(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-21
(54)【発明の名称】ドージングシステム
(51)【国際特許分類】
B05C 11/10 20060101AFI20221014BHJP
B05C 5/00 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
B05C11/10
B05C5/00 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506227
(86)(22)【出願日】2020-08-10
(85)【翻訳文提出日】2022-01-28
(86)【国際出願番号】 EP2020072394
(87)【国際公開番号】W WO2021032521
(87)【国際公開日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】102019212373.2
(32)【優先日】2019-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521285252
【氏名又は名称】ランプ ホールディング ゲーエムベーハー アンド ツェーオー. カーゲー
【氏名又は名称原語表記】RAMPF HOLDING GMBH & CO. KG
【住所又は居所原語表記】Albstrase 37, Grafenberg 72661 Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハーク,ゲルト
【テーマコード(参考)】
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
4F041AA18
4F041AB01
4F041BA05
4F041BA22
4F041BA38
4F041BA43
4F042AA29
4F042BA02
4F042BA04
4F042BA06
4F042BA08
4F042BA10
4F042BA12
4F042BA19
4F042BA25
4F042BA27
4F042CA01
4F042CA06
4F042CA08
4F042CB02
4F042CB10
4F042CB26
4F042CB27
4F042DH09
(57)【要約】
本発明は、多成分複合材料のビードを構成要素に塗布するためのドージングシステム(10)に関し、このドージングシステムは、出口開口(16)を有する混合ヘッド(12)と、ドージングポンプ(20、22、24、26)と、制御情報を含む制御信号をドージングポンプ(20、22、24、26)に出力するように設計された制御ユニット(28)とを含み、制御ユニット(28)は、軌道および/または軌道の関数としての速度に関連する情報を含みおよび/または受け取り、多成分複合材料のビードの断面積が軌道全体にわたって実質的に一定のままであるように軌道のセクションごとに別個の制御情報をドージングポンプ(20、22、24、26)に出力するように設計され、ドージングシステム(10)は、混合ヘッド(12)の出口開口(16)に隣接するドージングポンプ(20、22、24、26)および関連する成分コンテナに隣接する供給ポンプを有する、成分ごとに1つのポンプグループを含む。本発明は、さらに、対応する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多成分複合材料のビード(36、38、40、42)を構成要素(32)に塗布するためのドージングシステム(10)であって、前記ドージングシステム(10)が、
- 混合ヘッド(12)であり、各成分の供給源から前記混合ヘッド(12)の混合室(14)につながる、前記多成分複合材料の成分ごとの1つの供給ラインを有し、前記多成分複合材料の前記個々の成分を前記混合室(14)において混合するように構成され、前記混合された多成分複合材料が前記混合ヘッド(12)を出て行く出口開口(16)を有する、混合ヘッド(12)と、
- 前記多成分複合材料の放出物を前記混合ヘッド(12)の前記出口開口(16)を通して運ぶように構成されている計量ポンプ(20、22、24、26)と、
- 前記混合ヘッド(12)の前記出口開口(16)を通る前記多成分複合材料の計量出力が制御信号に基づいて調節されるように、制御情報を含む前記制御信号を前記計量ポンプ(20、22、24、26)に出力するように構成されている制御ユニット(28)と
を含み、
前記制御ユニット(28)が、軌道(30)に関連する情報、および/または前記軌道(30)に基づく経路速度に関連する情報を含むおよび/または受け取るように構成され、前記軌道に沿って/前記軌道に従って、前記出口開口(16)が前記多成分複合材料を塗布するために移動されることになり、
前記軌道(30)の少なくとも1つの直接隣接する部分(30_1、30_2、30_3)と比較して異なる経路速度が割り当てられる前記軌道(30)の各部分(30_1、30_2、30_3)に対して、前記制御ユニット(28)は、前記多成分複合材料のビード(36、38、40、42)の断面積が、異なる経路速度を含む前記軌跡(30)全体にわたって実質的に一定のままであるように、別個の制御情報を前記計量ポンプ(20、22、24、26)に出力するようにさらに構成され、
前記ドージングシステム(10)が、各場合に、前記多成分複合材料の成分(A、B)ごとに1つのポンプセットを含み、前記ポンプセットが、前記計量ポンプ(20、22、24、26)と供給ポンプ(48、50)とを含み、
前記計量ポンプ(20、22、24、26)が、前記混合ヘッド(12)の前記出口開口(16)に隣接して、特に、前記計量ポンプ(20、22、24、26)から前記出口開口(16)の方に流体経路に沿って測定して、前記出口開口(16)から2mの最大距離に配置され、
前記供給ポンプ(48、50)が、前記多成分複合材料の特定の成分(A、B)を含むそれぞれの成分コンテナ(44、46)に隣接して配置される、ドージングシステム(10)。
【請求項2】
前記混合ヘッド(12)の前記出口開口(16)が、前記混合室(14)の一部として形成されるか、またはライン(18)によって前記混合室(14)に接続されることを特徴とする請求項1に記載のドージングシステム(10)。
【請求項3】
前記ラインが、前記混合ヘッド(12)の前記出口開口(16)と前記混合室(14)との間に管状流出ノズル(18)またはホースラインとして形成されることを特徴とする請求項2に記載のドージングシステム(10)。
【請求項4】
前記ドージングシステム(10)が、前記多成分複合材料を塗布するための前記出口開口(16)を、1m/分から100m/分の速度で、特に、3m/分から60m/分の速度で移動させるように構成されることを特徴とする先行する請求項のいずれかに記載のドージングシステム(10)。
【請求項5】
均一な経路速度を有する軌道部分(30_1、30_2、30_3)ごとに、前記制御ユニット(28)が、別個の制御情報を前記計量ポンプ(20、22、24、26)に別個の制御信号で出力するように構成され、および/または前記制御ユニットが、均一な経路速度を有する軌道部分(30_1、30_2、30_3)ごとに分離された複数の制御情報を前記計量ポンプ(20、22、24、26)に、少なくとも1つの制御信号で一緒に出力するように構成されることを特徴とする先行する請求項のいずれかに記載のドージングシステム(10)。
【請求項6】
異なる経路速度を含む前記軌道(30)が、閉リングとして形成されることを特徴とする先行する請求項のいずれかに記載のドージングシステム(10)。
【請求項7】
前記多成分複合材料が、好ましくはポリウレタンまたはシリコーンを含む2つ以上の成分を含む接着剤または密閉剤、特に、接着性発泡体または密閉発泡体であることを特徴とする先行する請求項のいずれかに記載のドージングシステム(10)。
【請求項8】
前記ドージングシステム(10)、特に、前記計量ポンプ(20、22、24、26)が、前記多成分複合材料を0.1cm
3/sから20cm
3/sの出力範囲で放出するように構成されることを特徴とする先行する請求項のいずれかに記載のドージングシステム(10)。
【請求項9】
前記制御ユニット(28)が、前記多成分複合材料の前記放出を調節するために、一貫した曲率を有する前記軌道(30)の関連部分(30_1、30_2、30_3)に、前記計量ポンプ(20、22、24、26)のための均一な経路速度および/または均一な制御情報を割り当てるようにさらに構成されることを特徴とする先行する請求項のいずれかに記載のドージングシステム(10)。
【請求項10】
多成分複合材料のビード(36、38、40、42)を構成要素(32)に均一に塗布するための方法であって、前記方法が、
- 混合ヘッド(12)であり、各成分の供給源から前記混合ヘッド(12)の混合室(14)につながる、前記多成分複合材料の成分ごとの1つの供給ラインを有し、前記多成分複合材料の前記個々の成分を前記混合室(14)において混合するように構成され、前記混合された多成分複合材料が前記混合ヘッド(12)を出て行く出口開口(16)を有する、混合ヘッド(12)を用意することと、
- 前記多成分複合材料の放出物を前記混合ヘッド(12)の前記出口開口(16)を通して運ぶように構成されている計量ポンプ(20、22、24、26)を用意することと、
- 前記混合ヘッド(12)の前記出口開口(16)を通る前記多成分複合材料の計量出力が制御信号に基づいて調節されるように、制御情報を含む前記制御信号を前記計量ポンプ(20、22、24、26)に出力する制御ユニット(28)を用意することと
を含み、
前記制御ユニット(28)が、軌道(30)に関連する情報、および/または前記軌道(30)に基づく経路速度に関連する情報を含みおよび/または受け取り、前記軌道に沿って/前記軌道に従って、前記出口開口(16)が前記多成分複合材料を塗布するために移動されることになり、
前記軌道(30)の少なくとも1つの直接隣接する部分と比較して、異なる経路速度が割り当てられる前記軌道(30)の各部分に対して、前記制御ユニット(28)は、さらに、前記多成分複合材料のビード(36、38、40、42)の断面積が、異なる経路速度を含む前記軌跡(30)全体にわたって実質的に一定のままであるように、別個の制御情報を前記計量ポンプ(20、22、24、26)に出力し、
前記ドージングシステム(10)が、各場合に、前記多成分複合材料の成分(A、B)ごとに1つのポンプセットを含み、前記ポンプセットが、前記計量ポンプ(20、22、24、26)と供給ポンプ(48、50)とを含み、
前記計量ポンプ(20、22、24、26)が、前記混合ヘッド(12)の前記出口開口(16)に隣接して、特に、前記計量ポンプ(20、22、24、26)から前記出口開口(16)の方に流体経路に沿って測定して、前記出口開口(16)から2mの最大距離に配置され、
前記供給ポンプ(48、50)が、前記多成分複合材料の特定の構成要素(A、B)を含むそれぞれの成分コンテナ(44、46)に隣接して配置される、方法。
【請求項11】
前記ドージングシステム(10)が、前記多成分複合材料を塗布するための前記出口開口(16)を、1m/分から100m/分の速度で、特に、3m/分から60m/分の速度で移動させることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
均一な経路速度を有する軌道部分(30_1、30_2、30_3)ごとに、前記制御ユニット(28)が、別個の制御情報を前記計量ポンプ(20、22、24、26)に別個の制御信号で出力し、および/または前記制御ユニットが、均一な経路速度を有する軌道部分(30_1、30_2、30_3)ごとに分離された複数の制御情報を前記計量ポンプ(20、22、24、26)に、少なくとも1つの制御信号で一緒に出力することを特徴とする請求項10または11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記ドージングシステム(10)、特に、前記計量ポンプ(20、22、24、26)が、前記多成分複合材料を0.1cm
3/sから20cm
3/sの出力範囲で放出することを特徴とする請求項10から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記制御ユニット(28)は、前記計量ポンプ(20、22、24、26)が前記多成分複合材料の前記放出を各関連部分にわたり不変のままにするために、一貫した曲率を有する前記軌道(30)の関連部分(30_1、30_2、30_3)に、均一な経路速度および/または均一な制御情報を割り当てることを特徴とする請求項10から13のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多成分複合材料のビードを構成要素に塗布するためのドージングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、2つの構成要素を一緒に接着するために、多成分複合材料のビードを構成要素に塗布する場合、多成分複合材料のビードは、一般に曲率が異なる部分を有する軌道に沿って延びる。例えば、ビードが実質的に長方形の軌道で塗布される場合、軌道は、4つの直線部分、すなわち、曲率がゼロの4つの部分と、例えば円弧の形態の4つの鋭く湾曲した部分とを有する。多成分複合材料の成分は、混合ヘッドの混合室で混合され、出口開口を通して構成要素に塗布される。
【0003】
先行技術から知られているドージングシステムは、多成分複合材料のビードを構成要素に塗布するときに均一な計量出力を有するように設計される。軌道のあらゆるポイントで、多成分複合材料のビードの所定の厚さ、すなわち、多成分複合材料のビードの均一な断面積が望まれる場合、ドージングシステムの計量出力は、出口開口がシステム関連の理由で低速で軌道の部分を横切るポイントでビードの所定の厚さが保証されるように、調節されなければならない。これは、通常、鋭い湾曲、すなわち、小さい曲率半径を有する部分に該当し、その理由は、ここで、対応する駆動部が出口開口を大幅に加速することができないからである。しかしながら、次に、軌道の直線部分での均一な計量出力および必要なビード厚さのために、出口開口の移動速度に関して制限があり、そこで、出口開口は、実質的に均一な速度で軌道に沿って移動しなければならない。
【0004】
したがって、既知のドージングシステムでは、所定の軌道に沿った多成分複合材料の迅速な塗布の必要性と、軌道に沿った多成分複合材料のビードの均一な断面の必要性とは、完全に互いに両立しないことは明らかである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの欠点を考慮して、本発明の目的は、多成分複合材料のビードを構成要素に塗布するのに必要とされる時間を短縮するドージングシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、この目的は、多成分複合材料のビードを構成要素に塗布するためのドージングシステムによって達成され、このドージングシステムは、混合ヘッドであり、各成分の供給源から混合ヘッドの混合室につながる、多成分複合材料の成分ごとの1つの供給ラインを有し、多成分複合材料の個々の成分を混合室において混合するように構成され、混合された多成分複合材料が混合ヘッドを出て行く出口開口を有する、混合ヘッドを含み、多成分複合材料の放出物を混合ヘッドの出口開口を通して運ぶように構成されている計量ポンプを含み、混合ヘッドの出口開口を通る多成分複合材料の計量出力が制御信号に基づいて調節されるように、制御情報を含む制御信号を計量ポンプに出力するように構成されている制御ユニットを含み、制御ユニットは、軌道に関連する情報、および/または軌道に基づく経路速度に関連する情報を含むおよび/または受け取るように構成され、軌道に沿って/軌道に従って、出口開口が多成分複合材料を塗布するために移動されることになり、軌道の少なくとも1つの直接隣接する部分と比較して、異なる経路速度が割り当てられる軌道の各部分に対して、制御ユニットは、さらに、多成分複合材料のビードの断面積が、異なる経路速度を含む軌跡全体にわたって実質的に一定のままであるように、別個の制御情報を計量ポンプに出力するように構成され、ドージングシステムは、各場合に、多成分複合材料の成分ごとの1つのポンプセットを含み、ポンプセットが、計量ポンプと供給ポンプとを含み、計量ポンプは、混合ヘッドの出口開口に隣接して、特に、計量ポンプから出口開口の方に流体経路に沿って測定して、出口開口から2mの最大距離に配置され、供給ポンプは、多成分複合材料の特定の成分を含むそれぞれの成分コンテナに隣接して配置される。
【0007】
この場合、成分は、「動的に」、すなわち、能動的な撹拌要素を使用して、「静的に」、すなわち、能動的な撹拌要素を使用することなく成分を寄せ集めることによって、または「静的-動的に」、すなわち、成分のうちの少なくとも1つが混合室に入る追加の混合フィラメントを回転させることによって混合され得る。多くの用途において、動的混合ヘッドが好ましい場合があり、その理由は、動的混合ヘッドにより、最小の混合体積をもつ成分の均一な混合を再現性よく達成することが可能になるからである。
【0008】
「計量出力」は、特に、多成分複合材料が出口開口から放出される速度に対する放出される多成分複合材料の量の比率、または言い換えれば、単位時間当たりの(例えば、1秒当たりの)放出量(volume discharged)(例えば、体積および/または重量に関する)として理解されるべきである。例えば、放出量が少なく、放出速度が速い場合、放出量が多く、放出速度が遅い場合と同じ計量出力が達成され得る。しかしながら、計量出力は、放出量および放出速度のうちから少なくとも一方を一定に保持しながら他方を増加させる(または両方を増加させる)場合、増加させることができる。
【0009】
加えて、この時点で、多成分複合材料のビードの「断面積」は、特に、多成分複合材料のビードが構成要素に塗布される方向に対して直角の方向に見られていることが指摘される。この文脈において、均一な断面積は必ずしも均一な断面形状を必要としないが、これは有利であり得る。
【0010】
有利には、制御ユニットは、軌道に沿って出口開口を移動させるように構成された駆動部を制御するように構成されたCNCコントローラから、軌道に関連する情報、および/または軌道に基づく経路速度に関連する情報を受け取ることができる。
【0011】
2成分発泡体を使用する場合、硬化剤に割り当てられた計量ポンプの前に、所定の時間、例えば、5msの間、基本成分に割り当てられた計量ポンプを作動させる、すなわち、動作させることは有利であり得る。このようにして、基本成分がガスを含んでいる場合、送出速度は、それに応じて、基本成分のこの圧縮性に基づいて調節し適応させることができる。
【0012】
本発明によるドージングシステムは、軌道に応じて高度に動的な方法で計量を適応させることを可能にする。例えば、出口開口は、軌道の特定の部分または軌道の特定の曲率に対して最大速度で連続的に移動することができる。このプロセスにおいて、本発明によるドージングシステムは、計量出力を、出口開口が高い速度を有する部分で比例して増加させ、出口開口が低い速度を有する部分で比例して減少させることを可能にし、その結果、多成分複合材料のビードの断面積は、多成分複合材料が塗布される軌道全体に沿って実質的に一定のままである。
【0013】
混合ヘッドの出口開口に対して計量ポンプを接近して配置することによって、著しく動的に、したがって、より迅速に、計量出力を適応させることが可能である。例えば、ライン壁の弾性または多成分複合材料もしくはその成分の圧縮性による動的損失が、その結果として、低減され、またはさらに防止され得る。特に、計量出力のこの動的な適応は、高度に動的な制御技術と併用して達成することができ、高度に動的な制御技術は、経路速度、放出量、および/または放出速度の事前計算を1~128msの範囲で行い、対応する制御情報を計量ポンプに出力するように構成される。
【0014】
各成分の供給ポンプは、少なくとも多成分複合材料の塗布の間、連続的に操作することができ、または所定の送出量を有するオン状態と、オフ状態との間で単に切替え可能にすることができる。代替としてまたは追加として、供給ポンプはまた、速度制御して操作することができ、その結果、計量ポンプのポンプ入口圧力が消費量にかかわらず一定であることを保証することができる。それゆえに、以下の説明では、計量ポンプの制御が本質的に言及されるが、この説明は供給ポンプの作動にも適用可能であり得ることは当然である。
【0015】
特に、混合ヘッドの出口開口は、混合室の一部として形成されてもよく、またはラインによって混合室に接続されてもよい。したがって、混合ヘッドは、多成分複合材料を構成要素に直接塗布することができる開口を有することができる。しかしながら、混合ヘッドが、例えば構成要素への近づきやすさの低下のために、構成要素からさらに遠くに配置されることが望ましい場合、出口開口は、ラインによって、多成分複合材料が混合室を出て行く混合ヘッドの開口に接続され得る。
【0016】
ラインは、混合ヘッドの出口開口と混合室との間にチューブまたはホースラインとして形成することができる。特に、ラインがホースラインとして形成された場合、ホースラインの出口開口だけを軌道に沿って移動させ、構成要素に対して混合ヘッドを移動させないか、またはそれを、特に、簡単化された、例えば、円形もしくは長方形の軌道に沿って移動させることが可能であり得る。
【0017】
加えて、ドージングシステムは、多成分複合材料を塗布するための出口開口を、1m/分から100m/分の速度で、特に、3m/分から60m/分の速度で移動させるように構成することができる。このようにして、限られた曲率半径を有する部分および直線軌道コースを有する部分は、両方とも、それぞれの最大速度で横切ることができる。
【0018】
各軌道部分が均一な経路速度を有する場合、制御ユニットは、別個の制御情報を計量ポンプに別個の制御信号で出力するように構成することができ、および/または前記制御ユニットは、均一な経路速度を有する各軌道部分に対して分離された複数の制御情報を計量ポンプに、少なくとも1つの制御信号で一緒に出力するように構成することができる。言い換えれば、例えば、計量ポンプが操作すべき出力に関する計量ポンプへの命令を含む関連する制御情報は、制御情報の内容、すなわち、計量ポンプへの命令が変化するたびに別個の制御信号で出力することができ、または単一の制御信号が、複数の制御情報を含むことができる。このプロセスにおいて、制御情報が、計量ポンプを所定の出力で操作すべき期間を追加として含むことは有利であり得る。
【0019】
特に、異なる経路速度を含む軌道は、閉リングとして形成することができる。例えば、多成分複合材料のビードは、フロントガラスなどの構成要素の縁部に沿って塗布して、構成要素をフレームに接着することができる。軌道、すなわち、多成分複合材料のビードは閉リングとして形成されるので、閉リングの外からの液体または異物の侵入を防止することができる。この種のリングは円形である必要はなく、むしろ、例えば、直線部分と円弧部分のシーケンスとしてほぼ長方形に形成することができる。
【0020】
本発明の文脈内で、多成分複合材料は、好ましくはポリウレタンまたはシリコーンを含む2つ以上の成分を含む接着剤または密閉剤、特に、接着性発泡体または密閉発泡体とすることができる。これの代表例はFIPFGシールであり得る。2つの成分物質の例では、それに応じて、2つのポンプセットを配置することができる。それゆえに、供給ポンプが混合ヘッドへの成分の「基本供給」を実施し、計量ポンプが、成分を混合ヘッドに非常に正確に迅速に導入することを可能にするので、本発明は、先行技術と異なり、軌道に依存しない制御を使用して、例えばCNCコントローラに基づいて、一貫した断面を有する発泡体をさらに塗布することを可能にする。
【0021】
加えて、ドージングシステム、特に、計量ポンプは、多成分複合材料を0.1cm3/sから20cm3/sの出力範囲で放出するように構成することができる。その結果として、出口開口が構成要素に沿って高速で移動される軌道の部分においてさえ、構成要素に十分な多成分複合材料を塗布して、多成分複合材料の均一なビード厚さを保証できることが可能である。
【0022】
本発明の展開において、制御ユニットは、さらに、多成分複合材料の放出を調節するために、一貫した曲率を有する軌道の関連部分に、計量ポンプのための均一な経路速度および/または均一な制御情報を割り当てるように構成することができる。その結果として、制御ユニットによる処理作業を軽減することができる。例えば、円弧として形成され、それゆえに、一貫した曲率半径を有する部分には、出口開口を移動させるための均一な経路速度、したがって、計量ポンプの均一な計量出力を割り当てることができ、これらは、制御情報を含む制御信号として計量ポンプに出力することができる。軌道のそのような関連部分では、各々の関連部分の最初または最後での出口開口の加速または減速を考慮に入れることができることは当然である。この目的のために、出口開口の加速または減速の距離を、関連部分と関連していないと見なすか、または出口開口の対応する加速および減速を、類似して、計量ポンプのための制御情報または命令においてマッピングすることを考えることができる。
【0023】
本発明の第2の態様では、本目的は、多成分複合材料のビードを構成要素に均一に塗布するための方法によって達成され、この方法は、混合ヘッドであり、各成分の供給源から混合ヘッドの混合室につながる、多成分複合材料の成分ごとの1つの供給ラインを有し、多成分複合材料の個々の成分を混合室において混合するように構成され、混合された多成分複合材料が混合ヘッドを出て行く出口開口を有する、混合ヘッドを用意することと、多成分複合材料の放出物を混合ヘッドの出口開口を通して運ぶように構成されている計量ポンプを用意することと、混合ヘッドの出口開口を通る多成分複合材料の計量出力が制御信号に基づいて調節されるように、制御情報を含む制御信号を計量ポンプに出力する制御ユニットを用意することとを含み、制御ユニットは、軌道に関連する情報、および/または軌道に基づく経路速度に関連する情報を含みおよび/または受け取り、軌道に沿って/軌道に従って、出口開口が多成分複合材料を塗布するために移動されることになり、少なくとも1つの直接隣接する部分と比較して、異なる経路速度が割り当てられる軌道の各部分に対して、制御ユニットは、さらに、多成分複合材料のビードの断面積が、異なる経路速度を含む軌跡全体にわたって実質的に一定のままであるように、別個の制御情報を計量ポンプに出力し、ドージングシステムは、各場合に、多成分複合材料の成分ごとに1つのポンプセットを含み、ポンプセットが、計量ポンプと供給ポンプとを含み、計量ポンプは、混合ヘッドの出口開口に隣接して、特に、計量ポンプから出口開口の方に流体経路に沿って測定して、出口開口から2mの最大距離に配置され、供給ポンプは、多成分複合材料の特定の成分を含むそれぞれの成分コンテナに隣接して配置される。
【0024】
この時点で、さらに、本発明によるデバイスに関連して説明されたすべての特徴、効果、および利点は、本発明による方法にも適用可能であり、その逆も同様であることが指摘される。
【0025】
展開において、本発明による方法は、ドージングシステムが、多成分複合材料を塗布するための出口開口を、1m/分から100m/分の速度で、特に、3m/分から60m/分の速度で移動させることができるということを含むことができる。これにより、出口開口は、低い曲率を有する部分を迅速に横切り、鋭い曲率を有する部分を適した方法で横切ることができる。
【0026】
さらに、均一な経路速度を有する軌道部分ごとに、制御ユニットは、別個の制御情報を計量ポンプに別個の制御信号で出力することができ、および/または前記制御ユニットは、均一な経路速度を有する軌道部分ごとに分離された複数の制御情報を計量ポンプに、少なくとも1つの制御信号で一緒に出力することができる。ドージングシステムまたは制御ユニットによる処理作業を軽減するために、制御情報は、計量ポンプの出力が変更されることになるときのみ出力することができる。加えて、個々の部分に沿った異なる計量出力に関連する制御情報は、制御信号に組み合わせることができる。
【0027】
ドージングシステム、特に、計量ポンプは、多成分複合材料を0.1cm3/sから20cm3/sの出力範囲で放出することができる。このようにして、計量ポンプの計量出力は、軌道に沿った出口開口の移動速度に適応させることができる。
【0028】
有利には、制御ユニットは、一貫した曲率を有する軌道の関連部分に、均一な経路速度および/または均一な制御情報を割り当て、その結果、計量ポンプは、各関連部分にわたる多成分複合材料の放出を不変のままにすることができる。これは、さらに、ドージングシステムの制御のために必要とされる処理作業の軽減に寄与することができる。特に、制御ユニットは、出口開口が一貫した曲率を有する軌道部分を通って移動している限り、計量ポンプに制御情報を出力しなくてもよい。
【0029】
ドージングシステムは、空気調整装置をさらに含むことができ、空気調整装置は、多成分複合材料の成分のうちの少なくとも1つの温度を制御する、すなわち、冷却または加熱するように構成される。
【0030】
本発明が、例示の実施形態に基づいて以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明によるデバイスの一実施形態の側面図である。
【
図3】(a)は従来技術の多成分複合材料のビードによる縦断面図であり、(b)~(d)は多成分複合材料のビードによる縦断面図である。
【
図4】本発明によるドージングシステムの平面図である。
【
図5】本発明によるドージングシステムの動的混合ヘッドの断面側面図である。
【
図6】本発明によるデバイスのコンテナフレームの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、本発明によるドージングシステムを一般論として参照番号10で表す。ドージングシステム10は、混合ヘッド12を含み、混合ヘッド12において、多成分複合材料の成分が混合室14内で一緒に混合される。多成分複合材料は、混合ヘッド12から出口開口16を通して構成要素に塗布される。
図1に示される例示の実施形態では、出口開口16は、管状流出ノズル18によって混合室14に接続される。
【0033】
ここで示される実施形態では、多成分複合材料の成分は、4つの計量ポンプ20、22、24、26によって成分源(図示せず)から混合室に、そしてそこから出口開口16に運ばれる。しかしながら、最初に説明したように、2つまたは3つの計量ポンプを有する本発明によるドージングシステム10を形成することも考えることができる。
【0034】
計量ポンプ20、22、24、26とデータ通信する制御ユニット28は、制御情報を計量ポンプ20、22、24、26に送り出し、計量ポンプ20、22、24、26のそれぞれの計量出力は、前記制御情報に基づいて調節される。この場合、計量出力は、特に、各計量ポンプ20、22、24、26によって毎秒運ばれる体積および/または質量であると見なすことができる。
【0035】
図2において、ドージングシステム10は、上から垂直に見られており、出口開口16(
図2では、その上の構成要素によって隠されている)は、多成分複合材料が構成要素32に塗布されることになる軌道30に沿って移動されることが分かる。
【0036】
このプロセスにおいて、軌道30は、実質的に直線で延びる第1の部分30_1と、90°屈曲を有する第2の部分30_2と、再び実質的に直線で延びる第3の部分30_3とを含む。
【0037】
駆動部34は、軌道30に沿って出口開口16を移動させるように構成される。すべての駆動部と同様に、駆動部34は、出口開口16を加速するのに特定の時間または特定の距離を必要とするので、出口開口16のより高い移動速度は、出口開口16が90°屈曲を横切らなければならない第2の部分30_2よりも軌道30の第1の部分30_1および第3の部分30_3で達成され得ることは明らかである。
【0038】
制御ユニット28は、例えばCNC制御ユニット(図示せず)から、駆動部34によってそこで達成され得る出口開口16の軌道30および経路速度に関連する情報を受け取るので、制御ユニット28は、出口開口16の経路速度の変動にもかかわらず、同じ量の多成分複合材料が、距離の単位当たり継続的に塗布される(例えば、各場合に、5cmの長さを有する経路部分を考慮したとき)ように、軌道30の対応する部分に関連する制御情報を計量ポンプ20、22、24、26に出力することができる。
【0039】
図3a~
図3dは、多成分複合材料のビード36、38、40、42による縦断面図であり、縦断面は、例として、
図2のページ面と実質的に平行である面に沿って取られている。
図3aから
図3dの矢印は、多成分複合材料のそれぞれのビード36、38、40、42が塗布された方向を示す。
【0040】
この文脈において、
図3aは、従来の先行技術のドージングシステムを使用して生成されたビード36を示す。言い換えれば、ビード36は、出口開口の一定の移動速度および計量ポンプの一定の計量出力で塗布されている。部分36_1、36_2、および36_3は実質的に均一なビード厚さを有する。
【0041】
図3bは、出口開口16が軌道30の湾曲部分よりも軌道30の直線部分でより高速で移動するという範囲内で既知のドージングシステムが単に変更された場合に生じる問題を分かりやすく示している。ドージングシステムの計量出力は、このプロセスでは一定のままである。
図3bにおいて、ビード38の厚さは、最初に、領域38_1で増加し、出口開口16は、その後、湾曲領域38_2を横切るために減速され、そのとき、部分38_2を横切る出口開口16の速度に対応する厚さに達することが分かる。湾曲部分38_2の下流の部分38_3では、出口開口16は再び加速され、その結果、ビード38の厚さはそれに応じて再び減少する。
【0042】
図3cは、次に、多成分複合材料のビード40の構成要素への塗布の別の望ましくない結果を示す。ビード40の塗布の間、出口開口16が移動する速度は、部分40_1、40_2、および40_3の曲率に基づいて適応されるが、1つの計量ポンプの計量出力または複数の計量ポンプ20、22、24、26の計量出力は、出口開口16の移動の速度に比例して制御されない。その結果、計量ポンプは、急激に減速または加速しすぎ、そこで、ビード40の厚さは、部分40_1において部分40_2に向かって減少し、部分40_2において再び部分40_3の先頭に向かって増加し、次いで、部分40_3にわたって再び減少する。
【0043】
図3dは、次に、本発明に基づいて多成分複合材料のビード42を塗布した結果を示す。ビード42が塗布されるとき、出口開口16の移動速度が変更され、複数の計量ポンプ20、22、24、26の計量出力が出口開口16の移動速度に比例して制御される。その結果として、部分42_1、42_2、および42_3にわたって一貫した厚さ、すなわち、
図3dのページ面に対して直角におよびビード42の塗布方向に対して直角に配置された面において一貫している断面積を有するビード42を生成することが可能である。
【0044】
図4は、ドージングシステム10の平面図である。この場合、混合ヘッド12は、
図2と同様に、上から見られている。混合ヘッド12の両側に、第1の計量ポンプ22および第2の計量ポンプ24が配置され、この場合、例として、第1の計量ポンプ22は第1の成分Aに割り当てることができ、第2の計量ポンプ24は第2の成分Bに割り当てることができる。
【0045】
図4の右下の領域に、第1の成分Aの第1の成分コンテナ44および第2の成分Bの第2の成分コンテナ46を見ることができ、この場合、これらのコンテナは、ドラムの形態であり、ドージングシステム10に交換可能に接続される。成分コンテナ44および46は、各々、供給ポンプ48、50に流体的に結合され、ここで、供給ポンプ48は第1の成分Aを第1の成分コンテナ44から、供給ポンプ50は第2の成分Bを第2の成分コンテナ46からライン(図示せず)によって混合ヘッド12に運ぶ。混合ヘッドの動作フェーズの間、供給ポンプ48、50は、連続的にまたは速度制御のいずれかで動作され、その結果、混合ヘッドへの成分の供給および供給ラインの所定の過圧の維持は依然として保証されたままである。
【0046】
この場合、ドージングシステム10は、空気調整装置52をさらに含み、空気調整装置52は、成分Aおよび成分Bの少なくとも一方の温度を制御する、すなわち、冷却または加熱するように構成される。
【0047】
図4は、さらに、混合ヘッド12を空にするおよび/または洗浄するためのフラッシング装置54と、スケール56とを示す。
【0048】
図5は、混合ヘッド12の拡大した断面側面図である。この実施形態では、混合ヘッド12は動的混合ヘッドの形態であることが分かる。言い換えれば、混合室14には、混合室14内で垂直軸(
図5において上から下への軸)を中心にして回転する撹拌要素58がある。
【0049】
撹拌要素58には、その外周に、撹拌要素58の撹拌動作を改善するための凹部60がある。このようにして、混合室14に導入された成分、例えば、成分Aおよび成分Bを極めて均一に混合することができる。
【0050】
混合された成分は、管状流出ノズル18を通って混合室14を出て行き、次いで、出口開口16を通ってワークピースに塗布される。
【0051】
図6はコンテナフレーム62を示しており、コンテナフレーム62は、とりわけ、第1の成分コンテナ(図示せず)および第2の成分コンテナ46と、それぞれの供給ポンプ48、50と、空気調整装置52とを受け取るために使用される。見てわかるように、この場合、成分コンテナは、供給ポンプ48、50の上方に配置され、そこで、成分Aおよび成分Bは、重力の助けにより供給ポンプ48、50に供給され得る。加えて、成分コンテナを高く配置することにより、例えば、フォークリフトトラックを使用することによってそれらを交換することがより簡単になる。
【国際調査報告】