(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-20
(54)【発明の名称】X線断層撮影システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/02 20060101AFI20221013BHJP
【FI】
A61B6/02 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022509704
(86)(22)【出願日】2020-08-14
(85)【翻訳文提出日】2022-03-17
(86)【国際出願番号】 IB2020057671
(87)【国際公開番号】W WO2021028878
(87)【国際公開日】2021-02-18
(32)【優先日】2019-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517112007
【氏名又は名称】アダプティックス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【氏名又は名称】井上 満
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【氏名又は名称】名塚 聡
(72)【発明者】
【氏名】ソロヴィエフ,ヴァディム
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA11
4C093CA13
4C093EB13
4C093EB17
4C093FF22
(57)【要約】
デジタルトモシンセシス(DT)は、3Dイメージングの利点を提供する限定角度断層撮影の一種である。コンピュータ断層撮影(CT)のように、DTは、一度に1つのスライスを見ることによって、3D構造のより大きな検出を可能にする。高い面内分解能、3次元性、及び低い放射線量は、DTを多くの医用画像化用途におけるCTの魅力的な代替物にする。CTとは対照的に、DT投影データセットは不完全であり、これは、断層撮影の十分条件に違反し、再構成された画像において限定された角度アーチファクトをもたらす。DTはボリュメトリック撮像技術であり、オブジェクトの内部構造に関する情報を提供するが、オブジェクトに関する3D情報全体を再構成することはできない。そのため、トモシンセシス画像品質の向上が重要な課題の一つとなっている。一般に、スタンドオフ距離(SID又はSOD)を減少させることが望まれている。既存の既知のアプローチを使用してこれを実行しようとすると、大きな歪みが導入され、したがって、経路長のシフト(したがって、減衰)が生じ、問題が生じる可能性がある。本発明は、x線エミッタ10の点位置に最も近い検出器パネル20上の点によって画定されるx線検出器パネル20上の線に沿って、x線検出器パネル20の周辺上のそれぞれの画素の位置まで再構成が行われるトモグラムを生成する方法を提供する。このようにして、アーチファクト低減は特に、より大きいコーンビーム角度、及びより短いスタンドオフ距離において達成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トモグラムを生成する方法であって、
複数の画素を有するx線検出器パネルを提供するステップ、
前記x線検出器パネルから離間されたx線エミッタを提供するステップ、
前記エミッタから検出器パネルに向かってx線放射のコーンを放出するステップ、
前記検出器パネルに衝突するx線放射の前記コーンに応答して、前記検出器パネルにおいて減衰像を生成するステップ、及び、
前記x線検出器パネルを横切って延在する複数の直線のそれぞれの1つについて、ラドン変換反転式を適用することによって、前記x線放射の減衰を示す密度関数を再構成するステップを有し、
前記複数の直線が、
前記x線エミッタの点位置に最も近い前記検出器パネル上の点の原点位置と、
前記複数の画素の周辺上の前記複数の画素の各それぞれの画素の画素位置
によって画定されるそれぞれの固有の直線を含む、方法。
【請求項2】
前記再構成するステップは、各画素について前記減衰像上で放射線追跡をするステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
f("r")を前記x線放射の減衰を示す密度関数、
"r"を前記エミッタと前記検出器パネルとの間の点の位置ベクトル、
"s"を"r"の方向の単位ベクトル、
Lを前記x線エミッタの点位置と、前記x線エミッタの前記点位置に最も近い前記検出器パネル上の前記点との間の距離、
lを前記x線放射器の前記点位置に最も近い前記検出器パネル上の前記点から、前記検出器パネルを横切る距離パラメータ、
l
0を前記x線エミッタの前記点位置に最も近い前記検出器パネル上の前記点から現在の画素との距離、
θを前記検出器パネルを横切る前記x線エミッタの前記点位置における方位角パラメータ、及び、
を前記検出器パネルにおける前記減衰像として、
前記再構成するステップは、
の式を評価するステップを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記式を評価するステップは、Siddonのアルゴリズムを適用することによる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
複数の画素を含むx線検出器パネル、
前記x線検出器パネルから離間されたx線エミッタ、
前記検出器パネルに衝突するx線放射のコーンに応答して、前記検出器パネルで減衰像を生成するように構成される撮像システム、及び、
前記x線検出器パネルを横切って延在する複数の直線のそれぞれの1つについて、ラドン変換反転式を適用することによって、前記x線放射の減衰を示す密度関数を生成するように構成される再構成システムを有し、
前記複数の直線は、
前記x線エミッタの点位置に最も近い前記検出器パネル上の点の原点位置と、
前記複数の画素の周辺上の前記複数の画素のそれぞれの画素の画素位置
によって画定されるそれぞれの固有の直線を含む、x線トモグラム撮影システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般にデジタルトモグラフィー(又は、トモグラム撮影/断層撮影/tomography)に関し、x線トモグラム撮影において特に有用であるが、これに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
デジタルトモシンセシス(DT)は、3Dイメージングの利点を提供する限定角度トモグラム撮影の一種である。コンピュータ断層撮影(CT)のように、DTは、一度に1つのスライスを見ることによって、3D構造のより大きな検出を可能にする。高い面内分解能、3次元性、及び低い放射線量は、DTを多くの医用画像化用途におけるCTの魅力的な代替物にする。
【0003】
CTとは対照的に、DT投影データセットは不完全であり、これは、断層撮影の十分条件に違反し、再構成された画像において限定された角度アーチファクトをもたらす。DTはボリュメトリック撮像技術であり、オブジェクトの内部構造に関する情報を提供するが、オブジェクトに関する3D情報全体を再構成することはできない。そのため、トモシンセシス画像品質の向上が重要な課題の一つとなっている。
【0004】
データ取得中にx線源が検出器に対してどのようにその位置を移動させるかに応じて、DTの異なる走査形状(又は、走査ジオメトリ/scanning geometries)が存在する。これらは、線源及び検出器の両方が相対的に反対方向に焦点面に平行に移動する線形DTと、検出器が1つの平面内に留まる一方、線源がアイソセンタの周りを回転する部分アイソセントリック走査DTと、検出器が回転又は固定のいずれかである状態で、物体を通過する固定軸の周りを線源が回転する円形DTとを含む。これらの走査形状は全て、単一のx線源を含む。
【0005】
単一の線源ではなく小さなx線エミッタのアレイからなるエミッタパネルは物理的な移動が不要であるため、モーター付き移動装置のコストを回避し、エミッタ間を電子的に切り換えることによってモーションブラーを回避することができるので、有利である。各個々のエミッタのスケールでは、原理は以前と同じままである。すなわち、各エミッタは、x線のコーン(又は、円錐)ビームを生成する。従って、周知のコーンビーム画像再構成アルゴリズムは自然な選択である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、スタンドオフ距離(SID又はSOD)を減少させることが望まれている。既存の既知のアプローチを使用してこれを実行しようとすると、大きな歪みが導入され、したがって、経路長(したがって、減衰)のシフトが生じ、問題が生じる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、トモグラム(又は、断層像/tomogram)を生成する方法が提供され、該方法は、複数の画素を含むx線検出器パネルを提供するステップと、該x線検出器パネルから離間されたx線エミッタを提供するステップと、該エミッタから検出器パネルに向かってx線放射のコーン(又は、円錐)を放出するステップと、該検出器パネルに衝突するx線放射の該コーンに応答して、該検出器パネルにおいて減衰像(又は、減衰画像/attenuation image)を生成するステップと、該x線検出器パネルを横切って延在する複数の直線のそれぞれの1つについて、ラドン変換反転式を適用することによって、該x線放射の減衰を示す密度関数(又は、濃度関数/density function)を再構成するステップと、を含み、前記複数の直線は、該x線エミッタの点位置に最も近い該検出器パネル上の点の原点位置と、前記複数の画素の周辺上の前記複数の画素のそれぞれの画素の画素位置とによって画定されるそれぞれの固有の直線を含む。
【0008】
このようにして、アーチファクト低減(artefact reduction)は特に、より大きいコーンビーム角度、及びより短いスタンドオフ距離において達成される。
【0009】
本方法は、再構成された密度関数からトモグラムを生成するステップを明示的に含むことができる。
【0010】
本方法はx線検出器パネルから離間して配置された少なくとも1つのさらなるx線エミッタを提供するステップを含んでもよく、すなわち、この方法は、x線検出器パネルから離間して配置された複数のx線エミッタを提供するステップを含んでもよい。複数のエミッタは、エミッタパネルを形成することができる。
【0011】
本方法は更に、少なくとも1つの更なるx線エミッタから検出器パネルに向かって、x線放射の少なくとも1つの更なるコーンを放射するステップ、すなわち、複数のx線エミッタの各々からx線放射の単一のコーンを放射するステップを含むことができる。
【0012】
本方法は、検出器パネルに衝突するx線放射の各コーンに応答して、検出器パネルにおいてそれぞれの減衰像を生成するステップを含み得る。
【0013】
本方法は、x線検出器パネルを横切って延在する複数の直線のそれぞれの1つについて、ラドン変換反転式を適用することによって、x線放射の減衰を示す密度関数を再構成するステップを含み得、前記複数の直線は、減衰像又は減衰像(複数)のそれぞれから、複数の画素の周辺上の複数の画素のそれぞれの画素の画素位置及びx線放射器の点位置に最も近い検出器パネル上の点の原点位置によって画定されるそれぞれの固有の直線を含む。
【0014】
複数の直線のそれぞれは、x線検出器パネル全体を横切って一方の側から他方の側に延びていてもよい。代替として又は付加的に、直線の一部又は全てが、例えば、複数の画素によって境界付けられた領域にわたって、x線検出器パネルの一部を横切って延在してもよい。原点位置は例えば、検出器パネルの中心とすることができるが、x線エミッタがパネルの中心にない場合には原点位置は検出器パネルの中心から検出器パネル上で変位させることができる。各画素位置は検出器パネルの周囲に配置されてもよいが、複数の画素が検出器パネルの単なる一部(例えば、パネル上の画素の総アレイのサブセット)を形成する場合、画素位置のいくつか又はすべてはパネル上の画素の総アレイの周囲から変位されてもよい。
【0015】
再構成するステップは、各画素についての減衰像上、又は各画素についてのそれぞれの減衰像上での放射線追跡ステップを含み得る。
【0016】
ラドン変換反転式は、コーシー原理値積分を含むことができる。
【0017】
f("r")をx線放射の減衰を示す密度関数として、再構成するステップは、
の式を評価するステップを含むことができる。
【0018】
上記式の評価はエミッタ毎に実施し、その結果を合計してもよく、各画素毎に実施し、その結果を合計して最終的な合成密度関数を得るようにしてもよい。
【0019】
さらに、
"r"は、エミッタと検出器パネルとの間の点の位置ベクトルであり、エミッタから検出器パネルまでの任意の方向を定義する。
"s"は、単位ベクトルであり、単位球であってもよく、rの全ての可能な値を定義する。
Lは、x線エミッタの点位置とx線エミッタの点位置に最も近い検出器パネル上の点との間の距離である。
lは、x線エミッタの点位置に最も近い検出器パネル上の点から、位置ベクトル"r"の方向における検出器パネル上の点、すなわち、エミッタが検出器パネル上に"
r"を投影する点までの、検出器パネルを横切る距離パラメータである。
l
0は、x線エミッタの点位置に最も近い検出器パネル上の点から、検出器パネル上の現在の画素(例えば、上記式のこの評価のために選択された画素)の距離である。
θは、検出器パネルを横切るx線エミッタの点位置における方位角パラメータである。
そして、
は、検出器パネルにおける減衰像である。
【0020】
第1の積分は検出器パネルの画素のバックプロジェクション(又は、逆投影)を計算することができ、第2の積分は画素の放射線をトレース(又は、追跡)するように作用することができる。
【0021】
密度関数f("r")は、検出器パネル上の各画素について計算され、次いで、累積されて、全体の密度関数を決定することができる。各画素に対して、積分線経路(integration lines pass)は、複数の方向に画素を通過することができる(方向の数がエミッタの数と同じであってもよい)。これは、グリッド線に沿った積分の場合のような累積効果がないように、アーチファクトを不鮮明にするように作用することができる。
【0022】
このようにして、グリッド線に沿ってではなく、原点位置及び各画素を通過する線に沿って積分が行われるので、反転/再構成式をより都合よく実施することができる。
【0023】
ラドン変換反転式を評価するために、及び/又は、方程式、特にCauchy原理値積分及び結果としての逆投影を評価するために、(例えば、フラットパネル検出器を横切って)Siddonのアルゴリズム(すなわち、Siddonの放射線追跡アルゴリズム)を使用することができる。
【0024】
本発明の第2の態様によれば、複数の画素を含むx線検出器パネルと、前記x線検出器パネルから離間して配置されたx線エミッタと、前記検出器パネルに衝突するx線放射のコーンに応答して、前記検出器パネルにおいて減衰像を生成するように構成された撮像システムと、前記x線検出器パネルを横切って延在する複数の直線のそれぞれ1つについて、ラドン変換反転式を適用することによって、前記x線放射の減衰を示す密度関数を生成するように構成された再構成システムと、を備え、前記複数の直線は、前記x線エミッタの点位置に最も近い前記検出器パネル上の点の原点位置と、前記複数の画素の周辺上の前記複数の画素のそれぞれの画素の画素位置と、によって画定されるそれぞれの固有の直線を含む、x線トモグラム撮影システムが提供される。
【0025】
本発明の上記及び他の特性、特徴及び利点は、本発明の原理を例として示す添付の図面と併せて、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。この説明は、本発明の範囲を限定することなく、単に例示のために与えられる。以下に引用する参考図は、添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、x線トモグラム撮影システムの幾何学的形状の斜視図である。
【0027】
【
図2】
図2は、再構成に使用されるスライスの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は特定の図面に関して説明されるが、本発明はそれに限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。記載された図面は、概略的なものにすぎず、非限定的なものである。各図面は、本発明の特徴のすべてを含むわけではなく、したがって、必ずしも本発明の実施形態であると見なされるべきではない。図面において、いくつかの要素のサイズは、説明の目的のために誇張され、縮尺通りに描かれていないことがある。寸法及び相対的寸法は、本発明の実施に対する実際の縮小に対応しない。
【0029】
さらに、説明及び特許請求の範囲における第1、第2、第3などの用語は同様の要素を区別するために使用され、必ずしも時間的に、空間的に、ランキングで、又は任意の他の方法で順序を説明するために使用されるわけではない。そのように使用される用語は適切な状況下で交換可能であり、動作は、本明細書で説明又は図示されたものとは別の順序で可能であることを理解されたい。同様に、特定の順序で説明又は特許請求される方法ステップは、異なる順序で動作すると理解され得る。
【0030】
さらに、明細書及び特許請求の範囲における頂部、底部、上方、下方などの用語は、説明の目的のために使用され、必ずしも相対的な位置を説明するために使用されるわけではない。そのように使用される用語は適切な状況下で交換可能であり、動作は、本明細書で説明又は図示されたものとは別の向きで可能であることを理解されたい。
【0031】
特許請求の範囲で使用される「含む(comprising、有する、備える」という語は、その後に列挙される手段に限定されるものとして解釈されるべきではなく、他の要素又はステップを排除するものではないことに留意されたい。したがって、言及された記載の特徴、整数、ステップ又は構成要素の存在を明示するものとして解釈されるべきであるが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ又は構成要素、又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。したがって、「手段A及びBを含む装置」という表現の範囲は、構成要素A及びBのみからなる装置に限定されるべきではなく、本発明に関して、装置の単に関連する構成要素がA及びBのみであることを意味する。
【0032】
同様に、本明細書で使用される「接続される(connected)」という用語は、直接接続のみに限定されるものとして解釈されるべきではないことに留意されたい。したがって、「装置Bに接続される装置A」という表現の範囲は装置Aの出力が装置Bの入力に直接接続されている装置やシステムに限定されるものではなく、Aの出力とBの入力との間に経路が存在し、これは他の装置や手段を含む経路であってもよいことを意味する。「接続される」とは2つ以上の要素が直接物理的又は電気的に接触していること、又は2つ以上の要素が互いに直接接触していないが、依然として互いに協働又は相互作用していることを意味し得る。例えば、無線接続が考えられる。
【0033】
本明細書全体を通して、「実施形態」又は「態様」という言及は、実施形態又は態様に関連して記載された特定の特徴、構成、又は特性が本発明の少なくとも1つの実施形態又は態様に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通して様々な場所における「一実施形態において」、「実施形態において」、又は「一態様において」という語句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態又は態様を参照しているわけではなく、異なる実施形態又は態様を参照することができる。さらに、本発明の任意の1つの実施形態又は態様の特定の特徴、構造、又は特性は、本開示から当業者には明らかなように、1つ又は複数の実施形態又は態様において、本発明の別の実施形態又は態様の任意の他の特定の特徴、構造、又は特性と任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0034】
同様に、説明において、本発明の様々な特徴は、開示を合理化し、様々な本発明の態様のうちの1つ又は複数の理解を助けるために、単一の実施形態、図、又はそれらの説明において一緒にグループ化されることがあることを理解されたい。しかしながら、この開示方法は、請求項に記載された発明が各請求項に明示的に記載されたよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。さらに、任意の個々の図面又は態様の説明は、必ずしも本発明の実施形態であると見なされるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、本発明の態様は、前述の単一の開示された実施形態のすべての特徴よりも少ない特徴にある。したがって、詳細な説明に続く特許請求の範囲はこの詳細な説明に明確に組み込まれ、各特許請求の範囲はそれ自体が本発明の別個の実施形態として存在する。
【0035】
さらに、本明細書に記載されるいくつかの実施形態は他の実施形態に含まれるいくつかの特徴を含むが、異なる実施形態の特徴の組み合わせは当業者によって理解されるように、本発明の範囲内であり、さらなる実施形態を形成することを意味する。例えば、以下の特許請求の範囲では、特許請求の範囲に記載された実施形態のいずれも、任意の組み合わせで使用することができる。
【0036】
本明細書で提供される説明では、多数の具体的な詳細が記載される。しかしながら、本発明の実施形態は、これらの特定の詳細なしに実施され得ることが理解される。他の例では、この説明の理解を不明瞭にしないために、周知の方法、構造、及び技法は詳細に示されていない。
【0037】
本発明の議論では反対に述べられていない限り、パラメータの許容範囲の上限又は下限に対する代替値の開示は前記値のうちの1つが他の値よりも非常に好ましいという指示と相まって、前記代替値のうちのより好ましい値とより好ましくない値との間にある前記パラメータの各中間値自体が前記より好ましくない値よりも好ましく、また、前記より好ましくない値と前記中間値との間にある各値よりも好ましいという暗黙のステートメントとして解釈されるべきである。
【0038】
用語「少なくとも1つ」の使用は、特定の状況において1つのみを意味し得る。用語「いずれか」の使用は、特定の状況において「全て」及び/又は「各々」を意味し得る。
【0039】
ここで、本発明の原理を、例示的な特徴に関する少なくとも1つの図面の詳細な説明によって説明する。他の配置が基礎となる概念又は技術的教示から逸脱することなく、当業者の知識に従って構成され得ることは明らかであり、本発明は、添付の特許請求の範囲の用語によってのみ限定される。
【0040】
図1は、エミッタ10が検出器パネル20の上方"r
0"に位置し、その向きが法線単位ベクトル"n"によって規定される、x線トモグラム撮影システムの幾何学的形状の斜視図である。"r"はエミッタと検出器パネルとの間の点の位置ベクトルであり、"r
D"はエミッタから"r"の方向である単位ベクトル"s"に沿って検出器パネル上に投影された"r"の画像の位置ベクトルである。
【0041】
Lは、x線エミッタの点位置"r0"と、x線エミッタの点位置に最も近い検出器パネル上の点"rp"との間の距離であり、当然、Lは"n"に反平行に測定される。lは、検出器パネル20上を横切る、x線エミッタの点位置に最も近い検出器パネル上の点"rp"から検出器パネル上の点"rD"までの距離パラメータである。
【0042】
"ν"は、エミッタ10から検出器パネル上の点"rD"への放射線に垂直に向いている単位ベクトルであり、pは、x線エミッタの点位置に最も近い検出器パネル上の点"rP"から放射線まで"ν"に沿った距離パラメータである。
【0043】
図2は、再構成において使用されるスライスの平面図であり、ここで、l
0は、x線エミッタの点位置に最も近い検出器パネル上の点から現在の画素との距離であり、θは、検出器パネルを横切るx線エミッタの点位置における方位角パラメータである。
【0044】
<訳注> 明細書及び特許請求の範囲の翻訳文における"記号"は、当該記号の太字を表す。例えば、"r"は、rの太字を表す。
【国際調査報告】