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特表2022-544880第1及び第2のピボット軸を備える毛切断ユニットを持つシェービングユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-21
(54)【発明の名称】第1及び第2のピボット軸を備える毛切断ユニットを持つシェービングユニット
(51)【国際特許分類】
   B26B 19/14 20060101AFI20221014BHJP
【FI】
B26B19/14 M
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022525024
(86)(22)【出願日】2020-12-23
(85)【翻訳文提出日】2022-04-27
(86)【国際出願番号】 EP2020087839
(87)【国際公開番号】W WO2021130350
(87)【国際公開日】2021-07-01
(31)【優先権主張番号】19219679.8
(32)【優先日】2019-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】デ ヴリース アルウィン ウィリアム
【テーマコード(参考)】
3C056
【Fターム(参考)】
3C056ED03
(57)【要約】
シェービング装置に用いるシェービングユニット3が、支持部材5と、支持部材5に接続された少なくとも2つの毛切断ユニット6とを有し、各毛切断ユニット6は、外部切断部材10と、外部切断部材10を少なくとも部分的に囲む皮膚支持面41を持つ皮膚支持部材40と、内部切断部材20とを有する。更に、各毛切断ユニット6において、皮膚支持部材40は、他の毛切断ユニット6の皮膚支持部材40とは独立して、第1のピボット軸42及び第2のピボット軸43の両方の周りで支持部材5に対して枢動可能である。個別のピボット軸42、43は、互いに対して垂直であり、皮膚支持部材40が第2ピボット軸43の周りで枢動可能な枢動角度の総範囲は、15°以上である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シェービング装置に使用されるシェービングユニットであって、
支持部材と、
前記支持部材に接続された少なくとも2つの毛切断ユニットとを有し、
各毛切断ユニットは、
複数の毛髪進入口を持つ外部切断部材と、
前記外部切断部材を少なくとも部分的に取り囲む皮膚支持面を持つ皮膚支持部材と、
前記毛切断ユニットの中心軸の周りで前記外部切断部材に対して回転可能であり、それぞれ切断刃を持つ複数の毛切断要素を含む内部切断部材であって、
前記内部切断部材の回転中に、前記毛切断要素の切断刃が、前記中心軸に対して、半径方向内側の円形境界と半径方向外側の円形境界とを持つ環状の切断経路をたどる、内部切断部材と、
第1のピボット軸であって、前記第1のピボット軸の周りで、前記皮膚支持部材が前記支持部材に対して他の毛切断ユニットの皮膚支持部材から独立して枢動可能であり、
前記第1のピボット軸が、前記中心軸に対して接線方向に延び、前記中心軸に対して軸方向に見て、前記環状切断経路の前記半径方向内側の円形境界の半径方向外側に配置される、第1のピボット軸とを含み、
各毛切断ユニットは更に、第2のピボット軸であって、前記第2のピボット軸の周りで、前記皮膚支持部材が、他の毛切断ユニットの皮膚支持部材から独立して前記支持部材に対して枢動可能であり、前記第2のピボット軸は、前記毛切断ユニットの第1のピボット軸に対して垂直に延び、前記皮膚支持部材が前記第2のピボット軸の周りで枢動可能な枢動角度の総範囲が15°以上である、第2のピボット軸を含む、シェービングユニット。
【請求項2】
各個別の毛切断ユニットの前記中心軸に対して軸方向に見て、前記個別の毛切断ユニットの前記第2のピボット軸が、前記中心軸に対して放射状に延びる、請求項1に記載のシェービングユニット。
【請求項3】
各個別の毛切断ユニットの前記第1のピボット軸が、前記個別の毛切断ユニットの前記中心軸に対して軸方向に見て、前記個別の毛切断ユニットの前記環状切断経路の前記半径方向外側の円形境界の半径方向外側に配置される、請求項1又は2に記載のシェービングユニット。
【請求項4】
前記支持部材が、前記毛切断ユニットの間の中央に配置され、各個別の毛切断ユニットの前記第1のピボット軸が、前記個別の毛切断ユニットの前記中心軸に対して軸方向に見て、前記中心軸と前記支持部材との間に配置される、請求項1乃至3のいずれかに記載のシェービングユニット。
【請求項5】
前記シェービングユニットが、3つの毛切断ユニットを有し、前記支持部材の中心線に対する軸方向に見て、各個別の毛切断ユニットの前記第2のピボット軸が前記中心線に対して放射状に延びる、請求項4に記載のシェービングユニット。
【請求項6】
前記中心線に対して軸方向に見て、隣接する毛切断ユニットの各一対の前記第2のピボット軸が120°の角度を囲む、請求項5に記載のシェービングユニット。
【請求項7】
各毛切断ユニットが更に、前記毛切断ユニットの前記内部切断部材及び前記外部切断部材を支持し、他の毛切断ユニットの集毛室とは別の前記毛切断ユニットの個々の集毛室を収容するハウジングであって、各個別の毛切断ユニットの前記皮膚支持部材が、前記個別の毛切断ユニットの前記ハウジングに接続され、各個別の毛切断ユニットの前記ハウジング、前記内部切断部材、前記外部切断部材及び前記皮膚支持部材は、前記個別の毛切断ユニットの前記第1のピボット軸及び前記第2のピボット軸の周りで前記支持部材に対して一緒に枢動可能である、ハウジングを有する、請求項1乃至6のいずれかに記載のシェービングユニット。
【請求項8】
各個別の毛切断ユニットの前記ハウジングが、前記個別の毛切断ユニットの前記第1のピボット軸及び前記第2のピボット軸を規定するピボット構造により、前記支持部材に接続される、請求項7に記載のシェービングユニット。
【請求項9】
各個別の毛切断ユニットの前記ピボット構造が、
前記個別の毛切断ユニットの前記ハウジングに設けられた第1のピボット部材と、
第2のピボット部材及び第3のピボット部材を備えた中間体と、
前記支持部材に設けられた第4のピボット部材とを有し、
前記第1及び第2のピボット部材が、相互に係合して、前記個別の毛切断ユニットの前記第1のピボット軸を規定し、前記ハウジングは、前記第1のピボット軸の周りで前記中間体に対して枢動可能であり、
前記第3及び第4のピボット部材が、相互に係合して、前記個別の毛切断ユニットの前記第2のピボット軸を規定し、前記中間体は、前記支持部材に対して前記第2のピボット軸の周りで枢動可能である、請求項8に記載のシェービングユニット。
【請求項10】
前記第1のピボット部材が、一対の軸受凹部を有し、前記第2のピボット部材は、前記軸受凹部に受け入れられる一対の軸受ピンを有する、請求項9に記載のシェービングユニット。
【請求項11】
前記第3のピボット部材が、第1の円柱セグメント形状の軸受面を有し、前記第4のピボット部材は、前記第1の円柱セグメント形状の軸受面と係合する第2の円柱セグメント形状の軸受面を有する、請求項9又は10に記載のシェービングユニット。
【請求項12】
前記第4のピボット部材が、
前記第4のピボット部材の前記各毛切断ユニットから離れて面する側に設けられ、前記第2のピボット軸に対して横方向に延びる第1案内面と、
前記第4のピボット部材の前記各毛切断ユニットの方を向く側に設けられ、前記第2のピボット軸に対して横方向に延びる第2案内面とを有し、
前記中間体は、前記第1案内面と係合するよう構成された第3案内面と、前記第2案内面と係合するよう構成された第4案内面とを有し、
前記第1及び第3案内面が、前記第1のピボット軸から第1平均半径方向距離に配置され、前記第2及び第4案内面は、前記第1ピボット軸から前記第1平均半径距離よりも大きい第2平均半径距離に配置される、請求項11に記載のシェービングユニット。
【請求項13】
各個別の毛切断ユニットの前記ピボット構造が、前記第2のピボット軸の周りで前記支持部材に対して中立の角度位置に前記中間体を偏らせるばね部材を有する、請求項9、10又は11に記載のシェービングユニット。
【請求項14】
前記毛切断ユニットの前記内部切断部材を前記中心軸の周りで回転駆動するための駆動装ユニットを更に有し、前記駆動ユニットが、前記毛切断ユニットのそれぞれについて、前記支持部材により回転可能に支持され、前記個別の毛切断ユニットの前記内部切断部材に結合される個別の駆動スピンドルを有し、各駆動スピンドルは、前記駆動スピンドルが前記個別の毛切断ユニットの前記内部切断部材にバイアス力を及ぼすことを可能にするばね要素を有し、前記ばね要素が、前記個別の毛切断ユニットの前記ハウジングを、前記第1のピボット軸の周りで前記支持部材に対して角度端部位置へ付勢する、請求項7乃至12のいずれかに記載のシェービングユニット。
【請求項15】
シェービング装置であって、
電動アクチュエータを収容するメインハウジングと、
前記メインハウジングに結合された請求項1乃至14のいずれかに記載のシェービングユニットとを有する、シェービング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シェービング装置に用いるシェービングユニットに関し、シェービングユニットは、支持部材と、支持部材に接続された少なくとも2つの毛切断ユニットとを備える。各毛切断ユニットは、
複数の毛髪進入口を持つ外部切断部材と、
上記外部切断部材を少なくとも部分的に囲む皮膚支持面を持つ皮膚支持部材と、
上記毛切断ユニットの中心軸の周りで上記外部切断部材に対して回転可能であり、それぞれ切断刃を持つ複数の毛切断要素を含む内部切断部材であって、内部切断部材の回転中に、毛切断要素の切断刃が、中心軸に対して、半径方向内側の円形境界と半径方向外側の円形境界とを持つ環状切断経路をたどる、内部切断部材と、
第1のピボット軸であって、この軸の周りで、上記皮膚支持部材が、上記支持部材に対して、他の毛切断ユニットの皮膚支持部材から独立して枢動可能であり、上記第1のピボット軸が、上記中心軸に対して接線方向に延び、上記中心軸に対して軸方向に見て、上記環状切断経路の半径方向内側の円形境界の半径方向外側に配置される、第1のピボット軸とを有する。
【0002】
本発明は更に、上述したシェービングユニットを持つシェービング装置に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の分野の項に記載のシェービングユニット及びシェービング装置が、WO2018/138094A1号に開示される。この既知のシェービングユニットは、2つの毛切断ユニットを有する。各毛切断ユニットは、毛切断ユニットの内部切断部材及び外部切断部材を支持するハウジングを含む。ハウジングは、他の毛切断ユニットの集毛室とは別の毛切断ユニットの個々の集毛室を収容する。各毛切断ユニットの皮膚支持部材は、個別の毛切断ユニットのハウジングの上部に配置され、その外部切断部材を完全に囲む。各個別の毛切断ユニットのハウジングは、その内部切断部材、外部切断部材及び皮膚支持部材とともに、他の毛切断ユニットのハウジングから独立して、第1のピボット軸の周りで支持部材に対して枢動可能である。2つの毛切断ユニットの第1のピボット軸は、毛切断ユニットの中心軸に対して軸方向に見て、毛切断ユニットの外側切断部材の間で一致し、この間に配置される。支持部材は、シェービング装置の本体に結合可能な静止部と、2つの毛切断ユニットのハウジングが、一致する第1のピボット軸を規定するピボット構造を介して接続される可動部とを有する。可動部は、一致する第1のピボット軸に対して垂直に延びる第2のピボット軸の周りで静止部に対して枢動可能である。その結果、2つの毛切断ユニットのハウジングが、第2のピボット軸の周りで静止部に対して共同で枢動可能である。第1のピボット軸及び第2のピボット軸は、シェービングユニットの使用中に、毛切断ユニットがユーザの皮膚の局所的な輪郭にその向きを適合させることを可能にする。その結果、外部切断部材と皮膚との密着度が高く、良好なシェービング効果が可能にされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この既知のシェービングユニットの欠点は、毛切断ユニットの皮膚支持面及び外部切断部材が、皮膚の局所的な輪郭にその向きを適合させる能力が最適でなく、その結果、外部切断部材と皮膚との接触が必ずしも最適ではなく、皮膚と外部切断部材との間、及び皮膚と皮膚支持面との間に局所的な圧力ピークが発生する場合があることである。
【0005】
発明の分野の項で述べたようなシェービングユニット及びシェービング装置は、EP2406042Blにも開示される。この既知のシェービングユニットは、3つの毛切断ユニットを有する。各毛切断ユニットは、毛切断ユニットの内部切断部材及び外部切断部材を支持するハウジングを含む。ハウジングは、他の毛切断ユニットの集毛室とは別の、毛切断ユニットの個々の集毛室を収容する。各毛切断ユニットの皮膚支持部材は、個別の毛切断ユニットのハウジングの上部に配置され、その外部切断部材を完全に囲む。各個別の毛切断ユニットのハウジングは、その内部切断部材、外部切断部材及び皮膚支持部材とともに、他の毛切断ユニットのハウジングから独立して、第1のピボット軸の周りで支持部材に対して枢動可能である。各毛切断ユニットの皮膚支持部材は、第1のピボット軸と平行に延びる第2のピボット軸の周りでハウジングに対して枢動可能であり、各毛切断ユニットの外部切断部材は、第1及び第2のピボット軸に直交して延びる第3のピボット軸の周りで皮膚支持部材に対して枢動可能である。第1、第2及び第3のピボット軸は、シェービングユニットの使用中に、毛切断ユニットの外部切断部材が、ユーザの皮膚の局所的な輪郭にその向きを適合させることを可能にする。その結果、外部切断部材と皮膚との密着度が高く、良好なシェービング効果が可能にされる。この既知のシェービングユニットでは、WO2018/138094A1号のシェービングユニットと比較して、毛切断ユニットの外部切断部材がその向きを皮膚の局所的輪郭に適合させる能力が改善されるが、この既知のシェービングユニットでも、毛切断ユニットの皮膚支持面がその向きを皮膚の局所的な輪郭に適合させる能力は最適ではなく、その結果、皮膚と皮膚支持面との間で局所的な圧力ピークが発生する場合がある。加えて、皮膚支持部材に対する外部切断部材の第3軸の周りでの枢動範囲が制限される。更に、各毛切断ユニットに3つの異なるピボット軸を使用することは、この既知のシェービングユニットの構造を比較的複雑なものとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、本書で上述したような既知のシェービングユニット及びシェービング装置の欠点を有しない、発明の分野の項で説明したようなシェービングユニット及びシェービング装置を提供することである。特に、本発明の目的は、発明の分野の項に記載したシェービングユニット及びシェービング装置を提供することであり、ここで、毛切断ユニットの皮膚支持面及び外部切断部材が皮膚の局所的な輪郭にその向きを適合させる能力が、比較的単純な構造の使用により更に改善される。
【0007】
これらの目的を達成するために、本発明によれば、発明の分野の項に記載のシェービングユニットが、以下の特徴を有する。各毛切断ユニットが更に、第2のピボット軸を有し、この軸の周りで、皮膚支持部材が、他の毛切断ユニットの皮膚支持部材から独立して支持部材に対して枢動可能である。上記第2のピボット軸は、上記毛切断ユニットの第1のピボット軸に対して垂直に延びる。上記皮膚支持部材が上記第2のピボット軸の周りで枢動可能な枢動角度の総範囲が15°以上である。
【0008】
本発明によれば、発明の分野の項に記載のシェービング装置は、それに用いられるシェービングユニットが、本発明によるシェービングユニットであることを特徴とする。
【0009】
当業者にとって明らかであろうが、本発明によれば、「第2のピボット軸であって、この軸の周りで、皮膚支持部材が他の毛切断ユニットの皮膚支持部材から独立して、支持部材に対して枢動可能である、第2のピボット軸」という特徴は、「第2のピボット軸であって、この軸の周りで、皮膚支持部材が個別の他の毛切断ユニットの第2のピボット軸の周りでの個別の他の毛切断ユニットの皮膚支持部材の枢動運動から独立して、支持部材に対して枢動可能である、第2のピボット軸」として理解されたい。同様に、「第1のピボット軸であって、この軸の周りで、皮膚支持部材が他の毛切断ユニットの皮膚支持部材から独立して、支持部材に対して枢動可能である、第1のピボット軸」という特徴は、「第1のピボット軸であって、この軸の周りで、皮膚支持部材が個別の他の毛切断ユニットの第1のピボット軸の周りでの個別の他の毛切断ユニットの皮膚支持部材の枢動運動から独立して、支持部材に対して枢動可能である、第1のピボット軸」として理解されたい。
【0010】
本発明によるシェービングユニットでは、各毛切断ユニットの皮膚支持部材は、他の毛切断ユニットの皮膚支持部材とは独立して、第1のピボット軸と第1のピボット軸に垂直に延びる第2のピボット軸との両方の周りで、支持部材に対して枢動可能である。各毛切断ユニットの外部切断部材は通常、周囲の皮膚支持部材によって支持されるので、各毛切断ユニットの外部切断部材も、他の毛切断ユニットの外部切断部材とは独立して、個別の毛切断ユニットの第1及び第2のピボット軸の周りで支持部材に対して枢動可能である。結果として、毛切断ユニットの皮膚支持面及び外部切断部材の両方が、皮膚の局所的な輪郭にその方向を適合させる能力が改善され、その結果、外部切断部材と皮膚との接触が常に最適となり、皮膚と外部切断部材との間、及び皮膚と皮膚支持面との間の局所的な圧力ピークが、比較的高い程度に制限される。皮膚支持部材の可動性に関して第1及び第2のピボット軸を使用することは、個々の毛切断ユニットごとに3つ以上のピボット軸を持つ既知のシェービングユニットと比較して、シェービングユニットの構造の複雑さを制限する。
【0011】
皮膚支持部材が第2のピボット軸の周りで枢動可能な枢動角度の総範囲は、15°以上である。従って、本発明によれば、第2のピボット軸の使用は、毛切断ユニットの皮膚支持面及び外部切断部材の両方が皮膚の局所的な輪郭にそれらの向きを適合させる上述の能力を改善するための実際かつ重大な貢献を伴う。完全を期すために、例えば、バイアスばね部材を用いて実現される第2のピボット軸の周りでの皮膚支持部材の中立的な角度位置を想定すると、15°の総枢動角範囲は、中立の初期位置から第2のピボット軸の周りでの一方向への第1の枢動角範囲と、中立の初期位置から第2のピボット軸の周りでの反対方向への第2の枢動角範囲とで構成されてもよい点に留意されたい。第1の枢動角範囲及び第2の枢動角範囲は共に、例えば少なくとも7.5°とすることができる。本発明の枠組みでは、皮膚支持部材が第2のピボット軸の周りで枢動可能な枢動角の総範囲の他の最小値も可能であり、例えば20°である。
【0012】
本発明によるシェービングユニットの実施形態において、各個別の毛切断ユニットの中心軸に対して軸方向に見て、個別の毛切断ユニットの第2のピボット軸は、中心軸に対して半径方向に延びる。その結果、皮膚支持部材が第2のピボット軸の周りで枢動する際の皮膚支持部材の皮膚支持面に沿った皮膚圧分布の均一性が改善される。
【0013】
本発明によるシェービングユニットの更なる実施形態において、上記各個別の毛切断ユニットの第1のピボット軸は、上記個別の毛切断ユニットの中心軸に対して軸方向から見て、上記個別の毛切断ユニットの環状切断経路の径方向外側の円形境界の径方向外側に配置される。本実施形態では、第1のピボット軸は、外部切断部材の外周に近い位置に配置される。第1のピボット軸のこの配置は、皮膚支持部材が第1のピボット軸の周りで枢動する際に、第1のピボット軸の位置と正反対の位置で外部切断部材及びその周囲の皮膚支持面が比較的大きく変位することをもたらす。その結果、皮膚支持面及び外部切断部材がその向きを皮膚の局所的な輪郭に適合させる能力が更に改善される。
【0014】
本発明によるシェービングユニットの更なる実施形態では、支持部材は、毛切断ユニット間の中央に配置され、各毛切断ユニットの上記第1のピボット軸は、上記個別の毛切断ユニットの中心軸に対して軸方向から見て、上記中心軸と上記支持部材との間に配置される。この実施形態では、第1のピボット軸は、毛切断ユニットの間の中央領域に配置されてもよく、中央に配置された支持部材に部分的に設けられるピボット構造により実現されてもよい。これは、シェービングユニットのコンパクトな構造をもたらす。
【0015】
本発明によるシェービングユニットの更なる実施形態では、シェービングユニットは、3つの毛切断ユニットを備え、支持部材の中心線に対して軸方向に見て、各個別の毛切断ユニットの第2のピボット軸は、中心線に対して半径方向に延在している。好ましくは、この更なる実施形態では、中心線に対して軸方向で見て、隣接する各対の毛切断ユニットの第2のピボット軸は、120°の角度を囲んでいる。その結果、皮膚支持部材が第2のピボット軸の周りで枢動する際の皮膚支持部材の皮膚支持面に沿った皮膚圧分布の均一性が更に改善される。
【0016】
本発明によるシェービングユニットの更なる実施形態において、各毛切断ユニットは、毛切断ユニットの内部切断部材及び外部切断部材を支持し、他の毛切断ユニットの集毛室とは別の毛切断ユニットの個々の集毛室を収容するハウジングを更に有し、各個別の毛切断ユニットの皮膚支持部材が、個別の毛切断ユニットのハウジングに接続され、各個別の毛切断ユニットのハウジング、内部切断部材、外部切断部材及び皮膚支持部材が、個別の毛切断ユニットの第1のピボット軸及び第2のピボット軸の周りで支持部材に対して一緒に枢動可能である。本実施形態では、各個別の毛切断ユニットのハウジングが、個別の毛切断ユニットの第1のピボット軸及び第2のピボット軸を規定するピボット構造により支持部材に接続されることができるという点で、皮膚支持部材が支持部材に対して第1及び第2のピボット軸の周りで枢動する機能が、実用的かつ構造的に簡単な方法で実現される。
【0017】
本発明によるシェービングユニットの更なる実施形態において、各毛切断ユニットの上記ピボット構造は、上記個別の毛切断ユニットのハウジングに設けられた第1のピボット部材と、第2のピボット部材と第3のピボット部材とを備える中間体と、上記支持部材に設けられた第4のピボット部材とを有し、上記第1及び第2のピボット部材が、相互の係合により、上記個別の毛切断ユニットの第1のピボット軸を規定するよう構成され、上記ハウジングは、上記中間本体に対して上記第1のピボット軸の周りで枢動可能であり、上記第3及び第4のピボット部材が、相互の係合により、上記個別の毛切断ユニットの第2のピボット軸を規定するよう構成され、上記中間体は、上記支持部材に対して上記第2のピボット軸の周りで枢動可能である。本実施形態は、シェービングユニットのコンパクトな構造をもたらす。ここで、各個別の毛切断ユニットのピボット構造は、支持部材と個別の毛切断ユニットとの間の比較的コンパクトなスペースに配置され得る。好ましくは、この更なる実施形態において、第1のピボット部材は、一対の軸受凹部を有し、第2のピボット部材は、軸受凹部により受容される一対の軸受ピンを有する。好ましくは、第3のピボット部材は、第1の円柱セグメント形状の軸受面を有し、第4のピボット部材は、第1の円柱セグメント形状の軸受面と係合するよう構成された第2の円柱セグメント形状の軸受面を有する。
【0018】
本発明によるシェービングユニットの更なる実施形態において、上記第4のピボット部材は、
上記第4のピボット部材の上記各毛切断ユニットから離れる方向に向く側に設けられ、上記第2のピボット軸に対して横方向に延びる第1案内面と、
上記第4のピボット部材の上記各毛切断ユニットの方を向く側に設けられ、上記第2のピボット軸に対して横方向に延びる第2案内面とを有し、
中間体は、上記第1案内面と係合するよう構成された第3案内面と、上記第2案内面と係合するよう構成された第4案内面とを有し、
第1及び第3案内面が、第1のピボット軸から第1の平均半径方向距離に配置され、上記第2及び第4案内面は、上記第1ピボット軸から上記第1平均半径距離よりも大きい第2平均半径距離に配置される。
【0019】
第1、第2、第3及び第4案内面は、第2のピボット軸が延びる方向における支持部材に対する個別の毛切断ユニットの移動を阻止するように機能し、ピボット構造を介して支持部材に対する個別の毛切断ユニットのコンパクトで機械的に堅牢かつ安定した接続を提供する。第2及び第4案内面は、第1ピボット軸からの半径方向の平均距離が比較的大きく配置されるので、第2及び第4案内面は、使用中に、個別の毛切断ユニットに外部から作用する第1のピボット軸に関する任意の機械的トルクを打ち消すのに十分大きい反力を生成するのに適している。支持部材及び中間体は、上述の案内面と同様の機能を持つ案内面を更に備えてもよい。
【0020】
本発明によるシェービングユニットの更なる実施形態では、各個別の毛切断ユニットのピボット構造は、第2のピボット軸の周りで支持部材に対して中間体を中立の角度位置に偏らせるよう構成されたばね部材を含んでいる。好ましくは、すべての毛切断ユニットのピボット構造のばね部材は例えば、金属板を適切に切断し、曲げることにより、単一のばねユニットとして一体的に形成される。
【0021】
本発明によるシェービングユニットの更なる実施形態では、シェービングユニットは、毛切断ユニットの内部切断部材を中心軸の周りで回転駆動するための駆動ユニットを更に備える。上記駆動ユニットは、上記各毛切断ユニットに対して、支持部材により回転可能に支持され、上記個別の毛切断ユニットの内部切断部材に結合される個別の駆動スピンドルを有する。各駆動スピンドルが、駆動スピンドルが個別の毛切断ユニットの内部切断部材にバイアス力を及ぼすことを可能にするよう構成されたばね要素を含み、ばね要素は、個別の毛切断ユニットのハウジングを、第1のピボット軸の周りで支持部材に対して角度端部位置に付勢する。ハウジングの上記角度端部位置において、全ての毛切断ユニットの皮膚支持面及び外部切断部材は、シェービングユニットを皮膚の凸状に湾曲した部分に適合させるのに適した凹状の形状を共にとることができる。バイアス力に抗して第1のピボット軸の周りでハウジングが枢動することにより、すべての毛切断ユニットの皮膚支持面及び外部切断部材は、シェービングユニットを皮膚の平坦な部分又は凹状に湾曲した部分に適合させるのに適した平坦又は凸状の形状を一緒に取ることができる。この更なる実施形態では、各駆動スピンドルは、内部切断部材と係合するために、個別の毛切断ユニットのハウジングの底壁の開口部を通って延在してもよい。駆動スピンドルにより構成されるばね要素に加えて、又はその代わりに、各個別の毛切断ユニットのピボット構造は、個別の毛切断ユニットのハウジングを第1のピボット軸の周りで角度端部位置に偏らせるよう構成されたばね要素を含んでいてもよい。
【0022】
本発明の上述及び他の態様は、シェービング装置及びそのシェービング装置に用いられるようなシェービングユニットの以下の詳細な説明から明らかとなり、この詳細な説明を参照して説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明によるシェービング装置の一般的なセットアップを示す図である。
図2】本発明によるシェービング装置の一部であり、支持部材及び3つの毛切断ユニットを有する本発明によるシェービングユニットの上面表示を図式的に示す図である。
図3】本発明によるシェービングユニットの別々の要素を図式的に示す図である。
図4】本発明によるシェービングユニットの毛切断ユニットのハウジングの透視表示を図式的に示す図である。
図5】本発明によるシェービングユニットの毛切断ユニットのピボット構造の中間体の異なる表示を図式的に示す図である。
図6】本発明によるシェービングユニットの毛切断ユニットのピボット構造の中間体の異なる表示を図式的に示す図である。
図7】本発明によるシェービングユニットの毛切断ユニットのピボット構造の中間体の異なる表示を図式的に示す図である。
図8】本発明によるシェービングユニットの支持部材の透視表示を図式的に示す図である。
図9】本発明によるシェービングユニットにおいて、毛切断ユニットのピボット構造の中間体が支持部材に係合する様子を示す図である。
図10】本発明によるシェービングユニットの支持部材及び1つの毛切断ユニットの上面表示を図式的に示す図である。
図11】本発明によるシェービングユニットの支持部材及び毛切断ユニットの断面表示を図式的に示す図である。
図12】本発明によるシェービングユニットの支持部材及び毛切断ユニットの、第2のピボット軸の周りでの支持部材に対する毛切断ユニットの2つの異なる角度位置に対する別の断面表示を図式的に示す図である。
図13】本発明によるシェービングユニットの支持部材及び毛切断ユニットの、第2のピボット軸の周りでの支持部材に対する毛切断ユニットの2つの異なる角度位置に対する別の断面表示を図式的に示す図である。
図14】本発明によるシェービングユニットの毛切断ユニットの第1及び第2のピボット軸の代替構成を示す図である。
図15】2つの毛切断ユニットを持つ本発明によるシェービングユニットの毛切断ユニットの第1及び第2のピボット軸の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下本発明が図を参照してより詳細に説明される。図では、同等又は類似の部分は同じ参照符号で示される。
【0025】
図1は、本発明によるシェービング装置1を示し、このシェービング装置は、回転式である。シェービング装置1は、シェービング装置1のユーザが手に取ることを目的とするメインハウジング2と、毛の切断作用を受けるべき皮膚の領域に押し付けられることを目的とする本発明によるシェービングユニット3とを有する。シェービング装置1のメインハウジング2は一般に、シェービング装置1の本体又はハンドルとも呼ばれる。メインハウジング2及びシェービングユニット3は、メインハウジング2に対するシェービングユニット3の移動及び/又はメインハウジング2からのシェービングユニット3の取り外しを可能にするよう構成され得る結合部4を介して互いに結合される。シェービングユニット3は、支持部材5と、支持部材5に接続された少なくとも2つの毛切断ユニット6とを有する。シェービング装置1が皮膚の領域に毛切断作用を及ぼす目的で適用される場合、皮膚から突出した毛を切断する実際の処理は、毛切断ユニット6の位置で行われる。
【0026】
次に、毛切断ユニット6の基本的な毛髪切断機能が、より詳細に説明される。ここで、図2は、支持部材5と3つの毛切断ユニット6とを有する本発明によるシェービングユニット3の上面図を提供することに留意されたい。以下の説明を通じて、毛切断ユニット6の数は3つであることが想定されるが、これは、本発明が毛切断ユニット6の数が2つ又は3つ以上であるという選択肢をカバーするという事実を変更するものではない。以下の説明は、毛切断ユニット6の別の可能な数にも同様に適用可能であり、従って、3という例示的な数に表裏一体となる側面を除いて、毛切断ユニット6の他の可能な数に関しても本発明の開示が関与するものであることを理解されたい。
【0027】
毛切断ユニット6は、外部切断部材10と内部切断部材20とを有する。外部切断部材10は、概してカップ状の設計であり、実質的に円形の周辺部を持ち、これにより、外部切断部材10は、その内部に内部切断部材20を少なくとも部分的に収容するのに適している。外部切断部材10のカップ状デザインの基部には、環状の切断軌道11が存在し、その位置で、外部切断部材10が複数の毛髪進入開口部を持つ。内部切断部材20は、毛切断ユニット6の中心軸7の周りで外部切断部材10に対して回転可能であり、回転式シェービング装置の分野でそれ自体既知の方法でそれぞれが切断刃を持つ複数の毛切断要素を有する。毛切断ユニット6における内部切断部材20の回転可能な配置は、内部切断部材20の回転中に、毛髪切断要素の切断刃が、中心軸7に対して、図1に破線で示される半径方向内側の円形境界22及び半径方向外側の円形境界23を持つ環状の切断経路21を辿るようになっている。中心軸7に対する環状切断経路21の径方向位置は、中心軸7に対する外部切断部材10の環状切断軌道11の径方向位置に対応する。
【0028】
環状切断軌道11の位置において、外部切断部材10は、毛髪切断動作の際に人の皮膚に接触するための切断軌道面12を持つ。毛切断ユニット6の内部切断部材20が回転するように作動され、切断軌道面12を介して外部切断部材10により皮膚の領域が実際に接触されると、毛切断動作が実行され得る。毛切断ユニット6が皮膚の領域に対して移動されるとき、皮膚から突出した毛髪が、外部切断部材10の毛髪進入開口部に捕捉され、毛髪進入開口部を区画する表面と回転する内部切断部材20の切断刃との間の協力の結果として、その位置で切断されることが達成される。
【0029】
シェービングユニット3は、毛切断ユニット6の内部切断部材20を中心軸7の周りで回転駆動するための駆動装置30を更に備えている。上記駆動ユニット30は、上記毛切断ユニット6のそれぞれについて、上記支持部材5により回転可能に支持され、上記個別の毛切断ユニット6の内部切断部材20に結合される個々の駆動スピンドル31を有する。各駆動スピンドル31は、駆動スピンドル31が個別の毛切断ユニット6の内部切断部材20にバイアス力を及ぼすことを可能にするよう構成されたばね要素32を含む。駆動ユニット30の駆動スピンドル31は、駆動ユニット30のギアシステム33に結合され、このギアシステム33は、シェービングユニット3が結合部4によりメインハウジング2に結合されるときに、メインハウジング2内に配置されたモータ34により駆動されるよう構成される。モータ34は、モータ34から延び、ギアシステム33の中央駆動入力軸36に結合されるモータ軸35を有する。一般的な意味で、モータ34は、シェービング装置1の電動アクチュエータを構成する。
【0030】
図2及び図3を参照すると、外部切断部材10及び内部切断部材20の他に、毛切断ユニット6は、外部切断部材10を少なくとも部分的に囲む皮膚支持面41を持つ皮膚支持部材40を有し、図4に見られるように、毛切断ユニット6の内部切断部材20及び外部切断部材10を支持し、毛切断ユニット6の集毛室61を収容するハウジング60を更に有する点に留意されたい。皮膚支持部材40の皮膚支持面41は、毛切断動作の対象となる皮膚の一部と接触する役割を果たす。毛切断ユニット6の集毛室61は、毛切断動作中に切断される毛を受け入れて収容する役割を果たし、他の毛切断ユニット6の集毛室61とは別個の個々の集毛室61である。各個別の毛切断ユニット6の皮膚支持部材40は、図には詳細に示されていない開閉機構により個別の毛切断ユニット6のハウジング60に接続され、これは例えば皮膚支持部材40をハウジング60に対して回動させることにより、ユーザが集毛室61を開閉することを可能にする。これにより、皮膚支持部材40は、毛切断ユニット6の動作可能な通常状態において、ハウジング60内に存在する集毛室61を密閉するために役立つ。
【0031】
毛切断ユニット6が、シェービングユニットによる毛切断動作の対象となる皮膚の領域の局所的な輪郭にその向きを適合させることを可能にし、その結果、外部切断部材10と皮膚との高い接触度が実現され、シェービング処理の良好な結果が得られるようにするため、シェービングユニット3が、少なくとも皮膚支持部材40が支持部材5に対して、少なくとも限られた範囲で可動であるよう設計されることが有利である。以下では、少なくとも皮膚支持部材40の有利な可動性に関して本発明がカバーする実現可能な選択肢が図2を参照して説明される。
【0032】
まず、各毛切断ユニット6において、皮膚支持部材40は、他の毛切断ユニット6とは独立して、第1のピボット軸42の周りで支持部材5に対して枢動可能である。第1ピボット軸42が、毛切断ユニット6の中心軸7に対して接線方向に延び、中心軸7に対して軸方向に見て、内部切断部材20の毛切断要素の切断刃が辿る環状切断経路21の半径方向内側の円形境界22の半径方向外側に配置される。第2に、各毛切断ユニット6において、皮膚支持部材40は、他の毛切断ユニット6の皮膚支持部材40とは独立して、第2のピボット軸43の周りで支持部材5に対して枢動可能である。上記第2のピボット軸43は、毛切断ユニット6の第1のピボット軸42に対して垂直に延び、皮膚支持部材40が第2のピボット軸43の周りで枢動可能な枢動角度の総範囲は、15°以上である。
【0033】
図2に示す3つの毛切断ユニット6の構成において、それぞれの毛切断ユニット6の第2のピボット軸43は、個別の毛切断ユニット6の中心軸7に対して軸方向で見て個別の毛切断ユニット6の中心軸7に対して放射状に延びている。更に、当該構成において、各個別の毛切断ユニット6の第1のピボット軸42は、個別の毛切断ユニット6の中心軸7に対して軸方向に見て、個別の毛切断ユニット6の環状切断経路21の径方向外側の円形境界23の径方向外側に配置される。更に、当該構成において、支持部材5は、毛切断ユニット6間の中央位置にある。各個別の毛切断ユニット6の第1のピボット軸42が、個別の毛切断ユニット6の中心軸7に対して軸方向から見て、中心軸7と支持部材5との間に配置されており、ここで、支持部材5の中心線8に対して軸方向に見て、各個別の毛切断ユニット6の第2のピボット軸43は、中心線8に対して放射状に延びている。特に、中心線8に対して軸方向から見て、隣接する毛切断ユニット6の各対の第2のピボット軸43は、120°の角度を囲んでいる。
【0034】
本発明によるシェービングユニット3の本実施形態では、各個別の毛切断ユニット6のハウジング60、内切断部材20、外切断部材10及び皮膚支持部材40は共に、個別の毛切断ユニット6の第1のピボット軸42及び第2のピボット軸43の周りで支持部材5に対して枢動可能である。各個別の毛切断ユニット6のハウジング60を支持部材5に接続するのに用いられるピボット構造44は、個別の毛切断ユニット6の第1ピボット軸42及び第2ピボット軸43を規定する。特に、各個別の毛切断ユニット6のピボット構造44は、i)個別の毛切断ユニット6のハウジング60に設けられた第1のピボット部材62と、ii)第2のピボット部材71及び第3のピボット部材72を備える中間体70と、iii)支持部材5に設けられた第4のピボット部材51とを有する。
【0035】
ハウジング60、中間体70及び支持部材5がそれぞれ個別に示される図4図5図6図7及び図8を参照すると、上述したピボット構造44の構成において、第1ピボット部材62と第2ピボット部材71とが相互に係合して、毛切断ユニット6の第1ピボット軸42を規定し、ここで、ハウジング60は、第1のピボット軸42の周りで中間体70に対して枢動可能であることに留意されたい。更に、第3ピボット部材72と第4ピボット部材51とは、相互に係合して、毛切断ユニット6の第2のピボット軸43を規定するよう構成される。ここで、中間体70は、第2のピボット軸43の周りで支持部材5に対して枢動可能である。中間体70及び支持部材5は、支持部材5に対する中間体70の第2ピボット軸43の周りでの枢動動作の2つの端部位置を規定するための所定の端部停止面を2つの側で具備する。この点、上述したように、皮膚支持部材40が第2のピボット軸43の周りで枢動可能な枢動角度の総範囲は、15°以上であり、従って、皮膚支持部材40の上記第2のピボット軸43の周りでの枢動運動の顕著な効果を達成するのに十分大きい点に留意されたい。図示の例では、第1のピボット部材62は、一対の軸受凹部を有し、第2のピボット部材71は、軸受凹部に受け入れられる一対の軸受ピンを有する。更に、図示の例では、第3のピボット部材72は、第1の円柱セグメント形状の軸受面73を有し、第4のピボット部材51は、第1の円柱セグメント形状の軸受面73と係合するよう構成された第2の円柱セグメント形状の軸受面52を有する。
【0036】
図8及び図9を参照すると、第4のピボット部材51は、2つの案内面53、54を有し、即ち、毛切断ユニット6から離れる方向に向いた第4ピボット部材51の側に設けられ、第2ピボット軸43に対して横方向に延びる第1案内面53と、第4ピボット部材51の毛切断ユニット6を向く側に設けられ、第2ピボット軸43に対して横方向に延びる第2案内面54とを有することに留意されたい。中間体70は、第1案内面53と係合するよう構成された第3案内面74と、図6図7、及び図9に見られるように、第2案内面54と係合するよう構成された第4案内面75とを有する。第1案内面53及び第3案内面74は、第1のピボット軸42から第1平均径方向距離に配置され、第2案内面54及び第4案内面75は、第1のピボット軸42から第1平均径方向距離よりも大きい第2平均径方向距離に配置される。個別の案内面53、54、74、75のこの構成は、第2のピボット軸43が延びる方向への支持部材5に対する毛切断ユニット6の移動を防止する役割を果たし、ピボット構造44のコンパクト化及び機械的強度に寄与している。
【0037】
支持部材5及び中間体70は、上述した案内面53、54、74、75と同様の機能性を持つ案内面を更に備えてもよい。図8及び図9を参照すると、図示の例では、支持部材5が、支持部材5の個別の毛切断ユニット6を向く側に設けられ、第2のピボット軸43に対して横方向に延びる第5案内面55と、個別の毛切断ユニット6から離れる方向に向いた支持部材5の側に設けられ、第2のピボット軸43に対して横方向に延びる第6案内面56とを有する点に留意されたい。更に、図7及び図9を参照すると、図示の例では、中間体70は、第5案内面55と係合するよう構成された第7案内面76と、第6案内面56と係合するよう構成された第8案内面77とを有する点に留意されたい。第5案内面55、第6案内面56、第7案内面76及び第8案内面77は、第1のピボット軸42から、前述した第1平均径方向距離よりも大きく、かつ第2平均径方向距離よりも大きい第3平均径方向距離に配置される。比較的大きな第3平均半径方向距離の結果、第5案内面55、第6案内面56、第7案内面76及び第8案内面77は、使用中に、毛切断ユニット6に外部から及ぼされる第1ピボット軸42に関する任意の機械的トルクに対抗するために十分に大きな反力を生成するのに適している。
【0038】
図3は、ピボット構造44の更なる要素、即ち、支持部材5上に配置され、毛切断ユニット6の中間体70を、互いに独立して、第2のピボット軸43の周りで支持部材5に対して中立の角度位置に偏らせるように、各毛切断ユニット6の中間体70と係合するばね部材80を示す。図示の例では、ばね部材80は、支持部材5の所定の面及び各毛切断ユニット6の中間体70にそれぞれ接触する役割を果たす脚部81を含む。こうして、ばね部材80は一体的に形成されるが、これに代えて、別体の中間体70ごとに別のばね部材が設けられることができる。実用的な実施形態において、ばね部材80により及ぼされる力が、毛切断ユニット6の枢動可能な配置に関連する輪郭追従特性を乱さない程度に低く、ピボット構造44における内部摩擦を克服するのに十分なだけ高いことを確実にするよう、ばね部材80は設計されることができる。
【0039】
毛切断ユニット6の駆動スピンドル31が個別の毛切断ユニット6の内部切断部材20にバイアス力を及ぼすことを可能にするよう構成されるばね要素32は、個別の毛切断ユニット6のハウジング60を第1のピボット軸42の周りで支持部材5に対して角度端部位置に付勢する追加的な機能を持つ。更に、同じ機能を果たすために、個別の毛切断ユニット6と中間体70との間に配置された少なくとも1つのばねを持つことが実用的であり得る。第1のピボット軸42の周りでの支持部材5に対するハウジング60の角度端部位置は、図10における断面A-Aの側面図を示す図11に示される。第2のピボット軸43の周りでの支持部材5に対する中間体70の中立的な角度位置と、第2のピボット軸43の周りでの支持部材5に対するハウジング60の関連する角度位置とは、図10における断面B-Bの側面図を示す図12に示される。一方、第2のピボット軸43の周りでの支持部材5に対する中間体70の枢動位置と、第2のピボット軸43の周りでの支持部材5に対するハウジング60の関連する角度位置とは、図10における断面B-Bを図12と同じ側面図で示す図13に示される。
【0040】
図14は、第1及び第2のピボット軸42,43の代替的な構成が本発明の枠組みにおいて可能であるという事実の説明を提供する。特に、図14は、3つの毛切断ユニット6を有するシェービングユニット3における個別の第1のピボット軸42の代替構成を示す。ここで、各毛切断ユニット6の第1のピボット軸42は、個別の毛切断ユニット6の中心軸7に対して、図2に示された位置と平行であるとともに中心軸7の周りでその位置に対して鏡像である位置において、即ちシェービングユニット3の外周にもっと寄った位置に延在している。
【0041】
図15は、2つの毛切断ユニット6を持つ本発明によるシェービングユニット3の毛切断ユニット6の第1及び第2のピボット軸42、43の構成を示す。図示の例では、2つの毛切断ユニット6が、支持部材5の反対側に鏡面対称に配置される。各毛切断ユニット6の第1のピボット軸42は、個別の毛切断ユニット6の中心軸7に対して、図2に示した位置と同じ位置で延びている。一方の毛切断ユニット6の第2のピボット軸43は、他方の毛切断ユニット6の第2のピボット軸43と、互いに結合されることなく、整列される。即ち、一方の毛切断ユニット6の少なくとも皮膚支持部材40の、その一方の毛切断ユニット6の第2のピボット軸43の周りでの枢動運動は、他方の毛切断ユニット6の少なくとも皮膚支持部材40の、その他方の毛切断ユニット6の第2のピボット軸43の周りでの枢動運動に依存しない。
【0042】
実施形態の正確な詳細とは無関係に、毛切断ユニット6の皮膚支持部材40が、前述の定義及び説明の通り、第1のピボット軸42及び第2のピボット軸43の両方の周りで枢動することを可能にするのに適した構成を持つことにより、皮膚支持面41、及び特に少なくとも部分的に皮膚支持面41により囲まれている外部切断部材10が、毛切断動作中にそれらの向きを皮膚の局所的輪郭に適合させる能力が向上されることにより、改良されたシェービング結果が得られる。ここで、複雑な手段は必要とされない。
【0043】
本発明の範囲は、前述した実施例に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲で規定される本発明の範囲から逸脱することなく、そのいくつかの修正及び変更が可能であることは、当業者には明らかであろう。本発明は、特許請求の範囲又はその均等の範囲内にある限り、斯かる修正及び変更をすべて含むものと解釈されることが意図される。本発明が図及び説明において詳細に図示及び説明されてきたが、斯かる図示又は説明は説明的又は例示的なものに過ぎず、限定的なものではない。本発明は、開示された実施形態に限定されるものではない。図面は概略的であり、本発明を理解するために必要でない詳細は省略される場合があり、必ずしも縮尺通りではない。
【0044】
開示された実施形態への変形は、図、説明、及び添付の請求項の検討から、請求項に記載された発明を実施する当業者により理解及び実施されることができる。特許請求の範囲において、「有する」という語は、他のステップ又は要素を除外するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は、複数性を除外するものではない。特許請求の範囲に記載される任意の参照符号は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0045】
特定の実施形態のために、又はそれに関連して議論された要素及び側面は、他に明示されていない限り、他の実施形態の要素及び側面と適切に組み合わせられることができる。従って、ある手段が相互に異なる従属請求項に記載されるという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。
【0046】
本書で使用される「有する」及び「含む」という用語は、当業者であれば「からなる」という用語をカバーするものとして理解されるだろう。従って、「有する」又は「含む」という用語は、ある実施形態では「からなる」を意味するが、別の実施形態では「少なくとも規定された種と、オプションの1つ又は複数の他の種とを含む/持つ/備える」を意味する場合がある。
【0047】
本発明の注目すべき側面は以下に要約されることができる。シェービング装置1に用いるシェービングユニット3が、支持部材5と、支持部材5に接続された少なくとも2つの毛切断ユニット6とを有し、各毛切断ユニット6は、外部切断部材10と、外部切断部材10を少なくとも部分的に囲む皮膚支持面41を持つ皮膚支持部材40と、内部切断部材20とを有する。更に、各毛切断ユニット6において、皮膚支持部材40は、他の毛切断ユニット6の皮膚支持部材40とは独立して、第1のピボット軸42及び第2のピボット軸43の両方の周りで支持部材5に対して枢動可能であり、各個別の毛切断ユニット6の第1及び第2のピボット軸42、43が互いに対して垂直であり、各毛切断ユニット6の皮膚支持部材40が第2のピボット軸43の周りで枢動可能な枢軸角度の総範囲は、15°以上である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】