(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-21
(54)【発明の名称】脊椎配向システム
(51)【国際特許分類】
A61B 34/20 20160101AFI20221014BHJP
A61B 90/90 20160101ALI20221014BHJP
A61B 17/70 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
A61B34/20
A61B90/90
A61B17/70
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022508988
(86)(22)【出願日】2020-08-12
(85)【翻訳文提出日】2022-03-31
(86)【国際出願番号】 US2020045878
(87)【国際公開番号】W WO2021030406
(87)【国際公開日】2021-02-18
(32)【優先日】2019-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517237861
【氏名又は名称】インテグリティ インプランツ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】INTEGRITY IMPLANTS INC.
【住所又は居所原語表記】Suite 100, 354 Hiatt Drive, Palm Beach Gardens, Florida 33418, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ゲイスト,ワイアット ドレイク
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL24
4C160LL43
(57)【要約】
本発明は、椎弓根スクリューの配置が手動またはロボットによって行われる場合に、さらに正確な椎弓根スクリューの配置を行うために、脊椎の長手方向軸の周りおよび長手方向軸に沿った脊椎の配向を確認するためのシステムおよび方法に関する。該システムは、患者のCTスキャンを利用し、このCTスキャンは、適切な配向および位置決めを確認するために、リアルタイムの透視画像と重ね合わされる。その後、手術中の脊椎の動きを監視するために光学的または電磁的マーカーが利用され得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向軸を中心とし、長手方向軸に沿った脊椎の回転配向を決定するための脊椎配向システムであり、
プロセッサおよび脊椎の少なくとも1つの画像を保存し表示するのに十分なメモリを含むコンピュータと、脊椎の少なくとも1つの画像を表示するために前記コンピュータと電気通信するモニタと、前記コンピュータにコマンドを入力して脊椎の少なくとも1つの画像を表示するために前記コンピュータと電気通信するキーボードと、前記コンピュータと電気通信するCアームであって、脊椎の透視画像を撮影して前記コンピュータに前記透視画像を入力し、前記モニタ上に前記透視画像を表示するために、前記Cアームの第1の端部に位置決めされたX線源と前記Cアームの第2の端部に位置決めされたX線検出器とを備える脊椎配向システムであって、前記コンピュータメモリは、前記モニタ上に呼び出して前記キーボードを介して観察するためにコンピュータ断層撮影画像が保存された保存ファイルを有し、前記システムは、前記コンピュータ断層撮影画像が前記モニタ上で前記透視画像上に重ね合わされることによって両方の画像を同時に観察することができるように構成および配置され、前記コンピュータ断層撮影画像は前記透視画像と位置合わせするように移動可能に位置決め可能である、脊椎配向システム。
【請求項2】
前記コンピュータ断層撮影画像は、前記透視画像の所定の平面と位置合わせされる、請求項1に記載の脊椎配向システム。
【請求項3】
前記コンピュータ断層撮影画像は、前記透視画像の矢状面と位置合わせされる、請求項2に記載の脊椎配向システム。
【請求項4】
前記コンピュータ断層撮影画像は、磁気共鳴画像である、請求項1に記載の脊椎配向システム。
【請求項5】
前記透視画像は、前記コンピュータ断層撮影画像上に重ね合わされる、請求項4に記載の脊椎配向システム。
【請求項6】
脊椎の動きを監視するための光学監視システムであって、検出された動きに対して前記モニタ上で視覚的警告を発して脊椎の一部が前記所定の平面または前記矢状面に対して回転または平行移動したことを外科医に示すために前記コンピュータと電気通信している光学監視システムをさらに備える、請求項1に記載の脊椎配向システム。
【請求項7】
前記視覚的警告は、カラーインジケータである、請求項6に記載の脊椎配向システム。
【請求項8】
前記視覚的視警告は、動きの領域を示す基準線である、請求項6に記載の脊椎配向システム。
【請求項9】
前記光学監視システムは、骨に固定可能な少なくとも1つの光学センサを含む、請求項6に記載の脊椎配向システム。
【請求項10】
前記光学監視システムは、前記少なくとも1つの光学センサの動きを監視するように構成および配置された1つまたは複数の光学監視カメラを含む、請求項9に記載の脊椎配向システム。
【請求項11】
前記コンピュータ断層撮影画像の前記位置合わせにより、前記コンピュータ断層撮影画像に対する前記透視画像の回転角が得られる、請求項1に記載の脊椎配向システム。
【請求項12】
前記回転角は、T1レベルにおける約30度ならびにT3レベルにおける約15度、およびT4から下向きの矢状角度に対して加算または減算される、請求項11に記載の脊椎配向システム。
【請求項13】
前記コンピュータ断層撮影画像の前記位置合わせにより、椎弓根スクリュー刺入点として使用するための前記コンピュータ断層撮影画像に対する前記透視画像の平行移動距離が得られる、請求項1に記載の脊椎配向システム。
【請求項14】
前記刺入点は、関節間部、乳頭突起、上関節窩の外側縁、および中央横突起を含む4本の基準線のいずれかの合流点として定義される、請求項13に記載の脊椎配向システム。
【請求項15】
下部胸節への前記刺入点は、一般に、椎間関節の中間部分および横突起の上縁によって決まる、請求項13に記載の脊椎配向システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的には医用撮像に関し、より詳細には、垂直軸に対する脊椎の長手方向軸を中心とした脊椎の回転角度を決定するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光透視装置は、病院の救急処置室および外傷センターで使用されることが多い。これらの装置は、X線検出器から離間されたX線源を支持するアームを有する。アーム(略C字形アーム)は、X線検出に対してX線源を位置決めするために利用され、患者の一方の側にX線源を配置し、患者の他方側にX線検出器を配置するように操作され得る。一連のジョイントにより、所望のX線画像を提供する姿勢へアームを手動で動かすことが可能である。モニタは、X線画像をリアルタイムで表示する。Cアーム蛍光透視装置は、例えば、骨を所定の位置に保持するためにピンまたはスクリューが挿入される位置を撮像するために使用され得る。
【0003】
Cアーム蛍光透視装置に関する1つの問題は、患者の脊椎に対する明確な基準角度がないということである。すなわち、脊椎が手術台との所望の位置合わせ状態に配向されていると外科医が推断すると、患者、ひいては患者の脊椎はいずれかの側へと数度回転され得る。この回転により、椎弓根スクリューが椎弓根に対して不正確な角度で挿入されて、内側または外側の穿破を引き起こす可能性がある。
【0004】
先行技術のさらなる欠点は、椎弓根スクリュー用または椎弓根スクリューの挿入用の開口部に導入するためのロボットの使用に関する。ロボットは、横突起が水平に配置され、棘突起が垂直に配向された状態で椎骨が配向されることを想定している。この場合、脊椎の長手方向軸に沿った、かつ椎骨を二等分する理論上の垂直平面に対する脊椎の回転は、椎弓根スクリューによる椎骨の穿破を防止するためにロボットによって使用可能な公差を低減し得る。
【0005】
したがって、本発明のシステムは、脊椎の長手方向軸を中心とした脊椎の回転関係をチェックする方法を提供し、この方法は、先行技術の外科的方法の不利点を克服する。本発明の脊椎配向システムは、正確さを提供するだけでなく、CTスキャンを蛍光透視スキャンと比較する視覚インジケータとともに、視覚センサおよび/または電磁センサを用いた配向のクロスチェックをも可能にする。
【発明の概要】
【0006】
簡潔に説明すると、本発明は、椎弓根スクリューの配置が手動またはロボットによって行われる場合に、正確な椎弓根スクリューの配置を行うために、脊椎の長手方向軸の周りおよび長手方向軸に沿った脊椎の配向を確認するためのシステムおよび方法に関する。該システムは、患者のCTスキャンを利用し、このCTスキャンは、適切な配向および位置を確認するために、リアルタイムの透視画像と重ね合わされる。その後、外科手術中の脊椎の動きを監視するために光学的または電磁的マーカーが利用され得る。
【0007】
したがって、本発明の目的は、脊椎手術のために長手方向軸の周りおよび長手方向軸に沿った脊椎の配向を確認するためのシステムを提供することである。
【0008】
本発明のさらなる目的は、CTスキャンおよびリアルタイム蛍光透視法を利用した、脊椎の配向を確認するためのシステムを提供することである。
【0009】
本発明の他の目的および利点は、例示および実施例として本発明の特定の実施形態が示されている添付図面
と併せて、以下の説明から明らかになるであろう。図面は本明細書の一部を構成し、本発明の例示的な実施形態を含み、その様々な対象物および特徴を示す。
【課題を解決するための手段】
【0010】
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の脊椎配向システムの一実施形態を示す概略図である。
【
図4】T3レベルにおける胸椎を示す端面図である。
【
図5】T1レベルにおける胸椎を示す端面図である。
【
図6】椎弓根スクリュー配置の頭尾方向の角形成を示す椎骨の側面図である。
【
図7】椎骨内に配置された椎弓根スクリューを示す椎骨の側面図である。
【
図8】椎弓根スクリューの外側穿破を示す椎弓根の端面図である。
【
図9】椎弓根スクリューの内側穿破を示す椎弓根の端面図である。
【
図10】椎弓根スクリューの正確な配置を示す椎弓根の端面図である。
【
図11】椎骨の矢状面を位置決めするために撮影された透視画像である。
【
図12】
図11の透視画像の同じ領域のCTスキャン画像である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は様々な形態の実施形態が可能であるが、本開示は本発明の例示と見なすべきであり、本発明を示されている特定の実施形態に限定するものではないという理解の下で、現在の好ましい実施形態が図面に示されており、それについて以下に説明する。
【0013】
図1~
図11全体を参照すると、長手方向軸の周りおよび長手方向軸に沿った脊椎の回転配向を決定するための脊椎配向システム10が示されている。該システムは、一般に、コンピュータ12と、モニタ14と、キーボード16と、Cアーム18と、光学または電磁監視システム20とを含む。コンピュータ12は、プロセッサ(図示せず)と、脊椎24(
図12)のコンピュータ断層撮影(CT)スキャン画像22、磁気共鳴(MRI)画像などを含み、表示するのに十分なメモリとを含む。Cアーム18もまた、透視画像26の入力のためにコンピュータ12に接続され、Cアーム18は、前記Cアーム18の第1の端部に位置決めされたX線源19と、前記Cアームの第2の端部に位置決めされたX線検出器21とを含む。コンピュータメモリは、モニタ14上に呼び出して観察するためにCT画像またはMRI画像が保存された保存ファイルを有する。脊椎配向システム10は、CTスキャン画像22またはMRIスキャン画像を透視画像26上に重ね合わせるように構成および配置されることが好ましい。しかしながら、代替的な実施形態では、本発明の範囲から逸脱することなく、透視画像26をCTスキャン画像22またはMRIスキャン画像上に重ね合わせることができる。このようにして、CT画像22またはMRI画像は、矢状面または任意の他の確立された平面が、透視画像26との比較のために水平または垂直になるように、配向され得る。画像が一致する場合、光学センサ28を脊椎24の一部に取り付けて、光学監視システム20が脊椎の動きを監視できるようにすることができる。このような光学監視システム20は、医療分野において周知である。このような光学監視システムでは、1つまたは複数の光学センサ28が、1つまたは複数の光学監視カメラ23の視野枠内の椎骨などの骨に取り付けられ、動きが検出された場合に外科医に警告を発する。動きが検出されると、または重ね合わされたCT画像22もしくはMRI画像と透視画像26とが一致しない場合には、脊椎が矢状面または別様に確立された平面によって形成される垂直軸に対して回転または平行移動されることを外科医に示すために、カラーインジケータ30または基準線32がモニタ14上に表示される。このシナリオでは、CT画像またはMRI画像、ひいては矢状面または別様に確立された平面は、画像が一致するまで、長手方向軸を中心として回転され得る、または脊椎に沿って平行移動され得る。その後、CT画像またはMRI画像が透視画像(複数可)26に対して回転された角度は、回転角34として医師に示され得る。回転角34が決定されると、外科医は、回転角34を使用して、ロボット(図示せず)を用いてまたは手でスクリューを配置することができる。同様に、画像が長手方向軸に沿って平行移動される距離は、平行移動距離35として示され、椎弓根スクリュー刺入点の位置を決めるために利用され得る。
【0014】
図2および
図3を参照すると、腰椎への椎弓根スクリューの刺入点が示されている。刺入点は、一般に、4本の線、例えば、関節間部38、乳頭突起41、上関節窩40の外側縁、および中央横突起44のいずれかの合流点として定義される。
【0015】
図3を参照すると、下部胸節への椎弓根スクリューの刺入点は、一般に、椎間関節46の中間部分および横突起48の上縁によって決まる。特定の刺入点は、好ましくは、この交点に対してちょうど側方かつ尾側である。
【0016】
図4および
図5を参照すると、中外側傾斜が示されている。中外側傾斜は、脊椎の長手方向軸を中心とした椎骨の回転に依存する。主な目的は、表面的には脊柱管の内側貫通を防止し、挿入の深さで椎体皮質の外側または前方貫通を防止することである。理想的には、2本のスクリューは、合流するが、椎弓根および椎体の皮質内に完全にとどまらなければならない。図示されているように、椎弓根54の仰角52は、T1レベルにおける約30度からT3レベルにおける約15度までの角形成の範囲であり、T4からは下向きに、仰角はほぼ矢状方向になる。
【0017】
図6および
図7を参照すると、頭尾方向角形成56が示されている。適切な軌道は、対側横突起を目標とする。
図7は、椎弓根スクリュー58の適切な配置を示す。
【0018】
図8~
図10は、椎弓根スクリュー58の様々な配置を示す。
図8は、椎弓根スクリュー58の外側穿破を示す。
図9は、椎弓根スクリュー58の内側穿破を示す。
図10は、適切に配置された椎弓根スクリュー58を示す。
【0019】
図11および
図12を参照すると、透視画像26およびCTスキャン画像22またはMRIスキャン画像が示されている。画像は、本発明に特有ではないが、脊椎手術のために撮影された画像のタイプを表している。
【0020】
本発明の特定の形態が例示されているが、本明細書に記載され図示されている特定の形態または配置に限定されるものではないことを理解されたい。本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更を行うことができることは当業者には明らかであり、本発明は、本明細書および本明細書に含まれる図面/図に示され説明されているものに限定されるものではない。
【0021】
当業者は、本発明が、目標を達成し、言及されている結果や利点、および本来の結果や利点を得るために良く適合していることを容易に理解するであろう。本明細書に記載されている実施形態、方法、手順および技術は、現在好ましい実施形態を示しており、例示を目的としたものであり、範囲を制限するものではない。当業者であれば、本発明の精神に包含され、添付の特許請求の範囲によって定義される変更および他の使用を想到するであろう。本発明を特定の好ましい実施形態に関連して説明してきたが、特許請求される本発明は、そのような特定の実施形態に過度に限定されるべきではないことを理解されたい。実際に、本発明を実施するための記載されている形態の種々の修正は、当業者に明らかであり、以下の特許請求の範囲内に含まれるものとする。
【国際調査報告】