(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-20
(54)【発明の名称】カスタム溶接ブランクの溶接前変更技術
(51)【国際特許分類】
B23K 20/12 20060101AFI20221013BHJP
B23K 26/21 20140101ALI20221013BHJP
【FI】
B23K20/12 360
B23K26/21 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022510992
(86)(22)【出願日】2020-08-19
(85)【翻訳文提出日】2022-04-13
(86)【国際出願番号】 US2020046991
(87)【国際公開番号】W WO2021034930
(87)【国際公開日】2021-02-25
(32)【優先日】2019-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520093481
【氏名又は名称】ワージントン インダストリーズ, インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】521547541
【氏名又は名称】ティーダブリュビー カンパニー, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アイゼンメンゲル マーク
(72)【発明者】
【氏名】ユイスマン ウェイン
(72)【発明者】
【氏名】ビーチ エルヴィン
【テーマコード(参考)】
4E167
4E168
【Fターム(参考)】
4E167AA02
4E167AA06
4E167BG24
4E167BG30
4E168BA13
4E168BA58
4E168BA83
4E168BA87
(57)【要約】
異なる厚さを有する2つのピースからなるテーラードメタルブランクを形成する技術は、移行領域を含む少なくとも一方のピースを変更するステップを含む。変更されたピースの厚さは、移行領域に亘って変化して、2つのピースのジョイント部分に沿った厚さが実質的に同じとなる。2つのピースは、変更後、レーザ溶接プロセス又は摩擦攪拌接合プロセスなどの溶接プロセスにより結合される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる厚さを有するピースを結合する方法であって、
異なる厚さを有する一対のコンポーネントのうち第1のコンポーネントを変更するステップと、
摩擦攪拌接合プロセスの仕様に基づいて溶接ジョイントを画定するように、互いに対して前記一対のコンポーネントを配置するステップであって、前記一対のコンポーネントは、前記第1のコンポーネントを変更するステップの後の前記溶接ジョイントに沿って実質的に同じ厚さを有する、前記一対のコンポーネントを配置するステップと、
前記摩擦攪拌接合プロセスにより、前記溶接ジョイントに沿って前記一対のコンポーネントを互いに溶接するステップと、
を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1のコンポーネントを変更するステップは、前記溶接ジョイントの一部を形成する前記第1のコンポーネントのエッジに隣接する前記第1のコンポーネントを機械加工することをさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のコンポーネントを機械加工することは、前記第1のコンポーネントの第1の厚さから前記エッジにおける第2の厚さに亘る移行領域を画定するように、前記エッジに直交する前記第1のコンポーネントの面から材料を除去することを含む、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
第2の移行領域を画定するように、第1の面に対向する前記第1のコンポーネントの第2の面から材料を除去するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のコンポーネントを変更するステップは、前記第1のコンポーネントの第1の厚さから、エッジにおける第2の厚さに亘る移行領域を形成するように、前記溶接ジョイントの一部を形成する前記エッジに隣接した前記第1のコンポーネントを変形することをさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記一対のコンポーネントのうち第2のコンポーネントを変更するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記変更するステップは、第3の移行領域を画定するように、前記第2のコンポーネントから材料を除去することを含む、ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記変更するステップは、第3の移行領域を画定するように、前記第2のコンポーネントを変形することを含む、ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記一対のコンポーネントは、一対のメタリックブランクからなる、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
異なる厚さを有するピースを結合する方法であって、
異なる厚さを有する一対のコンポーネントのうち第1のコンポーネントを機械加工するステップと、
選択された結合プロセスの仕様に基づいて突合せジョイントを画定するように、前記一対のコンポーネントを配置するステップであって、前記一対のコンポーネントは、前記第1のコンポーネントの前記変更するステップの後の前記突合せジョイントに沿って実質的に同じ厚さを有する、前記一対のコンポーネントを配置するステップと、
前記選択された結合プロセスにより、前記突合せジョイントに沿って前記一対のコンポーネントを組み合わせるステップと、
を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項11】
前記第1のコンポーネントを機械加工するステップは、前記第1のコンポーネントの面から材料を除去することをさらに含み、
前記面は、前記突合せジョイントの一部を形成する前記第1のコンポーネントのエッジに直交する、ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記材料を除去することは、前記第1のコンポーネントの第1の厚さが前記エッジにおける第2の厚さに減少する移行領域を画定する、ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
第2の移行領域を画定するように、前記第1の面に対向する前記第1のコンポーネントの第2の面から材料を除去することをさらに含む、ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の厚さは、前記一対のコンポーネントのうち、前記突合せジョイントに沿った第2のコンポーネントの厚さと実質的に同じである、ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記一対のコンポーネントのうち第2のコンポーネントを変更するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記変更するステップは、第3の移行領域を形成するように、前記第2のコンポーネントから材料を除去することを含む、ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記変更するステップは、第3の移行領域を形成するように、前記第2のコンポーネントを変形することを含む、ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
第1の厚さを有する第1のピースと、
第2の厚さを有する第2のピースと、
を有するテーラード結合ブランクであって、
前記第1のピース及び前記第2のピースは、前記第1のピース及び前記第2のピースが結合プロセスにより結合されるジョイントを形成するように配置され、
前記第1のピースは、移行領域を形成するため、前記ジョイントの一部を形成するエッジに隣接した前記第1のピースから材料を除去するように機械加工され、
前記移行領域に亘って、前記第1のピースの厚さは、前記移行領域の始点における第1の厚さから前記エッジにおける第3の厚さに減少する、ことを特徴とするテーラード結合ブランク。
【請求項19】
前記第3の厚さは、前記第2の厚さと実質的に同じである、ことを特徴とする請求項18に記載のテーラード結合ブランク。
【請求項20】
前記結合プロセスは、レーザ溶接プロセス又は摩擦攪拌接合プロセスの少なくとも一方である、ことを特徴とする請求項18に記載のテーラード結合ブランク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーラードメタルブランク(tailored metal blank)に関し、特に、テーラードメタルブランクを形成するために異なる厚さ有するブランクを結合する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
メタルブランク、特にシートメタルブランクは、特定用途のために製造され得る。例えば、仕立てられたメタルブランクであるテーラードメタルブランクは、自動車業界における種々の用途のために形成される。そのようなテーラードメタルブランクは、溶接又は他の結合方法により2つ以上のメタルブランクを互いに結合することにより形成される。一部の用途では、厚さが異なるピースから形成されたテーラードブランクが要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
さらに、そのようなピースが結合されると、ジョイント(結合部分)におけるピースの間に突然、急な不連続性を有するテーラードブランクが生じることとなる。結合されたピース間の不連続性により、後続の成形プロセスで付加的な問題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
詳細な説明及び添付の図面に記載した例示的であり非制限的な実施例の種々の態様の基本的又は一般的な理解を可能にするために、簡略化された発明の概要を提示する。しかし、この発明の概要は、広範囲又は網羅的な概要を意図したものではない。実際に、この発明の概要の目的は、種々の実施例のより詳細な説明の前置きとして、例示的であり非制限的な複数の実施例に関するいくつかのコンセプトを簡略化して提示することである。
【0005】
非制限的な種々の実施例では、異なる厚さを有する、シートメタルブランクなどの一対のコンポーネントを結合する技術が提供される。少なくとも1つのコンポーネントは、溶接エッジから延びる移行領域を形成するように、溶接エッジに隣接して変更される。移行領域は、溶接エッジにおける所望の厚さから、コンポーネントの通常の厚さに亘るコンポーネントの厚さの変化をもたらす。変更されたコンポーネント、及び、任意選択的に、変更されないコンポーネントは、ジョイントを画定するために選択された結合プロセスの仕様に基づいて配列される。次いで、一対のコンポーネントは、テーラードブランクを形成するように、選択された結合プロセスにより結合される。テーラードブランクは、移行領域により前述の問題を低減させる。
【0006】
本発明の上記及び他の特徴は、図面、詳細な説明及び添付の特許請求の範囲に照らして見たときに明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明は、特定の部品及び部品の配置において物理的な形態をとることができ、その好ましい実施例を本明細書に詳細に記載し、本明細書の一部を形成する添付の図面に示す。
【
図1】
図1は、一つ又は複数の態様に係る厚さが異なる一対のコンポーネントからなるテーラードブランクを形成するための例示的であり非制限的な実施例のフローチャートを示している。
【
図2】
図2は、種々の態様によるテーラードブランクを形成するための例示的であり非制限的な実施例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、テーラードブランクを形成するための結合前における一対のコンポーネントの斜視図である。
【
図4】
図4は、種々の態様による移行領域を形成するための変更形態の例示的であり非制限的な実施例を示している。
【
図5】
図5は、種々の態様による移行領域を形成するための変更形態の例示的であり非制限的な実施例を示している。
【
図6】
図6は、種々の態様による移行領域を形成するための変更形態の例示的であり非制限的な実施例を示している。
【
図7】
図7は、種々の態様による移行領域を形成するための変更形態の例示的であり非制限的な実施例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
前述したように、異なる厚さを有するピース(例えば、メタルブランク)から形成されたテーラードブランクは、特に自動車業界において多くの用途を有する。しかし、厚さの違いにより、ジョイント部分に不連続性が生じ、ボンディング(bonding)、溶接又は結合プロセスによる結合並びにボンディング後のステップが困難なものとなり、後続の処理が妨げられる。本明細書に記載した種々の技術によれば、テーラードブランクを形成する一つ又は複数のピースは、前述の問題を低減させるピース間のジョイントをもたらすように変更(修正)される。
【0009】
一実施例では、機械加工又は変形プロセスによって、より厚いピースに面取りが形成される。面取りにより、厚い部分から薄い部分へとよりスムーズな移行がもたらされ、これにより、ジョイントにおいて、両方のピースが実質的に同じ厚さとなる。ピースは、レーザ溶接、摩擦攪拌接合(溶接)や他の結合プロセス(例えば、アーク溶接等)により、ジョイントにおいて結合される。
【0010】
より一般的には、一対のコンポーネント(例えば、コンポーネントメタルブランク)のうち少なくとも一方のコンポーネントは、移行領域を形成するように、結合されるエッジの近傍で変更される。移行領域は、エッジにおける所望の厚さをもたらす。移行厚さは、エッジから離間する方向に延びて、コンポーネントにおける変更されない通常の厚さで終端する。変更されたコンポーネントは、一対のコンポーネントのより厚いピースであってもよい。さらに、エッジにおける所望の厚さは、一対のコンポーネントのより薄いピースの厚さと実質的に同じであってもよい。移行領域は、エッジから線形に移行してもよい(例えば、厚さが線形に増加する)。しかし、移行領域は、非線形であってもよいし、かつ/あるいは一定の厚さ、線形の変化及び/又は非線形の移行をもたらす一つ又は複数のセグメントから形成されてもよい。さらに、一対のコンポーネントの双方は、エッジにおいて実質的に同様の厚さを有して終端する移行領域をそれぞれ形成するように変更されてもよい。
【0011】
変更後、コンポーネントは、ボンディングのため突合せジョイント(バットジョイント:butt joint)に配置されてもよい。一例では、突合せジョイントを溶接するため、レーザ溶接又は摩擦攪拌接合などの溶接(接合)プロセスを採用してもよい。しかし、テーラードブランクを形成するため、前述の変更技術と関連した他の結合プロセスを採用してもよい。
【0012】
移行領域は、変更されたコンポーネントから材料を除去する機械加工(例えば、切削、研削(研磨)等)により形成されてもよい。代替例では、移行領域は、材料を除去しない変形プロセス(例えば、プレス加工、コイニング、圧延等)により形成されてもよい。さらに、移行領域を形成するために、機械加工及び変形プロセスを組み合わせたものを採用してもよいことを理解されたい。
【0013】
一実施例によれば、異なる厚さを有するピースを結合する方法が提供される。この方法は、一対のコンポーネントのうち第1のコンポーネントを変更するステップを含む。一対のコンポーネントは異なる厚さを有する。また、前記方法は、摩擦攪拌接合プロセスの仕様に基づいた溶接ジョイントを画定するように、一対のコンポーネントを互いに配置するステップを含む。一対のコンポーネントは、第1のコンポーネントの変更ステップ後の溶接ジョイントに沿って実質的に同様の厚さを有する。さらに、前記方法は、摩擦攪拌接合プロセスにより、溶接ジョイントに沿って、一対のコンポーネントを互いに溶接するステップを含む。一対のコンポーネントは、一対のメタリックブランクを含んでいてもよい。
【0014】
種々の例によれば、第1のコンポーネントを変更するステップは、一対の溶接ジョイントを形成する第1のコンポーネントのエッジに隣接した第1のコンポーネントを機械加工することをさらに含んでいてもよい。第1のコンポーネントを機械加工することは、第1のコンポーネントの第1の厚さからエッジにおける第2の厚さに亘る移行領域を画定するように、エッジに直交する第1のコンポーネントの面から材料を除去することを含む。また、この例では、前記方法は、第2の移行領域を画定するために、第1の面に対向する第1のコンポーネントの第2の面から材料を除去することを含んでいてもよい。
【0015】
他の例によれば、第1のコンポーネントを変更するステップは、第1のコンポーネントの第1の厚さから、エッジにおける第2の厚さに亘る移行領域を形成するように、一対の溶接ジョイントを形成するエッジに隣接する第1のコンポーネントを変形することをさらに含んでもよい。また、前記方法は、一対のコンポーネントのうち第2のコンポーネントを変更するステップを含んでもよい。一実施例では、変更するステップは、第3の移行領域を画定するために、第2のコンポーネントから材料を除去することを含む。他の例では、変更するステップは、第3の移行領域を画定するために第2のコンポーネントを変形することを含む。
【0016】
他の実施例によれば、異なる厚さを有するピースを結合する方法が提供される。当該方法は、異なる厚さを有する一対のコンポーネントのうち第1のコンポーネントを機械加工するステップを含む。また、前記方法は、選択された結合プロセスの仕様に応じて突合せジョイントを画定するように、一対のコンポーネントを互いに配置するステップを含んでもよい。一対のコンポーネントは、第1のコンポーネントの変更ステップ後の突合せジョイントに沿って実質的に同じ厚さを有する。さらに、前記方法は、選択された結合プロセスにより、突合せジョイントに沿って一対のコンポーネントを組み合わせるステップを含む。
【0017】
一実施例では、第1のコンポーネントを機械加工するステップは、第1のコンポーネントの面から材料を除去することをさらに含む。当該面は、一対の突合せジョイントを形成する第1のコンポーネントのエッジに直交する。材料を除去することにより、第1のコンポーネントの第1の厚さがエッジにおける第2の厚さまで減少する移行領域が画定される。さらに、前記方法は、第2の移行領域を画定するため、第1の面に対向する第1のコンポーネントの第2の面から材料を除去するステップを含んでいてもよい。第2の厚さは、突合せジョイントに沿った一対のコンポーネントのうち第2のコンポーネントの厚さと実質的に同じである。
【0018】
さらなる例では、方法は、一対のコンポーネントのうち第2のコンポーネントを変更するステップを含んでもよい。変更するステップは、第3の移行領域を画定するために、第2のコンポーネントから材料を除去することを含む。他の例では、変更するステップは、第3の移行領域を画定するために、第2のコンポーネントを変形することを含む。
【0019】
さらに他の実施例では、テーラード結合ブランク(結合されたテーラードブランク)が提供される。ブランクは、第1の厚さを有する第1のピースと、第2の厚さを有する第2のピースと、を有していてもよい。第1のピース及び第2のピースは、ジョイントを形成するように配置される。ジョイントにおいて、第1のピース及び第2のピースが結合プロセスにより結合される。第1のピースは、移行領域を形成するために、ジョイントの一部を形成するエッジに隣接した第1のピースの面から材料を除去するために機械加工される。前記移行領域に亘って、第1のピースの厚さは、移行領域の始点における第1の厚さからエッジにおける第3の厚さまで減少する。
【0020】
いくつかの例によれば、第3の厚さは第2の厚さと実質的に同じであり、結合プロセスは、レーザ溶接プロセス又は摩擦攪拌接合プロセスの少なくとも一方である。
【0021】
本明細書により提供する技術の上記及び他の利点が当業者には明らかであろう。
【0022】
図面を参照すると、同様の参照符号は、いつくかの図面を通して同一又は対応する部品を示している。異なる図面に同様の構成要素を含めることは、所与の実施例が必ずそのような構成要素を含むこと、あるいは本発明の全ての実施例がそのような構成要素を含むことを意味するものではない。実施例及び図面は例示にすぎず、特許請求の範囲及び精神によって定まる本発明を限定することを意味するものではない。さらに、図面は縮尺通りの特徴を描写していない場合があることを理解されたい。例えば、特定の寸法、向き、位置及び/又は形状など、本明細書に開示したものと同様の圧力容器の特定の設計的な特徴は、一般に、特定の用途及び/又は使用環境によって部分的に決定される。図面は、視覚化を容易にするために特定の機能を拡大又は誇張する場合がある。
【0023】
まず
図1を参照すると、テーラードブランクを形成する技術の全体的な概要を示すフローチャートが図示されている。前記技術は方法100として具体化されている。当該方法は、参照符号102から開始される。ここでは、異なる厚さを有する一対のコンポーネントのうち少なくとも一方のコンポーネントが変更される。一対のコンポーネントは、ピースとも呼ばれ、テーラードブランクのコンポーネント部品(構成部品)である。例えば、コンポーネントは、鋼(スチール)又はアルミニウムからなるシートメタルブランクであってもよい。
【0024】
一態様によれば、少なくとも1つのコンポーネントは、移行領域を形成するように変更される。移行領域は、機械加工又は材料の除去により形成されてもよい。また、移行領域を形成するために変形プロセスを採用してもよい。移行領域は、変更されたコンポーネントの表面に形成されてもよい。移行領域が画定される表面は、結合エッジの表面ではない。むしろ、変更された表面は、エッジに直交する面である。しかし、移行領域は、エッジに隣接又は近接した位置における表面上に形成される。一例によれば、移行領域は、変更されたコンポーネントの厚さが通常の厚さから、結合エッジにおける所望の厚さまで変化する領域である。所望の厚さは、結合エッジに沿った一対のコンポーネントのうち他方のコンポーネントの厚さと実質的に同じである。
【0025】
参照符号104において、変更後、一対のコンポーネントは、結合プロセスにしたがって配置される。例えば、コンポーネントは、コンポーネントの各々の結合エッジに沿って突合せジョイントを形成するように配置されてもよい。参照符号106において、一対のコンポーネントは、結合プロセスにより結合される。一実施例によれば、溶接プロセスは、結合エッジにおいて(例えば、突合せジョイントに沿って)一対のコンポーネントを結合するように選択される。溶接プロセスは、溶接プロセス、レーザ溶接プロセス又は摩擦攪拌接合プロセスであってもよい。
【0026】
図2を参照すると、テーラードブランクを形成するための2つのコンポーネントの結合プロセスが図示されている。
図2は、前述した変更を含む結合プロセス及び変更を含まない結合プロセスを図示している。図示されているように、第1のコンポーネント202及び第2のコンポーネント204は、テーラードブランクを形成するように、各々の結合エッジに沿って互いに結合され得る。本明細書に記載した技術による変更を行わない場合、2つのコンポーネントの間における結合インタフェース208は厚さが不連続である。不連続性は、溶接工具212による結合を妨げる。例えば、不連続性は摩擦攪拌接合プロセスの工具に対応しない場合がある。従って、不連続性は、突然急に変化する高さを含む溶接領域218を生じさせる。
【0027】
図2は、変更後の結合プロセスを示している。
図2に示すように、変更により、第1のコンポーネントにおいて、面取りとして図示された移行領域が形成され、変更されたコンポーネント206が形成される。移行領域は、第1のコンポーネント202の相対的により大きな厚さから、第2のコンポーネント204の厚さと実質的に同じである結合エッジにおける厚さへの移行を画定する。従って、2つのコンポーネントの間における結合インタフェース210は、実質的に厚さが連続的である。溶接工具212により結合した場合に、より平滑な溶接領域220が形成される。
【0028】
図3は、テーラードブランクを形成するために結合する前における一対のコンポーネント(例えば、メタルブランク)斜視図を示している。図示するように、第1のコンポーネント302は、第1の厚さH
1、第1の幅W
1及び第1の長さL
1を有する。第2のコンポーネント304は、第2の厚さH
2、第2の幅W
2及び第2の長さL
2を有する。さらに、第2のコンポーネント304は、移行領域306を有するように変更される。移行領域306は、変更されていない面に対して傾斜角Aを有して延在する移行長さTを有する。図示するように、移行領域306は、第2の厚さH
2から、変更されたコンポーネント304のエッジにおける第3の厚さH
3へと、長さTに亘って厚さが変化する領域を画定する。一態様において、第3の厚さH
3は、第1の厚さH
1と実質的に同じである。
【0029】
一実施例では、第1の長さL1及び第2の長さL2は、溶接される突合せジョイントが当該長さ全体に亘るように、同じであってもよい。例えば、前記長さは、約1メートル又は1040ミリメートルである。さらなる例では、第1の厚さH1及び第3の厚さH3は、約9.5ミリメートルであり、他方、第2の厚さH2は約15.8ミリメートルである。第1の幅W1と第2の幅W2とは同じであっても、異なっていてもよい。例えば、第1の幅は300ミリメートルであり、第2の幅は90ミリメートルであってもよい。一態様によれば、角度Aが75°の場合、移行距離Tは、約25ミリメートルであってもよい。上記寸法は、本明細書に記載した技術により形成され得る一種のテーラードブランクを例示的に示したものに過ぎないことを理解されたい。コンポーネントは他の厚さ、長さ及び幅を有していてもよい。本明細書に記載した技術は、初めに厚さが異なる実質的に任意の寸法を有する2つのコンポーネントを想定している。
【0030】
図4~7は、所望とするテーラードブランクの用途に基づいた本明細書に記載の技術に採用され得る種々の変更形態を示している。
図4は、テーラードブランクを形成するように結合される第1のコンポーネント402及び第2のコンポーネント404を示している。
図4では、第2のコンポーネント404は、上面に移行領域406又は面取りを形成するように変更される。
図5に示す他の実施例では、第2のコンポーネント404は、2つの移行領域502,504を有するように変更される。一方の移行領域502は、第2のコンポーネント404の上面に形成された面取りであり、他方の移行領域504は、第2のコンポーネント404の下面に形成される。
図6に示す実施例では、第1のコンポーネント402が第1の移行領域602を含み、第2のコンポーネント404が第2の移行領域604を含むように、第1のコンポーネント402及び第2のコンポーネント404の双方が変更される。第1の移行領域602及び第2の移行領域604は、コンポーネント402,404の上面にそれぞれ設けられている。しかし、前記移行領域は、下面に形成されてもよいし、あるいは、一方が上面に形成され、他方が下面に形成されてもよい。さらに、第1のコンポーネント402及び第2のコンポーネント404は、各々が
図5に示したものと同様に2つの領域を有するように変更されてもよい。
図4~6は、厚さが連続的に移行する線形の移行領域を示している。移行領域が非線形であってもよいことを理解されたい。
【0031】
図7は異なるセグメントからなる移行領域を図示している。図示されたコンポーネントブランク700は、通常の厚さT
nと、移行領域702と、を有する。移行領域702の厚さは、通常の厚さT
nからエッジ厚さT
eへと減少する。移行領域702は、傾斜移行部(ramp transition)を含む第1のセグメント704を有する。傾斜移行部は、長さL
rを有し、この長さL
rに亘って厚さが通常の厚さからエッジ厚さへと減少する。また、領域702は、長さL
cに亘って厚さが一定である第2のセグメント706を有する。
【0032】
本明細書に記載した実施例の様々な特徴又は態様は、他の実施例のいずれかと任意に組み合わせてもよいことを理解されたい。
【0033】
本明細書で使用しているように、「又は」という用語は、排他的な「又は」ではなく、包括的な「又は」を意味することを意図している。すなわち、他に特定しない限りあるいは文脈から明らかでない限り、「XはA又はBを採用する」との文脈は、自然な包含的順列のいずれかを意味することを意図している。つまり、「XはA又はBを採用する」との文脈は、以下のいずれかの事例:「XはAを採用する」、「XはBを採用する」あるいは「XはA及びBを採用する」との文脈により満たされる。さらに、本願及び添付の特許請求の範囲において使用する冠詞「a」及び「an」は、他に特定しない限りあるいは文脈から単数を意味することが明らかでない限り、一般的に「一つ又は複数」を意味すると解釈されたい。さらに、本明細書において使用しているように、「例示的」との用語は、「何らかの例示又は例として機能する」ことを意味することを意図している。
【0034】
本明細書に例示的な実施例を上述した。当業者であれば、上記の装置及び方法は、特許請求の範囲における主題の一般的な範囲から逸脱することなく、変更及び修正を組み込むことを理解されるであろう。そのような全ての修正及び変更がクレームされた主題の範囲に含まれることを意図している。さらに、「含む(includes)」という用語を詳細な説明又は特許請求の範囲のいずれかで使用する限りにおいて、そのような用語は、請求項において経過的な用語として採用された場合に解釈される「有する(comprising)」と同様の方法で包括的であることを意図している。
【国際調査報告】