(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-24
(54)【発明の名称】微粒子フィルタ
(51)【国際特許分類】
B01D 39/20 20060101AFI20221017BHJP
B01D 46/00 20220101ALI20221017BHJP
F01N 3/022 20060101ALI20221017BHJP
【FI】
B01D39/20 D
B01D46/00 302
F01N3/022 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506324
(86)(22)【出願日】2020-08-13
(85)【翻訳文提出日】2022-01-31
(86)【国際出願番号】 GB2020051937
(87)【国際公開番号】W WO2021028692
(87)【国際公開日】2021-02-18
(32)【優先日】2019-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590004718
【氏名又は名称】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】ベルハム、ピーター
(72)【発明者】
【氏名】シフィー、アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】クロウズ、ルーシー
(72)【発明者】
【氏名】ホッチキス、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】マーヴェル、デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ターナー、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ウォーレン、サラ
【テーマコード(参考)】
3G190
4D019
4D058
【Fターム(参考)】
3G190AA02
3G190AA12
3G190AA13
3G190BA01
3G190BA17
3G190BA43
3G190CA03
3G190CA13
3G190CB13
3G190CB23
3G190CB24
3G190CB25
3G190CB26
3G190CB27
3G190CB28
4D019AA01
4D019BA05
4D019BB06
4D019BB12
4D019BC20
4D019BD10
4D019CA01
4D019CB04
4D019CB09
4D058JA38
4D058JB06
4D058JB22
4D058SA08
(57)【要約】
車両排気フィルタ(2)は、入口面及び出口面を有する多孔質基材を備え、多孔質基材は、入口面から延在する入口チャネル及び出口面から延在する出口チャネルを備える。入口チャネル及び出口チャネルは、多孔質構造を有する複数のフィルタ壁によって分離されている。車両排気フィルタ(2)は、0.10g/cm
3未満の添着前のタップ密度を有する耐火性粉末で添着されており、車両排気フィルタは、10g/L未満の耐火性粉末の質量添着量を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口面及び出口面を有する多孔質基材を備える車両排気フィルタであって、前記多孔質基材は、前記入口面から延在する入口チャネル及び前記出口面から延在する出口チャネルを備え、前記入口チャネル及び前記出口チャネルは、多孔質構造を有する複数のフィルタ壁によって分離されており、
前記車両排気フィルタは、0.10g/cm
3未満の添着前のタップ密度を有する耐火性粉末で添着されており、
前記車両排気フィルタは、10g/L未満の前記耐火性粉末の質量添着量を有し、
前記耐火性粉末の40%超が、前記複数のフィルタ壁の前記多孔質構造内に配置され、前記耐火性粉末の60%未満が、前記複数のフィルタ壁の外面上にコーティングされている、車両排気フィルタ。
【請求項2】
前記耐火性粉末の50%超、任意選択で前記耐火性粉末の65%超、任意選択で前記耐火性粉末の75%超、任意選択で前記耐火性粉末の最大100%が、前記複数のフィルタ壁の前記多孔質構造内に配置されている、請求項1に記載の車両排気フィルタ。
【請求項3】
前記複数のフィルタ壁の前記多孔質構造内に配置された前記耐火性粉末のパーセンテージは、以下の式によって計算される、請求項1又は2に記載の車両排気フィルタ。
【数1】
【請求項4】
前記耐火性粉末は、0.08g/cm
3未満、任意選択で0.07g/cm
3未満、任意選択で0.06g/cm
3未満、任意選択で0.05g/cm
3未満の添着前のタップ密度を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の車両排気フィルタ。
【請求項5】
前記耐火性粉末の前記質量添着量は、7g/L未満、任意選択で5g/L未満、任意選択で3g/L未満、任意選択で1g/L未満である、請求項1~4のいずれか一項に記載の車両排気フィルタ。
【請求項6】
前記耐火性粉末の0.5g/L超が、前記複数のフィルタ壁の前記多孔質構造内に配置されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の車両排気フィルタ。
【請求項7】
入口面及び出口面を有する多孔質基材を備える車両排気フィルタであって、前記多孔質基材は、前記入口面から延在する入口チャネル及び前記出口面から延在する出口チャネルを備え、前記入口チャネル及び前記出口チャネルは、多孔質構造を有する複数のフィルタ壁によって分離されており、
前記車両排気フィルタは、0.10g/cm
3未満の添着前のタップ密度を有する耐火性粉末で添着されており、
前記車両排気フィルタは、10g/L未満の前記耐火性粉末の質量添着量を有し、
前記耐火性粉末の0.5g/L超が、前記複数のフィルタ壁の前記多孔質構造内に配置されている、車両排気フィルタ。
【請求項8】
前記耐火性粉末は、0.08g/cm
3未満、任意選択で0.07g/cm
3未満、任意選択で0.06g/cm
3未満、任意選択で0.05g/cm
3未満の添着前のタップ密度を有する、請求項7に記載の車両排気フィルタ。
【請求項9】
前記耐火性粉末の前記質量添着量は、1g/L超、任意選択で3g/L超、任意選択で5g/L超、任意選択で7g/L超である、請求項7又は8に記載の車両排気フィルタ。
【請求項10】
前記耐火性粉末は、1つ以上のヒュームド耐火性粉末及び/又は1つ以上のエアロゲルを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の車両排気フィルタ。
【請求項11】
前記1つ以上のヒュームド耐火性粉末は、ヒュームドアルミナ、ヒュームドシリカ、ヒュームドチタニア、他のヒュームド金属酸化物、及びヒュームド混合酸化物のうちの1つ以上を含む、請求項10に記載の車両排気フィルタ。
【請求項12】
前記1つ以上のエアロゲルは、シリカエアロゲル、アルミナエアロゲル、カーボンエアロゲル、チタニアエアロゲル、ジルコニアエアロゲル、セリアエアロゲル、金属酸化物エアロゲル、及び混合酸化物エアロゲルのうちの1つ以上を含む、請求項10に記載の車両排気フィルタ。
【請求項13】
入口面及び出口面を有する多孔質基材を備える車両排気フィルタであって、前記多孔質基材は、前記入口面から延在する入口チャネル及び前記出口面から延在する出口チャネルを備え、前記入口チャネル及び前記出口チャネルは、多孔質構造を有する複数のフィルタ壁によって分離されており、
前記車両排気フィルタは、0.10g/cm
3未満の添着前のタップ密度を有する耐火性粉末で添着されており、
前記耐火性粉末は、1つ以上のエアロゲルを含む、車両排気フィルタ。
【請求項14】
前記1つ以上のエアロゲルは、シリカエアロゲル、アルミナエアロゲル、カーボンエアロゲル、チタニアエアロゲル、ジルコニアエアロゲル、セリアエアロゲル、金属酸化物エアロゲル、及び混合酸化物エアロゲルのうちの1つ以上を含む、請求項13に記載の車両排気フィルタ。
【請求項15】
入口面及び出口面を有する多孔質基材を備える車両排気フィルタであって、前記多孔質基材は、前記入口面から延在する入口チャネル及び前記出口面から延在する出口チャネルを備え、前記入口チャネル及び前記出口チャネルは、多孔質構造を有する複数のフィルタ壁によって分離されており、
前記車両排気フィルタは、0.10g/cm
3未満の添着前のタップ密度を有する耐火性粉末で添着されており、
前記車両排気フィルタは、10g/L未満の前記耐火性粉末の質量添着量を有し、
前記車両排気フィルタは、0.1g/L超の煤堆積量に対して、好ましくは0.05g/L超の煤堆積量に対して、実質的に直線の堆積量-背圧応答を示す、車両排気フィルタ。
【請求項16】
0.02g/Lの煤堆積量において、90%超、好ましくは95%超、好ましくは98%超、好ましくは99%超の濾過効率を有する、請求項1~15のいずれか一項に記載の車両排気フィルタ。
【請求項17】
600m
3/時間の流量で20~180mbarの背圧を有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の車両排気フィルタ。
【請求項18】
前記耐火性粉末は、エアロゾル沈着耐火性粉末、好ましくはエアロゾル沈着乾燥耐火性粉末である、請求項1~17のいずれか一項に記載の車両排気フィルタ。
【請求項19】
前記耐火性粉末は、25マイクロメートル未満、好ましくは20マイクロメートル未満、より好ましくは10マイクロメートル未満のd50(体積による)を有する、請求項1~18のいずれか一項に記載の車両排気フィルタ。
【請求項20】
ウォールフローフィルタである、請求項1~19のいずれか一項に記載の車両排気フィルタ。
【請求項21】
非対称ウォールフローフィルタである、請求項1~20のいずれか一項に記載のウォールフローフィルタ。
【請求項22】
前記車両排気フィルタは、焼成フィルタである、請求項1~21のいずれか一項に記載の車両排気フィルタ。
【請求項23】
前記多孔質基材は、1つ以上のウォッシュコートを含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の車両排気フィルタ。
【請求項24】
前記多孔質基材は、接着促進剤及び/又は結合剤を含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の車両排気フィルタ。
【請求項25】
請求項1~24のいずれか一項に記載の車両排気フィルタを備える、排気システム。
【請求項26】
請求項1~24のいずれか一項に記載の車両排気フィルタを備える、車両。
【請求項27】
複数の車両排気フィルタであって、各車両排気フィルタは、入口面及び出口面を有する多孔質基材を備え、前記多孔質基材は、前記入口面から延在する入口チャネル及び前記出口面から延在する出口チャネルを備え、前記入口チャネル及び前記出口チャネルは、多孔質構造を有する複数のフィルタ壁によって分離されており、
各車両排気フィルタは、0.10g/cm
3未満の添着前のタップ密度を有する耐火性粉末で添着されており、
各車両排気フィルタは、10g/L未満の前記耐火性粉末の質量添着量を有し、
各車両排気フィルタは、600m
3/時間の流量で20~180mbarの背圧を有し、前記複数の車両排気フィルタの前記背圧の相対標準偏差は、0.04未満、好ましくは0.025未満である、複数の車両排気フィルタ。
【請求項28】
各車両排気フィルタについて、前記耐火性粉末の40%超が、前記複数のフィルタ壁の前記多孔質構造内に配置され、前記耐火性粉末の60%未満が、前記複数のフィルタ壁の外面上にコーティングされている、請求項27に記載の複数の車両排気フィルタ。
【請求項29】
前記耐火性粉末は、エアロゾル沈着耐火性粉末、好ましくはエアロゾル沈着乾燥耐火性粉末である、請求項27又は28に記載の複数の車両排気フィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、排気ガスから粒子状物質を濾過するための車両排気フィルタに関する。特に、本発明は、入口面及び出口面を有する多孔質基材を備え、入口面が多孔質構造によって出口面から分離されているフィルタの改良に関する。フィルタは、ウォールフローフィルタであり得る。
【背景技術】
【0002】
内燃機関、特に自動車用途のディーゼル及びガソリンエンジンから、一般に煤と呼ばれる粒子状物質(PM)が排出されることに関する懸念がある。主な懸念は、潜在的な健康への影響、特にナノメートル範囲のサイズを有する非常に小さな粒子に関連する。
【0003】
ディーゼル微粒子フィルタ(DPF)及びガソリン微粒子フィルタ(GPF)は、焼結金属、セラミック、又は金属繊維などを含む様々な材料を使用して製造されており、実際の大量生産における最も一般的なタイプは、本体の長さに沿って延びる多数の小さなチャネルのモノリシックアレイの形態で製造された多孔質セラミック材料から作製されるウォールフロー型である。互い違いのチャネルは一方の端部で塞がれているため、排気ガスは、微粒子の大部分の通過を防止する多孔質セラミックチャネル壁を通って押し出され、したがって濾過されたガスのみが環境に入る。商業生産のセラミックウォールフローフィルタとしては、コーディエライト、様々な形態の炭化ケイ素及びチタン酸アルミニウムから作製されたものが挙げられる。車両上の実際のフィルタの実際の形状及び寸法、並びにチャネル壁厚及びその多孔度などの特性は、該当する用途によって決まる。ガスが通過するセラミックウォールフローフィルタのフィルタチャネル壁の細孔の平均寸法は、典型的には5~50μmの範囲であり、通常は約20μmである。それとは大いに異なって、最新の乗用車の高速ディーゼルエンジンから出る大部分のディーゼル粒子状物質のサイズは非常に小さく、例えば10~200nmである。
【0004】
一部のPMはフィルタ壁の細孔構造内に保持されることがあり、いくつかの用途では、PMのネットワークによって細孔が架橋されるまで徐々に蓄積される場合があり、その後、このPMネットワークによってフィルタチャネルの内壁に微粒子のケーキが容易に形成され得る。微粒子ケーキは優れたフィルタ媒体であり、その存在によって非常に高い濾過効率が得られる。いくつかの用途では、煤は堆積するとフィルタ上で連続的に燃焼され、これによって微粒子ケーキはフィルタ上に蓄積できなくなる。
【0005】
いくつかのフィルタ、例えば低負荷ディーゼル微粒子フィルタでは、エンジン性能に有害で燃費を低下させ得る過剰な背圧の増加を防止するために、トラップされたPMをフィルタから定期的に除去する必要がある。したがってディーゼル用途では、保持されたPMは空気中での燃焼によってフィルタから除去され、そのプロセス中、保持されたPMの点火に必要な高温を達成するために、得られる空気量及び使用される過剰な燃料量が非常に慎重に制御される。通常は再生と呼ばれるこのプロセスの終盤に、フィルタに最後に残った微粒子を除去すると、濾過効率が著しく低下し、多数の小さな粒子が環境中に爆発的に放出されることがある。したがって、フィルタは、最初の使用時、その後の各再生イベント後、また各再生プロセスの後期において、低い濾過効率を有することがある。
【0006】
したがって、例えば、フィルタ寿命の初期において、最初の使用時、及び/又は再生中及びその直後、及び/又はフィルタに煤が堆積したときなど、常に濾過効率を改善及び/又は維持することが望ましいであろう。
【0007】
Liu,X.,Szente,J.,Pakko,J.,Lambert,C.et al.,「Using Artificial Ash to Improve GPF Performance at Zero Mileage,」 SAE Technical Paper 2019-01-0974,2019,doi:10.4271/2019-01-0974は、アトマイザによって生成されたサブミクロンのアルミナ粒子をベアフィルタ基材に添着して、「人工灰」コーティングを作製し、コールドスタート状態中の煤排出を低減するためのプロセスを記載している。このプロセスは、圧縮空気で液体懸濁液を噴霧することによってエアロゾル粒子を生成することと、得られた灰含有液滴を炉に通過させることによって乾燥させることと、濾過による捕捉によって乾燥灰粒子をフィルタに添着することからなる。プロセスは、大容量アトマイザ(モデルPLG-2100,PALAS,Germany)を利用して、フルサイズブリックに100L/分の流量を供給する。フィルタの添着は、DustTrakエアロゾルモニタ(TSI Inc,Minnesota,USA)によってフィルタが記録される前後のフィルタの圧力低下及びPM濃度によって監視される。当該プロセスは、コールドスタート状態中の煤の排出低減を示しているが、噴霧乾燥することができる物質に限定され、アトマイザ、乾燥炉、及びエアロゾルモニタが必要であり、人工灰添着条件は、液体エアロゾルがフィルタ基材に到達する前に完全な乾燥を得るのに必要な条件によって制約され得る。
【0008】
国際公開第2011/151711号は、希薄燃焼内燃機関から放出された排気ガスから粒子状物質を濾過するためのフィルタを作製する方法を記載している。フィルタは、入口面及び出口面を有する多孔質基材を備え、入口面は、第1の平均孔径の細孔を有する多孔質構造によって出口面から分離されている。入口面は、多孔質構造の細孔にわたって相互接続した耐火性材料の粒子からなるブリッジネットワークを含む。この方法は、フィルタ基材の入口面に、乾燥粉末形態の耐火性材料を含むエアロゾルを接触させるステップを含む。当該プロセスは、最初の使用時及びその後の各再生イベント後にフィルタのPM排出低減を示しているが、特に製造されるフィルタのパラメータの制御性に関して、改善されたプロセスを提供することが望ましいであろう。
【0009】
米国特許出願公開第2019/0048771号は、基材のフィルタ体積に対して0.01g/L~60g/Lの範囲の濃度で不活性ナノ粒子を有する多孔質基材を含むエンジン排気微粒子フィルタを記載しており、ナノ粒子の一部は、排気ガス流から微粒子を捕捉するように構成された再生耐性多孔質構造を形成するように配置されている。当該フィルタは、微粒子フィルタのゼロ燃費効率に改善をもたらすことを意図しているが、改善されたプロセスを提供すること、特にプロセスの制御性及び柔軟性を改善することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0010】
第1の態様では、本開示は、入口面及び出口面を有する多孔質基材を備える車両排気フィルタを提供し、多孔質基材は、入口面から延在する入口チャネル及び出口面から延在する出口チャネルを備え、入口チャネル及び出口チャネルは、多孔質構造を有する複数のフィルタ壁によって分離されており、
車両排気フィルタは、0.10g/cm3未満の添着前のタップ密度を有する耐火性粉末で添着されており、
車両排気フィルタは、10g/L未満の耐火性粉末の質量添着量を有し、
耐火性粉末の40%超が、複数のフィルタ壁の多孔質構造内に配置され、耐火性粉末の60%未満が、複数のフィルタ壁の外面上にコーティングされている。
【0011】
好ましくは、耐火性粉末の50%超、任意選択で耐火性粉末の65%超、任意選択で耐火性粉末の75%超、任意選択で耐火性粉末の最大100%が、複数のフィルタ壁の多孔質構造内に配置されてもよい。
【0012】
複数のフィルタ壁の多孔質構造内に配置された耐火性粉末のパーセンテージは、以下の式によって計算され得る。
【0013】
【0014】
耐火性粉末は、0.08g/cm3未満、任意選択で0.07g/cm3未満、任意選択で0.06g/cm3未満、任意選択で0.05g/cm3未満の添着前のタップ密度を有してもよい。
【0015】
耐火性粉末の質量添着量は、7g/L未満、任意選択で5g/L未満、任意選択で3g/L未満、任意選択で1g/L未満であってもよい。
【0016】
耐火性粉末の0.5g/L超が、複数のフィルタ壁の多孔質構造内に配置され得る。
【0017】
第2の態様では、本開示は、入口面及び出口面を有する多孔質基材を備える車両排気フィルタを提供し、多孔質基材は、入口面から延在する入口チャネル及び出口面から延在する出口チャネルを備え、入口チャネル及び出口チャネルは、多孔質構造を有する複数のフィルタ壁によって分離されており、
車両排気フィルタは、0.10g/cm3未満の添着前のタップ密度を有する耐火性粉末で添着されており、
車両排気フィルタは、10g/L未満の耐火性粉末の質量添着量を有し、
耐火性粉末の0.5g/L超が、複数のフィルタ壁の多孔質構造内に配置されている。
【0018】
耐火性粉末は、0.08g/cm3未満、任意選択で0.07g/cm3未満、任意選択で0.06g/cm3未満、任意選択で0.05g/cm3未満の添着前のタップ密度を有してもよい。
【0019】
耐火性粉末の質量添着量は、1g/L超、任意選択で3g/L超、任意選択で5g/L超、任意選択で7g/L超であってもよい。
【0020】
耐火性粉末は、1つ以上のヒュームド耐火性粉末及び/又は1つ以上のエアロゲルを含み得る。1つ以上のヒュームド耐火性粉末は、パイロジェニックプロセス、例えば火炎熱分解によって作製され得る。
【0021】
1つ以上のヒュームド耐火性粉末は、ヒュームドアルミナ、ヒュームドシリカ、ヒュームドチタニア、他のヒュームド金属酸化物、及びヒュームド混合酸化物のうちの1つ以上を含み得る。
【0022】
1つ以上のエアロゲルは、シリカエアロゲル、アルミナエアロゲル、カーボンエアロゲル、チタニアエアロゲル、ジルコニアエアロゲル、セリアエアロゲル、金属酸化物エアロゲル、及び混合酸化物エアロゲルのうちの1つ以上を含み得る。
【0023】
第3の態様では、本開示は、入口面及び出口面を有する多孔質基材を備える車両排気フィルタを提供し、多孔質基材は、入口面から延在する入口チャネル及び出口面から延在する出口チャネルを備え、入口チャネル及び出口チャネルは、多孔質構造を有する複数のフィルタ壁によって分離されており、
車両排気フィルタは、0.10g/cm3未満の添着前のタップ密度を有する耐火性粉末で添着されており、
耐火性粉末は、1つ以上のエアロゲルを含む。
【0024】
1つ以上のエアロゲルは、シリカエアロゲル、アルミナエアロゲル、カーボンエアロゲル、チタニアエアロゲル、ジルコニアエアロゲル、セリアエアロゲル、金属酸化物エアロゲル、及び混合酸化物エアロゲルのうちの1つ以上を含み得る。
【0025】
第4の態様では、本開示は、入口面及び出口面を有する多孔質基材を備える車両排気フィルタを提供し、多孔質基材は、入口面から延在する入口チャネル及び出口面から延在する出口チャネルを備え、入口チャネル及び出口チャネルは、多孔質構造を有する複数のフィルタ壁によって分離されており、
車両排気フィルタは、0.10g/cm3未満の添着前のタップ密度を有する耐火性粉末で添着されており、
車両排気フィルタは、10g/L未満の耐火性粉末の質量添着量を有し、
車両排気フィルタは、0.1g/L超の煤堆積量に対して、好ましくは0.05g/L超の煤堆積量に対して、実質的に直線の堆積量-背圧応答を示す。
【0026】
上記の態様のいずれかにおいて、以下の特徴が存在し得る。
【0027】
フィルタは、0.02g/Lの煤堆積量において、90%超、好ましくは95%超、好ましくは98%超、好ましくは99%超の濾過効率を有し得る。
【0028】
フィルタは、600m3/時間の流量で20~180mbarの背圧を有し得る。
【0029】
耐火性粉末は、エアロゾル沈着耐火性粉末、好ましくはエアロゾル沈着乾燥耐火性粉末であり得る。
【0030】
耐火性粉末は、25マイクロメートル未満、好ましくは20マイクロメートル未満、より好ましくは10マイクロメートル未満のd50(体積による)を有し得る。
【0031】
フィルタは、ウォールフローフィルタであり得る。
【0032】
ウォールフローフィルタは、非対称ウォールフローフィルタであり得る。非対称ウォールフローフィルタの設計は、例えば、国際公開第2005/030365号から知られており、これは、第1のチャネル及び第2のチャネルのアレイを画定する相互接続した多孔質壁のアレイを含むハニカムフィルタを開示している。第1のチャネルは、その側面で第2のチャネルに隣接しており、第2のチャネルよりも大きな水力直径を有する。第1のチャネルは、正方形の断面を有し、第1のチャネルの角は、第1のチャネルの角に隣接する多孔質壁の厚さが第1及び第2のチャネルの縁部に隣接する多孔質壁の厚さに匹敵するような形状を有する。使用時に、より大きな水力直径を有する第1のチャネルは、上流側に配置される。Society of Automotive Engineers SAE Technical Paper Series 2007-01-0656は、「フィルタチャネルの入口及び出口におけるガスの収縮及び膨張により、[触媒化非対称セル技術(ACT)ウォールフローフィルタでは]ACT設計のクリーンな状態において圧力損失ペナルティがある。しかしながら、フィルタは、車両上での作動時に、全くクリーンな(完全に再生された)状態でいられるのはごくわずかな時間だけである。」と説明している。国際公開第2005/030365号はまた、非対称フィルタ設計の利点としては、ハニカムフィルタの入口部分で煤及び灰粒子を収集するのに利用可能な有効表面積の増加、したがってハニカムフィルタの全体的な収納容量の増加が挙げられると説明している。共通一般知識テキストブックである「Catalytic Air Pollution Control-Commercial Technology」,3rd Edition,Ronald M.Heck et al,John Wiley & Sons,Inc.Hoboken,N.J.,USA(2009)pp.338-340は、「このような[非対称フィルタ]チャネル設計は、より大きな水力直径及びより大きな入口の開放体積のために、より低い灰添着後の背圧と組み合わせたより高い灰収納容量を可能にする。ACT設計はまた、フィルタの機械的及び熱的耐久性を維持するのに役立つ。」と説明している。
【0033】
車両排気フィルタは、焼成フィルタであり得る。
【0034】
多孔質基材は、1つ以上のウォッシュコートを含み得る。
【0035】
多孔質基材は、非対称基材であり得る。
【0036】
多孔質基材は、接着促進剤及び/又は結合剤を含み得る。
【0037】
第5の態様では、本開示は、先行する態様のいずれかの車両排気フィルタを備える排気システムを提供する。
【0038】
排気システムは、更なる触媒又はフィルタなどの追加の構成要素を更に備えてもよい。更なる構成要素の例としては、NOxトラップ、炭化水素トラップ、選択的触媒還元(SCR)触媒、アンモニアスリップ触媒(ASC)、及びこれらの2つ以上の組み合わせが挙げられる。このような構成要素は、当該技術分野において周知である。
【0039】
第6の態様では、本開示は、前述の排気システムに排気ガスを通過させることを含む、内燃機関から出る排気ガスを処理する方法を提供する。
【0040】
内燃機関は、ディーゼルエンジン又はガソリンエンジンであり得る。
【0041】
第7の態様では、本開示は、第1~第4の態様のいずれかの車両排気フィルタを備える車両を提供する。
【0042】
第8の態様では、本開示は、複数の車両排気フィルタを提供し、各車両排気フィルタは、入口面及び出口面を有する多孔質基材を備え、多孔質基材は、入口面から延在する入口チャネル及び出口面から延在する出口チャネルを備え、入口チャネル及び出口チャネルは、多孔質構造を有する複数のフィルタ壁によって分離されており、
各車両排気フィルタは、0.10g/cm3未満の添着前のタップ密度を有する耐火性粉末で添着されており、
各車両排気フィルタは、10g/L未満の耐火性粉末の質量添着量を有し、
各車両排気フィルタは、600m3/時間の流量で20~180mbarの背圧を有し、複数の車両排気フィルタの背圧の相対標準偏差は、0.04未満、好ましくは0.025未満である。
【0043】
各車両排気フィルタについて、耐火性粉末の40%超が、複数のフィルタ壁の多孔質構造内に配置され得、耐火性粉末の60%未満が、複数のフィルタ壁の外面上にコーティングされ得る。
【0044】
耐火性粉末は、エアロゾル沈着耐火性粉末、好ましくはエアロゾル沈着乾燥耐火性粉末であり得る。
【0045】
本明細書では、「フィルタ」という用語は、排気ガスから粒子状物質を濾過するのに好適な多孔質構造を有する多孔質基材を指す。多孔質基材は、例えば、焼結金属、セラミック、又は金属繊維などから形成され得る。フィルタは、本体の長さに沿って延びる多数の小さなチャネルのモノリシックアレイの形態で製造された多孔質材料、例えばセラミックから作製されるウォールフロー型であり得る。例えば、フィルタは、コーディエライト、様々な形態の炭化ケイ素又はチタン酸アルミニウムから形成され得る。
【0046】
フィルタは、「ベア」フィルタであってもよく、又は代替的に、酸化、NOxトラップ、若しくは選択的触媒還元活性などの触媒機能性が組み込まれたものであってもよい。多孔質基材は、フィルタの多孔質構造をコーティングする組成物(ウォッシュコートとして知られる)を含んでもよい。ウォッシュコートは、触媒ウォッシュコートであり得る。触媒ウォッシュコートは、炭化水素トラップ、三元触媒(TWC)、NOx吸収剤、酸化触媒、選択的触媒還元(SCR)触媒、リーンNOx触媒、及びこれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される触媒を含み得る。触媒、例えば、TWC、NOx吸収剤、酸化触媒、炭化水素トラップ、及びリーンNOx触媒は、1つ以上の白金族金属、特に白金、パラジウム、及びロジウムからなる群から選択されるものを含有し得る。
【0047】
結果として、コーティングされたフィルタは、例えば、触媒化煤フィルタ(CSF)、選択的触媒還元フィルタ(SCRF)、リーンNOxトラップフィルタ(LNTF)、ガソリン微粒子フィルタ(GPF)、アンモニアスリップ触媒フィルタ(ASCF)、又はこれらの2つ以上の組み合わせ(例えば、選択的触媒還元(SCR)触媒及びアンモニアスリップ触媒(ASC)を含むフィルタ)であり得る。
【0048】
フィルタの形状及び寸法、例えば、チャネル壁厚及びその多孔度などの特性は、フィルタの意図された用途に応じて異なり得る。フィルタは、内燃機関によって放出された排気ガスを濾過するために内燃機関と共に使用するように構成され得る。内燃機関は、ガソリン火花点火エンジンであり得る。しかしながら、フィルタは、ディーゼル又はガソリンエンジンの形態の内燃機関と共に使用するように構成されている場合、特定の用途を見出す。
【0049】
本明細書では、「乾燥粉末」という用語は、液体中に懸濁又は溶解されていない微粒子組成物を指す。全ての水分子が完全に存在しないことを必ずしも意味するものではない。乾燥粉末は、好ましくは自由流動性である。
【0050】
本明細書では、「嵩密度」という用語は、欧州薬局方7.0のセクション2.9.34の方法1に従って測定された嵩密度を指し、ここでは、最初に、試験を完了するのに十分な粉末の量を、1.0mm以上の開口を有するふるいに通し、必要に応じて、保管中に形成され得る凝集体を破壊する。次に、0.1パーセントの精度で秤量した試験試料の約5g(m)を、乾燥した目盛り付き250mLシリンダ(2mLまで読み取り可能)に圧縮することなく導入する。必要に応じて、粉末を圧縮することなく注意深く水平にし、沈降していない見かけの体積(V0)を最も近い目盛り単位で読み取る。嵩密度(g/cm3)を、式m/V0を使用して計算する。
【0051】
本明細書では、「タップ密度」という用語は、欧州薬局方7.0のセクション2.9.35の方法1に従って1250回タップして測定した粉末のタップ密度を指す。
【0052】
本明細書では、「g/L」(グラム/リットル)という用語は、フィルタの体積で割った乾燥粉末の質量を指す。
【0053】
本明細書では、耐火性粉末の量を参照する場合の「添着量」及び「質量添着量」という用語は、フィルタに添加された粉末の質量を指し、フィルタに粉末を適用する前後でフィルタを秤量することによって測定され得る。
【0054】
本明細書では、「エンベロープ体積」という用語は、フィルタを包含するようにフィルムを密着させることによって得られるようなフィルタの表面体積を指し、チャネルの体積は含まない。これには、フィルタの固体材料、フィルタの多孔質構造の開気孔及び閉気孔、並びに表面欠陥/空隙が含まれる。フィルタのエンベロープ体積は、Hg圧入法(MIP)によって測定され得る。例えば、これは、以下のプロセスを使用して実行され得る。
1. フィルタから6つの等間隔の試料をとる。
2. 各試料のエンベロープ体積をMIPによって測定し、試料質量で割る。
3. これらの平均をとり、フィルタ質量を掛ける。
4. これがフィルタのエンベロープ体積である。
【0055】
本明細書では、「d50(体積による)」という用語は、Malvern Panalytical Ltd,Malvern,UKから入手可能なAero s分散ユニットを備えるMalvern Mastersizer(登録商標)3000によって測定されたd50(体積による)測定値を指す。分散条件:空気圧=2barg、供給率=65%、ホッパ間隙=1.2mm。屈折率及び吸収パラメータは、Malvern Mastersizer(登録商標)3000 User Manualに提供されている説明に従って設定する。
【0056】
本明細書では、「濾過効率」という用語は、Cambustion Ltd.Cambridge,UKから入手可能なCambustion(登録商標)Diesel Particulate Filter Testing Systemを使用して以下の試験条件で測定された濾過効率を指す。
1. フィルタを700℃の炉で2時間事前調整する。
2. フィルタを試験装置に配置する。
a) 安定化-質量流量250kg/時間、50℃、5分
b) ウォームアップ-質量流量250kg/時間、240℃、5分
c) 秤量-フィルタを装置から取り出して秤量する
d) ウォームアップ-フィルタを装置に戻す、質量流量250kg/時間、240℃、5分
e) 堆積段階-質量流量250kg/時間、240℃、堆積速度:GPFフィルタの場合-2g/Lの煤堆積に達するまで2g/時間、SCRF/CSFフィルタの場合-6g/Lの煤に達するまで10g/時間
f) 秤量-フィルタを装置から取り出して秤量する。
【0057】
試験中の使用燃料:Carcal RF-06-08 B5
試験中、粒子カウンタがフィルタの下流で連続的にサンプリングする。フィルタのバッチを試験する直前及びその後に、装置で「上流」試験を実行し、粒子カウンタに装置から生の煤生成物をサンプリングさせる。上流試験は、20分の長さで、上記の堆積段階と同じ条件を使用する。2回の上流試験(フィルタ試験の前後)の平均値を、フィルタ試験の堆積段階から得たデータと比較して、濾過効率を得る。濾過効率は、指定の煤堆積量で示される。
【0058】
本明細書では、「真空発生器」という用語は、減圧を生じるように機能する装置又は装置の組み合わせを指す。好適な装置の非限定的な例としては、ベンチュリ原理で作動する真空発生器、真空ポンプ、例えば、回転翼及び液封型真空ポンプ、及び再生ブロワが挙げられる。
【0059】
本明細書では、「圧力センサ」という用語は、絶対圧力及び/又は相対圧力を測定するように機能する装置又は装置の組み合わせを指す。好適な装置の非限定的な例としては、ダイアフラム圧力変換器であり得る圧力変換器が挙げられる。例えば、WIKA Alexander Wiegand SE & Co.KG,Klingenberg,Germanyから入手可能なWika(登録商標)P30圧力伝送器を使用してもよい。
【0060】
本明細書では、「コントローラ」という用語は、ハードウェア及び/又はソフトウェアを含み得る関数を指す。コントローラは、制御ユニットを含んでもよく、又は専用若しくは共用計算資源で実行されるコンピュータプログラムであってもよい。コントローラは、単一のユニットを含んでもよく、又は動作可能に接続された複数のサブユニットから構成されてもよい。コントローラは、1つの処理資源に位置していてもよく、又は空間的に分離された処理資源にわたって分散されていてもよい。コントローラは、マイクロコントローラ、1つ以上のプロセッサ(1つ以上のマイクロプロセッサなど)、メモリ、設定可能ロジック、ファームウェアなどを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0061】
ここで、ほんの一例として添付の図面を参照して、本開示の態様及び実施形態を説明する。
【
図1】本開示による排気ガスから粒子状物質を濾過するためのフィルタを処理する装置の概略図である。
【
図2】
図1の装置を使用してフィルタを処理する方法を組み込んだ、本開示によるフィルタの製造方法を示すフロー図である。
【
図3】
図1の装置を使用して排気ガスから粒子状物質を濾過するためのフィルタを処理する方法を示すフロー図である。
【
図4】様々なフィルタの煤堆積量-背圧応答曲線を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0062】
当業者は、隣接する文脈が特に教示しない限り、本開示の一態様又は実施形態の1つ以上の特徴を、本開示の任意の他の態様又は実施形態の1つ以上の特徴と組み合わせ得ることを理解するであろう。
【0063】
ここで、排気ガスから粒子状物質を濾過するためのフィルタ2を処理する装置1の概略図を示す
図1を参照して、本開示による装置の例を説明する。フィルタ2は、入口面及び出口面を有する多孔質基材を備えるタイプであり、入口面及び出口面は、多孔質構造によって分離されている。
【0064】
装置1は、乾燥粉末4を収容するためのリザーバ3を備える。フィルタホルダ5は、フィルタ2を保持するために提供される。真空発生器6は、フィルタ2の出口面に減圧を加えることによって、フィルタ2の多孔質構造を通る一次ガス流を使用時に確立するために提供される。輸送装置8は、乾燥粉末4をリザーバ3から噴霧装置7に輸送するために提供される。噴霧装置7は、輸送装置8から乾燥粉末4を受容し、乾燥粉末4をフィルタ2の入口面に向かって噴霧するために提供される。装置1の動作を制御するように構成されたコントローラ9が提供される。
【0065】
リザーバ3は、乾燥粉末入口11から乾燥粉末4を受容し得る。乾燥粉末入口11は、上流の乾燥粉末バルク供給の流出口であってもよい。例えば、乾燥粉末入口11は、乾燥粉末4の更なるリザーバに上流で接続された導管であってもよい。乾燥粉末入口11は、リザーバ3の蓋又は開口部を通した手動、半自動、又は自動のリザーバ3の再充填を示し得る。
【0066】
リザーバ3は、1つ以上のホッパを備えてもよい。リザーバ3は、1つのホッパを備えてもよい。図示した
図1の例では、リザーバ3は、第1のホッパ12及び第2のホッパ13を備える。第2のホッパ13は、第1のホッパ12から排出された乾燥粉末4を受容するように第1のホッパ12の下流にあってもよい。1つ以上のホッパを別個のハウジング内に提供してもよい。あるいは、1つ以上のホッパを単一のハウジング内に提供してもよい。1つ以上のホッパは、単一の容器の1つ以上のチャンバを備え得る。
【0067】
リザーバ3は、投入装置15を備え得る。投入装置15は、重量、体積、粒子数、時間のうちの1つ以上によって乾燥粉末4を投入することができる。投入装置15は、リザーバ3の出口又はその近くに位置し得る。投入装置15は、リザーバ3の1つ以上のホッパの出口又はその近くに位置し得る。投入装置は、第1のホッパ12の出口又はその近くに位置し得る。
【0068】
投入装置15は、リザーバ3から乾燥粉末4を重量測定的に供給することができる。
【0069】
投入装置15は、ロスインウエイトフィーダであってもよい。好適な投入装置の非限定的な例としては、Coperion GmbH,Stuttgart,Germanyから入手可能なCoperion(登録商標) K-Tron Type K2-ML-T35 Gravimetric二軸フィーダ、及びAll-Fill International Ltd,Sandy,UKから入手可能なAll-Fill(登録商標) Series S1 Micro-Fillが挙げられる。
【0070】
輸送装置8は、乾燥粉末4をリザーバ3から噴霧装置7に輸送する。輸送装置8は、噴霧装置7に向かう少なくとも一部の経路で乾燥粉末4を重量測定的に供給し得る。
【0071】
輸送装置8は、1つ以上の構成要素を備え得る。輸送装置8は、1つ以上の導管、例えば、通路、パイプ、ホースなどを備え得る。
【0072】
リザーバ3が2つ以上のホッパを備える場合、輸送装置8は、ホッパ間で乾燥粉末4を輸送し得る。輸送装置8は、ホッパ間で乾燥粉末4を重量測定的に供給し得る。輸送装置8は、第1のホッパ12と第2のホッパ13との間に延在する第1の導管14を備え得る。第1の導管14は、第1のハウジングから第2のハウジングに延在し得る。あるいは、第1の導管14は、第1のチャンバから単一容器の第2のチャンバに延在し得る。乾燥粉末4は、第1の導管14に沿って重量測定的に供給され得る。
【0073】
輸送装置8は、第2のホッパ13から噴霧装置7に延在する第2の導管16を備え得る。
【0074】
噴霧装置7は、輸送装置8から乾燥粉末4を受容し、乾燥粉末4をフィルタ2の入口面に向かって噴霧するために提供される。噴霧装置7は、乾燥粉末4をフィルタ2の入口面に向かって噴霧するために使用され得る、二次ガス流を生成するための二次ガス流発生器を備えてもよい。
【0075】
噴霧装置7は、フィルタ2の入口面に向かって乾燥粉末4を放出するために1つ以上の出口を更に備え得る。噴霧装置の1つ以上の出口は、1~10mmの開口サイズを備え得る。開口は、円形、部分円形、又はスロット形状であり得る。1つ以上の出口は、1つ以上の固定出口であり得る。あるいは、1つ以上の出口は、1つ以上の可動出口、例えば、1つ以上の振動出口であり得る。
【0076】
1つ以上の出口は、1つ以上のノズル内に提供され得る。1つ以上のノズルの各々は、1つ以上の噴霧出口を備え得る。図示した
図1の例では、複数の噴霧出口を備える単一のノズル25が提供される。
【0077】
二次ガス流発生器は、圧縮ガス発生器を含み得る。図示した
図1の例では、二次ガス流発生器は、圧縮機22を含み得る圧縮空気発生器を含む。圧縮機22は、空気入口21から空気を取り入れ、供給ライン23を介して噴霧装置7の1つ以上の出口に圧縮空気を供給することができる。戻りライン24を提供してもよい。操作に必要な弁及び制御装置は、当業者に周知のように提供され得る。
【0078】
輸送装置8と噴霧装置7との間に、乾燥粉末4が輸送装置8から噴霧装置7に移送される相互接続を提供してもよい。相互接続は、噴霧装置7の1つ以上の出口又はその近くに提供され得る。一例では、相互接続は、ノズル25に提供され得る。あるいは、相互接続は、リザーバ3又はその近くに、例えば、リザーバ3の第2のホッパ13又はその近くに提供され得る。一例では、相互接続は、供給ライン23と第2の導管16との間の流体接続である。例えば、噴霧装置7の二次ガス流は、第2のホッパ13の出口又はその近くで第2の導管16と流体接続されて、乾燥粉末4を流動化し、第2の導管16の少なくとも一部に沿って乾燥粉末の輸送を支援することができる。例えば、噴霧装置7の二次ガス流は、第2の導管16から乾燥粉末4を取り込むことができる。例えば、噴霧装置7の二次ガス流は、第2の導管に吸引力を生じさせて、乾燥粉末4を二次ガス流に引き込むことができる。
【0079】
一例では、噴霧装置7は、圧縮空気ガンを含む。好適な圧縮空気ガンの非限定的な例は、STAR Professional重力送りスプレーガン1.4mm、部品番号STA2591100Cである。
【0080】
フィルタホルダ5は、処理中にフィルタ2を静止位置に維持するように機能し得る。フィルタホルダ5は、フィルタ2の上端部及び/又は下端部を把持することができる。フィルタホルダ5は、フィルタ2のそれぞれの上端部及び下端部を支持する膨張可能な上部シールブラダ31(上部の膨張可能なカラーとも呼ばれる)及び/又は膨張可能な下部シールブラダ30(下部の膨張可能なカラーとも呼ばれる)を備えてもよい。膨張可能な上部シールブラダ31及び膨張可能な下部シールブラダ30は、フィルタ2の外面と接触及び/又は係合することができる。各々が、フィルタ2の周囲に液体密シール又は気密シールを形成し得る。膨張可能な上部シールブラダ31及び膨張可能な下部シールブラダ30は、1つ以上のハウジングによって支持され得る(例えば、1つ以上のハウジングの内壁によって支持され得る)。
【0081】
装置1は、フィルタ2がフィルタの入口面を最上部にして垂直方向でフィルタホルダ5に配置されるように構成され得る。噴霧装置7の少なくとも一部は、入口面の垂直上方に位置してもよい。噴霧装置7の噴霧方向は、フィルタ2の長手方向軸と同軸であり得る。噴霧方向及びフィルタ2の長手方向軸は、一致していてもよい。
【0082】
装置1は、噴霧装置7とフィルタ2の入口面との間に位置する流導管10を更に備え得る。流導管10は、一次ガス流をフィルタ2の入口面の方向に規制して送るように機能し得る。流導管10は、一次ガス流を一直線にするように機能してもよく、それによって一次ガス流の流れ方向は、フィルタ2の入口面に接触するとき、入口面に垂直になる。
【0083】
流導管10は、噴霧装置7とフィルタ2の入口面との間に妨げのない流路を提供するように空であり得る。あるいは、流導管10は、噴霧装置7とフィルタ2の入口面との間に挿入された流れ調整器を備えてもよく、流れ調整器は、乾燥粉末4の分散を促進する役割を果たす。例えば、流れ調整器は、静的ミキサ、メッシュ、ふるい、バッフル、及びオリフィスプレートのうちの1つ以上を含み得る。
【0084】
流導管10は、チューブを備え得る。流導管10は、フィルタ2の入口面の断面形状と一致する断面形状を有し得る。流導管10は、フィルタ2の入口面のサイズと一致するサイズを有し得る。
【0085】
噴霧装置7は、流導管10内に延在してもよい。噴霧装置7の1つ以上の出口は、流導管10内に位置し得る。例えば、ノズル25は、流導管10の上部領域内に位置し得る。ノズル25は、フィルタ2の長手方向軸と一致して位置し得る。
【0086】
フィルタ2の入口面は、噴霧装置から、例えば噴霧装置7のノズル25から、10~80cm、好ましくは15~20cmに位置し得る。加えて、又は代替的に、噴霧装置は、例えば噴霧装置7のノズル25から、フィルタの入口面2の直径の最大4倍までのフィルタ2の入口面からの距離に位置し得る。
【0087】
真空発生器6は、フィルタ2の出口面に減圧を加えることによって、フィルタ2の多孔質構造を通る一次ガス流を使用時に確立するために提供される。真空発生器6は、フィルタ2の出口面と係合する漏斗を画定し得る真空コーン40を備えることができる。膨張可能な下部シールブラダ30は、フィルタ2の出口面と真空コーン40との間にシールを形成することができる。真空発生器6は、導管43によってフローコーンに接続された真空ポンプ42を備えることができる。真空ポンプ42を制御して、一次ガス流の体積流量を制御してもよい。
【0088】
真空発生器6は、体積流量センサを備え得る。体積流量センサは、導管43に沿って配置された圧力センサ45と組み合わせたオリフィスプレート44であってもよい。真空発生器6は、吸気口47まで延在するバイパス導管46を備え得る。
【0089】
装置1は、フィルタ2の背圧を監視するための圧力センサ41を更に備え得る。単一の圧力センサ41を使用することができる。単一の圧力センサ41は、真空発生器6、好ましくは真空発生器のフィルタホルダ又は他のハウジング、例えば真空コーン40に配置され得る。
【0090】
コントローラ9は、少なくとも真空発生器6及び噴霧装置7の動作を制御する。
図1では、明確にするために、コントローラ9と装置1の残りの部分との間の動作接続は省略されている。しかしながら、当業者は、いずれか好適な手段の必要な接続を提供し得ることを認識するであろう。そのような接続は、有線又は無線であってもよい。
【0091】
コントローラ9は、真空発生器6によって生成された一次ガス流を制御することとは独立して、輸送装置8によるリザーバ3から噴霧装置7への乾燥粉末4の移送を制御するように構成され得る。例えば、コントローラ9は、投入装置15の動作を制御することができる。
【0092】
コントローラ9は、一次ガス流を制御することとは独立して、フィルタ2の入口面に向かう乾燥粉末4の噴霧を制御するように構成され得る。本明細書における「独立して」という用語の使用は、コントローラ9が、乾燥粉末4の噴霧及び一次ガス流の変数の各々を個別かつ他の変数の状態に関わらずに制御する能力を指す。例えば、コントローラ9は、同時に乾燥粉末4を噴霧することなく、一次ガス流を確立することができる。例えば、コントローラ9は、一次ガス流の体積流量を変更することなく、乾燥粉末4の噴霧速度を増加又は減少させ得る。例えば、コントローラ9は、乾燥粉末4の噴霧速度を変更することなく、一次ガス流の体積流量を増加又は減少させ得る。例えば、コントローラ9は、真空ポンプ42の動作を制御することとは独立して、噴霧装置7の動作を制御することができる。
【0093】
コントローラ9は、乾燥粉末4が噴霧装置7に移送されてフィルタ2の入口面に向かって噴霧される前に、真空発生器6を作動させて一次ガス流を確立するように構成され得る。
【0094】
コントローラ9は、真空発生器6とは独立して、二次ガス流発生器、例えば圧縮機22を制御するように構成され得る。コントローラ9は、真空発生器6を作動させて多孔質構造を通る連続ガス流として一次ガス流を維持し、一次ガス流の期間の一部にのみ二次ガス流発生器、例えば圧縮機22を作動させるように構成され得る。
【0095】
コントローラ9は、フィルタ2の入口面に向けて噴霧される乾燥粉末4の速度又は質量割合を制御するために輸送装置8及び/又は噴霧装置7を制御することとは独立して、フィルタ2の出口面に加えられる減圧のレベルを制御するために真空発生器6を制御するように構成され得る。
【0096】
コントローラ9は、例えば圧力センサ41によって検出するとき、フィルタ2の所定の背圧に達した場合に、フィルタ2の入口面に向かう乾燥粉末4の噴霧を停止するように構成され得る。所定の背圧は、絶対背圧であってもよく、あるいは相対背圧であってもよい。
【0097】
コントローラ9は、所定の総噴霧時間に達したときに、フィルタ2の入口面に向かう乾燥粉末4の噴霧を停止するように構成され得る。
【0098】
装置1は、1つ以上の耐火性粉末を含む、好ましくは1つ以上のヒュームド耐火性粉末、及び/又は1つ以上のエアロゲルを含む、乾燥粉末4を用いてフィルタを処理するために使用され得る。1つ以上のヒュームド耐火性粉末は、ヒュームドアルミナ、ヒュームドシリカ、ヒュームドチタニア、他のヒュームド金属酸化物、及びヒュームド混合酸化物のうちの1つ以上を含み得る。1つ以上のエアロゲルは、シリカエアロゲル、アルミナエアロゲル、カーボンエアロゲル、チタニアエアロゲル、ジルコニアエアロゲル、セリアエアロゲル、金属酸化物エアロゲル、及び混合酸化物エアロゲルのうちの1つ以上を含み得る。
【0099】
乾燥粉末4は、0.10g/cm3未満、任意選択で0.08g/cm3未満、任意選択で0.07g/cm3未満、任意選択で0.06g/cm3未満、任意選択で0.05g/cm3未満のタップ密度を有してもよい。乾燥粉末4は、好ましくは、25マイクロメートル未満、好ましくは20マイクロメートル未満、より好ましくは10マイクロメートル未満のd50(体積による)を有する。
【0100】
ここで、装置1の使用を組み込んだフィルタ2の製造方法を例示するフロー図を示す
図2を参照して、本開示によるフィルタの処理方法の例を説明する。ほんの一例として、触媒コーティングが施されるフィルタ2を参照して方法を説明する。
【0101】
ステップS21では、当該技術分野において周知の方法によって触媒スラリを調製する。
【0102】
ステップS22では、当該技術分野において周知の方法によって触媒スラリからウォッシュコートを調製する。ウォッシュコートは、例えば、炭化水素トラップ、三元触媒(TWC)、NOx吸収剤、酸化触媒、選択的触媒還元(SCR)触媒、リーンNOx触媒、及びこれらの任意の2つ以上の組み合わせであり得る。
【0103】
ステップS23では、当該技術分野において周知の方法によってウォッシュコートをベアフィルタ2に投入及び適用する。例えば、ウォッシュコートをフィルタ2の第1の面(例えば、上面)に適用してもよく、フィルタ2の反対側の第2の面(例えば、下面)を少なくとも部分的な真空に曝して、フィルタ2の多孔質構造を通るウォッシュコートの移動を達成してもよい。フィルタ2は、1回の投入でコーティングしてもよく、フィルタ2を一方向に留めたまま、単一ステップでウォッシュコートをフィルタ2に適用してもよい。あるいは、フィルタ2は、2回の投入でコーティングしてもよい。例えば、1回目の投入では、フィルタ2は、第1の面が最上部及び第2の面が最下部になる第1の配向であってもよい。コーティングを第1の面に適用し、フィルタ2の長さの一部をコーティングしてもよい。その後、フィルタ2は、第2の面が最上部になるよう、逆さまにされ得る。次に、1回目の投入によってコーティングされなかったフィルタ2の部分をコーティングするために、第2の面にコーティングを適用してもよい。有利には、2回投入プロセスにより、異なるコーティングをフィルタ2の各端部に適用することができる。
【0104】
ステップS24では、フィルタ2を乾燥させてもよい。
【0105】
ステップS25では、当該技術分野において周知の方法によってフィルタ2を焼成してもよい。
【0106】
任意のステップS26では、処理前のフィルタ2の背圧を測定してもよい。
【0107】
任意のステップS27では、フィルタ2をストックして処理を待機することができる。その後、ステップS28において、フィルタ2をストックから取り出し、処理に進むことができる。あるいは、フィルタ2は、すぐに処理してもよく、すなわち、ステップS29に直接進んで処理してもよい。
【0108】
ステップS29では、以下で
図3を参照して更に詳細に説明するように、本開示に従ってフィルタ2を処理する。
【0109】
ステップS30では、処理後に、当該技術分野において周知の方法によってフィルタ2を焼成してもよい。
【0110】
任意のステップS31では、処理後のフィルタ2の背圧を測定してもよい。
【0111】
ステップS32では、完成したフィルタ2を顧客に配送するために準備することができる。
【0112】
図3は、
図2のステップS29の処理を例示するフロー図を示す。
【0113】
ステップS29-1では、フィルタをフィルタホルダ5に装着することができる。フィルタ2は、処理中に静止位置に保持され得る。フィルタ2は、フィルタ2の上端部及び/又は下端部でフィルタホルダ5によって把持され得る。膨張可能な上部シールブラダ31及び膨張可能な下部シールブラダ30は、フィルタ2の外面と接触及び/又は係合するように膨張することができる。フィルタ2は、フィルタの入口面を最上部にして垂直方向に保持され得る。フィルタホルダ5の動作、例えば膨張可能な上部シールブラダ31及び膨張可能な下部シールブラダ30の膨張は、コントローラ9によって制御され得る。
【0114】
ステップS29-2では、コントローラ9によって真空発生器6が作動されて、フィルタ2を通る一次ガス流を確立することができる。好ましくは、一次ガス流は、乾燥粉末4が噴霧装置7に移送されてフィルタ2の入口面に向かって噴霧される前に確立される。真空発生器6によって発生される減圧のレベルは、リザーバ3から噴霧装置7に移送される乾燥粉末4の速度又は質量割合とは独立して、コントローラ9によって制御され得る。一次ガス流は、10m3/時間~5,000m3/時間、好ましくは400m3/時間~2,000m3/時間、好ましくは600m3/時間~1000m3/時間の体積流量を有し得る。
【0115】
ステップS29-3では、一次ガス流が確立されてから二次ガス流が確立される前までに、フィルタ2の背圧を測定してもよい。背圧は、圧力センサ41の使用によって測定され得る。ステップS29-3での背圧の測定は、ステップS26の背圧の測定に加えて、又はその代わりに行われ得る。あるいは、ステップS29-3の背圧の測定の代わりに、ステップS26の背圧の測定を使用してもよい。ステップS26の背圧の測定及び/又はステップS29-3の背圧の測定は、処理前のフィルタ2の第1の背圧の尺度としてコントローラ9によって使用され得る。
【0116】
ステップS29-4では、噴霧装置7によって乾燥粉末4がフィルタ2の入口面に噴霧される。乾燥粉末4の噴霧中に、輸送装置8によって乾燥粉末4を噴霧装置7に供給することができる。
【0117】
フィルタ2の入口面に向かう乾燥粉末4の噴霧は、好ましくは、一次ガス流を確立及び制御することとは独立して、コントローラ9によって制御可能である。
【0118】
ステップS29-4中、例えば圧縮機22によって供給される、一次ガス流とは別の二次ガス流を使用して、乾燥粉末4をリザーバ3から噴霧装置7に移送してもよい。好ましくは、二次ガス流は、一次ガス流とは独立して、コントローラ9によって制御可能である。例えば、コントローラ9は、真空ポンプ42の動作を制御することとは独立して、噴霧装置7の圧縮機22及び/又は弁及び/又はノズル25の動作を制御することができる。乾燥粉末4は、二次ガス流の使用によってフィルタ2の入口面に向かって噴霧されてもよい。二次ガス流は、圧縮ガス流、好ましくは圧縮空気流を含み得る。
【0119】
ステップS29-4中、一次ガス流は、好ましくは連続流として維持される。ステップS29-4中、二次ガス流は、単一のバースト又は複数の断続的なバーストとして適用され得る。
【0120】
ステップS29-5では、フィルタ2の背圧を監視してもよい。背圧は、圧力センサ41の使用によって監視され得る。コントローラ9は、所定の背圧に達したときに、フィルタ2の入口面に向かう乾燥粉末4の噴霧を停止するように構成され得る。所定の背圧にまだ達していない場合、コントローラ9は、ステップS29-4に戻って乾燥粉末4の噴霧を継続するように構成される。このフィードバックは、連続的であってもよく、乾燥粉末4の噴霧にいかなる一時停止も伴う必要はなく、すなわち、コントローラ9は、乾燥粉末4の噴霧の進行中にフィルタ2の背圧を連続的に監視してもよい。
【0121】
所定の背圧は、絶対背圧であってもよい。絶対背圧は、600m3/時間の流量で20~180mbarであり得る。
【0122】
あるいは、所定の背圧は、相対背圧であってもよい。例えば、ステップS26及び/又はステップS29-3で測定された処理前のフィルタ2の第1の背圧に対する背圧を使用することができる。背圧は、第1の背圧のパーセンテージとして測定され得る。乾燥粉末4の噴霧を停止するときの所定の背圧は、第1の背圧の105%~200%、好ましくは125%~150%であり得る。
【0123】
加えて、又は代替的に、フィルタ2の入口面に向かう乾燥粉末4の噴霧は、所定の総噴霧時間に達したときに停止され得る。所定の総噴霧時間は、1~60秒、好ましくは1~10秒、好ましくは1~5秒、好ましくは2~5秒、好ましくは3秒であり得る。
【0124】
コントローラ9は、所定の総噴霧時間若しくはフィルタの所定の背圧に最初に達したとき、又は乾燥粉末の目標質量がフィルタの入口面に向けて噴霧されたときのいずれかで、フィルタ2の入口面に向かう乾燥粉末4の噴霧を停止するように構成され得る。
【0125】
ステップS29-6では、乾燥粉末4の噴霧が停止される。例えば、これは、コントローラ9が輸送装置8による乾燥粉末の移送を停止することによって、及び/又は噴霧装置7の二次ガス流を停止することによって、達成され得る。好ましくは、ステップS29-6では、乾燥粉末4の噴霧の停止後、しばらくの間、フィルタ2の多孔質構造を通る一次ガス流が維持される。コントローラ9は、乾燥粉末4の噴霧の停止後、しばらくの間、真空発生器6を作動させるように構成され得る。
【0126】
任意選択で、ステップS29-6では、フィルタ2の入口面に向けて送達される乾燥粉末4の量を測定してもよい。コントローラ9は、投入装置15からの信号出力から、例えばロスインウエイトフィーダからの出力から、乾燥粉末4の送達量を決定するように構成される。
【0127】
方法は、乾燥粉末4の10g/L未満、好ましくは乾燥粉末4の5g/L未満、好ましくは乾燥粉末4の2g/L未満のフィルタ2の最大添着量を送達するように構成され得る。
【0128】
ステップS29-7では、フィルタ2を通る一次ガス流が停止される。これは、コントローラ9が真空発生器6を停止することによって、すなわち真空ポンプ42を停止することによって達成され得る。あるいは、これは、コントローラが真空発生器6の弁を操作して、バイパス導管46を通して吸引力をそらし、吸気口47を通して空気を吸い込むことによって達成され得る。これにより、連続するフィルタ2の処理の間に真空ポンプ42を停止する必要がなくなり、サイクルタイムをより速くすることができる。
【0129】
ステップS29-8では、例えば膨張可能な上部シールブラダ31及び膨張可能な下部シールブラダ30を収縮させることによって、フィルタホルダ5からフィルタ2が外される。次いで、フィルタ2を取り出し、上述したステップS30に進むことができる。
【0130】
図4は、耐火性力で処理されていない参照フィルタと、耐火性粉末で処理された2つの実施例フィルタ(実施例A及び実施例B)との煤堆積量-背圧応答曲線を示すグラフである。参照フィルタは、開始から約0.4g/Lまでの煤堆積量に対して急激に増加する背圧応答を示す。その後、応答曲線は、約0.4g/L超の煤堆積量に対して実質的に直線の堆積量-背圧応答になる。比較すると、実施例A及び実施例Bのフィルタは、わずか0.1g/L超の煤堆積量に対して実質的に直線の堆積量-背圧応答を示す。更に、特定の煤堆積レベルでの絶対背圧は、参照フィルタよりも著しく小さい。結果として、実施例A及び実施例Bの処理フィルタは、わずか約0.05g/Lの非常に小さい初期の煤堆積量を除いて、実質的に直線の背圧-煤堆積量応答を有する。
【0131】
本開示に従って、従来技術のフィルタに比べて1つ以上の利点を有する処理フィルタが提供され得る。好ましくは、限定するものではないが、処理フィルタは、本開示に従って処理されてもよく、及び/又は本開示による装置を使用して処理されてもよい。
【実施例】
【0132】
標準添着プロセス
以下の実施例では、特に指定のない限り、
図1に示すタイプの装置を使用し、以下の「標準」添着プロセスを使用して、処理フィルタに耐火性粉末を添着した。
1 流導管の直径は、フィルタの入口面と同じであった。
2 空気の550m
3/時間の一次ガス流は、下流の再生ブロワを使用してフィルタを通して引っ張られた。
3 背圧は、フィルタの下に位置するWika(登録商標)P30圧力伝送器で監視した。
4 耐火性粉末は、STAR Professional重力送りスプレーガン1.4mm、部品番号STA2591100Cを使用して、一次ガス流中に分散された。STAR Professional重力送りスプレーガンは、フィルタの入口面から100mmに取り付けられた。
5 添着完了後に、フィルタを500℃で1時間焼成した。
【0133】
耐火性粉末の噴霧の停止時点を決定するために背圧パラメータを使用する場合、上記の圧力伝送器を使用して背圧を監視した。耐火性粉末の噴霧の停止時点を決定するために噴霧された耐火性粉末の質量を使用する場合、計量のためにスプレーガンホッパを定期的に取り外すことによって質量を監視した。
【0134】
以下の実施例では、「CFBP」は、600m3/時間におけるコールドフロー背圧(mbar)を指し、全ての濾過効率は、0.02g/Lの煤堆積量で示されている。
【0135】
耐火性粉末
以下の実施例では、以下の耐火性粉末を使用した。
1 Evonik Industries AG,Essen,Germanyから入手可能なAeroxide(登録商標)Alu130ヒュームド酸化アルミニウム。タップ密度は0.05g/Lであり、d50は5.97マイクロメートルであった。
2 シリカエアロゲル。タップ密度は0.10g/L未満であり、d50は10マイクロメートル未満であった。シリカエアロゲルは、例えば、The Dow Chemical Company,Midland,MI,USA、Enersens SAS,Bourgoin Jallieu,France、及びJIOS Aerogel Corporation,Gyeonggi-do,Koreaから入手可能である。
3 AEIゼオライト。タップ密度は0.30g/Lであり、d50は0.9マイクロメートルであった。
【0136】
実施例1及び2
3つのSCRFフィルタを、それぞれ同じSiC、300/12、3.76Lの基材タイプから調製した。各フィルタを、同じ小孔Cu交換ゼオライトSCR触媒を用いて、1.93g/in3のウォッシュコート添着量でウォッシュコートした。実施例1及び実施例2のフィルタは、上述した標準添着プロセスを使用し、耐火性粉末の噴霧の停止時点を決定するために背圧を使用して、上記のAeroxide(登録商標)Alu130を添着した。比較1のフィルタには、いかなる耐火性粉末も添着しなかった。以下の結果を得た。
【0137】
【0138】
結果から分かるように、本開示によるフィルタの処理は、フィルタの初期濾過効率の実質的な改善をもたらした。特に、本発明者らは、0.10g/L未満のタップ密度を有する耐火性粉末を用いたフィルタの処理が、3g/L未満の非常に低い添着レベルであっても濾過効率の実質的な改善を得ることができることを見出した。理論に束縛されるものではないが、耐火性粉末、好ましくはエアロゾル沈着されたものは、煤の微粒子ケーキがまだ蓄積されていない、初期使用時、及び適切な場合には、再生後の非常に低い煤堆積量でも、フィルタに高効率の濾材を提供すると考えられる。
【0139】
実施例3及び4
3つのGPFフィルタを、それぞれ同じコーディエライト、300/8、1.26Lの基材タイプから調製した。各フィルタを、14.8g/ft3のPGM添着量及び0:10:1のPGM比(Pt:Pd:Rh)を有する同じTWC触媒を用いて、1.1g/in3のウォッシュコート添着量でウォッシュコートした。実施例3及び実施例4のフィルタは、上述した標準添着プロセスを使用し、耐火性粉末の噴霧の停止時点を決定するために背圧を使用して、上記のシリカエアロゲルを添着した。比較2のフィルタには、いかなる耐火性粉末も添着しなかった。以下の結果を得た。
【0140】
【0141】
結果から分かるように、本開示によるフィルタの処理は、フィルタの初期濾過効率の実質的な改善をもたらした。特に、本発明者らは、0.10g/L未満のタップ密度を有する耐火性粉末を用いたフィルタの処理が、2g/L未満の非常に低い添着レベルであっても濾過効率の実質的な改善を得ることができることを見出した。
【0142】
実施例5
2つのSCRFフィルタを、それぞれ同じSiC、300/12、3.00Lの基材タイプから調製した。各フィルタを、同じ小孔Cu交換ゼオライトSCR触媒を用いて、1.52g/in3のウォッシュコート添着量でコーティングした。実施例5のフィルタは、上述した標準添着プロセスを使用し、耐火性粉末の噴霧の停止時点を決定するために耐火性粉末の質量を使用して、上記のAEIゼオライトを添着した。比較3のフィルタには、いかなる耐火性粉末も添着しなかった。以下の結果を得た。
【0143】
【0144】
結果から分かるように、実施例5のフィルタにおける0.30g/Lの比較的高いタップ密度(本開示の範囲外)を有する耐火性粉末の使用は、実施例1~4によって示したのと同じ濾過効率の実質的な増加を達成していない。本発明者らは、0.10g/L未満の非常に低いタップ密度を有する耐火性粉末を使用することが特に有益であると理論上想定する。これは特に、一次ガス流を使用してフィルタを通して粉末を引っ張る場合である。耐火性粉末の非常に低いタップ密度、したがって耐火性粉末粒子の非常に低い運動量は、一次ガス流中及び多孔質基材中で粉末のより良い分散を促進し、特に耐火性粉末のより大きな割合を複数のフィルタ壁の多孔質構造内に堆積させるのに有益であることが理論上想定される。
【0145】
実施例6
SCRFフィルタを、実施例1及び2と同じSiC、300/12、3.76Lの基材タイプから調製した。フィルタを、実施例1及び2と同じ小孔Cu交換ゼオライトSCR触媒を用いて、1.93g/in3のウォッシュコート添着量でウォッシュコートした。実施例6のフィルタは、一部変更した添着プロセスを使用して、上記のAeroxide(登録商標)Alu130を添着した。一部変更した添着プロセスは、粉末をフィルタに引き込むために一次ガス流を使用しないこと以外は、上記の標準添着プロセスと同じであった。代わりに、スプレーガンからの二次ガス流のみを使用して、粉末をフィルタに吹き込んだ。この二次ガス流は、約3.5m3/時間であった。耐火性粉末の噴霧の停止時点を決定するために、耐火性粉末の質量を使用した。以下の結果を得た。
【0146】
【0147】
実施例6の粉末添着中に、フィルタの入口面の上で目に見えるかなりの逆流/乱流があることが観察され、これはガス流中の粉末の動きから分かった。添着の終了時に、フィルタの入口面に粉末の蓄積があることが更に観察された。半分に分割すると、フィルタの出口端部で入口チャネルを埋めるかなりの粉末の蓄積があることが観察された。耐火性粉末の非常に低いタップ密度と組み合わせた実施例1及び2における一次ガス流の効果は、一次ガス流中及び多孔質基材中で粉末のより良い分散を促進し、特に耐火性粉末のより大きな割合を複数のフィルタ壁の多孔質構造内に堆積させるのに有益であることが理論上想定される。一次ガス流がないと、実施例6のように、粉末は、入口面上及び詰まった入口チャネルの出口端部に蓄積する有害な傾向を有する。結果として、フィルタを通して引っ張られる一次ガス流中に耐火性粉末を取り込むことは、複数のフィルタ壁の多孔質構造中でより良い粉末の分散を促進する。
【0148】
実施例7
2つのフィルタを、それぞれ同じコーディエライト、200/8、3.2Lの基材タイプから調製した。いずれのフィルタもウォッシュコートでコーティングされていない、すなわち、基材はベアのままであった。実施例7のフィルタは、一部変更した添着プロセスを使用して、上記のシリカエアロゲルを添着した。一部変更した添着プロセスは、スプレーガンではなくメッシュふるいを使用して一次ガス流中に耐火性粉末を分散させたこと以外は、上記の標準添着プロセスと同じであった。耐火性粉末の噴霧の停止時点を決定するために、耐火性粉末の質量を使用した。比較4のフィルタには、いかなる耐火性粉末も添着しなかった。以下の結果を得た。
【0149】
【0150】
結果から分かるように、本開示によるフィルタの処理は、ベアのコーティングしていないフィルタを使用しても、フィルタの初期濾過効率の実質的な改善をもたらした。
【0151】
実施例8及び9
SCRFフィルタを、実施例1及び2と同じSiC、300/12、3.76Lの基材タイプから調製した。フィルタを、実施例1及び2と同じ小孔Cu交換ゼオライトSCR触媒を用いて、1.93g/in3のウォッシュコート添着量でウォッシュコートした。実施例8のフィルタは、上述した標準添着プロセスを使用して、上記のAeroxide(登録商標)Alu130を添着した。耐火性粉末の噴霧の停止時点を決定するために、背圧を使用した。
【0152】
GPFフィルタを、実施例3及び4と同じ300/8、1.26Lの基材タイプから調製した。フィルタを、14.8g/ft3のPGM添着量及び0:10:1のPGM比(Pt:Pd:Rh)を有するTWC触媒を用いて、1.1g/in3のウォッシュコート添着量でウォッシュコートした。実施例9のフィルタは、上述した標準添着プロセスを使用して、上記のAeroxide(登録商標)Alu130を添着した。耐火性粉末の噴霧の停止時点を決定するために、背圧を使用した。
【0153】
以下の結果を得た。
【0154】
【0155】
エンベロープ体積を、Hg圧入法(MIP)を使用して計算した。以下の結果を得た。
【0156】
【0157】
次に、粉末壁内%を、以下の式を使用して計算した。
【0158】
【数2】
ここでは、噴霧されたAeroxide(登録商標)Alu130粉末の嵩密度は、0.016g/mLであった。
【0159】
結果は、実施例8の粉末壁内%が50.6%、実施例9では70.1%であったことを示し、これは、耐火性粉末の40%超が複数のフィルタ壁の多孔質構造内に配置されたフィルタを得るのに本開示の方法及び装置が有効であることを証明した。
【0160】
実施例10~13
6つのGPFフィルタを、それぞれコーディエライト、300/8、1.68Lの基材タイプから調製した。3つのフィルタは低平均孔径を有し、3つは高平均孔径を有した。本明細書では、「高平均孔径」は、基材タイプの公称又は平均の平均孔径(基材製造業者による引用)を2マイクロメートルを超えて上回るフィルタの平均孔径を指す。同様に、本明細書では、「低平均孔径」は、基材タイプの公称又は平均の平均孔径(基材製造業者による引用)を2マイクロメートルを超えて下回るフィルタの平均孔径を指す。
【0161】
各フィルタを、同じ22g/ft3のPGM添着量及び0:20:2のPGM比(Pt:Pd:Rh)を用いて、0.8g/in3のウォッシュコート添着量でコーティングした。実施例フィルタ10~13は、上述した標準添着プロセスを使用して、上記のシリカエアロゲルを添着した。実施例フィルタ10及び12では、耐火性粉末の噴霧の停止時点を決定するために、背圧を使用した。実施例フィルタ11及び13では、耐火性粉末の噴霧の停止時点を決定するために、耐火性粉末の質量を使用した。比較5及び6のフィルタには、いかなる耐火性粉末も添着しなかった。以下の結果を得た。
【0162】
【0163】
結果から分かるように、本開示によるフィルタの処理は、初期濾過効率の実質的な改善をもたらした。加えて、処理は、フィルタの背圧の変動を低減することができ、このようにして平均孔径の変化がフィルタの背圧に及ぼす影響を軽減することができる。例えば、比較フィルタ5及び6のCFBPは、27%を超えて異なっていることが分かる。比較すると、実施例フィルタ10及び12のCFBPは7%だけ異なるが、依然として同じ96.8%の濾過効率の向上を達成している。したがって、結果は、フィルタが平均孔径に変動を有しても、本開示の方法及び装置がフィルタの背圧の相対標準偏差の低下を得るのに有効であることを証明する。
【0164】
本開示の更なる態様及び実施形態を以下の節に記載する。
条項A1. 排気ガスから粒子状物質を濾過するためのフィルタを処理する方法であって、
a)乾燥粉末をリザーバに収容するステップと、
b)フィルタをフィルタホルダに配置するステップであって、フィルタは、入口面及び出口面を有する多孔質基材を備え、入口面及び出口面は、多孔質構造によって分離されている、ステップと、
c)フィルタの出口面に減圧を加えることによって、フィルタの多孔質構造を通る一次ガス流を確立するステップと、
d)乾燥粉末をリザーバからフィルタの入口面の上流に位置する噴霧装置に移送するステップと、
e)噴霧装置を使用して、フィルタの入口面に向かって乾燥粉末を噴霧し、それによって乾燥粉末が一次ガス流に取り込まれて、フィルタの入口面を通過して多孔質構造と接触するステップと、を含む、方法。
【0165】
条項A2. 乾燥粉末をリザーバから噴霧装置に移送することは、一次ガス流を確立及び制御することとは独立して制御可能であり、任意選択で、乾燥粉末をフィルタの入口面に向かって噴霧することは、一次ガス流を確立及び制御することとは独立して制御可能である、条項A1に記載の方法。
【0166】
条項A3. 一次ガス流は、乾燥粉末が噴霧装置に移送されて入口面に向かって噴霧される前に確立される、条項A1又は条項A2に記載の方法。
【0167】
条項A4. ステップd)において、乾燥粉末をリザーバから噴霧装置に移送するために、一次ガス流とは別の二次ガス流を使用する、条項A1~A3のいずれかに記載の方法。
【0168】
条項A5. 二次ガス流は、一次ガス流とは独立して制御可能である、条項A4に記載の方法。
【0169】
条項A6. フィルタの入口面に向かう乾燥粉末の噴霧を停止するステップf)であって、一次ガス流は、ステップc)からステップf)までの連続ガス流であり、二次ガス流は、ステップc)からステップf)までの期間の一部にのみ適用される、ステップf)を更に含む、条項A4又は条項A5に記載の方法。
【0170】
条項A7. 二次ガス流は、前述のステップc)からステップf)までの期間の一部の間に、単一のバースト又は複数の断続的なバーストとして適用される、条項A6に記載の方法。
【0171】
条項A8. ステップf)における乾燥粉末の噴霧の停止後、しばらくの間、フィルタの多孔質構造を通る一次ガス流を維持するステップg)を更に含む、条項A6又は条項A7に記載の方法。
【0172】
条項A9. 二次ガス流は、圧縮ガス流、好ましくは圧縮空気流を含む、条項A4~A8のいずれか一項に記載の方法。
【0173】
条項A10. 二次ガス流は、乾燥粉末をリザーバから噴霧装置に移送するために、及び乾燥粉末を噴霧装置から分配するために使用される、条項A4~A9のいずれか一項に記載の方法。
【0174】
条項A11. 噴霧装置は、圧縮空気ガンである、条項A4~A10のいずれか一項に記載の方法。
【0175】
条項A12. フィルタの多孔質構造を通る一次ガス流を確立するために真空発生器を使用することを含む、条項A1~A11のいずれかに記載の方法。
【0176】
条項A13. 真空発生器によって発生される減圧のレベルは、乾燥粉末をリザーバから噴霧装置に移送する速度又は質量割合とは独立して制御可能である、条項A12に記載の方法。
【0177】
条項A14. 一次ガス流は、10m3/時間~5,000m3/時間、好ましくは400m3/時間~2,000m3/時間、好ましくは600m3/時間~1000m3/時間の体積流量を有する、条項A1~A13のいずれかに記載の方法。
【0178】
条項A15. 少なくともステップe)中にフィルタの背圧を監視することを更に含む、条項A1~A14のいずれかに記載の方法。
【0179】
条項A16. 背圧を監視するために、圧力センサ、好ましくは単一の圧力センサを使用することを更に含む、条項A15に記載の方法。
【0180】
条項A17. 圧力センサ、好ましくは単一の圧力センサは、フィルタの出口面に流体接続されたフィルタホルダ又は他のハウジングに配置されている、条項A16に記載の方法。
【0181】
条項A18. フィルタの所定の背圧に達したときに、フィルタの入口面に向かう乾燥粉末の噴霧を停止するステップを更に含む、条項A15~A17のいずれか一項に記載の方法。
【0182】
条項A19. 所定の背圧は、絶対背圧である、条項A18に記載の方法。
【0183】
条項A20. 少なくともステップc)及びステップe)中、好ましくは少なくともステップc)、d)及びe)中に、フィルタの背圧を監視することを更に含む、条項A15~A19のいずれか一項に記載の方法。
【0184】
条項A21. 背圧を監視するために、圧力センサ、好ましくは単一の圧力センサを使用することを更に含む、条項A20に記載の方法。
【0185】
条項A22. 圧力センサ、好ましくは単一の圧力センサは、フィルタの出口面に流体接続されたフィルタホルダ又は他のハウジングに配置されている、条項A21に記載の方法。
【0186】
条項A23. 少なくともステップc)及びe)中にフィルタの背圧を監視するために、同じ圧力センサ、好ましくは同じ単一の圧力センサを使用する、条項A21又は条項A22に記載の方法。
【0187】
条項A24. フィルタの所定の背圧に達したときに、フィルタの入口面に向かう乾燥粉末の噴霧を停止するステップを更に含む、条項A20~A23のいずれか一項に記載の方法。
【0188】
条項A25. 所定の背圧は、相対背圧である、条項A24に記載の方法。
【0189】
条項A26. フィルタの第1の背圧は、乾燥粉末が多孔質構造に堆積する前のステップc)で測定され、フィルタの第2の背圧は、乾燥粉末が多孔質構造に堆積中のステップe)で測定され、第2の背圧が第1の背圧の所定のパーセンテージに達したときに、乾燥粉末の噴霧を停止する、条項A25に記載の方法。
【0190】
条項A27. 所定のパーセンテージは、105%~200%、好ましくは125%~150%である、条項A26に記載の方法。
【0191】
条項A28. 所定の総噴霧時間に達したときに、フィルタの入口面に向かう乾燥粉末の噴霧を停止するステップを更に含む、条項A1~A14のいずれか一項に記載の方法。
【0192】
条項A29. 所定の総噴霧時間は、1~60秒、好ましくは1~10秒、好ましくは1~5秒、好ましくは2~5秒、好ましくは3秒である、条項A28に記載の方法。
【0193】
条項A30. 乾燥粉末の目標質量がフィルタの入口面に向かって噴霧されたときに、フィルタの入口面に向かう乾燥粉末の噴霧を停止するステップを更に含む、条項A1~A29のいずれかに記載の方法。
【0194】
条項A31. 少なくともステップe)中にフィルタの背圧を監視し、所定の総噴霧時間又はフィルタの所定の背圧のいずれかに最初に達したときに、フィルタの入口面に向かう乾燥粉末の噴霧を停止するステップを更に含む、条項A1~A14のいずれか一項に記載の方法。
【0195】
条項A32. 所定の背圧は、絶対背圧である、条項A31に記載の方法。
【0196】
条項A33. 少なくともステップc)及びステップe)中、好ましくは少なくともステップc)、d)及びe)中に、フィルタの背圧を監視することを更に含む、条項A31又は条項A32に記載の方法。
【0197】
条項A34. 所定の背圧は、相対背圧である、条項A33に記載の方法。
【0198】
条項A35. 乾燥粉末の10g/L未満、好ましくは乾燥粉末の5g/L未満、好ましくは乾燥粉末の2g/L未満のフィルタの最大添着量を提供することを含む、条項A1~A34のいずれかに記載の方法。
【0199】
条項A36. 乾燥粉末は、0.10g/cm3未満、任意選択で0.08g/cm3未満、任意選択で0.07g/cm3未満、任意選択で0.06g/cm3未満、任意選択で0.05g/cm3未満のタップ密度を有し、及び/又は乾燥粉末は、25マイクロメートル未満、好ましくは20マイクロメートル未満、より好ましくは10マイクロメートル未満のd50(体積による)を有する、条項A1~A35のいずれかに記載の方法。
【0200】
条項A37. 乾燥粉末は、1つ以上の耐火性粉末を含み、好ましくは1つ以上のヒュームド耐火性粉末、及び/又は1つ以上のエアロゲルを含む、条項A1~A36のいずれかに記載の方法。
【0201】
条項A38. 1つ以上のヒュームド耐火性粉末は、ヒュームドアルミナ、ヒュームドシリカ、ヒュームドチタニア、他のヒュームド金属酸化物、及びヒュームド混合酸化物のうちの1つ以上を含む、条項A37に記載の方法。
【0202】
条項A39. 1つ以上のエアロゲルは、シリカエアロゲル、アルミナエアロゲル、カーボンエアロゲル、チタニアエアロゲル、ジルコニアエアロゲル、セリアエアロゲル、金属酸化物エアロゲル、及び混合酸化物エアロゲルのうちの1つ以上を含む、条項A37に記載の方法。
【0203】
条項A40. ステップe)において、乾燥粉末は、噴霧装置の1つ以上の出口から噴霧される、条項A1~A39のいずれかに記載の方法。
【0204】
条項A41. 噴霧装置の1つ以上の出口は、1~10mmの開口サイズを備える、条項A40に記載の方法。
【0205】
条項A42. 乾燥粉末は、噴霧装置の1つ以上の固定出口から噴霧される、条項A40又は条項A41に記載の方法。
【0206】
条項A43. 乾燥粉末は、噴霧装置の1つ以上の可動出口から、好ましくは1つ以上の振動出口から噴霧される、条項A40又は条項A41に記載の方法。
【0207】
条項A44. ステップe)において、流導管内で噴霧装置からフィルタの入口面に乾燥粉末を送ることを更に含む、条項A1~A43のいずれかに記載の方法。
【0208】
条項A45. 流導管は、噴霧装置とフィルタの入口面との間に妨げのない流路を提供する、条項A44に記載の方法。
【0209】
条項A46. 流導管は、噴霧装置とフィルタの入口面との間に挿入された流れ調整器を備え、流れ調整器は、ガス流内の乾燥粉末の分散を促進する役割を果たす、条項A44に記載の方法。
【0210】
条項A47. 流れ調整器は、静的ミキサ、メッシュ、ふるい、バッフル、及びオリフィスプレートのうちの1つ以上を含む、条項A46に記載の方法。
【0211】
条項A48. フィルタの入口面は、噴霧装置から10~80cm、好ましくは15~20cmに位置し、及び/又は噴霧装置は、フィルタの入口面の直径の最大4倍までのフィルタの入口面からの距離に位置する、条項A1~A47のいずれかに記載の方法。
【0212】
条項A49. ステップd)において、乾燥粉末をリザーバから投入することを更に含む、条項A1~A48のいずれかに記載の方法。
【0213】
条項A50. 投入は、重量、体積、粒子数、時間のうちの1つ以上によって投入することを含む、条項A49に記載の方法。
【0214】
条項A51. 投入装置に乾燥粉末を重量測定的に供給することを含む、条項A49又は条項A50に記載の方法。
【0215】
条項A52. 投入はロスインウエイトフィーダを使用する、条項A49~A52のいずれか一項に記載の方法。
【0216】
条項A53. ステップa)において、乾燥粉末を1つ以上のホッパに収容する、条項A1~A52のいずれかに記載の方法。
【0217】
条項A54. ステップb)において、フィルタは、入口面を最上部にして垂直方向でホルダに配置される、条項A1~A53のいずれかに記載の方法。
【0218】
条項A55. ステップd)において、噴霧装置は、入口面の垂直上方に位置し、好ましくは、噴霧装置の噴霧方向は、フィルタの長手方向軸と同軸であり、好ましくは、噴霧方向及び長手方向軸は一致している、条項A54に記載の方法。
【0219】
条項A56. ステップe)の後に、フィルタを焼成することを更に含む、条項A1~A55のいずれかに記載の方法。
【0220】
条項A57. ステップb)の前に、ウォッシュコート、好ましくは触媒ウォッシュコートでフィルタをコーティングすることを更に含む、条項A1~A56のいずれかに記載の方法。
【0221】
条項A58. 多孔質基材は、ウォールフローフィルタである、条項A1~A57のいずれかに記載の方法。
【0222】
条項B1. 排気ガスから粒子状物質を濾過するためのフィルタを処理する装置であって、
i) 乾燥粉末を収容するためのリザーバと、
ii) フィルタを保持するためのフィルタホルダであって、フィルタは、入口面及び出口面を有する多孔質基材を備えるタイプであり、入口面及び出口面は、多孔質構造によって分離されている、フィルタホルダと、
iii) フィルタの出口面に減圧を加えることによって、フィルタの多孔質構造を通る一次ガス流を使用時に確立するための真空発生器と、
iv) 乾燥粉末をリザーバからフィルタに向かって輸送するための輸送装置と、
iv) 輸送装置から乾燥粉末を受容し、乾燥粉末をフィルタの入口面に向かって噴霧するための噴霧装置と、
v) 少なくとも真空発生器及び噴霧装置の動作を制御するように構成されたコントローラと、を備える、装置。
【0223】
条項B2. コントローラは、真空発生器によって生成される一次ガス流を制御することとは独立して、輸送装置によるリザーバから噴霧装置への乾燥粉末の移送を制御するように構成されており、任意選択で、コントローラは、一次ガス流を制御することとは独立して、フィルタの入口面に向かう乾燥粉末の噴霧を制御するように構成されている、条項B1に記載の装置。
【0224】
条項B3. コントローラは、乾燥粉末が噴霧装置に移送されて入口面に向かって噴霧される前に、真空発生器を作動させて一次ガス流を確立するように構成されている、条項B1又は条項B2に記載の装置。
【0225】
条項B4. 輸送装置及び/又は噴霧装置は、乾燥粉末の噴霧装置への移送を支援する、真空発生器とは別の二次ガス流発生器を備える、条項B1~B3のいずれか一項に記載の装置。
【0226】
条項B5. コントローラは、真空発生器とは独立して二次ガス流発生器を制御するように構成されている、条項B4に記載の装置。
【0227】
条項B6. コントローラは、真空発生器を作動させて多孔質構造を通る連続ガス流として一次ガス流を維持し、一次ガス流の期間の一部にのみ二次ガス流発生器を作動させるように構成されている、条項B4又は条項B5に記載の装置。
【0228】
条項B7. コントローラは、一次ガス流の期間中に、単一のバースト又は複数の断続的なバーストで二次ガス流発生器を作動させるように構成されている、条項B6に記載の装置。
【0229】
条項B7. 二次ガス流発生器は、圧縮ガス発生器、好ましくは圧縮空気発生器を含む、条項B4~B6のいずれか一項に記載の装置。
【0230】
条項B8. 噴霧装置は、圧縮空気ガンである、条項B4~B7のいずれか一項に記載の装置。
【0231】
条項B9. コントローラは、フィルタの入口面に向けて噴霧される乾燥粉末の速度又は質量割合を制御するために輸送装置及び/又は噴霧装置を制御することとは独立して、フィルタの出口面に加えられる減圧のレベルを制御するために真空発生器を制御するように構成されている、条項B1~B8のいずれか一項に記載の装置。
【0232】
条項B10. コントローラは、ガス流が10m3/時間~5,000m3/時間、好ましくは400m3/時間~2,000m3/時間、好ましくは600m3/時間~1000m3/時間の体積流量を有するように、真空発生器を作動させるように構成されている、条項B1~B9のいずれか一項に記載の装置。
【0233】
条項B11. フィルタの背圧を監視するための圧力センサ、好ましくは単一の圧力センサを更に備え、コントローラは、圧力センサからの出力を受信するように構成されている、条項B1~B10のいずれか一項に記載の装置。
【0234】
条項B12. 圧力センサ、好ましくは単一の圧力センサは、真空発生器、好ましくは真空発生器の真空コーンに配置されている、条項B11に記載の装置。
【0235】
条項B13. コントローラは、フィルタの所定の背圧に達したときに、フィルタの入口面に向かう乾燥粉末の噴霧を停止するように構成されている、条項B11又は条項B12に記載の装置。
【0236】
条項B14. 所定の背圧は、絶対背圧である、条項B13に記載の装置。
【0237】
条項B15. 所定の背圧は、相対背圧である、条項B13に記載の装置。
【0238】
条項B16. コントローラは、乾燥粉末が多孔質構造に堆積する前に圧力センサからフィルタの第1の背圧を取得し、乾燥粉末が多孔質構造に堆積中に圧力センサからフィルタの第2の背圧を取得するように構成されており、コントローラは、第2の背圧が第1の背圧の所定のパーセンテージに達したときに、乾燥粉末の噴霧を停止するように構成されている、条項B15に記載の装置。
【0239】
条項B17. 所定のパーセンテージは、105%~200%、好ましくは125%~150%である、条項B16に記載の装置。
【0240】
条項B18. コントローラは、所定の総噴霧時間に達したときに、フィルタの入口面に向かう乾燥粉末の噴霧を停止するように構成されている、条項B1~B17のいずれか一項に記載の装置。
【0241】
条項B19. 所定の総噴霧時間は、1~60秒、好ましくは1~10秒、好ましくは1~5秒、好ましくは2~5秒、好ましくは3秒である、条項B18に記載の装置。
【0242】
条項B20. コントローラは、乾燥粉末の目標質量がフィルタの入口面に向かって噴霧されたときに、フィルタの入口面に向かう乾燥粉末の噴霧を停止するように構成されている、条項B1~B19のいずれか一項に記載の装置。
【0243】
条項B21. フィルタの背圧を監視するための圧力センサ、好ましくは単一の圧力センサを更に備え、コントローラは、圧力センサからの出力を受信するように構成されており、コントローラは、所定の総噴霧時間又はフィルタの所定の背圧のいずれかに最初に達したときに、フィルタの入口面に向かう乾燥粉末の噴霧を停止するように構成されている、条項B1~B20のいずれか一項に記載の装置。
【0244】
条項B22. 所定の背圧は、絶対背圧である、条項B21に記載の装置。
【0245】
条項B23. 所定の背圧は、相対背圧である、条項B21に記載の装置。
【0246】
条項B24. リザーバは、1つ以上の耐火性粉末を含む、好ましくは1つ以上のヒュームド耐火性粉末、及び/又は1つ以上のエアロゲルを含む、乾燥粉末を収容する、条項B1~B23のいずれか一項に記載の装置。
【0247】
条項B25. 1つ以上のヒュームド耐火性粉末は、ヒュームドアルミナ、ヒュームドシリカ、ヒュームドチタニア、他のヒュームド金属酸化物、及びヒュームド混合酸化物のうちの1つ以上を含む、条項B24に記載の装置。
【0248】
条項B26. 1つ以上のエアロゲルは、シリカエアロゲル、アルミナエアロゲル、カーボンエアロゲル、チタニアエアロゲル、ジルコニアエアロゲル、セリアエアロゲル、金属酸化物エアロゲル、及び混合酸化物エアロゲルのうちの1つ以上を含む、条項B25に記載の装置。
【0249】
条項B27. 噴霧装置は、1つ以上の出口を備える、条項B1~B26のいずれか一項に記載の装置。
【0250】
条項B28. 噴霧装置の1つ以上の出口は、1~10mmの開口サイズを備える、条項B27に記載の装置。
【0251】
条項B29. 1つ以上の出口は、1つ以上の固定出口である、条項B27又は条項B28に記載の装置。
【0252】
条項B30. 1つ以上の出口は、1つ以上の可動出口、好ましくは1つ以上の振動出口である、条項B27又は条項B28に記載の装置。
【0253】
条項B31. 輸送装置は、リザーバから噴霧装置まで少なくとも部分的に延在する導管を備え、噴霧装置は、導管の少なくとも一部で乾燥粉末を流動化するように構成された圧縮空気ガンの圧縮空気供給を含む、条項B1~B30のいずれか一項に記載の装置。
【0254】
条項B32. 噴霧装置とフィルタの入口面との間に位置する流導管を更に備える、条項B1~B31のいずれか一項に記載の装置。
【0255】
条項B33. 流導管は、噴霧装置とフィルタの入口面との間に妨げのない流路を提供するように空である、条項B32に記載の装置。
【0256】
条項B34. 流導管は、噴霧装置とフィルタの入口面との間に挿入された流れ調整器を備え、流れ調整器は、ガス流内の乾燥粉末の分散を促進する役割を果たす、条項B32に記載の装置。
【0257】
条項B35. 流れ調整器は、静的ミキサ、メッシュ、ふるい、バッフル、及びオリフィスプレートのうちの1つ以上を含む、条項B34に記載の装置。
【0258】
条項B36. フィルタの入口面は、噴霧装置から10~80cm、好ましくは15~20cmに位置し、及び/又は噴霧装置は、フィルタの入口面の直径の最大4倍までのフィルタの入口面からの距離に位置する、条項B1~B35のいずれか一項に記載の装置。
【0259】
条項B37. リザーバから乾燥粉末を投入するための投入装置を更に備える、条項B1~B36のいずれか一項に記載の装置。
【0260】
条項B38. 投入装置は、重量、体積、粒子数、時間のうちの1つ以上によって投入するように構成されている、条項B37に記載の装置。
【0261】
条項B39. 投入装置は、重量測定投入装置である、条項B37又は条項B38に記載の装置。
【0262】
条項B40. 投入装置は、ロスインウエイトフィーダである、条項B37~B39のいずれか一項に記載の装置。
【0263】
条項B41. リザーバは、1つ以上のホッパを備える、条項B1~B40のいずれか一項に記載の装置。
【0264】
条項B42. フィルタは、入口面を最上部にして垂直方向でホルダに配置される、条項B1~B41のいずれか一項に記載の装置。
【0265】
条項B43. 噴霧装置は、入口面の垂直上方に位置し、好ましくは、噴霧装置の噴霧方向は、フィルタの長手方向軸と同軸であり、好ましくは、噴霧方向及び長手方向軸は一致している、条項B42に記載の装置。
【0266】
条項C1. 条項A1~A58のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる、処理フィルタ。
【0267】
条項C2. 触媒化煤フィルタ(CSF)、選択的触媒還元フィルタ(SCRF)、リーンNOxトラップフィルタ(LNTF)、及びガソリン微粒子フィルタ(GPF)のうちの1つ以上である、条項C1に記載の処理フィルタ。
【0268】
条項D1. 入口面及び出口面を有する多孔質基材を備える車両排気フィルタであって、多孔質基材は、入口面から延在する入口チャネル及び出口面から延在する出口チャネルを備え、入口チャネル及び出口チャネルは、多孔質構造を有する複数のフィルタ壁によって分離されており、
車両排気フィルタは、0.10g/cm3未満の添着前のタップ密度を有する耐火性粉末で添着されており、
車両排気フィルタは、10g/L未満の耐火性粉末の質量添着量を有し、
耐火性粉末の40%超が、複数のフィルタ壁の多孔質構造内に配置され、耐火性粉末の60%未満が、複数のフィルタ壁の外面上にコーティングされている、車両排気フィルタ。
【0269】
条項D2. 耐火性粉末の50%超、任意選択で耐火性粉末の65%超、任意選択で耐火性粉末の75%超、任意選択で耐火性粉末の最大100%が、複数のフィルタ壁の多孔質構造内に配置されている、条項D1に記載の車両排気フィルタ。
【0270】
条項D3. 複数のフィルタ壁の多孔質構造内に配置された耐火性粉末のパーセンテージは、以下の式によって計算される、条項D1又は条項D2に記載の車両排気フィルタ。
【0271】
【0272】
条項D4. 耐火性粉末は、0.08g/cm3未満、任意選択で0.07g/cm3未満、任意選択で0.06g/cm3未満、任意選択で0.05g/cm3未満の添着前のタップ密度を有する、条項D1~D3のいずれか一項に記載の車両排気フィルタ。
【0273】
条項D5. 耐火性粉末の質量添着量は、7g/L未満、任意選択で5g/L未満、任意選択で3g/L未満、任意選択で1g/L未満である、条項D1~D4のいずれか一項に記載の車両排気フィルタ。
【0274】
条項D6. 耐火性粉末の0.5g/L超が、複数のフィルタ壁の多孔質構造内に配置されている、条項D1~D5のいずれか一項に記載の車両排気フィルタ。
【0275】
条項E1. 入口面及び出口面を有する多孔質基材を備える車両排気フィルタであって、多孔質基材は、入口面から延在する入口チャネル及び出口面から延在する出口チャネルを備え、入口チャネル及び出口チャネルは、多孔質構造を有する複数のフィルタ壁によって分離されており、
車両排気フィルタは、0.10g/cm3未満の添着前のタップ密度を有する耐火性粉末で添着されており、
車両排気フィルタは、10g/L未満の耐火性粉末の質量添着量を有し、
耐火性粉末の0.5g/L超が、複数のフィルタ壁の多孔質構造内に配置されている、車両排気フィルタ。
【0276】
条項E2. 耐火性粉末は、0.08g/cm3未満、任意選択で0.07g/cm3未満、任意選択で0.06g/cm3未満、任意選択で0.05g/cm3未満の添着前のタップ密度を有する、条項E1に記載の車両排気フィルタ。
【0277】
条項E3. 耐火性粉末の質量添着量は、1g/L超、任意選択で3g/L超、任意選択で5g/L超、任意選択で7g/L超である、条項E1又は条項E2に記載の車両排気フィルタ。
【0278】
条項F1. 耐火性粉末は、1つ以上のヒュームド耐火性粉末及び/又は1つ以上のエアロゲルを含む、条項D1~D6又はE1~E3のいずれか一項に記載の車両排気フィルタ。
【0279】
条項F2. 1つ以上のヒュームド耐火性粉末は、ヒュームドアルミナ、ヒュームドシリカ、ヒュームドチタニア、他のヒュームド金属酸化物、及びヒュームド混合酸化物のうちの1つ以上を含む、条項F1に記載の車両排気フィルタ。
【0280】
条項F3. 1つ以上のエアロゲルは、シリカエアロゲル、アルミナエアロゲル、カーボンエアロゲル、チタニアエアロゲル、ジルコニアエアロゲル、セリアエアロゲル、金属酸化物エアロゲル、及び混合酸化物エアロゲルのうちの1つ以上を含む、条項F1に記載の車両排気フィルタ。
【0281】
条項G1. 入口面及び出口面を有する多孔質基材を備える車両排気フィルタであって、多孔質基材は、入口面から延在する入口チャネル及び出口面から延在する出口チャネルを備え、入口チャネル及び出口チャネルは、多孔質構造を有する複数のフィルタ壁によって分離されており、
車両排気フィルタは、0.10g/cm3未満の添着前のタップ密度を有する耐火性粉末で添着されており、
耐火性粉末は、1つ以上のエアロゲルを含む、車両排気フィルタ。
【0282】
条項G2. 1つ以上のエアロゲルは、シリカエアロゲル、アルミナエアロゲル、カーボンエアロゲル、チタニアエアロゲル、ジルコニアエアロゲル、セリアエアロゲル、金属酸化物エアロゲル、及び混合酸化物エアロゲルのうちの1つ以上を含む、条項G1に記載の車両排気フィルタ。
【0283】
条項H1. 入口面及び出口面を有する多孔質基材を備える車両排気フィルタであって、多孔質基材は、入口面から延在する入口チャネル及び出口面から延在する出口チャネルを備え、入口チャネル及び出口チャネルは、多孔質構造を有する複数のフィルタ壁によって分離されており、
車両排気フィルタは、0.10g/cm3未満の添着前のタップ密度を有する耐火性粉末で添着されており、
車両排気フィルタは、10g/L未満の耐火性粉末の質量添着量を有し、
車両排気フィルタは、0.1g/L超の煤堆積量に対して、好ましくは0.05g/L超の煤堆積量に対して、実質的に直線の堆積量-背圧応答を示す、車両排気フィルタ。
【0284】
条項J1. 0.02g/Lの煤堆積量において、90%超、好ましくは95%超、好ましくは98%超、好ましくは99%超の濾過効率を有する、条項D1~D6、又はE1~E3、又はF1~F3、又はG1~G2、H1のいずれか一項に記載の車両排気フィルタ。
【0285】
条項J2. 600m3/時間の流量で20~180mbarの背圧を有する、条項D1~D6、又はE1~E3、又はF1~F3、又はG1~G2、又はH1、又はJ1のいずれか一項に記載の車両排気フィルタ。
【0286】
条項J3. 耐火性粉末は、エアロゾル沈着耐火性粉末、好ましくはエアロゾル沈着乾燥耐火性粉末である、条項D1~D6、又はE1~E3、又はF1~F3、又はG1~G2、又はH1、又はJ1~J2のいずれか一項に記載の車両排気フィルタ。
【0287】
条項J4. 耐火性粉末は、25マイクロメートル未満、好ましくは20マイクロメートル未満、より好ましくは10マイクロメートル未満のd50(体積による)を有する、条項D1~D6、又はE1~E3、又はF1~F3、又はG1~G2、又はH1、又はJ1~J3のいずれか一項に記載の車両排気フィルタ。
【0288】
条項J5. ウォールフローフィルタである、条項D1~D6、又はE1~E3、又はF1~F3、又はG1~G2、又はH1、又はJ1~J4のいずれか一項に記載の車両排気フィルタ。
【0289】
条項J6. 車両排気フィルタは、焼成フィルタである、条項D1~D6、又はE1~E3、又はF1~F3、又はG1~G2、又はH1、又はJ1~J5のいずれか一項に記載の車両排気フィルタ。
【0290】
条項J7. 多孔質基材は、1つ以上のウォッシュコートを含む、条項D1~D6、又はE1~E3、又はF1~F3、又はG1~G2、又はH1、又はJ1~J6のいずれか一項に記載の車両排気フィルタ。
【0291】
条項J8. 多孔質基材は、接着促進剤及び/又は結合剤を含む、条項D1~D6、又はE1~E3、又はF1~F3、又はG1~G2、又はH1、又はJ1~J7のいずれか一項に記載の車両排気フィルタ。
【0292】
条項J9. 条項D1~D6、又はE1~E3、又はF1~F3、又はG1~G2、又はH1、又はJ1~J8のいずれか一項に記載の車両排気フィルタを備える、排気システム。
【0293】
条項J10. 条項D1~D6、又はE1~E3、又はF1~F3、又はG1~G2、又はH1、又はJ1~J8のいずれか一項に記載の車両排気フィルタを備える、車両。
【0294】
条項K1. 複数の車両排気フィルタであって、各車両排気フィルタは、入口面及び出口面を有する多孔質基材を備え、多孔質基材は、入口面から延在する入口チャネル及び出口面から延在する出口チャネルを備え、入口チャネル及び出口チャネルは、多孔質構造を有する複数のフィルタ壁によって分離されており、
各車両排気フィルタは、0.10g/cm3未満の添着前のタップ密度を有する耐火性粉末で添着されており、
各車両排気フィルタは、10g/L未満の耐火性粉末の質量添着量を有し、
各車両排気フィルタは、600m3/時間の流量で20~180mbarの背圧を有し、複数の車両排気フィルタの背圧の相対標準偏差は、0.04未満、好ましくは0.025未満である、複数の車両排気フィルタ。
【0295】
条項K2. 各車両排気フィルタについて、耐火性粉末の40%超が、複数のフィルタ壁の多孔質構造内に配置され、耐火性粉末の60%未満が、複数のフィルタ壁の外面上にコーティングされている、条項K1に記載の複数の車両排気フィルタ。
【0296】
条項K3. 耐火性粉末は、エアロゾル沈着耐火性粉末、好ましくはエアロゾル沈着乾燥耐火性粉末である、条項K1又は条項K2に記載の複数の車両排気フィルタ。
【国際調査報告】