(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-21
(54)【発明の名称】自己稼動型焼却炉システム
(51)【国際特許分類】
F23G 5/46 20060101AFI20221014BHJP
F22B 35/14 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
F23G5/46
F22B35/14 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022510161
(86)(22)【出願日】2020-07-22
(85)【翻訳文提出日】2022-02-15
(86)【国際出願番号】 KR2020009656
(87)【国際公開番号】W WO2021033930
(87)【国際公開日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】10-2019-0100564
(32)【優先日】2019-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522060951
【氏名又は名称】キム,キョン ファン
【氏名又は名称原語表記】KIM, Kyoung Hwan
(71)【出願人】
【識別番号】522051409
【氏名又は名称】チョン,ピョン チョル
【氏名又は名称原語表記】CHEON, Byung Chul
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】キム,キョン ファン
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ピョン チョル
【テーマコード(参考)】
3K065
3L021
【Fターム(参考)】
3K065JA01
3K065JA18
3L021AA05
3L021CA10
(57)【要約】
自己稼動型焼却炉システムが開示される。開示された自己稼動型焼却炉システムは、焼却炉と、前記焼却炉で廃熱を受けて蒸気を生産するように構成された蒸気ボイラと、前記蒸気ボイラで生産された蒸気を受けてタービン回転力を生成するように構成されたタービン装置と、前記タービン装置で生成されたタービン回転力を利用して、電力を生産するように構成された発電機と、前記発電機で生産された電力を保存して、前記焼却炉及び前記蒸気ボイラの少なくとも一つの始動または正常稼動のために用いるように構成された蓄電池とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼却炉と、
前記焼却炉で廃熱を受けて蒸気を生産するように構成された蒸気ボイラと、
前記蒸気ボイラで生産された蒸気を受けてタービン回転力を生成するように構成されたタービン装置と、
前記タービン装置で生成されたタービン回転力を利用して電力を生産するように構成された発電機と、
前記発電機で生産された電力を保存して、前記焼却炉及び前記蒸気ボイラの少なくとも一つの始動または正常稼動のために用いるように構成された蓄電池と、を含む自己稼動型焼却炉システム。
【請求項2】
外部電力の供給なしに始動及び正常稼動が全部可能に構成された、請求項1に記載の自己稼動型焼却炉システム。
【請求項3】
前記焼却炉及び前記蒸気ボイラは、それぞれ外部電力の供給なしに前記蓄電池で供給された電力のみで始動され、外部電力の供給なしに前記発電機及び前記蓄電池の少なくとも一つで供給された電力のみで正常稼動されるように構成された請求項2に記載の自己稼動型焼却炉システム。
【請求項4】
前記蓄電池は、設置前の最初充電を除き、外部電力の供給なしに前記発電機で供給された電力のみで充電されるように構成された請求項2に記載の自己稼動型焼却炉システム。
【請求項5】
電力を生産して前記蓄電池に供給するように構成された太陽電池をさらに含み、
前記蓄電池は、設置前の最初充電を除き、外部電力の供給なしに前記発電機及び前記太陽電池の少なくとも一つで供給された電力のみで充電されるように構成された請求項2に記載の自己稼動型焼却炉システム。
【請求項6】
稼動が不必要な場合に稼動を中断し、稼動が必要な場合に外部電力の供給なしに再稼動が可能に構成された請求項2に記載の自己稼動型焼却炉システム。
【請求項7】
前記発電機と前記蓄電池にそれぞれ電気的に連結された整流器と、前記蓄電池に電気的に連結された第1インバータと、前記整流器に電気的に連結された第2インバータと、前記第1インバータまたは前記第2インバータに選択的に電気的に連結された切り替えスィッチと、前記切り替えスイッチに電気的に連結された分電盤と、をさらに含む請求項2に記載の自己稼動型焼却炉システム。
【請求項8】
前記発電機の周波数または電力を感知して、前記切り替えスィッチの動作を制御するように構成された制御部をさらに含む請求項7に記載の自己稼動型焼却炉システム。
【請求項9】
前記タービン装置は、衝動式タービンを含む請求項2に記載の自己稼動型焼却炉システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
自己稼動型焼却炉システムが開示される。より詳しくは、外部電力の供給が不必要な自己稼動型焼却炉システムが開示される。
【背景技術】
【0002】
現在用いられる中小型焼却炉は、大体都心から遠く離れた所に設置されることが選好され、薪用焼却炉などは、主に電気のない所で用いる必要性が高い。しかしながら、焼却炉を稼動するためには、外部電力が供給されなければならないため、焼却炉が必要な所で焼却炉を設置しにくいという問題点がある。
【0003】
先行特許文献1は、焼却炉で燃焼する際に発生した廃熱を利用して蒸気を生産し、このように生成された蒸気を利用して蒸気タービンを回して発電機で電力を生産し、このように生成された電力を負荷またはナトリウム-硫黄電池に供給するごみ焼却発電装置を開示する。しかしながら、先行特許文献1は、生成された電力を焼却炉ではない負荷に供給することを開示している。さらに、先行特許文献1におけるごみ焼却発電装置を含む従来の焼却発電装置は、稼動が不必要な場合にも少ない燃料で稼働し続けるしかないという短所がある。すなわち、一旦稼動が止まると、再稼動するまでおびただしい努力とエネルギーが使用されるため、運転の便宜上、損害が伴い、連続的に可動させるしかないのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一具現例は、外部電力の供給が不必要な自己稼動型焼却炉システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面は、焼却炉と、前記焼却炉で廃熱を受けて蒸気を生産するように構成された蒸気ボイラと、前記蒸気ボイラで生産された蒸気を受けてタービン回転力を生成するように構成されたタービン装置と、前記タービン装置で生成されたタービン回転力を利用して電力を生産するように構成された発電機と、前記発電機で生産された電力を保存して、前記焼却炉及び前記蒸気ボイラの少なくとも一つの始動または正常稼動のために用いるように構成された蓄電池と、を含む自己稼動型焼却炉システムを提供する。
【0007】
前記自己稼動型焼却炉システムは、外部電力の供給なしに始動及び正常稼動が全部可能に構成されることができる。
【0008】
前記焼却炉及び前記蒸気ボイラは、それぞれ外部電力の供給なしに前記蓄電池で供給された電力のみで始動され、外部電力の供給なしに前記発電機及び前記蓄電池の少なくとも一つで供給された電力のみで正常に稼動されるように構成されることができる。
【0009】
前記蓄電池は、設置前の最初充電を除き、外部電力の供給なしに前記発電機で供給された電力のみで充電されるように構成されることができる。
【0010】
前記自己稼動型焼却炉システムは、電力を生産して前記蓄電池に供給するように構成された太陽電池をさらに含み、前記蓄電池は、設置前の最初充電を除き、外部電力の供給なしに前記発電機及び前記太陽電池の少なくとも一つで供給された電力のみで充電されるように構成されることができる。
【0011】
前記自己稼動型焼却炉システムは、稼動が不必要な場合に稼動を中断し、稼動が必要な場合に外部電力の供給なしに再稼動が可能に構成されることができる。
【0012】
前記自己稼動型焼却炉システムは、前記発電機と前記蓄電池にそれぞれ電気的に連結された整流器と、前記蓄電池に電気的に連結された第1インバータと、前記整流器に電気的に連結された第2インバータと、前記第1インバータまたは前記第2インバータに選択的に電気的に連結された切り替えスィッチと、前記切り替えスイッチに電気的に連結された分電盤と、をさらに含むことができる。
【0013】
前記自己稼動型焼却炉システムは、前記発電機の周波数または電力を感知して、前記切り替えスィッチの動作を制御するように構成された制御部をさらに含むことができる。
【0014】
前記タービン装置は、衝動式タービンを含むことができる。
【0015】
前記衝動式タービンは、軸孔を有する円筒状の本体、及び前記本体の周りを囲むように配置されたブレード部を含み、前記ブレード部は、前記本体の周りを囲むように配置された円筒状のベース、及び前記ベースの周りに沿って放射状に一列で配置された複数の単位ブレードを含み、前記各単位ブレードは、これに噴射された流体を流体噴射方向と相異する方向に排出させ、他の単位ブレードへは排出させない出口を含むことができる。
【0016】
前記各単位ブレードは、これに噴射された流体が他の単位ブレードに排出されることを抑制するように構成されることができる。
【0017】
前記各単位ブレードは、これに噴射された流体の90重量%以上を前記出口で排出させるように構成されることができる。
【0018】
前記各単位ブレードは、これに噴射された流体を一時的に収容する溝部と、前記溝部の底を形成する底部と、前記溝部の右側壁を形成する第1遮断部と、前記溝部の左側壁を形成する第2遮断部と、前記溝部の前側壁と上側壁を形成する第3遮断部とを含み、前記底部は、一部が前記溝部の前記上側壁によって閉鎖され、残り部分は開放されており、前記第1遮断部は前記第2遮断部より長さが短く、前記出口は、前記第1遮断部と隣接して位置することができる。
【0019】
前記溝部は、アーチ状の平断面を有することができる。
【0020】
前記本体は、軸孔を有する円筒状の本体内部、及び前記本体内部の周りを囲むように配置された円筒状の本体外部を含むことができる。
【0021】
前記衝動式タービンは、5kPa以下の流体噴射圧で3600rpmの回転速度を得ることができるように構成されることができる。
【0022】
本発明のまた他の側面は、内部にタービンが回転するための空間を備え、一側と他側に設けられた一対の流体流入口及び流体排出口が形成されたハウジングと、前記中央に回転軸が軸設されて回転するタービンとからなるタービン装置において、前記ハウジングは、両側が開放されるようにし、一側には回転軸の一端を支持するための軸支持具が結合され、他側には流体排出孔を備える流体排出管が結合されるようにし、前記軸支持具は、中央に回転軸が貫通するための通孔が形成され、ハウジングの一側に結合するためのフランジ部を備え、通孔の前方にはベアリング設置溝が形成され、後方にはベアリング内蔵空間が形成されるようにし、前記ベアリング設置溝には回転軸の前方を支持するための前方ベアリングが嵌合され、ベアリング内蔵空間には回転軸の後方を支持するための後方ベアリングが嵌合されて、回転軸を偏心されるように支えることができるように構成されることを特徴とするタービン装置の回転軸支持構造を提供する。
【0023】
前記ベアリング内蔵空間には遮断具が形成されて、ベアリングに流入される流体を遮断することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一具現例に係る自己稼動型焼却炉システムは、外部電力が供給されなくても始動、正常稼動、稼動中断、再始動、再稼動及び再稼動中断を繰り返すことができる。したがって、前記自己稼動型焼却炉システムは、電気のない奥地や島などの人里離れた所でも用いられることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一具現例に係る自己稼動型焼却炉システムを概略的に示した図面である。
【
図2】
図1の自己稼動型焼却炉システムにおけるタービン装置に備えられた衝動式タービンの一側斜視図である。
【
図3】
図2の衝動式タービンをA-A′線に沿って切り取って得た断面図である。
【
図4】
図2の衝動式タービンをB方向で見た側面図である。
【
図5】
図2の衝動式タービンをB′方向で見た側面図である。
【
図6】
図2の衝動式タービンをC方向で見た正面図である。
【
図7】
図1の自己稼動型焼却炉システムにおけるタービン装置に備えられた衝動式タービンの他側斜視図である。
【
図8】
図1の自己稼動型焼却炉システムにおけるタービン装置の回転軸支持構造を示した分解斜視図である。
【
図9】
図1の自己稼動型焼却炉システムにおけるタービン装置の部分分解斜視図である。
【
図11】
図9のタービン装置の作動状態を示す図面である。
【
図12】
図9のタービン装置の作動時の流体の流入及び排出経路を示す透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では図面を参照して本発明の一具現例に係る自己稼動型焼却炉システムについて詳しく説明する。
【0027】
本明細書において、「自己稼動型(self-powered)」とは、外部電力の供給なしに稼動するタイプを意味する。
【0028】
また、本明細書において、「外部電源の供給なし」とは、自己稼動型焼却炉システムの外部から電力が供給されないことを意味する。
【0029】
また、本明細書において、「始動(starting)」とは、稼動中断状態で初めで稼動するようにすることを意味し、「正常稼動(normal operation)」とは、始動後に正常に稼動する状態を意味する。また、本明細書において、「衝動式タービン(impulse turbine)」とは、ノズルに高圧の流体を供給すると、流体の圧力が減少し、流体の速度は増加するようになるが、このように速度が増加された流体が高速ジェットの形態でノズルを通過してタービンブレード(すなわち、単位ブレード)にぶつかって流れ方向が変化され、このように流れ方向の変化によって衝撃力が生成され、この衝撃力によってブレードが回転するようになるタービンを指称する(http://www.mechanicalengineeringsite.com/impulse-turbine-reaction-turbine-principle-workingdifference/参照)。
【0030】
また、本明細書において、「単位ブレード」は、ブレード部を構成する個個のブレードを意味する。
【0031】
また、本明細書において、「流体」は、蒸気、空気、オイル、水、各種ガスまたはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0032】
図1は、本発明の一具現例に係る自己稼動型焼却炉システム1を概略的に示した図面である。
【0033】
自己稼動型焼却炉システム1は、外部電力の供給なしに始動及び正常稼動が全部可能に構成されることができる。従来の焼却炉システム(図示しない)は、始動の時、または始動の時と正常稼動の時に、外部電力の供給が必須であった。
【0034】
また、自己稼動型焼却炉システム1は、稼動が不必要な場合に稼動を中断し、稼動が必要な場合に外部電力の供給なしに再稼動が可能に構成されることができる。従来の焼却炉システム(図示しない)は、再稼働の際に必ず必要とされる外部電力の供給による多量のエネルギーの消耗を防止するために、稼動が不必要な場合にも少量の燃料で稼動し続けるため、不必要なエネルギー消耗をもたらすという問題点があった。
【0035】
図1を参照すると、本発明の一具現例に係る自己稼動型焼却炉システム1は、焼却炉2、蒸気ボイラ3、タービン装置10、発電機4、整流器5、蓄電池6、太陽電池7、第1インバータ8、第2インバータ9、切り替えスィッチ11、制御部12、分電盤13、モニタ14及び/または余剰使用先15を含むことができる。
【0036】
焼却炉2は、焼却燃料IFを燃やす火鉢を指称する。
【0037】
焼却燃料IFは、廃木、ヤシ油残渣、海洋のプラスチックごみ類など都心から離れた所で発生するものであり得る。
【0038】
また、焼却炉2は、時間当り約100kgの焼却燃料IFを焼却するように構成されることができる。
【0039】
また、焼却炉2は、初期稼動(すなわち、始動)時には約800℃の廃熱を生産し、活性化(すなわち、正常稼動)されると、約1500℃の廃熱を生成するように構成されることができる。
【0040】
また、焼却炉2は、これに備えられたファンとバーナーなどを稼動するのに電力を必要とし、開発された焼却炉製品を基準として、約15kw/hの電力(3Φ、380V)を必要とする。
【0041】
また、焼却炉2で焼却燃料IFが燃焼される時に廃熱が発生するようになるが、このような廃熱はホットエア(HA)の形態で回収されて、後述する蒸気ボイラ3に供給されることができる。
【0042】
また、焼却炉2は、外部電力の供給なしに蓄電池6で供給された電力Pのみで始動されるように構成されることができる。また、焼却炉2は、外部電力の供給なしに発電機4及び/または蓄電池6で供給された電力Pのみで正常稼動されるように構成されることができる。
【0043】
蒸気ボイラ3は、焼却炉2で廃熱を受けて、蒸気Sを生産するように構成されることができる。具体的には、蒸気ボイラ3は、外部で水Wが供給され、焼却炉2で廃熱をホットエア(HA)の形態で受けて熱交換によって蒸気S及びコールドエア(CA)を生産するように構成されることができる。また、蒸気Sは、タービン装置10に供給され、コールドエア(CA)は焼却炉2に供給されることができる。
【0044】
また、蒸気ボイラ3は、外部電力の供給なしに蓄電池6で供給された電力Pのみで始動されるように構成されることができる。また、蒸気ボイラ3は、外部電力の供給なしに発電機4及び/または蓄電池6で供給された電力Pのみで正常に稼動されるように構成されることができる。
【0045】
また、蒸気ボイラ3の容量は約2トンであり得る。
【0046】
タービン装置10は、蒸気ボイラ3で生産された蒸気Sを受けてタービン回転力(具体的には、タービンブレードの回転力)を生成するように構成されることができる。
【0047】
また、タービン装置10に供給された蒸気Sは、タービン回転力を生成した後、凝縮水CWに転換されて外部に排出されたり蒸気ボイラ3に回収されることができる。
【0048】
また、タービン装置10は1つであってもよく、2つ以上(例えば、2~4つ)であってもよい。
【0049】
このようなタービン装置10は、従来のタービン装置(図示しない)に比べて構造が簡単で、効率が非常に高くて、自己稼動型焼却炉システム1が外部電力の供給なしに始動及び正常稼動されることを可能にする。タービン装置10に対しては後述することにする。
【0050】
発電機4は、タービン装置10で生成されたタービン回転力を利用して電力Pを生産するように構成されることができる。このような発電機4は、単相交流発電機または直流発電機であり得る。
【0051】
また、発電機4は1つであってもよく、2つ以上(例えば、2~4つ)であってもよい。
【0052】
整流器5は、発電機4と蓄電池6にそれぞれ電気的に連結されたものであり得る。
【0053】
また、整流器5は、発電機4で生産された電力を安定的に整流する装置である。具体的には、整流器5は、発電機4で生産された交流または直流の電力を蓄電池6に充電可能な直流の電力に転換させる装置である。
【0054】
発電機4は、基本的に1800rpmまたは3600rpm時に定格電力を生産するが、タービン装置10の特性上、一度にrpmが上がらず、所定の電力を生産するためには、整流器5が必要となる。
【0055】
蓄電池6は、発電機4で生産された電力を保存して、前記電力を焼却炉2及び/または蒸気ボイラ3の始動及び/または正常稼動のために用いるように構成されることができる。
【0056】
また、蓄電池6は、設置前(すなわち、自己稼動型焼却炉システム1での部品化前)に最初充電を除き、外部電力の供給なしに発電機4で供給された電力のみで充電されるように構成されることができる。
【0057】
太陽電池7は、電力を生産して、蓄電池6に供給するように構成されることができる。この場合、蓄電池6は、設置前の最初充電を除き、外部電力の供給なしに発電機4及び/または太陽電池7で供給された電力のみで充電されるように構成されることができる。具体的には、太陽電池7は、電力を生産して蓄電池6に最初に供給したり、蓄電池6が長期間用いない場合に発生する蓄電量の低下時に追加電力供給用途で用いられることができる。
【0058】
第1インバータ8は、蓄電池6に電気的に連結されたものであり得る。
【0059】
第2インバータ9は、整流器5に電気的に連結されたものであり得る。
【0060】
第1インバータ8及び第2インバータ9は、それぞれ直流電力を交流電力に転換させる役割を果たす。
【0061】
切り替えスィッチ(static switch)11は、第1インバータ8または第2インバータ9に選択的に電気的に連結されたものであり得る。一例として、切り替えスィッチ11は、第1インバータ8には電気的に連結され、第2インバータ9には電気的に分離されることができる。他の例として、切り替えスィッチ11は、第1インバータ8には電気的に分離され、第2インバータ9には電気的に連結されることができる。したがって、切り替えスィッチ11は、蓄電池6に充電された電力と、発電機4で発生した電力の何れか一つの電力を選択するスィッチとして作用することができる。
【0062】
制御部12は、発電機4の周波数または電力を感知して、切り替えスィッチ11の動作を制御するように構成されることができる。具体的には、制御部12は、発電機4の周波数または電力が定格値未満の場合、蓄電池6に充電された電力が用いられるように切り替えスィッチ11が第1インバータ8に電気的に連結されるようにし、発電機4の周波数または電力が定格値以上の場合、発電機4で発生した電力が用いられるように切り替えスィッチ11が第2インバータ9に電気的に連結されるようにする。
【0063】
分電盤13は、蓄電池6に充電されたり発電機4で生産された電力Pを焼却炉2、蒸気ボイラ3及び余剰使用先15に分配する物理的ヘッダーであり得る。
【0064】
例えば、蒸気タービン10が2つ稼動する場合、発電容量は約40KVAであり、力率を考慮した時、約80%水準の32KVAの電力が発生し、各種装備に必要な電力は15~20kw/hであるので、余剰電力が約12~17kw/hが発生するようになる。
【0065】
モニタ14は、発電機4の電力発生量、自己稼動型焼却炉システム1に用いられる電力量及び余剰発生電力量をモニタリングして、自己稼動型焼却炉システム1全体の運転条件を調節するか、及び/または余剰発生電力量の使用量を計測及び調節する役割を果たす。
【0066】
余剰使用先15は、照明器具、冷暖房装置または各種装備であり得る。
【0067】
以下、
図2~
図12を参照してタービン装置10について詳しく説明する。
【0068】
図2は
図1の自己稼動型焼却炉システム1におけるタービン装置10に備えられた衝動式タービン100の一側斜視図であり、
図3は
図2の衝動式タービン100をA-A′線に沿って切り取って得た断面図であり、
図4は
図2の衝動式タービン100をB方向で見た側面図であり、
図5は
図2の衝動式タービンをB′方向で見た側面図であり、
図6は
図2の衝動式タービン100をC方向で見た正面図であり、
図7は
図1の自己稼動型焼却炉システム1におけるタービン装置10に備えられた衝動式タービン100の他側斜視図である。
【0069】
図2~
図7を参照すると、
図1の自己稼動型焼却炉システム1におけるタービン装置10に備えられた衝動式タービン100は、本体110及びブレード部120を含む。
【0070】
本体110は、軸孔hを有するもので、円筒状であり得る。軸孔hには回転軸(
図10の221)が挿入されることができる。
【0071】
また、本体110は、本体内部111、及び本体外部112を含むことができる。
【0072】
本体内部111は、軸孔hを有するもので、円筒状であり得る。
【0073】
本体外部112は、本体内部111の周り(periphery)を囲むように配置されたもので、円筒状であり得る。
【0074】
また、本体内部111と本体外部112は一体に形成されたものであり得る。
【0075】
ブレード部120は、本体110の周り(具体的には、本体外部112の周り)を囲むように配置されたものであり得る。
【0076】
また、ブレード部120は、ベース121、及び複数の単位ブレード122を含むことができる。
【0077】
ベース121は、本体110の周りを囲むように配置されたもので、円筒状であり得る。
【0078】
複数の単位ブレード122は、ベース121の周りに沿って放射状に一列で配置されたものであり得る。
【0079】
また、複数の単位ブレード122らそれぞれは、これに噴射された流体Fを流体噴射方向と相異する方向に排出させるが、他の単位ブレード122へは排出させない出口eを含むことができる。具体的には、複数の単位ブレード122らそれぞれは、これに噴射された流体Fが他の単位ブレード122に排出されることを抑制するように構成されることができる。より具体的には、複数の単位ブレード122らそれぞれは、これに噴射された流体の90重量%以上、95重量%以上、97重量%以上、98重量%以上、99重量%以上または100重量%を出口eを通じて排出させるように構成されることができる。
【0080】
複数の単位ブレード122らそれぞれは、溝部g、底部122a、第1遮断部122b、第2遮断部122c及び第3遮断部122dを含むことができる。
【0081】
溝部gは、それぞれの単位ブレード122に噴射された流体Fを一時的に収容する役割を果たす。具体的には、溝部gはそれぞれの単位ブレード122に噴射された流体Fを所定の滞留時間の間収容してから出口eを通じて外部に排出させる役割を果たす。
【0082】
底部122aは、溝部gの底を形成するものであり得る。例えば、底部122aは偏平な構造を有することができる。
【0083】
また、底部122aは、一部が溝部gの上側壁によって閉鎖され(すなわち、上方から下方へ観察する場合、溝部gの上側壁に遮られて見えない)、残り部分は開放(すなわち、上方から下方へ観察可能である)されたものであり得る。
【0084】
第1遮断部122bは、溝部gの右側壁を形成するものであり得る。
【0085】
第2遮断部122cは、溝部gの左側壁を形成するものであり得る。
【0086】
また、第1遮断部122bは第2遮断部122cより長さが短くてもよい。このような第1遮断部122bと第2遮断部122cとの長さの差によって出口eが形成されることができる。
【0087】
出口eは第1遮断部122bと隣接して位置したものであり得る。
【0088】
第3遮断部122dは、溝部gの前側壁122d1と上側壁122d2を形成するものであり得る(
図3参照)。
【0089】
流体Fは、第3遮断部122d(特に、前側壁122d1)に向かって噴射されることができる。具体的には、
図6に示したように、流体Fは、第3遮断部122d方に噴射されて、溝部gに所定時間滞留した後、第1遮断部122bに沿って出口eを通じて外部に排出されることができる。
【0090】
また、溝部gはアーチ状の平断面を有し得る(
図6のg′参照)。
【0091】
前記のように、溝部gが左側壁122b、右側壁122c、前側壁122d1、上側壁122d2及びアーチ状の平断面を有するとともに、出口eが形成されることにより、
図6に示したように、それぞれの単位ブレード122に噴射された流体Fは矢印方向に表示された流れ経路を有することができる。したがって、特定ブレード122に噴射された流体Fは隣接した他のブレード122に排出されることが抑制されて、その大部分が出口eを通じて排出されることができ、それによって、衝動式タービン100は低い流体噴射圧でも高い回転速度を得ることができる。
【0092】
また、ベース121と複数の単位ブレード122は一体に形成されたものであり得る。
【0093】
前記のような構成を有する衝動式タービン100は、5kPa(kilopascals)以下または4kPa以下の流体噴射圧で3600rpmの回転速度を得ることができる。一方、従来の衝動式タービン(図示しない)は3600rpmの回転速度を得るためには、12.7kPaの高い流体噴射圧が要求されたため、効率が非常に低いという問題点があった。
【0094】
本発明の他の側面は、前述の衝動式タービン100を含むタービン装置10を提供する。
【0095】
図8は、
図1の自己稼働型焼却炉システム1におけるタービン装置10の回転軸支持構造を示すための分解斜視図であり、
図9は、
図1の自己稼働型焼却炉システム1におけるタービン装置10の部分分解斜視図であり、
図10は、
図9のタービン装置10の断面図であり、
図11は、
図9のタービン装置10の作動状態を示す図面であり、
図12は、
図9のタービン装置10の作動時の流体Fの流入及び排出経路を示す透視図である。
【0096】
図8~
図12を参照すると、
図1の自己稼働型焼却炉システム1におけるタービン装置10は、ハウジング210、回転軸221及び衝動式タービン100を含む。
【0097】
タービン装置10は、ノズルNから噴射された高圧の流体Fが衝動式タービン100のブレード部120を打撃するが、従来のタービンのようにそのままブレード部120から抜け出るのではなく、ブレード部120に所定時間とどまるように構成されることにより、高圧の流体Fが有する慣性力が相当時間の間ブレード部120に作用するように構成されることができる。それにより、ブレード部120に流体Fの圧力が持続的に加えられてタービン装置10のパワーがより極大化されることができる。
【0098】
タービン装置10の回転軸支持構造は、ハウジング210、衝動式タービン100、軸支持具240及び流体排出管280を含むことができる。
【0099】
ハウジング210は、その内部に衝動式タービン100が回転するための空間を備え、一側及び他側に設けられた一対の流体流入口211及び流体排出口を含むことができる。前記流体排出口は、流体排出管280と連通されることができる。
【0100】
衝動式タービン100は、タービン装置10の中央に軸設されて回転する回転軸221に結合されて回転するように構成されることができる。
【0101】
また、ハウジング210は、両側が開放されるように構成されるが、一側には回転軸221の一端を支持するための軸支持具241が結合され、他側には流体排出孔を備える流体排出管280と結合されたものであり得る。
【0102】
軸支持具241は、回転軸221が貫通するための貫通孔が中央に形成され、ハウジング210の一側に結合するためのフランジ部242を含むことができる。
【0103】
フランジ部242は、ボルトまたはねじのような締結具によってハウジング210の一側に結合される。この時、ハウジング210の内部の圧力が漏れないようにして密閉力を高めるためのOリング(O-ring)を差し込んで結合することができる。
【0104】
また、軸支持具241の前方にはベアリング設置溝241が形成され、後方にはベアリング内蔵空間242が形成され、ベアリング設置溝241には回転軸221の前方を支持するための前方ベアリング231が嵌合され、ベアリング内蔵空間242には回転軸221の後方を支持するための後方ベアリング232が嵌合されて回転軸221をハウジング210から偏心されるように支えることができる。
【0105】
すなわち、衝動式タービン100は、ハウジング210の内部で回転するが、回転軸221は軸支持具241のみによって支えされるように構成されることができる。
【0106】
また、ベアリング内蔵空間242には遮断具260が形成されて、ベアリング232に流入される流体(例えば、蒸気)を遮断することができる。
【0107】
遮断具260は、弾性を有する固定具270によってベアリング内蔵空間242から離脱しないように構成されることができる。この時、ベアリング232の両側にはオイルシール250を形成してベアリング232にオイルを供給することにより、回転軸221の回転をより円滑にすることができる。
【0108】
それにより、タービン装置10は、全てのベアリング232が高温の流体(蒸気)から何ら影響も受けず、それにより、どんなベアリングも損傷を受けずに、またオイル(グリース)の蒸発を最小化して回転軸221とベアリング232の耐久性を進めることができる。
【0109】
回転軸221の末端には発電機結合部222を形成することもでき、このような発電機結合部222は、例えば、プーリー(pulley)であり得る。
【0110】
以下、前記のような構成を有する本発明の一具現例に係る自己稼動型焼却炉システム1の作動過程について詳しく説明する。
【0111】
(始動後正常稼動前の作動)
図1を参照すると、焼却炉2は、約800℃の温度で運転し、蒸気ボイラ3に熱量が充分に供給されず、基準値に符合する蒸気圧力が正常に供給されない。それにより、タービン回転力が不足して発電機4が定格電力を発生させない状態になる。したがって、切り替えスィッチ11が発電機4(具体的には、第2インバータ9)でない蓄電池6(具体的には、第1インバータ8)に選択的に電気的に連結されて、自己稼動型焼却炉システム1の全体的な稼動は蓄電池6に充電された電力を用いる状態である。
【0112】
(正常稼動後の作動)
焼却炉2は、約1500℃の温度で稼動され、焼却炉2の煙突で排出される燃焼ガスは十分な熱量を有する。それにより、蒸気ボイラ3に供給されるエネルギーも十分で、必要な圧力だけ蒸気Sが充分に供給される状態である。したがって、タービン回転力が十分で、発電機4が定格電力を発生し、発電機4の周波数または電力を感知した制御部12が切り替えスィッチ11の電気的連結部位を蓄電池6(具体的には、第1インバータ8)から発電機4(具体的には、第2インバータ9)に転換させて発電機4の発電電力Pを各種使用先2、3及び/または15に直接供給する状態である。
【0113】
本発明は図面を参考して説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、本技術分野において通常の知識を有する者であればこれから多様な変形及び均等な他の具現例が可能であるという点を理解すべきである。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は特許請求範囲の技術的思想によって定められるべきである。
【国際調査報告】