(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-21
(54)【発明の名称】エアロゾル発生装置および混合エアロゾルを発生する方法
(51)【国際特許分類】
A24F 40/42 20200101AFI20221014BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20221014BHJP
A24F 40/05 20200101ALI20221014BHJP
A24F 40/44 20200101ALI20221014BHJP
【FI】
A24F40/42
A24F40/40
A24F40/05
A24F40/44
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022505335
(86)(22)【出願日】2020-07-28
(85)【翻訳文提出日】2022-01-25
(86)【国際出願番号】 EP2020071282
(87)【国際公開番号】W WO2021028217
(87)【国際公開日】2021-02-18
(32)【優先日】2019-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】ビアレック ヤクブ
(72)【発明者】
【氏名】エメット ロバート
(72)【発明者】
【氏名】フローレス アナ イザベル ゴンザレス
(72)【発明者】
【氏名】シャーラー ジャン-ピエール
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB14
4B162AB23
4B162AC16
4B162AC34
4B162AD06
4B162AD23
(57)【要約】
エアロゾル発生装置および混合エアロゾルを発生する方法
第一の貯蔵部分(3)と、第一の貯蔵部分(3)内に含有された第一の液体エアロゾル形成基体(7)と、第一の貯蔵部分(3)から第一の液体エアロゾル形成基体(7)を受容するように配設されたノズル(8)と、第二の貯蔵部分(5)と、第二の貯蔵部分(5)内に含有された第二の液体エアロゾル形成基体(13)と、回路接地を含む電圧回路(10)であって、第一の液体エアロゾル形成基体と回路接地の間の電圧差を印加するように配設されている電圧回路(10)と、第二の貯蔵部分(5)からの第二の液体エアロゾル形成基体(13)を加熱するように配設されたヒーター(6)と、ノズル(8)およびヒーター(6)と流体連通している混合チャンバー(17)とを備える、エアロゾル発生装置(1)。
【選択図】【
図1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の貯蔵部分と、
前記第一の貯蔵部分内に含有された第一の液体エアロゾル形成基体と、前記第一の貯蔵部分から第一の液体エアロゾル形成基体を受容するように配設されたノズルと、
第二の貯蔵部分と、
前記第二の貯蔵部分内に含有された第二の液体エアロゾル形成基体と、回路接地を含む電圧回路であって、
前記第一の液体エアロゾル形成基体と前記回路接地の間の電圧差を印加するように配設された電圧回路と、前記第二の貯蔵部分からの第二の液体エアロゾル形成基体を加熱するように配設されたヒーターと、
前記ノズルおよび前記ヒーターと流体連通している混合チャンバーと、を備える、エアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記ノズルが、前記第一の貯蔵部分と流体連通している毛細管を備える、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記電圧回路が、前記第一の貯蔵部分および前記ノズルのうちの少なくとも一つに電気的に接続された電圧端子をさらに備え、前記電圧回路が、前記電圧端子と前記回路接地の間の前記電圧差を印加するように配設されている、請求項1または請求項2に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記電圧回路が、前記第一の液体エアロゾル形成基体と接触している基体電圧端子をさらに備え、前記電圧回路が、前記基体電圧端子と前記回路接地の間の前記電圧差を印加するように配設されている、請求項1または請求項2に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記電圧回路が1キロボルト~20キロボルトの電圧差を印加するように配設されている、請求項4に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
メッシュと、前記ノズルの下流に位置付けられた穿孔されたプレートとのうちの少なくとも一つをさらに備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記メッシュおよび前記穿孔されたプレートのうちの少なくとも一つが、前記回路接地に電気的に接続されている、請求項6に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記第一の液体エアロゾル形成基体が、ニコチン、グリセロールおよびプロピレングリコールのうちの少なくとも一つを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
前記第一の液体エアロゾル形成基体を前記第一の貯蔵部分から前記ノズルに分配するための液体分配装置をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項10】
前記第二の貯蔵部分が液体移動要素を備え、前記第二の液体エアロゾル形成基体が前記液体移動要素上に吸着されている、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項11】
前記エアロゾル発生装置が、前記ヒーターを80℃~180℃の温度に加熱するように配設されている、請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項12】
前記第二の液体エアロゾル形成基体が、水、クエン酸トリエチル、および風味剤のうちの少なくとも一つを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項13】
第一の液体エアロゾル形成基体をエレクトロスプレーして第一のエアロゾルを発生すること、第二の液体エアロゾル形成基体を加熱して第二のエアロゾルを発生すること、および前記第一のエアロゾルと前記第二のエアロゾルを混合して混合エアロゾルを発生することを含む、混合エアロゾルを発生する方法。
【請求項14】
前記第一の液体エアロゾル形成基体をエレクトロスプレーすることが、前記第一の液体エアロゾル形成基体を1キロボルト~20キロボルトの電圧でエレクトロスプレーすることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第二の液体エアロゾル形成基体を加熱することが、前記第二の液体エアロゾル形成基体を80℃~180℃の温度に加熱することを含む、請求項13または請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生装置および混合エアロゾルを発生する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザーによる吸入のためのエアロゾルを発生するための装置は、当業界で周知である。こうした装置は典型的に、液体エアロゾル形成基体がエアロゾルに気化するまで液体エアロゾル形成基体を加熱することによってエアロゾルを生成する。こうした装置は典型的に、液体エアロゾル形成基体または「eリキッド」の分量を保持するための貯蔵部分または貯蔵部と、eリキッドを加熱してエアロゾルを発生するためのヒーターとを含む。
【0003】
典型的なエアロゾル発生装置は、液体エアロゾル形成基体を200℃~350℃の高温に加熱して、エアロゾル形成基体を気化する。しかしながら、液体エアロゾル形成基体をこうした高温に加熱することは、液体エアロゾル形成基体内の化合物の熱分解をもたらすことができる。液体エアロゾル形成基体内の化合物の熱分解は、ユーザーに送達されるエアロゾルに悪影響を及ぼしうる。
【0004】
液体エアロゾル形成基体の熱分解のリスクを低減または排除するエアロゾル発生装置を提供することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0005】
エアロゾル発生装置が提供されている。エアロゾル発生装置は第一の貯蔵部分を備えてもよい。エアロゾル発生装置は第一の液体エアロゾル形成基体を備えてもよい。第一の液体エアロゾル形成基体は第一の貯蔵部分内に含有されてもよい。エアロゾル発生装置はノズルを備えてもよい。ノズルは、第一の貯蔵部分から第一の液体エアロゾル形成基体を受容するように配設されてもよい。エアロゾル発生装置は第二の貯蔵部分を備えてもよい。エアロゾル発生装置は第二の液体エアロゾル形成基体を備えてもよい。第二の液体エアロゾル形成基体は第二の貯蔵部分内に含有されてもよい。エアロゾル発生装置は電圧回路を備えてもよい。電圧回路は回路接地を含んでもよい。電圧回路は、第一の液体エアロゾル形成基体と回路接地の間の電圧差を印加するように配設されてもよい。エアロゾル発生装置はヒーターを備えてもよい。ヒーターは、第二の貯蔵部分からの第二の液体エアロゾル形成基体を加熱するように配設されてもよい。エアロゾル発生装置は混合チャンバーを備えてもよい。混合チャンバーはノズルと流体連通していてもよい。混合チャンバーはヒーターと流体連通していてもよい。
【0006】
また、第一の貯蔵部分と、第一の貯蔵部分内に含有された第一の液体エアロゾル形成基体と、第一の貯蔵部分から第一の液体エアロゾル形成基体を受容するように配設されたノズルと、第二の貯蔵部分と、第二の貯蔵部分内に含有された第二の液体エアロゾル形成基体と、回路接地を含む電圧回路であって、第一の液体エアロゾル形成基体と回路接地の間の電圧差を印加するように配設されている電圧回路と、第二の貯蔵部分からの第二の液体エアロゾル形成基体を加熱するように配設されたヒーターと、ノズルおよびヒーターと流体連通している混合チャンバーとを備えるエアロゾル発生装置が提供されている。
【0007】
また、第一の貯蔵部分と、第一の貯蔵部分内に含有された第一の液体エアロゾル形成基体と、第一の貯蔵部分から第一の液体エアロゾル形成基体を受容するように配設されたノズルと、第二の貯蔵部分と、第二の貯蔵部分内に含有された第二の液体エアロゾル形成基体と、第一の貯蔵部分からの第一の液体エアロゾル形成基体を分散させるように配設されたエレクトロスプレー装置と、第二の貯蔵部分からの第二の液体エアロゾル形成基体を加熱するように配設されたヒーターと、ノズルおよびヒーターと流体連通している混合チャンバーとを備えるエアロゾル発生装置が提供されている。エレクトロスプレー装置は電圧回路を備えてもよい。電圧回路は回路接地を含んでもよい。電圧回路は、第一の液体エアロゾル形成基体と回路接地の間の電圧差を印加するように配設されてもよい。
【0008】
本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体に関する。こうした揮発性化合物は、エアロゾル形成基体を加熱すること、またはその他のエアロゾル化手段によって放出されてもよい。適切な基体は、eリキッドなどの液体状である可能性がある。
【0009】
有利なことに、上記で定義されたエアロゾル発生装置は、非熱気化によって(例えばエレクトロスプレーによって)、第一の液体エアロゾル形成基体からエアロゾルを発生してもよい。非熱気化の使用は、第一の液体エアロゾル形成基体中の化合物の熱分解のリスクを低減または排除する。具体的に本発明者らは、エアロゾル化プロセス中の熱エネルギーの印加を低減または除去することによって、液体エアロゾル形成基体内の化合物を熱分解するリスクが低減または排除されうることを認識した。本発明者らは、エレクトロスプレーとしても知られる、電気流体力学的噴霧などのエアロゾル化プロセスを使用することによって、エアロゾル化プロセス中の熱エネルギーの低減または除去が達成されうることをさらに認識した。エレクトロスプレーはクーロン反発を使用して液体を分解し、ナノメートルおよびマイクロメートルの範囲の液滴に分散させる。これはまた、液体の噴霧と呼ばれうる。
【0010】
一部の実施例において、第一の液体エアロゾル形成基体は、熱分解の影響をより受けやすいエアロゾル化合物を含むことができ、第二の液体エアロゾル形成基体は、熱分解の影響をより受けにくいエアロゾル化合物を含むことができる。例えば、第一の液体エアロゾル形成基体は、グリセロールおよびプロピレングリコールのうちの少なくとも一つを含んでもよく、第二の液体エアロゾル形成基体は水、クエン酸トリエチル、および風味剤のうちの少なくとも一つを含んでもよい。一実施例において、第一の液体エアロゾル形成基体は誘電材料であってもよい。
【0011】
エアロゾル発生装置の使用中に、第一の液体エアロゾル形成基体は、電圧回路を使用することによって第一のエアロゾルにエアロゾル化され、第二の液体エアロゾル形成基体は、ヒーターを使用することによって第二のエアロゾルにエアロゾル化される。第一のエアロゾルおよび第二のエアロゾルは混ぜ合わされて混合エアロゾルにされることができ、この混合エアロゾルはその後、ユーザーによって吸入されうる。有利なことに、二つの異なる気化技法を組み合わせて使用することは、エアロゾル発生装置が大量の混合エアロゾルを発生することを可能にする。
【0012】
有利なことに、エアロゾル発生装置による第一の液体エアロゾル形成基体の非熱気化は、約400ナノメートル以下の液滴サイズを有するエアロゾルの発生を容易にする。有利なことに、約400ナノメートル以下の液滴サイズは、ユーザーへのエアロゾルの肺送達を容易にしうる。
【0013】
一実施例において、ノズルは、第一の貯蔵部分と流体連通している毛細管を備える。毛細管は第一の部分および第二の部分を備えてもよい。第一の部分は第一の端および第二の端を備えてもよい。第一の部分の第一の端は、第一の貯蔵部分と流体連通していてもよい。第二の部分は、第一の部分の第二の端から延びてもよい。毛細管の第一の部分は、毛細管の第二の部分よりも長くてもよい。毛細管の第二の部分は、毛細管の第一の部分に対してある角度で配置されてもよい。毛細管の第二の部分は、毛細管の第一の部分に対して約45度~約135度の角度で配置されてもよい。毛細管の第二の部分は、毛細管の第一の部分に対して約90℃の角度で配置されてもよい。毛細管の第一の部分に対してある角度で毛細管の第二の部分を提供する利点は、第一の液体エアロゾル形成基体から発生する第一のエアロゾルと、第二の液体エアロゾル形成基体から発生する第二のエアロゾルとの混合の増大をもたらしうることである。
【0014】
毛細管は、約5ミリメートル~約5センチメートルの長さを有してもよい。毛細管は、約3センチメートルの長さを有してもよい。
【0015】
毛細管は、約18ゲージ~約33ゲージの厚さを有してもよい。
【0016】
毛細管は任意の適切な材料から形成されてもよい。電圧回路が毛細管に電圧を印加するように配設されている実施形態において、毛細管は導電性材料から形成されていることが好ましい。毛細管は、アルミニウムおよびステンレス鋼のうちの少なくとも一つから形成されてもよい。
【0017】
一実施例において、電圧回路は、第一の貯蔵部分およびノズルのうちの少なくとも一つに電気的に接続された電圧端子を備える。電圧回路は、電圧端子に電圧を印加するように配設されてもよい。電圧回路は、電圧端子と回路接地の間の電圧差を印加するように配設されてもよい。
【0018】
一実施例において、電圧回路は、第一の液体エアロゾル形成基体と接触している基体電圧端子を備える。電圧回路は、基体電圧端子と回路接地の間の電圧差を印加するように配設されてもよい。
【0019】
回路接地は別個の要素であってもよい。回路接地は第二の貯蔵部分であってもよい。回路接地は対電極であってもよい。対電極は、ノズルに対して直角を成すように配向されてもよい。対電極は、毛細管に対して直角を成すように配向されてもよい。対電極は、ノズルの下流に提供されてもよい。回路接地は電源であってもよい。回路接地は電池であってもよい。回路接地は電池の陰極であってもよい。
【0020】
有利なことに、使用中に電圧回路は、第一の液体エアロゾル形成基体から発生した第一のエアロゾルの液滴を帯電またはイオン化する。液滴が帯電されると、帯電された液滴内で反発力が発生される。各液滴内の各液体粒子の静電気的な帯電は相互に反発し、また各液滴の外表面上に作用する表面張力は液滴を一緒に保持する。液滴がより大きいほど、液滴内により多くの液体粒子が含有され、また液滴が帯電すると、液滴内により大きい静電反発力がある。レイリー限界として周知のものにて、内部反発力は表面張力に打ち勝ち、液滴は複数のより小さい液滴へと分裂する。このプロセスはクーロン分裂として知られている。
【0021】
電圧回路は、約1キロボルト~約20キロボルトの電圧差を印加するように配設されていることが好ましい。
【0022】
一実施例において、エアロゾル発生装置は、ノズルの下流に位置付けられたメッシュおよび穿孔されたプレートのうちの少なくとも一つを備える。穿孔されたプレートは、ノズルの下流に位置付けられてもよい。穿孔されたプレートは、穿孔されたプレートを通って延びる複数の開口を画定してもよい。
【0023】
一実施例において、エアロゾル発生装置の使用中に、第一の液体エアロゾル形成基体から生成されたエアロゾルは、ユーザーによって吸入できる前に、穿孔されたプレートを通過しうる。有利なことに、穿孔されたプレートの開口よりも大きい、第一のエアロゾルのいかなる液滴も、穿孔されたプレートを通過することが妨げられる。従って、穿孔されたプレートは有利なことに、ユーザーに送達される第一のエアロゾルの最大液滴サイズを制限するように構成されてもよい。例えば、穿孔されたプレートの開口よりも大きい、第一のエアロゾルの液滴を、各開口を画定するプレートによってブロックすることができる。
【0024】
有利なことに、エアロゾル発生装置によって発生されるエアロゾルの最大液滴サイズを制御することは、穿孔されたプレートがユーザーへのエアロゾルの一貫した送達を容易にすることを可能にする。一貫した液滴サイズは、一貫したユーザー体験を提供する。
【0025】
一実施例において、メッシュおよび穿孔されたプレートのうちの少なくとも一つは、電圧回路に電気的に接続されている。一実施例において、メッシュおよび穿孔されたプレートのうちの少なくとも一つは、回路接地に電気的に接続されている。
【0026】
一実施例において、第一の液体エアロゾル形成基体はニコチン、グリセロール、およびプロピレングリコールのうちの少なくとも一つを含む。第一の液体エアロゾル形成基体は、ユーザーに送達するための別の標的化合物を含んでもよい。
【0027】
一実施例において、エアロゾル発生装置は、第一の液体エアロゾル形成基体を第一の貯蔵部分からノズルに分配するための液体分配装置を備える。
【0028】
一実施例において、混合チャンバーは、ノズルからのエアロゾルとヒーターからのエアロゾルとの混合を可能にするように配設されている。一実施例において、混合チャンバーは、第一の液体エアロゾル形成基体から発生されたエアロゾルと、第二の液体エアロゾル形成基体から発生されたエアロゾルとの混合を可能にするように配設されている。混合チャンバーは、ハウジングの形状によって画定されている空洞であってもよい。混合チャンバーは、ヒーターの形状によって画定されている空洞であってもよい。使用中、混合チャンバーは、第一のエアロゾルと第二のエアロゾルの混合を可能にするための画定された空間を提供する。
【0029】
一実施例において、第二の貯蔵部分は液体移動要素を備える。第二の液体エアロゾル形成基体は、液体移動要素上に吸着されていることが好ましい。液体移動要素は、芯または毛細管のうちの少なくとも一つを備えてもよい。
【0030】
一実施例において、エアロゾル発生装置は、電圧回路およびヒーターに電力を供給するように配設された電源を備える。電圧回路は、電源からの電圧出力を増大するための電圧ブーストコンバータを含んでもよい。電源は電池を備えてもよい。電池は再充電可能電池であってもよい。電池はリチウムイオン電池であってもよい。電源は、コンデンサーなど別の形態の電荷蓄積装置を備えてもよい。電源は再充電を必要としてもよい。電源は、エアロゾル発生装置の一回以上の使用のために十分なエネルギーの蓄積を可能にする容量を有してもよい。例えば、電源は従来の紙巻たばこ1本を喫煙するのにかかる典型的な時間に対応する約6分間、または6分の倍数の時間にわたる混合エアロゾルの連続的な発生を可能にするのに十分な容量を有してもよい。別の実施例において、電源は所定の吸煙回数、または不連続的な起動を可能にするのに十分な容量を有してもよい。電源は、電圧回路に電力を供給するように配設された第一の電源と、ヒーターに電力を供給するように配設された第二の電源とを備えてもよい。
【0031】
一実施例において、回路接地は電源である。別の実施例において、回路接地は電池である。
【0032】
一実施例において、エアロゾル発生装置は、ヒーターを約80℃~約180℃の温度に加熱するように配設されている。
【0033】
ヒーターは電気ヒーターであることが好ましい。
【0034】
ヒーターは抵抗ヒーターであってもよい。
【0035】
ヒーターはメッシュ型ヒーターであってもよい。
【0036】
ヒーターは誘導ヒーターであってもよい。エアロゾル発生装置は、サセプタをさらに含んでもよい。誘導ヒーターは、使用中にサセプタを誘導加熱するように構成されてもよい。誘導ヒーターは、サセプタの一部分の周りに位置付けられてもよい。
【0037】
ヒーターは長方形の形状を有してもよい。一部の実施例において、ヒーターは円筒形状を有してもよい。円筒形状の使用は、エアロゾルのより高い流量を可能にしうる。
【0038】
ヒーターは、第二の貯蔵部分と直接接触して位置付けられてもよい。
【0039】
ヒーターは、液体移動要素と直接接触して位置してもよい。
【0040】
一実施例において、第二の液体エアロゾル形成基体は水、クエン酸トリエチル、および風味剤のうちの少なくとも一つを含む。第二の液体エアロゾル形成基体は、ユーザーに送達するための別の標的化合物を含んでもよい。
【0041】
エアロゾル発生装置はハウジングを含んでもよい。
【0042】
エアロゾル発生システムは、一つ以上の空気吸込み口を備えてもよい。エアロゾル発生システムは、複数の空気吸込み口を備えてもよい。エアロゾル発生システムは、ヒーターの領域中に位置する一つ以上の空気吸込み口を含んでもよい。エアロゾル発生システムは、ノズルの領域中に位置する一つ以上の空気吸込み口を含んでもよい。エアロゾル発生システムは、電圧回路の領域中に位置する一つ以上の空気吸込み口を含んでもよい。
【0043】
エアロゾル発生装置は、第一の液体エアロゾル形成基体から第一のエアロゾルを発生するためのエレクトロスプレー装置を含んでもよい。エレクトロスプレー装置は電圧回路を備えてもよい。エレクトロスプレー装置はノズルを備えてもよい。エレクトロスプレー装置は、第一の液体エアロゾル形成基体の液滴を帯電またはイオン化するように構成されてもよい。
【0044】
エアロゾル発生装置は取り外し可能なカートリッジを含んでもよい。カートリッジは二つ以上の区画を備えてもよい。取り外し可能なカートリッジは、第一の貯蔵部分および第二の貯蔵部分のうちの少なくとも一つを収容してもよい。取り外し可能なカートリッジは、第一の貯蔵部分および第二の貯蔵部分を収容してもよい。
【0045】
エアロゾル発生装置の一部の構成要素は、分離可能、取り外し可能、または単回使用のもの、かつ使い捨てであってもよい。本明細書にさらに記載の通り、エアロゾル発生装置は完全に組み立てられた時に、吸入可能な混合エアロゾルを生成するために使用するように構成されている。
【0046】
エアロゾル発生装置は、電源セクションと、電源セクションに取り付けるように構成されたエアロゾル発生セクションとを備えてもよい。電源は電源セクションに位置付けられていることが好ましい。第一の液体エアロゾル形成基体および第二の液体エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生セクションに提供されていることが好ましい。エアロゾル発生セクションはマウスピースを備えてもよい。
【0047】
混合エアロゾルを発生する方法も提供されている。方法は、第一の液体エアロゾル形成基体をエレクトロスプレーして、第一のエアロゾルを発生することを含んでもよい。方法は、第二の液体エアロゾル形成基体を加熱して、第二のエアロゾルを発生することを含んでもよい。方法は、第一のエアロゾルと第二のエアロゾルを混合して、混合エアロゾルを発生することを含んでもよい。
【0048】
混合エアロゾルを発生する方法も提供されていて、方法は、第一の液体エアロゾル形成基体をエレクトロスプレーして第一のエアロゾルを発生すること、第二の液体エアロゾル形成基体を加熱して第二のエアロゾルを発生すること、および第一のエアロゾルと第二のエアロゾルを混合して混合エアロゾルを発生することを含む。
【0049】
有利なことに、二つの異なる気化技法を組み合わせて使用することは、エアロゾル発生装置が大量の混合エアロゾルを発生することを可能にする。
【0050】
有利なことに、エアロゾル発生装置による第一の液体エアロゾル形成基体のエレクトロスプレーは、約400ナノメートル以下の液滴サイズを有するエアロゾルの発生を容易にする。有利なことに、約400ナノメートル以下の液滴サイズは、ユーザーへのエアロゾルの肺送達を容易にしうる。
【0051】
一実施例において、第一の液体エアロゾル形成基体をエレクトロスプレーすることは、第一の液体エアロゾル形成基体を約1キロボルト~約20キロボルトの電圧でエレクトロスプレーすることを含む。
【0052】
一実施例において、第二の液体エアロゾル形成基体を加熱することは、第二の液体エアロゾル形成基体を約80℃~約180℃の温度に加熱することを含む。
【0053】
上述の混合エアロゾルを発生する方法は、上述のエアロゾル発生装置の任意の特徴を含んでもよい。
【0054】
ここで具体的な実施形態を以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみであるが説明する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】
図1は、第一の実施形態によるエアロゾル発生装置の長軸方向の断面の平面図を概略的に示す。
【
図2】
図2は、第一の実施形態によるエアロゾル発生装置の長軸方向の断面の側面図を概略的に示す。
【
図3】
図3は、混合エアロゾルを発生する方法のフローチャートを示す。
【
図4】
図4は、第二の実施形態によるエアロゾル発生装置の長軸方向の断面の側面図を概略的に示す。
【
図5】
図5は、第三の実施形態によるエアロゾル発生装置の長軸方向の断面の側面図を概略的に示す。
【
図6】
図6は、第四の実施形態によるエアロゾル発生装置の長軸方向の断面の側面図を概略的に示す。
【
図7】
図7は、第五の実施形態によるエアロゾル発生装置の長軸方向の断面の平面図を概略的に示す。
【
図8】
図8は、第六の実施形態によるエアロゾル発生装置の長軸方向の断面の平面図を概略的に示す。
【0056】
図1および
図2を参照すると、第一の実施形態によるエアロゾル発生装置1の一実施例が概略的に示されている。この実施例において、エアロゾル発生装置1は電子たばこである。他の実施例において、エアロゾル発生装置1は別のタイプの装置であってもよい。エアロゾル発生装置1はハウジング2を有する。エアロゾル発生装置1はまた、第一の貯蔵部分3、エレクトロスプレー装置4、第二の貯蔵部分5、およびヒーター6を含む。この実施例において、第一の貯蔵部分3、エレクトロスプレー装置4、第二の貯蔵部分5およびヒーター6はすべて、ハウジング2内に位置する。別の実施例において、構成要素のうちの一つ以上は、ハウジング2から着脱可能である取り外し可能なカートリッジの中に提供されてもよい。
【0057】
第一の貯蔵部分3は、第一の液体エアロゾル形成基体7の分量を含有する貯蔵部である。この実施例において、第一の貯蔵部分3は単純な容器である。第一の液体エアロゾル形成基体7は、例えばエレクトロスプレーによってエアロゾルを形成することが容易に可能な任意の液体または液体の混合物を含んでもよい。例えば、第一の液体エアロゾル形成基体7はニコチン、グリセリン、およびプロピレングリコールのうちの一つ以上を含んでもよい。この特定の実施例において、第一の貯蔵部分3は、およそ5ミリリットルの第一の液体エアロゾル形成基体7を含有する。
【0058】
エレクトロスプレー装置4は、第一の貯蔵部分3内に含有された第一の液体エアロゾル形成基体7を、液体から第一のエアロゾルへと霧状にし、分散させるように構築および配設されている。
図1および
図2に示す実施例において、エレクトロスプレー装置4はノズル8を含む。ノズル8は、第一の貯蔵部分3から第一の液体エアロゾル形成基体7を受容するように配設されている。一実施例において、ノズル8は、第一の貯蔵部分3と流体連通している毛細管9を含む。毛細管9は約3センチメートルの長さを有してもよい。
【0059】
エレクトロスプレー装置4はまた、電圧回路10を含む。電圧回路10は、第一の液体エアロゾル形成基体7がノズル8を通過する際に、第一の液体エアロゾル形成基体7の液滴をイオン化(例えば帯電)するように構築および配設されている。第一の液体エアロゾル形成基体7をイオン化することは、第一の液体エアロゾル形成基体7をエアロゾルとして分散させうる。
【0060】
電圧回路10は、第一の貯蔵部分3およびノズル8のうちの少なくとも一つに電圧を印加するように配設されている。別の方法として、
図7および
図8に示され、以下に説明された実施例において、電圧回路10は、第一の液体エアロゾル形成基体7に直接、電圧を印加するように配設されている。電圧回路10は電圧端子11を含んでもよい。一実施例において、電圧端子11は金属ワイヤである。別の実施例において、電圧端子11は金属ワイヤを含む。金属ワイヤは白金を含んでもよい。
図1および
図2に示す実施例において、電圧端子11は、ノズル8(具体的には毛細管9)に電気的に接続されている。別の実施例において、電圧端子11は、第一の貯蔵部分3に電気的に接続されてもよい。電圧回路10は、電圧端子11と回路接地の間の電圧差を印加するように配設されている。この実施例において、回路接地は対電極12であり、これは回路接地として働くように特異的に提供されている別個の専用構成要素である。対電極12は、ノズル8に対して直角を成すように配向されてもよい。対電極12の直角を成す配向は、電界のより良好な画定を可能にする。加えて、対電極12の直角を成す配向はまた、対電極12が第一のエアロゾルのイオン化液滴をノズル8から引き出すことを可能にする。別の実施例において、回路接地は、エアロゾル発生装置1の別の構成要素(ハウジング2など)であってもよい。電圧回路は、電圧端子と回路接地の間の約1キロボルト~約20キロボルトの電圧差を印加する。
【0061】
エレクトロスプレー装置4は、発生した第一のエアロゾル内に広範囲の液滴サイズを生成しうる。望ましい最大サイズよりも大きい液滴を除去またはサイズ変更することによって、発生したエアロゾル内の液滴サイズを均一化するために、エアロゾル発生装置1は穿孔されたプレートをさらに備えてもよい。一実施例において、穿孔されたプレートは、エアロゾルノズル8とマウスピース18の間に位置付けられている。エアロゾル発生装置1の使用中、エレクトロスプレー装置によって発生した第一のエアロゾルは、穿孔されたプレートに向かって流れる。穿孔されたプレートは、穿孔されたプレートを通って延びる複数の開口を備える。一実施例において、すべての開口は同じ直径を有する。穿孔されたプレートは、開口の直径よりも大きい直径を有する液滴を除去またはサイズ変更するように構成されている。例えば、穿孔されたプレートは、直径10マイクロメートルを超える液滴が除去またはサイズ変更されるように、10マイクロメートルの直径を有する開口を含んでもよい。言い換えれば、穿孔されたプレートは、複数の開口を画定するメッシュから形成されてもよい。
【0062】
第二の貯蔵部分5は、第二の液体エアロゾル形成基体13の分量を含有する貯蔵部である。
図1および
図2に示す実施例において、第二の貯蔵部分5は液体移動要素14を含む。液体移動要素14は芯としての機能を果たしてもよい。液体移動要素14は、毛細管作用を介して第二の液体エアロゾル形成基体13を搬送することができる、ある長さの吸収材料または毛細管であってもよい。第二の液体エアロゾル形成基体13は、液体移動要素14上に吸着されることができる。一実施例において、液体移動要素14は、ヒーター6と直接接触している。具体的な一実施例において、第二の貯蔵部分5は、約0.1ミリリットル~約10ミリリットルの第二の液体エアロゾル形成基体13の分量を含有してもよい。第二の液体エアロゾル形成基体13は、例えば気化によってエアロゾルを容易に形成することができる任意の液体または液体の混合物を含んでもよい。例えば、第二の液体エアロゾル形成基体13は水、クエン酸トリエチル、および風味剤のうちの一つ以上を含む。
【0063】
ヒーター6は、第二の貯蔵部分5からの第二の液体エアロゾル形成基体13を加熱するように構築および配設されている。ヒーター6は、第二の液体エアロゾル形成基体13を液体から第二のエアロゾルに気化するように配設されている。ヒーター6は、第二のエアロゾルと第一のエアロゾルの混合を高めるエアロゾル発生装置1内の位置に位置してもよい。例えば、
図1および
図2に示す通り、ヒーター6はノズル8の下流に位置してもよい。具体的に、ヒーターは、ノズル8とマウスピース18の間に位置する。ヒーター6は、第二の液体エアロゾル形成基体の加熱を補助することができる形状を有してもよい。例えば、
図1および
図2に示す実施例において、ヒーター6は平面形状を有する。他の実施例において、ヒーターは、第二の液体エアロゾル形成基体13の加熱を補助する別の形状を有してもよい。ヒーター6は発熱体を含みうる。発熱体は、例えば抵抗発熱体、誘導発熱体、または同類のものであってもよい。具体的な一実施例において、ヒーター6は、約80℃~約180℃の温度で作動する。
【0064】
エアロゾル発生装置1は液体分配装置15を含む。液体分配装置15は、第一の液体エアロゾル形成基体7を第一の貯蔵部分3からエレクトロスプレー装置4のノズル9に分配するように構成されている。液体分配装置15は、任意のタイプの液体移動組立品であってもよい。
図1および
図2に示す実施例において、液体分配装置15はピストンポンプである。別の実施例において、液体分配装置15は、別のタイプの液体移動組立品(圧電ポンプなど)、または第一の貯蔵部分3に接続された加圧ガスタンクであってもよい。具体的な一実施例において、液体分配装置15は、第一の液体エアロゾル形成基体7を毎時約1マイクロリットル~毎時約10マイクロリットルの流量で、第一の貯蔵部分3からノズル9に分配するように構成されている。一実施例において、液体分配装置15は、メッシュを通して第一の液体エアロゾル形成基体7を分配するように構成されている。
【0065】
エアロゾル発生装置1はまた、一つ以上の空気吸込み口16を含みうる。
図1および
図2に示す実施例において、二つの空気吸込み口16が提供されている。別の実施例において、別の数の空気吸込み口16が提供されてもよい。一つ以上の空気吸込み口16は、エアロゾル発生装置1の使用中にハウジング2の中への空気の流れの改善を可能にする。
【0066】
図1および
図2の実施例において、エアロゾル発生装置1は混合チャンバー17を含む。この実施例において、混合チャンバー17は、ハウジング2によって画定された空洞である。別の実施例において、混合チャンバー17は、ハウジング2内に形成された別個の区画であってもよい。混合チャンバー17は、ノズル8(または毛細管9)およびヒーター6と流体連通している。混合チャンバー17は、分散された第一のエアロゾルが、気化された第二のエアロゾルと混合することを可能にすることによって、混合エアロゾルを発生するための空間を提供する。
【0067】
またマウスピース18は、ハウジング2の一方の端に提供されている。
図1および
図2の実施例において、マウスピース18は混合チャンバー17と流体連通している。マウスピース18は、ユーザーが混合チャンバー17からの第一のエアロゾルと第二のエアロゾルの混合物を吸入することを可能にする。
またエアロゾル発生装置1は電源19を含む。電源19は、ヒーター6および電圧回路10に電力を供給するように配設されている。従って電源19は、電圧回路11に電力を供給するように配設されている。電圧回路10は、電源19からの電圧出力を増大するための電圧ブーストコンバータを含んでもよい。
【0068】
またエアロゾル発生装置1は、帯電した第一のエアロゾルを中和するためのコロナ放電器20を含んでもよい。コロナ放電器はマウスピース18の領域に位置してもよい。
【0069】
図3を参照すると、第一の液体エアロゾル形成基体7および第二の液体エアロゾル形成基体13から混合エアロゾルを発生する方法100が示されている。以下に記載する通り、方法100の混合エアロゾルは、例えば
図1および
図2に示すエアロゾル発生装置1を使用することによって発生されてもよい。
【0070】
方法100は、ユーザー入力によってトリガーされてもよい。例えば、エアロゾル発生装置100は、ユーザー入力を受信するように配設されたユーザーインターフェースを備えてもよい。ユーザーインターフェースは、機械的スイッチまたはボタン、および静電容量式センサーなどのタッチボタンのうちの少なくとも一つを備えてもよい。エアロゾル発生装置100は、ユーザーがマウスピース18を吸う時に、エアロゾル発生装置100を通る気流を感知するように配設された気流センサーを備えてもよい。ユーザー入力は、ユーザーがマウスピース18を吸うことを含んでもよい。
【0071】
S1にて、エレクトロスプレー装置4は、第一の液体エアロゾル形成基体7から第一のエアロゾルを発生する。
図1および
図2の実施例において、第一の液体エアロゾル形成基体7は、熱分解の影響を受けやすいニコチンを含む。エレクトロスプレー装置4は、第一の液体エアロゾル形成基体7をイオン化し、霧化することによって、第一のエアロゾルを発生する。
【0072】
まず液体分配装置15は、第一の液体エアロゾル形成基体7を第一の貯蔵部分3からノズル8の中に分配する。次いで電圧回路は、回路接地と、ノズル8に電気的に接続されている電圧端子11との間の電圧差を印加する。これは、ノズル8中の第一の液体エアロゾル形成基体7を電圧回路10によってイオン化させる。イオン化された第一の液体エアロゾル形成基体7は次いで、液体分配装置15によって毛細管9から排出され、ヒーター6に向かって混合チャンバー17の中に噴霧される。イオン化された第一の液体エアロゾル形成基体7は、第一の液体エアロゾル形成基体7の分子間のクーロン反発力のため、第一のエアロゾルとして混合チャンバー17中に分散される。
【0073】
S2にて、ヒーター6は、第二の液体エアロゾル形成基体13から第二のエアロゾルを発生する。一部の実施例において工程S1および工程S2は同時に実行されることが理解されよう。
図1および
図2の実施例において、第二の液体エアロゾル形成基体13は、水および風味剤を含む。
【0074】
ヒーター6は起動され、その発熱体は80℃~180℃に加熱される。ヒーター6の高い温度は、液体移動要素14上に提供された第二の液体エアロゾル形成基体13を気化して、第二のエアロゾルを形成する。第二のエアロゾルは、自然対流によって混合チャンバー17の中に流れる。
【0075】
S3にて、第一のエアロゾルと第二のエアロゾルは一緒に混合して、混合エアロゾルを形成する。第一のエアロゾルは、エレクトロスプレー装置4によって噴霧された時に、混合チャンバー17を横断する。ユーザーがマウスピース18を通して吸煙するにつれて、混合チャンバー17に向かう第一のエアロゾルの流れが増強される。ユーザーの吸煙動作は、ハウジング2の中に(例えば空気入口16を通して)、マウスピース18の方向に空気を引き出す。この空気がマウスピース18に向かって引き出される時、発生した陽圧は、分散した第一のエアロゾルを混合チャンバー17に運ぶのを補助する。混合エアロゾルはその後、ユーザーによってマウスピース18を通して吸入されてもよい。
図1および
図2に示す実施例において、混合エアロゾルはマウスピース18に入る前にコロナ放電器20を通過する時に、まずそのイオン化放電が起こる。
【0076】
図1、
図2および
図3に示す配設の利点は、大量の第一のエアロゾルが、非熱気化(例えばエレクトロスプレー)を使用して発生されることができることである。熱分解の影響を受けやすい任意の化合物(例えばニコチン、グリセロール、およびプロピレングリコールのうちの少なくとも一つ)を、第一の液体エアロゾル形成基体7中に提供することができる。結果として、上記の配設は、熱分解の影響を受けやすいことが知られている任意の化合物を積極的に加熱することなく、エアロゾル発生装置内で混合エアロゾルを発生することを可能にしうる。
【0077】
さらに、第一のエアロゾルを形成するためにエレクトロスプレーを使用することと、第二のエアロゾルを形成するためにヒーターを使用することの組み合わせは、エレクトロスプレーのみの使用と比較して、混合エアロゾルの処理能力の相当な増大をもたらす。
【0078】
さらに、エアロゾル発生装置1は、約400ナノメートルの液滴サイズを有する混合エアロゾルの液滴を発生させることができる。これは有利なことに、ユーザーへのエアロゾルの肺送達を容易にしうる。
【0079】
そのうえ、熱誘起損傷からユーザーを保護するために、ハウジング2において必要な断熱材料はより少なくて済む。上記の配設で、典型的な完全に熱的なエアロゾル発生装置で使用される200℃~350℃のはるかにより高い温度と比較して、ヒーター6は80℃~180℃の比較的により低い温度で動作する。これは、上記のエアロゾル発生装置1が、より高い揮発温度を有する化合物(グリセロールなど)ではなく、より低い揮発温度を有する化合物(水など)のみを熱的に気化させるからである。より高い揮発温度を有する化合物は、エレクトロスプレーされる。
【0080】
図4を参照すると、第二の実施形態によるエアロゾル発生装置21の一実施例が概略的に示されている。第二の実施形態は、ハウジング2、第一の貯蔵部分3、エレクトロスプレー装置4、第二の貯蔵部分5、ヒーター6、電圧回路10など、第一の実施形態と同じ要素の多くを含む。同様の部品を指定するために、同様の参照符号が使用されている。
【0081】
図4に示す通りの第二の実施形態による実施例において、ヒーター6は円筒状ヒーターである(すなわち、ヒーター6は円筒管の形状を有する)。結果として、
図4の実施例において、液体移動要素14も、対応する円筒形状を有する。ヒーター6および液体移動要素14は、同心に配設されてもよい。例えば、
図4において、ヒーター6は液体移動要素14の半径方向外側である。従って、
図4に示す配設は、液体移動要素14およびヒーター6によって実質的に囲まれている混合チャンバー17を提供する。一実施例において、エレクトロスプレー装置4は、円筒状ヒーター6の中心に向かって第一のエアロゾルの液滴を排出するように位置付けられている。
【0082】
図4に示す配設で、混合チャンバー17はその周壁の周りで、ヒーター6および液体移動要素14によって囲まれている。この円形状は、
図1および
図2に示す第一の実施形態の平面形状によって提供されている雲と比べて、混合チャンバー17内の第二のエアロゾルのよりコンパクトな雲を提供する。第二のエアロゾルのよりコンパクトな雲は、第一のエアロゾルの液滴が第二のエアロゾルとより効率的に混合して、混合エアロゾルを形成することを可能にする。
図4に示す実施形態の幾何学的形状はまた、第二のエアロゾルが第一のエアロゾルと混合されることができる前に、マウスピースを通して失われる第二のエアロゾルの量を減少させる。
【0083】
図5を参照すると、第三の実施形態によるエアロゾル発生装置31の一実施例が概略的に示されている。第三の実施形態は、ハウジング2、第一の貯蔵部分3、エレクトロスプレー装置4、第二の貯蔵部分5、ヒーター6、電圧回路10など、第一の実施形態と同じ要素の多くを含む。同様の部品を指定するために、同様の参照符号が使用されている。
【0084】
図5に示す通りの第三の実施形態による実施例において、毛細管9は第一の部分32および第二の部分33を有する。毛細管9は、第一のエアロゾルと第二のエアロゾルの混合を改善する構成で構築および配設されてもよい。例えば、第二の部分33は、第一の部分32に対してある角度で配置されてもよい。有利なことに、毛細管9の第二の部分33は、毛細管9の第一の部分32に対して約45度~約135度の角度で配置されてもよい。
図5に示す実施例において、毛細管9の第二の部分33は、毛細管9の第一の部分32に対して約90度の角度で配置されている。他の実施例において、毛細管9の第二の部分33は、毛細管9の第一の部分32に対して他の角度で配置されてもよい。
【0085】
図5に示す配設で、第一のエアロゾルは、気化された第二のエアロゾルが自然対流によって移動する方向とは概して反対の方向に噴霧される。第二のエアロゾルと反対の方向に移動する第一のエアロゾルは、第一のエアロゾルと第二のエアロゾルの間の最大の重なり合いをもたらす。従って、上記の利点に加えて、
図5の配設は、混合チャンバー17中の第一のエアロゾルと第二のエアロゾルの混合の改善を提供し、これがより均質な混合エアロゾルをもたらす。より均質な混合エアロゾルは、より良いユーザー体験を提供する。
【0086】
図6を参照すると、第四の実施形態によるエアロゾル発生装置41の一実施例が概略的に示されている。第四の実施形態は、ハウジング2、第一の貯蔵部分3、エレクトロスプレー装置4、第二の貯蔵部分5、ヒーター6、電圧回路10など、第一の実施形態と同じ要素の多くを含む。同様の部品を指定するために、同様の参照符号が使用されている。
【0087】
図6に示す通りの第四の実施形態による実施例において、エアロゾル発生装置41はカートリッジ42を有する。カートリッジ42は、第一の貯蔵部分3を画定する第一の区画を有する。カートリッジ42は、第二の貯蔵部分5を画定する第二の区画を有する。カートリッジ42は、エアロゾル発生装置1から取り外し可能である。例えば、第一の貯蔵部分3中の第一の液体エアロゾル形成基体7の分量、または第二の貯蔵部分5中の第二の液体エアロゾル形成基体13の分量が枯渇した時に、ユーザーはカートリッジ42を取り外してもよい。
【0088】
図6に示す実施例のヒーター6は、メッシュタイプのヒーターである。ヒーター6は、第二の液体エアロゾル形成基体13および液体移動要素14のうちの少なくとも一つと直接接触していてもよい。
図6の実施例において、ヒーター6は、第二の液体エアロゾル形成基体13と液体移動要素14の両方と直接接触している。
【0089】
図7を参照すると、第五の実施形態によるエアロゾル発生装置51の一実施例が概略的に示されている。第五の実施形態は、ハウジング2、第一の貯蔵部分3、エレクトロスプレー装置4、第二の貯蔵部分5、ヒーター6、電圧回路10など、第一の実施形態と同じ要素の多くを含む。同様の部品を指定するために、同様の参照符号が使用されている。
【0090】
図7に示す通りの第五の実施形態による実施例において、電圧端子11は基体電圧端子である。基体電圧端子は、第一の液体エアロゾル形成基体7と直接接触するように配設されている。この実施例において、基体電圧端子は、第一の液体エアロゾル形成基体7と接触することになるように、第一の貯蔵部分3の中に挿入されている。それ故に基体電圧端子は、第一の液体エアロゾル形成基体7に電気的に接続されている。
図7の実施例のノズル9は非導電性である。
【0091】
図7に示す実施形態によるエアロゾル発生装置51において、電圧回路10は、基体電圧端子と回路接地の間の電圧差を印加するように配設されている。この実施例において、回路接地は対電極12である。
【0092】
図7に示す通りの第五の実施形態のエアロゾル発生装置51の実施例で、液体分配装置は、第一の貯蔵部分3からエアロゾルを分配する必要がない。これは、第一の液体エアロゾル形成基体から発生する第一のエアロゾルが、電圧回路10によって発生される時に第一のエアロゾルに加えられたイオン化による反発力によってノズル8から自動的に排出されるからである。
【0093】
図8を参照すると、第六の実施形態によるエアロゾル発生装置61の一実施例が概略的に示されている。第四の実施形態は、ハウジング2、第一の貯蔵部分3、エレクトロスプレー装置4、第二の貯蔵部分5、ヒーター6、電圧回路10など、第一の実施形態と同じ要素の多くを含む。同様の部品を指定するために、同様の参照符号が使用されている。
【0094】
図8に示す通りの第六の実施形態による実施例において、電圧端子11は基体電圧端子である。基体電圧端子は、第一の液体エアロゾル形成基体7と直接接触するように配設されている。この実施例において、基体電圧端子は、第一の液体エアロゾル形成基体7と接触するように、ノズル9の内部に挿入されている。
図8の実施例のノズル9は非導電性である。それ故に基体電圧端子は、第一の液体エアロゾル形成基体7に電気的に接続されている。
図7に示す第五の実施形態と同様に、
図8に示す通りの第六の実施形態のエアロゾル発生装置61の実施例において、液体分配装置は必要とされない。
【0095】
図8に示す実施形態によるエアロゾル発生装置61において、電圧回路10は、基体電圧端子と回路接地の間の電圧差を印加するように配設されている。この実施例において、回路接地は対電極12である。
【0096】
上述の例示的な実施形態は、特許請求の範囲の範囲を制限することを意図するものではない。上述の例示的な実施形態と一貫性のある他の実施形態が、当業者に明らかであろう。一実施形態に関して説明される特徴はまた、他の実施形態にも適用できる場合がある。
【国際調査報告】