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特表2022-544907ポリウレタン材料の改良されたリサイクル方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-24
(54)【発明の名称】ポリウレタン材料の改良されたリサイクル方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 11/24 20060101AFI20221017BHJP
【FI】
C08J11/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506959
(86)(22)【出願日】2020-08-07
(85)【翻訳文提出日】2022-03-22
(86)【国際出願番号】 EP2020072323
(87)【国際公開番号】W WO2021023889
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】19190896.1
(32)【優先日】2019-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522279472
【氏名又は名称】レクティセル エンジニアード フォームズ ベルギウム
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンベルゲン,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】デ ヴォス,ディルク
(72)【発明者】
【氏名】クラエス,ローレンス
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルレント,イザベル
(72)【発明者】
【氏名】デ ギーター,ヨーク
【テーマコード(参考)】
4F401
【Fターム(参考)】
4F401AA26
4F401BA06
4F401CA75
4F401EA60
4F401EA66
4F401EA77
4F401FA07Z
(57)【要約】
少なくとも1種のポリオール化合物及び少なくとも1種のトルエンジイソシアネート系化合物からなるポリウレタン(PUR)材料をアルコール化及び加水分解する方法であって、以下の:ポリウレタン材料を少なくとも1種のアルコール化化合物と接触させ、それにより反応混合物(M)を形成し、ポリウレタン材料及びアルコール化化合物をこの反応混合物(M)中で反応させ、それにより混合物(M)を形成するステップ;混合物(M)を少なくとも上相及び下相に分離させるステップであって、相(A)及び相(B)が2つの非混和性相である、ステップ;相(B)を少なくとも1つの加水分解ステップに供し、それにより相(B1)を形成するステップ;を含み、少なくとも1種のアルコール化化合物が、200℃未満の融点を特徴とし;少なくとも1種のアルコール化化合物が、少なくとも2のヒドロキシル官能価を特徴とし;但し、少なくとも1種のアルコール化化合物がグリセロールではない、ポリウレタン(PUR)材料をアルコール化及び加水分解する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のポリオール化合物及び少なくとも1種のトルエンジイソシアネート系化合物[以下、TDI化合物]から生成されたポリウレタン(PUR)材料をアルコール化及び加水分解する方法であって、前記方法は、
-前記ポリウレタン材料を少なくとも1種のアルコール化化合物と接触させ、それにより反応混合物(M)を形成し、前記ポリウレタン材料及び前記アルコール化化合物を前記反応混合物(M)中で反応させ、それにより混合物(M)を形成するステップ、
-前記混合物(M)を少なくとも上相[以下、相(A)]及び下相[以下、相(B)]に分離させるステップであって、相(A)及び相(B)が2つの非混和性相である、ステップ、
-相(B)を少なくとも1つの加水分解ステップに供し、それにより相(B1)を形成するステップ、
を含み、
前記少なくとも1種のアルコール化化合物が、200℃未満の融点を特徴とし、前記少なくとも1種のアルコール化化合物が、少なくとも2のヒドロキシル官能価を特徴とし、但し、前記少なくとも1種のアルコール化化合物が、グリセロールではない、
方法。
【請求項2】
前記混合物(M)を2つの非混和性相、相(A)及び相(B)に分離させ、相(B)が少なくともトルエンジアミン化合物[以下、TDA化合物]及びトルエンジカルバメート化合物[以下、TDC化合物]を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記相(B)の総重量に対する、前記相(B)中のTDA化合物及びTDC化合物の重量分率の合計[以下、(TDA+TDC)重量%]が、5.0重量%超である、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記相(B)の総重量に対する、前記相(B)中の前記(TDA+TDC)重量%が、7.0重量%超である、
請求項2又は請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記相(B)の総重量に対する、前記相(B)中の前記(TDA+TDC)重量%が、10.0重量%超である、
請求項2~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記相(B)の総重量に対する、前記相(B)中の前記(TDA+TDC)重量%が、13.0重量%超である、
請求項2~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記相(B)の総重量に対する、前記相(B)中の前記(TDA+TDC)重量%が、16.0重量%超である、
請求項2~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記混合物(M)を2つの非混和性相、相(A)及び相(B)に分離させ、相(B)が少なくともトルエンジアミン化合物[以下、TDA化合物]及びトルエンカルバメート-アミン化合物[以下、TCA化合物]を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記相(B)が、TDC化合物をさらに含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記相(B)の総重量に対する、前記相(B)中の前記TDA化合物、前記TCA化合物及び前記TDC化合物の重量分率の合計[以下、(TDA+TCA+TDC)重量%]が、10重量%超である、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記(TDA+TCA+TDC)重量%が、12.5重量%超である、
請求項9又は請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記(TDA+TCA+TDC)重量%が、15.0重量%超である、
請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1種のアルコール化化合物が、ジエチレングリコール、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、ジグリセロール、エチレングリコール、(メソ-)エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、フシトール、イジトール、アラビトール、リビトール、ガラクチトール、1,5-ペンタンジオール、2-(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、2,2,4,4-テトラキス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、2,5-アンヒドロマンニトール、3-ヒドロキシメチル-1,3,5-ペンタントリオール、3,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,6-ヘキサンジオール、N,N,N´,N´-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、P,P,P,P-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)ホスホニウムクロリド、ジ-2-グリセリルエーテル若しくは2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-3-オキソペンタン-1,5-ジオール、2-ヒドロキシメチル-1,3,5-ペンタントリオール、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3,5-ペンタントリオール、1,3,5,7-ヘプタンテトラオール、2-ヒドロキシメチル-3-ヒドロキシ-3-メチル-1,5-ペンタンジオール、4-ヒドロキシメチル-1,3,5-ヘキサントリオール、3-メチル-1,3,5,7-ヘプタンテトラオール、4-ヒドロキシメチル-3-ヒドロキシ-3-メチル-1,5-ヘキサンジオール、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,4-ブタンジオール、3-メチル-2,3,5,6-ヘプタンテトラオール、3,5-ビス(ヒドロキシメチル)-2,6-ヘプタンジオール、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3-ブタンジオール、1,3,5-ペンタントリオール、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-1,7-ヘプタンジオール、2,2´-(メチルアザンジイル)ビス(1,3-プロパンジオール)、2,5-ビス(ヒドロキシメチル)-1,6-ヘキサンジオール、1,3,4,6-ヘキサンテトラオール、1,1,3,3-テトラキス(ヒドロキシメチル)-2-ブタノール、3-ヒドロキシ-2,4-ジメチル-2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ジ(トリメチロールプロパン)、ジ(トリメチロールエタン)又はそれら2つ以上の混合物からなる群から選択される、
請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1種のアルコール化化合物が、1,2-ジオールモチーフを有さない、
請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1種のアルコール化化合物が、ジエチレングリコール、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、2,2,4,4-テトラキス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、3,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,6-ヘキサンジオール、N,N,N´,N´-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、P,P,P,P-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)ホスホニウムクロリド、ジ-2-グリセリルエーテル若しくは2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-3-オキソペンタン-1,5-ジオール、2-ヒドロキシメチル-1,3,5-ペンタントリオール、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3,5-ペンタントリオール、1,3,5,7-ヘプタンテトラオール、2-ヒドロキシメチル-3-ヒドロキシ-3-メチル-1,5-ペンタンジオール、4-ヒドロキシメチル-1,3,5-ヘキサントリオール、3-メチル-1,3,5,7-ヘプタンテトラオール、4-ヒドロキシメチル-3-ヒドロキシ-3-メチル-1,5-ヘキサンジオール、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,4-ブタンジオール、3,5-ビス(ヒドロキシメチル)-2,6-ヘプタンジオール、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3-ブタンジオール、1,3,5-ペンタントリオール、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-1,7-ヘプタンジオール、2,2´-(メチルアザンジイル)ビス(1,3-プロパンジオール)、2,5-ビス(ヒドロキシメチル)-1,6-ヘキサンジオール、1,1,3,3-テトラキス(ヒドロキシメチル)-2-ブタノール、3-ヒドロキシ-2,4-ジメチル-2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ジ(トリメチロールプロパン)、ジ(トリメチロールエタン)又はそれら2つ以上の混合物からなる群から選択される、
請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1種のアルコール化化合物が、ジエチレングリコール、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、2,2,4,4-テトラキス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、N,N,N´,N´-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、P,P,P,P-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)ホスホニウムクロリド、ジ-2-グリセリルエーテル若しくは2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-3-オキソペンタン-1,5-ジオール、2-ヒドロキシメチル-1,3,5-ペンタントリオール、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3,5-ペンタントリオール、1,3,5,7-ヘプタンテトラオール、2-ヒドロキシメチル-3-ヒドロキシ-3-メチル-1,5-ペンタンジオール、4-ヒドロキシメチル-1,3,5-ヘキサントリオール、3-メチル-1,3,5,7-ヘプタンテトラオール、4-ヒドロキシメチル-3-ヒドロキシ-3-メチル-1,5-ヘキサンジオール、3,5-ビス(ヒドロキシメチル)-2,6-ヘプタンジオール、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3-ブタンジオール、1,3,5-ペンタントリオール、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-1,7-ヘプタンジオール、2,2´-(メチルアザンジイル)ビス(1,3-プロパンジオール)、2,5-ビス(ヒドロキシメチル)-1,6-ヘキサンジオール、1,1,3,3-テトラキス(ヒドロキシメチル)-2-ブタノール、3-ヒドロキシ-2,4-ジメチル-2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ジ(トリメチロールプロパン)、ジ(トリメチロールエタン)又はそれら2つ以上の混合物からなる群から選択される、
請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1種のアルコール化化合物が、ジエチレングリコール、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、2,2,4,4-テトラキス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、N,N,N´,N´-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、P,P,P,P-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)ホスホニウムクロリド、ジ-2-グリセリルエーテル若しくは2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-3-オキソペンタン-1,5-ジオール、2-ヒドロキシメチル-1,3,5-ペンタントリオール、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3,5-ペンタントリオール、3,5-ビス(ヒドロキシメチル)-2,6-ヘプタンジオール、1,3,5-ペンタントリオール、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-1,7-ヘプタンジオール、2,5-ビス(ヒドロキシメチル)-1,6-ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ジ(トリメチロールプロパン)、ジ(トリメチロールエタン)又はそれら2つ以上の混合物から選択される、
請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1種のアルコール化化合物が、ジエチレングリコール、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、ジ-2-グリセリルエーテル若しくは2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-3-オキソペンタン-1,5-ジオール、2-ヒドロキシメチル-1,3,5-ペンタントリオール、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3,5-ペンタントリオール、3,5-ビス(ヒドロキシメチル)-2,6-ヘプタンジオール、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-1,7-ヘプタンジオール、2,5-ビス(ヒドロキシメチル)-1,6-ヘキサンジオール又はそれら2つ以上の混合物から選択される、
請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1種のアルコール化化合物が、ジエチレングリコール、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ジ-2-グリセリルエーテル若しくは2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-3-オキソペンタン-1,5-ジオール、3,5-ビス(ヒドロキシメチル)-2,6-ヘプタンジオール、2,5-ビス(ヒドロキシメチル)-1,6-ヘキサンジオール又はそれら2つ以上の混合物から選択される、
請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1種のアルコール化化合物が、ジエチレングリコール、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール又はそれら2つ以上の混合物から選択される、
請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも1種のアルコール化化合物の量が、PUR材料1重量部(pbw)に対して、有利には10pbw以下、好ましくは5pbw以下、より好ましくは2.5pbw以下、さらにより好ましくは1.5pbw以下、さらにさらにより好ましくは1.0pbw以下、最も好ましくは0.5pbw以下、有利には0.1pbw以上、好ましくは0.2pbw以上、より好ましくは0.3pbw以上、さらにより好ましくは0.4pbw以上である、
請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記反応混合物(M)が、複素環式アミン、直鎖若しくは分岐鎖脂肪族アミン、シクロアルキルアミン、芳香族アミン又は環状アミド、好ましくは環状アミド、例えば2-ピロリドン、バレロラクタム、カプロラクタム及びそれら2つ以上の混合物から選択される少なくとも1種のアルコーリシス促進物質をさらに含む、
請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記反応混合物(M)が、(有機)スズ及びビスマス触媒(例えば、ジメチルスズジクロリド、ブチルスズトリクロリド、ジメチルスズジラウレート、ジメチルスズジオレエート、ジメチルスズメルカプチド、ジブチルスズジアセテート、ジメチルスズジネオデカノエート、ビスマス(III)ネオデカノエート、ビスマス2-エチルヘキサノエート及びトリフェニルビスマス)、アルカリ金属及びアルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウム)、チタン(IV)アルコキシド(例えば、チタン(IV)プロポキシド、チタン(IV)ブトキシド及びチタン(IV)tert-ブトキシド)、リチウム及びカリウムのアルコキシド錯体(例えば、リチウムt-ブトキシド及びカリウムt-ブトキシド)、テトラブチルチタネート、酢酸カリウム、カリウム2-エチルヘキサノエート、カルシウム2-エチルヘキサノエート、ビスマス(III)トリフルオロメタンスルホネート、鉄(III)アセチルアセトネート、アルミニウムイソプロポキシド、ジメチルイミダゾール、カリウムアジペート及び一般的なウレタン反応促進触媒から選択される少なくとも1種の触媒をさらに含む、
請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記PUR材料に含まれる前記TDI化合物の総モル量に対する前記TDA化合物のモル量として計算される、相(A)中の前記TDA化合物の収率が、5.0%以下である、
請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
相(B)が、水性溶媒を使用することによって、少なくとも1つの中性加水分解ステップに供される、
請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
相(B)が、水性溶媒及び少なくとも1種の塩基を使用することによって、少なくとも1つのアルカリ加水分解ステップに供される、
請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記少なくとも1種の塩基が、前記水性溶媒の総重量に対して、少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも15重量%、さらにより好ましくは少なくとも20重量%、好ましくは最大50重量%、より好ましくは最大40重量%、さらにより好ましくは最大30重量%の量で前記水性溶媒中に含まれ、前記少なくとも1種の塩基がLiOH、KOH、NaOH、CsOH、Ca(OH),Mg(OH)及びNHOHから選択される、
請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記PUR材料に含まれる前記TDI化合物の総モル量に対する前記TDA化合物のモル量として計算される、相(B1)中の前記TDA化合物の収率が、40.0%以上、又は50.0%以上、又は60.0%以上、又は70.0%以上、好ましくは80.0%以上、好ましくは90.0%以上、より好ましくは95.0%以上である、
請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記相(B1)の総重量に対する、前記相(B1)中のTCA化合物の重量分率[以下(TCA)重量%]が、15.0重量%以下である、
請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記相(B1)の総重量に対する、前記相(B1)中の前記(TCA)重量%が、12.0重量%以下である、
請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記相(B1)の総重量に対する、前記相(B1)中の前記(TCA)重量%が、9.0重量%以下である、
請求項29又は請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記相(B1)の総重量に対する、前記相(B1)中の前記(TCA)重量%が、6.0重量%以下である、
請求項29~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記相(B1)の総重量に対する、前記相(B1)中の前記(TCA)重量%が、4.0重量%以下である、
請求項29~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記相(B1)の総重量に対する、前記相(B1)中の前記(TCA)重量%が、3.0重量%以下である、
請求項29~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記相(B1)の総重量に対する、前記相(B1)中の前記(TCA)重量%が、2.0重量%以下である、
請求項29~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記相(B1)の総重量に対する、前記相(B1)中の前記(TCA)重量%が、1.5重量%以下である、
請求項29~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
相(B1)が、蒸発、蒸留又はイオン交換処理などの精製ステップ、好ましくはイオン交換処理にさらに供され、それにより相(B2)が形成されるか、又は相(B1)がさらにアミン変換ステップに供され、それにより回収イソシアネート化合物が形成される、
請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
相(B2)がアミン変換ステップにさらに供され、それにより回収イソシアネート化合物が形成される、
請求項37に記載の方法。
【請求項39】
相(A)を、抽出工程であって、前記相(A)を抽出化合物と接触させ、前記抽出化合物と前記相(A)とを混合し、それにより抽出混合物を形成し、前記抽出混合物を相(A1)と相(E)とに分離させることを含む抽出工程にさらに供し、相(A)を形成するために使用される少なくとも1種のアルコール化化合物と同じ又は異なる、好ましくは同じである、少なくとも1種の抽出化合物が使用され得る、
請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
相(A)をイオン交換処理にさらに供して、それにより相(A2)を形成する、
請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
請求項1~24に記載の方法によって得られる相(A)、請求項39に記載の方法によって得られる相(A1)、請求項40に記載の方法によって得られる相(A2)、及び/又は請求項37若しくは請求項38に記載の方法によって得られる前記回収イソシアネート化合物のうちの少なくとも1つを反応させることによって、PUR材料を調製する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタン(PUR)材料のリサイクルのための改良された方法に関する。本発明はさらに、この方法によって得られる生成物及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン(PUR)材料は一般に、ポリイソシアネート化合物、特にジイソシアネートと、グリコール、ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオール化合物などのヒドロキシル基含有化合物又は芳香族及び脂肪族ジアミン並びにポリアミンなどのアミン基含有化合物などのイソシアネート反応性化合物との反応によって製造される。試薬の化学的性質及び相対量は、PUR材料の所望の最終特性に応じて選択できる。この可撓性並びに広範囲の様々な物理的及び化学的特性により、PUR材料が広く使用されるようになっている。結果として、PUR材料は、家具及び寝具における可撓性、半剛性、剛性及び強化剛性PURフォームとして、自動車産業におけるクッション材料、建築又は冷凍産業における断熱材として、また靴底におけるPURエラストマーとして、コーティング、接着剤又はシーラントとして広く使用されている。
【0003】
PUR材料の広範な工業的使用及びその製造には、これらのPUR材料の廃棄物又はスクラップの相当な蓄積が伴う。スラブストック製造工程中に大量のPUR材料スクラップが発生する。そのような作業では、未使用のPUR材料の10%~約30%が最終的にスクラップになるおそれがある。このスクラップPUR材料は、例えばそのPUR材料を粉砕してPUR粉末とし、この粉末をPUR配合物に充填材として添加することによって、又は例えば、再結合工程で再利用することができ、再結合工程により、廃フォーム断片は、結合剤によって互いに結合されて、カーペット下敷、枕充填物又は運動用マットが製造される。
【0004】
しかし、PUR材料スクラップの過半量は、使用済み(EoL)PURフォームによって構成されている。EUでは、年間で3000万個を超えるマットレスが現在寿命に達し、及び1500キロトンを超える布張り家具が寿命に達している。これは600キロトンを超えるPURフォームに相当する。このEoL PURフォームの主な廃棄物処理技術には、焼却及び埋め立てがある。しかし、そのような処分技術は、環境汚染問題を引き起こすことに加えて、埋め立てに必要な土地及びPUR材料の調製に使用される高価な材料の永久損失の両方に関連する経済的損失を有する。したがって、主な関心は、そのような材料の回収及び最終的な再利用を検討することである。
【0005】
PUR材料の再利用又はリサイクルのための既知の方法は、主にエネルギー回収、物理的リサイクル及び化学的解重合からなる。エネルギー回収方法では、PUR材料が燃料として使用され、生成された熱及び蒸気を使用することによってエネルギーが回収される。しかし、この工程では、新たな汚染問題を回避するために厳密に制御すべき排気煙が発生する。物理的リサイクル工程は、PUR材料の熱硬化特性によって制限され、品質の低い最終製品が製造されることが多い。したがって、新しいPUR材料を製造するために、化学的解重合を使用して、ポリオール又はポリイソシアネート化合物などのPUR材料の化学的成分を回収することが非常に望ましい。
【0006】
PUR材料の化学的解重合は当分野で周知であり、他の工程の中でも、加水分解、ヒドロアルコーリシス、アルコーリシス及びアミノリシスによって達成され得る。
【0007】
PUR材料の化学的解重合において最も一般的に使用される方法は、解糖法と呼ばれる場合があるアルコーリシス法であり、PUR材料を、少なくとも2個の反応性ヒドロキシル基を含有する1以上の化合物、即ちアルコール化化合物と混合することを含む。混合物を高温で反応させて、ヒドロキシル末端基を含有する化合物(回収ポリオール)、アルコール化化合物、出発PUR材料に使用したポリイソシアネート化合物由来のアミン化合物、並びにこれらのポリイソシアネート化合物のジカルバメート及びカルバメートアミン誘導体の混合物を含む液体生成物を生成する。当分野で公知のPUR材料のアルコール化方法は、単相法又は分相法のいずれかである。
【0008】
特許文献1及び特許文献2はどちらも、単相アルコーリシス-加水分解方法を開示している。アルコーリシスは、ポリエーテルポリウレタンフォームを、185~220℃の沸点を有する飽和アルコールと反応させることによって行われる。この飽和アルコールのヒドロキシル官能化によって、ポリウレタンの溶解が引き起され、それによりポリオール、尿素及びカルバメートを含む溶解生成物が形成される。実質的に全てのカルバメート及び尿素がアミン及びアルコールに加水分解されるまで、溶解生成物がさらに加水分解に供される。特許文献2では、水及びアルカリ金属水酸化物を溶液に添加することによって加水分解が行われた。特許文献1では、溶液に過熱蒸気を導入することによって加水分解が行われる。アルカリ金属水酸化物は、加水分解の前に該溶液に添加され得る。加水分解中に、蒸気はアミン及びアルコールの一部を除去する。アミン及びアルコールを含有する流出蒸気は、凝縮器によって冷却され、収集される。実質的に純粋なポリオールを回収するために、特許文献1及び特許文献2の加水分解溶液全体を、さらに真空精製に供する。あるいは、加水分解された溶液がポリマー層(即ち、ポリオール層)とアルコール層とに分離することができる場合、除去され、さらに真空精製に供されるのは、ポリマー層(即ち、ポリオール層)である。
【0009】
分相法では、少なくとも2つの相が形成され、最も一般的には上相及び底相又は下相と呼ばれる。最も一般的には、上相は回収ポリオール化合物を主に含み、最良の場合には、該ポリオール化合物は、PUR材料の調製に使用したポリオール化合物と同様である。分相アルコーリシス法によって、単相法よりも汚染の少ない高純度の回収ポリオール化合物を得ることができる。分子量、特にヒドロキシル価に関して、PUR材料を調製するために最初に使用したポリオール化合物に非常に類似した回収ポリオール化合物を得ることが有益である。特性が類似している場合、回収ポリオール化合物を使用して、未使用ポリオール化合物を最大100%置き換えて、新しいPUR材料を調製することができる。
【0010】
特許文献3及び特許文献4は、特に、該分相アルコーリシス工程を提案している。特許文献3は、主に、分相アルコーリシス後の上相からのポリオールのリサイクルに関する。特許文献3では、上相は主に高分子量を有するポリオールを含有し、下相は主に尿素、ウレタン、アミン及びヒドロキシル基を含む低分子量を有する生成物をアルコール化ポリオールと共に含有する。しかし、特許文献3の方法の欠点は、高純度の回収ポリオール化合物を得るために多くの余分な集約的精製ステップ(例えば、複数回の抽出と、後続の長期蒸留ステップ及び濾過ステップ)を必要とすることである。さらに、300~1000mgKOH/gのヒドロキシル価を有する生成物を特に形成した後、より揮発性の高い化合物の蒸発によって、250~600mgKOH/gのヒドロキシル価を有する生成物を得る目的で、下相をアルコキシル化反応に供してもよい。
【0011】
特許文献4では、後続の加水分解事象が、反応混合物を上相及び下相への分離の前に行われるか、又はその代わりに、分離の後に行われるかの違いに関して、可撓性PURフォームの2つの異なる分相アルコーリシス-加水分解工程が開示されている。全ての例において、MDI系、ポリエーテルポリオール系の完全水発泡可撓性PURフォームのみが、記載された分相アルコーリシス加水分解工程に供されている。アルコール化ポリオールは、グリセロール及び2~8のヒドロキシル官能価を有する、62~500の分子量を有するオキシエチレンポリオールから選択される。エチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、及びスクロースは、好適なアルコール化ポリオールの例として挙げられている。また特許文献4では、アルコール化ポリオールを除去し、それにより濃縮され、加水分解された下相を形成し、次いでこれをアルコキシル化するために、下相の加水分解された混合物を蒸発又は蒸留ステップに供する。次いで、アルコキシル化生成物を剛性PURフォームの調製に使用する。特許文献4は、出発PUR材料に使用したポリイソシアネート化合物に由来するアミン化合物、並びに分相アルコーリシス後の下相からのこれらのポリイソシアネート化合物のジカルバメート及びカルバメート-アミン誘導体のリサイクルに全く関係していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】US4,316,992
【特許文献2】US4,317,939
【特許文献3】WO95/10562
【特許文献4】WO97/27243
【発明の概要】
【0013】
したがって、操作が経済的に有利であり、少なくとも2つの相であって、回収ポリオール化合物が大規模な精製を必要とせずにPUR材料配合物中の最初に使用されたポリオール化合物を最大100%まで置き換えられるような方法で、高品質の回収ポリオール化合物を含む、一方の相と、ジアミン化合物を高収率で含むため、ジアミン化合物をそれに対応するイソシアネート化合物に変換した後、新たなPUR材料の製造のために再使用することができる、少なくとももう一方の相とを生じる、PUR材料をアルコール化及び加水分解するための改良された分相法が依然として必要とされている。このような方法によって、一方の相からのポリオール化合物及び他方の相からのジアミン化合物の両方をリサイクル及び回収し、新たなポリウレタン材料を調製する工程において、ポリオール化合物及びジアミン化合物が再使用できるようになる。このように、長期的には、体積がバランスを保ったままであり、廃棄物生成が最小限に抑えられる持続可能な循環工程が生成される。
【0014】
本発明者らは、驚くべきことに、上述の必要性を満たすPUR材料の、改良された分相アルコーリシス-加水分解法の提供が可能であることを見出した。
【0015】
したがって、本発明の目的は、少なくとも1種のポリオール化合物及び少なくとも1種のトルエンジイソシアネート系化合物[以下、TDI化合物]から作製されるポリウレタン(PUR)材料をアルコール化及び加水分解する方法を提供することである。本方法は:
-ポリウレタン材料を少なくとも1種のアルコール化化合物と接触させ、それにより反応混合物(M)を形成し、ポリウレタン材料及びアルコール化化合物を反応混合物(M)中で反応させ、それにより混合物(M)を形成するステップ、
-混合物(M)を、少なくとも上相[以下、相(A)]及び下相[以下、相(B)]に分離させるステップであって、相(A)及び相(B)が2つの非混和性相である、ステップ、
-相(B)を少なくとも1つの加水分解ステップに供し、それにより相(B1)を形成するステップ、
を含み、
少なくとも1種のアルコール化化合物が、200℃未満の融点を特徴とし、少なくとも1種のアルコール化化合物が、少なくとも2であるヒドロキシル官能価を特徴とし、但し、少なくとも1種のアルコール化化合物はグリセロールではない。
【発明を実施するための形態】
【0016】
特許請求の範囲で使用される「含む(comprising)」という用語は、その後に記載される手段に限定されるとして解釈されるべきではなく、他の要素又はステップを排除しない。この用語は、言及されたような記載された特徴、整数、ステップ又は構成要素の存在を明記するものとして解釈される必要があるが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ若しくは構成要素、又はそれらの群の存在又は追加を排除するものではない。したがって、「構成要素A及びBを含む組成物」という表現の範囲は、構成要素A及びBのみからなる組成物に限定されるべきではない。この表現は、本発明に関して、組成物の唯一の関連する構成要素がA及びBであることを意味する。したがって、「含む(comprising)」及び「含む(including)」という用語は、「から本質的になる(consisting essentially of)」及び「からなる(consisting of)」という、より限定的な用語を包含する。
【0017】
本発明の文脈内で、「少なくとも1種のアルコール化化合物」という表現は、1種以上のアルコール化化合物を示すものである。アルコール化化合物の混合物も本発明の目的のために使用することができる。本文の残りの部分では、「アルコール化化合物」という表現は、本発明の目的のために複数形及び単数形の両方で理解される。
【0018】
本発明の文脈において、接頭辞「ポリ」は「1を超える」を意味するために使用され、整数に限定される場合、「2つ以上」又は「少なくとも2つ」と同じである。したがって、「ポリオール」という用語は、少なくとも2個のアルコール又はヒドロキシル(-OH)官能基を有する化合物を表す。よって、「ポリイソシアネート」という用語は、少なくとも2個のイソシアネート(NCO又はより正確には-N=C=O)官能基を有する化合物を表す。
【0019】
したがって、本発明の方法において、200℃未満の融点及び少なくとも2のヒドロキシル官能価を有する少なくとも1種のアルコール化化合物を使用する。
【0020】
本発明の文脈内で、「アルコール化化合物」という用語は、PUR材料をアルコール化することができる化合物を示すものである。好ましくは、これらのアルコール化化合物は、アルコーリシス法で得られた回収ポリオール化合物と非混和性である。「非混和性」という用語は、2つのそのような化合物を混合すると、2以上の相を含む混合物が得られるという点で、決して完全に混和性ではない2つの化合物を示す通常の意味で使用される。最大30%、好ましくは最大20%、より好ましくは最大10%、さらにより好ましくは最大5%のアルコール化化合物が、室温で、回収ポリオール化合物に溶解できることが好ましい。好ましくは、アルコール化化合物は、回収ポリオール化合物の密度よりも大きい密度を有する。
【0021】
本発明の文脈内で、アルコール化化合物の「ヒドロキシル官能価」という用語は、1分子当たりの平均のヒドロキシル(-OH)官能基の数を示す。
【0022】
好ましくは、本発明による方法で使用されるような少なくとも1種のアルコール化化合物のヒドロキシル官能価は、少なくとも2、より好ましくは少なくとも3又は4であり、好ましくは少なくとも1種のアルコール化化合物のヒドロキシル官能価は、最大8、より好ましくは最大7、さらにより好ましくは最大6である。
【0023】
本発明の文脈内で、少なくとも1種のアルコール化化合物の融点は、上で詳述したように、当分野における標準的な方法に従って測定することができる特性であることが、さらに理解される。化合物の融点を測定するための既知の方法は、特に、液浴付毛細管、金属ブロック付毛細管、Koflerホットバー、溶融顕微鏡、示差熱分析(DTA)、示差走査熱量測定(DSC)、凝固点、流動点などの使用である。
【0024】
好ましくは、本発明による方法で使用されるような少なくとも1種のアルコール化化合物の融点は、示差走査熱量測定(DSC)による化学物質の試験に関するOECD 102ガイドラインに従って、より具体的にはASTM E472-86、ASTM E473-85、ASTM E537-76及びDIN 51005標準法に従って測定される。
【0025】
好ましくは、本発明による方法で使用されるような少なくとも1種のアルコール化化合物の融点は、180℃未満、より好ましくは160℃未満である。
【0026】
本発明による方法の好ましい実施形態では、上で詳述したように、各アルコール化化合物は、少なくとも4のヒドロキシル官能価、及び180℃未満、より好ましくは160℃未満の融点を有する。
【0027】
200℃未満の融点を有するアルコール化化合物の非限定的な例としては、ジエチレングリコール、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、ジグリセロール、エチレングリコール、(メソ-)エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、フシトール、イジトール、アラビトール、リビトール、ガラクチトール、1,5-ペンタンジオール、2-(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、2,2,4,4-テトラキス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、2,5-アンヒドロマンニトール、3-ヒドロキシメチル-1,3,5-ペンタントリオール、3,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,6-ヘキサンジオール、N,N,N´,N´-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、P,P,P,P-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)ホスホニウムクロリド、ジ-2-グリセリルエーテル又は2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-3-オキソペンタン-1,5-ジオール、2-ヒドロキシメチル-1,3,5-ペンタントリオール、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3,5-ペンタントリオール、1,3,5,7-ヘプタンテトラオール、2-ヒドロキシメチル-3-ヒドロキシ-3-メチル-1,5-ペンタンジオール、4-ヒドロキシメチル-1,3,5-ヘキサントリオール、3-メチル-1,3,5,7-ヘプタンテトラオール、4-ヒドロキシメチル-3-ヒドロキシ-3-メチル-1,5-ヘキサンジオール、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,4-ブタンジオール、3-メチル-2,3,5,6-ヘプタンテトラオール、3,5-ビス(ヒドロキシメチル)-2,6-ヘプタンジオール、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3-ブタンジオール、1,3,5-ペンタントリオール、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-1、7-ヘプタンジオール、2,2´-(メチルアザンジイル)ビス(1,3-プロパンジオール)、2,5-ビス(ヒドロキシメチル)-1,6-ヘキサンジオール、1,3,4,6-ヘキサンテトラオール、1,1,3,3-テトラキス(ヒドロキシメチル)-2-ブタノール、3-ヒドロキシ-2,4-ジメチル-2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ジ(トリメチロールプロパン)、ジ(トリメチロールエタン)又はそれら2つ以上の混合物が挙げられ得る。
【0028】
本発明の文脈内で、「1,2-ジオールモチーフ」という用語は、ビシナル位(隣接位置)を占める2個のヒドロキシル官能価、即ち2個のヒドロキシル官能価が隣接する炭素原子に直接結合していることを示すものである。
【0029】
好ましくは、少なくとも1種のアルコール化化合物は、1,2-ジオールモチーフをさらに有さない。
【0030】
200℃未満の融点を有し、1,2-ジオールモチーフを有さないアルコール化化合物の非限定的な例としては、ジエチレングリコール、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、2,2,4,4-テトラキス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、3,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,6-ヘキサンジオール、N,N,N´,N´-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、P,P,P,P-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)ホスホニウムクロリド、ジ-2-グリセリルエーテル又は2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-3-オキソペンタン-1,5-ジオール、2-ヒドロキシメチル-1,3,5-ペンタントリオール、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3,5-ペンタントリオール、1,3,5,7-ヘプタンテトラオール、2-ヒドロキシメチル-3-ヒドロキシ-3-メチル-1,5-ペンタンジオール、4-ヒドロキシメチル-1,3,5-ヘキサントリオール、3-メチル-1,3,5,7-ヘプタンテトラオール、4-ヒドロキシメチル-3-ヒドロキシ-3-メチル-1,5-ヘキサンジオール、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,4-ブタンジオール、3,5-ビス(ヒドロキシメチル)-2,6-ヘプタンジオール、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3-ブタンジオール、1,3,5-ペンタントリオール、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-1,7-ヘプタンジオール、2,2´-(メチルアザンジイル)ビス(1,3-プロパンジオール)、2,5-ビス(ヒドロキシメチル)-1,6-ヘキサンジオール、1,1,3,3-テトラキス(ヒドロキシメチル)-2-ブタノール、3-ヒドロキシ-2,4-ジメチル-2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ジ(トリメチロールプロパン)、ジ(トリメチロールエタン)又はそれら2つ以上の混合物が挙げられる。
【0031】
より好ましくは、少なくとも1種のアルコール化化合物は、1,2-ジオールモチーフ及び1,4-ジオールモチーフを更に有さない。
【0032】
200℃未満の融点を有し、1,2-ジオールモチーフを有さず、1,4-ジオールモチーフを有さないアルコール化化合物の非限定的な例としては、ジエチレングリコール、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、2,2,4,4-テトラキス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、N,N,N´,N´-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、P,P,P,P-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)ホスホニウムクロリド、ジ-2-グリセリルエーテル又は2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-3-オキソペンタン-1,5-ジオール、2-ヒドロキシメチル-1,3,5-ペンタントリオール、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3,5-ペンタントリオール、1,3,5,7-ヘプタンテトラオール、2-ヒドロキシメチル-3-ヒドロキシ-3-メチル-1,5-ペンタンジオール、4-ヒドロキシメチル-1,3,5-ヘキサントリオール、3-メチル-1,3,5,7-ヘプタンテトラオール、4-ヒドロキシメチル-3-ヒドロキシ-3-メチル-1,5-ヘキサンジオール、3,5-ビス(ヒドロキシメチル)-2,6-ヘプタンジオール、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3-ブタンジオール、1,3,5-ペンタントリオール、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-1,7-ヘプタンジオール、2,2´-(メチルアザンジイル)ビス(1,3-プロパンジオール)、2,5-ビス(ヒドロキシメチル)-1,6-ヘキサンジオール、1,1,3,3-テトラキス(ヒドロキシメチル)-2-ブタノール、3-ヒドロキシ-2,4-ジメチル-2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ジ(トリメチロールプロパン)、ジ(トリメチロールエタン)又はそれら2つ以上の混合物が挙げられ得る。
【0033】
好ましくは、少なくとも1種のアルコール化化合物は、ジエチレングリコール、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、2,2,4,4-テトラキス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、N,N,N´,N´-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、P,P,P,P-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)ホスホニウムクロリド、ジ-2-グリセリルエーテル又は2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-3-オキソペンタン-1,5-ジオール、2-ヒドロキシメチル-1,3,5-ペンタントリオール、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3,5-ペンタントリオール、3,5-ビス(ヒドロキシメチル)-2,6-ヘプタンジオール、1,3,5-ペンタントリオール、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-1,7-ヘプタンジオール、2,5-ビス(ヒドロキシメチル)-1,6-ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ジ(トリメチロールプロパン)、ジ(トリメチロールエタン)又はそれら2つ以上の混合物から選択される。
【0034】
より好ましくは、少なくとも1種のアルコール化化合物は、ジエチレングリコール、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、ジ-2-グリセリルエーテル又は2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-3-オキソペンタン-1,5-ジオール、2-ヒドロキシメチル-1,3,5-ペンタントリオール、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3,5-ペンタントリオール、3,5-ビス(ヒドロキシメチル)-2,6-ヘプタンジオール、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-1,7-ヘプタンジオール、2,5-ビス(ヒドロキシメチル)-1,6-ヘキサンジオール又はそれら2つ以上の混合物から選択される。
【0035】
より好ましくは、少なくとも1種のアルコール化化合物は、ジエチレングリコール、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ジ-2-グリセリルエーテル又は2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-3-オキソペンタン-1,5-ジオール、3,5-ビス(ヒドロキシメチル)-2,6-ヘプタンジオール、2,5-ビス(ヒドロキシメチル)-1,6-ヘキサンジオール又はそれら2つ以上の混合物から選択される。
【0036】
さらにより好ましくは、少なくとも1種のアルコール化化合物は、ジエチレングリコール、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール又はそれら2つ以上の混合物から選択される。
【0037】
最も好ましくは、少なくとも1種のアルコール化化合物は、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオールである。
【0038】
少なくとも1種のアルコール化化合物は、市販されていてもよく、又は化学的に合成されてもよい。アルコール化化合物の合成は、当業者に公知の従来の方法を使用して行われ得る。
【0039】
本発明による方法によってアルコール化及び加水分解されるポリウレタン(PUR)材料は、少なくとも1種のポリイソシアネート化合物を、ヒドロキシル価Xを有する少なくとも1種のポリオール化合物、場合により発泡剤、場合により鎖延長剤又は架橋剤、及びPUR材料を調製する際に従来使用される添加剤と反応させることによって生成される。
【0040】
本発明による方法の好ましい実施形態では、少なくとも1種のポリオール化合物は、ヒドロキシル価Xによって特徴付けられ、Xは少なくとも15mgKOH/g、好ましくは20mgKOH/gに等しい又は少なくとも20mgKOH/g、さらにより好ましくは少なくとも25mgKOH/gである。
【0041】
少なくとも1種のポリオール化合物のヒドロキシル価Xは、有利には200mgKOH/g以下、好ましくは150mgKOH/g以下、より好ましくは100mgKOH/g以下、さらにより好ましくは75mgKOH/g以下、最も好ましくは50mgKOH/g以下であることがさらに理解される。
【0042】
本発明の文脈内で、「ヒドロキシル価X」、「OH価X」という用語及び同様の表現は、ASTM4274、ISO14900又はASTM E1899などの標準滴定法に従って分析されたヒドロキシル(OH)含有量を示すものであり、別途記載しない限り、試料のmgKOH/gで表される。
【0043】
ポリオール化合物の混合物が使用され得ることが理解される。この場合、ポリオール化合物のヒドロキシル価Xは、ポリオール化合物の混合物の平均ヒドロキシル価である。市販のポリオール化合物混合物が使用される場合、ヒドロキシル価は、混合物中に存在する架橋剤などの他の成分によって影響され得ることがさらに理解される。しかし、この寄与は確実に無視できる。
【0044】
本発明による方法の好ましい実施形態では、PUR材料はPURフォームであり、より好ましくは可撓性PURフォームである。
【0045】
本明細書で使用される「PURフォーム」という表現は、一般に、起泡剤又は発泡剤を使用して、ポリイソシアネート化合物をポリオール化合物と反応させることによって得られるセル状製品を示し、特に、反応性起泡剤又は発泡剤として水を用いて得られるセル状製品を含む。
【0046】
そのようなPURフォーム、PURフォームの調製に使用される成分、及びそのようなPURフォームを調製するためのプロセスは、当分野で広く記載されている。PURフォームは、ポリイソシアネート化合物をポリオール化合物と反応させることによって製造され得る。
【0047】
本発明の文脈内で、少なくとも1種のトルエンジイソシアネート系化合物[以下、TDI化合物]は、トルエンジイソシアネート、トルエンジイソシアネートのプレポリマー、並びにアロファネート改質TDI、ウレタン改質TDI、ビウレット改質TDI及びオキサゾリドン改質TDIなどの改質TDI系ポリイソシアネート化合物を示すものである。
【0048】
トルエンジイソシアネート(TDI)は、純粋な2,4-TDI及び2,4-TDIと2,6-TDIとの市販の異性体混合物から選択され得る。2,4-TDI及び2,6-TDIの異性体混合物の非限定的な例としては、TDI8020(80%2,4/20%2,6異性体)及びTDI6535(65%2,4/35%2,6異性体)が挙げられる。これらの異性体混合物の混合物は、WO02/10245などの当分野に記載されているように、低密度潜在性、及び密度対水量の点で非常に線形かつ予測可能な応答性などの、最適な材料特性を標的とする点で、適用され得る。
【0049】
改質TDI系ポリイソシアネート化合物も有用である。そのような改質TDI系ポリイソシアネート化合物は、一般に、TDIと低分子量ジオール又はアミンとの反応によって調製される。改質TDI系ポリイソシアネート化合物は、TDI系ポリイソシアネート化合物とそれ自体との反応によって調製することも可能であり、アロファネート結合、ウレトニミン結合、カルボジイミド結合、尿素結合、ビウレット結合又はイソシアヌレート結合を含有するポリイソシアネート化合物が製造される。
【0050】
上述のような2つ以上のTDI化合物の混合物を使用して、必要に応じて、所望の加工又は材料特性を標的とすることができる。
【0051】
そのようなPURフォームの調製に好適なポリオール化合物は、ポリエーテル、ポリエステル、ポリエステルアミド、ポリチオエーテル、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリオレフィン及びポリシロキサンポリオール、植物油由来のポリオール、他のバイオ系ポリオール及びそれら2つ以上の混合物から選択され得る。ポリオール化合物は、好ましくはポリエーテルポリオールである。
【0052】
そのようなPURフォームの調製に使用され得るポリエーテルポリオールの非限定的な例としては、1つ以上のアルキレンオキシド又は置換アルキレンオキシドを、1種以上の活性水素含有開始剤と反応させることによって調製される、これらのポリエーテルポリオールが挙げられる。
【0053】
好適な酸化物は、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、エピクロルヒドリン及びエピブロモヒドリンである。2つ以上の酸化物の混合物を使用してもよい。好適な開始剤は、例えば水、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース、ヘキサントリオール、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ビスフェノール、ノボラック樹脂及びリン酸である。さらに好適な開始剤は、例えばアンモニア、エチレンジアミン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ジアミノペンタン、ジアミノヘキサン、エタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、アニリン、2,4-トルエンジアミン、2,6-トルエンジアミン、2,4´-ジアミノ-ジフェニルメタン、4,4´-ジアミノジフェニルメタン、1,3-フェニレンジアミン、1,4-フェニレンジアミン、ナフタレン-1,5-ジアミン、4,4´-ジ(メチルアミノ)-ジフェニルメタン、1-メチル-2-メチルアミノ-4-アミノベンゼン、1,3-ジエチル-2,4-ジアミノベンゼン、2,4-ジアミノメシチレン、1-メチル-3,5-ジエチル-2,4-ジアミノベンゼン、1-メチル-3,5-ジエチル-2,6-ジアミノベンゼン、1,3,5-トリエチル-1,2,6-ジアミノベンゼン及び3,5,3´,5´-テトラエチル-4,4´-ジアミノジフェニルメタンである。2つ以上の開始剤の混合物を使用してもよい。
【0054】
そのようなPURフォームの調製に使用され得るポリエステルポリオールの非限定的な例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール若しくはポリエーテルポリオール又はそのような多価アルコールの混合物などの多価アルコールのヒドロキシル末端反応生成物、並びにポリカルボン酸、とりわけジカルボン酸又はそのエステル形成誘導体、例えばコハク酸、グルタル酸及びアジピン酸又はそれらのジメチルエステル、セバシン酸、無水フタル酸、テトラクロロフタル酸無水物若しくはジメチルテレフタレート又はそれらの混合物が挙げられる。ラクトン、例えばカプロラクトンとポリオールとの重合、又はヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸の重合によって得られるポリエステルも使用することができる。
【0055】
そのようなPURフォームの調製に使用され得る植物油由来のポリオールの非限定的な例としては、ヒマシ油、大豆油、落花生油、キャノーラ油、及びそれら2つ以上の混合物由来のポリオールが挙げられる。
【0056】
そのようなPURフォームの調製に好適なポリオール化合物としては、いわゆるポリマーポリオールも挙げられ得る。これらは、1種以上の固形ポリマーが安定に分散しているポリオール化合物である。これらのポリオール化合物は、US3383351及びUS3304273などの当分野において多数記載されている。このようなポリマーポリオールは、フリーラジカル触媒の存在下で、ポリオール化合物中に溶解又は分散した1種以上のエチレン性不飽和モノマーを重合して、ポリオール化合物中にポリマー粒子の安定な分散を形成することによって製造され得る。多種多様なモノマーが、ポリマーポリオールの調製に利用され得る。多数のエチレン性不飽和モノマーが先行技術に開示されており、ポリ尿素及びポリウレタン懸濁液ポリマーも利用することができる。例示的なモノマーとしては、スチレン及びその誘導体(例えばパラ-メチルスチレン)、アクリレート、メタクリレート(例えばメチルメタクリレート)、アクリロニトリル及び他のニトリル誘導体(例えばメタクリロニトリル)などが挙げられる。塩化ビニリデンも用いられ得る。ポリマーポリオールの生成に使用される好ましいモノマー混合物は、アクリロニトリルとスチレンとの混合物(SANポリオール)、又は、アクリロニトリルとスチレンと塩化ビニリデンとの混合物である。これらのポリマーポリオール組成物は、対応する未改質ポリオール化合物によって提供されるよりも高い耐荷重特性を、それから製造されるPURフォームに付与する貴重な特性を有する。そのようなPURフォームの調製に好適なポリオール化合物としては、US3325421及びUS4374209に教示されているポリオール化合物も挙げられ得る。
【0057】
本発明による方法で使用されるようなPURフォームは、PURフォーム配合物にとって通常の他の一般的な追加成分をさらに含み得ることが理解される。そのような他の一般的な追加成分としては、鎖延長剤及び架橋剤、発泡剤、尿素及びウレタン形成促進触媒、界面活性剤、安定剤、難燃剤、有機及び無機フィラー、顔料、いわゆるボイリングフォーム(沸騰発泡)効果を抑制する物質、成形用途のための内部離型剤、並びに酸化防止剤が含まれるが、これに限定されない。
【0058】
鎖延長剤及び架橋剤の非限定的な例は、2~8個、好ましくは2~4個のアミン基及び/又はヒドロキシ基を含有するアミン及びポリオール、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース、500未満の当量を有するポリエチレングリコール、トルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、シクロヘキサンジアミン、フェニルジアミン、ジフェニルメタンジアミン、アルキル化ジフェニルエタンジアミン及びエチレンジアミンである。
【0059】
有利には、鎖延長剤及び架橋剤の量は、存在する場合、ポリオール化合物100重量部あたり最大25重量部、好ましくは最大10重量部である。
【0060】
そのようなPURフォームの調製時に任意に使用され得る発泡剤の非限定的な例は、クロロフルオロカーボン、水素クロロフルオロカーボン、水素フルオロカーボンなどの物理的発泡剤から選択され得、好ましくは化学的発泡剤、とりわけ水、ギ酸及びその誘導体などの、フォーム(泡)形成条件下でポリイソシアネートと反応する際にCO遊離をもたらすものから選択され得る。最も好ましくは、水が単独の発泡剤として使用される。
【0061】
有利には、発泡剤の量は、ポリオール化合物100重量部あたり2~20重量部、好ましくは3~15重量部の範囲である。
【0062】
そのようなPURフォームの調製時に使用され得る任意の一般的な追加成分は、PURフォームを調製するために、ポリイソシアネート化合物と反応させる前に、ポリオール化合物と予備混合され得る。
【0063】
PURフォームは、ワンショット法、セミプレポリマー法若しくは擬似プレポリマー法、又はプレポリマー法に従って生成され得る。
【0064】
PURフォームは、スラブストック又は成形PURフォームであり得る。PURフォームは、一般に15~80kg/mの密度を有し、例えば家具、カーシート(車両の座席)及びマットレスのクッション材料として使用されている場合がある。
【0065】
原則として、TDI系である任意のPURフォームも本発明による方法で使用され得るが、以下に説明するように、得られた非常に良好な結果を考慮すると、完全水発泡であり、ポリエーテルポリオール系である可撓性TDI系フォームが特に好ましい。従来、ポリエーテルポリオールとTDI系イソシアネートとを反応させ、その結果、NCO基とOH基とが付加反応によってウレタン結合を形成し、イソシアネートと水との反応によりその場で(in situ)生成される二酸化炭素でポリウレタンを発泡させることによって、可撓性PUフォームが生成され得る。この従来の工程は、ポリオール、イソシアネート及び水を1ステップで混合して、ポリウレタンを同じステップで形成及び発泡させる、いわゆる「ワンショット」法として実施され得る。しかし、2ステップ法を使用することも公知であり、当該方法では、第1のステップにおいて、ポリオール又はイソシアネートのどちらかの過剰量を反応させることでプレポリマーが形成され、それにより、プレポリマーは試薬の反応性官能基をなお過剰に含有している。次いで、プレポリマーは、第2のステップにおいて、水の存在下で残存する試薬と反応して、発泡ポリマーが形成される。
【0066】
上記のようなすべての定義及び選好は、以下に説明するように、すべてのさらなる実施形態に等しく適用されることがさらに理解される。
【0067】
上記のように、本発明の方法では、上で詳述したように、PUR材料を、上で詳述したように、少なくとも1種のアルコール化化合物と接触させ、それにより反応混合物(M)を形成し、PUR材料及びアルコール化化合物を反応混合物(M)中で反応させて混合物(M)を得る。
【0068】
本発明の方法の好ましい実施形態では、PUR材料1重量部(pbw)に対する少なくとも1種のアルコール化化合物の量は、有利には10pbw以下、好ましくは5pbw以下、より好ましくは2.5pbw以下、さらにより好ましくは1.5pbw以下、さらにさらにより好ましくは1.0pbw以下、最も好ましくは0.5pbw以下である。
【0069】
PUR材料1pbwに対する少なくとも1種のアルコール化化合物の量は、有利には0.1pbw以上、好ましくは0.2pbw以上、より好ましくは0.3pbw以上、さらにより好ましくは0.4pbw以上であることがさらに理解される。
【0070】
本発明による方法のある実施形態によれば、反応混合物(M)は水をさらに含む。
【0071】
水が反応混合物(M)中に存在する場合、水の量は、有利には、PUR材料1pbwに対して少なくとも0.01pbw、好ましくは0.025pbw、より好ましくは0.05pbwである。水の上限は特に限定されないが、反応混合物(M)中に存在する水の量は、混合物(M)の相分離に悪影響を及ぼすべきではないことがさらに理解される。
【0072】
本発明による方法の好ましい実施形態では、反応混合物(M)は、少なくとも1種のアルコール化化合物中にPUR材料のアルコーリシスを促進する少なくとも1種のアルコーリシス促進物質をさらに含む。
【0073】
「アルコーリシスの促進」という用語は、PUR材料中のカルバメートが第1級及び/又は第2級アミンを含む化合物、例えばトルエンジアミン化合物(TDA化合物)、トルエンカルバメート-アミン化合物(TCA化合物);及びトルエンジカルバメート化合物(TDC化合物);並びにPUR材料を生成した対応するポリオール化合物に変換される効果を指す。アルコーリシス促進物質の一部は、混合物(M)中に存在する他の化合物又は副生成物、例えばイソシアネート化合物と反応し得る。
【0074】
本発明の方法での使用に好適なアルコーリシス促進物質としては、複素環式アミン、直鎖若しくは分枝鎖脂肪族アミン、シクロアルキルアミン、芳香族アミン又は環状アミドが挙げられ得るが、これに限定されない。
【0075】
複素環式アミンの非限定的な例としては、ピペラジン、アミノエチルピペラジン、ピペリジン、モルホリン、N-エチルモルホリン、ヘキサメチレンテトラアミン、トリエチレンジアミン、1,8-ジアザビクロ(5,4,0)-ウンデセン、ピリジン、ピコリン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾールなどが挙げられる。
【0076】
直鎖脂肪族アミンの非限定的な例としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン、モノプロピルアミン、ジプロピルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、トリエチルアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロピルアミン、イソブチルアミン、ジイソブチルアミンなどが挙げられる。これらの化合物の中でも、商業的に好ましいアミンは、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、モノエタノールアミンなどである。
【0077】
シクロアルキルアミンの非限定的な例としては、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、シクロペンチルアミン、ビスアミノメチルシクロヘキサンなどが挙げられる。
【0078】
芳香族アミンの非限定的な例としては、アニリン、フェニレンジアミン、ジメチルアニリン、モノメチルアニリン、トルイジン、アニシジン、ジフェニルアミン、ベンジジン、フェネチジン、トリジン、ベンジルアミン、キシリレンジアミン、トリレンジアミン、ジフェニルメタン-4,4´-ジアミンなどが挙げられる。
【0079】
環状アミドの非限定的な例としては、α-ラクタム、β-ラクタム、ピロリドン、ピペリドン、バレロラクタム及びカプロラクタムが挙げられる。
【0080】
好ましくは、本発明の方法で使用するための少なくとも1種のアルコーリシス促進物質は、例えば2-ピロリドン、バレロラクタム、カプロラクタム及びそれら2つ以上の混合物などの、環状アミドから選択される。より好ましくは、本発明の方法で使用するための少なくとも1種のアルコーリシス促進物質は、2-ピロリドンである。
【0081】
有利には、アルコーリシス促進物質の量は、存在する場合、PUR材料1重量部に対して0.01~1重量部、より好ましくは0.05~0.5重量部、最も好ましくは0.08~0.2重量部である。
【0082】
本発明による方法のある実施形態によれば、反応混合物(M)は、PUR材料のアルコーリシスを向上させるための少なくとも1種の触媒をさらに含む。
【0083】
本発明の方法での使用に好適な触媒の非限定的な例としては、(有機)スズ及びビスマス触媒(例えば、ジメチルスズジクロリド、ブチルスズトリクロリド、ジメチルスズジラウレート、ジメチルスズジオレエート、ジメチルスズメルカプチド、ジブチルスズジアセテート、ジメチルスズジネオデカノエート、ビスマス(III)ネオデカノエート、ビスマス2-エチルヘキサノエート及びトリフェニルビスマス)、アルカリ金属及びアルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウム)、チタン(IV)アルコキシド(例えば、チタン(IV)プロポキシド、チタン(IV)ブトキシド及びチタン(IV)tert-ブトキシド)、リチウム及びカリウムのアルコキシド錯体(例えば、リチウムt-ブトキシド及びカリウムt-ブトキシド)、テトラブチルチタネート、酢酸カリウム、カリウム2-エチルヘキサノエート、カルシウム2-エチルヘキサノエート、ビスマス(III)トリフルオロメタンスルホネート、鉄(III)アセチルアセトネート、アルミニウムイソプロポキシド、ジメチルイミダゾール、カリウムアジペート及び一般的なウレタン反応促進触媒が挙げられる。好ましくは、少なくとも1種の触媒は、リチウムt-ブトキシド、カリウムt-ブトキシド、水酸化カリウム、アルミニウムイソプロポキシド、ブチルスズトリクロリド、ジメチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジメチルスズジネオデカノエート、ビスマス(III)ネオデカノエート又はビスマス(III)2-エチルヘキサノエートから選択される。より好ましくは、少なくとも1種の触媒は、ジブチルスズジアセテート、ジメチルスズジネオデカノエート又はビスマス(III)ネオデカノエートから選択される。
【0084】
有利には、少なくとも1種の触媒の量は、存在する場合、PUR材料1pbwに対して0.001~0.3pbw、より好ましくは0.005~0.1pbw、最も好ましくは0.008~0.05pbwである。
【0085】
本発明による方法のある実施形態によれば、反応混合物(M)は、1種以上のアルコール化化合物中のPUR材料の溶解を促進する溶解促進剤をさらに含む。
【0086】
「溶解の促進」という用語は、アルコール化化合物をPUR材料の塊により良好に浸透させて、PUR材料とアルコール化化合物との間の接触面積を増大又は拡大し、それによりPUR材料が容易に溶解できるようにする、浸透効果を指す。
【0087】
したがって、一部のアルコーリシス促進物質は、溶解促進剤としても機能することが理解される。
【0088】
本発明の方法での使用に好適な溶解促進剤の非限定的な例としては、新たなPUR材料の製造に使用されるポリオール化合物と共に使用するのが好適なポリエーテルポリオール及び他のポリオールが含まれ得る。
【0089】
PUR材料は、少なくとも1種のアルコール化化合物に、PUR材料が収容されるが、好ましくは、必要に応じて、切断、粉砕(ミリング)、ペレット化、粉砕(グラインディング)、粉砕、細分、緻密化及びプレス並びにそれらの任意の組み合わせなどによって、PUR材料のサイズを縮小する及び/又は密度を上昇させるのに好適な方法で、PUR材料のサイズが縮小される形態で接触され得る。本発明の方法が成功するかはPUR材料のサイズに大きく依存しないが、効率及び取り扱い上の理由から、0.1mm~10cm、好ましくは0.1mm~5cm、より好ましくは0.1mm~3cmの平均直径を有するPUR材料片であることが好ましい。
【0090】
好ましくは、PUR材料及び少なくとも1種のアルコール化化合物は、アルコーリシス反応を行うのに好適な容器に添加することによって、及び通常の混合によって接触し、それにより混合物(M)が形成される。
【0091】
一般に、PUR材料及び少なくとも1種のアルコール化化合物などの混合物(M)の各化合物の添加順序は特に限定されないことが理解される。好ましくは、少なくとも1種のアルコール化化合物、場合により触媒及び場合によりアルコーリシス促進物質を含有する混合物が調製される。PUR材料は、この混合物に間隔を置いて又は間隔を置かずに添加される。アルコーリシス、即ち解重合反応は、PUR材料の溶解が完了するとすぐに開始する。
【0092】
PUR材料及び少なくとも1種のアルコール化化合物は、アルコーリシス反応において反応させられ、好ましくは、アルコーリシス反応条件は、合理的な期間内に平衡に達するように選択される。温度、反応時間(溶解及びにアルコーリシスを含む)及び圧力などのアルコーリシスのための反応条件は、使用されるアルコール化化合物及び反応の規模によって変わることが理解される。当業者であれば、好適な反応条件を決定することができる。
【0093】
一般に、混合物(M)は、周囲圧力~10バール、好ましくは周囲圧力~5バール、最も好ましくは周囲圧力の範囲の圧力に供される。
【0094】
好ましくは、混合物(M)の温度は、少なくとも170℃、より好ましくは少なくとも180℃、さらにより好ましくは少なくとも190℃、好ましくは最高240℃、より好ましくは最高220℃、さらにより好ましくは最高210℃である。
【0095】
好ましくは、PUR材料及び少なくとも1種のアルコール化化合物は、少なくとも0.5時間、又は少なくとも1時間、又は少なくとも1.5時間、又は少なくとも2時間の反応時間の間に反応させる。
【0096】
反応時間は特に限定されないが、有利には、反応時間は最長48時間、又は最長24時間、又は最長15時間、又は最長10時間、又は最長6時間であることがさらに理解される。
【0097】
本発明による方法の好ましい実施形態では、PUR材料及び少なくとも1種のアルコール化化合物を、撹拌下及びNブランケット下で反応させる。
【0098】
このように、本発明の方法では、形成された混合物(M)を、少なくとも上相[以下、相(A)]及び下相[以下、相(B)]に分離させ、相(A)及び相(B)は2つの非混和性相である。好ましくは、形成された混合物(M)を、1つの上相[以下、相(A)]及び1つの下相[以下、相(B)]に分離させ、相(A)及び相(B)は2つの非混和性相である。
【0099】
相(A)、最も一般には上相は、主に少なくとも1種の回収ポリオール化合物、即ちPUR材料を生成したポリオールを含むが、相(B)、最も一般的には下相は、概して、上で詳述したように、少なくとも1種のアルコール化化合物を含むこと、並びに、相(A)中のTDA化合物の総含有量に対してより高いTDA化合物の総含有量を有すること、及び/又は相(A)中のTCA化合物の総含有量に対してより高いTCA化合物の総含有量を有すること、及び/又は相(A)中のTDC化合物の総含有量に対してより高いTDC化合物の総含有量を有することを特徴とする。
【0100】
本発明による方法の一実施形態では、相(B)はTDA化合物を含む。相(B)の総重量に対する相(B)中のTDA化合物の重量分率[以下(TDA)重量%]は、1.0重量%超、又は2.0重量%超、又は3.0重量%超、又は3.5重量%超である。
【0101】
本発明による方法の別の実施形態では、相(B)はTCA化合物をさらに含み得る。存在する場合、相(B)の総重量に対する相(B)中のTCA化合物の重量分率[以下(TCA)重量%]は、2.5重量%超、又は5.0重量%超、又は7.5重量%超、又は8.0重量%超、又は8.5重量%超である。
【0102】
本発明による方法の別の実施形態では、相(B)はTDC化合物をさらに含み得る。存在する場合、相(B)の総重量に対する相(B)中のTDC化合物の重量分率[以下(TDC)重量%]は、1.0重量%超、又は3.0重量%超、又は5.0重量%超、又は7.0重量%超、又は9.0重量%超、又は11.0重量%超、又は12.0重量%超である。
【0103】
本発明による方法の別の実施形態では、相(B)の総重量に対する、相(B)中のTDA化合物及びTCA化合物の重量分率の合計[以下、(TDA+TCA)重量%]は、5.0重量%超、又は7.5重量%超、又は10.0重量%超、又は12.5重量%超、又は13.5重量%超である。
【0104】
本発明による方法の好ましい実施形態では、相(B)の総重量に対する、相(B)中のTDA化合物、TCA化合物及びTDC化合物の重量分率の合計[以下、(TDA+TCA+TDC)重量%]は、10.0重量%超、又は12.5重量%超、又は15.0重量%超である。
【0105】
本発明による方法の別の好ましい実施形態では、相(B)の総重量に対する、相(B)中のTDA化合物及びTDC化合物の重量分率の合計[以下、(TDA+TDC)重量%]は、5.0重量%超、又は7.0重量%超、又は10.0重量%超、又は13.0重量%超、又は16.0重量%超である。
【0106】
本発明による方法の特に好ましい実施形態では、相(B)中の(TDC)重量%は、相(B)の総重量に対する相(B)中の(TDA)重量%より高い。
【0107】
上記のように、「非混和性」という用語はその従来の意味で使用され、重量で最大30重量%、好ましくは最大20重量%、より好ましくは最大10重量%、さらにより好ましくは最大5重量%の混合物(M)の1つの相、例えば上相を、室温で、混合物(M)の別の相、例えば下相に溶解できることが好ましい。
【0108】
混合物(M)は、混合物(M)を少なくとも2つの不混和性相に分離させるのに十分な期間にわたって静置される。一般に、1分~24時間、又は1分~1時間の範囲の期間で十分である。有利には、この期間は、少なくとも15分、又は少なくとも30分、又は少なくとも1時間、又は少なくとも2時間、又は少なくとも4時間、好ましくは最大24時間、又は最大12時間、又は最大6時間、又は最大4時間、又は最大3時間である。
【0109】
混合物(M)の任意の撹拌が中断された後、相を分離させている間及び相を回収している間、温度は維持され得る。好ましくは、反応混合物(M)の温度を、任意の撹拌が中断された後又は相分離後であるが相を回収する前に、冷却によって又はもはや熱を供給しないことによって低下させる。
【0110】
場合により、混合物(M)を遠心分離して相の分離を促進することができる。
【0111】
次いで、相(A)及び相(B)は、例えば相の一方をデカントすることによって、又は容器の底部の出口を介して相の一方を除去することによって、従来の方法で別個に収集される。時には、2相間の相分離後に界面が存在することがあり、その界面は別個に又は2相のいずれかと共に収集され得る。場合により、PUR材料配合物が無機装填物、例えば炭酸カルシウムを含む場合、これらの無機装填物を含む固形画分も形成される。
【0112】
本発明による方法は、バッチ式又は連続式で実施され得る。
【0113】
本発明による方法の好ましい実施形態では、相(A)の総重量に対する相(A)中の回収ポリオール化合物の量は、70.0重量%以上、好ましくは75.0重量%以上、好ましくは80.0重量%以上、好ましくは85.0重量%以上、より好ましくは90.0重量%以上、より好ましくは92.5重量%以上、より好ましくは95.0重量%以上である。
【0114】
本発明による方法の好ましい実施形態では、PUR材料中の少なくとも1種のポリオール化合物の総重量に対する回収ポリオール化合物の重量として計算される、回収ポリオール化合物の収率は、50.0%以上、好ましくは60.0%以上、好ましくは70.0%以上、より好ましくは80.0%以上、より好ましくは95.0%以上である。
【0115】
回収ポリオール化合物の収率は、回収ポリオール化合物の重量を、PUR材料を製造するために使用された少なくとも1種のポリオール化合物の総重量(PUR材料の重量にポリオール化合物含有量を掛けたもの)で割ることによって計算される。
【0116】
本発明による方法の好ましい実施形態では、PUR材料に含まれるTDI化合物の総モル量に対するTDA化合物のモル量として計算される、相(A)中に残存する少なくとも1種のTDA化合物の収率は、5.0%以下、好ましくは4.5%以下、好ましくは4.0%以下、より好ましくは3.5%以下、より好ましくは3.0%以下、さらにより好ましくは2.5%以下、さらにより好ましくは2.0%以下である。
【0117】
相(A)中に残存するTDA化合物の収率は、相(A)中のTDA化合物のモル量を、アルコール化されたPUR材料中のTDI化合物の総モル量で割ることによって計算される。
【0118】
相(A)中に残存するTDA化合物の収率を求める手順は、実験セクションで詳細に説明される。
【0119】
さらに、本発明者らは驚くべきことに、上で詳述したように、少なくとも1種のポリオール化合物及び少なくとも1種のTDI化合物から作製されたポリウレタン(PUR)材料をアルコール化及び加水分解するための本発明の方法において、上で詳述したように、少なくとも1種のアルコール化化合物の使用と組み合わせて、TDIから出発するPUR材料を使用すると、実験セクションで実証されるように、良好~優れた分配係数を有する、TDA化合物、及び/又は、存在する場合にはTCA化合物、及び/又は、存在する場合にはTDC化合物が結果として生じることを見出した。
【0120】
本発明の文脈内で、TDA化合物の分配係数[以下、DTDA]、TCA化合物の分配係数[以下、DTCA]、及びTDC化合物の分配係数[以下、DTDC]は、それぞれTDA化合物、TCA化合物、TDC化合物の上相(A)の重量分率を下相(B)の重量分率で割ることによって計算される。
【0121】
TDA、DTCA、及びDTDCを求める手順は、実験セクションでさらに詳細に説明される。
【0122】
有利には、DTDAは、上で詳述したように、0.70以下、好ましくは0.65以下、より好ましくは0.60以下、さらにより好ましくは0.55以下、最も好ましくは0.50以下である。
【0123】
有利には、上で詳述したように、DTCAは、0.70以下、好ましくは0.60以下、より好ましくは0.50以下、より好ましくは0.40以下、より好ましくは0.30以下、さらにより好ましくは0.20以下、最も好ましくは0.15以下である。
【0124】
好ましくは、上で詳述したように、DTDCは、0.40以下、より好ましくは0.35以下、より好ましくは0.30以下、より好ましくは0.25以下、より好ましくは0.20以下、より好ましくは0.15以下、さらにより好ましくは0.10以下、最も好ましくは0.05以下である。
【0125】
このように、本発明の方法では、相(B)は少なくとも1つの加水分解ステップに供され、それにより相(B1)を形成する。
【0126】
加水分解ステップは、当分野で公知の標準方法に従って行うことができる。当業者は、自らの実務技能を使用することにより、合理的な期間で平衡に達するように加水分解反応条件を選択して、加水分解反応を行うことができる。温度、反応時間及び圧力などの加水分解のための反応条件は、アルコーリシス中に使用されたアルコール化化合物及び反応の規模によって変わることが理解される。
【0127】
一般に、相(B)の加水分解は、相(B)が、周囲圧力~10バール、好ましくは周囲圧力~5バールの範囲の圧力、最も好ましくは周囲圧力に供されている間に行われる。
【0128】
本発明による方法の好ましい実施形態では、相(B)の加水分解は、好ましくは撹拌下及びN又はCOブランケット下などの非酸化性雰囲気下で行われることが理解される。
【0129】
本発明による方法の一実施形態によれば、相(B)は、少なくとも1つの中性加水分解ステップに供され、それにより相(B1)を形成する。
【0130】
一般に、少なくとも1つの中性加水分解ステップは、水性溶媒を使用して行われる。そのような水性溶媒は、例えば水、塩水又は任意の他の無機塩水溶液であり得る。上述の塩水又は無機塩水溶液に使用される好適な塩としては、特にアルカリ塩化物又はアルカリ土類塩化物などが挙げられる。好ましくは、水性溶媒は水である。
【0131】
好ましくは、少なくとも1つの中性加水分解ステップは、収集された相(B)に水を添加することによって行われる。水の添加は、相(B)が回収された後の任意の段階で開始され得ることが理解される。
【0132】
相(B)の少なくとも1つの中性加水分解を完了するために必要な水の量は限定されない。有利には、水の量は、相(B)の総重量に対して、少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも15重量%、さらにより好ましくは少なくとも20重量%、相(B)の総重量に対して、好ましくは最大250重量%、より好ましくは最大225重量%、さらにより好ましくは最大200重量%である。圧力、時間及び温度などの中性加水分解反応条件は、相(B)中の化合物、使用される水の相対量及び規模によって変わることが理解される。当業者は、好適な中性加水分解反応条件を決定することができる。
【0133】
好ましくは、相(B)の少なくとも1つの中性加水分解は、相(B)の温度が150℃、好ましくは少なくとも160℃、より好ましくは少なくとも170℃、好ましくは最大260℃、より好ましくは最大250℃、さらにより好ましくは最大240℃とされた後に水を添加することによって行われる。
【0134】
本発明による方法のある実施形態によれば、相(B)の少なくとも1つの中性加水分解は、水の段階的な添加開始後、1時間超、好ましくは2時間超、さらにより好ましくは3時間超の間に、好ましくは水の段階的な添加開始後、最大24時間、より好ましくは最大20時間、さらにより好ましくは最大15時間の間に、水を相(B)に段階的に添加することによって行われる。
【0135】
本発明による方法のある実施形態によれば、相(B)の少なくとも1つの中性加水分解は、水を添加し、水の添加が完了した後、水と相(B)とを、少なくとも1時間、より好ましくは少なくとも2時間、さらにより好ましくは少なくとも3時間、好ましくは最大36時間、より好ましくは最大30時間、さらにより好ましくは最大24時間、またさらにより好ましくは最大20時間、最も好ましくは最大15時間、さらに反応させることによって行われる。
【0136】
本発明による方法のある実施形態によれば、相(B)の少なくとも1つの中性加水分解は、少なくとも1種の加水分解促進触媒の存在下で行われる。
【0137】
加水分解促進触媒は、少なくとも1つの中性加水分解が開始する前に相(B)に添加され得るか、又は相(B)の少なくとも1つの中性加水分解を完了するために必要な量の水に溶解され得る。このような加水分解促進触媒は、相(B)の総重量に対して、0.001~5重量%、好ましくは0.001%~0.25重量%、最も好ましくは0.001~0.08重量%の量で添加される。
【0138】
加水分解促進触媒の非限定的な例としては、LiOH、KOH、NaOH及びCsOHのような金属水酸化物、FeClなどのルイス酸、メチルモルホリン-N-オキシドなどのモルホリン化合物、並びにジメチルスズジラウリルメルカプチドなどのスズ化合物が挙げられる。好ましくは、加水分解促進触媒はKOH又はNaOH、より好ましくはKOHである。相(B)の少なくとも1つの中性加水分解は、好ましくは、N又はCOブランケット下などの非酸化性雰囲気中で行われることが理解される。
【0139】
別の実施形態によれば、相(B)は、少なくとも1つのアルカリ加水分解ステップに供され、それにより相(B1)を形成する。
【0140】
一般に、少なくとも1つのアルカリ加水分解ステップは、水性溶媒及び少なくとも1種の塩基を使用することによって行われる。
【0141】
水、少なくとも1種の塩基及び相(B)を混合する順序は任意であり得るが、典型的には、最初に少なくとも1種の塩基を水性溶媒に添加し、続いて少なくとも1種の塩基を含む水性溶媒を相(B)に添加することが有用である。
【0142】
そのような水性溶媒は、例えば水、塩水又は任意の他の水性無機塩溶液であり得る。上述の塩水又は無機塩水溶液に使用される好適な塩としては、特にアルカリ塩化物又はアルカリ土類塩化物などが挙げられる。好ましくは、水性溶媒は水である。
【0143】
塩基の非限定的な例としては、LiOH、KOH、NaOH、CsOH、Ca(OH)、Mg(OH)及びNHOHなどのヒドロキシ塩基が特に挙げられる。好ましくは、塩基はKOH又はNaOH、より好ましくはKOHである。
【0144】
好ましくは、少なくとも1つのアルカリ加水分解ステップは、上で詳述したように、少なくとも1種のヒドロキシ塩基を含む水を収集した相(B)に添加することによって行われる。有利には、水の量は、相(B)の総重量に対して、少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも15重量%。%、さらにより好ましくは少なくとも20重量%、相(B)の総重量に対して、好ましくは最大250重量%、より好ましくは最大225重量%、さらにより好ましくは最大200重量%である。
【0145】
有利には、少なくとも1種の塩基は、水の総重量に対して、少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも15重量%、さらにより好ましくは少なくとも20重量%、水の総重量に対して、好ましくは最大50重量%、より好ましくは最大40重量%、さらにより好ましくは最大30重量%の量で水に含まれる。
【0146】
本発明による方法のある実施形態によれば、相(B)の少なくとも1つのアルカリ加水分解は、上で詳述したように、相(B)の温度が150℃、好ましくは少なくとも160℃、より好ましくは少なくとも170℃、好ましくは最大260℃、より好ましくは最大250℃、さらにより好ましくは最大240℃にされた後に、少なくとも1種のヒドロキシ塩基を含む水を添加することによって行われる。
【0147】
本発明による方法のある実施形態によれば、相(B)の少なくとも1つのアルカリ加水分解は、上で詳述したように、少なくとも1種のヒドロキシ塩基を含む水の段階的添加の開始後、1時間超、好ましくは2時間超、さらにより好ましくは3時間超の間に、少なくとも1種のヒドロキシ塩基を含む水の段階的添加の開始後、好ましくは最大24時間、より好ましくは最大20時間、さらにより好ましくは最大15時間の間に、少なくとも1種のヒドロキシ塩基を含む水を相(B)に段階的に添加することによって行われる。
【0148】
本発明による方法のある実施形態によれば、相(B)の少なくとも1つのアルカリ加水分解は、少なくとも1種のヒドロキシ塩基を含む水を添加し、少なくとも1種のヒドロキシ塩基を含む水の添加が完了した後、少なくとも1種のヒドロキシ塩基を含む水と相(B)とをさらに少なくとも1時間、より好ましくは少なくとも2時間、さらにより好ましくは少なくとも3時間、好ましくは最大36時間、より好ましくは最大30時間、さらにより好ましくは最大24時間、またさらにより好ましくは最大20時間、最も好ましくは最大15時間反応させることによって行われる。
【0149】
本発明者らは、驚くべきことに、上で詳述したように、少なくとも1種のアルコール化化合物を使用することにより、上記の要件を満たさないアルコール化化合物を使用するアルコール化方法と比較して、PUR材料に含まれるTDI化合物の総モル量に対する相(B1)中のTDA化合物のモル量として表される、相(B1)に残存する少なくとも1種のTDA化合物の収率が、相(B1)の抽出又は蒸留ステップなしでもかなり増加することを見出した。
【0150】
本発明による方法の一実施形態では、PUR材料に含まれるTDI化合物の総モル量に対するTDA化合物のモル量として計算される、相(B1)に残存する少なくとも1種のTDA化合物の収率は、40.0%以上、又は50.0%以上、又は60.0%以上、又は70.0%以上、好ましくは80.0%以上、好ましくは90.0%以上、より好ましくは95.0%以上である。
【0151】
相(B1)中に残存するTDA化合物の収率は、相(B1)中のTDA化合物のモル量を、アルコール化されたPUR材料中のTDI化合物の総モル量で割ることによって計算される。
【0152】
相(B1)中に残存するTDA化合物の収率を求める手順は、実験セクションで詳細に説明される。
【0153】
本発明による方法の別の実施形態では、存在する場合、相(B1)の総重量に対する相(B1)中のTCA化合物の重量分率[以下(TCA)重量%]は、15.0重量%以下、又は12.0重量%以下、又は9.0重量%以下、又は6.0重量%以下、又は4.0重量%以下、又は3.0重量%以下、又は2.0重量%以下、又は1.5重量%以下である。
【0154】
上記のように、相(A)、最も一般的には上相は、PUR材料が生成された少なくとも1種の回収ポリオール化合物を主に含む。相(A)は、典型的には、ヒドロキシル価Yを特徴とする。相(A)のヒドロキシル価Yは、上述のように、標準方法のASTM E1899による滴定測定値を使用して求められ得る。しかし、アミン化合物及び任意のアルコーリシス促進物質などの相(A)中の汚染化合物は、ヒドロキシル価に寄与し得る。したがって、相(A)のヒドロキシル価Yはまた、化合物の重量分率を、それぞれの理論ヒドロキシル価と掛けることによって理論的にアプローチされ得る。化合物の重量分率は、特徴的なプロトンのNMRシグナルピークの積分によって求めた。OH価に寄与する種々の化合物は、回収ポリオール化合物、アルコール化化合物、カルバメート-アミン化合物、ジアミン化合物及び任意のアルコーリシス促進物質である。この手順は、実験セクションで詳細に説明されている。
【0155】
さらに、補正ヒドロキシル価Yは、ヒドロキシル価Yからカルバメート-アミン化合物及びジアミン化合物並びに任意のアルコーリシス促進物質の寄与を差し引くことによって計算され得る。この手法では、回収ポリオール化合物及び相(A)に残存するアルコール化化合物の寄与のみが考慮される。
【0156】
本発明による方法の別の実施形態では、相(B1)、特に相(B1)又は相(B1)を、例えば蒸発、蒸留又はイオン交換処理による精製ステップにさらに供して、少なくとも1種のジアミン化合物を単離する。
【0157】
この精製ステップは、相(B1)へと加水分解される前に相(B)にも適用され得ることが理解される。
【0158】
本発明による方法の好ましい実施形態では、相(B1)、特に相(B1)又は相(B1)をイオン交換処理にさらに供し、それにより、相(B2)、特に相(B2)又は相(B2)が形成する。
【0159】
イオン交換処理は当分野で周知であり、広く記載されている。
【0160】
イオン交換処理は、3.8meq/mlの乾燥容量を有するプロトン形態の、Dowex MAC-3などの弱カチオン交換体によって行われ得る。好ましくは、イオン交換は、バッチ式で行われ、相(B2)、特に相(B2)又は相(B2)が重量で2倍過剰のメタノールなどの溶媒に溶解される。相(B2)、特に相(B2)又は相(B2)と溶媒との混合物は、イオン交換体と好ましくは室温で30分間混合され得、液相は除去され得、イオン交換体はメタノールなどの溶媒でさらに洗浄され得る。最後に、溶媒は蒸発により液相から除去され得、メタノールを溶媒として使用した場合には、例えば70℃で蒸発により液相から除去され得る。イオン交換体は、5重量%塩化水素を含有する酸性化メタノールで再生され得、残存するメタノールは、70℃での蒸発により除去され得る。
【0161】
本発明による方法の一実施形態では、相(B1)、特に相(B1)若しくは相(B1)、又は相(B2)、特に相(B2)若しくは相(B2)を、アミン変換ステップにさらに供し、それにより、少なくとも1種の回収イソシアネート化合物を形成する。
【0162】
上記のように、相(B1)、特に相(B1)若しくは相(B1)又は(B2)、特に相(B2)若しくは相(B2)中に存在する少なくとも1種のジアミン化合物は、新しいPUR材料を製造するために再使用できる、対応するイソシアネート化合物に変換され得る。アミン化合物のイソシアネートへの変換は当分野で周知であり、例えばホスゲンの添加によるジアミン化合物のホスゲン化によって行われ得る。
【0163】
上記のように、本発明者らは、上で詳述したように、少なくとも1種のアルコール化化合物を使用することにより、ジカルバメート及びカルバメートアミン化合物が、相(B)から相(B1)への加水分解によってジアミン化合物に部分的又は完全に変換され得ることを見出した。本発明者らはさらに、イオン交換処理が非常に効率的な方法で相(B)又は(B1)からこれらのジアミン化合物を単離することができることを見出した。精製後、これらのジアミン化合物は、例えばホスゲン化によって、新しいPUR材料を製造するために再使用することができる、対応するジイソシアネート化合物に変換され得る。
【0164】
所望であれば、相(A)は精製ステップにさらに供され、副生成物の量が減少され得る。
【0165】
相(A)に好適な精製技術は当分野で周知であり、蒸発、濾過、蒸留、抽出、(酸)洗浄、イオン交換処理、及びそれら2つ以上の組み合わせが挙げられるが、これに限定されない。
【0166】
相(A)を抽出化合物と接触させ、抽出化合物と相(A)とを混合し、それにより、抽出混合物を形成し、抽出混合物を相(A1)と相(E)とに分離させることを含む抽出工程に、相(A)をさらに供する場合、相(A)を形成するために使用される少なくとも1種のアルコール化化合物と同じ又はそれとは異なるもの、好ましくは同じものである、少なくとも1種の抽出化合物が使用され得る。
【0167】
相(A1)は、PUR材料が生成された回収ポリオール化合物を含み、相(E)は、抽出化合物及び相(A)に存在した汚染物質のいくつかを含む。
【0168】
抽出工程は、従来の抽出工程として行われる。抽出工程はバッチ式又は連続的に実施され得る。工程がバッチ式で行われる場合、これは1回又は好ましくは少なくとも2回、より好ましくは2~15回行われ得る。抽出工程は、室温で、又は、適用された温度が適用された条件下での抽出化合物の沸点より低いという条件で、昇温下で行われ得る。一般に、温度は、好ましくは周囲圧力~10バールにて、好ましくは周囲圧力~5バール、最も好ましくは周囲圧力にて、周囲温度~240℃、しかし好ましくは150~240℃、最も好ましくは180~220℃の範囲であり得る。相(A)と抽出化合物を合わせると、それらは混合される。使用される抽出化合物の量は、広い範囲で変化し得る。好ましくは、抽出化合物と相(A)との重量比は、少なくとも0.1:1、最も好ましくは0.25~10:1である。混合は、好ましくはNブランケット下で、1分~8時間、より好ましくは5分~3時間の期間にわたって継続される。所望ならば、抽出は、LiOH、KOH又はNaOHなどの触媒の触媒量の存在下で行われ得る。
【0169】
混合を中止した後、抽出混合物を相(A1)及び相(E)の2つの相に分離させるために抽出混合物を放置し、次いで相を回収する。相分離及び相の回収は、混合物(M)に関して上記で述べたのと本質的には同様に行われる。抽出工程は、バッチ方式又は連続工程でアルコーリシスと一体化され得る。
【0170】
本発明による方法の別の実施形態では、相(A)をイオン交換処理にさらに供し、それにより相(A2)を形成する。
【0171】
イオン交換処理は当分野で周知であり、広く記載されている。
【0172】
イオン交換処理は、3meq/mlの乾燥容量を有するプロトン形態の、Dowex 50WX2などの強カチオン交換体によって行われ得る。好ましくは、イオン交換は、バッチ式で行われ、相(A)が室温にてメタノールなどの溶媒に溶解される。
【0173】
本発明のさらに別の態様は、上で詳述したように、本発明による方法によって得ることができる相(B)、相(B1)及び相(B2)である。
【0174】
本発明の別の態様は、上で詳述したように、本発明による方法によって得ることができる相(A)、相(A1)又は相(A2)である。
【0175】
本発明のさらに別の態様は、上で詳述したように、本発明による方法によって得ることができる回収イソシアネート化合物から調製されたPUR材料である。
【0176】
本発明のさらに別の態様は、上で詳述したように、本発明による方法によって得ることができる相(A)、相(A1)又は相(A2)から調製されたPUR材料である。
【0177】
本発明のさらに別の態様は、上で詳述したように、本発明による方法によって得られる相(A)、相(A1)又は相(A2)から、及び上で詳述したように、本発明による方法によって得られる回収イソシアネート化合物から調製されたPUR材料である。
【0178】
本発明のさらに別の態様は、上で詳述したように、本発明による方法によって得られる回収イソシアネート化合物を、少なくとも1種のポリオール化合物と反応させることによって、PUR材料を調製する方法である。
【0179】
本発明のさらに別の態様は、本発明による方法によって得られる相(A)、相(A1)又は相(A2)を、少なくとも1種のポリイソシアネート化合物と反応させることによって、PUR材料を調製する工程である。
【0180】
本発明のさらに別の態様は、上で詳述したように、本発明による方法によって得られる相(A)、相(A1)又は相(A2)を、上で詳述したように、本発明による方法によって得られる回収イソシアネート化合物と反応させることによって、PUR材料を調製する工程である。
【0181】
上記のようなすべての定義及び選好は、以下に説明するように、すべてのさらなる実施形態に等しく適用されることがさらに理解される。
【実施例
【0182】
本発明は、以下の実施例を参照してここでより詳細に説明されるが、その目的は単なる例示であり、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0183】
これらの実施例における含有量はすべて、別途明示しない限り、PUR材料1重量部に対してグラム又は重量部(pbw)で示す。
【0184】
アルコール化化合物:
以下の原料、即ちアルコール化化合物が、提示された実施例で使用されている(表1)。これらのアルコール化化合物は、市販品を使用してもよく、又は化学的に合成されてもよい。2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオールを、さらに詳細に記載するように、適合された2ステップ手順で合成した。
【0185】
【0186】
以下のアルコール化化合物は、本発明に記載されており、それぞれ分子量、融点及びヒドロキシル官能価が表2に報告されている。これらのアルコール化化合物は、市販品を使用してもよく、又は当業者に公知の従来の方法を使用して化学的に合成されてもよい。
【0187】

【0188】
アルコール化化合物の合成:
2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオールを、ホルムアルデヒド及びジメチルマロネートから出発して2ステップで合成した(スキーム1)。手順は、Gogoll et al.,Chem.Eur.J.2001,7,396-403から適合された。
【0189】
【0190】
ステップa:ホルムアルデヒド及びジメチルマロネートの、プロパン-1,1,3,3-テトラカルボン酸テトラメチルエステル(1)への塩基触媒縮合。100mL丸底フラスコに磁気撹拌棒及び還流冷却器を装備した。フラスコにホルムアルデヒド(パラホルムアルデヒド1.09g、36.3mmol、1当量)及びジメチルマロネート(19.30g、146.1mmol、4当量)を投入し、撹拌しながら70℃の油浴で加熱した。KOH(メタノール中10重量%、10~15滴)の添加後、温度を95℃まで上昇させて、反応を約15時間継続した。冷却後、HCl水溶液(pH3、100mL)を生成物混合物に添加し、続いて酢酸エチル(100mL及び2×50mL)で抽出した。合せた有機相を無水NaSOで乾燥させ、真空下50℃にて溶媒蒸発によって濃縮した。過剰のジメチルマロネート及び残留溶媒を、減圧下(130℃、50ミリバール未満)、ショートカラムを通して留去した。冷却すると白色結晶(6.17g;収率61%)が得られた。特性評価データは、Gogoll et al.,Chem.Eur.J.2001,7,396-403によって報告されたものと一致する。
【0191】
H NMR(400MHz,CDCl):δ=3.74(s,12H;-CH),3.51(t,J(H,H)=7.5Hz,2H;-CH-),2.48(t,J(H,H)=7.5Hz,2H;-CH-)ppm;13C NMR(100.6MHz,CDCl):δ=169.1,52.9,49.2,27.5ppm;GC-MS(EI,70 eV):m/z(rel.int.,%):277[M+1],245(28),216(18),213(36),185(11),184(16),181(9),158(5),157(20),156(10),153(19),146(9),145(100),132(12),126(5),115(9),114(6),113(82),101(15),100(7),99(5),98(8),69(13),59(19),55(15)。
【0192】
ステップb:プロパン-1,1,3,3-テトラカルボン酸テトラメチルエステル(1)の、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール(2)への還元。乾燥した、アルゴンでフラッシングした三つ口丸底フラスコ250mLに、磁気撹拌棒及び還流冷却器を装備して、フラスコに無水テトラヒドロフラン(100mL)を投入した。その後、フラスコを氷浴中で0℃に冷却し、続いて水素化リチウムアルミニウム(6.87g、181.0mmol、10当量)を溶媒に添加した。プロパン-1,1,3,3-テトラカルボン酸テトラメチルエステル(1、5.03g、18.2mmol、1当量)の無水テトラヒドロフラン(40mL)溶液を別のフラスコで調製した。次いで、0℃にてこの溶液を撹拌されているLiAlH懸濁液に30分間にわたって非常に慎重に滴加した。ガス発生が認められた。その後、温度を0℃に維持しながら撹拌を1時間継続した。その後、懸濁液を300rpmで撹拌しながら85℃の油浴中で16時間加熱した。次いで、フラスコを氷浴中で0℃まで冷却し、水(1mL)、KOH水溶液(1M、6.5mL)及び水(5mL)の添加によって、残留LiAlHを慎重にクエンチした。スラリーを0℃にて30分間撹拌した後、Buchner(ブフナー)濾過した。100℃の油浴中でテトラヒドロフラン(300mL)を加熱することによって、固体残渣をSoxhlet(ソックスレー)装置内で24時間抽出した。その後、溶媒を減圧下60℃にて蒸発除去した。粗生成物(2.52g、収率75%)は、不純物としてブチル化ヒドロキシトルエン(テトラヒドロフラン中の安定剤)を含む。特性評価データは、Gogoll et al.,Chem.Eur.J.2001,7,396-403によって報告されたものと一致する。
【0193】
H NMR(400MHz,CDOD):δ=3.57(d,J(H,H)=5.6Hz,8H;-CHOH),1.79-1.70(multiplet(多重線),2H;-CH-),1.29(t,J(H,H)=6.8Hz,2H;-CH-)ppm;13C NMR(100.6MHz,CDOD):δ=64.0,41.8,27.4 ppm。
【0194】
ポリウレタン材料:
ポリイソシアネート化合物としてのTDI及びポリオール化合物としてのCaradol SC48-08をベースとする標準PURフォーム材料は、ASTM4274、ISO14900又はASTM E1899などの標準滴定法に従って決定された、48mg KOH/gのヒドロキシル価Xを有し、PUR材料は、55%のポリオール含有量及びISO845に従って決定された25kg/mの密度を有していた。
【0195】
触媒:
ビスマス(III)ネオデカノエート(Bicat8106)、Shepherdから入手可能-Bi含有量:19.5~20.5%。
【0196】
アルコーリシス促進物質:
2-ピロリドン、純度99.5%及びCarl-Roth GmbHから入手可能
【0197】
一般手順
25kg/mの密度を有する可撓性PURフォームから生成された12mmの粒径を有するフレーク状PUR材料を、小規模アルコーリシス反応に用いた。アルコール化化合物2g(0.5pbw)、アルコーリシス促進物質0.4g(0.1pbw)、触媒0.04g(0.01pbw)及び磁気撹拌棒を22mLガラスバイアルに導入した。ガラスバイアルを700rpmで磁気撹拌しながら200℃のアルミニウムブロック内に配置した。PUR材料4g(1pbw)を、溶解に従って、1.33gの3回の分量に分けて、手動で添加し、これにより混合物(M)を形成した。PUR材料の溶解後、アルコール化化合物とPUR材料を180分間さらに反応させて、これにより混合物(M)を形成した。磁気撹拌子を除去し、温度を200℃に維持しながら、混合物(M)を相(A)及び相(B)の2つの非混和性相に分離させた。続いて、水浴中でバイアルを冷却し、2500rpmで10分間遠心分離した。最後に、ピペット操作によって相(A)を相(B)から分離した。相(A)の重量を測定して、回収ポリオール化合物の収率を求めた。本発明の方法で得られた相(B)をさらにアルカリ加水分解ステップに供することで、相(B1)を形成するか、又は中性加水分解ステップに供することで、相(B1)を形成した。アルカリ加水分解ステップ(B1)は、加水分解反応混合物の総重量に対して、20重量%KOHを含有する水を200重量%用いて、200℃にて24時間実施した。中性加水分解ステップ(B1)は、加水分解反応混合物の総重量に対して、水を200重量%用いて、200℃にて24時間実施した。加水分解後、水を蒸発除去し、TDAの収率を求めるために相(B1)又は相(B1)の重量を求めた。
【0198】
試験方法
示差走査熱量測定(DSC)による融点の測定
試験物質の試料及び基準材料を、同じ制御温度プログラム(10℃/分の加熱/冷却速度)に供する。物質と基準材料との間で同一の温度を維持するために必要なエネルギー入力の差を記録する。試料が相転移すると、それに対応するエンタルピーの変化が、熱流記録のベースラインからのずれとして表れる。
【0199】
純度、OH価Y及び補正OH価Y を求めるためのNMRプロトコル
OH価Y及びYを求めるために、相(A)をH NMR分光法で分析した。この分析のために、相(A)0.040gをDMSO-d 0.7mLに溶解させ、Bruker AMX600MHz分光計で分析した。
【0200】
異なる化合物の相対重量は、特徴的なプロトンの化学シフトのシグナル積分(ピーク面積の合計)を、等価なプロトンの量で割り、対応する化合物の分子量(Mw)を掛けることによって計算される。回収ポリオール化合物の相対重量は、式1に従って計算される。ここで、回収ポリオール化合物中のプロピレンオキシド(PO)単位の特徴的なプロトンの化学シフトが考慮され、したがって、式1は、回収ポリオール化合物中の重量パーセントでのPO単位の量をさらに考慮する。アルコール化化合物、アルコーリシス促進物質及びジアミン化合物の相対重量が、式2、3及び4に従って同様の方法で計算される。カッコ内の値は、以下の例に関連するそれぞれの値である。これらの値は、例えば1.05ppmである回収ポリオール化合物の、4.23ppm~4.63ppmの範囲で見出されるアルコール化化合物の、シグナルが積分される化学シフト、2.3及び2.1ppmで見出されるアルコーリシス促進物質2-ピロリドンの化学シフト、並びに5.86及び5.75ppmで見出されるジアミン化合物の化学シフト;3に等しい回収ポリオール化合物(PO単位)の、4に等しいアルコーリシス促進物質2-ピロリドンの、及び2に等しいジアミン化合物の特徴的なプロトンの量を含む。相(A)における回収ポリオール化合物の重量パーセント(即ち、純度)は、式5に従って計算される。アルコール化化合物、アルコーリシス促進物質及びジアミン化合物の重量パーセントは、式6、7及び8に従って計算される。相Aのヒドロキシル価Yを式9に従って計算した。
【0201】
式1
【0202】
式2
【0203】
式3
【0204】
式4
【0205】
式5
【0206】
式6
【0207】
式7
【0208】
式8
【0209】
式5~8において:総相対重量=回収ポリオールの相対重量+アルコール化化合物の相対重量+アルコーリシス促進物質の相対重量+ジアミン化合物の相対重量
【0210】
相(A)のヒドロキシル価Yは、以下の式9に従って計算される。
【0211】
式9
【0212】
相(A)の補正ヒドロキシル価Yは、回収ポリオール化合物及びアルコール化化合物の寄与のみを考慮し、以下の式10に従って計算された。
【0213】
式10
【0214】
以下の例では、この式は次のようになる。
【0215】
【0216】
アルコール化化合物、トルエンジアミン化合物及びトルエンカルバメート-アミン化合物のOH価は、以下のように計算され得る。(56100*官能価)/分子量であり、式中、官能価は、分子構造中のOH官能基又はNH官能基それぞれの数に対応する。
【0217】
アルコーリシス促進物質2-ピロリドンのOH価を、ASTM E1899に従って標準滴定法により求めた。全てのOH価は、以下の表3に見ることができる。
【0218】
トルエンジアミン及びトルエンカルバメート-アミン化合物のOH価という用語は、実際にはそのそれぞれのアミン価を示すものであることが理解される。簡潔にするために、OH価という用語は、本文全体を通して使用される。
【0219】
【0220】
収率
相(A)中の回収ポリオール化合物の量を以下の式11に従って計算した。
【0221】
式11
【0222】
回収ポリオール化合物のおおよその収率は、以下の式12に従って、回収ポリオール化合物の重量を、PUR材料の元のポリオール化合物含有量を掛けたアルコール化されたPUR材料の重量で割ることによって求められた。
【0223】
式12
【0224】
様々な相に存在するTDA化合物の量を、以下の式13に従って計算した。
【0225】
式13
【0226】
様々な相のTDA化合物のおおよその収率は、以下の式14に従って、PUR材料の元のTDI化合物含有量と、TDA分子量をTDIの分子量で割って算出した補正係数とを掛けた、アルコール化されたPUR材料の重量で、TDA化合物の重量を割ることによって求めた。
【0227】
式14
【0228】
式15に従って、相(A)及び相(B)のTDA収率を足すことによって、アルコーリシス後のTDA化合物の総収率を計算した。
【0229】
式15
【0230】
分配係数
分配係数(D)は、それぞれの芳香族化合物の上相中の重量分率を、それぞれの芳香族化合物の下相中の重量分率で割ることにより計算した。例えば、トルエンジアミン化合物(TDA)の分配係数[以下、DTDA]は、上相(A)中のTDAの重量分率を下相(B)中のTDAの重量分率で割ることにより計算した。トルエンカルバメート-アミン化合物(TCA)の分配係数[以下、DTCA]及びトルエンジカルバメート化合物(TDC)の分配係数[以下、DTDC]についても同様である。
【0231】
相(B)、相(B1 )及び相(B1 )の芳香族化合物組成を決定するためのNMRプロトコル
相(B)、相(B1)及び相(B1)をH NMR分光法で分析した。この分析のために、相(B)、相(B1)又は相(B1)0.020gをDMSO-d 0.7mLに溶解させ、Bruker AMX600 MHz分光計で分析した。トルエンジアミン化合物(TDA)、トルエンカルバメート-アミン化合物(TCA)及びトルエンジカルバメート化合物(TDC)の相対量は、式16、17及び18に従って、特徴的なプロトンの化学シフトのシグナル積分(ピーク面積の合計)を、等価なプロトンの量で割ることによって計算される。カッコ内の値は、以下の例に関連するそれぞれの値である。相(B)、(B1)及び(B1)の芳香族化合物のモル組成は、式19、20及び21に従って計算される。
【0232】
式16
【0233】
式17
【0234】
式18
【0235】
式19
【0236】
式20
【0237】
式21
【0238】

【0239】
全体として、表4の結果は、相(A)のOH価Y及び理論OH価Yが、元のポリオール化合物のOH価(即ち、48mg KOH/g)に近い値(ジグリセロール及び2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオールの場合)から、その数倍の値(例えばジエチレングリコールの場合)まで変化することを示している。さらに表4は、相(A)が、相(A)の総重量に対する、低い回収ポリオール(TDA+TCA+TDC)重量%及び高い回収ポリオール重量%、即ち80重量%超、並びにPUR材料に含まれるTDI化合物に対する、低いTDA収率、即ち5%未満を特徴としていることを明らかに示している。相(B)は、一般に、アルコール化化合物、アルコーリシス促進物質、TDA、TCA及びTDCの混合物からなる(consists of)。続いて、相(B)を加水分解反応に供して、TCA及びTDCの量を有意に減少させ、したがって加水分解反応によって、PUR材料に含まれるTDI化合物に対する、対応するTDA収率を大幅に上昇させた。さらに、TDA化合物の分配係数(DTDA)、TCA化合物の分配係数(DTCA)、及びTDC化合物の分配係数(DTDC)をそれぞれ計算し、表4に示した。DTDAは、使用するアルコール化化合物にあまり依存せず、値はジグリセロールの0.31~ジエチレングリコールの0.44の間で変動する。さらにTDAは、主に、より極性の高い下相(B)に沈降する。DTDAと比較した場合、DTCA及びDTDCは、ジエチレングリコールのDTCA(0.48)を除いて、有意及び実質的に低い値であることがさらに見出されている。DTCAは、使用するアルコール化化合物の明確な依存性を示し、値はジエチレングリコールの0.48から、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール及びジグリセロールの両方の0.02の間で変化し、それによりTCAが、主に、より極性の下相(B)に沈降することを明確に実証している。さらにDTDCの値は、ジエチレングリコールの0.16と、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、ジグリセロール及びエチレングリコールの0.0との間で変動することが示され、それによりTDCが、主に、より極性の高い下相(B)に沈降するのに対して、形成されたTDC化合物が上相(A)にほぼ全く沈降しないことが明確に実証されている。
【0240】
【0241】
相(B)並びに加水分解相(B1)及び(B1)における芳香族化合物TDC、TCA及びTDAのモル組成(%)を表5に示す。相(B)の芳香族化合物は、一般にTDA、TCA及びTDCからなる(consist of)が、例外として、アルコール化化合物としてジグリセロール(E3、表5)を使用することによって得た相(B)はTDCを含有しなかった。表5は、相(B)の加水分解時に、特に加水分解反応におけるアルコール化化合物としてジエチレングリコール又は2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオールの使用によって、TCA及びTDCのカルバメート官能基のTDAのアミン基へのほぼ完全な変換が生じたことを明確に示している。
【0242】
本出願に至る研究は、欧州連合のHorizon 2020 Research and Innovation Programmeから協定書第814543号の下で資金提供を受けている。
【手続補正書】
【提出日】2022-04-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のポリオール化合物及び少なくとも1種のトルエンジイソシアネート系化合物[以下、TDI化合物]から生成されたポリウレタン(PUR)材料をアルコール化及び加水分解する方法であって、前記方法は、
-前記ポリウレタン材料を少なくとも1種のアルコール化化合物と接触させ、それにより反応混合物(M)を形成し、前記ポリウレタン材料及び前記アルコール化化合物を前記反応混合物(M)中で反応させ、それにより混合物(M)を形成するステップ、
-前記混合物(M)を少なくとも上相[以下、相(A)]及び下相[以下、相(B)]に分離させるステップであって、相(A)及び相(B)が2つの非混和性相である、ステップ、
-相(B)を少なくとも1つの加水分解ステップに供し、それにより相(B1)を形成するステップ、
を含み、
相(B)が少なくともトルエンジアミン化合物[以下、TDA化合物]及びトルエンジカルバメート化合物[以下、TDC化合物]を含み、
前記少なくとも1種のアルコール化化合物が、200℃未満の融点を特徴とし、前記少なくとも1種のアルコール化化合物が、少なくとも2のヒドロキシル官能価を特徴とし、但し、前記少なくとも1種のアルコール化化合物が、グリセロールではない、
方法。
【請求項2】
前記相(B)の総重量に対する、前記相(B)中の前記(TDA+TDC)重量%が、10.0重量%超である、
請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記相(B)の総重量に対する、前記相(B)中の前記(TDA+TDC)重量%が、13.0重量%超である、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記相(B)の総重量に対する、前記相(B)中の前記(TDA+TDC)重量%が、16.0重量%超である、
請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1種のアルコール化化合物が、ジエチレングリコール、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、ジグリセロール、エチレングリコール、(メソ-)エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、フシトール、イジトール、アラビトール、リビトール、ガラクチトール、1,5-ペンタンジオール、2-(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、2,2,4,4-テトラキス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、2,5-アンヒドロマンニトール、3-ヒドロキシメチル-1,3,5-ペンタントリオール、3,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,6-ヘキサンジオール、N,N,N´,N´-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、P,P,P,P-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)ホスホニウムクロリド、ジ-2-グリセリルエーテル若しくは2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-3-オキソペンタン-1,5-ジオール、2-ヒドロキシメチル-1,3,5-ペンタントリオール、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3,5-ペンタントリオール、1,3,5,7-ヘプタンテトラオール、2-ヒドロキシメチル-3-ヒドロキシ-3-メチル-1,5-ペンタンジオール、4-ヒドロキシメチル-1,3,5-ヘキサントリオール、3-メチル-1,3,5,7-ヘプタンテトラオール、4-ヒドロキシメチル-3-ヒドロキシ-3-メチル-1,5-ヘキサンジオール、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,4-ブタンジオール、3-メチル-2,3,5,6-ヘプタンテトラオール、3,5-ビス(ヒドロキシメチル)-2,6-ヘプタンジオール、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3-ブタンジオール、1,3,5-ペンタントリオール、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-1,7-ヘプタンジオール、2,2´-(メチルアザンジイル)ビス(1,3-プロパンジオール)、2,5-ビス(ヒドロキシメチル)-1,6-ヘキサンジオール、1,3,4,6-ヘキサンテトラオール、1,1,3,3-テトラキス(ヒドロキシメチル)-2-ブタノール、3-ヒドロキシ-2,4-ジメチル-2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ジ(トリメチロールプロパン)、ジ(トリメチロールエタン)又はそれら2つ以上の混合物からなる群から選択される、
請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1種のアルコール化化合物が、1,2-ジオールモチーフを有さない、
請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1種のアルコール化化合物が、ジエチレングリコール、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、ジ-2-グリセリルエーテル若しくは2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-3-オキソペンタン-1,5-ジオール、2-ヒドロキシメチル-1,3,5-ペンタントリオール、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3,5-ペンタントリオール、3,5-ビス(ヒドロキシメチル)-2,6-ヘプタンジオール、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-1,7-ヘプタンジオール、2,5-ビス(ヒドロキシメチル)-1,6-ヘキサンジオール又はそれら2つ以上の混合物から選択される、
請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1種のアルコール化化合物の量が、PUR材料1重量部(pbw)に対して、有利には10pbw以下、好ましくは5pbw以下、より好ましくは2.5pbw以下、さらにより好ましくは1.5pbw以下、さらにさらにより好ましくは1.0pbw以下、最も好ましくは0.5pbw以下、有利には0.1pbw以上、好ましくは0.2pbw以上、より好ましくは0.3pbw以上、さらにより好ましくは0.4pbw以上である、
請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記反応混合物(M)が、複素環式アミン、直鎖若しくは分岐鎖脂肪族アミン、シクロアルキルアミン、芳香族アミン又は環状アミド、好ましくは環状アミド、例えば2-ピロリドン、バレロラクタム、カプロラクタム及びそれら2つ以上の混合物から選択される少なくとも1種のアルコーリシス促進物質をさらに含む、
請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
相(B)が、水性溶媒を使用することによって、少なくとも1つの中性加水分解ステップに供される、
請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
相(B)が、水性溶媒及び少なくとも1種の塩基を使用することによって、少なくとも1つのアルカリ加水分解ステップに供される、
請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1種の塩基が、前記水性溶媒の総重量に対して、少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも15重量%、さらにより好ましくは少なくとも20重量%、好ましくは最大50重量%、より好ましくは最大40重量%、さらにより好ましくは最大30重量%の量で前記水性溶媒中に含まれ、前記少なくとも1種の塩基がLiOH、KOH、NaOH、CsOH、Ca(OH),Mg(OH)及びNHOHから選択される、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
相(B1)が、蒸発、蒸留又はイオン交換処理などの精製ステップ、好ましくはイオン交換処理にさらに供され、それにより相(B2)が形成されるか、又は相(B1)がさらにアミン変換ステップに供され、それにより回収イソシアネート化合物が形成される、
請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
相(B2)がアミン変換ステップにさらに供され、それにより回収イソシアネート化合物が形成される、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
相(A)を、抽出工程であって、前記相(A)を抽出化合物と接触させ、前記抽出化合物と前記相(A)とを混合し、それにより抽出混合物を形成し、前記抽出混合物を相(A1)と相(E)とに分離させることを含む抽出工程にさらに供し、相(A)を形成するために使用される少なくとも1種のアルコール化化合物と同じ又は異なる、好ましくは同じである、少なくとも1種の抽出化合物が使用され得る、
請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
相(A)をイオン交換処理にさらに供して、それにより相(A2)を形成する、
請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
請求項1~に記載の方法によって得られる相(A)、請求項15に記載の方法によって得られる相(A1)、請求項16に記載の方法によって得られる相(A2)、及び/又は請求項13若しくは請求項14に記載の方法によって得られる前記回収イソシアネート化合物のうちの少なくとも1つを反応させることによって、PUR材料を調製する方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0242
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0242】
本出願に至る研究は、欧州連合のHorizon 2020 Research and Innovation Programmeから協定書第814543号の下で資金提供を受けている。
(発明の開示)
(項目1)
少なくとも1種のポリオール化合物及び少なくとも1種のトルエンジイソシアネート系化合物[以下、TDI化合物]から生成されたポリウレタン(PUR)材料をアルコール化及び加水分解する方法であって、前記方法は、
-前記ポリウレタン材料を少なくとも1種のアルコール化化合物と接触させ、それにより反応混合物(M )を形成し、前記ポリウレタン材料及び前記アルコール化化合物を前記反応混合物(M )中で反応させ、それにより混合物(M)を形成するステップ、
-前記混合物(M)を少なくとも上相[以下、相(A)]及び下相[以下、相(B)]に分離させるステップであって、相(A)及び相(B)が2つの非混和性相である、ステップ、
-相(B)を少なくとも1つの加水分解ステップに供し、それにより相(B1)を形成するステップ、
を含み、
前記少なくとも1種のアルコール化化合物が、200℃未満の融点を特徴とし、前記少なくとも1種のアルコール化化合物が、少なくとも2のヒドロキシル官能価を特徴とし、但し、前記少なくとも1種のアルコール化化合物が、グリセロールではない、
方法。
(項目2)
前記混合物(M)を2つの非混和性相、相(A)及び相(B)に分離させ、相(B)が少なくともトルエンジアミン化合物[以下、TDA化合物]及びトルエンジカルバメート化合物[以下、TDC化合物]を含む、
項目1に記載の方法。
(項目3)
前記相(B)の総重量に対する、前記相(B)中のTDA化合物及びTDC化合物の重量分率の合計[以下、(TDA+TDC)重量%]が、5.0重量%超である、
項目2に記載の方法。
(項目4)
前記相(B)の総重量に対する、前記相(B)中の前記(TDA+TDC)重量%が、7.0重量%超である、
項目2又は項目3に記載の方法。
(項目5)
前記相(B)の総重量に対する、前記相(B)中の前記(TDA+TDC)重量%が、10.0重量%超である、
項目2~4のいずれか一項に記載の方法。
(項目6)
前記相(B)の総重量に対する、前記相(B)中の前記(TDA+TDC)重量%が、13.0重量%超である、
項目2~5のいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
前記相(B)の総重量に対する、前記相(B)中の前記(TDA+TDC)重量%が、16.0重量%超である、
項目2~6のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
前記混合物(M)を2つの非混和性相、相(A)及び相(B)に分離させ、相(B)が少なくともトルエンジアミン化合物[以下、TDA化合物]及びトルエンカルバメート-アミン化合物[以下、TCA化合物]を含む、
項目1に記載の方法。
(項目9)
前記相(B)が、TDC化合物をさらに含む、
項目8に記載の方法。
(項目10)
前記相(B)の総重量に対する、前記相(B)中の前記TDA化合物、前記TCA化合物及び前記TDC化合物の重量分率の合計[以下、(TDA+TCA+TDC)重量%]が、10重量%超である、
項目9に記載の方法。
(項目11)
前記(TDA+TCA+TDC)重量%が、12.5重量%超である、
項目9又は項目10に記載の方法。
(項目12)
前記(TDA+TCA+TDC)重量%が、15.0重量%超である、
項目9~11のいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
前記少なくとも1種のアルコール化化合物が、ジエチレングリコール、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、ジグリセロール、エチレングリコール、(メソ-)エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、フシトール、イジトール、アラビトール、リビトール、ガラクチトール、1,5-ペンタンジオール、2-(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、2,2,4,4-テトラキス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、2,5-アンヒドロマンニトール、3-ヒドロキシメチル-1,3,5-ペンタントリオール、3,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,6-ヘキサンジオール、N,N,N´,N´-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、P,P,P,P-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)ホスホニウムクロリド、ジ-2-グリセリルエーテル若しくは2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-3-オキソペンタン-1,5-ジオール、2-ヒドロキシメチル-1,3,5-ペンタントリオール、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3,5-ペンタントリオール、1,3,5,7-ヘプタンテトラオール、2-ヒドロキシメチル-3-ヒドロキシ-3-メチル-1,5-ペンタンジオール、4-ヒドロキシメチル-1,3,5-ヘキサントリオール、3-メチル-1,3,5,7-ヘプタンテトラオール、4-ヒドロキシメチル-3-ヒドロキシ-3-メチル-1,5-ヘキサンジオール、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,4-ブタンジオール、3-メチル-2,3,5,6-ヘプタンテトラオール、3,5-ビス(ヒドロキシメチル)-2,6-ヘプタンジオール、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3-ブタンジオール、1,3,5-ペンタントリオール、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-1,7-ヘプタンジオール、2,2´-(メチルアザンジイル)ビス(1,3-プロパンジオール)、2,5-ビス(ヒドロキシメチル)-1,6-ヘキサンジオール、1,3,4,6-ヘキサンテトラオール、1,1,3,3-テトラキス(ヒドロキシメチル)-2-ブタノール、3-ヒドロキシ-2,4-ジメチル-2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ジ(トリメチロールプロパン)、ジ(トリメチロールエタン)又はそれら2つ以上の混合物からなる群から選択される、
項目1~12のいずれか一項に記載の方法。
(項目14)
前記少なくとも1種のアルコール化化合物が、1,2-ジオールモチーフを有さない、
項目1~13のいずれか一項に記載の方法。
(項目15)
前記少なくとも1種のアルコール化化合物が、ジエチレングリコール、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、2,2,4,4-テトラキス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、3,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,6-ヘキサンジオール、N,N,N´,N´-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、P,P,P,P-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)ホスホニウムクロリド、ジ-2-グリセリルエーテル若しくは2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-3-オキソペンタン-1,5-ジオール、2-ヒドロキシメチル-1,3,5-ペンタントリオール、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3,5-ペンタントリオール、1,3,5,7-ヘプタンテトラオール、2-ヒドロキシメチル-3-ヒドロキシ-3-メチル-1,5-ペンタンジオール、4-ヒドロキシメチル-1,3,5-ヘキサントリオール、3-メチル-1,3,5,7-ヘプタンテトラオール、4-ヒドロキシメチル-3-ヒドロキシ-3-メチル-1,5-ヘキサンジオール、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,4-ブタンジオール、3,5-ビス(ヒドロキシメチル)-2,6-ヘプタンジオール、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3-ブタンジオール、1,3,5-ペンタントリオール、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-1,7-ヘプタンジオール、2,2´-(メチルアザンジイル)ビス(1,3-プロパンジオール)、2,5-ビス(ヒドロキシメチル)-1,6-ヘキサンジオール、1,1,3,3-テトラキス(ヒドロキシメチル)-2-ブタノール、3-ヒドロキシ-2,4-ジメチル-2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ジ(トリメチロールプロパン)、ジ(トリメチロールエタン)又はそれら2つ以上の混合物からなる群から選択される、
項目1~14のいずれか一項に記載の方法。
(項目16)
前記少なくとも1種のアルコール化化合物が、ジエチレングリコール、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、2,2,4,4-テトラキス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、N,N,N´,N´-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、P,P,P,P-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)ホスホニウムクロリド、ジ-2-グリセリルエーテル若しくは2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-3-オキソペンタン-1,5-ジオール、2-ヒドロキシメチル-1,3,5-ペンタントリオール、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3,5-ペンタントリオール、1,3,5,7-ヘプタンテトラオール、2-ヒドロキシメチル-3-ヒドロキシ-3-メチル-1,5-ペンタンジオール、4-ヒドロキシメチル-1,3,5-ヘキサントリオール、3-メチル-1,3,5,7-ヘプタンテトラオール、4-ヒドロキシメチル-3-ヒドロキシ-3-メチル-1,5-ヘキサンジオール、3,5-ビス(ヒドロキシメチル)-2,6-ヘプタンジオール、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3-ブタンジオール、1,3,5-ペンタントリオール、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-1,7-ヘプタンジオール、2,2´-(メチルアザンジイル)ビス(1,3-プロパンジオール)、2,5-ビス(ヒドロキシメチル)-1,6-ヘキサンジオール、1,1,3,3-テトラキス(ヒドロキシメチル)-2-ブタノール、3-ヒドロキシ-2,4-ジメチル-2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ジ(トリメチロールプロパン)、ジ(トリメチロールエタン)又はそれら2つ以上の混合物からなる群から選択される、
項目1~15のいずれか一項に記載の方法。
(項目17)
前記少なくとも1種のアルコール化化合物が、ジエチレングリコール、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、2,2,4,4-テトラキス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、N,N,N´,N´-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、P,P,P,P-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)ホスホニウムクロリド、ジ-2-グリセリルエーテル若しくは2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-3-オキソペンタン-1,5-ジオール、2-ヒドロキシメチル-1,3,5-ペンタントリオール、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3,5-ペンタントリオール、3,5-ビス(ヒドロキシメチル)-2,6-ヘプタンジオール、1,3,5-ペンタントリオール、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-1,7-ヘプタンジオール、2,5-ビス(ヒドロキシメチル)-1,6-ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ジ(トリメチロールプロパン)、ジ(トリメチロールエタン)又はそれら2つ以上の混合物から選択される、
項目1~16のいずれか一項に記載の方法。
(項目18)
前記少なくとも1種のアルコール化化合物が、ジエチレングリコール、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、ジ-2-グリセリルエーテル若しくは2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-3-オキソペンタン-1,5-ジオール、2-ヒドロキシメチル-1,3,5-ペンタントリオール、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3,5-ペンタントリオール、3,5-ビス(ヒドロキシメチル)-2,6-ヘプタンジオール、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-1,7-ヘプタンジオール、2,5-ビス(ヒドロキシメチル)-1,6-ヘキサンジオール又はそれら2つ以上の混合物から選択される、
項目1~17のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
前記少なくとも1種のアルコール化化合物が、ジエチレングリコール、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ジ-2-グリセリルエーテル若しくは2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-3-オキソペンタン-1,5-ジオール、3,5-ビス(ヒドロキシメチル)-2,6-ヘプタンジオール、2,5-ビス(ヒドロキシメチル)-1,6-ヘキサンジオール又はそれら2つ以上の混合物から選択される、
項目1~18のいずれか一項に記載の方法。
(項目20)
前記少なくとも1種のアルコール化化合物が、ジエチレングリコール、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1,5-ペンタンジオール又はそれら2つ以上の混合物から選択される、
項目1~19のいずれか一項に記載の方法。
(項目21)
前記少なくとも1種のアルコール化化合物の量が、PUR材料1重量部(pbw)に対して、有利には10pbw以下、好ましくは5pbw以下、より好ましくは2.5pbw以下、さらにより好ましくは1.5pbw以下、さらにさらにより好ましくは1.0pbw以下、最も好ましくは0.5pbw以下、有利には0.1pbw以上、好ましくは0.2pbw以上、より好ましくは0.3pbw以上、さらにより好ましくは0.4pbw以上である、
項目1~20のいずれか一項に記載の方法。
(項目22)
前記反応混合物(M )が、複素環式アミン、直鎖若しくは分岐鎖脂肪族アミン、シクロアルキルアミン、芳香族アミン又は環状アミド、好ましくは環状アミド、例えば2-ピロリドン、バレロラクタム、カプロラクタム及びそれら2つ以上の混合物から選択される少なくとも1種のアルコーリシス促進物質をさらに含む、
項目1~21のいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
前記反応混合物(M )が、(有機)スズ及びビスマス触媒(例えば、ジメチルスズジクロリド、ブチルスズトリクロリド、ジメチルスズジラウレート、ジメチルスズジオレエート、ジメチルスズメルカプチド、ジブチルスズジアセテート、ジメチルスズジネオデカノエート、ビスマス(III)ネオデカノエート、ビスマス2-エチルヘキサノエート及びトリフェニルビスマス)、アルカリ金属及びアルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウム)、チタン(IV)アルコキシド(例えば、チタン(IV)プロポキシド、チタン(IV)ブトキシド及びチタン(IV)tert-ブトキシド)、リチウム及びカリウムのアルコキシド錯体(例えば、リチウムt-ブトキシド及びカリウムt-ブトキシド)、テトラブチルチタネート、酢酸カリウム、カリウム2-エチルヘキサノエート、カルシウム2-エチルヘキサノエート、ビスマス(III)トリフルオロメタンスルホネート、鉄(III)アセチルアセトネート、アルミニウムイソプロポキシド、ジメチルイミダゾール、カリウムアジペート及び一般的なウレタン反応促進触媒から選択される少なくとも1種の触媒をさらに含む、
項目1~22のいずれか一項に記載の方法。
(項目24)
前記PUR材料に含まれる前記TDI化合物の総モル量に対する前記TDA化合物のモル量として計算される、相(A)中の前記TDA化合物の収率が、5.0%以下である、
項目1~23のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
相(B)が、水性溶媒を使用することによって、少なくとも1つの中性加水分解ステップに供される、
項目1~24のいずれか一項に記載の方法。
(項目26)
相(B)が、水性溶媒及び少なくとも1種の塩基を使用することによって、少なくとも1つのアルカリ加水分解ステップに供される、
項目1~24のいずれか一項に記載の方法。
(項目27)
前記少なくとも1種の塩基が、前記水性溶媒の総重量に対して、少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも15重量%、さらにより好ましくは少なくとも20重量%、好ましくは最大50重量%、より好ましくは最大40重量%、さらにより好ましくは最大30重量%の量で前記水性溶媒中に含まれ、前記少なくとも1種の塩基がLiOH、KOH、NaOH、CsOH、Ca(OH) ,Mg(OH) 及びNH OHから選択される、
項目26に記載の方法。
(項目28)
前記PUR材料に含まれる前記TDI化合物の総モル量に対する前記TDA化合物のモル量として計算される、相(B1)中の前記TDA化合物の収率が、40.0%以上、又は50.0%以上、又は60.0%以上、又は70.0%以上、好ましくは80.0%以上、好ましくは90.0%以上、より好ましくは95.0%以上である、
項目1~27のいずれか一項に記載の方法。
(項目29)
前記相(B1)の総重量に対する、前記相(B1)中のTCA化合物の重量分率[以下(TCA)重量%]が、15.0重量%以下である、
項目1~28のいずれか一項に記載の方法。
(項目30)
前記相(B1)の総重量に対する、前記相(B1)中の前記(TCA)重量%が、12.0重量%以下である、
項目29に記載の方法。
(項目31)
前記相(B1)の総重量に対する、前記相(B1)中の前記(TCA)重量%が、9.0重量%以下である、
項目29又は項目30に記載の方法。
(項目32)
前記相(B1)の総重量に対する、前記相(B1)中の前記(TCA)重量%が、6.0重量%以下である、
項目29~31のいずれか一項に記載の方法。
(項目33)
前記相(B1)の総重量に対する、前記相(B1)中の前記(TCA)重量%が、4.0重量%以下である、
項目29~32のいずれか一項に記載の方法。
(項目34)
前記相(B1)の総重量に対する、前記相(B1)中の前記(TCA)重量%が、3.0重量%以下である、
項目29~33のいずれか一項に記載の方法。
(項目35)
前記相(B1)の総重量に対する、前記相(B1)中の前記(TCA)重量%が、2.0重量%以下である、
項目29~34のいずれか一項に記載の方法。
(項目36)
前記相(B1)の総重量に対する、前記相(B1)中の前記(TCA)重量%が、1.5重量%以下である、
項目29~35のいずれか一項に記載の方法。
(項目37)
相(B1)が、蒸発、蒸留又はイオン交換処理などの精製ステップ、好ましくはイオン交換処理にさらに供され、それにより相(B2)が形成されるか、又は相(B1)がさらにアミン変換ステップに供され、それにより回収イソシアネート化合物が形成される、
項目1~36のいずれか一項に記載の方法。
(項目38)
相(B2)がアミン変換ステップにさらに供され、それにより回収イソシアネート化合物が形成される、
項目37に記載の方法。
(項目39)
相(A)を、抽出工程であって、前記相(A)を抽出化合物と接触させ、前記抽出化合物と前記相(A)とを混合し、それにより抽出混合物を形成し、前記抽出混合物を相(A1)と相(E)とに分離させることを含む抽出工程にさらに供し、相(A)を形成するために使用される少なくとも1種のアルコール化化合物と同じ又は異なる、好ましくは同じである、少なくとも1種の抽出化合物が使用され得る、
項目1~24のいずれか一項に記載の方法。
(項目40)
相(A)をイオン交換処理にさらに供して、それにより相(A2)を形成する、
項目1~24のいずれか一項に記載の方法。
(項目41)
項目1~24に記載の方法によって得られる相(A)、項目39に記載の方法によって得られる相(A1)、項目40に記載の方法によって得られる相(A2)、及び/又は項目37若しくは項目38に記載の方法によって得られる前記回収イソシアネート化合物のうちの少なくとも1つを反応させることによって、PUR材料を調製する方法。
【国際調査報告】