IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヤンセン バイオテツク,インコーポレーテツドの特許一覧

特表2022-544760改善された単鎖可変断片のための材料及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-21
(54)【発明の名称】改善された単鎖可変断片のための材料及び方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20221014BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20221014BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20221014BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20221014BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20221014BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20221014BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20221014BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20221014BHJP
   C07K 16/42 20060101ALI20221014BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20221014BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20221014BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/46
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
C07K16/42
A61K39/395 N
A61K47/68
A61P43/00 105
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507875
(86)(22)【出願日】2020-08-14
(85)【翻訳文提出日】2022-02-08
(86)【国際出願番号】 US2020046303
(87)【国際公開番号】W WO2021030657
(87)【国際公開日】2021-02-18
(31)【優先権主張番号】62/946,877
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/946,882
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/887,524
(32)【優先日】2019-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/946,865
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/946,897
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/887,514
(32)【優先日】2019-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/946,886
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/887,519
(32)【優先日】2019-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/887,529
(32)【優先日】2019-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/887,527
(32)【優先日】2019-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】509087759
【氏名又は名称】ヤンセン バイオテツク,インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149010
【弁理士】
【氏名又は名称】星川 亮
(72)【発明者】
【氏名】ルオ,ジンチュエン
(72)【発明者】
【氏名】ブーシェ,ローレン
(72)【発明者】
【氏名】フェルトカムプ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ディーム,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】アームストロング,アンソニー,エー.
(72)【発明者】
【氏名】テプリャコフ,アレクセイ
(72)【発明者】
【氏名】フアン,チチ
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA02
4B064CA05
4B064CA06
4B064CA10
4B064CA11
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B064DA13
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA88X
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA01
4B065CA25
4B065CA44
4B065CA46
4C076AA95
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C085AA14
4C085CC23
4C085EE01
4H045AA11
4H045BA41
4H045BA70
4H045BA71
4H045BA72
(57)【要約】
改善された単鎖可変断片のための材料及び方法が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重鎖可変領域(VH)、リンカー(L)及び軽鎖可変領域(VL)を含む単離された単鎖可変断片(scFv)であって、
a)構造的に保存された表面露出VHシステイン(Cys)と第1のL Cysとの間の第1のジスルフィド結合、
b)構造的に保存された表面露出VL Cysと第2のL Cysとの間の第2のジスルフィド結合、又は
c)前記構造的に保存された表面露出VH Cysと前記第1のL Cysとの間の前記第1のジスルフィド結合、及び前記構造的に保存された表面露出VL Cysと前記第2のL Cysとの間の前記第2のジスルフィド結合、を含む、scFv。
【請求項2】
VH、L及びVLを含む単離されたscFvであって、
a)前記VHが、構造的に保存された表面露出VHフレームワーク残基位置にVH Cysを含み、前記Lが、第1のL Cysを含むか、
b)前記VLが、構造的に保存された表面露出VLフレームワーク残基位置にVL Cysを含み、前記Lが、第2のL Cysを含むか、又は
c)前記VHが、構造的に保存された表面露出VHフレームワーク残基位置に前記VH Cysを含み、前記VLが、構造的に保存された表面露出VLフレームワーク残基位置に前記VL Cysを含み、前記Lが、前記第1のL Cys及び前記第2のL Cysを含み、前記VH Cys及び前記第1のL Cysが、ジスルフィド結合を形成することができ、前記VL Cys及び前記第2のL Cysが、ジスルフィド結合を形成することができる、単離されたscFv。
【請求項3】
前記VH Cysと前記VL Cysとの間の距離が、約7Å~約9Åである、請求項1又は2に記載のscFv。
【請求項4】
前記VH Cysが、H3、H5、H40、H43、H46又はH105にあり、残基番号付けは、Chothiaに従う、請求項1~3のいずれか一項に記載のscFv。
【請求項5】
前記VL Cysが、L3、L5、L39、L42、L45、L100又はL102にあり、残基番号付けは、Chothiaに従う、請求項1~4のいずれか一項に記載のscFv。
【請求項6】
a)前記VH CysがH105にあり、前記VL CysがL42にあるか、
b)前記VH CysがH43にあり、前記VL CysがL100にあるか、
c)前記VH CysがH3にあり、前記VL CysがL3にあるか、
d)前記VH CysがH3にあり、前記VL CysがL5にあるか、
e)前記VH CysがH3にあり、前記VL CysがL39にあるか、
f)前記VH CysがH3にあり、前記VL CysがL42にあるか、
g)前記VH CysがH3にあり、前記VL CysがL45にあるか、
h)前記VH CysがH3にあり、前記VL CysがL100にあるか、
i)前記VH CysがH3にあり、前記VL CysがL102にあるか、
j)前記VH CysがH5にあり、前記VL CysがL3にあるか、
k)前記VH CysがH5にあり、前記VL CysがL5にあるか、
l)前記VH CysがH5にあり、前記VL CysがL39にあるか、
m)前記VH CysがH5にあり、前記VL CysがL42にあるか、
n)前記VH CysがH5にあり、前記VL CysがL45にあるか、
o)前記VH CysがH5にあり、前記VL CysがL100にあるか、
p)前記VH CysがH5にあり、前記VL CysがL102にあるか、
q)前記VH CysがH40にあり、前記VL CysがL3にあるか、
r)前記VH CysがH40にあり、前記VL CysがL5にあるか、
s)前記VH CysがH40にあり、前記VL CysがL39にあるか、
t)前記VH CysがH40にあり、前記VL CysがL42にあるか、
u)前記VH CysがH40にあり、前記VL CysがL45にあるか、
v)前記VH CysがH40にあり、前記VL CysがL100にあるか、
w)前記VH CysがH40にあり、前記VL CysがL102にあるか、
x)前記VH CysがH43にあり、前記VL CysがL3にあるか、
y)前記VH CysがH43にあり、前記VL CysがL5にあるか、
z)前記VH CysがH43にあり、前記VL CysがL39にあるか、
aa)前記VH CysがH43にあり、前記VL CysがL42にあるか、
bb)前記VH CysがH43にあり、前記VL CysがL45にあるか、
cc)前記VH CysがH43にあり、前記VL CysがL102にあるか、
dd)前記VH CysがH46にあり、前記VL CysがL3にあるか、
ee)前記VH CysがH46にあり、前記VL CysがL5にあるか、
ff)前記VH CysがH46にあり、前記VL CysがL39にあるか、
gg)前記VH CysがH46にあり、前記VL CysがL42にあるか、
hh)前記VH CysがH46にあり、前記VL CysがL45にあるか、
ii)前記VH CysがH46にあり、前記VL CysがL100にあるか、
jj)前記VH CysがH46にあり、前記VL CysがL102にあるか、
kk)前記VH CysがH105にあり、前記VL CysがL3にあるか、
ll)前記VH CysがH105にあり、前記VL CysがL5にあるか、
mm)前記VH CysがH105にあり、前記VL CysがL39にあるか、
nn)前記VH CysがH105にあり、前記VL CysがL45にあるか、
oo)前記VH CysがH105にあり、前記VL CysがL100にあるか、又は
pp)前記VH CysがH105にあり、前記VL CysがL102にあり、残基番号付けがChothiaに従う、請求項1~5のいずれか一項に記載のscFv。
【請求項7】
前記Lが、免疫グロブリン(Ig)ヒンジ領域に由来する連続アミノ酸配列を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のscFv。
【請求項8】
前記Igヒンジ領域が、ヒト又は非ヒトIgヒンジ領域に由来する、請求項7に記載のscFv。
【請求項9】
前記Igヒンジ領域が、前記ヒトIgヒンジ領域に由来する、請求項8に記載のscFv。
【請求項10】
前記ヒトIgヒンジ領域が、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4アイソタイプである、請求項9に記載のscFv。
【請求項11】
前記Lが、アミノ酸配列C(X)C(配列番号23)を含み、式中、Xは、グリシン(Gly)、セリン(Ser)、プロリン(Pro)、アラニン(Ala)、アルギニン(Arg)、アスパラギン(Asn)、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、グルタミン(Gln)、ヒスチジン(His)、イソロイシン(Ile)、ロイシン(Leu)、リジン(Lys)、フェニルアラニン(Phe)、スレオニン(Thr)、トリプトファン(Trp)又はチロシン(Tyr)であり、yは、1~3の整数である、請求項1~10のいずれか一項に記載のscFv。
【請求項12】
前記Lが、アミノ酸配列C(X)C(配列番号24)を含み、式中、Xは、Gly、Ser又はProであり、yは、1~3の整数である、請求項11に記載のscFv。
【請求項13】
前記Lが、前記アミノ酸配列CPC、CGC、CSC、CPPC(配列番号1)、CGPC(配列番号28)、CPGC(配列番号29)、CGGC(配列番号30)、CSPG(配列番号31)、CPSC(配列番号32)、CSSC(配列番号33)、CGSC(配列番号34)、CSGC(配列番号35)、CPPPC(配列番号36)、CGPPC(配列番号37)、CPGPC(配列番号38)、CPPGC(配列番号39)、CGGPC(配列番号40)、CPGGC(配列番号41)、CGGGC(配列番号42)、CSPPC(配列番号43)、CPSPC(配列番号44)、CPPSC(配列番号45)、CSSPC(配列番号46)、CPSSC(配列番号47)、CSSSC(配列番号48)、CGSPC(配列番号49)、CPGSC(配列番号50)、CSGPC(配列番号51)又はCPSGC(配列番号52)を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のscFv。
【請求項14】
前記Lが、約14~約19アミノ酸、例えば、約14、約15、約16、約17、約18、又は約19アミノ酸を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のscFv。
【請求項15】
前記Lが、アミノ酸配列(X)C(X)C(X)(配列番号25)を含み、式中、Xは、Gly、Ser、Pro、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、His、Ile、leu、Lys、Phe、Thr、Trp又はTyrであり、mは、6~9の整数であり、yは、1~3の整数であり、nは、4~6の整数である、請求項1~14のいずれか一項に記載のscFv。
【請求項16】
前記Lが、アミノ酸配列(X)C(X)C(X)(配列番号26)を含み、式中、Xは、Gly、Ser、Pro、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、His、Ile、Leu、Lys、Thr又はTyrであり、mは、6~9の整数であり、yは、1~3の整数であり、nは、4~6の整数である、請求項15に記載のscFv。
【請求項17】
前記Lが、アミノ酸配列(X)C(X)C(X)(配列番号27)を含み、式中、Xは、Gly又はProであり、mは、6~9の整数であり、yは、1~3の整数であり、nは、4~6の整数である、請求項16に記載のscFv。
【請求項18】
前記Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載のscFv。
【請求項19】
前記scFvが、VL-L-VH配向にある、請求項1~18のいずれか一項に記載のscFv。
【請求項20】
前記scFvが、VH-L-VL配向にある、請求項1~18のいずれか一項に記載のscFv。
【請求項21】
VH、L、及びVLを含むscFvであって、
a)前記VHが、H105にCysを含み、
b)前記VLが、L42にCysを含み、
c)前記Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
d)前記scFvが、VL-L-VH配向にある、scFv。
【請求項22】
VH、L、及びVLを含むscFvであって、
a)前記VHが、H105にCysを含み、
b)前記VLが、L45にCysを含み、
c)前記Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
d)前記scFvが、VL-L-VH配向にある、scFv。
【請求項23】
VH、L、及びVLを含むscFvであって、
a)前記VHが、H105にCysを含み、
b)前記VLが、L39にCysを含み、
c)前記Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
d)前記scFvが、VL-L-VH配向にある、scFv。
【請求項24】
VH、L、及びVLを含むscFvであって、
a)前記VHが、H5にCysを含み、
b)前記VLが、L42にCysを含み、
c)前記Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
d)前記scFvが、VL-L-VH配向にある、scFv。
【請求項25】
VH、L、及びVLを含むscFvであって、
a)前記VHが、H5にCysを含み、
b)前記VLが、L45にCysを含み、
c)前記Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
d)前記scFvが、VL-L-VH配向にある、scFv。
【請求項26】
VH、L、及びVLを含むscFvであって、
a)前記VHが、H5にCysを含み、
b)前記VLが、L39にCysを含み、
c)前記Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
d)前記scFvが、VL-L-VH配向にある、scFv。
【請求項27】
VH、L、及びVLを含むscFvであって、
a)前記VHが、H3にCysを含み、
b)前記VLが、L42にCysを含み、
c)前記Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
d)前記scFvが、VL-L-VH配向にある、scFv。
【請求項28】
VH、L、及びVLを含むscFvであって、
a)前記VHが、H3にCysを含み、
b)前記VLが、L45にCysを含み、
c)前記Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
d)前記scFvが、VL-L-VH配向にある、scFv。
【請求項29】
VH、L、及びVLを含むscFvであって、
a)前記VHが、H3にCysを含み、
b)前記VLが、L39にCysを含み、
c)前記Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
d)前記scFvが、VL-L-VH配向にある、scFv。
【請求項30】
VH、L、及びVLを含むscFvであって、
a)前記VHが、H43にCysを含み、
b)前記VLが、L100にCysを含み、
c)前記Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
d)前記scFvが、VH-L-VL配向にある、scFv。
【請求項31】
VH、L、及びVLを含むscFvであって、
a)前記VHが、H43にCysを含み、
b)前記VLが、L102にCysを含み、
c)前記Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
d)前記scFvが、VH-L-VL配向にある、scFv。
【請求項32】
VH、L、及びVLを含むscFvであって、
a)前記VHが、H43にCysを含み、
b)前記VLが、L5にCysを含み、
c)前記Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
d)前記scFvが、VH-L-VL配向にある、scFv。
【請求項33】
VH、L、及びVLを含むscFvであって、
a)前記VHが、H43にCysを含み、
b)前記VLが、L3にCysを含み、
c)前記Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
d)前記scFvが、VH-L-VL配向にある、scFv。
【請求項34】
VH、L、及びVLを含むscFvであって、
a)前記VHが、H40にCysを含み、
b)前記VLが、L100にCysを含み、
c)前記Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
d)前記scFvが、VH-L-VL配向にある、scFv。
【請求項35】
VH、L、及びVLを含むscFvであって、
a)前記VHが、H40にCysを含み、
b)前記VLが、L102にCysを含み、
c)前記Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
d)前記scFvが、VH-L-VL配向にある、scFv。
【請求項36】
VH、L、及びVLを含むscFvであって、
a)前記VHが、H40にCysを含み、
b)前記VLが、L5にCysを含み、
c)前記Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
d)前記scFvが、VH-L-VL配向にある、scFv。
【請求項37】
VH、L、及びVLを含むscFvであって、
a)前記VHが、H40にCysを含み、
b)前記VLが、L3にCysを含み、
c)前記Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
d)前記scFvが、VH-L-VL配向にある、scFv。
【請求項38】
VH、L、及びVLを含むscFvであって、
a)前記VHが、H46にCysを含み、
b)前記VLが、L100にCysを含み、
c)前記Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
d)前記scFvが、VH-L-VL配向にある、scFv。
【請求項39】
VH、L、及びVLを含むscFvであって、
a)前記VHが、H46にCysを含み、
b)前記VLが、L102にCysを含み、
c)前記Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
d)前記scFvが、VH-L-VL配向にある、scFv。
【請求項40】
VH、L、及びVLを含むscFvであって、
a)前記VHが、H46にCysを含み、
b)前記VLが、L5にCysを含み、
c)前記Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
d)前記scFvが、VH-L-VL配向にある、scFv。
【請求項41】
VH、L、及びVLを含むscFvであって、
a)前記VHが、H46にCysを含み、
b)前記VLが、L3にCysを含み、
c)前記Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
d)前記scFvが、VH-L-VL配向にある、scFv。
【請求項42】
前記Lが、配列番号3のアミノ酸配列を含む、請求項21~41のいずれか一項に記載のscFv。
【請求項43】
前記Lが、配列番号6のアミノ酸配列を含む、請求項21~41のいずれか一項に記載のscFv。
【請求項44】
前記Lが、配列番号7のアミノ酸配列を含む、請求項21~41のいずれか一項に記載のscFv。
【請求項45】
前記scFvが、第2の分子に共役される、請求項1~44のいずれか一項に記載のscFv。
【請求項46】
前記第2の分子が、半減期延長部分である、請求項45に記載のscFv。
【請求項47】
前記半減期延長部分が、免疫グロブリン(Ig)、前記Igの断片、Ig定常領域、前記Ig定常領域の断片、Fc領域、トランスフェリン、アルブミン、アルブミン結合ドメイン又はポリエチレングリコールである、請求項46に記載のscFv。
【請求項48】
前記第2の分子が、細胞傷害性薬剤又は検出可能な標識である、請求項45に記載のscFv。
【請求項49】
前記第2の分子が、抗体又はその断片である、請求項48に記載のscFv。
【請求項50】
前記scFv及び前記抗体又は前記その断片が、異なる抗原に結合している、請求項49に記載のscFv。
【請求項51】
前記第2の分子が、キメラ抗原受容体(CAR)である、請求項45に記載のscFv。
【請求項52】
請求項1~51のいずれか一項に記載のscFvと、薬学的に許容される担体と、を含む、医薬組成物。
【請求項53】
請求項1~44のいずれか一項に記載のscFvをコードする、ポリヌクレオチド。
【請求項54】
請求項53に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
【請求項55】
請求項54に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項56】
請求項1~44のいずれか一項に記載のscFvを産生する方法であって、前記scFvが産生される条件で請求項55に記載の宿主細胞を培養することと、前記scFvを精製することと、を含む、方法。
【請求項57】
前記宿主細胞が、原核細胞である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記宿主細胞が、真核細胞である、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
請求項1~44のいずれか一項に記載のscFvに結合する、抗イディオタイプ抗体。
【請求項60】
請求項1~44のいずれか一項に記載のscFvを含む、キット。
【請求項61】
請求項1~44のいずれか一項に記載のscFvを含む、多重特異性分子。
【請求項62】
前記多重特異性分子が、抗体又は抗体断片を含む、請求項61に記載の多重特異性分子。
【請求項63】
前記多重特異性タンパク質が、Ig定常領域又は前記Ig定常領域の断片を含む、請求項61に記載の多重特異性分子。
【請求項64】
前記Ig定常領域の前記断片が、Fc領域を含む、請求項63に記載の多重特異性タンパク質。
【請求項65】
前記Ig定常領域の前記断片が、CH2ドメインを含む、請求項63に記載の多重特異性分子。
【請求項66】
前記Ig定常領域の前記断片が、CH3ドメインを含む、請求項63に記載の多重特異性分子。
【請求項67】
前記Ig定常領域の前記断片が、前記CH2ドメインと、前記CH3ドメインと、を含む、請求項63に記載の多重特異性分子。
【請求項68】
前記Ig定常領域の前記断片が、ヒンジの少なくとも一部分、前記CH2ドメイン及び前記CH3ドメインを含む、請求項63に記載の多重特異性分子。
【請求項69】
前記Ig定常領域の前記断片が、前記ヒンジと、前記CH2ドメインと、前記CH3ドメインと、を含む、請求項63に記載の多重特異性分子。
【請求項70】
前記scFvが、前記Ig定常領域のN末端又は前記Ig定常領域の前記断片のN末端に共役される、請求項63~69のいずれか一項に記載の多重特異性分子。
【請求項71】
前記scFvが、前記Ig定常領域のC末端又は前記Ig定常領域の前記断片のN末端に共役される、請求項63~69のいずれか一項に記載の多重特異性分子。
【請求項72】
前記Ig定常領域又は前記Ig定常領域の前記断片が、IgG1、IgG2、及びIgG3又はIgG4アイソタイプである、請求項63~71のいずれか一項に記載の多重特異性分子。
【請求項73】
前記Ig定常領域又は前記Ig定常領域の前記断片が、前記多重特異性分子のFcγRへの結合を低減する少なくとも1つの変異を含む、請求項63~72のいずれか一項に記載の多重特異性分子。
【請求項74】
前記多重特異性分子のFcγRへの結合を低減する前記少なくとも1つの変異が、F234A/L235A、L234A/L235A、L234A/L235A/D265S、V234A/G237A/P238S/H268A/V309L/A330S/P331S、F234A/L235A、S228P/F234A/L235A、N297A、V234A/G237A、K214T/E233P/L234V/L235A/G236-欠失/A327G/P331A/D365E/L358M、H268Q/V309L/A330S/P331S、S267E/L328F、L234F/L235E/D265A、L234A/L235A/G237A/P238S/H268A/A330S/P331S、S228P/F234A/L235A/G237A/P238S及びS228P/F234A/L235A/G236-欠失/G237A/P238Sからなる群から選択され、残基番号付けが、EUインデックスに従う、請求項73に記載の多重特異性分子。
【請求項75】
前記Ig定常領域又は前記Ig定常領域の前記断片が、前記多重特異性分子のFcγRへの結合を増強する少なくとも1つの変異を含む、請求項63~72のいずれか一項に記載の多重特異性分子。
【請求項76】
前記多重特異性分子のFcγRへの結合を増強する前記少なくとも1つの変異が、S239D/I332E、S298A/E333A/K334A、F243L/R292P/Y300L、F243L/R292P/Y300L/P396L、F243L/R292P/Y300L/V305I/P396L及びG236A/S239D/I332Eからなる群から選択され、残基番号付けが、EUインデックスに従う、請求項75に記載の多重特異性分子。
【請求項77】
FcγRが、FcγRI、FcγRIIA、FcγRIIB若しくはFcγRIII、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項73~76のいずれか一項に記載の多重特異性分子。
【請求項78】
前記Ig定常領域又は前記Ig定常領域の断片が、前記多重特異性分子の半減期を調節する少なくとも1つの変異を含む、請求項63~72のいずれか一項に記載の多重特異性分子。
【請求項79】
前記多重特異性分子の前記半減期を調節する前記少なくとも1つの変異が、H435A、P257I/N434H、D376V/N434H、M252Y/S254T/T256E/H433K/N434F、T308P/N434A及びH435Rからなる群から選択され、残基番号付けが、EUインデックスに従う、請求項78に記載の多重特異性分子。
【請求項80】
前記Ig定常領域又は前記Ig定常領域の断片が、前記CH3ドメインに少なくとも1つの変異を含む、請求項63~72のいずれか一項に記載の多重特異性分子。
【請求項81】
前記CH3ドメインにおける前記少なくとも1つの変異が、T350V、L351Y、F405A、Y407V、T366Y、T366W、F405W、T394W、T394S、Y407T、Y407A、T366S/L368A/Y407V、L351Y/F405A/Y407V、T366I/K392M/T394W、F405A/Y407V、T366L/K392M/T394W、L351Y/Y407A、T366A/K409F、L351Y/Y407A、T366V/K409F、T366A/K409F、T350V/L351Y/F405A/Y407V及びT350V/T366L/K392L/T394Wからなる群から選択され、残基番号付けが、EUインデックスに従う、請求項80に記載の多重特異性分子。
【請求項82】
前記多重特異性分子が、二重特異性である、請求項61~81のいずれか一項に記載の多重特異性分子。
【請求項83】
前記多重特異性分子が、三重特異性である、請求項61~81のいずれか一項に記載の多重特異性分子。
【請求項84】
前記多重特異性分子が、四重特異性である、請求項61~81のいずれか一項に記載の多重特異性分子。
【請求項85】
請求項61~84のいずれか一項に記載の多重特異性分子及び薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項86】
請求項1~44のいずれか一項に記載のscFvを含む、異種分子。
【請求項87】
前記scFvが、第2のタンパク質、ポリヌクレオチド、治療薬、細胞傷害性薬剤又は検出可能な標識に共役される、請求項86に記載の異種分子。
【請求項88】
前記第2のタンパク質が、抗体又はその断片である、請求項87に記載の異種分子。
【請求項89】
前記第2のタンパク質が、代替スカフォールドである、請求項87に記載の異種分子。
【請求項90】
前記第2のタンパク質が、キメラ抗原受容体(CAR)又はその断片である、請求項87に記載の異種分子。
【請求項91】
前記異種分子が、単一特異性である、請求項86~90のいずれか一項に記載の異種分子。
【請求項92】
前記異種分子が、多重特異性である、請求項86~90のいずれか一項に記載の異種分子。
【請求項93】
前記異種分子が、二重特異性である、請求項92に記載の異種分子。
【請求項94】
前記異種分子が、三重特異性である、請求項92に記載の異種分子。
【請求項95】
前記異種分子が、四重特異性である、請求項92に記載の異種分子。
【請求項96】
請求項86~95のいずれか一項に記載の異種分子と、薬学的に許容される担体と、を含む、医薬組成物。
【請求項97】
安定化scFvを調製するためのプロセスであって、
抗原結合ドメインを形成する重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を提供することと、
第1のL Cysを含むか、又はそれを含むように操作されたリンカー(L)を提供することと、
構造的に保存された表面露出VHフレームワーク残基位置でVH Cysを含むように前記VHを操作することと、
前記VH Cysと前記第1のL Cysとの間にジスルフィド結合を形成して、前記安定化scFvを調製することと、を含む、プロセス。
【請求項98】
安定化scFvを調製するためのプロセスであって、
抗原結合ドメインを形成するVH及びVLを提供することと、
第2のL Cysを含むか、又はそれを含むように操作されたLを提供することと、
構造的に保存された表面露出VLフレームワーク残基位置にVL Cysを含むように前記VLを操作することと、
前記VL Cysと前記第2のL Cysとの間にジスルフィド結合を形成して、前記安定化scFvを調製することと、を含む、プロセス。
【請求項99】
安定化scFvを調製するためのプロセスであって、
抗原結合ドメインを形成するVH及びVLを提供することと、
第1のL Cys及び第2のL Cysを含むか、又はそれらを含むように操作されたLを提供することと、
構造的に保存された表面露出VHフレームワーク残基位置にVH Cysを含むように前記VHを操作することと、
構造的に保存された表面露出VLフレームワーク残基位置にVL Cysを含むように前記VLを操作することと、
前記VH Cysと前記第1のL Cysとの間にジスルフィド結合を形成し、前記VL Cysと前記第2のL Cysとの間にジスルフィド結合を形成して、前記安定化scFvを調製することと、を含む、プロセス。
【請求項100】
前記安定化scFvが、請求項1~44のいずれか一項に記載のscFvである、請求項97~99のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項101】
前記安定化scFvが、前記ジスルフィド結合を欠いている対照scFvと比較した場合、同等の親和性で抗原に結合する、請求項97~100のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項102】
安定化scFvを調製するためのプロセスであって、
a)VH、L及びVLをコードするポリヌクレオチドを提供することであって、
i.前記VHが、H105にCysを含み、前記VLが、L42にCysを含むか、
ii.前記VHが、H43にCysを含み、前記VLが、L100にCysを含むか、
iii.前記VHが、H3にCysを含み、前記VLが、L3にCysを含むか、
iv.前記VHが、H3にCysを含み、前記VLが、L5にCysを含むか、
v.前記VHが、H3にCysを含み、前記VLが、L39にCysを含むか、
vi.前記VHが、H3にCysを含み、前記VLが、L42にCysを含むか、
vii.前記VHが、H3にCysを含み、前記VLが、L45にCysを含むか、
viii.前記VHが、H3にCysを含み、前記VLが、L100にCysを含むか、
ix.前記VHが、H3にCysを含み、前記VLが、L102にCysを含むか、
x.前記VHが、H5にCysを含み、前記VLが、L3にCysを含むか、
xi.前記VHが、H5にCysを含み、前記VLが、L5にCysを含むか、
xii.前記VHが、H5にCysを含み、前記VLが、L39にCysを含むか、
xiii.前記VHが、H5にCysを含み、前記VLが、L42にCysを含むか、
xiv.前記VHが、H5にCysを含み、前記VLが、L45にCysを含むか、
xv.前記VHが、H5にCysを含み、前記VLが、L100にCysを含むか、
xvi.前記VHが、H5にCysを含み、前記VLが、L102にCysを含むか、
xvii.前記VHが、H40にCysを含み、前記VLが、L3にCysを含むか、
xviii.前記VHが、H40にCysを含み、前記VLが、L5にCysを含むか、
xix.前記VHが、H40にCysを含み、前記VLが、L39にCysを含むか、
xx.前記VHが、H40にCysを含み、前記VLが、L42にCysを含むか、
xxi.前記VHが、H40にiCysを含み、前記VLが、L45にCysを含むか、
xxii.前記VHが、H40にCysを含み、前記VLが、L100にCysを含むか、
xxiii.前記VHが、H40にCysを含み、前記VLが、L102にCysを含むか、
xxiv.前記VHが、H43にCysを含み、前記VLが、L3にCysを含むか、
xxv.前記VHが、H43にCysを含み、前記VLが、L5にCysを含むか、
xxvi.前記VHが、H43にCysを含み、前記VLが、L39にCysを含むか、
xxvii.前記VHが、H43にCysを含み、前記VLが、L42にCysを含むか、
xxviii.前記VHが、H43にCysを含み、前記VLが、L45にCysを含むか、
xxix.前記VHが、H43にCysを含み、前記VLが、L102にCysを含むか、
xxx.前記VHが、H46にCysを含み、前記VLが、L3にCysを含むか、
xxxi.前記VHがH46にCysを含み、前記VLが、L5にCysを含むか、
xxxii.前記VHが、H46にCysを含み、前記VLが、L39にCysを含むか、
xxxiii.前記VHが、H46にCysを含み、前記VLが、L42にCysを含むか、
xxxiv.前記VHが、H46にCysを含み、前記VLが、L45にCysを含むか、
xxxv.前記VHが、H46にCysを含み、前記VLが、L100にCysを含むか、
xxxvi.前記VHが、H46にCysを含み、前記VLが、L102にCysを含むか、
xxxvii.前記VHが、H105にCysを含み、前記VLが、L3でCysを含むか、
xxxviii.前記VHが、H105にCysを含み、前記VLが、L5にCysを含むか、
xxxix.前記VHが、H105にCysを含み、前記VLが、L39にCysを含むか、
xl.前記VHが、H105にCysを含み、前記VLが、L45にCysを含むか、
xli.前記VHが、H105にCysを含み、前記VLが、L100にCysを含むか、又は
xlii.前記VHが、H105にCysを含み、前記VLが、L102にCysを含み、
残基番号付けが、Chothiaに従う、提供することと、
b)前記Lが、配列番号2、3、4、5、6、又は7のアミノ酸配列を含むことと、
c)宿主細胞内で前記ポリヌクレオチドを発現させて、前記安定化scFvを産生することと、を含む、プロセス。
【請求項103】
前記宿主細胞が、原核細胞である、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記宿主細胞が、真核細胞である、請求項102に記載の方法。
【請求項105】
重鎖可変領域(VH)と、連結(L)のための手段と、軽鎖可変領域(VL)と、を含む単離された単鎖可変断片(scFv)であって、前記scFvが、
a)構造的に保存された表面露出VHシステイン(Cys)と第1のL Cysとの間の第1のジスルフィド結合、
b)構造的に保存された表面露出VL Cysと第2のL Cysとの間の第2のジスルフィド結合、又は
c)前記構造的に保存された表面露出VH Cysと前記第1のL Cysとの間の前記第1のジスルフィド結合及び前記構造的に保存された表面露出VL Cysと前記第2のL Cysとの間の前記第2のジスルフィド結合、を含む、scFv。
【請求項106】
抗原結合のための手段と、リンカー(L)と、軽鎖可変領域(VL)と、を含む単離された単鎖可変断片(scFv)であって、前記scFvが、
a)構造的に保存された表面露出抗原結合手段システイン(Cys)と第1のL Cysとの間の第1のジスルフィド結合、
b)構造的に保存された表面露出VL Cysと第2のL Cysとの間の第2のジスルフィド結合、又は
c)前記構造的に保存された表面露出抗原結合手段Cysと前記第1のL Cysとの間の前記第1のジスルフィド結合及び前記構造的に保存された表面露出VL Cysと前記第2のL Cysとの間の前記第2のジスルフィド結合、を含む、scFv。
【請求項107】
重鎖可変領域(VH)と、リンカー(L)と、抗原結合のための手段と、を含む単離された単鎖可変断片(scFv)であって、前記scFvが、
a)構造的に保存された表面露出VHシステイン(Cys)と第1のL Cysとの間の第1のジスルフィド結合、
b)構造的に保存された表面露出抗原結合手段Cysと、第2のL Cysとの間の第2のジスルフィド結合、又は
c)前記構造的に保存された表面露出VH Cysと前記第1のL Cysとの間の前記第1のジスルフィド結合及び前記構造的に保存された表面露出抗原結合手段Cysと前記第2のL Cysとの間の前記第2のジスルフィド結合、を含む、scFv。
【請求項108】
重鎖可変領域(VH)と、連結(L)のための手段と、軽鎖可変領域(VL)と、を含む単鎖可変断片(scFv)を含む多重特異性分子であって、前記scFvが、
a)構造的に保存された表面露出VHシステイン(Cys)と第1のL Cysとの間の第1のジスルフィド結合、
b)構造的に保存された表面露出VL Cysと第2のL Cysとの間の第2のジスルフィド結合、又は
c)前記構造的に保存された表面露出VH Cysと前記第1のL Cysとの間の前記第1のジスルフィド結合及び前記構造的に保存された表面露出VL Cysと前記第2のL Cysとの間の前記第2のジスルフィド結合、を含む、多重特異性分子。
【請求項109】
抗原結合のための手段と、リンカー(L)と、軽鎖可変領域(VL)と、を含む単鎖可変断片(scFv)を含む多重特異性分子であって、前記scFvが、
a)構造的に保存された表面露出抗原結合手段システイン(Cys)と第1のL Cysとの間の第1のジスルフィド結合、
b)構造的に保存された表面露出VL Cysと第2のL Cysとの間の第2のジスルフィド結合、又は
c)前記構造的に保存された表面露出抗原結合手段システインCysと前記第1のL Cysとの間の前記第1のジスルフィド結合及び前記構造的に保存された表面露出VL Cysと前記第2のL Cysとの間の前記第2のジスルフィド結合、を含む、多重特異性分子。
【請求項110】
重鎖可変領域(VH)と、リンカー(L)と、抗原結合(VL)のための手段と、を含む単鎖可変断片(scFv)を含む多重特異性分子であって、前記scFvが、
a)構造的に保存された表面露出VHシステイン(Cys)と第1のL Cysとの間の第1のジスルフィド結合、
b)構造的に保存された表面露出抗原結合手段Cysと第2のL Cysとの間の第2のジスルフィド結合、又は
c)前記構造的に保存された表面露出VH Cysと前記第1のL Cysとの間の前記第1のジスルフィド結合及び前記構造的に保存された表面露出抗原結合手段Cysと前記第2のL Cysとの間の前記第2のジスルフィド結合と、を含む、多重特異性分子。
【請求項111】
重鎖可変領域(VH)と、連結のための手段(L)と、軽鎖可変領域(VL)と、を含む単鎖可変断片(scFv)を含む異種分子であって、前記scFvが、
a)構造的に保存された表面露出VHシステイン(Cys)と第1のL Cysとの間の第1のジスルフィド結合、
b)構造的に保存された表面露出VL Cysと第2のL Cysとの間の第2のジスルフィド結合、又は
c)前記構造的に保存された表面露出VH Cysと前記第1のL Cysとの間の前記第1のジスルフィド結合及び前記構造的に保存された表面露出VL Cysと前記第2のL Cysとの間の前記第2のジスルフィド結合、を含む、異種分子。
【請求項112】
抗原結合のための手段と、リンカー(L)と、軽鎖可変領域(VL)と、を含む単鎖可変断片(scFv)を含む異種分子であって、前記scFvが、
a)構造的に保存された表面露出抗原結合手段システイン(Cys)と第1のL Cysとの間の第1のジスルフィド結合、
b)構造的に保存された表面露出VL Cysと第2のL Cysとの間の第2のジスルフィド結合、又は
c)前記構造的に保存された表面露出抗原結合手段Cysと前記第1のL Cysとの間の前記第1のジスルフィド結合及び前記構造的に保存された表面露出VL Cysと前記第2のL Cysとの間の前記第2のジスルフィド結合、を含む、異種分子。
【請求項113】
重鎖可変領域(VH)と、リンカー(L)と、抗原結合のための手段と、を含む単鎖可変断片(scFv)を含む異種分子であって、前記scFvが、
a)構造的に保存された表面露出VHシステイン(Cys)と第1のL Cysとの間の第1のジスルフィド結合、
b)構造的に保存された表面露出抗原結合手段Cysと第2のL Cysとの間の第2のジスルフィド結合、又は
c)前記構造的に保存された表面露出VH Cysと前記第1のL Cysとの間の前記第1のジスルフィド結合及び前記構造的に保存された表面露出抗原結合手段Cysと前記第2のL Cysとの間の前記第2のジスルフィド結合、を含む、異種分子。
【請求項114】
請求項105~113のいずれか一項に記載のscFvをコードするための手段。
【請求項115】
前記114のベクターを複製するための手段。
【請求項116】
scFvを安定化するための手段を含む組成物。
【請求項117】
scFvの熱安定性を増加させるための手段を含む組成物。
【請求項118】
前記手段が、VHとLとの間、VLと前記Lとの間、又は前記VHと前記Lとの間及び前記VLと前記Lとの間にジスルフィド結合を形成することを含む、請求項116又は117に記載の組成物。
【請求項119】
scFvを安定化するための手段を含む多重特異性分子。
【請求項120】
scFvの熱安定性を増加させるための手段を含む多重特異性分子。
【請求項121】
前記手段が、VHとLとの間、VLと前記Lとの間、又は前記VHと前記Lとの間及び前記VLと前記Lとの間にジスルフィド結合を形成することを含む、請求項119又は120に記載の多重特異性分子。
【請求項122】
scFvを安定化するための手段を含む異種分子。
【請求項123】
scFvの熱安定性を増加させるための手段を含む異種分子。
【請求項124】
前記手段が、VHとLとの間、VLと前記Lとの間、又は前記VHと前記Lとの間及び前記VLと前記Lとの間にジスルフィド結合を形成することを含む、請求項122又は123に記載の異種分子。
【請求項125】
請求項116~118のいずれか一項に記載の組成物を産生するための手段。
【請求項126】
請求項119~121のいずれか一項に記載の多重特異性分子を産生するための手段。
【請求項127】
請求項122~124のいずれか一項に記載の異種分子を産生するための手段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年12月11日に出願された米国仮特許出願第62/946,897号、2019年12月11日に出願された米国仮特許出願第62/946,886号、2019年12月11日に出願された米国仮特許出願第62/946,882号、2019年12月11日に出願された米国仮特許出願第62/946,877号、2019年12月11日に出願された米国仮特許出願第62/946,865号、2019年8月15日に出願された米国仮特許出願第62/887,529号、2019年8月15日に出願された米国仮特許出願第62/887,527号、2019年8月15日に出願された米国仮特許出願第62/887,524号、2019年8月15日に出願された米国仮特許出願第62/887,519号、及び2019年8月15日に出願された米国仮特許出願第62/887,514号の利益を主張し、それらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(配列表)
本出願は、258,724バイトのサイズを有する2020年8月5日に作成された「14620-227-228_SL.txt」という表題のテキスト形式として、本出願とともに提出された配列表を参照することによって組み込まれる。
【0003】
(発明の分野)
改善された単鎖可変断片のための材料及び方法が開示される。
【背景技術】
【0004】
抗原結合一本鎖可変断片(single chain variable fragments、scFv)は、治療薬、撮像剤、診断薬として、又は多重特異性分子などの異種分子の一部として広く利用され得るモジュールである。scFvの課題の1つは、低い安定性及び凝集化傾向である(Worn and Pluckthun(2001)J Mol Biol 305:989-1010;Rothlisberger et al.,(2005)J Mol Biol 347:773-789;Gross et al.,(1989)Transplant Proc 21(1 Pt 1):127-130,Porter et al.,(2011)J Cancer 2:331-332;Porter et al.,(2011)N Engl J Med 365:725-733)において再調査されている。
【0005】
したがって、多重特異性分子及び異種分子に任意に組み込まれ得る改善されたscFv設計が必要とされている。
【0006】
(概要)
一態様では、本開示は、重鎖可変領域(heavy chain variable region、VH)、リンカー(L)、及び軽鎖可変領域(light chain variable region、VL)を含む単離された単鎖可変断片(scFv)であって、scFvが、
構造的に保存された表面露出VHシステイン(Cys)と第1のL Cysとの間の第1のジスルフィド結合、
構造的に保存された表面露出VLCysと第2のL Cysとの間の第2のジスルフィド結合、又は
構造的に保存された表面露出VH Cysと第1のL Cysとの間の第1のジスルフィド結合及び構造的に保存された表面露出VL Cysと第2のL Cysとの間の第2のジスルフィド結合、を含む、scFvを提供する。
【0007】
本開示はまた、VH、L及びVLを含む単離されたscFvであって、
VHが、構造的に保存された表面露出VHフレームワーク残基位置でVH Cysを含み、Lが、第1のL Cyを含むか、
VLが、構造的に保存された表面露出VLフレームワーク残基位置でVL Cysを含み、Lが、第2のL Cyを含むか、又は
VHが、構造的に保存された表面露出VHフレームワーク残基位置でVH Cysを含み、VLが、構造的に保存された表面露出VLフレームワーク残基位置でVL Cysを含み、Lが、第1のL Cys及び第2のL Cysを含み、VH Cys及び第1のL Cysが、ジスルフィド結合を形成することができ、VL Cys及び第2のL Cysが、ジスルフィド結合を形成することができる、scFvを提供する。
【0008】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvであって、
VHが、H105にCysを含み、
VLが、L42にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、scFvを提供する。
【0009】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvであって、
VHが、H105にCysを含み、
VLが、L45にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、scFvを提供する。
【0010】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvであって、
VHが、H105にCysを含み、
VLが、L39にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、scFvを提供する。
【0011】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvであって、
VHが、H5にCysを含み、
VLが、L42にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、scFvを提供する。
【0012】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvであって、
VHが、H5にCysを含み、
VLが、L45にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、scFvを提供する。
【0013】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvであって、
VHが、H5にCysを含み、
VLが、L39にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、scFvを提供する。
【0014】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvであって、
VHが、H3にCysを含み、
VLが、L42にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、scFvを提供する。
【0015】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvであって、
VHが、H3にCysを含み、
VLが、L45にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、scFvを提供する。
【0016】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvであって、
VHが、H3にCysを含み、
VLが、L39にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、scFvを提供する。
【0017】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvであって、
VHが、H43にCysを含み、
VLが、L100にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、scFvを提供する。
【0018】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvであって、
VHが、H43にCysを含み、
VLが、L102にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、scFvを提供する。
【0019】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvであって、
VHが、H43にCysを含み、
VLが、L5にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、scFvを提供する。
【0020】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvであって、
VHが、H43にCysを含み、
VLが、L3にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、scFvを提供する。
【0021】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvであって、
VHが、H40にCysを含み、
VLが、L100にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、scFvを提供する。
【0022】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvであって、
VHが、H40にCysを含み、
VLが、L102にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、scFvを提供する。
【0023】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvであって、
VHが、H40にCysを含み、
VLが、L5にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、scFvを提供する。
【0024】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvであって、
VHが、H40にCysを含み、
VLが、L3にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、scFvを提供する。
【0025】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvであって、
VHが、H46にCysを含み、
VLが、L100にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、scFvを提供する。
【0026】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvであって、
VHが、H46にCysを含み、
VLが、L102にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、scFvを提供する。
【0027】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvであって、
VHが、H46にCysを含み、
VLが、L5にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、scFvを提供する。
【0028】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvであって、
VHが、H46にCysを含み、
VLが、L3にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、scFvを提供する。
【0029】
本開示はまた、本開示のspFvと、医薬的に許容される担体と、を含む医薬組成物を提供する。
【0030】
本開示はまた、本開示のspFvを含むポリヌクレオチドを提供する。
【0031】
本開示はまた、本開示のポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。
【0032】
本開示はまた、本開示のベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0033】
本開示はまた、spFvが産生される条件下で本開示の宿主細胞を培養することと、spFvを精製することと、を含む、本開示のspFvを産生する方法を提供する。
【0034】
本開示はまた、本開示のspFvに結合する抗イディオタイプ抗体を提供する。
【0035】
本開示はまた、本開示のspFvを含むキットを提供する。
【0036】
別の態様では、本開示は、重鎖可変領域(VH)、リンカー(L)、及び軽鎖可変領域(VL)を含む単鎖可変断片(scFv)を含む多重特異性分子であって、scFvが、
構造的に保存された表面露出VHシステイン(Cys)と第1のL Cysとの間の第1のジスルフィド結合、
構造的に保存された表面露出VL Cysと第2のL Cysとの間の第2のジスルフィド結合、又は
構造的に保存された表面露出VH Cysと第1のL Cysとの間の第1のジスルフィド結合及び構造的に保存された表面露出VL Cysと第2のL Cysとの間の第2のジスルフィド結合、を含む、多重特異性分子を提供する。
【0037】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む多重特異性分子であって、
VHが、構造的に保存された表面露出VHフレームワーク残基位置でVH Cysを含み、Lが、第1のL Cyを含み、
VLが、構造的に保存された表面露出VLフレームワーク残基位置でVL Cysを含み、Lが、第2のL Cyを含み、又は
VHが、構造的に保存された表面露出VHフレームワーク残基位置でVH Cysを含み、VLが、構造的に保存された表面露出VLフレームワーク残基位置でVL Cysを含み、Lが、第1のL Cys及び第2のL Cysを含み、VH Cys及び第1のL Cysが、ジスルフィド結合を形成することができ、VL Cys及び第2のL Cysが、ジスルフィド結合を形成することができる、多重特異性分子を提供する。
【0038】
本開示はまた、VH、L、及びVLを含むscFvを含む多重特異性分子であって、
VHが、H105にCysを含み、
VLが、L42にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、多重特異性分子を提供する。
【0039】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む多重特異性分子であって、
VHが、H105にCysを含み、
VLが、L45にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、scFvを提供する。
【0040】
本開示はまた、VH、L、及びVLを含むscFvを含む多重特異性分子であって、
VHが、H105にCysを含み、
VLが、L39にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、多重特異性分子を提供する。
【0041】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む多重特異性分子であって、
VHが、H5にCysを含み、
VLが、L42にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、多重特異性分子を提供する。
【0042】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む多重特異性分子であって、
VHが、H5にCysを含み、
VLが、L45にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、多重特異性分子を提供する。
【0043】
本開示はまた、VH、L、及びVLを含むscFvを含む多重特異性分子であって、
VHが、H5にCysを含み、
VLが、L39にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、多重特異性分子を提供する。
【0044】
本開示はまた、VH、L、及びVLを含むscFvを含む多重特異性分子であって、
VHが、H3にCysを含み、
VLが、L42にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、多重特異性分子を提供する。
【0045】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む多重特異性分子であって、
VHが、H3にCysを含み、
VLが、L45にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、多重特異性分子を提供する。
【0046】
本開示はまた、VH、L、及びVLを含むscFvを含む多重特異性分子であって、
VHが、H3にCysを含み、
VLが、L39にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、多重特異性分子を提供する。
【0047】
本開示はまた、VH、L、及びVLを含むscFvを含む多重特異性分子であって、
VHが、H43にCysを含み、
VLが、L100にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、多重特異性分子を提供する。
【0048】
本開示はまた、VH、L、及びVLを含むscFvを含む多重特異性分子であって、
VHが、H43にCysを含み、
VLが、L102にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、多重特異性分子を提供する。
【0049】
本開示はまた、VH、L、及びVLを含むscFvを含む多重特異性分子であって、
VHが、H43にCysを含み、
VLが、L5にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、多重特異性分子を提供する。
【0050】
本開示はまた、VH、L、及びVLを含むscFvを含む多重特異性分子であって、
VHが、H43にCysを含み、
VLが、L3にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、多重特異性分子を提供する。
【0051】
本開示はまた、VH、L、及びVLを含むscFvを含む多重特異性分子であって、
VHが、H40にCysを含み、
VLが、L100にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、多重特異性分子を提供する。
【0052】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む多重特異性分子であって、
VHが、H40にCysを含み、
VLが、L102にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、多重特異性分子を提供する。
【0053】
本開示はまた、VH、L、及びVLを含むscFvを含む多重特異性分子であって、
VHが、H40にCysを含み、
VLが、L5にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、多重特異性分子を提供する。
【0054】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む多重特異性分子であって、
VHが、H40にCysを含み、
VLが、L3にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、多重特異性分子を提供する。
【0055】
本開示はまた、VH、L、及びVLを含むscFvを含む多重特異性分子であって、
VHが、H46にCysを含み、
VLが、L100にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、多重特異性分子を提供する。
【0056】
本開示はまた、VH、L、及びVLを含むscFvを含む多重特異性分子であって、
VHが、H46にCysを含み、
VLが、L102にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、多重特異性分子を提供する。
【0057】
本開示はまた、VH、L、及びVLを含むscFvを含む多重特異性分子であって、
VHが、H46にCysを含み、
VLが、L5にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、多重特異性分子を提供する。
【0058】
本開示はまた、VH、L、及びVLを含むscFvを含む多重特異性分子であって、
VHが、H46にCysを含み、
VLが、L3にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、多重特異性分子を提供する。
【0059】
本開示はまた、本明細書で提供される多重特異性分子と、医薬的許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。
【0060】
更に別の態様では、本開示は、重鎖可変領域(VH)、リンカー(L)及び軽鎖可変領域(VL)を含む単鎖可変断片(scFv)を含む異種分子であって、scFvが、
構造的に保存された表面露出VHシステイン(Cys)と第1のL Cysとの間の第1のジスルフィド結合、
構造的に保存された表面露出VL Cysと第2のL Cysとの間の第2のジスルフィド結合、又は
構造的に保存された表面露出VH Cysと第1のL Cysとの間の第1のジスルフィド結合及び構造的に保存された表面露出VL Cysと第2のL Cysとの間の第2のジスルフィド結合、を含む、異種分子を提供する。
【0061】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む異種分子であって、
VHが、構造的に保存された表面露出VHフレームワーク残基位置でVH Cysを含み、Lが、第1のL Cyを含むか、
VLが、構造的に保存された表面露出VLフレームワーク残基位置でVL Cysを含み、Lが、第2のL Cyを含むか、又は
VHが、構造的に保存された表面露出VHフレームワーク残基位置でVH Cysを含み、VLが、構造的に保存された表面露出VLフレームワーク残基位置でVL Cysを含み、Lが、第1のL Cys及び第2のL Cysを含み、VH Cys及び第1のL Cysが、ジスルフィド結合を形成することができ、VL Cys及び第2のL Cysが、ジスルフィド結合を形成することができる、異種分子を提供する。
【0062】
本開示はまた、VH、L、及びVLを含むscFvを含む異種分子であって、
VHが、H105にCysを含み、
VLが、L42にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、異種分子を提供する。
【0063】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む異種分子であって、
VHが、H105にCysを含み、
VLが、L45にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、異種分子を提供する。
【0064】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む異種分子であって、
VHが、H105にCysを含み、
VLが、L39にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、異種分子を提供する。
【0065】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む異種分子であって、
VHが、H5にCysを含み、
VLが、L42にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある。
【0066】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む異種分子であって、
VHが、H5にCysを含み、
VLが、L45にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある。
【0067】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む異種分子であって、
VHが、H5にCysを含み、
VLが、L39にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、異種分子を提供する。
【0068】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む異種分子であって、
VHが、H3にCysを含み、
VLが、L42にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、異種分子を提供する。
【0069】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む異種分子であって、
VHが、H3にCysを含み、
VLが、L45にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある。
【0070】
本開示はまた、VH、L、及びVLを含むscFvを含む異種分子であって、
VHが、H3にCysを含み、
VLが、L39にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、異種分子を提供する。
【0071】
本開示はまた、VH、L、及びVLを含むscFvを含む異種分子であって、
VHが、H43にCysを含み、
VLが、L100にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、異種分子を提供する。
【0072】
本開示はまた、VH、L、及びVLを含むscFvを含む異種分子であって、
VHが、H43にCysを含み、
VLが、L102にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、異種分子を提供する。
【0073】
本開示はまた、VH、L、及びVLを含むscFvを含む異種分子であって、
VHが、H43にCysを含み、
VLが、L5にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、異種分子を提供する。
【0074】
本開示はまた、VH、L、及びVLを含むscFvを含む異種分子であって、
VHが、H43にCysを含み、
VLが、L3にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、異種分子を提供する。
【0075】
本開示はまた、VH、L、及びVLを含むscFvを含む異種分子であって、
VHが、H40にCysを含み、
VLが、L100にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、異種分子を提供する。
【0076】
本開示はまた、VH、L、及びVLを含むscFvを含む異種分子であって、
VHが、H40にCysを含み、
VLが、L102にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、異種分子を提供する。
【0077】
本開示はまた、VH、L、及びVLを含むscFvを含む異種分子であって、
VHが、H40にCysを含み、
VLが、L5にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、異種分子を提供する。
【0078】
本開示はまた、VH、L、及びVLを含むscFvを含む異種分子であって、
VHが、H40にCysを含み、
VLが、L3にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、異種分子を提供する。
【0079】
本開示はまた、VH、L、及びVLを含むscFvを含む異種分子であって、
VHが、H46にCysを含み、
VLが、L100にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、異種分子を提供する。
【0080】
本開示はまた、VH、L、及びVLを含むscFvを含む異種分子であって、
VHが、H46にCysを含み、
VLが、L102にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、異種分子を提供する。
【0081】
本開示はまた、VH、L、及びVLを含むscFvを含む異種分子であって、
VHが、H46にCysを含み、
VLが、L5にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある。
【0082】
本開示はまた、VH、L、及びVLを含むscFvを含む異種分子であって、
VHが、H46にCysを含み、
VLが、L3にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、異種分子を提供する。
【0083】
本開示はまた、本開示の異種分子と、医薬的に許容される担体と、を含む医薬組成物を提供する。
【0084】
更に別の態様では、本開示は、安定化scFvを調製するためのプロセスであって、
抗原結合ドメインを形成する重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を提供することと、
第1のL Cyを含むか、又はそれを含むように操作されたリンカー(L)を提供することと、
構造的に保存された表面露出VHフレームワーク残基位置でVH Cysを含むようにVHを操作することと、
VH Cysと第1のL Cysとの間にジスルフィド結合を形成して、安定化scFvを調製することと、を含む、プロセスを提供する。
【0085】
本開示はまた、安定化scFvを調製するためのプロセスであって、
抗原結合ドメインを形成するVH及びVLを提供することと、
第2のL Cysを含むか、又はそれを含むように操作されたLを提供することと、
構造的に保存された表面露出VLフレームワーク残基位置でVL Cysを含むようにVLを操作することと、
VL Cysと第2のL Cysとの間にジスルフィド結合を形成して、安定化scFvを調製することと、を含む、プロセスを提供する。
【0086】
本開示はまた、安定化scFvを調製するためのプロセスであって、
抗原結合ドメインを形成するVH及びVLを提供することと、
第1のL Cys及び第2のL Cysを含むか、又はそれらを含むように操作されたLを提供することと、
構造的に保存された表面露出VHフレームワーク残基位置でVH Cysを含むようにVHを操作することと、
構造的に保存された表面露出VLフレームワーク残基位置でVL Cysを含むようにVLを操作することと、
VH Cysと第1のL Cysとの間にジスルフィド結合を形成し、VL Cysと第2のL Cysとの間にジスルフィド結合を形成して、安定化scFvを調製することと、を含む、プロセスを提供する。
【0087】
本開示はまた、安定化scFvを調製するためのプロセスであって、
VH、L及びVLをコードするポリヌクレオチドを提供することであって、
VHが、H105にCysを含み、VLが、L42にCysを含むか、
VHが、H43にCysを含み、VLが、L100にCysを含むか、
VHが、H3にCysを含み、VLが、L3にCysを含むか、
VHが、H3にCysを含み、VLが、L5にCysを含むか、
VHが、H3にCysを含み、VLが、L39にCysを含むか、
VHが、H3にCysを含み、VLが、L42にCysを含むか、
VHが、H3にCysを含み、VLが、L45にCysを含むか、
VHが、H3にCysを含み、VLが、L100にCysを含むか、
VHが、H3にCysを含み、VLが、L102にCysを含むか、
VHが、H5にCysを含み、VLが、L3にCysを含むか、
VHが、H5にCysを含み、VLが、L5にCysを含むか、
VHが、H5にCysを含み、VLが、L39にCysを含むか、
VHが、H5にCysを含み、VLが、L42にCysを含むか、
VHが、H5にCysを含み、VLが、L45にCysを含むか、
VHが、H5にCysを含み、VLが、L100にCysを含むか、
VHが、H5にCysを含み、VLが、L102にCysを含むか、
VHが、H40にCysを含み、VLが、L3にCysを含むか、
VHが、H40にCysを含み、VLが、L5にCysを含むか、
VHが、H40にCysを含み、VLが、L39にCysを含むか、
VHが、H40にCysを含み、VLが、L42にCysを含むか、
VHが、H40にCysを含み、VLが、L45にCysを含むか、
VHが、H40にCysを含み、VLが、L100にCysを含むか、
VHが、H40にCysを含み、VLが、L102にCysを含むか、
VHが、H43にCysを含み、VLが、L3にCysを含むか、
VHが、H43にCysを含み、VLが、L5にCysを含むか、
VHが、H43にCysを含み、VLが、L39にCysを含むか、
VHが、H43にCysを含み、VLが、L42にCysを含むか、
VHが、H43にCysを含み、VLが、L45にCysを含むか、
VHが、H43にCysを含み、VLが、L102にCysを含むか、
VHが、H46にCysを含み、VLが、L3にCysを含むか、
VHが、H46にCysを含み、VLが、L5にCysを含むか、
VHが、H46にCysを含み、VLが、L39にCysを含むか、
VHが、H46にCysを含み、VLが、L42にCysを含むか、
VHが、H46にCysを含み、VLが、L45にCysを含むか、
VHが、H46にCysを含み、VLが、L100にCysを含むか、
VHが、H46にCysを含み、VLが、L102にCysを含むか、
VHが、H105にCysを含み、VLが、L3にCysを含むか、
VHが、H105にCysを含み、VLが、L5にCysを含むか、
VHが、H105にCysを含み、VLが、L39にCysを含むか、
VHが、H105にCysを含み、VLが、L45にCysを含むか、
VHが、H105にCysを含み、VLが、L100にCysを含むか、又は
VHが、H105にCysを含み、VLが、L102にCysを含み、残基番号付けが、Chothiaに従い、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含む、ポリヌクレオチドを提供することと、
宿主細胞内でポリヌクレオチドを発現させて、安定化scFvを産生することと、を含む、プロセスを提供する。
【0088】
更に別の態様では、本開示は、重鎖可変領域(VH)、連結(L)のための手段及び軽鎖可変領域(VL)を含む単離された単鎖可変断片(scFv)であって、scFvが、
構造的に保存された表面露出VHシステイン(Cys)と第1のL Cysとの間の第1のジスルフィド結合、
構造的に保存された表面露出VL Cysと第2のL Cysとの間の第2のジスルフィド結合、又は
構造的に保存された表面露出VH Cysと第1のL Cysとの間の第1のジスルフィド結合及び構造的に保存された表面露出VL Cysと第2のL Cysとの間の第2のジスルフィド結合、を含む、scFvを提供する。
【0089】
本開示はまた、抗原結合のための手段と、リンカー(L)と、軽鎖可変領域(VL)と、を含む単離された単鎖可変断片(scFv)であって、scFvが、
構造的に保存された表面露出抗原結合手段システイン(Cys)と第1のL Cysとの間の第1のジスルフィド結合、
構造的に保存された表面露出VL Cysと第2のL Cysとの間の第2のジスルフィド結合、又は
構造的に保存された表面露出抗原結合手段システインCysと第1のL Cysとの間の第1のジスルフィド結合及び構造的に保存された表面露出VL Cysと第2のL Cysとの間の第2のジスルフィド結合、を含む、scFvを提供する。
【0090】
本開示はまた、重鎖可変領域(VH)と、リンカー(L)と、抗原結合のための手段と、を含む単離された単鎖可変断片(scFv)であって、scFvが、
構造的に保存された表面露出VHシステイン(Cys)と第1のL Cysとの間の第1のジスルフィド結合、
構造的に保存された表面露出抗原結合手段Cysと第2のL Cysとの間の第2のジスルフィド結合、又は
構造的に保存された表面露出VH Cysと第1のL Cysとの間の第1のジスルフィド結合及び構造的に保存された表面露出抗原結合手段Cysと第2のL Cysとの間の第2のジスルフィド結合、を含む、scFvを提供する。
【0091】
本開示はまた、重鎖可変領域(VH)、連結(L)、及び軽鎖可変領域(VL)を含む単一鎖可変断片(scFv)を含む多重特異性分子であって、scFvが、
構造的に保存された表面露出VHシステイン(Cys)と第1のL Cysとの間の第1のジスルフィド結合、
構造的に保存された表面露出VL Cysと第2のL Cysとの間の第2のジスルフィド結合、又は
構造的に保存された表面露出VH Cysと第1のL Cysとの間の第1のジスルフィド結合及び構造的に保存された表面露出VL Cysと第2のL Cysとの間の第2のジスルフィド結合、を含む、多重特異性分子を提供する。
【0092】
本開示はまた、抗原結合のための手段と、リンカー(L)と、軽鎖可変領域(VL)と、を含む単鎖可変断片(scFv)を含む多重特異性分子であって、scFvが、
構造的に保存された表面露出抗原結合手段システイン(Cys)と第1のL Cysとの間の第1のジスルフィド結合、
構造的に保存された表面露出VL Cysと第2のL Cysとの間の第2のジスルフィド結合、又は
構造的に保存された表面露出抗原結合手段システインCysと第1のL Cysとの間の第1のジスルフィド結合及び構造的に保存された表面露出VL Cysと第2のL Cysとの間の第2のジスルフィド結合、を含む、多重特異性分子を提供する。
【0093】
本開示はまた、重鎖可変領域(VH)と、リンカー(L)と、抗原結合(VL)のための手段と、を含む単鎖可変断片(scFv)を含む多重特異性分子であって、scFvが、
構造的に保存された表面露出VHシステイン(Cys)と第1のL Cysとの間の第1のジスルフィド結合、
構造的に保存された表面露出抗原結合手段Cysと第2のL Cysとの間の第2のジスルフィド結合、又は
構造的に保存された表面露出VH Cysと第1のL Cysとの間の第1のジスルフィド結合及び構造的に保存された表面露出抗原結合手段Cysと第2のL Cysとの間の第2のジスルフィド結合、を含む、多重特異性分子を提供する。
【0094】
本開示はまた、重鎖可変領域(VH)と、連結(L)と、軽鎖可変領域(VL)と、を含む単鎖可変断片(scFv)を含む異種分子であって、scFvが、
構造的に保存された表面露出VHシステイン(Cys)と第1のL Cysとの間の第1のジスルフィド結合、
構造的に保存された表面露出VL Cysと第2のL Cysとの間の第2のジスルフィド結合、又は
構造的に保存された表面露出VH Cysと第1のL Cysとの間の第1のジスルフィド結合及び構造的に保存された表面露出VL Cysと第2のL Cysとの間の第2のジスルフィド結合、を含む、異種分子を提供する。
【0095】
本開示はまた、抗原結合のための手段と、リンカー(L)と、軽鎖可変領域(VL)と、を含む単鎖可変断片(scFv)を含む異種分子であって、scFvが、
構造的に保存された表面露出抗原結合手段システイン(Cys)と第1のL Cysとの間の第1のジスルフィド結合、
構造的に保存された表面露出VL Cysと第2のL Cysとの間の第2のジスルフィド結合、又は
構造的に保存された表面露出抗原結合手段システインCysと第1のL Cysとの間の第1のジスルフィド結合及び構造的に保存された表面露出VL Cysと第2のL Cysとの間の第2のジスルフィド結合、を含む、異種分子を提供する。
【0096】
本開示はまた、重鎖可変領域(VH)と、リンカー(L)と、抗原結合のための手段と、を含む単鎖可変断片(scFv)を含む異種分子であって、scFvが、
構造的に保存された表面露出VHシステイン(Cys)と第1のL Cysとの間の第1のジスルフィド結合、
構造的に保存された表面露出抗原結合手段Cysと第2のL Cysとの間の第2のジスルフィド結合、又は
構造的に保存された表面露出VH Cysと第1のL Cysとの間の第1のジスルフィド結合及び構造的に保存された表面露出抗原結合手段Cysと第2のL Cysとの間の第2のジスルフィド結合、を含む、異種分子を提供する。
【0097】
本開示はまた、本明細書で提供されるscFvをコードするための手段を提供する。
【0098】
本開示はまた、本明細書で提供されるベクターを複製するための手段を提供する。
【0099】
本開示はまた、scFvを安定化するための手段を含む組成物を提供する。
【0100】
本開示はまた、scFvの熱安定性を増加させるための手段を含む組成物を提供する。
【0101】
本開示はまた、scFvを安定化するための手段を含む多重特異性分子を提供する。
【0102】
本開示はまた、scFvの熱安定性を増加させるための手段を含む多重特異性分子を提供する。
【0103】
本開示はまた、scFvを安定化するための手段を含む異種分子を提供する。
【0104】
本開示はまた、scFvの熱安定性を増加させるための手段を含む異種分子を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0105】
図1】安定化scFv(spFv)の例示的な設計を示す。VL及びVHは、ステープル配列CPPC(配列番号1)を含む図中で破線として示される可動性リンカーによって接続され、「SS」はリンカー及びアンカーポイントのステープル配列間のジスルフィド結合を示す。
図2】VL-リンカー-VH配向におけるspFvのアンカーポイント選択のグラフ図を示す。生殖細胞系ヒト抗体のFv(pMESdb id 5I19、GLk1)を、製図及び例示的な距離測定のために使用した。破線で示される距離は、Åの残基のCβ原子間である。所望の距離を有する構造的に保存されたフレームワーク位置を、Cysへの変異のためのアンカーポイントとして選択した。VL-リンカー-VH配向のためのアンカーポイントは、VLについてのChothia位置42(図中のK42)及びVHについての105位置(図中のQ105)であった。C末端VL残基(K107)及びN末端VH残基(Q1)も示している。
図3】VH-リンカー-VL配向におけるspFvについてのアンカーポイント選択のグラフ図を示す。生殖細胞系ヒト抗体のFv(pdb id 5I19、GLk1)を、製図及び例示的な距離測定のために使用した。破線で示される距離は、Åの残基のCβ原子間である。所望の距離を有する構造的に保存されたフレームワーク位置を、Cysへの変異のためのアンカーポイントとして選択した。VH-リンカー-VL配向のためのアンカーポイントは、VH(図中のK43)についてのChothia位置43及びVLについての位置100(図中のQ100)であった。C末端VH残基(S114)及びN末端VL残基(D1)も示している。
図4】マウス2重鎖IgG2a(pdb id 1igt)ヒンジCPPC(配列番号1)中の2つのCys残基間のCβ(Cys1)-Cβ(Cys2)距離のグラフ図を示す。図において、距離はオングストロームで示している。
図5】ヒトIgG(pdb id 5dk3)ヒンジCPPC(配列番号1)の2つの重鎖中の2つのCys残基間のCβ(Cys1)-Cβ(Cys2)距離のグラフ図を示す。図において、距離はオングストロームで示している。
図6】灰色で強調表示され、アミノ酸アラインメントの下で1及び2として番号付けされた選択されたVLアンカーポイントを示す。VL配列は、Chothia番号付けスキームに従って番号付けされる。VLアンカーポイント1(Chothia位置42)をVL-リンカー-VH配向でspFvに使用し、VLアンカーポイント2(Chothia位置100)をVH-リンカー-VL配向でspFvに使用した。GLk1VL:配列番号56、GLk2VL:配列番号57、CAT2200VL:配列番号58;CAT2200bVL:配列番号59。
図7】灰色で強調表示され、アミノ酸アラインメントの下で1及び2として番号付けされた選択されたVHアンカーポイントを示す。VH配列は、Chothia番号付けスキームに従って番号付けされる。VHアンカーポイント1(Chothia位置105)をVL-リンカー-VH配向でspFvに使用し、VHアンカーポイント2(Chothia位置43)をVH-リンカー-VL配向でspFvに使用した。Glk1VH:配列番号60;GLk2VH:配列番号61、CAT2200aVH:配列番号62。
図8】GLk1 spFv VL-VHの構造を示す。VH及びVLアンカーポイントとリンカーとの間のステープルの形成は、構造から明らかである。
図9】GLk1 spFv VH-VLの構造を示す。VH及びVLアンカーポイントとリンカーとの間のステープルの形成は、構造から明らかである。
図10】GLk2 spFv VH-VLの構造を示す。VH及びVLアンカーポイントとリンカーとの間のステープルの形成は、構造から明らかである。
図11】CAT2200b spFv VH-VLの構造を示す。VH及びVLアンカーポイントとリンカーとの間のステープルの形成は、構造から明らかである。
図12】IL-17Aに結合したCAT2200a scFv VL-VH(下部)と比較した非結合CAT2200b spFv VH-VL(上部)の比較を示す。
図13】IL-17Aに結合したCAT2200a spFv VL-VH(下部)と比較した非結合CAT2200b spFv VH-VL(上部)の構造の正面図の比較を示す。
図14】IL-17Aに結合したCAT2200a scFv VL-VH(下部)と比較した非結合CAT2200b spFv VH-VL(上部)の構造の背面図の比較を示す。
図15A】ステープル処理されたscFvに融合した抗体の概略図を示す。LTBRmAb1に由来するステープル処理されたscFvに融合した2:1ヘテロ二量体、アイソタイプ対照抗体を示す。
図15B】ステープル処理されたscFvに融合した抗体の概略図を示す。LTBRmAb1に由来するステープル処理されたscFvに融合した2:1ヘテロ二量体、アイソタイプ対照抗体を示す。
図15C】ステープル処理されたscFvに融合した抗体の概略図を示す。LTBRmAb1に由来するステープル処理されたscFvに融合した2:1ヘテロ二量体、アイソタイプ対照抗体を示す。
図15D】ステープル処理されたscFvに融合した抗体の概略図を示す。LTBRmAb1に由来するステープル処理されたscFvに融合した2:1ヘテロ二量体、アイソタイプ対照抗体を示す。
図15E】ステープル処理されたscFvに融合した抗体の概略図を示す。LTBRmAb1に由来するステープル処理されたscFvに融合した2:1ヘテロ二量体、EDBmAb1を示す。
図15F】ステープル処理されたscFvに融合した抗体の概略図を示す。LTBRmAb1に由来するステープル処理されたscFvに融合した2:1ヘテロ二量体、EDBmAb1を示す。
図15G】ステープル処理されたscFvに融合した抗体の概略図を示す。LTBRmAb1に由来するステープル処理されたscFvに融合した2:1ヘテロ二量体、EDBmAb1を示す。
図15H】ステープル処理されたscFvに融合した抗体の概略図を示す。LTBRmAb1に由来するステープル処理されたscFvに融合した2:1ヘテロ二量体、EDBmAb1を示す。
図15I】ステープル処理されたscFvに融合した抗体の概略図を示す。LTBRmAb1のより低い親和性のバリアントに由来するステープル処理されたscFvに融合した2:1ヘテロ二量体、EDBmAb1を示す。
図15J】ステープル処理されたscFvに融合した抗体の概略図を示す。LTBRmAb1のより低い親和性のバリアントに由来するステープル処理されたscFvに融合した2:1ヘテロ二量体、EDBmAb1を示す。
図15K】ステープル処理されたscFvに融合した抗体の概略図を示す。Fc領域にタンパク質A変異を含まない、LTBRmAb1に由来するステープル処理されたscFvに融合した2:1ヘテロ二量体、EDBmAb1又はB21Mを示す。
図15L】ステープル処理されたscFvに融合した抗体の概略図を示す。Fc領域にタンパク質A変異を含まない、LTBRmAb1に由来するステープル処理されたscFvに融合した2:1ヘテロ二量体、EDBmAb1又はB21Mを示す。
図15M】ステープル処理されたscFvに融合した抗体の概略図を示す。LTBRmAb1に由来するステープル処理されたscFvに融合した2:1ヘテロ二量体、MSLNmAb1を示す。
図16A】2:1の二重特異性抗体を使用したA549 NF-κBレポーターアッセイの結果を例証するグラフを示す。COVA1456によるTAA依存性LTBR活性化と、COVA1482、それらのそれぞれの対照分子COVA1462及びCOVA1486、並びに組換えヒトLIGHTとの比較である。
図16B】2:1の二重特異性抗体を使用したA549 NF-κBレポーターアッセイの結果を例証するグラフを示す。COVA1482、並びにLTBRmAb1のより低い親和性のバリアントを含有する二重特異性抗体COVA14107及びCOVA14108、並びにCOVA1486によるTAA依存性LTBR活性化の比較。
図16C】2:1の二重特異性抗体を使用したA549 NF-κBレポーターアッセイの結果を例証するグラフを示す。COVA1482及びCOVA14133(タンパク質A変異を含まない構築物)、並びにそれらのそれぞれの対照分子COVA1486及びCOVA14136によるTAA依存性LTBR活性化の比較。
図17】共培養実験後のA375細胞に対するICAM-1の低サイトメトリー染色の結果を示す。COVA1482及びその対照分子COVA1486を組換えヒトLIGHTと比較する。
図18A】COVA14136及びCOVA1440と比較して、抗EDB/抗LTBR二重特異性抗体COVA14133で処理した共培養物の上清中のサイトカインの測定を例証するグラフを示す。アッセイは、MSDプラットフォームを使用して行われる。ヒトRANTESの濃度である。
図18B】COVA14136及びCOVA1440と比較して、抗EDB/抗LTBR二重特異性抗体COVA14133で処理した共培養物の上清中のサイトカインの測定を例証するグラフを示す。アッセイは、MSDプラットフォームを使用して行われる。ヒトIL-6の濃度である。
図18C】COVA14136及びCOVA1440と比較して、抗EDB/抗LTBR二重特異性抗体COVA14133で処理した共培養物の上清中のサイトカインの測定を例証するグラフを示す。アッセイは、MSDプラットフォームを使用して行われる。ヒトIL-8の濃度である。
図18D】COVA14136及びCOVA1440と比較して、抗EDB/抗LTBR二重特異性抗体COVA14133で処理した共培養物の上清中のサイトカインの測定を例証するグラフを示す。アッセイは、MSDプラットフォームを使用して行われる。ヒトMIP-3bの濃度である。
図19A】A549 NF-κBレポーター/CHOK1MSLN又はA549 NF-κBレポーター/H226共培養細胞アッセイにおけるMSLN/LTBR二重特異性によるLTBR活性化を示す。A549 NF-κBレポーター/H226共培養アッセイにおけるLTBRの活性化である。COVA14146(2:1 MSLNmAb1×LTBRmAb1)を、LIGHT及びアイソタイプ対照2:1構築物COVA1486と比較する。
図19B】A549 NF-κBレポーター/CHOK1MSLN又はA549 NF-κBレポーター/H226共培養細胞アッセイにおけるMSLN/LTBR二重特異性によるLTBR活性化を示す。A549 NF-κBレポーター/H226共培養アッセイにおけるLTBRの活性化時に分泌されたRANTESの濃度である。COVA14146(2:1 MSLNmAb1×LTBRmAb1)を、LIGHT及びアイソタイプ対照2:1構築物COVA1486と比較する。
【0106】
(詳細な記述)
開示される方法は、本開示の一部を形成する、添付の図面に関連してなされる以下の詳細な説明を参照することにより、より容易に理解することができる。開示される方法は、本明細書に記載及び/又は示される特定の方法に限定されないこと、更に、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を例によって説明することのみを目的とし、限定することを意図しないことを理解されたい。
【0107】
本明細書に引用するすべての特許、公開された特許出願及び刊行物は、参照によってあたかもその全体が本明細書に記載されているものと同様にして組み込まれる。
【0108】
リストが提示される場合、特に指定しない限り、そのリストの各個々の要素及びそのリストのすべての組み合わせは別個の実施形態であることを、理解されたい。例えば、「A、B、又はC」として提示される実施形態のリストは、実施形態「A」、「B」、「C」、「A又はB」、「A又はC」、「B又はC」、又は「A、B、又はC」を含むと解釈されるべきである。
【0109】
本明細書及び添付の「特許請求の範囲」で使用されるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、特にその内容が明確に指示していない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「細胞(a cell)」への言及には、2つ又は3つ以上の細胞の組み合わせ、及びこれに類するものなどが含まれる。
【0110】
移行句「備える/含む(comprising)」、「から本質的になる(consisting essentially of)」、及び「からなる(consisting)」は、特許用語においてそれらの一般的に受け入れられている意味を含意することを意図しており、すなわち、(i)「備える/含む(comprising)」は、「含む」、「含有する」、又は「特徴とする」と同義であり、包括的又は非制限的なものであり、その他の列挙されていない要素又は方法工程を除外するものではなく、(ii)「からなる(consisting of)」は、特許請求の範囲において特定されていない、あらゆる要素、工程、又は成分を除外し、(iii)「から本質的になる」は、特定される材料又は工程、並びに、特許請求される発明の「基本的及び新しい特徴に実質的に影響しないもの」に、特許請求の範囲の範囲を制限する。句「備える/含む(comprising)」(又はその同等語)に関して記載される実施形態はまた、実施形態として、「からなる」及び「から本質的になる」に関して独立して記載されるものを提供する。
【0111】
「約」は、当業者によって決定される特定の値について許容される誤差範囲内であることを意味し、これは、その値が測定又は決定される方法、すなわち測定システムの制限事項にある程度依存する。特定のアッセイ、結果、又は実施形態の文脈において実施例又は明細書のその他の箇所に別途明示的に記載のない限り、「約」は、当該技術分野の実施に従う1つの標準偏差又は5%までの範囲のいずれか大きい方の範囲内であることを意味する。
【0112】
「代替スカフォールド」は、立体構造の許容度が高い可変ドメインに会合する構造化コアを含有する単鎖タンパク質フレームワークを指す。可変ドメインは、スカフォールドの完全性を損なうことなく導入される多型を許容するため、可変ドメインは、特異的抗原に結合するように遺伝子操作及び選択され得る。
【0113】
「抗体依存性細胞傷害」、「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害」、又は「ADCC」は、エフェクター細胞で発現されるFcガンマ受容体(Fc gamma receptors、FcγR)によって、抗体被覆標的細胞の、ナチュラルキラー細胞(natural killer、NK)、単球、マクロファージ及び好中球などの溶解活性を有するエフェクター細胞との相互作用に依存する、細胞死を誘導する機序である。
【0114】
「抗体依存性細胞食作用」又は「ADCP」は、マクロファージ又は樹状細胞などの食細胞による取り込みによって抗体被覆標的細胞を排除する機序を指す。
【0115】
「抗原」は、免疫応答を媒介することができるいずれかの分子(例えば、タンパク質、ペプチド、多糖類、糖タンパク質、糖脂質、核酸、それらの部分、又はそれらの組み合わせ)を指す。例示的な免疫応答には、抗体産生、及びT細胞、B細胞又はNK細胞などの免疫細胞の活性化が含まれる。
【0116】
「抗原結合断片」又は「抗原結合ドメイン」は、抗原に結合するタンパク質の一部を意味する。抗原結合断片は、合成ポリペプチド、酵素により入手可能なポリペプチド、又は遺伝子組換えされたポリペプチドであってもよく、VH、VL、VH及びVL、Fab、F(ab’)、Fd及びFv断片、1つのVHドメイン又は1つのVLドメインからなるドメイン抗体(dAb)、ラクダ化VHドメイン、VHHドメイン、FR3-CDR3-FR4部分などの、抗体のCDRを模倣したアミノ酸残基からなる最小の認識単位、HCDR1、HCDR2、及び/又はHCDR3、並びにLCDR1、LCDR2、及び/又はLCDR3に結合した免疫グロブリンの一部、抗原に結合した代替スカフォールド、並びに断片に結合した抗原を含む多重特異性タンパク質を含む。抗原結合断片(VH及びVLなど)は、合成リンカーを介して互いに連結されて、VH/VLドメインが、分子内で、又はVH及びVLドメインが別々の単鎖によって発現される場合には分子間で対形成して、単鎖Fv(single chain Fv、scFv)又は抗原などの一価の抗原結合ドメイン又は二重特異性抗体を形成する様々な種類の単鎖抗体の設計を形成することができる。抗原結合断片はまた、二重特異性及び多重特異性タンパク質を操作するために単一特異性であっても多重特異性であってもよい他の抗体、タンパク質、抗原結合断片又は代替スカフォールドに共役されてもよい。
【0117】
「抗体」は、広義に意図され、マウス、ヒト、ヒト化、及びキメラモノクローナル抗体を含むモノクローナル抗体、抗原結合断片、二重特異性、三重特異性、四重特異性などの多重特異性抗体、二量体の、四量体の、若しくは多量体の抗体、単鎖抗体、抗体ドメイン、及び必要とされる特異性の抗原結合部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の修飾された構成を含む、免疫グロブリン分子を含む。「完全長抗体」は、ジスルフィド結合により相互接続された、2本の重鎖(heavy chain、HC)及び2本の軽鎖(light chain、LC)、並びにこれらの多量体(例えば、IgM)からなる。各重鎖は、重鎖可変領域(VH)、並びに重鎖定常領域(ドメインCH1、ヒンジ、CH2、及びCH3からなる)から構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(VL)及び軽鎖定常領域(constant region、CL)から構成される。VH領域及びVL領域は、フレームワーク領域(framework region、FR)が散在しており相補性決定領域(complementarity determining region、CDR)と呼称される超可変領域に更に分類され得る。各VH及びVLは、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4で配置された、3つのCDR及び4つのFRセグメントで構成される。免疫グロブリンは、重鎖定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、5つの主要なクラス、すなわちIgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMに割り当てられ得る。IgA及びIgGは、アイソタイプのIgA1、IgA2、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4として更に細分類される。どのような脊椎動物種の抗体軽鎖も、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、2つの明確に異なるタイプ、すなわち、カッパ(κ)及びラムダ(λ)のうちの一方に割り当てることができる。
【0118】
「二重特異性」は、同じ抗原内の2つの異なる抗原又は2つの異なるエピトープに特異的に結合する分子(抗体など)を意味する。二重特異性分子は、他の関連抗原、例えば、ヒト又はサル、例えば、Macaca cynomolgus(カニクイザル、cyno)又はPan troglodytesなどの、他の種(ホモログ)の同じ抗原に対して交差反応性を有し得るか、あるいは2つ又は3つ以上の異なる抗原間で共有されるエピトープに結合し得る。
【0119】
「キメラ抗原受容体」、すなわち「CAR」は、T細胞上にリガンド又は抗原特異性を移植する操作されたT細胞受容体(例えば、ナイーブT細胞、セントラルメモリーT細胞、エフェクターメモリーT細胞又はこれらの組み合わせ)を指す。CARはまた、人工T細胞受容体、キメラT細胞受容体、又はキメラ免疫受容体としても知られている。CARは、抗原、膜貫通ドメイン、及び少なくとも1つの細胞内ドメインに結合することができる細胞外ドメインを含む。CAR細胞内ドメインは、細胞内の生物学的プロセスの活性化又は阻害を引き起こすシグナルを伝達するドメインとして機能することが知られているポリペプチドを含む。膜貫通ドメインは、細胞膜に及ぶことが知られており、細胞外ドメイン及びシグナル伝達ドメインを結合するように機能し得る任意のペプチド又はポリペプチドを含む。キメラ抗原受容体は、任意で、細胞外ドメインと膜貫通ドメインとの間のリンカーとして機能するヒンジドメインを含んでもよい。
【0120】
「補体依存性細胞傷害」、すなわち「CDC」は、標的結合タンパク質のFcエフェクタードメインが補体成分C1qに結合してこれを活性化し、そのような補体成分C1qが次に補体カスケードを活性化して標的細胞の細胞死をもたらす、細胞死を誘導する機序を指す。補体の活性化はまた、標的細胞表面上への補体成分の沈着を生じさせ得、白血球への補体受容体(例えば、CR3)の結合によって、CDCを容易にする。
【0121】
「相補性決定領域」(CDR)は、抗原に結合する抗体領域である。VHには3つのCDR(HCDR1、HCDR2、HCDR3)が存在し、VLには3つのCDR(LCDR1、LCDR2、LCDR3)が存在する。CDRは、Kabat(Wu et al.(1970)J Exp Med 132:211-250、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.,1991)、Chothia(Chothia et al.,(1987)J Mol Biol 196:901-17)、IMGT(Lefranc et al.,(2003)Dev Comp Immunol 27:55-77)and AbM(Martin and Thornton(1996)J Bmol Biol 263:800-815))などの、様々な記述を使用して定義することができる。様々な記述と可変領域の番号付けとの対応が記載されている(例えば、Lefranc et al.(2003)Dev Comp Immunol 27:55-77;、Honegger and Pluckthun,J Mol Biol(2001)309:657-670;International ImMunoGeneTics(IMGT)データベース;ウェブリソース、http://www_imgt_orgを参照のこと)。UCL Business PLCによるabYsisなどの利用可能なプログラムを使用して、CDRを描写することができる。本明細書で使用する場合、用語「CDR」、「HCDR1」、「HCDR2」、「HCDR3」、「LCDR1」、「LCDR2」、及び「LCDR3」は、明細書で別途明示的に記載のない限り、上述したKabat、Chothia、IMGT、又はAbMの方法のいずれかにより定義されるCDRを含む。
【0122】
「減少」、「低下」又は「低減」は、一般に、対照又はビヒクルによって媒介される応答と比較した場合、低減された応答を媒介する試験分子の能力(すなわち、下流効果)を指す。例示的な応答には、タンパク質のその抗原又は受容体への結合、増強されたADCC、CDC、及び/又はADCPなどのFcγR又は増強されたFcエフェクター機能への増強された結合が含まれる。減少は、試験分子と対照(又はビヒクル)との間の測定された応答における統計的に有意な差、又は約1.1、1.2、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20若しくは30倍以上の減少、例えば、500、600、700、800、900若しくは1000倍以上の減少であり得る。
【0123】
「増強」、「促進」又は「増加」は、一般に、対照又はビヒクルによって媒介される応答と比較した場合、より大きな応答を媒介する試験分子の能力(すなわち、下流効果)を指す。例示的な応答は、タンパク質の、その抗原又は受容体への結合、増強されたFcγRへの結合、又は増強されたADCC、CDC及び/又はADCPなどの増強されたFcエフェクター機能である。増強は、試験分子と対照(又はビヒクル)との間の測定された応答における統計的に有意な差、又は、約1.1、1.2、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20若しくは30倍以上、例えば、500、600、700、800、900若しくは1000倍以上の増加であり得る。
【0124】
「発現ベクター」は、発現ベクター中に存在するポリヌクレオチド配列によってコードされているポリペプチドの翻訳を導くために生体系又は再構成された生体系において利用することができるベクターを指す。
【0125】
「異種」は、自然界では互いに対して同じ関係で見出されることのない2つ又は3つ以上のポリペプチド又は2つ又は3つ以上のポリヌクレオチドを指す。
【0126】
「異種ポリヌクレオチド」は、自然界では互いに対して同じ関係で見出されることのない2つ以上のポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを指す。
【0127】
「異種ペプチド」は、自然界では互いに対して同じ関係で見出されることのない2つ又は3つ以上のポリペプチドを含むポリペプチドを指す。
【0128】
「ヒト抗体」は、ヒト対象に投与されるときに、免疫応答が最小になるように最適化された抗体を指す。ヒト抗体の可変領域は、ヒト免疫グロブリン配列に由来する。ヒト抗体が定常領域又は定常領域の一部を含む場合、当該定常領域もヒト免疫グロブリン配列に由来する。ヒト抗体は、ヒト抗体の可変領域がヒト生殖系列免疫グロブリン又は再編成された免疫グロブリン遺伝子を使用する系から得られた場合、ヒト起源の配列に「由来する」重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。このような例示的な系は、ファージにディスプレイされたヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリ、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座を保有するトランスジェニック非ヒト動物、例えばマウス又はラットを含む。「ヒト抗体」は、典型的には、ヒト抗体及びヒト免疫グロブリン遺伝子座を得るために使用した系の違い、フレームワーク若しくはCDRへの体細胞変異の導入若しくは置換の意図的な導入、又はこれらの両方により、ヒトで発現した免疫グロブリンと比較したときにアミノ酸の違いを含有する。典型的には、「ヒト抗体」は、ヒト生殖系列免疫グロブリン又は再編成された免疫グロブリン遺伝子によってコードされているアミノ酸配列に対して、アミノ酸配列が少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である。場合によっては、「ヒト抗体」は、例えば、Knappik et al.,(2000)J Mol Biol 296:57-86に記載されるヒトフレームワーク配列解析から得られたコンセンサスフレームワーク配列、又は、例えば、Shi et al.,(2010)J Mol Biol 397:385-396及び国際公開第2009/085462号に記載される、ファージ上に提示されたヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリに組み込まれた合成HCDR3を含有し得る。少なくとも1つのCDRが非ヒト種に由来する抗体は、「ヒト抗体」の定義には含まれない。
【0129】
「ヒト化抗体」は、少なくとも1つのCDRが非ヒト種に由来し、少なくとも1つのフレームワークがヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体を指す。ヒト化抗体は、フレームワークに置換を含むことができるため、フレームワークは、発現したヒト免疫グロブリン又はヒト免疫グロブリン生殖細胞系列遺伝子配列の厳密なコピーではない場合がある。
【0130】
「単離された」は、組換え細胞などの、分子が産生される系の他の成分から実質的に分離及び/又は精製された分子(本開示のscFv又は本開示のscFvを含む異種タンパク質)の均質な集団、並びに、少なくとも1つの精製又は単離工程に供されたタンパク質を指す。「単離された」は、他の細胞材料及び/又は化学物質を実質的に含まない分子を指し、より高い純度、例えば80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の純度まで単離された分子を包含する。
【0131】
「調節」は、対照又はビヒクルによって媒介される応答と比較した場合、対照増強された応答又は低減された応答を媒介する試験分子の能力の増強又は減少のいずれか(すなわち、下流効果)を指す。
【0132】
「モノクローナル抗体」は、抗体分子の実質的に均質な集団から得られた抗体、すなわち、可能性のある周知の変化、例えば、抗体重鎖からのC末端リジンの除去、又はアミノ酸の異性化若しくは脱アミド化、メチオニンの酸化、又はアスパラギン若しくはグルタミンの脱アミド化などの翻訳後改変を除いて同一である集団を構成する個々の抗体を指す。モノクローナル抗体は、典型的には、1つの抗原性エピトープに結合する。二重特異性モノクローナル抗体は、2つの異なる抗原性エピトープに結合する。モノクローナル抗体は、抗体集団内で不均一なグリコシル化を有し得る。モノクローナル抗体は、単一特異性であってよく、又は、二重特異性などの多重特異性であってよく、一価、二価、又は多価であってよい。
【0133】
「多重特異性」は、2つ又は3つ以上の異なる抗原、又は同じ抗原内の2つ又は3つ以上の異なるエピトープに結合する分子を指す。多重特異性分子は、他の関連抗原、例えば、ヒト又はサル、例えば、カニクイザル(cyno)又はチンパンジーなどの他の種由来の同じ抗原(ホモログ)に対して交差反応性を有し得る、あるいは、2つ又は3つ以上の異なる抗原間で共有されているエピトープに結合し得る。
【0134】
「ポリヌクレオチド」は、糖-リン酸骨格又は他の等価な共有結合化学によって共有結合しているヌクレオチド鎖を含む分子を指す。cDNAは、ポリヌクレオチドの典型例である。
【0135】
本明細書では互換的に使用される「タンパク質」又は「ポリペプチド」は、各々がペプチド結合によって連結された少なくとも2つのアミノ酸残基からなる1つ又は2つ以上のポリペプチドを含む分子を指す。タンパク質は、単量体であってもよく、又は2つ若しくは3つ以上のサブユニットのタンパク質複合体であってもよく、サブユニットは同一であるか又は異なる。50個未満のアミノ酸からなる小分子ポリペプチドは、「ペプチド」と称され得る。タンパク質は、異種融合タンパク質、糖タンパク質、又はリン酸化、アセチル化、ミリストイル化、パルミトイル化、グリコシル化、酸化、ホルミル化、アミド化、シトルリン化、ポリグルタミル化、ADP-リボシル化、ペグ化又はビオチン化などの翻訳後改変によって修飾されたタンパク質であり得る。
【0136】
「組換え体」は、組換え手段によって調製、発現、作製、又は単離されたポリヌクレオチド、ポリペプチド、ベクター、ウイルス、及び他の巨大分子を指す。
【0137】
「単鎖Fv」又は「scFv」は、VH、VL、及びVHとVLとの間のリンカーを含む単鎖タンパク質を指す。scFvは、例えばVH及びVLのN末端からC末端の順序に関して、いずれかの配向で、VL及びVH可変領域を有し得る。したがって、scFvは、VL-リンカー-VH配向にあってもVH-リンカー-VL配向にあってもよい。VH、VL及びリンカー間にジスルフィド結合を含むように、scFvを操作してもよい。
【0138】
「特異的に結合する(Specifically binds)」、「特異的結合(specific binding)」、「特異的に結合する(specifically binding)」又は「結合する(binds)」は、抗体が他の抗原に対するよりも高い親和性で抗原又は抗原内のエピトープに結合するscFvなどのタンパク質を指す。典型的には、scFvなどのタンパク質は、約1×10-6M以下、約1×10-7M以下、約5×10-8M以下、約1×10-8M以下、約1×10-9M以下、約1×10-10M以下、約1×10-11M以下、又は約1×10-12M以下の平衡解離定数(K)で抗原又は抗原内のエピトープに結合し、典型的には、Kは、非特異的抗原(例えば、BSA、カゼイン)に対する結合についてのそのKよりも少なくとも100倍小さい。
【0139】
「ステープル処理された単鎖Fv」又は「spFv」は、VHとリンカーとの間又はVLとリンカーとの間の1つ又は2つ以上のジスルフィド結合を含むscFvを指す。典型的には、spFvは、VHとリンカーとの間の1つのジスルフィド結合、VLとリンカーとの間の1つのジスルフィド結合、又はVHとリンカーとの間及びVLとリンカーとの間の2つのジスルフィド結合を含み得る。VHとVLとの間のジスルフィド結合を含むscFv分子は、「spFv」から除外される。
【0140】
「対象」は、任意のヒト又は非ヒト動物を含む。「非ヒト動物」としては、あらゆる脊椎動物、例えば、哺乳類及び非哺乳類、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ニワトリ、両生類、爬虫類などが挙げられる。用語「対象」及び「患者」は、本明細書で互換的に使用され得る。
【0141】
「治療有効量」は、必要な投薬量及び期間で所望の治療結果を得るための有効量を指す。治療的に有効な量は、個体の病態、年齢、性別、及び体重などの要因、並びに個体において所望の応答を引き出す治療薬又は治療薬の組み合わせの能力によって様々であってよい。
【0142】
疾患又は障害の「治療する」、「治療している」又は「治療」は、以下のうちの1つ又は2つ以上を達成することを指す:障害の重篤度及び/若しくは期間を低減する、治療される障害に特徴的な症状の悪化を阻害する、以前に障害を有していた対象における障害の再発を制限若しくは予防する、又は以前に障害について症候性であった対象における症状の再発を制限若しくは予防する。
【0143】
「三重特異性」は、同じ抗原内の3つの異なる抗原、又は3つの異なるエピトープに特異的に結合する、分子(抗体など)を指す。三重特異性分子は、他の関連抗原、例えば、ヒト又はサル、例えば、Macaca cynomolgus(カニクイザル、cyno)又はPan troglodytesなどの、他の種(ホモログ)の同じ抗原に対して交差反応性を有し得るか、あるいは3つ又は4つ以上の異なる抗原間で共有されるエピトープに結合し得る。
【0144】
「バリアント」、「変異体」又は「変化」は、1つ又は2つ以上の改変、例えば、1つ又は2つ以上の置換、挿入又は欠失によって参照ポリペプチド又は参照ポリヌクレオチドとは異なるポリペプチド又はポリヌクレオチドを指す。
【0145】
本明細書全体を通して、抗体定常領域のアミノ酸残基の番号付けは、本明細書に別途明示的に記載のない限り、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD.(1991)に記載のEUインデックスに従う。
【0146】
Ig定常領域の変異は、以下のように称される。L351Y_F405A_Y407Vは、1つの免疫グロブリン定常領域におけるL351Y、F405A及びY407V変異を指す。L351Y_F405A_Y407V/T394Wは、第1のIg定常領域におけるL351Y、F405A及びY407V変異、並びに第2のIg定常領域におけるT394W変異を指す。
【0147】
可変領域の番号付けは、別途明示的に記載のない限り、Chothiaに従う。
【0148】
「VHシステイン」、すなわち「VH Cys」は、VHフレームワークに存在するCys残基を指す。
【0149】
「VLシステイン」、すなわち「VL Cys」は、VLフレームワークに存在するCys残基を指す。
【0150】
「安定化」は、熱安定性であることを指す非加熱scFv試料と比較した場合、hK2と同等の結合を保持するscFvを指す。
【0151】
「改善された安定性」は、SpFvに導入されたジスルフィド結合及びCys残基を欠く親scFvと比較した場合、上昇した融点(Tm)を有する本開示のspFvを指す。上昇したTmは、2℃以上、例えば、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃又は15℃の上昇であり得る。
【0152】
「アンカーポイント」は、scFv構造全体に悪影響を及ぼさずにCysに変異誘発され得、scFvリンカーに存在するCysとジスルフィド結合を形成することができるscFv Vh又はVLフレームワークCys残基を指す。
【0153】
「ステープル」は、アンカー点Cysとジスルフィド結合を形成することができる1つ又は2つのCys残基を含有するscFvリンカーを指す。
【0154】
「表面露出」は、タンパク質の表面に少なくとも部分的に露出され、溶媒にアクセス可能である、例えば、重水素化にアクセス可能である、アミノ酸残基を指す。一次配列又はタンパク質に基づく残基の表面アクセス可能性を予測するためのアルゴリズムは、当該技術分野で周知である。代替的に、表面露出残基は、タンパク質の結晶構造から特定され得る。
【0155】
「LTBR」は、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーのメンバーであるアポトーシス及びサイトカイン放出に関与するリンパ毒素に対する細胞表面受容体であるポリペプチドを指す。LTBRはまた、「腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー3(tumor necrosis factor receptor superfamily member 3、TNFRSF3)」と称され得る。LTBRは、上皮及び骨髄系列の細胞を含む多くの細胞型の表面上に発現される。LTBRは、リンパ毒素膜形態(リンパ毒素-アルファ及びリンパ毒素-ベータの複合体)に特異的に結合することができる。LTBRの活性化は、TRAF3及びTRAF5を介してアポトーシスを誘発することができ、インターロイキン8の放出につながり得る。記載されない限り、好ましくは、LTBRはヒトLTBRである。ヒトLTBRアミノ酸配列は、UniProt番号P36941により提供される。
【0156】
「EDB」又は「エクストラドメインB」は、フィブロネクチンプレmRNAのスプライシングパターンに基づいてフィブロネクチン分子に含まれ得るフィブロネクチンのドメインを指す。エクストラドメインBは、91個のアミノ酸残基を含む完全なフィブロネクチン(fibronectin、FN)III型反復である。一般に、EDBは、正常な成人組織では検出不能であるが、細胞外マトリックス中の胎児組織及び腫瘍組織においてより大きな発現を示し、血管新生プロセス中に新血管系の周りに蓄積するため、EDBが可能性のあるマーカー及び血管新生の標的となる。記載されない限り、好ましくは、EDBはヒトEDBである。フィブロネクチンアイソフォームアミノ酸配列を含有するヒトEDBは、UniProt番号P02751により提供される。
【0157】
「フィブロネクチン」は、細胞外マトリックスの高分子量糖タンパク質であるポリペプチドを指す。フィブロネクチンは、インテグリンと称される膜貫通受容体タンパク質に結合し得る。フィブロネクチンはまた、コラーゲン、フィブリン、及びヘパラン硫酸プロテオグリカンなどの他の細胞外マトリックスタンパク質に結合し得る。フィブロネクチンは、一対のジスルフィド結合によって連結された2つのほぼ同一の単量体からなるタンパク質二量体として存在し得る。フィブロネクチンは単一の遺伝子から産生されるが、フィブロネクチンプレmRNA分子の代替スプライシングにより、フィブロネクチンのいくつかのアイソフォームが創出され、そのうちの1つがEDBフィブロネクチンである。フィブロネクチンは、細胞接着、成長、遊走、及び分化において役割を果たすことができ、創傷治癒及び胚発生などのプロセスにとって重要であり得る。ヒトフィブロネクチンのアミノ酸配列は、エクストラドメインBを含有するUniProt数P02751、並びにNCBIアクセッション番号NP_001263337(アイソフォームB)、NP_001263338(アイソフォームc)、NP_001263339(アイソフォームd)、NP_001263340(アイソフォームe)、及びNP_001263341(アイソフォームf)、NP_001293058(アイソフォーム8)、NP_001293059(アイソフォーム9)、NP_001293060(アイソフォーム10)、NP_001293061(アイソフォーム11)、及びNP_002017(アイソフォーム3)により提供される。
【0158】
5.1組成物
本開示は、安定化scFv分子(本明細書ではspFv(ステープル処理されたFv)、spFvを含む異種及び多重特異性分子、それらをコードするポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、並びにそれらを作製及び使用する方法を提供する。本開示は、少なくとも部分的に、VH及び/又はVL(本明細書ではVHアンカーポイント又はVLアンカーポイントと称される)並びにフレキシブルリンカー(本明細書ではステープルと称される)の特定に基づいており、これは、scFvにおけるリンカーと可変ドメインとの間のジスルフィド結合の形成をもたらすシステイン残基に操作され得る。本明細書に記載の「ステープル処理」戦略は、安定性が改善されたscFvとの構造的同一性を提供するすべてのVH/VLドメイン及び既存のscFv分子に広く適用可能である。本明細書に記載のspFvは、キメラ抗原受容体(chimeric antigen receptor、CAR)、T細胞リダイレクト分子、二重及び多重特異性分子を含む任意の異種タンパク質、二重特異性又は多重特異性フォーマットに共役され得、治療用、診断的及び検出分子として使用され得る。
【0159】
本開示のspFv
本開示は、重鎖可変領域(VH)、リンカー(L)及び軽鎖可変領域(VL)を含む単離された単鎖可変断片(scFv)であって、scFvが、
構造的に保存された表面露出VHシステイン(Cys)と第1のL Cysとの間の第1のジスルフィド結合、
構造的に保存された表面露出VL Cysと第2のL Cysとの間の第2のジスルフィド結合、又は
構造的に保存された表面露出VH Cysと第1のL Cysとの間の第1のジスルフィド結合及び構造的に保存された表面露出VL Cysと第2のL Cysとの間の第2のジスルフィド結合、を含む、scFvを提供する。
【0160】
本開示はまた、VH、L及びVLを含む単離されたscFvであって、
VHが、構造的に保存された表面露出VHフレームワーク残基位置でVH Cysを含み、Lが、第1のL Cyを含み、
VLが、構造的に保存された表面露出VLフレームワーク残基位置でVL Cysを含み、Lが、第2のL Cyを含み、又は
VHが、構造的に保存された表面露出VHフレームワーク残基位置でVH Cysを含み、VLが、構造的に保存された表面露出VLフレームワーク残基位置でVL Cysを含み、Lが、第1のL Cys及び第2のL Cysを含み、VH Cys及び第1のL Cysが、ジスルフィド結合を形成することができ、VL Cys及び第2のL Cysが、ジスルフィド結合を形成することができる、scFvを提供する。ジスルフィド結合は、典型的には、本開示のscFvの発現中に形成される。
【0161】
特定の実施例は、2つのジスルフィド結合を有するspFvを開示しているが、リンカーCysとVH Cys又はVL Cysのいずれかとの間に形成される1つのジスルフィド結合を有するspFvを作製及び利用することができ、「ハーフアンカード」分子を生成することができることが容易に想定される。アンカー位置は、1つ又は2つのジスルフィド結合を有するspFvで同じである。リンカーCys位置は、アンカー点によるジスルフィド結合形成の距離及び幾何学的要件を満たす限り、ハーフアンカード分子において変化し得る。ハーフアンカードspFvは、2つのジスルフィド結合で安定化されたVL/VH対と同様のVL/VH相対移動を抑制することが予想され、したがって、安定化する。
【0162】
本開示のspFvは、ジスルフィド結合を欠く親scFvと比較した場合、熱安定性の増加を示した。一般に、spFvのTmは、ジスルフィド結合を欠く親scFvと比較した場合、親scFvのTmに関係なく、約10℃高かった。安定性は、一般的に、熱安定性又は機械的安定性であり得る。熱安定性は、示差熱熱量測定(differential thermal calorimetry、DSC)スキャンが加熱されたタンパク質試料(60℃に加熱された試料など)を使用して行われるDSCを使用し、続いて、2状態又は非2状態遷移を使用して得られた熱溶融プロファイルによって、評価され得る。非2状態遷移の場合、VL及びVHドメインの融解Tmに対応する2つの遷移(Tm1及びTm2)が、それぞれ記録される。
【0163】
いくつかの実施形態では、VH CysとVL Cysとの間の距離は、約7Å~約9Åである。いくつかの実施形態では、VH CysとVL Cysとの間の距離は、約7Åである。いくつかの実施形態では、VH CysとVL Cysとの間の距離は、約8Åである。いくつかの実施形態では、VH CysとVL Cysとの間の距離は、約9Åである。
【0164】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H3、H5、H40、H43、H46又はH105にあり、残基番号付けは、Chothiaに従う。
【0165】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H3にある。
【0166】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H5にある。
【0167】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H40にある。
【0168】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H43にある。
【0169】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H46にある。
【0170】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H105にある。
【0171】
いくつかの実施形態では、VL Cysは、L3、L5、L39、L42、L45、L100又はL102にあり、残基番号付けは、Chothiaに従う。
【0172】
いくつかの実施形態では、VL Cysは、L3にある。
【0173】
いくつかの実施形態では、VL Cysは、L5にある。
【0174】
いくつかの実施形態では、VL Cysは、L39にある。
【0175】
いくつかの実施形態では、VL Cysは、L42にある。
【0176】
いくつかの実施形態では、VL Cysは、L45にある。
【0177】
いくつかの実施形態では、VL Cysは、L100にある。
【0178】
いくつかの実施形態では、VL Cysは、L102にある。
【0179】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H105にあり、VL Cysは、L42にある。
【0180】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H43にあり、VL Cysは、L100にある。
【0181】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H3にあり、VL Cysは、L3にある。
【0182】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H3にあり、VL Cysは、L5にある。
【0183】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H3にあり、VL Cysは、L39にある。
【0184】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H3にあり、VL Cysは、L42にある。
【0185】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H3にあり、VL Cysは、L45にある。
【0186】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H3にあり、VL Cysは、L100にある。
【0187】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H3にあり、VL Cysは、L102にある。
【0188】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H5にあり、VL Cysは、L3にある。
【0189】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H5にあり、VL Cysは、L5にある。
【0190】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H5にあり、VL Cysは、L39にある。
【0191】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H5にあり、VL Cysは、L42にある。
【0192】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H5にあり、VL Cysは、L45にある。
【0193】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H5にあり、VL Cysは、L100にある。
【0194】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H5にあり、VL Cysは、L102にある。
【0195】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H40にあり、VL Cysは、L3にある。
【0196】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H40にあり、VL Cysは、L5にある。
【0197】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H40にあり、VL Cysは、L39にある。
【0198】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H40にあり、VL Cysは、L42にある。
【0199】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H40にあり、VL Cysは、L45にある。
【0200】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H40にあり、VL Cysは、L100にある。
【0201】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H40にあり、VL Cysは、L102にある。
【0202】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H43にあり、VL Cysは、L3にある。
【0203】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H43にあり、VL Cysは、L5にある。
【0204】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H43にあり、VL Cysは、L39にある。
【0205】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H43にあり、VL Cysは、L42にある。
【0206】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H43にあり、VL Cysは、L45にある。
【0207】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H43にあり、VL Cysは、L102にある。
【0208】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H46にあり、VL Cysは、L3にある。
【0209】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H46にあり、VL Cysは、L5にある。
【0210】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H46にあり、VL Cysは、L39にある。
【0211】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H46にあり、VL Cysは、L42にある。
【0212】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H46にあり、VL Cysは、L45にある。
【0213】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H46にあり、VL Cysは、L100にある。
【0214】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H46にあり、VL Cysは、L102にある。
【0215】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H105にあり、VL Cysは、L3にある。
【0216】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H105にあり、VL Cysは、L5にある。
【0217】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H105にあり、VL Cysは、L39にある。
【0218】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H105にあり、VL Cysは、L45にある。
【0219】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H105にあり、VL Cysは、L100にある。
【0220】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H105にあり、VL Cysは、L102にある。
【0221】
VH及びVL領域の残基番号付けは、Chothiaに従う。
【0222】
Chothia番号付けは、周知である。Kabat若しくはIMGT番号付け、又は連続番号付けなどの他の番号付けシステムを使用して、VH及びVL残基の位置を番号付けすることができる。表1は、例示的なVH、GLk1 VHに対するChothia、Kabat及び連続番号付け間の対応を示す(配列番号60)。表2は、例示的なVL、GLk1 VLに対するChothia、Kabat及び連続番号付け間の対応を示す(配列番号56)。
【0223】
【表1-1】
【0224】
【表1-2】
【0225】
【表2】
【0226】
いくつかの実施形態では、Lは、免疫グロブリン(Ig)ヒンジ領域に由来する連続アミノ酸配列を含む。
【0227】
いくつかの実施形態では、Igヒンジ領域は、ヒト又は非ヒトIgヒンジ領域に由来する。例示的な非ヒトIgヒンジ領域は、マウス、ラット、イヌ、ニワトリ及びサルなどの非ヒト霊長類由来のものである。
【0228】
いくつかの実施形態では、Igヒンジ領域は、ヒトIgヒンジ領域に由来する。
【0229】
いくつかの実施形態では、ヒトIgヒンジ領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA又はIgEアイソタイプである。
【0230】
Igヒンジ領域は、一般に、残基216を含み、ヒトIgGの残基230で終結すると定義され、残基番号付けは、EUインデックスに従う。場合によっては、約残基231~約残基237までの下部ヒンジ領域も、ヒンジに含まれ得る。したがって、IgG1ヒンジ領域は、アミノ酸配列EPKSCDKTHTCPPCP(配列番号63)を、又は下部ヒンジが含まれる場合には、アミノ酸配列EPKSCDKTHTCPPCPAPELLGG(配列番号64)を含み得る。他のIgアイソタイプのヒンジ領域は、周知であり、それらのアミノ酸配列は、例えば、ImMunoGeneTics webサイトで得られ得る。例えば、IgG2ヒンジは、アミノ酸配列ERKCCVECPPCP(配列番号65)を含む。
【0231】
Lは、Igヒンジ領域アミノ酸配列の少なくとも一部分又は操作されたIgヒンジ領域の少なくとも一部分を含む場合に、それらの例におけるIgヒンジ領域「に由来する」連続アミノ酸配列を含む。操作されたIgヒンジ領域は、野生型Igヒンジと比較した場合、1つ又は2つ以上の変異を含む。導入され得る例示的な変異は、であり、LにおけるCysの数を1つ若しくは2つに低減させるCys残基の置換、Pro残基の置換、又は保存的置換などの任意の保存的修飾であり得る。
【0232】
「保存的改変」は、アミノ酸改変を含む抗体の結合特性に著しく影響を与えること又は変化させることがないアミノ酸改変を指す。保存的改変は、アミノ酸の置換、付加、及び欠失を含む。保存的アミノ酸置換は、あるアミノ酸が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基に置き換えられる置換である。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、明確に定義されており、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシン、トリプトファン)、芳香族側鎖(例えば、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン、チロシン)、脂肪族側鎖(例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン)、アミド(例えば、アスパラギン、グルタミン)、ベータ分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、及び含硫黄側鎖(システイン、メチオニン)を有するアミノ酸を含む。更に、アラニンスキャニング変異誘発について以前に記載されているように((MacLennan et al.,(1988)Acta Physiol Scand Suppl 643:55-67、Sasaki et al.,(1988)Adv Biophys 35:1-24)、ポリペプチド内のいずれかの天然残基もアラニンで置換され得る。アミノ酸置換は、既知の方法、例えば、PCR変異誘発(米国特許第4,683,195号)により行うことができる。得られた変異体ヒンジは、本開示のspFv構築物に組み込まれ、既知のアッセイ及び本明細書に記載のアッセイを使用して、安定性及び抗原への結合などのそれらの特性について試験され得る。
【0233】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列C(X)C(配列番号23)を含み、式中、Xは、グリシン(Gly)、セリン(Ser)、プロリン(Pro)、アラニン(Ala)、アルギニン(Arg)、アスパラギン(Asn)、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、グルタミン(Gln)、ヒスチジン(His)、イソロイシン(Ile)、ロイシン(Leu)、リジン(Lys)、フェニルアラニン(Phe)、スレオニン(Thr)、トリプトファン(Trp)又はチロシン(Tyr)であり、yは、1~3の整数である。Proは、剛性を提供するリンカーに含まれ得る。Glyは、最大の柔軟性を可能にするリンカーに含まれ得る。Cys及びMetを除いて、任意の他のアミノ酸も、Lにおいて使用され得る。
【0234】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列C(X)C(配列番号24)を含み、式中、Xは、Gly、Ser又はProであり、yは、1~3の整数である。
【0235】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列CPC、CGC、CSC、CPPC(配列番号1)、CGPC(配列番号28)、CPGC(配列番号29)、CGGC(配列番号30)、CSPG(配列番号31)、CPSC(配列番号32)、CSSC(配列番号33)、CGSC(配列番号34)、CSGC(配列番号35)、CPPPC(配列番号36)、CGPPC(配列番号37)、CPGPC(配列番号38)、CPPGC(配列番号39)、CGGPC(配列番号40)、CPGGC(配列番号41)、CGGGC(配列番号42)、CSPPC(配列番号43)、CPSPC(配列番号44)、CPPSC(配列番号45)、CSSPC(配列番号46)、CPSSC(配列番号47)、CSSSC(配列番号48)、CGSPC(配列番号49)、CPGSC(配列番号50)、CSGPC(配列番号51)又はCPSGC(配列番号52)を含む。
【0236】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列CPCを含む。
【0237】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列CGCを含む。
【0238】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列CSCを含む。
【0239】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列CPPC(配列番号1)を含む。
【0240】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列CGPC(配列番号28)を含む。
【0241】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列CPGC(配列番号29)を含む。
【0242】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列CGGC(配列番号30)を含む。
【0243】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列CSPG(配列番号31)を含む。
【0244】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列CPSC(配列番号32)を含む。
【0245】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列CSSC(配列番号33)を含む。
【0246】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列CGSC(配列番号34)を含む。
【0247】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列CSGC(配列番号35)を含む。
【0248】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列CPPPC(配列番号36)を含む。
【0249】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列CGPPC(配列番号37)を含む。
【0250】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列CPGPC(配列番号38)を含む。
【0251】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列CPPGC(配列番号39)を含む。
【0252】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列CGGPC(配列番号40)を含む。
【0253】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列CPGGC(配列番号41)を含む。
【0254】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列CGGGC(配列番号42)を含む。
【0255】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列CSPPC(配列番号43)を含む。
【0256】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列CPSPC(配列番号44)を含む。
【0257】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列CPPSC(配列番号45)を含む。
【0258】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列CSSPC(配列番号46)を含む。
【0259】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列CPSSC(配列番号47)を含む。
【0260】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列CSSSC(配列番号48)を含む。
【0261】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列CGSPC(配列番号49)を含む。
【0262】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列CPGSC(配列番号50)を含む。
【0263】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列CSGPC(配列番号51)を含む。
【0264】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列CPSGC(配列番号52)を含む。
【0265】
いくつかの実施形態では、Lは、約14~19個のアミノ酸を含む。
【0266】
いくつかの実施形態では、Lは、約14個のアミノ酸を含む。
【0267】
いくつかの実施形態では、Lは、約15個のアミノ酸を含む。
【0268】
いくつかの実施形態では、Lは、約16個のアミノ酸を含む。
【0269】
いくつかの実施形態では、Lは、約17個のアミノ酸を含む。
【0270】
いくつかの実施形態では、Lは、約18個のアミノ酸を含む。
【0271】
いくつかの実施形態では、Lは、約19個のアミノ酸を含む。
【0272】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列(X)C(X)C(X)(配列番号25)を含み、式中、Xは、Gly、Ser、Pro、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、His、Ile、leu、Lys、Phe Thr、Trp又は、Tyrであり、mは、6~9の整数であり、yは、1~3の整数であり、nは、4~6の整数である。
【0273】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列(X)C(X)C(X)(配列番号26)を含み、式中、Xは、Gly、Ser、Pro、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、His、Ile、Leu、Lys、Thr又はTyrであり、mは、6~9の整数であり、yは、1~3の整数であり、nは、4~6の整数である。
【0274】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列(X)C(X)C(X)(配列番号27)を含み、式中、Xは、Gly又はProであり、mは、6~9の整数であり、yは、1~3の整数であり、nは、4~6の整数である。
【0275】
一部の実施形態では、Lは、配列番号2、3、4、5、6、又は7のアミノ酸配列を含む。
【0276】
いくつかの実施形態では、Lは、配列番号2のアミノ酸配列を含む。
【0277】
いくつかの実施形態では、Lは、配列番号3のアミノ酸配列を含む。
【0278】
いくつかの実施形態では、Lは、配列番号4のアミノ酸配列を含む。
【0279】
いくつかの実施形態では、Lは、配列番号5のアミノ酸配列を含む。
【0280】
いくつかの実施形態では、Lは、配列番号6のアミノ酸配列を含む。
【0281】
いくつかの実施形態では、Lは、配列番号7のアミノ酸配列を含む。
【0282】
いくつかの実施形態では、本開示のspFvは、VL-L-VH配向にある。
【0283】
いくつかの実施形態では、本開示のspFvは、VH-L-VL配向にある。
【0284】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvであって、
VHが、H105にCysを含み、
VLが、L42にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、scFvを提供する。
【0285】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvであって、
VHが、H105にCysを含み、
VLが、L45にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、scFvを提供する。
【0286】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvであって、
VHが、H105にCysを含み、
VLが、L39にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、scFvを提供する。
【0287】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvであって、
VHが、H5にCysを含み、
VLが、L42にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、scFvを提供する。
【0288】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvであって、
VHが、H5にCysを含み、
VLが、L45にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、scFvを提供する。
【0289】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvであって、
VHが、H5にCysを含み、
VLが、L39にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、scFvを提供する。
【0290】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvであって、
VHが、H3にCysを含み、
VLが、L42にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、scFvを提供する。
【0291】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvであって、
VHが、H3にCysを含み、
VLが、L45にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、scFvを提供する。
【0292】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvであって、
VHが、H3にCysを含み、
VLが、L39にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、scFvを提供する。
【0293】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvであって、
VHが、H43にCysを含み、
VLが、L100にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、scFvを提供する。
【0294】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvであって、
VHが、H43にCysを含み、
VLが、L102にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、scFvを提供する。
【0295】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvであって、
VHが、H43にCysを含み、
VLが、L5にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、scFvを提供する。
【0296】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvであって、
VHが、H43にCysを含み、
VLが、L3にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、scFvを提供する。
【0297】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvであって、
VHが、H40にCysを含み、
VLが、L100にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、scFvを提供する。
【0298】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvであって、
VHが、H40にCysを含み、
VLが、L102にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、scFvを提供する。
【0299】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvであって、
VHが、H40にCysを含み、
VLが、L5にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、scFvを提供する。
【0300】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvであって、
VHが、H40にCysを含み、
VLが、L3にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、scFvを提供する。
【0301】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvであって、
VHが、H46にCysを含み、
VLが、L100にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、scFvを提供する。
【0302】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvであって、
VHが、H46にCysを含み、
VLが、L102にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、scFvを提供する。
【0303】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvであって、
VHが、H46にCysを含み、
VLが、L5にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、scFvを提供する。
【0304】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvであって、
VHが、H46にCysを含み、
VLが、L3にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある、scFvを提供する。
【0305】
いくつかの実施形態では、Lは、配列番号3のアミノ酸配列を含む。
【0306】
いくつかの実施形態では、Lは、配列番号4のアミノ酸配列を含む。
【0307】
いくつかの実施形態では、Lは、配列番号5のアミノ酸配列を含む。
【0308】
いくつかの実施形態では、Lは、配列番号6のアミノ酸配列を含む。
【0309】
いくつかの実施形態では、Lは、配列番号7のアミノ酸配列を含む。
【0310】
本開示のspFvを含む異種分子
本開示のspFvは、当技術分野で周知のように、ジスルフィド結合を欠く非安定化scFvと同様に、第2の分子に共役され得る。例示的な第2の分子は、本明細書に開示され、半減期延長部分、造影剤、治療薬、様々な抗体形式及びその断片、抗原結合ドメイン、Fc領域、免疫グロブリン重鎖/軽鎖又はそれらの断片、多重特異性分子並びにキメラ抗原受容体(CAR)を含む。
【0311】
本開示はまた、重鎖可変領域(VH)、リンカー(L)及び軽鎖可変領域(VL)を含む単鎖可変断片(scFv)を含む異種分子であって、scFvが、
構造的に保存された表面露出VHシステイン(Cys)と第1のL Cysとの間の第1のジスルフィド結合、
構造的に保存された表面露出VL Cysと第2のL Cysとの間の第2のジスルフィド結合、又は
構造的に保存された表面露出VH Cysと第1のL Cysとの間の第1のジスルフィド結合及び構造的に保存された表面露出VL Cysと第2のL Cysとの間の第2のジスルフィド結合、を含む、異種分子を提供する。
【0312】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む異種分子であって、
VHが、構造的に保存された表面露出VHフレームワーク残基位置でVH Cysを含み、Lが、第1のL Cyを含み、
VLが、構造的に保存された表面露出VLフレームワーク残基位置でVL Cysを含み、Lが、第2のL Cyを含み、又は
VHが、構造的に保存された表面露出VHフレームワーク残基位置でVH Cysを含み、VLが、構造的に保存された表面露出VLフレームワーク残基位置でVL Cysを含み、Lが、第1のL Cys及び第2のL Cysを含み、VH Cys及び第1のL Cysが、ジスルフィド結合を形成することができ、VL Cys及び第2のL Cysが、ジスルフィド結合を形成することができる、異種分子を提供する。
【0313】
いくつかの実施形態では、VH CysとVL Cysとの間の距離は、約7Å~約9Åである。
【0314】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H3、H5、H40、H43、H46又はH105にあり、残基番号付けは、Chothiaに従う。
【0315】
いくつかの実施形態では、VL Cysは、L3、L5、L39、L42、L45、L100又はL102にあり、残基番号付けは、Chothiaに従う。
【0316】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H105にあり、VL Cysは、L42にある。
【0317】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H43にあり、VL Cysは、L100にある。
【0318】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H3にあり、VL Cysは、L3にある。
【0319】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H3にあり、VL Cysは、L5にある。
【0320】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H3にあり、VL Cysは、L39にある。
【0321】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H3にあり、VL Cysは、L42にある。
【0322】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H3にあり、VL Cysは、L45にある。
【0323】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H3にあり、VL Cysは、L100にある。
【0324】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H3にあり、VL Cysは、L102にある。
【0325】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H5にあり、VL Cysは、L3にある。
【0326】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H5にあり、VL Cysは、L5にある。
【0327】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H5にあり、VL Cysは、L39にある。
【0328】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H5にあり、VL Cysは、L42にある。
【0329】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H5にあり、VL Cysは、L45にある。
【0330】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H5にあり、VL Cysは、L100にある。
【0331】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H5にあり、VL Cysは、L102にある。
【0332】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H40にあり、VL Cysは、L3にある。
【0333】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H40にあり、VL Cysは、L5にある。
【0334】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H40にあり、VL Cysは、L39にある。
【0335】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H40にあり、VL Cysは、L42にある。
【0336】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H40にあり、VL Cysは、L45にある。
【0337】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H40にあり、VL Cysは、L100にある。
【0338】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H40にあり、VL Cysは、L102にある。
【0339】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H43にあり、VL Cysは、L3にある。
【0340】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H43にあり、VL Cysは、L5にある。
【0341】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H43にあり、VL Cysは、L39にある。
【0342】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H43にあり、VL Cysは、L42にある。
【0343】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H43にあり、VL Cysは、L45にある。
【0344】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H43にあり、VL Cysは、L100にある。
【0345】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H43にあり、VL Cysは、L102にある。
【0346】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H46にあり、VL Cysは、L3にある。
【0347】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H46にあり、VL Cysは、L5にある。
【0348】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H46にあり、VL Cysは、L39にある。
【0349】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H46にあり、VL Cysは、L42にある。
【0350】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H46にあり、VL Cysは、L45にある。
【0351】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H46にあり、VL Cysは、L100にある。
【0352】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H46にあり、VL Cysは、L102にある。
【0353】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H105にあり、VL Cysは、L3にある。
【0354】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H105にあり、VL Cysは、L5にある。
【0355】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H105にあり、VL Cysは、L39にある。
【0356】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H105にあり、VL Cysは、L42にある。
【0357】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H105にあり、VL Cysは、L45にある。
【0358】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H105にあり、VL Cysは、L100にある。
【0359】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H105にあり、VL Cysは、L102にある。
【0360】
VH及びVL領域の残基番号付けは、Chothiaに従う。
【0361】
いくつかの実施形態では、Lは、免疫グロブリン(Ig)ヒンジ領域に由来する連続アミノ酸配列を含む。
【0362】
いくつかの実施形態では、Igヒンジ領域は、ヒト又は非ヒトIgヒンジ領域に由来する。例示的な非ヒトIgヒンジ領域は、マウス、ラット、イヌ、ニワトリ及びサルなどの非ヒト霊長類由来のものである。
【0363】
いくつかの実施形態では、Igヒンジ領域は、ヒトIgヒンジ領域に由来する。
【0364】
いくつかの実施形態では、ヒトIgヒンジ領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA又はIgEアイソタイプである。
【0365】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列C(X)C(配列番号23)を含み、式中、Xは、Gly、Ser、Pro、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Thr、Trp又はTyrであり、yは、1~3の整数である。Proは、剛性を提供するリンカーに含まれ得る。Glyは、最大の柔軟性を可能にするリンカーに含まれ得る。Cys及びMetを除いて、任意の他のアミノ酸も、Lにおいて使用され得る。
【0366】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列C(X)C(配列番号24)を含み、式中、Xは、Gly、Ser又はProであり、yは、1~3の整数である。
【0367】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列CPC、CGC、CSC、CPPC(配列番号1)、CGPC(配列番号28)、CPGC(配列番号29)、CGGC(配列番号30)、CSPG(配列番号31)、CPSC(配列番号32)、CSSC(配列番号33)、CGSC(配列番号34)、CSGC(配列番号35)、CPPPC(配列番号36)、CGPPC(配列番号37)、CPGPC(配列番号38)、CPPGC(配列番号39)、CGGPC(配列番号40)、CPGGC(配列番号41)、CGGGC(配列番号42)、CSPPC(配列番号43)、CPSPC(配列番号44)、CPPSC(配列番号45)、CSSPC(配列番号46)、CPSSC(配列番号47)、CSSSC(配列番号48)、CGSPC(配列番号49)、CPGSC(配列番号50)、CSGPC(配列番号51)又はCPSGC(配列番号52)を含む。
【0368】
いくつかの実施形態では、Lは、約14~19個のアミノ酸を含む。
【0369】
いくつかの実施形態では、Lは、約14個のアミノ酸を含む。
【0370】
いくつかの実施形態では、Lは、約15個のアミノ酸を含む。
【0371】
いくつかの実施形態では、Lは、約16個のアミノ酸を含む。
【0372】
いくつかの実施形態では、Lは、約17個のアミノ酸を含む。
【0373】
いくつかの実施形態では、Lは、約18個のアミノ酸を含む。
【0374】
いくつかの実施形態では、Lは、約19個のアミノ酸を含む。
【0375】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列(X)C(X)C(X)(配列番号25)を含み、式中、Xは、Gly、Ser、Pro、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、His、Ile、leu、Lys、Phe、Thr、Trp又はTyrであり、mは、6~9の整数であり、yは、1~3の整数であり、nは、4~6の整数である。
【0376】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列(X)C(X)C(X)(配列番号26)を含み、式中、Xは、Gly、Ser又はPro、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、His、Ile、Leu、Lys、Thr又はTyrであり、mは、6~9の整数であり、yは、1~3の整数であり、nは、4~6の整数である。
【0377】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列(X)C(X)C(X)(配列番号27)を含み、式中、Xは、Gly又はProであり、mは、6~9の整数であり、yは、1~3の整数であり、nは、4~6の整数である。
【0378】
一部の実施形態では、Lは、配列番号2、3、4、5、6、又は7のアミノ酸配列を含む。
【0379】
いくつかの実施形態では、本開示のspFvは、VL-L-VH配向にある。
【0380】
いくつかの実施形態では、本開示のspFvは、VH-L-VL配向にある。
【0381】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む異種分子であって、
VHが、H105にCysを含み、
VLが、L42にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、異種分子を提供する。
【0382】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む異種分子であって、
VHが、H105にCysを含み、
VLが、L45にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、異種分子を提供する。
【0383】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む異種分子であって、
VHが、H105にCysを含み、
VLが、L39にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、異種分子を提供する。
【0384】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む異種分子であって、
VHが、H5にCysを含み、
VLが、L42にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、異種分子を提供する。
【0385】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む異種分子であって、
VHが、H5にCysを含み、
VLが、L45にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、異種分子を提供する。
【0386】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む異種分子であって、
VHが、H5にCysを含み、
VLが、L39にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、異種分子を提供する。
【0387】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む異種分子であって、
VHが、H3にCysを含み、
VLが、L42にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、異種分子を提供する。
【0388】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む異種分子であって、
VHが、H3にCysを含み、
VLが、L45にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、異種分子を提供する。
【0389】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む異種分子であって、
VHが、H3にCysを含み、
VLが、L39にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、異種分子を提供する。
【0390】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む異種分子であって、
VHが、H43にCysを含み、
VLが、L100にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある。
【0391】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む異種分子であって、
VHが、H43にCysを含み、
VLが、L102にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある。
【0392】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む異種分子であって、
VHが、H43にCysを含み、
VLが、L5にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある。
【0393】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む異種分子であって、
VHが、H43にCysを含み、
VLが、L3にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある。
【0394】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む異種分子であって、
VHが、H40にCysを含み、
VLが、L100にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある。
【0395】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む異種分子であって、
VHが、H40にCysを含み、
VLが、L102にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある。
【0396】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む異種分子であって、
VHが、H40にCysを含み、
VLが、L5にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある。
【0397】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む異種分子であって、
VHが、H40にCysを含み、
VLが、L3にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある。
【0398】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む異種分子であって、
VHが、H46にCysを含み、
VLが、L100にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある。
【0399】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む異種分子であって、
VHが、H46にCysを含み、
VLが、L102にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある。
【0400】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む異種分子であって、
VHが、H46にCysを含み、
VLが、L5にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある。
【0401】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む異種分子であって、
VHが、H46にCysを含み、
VLが、L3にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある。
【0402】
いくつかの実施形態では、Lは、配列番号3のアミノ酸配列を含む。
【0403】
いくつかの実施形態では、Lは、配列番号4のアミノ酸配列を含む。
【0404】
いくつかの実施形態では、Lは、配列番号5のアミノ酸配列を含む。
【0405】
いくつかの実施形態では、Lは、配列番号6のアミノ酸配列を含む。
【0406】
いくつかの実施形態では、Lは、配列番号7のアミノ酸配列を含む。
【0407】
いくつかの実施形態では、本開示のscFvは、第2のタンパク質、ポリヌクレオチド、治療薬、細胞傷害性薬剤、又は検出可能な標識に共役される。
【0408】
いくつかの実施形態では、第2のタンパク質は、半減期延長部分である。
【0409】
いくつかの実施形態では、第2のタンパク質は、抗体又はその断片である。
【0410】
いくつかの実施形態では、第2のタンパク質は、抗原結合断片である。
【0411】
いくつかの実施形態では、第2のタンパク質は、治療用分子である。
【0412】
本開示のspFv及び半減期延長部分を含む異種分子
いくつかの実施形態では、本開示のspFvは、半減期延長部分に共役される。
【0413】
半減期延長部分は、免疫グロブリン(Ig)、Igの断片、Ig定常領域、Ig定常領域の断片、Fc領域、トランスフェリン、アルブミン、アルブミンバリアント、アルブミン結合ドメイン又はポリエチレングリコールである。ヒトIgのアミノ酸配列は周知であり、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA及びIgEを含む。
【0414】
いくつかの実施形態では、本開示のspFvは、Ig又はIgの断片に共役される。
【0415】
いくつかの実施形態では、本開示のspFvは、Fc領域に共役される。
【0416】
いくつかの実施形態では、本開示のspFvは、トランスフェリンに共役される。
【0417】
いくつかの実施形態では、本開示のspFvは、アルブミンに共役される。
【0418】
いくつかの実施形態では、本開示のspFvは、アルブミン結合タンパク質に共役される。
【0419】
いくつかの実施形態では、本開示のspFvは、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol、PEG)に共役される。例示的なPEG分子は、PEG5000又はPEG20,000である。
【0420】
いくつかの実施形態では、本開示のspFvは、脂肪酸又は脂肪酸エステルに共役される。例示的な脂肪酸及び脂肪酸エステルは、所望の特性のために、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、ステアリン酸塩、アラキジン酸塩、ベヘン酸塩、オレイン酸塩、アラキドン酸塩、オクタン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸、ドコサン二酸など、ポリリジン、オクタン、炭水化物(デキストラン、セルロース、オリゴ又は多糖類)である。
【0421】
半減期延長部分は、本開示のspFvとの直接融合であり得、標準的なクローニング及び発現技術によって生成され得る。代替的に、周知の化学カップリング方法を使用して、組換え技術によって産生された本開示のspFvにその部分を結合させることができる。
【0422】
本開示のspFv及び細胞傷害性薬剤又は検出可能な標識を含む異種分子
本開示はまた、本開示のspFvを含む異種分子であって、本開示のspFvが、第2のタンパク質、ポリヌクレオチド、治療薬、細胞傷害性薬剤又は検出可能な標識に共役される、異種分子を提供する。
【0423】
本開示のspFvを含む異種分子を使用して、インビトロ又はインビボで、治療薬を指示するか、spFvが結合する抗原を発現する細胞を死滅させるのを媒介するか、可視化するか、特定するか、又は精製してもよい。
【0424】
いくつかの実施形態では、検出可能な標識は細胞毒性剤でもある。
【0425】
検出可能な標識は、本開示のspFvと共役させた場合に、spFvを、分光的、光化学的、生化学的、免疫化学的、又は化学的手段によって検出可能なものとすることができる組成物を含む。
【0426】
例示的な検出可能な標識としては、放射性同位体、磁気ビーズ、金属ビーズ、コロイド粒子、蛍光染料、電子密度試薬、酵素(例えば、一般的にELISAにおいて使用される)、ビオチン、ジゴキシゲニン、ハプテン、発光分子、化学発光分子、蛍光色素、フルオロフォア、蛍光消光剤、有色分子、放射性同位体、シンシレート(scintillates)、アビジン、ストレプトアビジン、プロテインA、プロテインG、抗体又はその断片、ポリヒスチジン、Ni2+、Flagタグ、mycタグ、重金属、酵素、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、電子供与体/受容体、アクリジニウムエステル、及び比色基質が挙げられる。
【0427】
検出可能な標識は、例えば、検出可能な標識が放射性同位体であるときなど、自発的にシグナルを発し得る。他の場合、検出可能な標識は、外部場によって刺激された結果として、シグナルを発する。
【0428】
例示的な放射性同位体は、γ放出、オージェ放出、β放出、アルファ放出、又はポジトロン放出性の放射性同位体であり得る。例示的な放射性同位体としては、H、11C、13C、15N、18F、19F、55Co、57Co、60Co、61Cu、62Cu、64Cu、67Cu、68Ga、72As、75Br、86Y、89Zr、90Sr、94mTc、99mTc、115In、1231、1241、125I、1311、211At、212Bi、213Bi、223Ra、226Ra、225Ac、及び227Acが挙げられる。
【0429】
例示的な金属原子は、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ヒ素、セレン、臭素、クリプトン、ルビジウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、インジウム、スズ、アンチモン、テルル、ヨウ素、キセノン、セシウム、バリウム、ランタン、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、プラチナ、金、水銀、タリウム、鉛、ビスマス、フランシウム、ラジウム、アクチニウム、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビニウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、トリウム、プロトアクチニウム、ウラン、ネプツニウム、プルトニウム、アメリシウム、キュリウム、バークリウム、カリホルニウム、アインスタイニウム、フェルミウム、メンデレビウム、ノーベリウム、又はローレンシウム原子などの、20を超える原子番号を有する金属である。
【0430】
いくつかの実施形態では、金属原子は、20超の原子番号を有するアルカリ土類金属であり得る。
【0431】
いくつかの実施形態では、金属原子は、ランタニドであり得る。
【0432】
いくつかの実施形態では、金属原子は、アクチニドであり得る。
【0433】
いくつかの実施形態では、金属原子は、遷移金属であり得る。
【0434】
いくつかの実施形態では、金属原子は、卑金属であり得る。
【0435】
いくつかの実施形態では、金属原子は、金原子、ビスマス原子、タンタル原子、及びガドリニウム原子であり得る。
【0436】
いくつかの実施形態では、金属原子は、原子番号53(すなわち、ヨウ素)~原子番号83(すなわち、ビスマス)を有する金属であり得る。
【0437】
いくつかの実施形態では、金属原子は、磁気共鳴映像法に好適な原子であり得る。
【0438】
金属原子は、+1、+2、又は+3の酸化状態の形態の金属イオン、例えば、Ba2+、Bi3+、Cs、Ca2+、Cr2+、Cr3+、Cr6+、Co2+、Co3+、Cu、Cu2+、Cu3+、Ga3+、Gd3+、Au、Au3+、Fe2+、Fe3+、F3+、Pb2+、Mn2+、Mn3+、Mn4+、Mn7+、Hg2+、Ni2+、Ni3+、Ag、Sr2+、Sn2+、Sn4+、及びZn2+であり得る。金属原子は、金属酸化物、例えば、酸化鉄、酸化マンガン、又は酸化ガドリニウムを含み得る。
【0439】
好適な色素としては、例えば、5(6)-カルボキシフルオレセイン、IRDye 680RDマレイミド、又はIRDye 800CW、ルテニウムポリピリジル色素などの任意の市販の色素が挙げられる。
【0440】
好適なフルオロフォアは、フルオレセインイソチオシアネート(fluorescein isothiocyanate、FITC)、フルオレセインチオセミカルバジド、ローダミン、テキサスレッド、CyDye(例えば、Cy3、Cy5、Cy5.5)、Alexa Fluors(例えば、Alexa488、Alexa555、Alexa594、Alexa647)、近赤外(near infrared、NIR)(700~900nm)蛍光染料、並びにカルボシアニン及びアミノスチリル染料である。
【0441】
検出可能な標識に共役した本開示のscFvを含む異種分子は、造影剤として使用され得る。
【0442】
いくつかの実施形態では、細胞毒性剤は、化学療法剤、薬物、増殖阻害剤、毒素(例えば、細菌、真菌、植物、若しくは動物由来の酵素活性を有する毒素、若しくはその断片)、又は放射性同位体(すなわち、放射性複合体)である。
【0443】
いくつかの実施形態では、細胞毒性剤は、ダウノマイシン、ドキソルビシン、メトトレキサート、ビンデシン、ジフテリア毒素などの細菌毒素、リシン、ゲルダナマイシン、マイタンシノイド、又はカリケアマイシンである。細胞毒性剤は、チューブリン結合、DNA結合、又はトポイソメラーゼ阻害を含む機構によってその細胞毒性又は細胞増殖抑制作用を引き起こし得る。
【0444】
いくつかの実施形態では、細胞毒性剤は、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、外毒素A鎖(シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ-サルシン、アレウリテス・フォルディ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチンタンパク質、フィトラカ・アメリカナ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP-S)、モモルディカ・カランティア(momordica charantia)阻害剤、クルシン、クロチン、サパオナリア・オフィシナリス(sapaonaria officinalis)阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、及びトリコテセンなどの酵素活性を有する毒素がある。
【0445】
いくつかの実施形態では、細胞毒性剤は、212Bi、131I、131In、90Y、及び186Reなどの放射性核種である。
【0446】
いくつかの実施形態では、細胞毒性剤は、ドラスタチン又はドラスタチンのペプチド類似体及び誘導体、アウリスタチン又はモノメチルアウリスタチンフェニルアラニンである。例示的な分子は、米国特許第5,635,483号及び同第5,780,588号に開示されている。ドラスタチン及びアウリスタチンは、微小管動態、GTPの加水分解、並びに核及び細胞の分裂に干渉し、抗癌活性及び抗真菌活性を有することが示されている。ドラスタチン又はアウリスタチン薬剤部位は、ペプチド薬剤部位のN(アミノ)末端若しくはC(カルボキシル)末端を介して(国際公開第02/088172号を参照されたい)、又は抗体内に操作された任意のシステインを介して、本発明の抗体に結合され得る。
【0447】
検出可能な標識へのコンジュゲーションは、既知の方法を使用して行われ得る。
【0448】
いくつかの実施形態では、検出可能な標識は、キレート剤と複合体を形成している。
【0449】
いくつかの実施形態では、検出可能な標識は、リンカーを介して本開示のspFvに共役される。
【0450】
検出可能な標識又は細胞毒性剤は、既知の方法を使用して、本開示のspFvに直接的に、又は間接的に連結され得る。好適なリンカーは、当該技術分野において既知であり、例えば、補欠分子族、非フェノールリンカー(N-スクシミジル-ベンゾエートの誘導体、ドデカボラート)、大環状及び非環式の両キレート剤のキレート部分、例えば、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10,四酢酸(DOTA)の誘導体、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)の誘導体、S-2-(4-イソチオシアナトベンジル)-1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-三酢酸(NOTA)の誘導体、及び1,4,8,11-テトラアザシクロドデカン-1,4,8,11-四酢酸(TETA)の誘導体、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオール)プロピオナート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えば、ジメチルアジピミダートHCl)、活性エステル(例えば、ジスクシンイミジルスベラート)、アルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド)、ビスアジド化合物(例えば、ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン)、ジイソシアナート(例えば、トルエン2,6-ジイソシアナート)、及びビス-活性フッ素化合物(例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)、並びに他のキレート部分が挙げられる。好適なペプチドリンカーは周知である。
【0451】
本開示のspFv及び免疫グロブリン(Ig)定常領域又はそれらの断片を含む異種分子
本開示のspFvは、Ig定常領域又はIg定常領域の断片に共役されて、Fcエフェクター機能C1q結合、補体依存性細胞傷害性(complement dependent cytotoxicity、CDC)、Fc受容体結合、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity、ADCC)、食作用又は細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体、BCR)のダウンレギュレーションを含む抗体様特性を付与し得る。Ig定常領域又はIg定常領域の断片は、本明細書に記載の半減期延長部分としても機能する。本開示のspFvはまた、標準的な方法を使用して全長抗体に操作され得る。本開示のspFvを含む全長抗体は、本明細書に記載されるように、更に操作され得る。
【0452】
免疫グロブリン重鎖定常領域は、サブドメインCH1、CH2及びCH3からなる。CH1ドメインは、EUインデックスに従って、重鎖上の残基118~215、CH2ドメイン残基231~340及びCH3ドメイン残基341~447に及ぶ。場合によっては、残基341は、CH2ドメイン残基と呼ばれる。ヒンジは、一般に、残基216を含み、ヒトIgG1の230で終了するとして定義されるが、本明細書に記載されるように、約残基231~約残基237の下部ヒンジ領域を含み得る。Ig Fc領域は、Ig定常領域の少なくともCH2及びCH3ドメインを含み、したがって、Ig重鎖定常領域の少なくとも約231~447の領域を含む。
【0453】
本発明はまた、免疫グロブリン(Ig)定常領域又はIg定常領域の断片に共役された本開示のspFvを提供する。
【0454】
いくつかの実施形態では、Ig定常領域は、重鎖定常領域である。
【0455】
いくつかの実施形態では、Ig定常領域は、軽鎖定常領域である。
【0456】
いくつかの実施形態では、Ig定常領域の断片は、Fc領域を含む。
【0457】
いくつかの実施形態では、Ig定常領域の断片は、CH2ドメインを含む。
【0458】
いくつかの実施形態では、Ig定常領域の断片は、CH3ドメインを含む。
【0459】
いくつかの実施形態では、Ig定常領域の断片は、CH2ドメイン及びCH3ドメインを含む。
【0460】
いくつかの実施形態では、Ig定常領域の断片は、ヒンジの少なくとも一部分、CH2ドメイン及びCH3ドメインを含む。ヒンジの一部分は、Igヒンジの1つ又は2つ以上のアミノ酸残基を指す。
【0461】
いくつかの実施形態では、Ig定常領域の断片は、ヒンジ、CH2ドメイン及びCH3ドメインを含む。
【0462】
いくつかの実施形態では、本開示のspFvは、Ig定常領域のN末端又はIg定常領域の断片に共役される。
【0463】
いくつかの実施形態では、本開示のspFvは、Ig定常領域のC末端又はIg定常領域の断片に共役される。
【0464】
Ig定常領域又はIg定常領域の断片に共役された本開示のspFvは、いくつかの既知のアッセイを使用してそれらの機能性について評価され得る。標的抗原への結合は、本明細書に記載の方法を使用して評価され得る。Fc領域などのIg定常ドメイン又はIg定常領域の断片によって付与される変更された特性は、FcγRI、FcγRII、FcγRIII若しくはFcRnなどの受容体の可溶性形態を使用して、又は、例えば、ADCC、CDC若しくはADCPを測定する細胞ベースのアッセイを使用して、Fc受容体結合アッセイにおいてアッセイされ得る。
【0465】
ADCC活性は、本開示のspFvが結合する抗原を発現する細胞を標的細胞として及びNK細胞をエフェクター細胞として使用するインビトロアッセイを使用して評価され得る。細胞溶解は、溶解した細胞からの標識(例えば、放射性基質、蛍光染料又は天然細胞内タンパク質)の放出によって検出され得る。例示的なアッセイでは、標的細胞を、4つのエフェクター細胞に対する1つの標的細胞の比で使用される。標的細胞はBATDAで予め標識し、エフェクター細胞及び試験抗体と組み合わせる。サンプルを2時間インキュベートし、上清に放出したBATDAを測定することにより、細胞溶解を測定した。0.67%Triton X-100(Sigma Aldrich)による最大の細胞傷害に対してデータを正規化し、また任意の抗体の非存在下における標的細胞からのBATDAの自然放出によって最小対照を求める。
【0466】
ADCPは、単球由来マクロファージをエフェクター細胞として、並びに本開示のspFvが結合する抗原を発現するいずれかの細胞を標的細胞として及びGFP又は別の標識分子を発現するように操作された標的細胞として単球由来マクロファージを使用することによって評価され得る。例示的なアッセイでは、エフェクター:標的細胞比は、例えば4:1とすることができる。エフェクター細胞は、本発明の抗体を添加し又は添加せずに、標的細胞とともに4時間インキュベートしてよい。インキュベーション後、細胞は、アクターゼを用いて剥離できる。マクロファージは、蛍光標識に結合した抗CD11b抗体及び抗CD14抗体により識別され得るが、貪食作用の割合は、標準的な方法を用いて、CD11及びCD14マクロファージにおけるGFP蛍光の割合(%)に基づいて決定され得る。
【0467】
細胞のCDCは、例えば、Daudi細胞を、RPMI-B(1%のBSAを補給したRPMI)に1×10細胞/ウェル(50μL/ウェル)でプレーティングし、50μLの試験タンパク質を0~100μg/mLの最終濃度でウェルに添加し、反応を室温で15分間インキュベートし、11μLのプールしたヒト血清をウェルに添加し、反応を37℃で45分間インキュベートすることによって測定され得る。溶解した細胞の割合(%)は、標準法を使用して、FACSアッセイにおけるヨウ化プロピジウム染色細胞の%として検出され得る。
【0468】
本開示のspFv及びキメラ抗原受容体(CAR)又はその断片を含む異種分子
本開示のspFvは、キメラ抗原受容体(CAR)又はCARの断片に共役され得る。したがって、本開示のspFvを含むCARは、その細胞外ドメインとして、本開示の1つ又は2つ以上のscFv分子を含む単一特異性又は多重特異性であり得る。
【0469】
キメラ抗原受容体(CAR)は、遺伝子操作された受容体である。これらの操作された受容体は、当該技術分野で既知の技術に従って、T細胞を含む免疫細胞に容易に挿入し、それらによって発現させることができる。CARによって、単一の受容体は、特定の抗原を認識し、その抗原に結合したときに、免疫細胞を活性化して、その抗原を担持する細胞を攻撃及び破壊するようにプログラミングすることができる。これらの抗原が腫瘍細胞上に存在する場合、CARを発現する免疫細胞は、腫瘍細胞を標的とし、それを殺傷することができる。
【0470】
CARは、典型的には、抗原ad、任意のリンカー、膜貫通ドメイン、並びに共刺激ドメイン及び/又はシグナル伝達ドメインを含む細胞質ドメインを含む。
【0471】
CARの細胞外ドメインは、本開示のscFvなどの所望の抗原に結合する任意のポリペプチドを含有してもよい。CARはまた、タンデムに配置され、リンカー配列によって分離され得る2つ又は3つ以上の所望の抗原に結合するように操作されてもよい。例えば、本開示の1つ又は2つ以上のscFv、ドメイン抗体、ラマVHH抗体又は他のVHのみの抗体断片を、リンカーを介してタンデムに構成して、二重特異性又は多重特異性CARを生成してもよい。
【0472】
CARの膜貫通ドメインは、CD8の膜貫通ドメイン、T細胞受容体のアルファ、ベータ、若しくはゼータ鎖、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、KIRDS2、OX40、CD2、CD27、LFA-1(CDI la、CD18)、ICOS(CD278)、4-1BB(CD137)、4-1BBL、GITR、CD40、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRFI)、CD160、CD19、IL2Rベータ、IL2Rガンマ、IL7R a、ITGA1、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CDI Id、ITGAE、CD103、ITGAL、CDI la、LFA-1、ITGAM、CDI lb、ITGAX、CDI lc、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、TNFR2、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(触覚)、CEACAM1、CRT AM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、SLAMF6(NTB-A、Lyl08)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、PAG/Cbp、NKp44、NKp30、NKp46、NKG2D、及び/又はNKG2Cに由来し得る。
【0473】
CARの細胞内共刺激ドメインは、1つ又は2つ以上の共刺激分子の細胞内ドメインに由来し得る。共刺激分子は、抗原への結合時にTリンパ球の効率的な活性化及び機能に必要な第2のシグナルを提供する、抗原受容体又はFc受容体以外の周知の細胞表面分子である。CARに使用され得る例示的な共刺激ドメインは、4-1BB、CD2、CD7、CD27、CD28、CD30、CD40、CD54(ICAM)、CD83、CD134(OX40)、CD150(SLAMF1)、CD152(CTLA4)、CD223(LAG3)、CD270(HVEM)、CD278(ICOS)、DAP10、LAT、NKD2C SLP76、TRIM、及びZAP70の細胞内ドメインである。
【0474】
CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、CD3ζ、CD3ε、CD22、CD79a、CD66d又はCD39のシグナル伝達ドメインに由来し得る。「細胞内シグナル伝達ドメイン」は、エフェクター細胞機能、例えば、活性化、サイトカイン産生、増殖及び細胞傷害性活性(細胞傷害性因子のCAR結合標的細胞への放出、又は細胞外CARドメインへの抗原結合後に誘発される他の細胞応答を含む)を誘発するために、標的抗原への有効なCAR結合のメッセージの、免疫エフェクター細胞の内部への形質導入に関与するCARポリペプチドの一部を指す。
【0475】
細胞外ドメインと膜貫通ドメインとの間に位置付けされるCAR内の任意のリンカーは、約2~100アミノ酸長のポリペプチドであり得る。リンカーは、隣接するタンパク質ドメインが互いに対して自由に移動するように、グリシン及びセリンなどの柔軟性残基を含み得るか、又は残基で構成され得る。2つの隣接するドメインが互いに立体的に干渉しないことを確実にすることが望ましい場合、より長いリンカーを使用することができる。リンカーは、開裂可能であっても開裂不可能であってもよい。例示的な切断可能なリンカーは、2Aを含む。
【0476】
例示的なCARは、本開示のscFv、CD8膜貫通ドメイン及びCD3ζシグナル伝達ドメインを含む。別の例示的なCARは、本開示のscFv、CD8又はCD28膜貫通ドメイン、CD28、41BB又はOX40共刺激ドメイン及びCD3ζシグナル伝達ドメインを含む。
【0477】
CARは、標準的な分子生物学的技術によって生成される。
【0478】
本開示のspFvは、第2の分子に直接、又はリンカーを介して共役され得る。例示的なリンカーは、免疫グロブリン重鎖若しくは軽鎖アイソタイプ、Glyリッチリンカー、Gly及びSer含有リンカー、Gly及びAla含有リンカー、Ala及びSer含有リンカー並びにPro含有リンカーに由来する免疫グロブリンヒンジ領域、CL又はCH1の部分を含む。リンカーに含まれ得る例示的なアミノ酸は、Gly、Ser Pro、Thr、Glu、Lys、Arg、Ile、Leu及びHisである。代替的に、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、ポリオキシアルキレン、又はポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとのコポリマーを含む様々な非タンパク質性ポリマーは、リンカーとしての使用を見出され得る。例示的なリンカーは、例えば、国際公開第2019/060695号に記載されている。
【0479】
いくつかの実施形態では、異種分子は、単一特異性である。
【0480】
いくつかの実施形態では、異種分子は、多重特異性である。
【0481】
いくつかの実施形態では、異種分子は、二重特異性である。
【0482】
いくつかの実施形態では、異種分子は、三重特異性である。
【0483】
いくつかの実施形態では、異種分子は、四重特異性である。
【0484】
本開示のspFvを含む多重特異性分子
本開示はまた、重鎖可変領域(VH)、リンカー(L)及び軽鎖可変領域(VL)を含む単鎖可変断片(scFv)を含む多重特異性分子であって、scFvが、
構造的に保存された表面露出VHシステイン(Cys)と第1のL Cysとの間の第1のジスルフィド結合、
構造的に保存された表面露出VL Cysと第2のL Cysとの間の第2のジスルフィド結合、又は
構造的に保存された表面露出VH Cysと第1のL Cysとの間の第1のジスルフィド結合及び構造的に保存された表面露出VL Cysと第2のL Cysとの間の第2のジスルフィド結合、を含む、多重特異性分子を提供する。
【0485】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む多重特異性分子であって、
VHが、構造的に保存された表面露出VHフレームワーク残基位置でVH Cysを含み、Lが、第1のL Cyを含むか、
VLが、構造的に保存された表面露出VLフレームワーク残基位置でVL Cysを含み、Lが、第2のL Cyを含むか、又は
VHが、構造的に保存された表面露出VHフレームワーク残基位置でVH Cysを含み、VLが、構造的に保存された表面露出VLフレームワーク残基位置でVL Cysを含み、Lが、第1のL Cys及び第2のL Cysを含み、VH Cys及び第1のL Cysが、ジスルフィド結合を形成することができ、VL Cys及び第2のL Cysが、ジスルフィド結合を形成することができる、多重特異性分子を提供する。
【0486】
いくつかの実施形態では、VH CysとVL Cysとの間の距離は、約7Å~約9Åである。
【0487】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H3、H5、H40、H43、H46又はH105にあり、残基番号付けは、Chothiaに従う。
【0488】
いくつかの実施形態では、VL Cysは、L3、L5、L39、L42、L45、L100又はL102にあり、残基番号付けは、Chothiaに従う。
【0489】
いくつかの実施形態では、
VH Cysは、H105にあり、VL Cysは、L42にあるか、
VH Cysは、H43にあり、VL Cysは、L100にあるか、
VH Cysは、H3にあり、VL Cysは、L3にあるか、
VH Cysは、H3にあり、VL Cysは、L5にあるか、
VH Cysは、H3にあり、VL Cysは、L39にあるか、
VH Cysは、H3にあり、VL Cysは、L42にあるか、
VH Cysは、H3にあり、VL Cysは、L45にあるか、
VH Cysは、H3であり、VL Cysは、L100にあるか、
VH Cysは、H3にあり、VL Cysは、L102にあるか、
VH Cysは、H5であり、VL Cysは、L3にあるか、
VH Cysは、H5にあり、VL Cysは、L5にあるか、
VH Cysは、H5であり、VL Cysは、L39にあるか、
VH Cysは、H5にあり、VL Cysは、L42にあるか、
VH Cysは、H5であり、VL Cysは、L45にあるか、
VH Cysは、H5であり、VL Cysは、L100にあるか、
VH Cysは、H5にあり、VL Cysは、L102にあるか、
VH Cysは、H40にあり、VL Cysは、L3にあるか、
VH Cysは、H40にあり、VL Cysは、L5にあるか、
VH Cysは、H40にあり、VL Cysは、L39にあるか、
VH Cysは、H40にあり、VL Cysは、L42にあるか、
VH Cysは、H40にあり、VL Cysは、L45にあるか、
VH Cysは、H40にあり、VL Cysは、L100にあるか、
VH Cysは、H40にあり、VL Cysは、L102にあるか、
VH Cysは、H43にあり、VL Cysは、L3にあるか、
VH Cysは、H43にあり、VL Cysは、L5にあるか、
VH Cysは、H43にあり、VL Cysは、L39にあるか、
VH Cysは、H43にあり、VL Cysは、L42にあるか、
VH Cysは、H43にあり、VL Cysは、L45にあるか、
VH Cysは、H43にあり、VL Cysは、L102にあるか、
VH Cysは、H46にあり、VL Cysは、L3にあるか、
VH Cysは、H46にあり、VL Cysは、L5にあるか、
VH Cysは、H46にあり、VL Cysは、L39にあるか、
VH Cysは、H46にあり、VL Cysは、L42にあるか、
VH Cysは、H46にあり、VL Cysは、L45にあるか、
VH Cysは、H46にあり、VL Cysは、L100にあるか、
VH Cysは、H46にあり、VL Cysは、L102にあるか、
VH Cysは、H105にあり、VL Cysは、L3にあるか、
VH Cysは、H105にあり、VL Cysは、L5にあるか、
VH Cysは、H105にあり、VL Cysは、L39にあるか、
VH Cysは、H105にあり、VL Cysは、L45にあるか、
VH Cysは、H105にあり、VL Cysは、L100にあるか、又は
VH Cysは、H105にあり、VL Cysは、L102にあり、
本明細書において、残基番号付けは、Chothiaに従う。
【0490】
いくつかの実施形態では、Lは、免疫グロブリン(Ig)ヒンジ領域に由来する連続アミノ酸配列を含む。
【0491】
いくつかの実施形態では、Igヒンジ領域は、ヒト又は非ヒトIgヒンジ領域に由来する。
【0492】
いくつかの実施形態では、Igヒンジ領域は、ヒトIgヒンジ領域に由来する。
【0493】
いくつかの実施形態では、ヒトIgヒンジ領域は、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4アイソタイプである。
【0494】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列C(X)C(配列番号23)を含み、式中、Xは、Gly、Ser、Pro、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Thr、Trp又はTyrであり、yは、1~3の整数である。
【0495】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列C(X)C(配列番号24)を含み、式中、Xは、Gly、Ser又はProであり、yは、1~3の整数である。
【0496】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列CPC、CGC、CSC、CPPC(配列番号1)、CGPC(配列番号28)、CPGC(配列番号29)、CGGC(配列番号30)、CSPG(配列番号31)、CPSC(配列番号32)、CSSC(配列番号33)、CGSC(配列番号34)、CSGC(配列番号35)、CPPPC(配列番号36)、CGPPC(配列番号37)、CPGPC(配列番号38)、CPPGC(配列番号39)、CGGPC(配列番号40)、CPGGC(配列番号41)、CGGGC(配列番号42)、CSPPC(配列番号43)、CPSPC(配列番号44)、CPPSC(配列番号45)、CSSPC(配列番号46)、CPSSC(配列番号47)、CSSSC(配列番号48)、CGSPC(配列番号49)、CPGSC(配列番号50)、CSGPC(配列番号51)又はCPSGC(配列番号52)を含む。
【0497】
いくつかの実施形態では、Lは、約14~約19個のアミノ酸、例えば、約14個、約15個、約16個、約17個、約18個又は約19個のアミノ酸を含む。
【0498】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列(X)C(X)C(X)(配列番号25)を含み、式中、Xは、Gly、Ser、Pro、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、His、Ile、leu、Lys、Phe、Thr、Trp又はTyrであり、mは、6~9の整数であり、yは、1~3の整数であり、nは、4~6の整数である。
【0499】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列(X)C(X)C(X)(配列番号26)を含み、式中、Xは、Gly、Ser、Pro、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、His、Ile、Leu、Lys、Thr又はTyrであり、mは、6~9の整数であり、yは、1~3の整数であり、nは、4~6の整数である。
【0500】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列(X)C(X)C(X)(配列番号27)を含み、式中、Xは、Gly又はProであり、mは、6~9の整数であり、yは、1~3の整数であり、nは、4~6の整数である。
【0501】
一部の実施形態では、Lは、配列番号2、3、4、5、6、又は7のアミノ酸配列を含む。
【0502】
いくつかの実施形態では、本開示のspFvは、VL-L-VH配向にある。
【0503】
いくつかの実施形態では、本開示のspFvは、VH-L-VL配向にある。
【0504】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む多重特異性分子であって、
VHが、H105にCysを含み、
VLが、L42にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、多重特異性分子を提供する。
【0505】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む多重特異性分子であって、
VHが、H105にCysを含み、
VLが、L45にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、多重特異性分子を提供する。
【0506】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む多重特異性分子であって、
VHが、H105にCysを含み、
VLが、L39にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、多重特異性分子を提供する。
【0507】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む多重特異性分子であって、
VHが、H5にCysを含み、
VLが、L42にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、多重特異性分子を提供する。
【0508】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む多重特異性分子であって、
VHが、H5にCysを含み、
VLが、L45にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、多重特異性分子を提供する。
【0509】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む多重特異性分子であって、
VHが、H5にCysを含み、
VLが、L39にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、多重特異性分子を提供する。
【0510】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む多重特異性分子であって、
VHが、H3にCysを含み、
VLが、L42にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、多重特異性分子を提供する。
【0511】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む多重特異性分子であって、
VHが、H3にCysを含み、
VLが、L45にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、多重特異性分子を提供する。
【0512】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む多重特異性分子であって、
VHが、H3にCysを含み、
VLが、L39にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VL-L-VH配向にある、多重特異性分子を提供する。
【0513】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む多重特異性分子であって、
VHが、H43にCysを含み、
VLが、L100にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある。
【0514】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む多重特異性分子であって、
VHが、H43にCysを含み、
VLが、L102にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある。
【0515】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む多重特異性分子であって、
VHが、H43にCysを含み、
VLが、L5にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある。
【0516】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む多重特異性分子であって、
VHが、H43にCysを含み、
VLが、L3にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある。
【0517】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む多重特異性分子であって、
VHが、H40にCysを含み、
VLが、L100にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある。
【0518】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む多重特異性分子であって、
VHが、H40にCysを含み、
VLが、L102にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある。
【0519】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む多重特異性分子であって、
VHが、H40にCysを含み、
VLが、L5にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある。
【0520】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む多重特異性分子であって、
VHが、H40にCysを含み、
VLが、L3にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある。
【0521】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む多重特異性分子であって、
VHが、H46にCysを含み、
VLが、L100にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある。
【0522】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む多重特異性分子であって、
VHが、H46にCysを含み、
VLが、L102にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある。
【0523】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む多重特異性分子であって、
VHが、H46にCysを含み、
VLが、L5にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある。
【0524】
本開示はまた、VH、L及びVLを含むscFvを含む多重特異性分子であって、
VHが、H46にCysを含み、
VLが、L3にCysを含み、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvが、VH-L-VL配向にある。
【0525】
いくつかの実施形態では、Lは、配列番号3のアミノ酸配列を含む。
【0526】
いくつかの実施形態では、Lは、配列番号6のアミノ酸配列を含む。
【0527】
いくつかの実施形態では、Lは、配列番号7のアミノ酸配列を含む。
【0528】
いくつかの実施形態では、多重特異性分子は、抗体又は抗体断片を含む。
【0529】
いくつかの実施形態では、多重特異性タンパク質は、Ig定常領域又はIg定常領域の断片を含む。
【0530】
いくつかの実施形態では、Ig定常領域は、Fc領域を含む。
【0531】
いくつかの実施形態では、Ig定常領域は、CH2ドメインを含む。
【0532】
いくつかの実施形態では、Ig定常領域の断片は、CH3ドメインを含む。
【0533】
いくつかの実施形態では、Ig定常領域の断片は、CH2ドメイン及びCH3ドメインを含む。
【0534】
いくつかの実施形態では、Ig定常領域の断片は、ヒンジ、CH2ドメイン及びCH3ドメインの少なくとも一部分を含む。
【0535】
いくつかの実施形態では、Ig定常領域の断片は、ヒンジ、CH2ドメイン及びCH3ドメインを含む。
【0536】
いくつかの実施形態では、本開示のspFvは、Ig定常領域のN末端又はIg定常領域の断片のN末端に共役される。
【0537】
いくつかの実施形態では、本開示のspFvは、Ig定常領域のC末端又はIg定常領域の断片のC末端に共役される。
【0538】
いくつかの実施形態では、Ig定常領域又はIg定常領域の断片は、IgG1、IgG2、及びIgG3又はIgG4アイソタイプである。
【0539】
いくつかの実施形態では、Ig定常領域又はIg定常領域の断片は、多重特異性分子のFcγRへの結合を低減する少なくとも1つの変異を含む。
【0540】
いくつかの実施形態では、多重特異性分子のFcγRへの結合を低減する少なくとも1つの変異は、F234A/L235A、L234A/L235A、L234A/L235A/D265S、V234A/G237A/P238S/H268A/V309L/A330S/P331S、F234A/L235A、S228P/F234A/L235A、N297A、V234A/G237A、K214T/E233P/L234V/L235A/G236欠失/A327G/P331A/D365E/L358M、H268Q/V309L/A330S/P331S、S267E/L328F、L234F/L235E/D265A、L234A/L235A/G237A/P238S/H268A/A330S/P331S、S228P/F234A/L235A/G237A/P238S及びS228P/F234A/L235A/G236欠失/G237A/P238Sからなる群から選択され、残基番号付けは、EUインデックスに従う。
【0541】
いくつかの実施形態では、Ig定常領域又はIg定常領域の断片は、多重特異性分子のFcγRへの結合を増強する少なくとも1つの変異を含む。
【0542】
いくつかの実施形態では、多重特異性分子のFcγRへの結合を増強する少なくとも1つの変異は、S239D/I332E、S298A/E333A/K334A、F243L/R292P/Y300L、F243L/R292P/Y300L/P396L、F243L/R292P/Y300L/V305I/P396L及びG236A/S239D/I332Eからなる群から選択され、残基番号付けは、EUインデックスに従う。
【0543】
いくつかの実施形態では、FcγRは、FcγRI、FcγRIIA、FcγRIIB又はFcγRIIIである。
【0544】
いくつかの実施形態では、Ig定常領域又はIg定常領域の断片は、多重特異性分子の半減期を調節する少なくとも1つの変異を含む。
【0545】
いくつかの実施形態では、多重特異性分子の半減期を調節する少なくとも1つの変異は、H435A、P257I/N434H、D376V/N434H、M252Y/S254T/T256E/H433K/N434F、T308P/N434A及びH435Rからなる群から選択され、残基番号付けは、EUインデックスに従う。
【0546】
いくつかの実施形態では、Ig定常領域又はIg定常領域の断片は、CH3ドメインに少なくとも1つの変異を含む。
【0547】
いくつかの実施形態では、CH3ドメインの少なくとも1つの変異は、T350V、L351Y、F405A、Y407V、T366Y、T366W、F405W、T394W、T394S、Y407T、Y407A、T366S/L368A/Y407V、L351Y/F405A/Y407V、T366I/K392M/T394W、F405A/Y407V、T366L/K392M/T394W、L351Y/Y407A、T366A/K409F、L351Y/Y407A、T366V/K409F、T366A/K409F、T350V/L351Y/F405A/Y407V及びT350V/T366L/K392L/T394Wからなる群から選択され、残基番号付けは、EUインデックスに従う。
【0548】
いくつかの実施形態では、多重特異性分子は、二重特異性である。
【0549】
いくつかの実施形態では、多重特異性分子は、三重特異性である。
【0550】
いくつかの実施形態では、多重特異性分子は、四重特異性である。
【0551】
5.2本開示のspFvを含む多重特異性タンパク質の生成
本開示のspFvは、既知の組換え技術、発現及び精製プロトコルを使用して、任意の既知の形式の多重特異性分子に操作され得る。
【0552】
本開示のspFvは、2つの半分の分子の安定性を促進するCH3ドメインに1つ又は2つ以上の変異を有する全長多重特異性抗体に操作され得る。これらの多重特異性抗体を、Fabアーム交換を使用するか、又は様々な鎖の共発現によって、インビトロで生成することができる。インビトロFabアーム交換の場合、2つの単一特異性二価抗体は、CH3ドメインに1つ又は2つ以上の置換を有するように操作され、抗体は、ヒンジ領域のシステインにジスルフィド結合異性化を施すのに十分な還元条件下で一緒にインキュベートされ、それにより、Fabアーム交換により二重特異性抗体が生成される。インキュベート条件は、最適には、非還元条件に戻され得る。使用され得る代表的な還元剤は、2-メルカプトエチルアミン(2-MEA)、ジチオスレイトール(DTT)、ジチオエリスリトール(DTE)、グルタチオン、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、L-システイン、及びβ-メルカプトエタノールであり、好ましくは、2-メルカプトエチルアミン、ジチオスレイトール、及びトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィンからなる群から選択される還元剤である。例えば、少なくとも20℃の温度で、少なくとも25mMの2-MEAの存在下又は少なくとも0.5mMのジチオスレイトールの存在下で、pH5~8、例えばpH7.0又はpH7.4で、少なくとも90分間のインキュベートを用いることができる。
【0553】
使用され得るCH3変異としては、ノブインホール変異(Genentech)、静電マッチ変異(Chugai、Amgen、NovoNordisk、Oncomed)、鎖交換操作ドメインボディ(SEEDbody)(EMD Serono)、Duobody(登録商標)変異(Genmab)、及び他の非対称変異(例えば、Zymeworks)などの技術が挙げられる。
【0554】
ノブインホール変異は、例えば、国際公開第1996/027011号に開示されており、小さい側鎖(ホール)を有するアミノ酸が第1のCH3領域に導入され、大きな側鎖(ノブ)を有するアミノ酸が第2のCH3領域に導入され、第1のCH3領域と第2のCH3領域との間に優先的な相互作用をもたらす、CH3領域の界面上の変異が含まれる。ノブ及びホールを形成する例示的なCH3領域変異は、T366Y/F405A、T366W/F405W、F405W/Y407A、T394W/Y407T、T394S/Y407A、T366W/T394S、F405W/T394S、及びT366W/T366S_L368A_Y407Vである。
【0555】
重鎖ヘテロ二量体形成は、米国特許出願公開第2010/0015133号、同第2009/0182127号、同第2010/028637号、又は同第2011/0123532号に記載のように、第1のCH3領域上の正に荷電した残基及び第2のCH3領域上の負に荷電した残基を置換することにより、静電相互作用を使用することによって促進され得る。
【0556】
重鎖ヘテロ二量体化を促進するために使用することができる他の非対称変異は、米国特許出願公開第2012/0149876号又は同第2013/0195849号(Zymeworks)に記載のL351Y_F405A_Y407V/T394W、T366I_K392M_T394W/F405A_Y407V、T366L_K392M_T394W/F405A_Y407V、L351Y_Y407A/T366A_K409F、L351Y_Y407A/T366V_K409F、Y407A/T366A_K409F、又はT350V_L351Y_F405A_Y407V/T350V_T366L_K392L_T394Wである。
【0557】
SEEDボディ変異は、米国特許出願公開第2007/0287170号に記載のように、選択されたIgG残基をIgA残基と置換して、重鎖ヘテロ二量体化を促進することを伴う。
【0558】
使用され得る他の例示的な変異は、国際公開第2007/147901号、国際公開第2011/143545号、国際公開第2013/157954号、国際公開第2013/096291号及び米国特許出願公開第2018/0118849号に記載のR409D_K370E/D399K_E357K、S354C_T366W/Y349C_T366S_L368A_Y407V、Y349C_T366W/S354C_T366S_L368A_Y407V、T366K/L351D、L351K/Y349E、L351K/Y349D、L351K/L368E、L351Y_Y407A/T366A_K409F、L351Y_Y407A/T366V_K409F、K392D/D399K、K392D/E356K、K253E_D282K_K322D/D239K_E240K_K292D、K392D_K409D/D356K_D399Kである。
【0559】
Duobody(登録商標)変異(Genmab)は、例えば、米国特許出願公開第2014/0303356号に開示されており、F405L/K409R、野生型/F405L_R409K、T350I_K370T_F405L/K409R、K370W/K409R、D399AFGHILMNRSTVWY/K409R、T366ADEFGHILMQVY/K409R、L368ADEGHNRSTVQ/K409AGRH、D399FHKRQ/K409AGRH、F405IKLSTVW/K409AGRH及びY407LWQ/K409AGRHの変異が含まれる。
【0560】
本開示のspFvが組み込まれ得る追加の二重特異性又は多重特異性構造には、二重可変ドメイン免疫グロブリン(Dual Variable Domain、DVD)(国際公開第2009/134776号、DVDは、VH1-リンカー-VH2-CH構造を有する重鎖と、VL1-リンカー-VL2-CL構造を有する軽鎖とを含む完全長抗体であり、リンカーは任意である)、ロイシンジッパー又はコラーゲン二量化ドメインなどの、異なる特異性を有する2つの抗体アームを結合するための様々な二量化ドメインを含む構造(国際公開第2012/022811号、米国特許第5,932,448号、米国特許第6,833,441号)、一緒に共役された2つ又は3つ以上のドメイン抗体(dAb)、ダイアボディ、ラクダ科抗体及び操作されたラクダ科抗体などの重鎖のみ抗体、二重標的(DT)-Ig(GSK/Domantis)、2in1抗体(Genentech)、架橋Mab(Karmanos Cancer Center)、mAb2(F-Star)、及びCovXボディ(CovX/Pfizer)、IgG様二重特異性(InnClone/Eli Lilly)、Ts2Ab(MedImmune/AZ)、及びBsAb(Zymogenetics)、HERCULES(Biogen Idec)、及びTvAb(Roche)、ScFv/Fc融合体(Academic Institution)、SCORPION(Emergent BioSolutions/Trubion、Zymogenetics/BMS)、二重親和性再標的技術(Fc-DART)(MacroGenics)、及び二重(ScFv)-Fab(National Research Center for Antibody Medicine--China)、二重活性又はBis-Fab(Genentech)、Dock-and-Lock(DNL)(ImmunoMedics)、二価二重特異性(Biotecnol)、及びFab-Fv(UCB-Celltech)が含まれる。ScFv抗体、ダイアボディに基づく抗体、及びドメイン抗体には、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)(Micromet)、タンデムダイアボディ(Tandab)(Affimed)、二重親和性再標的技術(DART)(MacroGenics)、一本鎖ダイアボディ(Academic)、TCR様抗体(AIT、ReceptorLogics)、ヒト血清アルブミンScFv融合体(Merrimack)、及びCOMBODY(Epigen Biotech)、二重標的ナノボディ(Ablynx)、二重標的重鎖のみドメイン抗体が含まれるが、これらに限定されない。
【0561】
本開示のscFvはまた、3つのポリペプチド鎖を含む多重特異性タンパク質に操作され得る。そのような設計では、少なくとも1つの抗原結合ドメインは、本開示のscFvの形態にある。例示的な設計としては、(「1」が第1の抗原結合ドメインを示し、「2」が第2の抗原結合ドメインを示し、「3」が第3の抗原結合ドメインを示す)を含む:
設計1:鎖A)scFv1-CH2-CH3、鎖B)VL2-CL、鎖C)VH2-CH1-ヒンジ-CH2-CH3
設計2:鎖A)scFv1-ヒンジ-CH2-CH3、鎖B)VL2-CL、鎖C)VH2-CH1-ヒンジ-CH2-CH3
設計3:鎖A)scFv1-CH1-ヒンジ-CH2-CH3、鎖B)VL2-CL、鎖C)VH2-CH1-ヒンジ-CH2-CH3
設計4:鎖A)CH2-CH3-scFv1、鎖B)VL2-CL、鎖C)VH2-CH1-ヒンジ-CH2-CH3
【0562】
CH3操作は、米国特許出願公開第2012/0149876号又は米国特許出願公開第2013/0195849号(Zymeworks)に記載のL351Y_F405A_Y407V/T394W、T366I_K392M_T394W/F405A_Y407V、T366L_K392M_T394W/F405A_Y407V、L351Y_Y407A/T366A_K409F、L351Y_Y407A/T366V_K409F、Y407A/T366A_K409F、又はT350V_L351Y_F405A_Y407V/T350V_T366L_K392L_T394Wの変異などの設計1~4に組み込まれ得る。
【0563】
5.3アイソタイプ、アロタイプ及びFc操作
多重特異性分子又は本開示の異種分子中に存在するFc領域などのIg定常領域又はIg定常領域の断片は、任意のアロタイプ又はアイソタイプのものであり得る。
【0564】
いくつかの実施形態では、Ig定常領域又はIg定常領域の断片は、IgG1アイソタイプである。
【0565】
いくつかの実施形態では、Ig定常領域又はIg定常領域の断片は、IgG2アイソタイプである。
【0566】
いくつかの実施形態では、Ig定常領域又はIg定常領域の断片は、IgG3アイソタイプである。
【0567】
いくつかの実施形態では、Ig定常領域又はIg定常領域の断片は、IgG4アイソタイプである。
【0568】
Ig定常領域又はIg定常領域の断片は、任意のアロタイプであり得る。アロタイプは結合又はFc媒介性エフェクター機能などのIg定常領域の特性に影響を与えないことが予想される。その断片のIg定常領域を含む治療用タンパク質の免疫原性は、注入反応のリスク増大及び治療応答の期間短縮に関連している(Baert et al.,(2003)N Engl J Med 348:602-608)。その断片のIg定常領域を含む治療用タンパク質が宿主において免疫応答を誘導する程度は、Ig定常領域のアロタイプによって部分的に決定され得る(Stickler et al.,(2011)Genes and Immunity 12:213-221)。Ig定常領域のアロタイプは、抗体の定常領域配列における特定の位置のアミノ酸配列の変異に関連する。表3は、選択IgG1、IgG2及びIgG4アロタイプを示す。
【0569】
【表3】
【0570】
C末端リジン(C-terminal lysine、CTL)は、Ig定常領域から、血流中の内因性循環カルボキシペプチダーゼによって除去され得る(Cai et al.,(2011)Biotechnol Bioeng 108:404-412)。製造中、米国特許出願公開第2014/0273092号に記載のとおり、細胞外Zn2+、EDTA又はEDTA-Fe3+の濃度を制御することによって、CTLの除去を、最大レベル未満に制御することができる。タンパク質のCTL含量を、既知の方法を使用して測定することができる。
【0571】
いくつかの実施形態では、Ig定常領域に共役された本開示のspFvは、約10%~約90%のC末端リジン含有量を有する。いくつかの実施形態では、C末端リジン含有量は約20%~約80%である。いくつかの実施形態では、C末端リジン含有量は、約40%~約70%である。いくつかの実施形態では、C末端リジン含有量は、約55%~約70%である。いくつかの実施形態では、C末端リジン含有量は約60%である。
【0572】
Fc領域変異は、ADCC、ADCP及び/又はADCP及び/又は薬物動態特性などのそのエフェクター機能を調節するために、Ig定常領域又はIg定常領域の断片を含む本開示の多重特異性分子又は異種分子に対して行われ得る。このことは、変異をFcに導入して、変異Fcの、活性化FcγRs(FcγRI、FcγRIIa、FcγRIII)、阻害性FcγRIIb、及び/又はFcRnへの結合を制御することにより達成可能である。
【0573】
いくつかの実施形態では、本開示の多重特異性分子又は異種分子は、Ig定常領域又はIg定常領域の断片に少なくとも1つの変異を含む。
【0574】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの変異は、Fc領域にある。
【0575】
いくつかの実施形態では、本開示の多重特異性分子又は異種分子は、Fc領域に少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15個の変異を含む。
【0576】
いくつかの実施形態では、本開示の多重特異性分子又は異種分子は、FcRnへの抗体の結合を調節するFc領域中の少なくとも1つの変異を含む。
【0577】
半減期(例えば、FcRnへの結合)を調節するように変異され得るFcの位置としては、位置250、252、253、254、256、257、307、376、380、428、434及び435が挙げられる。単独で、又は組み合わせで行われることができる例示的な変異は、変異T250Q、M252Y、I253A、S254T、T256E、P257I、T307A、D376V、E380A、M428L、H433K、N434S、N434A、N434H、N434F、H435A、及びH435Rである。抗体の半減期を増加させるように行われ得る例示的な単独で又は組み合わせでの変異は、変異M428L/N434S、M252Y/S254T/T256E、T250Q/M428L、N434A及びT307A/E380A/N434Aである。半減期を低減させるように行われ得る例示的な単独で又は組み合わせでの変異は、変異H435A、P257I/N434H、D376V/N434H、M252Y/S254T/T256E/H433K/N434F、T308P/N434A及びH435Rである。
【0578】
いくつかの実施形態では、本開示の多重特異性分子又は異種分子は、Fc領域にM252Y/S254T/T256E変異を含む。
【0579】
いくつかの実施形態では、本開示の多重特異性分子又は異種分子は、タンパク質の活性化Fcγ受容体(FcγR)への結合を低減させる及び/又はC1q結合、補体依存性細胞傷害(CDC)、抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)若しくは食作用(ADCP)などのFcエフェクター機能を低減させる、Fc領域における少なくとも1つの変異を含む。
【0580】
本開示の多重特異性分子又は異種分子の、活性化FcγRへの結合を低減させた後に、エフェクター機能を低減させるように変異され得るfc位置としては、位置214、233、234、235、236、237、238、265、267、268、270、295、297、309、327、328、329、330、331及び365が挙げられる。単独で又は組み合わせで行われ得る例示的な変異は、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4における変異K214T、E233P、L234V、L234A、G236の欠失、V234A、F234A、L235A、G237A、P238A、P238S、D265A、D265S、S267E、H268A、H268Q、Q268A、N297A、A327Q、P329A、D270A、Q295A、V309L、A327S、L328F、A330S及びP331Sである。ADCCが低下した本開示の多重特異性分子又は異種分子をもたらす例示的な変異の組み合わせは、IgG1におけるL234A/L235A、IgG1におけるL234A/L235A/D265S、IgG2におけるV234A/G237A/P238S/H268A/V309L/A330S/P331S、IgG4におけるF234A/L235A、IgG4におけるS228P/F234A/L235A、すべてのIgアイソタイプにおけるN297A、IgG2におけるV234A/G237A、IgG1におけるK214T/E233P/L234V/L235A/G236欠失/A327G/P331A/D365E/L358M、IgG2におけるH268Q/V309L/A330S/P331S、IgG1におけるS267E/L328F、IgG1におけるL234F/L235E/D265A、IgG1におけるL234A/L235A/G237A/P238S/H268A/A330S/P331S、IgG4におけるS228P/F234A/L235A/G237A/P238S、及びIgG4におけるS228P/F234A/L235A/G236-deleted/G237A/P238Sである。IgG2由来の残基117~260及びIgG4由来の残基261~447を有するFcなどのハイブリッドIgG2/4 Fcドメインを使用してもよい。
【0581】
CDCを低減させた本開示の多重特異性分子又は異種分子をもたらす例示的な変異は、K322A変異である。
【0582】
周知のS228P変異をIgG4抗体に加えて、IgG4の安定性を増強することができる。
【0583】
いくつかの実施形態では、本開示の多重特異性分子又は異種分子は、K214T、E233P、L234V、L234A、G236の欠失、V234A、F234A、L235A、G237A、P238A、P238S、D265A、S267E、H268A、H268Q、Q268A、N297A、A327Q、P329A、D270A、Q295A、V309L、A327S、L328F、A330S及びP331Sからなる群から選択されるFc領域に少なくとも1つの変異を含む。
【0584】
いくつかの実施形態では、本開示の多重特異性分子又は異種分子は、Fc領域にL234A/L235A/D265S変異を含む。
【0585】
いくつかの実施形態では、本開示の多重特異性分子又は異種分子は、Fc領域にL234A/L235A変異を含む。
【0586】
いくつかの実施形態では、本開示の多重特異性分子又は異種分子は、本開示の多重特異性分子又は異種分子のFcγRへの結合を増強する、及び/又は、C1q結合、補体依存性細胞傷害(CDC)、抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)又は食作用(ADCP)などのFcエフェクター機能を増強するFc領域に少なくとも1つの変異を含む。
【0587】
本開示の多重特異性分子又は異種分子の活性化FcγRへの結合を増加させる、及び/又は、Fcエフェクター機能を増強させるように変異され得るFc位置としては、位置236、239、243、256,290,292、298、300、305、312、326、330、332、333、334、345、360、339、378、396又は430(EUインデックスに従った残基番号付け)が挙げられる。単一で又は組み合わせて行われ得る例示的な変異は、G236A、S239D、F243L、T256A、K290A、R292P、S298A、Y300L、V305L、K326A、A330K、I332E、E333A、K334A、A339T及びP396Lである。ADCC又はADCPが増加したタンパク質をもたらす例示的な組み合わせの変異は、S239D/I332E、S298A/E333A/K334A、F243L/R292P/Y300L、F243L/R292P/Y300L/P396L、F243L/R292P/Y300L/V305I/P396L及びG236A/S239D/I332Eである。
【0588】
CDCを増強させるように変異され得るFc位置としては、位置267、268、324、326、333、345及び430が挙げられる。単一で又は組み合わせで行われ得る例示的な変異は、S267E、F1268F、S324T、K326A、K326W、E333A、E345K、E345Q、E345R、E345Y、E430S、E430F及びE430Tである。CDCを増加させた本開示の多重特異性分子又は異種分子をもたらす例示的な組み合わせでの変異は、K326A/E333A、K326W/E333A、H268F/S324T、S267E/H268F、S267E/S324T及びS267E/H268F/S324Tである。
【0589】
本明細書に記載の特異性変異は、配列番号66、67及び68それぞれのIgG1、IgG2及びIgG4野生型アミノ酸配列と比較した場合の変異である。
【0590】
配列番号66、野生型IgG1
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0591】
配列番号67;野生型IgG2
ASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDISVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0592】
配列番号68;野生型IgG4
ASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPSCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
【0593】
本開示の多重特異性分子又は異種分子のFcγR又はFcRnへの結合は、フローサイトメトリーを使用して、各受容体を発現するように操作された細胞において評価され得る。例示の結合アッセイでは、96ウェルプレート中1ウェル当たり2x10個の細胞を播種し、BSA Stain Buffer(BD Biosciences,San Jose,USA)中で4℃で30分間ブロックした。細胞を、4℃で1.5時間氷上で、試験本開示の試験多重特異性分子又は試験異種分子とともにインキュベートする。BSA染色緩衝液で2回洗浄した後、細胞を、R-PE標識抗ヒトIgG二次抗体(Jackson Immunoresearch Laboratories)とともに4℃で45分間、インキュベートする。細胞を、染色緩衝液で2回洗浄し、その後、1:200希釈したDRAQ7生/死細胞染色試薬(Cell Signaling Technology,Danvers,USA)を含有する150μLのStain Buffer中に再懸濁する。染色された細胞のPE及びDRAQ7シグナルを、Miltenyi MACSQuantフローサイトメーター(Miltenyi Biotec、Auburn,USA)によって、それぞれB2及びB4チャンネルを使用して検出する。生細胞をDRAQ7除外でゲートし、収集された少なくとも10,000生細胞イベントについて、幾何平均蛍光シグナルを決定する。解析にはFlowJoソフトウェア(Tree Star)を使用する。データを、平均蛍光シグナルに対する抗体濃度の対数としてプロットする。非線形回帰分析を実行する。
【0594】
5.4糖鎖工学
Ig定常領域又はIg定常領域の断片に共役された本開示の多重特異性分子又は異種分子のADCCを媒介する能力は、Ig定常領域又はIg定常領域オリゴ糖成分の断片を操作することによって増強され得る。ヒトIgG1又はIgG3は、Asn297においてN-グリコシル化される。ここで、グリカンの大部分は、公知の二分岐G0、G0F、G1、G1F、G2、又はG2Fの形態である。操作されていないCHO細胞により産生され得るIg定常領域含有タンパク質は、典型的には、少なくとも約85%のグリカンフコース含量を有する。Ig定常領域又はIg定常領域の断片に結合した二分岐複合体型オリゴ糖由来のコアフコースの除去は、抗原結合又はCDC活性を変化させることなく改善されたFcγRIIIa結合を介して、本開示の多重特異性分子又は異種分子のADCCを増強させる。このような多重特異性分子又は異種分子は、培地のオスモル濃度の制御(Konno et al.,Cytotechnology 64:249-265,2012)、変異体CHO株Lec13の宿主細胞株としての適用(Shields et al.,(2002)J Biol Chem277:26733-26740)、変異体CHO株EB66の宿主細胞株としての適用(Olivier et al.,(2010)MAbs;2:405-415)、ラットハイブリドーマ細胞株YB2/0の宿主細胞株としての適用(Shinkawa et al.,(2003)J Biol Chem 278:3466-3473)、特異的に1,6-フコシルトランスフェラーゼ(FUT8)遺伝子に対する低分子干渉RNAの導入(Mori et al.,(2004)Biotechnol Bioeng 88:901-908)、あるいはβ-1,4-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII及びゴルジα-マンノシダーゼII又は強力なアルファ-マンノシダーゼI阻害物質のキフネンシンの共発現(Ferrara et al.,(2006)J Biol Chem 281:5032-5036)などの、Fcオリゴ糖の二分岐複合型を有する比較的高いフコース非修飾免疫グロブリンの発現の成功につながると報告された異なる方法を使用して達成され得る。
【0595】
いくつかの実施形態では、Ig定常領域又はIg定常領域の断片を含む本開示の多重特異性分子又は異種分子は、約1%~約15%、例えば、約15%、14%、13%、12%、11% 10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%又は1%のフコース含量を有する二分岐グリカン構造を有する。いくつかの実施形態では、Ig定常領域又はIg定常領域の断片を含む本開示の多重特異性分子又は異種分子は、約50%、40%、45%、40%、35%、30%、25%、又は20%のフコース含有量を有するグリカン構造を有する。
【0596】
「フコース含有量」は、Asn297における糖鎖内のフコース単糖類の量を指す。フコースの相対量は、フコース含有構造の全糖構造に対する割合である。これらは、複数の方法、例えば、1)国際公開第2008/077546号に記載されるように、N-グリコシダーゼF処理試料のMALDI-TOF(例えば、複合体、ハイブリッド、並びにオリゴ構造及び高マンノース構造)の使用、2)Asn297グリカンの酵素放出、その後の誘導体化、並びに蛍光検出を備えたHPLC(UPLC)及び/又はHPLC-MS(UPLC-MS)による検出/定量化、3)第1のGlcNAc単糖類と第2のGlcNAc単糖類との間を切断し、フコースを第1のGlcNAcに付加されたままにさせる、Endo S又は他の酵素によるAsn297グリカンの処理を伴うか又はこの処理なしでの、天然又は還元mAbのインタクトプロテイン分析、4)酵素消化(例えば、トリプシン又はエンドペプチダーゼLys-C)によるmAbの構成ペプチドへの消化、その後のHPLC-MS(UPLC-MS)による分離、検出及び定量、5)Asn 297にPNGase Fを有する特異的な酵素脱グリコシル化により、mAbタンパク質からmAbオリゴ糖を分離すること、により特性決定及び定量化可能である。このように放出されるオリゴ糖は、フルオロフォアで標識し、実測された質量の理論上の質量との比較によるマトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)質量分析によるグリカン構造の細かな特性評価、イオン交換HPLC(GlycoSep C)によるシアル化の程度の決定、順相HPLC(GlycoSep N)による親水性基準に準拠するオリゴ糖型の分離及び定量、並びに高性能キャピラリー電気泳動-レーザー誘起蛍光(HPCE-LIF)によるオリゴ糖の分離及び定量、を可能にする様々な補足的技術によって分離及び特定することができる。
【0597】
「低フコース」又は「低フコース含有量」は、約1%~15%のフコース含有量を有するIg定常領域又はIg定常領域の断片を含む、本開示の多重特異性分子又は異種分子を指す。
【0598】
「通常のフコース」又は「通常のフコース含有量」は、約50%超、典型的には約80%超又は85%超のフコース含有量を有するIg定常領域又はIg定常領域の断片を含む、本開示の多重特異性分子又は異種分子を指す。
【0599】
5.5抗イディオタイプ抗体
抗イディオタイプ抗体は、本開示のspFvに特異的に結合する抗体である。
【0600】
本発明はまた、本開示のspFvに特異的に結合する抗イディオタイプ抗体を提供する。
【0601】
いくつかの実施形態では、抗イディオタイプ抗体は、本開示のspFvにおけるジスルフィド結合に結合する。
【0602】
いくつかの実施形態では、抗イディオタイプ抗体は、本開示のspFvの抗原結合ドメインに結合する。
【0603】
5.6ポリヌクレオチド、ベクター及び宿主細胞
本開示はまた、本開示のspFvをコードする単離ポリヌクレオチドを提供する。
【0604】
本開示はまた、本開示のポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。
【0605】
いくつかの実施形態では、ベクターは、発現ベクターである。発現ベクターは、プラスミドベクター、ウイルスベクター、バキュロウイルス発現のためのベクター、原核生物発現のためのベクター、真核生物発現のためのベクター、トランスポゾン系ベクター、又は所与の細胞若しくは生物への本開示のポリヌクレオチドの導入に好適な任意の他のベクターであり得る。本開示のspFvをコードするポリヌクレオチドは、spFvの発現を促進する発現ベクターの制御配列に作動可能に連結され得る。このような調節エレメントには、転写プロモータ、適切なmRNAリボソーム結合部位をコードする配列、並びに転写及び翻訳の終了を制御する配列を挙げることができる。発現ベクターはまた、複製起点、他の5’若しくは3’隣接非転写配列、5’若しくは3’非翻訳配列(必要なリボソーム結合部位など)、スプライスドナー及びアクセプター部位、又は選択マーカーなどの1つ又は2つ以上の非転写要素を含み得る。ポリヌクレオチドは、cDNAであってもよい。spFv発現を駆動するプロモータは、強い、弱い、組織特異性、誘導性又は発生特異性プロモータであり得る。使用され得る例示的なプロモータは、ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(hypoxanthine phosphoribosyl transferase、HPRT)、アデノシンデアミナーゼ、ピルビン酸キナーゼ、ベータアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチンなどである。加えて、多くのウイルスプロモータが、真核細胞中で恒常的に機能し、記載された実施形態での使用に適している。このようなウイルスプロモータとしては、サイトメガロウイルス(Cytomegalovirus、CMV)最初期プロモータ、SV40の初期及び後期プロモータ、マウス乳癌ウイルス(Mouse Mammary Tumor Virus、MMTV)プロモータ、モロニー白血病ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus、HIV)、エプスタインバーウイルス(Epstein Barr Virus、EBV)、ラウス肉腫ウイルス(Rous Sarcoma Virus、RSV)、及び他のレトロウイルスの長端末反復配列(long terminal repeat、LTR)、並びに単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼプロモータが挙げられるが、これらに限定されない。メタロチオネイン促進剤、テトラサイクリン誘導性プロモータ、ドキシサイクリン誘導性プロモータ、タンパク質キナーゼR 2’,5’-オリゴアデニル酸シンセターゼ、Mx遺伝子及びADAR1などの1つ又は2つ以上のインターフェロン刺激応答要素(interferon-stimulated response element、ISRE)を含有するなどの誘導性プロモータ。本開示のベクターはまた、1つ又は2つ以上の内部リボソーム進入部位(Internal Ribosome Entry Site、IRES)を含有してもよい。IRES配列の融合ベクター内への包含は、一部のタンパク質の発現を増強させるのに有益であり得る。本開示のベクターは、環状であっても線形であってもよい。これらは、原核生物又は真核生物の宿主細胞において機能的な複製系を含有するように調製され得る。複製系は、例えば、ColE1、SV40、2μプラスミド、λ、ウシパピローマウイルスなどに由来していてよい。発現ベクターは、一過性の発現のため、安定な発現のため、又はそれらの両方のために設計され得る。発現ベクターは、構成的発現又は誘導性発現のために作製され得る。
【0606】
使用され得る例示的なベクターは、細菌:pBs、phagescript、PsiX174、pBluescript SK、pBs KS、pNH8a、pNH16a、pNH18a、pNH46a(Stratagene,La Jolla,Calif.,USA);pTrc99A、pKK223-3、pKK233-3、pDR540、及びpRIT5(Pharmacia,Uppsala,Sweden)。真核生物:pWLneo、pSV2cat、pOG44、PXR1、pSG(Stratagene)pSVK3、pBPV、pMSG及びpSVL(Pharmacia)、pEE6.4(Lonza)並びにpEE12.4(Lonza)である。追加のベクターとしては、pUCシリーズ(Fermentas Life Sciences,Glen Burnie,Md.)、pBluescriptシリーズ(Stratagene,LaJolla、Calif.)、pETシリーズ(Novagen,Madison,Wis.)、pGEXシリーズ(Pharmacia Biotech,Uppsala,Sweden)、及びpEXシリーズ(Clontech,Palo Alto,Calif.)が挙げられる。λGT10、λGT11、λEMBL4、及びλNM1149、λZapII(Stratagene)などのバクテリオファージベクターを使用することができる。例示的な植物発現ベクターとしては、pBI01、pBI01.2、pBI121、pBI101.3、及びpBIN19(Clontech)が挙げられる。例示的な動物発現ベクターとしては、pEUK-Cl、pMAM、及びpMAMneo(Clontech)が挙げられる。発現ベクターは、ウイルスベクター、例えば、レトロウイルスベクター、例えば、ガンマレトロウイルスベクターであり得る。
【0607】
本開示はまた、本開示のベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0608】
「宿主細胞」は、ベクターが導入された細胞を指す。宿主細胞という用語は、特定の対象細胞だけでなく、そのような細胞の後代、また特定の対象細胞から生成された安定な細胞株も指すことを意図すると理解される。変異又は環境の影響のいずれかに起因して、後続世代においてある特定の修飾が生じ得るために、そのような後代は、親細胞に同一ではない場合があるが、本明細書で使用される「宿主細胞」という用語の範囲内に依然として含まれる。そのような宿主細胞は、真核細胞、原核細胞、植物細胞、又は古細菌細胞であってもよい。原核宿主細胞の例は、大腸菌(Escherichia coli)、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)などの桿菌、並びにサルモネラ属(Salmonella)、セラチア属(Serratia)、及び様々なシュードモナス属(k)の種などの他の腸内細菌科のものである。酵母などの他の微生物も発現に有用である。好適な酵母宿主細胞の例は、サッカロミセス属(Saccharomyces)(例えば、S.セレヴィシエ(S.cerevisiae))及びピキア属(Pichia)である。例示的な真核細胞は、哺乳動物、昆虫、鳥類、又は他の動物由来のものであってもよい。哺乳類真核細胞としては、不死化細胞株(例えばハイブリドーマ)又は骨髄腫細胞株(例えばSP2/0(American Type Culture Collection(ATCC)、Manassas、VA、CRL-1581)、NS0(European Collection of Cell Cultures(ECACC)、Salisbury,Wiltshire,UK、ECACC No.85110503)、FO(ATCC CRL-1646)及びAg653(ATCC CRL-1580)マウス細胞株)が挙げられる。例示的なヒト骨髄腫細胞株は、U266(ATTC CRL-TIB-196)である。他の有用な細胞株としては、CHO-K1SV(Lonza Biologics(Walkersville,MD))、CHO-K1(ATCC CRL-61)、又はDG44などの、チャイニーズハムスターの卵巣(CHO)細胞に由来するものが挙げられる。
【0609】
本開示はまた、spFvが産生される条件下で本開示の宿主細胞を培養することと、宿主細胞により産生されたspFvを回収することと、を含む、本開示のspFvを産生する方法を提供する。scFvを作製し、それらを精製する方法は既知である。一旦合成されると(化学的に又は組換えで)、硫酸アンモニウム沈殿、アフィニティカラム、カラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)精製、ゲル電気泳動などを含む標準的な手順に従って、本開示のscFvを精製することができる(概して、Scopes,Protein Purification(Springer-Verlag,N.Y.,(1982)を参照されたい)。本開示のscFvは、実質的に純粋であってもよく、例えば、細胞残屑、対象タンパク質以外の巨大分子などの汚染物質を含まない、例えば、少なくとも約80%~85%の純度、少なくとも約85%~90%の純度、少なくとも約90%~95%の純度、又は少なくとも約98%~99%の純度、又はそれ以上の純度であってもよい。
【0610】
本開示のscFvをコードするポリヌクレオチドは、標準的な分子生物学的方法を使用してベクターに組み込まれ得る。宿主細胞の形質転換、培養、抗体発現、及び精製は、周知の方法を使用して行われる。
【0611】
5.7医薬組成物及び投与
本開示はまた、本開示のspFv、spFvを含む異種分子又はspFvを含む多重特異性分子、及び薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物を提供する。治療用途のために、本開示のspFv、spFvを含む異種分子又はspFvを含む多重特異性分子は、薬学的に許容される担体中の活性成分として、本開示のspFv、spFvを含む異種分子又はspFvを含む多重特異性分子の有効量を含有する医薬組成物として調製され得る。「担体」は、本開示のspFv、spFvを含む異種分子又はspFvを含む多重特異性分子が投与される、希釈剤、アジュバント、賦形剤、又はビヒクルを指す。このようなビヒクルは、水、及び石油、動物、植物、又は合成物由来のものを含む油、例えば、落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油などの液体であってよい。例えば、0.4%生理食塩水及び0.3%グリシンを用いてよい。これらの溶液は滅菌され、一般には粒子状物質を含まない。それらは、従来周知の滅菌技術(例えば、濾過)によって滅菌され得る。組成物は、生理学的条件に近づけるために必要とされる薬学的に許容される補助物質、例えば、pH調節剤及び緩衝剤、安定剤、増粘剤、潤滑剤及び着色剤などを含み得る。そのような医薬製剤中の本開示のspFv、spFvを含む異種分子又はspFvを含む多重特異性分子の濃度は、約0.5重量%未満から通常少なくとも約1重量%まで、最大で15又は20重量%まで変動し得、また、選択される投与方法に従って、必要とされる用量、流体体積、粘度などに主に基づいて選択され得る。好適なビヒクル及び製剤(他のヒトタンパク質、例えば、ヒト血清アルブミンを含む)は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition,Troy,D.B.ed.,Lipincott Williams and Wilkins,Philadelphia,PA 2006,Part 5,Pharmaceutical Manufacturing pp 691-1092に記載され、特にpp.958-989を参照されたい。
【0612】
本開示のspFv、spFvを含む異種分子又はspFvを含む多重特異性分子投与方法は、当該技術分野において周知のように、非経口投与、例えば、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内若しくは皮下、経粘膜(経口、鼻腔内、膣内、直腸)、又は当業者に理解される他の手段などの任意の好適な経路であり得る。
【0613】
5.8本開示のspFvを調製するためのプロセス
本開示はまた、安定化scFvを調製するためのプロセスであって、
抗原結合部位を形成する重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を提供することと、
第1のL Cysを含むか、又はそれを含むように操作されたリンカー(L)を提供することと、
構造的に保存された表面露出VHフレームワーク残基位置にVH Cysを含むようにVHを操作することと、
VH Cysと第1のL Cysとの間にジスルフィド結合を形成して、安定化scFvを調製することと、を含む、プロセスを提供する。
【0614】
本開示はまた、安定化scFvを調製するためのプロセスであって、
抗原結合部位を形成するVH及びVLを提供することと、
第2のL Cysを含むか、又はそれを含むように操作されたLを提供することと、
構造的に保存された表面露出VLフレームワーク残基位置にVL Cysを含むようにVLを操作することと、
VL Cysと第2のL Cysとの間にジスルフィド結合を形成して、安定化scFvを調製することと、を含む、プロセスを提供する。
【0615】
本開示はまた、安定化scFvを調製するためのプロセスであって、
抗原結合部位を形成する重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を提供することと、
第1のL Cys及び第2のL Cysを含むか、又はそれを含むように操作されたリンカー(L)を提供することと、
構造的に保存された表面露出VHフレームワーク残基位置にVH Cysを含むようにVHを操作することと、
構造的に保存された表面露出VLフレームワーク残基位置にVL Cysを含むようにVLを操作することと、
VH Cysと第1のL Cysとの間にジスルフィド結合を及びVL Cysと第2のL Cysとの間にジスルフィド結合を形成して、安定化scFvを調製することと、を含む、プロセスを提供する。
【0616】
ジスルフィド結合は、典型的には、scFvの発現中に形成される。
【0617】
抗原結合ドメインを形成するscFvの任意の既知のVH/VL対は、本開示の安定化scFvに操作され得る。代替的に、対象の抗原結合VH/VL対は、既知の方法を使用して新規に特定され得、得られたVH/VL対は、spFv形式に操作され得る。
【0618】
例えば、Kohler及びMilsteinのハイブリドーマ法を使用して、対象の抗原に結合し、得られたVH/VL対がspFvとして操作され得る、VH/VL対を特定することができる。代替的に、自身のゲノムにヒト免疫グロブリン(Ig)座位を担持するマウス、ラット又はニワトリなどのトランスジェニック動物を使用して、抗原結合断片を生成することができ、これらは、例えば、米国特許第6,150,584号、国際公開第1999/45962号、同第2002/066630号、同第2002/43478号、同第2002/043478号、及び同第1990/04036号に記載されている。このような動物の内在的な免疫グロブリン遺伝子座を破壊又は欠失させてもよく、相同又は非相同組換えを使用して、導入染色体(transchromosome)を使用して、又はミニ遺伝子を使用して、少なくとも1つの完全な又は部分的なヒト免疫グロブリン遺伝子座を動物のゲノムに挿入してもよい。Regeneron(http://_www_regeneron_com)、Harbour Antibodies(http://_www_harbourantibodies_com)、Open Monoclonal Technology,Inc.(OMT)(http://_www_omtinc_net)、KyMab(http://_www_kymab_com)、Trianni(http://_www.trianni_com)及びAblexis(http://_www_ablexis_com)などの企業は、上記の技術を使用して、選択抗原を標的としたヒト抗体を提供するべく取り組んでいる場合がある。ファージディスプレイをまた、使用して、spFvとして操作され得る抗原結合断片を生成し得る。
【0619】
いくつかの実施形態では、本開示のspFvは、ヒト化である。いくつかの実施形態では、本開示のspFvは、ヒトである。いくつかの実施形態では、本開示のspFvは、非ヒトである。
【0620】
いくつかの実施形態では、VH CysとVL Cysとの間の距離は、安定化scFv中で約7Å~約9Åである。
【0621】
いくつかの実施形態では、VH Cysは、H3、H5、H40、H43、H46又はH105にあり、残基番号付けは、Chothiaに従う。
【0622】
いくつかの実施形態では、VL Cysは、L3、L5、L39、L42、L45、L100又はL102にあり、残基番号付けは、Chothiaに従う。
【0623】
いくつかの実施形態では、
VH Cysは、H105にあり、VL Cysは、L42にあるか、
VH Cysは、H43にあり、VL Cysは、L100にあるか、
VH Cysは、H3にあり、VL Cysは、L3にあるか、
VH Cysは、H3にあり、VL Cysは、L5にあるか、
VH Cysは、H3にあり、VL Cysは、L39にあるか、
VH Cysは、H3にあり、VL Cysは、L42にあるか、
VH Cysは、H3にあり、VL Cysは、L45にあるか、
VH Cysは、H3にあり、VL Cysは、L100にあるか、
VH Cysは、H3にあり、VL Cysは、L102にあるか、
VH Cysは、H5にあり、VL Cysは、L3にあるか、
VH Cysは、H5にあり、VL Cysは、L5にあるか、
VH Cysは、H5にあり、VL Cysは、L39にあるか、
VH Cysは、H5にあり、VL Cysは、L42にあるか、
VH Cysは、H5にあり、VL Cysは、L45にあるか、
VH Cysは、H5にあり、VL Cysは、L100にあるか、
VH Cysは、H5にあり、VL Cysは、L102にあるか、
VH Cysは、H40にあり、VL Cysは、L3にあるか、
VH Cysは、H40にあり、VL Cysは、L5にあるか、
VH Cysは、H40にあり、VL Cysは、L39にあるか、
VH Cysは、H40にあり、VL Cysは、L42にあるか、
VH Cysは、H40にあり、VL Cysは、L45にあるか、
VH Cysは、H40にあり、VL Cysは、L100にあるか、
VH Cysは、H40にあり、VL Cysは、L102にあるか、
VH Cysは、H43にあり、VL Cysは、L3にあるか、
VH Cysは、H43にあり、VL Cysは、L5にあるか、
VH Cysは、H43にあり、VL Cysは、L39にあるか、
VH Cysは、H43にあり、VL Cysは、L42にあるか、
VH Cysは、H43にあり、VL Cysは、L45にあるか、
VH Cysは、H43にあり、VL Cysは、L102にあるか、
VH Cysは、H46にあり、VL Cysは、L3にあるか、
VH Cysは、H46にあり、VL Cysは、L5にあるか、
VH Cysは、H46にあり、VL Cysは、L39にあるか、
VH Cysは、H46にあり、VL Cysは、L42にあるか、
VH Cysは、H46にあり、VL Cysは、L45にあるか、
VH Cysは、H46にあり、VL Cysは、L100にあるか、
VH Cysは、H46にあり、VL Cysは、L102にあるか、
VH Cysは、H105にあり、VL Cysは、L3にあるか、
VH Cysは、H105にあり、VL Cysは、L5にあるか、
VH Cysは、H105にあり、VL Cysは、L39にあるか、
VH Cysは、H105にあり、VL Cysは、L45にあるか、
VH Cysは、H105にあり、VL Cysは、L100にあるか、又は
VH Cysは、H105にあり、VL Cysは、L102にあり、残基番号付けは、Chothiaに従う。
【0624】
いくつかの実施形態では、Lは、免疫グロブリン(Ig)ヒンジ領域に由来する連続アミノ酸配列を含む。
【0625】
いくつかの実施形態では、Igヒンジ領域は、ヒト又は非ヒトIgヒンジ領域に由来する。
【0626】
いくつかの実施形態では、Igヒンジ領域は、ヒトIgヒンジ領域に由来する。
【0627】
いくつかの実施形態では、ヒトIgヒンジ領域は、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4アイソタイプである。
【0628】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列C(X)C(配列番号23)を含み、式中、Xは、Gly、Ser、Pro、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Thr、Trp又はTyrであり、yは、1~3の整数である。
【0629】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列C(X)C(配列番号24)を含み、式中、Xは、Gly、Ser又はProであり、yは、1~3の整数である。
【0630】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列CPC、CGC、CSC、CPPC(配列番号1)、CGPC(配列番号28)、CPGC(配列番号29)、CGGC(配列番号30)、CSPG(配列番号31)、CPSC(配列番号32)、CSSC(配列番号33)、CGSC(配列番号34)、CSGC(配列番号35)、CPPPC(配列番号36)、CGPPC(配列番号37)、CPGPC(配列番号38)、CPPGC(配列番号39)、CGGPC(配列番号40)、CPGGC(配列番号41)、CGGGC(配列番号42)、CSPPC(配列番号43)、CPSPC(配列番号44)、CPPSC(配列番号45)、CSSPC(配列番号46)、CPSSC(配列番号47)、CSSSC(配列番号48)、CGSPC(配列番号49)、CPGSC(配列番号50)、CSGPC(配列番号51)又はCPSGC(配列番号52)を含む。
【0631】
いくつかの実施形態では、Lは、約14~約19個のアミノ酸、例えば、約14個、約15個、約16個、約17個、約18個又は約19個のアミノ酸を含む。
【0632】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列(X)C(X)C(X)(配列番号25)を含み、式中、Xは、Gly、Ser、Pro、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、His、Ile、leu、Lys、Phe、Thr、Trp又はTyrであり、mは、6~9の整数であり、yは、1~3の整数であり、nは、4~6の整数である。
【0633】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列(X)C(X)C(X)(配列番号26)を含み、式中、Xは、Gly、Ser、Pro、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、His、Ile、Leu、Lys、Thr又はTyrであり、mは、6~9の整数であり、yは、1~3の整数であり、nは、4~6の整数である。
【0634】
いくつかの実施形態では、Lは、アミノ酸配列(X)C(X)C(X)(配列番号27)を含み、式中、Xは、Gly又はProであり、mは、6~9の整数であり、yは、1~3の整数であり、nは、4~6の整数である。
【0635】
いくつかの実施形態では、Lは、配列番号2、3、4、5、6、又は7のアミノ酸配列を含む。
【0636】
いくつかの実施形態では、本開示の安定化spFvは、VL-L-VH配向にある。
【0637】
いくつかの実施形態では、本開示の安定化spFvは、VH-L-VL配向にある。
【0638】
いくつかの実施形態では、
VHは、H105にCysを含み、
VLは、L42にCysを含み、
Lは、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvは、VL-L-VH配向にある。
【0639】
いくつかの実施形態では、
VHは、H105にCysを含み、
VLは、L45にCysを含み、
Lは、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvは、VL-L-VH配向にある。
【0640】
いくつかの実施形態では、
VHは、H105にCysを含み、
VLは、L39にCysを含み、
Lは、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvは、VL-L-VH配向にある。
【0641】
いくつかの実施形態では、
VHは、H5にCysを含み、
VLは、L42にCysを含み、
Lは、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvは、VL-L-VH配向にある。
【0642】
いくつかの実施形態では、
VHは、H5にCysを含み、
VLは、L45にCysを含み、
Lは、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvは、VL-L-VH配向にある。
【0643】
いくつかの実施形態では、
VHは、H5にCysを含み、
VLは、L39にCysを含み、
Lは、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvは、VL-L-VH配向にある。
【0644】
いくつかの実施形態では、
VHは、H3にCysを含み、
VLは、L42にCysを含み、
Lは、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvは、VL-L-VH配向にある。
【0645】
いくつかの実施形態では、
VHは、H3にCysを含み、
VLは、L45にCysを含み、
Lは、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvは、VL-L-VH配向にある。
【0646】
いくつかの実施形態では、
VHは、H3にCysを含み、
VLは、L39にCysを含み、
Lは、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvは、VL-L-VH配向にある。
【0647】
いくつかの実施形態では、
VHは、H43にCysを含み、
VLは、L100にCysを含み、
Lは、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvは、VH-L-VL配向にある。
【0648】
いくつかの実施形態では、
VHは、H43にCysを含み、
VLは、L102にCysを含み、
Lは、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvは、VH-L-VL配向にある。
【0649】
いくつかの実施形態では、
VHは、H43にCysを含み、
VLは、L5にCysを含み、
Lは、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvは、VH-L-VL配向にある。
【0650】
いくつかの実施形態では、
VHは、H43にCysを含み、
VLは、L3にCysを含み、
Lは、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvは、VH-L-VL配向にある。
【0651】
いくつかの実施形態では、
VHは、H40にCysを含み、
VLは、L100にCysを含み、
Lは、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvは、VH-L-VL配向にある。
【0652】
いくつかの実施形態では、
VHは、H40にCysを含み、
VLは、L102にCysを含み、
Lは、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvは、VH-L-VL配向にある。
【0653】
いくつかの実施形態では、
VHは、H40にCysを含み、
VLは、L5にCysを含み、
Lは、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvは、VH-L-VL配向にある。
【0654】
いくつかの実施形態では、
VHは、H40にCysを含み、
VLは、L3にCysを含み、
Lは、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvは、VH-L-VL配向にある。
【0655】
いくつかの実施形態では、
VHは、H46にCysを含み、
VLは、L100にCysを含み、
Lは、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvは、VH-L-VL配向にある。
【0656】
いくつかの実施形態では、
VHは、H46にCysを含み、
VLは、L102にCysを含み、
Lは、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvは、VH-L-VL配向にある。
【0657】
いくつかの実施形態では、
VHは、H46にCysを含み、
VLは、L5にCysを含み、
Lは、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvは、VH-L-VL配向にある。
【0658】
いくつかの実施形態では、
VHは、H46にCysを含み、
VLは、L3にCysを含み、
Lは、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含み、
scFvは、VH-L-VL配向にある。
【0659】
いくつかの実施形態では、Lは、配列番号3のアミノ酸配列を含む。
【0660】
いくつかの実施形態では、Lは、配列番号6のアミノ酸配列を含む。
【0661】
いくつかの実施形態では、Lは、配列番号7のアミノ酸配列を含む。
【0662】
いくつかの実施形態では、本開示の安定化spFvは、ジスルフィド結合を欠いている親scFvと比較した場合、同等の親和性で抗原に結合する。
【0663】
本開示はまた、安定化scFvを調製するためのプロセスであって、
VH、L、及びVLをコードするポリヌクレオチドを提供することであって、
VHが、H105にCysを含み、VLが、L42にCysを含むか、
VHが、H43にCysを含み、VLが、L100にCysを含むか、
VHが、H3にCysを含み、VLが、L3にCysを含むか、
VHが、H3にCysを含み、VLが、L5にCysを含むか、
VHが、H3にCysを含み、VLが、L39にCysを含むか、
VHが、H3にCysを含み、VLが、L42にCysを含むか、
VHが、H3にCysを含み、VLが、L45にCysを含むか、
VHが、H3にCysを含み、VLが、L100にCysを含むか、
VHが、H3にCysを含み、VLが、L102にCysを含むか、
VHが、H5にCysを含み、VLが、L3にCysを含むか、
VHが、H5にCysを含み、VLが、L5にCysを含むか、
VHが、H5にCysを含み、VLが、L39にCysを含むか、
VHが、H5にCysを含み、VLが、L42にCysを含むか、
VHが、H5にCysを含み、VLが、L45にCysを含むか、
VHが、H5にCysを含み、VLが、L100にCysを含むか、
VHが、H5にCysを含み、VLが、L102にCysを含むか、
VHが、H40にCysを含み、VLが、L3にCysを含むか、
VHが、H40にCysを含み、VLが、L5にCysを含むか、
VHが、H40にCysを含み、VLが、L39にCysを含むか、
VHが、H40にCysを含み、VLが、L42にCysを含むか、
VHが、H40にCysを含み、VLが、L45にCysを含むか、
VHが、H40にCysを含み、VLが、L100にCysを含むか、
VHが、H40にCysを含み、VLが、L102にCysを含むか、
VHが、H43にCysを含み、VLが、L3にCysを含むか、
VHが、H43にCysを含み、VLが、L5にCysを含むか、
VHが、H43にCysを含み、VLが、L39にCysを含むか、
VHが、H43にCysを含み、VLが、L42にCysを含むか、
VHが、H43にCysを含み、VLが、L45にCysを含むか、
VHが、H43にCysを含み、VLが、L102にCysを含むか、
VHが、H46にCysを含み、VLが、L3にCysを含むか、
VHが、H46にCysを含み、VLが、L5にCysを含むか、
VHが、H46にCysを含み、VLが、L39にCysを含むか、
VHが、H46にCysを含み、VLが、L42にCysを含むか、
VHが、H46にCysを含み、VLが、L45にCysを含むか、
VHが、H46にCysを含み、VLが、L100にCysを含むか、
VHが、H46にCysを含み、VLが、L102にCysを含むか、
VHが、H105にCysを含み、VLが、L3にCysを含むか、
VHが、H105にCysを含み、VLが、L5にCysを含むか、
VHが、H105にCysを含み、VLが、L39にCysを含むか、
VHが、H105にCysを含み、VLが、L45にCysを含むか、
VHが、H105にCysを含み、VLが、L100にCysを含むか、又は
VHが、H105にCysを含み、VLが、L102にCysを含み、残基番号付けが、Chothiaに従い、
Lが、配列番号2、3、4、5、6又は7のアミノ酸配列を含む、提供することと、
ポリヌクレオチドを宿主細胞内で発現させて、安定化scFvを産生することと、を含む、プロセスを提供する。
【0664】
いくつかの実施形態では、宿主細胞は、原核細胞である。
【0665】
いくつかの実施形態では、宿主細胞は、真核細胞である。
【0666】
本明細書にて開示した実施形態のいくつかを更に説明するために、以下の実施例を提供する。これらの実施例は、例示を目的とするものであって、本開示の実施形態を制限するものではない。
【実施例
【0667】
6.1実施例1:安定化scFvの設計
モノクローナル抗体(mAb)は、2つの可変ドメインVL及びVHを介してその標的抗原を認識する。単鎖Fv(scFv)は、VL-リンカー-VH又はVH-リンカー-VLの配向のいずれかにおける可撓性リンカーとのVL及びVHの遺伝子融合としてBird et al.(1988)Science 242:423-426(1988)によって最初に設計された。可撓性リンカーは、典型的には、(GGGGS)n;n=1~4(配列番号2、配列番号53、配列番号54、配列番号55)などのグリシン-セリンリンカーの3つ又は4つの反復である。scFvは、抗原結合特異性及び主にその親mAbの親和性を再現する。これらのscFv分子には、検出/診断試薬として、又は二重、多重特異性治療薬(Brinkmann and Kontermann(2017)MAb 9:182-212)又はCAR-T治療薬(Gross et al.,(1989),Transplant Proc 21(1 Pt 1):127-130、Porter et al.,(2011)J Cancer 2:331-332、Porter et al.,(2011)N Engl J Med 365:725-733)などのより精巧な分子を作製するための構成要素としての広い用途が見出されている。
【0668】
scFv分子の課題の1つは、安定性が低く、凝集する傾向を有する(Worn and Pluckthun(2001)J Mol Biol 305:989-1010、Rothlisberger et al.,(2005)J Mol Biol 347:773-789で概観されている)。それらの特性を改善するために多くの戦略が試みられている(Arnd et al.,(2001)J Mol Biol 312:221-228、Monsellier et al.,(2006)J Mol Biol 362:580-593、Zhao et al.,(2010)Int J Mol Sci 12:1-11、Perchiacca and Tessier(2012)Annu Rev Chem Biomol Eng 3:263-286、Asial et al.,(2013)Nat Commmun 4:2901、Gil and Schrum(2013)Adv Biosci Biteccchnol 4:73-84、Tiller and Tessier(2015)Annu rev Biomed Eng 17:191-216)。これらの戦略には、追加の二量体化モチーフなどを使用して、異なる実験方法を使用してVL/VHドメインの安定性及び/又は界面相互作用を改善する、VL/VHドメイン間にジスルフィド結合を導入することが含まれる。重要な困難は、これらの戦略のほとんどが、VH/VL対に特異的であることが多く、他のVH/VL対に容易に移送され得ないことである。場合により、操作は、VL/VH構造及びscFv特性に悪影響を及ぼし得る。最近、Zhangらは、抗アフラトキシンB scFv(H4)のVHの44位とVLの位置100との間にジスルフィドを導入し、その結合親和性を維持しながら、scFvの有意な安定化を首尾よく達成した(Zhao et al.,(2010)Int J Mol Sci 12:1-11)。しかしながら、選択された2つの位置間の距離及び角度の制限のため、他のVL/VH対に適用される場合、VL/VH間ジスルフィドは、結合に必要とされることが多い2つのドメイン間の相対的な配向を制限し/歪ませ得る。
【0669】
Fab断片の重鎖と軽鎖との間の界面は、VH/VL及びCH1/CL相互作用を含む。2つの独立した相互作用セットは、相乗的安定化効果をもたらす。更に、V/C接合部はまた、いくらかの安定化効果に寄与する。比較すると、scFvにおいて、VH/VL界面は、VH/VL相互作用のみによって維持される。リンカーは、その長さが二量体及びオリゴマー形成のためのscFv間相互作用を促進するように短く設計されている場合を除いて、可撓性で非限定的であるように設計されている。リンカーの長さ及び性質は、十分に長い場合、scFvの安定性にほとんど寄与しないことが知られている。
【0670】
6.1.1「ステープル処理」設計
本明細書の目的は、安定化scFvを設計して生成するが、scFvを形成するVHとVLとの間の相対的な動きに悪影響を及ぼさないようにすることであった。これは、VHとリンカーとの間及びVLとリンカーとの間のジスルフィド結合を操作することによってscFvを安定化することにより達成された。制限(すなわち、ジスルフィド結合)は、適切に位置付けされる場合、上記のCH1/CL及びV/C相互作用によってもたらされる相乗効果の役割を果たす。この目的のために、VH及びVLに1つずつ、2つの構造的に保存された表面露出フレームワーク位置(アンカーポイント)を特定し、これらは、典型的な予測された抗原結合部位と重複せず、システイン(Cys)残基に変異したものであった。その後、2つの位置が、Cys位置に対する柔軟なリンカーにおいて選択された。リンカーCys残基間の距離及び位置が、リンカーCysと各アンカーポイントとの間のジスルフィド結合の形成を促進する様式で設計された場合、VH及びVLは、ジスルフィド結合の非存在下での係留と比較して、より堅固に係留され得る。このスキームは、CPPC配列(配列番号1)を含有する例示的なリンカーを有する図1に示されている。可撓性リンカーとアンカーポイントとの間にジスルフィド結合を形成する概念は、本明細書では「ステープル処理」と称される。得られた「ステープル処理された」scFv分子は、本明細書ではspFv(「ステープル処理されたFv」)と称される。
【0671】
6.1.2アンカーポイントの選択、ステープル配列の設計及びリンカー
広く適用可能であるステープル処理スキームでは、アンカーポイントが構造的に保存され、VL及びVHの両方の表面に露出され、Cys残基に対する変異はVL及びVHのフォールディング又は抗原への結合に影響を与えないことが重要である。VL及びVH ドメインのアンカーポイント並びにN及びC末端の距離及び幾何学的形状もまた、適切なジスルフィド形成の重要な考慮事項である。
【0672】
アンカーポイントは、VL-リンカー-VH及びVH-リンカー-VL配向におけるspFvのために別々に選択された。VL-リンカー-VH配向の場合、VL中のChothia位置42及びVHのChothia位置105が、アンカーポイントとして選択された。VL-リンカー-VH配向におけるspFvの選択されたアンカーポイントのグラフ図を、図2においてヒト生殖細胞系抗体(以下、pdb ID 5I19,GLk1)のFv内に示す。GLk1において、VL Chothia位置42は、リジン(K)及びVH Chothia位置105グルタミン(Q)である。VH-リンカー-VL配向の場合、VL中のChothia位置100及びVHのChothia位置43が、アンカーポイントとして選択された。図3は、ヒト生殖細胞系抗体(pdb ID 5I19,GLk1)のFv内のVH-リンカー-VL配向における spFvについての選択されたアンカーポイントのグラフ図を示す。GLk1において、VL Chothia位置100は、グルタミン(Q)であり、VH Chothia位置43は、リジン(K)である。選択されたアンカーポイントは構造的に保存され、ジオメトリはカッパ又はラムダ軽鎖のいずれかを含有する抗体において非常に類似していた。アンカーポイントの対間の距離は、約7Å(VL-リンカー-VH配向について)~約9Å(VH-リンカー-VL配向について)の範囲であった。
【0673】
VH及びVLを接続するリンカー内に埋め込まれたステープル配列は、spFv中のアンカーポイント間の距離と同様の長さであるように設計された。ステープル配列の初期の例として、CPPC(配列番号1)は、この配列がヒトIgG1ヒンジにおいて並びにいくつかのげっ歯類IgGにおいて天然に生じるために、可能なステープル配列として選択された。ヒト及びマウスIgG分子のヒンジの構造は、マウスIgGヒンジ(図4)及びヒトIgG(図5)におけるCβ(cys1)-Cβ(cys2)距離が約7Å~9Åの範囲であることを示した。この範囲は、VL-リンカー-VH及びVH-リンカー-VL配向の両方の2つのアンカーポイント間の距離と非常に類似しているため、CPPC(配列番号1)ステープル配列は、ステープル処理のための正しい幾何学的形状を提供する可能性を有し、すなわち、適切なジスルフィド結合を、アンカーポイントに効率的及び正しく形成する。一般に、ステープル配列は、2つのCys残基を有するように設計された。適切なステープル処理のために、ステープル配列のN末端Cysは、spFv N末端ドメインアンカーポイントとジスルフィド結合を形成し、ステープル配列のC末端Cysは、spFv C末端ドメインアンカーポイントとのジスルフィド結合を形成した。
【0674】
したがって、VH及びVLを接続するリンカーは、ステープル配列並びにN末端及びC末端の両方の接続配列を含むように設計されて、リンカーを延長して、VH及びVLの内皮折り畳みを可能にし、かつステープル配列の適切な位置付けを促進するのに十分なリンカー長を提供する。
【0675】
VL-リンカー-VH設計では、VLアンカーポイント(K42)、VHアンカーポイント(Q105)、VLのC末端(K107)及びVHのN末端(Q1)間の距離を、図2に示す。VH-リンカー-VL設計では、VLアンカーポイント(Q100)、VHアンカーポイント(K43)、VHのC末端(S114)及びVLのN末端(D1)間の距離を、図3に示す。モデリングは、これらの距離が約14~19個の残基のリンカー長によって広げられ得、4個の残基のステープル配列が、約6~9個の残基のN末端リンカー伸長及び約4~6個の残基のC末端リンカー伸長に隣接していることを示唆した。したがって、設計されたリンカー長は、n+4+mとして表され得、式中、n=6~9個の残基及びm=4~6個の残基であり、4は、CPPC(配列番号1)ステープル配列の長さを示す。n及びm個の残基は、グリシン又はセリン、又は他のアミノ酸残基であり得る。これらのリンカーの長さは、クランブリングを可能するには短すぎるが、ステープル処理を可能にするに十分な長さであり、十分に柔軟であると予想される。
【0676】
6.2実施例2:spFvの生成及び特性評価
ステープル処理設計を評価するために、3つのヒト抗体を選択して、scFv及び対応するspFv:合成ファージ抗体ライブラリShi et al.,(2010)J Mol Biol 397:385-396)からのカッパ軽鎖を有する2つの抗体(GLk1及びGLk2)及び論文(Gerhardt et al.(2009)J Mol Biol 394:905-921)から得られたラムダ含有抗体(CAT2200)を生成した。CAT2200について、T28G変異を親VHに導入して、変異体(CAT2200 a)を生成して、その標的IL-17とのその相互作用のいくつかを低減させた。更に、S42Q変異(Chothia)を親CAT2200 VLに操作し、T28G VHと対にしてCAT2200bを生成した。GLk1、GLk2、CAT2200a及びCAT2200bのVL及びVHドメインのアミノ酸配列を、それぞれ図6及び図7に示す。VHドメインアミノ酸配列は、BAT2200aとCAT2200bとの間で同一である。GLk1VHは、ヒトIGHV2-2301 GLk2VH対ヒトIGHV5-51、CAT2200VH対ヒトIGHV2-2301に最も近い。GLk1VLは、ヒトIGKV1-3901、GLk2VL対ヒトIGKV3-2001、及びCAT2200VL対ヒトIGLV 6-5701に最も近い。
【0677】
すべてのscFv及びspFv分子を生成し、VL-リンカー-VH及びVH-リンカー-VL配向の両方で発現させた。scFv構築物の場合、標準(GGGGS)(配列番号2)リンカーを使用した。spFvの場合、上記のn及びm範囲内の異なるリンカー長を使用した。GLk1 spFvの場合、両方の配向について9-4-5リンカーを使用した。GLk2 spFvの場合、9-4-5及び6-4-6リンカー長を、それぞれVL-VH及びVH-VL配向に使用した。CAT2200a spFvの場合、VL-VH分子を、それぞれ8-4-4及び9-4-4リンカーで作製し、CAT2200b spFv VH-VLを、9-4-4リンカーで作製した。表4は、生成された分子及びそれらのリンカー配列を示す。表5は、生成された分子のアミノ酸配列を示す。
【0678】
【表4】
【0679】
【表5-1】
【0680】
【表5-2】
【0681】
CAT2200a scFv VL-VHを除くすべてのscFv及びspFv分子は、CMVプロモータ駆動哺乳動物発現ベクターにクローニングされた。これらの構築物を、製造元プロトコルを使用してExpi293細胞にトランスフェクトし、細胞を5日間培養した。各タンパク質を、AKTAXPRESSシステム(GE Healthcare)により、1mlのHis-TRAPHPカラム(GE Healthcare)上で清澄化した上清から精製した。カラムを0~100%の勾配の溶出緩衝液(洗浄緩衝液:50mMのTris、pH7.5、500mMのNaCl、20mMのイミダゾール、溶出緩衝液:50mMのTris、pH7.5、500mMのNaCl、500mMのイミダゾール)で調製して、緩く結合したニッケルを除去し、次いで、DPBSで再平衡化した。透明化した上清を、最初に50mMのTris、pH7.5及び20mMのイミダゾールに対して適合させ、次いで、4℃、0.8mL/分で1mLのHisTRAP HPカラムにロードした。次いで、安定したベースラインが得られるまで、カラムをPBSで洗浄した。次いで、カラムを20CVの洗浄緩衝液で更に洗浄し、溶出緩衝液で単一の注入ループに溶出し、26/10HiPrep脱塩カラムで1倍DPBS中で脱塩し、画分を収集した。次いで、精製したタンパク質を含有する画分をプールし、濃縮した。Glk2 scFv及びspFvタンパク質を、熱安定性測定(DSC及びNanoDSF)ためにDPBS及び他の研究のために25mMのTris、pH7.5及び100mMのNaCl中で透析した。他のscFv及びspFvタンパク質を、25mMのMES、pH6.0及び100mMのNaCl中で透析した。
【0682】
CAT2200a scFv VL-VHは、ベンダーから購入した。濃度は、DPBS、pH7.2中、0.77mg/mLであった。IL-17の変異体(K70Q A132Q C106S変異を有する12-132、以下簡略化のためにIL-17)(配列番号22)を、Accelagen(CA)から購入した。タンパク質が、それらの独自の再折り畳みプロトコル後の大腸菌包封入体から再び折り畳まれ、20mMのNaCl、20mMのMES、pH6.0中1.50mg/mLで提供される。
【0683】
配列番号22(IL-17A変異体)
MNSEDKNFPRTVMVNLNIHNRNTNTNPKRSSDYYNRSTSPWNLHRNEDPERYPSVIWEAQCRHLGCINADGNVDYHMNSVPIQQEILVLRREPPHSPNSFRLEKILVSVGCTCVTPIVHHVQ
【0684】
6.2.1生成されたscFv及びspFv分子の熱安定性
scFv及びspFv分子の熱安定性を、示差熱熱量測定(DSC)によって調査した。scFv及びspFvタンパク質を、GLk1については1倍DPBS(Gibco)、GLk2についてはCAT2200a/CAT2200b又はMES(25mMのMES、pH6.0、100mMのNaCl)に対して一晩透析した。次いで、透析緩衝液は、0.22マイクロメートルで濾過され、参照溶液として、及びDSC実験における緩衝液緩衝ブランクのために使用された。タンパク質を、濾過した緩衝液中で約0.5mg/mLに希釈し、各タンパク質又は緩衝液試料400μLを96ディープウェルプレート(MicroLiter Analytical Supplies、07-2100)にロードし、実験の過程にわたってオートサンプラードロワー内で4℃に保持した。オートサンプラー(Malvern)を用いたMicroCalキャピラリーDSCを使用して、DSC実験を行った。DSCスキャンは、25~95℃で試料再スキャンなしの60℃/hのスキャン速度で行った。フィードバックを選択せず、フィルタリング期間を15秒に設定した。各試料後、細胞を10%のContrad-70溶液で洗浄し、緩衝液-緩衝液ブランクを実行した。Data解析を、MicroCal VP-キャピラリーDSC自動分析アドオン(Malvern)を用いたOrigin 7.0を使用して行った。ベースライン範囲及びタイプを手動で選択し、次いで、減算した。以前のバッファブランクを試料曲線から減算した後、濃度依存性正規化を行った。熱融解プロファイルを、2状態及び非2状態遷移の両方を使用して解析した。2状態フィット(1つの遷移)は、実験曲線とは十分に一致しなかった。したがって、2つの遷移(Tm1及びTm2)を、非2状態フィットを手動で行うことによって計算した。Tmデータを表6に報告する。すべてのscFv及びspFvタンパク質のDSCプロファイルは、非2状態遷移によってのみ適合され得る歪度を示した。したがって、各scFv又はspFvについて、2つの遷移(Tm1及びTm2)が報告された(表6)。ほぼ間違いなく、これらの2つの遷移は、それぞれVL及びVHドメインの融解Tmに対応する。一般に、Tm1又はTm2のいずれかについてのscFvとspFvとの間の違いの比較時に、開始scFvのTmに関係なく、ステープル処理によって約10℃の増加がある。例外が1つだけあり、すなわち、GLk2 scFvとspFv(VH-VL配向)との差が、約7℃である。これは、ステープル処理の幾何学的形状にわずかなひずみを引き起こし得るより短い6+4+6リンカーに起因する可能性が高い。ΔTm1(VL)及びΔTm2(VH)がほぼ同一であったという事実は、ステープル処理が、VL/VH相互作用を強化することに加えて、それ自体のドメインの安定化につながることを示唆している。代替的に、より強いVH/VL相互作用は、安定化効果をVL/VHドメインの安定化に伝達する。要約すると、本明細書に記載されているステープル処理は、scFvの安定性を大幅に増加させる。
【0685】
【表6】
【0686】
CAT2200 spFvを、IL-17へのその結合について試験した。結合は、CAT2200 scFvsと比較した場合に同等であった。
【0687】
6.3実施例3:生成されたscFv及びspFv分子の結晶化による適切なステープル処理の検証
タンパク質をそれぞれの緩衝液で濃縮した:GLk1 spFv VL-VHは、25mMのMES、pH6.0、100mMのNaCl中で8.67mg/ml、GLk1 spFv VH-VLは、25mMのMES、pH6.0、100mMのNaCl中で5mg/ml、GLk2 spFv VH-VLは、25mMのTris、pH7.5、100mMのNaCl中で8.66mg/ml、cat2200b spFv VH-VLは、25mMのMES、pH6.0、100mMのNaCl。結晶化を、Mosquitoロボットを使用してCorning 3550結晶トレイ中シッティングドロップフォーマットで各タンパク質について設定した。各ウェルは、100nlのタンパク質及び100nlのリザーバ溶液を含み、20℃で70μlのリザーバに対してインキュベートされた。リザーバ溶液は、IH1及びIH2カスタム条件、並びにPEG Ion Screen HT(Hampton Research)である。いくつかの初期条件は、最適化試行でリザーバ成分を変化させることによって精巧化された。回折品質の結晶が、scFv及びspFvタンパク質のいくつかについて得られた。表7は、使用した条件の概要を示す。結晶を、20%グリセロールを補足した母液中に数秒間浸し、液体窒素中で瞬間冷凍した。X線データを、Argonne National LabでIMCA-CAT Beamline 17IDで収集した。
【0688】
【表7】
【0689】
6.3.1IL-17と複合したCAT2200a scFv VL-VH及びCAT2200a spFv VL-VHの結晶化
IL-17/CAT2200a scFv VL-VH複合体は、333μLのIL17(配列番号22)(1.5mg/ml)を1.74mlのCat2200a scFv(0.69mg/mL)と混合し、4℃で3時間インキュベートすることによって生成した。混合物を、10kDaカットオフAmicon Ultra濃縮器で約400μLに濃縮し、250mMのNaCl、20mMのHEPES、pH7.5で平衡化されたSuperdex75カラムにロードした。複合体に対応する画分をプールし、150μLの体積まで濃縮した。試料を希釈し、4回濃縮した(350μL 50mMのNaCl、20mMのHEPES、pH7.5を添加し、150μL足らずの濃度にした)。体積を約105μLにし、濃度を2.69mg/mLと決定した。社内で事前に考案した緩衝液及び沈殿物条件のセットである80μLリザーバに対してCorning3550プレートにおいて150nLのタンパク質+150nLのリザーバを有するMosquito結晶化ロボットを使用して、結晶化をシッティングドロップ方式で設定した。プレートを、20℃でインキュベートした。条件(酢酸ナトリウム、pH4.5、25%のPEG3K、0.2MのAmアセテート)の1つにより、非常に小さな結晶が産生された。これらを収集し、Hampton Seedビーズチューブ中100μLの27%PEG3350、200mMの酢酸アンモニウム、100mMの酢酸ナトリウム、pH4.5においてHamptonシードビーズを使用して結晶化シードに変換した。
【0690】
回折品質の結晶は、上記のシード(150nLのタンパク質+100nLのリザーバ+50μLのシード)の添加を除いて、同じ手順で得られた。結晶を、0.1MのTris 8.5、18%のPEG3K、0.2MのLiSO4から成長し、合成母液(0.1MのTris、pH8.5、10%のPEG3350、0.2MのLiSO4及び20%のグリセロール)に移し、液体窒素中で急速凍結した。X線回折データを、Argonne国立研究所のIMCA-CAT ID17で収集した。
【0691】
IL-17-CAT2200a spFv VL-VH複合体を、167μlのIL-17(250μg)を154μlのMSCW274(250mMのNaCl、20mMのMES、pH6.5での467μg)と混合して、4℃で一晩インキュベートすることによって生成した。混合物を、10kDa MWCO Amicon Ultra 0.5mL濃縮器中で約100μLまで濃縮し、次いで、希釈を繰り返し、5回濃縮(約150μLまで濃縮)し、350μL 50mMのNaCl、20mM HEPES、pH7.5を加えた。最終体積は、100μLであり、複合体の濃度は、6.0mg/mlであるように決定された。結晶化を、Mosquitoロボットを使用してシッティングドロップにおけるscFv/IL-17複合体の場合と同様に設定した。シッティングドロップは、150nLのタンパク質+120nLのリザーバ+30nLのシード(上記のscFv/IL-17)からなる。リザーバ溶液は、様々なPEG3350濃度及び塩の条件のセットであった。結晶化プレートを、20℃でインキュベートした。小さい結晶が、15.5%のPEG3350、0.4MのNaH2PO4から得られた。結晶を、16%のPEG3350、0.2MのNaH2PO4、20%のグリセロール、及び急速凍結のLN2中に移した。X線回折データを、Argonne国立研究所のIMCA-CAT ID17で収集した。
【0692】
すべてのX線回折データをXDS(Kabsch et al.(2010)Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 66(Pt.2):125-132、Monsellier and Bedouelle(2006)J Mol Biol 362:580-593)及びCCP4(Collaborative Computational Project,N.(1994)Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 53:240-255)で処理した。すべての結晶構造は、scFv CAT2200a scFv VL-VH/IL-17複合体を除いて、MOE(Montreal、Canada)で生成された相同性モデルを用いたPhaser(Read(2001)Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 57(Pt 10):1373-1382)を使用して分子置換(MR)によって解析され、これに対してpdb id 2vxs(Gerhardt)の構造(Gerhardt et al.(2009)J Mol Biol 394:905-921)が、探索モデルとして使用された。構造モデルは、PHENIX(Adams et al.(2004)J Synchrotron Radiat 11(Pt 1):53-55)で精巧化され、Coot(Emsley et al.(2010)Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 66(Pt 4):486-501)で手動で調整された。分子グラフィック図は、PyMol(www_schrodinger_com)で生成された。
【0693】
6.3.2構造
未結合scFv及びspFv分子使用の構造を、図8図9図10及び図11に示す。図8は、GLk1 spFv VL-VHの構造を示す。図9は、GLk1 spFv VH-VLの構造を示す。図10は、GLk2 spFv VH-VLの構造を示す。図11は、CAT2200b spFv VH-VLの構造を示す。構造は、VLドメイン及びVHドメインの両方を互いに対してパッキングする典型的なFv構造と一致していた。一般に、リンカー残基の大部分は、電子密度マップで順序付けられ、解決された。ステープルとアンカーポイントとの間のジスルフィド結合は、一般に、VL-VH配向の両方で良好に順序付けられた。非結合scFv及びspFv構造に加えて、抗原結合に対する任意の構造的影響を明らかにすることも試みた。CAT2200 scFv及びspFvバリアント分子は、その同族標的IL-17と複合して結晶化した。結晶化したCAT2200バリアントのscFv及びspFvの場合、構造は、結合した標的の有無に関係なく、ほぼ同一である(図12図13図14)。図12は、IL-17に結合したCAT2200a scFv VL-VHと比較した、非結合CAT2200b spFv VH-VLの比較を示す。図13は、IL-17に結合したCAT2200a spFv VL-VHと比較した、非結合CAT2200b spFv VH-VLの構造の正面図の比較を示す。図14は、IL-17に結合したCAT2200a spFv VL-VHと比較した、非結合CAT2200b spFv VH-VLの構造の背面図の比較を示す。構造は、ステープルの配向又は有無に関係なく、同一であった。構造の対間のすべての一致するCα原子についてのrmsdは、非常に小さい(非結合spFv-VH-VLと抗原結合scFv-VL-VHとの間で0.41Å(図12)、非結合spFv-VH-VLとspFv-VL-VHとの間で0.46Å(図13及び図14のそれぞれ)、及び結合scFvと結合spFvとの間で0.37Å)。構造的証拠によって、ステープル処理が設計されたものとして機能することが示されている。また、ステープル処理は、VL及びVHドメイン構造又は相対VL/VHパッキングに影響を与えない。
【0694】
6.4実施例4:追加のアンカーポイントの設計
実施例1に記載のアプローチを使用して、ステープル処理のための任意の追加のアンカーポイントを識別した。以下のアンカーポイントが識別された。
【0695】
VL-リンカー-VH配向の場合:VL Chothia位置42、45及び39、並びにVH Chothia位置105、5及び3。図6では、GLk1VL上のVL残基は、K42、K45、K39であり、GLk1上のVH残基は、Q105、L5、及びQ3である。ステープルは、示された位置のうちのいずれかの間に形成される。
【0696】
VH-リンカー-VL配向(VH Chothia位置43、40及び46、VL Chothia位置102、5及び3)の場合、ステープルはそれらの位置のうちのいずれかの間に形成される。
【0697】
この実施例に記載のアンカーポイントを有するspFvは、本明細書に記載のアッセイ及び実施例2を使用して、ステープルの形成及びそれらの熱安定性についてクローニングされ、発現され、試験される。
【0698】
6.5実施例5:部分的ステープル処理
構築物は、VHとリンカーとの間又はVLとリンカーとの間のいずれかで、1つのステープルを含有するように生成及び発現される。生成された構築物は、本明細書に記載の方法を使用して発現され、精製され、分析される。
【0699】
6.6実施例6:spFvを含む多重特異性構築物
本明細書で提供されるspFv構造を組み込んだ例示的な多重特異性結合分子を、本実施例で構築及び試験した。具体的には、二重特異性抗体及び対照分子は、表8に示す標的結合分子由来であり、無血清/動物成分不含培地で、CHO懸濁培養液中で一過性に発現し、AKTA PURE機器(GE Healthcare)を使用して、タンパク質A親和性クロマトグラフィー、続いてSuperdex200 10/300GLカラム(GE Healthcare)上の分取サイズ排除クロマトグラフィー(size exclusion chromatography、SEC)によって精製した。重鎖は、ヘテロ二量体化を促進するknob-into-hole(KiH)変異を含んでいた(Ridgway et al.,Protein Eng.9(7):617-21(1996)、Atwell et al.,J.Mol.Biol.270(1):26-35(1997)、Merchant et al.,Nat.Biotechnol.16(7):677-81(1998))。抗体は、Fc受容体相互作用を低減する野生型IgG1と比較した場合、7つのFc変異-L234A、L235A、G237A、P238S、H268A、A330S、及びP331Sのセットを含むIgG1シグマFcを含有していた(Tam et al.,Antibodies(2017))。
【0700】
二重特異性抗体は、IgG1シグマ変異及びKiH変異により生成された。
【0701】
【表8】
:本明細書で使用されるEDBmAb1(国際公開第9745544号)は、診療所で試験された抗ED-B抗体であり、ED-B又は隣接ドメインに結合する他の抗体は、以前に記載されている(Carnemolla et al.Int.J.Cancer 68:397-405(1996))。
【0702】
表8における配列は、以下のとおりである。
配列番号69(VH BHA10)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTTYYLHWVRQAPGQGLEWMGWIYPGNVHAQYNEKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSWEGFPYWGQGTTVTVSS
【0703】
配列番号70(VL BHA10)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQNVGINVAWYQQKPGKAPKSLISSASYRYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYFCQQYDTYPFTFGQGTKVEIK
【0704】
配列番号71(VH L19)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSFSMSWVRQAPGKGLEWVSSISGSSGTTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKPFPYFDYWGQGTLVTVSS
【0705】
配列番号72(VL L19)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSSFLAWYQQKPGQAPRLLIYYASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQTGRIPPTFGQGTKVEIK
【0706】
配列番号73(VH B21M)
QITLKESGPTLVKPTQTLTLTCTFSGFSLSTSGMGVSWIRQPPGKALEWLAHIYWDDDKRYNPSLKSRLTITKDTSKNQVVLTMTNMDPVDTATYYCARLYGFTYGFAYWGQGTLVTVSS
【0707】
配列番号74(VL B21M)
DIVMTQSPDSLAVSLGERATINCRASQSVDYNGISYMHWYQQKPGQPPKLLIYAASNPESGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYCQQIIEDPWTFGQGTKVEIK
【0708】
配列番号75(VH MSLNmAb1)
QVQLQQSGPELEKPGASVKISCKASGYSFTGYTMNWVKQSHGKSLEWIGLITPYNGASSYNQKFRGKATLTVDKSSSTAYMDLLSLTSEDSAVYFCARGGYDGRGFDYWGSGTPVTVSS
【0709】
配列番号76(VL MSLNmAb1)
DIELTQSPAIMSASPGEKVTMTCSASSSVSYMHWYQQKSGTSPKRWIYDTSKLASGVPGRFSGSGSGNSYSLTISSVEAEDDATYYCQQWSKHPLTFGSGTKVEIK
【0710】
タンパク質濃度が、280nmでの吸光度測定によって決定され(OD280)、精製収率が決定された。分析SECを、Thermo VANQUISH HPLCシステムにおけるBio SEC-5カラム(Agilent、5μmの粒子サイズ、300Å)を使用して行った。10μlの精製タンパク質をカラムに充填し、溶出をOD280によって記録した。
【0711】
表9は、本実施例に記載の二重特異性抗体及び対照分子の構造的特性の概要を示す。ボールド体の分子は、本発明による例示的な分子であり、他のものは、異なる態様の対照である。表10は、実施例9で論じられるように、LTBR及びメソテリン(細胞外マトリックスに存在しない腫瘍関連抗原)を標的とする別の匹敵する二重特異性抗体の構造的特性を示す。
【0712】
【表9】
:Fc部分における変異は、タンパク質Aへの結合を抑制し、国際公開第2010/151792号に記載されるヘテロ二量体の精製を促進する。
【0713】
【表10】
【0714】
上に列挙した2:1の化学量論(すべてのIgG1シグマ、すべてのKiH変異あり)を有する非対称抗体を以下のように生成した。
i.COVA1484は、N末端ステープル処理scFv BHA10(VH-VL配向配列番号77)融合(配列番号78、配列番号79を含む)を担持する抗RSV B21M抗体重鎖の抗RSV B21M抗体の重鎖(HC、配列番号80)及び軽鎖(LC、配列番号81)との共発現によって生成した(図15A)。
【0715】
配列番号77[ステープル処理scFv BHA10(VH-VL)]
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTTYYLHWVRQAPGCGLEWMGWIYPGNVHAQYNEKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSWEGFPYWGQGTTVTVSSGGGSGGGSGCPPCGGGGDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQNVGINVAWYQQKPGKAPKSLISSASYRYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYFCQQYDTYPFTFGCGTKVEIK
【0716】
配列番号78(HC B21M N末端ステープル処理BHA10(VH-VL)、IgG1s、ノブ、pA変異あり)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTTYYLHWVRQAPGCGLEWMGWIYPGNVHAQYNEKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSWEGFPYWGQGTTVTVSSGGGSGGGSGCPPCGGGGDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQNVGINVAWYQQKPGKAPKSLISSASYRYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYFCQQYDTYPFTFGCGTKVEIKGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSQITLKESGPTLVKPTQTLTLTCTFSGFSLSTSGMGVSWIRQPPGKALEWLAHIYWDDDKRYNPSLKSRLTITKDTSKNQVVLTMTNMDPVDTATYYCARLYGFTYGFAYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPCREEMTKNQVSLWCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNRFTQKSLSLSPGK
【0717】
配列番号79(pA変異ありのHC B21M(RSV)IgG1sノブ)
QITLKESGPTLVKPTQTLTLTCTFSGFSLSTSGMGVSWIRQPPGKALEWLAHIYWDDDKRYNPSLKSRLTITKDTSKNQVVLTMTNMDPVDTATYYCARLYGFTYGFAYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPCREEMTKNQVSLWCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNRFTQKSLSLSPGK
【0718】
配列番号80(HC B21M(RSV)IgG1sホール)
QITLKESGPTLVKPTQTLTLTCTFSGFSLSTSGMGVSWIRQPPGKALEWLAHIYWDDDKRYNPSLKSRLTITKDTSKNQVVLTMTNMDPVDTATYYCARLYGFTYGFAYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVCTLPPSREEMTKNQVSLSCAVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLVSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0719】
配列番号81[LC B21M(RSV)]
DIVMTQSPDSLAVSLGERATINCRASQSVDYNGISYMHWYQQKPGQPPKLLIYAASNPESGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYCQQIIEDPWTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0720】
ii.COVA1485は、N末端ステープル処理scFv BHA10(VL-VH配向配列番号82)融合(配列番号83、配列番号79を含む)を担持する抗RSV B21M抗体重鎖の抗RSV B21M抗体の重鎖(HC、配列番号80)及び軽鎖(LC、配列番号81)との共発現によって生成した(図15B)。
【0721】
配列番号82[ステープル処理scFv BHA10(VL-VH)]
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQNVGINVAWYQQKPGCAPKSLISSASYRYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYFCQQYDTYPFTFGQGTKVEIKGGSGGSGGCPPCGSGGQVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTTYYLHWVRQAPGQGLEWMGWIYPGNVHAQYNEKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSWEGFPYWGCGTTVTVSS
【0722】
配列番号83(HCB 21M N末端ステープル処理BHA10(VL-VH)、IgG1s、ノブ、pA変異あり)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQNVGINVAWYQQKPGCAPKSLISSASYRYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYFCQQYDTYPFTFGQGTKVEIKGGSGGSGGCPPCGSGGQVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTTYYLHWVRQAPGQGLEWMGWIYPGNVHAQYNEKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSWEGFPYWGCGTTVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSQITLKESGPTLVKPTQTLTLTCTFSGFSLSTSGMGVSWIRQPPGKALEWLAHIYWDDDKRYNPSLKSRLTITKDTSKNQVVLTMTNMDPVDTATYYCARLYGFTYGFAYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPCREEMTKNQVSLWCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNRFTQKSLSLSPGK
【0723】
配列番号79(pA変異ありのHC B21M(RSV)IgG1sノブ)
QITLKESGPTLVKPTQTLTLTCTFSGFSLSTSGMGVSWIRQPPGKALEWLAHIYWDDDKRYNPSLKSRLTITKDTSKNQVVLTMTNMDPVDTATYYCARLYGFTYGFAYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPCREEMTKNQVSLWCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNRFTQKSLSLSPGK
【0724】
配列番号80(HC B21M(RSV)IgG1sホール)
QITLKESGPTLVKPTQTLTLTCTFSGFSLSTSGMGVSWIRQPPGKALEWLAHIYWDDDKRYNPSLKSRLTITKDTSKNQVVLTMTNMDPVDTATYYCARLYGFTYGFAYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVCTLPPSREEMTKNQVSLSCAVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLVSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0725】
配列番号81[LC B21M(RSV)]
DIVMTQSPDSLAVSLGERATINCRASQSVDYNGISYMHWYQQKPGQPPKLLIYAASNPESGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYCQQIIEDPWTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0726】
iii.COVA1486は、C末端ステープル処理scFv BHA10(VH-VL配向配列番号77)融合(配列番号84、配列番号79を含む)を担持する抗RSV B21M抗体重鎖の抗RSV B21M抗体の重鎖(HC、配列番号80)及び軽鎖(LC、配列番号81)との共発現によって生成した(図15C)。
【0727】
配列番号77[ステープル処理scFv BHA10(VH-VL)]
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTTYYLHWVRQAPGCGLEWMGWIYPGNVHAQYNEKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSWEGFPYWGQGTTVTVSSGGGSGGGSGCPPCGGGGDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQNVGINVAWYQQKPGKAPKSLISSASYRYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYFCQQYDTYPFTFGCGTKVEIK
【0728】
配列番号84(HC B21M C末端ステープル処理BHA(VH-VL)、IgG1s、ノブ、pA変異あり)
QITLKESGPTLVKPTQTLTLTCTFSGFSLSTSGMGVSWIRQPPGKALEWLAHIYWDDDKRYNPSLKSRLTITKDTSKNQVVLTMTNMDPVDTATYYCARLYGFTYGFAYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPCREEMTKNQVSLWCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNRFTQKSLSLSPGKGGGGSGGGGSGGGGSQVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTTYYLHWVRQAPGCGLEWMGWIYPGNVHAQYNEKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSWEGFPYWGQGTTVTVSSGGGSGGGSGCPPCGGGGDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQNVGINVAWYQQKPGKAPKSLISSASYRYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYFCQQYDTYPFTFGCGTKVEIK
【0729】
配列番号79(pA変異ありのHC B21M(RSV)IgG1sノブ)
QITLKESGPTLVKPTQTLTLTCTFSGFSLSTSGMGVSWIRQPPGKALEWLAHIYWDDDKRYNPSLKSRLTITKDTSKNQVVLTMTNMDPVDTATYYCARLYGFTYGFAYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPCREEMTKNQVSLWCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNRFTQKSLSLSPGK
【0730】
配列番号80(HC B21M(RSV)IgG1sホール)
QITLKESGPTLVKPTQTLTLTCTFSGFSLSTSGMGVSWIRQPPGKALEWLAHIYWDDDKRYNPSLKSRLTITKDTSKNQVVLTMTNMDPVDTATYYCARLYGFTYGFAYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVCTLPPSREEMTKNQVSLSCAVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLVSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0731】
配列番号81[LC B21M(RSV)]
DIVMTQSPDSLAVSLGERATINCRASQSVDYNGISYMHWYQQKPGQPPKLLIYAASNPESGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYCQQIIEDPWTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0732】
iv.COVA1487は、C末端ステープル処理scFv BHA10(VL-VH配向配列番号82)融合(配列番号85、配列番号79を含む)を担持する抗RSV B21M抗体重鎖の抗RSV B21M抗体の重鎖(HC、配列番号80)及び軽鎖(LC、配列番号81)との共発現によって生成した(図15D)。
【0733】
配列番号82[ステープル処理scFv BHA10(VL-VH)]
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQNVGINVAWYQQKPGCAPKSLISSASYRYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYFCQQYDTYPFTFGQGTKVEIKGGSGGSGGCPPCGSGGQVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTTYYLHWVRQAPGQGLEWMGWIYPGNVHAQYNEKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSWEGFPYWGCGTTVTVSS
【0734】
配列番号85(HC B21M Cステープル処理BHA(VL-VH)、IgG1s、ノブ、pA変異あり)
QITLKESGPTLVKPTQTLTLTCTFSGFSLSTSGMGVSWIRQPPGKALEWLAHIYWDDDKRYNPSLKSRLTITKDTSKNQVVLTMTNMDPVDTATYYCARLYGFTYGFAYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPCREEMTKNQVSLWCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNRFTQKSLSLSPGKGGGGSGGGGSGGGGSDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQNVGINVAWYQQKPGCAPKSLISSASYRYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYFCQQYDTYPFTFGQGTKVEIKGGSGGSGGCPPCGSGGQVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTTYYLHWVRQAPGQGLEWMGWIYPGNVHAQYNEKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSWEGFPYWGCGTTVTVSS
【0735】
配列番号79(pA変異ありのHC B21M(RSV)IgG1sノブ)
QITLKESGPTLVKPTQTLTLTCTFSGFSLSTSGMGVSWIRQPPGKALEWLAHIYWDDDKRYNPSLKSRLTITKDTSKNQVVLTMTNMDPVDTATYYCARLYGFTYGFAYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPCREEMTKNQVSLWCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNRFTQKSLSLSPGK
【0736】
配列番号80(HC B21M(RSV)IgG1sホール)
QITLKESGPTLVKPTQTLTLTCTFSGFSLSTSGMGVSWIRQPPGKALEWLAHIYWDDDKRYNPSLKSRLTITKDTSKNQVVLTMTNMDPVDTATYYCARLYGFTYGFAYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVCTLPPSREEMTKNQVSLSCAVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLVSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0737】
配列番号81[LC B21M(RSV)]
DIVMTQSPDSLAVSLGERATINCRASQSVDYNGISYMHWYQQKPGQPPKLLIYAASNPESGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYCQQIIEDPWTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0738】
v.COVA1480は、N末端ステープル処理scFv BHA10(VH-VL配向配列番号77)融合(配列番号86、配列番号87を含む)を担持する抗EDB抗体EDBmAb1重鎖の抗EDB抗体EDBmAb1の重鎖(HC、配列番号88)及び軽鎖(LC、配列番号89)との共発現によって生成した(図15E)。
【0739】
配列番号77[ステープル処理scFv BHA10(VH-VL)]
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTTYYLHWVRQAPGCGLEWMGWIYPGNVHAQYNEKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSWEGFPYWGQGTTVTVSSGGGSGGGSGCPPCGGGGDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQNVGINVAWYQQKPGKAPKSLISSASYRYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYFCQQYDTYPFTFGCGTKVEIK
【0740】
配列番号86(HC L19 Nステープル処理BHA10(VH-VL)、IgG1s、ノブ、pA変異あり)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTTYYLHWVRQAPGCGLEWMGWIYPGNVHAQYNEKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSWEGFPYWGQGTTVTVSSGGGSGGGSGCPPCGGGGDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQNVGINVAWYQQKPGKAPKSLISSASYRYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYFCQQYDTYPFTFGCGTKVEIKGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSEVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSFSMSWVRQAPGKGLEWVSSISGSSGTTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKPFPYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPCREEMTKNQVSLWCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNRFTQKSLSLSPGK
【0741】
配列番号87(pA変異ありのHC L19 IgG1sノブ)
VQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSFSMSWVRQAPGKGLEWVSSISGSSGTTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKPFPYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPCREEMTKNQVSLWCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNRFTQKSLSLSPGK
【0742】
配列番号88(HC L19 IgG1sホール)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSFSMSWVRQAPGKGLEWVSSISGSSGTTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKPFPYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVCTLPPSREEMTKNQVSLSCAVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLVSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0743】
配列番号89(LC L19)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSSFLAWYQQKPGQAPRLLIYYASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQTGRIPPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0744】
vi.COVA1481は、N末端ステープル処理scFv BHA10(VL-VH配向配列番号82)融合(配列番号90、配列番号87を含む)を担持する抗EDB抗体EDBmAb1重鎖の抗EDB抗体EDBmAb1の重鎖(HC、配列番号88)及び軽鎖(LC、配列番号89)との共発現によって生成した(図15F)。
【0745】
配列番号82[ステープル処理scFv BHA10(VL-VH)]
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQNVGINVAWYQQKPGCAPKSLISSASYRYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYFCQQYDTYPFTFGQGTKVEIKGGSGGSGGCPPCGSGGQVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTTYYLHWVRQAPGQGLEWMGWIYPGNVHAQYNEKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSWEGFPYWGCGTTVTVSS
【0746】
配列番号90(HC L19 Nステープル処理BHA10(VL-VH)、IgG1s、ノブ、pA変異あり)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQNVGINVAWYQQKPGCAPKSLISSASYRYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYFCQQYDTYPFTFGQGTKVEIKGGSGGSGGCPPCGSGGQVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTTYYLHWVRQAPGQGLEWMGWIYPGNVHAQYNEKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSWEGFPYWGCGTTVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSEVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSFSMSWVRQAPGKGLEWVSSISGSSGTTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKPFPYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPCREEMTKNQVSLWCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNRFTQKSLSLSPGK
【0747】
配列番号87(pA変異ありのHC L19 IgG1sノブ)
VQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSFSMSWVRQAPGKGLEWVSSISGSSGTTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKPFPYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPCREEMTKNQVSLWCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNRFTQKSLSLSPGK
【0748】
配列番号88(HC L19 IgG1sホール)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSFSMSWVRQAPGKGLEWVSSISGSSGTTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKPFPYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVCTLPPSREEMTKNQVSLSCAVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLVSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0749】
配列番号89(LC L19)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSSFLAWYQQKPGQAPRLLIYYASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQTGRIPPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0750】
vii.COVA1482は、C末端ステープル処理scFv BHA10(VH-VL配向配列番号77)融合(配列番号91、配列番号87を含む)を担持する抗EDB抗体EDBmAb1重鎖の抗EDB抗体EDBmAb1の重鎖(HC、配列番号88)及び軽鎖(LC、配列番号89)との共発現によって生成した(図15G)。
【0751】
配列番号77[ステープル処理scFv BHA10(VH-VL)]
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTTYYLHWVRQAPGCGLEWMGWIYPGNVHAQYNEKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSWEGFPYWGQGTTVTVSSGGGSGGGSGCPPCGGGGDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQNVGINVAWYQQKPGKAPKSLISSASYRYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYFCQQYDTYPFTFGCGTKVEIK
【0752】
配列番号91(HC L19 Cステープル処理BHA10(VH-VL)、IgG1s、ノブ、pA変異あり)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSFSMSWVRQAPGKGLEWVSSISGSSGTTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKPFPYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPCREEMTKNQVSLWCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNRFTQKSLSLSPGKGGGGSGGGGSGGGGSQVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTTYYLHWVRQAPGCGLEWMGWIYPGNVHAQYNEKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSWEGFPYWGQGTTVTVSSGGGSGGGSGCPPCGGGGDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQNVGINVAWYQQKPGKAPKSLISSASYRYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYFCQQYDTYPFTFGCGTKVEIK
【0753】
配列番号87(pA変異ありのHC L19 IgG1sノブ)
VQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSFSMSWVRQAPGKGLEWVSSISGSSGTTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKPFPYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPCREEMTKNQVSLWCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNRFTQKSLSLSPGK
【0754】
配列番号88(HC L19 IgG1sホール)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSFSMSWVRQAPGKGLEWVSSISGSSGTTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKPFPYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVCTLPPSREEMTKNQVSLSCAVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLVSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0755】
配列番号89(LC L19)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSSFLAWYQQKPGQAPRLLIYYASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQTGRIPPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0756】
viii.COVA1483は、C末端ステープル処理scFv BHA10(VL-VH配向配列番号82)融合(配列番号92、配列番号87を含む)を担持する抗EDB抗体EDBmAb1重鎖の抗EDB抗体EDBmAb1の重鎖(HC、配列番号88)及び軽鎖(LC、配列番号89)との共発現によって生成した(図15H)。
【0757】
配列番号82[ステープル処理scFv BHA10(VL-VH)]
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQNVGINVAWYQQKPGCAPKSLISSASYRYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYFCQQYDTYPFTFGQGTKVEIKGGSGGSGGCPPCGSGGQVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTTYYLHWVRQAPGQGLEWMGWIYPGNVHAQYNEKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSWEGFPYWGCGTTVTVSS
【0758】
配列番号92(HC L19 Cステープル処理BHA10(VL-VH)、IgG1s、ノブ、pA変異あり)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSFSMSWVRQAPGKGLEWVSSISGSSGTTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKPFPYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPCREEMTKNQVSLWCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNRFTQKSLSLSPGKGGGGSGGGGSGGGGSDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQNVGINVAWYQQKPGCAPKSLISSASYRYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYFCQQYDTYPFTFGQGTKVEIKGGSGGSGGCPPCGSGGQVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTTYYLHWVRQAPGQGLEWMGWIYPGNVHAQYNEKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSWEGFPYWGCGTTVTVSS
【0759】
配列番号87(pA変異ありのHC L19 IgG1sノブ)
VQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSFSMSWVRQAPGKGLEWVSSISGSSGTTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKPFPYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPCREEMTKNQVSLWCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNRFTQKSLSLSPGK
【0760】
配列番号88(HC L19 IgG1sホール)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSFSMSWVRQAPGKGLEWVSSISGSSGTTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKPFPYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVCTLPPSREEMTKNQVSLSCAVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLVSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0761】
配列番号89(LC L19)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSSFLAWYQQKPGQAPRLLIYYASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQTGRIPPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0762】
ix.COVA14107は、C末端ステープル処理scFv BHA10(VH-VL配向、VL3 Y36F_S49Y_F87Y配列番号93)融合(配列番号94、配列番号87を含む)を担持する抗EDB抗体EDBmAb1重鎖の抗EDB抗体EDBmAb1の重鎖(HC、配列番号88)及び軽鎖(LC、配列番号89)との共発現によって生成した(図15I)。
【0763】
配列番号93[ステープル処理scFv(VL3_Y36F_S49Y_F87Y)BHA10(VH-VL)]
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTTYYLHWVRQAPGCGLEWMGWIYPGNVHAQYNEKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSWEGFPYWGQGTTVTVSSGGGSGGGSGCPPCGGGGDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQNVGINVAWFQQKPGKAPKSLIYSASYRYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYDTYPFTFGCGTKVEIK
【0764】
配列番号94(HC L19 Cステープル処理(VL3_Y36F S49Y_F87Y)BHA(VH-VL)、IgG1s、ノブ、pA変異あり)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSFSMSWVRQAPGKGLEWVSSISGSSGTTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKPFPYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPCREEMTKNQVSLWCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNRFTQKSLSLSPGKGGGGSGGGGSGGGGSQVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTTYYLHWVRQAPGCGLEWMGWIYPGNVHAQYNEKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSWEGFPYWGQGTTVTVSSGGGSGGGSGCPPCGGGGDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQNVGINVAWFQQKPGKAPKSLIYSASYRYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYDTYPFTFGCGTKVEIK
【0765】
配列番号87(pA変異ありのHC L19 IgG1sノブ)
VQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSFSMSWVRQAPGKGLEWVSSISGSSGTTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKPFPYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPCREEMTKNQVSLWCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNRFTQKSLSLSPGK
【0766】
配列番号88(HC L19 IgG1sホール)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSFSMSWVRQAPGKGLEWVSSISGSSGTTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKPFPYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVCTLPPSREEMTKNQVSLSCAVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLVSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0767】
配列番号89(LC L19)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSSFLAWYQQKPGQAPRLLIYYASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQTGRIPPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0768】
x.COVA14108は、C末端ステープル処理scFv BHA10(VH-VL配向、VH_CDR1_Y33A配列番号95)融合(配列番号96、配列番号87を含む)を担持する抗EDB抗体EDBmAb1重鎖の抗EDB抗体EDBmAb1の重鎖(HC、配列番号88)及び軽鎖(LC、配列番号89)との共発現によって生成した(図15J)。
【0769】
配列番号95[ステープル処理scFv(VH_CDR1_Y33A)BHA10(VH-VL)]
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTTYALHWVRQAPGCGLEWMGWIYPGNVHAQYNEKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSWEGFPYWGQGTTVTVSSGGGSGGGSGCPPCGGGGDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQNVGINVAWYQQKPGKAPKSLISSASYRYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYFCQQYDTYPFTFGCGTKVEIK
【0770】
配列番号96(HC L19 Cステープル処理(VH_CDR1_Y33A)BHA10(VH-VL)、IgG 1s、ノブ、pA変異あり)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSFSMSWVRQAPGKGLEWVSSISGSSGTTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKPFPYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPCREEMTKNQVSLWCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNRFTQKSLSLSPGKGGGGSGGGGSGGGGSQVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTTYALHWVRQAPGCGLEWMGWIYPGNVHAQYNEKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSWEGFPYWGQGTTVTVSSGGGSGGGSGCPPCGGGGDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQNVGINVAWYQQKPGKAPKSLISSASYRYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYFCQQYDTYPFTFGCGTKVEIK
【0771】
配列番号87(pA変異ありのHC L19 IgG1sノブ)
VQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSFSMSWVRQAPGKGLEWVSSISGSSGTTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKPFPYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPCREEMTKNQVSLWCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNRFTQKSLSLSPGK
【0772】
配列番号88(HC L19 IgG1sホール)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSFSMSWVRQAPGKGLEWVSSISGSSGTTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKPFPYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVCTLPPSREEMTKNQVSLSCAVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLVSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0773】
配列番号89(LC L19)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSSFLAWYQQKPGQAPRLLIYYASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQTGRIPPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0774】
xi.COVA14133は、C末端ステープル処理scFv BHA10(VH-VL配向配列番号77)融合(配列番号97、配列番号98を含む)を担持する抗EDB抗体EDBmAb1重鎖の抗EDB抗体EDBmAb1の重鎖(HC、配列番号88)及び軽鎖(LC、配列番号89)との共発現によって生成した(図15K)。
【0775】
配列番号77[ステープル処理scFv BHA10(VH-VL)]
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTTYYLHWVRQAPGCGLEWMGWIYPGNVHAQYNEKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSWEGFPYWGQGTTVTVSSGGGSGGGSGCPPCGGGGDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQNVGINVAWYQQKPGKAPKSLISSASYRYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYFCQQYDTYPFTFGCGTKVEIK
【0776】
配列番号97(HC L19 Cステープル処理BHA10(VH-VL)、IgG1s、ノブ、pA変異あり)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSFSMSWVRQAPGKGLEWVSSISGSSGTTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKPFPYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPCREEMTKNQVSLWCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKGGGGSGGGGSGGGGSQVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTTYYLHWVRQAPGCGLEWMGWIYPGNVHAQYNEKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSWEGFPYWGQGTTVTVSSGGGSGGGSGCPPCGGGGDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQNVGINVAWYQQKPGKAPKSLISSASYRYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYFCQQYDTYPFTFGCGTKVEIK
【0777】
配列番号98(HC L19 IgG1sノブ)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSFSMSWVRQAPGKGLEWVSSISGSSGTTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKPFPYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPCREEMTKNQVSLWCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0778】
配列番号88(HC L19 IgG1sホール)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSFSMSWVRQAPGKGLEWVSSISGSSGTTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKPFPYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVCTLPPSREEMTKNQVSLSCAVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLVSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0779】
配列番号89(LC L19)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSSFLAWYQQKPGQAPRLLIYYASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQTGRIPPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0780】
xii.COVA14136は、C末端ステープル処理scFv BHA10(VH-VL配向配列番号77)融合(配列番号99、配列番号100を含む)を担持する抗RSV B21M抗体重鎖の抗EDB抗体EDBmAb1の重鎖(HC、配列番号88)及び軽鎖(LC、配列番号81)との共発現によって生成sひた(図15L)。
【0781】
配列番号77[ステープル処理scFv BHA10(VH-VL)]
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTTYYLHWVRQAPGCGLEWMGWIYPGNVHAQYNEKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSWEGFPYWGQGTTVTVSSGGGSGGGSGCPPCGGGGDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQNVGINVAWYQQKPGKAPKSLISSASYRYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYFCQQYDTYPFTFGCGTKVEIK
【0782】
配列番号99(HC B21M Cステープル処理BHA10(VH-VL)、IgG1s、ノブ、pA変異なし)
QITLKESGPTLVKPTQTLTLTCTFSGFSLSTSGMGVSWIRQPPGKALEWLAHIYWDDDKRYNPSLKSRLTITKDTSKNQVVLTMTNMDPVDTATYYCARLYGFTYGFAYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPCREEMTKNQVSLWCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKGGGGSGGGGSGGGGSQVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTTYYLHWVRQAPGCGLEWMGWIYPGNVHAQYNEKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSWEGFPYWGQGTTVTVSSGGGSGGGSGCPPCGGGGDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQNVGINVAWYQQKPGKAPKSLISSASYRYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYFCQQYDTYPFTFGCGTKVEIK
【0783】
配列番号100(HC B21M(RSV)IgG1sノブ)
QITLKESGPTLVKPTQTLTLTCTFSGFSLSTSGMGVSWIRQPPGKALEWLAHIYWDDDKRYNPSLKSRLTITKDTSKNQVVLTMTNMDPVDTATYYCARLYGFTYGFAYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPCREEMTKNQVSLWCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0784】
配列番号80(HC B21M(RSV)IgG1sホール)
QITLKESGPTLVKPTQTLTLTCTFSGFSLSTSGMGVSWIRQPPGKALEWLAHIYWDDDKRYNPSLKSRLTITKDTSKNQVVLTMTNMDPVDTATYYCARLYGFTYGFAYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVCTLPPSREEMTKNQVSLSCAVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLVSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0785】
配列番号81[LC B21M(RSV)]
DIVMTQSPDSLAVSLGERATINCRASQSVDYNGISYMHWYQQKPGQPPKLLIYAASNPESGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYCQQIIEDPWTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0786】
xiii.COVA14146は、C末端ステープル処理scFv BHA10(VH-VL配向配列番号77)融合(配列番号101、配列番号102を含む)を担持する抗メソテリン抗体MSLNmAb1重鎖の抗メソテリン抗体MSLNmAb1の重鎖(HC、配列番号88)及び軽鎖(LC、配列番号104)との共発現によって生成した(図15M)。
【0787】
配列番号77[ステープル処理scFv BHA10(VH-VL)]
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTTYYLHWVRQAPGCGLEWMGWIYPGNVHAQYNEKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSWEGFPYWGQGTTVTVSSGGGSGGGSGCPPCGGGGDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQNVGINVAWYQQKPGKAPKSLISSASYRYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYFCQQYDTYPFTFGCGTKVEIK
【0788】
配列番号101(MSLNmAb1 HC Cステープル処理BHA10(VH-VL)、IgG1s、ノブ、pA変異あり)
QVQLQQSGPELEKPGASVKISCKASGYSFTGYTMNWVKQSHGKSLEWIGLITPYNGASSYNQKFRGKATLTVDKSSSTAYMDLLSLTSEDSAVYFCARGGYDGRGFDYWGSGTPVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPCREEMTKNQVSLWCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNRFTQKSLSLSPGKGGGGSGGGGSGGGGSQVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTTYYLHWVRQAPGCGLEWMGWIYPGNVHAQYNEKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSWEGFPYWGQGTTVTVSSGGGSGGGSGCPPCGGGGDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQNVGINVAWYQQKPGKAPKSLISSASYRYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYFCQQYDTYPFTFGCGTKVEIK
【0789】
配列番号102(MSLNmAb1 HC、IgG1s、ノブ、pA変異あり)
QVQLQQSGPELEKPGASVKISCKASGYSFTGYTMNWVKQSHGKSLEWIGLITPYNGASSYNQKFRGKATLTVDKSSSTAYMDLLSLTSEDSAVYFCARGGYDGRGFDYWGSGTPVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPCREEMTKNQVSLWCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNRFTQKSLSLSPGK
【0790】
配列番号103(HC MSLNmAb1 IgG1sホール)
QVQLQQSGPELEKPGASVKISCKASGYSFTGYTMNWVKQSHGKSLEWIGLITPYNGASSYNQKFRGKATLTVDKSSSTAYMDLLSLTSEDSAVYFCARGGYDGRGFDYWGSGTPVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVCTLPPSREEMTKNQVSLSCAVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLVSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0791】
配列番号104(LC MLSNmAb1)
DIELTQSPAIMSASPGEKVTMTCSASSSVSYMHWYQQKSGTSPKRWIYDTSKLASGVPGRFSGSGSGNSYSLTISSVEAEDDATYYCQQWSKHPLTFGSGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0792】
上記のすべての構築物を、高収率及び高純度で発現及び精製することができ(下の表11を参照されたい)、本明細書で提供されるspFvを組み込んだ二重特異性構築物が良好な生物物理学的特性を有することが示されている。
【0793】
【表11】
【0794】
6.7実施例7:EDB依存性インビトロLTBR活性化-NF-κBルシフェラーゼレポーターアッセイ
EDB/LTBR二重特異体がEDB依存的な方法でLTBRを活性化することができることを示すために、化合物の活性を、EDB含有フィブロネクチン(EDB+フィブロネクチン)の存在下又は非存在下でのA549細胞NF-κBルシフェラーゼレポーターアッセイで試験した。NF-κBシグナル伝達は、細胞発生及び免疫ホメオスタシスの調節において中心的役割を果たす。腫瘍壊死因子受容体(tumor necrosis factor receptor、TNFR)又はTNFRスーパーファミリーメンバー(例えば、LTBR)を介したNF-κBの活性化は、それらのそれぞれのリガンドとの関与時に発生する。A549肺上皮細胞株は、LTBRを自然に発現し、NF-κBルシフェラーゼレポーター構築物は、A549肺上皮細胞株のゲノムに安定的に組み込まれる。刺激剤による活性化に続いて、内因性NF-κB転写因子は、DNA応答要素に結合して、ルシフェラーゼ遺伝子の転写を誘導する。
【0795】
LTBRのEDB依存性活性化を実証するために、高結合96ウェルμClear平底プレート(Greiner;Monroe、NC)に、150ng/ウェルのヒト組換えEDBフィブロネクチンドメイン7-B-8-9(EDB、配列番号105)又は150ng/ウェルのヒト組換えフィブロネクチンドメイン7-8-9(EDB-、配列番号106)(これらの配列を、以下に列挙している)を一晩コーティングした。
【0796】
配列番号105(フィブロネクチンドメイン7B89)
PLSPPTNLHLEANPDTGVLTVSWERSTTPDITGYRITTTPTNGQQGNSLEEVVHADQSSCTFDNLSPGLEYNVSVYTVKDDKESVPISDTIIPEVPQLTDLSFVDITDSSIGLRWTPLNSSTIIGYRITVVAAGEGIPIFEDFVDSSVGYYTVTGLEPGIDYDISVITLINGGESAPTTLTQQTAVPPPTDLRFTNIGPDTMRVTWAPPPSIDLTNFLVRYSPVKNEEDVAELSISPSDNAVVLTNLLPGTEYVVSVSSVYEQHESTPLRGRQKTGLDSPTGIDFSDITANSFTVHWIAPRATITGYRIRHHPEHFSGRPREDRVPHSRNSITLTNLTPGTEYVVSIVALNGREESPLLIGQQSTHHHHHH
【0797】
配列番号106(フィブロネクチンドメイン789)
PLSPPTNLHLEANPDTGVLTVSWERSTTPDITGYRITTTPTNGQQGNSLEEVVHADQSSCTFDNLSPGLEYNVSVYTVKDDKESVPISDTIIPAVPPPTDLRFTNIGPDTMRVTWAPPPSIDLTNFLVRYSPVKNEEDVAELSISPSDNAVVLTNLLPGTEYVVSVSSVYEQHESTPLRGRQKTGLDSPTGIDFSDITANSFTVHWIAPRATITGYRIRHHPEHFSGRPREDRVPHSRNSITLTNLTPGTEYVVSIVALNGREESPLLIGQQSTHHHHHH
【0798】
一晩インキュベートした後、コーティングされたプレートをPBSで洗浄し、アッセイ培地(DMEM+10%熱不活性化FBS)で37℃で2時間ブロックした。試験される化合物の1:5希釈系列を、2倍濃度ストックとしてアッセイ培地で調製した(試験した最終濃度は、200nM~2.6pMの範囲であった)。ブロッキング溶液を吸引によって除去した後、50μlの希釈した化合物をプレブロックされたプレートに添加した。50μlのA549細胞懸濁液(細胞懸濁液の濃度=0.4Mio細胞/mlアッセイ培地)を、各ウェルに添加した(20,000細胞/ウェル)。A549細胞は、Accutase/EDTAを使用することによって細胞培養フラスコから予め分離され、次いでアッセイ培地で移植された。細胞を化合物とともに37℃/5%COで18~20時間インキュベートした。
【0799】
18時間インキュベートした後、BIO-GLOルシフェラーゼアッセイシステム(Promega、Madison、WI)を使用して、ルシフェラーゼ活性を検出した。発光は、TECAN M 1000Pro機器を使用して、500ミリ秒の積分時間で測定した。得られた相対光単位(RLU)から、LTBRシグナル伝達の誘導倍率を以下のように計算した:誘導倍率=RLU刺激済み細胞/平均RLU未刺激細胞(未刺激細胞を試験される各プレートにおいて対照として含めた)。
【0800】
標準偏差を含む用量応答曲線を、GRAPHPAD Prismを使用してプロットし、該当する場合は、非線形フィットを適用した(対数(アゴニスト)対応答(可変勾配-3パラメータ))。データを適合させるために、x値(化合物の濃度)を、GRAPHPAD Prismのx=Log(x)関数を使用して変換した。
【0801】
COVA1482を、COVA1456と同じA549 NF-κBレポーターアッセイで比較した。COVA1482は、scFvに使用される安定化方法においてのみ、COVA1456と異なる。LTBRmAb1にも由来するCOVA1482中のscFvは、本明細書に記載のステープル処理されたプラットフォームを使用して安定化され(すなわち、VH/リンカー及びVLリンカージスルフィド結合を介して安定化され)、COVA1456は、VHとVLとの間で安定化されたジスルフィドである(すなわち、VH/VLジスルフィド結合を介して安定化される)。図16Aは、COVA1482及びCOVA1456の両方がEDB依存的な方法でLTBRを強力に活性化したことを示した。対応するアイソタイプ対照COVA1486及びCOVA1462は、LTBRを活性化しなかった(図16A)。これらの結果は、多重特異性分子へのspFvの組み込みが多重特異性分子の活性に悪影響を及ぼさなかったことを示している。2:1二重特異性EDB/LTBR抗体(COVA1482又はCOVA1456)は、このレポーターアッセイにおいてNF-κBシグナル伝達を誘導する際に効力の増加を示した。同じ実験設定を有するいくつかのアッセイにわたってCOVA1482について計算された平均EC50は、約30pM±10pMであり、対照1:1ヘテロ二量体構築物は、アッセイにおいて約3nM(ここには示されていないデータ)のEC50を示し、2:1二重特異性が1:1二重特異性よりも100倍強力であり得ることを示す。これは、TAAへの2つの結合部位で達成されたLTBR結合部位のクラスタリングの増加によって説明することができる。
【0802】
LTBRをTAA依存的に活性化するためのそのような二重特異性抗体の能力へのLTBRに対する親和性の効果を研究するために、LTBRmAb1に由来するscFv断片のより低い親和性バリアント(配列番号107、KD≒60nM及び配列番号108、KD≒600nM)を生成し、2:1二重特異性COVA14107及びCOVA14108を構築するために使用した(表9を参照されたい)。
【0803】
配列番号107[ステープル処理scFv(VL3_Y36F_S49Y_F87Y)BHA10(VH-VL)]
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTTYYLHWVRQAPGCGLEWMGWIYPGNVHAQYNEKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSWEGFPYWGQGTTVTVSSGGGSGGGSGCPPCGGGGDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQNVGINVAWFQQKPGKAPKSLIYSASYRYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYDTYPFTFGCGTKVEIK
【0804】
配列番号108[ステープル処理scFv(VH_CDR 1_Y33A)BHA10(VH-VL)]
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTTYALHWVRQAPGCGLEWMGWIYPGNVHAQYNEKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSWEGFPYWGQGTTVTVSSGGGSGGGSGCPPCGGGGDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQNVGINVAWYQQKPGKAPKSLISSASYRYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYFCQQYDTYPFTFGCGTKVEIK
【0805】
生成された二重特異体を、A549 NF-κBレポーターアッセイで試験して、LTBRの活性化に対する親和性の効果を確認した。図16Bは、LTBRに対するより低い親和性が、このアッセイにおいてTAA依存的様式でLTBRを活性化するための二重特異体の能力の低下に対応したことを示した。データはまた、多重特異性分子へのspFvの組み込みが分子の活性に悪影響を及ぼさなかったことを実証した。
【0806】
実施例6で述べたように、タンパク質A(抗体の精製に使用される)への結合を抑制する変異(国際公開第2010/151792号)を、所望のヘテロ二量体の精製を促進するために、いくつかの構築物のFcに導入した。COVA14133をこれらの変異なしで生成し、その活性は、COVA 1482と比較して、Fc領域の変異が二重特異体の活性に影響を与えなかったことを示した。COVA14133及びCOVA1482並びにそれらのそれぞれのアイソタイプ対照COVA14136及びCOVA1486を、A549 NF-κBレポーターアッセイにおいて比較した。図16Cは、COVA14133がCOVA1482と同様の効率を有するTAA依存的様式でLTBRを活性化し、Fcにおける変異がLTBRを活性化する二重特異性の能力に影響を及ぼさず、spFvの機能に影響を及ぼさなかったことを実証することを示した。
【0807】
結論として、COVA14133はTAA依存的様式でLTBRを活性化する優れた能力を有することが示された。
【0808】
6.8実施例8:EDB依存性インビトロLTBR活性化-A375/WI38VA亜系統2RA共培養細胞アッセイ
EDB+フィブロネクチン(WI38VA細胞による細胞外マトリックスにおいて産生及び堆積された(Zardi,L.,et al.,EMBO J,6,2337-42(1987))の存在下でのLTBRの活性化が、サイトカイン及びケモカインの放出、及びA375細胞上の接着分子ICAM-1のアップレギュレーション、及びspFvの組み込みが活性に悪影響を及ぼさないことをもたらすかどうかを検証するために、A375/WI38VA亜系統2RA共培養アッセイを行った。WI38VA亜系統2RA(ATCC(登録商標)CCL75.1(商標))細胞を、5000細胞/ウェルの密度で96ウェルプレートに播種し、37℃/5%COで成長培地(MEM w/oグルタミン+10%の熱不活性化FBS+0.1mMのNEAA+2mMのL-Gln+1mMピルビン酸ナトリウム)で48時間インキュベートした。試験される化合物の1:5希釈系列を、2倍濃度ストックとしてアッセイ培地(DMEM+10%熱不活性化FBS)中で調製した(試験した最終濃度は40nM~0.5pMの範囲であった)。WI38VA亜系統2RA細胞との共培養におけるインキュベーションの前に、A375細胞(ATCC(登録商標)CRL-1619(商標))をCELLTRACEバイオレット(CTV、Invitrogen、Carlsbad、CA)で標識した。標識するために、PBS中5%のFBSにおいて10×10細胞/ml及び2.5μMCTVの濃度を有する細胞懸濁液を、光から保護しながら、室温で5分間インキュベートした。次いで、細胞を洗浄し、0.4×10細胞/mlの密度でアッセイ培地に再懸濁させた。48時間のWI38VA亜系統2RA培養を含む、プレートから培養培地の慎重な除去に続いて、50μlのA375細胞懸濁液(20,000細胞/ウェル、CTV+又はCTV-)を各ウェルに添加した。50μlの連続希釈化合物(ウェル当たりの最終容量100)μl)を、細胞に添加し、37℃/5%COで24時間インキュベートした。
【0809】
24時間インキュベートした後、上清を遠心分離によって透明化し、MSDアッセイを使用してサイトカイン及びケモカインの測定のために保存した。細胞を、フローサイトメトリーによってICAM-1測定のために更に処理した。
【0810】
6.8.1フローサイトメトリーによるICAM-1の検出
96ウェルプレートに残っているいずれの培地も注意深く除去し、細胞をAccutaseで剥離させ、DeepWell 96ウェルプレートに移し(3通りに1つウェルでプールした)、洗浄し、100μlのFACS緩衝液(PBS+1%のFBS+0.1%のNaN)に再懸濁し、丸底96ウェルプレートに移した。抗体、すなわち、標識された抗ヒトICAM-1 PE(クローン1H4、Thermo、Waltham、MA)又は標識されたアイソタイプ対照抗体PE(MPC-11、BioLegend、San Diego、CA)及びLIVE/DEAD固定可能近IR染色(Invitrogen)、単一染色又は組み合わせ染色を、表12に示すように希釈した。
【0811】
【表12】
【0812】
細胞を4℃で4分間400×gで遠心分離し、上清を廃棄し、50μlの抗体溶液を表12に記載するように調製した。細胞及び抗体を、暗所において4℃で30分間インキュベートした。インキュベーション後、120μlを各ウェルに添加し、次いで、細胞を4℃で4分間400×gで遠心分離した。細胞を、FACS緩衝液で1回洗浄し、遠心分離し、90μLのFACS緩衝液に再懸濁させた。次いで、細胞を、PBS中の3.7%のホルマリン溶液90μlを添加することによって固定し、暗所において氷上で15分間インキュベートした。固定後、細胞を、4℃で4分間400xgで遠心分離し、100μLのFACS緩衝液に再懸濁させた。細胞を、スクリーンモードで高流量でMACS Quant機器を使用して測定し、49μl/ウェルを取得した。データは、Flowlogics Software(バージョン700.2A)を使用して解析し、Graphpad Prismでプロットした。
【0813】
6.8.2MSDプラットフォームを使用した処理細胞の上清中のサイトカイン測定
NF-κBシグナル伝達の制御下にあることが知られているいくつかのサイトカインを、MSDプラットフォーム及びマルチプレックスMSDプレートを使用して測定した。ここでは、測定されたサイトカインのいくつかの例を列挙している。
■RANTES:R-Plex抗体セットヒトRANTES(MSD)を使用、
■I-TAC、IP-10、MIP-3b:3-PLEXサイトカイン放出アッセイ(MSD)を使用、
■IL-8、IP-10、MIP-3b:3-PLEXサイトカイン放出アッセイ(MSD)を使用、及び
■IL-12p70、IL-6、TNF-a、MIP-3a、SDF-1a:5-PLEXサイトカイン放出アッセイ(MSD)を使用
【0814】
処理された細胞の上清中のサイトカインの濃度を、製造業者の指示に従ってMSDプラットフォームを使用して測定した。簡単に説明すると、プロトコルは以下のステップを含んだ:
(1)プレートの調製は、提供されたプレートをリンカー結合捕捉抗体でコーティングすることを含んだ。プレートを2~8℃で一晩振盪しながらインキュベートした。翌日、プレートを、プレートワッシャ(Biotek;Winooski、VT)を使用してPBST(PBS+0.05%のTween-20)で洗浄した。
(2)較正物質標準及び検出抗体溶液を調製した。
(3)材料の利用可能性に応じて、上清を1:3又は1:5に希釈した。
【0815】
6.8.3アッセイプロトコル:
○ステップ1:試料又は較正物質標準をプレートに添加し、プレートを振盪しながら室温で1時間インキュベートした。
○ステップ2:プレートを洗浄し、検出抗体を添加した。プレートを室温で1時間振盪しながらインキュベートした。
○ステップ3:プレートを洗浄し、2xリード緩衝液Tを添加した。プレートをMSD機器で分析した。
【0816】
データを、MESOSCALEソフトウェア(MSD探索作業ベンチプログラムv 4.0.12.1)を使用して解析し、GRAPHPAD Prismを使用してプロットした。
【0817】
6.8.4結果-フローサイトメトリーによるICAM-1の検出
NF-κBシグナル伝達は細胞の表面上のICAM-1の上方調節につながる可能性があることが、以前に示された(da Silva Antunes,et al.Front Immunol,9:576,(2018))。したがって、EDB/LTBR二重特異性体との共培養インキュベーションの後のA375細胞の表面上のICAM-1発現のレベルを測定した。一例として、図17は、EDB/LTBR二重特異性COVA 1482とのインキュベーション後のICAM-1のアップレギュレーションを示し、LTBR結合spFvの機能性を実証している。アイソタイプ対照分子COVA1486は、ICAM-1のアップレギュレーションを引き起こさなかった。これらの発見は、EDBへの結合を介してLTBR scFvをクラスター化する能力が、LTBR活性化のための前提条件であり、結果として、ICAM-1のアップレギュレーションであることを示した。
【0818】
6.8.5結果-処理細胞の上清中のサイトカイン測定
LTBR活性化の結果として発現されるいくつかのサイトカイン及びケモカインを、上記のように、EDB/LTBR二重特異体及び対照分子で処理した共培養の上清中で測定した。図18A図18Dは、COVA14133によるLTBRの活性化によってアップレギュレートされたサイトカインの4つの代表的な例(図18A:RANTES、図18B:IL-6、図18C:IL-8及び図18D:MIP-3b)を示す。COVA14136における標的化されていないLTBRmAb1由来scFvは、LTBRを活性化せず、結果として、上清中のサイトカインの濃度は、バックグラウンドを超えて増加しなかった。バックグラウンドは、B21M抗体又はCOVA1440(2(mAb)B21Mアイソタイプ対照mAb)で達成されたレベルで表された(プロット内の単一濃度として示された)。結果は、LTBR結合spFvがインビトロで機能的であることを示している。
【0819】
まとめると、LTBR活性化時のICAM-1のアップレギュレーション及びサイトカイン分泌により、LTBR活性化が有し得る細胞に対する予想される効果が確認された。
【0820】
この例では、本明細書で提供される分子は、LTBRの効率的な腫瘍関連抗原(ここでは、EDB含有フィブロネクチン)依存性活性化を達成したことが実証された。
【0821】
6.9実施例9:メソテリン依存性インビトロLTBR活性化-A549 NF-κBレポーター細胞及びCHOK1-huMSLN又はH226を用いた共培養細胞アッセイ
実施例7及び8では、本明細書で提供されるspFv構造、標的化EDB(細胞外マトリックス中の腫瘍関連抗原)及びLTBRを含む二重特異性抗体が、活性化LTBRを腫瘍抗原依存的な方法で非常に効率的にLTBRを活性化したことが実証された。その場所(細胞外マトリックス又は腫瘍細胞の細胞表面に堆積される)にもかかわらず、この発見が任意の腫瘍抗原に当てはまるかどうかを確認するために、二重特異性2:1抗体標的化メソテリン(MSLN)、異なるタイプの腫瘍で発現される腫瘍関連抗原(Hassan and Ho,Eur.J.Cancer,44:46-53(2008))及びLTBRを、実施例6に記載されるように設計及び産生した。COVA14146は、LTBRmAb1に由来するspFv断片に融合される、抗メソテリン抗体(MSLNmAb1)からなる2:1 MSLN/LTBR二重特異性抗体である。LTBR二重特異性抗体標的化LTBR二重特異性抗体及び腫瘍細胞の細胞表面に存在する腫瘍関連抗原(例えば、メソテリン)が腫瘍依存的な方法でLTBRを効率的に活性化することができるかどうかを示すために、共培養細胞アッセイを使用した。使用した共培養アッセイは、A549細胞NF-κBルシフェラーゼレポーター細胞アッセイ(実施例7に記載)及びH226細胞(中皮腫細胞株、ATCC(登録商標)CRL-5826)(メソテリンを発現することが知られている(Fan et al.Mol.Canc.Ther.1:595-600(2002))及びLTBRであった。
【0822】
6.9.1H226細胞の調製
H226細胞(メソテリンの約200,000個のコピー及びLTBRの10,000個のコピーを発現する)懸濁液のウェル当たり10,000個の細胞(75μlのアッセイ培地、DMEM+10%のFBS-HI)を96ウェル組織培養プレートに播種し、それらの成長培地(MEM+2mMのグルタミン+10%のFBS-HI+10μg/mlのピューロマイシン及びRPMI-1640+10%のFBS+1mMのNa-ピルビン酸塩のそれぞれ)において37℃/5%COで6時間インキュベートして、細胞がプレートに付着することを可能にした。
【0823】
6.9.2化合物の調製
化合物を100nM~1.3pMの濃度範囲で試験した。化合物の4倍1:5連続希釈を、アッセイ培地(DMEM+10%のFBS-HI)中で調製し、使用するまで4℃で保存した。
【0824】
6.9.3A549レポーター細胞の調製及び添加
A549レポーター細胞を、Accutase/EDTAで細胞培養フラスコから分離し、アッセイ培地(DMEM+10%のFBS-HI)に移した。H226細胞を含むプレートにウェル当たり合計20,000個のA549レポーター細胞を添加した後、50μLの予備希釈した化合物を各ウェルに添加し、37℃/5%COで20時間インキュベートした。
【0825】
6.9.4処理された共培養物中の発光の測定
20時間のインキュベーションの後、BIO-GLOルシフェラーゼアッセイシステム(Promega、Madison、WI)を製造業者の指示に従って使用して、ルシフェラーゼ活性を検出した。発光は、TECAN M 1000Pro機器を使用して、500ミリ秒の積分時間で測定した。得られた相対光単位(relative light unit,RLU)から、LTBRシグナル伝達の誘導倍率を以下のように計算した:誘導倍率=RLU刺激済み細胞/平均RLU未刺激細胞(未刺激細胞を試験される各プレートにおいて対照として含めた)。
【0826】
標準偏差を含む用量応答曲線を、GRAPHPAD Prismを使用してプロットし、該当する場合は、非線形フィットを適用した(対数(アゴニスト)対応答(可変勾配-3パラメータ))。データを適合させるために、x値(化合物の濃度)を、GRAPHPAD Prismのx=Log(x)関数を使用して変換した。
【0827】
6.9.5MSDプラットフォームを使用した処理細胞の上清中のサイトカイン測定
NF-κBシグナル伝達の制御下であることが知られているいくつかのサイトカインは、MSDプラットフォーム及びマルチプレックスMSDプレートを使用して測定され得る。一例として、R-Plex抗体セットヒトRANTES(MSD)を使用したRANTESの測定のための方法が本明細書に記載されている。
【0828】
処理された細胞の上清中のRANTESの濃度を、製造業者の指示に従ってMSDプラットフォームを使用して測定した。簡単に説明すると、プロトコルは以下のステップを含んだ:
(1)プレートの調製は、提供されたプレートをリンカー結合捕捉抗体でコーティングすることを含んだ。プレートを2~8℃で一晩振盪しながらインキュベートした。翌日、プレートを、プレートワッシャ(Biotek;Winooski、VT)を使用してPBST(PBS+0.05%のTween-20)で洗浄した。
(2)較正物質標準及び検出抗体溶液を調製した。
(3)材料の利用可能性に応じて、上清を1:3又は1:5に希釈した。
【0829】
6.9.6アッセイプロトコル:
○ステップ1:試料又は較正物質標準をプレートに添加し、プレートを振盪しながら室温で1時間インキュベートした。
○ステップ2:プレートを洗浄し、検出抗体を添加した。プレートを室温で1時間振盪しながらインキュベートした。
○ステップ3:プレートを洗浄し、2xリード緩衝液Tを添加した。プレートをMSD機器で分析した。
【0830】
データを、MESOSCALEソフトウェア(MSD探索作業ベンチプログラムv 4.0.12.1)を使用して解析し、GRAPHPAD Prismを使用してプロットした。
【0831】
6.9.7結果-A549レポーター細胞/H226共培養アッセイにおけるLTBRのメソテリン依存性活性化
A549レポーター細胞及びH226細胞を用いた共培養アッセイを行って、その広い発現(Lukashev,et al.Cancer Res.,66(19):9617-24(2006)のために、LTBR及びメソテリン(腫瘍細胞の細胞表面上の他の腫瘍関連抗原、例えば、EGFR)が腫瘍細胞の細胞表面上で共発現されると予想される場合に、COVA14146がより生理的なシステムにおいてLTBRを活性化することができるかどうかを検証した。図19Aでは、これらの条件下でCOVA14146がLTBRを効率的に活性化しなかったことが示された。処理された細胞の上清中に分泌されたRANTESの濃度を測定して、COVA14146がLTBRを効率的に活性化することができないことを確認した。予想通りに、図19Bは、RANTESが、アイソタイプ対照分子COVA1486で処理された細胞と同じ程度までCOVA14146で処理された細胞によって分泌されたことを示し、LTBRがこれらの条件下で活性化できないことが確認された。
【0832】
6.10実施例10:細胞外マトリックスに存在するLTBR及び他のTAAに特異的に結合する二重特異性抗体
上記の例は、LTBR及びTAAを標的とする二重特異性抗体が細胞外マトリックスで発現されたことを実証し、その場合、フィブロネクチンのEDBは、EDBを発現する腫瘍組織においてLTBRを選択的に活性化することができる。この実施例は、これが、そのようなTAAの2つ以上の例、すなわち、テネイシンCのドメインA2、及びフィブロネクチンのエクストラドメインAを提供することにより、細胞外マトリックス中に存在するLTBR及び別のTAAを標的とする二重特異性抗体により一般的に適用可能であることを実証した。
【0833】
一般に、上記の実施例に記載の方法に従って、細胞外マトリックスに存在するLTBR及び他のTAAに結合する更なる二重特異性抗体、すなわち、テネイシンCのドメインA2(TnCA2)又はフィブロネクチンのエクストラドメインA(extra domain A、EDA)を調製した。これらのTAAの配列は、例えば、
-TnCA2:UniProtアクセッション番号P24821.3、
-EDA:UniProtアクセッション番号P02751に記載されている。
【0834】
更に、これらのTAAに対する抗体は、例えば、以前に以下に記載されている:
-TnCA2:国際公開第2011/020783号、
-EDA:欧州特許第2142567。
【0835】
本実施例に使用されるこれらの標的に対する結合ドメインの例示的な配列(本発明の多重特異性結合分子を作成するためにLTBR scFvと組み合わせることによる)は、以下のように提供される:
-TnCA2:配列番号109のVH及び配列番号110のVL、
-EDA:配列番号111のVH及び配列番号112のVLV。
【0836】
これらの配列は、以下のとおりである。
配列番号109(抗TnCA2 Ab 2B10のVH)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAISWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGTANYAQKFQGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARLYGYAYYGAFDYWGQGTTVTVSS
【0837】
配列番号110(抗TnCA2 Ab 2B10のVL)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIRNDLGWYQQKPGKAPKRLIYAASSLQSGVPSRFSGGGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYCLQNGLQPATFGQGTKVEIK
【0838】
配列番号111(抗EDA Ab F8のVH)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSLFTMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKSTHLYLFDYWGQGTLVTVSS
【0839】
配列番号112(抗EDA Ab F8のVL)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSMPFLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQMRGRPPTFGQGTKVEIK
【0840】
LTBR及びこれらのTAAに結合する二重特異性抗体を調製し、実施例7に記載されるのと同様の手順に従って、TAA依存性インビトロLTBR活性化-NF-κBルシフェラーゼレポーターアッセイにおいてLTBRのTAA特異的活性化について試験した。
【0841】
2:1化学量論を有する非対称抗体は、以下のように生成された:
COVA14198は、C末端ステープル処理scFv BHA10(VH-VL配向配列番号:77)融合(配列番号113、配列番号114を含む)を担持する抗EDA抗体重鎖の抗EDA抗体の重鎖(HC、配列番号115)及び軽鎖(LC;配列番号116)との共発現によって生成された。
【0842】
配列を以下に列挙する。
配列番号77[ステープル処理scFv BHA10(VH-VL)]
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTTYYLHWVRQAPGCGLEWMGWIYPGNVHAQYNEKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSWEGFPYWGQGTTVTVSSGGGSGGGSGCPPCGGGGDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQNVGINVAWYQQKPGKAPKSLISSASYRYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYFCQQYDTYPFTFGCGTKVEIK
【0843】
配列番号113(BHA10ステープル処理(VH-VL)scFv C末端融合、IgG1シグマ、ノブ変異を有するF8 HC)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSLFTMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKSTHLYLFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPCREEMTKNQVSLWCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKGGGGSGGGGSGGGGSQVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTTYYLHWVRQAPGCGLEWMGWIYPGNVHAQYNEKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSWEGFPYWGQGTTVTVSSGGGSGGGSGCPPCGGGGDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQNVGINVAWYQQKPGKAPKSLISSASYRYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYFCQQYDTYPFTFGCGTKVEIK
【0844】
配列番号114(F8 HC、IgG1シグマ、ノブ変異)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSLFTMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKSTHLYLFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPCREEMTKNQVSLWCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0845】
配列番号115(F8 HC、IgG1シグマ及びホール変異)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSLFTMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKSTHLYLFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVCTLPPSREEMTKNQVSLSCAVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLVSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0846】
配列番号116(F8 LC)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSMPFLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQMRGRPPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0847】
COVA14202は、C末端ステープル処理scFv BHA10(VH-VL配向配列番号77)融合(配列番号117、配列番号118を含む)を担持するテネイシンC抗体重鎖の抗ドメインA2のテネイシンC抗体の抗ドメインA2の重鎖(HC、配列番号119)及び軽鎖(LC、配列番号120)との共発現によって生成された。配列を以下に列挙する。
【0848】
配列番号77[ステープル処理scFv BHA10(VH-VL)]
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTTYYLHWVRQAPGCGLEWMGWIYPGNVHAQYNEKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSWEGFPYWGQGTTVTVSSGGGSGGGSGCPPCGGGGDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQNVGINVAWYQQKPGKAPKSLISSASYRYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYFCQQYDTYPFTFGCGTKVEIK
【0849】
配列番号117(BHA10ステープル処理(VH-VL)scFv C末端融合、IgG1シグマ、ノブ変異を有する2B10 HC)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAISWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGTANYAQKFQGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARLYGYAYYGAFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPCREEMTKNQVSLWCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKGGGGSGGGGSGGGGSQVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTTYYLHWVRQAPGCGLEWMGWIYPGNVHAQYNEKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSWEGFPYWGQGTTVTVSSGGGSGGGSGCPPCGGGGDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQNVGINVAWYQQKPGKAPKSLISSASYRYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYFCQQYDTYPFTFGCGTKVEIK
【0850】
配列番号118(2B10 HC、IgG1シグマ、ノブ変異)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAISWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGTANYAQKFQGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARLYGYAYYGAFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPCREEMTKNQVSLWCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0851】
配列番号119(2B10 HC、IgG1シグマ及びホール変異)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAISWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGTANYAQKFQGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARLYGYAYYGAFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVCTLPPSREEMTKNQVSLSCAVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLVSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0852】
配列番号120(2B10 LC)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIRNDLGWYQQKPGKAPKRLIYAASSLQSGVPSRFSGGGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYCLQNGLQPATFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0853】
LTBRのTAA依存性活性化を実証するために、高結合96ウェルμClear平底プレート(Greiner、Monroe、NC)に以下を一晩コーティングした:
-150ng/ウェルの組換えドメインA2含有(A2)テネイシンCドメインA1-A2-A3(TnCA2、配列番号121)又は150ng/ウェルのヒト組換えテネイシンドメインA1-A3(すなわち、A2として示されるドメインA2を欠いている)(TnCA2、配列番号122)。又は
-150ng/ウェルの組換えEDA含有(EDA)フィブロネクチンドメイン11-A-12(EDA、配列番号123)又は150ng/ウェルのヒト組換えフィブロネクチンドメイン11-12(すなわち、EDAとして示されるEDAを欠いている)(EDA、配列番号124)。
【0854】
上記の配列は以下のとおりである。
配列番号121(精製のための(His)タグを含む、HuテネイシンCドメインA1-A2-A3)
EQAPELENLTVTEVGWDGLRLNWTAADQAYEHFIIQVQEANKVEAARNLTVPGSLRAVDIPGLKAATPYTVSIYGVIQGYRTPVLSAEASTGETPNLGEVVVAEVGWDALKLNWTAPEGAYEYFFIQVQEADTVEAAQNLTVPGGLRSTDLPGLKAATHYTITIRGVTQDFSTTPLSVEVLTEEVPDMGNLTVTEVSWDALRLNWTTPDGTYDQFTIQVQEADQVEEAHNLTVPGSLRSMEIPGLRAGTPYTVTLHGEVRGHSTRPLAVEVVTHHHHHH
【0855】
配列番号122(精製のための(His)を含む、HuテネイシンCドメインA1-A3)
EQAPELENLTVTEVGWDGLRLNWTAADQAYEHFIIQVQEANKVEAARNLTVPGSLRAVDIPGLKAATPYTVSIYGVIQGYRTPVLSAEEEVPDMGNLTVTEVSWDALRLNWTTPDGTYDQFTIQVQEADQVEEAHNLTVPGSLRSMEIPGLRAGTPYTVTLHGEVRGHSTRPLAVEVVTHHHHHH
【0856】
配列番号123(精製のための(His)タグを含む、Huフィブロネクチンドメイン11-A-12)
EIDKPSQMQVTDVQDNSISVKWLPSSSPVTGYRVTTTPKNGPGPTKTKTAGPDQTEMTIEGLQPTVEYVVSVYAQNPSGESQPLVQTAVTNIDRPKGLAFTDVDVDSIKIAWESPQGQVSRYRVTYSSPEDGIHELFPAPDGEEDTAELQGLRPGSEYTVSVVALHDDMESQPLIGTQSTAIPAPTDLKFTQVTPTSLSAQWTPPNVQLTGYRVRVTPKEKTGPMKEINLAPDSSSVVVSGLMVATKYEVSVYALKDTLTSRPAQGVVTTLEHHHHHH
【0857】
配列番号124(精製のための(His)タグを含む、Huフィブロネクチンドメイン11-12)
EIDKPSQMQVTDVQDNSISVKWLPSSSPVTGYRVTTTPKNGPGPTKTKTAGPDQTEMTIEGLQPTVEYVVSVYAQNPSGESQPLVQTAVTTIPAPTDLKFTQVTPTSLSAQWTPPNVQLTGYRVRVTPKEKTGPMKEINLAPDSSSVVVSGLMVATKYEVSVYALKDTLTSRPAQGVVTTLEHHHHHH
【0858】
これらのアッセイの結果は、EDB/LTBR二重特異体について上記に示された結果と同じであり、すなわち、それらは、主に、それぞれの二重特異性結合分子によって標的とされた細胞外マトリックスの腫瘍抗原の存在下でLTBRの活性化を示した(表13)。
【0859】
【表13】
【0860】
特に、TnCA2/LTBR二重特異性結合分子は、LTBRを活性化し、したがって、TnCA2抗原の存在下で強く、NF-κBシグナル伝達を誘発し、EDA/LTBR二重特異性結合分子は、LTBRを活性化し、したがって、EDA抗原の存在下で強く、NF-κBシグナル伝達を誘発することができる。それぞれのTAAが存在しない場合、これらの二重特異性は、LTBRを活性化しないか、又は最小限にのみ活性化した。
【0861】
この実施例は、本明細書に提供される多重特異性結合分子を介してLTBRを活性化するアプローチ、例えば、細胞外マトリックスに関連するLTBR及び腫瘍関連抗原の両方への結合が、それ以上試験された細胞外マトリックスの3つの異なる腫瘍関連抗原すべてに対して機能し、したがって、細胞外マトリックスに存在する腫瘍関連抗原には一般に適用可能であることを実証した。本実施例はまた、spFvを組み込んだ分子が機能的であることを実証した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図15D
図15E
図15F
図15G
図15H
図15I
図15J
図15K
図15L
図15M
図16A
図16B
図16C
図17
図18A
図18B
図18C
図18D
図19A
図19B
【配列表】
2022544760000001.app
【国際調査報告】