結合されたメモリ215を含む。メモリ215は、アラート判定モジュール205と、オーディオ出力制御モジュール210と、を保存している。メモリ215は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、又はアラート判定モジュール205及びオーディオ出力制御モジュール210を保存するその他の適切なメモリである。アラート判定モジュール205及びオーディオ出力制御モジュール210は、例えば、プロセッサ110によって実行された際にプロセッサ110が本明細書において開示されている様々な機能を実行するようにするコンピュータ可読命令である。
【0026】
更には、一実施形態において、マルチ周波数オーディオ出力システム170は、データストア115を含むこともできる。データストア115は、マルチ周波数オーディオ出力システム170、1つ又は複数のプロセッサ110、又はこれらの両方のコンポーネントであってよい。或いは、この代わりに、データストア115は、図1に示されているように、車両100のコンポーネントであってもよく、且つ、マルチ周波数オーディオ出力システム170又は1つ又は複数のプロセッサ110に動作自在に接続することができる。本明細書の全体を通じて使用されている「動作自在に接続される」という用語は、直接的な物理的接触を伴うことのない接続を含む直接的又は間接的接続を含み得る。
【0027】
一実施形態において、データストア115は、メモリ215内において又は別のメモリ内において保存された、且つ、保存されているデータの分析、保存されているデータの提供、保存されているデータの組織化などのためにプロセッサ110によって実行され得るルーチンを有するように構成された、データベースなどの電子データ構造であってよい。即ち、一実施形態において、データストア115は、様々な機能の実行の際にアラート判定モジュール205及びオーディオ出力制御モジュール210によって使用されるデータを保存している。一実施形態において、データストア115は、例えば、アラート判定モジュール205及びオーディオ出力制御モジュール210によって使用されるその他の情報と共に、乗員応答データ220を含む。
【0028】
一実施形態において、マルチ周波数オーディオ出力システム170は、オーディオ信号を複数の周波数において出力する前に任意の乗員が聴覚障害を有しているかどうかを判定している。このような一実施形態において、マルチ周波数オーディオ出力システム170は、単一の周波数においてオーディオ信号を出力しており、センサシステム120は、乗員の応答を検出及び記録しており、マルチ周波数オーディオ出力システム170は、乗員の応答に関係するデータを受け取っており、且つ、乗員の応答に基づいて、マルチ周波数オーディオ出力システム170は、複数の周波数においてオーディオ信号を出力している。センサシステム120は、車両センサ121及び環境センサ122を含む。センサ121、122は、乗員のアクションと、車両100の内側又は近傍において発生するイベントと、を検出し、且つ、検出されたアクション及びイベントに関係するデータをデータストア115内においてセンサデータ119として保存している。センサデータ119は、乗員応答データ220を含み、これは、検出された乗員のアクションに関係している。例えば、カメラ126は、乗員が乗員の盲点を調べていることを検出することができると共に、カメラ126は、データストア115内において保存されている乗員応答データ220内のその乗員のアクションに関係するデータを含むことができる。
【0029】
アラート判定モジュール205は、一般に、少なくとも1つの車両アラートが、車両100により、或いは、更に詳しくは、センサシステム120又は車両システム140により、提供されることを要するかどうかを判定するためにプロセッサ110を制御するように機能する命令を含む。車両アラートは、イベント又は問題について乗員に通知するためにセンサシステム120又は車両システム140によって発行される任意の形態の通知であってよい。一例として、(車両ドアセンサなどの)車両センサ121は、車両100が走行中であり且つ車両ドアの少なくとも1つが適切に閉められていない際に車両アラートを発行することができる。別の例として、車両システム140の1つ(例えば、制動システム142)は、車両ブレーキが適用されたが、道路の表面がスリップしやすいことに応答して車両100が停止してはいない際に車両アラートを発行することができる。制動システム142は、可聴信号を出力するようにオーディオ出力システム135及び/又はマルチ周波数オーディオ出力システム170をトリガしうる電子信号などの信号を出力することにより、車両アラートを発行することができる。
【0030】
アラート判定モジュール205は、車両100内の更なるコンポーネントに対してセンサシステム120又は車両システム140によって提供される電子情報のストリームからデータ入力を受動的に取得することにより、車両アラートに関係する信号を受け取ることができる。或いは、この代わりに、アラート判定モジュール205は、データ入力についてセンサシステム120及び様々な車両システム140に対して能動的に要求又はポーリングすることもできる。
【0031】
車両アラートに関係する信号を受け取った際に、アラート判定モジュール205は、車両アラートが発行されたことをオーディオ出力制御モジュール210に通知することができる。この通知の受取りに基づいて、オーディオ出力制御モジュール210は、車両アラート用のオーディオ信号を出力するように1つ又は複数のオーディオ装置137を起動することができる。オーディオ装置137は、既定の最小周波数値から既定の最大周波数値までの範囲を有する複数の周波数においてオーディオ信号を出力することができる。一例として、人間の可聴周波数範囲は、一般には20Hz~20kHzであることから、既定の最小周波数は、20Hzに設定されてもよく、且つ、既定の最大周波数は、20kHzに設定されてもよい。但し、その他の実施形態においては、既定の最小周波数は、20Hzよりも高い又は低い周波数に設定されてもよく、且つ、既定の最大周波数は、20kHzよりも高い又は低い周波数に設定されてもよい。
【0032】
複数の周波数(集合的に周波数範囲と呼称する)は、任意の適切な数の周波数を含み得る。一例として、周波数範囲は、20Hz、2kHz、4kHz、6kHz、8kHz、10kHz、12kHz、14kHz、16kHz、18kHz、及び20kHzという11個の周波数を含むことができる。それぞれの2つの周波数の間の差は、かなり均等に分散していてもよく、或いは、不均等に分散していてもよい。いくつかの実施形態において、周波数は、周波数範囲の最小端部において密集していてもよい。一例として、周波数範囲は、20Hz、500Hz、1kHz、1.5kHz、2kHz、2.2kHz、4kHz、7kHz、及び12kHzという9つの周波数を含むことができる。或いは、この代わりに、周波数は、周波数範囲の最大端部において密集していてもよく、周波数範囲の中央部において密集していてもよく、或いは、周波数範囲の全体を通じてランダムに分散していてもよい。
【0033】
一実施形態において、オーディオ出力制御モジュール210は、実質的に同時に複数の周波数においてオーディオ信号を出力するようにオーディオ装置137を起動することができる。実質的に同時は、このケースにおいては、瞬間的なものであってもよく、或いは、そうでなくてもよい。換言すれば、オーディオ信号は、相対的に短い時間の期間内において複数の周波数において出力されてもよい。例えば、オーディオ出力制御モジュール210は、以下の表1に示されているように、短い時間の期間内において異なる周波数においてオーディオ信号を出力するように9つのオーディオ装置137のそれぞれを起動することができる(ここで、T1は、最も早期の時点であり、且つ、T4は、最も遅い時点である)。
【0034】
【表1】
【0035】
別の実施形態において、オーディオ出力制御モジュール210は、連続的な方式で既定の時間の期間にわたって複数の周波数においてオーディオ信号を出力するように1つのオーディオ装置137を起動することができる。この時間の期間は、オーディオ出力における遅延が人間の耳にとって弁別不能となるように実質的に小さいものから、周波数の間の遅延が人間の耳にとって弁別可能となるように十分に大きいものまでの範囲を有することができる。換言すれば、オーディオ出力制御モジュール210は、以下の表2に示されているように、異なる時点において異なる周波数を出力するように単一のオーディオ装置137を起動することができる(ここで、T1は、最も早期の時点であり、且つ、T9は、最も遅い時点である)。
【0036】
【表2】
【0037】
この実施形態において、オーディオ出力制御モジュール210は、既定の最小周波数において始まり且つ既定の最大周波数において終了する連続的な方式でオーディオ信号を出力するようにオーディオ装置137を起動している。或いは、この代わりに、オーディオ出力制御モジュール210は、既定の最大周波数において始まり且つ既定の最小周波数において終了する連続的な方式でオーディオ信号を出力することもできる。別の実施形態において、オーディオ出力制御モジュール210は、それぞれのオーディオ装置が連続的な方式で既定の時間の期間にわたって複数の周波数においてオーディオ信号を出力するように複数のオーディオ装置137を起動することができる。換言すれば、オーディオ出力制御モジュール210は、オーディオ信号を出力するオーディオ装置137を決定することができる。更には、オーディオ出力制御モジュール210は、信号を出力するためのオーディオ装置137の1つを選択することができると共に、どの周波数において且つどれだけの長さにわたって選択されたオーディオ装置137がオーディオ信号を出力するのかを判定することができる。
【0038】
更に別の実施形態において、マルチ周波数オーディオ出力システム170は、少なくとも一人の乗員が聴覚障害を有しているかどうかを判定してもよく、且つ、そうである場合には、マルチ周波数オーディオ出力システム170は、複数の周波数においてオーディオ信号を出力するようにオーディオ装置137を起動することができる。このような一実施形態において、オーディオ出力制御モジュール210は、アラート判定モジュール205からの車両アラートの通知の受取りに応答して、単一の既定の周波数においてオーディオ信号を出力するようにオーディオ装置137を起動することができる。単一の既定の周波数は、乗員(例えば、車両の占有者及び車両の近傍の非占有者)の大部分によって一般的に聴取される周波数値に設定することができる。オーディオ装置137は、既定の周波数においてオーディオ信号を出力する一方で、センサシステム120は、出力されたオーディオ信号に対する乗員の応答を検出することができる。例えば、車両100の内側のカメラ126は、オーディオ信号に応答して予測される運動について監視するためにオーディオ信号に対する乗員の反応を記録することができる。別の例として、乗員がボタンの押下を要するとオーディオ信号が通知しているケースにおいては、センサシステム120又は任意の適切な車両システム140は、乗員がボタンを押下したかどうかを判定することができる。乗員が予想されているようにオーディオ信号に応答しなかった(例えば、予想された運動を実行しなかった又はボタンを押下しなかった)とマルチ周波数オーディオ出力システム170が判定した際には、オーディオ出力制御モジュール210は、乗員が既定の周波数においてオーディオ信号を聴取しなかったと判定することができる。従って、オーディオ出力制御モジュール210は、アラート判定モジュール205からの車両アラートの通知の受取りに応答して、上述のように複数の周波数においてオーディオ信号を出力するようにオーディオ装置137を起動することができる。
【0039】
図3は、車両内100におけるオーディオ情報の提供に関連するプロセス300のフローチャートを示している。プロセス300については、図1図2のマルチ周波数オーディオ出力システム170の観点から説明する。プロセス300については、マルチ周波数オーディオ出力システム170との組合せにおいて説明されているが、プロセス300は、マルチ周波数オーディオ出力システム170内において実装されることに限定されるものではなく、且つ、その代わりに、プロセス300を実装し得るシステムの一例であることを理解されたい。
【0040】
310において、アラート判定モジュール205は、車両アラートの車両100による提供を要するかどうかを判定している。上述のように、アラート判定モジュール205は、センサシステム120又はナビゲーションシステム147などの車両システム140から少なくとも1つの車両アラートを受け取ることができる。一例として、車両システム140は、可聴信号を出力するようにオーディオ出力システム135及び/又はマルチ周波数オーディオ出力システム170をトリガし得る電子信号などの信号を出力することにより、車両アラートを発行することができる。別の例として、アラート判定モジュール205は、車両100内の更なるコンポーネントに様々なセンサ及び車両システムによって提供される電子情報のストリームからデータ入力を受動的に取得することにより、車両アラートに関係する信号を受け取ることができる。別の例として、アラート判定モジュール205は、データ入力について様々なセンサ及び車両システムに対して能動的に要求及び/又はポーリングすることができる。車両アラートを受け取った際に、アラート判定モジュール205は、信号をアラート出力制御モジュールに送信し、これにより、車両アラートが発行されたことを通知している。
【0041】
オーディオ出力制御モジュール210がアラート判定モジュール205から信号を受け取った際に、プロセス300は、ブロック320に進み、ここで、オーディオ出力制御モジュール210は、乗員が聴覚障害を有する場合にオーディオ出力制御モジュール210が複数の周波数においてオーディオ信号を出力し得るように、乗員が聴覚障害を有するかどうかを判定している。別の実施形態においては、オーディオ出力制御モジュール210は、乗員が聴覚障害を有するかどうかを判定しなくてもよく、従って、プロセス300は、ブロック340に進むことができる。
【0042】
320において、乗員が聴覚障害を有するかどうかを判定するように、オーディオ出力制御モジュール210は、アラート判定モジュール205からの車両アラートの通知の受取りに応答して、単一周波数においてオーディオ信号を出力することができる。オーディオ出力制御モジュール210は、人間の耳が一般的に聴取可能な範囲内の既定の周波数値を任意に選択することができると共に、1つ又は複数のオーディオ装置137上において既定の周波数においてオーディオ信号を出力するためにオーディオ出力システム135に信号を出力することができる。
【0043】
330において、オーディオ出力制御モジュール210は、車両100内の少なくとも一人の乗員が単一周波数におけるオーディオ信号に応答したかどうかを判定することができる。オーディオ出力制御モジュール210は、受信した乗員応答データ220(即ち、乗員の反応に関係するデータ)に基づいて判定を実施することができる。オーディオ出力制御モジュール210は、乗員の反応を観察及び記録するためにカメラ126などの様々なセンサを起動しており、これは、データストア115内において乗員応答データ220として保存することができる。オーディオ出力制御モジュール210は、機械学習アルゴリズム又は任意の適切なプログラムを使用して乗員の反応を識別することができる。例えば、出力されたオーディオ信号に関係する車両アラートが乗員の盲点内において物体を通知しており且つカメラ126が乗員が盲点に向かって向きを変えたことを記録している場合には、オーディオ出力制御モジュール210は、乗員が既定の周波数においてオーディオ信号を聴取することができると判定することができる。但し、オーディオ出力制御モジュール210は、乗員が既定の周波数においてオーディオ信号を聴取し得ると判定する前に乗員の反応の複数の観察を必要としてもよい。別の例においては、オーディオ出力制御モジュール210は、既定の周波数において車両アラートに関係するオーディオ信号を出力することができると共に、次いで、オーディオ出力制御モジュール210は、車両アラートに関係する問題が解決されたかどうかを検出することができる。例えば、問題は、車両100が走行中である間にパーキングブレーキが適用されているというものであってよい。このような例において、オーディオ出力制御モジュール210が、既定の周波数においてパーキングブレーキが適用されていると通知するオーディオ信号を出力し、且つ、次いで、制動システム142からパーキングブレーキの適用が解除されたことを通知するデータを受け取った場合に、オーディオ出力制御モジュール210は、一連の類似の試験の後に、既定の周波数におけるオーディオ信号は、乗員が聴取可能であると判定することができる。
【0044】
乗員が出力されたオーディオ信号に応答しているように見えないとオーディオ出力制御モジュール210が判定した際には、オーディオ出力制御モジュール210は、後述するように複数の周波数において車両アラート用のオーディオ信号を出力することができる。
【0045】
340において、オーディオ出力制御モジュール210は、アラート判定モジュール205からの車両アラートの通知の受取りに応答して、複数の周波数において車両アラート用のオーディオ信号を出力している。換言すれば、オーディオ出力制御モジュール210は、オーディオ出力システム135に信号を出力し、これにより、複数の周波数においてオーディオ信号を出力するようにオーディオ出力システム135を起動することができる。
【0046】
上述のように、オーディオ出力システム135は、複数のオーディオ装置137を含むことができる。1つのケースにおいて、オーディオ出力制御モジュール210は、信号をオーディオ出力システム135に出力し、これにより、オーディオ出力システム135が異なる周波数において異なるオーディオ装置137上においてオーディオ信号を出力するものと通知することができる。例えば、8つのオーディオ装置137を含むオーディオ出力システム135の場合に、オーディオ出力制御モジュール210は、8つのオーディオ装置137のそれぞれが、異なる周波数においてオーディオ信号を出力するものと通知してもよく、この場合には、異なる周波数の合計は8個となる。或いは、この代わりに、且つ、別の例として、オーディオ出力制御モジュール210は、8つのオーディオ装置137のそれぞれが、連続的な方式で2つの異なる周波数においてオーディオ信号を出力すると通知してもよく、この場合には、異なる周波数の合計は16個となる。
【0047】
別のケースにおいて、オーディオ出力制御モジュール210は、信号をオーディオ出力システム135に出力し、これにより、オーディオ出力システム135が、単一オーディオ装置137上において異なる周波数においてオーディオ信号を出力するものと通知することができる。このようなケースにおいては、オーディオ出力システム135は、単一オーディオ装置137を含んでいてもよく、或いは、複数のオーディオ装置137を含んでいてもよい。単一のオーディオ装置137を有するオーディオ出力システム135の一例として、オーディオ出力制御モジュール210は、信号をオーディオ出力システム135に出力し、これにより、オーディオ出力システム135が、(例えば、1秒において1KHz、2秒において5KHz、3秒において10KHz、4秒において15KHzなどのように)それぞれの2つの周波数の間に既定の遅延を伴って、連続的に複数の異なる周波数において単一のオーディオ装置137上においてオーディオ信号を出力するものと通知することができる。複数のオーディオ装置137を有するオーディオ出力システム135の一例として、オーディオ出力制御モジュール210は、信号をオーディオ出力システム135に出力し、これにより、オーディオ出力システム135が、それぞれの2つの周波数の間において既定の遅延を伴って、連続的に複数の異なる周波数において複数のオーディオ装置137のそれぞれ上においてオーディオ信号を出力するものと通知することができる。但し、それぞれのオーディオ装置137は、連続的にオーディオ信号を出力しうる一方で、複数のオーディオ装置137が同時に出力することもできる。換言すれば、複数のオーディオ装置137は、以下の表3における例によって示されているように、一斉に又はそうではない状態において異なる周波数においてオーディオ信号を出力することができる。
【0048】
【表3】
【0049】
上記の表3において示されているように、オーディオ装置137は、(例えば、AD3及びAD4などのように)一斉に異なる周波数においてオーディオ信号を出力してもよく、或いは、オーディオ装置137は、(例えば、AD1及びAD2などのように)そのようにしなくてもよい。
【0050】
オーディオ出力制御モジュール210は、乗員の大部分が聴取する可能性が最も高い周波数を識別する適切な統計に基づいて出力するための周波数を判定することができる。或いは、この代わりに、オーディオ出力制御モジュール210は、人間の耳が一般的に聴取可能なものに基づいて周波数の範囲を判定することもできる。範囲を判定する際に、オーディオ出力制御モジュール210は、オーディオ出力システム135内のオーディオ装置137の数、車両100内のオーディオ装置137の場所、オーディオ装置137の周波数能力、車両アラートのタイプ(並びに、緊急性)、オーディオ信号の出力を完了させなければならない時間、などのような様々なファクタを考慮することができる。その一方で、オーディオ出力制御モジュール210は、範囲内の複数の周波数を任意に選択することができる。
【0051】
オーディオ出力制御モジュール210は、短い時間期間内において異なるオーディオ装置137上において異なる周波数を出力するようにオーディオ出力システム135に通知することにより、周波数が実質的に同時に出力されるものと決定することができる。短い時間期間は、異なる周波数における出力内の任意の遅延が人間の耳にとっては弁別不能となるほどに十分に短いものであってよい。
【0052】
オーディオ出力制御モジュール210は、周波数がシーケンスとして出力されるものと決定することができる。シーケンスは、ランダムであってもよく、即ち、周波数値は、時間との間において任意の関係を有していなくてもよい(即ち、周波数値が時間に伴って増大又は減少しなくてもよい)。或いは、この代わりに、シーケンスは、それぞれが時間との関係において周波数が最小周波数値から最大周波数まで又は最大周波数値から最小周波数値まで出力されるように、時間に伴う関係を有することもできる。
【0053】
一実施形態において、オーディオ制御モジュール210は、乗員からの入力を伴うことなしに複数の周波数においてオーディオ信号を出力するようにオーディオ出力システム135を起動することができる。別の実施形態において、オーディオ出力制御モジュール210は、少なくとも一人の乗員からの入力に基づいて複数の周波数においてオーディオ信号を出力することができる。このような実施形態においては、オーディオ出力制御モジュール210は、まず、乗員が聴覚障害を有しているかどうかを判定することができる。
【0054】
図4A図4Bは、1つ又は複数のオーディオ装置137が複数の周波数においてオーディオ信号を出力することを伴う例示用のシナリオを示している。内部スピーカ437A、437B、437C(集合的に437と呼称される)及び外部スピーカ438A、438B(集合的に438と呼称される)などのオーディオ装置137は、車両100内の様々な場所において配置することができる。
【0055】
図4Aは、車両100内の複数のスピーカ437、438の配置を示している。図示のように、車両100は、内部スピーカ437を含んでいてもよく、これらは、車両100の内側のシート、ドア、又は任意のその他の適切な場所において配置することができる。また、車両100は、車両100の外部において配置されている外部スピーカ438を含むこともできる。更には、図4Aにおいて、1つ又は複数のスピーカ437は、実質的に同時に、但し、それぞれが異なる周波数において、オーディオ信号を出力している。このケースにおいては、オーディオ出力制御モジュール210は、信号をオーディオ出力システム135に出力し、これにより、1つ又は複数のスピーカ437、438において異なる周波数においてオーディオ信号を出力するようにオーディオ出力システム135を起動することができる。
【0056】
図4Bは、単一の内部スピーカ437が変化する時点T1、T2、T3において(異なるサイズの同心円として示された)異なる周波数F1、F2、F3を出力する例示用のシナリオを示しており、ここで、T1は、最も早期の時点であり、T3は、最も遅い時点であり、且つ、T2は、T1とT3の間に位置している。このケースにおいて、オーディオ出力制御モジュール210は、信号をオーディオ出力システム135に出力し、これにより、規定されたスピーカ437a上において時点T1において第1周波数F1を出力するように、時点T2において第2周波数F2を出力するように、且つ、時点T3において第3周波数F3を出力するように、オーディオ出力システム135を起動することができる。別の例として、複数のスピーカ437A、437B、437Cは、変化する時点においてオーディオ信号を出力してもよく、即ち、内部スピーカ437Aは、時点T1において第1周波数を出力してもよく、内部スピーカ437Bは、時点T2において第2周波数を出力してもよく、且つ、内部スピーカ437Cは、時点T3において第3周波数F3を出力してもよい。
【0057】
以下、本明細書において開示されているシステム及び方法が動作しうる例示用の環境として、図1について十分詳細に説明する。いくつかの例において、車両100は、自律型モード、1つ又は複数の半自律型動作モード、及び/又は手動モードの間において選択的に切り替わるように構成されている。このような切り替えは、適切な方式で実装することができる。「手動モード」は、車両100のナビゲーション及び/又は操作のすべて又は過半がユーザー(例えば、人間の運転者)から受け取られた入力に従って実行されることを意味している。
【0058】
「自律型モード」は、人間の運転者からの最小限の入力を伴って又はこれをまったく伴うことなしに車両100を制御するために1つ又は複数の演算システムを使用して移動ルートに沿って車両100をナビゲート及び/又は操作することを意味している。
【0059】
車両100は、1つ又は複数のプロセッサ110を含み得る。1つ又は複数の構成において、1つ又は複数のプロセッサ110は、車両100のメインプロセッサであってよい。例えば、1つ又は複数のプロセッサ110は、電子制御ユニット(ECU)であってよい。車両100は、1つ又は複数のタイプのデータを保存するための1つ又は複数のデータストア115を含み得る。データストア115は、揮発性及び/又は不揮発性メモリを含み得る。適切なデータストア115の例は、RAM(ランダムアクセスメモリ)、フラッシュメモリ、ROM(読み出し専用メモリ)、PROM(プログラム可能読み出し専用メモリ)、EPROM(消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ)、EEPROM(電気的に消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ)、レジスタ、磁気ディスク、光ディスク、ハードドライブ、又は任意のその他の適切なストレージ媒体、並びに、これらの任意の組合せを含む。
【0060】
1つ又は複数のデータストア115は、センサデータ119を含み得る。この文脈において、「センサデータ」は、能力及びこのようなセンサに関するその他の情報を含む車両100が装備しているセンサに関する任意の情報を意味している。以下において説明するように、車両100は、センサシステム120を含み得る。センサデータ119は、センサシステム120の1つ又は複数のセンサに関係し得る。一例として、1つ又は複数の構成において、センサデータ119は、センサシステム120の1つ又は複数のLIDARセンサ124に関する情報を含み得る。
【0061】
いくつかの例において、センサデータ119の少なくとも一部分は、車両100に搭載状態において配置された1つ又は複数のデータストア115内において配置することができる。或いは、この代わりに、又はこれに加えて、センサデータ119の少なくとも一部分は、車両100から離れたところに配置された1つ又は複数のデータストア115内において配置することもできる。
【0062】
上述のように、車両100は、センサシステム120を含み得る。センサシステム120は、1つ又は複数のセンサを含み得る。「センサ」は、なにかを検出又は検知し得る任意の装置、コンポーネント、又はシステムを意味している。1つ又は複数のセンサは、リアルタイムで検出又は検知するように構成することができる。本明細書において使用されている「リアルタイム」という用語は、特定のプロセス又は判定が実施されるために十分即時としてユーザー又はシステムが検知する又はプロセッサがなんらかの外部プロセスに追随することを可能にする処理応答性のレベルを意味している。
【0063】
センサシステム120が複数のセンサを含む構成において、センサは、互いに独立的に機能し得る。或いは、この代わりに、センサの2つ以上は、互いに組合せとして機能することもできる。このようなケースにおいて、2つ以上のセンサは、センサネットワークを形成することができる。センサシステム120及び/又は1つ又は複数のセンサは、1つ又は複数のプロセッサ110、1つ又は複数のデータストア115、又は車両100の別の要素(図1に示されている要素の任意のものを含む)に動作自在に接続することができる。センサシステム120は、車両100の外部環境の少なくとも一部分(例えば、近傍の車両)のデータを取得することができる。
【0064】
センサシステム120は、任意の適切なタイプのセンサを含み得る。本明細書においては、異なるタイプのセンサの様々な例について説明する。但し、実施形態は、記述されている特定のセンサに限定されるものではないことを理解されたい。センサシステム120は、1つ又は複数の車両センサ121を含み得る。1つ又は複数の車両センサ121は、車両100自体に関する情報を検出、判定、又は検知することができる。1つ又は複数の構成において、1つ又は複数の車両センサ121は、例えば、慣性加速度などに基づいて車両100の位置及び向きの変化を検出又は検知するように構成することができる。1つ又は複数の構成において、1つ又は複数の車両センサ121は、1つ又は複数の加速度計、1つ又は複数のジャイロスコープ、慣性計測ユニット(IMU)、推測航法システム、グローバルナビゲーション衛星システム(GNSS)、全地球測位システム(GPS)、ナビゲーションシステム147、又はその他の適切なセンサを含み得る。1つ又は複数の車両センサ121は、車両100の1つ又は複数の特性を検出又は検知するように構成することができる。1つ又は複数の構成において、1つ又は複数の車両センサ121は、車両100の現時点の速度を判定するために速度計を含み得る。
【0065】
或いは、この代わりに、又はこれに加えて、センサシステム120は、環境データを取得又は検知するように構成された1つ又は複数の環境センサ122を含み得る。環境データは、内部環境データ及び運転環境データを含み得る。「内部環境データ」は、例えば、車両キャビン内などのように、車両100の内側に関するデータ又は情報を含む。例えば、1つ又は複数の環境センサ122は、車両100内の占有者及び占有者が実行する任意のアクションを検出、定量化、又は検知するよう構成することができる。
【0066】
「運転環境データ」は、自律型車両が配置されている外部環境又はその1つ又は複数の部分に関するデータ又は情報を含む。例えば、1つ又は複数の環境センサ122は、車両100の外部環境の少なくとも一部分内の障害物及び/又はそのような障害物に関する情報/データを検出、定量化、又は検知するように構成することができる。このような障害物は、静止した物体及び/又は動的な物体であってよい。
【0067】
本明細書においては、センサシステム120のセンサの様々な例について説明する。例示用のセンサは、1つ又は複数の環境センサ122及び/又は1つ又は複数の車両センサ121の一部分であってよい。但し、実施形態は、記述されている特定のセンサに限定されるものではないことを理解されたい。
【0068】
一例として、1つ又は複数の構成において、センサシステム120は、1つ又は複数のレーダーセンサ123、1つ又は複数のLIDARセンサ124、1つ又は複数のソナーセンサ125、及び/又は1つ又は複数のカメラ126を含み得る。1つ及び複数の構成において、1つ又は複数のカメラ126は、ハイダミックレンジ(HDR)カメラ又は赤外(IR)カメラであってよい。
【0069】
車両100は、入力システム130を含み得る。「入力システム」は、情報/データが機械に入力されることを可能にする任意の装置、コンポーネント、システム、要素、又は構成、或いは、これらのグループを含む。入力システム130は、車両の乗員(例えば、運転者又は乗員)から入力を受け取ることができる。
【0070】
車両100は、1つ又は複数の車両システム140を含み得る。図1には、1つ又は複数の車両システム140の様々な例が示されている。但し、車両100は、更に多くの数の、更に少ない数の、又は異なる車両システムを含み得る。特定の車両システムが別個に定義されているが、システムのそれぞれ又は任意のもの又はその一部分は、その他の方式で車両100内においてハードウェア及び/又はソフトウェアを介して組み合わせられてもよく或いは分離されてもよいことを理解されたい。車両100は、推進システム141、制動システム142、操向システム143、スロットルシステム144、トランスミッションシステム145、シグナリングシステム146、及び/又はナビゲーションシステム147を含み得る。これらのシステムのそれぞれは、現在既知の又は将来開発される1つ又は複数の装置、コンポーネント、及び/又はこれらの組合せを含み得る。
【0071】
ナビゲーションシステム147は、車両100の地理的場所を判定するように且つ/又は車両100用の移動ルートを判定するように構成された現在既知の又は将来開発される1つ又は複数の装置、アプリケーション、及び/又はこれらの組合せを含み得る。ナビゲーションシステム147は、車両100の移動ルートを判定するために1つ又は複数のマッピングアプリケーションを含み得る。ナビゲーションシステム147は、全地球測位システム、ローカル測位システム、又はジオロケーションシステムを含み得る。
【0072】
車両100は、1つ又は複数のアクチュエータ150を含み得る。アクチュエータ150は、1つ又は複数のプロセッサ110から信号又はその他の入力を受け取ることに応答して車両システム140の1つ又は複数或いはこれらのコンポーネントを変更、調節、及び/又は改造するように動作可能な任意の要素又は要素の組合せであってよい。任意の適切なアクチュエータを使用することができる。例えば、1つ又は複数のアクチュエータ150は、いくつかの可能性のみを挙げれば、モーター、空圧アクチュエータ、液圧ピストン、リレー、ソレノイド、及び/又は圧電アクチュエータを含み得る。
【0073】
本明細書には、詳細な実施形態が開示されている。但し、開示されている実施形態は、例に過ぎないものとして意図されていることを理解されたい。従って、本明細書において開示されている特定の構造的且つ機能的詳細は、限定として解釈してはならず、且つ、請求項用の基礎として、且つ、実質的に任意の適切に詳細な構造において本明細書の態様を様々な利用するように当業者に教示するための代表的な基礎として、のみ解釈されたい。更には、本明細書において使用されている用語及びフレーズは、限定となることを意図したものではなく、且つ、むしろ、可能な実装形態の理解可能な説明を提供することを意図したものである。図1図4には、様々な実施形態が示されているが、実施形態は、図示の構造又は用途に限定されるものではない。
【0074】
図中のフローチャート及びブロック図は、様々な実施形態によるシステム、方法、及びコンピュータプログラムプロダクトの可能な実装形態のアーキテクチャ、機能、及び動作を示している。この観点において、フローチャート又はブロック図中のそれぞれのブロックは、1つ又は複数の規定された論理機能を実装するための1つ又は複数の実行可能命令を有するコードのモジュール、セグメント、又は一部分を表すことができる。また、いくつかの代替実装形態において、ブロック内において示されている機能は、図中において記述されている順序以外の順序において発生し得ることにも留意されたい。例えば、連続するものとして示されている2つのブロックは、実際には、関連する機能に応じて、実質的に同時に実行されてもよく、或いは、これらのブロックは、しばしば、逆の順序において実行されてもよい。
【0075】
上述のシステム、コンポーネント、及び/又はプロセスは、ハードウェアにおいて又はハードウェアとソフトウェアの組合せとして実現することが可能であり、且つ、1つの処理システム内において中央集中化された方式で、或いは、異なる要素がいくつかの相互接続された処理システムに跨って分散している分散方式で、実現することができる。本明細書において記述されている方法を実行するように適合された任意の種類の処理システム又は別の装置が好適である。ハードウェア及びソフトウェアの通常の組合せは、読み込まれ且つ実行された際に、本明細書において記述されている方法を実行するように処理システムを制御するコンピュータ使用可能プログラムコードを有する処理システムであってよい。また、システム、コンポーネント、及び/又はプロセスは、本明細書において記述されている方法及びプロセスを実行するために機械によって実行可能である命令のプログラムを有体的に実施した、機械によって判読可能なコンピュータプログラムプロダクト又はその他のデータプログラムストレージ装置などのコンピュータ可読ストレージ内において埋め込むこともできる。また、これらの要素は、本明細書において記述されている方法の実装形態を可能にする且つ処理システム内において読み込まれた際にこれらの方法を実行し得るすべての特徴を有するアプリケーションプロダクト内において埋め込むこともできる。
【0076】
更には、本明細書において記述されている構成は、例えば、その上部に保存されているコンピュータ可読プログラムコードを有する1つ又は複数のコンピュータ可読媒体内において実施されたコンピュータプログラムプロダクトの形態を有することもできる。1つ又は複数のコンピュータ可読媒体の任意の組合せを利用することができる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体又はコンピュータ可読ストレージ媒体であってよい。「コンピュータ可読ストレージ媒体」というフレーズは、一時的ではないストレージ媒体を意味している。コンピュータ可読ストレージ媒体は、例えば、限定を伴うことなしに、電子、磁気、光、電磁、赤外、又は半導体システム、装置、又は機器、或いは、以上のものの任意の適切な組合せであってよい。コンピュータ可読ストレージ媒体の更に具体的な例(すべてを網羅してはいないリスト)は、携帯型コンピュータディスケット、ハードディスクドライブ(HDD)、半導体ドライブ(SSD)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、携帯型コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、光ストレージ装置、磁気ストレージ装置、或いは、以上のものの任意の適切な組合せを含むことになろう。本明細書の文脈において、コンピュータ可読ストレージ媒体は、命令実行システム、装置、又は機器によって又はこれらとの関連において使用されるプログラムを収容又は保存し得る任意の有体の媒体であってよい。
【0077】
一般に、本明細書において使用されているモジュールは、特定のタスクを実行する又は特定のデータタイプを実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造、などを含む。更なる態様において、メモリは、一般に、記述されているモジュールを保存している。モジュールと関連するメモリは、プロセッサ内において埋め込まれたバッファ又はキャッシュ、RAM、ROM、フラッシュメモリ、又は別の適切な電子ストレージ媒体であってよい。更なる態様において、本開示によって想定されているモジュールは、用途固有の集積回路(ASIC)、システムオンチップ(SoC)のハードウェアコンポーネント、プログラム可能なロジックアレイ(PLA)、或いは、開示されている機能を実行するように定義された構成セット(例えば、命令)と共に埋め込まれた別の適切なハードウェアコンポーネントとして実装されている。
【0078】
コンピュータ可読媒体上において埋め込まれているプログラムコードは、限定を伴うことなしに、無線、有線、光ファイバ、ケーブル、RF、など、又はこれらの任意の適切な組合せを含む任意の適切な媒体を使用して送信することができる。本構成の態様の動作を実行するコンピュータプログラムコードは、Java(登録商標)、Smalltalk、C++、又はこれらに類似したものなどのオブジェクト指向のプログラミング言語並びに「C」プログラミング言語又は類似のプログラミング言語などの従来の手続き型の言語を含む1つ又は複数のプログラミング言語の任意の組合せにおいて記述することができる。プログラムコードは、完全にユーザーのコンピュータ上において、部分的にユーザーのコンピュータ上において、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザーのコンピュータ上において且つ部分的にリモートコンピュータ上において、或いは、完全にリモートコンピュータ又はサーバー上において、稼働することができる。後者のシナリオにおいては、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)又はワイドエリアネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを通じてユーザーのコンピュータに接続されていてもよく、或いは、接続は、(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用してインターネットを通じて)外部コンピュータに対して実施されていてもよい。
【0079】
本明細書において使用されている「1つの(a)」及び「1つの(an)」という用語は、1つ又は複数として定義されている。本明細書において使用されている「複数(plurality)」という用語は、2つ又は2つ超として定義されている。本明細書において使用されている「別(another)」という用語は、少なくとも2つ目又はこれ超として定義されている。本明細書において使用されている「含む(including)」及び/又は「有する(having)」という用語は、有する(comprising)として定義されている(即ち、開放型の言語である)。本明細書において使用されている「~と~の少なくとも1つ」というフレーズは、関連する列挙された項目の1つ又は複数のものの任意の且つ/すべての可能な組合せを意味し且つ包含している。一例として、「A、B、及びCの少なくとも1つ」というフレーズは、Aのみ、Bのみ、Cのみ、或いは、これらの任意の組合せ(例えば、AB、AC、BC、又はABC)を含む。
【0080】
本明細書における態様は、その精神又は不可欠な属性を逸脱することなしに、その他の形態において実施することができる。従って、その範囲を通知するものとしては、以上の仕様ではなく、添付の請求項を参照することを要する。
図1
図2
図3
図4A
図4B
【手続補正書】
【提出日】2022-05-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内においてオーディオ情報を提供する方法であって、
少なくとも1つの車両アラートの前記車両による提供を要するかどうかを判定するステップと、
前記少なくとも1つの車両アラートの提供を要するという判定に応答して、複数の周波数において前記少なくとも1つの車両アラート用のオーディオ信号を出力するステップであって、前記複数の周波数は、既定の最小周波数値から既定の最大周波数値までの範囲を有する、ステップと
前記少なくとも1つの車両アラートの提供を要するという判定に応答して、単一周波数において前記オーディオ信号を出力するステップと、
前記車両内の少なくとも一人の乗員が前記単一周波数における前記オーディオ信号に応答したように見えるかどうかを判定するステップであって、前記複数の周波数において前記オーディオ信号を出力するステップは、前記少なくとも一人の乗員が前記単一周波数において前記オーディオ信号に応答したように見えない際に実行される、ステップと、
を有する方法。
【請求項2】
前記オーディオ信号を出力するステップは、実質的に同時に前記複数の周波数において前記オーディオ信号を出力するステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記オーディオ信号を出力するステップは、連続的な方式で既定の時間の期間にわたって前記複数の周波数において前記オーディオ信号を出力するステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記連続的な方式は、前記既定の最小周波数値において開始し、且つ、前記既定の最大周波数値において終了している請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記連続的な方式は、前記既定の最大周波数値において開始し、且つ、前記既定の最小周波数値において終了している請求項3に記載の方法。
【請求項6】
車両内においてオーディオ情報を提供するシステムであって、
1つ又は複数のオーディオ装置と、
1つ又は複数のプロセッサと、
前記1つ又は複数のプロセッサに通信自在に結合されたメモリであって、
前記1つ又は複数のプロセッサによって実行された際に前記1つ又は複数のプロセッサが少なくとも1つの車両アラートの前記車両による提供を要するかどうかを判定するようにする命令を含むアラート判定モジュールと、
1つ又は複数のプロセッサによって実行された際に前記1つ又は複数のプロセッサが前記少なくとも1つの車両アラートの提供を要するという判定に応答して前記1つ又は複数のオーディオ装置を介して複数の周波数において前記少なくとも1つの車両アラート用のオーディオ信号を出力するようにする命令を含むオーディオ出力制御モジュールであって、前記複数の周波数は、既定の最小周波数値から既定の最大周波数値までの範囲を有する、モジュールと、
を保存するメモリと
前記車両内の少なくとも一人の乗員が前記オーディオ信号に応答したかどうかを判定するように動作可能なセンサを有し、
前記オーディオ出力制御モジュールは、前記少なくとも1つの車両アラートの提供を要するという判定に応答して前記1つ又は複数のオーディオ装置を介して単一の周波数において前記オーディオ信号を出力するための命令を更に含み、
前記複数の周波数において前記オーディオ信号を出力するための前記命令は、前記少なくとも1つの車両アラートの提供を要するという判定に応答して、前記少なくとも一人の乗員が前記オーディオ信号に応答しなかった際に前記複数の周波数において前記オーディオ信号を出力するための命令を更に含む、
システム。
【請求項7】
前記オーディオ信号を出力するための前記命令は、実質的に同時に前記複数の周波数において前記オーディオ信号を出力するための命令を更に含む請求項に記載のシステム。
【請求項8】
前記オーディオ信号を出力するための前記命令は、連続的な方式で既定の時間の期間にわたって前記複数の周波数において前記オーディオ信号を出力するための命令を更に含む請求項に記載のシステム。
【請求項9】
前記連続的な方式は、前記既定の最小周波数値において開始し、且つ、前記既定の最大周波数値において終了している請求項に記載のシステム。
【請求項10】
前記連続的な方式は、前記既定の最大周波数値において開始し、且つ、前記既定の最小周波数値において終了している請求項に記載のシステム。
【請求項11】
前記オーディオ出力制御モジュールは、前記オーディオ信号を出力するための前記1つ又は複数のオーディオ装置の1つを判定するための命令を更に含む請求項に記載のシステム。
【請求項12】
前記オーディオ出力制御モジュールは、
前記信号を出力するための前記1つ又は複数のオーディオ装置の1つを選択する、
前記選択されたオーディオ装置が前記オーディオ信号を出力する前記複数の周波数の1つを判定する、且つ、
前記選択されたオーディオ装置が前記オーディオ信号を出力する長さを判定する、
ための命令を含む請求項に記載のシステム。
【請求項13】
車両内においてオーディオ情報を提供する、且つ、1つ又は複数のプロセッサによって実行された際に前記1つ又は複数のプロセッサが、
少なくとも1つの車両アラートの前記車両による提供を要するかどうかを判定する、且つ、
前記少なくとも1つの車両アラートの提供を要するという判定に応答して、既定の最小周波数値から既定の最大周波数値までの範囲を有する複数の周波数において前記少なくとも1つの車両アラート用のオーディオ信号を出力する、
前記少なくとも1つの車両アラートの提供を要するという判定に応答して、単一周波数において前記オーディオ信号を出力する、
前記車両内の少なくとも一人の乗員が前記単一周波数における前記オーディオ信号に応答したかどうかを判定する、ための命令を含み、且つ、
前記複数の周波数において前記オーディオ信号を出力するための前記命令は、前記少なくとも一人の乗員が前記単一周波数における前記オーディオ信号に応答しなかった際に前記複数の周波数において前記オーディオ信号を出力するための命令を更に含む一時的ではないコンピュータ可読媒体。
【請求項14】
前記命令は、実質的に同時に前記複数の周波数において前記オーディオ信号を出力するための命令を更に含む請求項13に記載の一時的ではないコンピュータ可読媒体。
【請求項15】
前記命令は、連続的な方式で既定の時間の期間にわたって前記複数の周波数において前記オーディオ信号を出力するための命令を更に含む請求項13に記載の一時的ではないコンピュータ可読媒体。
【請求項16】
前記連続的な方式は、前記既定の最小周波数値において開始し、且つ、前記既定の最大周波数値において終了している請求項15に記載の一時的ではないコンピュータ可読媒体。
【請求項17】
前記連続的な方式は、前記既定の最大周波数値において開始し、且つ、前記既定の最小周波数値において終了している請求項15に記載の一時的はないコンピュータ可読媒体。
【国際調査報告】