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特表2022-544743LIDARチップと共に使用するためのLIDARアダプタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-21
(54)【発明の名称】LIDARチップと共に使用するためのLIDARアダプタ
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20221014BHJP
   G01S 17/58 20060101ALI20221014BHJP
   G01S 17/34 20200101ALI20221014BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G01S17/58
G01S17/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022502970
(86)(22)【出願日】2020-08-21
(85)【翻訳文提出日】2022-01-17
(86)【国際出願番号】 US2020047530
(87)【国際公開番号】W WO2021035192
(87)【国際公開日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】16/547,522
(32)【優先日】2019-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520437076
【氏名又は名称】シルク テクノロジーズ インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003007
【氏名又は名称】特許業務法人謝国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォン、ダゾン
(72)【発明者】
【氏名】アスガリ、メヘディ
(72)【発明者】
【氏名】ルフィ、ブラッドレー ジョナサン
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA05
5J084AA07
5J084AC02
5J084AC08
5J084AD01
5J084AD04
5J084BA04
5J084BA36
5J084BA51
5J084BB02
5J084BB12
5J084BB15
5J084BB19
5J084BB27
5J084BB31
5J084BB32
5J084CA08
5J084DA01
(57)【要約】
LIDARシステムは、LIDAR出力信号を出力するように構成されたLIDARチップを含む。該LIDARシステムはまた、該LIDARチップからLIDAR出力信号を受信するとともに、該LIDAR出力信号を該LIDARシステムから視野内のサンプル領域へ出力するLIDARアダプタを含む。該LIDARアダプタはまた、前記LIDAR出力信号が前記サンプル領域内に位置する物体に反射された後、該LIDAR出力信号からの光を含むLIDARリターン信号を受信する。前記LIDAR出力信号及びLIDARリターン信号は、前記LIDARアダプタと前記物体との間の同じ光経路を通って移動する。前記LIDARアダプタはまた、前記LIDARチップによって受信され、前記LIDARリターン信号からの光を含むか、またはそれからなるLIDAR入力信号を出力するように構成される。前記LIDAR入力信号及びLIDAR出力信号は、前記LIDARアダプタと前記LIDARチップとの間の異なる光経路を通って移動する。
【選択図】図1


【特許請求の範囲】
【請求項1】
LIDARシステムであって、
LIDAR出力信号を出力するように構成されたLIDARチップ、及び
該LIDARチップからLIDAR出力信号を受信し、該LIDAR出力信号を出力し、該LIDAR出力信号がLIDARアダプタから出力された後に、該LIDAR出力信号からの光を含むLIDARリターン信号を受信するように構成されたLIDARアダプタ
を含み、
前記LIDARアダプタが、前記LIDAR出力信号及び前記LIDARリターン信号が前記LIDARアダプタと物体との間の同じ光経路を通って移動するように構成され、
前記LIDARアダプタが、前記LIDARチップによって受信されたLIDAR入力信号を出力するように構成され、
前記LIDAR入力信号が、前記LIDARリターン信号からの光を含み、
前記LIDAR入力信号及び前記LIDAR出力信号が、前記LIDARアダプタと前記LIDARチップとの間の異なる光路を移動する、
LIDARシステム。
【請求項2】
前記LIDAR入力信号が、前記LIDARシステムと物体との間の視線速度及び/または距離を示すLIDARデータを搬送する、請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項3】
前記LIDARアダプタが、基板に取り付けられた個別の光学部品を含み、前記LIDARチップが、チップ基板と一体化された光学部品を含む、請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項4】
前記LIDARチップ及び前記LIDARアダプタが、それぞれ共通のベースに接合される、請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項5】
前記LIDAR入力信号が、前記LIDARアダプタによってそれぞれ出力され、前記LIDARチップによって受信された複数の異なるLIDAR入力信号のうちの1つであり、いずれのLIDAR入力信号が、前記LIDARリターン信号からの光を含む、請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項6】
前記異なるLIDAR入力信号が、異なる線形偏光状態に関連付けられる、請求項5に記載のLIDARシステム。
【請求項7】
前記LIDARアダプタが、前記LIDARリターン信号を前記LIDARリターン信号の第1部分及び前記LIDARリターン信号の第2部分に分割するように構成され、該LIDARリターン信号の第1部分及び該LIDARリターン信号の第2部分が、異なる線形偏光状態の光を搬送する、請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項8】
前記LIDAR入力信号が、前記LIDARアダプタによってそれぞれ出力され、前記LIDARチップによって受信された複数の異なるLIDAR入力信号のうちの1つであり、
前記LIDAR入力信号のうちの1つ目が、前記LIDARリターン信号の第1部分からの光を含み、該LIDARリターン信号の第2部分からの光を排除し、
前記LIDAR入力信号のうちの2つ目が、前記LIDARリターン信号の第2部分からの光を含み、該LIDARリターン信号の第1部分からの光を排除し、
前記1つ目のLIDAR入力信号及び前記2つ目のLIDAR入力信号が、同一の線形偏光状態の光を搬送する、
請求項7に記載のLIDARシステム。
【請求項9】
前記LIDARチップが、基板上にフォトニック集積回路(PIC)を含む、請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項10】
前記LIDARアダプタが、基板に取り付けられた別個の光学部品を含み、該異なる光学部品の間で光信号が移動する光路が空白な空間を通る、請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項11】
前記LIDARアダプタが、光循環器を含み、前記LIDAR出力信号が、該光循環器のポートを介して該LIDARアダプタから出力される、請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項12】
前記LIDARアダプタが、能動光学部品を排除する、請求項1に記載のLIDARシステム。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、2019年8月21日に出願された米国特許"LIDARチップと共に使用するためのLIDARアダプタ"(シリアル番号16/547,522)の継続である。その全体が本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、光学装置、具体的にはLIDARシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
ADAS(先進運転支援システム)やAR(拡張現実)等の用途に廉価で展開できる3D感知システムに対する商業的な需要が増加している。LIDAR(光検出及び測距)センサは、レーザ光でシーンを照射してリターン信号を計測することにより、標的シーンの3D画像を構築するのに使用される。
【0004】
周波数変調連続波(FMCW)は、LIDAR用途に使用できるコヒーレントな検出方法の一例である。FMCWの技術は、物体とLIDARシステムとの間の距離及び/または視線速度を一度で測定することができるが、周囲光や他のLIDARシステムからの光に対する感度が低い。
【0005】
一体型のFMCW LIDARチップが提案されているが、これらのLIDARチップは、LIDAR出力信号及びLIDARリターン信号を同一導波路上に搬送する。製造上の制限のため、一般に、光カプラを用いてLIDAR出力信号とLIDARリターン信号とを分離する。該光カプラによって、LIDARシステムに多くの光がロスしている。LIDARシステムに対する需要増加への対応及び精度のレベルが光カプラによって制限されている。そのため、光ロスの少ないLIDARシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
LIDARシステムは、LIDAR出力信号を出力するように構成されたLIDARチップを含む。該LIDARシステムはまた、該LIDARチップからLIDAR出力信号を受信するとともに、該LIDAR出力信号を該LIDARシステムから視野内のサンプル領域へ出力するLIDARアダプタを含む。該LIDARアダプタはまた、前記LIDAR出力信号が前記サンプル領域内に位置する物体に反射された後、該LIDAR出力信号からの光を含むLIDARリターン信号を受信する。前記LIDAR出力信号及びLIDARリターン信号は、前記LIDARアダプタと前記物体との間の同じ光経路を通って移動する。前記LIDARアダプタはまた、前記LIDARチップによって受信され、前記LIDARリターン信号からの光を含むか、またはそれからなるLIDAR入力信号を出力するように構成される。前記LIDAR入力信号及びLIDAR出力信号は、前記LIDARアダプタと前記LIDARチップとの間の異なる光経路を通って移動する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】LIDARアダプタと共に使用するのに適したLIDARチップの上面図である。
【0008】
図2】複数の異なるLIDAR入力信号を受信し、LIDARアダプタと共に使用するのに適するように構成されたLIDARチップの上面図である。
【0009】
図3】複数の異なるLIDAR入力信号を受信し、LIDARアダプタと共に使用するのに適するように構成されたLIDARチップの上面図である。
【0010】
図4図1図3に係るシリコン・オン・インシュレータウエハから構築されたLIDARチップの断面図である。
【0011】
図5】LIDARアダプタの上面図である。
【0012】
図6】LIDARシステムと共に使用するための、偏光補正を提供するLIDARアダプタの上面図である。
【0013】
図7】受動光学部品のみを含み、偏光補正を提供するLIDARシステムと共に使用するのに適したLIDARアダプタの上面図である。
【0014】
図8】共通支持体の上に図1のLIDARチップと電子機器及び図5のLIDARアダプタを含むLIDARシステムの上面図である。
【発明の詳細な説明】
【0015】
異なる導波路上に搬送されたLIDAR出力信号及びLIDAR入力信号を有するLIDARチップが開示される。LIDARアダプタは、LIDARチップと視野との間に配置される。前記LIDARアダプタは、前記LIDARチップからLIDAR出力信号を受信し、該LIDARチップによって受信されたLIDAR入力信号を出力するように構成され得る。前記LIDARアダプタは、前記LIDAR入力信号及びLIDAR出力信号が前記LIDARアダプタとLIDARチップとの間の異なる光経路上で移動するが、前記LIDARアダプタと視野との間の同じ光経路上で移動するように、前記LIDAR入力信号及びLIDAR出力信号を操作する。その結果、前記LIDARアダプタによって、前記LIDARチップ上の光カプラが不要となり、LIDARシステムに関連する光ロスが低減される。
【0016】
前記LIDARアダプタは、ベースに取り付けられた個別の光学部品で構築することができる。その結果、前記LIDARアダプタは、前記LIDAR入力信号と前記LIDAR出力信号とを分離する光循環器を含むことができる。光循環器は、一体型のプラットフォームでは無効になっている。結果として、前記LIDARアダプタは、循環器をLIDARチップと効果的に結合させることができる。
【0017】
また、LIDAR出力信号は、しばしば線形的に偏光される。物体によるこれらの信号の反射は、戻り光の偏光角を変化させることがある。従って、LIDAR入力信号は、異なる線形偏光状態の光を含むことができる。該偏光状態が変化した結果、LIDAR入力信号に搬送されたLIDARデータがロスされることがある。LIDARアダプタ上に個別の光学部品を使用することで、LIDAR入力信号を異なる偏光状態にそれぞれ関連付けられた複数の異なるLIDAR入力信号に分離することが簡単になる。前記LIDARチップは、異なるLIDAR入力信号を受信し、これらの偏光状態の変化を補正するようにLIDAR入力信号を処理することができる。その結果、前記LIDARアダプタは、LIDARデータのロスを低減することができる。
【0018】
LIDARシステムは、LIDARチップを含む。好適なLIDARチップは、フォトニック集積回路(PIC)または集積光回路を含むことができる。図1は、レーザ空洞を有するフォトニック集積回路(PIC)を含むLIDARチップの上面図である。該レーザ空洞は、レーザのための利得媒体(図示せず)を含むかまたはそれからなる光源(10)を含む。該チップはまた、前記光源(10)からの光信号を受信する空洞導波路(12)を含む。該光源は、光源と空洞導波路(12)が光信号を交換できるため、光源のファセットが該空洞導波路(12)のファセットと光学的に整列するように、凹部(13)内に配置され得る。前記空洞導波路(12)は、光信号を部分リターン装置(14)に搬送する。図示の部分リターン装置(14)は、ブラッグ格子等の光学格子であるが、エシェル格子や配列された導波路格子等の他の部分リターン装置(14)を使用することができる。
【0019】
部分リターン装置(14)は、光信号の戻り部分をリターン信号として空洞導波路(12)に戻す。例えば、空洞導波路(12)は、光信号の戻り部分が利得媒体を通過するように、リターン信号を光源(10)に戻す。光源(10)は、空洞導波路(12)で受信された光信号に少なくとも一部のリターン信号が加算されるように構成されている。例えば、光源(10)は、利得媒体から受信したリターン信号を該利得媒体に反射する高度、完全、または部分的な反射装置(15)を含むことができる。その結果、光が、部分リターン装置(14)と反射装置(15)との間で共振でき、分布ブラッグ反射器(DBR)レーザ空洞を形成する。DBRレーザ空洞は、DFBレーザよりも本質的に狭い線幅及び長い干渉長を有する。従って、前記チップからのLIDAR出力信号を反射する物体が該チップからさらに離れて位置するときの性能が改善される。
【0020】
部分リターン装置(14)は、空洞導波路(12)から受信した光信号の一部をLIDARチップに含まれるユーティリティ導波路(16)に通過させる。ユーティリティ導波路(16)が部分リターン装置(14)から受信した光信号の一部は、レーザ空洞の出力として機能する。レーザ空洞の出力は、ユーティリティ導波路(16)上の出射LIDAR信号として機能する。ユーティリティ導波路(16)は、ファセット(18)で終端し、出力LIDAR信号をファセット(18)に搬送する。ファセット(18)は、ファセット(18)を通って移動する出射LIDAR信号がチップを出て、LIDAR出力信号として機能するように、配置することができる。例えば、ファセット(18)は、ファセット(18)を通って移動する出射LIDAR信号がチップから出て、LIDAR出力信号として機能するように、チップのエッジに配置することができる。
【0021】
LIDAR出力信号は、チップから離れて移動し、該LIDAR出力信号の経路内の物体によって反射され得る。反射された信号は、該物体から離れて移動する。LIDAR出力信号が反射されると、反射された信号からの光の少なくとも一部は、第1LIDAR入力信号としてLIDARチップ上の入力導波路(19)に戻される。入力導波路(19)は、第1LIDAR入力信号が入力導波路(19)に入ることができるファセット(20)を含む。入力導波路(19)に入射する第1LIDAR入力信号の部分は、入射LIDAR信号とみなすことができ、入力導波路(19)によって搬送される比較信号として機能する。入力導波路(19)は、該比較信号を光結合部(28)に搬送する。
【0022】
前記チップは、LIDARデータのために処理される光信号が産生されるデータ分岐(24)を含む。該データ分岐は、ユーティリティ導波路(16)からの出射LIDAR信号の一部をデータ分岐に移動させる分割器(26)を含む。例えば、分割器(26)は、ユーティリティ導波路(16)からの出射LIDAR信号の一部を参照信号として参照導波路(27)に移動させる。参照導波路(27)は、参照信号を光結合部(28)に搬送する。図示の分割器(26)は、ユーティリティ導波路(16)を参照導波路(27)に十分に近接させた結果である。これにより、ユーティリティ導波路(16)からの光は、参照導波路(27)に結合されるが、他の信号タップ成分は、ユーティリティ導波路(16)からの光信号の一部を参照導波路(27)に移動させるために使用され得る。適切な信号タップ成分の例には、y接合、光カプラ、及び複合モード干渉カプラ(MMI)が含まれるが、これらに限定されない。
【0023】
光結合部(28)は、比較信号と参照信号とを複合信号に結合する。参照信号は、出射LIDAR信号からの光を含む。例えば、参照信号は、出射LIDAR信号のサンプルとして機能することができる。参照信号は、LIDAR出力信号及び第1LIDAR入力信号からの光を排除することができる。一方、比較信号は、第1LIDAR入力信号からの光を含む。例えば、比較信号は、第1LIDAR入力信号のサンプルとして機能することができる。従って、比較信号は、視野内のサンプル領域においてチップから離れた物体によって反射された光を含むか、またはそれからなる。一方が、参照信号が該物体によって反射された光を含まない。該チップと反射物体が相対的に移動している場合、少なくとも部分的にドップラー効果により、比較信号及び参照信号は異なる周波数を有しうる。その結果、該比較信号と参照信号との間に拍動が発生する。
【0024】
光結合部(28)はまた、得られた複合サンプル信号を第1検出器導波路(36)及び第2検出器導波路(38)に分割する。第1検出器導波路(36)は、前記複合サンプル信号の第1部分を第1電気信号に変換する第1光センサ(40)に、該複合サンプル信号の第1部分を搬送する。第2検出器導波路(38)は、前記複合サンプル信号の第2部分を第2電気信号に変換する第2光センサ(42)に、該複合サンプル信号の第2部分を搬送する。好適な光センサの例には、ゲルマニウムフォトダイオード(PD)及びアバランシェフォトダイオード(APD)が含まれる。
【0025】
光結合部(28)、第1光センサ(40)、及び第2光センサ(42)を、電気的データ信号を出力する平衡型光検出器として接続することができる。例えば、信号光電流の直流成分が相殺するように、光結合部(28)、第1光センサ(40)、及び第2光センサ(42)を接続することができる。これにより、検出感度が向上される。第1光センサ(40)と第2光センサ(42)とを平衡型光検出器として接続するのに適した方法として、第1光センサ(40)と第2光センサ(42)とを直列に接続することが含まれる。一例では、第1光センサ(40)及び第2光センサ(42)は、共に直列に接続されたアバランシェフォトダイオードである。平衡型光検出器は、小さな信号変動の検出に望ましい。
【0026】
好適な光結合部(28)の一例は、2x2 MMI装置等の複合モード(MMI)装置である。他の適切な光結合部(28)には、断熱性の分割器及び方向性の結合器が含まれるが、これらに限定されない。図示の光結合部(28)の機能は、複数の光学部品によって実行することができる。
【0027】
単一の光センサは、第1光センサ(40)と第2光センサ(42)とを交換することができ、データ信号を出力することができる。単一の光センサが第1光センサ(40)と第2光センサ(42)とを交換する場合、該光結合部(28)は、光分割の機能を備える必要はない。その結果、図示の光結合部(28)は、図示の2x1光結合部ではなく、2x1光結合部とすることができる。例えば、図示の光結合部は、2x1 MMI装置であってもよい。これらの場合、前記チップは、複合サンプル信号を光センサに搬送する単一の検出器導波路を含む。
【0028】
前記チップは、レーザ空洞の動作を制御するための制御分岐(55)を含む。該制御分岐は、出射LIDAR信号の一部をユーティリティ導波路(16)から制御導波路(57)上に移動させる指向性結合器(56)を含む。出射LIDAR信号の結合された部分は、タップ付き信号として機能する。図1は、出射LIDAR信号の一部を制御導波路(57)上に移動させている指向性結合器(56)を示しているが、他の信号タップ要素を用いて、出射LIDAR信号の一部をユーティリティ導波路(16)から制御導波路(57)上に移動させることができる。適切な信号タップ要素の例には、y接合及びMMIが含まれるが、これらに限定されない。
【0029】
制御導波路(57)は、タップされた信号を、該タップ付き信号を分割して、該タップ付き信号の異なる部分を、タップ付き信号の部分間の位相差で再結合する干渉計(58)に搬送する。図示の干渉計(58)はマッハツェンダー干渉計であるが、他の干渉計を用いることもできる。
【0030】
干渉計(58)は、干渉計導波路(60)上に制御光信号を出力する。該干渉計導波路(60)は、制御光信号を電気制御信号として機能する電気信号に変換する制御光センサ(61)に制御光信号を搬送する。干渉計信号は、出射LIDAR信号の周波数の関数である強度を有する。例えば、マッハツェンダー干渉計は、縞パターンを有する正弦波制御光信号を出力する。出射LIDAR信号の周波数の変化は、制御光信号の周波数に変化を生じさせるであろう。従って、制御光センサ(61)から出力された電気制御信号の周波数は、出射LIDAR信号の周波数の関数である。制御光センサ(61)の代わりに他の検出機構を用いることができる。例えば、制御光センサ(61)を、光結合部(28)、第1光センサ(40)、及び第2光センサ(42)として配置された平衡型光検出器に置き換えることができる。
【0031】
電子機器(62)は、チップ上の1つ以上の部品を操作することができる。例えば、電子機器(62)は、光源(10)、第1光センサ(40)、第2光センサ(42)、及び制御光センサ(61)と電気的に通信し、これらの動作を制御することができる。電子機器(62)は、チップから離れて示されているが、該電子機器の全部または一部をチップ上に含めることができる。例えば、前記チップは、第1光センサ(40)と第2光センサ(42)とを直列に接続する導電体を含むことができる。
【0032】
チップの動作中、電子機器(62)は、レーザ空洞が出射LIDAR信号を出力するように光源(10)を操作する。次いで、電子機器(62)は、LIDARデータが各サイクル(LIDARシステムと反射物体との間のラジアル距離及び/または視線速度)ごとに産生される一連のサイクルを通じてチップを操作する。場合によっては、LIDARシステムは、LIDAR出力信号が該LIDARシステムから離れる方向を操舵するための1つ以上の機構を含む。電子機器は、LIDAR出力信号を視野内の異なるサンプル領域に誘導するように、1つ以上の機構を操作することができる。サンプル領域は、サイクルのうちの1つに関連付けられることができ、及び/または各サイクルは、サンプル領域の1つと関連付けられ得る。その結果、各LIDARデータの結果は、視野内の1つのサンプル領域と関連付けられることができる。異なるサンプル領域は、互いにオーバーラップしていてもよく、及び/または互いに分離されていてもよい。
【0033】
各サイクルは、1つ以上のデータ期間を含む。各データ期間中、電子機器は、出射LIDAR信号の周波数を同調させる。以下により詳細に説明するように、電子機器は、時間の関数としての出射LIDAR信号の周波数が該電子機器に知られるように、出射LIDAR信号の周波数を制御するために、制御分岐からの出力を使用することができる。いくつかの例では、サイクルは、第1データ期間と第2データ期間とを含む。第1データ期間中、電子機器(62)は、LIDAR出力信号の周波数を増加させることができ、第2サンプルの間、電子機器(62)は、LIDAR出力信号の周波数を低下させることができる。いくつかの例では、LIDAR出力信号の周波数の変化は線形である。一例では、レーザ空洞は、1550 nmの波長で出射LIDAR信号(及びそれに応じてLIDAR出力信号)を出力するように動作される。第1データ期間中、電子機器(62)は、波長が1550 nmから1459.98 nmまで減少するように、出射LIDAR信号(及びそれに応じてLIDAR出力信号)の周波数を線形的に増加させすることができる。その後の第2データ期間では、出射LIDAR信号の周波数が1459.98 nmから1550 nmに線形的に減少する。
【0034】
第1データ期間中に出射LIDAR信号の周波数が増加すると、LIDAR出力信号は、LIDARチップから離れて移動し、LIDAR出力信号からの光は、視野のサンプル領域内に位置する物体によって反射され得る。反射された光の少なくとも一部は、第1LIDAR入力信号においてチップに戻される。上述したように、第1LIDAR入力信号の一部は、比較信号となる。LIDAR出力信号及び第1LIDAR入力信号がチップと反射物体との間を移動する間、出射LIDAR信号の周波数は増加し続ける。出射LIDAR信号の一部が参照信号となるため、参照信号の周波数が増加し続ける。その結果、比較信号は、光結合部に同時に入射する参照信号よりも低い周波数で光結合部に入射する。また、反射物体がチップから離れるほど、第1LIDAR入力信号が該チップに戻る前に、参照信号の周波数が増加する。従って、比較信号の周波数と参照信号の周波数との差が大きくなるほど、反射物体はチップから遠くなる。その結果、比較信号の周波数と参照信号の周波数との差は、チップと反射物体との距離の関数である。
【0035】
同様の理由により、第2データ期間中に出射LIDAR信号の周波数が低減した場合、比較信号は、光結合部に同時に入射する参照信号よりも高い周波数で光結合部に入射し、第2データ期間における比較信号の周波数と参照信号の周波数との差も、LIDARシステムと反射物体との間の距離の関数である。
【0036】
いくつかの例では、LIDARシステムと反射物体の相対的な移動も、比較信号の周波数に影響を及ぼすことができるので、比較信号の周波数と参照信号の周波数との差は、ドップラー効果の関数であることもある。例えば、LIDARシステムが反射物体に向かってまたは反射物体から離れて移動するとき、及び/または反射物体がLIDARシステムに向かってまたは離れて移動するとき、ドップラー効果は、比較信号の周波数に影響を及ぼすことができる。比較信号の周波数は、反射物体とLIDARシステムとの間の視線速度の関数である。比較信号の周波数と参照信号の周波数との差も、反射物体とLIDARシステムとの間の視線速度の関数である。従って、比較信号の周波数と参照信号の周波数との差は、LIDARシステムと反射物体との間の距離及び/または視線速度の関数である。
【0037】
複合サンプル信号とデータ信号のいずれは、比較信号と参照信号とを効果的に比較する。例えば、光結合部は、比較信号と参照信号とを結合し、これらの信号は、周波数が異なるため、比較信号と参照信号との間に拍動が発生する。従って、複合サンプル信号及びデータ信号は、比較信号と参照信号との間の周波数差に関連する拍動周波数を有し、拍動周波数は、比較信号と参照信号との周波数の差を測定するために使用され得る。複合サンプル信号及び/またはデータ信号の拍動周波数がより高いことは、比較信号と参照信号との周波数の差がより大きいことを示す。その結果、データ信号の拍動周波数は、LIDARシステムと反射物体との間の距離及び/または視線速度の関数である。
【0038】
上記のように、拍動周波数は、2つの未知数の関数であり、即ち、LIDARシステムと反射物体との間の距離及びチップと反射物体との相対速度(即ち、ドップラー効果の寄与)である。比較信号と参照信号との周波数差(Δf)の変化は、Δf=2Δvf/cで与えられる。ここで、fがLIDAR出力信号(従って、参照信号)の周波数であり、ΔvがLIDARシステムと反射物体との間の視線速度であり、cが空気中における光速度である。複数の異なるデータ期間を用いることで、電子機器(62)は該2つの未知数を解けることができる。例えば、第1データ期間について測定された拍動周波数は、前記未知数の距離及びドップラー寄与に関連し、第2データ期間について測定された拍動周波数は、前記未知数の距離及びドップラー寄与にも関連する。該2つの関係を利用すると、電子機器(62)は該2つの未知数を解けることができる。従って、ドップラー効果に影響されることなく、LIDARシステムと反射物体との間の距離を測定することができる。さらに、いくつかの例では、電子機器(62)は、この距離をドップラー効果と組み合わせて使用して、LIDARチップと反射物体との間の視線速度を測定する。
【0039】
LIDARチップと反射物体との間の視線速度がゼロまたは非常に小さい場合、拍動周波数に対するドップラー効果の寄与は本質的にゼロである。これらの場合、ドップラー効果は拍動周波数に実質的に寄与せず、電子機器(62)は、第1データ期間のみを用いてチップと反射物体との間の距離を測定することができる。
【0040】
動作中、電子機器(62)は、制御光センサ(61)から出力される電気的制御信号に応じて、出射LIDAR信号の周波数を調整することができる。上記のように、制御光センサ(61)から出力される電気制御信号の大きさは、出射LIDAR信号の周波数の関数である。従って、電子機器(62)は、制御の大きさに応じて、出射LIDAR信号の周波数を調整することができる。例えば、データ期間中に出射LIDAR信号の周波数を変化させながら、電子機器(62)は、電気制御信号の大きさの適切な値の範囲を時間の関数として有することができる。データ期間中に複数の異なる時間において、電子機器(62)は、電気制御信号の大きさを、サンプル中の現在の時間に関連する値の範囲と比較することができる。電気制御信号の大きさは、出射LIDAR信号の周波数が関連する電気制御信号の大きさの範囲外であることを示す場合、電子機器(62)は、出射LIDAR信号の周波数を変更し、それが関連の範囲内に収まるように、光源(10)を操作することができる。電気制御信号の大きさは、出射LIDAR信号の周波数が電気制御信号の大きさの関連の範囲内にあることを示す場合、電子機器(62)は、出射LIDAR信号の周波数を変更しない。
【0041】
図1のLIDARチップは、複数の第1LIDAR入力信号を受信するように変更可能である。例えば、図2は、2つの第1LIDAR入力信号を受信するように変更された図1のLIDARチップを示している。分割器(70)は、参照導波路(27)に搬送された参照信号の一部を第1参照導波路(72)上に移動させ、該参照信号の他の部分を第2参照導波路(74)上に移動させるように構成されている。従って、第1参照導波路(72)は、第1参照信号を搬送し、第2参照導波路(74)は、第2参照信号を搬送する。第1参照信号は、光結合部(28)に搬送され、図1に関連して説明したように、光結合部(28)によって処理される。適切な分割器(70)の例には、y接合、光カプラ、及び複合モード干渉カプラ(MMI)が含まれるが、これらに限定されない。
【0042】
上記したように、チップから離れて移動するLIDAR出力信号は、LIDAR出力信号の経路内の1つ以上の物体によって反射されてもよい。反射された信号は、該物体から離れて移動する。LIDAR出力信号の移動が反射されると、反射された信号の少なくとも一部は、第2LIDAR入力信号としてLIDARチップ上の第2入力導波路(76)に戻される。第2入力導波路(76)は、該第2LIDAR入力信号が第2入力導波路(76)に入射できるファセット(78)を含む。第2入力導波路(76)に入射する第2LIDAR入力信号の部分は、第2入力導波路(76)によって搬送される第2比較信号として機能する。第2入力導波路(76)は、第2比較信号を第2光結合部(80)に搬送する。また、第2参照導波路(74)は、第2参照信号を第2光結合部(80)に搬送する。第2光結合部(80)は、第2比較信号と第2参照信号とを第2複合信号に結合する。第2参照信号は、出射LIDAR信号からの光を含む。例えば、第2参照信号は、出射LIDAR信号のサンプルとして機能することができる。第2参照信号は、LIDAR出力信号及び第2LIDAR入力信号からの光を排除することができる。一方、第2比較信号は、第2LIDAR入力信号からの光を含む。例えば、第2比較信号は、第2LIDAR入力信号のサンプルとして機能することができる。従って、第2比較信号は、第2参照信号が反射されていない間、LIDARシステムの外側に位置する物体によって反射されている。チップと反射物体とが相対的に移動すると、第2比較信号及び第2参照信号は、少なくとも部分的にドップラー効果により異なる周波数を有することができる。その結果、第2比較信号と第2参照信号との間で拍動が発生する。
【0043】
また、第2光結合部(80)は、得られた第2複合信号を第1検出器導波路(82)と第2検出器導波路(84)に分割する。第1検出器導波路(82)は、第2複合信号の第1部分を第1電気信号に変換する第1光センサ(40)に第2複合信号の第1部分を搬送する。第2検出器導波路(84)は、複合サンプル信号の第2部分を第2電気信号に変換する第2光センサ(42)に第2複合サンプル信号の第2部分を搬送する。好適な光センサの例には、ゲルマニウムフォトダイオード(PD)及びアバランシェフォトダイオード(APD)が含まれる。
【0044】
第2光結合部(80)、関連の第1光センサ(40)、及び関連の第2光センサ(42)を、第2電気的データ信号を出力する平衡型光検出器として接続することができる。例えば、信号光電流の直流成分が相殺するように、第2光結合部(80)、関連の第1光センサ(40)、及び関連の第2光センサ(42)を接続することができる。これにより、検出感度が向上される。第1光センサ(40)と第2光センサ(42)とを平衡型光検出器として接続するのに適した方法として、第1光センサ(40)と第2光センサ(42)とを直列に接続することが含まれる。一例では、第1光センサ(40)及び第2光センサ(42)は、共に直列に接続されたアバランシェフォトダイオードである。平衡型光検出器は、小さな信号変動の検出に望ましい。
【0045】
好適な第2光結合部(80)の一例は、2x2 MMI装置のような複合モード干渉(MMI)装置である。他の適切な第2光結合部(80)は、断熱分割器及び指向性結合器を含むが、これらに限定されない。図示した第2光結合部(80)の機能は、1つ以上の光学部品によって実行することができる。
【0046】
電子機器(62)は、チップ上の1つ以上の部品を操作し、上述のように複数の異なるサイクルにわたってLIDAR出力信号を産生することができる。また、電子機器(62)は、図1に関連して上述したように第2電気信号を処理することができる。従って、電子機器は、第2複合信号から第2LIDARデータの結果を、及び/または複合信号からLIDARデータの結果を産生することができる。その結果、第2LIDARデータの結果及び/またはLIDARデータの結果を同じLIDAR出力信号から産生することができる。
【0047】
LIDARチップを、他の部品を含むように変更することができる。例えば、図3は、ユーティリティ導波路(16)が増幅器(85)のファセットで終端するように、LIDARチップの端部に配置された増幅器(85)を含むように変更された図2のLIDARチップを示している。増幅器(85)は、電子機器(62)によって操作可能である。その結果、電子機器(62)は、LIDAR出力信号のパワーを制御することができる。好適な増幅器には、エルビウムドープファイバ増幅器(EDFA)、エルビウムドープ導波路増幅器(EDWA)、及び半導体光増幅器(SOA)が含まれるが、これらに限定されない。
【0048】
LIDARチップのための適切なプラットフォームには、シリカ、リン化インジウム、及びシリコン・オン・インシュレータウエハが含まれるが、これらに限定されない。図4は、シリコン・オン・インシュレータウエハから構築されたチップの一部の断面図である。シリコン・オン・インシュレータ (SOI) ウエハは、基板(92)と透光性媒体(94)との間に埋込層(90)を含む。1つのシリコン・オン・インシュレータウエハでは、埋込層がシリカであり、基板及び透光性媒体がシリコンである。SOIウエハ等の光学プラットフォームの基板は、チップ全体のためのベースとして機能することができる。例えば、図1図3に示された光学部品は、基板の上、上面及び/または側面上に配置することができる。
【0049】
図4に図示のチップの部分は、シリコン・オン・インシュレータウエハから構築されたチップと共に使用するのに適した導波路の構造を含む。透光性媒体のリッジ(96)は、該透光性媒体のスラブ領域(98)から離れるように延びている。光信号は、リッジの頂部と埋め込まれた酸化物の層との間に拘束される。
【0050】
リッジ導波路の寸法は図4に示されている。例えば、リッジは、wと表記された幅及びhと表記された高さを有する。スラブ領域の厚さは、Tと表記される。LIDAR用途のため、これらの寸法は、他の用途で使用されるよりも高いレベルの光パワーを使用する必要があるため、他の寸法よりも重要である。リッジ幅(wと表記)は、1 μmより大きく4 μm未満であり、リッジ高さ(hと表記)は、1 μmより大きく4 μm未満であり、スラブ領域の厚さは、0.5 μmより大きく3 μm未満である。これらの寸法は、導波路の線形部分または実質的に線形部分、導波路の湾曲部分、及び導波路のテーパ部分に適用することができる。従って、導波路のこれらの部分は単一モードとなる。しかし、いくつかの例では、これらの寸法は、導波路の線形部分または実質的に線形部分に適用される。さらにまたは代わりに、導波路の湾曲部分における光ロスを低減するために、導波路の湾曲部のスラブ厚を薄くすることができる。例えば、導波路の湾曲部分は、厚さが0.0 μm以上0.5 μm未満のスラブ領域から離れる方向に延びるリッジを有することができる。上記の寸法は、一般に、単一モードの構造を有する導波路の線形部分または実質的に線形部分を提供するが、複合モードであるテーパ部分及び/または湾曲部分をもたらすことができる。多モード幾何学形状と単一モード幾何形状との間の結合は、高次モードを実質的に励起しないテーパを用いて行うことができる。従って、複合モード寸法の導波路の部に搬入されても、導波路に搬送された信号が単一モードで搬送されるように導波路を構築することができる。図4の導波路構造は、図1図3に従って構築されたLIDARチップ上の導波路の全部または一部に適している。
【0051】
ユーティリティ導波路(16)に界面された光源(10)は、チップとは別の部品であり、チップに取り付けられる利得要素とすることができる。例えば、光源(10)は、チップにフリップチップ配置された利得要素であってもよい。
【0052】
フリップチップ配置の使用は、光源(10)がシリコン・オン・インシュレータウエハから構築されたチップ上のリッジ導波路と界面される場合に適している。シリコン・オン・インシュレータウエハから構築されたチップ上のフリップチップ利得要素とリッジ導波路との間の適切なインターフェースの例は、2017年7月11日に発効された米国特許第9,705,278号及び1999年11月23日に発効された米国特許第5,991,484号に見出すことができる。それらのいずれの全体が本明細書に組み込まれる。該構築物は、光源(10)に適用している。光源(10)が利得要素である場合には、電子機器(62)は、該利得要素を介して印加される電流のレベルを変化させることにより、出射LIDAR信号の周波数を変更することができる。
【0053】
減衰器は、チップと分離された後に該チップに取り付けられる部品であってもよい。例えば、減衰器は、フリップチップ配置でチップに取り付けられた減衰器チップに含めることができる。減衰器チップの使用は、データ減衰器及び制御減衰器からなる群から選択される減衰器の全部または一部に適している。
【0054】
別の部品の上に減衰器を含めることに代わるものとして、減衰器の全部または一部をチップと一体化することができる。例えば、シリコン・オン・インシュレータウエハから構築されたチップ上のリッジ導波路と界面される減衰器の例は、1999年6月1日に発効された米国特許第5,908,305号に見出すことができる。その全体が本明細書に組み込まれる。チップと一体化された減衰器の使用は、データ減衰器及び制御減衰器からなる群から選択される光センサの全部または一部に適している。
【0055】
チップ上の導波路と界面される光センサは、チップと分離された後に該チップに取り付けられる部品であってもよい。例えば、光センサは、フォトダイオードであってもよく、アバランシェフォトダイオードであってもよい。好適な光センサ部品の例には、日本の浜松市にある浜松社によって製造されたInGaAs PINフォトダイオード、または日本の浜松市にある浜松社によって製造されたInGaAs APD (アバランシェフォトダイオード)が含まれるが、これらに限定されない。これらの光センサは、図1に示すように、チップ上に集中的に配置することができる。または、光センサで終端する導波路の全部または一部は、チップの端部に位置するファセット(18)で終端することができる。光センサがファセット(18)を通過する光を受信するように、該光センサをファセット(18)上のチップの端部に取り付けることができる。チップとは別部品である光センサの使用は、第1光センサ(40)、第2光センサ(42)、サンプリング光センサ(54)、及び制御光センサ(61)からなる群から選択される光センサの全部または一部に適している。
【0056】
別部品である光センサの代替として、光センサの全部または一部をチップと一体化することができる。例えば、シリコン・オン・インシュレータウエハから構築されたチップ上のリッジ導波路と界面される光センサの例は、Optics Express Vol.15, No.21, 13965-13971(2007)、2012年1月10日に発効された米国特許第8,093,080号、2012年8月14日に発効された米国特許第8,242,432号、及び2000年8月22日に発効された米国特許第6,108,8472号に見出すことができる。それらのいずれの全体が本明細書に組み込まれる。チップと一体化された光センサの使用は、第1光センサ(40)、第2光センサ(42)、サンプリング光センサ(54)、及び制御光センサ(61)からなる群から選択される光センサの全部または一部に適している。
【0057】
チップ上の導波路と界面される増幅器は、チップと分離された後に該チップに取り付けられる部品とすることができる。例えば、増幅器は、別部品としての半導体光増幅器(SOA)またはブースタ光増幅器(BOA)であってもよい。別部品としての増幅器の例には、米国ニュージャージーのニュートンにあるThorlabs社によって製造されたBOA1007Cが含まれるが、これに限定されない。これらの増幅器は、LIDARチップ上に集中的に配置することができる。代替的に、導波路の全部または一部は、増幅器が増幅器を通過する光を受け取るように、LIDARチップの端部に配置された増幅器(18)で終端する。部品としての増幅器の代替として、増幅器の全部または一部をLIDARチップと一体化することができる。例えば、シリコン・オン・インシュレータウエハから構築されたチップ上のリッジ導波路と界面される増幅器の例は、米国特許出願シリアル番号62/814,844、米国特許第9,025,241号、及び米国特許第7,542,641号に見出すことができる。それらのいずれの全体が本明細書に組み込まれる。
【0058】
様々な光学装置のプラットフォームと一体化された光学格子の構築物が利用可能である。例えば、リッジの頂部及び/またはリッジの後側に溝を形成することにより、リッジ導波路内にブラッグ格子を形成することができる。
【0059】
好適な電子機器には、アナログ電気回路、デジタル電気回路、プロセッサ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、コンピュータ、マイクロコンピュータを含むか、またはこれらからなるコントローラ、または上記の動作、監視及び制御機能を実行するのに適した組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの例では、コントローラは、動作、制御及び監視機能の実行中に該コントローラによって実行される命令を含むメモリへのアクセスを有する。電子機器は、単一の位置で単一の部品として図示されているが、該電子機器は、互いに独立し及び/または異なる位置に配置された複数の異なる部品を含むことができる。また、上記のように、開示された電子機器の全部または一部は、チップと一体化された電子機器を含むチップ上に含まれ得る。
【0060】
レーザ空洞はチップ上に配置されるように示されているが、レーザ空洞の全部または一部はチップから離れて配置することができる。例えば、ユーティリティ導波路(16)は、チップから離れたレーザ空洞から、出射LIDAR信号がユーティリティ導波路(16)に入ることができる第2ファセットで終端することができる。
【0061】
LIDARチップをLIDARアダプタと共に使用することができる。いくつかの例では、LIDARアダプタは、LIDARチップと1つ以上の反射物体及び/または視野との間に物理的に光学的に配置される。該視野には、第1LIDAR入力信号及び/またはLIDAR出力信号が該LIDARチップから視野に移動する光路がLIDARアダプタを通過する。また、第1LIDAR入力信号及びLIDAR出力信号が、LIDARアダプタとLIDARチップとの間の異なる光経路上で移動するが、該LIDARアダプタと視野内の反射物体との間の同じ光経路上で移動するように、LIDARアダプタは、第1LIDAR入力信号及びLIDAR出力信号上で操作するように構成され得る。
【0062】
図1のLIDARチップと共に使用するのに適したLIDARアダプタの一例が図5に示されている。該LIDARアダプタは、ベース上に配置された複数の部品を含む。例えば、該LIDARアダプタは、ベース(102)上に位置する循環器(100)を含む。図示された光循環器(100)は、3つのポートを含み、1つのポートに入る光が次のポートから出るように構成されている。例えば、図示の光循環器は、第1ポート(104)、第2ポート(106)、及び第3ポート(108)を含む。LIDAR出力信号は、LIDARチップのユーティリティ導波路(16)から第1ポート(104)に入射し、第2ポート(106)から出射する。LIDARアダプタは、第2ポート(106)からのLIDAR出力信号の出力も、LIDARアダプタからのLIDAR出力信号の出力として機能できるように構成され得る。その結果、LIDAR出力信号は、LIDAR出力信号が視野内のサンプル領域に向かって移動するように、LIDARアダプタから出力され得る。
【0063】
LIDARアダプタから出力されるLIDAR出力信号は、LIDARチップから受信されたLIDAR出力信号からの光を含むか、または本質的にこれからなる。従って、LIDARアダプタから出力されるLIDAR出力信号は、LIDARチップから受信されたLIDAR出力信号と同一または実質的に同一であってもよい。しかし、LIDARアダプタから出力されたLIDAR出力信号とLIDARチップから受信されたLIDAR出力信号との間に差があってもよい。例えば、LIDAR出力信号は、LIDARアダプタを通過するときに光がロスすることがある。
【0064】
サンプル領域内の物体がLIDAR出力信号を反射すると、反射光の少なくとも一部は、LIDARリターン信号として循環器(100)に戻る。該LIDARリターン信号は、第2ポート(106)を介して循環器(100)に入射する。図5は、LIDARアダプタとサンプル領域との間を同じ光路に沿って移動するLIDAR出力信号及びLIDARリターン信号を示している。
【0065】
LIDARリターン信号は、第3ポート(108)を介して循環器(100)から出射し、LIDARチップ上の入力導波路(19)に誘導される。従って、LIDARリターン信号からの光は、第1LIDAR入力信号として機能することができ、第1LIDAR入力信号は、LIDARリターン信号からの光を含み、またはこれらからなる。従って、LIDAR出力信号及び第1LIDAR入力信号は、LIDARアダプタとLIDARチップとの間を異なる光路に沿って移動する。
【0066】
図5から明らかなように、LIDARアダプタは、循環器(100)の他に、光学部品を含むことができる。例えば、LIDARアダプタは、LIDAR出力信号及びLIDARリターン信号の光路を誘導し、制御するための部品を含むことができる。一例として、図5のアダプタは、LIDAR出力信号が循環器(100)に入射する前に、LIDAR出力信号を受信し、増幅するように配置された任意の光学増幅器(110)を含む。LIDAR出力信号のパワーを制御できるようにする電子機器(62)によって増幅器(110)を操作することができる。
【0067】
図5はまた、任意の第1レンズ(112)及び任意の第2レンズ(114)を含むLIDARアダプタを示している。該第1レンズ(112)は、LIDAR出力信号を所望の位置に結合するように構成され得る。いくつかの例では、第1レンズ(112)は、LIDAR出力信号を所望の位置に集束または視準するように構成される。一例では、LIDARアダプタが増幅器(110)を含まない場合、第1レンズ(112)は、LIDAR出力信号を第1ポート(104)に結合するように構成される。別の例として、LIDARアダプタが増幅器(110)を含む場合、第1レンズ(112)は、入射ポート上のLIDAR出力信号を増幅器(110)に結合するように構成され得る。第2レンズ(114)は、LIDAR出力信号を所望の位置に結合するように構成され得る。いくつかの例では、第2レンズ(114)は、LIDAR出力信号を所望の位置に集束または視準するように構成される。例えば、第2レンズ(114)を、LIDAR出力信号を入力導波路(19)のファセット(20)に結合するように構成することができる。
【0068】
LIDARアダプタは、1つ以上の、ミラーのような方向変換部を含むこともできる。図5は、LIDARリターン信号を循環器(100)から入力導波路(19)のファセット(20)に再誘導する方向変換部(116)としてのミラーを含むLIDARアダプタを示している。
【0069】
LIDARチップは、1つ以上の光信号の光路を拘束する1つ以上の導波路を含む。LIDARアダプタは、導波路を含むことができるが、LIDARリターン信号及びLIDAR出力信号がLIDARアダプタ上の部品間、及び/またはLIDARチップとLIDARアダプタ上の部品との間で移動する光路が、空白な空間であってもよい。例えば、LIDARリターン信号及び/またはLIDAR出力信号は、LIDARアダプタ上の異なる部品間、及び/またはLIDARアダプタ上の部品とLIDARチップとの間を移動する際に、LIDARチップ、LIDARアダプタ、及びベース(102)が配置された空間を通って移動することができる。その結果、レンズや方向変換部等の光学部品を用いて、LIDARアダプタの上、そこへ、またはそこから、LIDARリターン信号及びLIDAR出力信号が移動する光路の特性を制御することができる。
【0070】
LIDARアダプタのための適切なベース(102)には、基板、プラットフォーム、及びプレートが含まれるが、これらに限定されない。好適な基板には、ガラス、シリコン、セラミックスが含まれるが、これらに限定されない。前記部品は、該基板に取り付けられた個別部品とすることができる。ベース(102)に個別の部品を取り付けるのに適した技術には、エポキシ、はんだ、及び機械的クランプが含まれるが、これらに限定されない。一例では、1つまたは複数の部品が一体化された部品であり、残りの部品が別個の部品である。別の例では、LIDARアダプタは、1つ以上の一体型の増幅器を含み、残りの部品は個別の部品である。
【0071】
LIDARシステムは、偏光を補正するように構成され得る。レーザ源からの光は、典型的には線形偏光されるので、LIDAR出力信号も典型的に線形偏光される。物体からの反射は、リターン光の偏光角を変化させることがある。従って、LIDARリターン信号は、異なる線形偏光状態の光を含むことができる。例えば、LIDARリターン信号の第1部分は、第1線形偏光状態の光を含むことができ、LIDARリターン信号の第2部分は、第2の線形偏光状態の光を含むことができる。得られた複合信号の強度は、比較信号偏光場と参照信号偏光場との間の角度の余弦の2乗に比例する。該角度が90度であれば、得られた複合信号においてLIDARデータがロスされることがある。しかし、LIDARシステムは、LIDAR出力信号の偏光状態の変化を補正するように変更することができる。
【0072】
図6は、LIDARアダプタが図2または図3のLIDARチップと共に使用するのに適するように変更された図5のLIDARシステムを示している。該LIDARアダプタは、循環器(100)からLIDARリターン信号を受信するビーム分割器(120)を含む。該ビーム分割器(120)は、前記LIDARリターン信号を該LIDARリターン信号の第1部分及び該LIDARリターン信号の第2部分に分割する。好適なビーム分割器には、ウォラストンプリズム及びMEMベースのビーム分割器が含まれるが、これらに限定されない。
【0073】
LIDARリターン信号の第1部分は、LIDARチップ上の入力導波路(19)に誘導され、図1図5の文脈で記述された第1LIDAR入力信号として機能する。LIDARリターン信号の第2部分は、偏光回転器(122)を誘導する。該偏光回転器(122)は、LIDARチップ上の第2入力導波路(76)に誘導された第2LIDAR入力信号を出力し、図2図5の文脈で記述された第2LIDAR入力信号として機能する。
【0074】
ビーム分割器(120)は、偏光ビーム分割器とすることができる。偏光ビーム分割器の一例は、LIDARリターン信号の第1部分が第1偏光状態を有するが、第2偏光状態を有さないまたは実質的に有さない。また、該LIDARリターン信号の第2部分が第2偏光状態を有するが、第1偏光状態を有さないまたは実質的に有さないように構築される。第1偏光状態及び第2偏光状態は、線形偏光状態とすることができ、第2偏光状態は、第1偏光状態とは異なる。例えば、第1偏光状態をTEとすることができ、第2偏光状態をTMとすることができる。あるいは、第1偏光状態をTMとすることができ、第2偏光状態をTEとすることができる。いくつかの例では、レーザ源を、LIDAR出力信号が第1偏光状態を有するように線形偏光することができる。好適なビーム分割器には、ウォラストンプリズム及びMEMベースの偏光ビーム分割器が含まれるが、これらに限定されない。
【0075】
偏光回転器を、LIDARリターン信号の第1部分及び/またはLIDARリターン信号の第2部分の偏光状態を変更するように構成することができる。例えば、図6に示される偏光回転器(122)を、LIDARリターン信号の第2部分の偏光状態を第2偏光状態から第1偏光状態へ変更させるように構成することができる。その結果、第2LIDAR入力信号は、第1偏光状態を有するが、第2偏光状態を有さないまたは実質的に有さない。従って、第1LIDAR入力信号及び第2LIDAR入力信号は、それぞれ同一の偏光状態(ここでは、第1偏光状態)を有する。同一の偏光状態の光を搬送しているにもかかわらず、第1LIDAR入力信号及び第2LIDAR入力信号は、偏光ビーム分割器を使用した結果として、異なる偏光状態に関連付けられる。例えば、第1LIDAR入力信号は、第1偏光状態で反射された光を搬送し、第2LIDAR入力信号は、第2偏光状態で反射された光を搬送する。その結果、第1LIDAR入力信号は、第1偏光状態に関連付けられ、第2LIDAR入力信号は、第2偏光状態に関連付けられる。
【0076】
第1LIDAR入力信号及び第2LIDAR入力信号は、同一の偏光状態の光を搬送するので、第1LIDAR入力信号から生じる比較信号は、第2LIDAR入力信号から生じる比較信号と同一の偏光角を有する。
【0077】
適切な偏光回転器には、偏光保持ファイバの回転器、ファラデー回転器、半波プレート、MEMベースの偏光回転器、及び非対称y分岐、マッハツェンダー干渉計、及び複合モード干渉カプラを用いた一体型光学偏光回転器が含まれるが、これらに限定されない。
【0078】
出射LIDAR信号は線形偏光であるため、第1参照信号は、第2参照信号と同じ線形偏光角を有することができる。また、第1参照信号、第2参照信号、第1比較信号、及び第2比較信号がそれぞれ同一の偏光状態を有するように、LIDARアダプタ上の部品を選択することができる。図6の文脈で開示された例では、第1比較信号、第2比較信号、第1参照信号、及び第2参照信号は、それぞれ第1偏光状態の光を有することができる。
【0079】
上記構成の結果として、複合信号及び第2複合信号は、それぞれ同一の偏光状態の参照信号と比較信号との結合に由来し、従って、該参照信号と比較信号との間で所望の拍動を提供するであろう。例えば、複合信号は、第1偏光状態の第1参照信号と第1比較信号との結合に由来し、第2偏光状態の光を排除または実質的に排除する。または、複合信号は、第2偏光状態の第1参照信号と第1比較信号との結合に由来し、第1偏光状態の光を排除または実質的に排除する。同様に、第2複合信号は、同一の偏光状態の第2参照信号及び第2比較信号を含み、従って、該参照信号と比較信号との間で所望の拍動を提供するであろう。例えば、第2複合信号は、第1偏光状態の第2参照信号と第2比較信号との結合に由来し、第2偏光状態の光を排除または実質的に排除する。
【0080】
上記の構成により、複数の異なる複合信号(即ち、第1複合信号及び第2複合信号)から産生される視野内の単一のサンプル領域のためのLIDARデータが得られる。いくつかの例では、サンプル領域のためのLIDARデータを測定することは、異なる複合信号(即ち、複合信号及び第2複合信号)からLIDARデータを組み合わせる電子機器を含む。LIDARデータを組み合わせることは、異なる複合信号から産生されるLIDARデータの平均、中央値、またはモードをとることを含むことができる。例えば、電子機器は、複合信号から測定されたLIDARシステムと反射物体との間の距離を、第2複合信号から測定された距離と平均することができ、及び/または、電子機器は、複合信号から測定されたLIDARシステムと反射物体との間の視線速度と第2複合信号から測定された視線速度と平均することができる。
【0081】
いくつかの例では、サンプル領域のLIDARデータを測定することは、1つ以上の複合信号(即ち、複合信号及び/または第2複合信号)を、最も現実を表すLIDARデータのソース(代表的なLIDARデータ)として識別する電子機器を含む。電子機器は、識別された複合信号からLIDARデータを、他の処理に用いられる代表的なLIDARデータとして使用することができる。例えば、電子機器は、より大きな振幅を有する信号(複合信号または第2複合信号)を代表的なLIDARデータを有するように識別することができ、LIDARシステムによる更なる処理のために、識別された信号からLIDARデータを使用することができる。いくつかの例では、電子機器は、代表的なLIDARデータで複合信号を識別することを異なるLIDAR信号からLIDARデータを結合することと組み合わせる。例えば、電子機器は、代表的なLIDARデータを有するように、振幅閾値以上の振幅を有する複合信号の各々を識別することができ、2つよりも多い複合信号が代表的なLIDARデータを有するものとして識別される場合、電子機器は、識別された各複合信号からLIDARデータを結合することができる。代表的なLIDARデータを有するものとして1つの複合信号が識別されると、電子機器は、その複合信号からLIDARデータを代表LIDARデータとして使用することができる。複合信号のいずれも、代表的なLIDARデータを有するものとして識別されない場合、電子機器は、これらの複合信号に関連付けられたサンプル領域のLIDARデータを廃棄することができる。
【0082】
図6を、第1比較信号、第2比較信号、第1参照信号、及び第2参照信号がそれぞれ第1偏光状態を有するように配置された部品の文脈で説明しているが、図6中の部品の他の構成を、複合信号が同一の線形偏光状態の参照信号と比較信号との結合に由来し、第2複合信号が同一の線形偏光状態の参照信号と比較信号との結合に由来するように配置することができる。例えば、LIDARリターン信号の第2部分が第1偏光状態を有し、LIDARリターン信号の第1部分が第2偏光状態を有し、偏光回転器がLIDARリターン信号の第1部分を受信し、出射LIDAR信号が第2偏光状態を有するように、ビーム分割器(120)を構築することができる。この例では、第1LIDAR入力信号及び第2LIDAR入力信号は、それぞれ第2偏光状態を有する。
【0083】
上記システム構成により、LIDARリターン信号の第1部分及びLIDARリターン信号の第2部分が異なる複合信号へ誘導される。その結果、LIDARリターン信号の第1部分及びLIDARリターン信号の第2部分は、それぞれ異なる偏光状態に関連付けられるが、電子機器は、それぞれの複合信号を処理することができる。LIDARシステムは、LIDAR出力信号の反射に応じてLIDAR出力信号の偏光状態の変化を補正する。
【0084】
図6のLIDARアダプタは、受動光学部品を含む他の光学部品を備えることができる。例えば、LIDARアダプタは、任意の第3レンズ(126)を備えることができる。該第3レンズ(126)は、第2LIDAR出力信号を所望の位置に結合するように構成され得る。いくつかの例では、第3レンズ(126)は、第2LIDAR出力信号を所望の位置に集束または視準する。例えば、第3レンズ(126)は、第2入力導波路(76)のファセット(78)の上に第2LIDAR出力信号を集束または視準するように構成することができる。LIDARアダプタはまた、ミラーやプリズム等1つ以上の方向変換部(124)を含む。図6は、LIDARリターン信号の第2部分を循環器(100)から第2入力導波路(76)のファセット(78)及び/または第3レンズ(126)に再誘導する方向変換部(124)としてのミラーを含むLIDARアダプタを示している。
【0085】
図7は、LIDARアダプタが図2または図3のLIDARチップと共に使用するのに適するように変更された図6のLIDARシステムを示している。LIDAR出力信号は、図7のLIDARアダプタの上で増幅されない。図7は、図3のLIDARチップと共に使用されるLIDARアダプタを示している。従って、電子機器によって動作される増幅器(85)は、LIDARアダプタではなく、LIDARチップの上に配置される。この状況では、電子機器によって操作され、及び/または電子機器に電気出力を提供するLIDARシステムの能動部品は、LIDARチップの上に配置される。一方、受動部品は、LIDARアダプタの上に配置される。従って、LIDARシステムの一例は、ベース上に受動部品を含み、該ベース上の一体化された部品を排除するLIDARアダプタを有する。一方、LIDARチップは、個別の部品及び一体化された部品の組み合わせを含み、または、一体化された光学部品のみを含む。
【0086】
LIDARチップ、電子機器、及びLIDARアダプタは、共通のマウント上に配置され得る。好適な共通マウントには、ガラスプレート、金属プレート、シリコンプレート、及びセラミックプレートが含まれるが、これらに限定されない。一例として、図8は、共通支持体(140)の上に、LIDARチップ、図1の電子機器(62)、及び図5のLIDARアダプタを含むLIDARシステムの上面図である。電子機器(62)は、共通支持体の上に配置されて図示されているが、電子機器の全部または一部は、共通支持体から離れて配置され得る。LIDARチップ、電子機器、及び/またはLIDARアダプタを共通支持体の上に取り付けるための適切な方法には、エポキシ、はんだ、及び機械的クランプが含まれるが、これらに限定されない。
【0087】
LIDARシステムは、単一のLIDAR出力信号を出力する1つのLIDARチップと共に操作するように示されているが、LIDARチップは、複数のLIDAR出力信号を出力するように構成され得る。複数のLIDARアダプタを、1つのLIDARチップと共に使用することができ、及び/または1つのLIDARアダプタを、複数のLIDAR出力信号を受信するように評価することができる。
【0088】
当業者は、本教示を考慮して本発明の他の実施形態、組合せ、及び改変を容易に行うであろう。従って、本発明は、上記明細書及び添付図面に関連して見た場合に、全てのこのような実施形態及び改変を包含する以下の請求の範囲によってのみ限定されるべきである。


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】