(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-21
(54)【発明の名称】活性剤を局所的に送達するための溶媒送達システム
(51)【国際特許分類】
A61K 47/14 20060101AFI20221014BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/445 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/4025 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/409 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/196 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/40 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/65 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/421 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/405 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/603 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/5415 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/618 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/42 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/444 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/4152 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/135 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/4402 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/592 20060101ALI20221014BHJP
A61K 38/00 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/167 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/245 20060101ALI20221014BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/495 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/4174 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/4545 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/4164 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/7048 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/192 20060101ALI20221014BHJP
A61P 17/00 20060101ALN20221014BHJP
【FI】
A61K47/14
A61K47/10
A61K31/445
A61K31/4025
A61K31/409
A61K31/196
A61K31/40
A61K31/65
A61K31/421
A61K31/405
A61K31/603
A61K31/5415
A61K31/618
A61K31/42
A61K31/444
A61K31/4152
A61K31/135
A61K31/4402
A61K31/592
A61K38/00
A61K31/167
A61K31/245
A61P43/00 121
A61K31/495
A61K31/519
A61K31/506
A61K31/4174
A61K31/4545
A61K31/4164
A61K31/7048
A61K31/192
A61P17/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022511340
(86)(22)【出願日】2020-08-20
(85)【翻訳文提出日】2022-04-15
(86)【国際出願番号】 US2020047264
(87)【国際公開番号】W WO2021035086
(87)【国際公開日】2021-02-25
(32)【優先日】2019-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】520342116
【氏名又は名称】ティンバー ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】チャン,キン エフ
(72)【発明者】
【氏名】チェン,シン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076BB31
4C076CC01
4C076CC05
4C076CC11
4C076CC18
4C076CC20
4C076CC27
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4C076CC31
4C076CC32
4C076CC34
4C076CC50
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4C076DD44
4C076FF34
4C076FF68
4C084AA01
4C084AA30
4C084DA28
4C084NA10
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4C084ZB35
4C086AA01
4C086AA10
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4C086BC42
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4C086BC69
4C086BC90
4C086CA03
4C086CB04
4C086DA14
4C086DA17
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4C086GA07
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4C086GA12
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA63
4C086NA10
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4C086ZA39
4C086ZA89
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4C086ZB26
4C086ZB35
4C086ZB39
4C086ZC13
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA10
4C206DA22
4C206DA23
4C206DA25
4C206FA05
4C206FA31
4C206FA33
4C206FA36
4C206FA37
4C206GA19
4C206GA31
4C206JA19
4C206KA01
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA83
4C206NA10
4C206NA14
4C206ZA08
4C206ZA89
4C206ZB11
4C206ZC13
4C206ZC75
(57)【要約】
皮膚科学的に使用するための局所組成物について説明する。当該局所組成物は、概して、カルボン酸エステルと、一価脂肪族アルコールと、約3.00よりも大きいlogPを有する親油性化合物とを含んで成る。この組成物は、ポリオールと、必要に応じて上記親油性化合物の代わりに約-2.00未満のlogPを有する親水性の化合物とをさらに含んでいてよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボン酸エステルと、
一価脂肪族アルコールと、
logP>6.00の親油性活性剤と
を含んで成る、局所組成物。
【請求項2】
前記親油性活性剤が抗ヒスタミン剤である、請求項1に記載の局所組成物。
【請求項3】
前記抗ヒスタミン剤がエバスチンである、請求項1および2に記載の局所組成物。
【請求項4】
前記親油性活性剤が光感作剤である、請求項1に記載の局所組成物。
【請求項5】
前記光感作剤が、テキサフィリンまたはレムテポルフィンである、請求項1および4に記載の局所組成物。
【請求項6】
前記親油性活性剤が抗真菌剤である、請求項1に記載の局所組成物。
【請求項7】
前記抗真菌剤がミコナゾールである、請求項1および請求項6に記載の局所組成物。
【請求項8】
カルボン酸エステルと、
一価脂肪族アルコールと、
logP>5.00の親油性化合物と
を含んで成る、局所組成物。
【請求項9】
前記親油性活性剤が非ステロイド性抗炎症剤である、請求項8に記載の局所組成物。
【請求項10】
前記非ステロイド性抗炎症剤がメフェナム酸である、請求項8および請求項9に記載の局所組成物。
【請求項11】
前記親油性活性剤が抗ヒスタミン剤である、請求項8に記載の局所組成物。
【請求項12】
前記抗ヒスタミン剤が、エバスチン、フェキソフェナジン、ロラタジンまたはクレマスチンである、請求項8および請求項11に記載の局所組成物。
【請求項13】
前記親油性活性剤が光感作剤である、請求項8に記載の局所組成物。
【請求項14】
前記光感作剤が、テキサフィリンまたはレムテポルフィンである、請求項8および請求項13に記載の局所組成物。
【請求項15】
前記親油性活性剤が抗真菌剤である、請求項8に記載の局所組成物。
【請求項16】
前記抗真菌剤が、オキシコナゾールまたはエコナゾールである、請求項8および請求項15に記載の局所組成物。
【請求項17】
前記親油性活性剤が駆虫剤である、請求項8に記載の局所組成物。
【請求項18】
前記駆虫剤がイベルメクチンである、請求項8および請求項17に記載の局所組成物。
【請求項19】
カルボン酸エステルと、
一価脂肪族アルコールと、
logP>4.00の親油性化合物と
を含んで成る、局所組成物。
【請求項20】
前記親油性活性剤が非ステロイド性抗炎症剤である、請求項19に記載の局所組成物。
【請求項21】
前記非ステロイド性抗炎症剤が、ジクロフェナク、オキサプロジン、インドメトシン、ジフルニサル、フルルビプロフェンまたはメフェナム酸である、請求項19および請求項20に記載の局所組成物。
【請求項22】
前記親油性活性剤が抗ヒスタミン剤である、請求項19に記載の局所組成物。
【請求項23】
前記抗ヒスタミン剤が、エバスチン、フェキソフェナジン、ロラタジンまたはクレマスチンである、請求項19および請求項22に記載の局所組成物。
【請求項24】
前記親油性活性剤が光感作剤である、請求項19に記載の局所組成物。
【請求項25】
前記光感作剤が、テキサフィリンまたはレムテポルフィンである、請求項19および請求項24に記載の局所組成物。
【請求項26】
前記親油性活性剤が抗真菌剤である、請求項19に記載の局所組成物。
【請求項27】
前記抗真菌剤が、ミコナゾール、オキシコナゾールまたはエコナゾールである、請求項19および請求項26に記載の局所組成物。
【請求項28】
前記親油性活性剤が駆虫剤である、請求項19に記載の局所組成物。
【請求項29】
前記駆虫剤がイベルメクチンである、請求項19および請求項28に記載の局所組成物。
【請求項30】
カルボン酸エステルと、
一価脂肪族アルコールと、
3.00~4.00の範囲のlogPを有する親油性活性剤と
を含んで成る、局所組成物。
【請求項31】
前記親油性化合物が非ステロイド性抗炎症剤である、請求項30に記載の局所組成物。
【請求項32】
前記非ステロイド性抗炎症剤が、ピロキシカム、ケトプロフェン、スリンダック、フェノプロフェン、サルサレート、バルデコキシブ、エトリコキシブまたはフェニルブタゾンである、請求項30および31に記載の局所組成物。
【請求項33】
前記親油性活性剤が抗ヒスタミン剤である、請求項30に記載の局所組成物。
【請求項34】
前記抗ヒスタミン剤が、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミンまたはブロムフェニラミンである、請求項30および請求項33に記載の局所組成物。
【請求項35】
前記親油性活性剤が抗乾癬剤である、請求項30に記載の局所組成物。
【請求項36】
前記抗乾癬剤がカルシポトリオールである、請求項30および請求項35に記載の局所組成物。
【請求項37】
カルボン酸エステルと、
ポリオールと、
一価脂肪族アルコールと、
logP>6.00の親油性活性剤と
を含んで成る、局所組成物。
【請求項38】
前記親油性活性剤が抗ヒスタミン剤である、請求項37に記載の局所組成物。
【請求項39】
前記抗ヒスタミン剤がエバスチンである、請求項37および請求項38に記載の局所組成物。
【請求項40】
前記親油性活性剤が光感作剤である、請求項37に記載の局所組成物。
【請求項41】
前記光感作剤が、テキサフィリンまたはレムテポルフィンである、請求項37および請求項40に記載の局所組成物。
【請求項42】
前記親油性活性剤が抗真菌剤である、請求項37に記載の局所組成物。
【請求項43】
前記抗真菌剤がミコナゾールである、請求項37および請求項42に記載の局所組成物。
【請求項44】
カルボン酸エステルと、
ポリオールと、
一価脂肪族アルコールと、
logP>5.00の親油性化合物と
を含んで成る、局所組成物。
【請求項45】
前記親油性活性剤が非ステロイド性抗炎症剤である、請求項44に記載の局所組成物。
【請求項46】
前記非ステロイド性抗炎症剤がメフェナム酸である、請求項44および請求項45に記載の局所組成物。
【請求項47】
前記親油性活性剤が抗ヒスタミン剤である、請求項44に記載の局所組成物。
【請求項48】
前記抗ヒスタミン剤が、エバスチン、フェキソフェナジン、ロラタジンまたはクレマスチンである、請求項44および請求項47に記載の局所組成物。
【請求項49】
前記親油性活性剤が光感作剤である、請求項44に記載の局所組成物。
【請求項50】
前記光感作剤がテキサフィリンまたはレムテポルフィンである、請求項44および請求項49に記載の局所組成物。
【請求項51】
前記親油性活性剤が抗真菌剤である、請求項44に記載の局所組成物。
【請求項52】
前記抗真菌剤が、ミコナゾール、オキシコナゾールまたはエコナゾールである、請求項44および請求項51に記載の局所組成物。
【請求項53】
前記親油性活性剤が駆虫剤である、請求項44に記載の局所組成物。
【請求項54】
前記駆虫剤がイベルメクチンである、請求項44および請求項53に記載の局所組成物。
【請求項55】
カルボン酸エステルと、
ポリオールと、
一価脂肪族アルコールと、
logP>4.00の親油性活性剤と
を含んで成る、局所組成物。
【請求項56】
前記親油性活性剤が非ステロイド性抗炎症剤である、請求項55に記載の局所組成物。
【請求項57】
前記非ステロイド性抗炎症剤が、ジクロフェナク、オキサプロジン、インドメトシン、ジフルニサル、フルルビプロフェンまたはメフェナム酸である、請求項55および請求項56に記載の局所組成物。
【請求項58】
前記親油性活性剤が抗ヒスタミン剤である、請求項55に記載の局所組成物。
【請求項59】
前記抗ヒスタミン剤が、エバスチン、フェキソフェナジン、ロラタジンまたはクレマスチンである、請求項55および請求項58に記載の局所組成物。
【請求項60】
前記親油性活性剤が光感作剤である、請求項55に記載の局所組成物。
【請求項61】
前記光感作剤が、テキサフィリンまたはレムテポルフィンである、請求項55および請求項60に記載の局所組成物。
【請求項62】
前記親油性活性剤が抗真菌剤である、請求項55に記載の局所組成物。
【請求項63】
前記抗真菌剤が、ミコナゾール、オキシコナゾールまたはエコナゾールである、請求項55および請求項62に記載の局所組成物。
【請求項64】
前記親油性活性剤が駆虫剤である、請求項55に記載の局所組成物。
【請求項65】
前記駆虫剤がイベルメクチンである、請求項55および請求項64に記載の局所組成物。
【請求項66】
カルボン酸エステルと、
ポリオールと、
一価脂肪族アルコールと、
3.00~4.00の範囲のlogPを有する親油性活性剤と
を含んで成る、局所組成物。
【請求項67】
前記親油性活性剤が非ステロイド性抗炎症剤である、請求項66に記載の局所組成物。
【請求項68】
前記非ステロイド性抗炎症剤が、ピロキシカム、ケトプロフェン、スリンダック、フェノプロフェン、サルサレート、バルデコキシブ、エトリコキシブまたはフェニルブタゾンである、請求項66および請求項67に記載の局所組成物。
【請求項69】
前記親油性活性剤が抗ヒスタミン剤である、請求項66に記載の局所組成物。
【請求項70】
前記抗ヒスタミン剤が、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミンまたはブロムフェニラミンである、請求項66および請求項69に記載の局所組成物。
【請求項71】
前記親油性活性剤が抗乾癬剤である、請求項66に記載の局所組成物。
【請求項72】
前記抗乾癬剤がカルシポトリオールである、請求項66および請求項71に記載の局所組成物。
【請求項73】
カルボン酸エステルと、
ポリオールと、
一価脂肪族アルコールと、
logP<-2.00の親水性活性剤と
を含んで成る、局所組成物。
【請求項74】
前記親水性活性剤が抗生物質である、請求項73に記載の局所組成物。
【請求項75】
前記抗生物質がブレオマイシンスルフェートである、請求項73および請求項74に記載の局所組成物。
【請求項76】
カルボン酸エステルと、
ポリオールと、
一価脂肪族アルコールと、
塩である活性剤と
を含んで成る、局所組成物。
【請求項77】
前記塩が麻酔剤または鎮痛剤である、請求項76に記載の局所組成物。
【請求項78】
前記麻酔剤または鎮痛剤が、リドカイン塩酸塩またはテトラカイン塩酸塩、またはそれらの組み合わせである、請求項76および請求項77に記載の局所組成物。
【請求項79】
前記塩が抗ヒスタミン剤である、請求項76に記載の局所組成物。
【請求項80】
前記抗ヒスタミン剤がセチリジン塩酸塩である、請求項76および請求項79に記載の局所組成物。
【請求項81】
前記塩が抗生物質である、請求項76に記載の局所組成物。
【請求項82】
前記抗生物質が、ドキシサイクリンハイクレートまたはブレオマイシンスルフェートである、請求項76および請求項81に記載の局所組成物。
【請求項83】
前記塩が抗悪性腫瘍剤である、請求項76に記載の局所組成物。
【請求項84】
前記抗悪性腫瘍剤がメトトレキサートナトリウムである、請求項76および請求項83に記載の局所組成物。
【請求項85】
カルボン酸エステルと、
ポリオールと、
一価脂肪族アルコールと、
エチルエステルを含んで成る活性剤と
を含んで成る、局所組成物。
【請求項86】
前記エチルエステルを含んで成る活性剤がベンゾカインである、請求項85に記載の局所組成物。
【請求項87】
カルボン酸エステルと、
ポリオールと、
一価脂肪族アルコールと、
エチルエステルを含んで成る化合物と、塩である化合物とを含んで成る活性剤と
を含んで成る、局所組成物。
【請求項88】
前記エチルエステルを含んで成る化合物がベンゾカインである、請求項87に記載の局所組成物。
【請求項89】
前記塩である化合物が、リドカイン塩酸塩またはテトラカイン塩酸塩、またはそれらの組み合わせである、請求項87に記載の局所組成物。
【請求項90】
前記塩である化合物が、リドカイン塩酸塩またはテトラカイン塩酸塩、またはそれらの組み合わせである、請求項88に記載の局所組成物。
【請求項91】
カルボン酸エステルと、
ポリオールと、
一価脂肪族アルコールと、
少なくとも1つの非極性化合物および少なくとも1つの極性化合物を含んで成る活性剤と
を含んで成る、局所組成物。
【請求項92】
前記極性化合物が、リドカイン塩酸塩またはテトラカイン塩酸塩、またはそれらの組み合わせであってよい、請求項91に記載の組成物。
【請求項93】
前記非極性化合物がベンゾカインである、請求項91に記載の組成物。
【請求項94】
カルボン酸エステルと、
ポリオールと、
一価脂肪族アルコールと、
少なくとも1つの極性化合物を含んで成る活性剤と
を含んで成る、局所組成物。
【請求項95】
前記極性化合物が血管拡張剤である、請求項94に記載の組成物。
【請求項96】
前記血管拡張剤がミノキシジルである、請求項94および請求項95に記載の組成物。
【請求項97】
前記極性化合物が抗生物質である、請求項94に記載の組成物。
【請求項98】
前記抗生物質がブレオマイシンスルフェートまたはドキシサイクリンハイクレートである、請求項94および請求項97に記載の組成物。
【請求項99】
前記極性化合物が麻酔剤または鎮痛剤である、請求項94に記載の組成物。
【請求項100】
前記麻酔剤または鎮痛剤が、リドカイン塩酸塩またはテトラカイン塩酸塩、またはそれらの組み合わせである、請求項94および請求項99に記載の組成物。
【請求項101】
前記極性化合物が抗悪性腫瘍剤である、請求項94に記載の組成物。
【請求項102】
前記抗悪性腫瘍剤がメトトレキサートナトリウムである、請求項94および請求項101に記載の組成物。
【請求項103】
カルボン酸エステルと、
ポリオールと、
一価脂肪族アルコールと、
塩である化合物を含んで成る活性剤と、
logP>4.00の親油性化合物と
を含んで成る、局所組成物。
【請求項104】
カルボン酸エステルと、
ポリオールと、
一価脂肪族アルコールと、
logP>4.00の親油性化合物およびlogP<-2.00の親水性化合物を含んで成る活性剤と
を含んで成る、局所組成物。
【請求項105】
カルボン酸エステルと、
ポリオールと、
一価脂肪族アルコールと、
少なくとも1つの非極性化合物および少なくとも1つの極性化合物を含んで成る活性剤と
を含んで成る、局所組成物。
【請求項106】
極性および非極性の両方の特性を有する溶媒/共溶媒混合物と、
logP>4.00の親油性活性剤と、
logP<-2.00の親水性活性剤と
を含んで成る、局所組成物。
【請求項107】
カルボン酸エステルと、
ポリオールと、
一価脂肪族アルコールと、
血管拡張剤と
を含んで成る、局所組成物。
【請求項108】
カルボン酸エステルと、
ポリオールと、
一価脂肪族アルコールと、
血管拡張剤と、麻酔剤または鎮痛剤と
を含んで成る、局所組成物。
【請求項109】
カルボン酸エステルと、
ポリオールと、
一価脂肪族アルコールと、
抗生物質と、抗ヒスタミン剤と
を含んで成る、局所組成物。
【請求項110】
カルボン酸エステルと、
ポリオールと、
一価脂肪族アルコールと、
抗生物質および非ステロイド性抗炎症剤と
を含んで成る、局所組成物。
【請求項111】
カルボン酸エステルと、
ポリオールと、
一価脂肪族アルコールと、
抗ヒスタミン剤と
を含んで成る、局所組成物。
【請求項112】
カルボン酸エステルと、
ポリオールと、
一価脂肪族アルコールと、
非ステロイド性抗炎症剤と
を含んで成る、局所組成物。
【請求項113】
カルボン酸エステルと、
ポリオールと、
一価脂肪族アルコールと、
光感作剤と
を含んで成る、局所組成物。
【請求項114】
カルボン酸エステルと、
ポリオールと、
一価脂肪族アルコールと、
光感作剤と、非ステロイド性抗炎症剤と
を含んで成る、局所組成物。
【請求項115】
カルボン酸エステルと、
ポリオールと、
一価脂肪族アルコールと、
麻酔剤または鎮痛剤と
を含んで成る、局所組成物。
【請求項116】
カルボン酸エステルと、
ポリオールと、
一価脂肪族アルコールと、
抗真菌剤と、麻酔剤または鎮痛剤と
を含んで成る、局所組成物。
【請求項117】
カルボン酸エステルと、
ポリオールと、
一価脂肪族アルコールと、
抗悪性腫瘍剤と
を含んで成る、局所組成物。
【請求項118】
カルボン酸エステルと、
ポリオールと、
一価脂肪族アルコールと、
抗乾癬剤と
を含んで成る、局所組成物。
【請求項119】
カルボン酸エステルと、
ポリオールと、
一価脂肪族アルコールと、
抗乾癬剤と、非ステロイド性抗炎症剤と
を含んで成る、局所組成物。
【請求項120】
カルボン酸エステルと、
ポリオールと、
一価脂肪族アルコールと、
駆虫剤と
を含んで成る、局所組成物。
【請求項121】
カルボン酸エステルと、
ポリオールと、
一価脂肪族アルコールと、
駆虫剤と、非ステロイド性抗炎症剤と
を含んで成る、局所組成物。
【請求項122】
カルボン酸エステルと、
ポリオールと、
一価脂肪族アルコールと、
駆虫剤と、非ステロイド性抗炎症剤と、麻酔剤または鎮痛剤と
を含んで成る、局所組成物。
【請求項123】
前記ポリオールが、プロピレングリコール、グリセロールおよびグリセリンからなる群から選択される、請求項44~122のいずれか1項に記載の局所組成物。
【請求項124】
前記カルボン酸エステルが、ミリスチン酸イソプロピル、中鎖トリグリセリド、アジピン酸ジイソプロピル、酢酸エチル、トリアセチン、コハク酸ジメチル、酢酸プロピル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~123のいずれか1項に記載の局所組成物。
【請求項125】
前記一価脂肪族アルコールが、エタノール、イソプロパノール、プロピルアルコール、tert-ブチルアルコール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~124のいずれか1項に記載の局所組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本開示は、活性剤(又は活性薬剤又はアクティブ・エージェント)を局所的に送達(又はデリバリー)するための組成物に関する。本開示において、当該組成物は、活性剤を可溶化および/または安定化させて、それによって、皮膚を通して、活性剤の向上した浸透(又はペネトレーション)および/または標的化された浸透(又はペネトレーション)を提供する。本開示は、概して、医薬組成物(又は薬学的な組成物)および当該組成物を調製するための方法ならびに関連の使用(方法)(又は用途)に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
薬学的な活性剤の局所的な投与は、例えば、特定の部位への薬物(又はドラッグ)の選択的な送達および標的化された送達、一定の薬物レベルの維持、投与の容易さ、全身的な曝露/副作用の除去/低減が可能となるなどの多くの利点から、ますます好ましい投与のルートとなっている。また、消化管の障害や初回通過効果(又はファースト・パス・エフェクト)も回避する。また、1回の適用(又は塗布)で数日間の治療が可能となり、それによって、患者のコンプライアンスを向上させる。さらに、バイオアベイラビリティ(又は生物学的利用能)および制御放出の特徴を維持しながら、送達システム内に存在する薬物のリザーバ効果(又はリザーバ・エフェクト)によって、半減期の短い薬物の活性を延長させる。局所的な送達では、必要な治療速度で薬物を長期間にわたる予めプログラムされた送達の結果として、過剰服用(又はオーバードース)および過小服用(又はアンダードース)の可能性を低減させている。
【0003】
薬物の皮内または局所投与は、皮膚または局所的な皮膚効果のために角質層を越えて薬物が入ることを含む。すなわち、薬物の薬理効果は、局在化されて、薬物の浸透(又はぺネトレーション)および堆積(又はデポジション)の皮内領域にある。好ましくは、皮内吸収は、全身的な吸収(又はアブソープション)または蓄積(又はアキュムレーション)を無視するか、またはそれが全くなく起こる。薬物の皮内吸収は、適用されたビヒクルから角質層への薬物の分配(又はパーティショニング)、角質層を介した薬物の拡散(又はディフュージョン)、および角質層から表皮への薬物の分配を含む。対照的に、経皮投与は、皮膚を通して薬物を輸送することを含む。そうすることで、薬物の治療量を全身血液循環で達成するようになる。
【0004】
薬物の皮内または局所投与は、薬物の皮脂腺への経毛的な送達を含むことができる。このとき、皮脂腺を標的治療部位または指定された薬物リザーバとして用いる。その後、潜在的な治療部位が位置する周囲の真皮マトリクスに拡散する。いくつかの疾患を治療するために皮脂腺への薬物の送達が望ましい。いくつかの状況において、薬物のリザーバを皮脂腺に形成することができる。好ましくは、皮内吸収は、全身的な吸収または蓄積をほとんど伴わずに起こるか、または全く伴わずに起こる。経皮投与は、治療量の薬物が全身血液循環で達成されるように、皮膚を通して薬物を輸送することを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
薬物を角質層や毛包ユニットにわたって送達し、血流に大量に移行しないように薬物の大部分を皮内で保持することを達成する局所組成物(又は外用組成物)は、設計が難しく、革新的なアプローチを必要とする。局所的に適用(又は塗布)される薬物に対する皮膚または皮膚の特定の層への透過性は、いくつかの要因(又はファクター)によって決定される。これらの要因には、皮膚の物理化学的な特徴、薬物の特徴(例えば、そのサイズ(又は寸法)(分子量または分子の体積(又は容量又はボリューム))、親油性/親水性、極性など)、表面電荷、適用(又は塗布)する薬物の投与量(又は用量又は投薬)、適用(又は塗布)する組成物の濃度および体積(又は容量又はボリューム)、薬物と送達ビヒクルとの間の相互作用、薬物と皮膚との間の相互作用、および送達ビヒクル中の成分の存在下での薬物と皮膚との相互作用が含まれる。薬物の局所投与には、多数の要因(又はファクター)が関与するため、薬物の皮内送達が首尾よく達成され得るかどうかについては、概して、不確実であると考えられている。従って、局所投与は、患者の利便性や薬物送達の観点から望ましいが、局所投与が承認されている薬物が比較的に少ないことからもわかるように、テトラサイクリン類を含む多くの化合物では、ほとんど成功していない。
【0006】
多くの薬物の局所投与に関する重要な問題の1つは、溶媒系(又は溶媒システム)を特定(又は確定又は同定又はアイデンティフィケーション)することであり、このような溶媒系では、薬物が安定であり、十分に溶解させることができ、そうすることで、迅速に生物学的に利用可能(又はバイオアベイラブル)となってよく、なおかつ標的組織または体液(例えば皮脂)に浸透することが可能になってよい。
【0007】
適用後(又は塗布後)に皮膚上で完全に可溶化した薬物を保証することが重要である。なぜなら、液体の媒体が薬物を可溶化しない組成物が好ましくないからである。その原因として、処方物(又は製剤)内の薬物が皮膚に容易に浸透できないことが挙げられる。標的組織に混和し、なおかつ、標的組織において生物学的に利用可能(又はバイオアベイラブル)であることが重要である。皮膚に適用(又は塗布)される多くの製品は、懸濁液であり、そして/または薬物がそのビヒクル系(又はビヒクル・システム)から容易に押し出されて(又はクラッシュして)急速な蒸発を受けることから、薬物がその適用後(又は塗布後)に固体の形態で皮膚表面上に残る可能性がある。このような固体の薬物の形態は、生物学的に利用可能(又はバイオアベイラブル)ではない。
【0008】
局所的に適用される薬物組成物は、典型的には、組成物が適用(又は塗布)される皮膚組織内に1以上の深さで薬物を一貫して送達することが意図されている。
【0009】
多くの薬物を安定化する局所的に適用(又は塗布)される組成物が必要とされている。その一方で、標的組織(例えば、皮脂腺)および他の皮膚の区画(又はコンパートメント)(例えば、表皮、真皮、下皮、汗管、毛包および皮脂腺)または標的の体液(例えば、皮脂)に薬物を送達する送達ビヒクルへの十分な溶解度を可能にする組成物が必要とされている。組成物は、薬物の高い有効性(又は効能又は効力又はポテンシー)、すなわち活性を維持すべきであり、有効性を示すのに十分な量で、皮膚(より具体的には、皮膚の標的領域)への浸透を提供すべきである。
【0010】
皮膚は表面積が大きいため、薬物物質の局所送達の理想的な部位となる。経皮送達の最大の課題は、おそらく、このルートでの投与が可能な薬物の数がわずかに限られていることである。これは、皮膚が多くの薬物物質の浸透に対して機械的な障壁(又はメカニカル・バリア)として働くため、皮膚が不透過性であることに起因する。現在の送達方法/送達システムにおいて、成功した経皮薬は、そのような限られたシステム(又は系)に可溶/安定な分子質量を有し、なおかつ脂質に大きく有利なオクタノール/水分配係数(オクタノール/水・パーティション・コエフィシエント)(LogP値としても知られているもの)を示し、1日当たり数ミリグラム以下の投与量(又は用量)が必要である。これまで、親水性薬物、難溶性/安定性薬物、環状薬物、および大分子を送達するための経皮ルートを開発することは困難であった。真皮ルートの利用を拡大するために、新しい新規の送達システムが必要とされている。活性剤をビヒクルから局所的に首尾よく効率よく送達するためには、活性剤が皮膚/ビヒクルの境界面(又はインターフェース)に可溶な状態で存在しなければならず、角質層に拡散または分配できなければならない。皮膚表面や角質層内で薬物が沈殿または結晶化(すなわち、固化)すると、活性剤の浸透が停止する。局所療法(又は外用療法)の場合、分子そのものと同様に処方物(又は製剤)/ビヒクルのシステム(又は系)が重要である。なぜなら、ビヒクルと皮膚との相互作用によって、浸透剤の効能(又は効率又はエフィカシー)が変化する可能性があるからである。送達ビヒクルは、活性成分(又は有効成分)を皮膚上で可溶化した状態に保ち、皮膚の構成層(脂質層および非脂質層)と相互作用/混和し、標的エリアへの分子の浸透を促進する能力を有するべきである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(要旨)
以下にて説明および図示する以下の態様およびその実施形態は、例示的および例証的な意味を有するものであり、その範囲を限定するものではない。
【0012】
一態様では、活性剤(又はアクティブ・エージェント)と、一価脂肪族アルコールと、カルボン酸エステル(エステル基/炭素原子の比が少なくとも0.05であるもの)とを含んで成る局所組成物(又は外用組成物)が提供される。いくつかの実施形態において、活性剤は、組成物中に可溶化されている。
【0013】
別の態様では、活性剤と、一価脂肪族アルコールと、カルボン酸エステル(エステル基/炭素原子の比が少なくとも0.05であるもの)と、ポリオールとを含んで成る局所組成物(又は外用組成物)が提供される。いくつかの実施形態において、活性剤は、組成物中に可溶化されている。
【0014】
一実施形態において、組成物は、溶媒/共役混合物(又はコソルベント・ミクスチャ)として、アルコールと、ポリオールと、エステルとを含んで成る。この組成物は、混合物中に存在する活性剤を溶解および/または安定化させる。一実施形態において、この組成物は、様々な皮膚科学的な症状(又は状態又はコンディション)および疾患を治療(又は処置)することを意図している。
【0015】
一実施形態において、組成物は、界面活性剤を含んで成る。
【0016】
一実施形態において、活性剤は、抗生物質ではなく、テトラサイクリン・クラスの薬物(又はテトラサイクリン系の薬物)でもなく、ミノサイクリンでもなく、選択的レチノイドでもなく、タザロテンでもなく、そして/または前述のいずれかの組み合わせでもない。
【0017】
一実施形態において、活性剤は、環状分子であるか、または有機の親油性の相への分配(又はパーティショニング)に好適な分配係数(又はパーティション・コエフィシエント)を有する分子である。一実施形態において、活性剤は、約3を超えるlogPの値を有する。ここで、logPは、log10の分配係数である。ここで、この分配係数は、有機溶媒(例えば、オクタノール)中の活性剤の濃度/水性溶媒(例えば、水)中の活性剤の濃度の比である。他の実施形態において、活性剤は、薬学的な活性剤の塩基の形態または塩の形態である。これらは、logPの値が約3より低いものであり、例えば、2、1、0、-1または-2より低いものである。
【0018】
本開示で使用する場合、約3より大きいlogPの値は、「高logP」と見なされ、約3以下のlogPの値は、「低logP」と見なされる。
【0019】
一実施形態において、溶媒/共溶媒混合物(又はコソルベント・ミクスチャ)は、一価脂肪族アルコール、カルボン酸エステル(エステル基/炭素原子の比が少なくとも0.05であるもの)およびポリオールから成る。
【0020】
別の実施形態において、一価脂肪族アルコールは、ほぼ室温、または、ほぼ皮膚表面温度で揮発性であるアルコールである。概して、本開示で提供される組成物において使用する一価脂肪族アルコールは、式:R-OHに従うものである。式中、Rは、C1~C4アルキル基である。適切なR基として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソブチルおよびtert-ブチルが挙げられる。好ましくは、一価脂肪族アルコールは、一級アルコール、例えば、エチルアルコール、プロピルアルコールまたはブチルアルコールである。特に好ましい1価の脂肪族アルコールの1つは、エタノールである。いくつかの実施形態において、一価脂肪族アルコールは、5%以上の水への溶解度を有するものである。例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノールおよび2-プロパノールならびにt-ブチルアルコールは、水と混和性(miscible)である。その一方で、1-ブタノールは、20℃で約5%の水への溶解度を有し、25℃で約6.35%の水への溶解度を有する。2-ブタノールは、20℃で12.5%の水への溶解度を有し、25℃で18.1%の水への溶解度を有する。好ましいアルコールは、親水性である。
【0021】
さらに1以上のさらなる実施形態において、ポリオールは、C3~C8ジオールまたはトリオールである。他の特定の実施形態では、ポリオールは、プロピレングリコールである。
【0022】
いくつかの実施形態において、局所組成物(又は外用組成物)におけるポリオールの濃度は、最大で40重量%である。
【0023】
いくつかの実施形態において、局所組成物(又は外用組成物)におけるカルボン酸エステルの濃度は、約1重量%~約50重量%、または約1重量%~約45重量%、または約1重量%~約35重量%、または約1重量%~約30重量%である。
【0024】
いくつかの実施形態において、局所組成物(又は外用組成物)におけるカルボン酸エステルの濃度は、約5重量%~約20重量%である。
【0025】
いくつかの実施形態において、カルボン酸エステルは、約0.05~約0.30またはそれ以上のエステル基の数/炭素原子の数の比を有する。
【0026】
いくつかの実施形態において、カルボン酸エステルは、少なくとも約0.05のエステル基の数/炭素原子の数の比を有する。いくつかの実施形態において、カルボン酸エステルは、少なくとも約0.10のエステル基の数/炭素原子の数の比を有する。いくつかの実施形態において、カルボン酸エステルは、少なくとも約0.15のエステル基の数/炭素原子の数の比を有する。いくつかの実施形態において、カルボン酸エステルは、少なくとも約0.20のエステル基の数/炭素原子の数の比を有する。いくつかの実施形態において、カルボン酸エステルは、少なくとも約0.25のエステル基の数/炭素原子の数の比を有する。いくつかの実施形態において、カルボン酸エステルは、少なくとも約0.30のエステル基の数/炭素原子の数の比を有する。
【0027】
いくつかの実施形態において、カルボン酸エステルは、ミリスチン酸イソプロピル、中鎖トリグリセリド、アジピン酸ジイソプロピル、酢酸エチル、トリアセチン、コハク酸ジメチル、酢酸プロピルおよびそれらの組み合わせの1以上からなる群から選択される。
【0028】
別の実施形態において、溶媒/共溶媒混合物中の溶媒は、混和性である。
【0029】
別の実施形態において、溶媒/共溶媒混合物は、不活性(又はイナート(inert))であり、かつ/または皮膚に適合性がある(又は相性が良い(compatible))。
【0030】
別の実施形態において、溶媒/共溶媒混合物は、皮膚に適用(又は塗布)するときに液体および溶液の状態である。
【0031】
別の実施形態において、溶媒/共溶媒混合物は、水と混和性である。別の実施形態において、溶媒/共溶媒混合物は、皮膚の流体および/または他の皮膚の成分と混和性である。
【0032】
別の実施形態において、溶媒/共溶媒混合物は、局所的な投薬(又は投与量又は用量)の形態として適合性がある。
【0033】
さらなる実施形態において、適合性のある一価脂肪族アルコール、カルボン酸エステルおよびポリオールは、短鎖から中鎖の長さを有する。
【0034】
さらなる実施形態において、溶媒/共溶媒混合物は、揮発性および不揮発性の溶媒/共溶媒から成る。
【0035】
別の実施形態において、2つの溶媒成分が揮発性である。
【0036】
さらなる実施形態において、揮発性の溶媒/共溶媒は、異なる蒸気圧を有し、より高い蒸気圧を有する溶媒の蒸発によって、より濃縮された組成物において、活性剤が皮膚に提供されることになる。
【0037】
別の実施形態において、溶媒/共溶媒混合物は、極性および非極性の両方の特性を有する。
【0038】
別の実施形態では、溶媒/共溶媒混合物は、水を含まないが、水と容易に混和性であり、容易に水性の環境である。
【0039】
別の実施形態において、溶媒/共溶媒混合物は、極性および非極性の活性剤を可溶化することができる。別の実施形態において、溶媒/共溶媒混合物は、極性および非極性の活性剤を安定化および/または可溶化することができる。
【0040】
さらなる実施形態において、溶媒/共溶媒混合物は、極性または非極性の活性剤の塩の形態および/または塩基の形態を可溶化することができる。
【0041】
活性剤の塩形態の非限定的な例として、ブレオマイシン硫酸塩(又は硫酸ブレオマイシン又はブレオマイシン スルフェート)、リドカイン塩酸塩(又は塩酸リドカイン又はリドカイン ヒドロクロリド)、テトラカイン塩酸塩(又は塩酸テトラカイン又はテトラカイン ヒドロクロリド)およびメトトレキサート ナトリウムが挙げられる。
【0042】
活性剤の塩基形態の例として、ミノサイクリン塩基(又はミノサイクリン・ベース)およびベンゾカインが挙げられる。
【0043】
極性の活性剤の例として、ミノキシジルがある。
【0044】
別の実施形態において、溶媒/共溶媒混合物は、エチルエステルを可溶化することができる。なおかつ、エチルエステルと混和性である。エチルエステルの例は、ベンゾカインである。
【0045】
いくつかの実施形態において、溶媒/共溶媒混合物は、抗ヒスタミン剤(又はアンチヒスタミン)を可溶化することができる。抗ヒスタミン剤の例として、セチリジン、フェキソフェナジン、ロラタジン、ジフェンヒドラミン、クレマスチン、クロルフェニラミンおよびブロムフェニラミンが挙げられる。
【0046】
別の実施形態において、溶媒/共溶媒混合物は、環状および非環状の化学物質(本開示では「活性剤」とも呼ばれる)を可溶化することができる。いくつかの実施形態において、環状の化学物質(活性剤)として、ポルフィリン類およびポルフィリン誘導体の光感作剤(又は光感受剤又は光増感剤又はフォトセンシタイザ(photosensitizers))(例えば、オクタエチルポルフィリン、テトラフェニルポルフィリンおよびプロトポルフィリンIX(PpIX))が挙げられる。他の実施形態において、環状の化学物質として、ベルテポルフィン-ベンゾポルフィリン誘導体、フォトフリン-ヘマトポルフィリン誘導体、5-ALA(5-アミノレブリン酸)、アミノレブリン酸メチル(又はメチル アミノレブリネート)(MAL)、レムテポルフィン、テキサフィリン、2-(1-ヘキシルオキシエチル)-2-デビニルピロフェオフォルビド-a(HPPH)が挙げられる。
【0047】
別の実施形態において、溶媒/共溶媒混合物は、logPが低い活性剤およびlogPが高い活性剤の皮膚への浸透を可溶化することや、送達すること、または向上させることができる。
【0048】
高logP活性剤の例は、テキサフィリン(logP 約6.76)およびレムテポルフィンなど、いくつかの光感作剤(photosensitizing agent)である。
【0049】
高logP活性剤の他の例は、非ステロイド性の抗炎症剤である。例えば、ジクロフェナク(logP 約4.51)、オキサプロジン(logP 約4.19)、インドメトシン(logP 約4.27)、ジフルニサル(logP 4.44)、フルルビプロフェン(logP 約4.16)、メフェナム酸(logP 約5.12)、ピロキシカム(logP 約3.06)、ケトプロフェン(logP 約3.12)、スリンダック(logP 約3.42)、フェノプロフェン(logP 約3.1)、サルサレート(logP 約3.44)、バルデコキシブ(logP 約3.32)、エトリコキシブ(logP 約3.7)およびフェニルブタゾン(logP 約3.16)である。
【0050】
高LogP活性剤のさらなる他の例は、抗ヒスタミン剤である。例えば、エバスチン(logP 約6.96)、フェキソフェナジン(logP 約5.6)、ロラタジン(logP 約5.2)、クレマスチン(logP 約5.2)、ジフェンヒドラミン(logP 約3.27)、クロルフェニラミン(logP 約3.38)およびブロムフェニラミン(logP 約3.4)である。
【0051】
高logP活性剤の別の例は、駆虫剤(又は駆除剤(anthelminitic agent))である。例えば、イベルメクチン(logP 約5.83)である。高logP活性剤の別の例は、選択的レチノイドである。例えば、タザロテン(logP 約5.6)である。
【0052】
高logP活性剤のさらなる別の例は、抗真菌剤である。例えば、ミコナゾール(logP 約6.1)、オキシコナゾール(logP 約5.84)およびエコナゾール(logP 約5.5)である。
【0053】
高logP活性剤の別の例は、抗乾癬剤である。例えば、カルシポトリオール(logP 約3.84)である。
【0054】
低logP活性剤の例は、抗生物質である。例えば、ブレオマイシン硫酸塩(又は硫酸ブレオマイシン又はブレオマイシン スルフェート)(logP 約-9.7)である。低logP活性剤の別の例は、テトラサイクリン・クラスの薬物(又はテトラサイクリン系の薬物)である。例えば、ミノサイクリン(logP 約0.05)である。
【0055】
別の態様において、溶媒/共溶媒混合物は、システム(又は系)/混合物に安定剤を導入することによって、低logPおよび高logPの活性剤を可溶化および安定化させることができる。
【0056】
別の態様において、溶媒/共溶媒混合物は、皮膚水和特性(又はスキン・ハイドレーティング・プロパティ)を有する。
【0057】
別の態様では、溶媒/共溶媒混合物は、浸透向上特性(又はペネトレーション・エンハンスメント・プロパティ)を有する。
【0058】
さらなる態様では、皮膚層の破壊に起因する浸透向上特性(又はペネトレーション・エンハンスメント・プロパティ)を有する。
【0059】
さらなる態様では、勾配効果(又はグラジエント・エフェクト)による浸透向上特性(又はペネトレーション・エンハンスメント・プロパティ)を有する。
【0060】
さらなる態様では、完全に可溶化された化学物質による浸透向上特性(又はペネトレーション・エンハンスメント・プロパティ)を有する(適用(又は塗布)の際においても)。
【0061】
別の態様では、溶媒/共溶媒混合物は、すべての皮膚層への浸透(又はペネトレーション)および分配(又はディストリビューション)/相互作用(又はインタラクション)をより良くするために、極性および非極性の特性を有する。
【0062】
いくつかの実施形態において、局所組成物(又は外用組成物)は、1以上の薬学的に許容可能な賦形剤をさらに含んで成る。これらは、増粘剤(又はシックナー)、抗酸化剤(アンチオキシダント)、エモリエント剤(又はエモリエント)、泡沫アジュバント(又はフォーム・アジュバント)、泡沫推進剤(又はフォーム・プロペラント)、防腐剤(又はプリザベーティブ)および界面活性剤(又はサーファクタント)の1以上からなる群から選択されるものである。
【0063】
本開示に記載の組成物は、安全で十分かつ有効な量の活性剤または活性剤の組み合わせを提供し、これらは処置(又は治療)のために皮膚に送達されるものである。
【0064】
送達されるべき活性剤は、広いクラスの活性剤を含む。かかる活性剤は十分に強力である(又は効能がある)。そのため、かかる活性剤は、所望の治療効果をもたらすのに十分な量で局所的に送達され得るようになる。
【0065】
概して、すべての主要な治療分野の活性剤が挙げられる。例えば、抗感染症剤(例えば、抗生物質、抗真菌剤および抗ウイルス剤)、鎮痛剤、麻酔剤、抗アクネ剤、抗酒さ剤(anti-rosacea agents)、抗乾癬剤、脱毛症治療剤、脱色剤(depigmenting agents)、抗ヒスタミン剤、ステロイド剤、抗関節炎剤、光化学療法剤、抗糖尿病剤、抗炎症剤、抗嘔吐剤、抗悪性腫瘍剤、鎮痒剤、角質溶解剤などが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、活性剤は、皮膚癌を処置(又は治療)するための抗癌剤である。他の実施形態では、治療剤は、抗血管拡張剤、抗血管収縮剤または抗過剰増殖剤である。
【0066】
いくつかの実施形態において、溶媒/共溶媒混合物は、可溶化することができ、浸透を向上/改善させ、投与量(又は用量又は投薬)を低下させ、全身への曝露を避けるために送達を標的化することによって、コルチコステロイド類の送達を最適化できる。混合物は、上記の向上を提供(又は形成又は生成)することができる。そして/または、インサイチュ(in-situ)ミセル、混合ミセルおよびリポソームを形成することができる。
【0067】
いくつかの実施形態において、溶媒/共溶媒混合物は、浸透を向上および/または改善し、投与量(又は用量又は投薬)を低下させ、および/または全身への曝露を避けるとともに送達(延長された皮膚曝露)を標的とすることによって、局所麻酔剤(例えば、リドカインなど)を可溶化、安定化および/またはその送達を最適化できる。混合物は、上記の向上を提供(又は形成又は生成)することができる。そして/または、インサイチュ(in-situ)ミセル、混合ミセル、活性フィルムおよびリポソームを形成することができる。
【0068】
いくつかの実施形態において、溶媒/共溶媒混合物(又はコソルベント・ミクスチャ)は、浸透を向上/改善し、投与量(又は用量又は投薬)を低下させ、全身への曝露を避けるために送達を標的化することによって、局所用の非ステロイド性抗炎症薬物(例えば、ジクロフェナク等)が可溶化、安定化および最適化された送達を行うことができる。混合物は、上記の向上を提供(又は形成又は生成)することができる。そして/または、インサイチュ(in-situ)ミセル、混合ミセルおよびリポソームを形成することができる。
【0069】
局所組成物は、完全な溶解を達成するために段階的に混合して製造することができる。局所組成物は、活性剤の物理的および化学的な性質に基づいて最適化することができる。
【0070】
いくつかの実施形態において、活性剤は、選択的レチノイドである。
【0071】
いくつかの実施形態において、活性剤は、テトラサイクリン・クラスの薬物である。いくつかの実施形態において、テトラサイクリン・クラスの薬物は、組成物中に溶解している。いくつかの実施形態において、テトラサイクリン・クラスの薬物は、必要に応じて暗所環境で、40℃で少なくとも3ヶ月間、または20~25℃で少なくとも6ヶ月間にわたって、密閉ガラス容器中に保存される場合、安定である。
【0072】
いくつかの実施形態において、活性剤は、選択的レチノイドおよびテトラサイクリン・クラスの薬物の両方を含んで成る。いくつかの実施形態において、選択的レチノイドおよびテトラサイクリン・クラスの薬物は、組成物中に溶解している。いくつかの実施形態において、テトラサイクリン・クラスの薬物および/または選択的レチノイドは、必要に応じて暗所環境で、40℃で少なくとも3ヶ月間、または20~25℃で少なくとも6ヶ月間にわたって、密閉ガラス容器中に保存される場合、安定である。
【0073】
いくつかの実施形態において、局所組成物は、2価のカチオンの塩をさらに含んで成る。
【0074】
いくつかの実施形態において、局所組成物の二価カチオン:活性剤のモル比は、少なくとも1:1、2:1、3:1または4:1であり、または約0.75:1~約8:1、0.75:1~約6:1、0.75:1~約5:1、1:1~約8:1、1:1~約6:1、1:1~約5:1または1:1~約4:1である。
【0075】
いくつかの実施形態において、局所組成物におけるカルボン酸エステルの濃度は、約1重量%~約50重量%、または約1重量%~約45重量%、または約1重量%~約35重量%、または約1重量%~約30重量%である。いくつかの実施形態において、局所組成物におけるカルボン酸エステルの濃度は、約5重量%~約45重量%、または約5重量%~約35重量%、または約5重量%~約30重量%、または約5重量%~約20重量%である。いくつかの実施形態において、カルボン酸エステルは、エステル基の数/炭素原子の数の比が、約0.05~約0.30、約0.05~約0.25、約0.05~約0.20または0.05~0.15である。いくつかの実施形態において、カルボン酸エステルは、少なくとも約0.05のエステル基の数/炭素原子の数の比を有する。いくつかの実施形態において、カルボン酸エステルは、少なくとも約0.10のエステル基の数/炭素原子の数の比を有する。いくつかの実施形態において、カルボン酸エステルは、少なくとも約0.15のエステル基の数/炭素原子の数の比を有する。いくつかの実施形態において、カルボン酸エステルは、少なくとも約0.20のエステル基の数/炭素原子の数の比を有する。いくつかの実施形態において、カルボン酸エステルは、少なくとも約0.25のエステル基の数/炭素原子の数の比を有する。いくつかの実施形態において、カルボン酸エステルは、少なくとも約0.30のエステル基の数/炭素原子の数の比を有する。いくつかの実施形態において、カルボン酸エステルは、ミリスチン酸イソプロピル、中鎖トリグリセリド、アジピン酸ジイソプロピル、酢酸エチル、トリアセチン、コハク酸ジメチル、酢酸プロピル、およびそれらの組み合わせからなる群から1以上が選択される。
【0076】
いくつかの実施形態において、一価脂肪族アルコールは、無水(又は無水物)である。いくつかの実施形態において、無水の一価脂肪族アルコール(又は無水物)は、約0.005%未満の水(200プルーフ)、または約5%未満の水(190プルーフ)、または約2%未満の水を含んで成る。
【0077】
いくつかの実施形態において、2価のカチオンの塩は、マグネシウム塩である。いくつかの実施形態において、マグネシウム塩は、無水(又は無水物)である。いくつかの実施形態において、マグネシウム塩は、塩化マグネシウム、亜硫酸マグネシウムまたはチオ硫酸マグネシウムである。いくつかの実施形態において、マグネシウム塩は、無水(又は無水物)である。いくつかの実施形態において、マグネシウム塩は、無水塩化マグネシウム(又は無水物)、無水亜硫酸マグネシウム(又は無水物)、または無水チオ硫酸マグネシウム(又は無水物)である。
【0078】
いくつかの実施形態において、一価脂肪族アルコールは、エタノール、イソプロパノール、プロピルアルコール、tert-ブチルアルコール、およびそれらの組み合わせからなる群から1以上が選択される。いくつかの実施形態において、一価脂肪族アルコールは、エタノールである。いくつかの実施形態において、一価脂肪族アルコールは、揮発性である。いくつかの実施形態において、局所組成物における一価脂肪族アルコールの濃度は、約40重量%~約90重量%、または約50重量%~約99重量%である。いくつかの実施形態において、局所組成物における一価脂肪族アルコールの濃度は、約60重量%~約80重量%、または約50重量%~約80重量%である。いくつかの実施形態において、局所組成物における一価脂肪族アルコールの濃度は、約70重量%~約95重量%である。
【0079】
いくつかの実施形態において、テトラサイクリン・クラスの薬物は、ミノサイクリンまたはドキシサイクリンである。いくつかの実施形態において、テトラサイクリン・クラスの薬物は、ミノサイクリンである。いくつかの実施形態において、テトラサイクリン・クラスの薬物は、ドキシサイクリンである。
【0080】
いくつかの実施形態において、選択的レチノイドは、組成物中に溶解されている。いくつかの実施形態において、選択的レチノイドは、必要に応じて暗所環境で、20~25℃で、少なくとも約6ヶ月間にわたって、密閉されたガラス容器中に保存される場合、安定である。いくつかの実施形態において、選択的レチノイドは、タザロテンまたはアダパレンである。いくつかの実施形態において、選択的レチノイドは、タザロテンである。いくつかの実施形態において、選択的レチノイドは、アダパレンである。
【0081】
いくつかの実施形態において、組成物の水分含量(又はウォーター・コンテント)は、5%未満である(カールフィッシャー滴定法によって測定する)。いくつかの実施形態において、組成物の水分含量は、2%未満である(カールフィッシャー滴定法によって測定する)。
【0082】
いくつかの実施形態において、ポリオールは、C3~C8のジオールまたはトリオールである。いくつかの実施形態において、ポリオールは、プロピレングリコールである。いくつかの実施形態において、ポリオールは、グリセロールまたはグリセリンである。いくつかの実施形態において、局所組成物におけるポリオールの濃度は、2重量%~40重量%である。いくつかの実施形態において、ポリオールは、無水(又は無水物)である。
【0083】
いくつかの実施形態において、局所組成物は、さらに、亜硫酸塩(又はスルファイト)、チオ硫酸塩(又はチオスルフェート)、またはそれらの組み合わせを含んで成る。いくつかの実施形態において、亜硫酸塩(又はスルファイト)は、重亜硫酸ナトリウム(又はナトリウム ビスルファイト)、メタ重亜硫酸ナトリウム(又はナトリウム メタビスルファイト)、亜硫酸マグネシウム(又はマグネシウム スルファイト)、またはこれらの組合せである。いくつかの実施形態において、チオ硫酸塩(又はチオスルフェート)は、チオ硫酸ナトリウム(又はナトリウム チオスルフェート)、チオ硫酸カリウム(又はカリウム チオスルフェート)、チオ硫酸アンモニウム(又はアンモニウム チオスルフェート)、チオ硫酸マグネシウム(又はマグネシウム チオスルフェート)、またはそれらの組み合わせである。
【0084】
いくつかの実施形態において、局所組成物は、二価カチオンの塩および抗酸化剤を含んで成る。二価カチオンの性質および抗酸化の性質の両方を提供する1つの化合物(例えば、亜硫酸マグネシウムまたはチオ硫酸マグネシウムなど)である。
【0085】
いくつかの実施形態において、局所組成物は、エマルジョンではない。いくつかの実施形態において、局所組成物は、プロピルエチレングリコールを含まない。いくつかの実施形態において、局所組成物は、グリセロールを含まない。いくつかの実施形態において、局所組成物は、グリセリンを含まない。いくつかの実施形態において、局所組成物は、泡沫推進剤(又はフォーム・プロペラント)または泡沫アジュバント(又はフォーム・アジュバント)を含まない。
【0086】
別の態様では、症状(又は状態)または疾患の処置(又は治療)の方法が提供される。当該方法は、本明細書中に記載されるような局所組成物を、少なくとも4週間の期間にわたって、毎日、少なくとも1回、哺乳動物の身体の外側の上皮表面に局所的に適用(又は塗布)することを包含する。
【0087】
追加の実施形態(組成物、関連方法、組成物の成分など)は、以下の説明、実施例、図面および特許請求の範囲から明らかになるであろう。本開示のこれらの目的および他の目的ならびに特徴は、以下の詳細な説明と合わせて読むと、より完全に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【
図1】
図1は、エクスビボ(ex vivo)でのヒトの顔の皮膚へのミノサイクリンの平均浸透効率とタザロテンの平均浸透効率とを示すグラフであり、これは、実施例1に記載の組成物(塩酸ミノサイクリン(又はミノサイクリン塩酸塩又はミノサイクリンヒドロクロリド)、タザロテン、塩化マグネシウム(無水)、エタノール(無水)、ヒドロキシプロピルセルロースHF、ポリオール、および選択されたカルボン酸エステルをそれぞれ含んで成るものである)の適用後(又は塗布後)におけるカルボン酸エステルのエステル基/炭素原子の比を関数として示す。
【
図2】
図2は、実施例2に記載の組成物(エタノールと、選択されたポリオールと、カルボン酸エステルとを含んで成るものである)におけるタザロテンの溶解度を示すグラフである。カルボン酸エステルおよびエタノールを含んで成る混合物は、予想外に向上した溶解度を示す。対照的に、エタノールとポリオール(例えば、プロピレングリコールまたはグリセリン)のバイナリー混合物は、バイナリー混合物に対して、予測可能な溶解度の特徴を示す。
【発明を実施するための形態】
【0089】
(詳細な説明)
以下、本発明をより完全に説明する。しかし、本発明は、多くの様々な形態で具現化されてよく、本明細書中に記載される実施形態に限定して解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態が提供されることによって、この開示は、徹底的かつ完全なものとなり、当業者に本発明の範囲を完全に伝えるようになる。上記および以下の説明から理解され得るように、本明細書中に記載されるそれぞれ各々の特徴(又はフィーチャ)、ならびに、このような特徴の2以上のそれぞれ各々の組み合わせは、本開示の範囲内に含まれる。ただし、このような組み合わせに含まれる特徴は矛盾しない。さらに、任意の特徴や、これらの特徴の組み合わせは、本発明の任意の実施形態から具体的に除外されてよい。本発明の追加の態様および利点は、以下の説明および特許請求の範囲に記載されている。特に添付の図面および実施例と一緒に考慮される場合がある。
【0090】
本開示に引用されるすべての刊行物、特許および特許出願は、他に断りがない限り、その全体が参照により本明細書中に組み込まれるものとする。参照および本開示によって本明細書中に組み込まれる刊行物、特許または特許出願の両方で同じ用語が定義されている場合、本開示の定義が支配的な定義を代表する。特定の種類の化合物、化学などの説明に関して参照される刊行物、特許および特許出願について、そのような化合物、化学などに関する部分は、そのような文書の一部であり、これらは参照により本明細書中に組み込まれる。
【0091】
(定義)
本明細書において、単数形の「a」、「an」、「the」を使用する場合、文脈上、明らかに他に記載している場合を除いて、複数を指す場合を含むことに注意しなければならない。したがって、例えば、「活性成分(単数)」への言及は、単一の成分だけでなく、2以上の異なる成分などを含む。「溶媒(単数)」への言及は、単一の溶媒だけでなく、2以上の異なる溶媒などを含む。「マグネシウム塩(単数)」への言及は、単一のマグネシウム塩だけでなく、2以上の異なるマグネシウム塩などを含む。
【0092】
本発明の説明および請求項において、以下に記載される定義に従って、以下の用語を使用する。
【0093】
用語「局所組成物」とは、活性成分(又は有効成分)を含む薬学的に許容可能な成分を含む材料(又は物質)を指す。これは、動物またはヒトを対象とする投与が意図されるものであり、なおかつ、皮膚の表面に適用(又は塗布)されるものである。経口または静脈内注射によって摂取される材料(又は物質)とは対照的である。局所組成物は、典型的には、皮膚科学的な疾患または症状(又は状態又はコンディション)に関連する症候(又は兆候又はシンプトン)の軽減(又は緩和)、皮膚科学的な疾患もしくは症状(又は状態又はコンディション)の処置(又は治療)、および/または皮膚科学的な疾患もしくは症状(又は状態又はコンディション)の防止(又は予防又はプリベンション(prevention))を目的として投与される。
【0094】
用語「皮膚科学的な症状(又は状態又はコンディション)または疾患の処置(又は治療)」とは、皮膚科学的な症状(又は状態又はコンディション)または疾患に関する症候(又は兆候又はシンプトン)の軽減(又は緩和)、皮膚科学的な症状(又は状態又はコンディション)または疾患の処置(又は治療)、皮膚科学的な症状(又は状態又はコンディション)または疾患の予防(又はプロフィラクシス(prophylaxis))および/または皮膚科学的な状態(又は症状)または疾患の防止(又は予防又はプリベンション(prevention))を意味する。
【0095】
溶媒に関して、25℃、大気圧において、溶媒中、薬物の濃度と比べて、薬物に対する溶解度の方が大きい場合、薬物を「溶かす」と言う。エマルジョンなどでは、薬物と溶媒が直接的に相互作用する場合のみ、薬物が溶媒に「溶解」するとみなされる。したがって、例えば、溶媒との相互作用を制限するためにコーティングされた薬物は、それが粒子状のままであれば、その溶媒に溶解したとはみなされないだろう。
【0096】
用語「溶媒」とは、1以上の固体成分が、ある程度まで溶解する物質を指す。明確性の観点から、溶媒とみなされるためには、固体成分が、その物質中に完全に溶解している必要はない(すなわち、溶解とは、上記で定義した通りである)。例えば、エタノール、イソプロパノールおよびプロピレングリコールが溶媒である。これらは、例を挙げると、ミノサイクリンのための溶媒である。
【0097】
一価の脂肪族アルコールまたはポリオールは、カールフィッシャー滴定法で測定した1%未満の水分含量を含んで成る場合、「無水(又は無水物)」である。例えば、無水エタノール(または、等しくは、「エタノール(無水(又は無水物))」または「エタノール、無水(又は無水物)」)は、カールフィッシャー滴定法によって測定される1%未満の水分含量(又はウォーター・コンテント)を含んで成るエタノールを意味する。
【0098】
無水塩化マグネシウム(または、等しくは、「塩化マグネシウム(無水(又は無水物))」または「塩化マグネシウム、無水(又は無水物)(又は塩化マグネシウム(無水(又は無水物)))」)とは、カールフィッシャー滴定法で測定した5%未満の水分含量を含んで成る塩化マグネシウムを意味する。
【0099】
用語「カルボン酸エステル」は、以下の形態のエステルを含んで成る化合物である。
【0100】
【0101】
式中、RおよびR’は、任意のアルキル基である。この化合物は、少なくとも1つの炭素原子を含んで成る。R’は、水素原子であってはならない。RおよびR’のいずれか一方がエステルであってもよい。カルボン酸エステルの例として、ヒドロキシカルボン酸の環状エステル、ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、コハク酸ジメチルおよび酢酸プロピルが挙げられる。
【0102】
用語「薬物(又はドラッグ)」、「活性成分(又は有効成分又はアクティブ・イングレディエント)」、「活性剤(又はアクティブ・エージェント)」および「活性薬学的成分(又は活性医薬成分又はアクティブ・ファーマシューティカル・イングレディエント)」は、本開示において、互換的に使用される。
【0103】
用語「テトラサイクリン・クラスの薬物(又はテトラサイクリン系薬物又はテトラサイクリン・クラス・ドラッグ)」とは、テトラサイクリンおよびテトラサイクリンの誘導体(例えば、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、オキシテトラサイクリン)、ならびにそれらの対応する薬学的に許容可能な塩の形態、ならびにそれらの溶媒和物および水和物を指す。テトラサイクリンの抗生物質は、概して、4環のオクタヒドロテトラセン-2-カルボキサミド骨格を含んで成るが、骨格上の実際の置換基は異なってよい。
【0104】
用語「テトラサイクリン」は、(4S,4aS,5aS,6S,12aR)-4-(ジメチルアミノ)-1,6,10,11,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-3,12-ジオキソ-4,4a,5,5a-テトラヒドロテトラセン-2-カルボキサミド(すなわち、CAS番号60-54-8)およびその対応する薬学的に許容可能な塩の形態、ならびにこれらの溶媒和物および水和物を指す。例えば、テトラサイクリンの共通の塩の形態は、テトラサイクリンHCl(すなわち、CAS番号64-75-5)である。
【0105】
用語「ミノサイクリン」は、(4S,4aS,5aR,12aR)-4,7-ビス(ジメチルアミノ)-1,10,11,12a-テトラヒドロキシ-3,12-ジオキソ-4a,5,5a,6-テトラヒドロ-4H-テトラセン-2-カルボキサミド(すなわち、CAS番号10118-90-8)およびその対応する薬学的に許容可能な塩の形態、ならびにその溶媒和物および水和物を指す。ミノサイクリンの例示的な形態は、共通して、そのCAS番号によって識別されている。例えば、ミノサイクリン塩酸塩(又は塩酸ミノサイクリン又はミノサイクリンヒドロクロリド)は、13614-98-7のCAS番号を有する。
【0106】
用語「ドキシサイクリン」は、(4S,4aR,5S,5aR,6R,12aS)-4-(ジメチルアミノ)-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロテトラセン-2-カルボキサミド(すなわち、CAS番号564-25-0)およびその対応する薬学的に許容可能な塩の形態、ならびにその溶媒和物および水和物を指す。
【0107】
用語「レチノイド」とは、レチノイン酸受容体および/またはレチノイドX受容体を活性化する化学的な化合物を指す。レチノイドの例として、トレチノイン、イソトレチノイン、タザロテン、アダパレン、ベキサロテン、カルシポトリエン、エトレチネートおよびアリトレチノイン、およびそれらの対応する薬学的に許容可能な塩の形態、ならびにそれらの溶媒和物および水和物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0108】
用語「選択的レチノイド」とは、1以上のレチノイン酸受容体(RAR)(例えば、RAR-α(又はアルファ)、RAR-β(又はベータ)またはRAR-γ(又はガンマ))を活性化させるが、レチノイドX受容体(RXR)は有意に活性化させないレチノイドを指す。アダパレンおよびタザロテンが選択的レチノイドの例である。なぜなら、これらは、RAR-β(又はベータ)およびRAR-γ(又はガンマ)を選択的に活性化させるが、RXRは有意に活性化させないレチノイドであるからである。
【0109】
用語「アダパレン」は、6-[3-(1-アダマンチル)-4-メトキシ-フェニル]ナフタレン-2-カルボン酸(すなわち、CAS番号106685-40-9)およびその誘導体、ならびにそれらの対応する薬学的に許容可能な塩の形態、ならびにそれらの溶媒和物および水和物を指す。
【0110】
用語「タザロテン」は、エチル 6-[2-(4,4-ジメチル-2,3-ジヒドロチオクロメン-6-イル)エチニル]ピリジン-3-カルボキシレート(すなわち、CAS番号118292-40-3)およびその誘導体、ならびにそれらの対応する薬学的に許容可能な塩の形態、ならびにそれらの溶媒和物および水和物を指す。
【0111】
用語「一価脂肪族アルコール」は、1つ(又は単一又はシングル)のヒドロキシル基を含んで成る一官能性の有機化合物を指す。ここで、そのヒドロキシル官能基が分岐または直鎖のアルキル鎖の一部を形成する飽和炭素原子に共有結合している。そして、この化合物は、原子の芳香環配置を含むものではない。概して、本開示において提供される組成物で使用する一価脂肪族アルコールは、式:R-OHに従うものである。式中、Rは、C1~C4アルキルである。適切なR基として、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソブチルおよびtert-ブチルが挙げられる。
【0112】
用語「ポリオール」は、2以上のヒドロキシル基を含んで成り、なおかつ3~8個の炭素原子を有する薬学的に許容可能なアルコールを指す。即時(又はインスタント)の組成物での使用に適したポリオールは、このヒドロキシル基に加えて、官能基(例えば、エーテル結合など)を含んでいてよい(ただし、必須ではない)。本開示で使用する場合、ポリエチレングリコールは、ポリオールとしてみなされないものとする。例示的なポリオールとして、ジオール(例えば、プロピレングリコール(PG)およびジプロピレングリコール)、トリオール(例えば、グリセロール、1,2,6ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン)ならびにより高級なアルコール(すなわち、3以上のヒドロキシル基を含むもの)(例えば、ソルビトールおよびペンタエリスリトール)が挙げられる。また、ポリオールとして、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、1,6ヘキサンジオール、マンニトールおよびキシリトールが挙げられる。これらの溶媒のいくつかは、固体であることが認識されている(望ましくない可能性がある)。しかし、適切な混合物として組み合わされる場合、それらは、本明細書中に記載するような局所組成物での使用に適してよい。
【0113】
用語「局所(又は外用)」とは、身体の外側の上皮表面(皮膚または角膜を含む)に適用(又は塗布)することをいう。この用途の目的として、口、鼻、耳などの身体の開口部内に適用(又は塗布)することは、局所的な用途とはみなされない。
【0114】
薬物(又はドラッグ)に関して、組成物(活性成分または薬物を除いてすべて同じ材料(又は物質)を互いに同じ相対的な割合で含んでいるもの(ただし、特定の材料(又は物質)は除いているもの))が、6ヶ月間にわたって、密閉ガラス容器において、暗所環境で、20℃~25℃で保存したとき、元の組成物の効能(又は有効性又は効力)の損失よりも大きい効能(又は有効性又は効力)の損失を示す場合、組成物に含まれる特定の材料(又は物質)の存在によって、薬物は「安定化」されていると言う。明確性の観点から、置き換え(又はリプレイスメント)(すなわち、安定性向上の評価)を行う場合、局所組成物中の薬物の重量割合(又は重量パーセンテージ又は重量%)は増加せず、代わりに、除かれた材料は、薬物を除く局所組成物の残りの部分から同等の割合で効果的に置き換えられている。例えば、30%(w/w)のA、30%(w/w)のB、30%(w/w)のC、および10%(w/w)のDを含む組成物を成分Aの効果について評価し、Dが有効成分(すなわち、テトラサイクリン・クラスの薬物)であるとすると、この比較の組成物は、0%(w/w)のA(除かれた成分)と、45%(w/w)のBと、45%(w/w)のCと、10%(w/w)のD(活性成分)とを含むことになる。
【0115】
薬物に関して、特定の試験期間および特定の保存条件下において、薬物の効能(又は有効性又は効力)が試験期間の開始時の薬物の効能(又は有効性又は効力)の90%~110%の治療レベルに維持される場合、薬物は組成物中で「安定」であると言うことができる。本開示で使用する場合、薬物が組成物中で「安定」であるかどうかを評価するための期間は、指定されていない場合、6ヶ月である。本開示で使用する場合、組成物中の薬物が「安定」であるかどうかを評価するための保存条件は、指定されていない場合、組成物が暗所環境で20℃~25℃で密閉ガラス容器中に保存されることである。
【0116】
溶媒または組成物に関して、1気圧の圧力および30℃の温度で35mm水銀の蒸気圧を有する場合、「揮発性」と言うことができる。
【0117】
略号「(w/w)」は、組成物の相対的な濃度が、体積(又容量又はボリューム)基準ではなく、「重量/重量」の基準で示されていることを示す(すなわち、割合(又はパーセンテージ又は%)は、全重量に対する割合(又はパーセンテージ又は%)を指す)。
【0118】
本体(又は実在物又はエンティティ)または成分に関する用語「薬学的に許容可能」とは、本開示で提供される組成物に含むことができ、指定されたレベル、または当業者に許容可能であることが知られているレベル(レベルが指定されていない場合)において、顕著に有害な毒性学的な効果を患者に引き起こさないものである。本開示に記載される組成物中の全ての成分が薬学的に許容可能なレベルで提供される。明確性の観点から、活性成分が1以上の副作用を引き起こす可能性があり、なおかつ、そのような成分について規制の観点から許容可能な副作用プロファイルを有する成分を含めることは、かかる成分の「薬学的に許容可能」なレベルとみなされ得る。
【0119】
「薬学的に許容可能な塩」とは、塩の形成に適した基を少なくとも1つ有する薬物や活性成分または他の成分の塩の形態であって、患者に顕著で有害な毒性学的な効果を引き起こさないものを指す。本開示で提供されるような活性成分または他の成分への言及については、その薬学的に許容可能な塩、ならびにその溶媒和物および水和物を包含することを意味するものである。薬学的に許容可能な塩として、薬物中の官能基(単数または複数)の性質に応じて、無機酸、有機酸、塩基性アミノ酸または酸性アミノ酸との反応により調製される塩が挙げられる。適切な薬学的に許容可能な塩として、例えば、塩基性薬物の溶液を、酸(例えば、塩酸、ヨウ素酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、炭酸、リン酸、硫酸など)(これは塩基性薬物の薬学的に許容可能な塩の形態を形成することができるものである)の溶液と混合することによって形成することができる酸付加塩が挙げられる。塩基性薬物の代表的なアニオンとして(プロトン化された形態の場合)、塩化物(又はクロリド)、硫酸塩(又はスルフェート)、臭化物(又はブロミド)、メシル酸塩(又はメシレート)、マレイン酸塩(又はマレエート)、クエン酸塩(又はシトレート)およびリン酸塩(又はホスフェート)が挙げられる。適切な薬学的に許容可能な塩の形態およびそのような塩を同定するための方法は、例えば、Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection and Use, Weinheim/Zuerich:Wiley-VCH/VHCA, 2002; P. H. Stahl and C. G. Wermuth, Eds.において見出されている。
【0120】
「治療に有効な量」とは、本開示で使用される用語であり、医薬調剤(又は薬学的な調剤)の量、または医薬調剤(又は薬学的な調剤)における活性成分の量を意味し、血流または標的組織において、所望のレベルの活性成分を提供するために必要な量である。正確な量は、多数の要因(又はファクター)(例えば、特定の活性成分、医薬調剤(又は薬学的な調剤)の成分および物理的な特徴、意図した患者の集団、患者の考慮事項など)に依存し、本開示において提供される情報および関連する文献から入手できる情報に基づいて、当業者が容易に決定することができる。
【0121】
用語「患者」は、本開示において提供されるような組成物の投与によって防止(又は予防)または処置(又は治療)することができる症状(又は状態)に罹患しているか、または罹患しやすい生体を指し、ヒトおよび動物の両方が含まれる。
【0122】
「任意(optional)」または「必要に応じて(optionally)」とは、その後に記述される状況が発生してよく、または発生しなくてもよいことを意味する。そのため、その説明には、その状況が発生する場合と、その状況が発生しない場合とが含まれる。
【0123】
多くの場合、この特許出願には数値の範囲が記載されている。このような範囲は、範囲の終点を含むことで文脈と矛盾する場合や、他に記載されていない限り、範囲の終点を含むものと解釈されるべきである。
【0124】
(概要)
本願は、局所組成物(又は外用組成物)ならびに局所組成物(又は外用組成物)を調製するために関連のある方法を提供する。
【0125】
1つの態様において、局所組成物は、親油性活性剤(logP>3.00、4.00、5.00または6.00)または親水性活性剤(logP<3.00、2.00、1.00、0.00、-1.00または-2.00)と、一価脂肪族アルコールと、カルボン酸エステルとを含んで成る。ここで、一価脂肪族アルコールおよびカルボン酸エステルに関する詳細については、上記および以下のセクションで提供される。本開示で提供されるような液体の組成物(例えば、一価脂肪族アルコールとカルボン酸エステルとを含んで成る溶媒システム(又は溶媒系)において、logP>3.00、4.00または6.00を有する親油性活性剤を含んで成るもの)が安定であり、なおかつ、局所的に適用(又は塗布)すると、活性剤がヒトの皮膚によく浸透することを発見した(例えば、実施例1を参照のこと)。驚くべきことに、エステル基/炭素原子の比がより大きいカルボン酸エステルを含んで成る組成物ほど、浸透性は、典型的には、より高くなる。表3からわかるように、酢酸エチルを含んで成る組成物(組成物C.7.2)は、0.25のエステル基/炭素原子の比を有するカルボン酸エステルを含んでいた。かかる組成物において、正規化されたミノサイクリンの摂取(又は摂取量)は高く1.03であり、正規化されたタザロテンの摂取(又は摂取量)も高く1.19であった。これは、低い比率の組成物(依然として高い比率である)と比べて、浸透効率が大きく、2~3倍である。このように、エステル基/炭素原子の比がより大きいカルボン酸エステルを含んで成る組成物は、エステル基/炭素原子の比がより小さいカルボン酸エステルを含んで成る組成物と比較して、タザロテンおよびミノサイクリンの皮膚浸透性(これは正規化された摂取(又は摂取量)からわかる)が向上した。このようなデータから、組成物において、エステル基/炭素原子の比が増加したカルボン酸エステルを使用すると、結果として、タザロテンおよび/またはミノサイクリンの浸透の効率も対応して増加することがわかる。
【0126】
エステル基/炭素原子の比を高めたカルボン酸エステルを含んで成る溶媒系(又は溶媒システム)(例えば、酢酸エチル)にはタザロテンおよびミノサイクリンを効率的に浸透させるという利点がある。特定の類似の構造のカルボン酸エステル(例えば、コハク酸ジメチル、酢酸プロピル、またはそれらの組み合わせ)の使用によっても、局所組成物の望ましい使いやすさの特徴について特に有効であってよいことを発見した。例えば、コハク酸ジメチル、酢酸プロピル、またはそれらの組み合わせは、組成物の浸透性、溶解性(又は溶解度)および安定性を妥協することなく、酢酸エチルの刺激臭と比べて、刺激臭が少なくなっている。
【0127】
組成物および使用(又は用途)
複数の態様において、局所組成物および局所組成物を製造するために関連のある方法を提供する。いくつかの実施形態において、局所組成物は、概して、活性剤(例えば、タザロテンまたはアダパレン)および/またはテトラサイクリン・クラスの抗生物質(例えば、ミノサイクリンまたはドキシサイクリン)と、一価脂肪族アルコールと、カルボン酸エステル(エステル基/炭素原子の比が少なくとも0.05であるもの)とを含んで成る。いくつかの実施形態において、局所組成物に含まれる活性剤は、親油性活性剤(logP>3.00(例えば、>4.00、5.00または6.00))および親水性活性剤(logP<-2.00(例えば、<3.00、2.00、1.00または0.00))から選択される。いくつかの実施形態において、局所組成物は、1以上の活性剤を含んで成る。いくつかの実施形態において、局所組成物は、ポリオールをさらに含んで成る。
【0128】
いくつかの実施形態において、logP>6.00の活性剤は、抗ヒスタミン剤(例えば、エバスチン)、光感作剤(又は光増感剤又はフォトセンシタイジング・エージェント)(例えば、テキサフィリンまたはレムテポルフィン)、および抗真菌剤(例えば、ミコナゾール)から選択される。
【0129】
いくつかの実施形態において、logP>5.00の活性剤は、非ステロイド性抗炎症剤(例えば、メフェナム酸)、抗ヒスタミン剤(例えば、エバスチン、フェキソフェナジン、ロラタジンまたはクレマスチン)、光感作剤(例えば、テキサフィリンまたはレムテポルフィン)、抗真菌剤(例えば、ミコナゾール、オキシコナゾールまたはエコナゾール)、および駆虫剤(又は駆除剤)(イベルメクチン)から選択される。
【0130】
いくつかの実施形態において、logP>3.00の活性剤は、非ステロイド性抗炎症剤(例えば、ジクロフェナク、オキサプロジン、インドメトシン、ジフルニサル、フルルビプロフェンまたはメフェナム酸)、抗ヒスタミン剤(例えば、エバスチン、フェキソフェナジン、ロラタジンまたはクレマスチン)、光感作剤(例えば、テキサフィリンまたはレムテポルフィン)、抗真菌剤(例えば、ミコナゾール、オキシコナゾールまたはエコナゾール)および駆虫剤(イベルメクチン)から選択される。
【0131】
いくつかの実施形態において、logPが3~4の範囲にある活性剤は、非ステロイド性抗炎症剤(例えば、ピロキシカム、ケトプロフェン、スリンダック、フェノプロフェン、サルサレート、バルデコキシブ、エトリコキシブまたはフェニルブタゾン)、抗ヒスタミン剤(例えば、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミンまたはブロムフェニラミン)、および抗乾癬剤(例えば、カルシポトリオール)から選択される。
【0132】
いくつかの実施形態において、logP<-2.00の活性剤は、抗生物質(例えば、ブレオマイシン硫酸塩(又はブレオマイシンスルフェート))である。
【0133】
いくつかの実施形態において、局所組成物に含まれる活性剤は塩である(例えば、麻酔剤または鎮痛剤(例えば、リドカイン塩酸塩(又はリドカインヒドロクロリド)またはテトラカイン塩酸塩(又はテトラカインヒドロクロリド)、またはそれらの組み合わせ)、抗ヒスタミン剤(例えば、セチリジン塩酸塩(又はセチリジンヒドロクロリド))、抗生物質(例えば、ドキシサイクリン ハイクレート(hyclate)またはブレオマイシン スルフェート)、抗悪性腫瘍剤(例えば、メトトレキサートナトリウム))。
【0134】
いくつかの実施形態において、局所組成物に含まれる活性剤は、エチルエステル(例えば、ベンゾカイン)を含んで成る。いくつかの実施形態において、局所組成物に含まれる活性剤は、エチルエステル(例えば、ベンゾカイン)および塩(例えば、リドカイン塩酸塩(又はリドカインヒドロクロリド)もしくはテトラカイン塩酸塩(又はテトラカインヒドロクロリド)、またはそれらの組み合わせ)を含んで成る化合物から選択される。
【0135】
いくつかの実施形態において、局所組成物に含まれる活性剤は、少なくとも1つの非極性化合物と、少なくとも1つの極性化合物とを含んで成る。少なくとも1つの極性化合物は、極性化合物が、リドカイン塩酸塩(又はリドカインヒドロクロリド)もしくはテトラカイン塩酸塩(又はテトラカインヒドロクロリド)、またはそれらの組み合わせである。非極性化合物は、ベンゾカインである。
【0136】
いくつかの実施形態において、局所組成物に含まれる活性剤は、極性化合物を含んで成る。極性化合物は、血管拡張剤(例えば、ミノキシジル)、抗生物質(例えば、ブレオマイシン スルフェートまたはドキシサイクリン ハイクレート(hyclate))、麻酔剤または鎮痛剤(例えば、リドカイン塩酸塩(又はリドカインヒドロクロリド)もしくはテトラカイン塩酸塩(又はテトラカインヒドロクロリド)、またはそれらの組み合わせ)、または抗悪性腫瘍剤(例えば、メトトレキサートナトリウム)であってよい。
【0137】
いくつかの実施形態において、局所組成物に含まれる活性剤は、logP>4.00の親油性活性剤と塩とを含んで成る。いくつかの実施形態において、局所組成物に含まれる活性剤は、logP>4.00の親油性活性剤と、logP<2.00の親水性活性剤とを含んで成る。
【0138】
いくつかの実施形態において、局所組成物に含まれる活性剤は、麻酔剤または鎮痛剤を含んで成る。いくつかの実施形態において、局所組成物に含まれる活性剤は、抗悪性腫瘍剤または抗乾癬剤を含んで成る。抗悪性腫瘍剤として、例えば、皮膚癌(例えば、基底細胞癌またはメラノーマ)を処置(又は治療)するための抗癌剤が挙げられ、フルオロウラシル、イミキモド、ソニデギブが挙げられるが、これらに限定されない。
【0139】
いくつかの実施形態において、局所組成物に含まれる活性剤は、血管拡張剤と、麻酔剤または鎮痛剤とを含んで成る。いくつかの実施形態において、局所組成物に含まれる活性剤は、抗生物質と、抗ヒスタミン剤とを含んで成る。いくつかの実施形態において、局所組成物に含まれる活性剤は、抗生物質と、非ステロイド性抗炎症剤とを含んで成る。いくつかの実施形態において、局所組成物に含まれる活性剤は、光感作剤と、非ステロイド性抗炎症剤とを含んで成る。
【0140】
いくつかの実施形態において、局所組成物に含まれる活性剤は、抗真菌剤と、麻酔剤または鎮痛剤とを含んで成る。いくつかの実施形態において、局所組成物に含まれる活性剤は、抗乾癬剤と、非ステロイド性抗炎症剤とを含んで成る。いくつかの実施形態において、局所組成物に含まれる活性剤は、駆虫剤と、非ステロイド性抗炎症剤とを含んで成る。いくつかの実施形態において、局所組成物に含まれる活性剤は、駆虫剤と、非ステロイド性抗炎症剤と、麻酔剤または鎮痛剤とを含んで成る。
【0141】
また、いくつかの実施形態において、局所組成物は、ポリオール、マグネシウム塩、亜硫酸塩(又はスルファイト)および/またはチオ硫酸塩(又はチオスルフェート)、ならびに賦形剤(例えば、増粘剤(又はシッケンナー)、エモリエント剤(又はエモリエント)、抗酸化剤(又はアンチオキシダント)、泡沫アジュバント(又はフォーム・アジュバント)、泡沫推進剤(又はフォーム・プロペラント)および界面活性剤(又はサーファクタント))の1以上を含んで成る。いくつかの実施形態において、活性剤は、組成物内に溶解している。
【0142】
薬物の局所送達は、経口で投与される同じ薬物の投与量(又は用量)と同じように、薬物の投与を大量に必要とすることなく、皮脂腺、毛包および/または皮膚において、同じレベルの薬物を生成(又は形成)するためのものである。したがって、局所的に適用(又は塗布)されるより少ない投与量(又は用量)が症状(又は状態)または疾患を制御するのに有効であってよい。また、より少ない副作用と、特定の薬物に対する耐性を誘発する可能性が少なくなる場合がある。
【0143】
実施例において、いくつかの例示的な組成物を記載する。局所組成物のいくつかの好ましい実施形態は、エタノール、プロピレングリコール、シネオール、メタ重亜硫酸ナトリウムおよび塩化マグネシウムの1以上を含んで成る。無水エタノールは、無水の揮発性の溶媒である。プロピレングリコールは、ミノサイクリンを溶解させるために特に有用である。シネオールは、アダパレンを溶解させるために特に有用である。さらに、1以上の酸化防止剤を添加することができる(例えば、メタ重亜硫酸ナトリウム)。ミノサイクリンを安定化させるために、特に亜硫酸塩および/またはチオ硫酸塩と組み合わせて、塩化マグネシウムを必要に応じて添加することができる。塩化マグネシウムは、好ましくは、無水(又は無水物)である。また、酸化防止剤および二価カチオンは、化合物の供給源(酸化防止剤および二価カチオンから構成されるもの(例えば、亜硫酸マグネシウム、チオ硫酸マグネシウムなど))から添加されてよい。実施例7は、いくつかの具体的ではあるが、例示的な局所組成物について説明する(これらは本開示において具現化されているような局所組成物である)。
【0144】
本開示で提供されるような例示的な組成物は、約40%~約99%(w/w)の一価脂肪族アルコール、約0.01%~約1.0%(w/w)の選択的レチノイド、約0.1%~約10%(w/w)のテトラサイクリン・クラスの薬物(又は薬剤)、約0.2%~約15%(w/w)のマグネシウムおよび約0.05%~約15%(w/w)の抗酸化剤を含んでよい。いくつかの好ましい組成物は、さらに、約2%~約40%(w/w)または約5%~約40%(w/w)のポリオール、約1%~約60%(w/w)、約1%~約30%w/wまたは約5%~約60%(w/w)のカルボン酸エステル(少なくとも0.05のエステル基/炭素原子の比を有するもの)、またはそれらの組み合わせを含んでよい。
【0145】
課題の1つは、薬物(単数または複数)が可溶性、安定性および/または生物学的に利用可能(又はバイオアベイラブル)である局所組成物を処方(又は調剤)することである。特定のクラスの薬物(例えば、テトラサイクリン・クラスの薬物)は、選択された二価のカチオン(例えば、Mg2+、Ca2+およびZn2+)の使用によって、部分的に安定化することができる。抗酸化剤および/またはキレート化剤を添加することによって、薬物をさらに安定化させることができる。出願人は、亜硫酸塩およびチオ硫酸塩の抗酸化剤、特に重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、およびそれらの組み合わせが、ミノサイクリンなどの薬物の安定化に特に適していることを見出した。酸化防止剤および二価のカチオンは、二価のカチオンのいくつかの供給源、酸化防止剤のいくつかの供給源、または酸化防止剤および二価のカチオンから構成される化合物のいくつかの供給源(例えば、亜硫酸マグネシウム、チオ硫酸マグネシウムまたは同様のもの)、あるいはこれらの組み合わせから添加することができる。
【0146】
局所組成物は、マグネシウム塩などのマグネシウムの供給源をさらに含んでよい。例示的なマグネシウム塩として、臭化マグネシウム、塩化マグネシウム、フッ化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、硫酸マグネシウム、サリチル酸マグネシウム、およびリン酸マグネシウム、亜硫酸マグネシウム、およびチオ硫酸マグネシウムが挙げられるが、これらに限定されない。マグネシウム塩は、しばしば、水和物として商業的に供給されるものである。水和物は、即時(又はインスタント)の処方物(又は調剤)に使用することができる。しかしながら、いくつかの好ましい実施形態において、ミノサイクリンなどのテトラサイクリン・クラスの薬物は、水の存在下で不安定であるため、マグネシウム塩は、無水(又は無水物)である。マグネシウムは、得られる組成物中に、任意の利用可能な形態(例えば、カチオンまたは塩の形態)で存在してもよいと理解される。本開示で使用する用語「マグネシウム塩」は、全てのこのようなマグネシウムの供給源を指す。同様に、本開示で使用する用語「二価のカチオンの塩」は、二価のカチオン、二価のカチオンの塩、または二価の原子の他の形態(組成物の他の成分と化学的に相互作用するために利用可能な二価のカチオンを形成し得るもの)を指す。組成物中のマグネシウム塩は、テトラサイクリン・クラスの薬物の溶解度を高めるのに有効である。本開示で提供される局所組成物におけるマグネシウムの典型的な濃度は、約0.2~約10重量%の範囲である。二価のカチオン(例えば、マグネシウム塩):テトラサイクリン・クラスの薬物(例えば、ミノサイクリンまたはドキシサイクリン)のモル比は、約2:1~約100:1の範囲である。例示的なモル比は、典型的には、2:1(Mg:テトラサイクリン薬物)、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、4.5:1、5:1、5.5:1、6:1、6.5:1、7:1、7.5:1、8:1、8.5:1、9:1、9.5:1、10:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1、75:1および100:1である(少なくとも約、約、または上記の比の大凡いずれかの間である)。マグネシウムは、特に、亜硫酸塩と組み合わせる場合にはミノサイクリンを安定化させること、抗酸化剤と組み合わせる場合にはタザロテンを安定化させることが分かった。
【0147】
局所組成物は、概して、その溶媒系(又は溶媒システム)の一部として、一価の脂肪族アルコール、好ましくは揮発性のアルコールをさらに含んで成る。概して、本開示で提供される組成物において使用する一価脂肪族アルコールは、式:R-OHに従うものである。式中、Rは、C1~C4アルキル基である。適切なR基として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソブチルおよびtert-ブチルが挙げられる。好ましくは、一価脂肪族アルコールは、一級アルコール(例えば、エチルアルコール、プロピルアルコールまたはブチルアルコール)である。特に好ましい一価脂肪族アルコールは、エタノールである。いくつかの実施形態において、一価脂肪族アルコールは、5%以上の水への溶解度を有するものである。例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノールおよび2-プロパノールならびにt-ブチルアルコールは、水と混和性である。その一方で、1-ブタノールは、水に対する溶解度が約9%である。2-ブタノールは、水に対する溶解度が7.7%である。好ましくは、本開示に記載されるような組成物は、有利には、40重量%~99重量%(w/w)、40重量%~95重量%(w/w)、50重量%~99重量%(w/w)の一価脂肪族アルコールを含んで成る。あるいは、より好ましくは、60重量%~85重量%(w/w)の一価脂肪族アルコールを含んで成る。このようなアルコール成分の代表的な範囲は、約40~50%、50~55%w/w、50~60%w/w、50~65%w/w、50~70%w/w、50~75%w/w、50~80%w/w、50~85%w/w、50~90%w/w、50~55%w/w、55~60%w/w.55~65%w/w、55~70%w/w、55~75%w/w、55~80%w/w、55~85%w/w、55~90%w/w、55~95%w/w、60~65%w/w、60~70%w/w、60~75%w/w、60~80%w/w、60~85%w/w、60~90%w/w、60~95%w/w、65~70%w/w、65~75%w/w、65~80%w/w、65~85%w/w、65~90%w/w、65~95%w/w、70~75%w/w、70~80%w/w、70~85%w/w、70~90%w/w、70~95%w/w、75~80%w/w、75~85%w/w、75~90%w/w、75~95%w/w、80~85%w/w、80~95%w/w、80~95%w/w、85~90%w/w、85~95%w/w、90~95%w/wおよび95~99%w/wである(上記範囲は、本開示で提供されるような他の処方物(又は調剤)の成分のw/w量または範囲と組み合わせてよい)。
【0148】
さらに、局所組成物のさらなる成分(すなわち、その溶媒系(又は溶媒システム)を形成する部分)は、ポリオールであってよい。かかるポリオールは、2以上のヒドロキシル基を含み、なおかつ、3~8個の炭素原子を有するものである。典型的には、ポリオールは、脂肪族化合物である。即時(又はインスタント)の組成物に使用するためのポリオールとして、ジオール(例えば、プロピレングリコール(PG、プロパン-1,2-ジオール)、ヘキシレングリコール(2-メチルペンタン-2,4-ジオール)、1,3-ブチレングリコール(1,3-ブタンジオール)、およびジプロピレングリコール、トリオール(例えば、グリセロールおよびトリメチロールプロパン)、より高級なアルコール(3以上のヒドロキシル基を含むものを意味する)(例えば、ソルビトールおよびペンタエリスリトール)が挙げられる。好ましいポリオールは、C3~C8のジオールおよびトリオールである。ジオールまたはトリオールは、典型的には、約250未満または約200未満の分子量を有する。例えば、ポリオールは、約125未満の分子量を有する。ポリオールは、例えば、プロピレングリコールの場合などのように、吸湿性であってもよい。いくつかの実施形態において、ポリオールは、グリセロールまたはグリセリン以外のトリオールである。
【0149】
さらに、局所組成物のさらなる任意の成分は、界面活性剤である。界面活性剤の親水性/親油性のバランス(HLB)は、水または油に対する親和性(又はアフィニティ)を表す。HLBのスケールは、約1(親油性)~45(親水性)の範囲である。非イオン性界面活性剤の場合は、1~20である。10は、親水性と親油性の両方の特徴のバランスが等しいことを表す。親油性界面活性剤は、油中水(又はウォーター・イン・オイル)(w/o)エマルジョンを形成する。親水性界面活性剤は、水中油(又はオイル・イン・ウォーター)(o/w)エマルジョンを形成する。一実施形態では、界面活性剤の混合物またはブレンドが可能である。ここで、2つの界面活性剤のブレンドのそのHLBは、界面活性剤Aの重量分率(又はウエイト・フラクション)にそのHLB値を積算したものに、界面活性剤Bの重量分率(又はウエイト・フラクション)をそのHLB値で積算したものを加算したものに等しい(又はHLB=(界面活性剤Aの重量分率×そのHLB値)+(界面活性剤Bの重量分率×そのHLB値))。
【0150】
例示的な界面活性剤として、ソルビタン誘導体(例えば、ラウリン酸ソルビタンおよびパルミチン酸ソルビタン);アルコキシル化されたアルコール類(例えば、ラウレス-4);ポリマーシリコーン類(又は高分子シリコーン類)の水酸化された誘導体(例えば、ジメチコーンコポリオール);ヒドロキシル化されたポリマーシリコーン類のアルキル化された誘導体(例えば、セチルジメチコーンコポリオール);グリセリルエステル(例えば、ポリグリセリル-4イソステアレート);ミツロウ誘導体(例えば、ナトリウム イソステアロイル-2-ラクチレート);レシチン;ヒドロキシステアリン酸のポリオキシエチレンエスチル;およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0151】
可能な界面活性剤の追加の非限定的な例として、ポリソルベート類(例えば、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(Tween 60)およびポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(Tween 80));ポリオキシエチレン(POE)脂肪酸エステル(例えば、Myrj 45、Myrj 49およびMyrj 59);ポリ(オキシエチレン)アルキルエーテル類(例えば、ポリ(オキシエチレン)セチルエーテル、ポリ(オキシエチレン)パルミチルエーテル、ポリエチレンオキシドヘキサデシルエーテル、ポリエチレングリコールセチルエーテル、brij 38、brij 52、brij 56およびbrij W1);スクロースエステル、ソルビトールの部分エステルおよびその無水物(例えば、ソルビタンモノラウレートおよびソルビタンモノラウレート);脂肪アルコールまたは脂肪酸、オノ(ono)またはジグリセリド、イソセテス-20、ナトリウム メチルココイルタウレート、ナトリウム メチルオレオイルタウレート、ナトリウム ラウリルスルフェート、トリエタノールアミンラウリルスルフェートおよびベタイン類が挙げられる。ただし、単一(又はシングル)の界面活性剤の場合、HLB値は、3~9の間である。そして、表面活性剤(又は界面活性剤)の混合物の場合、それらHLB値の加重平均は、3~9の間である。
【0152】
一実施形態において、界面活性剤は、組成物の約0.1%w/w~約10%w/w未満の範囲で組成物中に存在する。典型的には、0.1%w/w以上または0.25~5%w/wであり、または約5%w/w未満、または約2%w/w未満である。
【0153】
1以上の実施形態によると、油中水(又はウォーター・イン・オイル)エマルジョンの形成に適した界面活性剤は、10以下、好ましくは約3~約9のHLB値を有する。したがって、この組成物は、3~9のHLB値を有する単一の界面活性剤(又は表面活性剤)、または界面活性剤の混合物(3~9のそれらHLB値の加重平均を有する)を含んでよい。
【0154】
別の実施形態において、組成物は、界面活性剤および揮発性溶媒を含んで成る。組成物を皮膚に適用(又は塗布)すると、揮発性溶媒の蒸発によって、皮膚表面にミセル、リポソーム、ミセルフィルムまたは混合ミセルがインサイチュ(又は系中)で生成(又は形成)される。
【0155】
一実施形態において、組成物は、少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含んで成る。1以上の実施形態において、組成物は、少なくとも1つの非イオン性界面活性剤と、少なくとも1つのイオン性界面活性剤(アニオン性、カチオン性、双性イオン性の界面活性剤の群から選択されるもの)とを約1:1~約20:0.1の重量比、または好ましくは約4:0.1~約20:0.1の重量比で含んで成る。
【0156】
テトラサイクリン・クラスの薬物は、水の存在によって分解されるが、上記のように安定化させることができる。そうすることで、これらは、少量の水に対して、安定性を維持するようになる。それによって、吸湿性または水性の溶媒を好ましくは少量で使用することができる。いくつかの実施形態において、局所組成物のための溶媒系(又は溶媒システム)は、一価脂肪族アルコール、または約50%~99%(w/w)の一価脂肪族アルコール(例えば、エタノール、イソプロパノールまたはtert-ブチルアルコール)の混合物を含んで成る。いくつかの実施形態において、一価脂肪族アルコールは、無水(又は無水物)である。いくつかの実施形態は、約5%~約30%(w/w)のプロピレングリコール(CAS 57-55-6, Spectrum Chemical Manufacturing Co., New Brunswick, NJ)をさらに含んで成る。一価脂肪族アルコールは、好ましくは、エタノールである。より好ましくは、無水エタノールである。好ましい実施形態において、プロピレングリコールの濃度は、揮発性アルコールが皮膚に浸透した後または皮膚から蒸発した後でもテトラサイクリン・クラスの薬物および選択的レチノイドが溶液中に留まり得るように十分に高く、なおかつテトラサイクリン・クラスの薬物が安定であるように十分に低い。
【0157】
角質層にわたる薬物の送達ならびに大部分の薬物の皮内での保持(顕著な量で血流に入らないようにしたもの)を達成する局所組成物の設計が課題であり、革新的なアプローチが必要である。いくつかの要因(又はファクター)によって、局所的に適用(又は塗布)する薬物に対する皮膚や皮膚の特定の層の透過性を決定する。これらの要因として、皮膚の特徴、薬物の特徴(例えば、そのサイズ(又は寸法)(分子量または分子体積)、親油性/親水性、極性など)、適用(又は塗布)する薬物の投与量(又は用量)、適用(又は塗布)する組成物の濃度および体積(又は容量又はボリューム)、薬物と送達ビヒクルとの間の相互作用、薬物と皮膚との間の相互作用、送達ビヒクル中の成分の存在下での皮膚と薬物との相互作用が挙げられる。薬物の局所投与には多数の要因(又はファクター)が関与することから、薬物の皮内での送達が首尾よく達成され得るか否かについては、概して、不確実であると考えられている。従って、局所的な投与は、患者の利便性および薬物送達の観点から望ましいが、その一方で、多くの化合物に関して、大きく成功していない。このことは、局所投与について承認された薬物が比較的に数少であることからも実証されている通りである。
【0158】
局所組成物は、望ましくは、2以上の溶媒成分を含んでいてよく、それにより、3以上の溶媒成分の有益な特徴を利用してよい(例えば、エタノールおよびカルボン酸エステルとの組み合わせにおけるプロピレンまたはグリセロール)。
【0159】
処方物(又は製剤)におけるエタノールの量は、望ましくは、約10%~95%(w/w)、より望ましくは、約30%~95%(w/w)、50%~95%(w/w)または60%~90%(w/w)である。カルボン酸エステルの量は、望ましくは、約5%~95%(w/w)、より望ましくは、約5%~50%(w/w)、10%~40%(w/w)または20%~40%(w/w)である。このようなレベルは、いくつかの利点を有する(例えば、良好な感覚受容性の特性を有する溶媒混合物において薬物の溶解性を高めること)。処方物(又は製剤)が水による劣化に敏感な薬物を含む場合、好ましくは無水エタノールを使用する。
【0160】
局所組成物に有益に使用できる溶媒の例は、プロピレングリコール(PG)、ミリスチン酸イソプロピル(IM)、アジピン酸ジイソプロピル(DP)および中鎖トリグリセリド(MCT)である。
プロピレングリコールは、化粧品および美容製品に使用される有機化合物である。なぜなら、保湿剤(又はヒューメクタント)、浸透促進剤(又はペネトレーション・エンハンサ)、そして多くの薬物の良好な溶媒として役立つからである。
ミリスチン酸イソプロピルおよびアジピン酸ジイソプロピルは、合成油である。これらは、エモリエント剤(又はエモリエント)、スキンコンディショニング剤(又はスキン・コンディショニング・エージェント)、溶媒(又はソルベント)、増粘剤(又はシッケニング・エージェント)および浸透促進剤(又はペネトレーション・エンハンサ)として使用されるものである。
中鎖トリグリセリドは、グリセロール骨格と、3つの脂肪酸から構成される。ここで、グリセロール基に結合した脂肪酸鎖のうち2または3の脂肪酸鎖は、その長さが中鎖である(すなわち、この脂肪酸は、6~12個の炭素原子の脂肪族テールを有する)。
MCTは、エモリエント剤として共通して使用され、敏感肌に使用することを意図した組成物に対して優れた選択肢として役立つ。なぜなら、MCTは、軽量であり、なおかつ、ほとんどの皮膚タイプを刺激しないからである。
【0161】
出願人は、ヒトの皮膚へのタザロテンおよびミノサイクリンの浸透が向上することを見出した。このような向上は、一価アルコールと、カルボン酸エステル(少なくとも0.05のエステル基/炭素原子の比を有するもの)とを含む混合物に薬物を本質的に完全に可溶化させことによるものである。カルボン酸エステルのエステル基/炭素原子の比が大きいほど(例えば、少なくとも0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30または0.35)、浸透性はさらに向上する。例示的なカルボン酸エステルを表1に示す。当該技術分野で知られているようなエステル基/炭素原子の比を有する他のカルボン酸エステルが、本明細書に記載の組成物での使用に適していることが理解される。この向上した浸透によって、タザロテンおよびミノサイクリン(代表的な薬物である)のより良好なバイオアベイラビリティ(又は生物学的利用能)が可能になり、処置後(又は治療後)の皮膚表面上の残留薬物を有益に減少させる。この向上した浸透は、複数の利点を有する。
第一に、皮膚表面に残存する薬物の量を減らすことによって、そう痒、皮膚の乾燥や、ひび割れ、発赤、光線過敏症などの副作用の強度と発生率とを減らすことができる。
第二に、薬物のバイオアベイラビリティ(又は生物学的利用能)が向上することによって、皮膚内での有効濃度を達成するために必要な薬物の量を低下させる。これにより、組成物内で使用され得る薬物(単数または複数)の濃度をより低くすることができ、それによって、副作用プロファイルをさらに低減させる。
【0162】
【0163】
いくつかの実施形態において、本開示に記載される組成物は、これら望ましくない特徴を低減するために、制限されたアルコールの含有量を有する。局所組成物中のアルコール含有量を制限することができる方法の1つは、エマルジョンを使用することであり、このエマルジョンは、親水性の相(例えば、エタノール)における低logP活性剤と、親油性の相(例えば、フッ素化されたオイル(又は油))における高logP活性剤とを有するものである。このような組成物に有用となり得るエマルジョンのさらなる例は、米国特許第9,474,720号に示されている。他の適切なエマルジョンの例は、当業者に明らかであろう。エマルジョンは、例えば、水中油型(又はオイル・イン・ウォーター・タイプ)のエマルジョン、油中水型(又はウォーター・イン・オイル・タイプ)のエマルジョン、または、より複雑な3または4レベルのエマルジョン(例えば、油中水中油型(又はオイル・イン・ウォーター・イン・オイル・タイプ)のエマルジョン)であってよい。多くの好ましい実施形態において、エマルジョンの親水性の相は、「水中油(オイル・イン・ウォーター)」などの用語にかかわらず、いかなる水も含有しない。同様に、疎水性の相は、オイル(又は油)を含む必要がない。いくつかの好ましい実施形態において、「水」の相は、カールフィッシャー滴定法で測定したときに5%未満の水分含量(又はウォーター・コンテント)を有する。
【0164】
一実施形態において、局所組成物は、20℃~25℃、60%の相対湿度で、暗所環境で約1時間にわたって布と接触させて配置したときに布を漂白しない。
【0165】
また、即時(又はインスタント)の組成物は、局所での使用に適した1以上の補助的な賦形剤(又は助剤)を比較的に少量(例えば、約10%(w/w)未満)で含んでよい。pH調整剤(又はpHモディファイイング・エージェント)、防腐剤(又はプリザベーティブ)、増粘剤(又はシッケニング・エージェント)、ゲル形成剤(又はゲル・フォーミング・エージェント)、乳化剤(又はエマルジファイイング・エージェント)、抗酸化剤(又はアンチオキシダント)、香剤(又はセント・エージェント)などが挙げられるが、これらに限定されない。配合に適した化合物は、例えば、R. C. Roweら、Handbook of Pharmaceutical Excipients (4th Ed.), Pharmaceutical Press, London, 2003から見つけ出してよい。
【0166】
いくつかの実施形態において、局所組成物は、1以上のゲル化剤を含む。局所組成物に使用され得るゲル化剤として、そのゲル化特性についてよく知られている従来のゲル化剤、例えば、セルロースエーテル類(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ナトリウム カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース)など;ビニルアルコール類;ビニルピロリドン類;天然ゴム(例えば、カラヤガム、ローカストビーンガム、グアーガム、ジェランガム、キサンタンガム、アラビアゴム、トラガカントガム、カラギーナン、ペクチン、グアー、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム)など;およびメタクリレート類(例えば、Rohm Pharma社製のEudragit(登録商標)という商品名で入手可能なもの)などが挙げられる。その他のゲル化剤として、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー(ポロクサマー)(例えば、商品名「Lutrol(登録商標)」として入手可能なもの)などが挙げられる。好ましいゲル化剤は、遊離カルボキシル基を有していないゲル化剤、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、オルガノ(又は有機)/冷水に可溶性のセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、エチルセルロース、エチル(ヒドロキシエチル)セルロースなどである。置換されたセルロースの場合、テトラサイクリン薬物の安定性に対するヒドロキシル基の影響を制限するために、かつ/または選択された溶媒システム(又は溶媒系)におけるゲル化剤の溶解度を高めるために、中程度から高程度の置換が好ましい。好ましい置換の程度(又は置換度)は、少なくとも1.0、または好ましくは1.2~6.0の範囲、またはより好ましくは2.5~4.5の範囲である。
【0167】
また、組成物は、少なくとも1つの酸化防止剤を含んでよい。抗酸化剤の量として、存在する場合、典型的には、組成物の約0.005重量%~約15.0重量%の範囲となる。例示的な範囲は、約0.005重量%~約3.0重量%の抗酸化剤、0.01重量%~約2.5重量%の抗酸化剤、約0.05重量%~約2重量%の抗酸化剤、および約0.1重量%~約1.5重量%の抗酸化剤が挙げられる。抗酸化剤の例示的な量として、0.01重量%、0.025重量%、0.05重量%、0.075重量%、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%および1重量%が挙げられる。一実施形態において、組成物内に含まれる酸化防止剤の量は、0.01重量%である。別の実施形態において、処方物(又は製剤)内に含まれる酸化防止剤の量は、0.2重量%である。適切な抗酸化剤として、例えば、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ターシャリーブチルヒドロキノン、没食子酸プロピル、アルファ(α)-トコフェロール、メタ重亜硫酸ナトリウムなどが挙げられる。抗酸化剤の好ましいクラスの1つは、硫黄含有抗酸化剤(例えば、メタ重亜硫酸ナトリウム、グルタチオン、N-アセチルシステイン、チオプロリンおよびタウリン)である。追加の好ましい組成物は、亜硫酸塩化合物、BHT、亜セレン酸ナトリウム、DL-アルファ(α)トコフェロール、ジチオエリスリトールとDL-アルファ(α)トコフェロールとの組み合わせ、およびエリソルビン酸ナトリウムからなるリストから選択される少なくとも1つの酸化防止剤が挙げられる。また、亜硫酸の塩(又はスルフラスアシッド ソルト(sulfurous acid salts))、チオ硫酸の塩(又はチオスルフリックアシッド ソルト(thiosufuric acid salts))および有機エステル(又はオーガニック・エステル(organic esters))(まとめて、「亜硫酸塩(又はスルファイト(sulfites))」と称する)が好ましい(例えば、重亜硫酸塩(又はビスルファイト)、ピロ亜硫酸塩(又はピロスルファイト)、メタ重亜硫酸塩(又はメタビスルファイト)および亜硫酸塩(又はスルファイト))。
【0168】
1以上の実施形態において、局所組成物は、適切な量(例えば、約0.005重量%~約15重量%、または約0.005~10重量%、0.005~7.5重量%または0.005~3.0重量%)の亜硫酸塩(又はスルファイト)の化合物および/またはチオ硫酸塩(又はチオスルフェート)の化合物(例えば、亜硫酸塩(又はスルファイト)、メタ重亜硫酸塩(又はメタビスルファイト)、重亜硫酸塩(又はビスルファイト)またはチオ硫酸塩(又はチオスルフェート))を含んで成る。ここで、亜硫酸塩(又はスルファイト)は、適切な対イオン(又はカウンターイオン)に同伴されている。亜硫酸塩(又はスルファイト)およびチオ硫酸塩(又はチオスルフェート)の抗酸化剤が特に有利である。なぜなら、これらは、局所ミノサイクリン組成物中の4-エピ-ミノサイクリンの形成および変色を阻害するからである。また、有機の亜硫酸塩(又はスルファイト)/チオ硫酸塩(又はチオスルフェート)の化合物を用いてよい(例えば、亜硫酸、非環状亜硫酸塩および環状亜硫酸塩の有機エステル類)。例示的な有機亜硫酸塩には、エチル、p-トリルおよびイソプロピルの亜硫酸塩が含まれるが、任意の適切な有機亜硫酸塩を用いてよい。
【0169】
組成物は、典型的には、組成物の約0.01重量%~約2.0重量%の範囲の量で1以上の防腐剤をさらに含んでよい。例示的な防腐剤として、例えば、フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、ベンジルアルコールなどが挙げられる。
【0170】
また、局所組成物は、少量(例えば、約0.1重量%~10重量%)の化合物を1以上含んでよい。これは、好ましいセント(又は香り)またはアロマ(又は芳香)を導入するために有効であり、例えば、ナチュラルオイル(又は天然油)または他の適切な薬剤が挙げられる。適切なエッセンシャルオイルとして、例えば、ユーカリ、フランキンセンス、パチュリー、ペパーミント、レモン、ラベンダー、オレンジ、ローズヒップ、ローズマリー、ティーツリー、ジャスミンなどに由来する植物エッセンシャルオイルが挙げられる。例えば、1以上の実施形態において、組成物は、少量(例えば、約0.1重量%~5重量%)の1,8-シネオール、またはいくつかの他のエッセンシャルオイルを含んで成る。
【0171】
特定のカルボン酸エステル(例えば、コハク酸ジメチル、酢酸プロピル、またはそれらの組み合わせ)の使用は、局所組成物の浸透性、溶解性および/または安定性を損なわずに、局所組成物の望ましい使いやすさの特徴(例えば、良好な匂い)に特に有効であってよいことが発見された。
【0172】
ポリオールと1,8-シネオールとの組み合わせは、特に、投与が長期間、例えば約2週間以上である場合、特に、皮膚のかさつき(又はスケーリング)や極度の乾燥の防止に有効であってよい。防止することができる乾燥肌の兆候には、かさつき(又はスケーリング)および痒みの両方が含まれる。
【0173】
局所組成物は、多くの様々な形態(例えば、溶液、液体、スプレー、フォーム、ローション、ゲルなどが挙げられる)であってよい。好ましくは、組成物は、液体であり、良好な安定性を有し、皮膚に付着し、滑らかな感触を有する。好ましくは、組成物は、エマルジョンではない。概して、好ましい組成物は、ナノ粒子および/または微粒子を含まないが、場合によっては、組成物は、ナノ粒子および/または微粒子を含んでよい。適切な処方物(又は製剤)に関する更なる情報については、例えば、“Remington: The Science and Practice of Pharmacology”第22版,(Pharmaceutical Press,2013)を参照されたい。
【0174】
組成物は、例えば、高剪断混合などの激しい撹拌の使用による典型的な成分の混和によって調製することができる。また、混合は、任意の適切な手動または自動化された手段を用いた任意の適切な方法によって達成することができる。任意の追加の工程(又はステップ)には、上記で示すような1以上の任意の補助的な成分の添加をもたらすものが含まれる。薬学的な処方物(又は調剤)を調製するための方法は、当該技術分野においてよく知られている。例えば、HANDBOOK OF PHARMACEUTICAL FORMULATIONS: LIQUID PRODUCTS, Vol 3, S. Niazi., CRC Press, 2004に記載されている。
【0175】
組成物は、例えば、指先、スポンジアプリケータ、コットンアプリケータを使用して、噴霧、エアロゾル化、または任意の他の適切な方法によって、皮膚の患部に直接的に局所的に適用(又は塗布)することができる。本開示で提供される組成物は、局所組成物に含まれる活性剤での処置(又は治療)を受けやすい任意の症状(又は状態)を処置(又は治療)するのに有用である。
【0176】
1以上の実施形態において、当該方法は、このような処置(又は治療)を必要とするヒトまたは動物のアクセス可能な身体の表面に対して、本開示で提供されるような局所組成物を投与する工程(又はステップ)を包含する。概して、処置(又は治療)されるアクネ(又はニキビ)または症状(又は状態)が目に見えて減少または消失するまで、皮膚の患部に、1回から数回、毎週または毎日、従来の量で組成物を適用(又は塗布)する。例えば、局所組成物は、少なくとも1ヶ月の期間にわたって、毎日、少なくとも1回、局所的に適用(又は塗布)してよい。あるいは、6週間から52週間、またはそれ以上の期間にわたって、毎日、1回または2回、皮膚に適用(又は塗布)してよい。適用(又は塗布)の回数および処置(又は治療)の経過は、処置(又は治療)される症状(又は状態)の重症度、患者の考慮事項などによって変化する。したがって、特定の場合において、1日1回、1日2回、隔日1回、週1~3回、週1~4回、3日おきなどで組成物を適用(又は塗布)してよい。
【0177】
従来の量は、患部に広げる(例えば、薄く広げる)のに十分な量である。所望に応じて、グレーディング・システム(例えば、Leeds system (O' Brien, SC.ら、J. Dermatol Treat 1998; 9:215-220)、Comprehensive Acne Severity Scale (Tan, JKら、J. Cutan Med Surg 2007 Nov; 11(6):211-6)、または、Global Acne Grading System (Doshi, A.ら、Int. J. Dermatol 1997 Jun 36(6); 416-8))を用いることによって、処置(又は治療)の有効性を定量化してよい。1以上の実施形態では、患部の目視検査によって、処置(又は治療)の有効性を評価する。場合によっては、予防策として、症状(又は状態)が目に見えて減少または消失した場合であっても、予防的な処置(又は治療)を継続することができる。いくつかの実施形態において、処置(又は治療)の有効性は、総病巣数(total lesion count)の減少の評価によって評価される。ここで、本開示に記載されるような局所組成物の適用(又は塗布)が効果的であり、それによって、処置(又は治療)の開始時から測定した場合、総病巣数の減少がもたらされる。
【0178】
実施例1は、ヒト組織サンプルを用いたエクスビボ(ex vivo)での薬物浸透研究のデータを示す。これらの実験によって、組成物の局所適用後、皮膚の最初の数層を越えて浸透するミノサイクリンおよびタザロテンの量が定量化され、以下の(i)および(ii)が実証されている。
(i)カルボン酸エステルのエステル基/炭素原子の比が増加すると浸透の効率も増加すること、および
(ii)皮膚への浸透の効率が良いこと
【0179】
実施例2は、エタノールとカルボン酸エステルの混合物によって、エタノール単独またはカルボン酸エステル単独と比較して、タザロテンの溶解度が向上し得ることが実証されている。また、3成分以上の混合物においても、そのうち2成分がエタノールとカルボン酸エステルであれば、このような溶解度の向上を見ることができる。
【実施例】
【0180】
(実施例)
以下の実施例は、当業者に、組成物、その成分(又はコンポーネント)、活性成分(又はアクティブ・イングレディエント)、溶媒などが、関連する方法とともに、どのように調製されて評価されるかについての完全な開示および説明を提供するために示されるものである。これらは、純粋に例示的であることを意図している。従って、本実施例は、本発明者らが発明と見なすものの範囲を限定することを決して意図するものではない。例えば、純度、収率、安定性、臭気、色、粘度、浸透性などの組成物の特徴を最適化するために採用され得る多数の変形(又はバリエーション)および組み合わせ(又はコンビネーション)、例えば、成分の濃度、所望の溶媒、溶媒の混合物、酸化防止剤、および他の混合物のパラメータおよび条件が存在する。これらも同様に本開示の範囲内であると考えられる。
【0181】
他に示されない限り、以下の実施例は、ほぼ室温、例えば、約20~25℃、または具体的には25℃で、なおかつ大気圧で行われた。
【0182】
以下の実施例のそれぞれにおいて、使用したミノサイクリン塩酸塩(又はミノサイクリンヒドロクロリド)の形態は、ミノサイクリン塩酸塩2水和物(又はミノサイクリンヒドロクロリドジハイドレート)であった。これは、本実施例の記載では、ミノサイクリン塩酸塩(又はミノサイクリンヒドロクロリド)と略記している。ミノサイクリンの他の塩および水和物を用いて、どのように組成物を製造することができるかについては、当業者には明らかであろう。
【0183】
実施例1
タザロテンおよびミノサイクリンのエクスビボ(又は生体外)(ex vivo)でのヒトの皮膚への浸透
エクスビボ(又は生体外)(ex vivo)でヒトの皮膚組織を用いた浸透実験を行った。それにより、ミノサイクリンおよびタザロテンが、所望の治療効果を達成するのに十分な濃度で皮膚に浸透するかどうかを調べた。このとき、組成物が皮膚表面に適用(又は塗布)されることが含まれ、この組成物は、一価脂肪族アルコールと、ポリオールと、カルボン酸エステルと、マグネシウム塩と、亜硫酸塩とを含んで成る。顔の皮膚への浸透は、3人の異なるヒト・ドナーについて評価した。このとき、各データポイントについて、各ドナーから、2つのサンプルを用意した。
【0184】
表2に記載の割合で溶媒混合物を調製した。このとき、各溶媒混合物は、無水エタノール(Spectrum Chemicals, Gardena, CA)と、プロピレングリコール(Spectrum Chemicals, Gardena, CA)またはグリセロール(Spectrum Chemicals, Gardena, CA)と、選択したカルボン酸エステルとを含んで成る。1.2%(w/w)ミノサイクリン塩酸塩(Euticals S.P.A, Origgio, Italy)(1.0%塩基当量)、0.05%(w/w)タザロテン(AvaChem Scientific, San Antonio, TX)、1.2%(w/w)塩化マグネシウム(無水)(Sigma-Aldrich Corp., St. Louis, MO)、0.20%メタ重亜硫酸ナトリウム(Spectrum Chemicals, Gardena, CA)および0.60%(w/w)ヒドロキシプロピルセルロースHF(KLUCEL HF, Ashland, Inc, Covington, KY)を各溶媒混合物に添加した。
【0185】
【0186】
【0187】
【0188】
3人のヒト・ドナーに由来する皮膚サンプルに組成物を2.5mg/cm2のゲル量で適用(又は塗布)した。湿った環境で組織を維持して組織の乾燥を制限し、32℃で4時間にわたってインキュベートした。インキュベーション期間の終わりに、余分な組成物を表面から拭き取った。このとき、最初は、乾燥したガーゼのパッドを用いた。次に70%イソプロピルアルコールに浸したガーゼのパッドを用いた。そして、最後に乾燥したガーゼのパッドを用いた。テストしたエリアの各々から6mmのパンチ・バイオプシー(1つ)を採取した。それぞれのバイオプシーから、酸性化されたメタノールを用いて、ミノサイクリンまたはタザロテンを抽出した。上澄みを高速液体クロマトグラフィーで分析した。
【0189】
試験した組成物の各々について、カルボン酸エステルにおけるエステル基の数/炭素原子の数の比を表3に示す。
【0190】
【0191】
各濃度について、6つのドナー・サンプルの平均値を
図1に示す。この結果は、ミノサイクリンおよびタザロテンの両方について、カルボン酸エステルにおけるエステル基/炭素原子の比が高くなるとともに、浸透の効率が高くなることを実証している。また、タザロテンおよびミノサイクリンの両方について、皮膚への良好な浸透の効率を実証している。
【0192】
実施例2
タザロテンの溶解度
タザロテンは、従来の多くの溶媒システム(又は溶媒系)において、低い溶解度を有することが知られている。タザロテンのエタノールへの溶解度は、比較的に良好であり、約21mg/gである。しかし、エタノールを唯一の溶媒として用いる組成物は、典型的には、皮膚に刺激を与えるものであり、刺激臭を有し、皮膚に乾燥感を残す。溶媒システム(又は溶媒系)の形態は、他の溶媒を添加することによって望ましく改善することができる。それと同時に、タザロテンの十分な溶解度を維持することができる。エタノールおよびカルボン酸エステルの混合物が各成分の混合物から予測され得るものよりも高いタザロテンの溶解度を有することが発見された。
【0193】
表4に示すように、カルボン酸エステル単独では、タザロテンに対して良好な溶解度を示さない。タザロテンは、望ましくは、組成物において、0.01%~0.20%(w/w)の濃度で使用される。したがって、タザロテンを可溶化するためには、少なくとも約0.1~2.0mg/gの溶解度が必要である。しかしながら、顕著により高い溶解度が概して望ましい。そうすることで、タザロテンが組成物から析出しなくなり、なおかつ、組成物が皮膚に適用(又は塗布)されて溶媒が蒸発または皮膚に浸透した後、より長い期間にわたって、溶解されたままであるようになる。これらの理由から、少なくとも10mg/g、好ましくは、少なくとも20mg/g、少なくとも30mg/g、少なくとも40mg/gまたは少なくとも50mg/gのタザロテン溶解度が望ましい。
【0194】
【0195】
表5に示すように、エタノールとカルボン酸エステルとのバイナリー(又は二次)およびターシャリー(又は三次)の混合物を選択することによって、タザロテンの溶解度が顕著に改善された。さらに、
図2は、エタノールと試験した他の溶媒成分とのバイナリー混合物に関して、タザロテンの溶解度を示している(混合比を変化させている)。表5および
図2に示す通り、選択されたバイナリー混合物およびターシャリー混合物におけるタザロテンの溶解度は、エタノール単独におけるタザロテンの溶解度と比較して、さらにより高いものであった。多くのバイナリー混合物が個々の成分よりも高い溶解度を示した。しかし、最も高い溶解度は、エタノールとカルボン酸エステルとの混合物で観察された。カルボン酸エステルは、少量であっても、予想外に大きな効果を得ることができる。例えば、90%エタノールと10%ミリスチン酸イソプロピルとの混合物での溶解度は、34.8mg/gである。対して、エタノール単独では、21.2mg/gだけであり、ミリスチン酸イソプロピル単独では、0.75mg/gだけである。
【0196】
【0197】
エタノールをカルボン酸エステル(例えば、ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピルおよび中鎖トリグリセリド)と組み合わせることによって、タザロテンの溶解度を顕著に向上させたユニークな混合物がもたらされた。従って、エタノールとカルボン酸エステルとを含んで成る混合物を示したことによって、個々の成分に対して、有益かつ予想外の特徴を有する溶媒が形成された。この向上した溶解度は、エタノールとプロピレングリコールとの混合物、あるいはプロピレングリコールとカルボン酸エステル(例えば、ミリスチン酸イソプロピルおよびアジピン酸ジイソプロピル)との混合物では見られなかった。その代わり、これらの混合物は、かかる溶媒成分のバイナリー混合物に関して、予想される挙動に追従した。
【0198】
表6は、エタノールをカルボン酸エステル(例えば、コハク酸ジメチル、酢酸プロピル)と例示的に組み合わせたものを示す。それにより、個々の溶媒成分に対して、タザロテンの溶解度が顕著に改善された混合物がもたらされた。表6に示すように、1%~60%のエタノールと、40%~99%のコハク酸ジメチルとを含んで成る組成物におけるタザロテンの溶解度は、エタノール単独またはコハク酸ジメチル単独のいずれかにおけるタザロテンの溶解度よりも高いものである。表6に示すように、1%~40%のエタノールと、60%~99%の酢酸プロピルとを含んで成る組成物におけるタザロテンの溶解度は、エタノール単独または酢酸プロピル単独のいずれかにおけるタザロテンの溶解度より高いものである。従って、バイナリー混合物の選択された範囲におけるタザロテンは、溶媒混合物の個々の成分におけるタザロテンの溶解度よりも高いものであった。
【0199】
【0200】
例示の実施形態を以下に列挙する。
1.カルボン酸エステルと、一価脂肪族アルコールと、logP>6.00の親油性活性剤とを含んで成る、局所組成物。
2.上記親油性活性剤が抗ヒスタミン剤である、実施形態1に記載の局所組成物。
3.上記抗ヒスタミン剤がエバスチンである、実施形態1および2に記載の局所組成物。
4.上記親油性活性剤が光感作剤である、実施形態1に記載の局所組成物。
5.上記光感作剤が、テキサフィリンまたはレムテポルフィンである、実施形態1および4に記載の局所組成物。
6.上記親油性活性剤が抗真菌剤である、実施形態1に記載の局所組成物。
7.上記抗真菌剤がミコナゾールである、実施形態1および6に記載の局所組成物。
8.カルボン酸エステルと、一価脂肪族アルコールと、logP>5.00の親油性活性剤とを含んで成る局所組成物。
9.上記親油性活性剤が非ステロイド性抗炎症剤である、実施形態8に記載の局所組成物。
10.上記非ステロイド性抗炎症剤がメフェナム酸である、実施形態8および9に記載の局所組成物。
11.上記親油性活性剤が抗ヒスタミン剤である、実施形態8に記載の局所組成物。
12.上記抗ヒスタミン剤が、エバスチン、フェキソフェナジン、ロラタジンまたはクレマスチンである、実施形態8および11に記載の局所組成物。
13.上記親油性活性剤が光感作剤である、実施形態8に記載の局所組成物。
14.上記光感作剤が、テキサフィリンまたはレムテポルフィンである、実施形態8および13に記載の局所組成物。
15.上記親油性活性剤が抗真菌剤である、実施形態8に記載の局所組成物。
16.上記抗真菌剤が、ミコナゾール、オキシコナゾールまたはエコナゾールである、実施形態8および15に記載の局所組成物。
17.上記親油性活性剤が駆虫剤である、実施形態8に記載の局所組成物。
18.上記駆虫剤がイベルメクチンである、実施形態8および17に記載の局所組成物。
19.カルボン酸エステルと、一価脂肪族アルコールと、logP>4.00の親油性活性剤とを含んで成る、局所組成物。
20.上記親油性活性剤が非ステロイド性抗炎症剤である、実施形態19に記載の局所組成物。
21.上記非ステロイド性抗炎症剤が、ジクロフェナク、オキサプロジン、インドメトシン、ジフルニサル、フルルビプロフェンまたはメフェナム酸である、実施形態19および20に記載の局所組成物。
22.上記親油性活性剤が抗ヒスタミン剤である、実施形態19に記載の局所組成物。
23.上記抗ヒスタミン剤が、エバスチン、フェキソフェナジン、ロラタジンまたはクレマスチンである、実施形態19および22に記載の局所組成物。
24.上記親油性活性剤が光感作剤である、実施形態19に記載の局所組成物。
25.上記光感作剤が、テキサフィリンまたはレムテポルフィンである、実施形態19および24に記載の局所組成物。
26.上記親油性活性剤が抗真菌剤である、実施形態19に記載の局所組成物。
27.上記抗真菌剤が、ミコナゾール、オキシコナゾールまたはエコナゾールである、実施形態19および26に記載の局所組成物。
28.上記親油性活性剤が駆虫剤である、実施形態19に記載の局所組成物。
29.上記駆虫剤がイベルメクチンである、実施形態19および28に記載の局所組成物。
30.カルボン酸エステルと、一価脂肪族アルコールと、約3.00~約4.00の範囲のlogPを有する親油性活性剤とを含んで成る、局所組成物。
31.上記親油性活性剤が非ステロイド性抗炎症剤である、実施形態30に記載の局所組成物。
32.上記非ステロイド性抗炎症剤が、ピロキシカム、ケトプロフェン、スリンダック、フェノプロフェン、サルサレート、バルデコキシブ、エトリコキシブまたはフェニルブタゾンである、実施形態30および31に記載の局所組成物。
33.上記親油性活性剤が抗ヒスタミン剤である、実施形態30に記載の局所組成物。
34.上記抗ヒスタミン剤が、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミンまたはブロムフェニラミンである、実施形態30および33に記載の局所組成物。
35.上記親油性活性剤が抗乾癬剤である、実施形態30に記載の局所組成物。
36.上記抗乾癬剤がカルシポトリオールである、実施形態30および35に記載の局所組成物。
37.カルボン酸エステルと、ポリオールと、一価脂肪族アルコールと、logP>6.00の親油性活性剤とを含んで成る、局所組成物。
38.上記親油性活性剤が抗ヒスタミン剤である、実施形態37に記載の局所組成物。
39.上記抗ヒスタミン剤がエバスチンである、実施形態37および38に記載の局所組成物。
40.上記親油性活性剤が光感作剤である、実施形態37に記載の局所組成物。
41.上記光感作剤が、テキサフィリンまたはレムテポルフィンである、実施形態37および40に記載の局所組成物。
42.上記親油性活性剤が抗真菌剤である、実施形態37に記載の局所組成物。
43.上記抗真菌剤がミコナゾールである、実施形態37および42に記載の局所組成物。
44.カルボン酸エステルと、ポリオールと、一価脂肪族アルコールと、logP>5.00の親油性活性剤とを含んで成る、局所組成物。
45.上記親油性活性剤が非ステロイド性抗炎症剤である、実施形態44に記載の局所組成物。
46.上記非ステロイド性抗炎症剤がメフェナム酸である、実施形態44および45に記載の局所組成物。
47.上記親油性活性剤が抗ヒスタミン剤である、実施形態44に記載の局所組成物。
48.上記抗ヒスタミン剤が、エバスチン、フェキソフェナジン、ロラタジンまたはクレマスチンである、実施形態44および47に記載の局所組成物。
49.上記親油性活性剤が光感作剤である、実施形態44に記載の局所組成物。
50.上記光感作剤がテキサフィリンまたはレムテポルフィンである、実施形態44および49に記載の局所組成物。
51.上記親油性活性剤が抗真菌剤である、実施形態44に記載の局所組成物。
52.上記抗真菌剤が、ミコナゾール、オキシコナゾールまたはエコナゾールである、実施形態44および51に記載の局所組成物。
53.上記親油性活性剤が駆虫剤である、実施形態44に記載の局所組成物。
54.上記駆虫剤がイベルメクチンである、実施形態44および53に記載の局所組成物。
55.カルボン酸エステルと、ポリオールと、一価脂肪族アルコールと、logP>4.00の親油性活性剤とを含んで成る、局所組成物。
56.上記親油性活性剤が非ステロイド性抗炎症剤である、実施形態55に記載の局所組成物。
57.上記非ステロイド性抗炎症剤が、ジクロフェナク、オキサプロジン、インドメトシン、ジフルニサル、フルルビプロフェンまたはメフェナム酸である、実施形態55および56に記載の局所組成物。
58.上記親油性活性剤が抗ヒスタミン剤である、実施形態55に記載の局所組成物。
59.上記抗ヒスタミン剤が、エバスチン、フェキソフェナジン、ロラタジンまたはクレマスチンである、実施形態55および58に記載の局所組成物。
60.上記親油性活性剤が光感作剤である、実施形態55に記載の局所組成物。
61.上記光感作剤が、テキサフィリンまたはレムテポルフィンである、実施形態55および60に記載の局所組成物。
62.上記親油性活性剤が抗真菌剤である、実施形態55に記載の局所組成物。
63.上記抗真菌剤が、ミコナゾール、オキシコナゾールまたはエコナゾールである、実施形態55および62に記載の局所組成物。
64.上記親油性活性剤が駆虫剤である、実施形態55に記載の局所組成物。
65.上記駆虫剤がイベルメクチンである、実施形態55および64に記載の局所組成物。
66.カルボン酸エステルと、ポリオールと、一価脂肪族アルコールと、3.00~4.00の範囲のlogPを有する親油性活性剤とを含んで成る、局所組成物。
67.上記親油性活性剤が非ステロイド性抗炎症剤である、実施形態66に記載の局所組成物。
68.上記非ステロイド性抗炎症剤が、ピロキシカム、ケトプロフェン、スリンダック、フェノプロフェン、サルサレート、バルデコキシブ、エトリコキシブまたはフェニルブタゾンである、実施形態66および67に記載の局所組成物。
69.上記親油性活性剤が抗ヒスタミン剤である、実施形態66に記載の局所組成物。
70.上記抗ヒスタミン剤が、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミンまたはブロムフェニラミンである、実施形態66および69に記載の局所組成物。
71.上記親油性活性剤が抗乾癬剤である、実施形態66に記載の局所組成物。
72.上記抗乾癬剤がカルシポトリオールである、実施形態66および71に記載の局所組成物。
73.カルボン酸エステルと、ポリオールと、一価脂肪族アルコールと、logP<-2.00の親水性活性剤とを含んで成る、局所組成物。
74.上記親油性活性剤が抗生物質である、実施形態73に記載の局所組成物。
75.上記抗生物質がブレオマイシンスルフェートである、実施形態73および74に記載の局所組成物。
76.カルボン酸エステルと、ポリオールと、一価脂肪族アルコールと、塩である活性剤とを含んで成る、局所組成物。
77.上記塩が麻酔剤または鎮痛剤である、実施形態76に記載の局所組成物。
78.上記麻酔剤または鎮痛剤が、リドカイン塩酸塩またはテトラカイン塩酸塩、またはそれらの組み合わせである、実施形態76および77に記載の局所組成物。
79.上記塩が抗ヒスタミン剤である、実施形態76に記載の局所組成物。
80.上記抗ヒスタミン剤がセチリジン塩酸塩である、実施形態76および79に記載の局所組成物。
81.上記塩が抗生物質である、実施形態76に記載の局所組成物。
82.上記抗生物質が、ドキシサイクリンハイクレートまたはブレオマイシンスルフェートである、実施形態76および81に記載の局所組成物。
83.上記塩が抗悪性腫瘍剤である、実施形態76に記載の局所組成物。
84.上記抗悪性腫瘍剤がメトトレキサートナトリウムである、実施態様76および83に記載の局所組成物。
85.カルボン酸エステルと、ポリオールと、一価脂肪族アルコールと、エチルエステルを含んで成る活性剤とを含んで成る、局所組成物。
86.上記活性剤がベンゾカインである、実施形態85に記載の局所組成物。
87.カルボン酸エステルと、ポリオールと、一価脂肪族アルコールと、エチルエステルを含んで成る化合物および塩である化合物から選択される活性剤とを含んで成る、局所組成物。
88.上記エチルエステルを含んで成る化合物がベンゾカインである、実施形態87に記載の局所組成物。
89.上記塩である化合物が、リドカイン塩酸塩またはテトラカイン塩酸塩、またはそれらの組み合わせである、実施形態87に記載の局所組成物。
90.上記塩が、リドカイン塩酸塩またはテトラカイン塩酸塩、またはそれらの組み合わせである、実施形態87および88に記載の局所組成物。
91.カルボン酸エステルと、ポリオールと、一価脂肪族アルコールと、少なくとも1つの非極性化合物および少なくとも1つの極性化合物から選択される活性剤とを含んで成る、局所組成物。
92.上記極性化合物が、リドカイン塩酸塩またはテトラカイン塩酸塩、またはそれらの組み合わせであってよい、実施形態91に記載の組成物。
93.上記非極性化合物がベンゾカインである、実施形態91に記載の組成物。
94.カルボン酸エステルと、ポリオールと、一価脂肪族アルコールと、少なくとも1つの極性化合物とを含んで成る、局所組成物。
95.上記極性化合物が血管拡張剤である、実施形態94に記載の組成物。
96.上記血管拡張剤がミノキシジルである、実施形態94および95に記載の組成物。
97.上記極性化合物が抗生物質である、実施形態94に記載の組成物。
98.上記抗生物質がブレオマイシンスルフェートまたはドキシサイクリンハイクレートである、実施形態94および97に記載の組成物。
99.上記極性化合物が麻酔剤または鎮痛剤である、実施形態94に記載の組成物。
100.上記麻酔剤または鎮痛剤が、リドカイン塩酸塩またはテトラカイン塩酸塩、またはそれらの組み合わせである、実施形態94および99に記載の組成物。
101.上記極性化合物が抗悪性腫瘍剤である、実施形態94に記載の組成物。
102.上記抗悪性腫瘍剤がメトトレキサートナトリウムである、実施形態94および101に記載の組成物。
103.カルボン酸エステルと、ポリオールと、一価脂肪族アルコールと、塩およびlogP>4.00の親油性化合物から選択される活性剤とを含んで成る、局所組成物。
104.カルボン酸エステルと、ポリオールと、一価脂肪族アルコールと、logP>4.00の親油性化合物およびlogP<-2.00の親水性化合物から選択される活性剤とを含んで成る、局所組成物。
105.カルボン酸エステルと、ポリオールと、一価脂肪族アルコールと、少なくとも1つの非極性化合物および少なくとも1つの極性化合物から選択される活性剤とを含んで成る、局所組成物。
106.極性および非極性の両方の特性を有する溶媒/共溶媒混合物と、logP>4.00の親油性化合物およびlogP<-2.00の親水性化合物から選ばれる活性剤とを含んで成る、局所組成物。
107.カルボン酸エステルと、ポリオールと、一価脂肪族アルコールと、血管拡張剤とを含んで成る、局所組成物。
108.カルボン酸エステルと、ポリオールと、一価脂肪族アルコールと、血管拡張剤と、麻酔剤または鎮痛剤とを含んで成る、局所組成物。
109.カルボン酸エステルと、ポリオールと、一価脂肪族アルコールと、抗生物質と、抗ヒスタミン剤と含んで成る、局所組成物。
110.カルボン酸エステルと、ポリオールと、一価脂肪族アルコールと、抗生物質と、非ステロイド性抗炎症剤とを含んで成る、局所組成物。
111.カルボン酸エステルと、ポリオールと、一価脂肪族アルコールと、抗ヒスタミン剤とを含んで成る、局所組成物。
112.カルボン酸エステルと、ポリオールと、一価脂肪族アルコールと、非ステロイド性抗炎症剤とを含んで成る、局所組成物。
113.カルボン酸エステルと、ポリオールと、一価脂肪族アルコールと、光感作剤とを含んで成る、局所組成物。
114.カルボン酸エステルと、ポリオールと、一価脂肪族アルコールと、光感作剤と、非ステロイド性抗炎症剤とを含んで成る、局所組成物。
115.カルボン酸エステルと、ポリオールと、一価脂肪族アルコールと、麻酔剤または鎮痛剤とを含んで成る、局所組成物。
116.カルボン酸エステルと、ポリオールと、一価脂肪族アルコールと、抗真菌剤と、麻酔剤または鎮痛剤とを含んで成る、局所組成物。
117.カルボン酸エステルと、ポリオールと、一価脂肪族アルコールと、抗悪性腫瘍剤とを含んで成る、局所組成物。
118.カルボン酸エステルと、ポリオールと、一価脂肪族アルコールと、抗乾癬剤とを含んで成る、局所組成物。
119.カルボン酸エステルと、ポリオールと、一価脂肪族アルコールと、抗乾癬剤と、非ステロイド性抗炎症剤とを含んで成る、局所組成物。
120.カルボン酸エステルと、ポリオールと、一価脂肪族アルコールと、駆虫剤とを含んで成る、局所組成物。
121.カルボン酸エステルと、ポリオールと、一価脂肪族アルコールと、駆虫剤と、非ステロイド性抗炎症剤とを含んで成る、局所組成物。
122.カルボン酸エステルと、ポリオールと、一価脂肪族アルコールと、駆虫剤と、非ステロイド性抗炎症剤と、麻酔剤または鎮痛剤とを含んで成る、局所組成物。
123.上記ポリオールが、プロピレングリコール、グリセロールおよびグリセリンからなる群から選択される、実施形態44~122のいずれか1項に記載の局所組成物。
124.上記カルボン酸エステルが、ミリスチン酸イソプロピル、中鎖トリグリセリド、アジピン酸ジイソプロピル、酢酸エチル、トリアセチン、コハク酸ジメチル、酢酸プロピルおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態1~123のいずれか1項に記載の局所組成物。
125.上記一価脂肪族アルコールが、エタノール、イソプロパノール、プロピルアルコール、tert-ブチルアルコール、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態1~124のいずれか1項に記載の局所組成物。
126.上記親油性活性剤が、血管収縮剤、アルファ(α)-アドレナリン受容体アゴニスト、tPA調節剤または皮脂抑制剤(又は皮脂阻害剤)である、実施形態1に記載の局所組成物。
127.ノンコメドジェニック(又は面皰が生じやすくない(non-comedogenic))である、本開示に記載の局所組成物。
【0201】
以上、多数の例示的な態様および実施形態について説明したが、当業者であれば、その特定の変更、順列、追加、およびサブコンビネーションを認識するだろう。したがって、以下の添付の請求項およびこれから導入される請求項は、その真の精神および範囲内にあるすべてのそのような変更、順列、追加およびサブコンビネーションを含むように解釈されることが意図される。
【国際調査報告】