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特表2022-544713空間的穀物カート・データの高精度化によるコンバイン・ハーベスタの収量データの高精度化
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-20
(54)【発明の名称】空間的穀物カート・データの高精度化によるコンバイン・ハーベスタの収量データの高精度化
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/02 20120101AFI20221013BHJP
   A01D 41/127 20060101ALI20221013BHJP
【FI】
G06Q50/02
A01D41/127
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022512343
(86)(22)【出願日】2020-08-20
(85)【翻訳文提出日】2022-02-22
(86)【国際出願番号】 US2020047277
(87)【国際公開番号】W WO2021041165
(87)【国際公開日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】62/890,688
(32)【優先日】2019-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505315742
【氏名又は名称】トプコン ポジショニング システムズ, インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100187322
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 直輝
(72)【発明者】
【氏名】アントニオ アール アセベド
(72)【発明者】
【氏名】ジャレッド オックス
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ソルベ
【テーマコード(参考)】
2B074
5L049
【Fターム(参考)】
2B074AA05
2B074AC02
2B074BA09
2B074BA13
2B074BA19
2B074GJ07
5L049CC01
(57)【要約】
一実施形態において、収穫収量データを処理する方法は、穀物カートから積載量データを受信し、コンバイン・ハーベスタから前記収穫収量データを受け取るステップを含んでいる。前記積載量データおよび前記収穫収量データは後処理されて高精度化収穫収量データを生成する。前記コンバイン・ハーベスタおよび前記穀物カートは、並走式収穫物荷降ろし作業、または停車式収穫物荷降ろし作業を行う。前記後処理は、収穫エリア用の圃場境界を作成し、前記圃場境界内における前記コンバイン・ハーベスタについて開始時間および開始位置を判定し、前記圃場境界内における前記コンバイン・ハーベスタについて終了時間および終了位置を判定することを含んでもよい。収量モニタで推定された合計穀物収穫高重量を較正して、穀物カートの合計測定重量と整合させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収穫収量データを処理するための方法であって、
穀物カートから積載量データを受信することと、
コンバイン・ハーベスタから前記収穫収量データを受信することと、
前記積載量データおよび前記収穫収量データを後処理して収量データを生成することとを含む方法。
【請求項2】
前記コンバイン・ハーベスタおよび前記穀物カートは、並走式収穫物荷降ろし作業を行う、
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コンバイン・ハーベスタおよび前記穀物カートは、停車式収穫物荷降ろし作業を行う、
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記後処理は、収穫エリア用の圃場境界を作成する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記後処理はさらに、
前記圃場境界内における前記コンバイン・ハーベスタについて開始時間および開始位置を判定することと、
前記圃場境界内における前記コンバイン・ハーベスタについて終了時間および終了位置を判定することとを含む、
ことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記後処理はさらに、
前記コンバイン・ハーベスタの収量モニタによって推定される合計穀物収穫高重量を計算することと、
前記穀物カートの合計測定重量によって推定される合計穀物収穫高重量を計算することとを含む、
ことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記後処理はさらに、前記収量モニタで推定された前記合計穀物収穫高重量を較正して、前記穀物カートの合計測定重量と整合させることを含む、
ことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記収量モニタで推定された前記合計穀物収穫高重量を較正して、前記穀物カートの合計測定重量と整合させる処理は、前記コンバイン・ハーベスタに関連する各荷降ろしイベントおよび前記穀物カートに関連する積み込みイベントに対して行われる、
ことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
プロセッサと、
コンピュータプログラム指示を記憶するメモリと、
を備える装置であって、
前記コンピュータプログラム指示は前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、
穀物カートから積載量データを受信することと、
コンバイン・ハーベスタから収穫収量データを受信することと、
前記積載量データおよび前記収穫収量データを後処理して収量データを生成することとを含む動作を行わせる、
装置。
【請求項10】
前記コンバイン・ハーベスタおよび前記穀物カートは、並走式収穫物荷降ろし作業を行う、
ことを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記コンバイン・ハーベスタおよび前記穀物カートは、停車式収穫物荷降ろし作業を行う、
ことを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記後処理はさらに、収穫エリア用の圃場境界を作成することを含む、
ことを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記後処理はさらに、
前記圃場境界内における前記コンバイン・ハーベスタについて開始時間および開始位置を判定することと、
前記圃場境界内における前記コンバイン・ハーベスタについて終了時間および終了位置を判定することとを含む、
ことを特徴とする、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記後処理はさらに、
前記コンバイン・ハーベスタの収量モニタによって推定される合計穀物収穫高重量を計算することと、
前記穀物カートの合計測定重量によって推定される合計穀物収穫高重量を計算することとを含む、
ことを特徴とする、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記後処理はさらに、前記収量モニタで推定された前記合計穀物収穫高重量を較正して、前記穀物カートの合計測定重量と整合させることを含む、
ことを特徴とする、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記収量モニタで推定された前記合計穀物収穫高重量を較正して、前記穀物カートの合計測定重量と整合させる処理は、前記コンバイン・ハーベスタに関連する各荷降ろしイベントおよび前記穀物カートに関連する積み込みイベントに対して行われる、
ことを特徴とする、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
コンピュータプログラム指示を記憶するコンピュータ読み取り可能媒体であって、
前記コンピュータプログラム指示は、プロセッサ上で実行されると、前記プロセッサに、
穀物カートから積載量データを受信することと、
コンバイン・ハーベスタから収穫収量データを受信することと、
前記積載量データおよび前記収穫収量データを後処理して収量データを生成することとを含む動作を行わせる、
コンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項18】
前記コンバイン・ハーベスタおよび前記穀物カートは、並走式収穫物荷降ろし作業を行う、
ことを特徴とする、請求項17に記載のコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項19】
前記コンバイン・ハーベスタおよび前記穀物カートは、停車式収穫物荷降ろし作業を行う、
ことを特徴とする、請求項17に記載のコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項20】
前記後処理はさらに、収穫エリア用の圃場境界を作成することを含む、
ことを特徴とする、請求項17に記載のコンピュータ読み取り可能媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本出願は、2019年8月23日に先に出願された米国仮出願第62/890688号に基づく利益を主張するものであり、その開示内容全体をここに参照により援用する。
【0002】
本開示は、一般にデータ取得に関し、より詳細には、収穫機の穀物収量データの高精度化に関する。
【背景技術】
【0003】
農業生産システムにおいて、穀物収量は、穀物カートや穀物エレベータに設置されたはかりやコンバイン・ハーベスタの収量モニタによって記録される。収量をモニタリングすることにより、作物が特定の圃場でどのように栽培され、処理されるかの生産管理を変更することができる。例えば、圃場の収量が低いエリアでは、当該エリアの収量を増加させるための措置を講じることができる。収量が多いエリアでは、以前に実行した措置と同じものを再度実行することができる。近年、コンバイン・ハーベスタの収量モニタ・データによって、作物収量性能に関する圃場内変動の最適な粒度を提供されてきた。しかし、作物保険の報告と農業管理に単独で貢献するには、コンバインの収量データは不正確すぎ、信頼性が低すぎると一般的に考えられている。これは主に、コンバインの操作中に収量モニタ・システムの正確な較正処理を維持することが困難であり不便であることに起因する。
【0004】
したがって、穀物カートやトラックのはかりのような真重量計を利用する機器が、一般に農場の正確な収量情報を得るための主要なソースと考えられている。しかしながら、現状の穀物カート技術では、圃場の広範囲または圃場全体に渡る低解像度の収量値しか得られず、コンバイン・ハーベスタの収量モニタ・システムが現在提供できる作物の収量性能に関して、圃場内変動を識別するための空間粒度を欠いている。コンバインの収量モニタ・システムの較正とマスフロー検知を改善して、信頼性と精度を改善するべく多くの努力がなされてきたが、それらは計量システムを通して真の穀物重量を得るための代替とは考えられてこなかった。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態において、収穫収量データを処理する方法は、穀物カートから積載量データを受信し、コンバイン・ハーベスタから前記収穫収量データを受け取るステップを含んでいる。前記積載量データおよび前記収穫収量データは後処理されて高精度化収穫収量データを生成する。前記コンバイン・ハーベスタおよび前記穀物カートは、並走式収穫物荷降ろし作業、または停車式収穫物荷降ろし作業を行ってもよい。前記後処理は、収穫エリア用の圃場境界を作成し、前記圃場境界内における前記コンバイン・ハーベスタについて開始時間および開始位置を判定し、前記圃場境界内における前記コンバイン・ハーベスタについて終了時間および終了位置を判定することを含んでもよい。前記後処理はまた、前記コンバイン・ハーベスタの収量モニタによって推定される合計穀物収穫高重量を計算し、前記穀物カートの合計測定重量によって推定される合計穀物収穫高重量を計算してもよい。収量モニタで推定された合計穀物収穫高重量を較正して、穀物カートの合計測定重量と整合させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、圃場から作物を収穫するコンバイン・ハーベスタを示す図である。
図2図2は、収穫物を停車中の穀物カートに降ろしている停車中のコンバイン・ハーベスタを示す図である。
図3図3は、圃場内に停車中の穀物カートに収穫物を降ろしている、圃場内に停車中のコンバイン・ハーベスタを示す図である。
図4図4は、移動中の穀物カートに収穫物を降ろしている、移動中のコンバイン・ハーベスタを示す図である。
図5図5は、圃場において、圃場内を移動するコンバイン・ハーベスタとその隣を移動する穀物カートとを示す図である
図6図6は、一実施形態による、停車中の圃場サイド穀物カート・データを用いてコンバイン・ハーベスタの収量データを高精度化する方法のフローチャートである。
図7図7は、一実施形態による、ハーベスタが並走式荷降ろし作業から得られる穀物カート・データを用いてコンバイン・ハーベスタの収量データを高精度化する方法のフローチャートである。
図8図8は、一実施形態による、コンバイン・ハーベスタ・データを高精度化するシステムを実施するためのシステムを示す図である。
図9図9は、図8に示す一実施形態によるシステムのコンポーネントを実施するためのコンピュータを示す上位構成ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1には作物を栽培している圃場100が示されている。コンバイン・ハーベスタ102(コンバインとも称する)が、経路101を介して圃場100を交互の方向に横断する様子が示されている。具体的には、コンバイン102は、圃場100の一端へ向かう矢印104で示す第一の方向に走行し、その後圃場100の前記一端近傍で転回して矢印106で示す第二の方向に走行する様子が示されている。コンバイン102は、矢印110、112、114、116、118および120によって示すように、経路101を介して交互の方向に圃場100を横断し続ける。コンバイン102は、圃場100を横断しながら圃場100内の作物を収穫する。一実施形態において、収穫物は穀物であり、コンバイン102は、その穀物貯留容量の制限から、定期的に既に収穫した穀物を荷降ろししなければならない。経路101の、コンバイン102が既に横断した部分は実線で示されており、経路101の、まだコンバイン102が横断していない部分は点線で示されている。
【0008】
図2は、停車中のコンバイン102が、コンバイン102に略隣接する位置で停車中の穀物カート122に穀物を荷降ろししている様子を示している。一実施形態では、コンバイン102は、穀物を特定量収穫すると穀物の荷降ろしを行う。本実施形態では、コンバイン102が穀物カート122に、穀物の荷降ろしを行うために、穀物カート122が定期的にコンバイン102に隣接する位置に移動する。農家では、一般的に収穫中の圃場脇に穀物カートを配置する。コンバイン102の容器に特定量の穀物が保持されると、コンバイン102の操作者が、(例えば、オーガを使用して)コンバイン102から穀物を穀物カート122に降ろす。この工程は、コンバインの荷降ろしイベントであり、穀物カートの積み込みイベントである。コンバインからの単一の荷降ろしイベントには、圃場においてコンバインが通る複数の収穫パス(例えば、図1に示すコンバイン102が、穀物の収穫時に通る経路101を、矢印104で示される第一の方向や矢印106で示される第二の方向等の一方向以上の走行)からの穀物が含まれる。荷降ろしイベント毎に通る圃場の収穫パスの数は、コンバインの容器、穀物の容量、作物の収量レベルによって異なる。なお、収穫パスは、圃場を端から端まで完全に横切るよりも少ないことがあることに留意されたい。例えば、コンバイン102は、圃場の一本のパスの端から端までで収穫される穀物全体ではなく、その一部しか保持できないことがある。一実施形態において、穀物カート122は、穀物カート122内の穀物の重量や穀物の容積等、穀物カート122に積み込まれた穀物に関する様々なパラメータを感知する複数のセンサを有している。穀物の様々なパラメータを感知する複数のセンサを有する穀物カートを、スマート穀物カートと称する。
【0009】
図3は、穀物カート122に穀物を荷降ろしするコンバイン102の隣に位置する穀物カート122を示している。一実施形態(図示せず)において、穀物カート122は圃場100の端に留まり、コンバイン102が定期的に穀物カート122の隣に移動して荷降ろしをする。
【0010】
図4は、移動しながら、圃場から穀物を収穫するコンバイン102とその隣を共に移動する穀物カート122を示している。一実施形態において、穀物カート122は穀物を収穫するコンバイン102の隣を走行する。本実施形態では、コンバイン102は必要と判断した時点でいつでも穀物カート122に穀物の荷降ろしができる。例えば、コンバイン102は、コンバイン102が特定量の穀物を収穫したときに穀物カート122に穀物の荷降ろしができる。一実施形態において、コンバイン102は、穀物をコンバイン102に収穫しつつ、穀物を穀物カート122に荷降ろしする。
【0011】
図5は、移動しながら、圃場100から穀物を収穫するコンバイン102を示している。本実施形態では、コンバイン102は、収穫された穀物を図においてコンバイン102の隣を走行する穀物カート122に荷降ろしする。これを「並走式(On-the-go)」荷降ろしと称する。
【0012】
一実施形態において、コンバイン102は、圃場での収量を判定するために、圃場からどれだけ穀物が収穫されたかを監視するために(収量モニタリングと称する)使用される複数のセンサを有している。一実施形態において、収量モニタは、コンバイン102から穀物カート122に荷降ろしされた穀物の情報を用いて較正される。収量モニタの較正は、コンバイン102から穀物カート122に穀物が荷降ろしされる際に定期的に穀物カート122から受信する穀物情報を用いて行うことができる。或いは、穀物の収穫が完了した後に、コンバイン102の収量モニタからのデータおよび穀物カート122からのデータを高精度化収量サーバに送信して、圃場からの穀物の収量を判定することができる。なお、各荷降ろしイベントにおける収穫パスが多いほど、収穫パスが少ない荷降ろしイベントと比較して収量マップの精度が下がる。
【0013】
図6は、一実施形態において、図2および図3に関連して上述したように穀物カートを停車させて使用する場合に、高精度化収穫収量データを作成するステップを示すフローチャート600である。一実施形態において、高精度化収穫収量データは、コンバインに配置された収量モニタにより取得される収量データであって、圃場から収穫される穀物をより正確に(例えば、重量、容積、サイズ、水分等)表すように収集・改変されたデータである。図6に示される「圃場収穫作業」601のステップは、圃場における収穫作業(即ち、コンバイン102が圃場から穀物を収穫し、コンバイン102から穀物カート122に穀物を荷降ろしする作業)を行っている最中に行われるステップである。図6に示される、「高精度化収量作成」603のステップは、圃場における収穫作業が完了した後に行われる後処理である。高精度化収量作成603のステップは、クラウド・サーバ内で発生するものとして記載する。ただし、これらのステップをローカルサーバで実行することもできる。また、後処理は所望する情報を判定するのに十分なデータを受信後、任意のタイミングで行うことができる。
【0014】
ステップ602において、コンバイン102およびスマート穀物カート122が圃場100に入る。ステップ604において、スマート穀物カート122を、コンバイン102の作業の妨げとならないように圃場の脇に駐車する。ステップ606において、コンバイン102は収穫作業を開始する(即ち、圃場100から穀物を収穫する)。ステップ608において、コンバイン102は圃場100の複数の経路で収穫を行う。ステップ610において、コンバイン102は、ホッパー(容器とも称する)が満杯となるか、穀物が荷降ろしすべき特定量となったら、穀物カート122の所へ移動する。ステップ612において、スマート穀物カート122は、コンバイン102から荷降ろしされた穀物を受け取る。ステップ614において、収穫作業が完了したか否かが判定される。収穫作業が完了していない場合(分岐「No」616)、ステップ606に進み、コンバイン102が圃場100で収穫作業を開始し、ステップ608、610、および612を繰り返す。収穫作業が完了した場合(分岐「Yes」618)、ステップ620に進み、ここで、コンバインの収穫データが、本実施形態ではデータ・クラウドに配置される高精度化収量サーバにアップロードされる。データ・クラウド内に配置された高精度化収量サーバは、クラウド・サーバまたはクラウドとも称される。一実施形態において、コンバインの収穫データは、ユーザがユニバーサル・シリアル・バス(USB)装置、またはインターネット・オブ・シングス(IOT)装置を用いてデータ・クラウドにアップロードする。別の実施形態では、コンバインの収穫データは、データ・クラウドに無線で送信される。
【0015】
ステップ612に戻り、ステップ614およびステップ622に進む。ステップ622において、穀物カート122は、積み込みイベント・データをクラウド・サーバに送信する。ステップ624において、クラウド・サーバは、穀物カート122から積み込みイベント・データを受信する。ステップ626において、高精度化収量サーバは、受信したスマート穀物カートからのデータを高精度化収量ポスト較正用にコンパイルする。ステップ628において、高精度化収量ポスト較正が高精度化収量サーバによって開始される。
【0016】
ステップ630において、ステップ620でアップロードされたコンバインの収穫データを用いて、地理空間的にタグ付けされた収穫データで表されるコンバインでの収穫作業でカバーされるエリアの外縁に多点ポリゴンを適用することで収穫エリア用の圃場境界を作成する。ステップ632において、穀物カート122の全球測位衛星システム(Global Navigation Satellite System:GNSS)からの位置データを用いて、コンバイン102に対する穀物カート122の位置を確立する。ステップ634において、収量モニタが収穫データを最初に記録する際に、開始時刻およびコンバイン102の開始GNSS位置を判定する。ステップ636において、収量モニタが収穫データの記録を停止した際に、終了時間およびコンバイン102の終了GNSS位置を判定する。ステップ638において、コンバインの荷降ろしイベントの開始時間が判定され、タイムスタンプが付与され、荷降ろしイベントの開始時におけるコンバイン102脇の穀物カート122のGNSS位置が確定される。ステップ640において、荷降ろしイベントのタイムスタンプが記録されたコンバインの収穫データは、穀物カート122の新規積み込みイベントの一致するタイムスタンプと照合される。ステップ642において、荷降ろしイベントが完了したか否かが判定される。一実施形態では、穀物カート122が積み込みイベントの記録を停止し、コンバイン102が新規収穫データの記録を開始すると、荷降ろしイベントが完了したとされる。ステップ644では、「収穫イベント」という名称の新規属性を作成し、穀物カートの特定の積み込みイベントと、これに対応するコンバイン・ハーベスタによる圃場の収穫パスからの収量データとを整合させてグループ化できるようにマーキングする。ステップ646では、ステップ632、634、および636における分析を使用して、ステップ638、640、642、および644で決定される「収穫イベント」属性に基づいて、収穫データ・ポイントを穀物カートの単一の積み込みイベントとグループ化する。「収穫イベント」属性は、特定のグループ内において1から始まる昇順の番号(即ち、収穫イベント1、収穫イベント2)で管理される。
【0017】
ステップ648では、特定の収穫イベントのグループ(即ち、収穫イベント1)の地理空間カバー・エリアにおける推定重量の合計を計算することによって、当該特定の収穫イベント内の収量モニタ・システムから合計穀物収穫高重量を推定する。ステップ650において、新規収穫イベント・グループ内で、合計穀物収穫高重量が穀物カートのはかりで計算される。ステップ652において、収量モニタ・システムで推定された合計穀物収穫高重量が較正されて、イベント・グループ内における穀物カートの合計測定重量と整合させられる。ステップ654において、各収穫イベント・グループの処理完了時に、穀物カートの重量がゼロ化される。この処理は、前回の荷降ろしイベントが新たに荷降ろしされたものの総重量に影響することを防ぐためである。ステップ656において、コンバインの荷降ろしイベントおよび穀物カートの積み込みイベント全てに対してステップ632~654を繰り返す。ステップ658において、特定の収穫イベント・グループ用に、収穫パスによって収量モニタ収穫データを調整し実際の穀物カートの重量と整合させる穀物カート重量較正済み収量モニタ収穫データを伴う「高精度化収量」という名称の新規収穫層が作成される。
【0018】
これに代えて、収量モニタの較正は、図4および図5に示されるように、移動中のコンバイン102から移動する穀物カート122に穀物が荷降ろしされる際に移動中の穀物カート122から受信する穀物情報を用いて行うことができる。
【0019】
図7は、一実施形態において、圃場で収穫を行っているコンバインの隣を走行する穀物カートに、並走して直接穀物カートに荷降ろしをする場合に、高精度化収穫収量データ700を作成するステップを示している。これは、大規模農場やカスタマイズされたコンバイン作業では非常によく行われていることである。並走式荷降ろしでは、穀物カート・データについて、コンバインによって生成されたデータ・ファイルにおける各ジオタグ付き収量データ・ポイントのポスト較正を行うことができる。したがって、本実施形態の高精度化収量データは、上述の停車中の穀物カートの場合の実施形態と比較してより正確である。図7に示される「圃場収穫作業」と記載されたボックスは、圃場における収穫作業を行っている最中に行われるステップである。図7に示される、「高精度化収量作成」と記載されたボックスは、圃場における収穫作業が完了した後に行われる後処理である。
【0020】
ステップ702において、コンバイン102および穀物カート122が圃場100に入る。ステップ704において、コンバイン102は圃場100において収穫作業を開始する。ステップ706において、穀物カート122は穀物を収穫するコンバイン102の隣を走行する。ステップ708において、コンバイン102は「並走式」で、穀物カート122に穀物を荷降ろしする。ステップ710において、穀物カート122は、新規積み込みイベントを開始して、データの記録を行う。ステップ712において、収穫作業が完了したか否かに基づいて決定が行われる。収穫作業が完了していない場合(分岐「No」714)、ステップ704に進み、コンバイン102が圃場100で収穫作業を開始し、ステップ706、708、および710を繰り返す。収穫作業が完了した場合(分岐「Yes」716)、ステップ718に進み、ユーザがコンバインの収穫データをクラウド・サーバにアップロードする。一実施形態において、コンバインの収穫データは、ユーザがユニバーサル・シリアル・バス(USB)装置、またはインターネット・オブ・シングス(IOT)装置を用いて高精度化収量サーバにアップロードする。
【0021】
ステップ710に戻り、ステップ720に進む。ステップ720において、穀物カート122が満杯になり穀物容器から荷降ろしを行う。イベント・ファイルが作成され、クラウド・サーバに送信される。ステップ722において、クラウド・サーバは、穀物カート122内の積載量に関するイベント・データを受信する。ステップ724において、穀物カートの積載量データは、高精度化収量ポスト較正用にコンパイルされる。ステップ726では、ステップ718でアップロードされた収穫データを使用して、高精度化収量ポスト較正を行う。ステップ728において、ステップ718でアップロードされたコンバインの収穫データを用いて、収穫エリア用の圃場境界を作成する。ステップ730において、収穫データおよび穀物カート・データからのタイムスタンプ、それらの積載量および荷降ろしイベントを用いて、データを正しく整合させた「作業ファイル」に統合する。ステップ732において、データの空間位置に対するコンバインの位置データが活用され、作業ファイルから穀物カートの位置データを削除する。ステップ734において、「真重量」という名称の新規属性が作業ファイル内に作成される。ステップ736において、真重量属性内で、各データ・ポイントの真重量は、荷降ろしデータ・ポイント間の荷降ろし重量差を計算することによって判定される。例えば、二回目の荷降ろし重量から一回目の荷降ろし重量を引いた値が、真重量と等しくなる。ステップ738において、作業ファイルから新規穀物カート・ファイルが作成され、データ・ポイントを地理参照マップに配置して物理的な位置を表し、それらデータ・ポイントに色分けして数値の差異を視覚的に表示することによりデータの視覚化を行う農場管理情報システムに送信する。新規穀物カート・ファイルはまた新規完了済みタスクとして保存される。ステップ740において、作業ファイルから新規高精度化収量収穫ファイルが作成される。ステップ742において、高精度化収量収穫ファイルは、高精度化収量ラベル付きの新規完了済みタスクとして保存される。ステップ744において、高精度化収量ファイルは、ユーザによる閲覧用に農場管理情報システムで視覚化される。
【0022】
図6および図7を参照して上述したステップにより、穀物カートの収穫イベントを、収穫イベント・グループの増加に伴って増加する収穫データ層の地理空間的粒度と整合させることによって較正された、複数の「収穫イベント」グループを有する新規収穫データ層が生成される。新規収穫データ層には高精度化収量ラベルが含まれており、収量情報の視覚化改善が可能となる。新規高精度化収量収穫データ層は、農業管理システムの他の好適なアプリケーションへのエクスポート用にアクセス可能である。
【0023】
なお、上述の「並走式」の方法は、穀物カートに荷降ろしする際に、コンバインのオーガを通過する穀物の流量およびコンバインの速度を適切に補償するために、かなりの処理量が求められることに留意されたい。これによりデータ点GNSS精度が大きく影響され、真のリアル・タイム・キネマティック(「RTK」)サブ・センチメートルGNSS精度の妨げとなる。図7に示されたステップ内の下位工程は、時間相互作用による走行速度によってオーガの流量を計算するアルゴリズムを有しており、穀物カートの測定重量すべてをコンバインの収穫データ・ポイントと整合させる。これにより、GNSS精度の低下や誤ったデータ整合を防止し、本実施形態の並走式作業について高精度化収量データの適正な品質を確実にする。
【0024】
図8には、本開示の一実施形態を実施するためのシステム800が示されている。システム800は、コンバイン・ハーベスタ102と、穀物カート122と、クラウド808内の高精度化収量サーバ806とを備えている。クラウド808は、コンバイン・ハーベスタ102、穀物カート122、および高精度化収量サーバ806の通信を提供可能なあらゆる種類のネットワークを表している。
【0025】
コンバイン・ハーベスタ102は、収穫物の収量データを判定する収量モニタ810と、収穫作業中のコンバイン・ハーベスタ802の位置情報を判定する全球測位衛星システム(GNSS)812(例えば、GPS)と、収量モニタ810およびGNSS812の動作、およびコンバイン・ハーベスタ102の所定の他のデータ処理作業を制御する制御部814とを備えている。
【0026】
穀物カート122(スマート穀物カートとも称す)は、コンバイン・ハーベスタ802から、穀物カート804に積み込まれる収穫物の重量データを判定する重量計816と、収穫作業中の穀物カート804の位置情報を判定するGNSS818(例えば、GPS)と、重量計816およびGNSS818の動作、および穀物カート122の所定の他のデータ処理作業を制御する制御部820とを備えている。
【0027】
高精度化収量サーバ806(クラウド・サーバとも称す)は、クラウド808のネットワーク・サーバとして実装されていてもよく、図6および図7を参照して上述したようにコンバイン・ハーベスタ102および穀物カート122から受信したデータの後処理(収穫作業後の処理)を行うために、コンバイン・ハーベスタ102および穀物カート122と通信可能である。
【0028】
一実施形態において、高精度化収量サーバ806および制御部814、820はコンピュータを用いて実施することができる。図9は、このようなコンピュータのハイレベル・ブロック図である。コンピュータ902は、このような動作を規定するコンピュータプログラム指示を実行することによって、コンピュータ902の全体動作を制御するプロセッサ904を含む。コンピュータプログラム指示は、記憶装置912または他のコンピュータ読み取り可能媒体(例えば、磁気ディスク、CD-ROMなど)に記憶され、コンピュータプログラム指示を実行したいときにメモリ910に取り込まれてもよい。したがって、図6および図7における方法ステップは、メモリ910および/または記憶装置912に記憶されたコンピュータプログラム指示によって規定でき、コンピュータプログラム指示を実行するプロセッサ904により制御できる。例えば、コンピュータプログラム指示は、図6および図7の方法ステップに規定されるアルゴリズムを実行するように当業者によってプログラムされた高精度化収量サーバ806上のコンピュータ実行可能コードとして実現できる。したがって、コンピュータプログラム指示を実行することにより、高精度化収量サーバ806のプロセッサ904は、図6および図7の方法ステップに規定されるアルゴリズムを実行する。制御部814のプロセッサは、収量モニタ810、GNSS812の動作、およびコンバイン・ハーベスタ102の所定の他のデータ処理作業を制御する適切なアルゴリズムを実行するコンピュータプログラム指示を実行するように較正することができる。制御部820のプロセッサは、重量計816、GNSS818の動作、および穀物カート122の所定の他のデータ処理作業を制御する適切なアルゴリズムを実行するコンピュータプログラム指示を実行するように較正することができる。コンピュータ902はまた、ネットワークを介して他のデバイスと通信するための1つ以上のネットワークインタフェース906を含んでいる。コンピュータ902はまた、ユーザがコンピュータ902との交信を可能にする入出力デバイス908(例えば、ディスプレイ、キーボード、マウス、スピーカ、ボタン等)を含んでいる。当業者とって当然のことながら、実際のコンピュータの実装形態は、他の構成要素も同様に含んでもよく、図6は例示を目的としてそのようなコンピュータの構成要素のうち、いくつかの構成要素を上位表示したものである。
【0029】
以上の「発明を実施するための形態」は、あらゆる点において例示的であって限定的ではないものとして理解されるべきであり、本明細書に開示される本発明概念の範囲は、「発明を実施するための形態」から判断されるのではなく、各特許法において認められる全容に渡って解釈される特許請求の範囲から判断されるべきものである。当然のことながら、本明細書に図示、説明された実施形態は、本発明概念の原理を例示したにすぎず、本発明概念の範囲および趣旨から逸脱することなく、当業者によって様々な修正が行われてもよい。当業者は、本発明の概念の範囲および趣旨から逸脱することなく、他の様々な特徴の組合せを実現できるであろう。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図6(Cont.)】
図7
図7(Cont.)】
図8-9】
【国際調査報告】