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特表2022-544851ハイスループット分析及びソーティング、並びにハイスループット分析及びソーティングためのサンプリングインターフェース及びアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-21
(54)【発明の名称】ハイスループット分析及びソーティング、並びにハイスループット分析及びソーティングためのサンプリングインターフェース及びアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/14 20060101AFI20221014BHJP
   G01N 1/00 20060101ALI20221014BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20221014BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
G01N15/14 A
G01N1/00 101G
C12Q1/02
C12M1/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022512350
(86)(22)【出願日】2020-08-14
(85)【翻訳文提出日】2022-03-08
(86)【国際出願番号】 US2020070413
(87)【国際公開番号】W WO2021035244
(87)【国際公開日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】62/890,142
(32)【優先日】2019-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522067558
【氏名又は名称】マイケル・イアノッティ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・イアノッティ
【テーマコード(参考)】
2G052
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
2G052AA33
2G052AB16
2G052AB27
2G052AD09
2G052AD29
2G052AD49
2G052BA14
2G052CA04
2G052CA18
2G052CA28
2G052GA09
2G052GA29
2G052HA02
2G052HA12
2G052HC07
2G052HC32
2G052HC42
2G052JA06
2G052JA08
4B029AA07
4B029AA09
4B029BB11
4B029CC01
4B029EA16
4B029EA18
4B029HA05
4B029HA09
4B063QA01
4B063QA05
4B063QA11
4B063QQ08
4B063QS10
4B063QS39
(57)【要約】
細胞ベース療法などのための、選択された細胞又は他の生物学的成分を分析及び/又はソーティングする方法は、プローブの開放端でサンプルをサンプリングして、サンプルを含む流体ストリームを得ることを含む。開放端を有するプローブはまた、流体を前記開放端に輸送する流体供給部と、前記流体ストリームを前記開放端から離れる方向に輸送する流体排出部を有する。次いで、前記方法は、前記流体ストリームをフローサイトメーターに輸送することと、フローサイトメトリーによって前記流体ストリームを分析することと;及び/又はそれを少なくとも2つの成分に分離することとを含む。フローサイトメーターに接続されたプローブを有する装置は、この方法をサポートすることができる。前記方法は、特に細胞ベース療法用の細胞を選択するための、複数サンプルの効率的なサンプリングを提供することができる。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析及び/又はソーティング方法であって、
プローブ内の第1の流体を前記プローブの開放端に輸送することと;
少なくとも1つの第1の成分と少なくとも1つの第2の成分とを含む少なくとも1つのサンプルをプローブの前記開放端に回収することと;
前記少なくとも1つのサンプルと前記第1の流体とを含む流体ストリームを前記プローブの前記開放端から除去することと;
前記流体ストリームをフローサイトメーターに輸送することと;
フローサイトメトリーによって前記流体ストリームを分析する、及び/又は前記流体ストリームを、少なくとも、前記少なくとも1つの第1の成分を含む第1の分離ストリームと前記少なくとも1つの第2の成分を含む第2の分離ストリームとに、フローサイトメトリーによって分離することとを含むことを特徴とする、分析及び/又はソーティング方法。
【請求項2】
前記流体ストリームが前記フローサイトメーターに輸送されるとき、前記流体ストリームが実質的に気泡を含まない、及び前記流体ストリームが前記フローサイトメーターに輸送されるとき、前記流体ストリームが実質的に気液界面を含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのサンプルが、第1の容器に最初に含まれる第1のサンプルと、第2の容器に最初に含まれる第2のサンプルとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の容器がプレート内の第1のウェルであり、前記第2の容器が同一プレート内の第2のウェルである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の容器が第1のプレート内のウェルであり、前記第2の容器が第2のプレート内のウェルである、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのサンプルが複数のサンプルを含み、サンプルが毎分30サンプルを超える速度で回収される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の流体が、水若しくはシース液又はフローサイトメトリーに適した他の液体培地である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の流体が、緩衝生理食塩水溶液又は細胞培養培地である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の流体が、リン酸緩衝液を含む緩衝生理食塩水溶液である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つのサンプルが、細胞を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記サンプルの少なくとも一部が、蛍光標識、磁気標識、同位体標識、化学標識、又はそれらの任意の組合せで標識されている、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの第1の成分が標識された成分を含み、前記少なくとも1つの第2の成分が標識されていない成分を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つのサンプルが、白血球、幹細胞、又は循環腫瘍細胞を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つのサンプルが、T細胞を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記T細胞の少なくともいくつかが、T細胞受容体又はキメラ抗原受容体を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つのサンプルが、腫瘍浸潤リンパ球を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの第1の成分が、T細胞受容体又はキメラ抗原受容体を含むT細胞を含み、前記少なくとも1つの第2の成分が、実質的にT細胞受容体及びキメラ抗原受容体を含まないT細胞を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の流体を前記プローブの前記開放端に輸送することが、前記第1の流体を第1のポンプでポンピングすることを含み、
前記流体ストリームを前記プローブの前記開放端から除去することが、前記流体ストリームを第2のポンプで除去することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記プローブの前記開放端への前記第1の流体の第1の流量を制御することと、同時に、
前記プローブの前記開放端からの前記流体ストリームの第2の流量を制御することとを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記流体ストリームを前記フローサイトメーターに輸送する前、輸送中、又は輸送した後に、前記流体ストリームに第2の流体を添加することを更に含み、
前記第2の流体が、前記第1の流体と同一である又は異なっている、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
分析及び/又はソーティングシステムであって、
プローブと、
フローサイトメーターと、
前記プローブから前記フローサイトメーターに流体を輸送するように構成された、前記プローブと前記フローサイトメーターとの間の接続部とを含み、
前記プローブが、開放端と、前記流体を前記開放端に輸送するように構成された流体供給部と、前記流体ストリームを前記開放端から離れる方向に輸送するように構成された流体排出部とを含むことを特徴とする、分析及び/又はソーティングシステム。
【請求項22】
前記流体供給部と前記流体排出部とが同軸である、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記プローブの、その開放端での幅が、3.3mm未満である、請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
前記プローブの、その開放端での幅が、1.3mm未満である、請求項21に記載のシステム。
【請求項25】
請求項21に記載のシステムで少なくとも1つのサンプルを分析又はソーティングする方法であって、
前記流体供給部で、前記プローブの前記開放端に流体を輸送することと;
少なくとも1つの第1の成分と少なくとも1つの第2の成分とを含む前記少なくとも1つのサンプルをプローブの前記開放端に回収することと;
前記流体排出部で、前記少なくとも1つのサンプルと前記流体とを含む流体ストリームを前記プローブの前記開放端から除去することと;
前記流体ストリームを、前記接続部を通って前記フローサイトメーターに輸送することと、
フローサイトメトリーによって前記流体ストリームを分析する、及び/又は前記流体ストリームを、少なくとも、前記少なくとも1つの第1の成分を含む第1の分離ストリームと前記少なくとも1つの第2の成分を含む第2の分離ストリームとに、サイトメトリーソーティングによって分離することとを含むことを特徴とする、方法。
【請求項26】
サンプリング方法であって、
プローブの流体供給部を通じて前記プローブの開放端に流体を輸送することと、
少なくとも1つの第1の成分と少なくとも1つの第2の成分とを含む少なくとも1つのサンプルをプローブの前記開放端に回収することと、
前記プローブの流体排出部を通じて前記プローブの前記開放端から流体ストリームを除去することとを含み、前記流体ストリームが、前記少なくとも1つのサンプルと前記流体とを含み、
(1)前記流体が、生理食塩水溶液又は細胞培養培地である、又は
(2)前記流体が水であり、前記方法が、生理食塩水溶液を前記流体ストリームに添加することを更に含むことを特徴とする、方法。
【請求項27】
前記流体がフローサイトメトリーに適した緩衝生理食塩水シース液である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記流体ストリームが実質的に気泡を含まず、前記流体ストリームが実質的に気液界面を含まない、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記少なくとも1つのサンプルが複数のサンプルを含み、サンプルが毎分30サンプルを超える速度で回収される、請求項26に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
成分の分析、分離、及び/又は選択の方法は、プローブの開放端でサンプルをサンプリングして、前記サンプルを含む流体ストリームを得ることを含む。前記開放端を備える前記プローブは、流体を前記開放端に輸送する流体供給部と、前記流体ストリームを前記開放端から離れる方向に輸送する流体排出部を有する。次いで、前記方法は、前記流体ストリームをフローサイトメーターに輸送し、フローサイトメトリーによって前記流体ストリームを分析する、及び/又はそれを少なくとも2つの成分に分離することを含む。前記サンプルは、例えば、1以上のウェルプレートのウェル、フラスコ、又は区画化された容器などの他の容器に提供される複数のサンプルであることができる。前記サンプルは、キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法、T細胞受容体療法、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)療法、及び幹細胞/誘導多能性幹細胞(iPSC)療法を含む細胞ベース療法などの研究及び療法における使用のための細胞又は他の生物材料のサンプルであることができる。前記サンプルは、ソーティングを促進し得るビーズなどの研究試薬のサンプルであることもできる。前記サンプルは、生物材料と研究試薬との組合せであることもできる。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、フローサイトメトリーにおける迅速処理のために複数サンプルを供給するための装置について教示することを目的としている。前記装置は、サンプルをサンプルループに注入するシリンジを必要とし、次いで、前記サンプルループからフローサイトメーターに前記サンプルを提供する往復バルブを必要とする。約30サンプル/分のスループット目標を試みるために、前記装置は、約1秒間の吸引、0.8秒間の時間遅延、及び0.2秒間のバルブ切替えを行うことを目的としている。特許文献1は、気泡がフローセルの分析領域などの厄介な領域に留まるという潜在的な問題を回避することを目的とし、気泡がコネクタの接合部で分解及び分散し、サンプル吸引の正確性を損なわせ得ることに更に留意している。特許文献1を、参照によりその全体を本明細書に援用する。
【0003】
特許文献2は、ハイスループットフローサイトメトリー用装置を教示することを目的としている。前記装置は、隣接するサンプルの混合を防ぐために、気泡などの分離ガスを使用することによって隣接するサンプルの分離を提供する。プローブとして、前記装置は、好ましくはステンレススチールの針を使用する。特許文献2を、参照によりその全体を本明細書に援用する。
【0004】
質量分析及び高速液体クロマトグラフィーの分野において、特許文献3は、開放端を有するサンプリングプローブを開示している。前記サンプリングプローブでは、液体供給導管が第1の流量でプローブの開放端に液体を送達し、液体排出部が第1の流量よりも低い第2の流量で液体を除去する。サンプル材料は、プローブの開放端中に受容される。前記プローブは、質量分析及び高速液体クロマトグラフィーに有用である。特許文献3は、フローサイトメトリーでの応用について言及しておらず、前記プローブから供給される前記液体中の空気又はその他のガスの回避についても言及しておらず、細胞、ウイルス、タンパク質、若しくはその他の生物材料又はビーズなどの研究試薬のソーティング又は選択についても言及していない。特許文献3は、参照によりその全体を本明細書に援用する。
【0005】
また、質量分析及び高速液体クロマトグラフィーの分野において、特許文献4は、開放端を有するサンプリングプローブを開示している。前記サンプリングプローブでは、液体供給導管が第1の流量でプローブの開放端に液体を送達し、排出導管が第1の流量よりも高い第2の流量で液体を除去する。前記サンプルを含むガス流は、前記プローブの前記開放端に受容される。前記プローブは、質量分析や高速液体クロマトグラフィーに有用である。特許文献4は、フローサイトメトリーでの応用について言及しておらず、細胞、ウイルス、タンパク質、その他の生物材料又はビーズなどの研究試薬のソーティング又は選択についても言及しておらず、その方法は、空気又は別のガスをプローブに導入することを必要とし、それによって排気導管内に気液界面を形成する。特許文献4を、参照によりその全体を本明細書に援用する。
【0006】
更に、質量分析の分野において、特許文献5は、イオン源に流動接続されたサンプリングインターフェースを開示している。このインターフェースは、プローブの遠位端に流体を提供するための外側毛細管と、プローブの遠位端から流体を除去するための内側毛細管とを有するサンプリングプローブを含む。前記外側毛細管を通る流量は、前記内側毛細管を通る流量に対して一時的に増加させることができ、前記プローブの前記遠位端の前記流体がオーバーフローして、引き抜いた基板に堆積した残留サンプルを洗浄する、及び/又は空気中の物質が前記内部毛細管に伝わることを防ぐ。特許文献5は、フローサイトメトリーでの応用について言及しておらず、前記プローブから供給される前記流体中の空気又はその他のガスの回避についても言及しておらず、細胞、ウイルス、若しくはタンパク質、又はビーズなどの研究試薬のソーティング又は選択についても言及していない。特許文献5を、参照によりその全体を本明細書に援用する。
【0007】
前記技術は、気泡を導入することなく、又はシリンジ、ループ、及びバルブの複雑なシステムを使用することなく、フローサイトメトリー又はフローサイトメトリーソーティングの高サンプルスループットを提供する能力を有していない。
【0008】
非特許文献1は、マイクロ流体セルソーティングデバイスの状態について記述し、他のタイプのフローサイトメトリーセルソーティングの詳細と代替を提供している。同文献は、蛍光ラベルベース、ビーズベース、及びラベルフリーソーティングを含むアクティブ及びパッシブソーティング用の分類及び最新の方法について記載している。また、同文献は、方法論ごとに細胞がソーティングされる原理についても記載している。非特許文献1を、参照によりその全体を本明細書に援用する。
【0009】
非特許文献2は、癌治療用の様々な細胞ベース治療技術における大きな可能性について論じている。同文献は、ハイスループット調査について簡単に記載しているが、ハイスループットサンプリング又は1以上のサンプルの各種成分のソーティング若しくは選択について論じていない。非特許文献2を、参照によりその全体を本明細書に援用する。細胞ベース療法に関する文献として、非特許文献3を、参照によりその全体を本明細書に援用し、非特許文献4を、参照によりその全体を本明細書に援用する。
【0010】
非特許文献5は、蛍光ソーティング及び磁気ソーティングの速度を比較して、細胞ベース療法のためのハイスループットセルソーティングの重要性に注目している。しかし、同文献は、多数の異なる及び/又は別々のサンプルの処理について特に言及しておらず、ソーティングされる複数のサンプルの吸入における空気又は他のガスの気泡に関する問題についても言及していない。非特許文献5を、参照によりその全体を本明細書に援用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第6,315,952号明細書
【特許文献2】米国特許第6,878,556号明細書
【特許文献3】米国特許第9,632,066号明細書
【特許文献4】米国特許第10,060,838号明細書
【特許文献5】米国特許第10,103,015号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Shields IV, C.W. et al, “Microfluidic Cell Sorting: A Review of the Advances in the Separation of Cells from Debulking to Rare Cell Isolation” Lab Chip 2015 15(5):1230-1249
【非特許文献2】Ping, Y. et al., “T-cell receptor-engineered T cells for cancer treatment: current status and future directions” Protein Cell 2018 9(3):254-256
【非特許文献3】Rohaan, M.W., et al., “Adoptive transfer of tumor-infiltrating lymphocytes in melanoma: a viable treatment option” Virchows Archiv 2019 474(4): 449-461
【非特許文献4】Rohaan, M.W. et al., “Adoptive transfer of tumor-infiltrating lymphocytes in melanoma: a viable treatment option” J. ImmunoTherapy of Cancer 2018 6:102
【非特許文献5】Sutermaster, B. et al., “Considerations for high-yield, high-throughput cell enrichment: fluorescence versus magnetic sorting” Scientific Reports 2019 9:227, 1-9
【発明の概要】
【0013】
分析及び/又はソーティング方法は、流体をプローブの開放端に輸送することと;少なくとも2つの成分を含むサンプルをプローブの前記開放端に回収することと;前記プローブの前記開放端から前記サンプルと前記流体とを含む流体ストリームを除去することと;前記流体ストリームをフローサイトメーターに輸送し、フローサイトメトリーによって前記流体ストリーム中の前記サンプルを分析すること、及び/又は前記流体ストリームを少なくとも2つの成分に分離することとを含む。「フローサイトメトリー」は、懸濁物の流動性を用いる、流体懸濁物中の細胞、粒子、又は分子の集団の1以上の性質の検出、並びに前記1以上の性質に基づく測定及び/又はソーティングを伴う任意のプロセスを意味し得る。前記1以上の性質は、細胞、粒子、又は分子の集団に与えられる1以上の標識、例えば、蛍光、磁気、同位体、又は化学標識に関連し得る。追加的又は代替的に、前記1以上の性質は、例えば、前記性質が細胞、粒子、又は分子のサイズ、形状、密度、結合能力、導電率、又は音響特性である場合には、標識と無関係であり得る。前記方法は、シリンジ、ループ、及びバルブの複雑なシステムを必要としない単純なプローブを使用して、フローサイトメーターに提供されるサンプル、特にフローサイトメーターにハイスループットで提供される複数のサンプル中の空気又は気泡の存在を低減又は回避することができる。「フローサイトメーター」は、懸濁物の流動性を用いる、流体懸濁物中の細胞、粒子、又は分子の集団の1以上の性質、並びに前記1以上の性質に基づく測定及び/又はソーティングに適した任意のデバイスを意味し得る。フローサイトメーターは、蛍光、磁気、同位体、又は化学標識などの標識に関連する1以上の性質を検出することができる。追加的又は代替的に、フローサイトメーターは、例えば、前記性質が細胞、粒子、又は分子のサイズ、形状、密度、結合能力、導電率、又は音響特性である場合には、標識と無関係な1以上の性質を検出することができる。フローサイトメーターを利用する技術の例としては、蛍光活性化セルソーティング(FACS)、磁気活性化セルソーティング(MACS)、及びマイクロ流体免疫磁気セルソーティング(MICS)が挙げられる。
【0014】
分析及び/又はソーティングシステムは、プローブと、フローサイトメーターと、前記プローブから前記フローサイトメーターに流体を輸送するように構成された接続部とを含む。前記プローブは、開放端と、前記流体を前記開放端に輸送するように構成された流体供給部と、前記流体ストリームを前記開放端から離れる方向に輸送するように構成された流体排出部とを含む。前記システムは、シリンジ、ループ、及びバルブの複雑なシステムを必要としない単純なプローブを使用して、フローサイトメーターに提供されるサンプル、特にフローサイトメーターにハイスループットで提供される複数のサンプル中の気泡の存在を低減又は回避することができる。
【0015】
サンプリング方法は、プローブの流体供給部を通って前記プローブの開放端に流体を輸送することと、サンプルをプローブの前記開放端に回収することと、前記プローブの前記開放端から前記プローブの流体排出部を通じて流体ストリームを除去することを含み、前記流体ストリームは、前記少なくとも1つのサンプル及び前記流体を含む。前記サンプリング方法において、(1)前記流体は、生理食塩水溶液又は細胞培養培地である、又は(2)前記流体は、水であり、前記方法は、生理食塩水溶液を前記流体ストリームに添加することを更に含む。前記方法は、シリンジ、ループ、及びバルブの複雑なシステムを必要としない単純なプローブを使用して、フローサイトメーターに提供されるサンプル、特にフローサイトメーターにハイスループットで提供される複数のサンプル中の気泡の存在を低減又は回避することができる。前記方法はまた、手動又は自動の洗浄工程を追加することなく、サンプリング間に前記プローブを洗浄するため前記プローブを通る流体の一貫したフローを提供することができる。
【0016】
第1の実施形態は、プローブ内の第1の流体をプローブの開放端に輸送することと;少なくとも1つの第1の成分と少なくとも1つの第2の成分とを含む少なくとも1つのサンプルをプローブの前記開放端に回収することと;前記少なくとも1つのサンプルと前記第1の流体とを含む流体ストリームを前記プローブの前記開放端から除去することと;前記流体ストリームをフローサイトメーターに輸送し、フローサイトメトリーによって前記流体ストリームを分析する、及び/又は前記流体ストリームを、少なくとも、前記少なくとも1つの第1の成分を含む第1の分離ストリームと前記少なくとも1つの第2の成分を含む第2の分離ストリームとに、フローサイトメトリーによって分離することとを含む分析及び/又はソーティング方法を含む。
【0017】
第2の実施形態は、前記流体ストリームが実質的に気泡を含まない、又は前記流体ストリームが実質的に気液界面を含まない、又は前記流体ストリームが実質的に気泡及び気液界面の両方を含まない、第1の実施形態の方法を含む。
【0018】
第3の実施形態は、前記少なくとも1つのサンプルが、第1の容器に最初に含まれる第1のサンプルと、第2の容器に最初に含まれる第2のサンプルとを含む、第1及び/又は第2の実施形態の方法を含む。
【0019】
第4の実施形態は、前記第1の容器がプレート内の第1のウェルであり、前記第2の容器が同一プレート内の第2のウェルである、第3の実施形態の方法を含む。
【0020】
第5の実施形態は、前記第1の容器が第1のプレート内のウェルであり、前記第2の容器が第2のプレート内のウェルである、第3の実施形態の方法を含む。更なる実施形態では、前記少なくとも1つのサンプルは、複数の容器に含まれる複数のサンプルを含み、前記複数の容器は、1つのウェルプレート又は複数のウェルプレート内のウェルである。前記容器は、区画化された容器内の区画又は容器のアレイ若しくは集合体であることもできる。
【0021】
第6の実施形態は、前記少なくとも1つのサンプルが複数のサンプルを含み、サンプルが毎分30サンプルを超える速度で回収され、任意に、前記複数のサンプルを回収することが、前記プローブを複数の容器に少なくとも部分的に挿入すること、又は前記複数のサンプルを前記プローブに移すことを含む、任意の先行する実施形態の方法を含む。
【0022】
第7の実施形態は、前記第1の流体が、水若しくはシース液又はフローサイトメトリー又はフローサイトメトリーソーティングに適した他の液体培地である、任意の先行する実施形態の方法を含む。
【0023】
第8の実施形態は、前記第1の流体が、緩衝生理食塩水溶液又は細胞培養培地である、任意の先行する実施形態の方法を含む。
【0024】
第9の実施形態は、前記第1の流体が、リン酸緩衝液を含む緩衝生理食塩水溶液である、第8の実施形態の方法を含む。
【0025】
第10の実施形態は、前記少なくとも1つのサンプルが、細胞を含む、任意の先行する実施形態の方法を含む。
【0026】
第11の実施形態は、前記サンプルの少なくとも一部が、例えば、蛍光、磁気、同位体、又は化学標識で標識されている、任意の先行する実施形態の方法を含む。他の実施形態では、前記サンプルは標識化されず、分析及び/又はソーティングは、少なくとも1つの他の検出された性質に基づいて行われる。
【0027】
第12の実施形態は、前記少なくとも1つの第1の成分が標識された成分を含み、前記少なくとも1つの第2の成分が標識されていない成分を含む、第11の実施形態の方法を含む。
【0028】
第13の実施形態は、前記少なくとも1つのサンプルが、白血球、幹細胞、又は循環腫瘍細胞を含む、先行する実施形態のいずれかの方法を含む。
【0029】
第14の実施形態は、前記少なくとも1つのサンプルが、T細胞を含む、先行する実施形態のいずれかの方法を含む。
【0030】
第15の実施形態は、前記T細胞の少なくともいくつかが、T細胞受容体又はキメラ抗原受容体を含む、第14の実施形態の方法を含む。
【0031】
第16の実施形態は、前記少なくとも1つのサンプルが、腫瘍浸潤リンパ球を含む、先行する実施形態のいずれかの方法を含む。
【0032】
第17の実施形態は、前記少なくとも1つの第1の成分が、T細胞受容体又はキメラ抗原受容体を含むT細胞を含み、前記少なくとも1つの第2の成分が、実質的にT細胞受容体及びキメラ抗原受容体を含まないT細胞を含む、第1から第15の実施形態のいずれかの方法を含む。
【0033】
第18の実施形態は、前記第1の流体を前記プローブの前記開放端に輸送することが、前記第1の流体を第1のポンプでポンピングすることを含み、前記流体ストリームを前記プローブの前記開放端から除去することが、前記流体ストリームを第2のポンプで除去することを含む、先行する実施形態のいずれかの方法を含む。
【0034】
第19の実施形態は、前記プローブの前記開放端への前記第1の流体の第1の流量を制御し、同時に、前記プローブの前記開放端からの前記流体ストリームの第2の流量を制御することを更に含む、第18の実施形態の方法を含む。
【0035】
第20の実施形態は、前記流体ストリームを前記フローサイトメーターに輸送する前、輸送中、又は輸送した後に、前記流体ストリームに第2の流体を添加することを更に含み、前記第2の流体が、前記第1の流体と同一である又は異なっている、任意の先行する実施形態の方法を含む。
【0036】
第21の実施形態は、プローブと、フローサイトメーターと、前記プローブから前記フローサイトメーターに流体を輸送するように構成された前記プローブと前記フローサイトメーターの間の接続部とを含み、前記プローブが、開放端と、前記流体を前記開放端に輸送するように構成された流体供給部と、前記流体ストリームを前記開放端から離れる方向に前記フローサイトメーターに輸送するように構成された流体排出部とを含む分析及び/又はソーティングシステムを含む。
【0037】
第22の実施形態は、前記流体供給部と前記流体排出部とが同軸である、第21の実施形態のシステムを含む。
【0038】
第23の実施形態は、前記プローブの、その開放端での幅が、3.3mm未満である、第21及び/又は第22の実施形態のシステムを含む。
【0039】
第24の実施形態は、前記プローブの、その開放端での幅が、1.3mm未満である、第21及び/又は第22の実施形態のシステムを含む。
【0040】
第25の実施形態は、第21から第24の実施形態のいずれかのシステムで少なくとも1つのサンプルをソーティングする方法を含み、前記方法は、前記流体供給部で、前記プローブの前記開放端に流体を輸送することと;少なくとも1つの第1の成分と少なくとも1つの第2の成分とを含む前記少なくとも1つのサンプルをプローブの前記開放端に回収することと;前記流体排出部で、前記少なくとも1つのサンプルと前記流体とを含む流体ストリームを前記プローブの前記開放端から除去することと;前記流体ストリームを前記接続部を通して前記フローサイトメーターに輸送し、フローサイトメトリーによって前記流体ストリームを分析する、及び/又は前記流体ストリームを、少なくとも、前記少なくとも1つの第1の成分を含む第1の分離ストリームと前記少なくとも1つの第2の成分を含む第2の分離ストリームとに、セルソーティングによって分離することとを含む。
【0041】
第26の実施形態は、プローブの流体供給部を通じて前記プローブの開放端に流体を輸送することと、少なくとも1つのサンプルをプローブの前記開放端に回収することと、前記プローブの流体排出部を通じて前記プローブの前記開放端から流体ストリームを除去することとを含み、前記流体ストリームが、前記少なくとも1つのサンプルと前記流体とを含むサンプリング方法を含む。第26の実施形態においては、前記流体自体が、生理食塩水溶液又は細胞培養培地であることができる、又は前記流体は水であることができ、生理食塩水溶液が前記流体ストリームに更に添加される。
【0042】
第27の実施形態は、前記流体がフローサイトメトリーに適した緩衝生理食塩水シース液である、第26の実施形態の方法を含む。
【0043】
第28の実施形態は、前記流体ストリームが実質的に気泡を含まず、前記流体ストリームが実質的に気液界面を含まない、第26及び/又は第27の実施形態の方法を含む。
【0044】
第29の実施形態は、前記少なくとも1つのサンプルが複数のサンプルを含み、サンプルが毎分30サンプルを超える速度で回収され、任意に、前記複数のサンプルを回収することが、前記プローブを複数の容器に少なくとも部分的に挿入すること、又は前記複数のサンプルを前記プローブに移すことを含む、第26から第28の実施形態の方法を含む。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1図1は、プローブがサンプルを回収していない状態の、フローサイトメトリーのためのシステムの実施形態を示す。
図2図2は、プローブがサンプルを回収している状態の、フローサイトメトリーのためのシステムの実施形態を示す。
図3図3は、開放端を有するプローブの実施形態の断面図である。
図4図4は、開放端を有するプローブの実施形態の斜視図である。
図5図5は、開放端を有し、作動状態にあるプローブの実施形態の断面図である。
図6図6は、プローブがサンプルを回収していない状態の、プローブ及びウェルプレートの実施形態を示す。
図7図7は、プローブがサンプルを回収している状態の、プローブ及びウェルプレートの実施形態を示す。
【0046】
発明の詳細な説明
図1及び図2は、ウェルプレート50の存在下でこれらの図に示される分析及び/又はソーティングシステム10の実施形態を示す。この実施形態では、分析及び/又はソーティングシステム10は、プローブ11と、プローブ11に流体を提供するように構成されたプローブ入力ライン31と、プローブ11から流体を除去する及び/又はフローサイトメーター20に流体を提供するように構成されたプローブ-フローサイトメーターライン32とを含む。また、この実施形態では、プローブ入力ポンプ41が、プローブ入力ライン31を通じてプローブ11に流体を移動させるように構成され、プローブ-フローサイトメーターポンプ42が、プローブ-フローサイトメーターライン32を通じてプローブ11から離れる方向及び/又はフローサイトメーター20に流体を移動させるように構成される。この実施形態のオートサンプラー43は、ウェルプレート50のウェル51a、51b、及び51cの間でプローブ11を移動させるように構成され得る。図1及び図2では、プローブ11の実施形態は、その開放端が動作中に下向きになるような向きで図示されている。しかし、他の実施形態、例えば、他の方向でも表面張力又は接着などの力によって前記サンプルを保持するほど、ウェル又は他の1以上のサンプル容器が十分に狭い実施形態では、前記プローブの前記開放端を上向き方向、横方向、又は垂直方向に対して斜めの角度に向けることができる。いくつかのかかる実施形態では、前記プローブが上向き方向で、前記1以上のサンプル容器が逆向きである、即ち、1以上のサンプル容器の開放端が下向きであることが特に好ましい場合がある。
【0047】
いくつかの実施形態では、分析及び/又はソーティングシステム10は、好ましくは、サンプルホルダー、チューブ、カートリッジ、又はマイクロチップ、及び/又はウェルプレートなどのサンプル容器、又は区画化された容器内の区画又は容器のアレイ若しくは集合体に、プローブ11が向くことができるようにプローブ11を配向する。図1は、ウェルプレート50のウェル51cからサンプルを回収するように配向されたプローブ11を示す。図2は、ウェルプレート50のウェル51cからサンプルを回収しているプローブ11を示す。図1及び図2に示される実施形態では、オートサンプラー43は、ウェルプレート50内のウェル51a及びウェル51b内のサンプルの回収のためにプローブ11を再配置するように構成される。他の実施形態では、オートサンプラー43は、プローブ11によるウェル51a及びウェル51b内のサンプルの回収のためにウェルプレート50を再配置するように構成することができ、プローブ11は、静止位置に維持することができる。
【0048】
図3図4、及び図5は、プローブ11の実施形態を示す。この実施形態では、プローブ11は、外壁103と、これらの図中、上向きに向けられた外壁103の端部にある開放端102と、開放端102に流体を提供するように構成された流体供給部104と、開放端102から流体を除去するように構成された流体排出部105とを含む。
【0049】
図3図4、及び図5に示されるプローブ11の実施形態では、流体供給部104は、外壁103内のすぐ内側の環状領域であり、流体排出部105は、プローブ11の中央に配された同軸導管である。いくつかの実施形態では、流体排出部105の開口部は、開放端102まで延びる外壁103の全長に亘って軸方向に延びていないことがあり、流動がより生じ易くなるように開放端102に、ある程度の空間を残している。他の実施形態では、流体排出部105の開口部は、開放端102まで延びる外壁103の全長に亘って軸方向に延びることができる、又は外壁103の全長を超えて、開放端102の外に軸方向に延びることができる。
【0050】
他の実施形態では、流体供給部104及び流体排出部105は、異なる構成を有することができる。例えば、他のいくつかの実施形態では、流体排出部105は、外壁103のすぐ内側の環状領域であり、流体供給部104は、プローブ11の中央に配された同軸導管である。他の実施形態では、流体供給部104は、複数の流体供給導管として設けることができ、及び/又は流体排出部105は、複数の流体排出導管として設けることができる。流体供給部104及び/又は流体排出部105の導管は、図3図4、及び図5に示されるように平行方向に設けることができ、他の実施形態では、互いに対して斜めの角度で設けることができる。
【0051】
図4及び図5に示されるようなプローブ11の前記実施形態では、プローブ11は、流路106に沿った流体の流れを提供するように構成される。かかる実施形態では、流体供給部104は、流入流路106aに沿ってプローブ11の開放端102に流体を提供することができ、次いで、流体は、開放端流路106bに沿って開放端102を通って流れることができ、次いで、流体は、液体排出部105を通じて流出流路106cに流入することができる。この実施形態又は他の実施形態では、開放端流路106bは、開放端102内に延び、次いで、流体ドーム107を形成する、図4及び図5に示されるよりも直接的ではない流路を含むことができる。流体供給部104を通る内向きの流体の流れを測定又は制御するために、流体供給部104は、流量計及び/又は流量レギュレーターを含むことができる。同様に、しかし独立して、流体排出部105を通る外向きの流体の流れを測定又は制御するために、流体排出部105は、流量計及び/又は流量レギュレーターを含むことができる。
【0052】
プローブ11を構成する1以上の材料は、特に限定されない。外壁103、流体供給部104、及び/又は流体排出部105のいずれかは、少なくとも1つの金属、金属合金、プラスチック、ガラス、セラミック、又はそれらの任意の組合せを含むことができ、好ましくはステンレススチール及び/又は医療グレードプラスチックを含む。外壁103、流体供給部104、及び/又は流体排出部105の任意の部分又は全体をコーティングしてもしなくてもよく、好ましくは、疎水性又は親水性コーティングでコーティングされる。いくつかの実施形態では、外壁103、流体供給部104、及び/又は流体排出部105の少なくとも一部は、親水性材料を含むことができる、又は親水性コーティングを備えることができ、それによって、流路106に沿って流れる流体及び/又は流体ドーム107内の流体との接着効果を提供する。同一又は他の実施形態では、外壁103、流体供給部104、及び/又は流体排出部105の少なくとも一部は、疎水性材料を含むことができる、又は疎水性コーティングを備えることができ、それによって、流体ドーム107のための所望のドーム形状をより良く形成するために、流体との接着効果を避けることができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、プローブ11は、過剰な、即ち、オーバーフローしている流体を、開放端102から回収するように構成された流体回収導管を更に含むことができる。かかる流体回収導管は、外壁103の内部に配することができる、又は外壁103上に設けることができる。流体回収導管は、1以上の開口部を含むことができ、好ましくは開口端102の近傍に位置する。前記流体回収導管の1以上の開口部は、1以上の環状開口部又は環状配列の複数の開口部であることができる。
【0054】
図6及び図7に示されるいくつかの実施形態では、プローブ11は、1以上のサンプル容器、好ましくは1以上のウェルプレート50内の1以上のウェル51内に少なくとも一部挿入されるように構成することができる。これらの実施形態では、プローブ11の外幅wは、好ましくは、ウェル51の内側幅w’よりも小さく、それによって、ウェル51へのプローブ11の挿入を可能にする。プローブ11の外幅wは、開放端102におけるプローブ11の幅であることができ、又はより好ましくは、ウェル51の深さより小さい又は略等しい開放端102からの軸方向距離におけるプローブ11の幅であることができる。いくつかの実施形態では、プローブ11の外幅wは、7.0mm未満、5.0mm未満、3.3mm未満、1.7mm未満、又は1.3mm未満であることができる。いくつかの実施形態では、プローブ11の外幅wは、プローブ11の開放端102における、又はプローブ11の開放端102から5.0~25.0mmの軸方向距離における、又はプローブ11の開放端102から6.5~11.5mmの軸方向距離におけるプローブの幅であることができる。
【0055】
他の実施形態では、プローブ11は、必ずしもサンプル容器に挿入されるように構成されていなくてもよい。例えば、プローブ11及び/又は分析及び/又はソーティングシステム10のいくつかの実施形態は、例えば、自動化されたピペッティングシステムによって、又は個々のウェル内のサンプルに音響エネルギーを向けてサンプルの液滴を吐出させることによって、ウェルプレート内の個々のウェルからプローブ11の開放端102にサンプルを伝達するための装置と共に好適に使用することができる。これらの実施形態では、前記プローブの前記開放端は、上方向、下方向、横方向、又は垂直方向に対して斜めの角度を向くことができる。いくつかのかかる実施形態では、前記プローブの上向き方向で、1以上のサンプル容器が逆向きであることが特に好ましい場合がある。更に他の実施形態では、プローブ11は、例えば、液滴又は他の少量の1以上のサンプルをプローブ11の開放端102に直接提供する際に、ウェルプレート内のウェルから直接サンプリングすることなく、サンプル又はより好ましくは複数のサンプルを受容するように構成することができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、分析及び/又はソーティングシステム10は、プローブ11を1つだけ有し、それより多くは有さない。他の実施形態では、分析及び/又はソーティングシステム10は、複数のプローブを含むことができる。複数のプローブ11が並行して利用される場合、例えば、オートサンプラー43が4つのプローブを同時に保持する及び/又は移動させて4つの異なるウェルからサンプル及び/又は流体を並行して回収するように構成される場合など、サンプリング速度はそれに応じて倍増し得る。別の実施形態では、オートサンプラー43を、2、4、6、8、16、20、24、30、48、96、又はそれ以上のプローブ11を並列に保持する及び/又は移動させるように構成することができる。
【0057】
特定の実施形態では、図1及び図2に示すように、フローサイトメーター20は、フローセル21と、レーザ22と、少なくとも2つの容器61a及び61bとを含むことができ、これらは、例えば、複数のウェルプレート内のウェル又は同一ウェルプレート内のウェルであることができる。フローサイトメーター20は、プローブ11からの流体ストリームの成分をソーティングするように構成されている点を除いて、特に限定されない。特に、フローサイトメーター20は、サンプルを少なくとも2つの容器61a及び61bにソーティングするように構成される。フローサイトメーター20に提供される流体ストリームは、フローセル21に入ることができ、フローセル21は、流体ストリーム中のサンプルの多くの若しくは大部分の細胞又は他の粒子が別々の液滴で個別に現れるように流体ストリームを調節することができる。特定の実施形態では、このように調節された流体ストリームは、次いで、測定システムを通る。測定システムは、インピーダンス、導電性、サイズ排除、ろ過、音響、熱力学、電磁、質量分析、又は光学システムであることができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、測定システムは、流体ストリーム中のサンプル中の蛍光マーカーを励起することができる、レーザ22から放出されるレーザービームを含むことができる。次いで、検出器は、蛍光の有無によって蛍光マーカーの有無を検出することができる。いくつかの実施形態は、1超のレーザ及び/又は1超の検出器を含む。特定の実施形態では、図1及び図2の実施形態に示されるように、液滴を帯電させ、蛍光マーカーでマーカーされた細胞又は粒子を含む液滴は、それらの電荷によって1つの容器61aにソーティングされ、蛍光マーカーでマーカーされていない細胞又は粒子を含む液滴は、別の容器61bにソーティングされる。他の実施形態では、液滴ベースのソーティングを使用せず、これに代えて、蛍光マーカーでマーカーされた細胞又は粒子は、磁気ソレノイドソーティングバルブを使用して流体フローから1つの容器61aにソーティングされ、標識されていない細胞又は粒子は、異なる容器にソーティングされる。図1及び図2に更に示されているように、これらの容器は、ウェルプレート、例えば、マイクロプレートの別々のウェルであることができる。いくつかの構成では、フローサイトメーター20は、サンプルをより大きな容量の容器、チューブ、カートリッジ、又はマイクロチップにソーティングすることができる。
【0058】
他の実施形態では、フローサイトメーターは、サンプルの分析、及び異なる性質を有する、又は様々なパラメータを満たすサンプル内の成分の存在、含量、頻度、及び/又は分布に関するデータの収集のために構成することができる。特に、フローサイトメーターは、標識された生物材料、標識された分析試薬、又は標識された粒子状成分などの標識された成分の存在及び/又は頻度に関するデータを測定及び収集するように構成することができる。いくつかの実施形態では、フローサイトメーター20は、いずれについても前記したように、分析及びソーティングの両方のために構成することができる。他の実施形態では、フローサイトメーターは、ソーティングせずに分析のみのために構成することができ、サンプルを含む流体ストリームは、分析後に廃棄することができる。
【0059】
更に他の実施形態では、図1及び図2に示されるように、フローサイトメーター20は、サンプルを少なくとも2つの容器61a及び61b、又はマイクロ流体ソーティングデバイスによって指定される他の受容点、例えば、複数のウェルプレート内のウェル又は同一ウェルプレート内のウェルにソーティングするように構成されたマイクロ流体ソーティングデバイスである。マイクロ流体ソーティングデバイスは、プローブ11からの流体ストリームの成分を、成分に提供される任意の蛍光、磁気、同位体、又は化学標識に基づいて、及び/又はサイズ、形状、密度、結合能力、導電率、又は音響特性など標識とは無関係の成分の性質に基づいてソーティングするように構成されることを除き、特に限定されない。マイクロ流体ソーティングデバイスに提供される流体ストリームは、流体ストリーム中のサンプルの多くの若しくは大部分の細胞又は他の粒子が上記の標識及び/又は性質に基づいて個別成分に分離されるように、マイクロ流体ソーティングデバイスによって制御することができる。特定の実施形態では、図1及び図2の実施形態に示されるように、標識及び/又は性質の所定のセットを含む成分は、分離され、1つの容器61aにソーティングされ、標識及び/又は性質の所定のセットを有さない成分は、別の容器61bにソーティングされる。これらの容器は、マイクロプレートなどのウェルプレートの別々のウェルであることができる。いくつかの実施形態、例えば、蛍光又は他の光又は放射線に基づく現象に基づく分析又はソーティングを伴わない実施形態では、フローサイトメーター20としてのマイクロ流体ソーティングデバイスは、レーザ22を示す図1及び図2の実施形態とは異なり、レーザを含まなくてもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、例えば、図1及び図2に示されるように、分析及び/又はソーティングシステム10は、プローブ11に流体を供給するように構成されたプローブ入力ライン31を含むことができる。プローブ入力ライン31は、流体ストリームをプローブ11に輸送するためのその構成を除き、特に限定されない。プローブ入力ライン31は、剛性、部分的に剛性、又は可撓性であることができる。プローブ入力ライン31は、それが輸送する流体への空気又はガスの導入を防ぐために、閉鎖密封されたラインであることが好ましい。それは、チューブ、ホース、パイプ、別の要素による導管、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。それは、金属、ガラス、プラスチック、ゴム、又はそれらの任意の組合せ、又は流体をプローブ11に輸送することができる任意の他の材料又は材料の組合せで作製することができる。好ましくは、プローブ入力ライン31は、シリコーン又はPVCチューブを含む。いくつかの実施形態では、プローブ入力ライン31は、バルブ、ジョイント、及び/又はジャンクションを含む又は含まないことができる。好ましくは、プローブ入力ライン31は、往復バルブを含まない。いくつかの実施形態では、プローブ入力ライン31は、サンプルループを含む又は含まないことができ、好ましくはサンプルループを含まない。プローブ入力ライン31は、流体供給部104に結合又は一体化されて、流体を流体供給部104に提供する。
【0061】
いくつかの実施形態では、例えば、図1及び図2に示されるように、プローブ入力ライン31は、流体をプローブ11に供給するように構成されたプローブ入力ポンプ41を含むことができる、即ち、プローブ入力ポンプ41が介在することができる。プローブ入力ポンプ41は、プローブ11に流体を提供することを除き、特に限定されない。プローブ入力ポンプ41は、ペリスタルティックポンプ、ダイアフラムポンプ、シリンジポンプ、ギアポンプ、又はマイクロ流体ポンプなどの様々なタイプのラボ用ポンプのいずれかであることができる。好ましくは、プローブ入力ポンプ41は、マイクロ流体ポンプである。他の実施形態では、流体は、他の方法でプローブ入力ライン31を通じてプローブ11に輸送させることができる。例えば、プローブ11内又はその近傍の真空は、プローブ入力ライン31の端部又はその近傍の圧力を低下させることができ、それによって、流体源の圧力(例えば、大気圧)が流体を、プローブ入力ライン31を通じて押し出す。また、力を流体に加えて、例えば、上昇させた流体源からサイフォニングによって、又は重力によって、プローブ入力ライン31を通じて流体を輸送することもできる。当業者は、ラインを通じて流体を輸送する他の方法が知られており、プローブ入力ライン31を通じて流体をプローブ11に輸送するのに適し得ることを理解する。
【0062】
分析及び/又はソーティングシステム10は、プローブ-フローサイトメーターライン32を含む。プローブ-フローサイトメーターライン32は、プローブ11からフローサイトメーター20に流体ストリームを輸送するための構成を除き、特に限定されない。プローブ-フローサイトメーターライン32は、流体排出部105に結合又は一体化されて、流体を流体排出部105に提供する。プローブ-フローサイトメーターライン32は、剛性、部分的に剛性、又は可撓性であることができる。プローブ-フローサイトメーターライン32は、それが輸送する流体ストリームへの空気又はガスの導入を防ぐために、閉鎖密封されたラインであることが好ましい。それは、チューブ、ホース、パイプ、別の要素による導管、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。それは、金属、ガラス、プラスチック、ゴム、又はそれらの任意の組合せ、又は流体ストリームをフローサイトメーター20に輸送することができる任意の他の材料又は材料の組合せで作製することができる。フローサイトメーターライン32の1以上の材料は、プローブ入力ライン31の材料と同一であっても異なっていてもよい。好ましくは、プローブ-フローサイトメーターライン32は、シリコーン又はPVCチューブを含む。いくつかの実施形態では、プローブ-フローサイトメーターライン32は、バルブ、ジョイント、及び/又はジャンクションを含む又は含まないことができる。好ましくは、プローブ-フローサイトメーターライン32は、往復バルブを含まない。いくつかの実施形態では、プローブ-フローサイトメーターライン32は、サンプルループを含む又は含まないことができ、好ましくはサンプルループを含まない。
【0063】
いくつかの実施形態では、例えば、図1及び図2に示されるように、プローブ-フローサイトメーターライン32は、流体ストリームをプローブ11から引き抜くように構成されたフローサイトメーターポンプ42を含むことができる、即ち、フローサイトメーターポンプ42が介在することができる。プローブ-フローサイトメーターポンプ42は、流体をプローブ11から引き抜き、それをフローサイトメーター20に提供することを除き、特に限定されない。プローブ-フローサイトメーターポンプ42は、ペリスタルティックポンプ、ダイアフラムポンプ、シリンジポンプ、ギアポンプ、又はマイクロ流体ポンプなどの様々なタイプのラボ用ポンプのいずれかであることができる。好ましくは、プローブ-フローサイトメーターポンプ42は、マイクロ流体ポンプである。プローブ-フローサイトメーターポンプ42は、プローブ入力ポンプ41と同一タイプであっても異なるタイプであってもよい。他の実施形態では、流体は、他の方法でプローブ-フローサイトメーターライン32を通じてプローブ11からフローサイトメーター20に輸送させることができる。例えば、フローサイトメーター20内又はその近傍の真空は、フローサイトメーターライン32の端部又はその近傍の圧力を低下させることができ、それによって、プローブ11における圧力(例えば、大気圧)が流体を、プローブ-フローサイトメーターライン32を通じて押し出す。また、力を流体に加えて、例えば、プローブ11とフローサイトメーター20との間の高低差からサイフォニング又は重力によって、プローブ-フローサイトメーターライン32を通じて流体を輸送することもできる。当業者は、ラインを通じて流体を輸送する他の方法が知られており、プローブ-フローサイトメーターライン32を通じて流体をプローブ11からフローサイトメーター20に輸送するのに適し得ることを理解する。
【0064】
いくつかの実施形態では、例えば、図1及び図2に示されるように、分析及び/又はソーティングシステム10は、プローブ入力ポンプ41及びプローブ-フローサイトメーターポンプ42を制御するための制御システムを更に含むことができる。前記制御システムは、プローブ入力ライン31及びプローブ-フローサイトメーターライン32を通る流れをモニターすることができ、これらの2つの流れを互いに対して更にモニターすることができる。前記制御システムは、任意に、プローブ入力ライン31を通る流れ及びプローブ-フローサイトメーターライン32を通る流れの一方又は両方をモニターするための1以上の流量計を含むことができる。前記制御システムは、プローブ入力ポンプ41及び/又はプローブ-フローサイトメーター42、好ましくは両方のポンプ出力又は他の決定パラメータを調整することができる。前記制御システムは、グラフィカルユーザインターフェイスを含むことができる。前記制御システムは、フローサイトメーター20の制御システムと統合させる、又はそれと分けることができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、例えば、図1及び図2に示されるように、分析及び/又はソーティングシステム10は、オートサンプラー43を含むことができる。いくつかの実施形態では、オートサンプラー43は、プローブ11を制御可能に保持及び解放するための、且つ複数のサンプル容器とウェルとの間でプローブ11を移動させるためのホルダーを含む。他の実施形態では、オートサンプラー43は、プローブ11に固定的に取り付けられている、又は一体であり、プローブ11を複数のサンプル容器及び/又はウェルの間で移動させるように構成される。更に他の実施形態では、プローブ11は、動作中に実質的に固定位置を維持するように構成されすることができ、オートサンプラー43は、サンプルホルダー、チューブ、及び/又はウェルプレートなどのサンプル容器を制御可能に保持及び解放するための、且つかかるサンプル容器を移動させて、固定位置にあるプローブ11によるサンプリングのために複数のサンプルを提供するホルダーを含む。オートサンプラー43は、異なるウェル又は他の容器から、毎分30回超、好ましくは毎分少なくとも35回、好ましくは毎分少なくとも40回、より好ましくは毎分少なくとも45回、更により好ましくは少なくとも毎分60回、更に好ましくは毎分約96回の速度で別々のサンプルを回収するように構成することができる。いくつかの実施形態では、オートサンプラー43は、毎分110回以下の高速度で、異なるウェル又は他の容器から別々のサンプルを回収するように構成することができる。これらのサンプル回収速度の実施形態は、具体的には、プローブ11が、1以上のサンプル容器、好ましくは1以上のウェルプレート50内の1以上のウェル51への少なくとも部分的な挿入のために構成されることができる実施形態であることができる。
【0066】
上記のシステム及び実質的に同様のシステムは、サンプル内の異なる成分の選択及び分離のための方法で使用することができる。
【0067】
1以上のサンプル中の成分を分析、ソーティング、分離、及び/又は選択する方法は、流体をプローブ11の開放端102に輸送することと、少なくとも1つのサンプルをプローブ11の前記開放端102に回収することと、前記少なくとも1つのサンプルと前記流体とを含む流体ストリームを前記プローブ11の前記開放端102から除去することと、前記流体ストリームをフローサイトメーター20に輸送し、フローサイトメーター20で前記サンプルの成分を分析及び/又は分離することとを含むことができる。
【0068】
サンプルは、特に限定されない。いくつかの実施形態では、好ましくはプローブ11による回収の前に、その少なくとも一部を標識することができる。標識化を伴ういくつかの好ましい実施形態では、サンプルは、標識された1以上の生物材料、及び標識されていない1以上の生物材料も含む。標識及び非標識生物材料は、それぞれ独立して、1以上の細胞、細胞断片、ウイルス、ウイルス断片、細胞小器官、エクソソーム又は細胞外小胞及びそれらの断片、タンパク質、核酸、及び/又は炭水化物を含むことができる。タンパク質は、存在する場合、タンパク質複合体、多タンパク質複合体、単一ポリペプチド、オリゴペプチド、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。核酸は、存在する場合、染色体、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、核酸複合体、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。炭水化物は、例えば、糖、オリゴ糖、多糖、炭水化物複合体、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。前記サンプルは、好ましくは、1以上の細胞を含み、これらは、いくつかの実施形態では、免疫細胞、幹細胞、又は循環腫瘍細胞(CTC)であることができる。サンプルに含まれ得る免疫細胞の例としては、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、樹状細胞、単球、及びマクロファージなどの白血球が挙げられる。特定の実施形態では、ネイティブなT細胞又はエンジニアードされたT細胞が白血球として好ましく、腫瘍浸潤リンパ球、1以上のキメラ抗原受容体タンパク質を含むT細胞、又は癌、感染症、又は自己免疫疾患の診断若しくは治療に適した1以上のT細胞受容体タンパク質を含むT細胞を含むことができる。他の実施形態では、前記白血球は、ネイティブなB細胞又はエンジニアードされたB細胞、特に、癌、自己免疫疾患、感染症、又はタンパク質欠乏症の診断若しくは治療に適したエンジニアードされたB細胞を含むことができる。更に他の実施形態では、前記白血球は、ネイティブなNK細胞又はエンジニアードされたNK細胞、例えば、キメラ抗原受容体タンパク質を含むNK細胞、特に癌、感染症、又は自己免疫疾患の治療に適したものであることができる。更なる実施形態では、前記白血球は、ネイティブな樹状細胞又はエンジニアードされた樹状細胞、例えば、癌、感染症、炎症性疾患、変性疾患、自己免疫疾患、及び臓器移植の診断若しくは治療に適したエンジニアードされた樹状細胞であることができる。更に別の実施形態では、前記白血球は、ネイティブな単球又はエンジニアードされた単球、例えば、癌、感染症、炎症性疾患、変性疾患、自己免疫疾患、及び臓器移植の診断若しくは治療に適したエンジニアードされた単球であることができる。他の実施形態では、前記白血球は、ネイティブなマクロファージ又はエンジニアードされたマクロファージ、例えば、癌、感染症、炎症性疾患、変性疾患、自己免疫疾患、及び臓器移植の診断若しくは治療に適したエンジニアードされたマクロファージであることができる。幹細胞としては、例えば、胚性幹細胞、神経幹細胞、間葉系幹細胞、造血幹細胞、又は人工多能性幹細胞(iPSC)を含むことができる。幹細胞を含むサンプルを用いた実施形態は、疾患又は状態の遺伝子操作による修復、又は移植に適した幹細胞を含むことができる。前記幹細胞は、存在する場合、神経変性、糖尿病、多発性硬化症、脳性麻痺、黄斑変性症、心血管疾患、又は筋骨格系疾患の治療に適し得る。CTCは、限定されるものではないが、固形又は原発性腫瘍から周囲の血管系又はリンパ系に放出されて血流中を循環する腫瘍細胞を含むことができる。CTCは、癌の検出及び診断に適し得る。前記サンプルが細胞を含む場合、前記細胞は、細菌細胞、植物細胞、酵母又は真菌細胞、又は動物細胞であることができる。特定の実施形態では、前記細胞は、エンジニアードされた又はネイティブな動物細胞であることが好ましく、特定の実施形態では、前記細胞は、エンジニアードされた又はネイティブなヒト細胞であることがより好ましい。前記標識及び非標識の1以上の生物材料は、天然のものでもよいし、又は例えば、変異又は遺伝子工学によって、それらのネイティブな状態から改変されていてもよいし、又は両方のタイプの材料の組合せであってもよい。いくつかの好ましい実施形態では、前記サンプルは、少なくとも1つの改変及び標識された生物材料を含み、好ましくは、1つ以上の改変及び標識された細胞を含む。
【0069】
いくつかの好ましい実施形態では、前記サンプルは、元々又は最初に対象から得られたものである。前記対象は、ヒト対象、別の生物、又は組織サンプル、好ましくはヒト対象又はヒト組織サンプルであることができる。前記対象は、好ましくは、治療を必要とする患者であることができ、又は他の実施形態では、前記対象は、治療を必要とする患者とは異なる個体である。前記サンプルは、最初に、血液サンプル又は組織サンプルとして、好ましくは血液サンプル及び/又は腫瘍、特に腫瘍間質、又は治療を必要とする状態にある他の組織から得られたサンプルとして、前記対象から得ることができる。前記サンプルを最初に前記対象から得た後、血液及び/又は組織の少なくとも1つの成分を前記サンプルとして除去又は単離することができる。前記サンプルとして除去又は単離される成分は、1以上の細胞、細胞断片、ウイルス、ウイルス断片、エクソソーム又は細胞外小胞及びそれらの断片、タンパク質、核酸、又は炭水化物を含むことができる。前記サンプルとして除去又は単離される成分は、好ましくは1以上の細胞、より好ましくは白血球であり、特に、特定の実施形態ではT細胞が好ましい。
【0070】
好ましい実施形態では、前記サンプルが除去又は単離されると、改変される、又は別の生物材料を改変するために使用される。改変は、所望の形質を発現させるため、及び/又は所望の構造、好ましくはタンパク質を産生させるために、細胞にDNA及び/又はRNAを導入することを含む遺伝子工学を含み得る。或いは、前記改変は、所望の形質の発現及び/又は所望の構造の産生を除去又は阻害するという目的を有し得る。特定の好ましい実施形態では、前記除去又は単離されたサンプルは、T細胞を含み、前記改変は、1以上の受容体タンパク質をコードするDNAを前記T細胞に提供することを含む。これらの実施形態では、前記受容体タンパク質は、1以上の腫瘍細胞抗原に選択的に結合するように構成されたT細胞受容体又はキメラ抗原受容体であることができる。いくつかの実施形態では、前記受容体タンパク質は、抗CD19キメラ抗原受容体である。
【0071】
腫瘍浸潤リンパ球(TIL)養子細胞療法に関連するいくつかの実施形態では、前記サンプルは、最初に、治療を必要とする患者の血液又は腫瘍から得ることができる。前記サンプルは、T細胞などのTILと腫瘍細胞とに分離するためにソーティングすることができる。いくつかの実施形態では、分離されたT細胞は、個々の単一細胞として更に単離することができる。T細胞をエクスビボ(ex vivo)で増殖させ、次いで、前記腫瘍細胞に曝露して、前記腫瘍細胞に対して反応するT細胞を同定する。いくつかの実施形態では、反応性T細胞は、CD137/4-1BB、CD134/OX40、及び/又はCD107a/LAMP-1などであるがこれらに限定されない細胞表面タンパク質の存在によって、反応性について同定及び選択され得る。前記腫瘍細胞に反応性があることを示すT細胞を選択し、更に増殖させて、増殖及び生着を促進するためにIL-2処置により前記患者に注入して戻すことができる。
【0072】
他の実施形態では、前記サンプルは、ソーティング若しくは分析に適し得る、又はソーティング若しくは分析方法を容易にするのに適し得る試薬又は粒子状成分を含む。試薬又は粒子状成分は、ビーズを含むことができる。かかる試薬又は粒子状成分は、生物材料の代わりに、又はそれに加えて、前記サンプル中に存在し得る。いくつかの実施形態では、前記試薬又は粒子状成分には、1以上の生物材料が設けられる。例えば、ビーズ表面には、抗体、特に細胞又は他の生物材料を捕捉するように構成された抗体を設けることができる。前記試薬又は粒子状成分、例えばビーズは、標識、例えば蛍光又は磁気標識を含むことができる。かかる標識は、ビーズ内及び/又はビーズの表面上に、直接又は連結基を介して設けることができる。
【0073】
分析、分離、選択、及び/又はソーティングを容易にするために、前記生物材料は、好ましくは選択的方法で、好ましくはプローブ11による回収の前に標識することができる。前記標識は、化学的、同位体、磁性、又は蛍光型の標識であることができる。いくつかの実施形態では、前記標識は、好ましくは、光学的方法による検出に適した標識、特に蛍光標識、例えばフィコエリスリン(PE)又はカルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)、又は増強GFP(eGFP)などの蛍光タンパク質、又は量子ドットなどのナノ粒子を含む。前記標識はまた、光学標識の代わりに磁気標識を含むことができ、又はいくつかの好ましい実施形態では、光学標識に加えて磁気標識を含むことができる。前記標識化が選択的である場合、前記選択的標識化は、抗CD19キメラ抗原受容体などの1以上の腫瘍細胞抗原に結合することができるT細胞受容体又はキメラ抗原受容体などの、前記サンプル中の細胞の表面上のタンパク質又は受容体マーカーに対してなど、標的生物材料の存在に対して選択的であることができる。他の実施形態では、前記標識化は、活性化された又は反応性のT細胞、例えば、CD137/4-1BB、CD134/OX40、及び/又はCD107a/LAMP-1を示す表面タンパク質マーカーの存在に対して選択的であることができる。標識は、異なるタンパク質の存在、又はタンパク質と別の特性の存在など、各種特性及び/又はマーカーに対する1以上の標識を含むことができる。かかる複数の標識においては、前記標識は同一でも異なっていてもよい。
【0074】
前記プローブ11の前記開放端102で前記サンプルを得るために、流体は、流体供給部104から提供され得る。前記流体は、好ましくは液体、より好ましくは生理食塩水、更により好ましくは緩衝生理食塩水である。前記緩衝液は、存在する場合、リン酸緩衝液であることができる。いくつかの実施形態では、前記流体は、フローサイトメトリー用のシース液として適した流体、又はフローサイトメトリー用のシース液を提供する1以上の他の物質と組み合わせることができる流体である。好ましくは、流体供給部104を通じて開放端102に提供される前記流体自体は、フローサイトメトリー用のシース液として好適である。
【0075】
前記流体は、例えば、プローブ入力ポンプ41を用いてポンピングすることによって流体供給部104に提供することができる。好ましい実施形態では、流体供給部104を通る開放端102までの流体の流量が調整され、これは、流量計による測定及び/又は流量レギュレーターによる流量制御を含むことができる。流体供給部104を通る開放端102までの前記流体の前記流量はまた、いくつかの実施形態では、フローサイトメトリーに適した体積流量である。かかる実施形態では、前記流量は、10~1000μL/分、特に10~20μL/分又は100~1,000μL/分であることができる。流体供給部104を通る開放端102までの前記流体の前記流量は、プローブ11の前記開放端102から前記流体排出部105を通る流体ストリームを除去するための流量よりも大きい、実質的に同一である、又は同一であることができる。いくつかの実施形態では、流体供給部104を通る開放端102までの前記流体の前記流量は、プローブ11の前記開放端102から前記流体排出部105を通る流体ストリームを除去するための流量よりも1%~10%大きく、より好ましくは、約5%大きい。少なくとも流体排出部105を通して除去された前記流体を置き換えるように、流体供給部104を通る開放端102まで十分な流量を維持することにより、分析及び/又はソーティングシステム10の前記プローブ11及びそれを使用する方法は、空気又は他のガスが流体排出部105に流入を回避し、それによって、フローサイトメーター20へのガスの望ましくない存在を回避する。
【0076】
プローブ11の開放端102に到達すると、前記流体は、図5に示されるように流体ドーム107を形成することができる。サンプルは、流体ドーム107との接触によって開放端102に入ることができる。いくつかの実施形態では、前記流体ドーム107が、チューブ、フラスコ、又はウェルプレート50のウェル51などの1以上のサンプル容器内で、サンプルそのもの、又は前記サンプルの水性懸濁液又は分散液と接触すると、前記サンプルは、前記流体ドーム107に入ることができる。他の実施形態では、前記サンプルは、開放端102にサンプルの液滴又はスプレーを提供することによって、好ましくはドーム107を有する開放端102に提供することができる。例えば、前記方法のいくつかの実施形態は、自動化されたピペッティングシステムによって、又は個々のウェル内のサンプルに音響エネルギーを向けて前記サンプルの液滴をプローブ11の開放端102に向けて吐出させることによって、プローブ11の開放端102にサンプルを輸送することができる。いくつかのかかる実施形態、例えば、他の方向でも表面張力又は接着などの力によって前記サンプルを保持するほど、ウェル又は他の1以上のサンプル容器が十分に狭い実施形態では、前記プローブの前記開放端を上向き方向、下向き方向、横方向、又は垂直方向に対して斜めの角度に向けることができる。いくつかのかかる実施形態では、前記プローブが上向き方向で、前記以上のサンプル容器が逆向きであることが特に好ましい場合がある。いくつかの場合には、サンプル及び/又は流体は、ドームを形成することなく前記プローブに引き込まれ得る。
【0077】
前記流体及び前記サンプルを含む流体ストリームは、例えば、プローブ-フローサイトメーターポンプ42によるポンピングによって、流体排出部105を通って開放端102から除去することができる。好ましい実施形態では、開放端102から出た後、流体排出部105を通る前記流体ストリームの前記流量が調節され、これは、流量計による測定及び/又は流量レギュレーターによる流量制御を含むことができる。追加的又は代替的に、センサを使用して、直接又は間接的に流量を測定することができる。例えば、流体供給部104を通る流量と流体排出部105を通る流量との間のバランスを維持するために、光ベースセンサなどのセンサにより、ドーム107のサイズ及び/又は形状を測定することができる。いくつかの実施形態では、プロセッサを使用して、流体供給部104を通る流量及び流体排出部105を通る流量をモニター及び/又は制御することができる。かかるプロセッサは、存在する場合、1以上の流量計及び/又は光ベースセンサなどの1以上のセンサからのデータを受信することができる。追加的又は代替的に、かかるプロセッサは、存在する場合、1以上のフローレギュレーターを制御するためのデータを提供することができる。開放端102から離れる方向において流体排出部105を通る前記流体ストリームの前記流量は、いくつかの実施形態では、フローサイトメトリーに適した体積流量でもある。かかる実施形態では、前記流量は、10~1000μL/分、特に10~20μL/分又は100~1,000μL/分であることができる。開放端102から出る流体排出部105を通る前記流体ストリームの前記流量は、流体供給部104を通って開放端102までの前記流体の前記流量より少ない、実質的に同一である、又は同一であることができる。いくつかの実施形態では、開放端102から出る流体排出部105を通る前記流量は、流体供給部104を通って開放端102までの流量よりも1%~10%少なく、より好ましくは、約5%少ない。流体排出部105を通る十分に低い流量を維持して、流体供給部104を通って開放端102に供給された前記サンプル及び前記流体に伴うガス又は空気の流入を防ぐことによって、分析及び/又はソーティングシステム10の前記プローブ11及びそれを用いる方法は、フローサイトメーター20へのガスの望ましくない存在を避けることができる。
【0078】
次いで、前記プローブ11の開放端102から前記プローブ11の流体排出部105を通って除去された前記流体ストリームは、フローサイトメーター20に輸送される。いくつかの実施形態では、プローブ-フローサイトメーターライン32が前記流体ストリームを輸送する。プローブ-フローサイトメーターライン32は、いくつかの実施形態では、ジョイント、ジャンクチャ(juncture)、又はバルブを有さないことができる。他の実施形態では、プローブ-フローサイトメーターライン32は、少なくとも、ジョイント、ジャンクチャ、又はバルブを含む。前記流体ストリーム中のガスの望ましくない存在を回避するプローブ11の実施は、いくつかの実施形態では、空気又はガスの気泡がプローブ-フローサイトメーターライン32に提供されず、空気又はガスの気泡がジョイント、ジャンクチャ、又はバルブ内に不利益に保持されて、プローブ-フローサイトメーターライン32を通る流体のフローを損なわせることがないので、ジョイント、ジャンクチャ、又はバルブの存在による問題がより少なくなり得ることを意味し得る。
【0079】
前記流体ストリームは、前記プローブ11の開放端102から前記プローブ11の流体排出部105を通ってフローサイトメーター20に輸送されるので、前記流体ストリームは、更なる1以上の成分を受容する、即ち、それと合一する場合もしない場合もある。いくつかの実施形態では、前記流体ストリームは、追加成分なしに前記フローサイトメーター20に移動する。他の実施形態では、前記流体ストリームを水で希釈することができる、又は任意に緩衝化された生理食塩水溶液を添加することができる。
【0080】
前記フローサイトメーター20に入ると、前記流体ストリームは、いくつかの実施形態では、例えば、蛍光活性化セルソーティングによって分離され得る。いくつかの実施形態では、前記分離プロセスは、好ましくは、その中央部分に前記サンプルを含む前記流体ストリームによるシースフローの生成を含む、流体力学的フォーカシングによる前記流体ストリームのフローの制御を含む。他の好ましい実施形態では、前記流体のフローは、その中央部分に前記サンプルを含む前記流体ストリームによるシースフローの生成を強化するために、超音波による音響フォーカシングによって制御することができる。次いで、前記流体ストリームを液滴に分離することができ、その大部分又は全てが、好ましくは、生物材料の1つの細胞又は他の単位を含み、前記液滴は、それぞれ電荷を有する。次いで、液滴中に存在する場合、標識が検出される。いくつかの実施形態において、検出は、液滴に対して、好ましくはレーザービームの形態で電磁エネルギーを与えることを含む。次いで、前記エネルギーは、好ましくは蛍光励起を介して、標識を励起することができる。次いで、カメラ又は他の光検出装置により、蛍光の有無を検出することができ、それによって、前記液滴中の標識サンプルの有無を検出する。次いで、前記流体ストリームの液滴を、前記標識サンプルの検出有無に基づきソーティングすることができる。これは、前記液滴に与えられた電荷によって、少なくとも2つの容器又は他の受容点、例えば、ウェルプレート内のウェル、チューブ、又はフラスコに前記液滴を向けることを含む。他の実施形態では、標識サンプルは、前記標識の検出有無に基づいて、磁気ソレノイドソーティングバルブを使用して流体フローから少なくとも2つの容器にソーティングされる。フローサイトメトリーベースのソーティングのこれら又は他の方法によって、前記サンプルは、少なくとも1つの標識された成分と、少なくとも1つの標識されていない又は異なる標識をされた成分とに分離され得る。特定の実施形態では、標識された成分は、単一又は個々の成分として個々の容器にソーティングされ得る。例えば、前記標識された成分が細胞である場合、単一又は個々の細胞は、その容器内の唯一の標識された成分として、個々の容器にソーティングされる。
【0081】
更に他の実施形態では、図1及び図2に示されるように、フローサイトメトリーによるソーティングは、マイクロ流体ソーティングによって前記サンプルを少なくとも2つの容器61a及び61b、又はマイクロ流体ソーティングデバイスによって指定される他の受容点、例えば、複数のウェルプレート内のウェル又は同一ウェルプレート内のウェルにソーティングすることを含むことができる。マイクロ流体ソーティングは、プローブ11からの流体ストリームの成分を、成分に提供される任意の蛍光、磁気、同位体、又は化学標識に基づいて、及び/又はサイズ、形状、密度、結合能力、導電率、又は音響特性など標識とは無関係の成分の性質に基づいてソーティングすることを除き、特に限定されない。マイクロ流体ソーティングは、前記流体ストリーム中の前記サンプルの多くの若しくは大部分の細胞又は他の粒子が上記の標識及び/又は性質に基づいて個別成分に分離されるように、前記流体ストリームを制御することを含み得る。特定の実施形態では、図1及び図2の実施形態に示されるように、標識及び/又は性質の所定のセットを含む成分は、分離され、1つの容器61aにソーティングされ、標識及び/又は性質の所定のセットを有さない成分は、別の容器61bにソーティングされる。これらの容器は、マイクロプレートなどのウェルプレートの別々のウェル、又は別々のチューブであることができる。いくつかの実施形態、例えば、蛍光又は他の光又は放射線に基づく現象に基づく分析又はソーティングを伴わない実施形態では、フローサイトメーター20としてのマイクロ流体ソーティングデバイスは、レーザ22を示す図1及び図2の実施形態とは異なり、レーザを含まなくてもよい。
【0082】
いくつかの実施形態では、フローサイトメトリーによるソーティング後、ソーティングされた成分を含む1以上の得られた流体ストリーム、画分、及び/又は容器は、前記サンプルの標識成分について濃縮され得る。これは、標識成分が、回収された他の画分(例えば、1以上の第2の流体ストリーム、画分、及び/又は容器)に対してより多くの数及び/又は量で存在することを意味する。いくつかの場合には、標識成分について濃縮されるということは、標識成分の測定可能又は検出可能な数又は量を意味し得る。例えば、濃縮画分は、画分中の非標識成分に対して、又は元のサンプル中の合計標識成分の量に対して、少なくとも90、91、93、95、96、97、98、99、99.5、99.8%、又はそれ以上の標識成分を含み得る。いくつかの構成では、非標識成分は、1以上の第2の画分に回収され得る。これらは、破棄しても分析してもよい。非標識成分を含む1以上の第2の画分は、実質的に標識成分を含まない又は低減されている。例えば、これらの画分は、標識成分について濃縮された画分に対して、標識成分が15%、10%、5%、4%、3%、3%、2%、1%未満、又は含まないことがある。いくつかの場合では、この相対量は、粒子数、質量ベースの量、重量%、標的標識強度などに基づくことができる。量の決定は、吸収、質量分析、クロマトグラフ、セルカウンター、酵素アッセイ(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼベースのアッセイ、ELISA)、比色アッセイ、蛍光アッセイなどの当技術分野でよく知られた技術を用いて行うことができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、前記フローサイトメーター20で分離した後、前記サンプルから得られた1以上の成分を、治療を必要とする対象に投与するために調製することができる。前記サンプルから得られた前記1以上の成分が細胞を含むいくつかの実施形態では、、前記細胞を培養してもよい。更に、必要に応じて、医薬アジュバントを添加することができ、前記標識を含む特定成分を除去することができる。
【0084】
いくつかの実施形態では、前記フローサイトメーター20での分離後、及びいくつかの実施形態では、更なる調製後、前記サンプルから得られた1以上の成分を、治療を必要とする患者に投与することができる。前記患者は、例えば、癌、特に黒色腫、急性リンパ性白血病、卵巣癌、結腸癌、前立腺癌、脳癌、又は乳癌の治療を必要としている場合がある。
【0085】
前記システム及び方法は、例えば、参照によりその全体を本明細書に援用するPing, Y. et al., “T-cell receptor-engineered T cells for cancer treatment: current status and future directions” Protein Cell 2018 9(3):254-256に論じられている、T細胞受容体(TCR)療法、キメラ抗体受容体T細胞(CAR-T)療法、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)療法、又はそれらの任意の組合せの他の様相を含む、細胞ベース療法に関して更に有用であり得る。
【0086】
他の実施形態では、前記サンプルをフローサイトメーターで分析することができ、異なる性質を有する、又は様々なパラメータを満たすサンプル中の成分の存在、含量、頻度、及び/又は分布に関するデータを収集することができる。特に、前記サンプルを測定することができ、標識された生物材料、標識された分析試薬、又は標識された粒子状成分などの標識された成分の存在及び/又は頻度に関するデータを収集することができる。いくつかの実施形態では、いずれについても前記したが、フローサイトメトリーによる分析をフローサイトメトリーによるソーティングと組み合わせることができる。他の実施形態では、フローサイトメトリーによる分析をソーティングせずに行うことができ、前記サンプルを含む前記流体ストリームは、分析後に廃棄することができる。
【0087】
本明細書における「実施形態」への言及はいずれも、前記実施形態に関して記載される具体的な特徴、構造、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書中の様々な箇所で記載されるかかる句は、必ずしも全てが同一実施形態に言及している訳ではない。更に、具体的な特徴、構造、又は特性が任意の実施形態に関して記載される場合、前記実施形態の他のものに関してかかる特徴、構造、又は特性を達成することは、当業者の範囲内であるとする。任意の1つの実施形態の特徴を、本明細書に記載の1以上の他の実施形態の特徴と組み合わせて、更なる実施形態とすることができる。
【0088】
本発明について、いくつかの例示的な実施形態を参照しつつ本明細書に記載してきたが、当業者であれば、本発明の原理の精神及び範囲内の他の多くの修正及び実施形態を考案することができる。より具体的には、本発明の精神から逸脱することなく、前述の開示、図面、及び添付の特許請求の範囲内において、本組合せ配置の構成部分及び/又は配置における合理的な変形及び修正が可能である。構成部分及び/又は配置の変形及び修正に加えて、代替の使用法も当業者には明らかである。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】