(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-20
(54)【発明の名称】ヒトサイトメガロウイルスのUL18によるT細胞応答の調節
(51)【国際特許分類】
C12N 15/86 20060101AFI20221013BHJP
C12N 7/01 20060101ALI20221013BHJP
C12N 15/49 20060101ALI20221013BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20221013BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20221013BHJP
C12N 15/11 20060101ALI20221013BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20221013BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20221013BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20221013BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20221013BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20221013BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20221013BHJP
A61P 31/22 20060101ALI20221013BHJP
A61P 31/20 20060101ALI20221013BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20221013BHJP
A61P 33/06 20060101ALI20221013BHJP
A61P 31/06 20060101ALI20221013BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20221013BHJP
A61K 35/763 20150101ALI20221013BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20221013BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20221013BHJP
A61K 39/04 20060101ALI20221013BHJP
A61K 39/015 20060101ALI20221013BHJP
A61K 39/21 20060101ALI20221013BHJP
A61K 39/245 20060101ALI20221013BHJP
A61K 39/12 20060101ALI20221013BHJP
A61K 39/29 20060101ALI20221013BHJP
【FI】
C12N15/86 Z ZNA
C12N7/01
C12N15/49
C12N5/0783
C12N5/10
C12N15/11 Z
A61P37/04
A61P35/00
A61P31/00
A61P37/02
A61P35/02
A61P31/18
A61P31/22
A61P31/20
A61P31/14
A61P33/06
A61P31/06
A61K35/17 Z
A61K35/763
A61K48/00
A61K39/00 H
A61K39/00 G
A61K39/04
A61K39/015
A61K39/21
A61K39/245
A61K39/12
A61K39/29
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022511223
(86)(22)【出願日】2020-08-19
(85)【翻訳文提出日】2022-04-15
(86)【国際出願番号】 US2020047050
(87)【国際公開番号】W WO2021034964
(87)【国際公開日】2021-02-25
(32)【優先日】2019-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512208051
【氏名又は名称】オレゴン ヘルス アンド サイエンス ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】フルー、クラウス、ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン、スコット、ジー.
(72)【発明者】
【氏名】マルーリ、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ピッカー、ルイス、ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C085
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA95X
4B065AB01
4B065AC20
4B065BA02
4B065CA45
4C084AA13
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4C085AA03
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4C085GG06
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4C087ZB07
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4C087ZB26
4C087ZB27
4C087ZB31
4C087ZB33
4C087ZB35
4C087ZB38
4C087ZC55
(57)【要約】
本開示は、ヒトサイトメガロウイルスのUL18によるT細胞応答を調節する方法に関する。本開示はまた、MHC-Ia、MHC-II、および/またはMHC-E拘束CD8+T細胞を生成する方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異種抗原をコードする核酸配列を含む組換えHCMVベクターであって、UL18を発現しない、組換えHCMVベクター。
【請求項2】
前記組換えHCMVベクターが、UL128を発現しない、請求項1に記載の組換えHCMVベクター。
【請求項3】
前記組換えHCMVベクターが、UL130を発現しない、請求項1または2に記載の組換えHCMVベクター。
【請求項4】
前記組換えHCMVベクターが、UL128およびUL130を発現しない、請求項1~3のいずれか一項に記載の組換えHCMVベクター。
【請求項5】
前記組換えHCMVベクターが、UL146およびUL147を発現しない、請求項4に記載の組換えHCMVベクター。
【請求項6】
前記組換えHCMVベクターが、UL18、UL128、UL130、UL146、またはUL147をコードする核酸配列における1つ以上の変異の存在により、UL18タンパク質、UL128タンパク質、UL130タンパク質、UL146タンパク質、およびUL147タンパク質、またはそれらのオーソログを発現しない、請求項1~5のいずれか一項に記載の組換えHCMVベクター。
【請求項7】
前記UL18、UL128、UL130、UL146、またはUL147をコードする核酸配列における前記変異が、点変異、フレームシフト変異、切断変異、および前記ウイルスタンパク質をコードする前記核酸配列のすべての欠失からなる群から選択される、請求項6に記載の組換えHCMVベクター。
【請求項8】
前記組換えHCMVベクターが、UL40をコードする核酸配列またはそのオーソログをさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組換えHCMVベクター。
【請求項9】
前記組換えHCMVベクターが、US28をコードする核酸配列またはそのオーソログをさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の組換えHCMVベクター。
【請求項10】
前記組換えHCMVベクターが、UL82(pp71)またはそのオーソログを発現しない、請求項1~9のいずれか一項に記載の組換えHCMVベクター。
【請求項11】
前記組換えHCMVベクターが、US11またはそのオーソログを発現しない、請求項1~10のいずれか一項に記載の組換えHCMVベクター。
【請求項12】
前記組換えHCMVベクターが、マイクロRNA(miRNA)認識エレメント(MRE)をコードする核酸配列をさらに含み、前記MREが、内皮細胞で発現されるmiRNAの標的部位を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の組換えHCMVベクター。
【請求項13】
前記内皮細胞で発現するmiRNAが、miR126、miR-126-3p、miR-130a、miR-210、miR-221/222、miR-378、miR-296、またはmiR-328である、請求項12に記載の組換えHCMVベクター。
【請求項14】
前記組換えHCMVベクターが、MREをコードする核酸配列をさらに含み、前記MREが、骨髄細胞で発現されるmiRNAの標的部位を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の組換えHCMVベクター。
【請求項15】
前記骨髄細胞で発現するmiRNAが、miR-142-3p、miR-223、miR-27a、miR-652、miR-155、miR-146a、miR-132、miR-21、またはmiR-125である、請求項14に記載の組換えHCMVベクター。
【請求項16】
前記異種抗原が、病原体特異的抗原、腫瘍抗原、組織特異的抗原、または宿主自己抗原である、請求項1~15のいずれか一項に記載の組換えHCMVベクター。
【請求項17】
前記病原体特異的抗原が、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、単純ヘルペスウイルス1型、単純ヘルペスウイルス2型、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、パピローマウイルス、Plasmodium寄生虫、またはMycobacterium tuberculosisである、請求項16に記載の組換えHCMVベクター。
【請求項18】
前記病原体特異的抗原が、MHC-Eスーパートープである、請求項5~10および12~13のいずれか一項に記載の組換えHCMVベクター。
【請求項19】
前記病原体特異的抗原が、HIVエピトープを含む、請求項18に記載の組換えHCMVベクター。
【請求項20】
前記HIVエピトープが、LDAWEKIRLRPGGKK(配列番号13)、DAWEKIRLR(配列番号14)、KKAQQAAADTGNSSQ(配列番号15)、KAQQAAADT(配列番号16)、QMVHQAISPRTLNAW(配列番号17)、HQAISPRTL(配列番号18)、NTMLNTVGGHQAAMQ(配列番号19)、VGGHQAAMQ(配列番号20)、STLQEQIGWMTNNPP(配列番号21)、STLQEQIGW(配列番号22)、IVRMYSPVSILDIRQ(配列番号23)、RMYSPVSIL(配列番号24)、QKQEPIDKELYPLAS(配列番号25)、KQEPIDKEL(配列番号26)、SFSFPQITLWQRPLV(配列番号27)、VRQYDQILIEICGKK(配列番号28)、EPFRKQNPDIVIYQL(配列番号29)、YVDGAANRETKLGKA(配列番号30)、EEHEKYSNWRAMAS(配列番号31)、またはILDLWVYHTQGYFPD(配列番号32)と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%同一である、請求項19に記載の組換えHCMVベクター。
【請求項21】
前記腫瘍抗原が、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ芽球性白血病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、悪性黒色腫、乳がん、肺がん、卵巣がん、前立腺がん、膵臓がん、結腸がん、腎細胞がん(RCC)、または生殖細胞腫瘍に関連する、請求項16に記載の組換えHCMVベクター。
【請求項22】
前記宿主自己抗原が、T細胞受容体(TCR)の可変領域に由来する抗原またはB細胞受容体の可変領域に由来する抗原である、請求項16に記載の組換えHCMVベクター。
【請求項23】
請求項1~22のいずれか一項に記載の組換えHCMVベクターと、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項24】
請求項1~22のいずれか一項に記載の組換えHCMVベクターと、薬学的に許容される担体とを含む、免疫原性組成物。
【請求項25】
対象における少なくとも1つの異種抗原に対する免疫応答を生成する方法であって、前記少なくとも1つの異種抗原に対するCD8+T細胞応答を誘発するのに有効な量の請求項1~22のいずれか一項に記載の組換えHCMVベクターを前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項26】
対象における免疫応答の生成に使用するための医薬の製造における請求項1~22のいずれか一項に記載の組換えHCMVベクターの使用。
【請求項27】
対象における免疫応答の生成に使用するための請求項1~22のいずれか一項に記載の組換えHCMVベクター。
【請求項28】
対象におけるがんを治療または予防する方法であって、少なくとも1つの異種抗原に対するCD8+T細胞応答を誘発するのに有効な量の請求項1~22のいずれか一項に記載の組換えHCMVベクターを投与することを含む、方法。
【請求項29】
対象におけるがんの治療または予防に使用するための医薬の製造における請求項1~22のいずれか一項に記載の組換えHCMVベクターの使用。
【請求項30】
対象におけるがんの治療または予防に使用するための請求項1~22のいずれか一項に記載の組換えHCMVベクター。
【請求項31】
対象における病原体感染症を治療または予防する方法であって、少なくとも1つの異種抗原に対するCD8+T細胞応答を誘発するのに有効な量の請求項1~22のいずれか一項に記載の組換えHCMVベクターを前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項32】
対象における病原体感染症の治療または予防に使用するための医薬の製造における請求項1~22のいずれか一項に記載の組換えHCMVベクターの使用。
【請求項33】
対象における病原体感染症の治療または予防に使用するための請求項1~22のいずれか一項に記載の組換えHCMVベクター。
【請求項34】
対象における自己免疫疾患または障害を治療する方法であって、少なくとも1つの異種抗原に対するCD8+T細胞応答を誘発するのに有効な量の請求項1~22のいずれか一項に記載の組換えHCMVベクターを前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項35】
対象における自己免疫疾患または障害の治療に使用するための医薬の製造における請求項1~22に記載の組換えHCMVベクターの使用。
【請求項36】
対象における自己免疫疾患または障害の治療に使用するための請求項1~22のいずれか一項に記載の組換えHCMVベクター。
【請求項37】
前記組換えHCMVベクターによって誘発される前記CD8+T細胞の少なくとも10%が、MHC-Eまたはそのオーソログによって拘束される、請求項25~36のいずれか一項に記載の方法、使用のためのCMVベクター、または製造における使用。
【請求項38】
前記組換えHCMVベクターによって誘発される前記CD8+T細胞の少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%が、MHC-Eまたはそのオーソログによって拘束される、請求項37に記載の方法、使用のためのCMVベクター、または製造における使用。
【請求項39】
前記組換えHCMVベクターによって誘発される前記CD8+T細胞の少なくとも10%が、MHC-IIまたはそのオーソログによって拘束される、請求項25~36のいずれか一項に記載の方法、使用のためのCMVベクター、または製造における使用。
【請求項40】
前記組換えHCMVベクターによって誘発される前記CD8+T細胞の少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、または少なくとも75%が、MHC-IIまたはそのオーソログによって拘束される、請求項39に記載の方法、使用のためのCMVベクター、または製造における使用。
【請求項41】
前記組換えHCMVベクターによって誘発される前記CD8+T細胞の10%未満、20%未満、30%未満、40%未満、または50%未満が、MHCクラスIaまたはそのオーソログによって拘束される、請求項25~36のいずれか一項に記載の方法、使用のためのCMVベクター、または製造における使用。
【請求項42】
前記組換えHCMVベクターによって誘発される前記CD8+T細胞の少なくとも10%が、MHCクラスIaまたはそのオーソログによって拘束される、請求項25~36のいずれか一項に記載の方法、使用のためのCMVベクター、または製造における使用。
【請求項43】
前記組換えHCMVベクターによって誘発される前記CD8+T細胞の少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%が、MHCクラスIaまたはそのオーソログによって拘束される、請求項42に記載の方法、使用のためのCMVベクター、または製造における使用。
【請求項44】
前記組換えHCMVベクターによって誘発される前記CD8+T細胞からCD8+TCRを特定することをさらに含み、前記CD8+TCRが、MHC-II/異種抗原由来ペプチド複合体を認識する、請求項25~36のいずれか一項に記載の方法、使用のためのCMVベクター、または製造における使用。
【請求項45】
前記HCMVベクターによって誘発される前記CD8+T細胞からCD8+TCRを特定することをさらに含み、前記CD8+TCRが、MHC-E/異種抗原由来ペプチド複合体を認識する、請求項25~36のいずれか一項に記載の方法、使用のためのCMVベクター、または製造における使用。
【請求項46】
前記HCMVベクターによって誘発される前記CD8+T細胞からCD8+TCRを特定することをさらに含み、前記CD8+TCRが、MHCクラスIa/異種抗原由来ペプチド複合体を認識する、請求項25~36のいずれか一項に記載の方法、使用のためのCMVベクター、または製造における使用。
【請求項47】
前記CD8+TCRが、DNAまたはRNA配列決定によって特定される、請求項44~46に記載の方法、使用のためのCMVベクター、または製造における使用。
【請求項48】
前記CD8+TCRが、MHC-IIスーパートープを認識する、請求項44に記載の方法、使用のためのCMVベクター、または製造における使用。
【請求項49】
前記CD8+TCRが、MHC-Eスーパートープを認識する、請求項45に記載の方法、使用のためのCMVベクター、または製造における使用。
【請求項50】
前記MHC-Eスーパートープが、ヒト免疫不全ウイルスエピトープである、請求項49に記載の方法、使用のためのCMVベクター、または製造における使用。
【請求項51】
前記MHC-Eスーパートープが、LDAWEKIRLRPGGKK(配列番号13)、DAWEKIRLR(配列番号14)、KKAQQAAADTGNSSQ(配列番号15)、KAQQAAADT(配列番号16)、QMVHQAISPRTLNAW(配列番号17)、HQAISPRTL(配列番号18)、NTMLNTVGGHQAAMQ(配列番号19)、VGGHQAAMQ(配列番号20)、STLQEQIGWMTNNPP(配列番号21)、STLQEQIGW(配列番号22)、IVRMYSPVSILDIRQ(配列番号23)、RMYSPVSIL(配列番号24)、QKQEPIDKELYPLAS(配列番号25)、KQEPIDKEL(配列番号26)、SFSFPQITLWQRPLV(配列番号27)、VRQYDQILIEICGKK(配列番号28)、EPFRKQNPDIVIYQL(配列番号29)、YVDGAANRETKLGKA(配列番号30)、EEHEKYSNWRAMAS(配列番号31)、またはILDLWVYHTQGYFPD(配列番号32)のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%同一である、請求項50に記載の方法、使用のためのCMVベクター、または製造における使用。
【請求項52】
MHC-E-ペプチド複合体を認識するCD8+T細胞を生成する方法であって、
a.MHC-E/ペプチド複合体を認識するCD8+T細胞のセットを生成するのに有効な量の請求項5~10、12~13、または16~17のいずれか一項に記載の組換えHCMVベクターを第1の対象に投与することと、
b.前記CD8+T細胞のセットから第1のCD8+TCRを特定することであって、前記第1のCD8+TCRが、MHC-E/異種抗原由来ペプチド複合体を認識する、特定することと、
c.第2の対象から1つ以上のCD8+T細胞を単離することと、
d.前記1つ以上のCD8+T細胞に発現ベクターをトランスフェクトすることであって、前記発現ベクターが、第2のCD8+TCRをコードする核酸配列と、前記第2のCD8+TCRをコードする前記核酸配列に作動可能に連結されたプロモーターとを含み、前記第2のCD8+TCRが、前記第1のCD8+TCRのCDR3αおよびCDR3βを含む、トランスフェクトすることと、を含み、それによって、MHC-Eペプチド複合体を認識する1つ以上のCD8+T細胞を生成する、方法。
【請求項53】
MHC-E-ペプチド複合体を認識するCD8+T細胞を生成する方法であって、
a.CD8+T細胞のセットから第1のCD8+TCRを特定することであって、前記CD8+T細胞のセットが、請求項5~10、12~13、または16~17のいずれか一項に記載の組換えHCMVベクターから生成され、前記第1のCD8+TCRが、MHC-E/異種抗原由来ペプチド複合体を認識する、特定することと、
b.第2の対象から1つ以上のCD8+T細胞を単離することと、
c.前記1つ以上のCD8+T細胞に発現ベクターをトランスフェクトすることであって、前記発現ベクターが、第2のCD8+TCRをコードする核酸配列と、前記第2のCD8+TCRをコードする前記核酸配列に作動可能に連結されたプロモーターとを含み、前記第2のCD8+TCRが、前記第1のCD8+TCRのCDR3αおよびCDR3βを含む、トランスフェクトすることと、を含み、それによって、MHC-Eペプチド複合体を認識する1つ以上のTCRトランスジェニックCD8+T細胞を生成する、方法。
【請求項54】
前記第1のCD8+T細胞が、MHC-Eスーパートープを認識する、請求項52または53に記載の方法。
【請求項55】
前記MHC-Eスーパートープが、ヒト免疫不全ウイルスエピトープを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記MHC-Eスーパートープが、LDAWEKIRLRPGGKK(配列番号13)、DAWEKIRLR(配列番号14)、KKAQQAAADTGNSSQ(配列番号15)、KAQQAAADT(配列番号16)、QMVHQAISPRTLNAW(配列番号17)、HQAISPRTL(配列番号18)、NTMLNTVGGHQAAMQ(配列番号19)、VGGHQAAMQ(配列番号20)、STLQEQIGWMTNNPP(配列番号21)、STLQEQIGW(配列番号22)、IVRMYSPVSILDIRQ(配列番号23)、RMYSPVSIL(配列番号24)、QKQEPIDKELYPLAS(配列番号25)、KQEPIDKEL(配列番号26)、SFSFPQITLWQRPLV(配列番号27)、VRQYDQILIEICGKK(配列番号28)、EPFRKQNPDIVIYQL(配列番号29)、YVDGAANRETKLGKA(配列番号30)、EEHEKYSNWRAMAS(配列番号31)、またはILDLWVYHTQGYFPD(配列番号32)のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%同一である、請求項54または55に記載の方法。
【請求項57】
前記第2のCD8+T細胞が、MHC-Eスーパートープを認識する、請求項52~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記MHC-Eスーパートープが、ヒト免疫不全ウイルスエピトープを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記MHC-Eスーパートープが、LDAWEKIRLRPGGKK(配列番号13)、DAWEKIRLR(配列番号14)、KKAQQAAADTGNSSQ(配列番号15)、KAQQAAADT(配列番号16)、QMVHQAISPRTLNAW(配列番号17)、HQAISPRTL(配列番号18)、NTMLNTVGGHQAAMQ(配列番号19)、VGGHQAAMQ(配列番号20)、STLQEQIGWMTNNPP(配列番号21)、STLQEQIGW(配列番号22)、IVRMYSPVSILDIRQ(配列番号23)、RMYSPVSIL(配列番号24)、QKQEPIDKELYPLAS(配列番号25)、KQEPIDKEL(配列番号26)、SFSFPQITLWQRPLV(配列番号27)、VRQYDQILIEICGKK(配列番号28)、EPFRKQNPDIVIYQL(配列番号29)、YVDGAANRETKLGKA(配列番号30)、EEHEKYSNWRAMAS(配列番号31)、またはILDLWVYHTQGYFPD(配列番号32)のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%同一である、請求項57または58に記載の方法。
【請求項60】
前記第1のCD8+TCRが、DNAまたはRNA配列決定によって特定される、請求項52~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記第2のCD8+TCRをコードする前記核酸配列が、前記第1のCD8+TCRをコードする前記核酸配列と同一である、請求項52~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記第1の対象が、ヒトである、請求項52~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記第2の対象が、ヒトである、請求項52~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
MHC-Eペプチド複合体を認識するCD8+T細胞を生成する方法であって、
a.UL128、UL130、UL146、およびUL147のオーソログを欠損した組換えアカゲザルCMV(RhCMV)またはカニクイザルCMV(CyCMV)ベクターを非ヒト霊長類に投与して、請求項18~20に記載のHIVスーパートープペプチドとの複合体におけるMHC-Eを認識するCD8+T細胞のセットを生成するのに有効な量のHIV抗原を発現させることと、
b.前記CD8+T細胞のセットから第1のCD8+TCRを特定することであって、前記第1が、MHC-E/スーパートープペプチド複合体を認識する、特定することと、
c.第2の対象から1つ以上のCD8+T細胞を単離することと、
d.前記1つ以上のCD8+T細胞に発現ベクターをトランスフェクトすることであって、前記発現ベクターが、第2のCD8+TCRをコードする核酸配列と、前記第2のCD8+TCRをコードする前記核酸配列に作動可能に連結されたプロモーターとを含み、前記第2のCD8+TCRが、前記第1のCD8+TCRのCDR3αおよびCDR3βを含む、トランスフェクトすることと、を含み、それによって、MHC-Eペプチド複合体を認識する1つ以上のCD8+T細胞を生成する、方法。
【請求項65】
MHC-Eペプチド複合体を認識するCD8+T細胞を生成する方法であって、
a.請求項18~20に記載のHIVスーパートープペプチドとの複合体におけるMHC-Eを認識するCD8+T細胞のセットからMHC-E/スーパートープペプチド複合体を認識する第1のCD8+TCRを特定することであって、前記CD8+T細胞のセットが、UL128、UL130、UL146、およびUL147のオーソログを欠損した組換えアカゲザル(RhCMV)またはカニクイザルCMV(CyCCMV)ベクターから生成される、特定することと、前記CD8+T細胞のセットを生成するのに有効な量のHIV抗原を発現させることと、
b.第2の対象から1つ以上のCD8+T細胞を単離することと、
c.前記1つ以上のCD8+T細胞に発現ベクターをトランスフェクトすることであって、前記発現ベクターが、第2のCD8+TCRをコードする核酸配列と、前記第2のCD8+TCRをコードする前記核酸配列に作動可能に連結されたプロモーターとを含み、前記第2のCD8+TCRが、前記第1のCD8+TCRのCDR3αおよびCDR3βを含む、トランスフェクトすることと、を含み、それによって、MHC-Eペプチド複合体を認識する1つ以上のCD8+T細胞を生成する、方法。
【請求項66】
前記第1の対象が、非ヒト霊長類であり、前記第2の対象が、ヒトであり、前記第2のCD8+TCRが、前記第1のCD8+TCRの前記非ヒト霊長類CDR3αおよびCDR3βを含むキメラ非ヒト霊長類-ヒトCD8+TCRである、請求項64または65に記載の方法。
【請求項67】
前記第2のCD8+TCRが、前記第1のCD8+TCRの前記非ヒト霊長類CDR1α、CDR2α、CDR3α、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βを含む、請求項64~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記第2のCD8+TCRが、前記第1のCD8+TCRのCDR1α、CDR2α、CDR3α、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βを含む、請求項64~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記第2のCD8+TCRが、キメラCD8+TCRである、請求項64~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記組換えHCMVベクターを前記第1の対象に投与することが、前記第1の対象への前記組換えHCMVベクターの静脈内、筋肉内、腹腔内、または経口投与を含む、請求項64~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記トランスフェクトされたCD8+T細胞を前記第2の対象に投与して、がんを治療または予防することをさらに含む、請求項52~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記がんが、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ芽球性白血病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、悪性黒色腫、乳がん、肺がん、卵巣がん、前立腺がん、膵臓がん、結腸がん、腎細胞がん(RCC)、または生殖細胞腫瘍である、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記トランスフェクトされたCD8+T細胞を前記第2の対象に投与して、病原体感染症を治療または予防することをさらに含む、請求項52~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記病原体感染症が、ヒト免疫不全ウイルス、単純ヘルペスウイルス1型、単純ヘルペスウイルス2型、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、パピローマウイルス、Plasmodium寄生虫、またはMycobacterium tuberculosisによって引き起こされる、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記トランスフェクトされたCD8+T細胞を前記対象に投与して、前記宿主自己抗原に対する自己免疫応答を誘導することをさらに含む、請求項52~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
MHC-II-ペプチド複合体を認識するCD8+T細胞を生成する方法であって、
a.MHC-II/ペプチド複合体を認識するCD8+T細胞のセットを生成するのに有効な量の請求項1~11、14、または15のいずれか一項に記載の組換えHCMVベクターを第1の対象に投与することと、
b.前記CD8+T細胞のセットから第1のCD8+TCRを特定することであって、前記第1のCD8+TCRが、MHC-II/異種抗原由来ペプチド複合体を認識する、特定することと、
c.第2の対象から1つ以上のCD8+T細胞を単離することと、
d.前記1つ以上のCD8+T細胞に発現ベクターをトランスフェクトすることであって、前記発現ベクターが、第2のCD8+TCRをコードする核酸配列と、前記第2のCD8+TCRをコードする前記核酸配列に作動可能に連結されたプロモーターとを含み、前記第2のCD8+TCRが、前記第1のCD8+TCRのCDR3αおよびCDR3βを含む、トランスフェクトすることと、を含み、それによって、MHC-IIペプチド複合体を認識する1つ以上のCD8+T細胞を生成する、方法。
【請求項77】
MHC-II-ペプチド複合体を認識するCD8+T細胞を生成する方法であって、
a.MHC-II/ペプチド複合体を認識するCD8+T細胞のセットからMHC-II/異種抗原由来ペプチド複合体を認識する第1のCD8+TCRを特定することであって、前記CD8+T細胞のセットが、請求項1~11、14、または15のいずれか一項に記載の組換えHCMVベクターから生成される、特定することと、
b.第2の対象から1つ以上のCD8+T細胞を単離することと、
c.前記1つ以上のCD8+T細胞に発現ベクターをトランスフェクトすることであって、前記発現ベクターが、第2のCD8+TCRをコードする核酸配列と、前記第2のCD8+TCRをコードする前記核酸配列に作動可能に連結されたプロモーターとを含み、前記第2のCD8+TCRが、前記第1のCD8+TCRのCDR3αおよびCDR3βを含む、トランスフェクトすることと、を含み、それによって、MHC-IIペプチド複合体を認識する1つ以上のCD8+T細胞を生成する、方法。
【請求項78】
前記第1のCD8+T細胞が、MHC-IIスーパートープを認識する、請求項76または77に記載の方法。
【請求項79】
前記第2のCD8+T細胞が、MHC-IIスーパートープを認識する、請求項76~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記第1のCD8+TCRが、DNAまたはRNA配列決定によって特定される、請求項76~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記第2のCD8+TCRをコードする前記核酸配列が、前記第1のCD8+TCRをコードする前記核酸配列と同一である、請求項76~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記第1の対象が、ヒトである、請求項76~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記第2の対象が、ヒトである、請求項76~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記HCMVベクターを前記第1の対象に投与することが、前記第1の対象への前記HCMVベクターの静脈内、筋肉内、腹腔内、または経口投与を含む、請求項76~83に記載の方法。
【請求項85】
前記トランスフェクトされたCD8+T細胞を前記第2の対象に投与して、がんを治療または予防することをさらに含む、請求項76~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記がんが、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ芽球性白血病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、悪性黒色腫、乳がん、肺がん、卵巣がん、前立腺がん、膵臓がん、結腸がん、腎細胞がん(RCC)、および生殖細胞腫瘍からなる群から選択される、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記トランスフェクトされたCD8+T細胞を前記第2の対象に投与して、病原体感染症を治療または予防することをさらに含む、請求項76~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記病原体感染症が、ヒト免疫不全ウイルス、単純ヘルペスウイルス1型、単純ヘルペスウイルス2型、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、パピローマウイルス、Plasmodium寄生虫、およびMycobacterium tuberculosisからなる群から選択される病原体によって引き起こされる、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記宿主自己抗原に対する自己免疫応答を誘導するために、前記トランスフェクトされたCD8+T細胞を前記対象に投与することをさらに含む、請求項76~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
MHC-I-ペプチド複合体を認識するCD8+T細胞を生成する方法であって、
a.MHC-I/ペプチド複合体を認識するCD8+T細胞のセットを生成するのに有効な量の請求項1~11のいずれか一項に記載の組換えHCMVベクターを第1の対象に投与することと、
b.前記CD8+T細胞のセットから第1のCD8+TCRを特定することであって、前記第1のCD8+TCRが、MHC-I/異種抗原由来ペプチド複合体を認識する、特定することと、
c.第2の対象から1つ以上のCD8+T細胞を単離することと、
d.前記1つ以上のCD8+T細胞に発現ベクターをトランスフェクトすることであって、前記発現ベクターが、第2のCD8+TCRをコードする核酸配列と、前記第2のCD8+TCRをコードする核酸配列に作動可能に連結されたプロモーターとを含み、前記第2のCD8+TCRが、前記第1のCD8+TCRのCDR3αおよびCDR3βを含む、トランスフェクトすることと、を含み、それによって、MHC-Iペプチド複合体を認識する1つ以上のCD8+T細胞を生成する、方法。
【請求項91】
MHC-I-ペプチド複合体を認識するCD8+T細胞を生成する方法であって、
a.MHC-I/異種抗原由来ペプチド複合体を認識するCD8+T細胞のセットからMHC-I/異種抗原由来ペプチド複合体を認識する第1のCD8+TCRを特定することであって、前記CD8+T細胞のセットが、請求項1~11のいずれか一項に記載の組換えHCMVベクターから生成される、特定することと、
b.第2の対象から1つ以上のCD8+T細胞を単離することと、
c.前記1つ以上のCD8+T細胞に発現ベクターをトランスフェクトすることであって、前記発現ベクターが、第2のCD8+TCRをコードする核酸配列と、前記第2のCD8+TCRをコードする前記核酸配列に作動可能に連結されたプロモーターとを含み、前記第2のCD8+TCRが、前記第1のCD8+TCRのCDR3αおよびCDR3βを含む、トランスフェクトすることと、を含み、それによって、MHC-Iペプチド複合体を認識する1つ以上のCD8+T細胞を生成する、方法。
【請求項92】
前記第1のCD8+TCRが、DNAまたはRNA配列決定によって特定される、請求項90~91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
前記第2のCD8+TCRをコードする前記核酸配列が、前記第1のCD8+TCRをコードする前記核酸配列と同一である、請求項90~92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
前記第1の対象が、ヒトである、請求項90~93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
前記第2の対象が、ヒトである、請求項90~94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
前記第1の対象に前記HCMVベクターを投与することが、前記第1の対象への前記HCMVベクターの静脈内、筋肉内、腹腔内、または経口投与を含む、請求項90~95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記トランスフェクトされたCD8+T細胞を前記第2の対象に投与して、がんを治療または予防することをさらに含む、請求項90~96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
前記がんが、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ芽球性白血病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、悪性黒色腫、乳がん、肺がん、卵巣がん、前立腺がん、膵臓がん、結腸がん、腎細胞がん(RCC)、および生殖細胞腫瘍からなる群から選択される、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記トランスフェクトされたCD8+T細胞を前記第2の対象に投与して、病原体感染症を治療または予防することをさらに含む、請求項90~96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記病原体感染症が、ヒト免疫不全ウイルス、単純ヘルペスウイルス1型、単純ヘルペスウイルス2型、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、パピローマウイルス、Plasmodium寄生虫、およびMycobacterium tuberculosisからなる群から選択される病原体によって引き起こされる、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記トランスフェクトされたCD8+T細胞を前記対象に投与して、前記宿主自己抗原に対する自己免疫応答を誘導することをさらに含む、請求項90~96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
請求項25~101に記載の方法によって生成されるCD8+T細胞。
【請求項103】
前記病原体特異的抗原が、ヒト免疫不全ウイルス、サル免疫不全ウイルス、単純ヘルペスウイルス1型、単純ヘルペスウイルス2型、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、パピローマウイルス、Plasmodium寄生虫、またはMycobacterium tuberculosisである、請求項102に記載のCD8+T細胞。
【請求項104】
前記腫瘍抗原が、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ芽球性白血病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、悪性黒色腫、乳がん、肺がん、卵巣がん、前立腺がん、膵臓がん、結腸がん、腎細胞がん(RCC)、または生殖細胞腫瘍に関連する、請求項102に記載のCD8+T細胞。
【請求項105】
前記宿主自己抗原が、T細胞受容体(TCR)の可変領域に由来する抗原またはB細胞受容体の可変領域に由来する抗原である、請求項102に記載のCD8+T細胞。
【請求項106】
対象における病原体感染症を治療または予防する方法であって、請求項102または103に記載のCD8+T細胞を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項107】
対象における病原体感染症の治療または予防に使用するための医薬の製造における請求項102または103に記載のCD8+T細胞の使用。
【請求項108】
対象における病原体感染症の治療または予防に使用するための請求項102または103に記載のCD8+T細胞。
【請求項109】
対象におけるがんを治療または予防する方法であって、請求項102または104に記載のCD8+T細胞を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項110】
対象におけるがんの治療または予防に使用するための医薬の製造における請求項102または104に記載のCD8+T細胞の使用。
【請求項111】
対象におけるがんの治療または予防に使用するための請求項102または104に記載のCD8+T細胞。
【請求項112】
自己免疫疾患または障害を治療する方法であって、請求項102または105に記載のCD8+T細胞を対象に投与することを含む、方法。
【請求項113】
自己免疫疾患または障害の治療に使用するための医薬の製造における請求項102または105に記載のCD8+T細胞の使用。
【請求項114】
自己免疫疾患または障害の治療に使用するための請求項102または105に記載のCD8+T細胞。
【請求項115】
宿主自己抗原に対する自己免疫応答を誘導する方法であって、請求項102または105に記載のCD8+T細胞を対象に投与することを含む、方法。
【請求項116】
長さが9~15個のアミノ酸であり、LDAWEKIRLRPGGKK(配列番号13)、DAWEKIRLR(配列番号14)、KKAQQAAADTGNSSQ(配列番号15)、KAQQAAADT(配列番号16)、QMVHQAISPRTLNAW(配列番号17)、HQAISPRTL(配列番号18)、NTMLNTVGGHQAAMQ(配列番号19)、VGGHQAAMQ(配列番号20)、STLQEQIGWMTNNPP(配列番号21)、STLQEQIGW(配列番号22)、IVRMYSPVSILDIRQ(配列番号23)、RMYSPVSIL(配列番号24)、QKQEPIDKELYPLAS(配列番号25)、KQEPIDKEL(配列番号26)、SFSFPQITLWQRPLV(配列番号27)、VRQYDQILIEICGKK(配列番号28)、EPFRKQNPDIVIYQL(配列番号29)、YVDGAANRETKLGKA(配列番号30)、EEHEKYSNWRAMAS(配列番号31)、またはILDLWVYHTQGYFPD(配列番号32)のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、または100%同一である、ヒト免疫不全ウイルス抗原。
【請求項117】
請求項116に記載のヒト免疫不全ウイルス抗原のうちの1つ以上をコードする核酸を含む、組換えHCMVベクター。
【請求項118】
前記組換えHCMVベクターが、UL18を発現しない、請求項117に記載の組換えHCMVベクター。
【請求項119】
前記組換えHCMVベクターが、UL128を発現しない、請求項117または118に記載の組換えHCMVベクター。
【請求項120】
前記組換えHCMVベクターが、UL130を発現しない、請求項117~119のいずれか一項に記載の組換えHCMVベクター。
【請求項121】
前記組換えHCMVベクターが、UL128およびUL130を発現しない、請求項117~120のいずれか一項に記載の組換えHCMVベクター。
【請求項122】
前記組換えHCMVベクターが、UL146およびUL147を発現しない、請求項121に記載の組換えHCMVベクター。
【請求項123】
前記組換えHCMVベクターが、UL18、UL128、UL130、UL146、またはUL147をコードする核酸配列における1つ以上の変異の存在により、UL18タンパク質、UL128タンパク質、UL130タンパク質、UL146タンパク質、およびUL147タンパク質、またはそれらのオーソログを発現しない、請求項117~122のいずれか一項に記載の組換えHCMVベクター。
【請求項124】
前記UL18、UL128、UL130、UL146、またはUL147をコードする核酸配列における前記変異が、点変異、フレームシフト変異、切断変異、および前記ウイルスタンパク質をコードする前記核酸配列のすべての欠失からなる群から選択される、請求項123に記載の組換えHCMVベクター。
【請求項125】
前記組換えHCMVベクターが、UL40をコードする核酸配列またはそのオーソログをさらに含む、請求項117~124のいずれか一項に記載の組換えHCMVベクター。
【請求項126】
前記組換えHCMVベクターが、US28をコードする核酸配列またはそのオーソログをさらに含む、請求項117~125のいずれか一項に記載の組換えHCMVベクター。
【請求項127】
前記組換えHCMVベクターが、UL82(pp71)またはそのオーソログを発現しない、請求項117~126のいずれか一項に記載の組換えHCMVベクター。
【請求項128】
前記組換えHCMVベクターが、US11またはそのオーソログを発現しない、請求項117~127のいずれか一項に記載の組換えHCMVベクター。
【請求項129】
前記組換えHCMVベクターが、マイクロRNA(miRNA)認識エレメント(MRE)をコードする核酸配列をさらに含み、前記MREが、内皮細胞内で発現されるmiRNAの標的部位を含む、請求項117~128のいずれか一項に記載の組換えHCMVベクター。
【請求項130】
前記内皮細胞で発現されるmiRNAが、miR126、miR-126-3p、miR-130a、miR-210、miR-221/222、miR-378、miR-296、またはmiR-328である、請求項129に記載の組換えHCMVベクター。
【請求項131】
前記組換えHCMVベクターが、MREをコードする核酸配列をさらに含み、前記MREが、骨髄細胞で発現されるmiRNAの標的部位を含む、請求項117~130のいずれか一項に記載の組換えHCMVベクター。
【請求項132】
前記骨髄細胞に発現するmiRNAが、miR-142-3p、miR-223、miR-27a、miR-652、miR-155、miR-146a、miR-132、miR-21、またはmiR-125である、請求項131に記載の組換えHCMVベクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる2019年8月20日に出願された米国仮特許出願第62/889,310号の利益を主張する。
【0002】
連邦政府支援研究開発に関する記述
本発明は、国立アレルギー感染病研究所によって授与された助成番号RO1 AI059457およびU19 AI128741での政府支援によりなされた。政府は本発明において一定の権利を有する。
【0003】
電子式に提出された配列表の参照
本出願とともに提出された電子式に提出されたASCIIテキストファイル中の配列表の内容(名称4153_013PC01_Seqlisting_ST25、サイズ:11,029バイト、および作成日:2020年8月19日)は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
アカゲザルサイトメガロウイルス(RhCMV)の株68-1は、従来のMHC-Iではなく、MHC-IIおよびMHC-Eによって提示されるペプチドを認識するCD8+T細胞を誘発することが以前に示されている。この効果は、カニクイザルCMV(CyCMV)において再現され、したがって、HCMV UL128、UL130、UL146、およびUL147のRhCMVおよびCyCMVホモログの欠失が、MHC-E拘束(restricted)CD8+T細胞の誘導を可能とするために必要であることを示している(WO2016/130693、WO2018/075591)。さらに、これらのベクターは、MHC-II拘束CD8+T細胞を誘発する。しかしながら、内皮細胞特異的マイクロRNA(miR)126の標的部位をこれらのベクターの必須ウイルス遺伝子に挿入することにより、MHC-II拘束CD8+T細胞の誘導が無くなり、MHC-E拘束CD8+T細胞を専ら誘発する「MHC-Eのみ(MHC-E only)」ベクターが得られる(WO2018/075591)。対照的に、骨髄細胞特異的miR142-3pを68-1RhCMVに挿入することにより、MHC-E拘束CD8+T細胞の誘導が妨げられ、MHC-IIによって専ら拘束されるCD8+T細胞を誘発するベクターが得られる(WO2017/087921)。同様に、UL40ホモログであるRh67の欠失により、MHC-E拘束CD8+T細胞の誘導が妨げられ、「MHC-IIのみベクター」が得られる(WO2016/130693)。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、異種抗原をコードする核酸配列を含む組換えヒトCMV(HCMV)ベクターであって、UL18を発現しない、組換えHCMVベクターに関する。
【0006】
いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL128を発現しない。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL130を発現しない。いくつかの実施形態では、HCMVベクターは、UL128およびUL130を発現しない。
【0007】
本開示はまた、異種抗原をコードする核酸配列を含むHCMVベクターであって、UL18、UL128、UL130、UL146、およびUL147を発現しない、組換えHCMVベクターに関する。
【0008】
いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL18、UL128、UL130、UL146、またはUL147をコードする核酸配列における1つ以上の変異の存在により、UL18タンパク質、UL128タンパク質、UL130タンパク質、UL146タンパク質、およびUL147タンパク質、またはそれらのオーソログを発現しない。いくつかの実施形態では、UL18、UL128、UL130、UL146、またはUL147をコードする核酸配列における変異は、点変異、フレームシフト変異、切断変異、およびウイルスタンパク質をコードする核酸配列のすべての欠失からなる群から選択される。
【0009】
いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL40をコードする核酸配列またはそのオーソログをさらに含む。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、US28をコードする核酸配列またはそのオーソログをさらに含む。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL82(pp71)またはそのオーソログを発現しない。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、US11またはそのオーソログを発現しない。
【0010】
いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、マイクロRNA(miRNA)認識エレメント(MRE)をコードする核酸配列をさらに含み、MREは、内皮細胞で発現されるマイクロRNAの標的部位を含む。いくつかの実施形態では、内皮細胞で発現されるMREは、miR126、miR-126-3p、miR-130a、miR-210、miR-221/222、miR-378、miR-296、およびmiR-328である。
【0011】
いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、マイクロRNA(miRNA)認識エレメント(MRE)をコードする核酸配列をさらに含み、MREは、骨髄細胞で発現されるマイクロRNAの標的部位を含む。いくつかの実施形態では、骨髄細胞で発現されるMREは、miR-142-3p、miR-223、miR-27a、miR-652、miR-155、miR-146a、miR-132、miR-21、およびmiR-125である。
【0012】
いくつかの実施形態では、異種抗原は、病原体特異的抗原、腫瘍抗原、組織特異的抗原、または宿主自己抗原である。いくつかの実施形態では、病原体特異的抗原は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、単純ヘルペスウイルス1型、単純ヘルペスウイルス2型、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、パピローマウイルス、Plasmodium寄生虫、およびMycobacterium tuberculosisからなる群から選択される。
【0013】
いくつかの実施形態では、病原体特異的抗原は、MHC-Eスーパートープである。いくつかの実施形態では、MHC-Eスーパートープは、HIVエピトープである。いくつかの実施形態では、MHC-Eスーパートープは、LDAWEKIRLRPGGKK(配列番号13)、DAWEKIRLR(配列番号14)、KKAQQAAADTGNSSQ(配列番号15)、KAQQAAADT(配列番号16)、QMVHQAISPRTLNAW(配列番号17)、HQAISPRTL(配列番号18)、NTMLNTVGGHQAAMQ(配列番号19)、VGGHQAAMQ(配列番号20)、STLQEQIGWMTNNPP(配列番号21)、STLQEQIGW(配列番号22)、IVRMYSPVSILDIRQ(配列番号23)、RMYSPVSIL(配列番号24)、QKQEPIDKELYPLAS(配列番号25)、KQEPIDKEL(配列番号26)、SFSFPQITLWQRPLV(配列番号27)、VRQYDQILIEICGKK(配列番号28)、EPFRKQNPDIVIYQL(配列番号29)、YVDGAANRETKLGKA(配列番号30)、EEHEKYSNWRAMAS(配列番号31)、またはILDLWVYHTQGYFPD(配列番号32)と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%同一である。
【0014】
いくつかの実施形態では、腫瘍抗原は、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ芽球性白血病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、悪性黒色腫、乳がん、肺がん、卵巣がん、前立腺がん、膵臓がん、結腸がん、腎細胞がん(RCC)、および生殖細胞腫瘍からなる群から選択されるがんに関連する。
【0015】
いくつかの実施形態では、宿主自己抗原は、T細胞受容体(TCR)の可変領域に由来する抗原またはB細胞受容体の可変領域に由来する抗原である。
【0016】
本開示はまた、組換えHCMVベクターと、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物に関する。
【0017】
本開示はまた、組換えHCMVベクターと、薬学的に許容される担体とを含む、免疫原性組成物に関する。
【0018】
本開示はまた、対象における少なくとも1つの異種抗原に対する免疫応答を生成する方法であって、少なくとも1つの異種抗原に対するCD8+T細胞応答を誘発するのに有効な量の組換えHCMVベクターを対象に投与することを含む、方法に関する。
【0019】
本開示はまた、対象における免疫応答の生成に使用するための医薬の製造における組換えHCMVベクターの使用に関する。
【0020】
本開示はまた、対象における免疫応答の生成に使用するための組換えHCMVに関する。
【0021】
本開示はまた、対象におけるがんを治療または予防する方法であって、少なくとも1つの異種抗原に対するCD8+T細胞応答を誘発するのに有効な量の組換えHCMVベクターを投与することを含む、方法に関する。
【0022】
本開示はまた、対象におけるがんの治療または予防に使用するための医薬の製造における組換えHCMVベクターの使用に関する。
【0023】
本開示はまた、対象におけるがんの治療または予防に使用するための組換えHCMVベクターに関する。
【0024】
本開示はまた、対象における病原体感染症を治療または予防する方法であって、少なくとも1つの異種抗原に対するCD8+T細胞応答を誘発するのに有効な量で組換えHCMVベクターを対象に投与することを含む、方法に関する。
【0025】
本開示はまた、対象における病原体感染症の治療または予防に使用するための医薬の製造における組換えHCMVベクターの使用に関する。
【0026】
本開示はまた、対象における病原体感染症を治療または予防するのに使用するための組換えHCMVベクターに関する。
【0027】
本開示はまた、対象における自己免疫疾患または障害を治療する方法であって、少なくとも1つの異種抗原に対するCD8+T細胞応答を誘発するのに有効な量の組換えHCMVベクターを対象に投与することを含む、方法に関する。
【0028】
本開示はまた、対象における自己免疫疾患または障害の治療に使用するための医薬の製造における組換えHCMVベクターの使用に関する。
【0029】
本開示はまた、対象における自己免疫疾患または障害の治療に使用するための組換えHCMVベクターに関する。
【0030】
いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターによって誘発されるCD8+T細胞の少なくとも10%は、MHC-Eまたはそのオーソログによって拘束される。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターによって誘発されるCD8+T細胞の少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%は、MHC-Eまたはそのオーソログによって拘束される。
【0031】
いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターによって誘発されるCD8+T細胞の少なくとも10%は、MHC-IIまたはそのオーソログによって拘束される。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターによって誘発されるCD8+T細胞の少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、または少なくとも75%は、MHC-IIまたはそのオーソログによって拘束される。
【0032】
いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターによって誘発されるCD8+T細胞の10%未満、20%未満、30%未満、40%未満、または50%未満は、MHCクラスIaまたはそのオーソログによって拘束される。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターによって誘発されるCD8+T細胞の少なくとも10%は、MHCクラスIaまたはそのオーソログによって拘束される。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターによって誘発される少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはCD8+T細胞は、MHCクラスIaまたはそのオーソログによって拘束される。
【0033】
いくつかの実施形態では、CD8+TCRは、組換えHCMVベクターによって誘発されたCD8+T細胞から特定され、CD8+TCRは、MHC-II/異種抗原由来ペプチド複合体を認識する。いくつかの実施形態では、CD8+TCRは、HCMVベクターによって誘発されたCD8+T細胞から特定され、CD8+TCRは、MHC-E/異種抗原由来ペプチド複合体を認識する。いくつかの実施形態では、CD8+TCRは、HCMVベクターによって誘発されたCD8+T細胞から特定され、CD8+TCRは、MHCクラスIa/異種抗原由来ペプチド複合体を認識する。
【0034】
いくつかの実施形態では、CD8+TCRは、DNAまたはRNA配列決定によって特定される。
【0035】
いくつかの実施形態では、CD8+TCRは、MHC-IIスーパートープを認識する。
【0036】
いくつかの実施形態では、CD8+TCRは、MHC-Eスーパートープを認識する。いくつかの実施形態では、MHC-Eスーパートープは、ヒト免疫不全ウイルスエピトープである。いくつかの実施形態では、MHC-Eスーパートープは、LDAWEKIRLRPGGKK(配列番号13)、DAWEKIRLR(配列番号14)、KKAQQAAADTGNSSQ(配列番号15)、KAQQAAADT(配列番号16)、QMVHQAISPRTLNAW(配列番号17)、HQAISPRTL(配列番号18)、NTMLNTVGGHQAAMQ(配列番号19)、VGGHQAAMQ(配列番号20)、STLQEQIGWMTNNPP(配列番号21)、STLQEQIGW(配列番号22)、IVRMYSPVSILDIRQ(配列番号23)、RMYSPVSIL(配列番号24)、QKQEPIDKELYPLAS(配列番号25)、KQEPIDKEL(配列番号26)、SFSFPQITLWQRPLV(配列番号27)、VRQYDQILIEICGKK(配列番号28)、EPFRKQNPDIVIYQL(配列番号29)、YVDGAANRETKLGKA(配列番号30)、EEHEKYSNWRAMAS(配列番号31)、またはILDLWVYHTQGYFPD(配列番号32)のアミノ酸配と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%同一である。
【0037】
本開示はまた、MHC-E-ペプチド複合体を認識するTCRトランスジェニックCD8+T細胞を生成する方法であって、(a)MHC-E/ペプチド複合体を認識するCD8+T細胞のセットを生成するのに有効な量の組換えHCMVベクターを第1の対象に投与することと、(b)CD8+T細胞のセットから第1のCD8+TCRを特定することであって、第1のCD8+TCRが、MHC-E/異種抗原由来ペプチド複合体を認識する、特定することと、(c)第2の対象から1つ以上のCD8+T細胞を単離することと、(d)1つ以上のCD8+T細胞に発現ベクターをトランスフェクトすることであって、発現ベクターが、第2のCD8+TCRをコードする核酸配列と、第2のCD8+TCRをコードする核酸配列に作動可能に連結されたプロモーターとを含み、第2のCD8+TCRが、第1のCD8+TCRのCDR3αおよびCDR3βを含む、トランスフェクトすることと、を含み、それによって、MHC-Eペプチド複合体を認識する1つ以上のCD8+T細胞を生成する、方法に関する。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL18、UL128、UL130、UL146、および/またはUL147を発現しない。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL18、UL128、UL130、UL146、またはUL147をコードする核酸配列における1つ以上の変異の存在により、UL18タンパク質、UL128タンパク質、UL130タンパク質、UL146タンパク質、およびUL147タンパク質、またはそれらのオーソログを発現しない。いくつかの実施形態では、UL18、UL128、UL130、UL146、またはUL147をコードする核酸配列における変異は、点変異、フレームシフト変異、切断変異、およびウイルスタンパク質をコードする核酸配列のすべての欠失からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL40をコードする核酸配列またはそのオーソログをさらに含む。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、US28をコードする核酸配列またはそのオーソログをさらに含む。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、マイクロRNA(miRNA)認識エレメント(MRE)をコードする核酸配列をさらに含み、MREは、内皮細胞で発現されるmiRNAの標的部位を含む。いくつかの実施形態では、内皮細胞で発現されるmiRNAは、miR126、miR-126-3p、miR-130a、miR-210、miR-221/222、miR-378、miR-296、またはmiR-328である。いくつかの実施形態では、異種抗原は、病原体特異的抗原、腫瘍抗原、組織特異的抗原、または宿主自己抗原である。いくつかの実施形態では、病原体特異的抗原は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、単純ヘルペスウイルス1型、単純ヘルペスウイルス2型、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、パピローマウイルス、Plasmodium寄生虫、またはMycobacterium tuberculosisである。
【0038】
本開示はまた、MHC-E-ペプチド複合体を認識するTCRトランスジェニックCD8+T細胞を生成する方法であって、(a)CD8+T細胞のセットから第1のCD8+TCRを特定することであって、CD8+T細胞のセットが、請求項5~10、12~13、または16~17のいずれか一項に記載の組換えHCMVベクターから生成され、第1のCD8+TCRが、MHC-E/異種抗原由来ペプチド複合体を認識する、特定することと、(b)第2の対象から1つ以上のCD8+T細胞を単離することと、(c)1つ以上のCD8+T細胞に発現ベクターをトランスフェクトすることであって、発現ベクターが、第2のCD8+TCRをコードする核酸配列と、第2のCD8+TCRをコードする核酸配列に作動可能に連結されたプロモーターとを含み、第2のCD8+TCRが、第1のCD8+TCRのCDR3αおよびCDR3βを含む、トランスフェクトすることと、を含み、それによって、MHC-Eペプチド複合体を認識する1つ以上のTCRトランスジェニックCD8+T細胞を生成する、方法に関する。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL18、UL128、UL130、UL146、および/またはUL147を発現しない。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL18、UL128、UL130、UL146、またはUL147をコードする核酸配列における1つ以上の変異の存在により、UL18タンパク質、UL128タンパク質、UL130タンパク質、UL146タンパク質、およびUL147タンパク質、またはそれらのオーソログを発現しない。いくつかの実施形態では、UL18、UL128、UL130、UL146、またはUL147をコードする核酸配列における変異は、点変異、フレームシフト変異、切断変異、およびウイルスタンパク質をコードする核酸配列のすべての欠失からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL40をコードする核酸配列またはそのオーソログをさらに含む。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、US28をコードする核酸配列またはそのオーソログをさらに含む。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、マイクロRNA(miRNA)認識エレメント(MRE)をコードする核酸配列をさらに含み、MREは、内皮細胞で発現されるmiRNAの標的部位を含む。いくつかの実施形態では、内皮細胞で発現されるmiRNAは、miR126、miR-126-3p、miR-130a、miR-210、miR-221/222、miR-378、miR-296、またはmiR-328である。いくつかの実施形態では、異種抗原は、病原体特異的抗原、腫瘍抗原、組織特異的抗原、または宿主自己抗原である。いくつかの実施形態では、病原体特異的抗原は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、単純ヘルペスウイルス1型、単純ヘルペスウイルス2型、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、パピローマウイルス、Plasmodium寄生虫、またはMycobacterium tuberculosisである。
【0039】
いくつかの実施形態では、第1のCD8+T細胞は、MHC-Eスーパートープを認識する。いくつかの実施形態では、MHC-Eスーパートープは、ヒト免疫不全ウイルスエピトープを含む。いくつかの実施形態では、MHC-Eスーパートープは、LDAWEKIRLRPGGKK(配列番号13)、DAWEKIRLR(配列番号14)、KKAQQAAADTGNSSQ(配列番号15)、KAQQAAADT(配列番号16)、QMVHQAISPRTLNAW(配列番号17)、HQAISPRTL(配列番号18)、NTMLNTVGGHQAAMQ(配列番号19)、VGGHQAAMQ(配列番号20)、STLQEQIGWMTNNPP(配列番号21)、STLQEQIGW(配列番号22)、IVRMYSPVSILDIRQ(配列番号23)、RMYSPVSIL(配列番号24)、QKQEPIDKELYPLAS(配列番号25)、KQEPIDKEL(配列番号26)、SFSFPQITLWQRPLV(配列番号27)、VRQYDQILIEICGKK(配列番号28)、EPFRKQNPDIVIYQL(配列番号29)、YVDGAANRETKLGKA(配列番号30)、EEHEKYSNWRAMAS(配列番号31)、またはILDLWVYHTQGYFPD(配列番号32)のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%同一である。
【0040】
いくつかの実施形態では、第2のCD8+T細胞は、MHC-Eスーパートープを認識する。いくつかの実施形態では、MHC-Eスーパートープは、ヒト免疫不全ウイルスエピトープを含む。いくつかの実施形態では、MHC-Eスーパートープは、LDAWEKIRLRPGGKK(配列番号13)、DAWEKIRLR(配列番号14)、KKAQQAAADTGNSSQ(配列番号15)、KAQQAAADT(配列番号16)、QMVHQAISPRTLNAW(配列番号17)、HQAISPRTL(配列番号18)、NTMLNTVGGHQAAMQ(配列番号19)、VGGHQAAMQ(配列番号20)、STLQEQIGWMTNNPP(配列番号21)、STLQEQIGW(配列番号22)、IVRMYSPVSILDIRQ(配列番号23)、RMYSPVSIL(配列番号24)、QKQEPIDKELYPLAS(配列番号25)、KQEPIDKEL(配列番号26)、SFSFPQITLWQRPLV(配列番号27)、VRQYDQILIEICGKK(配列番号28)、EPFRKQNPDIVIYQL(配列番号29)、YVDGAANRETKLGKA(配列番号30)、EEHEKYSNWRAMAS(配列番号31)、またはILDLWVYHTQGYFPD(配列番号32)のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%同一である。
【0041】
いくつかの実施形態では、第1のCD8+TCRは、DNAまたはRNA配列決定によって特定される。
【0042】
いくつかの実施形態では、第2のCD8+TCRをコードする核酸配列は、第1のCD8+TCRをコードする核酸配列と同一である。
【0043】
いくつかの実施形態では、第1の対象は、ヒトである。いくつかの実施形態では、第2の対象は、ヒトである。
【0044】
本開示はまた、MHC-Eペプチド複合体を認識するCD8+T細胞を生成する方法であって、(a)UL128、UL130、UL146、およびUL147のオーソログを欠損した組換えアカゲザルCMV(RhCMV)またはカニクイザルCMV(CyCMV)ベクターを非ヒト霊長類に投与し、HIVスーパートープペプチドとの複合体におけるMHC-Eを認識するCD8+T細胞のセットを生成するのに有効な量のHIV抗原を発現させることと、(b)CD8+T細胞のセットから第1のCD8+TCRを特定することであって、第1が、MHC-E/スーパートープペプチド複合体を認識する、特定することと、(c)第2の対象から1つ以上のCD8+T細胞を単離することと、(d)1つ以上のCD8+T細胞に発現ベクターをトランスフェクトすることであって、発現ベクターが、第2のCD8+TCRをコードする核酸配列と、第2のCD8+TCRをコードする核酸配列に作動可能に連結されたプロモーターとを含み、第2のCD8+TCRが、第1のCD8+TCRのCDR3αおよびCDR3βを含む、トランスフェクトすることと、を含み、それによって、MHC-E/異種抗原由来ペプチド複合体を認識する1つ以上のトランスフェクトされたCD8+T細胞を生成する、方法に関する。いくつかの実施形態では、HIVエピトープは、LDAWEKIRLRPGGKK(配列番号13)、DAWEKIRLR(配列番号14)、KKAQQAAADTGNSSQ(配列番号15)、KAQQAAADT(配列番号16)、QMVHQAISPRTLNAW(配列番号17)、HQAISPRTL(配列番号18)、NTMLNTVGGHQAAMQ(配列番号19)、VGGHQAAMQ(配列番号20)、STLQEQIGWMTNNPP(配列番号21)、STLQEQIGW(配列番号22)、IVRMYSPVSILDIRQ(配列番号23)、RMYSPVSIL(配列番号24)、QKQEPIDKELYPLAS(配列番号25)、KQEPIDKEL(配列番号26)、SFSFPQITLWQRPLV(配列番号27)、VRQYDQILIEICGKK(配列番号28)、EPFRKQNPDIVIYQL(配列番号29)、YVDGAANRETKLGKA(配列番号30)、EEHEKYSNWRAMAS(配列番号31)、またはILDLWVYHTQGYFPD(配列番号32)と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%同一である。本開示はまた、MHC-Eペプチド複合体を認識するCD8+T細胞を生成する方法であって、(a)HIVスーパートープペプチドとの複合体におけるMHC-Eを認識するCD8+T細胞のセットから、MHC-E/スーパートープペプチド複合体を認識する第1のCD8+TCRを特定することであって、CD8+T細胞のセットが、UL128、UL130、UL146、およびUL147のオーソログを欠損した組換えアカゲザル(RhCMV)またはカニクイザルCMV(CyCCMV)ベクターから生成される、特定することと、CD8+T細胞のセットを生成するのに有効な量のHIV抗原を発現させることと、(b)第2の対象から1つ以上のCD8+T細胞を単離することと、(c)1つ以上のCD8+T細胞に発現ベクターをトランスフェクトすることであって、発現ベクターが、第2のCD8+TCRをコードする核酸配列と、第2のCD8+TCRをコードする核酸配列に作動可能に連結されたプロモーターとを含み、第2のCD8+TCRが、第1のCD8+TCRのCDR3αおよびCDR3βを含む、トランスフェクトすることと、を含み、それによって、MHC-Eペプチド複合体を認識する1つ以上のCD8+T細胞を生成する、方法に関する。いくつかの実施形態では、HIVエピトープは、LDAWEKIRLRPGGKK(配列番号13)、DAWEKIRLR(配列番号14)、KKAQQAAADTGNSSQ(配列番号15)、KAQQAAADT(配列番号16)、QMVHQAISPRTLNAW(配列番号17)、HQAISPRTL(配列番号18)、NTMLNTVGGHQAAMQ(配列番号19)、VGGHQAAMQ(配列番号20)、STLQEQIGWMTNNPP(配列番号21)、STLQEQIGW(配列番号22)、IVRMYSPVSILDIRQ(配列番号23)、RMYSPVSIL(配列番号24)、QKQEPIDKELYPLAS(配列番号25)、KQEPIDKEL(配列番号26)、SFSFPQITLWQRPLV(配列番号27)、VRQYDQILIEICGKK(配列番号28)、EPFRKQNPDIVIYQL(配列番号29)、YVDGAANRETKLGKA(配列番号30)、EEHEKYSNWRAMAS(配列番号31)、またはILDLWVYHTQGYFPD(配列番号32)と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%同一である。
【0045】
いくつかの実施形態では、第1の対象は、非ヒト霊長類であり、第2の対象は、ヒトであり、第2のCD8+TCRは、第1のCD8+TCRの非ヒト霊長類CDR3αおよびCDR3βを含むキメラ非ヒト霊長類-ヒトCD8+TCRである。いくつかの実施形態では、第2のCD8+TCRは、第1のCD8+TCRの非ヒト霊長類CDR1α、CDR2α、CDR3α、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βを含む。いくつかの実施形態では、第2のCD8+TCRは、第1のCD8+TCRのCDR1α、CDR2α、CDR3α、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βを含む。いくつかの実施形態では、第2のCD8+TCRは、キメラCD8+TCRである。
【0046】
いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターを第1の対象に投与することは、第1の対象への組換えHCMVベクターの静脈内、筋肉内、腹腔内、または経口投与を含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、トランスフェクトされたCD8+T細胞は、がんを治療または予防するために第2の対象に投与される。いくつかの実施形態では、がんは、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ芽球性白血病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、悪性黒色腫、乳がん、肺がん、卵巣がん、前立腺がん、膵臓がん、結腸がん、腎細胞がん(RCC)、および生殖細胞腫瘍からなる群から選択される。
【0048】
いくつかの実施形態では、トランスフェクトされたCD8+T細胞は、病原体感染症を治療または予防するために第2の対象に投与される。いくつかの実施形態では、病原体感染症は、ヒト免疫不全ウイルス、単純ヘルペスウイルス1型、単純ヘルペスウイルス2型、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、パピローマウイルス、Plasmodium寄生虫、およびMycobacterium tuberculosisからなる群から選択される病原体によって引き起こされる。
【0049】
いくつかの実施形態では、トランスフェクトされたCD8+T細胞は、宿主自己抗原に対する自己免疫応答を誘導するために第2の対象に投与される。
【0050】
本開示はまた、MHC-II-ペプチド複合体を認識するCD8+T細胞を生成する方法であって、(a)MHC-II/ペプチド複合体を認識するCD8+T細胞のセットを生成するのに有効な量の組換えHCMVベクターを第1の対象に投与することと、(b)CD8+T細胞のセットから第1のCD8+TCRを特定することであって、第1のCD8+TCRが、MHC-II/異種抗原由来ペプチド複合体を認識する、特定することと、(c)第2の対象から1つ以上のCD8+T細胞を単離することと、(d)1つ以上のCD8+T細胞に発現ベクターをトランスフェクトすることであって、発現ベクターが、第2のCD8+TCRをコードする核酸配列と、第2のCD8+TCRをコードする核酸配列に作動可能に連結されたプロモーターとを含み、第2のCD8+TCRが、第1のCD8+TCRのCDR3αおよびCDR3βを含む、トランスフェクトすることと、を含み、それによって、MHC-II+ペプチド複合体を認識する1つ以上のCD8+T細胞を生成する、方法に関する。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、異種抗原をコードする核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL18を発現しない。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL128を発現しない。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL130を発現しない。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL128およびUL130を発現しない。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL146およびUL147を発現しない。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL18、UL128、UL130、UL146、またはUL147をコードする核酸配列における1つ以上の変異の存在により、UL18タンパク質、UL128タンパク質、UL130タンパク質、UL146タンパク質、およびUL147タンパク質、またはそれらのオーソログを発現しない。いくつかの実施形態では、UL18、UL128、UL130、UL146、またはUL147をコードする核酸配列における変異は、点変異、フレームシフト変異、切断変異、およびウイルスタンパク質をコードする核酸配列のすべての欠失からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL40をコードする核酸配列またはそのオーソログをさらに含む。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、US28をコードする核酸配列またはそのオーソログをさらに含む。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL82(pp71)またはそのオーソログを発現しない。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、US11またはそのオーソログを発現しない。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、MREをコードする核酸配列をさらに含み、MREは、骨髄細胞で発現されるmiRNAの標的部位を含む。いくつかの実施形態では、骨髄細胞で発現されるmiRNAは、miR-142-3p、miR-223、miR-27a、miR-652、miR-155、miR-146a、miR-132、miR-21、またはmiR-125である。
【0051】
本開示はまた、MHC-II-ペプチド複合体を認識するCD8+T細胞を生成する方法であって、(a)MHC-II/ペプチド複合体を認識するCD8+T細胞のセットからMHC-II/異種抗原由来のペプチド複合体を認識する第1のCD8+TCRを特定することであって、CD8+T細胞のセットが、組換えHCMVベクターから生成される、特定することと、(b)第2の対象から1つ以上のCD8+T細胞を単離することと、(c)1つ以上のCD8+T細胞に発現ベクターをトランスフェクトすることであって、発現ベクターが、第2のCD8+TCRをコードする核酸配列と、第2のCD8+TCRをコードする核酸配列に作動可能に連結されたプロモーターとを含み、第2のCD8+TCRが、第1のCD8+TCRのCDR3αおよびCDR3βを含む、トランスフェクトすることと、を含み、それによって、MHC-IIペプチド複合体を認識する1つ以上のCD8+T細胞を生成する、方法に関する。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、異種抗原をコードする核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL18を発現しない。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL128を発現しない。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL130を発現しない。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL128およびUL130を発現しない。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL146およびUL147を発現しない。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL18、UL128、UL130、UL146、またはUL147をコードする核酸配列における1つ以上の変異の存在により、UL18タンパク質、UL128タンパク質、UL130タンパク質、UL146タンパク質、およびUL147タンパク質、またはそれらのオーソログを発現しない。いくつかの実施形態では、UL18、UL128、UL130、UL146、またはUL147をコードする核酸配列における変異は、点変異、フレームシフト変異、切断変異、およびウイルスタンパク質をコードする核酸配列のすべての欠失からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL40をコードする核酸配列またはそのオーソログをさらに含む。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、US28をコードする核酸配列またはそのオーソログをさらに含む。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL82(pp71)またはそのオーソログを発現しない。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、US11またはそのオーソログを発現しない。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、MREをコードする核酸配列をさらに含み、MREは、骨髄細胞で発現されるmiRNAの標的部位を含む。いくつかの実施形態では、骨髄細胞で発現されるmiRNAは、miR-142-3p、miR-223、miR-27a、miR-652、miR-155、miR-146a、miR-132、miR-21、またはmiR-125である。
【0052】
いくつかの実施形態では、第1のCD8+T細胞は、MHC-IIスーパートープを認識する。いくつかの実施形態では、第2のCD8+T細胞は、MHC-IIスーパートープを認識する。
【0053】
いくつかの実施形態では、第1のCD8+TCRは、DNAまたはRNA配列決定によって特定される。
【0054】
いくつかの実施形態では、第2のCD8+TCRをコードする核酸配列は、第1のCD8+TCRをコードする核酸配列と同一である。
【0055】
いくつかの実施形態では、第1の対象は、ヒトである。いくつかの実施形態では、第2の対象は、ヒトである。
【0056】
いくつかの実施形態では、HCMVベクターを第1の対象に投与することは、第1の対象へのHCMVベクターの静脈内、筋肉内、腹腔内、または経口投与を含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、トランスフェクトされたCD8+T細胞は、がんを治療または予防するために第2の対象に投与される。いくつかの実施形態では、がんは、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ芽球性白血病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、悪性黒色腫、乳がん、肺がん、卵巣がん、前立腺がん、膵臓がん、結腸がん、腎細胞がん(RCC)、および生殖細胞腫瘍からなる群から選択される。
【0058】
いくつかの実施形態では、トランスフェクトされたCD8+T細胞は、病原体感染症を治療または予防するために第2の対象に投与される。いくつかの実施形態では、病原体感染症は、ヒト免疫不全ウイルス、単純ヘルペスウイルス1型、単純ヘルペスウイルス2型、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、パピローマウイルス、Plasmodium寄生虫、およびMycobacterium tuberculosisからなる群から選択される病原体によって引き起こされる。
【0059】
いくつかの実施形態では、トランスフェクトされたCD8+T細胞は、宿主自己抗原に対する自己免疫応答を誘導するために第2の対象に投与される。
【0060】
本開示はまた、MHC-I-ペプチド複合体を認識するCD8+T細胞を生成する方法であって、(a)MHC-I/ペプチド複合体を認識するCD8+T細胞のセットを生成するのに有効な量の組換えHCMVベクターを第1の対象に投与することと、(b)CD8+T細胞のセットから第1のCD8+TCRを特定することであって、第1のCD8+TCRが、MHC-I/異種抗原由来ペプチド複合体を認識する、特定することと、(c)第2の対象から1つ以上のCD8+T細胞を単離することと、(d)1つ以上のCD8+T細胞に発現ベクターをトランスフェクトすることであって、発現ベクターが、第2のCD8+TCRをコードする核酸配列と、第2のCD8+TCRをコードする核酸配列に作動可能に連結されたプロモーターとを含み、第2のCD8+TCRが、第1のCD8+TCRのCDR3αおよびCDR3βを含む、トランスフェクトすることと、を含み、それによって、MHC-Iペプチド複合体を認識する1つ以上のCD8+T細胞を生成する、方法に関する。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、異種抗原をコードする核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL18を発現しない。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL128を発現しない。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL130を発現しない。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL128およびUL130を発現しない。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL146およびUL147を発現しない。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL18、UL128、UL130、UL146、またはUL147をコードする核酸配列における1つ以上の変異の存在により、UL18タンパク質、UL128タンパク質、UL130タンパク質、UL146タンパク質、およびUL147タンパク質、またはそれらのオーソログを発現しない。いくつかの実施形態では、UL18、UL128、UL130、UL146、またはUL147をコードする核酸配列における変異は、点変異、フレームシフト変異、切断変異、およびウイルスタンパク質をコードする核酸配列のすべての欠失からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL40をコードする核酸配列またはそのオーソログをさらに含む。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、US28をコードする核酸配列またはそのオーソログをさらに含む。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL82(pp71)またはそのオーソログを発現しない。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、US11またはそのオーソログを発現しない。
【0061】
本開示はまた、MHC-I-ペプチド複合体を認識するCD8+T細胞を生成する方法であって、(a)MHC-I/異種抗原由来ペプチド複合体を認識するCD8+T細胞のセットからMHC-I/異種抗原由来ペプチド複合体を認識する第1のCD8+TCRを特定することであって、CD8+T細胞のセットが、請求項1~11のいずれか一項に記載の組換えHCMVベクターから生成される、特定することと、(b)第2の対象から1つ以上のCD8+T細胞を単離することと、(c)1つ以上のCD8+T細胞に発現ベクターをトランスフェクトすることであって、発現ベクターが、第2のCD8+TCRをコードする核酸配列と、第2のCD8+TCRをコードする核酸配列に作動可能に連結されたプロモーターとを含み、第2のCD8+TCRが、第1のCD8+TCRのCDR3αおよびCDR3βを含む、トランスフェクトすることと、を含み、それによって、MHC-Iペプチド複合体を認識する1つ以上のCD8+T細胞を生成する、方法に関する。
【0062】
いくつかの実施形態では、第1のCD8+TCRは、DNAまたはRNA配列決定によって特定される。
【0063】
いくつかの実施形態では、第2のCD8+TCRをコードする核酸配列は、第1のCD8+TCRをコードする核酸配列と同一である。
【0064】
いくつかの実施形態では、第1の対象は、ヒトである。いくつかの実施形態では、第2の対象は、ヒトである。
【0065】
いくつかの実施形態では、トランスフェクトされたCD8+T細胞は、がんを治療または予防するために第2の対象に投与される。いくつかの実施形態では、がんは、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ芽球性白血病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、悪性黒色腫、乳がん、肺がん、卵巣がん、前立腺がん、膵臓がん、結腸がん、腎細胞がん(RCC)、および生殖細胞腫瘍からなる群から選択される。
【0066】
いくつかの実施形態では、トランスフェクトされたCD8+T細胞は、病原体感染症を治療または予防するために第2の対象に投与される。いくつかの実施形態では、病原体感染症は、ヒト免疫不全ウイルス、単純ヘルペスウイルス1型、単純ヘルペスウイルス2型、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、パピローマウイルス、Plasmodium寄生虫、およびMycobacterium tuberculosisからなる群から選択される病原体によって引き起こされる。
【0067】
いくつかの実施形態では、トランスフェクトされたCD8+T細胞は、宿主自己抗原に対する自己免疫応答を誘導するために第2の対象に投与される。
【0068】
いくつかの実施形態では、病原体特異的抗原は、ヒト免疫不全ウイルス、サル免疫不全ウイルス、単純ヘルペスウイルス1型、単純ヘルペスウイルス2型、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、パピローマウイルス、Plasmodium寄生虫、およびMycobacterium tuberculosisからなる群から選択される。
【0069】
いくつかの実施形態では、腫瘍抗原は、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ芽球性白血病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、悪性黒色腫、乳がん、肺がん、卵巣がん、前立腺がん、膵臓がん、結腸がん、腎細胞がん(RCC)、および生殖細胞腫瘍からなる群から選択されるがんに関連する。
【0070】
いくつかの実施形態では、宿主自己抗原は、T細胞受容体(TCR)の可変領域に由来する抗原またはB細胞受容体の可変領域に由来する抗原である。
【0071】
本開示はまた、対象における病原体感染症を治療または予防する方法であって、CD8+T細胞を対象に投与することを含む、方法に関する。
【0072】
本開示はまた、対象における病原体感染症の治療または予防に使用するための医薬の製造におけるCD8+Tの使用に関する。
【0073】
本開示はまた、対象における病原体感染症の治療または予防に使用するためのCD8+T細胞に関する。
【0074】
本開示はまた、対象におけるがんを治療または予防する方法であって、CD8+T細胞を対象に投与することを含む、方法に関する。
【0075】
本開示はまた、対象におけるがんの治療または予防に使用するための医薬の製造におけるCD8+T細胞の使用に関する。
【0076】
本開示はまた、対象におけるがんの治療または予防に使用するためのCD8+T細胞に関する。
【0077】
本開示はまた、自己免疫疾患または障害を治療する方法であって、CD8+T細胞を対象に投与することを含む、方法に関する。
【0078】
本開示はまた、自己免疫疾患または障害の治療に使用するための医薬の製造におけるCD8+T細胞の使用に関する。
【0079】
本開示はまた、自己免疫疾患または障害の治療に使用するためのCD8+T細胞に関する。
【0080】
本開示はまた、宿主自己抗原に対する自己免疫応答を誘導する方法であって、CD8+T細胞を対象に投与することを含む、方法に関する。
【0081】
本開示はまた、長さが9~15個のアミノ酸であって、LDAWEKIRLRPGGKK(配列番号13)、DAWEKIRLR(配列番号14)、KKAQQAAADTGNSSQ(配列番号15)、KAQQAAADT(配列番号16)、QMVHQAISPRTLNAW(配列番号17)、HQAISPRTL(配列番号18)、NTMLNTVGGHQAAMQ(配列番号19)、VGGHQAAMQ(配列番号20)、STLQEQIGWMTNNPP(配列番号21)、STLQEQIGW(配列番号22)、IVRMYSPVSILDIRQ(配列番号23)、RMYSPVSIL(配列番号24)、QKQEPIDKELYPLAS(配列番号25)、KQEPIDKEL(配列番号26)、SFSFPQITLWQRPLV(配列番号27)、VRQYDQILIEICGKK(配列番号28)、EPFRKQNPDIVIYQL(配列番号29)、YVDGAANRETKLGKA(配列番号30)、EEHEKYSNWRAMAS(配列番号31)、またはILDLWVYHTQGYFPD(配列番号32)のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、または100%同一である、ヒト免疫不全ウイルスMHC-Eスーパートープに関する。
【0082】
いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、1つ以上のヒト免疫不全ウイルス抗原をコードする核酸を含む。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL128を発現しない。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL130を発現しない。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL128およびUL130を発現しない。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL146およびUL147を発現しない。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL18、UL128、UL130、UL146、またはUL147をコードする核酸配列における1つ以上の変異の存在により、UL18タンパク質、UL128タンパク質、UL130タンパク質、UL146タンパク質、およびUL147タンパク質、またはそれらのオーソログを発現しない。いくつかの実施形態では、UL18、UL128、UL130、UL146、またはUL147をコードする核酸配列における変異は、点変異、フレームシフト変異、切断変異、およびウイルスタンパク質をコードする核酸配列のすべての欠失からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL40をコードする核酸配列またはそのオーソログをさらに含む。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、US28をコードする核酸配列またはそのオーソログをさらに含む。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL82(pp71)またはそのオーソログを発現しない。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、US11またはそのオーソログを発現しない。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、マイクロRNA(miRNA)認識エレメント(MRE)をコードする核酸配列をさらに含み、MREは、内皮細胞で発現されるmiRNAの標的部位を含む。いくつかの実施形態では、内皮細胞で発現されるmiRNAは、miR126、miR-126-3p、miR-130a、miR-210、miR-221/222、miR-378、miR-296、またはmiR-328である。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、MREをコードする核酸配列をさらに含み、MREは、骨髄細胞で発現されるmiRNAの標的部位を含む。いくつかの実施形態では、骨髄細胞で発現されるmiRNAは、miR-142-3p、miR-223、miR-27a、miR-652、miR-155、miR-146a、miR-132、miR-21、またはmiR-125である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【
図1】示されたコホートにおけるSIV抗原由来ペプチドプールに応答するCD4+またはCD8+T細胞の平均頻度を示す。SIV抗原を表す重複する(11Aによる)15merペプチドのプールの存在下で、IFNγまたはTNFαについての細胞内サイトカイン染色(ICS)により、末梢血単核細胞(PBMC)において、示される時点でT細胞発生頻度を決定した。必須遺伝子Rh108(UL79)およびRh156(IE2)の3’非翻訳領域においてmir126の認識部位を有し、かつ、SIV抗原であるSIVgag、SIVretanef(rev、tat、およびnefの融合物)、およびSIVpolの5’セグメントを発現する、3つの「MHC-Eのみ」68-1RhCMVベクターで、コホート1を免疫化した。Rh67(UL40)を欠失し、かつ、SIV抗原であるSIVgag、SIVretanef、またはSIVpolの5’セグメントを発現する、3つの「MHC-IIのみ」68-1RhCMVベクターで、コホート2を免疫化した。必須遺伝子Rh108(UL79)およびRh156(IE2)の3’非翻訳領域においてmir142の認識部位を有し、かつ、SIV抗原であるSIVgag、SIVretanef、またはSIVpolの5’セグメントを発現する、3つの「MHC-IIのみ」68-1RhCMVベクターで、コホート3を免疫化した。SIV抗原であるSIVgag、SIVretanef、またはSIVpolの5’セグメントを発現する3つの68-1RhCMVベクターで、コホート4(対照コホート)免疫化した。
【
図2】個々のペプチドの存在下で測定された、示された各コホートでの3匹のアカゲザル(RM)から得られたPBMCにおけるSIVgag特異的CD8+T細胞応答を示す。特異的なCD8+T細胞応答をもたらすペプチドは、ボックスによって示され、ボックスの色は、抗汎(pan)MHC-I mAb W6/32、MHC-EブロッキングペプチドVL9、およびMHC-IIブロッキングペプチドCLIPでブロックすることによって決定されるMHC拘束を示す。
【
図3】コホート1、2、および3におけるRMの用量制限されたSIVmac239の反復チャレンジ後の血漿ウイルス負荷(左パネル)、およびコホート1、2、および3におけるRMのSIVvif特異的CD8+T細胞応答(右パネル)を示す。SIV感染を制御した動物(RMコントローラー)が白色ボックスに示され、非コントローラーが黒色ボックスに示される。コホート2のうちの1匹の動物は、最初はSIV感染を制御したが、CD8+T細胞を欠失したときに制御を失い、このRMが自然発生的なエリートコントローラーであることと合致する。
【
図4】SIVスーパートープ融合構築物の免疫ブロットを示す。テロメア化(telomerized)アカゲザル線維芽細胞(TRF)に感染させるか、または非感染とし、示されたRhCMV構築物および感染した細胞の溶解物を電気泳動で分離後、免疫ブロッティングを行った。SIVスーパートープを含む融合タンパク質を抗HA抗体を用いて可視化し、特異的抗体を使用してウイルスタンパク質IE1、Rh107、およびRh108を検出した。IE抗体を有する擬感染または非感染TRF溶解物において観察されるタンパク質バンドは、非特異的である。
【
図5】
図5Aは、コホート5動物(n=8)のPBMCにおけるSIV抗原由来ペプチドに応答するCD8+T細胞の平均発生頻度を示す。必須遺伝子Rh108(UL79)およびRh156(IE2)の3’非翻訳領域においてmir126の認識部位を有し、かつ、MHC-Eスーパートープ融合タンパク質を発現する、68-1RhCMVベクターでコホート5を免疫化した。SIVスーパートープを表す個々の15merペプチドのプールの存在下でのIFNγまたはTNFαの細胞内サイトカイン染色(ICS)により、末梢血単核細胞(PBMC)において、示される時点でT細胞発生頻度を決定した。
図5Bは、個々のRMにおける特定のMHC-E拘束スーパートープに応答するCD8+T細胞の発生頻度を示す。MHC-E拘束スーパートープ(Gag69およびGag120)および他のMHC-E拘束Gagエピトープを示す。
【
図6】コホート5におけるRMの用量制限されたSIVmac239のチャレンジ後のSIV血漿ウイルス負荷(左パネル)およびSIVvif特異的T細胞応答(右パネル)を示す。RMコントローラーを白色ボックスで示し、非コントローラーを黒色ボックスで示す。SIVvif特異的応答は、コントローラー動物においてSIV感染を「受けたこと」を示している。
【
図7】
図7Aは、SIVgagを発現する68-1RhCMVを接種したRM(n=2)、UL18およびSIVretanefを発現する68-1RhCMVを接種したRM(n=2)、またはUL18およびSIVpolを発現する68-1RhCMVを接種したRM(n=2)におけるSIV抗原ペプチドプールに応答するCD8+T細胞の発生頻度を示す。
図7Bは、各RMにおけるMHC-E拘束スーパートープに応答するCD8+T細胞の発生頻度を示す。
図7Cは、各RMにおけるMHC-II拘束スーパートープに応答するCD8+T細胞の発生頻度を示す。
【
図8】UL18およびSIVpolを発現する68-1RhCMVを接種した3匹のRMから得られたPBMCにおけるSIVpol特異的CD8+T細胞応答を示す。CD8+T細胞応答を個々のペプチドの存在下で測定した。特異的なCD8+T細胞応答をもたらすペプチドは、ボックスによって示され、ボックスの色は、抗汎MHC-I-mAb W6/32、MHC-EブロッキングペプチドVL9、およびMHC-IIブロッキングペプチドCLIPでブロックすることによって決定されるMHC拘束を示す。すべてのペプチド応答は、W6/32でブロックされたが、VL9ペプチドまたはCLIPペプチドではブロックされなかった。したがって、CD8+T細胞は、MHC-Iによって専ら拘束される。
【
図9A】UL18およびSIVpolを発現する68-1RhCMVを接種したRM由来のSIVpolペプチドに応答してIFNγまたはTNFαを生成するCD8+T細胞の発生頻度を示すドットプロットを示す。
【
図9B】UL18D196S変異体およびSIVpolを発現する68-1RhCMVを接種したRM由来のSIVpolペプチドに応答してIFNγまたはTNFαを生成するCD8+T細胞の発生頻度を示すドットプロットを示す。SIVpolまたはMHC-E拘束スーパートープペプチドSIVpol41またはMHC-II拘束スーパートープペプチドSIVpol90を含む、重複する15merペプチドのプールに応答するCD8+T細胞の発生頻度を示す。インタクトなUL18はスーパートープ応答の誘導を妨げるが、これはUL18のD196S変異体では観察されない。
【
図10】HCMV-TR3(Caposio P.et al.2019.Characterization of a live-attenuated HCMV-based vaccine platform.Sci Rep 9:19236)、またはUL18がHIVgag、HIVnef、およびHIVpol融合タンパク質で置き換えられたHCMV-TR3ベースのベクターに感染していないまたは感染した、ヒトMRC5線維芽細胞の免疫ブロットを示す。さらに、UL18欠失ベクターは、UL128、UL130、UL146、およびUL147を欠如しているが、それは、以前の研究により、これらの遺伝子がMHC-E拘束CD8+T細胞応答を阻害することが示されたためである(米国特許第10,532,099号)。さらに、対照のために、HIVgagのp24断片を付加した。上のブロットは、HIVgagタンパク質に対する抗体でプロービングした。下のブロットは、HCMVpp65タンパク質に対する抗体でプロービングした。
【
図11】UL18を欠失したベクターを接種したRMから得られたPBMCにおけるHIVgag、nef、およびpol特異的CD8+T細胞の応答を示す(
図11、n=2)。ワクチン接種後56日目に、抗原の各部分に対応する重複するペプチドのプールを使用して、CD8+T細胞応答を測定した。
【発明を実施するための形態】
【0084】
I.用語
別段で明記しない限り、専門用語は、従来の用法に従って使用される。
【0085】
本明細書に引用されるか、または2019年8月20日に出願された米国特許出願第62/889,310号を含む出願データシートに列挙される、すべての刊行物、特許、特許出願、インターネットサイト、および受託番号/データベース配列(ポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列の両方を含む)は、個々の刊行物、特許、特許出願、インターネットサイト、または受託番号/データベース配列が各々が、参照により組み込まれるように具体的かつ個別に示されているかのように、あらゆる目的のために、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0086】
本明細書に記載されるものと同様または同等の方法および材料が本開示の実施または試験において使用され得るが、好適な方法および材料を以下に記載する。さらに、材料、方法、および例は、例示されるだけであり、限定することを意図しない。本開示の様々な実施形態の検討を容易にするために、具体的な用語の説明を以下に提供する。
【0087】
文脈が別途必要としている場合を除き、本明細書および特許請求の範囲全体を通して、「含む(comprise)」という文言ならびに「含む(comprises)」および「含む(comprising)」などのその変形形態は、開放的、包括的な意味で、すなわち、「含むがこれらに限定されない」と解釈されるべきである。「からなる」とは、本明細書に開示される他の成分の微量元素および実質的な方法工程を除外することを意味する。「から本質的になる」という用語は、特許請求の範囲を、特定の材料もしくはステップ、または特許請求の範囲に記載される発明の基本的な特徴に実質的に影響を与えないものに限定する。例えば、本明細書に定義される構成要素から本質的になる組成物は、単離および精製方法からの微量汚染物質、ならびに薬学的に許容される担体、例えば、リン酸緩衝食塩水、防腐剤などを除外しない。同様に、タンパク質が、該タンパク質の長さの最大20%に寄与し、かつ、タンパク質の活性に実質的に影響を与えない(例えば、タンパク質の活性を50%以下変化させる)追加のアミノ酸を含む場合、タンパク質は、本質的に特定のアミノ酸配列からなる。移行用語のそれぞれによって定義される実施形態は、本発明の範囲内である。
【0088】
抗原:本明細書で使用する場合、「抗原」または「免疫原」という用語は、対象における免疫応答を誘導することができる物質、典型的にはタンパク質を指すために互換的に使用される。この用語はまた、対象に投与したときに(対象に、直接投与するか、またはタンパク質をコードするヌクレオチド配列もしくはベクターを投与することによって)、タンパク質が該タンパク質に対して指向される体液性および/または細胞性免疫応答を誘発することができるという意味で、免疫学的に活性であるタンパク質を指す。
【0089】
抗原特異的T細胞:特定の抗原を認識するCD8+またはCD4+リンパ球。一般に、抗原特異的T細胞は、MHC分子によって提示される特定の抗原に特異的に結合するが、同じMHCによって提示される他の抗原には特異的に結合しない。
【0090】
投与:本明細書で使用する場合、「投与」という用語は、任意の有効な経路により、有効量の外因性抗原を含むCMVベクターを含む組成物などの薬剤を対象に付与または投与することを意味する。例示的な投与経路には、注射(例えば、皮下、筋肉内、皮内、腹腔内、および静脈内)、経口、舌下、直腸、経皮、経鼻、膣、および吸入経路が含まれるが、これらに限定されない。
【0091】
有効量:本明細書で使用する場合、「有効量」という用語は、状態もしくは疾患の徴候もしくは症状を低減もしくは無くす、または抗原に対する免疫応答を誘導するなどの所望の応答を生成するのに十分な薬剤の量、例えば、異種抗原を含むCMVベクター、またはMHC-E/異種抗原由来ペプチド複合体、MHC-II/異種抗原由来ペプチド複合体、もしくはMHC-I/異種抗原由来ペプチド複合体を認識するトランスフェクトされたCD8+T細胞の量を指す。いくつかの例では、「有効量」は、障害または疾患のいずれかの1つ以上の症状および/または根本的な原因を治療する(予防を含む)ものである。有効量は、感染症またはがんに関連する1つ以上の徴候または症状などの特定の疾患または状態の1つ以上の徴候または症状が発症することを防止する量を含む、治療有効量であり得る。
【0092】
異種抗原:本明細書で使用する場合、「異種抗原」という用語は、CMVに由来しない任意のタンパク質またはその断片を指す。異種抗原は、病原体特異的抗原、腫瘍ウイルス抗原、腫瘍抗原、宿主自己抗原、または任意の他の抗原であり得る。
【0093】
過剰増殖性疾患:制御されない細胞増殖を特徴とする疾患または障害。過剰増殖性疾患には、悪性腫瘍および非悪性腫瘍が含まれるが、これらに限定されない。
【0094】
免疫寛容:本明細書で使用する場合、「免疫寛容」は、免疫応答を誘導する能力がある物質に対する免疫系の無応答の状態を指す。個体自身の抗原、例えば、腫瘍抗原に対する自己寛容は、中心性寛容および末梢性寛容機序の両方によって達成される。
【0095】
免疫原性ペプチド:ペプチドがMHC分子に結合して、細胞傷害性Tリンパ球(「CTL」)応答または免疫原性ペプチドが由来する抗原に対するB細胞応答(例えば、抗体産生)を誘導するように、対立遺伝子特異的モチーフまたはN末端反復などの他の配列を含むペプチド。
【0096】
いくつかの実施形態では、免疫原性ペプチドは、配列モチーフ、またはニューラルネットもしくは多項式決定などの当該技術分野で既知の他の方法を使用して特定される。典型的には、特定の親和性で結合する高い可能性を与えるスコアを有し、かつ、免疫原性であるペプチドを選択するためのペプチドの「結合閾値」を決定するために、アルゴリズムが使用される。アルゴリズムは、特定の位置での特定のアミノ酸のMHC結合に対する効果、特定の位置での特定のアミノ酸の抗体結合に対する効果、またはモチーフ含有ペプチド中の特定の置換の結合に対する効果のいずれかに基づく。免疫原性ペプチドの関連内で、「保存された残基」は、ランダム分布によって予想されるよりも有意に高い頻度で、ペプチド中の特定の位置に現れる残基である。いくつかの実施形態では、保存された残基は、MHC構造が免疫原性ペプチドとの接触点を提供し得る残基である。
【0097】
マイクロRNA:本明細書で使用する場合、「マイクロRNA」とう用語は、遺伝子発現の制御に関与する生体分子の主要なクラスを指す。例えば、ヒトの心臓、肝臓、または脳において、miRNAは、組織仕様または細胞系統決定における役割を果たし、さらに、miRNAは、早期発達、細胞増殖、および細胞死、ならびにアポトーシスおよび脂肪代謝を含む様々なプロセスに影響を与える。多数のmiRNA遺伝子、多様な発現パターン、および潜在的なmiRNA標的が豊富であることは、miRNAが遺伝的多様性の重要な供給源であり得ることを示唆している。
【0098】
成熟miRNAは、典型的には、miRNAに相補的な配列を含むmRNAの発現を調節する8~25ヌクレオチドの非コードRNAである。これらの小さなRNA分子は、mRNAの安定性および/または翻訳を調節することによって遺伝子発現を制御することが既知である。例えば、miRNAは、標的mRNAの3’UTRに結合し、翻訳を抑制する。miRNAはまた、標的mRNAに結合し、RNAi経路を介して遺伝子サイレンシングを媒介し得る。miRNAはまた、クロマチン凝縮を引き起こすことによって遺伝子発現を調節し得る。
【0099】
miRNAは、miRNA転写産物上のどこかでmiRNAと直接塩基対を形成してmiRNAと相互作用する任意の配列として定義されるmiRNA認識エレメント(MRE)に結合することによって、1つ以上の特異的mRNA分子の翻訳をサイレンシングする。MREは、多くの場合、mRNAの3’非翻訳領域(UTR)に存在するが、MREは、コード配列または5’UTRにも存在し得る。MREは、必ずしもmiRNAに対して完全な相補体ではなく、通常、miRNAに対して相補性であるいくつかの塩基のみしか有さず、多くの場合、それらの相補性の塩基内に1つ以上のミスマッチを含む。MREは、MREが作動可能に連結されている遺伝子(インビボでの増殖に必須であるかまたはそれを増強するCMV遺伝子など)の翻訳がRISCなどのmiRNAサイレンシング機序によって抑制されるように、miRNAによって十分に結合可能な任意の配列であり得る。
【0100】
変異:本明細書で使用する場合、「変異」という用語は、正常な配列、コンセンサス配列、または「野生型」配列由来の核酸またはポリペプチド配列における任意の差異を指す。変異体は、変異を含む任意のタンパク質または核酸配列である。さらに、変異を有する細胞または生物は、変異体と称され得る。コード配列変異のいくつかの種類には、点変異(個々のヌクレオチドまたはアミノ酸の差異)、サイレント変異(アミノ酸変化をもたらさないヌクレオチドの差異)、欠失(1つ以上のヌクレオチドまたはアミノ酸を失う差異、最大で遺伝子のコード配列全体の欠失を含む)、フレームシフト変異(3によって割ることができない多くのヌクレオチドの欠失がアミノ酸配列の変化をもたらす差異)が含まれる。アミノ酸の差異をもたらす変異は、アミノ酸置換変異とも呼ばれ得る。アミノ酸置換変異は、アミノ酸配列中の特定の位置における野生型に対するアミノ酸変化によって説明され得る。
【0101】
ヌクレオチド配列または核酸配列:「ヌクレオチド配列」および「核酸配列」という用語は、メッセンジャーRNA(mRNA)、DNA/RNAハイブリッド、または合成核酸を含むがこれらに限定されない、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)配列を指す。核酸は、一本鎖、または部分的もしくは完全に二本鎖(二重鎖)であり得る。二重鎖核酸は、ホモ二重鎖またはヘテロ二重鎖であり得る。
【0102】
作動可能に連結:「作動可能に連結された」という用語を本明細書で使用する場合、第1の核酸配列が第2の核酸配列に影響を及ぼすような様式で配置されるときに、第1の核酸配列は、第2の核酸配列と作動可能に連結される。作動可能に連結されたDNA配列は、連続であり得、または離れて作動し得る。
【0103】
プロモーター:本明細書で使用する場合、「プロモーター」という用語は、核酸の転写を指示する多くの核酸制御配列のうちのいずれかを指し得る。典型的には、真核生物プロモーターは、ポリメラーゼII型プロモーターの場合などの転写の開始部位近くに必要な核酸配列、TATAエレメント、または1つ以上の転写因子によって認識される任意の他の特異的DNA配列が含まれる。プロモーターによる発現は、エンハンサーまたはリプレッサーエレメントによってさらに調節され得る。プロモーターの多数の例が利用可能であり、当業者に周知である。特定のポリペプチドをコードする核酸配列と作動可能に連結されたプロモーターを含む核酸は、発現ベクターと称され得る。
【0104】
組換え:本明細書で使用する場合、核酸またはポリペプチドに関して「組換え」という用語は、天然に存在しない配列を有するものか、または異種抗原を含むCMVベクターなどの、分離された2つ以上の配列セグメントの人工的な組み合わせによって作製された配列を有するものを指す。この人工的な組み合わせは、多くの場合、化学合成によって達成され、またはより一般的には、単離された核酸セグメントの人工的な操作、例えば、遺伝子工学技術によって達成される。組換えポリペプチドは、ポリペプチドの天然供給源ではない宿主生物に転写される組換え核酸(例えば、異種抗原を含むCMVベクターを形成するポリペプチドをコードする核酸)を含む組換え核酸を使用して作製されたポリペプチドも指し得る。
【0105】
薬学的に許容される担体:本明細書で使用する場合、使用される「薬学的に許容される担体」は、従来のものである。Remington’s Pharmaceutical Sciences,by E.W.Martin,Mack Publishing Co.,Easton,PA,19th Edition,1995は、本明細書に開示される組成物の薬学的送達に好適な組成物および製剤を記載している。一般に、担体の性質は、使用される特定の投与様式に依存する。例えば、非経口製剤は、通常、ビヒクルとして、水、生理食塩水、平衡塩溶液、水性デキストロース、グリセロールなどの薬学的および生理学的に許容される流体を含む、注射可能な流体を含む。固体組成物(散剤、丸剤、錠剤、またはカプセル形態など)のために、従来の非毒性固体担体は、例えば、医薬グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、またはステアリン酸マグネシウムを含み得る。生物学的に中性の担体に加えて、投与される医薬組成物は、少量の非毒性補助物質、例えば、湿潤剤または乳化剤、防腐剤、およびpH緩衝剤など、例えば、酢酸ナトリウムまたはソルビタンモノラウレートを含み得る。
【0106】
ポリヌクレオチド:本明細書で使用する場合、「ポリヌクレオチド」という用語は、リボ核酸(RNA)またはデオキシリボ核酸(DNA)のポリマーを指す。ポリヌクレオチドは、アデニン、シトシン、グアニン、およびチミン/ウラシル(ウラシルはRNAで使用される)の4つの塩基からなる。核酸由来のコード配列は、核酸によってコードされるタンパク質の配列を示す。
【0107】
ポリペプチド:「タンパク質」、「ペプチド」、「ポリペプチド」、および「アミノ酸配列」という用語は、任意の長さのアミノ酸残基のポリマーを指すために本明細書で互換的に使用される。ポリマーは、直鎖状または分枝状であり得、修飾されたアミノ酸またはアミノ酸類似体を含み得、アミノ酸以外の化学部分によって中断され得る。この用語はまた、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または標識もしくは生物活性成分との結合などの任意の他の操作もしくは修飾などの、天然で修飾されたまたは介入によって修飾されたアミノ酸ポリマーを包含する。
【0108】
タンパク質のオーソログは、典型的には、デフォルトパラメータに設定されたALIGNを使用して、特定のタンパク質のアミノ酸配列との全長アラインメントにわたってカウントされる75%超の配列同一性を有することによって特徴付けられる。参照配列とさらに大きな類似性を有するタンパク質は、この方法によって評価したときに、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、または少なくとも98%の配列同一性などの増加した同一性パーセンテージを示す。さらに、配列同一性は、本開示のペプチドの特定のドメインの完全長にわたって比較することができる。
【0109】
配列同一性/類似性:本明細書で使用する場合、2つ以上の核酸配列間または2つ以上のアミノ酸配列間の同一性/類似性は、配列間の同一性または類似性に関して表される。配列同一性は、同一性パーセンテージに関して測定され得、パーセンテージが高いほど、配列はより同一である。配列類似性は、(保存的アミノ酸置換を考慮に入れた)同一性または類似性パーセンテージに関して測定され得、パーセンテージが高いほど、配列が類似している。有意な量の配列同一性を有し、かつ、互いに同じまたは類似した機能も発揮するポリペプチドまたはそのタンパク質ドメイン(例えば、異なる種において同じ機能を果たすタンパク質またはタンパク質の機能もしくはその大きさを変化させないタンパク質の変異形態)は、「ホモログ」と呼ばれ得る。
【0110】
比較のための配列のアラインメント方法は、当該技術分野で周知である。様々なプログラムおよびアラインメントアルゴリズムが、Smith & Waterman,Adv Appl Math 2,482(1981)、Needleman & Wunsch,J Mol Biol 48,443(1970)、Pearson & Lipman,Proc Natl Acad Sci USA 85,2444(1988)、Higgins & Sharp,Gene 73,237-244(1988)、Higgins & Sharp,CABIOS 5,151-153(1989)、Corpet et al,Nuc Acids Res 16,10881-10890(1988)、Huang et al,Computer App Biosci 8,155-165(1992)、およびPearson et al,Meth Mol Bio 24,307-331(1994)に記載される。さらに、Altschul et al,J Mol Biol 215,403-410(1990)は、配列アラインメント方法および相同性計算の詳細な考察を提供する。
【0111】
NCBI Basic Localアラインメント検索ツール(BLAST)(上記のAltschul et al,(1990)は、配列分析プログラムblastp、blastn、blastx、tblastn、およびtblastxに関連した使用のために、国立生物工学情報センター(NCBI、National Library of Medicine、Building 38A,Room 8N805,Bethesda,MD 20894)およびインターネットを含むいくつかの供給源から入手可能である。追加の情報は、NCBIのウェブサイトで見出し得る。
【0112】
BLASTNは、核酸配列の比較に使用され、BLASTPは、アミノ酸配列の比較に使用される。比較した2つの配列が相同性を有する場合、指定された出力ファイルはそれらの相同性領域をアラインメントされた配列として提示する。2つの比較された配列が相同性を有しない場合、指定された出力ファイルはアラインメントされた配列を提示しない。
【0113】
アラインした際に、同一のヌクレオチドまたはアミノ酸残基が両方の配列において提示されている位置の数をカウントすることにより、一致する数が決定される。配列同一性パーセントは、一致する数を、特定された配列中に示される配列の長さまたは連接した(articulated)長さ(特定された配列中に示される配列由来の100個の連続したヌクレオチドまたはアミノ酸残基など)のいずれかで割り、続いて、得られた値を100倍することによって決定される。例えば、1166個の一致を有する核酸配列は、1154個のヌクレオチドを有する試験配列とアラインしたときに、試験配列と75.0パーセント同一である(1166÷1554*100=75.0)。配列同一性パーセント値は、切り捨てを行って最も近い10分の1とする。例えば、75.11、75.12、75.13、および75.14は切り捨てを行って75.1となり、75.15、75.16、75.17、75.18、および75.19は切り捨てを行って75.2となる。長さの値は常に整数である。別の例では、以下のように、特定された配列由来の20個の連続したヌクレオチドとアラインする20個のヌクレオチド領域を含む標的配列は、その特定された配列と75パーセントの配列同一性を有する領域を含む(すなわち、15÷20×100=75)。
【0114】
アミノ酸が約30より大きいアミノ酸配列の比較のために、Blast2配列機能を使用し、デフォルトパラメータに設定されたデフォルトBLOSUM62マトリックス(ギャップ存在コスト(gap existence cost)11および1残基当たりギャップコスト(per residue gap cost)1)を用いる。ホモログは、典型的には、NCBI Basic Blast2.0、nrデータベース、swissprotデータベース、および特許取得配列データベースなどのデータベースを用いたギャップド(gapped)blastpを使用して、アミノ酸配列との全長アラインメントにわたってカウントされる少なくとも70%の配列同一性を有することを特徴とする。blastnプログラムで検索されたクエリは、DUSTでフィルタリングされる(Hancock & Armstrong,Comput Appl Biosci 10,67-70(1994))。他のプログラムはSEGを使用する。さらに、手動アラインメントを行い得る。さらにより大きな類似性を有するタンパク質は、この方法によって評価したときに、タンパク質と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%の配列同一性などの増加した同一性パーセンテージを示す。
【0115】
短いペプチド(約30アミノ酸未満)をアラインメントする場合、Blast2配列機能を使用し、デフォルトパラメータ(オープンギャップ9、伸長ギャップ1ペナルティ)に設定されたPAM30マトリックスを用いて、アラインメントを行う。参照配列とさらにより大きい類似性を有するタンパク質は、この方法によって評価したときに、タンパク質と少なくとも約60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%の配列同一性などの増加した同一性パーセンテージを示す。全配列未満を配列同一性について比較する場合、ホモログは、典型的には、10~20個のアミノ酸の短い窓にわたって少なくとも75%の配列同一性を有し、参照配列との同一性に依存して少なくとも85%、90%、95%、または98%の配列同一性を有し得る。そのような短いウィンドウでの配列同一性を決定するための方法は、NCBIウェブサイトに記載されている。
【0116】
2つの核酸分子が密接に関連していることを示す1つの指標は、上記のように、2つの分子がストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズすることである。それにもかかわらず、高い程度の同一性を示さない核酸配列は、遺伝子コードの縮重により、同一または類似の(保存された)アミノ酸配列をコードし得る。すべてが実質的に同じタンパク質をコードする複数の核酸分子を生成するために、核酸配列における変化は、この変性を使用して行われ得る。そのような相同な核酸配列は、例えば、タンパク質をコードする核酸と少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、または99%の配列同一性を有することができる。
【0117】
対象:本明細書で使用する場合、「対象」という用語は、ヒトおよび非ヒト哺乳動物の両方を含むカテゴリーである、生きている多細胞脊椎動物を指す。
【0118】
スーパートープ:本明細書で使用される「スーパートープ」または「スーパートープペプチド」という用語は、MHCハプロタイプに関係なく、すなわち、所与のMHC-I、MHC-II、またはMHC-E対立遺伝子の存在の有無によらず、ヒト集団の約90%超においてT細胞によって認識されるエピトープまたはペプチドを指す。
【0119】
治療:本明細書で使用する場合、「治療」という用語は、疾患または病的状態の徴候または症状を改善する介入を指す。本明細書で使用する場合、疾患、病的状態または症状に関する「治療(treatment)」、「治療する(treat)」、および「治療する(treating)」という用語はまた、治療の任意の観察可能な有益な効果を指す。有益な効果は、例えば、罹患しやすい対象における疾患の臨床症状の発症の遅延、いくつかまたはすべての疾患臨床症状の重症度の低減、疾患の進行の遅延、疾患の再発数の低減、対象の全体的な健康または福祉の改善、または特定の疾患に特異的な当該技術分野で周知の他のパラメータによって証明付けされ得る。予防的治療は、病状を発症するリスクを低下させる目的で、疾患の徴候を示さない、または初期徴候のみを示す対象に施される治療である。療法的治療(therapeutic treatment)は、疾患の徴候および症状が発現した後に対象に施される治療である。
【0120】
ワクチン:疾患または他の病的状態に対する能動免疫などの免疫を付与するために、ヒトなどの哺乳動物に投与することができる免疫原性組成物。ワクチンは、予防的または治療的に使用することができる。したがって、ワクチンは、疾患(腫瘍もしくは病的感染症など)を発症する可能性を低減するか、または疾患もしくは状態の症状の重症度を低減するか、または疾患もしくは状態(腫瘍もしくは病的感染症など)の進行を制限するか、または疾患もしくは状態(腫瘍など)の再発を制限するために使用することができる。特定の実施形態では、ワクチンは、肺、前立腺、卵巣、乳房、結腸、子宮頸部、肝臓、腎臓、骨の腫瘍、または黒色腫に由来する腫瘍関連抗原などの異種抗原を発現する複製欠損CMVである。
【0121】
ベクター:特定の配列の核酸分子をベクターに組み込むことができ、次いで該ベクターは宿主細胞に導入され、それによって、形質転換された宿主細胞が生成される。ベクターは、宿主細胞においてその複製を可能にする核酸配列、例えば、複製起点を含み得る。ベクターはまた、1つ以上の選択可能なマーカー遺伝子、および核酸発現を指示するプロモーターエレメントを含む当該技術分野で既知の他の遺伝子エレメントを含み得る。ベクターは、CMVベクターなどのウイルスベクターであり得る。ウイルスベクターは、野生型ウイルスまたは複製欠損ウイルスを含む減弱ウイルスから構築され得る。
【0122】
II.HCMVのUL18によるT細胞応答の調節方法
本明細書では、HCMVのUL18によるT細胞応答の調節方法を開示する。本方法は、有効量の、少なくとも1つの異種抗原を含む少なくとも1つの組換えHCMVベクターを対象に投与することを含み、HCMVベクターは、UL18を発現しない。
【0123】
いくつかの実施形態では、方法は、少なくとも1つの異種抗原に対するCD8+T細胞応答を誘発するのに有効な量のHCMVベクターを対象に投与することを含む、少なくとも1つの異種抗原に対する免疫応答を生成することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、少なくとも1つの異種抗原に対してCD8+T細胞応答を誘発するのに有効な量のHCMVベクターを投与することを含む、対象におけるがんを治療または予防することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、少なくとも1つの異種抗原に対するCD8+T細胞応答を誘発するのに有効な量のHCMVベクターを投与することを含む、対象における病原体感染症を治療または予防することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、少なくとも1つの異種抗原に対するCD8+T細胞応答を誘発するのに有効な量のHCMVベクターを対象に投与することを含む、対象における自己免疫疾患または障害を治療することをさらに含む。
【0124】
いくつかの実施形態では、UL18欠損HCMVベクターはまた、UL128、UL130、UL146、またはUL147をコードする核酸配列における変異の存在により、UL128、UL130、UL146、またはUL147タンパク質を発現しない。さらに、UL18欠損HCMVベクターのいずれかは、US11および/またはUL82をコードする核酸配列における変異の存在により、US11および/またはUL82タンパク質を欠損し得る。変異は、活性タンパク質の発現の欠如をもたらす任意の変異であり得る。そのような変異には、点変異、フレームシフト変異、タンパク質をコードする配列のすべて未満の欠失(切断変異)、もしくはタンパク質をコードする核酸配列のすべての欠失、または任意の他の変異が含まれ得る。
【0125】
いくつかの実施形態では、HCMVベクターは、UL18、UL128、UL130、UL146、およびUL147を欠如し、UL40およびUS28を発現する。
【0126】
いくつかの実施形態では、HCMVベクターは、マイクロRNA(miRNA)認識エレメント(MRE)をコードする核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、HCMVベクターは、UL18、UL128、UL130、UL146、およびUL147(および任意選択的にUL82)を欠如し、UL40およびUS28を発現し、MREは、内皮細胞で発現されるマイクロRNAの標的部位を含む。内皮細胞で発現されるそのようなmiRNAの例は、miR126、miR-126-3p、miR-130a、miR-210、miR-221/222、miR-378、miR-296、およびmiR-328である。いくつかの実施形態では、HCMVベクターは、UL18を欠如し、MREは、骨髄細胞で発現されるマイクロRNAの標的部位を含む。骨髄細胞で発現されるそのようなmiRNAの例は、miR-142-ep、miR-223、miR-27a、miR-652、miR-155、miR-146a、miR-132、miR-21、およびmiR-125である。
【0127】
MREは、内皮細胞によって発現されるmiRNAの存在下で発現をサイレンシングする任意のmiRNA認識エレメントであり得る。MREは、骨髄細胞によって発現されるmiRNAの存在下で発現をサイレンシングする任意のmiRNA認識エレメントであり得る。そのようなMREは、miRNAの正確な相補体であり得る。あるいは、他の配列を所与のmiRNAのためのMREとして使用し得る。例えば、MREは、配列から予測され得る。一例では、miRNAは、ウェブサイトmicroRNA.org(www.microrna.org)で検索され得る。次いで、miRNAのmRNA標的のリストが列挙される。そのページの列挙された各標的について、「アラインメントの詳細」にアクセスし、推定MREにアクセスし得る。
【0128】
当業者は、文献から、マクロファージなどの骨髄細胞で発現されるmiRNAの存在下でサイレンシングを誘導すると予測される妥当な、推定の、または変異したMRE配列を選択し得る。一例には、上記の参照のウェブサイトが含まれる。次いで、当業者は、レポーター遺伝子(蛍光タンパク質、酵素、または他のレポーター遺伝子など)が、構成的に活性なプロモーターまたは細胞特異的プロモーターなどのプロモーターによって駆動される発現を有する、発現構築物を取得し得る。次いで、MRE配列を発現構築物に導入し得る。発現構築物を適切な細胞にトランスフェクトし、細胞には関心のあるmiRNAをトランスフェクトし得る。レポーター遺伝子の発現の欠如は、MREがmiRNAの存在下で遺伝子発現をサイレンシングしていることを示す。
【0129】
いくつかの実施形態では、異種抗原は、病原体特異的抗原、腫瘍抗原、腫瘍特異的抗原、または宿主自己抗原であり得る。いくつかの実施形態では、宿主自己抗原は、T細胞受容体(TCR)の可変領域に由来し、またはB細胞受容体の可変領域に由来する抗原である。
【0130】
病原体特異的抗原は、例えば、ヒト免疫不全ウイルス、サル免疫不全ウイルス、単純ヘルペスウイルス1型、単純ヘルペスウイルス2型、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、パピローマウイルス、Plasmodium寄生虫、Clostridium tetani、およびMycobacterium tuberculosisに由来し得る。
【0131】
腫瘍抗原は、腫瘍細胞に比較的限定され、免疫応答を誘導する任意のタンパク質であり得る。しかしながら、多くの腫瘍抗原は、宿主(自己)タンパク質であり、したがって、典型的には、宿主免疫系によって抗原性とみなされない。腫瘍抗原はまた、がん細胞によって異常発現され得る。腫瘍抗原はまた、がん細胞で発現される生殖細胞系列/精巣抗原、成人組織で発現されない細胞系統分化抗原、またはがん細胞で過剰発現される抗原であり得る。腫瘍抗原には、前立腺酸性ホスファターゼ(PAP);ウィルムス腫瘍抑制タンパク質(WT1);メソテリン(MSLN);Her-2(HER2);HPV16株のヒトパピローマウイルス抗原E6;HPV16株のヒトパピローマウイルス抗原E7;HPV18株のヒトパピローマウイルス抗原E6;HPV18株のヒトパピローマウイルス抗原E7;HPV16およびHPV18株由来のヒトパピローマウイルスE6およびE7の融合タンパク質;ムチン1(MUC1);LMP2;皮成長因子受容体(EGFR);p53;ニューヨーク食道1(NY-ESO-1);前立腺特異的膜抗原(PSMA);GD2、がん胎児性抗原(CEA);黒色腫抗原a/T細胞によって認識される黒色腫抗原1(MelanA/MART1);Ras;gp100、プロテイナーゼ3(PR1)、Bcr-abl;サバイビン;前立腺特異的抗原(PSA);ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT);EphA2;ML-IAP;アルファフェトタンパク質(AFP);EpCAM;ERG;NA17;PAX3;ALK;アンドロゲン受容体(AR);サイクリンB1;MYCN;RhoC;チロシン関連タンパク質2(TRP-2);GD3;フコシルGM1;PSCA;sLe(a);CYP1B1;PLCA1;GM3;BORIS;Tn;グロボH(GloboH);Etsバリアント遺伝子6/急性骨髄性白血病1遺伝子ETS(ETV6-AML);NY-BR-1;RGS5;扁平上皮抗原拒絶腫瘍または3(SART3);STn;炭酸脱水酵素IX;PAX5;OY-TES1;精子タンパク質17;LCK;HMWMAA;AKAP-4;SSX2;B7H3;レグマイン;Tie2;Page4;VEGFR2;MAD-CT-1;FAP;PDGFR;MAD-CT-2;Fos関連抗原1;TAG-72;9D7;EphA3;テロメラーゼ;SAP-1;BAGEファミリー;CAGEファミリー;GAGEファミリー;MAGEファミリー;SAGEファミリー;XAGEファミリー;黒色腫優先発現抗原(PRAME);メラノコルチン1受容体(MC1R);β-カテニン;BRCA1/2;CDK4;慢性骨髄性白血病66(CML66);TGF-βが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、宿主自己抗原には、前立腺酸性ホスファターゼ、ウィルムス腫瘍抑制タンパク質、メソテリン、またはHer-2が含まれる。
【0132】
いくつかの実施形態では、腫瘍抗原は、がんに由来する。がんには、急性リンパ芽球性白血病;急性骨髄性白血病;副腎皮質がん;エイズ関連のがん;エイズ関連リンパ腫;肛門がん;虫垂がん;星状細胞腫、小児小脳または大脳;基底細胞がん;胆管がん、肝外;膀胱がん;骨のがん、骨肉腫/悪性線維性組織球腫;脳幹神経膠腫;脳腫瘍;脳腫瘍、小脳星状細胞腫;脳腫瘍、大脳星状細胞腫/悪性神経膠腫;脳腫瘍、上衣腫;脳腫瘍、髄芽腫;脳腫瘍、テント上原始神経外胚葉性腫瘍;脳腫瘍、視覚経路および視床下部神経膠腫;乳がん;気管支腺腫/カルチノイド;バーキットリンパ腫;カルチノイド腫瘍、小児;カルチノイド腫瘍、胃腸;原発不明がん;中枢神経系リンパ腫、原発性;小脳星状細胞腫、小児;大脳星状細胞腫/悪性神経膠腫、小児;子宮頚がん;小児がん;慢性リンパ性白血病;慢性骨髄性白血病;慢性骨髄増殖性疾患;結腸がん;皮膚T細胞リンパ腫;線維形成性小円形細胞腫瘍;子宮内膜がん;上衣腫;食道がん;ユーイング腫瘍ファミリーにおけるユーイング肉腫;頭蓋外胚細胞腫瘍、小児;性腺外胚細胞腫瘍;肝外胆管がん;眼のがん、眼内黒色腫;眼のがん、網膜芽細胞腫;胆嚢がん;胃(Gastric)(胃(Stomach))がん;消化管カルチノイド腫瘍;消化管間質腫瘍(GIST);胚細胞腫瘍:頭蓋外、性腺外、または卵巣;妊娠性絨毛腫瘍;脳幹の神経膠腫;神経膠腫、小児大脳星状細胞腫;神経膠腫、小児視覚経路および視床下部;胃カルチノイド;有毛細胞白血病;頭頸部がん;心臓がん;肝細胞(肝臓)がん;ホジキンリンパ腫;下咽頭がん;視床下部および視覚経路神経膠腫、小児;眼内黒色腫;膵島細胞がん(内分泌膵臓);カポジ肉腫;腎臓がん(腎細胞がん);喉頭がん;白血病;白血病、急性リンパ芽球性(急性リンパ性白血病とも呼ばれる);白血病、急性骨髄性(急性骨髄性白血病とも呼ばれる);白血病、慢性リンパ性白血病(慢性リンパ性白血病とも呼ばれる);白血病、慢性骨髄性(myelogenous)(慢性骨髄性(myeloid)白血病とも呼ばれる);白血病、有毛細胞;唇および口腔がん;肝臓がん(原発性);肺がん、非小細胞;肺がん、小細胞;リンパ腫;リンパ腫、エイズ関連;リンパ腫、バーキット;リンパ腫、皮膚T細胞;リンパ腫、ホジキン;リンパ腫、非ホジキン(ホジキンを除くすべてのリンパ腫の古い分類);リンパ腫、原発性中枢神経系;マーカスホイットル、致死性疾患;マクログロブリン血症、ワルデンシュトレーム;骨の悪性線維性組織球腫/骨肉腫;髄芽腫、小児;黒色腫;黒色腫、眼内(眼);メルケル細胞がん;中皮腫、成人悪性;中皮腫、小児;原発不明の転移性頸部扁平上皮がん;口腔がん;多発性内分泌腫瘍症候群、小児期;多発性骨髄腫/形質細胞新生物;菌状息肉腫;骨髄異形成症候群;骨髄異形成/骨髄増殖性疾患;骨髄性白血病、慢性;骨髄性白血病、成人急性;骨髄性白血病、小児急性;骨髄腫、多発性(骨髄のがん);骨髄増殖性疾患、慢性;鼻腔および副鼻腔がん;鼻咽頭がん;神経芽腫;非ホジキンリンパ腫;非小細胞肺がん;口腔がん;中咽頭がん;骨肉腫/骨の悪性線維性組織球腫;卵巣がん;卵巣上皮がん(表層上皮性・間質腫瘍);卵巣胚細胞腫瘍;卵巣低悪性度腫瘍;膵臓がん;膵臓がん、膵島細胞;副鼻腔および鼻腔がん;副甲状腺がん;陰茎がん;咽頭がん;褐色細胞腫;松果体星状細胞腫;松果体胚細胞腫;松果体芽腫およびテント上原始神経外胚葉性腫瘍、小児;下垂体腺腫;形質細胞新生物/多発性骨髄腫;胸膜肺芽腫;原発性中枢神経系リンパ腫;前立腺がん;直腸がん;腎細胞がん(腎臓がん);腎盂および尿管、移行上皮がん;網膜芽腫;横紋筋肉腫、小児;唾液腺がん;肉腫、ユーイング腫瘍ファミリー;肉腫、カポジ;肉腫、軟部組織;肉腫、子宮;セザリー症候群;皮膚がん(非黒色腫);皮膚がん(黒色腫);皮膚がん、メルケル細胞;小細胞肺がん;小腸がん;軟部肉腫;扁平上皮がん-皮膚がん(非黒色腫)を参照されたい;原発不明の頸部扁平上皮がん、転移性;胃がん;テント上原始神経外胚葉性腫瘍、小児;T細胞リンパ腫、皮膚(菌状息肉腫およびセザリー症候群);精巣がん;咽喉がん;胸腺腫、小児;胸腺腫および胸腺がん;甲状腺がん;甲状腺がん、小児;腎盂および尿管の移行上皮がん;絨毛性腫瘍、妊娠;原発部位不明のがん、成人;原発部位不明のがん、小児;尿管および腎盂、移行上皮がん;尿道がん;子宮がん、子宮内膜;子宮肉腫;膣がん;視覚経路および視床下部神経膠腫、小児;外陰がん;ワルデンシュトレームマクログロブリン血症;およびウィルムス腫瘍(腎臓がん)が含まれるが、これに限定されない。
【0133】
いくつかの実施形態では、病原体特異的抗原は、MHC-Eスーパートープである。いくつかの実施形態では、MHC-Eスーパートープは、HIVエピトープである。いくつかの実施形態では、MHC-Eスーパートープは、LDAWEKIRLRPGGKK(配列番号13)、DAWEKIRLR(配列番号14)、KKAQQAAADTGNSSQ(配列番号15)、KAQQAAADT(配列番号16)、QMVHQAISPRTLNAW(配列番号17)、HQAISPRTL(配列番号18)、NTMLNTVGGHQAAMQ(配列番号19)、VGGHQAAMQ(配列番号20)、STLQEQIGWMTNNPP(配列番号21)、STLQEQIGW(配列番号22)、IVRMYSPVSILDIRQ(配列番号23)、RMYSPVSIL(配列番号24)、QKQEPIDKELYPLAS(配列番号25)、KQEPIDKEL(配列番号26)、SFSFPQITLWQRPLV(配列番号27)、VRQYDQILIEICGKK(配列番号28)、EPFRKQNPDIVIYQL(配列番号29)、YVDGAANRETKLGKA(配列番号30)、EEHEKYSNWRAMAS(配列番号31)、またはILDLWVYHTQGYFPD(配列番号32)と少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%同一である。いくつかの実施形態では、MHC-Eスーパートープのうちの1つ以上は、融合タンパク質を生成するために使用される。融合タンパク質は、任意の順序で、MHC-Eスーパートープのうちの1つ以上を含み得る。
【0134】
いくつかの実施形態では、HCMVベクターは、少なくとも1つの異種抗原に対するCD8+T細胞応答を誘発するのに有効な量で投与される。いくつかの実施形態では、ベクターによって誘発されるCD8+T細胞応答は、MHC-Eによって提示されるエピトープに対して指向されるCD8+T細胞の少なくとも10%を有することを特徴とする。さらなる例では、CD8+T細胞の少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%が、MHC-Eによって拘束される。いくつかの実施形態では、MHC-Eによって拘束されるCD8+T細胞は、ベクターで免疫化した他の対象の少なくとも90%によって保有されるペプチドを認識した。いくつかの実施形態では、CD8+T細胞は、MHC-Eによって提示されるスーパートープに対して指向される。
【0135】
いくつかの実施形態では、方法は、HCMVベクターから誘発されるCD8+T細胞から、CD8+T細胞受容体(TCR)を特定することをさらに含む。
【0136】
TCRは、DNAまたはRNA配列決定によって特定され得る。いくつかの実施形態では、CD8+TCRは、MHC-E/異種抗原由来ペプチド複合体を認識する。いくつかの実施形態では、CD8+TCRは、MHC-Eスーパートープを認識する。いくつかの実施形態では、MHC-Eスーパートープは、ヒト免疫不全ウイルスエピトープである。いくつかの実施形態では、MHC-Eスーパートープは、LDAWEKIRLRPGGKK(配列番号13)、DAWEKIRLR(配列番号14)、KKAQQAAADTGNSSQ(配列番号15)、KAQQAAADT(配列番号16)、QMVHQAISPRTLNAW(配列番号17)、HQAISPRTL(配列番号18)、NTMLNTVGGHQAAMQ(配列番号19)、VGGHQAAMQ(配列番号20)、STLQEQIGWMTNNPP(配列番号21)、STLQEQIGW(配列番号22)、IVRMYSPVSILDIRQ(配列番号23)、RMYSPVSIL(配列番号24)、QKQEPIDKELYPLAS(配列番号25)、KQEPIDKEL(配列番号26)、SFSFPQITLWQRPLV(配列番号27)、VRQYDQILIEICGKK(配列番号28)、EPFRKQNPDIVIYQL(配列番号29)、YVDGAANRETKLGKA(配列番号30)、EEHEKYSNWRAMAS(配列番号31)、またはILDLWVYHTQGYFPD(配列番号32)と少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%同一である。
【0137】
いくつかの実施形態では、方法は、UL128、UL130、UL146、およびUL147(および任意選択でUL82)のオーソログの発現を欠損し、かつ、UL40およびUS28のオーソログを発現する、アカゲザルまたはカニクイザルマカクCMV(RhCMVまたはCyCMV)などの非ヒト霊長類CMVによって誘発されたCD8+T細胞からMHC-E拘束CD8+T細胞受容体(TCR)を特定するための、スーパートープペプチドの使用をさらに含む。MHC-E拘束CD+T細胞は、RhCMVを用いてアカゲザルマカクで誘発されるか、またはCyCMVを用いてカニクイザルマカクで誘発される。
【0138】
いくつかの実施形態では、HCMVベクターによって誘発されるCD8+T細胞応答は、MHC-IIによって提示されるエピトープに対して指向されるCD8+T細胞の少なくとも10%を有することを特徴とする。さらなる例では、CD8+T細胞の少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%は、MHC-IIによって拘束される。いくつかの実施形態では、MHC-IIによって拘束されるCD8+T細胞は、ベクターで免疫化した他の対象の少なくとも90%によって保有されるペプチドを認識した。いくつかの実施形態では、CD8+T細胞は、MHC-IIによって提示されるスーパートープに対して指向される。
【0139】
いくつかの実施形態では、方法は、HCMVベクターから誘発されるCD8+T細胞からCD8+T細胞受容体(TCR)を特定することをさらに含む。TCRは、DNAまたはRNA配列決定によって特定され得る。いくつかの実施形態では、CD8+TCRは、MHC-II/異種抗原由来ペプチド複合体を認識する。いくつかの実施形態では、CD8+TCRは、MHC-IIスーパートープを認識する。
【0140】
いくつかの実施形態では、US11も欠如するUL18欠損HCMVベクターによって誘発されるCD8+T細胞応答は、MHC-Iaによって提示されるエピトープに対して指向されるCD8+T細胞の少なくとも10%を有することを特徴とする。さらなる例では、CD8+T細胞の少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも95%は、MHC-Iaによって拘束される。
【0141】
いくつかの実施形態では、方法は、UL18およびUS11欠損HCMVベクターから誘発されるCD8+T細胞からCD8+T細胞受容体(TCR)を特定することをさらに含む。TCRは、DNAまたはRNA配列決定によって特定され得る。いくつかの実施形態では、CD8+TCRは、MHC-Ia/異種抗原由来ペプチド複合体を認識する。
【0142】
MHC-Eペプチド複合体を認識するCD8+T細胞を生成する方法も本明細書で開示される。この方法は、MHC-E/ペプチド複合体を認識するCD8+T細胞のセットを生成するのに有効な量のHCMVベクターを第1の対象に投与することを含む。CMVベクターは、少なくとも1つの異種抗原をコードする第1の核酸配列を含み、UL18タンパク質、UL128タンパク質、UL130タンパク質、UL146タンパク質、およびUL147タンパク質を発現しない。ベクターはまた、UL82タンパク質を欠如し得る。いくつかの実施形態では、HCMVベクターは、UL40およびUS28を発現する。いくつかの実施形態では、HCMVベクターは、UL18、UL138、UL130、UL146、およびUL147タンパク質を発現せず、UL40、US28、およびマイクロRNA(miRNA)認識エレメント(MRE)をコードする核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、MREは、内皮細胞で発現されるマイクロRNAの標的部位を含む。内皮細胞で発現されるそのようなmiRNAの例は、miR126、miR-126-3p、miR-130a、miR-210、miR-221/222、miR-378、miR-296、およびmiR-328である。
【0143】
抗原は、病原体特異的抗原、腫瘍ウイルス抗原、腫瘍抗原、または宿主自己抗原を含む任意の抗原であり得る。いくつかの実施形態では、宿主自己抗原は、T細胞受容体またはB細胞受容体の可変領域に由来する抗原である。
【0144】
この方法は、CD8+T細胞のセットから第1のCD8+T細胞受容体を特定することをさらに含み、第1のCD8+T細胞受容体は、MHC-E/異種抗原由来ペプチド複合体を認識する。いくつかの実施形態では、第1のCD8+T細胞受容体は、DNAまたはRNA配列決定によって識別される。いくつかの実施形態では、この方法は、1つ以上のCD8+T細胞に発現ベクターをトランスフェクトすることをさらに含み得、発現ベクターは、第2のCD8+T細胞受容体をコードする核酸配列と、T細胞受容体をコードする核酸配列に作動可能に連結されたプロモーターとを含み、第2のCD8+T細胞受容体は、第1のCD8+T細胞受容体のCDR3αおよびCDR3βを含む、トランスフェクトすることと、を含み、それによって、MHC-E/異種抗原由来ペプチド複合体を認識する1つ以上のトランスフェクトされたCD8+T細胞を生成する。発現ベクターをトランスフェクトするための1つ以上のCD8+T細胞は、第1の対象または第2の対象から単離され得る。
【0145】
いくつかの実施形態では、方法は、HCMVベクターによって誘発されたCD8+T細胞からCD8+T細胞受容体を特定することをさらに含み、CD8+T細胞受容体は、MHC-E/異種抗原由来ペプチド複合体を認識する。いくつかの実施形態では、方法は、UL128、UL130、UL146、およびUL147のオーソログの発現を欠損し、かつ、UL40およびUS28のオーソログを発現する、アカゲザルまたはカニクイザルマカクCMV(RhCMVまたはCyCMV)などの非ヒト霊長類CMVによって誘発されたCD8+T細胞からMHC-E拘束CD8+T細胞受容体を特定することをさらに含む。MHC-E拘束CD8+T細胞は、RhCMVを用いてアカゲザルで誘発されるか、またはCyCMVを用いてカニクイザルで誘発される。いくつかの実施形態では、CD8+T細胞受容体は、RNAまたはDNA配列決定によって特定される。いくつかの実施形態では、方法は、MHC-Eスーパートープを認識するCD8+T細胞受容体をさらに含む。いくつかの実施形態では、MHC-Eスーパートープは、ヒト免疫不全ウイルスエピトープである。いくつかの実施形態では、MHC-Eスーパートープは、LDAWEKIRLRPGGKK(配列番号13)、DAWEKIRLR(配列番号14)、KKAQQAAADTGNSSQ(配列番号15)、KAQQAAADT(配列番号16)、QMVHQAISPRTLNAW(配列番号17)、HQAISPRTL(配列番号18)、NTMLNTVGGHQAAMQ(配列番号19)、VGGHQAAMQ(配列番号20)、STLQEQIGWMTNNPP(配列番号21)、STLQEQIGW(配列番号22)、IVRMYSPVSILDIRQ(配列番号23)、RMYSPVSIL(配列番号24)、QKQEPIDKELYPLAS(配列番号25)、KQEPIDKEL(配列番号26)、SFSFPQITLWQRPLV(配列番号27)、VRQYDQILIEICGKK(配列番号28)、EPFRKQNPDIVIYQL(配列番号29)、YVDGAANRETKLGKA(配列番号30)、EEHEKYSNWRAMAS(配列番号31)、またはILDLWVYHTQGYFPD(配列番号32)と少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%同一である。
【0146】
MHC-E-ペプチド複合体を認識するTCRトランスジェニックCD8+T細胞を生成する方法であって、(a)CD8+T細胞のセットから第1のCD8+TCRを特定することであって、CD8+T細胞のセットが、組換えHCMVベクターから生成され、第1のCD8+TCRが、MHC-E/異種抗原由来ペプチド複合体を認識する、特定することと、(b)第2の対象から1つ以上のCD8+T細胞を単離することと、(c)1つ以上のCD8+T細胞に発現ベクターをトランスフェクトすることであって、発現ベクターが、第2のCD8+TCRをコードする核酸配列と、第2のCD8+TCRをコードする核酸配列に作動可能に連結されたプロモーターとを含み、第2のCD8+TCRが、第1のCD8+TCRのCDR3αおよびCDR3βを含む、トランスフェクトすることと、を含み、それによって、MHC-Eペプチド複合体を認識する1つ以上のTCRトランスジェニックCD8+T細胞を生成する、方法も本明細書に開示される。
【0147】
(1)MHC-E/ペプチド複合体を認識するCD8+T細胞のセットを生成するのに有効な量のHCMVベクター(UL18、UL128、UL130、UL146、UL147、およびいくつかの実施形態ではUL82を欠失し、UL40およびUS28を発現し、いくつかの実施形態では、マイクロRNA認識エレメントをコードする核酸配列を発現する)を第1の対象に投与する工程であって、組換えHCMVベクターが少なくとも1つの異種抗原を含む、投与する工程と、(2)CD8+T細胞のセットから第1のCD8+T細胞受容体を特定する工程であって、第1のCD8+T細胞がMHC-E/異種抗原由来ペプチド複合体を認識する、特定する工程と、(3)第1の対象または第2の対象から1つ以上のCD8+T細胞を単離する工程と、(4)第1または第2の対象から単離された1つ以上のCD8+T細胞に発現ベクターをトランスフェクトする工程であって、それによって、MHC-Eペプチド複合体を認識するトランスフェクトされたT細胞を作製し、トランスフェクトされたCD8+T細胞が、MHC-E/異種抗原由来ペプチド複合体に対する免疫応答を生成する、プロセスによって調製されるMHC-Eペプチド複合体を認識するTCRトランスフェクト(TCR-transfected)CD8+T細胞も開示される。
【0148】
いくつかの実施形態では、この方法は、1つ以上のCD8+T細胞に発現ベクターをトランスフェクトすることをさらに含み得、発現ベクターは、第2のCD8+T細胞受容体をコードする核酸配列と、T細胞受容体をコードする核酸配列に作動可能に連結されたプロモーターとを含み、第2のCD8+T細胞受容体は、第1のCD8+T細胞受容体のCDR3αおよびCDR3βを含む、トランスフェクトすることと、を含み、それによって、MHC-E/異種抗原由来ペプチド複合体を認識する1つ以上の切断型(transected)CD8+T細胞を生成する。発現ベクターをトランスフェクトするための1つ以上のCD8+T細胞は、第1の対象または第2の対象から単離され得る。
【0149】
いくつかの実施形態では、第1および/または第2のCD8+T細胞受容体は、RNAまたはDNA配列決定によって特定される。いくつかの実施形態では、第1および/または第2のCD8+T細胞受容体は、MHC-Eスーパートープを認識する。いくつかの実施形態では、MHC-Eスーパートープは、ヒト免疫不全ウイルスエピトープである。いくつかの実施形態では、MHC-Eスーパートープは、LDAWEKIRLRPGGKK(配列番号13)、DAWEKIRLR(配列番号14)、KKAQQAAADTGNSSQ(配列番号15)、KAQQAAADT(配列番号16)、QMVHQAISPRTLNAW(配列番号17)、HQAISPRTL(配列番号18)、NTMLNTVGGHQAAMQ(配列番号19)、VGGHQAAMQ(配列番号20)、STLQEQIGWMTNNPP(配列番号21)、STLQEQIGW(配列番号22)、IVRMYSPVSILDIRQ(配列番号23)、RMYSPVSIL(配列番号24)、QKQEPIDKELYPLAS(配列番号25)、KQEPIDKEL(配列番号26)、SFSFPQITLWQRPLV(配列番号27)、VRQYDQILIEICGKK(配列番号28)、EPFRKQNPDIVIYQL(配列番号29)、YVDGAANRETKLGKA(配列番号30)、EEHEKYSNWRAMAS(配列番号31)、またはILDLWVYHTQGYFPD(配列番号32)と少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%同一である。
【0150】
いくつかの実施形態では、第2のCD8+TCRをコードする核酸配列は、第1のCD8+TCRをコードする核酸配列と同一である。いくつかの実施形態では、第1および/または第2の対象は、ヒトまたは非ヒト霊長類である。いくつかの実施形態では、第2のCD8+TCRは、キメラCD8+TCRである。いくつかの実施形態では、第1の対象は、非ヒト霊長類であり、第2の対象は、ヒトであり、第2のCD8+TCRは、第1のCD8+TCRの非ヒト霊長類CDR3αおよびCDR3βを含むキメラ非ヒト霊長類-ヒトCD8+TCRである。いくつかの実施形態では、第2のCD8+TCRは、第1のCD8+TCRの非ヒト霊長類CDR1α、CDR2α、CDR3α、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βを含む。いくつかの実施形態では、第2のCD8+TCRは、第1のCD8+TCRのCDR1α、CDR2α、CDR3α、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βを含む。
【0151】
がん、病原体感染症、または免疫疾患もしくは障害などの疾患を治療する方法であって、MHC-Eペプチド複合体を認識するトランスフェクトされたT細胞を第1または第2の対象に投与することを含む、方法も、本明細書で開示される。宿主自己抗原または組織特異的抗原に対する免疫応答を誘導する方法であって、MHC-Eペプチド複合体を認識するトランスフェクトされたT細胞を第1または第2の対象に投与することを含む、方法も、本明細書で開示される。
【0152】
がんには、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ芽球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、悪性黒色腫、中皮腫、悪性中皮腫、腎臓がん、子宮頚がん、中咽頭がん、肛門がん、陰茎がん、膣がん、外膣がん、乳がん、肺がん、卵巣がん、前立腺がん、膵臓がん、結腸がん、腎細胞がん、および胚細胞腫瘍が含まれるが、これらに限定されない。
【0153】
病原体感染症には、ヒト免疫不全ウイルス、単純ヘルペスウイルス1型、単純ヘルペスウイルス2型、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、パピローマウイルス、Plasmodium寄生虫、およびMycobacterium tuberculosisが含まれるが、これらに限定されない。
【0154】
MHC-Eペプチド複合体を認識するCD8+T細胞を生成する方法であって、(a)HIVスーパートープペプチドとの複合体におけるMHC-Eを認識するCD8+T細胞のセットからMHC-E/スーパートープペプチド複合体を認識する第1のCD8+TCRを特定することであって、CD8+T細胞のセットが、UL128、UL130、UL146、およびUL147のオーソログを欠損した組換えアカゲザル(RhCMV)またはカニクイザルCMV(CyCCMV)ベクターから生成される、特定することと、CD8+T細胞のセットを生成するのに有効な量のHIV抗原を発現させることと、(b)第2の対象から1つ以上のCD8+T細胞を単離することと、(c)1つ以上のCD8+T細胞に発現ベクターをトランスフェクトすることであって、発現ベクターが、第2のCD8+TCRをコードする核酸配列と、第2のCD8+TCRをコードする核酸配列に作動可能に連結されたプロモーターとを含み、第2のCD8+TCRが、第1のCD8+TCRのCDR3αおよびCDR3βを含む、トランスフェクトすることと、を含み、それによって、MHC-Eペプチド複合体を認識する1つ以上のCD8+T細胞を生成する、方法も本明細書に開示される。
【0155】
MHC-IIペプチド複合体を認識するCD8+T細胞を生成する方法も本明細書に開示される。この方法は、MHC-II/ペプチド複合体を認識するCD8+T細胞のセットを生成するのに有効な量のCMVベクターを第1の対象(または動物)に投与することを含む。CMVベクターは、少なくとも1つの異種抗原をコードする第1の核酸配列を含み、UL18タンパク質、UL128タンパク質、UL130タンパク質、UL146タンパク質、またはUL147タンパク質、およびいくつかの実施形態ではUL82タンパク質を発現しない。
【0156】
いくつかの実施形態では、UL18欠損HCMVベクターはまた、マイクロRNA(miRNA)認識エレメント(MRE)をコードする核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、MREは、骨髄細胞で発現されるマイクロRNAの標的部位を含む。骨髄細胞で発現されるそのようなmiRNAの例は、miR-142-ep、miR-223、miR-27a、miR-652、miR-155、miR-146a、miR-132、miR-21、およびmiR-125である。
【0157】
抗原は、病原体特異的抗原、腫瘍ウイルス抗原、腫瘍抗原、または宿主自己抗原を含む任意の抗原であり得る。いくつかの実施形態では、宿主自己抗原は、T細胞受容体またはB細胞受容体の可変領域に由来する抗原である。
【0158】
この方法は、CD8+T細胞のセットから第1のCD8+T細胞受容体を特定することをさらに含み、第1のCD8+T細胞受容体は、MHC-II/異種抗原由来ペプチド複合体を認識する。いくつかの実施形態では、第1のCD8+T細胞受容体は、DNAまたはRNA配列決定によって識別される。いくつかの実施形態では、この方法は、1つ以上のCD8+T細胞に発現ベクターをトランスフェクトすることをさらに含み得、発現ベクターは、第2のCD8+T細胞受容体をコードする核酸配列と、T細胞受容体をコードする核酸配列に作動可能に連結されたプロモーターとを含み、第2のCD8+T細胞受容体は、第1のCD8+T細胞受容体のCDR3αおよびCDR3βを含む、トランスフェクトすることと、を含み、それによって、MHC-II/異種抗原由来ペプチド複合体を認識する1つ以上のトランスフェクトされたCD8+T細胞を生成する。発現ベクターをトランスフェクトするための1つ以上のCD8+T細胞は、第1の対象または第2の対象から単離され得る。
【0159】
いくつかの実施形態では、方法は、HCMVベクターによって誘発されたCD8+T細胞からCD8+T細胞受容体を特定することをさらに含み、CD8+T細胞受容体は、MHC-II/異種抗原由来ペプチド複合体を認識する。いくつかの実施形態では、CD8+T細胞受容体は、RNAまたはDNA配列決定によって特定される。いくつかの実施形態では、方法は、MHC-IIスーパートープを認識するCD8+T細胞受容体をさらに含む。
【0160】
MHC-II-ペプチド複合体を認識するCD8+T細胞を生成する方法であって、(a)MHC-II/ペプチド複合体を認識するCD8+T細胞のセットからMHC-II/異種抗原由来のペプチド複合体を認識する第1のCD8+TCRを特定することであって、CD8+T細胞のセットが、組換えHCMVベクターから生成される、特定することと、(b)第2の対象から1つ以上のCD8+T細胞を単離することと、(c)1つ以上のCD8+T細胞に発現ベクターをトランスフェクトすることであって、発現ベクターが、第2のCD8+TCRをコードする核酸配列と、第2のCD8+TCRをコードする核酸配列に作動可能に連結されたプロモーターとを含み、第2のCD8+TCRが、第1のCD8+TCRのCDR3αおよびCDR3βを含む、トランスフェクトすることと、を含み、それによって、MHC-IIペプチド複合体を認識する1つ以上のCD8+T細胞を生成する、方法に関する。
【0161】
(1)MHC-II/ペプチド複合体を認識するCD8+T細胞のセットを生成するのに有効な量のUL18欠損HCMVベクター(UL128、UL130、UL146、もしくはUL147(もしくはそれらの組み合わせ)、およびいくつかの実施形態ではUL82を欠損し、ならびに/またはマイクロRNA認識エレメントをコードする核酸を発現する)を第1の対象に投与することであって、組換えCMVベクターが、少なくとも1つの異種抗原を含む、投与する工程と、(2)CD8+T細胞のセットから第1のCD8+T細胞受容体を特定する工程であって、第1のCD8+T細胞が、MHC-II/異種抗原由来ペプチド複合体を認識する、特定する工程と、(3)第1の対象または第2の対象から1つ以上のCD8+T細胞を単離する工程と、(4)第1または第2の対象から単離された1つ以上のCD8+T細胞に発現ベクターをトランスフェクトする工程とを含み、それによって、MHC-IIペプチド複合体を認識するトランスフェクトされたT細胞を作製し、トランスフェクトされたCD8+T細胞が、MHC-II/異種抗原由来ペプチド複合体に対する免疫応答を生成する、プロセスによって調製されたMHC-II-ペプチド複合体を認識するTCRトランスフェクトCD8+T細胞も開示される。
【0162】
いくつかの実施形態では、この方法は、1つ以上のCD8+T細胞に発現ベクターをトランスフェクトすることをさらに含み得、発現ベクターは、第2のCD8+T細胞受容体をコードする核酸配列と、T細胞受容体をコードする核酸配列に作動可能に連結されたプロモーターとを含み、第2のCD8+T細胞受容体は、第1のCD8+T細胞受容体のCDR3αおよびCDR3βを含む、トランスフェクトすることと、を含み、それによって、MHC-II/異種抗原由来ペプチド複合体を認識する1つ以上の切断型CD8+T細胞を生成する。発現ベクターをトランスフェクトするための1つ以上のCD8+T細胞は、第1の対象または第2の対象から単離され得る。
【0163】
いくつかの実施形態では、第1および/または第2のCD8+T細胞受容体は、RNAまたはDNA配列決定によって特定される。いくつかの実施形態では、第1および/または第2のCD8+T細胞受容体は、MHC-IIスーパートープを認識する。
【0164】
いくつかの実施形態では、第2のCD8+TCRをコードする核酸配列は、第1のCD8+TCRをコードする核酸配列と同一である。いくつかの実施形態では、第1および/または第2の対象は、ヒトまたは非ヒト霊長類である。いくつかの実施形態では、第2のCD8+TCRは、キメラCD8+TCRである。いくつかの実施形態では、第1の対象は非ヒト霊長類であり、第2の対象はヒトであり、第2のCD8+TCRは、第1のCD8+TCRの非ヒト霊長類CDR3αおよびCDR3βを含むキメラ非ヒト霊長類-ヒトCD8+TCRである。いくつかの実施形態では、第2のCD8+TCRは、第1のCD8+TCRの非ヒト霊長類CDR1α、CDR2α、CDR3α、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βを含む。いくつかの実施形態では、第2のCD8+TCRは、第1のCD8+TCRのCDR1α、CDR2α、CDR3α、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βを含む。
【0165】
がん、病原体感染症、または免疫疾患もしくは障害などの疾患を治療する方法であって、MHC-IIペプチド複合体を認識するトランスフェクトされたT細胞を第1または第2の対象に投与することを含む、方法も本明細書に開示される。宿主自己抗原または組織特異的抗原に対する免疫応答を誘導する方法であって、MHC-IIペプチド複合体を認識するトランスフェクトされたT細胞を第1または第2の対象に投与することを含む方法も本明細書に開示される。
【0166】
がんには、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ芽球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、悪性黒色腫、中皮腫、悪性中皮腫、腎臓がん、子宮頚がん、中咽頭がん、肛門がん、陰茎がん、膣がん、外膣がん、乳がん、肺がん、卵巣がん、前立腺がん、膵臓がん、結腸がん、腎細胞がん、および胚細胞腫瘍が含まれるが、これらに限定されない。
【0167】
病原体感染症には、ヒト免疫不全ウイルス、単純ヘルペスウイルス1型、単純ヘルペスウイルス2型、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、パピローマウイルス、Plasmodium寄生虫、およびMycobacterium tuberculosisが含まれるが、これらに限定されない。
【0168】
MHC-Iaペプチド複合体を認識するCD8+T細胞を生成する方法も本明細書に開示される。この方法は、MHC-Ia/ペプチド複合体を認識するCD8+T細胞のセットを生成するのに有効な量の、US11タンパク質も欠損しているUL18欠損CMVベクターを第1の対象に投与することを含む。CMVベクターは、少なくとも1つの異種抗原をコードする第1の核酸配列を含み、US11タンパク質およびUL18タンパク質を発現しない。ベクターはまた、UL128タンパク質、UL130タンパク質、もしくはUL146タンパク質、UL147タンパク質、および/またはUL82タンパク質を欠如し得る。抗原は、病原体特異的抗原、腫瘍ウイルス抗原、腫瘍抗原、または宿主自己抗原を含む任意の抗原であり得る。いくつかの実施形態では、宿主自己抗原は、T細胞受容体またはB細胞受容体の可変領域に由来する抗原である。
【0169】
この方法は、CD8+T細胞のセットから第1のCD8+T細胞受容体を特定することをさらに含み、第1のCD8+T細胞受容体は、MHC-Ia/異種抗原由来ペプチド複合体を認識する。いくつかの実施形態では、第1のCD8+T細胞受容体は、DNAまたはRNA配列決定によって識別される。いくつかの実施形態では、この方法は、1つ以上のCD8+T細胞に発現ベクターをトランスフェクトすることをさらに含み得、発現ベクターは、第2のCD8+T細胞受容体をコードする核酸配列と、T細胞受容体をコードする核酸配列に作動可能に連結されたプロモーターとを含み、第2のCD8+T細胞受容体は、第1のCD8+T細胞受容体のCDR3αおよびCDR3βを含む、トランスフェクトすることと、を含み、それによって、MHC-Ia/異種抗原由来ペプチド複合体を認識する1つ以上のトランスフェクトされたCD8+T細胞を生成する。発現ベクターをトランスフェクトするための1つ以上のCD8+T細胞は、第1の対象または第2の対象から単離され得る。
【0170】
いくつかの実施形態では、方法は、CMVベクターによって誘発されたCD8+T細胞からCD8+T細胞受容体を特定することをさらに含み、CD8+T細胞受容体は、MHC-Ia/異種抗原由来ペプチド複合体を認識する。いくつかの実施形態では、CD8+T細胞受容体は、RNAまたはDNA配列決定によって特定される。
【0171】
MHC-I-ペプチド複合体を認識するCD8+T細胞を生成する方法であって、(a)MHC-I/異種抗原由来ペプチド複合体を認識するCD8+T細胞のセットからMHC-I/異種抗原由来ペプチド複合体を認識する第1のCD8+TCRを特定することであって、CD8+T細胞のセットが、組換えHCMVベクターから生成される、特定することと、(b)第2の対象から1つ以上のCD8+T細胞を単離することと、(c)1つ以上のCD8+T細胞に発現ベクターをトランスフェクトすることであって、発現ベクターが、第2のCD8+TCRをコードする核酸配列と、第2のCD8+TCRをコードする核酸配列に作動可能に連結されたプロモーターとを含み、第2のCD8+TCRが、第1のCD8+TCRのCDR3αおよびCDR3βを含む、トランスフェクトすることと、を含み、それによって、MHC-Iペプチド複合体を認識する1つ以上のCD8+T細胞を生成する、方法も開示される。
【0172】
(1)MHC-Ia/ペプチド複合体を認識するCD8+T細胞のセットを生成するのに有効な量のUS11およびUL18を欠損するCMVベクター(さらに、ベクターは、UL128、UL130、UL146、UL147、および/またはUL82を欠損し得、UL40および/またはUS28を発現する)を第1の対象に投与する工程であって、組換えCMVベクターが少なくとも1つの異種抗原を含む、投与する工程と、(2)CD8+T細胞のセットから第1のCD8+T細胞受容体を特定する工程であって、第1のCD8+T細胞受容体がMHC-Ia/異種抗原由来ペプチド複合体を認識する、特定する工程と、(3)第1の対象または第2の対象から1つ以上のCD8+T細胞を単離する工程と、(4)第1または第2の対象から単離された1つ以上のCD8+T細胞に発現ベクターをトランスフェクトする工程であって、それによって、MHC-Iaペプチド複合体を認識するトランスフェクトされたT細胞を作製し、トランスフェクトされたCD8+T細胞がMHC-Ia/異種抗原由来ペプチド複合体に対する免疫応答を生成する、プロセスによって調製されるMHC-Iaペプチド複合体を認識するトランスフェクトされたCD8+T細胞も開示される。
【0173】
いくつかの実施形態では、この方法は、1つ以上のCD8+T細胞に発現ベクターをトランスフェクトすることをさらに含み得、発現ベクターは、第2のCD8+T細胞受容体をコードする核酸配列と、T細胞受容体をコードする核酸配列に作動可能に連結されたプロモーターとを含み、第2のCD8+T細胞受容体は、第1のCD8+T細胞受容体のCDR3αおよびCDR3βを含む、トランスフェクトすることと、を含み、それによって、MHC-Ia/異種抗原由来ペプチド複合体を認識する1つ以上の切断型CD8+T細胞を生成する。発現ベクターをトランスフェクトするための1つ以上のCD8+T細胞は、第1の対象または第2の対象から単離され得る。
【0174】
いくつかの実施形態では、第1および/または第2のCD8+T細胞受容体は、RNAまたはDNA配列決定によって特定される。
【0175】
いくつかの実施形態では、第2のCD8+TCRをコードする核酸配列は、第1のCD8+TCRをコードする核酸配列と同一である。いくつかの実施形態では、第2のCD8+TCRは、キメラCD8+TCRである。いくつかの実施形態では、第2のCD8+TCRは、第1のCD8+TCRのCDR1α、CDR2α、CDR3α、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βを含む。
【0176】
がん、病原体感染症、または免疫疾患もしくは障害などの疾患を治療する方法であって、MHC-Iaペプチド複合体を認識するトランスフェクトされたT細胞を第1または第2の対象に投与することを含む、方法も、本明細書で開示される。宿主自己抗原または組織特異的抗原に対する免疫応答を誘導する方法であって、MHC-Iaペプチド複合体を認識するトランスフェクトされたT細胞を第1または第2の対象に投与することを含む方法も、本明細書で開示される。
【0177】
がんには、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ芽球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、悪性黒色腫、中皮腫、悪性中皮腫、腎臓がん、子宮頚がん、中咽頭がん、肛門がん、陰茎がん、膣がん、外膣がん、乳がん、肺がん、卵巣がん、前立腺がん、膵臓がん、結腸がん、腎細胞がん、および胚細胞腫瘍が含まれるが、これらに限定されない。
【0178】
病原体感染症には、ヒト免疫不全ウイルス、単純ヘルペスウイルス1型、単純ヘルペスウイルス2型、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、パピローマウイルス、Plasmodium寄生虫、およびMycobacterium tuberculosisが含まれるが、これらに限定されない。
【0179】
III.HIVスーパートープ構築物
長さが9~15個のアミノ酸であって、LDAWEKIRLRPGGKK(配列番号13)、DAWEKIRLR(配列番号14)、KKAQQAAADTGNSSQ(配列番号15)、KAQQAAADT(配列番号16)、QMVHQAISPRTLNAW(配列番号17)、HQAISPRTL(配列番号18)、NTMLNTVGGHQAAMQ(配列番号19)、VGGHQAAMQ(配列番号20)、STLQEQIGWMTNNPP(配列番号21)、STLQEQIGW(配列番号22)、IVRMYSPVSILDIRQ(配列番号23)、RMYSPVSIL(配列番号24)、QKQEPIDKELYPLAS(配列番号25)、KQEPIDKEL(配列番号26)、SFSFPQITLWQRPLV(配列番号27)、VRQYDQILIEICGKK(配列番号28)、EPFRKQNPDIVIYQL(配列番号29)、YVDGAANRETKLGKA(配列番号30)、EEHEKYSNWRAMAS(配列番号31)、またはILDLWVYHTQGYFPD(配列番号32)のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、または100%同一であるヒト免疫不全ウイルス抗原も本明細書で開示される。
【0180】
いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、1つ以上のヒト免疫不全ウイルス抗原をコードする核酸を含む。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL128を発現しない。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL130を発現しない。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL128およびUL130を発現しない。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL146およびUL147を発現しない。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL18、UL128、UL130、UL146、またはUL147をコードする核酸配列における1つ以上の変異の存在により、UL18タンパク質、UL128タンパク質、UL130タンパク質、UL146タンパク質、およびUL147タンパク質、またはそれらのオーソログを発現しない。いくつかの実施形態では、UL18、UL128、UL130、UL146、またはUL147をコードする核酸配列における変異は、点変異、フレームシフト変異、切断変異、およびウイルスタンパク質をコードする核酸配列のすべての欠失からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL40をコードする核酸配列またはそのオーソログをさらに含む。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、US28をコードする核酸配列またはそのオーソログをさらに含む。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、UL82(pp71)またはそのオーソログを発現しない。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、US11またはそのオーソログを発現しない。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、マイクロRNA(miRNA)認識エレメント(MRE)をコードする核酸配列をさらに含み、MREは、内皮細胞で発現されるmiRNAの標的部位を含む。いくつかの実施形態では、内皮細胞で発現されるmiRNAは、miR126、miR-126-3p、miR-130a、miR-210、miR-221/222、miR-378、miR-296、またはmiR-328である。いくつかの実施形態では、組換えHCMVベクターは、MREをコードする核酸配列をさらに含み、MREは、骨髄細胞で発現されるmiRNAの標的部位を含む。いくつかの実施形態では、骨髄細胞で発現されるmiRNAは、miR-142-3p、miR-223、miR-27a、miR-652、miR-155、miR-146a、miR-132、miR-21、またはmiR-125である。
【0181】
本明細書に開示されるCMVベクターは、組換えCMVウイルスまたはベクターと、薬学的に許容される担体または希釈剤とを含む、免疫原性またはワクチン組成物として使用され得る。組換えCMVウイルスまたはベクター(またはその発現産物)を含む免疫組成物は、局所的または全身的な免疫応答を誘発する。応答は、保護用であってもよいが、保護用である必要はない。ワクチン組成物は、局所または全身の保護または治療応答を誘発する。したがって、「免疫原性組成物」という用語には、「ワクチン組成物」が含まれる(前者の用語は保護用組成物であってもよいため)。
【0182】
本明細書に開示される組換えCMVベクターは、組換えCMVウイルスまたはベクターと、薬学的に許容される担体または希釈剤とを含む免疫原性、免疫、またはワクチン組成物を対象に投与することを含む、対象における免疫応答を誘導する方法において使用され得る。
【0183】
本明細書に開示される組換えCMVベクターは、組換えCMVウイルスまたはベクターと、薬学的に許容される担体または希釈剤とを含む治療組成物中で使用され得る。本明細書に開示されるCMVベクターは、腫瘍抗原をコードする配列を含むDNAをCMVゲノムの必須または非必須領域に挿入することによって調製され得る。方法は、CMVゲノムから1つ以上の領域を欠失させることをさらに含み得る。この方法は、インビボでの組換えを含み得る。したがって、方法は、CMVゲノムの部分と相同なDNA配列に隣接する異種DNAを含むドナーDNAの存在下で、細胞適合培地中で細胞にCMV DNAをトランスフェクトし、それによって、異種DNAをCMVのゲノムに導入することと、任意選択で、次いでインビボ組換えによって修飾されたCMVを回収することと、を含み得る。方法は、CMV DNAを切断して切断型CMV DNAを得ることと、異種DNAを切断型CMV DNAに連結してハイブリッドCMV-異種DNAを得ることと、細胞にハイブリッドCMV-異種DNAをトランスフェクトすることと、任意選択で、次いで異種DNAの存在によって修飾されたCMVを回収することと、を含み得る。インビボ組換えが含まれるため、方法はまた、CMVに対して外来性であるポリペプチドをコードする、CMV中に天然では存在しないドナーDNAを含むプラスミドを提供し、該ドナーDNAは、さもなくばCMVゲノムの必須または非必須領域と共直鎖状である(co-linear)CMV DNAのセグメント内にあり、したがって、CMVの必須または非必須領域由来のDNAがドナーDNAに隣接している。異種DNAは、そのDNAの安定的な組み込みおよび所望する場合にはその発現を生じさせる任意の配向で組換えCMVを生成するように、CMVに挿入され得る。
【0184】
組換えCMVベクターにおける異種抗原をコードするDNAはまた、プロモーターを含み得る。プロモーターは、内因性サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、例えば、ヒトCMV(HCMV)、アカゲザルマカクCMV(RhCMV)、マウス、または他のCMVプロモーターを含む、ヘルペスウイルスなどの任意の供給源に由来し得る。プロモーターはまた、EF1αプロモーターなどの非ウイルスプロモーターであり得る。プロモーターは、ウイルスによって提供されるトランス活性化タンパク質でトランス活性化された領域と、切断型転写活性プロモーターが由来する全長プロモーターの最小プロモーター領域と、を含む、切断型転写活性プロモーターであり得る。プロモーターは、最小限のプロモーターおよび上流の調節配列に対応するDNA配列の結合からなり得る。最小限のプロモーターは、CAP部位およびATAボックス(転写の非調節レベルである、転写の基本レベルのための最小配列)からなり、「上流の調節配列」は、上流のエレメントおよびエンハンサー配列からなる。さらに、「切断型の(truncated)」という用語は、全長プロモーターが完全には存在しないこと、すなわち、全長プロモーターのある部分が除去されていることを示す。また、切断型プロモーターは、MCMVまたはHCMV、例えばHCMV-IEまたはMCMV-IEなどのヘルペスウイルスに由来し得る。塩基対に基づいて、完全長プロモーターから最大40%、さらには最大90%のサイズ縮小があり得る。プロモーターはまた、修飾された非ウイルスプロモーターであり得る。HCMVプロモーターに関して、米国特許第5,168,062号および第5,385,839号を参照されたい。発現のためのプラスミドDNAを細胞にトランスフェクトすることに関して、Feigner et al.(1994),J Biol.Chem.269,2550-2561を参照されたい。また、様々な感染疾患に対する簡素かつ効果的なワクチン接種方法としてのプラスミドDNAの直接注射に関しては、Science,259:1745-49,1993を参照されたい。したがって、ベクターDNAの直接注射によってベクターを使用し得ることは本開示の範囲内である。
【0185】
切断型転写活性プロモーターを含む組換えウイルスまたはプラスミドに挿入され得る発現カセットも開示される。発現カセットは、機能的な切断型ポリアデニル化シグナル、例えば、切断されているがなおも機能的であるSV40ポリアデニル化シグナルをさらに含み得る。天然ではより大きいシグナルが付与されていることを考慮すると、切断型ポリアデニル化シグナルが機能的であることは実に驚くべきことである。切断型ポリアデニル化シグナルは、CMVなどの組換えウイルスの挿入サイズ制限の問題に対処する。発現カセットはまた、異種DNAが挿入されるウイルスまたはシステムに関連して、異種DNAを含み得、DNAは本明細書に記載の異種DNAであり得る。
【0186】
ワクチンまたは免疫組成物での使用のための抗原に関して、Stedman’s Medical Dictionary(第24版、1982年、例えば、ワクチンの定義(ワクチン製剤で使用される抗原のリストについて)も参照されたい。関心のあるそのような抗原またはそれらの抗原由来のエピトープを使用し得る。腫瘍抗原に関して、当業者は、過度の実験なしに、ペプチドまたはポリペプチドのアミノ酸および対応するDNA配列の知識、ならびに特定のアミノ酸の性質(例えば、サイズ、電荷など)およびコドン辞書から、腫瘍抗原およびそのコードDNAを選択し得る。
【0187】
抗原のTエピトープを決定する1つの方法は、エピトープマッピングを含む。腫瘍抗原の重複ペプチドは、オリゴペプチド合成によって生成される。次いで、個々のペプチドが、T細胞活性化を誘導する能力について試験される。このアプローチは、MHC分子と複合体化された短い直鎖状ペプチドをT細胞が認識するため、T細胞エピトープのマッピングに特に有用である。
【0188】
腫瘍抗原に対する免疫応答は、一般に、以下のように生成される:タンパク質がより小さなペプチドに切断されて、別の細胞の表面に位置する「主要組織適合性複合体(MHC)」と呼ばれる複合体で提示される場合にのみ、T細胞はタンパク質を認識する。MHC複合体には、クラスIおよびクラスIIの2つのクラスがあり、各クラスは、多くの異なる対立遺伝子からなる。異なる種および個々の対象は、異なる種類のMHC複合体対立遺伝子を有する。それらは、異なるMHC種を有すると言う。MHCクラスI分子の1つの種類は、MHC-E(ヒトではHLA-E、RMではMamu-E、マウスではQa-lb)と呼ばれる。他のMHC-I分子とは異なり、MHC-Eは、哺乳動物種内および哺乳動物種間で高度に保存されている。
【0189】
腫瘍抗原をコードする配列を含むDNAがそれ自体、発現を駆動するためのプロモーターをCMVベクター中に含み得、またはDNAが、腫瘍抗原のコードDNAに限定され得ることに留意されたい。この構築物は、プロモーターに作動可能に連結され、それによって発現されるように、内因性CMVプロモーターに対する配向で配置され得る。さらに、腫瘍抗原をコードするDNAの複数コピー、または強力もしくは早期プロモーターもしくは早期および後期プロモーターの使用、またはそれらの任意の組み合わせは、発現を増幅または増加させるために行われ得る。したがって、腫瘍抗原をコードするDNAは、CMV内因性プロモーターに関して好適に配置され得、またはそれらのプロモーターは、腫瘍抗原をコードするDNAとともに別の位置に挿入されるように位置を変え得る。2つ以上の腫瘍抗原をコードする核酸が、CMVベクターにパッケージ化され得る。
【0190】
本開示のCMVベクターを含む医薬組成物および他の組成物がさらに開示される。そのような医薬組成物および他の組成物は、当該技術分野で既知の任意の投与手順で使用されるように製剤化され得る。そのような医薬組成物は、非経口経路(皮内、腹腔内、筋肉内、皮下、静脈内、またはその他)を介し得る。投与はまた、経口、鼻、生殖器などの粘膜経路を介し得る。
【0191】
本開示の医薬組成物は、医薬分野において当業者に周知の標準的な技術に従って調製され得る。そのような組成物は、特定の患者の種(breed)または種(species)、年齢、性別、体重、および状態、ならびに投与経路などの要因を考慮して、医学分野の当業者に周知の投与量でおよび技術により投与され得る。組成物は、単独で投与され得るか、あるいは他のCMVベクターとともに、または他の免疫、抗原、もしくワクチン、または治療組成物とともに、同時にまたは順次投与され得る。そのような他の組成物は、精製された天然抗原もしくはエピトープ、または組換えCMVもしくは別のベクター系による発現からの抗原もしくはエピトープを含み得、上記の要因を考慮して投与される。
【0192】
組成物の例には、オリフィス、例えば、経口、鼻、肛門、生殖器、例えば、膣などの投与のための液体調製物、例えば、懸濁液、シロップ剤、またはエリキシル剤、ならびに非経口、皮下、腹腔内、皮内、筋肉内、または静脈内投与(例えば、注射可能な投与)のための調製物、例えば、滅菌懸濁液または乳剤が含まれる。そのような組成物において、組換え体は、滅菌水、生理食塩水、グルコースなどの好適な担体、希釈剤、または賦形剤との混合物中にあってもよい。
【0193】
抗原、免疫、またはワクチン組成物は、典型的には、所望の応答を誘発するために、アジュバントおよびある量のCMVベクターまたは発現生成物を含み得る。ヒト用途では、ミョウバン(リン酸アルミニウムまたは水酸化アルミニウム)が典型的なアジュバントである。サポニンおよびその精製成分であるQuilA、完全フロイントアジュバント、ならびに研究および獣医学的用途で使用される他のアジュバントは、ヒトワクチンにおけるそれらの潜在的な使用を制限する毒性を有する。ムラミルジペプチド、モノホスホリル脂質A、リン脂質コンジュゲートなどの化学的に定義された調製物、例えば、Goodman-Snitkoff et al.,J Immunol.147:410-415(1991)に記載されるもの、Miller et al.,J Exp.Med.176:1739-1744(1992)に記載されるようなプロテオリポソーム内のタンパク質のカプセル化、およびNovasome脂質小胞などの脂質小胞中でのタンパク質のカプセル化(Micro Vescular Systems,Inc.、Nashua,N.H.)も使用され得る。
【0194】
組成物は、非経口(例えば、筋肉内、皮内、または皮下)投与またはオリフィスでの投与、例えば、舌下(例えば、経口)、胃内、口腔内、肛門内、膣内などを含む粘膜の投与による免疫化のために、単一の剤形でパッケージングされ得る。再び、有効な投与量および投与経路は、組成物の性質、発現産物の性質、組換えCMVが直接使用される場合の発現レベル、ならびに種または種、年齢、性別、体重、状態、および宿主の性質などの既知の因子、ならびにLD50および過度の実験を必要としない既知の他のスクリーニング手順によって決定される。発現される生成物の用量は、数マイクログラム~数百マイクログラム、例えば、5~500μgの範囲であり得る。CMVベクターは、これらの用量レベルの発現を達成するために、任意の好適な量で投与され得る。非限定的な例では、CMVベクターは、少なくとも102pfuの量で投与され得、したがって、CMVベクターは、少なくともこの量で投与されるか、または約102pfu~約107pfuの範囲で投与され得る。他の好適な担体または希釈剤は、防腐剤を含むまたは含まない、水または緩衝生理食塩水であり得る。CMVベクターは、投与時に再懸濁のために凍結乾燥されるか、または溶液中にあり得る。「約」は、定義された値の1%、5%、10%、または20%以内を意味し得る。
【0195】
本開示のタンパク質およびそれらをコードする核酸は、本明細書に示され記載される正確な配列とは異なり得ることを理解されたい。したがって、本開示は、配列が本開示の方法に従って機能する限り、示される配列に対する欠失、付加、切断、および置換を企図する。これに関して、置換は、一般に、性質において保存的であり、すなわち、アミノ酸のファミリー内で生じる置換である。例えば、アミノ酸は、一般に、以下の4つのファミリーに分かれる:(1)酸性-アスパラギン酸塩およびグルタミン酸塩、(2)塩基性-リジン、アルギニン、およびヒスチジン、(3)非極性-アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、およびトリプトファン、ならびに(4)非荷電極性-グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、およびチロシン。フェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシンは、芳香族アミノ酸として分類されることがある。イソロイシンまたはバリンによるロイシンの単離された置換またはその逆、グルタミン酸塩によるアスパラギン酸塩の置換またはその逆、セリンによるスレオニンの置換またはその逆、または構造的に関連するアミノ酸によるアミノ酸の類似の保存的置換は、生物学的活性に大きな影響を及ぼさないことが合理的に予測可能である。したがって、記載されるタンパク質と実質的に同じアミノ酸配列を有するが、タンパク質の免疫原性に実質的に影響を及ぼさないわずかなアミノ酸置換を有するタンパク質は、本開示の範囲内である。
【0196】
本開示のヌクレオチド配列は、コドン最適化され得、例えば、コドンは、ヒト細胞での使用のために最適化され得る。例えば、任意のウイルスまたは細菌配列がそのように修飾され得る。HIVおよび他のレンチウイルスを含む多くのウイルスは、Andre et al.,J Virol.72:1497-1503,1998に記載されるように、多くの希少なコドンを使用し、所望の対象において一般的に使用されるコドンに対応するようにこれらのコドンを修飾することによって、腫瘍抗原の発現の増強が達成され得る。
【0197】
CMVベクターおよびこれに含まれる糖タンパク質の機能的および/または抗原的に同等のバリアントおよび誘導体をコードするヌクレオチド配列が企図される。これらの機能的に同等のバリアント、誘導体、および断片は、抗原活性を保持する能力を示す。例えば、コードされたアミノ酸配列を変化させないDNA配列の変化、ならびにアミノ酸残基の保存的置換、1個または数個のアミノ酸の欠失または付加、およびアミノ酸類似体によるアミノ酸残基の置換をもたらす変化は、コードされたポリペプチドの特性に著しく影響を及ぼさないものである。保存的アミノ酸置換は、グリシン/アラニン、バリン/イソロイシン/ロイシン、アスパラギン/グルタミン、アスパラギン酸/グルタミン酸、セリン/トレオニン/メチオニン、リジン/アルギニン、およびフェニルアラニン/チロシン/トリプトファンである。いくつかの実施形態では、バリアントは、関心のある抗原、エピトープ、免疫原、ペプチド、またはポリペプチドと少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の相同性または同一性を有する。
【0198】
配列同一性または相同性は、配列ギャップを最小限に抑えながら重複および同一性を最大化するようにアラインしたときの配列を比較することによって決定される。特に、配列同一性は、多くの数学アルゴリズムのうちのいずれかを使用して決定され得る。2つの配列の比較に使用される数学アルゴリズムの非限定的な例は、Karlin & Altschul,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1993;90:5873-5877におけるように修正されたKarlin & Altschul,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1990;87:2264-2268のアルゴリズムである。
【0199】
配列の比較に使用される数学アルゴリズムの別の例は、Myers & Miller,CABIOS 1988;4:11-17のアルゴリズムである。そのようなアルゴリズムは、GCG配列アラインメントソフトウェアパッケージの一部であるALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれる。アミノ酸配列を比較するためのアラインプログラムを利用する場合、PAM120残基重み付け表、ギャップ長ペナルティ12、およびギャップペナルティ4が使用され得る。局所配列の類似性およびアラインメントの領域を特定するのに有用なさらに別のアルゴリズムは、Pearson & Lipman,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1988;85:2444-2448に記載されるFASTAアルゴリズムである。
【0200】
WU-BLAST(ワシントン大学BLAST)バージョン2.0ソフトウェアが、本開示による使用に有利である。いくつかのUNIX(登録商標)プラットフォームのためのWU-BLASTバージョン2.0実行可能プログラムがダウンロードされ得る。このプログラムは、WU-BLASTバージョン1.4に基づき、これは次いでパブリックドメインNCBI-BLASTバージョン1.4に基づく(Altschul & Gish,1996,Local alignment statistics,Doolittle ed.,Methods in Enzymology 266:460-480、Altschul et al.,Journal of Molecular Biology 1990;215:403-410、Gish & States,1993;Nature Genetics 3:266-272、Karlin & Altschul,1993;Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873-5877、これらのすべては、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0201】
本開示の様々な組換えヌクレオチド配列および抗体ならびに/または抗原は、標準的な組換えDNAおよびクローニング技術を使用して作製される。そのような技術は、当業者に周知である。例えば、’’Molecular Cloning: A Laboratory Manual,’’second edition(Sambrook et al.1989)を参照されたい。
【0202】
本開示のウイルスの発現を可能にする任意のベクターが、本開示に従って使用され得る。特定の実施形態では、本開示のウイルスは、タンパク質ワクチンの産生などの様々な用途に使用され得る、コードされた異種抗原(例えば、腫瘍ウイルス抗原、HIV抗原、腫瘍抗原、および抗体)を産生するために、インビトロで(例えば、無細胞発現系を使用して)および/またはインビトロで増殖した培養細胞において使用され得る。そのような用途のために、インビトロおよび/または培養細胞でのウイルスの発現を可能にする任意のベクターが使用され得る。
【0203】
本開示の腫瘍抗原が発現されるためには、腫瘍抗原のタンパク質コード配列は、タンパク質の転写および翻訳を指示する調節配列または核酸制御配列に「作動可能に連結」される必要がある。本明細書で使用する場合、コード配列および核酸制御配列またはプロモーターが、コード配列の発現または転写および/または翻訳を核酸制御配列の影響または制御下に置くような様式で共有結合されている場合、上記コード配列および核酸制御配列またはプロモーターが「作動可能に連結された」と言う。「核酸制御配列」は、核酸エレメントに作動可能に結合された核酸配列またはコード配列の発現を指示する、プロモーター、エンハンサー、IRES、イントロン、および本明細書に記載の他のエレメントなどであるがこれらに限定されない任意の核酸エレメントであり得る。「プロモーター」という用語は、RNAポリメラーゼIIの開始部位の周りでクラスター化され、かつ、本開示のタンパク質コード配列に作動可能に連結された場合にコードタンパク質の発現を生じさせる、転写制御モジュールの群を指すために本明細書で使用される。本開示の導入遺伝子の発現は、限定されないが、テトラサイクリンなどの抗生物質、エクジソンなどのホルモン、または重金属などのいくつかの特定の外部刺激に曝露されたときにのみ転写を開始する構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターの制御下にあり得る。プロモーターはまた、特定の細胞種、組織、または臓器に特異的であり得る。多くの好適なプロモーターおよびエンハンサーが当該技術分野で既知であり、任意のそのような好適なプロモーターまたはエンハンサーが、本開示の導入遺伝子の発現のために使用され得る。例えば、好適なプロモーターおよび/またはエンハンサーは、真核生物プロモーターデータベース(EPDB)から選択され得る。
【0204】
本開示に従って使用されるベクターは、本開示の抗原が発現され得るように、プロモーターまたはエンハンサーなどの好適な遺伝子調節領域を含み得る。
【0205】
本明細書に記載されるCMVベクターは、宿主から宿主への拡散を妨げ、それによって、ウイルスが、CMV感染の結果として合併症になり得る免疫不全対象または他の対象に感染できなくし得る変異を含み得る。本明細書に記載のCMVベクターはまた、免疫優性および非免疫優性エピトープの提示ならびに非典型的なMHC拘束をもたらす変異を含み得る。しかしながら、本明細書に記載のCMVベクターにおける変異は、以前にCMVに感染した対象を再感染させるベクターの能力に影響を及ぼさない。そのようなCMV変異は、例えば、米国特許公開第2013-013676S号、第2010-0142S23号、第2014-014103S号、およびPCT出願公開第WO2014/13S209号に記載されており、これらのすべては参照により本明細書に組み込まれる。
【0206】
本開示のCMVベクターは、例えば、MHC-E、MHC-II、またはMHC-I(またはそれらのホモログまたはオーソログ)によって拘束されるCD8+T細胞応答の割合が高いことを特徴とする免疫応答を含む、CD8+免疫応答を含む免疫原応答を生じさせることを目的とする場合に、インビボで投与され得る。例えば、いくつかの例では、アカゲザルなどの実験動物において、RhCMVを使用した免疫原性組成物およびワクチンの前臨床試験のために、本開示のCMVベクターを使用することが所望され得る。他の例では、臨床試験などのヒト対象において、HCMVを使用する免疫原性組成物の実際の臨床使用のために、本開示のCMVベクターを使用することが望ましい。
【0207】
そのようなインビボ用途のために、本開示のCMVベクターは、薬学的に許容される担体をさらに含む免疫原性組成物の構成要素として投与される。いくつかの実施形態では、本開示の免疫原性組成物は、腫瘍抗原、腫瘍ウイルス抗原、または宿主自己抗原を含む異種抗原に対する免疫応答を刺激するのに有用であり、がんの予防、改善、または治療のために、腫瘍抗原、腫瘍ウイルス抗原、または宿主自己抗原に対する予防または治療ワクチンの1つ以上の構成要素として使用されてもよい。本開示の核酸およびベクターは、遺伝子ワクチン、すなわち、本開示の抗原をコードする核酸をヒトなどの対象に送達し、それによって、次いで抗原が対象において発現され、免疫応答を誘発するためのワクチンを提供するために特に有用である。
【0208】
免疫化スケジュール(またはレジメン)は、動物(ヒトを含む)について周知であり、特定の対象および免疫原性組成物について容易に決定され得る。したがって、免疫原は、対象に1回以上投与されてもよい。好ましくは、免疫原性組成物の別々の投与間における設定時間間隔が存在する。この間隔は、対象ごとで異なるが、典型的には、10日から数週間の範囲であり、多くの場合、2、4、6、または8週間である。ヒトの場合、間隔は、典型的には2~6週間である。本開示の特に有利な実施形態では、間隔は、より長く、有利には、約10週間、12週間、14週間、16週間、18週間、20週間、22週間、24週間、26週間、28週間、30週間、32週間、34週間、36週間、38週間、40週間、42週間、44週間、46週間、48週間、50週間、52週間、54週間、56週間、58週間、60週間、62週間、64週間、66週間、68週間、または70週間である。免疫化レジームは、典型的には、免疫原性組成物の1~6回の投与を有するが、1回、2回、または4回と少なくてもよい。免疫応答を誘導する方法はまた、免疫原とともにアジュバントを投与することを含んでもよい。いくつかの場合では、毎年、年2回、または他の長い間隔(5~10年)のブースター免疫化により、初期の免疫化プロトコルが補完されてもよい。本発明方法はまた、様々なプライム-ブーストレジメンを含む。これらの方法では、1つ以上のプライミング免疫化の後に、1つ以上のブースト免疫化が行われる。実際の免疫原性組成物は、各免疫化について同じでもまたは異なっていてもよく、免疫原性組成物(例えば、タンパク質または発現ベクターを含む)の種類、経路、および免疫原の製剤も変動してもよい。例えば、発現ベクターがプライミングおよびブースト工程に使用される場合、それは同じまたは異なる種類(例えば、DNAまたは細菌またはウイルス発現ベクター)のいずれかであってもよい。1つの有用なプライムブーストレジメンは、4週間離れた2つのプライミング免疫化、続いて最後のプライミング免疫化後の4週間目および8週目における2つのブースティング免疫化を提供する。本開示のDNA、細菌、およびウイルス発現ベクターを使用してプライミングおよびブースティングレジメンを提供するために、いくつかの置換および組み合わせが包含されることも当業者に容易に明らかでなければならない。異なる病原体に由来する異なる抗原を発現しながら、CMVベクターを繰り返し使用し得る。
【実施例】
【0209】
実施例1:MHC-E拘束CD8+T細胞の誘導によるSIVに対する保護
いくつかの研究において、SIV抗原を発現する株68-1由来RhCMVベクターが、高病原性SIVmac239による感染を制御し、最終的に感染が無くなることが示された(Hansen 2019.A live-attenuated RhCMV/SIV vaccine shows long-term efficacy against heterologous SIV challenge.Science Translational Medicine 11:eaaw2607、Hansen 2013.Immune clearance of highly pathogenic SIV infection.Nature 502:100-4)。この保護は、株68-1RhCMVがMHC-IIおよびMHC-E拘束CD8+T細胞を誘発する能力と相関した(Hansen 2016.Broadly targeted CD8(+)T cell responses restricted by major histocompatibility complex E.Science 351:714-20、Hansen.Cytomegalovirus Vectors Violate CD8+ T Cell Epitope Recognition Paradigms.Science 340:1237874-1237874。しかしながら、MHC-IIおよび/またはMHC-E拘束CD8+T細胞がこの保護のために必要かどうかは知られていなかった。
【0210】
したがって、MHC-EまたはMHC-IIによって専ら拘束されるCD8+T細胞を特異的にプログラムする能力によって、MHC-EまたはMHC-II拘束CD8+T細胞がSIVmac239に対する特有の保護に関与するかの検査が可能となった。以下に記載するように、4つのアカゲザルマカク(RM)のコホートに異なる68-1RhCMV株を接種した。
【0211】
コホート1:9匹のRMに、必須遺伝子Rh108(UL79)およびRh156(IE2)の3’非翻訳領域においてmir126の3つの認識部位をそれぞれ有し、かつ、SIV抗原であるSIVgag、SIVretanef(rev、tat、およびnefの融合物)、およびSIVpolの5’セグメントをそれぞれ発現する(1ベクター当たり1つの挿入)、3つの68-1RhCMV「MHC-Eのみ」ベクターを接種した。
【0212】
コホート2:15匹のRMに、Rh67(UL40)を欠失し、かつ、SIV抗原であるSIVgag、SIVretanef(rev、tat、およびnefの融合物)、およびSIVpolの5’セグメントをそれぞれ発現する(1ベクター当たり1つの挿入)、3つの68-1RhCMV「MHC-IIのみ」ベクターを接種した。
【0213】
コホート3:12匹のRMに、必須遺伝子Rh108(UL79)およびRh156(IE2)の3’非翻訳領域においてmir142の3つの認識部位をそれぞれ有し、かつ、SIV抗原であるSIVgag、SIVretanef(rev、tat、およびnefの融合物)、およびSIVpolの5’セグメントをそれぞれ発現する(1ベクター当たり1つの挿入)、3つの68-1RhCMV「MHC-IIのみ」ベクターを接種した。
【0214】
コホート4:(対照コホート)15匹のRMに、SIV抗原であるSIVgag、SIVretanef(rev、tat、およびnefの融合物)、およびSIVpolの5’セグメントをそれぞれ発現する(1ベクター当たり1つの挿入)、3つの68-1RhCMVベクターを接種した。
【0215】
SIV抗原由来ペプチドプールに応答するCD4+またはCD8+T細胞の平均発生頻度を定量化した。SIV抗原を表す重複する(11Aによる)15merペプチドのプールの存在下でのIFNγまたはTNFαの細胞内サイトカイン染色により、末梢血単核細胞(PBMC)において、示される時点でT細胞発生頻度を決定した。RMの各々は、SIV抗原の各々に対して堅牢な(robust)CD4+およびCD8+T細胞応答を生じた(
図1)。
【0216】
次に、SIVgag特異的CD8+T細胞応答のMHC拘束を分析した。各コホートにおける3匹のRMから得られたPBMCにおけるSIVgag特異的CD8+T細胞応答を個々のペプチドの存在下で測定した。抗汎MHC-I mAb W6/32、MHC-EブロッキングペプチドVL9、およびMHC-IIブロッキングペプチドCLIPでブロックすることにより、MHC拘束を決定した。コホート1の動物におけるすべてのペプチド応答はVL9ペプチドによってブロックされ、コホート2および3におけるペプチド応答はCLIPペプチドによってブロックされた(
図2)。したがって、コホート1におけるCD8+T細胞はMHC-Eによって専ら拘束され、コホート2および3におけるCD8+T細胞はMHC-IIによって専ら拘束される。コホート4の動物におけるCD8+T細胞応答(図示せず)は、以前に報告されたように、MHC-IIおよびMHC-Eの両方によって拘束される(Hansen 2016.Broadly targeted CD8(+)T cell responses restricted by major histocompatibility complex E.Science 351:714-20、Hansen 2013.Cytomegalovirus Vectors Violate CD8+ T Cell Epitope Recognition Paradigms.Science 340:1237874-1237874)。
【0217】
MHC-EまたはMHC-II拘束CD8+T細胞が保護に関与するかを決定するために、用量制限されたSIVmac239の反復直腸内接種により、コホート1、2、および3をチャレンジした。最初の血漿ウイルス負荷(pvl)またはSIVvif応答が検出されるまで、RMを毎週チャレンジした(感染の開始を前のチャレンジとして定めた)。ワクチンベクターはSIVvifを発現しないため、検出可能なSIV血漿ウイルス負荷の不在下で新規なSIVvif応答が生ずることは感染の証明となる。一度感染すると典型的なピークおよびプラトーなパターンを有する持続性ウイルス血症を呈する非コントローラー(黒色ボックス)と異なり、血漿ウイルス血症が最初の陽性pvlから2週間以内に観察されなかったか、または検出不可能となり、次いで、その後の5週間のうちの少なくとも4週間で閾値未満に維持された場合に、RMをコントローラーとみなした(白色ボックス)。
【0218】
コホート2および3のすべての動物は、全身性の進行性SIVウイルス血症を発症したが、これは、MHC-II拘束CD8+T細胞がSIVmac239感染に対する保護を与えることができなかったことを示唆している(
図3)。対照的に、68-1RhCMV/SIV/miR126ベクターでワクチン接種したコホート1の動物のうちの6/9(67%)は、SIVmac239による感染を厳密に制御した。これらのデータは、MHC-E拘束CD8+T細胞応答が強毒性SIVに対する保護を与えたことを示している。
【0219】
株68-1由来RhCMVベクターが、非常に高いエピトープ密度(=所与の抗原内でのT細胞によって認識されるペプチドの数)を示すCD8+T細胞応答を誘発することが以前に示された(Hansen.2013.Cytomegalovirus Vectors Violate CD8+ T Cell Epitope Recognition Paradigms.Science 340:1237874-1237874)。いわゆるスーパートープである、これらのMHC-EおよびMHC-IIエピトープのうちのいくつが、すべての動物で認識されることがさらに示された(Hansen 2016.Broadly targeted CD8(+)T cell responses restricted by major histocompatibility complex E.Science 351:714-20)。スーパートープは、MHC-I分子によって提示される「古典的」エピトープに関して記載されてなく、したがって、CMVベースのベクターの特有の特徴を表す。上記の「MHC-Eのみ」RhCMVベクターで観察される保護についてスーパートープ単独で説明することができるかどうかを決定するために、個々のSIV抗原由来のスーパートープ配列からなる人工融合タンパク質を生成した(表1、15merおよび最小スーパートープペプチド配列には下線が引かれている)。
【表1】
【0220】
人工融合タンパク質の配列は、以下の通りである(HA-エピトープタグには下線が引かれている):
MRRWRRRWQQLLALADRIYSFPDPTSSASNKPISNRTRHCQPEISMRRSRPSGDLRQRLLRAEKLAYRKQNMDDIDEEDDDAQTSQWDDPWGEVLAWKFDYVRYPEEFGSKSGLSEEEVGGIGGFINTKEYKNVEIVLGKRNTPTFAIKKKDKNKWRMLIDFREWMGYELWPTKWKLQKIELPLGLQKCVRMYNPTNILDVKYMQLGKQQREKQRESREKPYKEV
YPYDVPDYAD(配列番号12)。抗HA抗体でプローブすることによってSIVスーパートープ融合構築物の発現を示すために、免疫ブロッティングを行った(
図4)。
【0221】
MHC-E拘束エピトープの小さなセットに対するCD8+T細胞応答に焦点を合わせることを目標として、SIV MHC-Eスーパートープ融合タンパク質をmir126標的化部位を含む68-1RhCMVに挿入した。得られた構築物を8匹のRM(コホート5)に接種した。SIVスーパートープを表す個々の15merペプチドのプールの存在下でのIFNγまたはTNFαの細胞内サイトカイン染色により、末梢血単核細胞(PBMC)において、示される時点でT細胞発生頻度を決定した(
図5)。CD8+T細胞は、SIV抗原由来ペプチドに応答した(
図5A)。CD8+T細胞は、MHC-E拘束スーパートープGag69およびGag120に応答したが、SIVgag挿入物全体を発現する68-1RhCMV/gagベクターで免疫化したRM由来のCD8+T細胞によって一般的に認識される他のMHC-E拘束GAGエピトープには応答しなかった(
図5B)。これらの結果は、すべての動物が、専らスーパートープに対するSIV特異的CD8+T細胞応答を誘発したことを示す。
【0222】
MHC-Eスーパートープ拘束CD8+T細胞が「MHC-Eのみ」ベクターで観察された保護を再現することができるかどうかを決定するために、上記のように低用量のSIVmac239の反復直腸内接種によって、コホート5をチャレンジした。最初の血漿ウイルス負荷(pvl)またはSIVvif応答が検出されるまで、RMを毎週チャレンジした(感染の開始を前のチャレンジとして定めた)。一度感染すると典型的なピークおよびプラトーなパターンを伴う持続性のウイルス血症を呈する非コントローラーと対照的に(黒色ボックス)、pvlが最初の陽性pvlから2週間以内に検出できなくなり、次いで、その後の5週間のうちの少なくとも4週間にわたって閾値未満に維持された場合に、RMをコントローラーとみなした(黒色ボックス)。
【0223】
重要なことに、動物のうちの5/7(71%)に、SIVmac239によるスーパートープ融合タンパク質制御感染を発現する単一の68-1RhCMV/SIV/miR126ベクターをワクチン接種した(
図6)。これらのデータは、MHC-Eスーパートープに特異的なCD8+T細胞が高病原性SIVに対する保護に関与していることを示す。
【0224】
HIVベースのスーパートープ抗原を設計するために、HIV抗原を68-1RhCMVに挿入し、RMに接種することによって、HIVスーパートープをマッピングした。表2は、特定されたHIVスーパートープのリストを含む。最適な最小ペプチド配列には下線が引かれている。
【表2】
【0225】
実施例2:UL18の発現は、MHC-EおよびMHC-II拘束CD8+T細胞の誘導を防げる。
株68-1RhCMVベクターがMHC-IIおよびMHC-E拘束CD8+T細胞応答を誘発する能力に対するUL18の影響を決定するために、2つのRhCMV構築物を生成した:
【0226】
構築物1:ベクター骨格として、RhCMV遺伝子Rh211中にEF1αプロモーターの制御下のSIVpolの5’断片についての発現カセットを含む、68-1RhCMV。遺伝子Rh13.1を置き換えることによってUL18を挿入し、したがって、Rh13.1の代わりにUL18が発現される。挿入されたUL18配列は、HCMV TR単離物のUL18に対応する。
【0227】
構築物2:ベクター骨格として、遺伝子Rh107(HCMV UL78のホモログ)がSIVrev、tat、およびnefの融合タンパク質(SIVrtn)で置き換えられた、68-1RhCMV。遺伝子Rh13.1を置き換えることにより、UL18を挿入した。
【0228】
構築物1の5×106プラーク形成単位(PFU)を3匹のRhCMV血清陽性RMに接種し、0日目に同じ量の構築物2を2匹のRhCMV血清陽性RMに接種した。対照のために、EF1αプロモーターの制御下でSIVgagを発現する68-1RhCMVをRMに接種した。
【0229】
7日目、14日目、およびその後の隔週に、PBMCを2匹のRMから単離し、構築物1、2、または対照によって誘発されたSIV抗原に対するCD8+T細胞応答を、SIVpol、SIVrtn、またはSIVgagをそれぞれ包含する重複した15merペプチドプールを使用したIFNγおよびTNFαについての細胞内サイトカイン染色(ICS)によって測定した。MHC-EまたはMHC-IIの関連でペプチドを認識するCD8+T細胞を特異的に検出するために、各SIV抗原内のスーパートープをすべての動物が有することが有利であった(Hansen Science 2013,Hansen Science 2016)。したがって、スーパートープペプチドの各々を、それぞれのRMのPBMCにおいて、ICSによって個別に試験した。
【0230】
各群の2匹の動物における総抗原特異的応答を表す、SIV抗原ペプチドプールに応答するCD8+T細胞の発生頻度を分析した(
図7A)。同じ2匹の動物についても、MHC-E拘束スーパートープおよびMHC-II拘束スーパートープに応答するCD8+T細胞の発生頻度を分析した(
図7B、7C)。
【0231】
すべての動物は、接種に使用されるRhCMVベクターによって発現されるSIV抗原に対するCD8+T細胞応答を生じた。しかしながら、スーパートープ応答は、68-1RhCMV/SIVgagについてのみ観察され、UL18を発現する両方のベクターは、スーパートープを認識するT細胞を誘発しなかった。これらの結果により、UL18がMHC-EおよびMHC-II拘束CD8+T細胞の誘導を妨げることが示された。
【0232】
次に、MHC分子が、UL18発現68-1RhCMV/SIVpolを受けた3匹の動物におけるSIVpol特異的応答の誘発に関与するかをさらに決定するために、MHC拘束マッピングを行った。構築物1を接種した3つのRMから得たPBMCにおけるSIVpol特異的CD8+T細胞応答を個々のペプチドの存在下で測定した。MHC-I、MHC-II、またはMHC-E提示のいずれかをブロックする特定の試薬(MHC-IおよびMHC-Eは抗体W6/32でブロックされ、MHC-IIはHLA-DR特異的抗体およびCLIPペプチドでブロックされ、MHC-EはVL9ペプチドでブロックされる)の存在下で、SIVpol内の個々のペプチドに対するCD8+T細胞応答を測定した。
【0233】
図8に示す結果は、各個々のペプチドによるCD8+T細胞の刺激が、汎MHC-I阻害抗体W6/32によって阻害されたが、MHC-E特異的ペプチドVL9またはMHC-II特異的抗体およびCLIPペプチドによって阻害されなかったことを明らかにしている。したがって、すべてのCD8+T細胞エピトープは、MHC-Iによって拘束される。対照的に、68-1RhCMV発現SIV抗原を接種した動物由来のCD8+T細胞は、MHC-IIまたはMHC-Eの関連ですべてのペプチドを認識する(Hansen Science 2013,Hansen Science 2016)。
【0234】
これらの結果は、最も可能性高くは、UL18がMHC-IIおよびMHC-E拘束CD8+T細胞の誘導を妨げることによって、CD8+T細胞応答を再プログラミングしたことを示している。UL18は、宿主阻害受容体LIR-1に関与することが既知である(Yang Z,Bjorkman PJ.2008.Structure of UL18,a peptide-binding viral MHC mimic,bound to a host inhibitory receptor.Proc Natl Acad Sci USA 105:10095-100、Chapman TL,Heikeman AP,Bjorkman PJ.1999.The inhibitory receptor LIR-1 uses a common binding interaction to recognize class I MHC molecules and the viral homolog UL18.Immunity 11:603-13)。したがって、この再プログラミングのあり得る機序は、T細胞上の阻害性白血球阻害受容体(LIR)に関与することにより、UL18が、68-1RhCMVによるCD8+T細胞の直接プライミングを妨げることである(直接プライミングは、感染細胞によってプライミングされているT細胞を指す)。直接プライミングの不存在下では、CD8+T細胞は、交差プライミングによって、すなわち、感染細胞から得られた抗原を提示する非感染細胞(例えば、樹状細胞)によって間接的に誘発される。これまで、UL18はT細胞プライミングを妨げることに関与していなかった。これらの結果は、予想外であり、かつ、前例がない。
【0235】
阻害性受容体LIR1との相互作用が、MHC-IIおよびMHC-E拘束CD8+T細胞の誘導を妨げるUL18の能力に関与するかを決定するために、α-3ドメインにおける196位のアミノ酸アスパラギン酸塩をセリン(D196S)で置き換えるように、上記の構築物1におけるUL18のコード領域を変異させた。以前の構造研究は、このアスパラギン酸塩がLIR1へのUL18の結合に関与していることを示している(Yang Z,Bjorkman PJ.2008.Structure of UL18,a peptide-binding viral MHC mimic,bound to a host inhibitory receptor.Proc Natl Acad Sci USA 105:10095-100)。さらに、この残基は、すべてのLIR1結合HLA分子では保存されているが、LIR1に結合しないHLA様分子では存在しない。UL18のD196S変異体をSIVpolを発現する68-1RhCMVに挿入し、得られた構築物を2匹のRMに接種した。91日目に、PBMCを単離し、SIVpolまたはSIVpol MHC-EスーパートープペプチドPol41(GFINTKEYKNVEIEV;配列番号33)またはMHC-IIスーパートープPol90(LPQGWKGSPAIFQYT;配列番号34)を包含する重複する15merペプチドのプールを使用したIFNγおよびTNFαについてのICSによって、SIVpolに対するCD8+T細胞の応答を測定した。インタクトなUL18を発現する68-1RhCMVを接種した動物とは対照的に(
図9A)、UL18のD196S変異体を発現する68-1RhCMVを接種した動物において両方のSIVpolスーパートープに対するT細胞応答が観察された(
図9B)。したがって、これらの結果は、UL18が、MHC-EおよびMHC-II拘束CD8+T細胞の誘導を妨げるためにLIR1受容体に関与する必要があることを示した。
【0236】
UL18は、NK細胞の回避における役割を果たすと考えられている(Prod’homme 2007.The human cytomegalovirus MHC class I homolog UL18 inhibits LIR-1+ but activates LIR-1- NK cells.J Immunol 178:4473-81)。NK細胞の回避は、ベクター機能に重要であり得るので(Sturgill 2016.Natural Killer Cell Evasion Is Essential for Infection by Rhesus Cytomegalovirus.PLoS Pathog 12:e1005868)、HCMVベースのベクターからのUL18の欠失が、異種抗原に対する免疫応答を誘発するそれらの能力を妨げると考えられた。UL18欠失HCMVが挿入された抗原に対するT細胞応答を誘発することができるかどうかを決定するために、UL18をHIV抗原で置き換え、それによって、UL18を欠失させ、内因性UL18プロモーターを使用してHIVgag/nef/pol融合タンパク質の発現を駆動した。さらに、遺伝子UL128、UL130、UL146、およびUL147も、これらの遺伝子産物がMHC-EおよびMHC-II拘束CD8+T細胞応答を阻害することが以前に示されていたので、UL18欠失ベクターから欠失させた(米国特許第10,532,099号)。ベクター骨格として、HCMV TR3を使用した(Caposio.2019.Characterization of a live-attenuated HCMV-based vaccine platform.Scientific Reports 9:19236)。ヒト線維芽細胞の免疫ブロットにより、得られたウイルスベクター(HCMV TR3 ΔUL18/HIV融合ΔUL128-130ΔUL146-147)でのHIV融合タンパク質の発現を確認した(
図10)。
【0237】
UL18欠失HCMVベクターもRMに接種し、HIV抗原に対する免疫応答を接種後56日目にICSによってPBMCにおいて決定した。
図11に示すように、ベクターは、RMにおいてHIVgag、HIVnef、およびHIVpolに対するCD8+T細胞応答を誘発し、このことは、これらの抗原の各々を含む重複したペプチドのプールを使用することによって示された。したがって、UL18を欠如するHCMVベクターは、異種抗原に対するT細胞応答を誘発する能力を保持していると結論付けた。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2022-05-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
連邦政府支援研究開発に関する記述
本発明は、国立衛生研究所によって授与された助成番号AI059457およびAI128741での政府支援によりなされた。政府は本発明において一定の権利を有する。
【国際調査報告】