(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-21
(54)【発明の名称】液体を濾過する方法及びフィルター装置
(51)【国際特許分類】
B01D 65/02 20060101AFI20221014BHJP
C02F 1/44 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
B01D65/02 520
C02F1/44 C
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022524575
(86)(22)【出願日】2020-10-26
(85)【翻訳文提出日】2022-06-17
(86)【国際出願番号】 EP2020080074
(87)【国際公開番号】W WO2021083846
(87)【国際公開日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】102019129074.0
(32)【優先日】2019-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522166046
【氏名又は名称】メムビオン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴォッセンカオル、クラウス
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルメリンク、ダーク
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA05
4D006GA06
4D006GA07
4D006HA03
4D006JA15A
4D006JA31A
4D006KC02
4D006KC14
4D006MA01
4D006MA03
4D006PA01
(57)【要約】
本発明は、液体2内へ浸漬され且つ複数の膜76を含む膜フィルター64において液体2を濾過するための方法に関し、本方法は、膜76が洗浄されるようにガス1をガス導入装置63によって膜フィルター64の基部内へ連続パルスで導入し、そして最初に、液体2の表面4の下方に配置され且つ液体2のレベル5によって下方向に画定されるガス体積6をガス1で充填し、ガス1は同時に、レベル5がガス流出チャネル13、73の入口断面12、72の下方へ低下するまで、上から下へガス上昇チャネル14、70から液体2を変位させ、そして次に、ガス1をガス体積6から下方へ流出させ、ガス上昇チャネル14、70を通し、ガス上昇チャネルの底部で隣接している偏向部11、71を通し、入口断面12、72、及び入口断面12、72に上部で隣接しているガス流出チャネル13、73を通して上方向に流し、ガスを表面4へ流すことを備え、筐体80が膜76を横方向に展開し上部でガス導入装置63に隣接することを特徴とする。本発明は、また、液体2を濾過するための膜フィルター64であって、複数の膜76を含む膜フィルターと、本方法を行うために膜76の下方に配置されたガス導入装置3、63とを備えるフィルター装置84に関する。本発明の目的は、導入された空気の洗浄効果を改善することである。本目的は、膜76を横方向に囲みガス導入装置の上部でガス導入装置63に接続される筐体80によって達成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体(2)内へ浸漬され且つ複数の膜(76)を含む膜フィルター(64)において液体(2)を濾過するための方法であって、本方法は、
前記膜(76)を洗浄するように、ガス(1)をガス導入装置(63)によって前記膜フィルター(64)の基部内へ連続パルスで導入し、そして
最初に、前記液体(2)の表面(4)の下方に配置され且つ前記液体(2)のレベル(5)によって下方向に画定されるガス体積(6)を前記ガス(1)で充填し、前記ガス(1)は同時に、前記レベル(5)がガス流出チャネル(13、73)の入口断面(12、72)の下方へ低下するまで、上から下へガス上昇チャネル(14、70)から前記液体(2)を変位させ、そして次に
前記ガス(1)を前記ガス体積(6)から下方へ流出させ、前記ガス上昇チャネル(14、70)を通し、前記ガス上昇チャネルの底部で隣接している偏向部(11、71)を通し、前記入口断面(12、72)、及び上部で前記入口断面(12、72)に隣接している前記ガス流出チャネル(13、73)を通して上方向に流し、前記ガスを前記表面(4)へ流すことを備え、
筐体(80)が前記膜(76)を横方向に展開し上部で前記ガス導入装置(63)に隣接することを特徴とする、液体を膜フィルターにおいて濾過するための方法。
【請求項2】
前記液体の遮断流(18)が、ガス上昇入口(16、69)の下方の補償入口(17、75)から前記入口断面(12、72)へ流れ、前記液体(2)が前記偏向部(11、71)を充填することにより前記ガス(1)に対して前記入口断面(12、72)を閉じるまで、前記ガス(1)に沿って引っ張られることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記レベル(5)が前記入口断面(12、72)の下方へ低下した後、最初に前記ガス(1)のみが、前記レベル(5)が前記補償入口(17、75)の上方へ上昇するまで、前記ガス流出チャネル(13、73)を通って流れ、
その場合にのみ、前記遮断流(18)は前記補償入口(17、75)から前記入口断面(12、72)へ流れることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
フィルター装置(84)であって、
液体(2)を濾過するための膜フィルター(64)であって、複数の膜(76)を含む膜フィルターと、前記膜(76)の下方に配置されたガス導入装置(3、63)と、を備えるフィルター装置であって、前記ガス導入装置は、
基部で開放し且つ上壁(8、68)及び横壁(9、66)によって画定されるガス捕集空洞(7、65)と、
前記ガス捕集空洞(7、65)内へガス(1)を流すように構成されたガス入口(10、67)と、
ガスを前記ガス捕集空洞(65)から吸い上げ且つ前記ガス捕集空洞を空にするように構成されたガス上昇チャネル(70)であって、前記ガス捕集空洞(7、65)の上部にガス上昇入口(16、69)を含むガス上昇チャネルと、
前記ガス上昇チャネル(14、70)の底部に配置された偏向部(11、71)と、
前記偏向部(11、71)の上部に配置された入口断面(12、72)と、を含み、
ガス流出チャネル(13、73)が前記入口断面(12、72)の上部で接続され、
横方向に前記膜(76)を囲み且つ前記ガス導入装置の上部で前記ガス導入装置(63)へ接続される筐体(80)を特徴とする、フィルター装置。
【請求項5】
補償入口(17、75)が前記ガス上昇入口(16、69)の下方に配置され且つ前記入口断面(12、72)に向かって流動可能であることを特徴とする、請求項4に記載のフィルター装置(84)。
【請求項6】
前記補償入口(17、75)は前記入口断面(12、72)のレベル以上に配置されることを特徴とする、請求項5に記載のフィルター装置(84)。
【請求項7】
前記補償入口(17、75)は前記ガス上昇チャネル(14、70)上に形成されることを特徴とする、請求項5及び6のいずれか一項に記載のフィルター装置(84)。
【請求項8】
前記偏向部(11、71)に向かう方向に前記補償入口(17、75)に接続する補償チャネル(15、74)を特徴とする、請求項5から7までのいずれか一項に記載のフィルター装置(84)。
【請求項9】
前記補償チャネル(15、74)は前記ガス上昇チャネル(14、70)内へ通じることを特徴とする、請求項8に記載のフィルター装置(84)。
【請求項10】
前記補償チャネル(15、74)は前記ガス上昇チャネル(14、70)に平行に前記偏向部(11、71)内へ通じることを特徴とする、請求項8及び9のいずれか一項に記載のフィルター装置(84)。
【請求項11】
前記補償入口(17、75)の断面が、前記補償チャネル(15、74)の最小断面よりも大きいことを特徴とする、請求項8から10までのいずれか一項に記載のフィルター装置(84)。
【請求項12】
前記ガス導入装置(3、63)は前記ガス捕集空洞(7、65)を垂直に貫通する液体流チャネル(83)を含み、前記液体(2)を膜フィルター(64)の底部内へ入れることを特徴とする、請求項4から11までのいずれか一項に記載のフィルター装置(84)。
【請求項13】
前記筐体(80)は連続管(81)であることを特徴とする、請求項4から12までのいずれか一項に記載のフィルター装置(84)。
【請求項14】
前記膜(76)の下方のガス分配器(82)を特徴とし、前記ガス出口チャネル(13、73)は前記ガス分配器内へ通じる、請求項4から13までのいずれか一項に記載のフィルター装置(84)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体内へ浸漬された膜フィルターであって、複数の膜を含む膜フィルターにおいて液体を濾過するための方法に関する。膜を洗浄するために、ガス導入装置を用いて連続パルスで下方から膜フィルター内へガスを導入し、液体の表面の下方に配置され且つ液体のレベルによって底部で画定されるガス体積を最初にガスで充填し、ガスは同時に、液体のレベルがガス流出チャネルの入口断面の下方へ低下するまで、上から下へガス上昇チャネルから液体を変位させ、そして次にガスを、ガス体積から下方へ流出させ、ガス上昇チャネル、及びガス上昇チャネルの底部でガス上昇チャネルに隣接している偏向部を通し、入口断面、及び上方からガス入口断面の上部で入口断面に隣接しているガス流出チャネルを通して上方向に流し、次に液体の表面へガスを流す。
【0002】
本発明は、また、フィルター装置に関し、本装置は、膜によって液体を濾過するための膜フィルター及び膜の下方に配置されたガス導入装置と、上壁及び下壁によって画定される下方開放ガス捕集空洞と、ガス捕集空洞内へガスを導入するためのガス入口と、ガスをガス捕集空洞から上昇させてガス捕集空洞を空にするためのガス上昇チャネルとを備え、ガス上昇チャネルは、ガス捕集空洞の上部のガス上昇入口と、ガス上昇チャネルの底部に配置された偏向部と、偏向部の上部に配置された入口断面とを含み、ガス流出チャネルがガス流出チャネルの上部で隣接する。
【背景技術】
【0003】
一般的な方法及び一般的なガス導入装置は、US2015/0265973A1、CN104084049A及びCN105854619Aから知られている。
【0004】
公知の方法及び公知のガス導入装置は、例えば、膜バイオリアクター(MBR)において見つけられることができる膜フィルター内へガスを導入するために構成される。ガス導入装置は、膜フィルターの下方に位置決めされ、本質的に一定の空気体積流が供給され、この流れは次にパルス状にガス導入装置から流出する。
【0005】
濾過された物質で膜が詰まることを防止するために、空気は、液体の表面に向かう経路上で下方から膜フィルター内へ導入され、ガスは、ガス導入装置の上部に設置された膜フィルターを通って流れる。空気及び濾過される液体から作られた2相流の剪断力によって膜を洗浄する。
【0006】
液体のパルスの出口が、空気のチャネル形成を同時に防止しながら、連続ガス導入よりも高い剪断力を生成し、これは、上昇する気泡が常に新たに形成され、したがって、常に膜フィルターを通る新しい経路を見つける必要があることを意味する。
【0007】
常に空気が供給され、且つ空気をパルス状に放出するガス導入装置が、間欠泉としても指定される。
【0008】
ガス捕集空洞内に蓄積されるガス体積は、ガスがガス捕集空洞を実質上、空にするようにパイプを連通させる原理によって、ガス導入装置から流出する場合に、入口断面へ接続されたガス上昇チャネルを通して引っ張られる。
【0009】
ガス捕集空洞を空にする間、流出するガス体積流は、補償入口から液体を吸引し、空気上昇ポンプ効果によって流出チャネルを通して液体を搬送する。これにより、ガス体積流は、ガス導入装置がより高いガス流で操作されることができるようにガス捕集空洞を空にした後、より迅速に治まるという利点がある。
【0010】
公知の方法及びフィルター装置では、空気は、間欠泉(ガス導入装置)から、最初に横方向に開放された部分内へ流入するので、空気によって変位した液体の大部分は、モジュールから横方向に変位し、したがって、膜を洗い流すために使用することができない。さらに、空気パルスの大きさによっては、空気の一部がモジュールの底部でモジュールから横方向に逃げて、膜フィルターに隣接して上昇するが、この手段は膜に対する洗浄効果がなく使用されない。
【0011】
発明の背景では、WO2016/064466A(Koch Membrane Systems)、US2009/0194477A1(Asahi Kasai)、US10,179,311B2(住友電工)、CN104519984BB(Samsung Cheil Industries)、KR20190002717A(三菱化学)及びWO2011/028341A1(Zenon Technology Partnership)が、補償入口を含まず、したがって脈動方式でむしろ低いガス体積供給でのみ操作可能であるガス導入装置を開示している。これらのフィルター装置においても、空気は、出るときに、間欠泉から横方向に開放している領域へ流れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許出願公開第2015/0265973号
【特許文献2】中国特許出願公開第104084049号
【特許文献3】中国特許出願公開第105854619号
【特許文献4】国際特許出願公開第2016/064466号
【特許文献5】米国特許出願公開第2009/0194477号
【特許文献6】米国特許出願公告第10,179,311号
【特許文献7】中国特許出願公告第104519984号
【特許文献8】韓国特許出願公開第20190002717号
【特許文献9】国際特許出願公開第2011/028341号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の目的は、導入されている空気の浄化効果を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
公知の方法を改善して、本発明により、筐体が複数の膜を横方向に囲み上部でガス導入装置に直接隣接するということが提案される。
【0015】
したがって、膜フィルターのこの構成の利点は、膜フィルター内へ導入されたガスは、ガス導入装置に間隙なく隣接し且つガスが膜を洗浄するために効果的に使用されるように膜を横方向に囲む筐体のため、膜フィルターを出ることができないことである。
【0016】
このように、空気によって変位した液体も膜フィルターから横方向に逃げることができないので、液柱の加速度が増加することも利点である。筐体における導入されたガスから形成され、且つ結束して最初に上昇する気泡は、上方に配置された液体柱を加速し、膜も通り過ぎて高速で流れ、発生した剪断力のため、膜から降着を取り除く。導入された空気の洗浄効果は、両方の効果によっておよそ一桁改善され、洗浄に使用するエネルギーがそれに伴って低減される。
【0017】
有利には、液体の遮断流は、ガスリフタ入口の下方の補償入口から入口断面へ流れ、次いで、液体が偏向部を充填することによりガスに対して入口断面を閉じるまで、ガスに沿って引っ張られる。
【0018】
本発明による方法によれば、ガス導入装置における液体のレベルは、ガス体積を空にする間に再び上昇し、ここで、ガス体積は、下方から流入する液体によって変位する。 したがって、流出チャネル内へ上昇するガスの吸引効果により、液体の遮断流は、補償入口を通って引っ張られて、入口断面へ流れる。この液体の遮断流はガスに沿って引っ張られ、それにより、液体は、偏向部を充填し、したがって入口断面を充填するので、気体に対してバルブのように閉じる。
【0019】
したがって、本発明による方法は、ガスの流出が、ガス体積が高いガス体積流供給下であっても実質的に空にされ且つガス体積を再び充填することができる時点で、中断されることを保証する。これにより、ガスの脈動が、高いガス体積流供給においても確保される。
【0020】
有利には、ガスが、レベルが入口断面より下方に低下した後にレベルが補償入口の上方に上昇するまで、本発明による方法においてガス流出チャネルを通って流れるのみであり、その場合のみ、遮断流は補償入口を通って入口断面へ流れる。間欠泉は、次に、また、空気の流れがより大きい場合でも空になる直前に液体に沿って引っ張るので、間欠泉の停止が保証され、補充を開始することができる。
【0021】
これは、補償入口が出口チャネルを通るガス流の始めにガス連通していることを意味し、これは、補償入口が、本発明による方法を行うときに、ガスが充填されたガス捕集空洞内にあることを意味する。これは、液体流がガス吸引効果を妨げないので、ガス体積流が極端に低くてもガス体積を空にすることが確実に開始され、したがって、ガスを上昇させることによってガス体積を空にすることを保証する。
【0022】
間欠泉は、その後、空気流が非常に小さくても空にすることを開始する。
【0023】
したがって、本発明による方法は、実質的に一定のガス体積供給を非常に広い範囲で変化させることができ、次いで、安定した脈動で膜フィルター内へ導入されるという利点を有する。これにより、膜フィルターを通る脈動ガス体積流を、広範囲の濾過性能変動に亘ってそれぞれの濾過性能へ、省エネルギー方式で適合されることができる。
【0024】
これは、本発明による方法は、低エネルギー消費で膜の効果的な洗浄を実施するために、確実な脈動方式で可変ガス体積流供給でも可変濾過性能で膜フィルターを操作することを可能にすることを意味する。
【0025】
公知の濾過装置を改良して、本発明により、筐体が膜を横方向に囲み、上部のガス導入装置に直接隣接することが提案されている。本発明による濾過装置は、本発明による方法を行うことを容易にし、前掲に記載した利点を特徴とする。
【0026】
有利には、本発明による濾過装置は、ガスリフタ入口の下方に補償入口を含むガス導入装置を含み、ここで、補償入口は、入口断面の上方へ流動可能である。さらに有利には、補償入口は、入口断面のレベル以上に配置される。したがって、補償入口は、上壁の下方及び入口断面の上方又は同レベルに配置される。したがって、補償入口は、ガス捕集空洞が充填されるとき、ガスと連通し、補償入口は、ガス捕集空洞が空であるとき、液体と連通している。これは、ガス捕集空洞を脈動により空にして充填する間欠泉工程の開始及び停止工程について前掲に記載した利点を有する。
【0027】
本発明によるフィルター装置の簡単な実施例では、補償入口は、ガス上昇チャネル内へ通じる。液体が本実施例ではガス上昇チャネルにおいて強い下方流のガス体積流内へ直接導入されるので、ガスからの引張効果が比較的強く、ガス体積流供給の増加を制限する。この効果は、補償入口の上方のガス体積が次に引っ張って空にされないので、補償入口を拡大することによって相殺することができ、下方向のガス体積流供給の制限につながる。
【0028】
本発明によるフィルター装置の別の実施例では、補償チャネルは、偏向部に向かう方向に補償入口に隣接する。補償チャネルによって、補償入口の位置と、液体遮断流を出口ガス流内へ導入する位置とが分離され、ガス体積流供給の変動の増加をもたらす。
【0029】
フィルター装置の有利な実施例では、補償チャネルは、ガス上昇チャネルに平行な偏向部内へ通じる。これにより、遮断液体流の導入の位置が可能な限り下方に変位する。これにより、液体は、ガス体積流とは別に、液体がガスに対する遮断効果を発生させる位置へ正確に供給され、より高いガス体積流供給においても出口ガス流の停止を保証するという利点を有する。
【0030】
ガス体積流供給は、本発明によるフィルター装置の代替実施例を用いて脈動を確実に維持しながら、補償チャネルとガス上昇チャネルとを互いに平行に偏向部に対して接続するときに補償入口の断面を補償チャネルの最小断面よりも大きくすることによって、さらに増加させることができる。これは、液体の遮断流を増加させ、ガスに対して入口断面をより迅速に、したがってより確実に閉じることも、より高いガス体積流供給のために行われる。
【0031】
したがって、膜フィルターは、例えば、中空フィルター膜、板膜、クッション膜又はカーテンを形成するように接続された中空糸膜のような様々な種類の膜で構成されることもできる。膜は、有利には、0.02μmから1μmの間の孔径を有する限外又は精密濾過膜の分野からのものである。しかしながらナノ濾過又は低圧逆浸透の分野からの他の膜も使用されることができる。
【0032】
膜フィルター内の液体体積は、膜によって予め保持されていたフィルター内の物質の濃縮を防止するためにガスで膜を洗浄しながら置き換えられる必要があるので、ガス導入装置は、液体流を膜フィルターの底部内へ流入させるためにガス捕集空洞を垂直に貫通する液体流チャネルを含む。
【0033】
本発明によるフィルター装置の有利な実施例では、膜フィルターの筐体は管として構成される。管は、円形、長方形、又は任意の他の断面を有することができる。管の利点は、例えば、押出による経済的な生産である。
【0034】
ガス導入装置から膜フィルター内へ導入される空気を最適な方式で分配するために、本発明によるフィルター装置の一実施例は、膜の下方にガス分配器を含み、ここで、流出チャネルはガス分配器に通じる。
【0035】
本発明によるフィルター装置において、流チャネルは、ガス導入装置の筐体の壁によって部分的又は完全に形成される。流チャネルには、流出チャネル、補償チャネル及び偏向部が含まれる。
【0036】
本発明は、続いて、以下の図面を参照して有利な実施例に基づいてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】
図1a-iは、本発明によるガス導入装置を示す本発明による方法の工程ステップを断面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図面は縮尺どおりではない。その後に記載される方法又はガス濾過装置の全ての詳細は、前掲に記載した本発明による濾過装置の実施例と同一である。
【0039】
図1aは、本発明による第1のガス導入装置3を用いて液体2内へガス1を導入するための本発明による第1の方法の工程ステップを断面図に示す。
【0040】
ガス導入装置3は、液体2の表面4の下方に配置され且つ液体2のレベル5によって下方向に画定されるガス体積6を含む。ガス体積6は、上壁8及び側壁9によって画定されるガス捕集空洞7に配置される。ガス捕集空洞7の下方に且つガス捕集空洞7から離れて設置されたガス入口10から、ガス1はガス捕集空洞7内へ導入されるので、液体2のレベル5が低下するようにガス体積6を充填する。これにより、ガス捕集空洞7にある液体2は、この時点において順次、ガス1を下方向に流入させることによって変位し、ガス1に置き換えられる。
【0041】
本発明によるガス導入装置3は、上部に入口断面12を含む偏向部11を含み、ガス流出チャネル13は、上部の入口断面に結合する。ガス上昇チャネル14及び補償チャネル15が偏向部11内へ通じる。ガス上昇チャネル14は、ガス捕集空洞7の上部に開放ガス上昇入口16を含み、補償チャネル15は、ガス捕集空洞7において上壁8の下方に補償入口17を含み、ここで補償入口17の断面は、補償チャネル15の最小断面よりも大きいサイズである。さらに、ガス出口チャネル13は、上壁8を貫通する。
【0042】
図1b-1dは、ガス1によるガス捕集空洞7の追加充填、したがってガス体積6の追加充填及び液体2のレベル5の追加的な低下を示す。
図1bに例示するように、ガス1は、ガス上昇チャネル14がガス1で上から下へ充填されるようにガス体積6を充填すると、上方からガス上昇入口16を通りガス上昇チャネル14内へ移動する。
【0043】
図1cでは、レベル5は補償入口17の下方に低下し、ガス1は上方から補償チャネル15内へ移動する。
図1a-1cに示す方法ステップの間、ガス流出チャネル13は流体2で充填されたままであり、これはガス導入装置3からガスが流出しないことを意味する。
【0044】
図1dでは、液体2のレベル5は、入口断面12の下方に低下した。この瞬間からガス1は、ガス体積6からガス上昇チャネル14及び補償チャネル15を通って下方向に偏向部11へ流出した後、入口断面12、その後、ガス流出チャネル13を通り表面4へ流れる。
【0045】
図1eは、ガス捕集空洞7におけるガス体積6が流出ガス1によって減少する様子を示す。これにより、ガス捕集空洞7から流出するガス1は、液体2のレベル5が再び上昇するように、下方から流入する液体2に順次置き換えられる。
【0046】
ガス流出チャネル13を通って流出するガス1は、ガス流出チャネル13内及び隣接しているガス上昇チャネル14内及び補償チャネル15内を真空にする。ガス上昇入口16並びに補償入口17は、この時点ではガス捕集空洞7においてガス1で充填されたガス体積6に配置されているので、最初にガス1のみが、作成された吸引によって誘起されてガス出口チャネル13を流れる。
【0047】
図1fは、液体2のレベル5が補償入口17に到達する瞬間を示す。この時点までは、ガス1のみがガス出口チャネル13を流れた。
【0048】
図1gは、補償入口17が、ガス上昇チャネル14を通って流出するガスのためレベル5がさらに増加する間に、流体2であふれている様子を示す。
【0049】
図1hは、液体2の遮断流18が、ガス流出チャネル13から流出するガス1の吸引効果によって補償入口17から引っ張られるので、液体2の遮断流18が補償チャネル15を通って入口断面12へ流れ、流出ガス1に沿って引っ張られ、その後、液体2の遮断流18が
図1iの偏向部11を充填し、ガス1に対してバルブのように入口断面12を閉じる様子を示す。
【0050】
図2は、膜フィルター64の下方に取り付けられる本発明によるガス導入装置63の断面図を示す。ガス導入装置63は、横幅20cmの長方形管として構成された横壁66によって横方向に画定されるガス捕集空洞65を有する。ガス捕集空洞65は、その下方に配置され且つ操作時にガスでガス捕集空洞65を充填するように構成されたガス入口67で下方向に開口している。ガス上昇入口69は、上部で、上壁68の下方のガス捕集空洞65内へ通じ、ここで、ガス上昇チャネル70は、ガス上昇入口69に隣接する。ガス上昇チャネル70は、上部の入口断面72に隣接している偏向部71内へ底部で通じる。偏向部71は、底部の横壁66を貫通する。ガス出口チャネル73は、上部で入口断面72へ接続されている。さらに、ガス導入装置63は、側壁66内に配置される補償チャネル74を含む。補償チャネル74は、ガス捕集空洞65の上部に補償入口75を含み、底部で偏向部71内へ通じる。
【0051】
膜フィルター64は、底部で基部要素78内へ鋳造される中空糸膜77として構成された複数の膜76を含む。基部要素78は、中空糸膜77が中空糸膜77の管腔から濾液を抽出するために浸透捕集空洞へ開放管腔側で接続している浸透捕集空洞79を含む。中空糸膜77は、上部で個々に閉じられ、横壁66と同じ断面寸法を有し且つ上部で横壁66に隣接する長方形管81として構成される筐体80によって横方向に囲まれている。基部要素78の下方で、膜フィルター64は、ガス分配器82を含み、ガス流出チャネル73がガス分配器82内へ通じる。ガス導入装置63は、膜フィルター63の底部内へ液体を流入させるために、ガス捕集空洞65及び上壁68を垂直に貫通する液体流チャネル83を含む。ガス導入装置63と膜フィルター64との組み合わせにより、濾過装置84を共同で形成する。
【符号の説明】
【0052】
1 ガス
2 液体
3 ガス導入装置
4 表面
5 レベル
6 ガス体積
7 ガス捕集空洞
8 上壁
9 側壁
10 ガス入口
11 偏向部
12 入口断面
13 ガス流出チャネル
14 ガス上昇チャネル
15 補償チャネル
16 ガス上昇入口
17 補償入口
18 遮断流
63 ガス導入装置
64 膜フィルター
65 ガス捕集空洞
66 側壁
67 ガス入口
68 上壁
69 ガス上昇入口
70 ガス上昇チャネル
71 偏向部
72 入口断面
73 ガス出口チャネル
74 補償チャネル
75 補償入口
76 膜
77 中空フィルター膜
78 基部要素
79 浸透捕集空洞
80 筐体
81 管
82 ガス分配器
83 液体流チャネル
84 フィルター装置
【手続補正書】
【提出日】2021-05-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体(2)内へ浸漬され且つ複数の膜(76)を含む膜フィルター(64)において液体(2)を濾過するための方法であって、本方法は、
前記膜(76)を洗浄するように、ガス(1)をガス導入装置(63)によって前記膜フィルター(64)の基部内へ連続パルスで導入し、
ここで、前記ガス導入装置(3、63)は、ガス捕集空洞(7、65)を垂直に貫通し、前記液体(2)を前記膜フィルター(64)の底部内へ流入させる液体流チャネル(83)を含み、そして
最初に、前記液体(2)の表面(4)の下方に配置され且つ前記液体(2)のレベル(5)によって下方向に画定されるガス体積(6)を前記ガス(1)で充填し、前記ガス(1)は同時に、前記レベル(5)がガス流出チャネル(13、73)の入口断面(12、72)の下方へ低下するまで、上から下へガス上昇チャネル(14、70)から前記液体(2)を変位させ、そして次に
前記ガス(1)を前記ガス体積(6)から下方へ流出させ、前記ガス上昇チャネル(14、70)を通し、前記ガス上昇チャネルの底部で隣接している偏向部(11、71)を通し、前記入口断面(12、72)、及び上部で前記入口断面(12、72)に隣接している前記ガス流出チャネル(13、73)を通して上方向に流し、前記ガスを前記表面(4)へ流すことを備え、
筐体(80)が前記膜(76)を横方向に展開し上部で前記ガス導入装置(63)に隣接することを特徴とする、液体を膜フィルターにおいて濾過するための方法。
【請求項2】
前記液体の遮断流(18)が、ガス上昇入口(16、69)の下方の補償入口(17、75)から前記入口断面(12、72)へ流れ、前記液体(2)が前記偏向部(11、71)を充填することにより前記ガス(1)に対して前記入口断面(12、72)を閉じるまで、前記ガス(1)に沿って引っ張られることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記レベル(5)が前記入口断面(12、72)の下方へ低下した後、最初に前記ガス(1)のみが、前記レベル(5)が前記補償入口(17、75)の上方へ上昇するまで、前記ガス流出チャネル(13、73)を通って流れ、
その場合にのみ、前記遮断流(18)は前記補償入口(17、75)から前記入口断面(12、72)へ流れることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
フィルター装置(84)であって、
液体(2)を濾過するための膜フィルター(64)であって、複数の膜(76)を含む膜フィルターと、前記膜(76)の下方に配置されたガス導入装置(3、63)と、を備えるフィルター装置であって、前記ガス導入装置は、
基部で開放し且つ上壁(8、68)及び横壁(9、66)によって画定されるガス捕集空洞(7、65)と、
前記ガス捕集空洞(7、65)内へガス(1)を流すように構成されたガス入口(10、67)と、
ガスを前記ガス捕集空洞(65)から吸い上げ且つ前記ガス捕集空洞を空にするように構成されたガス上昇チャネル(70)であって、前記ガス捕集空洞(7、65)の上部にガス上昇入口(16、69)を含むガス上昇チャネルと、
前記ガス上昇チャネル(14、70)の底部に配置された偏向部(11、71)と、
前記偏向部(11、71)の上部に配置された入口断面(12、72)と、を含み、
ガス流出チャネル(13、73)が前記入口断面(12、72)の上部で接続され、
横方向に前記膜(76)を囲み且つ前記ガス導入装置の上部で前記ガス導入装置(63)へ接続される筐体(80)を特徴とする、フィルター装置。
【請求項5】
補償入口(17、75)が前記ガス上昇入口(16、69)の下方に配置され且つ前記入口断面(12、72)に向かって流動可能であることを特徴とする、請求項4に記載のフィルター装置(84)。
【請求項6】
前記補償入口(17、75)は前記入口断面(12、72)のレベル以上に配置されることを特徴とする、請求項5に記載のフィルター装置(84)。
【請求項7】
前記補償入口(17、75)は前記ガス上昇チャネル(14、70)上に形成されることを特徴とする、請求項5及び6のいずれか一項に記載のフィルター装置(84)。
【請求項8】
前記偏向部(11、71)に向かう方向に前記補償入口(17、75)に接続する補償チャネル(15、74)を特徴とする、請求項5から7までのいずれか一項に記載のフィルター装置(84)。
【請求項9】
前記補償チャネル(15、74)は前記ガス上昇チャネル(14、70)内へ通じることを特徴とする、請求項8に記載のフィルター装置(84)。
【請求項10】
前記補償チャネル(15、74)は前記ガス上昇チャネル(14、70)に平行に前記偏向部(11、71)内へ通じることを特徴とする、請求項8及び9のいずれか一項に記載のフィルター装置(84)。
【請求項11】
前記補償入口(17、75)の断面が、前記補償チャネル(15、74)の最小断面よりも大きいことを特徴とする、請求項8から10までのいずれか一項に記載のフィルター装置(84)。
【請求項12】
前記筐体(80)は連続管(81)であることを特徴とする、請求項4から
11までのいずれか一項に記載のフィルター装置(84)。
【請求項13】
前記膜(76)の下方のガス分配器(82)を特徴とし、前記ガス出口チャネル(13、73)は前記ガス分配器内へ通じる、請求項4から
12までのいずれか一項に記載のフィルター装置(84)。
【国際調査報告】