(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-20
(54)【発明の名称】新規な抗TCRデルタ可変1抗体
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20221013BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20221013BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20221013BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20221013BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20221013BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20221013BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20221013BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20221013BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20221013BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20221013BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/28 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K39/395 U
A61K39/395 D
A61P35/00
A61P35/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022509648
(86)(22)【出願日】2020-08-14
(85)【翻訳文提出日】2022-03-30
(86)【国際出願番号】 GB2020051955
(87)【国際公開番号】W WO2021032960
(87)【国際公開日】2021-02-25
(32)【優先日】2019-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2020-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522058062
【氏名又は名称】ガンマデルタ セラピューティクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】ポリヤコバ オクサーナ
(72)【発明者】
【氏名】マウント ナタリー
(72)【発明者】
【氏名】ヌスバウマー オリバー
(72)【発明者】
【氏名】ジョンズ フィリップ クロフォード
【テーマコード(参考)】
4B065
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA83X
4B065AA86X
4B065AA87X
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4B065CA46
4C085AA13
4C085BB11
4C085DD62
4C085EE01
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、抗Vδ1抗体またはその断片に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトの単離された抗TCRデルタ可変1(抗Vδ1)抗体またはその断片であって、
(i)配列番号1の3~20、および/または
(ii)配列番号1の37~77のアミノ酸領域内の1つ以上のアミノ酸残基を含むγδT細胞受容体(TCR)の可変デルタ1(Vδ1)鎖のエピトープに結合する、ヒトの単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【請求項2】
前記エピトープが、配列番号1のアミノ酸残基3、5、9、10、12、16、17、20、37、42、50、53、59、62、64、68、69、72、または77のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のヒトの単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【請求項3】
前記エピトープが、配列番号1のアミノ酸領域5~20および62~77内の1つ以上のアミノ酸残基を含む、請求項1または請求項2に記載のヒトの単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【請求項4】
前記エピトープが、配列番号1のアミノ酸領域50~64内の1つ以上のアミノ酸残基を含む、請求項1または請求項2に記載のヒトの単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【請求項5】
前記エピトープが、配列番号1のアミノ酸領域37~53および59~77内の1つ以上のアミノ酸残基を含む、請求項1または請求項2に記載のヒトの単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【請求項6】
前記エピトープが、γδT細胞の活性化エピトープである、請求項1~5のいずれか一項に記載のヒトの単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【請求項7】
単離された抗Vδ1抗体またはその断片であって、
配列番号2~25のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR3、
配列番号26~37および配列A1~A12(表2の)のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR2、ならびに/または
配列番号38~61のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR1のうちの1つ以上を含む、単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【請求項8】
配列番号2の配列を含むCDR3と、配列番号26の配列を含むCDR2と、配列番号38の配列を含むCDR1と、を含む、VH領域を含む、請求項7に記載の単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【請求項9】
配列番号3の配列を含むCDR3と、配列番号27の配列を含むCDR2と、配列番号39の配列を含むCDR1と、を含む、VH領域を含む、請求項7に記載の単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【請求項10】
配列番号4の配列を含むCDR3と、配列番号28の配列を含むCDR2と、配列番号40の配列を含むCDR1と、を含む、VH領域を含む、請求項7に記載の単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【請求項11】
配列番号14の配列を含むCDR3と、配列A1の配列を含むCDR2と、配列番号50の配列を含むCDR1と、を含む、VL領域を含む、請求項7に記載の単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【請求項12】
配列番号15の配列を含むCDR3と、配列A2の配列を含むCDR2と、配列番号51の配列を含むCDR1と、を含む、VL領域を含む、請求項7に記載の単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【請求項13】
配列番号16の配列を含むCDR3と、配列A3の配列を含むCDR2と、配列番号52の配列を含むCDR1と、を含む、VL領域を含む、請求項7に記載の単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【請求項14】
配列番号62~85のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【請求項15】
配列番号62のアミノ酸配列を含むVH領域と、配列番号74のアミノ酸配列を含むVL領域と、を含む、請求項14に記載の単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【請求項16】
配列番号63のアミノ酸配列を含むVH領域と、配列番号75のアミノ酸配列を含むVL領域と、を含む、請求項14に記載の単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【請求項17】
配列番号64のアミノ酸配列を含むVH領域と、配列番号76のアミノ酸配列を含むVL領域と、を含む、請求項14に記載の単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【請求項18】
前記抗Vδ1抗体またはその断片が、VH領域と、VL領域と、を含み、前記VH領域およびVL領域が、ポリペプチドリンカーなどのリンカーによって連結されている、請求項7~17のいずれか一項に記載の単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【請求項19】
配列番号86~97のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【請求項20】
配列番号86を含む、請求項19に記載の単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【請求項21】
配列番号87を含む、請求項19に記載の単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【請求項22】
配列番号88を含む、請求項19に記載の単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【請求項23】
表面プラズモン共鳴によって測定される場合、1.5×10
-7M未満の結合親和性(KD)で、γδT細胞受容体(TCR)の可変デルタ1(Vδ1)鎖に結合する、請求項1~22のいずれか一項に記載の単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【請求項24】
scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、可変ドメイン(例えば、VHもしくはVL)、ダイアボディ、ミニボディ、または全長抗体である、請求項1~23のいずれか一項に記載の単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【請求項25】
scFv、または全長抗体、例えば、IgG1である、請求項24に記載の単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【請求項26】
配列番号111~122のいずれか1つのものと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項25に記載の単離された抗Vδ1抗体。
【請求項27】
配列番号111を含む、請求項26に記載の単離された抗Vδ1抗体。
【請求項28】
配列番号112を含む、請求項26に記載の単離された抗Vδ1抗体。
【請求項29】
配列番号116を含む、請求項26に記載の単離された抗Vδ1抗体。
【請求項30】
ヒトである、請求項7~29のいずれか一項に記載の単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【請求項31】
請求項1~30のいずれか一項に記載の抗Vδ1抗体またはその断片をコードするポリヌクレオチド配列。
【請求項32】
配列番号99~110と少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含む抗Vδ1抗体またはその断片をコードするポリヌクレオチド配列。
【請求項33】
請求項31または請求項32に記載のポリヌクレオチド配列を含む発現ベクター。
【請求項34】
請求項31もしくは請求項32に記載のポリヌクレオチド配列または請求項33に記載の発現ベクターを含む細胞。
【請求項35】
請求項1~30のいずれか一項に記載の抗体またはその断片を含む組成物。
【請求項36】
薬学的に許容される希釈剤または担体とともに、請求項1~30のいずれか一項に記載の抗体またはその断片を含む、薬学的組成物。
【請求項37】
抗Vδ1抗体またはその断片を生成する方法であって、
(i)TCRデルタ可変1(TRDV1)アミノ酸配列を含む一連の抗原を設計することであって、前記TRDV1のCDR3配列が、前記一連のすべての抗原について同じである、設計することと、
(ii)ステップ(i)で設計した第1の抗原を、抗体ライブラリに曝露することと、
(iii)前記抗原に結合する抗体またはその断片を単離することと、
(iv)単離された前記抗体またはその断片を、ステップ(i)で設計した第2の抗原に曝露することと、
(v)前記第1および第2の抗原の両方に結合する抗体またはその断片を単離することと、を含む、方法。
【請求項38】
前記単離された抗体またはその断片を、異なるデルタ可変鎖を有するγδ TCRを含む第2の一連の抗原、例えば、TCRデルタ可変2(TRDV2)またはTCRデルタ可変3(TRDV3)に曝露することと、次いで、前記第2の一連の抗原にも結合する抗体またはその断片の選択を解除することと、をさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記一連の抗原が、ヘテロ二量体および/またはホモ二量体フォーマットである、請求項37または請求項38に記載の方法。
【請求項40】
請求項37~39のいずれか一項に記載の方法によって得られた抗体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガンマデルタT細胞のT細胞受容体に指向する抗体およびその断片に関する。
【背景技術】
【0002】
がんのためのT細胞免疫療法に対する関心の高まりは、がん細胞を認識し、特に、PD-1、CTLA-4、および他の受容体によって発揮される阻害経路の臨床的に媒介される拮抗作用によって抑制解除される場合に、宿主保護機能の可能性を媒介するためのCD8+およびCD4+アルファベータ(αβ)T細胞のサブセットの明らかな能力に焦点を当てている。しかしながら、αβT細胞は、移植片対宿主病につながる可能性があるMHC制限型である。
【0003】
ガンマデルタT細胞(γδT細胞)は、それらの表面上に、異なる明確なγδT細胞受容体(TCR)を発現するT細胞のサブセットを表す。このTCRは、1本のガンマ(γ)鎖および1本のデルタ(δ)鎖から構成されており、各鎖は、鎖再配置を受けるが、αβT細胞と比較して限られた数のV遺伝子を有する。Vγをコードする主なTRGV遺伝子セグメントは、TRGV2、TRGV3、TRGV4、TRGV5、TRGV8、TRGV9およびTRGV11、ならびに非機能遺伝子TRGV10、TRGV11、TRGVAおよびTRGVBである。最も頻度の高いTRDV遺伝子セグメントは、Vδ1、Vδ2、およびVδ3をコードし、加えて、VδおよびVαの両方の指定を有するいくつかのVセグメントをコードする(Adams et al.,296:30-40(2015)Cell Immunol.)。ヒトγδT細胞は、特定のγ型およびδ型が1つ以上の組織型において、細胞上により一般的に見出されるが、排他的には見出されないため、ヒトγδT細胞のTCR鎖に基づいて広範囲に分類することができる。例えば、ほとんどの血液常在性γδT細胞は、Vδ2 TCR(一般的にはVγ9Vδ2)を発現するが、一方で、ガンマ鎖と対合された、例えば、腸内でVγ4と対合されることが多いVδ1 TCRをより頻繁に使用する、皮膚中の細胞などの組織常在性γδT細胞では、あまり一般的ではない。
【0004】
免疫療法のためにγδT細胞を利用するために、細胞を系中で拡大するための手段、または細胞を収穫し、再注入の前に細胞をエクスビボで拡大するための手段のいずれかが必要である。後者のアプローチは、外因性サイトカインの付加を使用して以前に記載されており、例えば、国際公開第2017/072367号および国際公開第2018/212808号を参照されたい。患者自身のγδT細胞を拡大するための方法は、薬理学的に改変された形態のヒドロキシ-メチル ブタ-2-エニルピロホスフェート(HMBPP)または臨床的に承認されたアミノビスホスホネートを使用して記載されている。これらのアプローチによって、250人を超えるがん患者が安全に治療されているように見えるが、完全寛解の発生率は稀である。しかしながら、多数のγδT細胞を拡大する能力が実証された活性化剤の必要性が依然として存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2017/072367号
【特許文献2】国際公開第2018/212808号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Adams et al.,296:30-40(2015)Cell Immunol.
【発明の概要】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、ヒトの単離された抗TCRデルタ可変1(抗Vδ1)抗体またはその断片であって、
(i)配列番号1の3~20、および/または
(ii)配列番号1の37~77のアミノ酸領域内の1つ以上のアミノ酸残基を含むγδT細胞受容体(TCR)の可変デルタ1(Vδ1)鎖のエピトープに結合する、ヒトの単離された抗Vδ1抗体またはその断片が提供される。
【0008】
本発明のさらなる態様によれば、単離された抗Vδ1抗体またはその断片であって、
配列番号2~25のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR3、
配列番号26~37および配列A1~A12(表2の)のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR2、ならびに/または
配列番号38~61のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR1のうちの1つ以上を含む、単離された抗Vδ1抗体またはその断片が提供される。
【0009】
本発明のさらなる態様によれば、配列番号62~85のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、単離された抗Vδ1抗体またはその断片が提供される。
【0010】
本発明の別の態様によれば、配列番号86~97のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、単離された抗Vδ1抗体またはその断片が提供される。
【0011】
本発明のさらなる態様によれば、結合時のγδ TCRの下方調節についてのEC50値が0.5μg/ml未満、例えば、0.06μg/ml未満である、単離された抗Vδ1抗体またはその断片が提供される。
【0012】
本発明のさらなる態様によれば、結合時のγδT細胞脱顆粒についてのEC50値が0.05μg/ml未満、例えば、0.005μg/ml未満、特に、0.002μg/ml未満である、単離された抗Vδ1抗体またはその断片が提供される。
【0013】
本発明のさらなる態様によれば、結合時のγδT細胞死滅についてのEC50値が0.5μg/ml未満、例えば、0.055μg/ml未満、特に、0.020μg/ml未満である、単離された抗Vδ1抗体またはその断片が提供される。
【0014】
本発明のさらなる態様によれば、配列番号99~110と少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含む抗Vδ1抗体またはその断片をコードするポリヌクレオチド配列が提供される。
【0015】
本発明のさらなる態様によれば、配列番号99~110の配列からなる抗Vδ1抗体またはその断片をコードするポリヌクレオチド配列が提供される。
【0016】
本発明のさらなる態様によれば、配列番号99~110のVH領域を含む発現ベクターが提供される。
【0017】
本発明のさらなる態様によれば、配列番号99~110のVL領域を含む発現ベクターが提供される。
【0018】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書で定義されるポリヌクレオチド配列または発現ベクターを含む細胞が提供される。
【0019】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書で定義される抗体またはその断片を含む組成物が提供される。
【0020】
本発明のさらなる態様によれば、薬学的に許容される希釈剤または担体とともに、本明細書で定義される抗体またはその断片を含む薬学的組成物が提供される。
【0021】
本発明のさらなる態様によれば、抗Vδ1抗体またはその断片を生成する際に使用するための、配列番号123と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、単離された抗原が提供される。
【0022】
本発明のさらなる態様によれば、抗Vδ1抗体またはその断片を生成する方法であって、
(i)TCRデルタ可変1(Vδ1)アミノ酸配列を含む一連の抗原を設計することであって、Vδ1のCDR3配列が、その一連のすべての抗原について同じである、設計することと、
(ii)ステップ(i)で設計した第1の抗原を、抗体ライブラリに曝露することと、
(iii)抗原に結合する抗体またはその断片を単離することと、
(iv)単離された抗体またはその断片を、ステップ(i)で設計した第2の抗原に曝露することと、
(v)第1および第2の抗原の両方に結合する抗体またはその断片を単離することと、を含む、方法が提供される。
【0023】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書で定義される方法によって得られる抗体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】抗Vδ1Ab(REA173、Miltenyi Biotec)を用いて直接的にコーティングされた抗原のELISA検出。検出は、Vδ1ドメインを含有する抗原でのみ、みられた。ロイシンジッパー(LZ)フォーマットは、Fcフォーマットよりも強力であるようであり、このことは、細胞ベースのフロー競合アッセイと一致する(データは示していない)。
【
図2】DV1選択のためのポリクローナルファージDELFIAデータ。A)ヘテロ二量体選択:ラウンド1および2におけるヘテロ二量体LZ TCRフォーマット、両方のラウンドにおけるヘテロ二量体LZ TCRについての選択解除を伴う。B)ホモ二量体選択:ラウンド1は、ヒトIgG1 Fcについての選択解除を伴い、ホモ二量体Fc融合TCRを使用して行われ、その後、ラウンド2は、ヘテロ二量体LZ TCRについての選択解除を伴い、ヘテロ二量体LZ TCRについて行われた。各グラフは、各標的についての2本の棒グラフを含み、異なるライブラリからの選択を表す。
【
図3】IgGキャプチャー:左)抗L1 IgGとL1との相互作用のセンサグラム、右)利用可能な場合、定常状態フィッティング。すべての実験は、室温で、MASS-2機器で行った。Langmuir 1:1結合による定常状態フィッティング。
【
図4】クローン1245_P01_E07、1252_P01_C08、1245_P02_G04、1245_P01_B07および1251_P02_C05(A)、またはクローン1139_P01_E04、1245_P02_F07、1245_P01_G06 1245_P01_G09、1138_P01_B09、1251_P02_G10および1252_P01_C08(B)についてのTCR下方調節アッセイの結果。
【
図5】クローン1245_P01_E07、1252_P01_C08、1245_P02_G04、1245_P01_B07および1251_P02_C05(A)、またはクローン1139_P01_E04、1245_P02_F07、1245_P01_G06、1245_P01_G09、1138_P01_B09、および1251_P02_G10(B)についてのT細胞脱顆粒アッセイの結果。
【
図6】クローン1245_P01_E07、1252_P01_C08、1245_P02_G04、1245_P01_B07および1251_P02_C05(A)、またはクローン1139_P01_E04、1245_P02_F07、1245_P01_G06、1245_P01_G09、1138_P01_B09および1251_P02_G10(B)についての死滅アッセイ(THP-1フローベースアッセイ)の結果。
【
図7】1245_P01_E07のエピトープマッピングデータ。配列番号1上の1245_P01_E07のエピトープ結合部位のグラフィック表示。
【
図8】1252_P01_C08のエピトープマッピングデータ。配列番号1上の1252_P01_C08のエピトープ結合部位のグラフィック表示。
【
図9】1245_P02_G04のエピトープマッピングデータ。配列番号1上の1245_P02_G04のエピトープ結合部位のグラフィック表示。
【
図10】1251_P02_C05のエピトープマッピングデータ。配列番号1上の1251_P02_C05のエピトープ結合部位のグラフィック表示。
【
図11】1141_P01_E01のエピトープマッピングデータ。配列番号1上の1141_P01_E01のエピトープ結合部位のグラフィック表示。
【発明を実施するための形態】
【0025】
定義
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。本明細書で使用される場合、以下の用語は、以下でそれらの用語に帰属する意味を有する。
【0026】
ガンマデルタ(γδ)T細胞は、それらの表面上に、異なる明確なT細胞受容体(TCR)を発現するT細胞の小さなサブセットを表す。このTCRは、1本のガンマ(γ)鎖および1本のデルタ(δ)鎖から構成されている。各鎖は、可変(V)領域と、定常(C)領域と、膜貫通領域と、細胞質尾部と、を含む。V領域は、抗原結合部位を含む。ヒトγδT細胞には、末梢血で優性であるものと、非造血組織で優性であるものの2つの主要なサブタイプがある。2つのサブタイプは、細胞上に存在するδおよび/またはγの種類によって定義され得る。例えば、末梢血で優性であるγδT細胞は、主にデルタ可変2鎖(Vδ2)を発現する。非造血組織で優性である(すなわち、組織常在性である)γδT細胞は、主にデルタ可変1鎖を発現する。「Vδ1T細胞」との言及は、Vδ1鎖を有するγδT細胞、すなわち、Vδ1+細胞を指す。
【0027】
「デルタ可変1」との言及は、Vδ1またはVd1とも称されてもよく、一方で、この領域を含むTCR鎖をコードするヌクレオチドは、「TRDV1」と称されてもよい。γδ TCRのVδ1鎖と相互作用する抗体またはその断片はすべて、Vδ1に結合する有効な抗体またはその断片であり、「抗TCRデルタ可変1抗体またはその断片」あるいは「抗Vδ1抗体またはその断片」と呼ばれてもよい。
【0028】
本明細書では、「デルタ可変2」鎖などの他のデルタ鎖に対するさらなる言及がなされる。これらは、同様に言及することができる。例えば、デルタ可変2鎖は、Vδ2と称されてもよく、一方で、この領域を含有するTCR鎖をコードするヌクレオチドは、「TRDV2」と称されてもよい。好ましい実施形態では、γδ TCRのVδ1鎖と相互作用する抗体またはその断片は、Vδ2などの他のデルタ鎖と相互作用しない。
【0029】
「ガンマ可変鎖」への言及も、本明細書で行われる。これらは、γ鎖またはVγと称されてもよく、一方、この領域を含有するTCR鎖をコードするヌクレオチドは、TRGVと称されてもよい。例えば、TRGV4は、Vγ4鎖を指す。好ましい実施形態では、γδ TCRのVδ1鎖と相互作用する抗体またはその断片は、Vγ4などのガンマ鎖と相互作用しない。
【0030】
「抗体」という用語は、少なくとも1つの抗原結合部位(ABS)を含む少なくとも1つの抗体可変ドメインを含む任意の抗体タンパク質構築物を含む。抗体としては、限定されないが、IgA、IgG、IgE、IgD、IgM型の免疫グロブリン(ならびにそのサブタイプ)が挙げられる。2つの同一の重(H)鎖および2つの同一の軽(L)鎖ポリペプチドから組み立てられた免疫グロブリンG(IgG)抗体の全体的な構造は、哺乳動物において十分に確立されており、高度に保存されている(Padlan(1994)Mol.Immunol.31:169-217)。
【0031】
従来の抗体または免疫グロブリン(Ig)は、2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖の4つのポリペプチド鎖を含むタンパク質である。各鎖は、定常領域および可変ドメインに分割される。重(H)鎖可変ドメインは、本明細書ではVHと略され、軽(L)鎖可変ドメインは、本明細書ではVLと略される。これらのドメイン、それに関連するドメイン、およびそれに由来するドメインは、本明細書において、免疫グロブリン鎖可変ドメインと称され得る。VHドメインおよびVLドメイン(VH領域およびVL領域とも称される)は、より保存された領域が散在する「相補性決定領域」([CDR」)と呼ばれる領域、「フレームワーク領域」(「FR」)と呼ばれる領域にさらに細分化することができる。フレームワークおよび相補性決定領域は、正確に定義されている(Kabat et al.Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition U.S.Department of Health and Human Services,(1991)NIH Publication Number 91-3242)。CDR配列についての代替的な番号付け規則、例えば、Chothia et al.(1989)Nature 342:877-883に示されているものも存在する。従来の抗体では、各VHおよびVLは、アミノ末端からカルボキシ末端まで、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順序で配置された3つのCDRと4つのFRとから構成される。2つの免疫グロブリン重鎖および2つの免疫グロブリン軽鎖の従来の抗体四量体は、例えば、ジスルフィド結合によって相互接続された免疫グロブリン重鎖および軽鎖と、同様に接続した重鎖とで形成される。重鎖定常領域は、CH1、CH2、およびCH3の3つのドメインを含む。軽鎖定常領域は、1つのドメインCLから構成される。重鎖の可変ドメインおよび軽鎖の可変ドメインは、抗原と相互作用する結合ドメインである。抗体の定常領域は、典型的には、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的な補体系の第1の構成要素(C1q)を含む、宿主組織または因子に対する抗体の結合を媒介する。
【0032】
本明細書で使用される抗体の断片(「抗体断片」、「免疫グロブリン断片」、「抗原結合断片」または「抗原結合ポリペプチド」とも称され得る)は、標的であるγδT細胞受容体のデルタ可変1(Vδ1)鎖に特異的に結合する抗体の一部(またはその部分を含有する構築物)を指す(例えば、1つ以上の免疫グロブリン鎖が完全長ではないが、標的に特異的に結合する分子)。抗体断片という用語内に包含される結合断片の例としては、以下のものが挙げられる。
(i)Fab断片(VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価断片)、
(ii)F(ab’)2断片(ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片からなる二価断片)、
(iii)Fd断片(VHおよびCH1ドメインからなる)、
(iv)Fv断片(抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなる)、
(v)一本鎖可変断片scFv(組換え方法を使用して、合成リンカーによって接続されたVLおよびVHドメインからなり、それらが、VLおよびVH領域が対合して一価分子を形成する単一のタンパク質鎖として作製されることを可能にする)、
(vi)VH(VHドメインからなる免疫グロブリン鎖可変ドメイン)、
(vii)VL(VLドメインからなる免疫グロブリン鎖可変ドメイン)、
(viii)ドメイン抗体(dAb、VHドメインまたはVLドメインのいずれかからなる)、
(ix)ミニボディ(CH3ドメインを介して連結された一対のscFv断片からなる)、ならびに
(x)ダイアボディ(小さなペプチドリンカーによって接続された1つの抗体由来のVHドメインと、別の抗体由来のVLドメインとからなる、scFv断片の非共有結合二量体からなる)。
【0033】
「ヒト抗体」は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域を有する抗体を指す。上述のヒト抗体とともに投与されるヒト対象は、上述の抗体内に含まれる一次アミノ酸に対する種間抗体応答(例えば、HAMA応答-ヒト抗マウス抗体と呼ばれる)を生成しない。上述のヒト抗体は、例えば、CDR、特にCDR3における、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、ランダムもしくは部位特異的突然変異誘発または体細胞変異によって導入された変異)を含み得る。しかしながら、この用語は、別の哺乳動物種(例えば、マウス)の生殖系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列へとグラフト接合された抗体を含むことを意図するものではない。組換え手段によって調製され、発現され、作製されるか、または単離されたヒト抗体、例えば、宿主細胞にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを使用して発現された抗体、組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリから単離された抗体、ヒト免疫グロブリン遺伝子にトランスジェニックである動物(例えば、マウス)から単離された抗体、あるいはヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングを伴う任意の他の手段によって調製され、発現され、作製されるか、または単離された抗体もまた、「組換えヒト抗体」と称され得る。
【0034】
非ヒト免疫グロブリン可変ドメインのフレームワーク領域中の少なくとも1つのアミノ酸残基を、ヒト可変ドメイン由来の対応する残基で置換することは、「ヒト化」と称される。可変ドメインのヒト化は、ヒトにおける免疫原性を低下させ得る。
【0035】
「特異性」は、特定の抗体またはその断片が結合することができる様々な種類の抗原または抗原決定基の数を指す。抗体の特異性は、特定の抗原を固有の分子エンティティとして認識し、別の抗原と区別する抗体の能力である。抗原またはエピトープに「特異的に結合する」抗体は、当該技術分野でよく理解されている用語である。分子が、代替的な標的と比較して、特定の標的抗原もしくはエピトープとより頻繁に、より迅速に、より長い持続時間で、および/またはより高い親和性で反応する場合、その分子は、「特異的結合」を示すと言われる。抗体が、他の物質に結合するよりも高い親和性、アビディティで、より容易に、および/またはより長い持続時間で結合する場合、その抗体は、標的抗原またはエピトープに「特異的に結合する」。
【0036】
「親和性」は、抗原と抗原結合ポリペプチドとの解離の平衡定数(KD)によって表され、抗原決定基と抗体(またはその断片)上の抗原結合部位との間の結合強度の尺度であり、KDの値が小さいほど、抗原決定基と抗原結合ポリペプチドとの間の結合強度が強くなる。代替的に、親和性は、1/KDである親和性定数(KA)として表すこともできる。親和性は、目的の特異的抗原に応じて、既知の方法によって決定することができる。
【0037】
10-6未満の任意のKD値は、結合を示すとみなされる。抗体またはその断片の抗原または抗原決定基への特異的結合は、例えば、スキャッチャード分析および/または競合結合アッセイ、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素イムノアッセイ(EIA)およびサンドイッチ競合アッセイ、平衡透析、平衡結合、ゲル濾過、ELISA、表面プラズモン共鳴、または分光法(例えば、蛍光アッセイを使用する)、ならびに当該技術分野で既知の異なるバリアントを含む、任意の好適な既知の方法で決定することができる。
【0038】
「アビディティ」は、抗体またはその断片と関連する抗原との間の結合の強度の尺度である。アビディティは、抗原決定基と抗体上のその抗原結合部位との間の親和性、ならびに抗体上に存在する関連する結合部位の数の両方に関連する。
【0039】
「ヒト組織Vδ1+細胞」および「造血および血液Vδ1+細胞」および「腫瘍浸潤リンパ球(TIL)Vδ1+細胞」は、それぞれ、ヒト組織または造血血液系またはヒト腫瘍のいずれかに含まれるか、またはそれらに由来するVδ1+細胞として定義される。上述のすべての細胞型は、それらの(i)位置、またはそれらが由来する場所、および(ii)Vδ1+TCRの発現によって特定することができる。
【0040】
「調節抗体」は、抗体が結合する標的を発現する細胞に接触または結合すると、限定されないが、細胞周期、および/または細胞数、および/または細胞生存能、および/または1つ以上の細胞表面マーカー、および/または1つ以上の分泌分子(例えば、サイトカイン、ケモカイン、ロイコトリエンなど)の分泌、および/または機能(例えば、標的細胞もしくは疾患細胞に対する細胞傷害性)の測定可能な変化を含む、測定可能な変化をもたらす抗体である。
【0041】
細胞またはその集合体を「調節する」方法は、上述の細胞もしくは複数の細胞における少なくとも1つの測定可能な変化、またはそれらからの分泌が引き金となり、1つ以上の「調節された細胞」を生成する方法を指す。
【0042】
「免疫応答」は、調節抗体を添加するとき、免疫系(細胞媒介性応答、体液応答、サイトカイン応答、ケモカイン応答を含むが、これらに限定されない)の少なくとも1つの細胞、または1つの細胞型、または1つの内分泌経路、または1つの外分泌経路における測定可能な変化である。
【0043】
「免疫細胞」は、限定されないが、CD34+細胞、B細胞、CD45+(リンパ球共通抗原)細胞、アルファ-ベータT細胞、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、形質細胞、好中球、単球、マクロファージ、赤血球細胞、血小板、樹状細胞、食細胞、顆粒球、先天性リンパ球細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞およびガンマデルタT細胞を含む、免疫系の細胞として定義される。典型的には、免疫細胞は、コンビナトリアル細胞表面分子分析(例えば、フローサイトメトリーを介する)を用いて分類され、免疫細胞をサブ集合体に分化させるために特定するか、またはグループ分けするか、またはクラスター化する。これらはその後、追加の分析でさらに細分化することができる。例えば、CD45+リンパ球は、vδ陽性集合体およびvδ陰性集合体にさらに細分化することができる。
【0044】
「モデル系」は、抗体またはその断片などの医薬品、疾患の徴候または症状の緩和において医薬として機能し得る方法の理解を助けるように設計された生物学的モデルまたは生物学的表現である。そのようなモデルとしては、典型的には、インビトロ、エクスビボ、およびインビボでの疾患細胞、非疾患細胞、健康な、エフェクター細胞、および組織などの使用が挙げられ、上述の医薬の性能が研究され、比較される。
【0045】
「疾患細胞」は、がんなどの疾患、ウイルス感染などの感染、または炎症性状態もしくは炎症性疾患の進行に関連する表現型を示す。例えば、疾患細胞は、腫瘍細胞、自己免疫組織細胞、またはウイルス感染細胞であり得る。したがって、上述の疾患細胞は、腫瘍性、またはウイルス感染性、または炎症性であると定義され得る。
【0046】
「健康な細胞」は、疾患ではない正常細胞を指す。これらはまた、「正常」または「非疾患」細胞とも称され得る。非疾患細胞としては、非がん性、または非感染性、または非炎症性細胞が挙げられる。上述の細胞は、医薬によってもたらされる疾患細胞特異性を決定するために、および/または医薬の治療指数をよりよく理解するために、関連する疾患細胞とともに使用されることが多い。
【0047】
「疾患細胞特異性」は、エフェクター細胞またはその集合体(例えば、Vδ1+細胞の集合体など)が、がん細胞などの疾患細胞を区別し、死滅させつつ、非疾患細胞または健康な細胞は免れることがどの程度有効に行えるかの尺度である。この潜在能力は、モデル系で測定することができ、エフェクター細胞、またはエフェクター細胞の集合体が疾患細胞を選択的に死滅させるか、または溶解する傾向を、上述のエフェクター細胞が非疾患細胞または健康な細胞を死滅させるか、または溶解する潜在能力と比較することを含み得る。上述の疾患細胞特異性は、医薬の潜在的な治療指数を知らせることができる。
【0048】
「疾患細胞特異性の増強」は、疾患細胞を特異的に死滅させる能力をさらに増加させるように調節された、例えば、Vδ1+細胞などのエフェクター細胞、またはその集合体の表現型を記載する。この増強は、疾患細胞死滅特異性または選択性の倍率変化または割合増加を含む様々な方法で測定することができる。
【0049】
好適には、抗体またはその断片(すなわち、ポリペプチド)は、単離される。「単離された」ポリペプチドは、その元の環境から除去されるポリペプチドである。「単離された」という用語を使用して、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指し得る(例えば、Vδ1に特異的に結合する単離された抗体、またはその断片は、Vδ1以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。「単離された」という用語はまた、単離された抗体が、薬学的組成物の活性成分として製剤化されたときに治療的に投与されるのに十分なほど純粋であるか、または少なくとも70~80%(w/w)純粋、より好ましくは少なくとも80~90%(w/w)純粋、さらにより好ましくは90~95%純粋であるか、最も好ましくは少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%(w/w)純粋である調製物を指すために使用され得る。
【0050】
好適には、本発明で使用されるポリヌクレオチドは、単離される。「単離された」ポリヌクレオチドは、その元の環境から除去されるポリヌクレオチドである。例えば、天然に存在するポリヌクレオチドは、そのポリヌクレオチドが天然系中に共存する材料の一部または全部から分離されている場合、単離されている。例えば、ポリヌクレオチドが、その天然環境の一部ではないベクター内にクローニングされている場合、またはポリヌクレオチドがcDNA内に含まれている場合、ポリヌクレオチドは単離されているとみなされる。
【0051】
抗体またはその断片は、「機能的に活性なバリアント」であってもよく、これには、天然に存在する対立遺伝子バリアント、ならびに変異体または任意の天然に存在しないバリアントも含まれる。当該技術分野で知られているように、対立遺伝子バリアントは、ポリペプチドの生物学的機能を本質的に変化させない1つ以上のアミノ酸の置換、欠失、または付加を有することを特徴とする(ポリ)ペプチドの代替形態である。非限定的な例として、上述の機能的に活性なバリアントは、CDRを含有するフレームワークが改変されるとき、CDR自体が改変されるとき、上述のCDRが代替フレームワークにグラフト接合されるとき、またはN末端もしくはC末端伸長が組み込まれるときに、依然として機能し得る。さらに、結合ドメインを含有するCDRは、別の抗体と共有されるものなどの異なるパートナー鎖と対合し得る。いわゆる「共通の」軽鎖または「共通の」重鎖と共有すると、上述の結合ドメインは、依然として機能し得る。さらに、上述の結合ドメインは、多量体化されるときに機能し得る。さらに、「抗体またはその断片」は、VHまたはVLまたは定常ドメインが、異なるカノニカル配列(例えば、IMGT.orgに列挙されるような)から離れるように、または異なるカノニカル配列に向かって改変され、依然として機能する機能性バリアントを含んでもよい。
【0052】
2つの密接に関連するポリペプチド配列を比較する目的のために、第1のポリペプチド配列と第2のポリペプチド配列との間の「配列同一性%」を、ポリペプチド配列の標準的な設定(BLASTP)を使用して、NCBI BLAST v2.0を使用して計算してもよい。2つの密接に関連するポリヌクレオチド配列を比較する目的のために、第1のヌクレオチド配列と第2のヌクレオチド配列との間の「配列同一性%」を、ヌクレオチド配列の標準的な設定(BLASTN)を使用して、NCBI BLAST v2.0を使用して計算してもよい。
【0053】
ポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列が、その全長にわたって100%の配列同一性を共有する場合、そのポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列は、他のポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列と同じであるか、または「同一である」と言われる。配列中の残基は、左から右、すなわち、ポリペプチドについてはN末端からC末端まで、ポリヌクレオチドについては5’末端から3’末端まで番号付けされる。
【0054】
配列間の「差」は、第1の配列と比較して、第2の配列の位置における単一のアミノ酸残基の挿入、欠失、または置換を指す。2つのポリペプチド配列は、1つ、2つ、またはそれより多くのこのようなアミノ酸の差を含み得る。第1の配列に対して、それ以外は同一である(100%配列同一性)第2の配列中の挿入、欠失、または置換は、配列同一性%を低下させる。例えば、同一の配列が9個のアミノ酸残基長である場合、第2の配列中の1個の置換により、配列同一性が88.9%になる。第1および第2のポリペプチド配列が、9個のアミノ酸残基長であり、6個の同一の残基を共有する場合、第1および第2のポリペプチド配列は、66%を超える同一性を共有する(第1および第2のポリペプチド配列は、66.7%の同一性を共有する)。
【0055】
代替的に、第1の参照ポリペプチド配列を第2の比較ポリペプチド配列と比較する目的のために、第2の配列を生成するために第1の配列に対して行われた付加、置換、および/または欠失の数を確認してもよい。「付加」は、第1のポリペプチドの配列に1つのアミノ酸残基を付加することである(第1のポリペプチドのいずれかの末端での付加を含む)。「置換」は、第1のポリペプチドの配列中の1つのアミノ酸残基を1つの異なるアミノ酸残基で置換することである。この置換は、保存的であってもよく、または非保存的であってもよい。「欠失」は、第1のポリペプチドの配列からの1つのアミノ酸残基の欠失である(第1のポリペプチドのいずれかの末端での欠失を含む)。
【0056】
「保存的」アミノ酸置換は、アミノ酸残基が類似の化学構造を有する別のアミノ酸残基で置き換えられ、ポリペプチドの機能、活性、または他の生物学的特性にほとんど影響を与えないと予想されるアミノ酸置換である。かかる保存的置換は、好適には、以下の群内の1つのアミノ酸が、同じ群内の別のアミノ酸残基によって置換されている置換である。
【0057】
好適には、疎水性アミノ酸残基は、非極性アミノ酸である。より好適には、疎水性アミノ酸残基は、V、I、L、M、F、W、またはCから選択される。
【0058】
本明細書で使用される場合、ポリペプチド配列の番号付け、ならびにCDRおよびFRの定義は、Kabatシステム(Kabat et al.,1991、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に従って定義されるとおりである。第1のポリペプチド配列と第2のポリペプチド配列との間の「対応する」アミノ酸残基は、第2の配列中のアミノ酸残基とKabat系によって同じ位置を共有する第1の配列中のアミノ酸残基であるが、第2の配列中のアミノ酸残基は、第1の配列と同一性が異なる場合がある。適切には、対応する残基は、フレームワークおよびCDRがKabat定義に従って同じ長さである場合、同じ番号(および文字)を共有する。アラインメントは、手動で、または例えば、標準設定を使用してNCBI BLAST v2.0(BLASTPまたはBLASTN)などの配列アラインメントのための既知のコンピュータアルゴリズムを使用することによって達成することができる。
【0059】
本明細書における「エピトープ」との言及は、抗体またはその断片によって特異的に結合される標的の部分を指す。エピトープは、「抗原決定基」とも称され得る。抗体は、両方が同一または立体的に重複するエピトープを認識するとき、別の抗体と「本質的に同じエピトープ」に結合する。同一または重複するエピトープに2つの抗体が結合するかどうかを決定するために一般に使用される方法は、競合アッセイであり、競合アッセイは、標識された抗原または標識された抗体のいずれかを使用して、いくつかの異なるフォーマット(例えば、放射性または酵素標識を使用するウェルプレート、または抗原発現細胞上のフローサイトメトリー)で構成することができる。
【0060】
タンパク質標的上に見出されるエピトープは、「線状エピトープ」または「立体構造エピトープ」として定義され得る。線状エピトープは、タンパク質抗原中のアミノ酸の連続した配列によって形成される。立体構造エピトープは、タンパク質配列中で不連続であるが、タンパク質がその三次元構造に折り畳まれると一緒になるアミノ酸から形成される。
【0061】
「ベクター」という用語は、本明細書で使用される場合、それが連結されている別の核酸を輸送することができる核酸分子を指すことを意図している。1つの種類のベクターは、追加のDNAセグメントがライゲーションされ得る環状二本鎖DNAループを指す「プラスミド」である。別の種類のベクターは、追加のDNAセグメントがウイルスゲノムにライゲーションされ得るウイルスベクターである。特定のベクターは、そのベクターが導入される宿主細胞において自己複製することができる(例えば、細菌性複製起源を有する細菌ベクターおよびエピソーム哺乳動物および酵母ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入時に、宿主細胞のゲノムに組み込まれ、それにより、宿主ゲノムとともに複製され得る。さらに、特定のベクターは、それらが作動可能に連結される遺伝子の発現を指示することができる。このようなベクターは、本明細書では「組換え発現ベクター」(または単に「発現ベクター」)と称される。一般に、組換えDNA技術で有用な発現ベクターは、多くの場合、プラスミドの形態である。本明細書では、「プラスミド」および「ベクター」は、プラスミドがベクターの最も一般に使用されている形態であるため、相互に置き換え可能に使用され得る。しかしながら、本発明は、等価な機能を果たすウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルス)、ならびにバクテリオファージおよびファージミド系などの発現ベクターの他の形態を含むよう意図されている。「組換え宿主細胞」(または単に「宿主細胞」)という用語は、本明細書で使用される場合、組換え発現ベクターが導入された細胞を指すよう意図されている。かかる用語は、特定の対象細胞のみならず、かかる細胞の子孫も指すよう意図されており、例えば、上述の子孫が細胞株または細胞バンクを作製するために使用され、次に、本明細書に記載されるような抗体またはその断片を製造するために任意選択で保存され、提供され、販売され、移され、または使用される場合である。
【0062】
「対象」、「患者」または「個体」との言及は、治療される対象、特に哺乳動物対象を指す。哺乳動物対象としては、ヒト、非ヒト霊長類、農場動物(ウシなど)、スポーツ用動物、またはイヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、もしくはマウスなどのペット動物が挙げられる。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。代替的な実施形態では、対象は、マウスなどの非ヒト哺乳動物である。
【0063】
「十分な量」という用語は、所望の効果をもたらすのに十分な量を意味する。「治療有効量」という用語は、疾患または障害の症状を緩和するのに有効な量である。予防は療法とみなすことができるので、治療有効量は「予防有効量」であり得る。
【0064】
疾患または障害は、疾患または障害の徴候もしくは症状の重症度、そのような徴候もしくは症状が対象によって経験される頻度、またはその両方が低減される場合、「緩和」される。
【0065】
本明細書で使用される場合、「疾患または障害を治療すること」は、対象が経験する疾患または障害の少なくとも1つの徴候または症状の頻度および/または重症度を低減することを意味する。
【0066】
「がん」は、本明細書で使用される場合、細胞の異常な成長または分裂を指す。一般に、がん細胞の成長および/または寿命は、正常な細胞およびその周囲の組織の成長および/または寿命を超えており、それらと協調していない。がんは、良性、前悪性、または悪性であり得る。がんは、口腔(例えば、口、舌、咽頭など)、消化器系(例えば、食道、胃、小腸、結腸、直腸、肝臓、胆管、胆嚢、膵臓など)、呼吸器系(例えば、喉頭、肺、気管支など)、骨、関節、皮膚(例えば、基底細胞、扁平上皮、髄膜腫など)、乳房、生殖器系(例えば、子宮、卵巣、前立腺、精巣など)、泌尿器系(例えば、膀胱、腎臓、尿管など)、眼、神経系(例えば、脳など)、内分泌系(例えば、甲状腺など)、および造血系(例えば、リンパ腫、骨髄腫、白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病など)を含む様々な細胞および組織で生じる。
【0067】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、本明細書で使用される場合に、指定された値よりも最大で10%大きく、この値を含み、指定された値よりも最大で10%小さく、この値を含み、好適には、指定された値よりも最大で5%大きく、この値を含み、指定された値よりも最大で5%小さく、この値を含み、特に、指定された値を含む。「~の間」という用語は、指定された境界の値を含む。
【0068】
抗体またはその断片
本明細書では、γδT細胞受容体(TCR)のデルタ可変1鎖(Vδ1)に特異的に結合することが可能な抗体またはその断片が提供される。
【0069】
一実施形態では、抗体またはその断片は、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、可変ドメイン(例えば、VHもしくはVL)、ダイアボディ、ミニボディ、またはモノクローナル抗体である。さらなる実施形態では、抗体またはその断片は、scFvである。
【0070】
本発明の抗体は、任意のクラス、例えば、IgG、IgA、IgM、IgE、IgD、またはそれらのアイソタイプであってもよく、カッパ軽鎖またはラムダ軽鎖を含み得る。一実施形態では、抗体は、IgG抗体、例えば、アイソタイプIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4のうちの少なくとも1つである。さらなる実施形態では、抗体は、エフェクター機能を低下させる、半減期を延長する、ADCCを変化させる、またはヒンジの安定性を向上させるように変異したFcを有するものなど、所望の特性を付与するように改変されたフォーマット(例えば、IgGフォーマット)であってもよい。そのような改変は、当該技術分野で周知である。
【0071】
一実施形態では、抗体またはその断片は、ヒトである。したがって、抗体またはその断片は、ヒト免疫グロブリン(Ig)配列に由来していてもよい。抗体(またはその断片)のCDR、フレームワークおよび/または定常領域は、ヒトIg配列、特にヒトIgG配列に由来していてもよい。CDR、フレームワークおよび/または定常領域は、ヒトIg配列、特にヒトIgG配列に対して実質的に同一であってもよい。ヒト抗体を使用する利点は、ヒト抗体が、ヒトにおいて低免疫原性または非免疫原性であることである。
【0072】
抗体またはその断片はまた、キメラ、例えば、マウス-ヒト抗体キメラであり得る。
【0073】
代替的に、抗体またはその断片は、マウスなどの非ヒト種に由来する。かかる非ヒト抗体は、ヒトで天然に産生される抗体バリアントとの類似性を増加させるように改変することができるため、抗体またはその断片は、部分的に、または完全にヒト化することができる。したがって、一実施形態では、抗体またはその断片は、ヒト化される。
【0074】
本明細書に記載される抗Vδ1抗体またはその断片は、デルタ可変1鎖(Vδ1)T細胞を調節するために使用され得る。
【0075】
Vδ1T細胞の調節には、以下のものが含まれ得る。
-Vδ1T細胞の拡大、例えば、Vδ1T細胞の数を増加させ、またはVδ1T細胞の生存の促進による、
-Vδ1T細胞の刺激、例えば、Vδ1T細胞の効力を増加させる、すなわち、標的細胞死滅を増加させることによる、
-Vδ1T細胞枯渇の予防、例えば、Vδ1T細胞の持続性を増加させることによる、
-Vδ1T細胞の脱顆粒、
-Vδ1T細胞の免疫抑制、例えば、Vδ1 TCR細胞表面発現の下方調節、すなわち、Vδ1 TCR内在化またはVδ1 TCRタンパク質の発現の低下を引き起こすこと、またはVδ1 TCRの結合をブロックすることによる、
-Vδ1T細胞数を低減すること、例えば、Vδ1T細胞増殖の阻害によって、またはVδ1T細胞死を誘発すること(すなわち、Vδ1T細胞を死滅させること)による。
【0076】
Vδ1T細胞のかかる調節には、例えば、Vδ1T細胞活性化またはVδ1T細胞阻害が含まれ得る。一実施形態では、Vδ1T細胞は、本明細書に定義される抗Vδ1抗体またはその断片を患者に投与すると、活性化される。代替的な実施形態では、Vδ1T細胞は、本明細書に定義される抗Vδ1抗体またはその断片を患者に投与すると、阻害される。代替的な実施形態では、Vδ1T細胞は、本明細書に定義される抗Vδ1抗体またはその断片を患者に投与すると、阻害されない。
【0077】
エピトープを標的とする抗体
γδ TCRのVδ1鎖のエピトープに結合する抗体(またはその断片)が本明細書に提供される。かかる結合は、任意選択で、活性化または阻害などのγδ TCR活性に効果を有し得る。
【0078】
一実施形態では、エピトープは、γδT細胞の活性化エピトープであり得る。「活性化」エピトープは、例えば、細胞脱顆粒、TCR下方調節、細胞傷害性、増殖、動員、生存率の増加または枯渇に対する抵抗性、細胞内シグナル伝達、サイトカインもしくは増殖因子分泌、表現型変化、または遺伝子発現の変化などのTCR機能を刺激することを含み得る。例えば、活性化エピトープの結合は、γδT細胞集合体、好ましくはVδ1+T細胞集合体の拡大(すなわち、増殖)を刺激し得る。したがって、これらの抗体を使用して、γδT細胞活性化を調節し、それによって、免疫応答を調節することができる。したがって、一実施形態では、活性化エピトープの結合は、γδ TCRを下方調節する。追加的または代替的な実施形態では、活性化エピトープの結合は、γδT細胞の脱顆粒を活性化する。さらなる追加的または代替的な実施形態では、活性化エピトープの結合は、γδT細胞死滅を活性化する。
【0079】
代替的に、抗体(またはその断片)は、別の抗体または分子の結合または相互作用の防止による遮断効果を有し得る。一実施形態では、本発明は、Vδ1を遮断し、TCR結合を防止する(例えば、立体障害による)、単離された抗体またはその断片を提供する。Vδ1を遮断することによって、抗体は、TCR活性化および/またはシグナル伝達を防止し得る。エピトープは、γδT細胞の阻害性エピトープであり得る。「阻害性」エピトープは、例えば、TCR機能を遮断し、それによってTCR活性化を阻害することを含み得る。
【0080】
エピトープは、好ましくは、少なくとも、γδ TCRのVδ1鎖の1つの細胞外、可溶性、親水性、外部または細胞質部分からなる。
【0081】
特に、エピトープは、γδ TCRのVδ1鎖の超可変領域、特にVδ1鎖のCDR3に見られるエピトープを含まない。好ましい実施形態では、エピトープは、γδ TCRのVδ1鎖の非可変領域内にある。かかる結合は、高度に可変であるTCRの配列(特にCDR3)に限定されることなく、Vδ1鎖の独自の認識を可能にすることが理解されるであろう。MHC様ペプチドまたは抗原を認識する様々なγδ TCR複合体は、Vδ1鎖の存在のみによって、この方法で認識され得る。したがって、γδ TCRを含む任意のVδ1鎖は、γδ TCRの特異性に関係なく、本明細書に定義される抗体またはその断片を使用して認識され得ることが理解されるであろう。一実施形態では、エピトープは、配列番号1のアミノ酸領域1~24および/または35~90内の1つ以上のアミノ酸残基、例えば、CDR1および/またはCDR3配列の一部ではないVδ1鎖の部分を含む。一実施形態では、エピトープは、配列番号1のアミノ酸領域91~105(CDR3)内のアミノ酸残基を含まない。
【0082】
十分に特性決定されたαβT細胞と同様の方法で、γδT細胞は、体細胞的に再配列された可変(V)、多様性(D)、接続(J)、および定常(C)遺伝子の異なるセットを利用するが、γδT細胞は、αβT細胞よりも少ないV、D、およびJセグメントを含有する。一実施形態では、抗体(またはその断片)によって結合されるエピトープは、Vδ1鎖のJ領域(例えば、ヒトデルタ1鎖生殖系列:配列番号131(J1*0)もしくは132(J2*0)もしくは133(J3*0)もしくは134(J4*0)にコードされる4つのJ領域のうちの1つ)に見出されるエピトープを含まない。一実施形態では、抗体(またはその断片)によって結合されるエピトープは、Vδ1鎖のC領域(例えば、C末端の膜近接/膜貫通領域を含有する配列番号135(C1*0))に見出されるエピトープを含まない。一実施形態では、抗体(またはその断片)によって結合されるエピトープは、Vδ1鎖のN末端リーダー配列(例えば、配列番号129)の中に見出されるエピトープを含まない。したがって、抗体または断片は、Vδ1鎖のV領域内でのみ結合し得る(例えば、配列番号130)。したがって、一実施形態では、エピトープは、γδ TCRのV領域中のエピトープ(例えば、配列番号1のアミノ酸残基1~90)からなる。
【0083】
エピトープとの言及は、Luoma et al.(2013)Immunity 39:1032-1042に記載される配列に由来するVδ1配列、および配列番号1に示される、RCSB Protein Data Bankエントリ:4MNHおよび3OMZに関連して行われる。
AQKVTQAQSSVSMPVRKAVTLNCLYETSWWSYYIFWYKQLPSKEMIFLIRQGSDEQNAKSGRYSVNFKKAAKSVALTISALQLEDSAKYFCALGESLTRADKLIFGKGTRVTVEPNIQNPDPAVYQLRDSKSSDKSVCLFTDFDSQTNVSQSKDSDVYITDKTVLDMRSMDFKSNSAVAWSNKSDFACANAFNNSIIPEDTFFPSPESS(配列番号1)。
【0084】
配列番号1は、V領域(可変ドメインとも称される)、D領域、J領域、およびTCR定常領域を含む、可溶性TCRを表す。V領域は、アミノ酸残基1~90を含み、D領域は、アミノ酸残基91~104を含み、J領域は、アミノ酸残基105~115を含み、定常領域は、アミノ酸残基116~209を含む。V領域内で、CDR1は、配列番号1のアミノ酸残基25~34として定義され、CDR2は、配列番号1のアミノ酸残基50~54として定義され、CDR3は、配列番号1のアミノ酸残基93~104として定義される(Xu et al.,PNAS USA 108(6):2414-2419(2011))。
【0085】
したがって、本発明の態様によれば、以下のアミノ酸領域内の1つ以上のアミノ酸残基を含むγδT細胞受容体(TCR)の可変デルタ1(Vδ1)鎖のエピトープに結合する、単離された抗体またはその断片が提供される。
(i)配列番号1の3~20、および/または
(ii)配列番号1の37~77。
【0086】
さらなる実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号128のアミノ酸残基1~90のエピトープを含む多型V領域をさらに認識する。したがって、配列番号1のアミノ酸1~90および多型生殖系列バリアント配列(アミノ酸1~90、配列番号128)は、本明細書に記載のエピトープを定義する場合に、相互に交換可能であるとみなされ得る。本発明の抗体は、この生殖系列配列の両方のバリアントを認識することができる。例として、本明細書で定義される抗体またはその断片が、配列番号1のアミノ酸領域1~24および/または35~90内の1つ以上のアミノ酸残基を含むエピトープを認識することが記載される場合、このことはまた、配列番号128の同じ領域、具体的には、配列番号128のアミノ酸領域1~24および/または35~90を指す。
【0087】
一実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号1のアミノ酸領域1~90内の1つ以上のアミノ酸残基、および配列番号128の領域1~90の等価に位置するアミノ酸を認識する。より具体的には、一実施形態では、本明細書で定義される抗体またはその断片は、ヒト生殖系列エピトープを認識し、この生殖系列は、配列番号1の71位のアラニン(A)またはバリン(V)のいずれかをコードする。
【0088】
一実施形態では、エピトープは、記載された領域内に1つ以上、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、またはそれより多くのアミノ酸残基を含む。
【0089】
さらなる実施形態では、エピトープは、配列番号1のアミノ酸領域3~20内の1つ以上の(例えば5個以上、例えば10個以上の)アミノ酸残基を含む。代替的な実施形態では、エピトープは、配列番号1のアミノ酸領域37~77(例えば、アミノ酸残基50~54)内の1つ以上の(例えば5個以上、例えば10個以上の)アミノ酸残基を含む。なおさらなる実施形態では、エピトープは、配列番号1のアミノ酸領域3~20(例えば5~20または3~17)内の1つ以上の(例えば5個以上、例えば10個以上の)アミノ酸残基と、アミノ酸領域37~77(例えば62~77または62~69)内の1つ以上の(例えば5個以上、例えば10個以上の)アミノ酸残基を含む。
【0090】
上述の抗体(またはその断片)は、定義された範囲内のすべてのアミノ酸に結合する必要がないことがさらに理解されるであろう。このようなエピトープは、線状エピトープと呼ばれてもよい。例えば、配列番号1のアミノ酸領域5~20内のアミノ酸残基を含むエピトープに結合する抗体は、上述の範囲中のアミノ酸残基の1つ以上と、例えば、任意選択でその範囲内のアミノ酸(すなわち、アミノ酸5、9、16および20)を含む、その範囲の各末端にあるアミノ酸残基(すなわち、アミノ酸5および20)とのみ結合してもよい。
【0091】
一実施形態では、エピトープは、配列番号1のアミノ酸残基3、5、9、10、12、16、17、20、37、42、50、53、59、62、64、68、69、72、または77のうちの少なくとも1つを含む。さらなる実施形態では、エピトープは、配列番号1のアミノ酸残基3、5、9、10、12、16、17、20、37、42、50、53、59、62、64、68、69、72、または77から選択される1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、または12個のアミノ酸を含む。
【0092】
一実施形態では、エピトープは、配列番号1(または上述の配列番号128)の以下のアミノ酸領域内に1つ以上のアミノ酸残基を含む。
(i)3~17、
(ii)5~20、
(iii)37~53、
(iv)50~64、
(v)59~72、
(vi)59~77、
(vii)62~69、および/または
(viii)62~77。
【0093】
さらなる実施形態では、エピトープは、配列番号1のアミノ酸領域5~20および62~77、50~64、37~53および59~72、59~77、または3~17および62~69内の1つ以上のアミノ酸残基を含む。さらなる実施形態では、エピトープは、配列番号1のアミノ酸領域5~20および62~77、50~64、37~53および59~72、59~77、または3~17および62~69内の1つ以上のアミノ酸残基からなる。
【0094】
さらなる実施形態では、エピトープは、配列番号1のアミノ酸残基3、5、9、10、12、16、17、62、64、68、および69を含むか、または好適には、配列番号1のアミノ酸残基3、5、9、10、12、16、17、62、64、68、および69からなる。さらなる実施形態では、エピトープは、配列番号1のアミノ酸残基5、9、16、20、62、64、72、および77を含むか、または好適には、配列番号1のアミノ酸残基5、9、16、20、62、64、72、および77からなる。なおさらなる実施形態では、エピトープは、配列番号1のアミノ酸残基37、42、50、53、59、64、68、69、72、73、および77を含むか、または好適には、配列番号1のアミノ酸残基37、42、50、53、59、64、68、69、72、73、および77からなる。さらなる実施形態では、エピトープは、配列番号1のアミノ酸残基50、53、59、62、および64を含むか、または好適には、配列番号1のアミノ酸残基50、53、59、62、および64からなる。さらなる実施形態では、エピトープは、配列番号1のアミノ酸残基59、60、68、および72を含むか、または好適には、配列番号1のアミノ酸残基59、60、68、および72からなる。
【0095】
一実施形態では、エピトープは、配列番号1のアミノ酸領域5~20および/または62~77内の1つ以上のアミノ酸残基を含む。さらなる実施形態では、エピトープは、配列番号1のアミノ酸領域5~20および62~77内の1つ以上のアミノ酸残基からなる。代替的なさらなる実施形態では、エピトープは、配列番号1のアミノ酸領域5~20または62~77内の1つ以上のアミノ酸残基を含む。かかるエピトープを有する抗体またはその断片は、1245_P01_E07の配列のいくつかまたはすべてを有し得るか、あるいは、かかる抗体またはその断片は、1245_P01_E07に由来し得る。例えば、1245_P01_E07の1つ以上のCDR配列、または1245_P01_E07のVH配列およびVL配列の一方または両方を有する抗体またはその断片は、そのようなエピトープに結合し得る。
【0096】
一実施形態では、エピトープは、配列番号1のアミノ酸領域50~64内の1つ以上のアミノ酸残基を含む。さらなる実施形態では、エピトープは、配列番号1のアミノ酸領域50~64内の1つ以上のアミノ酸残基からなる。かかるエピトープを有する抗体またはその断片は、1252_P01_C08の配列のいくつかまたはすべてを有し得るか、あるいは、かかる抗体またはその断片は、1252_P01_C08に由来し得る。例えば、1252_P01_C08の1つ以上のCDR配列、または1252_P01_C08のVH配列およびVL配列の一方または両方を有する抗体またはその断片は、そのようなエピトープに結合し得る。
【0097】
一実施形態では、エピトープは、配列番号1のアミノ酸領域37~53および/または59~77内の1つ以上のアミノ酸残基を含む。さらなる実施形態では、エピトープは、配列番号1のアミノ酸領域37~53および59~77内の1つ以上のアミノ酸残基からなる。代替的なさらなる実施形態では、エピトープは、配列番号1のアミノ酸領域37~53または59~77内の1つ以上のアミノ酸残基を含む。かかるエピトープを有する抗体またはその断片は、1245_P02_G04の配列のいくつかまたはすべてを有し得るか、あるいは、かかる抗体またはその断片は、1245_P02_G04に由来し得る。例えば、1245_P02_G04の1つ以上のCDR配列、または1245_P02_G04のVH配列およびVL配列の一方または両方を有する抗体またはその断片は、そのようなエピトープに結合し得る。
【0098】
一実施形態では、エピトープは、配列番号1のアミノ酸領域59~72内の1つ以上のアミノ酸残基を含む。さらなる実施形態では、エピトープは、配列番号1のアミノ酸領域59~72内の1つ以上のアミノ酸残基からなる。かかるエピトープを有する抗体またはその断片は、1251_P02_C05の配列のいくつかまたはすべてを有し得るか、あるいは、かかる抗体またはその断片は、1251_P02_C05に由来し得る。例えば、1251_P02_C05の1つ以上のCDR配列、または1251_P02_C05のVH配列およびVL配列の一方または両方を有する抗体またはその断片は、そのようなエピトープに結合し得る。
【0099】
一実施形態では、エピトープは、配列番号1のアミノ酸領域11~21内のアミノ酸残基を含まない。一実施形態では、エピトープは、配列番号1のアミノ酸領域21~28内のアミノ酸残基を含まない。一実施形態では、エピトープは、配列番号1のアミノ酸領域59および60内のアミノ酸残基を含まない。一実施形態では、エピトープは、配列番号1のアミノ酸領域67~82内のアミノ酸残基を含まない。
【0100】
一実施形態では、エピトープは、TS-1またはTS8.2などの市販の抗Vδ1抗体が結合するのと同一のエピトープではない。国際公開第2017/197347号に記載されているように、可溶性TCRに対するTS-1およびTS8.2の結合は、δ1鎖がVδ1 J1およびVδ1 J2配列を含むが、Vδ1 J3鎖への結合は含まない場合に検出され、このことは、TS-1およびTS8.2の結合が、デルタJ1残基およびデルタJ2領域中に重要な残基を含むことを示している。
【0101】
本明細書における「~内」との言及は、定義範囲の端を含む。例えば、「アミノ酸領域5~20内」とは、残基5を含み、残基5から残基20までを含み、残基20を含むアミノ酸残基のすべてを指す。
【0102】
どのエピトープが抗体に結合するかを確立するための様々な技術が、当該技術分野で既知である。例示的な技術として、例えば、日常的な交差遮断アッセイ、アラニンスキャニング変異分析、ペプチドブロット分析、ペプチド切断分析結晶学的研究、およびNMR分析が挙げられる。加えて、エピトープ切除、エピトープ抽出、および抗原の化学改変などの方法を用いることができる。抗体が相互作用するポリペプチド内のアミノ酸を同定するために用いることができる別の方法は、質量分析法によって検出される水素/重水素交換である(実施例9に記載されるような)。一般的に言えば、水素/重水素交換法は、目的のタンパク質を重水素標識した後、抗体を重水素標識タンパク質へ結合させることを伴う。次に、タンパク質/抗体複合体を水に移し、抗体複合体によって保護されているアミノ酸内の交換可能なプロトンは、界面の一部ではないアミノ酸内の交換可能なプロトンよりも遅い速度で、重水素から水素への逆交換を受ける。結果として、タンパク質/抗体界面の一部を形成するアミノ酸は、重水素を保持し得るため、界面に含まれないアミノ酸と比較して、比較的高い質量を示す。抗体の解離後、標的タンパク質に対してプロテアーゼ切断および質量分光分析を行い、それにより、抗体が相互作用する特異的なアミノ酸に対応する、重水素標識された残基を明らかにする。
【0103】
抗体配列
本発明の単離された抗Vδ1抗体またはその断片は、それらのCDR配列を参照して記載されてもよい。
【0104】
本発明の一態様によれば、単離された抗Vδ1抗体またはその断片であって、
配列番号2~25のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR3、
配列番号26~37および配列A1~A12のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR2、ならびに/または
配列番号38~61のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR1のうちの1つ以上を含む、単離された抗Vδ1抗体またはその断片が提供される。
【0105】
本発明の一態様によれば、配列番号2~25のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR3を含む、単離された抗Vδ1抗体またはその断片が提供される。一実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号26~37および配列A1~A12(表2の)のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR2を含む。一実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号38~61のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR1を含む。
【0106】
一実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号2~25のいずれか1つと少なくとも85%、90%、95%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する配列を含むCDR3を含む。一実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号26~37および配列A1~A12(表2の)のいずれか1つと少なくとも85%、90%、95%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する配列を含むCDR2を含む。一実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号38~61のいずれか1つと少なくとも85%、90%、95%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する配列を含むCDR1を含む。
【0107】
一実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号2~25のいずれか1つと少なくとも85%、90%、95%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する配列からなるCDR3を含む。一実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号26~37および配列A1~A12(表2の)のいずれか1つと少なくとも85%、90%、95%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する配列からなるCDR2を含む。一実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号38~61のいずれか1つと少なくとも85%、90%、95%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する配列からなるCDR1を含む。
【0108】
本発明のさらなる態様によれば、配列番号2~13のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR3を含むVH領域、および/または配列番号14~25のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR3を含むVL領域を含む、抗体またはその断片が提供される。本発明のさらなる態様によれば、配列番号2~13のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列からなるCDR3を含むVH領域、および/または配列番号14~25のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列からなるCDR3を含むVL領域を含む、抗体またはその断片が提供される。
【0109】
一実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号2~13のいずれか1つと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含むCDR3を含むVH領域、および/または配列番号14~25のいずれか1つと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含むCDR3を含むVL領域と、を含む。一実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号2~13のいずれか1つと少なくとも90%の配列同一性を有する配列からなるCDR3を含むVH領域、および/または配列番号14~25のいずれか1つと少なくとも90%の配列同一性を有する配列からなるCDR3を含むVL領域を含む。
【0110】
一実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号2~13のいずれか1つと少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含むCDR3を含むVH領域、および/または配列番号14~25のいずれか1つと少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含むCDR3を含むVL領域と、を含む。一実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号2~13のいずれか1つと少なくとも95%の配列同一性を有する配列からなるCDR3を含むVH領域、および/または配列番号14~25のいずれか1つと少なくとも95%の配列同一性を有する配列からなるCDR3を含むVL領域を含む。
【0111】
一実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号2~13のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR3を含むVH領域と、配列番号14~25のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR3を含むVL領域と、を含む。一実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号2~13のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列からなるCDR3を含むVH領域と、配列番号14~25のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列からなるCDR3を含むVL領域と、を含む。
【0112】
本発明のさらなる態様によれば、配列番号2~7、特に2~6、例えば、2、3、または4のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR3を含むVH領域と、配列番号14~19、特に14~18、例えば、14、15、または16のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR3を含むVL領域と、を含む、抗体またはその断片が提供される。本発明のさらなる態様によれば、配列番号2~7、特に2~6、例えば、2、3、または4のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列からなるCDR3を含むVH領域と、配列番号14~19、特に14~18、例えば、14、15、または16のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列からなるCDR3を含むVL領域と、を含む、抗体またはその断片が提供される。
【0113】
本発明の特定の態様によれば、配列番号2~7、特に2~6、例えば、2、3、または4のいずれか1つと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含むCDR3を含むVH領域、および/または配列番号14~19、特に14~18、例えば、14、15、または16のいずれか1つと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含むCDR3を含むVL領域を含む、抗体またはその断片が提供される。本発明のさらなる態様によれば、配列番号2~7、特に2~6、例えば、2、3、または4のいずれか1つと少なくとも90%の配列同一性を有する配列からなるCDR3を含むVH領域、および/または配列番号14~19、特に14~18、例えば、14、15、または16のいずれか1つと少なくとも90%の配列同一性を有する配列からなるCDR3を含むVL領域を含む、抗体またはその断片が提供される。
【0114】
本発明のさらなる態様によれば、配列番号2~7、特に2~6、例えば、2、3、または4のいずれか1つと少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含むCDR3を含むVH領域、および/または配列番号14~19、特に14~18、例えば、14、15、または16のいずれか1つと少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含むCDR3を含むVL領域を含む、抗体またはその断片が提供される。本発明のさらなる態様によれば、配列番号2~7、特に2~6、例えば、2、3、または4のいずれか1つと少なくとも95%の配列同一性を有する配列からなるCDR3を含むVH領域、および/または配列番号14~19、特に14~18、例えば、14、15、または16のいずれか1つと少なくとも95%の配列同一性を有する配列からなるCDR3を含むVL領域を含む、抗体またはその断片が提供される。
【0115】
本発明の特定の態様によれば、配列番号8~13、特に、8、9、10、または11のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR3を含むVH領域、および/または配列番号20~25、特に、20、21、22、または23のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR3を含むVL領域を含む、抗体またはその断片が提供される。本発明の別の態様によれば、配列番号8~13、特に、8、9、10、または11のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列からなるCDR3を含むVH領域、および/または配列番号20~25、特に、20、21、22、または23のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列からなるCDR3を含むVL領域を含む、抗体またはその断片が提供される。
【0116】
本発明の特定の態様によれば、配列番号8~13、特に、8、9、10、または11のいずれか1つと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含むCDR3を含むVH領域、および/または配列番号20~25、特に、20、21、22、または23のいずれか1つと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含むCDR3を含むVL領域を含む、抗体またはその断片が提供される。本発明の別の態様によれば、配列番号8~13、特に、8、9、10、または11のいずれか1つと少なくとも90%の配列同一性を有する配列からなるCDR3を含むVH領域、および/または配列番号20~25、特に、20、21、22、または23のいずれか1つと少なくとも90%の配列同一性を有する配列からなるCDR3を含むVL領域を含む、抗体またはその断片が提供される。
【0117】
本発明の特定の態様によれば、配列番号8~13、特に、8、9、10、または11のいずれか1つと少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含むCDR3を含むVH領域、および/または配列番号20~25、特に、20、21、22、または23のいずれか1つと少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含むCDR3を含むVL領域を含む、抗体またはその断片が提供される。本発明の別の態様によれば、配列番号8~13、特に、8、9、10、または11のいずれか1つと少なくとも95%の配列同一性を有する配列からなるCDR3を含むVH領域、および/または配列番号20~25、特に、20、21、22、または23のいずれか1つと少なくとも95%の配列同一性を有する配列からなるCDR3を含むVL領域を含む、抗体またはその断片が提供される。
【0118】
本明細書において「少なくとも80%」または「80%以上」と称する実施形態は、80%以上、例えば85%、90%、95%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性などのすべての値を含むと理解されるであろう。一実施形態では、本発明の抗体または断片は、指定された配列に対する少なくとも85%、例えば、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を含む。
【0119】
配列同一性率の代わりに、実施形態は、1つ以上のアミノ酸変化、例えば、1つ以上の付加、置換、および/または欠失を用いて定義されてもよい。一実施形態では、配列は、最大5個のアミノ酸変化、例えば、最大3個のアミノ酸変化、特に最大2個のアミノ酸変化を含み得る。さらなる実施形態では、配列は、最大5個のアミノ酸置換、例えば、最大3個のアミノ酸置換、特に最大1個または2個のアミノ酸置換を含み得る。例えば、本発明の抗体またはその断片のCDR3は、配列番号2~25のいずれか1つと比較して、2個以下、より好適には1個以下の置換を有する配列を含むか、またはより好適には、それらからなる。
【0120】
好適には、CDR1、CDR2またはCDR3のいずれかの残基であって、配列番号2~61および配列A1~A12中のそれらの対応する残基とは異なるものは、それらの対応する残基に関して、保存的置換である。例えば、配列番号2~25中のそれらの対応する残基と異なるCDR3の任意の残基は、それらの対応する残基に関して、保存的置換である。
【0121】
一実施形態では、抗体またはその断片は、
(i)配列番号2~13のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR3を含むVH領域、
(ii)配列番号26~37のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR2を含むVH領域、
(iii)配列番号38~49のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR1を含むVH領域、
(iv)配列番号14~25のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR3を含むVL領域、
(v)配列A1~A12のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR2を含むVL領域、および/または
(vi)配列番号50~61のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR1を含むVL領域を含む。
【0122】
一実施形態では、抗体またはその断片は、
(i)配列番号2~13のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR3を含むVH領域、
(ii)配列番号26~37のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR2を含むVH領域、および
(iii)配列番号38~49のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR1を含むVH領域を有する重鎖を含む。
【0123】
一実施形態では、抗体またはその断片は、
(i)配列番号14~25のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR3を含むVL領域、
(ii)配列A1~A12のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR2を含むVL領域、および
(iii)配列番号50~61のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR1を含むVL領域を有する軽鎖を含む。
【0124】
一実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号2、3、4、5、または6、例えば2、3、4、または5、特に2、3、または4のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR3を含むVH領域を含む(またはそれらからなる)。一実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号26、27、28、29、または30、例えば26、27、28、または29、特に26、27、または28のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR2を含むVH領域を含む(またはそれらからなる)。一実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号38、39、40、41、または42、例えば38、39、40、または41、特に38、39、または40のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR1を含むVH領域を含む(またはそれらからなる)。
【0125】
一実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号8、9、10、または11のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR3を含むVH領域を含む(またはそれらからなる)。一実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号32、33、34、または35のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR2を含むVH領域を含む(またはそれらからなる)。一実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号44、45、46、または47のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR1を含むVH領域を含む(またはそれらからなる)。
【0126】
一実施形態では、VH領域は、配列番号2の配列を含むCDR3と、配列番号26の配列を含むCDR2と、配列番号38の配列を含むCDR1と、を含む。一実施形態では、CDR3は、配列番号2の配列からなり、CDR2は、配列番号26の配列からなり、CDR1は、配列番号38の配列からなる。
【0127】
一実施形態では、VH領域は、配列番号3の配列を含むCDR3と、配列番号27のCDR2配列と、配列番号39のCDR1配列と、を含む。一実施形態では、CDR3は、配列番号3の配列からなり、CDR2は、配列番号27の配列からなり、CDR1は、配列番号39の配列からなる。
【0128】
一実施形態では、VH領域は、配列番号4の配列を含むCDR3と、配列番号28の配列を含むCDR2と、配列番号40の配列を含むCDR1と、を含む。一実施形態では、CDR3は、配列番号4の配列からなり、CDR2は、配列番号28の配列からなり、CDR1は、配列番号40の配列からなる。
【0129】
一実施形態では、VH領域は、配列番号5の配列を含むCDR3と、配列番号29の配列を含むCDR2と、配列番号41の配列を含むCDR1と、を含む。一実施形態では、CDR3は、配列番号5の配列からなり、CDR2は、配列番号29の配列からなり、CDR1は、配列番号41の配列からなる。
【0130】
一実施形態では、VH領域は、配列番号6の配列を含むCDR3と、配列番号30の配列を含むCDR2と、配列番号42の配列を含むCDR1と、を含む。一実施形態では、CDR3は、配列番号6の配列からなり、CDR2は、配列番号30の配列からなり、CDR1は、配列番号42の配列からなる。
【0131】
一実施形態では、VH領域は、配列番号8の配列を含むCDR3と、配列番号32のCDR2配列と、配列番号44のCDR1配列と、を含む。一実施形態では、CDR3は、配列番号8の配列からなり、CDR2は、配列番号32の配列からなり、CDR1は、配列番号44の配列からなる。
【0132】
一実施形態では、VH領域は、配列番号9の配列を含むCDR3と、配列番号33のCDR2配列と、配列番号45のCDR1配列と、を含む。一実施形態では、CDR3は、配列番号9の配列からなり、CDR2は、配列番号33の配列からなり、CDR1は、配列番号45の配列からなる。
【0133】
一実施形態では、VH領域は、配列番号10の配列を含むCDR3と、配列番号34のCDR2配列と、配列番号46のCDR1配列と、を含む。一実施形態では、CDR3は、配列番号10の配列からなり、CDR2は、配列番号34の配列からなり、CDR1は、配列番号47の配列からなる。
【0134】
一実施形態では、VH領域は、配列番号11の配列を含むCDR3と、配列番号35のCDR2配列と、配列番号47のCDR1配列と、を含む。一実施形態では、CDR3は、配列番号11の配列からなり、CDR2は、配列番号35の配列からなり、CDR1は、配列番号47の配列からなる。
【0135】
一実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号14~25、例えば、配列番号14、15、16、17、または18、例えば、14、15、16、または17、特に14、15、または16のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR3を含むVL領域を含む(またはそれらからなる)。一実施形態では、抗体またはその断片は、配列A1~A12(表2の)、例えば、配列A1、A2、A3、A4、またはA5、例えば、A1、A2、A3、またはA4、特に、A1、A2、またはA3のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR2を含むVL領域を含む(またはそれらからなる)。一実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号50~61、例えば、配列番号50、51、52、53、または54、例えば、50、51、52、または53、特に50、51、または52のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR1を含むVL領域を含む(またはそれらからなる)。
【0136】
一実施形態では、VL領域は、配列番号14の配列を含むCDR3と、配列A1の配列を含むCDR2と、配列番号50の配列を含むCDR1と、を含む。一実施形態では、CDR3は、配列番号14の配列からなり、CDR2は、配列A1の配列からなり、CDR1は、配列番号50の配列からなる。
【0137】
一実施形態では、VL領域は、配列番号15の配列を含むCDR3と、配列A2の配列を含むCDR2と、配列番号51の配列を含むCDR1と、を含む。一実施形態では、CDR3は、配列番号15の配列からなり、CDR2は、配列A2の配列からなり、CDR1は、配列番号51の配列からなる。
【0138】
一実施形態では、VL領域は、配列番号16の配列を含むCDR3と、配列A3の配列を含むCDR2と、配列番号52の配列を含むCDR1と、を含む。一実施形態では、CDR3は、配列番号16の配列からなり、CDR2は、配列A3の配列からなり、CDR1は、配列番号52の配列からなる。
【0139】
一実施形態では、VL領域は、配列番号17の配列を含むCDR3と、配列A4の配列を含むCDR2と、配列番号53の配列を含むCDR1と、を含む。一実施形態では、CDR3は、配列番号17の配列からなり、CDR2は、配列A4の配列からなり、CDR1は、配列番号53の配列からなる。
【0140】
一実施形態では、VL領域は、配列番号18の配列を含むCDR3と、配列A5の配列を含むCDR2と、配列番号54の配列を含むCDR1と、を含む。一実施形態では、CDR3は、配列番号18の配列からなり、CDR2は、配列A5の配列からなり、CDR1は、配列番号54の配列からなる。
【0141】
一実施形態では、VL領域は、配列番号20の配列を含むCDR3と、配列A7の配列を含むCDR2と、配列番号56の配列を含むCDR1と、を含む。一実施形態では、CDR3は、配列番号20の配列からなり、CDR2は、配列A7の配列からなり、CDR1は、配列番号56の配列からなる。
【0142】
一実施形態では、VL領域は、配列番号21の配列を含むCDR3と、配列A8の配列を含むCDR2と、配列番号57の配列を含むCDR1と、を含む。一実施形態では、CDR3は、配列番号21の配列からなり、CDR2は、配列A8の配列からなり、CDR1は、配列番号57の配列からなる。
【0143】
一実施形態では、VL領域は、配列番号22の配列を含むCDR3と、配列A9の配列を含むCDR2と、配列番号58の配列を含むCDR1と、を含む。一実施形態では、CDR3は、配列番号22の配列からなり、CDR2は、配列A9の配列からなり、CDR1は、配列番号58の配列からなる。
【0144】
一実施形態では、VL領域は、配列番号23の配列を含むCDR3と、配列A10の配列を含むCDR2と、配列番号59の配列を含むCDR1と、を含む。一実施形態では、CDR3は、配列番号23の配列からなり、CDR2は、配列A10の配列からなり、CDR1は、配列番号59の配列からなる。
【0145】
一実施形態では、VH領域は、配列番号2の配列を含むCDR3と、配列番号26の配列を含むCDR2と、配列番号38の配列を含むCDR1と、を含み、VL領域は、配列番号14の配列を含むCDR3と、配列A1の配列を含むCDR2と、配列番号50の配列を含むCDR1と、を含む。一実施形態では、HCDR3は、配列番号2の配列からなり、HCDR2は、配列番号26の配列からなり、HCDR1は、配列番号38の配列からなり、LCDR3は、配列番号14の配列からなり、LCDR2は、配列A1の配列からなり、LCDR1は、配列番号50の配列からなる。
【0146】
一実施形態では、VH領域は、配列番号3の配列を含むCDR3と、配列番号27の配列を含むCDR2と、配列番号39の配列を含むCDR1と、を含み、VL領域は、配列番号15の配列を含むCDR3と、配列A2の配列を含むCDR2と、配列番号51の配列を含むCDR1と、を含む。一実施形態では、HCDR3は、配列番号3の配列からなり、HCDR2は、配列番号27の配列からなり、HCDR1は、配列番号39の配列からなり、LCDR3は、配列番号15の配列からなり、LCDR2は、配列A2の配列からなり、LCDR1は、配列番号51の配列からなる。
【0147】
一実施形態では、VH領域は、配列番号4の配列を含むCDR3と、配列番号28の配列を含むCDR2と、配列番号40の配列を含むCDR1と、を含み、VL領域は、配列番号16の配列を含むCDR3と、配列A3の配列を含むCDR2と、配列番号52の配列を含むCDR1と、を含む。一実施形態では、HCDR3は、配列番号4の配列からなり、HCDR2は、配列番号28の配列からなり、HCDR1は、配列番号40の配列からなり、LCDR3は、配列番号16の配列からなり、LCDR2は、配列A3の配列からなり、LCDR1は、配列番号52の配列からなる。
【0148】
一実施形態では、VH領域は、配列番号5の配列を含むCDR3と、配列番号29の配列を含むCDR2と、配列番号41の配列を含むCDR1と、を含み、VL領域は、配列番号17の配列を含むCDR3と、配列A4の配列を含むCDR2と、配列番号53の配列を含むCDR1と、を含む。一実施形態では、HCDR3は、配列番号5の配列からなり、HCDR2は、配列番号29の配列からなり、HCDR1は、配列番号41の配列からなり、LCDR3は、配列番号17の配列からなり、LCDR2は、配列A4の配列からなり、LCDR1は、配列番号53の配列からなる。
【0149】
一実施形態では、VH領域は、配列番号6の配列を含むCDR3と、配列番号30の配列を含むCDR2と、配列番号42の配列を含むCDR1と、を含み、VL領域は、配列番号18の配列を含むCDR3と、配列A5の配列を含むCDR2と、配列番号54の配列を含むCDR1と、を含む。一実施形態では、HCDR3は、配列番号6の配列からなり、HCDR2は、配列番号30の配列からなり、HCDR1は、配列番号42の配列からなり、LCDR3は、配列番号18の配列からなり、LCDR2は、配列A5の配列からなり、LCDR1は、配列番号54の配列からなる。
【0150】
一実施形態では、VH領域は、配列番号7の配列を含むCDR3と、配列番号31の配列を含むCDR2と、配列番号43の配列を含むCDR1と、を含み、VL領域は、配列番号19の配列を含むCDR3と、配列A6の配列を含むCDR2と、配列番号55の配列を含むCDR1と、を含む。一実施形態では、HCDR3は、配列番号7の配列からなり、HCDR2は、配列番号31の配列からなり、HCDR1は、配列番号43の配列からなり、LCDR3は、配列番号19の配列からなり、LCDR2は、配列A6の配列からなり、LCDR1は、配列番号55の配列からなる。
【0151】
一実施形態では、VH領域は、配列番号8の配列を含むCDR3と、配列番号32の配列を含むCDR2と、配列番号44の配列を含むCDR1と、を含み、VL領域は、配列番号20の配列を含むCDR3と、配列A7の配列を含むCDR2と、配列番号56の配列を含むCDR1と、を含む。一実施形態では、HCDR3は、配列番号8の配列からなり、HCDR2は、配列番号32の配列からなり、HCDR1は、配列番号44の配列からなり、LCDR3は、配列番号20の配列からなり、LCDR2は、配列A7の配列からなり、LCDR1は、配列番号56の配列からなる。
【0152】
一実施形態では、VH領域は、配列番号9の配列を含むCDR3と、配列番号33の配列を含むCDR2と、配列番号45の配列を含むCDR1と、を含み、VL領域は、配列番号21の配列を含むCDR3と、配列A8の配列を含むCDR2と、配列番号57の配列を含むCDR1と、を含む。一実施形態では、HCDR3は、配列番号9の配列からなり、HCDR2は、配列番号33の配列からなり、HCDR1は、配列番号45の配列からなり、LCDR3は、配列番号21の配列からなり、LCDR2は、配列A8の配列からなり、LCDR1は、配列番号57の配列からなる。
【0153】
一実施形態では、VH領域は、配列番号10の配列を含むCDR3と、配列番号34の配列を含むCDR2と、配列番号46の配列を含むCDR1と、を含み、VL領域は、配列番号22の配列を含むCDR3と、配列A9の配列を含むCDR2と、配列番号58の配列を含むCDR1と、を含む。一実施形態では、HCDR3は、配列番号10の配列からなり、HCDR2は、配列番号34の配列からなり、HCDR1は、配列番号46の配列からなり、LCDR3は、配列番号22の配列からなり、LCDR2は、配列A9の配列からなり、LCDR1は、配列番号58の配列からなる。
【0154】
一実施形態では、VH領域は、配列番号11の配列を含むCDR3と、配列番号35の配列を含むCDR2と、配列番号47の配列を含むCDR1と、を含み、VL領域は、配列番号23の配列を含むCDR3と、配列A10の配列を含むCDR2と、配列番号59の配列を含むCDR1と、を含む。一実施形態では、HCDR3は、配列番号11の配列からなり、HCDR2は、配列番号35の配列からなり、HCDR1は、配列番号47の配列からなり、LCDR3は、配列番号23の配列からなり、LCDR2は、配列A10の配列からなり、LCDR1は、配列番号59の配列からなる。
【0155】
一実施形態では、VH領域は、配列番号12の配列を含むCDR3と、配列番号36の配列を含むCDR2と、配列番号48の配列を含むCDR1と、を含み、VL領域は、配列番号24の配列を含むCDR3と、配列A11の配列を含むCDR2と、配列番号60の配列を含むCDR1と、を含む。一実施形態では、HCDR3は、配列番号12の配列からなり、HCDR2は、配列番号36の配列からなり、HCDR1は、配列番号48の配列からなり、LCDR3は、配列番号24の配列からなり、LCDR2は、配列A11の配列からなり、LCDR1は、配列番号60の配列からなる。
【0156】
一実施形態では、VH領域は、配列番号13の配列を含むCDR3と、配列番号37の配列を含むCDR2と、配列番号49の配列を含むCDR1と、を含み、VL領域は、配列番号25の配列を含むCDR3と、配列A12の配列を含むCDR2と、配列番号61の配列を含むCDR1と、を含む。一実施形態では、HCDR3は、配列番号13の配列からなり、HCDR2は、配列番号37の配列からなり、HCDR1は、配列番号49の配列からなり、LCDR3は、配列番号25の配列からなり、LCDR2は、配列A12の配列からなり、LCDR1は、配列番号61の配列からなる。
【0157】
一実施形態では、抗体またはその断片は、表2に記載される1つ以上のCDR配列を含む。さらなる実施形態では、抗体またはその断片は、表2に記載されるクローン1252_P01_C08の1つ以上の(例えば、すべての)CDR配列を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、表2に記載されるクローン1245_P01_E07の1つ以上の(例えば、すべての)CDR配列を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、表2に記載されるクローン1245_P02_G04の1つ以上の(例えば、すべての)CDR配列を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、表2に記載されるクローン1245_P02_B07の1つ以上の(例えば、すべての)CDR配列を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、表2に記載されるクローン1251_P02_C05の1つ以上の(例えば、すべての)CDR配列を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、表2に記載されるクローン1139_P01_E04の1つ以上の(例えば、すべての)CDR配列を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、表2に記載されるクローン1245_P02_F07の1つ以上の(例えば、すべての)CDR配列を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、表2に記載されるクローン1245_P01_G06の1つ以上の(例えば、すべての)CDR配列を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、表2に記載されるクローン1245_P01_G09の1つ以上の(例えば、すべての)CDR配列を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、表2に記載されるクローン1138_P01_B09の1つ以上の(例えば、すべての)CDR配列を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、表2に記載されるクローン1251_P02_G10の1つ以上の(例えば、すべての)CDR配列を含む。
【0158】
好適には、上に列挙されるVH領域およびVL領域は、それぞれ4つのフレームワーク領域(FR1~FR4)を含む。一実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号62~85のいずれか1つの中のフレームワーク領域と少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むフレームワーク領域(例えば、FR1、FR2、FR3、および/またはFR4)を含む。一実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号62~85のいずれか1つの中のフレームワーク領域と少なくとも90%、例えば少なくとも95%、97%または99%の配列同一性を有する配列を含むフレームワーク領域(例えば、FR1、FR2、FR3、および/またはFR4)を含む。一実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号62~85のいずれか1つの中の配列を含むフレームワーク領域(例えば、FR1、FR2、FR3、および/またはFR4)を含む。一実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号62~85のいずれか1つの中の配列からなるフレームワーク領域(例えば、FR1、FR2、FR3、および/またはFR4)を含む。
【0159】
本明細書に記載の抗体は、それらの完全な軽鎖および/または重鎖可変配列によって定義され得る。したがって、本発明のさらなる態様によれば、配列番号62~85のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、単離された抗Vδ1抗体またはその断片が提供される。本発明のさらなる態様によれば、配列番号62~85のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなる、単離された抗Vδ1抗体またはその断片が提供される。
【0160】
一実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号62~73のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域を含む。一実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号62~73のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるVH領域を含む。さらなる実施形態では、VH領域は、配列番号62、63、64、65、または66、例えば62、63、64、または65、特に62、63、または64のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態では、VH領域は、配列番号62、63、64、65、または66、例えば62、63、64、または65、特に62、63、または64のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなる。さらなる実施形態では、VH領域は、配列番号68、69、70、71、72、または73、例えば、68、69、70、または71のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態では、VH領域は、配列番号68、69、70、71、72、または73、例えば、68、69、70、または71のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなる。
【0161】
一実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号74~85のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域を含む。一実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号74~85のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるVL領域を含む。さらなる実施形態では、VL領域は、配列番号74、75、76、77、または78、例えば74、75、76、または77、特に74、75、または76のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態では、VL領域は、配列番号74、75、76、77、または78、例えば74、75、76、または77、特に74、75、または76のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなる。さらなる実施形態では、VL領域は、配列番号80、81、82、83、84、または85、例えば、80、81、82、または83のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態では、VL領域は、配列番号80、81、82、83、84、または85、例えば、80、81、82、または83のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなる。
【0162】
さらなる実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号62~73のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域と、配列番号74~85のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域と、を含む。さらなる実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号62~73のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるVH領域と、配列番号74~85のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるVL領域と、を含む。
【0163】
一実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号63(1252_P01_C08)のアミノ酸配列を含むVH領域を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号62(1245_P01_E07)のアミノ酸配列を含むVH領域を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号64(1245_P02_G04)のアミノ酸配列を含むVH領域を含む。一実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号68(1139_P01_E04)のアミノ酸配列を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号69(1245_P02_F07)のアミノ酸配列を含むVH領域を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号70(1245_P01_G06)のアミノ酸配列を含むVH領域を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号71(1245_P01_G09)のアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
【0164】
一実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号63(1252_P01_C08)のアミノ酸配列からなるVH領域を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号62(1245_P01_E07)のアミノ酸配列からなるVH領域を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号64(1245_P02_G04)のアミノ酸配列からなるVH領域を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号68(1139_P01_E04)のアミノ酸配列からなるVH領域を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号69(1245_P02_F07)のアミノ酸配列からなるVH領域を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号70(1245_P01_G06)のアミノ酸配列からなるVH領域を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号71(1245_P01_G09)のアミノ酸配列からなるVH領域を含む。
【0165】
一実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号75(1252_P01_C08)のアミノ酸配列を含むVL領域を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号74(1245_P01_E07)のアミノ酸配列を含むVL領域を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号76(1245_P02_G04)のアミノ酸配列を含むVL領域を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号80(1139_P01_E04)のアミノ酸配列を含むVL領域を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号81(1245_P02_F07)のアミノ酸配列を含むVL領域を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号82(1245_P01_G06)のアミノ酸配列を含むVL領域を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号83(1245_P01_G09)のアミノ酸配列を含むVL領域を含む。
【0166】
一実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号75(1252_P01_C08)のアミノ酸配列からなるVL領域を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号74(1245_P01_E07)のアミノ酸配列からなるVL領域を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号76(1245_P02_G04)のアミノ酸配列からなるVL領域を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号80(1139_P01_E04)のアミノ酸配列からなるVL領域を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号81(1245_P02_F07)のアミノ酸配列からなるVL領域を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号82(1245_P01_G06)のアミノ酸配列からなるVL領域を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号83(1245_P01_G09)のアミノ酸配列からなるVL領域を含む。
【0167】
一実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号63(1252_P01_C08)のアミノ酸配列を含むVH領域と、配列番号75(1252_P01_C08)のアミノ酸配列を含むVL領域と、を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号62(1245_P01_E07)のアミノ酸配列を含むVH領域と、配列番号74(1245_P01_E07)のアミノ酸配列を含むVL領域と、を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号64(1245_P02_G04)のアミノ酸配列を含むVH領域と、配列番号76(1245_P02_G04)のアミノ酸配列を含むVL領域と、を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号68(1139_P01_E04)のアミノ酸配列を含むVH領域と、配列番号80(1139_P01_E04)のアミノ酸配列を含むVL領域と、を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号69(1245_P02_F07)のアミノ酸配列を含むVH領域と、配列番号81(1245_P02_F07)のアミノ酸配列を含むVL領域と、を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号70(1245_P01_G06)のアミノ酸配列を含むVH領域と、配列番号82(1245_P01_G06)のアミノ酸配列を含むVL領域と、を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号71(1245_P01_G06)のアミノ酸配列を含むVH領域と、配列番号83(1245_P01_G09)のアミノ酸配列を含むVL領域と、を含む。
【0168】
一実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号63(1252_P01_C08)のアミノ酸配列からなるVH領域と、配列番号75(1252_P01_C08)のアミノ酸配列からなるVL領域と、を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号62(1245_P01_E07)のアミノ酸配列からなるVH領域と、配列番号74(1245_P01_E07)のアミノ酸配列からなるVL領域と、を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号64(1245_P02_G04)のアミノ酸配列からなるVH領域と、配列番号76(1245_P02_G04)のアミノ酸配列からなるVL領域と、を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号68(1139_P01_E04)のアミノ酸配列からなるVH領域と、配列番号80(1139_P01_E04)のアミノ酸配列からなるVL領域と、を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号69(1245_P02_F07)のアミノ酸配列からなるVH領域と、配列番号81(1245_P02_F07)のアミノ酸配列からなるVL領域と、を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号70(1245_P01_G06)のアミノ酸配列からなるVH領域と、配列番号82(1245_P01_G06)のアミノ酸配列からなるVL領域と、を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号71(1245_P01_G06)のアミノ酸配列からなるVH領域と、配列番号83(1245_P01_G09)のアミノ酸配列からなるVL領域と、を含む。
【0169】
VH領域およびVL領域の両方を含む断片について、これらは、共有結合的に(例えば、ジスルフィド結合もしくはリンカー)、または非共有結合的のいずれかで会合し得る。本明細書に記載の抗体断片は、scFv、すなわち、リンカーによって連結されたVH領域およびVL領域を含む断片を含み得る。一実施形態では、VH領域およびVL領域は、(例えば、合成)ポリペプチドリンカーによって連結されている。ポリペプチドリンカーは、(Gly4Ser)nリンカーを含んでいてもよく、ここで、n=1~8、例えば、2、3、4、5、または7である。ポリペプチドリンカーは、[(Gly4Ser)n(Gly3AlaSer)m]pリンカーを含んでいてもよく、ここで、n=1~8、例えば、2、3、4、5、または7、m=1~8、例えば、0、1、2、または3、およびp=1~8、例えば、1、2、または3である。さらなる実施形態では、リンカーは、配列番号98を含む。さらなる実施形態では、リンカーは、配列番号98からなる。
【0170】
一実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号86~97のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号86~97のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。なおさらなる実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号87(1252_P01_C08)のアミノ酸配列を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号86(1245_P01_E07)のアミノ酸配列を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号88(1245_P02_G04)のアミノ酸配列を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号92(1139_P01_E04)のアミノ酸配列を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号93(1245_P02_F07)のアミノ酸配列を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号94(1245_P01_G06)のアミノ酸配列を含む。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号95(1245_P01_G09)のアミノ酸配列を含む。
【0171】
一実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号86~97のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなる。さらなる実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号86~97のいずれか1つのアミノ酸配列からなる。なおさらなる実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号87(1252_P01_C08)のアミノ酸配列からなる。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号86(1245_P01_E07)のアミノ酸配列からなる。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号88(1245_P02_G04)のアミノ酸配列からなる。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号92(1139_P01_E04)のアミノ酸配列からなる。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号93(1245_P02_F07)のアミノ酸配列からなる。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号94(1245_P01_G06)のアミノ酸配列からなる。代替的な実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号95(1245_P01_G09)のアミノ酸配列からなる。
【0172】
翻訳、精製および検出を補助するために、scFv構築物がN末端改変およびC末端改変を含むように設計され、作製され得ることは、当業者によって理解されるであろう。例えば、scFv配列のN末端で、追加のメチオニンおよび/またはアラニンアミノ酸残基は、カノニカルVH配列の前に含まれ得る(例えば、QVQまたはEVQから開始する)。C末端(すなわち、IMGT定義に従って終わるカノニカルVLドメイン配列に対するC末端)で、(i)定常ドメインの部分配列、および/または(ii)精製および検出を補助するために、HisタグおよびFlagタグなどのタグを含む追加の合成配列などの追加の配列が含まれ得る。一実施形態では、配列番号124は、配列番号86、88~90、92~97のいずれか1つのC末端に付加される。一実施形態では、配列番号125は、配列番号86、88~90、92~97のいずれか1つのC末端に付加される。一実施形態では、配列番号126は、配列番号87または91のいずれか1つのC末端に付加される。一実施形態では、配列番号127は、配列番号87または91のいずれか1つのC末端に付加される。上述のscFvのN末端配列またはC末端配列は任意要素であり、代替的なscFvの設計、翻訳、精製、または検出戦略が採用される場合、除去され、改変され、または置換され得ることが十分に理解される。
【0173】
本明細書に記載される場合、抗体は、任意のフォーマットであってもよい。好ましい実施形態では、抗体は、IgG1フォーマットである。したがって、一実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号111~122のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号111~122のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。なおさらなる実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号111~116、例えば、配列番号111~113および116のアミノ酸配列を含む。なおさらなる実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号117~122、例えば、配列番号117~120のアミノ酸配列を含む。なおさらなる実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号111、112、116~120、例えば、配列番号111、112もしくは116、または配列番号117~120のアミノ酸配列を含む。
【0174】
一実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号111~122のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなる。さらなる実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号111~122のいずれか1つのアミノ酸配列からなる。なおさらなる実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号111~116、例えば、配列番号111~113および116のアミノ酸配列からなる。なおさらなる実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号117~122、例えば、配列番号117~120のアミノ酸配列からなる。なおさらなる実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号111、112、116~120、例えば、配列番号111、112もしくは116、または配列番号117~120のアミノ酸配列からなる。
【0175】
一実施形態では、抗体は、本明細書で定義される抗体またはその断片と同一もしくは本質的に同一のエピトープに結合するか、またはそれと競合する。当該技術分野で既知の常法を使用して、抗体が、参照抗Vδ1抗体と同一のエピトープに結合するか、またはそれとの結合と競合するかどうかを容易に決定することができる。例えば、試験抗体が本発明の参照抗Vδ1抗体と同じエピトープに結合するかどうかを決定するために、参照抗体を、飽和条件下でVδ1タンパク質またはペプチドに結合させる。次に、試験抗体がVδ1鎖に結合する能力を評価する。試験抗体が、参照抗Vδ1抗体との飽和結合の後にVδ1に結合することができる場合、その試験抗体は、参照抗Vδ1抗体とは異なるエピトープに結合すると結論付けることができる。その一方で、試験抗体が、参照抗Vδ1抗体との飽和結合の後にVδ1鎖に結合することができない場合、その試験抗体は、本発明の参照抗Vδ1抗体が結合するエピトープと同じエピトープに結合する可能性がある。
【0176】
本発明はまた、Vδ1との結合について、本明細書に定義される抗体またはその断片、または本明細書に記載の例示的な抗体のうちのいずれかのCDR配列を有する抗体と競合する抗Vδ1抗体を含む。例えば、競合アッセイは、どのタンパク質、抗体、および他のアンタゴニストが、Vδ1との結合について本発明の抗体と競合し、かつ/またはエピトープを共有するかを決定するために、本発明の抗体を用いて実施することができる。これらのアッセイは、当業者に容易に知られており、これらのアッセイは、タンパク質(例えば、Vδ1)上の限られた数の結合部位に対するアンタゴニストまたはリガンドとの間の競合を評価する。抗体(またはその断片)を、競合の前または後に固定化または不溶化し、Vδ1鎖に結合した試料を、例えば、デカンテーション(抗体が予め不溶化された場合)または遠心分離(抗体が競合反応の後に析出した場合)によって、結合していない試料から分離する。また、競合的結合は、その機能が、タンパク質に対する抗体の結合または結合の欠如によって変化するかどうか、例えば、抗体分子が、例えば、標識の酵素活性を阻害または強化するかどうかによって決定され得る。当該技術分野で既知であり、本明細書に記載されるように、ELISAおよび他の機能アッセイを使用してもよい。
【0177】
2つの抗体が各々、標的抗原に対する他の結合を競合的に阻害する(ブロックする)場合、その2つの抗体は、同じエピトープまたは重複するエピトープに結合する。すなわち、1倍、5倍、10倍、20倍、または100倍過剰量の一方の抗体は、競合結合アッセイで測定した場合、他方の抗体の結合を少なくとも50%、しかし、好ましくは75%、90%、またはさらに99%阻害する。代替的に、一方の抗体の結合を減少または排除する標的抗原において本質的にすべてのアミノ酸変異がもう他の結合を減少または排除する場合、2つの抗体は、同じエピトープを有する。
【0178】
次に、試験抗体の結合の観察された欠失が、実際に、参照抗体と同じエピトープに対する結合に起因するものであるか、または立体遮断(または別の現象)が、観察された結合の欠失の原因であるのかを確認するために、さらなる通常の実験(例えば、ペプチド変異および結合分析)を実施することができる。この種の実験は、ELISA、RIA、表面プラズモン共鳴、フローサイトメトリー、または当該技術分野で利用可能な任意の他の定量的もしくは定性的な抗体結合アッセイを使用して実施することができる。
【0179】
いくつかの実施形態では、抗体またはその断片は、Asn 297(EU番号付けスキーム)に連結した糖への改変を通じて改変されたエフェクター機能を含有する。上述のさらなる改変では、Asn 297は、フコシル化されていないか、または低減されたフコシル化(すなわち、脱フコシル化抗体または非フコシル化抗体)を示す。フコシル化は、分子への糖フコースの付加、例えば、N-グリカン、O-グリカン、および糖脂質へのフコースの接続を含む。したがって、脱フコシル化抗体において、フコースは、定常領域の炭水化物鎖に接続しない。抗体は、抗体のフコシル化を防止または阻害するように改変され得る。典型的には、グリコシル化改変は、標的化操作を介して、または標的化されたかもしくは偶然発見した宿主もしくはクローン選択を介してのいずれかで、代替のグリコシル化処理能力を有する宿主細胞において上述の抗体またはその断片を発現することを含む(例えば、実施例13を参照されたい)。これらおよび他のエフェクター改変は、例えば、Xinhua Wang et al.(2018)Protein & Cell 9:63-73によって、また、Pereira et al.(2018)mAbs 10(5):693-711によって、近年の概説にさらに記載されており、それらは本明細書に組み込まれる。
【0180】
抗体配列改変
抗体およびその断片は、既知の方法を使用して改変され得る。本明細書に記載される抗体分子に対する配列改変は、当業者によって容易に組み込むことができる。以下の例は、非限定的なものである。
【0181】
抗体発見およびファージライブラリからの配列回収の間、所望の抗体可変ドメインは、サブクローニングによって完全長IgGに再フォーマットされ得る。このプロセスを加速するために、可変ドメインは、多くの場合、制限酵素を使用して移される。これらの独自の制限部位は、追加の/代替のアミノ酸を導入し、カノニカル配列から離れてもよい(かかるカノニカル配列は、例えば、国際的なImMunoGeneTics [IMGT]情報システム中に見出されてもよく、http://www.imgt.orgを参照されたい)。これらは、カッパまたはラムダ軽鎖配列改変として導入され得る。
【0182】
カッパ軽鎖改変
可変カッパ軽鎖可変配列は、完全長IgGへの再フォーマット中に制限部位(例えば、Nhe1-Not1)を使用してクローニングされ得る。より具体的には、カッパ軽鎖N末端において、クローニングを補助するために追加のAla-Ser配列を導入した。好ましくは、この追加のAS配列は、次いで、カノニカルN末端配列を生成するなどのさらなる発達の間に除去される。したがって、一実施形態では、本明細書に記載の抗体を含有するカッパ軽鎖は、そのN末端にAS配列を含有せず、すなわち、配列番号74、76~78および80~85は、初期AS配列を含まない。さらなる実施形態では、配列番号74および76~78は、初期AS配列を含まない。この実施形態は、この配列を含有する本明細書に含まれる他の配列(例えば、配列番号86、88~90、および92~97)にも適用されることが理解されるであろう。
【0183】
クローニングを補助するために、追加のアミノ酸変化が行われ得る。例えば、本明細書に記載の抗体について、カッパ軽鎖可変ドメイン/定常ドメインの境界で、クローニングを補助するために、バリンからアラニンへの変化を導入した。これにより、カッパ定常ドメイン改変が得られた。具体的には、これにより、(NotI制限部位からの)RTAAAPSから始まる定常ドメインが得られる。好ましくは、この配列は、RTVAAPSから始まるカノニカルカッパ軽鎖定常領域を生成するために、さらなる発達中に改変され得る。したがって、一実施形態では、本明細書に記載される抗体を含有するカッパ軽鎖は、配列RTVを用いて記載される定常ドメインを含む。したがって、一実施形態では、配列番号111~114および117~122の配列RTAAAPSは、配列RTVAAPSと置き換えられる。
【0184】
ラムダ軽鎖改変
上のカッパの例と同様に、ラムダ軽鎖可変ドメインはまた、完全長IgGへの再フォーマット中に制限部位(例えば、Nhe1-Not1)を導入することによってクローニングされてもよい。より具体的には、ラムダ軽鎖N末端において、クローニングを補助するために追加のAla-Ser配列を導入され得る。好ましくは、この追加のAS配列は、次いで、カノニカルN末端配列を生成するなどのさらなる発達の間に除去される。したがって、一実施形態では、本明細書に記載の抗体を含有するλ軽鎖は、そのN末端にAS配列を含有せず、すなわち、配列番号75および79は、初期AS配列を含まない。この実施形態は、この配列を含有する本明細書に含まれる他の配列(例えば、配列番号87、91、115および116)にも適用されることが理解されるであろう。一実施形態では、配列番号75は、最初の6個の残基を含有せず、すなわち、ASSYEL配列が除去される。
【0185】
別の例として、本明細書に記載の抗体について、ラムダ軽鎖可変ドメイン/定常ドメインの境界で、クローニングを補助するために、リジンからアラニンへの配列変化を導入した。これにより、ラムダ定常ドメイン改変が得られた。具体的には、これにより、(NotI制限部位からの)GQPAAAPSで始まる定常ドメインが得られる。好ましくは、この配列は、GQPKAAPSから始まるカノニカルラムダ軽鎖定常領域を生成するために、さらなる発達中に改変され得る。したがって、一実施形態では、本明細書に記載される抗体を含有するラムダ軽鎖は、配列GQPKから始まる定常ドメインを含む。したがって、一実施形態では、配列番号115または116の配列GQPAAAPSは、配列GQPKAAPSと置き換えられる。
【0186】
重鎖改変
典型的には、ヒト可変重鎖配列は、塩基性グルタミン(Q)または酸性グルタミン酸塩(E)のいずれかで始まる。しかしながら、次いで、そのような配列は両方とも、酸性アミノ酸残基であるピログルタミン酸塩(pE)に変換されることが知られている。QからpEへの変換は、抗体に対する電荷を変化させる一方で、EからpEへの変換は、抗体の電荷を変化させない。したがって、経時的な変動可能な電荷変化を回避するために、1つの選択肢は、第1の事例において、開始重鎖配列をQからEに改変することである。したがって、一実施形態では、本明細書に記載の抗体の重鎖は、N末端にQからEへの改変を含有する。特に、配列番号62、64、および/または67~71の初期残基は、QからEに改変され得る。この実施形態が、この配列を含有する本明細書に含まれる他の配列(例えば、配列番号86、88、91~97および111、112、115、117~120)にも適用されることが理解されるであろう。
【0187】
さらに、IgG1定常ドメインのC末端は、PGKで終わる。しかしながら、末端塩基性リジン(K)は、その後、発現中にしばしば切断される(例えば、CHO細胞において)。この結果、C末端リジン残基の様々な損失を通じて、抗体に対する電荷が変化する。したがって、1つの選択肢は、第1の事例においてリジンを除去し、PGで終わる均一および一貫した重鎖C末端配列を得ることである。したがって、一実施形態では、本明細書に記載の抗体の重鎖は、末端KをそのC末端から除去している。特に、本発明の抗体は、末端リジン残基が除去された、配列番号111~122のいずれか1つを含み得る。
【0188】
任意選択のアロタイプ改変
抗体の発見中に、特定のヒトアロタイプが用いられ得る。任意選択で、抗体は、発生中に異なるヒトアロタイプに切り替えられ得る。非限定的な例として、カッパ鎖について、3つのKm対立遺伝子を定義する(アロタイプ番号付けを使用する)、Km1、Km1,2、およびKm3と呼ばれる3つのヒトアロタイプがある。Km1は、バリン153(IMGT V45.1)およびロイシン191(IMGT L101)と相関し、Km1,2は、アラニン153(IMGT A45.1)およびロイシン191(IMGT L101)と相関し、Km3は、アラニン153(IMGT A45.1)およびバリン191(IMGT V101)と相関する。したがって、任意選択で、標準的なクローニングアプローチによって、あるアロタイプから別のアロタイプへと配列を改変することができる。例えば、L191V(IMGT L101V)変化は、Km1,2アロタイプをKm3アロタイプに変換する。このようなアロタイプについてのさらなる参照は、参照により本明細書に組み込まれるJefferis and Lefranc(2009)MAbs 1(4):332-8を参照されたい。
【0189】
したがって、一実施形態では、本明細書に記載の抗体は、同じ遺伝子の別のヒトアロタイプに由来するアミノ酸置換を含有する。さらなる実施形態では、抗体は、cドメインをkm1,2からkm3アロタイプに変換するためのカッパ鎖に対するL191V(IMGT L101V)置換を含有する。
【0190】
抗体結合
本発明の抗体またはその断片は、表面プラズモン共鳴により測定される場合、1.5×10-7M(すなわち、150nM)未満の結合親和性(KD)でγδ TCRのVδ1鎖に結合し得る。好ましい実施形態では、KDは、1.5×10-7M(すなわち、150nM)未満である。さらなる実施形態では、KDは、1.3×10-7M(すなわち、130nM)以下、例えば、1.0×10-7M(すなわち、100nM)以下である。なおさらなる実施形態では、KDは、5.0×10-8M(すなわち、50nM)未満、例えば、4.0×10-8M(すなわち、40nM)未満、3.0×10-8M(すなわち、30nM)未満、または2.0×10-8M(すなわち、20nM)未満である。例えば、一態様によれば、表面プラズモン共鳴により測定される場合、1.5×10-7M(すなわち、150nM)未満の結合親和性(KD)でγδ TCRのVδ1鎖に結合するヒト抗Vδ1抗体が提供される。
【0191】
本発明の一態様では、表面プラズモン共鳴により測定される場合、4.0×10-8M(すなわち、40nM)未満、3.0×10-8M(すなわち、30nM)未満、または2.0×10-8M(すなわち、20nM)未満の結合親和性(KD)でγδ TCRのVδ1鎖に結合する抗体またはその断片が提供される。
【0192】
一実施形態では、抗体またはその断片の結合親和性は、抗体またはその断片を直接的または間接的に(例えば、抗ヒトIgG Fcでキャプチャーすることによって)センサの表面(例えば、アミンハイキャパシティチップまたは等価物)上にコーティングすることによって確立され、抗体またはその断片によって結合される標的(すなわち、γδ TCRのVδ1鎖)は、チップ上を流れ、結合を検出する。好適には、MASS-2機器(Sierra SPR-32とも称され得る)は、PBS+0.02%のTween 20ランニングバッファー中、25℃、30μL/分で使用される。
【0193】
本明細書には、抗体機能を定義するために使用され得る他のアッセイが記載される。例えば、本明細書に記載の抗体またはその断片は、γδ TCR係合、例えば、抗体結合時のγδ TCRの下方調節を測定することによって評価され得る。抗体またはその断片の適用後のγδ TCRの表面発現(任意選択で細胞の表面上に提示される)は、例えばフローサイトメトリーによって測定され得る。本明細書に記載の抗体またはその断片は、γδT細胞脱顆粒を測定することによっても評価され得る。例えば、細胞脱顆粒のためのマーカーであるCD107aの発現は、例えばフローサイトメトリーによって、抗体またはその断片(任意選択で、細胞の表面上に提示される)をγδT細胞に適用した後に測定され得る。本明細書に記載の抗体またはその断片は、(抗体がγδT細胞の死滅活性に影響を有するかどうかを試験するために)γδT細胞死滅活性を測定することによっても評価され得る。例えば、標的細胞は、抗体またはその断片の存在下で(任意選択で、細胞の表面上に提示される)、γδT細胞とともにインキュベートされ得る。インキュベーション後、培養物を細胞生存率染料で染色して、生存標的細胞と死んだ標的細胞を区別してもよい。次に、死んだ細胞の割合を、例えばフローサイトメトリーによって測定することができる。
【0194】
本明細書に記載されるように、アッセイに使用される抗体またはその断片は、表面、例えば、Fc受容体を含む細胞などの細胞の表面上に提示され得る。例えば、抗体またはその断片は、TIB-202(商標)細胞(American Type Culture Collection(ATCC)から入手可能である)などのTHP-1細胞の表面上に提示され得る。代替的に、抗体またはその断片は、アッセイで直接使用され得る。
【0195】
そのような機能アッセイにおいて、出力は、「EC50」または「50%での有効濃度」とも称される、半数効果濃度を計算することによって測定され得る。「IC50」という用語は、阻害濃度を指す。EC50およびIC50は両方とも、フローサイトメトリー法などの当該技術分野で既知の方法を使用して測定され得る。疑問を避けるために、本出願におけるEC50の値は、IgG1フォーマット化抗体を使用して提供される。かかる値は、以下のように等価値について抗体フォーマットの分子量に基づいて容易に変換することができる。
(μg/ml)/(kDaにおけるMW)=μM
【0196】
抗体(または断片)結合時のγδ TCRの下方調節についてのEC50は、0.50μg/ml未満、例えば、0.40μg/ml未満、0.30μg/ml未満、0.20μg/ml未満、0.15μg/ml未満、0.10μg/ml未満、0.06μg/ml未満、または0.05μg/ml未満であり得る。好ましい実施形態では、抗体(または断片)結合時のγδ TCRの下方調節についてのEC50は、0.10μg/ml未満である。特に、抗体(または断片)結合時のγδ TCRの下方調節についてのEC50は、0.06μg/ml未満、例えば、0.05μg/ml未満、0.04μg/ml未満、または0.03μg/ml未満であり得る。特に、上述のEC50値は、抗体がIgG1フォーマットで測定される場合のものである。例えば、EC50 γδ TCR下方調節値は、フローサイトメトリーを使用して測定することができる(例えば、実施例6のアッセイに記載されているように)。
【0197】
抗体(または断片)結合時のγδT細胞脱顆粒のEC50は、0.050μg/ml未満、例えば、0.040μg/ml未満、0.030μg/ml未満、0.020μg/ml未満、0.015μg/ml未満、0.010μg/ml未満、または0.008μg/ml未満であってよい。特に、抗体(または断片)結合時のγδT細胞脱顆粒のEC50は、0.005μg/ml未満、例えば、0.002μg/ml未満であり得る。好ましい実施形態では、抗体(または断片)結合時のγδT細胞脱顆粒についてのEC50は、0.007μg/ml未満である。特に、上述のEC50値は、抗体がIgG1フォーマットで測定される場合のものである。例えば、γδT細胞脱顆粒EC50値は、フローサイトメトリー(例えば、実施例7のアッセイに記載されるように)を使用してCD107a発現(すなわち、細胞脱顆粒のマーカー)を検出することによって測定することができる。一実施形態では、CD107a発現は、抗ヒトCD107a BV421(クローンH4A3)(BD Biosciences)などの抗CD107a抗体を使用して測定される。
【0198】
抗体(または断片)結合時のγδT細胞死滅のEC50は、0.50μg/ml未満、例えば、0.40μg/ml未満、0.30μg/ml未満、0.20μg/ml未満、0.15μg/ml未満、0.10μg/ml未満、または0.07μg/ml未満であり得る。好ましい実施形態では、抗体(または断片)結合時のγδT細胞死滅についてのEC50は、0.10μg/ml未満である。特に、抗体(または断片)結合時のγδT細胞死滅についてのEC50は、0.060μg/ml未満、例えば、0.055μg/ml未満、特に0.020μg/mlまたは0.010μg/ml未満であり得る。特に、上述のEC50値は、抗体がIgG1フォーマットで測定される場合のものである。例えば、EC50 γδT細胞死滅値は、抗体、γδT細胞および標的細胞のインキュベーション後にフローサイトメトリーを使用して、死亡細胞の割合を検出する(例えば、細胞生存率染料を使用する)ことによって測定することができる(例えば、実施例8のアッセイに記載されるように)。一実施形態では、標的細胞の死亡は、細胞生存率染料を使用して測定され、生存率染料は、Viability Dye eFluor(商標)520(ThermoFisher)である。
【0199】
これらの態様に記載されるアッセイでは、抗体またはその断片は、THP-1細胞、例えば、TIB-202(商標)(ATCC)などの細胞の表面上に提示され得る。THP-1細胞は、任意選択で、CellTracker(商標)Orange CMTMR(ThermoFisher)などの染料で標識される。
【0200】
免疫コンジュゲート
本発明の抗体またはその断片は、細胞毒素または化学療法剤などの治療部分にコンジュゲートされ得る。このようなコンジュゲートは、免疫コンジュゲートと称されてもよい。本明細書で使用される場合、「免疫コンジュゲート」という用語は、細胞毒素、放射性剤、サイトカイン、インターフェロン、標的またはレポーター部分、酵素、毒素、ペプチドまたはタンパク質、または治療薬剤などの別の部分に化学的または生物学的に連結されている抗体を指す。抗体は、その標的に結合することができる限り、分子に沿った任意の位置で、細胞毒素、放射性剤、サイトカイン、インターフェロン、標的またはレポーター部分、酵素、毒素、ペプチド、または治療薬剤に連結され得る。免疫コンジュゲートの例としては、抗体薬物複合体および抗体-毒素融合タンパク質が挙げられる。一実施形態では、薬剤は、Vδ1に対する第2の異なる抗体であり得る。特定の実施形態では、抗体は、腫瘍細胞またはウイルス感染細胞に特異的な薬剤にコンジュゲートされ得る。抗Vδ1抗体にコンジュゲートされてもよく、かつ治療されるべき状態および達成されるべき所望の治療効果を考慮に入れる治療部分の種類。一実施形態では、薬剤は、Vδ1以外の分子に結合する第2の抗体、またはその断片であり得る。
【0201】
多重特異性抗体
本発明の抗体は、単一特異性であってもよく、または本発明の抗体は、追加の標的に結合してもよく、したがって、二重特異性もしくは多重特異性であってもよい。多重特異性抗体は、1つの標的ポリペプチドの異なるエピトープに特異的であってもよく、または1つより多い標的ポリペプチドに特異的であってもよい。したがって、一実施形態では、抗体またはその断片は、Vδ1に対する第1の結合特異性と、第2の標的エピトープに対する第2の結合特異性とを含む。
【0202】
第2の結合特異性は、Vδ1と同じ細胞上、または同じ組織型の異なる細胞上、または異なる組織型の異なる細胞上の抗原を標的化し得る。特定の実施形態では、標的エピトープは、異なるT細胞、B細胞、腫瘍細胞、自己免疫組織細胞、またはウイルス感染細胞を含む異なる細胞上にあり得る。代替的に、標的エピトープは、同じ細胞上にあり得る。
【0203】
ポリヌクレオチドおよび発現ベクター
本発明の一態様では、本発明の抗Vδ1抗体または断片をコードするポリヌクレオチドが提供される。一実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号99~110と少なくとも70%、例えば、少なくとも80%、例えば、少なくとも90%、例えば、少なくとも95%、例えば、少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むか、またはそれらからなる。一実施形態では、発現ベクターは、配列番号99~110のVH領域を含む。別の実施形態では、発現ベクターは、配列番号99~110のVL領域を含む。さらなる実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号99~110を含むか、またはそれらからなる。さらなる態様では、上述のポリヌクレオチドを含むcDNAが提供される。
【0204】
本発明の一態様では、本発明の抗Vδ1抗体または断片をコードするポリヌクレオチドが提供される。一実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号99~101または105~108と少なくとも70%、例えば、少なくとも80%、例えば、少なくとも90%、例えば、少なくとも95%、例えば、少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むか、またはそれらからなる。一実施形態では、発現ベクターは、配列番号99~101または105~108のVH領域を含む。別の実施形態では、発現ベクターは、配列番号99~101または105~108のVL領域を含む。さらなる実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号99~101または105~108を含むか、またはそれらからなる。さらなる態様では、上述のポリヌクレオチドを含むcDNAが提供される。
【0205】
一実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号99~101と少なくとも70%、例えば、少なくとも80%、例えば、少なくとも90%、例えば、少なくとも95%、例えば、少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むか、またはそれらからなる。一実施形態では、発現ベクターは、配列番号99~101のVH領域を含む。別の実施形態では、発現ベクターは、配列番号99~101のVL領域を含む。さらなる実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号99~101を含むか、またはそれらからなる。さらなる態様では、上述のポリヌクレオチドを含むcDNAが提供される。
【0206】
本発明の一態様では、コードされた免疫グロブリン鎖可変ドメインのCDR1、CDR2および/またはCDR3をコードする配列番号99~110の一部のいずれか1つと少なくとも70%、例えば、少なくとも80%、例えば、少なくとも90%、例えば、少なくとも95%、例えば、少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むか、またはそれらからなるポリヌクレオチドが提供される。一実施形態では、ポリヌクレオチドは、コードされた免疫グロブリン鎖可変ドメインのCDR1、CDR2および/またはCDR3をコードする配列番号99~101または105~108の一部のいずれか1つと少なくとも70%、例えば、少なくとも80%、例えば、少なくとも90%、例えば、少なくとも95%、例えば、少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むか、またはそれらからなる。一実施形態では、ポリヌクレオチドは、コードされた免疫グロブリン鎖可変ドメインのCDR1、CDR2および/またはCDR3をコードする配列番号99~101の一部のいずれか1つと少なくとも70%、例えば、少なくとも80%、例えば、少なくとも90%、例えば、少なくとも95%、例えば、少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むか、またはそれらからなる。
【0207】
本発明の一態様では、コードされた免疫グロブリン鎖可変ドメインのFR1、FR2、FR3および/またはFR4をコードする配列番号99~110の一部のいずれか1つと少なくとも70%、例えば、少なくとも80%、例えば、少なくとも90%、例えば、少なくとも95%、例えば、少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むか、またはそれらからなるポリヌクレオチドが提供される。一実施形態では、ポリヌクレオチドは、コードされた免疫グロブリン鎖可変ドメインのFR1、FR2、FR3および/またはFR4をコードする配列番号99~101または105~108の一部のいずれか1つと少なくとも70%、例えば、少なくとも80%、例えば、少なくとも90%、例えば、少なくとも95%、例えば、少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むか、またはそれらからなる。一実施形態では、ポリヌクレオチドは、コードされた免疫グロブリン鎖可変ドメインのFR1、FR2、FR3および/またはFR4をコードする配列番号99~101の一部のいずれか1つと少なくとも70%、例えば、少なくとも80%、例えば、少なくとも90%、例えば、少なくとも95%、例えば、少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むか、またはそれらからなる。
【0208】
本発明のポリヌクレオチドおよび発現ベクターはまた、コードされるアミノ酸配列を参照して記載されてもよい。したがって、一実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号62~85のいずれか1つのアミノ酸配列をコードする配列を含むか、またはそれらからなる。一実施形態では、発現ベクターは、配列番号62~73のいずれか1つのアミノ酸配列をコードする配列を含む。別の実施形態では、発現ベクターは、配列番号74~85のいずれか1つのアミノ酸配列をコードする配列を含む。
【0209】
抗体またはその断片を発現させるために、本明細書に記載の部分的または完全長の軽鎖および重鎖をコードするポリヌクレオチドを、遺伝子が転写および翻訳制御配列に作動可能に連結されるように発現ベクターに挿入する。したがって、本発明の一態様では、本明細書で定義されるポリヌクレオチド配列を含む発現ベクターが提供される。一実施形態では、発現ベクターは、配列番号99~110、例えば、配列番号99、100、101、105、106、107、または108のVH領域を含む。別の実施形態では、発現ベクターは、配列番号99~110、例えば、配列番号99、100、101、105、106、107、または108のVL領域を含む。
【0210】
本明細書に記載のヌクレオチド配列は、翻訳、精製および検出を補助するためにアミノ酸残基をコードする追加の配列を含むことが理解されるが、使用される発現系に応じて、代替的な配列が使用され得る。例えば、配列番号99~110の最初の(5’末端)9個のヌクレオチド、配列番号99~100、102~103、105~110の最後の(3’末端)36個のヌクレオチド、または配列番号101および104の最後の(3’末端)39個のヌクレオチドは、任意要素の配列である。代替の設計、翻訳、精製、または検出戦略が採用される場合、これらの任意要素の配列を除去し、改変し、または置換することができる。
【0211】
ポリペプチドのアミノ酸配列に関してサイレントであるが、特定の宿主における翻訳のための好ましいコドンを提供するポリペプチドをコードするDNAまたはcDNAに対する変異を作製することができる。例えば、E.coliおよびS.cerevisiae、ならびに哺乳動物、具体的にはヒトにおける核酸の翻訳のための好ましいコドンが知られている。
【0212】
ポリペプチドの変異は、例えば、ポリペプチドをコードする核酸に対する置換、付加、または欠失によって達成され得る。ポリペプチドをコードする核酸に対する置換、付加または欠失は、例えば、エラープローンPCR、シャッフリング、オリゴヌクレオチド指向性突然変異誘発、アセンブリPCR、PCR突然変異誘発、インビボ突然変異誘発、カセット突然変異誘発、再帰的アンサンブル突然変異誘発、指数的アンサンブル突然変異誘発、部位特異的突然変異誘発、遺伝子再アセンブリ、人工遺伝子合成、遺伝子部位飽和突然変異誘発(GSSM)、合成ライゲーション再アセンブリ(SLR)、またはこれらの方法の組み合わせを含む多くの方法によって導入することができる。核酸に対する改変、付加または欠失は、組換え、再帰的配列組換え、ホスホチオエート改変DNA突然変異誘発、ウラシル含有テンプレート突然変異誘発、ギャップ二本鎖突然変異誘発、点ミスマッチ修復突然変異誘発、修復不全宿主株突然変異誘発、化学的突然変異誘発、放射崩壊による突然変異誘発、欠失突然変異誘発、制限選択突然変異誘発、制限精製突然変異誘発、アンサンブル突然変異誘発、キメラ核酸多量体作製、またはそれらの組み合わせを含む方法によっても導入することができる。
【0213】
特に、人工遺伝子合成が使用され得る。本発明のポリペプチドをコードする遺伝子は、例えば、固相DNA合成によって合成的に生成され得る。前駆テンプレートDNAを必要とせずに、遺伝子全体をデノボで合成することができる。所望のオリゴヌクレオチドを得るために、ビルディングブロックを、生成物の配列によって必要とされる順序で、成長しつつあるオリゴヌクレオチド鎖に順次結合させる。鎖アセンブリが完了すると、生成物は、固相から溶液に放出され、脱保護され、収集される。生成物を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって単離して、所望のオリゴヌクレオチドを高純度で得ることができる。
【0214】
発現ベクターとしては、例えば、プラスミド、レトロウイルス、コスミド、酵母人工染色体(YAC)、およびエプスタイン・バーウイルス(EBV)由来エピソームが挙げられる。ポリヌクレオチドは、ベクター内の転写および翻訳制御配列が、ポリヌクレオチドの転写および翻訳を調節するそれらの意図された機能を果たすように、ベクター内にライゲーションされる。発現および/または制御配列は、プロモーター、エンハンサー、転写終結因子、コード配列に対する開始コドン(すなわち、ATG)5’、イントロンのスプライシングシグナル、および終止コドンを含み得る。発現ベクターおよび発現制御配列は、使用される発現宿主細胞と適合するように選択される。配列番号99~110は、合成リンカー(配列番号98をコードする)によって接続されるVH領域およびVL領域を含む、本発明の一本鎖可変断片をコードするヌクレオチド配列を含む。本発明のポリヌクレオチドまたは発現ベクターは、VH領域、VL領域、またはそれらの両方(任意選択的に、リンカーを含む)を含み得ることが理解されるだろう。したがって、VH領域およびVL領域をコードするポリヌクレオチドを別個のベクターに挿入することができ、代替的に、両方の領域をコードする配列が、同じ発現ベクターに挿入される。ポリヌクレオチドは、標準的な方法(例えば、ポリヌクレオチドおよびベクター上の相補的制限部位のライゲーション、または制限部位が存在しない場合の平滑末端ライゲーション)によって発現ベクターに挿入される。
【0215】
簡便なベクターは、本明細書に記載されるように、任意のVH配列またはVL配列を容易に挿入し、発現することができるように操作された適切な制限部位を有する、機能的に完全なヒトCHまたはCL免疫グロブリン配列をコードするベクターである。発現ベクターは、宿主細胞からの抗体(またはその断片)の分泌を促進するシグナルペプチドをコードすることもできる。ポリヌクレオチドは、シグナルペプチドが抗体のアミノ末端にフレーム内で連結されるように、ベクターにクローニングされ得る。シグナルペプチドは、免疫グロブリンシグナルペプチドまたは異種シグナルペプチド(すなわち、非免疫グロブリンタンパク質からのシグナルペプチド)であり得る。
【0216】
本発明の一態様では、本明細書で定義されるポリヌクレオチドまたは発現ベクターを含む細胞(例えば、宿主細胞)が提供される。細胞が、抗体またはその断片の軽鎖をコードする第1のベクターと、抗体またはその断片の重鎖をコードする第2のベクターとを含み得ることが理解されるであろう。代替的に、重鎖および軽鎖は、両方とも、細胞に導入された同じ発現ベクター上でコードされる。
【0217】
一実施形態では、ポリヌクレオチドまたは発現ベクターは、抗体またはその断片に融合した膜アンカーまたは膜貫通ドメインをコードし、抗体またはその断片は、細胞の細胞外表面上に提示される。
【0218】
形質転換は、ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための任意の既知の方法によるものであり得る。哺乳動物細胞に異種ポリヌクレオチドを導入するための方法は、当該技術分野で周知であり、デキストラン媒介性トランスフェクション、リン酸カルシウム沈殿、ポリブレン媒介性トランスフェクション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、リポソームへのポリヌクレオチドの封入、微粒子銃注射、および核へのDNAの直接マイクロインジェクションが含まれる。加えて、核酸分子は、ウイルスベクターによって哺乳動物細胞に導入され得る。
【0219】
発現のための宿主として利用可能な哺乳動物細胞株は、当該技術分野で周知であり、American Type Culture Collection(ATCC)から入手可能な多くの不死化細胞株を含む。これらの細胞株としては、特に、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NSO、SP2細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓細胞(COS)、ヒト肝細胞がん細胞(例えば、HepG2)、A549細胞、3T3細胞、および他のいくつかの細胞株が挙げられる。哺乳動物宿主細胞としては、ヒト、マウス、ラット、イヌ、サル、ブタ、ヤギ、ウシ、ウマ、およびハムスターの細胞が挙げられる。特定の好ましい細胞株は、どの細胞株が高い発現レベルを有するかを決定することによって選択される。使用することが可能な他の細胞株は、Sf9細胞などの昆虫細胞株、両生類細胞、細菌細胞、植物細胞、および真菌細胞である。ScFvおよびFv断片などの抗体の抗原結合断片は、当該技術分野で知られている方法を使用して、E.coliにおいて単離され、発現させることができる。
【0220】
抗体は、宿主細胞における抗体の発現、またはより好ましくは、宿主細胞が成長する培地への抗体の分泌を可能にするのに十分な期間、宿主細胞を培養することによって産生される。抗体は、標準的なタンパク質精製方法を使用して培養培地から回収することができる。
【0221】
本発明の抗体(または断片)は、例えば、Green and Sambrook,Molecular Cloning:A Laboratory Manual (2012)4th Edition Cold Spring Harbour Laboratory Pressに開示される技術を使用して得られ、操作され得る。
【0222】
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術を使用して、特定の抗体産生B細胞を、組織培養物で成長する能力および抗体鎖合成の非存在について選択される骨髄腫(B細胞がん)細胞と融合することによって産生することができる。
【0223】
決定された抗原に対して指向されるモノクローナル抗体は、例えば、
a)ハイブリドーマを形成するために、決定された抗原で以前に免疫化された動物の末梢血から得られたリンパ球を、不死細胞で、好ましくは骨髄腫細胞で不死化することと、
b)形成された不死化細胞(ハイブリドーマ)を培養することと、所望の特異性を有する抗体を産生する細胞を回収することと、によって得ることができる。
【0224】
代替的に、ハイブリドーマ細胞の使用は必要ではない。本明細書に記載の標的抗原に結合することができる抗体は、例えば、当該技術分野で既知のファージディスプレイ、酵母ディスプレイ、リボソームディスプレイ、または哺乳動物ディスプレイ技術を使用して、通常の実践を介して好適な抗体ライブラリから単離され得る。したがって、モノクローナル抗体は、例えば、
a)動物のリンパ球、特に末梢血リンパ球(決定された抗原で以前に好適に免疫化したもの)から得られたベクター、特にファージ、より具体的には繊維状バクテリオファージ、DNAまたはcDNA配列にクローニングするステップと、
b)抗体の産生を可能にする条件下で、上述のベクターで原核細胞を形質転換するステップと、
c)抗原親和性選択を行うことによって抗体を選択するステップと、
d)所望の特異性を有する抗体を回収するステップと、を含むプロセスによって得ることができる。
【0225】
薬学的組成物
本発明のさらなる態様によれば、本明細書で定義される抗体またはその断片を含む組成物が提供される。かかる実施形態では、組成物は、抗体を、任意選択で他の賦形剤と組み合わせて、含み得る。1つ以上の追加の活性薬剤(例えば、本明細書で言及される疾患を治療するのに好適な活性薬剤)を含む組成物も含まれる。
【0226】
本発明のさらなる態様によれば、薬学的に許容される希釈剤または担体とともに、本明細書で定義される抗体またはその断片を含む薬学的組成物が提供される。本発明の抗体を、対象への投与に好適な薬学的組成物に組み込むことができる。典型的には、薬学的組成物は、本発明の抗体と、薬学的に許容される担体と、を含む。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」は、生理学的に適合性である、任意およびすべての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張化剤、ならびに吸収遅延剤などを含む。薬学的に許容される担体の例としては、水、生理食塩水、塩、リン酸緩衝生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、ならびにそれらの組み合わせのうちの1つ以上が挙げられる。多くの場合、等張化剤、例えば、糖、多価アルコール、例えば、マンニトール、ソルビトール、または塩化ナトリウムを組成物中に含むことが好ましい。抗体またはその断片の保存期間または有効性を向上させる、湿潤剤または乳化剤、防腐剤または緩衝剤などの補助物質の湿潤する量または少量などの薬学的に許容される物質。
【0227】
本発明の組成物は、様々な形態であってよい。これらの組成物としては、例えば、液体、半固体および固体剤形、例えば、液体溶液(例えば、注射可能および注入可能な溶液)、分散液または懸濁液、錠剤、丸剤、散剤、リポソームおよび坐剤が挙げられる。好ましい形態は、意図される投与様式および治療的用途に依存する。典型的な好ましい組成物は、注射可能および注入可能な溶液の形態である。
【0228】
好ましい投与様式は、非経口(例えば、静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内、髄腔内)である。好ましい実施形態では、抗体は、静脈内注入または注射によって投与される。別の好ましい実施形態では、抗体は、筋肉内注射または皮下注射によって投与される。
【0229】
治療用組成物は、典型的には、製造条件および保存条件で無菌であり、かつ安定でなければならない。組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、分散液、リポソーム、または高薬物濃度に好適な他の規則的な構造として製剤化することができる。
【0230】
本発明の薬学的組成物を、本明細書に記載の疾患の治療のための治療方法において、そのような疾患の治療に通常使用される他の確立された療法の補助として、またはそれと併せて使用することは、本発明の範囲内である。
【0231】
本発明のさらなる態様では、抗体、組成物または薬学的組成物は、少なくとも1つの活性薬剤と連続して、同時に、または別々に投与される。
【0232】
抗体またはその断片の使用
本発明のさらなる態様によれば、γδT細胞(特にVδ1T細胞)の抗原認識、活性化、シグナル伝達または機能を研究するための、本明細書に記載の抗Vδ1抗体またはその断片の使用が提供される。本明細書に記載される場合、抗体は、γδT細胞機能を調べるために使用することができるアッセイにおいて活性であることが示されている。かかる抗体はまた、γδT細胞の増殖を誘導するために有用であってもよく、したがって、γδT細胞(例えばVδ1T細胞)を拡大する方法において使用され得る。
【0233】
Vδ1鎖に結合する抗体を使用して、γδT細胞を検出することができる。例えば、抗体は、検出可能な標識またはレポーター分子で標識され得るか、または試料中のVδ1T細胞を選択的に検出および/または単離するためのキャプチャーリガンドとして使用され得る。標識された抗体は、当該技術分野で既知の多くの方法、例えば、免疫組織化学およびELISAでの用途が見出される。
【0234】
検出可能な標識またはレポーター分子は、3H、14C、32P、35Sもしくは125Iなどの放射性同位体、フルオレセインイソチオシアナートもしくはローダミンなどの蛍光部分もしくは化学発光部分、またはアルカリフォスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、もしくはルシフェラーゼなどの酵素であり得る。次いで、本発明の抗体に適用される蛍光標識は、蛍光活性化細胞選別(FACS)方法において使用され得る。
【0235】
抗体またはその断片を生成する方法
本明細書には、抗体を生成する際に使用するための可溶性TCRが記載される。したがって、本発明の一態様によれば、抗Vδ1抗体またはその断片を生成する際に使用するための、配列番号123と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、単離された抗原が提供される。また、抗Vδ1抗体またはその断片を生成する際に使用するための、配列番号123と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、単離された抗原の使用も提供される。一実施形態では、単離された抗原は、配列番号123を含む。
【0236】
本発明の一態様によれば、抗Vδ1抗体またはその断片を生成する方法であって、
(i)TCRデルタ可変1(Vδ1)アミノ酸配列を含む一連の抗原を設計することであって、Vδ1のCDR3配列が、その一連のすべての抗原について同じである、設計することと、
(ii)ステップ(i)で設計した第1の抗原を、(例えば、ファージディスプレイによって)抗体ライブラリに曝露することと、
(iii)抗原に結合する抗体またはその断片を単離することと、
(iv)単離された抗体またはその断片を、ステップ(i)で設計した第2の抗原に曝露することと、
(v)第1および第2の抗原の両方に結合する抗体またはその断片を単離することと、を含む、方法が提供される。
【0237】
第1の抗原および第2の抗原の両方に結合する抗体(またはその断片)を単離することは、可変ドメイン内の配列を認識する抗体を提供することを目的としており、これは生殖系列によってコードされ、したがってすべてのクローンにおいて同じであり、したがって、γδT細胞のより広いサブセットを認識する抗体を提供する。本明細書に記載の一連の抗原はまた、異なるフォーマットの抗原(すなわち、TCRデルタ可変1鎖)を含んでもよい。したがって、上述の抗原は、合成/組換え抗原であり得る。例えば、抗原は、ロイシンジッパーまたはFc融合物として提示され得る。一実施形態では、TCRデルタ可変1(TRDV1)アミノ酸配列は、配列番号123を含む。好適な抗原配列は、例えば、IMMUNOGENETICS情報システムデータベース(http://www.imgt.org)に記載されている配列を使用して設計してよい。
【0238】
抗原はまた、タンパク質発現を補助するための追加の特徴を含み得る。例えば、本明細書に記載の組換えTCR抗原は、TCRαまたはTCRβ定常領域に融合され得る(Xu et al.(2011)PNAS 108:2414-2419を参照されたい)。
【0239】
一実施形態では、本方法は、単離された抗体またはその断片を、異なるデルタ可変鎖を有するγδ TCRを含む第2の一連の抗原、例えば、デルタ可変2(Vδ2)またはデルタ可変3(Vδ3)に曝露することと、次いで、第2の一連の抗原にも結合する抗体またはその断片の選択を解除することと、をさらに含む。
【0240】
さらなる実施形態では、異なるデルタ可変鎖を有するγδ TCRを含む第2の一連の抗原は、第1の一連の抗原と同じCDR3配列を含む。したがって、すべての抗原は、(Vδ1からの)同じCDR3配列を含む。
【0241】
一実施形態では、第1および/または第2の一連の抗原は、ロイシンジッパーおよび/またはFc融合物として提示される。
【0242】
一実施形態では、一連の抗原は、ヘテロ二量体および/またはホモ二量体フォーマットである。
【0243】
さらなる実施形態では、一連の抗原は、標的(すなわち、TCRデルタ可変1鎖)とともに、対のTCR可変鎖を含む。特定の実施形態では、対のTCR可変鎖は、可変γ(Vγ)鎖である(すなわち、抗原は、ヘテロ二量体フォーマットである)。一実施形態では、Vδ1鎖およびVγ鎖は、少なくとも1つのジスルフィド結合によって共有結合される。さらなる実施形態では、Vδ1鎖およびVγ鎖は、特異的なヘテロ二量体化相互作用(例えば、ロイシンジッパー)によって対合される。代替的な実施形態では、Vδ1鎖およびVγ鎖は、単鎖フレーム内融合物を含む。特定の実施形態では、Vδ1鎖は、Vγ鎖に対してN末端である。代替的な実施形態では、Vδ1鎖は、Vγ鎖に対してC末端である。さらなる実施形態では、一本鎖フレーム内融合物は、内部リンカー配列を含む。一実施形態では、第1の一連における抗原は、Vδ1鎖と、Vγ2、Vγ4、またはVγ8などの異なるVγ鎖とを含むヘテロ二量体フォーマットである。すべてのフォーマットに結合する抗体を選択することで、上述の単離された抗体またはその断片が、ヘテロ二量体に存在するパートナー鎖とは独立して、Vδ1鎖を認識することが確実になる。
【0244】
代替的な実施形態では、対合TCR可変鎖は、別のVδ鎖である。さらなる実施形態では、Vδ鎖は、標的と同じである(すなわち、抗原は、ホモ二量体フォーマットである)。
【0245】
本明細書で提供される実施例2は、使用され得る一連の抗原の例を記載する。(第1の)一連の抗原が、TRDV1(Vδ1)が存在する抗原(例えば、L1、L2、L3、F1、F2、F3およびFc1/1)を含み、第2の一連の抗原が、Vδ1が存在しない抗原(例えば、L4、F9、Fc3/3、Fc4/4、Fc8/8)を含むことが理解されるであろう。
【0246】
さらなる実施形態では、一連の抗原は、TCR定常領域にフレーム内で融合された標的(すなわち、TCRデルタ可変1鎖)を含む。例えば、上述のTCR定常領域は、Vδ1鎖のC末端にフレーム内で融合され得る。一実施形態では、TCR定常領域は、ヒトTCR定常領域であり得る。一実施形態では、TCR定常領域は、TCRαまたはTCRβ定常領域から選択される。別の実施形態では、定常領域は、TCRγ定常領域である。さらに別の実施形態では、一連の抗原は、さらなる第2のTCR定常領域を含んでいてもよく、第2のTCR定常領域は、対合TCR可変鎖にフレーム内で融合される。さらなる実施形態では、第2のTCR定常領域は、TCRαまたはTCRβ定常領域から選択される。さらなる実施形態では、定常領域は、TCRγ定常領域である。
【0247】
本明細書に記載の一連の抗原は、可溶性または連結/融合形態のいずれかで提示され得るか、または細胞膜と関連付けられ得ることが理解されるであろう。例えば、提示目的のために、一連の抗原は、無機または有機材料(例えば、ビーズ、プレート、カラム、またはファージ)に融合され得るか、もしくはつなぎ止められ得るか、または細胞表面上で発現され得る。
【0248】
本発明の様々な実施形態によれば、TCRデルタ可変1(Vδ1)アミノ酸配列を含む一連の抗原は、すべての抗原について同じであるVδ1のCDR3配列を含む。一実施形態では、CDR3配列は、RCSB Protein Data Bankエントリ:3OMZのCDR3配列に由来する。
【0249】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書で定義される方法によって得られる抗体が提供される。
【0250】
節
本発明およびその好ましい態様を定義する一連の節は、以下のとおりである。
【0251】
節1.単離された抗Vδ1抗体またはその断片であって、
配列番号2~25のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR3、
配列番号26~37および配列A1~A12(表2の)のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR2、ならびに/または
配列番号38~61のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR1のうちの1つ以上を含む、単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0252】
節2.配列番号2~13、例えば配列番号2、3、または4のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR3を含むVH領域を含む、節1に定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0253】
節3.配列番号26~37、例えば配列番号26、27、または28のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR2を含むVH領域を含む、節1または節2に定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0254】
節4.配列番号38~49、例えば配列番号38、39、または40のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR1を含むVH領域を含む、節1~3のいずれか1つに定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0255】
節5.配列番号2の配列を含むCDR3と、配列番号26の配列を含むCDR2と、配列番号38の配列を含むCDR1と、を含む、VH領域を含む、節1~4のいずれか1つに定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0256】
節6.配列番号3の配列を含むCDR3と、配列番号27の配列を含むCDR2と、配列番号39の配列を含むCDR1と、を含む、VH領域を含む、節1~4のいずれか1つに定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0257】
節7.配列番号4の配列を含むCDR3と、配列番号28の配列を含むCDR2と、配列番号40の配列を含むCDR1と、を含む、VH領域を含む、節1~4のいずれか1つに定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0258】
節8.配列番号5の配列を含むCDR3と、配列番号29の配列を含むCDR2と、配列番号41の配列を含むCDR1と、を含む、VH領域を含む、節1~4のいずれか1つに定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0259】
節9.配列番号14~25、例えば配列番号14、15、または16のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR3を含むVL領域を含む、節1~8のいずれか1つに定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0260】
節10.配列A1~A12、例えば配列番号A1、A2、またはA3のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR2を含むVL領域を含む、節1~9のいずれか1つに定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0261】
節11.配列番号50~61、例えば配列番号50、51、または52のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むCDR1を含むVL領域を含む、節1~10のいずれか1つに定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0262】
節12.配列番号14の配列を含むCDR3と、配列A1の配列を含むCDR2と、配列番号50の配列を含むCDR1と、を含む、VL領域を含む、節1~11のいずれか1つに定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0263】
節13.配列番号15の配列を含むCDR3と、配列A2の配列を含むCDR2と、配列番号51の配列を含むCDR1と、を含む、VL領域を含む、節1~11のいずれか1つに定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0264】
節14.配列番号16の配列を含むCDR3と、配列A3の配列を含むCDR2と、配列番号52の配列を含むCDR1と、を含む、VL領域を含む、節1~11のいずれか1つに定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0265】
節15.配列番号17の配列を含むCDR3と、配列A4の配列を含むCDR2と、配列番号53の配列を含むCDR1と、を含む、VL領域を含む、節1~11のいずれか1つに定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0266】
節16.節5に定義されるCDR1、CDR2およびCDR3配列を含むVH領域と、節12に定義されるCDR1、CDR2およびCDR3配列を含むVL領域と、を含む、単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0267】
節17.節6に定義されるCDR1、CDR2およびCDR3配列を含むVH領域と、節13に定義されるCDR1、CDR2およびCDR3配列を含むVL領域と、を含む、単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0268】
節18.節7に定義されるCDR1、CDR2およびCDR3配列を含むVH領域と、節14に定義されるCDR1、CDR2およびCDR3配列を含むVL領域と、を含む、単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0269】
節19.節8に定義されるCDR1、CDR2およびCDR3配列を含むVH領域と、節15に定義されるCDR1、CDR2およびCDR3配列を含むVL領域と、を含む、単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0270】
節20.配列番号62~85のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0271】
節21.配列番号62~73のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域を含む、節20に定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0272】
節22.VH領域が、配列番号62、63、または64のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、節21に定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0273】
節23.配列番号74~85のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域を含む、節20~22のいずれか1つに定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0274】
節24.VL領域が、配列番号74、75、または76のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、節23に定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0275】
節25.配列番号62のアミノ酸配列を含むVH領域と、配列番号74のアミノ酸配列を含むVL領域と、を含む、節20~24のいずれか1つに定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0276】
節26.配列番号63のアミノ酸配列を含むVH領域と、配列番号75のアミノ酸配列を含むVL領域と、を含む、節20~24のいずれか1つに定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0277】
節27.配列番号64のアミノ酸配列を含むVH領域と、配列番号76のアミノ酸配列を含むVL領域と、を含む、節20~24のいずれか1つに定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0278】
節28.配列番号68のアミノ酸配列を含むVH領域と、配列番号80のアミノ酸配列を含むVL領域と、を含む、節20~24のいずれか1つに定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0279】
節29.配列番号69のアミノ酸配列を含むVH領域と、配列番号81のアミノ酸配列を含むVL領域と、を含む、節20~24のいずれか1つに定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0280】
節30.配列番号70のアミノ酸配列を含むVH領域と、配列番号82のアミノ酸配列を含むVL領域と、を含む、節20~24のいずれか1つに定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0281】
節31.配列番号71のアミノ酸配列を含むVH領域と、配列番号83のアミノ酸配列を含むVL領域と、を含む、節20~24のいずれか1つに定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0282】
節32.VH領域およびVL領域が、ポリペプチドリンカーなどのリンカーによって連結されている、節20~31のいずれか1つに定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0283】
節33.リンカーが、(Gly4Ser)nフォーマットを含み、n=1~8である、節32に定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0284】
節34.リンカーが、[(Gly4Ser)n(Gly3AlaSer)m]pリンカーを含み、n、mおよびp=1~8である、節32または節33に定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0285】
節35.リンカーが、配列番号98を含む、節32~34のいずれか1つに定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0286】
節36.リンカーが、配列番号98からなる、節35に定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0287】
節37.配列番号86~97のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0288】
節38.配列番号86~97のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、節37に定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0289】
節39.配列番号86を含む、節37または節38に定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0290】
節40.配列番号87を含む、節37または節38に定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0291】
節41.配列番号88を含む、節37または節38に定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0292】
節42.配列番号92を含む、節37または節38に定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0293】
節43.配列番号93を含む、節37または節38に定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0294】
節44.配列番号94を含む、節37または節38に定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0295】
節45.配列番号95を含む、節37または節38に定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0296】
節46.節1~45のいずれか1つに定義される抗体またはその断片と同一または本質的に同一のエピトープに結合するか、またはそれと競合する、単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0297】
節47.ヒトの単離された抗TCRデルタ可変1(抗Vδ1)抗体またはその断片であって、
(i)配列番号1の3~20、および/または
(ii)配列番号1の37~77のアミノ酸領域内の1つ以上のアミノ酸残基を含むγδT細胞受容体(TCR)の可変デルタ1(Vδ1)鎖のエピトープに結合する、ヒトの単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0298】
節48.エピトープが、配列番号1のアミノ酸残基3、5、9、10、12、16、17、20、37、42、50、53、59、62、64、68、69、72、または77のうちの少なくとも1つを含む、節47に定義されるヒトの単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0299】
節49.エピトープが、配列番号1のアミノ酸領域5~20および62~77、50~64、37~53および59~72、59~77、または3~17および62~69内の1つ以上のアミノ酸残基を含む、節47または節48に定義されるヒトの単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0300】
節50.エピトープが、配列番号1のアミノ酸領域5~20および62~77、50~64、37~53および59~72、59~77、または3~17および62~69内の1つ以上のアミノ酸残基からなる、節49に定義されるヒトの単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0301】
節51.エピトープが、配列番号1のアミノ酸領域5~20および62~77内の1つ以上のアミノ酸残基を含む、節47~50のいずれか1つに定義されるヒトの単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0302】
節52.エピトープが、配列番号1のアミノ酸領域50~64内の1つ以上のアミノ酸残基を含む、節47~50のいずれか1つに定義されるヒトの単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0303】
節53.エピトープが、配列番号1のアミノ酸領域37~53および59~77内の1つ以上のアミノ酸残基を含む、節47~50のいずれか1つに定義されるヒトの単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0304】
節54.エピトープが、γδT細胞の活性化エピトープである、節46~53のいずれか1つに定義されるヒトの単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0305】
節55.活性化エピトープの結合が、(i)γδ TCRを下方調節し、(ii)γδT細胞の脱顆粒を活性化し、および/または(iii)γδT細胞死滅を活性化する、節54に定義されるヒトの単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0306】
節56.γδ TCRのVδ1鎖のV領域中のエピトープにのみ結合する、節47~55のいずれか1つに定義されるヒトの単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0307】
節57.γδ TCRのVδ1鎖のCDR3中に見出されるエピトープに結合しない、節47~56のいずれか1つに定義されるヒトの単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0308】
節58.配列番号1のアミノ酸領域91~105(CDR3)内のエピトープに結合しない、節57に定義されるヒトの単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0309】
節59.表面プラズモン共鳴によって測定される場合、1.5×10-7M未満の結合親和性(KD)で、γδT細胞受容体(TCR)の可変デルタ1(Vδ1)鎖に結合する、節1~58のいずれか1つに定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0310】
節60.KDが、1.3×10-7M未満またはそれより小さい、例えば1.0×10-7M未満、特に5.0×10-8M未満である、節59に定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0311】
節61.結合時のγδ TCRの下方調節についてのEC50値が0.5μg/ml未満である、単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0312】
節62.結合時のγδ TCRの下方調節についてのEC50値が0.06μg/ml未満である、単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0313】
節63.結合時のγδT細胞脱顆粒についてのEC50値が0.05μg/ml未満である、単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0314】
節64.結合時のγδT細胞脱顆粒についてのEC50値が0.005μg/ml未満、例えば、0.002μg/ml未満である、単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0315】
節65.γδT細胞脱顆粒EC50値が、CD107a発現を検出することによって測定される、節63または節64に定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0316】
節66.結合時のγδT細胞死滅についてのEC50値が0.5μg/ml未満である、単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0317】
節67.結合時のγδT細胞死滅についてのEC50値が0.055μg/ml未満、例えば、0.020μg/ml未満である、単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0318】
節68.EC50値が、フローサイトメトリーを使用して測定される、節61~67のいずれか1つに定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0319】
節69.scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、可変ドメイン(例えば、VHもしくはVL)、ダイアボディ、ミニボディ、または全長抗体である、節1~68のいずれか1つに定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0320】
節70.scFv、または全長抗体、例えば、IgG1である、節69に定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0321】
節71.配列番号111~122のいずれか1つのものと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、節70に定義される単離された抗Vδ1抗体。
【0322】
節72.配列番号111~122のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、節70または節71に定義される単離された抗Vδ1抗体。
【0323】
節73.配列番号111を含む、節71または節72に定義される単離された抗Vδ1抗体。
【0324】
節74.配列番号112を含む、節71または節72に定義される単離された抗Vδ1抗体。
【0325】
節75.配列番号116を含む、節71または節72に定義される単離された抗Vδ1抗体。
【0326】
節76.配列番号117を含む、節71または節72に定義される単離された抗Vδ1抗体。
【0327】
節77.配列番号118を含む、節71または節72に定義される単離された抗Vδ1抗体。
【0328】
節78.配列番号119を含む、節71または節72に定義される単離された抗Vδ1抗体。
【0329】
節79.配列番号120を含む、節71または節72に定義される単離された抗Vδ1抗体。
【0330】
節80.ヒトである、節1~79のいずれか1つに定義される単離された抗Vδ1抗体またはその断片。
【0331】
節81.節1~80のいずれか1つに定義される抗Vδ1抗体またはその断片をコードするポリヌクレオチド配列。
【0332】
節82.配列番号99~110と少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含む抗Vδ1抗体またはその断片をコードするポリヌクレオチド配列。
【0333】
節83.配列番号99~110の配列からなる抗Vδ1抗体またはその断片をコードするポリヌクレオチド配列。
【0334】
節84.節81~83のいずれか1つに定義されるポリヌクレオチド配列を含む発現ベクター。
【0335】
節85.配列番号99~110のVH領域を含む発現ベクター。
【0336】
節86.配列番号99~110のVL領域を含む発現ベクター。
【0337】
節87.節85のVH領域と節86のVL領域とを含む発現ベクター。
【0338】
節88.節81~83のいずれか1つに定義されるポリヌクレオチド配列または節84~87のいずれか1つに定義される発現ベクターを含む細胞。
【0339】
節89.節85に定義される第1の発現ベクターと、節86に定義される第2の発現ベクターと、を含む、細胞。
【0340】
節90.節87に定義される発現ベクターを含む細胞。
【0341】
節91.ポリヌクレオチドまたは発現ベクターが、その抗体またはその断片に融合した膜アンカーまたは膜貫通ドメインをコードし、その抗体またはその断片が、細胞の細胞外表面上に提示される、節88~90のいずれか1つに定義される細胞。
【0342】
節92.節1~80のいずれか1つに定義される抗体またはその断片を含む組成物。
【0343】
節93.薬学的に許容される希釈剤または担体とともに、節1~80のいずれか1つに定義される抗体またはその断片を含む、薬学的組成物。
【0344】
節94.抗Vδ1抗体またはその断片を生成する際に使用するための、配列番号123と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、単離された抗原。
【0345】
節95.抗Vδ1抗体またはその断片を生成する方法であって、
(i)TCRデルタ可変1(TRDV1)アミノ酸配列を含む一連の抗原を設計することであって、TRDV1のCDR3配列が、その一連のすべての抗原について同じである、設計することと、
(ii)ステップ(i)で設計した第1の抗原を、抗体ライブラリに曝露することと、
(iii)抗原に結合する抗体またはその断片を単離することと、
(iv)単離された抗体またはその断片を、ステップ(i)で設計した第2の抗原に曝露することと、
(v)第1および第2の抗原の両方に結合する抗体またはその断片を単離することと、を含む、方法。
【0346】
節96.単離された抗体またはその断片を、異なるデルタ可変鎖を有するγδ TCRを含む第2の一連の抗原、例えば、TCRデルタ可変2(TRDV2)またはTCRデルタ可変3(TRDV3)に曝露することと、次いで、第2の一連の抗原にも結合する抗体またはその断片の選択を解除することと、をさらに含む、節95に定義される方法。
【0347】
節97.第1および/または第2の一連の抗原が、ロイシンジッパーおよび/またはFc融合物として提示される、節95または節96に定義される方法。
【0348】
節98.一連の抗原が、ヘテロ二量体および/またはホモ二量体フォーマットである、節95~97のいずれか1つに定義される方法。
【0349】
節99.節95~98のいずれか1つに定義される方法によって得られた抗体。
【0350】
本発明の他の特徴および利点は、本明細書に提供される説明から明らかであろう。しかしながら、様々な変更および修正が当業者には明白になるので、本発明の好ましい実施形態を示す一方で、説明および特定の実施例は例示としてのみ与えられることが理解されるべきである。ここで、本発明は、以下の非限定的な実施例を使用して説明される。
【実施例】
【0351】
実施例1.材料および方法
ヒト抗体の発見
ヒトファージディスプレイを用いて、本明細書に記載されるヒト抗ヒト可変Vδ1+ドメイン抗体を生成した。ライブラリは、Schofield et al(Genome biology 2007,8(11):R254)に記載されるように構築され、約400億個のヒトクローンのライブラリを示す一本鎖断片可変(scFv)を含んでいた。このライブラリを、本明細書に記載のように、抗原、方法、選択、選択解除、スクリーニング、および特徴決定戦略を使用してスクリーニングした。
【0352】
抗原調製
以下の実施例で使用されるTCRαおよびTCRβ定常領域を含む可溶性yδ TCRヘテロ二量体の設計は、Xu et al.(2011)PNAS 108:2414-2419に従って生成された。VγまたはVδドメインを、膜貫通ドメインを欠くTCRαまたはTCRβ定常領域、続いてロイシンジッパー配列またはFc配列、およびヒスチジンタグ/リンカーにフレーム内で融合させた。
【0353】
発現構築物を哺乳動物EXPI HEK293懸濁細胞中で(ヘテロ二量体の単一または共トランスフェクションのいずれかとして)一過性トランスフェクトした。分泌された組換えタンパク質を回収し、親和性クロマトグラフィーによって培養物上清から精製した。単量体抗原の良好な回復を確実にするために、試料を、分取サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用してさらに精製した。精製した抗原を、SDS-PAGEによって純度について分析し、分析SECによって凝集状態を分析した。
【0354】
抗原機能検証
DELFIAイムノアッセイ(Perkin Elmer)およびREA173-Miltenyi Biotec抗Vδ1抗体を使用したγδT細胞との競合におけるフローベースアッセイにおいて、デルタ可変1(Vδ1)鎖を含有する抗原の特異性を確認した。
【0355】
解離増強型ランタニド蛍光イムノアッセイ(DELFIA)
抗原の特異性の確認のために、プレートに直接コーティングされた抗原(4℃で一晩、50μL PBS中の3μg/mLの抗原)でDELFIAイムノアッセイを行い(Nunc番号437111)、300nMから始まる一次抗体の連続希釈を行った。検出のために、DELFIA Eu-N1抗ヒトIgG(Perkin Elmer番号1244-330)を、50μLの3%のMPBS(PBS+3%(w/v)脱脂乳粉末)中で1/500希釈して、二次抗体として使用した。50μLのDELFIA増強溶液(Perkin Elmer番号4001-0010)を用いて開発した。
【0356】
目的の抗体の親和性ランキングを、DELFIAイムノアッセイを使用して行い、このアッセイでは、プレート上にコーティングされたプロテインGを介して抗体をキャプチャーし、可溶性ビオチン化L1(DV1~GV4)抗原を、50μL(3M PBS)中で5nMで添加した。50μLのストレプトアビジン-Eu(アッセイ緩衝液中で1:500、Perkin Elmer)を検出するために使用し、DELFIA増強溶液を用いてシグナルを開発した。D1.3 hIgG1(England et al.(1999)J.Immunol.162:2129-2136に記載される)を陰性対照として使用した。
【0357】
ファージディスプレイ選択の出力を、scFv発現ベクターpSANG10にサブクローニングした(Martin et al.(2006)BMC Biotechnol.6:46)。可溶性scFvを発現させ、DELFIAで直接固定化された標的に結合するためにスクリーニングした。ヒットは、3000蛍光単位を超えるDELFIAシグナルとして定義された。
【0358】
抗体調製
選択されたscFvを、市販のプラスミドを使用してIgG1フレームワークにサブクローニングした。expi293F懸濁細胞を、抗体発現のために上述のプラスミドでトランスフェクトした。便宜上、別段の記載がない限り、これらの実施例で特性決定される抗体は、scFvとしてファージディスプレイから選択されるIgG1フォーマット化抗体を指す。しかしながら、本発明の抗体は、前述のように任意の抗体フォーマットであってもよい。
【0359】
抗体精製
IgG抗体を、プロテインAクロマトグラフィーを使用して上清からバッチ精製した。次いで、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して、濃縮プロテインA溶出液を精製した。ELISA、SDS-PAGEおよびSEC-HPLCを使用して、精製したIgGの品質を分析した。
【0360】
γδT細胞調製
濃縮されたγδT細胞の集合体を、国際公開第2016/198480号(すなわち、血液由来γδT細胞)または国際公開第2020/095059号(すなわち、皮膚由来γδT細胞)に記載される方法に従って調製した。簡単に述べると、血液由来γδT細胞については、PBMCを血液から採取し、αβT細胞の磁気枯渇を行った。次に、αβ枯渇PBMCを、OKT-3(またはそれぞれの抗Vδ1抗体)、IL-4、IFN-γ、IL-21およびIL-1βの存在下で7日間、CTS OpTmiser培地(ThermoFisher)中で培養した。培養7日目に、培地にOKT-3(またはそれぞれの抗Vδ1抗体)、IL-21およびIL-15をさらに4日間補充した。培養11日目に、培地にOKT-3(またはそれぞれの抗Vδ1抗体)およびIL-15をさらに3日間補充した。培養14日目に、培地の半分を新鮮な完全OpTmiserに交換し、OKT-3(またはそれぞれの抗Vδ1抗体)、IL-15およびIFN-γを補充した。培養17日目以降、培養物にOKT-3(またはそれぞれの抗Vδ1抗体)およびIL-15を3~4日毎に補充し、培地の半分を7日毎に新鮮な培地と交換した。
【0361】
皮膚由来γδT細胞について、皮下脂肪を除去することによって皮膚試料を調製し、3mm生検パンチを使用して複数のパンチを作製する。パンチを、カーボンマトリックスグリッド上に配置し、G-REX6(Wilson Wolf)のウェルに配置する。各ウェルを、AIM-V培地(Gibco、Life Technologies)、CTS Immune Serum Replacement(Life Technologies)、IL-2、およびIL-15を含有する完全単離培地で満たす。培養の最初の7日間、アムホテリシンB(Life Technologies)を含有する完全単離培地を使用した(「+Amp」)。上側培地を穏やかに吸引し、プレートまたはバイオリアクターの底部の細胞を乱さないようにしつつ、2倍の完全単離培地(AMPを含まない)で置き換えることによって、7日毎に培地を変更した。次いで、培養中の3週間を超えて、得られた放出された細胞を、新鮮な組織培養容器および新鮮な培地(例えば、AIM-V培地またはTexMAX培地(Miltenyi))に、さらに、組換えIL-2、IL-4、IL-15、およびIL-21を加えたものに収穫前に通す。任意選択で、培養物内にも存在するαβ T細胞を、αβ T細胞枯渇キットおよび関連するプロトコル、例えば、Miltenyiによって提供されるプロトコルを用いて除去する。さらなる参考文献については、国際公開第2020/095059号を参照されたい。
【0362】
γδT細胞結合アッセイ
γδT細胞に対する抗体の結合を、固定濃度の精製抗体を250000個のγδT細胞とともにインキュベーションすることによって試験した。このインキュベーションは、Fc受容体を介した抗体の非特異的結合を防止するために、遮断条件下で実施した。検出は、ヒトIgG1に対する二次的な蛍光染料コンジュゲート抗体の添加によって行った。陰性対照については、a)アイソタイプ抗体のみ(組換えヒトIgG)、b)蛍光染料コンジュゲート抗ヒトIgG抗体のみ、およびc)a)およびb)の組み合わせを用い、細胞を調製した。完全に染色されていない細胞の対照ウェルも調製し、分析した。陽性対照として、精製したマウスモノクローナルIgG2抗ヒトCD3抗体および精製したマウスモノクローナルIgG1抗ヒトTCR Vδ1抗体を2種類の異なる濃度で使用し、蛍光染料コンジュゲートヤギ抗マウス二次抗体で染色した。FITCチャネルにおける低濃度陽性対照の平均蛍光強度が、最高陰性対照の少なくとも10倍である場合、そのアッセイを許容した。
【0363】
SPR分析
アミン大容量チップを備えるMASS-2機器(いずれもドイツのSierra Sensors)を使用して、SPR分析を行った。15nMのIgGを、プロテインGを介してアミン高容量チップにキャプチャーした(TS8.2については100nM)。L1(DV1-GV4)抗原を、以下のパラメータを用いて、2000nM~15.625nMの1:2段階希釈で細胞の上に飛ばした。180秒の会合、600秒の解離、流量30μL/分、操作緩衝液PBS+0.02% Tween20。すべての実験は、室温で、MASS-2機器で行った。ソフトウェアSierra Analyzer 3.2を使用して、Langmuir1:1の結合に従って定常状態フィッティングを決定した。
【0364】
コンパレータ抗体
記載した試験アッセイにおいて、本発明の抗体を市販の抗体と比較した。
【0365】
γδ TCR下方調節および脱顆粒アッセイ
試験抗体ロードしたか、またはロードしていないTHP-1(TIB-202(商標)、ATCC)標的細胞を、CellTracker(商標)Orange CMTMR(ThermoFisher、C2927)で標識し、CD107a抗体(抗ヒトCD107a BV421(クローンH4A3)BD Biosciences 562623)存在下、2:1の比率でγδT細胞とともにインキュベーションした。2時間のインキュベーションの後、フローサイトメトリーを使用して、γδT細胞に対するγδ TCRの表面発現(TCRの下方調節を測定するため)およびCD107aの発現(脱顆粒を測定するため)を評価した。
【0366】
死滅アッセイ
ガンマデルタT細胞の死滅活性と、試験抗体がγδT細胞の死滅活性に及ぼす効果を、フローサイトメトリーによって利用した。比率20:1のγδT細胞およびCellTracker(商標)Orange CMTMR(ThermoFisher、C2927)標識されたTHP-1細胞(抗体ロードしたか、またはロードしていない)をインビトロで4時間共培養した後、Viability Dye eFluor(商標)520(ThermoFisher、520 65-0867-14)で染色して、生存標的THP-1細胞と死亡標的THP-1細胞とを区別した。試料取得中、標的細胞をCellTracker(商標)Orange CMTMR陽性に対してゲーティングし、生存率染料の取り込みに基づき、細胞死について調べた。CMTMRおよびeFluor(商標)520二重陽性細胞は、死亡標的細胞として認識された。γδT細胞の死滅活性は、死亡標的細胞の%として提示された。
【0367】
エピトープマッピング
エピトープマッピングのために使用されるすべてのタンパク質試料(抗原L1(DV1-GV4)および抗体1245_P01_E07、1245_P02_G04、1252_P01_C08、1251_P02_C05および1141_P01_E01)を、高質量MALDIを使用して、タンパク質の完全性および凝集レベルについて分析した。
【0368】
高分解能でL1(DV1-GV4)/1245_P01_E07、L1(DV1-GV4)/1245_P02_G04、L1(DV1-GV4)/1252_P01_C08、L1(DV1-GV4)/1251_P02_C05、およびL1(DV1-GV4)/1141_P01_E01複合体のエピトープを決定するために、タンパク質複合体を重水素化架橋剤とともにインキュベートし、トリプシン、キモトリプシン、Asp-N、エラスターゼおよびテルモリシンを使用して多酵素タンパク質分解を行った。架橋したペプチドの濃縮後、試料を高分解能質量分析(nLC-LTQ-Orbitrap MS)によって分析し、生成されたデータをXQuestおよびStavroxソフトウェアを使用して分析した。
【0369】
実施例2.抗原設計
ガンマデルタ(γδ)T細胞は、CDR3多クローン性を有するポリクローナルである。(CDR3配列は、TCRクローン毎に異なるであろうため)生成された抗体がCDR3配列に対して選択される状況を回避するために、抗原設計は、異なるフォーマットで一貫したCDR3を維持することを伴う。この設計は、可変ドメイン内の配列を認識する抗体を生成することを目的としており、これは生殖系列によってコードされ、したがってすべてのクローンにおいて同じであり、したがって、γδT細胞のより広いサブセットを認識する抗体を提供する。
【0370】
抗原調製プロセスの別の重要な態様は、タンパク質としての発現に適した抗原を設計することであった。γδ TCRは、鎖間および鎖内ジスルフィド結合を有するヘテロ二量体を伴う複合体タンパク質である。ロイシンジッパー(LZ)フォーマットおよびFcフォーマットを使用して、ファージディスプレイ選択において使用される可溶性TCR抗原を生成した。LZおよびFcフォーマットの両方が良好に発現し、TCR(特にヘテロ二量体TCR、例えばVδ1Vγ4)の提示に成功した。
【0371】
γδ TCRの公開データベースエントリからのCDR3配列が、タンパク質として良好に発現したことが見出された(RCSB Protein Data Bankエントリ:3OMZ)。したがって、これを抗原調製のために選択した。
【0372】
デルタ可変1鎖を含有する抗原は、ヘテロ二量体として(すなわち、異なるγ可変鎖「L1」、「L2」、「L3」と組み合わせて)LZフォーマットで、また、ヘテロ二量体として(「F1」、「F2」、「F3」)、またはホモ二量体として(すなわち、別のデルタ可変1鎖「Fc1/1」と組み合わせて)のいずれかでFcフォーマットで発現した。抗原のすべてのデルタ可変1鎖は、3OMZ CDR3を含有していた。類似のフォーマットを使用する別の一連のγδ TCR抗原を、異なるデルタ可変鎖(例えば、デルタ可変2およびデルタ可変3)を含有するように設計し、非特異的結合またはオフターゲット結合を有する抗体(「L4」、「F9」、「Fc4/4」、「Fc8/8」)の選択を解除するために使用した。これらの抗原はまた、3OMZ CDR3を含み、CDR3領域中で結合する抗体も確実に選択解除されるように設計した。
【0373】
抗原機能検証を実施して、設計された抗原が、抗TRDV1(TCRデルタ可変1)抗体を生成するのに好適であることを確認した。δ1ドメインを含有する抗原を用いた場合のみ、検出がみられた(
図1)。
【0374】
実施例3.ファージディスプレイ
ファージディスプレイ選択を、ラウンド1および2のいずれかのヘテロ二量体LZ TCRフォーマットを使用して、ヒトscFvのライブラリに対して行い、両方のラウンドでヘテロ二量体LZ TCRの選択解除を行った。または、ラウンド1を、ヒトIgG1 Fcについての選択解除を伴う、ホモ二量体Fc融合TCRを使用して行い、その後、ラウンド2を、ヘテロ二量体LZ TCRについての選択解除を伴う、ヘテロ二量体LZ TCRについて行った(表1を参照されたい)。
【0375】
選択は、100nMのビオチン化タンパク質を使用して、溶液相で行った。1μMのビオチン化していないタンパク質を使用して、選択解除を行った。
【0376】
ファージディスプレイ選択の成功を、ポリクローナルファージELISA(DELFIA)によって分析した。すべてのDV1選択出力は、標的Fc1/1、L1、L2、L3、F1およびF3に対する所望の結合を示した。非標的L4、F9、Fc4/4、Fc8/8およびFcに対する様々な結合度を検出した(
図2AおよびBを参照されたい)。
【0377】
実施例4.抗体選択
実施例3で得られたヒットを(当該技術分野で既知の標準的な方法を使用して)配列決定した。130個の独自のクローンを特定し、これは、VHおよびVL CDR3の固有の組み合わせを示した。これらの130個の独自のクローンのうち、125個は、独自のVH CDR3を示し、109個は、独自のVL CDR3を示した。
【0378】
独自のクローンを再配列し、特異性をELISA(DELFIA)によって分析した。選択から、TRDV1(L1、L2、L3、F1、F2、F3)に結合するが、TRDV2(L4)に結合しない94個の独自のヒトscFv結合剤の一団を特定した。
【0379】
選択した結合剤の親和性ランキングを含めることで、クローンの選択を進めるのを補助した。多数の結合剤は、ナノモル濃度範囲での親和性を示し、25~100nMのビオチン化抗原と反応した。一握りの結合剤が、5nMの抗原との強い反応を示し、このことは、可能性のある一桁のナノモル濃度の親和性を示している。いくつかの結合剤は、マイクロモル濃度範囲の親和性を示す、100nM抗原との反応を示さなかった。
【0380】
IgGへの変換を進めるクローンの選択のために、できるだけ多くの生殖系列系統およびできるだけ多くの異なるCDR3を可能な限り含めることが目的であった。さらに、グリコシル化、インテグリン結合部位、CD11c/CD18結合部位、対合していないシステインなどの配列ライアビリティ(sequence liabilities)を回避した。加えて、様々な親和性が含まれていた。
【0381】
選択されたクローンを、異なるドナーから得られた皮膚由来γδT細胞を用いて、天然の細胞表面発現γδTCRに対する結合についてスクリーニングした。IgGに変換されるように選択されるクローンを表2に示す。
【0382】
実施例5:抗体SPR分析
γδ細胞結合アッセイを通過したIgG抗体を調製し、さらなる機能および生物物理学的特性決定のために5個を選択した。SPR分析を行って、平衡解離定数(K
D)を決定した。定常状態フィッティングとともに(利用可能な場合)、試験した抗体と分析物との相互作用のセンサグラムを
図3に示す。80RUのIgGがチップ上にキャプチャーされたTS8.2について、結合は検出されなかった。結果を表3にまとめている。
【0383】
実施例6:TCR係合アッセイ
本願発明者らは、選択した抗体の機能的特性決定のために使用されるいくつかのアッセイを設計した。第1のアッセイは、抗体結合時のγδ TCRの下方調節を測定することによって、γδ TCR係合を評価した。選択した抗体を、陽性対照として使用した市販の抗CD3および抗Vδ1抗体、または陽性対照として1252_P01_C08に対して(1139_P01_E04、1245_P02_F07、1245_P01_G06および1245_P01_G09に対して)試験した。市販の抗panγδ抗体は、panγδ抗体であり、可変鎖に関係なくすべてのγδT細胞を認識するために、異なる作用様式を有する可能性が高いため、市販の抗panγδ抗体を陰性対照として使用した。
【0384】
3つの異なるドナー試料(94%、80%および57%の純度を有する試料)から得た皮膚由来γδT細胞を用いてアッセイを行った。結果を
図4に示す。EC50値を、以下の表4にまとめている。
【0385】
実施例7:T細胞脱顆粒アッセイ
第2のアッセイは、γδT細胞の脱顆粒を評価した。γδT細胞は、アポトーシスのパーフォリン-グランザイム媒介性活性化による標的細胞死滅を媒介し得ると考えられている。γδT細胞の細胞質内の溶解性顆粒は、T細胞活性化の際に標的細胞に向かって放出され得る。したがって、標的細胞をCD107aに対する抗体で標識し、フローサイトメトリーによって発現を測定することを使用して、脱顆粒γδT細胞を特定することができる。
【0386】
実施例6について、選択した抗体を、陽性対照としての市販の抗CD3および抗Vδ1抗体、または陽性対照として1252_P01_C08に対して(1139_P01_E04、1245_P02_F07、1245_P01_G06および1245_P01_G09に対して)試験した。陰性対照として、IgG2a、IgG1およびD1.3抗体を使用した。3つの異なるドナー試料(94%、80%および57%の純度を有する試料)から得た皮膚由来γδT細胞を用いてアッセイを行った。結果を
図5に示す。EC50値を、以下の表4にまとめている。
【0387】
実施例8:死滅アッセイ
第3のアッセイは、選択した抗体で活性化されたγδT細胞が標的細胞を死滅させる能力を評価した。
【0388】
実施例6について、選択した抗体を、陽性対照としての市販の抗CD3および抗Vδ1抗体、または陽性対照として1252_P01_C08に対して(1139_P01_E04、1245_P02_F07、1245_P01_G06および1245_P01_G09に対して)、ならびに陰性対照として抗panγδに対して試験した。アイソタイプ対照として、IgG2a、IgG1およびD1.3抗体も使用した。2名のドナーから得た皮膚由来γδT細胞(純度94%および80%)を用いてアッセイを行い、結果を
図6に示す。
【0389】
実施例6~8で試験した3つの機能アッセイからの結果を表4にまとめている。
【0390】
実施例9:エピトープマッピング
高分解能を有する抗原/抗体複合体のエピトープを決定するために、タンパク質複合体を、重水素化架橋剤とともにインキュベートし、多酵素切断を行った。架橋したペプチドの濃縮後、試料を高分解能質量分析(nLC-LTQ-Orbitrap MS)によって分析し、生成されたデータをXQuest(バージョン2.0)およびStavrox(バージョン3.6)ソフトウェアを使用して分析した。
【0391】
重水素化d0d12を含むタンパク質複合体L1(DV1-GV4)/1245_P01_E07のトリプシン、キモトリプシン、Asp-N、エラスターゼ、およびテルモリシンタンパク質分解の後、nLC-orbitrap MS/MS分析は、L1(DV1-GV4)と抗体1245_P01_E07との間の13個の架橋ペプチドを検出した。結果を
図7に提示する。
【0392】
重水素化d0d12を含むタンパク質複合体L1(DV1-GV4)/1252_P01_C08のトリプシン、キモトリプシン、Asp-N、エラスターゼ、およびテルモリシンタンパク質分解の後、nLC-orbitrap MS/MS分析は、L1(DV1-GV4)と抗体1252_P01_C08との間の5個の架橋ペプチドを検出した。結果を
図8に提示する。
【0393】
重水素化d0d12を含むタンパク質複合体L1(DV1-GV4)/1245_P02_G04のトリプシン、キモトリプシン、Asp-N、エラスターゼ、およびテルモリシンタンパク質分解の後、nLC-orbitrap MS/MS分析は、L1(DV1-GV4)と抗体1245_P02_G04との間の20個の架橋ペプチドを検出した。結果を
図9に提示する。
【0394】
重水素化d0d12を含むタンパク質複合体L1(DV1-GV4)/1251_P02_C05のトリプシン、キモトリプシン、Asp-N、エラスターゼ、およびテルモリシンタンパク質分解の後、nLC-orbitrap MS/MS分析は、L1(DV1-GV4)と抗体1251_P02_C05との間の5個の架橋ペプチドを検出した。結果を
図10に提示する。
【0395】
別の抗体であるクローンID1141_P01_E01とのエピトープ結合も試験した。重水素化d0d12を含むタンパク質複合体L1(DV1-GV4)/1141_P01_E01のトリプシン、キモトリプシン、Asp-N、エラスターゼ、およびテルモリシンタンパク質分解の後、nLC-orbitrap MS/MS分析は、L1(DV1-GV4)と抗体1141_P01_E01との間の20個の架橋ペプチドを検出した。結果を
図11に提示する。
【0396】
エピトープマッピング結果のまとめを表5に提示する。
【配列表】
【国際調査報告】