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特表2022-544934STAT3-アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む細胞外小胞
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-24
(54)【発明の名称】STAT3-アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む細胞外小胞
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/113 20100101AFI20221017BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20221017BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20221017BHJP
   A61K 31/712 20060101ALI20221017BHJP
   A61K 31/7125 20060101ALI20221017BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221017BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20221017BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20221017BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20221017BHJP
   A61K 31/713 20060101ALI20221017BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20221017BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20221017BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20221017BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20221017BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20221017BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20221017BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20221017BHJP
【FI】
C12N15/113 110Z
C12N5/10 ZNA
A61K31/7088
A61K31/712
A61K31/7125
A61P35/00
A61P35/02
A61K45/00
A61K38/16
A61K31/713
A61K31/7105
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K35/12
A61K48/00
A61K47/42
A61K47/54
G01N33/53 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022508816
(86)(22)【出願日】2020-08-14
(85)【翻訳文提出日】2022-04-08
(86)【国際出願番号】 US2020046549
(87)【国際公開番号】W WO2021030768
(87)【国際公開日】2021-02-18
(31)【優先権主張番号】62/886,904
(32)【優先日】2019-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/886,901
(32)【優先日】2019-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/900,376
(32)【優先日】2019-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/900,371
(32)【優先日】2019-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520170759
【氏名又は名称】コディアック バイオサイエンシーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ブティン, アダム ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ブルーム, ウェンディ
(72)【発明者】
【氏名】サティヤナラヤナン, スリラム
(72)【発明者】
【氏名】ユー, ステファニー
(72)【発明者】
【氏名】ファン, ナイ-ジア
(72)【発明者】
【氏名】カウケ, モニーク
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C085
4C086
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA93X
4B065AB01
4B065BA01
4B065CA23
4B065CA44
4B065CA46
4C076AA16
4C076BB01
4C076BB11
4C076BB21
4C076BB27
4C076CC27
4C076EE41
4C076EE59
4C084AA13
4C084AA19
4C084BA44
4C084DC50
4C084MA21
4C084MA52
4C084MA55
4C084MA56
4C084MA65
4C084NA05
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZB26
4C084ZB27
4C084ZC75
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB31
4C085CC22
4C085CC23
4C085EE03
4C085GG01
4C085GG08
4C085GG10
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA21
4C086MA52
4C086MA55
4C086MA56
4C086MA65
4C086NA05
4C086NA13
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB63
4C087MA21
4C087MA52
4C087MA55
4C087MA56
4C087MA65
4C087NA05
4C087NA13
4C087NA14
4C087ZB26
4C087ZB27
4C087ZC75
(57)【要約】
本開示は、STAT3 mRNA及び/またはSTAT3タンパク質の発現を低減及び/または阻害することができるアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を含む、改変された細胞外小胞(例えばエキソソーム)に関する。改変された細胞外小胞と共に使用することができるASOも開示する。本明細書において、エキソソーム及びASOを使用して、がんなどの疾患を治療及び/または予防するための方法も提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンタゴニストであり、STAT3転写産物(配列番号1または配列番号3)内の核酸配列に相補的である長さ10~30ヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列を有するアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を含む、細胞外小胞。
【請求項2】
前記ASOが、TAAGCTGATAATTCAACTCA(配列番号5)ではない、請求項1に記載の細胞外小胞。
【請求項3】
マクロファージを標的とする、請求項1または2に記載の細胞外小胞。
【請求項4】
前記ASOが、配列番号1に対応するSTAT3転写産物のヌクレオチド1~56982、配列番号1に対応するSTAT3転写産物のヌクレオチド57003~75171、配列番号3に対応するSTAT3転写産物のヌクレオチド1~1287、または配列番号3に対応するSTAT3転写産物のヌクレオチド1306~2787内の核酸配列に相補的である長さ10~30ヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項5】
前記連続ヌクレオチド配列が、前記STAT3転写産物内の前記核酸配列に少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%相補的である、請求項4に記載の細胞外小胞。
【請求項6】
前記ASOが、ヒト細胞(例えば、HEK293細胞)において、STAT3タンパク質発現を低下させることができ、前記ヒト細胞が、STAT3タンパク質を発現している、請求項1~5のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項7】
前記STAT3タンパク質の発現が、前記ASOに曝露されていないヒト細胞におけるSTAT3タンパク質の発現と比較して、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低い、請求項6に記載の細胞外小胞。
【請求項8】
前記ASOが、ヒト細胞(例えば、HEK293細胞)において、STAT3 mRNAのレベルを低下させることができ、前記ヒト細胞が、前記STAT3 mRNAを発現している、請求項4~7のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項9】
前記STAT3 mRNAのレベルが、前記ASOに曝露されていないヒト細胞における前記STAT3 mRNAのレベルと比較して、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低い、請求項8に記載の細胞外小胞。
【請求項10】
前記ASOが、ギャップマー、ミックスサー、またはトータルマーである、請求項1~9のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項11】
前記ASOが、1つ以上のヌクレオシド類似体を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項12】
前記ヌクレオシド類似体の1つ以上が、2’-O-アルキル-RNA;2’-O-メチルRNA(2’-OMe);2’-アルコキシ-RNA;2’-O-メトキシエチル-RNA(2’-MOE);2’-アミノ-DNA;2’-フルオロ-RNA;2’-フルオロ-DNA;アラビノ核酸(ANA);2’-フルオロ-ANA;または二環式ヌクレオシド類似体を含む、請求項11に記載の細胞外小胞。
【請求項13】
前記ヌクレオシド類似体の1つ以上が糖修飾ヌクレオシドである、請求項11または12に記載の細胞外小胞。
【請求項14】
前記糖修飾ヌクレオシドが、親和性を増強する2’糖修飾ヌクレオシドである、請求項13に記載の細胞外小胞。
【請求項15】
前記ヌクレオシド類似体の1つ以上が、二環式糖を含むヌクレオシドを含む、請求項11~14のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項16】
前記ヌクレオシド類似体の1つ以上が、LNAを含む、請求項11~14のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項17】
前記ヌクレオシド類似体の1つ以上が、拘束エチルヌクレオシド(cEt)、2’,4’-拘束2’-O-メトキシエチル(cMOE)、α-L-LNA、β-D-LNA、2’-O,4’-C-エチレン架橋核酸(ENA)、アミノ-LNA、オキシ-LNA、チオ-LNA、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項11~16のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項18】
前記ASOが、1つ以上の5’-メチルシトシン核酸塩基を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項19】
前記連続ヌクレオチド配列が、前記STAT3転写産物の(i)5’非翻訳領域(UTR);(ii)コーディング領域;;または(iii)3’UTR内の核酸配列に相補的である、請求項10~18のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項20】
ASO中の連続ヌクレオチド配列が、(i)配列番号3のヌクレオチド151~745;(ii)配列番号3のヌクレオチド642~1331;(iii)配列番号3のヌクレオチド1031~1704;(iv)配列番号3のヌクレオチド1521~2335;(v)配列番号3の2062~2776;(vi)配列番号3のヌクレオチド251~645;(vii)配列番号3のヌクレオチド742~1231;(viii)配列番号3のヌクレオチド1131~1604;(ix)配列番号3のヌクレオチド1621~2235;(x)配列番号3の2162~2676;(xi)配列番号3のヌクレオチド301~595;(xii)配列番号3のヌクレオチド792~1181;(xiii)配列番号3のヌクレオチド1181~1554;(xiv)配列番号3のヌクレオチド1671~2185;(xv)配列番号3の2212~2626;(xvi)配列番号3のヌクレオチド341~555;(xvii)配列番号3のヌクレオチド832~1141;(xviii)配列番号3のヌクレオチド1221~1514;(xix)配列番号3のヌクレオチド1711~2145;または(xx)配列番号3の2252~2586を含む核酸配列に相補的である、請求項1~19のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項21】
前記連続ヌクレオチド配列が、(i)配列番号3の351~545;(ii)配列番号3のヌクレオチド842~1131;(iii)配列番号3のヌクレオチド1231~1504;(iv)配列番号3のヌクレオチド1721~2135;または(v)配列番号3のヌクレオチド2262~2576内の核酸配列に相補的である、請求項1~20のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項22】
前記連続ヌクレオチド配列が、図1の配列から選択される配列に相補的なヌクレオチド配列を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項23】
前記連続ヌクレオチド配列が、STAT3転写産物内のヌクレオチド配列に完全に相補的である、請求項10~22のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項24】
前記ASOが、配列番号100~199から選択され、1つまたは2つのミスマッチを含むヌクレオチド配列を含む、請求項13~23のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項25】
前記ASOが、図1の設計からなる群から選択される設計を有し、図中、大文字が糖修飾ヌクレオシドであり、小文字がDNAである、請求項1~24のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項26】
前記ASOが、14~20ヌクレオチドの長さである、請求項1~25のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項27】
前記連続ヌクレオチド配列が、1つ以上の修飾されたヌクレオシド間結合を含む、請求項10~26のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項28】
前記1つ以上の修飾されたヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエート結合である、請求項27に記載の細胞外小胞。
【請求項29】
ヌクレオシド間結合の少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%が修飾されている、請求項27または28に記載の細胞外小胞。
【請求項30】
前記ヌクレオシド間結合のそれぞれが、ホスホロチオエート結合である、請求項29に記載の細胞外小胞。
【請求項31】
固定部分をさらに含む、請求項1~30のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項32】
前記STAT3アンタゴニストが、前記固定部分に連結されている、請求項31に記載の細胞外小胞。
【請求項33】
外来性標的化部分をさらに含む、請求項1~32のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項34】
前記外来性標的化部分が、ペプチド、抗体もしくはその抗原結合断片、化合物、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項33に記載の細胞外小胞。
【請求項35】
前記外来性標的化部分が、ペプチドを含む、請求項33または34に記載の細胞外小胞。
【請求項36】
前記外来性標的化部分が、マイクロタンパク質、設計されたアンキリンリピートタンパク質(ダーピン)、アンチカリン、アドネクチン、アプタマー、ペプチド模倣分子、受容体の天然リガンド、ラクダナノボディ、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項33~35のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項37】
前記外来性標的化部分が、全長抗体、単一ドメイン抗体、重鎖のみ抗体(VHH)、単鎖抗体、サメ重鎖のみ抗体(VNAR)、scFv、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項33~36のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項38】
前記抗体が単鎖抗体である、請求項37に記載の細胞外小胞。
【請求項39】
前記外来性標的化部分が、前記エキソソームを、肝臓、心臓、肺、脳、腎臓、中枢神経系、末梢神経系、筋肉、骨、またはそれらの任意の組み合わせに標的化する、請求項33~36のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項40】
前記外来性標的化部分が、前記エキソソームを、腫瘍細胞、樹状細胞、T細胞、B細胞、マクロファージ、ニューロン、肝細胞、造血幹細胞、またはそれらの任意の組み合わせに標的化する、請求項33~39のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項41】
前記外来性標的化部分が、CD33またはその断片に結合する、請求項33~40のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項42】
前記EVが、前記外来性標的化部分を前記EVに連結する足場部分を含む、請求項33~41のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項43】
前記固定部分及び/または前記足場部分がScaffoldXである、請求項31~42のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項44】
前記固定部分及び/または前記足場部分がScaffoldYである、請求項31~42のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項45】
前記ScaffoldXが、前記EVの内腔表面上及び/または前記EVの外面上に前記STAT3アンタゴニストを固定することができる足場タンパク質である、請求項43に記載の細胞外小胞。
【請求項46】
前記ScaffoldXが、プロスタグランジンF2受容体ネガティブレギュレーター(「PTGFRNタンパク質」);バシギン(「BSGタンパク質」);免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー2(「IGSF2タンパク質」);免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー3(「IGSF3タンパク質」);免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー8(「IGSF8タンパク質」);インテグリンβ1(「ITGB1タンパク質」);インテグリンα4(「ITGA4タンパク質」);4F2細胞表面抗原重鎖(「SLC3A2タンパク質」);及びATPトランスポータータンパク質の一クラス(ATP1A1、ATP1A2、ATP1A3、ATP1A4、ATP1B3、ATP2B1、ATP2B2、ATP2B3、ATP2B4タンパク質);その機能的断片;ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項43または45に記載の細胞外小胞。
【請求項47】
前記固定部分及び/または前記足場部分が、PTGFRNタンパク質またはその機能的断片である、請求項31~46のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項48】
前記固定部分及び/または前記足場部分が、配列番号302に記載のアミノ酸配列を含む、請求項31~47のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項49】
前記固定部分及び/または前記足場部分が、配列番号301と、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含む、請求項31~48のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項50】
前記ScaffoldYが、前記EVの内腔表面上及び/または前記EVの外面上に前記STAT3アンタゴニストを固定することができる足場タンパク質である、請求項44に記載の細胞外小胞。
【請求項51】
前記ScaffoldYが、ミリストイル化アラニンリッチプロテインキナーゼC基質(MARCKSタンパク質)、ミリストイル化アラニンリッチプロテインキナーゼC基質様1(MARCKSL1タンパク質)、脳酸可溶性タンパク質1(BASP1タンパク質)、その機能的断片、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項44または50に記載の細胞外小胞。
【請求項52】
前記ScaffoldYが、BASP1タンパク質またはその機能的断片である、請求項44、50、及び51のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項53】
前記ScaffoldYが、N末端ドメイン(ND)及びエフェクタードメイン(ED)を含み、前記ND及び/または前記EDが、前記EVの前記内腔表面と会合している、請求項44及び50~52のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項54】
前記NDが、ミリストイル化を介して前記エキソソームの前記内腔表面と会合する、請求項53に記載の細胞外小胞。
【請求項55】
前記EDが、イオン性相互作用によって前記エキソソームの前記内腔表面と会合する、請求項53または54に記載の細胞外小胞。
【請求項56】
前記EDが、配列中に(i)塩基性アミノ酸または(ii)2つ以上の塩基性アミノ酸を含み、前記塩基性アミノ酸が、Lys、Arg、His、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項53~55のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項57】
前記塩基性アミノ酸が(Lys)nであり、式中、nが1~10の整数である、請求項56に記載の細胞外小胞。
【請求項58】
前記EDが、Lys(K)、KK、KKK、KKKK(配列番号405)、KKKKK(配列番号406)、Arg(R)、RR、RRR、RRRR(配列番号407);RRRRR(配列番号408)、KR、RK、KKR、KRK、RKK、KRR、RRK、(K/R)(K/R)(K/R)(K/R)(配列番号409)、(K/R)(K/R)(K/R)(K/R)(K/R)(配列番号410)、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項53~57のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項59】
前記NDが、G:X2:X3:X4:X5:X6に記載のアミノ酸配列を含み、GがGlyを表し;「:」がペプチド結合を表し、前記X2~前記X6のそれぞれが、独立してアミノ酸を表し、前記X6が、塩基性アミノ酸を表す、請求項53~58のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項60】
(i)前記X2が、Pro、Gly、Ala、及びSerからなる群から選択されるか;
(ii)前記X4が、Pro、Gly、Ala、Ser、Val、Ile、Leu、Phe、Trp、Tyr、Gln及びMetからなる群から選択されるか;
(iii)前記X5が、Pro、Gly、Ala、及びSerからなる群から選択されるか;
(iv)前記X6が、Lys、Arg、及びHisからなる群から選択されるか;または
(v)(i)~(iv)の任意の組み合わせである、請求項59に記載の細胞外小胞。
【請求項61】
前記NDが、G:X2:X3:X4:X5:X6のアミノ酸配列を含み、
(i)Gが、Glyを表し;
(ii)「:」が、ペプチド結合を表し;
(iii)前記X2が、Pro、Gly、Ala、及びSerからなる群から選択されるアミノ酸であり;
(iv)前記X3がアミノ酸であり;
(v)前記X4が、Pro、Gly、Ala、Ser、Val、Ile、Leu、Phe、Trp、Tyr、Gln及びMetからなる群から選択されるアミノ酸であり;
(vi)前記X5が、Pro、Gly、Ala、及びSerからなる群から選択されるアミノ酸であり;
(vii)前記X6が、Lys、Arg、及びHisからなる群から選択されるアミノ酸である、請求項53~60のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項62】
前記X3が、Asn、Gln、Ser、Thr、Asp、Glu、Lys、His、及びArgからなる群から選択される、請求項59~61のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項63】
前記ND及び前記EDを、リンカーによって結合する、請求項53~62のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項64】
前記リンカーが、1つ以上のアミノ酸を含む、請求項63に記載の細胞外小胞。
【請求項65】
前記NDが、(i)GGKLSKK(配列番号411)、(ii)GAKLSKK(配列番号412)、(iii)GGKQSKK(配列番号413)、(iv)GGKLAKK(配列番号414)、(v)GGKLSK(配列番号415)、または(vi)それらの任意の組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項53~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記NDが、(i)GGKLSKKK(配列番号438)、(ii)GGKLSKKS(配列番号439)、(iii)GAKLSKKK(配列番号440)、(iv)GAKLSKKS(配列番号441)、(v)GGKQSKKK(配列番号442)、(vi)GGKQSKKS(配列番号443)、(vii)GGKLAKKK(配列番号444)、(viii)GGKLAKKS(配列番号445)、及び(ix)それらの任意の組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項65に記載の細胞外小胞。
【請求項67】
前記NDが、アミノ酸配列GGKLSKK(配列番号411)を含む、請求項53~66のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項68】
前記ScaffoldYが、少なくとも約8、少なくとも約9、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約16、少なくとも約17、少なくとも約18、少なくとも約19、少なくとも約20、少なくとも約21、少なくとも約22、少なくとも約23、少なくとも約24、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約45、少なくとも約50、少なくとも約55、少なくとも約60、少なくとも約65、少なくとも約70、少なくとも約75、少なくとも約80、少なくとも約85、少なくとも約90、少なくとも約95、少なくとも約100、少なくとも約105、少なくとも約110、少なくとも約120、少なくとも約130、少なくとも約140、少なくとも約150、少なくとも約160、少なくとも約170、少なくとも約180、少なくとも約190、または少なくとも約200アミノ酸の長さである、請求項43及び50~67のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項69】
前記ScaffoldYが、(i)GGKLSKKKKGYNVN(配列番号446)、(ii)GAKLSKKKKGYNVN(配列番号447)、(iii)GGKQSKKKKGYNVN(配列番号448)、(iv)GGKLAKKKKGYNVN(配列番号449)、(v)GGKLSKKKKGYSGG(配列番号450)、(vi)GGKLSKKKKGSGGS(配列番号451)、(vii)GGKLSKKKKSGGSG(配列番号452)、(viii)GGKLSKKKSGGSGG(配列番号853)、(ix)GGKLSKKSGGSGGS(配列番号484)、(x)GGKLSKSGGSGGSV(配列番号855)、または(xi)GAKKSKKRFSFKKS(配列番号456)を含む、請求項44及び50~68に記載の細胞外小胞。
【請求項70】
前記ScaffoldYが、(i)GGKLSKKKKGYNVN(配列番号446)、(ii)GAKLSKKKKGYNVN(配列番号447)、(iii)GGKQSKKKKGYNVN(配列番号448)、(iv)GGKLAKKKKGYNVN(配列番号449)、(v)GGKLSKKKKGYSGG(配列番号450)、(vi)GGKLSKKKKGSGGS(配列番号451)、(vii)GGKLSKKKKSGGSG(配列番号452)、(viii)GGKLSKKKSGGSGG(配列番号853)、(ix)GGKLSKKSGGSGGS(配列番号484)、(x)GGKLSKSGGSGGSV(配列番号855)、または(xi)GAKKSKKRFSFKKS(配列番号456)からなる、請求項44及び50~69に記載の細胞外小胞。
【請求項71】
前記ScaffoldYが、前記N末端にMetを含まない、請求項44及び50~70に記載の細胞外小胞。
【請求項72】
前記ScaffoldYが、前記足場タンパク質のN末端にミリストイル化アミノ酸残基を含む、請求項44及び50~71のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項73】
前記ScaffoldYのN末端のアミノ酸残基がGlyである、請求項72に記載の細胞外小胞。
【請求項74】
前記STAT3 ASOを、前記EVの前記外面上の前記固定部分及び/または前記足場部分に連結する、請求項31~73のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項75】
前記STAT3 ASOを、前記EVの前記内腔表面上の前記固定部分及び/または前記足場部分に連結する、請求項31~74のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項76】
前記固定部分が、ステロール、GM1、脂質、ビタミン、小分子、ペプチド、またはそれらの組み合わせを含む、請求項31~75のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項77】
前記固定部分が、コレステロールを含む、請求項31~75のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項78】
前記固定部分が、リン脂質、リゾリン脂質、脂肪酸、ビタミン(例えば、ビタミンD及び/またはビタミンE)、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項31~75のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項79】
前記STAT3 ASOを、リンカーによって前記固定部分及び/または前記足場部分に連結する、請求項31~78のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項80】
前記STAT3 ASOを、リンカーによって前記EVに連結する、請求項1~79のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項81】
前記リンカーがポリペプチドである、請求項79または80に記載の細胞外小胞。
【請求項82】
前記リンカーが非ポリペプチド部分である、請求項79または80に記載の細胞外小胞。
【請求項83】
前記リンカーが、エチレングリコールを含む、請求項79または請求項80に記載の細胞外小胞。
【請求項84】
前記リンカーが、HEG、TEG、PEG、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項79または請求項80に記載の細胞外小胞。
【請求項85】
前記リンカーが、アクリルホスホロアミダイト(例えば、ACRYDITE(商標))、アデニル化、アジド(NHSエステル)、ジゴキシゲニン(NHSエステル)、コレステロール-TEG、I-LINKER(商標)、アミノ修飾因子(例えば、アミノ修飾因子C6、アミノ修飾因子C12、アミノ修飾因子C6 dT、またはUni-Link(商標)アミノ修飾剤)、アルキン、5’ヘキシニル、5-オクタジエニルdU、ビオチン化(例えば、ビオチン、ビオチン(アジド)、ビオチンdT、ビオチン-TEG、デュアルビオチン、PCビオチン、またはデスチオビオチン)、チオール修飾(チオール修飾剤C3 S-S、ジチオールまたはチオール修飾剤C6 S-S)、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項79または80に記載の細胞外小胞。
【請求項86】
前記リンカーが、開裂性リンカーである、請求項79~85のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項87】
前記リンカーが、バリン-アラニン-p-アミノベンジルカルバメートまたはバリン-シトルリン-p-アミノベンジルカルバメートを含む、請求項86に記載の細胞外小胞。
【請求項88】
前記リンカーが、(i)マレイミド部分及び(ii)バリン-アラニン-p-アミノベンジルカルバメートまたはバリン-シトルリン-p-アミノベンジルカルバメートを含む、請求項76~87のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項89】
前記EVがエキソソームである、請求項1~88のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項90】
配列番号1に対応するSTAT3転写産物のヌクレオチド1~56982、配列番号1に対応するSTAT3転写産物のヌクレオチド57003~75171、配列番号3に対応するSTAT3転写産物のヌクレオチド1~1287、または配列番号3に対応するSTAT3転写産物のヌクレオチド1306~2787内の核酸配列に相補的である長さ10~30ヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列を含む、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)。
【請求項91】
前記連続ヌクレオチド配列が、前記STAT3転写産物内の前記核酸配列に、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%相補的である、請求項90に記載のASO。
【請求項92】
ヒト細胞(例えば、HEK293細胞)において、STAT3タンパク質発現を低下させることができ、前記ヒト細胞が、STAT3タンパク質を発現している、請求項90または91に記載のASO。
【請求項93】
前記STAT3タンパク質の発現が、前記ASOに曝露されていないヒト細胞におけるSTAT3タンパク質の発現と比較して、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低い、請求項92に記載のASO。
【請求項94】
ヒト細胞(例えば、HEK293細胞)において、STAT3 mRNAのレベルを低下させることができ、前記ヒト細胞が、前記STAT3 mRNAを発現している、請求項90~93のいずれか一項に記載のASO。
【請求項95】
前記STAT3 mRNAのレベルが、前記ASOに曝露されていないヒト細胞における前記STAT3 mRNAのレベルと比較して、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低い、請求項94に記載のASO。
【請求項96】
ギャップマー、ミックスサー、またはトータルマーである、請求項90~95のいずれか一項に記載のASO。
【請求項97】
1つ以上のヌクレオシド類似体を含む、請求項90~95のいずれか一項に記載のASO。
【請求項98】
前記ヌクレオシド類似体の1つ以上が、2’-O-アルキル-RNA;2’-O-メチルRNA(2’-OMe);2’-アルコキシ-RNA;2’-O-メトキシエチル-RNA(2’-MOE);2’-アミノ-DNA;2’-フルオロ-RNA;2’-フルオロ-DNA;アラビノ核酸(ANA);2’-フルオロ-ANA;または二環式ヌクレオシド類似体(LNA)を含む、請求項97に記載のASO。
【請求項99】
前記ヌクレオシド類似体の1つ以上が糖修飾ヌクレオシドである、請求項97または98に記載のASO。
【請求項100】
前記糖修飾ヌクレオシドが、親和性を増強する2’糖修飾ヌクレオシドである、請求項99に記載のASO。
【請求項101】
前記ヌクレオシド類似体の1つ以上が、二環式糖を含むヌクレオシドを含む、請求項97~100のいずれか一項に記載のASO。
【請求項102】
前記ヌクレオシド類似体の1つ以上が、LNAを含む、請求項97~100のいずれか一項に記載のASO。
【請求項103】
前記LNAが、拘束エチルヌクレオシド(cEt)、2’,4’-拘束2’-O-メトキシエチル(cMOE)、α-L-LNA、β-D-LNA、2’-O,4’-C-エチレン架橋核酸(ENA)、アミノ-LNA、オキシ-LNA、チオ-LNA、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項102に記載のASO。
【請求項104】
1つ以上の5’-メチルシトシン核酸塩基を含む、請求項90~103のいずれか一項に記載のASO。
【請求項105】
前記ASOが、配列番号100~配列番号199のいずれか1つを含む、請求項90~104のいずれか一項に記載のASO。
【請求項106】
前記ASOが、図1の設計からなる群から選択される設計を有し、図中、大文字が糖修飾ヌクレオシドであり、小文字がDNAである、請求項90~105のいずれか一項に記載のASO。
【請求項107】
前記ASOが、14~20ヌクレオチドの長さである、請求項90~106のいずれか一項に記載のASO。
【請求項108】
前記連続ヌクレオチド配列が、1つ以上の修飾されたヌクレオシド間結合を含む、請求項90~107のいずれか一項に記載のASO。
【請求項109】
前記1つ以上の修飾されたヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエート結合である、請求項108に記載のASO。
【請求項110】
少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%のヌクレオシド間結合が修飾されている、請求項108または109に記載のASO。
【請求項111】
前記ASOの前記ヌクレオシド間結合のそれぞれが、ホスホロチオエート結合である、請求項110に記載のASO。
【請求項112】
前記ASOが、少なくとも1つの非ヌクレオチドまたは非ポリヌクレオチド部分に共有結合している、請求項90~111のいずれか一項に記載のASOを含む複合体。
【請求項113】
前記非ヌクレオチドまたは非ポリヌクレオチド部分が、タンパク質、脂肪酸鎖、糖残基、糖タンパク質、ポリマー、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項112に記載の複合体。
【請求項114】
請求項90~111のいずれか一項に記載のASOまたは請求項112もしくは113に記載の複合体を含む、細胞外小胞。
【請求項115】
請求項1~89及び114のいずれか一項に記載の細胞外小胞、請求項90~111のいずれか一項に記載のASO、または請求項112もしくは113に記載の複合体、ならびに薬学的に許容される希釈剤、担体、塩、またはアジュバントを含む、医薬組成物。
【請求項116】
前記薬学的に許容される塩が、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項115に記載の医薬組成物。
【請求項117】
少なくとも1つの追加の治療薬をさらに含む、請求項115または116に記載の医薬組成物。
【請求項118】
前記追加の治療薬がSTAT3アンタゴニストである、請求項117に記載の医薬組成物。
【請求項119】
前記STAT3アンタゴニストが、化合物、siRNA、shRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、タンパク質、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項118に記載の医薬組成物。
【請求項120】
前記STAT3アンタゴニストが、抗STAT3抗体またはその断片である、請求項118または119に記載の医薬組成物。
【請求項121】
請求項1~89及び114のいずれか一項に記載の細胞外小胞、請求項90~111のいずれか一項に記載のASO、または請求項112もしくは113に記載の複合体、または請求項115~120のいずれか一項に記載の医薬組成物、ならびに使用説明書を含む、キット。
【請求項122】
請求項1~90及び114のいずれか一項に記載の細胞外小胞、請求項90~111のいずれか一項に記載のASO、請求項112もしくは113に記載の複合体、または請求項115~120のいずれか一項に記載の医薬組成物、ならびに使用説明書を含む、診断キット。
【請求項123】
STAT3タンパク質を発現する細胞に対して、請求項1~89及び114のいずれか一項に記載の細胞外小胞、請求項90~111のいずれか一項に記載のASO、または請求項112もしくは113に記載の複合体、または請求項115~120のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与することを含み、前記投与後に、前記細胞内の前記STAT3タンパク質の発現が阻害または低減される、前記細胞内のSTAT3タンパク質発現の阻害または低減方法。
【請求項124】
前記ASOが、投与後の細胞におけるSTAT3またはmRNAの発現を阻害または低減する、請求項123に記載の方法。
【請求項125】
STAT3 mRNAのレベルが、前記ASOに曝露されていない前記細胞におけるSTAT3 mRNAのレベルと比較して、前記投与後に、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約100%低い、請求項124に記載の方法。
【請求項126】
前記STAT3またはタンパク質の発現が、前記ASOに曝露されていない細胞における前記STAT3タンパク質の発現と比較して、前記投与後に、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%低い、請求項123~125のいずれか一項に記載の方法。
【請求項127】
有効量の請求項1~89及び114のいずれか一項に記載の細胞外小胞、請求項90~111のいずれか一項に記載のASO、または請求項112もしくは114に記載の複合体、または請求項115~120のいずれか一項に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、がんの治療を必要とする対象におけるがんの治療方法。
【請求項128】
がんの治療を必要とする対象におけるがんの治療のための薬剤の製造における、請求項1~89及び114のいずれか一項に記載の細胞外小胞、請求項90~111のいずれか一項に記載のASO、または請求項112もしくは113に記載の複合体、または請求項115~120のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項129】
がんの治療を必要とする対象におけるがんの治療に使用するための、請求項1~90及び114のいずれか一項に記載の細胞外小胞、請求項90~111のいずれか一項に記載のASO、または請求項112もしくは113に記載の複合体、または請求項115~120のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項130】
前記細胞外小胞、前記ASO、前記複合体、または前記医薬組成物を、心臓内、経口、非経口、髄腔内、側脳室内、肺、局所、または脳室内に投与する、請求項122~127のいずれか一項に記載の方法、請求項128に記載の使用、または請求項129に記載の使用のための組成物。
【請求項131】
前記がんが、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮細胞肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、頭頸部扁平上皮癌、結腸直腸癌、リンパ腫、白血病、肝癌、神経膠芽細胞腫、メラノーマ、骨髄腫基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄質癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝細胞癌、胆管癌、絨毛癌、セミノーマ、胚性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣癌、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、神経膠芽細胞腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、メラノーマ、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、急性骨髄性白血病、肝細胞癌、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項127に記載の方法、請求項128に記載の使用、または請求項136に記載の使用のための組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2019年8月14日に出願された米国仮出願第62/886,901号;2019年8月14日に提出された第62/886,904号;2019年9月13日に提出された62/900,376号;及び、2019年9月13日に出願された62/900,371号の優先権を主張し、これらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
EFS-WEBを介して電子的に提出された配列表の参照
本出願とともに提出された、ASCIIテキストファイル(名称:4000_060PC05_Seqlisting_ST25.txt;サイズ:341,985バイト;及び作成日:2020年8月13日)の電子的に提出された配列表の内容は、その全体が参照により援用される。
【0003】
本開示は、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を含む細胞外小胞(EV)、例えば、エキソソームに関し、ASOは、STAT3転写産物内の核酸配列に相補的な長さ10~30ヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列を含む。本開示の特定の態様では、細胞外小胞は、足場タンパク質をさらに含む。
【背景技術】
【0004】
エキソソームは、すべての真核細胞によって天然に生成される小さな細胞外小胞である。エキソソームは、内部空間(すなわち、内腔)を囲む膜を含む。薬物送達ビヒクルとして、例えばエキソソームなどのEVは、多くの治療分野における新規治療法として、従来の薬物送達方法に比べて多くの利点を提供する。特に、エキソソームは、異なる種に投与された場合でも、本質的に免疫原性が低い。
【0005】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、in vitroまたはin vivoで標的遺伝子の発現を調節する強力な手段として登場した。しかしながら、in vivoでのASOの安定性と送達を向上させる必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、改変EV(例えば、エキソソーム)、特に、疾患に関連する遺伝子(例えば、がんの場合はN)の発現を低下させることができる治療薬を送達するために使用可能なEVのための組成物及び方法に関する。本開示の一態様は、アンタゴニストであり、STAT3転写産物(配列番号1または配列番号3)内の核酸配列に相補的な長さ10~30ヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を含む細胞外小胞に関する。いくつかの態様では、細胞外小胞は、TAAGCTGATAATTCAACTCA(配列番号5)ではないASOを含む。いくつかの態様では、細胞外小胞は、マクロファージを標的とする。いくつかの態様では、ASOは、配列番号1に対応するSTAT3転写産物のヌクレオチド1~56982、配列番号1に対応するSTAT3転写産物のヌクレオチド57003~75171、配列番号3に対応するSTAT3転写産物のヌクレオチド1~1287、または配列番号3に対応するSTAT3転写産物のヌクレオチド1306~2787内の核酸配列に相補的な長さ10~30ヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、連続ヌクレオチド配列は、STAT3転写産物内の核酸配列に、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%相補的である。いくつかの態様では、ASOは、ヒト細胞(例えば、HEK293細胞)において、STAT3タンパク質発現を低下させることができ、その場合、ヒト細胞は、STAT3タンパク質を発現している。
【0007】
いくつかの態様では、STAT3タンパク質の発現は、ASOに曝露されていないヒト細胞におけるSTAT3タンパク質の発現と比較して、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低い。いくつかの態様では、ASOは、ヒト細胞(例えば、HEK293細胞)において、STAT3 mRNAのレベルを低下させることができ、その場合、ヒト細胞は、STAT3 mRNAを発現している。いくつかの態様では、STAT3 mRNAのレベルは、ASOに曝露されていないヒト細胞におけるSTAT3 mRNAのレベルと比較して、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低い。
【0008】
いくつかの態様では、ASOは、ギャップマー、ミックスマー、またはトータルマーである。いくつかの態様では、ASOは、1つ以上のヌクレオシド類似体を含む。いくつかの態様では、1つ以上のヌクレオシド類似体は、2’-O-アルキル-RNA;2’-O-メチルRNA(2’-OMe);2’-アルコキシ-RNA;2’-O-メトキシエチル-RNA(2’-MOE);2’-アミノ-DNA;2’-フルオロ-RNA;2’-フルオロ-DNA;アラビノ核酸(ANA);2’-フルオロ-ANA;または二環式ヌクレオシド類似体を含む。いくつかの態様では、ヌクレオシド類似体は、糖修飾ヌクレオシドである。いくつかの態様では、糖修飾ヌクレオシドは、親和性を増強する2’糖修飾ヌクレオシドである。いくつかの態様では、ヌクレオシド類似体は、二環式糖を含むヌクレオシドを含む。いくつかの態様では、ヌクレオシド類似体は、LNAを含む。いくつかの態様では、1つ以上のヌクレオチド類似体は、拘束エチルヌクレオシド(cEt)、2’,4’-拘束2’-O-メトキシエチル(cMOE)、α-L-LNA、β-D-LNA、2’-O,4’-C-エチレン架橋核酸(ENA)、アミノ-LNA、オキシ-LNA、チオ-LNA、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。いくつかの態様では、ASOは、1つ以上の5’-メチルシトシン核酸塩基を含む。
【0009】
いくつかの態様では、連続ヌクレオチド配列は、STAT3転写産物の(i)5’非翻訳領域(UTR);(ii)コーディング領域;;または(iii)3’UTR内の核酸配列に相補的である。いくつかの態様では、ASO内の連続ヌクレオチド配列は、(i)配列番号3のヌクレオチド151~745;(ii)配列番号3のヌクレオチド642~1331;(iii)配列番号3のヌクレオチド1031~1704;(iv)配列番号3のヌクレオチド1521~2335;(v)配列番号3の2062~2776、(vi)配列番号3のヌクレオチド251~645;(vii)配列番号3のヌクレオチド742~1231;(viii)配列番号3のヌクレオチド1131~1604;(ix)配列番号3のヌクレオチド1621~2235;(x)配列番号3の2162~2676;(xi)配列番号3のヌクレオチド301~595;(xii)配列番号3のヌクレオチド792~1181;(xiii)配列番号3のヌクレオチド1181~1554;(xiv)配列番号3のヌクレオチド1671~2185;(xv)配列番号3の2212~2626;(xvi)配列番号3のヌクレオチド341~555;(xvii)配列番号3の832~1141;(xviii)配列番号3のヌクレオチド1221~1514;(xix)配列番号3のヌクレオチド1711~2145;または(xx)配列番号3のヌクレオチド2252~2586を含む核酸配列に相補的である。いくつかの態様では、連続ヌクレオチド配列は、(i)配列番号3の351~545;(ii)配列番号3のヌクレオチド842~1131;(iii)配列番号3のヌクレオチド1231~1504;(iv)配列番号3のヌクレオチド1721~2135;または(v)配列番号3のヌクレオチド2262~2576内の核酸配列に相補的である。いくつかの態様では、連続ヌクレオチド配列は、図1の配列から選択される配列に相補的なヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、連続ヌクレオチド配列は、STAT3転写産物内のヌクレオチド配列に完全に相補的である。いくつかの態様では、ASOは、配列番号100~199から選択され、1つまたは2つのミスマッチを含むヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、ASOは、図1の設計からなる群から選択される設計を有し、図中、大文字は糖修飾ヌクレオシドであり、小文字はDNAである。いくつかの態様では、ASOは、長さが14~20ヌクレオチドである。いくつかの態様では、連続ヌクレオチド配列は、1つ以上の修飾されたヌクレオシド間結合を含む。いくつかの態様では、1つ以上の修飾されたヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエート結合である。いくつかの態様では、ヌクレオシド間結合の少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%が修飾されている。いくつかの態様では、ASOのヌクレオシド間結合の各々は、ホスホロチオエート結合である。いくつかの態様では、本開示の組成物及び方法は、固定部分を含む。
【0010】
いくつかの態様では、STAT3アンタゴニストは、固定部分に連結されている。いくつかの態様では、本開示の組成物及び方法は、外来性標的化部分をさらに含む。いくつかの態様では、外来性標的化部分は、ペプチド、抗体もしくはその抗原結合断片、化合物、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、外来性標的化部分は、ペプチドを含む。いくつかの態様では、外来性標的化部分は、マイクロタンパク質、設計されたアンキリンリピートタンパク質(ダーピン)、アンチカリン、アドネクチン、アプタマー、ペプチド模倣分子、受容体の天然リガンド、ラクダナノボディ、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、外来性標的化部分は、全長抗体、単一ドメイン抗体、重鎖のみ抗体(VHH)、単鎖抗体、サメ重鎖のみ抗体(VNAR)、scFv、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、抗体は単鎖抗体である。いくつかの態様では、外来性標的化部分は、エキソソームを、肝臓、心臓、肺、脳、腎臓、中枢神経系、末梢神経系、筋肉、骨、またはそれらの任意の組み合わせに標的化する。いくつかの態様では、外来性標的化部分は、エキソソームを、腫瘍細胞、樹状細胞、T細胞、B細胞、マクロファージ、ニューロン、肝細胞、造血幹細胞、またはそれらの任意の組み合わせに標的化する。いくつかの態様では、外来性標的化部分は、CD33またはその断片に結合する。いくつかの態様では、EVは、外来性標的化部分をEVに連結する足場部分を含む。いくつかの態様では、固定部分及び/または足場部分はScaffoldXである。いくつかの態様では、固定部分及び/または足場部分はScaffoldYである。いくつかの態様では、ScaffoldXは、EVの内腔表面及び/またはEVの外面にSTAT3アンタゴニストを固定することができる足場タンパク質である。いくつかの態様では、ScaffoldXは、プロスタグランジンF2受容体ネガティブレギュレーター(PTGFRNタンパク質)、バシギン(BSGタンパク質);免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー2(IGSF2タンパク質);免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー3(IGSF3タンパク質);免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー8(IGSF8タンパク質);インテグリンβ1(ITGB1タンパク質);インテグリンα4(ITGA4タンパク質);4F2細胞表面抗原重鎖(SLC3A2タンパク質);ATPトランスポータータンパク質のクラス(ATP1A1、ATP1A2、ATP1A3、ATP1A4、ATP1B3、ATP2B1、ATP2B2、ATP2B3、ATP2B4タンパク質);その機能的断片;及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。いくつかの態様では、固定部分及び/または足場部分は、PTGFRNタンパク質またはその機能的断片である。いくつかの態様では、固定部分及び/または足場部分は、配列番号302に記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、固定部分及び/または足場部分は、配列番号301と、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、ScaffoldYは、EVの内腔表面及び/またはEVの外面にSTAT3アンタゴニストを固定することができる足場タンパク質である。
【0011】
いくつかの態様では、ScaffoldYは、ミリストイル化アラニンリッチプロテインキナーゼC基質(MARCKSタンパク質)、ミリストイル化アラニンリッチプロテインキナーゼC基質様1(MARCKSL1タンパク質)、脳酸可溶性タンパク質1(BASP1タンパク質)、その機能的断片、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。いくつかの態様では、ScaffoldYは、BASP1タンパク質またはその機能的断片である。いくつかの態様では、ScaffoldYは、N末端ドメイン(ND)及びエフェクタードメイン(ED)を含み、ND及び/またはEDは、EVの内腔表面に会合している。いくつかの態様では、NDは、ミリストイル化を介してエキソソームの内腔表面と会合している。いくつかの態様では、EDは、イオン相互作用によってエキソソームの内腔表面と会合している。いくつかの態様では、EDは、(i)塩基性アミノ酸または(ii)2つ以上の塩基性アミノ酸を連続して含み、塩基性アミノ酸は、Lys、Arg、His、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。いくつかの態様では、塩基性アミノ酸は(Lys)nであり、式中、nは1~10の整数である。いくつかの態様では、EDは、Lys(K)、KK、KKK、KKKK(配列番号405)、KKKKK(配列番号406)、Arg(R)、RR、RRR、RRRR(配列番号407);RRRRR(配列番号408)、KR、RK、KKR、KRK、RKK、KRR、RRK、(K/R)(K/R)(K/R)(K/R)(配列番号409)、(K/R)(K/R)(K/R)(K/R)(K/R)(配列番号410)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、NDは、G:X2:X3:X4:X5:X6に記載のアミノ酸配列を含み、式中、Gは、Glyを表し;「:」は、ペプチド結合を表し、X2~X6のそれぞれは、独立してアミノ酸であり、X6は、塩基性アミノ酸を含む。いくつかの態様では、(i)X2が、Pro、Gly、Ala、及びSerからなる群から選択されるか;(ii)X4が、Pro、Gly、Ala、Ser、Val、Ile、Leu、Phe、Trp、Tyr、Gln、及びMetからなる群から選択されるか;(iii)X5が、Pro、Gly、Ala、及びSerからなる群から選択されるか;(iv)X6が、Lys、Arg、及びHisからなる群から選択されるか;または(v)(i)~(iv)の任意の組み合わせである。いくつかの態様では、NDは、G:X2:X3:X4:X5:X6のアミノ酸配列を含み、式中、(i)Gは、Glyを表し;(ii)「:」は、ペプチド結合を表し;(iii)X2は、Pro、Gly、Ala、及びSerからなる群から選択されるアミノ酸であり;(iv)X3はアミノ酸であり;(v)X4は、Pro、Gly、Ala、Ser、Val、Ile、Leu、Phe、Trp、Tyr、Gln、及びMetからなる群から選択されるアミノ酸であり;(vi)X5は、Pro、Gly、Ala、及びSerからなる群から選択されるアミノ酸であり;そして(vii)X6は、Lys、Arg、及びHisからなる群から選択されるアミノ酸である。いくつかの態様では、X3は、Asn、Gln、Ser、Thr、Asp、Glu、Lys、His、及びArgからなる群から選択される。いくつかの態様では、NDとEDは、リンカーによって結合される。
【0012】
いくつかの態様では、リンカーは、1つ以上のアミノ酸を含む。いくつかの態様では、NDは、(i)GGKLSKK(配列番号411)、(ii)GAKLSKK(配列番号412)、(iii)GGKQSKK(配列番号413)、(iv)GGKLAKK(配列番号414)、(v)GGKLSK(配列番号415)、または(vi)それらの任意の組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、NDは、(i)GGKLSKKK(配列番号438)、(ii)GGKLSKKS(配列番号439)、(iii)GAKLSKKK(配列番号440)、(iv)GAKLSKKS(配列番号441)、(v)GGKQSKKK(配列番号442)、(vi)GGKQSKKS(配列番号443)、(vii)GGKLAKKK(配列番号444)、(viii)GGKLAKKS(配列番号445)、及び(ix)それらの任意の組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、NDは、アミノ酸配列GGKLSKK(配列番号411)を含む。いくつかの態様では、ScaffoldYは、少なくとも約8、少なくとも約9、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約16、少なくとも約17、少なくとも約18、少なくとも約19、少なくとも約20、少なくとも約21、少なくとも約22、少なくとも約23、少なくとも約24、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約45、少なくとも約50、少なくとも約55、少なくとも約60、少なくとも約65、少なくとも約70、少なくとも約75、少なくとも約80、少なくとも約85、少なくとも約90、少なくとも約95、少なくとも約100、少なくとも約105、少なくとも約110、少なくとも約120、少なくとも約130、少なくとも約140、少なくとも長さが約150、少なくとも約160、少なくとも約170、少なくとも約180、少なくとも約190、または少なくとも約200アミノ酸である。いくつかの態様では、ScaffoldYは、(i)GGKLSKKKKGYNVN(配列番号446)、(ii)GAKLSKKKKGYNVN(配列番号447)、(iii)GGKQSKKKKGYNVN(配列番号448)、(iv)GGKLAKKKKGYNVN(配列番号449)、(v)GGKLSKKKKGYSGG(配列番号450)、(vi)GGKLSKKKKGSGGS(配列番号451)、(vii)GGKLSKKKKSGGSG(配列番号452)、(viii)GGKLSKKKSGGSGG(配列番号453)、(ix)GGKLSKKSGGSGGS(配列番号454)、(x)GGKLSKSGGSGGSV(配列番号455)、または(xi)GAKKSKKRFSFKKS(配列番号456)を含む。いくつかの態様では、ScaffoldYは、(i)GGKLSKKKKGYNVN(配列番号446)、(ii)GAKLSKKKKGYNVN(配列番号447)、(iii)GGKQSKKKKGYNVN(配列番号448)、(iv)GGKLAKKKKGYNVN(配列番号449)、(v)GGKLSKKKKGYSGG(配列番号450)、(vi)GGKLSKKKKGSGGS(配列番号451)、(vii)GGKLSKKKKSGGSG(配列番号452)、(viii)GGKLSKKKSGGSGG(配列番号NO:453)、(ix)GGKLSKKSGGSGGS(配列番号454)、(x)GGKLSKSGGSGGSV(配列番号455)、または(xi)GAKKSKKRFSFKKS(配列番号456)を含む。いくつかの態様では、ScaffoldYは、N末端にMetを含まない。
【0013】
いくつかの態様では、ScaffoldYは、足場タンパク質のN末端にミリストイル化されたアミノ酸残基を含む。いくつかの態様では、ScaffoldYのN末端のアミノ酸残基はGlyである。いくつかの態様では、STAT3 ASOは、EVの外部の固定部分及び/または足場部分に連結されている。いくつかの態様では、STAT3 ASOは、EVの内腔表面上の固定部分及び/または足場部分に連結されている。いくつかの態様では、固定部分は、ステロール、GM1、脂質、ビタミン、小分子、ペプチド、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、固定部分は、コレステロールを含む。いくつかの態様では、固定部分は、リン脂質、リゾリン脂質、脂肪酸、ビタミン(例えば、ビタミンD及び/またはビタミンE)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、STAT3 ASOは、リンカーによって、固定部分及び/または足場部分に連結されている。いくつかの態様では、STAT3 ASOは、リンカーによってEVに連結されている。いくつかの態様では、リンカーはポリペプチドである。いくつかの態様では、リンカーは非ポリペプチド部分である。いくつかの態様では、リンカーは、エチレングリコールを含む。いくつかの態様では、リンカーは、HEG、TEG、PEG、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、リンカーは、アクリルホスホルアミダイト(例えば、ACRYDITE(商標))、アデニル化、アジド(NHSエステル)、ジゴキシゲニン(NHSエステル)、コレステロール-TEG、I-LINKER(商標)、アミノ修飾因子(例えば、アミノ修飾因子C6、アミノ修飾因子C12、アミノ修飾因子C6 dT、またはUni-Link(商標)アミノ修飾剤)、アルキン、5’ヘキシニル、5-オクタジエニルdU、ビオチン化(例えば、ビオチン、ビオチン(アジド)、ビオチンdT、ビオチン-TEG、デュアルビオチン、PCビオチン、またはデスチオビオチン)、チオール修飾(チオール修飾剤C3 S-S、ジチオールまたはチオール修飾剤C6 S-S)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、リンカーは開裂性リンカーである。いくつかの態様では、リンカーは、バリン-アラニン-p-アミノベンジルカルバメートまたはバリン-シトルリン-p-アミノベンジルカルバメートを含む。いくつかの態様では、リンカーは、(i)マレイミド部分及び(ii)バリン-アラニン-p-アミノベンジルカルバメートまたはバリン-シトルリン-p-アミノベンジルカルバメートを含む。いくつかの態様では、EVはエキソソームである。
【0014】
本開示の組成物及び方法は、いくつかの態様において、配列番号1に対応するSTAT3転写産物のヌクレオチド1~56982、配列番号1に対応するSTAT3転写産物のヌクレオチド57003~75171、配列番号3に対応するSTAT3転写産物のヌクレオチド1~1287、または配列番号3に対応するSTAT3転写産物のヌクレオチド1306~2787内の核酸配列に相補的な長さ10~30ヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)に関する。いくつかの態様では、その連続ヌクレオチド配列は、STAT3転写産物内の核酸配列に、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%相補的である。いくつかの態様では、ASOは、ヒト細胞(例えば、HEK293細胞)において、STAT3タンパク質発現を低下させることができ、その場合、ヒト細胞は、STAT3タンパク質を発現している。いくつかの態様では、STAT3タンパク質の発現は、ASOに曝露されていないヒト細胞におけるSTAT3タンパク質の発現と比較して、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低い。いくつかの態様では、ASOは、ヒト細胞(例えば、HEK293細胞)において、STAT3 mRNAのレベルを低下させることができ、その場合、ヒト細胞は、STAT3 mRNAを発現している。いくつかの態様では、STAT3 mRNAのレベルは、ASOに曝露されていないヒト細胞のSTAT3 mRNAのレベルと比較して、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低い。いくつかの態様では、ASOは、ギャップマー、ミックスマー、またはトータルマーである。いくつかの態様では、ASOは、1つ以上のヌクレオシド類似体を含む。いくつかの態様では、ヌクレオシド類似体は、2’-O-アルキル-RNA;2’-O-メチルRNA(2’-OMe);2’-アルコキシ-RNA;2’-O-メトキシエチル-RNA(2’-MOE);2’-アミノ-DNA;2’-フルオロ-RNA;2’-フルオロ-DNA;アラビノ核酸(ANA);2’-フルオロ-ANA;または二環式ヌクレオシド類似体(LNA)を含む。いくつかの態様では、ヌクレオシド類似体の1つ以上は、糖修飾ヌクレオシドである。いくつかの態様では、糖修飾ヌクレオシドは、親和性を増強する2’糖修飾ヌクレオシドである。
【0015】
いくつかの態様では、ヌクレオシド類似体の1つ以上は、二環式糖を含むヌクレオシドを含む。いくつかの態様では、ヌクレオシド類似体の1つ以上は、LNAを含む。いくつかの態様では、LNAは、拘束エチルヌクレオシド(cEt)、2’,4’-拘束2’-O-メトキシエチル(cMOE)、α-L-LNA、β-D-LNA、2’-O,4’-C-エチレン架橋核酸(ENA)、アミノ-LNA、オキシ-LNA、チオ-LNA、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。いくつかの態様では、ASOは、1つ以上の5’-メチルシトシン核酸塩基を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号100~配列番号199のいずれか1つを含む。いくつかの態様では、ASOは、図1の設計からなる群から選択される設計を有し、図中、大文字は糖修飾ヌクレオシドであり、小文字はDNAである。いくつかの態様では、ASOは、長さが14~20ヌクレオチドである。いくつかの態様では、連続ヌクレオチド配列は、1つ以上の修飾されたヌクレオシド間結合を含む。いくつかの態様では、1つ以上の修飾されたヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエート結合である。いくつかの態様では、ヌクレオシド間結合の少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%が修飾されている。いくつかの態様では、ASOのヌクレオシド間結合の各々は、ホスホロチオエート結合である。いくつかの態様では、ASOは、少なくとも1つの非ヌクレオチドまたは非ポリヌクレオチド部分に共有結合している。いくつかの態様では、非ヌクレオチドまたは非ポリヌクレオチド部分は、タンパク質、脂肪酸鎖、糖残基、糖タンパク質、ポリマー、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、細胞外小胞は、ASOまたは複合体を含む。本開示の組成物及び方法はまた、ASOまたは複合体を含む細胞外小胞、及び薬学的に許容される希釈剤、担体、塩、またはアジュバントを含む医薬組成物に関する。いくつかの態様では、薬学的に許容される塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも1つの追加の治療薬をさらに含む。いくつかの態様では、追加の治療薬は、STAT3アンタゴニストである。いくつかの態様では、STAT3アンタゴニストは、化合物、siRNA、shRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、タンパク質、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの態様では、STAT3アンタゴニストは、抗STAT3抗体またはその断片である。本開示の組成物及び方法はまた、キットに関する。いくつかの態様では、本組成物及び方法は、細胞外小胞、ASO、もしくは複合体、または医薬組成物、及び使用説明書を含むキットに関する。本開示の組成物及び方法はまた、診断キットに関する。いくつかの態様では、本組成物及び方法は、細胞外小胞、ASO、もしくは複合体、または医薬組成物、及び使用説明書を含む診断キットに関する。
【0016】
本開示の組成物及び方法はまた、細胞外小胞、ASO、複合体、または医薬組成物を、STAT3タンパク質を発現する細胞に投与することを含む、細胞内のSTAT3タンパク質発現を阻害または低下させる方法に関し、細胞内のSTAT3タンパク質発現は、投与後に阻害または低下する。いくつかの態様では、ASOは、投与後の細胞内のSTAT3 mRNAの発現を阻害または低下させる。いくつかの態様では、STAT3 mRNAのレベルは、ASOに曝露されていない細胞内のSTAT3 mRNAのレベルと比較して、投与後に、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約100%低下する。いくつかの態様では、STAT3タンパク質の発現は、ASOに曝露されていない細胞内のSTAT3タンパク質の発現と比較して、投与後に、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%低下する。本開示の組成物及び方法はまた、有効量の細胞外小胞、ASO、複合体、または医薬組成物を対象に投与することを含む、がんの治療を必要とする対象におけるがんの治療方法に関する。
【0017】
本開示の組成物及び方法はまた、がんの治療を必要とする対象におけるがんの治療のための薬剤の製造における細胞外小胞、ASO、複合体、または医薬組成物の使用に関する。いくつかの態様では、本開示の組成物及び方法は、がんの治療を必要とする対象におけるがんの治療に使用するための、細胞外小胞、ASO、複合体、または医薬組成物に関する。いくつかの態様では、細胞外小胞、ASO、複合体、または医薬組成物を、心臓内、経口、非経口、髄腔内、側脳室内、肺、局所、または脳室内に投与する。いくつかの態様では、がんは、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮細胞肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、頭頸部扁平上皮癌、結腸直腸癌、リンパ腫、白血病、肝癌、神経膠芽細胞腫、メラノーマ、骨髄腫基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄質癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝細胞癌、胆管癌、絨毛癌、セミノーマ、胚性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣癌、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、神経膠芽細胞腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、メラノーマ、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1-1】本明細書に記載の様々なSTAT3 ASO配列と、mRNA配列(すなわち、配列番号3)におけるそれぞれの相補的配列の位置を列挙する表を示す。ASOは、5’から3’方向である。化学構造の記号は以下のとおりである:NbはLNAを意味し;dNはDNAを意味し;5MdCは5-メチル-dCを意味し;NmはMOEを意味し;sはホスホロチオエートを意味する。
図1-2】同上。
図1-3】同上。
図1-4】同上。
図1-5】同上。
図1-6】同上。
図1-7】同上。
図1-8】同上。
図1-9】同上。
図2-1】図2A~2Nは、異なるSTAT3 ASOのノックダウン効率を示す(丸)。比較として、GAPDH発現に対するSTAT3 ASOの効果も示す(四角)。図2Aは、X51550 ASOで処理した細胞におけるSTAT3 mRNA発現を示す。図2Bは、X51577 ASOで処理した細胞におけるSTAT3 mRNA発現を示す。図2Cは、X51579 ASOで処理した細胞におけるSTAT3 mRNA発現を示す。図2Dは、X51578 ASOで処理した細胞におけるmRNA発現を示す。図2Eは、X51609 ASOで処理した細胞におけるSTAT3 mRNA発現を示す。図2Fは、X51553 ASOで処理した細胞におけるSTAT3 mRNA発現を示す。図2Gは、X51548で処理した細胞におけるSTAT3 mRNA発現を示す。図2Hは、X51562 ASOで処理した細胞におけるSTAT3 mRNA発現を示す。図2Iは、X52603 ASOで処理した細胞におけるSTAT3 mRNA発現を示す。図2Jは、X51603 ASOで処理した細胞におけるSTAT3 mRNA発現を示す。図2Kは、X51538 ASOで処理した細胞におけるSTAT3 mRNA発現を示す。図2Lは、X51608で処理した細胞におけるSTAT3 mRNA発現を示す。図2Mは、X51593 ASOで処理した細胞におけるSTAT3 mRNA発現を示す。図2Nは、X51588 ASOで処理した細胞におけるSTAT3 mRNA発現を示す。
図2-2】同上。
図2-3】同上。
図3】異なるSTAT3特異的ASOで処理した細胞におけるSTAT3及びGAPDH mRNAの両方の全体的なノックダウンを示すグラフを示す。ノックダウンは、処理した細胞において残存するSTAT3及びGAPDH mRNA発現の割合として示す。試験した各ASO(「開始ヌクレオチド」、図1に記載のASOに対応、mRNA位置の列の「開始」を参照のこと)について、左側のバーは、残存するSTAT3 mRNAを表し、右側のバーは、残存するGAPDH mRNAを表す。
図4図4A~4Cは、対照(PBS)(図4C)と比較した、STAT3 Exo-ASO(図4A)及びSTAT3遊離ASO MOEバリアント(図4B)による接種後の腫瘍体積応答曲線を示す。図4Aは、エキソソームによって送達される(すなわち、EVの外面に連結される)STAT3 ASOを示し、図4Bは、溶液中で遊離して送達される(すなわち、エキソソームに充填されない)STAT3 ASOを示し、図4Cは、PBS緩衝液対照を示す。各線は、試験した異なるASOを表す。
図5】陰性対照群PBS、HEK-Exo、及びスクランブルExo-ASO、陽性対照群C18-9 100mg/kg、及び試験群STAT3 Exo-ASO、STAT3 遊離ASO、及びSTAT3 遊離ASO 2Xを使用したSTAT3遺伝子発現特性応答を示す。STAT3-Exo ASOは、エキソソームによって送達されるSTAT3を示し、一方、STAT3 遊離ASOは、4ugの用量で、溶液中で遊離して送達されるSTAT3を示し、STAT3 遊離ASO 2Xは、8μgの用量で、溶液中で遊離して送達されるSTAT3を示す。STAT3-Exo ASO(4μg)は、腫瘍溶解物全体のSTAT3発現を40%ノックダウンする。STAT3 遊離ASO(8μg)は、腫瘍溶解物全体のSTAT3発現を25%ノックダウンした。
図6図6A~6Cは、対照群PBS、スクランブルExo-ASO、STAT3 Exo-ASO MOE、及びSTAT3遊離ASO MOEへの曝露後の浸潤性MDSC/CD45(CD11b F40/80/CD45)細胞の割合を示す。図6Aは、各試験群を投与した後の浸潤性CD45+細胞の割合を示す。図6Bは、各試験群を投与した後の浸潤性マクロファージ/CD45細胞の割合を示す。図6Cは、各試験群を投与した後の浸潤性MDSC/CD45+細胞の割合を示す。
図7図7A~7Bは、対照群PBS、スクランブルExo-ASO、STAT3 Exo-ASO MOE、及びSTAT3遊離ASO MOEへの曝露後の浸潤性MDSC/総MDSC(Ly6G CD11b/IA/IE)の割合を示す。図7Aは、各試験群を投与した後の浸潤gMDSC/総MDSCの割合を示す。図7Bは、各試験群を投与した後の浸潤性mMDSC/総MDSCの割合を示す。
図8】対照群PBS、スクランブルExo-ASO、STAT3 Exo-ASO、及びSTAT3遊離ASOでの処理後の正規化されたSTAT3 mRNAカウントを示す。STAT3-Exo ASOは、エキソソームによって送達される(すなわち、EVの外面に連結される)STAT3を表し、STAT3遊離ASOは、溶液中で遊離して送達される(すなわち、EVに連結しない)STAT3を示す。
図9-1】図9A~9Dは、様々なCD47-ScaffoldX融合構築物の概略図である。図9Aは、フラグタグ付き(1083及び1084)またはフラグタグなし(1085及び1086)の全長ScaffoldX(1083及び1086)または短縮型ScaffoldX(1084及び1085)のいずれかに融合させた野生型CD47(C15S置換を含む)の細胞外ドメインを含む構築物を示す。図9Bは、フラグタグ付き(1087及び1088)またはフラグタグなし(1089及び1090)の全長ScaffoldX(1087及び1090)または短縮型ScaffoldX(1088及び1089)のいずれかに融合させたベルクロ(登録商標)CD47の細胞外ドメインを含む構築物を示す。図9Cは、野生型CD47(C15S置換を含む;1127及び1128)またはベルクロ(登録商標)-CD47(1129及び1130)の第1の膜貫通ドメインを、ScaffoldXの膜貫通ドメインと第1の細胞外モチーフを含むScaffoldX断片に置換した構築物を示す。図9Dは、フラグタグ付き(1158及び1159)またはフラグタグなし(1160及び1161)の全長ScaffoldX(1158及び1161)または短縮型ScaffoldX(1159及び1160)いずれかに融合させた最小「自己」ペプチド(GNYTCEVTELTREGETIIELK;配列番号600)を含む、様々な構築物を示す。
図9-2】同上。
図10】STAT3転写産物を標的とするASOとともに、改変エキソソームの表面上で発現させ得る例示的なマウスCD47-ScaffoldX融合構築物の発現を示す。構築物は、フラグタグ付き(1923及び1925)またはフラグタグなし(1924及び1922)の全長ScaffoldX(1923及び1922)または短縮型ScaffoldX(1925及び1924)に融合させた野生型マウスCD47(C15S置換を含む)の細胞外ドメインを含む。
図11A】他の任意の部分、例えば、生物学的活性部分と共に送達することができるニューロトロフィン-ScaffoldX融合構築物を使用してTrkを標的とする、例示的な細胞外小胞(例えば、エキソソーム)の概略図を示す。ニューロトロフィンは、ホモ二量体としてTrk受容体に結合し、EVが感覚ニューロンを標的にすることができるようになる。
図11B】EVの外面に、(i)神経向性ならびに(ii)抗食作用シグナル、例えば、CD47及び/またはCD24を有し、(iii)STAT3転写産物を標的とするASOとともに送達することができる、例示的な細胞外小胞(例えば、エキソソーム)の概略図を示す。
図12-1】図12A~12Dは、2人のドナー(例えば、黒いバー及び白いバー)由来のSTAT3 mRNAのExo-STAT3用量依存的ノックダウン(図12A)及び3人のドナー由来の初代ヒトマクロファージ(例えば、白丸、黒丸、影付きの丸)におけるM1サイトカイン産生のExo-STAT3用量依存的な増加(図12B~12D)を示す。図12Bは、TNF-α産生の結果を示す。図12Cは、IL-23産生の結果を示す。図12Dは、IL-12 p40産生の結果を示す。
図12-2】同上。
図13図13A~13Cは、本開示において開示するExo-STAT3のノックダウン効率を示す。様々な濃度のExo-STAT3で処理したHep3B肝細胞における(i)相対的なSTAT3 mRNA発現(図13A)、(ii)相対的なmcl1(STAT3下流標的遺伝子)mRNA発現(図13B)、及び(iii)相対的なSTAT3タンパク質発現(図13C)を示すことによって、ノックダウン効率を示す。使用する濃度を、x軸に沿って示す。図13A及び13Bでは、未処理の細胞及びスクランブル対照ASOを含むEVで処理した細胞を対照として使用した。図13Cでは、ScaffoldXのみを含む(すなわち、STAT3 ASOに融合していない)EVを対照として使用した。
図14】Hep3B皮下異種移植片モデルの腫瘍内治療に由来する腫瘍溶解物におけるSTAT3 mRNAのExo-STAT3ノックダウンを示す。動物を以下のいずれか1つで処置した:(i)野生型EV(丸);(ii)STAT3特異的ASOのみ(すなわち、EVに連結していない)(四角);(iii)STAT3特異的ASOのみを含む野生型EV(すなわち、ScaffoldXに融合していない)(菱形);及び(iv)ScaffoldX(PTGFRN)に融合させ、EVの外面に連結させたSTAT3特異的ASOを含むEV(「三角」)。
図15】Octetを使用して測定した、AF568標識したエキソソームの、CD33への結合動態を示す。「可溶性hP67.6」は、組換えヒトCD33細胞外ドメインへの可溶性抗CD33抗体の結合を表す。「PrX」及び「PrX-AF568」は、それぞれ、PTGFRN過剰発現エキソソーム及びNHS-AlexaFluor568で標識したPTGFRN過剰発現エキソソームの、組換えヒトCD33細胞外ドメインへの結合を表す。「ALFA」及び「ALFA-AF568」は、NHS-Alexa Fluor568標識の存在下または非存在下での、組換えヒトCD33細胞外ドメインへのALFAナノボディ発現エキソソームの結合を表す。「野生型」及び「野生型-AF568」は、NHS-Alexa Fluor568標識の存在下または非存在下での、組換えヒトCD33細胞外ドメインへの野生型エキソソームの結合を表す。「ALFA-hP67.6」及び「ALFA-hP67.6-AF568」は、可溶性ALFAタグ付きhP67.6aCD33抗体に結合したALFAナノボディ発現エキソソームの、NHS-Alexa Fluor568標識の存在下または非存在下での組換えヒトCD33細胞外ドメインへの結合を表す。
図16-1】図16A~16Fは、AML細胞におけるCD33標的化エキソソーム(すなわち、抗CD33標的化部分を含む)の取り込みの増加を示す。図16Aは、MV4-11細胞におけるエキソソームの取り込みを示す。図16Bは、KG1細胞におけるエキソソームの取り込みを示す。図16Cは、RAW264.7細胞におけるエキソソームの取り込みを示す。図16Dは、MOI 1×10でのMV4-11、KG1、及びRAW264.7細胞におけるエキソソームの取り込みを示す。図16Eは、MOI 1.25×10でのMV4-11、KG1、及びRAW264.7細胞におけるエキソソームの取り込みを示す。図16Fは、MOI 1.56×10でのMV4-11、KG1、及びRAW264.7細胞におけるエキソソームの取り込みを示す。
図16-2】同上。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示は、STAT3アンタゴニストを含む細胞外小胞(EV)(例えばエキソソーム)に関する。いくつかの態様では、STAT3アンタゴニストは、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を含む。いくつかの態様では、ASOは、STAT3転写産物内の核酸配列に相補的な長さ10~30ヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)は、足場タンパク質をさらに含む。
【0020】
I. 定義
本記載を、より容易に理解することができるように、特定の用語を最初に定義する。さらなる定義は、詳細な説明の全体を通して記載されている。
【0021】
用語「a」または「an」実体とは、その実体の1つ以上を指すことに留意されたい;例えば、「ヌクレオチド配列」は、1つ以上のヌクレオチド配列を表すと理解される。したがって、用語「a」(または「an」)、「1つ以上」、及び「少なくとも1つ」は、本明細書中では同じ意味で用いられる。
【0022】
さらに、本明細書中で使用する「及び/または」は、他方の有無にかかわらず、指定された2つの機能または成分のそれぞれの特定の開示として解釈される。したがって、本明細書中の「A及び/またはB」などの語句で使用される用語「及び/または」とは、「A及びB」、「AまたはB」、「A」(単独)、及び「B」(単独)を含むことを意図する。同様に、「A、B、及び/またはC」などの語句で使用される用語「及び/または」は、以下の各態様を包含することを意図している:A、B、及びC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);及びC(単独)。
【0023】
態様が本明細書で「含む」という言葉で記載される場合は常に、さもなければ「からなる」及び/または「から本質的になる」という用語で記載される類似の態様もまた提供されることを理解されたい。
【0024】
他に定義されない限り、本明細書中で使用するすべての技術用語及び科学用語は、本開示に関連する技術分野の当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。例えば、the Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology,Juo,Pei-Show,2nd ed.,2002,CRC Press;The Dictionary of Cell and Molecular Biology,3rd ed.,1999,Academic Press;及びthe Oxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology,Revised,2000,Oxford University Pressは、本開示で使用される多くの用語の一般的な辞書とともに技術の1つを提供する。
【0025】
単位、接頭辞、及び記号は、Systeme International de Unites (SI)で承認された形式で示される。数値範囲は、その範囲を定義する数を含むものとする。特に明記しない限り、ヌクレオチド配列は、左から右へ5’から3’の向きで記述される。アミノ酸配列は、左から右へアミノからカルボキシの方向で記述される。本明細書中で提供する見出しは、本明細書全体を参照することによって有し得る本開示の様々な態様を制限するものではない。したがって、すぐ下で定義する用語は、明細書全体を参照することにより、より完全に定義される。
【0026】
用語「約」とは、本明細書中では、およそ、ほぼ、大まかに、または近位を意味するために使用される。用語「約」を数値範囲と併用して使用する場合、この用語は、記載の数値の境界を上下に引き伸ばすことによって、その範囲を修飾する。一般的に、用語「約」は、記載の値の上下の数値を、例えば上下10%の変動(より高くまたはより低く)で、修飾することができる。例えば、「ASOは、ASOの投与後の細胞におけるSTAT3タンパク質の発現を少なくとも約60%減少させる」と述べられる場合、それはSTAT3レベルが50%~70%の範囲で減少することを意味する。
【0027】
用語「アンチセンスオリゴヌクレオチド」(ASO)とは、ヌクレオチド間結合を介して互いに共有結合している、天然のヌクレオシドまたはその修飾形態などのヌクレオシドのオリゴマーまたはポリマーを指す。本開示に有用なASOは、少なくとも1つの非天然のヌクレオシドを含む。ASOは、標的核酸に少なくとも部分的に相補的であり、その結果、ASOは、標的核酸配列にハイブリダイズする。
【0028】
用語「核酸」または「ヌクレオチド」は、複数の核酸を包含することを意図している。いくつかの態様では、用語「核酸」または「ヌクレオチド」は、標的配列、例えば、in vivoまたはin vitroでのプレmRNA、mRNA、またはDNAを指す。この用語が標的配列中の核酸またはヌクレオチドを指す場合、核酸またはヌクレオチドは、細胞内で天然に存在する配列であり得る。他の態様では、「核酸」または「ヌクレオチド」は、本開示のASO中の配列を指す。この用語がASOの配列を指す場合、核酸またはヌクレオチドは、非天然、すなわち、化学合成されたか、酵素産生されたか、組換え産生されたか、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。いくつかの態様では、ASO中の核酸またはヌクレオチドは、合成的または組換え的に産生されるが、天然の配列またはその断片ではない。いくつかの態様では、ASO中の核酸またはヌクレオチドは、自然界に天然に存在しない少なくとも1つのヌクレオシド類似体を含むため、非天然である。
【0029】
本明細書中で使用する用語「ヌクレオチド」とは、糖部分、塩基部分、及びリン酸またはホスホロチオエートヌクレオチド間結合基などの共有結合基(結合基)を含むグリコシドを指し、これには、天然のヌクレオチド、例えば、DNAまたはRNA、ならびに本明細書中では「ヌクレオチド類似体」とも呼ばれる、修飾された糖及び/または塩基部分を含む非天然ヌクレオチドの両方が含まれる。本明細書中では、単一のヌクレオチドは、単量体またはユニットと呼ばれ得る。特定の態様では、用語「ヌクレオチド類似体」とは、修飾された糖部分を有するヌクレオチドを指す。修飾された糖部分(例えば、LNA)を有するヌクレオチドの非限定的な例は、本明細書中の他の場所に開示されている。特定の態様では、用語「ヌクレオチド類似体」とは、修飾された糖部分を有するヌクレオチドを指す。修飾された核酸塩基部分を有するヌクレオチドとして、5-メチル-シトシン、イソシトシン、シュードイソシトシン、5-ブロモウラシル、5-プロピニルウラシル、6-アミノプリン、2-アミノプリン、イノシン、ジアミノプリン、及び2-クロロ-6-アミノプリンが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの態様では、用語「ヌクレオチド」、「ユニット」及び「単量体」は、同じ意味で用いられる。ヌクレオチドまたは単量体の配列が言及される場合、言及されるのは、A、T、G、CまたはUなどの塩基の配列、及びその類似体であることが理解されよう。
【0030】
本明細書中で使用する用語「ヌクレオシド」は、糖部分及び塩基部分を含むグリコシドを指すために使用され、したがって、ASOのヌクレオチド間のヌクレオチド間結合によって共有結合的に連結されるヌクレオチド単位を指す場合に使用することができる。バイオテクノロジーの分野では、用語「ヌクレオチド」は、核酸の単量体またはユニットを指すためによく使用される。ASOに関して、用語「ヌクレオチド」とは、塩基のみ、すなわち、シトシン(DNA及びRNA)、グアニン(DNA及びRNA)、アデニン(DNA及びRNA)、チミン(DNA)を含む核酸塩基配列を指すことができる。糖骨格とヌクレオチド間結合の存在が暗示されているウラシル(RNA)。同様に、特にヌクレオチド間結合基の1つ以上が修飾されているオリゴヌクレオチドの場合、用語「ヌクレオチド」は「ヌクレオシド」を指し得る。例えば、用語「ヌクレオチド」は、ヌクレオシド間の結合の存在または性質を特定する場合でさえ、使用することができる。
【0031】
本明細書中で使用する用語「ヌクレオチド長」は、所与の配列中のヌクレオチド(単量体)の総数を意味する。例えば、配列が20ヌクレオチドを有する場合、配列のヌクレオチド長は20である。したがって、用語「ヌクレオチド長」は、本明細書中では「ヌクレオチド番号」と同じ意味で用いられる。
【0032】
当業者が認識するように、オリゴヌクレオチドの5’末端ヌクレオチドは、5’末端基を含み得るが、5’ヌクレオチド間結合基を含まない。
【0033】
本明細書に記載の化合物は、いくつかの非対称中心を含むことができ、光学的に純粋なエナンチオマー、例えば、ラセミ体、ジアステレオ異性体の混合物、ジアステレオ異性体ラセミ体またはジアステレオ異性体ラセミ体の混合物などのエナンチオマーの混合物の形態で存在し得る。いくつかの態様では、不斉中心は不斉炭素原子であり得る。用語「不斉炭素原子」とは、4つの異なる置換基を有する炭素原子を意味する。カーン・インゴルド・プレローグ順位則によれば、不斉炭素原子は、「R」または「S」配置であり得る。
【0034】
本明細書中で使用する場合、用語「二環式糖」とは、4~7員環の2個の原子をつないで第2の環を形成して、二環式構造をもたらす架橋を含む4~7員環を含む修飾糖部分を意味する。いくつかの態様では、架橋は、LNAヌクレオシドで観察されるように、ヌクレオシドのリボース糖環のC2’とC4’を接続する(すなわち、2’-4’架橋)。
【0035】
本明細書中で使用する場合、「コード領域」または「コード配列」は、アミノ酸に翻訳可能なコドンからなるポリヌクレオチドの一部である。「終止コドン」(TAG、TGA、またはTAA)は通常、アミノ酸に翻訳されないものの、コード領域の一部と見なし得るが、隣接する配列、例えば、プロモーター、リボソーム結合部位、転写ターミネーター、イントロン、非翻訳領域(「UTR」)などは、コード領域の一部ではない。コード領域の境界は、通常、得られたポリペプチドのアミノ末端をコードする5’末端の開始コドンと、得られたポリペプチドのカルボキシル末端をコードする3’末端の翻訳終止コドンによって決定される。
【0036】
本明細書中で使用する用語「非コード領域」とは、コード領域ではないヌクレオチド配列を意味する。非コード領域の例として、プロモーター、リボソーム結合部位、転写ターミネーター、イントロン、非翻訳領域(「UTR」)、非コードエキソンなどが挙げられるが、これらに限定されない。一部のエキソンは、各転写産物の5’非翻訳領域(5’UTR)または3’非翻訳領域(3’UTR)の全体または一部であり得る。非翻訳領域は、転写産物を効率的に翻訳し、翻訳速度と転写産物の半減期を制御するために重要である。
【0037】
ヌクレオチド配列に関して使用する場合の用語「領域」とは、その配列の部分を指す。例えば、語句「ヌクレオチド配列内の領域」または「ヌクレオチド配列の補体内の領域」とは、それぞれ、特定のヌクレオチド配列内またはヌクレオチド配列の補体内に位置し、ヌクレオチド配列より短いが、少なくとも10ヌクレオチドより長い配列を指す。用語「部分配列(sub-sequence)」または「部分配列(subsequence)」もまた、ヌクレオチド配列の領域を指し得る。
【0038】
ヌクレオチド配列に言及する場合の用語「下流」とは、核酸またはヌクレオチド配列が参照ヌクレオチド配列の3’側に位置することを意味する。特定の態様では、下流のヌクレオチド配列は、転写の開始点に続く配列に関連している。例えば、遺伝子の翻訳開始コドンは、転写開始部位の下流に位置する。
【0039】
用語「上流」とは、参照ヌクレオチド配列の5’側に位置するヌクレオチド配列を指す。
【0040】
本明細書中で使用する場合、用語「調節領域」とは、コード領域の上流(5’非コード配列)、内部、または下流(3’非コード配列)に位置し、関連するコード領域の転写、RNAプロセシング、安定性、または翻訳に影響を与えるヌクレオチド配列を指す。調節領域には、プロモーター、翻訳リーダー配列、イントロン、ポリアデニル化認識配列、RNAプロセシング部位、エフェクター結合部位、UTR、及びステムループ構造が含まれ得る。コード領域が真核細胞での発現を目的としている場合、ポリアデニル化シグナル及び転写終結配列が、通常、コード配列の3’側に位置する。
【0041】
本明細書中で使用する用語「転写産物」は、DNAの転写によって合成され、プロセシング後にメッセンジャーRNA(mRNA)になる一次転写産物、すなわち、メッセンジャーRNA前駆体(プレmRNA)、及びプロセシングされたmRNA自体を指し得る。用語「転写産物」は、「プレmRNA」及び「mRNA」と同じ意味で用いられ得る。DNA鎖が一次転写産物に転写された後、この新規合成された一次転写産物はいくつかの方法で修飾され、成熟した機能的な形態に変換されて、mRNA、tRNA、rRNA、lncRNA、miRNAなどの様々なタンパク質及びRNAを生成する。したがって、用語「転写産物」には、エキソン、イントロン、5’UTR、及び3’UTRが含まれ得る。
【0042】
本明細書中で使用する用語「発現」とは、ポリヌクレオチドが、遺伝子産物、例えば、RNAまたはポリペプチドを産生するプロセスを指す。これには、ポリヌクレオチドからメッセンジャーRNA(mRNA)への転写及びmRNAからポリペプチドへの翻訳が含まれるが、これらに限定されない。発現は、「遺伝子産物」を生成する。本明細書中で使用する場合、遺伝子産物は、核酸、例えば、遺伝子の転写によって生成されるメッセンジャーRNA、または転写産物から翻訳されるポリペプチドのいずれかであり得る。本明細書に記載の遺伝子産物には、転写後修飾、例えば、ポリアデニル化もしくはスプライシングを有する核酸、または翻訳後修飾、例えば、メチル化、グリコシル化、脂質の付加、他のタンパク質サブユニットとの会合、もしくはタンパク質分解切断を有するポリペプチドがさらに含まれる。
【0043】
2つ以上の核酸に関する用語「同一」または「同一性」の割合とは、比較し、保存的アミノ酸置換を配列同一性の一部として考慮せずに、対応を最大化するためにアラインメントする(必要に応じてギャップを導入する)場合に、同一であるか、またはヌクレオチド残基もしくはアミノ酸残基の特定の割合が同一である2つ以上の配列を指す。同一性の割合は、配列比較ソフトウェアまたはアルゴリズムを使用して、または目視検査によって測定することができる。アミノ酸配列またはヌクレオチド配列のアラインメントを得るために使用することができる様々なアルゴリズム及びソフトウェアは、当技術分野で公知である。
【0044】
配列アラインメントアルゴリズムのそのような非限定的な一例は、Karlin et al.,1990,Proc.Natl.Acad.Sci.,87:2264-2268に記載されており、Karlin et al.,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.,90:5873-5877において改修され、さらにNBLAST及びXBLASTプログラム(Altschul et al.,1991,Nucleic Acids Res.,25:3389-3402)に組み込まれている。特定の態様では、Gapped BLASTは、Altschul et al.,1997,Nucleic Acids Res.25:3389-3402に記載されているように使用することができる。BLAST-2,WU-BLAST-2(Altschul et al.,1996,Methods in Enzymology,266:460-480),ALIGN,ALIGN-2(Genentech,South San Francisco,California)またはMegalign(DNASTAR)は、配列をアラインメントするために使用することができる、一般的に利用可能な追加のソフトウェアプログラムである。特定の態様では、2つのヌクレオチド配列間の同一性の割合を、GCGソフトウェアパッケージのGAPプログラムを使用して(例えば、NWSgapdna.CMPマトリックスならびに40、50、60、70、または90のギャップ重み及び1、2、3、4、5、または6の長さ重みを使用して)、決定する。特定の代替の態様では、Needleman及びWunschのアルゴリズム(J.Mol.Biol.(48):444-453(1970))を組み込んだGCGソフトウェアパッケージのGAPプログラムを使用して(例えば、BLOSUM62マトリックスまたはPAM250マトリックスのいずれか、ならびにギャップの重み16、14、12、10、8、6、または4、及び長さの重み1、2、3、4、5を使用して)、2つのアミノ酸配列間の同一性の割合を決定することができる。あるいは、特定の態様では、ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列間の同一性の割合を、Myers and Millerのアルゴリズム(CABIOS,4:11-17(1989))を使用して決定する。例えば、同一性の割合を、ALIGNプログラム(バージョン2.0)を使用し、PAM120残基重み表、ギャップ長ペナルティ12及びギャップペナルティ4を使用して決定することができる。当業者は、特定のアライメントソフトウェアにより、最大アラインメントのための適切なパラメータを決定することができる。特定の態様では、アラインメントソフトウェアのデフォルトパラメータを使用する。
【0045】
特定の態様では、第2のヌクレオチド配列に対する第1のヌクレオチド配列の同一性の割合「X」は、100×(Y/Z)として計算され、式中、Yは、第1及び第2の配列のアラインメント(目視検査または特定の配列アラインメントプログラムによってアラインメントする)において同一の一致としてスコア付けされたアミノ酸残基の数であり、Zは、第2の配列中の残基の総数である。第1の配列の長さが第2の配列よりも長い場合、第2の配列に対する第1の配列の同一性の割合は、第1の配列に対する第2の配列の同一性の割合よりも高くなる。
【0046】
ポリヌクレオチド参照配列とアラインメントする単一のポリヌクレオチド標的配列内の異なる領域は、各々が、それら固有の配列同一性の割合を有し得る。配列同一性の割合の値は、最も近似の10分の1に丸められることに留意されたい。例えば、80.11、80.12、80.13、及び80.14は、80.1に切り捨てられ、一方、80.15、80.16、80.17、80.18、及び80.19は、80.2に切り上げられる。また、長さの値は常に整数になることに留意されたい。
【0047】
本明細書中で使用する場合、用語「相同」及び「相同性」は、用語「同一性」及び「同一」と同じ意味である。
【0048】
用語「その天然のバリアント」とは、マウス、サル、及びヒトなどの哺乳類などの定義された分類学的群内に天然に存在するSTAT3ポリペプチド配列またはSTAT3核酸配列(例えば、転写産物)のバリアントを指す。一般的には、ポリヌクレオチドの「天然のバリアント」に言及する場合、この用語はまた、染色体転座または複製による、247,416,156~247,449,108(すなわち、GenBank登録番号NG_007370.1のヌクレオチド5,001~80,171)の染色体位置17q21.2に認められるSTAT3をコードするゲノムDNAの任意の対立遺伝子バリアント、及びそれに由来するmRNAなどのRNAを包含し得る。「天然のバリアント」はまた、STAT3 mRNAの選択的スプライシングに由来するバリアントを含み得る。特定のポリペプチド配列に言及する場合、例えば、この用語はまた、タンパク質の天然の形態を含み、この形態は、したがって、例えば、シグナルペプチド切断、タンパク質分解切断、グリコシル化などの翻訳時修飾または翻訳後修飾によってプロセシングされ得る。特定のポリペプチド配列に言及する場合、例えば、この用語はまた、タンパク質の天然の形態を含み、したがって、例えば、シグナルペプチド切断、タンパク質分解切断、グリコシル化などの翻訳時修飾または翻訳後修飾によってプロセシングされ得る。
【0049】
本開示のASO(またはその領域)と、本明細書に開示するものなどの哺乳類STAT3(例えば、STAT3遺伝子)をコードする核酸の標的領域との間の「相補性」の程度を決定する際に、「相補性」(及び「相同性」または「同一性」)の程度は、ASO(またはその領域)の配列と、それに最もよく一致する標的領域(または標的領域の逆相補)配列との間の同一性の割合(または相同性の割合)として表される。割合は、2つの配列間で同一であるアラインメントされた塩基の数を計数し、ASO内の連続する単量体の総数で割り、100を掛けることによって計算される。そのような比較において、ギャップが存在する場合、そのようなギャップは、本開示のASOと標的領域との間でギャップ内の単量体の数が異なる領域ではなく、単にミスマッチであることが好ましい。
【0050】
本明細書中で使用する用語「相補体」とは、参照配列に相補的な配列を示す。相補性は、2つのDNAまたはRNA配列間で共有される特性であり、互いに逆平行にアラインメントすると、鏡を見て物事の逆を見るのと同じように、配列の各位置のヌクレオチド塩基が相補的となることから、DNA複製及び転写の基本原理であることは周知である。したがって、例えば、5’「ATGC」3’の配列の相補体は、3’「TACG」5’または5’「GCAT」3’と記述することができる。本明細書中で使用する用語「逆相補体」、「逆相補的」、及び「逆相補性」は、用語「相補体」、「相補的」、及び「相補性」と同じ意味である。いくつかの態様では、用語「相補的」とは、STAT3転写産物内の連続する核酸配列に対する100%の一致または相補性(すなわち、完全に相補的)を指す。いくつかの態様では、用語「相補的」とは、STAT3転写産物内の連続する核酸配列に対して、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の一致または相補性であることを指す。
【0051】
2つの別個の核酸配列またはヌクレオチド配列に言及する場合、用語「対応する(corresponding to)」及び「対応する(corresponds to)」は、相同性及び/または機能性に基づいて互いに対応または類似する配列の領域を明確にするために使用することができるが、特定の配列のヌクレオチドには異なる番号が付され得る。例えば、遺伝子転写産物の異なるアイソフォームは、ヌクレオチド配列の類似または保存された部分を有することができ、その付番は、選択的スプライシング及び/または他の修飾に基づいてそれぞれのアイソフォームで異なり得る。さらに、核酸配列またはヌクレオチド配列を特徴決定する場合に、異なる付番系を使用することができることを理解されたい(例えば、遺伝子転写産物、及び翻訳開始コドンから配列の付番を開始するか、または5’UTRを含めるか)。さらに、遺伝子または遺伝子転写産物の異なるバリアントの核酸配列またはヌクレオチド配列は、様々に異なり得ることを理解されたい。しかしながら、本明細書中で使用する場合、核酸配列またはヌクレオチド配列の相同性及び/または機能性を共有するバリアントの領域は、互いに「対応する」と見なされる。例えば、配列番号1(「参照配列」)のヌクレオチドXからYに対応するSTAT3転写産物のヌクレオチド配列は、配列番号1のヌクレオチドXからYと同一の配列または類似の配列を有するSTAT3転写産物配列(例えば、STAT3プレmRNAまたはmRNA)を指す(式中、Xは開始部位であり、Yは終了部位である(図1に示すように))。当業者であれば、STAT3転写配列(配列番号3)を配列番号1とアラインメントすることにより、STAT3転写配列中の対応するX残基及びY残基を同定することができる。
【0052】
用語「対応するヌクレオチド類似体」及び「対応するヌクレオチド」とは、ヌクレオチド類似体及び天然のヌクレオチドの核酸塩基が、同じ対形成またはハイブリダイズ能力を有することを示すことを意図している。例えば、ヌクレオチドの2-デオキシリボースユニットがアデニンに連結されている場合、「対応するヌクレオチド類似体」は、アデニンに連結されたペントースユニット(2-デオキシリボースとは異なる)を含む。
【0053】
ASO化学構造の注釈は以下のとおりである β-D-オキシLNAヌクレオチドはOxyBで示され、式中、Bは、チミン(T)、ウリジン(U)、シトシン(C)、5-メチルシトシン(MC)、アデニン(A)またはグアニン(G)などのヌクレオチド塩基を示し、したがってOxyA、OxyT、OxyMC、OxyC及びOxyGが含まれる。DNAヌクレオチドはDNAbで示され、式中、小文字のbはチミン(T)、ウリジン(U)、シトシン(C)、5-メチルシトシン(Mc)、アデニン(A)、グアニン(G)などのヌクレオチド塩基を示し、したがって、DNAa、DNAt、DNA、及びDNAgが含まれる。Cまたはcの前の文字Mは、5-メチルシトシンを示す。文字「s」は、ホスホロチオエートヌクレオチド間結合を示す。
【0054】
本明細書中で使用する場合、用語「ASO番号(ASO Number)」または「ASO番号(ASO No.)」とは、成分、例えば、ヌクレオシド(例えば、DNA)、ヌクレオシド類似体(例えば、β-D-オキシ-LNA)、核酸塩基(例えば、A、T、G、C、U、またはMC)の詳細な化学構造、及びバックボーン構造(例えば、ホスホロチオエートまたはホスホロジエステル)を有するヌクレオチド配列に与えられる固有の番号を指す。例えば、ASO-STAT3-2559は、STAT3-2559(配列番号100)を指し得る。
【0055】
「効力」は通常、特に明記しない限り、IC50またはEC50値として、μM、nM、またはpMで表される。効力は、阻害率で表すこともできる。IC50は、治療用分子の阻害濃度の中央値である。EC50は、ビヒクルまたは対照(生理食塩水など)に対する治療用分子の有効濃度の中央値である。機能アッセイにおいて、IC50とは、治療用分子によって達成される、生物学的応答、例えば、mRNAの転写またはタンパク質の発現を、その生物学的応答の50%まで減少させる治療用分子の濃度である。機能アッセイにおいて、EC50とは、生物学的応答、例えば、mRNAの転写またはタンパク質の発現の50%を生成させる治療用分子の濃度である。IC50またはEC50は、当技術分野で公知の任意の数の手段によって計算することができる。
【0056】
本明細書中で使用する場合、例えば、STAT3遺伝子転写産物及び/またはSTAT3タンパク質の発現を「阻害する」という用語は、細胞または組織内のSTAT3遺伝子転写産物及び/またはSTAT3タンパク質の発現を低下させるASOを指す。いくつかの態様では、用語「阻害する」とは、STAT3遺伝子転写産物またはSTAT3タンパク質の完全な阻害(100%阻害または検出不可能なレベル)を指す。他の態様では、用語「阻害する」とは、細胞または組織内のSTAT3遺伝子転写産物及び/またはSTAT3タンパク質の発現を、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%阻害することを指す。
【0057】
本明細書中で使用する場合、用語「細胞外小胞」すなわち「EV」とは、内部空間を封入する膜を含む細胞由来小胞を指す。細胞外小胞は、それらが由来する細胞よりも小さい直径を有するすべての膜結合小胞(例えば、エキソソーム、ナノ小胞)を含む。いくつかの態様では、細胞外小胞は、直径が20nm~1000nmの範囲であり、内部空間(すなわち、ルーメン)内で、細胞外小胞の外部表面に提示されて、及び/または膜にわたってのいずれかで、様々な高分子ペイロードを含み得る。いくつかの態様では、ペイロードは、核酸、タンパク質、炭水化物、脂質、小分子、及び/またはそれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、足場部分を含む。例として、及び限定されないが、細胞外小胞は、アポトーシス小体、細胞の断片、直接的操作または間接的操作による細胞由来の小胞(例えば、連続押出またはアルカリ溶液での処理による)、小胞化オルガネラ、及び生細胞により産生される小胞(例えば、直接原形質膜出芽または後期エンドソームの原形質膜との融合による)を含む。細胞外小胞は、生きているもしくは死んだ生物、外植された組織もしくは器官、及び/または培養された細胞に由来し得る。いくつかの態様では、細胞外小胞は、1つ以上の導入遺伝子産物を発現する細胞によって生成される。
【0058】
本明細書中で使用する場合、用語「エキソソーム」とは、直径が20~300nmの間(例えば、40~200nmの間)の細胞外小胞を指す。エキソソームは、内部空間(すなわち、内腔)を囲む膜を含み、いくつかの態様では、直接の原形質膜出芽によって、または後期エンドソームと原形質膜との融合によって、細胞(例えば、プロデューサー細胞)から生成され得る。いくつかの態様では、エキソソームは足場部分を含む。以下に記載するように、エキソソームは、プロデューサー細胞に由来することができ、そのサイズ、密度、生化学的パラメータ、またはそれらの組み合わせに基づいてプロデューサー細胞から単離され得る。いくつかの態様では、本開示のEV、例えば、エキソソームは、1つ以上の導入遺伝子産物を発現する細胞によって生成される。
【0059】
本明細書中で使用する場合、用語「ナノ小胞」とは、直径が20~250nm(例えば、30~150nm)の細胞外小胞を指し、細胞(例えば、プロデューサー細胞)から、操作なしでは細胞によってナノ小胞が生成されないような、直接または間接の操作によって生成される。ナノ小胞を産生するための細胞の適切な操作には、連続押出、アルカリ溶液での処理、超音波処理、またはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの態様では、ナノ小胞の産生は、プロデューサー細胞の破壊を生じ得る。いくつかの態様では、本明細書に記載のナノ小胞の集団は、原形質膜からの直接出芽または後期エンドソームの原形質膜との融合により、細胞に由来する小胞を実質的に含まない。いくつかの態様では、ナノ小胞は、足場部分を含む。以前にプロデューサー細胞に由来したナノ小胞は、そのサイズ、密度、生化学的パラメータ、またはそれらの組み合わせに基づいてプロデューサー細胞から単離され得る。
【0060】
本明細書中で使用する場合、用語「表面改変EV、例えば、エキソソーム」(例えば、ScaffoldX改変EV、例えば、エキソソーム)とは、改変EV(例えばエキソソーム)の表面が、改変前のEV(例えばエキソソーム)の表面、または天然のEV(例えばエキソソーム)の表面とは異なっているように、その組成が改変されたEV(例えばエキソソーム)の膜または表面を有するEV(例えばエキソソーム)を指す。改変は、EV(例えばエキソソーム)の表面上、またはEV(例えばエキソソーム)の膜内に対して行うことができ、その結果、EV(例えばエキソソーム)の表面が変化する。例えば、膜は、そのタンパク質、脂質、小分子、炭水化物などの組成が改変される。組成は、化学的、物理的、もしくは生物学的方法によって、または化学的、物理的、もしくは生物学的方法によって、あらかじめまたは同時に改変した細胞から産生させることによって、変更することができる。具体的には、組成は、遺伝子工学によって、または遺伝子工学によってあらかじめ改変した細胞から産生させることによって、変更することができる。いくつかの態様では、表面改変されたEV、例えば、エキソソームは、外来性タンパク質(すなわち、EV(例えばエキソソーム)が天然に発現しないタンパク質)またはその断片もしくはバリアントを含み、これらは、EV(例えばエキソソーム)の表面に露出し得るか、またはEV(例えばエキソソーム)の表面に露出した部分の固定点(接着部)であり得る。他の態様では、表面改変されたEV(例えばエキソソーム)は、高発現(例えば、多数)の、天然のエキソソームタンパク質(例えば、ScaffoldX)またはその断片もしくはバリアントを含み、これらは、EV(例えばエキソソーム)の表面に露出し得るか、またはEV(例えばエキソソーム)の表面に露出した部分の固定点(接着部)であり得る。
【0061】
本明細書中で使用する場合、用語「内腔改変エキソソーム」(例えば、ScaffoldY改変エキソソーム)とは、改変EV(例えばエキソソーム)の内腔が、改変前のEV(例えばエキソソーム)の内腔、または天然のEV(例えばエキソソーム)の内腔とは異なっているように、その組成が改変されたEV(例えばエキソソーム)の膜または内腔を有するEV(例えばエキソソーム)を指す。改変は、EV(例えばエキソソーム)の内腔内または膜内で直接行うことができ、その結果、EV(例えばエキソソーム)の内腔が変化する。例えば、膜は、そのタンパク質、脂質、小分子、炭水化物などの組成が改変され、その結果、EV(例えばエキソソーム)の内腔が改変される。組成は、化学的、物理的、もしくは生物学的方法によって、または化学的、物理的、もしくは生物学的方法によって、あらかじめ改変した細胞から産生させることによって、変更することができる。具体的には、組成は、遺伝子工学によって、または遺伝子工学によってあらかじめ改変した細胞から産生させることによって、変更することができる。いくつかの態様では、内腔を改変されたエキソソームは、外来性タンパク質(すなわち、EV(例えばエキソソーム)が天然に発現しないタンパク質)またはその断片もしくはバリアントを含み、これらは、EV(例えばエキソソーム)の内腔に露出し得るか、またはEV(例えばエキソソーム)の内層に露出した部分の固定点(接着部)であり得る。他の態様では、内腔を改変されたEV(例えばエキソソーム)は、高発現の天然のエキソソームタンパク質(例えば、ScaffoldXまたはScaffoldY)またはその断片もしくはバリアントを含み、これらは、エキソソームの内腔に露出し得るか、またはエキソソームの内腔に露出した部分の固定点(接着部)であり得る。
【0062】
用語「改変された」とは、本明細書に記載のEV(例えばエキソソーム)に関して使用される場合、改変されたEV(例えばエキソソーム)が天然のEV(例えばエキソソーム)とは異なっているように、EV(例えばエキソソーム)を変更または改変することを指す。いくつかの態様では、本明細書に記載の改変EV(例えばエキソソーム)は、天然のEV(例えばエキソソーム)の膜と比較して、タンパク質、脂質、小分子、炭水化物などの組成が異なる膜を含む(例えば、膜はより高い密度または数の天然エキソソームタンパク質を含み、及び/または膜は、エキソソーム(例えば、ASO)には天然に見出されないタンパク質を含む。特定の態様では、膜に対するそのような改変は、EV(例えばエキソソーム)(例えば、本明細書に記載の表面改変されたEV(例えばエキソソーム))の外面を変化させる。特定の態様では、膜に対するそのような改変は、EV(例えばエキソソーム)(例えば、本明細書に記載の内腔を改変されたEV(例えばエキソソーム))の内腔を変化させる。
【0063】
本明細書中で使用する場合、用語「足場部分」とは、ペイロードまたは任意の他の目的の化合物(例えば、ASO)を、EV(例えばエキソソーム)の内腔表面または外面のいずれかにおいて、EV(例えばエキソソーム)に固定するために使用することができる分子を指す。特定の態様では、足場部分は合成分子を含む。いくつかの態様では、足場部分は、非ポリペプチド部分を含む。他の態様では、足場部分は、EV(例えばエキソソーム)に天然に存在する脂質、炭水化物、またはタンパク質を含む。いくつかの態様では、足場部分は、EV(例えばエキソソーム)に天然には存在しない脂質、炭水化物、またはタンパク質を含む。特定の態様では、足場部分はScaffoldXである。いくつかの態様では、足場部分はScaffoldYである。さらなる態様では、足場部分は、ScaffoldX及びScaffoldYの両方を含む。本開示とともに使用し得る他の足場部分として:アミノペプチダーゼN(CD13);ネプリライシン、別名膜メタロエンドペプチダーゼ(MME);エクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼファミリーメンバー1(ENPP1);ニューロピリン-1(NRP1);CD9、CD63、CD81、PDGFR、GPIアンカータンパク質、ラクトアドヘリン(MFGE8)、LAMP2、及びLAMP2Bが挙げられる。
【0064】
本明細書中で使用する場合、用語「ScaffoldX」とは、エキソソームの表面で最近同定されたエキソソームタンパク質を指す。例えば、米国特許第10,195,290号を参照されたい(その全体が参照により本明細書に援用される)。ScaffoldXタンパク質の非限定的な例として:プロスタグランジンF2受容体ネガティブレギュレーター(「PTGFRNタンパク質」);バシギン(「BSGタンパク質」);免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー2(「IGSF2タンパク質」);免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー3(「IGSF3タンパク質」);免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー8(「IGSF8タンパク質」);インテグリンβ1(「ITGB1タンパク質」);インテグリンα4(「ITGA4タンパク質」);4F2細胞表面抗原重鎖(「SLC3A2タンパク質」);及びATPトランスポータータンパク質の一クラス(「ATP1A1タンパク質」、「ATP1A2タンパク質」、「ATP1A3タンパク質」、「ATP1A4タンパク質」、「ATP1B3タンパク質」、「ATP2B1タンパク質」、「ATP2B2タンパク質」、「ATP2B3タンパク質」、「ATP2Bタンパク質」);及びその機能的断片が挙げられる。いくつかの態様では、ScaffoldXタンパク質は、タンパク質全体またはその断片(例えば、機能的断片、例えば、EV(例えば、エキソソーム)の外面または内腔表面上に別の部分を固定することができる最小断片)であり得る。いくつかの態様では、ScaffoldXは、部分(例えば、ASO)を、エキソソームの外面または内腔表面に固定することができる。
【0065】
本明細書中で使用する場合、用語「ScaffoldY」とは、エキソソームの内腔表面内で新たに同定されたエキソソームタンパク質を指す。例えば、国際公開第WO/2019/099942号に記載されている方法を参照されたい(その全体が参照により本明細書に援用される)。ScaffoldYタンパク質の非限定的な例として:ミリストイル化アラニンリッチプロテインキナーゼC基質(「MARCKSタンパク質」);ミリストイル化アラニンリッチプロテインキナーゼC基質様1(「MARCKSL1タンパク質」);及び脳酸可溶性タンパク質1(「BASP1タンパク質」)が挙げられる。いくつかの態様では、ScaffoldYタンパク質は、タンパク質全体またはその断片(例えば、機能的断片、例えば、エキソソームの内腔表面上に部分を固定することができる最小断片)であり得る。いくつかの態様では、ScaffoldYは、部分(例えば、ASO)を、EV(例えばエキソソーム)の内腔表面に固定することができる。いくつかの態様では、ScaffoldYは、部分(例えば、ASO)を、EV(例えばエキソソーム)の外面に固定することができる。
【0066】
本明細書中で使用する場合、タンパク質(例えば、治療用タンパク質、ScaffoldX、またはScaffoldY)の用語「断片」とは、天然のタンパク質と比較して、天然の配列よりも短いか、N末端及び/またはC末端を欠失させるか、またはタンパク質の一部を欠失させたタンパク質のアミノ酸配列を指す。本明細書中で使用する場合、用語「機能的断片」とは、タンパク質機能を保持しているタンパク質断片を指す。したがって、いくつかの態様では、ScaffoldXタンパク質の機能的断片は、部分をEV(例えばエキソソーム)の内腔表面上または外面上に固定する能力を保持している。同様に、特定の態様では、ScaffoldYタンパク質の機能的断片は、部分をEV(例えばエキソソーム)の内腔表面上または外面上に固定する能力を保持している。断片が機能的断片であるかどうかは、ウエスタンブロット、FACS分析、及び断片と、例えばGFPなどの自家蛍光タンパク質との融合を含む、EV(例えばエキソソーム)のタンパク質含有量を決定するための任意の既知の方法によって評価することができる。特定の態様では、ScaffoldXタンパク質の機能的断片は、天然のScaffoldXタンパク質の能力、例えば、部分を固定する能力の、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または少なくとも約100%を保持している。いくつかの態様では、ScaffoldYタンパク質の機能的断片は、天然のScaffoldYタンパク質の能力、例えば、別の分子を固定する能力の、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または少なくとも約100%を保持している。
【0067】
本明細書中で使用する場合、分子(例えば、機能性分子、抗原、ScaffoldX及び/またはScaffoldY)の用語「バリアント」とは、当技術分野で公知の方法によって比較する際に、別の分子と特定の構造的及び機能的同一性を共有する分子を指す。例えば、タンパク質のバリアントは、別のタンパク質における置換、挿入、欠失、フレームシフトまたは再構成を含み得る。
【0068】
いくつかの態様では、ScaffoldXのバリアントは、全長の成熟PTGFRN、BSG、IGSF2、IGSF3、IGSF8、ITGB1、ITGA4、SLC3A2、もしくはATPトランスポータータンパク質、またはPTGFRN、BSG、IGSF2、IGSF3、IGSF8、ITGB1、ITGA4、SLC3A2、もしくはATPトランスポータータンパク質の断片(例えば、機能的断片)に対して、少なくとも約70%の同一性を有するバリアントを含む。いくつかの態様では、PTGFRNのバリアントまたはPTGFRNの断片のバリアントは、配列番号301に記載のPTGFRNまたはその機能的断片と、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を共有する。いくつかの態様では、BSGのバリアントまたはBSGの断片のバリアントは、配列番号303に記載のBSGまたはその機能的断片と、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を共有する。いくつかの態様では、IGSF2のバリアントまたはIGSF2の断片のバリアントは、配列番号308に記載のIGSF2またはその機能的断片と、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を共有する。いくつかの態様では、IGSF3のバリアントまたはIGSF3の断片のバリアントは、配列番号309に記載のIGSF3またはその機能的断片と、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を共有する。いくつかの態様では、IGSF8のバリアントまたはIGSF8の断片のバリアントは、配列番号304に記載のIGSF8またはその機能的断片と、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を共有する。いくつかの態様では、ITGB1のバリアントまたはITGB1の断片のバリアントは、配列番号305に記載のITGB1またはその機能的断片と、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を共有する。いくつかの態様では、ITGA4のバリアントまたはITGA4の断片のバリアントは、配列番号306に記載のITGA4またはその機能的断片と、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を共有する。いくつかの態様では、SLC3A2のバリアントまたはSLC3A2の断片のバリアントは、配列番号307に記載のSLC3A2またはその機能的断片と、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を共有する。いくつかの態様では、ATP1A1のバリアントまたはATP1A1の断片のバリアントは、配列番号310に記載のATP1A1またはその機能的断片と、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を共有する。いくつかの態様では、ATP1A2のバリアントまたはATP1A2の断片のバリアントは、配列番号311に記載のATP1A2またはその機能的断片と、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を共有する。いくつかの態様では、ATP1A3のバリアントまたはATP1A3の断片のバリアントは、配列番号312に記載のATP1A3またはその機能的断片と、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を共有する。いくつかの態様では、ATP1A4のバリアントまたはATP1A4の断片のバリアントは、配列番号313に記載のATP1A4またはその機能的断片と、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を共有する。いくつかの態様では、ATP1B3のバリアントまたはATP1B3の断片のバリアントは、配列番号314に記載のATP1B3またはその機能的断片と、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を共有する。いくつかの態様では、ATP2B1のバリアントまたはATP2B1の断片のバリアントは、配列番号315に記載のATP2B1またはその機能的断片と、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を共有する。いくつかの態様では、ATP2B2のバリアントまたはATP2B2の断片のバリアントは、配列番号316に記載のATP2B2またはその機能的断片と、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を共有する。いくつかの態様では、ATP2B3のバリアントまたはATP2B3の断片のバリアントは、配列番号317に記載のATP2B3またはその機能的断片と、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を共有する。いくつかの態様では、ATP2B4のバリアントまたはATP2B4の断片のバリアントは、配列番号318に記載のATP2B4またはその機能的断片と、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を共有する。いくつかの態様では、本明細書に開示するScaffoldXタンパク質のバリアントまたはScaffoldXタンパク質の断片のバリアントは、EV(例えばエキソソーム)を特異的に標的とする能力を保持している。いくつかの態様では、ScaffoldXは、1つ以上の変異、例えば、保存的アミノ酸置換を含む。
【0069】
いくつかの態様では、ScaffoldYのバリアントは、MARCKS、MARCKSL1、BASP1またはMARCKS、MARCKSL1、もしくはBASP1の断片に対して少なくとも70%の同一性を有するバリアントを含む。いくつかの態様では、MARCKSのバリアントまたはMARCKSの断片のバリアントは、配列番号401に記載のMARCKSまたはその機能的断片と、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を共有する。いくつかの態様では、MARCKSL1のバリアントまたはMARCKSL1の断片のバリアントは、配列番号402に記載のMARCKSL1またはその機能的断片と、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を共有する。いくつかの態様では、BASP1のバリアントまたはBASP1の断片のバリアントは、配列番号403に記載のBASP1またはその機能的断片と、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を共有する。いくつかの態様では、ScaffoldYタンパク質のバリアントまたはScaffoldYタンパク質の断片のバリアントは、EV(例えばエキソソーム)の内腔表面を特異的に標的とする能力を保持している。いくつかの態様では、ScaffoldYは、1つ以上の変異、例えば、保存的アミノ酸置換を含む。
【0070】
「保存的アミノ酸置換」とは、アミノ酸残基が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基に置換される置換である。類似の側鎖を有するアミノ酸残基ファミリーは、当該技術分野において定義されており、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分岐側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が含まれる。したがって、ポリペプチドのアミノ酸が同じ側鎖ファミリーの別のアミノ酸に置換されている場合、その置換は保存的であると見なされる。別の態様では、アミノ酸のストリングを、側鎖ファミリーメンバーの順序及び/または組成が異なる構造的に類似したストリングに保存的に置き換えることができる。
【0071】
2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列間の用語「配列同一性の割合」または「同一性の割合」とは、2つの配列の最適なアラインメントのために導入しなければならない付加または欠失(すなわち、ギャップ)を考慮に入れ、比較ウィンドウ上で配列によって共有される同一の一致した位置の数を指す。一致した位置とは、標的配列と参照配列の両方で同一のヌクレオチドまたはアミノ酸が提示されている任意の位置である。ギャップはヌクレオチドまたはアミノ酸ではないため、標的配列に存在するギャップはカウントしない。同様に、参照配列由来のヌクレオチドまたはアミノ酸ではなく、標的配列のヌクレオチドまたはアミノ酸をカウントするため、参照配列に提示されるギャップはカウントしない。
【0072】
配列同一性の割合は、両方の配列において同一のアミノ酸残基または核酸塩基が生じる位置の数を決定して、一致した位置の数を取得し、比較ウィンドウ内の一致した位置の数を位置の総数で除し、結果に100を乗じて、配列同一性の割合を取得することによって計算される。2つの配列間の配列の比較と配列同一性の割合の決定は、オンラインでの使用とダウンロード用の両方において、容易に利用可能なソフトウェアを使用して達成してもよい。好適なソフトウェアプログラムは、様々な供給元から入手可能であり、タンパク質配列とヌクレオチド配列の両方のアラインメントに利用可能である。配列同一性の割合を決定するための1つの好適なプログラムは、米国政府の国立バイオテクノロジー情報センターBLAST Webサイト(blast.ncbi.nlm.nih.gov)から入手可能なプログラムのBLAST suiteの一部であるbl2seqである。Bl2seqは、BLASTNまたはBLASTPアルゴリズムのいずれかを使用して2つの配列間の比較を実行する。BLASTNは、核酸配列を比較するために使用され、BLASTPはアミノ酸配列を比較するために使用される。他の好適なプログラムは、例えば、バイオインフォマティクスプログラムのEMBOSS suiteの一部である、Needle、Stretcher、Water、またはMatcherであり、欧州バイオインフォマティクス研究所(EBI)(worldwideweb.ebi.ac.uk/Tools/psa)からも入手可能である。
【0073】
ポリヌクレオチドまたはポリペプチド参照配列とアラインメントする単一のポリヌクレオチドまたはポリペプチド標的配列内の異なる領域は、それぞれ、それら自身の配列同一性の割合を有し得る。配列同一性の割合の値は、最も近似の10分の1に丸められることに留意されたい。例えば、80.11、80.12、80.13、及び80.14は、80.1に切り捨てられ、一方、80.15、80.16、80.17、80.18、及び80.19は、80.2に切り上げられる。また、長さの値は常に整数になることに留意されたい。
【0074】
当業者であれば、配列同一性の割合の計算のための配列アラインメントの生成が、一次配列データによって排他的に行われる一対での配列-配列比較に限定されないことを理解するであろう。配列アラインメントは、多重配列アラインメントから導き出すことができる。多重配列アラインメントを生成するための好適なプログラムの1つは、worldwideweb.clustal.orgから入手可能なClustalW2である。別の好適なプログラムは、worldwideweb.drive5.com/muscle/から入手可能なMUSCLEである。ClustalW2とMUSCLEは、例えば、EBIから代替的に入手可能である。
【0075】
配列アラインメントは、配列データを、構造データ(例えば、結晶学的タンパク質構造)、機能データ(例えば、変異の位置)、または系統発生データなどの異種供給源由来のデータと統合することによって生成できることも理解されよう。異種データを統合して多重配列アラインメントを生成する好適なプログラムは、T-Coffeeであり、worldwideweb.tcoffee.orgで入手可能であり、あるいは、例えば、EBIから入可能である。配列同一性の割合を計算するために使用される最終アラインメントが、自動または手動のいずれかで精選され得ることも理解されよう。
【0076】
ポリヌクレオチドバリアントは、コード領域、非コード領域、またはその両方に改変を含み得る。一態様では、ポリヌクレオチドバリアントは、サイレント置換、付加、または欠失を生じるが、コードされたポリペプチドの特性または活性を変化させない改変を含む。別の態様では、ヌクレオチドバリアントは、遺伝暗号の縮重によるサイレント置換によって生成される。他の態様では、5~10、1~5、または1~2アミノ酸が、任意の組み合わせで置換、欠失、または付加されているバリアントである。ポリヌクレオチドバリアントは、様々な理由のために、例えば、特定の宿主のコドン発現を最適化する(ヒトmRNAのコドンを他の宿主、例えば、E.coliなどの細菌宿主に変更する)ために、生成され得る。
【0077】
天然のバリアントは「対立遺伝子バリアント」と呼ばれ、生物の染色体上の所与の遺伝子座を占める遺伝子のいくつかの代替形態の1つを指す(Genes II,Lewin,B.,ed.,John Wiley & Sons,New York(1985))。これらの対立遺伝子バリアントは、ポリヌクレオチド及び/またはポリペプチドレベルのいずれかで様々に異なっていてもよく、また、本開示に含まれる。あるいは、非天然のバリアントを、変異誘発技術または直接合成によって生成することができる。
【0078】
タンパク質工学及び組換えDNA技術の既知の方法を使用して、バリアントを生成してポリペプチドの特徴を向上または改変することができる。例えば、生物学的機能を実質的に失わせることなく、分泌されたタンパク質のN末端またはC末端から1つ以上のアミノ酸を欠失させることができる。Ron et al.,J.Biol.Chem.268:2984-2988(1993)(その全体が参照により本明細書に援用される)は、3、8、または27個のアミノ末端アミノ酸残基を欠失させた後でもヘパリン結合活性を有するバリアント型KGFタンパク質を報告した。同様に、インターフェロンγは、このタンパク質のカルボキシ末端から8~10アミノ酸残基を欠失させた後、最大10倍高い活性を示した。(Dobeli et al.,J.Biotechnology 7:199-216(1988)(その全体が参照により本明細書に援用される))。
【0079】
さらに、多くのエビデンスが、バリアントがしばしば天然のタンパク質と同様の生物学的活性を保持していることを示している。例えば、Gayleと共同研究者(J.Biol.Chem 268:22105-22111(1993)、その全体が参照により本明細書に援用される)は、ヒトサイトカインIL-1aの広範な変異分析を行った。彼らはランダム変異誘発を使用して、分子の全長にわたってバリアントあたり平均2.5アミノ酸の変化を示す3,500を超える個々のIL-1a変異体を生成した。考えられるすべてのアミノ酸位置で複数の変異を調べた。研究者らは、「分子のほとんどは、[結合または生物活性]にほとんど影響を与えることなく変更することができる」ことを発見した。(要約を参照のこと。)実際、調べた3,500を超えるヌクレオチド配列のうち、23の固有のアミノ酸配列のみが、野生型とは活性が有意に異なるタンパク質を生成した。
【0080】
上記のように、ポリペプチドバリアントには、例えば、修飾ポリペプチドが含まれる。修飾としては、例えば、アセチル化、アシル化、ADP-リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスホチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合架橋の形成、システインの形成、ピログルタミン酸の形成、ホルミル化、γ-カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、ペグ化(Mei et al.,Blood 116:270-79(2010)、これはその全体が参照により本明細書に援用される)、タンパク質分解プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、タンパク質へのアミノ酸の転移-RNA媒介付加アルギニル化、及びユビキチン化が挙げられる。いくつかの態様では、ScaffoldX及び/またはScaffoldYは、任意の便利な位置で修飾される。
【0081】
本明細書中で使用する場合、用語「に連結される」または「に複合体化される」は同じ意味で使用され、第1の部分と第2の部分、例えば、細胞外小胞の内腔表面または外面における、それぞれScaffoldXとASO、それぞれ、例えば、細胞外小胞及びASOの中または上に発現する足場部分と、ASO、例えば、ScaffoldX(例えば、PTGFRNタンパク質)との間に形成される共有または非共有結合を指す。
【0082】
用語「カプセル化された」、またはこの用語の文法的に異なる形式(例えば、カプセル化、またはカプセル化すること)は、2つの部分を化学的または物理的に連結することなく、第1の部分(例えば、ASO)が第2の部分(例えば、EV、例えば、エキソソーム)の内部にある状態またはプロセスを指す。いくつかの態様では、用語「カプセル化された」は、「~の内腔内」と同じ意味で使用することができる。第1の部分(例えば、ASO)を第2の部分(例えば、EV、例えば、エキソソーム)にカプセル化する非限定的な例は、本明細書の他の場所に開示されている。
【0083】
本明細書中で使用する場合、用語「プロデューサー細胞」とは、EV、例えば、エキソソームを生成するために使用する細胞を指す。プロデューサー細胞は、in vitroで培養された細胞、またはin vivoでの細胞であり得る。プロデューサー細胞には、EV(例えばエキソソーム)の生成に有効であることが知られている細胞、例えば、HEK293細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、間葉系幹細胞(MSC)、BJヒト包皮線維芽細胞、fHDF線維芽細胞、AGE.HN(登録商標)神経前駆細胞、CAP(登録商標)羊膜細胞、脂肪間葉系幹細胞、RPTEC/TERT1細胞が含まれるが、これらに限定されない。特定の態様では、プロデューサー細胞は、抗原提示細胞ではない。特定の態様では、プロデューサー細胞は、樹状細胞、B細胞、マスト細胞、マクロファージ、好中球、クッパー-ブロウィッツ細胞、これらの細胞のいずれかに由来する細胞、またはそれらの任意の組み合わせではない。いくつかの態様では、本開示で有用なEV(例えばエキソソーム)は、EV(例えばエキソソーム)の表面に露出したMHCクラスIまたはクラスII分子上の抗原を保有しておらず、代わりに、ScaffoldX及び/またはScaffoldYへの接着により、EV(例えばエキソソーム)の内腔内、またはEV(例えばエキソソーム)の表面上の抗原を保有する。
【0084】
本明細書中で使用する場合、用語「単離する」、「単離された」、及び「単離すること」または「精製する」、「精製された」、及び「精製すること」、同様に「抽出された」及び「抽出すること」は、同じ意味で使用され、精製、例えば、所望の細胞外小胞調製物の選択または濃縮の1つ以上のプロセスを経た所望の細胞外小胞の調製(例えば、複数の既知または未知の量及び/または濃度)の状態を指す。いくつかの態様では、本明細書中で使用する単離することまたは精製することは、プロデューサー細胞を含有する試料から細胞外小胞を除去、部分的に除去する(例えば、画分)プロセスである。いくつかの態様では、単離されたEV組成物は、検出可能な望ましくない活性を有しないか、または、代替的には、望ましくない活性のレベルもしくは量は、許容されるレベルもしくは量未満である。他の態様では、単離されたEV組成物は、許容される量及び/または濃度以上の所望のEVの量及び/または濃度を有する。他の態様では、単離されたEV組成物は、組成物が得られる出発材料(例えば、プロデューサー細胞調製物)と比較して濃縮される。この濃縮は、出発材料と比較して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、99.99%、99.999%、99.9999%、または99.9999%超であり得る。いくつかの態様では、単離されたEV調製物は、残留生物学的産物を実質的に含まない。いくつかの態様では、単離されたEV調製物は、いかなる汚染生物物質も100%含まないか、99%含まないか、98%含まないか、97%含まないか、96%含まないか、または95%含まない。残留生物学的産物は、非生物物質(化学物質を含む)または不要な核酸、タンパク質、脂質、もしくは代謝産物を含み得る。残留生物学的産物を実質的に含まないことはまた、EV組成物が検出可能なプロデューサー細胞を含有しないことと、EVのみが検出可能であることとを意味し得る。
【0085】
本明細書中では、用語「ペイロード」とは、EVと接触する標的(例えば、標的細胞)に作用する薬剤を指す。EV(例えばエキソソーム)に含めることができるペイロードの非限定的な例はASOである。EV(例えばエキソソーム)及び/またはプロデューサー細胞中に導入され得るペイロードとして、ヌクレオチド(例えば、検出可能な部分もしくは毒素を含むか、または転写を妨害するヌクレオチド)、核酸(例えば、酵素などのポリペプチドをコードするDNAもしくはmRNA分子、またはmiRNA、dsDNA、lncRNA、siRNAなどの制御機能を有するRNA分子)、アミノ酸(例えば、検出可能な部分もしくは毒素を含むか、または翻訳を妨害するアミノ酸)、ポリペプチド(例えば、酵素)、脂質、炭水化物、及び小分子(例えば、小分子薬物及び毒素)などの薬剤が挙げられる。特定の態様では、ペイロードはASOを含む。本明細書中で使用する場合、用語「抗体」には、天然であるか、または部分的もしくは全体的に合成的に産生されているかに関わらず、免疫グロブリン、及びその断片が包含される。この用語はまた、免疫グロブリン結合ドメインに相同である結合ドメインを有する任意のタンパク質を網羅する。「抗体」は、抗原に特異的に結合し認識する免疫グロブリン遺伝子またはその断片由来のフレームワーク領域を含むポリペプチドをさらに含む。本明細書中で使用する場合、用語「抗原」とは、対象に導入された場合にそれ自体に対する免疫応答(細胞性または体液性)を誘発する任意の薬剤を指す。抗体という用語の使用には、全抗体、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、及び組換え抗体、それらの断片を含むことを意味し、例えば、scFv、(scFv)、Fab、Fab’、及びF(ab’)、F(ab1)、Fv、dAb、及びFd断片、ダイアボディ、及び抗体関連ポリペプチドなどの、単鎖抗体、ヒト化抗体、マウス抗体、キメラ、マウス-ヒト、マウス-霊長類、霊長類-ヒトモノクローナル抗体、抗イディオタイプ抗体、抗体断片をさらに含む。抗体は、それらが所望の生物学的活性または機能を呈する限り、二重特異性抗体及び多重特異性抗体を含む。
【0086】
用語「個体」、「対象」、「宿主」、及び「患者」は、本明細書中では同じ意味で使用され、診断、処置、または治療が所望される任意の哺乳類対象、特にヒトを指す。本明細書に記載の組成物及び方法は、ヒトの治療及び獣医学的用途の両方に適用可能である。いくつかの態様では、対象は哺乳類であり、他の態様では、対象はヒトである。本明細書中で使用する場合、「哺乳類対象」には、ヒト、飼育動物(例えば、イヌ、ネコなど)、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマなど)及び実験動物(例えば、サル、ラット、マウス、ウサギ、モルモットなど)を含むがこれらに限定されないすべての哺乳類が含まれる。
【0087】
用語「医薬製剤」とは、活性成分の生物学的活性が有効になるような形態であり、かつ製剤を投与する対象にとって許容できない毒性を有する追加の成分を含有しない調製物を指す。そのような組成物は無菌であり得る。
【0088】
本明細書中で使用する場合、用語「実質的に含まない」とは、EV(例えばエキソソーム)を含む試料が、質量/容量(m/v)パーセント濃度で10%未満の高分子を含むことを意味する。一部の画分は、0.001%未満、0.01%未満、0.05%未満、0.1%未満、0.2%未満、0.3%未満、0.4%未満、0.5%未満、0.6%未満、0.7%未満、0.8%未満、0.9%未満、1%未満、2%未満、3%未満、4%未満、5%未満、6%未満、7%未満、8%未満、9%未満、または10%(m/v)未満の高分子を含み得る。
【0089】
本明細書中で使用する場合、用語「高分子」とは、核酸、夾雑タンパク質、脂質、炭水化物、代謝産物、またはそれらの組み合わせを意味する。
【0090】
本明細書中で使用する場合、用語「従来のエキソソームタンパク質」とは、CD9、CD63、CD81、PDGFR、GPIアンカータンパク質、ラクトアドヘリン(MFGE8)、LAMP2、及びLAMP2Bを含むがこれらに限定されない、エキソソーム内で豊富であることが以前に知られているタンパク質、その断片、またはそれに結合するペプチドを意味する。
【0091】
本明細書中で使用する「投与」とは、薬学的に許容される経路を介して、本明細書に開示するEV(例えばエキソソーム)を含む組成物を対象に与えることを意味する。投与経路は、静脈内投与、例えば、静脈内注射及び静脈内注入であり得る。追加の投与経路として、例えば、皮下、筋肉内、経口、経鼻、及び肺への投与が挙げられる。EV(例えばエキソソーム)は、少なくとも1つの賦形剤を含む医薬組成物の一部として投与することができる。
【0092】
本明細書に開示するような、例えば、ASOまたは細胞外小胞の「有効量」とは、具体的に述べられた目的を実行するのに十分な量である。「有効量」は、記載する目的に関連して、経験的かつ日常的な方法で決定することができる。
【0093】
本明細書中で使用する「治療する」、「治療」、または「治療すること」とは、例えば、疾患または病態の重症度の低下、疾患の経過期間の短縮、疾患または病態に関連する1つ以上の症状の改善または排除、疾患または病態を必ずしも治癒させることなく、疾患または病態を有する対象に有益な効果を提供することを意味する。この用語はまた、疾患もしくは病態またはその症状の予防または防止を含む。一態様では、「治療すること」または「治療」は、造血の誘発を必要とする対象において造血を誘発することを含む。いくつかの態様では、疾患または病態は、造血またはその欠損に関連している。特定の態様では、疾患または病態はがんである。いくつかの態様では、治療は、がんを有する対象における造血を増強し、増強された造血は、対象における1つ以上の免疫細胞の増殖及び/または分化の増加を含む。
【0094】
本明細書中で使用する場合、用語「予防する」または「予防」とは、特定の結果の発生または重症度を低減または低下させることを指す。いくつかの態様では、結果の予防は、予防的治療を通じて達成される。いくつかの態様では、本明細書に記載のASOを含むEV(例えばエキソソーム)を、予防的に対象に投与する。いくつかの態様では、対象は、がんを有するか、またはがんを発症するリスクを有する。いくつかの態様では、対象は、造血障害を発症するリスクを有する。
【0095】
II. アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)
本開示は、STAT3核酸、例えば、STAT3プレmRNA、及びSTAT3 mRNAを含むSTAT3転写産物などの哺乳類STAT3をコードする核酸分子、または哺乳類STAT3をコードするそのような核酸分子の天然のバリアントの機能を調節する際に使用するためのアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を使用する。本開示に関する用語「ASO」とは、2つ以上のヌクレオチドの共有結合によって形成される分子(すなわち、オリゴヌクレオチド)を指す。本発明に有用なASOは、非天然であり、自然界には見出されない。いくつかの態様では、ASOは化学的に修飾されている。
【0096】
ASOは、長さが約10~約50、例えば、約10~30、例えば、10~20、14~20、16~20、または15~25ヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列を有する。本明細書中で使用する用語「アンチセンスASO」、「アンチセンスオリゴヌクレオチド」、及び「オリゴマー」は、用語「ASO」と同じ意味である。本発明に有用なASOは、非天然であり、自然界には見出されない。いくつかの態様では、ASOは、化学的に修飾されている。
【0097】
配列番号への参照には、特定の核酸塩基配列が含まれるが、設計または完全な化学構造は含まれない。さらに、本明細書に開示するASOに関連して示されるいかなる設計も、他に示されない限り、限定することを意図するものではない。例えば、特許請求の範囲(または本明細書)が配列番号100に言及する場合、それは、配列番号100のヌクレオチド配列のみを含む。本明細書に開示する任意のASOの設計は、配列番号100として記述することができ、5’末端から1番目のヌクレオチド、2番目のヌクレオチド、3番目のヌクレオチド、6番目のヌクレオチド、10番目のヌクレオチド、13番目のヌクレオチド、14番目のヌクレオチド、及び15番目の各ヌクレオチドは、修飾ヌクレオチド、例えば、LNAまたは5MdCであり、他の各ヌクレオチドは、非修飾ヌクレオチド(例えば、DNA)である。
【0098】
様々な態様において、本開示のASOは、RNA(ユニット)を含まない。いくつかの態様では、ASOは、1つ以上のDNAユニットを含む。一態様では、本開示によるASOは、直鎖状分子であるか、または直鎖状分子として合成される。いくつかの態様では、ASOは単鎖分子であり、例えば、同じASO内の同等の領域(すなわち、二本鎖)に相補的な、例えば、少なくとも3、4または5個の連続ヌクレオチドの短い領域を含まない‐その点で、ASOは(本質的に)二本鎖ではない。いくつかの態様では、ASOは、本質的に二本鎖ではない。いくつかの態様では、ASOは、siRNAではない。様々な態様において、本開示のASOは、完全に連続ヌクレオチド領域からなり得る。したがって、いくつかの態様では、ASOは、実質的に自己補完的ではない。
【0099】
他の態様では、本開示は、ASOの断片を含む。例えば、本開示は、本明細書に開示するASOの、少なくとも1つのヌクレオチド、少なくとも2つの連続ヌクレオチド、少なくとも3つの連続ヌクレオチド、少なくとも4つの連続ヌクレオチド、少なくとも5つの連続ヌクレオチド、少なくとも6つの連続ヌクレオチド、少なくとも7つの連続ヌクレオチド、少なくとも8つの連続ヌクレオチド、または少なくとも9つの連続ヌクレオチドを含む。本明細書に開示する配列のいずれかの断片は、本開示の一部として企図される。
【0100】
いくつかの態様では、本開示のためのASOは、ホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマー(PMO)またはペプチド結合ホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマー(PPMO)を含む。
【0101】
II.A. 標的(STAT3)
好適には、本開示のASOは、STAT3 mRNAまたはタンパク質の発現を下方制御する(例えば、低減または除去する)ことができる。これに関して、本開示のASOは、通常、ヒト細胞などの哺乳類細胞、例えば、腫瘍細胞において、STAT3 mRNAレベルの低下を介してSTAT3タンパク質の間接的阻害に影響を及ぼし得る。特に、本開示は、STAT3プレmRNAの1つ以上の領域(例えば、イントロン領域、エキソン領域、及び/またはエキソン-イントロン接合領域)を標的とするASOに関する。特に明記しない限り、本明細書中で使用する用語「STAT3」とは、1つ以上の種(例えば、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ウシ、及びクマ)由来のSTAT3を指し得る。
【0102】
シグナル伝達性転写因子3(STAT3)は、細胞表面受容体から核にシグナルを伝達するシグナル伝達性転写因子である。STAT3は、多くのヒトのがんにおいて頻繁に過剰活性化される。高レベルの活性化STAT3は、転移の進行に関して、多くの場合にヒト乳癌患者の予後不良と相関が認められる(Ranger et al.2009)。したがって、STAT3は、ER陽性及びER陰性の両方の乳癌、ならびに膵臓癌、頭頸部癌、前立腺癌、肺癌などの他のがんの予防と治療のための有望な標的である。しかしながら、ペプチドの遮断、転座の遮断、二量体化の破壊、またはホスファターゼ活性の調節によってSTAT3活性を阻害する現在の戦略では、がん細胞のSTAT3活性は十分に阻害されていない。通常の状態では、STAT3の活性化は一時的であり、緊密に調節されている。成長因子やサイトカインなどのリガンドによる細胞刺激により、STAT3は重要なチロシン残基(Tyr705)でリン酸化され、その結果、2つの相互のホスホチロシン(pTyr)-Src-homology2(SH2)相互作用を介してSTAT3二量体化を誘導する。次いで、STAT3二量体は核に移行し、標的遺伝子のプロモーター内の特定のDNA応答エレメントに結合し、それによって転写を活性化する。異常なSTAT3活性化と多くの種類のヒト悪性腫瘍及び固形腫瘍との関連性により、STAT3は、新規がん治療薬の開発にとって魅力的な分子標的となっている。
【0103】
STAT3は、腫瘍細胞において構成的に活性化され、細胞周期の進行、c-Myc及びサイクリン-D1を駆動する遺伝子とともに、抗アポトーシス遺伝子Bcl-xL、Bcl-2、Mcl-1及びサバイビンなどの標的遺伝子の調節を通じて腫瘍進行に寄与することが多くの場合に見出される。STAT3の異常な活性化は、リンパ腫及び白血病、乳癌、前立腺癌、肺癌、頭頸部癌、脳癌ならびに結腸癌を含むほとんどすべての血液悪性腫瘍及び固形腫瘍で頻繁に起こり、STAT3は抗癌剤開発の魅力的な標的となっている。STAT活性化の特異性は、特定のサイトカインによるものであり、すなわち、各STATは少数の特定のサイトカインに反応する。成長因子などの他の非サイトカインシグナル伝達分子も、STATを活性化することが見出されている。これらの因子がプロテインチロシンキナーゼに関連する細胞表面受容体に結合すると、STATのリン酸化も起こる。特にSTAT3は、インターロイキン-6(IL-6)及び上皮成長因子(EGF)に応答することがわかっている(Darnell,Jr.,J.E.,et al.,Science,1994,264,1415-1421)。STAT3がMAPK経路によって調節され得ることを示唆するエビデンスが存在する。ERK2はセリンリン酸化を誘導し、STAT3とも結合する(Jain,N.,et al.,Oncogene,1998,17,3157-3167)。STAT3は、ほとんどの細胞型で発現しており、組織の損傷や炎症への応答に関与する遺伝子の発現の誘導にも関与している。STAT3の異常な発現または構成的発現は、多くの疾患プロセスに関連している。STAT3は、培養及び多発性骨髄腫患者の骨髄単核細胞の両方で、骨髄腫腫瘍細胞で構成的に活性であることがわかっている。これらの細胞はFasを介したアポトーシスに耐性があり、高レベルのBcl-xLを発現する。STAT3 SH2ドメインは、二量体化を促進するために必要である。タンパク質の二量体化を標的とすることの制約の1つは、二量体界面を標的とすることの実用性であり、これは、大きな表面積の平面性のために困難である。
【0104】
シグナル伝達性転写因子3(STAT3)は、当技術分野では様々な名称で知られている。そのような名称には:DNA結合タンパク質APRF、及び急性期応答因子が含まれる。ヒトSTAT3をコードするmRNAは、Genbank登録番号NM_003150.3にあり、配列(配列番号3)で表される。
GGTTTCCGGAGCTGCGGCGGCGCAGACTGGGAGGGGGAGCCGGGGGTTCCGACGTCGCAG
CCGAGGGAACAAGCCCCAACCGGATCCTGGACAGGCACCCCGGCTTGGCGCTGTCTCTCC
CCCTCGGCTCGGAGAGGCCCTTCGGCCTGAGGGAGCCTCGCCGCCCGTCCCCGGCACACG
CGCAGCCCCGGCCTCTCGGCCTCTGCCGGAGAAACAGGATGGCCCAATGGAATCAGCTAC
AGCAGCTTGACACACGGTACCTGGAGCAGCTCCATCAGCTCTACAGTGACAGCTTCCCAA
TGGAGCTGCGGCAGTTTCTGGCCCCTTGGATTGAGAGTCAAGATTGGGCATATGCGGCCA
GCAAAGAATCACATGCCACTTTGGTGTTTCATAATCTCCTGGGAGAGATTGACCAGCAGT
ATAGCCGCTTCCTGCAAGAGTCGAATGTTCTCTATCAGCACAATCTACGAAGAATCAAGC
AGTTTCTTCAGAGCAGGTATCTTGAGAAGCCAATGGAGATTGCCCGGATTGTGGCCCGGT
GCCTGTGGGAAGAATCACGCCTTCTACAGACTGCAGCCACTGCGGCCCAGCAAGGGGGCC
AGGCCAACCACCCCACAGCAGCCGTGGTGACGGAGAAGCAGCAGATGCTGGAGCAGCACC
TTCAGGATGTCCGGAAGAGAGTGCAGGATCTAGAACAGAAAATGAAAGTGGTAGAGAATC
TCCAGGATGACTTTGATTTCAACTATAAAACCCTCAAGAGTCAAGGAGACATGCAAGATC
TGAATGGAAACAACCAGTCAGTGACCAGGCAGAAGATGCAGCAGCTGGAACAGATGCTCA
CTGCGCTGGACCAGATGCGGAGAAGCATCGTGAGTGAGCTGGCGGGGCTTTTGTCAGCGA
TGGAGTACGTGCAGAAAACTCTCACGGACGAGGAGCTGGCTGACTGGAAGAGGCGGCAAC
AGATTGCCTGCATTGGAGGCCCGCCCAACATCTGCCTAGATCGGCTAGAAAACTGGATAA
CGTCATTAGCAGAATCTCAACTTCAGACCCGTCAACAAATTAAGAAACTGGAGGAGTTGC
AGCAAAAAGTTTCCTACAAAGGGGACCCCATTGTACAGCACCGGCCGATGCTGGAGGAGA
GAATCGTGGAGCTGTTTAGAAACTTAATGAAAAGTGCCTTTGTGGTGGAGCGGCAGCCCT
GCATGCCCATGCATCCTGACCGGCCCCTCGTCATCAAGACCGGCGTCCAGTTCACTACTA
AAGTCAGGTTGCTGGTCAAATTCCCTGAGTTGAATTATCAGCTTAAAATTAAAGTGTGCA
TTGACAAAGACTCTGGGGACGTTGCAGCTCTCAGAGGATCCCGGAAATTTAACATTCTGG
GCACAAACACAAAAGTGATGAACATGGAAGAATCCAACAACGGCAGCCTCTCTGCAGAAT
TCAAACACTTGACCCTGAGGGAGCAGAGATGTGGGAATGGGGGCCGAGCCAATTGTGATG
CTTCCCTGATTGTGACTGAGGAGCTGCACCTGATCACCTTTGAGACCGAGGTGTATCACC
AAGGCCTCAAGATTGACCTAGAGACCCACTCCTTGCCAGTTGTGGTGATCTCCAACATCT
GTCAGATGCCAAATGCCTGGGCGTCCATCCTGTGGTACAACATGCTGACCAACAATCCCA
AGAATGTAAACTTTTTTACCAAGCCCCCAATTGGAACCTGGGATCAAGTGGCCGAGGTCC
TGAGCTGGCAGTTCTCCTCCACCACCAAGCGAGGACTGAGCATCGAGCAGCTGACTACAC
TGGCAGAGAAACTCTTGGGACCTGGTGTGAATTATTCAGGGTGTCAGATCACATGGGCTA
AATTTTGCAAAGAAAACATGGCTGGCAAGGGCTTCTCCTTCTGGGTCTGGCTGGACAATA
TCATTGACCTTGTGAAAAAGTACATCCTGGCCCTTTGGAACGAAGGGTACATCATGGGCT
TTATCAGTAAGGAGCGGGAGCGGGCCATCTTGAGCACTAAGCCTCCAGGCACCTTCCTGC
TAAGATTCAGTGAAAGCAGCAAAGAAGGAGGCGTCACTTTCACTTGGGTGGAGAAGGACA
TCAGCGGTAAGACCCAGATCCAGTCCGTGGAACCATACACAAAGCAGCAGCTGAACAACA
TGTCATTTGCTGAAATCATCATGGGCTATAAGATCATGGATGCTACCAATATCCTGGTGT
CTCCACTGGTCTATCTCTATCCTGACATTCCCAAGGAGGAGGCATTCGGAAAGTATTGTC
GGCCAGAGAGCCAGGAGCATCCTGAAGCTGACCCAGGCGCTGCCCCATACCTGAAGACCA
AGTTTATCTGTGTGACACCAACGACCTGCAGCAATACCATTGACCTGCCGATGTCCCCCC
GCACTTTAGATTCATTGATGCAGTTTGGAAATAATGGTGAAGGTGCTGAACCCTCAGCAG
GAGGGCAGTTTGAGTCCCTCACCTTTGACATGGAGTTGACCTCGGAGTGCGCTACCTCCC
CCATGTGAGGAGCTGAGAACGGAAGCTGCAGAAAGATACGACTGAGGCGCCTACCTGCAT
TCTGCCACCCCTCACACAGCCAAACCCCAGATCATCTGAAACTACTAACTTTGTGGTTCC
AGATTTTTTTTAATCTCCTACTTCTGCTATCTTTGAGCAATCTGGGCACTTTTAAAAATA
GAGAAATGAGTGAATGTGGGTGATCTGCTTTTATCTAAATGCAAATAAGGATGTGTTCTC
TGAGACCCATGATCAGGGGATGTGGCGGGGGGTGGCTAGAGGGAGAAAAAGGAAATGTCT
TGTGTTGTTTTGTTCCCCTGCCCTCCTTTCTCAGCAGCTTTTTGTTATTGTTGTTGTTGT
TCTTAGACAAGTGCCTCCTGGTGCCTGCGGCATCCTTCTGCCTGTTTCTGTAAGCAAATG
CCACAGGCCACCTATAGCTACATACTCCTGGCATTGCACTTTTTAACCTTGCTGACATCC
AAATAGAAGATAGGACTATCTAAGCCCTAGGTTTCTTTTTAAATTAAGAAATAATAACAA
TTAAAGGGCAAAAAACACTGTATCAGCATAGCCTTTCTGTATTTAAGAAACTTAAGCAGC
CGGGCATGGTGGCTCACGCCTGTAATCCCAGCACTTTGGGAGGCCGAGGCGGATCATAAG
GTCAGGAGATCAAGACCATCCTGGCTAACACGGTGAAACCCCGTCTCTACTAAAAGTACA
AAAAATTAGCTGGGTGTGGTGGTGGGCGCCTGTAGTCCCAGCTACTCGGGAGGCTGAGGC
AGGAGAATCGCTTGAACCTGAGAGGCGGAGGTTGCAGTGAGCCAAAATTGCACCACTGCA
CACTGCACTCCATCCTGGGCGACAGTCTGAGACTCTGTCTCAAAAAAAAAAAAAAAAAAA
AGAAACTTCAGTTAACAGCCTCCTTGGTGCTTTAAGCATTCAGCTTCCTTCAGGCTGGTA
ATTTATATAATCCCTGAAACGGGCTTCAGGTCAAACCCTTAAGACATCTGAAGCTGCAAC
CTGGCCTTTGGTGTTGAAATAGGAAGGTTTAAGGAGAATCTAAGCATTTTAGACTTTTTT
TTATAAATAGACTTATTTTCCTTTGTAATGTATTGGCCTTTTAGTGAGTAAGGCTGGGCA
GAGGGTGCTTACAACCTTGACTCCCTTTCTCCCTGGACTTGATCTGCTGTTTCAGAGGCT
AGGTTGTTTCTGTGGGTGCCTTATCAGGGCTGGGATACTTCTGATTCTGGCTTCCTTCCT
GCCCCACCCTCCCGACCCCAGTCCCCCTGATCCTGCTAGAGGCATGTCTCCTTGCGTGTC
TAAAGGTCCCTCATCCTGTTTGTTTTAGGAATCCTGGTCTCAGGACCTCATGGAAGAAGA
GGGGGAGAGAGTTACAGGTTGGACATGATGCACACTATGGGGCCCCAGCGACGTGTCTGG
TTGAGCTCAGGGAATATGGTTCTTAGCCAGTTTCTTGGTGATATCCAGTGGCACTTGTAA
TGGCGTCTTCATTCAGTTCATGCAGGGCAAAGGCTTACTGATAAACTTGAGTCTGCCCTC
GTATGAGGGTGTATACCTGGCCTCCCTCTGAGGCTGGTGACTCCTCCCTGCTGGGGCCCC
ACAGGTGAGGCAGAACAGCTAGAGGGCCTCCCCGCCTGCCCGCCTTGGCTGGCTAGCTCG
CCTCTCCTGTGCGTATGGGAACACCTAGCACGTGCTGGATGGGCTGCCTCTGACTCAGAG
GCATGGCCGGATTTGGCAACTCAAAACCACCTTGCCTCAGCTGATCAGAGTTTCTGTGGA
ATTCTGTTTGTTAAATCAAATTAGCTGGTCTCTGAATTAAGGGGGAGACGACCTTCTCTA
AGATGAACAGGGTTCGCCCCAGTCCTCCTGCCTGGAGACAGTTGATGTGTCATGCAGAGC
TCTTACTTCTCCAGCAACACTCTTCAGTACATAATAAGCTTAACTGATAAACAGAATATT
TAGAAAGGTGAGACTTGGGCTTACCATTGGGTTTAAATCATAGGGACCTAGGGCGAGGGT
TCAGGGCTTCTCTGGAGCAGATATTGTCAAGTTCATGGCCTTAGGTAGCATGTATCTGGT
CTTAACTCTGATTGTAGCAAAAGTTCTGAGAGGAGCTGAGCCCTGTTGTGGCCCATTAAA
GAACAGGGTCCTCAGGCCCTGCCCGCTTCCTGTCCACTGCCCCCTCCCCATCCCCAGCCC
AGCCGAGGGAATCCCGTGGGTTGCTTACCTACCTATAAGGTGGTTTATAAGCTGCTGTCC
TGGCCACTGCATTCAAATTCCAATGTGTACTTCATAGTGTAAAAATTTATATTATTGTGA
GGTTTTTTGTCTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTGGTATATTGCTGTATCTACTTTAACTT
CCAGAAATAAACGTTATATAGGAACCGTAAAAA
【0105】
STAT3タンパク質配列は、UniProt ID:P40763に見出すことができ、配列(配列番号2)によって表される:
MAQWNQLQQLDTRYLEQLHQLYSDSFPMELRQFLAPWIESQDWAYAASKESHATLVFHNL
LGEIDQQYSRFLQESNVLYQHNLRRIKQFLQSRYLEKPMEIARIVARCLWEESRLLQTAA
TAAQQGGQANHPTAAVVTEKQQMLEQHLQDVRKRVQDLEQKMKVVENLQDDFDFNYKTLK
SQGDMQDLNGNNQSVTRQKMQQLEQMLTALDQMRRSIVSELAGLLSAMEYVQKTLTDEEL
ADWKRRQQIACIGGPPNICLDRLENWITSLAESQLQTRQQIKKLEELQQKVSYKGDPIVQ
HRPMLEERIVELFRNLMKSAFVVERQPCMPMHPDRPLVIKTGVQFTTKVRLLVKFPELNY
QLKIKVCIDKDSGDVAALRGSRKFNILGTNTKVMNMEESNNGSLSAEFKHLTLREQRCGN
GGRANCDASLIVTEELHLITFETEVYHQGLKIDLETHSLPVVVISNICQMPNAWASILWY
NMLTNNPKNVNFFTKPPIGTWDQVAEVLSWQFSSTTKRGLSIEQLTTLAEKLLGPGVNYS
GCQITWAKFCKENMAGKGFSFWVWLDNIIDLVKKYILALWNEGYIMGFISKERERAILST
KPPGTFLLRFSESSKEGGVTFTWVEKDISGKTQIQSVEPYTKQQLNNMSFAEIIMGYKIM
DATNILVSPLVYLYPDIPKEEAFGKYCRPESQEHPEADPGSAAPYLKTKFICVTPTTCSN
TIDLPMSPRTLDSLMQFGNNGEGAEPSAGGQFESLTFDMELTSECATSPM
【0106】
ヒトSTAT3遺伝子産物の天然バリアントは公知である。例えば、ヒトSTAT3タンパク質の天然バリアントは、R382L、R382Q、またはR382W、及びそれらの任意の組み合わせから選択される1つ以上のアミノ酸置換を含み得る。R382W、F384L、F384S、T389I、N395Y、R423Q、N425Y、H437Y、Del-463、S611N、F621V、T622I、V637L、V637M、Del-644、Y657C、P330S、K392R、N646K、K658N、Del-701、またはT716Mなどの、選択的スプライシングから生じるヒトSTAT3タンパク質の追加のバリアントもまた、当技術分野で公知である。したがって、本開示のASOは、STAT3タンパク質の天然のバリアントの発現を低減または阻害するように設計され得る。
【0107】
配列番号1は、配列番号1のヌクレオチド「t」がプレmRNAでは「u」として示されていることを除いて、STAT3プレmRNA配列と同一である。特定の態様では、「標的核酸」には、STAT3タンパク質をコードする核酸またはその天然バリアントのイントロン、及びそれに由来するRNA核酸、例えば、プレmRNAが含まれる。他の態様では、標的核酸には、STAT3タンパク質をコードする核酸またはその天然バリアントのエキソン領域、及びそれに由来するRNA核酸、例えば、プレmRNAが含まれる。さらに他の態様では、標的核酸には、STAT3タンパク質をコードする核酸またはその天然バリアントのエキソン-イントロン接合部、及びそれに由来するRNA核酸、例えば、プレmRNAが含まれる。いくつかの態様では、例えば、研究または診断において使用する場合、「標的核酸」は、上記のDNAまたはRNA核酸標的に由来するcDNAまたは合成オリゴヌクレオチドであり得る。STAT3プレmRNAによってコードされるヒトSTAT3タンパク質配列は、配列番号2として示される。他の態様では、標的核酸には、STAT3タンパク質をコードする核酸またはその天然バリアントの非翻訳領域、例えば、5’UTR、3’UTR、またはその両方が含まれる。
【0108】
さらに他の態様では、標的核酸は、STAT3タンパク質をコードする核酸またはその天然のバリアントのエキソン-イントロン接合部、及びそれに由来するRNA核酸、例えば、プレmRNAを含む。いくつかの態様では、例えば、研究または診断において使用する場合、「標的核酸」は、上記のDNAまたはRNA核酸標的に由来するcDNAまたは合成オリゴヌクレオチドであり得る。STAT3プレmRNAによってコードされるヒトSTAT3タンパク質配列を、配列番号3として示す。他の態様では、標的核酸は、STAT3タンパク質をコードする核酸またはその天然のバリアントの非翻訳領域、例えば5’UTR、3’UTR、またはその両方を含む。
【0109】
いくつかの態様では、本開示のASOは、STAT3転写産物(例えば、配列番号1または配列番号3)のイントロン内の領域にハイブリダイズする。特定の態様では、本開示のASOは、STAT3転写産物(例えば、配列番号1または配列番号3)のエキソン内の領域にハイブリダイズする。他の態様では、本開示のASOは、STAT3転写産物(例えば、配列番号1または配列番号3)のエキソン-イントロン接合部内の領域にハイブリダイズする。いくつかの態様では、本開示のASOは、STAT3転写産物(例えば、配列番号1または配列番号3)内の領域(例えば、イントロン、エキソン、またはエキソン-イントロン接合部)にハイブリダイズし、ASOは、本明細書中の他の箇所に記載のように、式:5’ A-B-C 3’に記載の設計を有する。
【0110】
いくつかの態様では、ASOは、STAT3タンパク質の特定のアイソフォーム(例えば、アイソフォーム1)をコードするmRNAを標的とする。いくつかの態様では、ASOは、STAT3タンパク質のすべてのアイソフォームを標的とする。他の態様では、ASOは、STAT3タンパク質の2つのアイソフォーム(例えば、アイソフォーム1(UniProt ID: P40763-1)及びアイソフォーム2(配列番号7)(UniProt ID: P40763-2)、アイソフォーム2及びアイソフォーム3(配列番号8)(UniProt ID: P40763-3)を標的とする。
【0111】
いくつかの態様では、本開示のASOは、STAT3転写産物(例えば、配列番号1または配列番号3)のイントロン内の領域にハイブリダイズする。特定の態様では、本開示のASOは、STAT3転写産物(例えば、配列番号1または配列番号3)のエキソン内の領域にハイブリダイズする。他の態様では、本開示のASOは、STAT3転写産物(例えば、配列番号番号1または配列番号3)のエキソン-イントロン接合部内の領域にハイブリダイズする。いくつかの態様では、本開示のASOは、STAT3転写産物(例えば、配列番号1または配列番号3)内の領域(例えば、イントロン、エキソン、またはエキソン-イントロン接合部)にハイブリダイズし、ASOは、本明細書の他の場所に記載されているように、式:5’ ABC 3’に従った設計を有する。
【0112】
いくつかの態様では、ASOは、STAT3転写産物の核酸配列またはその核酸配列内の領域(「標的領域」)にハイブリダイズする連続ヌクレオチド配列を含み、核酸配列は、(i)配列番号3のヌクレオチド251~645;(ii)配列番号3のヌクレオチド742~1231;(iii)配列番号3のヌクレオチド1131~1604;(iv)配列番号3のヌクレオチド1621~2235;(v)配列番号3の2162~2676に対応し、任意選択で、ASOは、本明細書に記載の設計の1つ(例えば、II.G節)または本明細書中の他の箇所に示す化学構造を有する。
【0113】
いくつかの態様では、ASOは、STAT3転写産物の核酸配列またはその核酸配列内の領域(「標的領域」)にハイブリダイズする連続ヌクレオチド配列を含み、核酸配列は、(i)配列番号3のヌクレオチド301~595;(ii)配列番号3のヌクレオチド792~1181;(iii)配列番号3のヌクレオチド1181~1554;(iv)配列番号3のヌクレオチド1671~2185;(v)配列番号3の2212~2626に対応し、任意選択で、ASOは、本明細書に記載の設計の1つ(例えば、II.G節)または本明細書の他の場所に示す化学構造を有する。
【0114】
いくつかの態様では、ASOは、STAT3転写産物の核酸配列またはその核酸配列内の領域(「標的領域」)にハイブリダイズする連続ヌクレオチド配列を含み、核酸配列は、(i)配列番号3のヌクレオチド341~555;(ii)配列番号3のヌクレオチド832~1141;(iii)配列番号3のヌクレオチド1221~1514;(iv)配列番号3のヌクレオチド1711~2145;または(v)配列番号3の2252~2586に対応し、任意選択で、ASOは、本明細書に記載の設計の1つ(例えば、II.G節)または本明細書の他の場所に示す化学構造を有する。
【0115】
いくつかの態様では、ASOは、STAT3転写産物の核酸配列またはその核酸配列内の領域(「標的領域」)にハイブリダイズする連続ヌクレオチド配列を含み、核酸配列は、(i)配列番号3のヌクレオチド351~545;(ii)配列番号3のヌクレオチド842~1131;(iii)配列番号3のヌクレオチド1231~1504;(iv)配列番号3のヌクレオチド1721~2135;または(v)配列番号3の2262~2576に対応する。
【0116】
いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2559~2576(例えば、ASO-STAT3-2559;配列番号100)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2556~2576(例えば、ASO-STAT3-2556;配列番号101)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2557~2577(例えば、ASO-STAT3-2557;配列番号102)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1046~1061(例えば、ASO-STAT3-1046;配列番号103)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド351~371(例えば、ASO-STAT3-351;配列番号104)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド450~470(例えば、ASO-STAT3-450;配列番号105)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2558~2575(例えば、ASO-STAT3-2558;配列番号106)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2558~2578(例えば、ASO-STAT3-2558;配列番号107)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド865~885(例えば、ASO-STAT3-865;配列番号108)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド894~910(例えば、ASO-STAT3-894;配列番号109)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1778~1798(例えば、ASO-STAT3-1778;配列番号110)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2558~2574(例えば、ASO-STAT3-2558;配列番号111)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1482~1498(例えば、ASO-STAT3~1482;配列番号112)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド892~912(例えば、ASO-STAT3-892;配列番号113)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2262~2282(例えば、ASO-STAT3-2262;配列番号114)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2267~2282(例えば、ASO-STAT3-2267;配列番号115)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド411~431(例えば、ASO-STAT3-411;配列番号116)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2267~2284(例えば、ASO-STAT3-2267;配列番号117)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド896~911(例えば、ASO-STAT3-896;配列番号118)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2555~2575(例えば、ASO-STAT3-2555;配列番号119)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド525~545(例えば、ASO-STAT3-525;配列番号120)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1766~1786(例えば、ASO-STAT3-1766;配列番号121)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1114~1130(例えば、ASO-STAT3~1114;配列番号122)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2557~2574(例えば、ASO-STAT3-2557;配列番号123)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド995~1015(例えば、ASO-STAT3-995;配列番号124)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2263~2283(例えば、ASO-STAT3-2263;配列番号125)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド511~531(例えば、ASO-STAT3-511;配列番号126)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド511~527(例えば、ASO-STAT3-511;配列番号127)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1043~1063(例えば、ASO-STAT3-1043;配列番号128)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1780~1800(例えば、ASO-STAT3-1780;配列番号129)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド458~478(例えば、ASO-STAT3-458;配列番号130)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド894~911(例えば、ASO-STAT3-894;配列番号131)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1779~1799(例えば、ASO-STAT3-1779;配列番号132)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2274~2294(例えば、ASO-STAT3-2274;配列番号133)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1039~1059(例えば、ASO-STAT3-1039;配列番号134)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1238~1258(例えば、ASO-STAT3~1238;配列番号135)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1239~1259(例えば、ASO-STAT3~1239;配列番号136)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド516~536(例えば、ASO-STAT3-516;配列番号137)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1238~1254(例えば、ASO-STAT3~1238;配列番号138)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1034~1054(例えば、ASO-STAT3-1034;配列番号139)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1239~1254(例えば、ASO-STAT3~1239;配列番号140)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1113~1130(例えば、ASO-STAT3-1113;配列番号141)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1484~1504(例えば、ASO-STAT3~1484;配列番号142)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2556~257(例えば、ASO-STAT3-2556;配列番号143)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド461~481(例えば、ASO-STAT3-461;配列番号144)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2273~2293(例えば、ASO-STAT3-2273;配列番号145)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1783~1803(例えば、ASO-STAT3-1783;配列番号146)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド891~911(例えば、ASO-STAT3-891;配列番号147)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド510~530(例えば、ASO-STAT3-510;配列番号148)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2115~2135(例えば、ASO-STAT3-2115;配列番号149)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1482~1502(例えば、ASO-STAT3~1482;配列番号150)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド986~1006(例えば、ASO-STAT3-986;配列番号151)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド893~913(例えば、ASO-STAT3-893;配列番号152)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1237~1252(例えば、ASO-STAT3-1237;配列番号153)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1111~1131(例えば、ASO-STAT3-1111;配列番号154)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1236~1252(例えば、ASO-STAT3~1236;配列番号155)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2557~2572(例えば、ASO-STAT3-2557;配列番号156)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2264~2284(例えば、ASO-STAT3-2264;配列番号157)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1234~1249(例えば、ASO-STAT3~1234;配列番号158)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1241~1258(例えば、ASO-STAT3~1241;配列番号159)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド524~544(例えば、ASO-STAT3-524;配列番号160)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド890~910(例えば、ASO-STAT3-890;配列番号161)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1114~1131(例えば、ASO-STAT3-1114;配列番号162)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1108~1128(例えば、ASO-STAT3~1108;配列番号163)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド409~429(例えば、ASO-STAT3-409;配列番号164)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1356~1376(例えば、ASO-STAT3-1356;配列番号165)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1231~1246(例えば、ASO-STAT3-1231;配列番号166)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2267~2287(例えば、ASO-STAT3-2267;配列番号167)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1238~1253(例えば、ASO-STAT3~1238;配列番号168)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1237~1253(例えば、ASO-STAT3-1237;配列番号169)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド522~542(例えば、ASO-STAT3-522;配列番号170)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2266~2286(例えば、ASO-STAT3-2266;配列番号171)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1998~2018(例えば、ASO-STAT3-1998;配列番号172)に対応する。いくつかの

態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド881~901(例えば、ASO-STAT3-881;配列番号173)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド513~533(例えば、ASO-STAT3-513;配列番号174)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1107~1127(例えば、ASO-STAT3-1107;配列番号175)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1235~1250(例えば、ASO-STAT3~1235;配列番号176)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド882~902(例えば、ASO-STAT3-882;配列番号177)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1112~1132(例えば、ASO-STAT3-1112;配列番号178)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド521~541(例えば、ASO-STAT3-521;配列番号179)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1110~1130(例えば、ASO-STAT3~1110;配列番号180)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1475~1495(例えば、ASO-STAT3~1475;配列番号181)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド894~914(例えば、ASO-STAT3-894;配列番号182)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド519~539(例えば、ASO-STAT3-519;配列番号183)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2553~2573(例えば、ASO-STAT3-2553;配列番号184)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2552~2572(例えば、ASO-STAT3-2552;配列番号185)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド883~903(例えば、ASO-STAT3-883;配列番号186)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド842~862(例えば、ASO-STAT3-842;配列番号187)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド851~871(例えば、ASO-STAT3-851;配列番号188)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2265~2285(例えば、ASO-STAT3-2265;配列番号189)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド520~540(例えば、ASO-STAT3-520;配列番号190)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド985~1005(例えば、ASO-STAT3-985;配列番号191)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド524~541(例えば、ASO-STAT3-524;配列番号192)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1106~1126(例えば、ASO-STAT3-1106;配列番号193)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド517~537(例えば、ASO-STAT3-517;配列番号194)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1721~1741(例えば、ASO-STAT3~1721;配列番号195)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1113~1133(例えば、ASO-STAT3-1113;配列番号196)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド992~1008(例えば、ASO-STAT3-992;配列番号197)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド993~1008(例えば、ASO-STAT3-993;配列番号198)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1104~1124(例えば、ASO-STAT3-1104;配列番号199)に対応する。
【0117】
いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2559~2576(例えば、ASO-STAT3-2559;配列番号100)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2556~2576(例えば、ASO-STAT3-2556;配列番号101)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2557~2577(例えば、ASO-STAT3-2557;配列番号102)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1046~1061(例えば、ASO-STAT3-1046;配列番号103)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド351~371(例えば、ASO-STAT3-351;配列番号104)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド450~470(例えば、ASO-STAT3-450;配列番号105)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2558~2575(例えば、ASO-STAT3-2558;配列番号106)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2558~2578(例えば、ASO-STAT3-2558;配列番号107)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド865~885(例えば、ASO-STAT3-865;配列番号108)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド894~910(例えば、ASO-STAT3-894;配列番号109)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1778~1798(例えば、ASO-STAT3-1778;配列番号110)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2558~2574(例えば、ASO-STAT3-2558;配列番号111)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1482~1498(例えば、ASO-STAT3-1482;配列番号112)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド892~912(例えば、ASO-STAT3-892;配列番号113)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2262~2282(例えば、ASO-STAT3-2262;配列番号114)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2267~2282(例えば、ASO-STAT3-2267;配列番号115)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド411~431(例えば、ASO-STAT3-411;配列番号116)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2267~2284(例えば、ASO-STAT3-2267;配列番号117)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド896~911(例えば、ASO-STAT3-896;配列番号118)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2555~2575(例えば、ASO-STAT3-2555;配列番号119)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド525~545(例えば、ASO-STAT3-525;配列番号120)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1766~1786(例えば、ASO-STAT3-1766;配列番号121)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1114~1130(例えば、ASO-STAT3-1114;配列番号122)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2557~2574(例えば、ASO-STAT3-2557;配列番号123)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド995~1015(例えば、ASO-STAT3-995;配列番号124)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2263~2283(例えば、ASO-STAT3-2263;配列番号125)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド511~531(例えば、ASO-STAT3-511;配列番号126)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド511~527(例えば、ASO-STAT3-511;配列番号127)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1043~1063(例えば、ASO-STAT3-1043;配列番号128)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1780~1800(例えば、ASO-STAT3-1780;配列番号129)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド458~478(例えば、ASO-STAT3-458;配列番号130)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド894~911(例えば、ASO-STAT3-894;配列番号131)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1779~1799(例えば、ASO-STAT3-1779;配列番号132)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2274~2294(例えば、ASO-STAT3-2274;配列番号133)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1039~1059(例えば、ASO-STAT3-1039;配列番号134)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1238~1258(例えば、ASO-STAT3-1238;配列番号135)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1239~1259(例えば、ASO-STAT3-1239;配列番号136)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド516~536(例えば、ASO-STAT3-516;配列番号137)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1238~1254(例えば、ASO-STAT3~1238;配列番号138)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1034~1054(例えば、ASO-STAT3-

1034;配列番号139)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1239~1254(例えば、ASO-STAT3-1239;配列番号140)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1113~1130(例えば、ASO-STAT3-1113;配列番号141)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1484~1504(例えば、ASO-STAT3-1484;配列番号142)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2556~2571(例えば、ASO-STAT3-2556;配列番号143)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド461~481(例えば、ASO-STAT3-461;配列番号144)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2273~2293(例えば、ASO-STAT3-2273;配列番号145)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1783~1803(例えば、ASO-STAT3-1783;配列番号146)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド891~911(例えば、ASO-STAT3-891;配列番号147)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド510~530(例えば、ASO-STAT3-510;配列番号148)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2115~2135(例えば、ASO-STAT3-2115;配列番号149)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1482~1502(例えば、ASO-STAT3-1482;配列番号150)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド986~1006(例えば、ASO-STAT3-986;配列番号151)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド893~913(例えば、ASO-STAT3-893;配列番号152)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1237~1252(例えば、ASO-STAT3-1237;配列番号153)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1111~1131(例えば、ASO-STAT3-1111;配列番号154)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1236~1252(例えば、ASO-STAT3-1236;配列番号155)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2557~2572(例えば、ASO-STAT3-2557;配列番号156)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2264~2284(例えば、ASO-STAT3-2264;配列番号157)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1234~1249(例えば、ASO-STAT3-1234;配列番号158)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1241~1258(例えば、ASO-STAT3-1241;配列番号159)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド524~544(例えば、ASO-STAT3-524;配列番号160)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド890~910(例えば、ASO-STAT3-890;配列番号161)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1114~1131(例えば、ASO-STAT3-1114;配列番号162)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1108~1128(例えば、ASO-STAT3-1108;配列番号163)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド409~429(例えば、ASO-STAT3-409;配列番号164)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1356~1376(例えば、ASO-STAT3-1356;配列番号165)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1231~1246(例えば、ASO-STAT3-1231;配列番号166)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2267~2287(例えば、ASO-STAT3-2267;配列番号167)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1238~1253(例えば、ASO-STAT3-1238;配列番号168)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1237~1253(例えば、ASO-STAT3-1237;配列番号169)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド522~542(例えば、ASO-STAT3-522;配列番号170)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2266~2286(例えば、ASO-STAT3-2266;配列番号171)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1998~2018(例えば、ASO-STAT3-1998;配列番号172)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド881~901(例えば、ASO-STAT3-881;配列番号173)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド513~533(例えば、ASO-STAT3-513;配列番号174)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1107~1127(例えば、ASO-STAT3-1107;配列番号175)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1235~1250(例えば、ASO-STAT3-1235;配列番号176)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド882~902(例えば、ASO-STAT3-882;配列番号177)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1112~1132(例えば、ASO-STAT3-1112;配列番号178)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±5

0、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド521~541(例えば、ASO-STAT3-521;配列番号179)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1110~1130(例えば、ASO-STAT3-1110;配列番号180)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1475~1495(例えば、ASO-STAT3-1475;配列番号181)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド894~914(例えば、ASO-STAT3-894;配列番号182)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド519~539(例えば、ASO-STAT3-519;配列番号183)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2553~2573(例えば、ASO-STAT3-2553;配列番号184)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2552~2572(例えば、ASO-STAT3-2552;配列番号185)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド883~903(例えば、ASO-STAT3-883;配列番号186)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド842~862(例えば、ASO-STAT3-842;配列番号187)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド851~871(例えば、ASO-STAT3-851;配列番号188)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2265~2285(例えば、ASO-STAT3-2265;配列番号189)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド520~540(例えば、ASO-STAT3-520;配列番号190)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド985~1005(例えば、ASO-STAT3-985;配列番号191)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド524~541(例えば、ASO-STAT3-524;配列番号192)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1106~1126(例えば、ASO-STAT3-1106;配列番号193)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド517~537(例えば、ASO-STAT3-517;配列番号194)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1721~1741(例えば、ASO-STAT3-1721;配列番号195)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1113~1133(例えば、ASO-STAT3-1113;配列番号196)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド992~1008(例えば、ASO-STAT3-992;配列番号197)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド993~1008(例えば、ASO-STAT3-993;配列番号198)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1104~1124(例えば、ASO-STAT3-1104;配列番号199)の3’末端及び/または5’末端の±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。
【0118】
いくつかの態様では、本開示のASOは、STAT3転写産物(例えば、ゲノム配列、配列番号1)内の複数の標的領域にハイブリダイズする。いくつかの態様では、ASOは、STAT3転写産物内の2つの異なる標的領域にハイブリダイズする。いくつかの態様では、ASOは、STAT3転写産物内の3つの異なる標的領域にハイブリダイズする。複数の標的領域にハイブリダイズする例示的なASOの配列、及び異なる標的領域の開始/終了部位を図1に示す。いくつかの態様では、STAT3転写産物(例えば、ゲノム配列、配列番号1)内の複数の領域にハイブリダイズするASOは、STAT3転写産物(例えば、ゲノム配列、配列番号1)内の単一領域にハイブリダイズするASOに比べて、STAT3発現をより低下させることに関して、より強力である(例えば、より低いEC50を有する)。
【0119】
いくつかの態様では、本開示のASOは、生理学的条件下、すなわち、in vivo条件下で、標的核酸(例えば、STAT3転写産物)にハイブリダイズすることができる。いくつかの態様では、本開示のASOは、in vitroで標的核酸(例えば、STAT3転写産物)にハイブリダイズすることができる。いくつかの態様では、本開示のASOは、ストリンジェントな条件下でin vitroにて標的核酸(例えば、STAT3転写産物)にハイブリダイズすることができる。in vitroでのハイブリダイゼーションのストリンジェンシー条件は、とりわけ、生産的な細胞取り込み、RNAのアクセス可能性、温度、結合の自由エネルギー、塩濃度、及び時間に依存する(例えば、Stanley T Crooke,Antisense Drug Technology:Principles,Strategies and Applications,2nd Edition,CRC Press(2007)を参照のこと)。一般的に、高~中程度のストリンジェンシー条件をin vitroハイブリダイゼーションに使用して、実質的に類似した核酸間ではハイブリダイゼーションできるが、異なる核酸間ではハイブリダイゼーションできないようにする。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例には、5×生理食塩水-クエン酸ナトリウム(SSC)緩衝液(0.75M塩化ナトリウム/0.075Mクエン酸ナトリウム)中で40℃にて1時間ハイブリダイゼーションした後、試料を1×SSC中で40℃にて10回洗浄し、1×SSC緩衝液中で室温にて5回洗浄することが含まれる。in vivoハイブリダイゼーション条件は、アンチセンスオリゴヌクレオチドと標的配列とのハイブリダイゼーションを決定づける細胞内条件(例えば、生理学的pH及び細胞内イオン条件)からなる。in vivo条件は、比較的低いストリンジェンシー条件によってin vitroで模倣することができる。例えば、ハイブリダイゼーションは、in vitroで、2×SSC(0.3M塩化ナトリウム/0.03Mクエン酸ナトリウム)、0.1%SDS、37℃にて実行することができる。4×SSC、0.1%SDSを含有する洗浄液を37℃で使用することができ、最終洗浄では1×SSC中で45℃とする。
【0120】
いくつかの態様では、本開示のASOは、1つ以上の種(例えば、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ウシ、クマ)由来のSTAT3転写産物を標的とすることができる。特定の態様では、本明細書に開示するASOは、ヒトとげっ歯類(例えば、マウスまたはラット)のSTAT3転写産物の両方を標的とすることができる。したがって、いくつかの態様では、ASOは、ヒトとげっ歯類(例えば、マウスまたはラット)の両方において、STAT3 mRNAまたはタンパク質の発現を下方制御(例えば、低減または除去)することができる。
【0121】
II.B. ASO配列(STAT3)
本開示のASOは、STAT3転写産物の領域の相補体に対応する連続ヌクレオチド配列、例えば、配列番号1または配列番号3に対応するヌクレオチド配列を含む。
【0122】
特定の態様では、本開示は、10~30、例えば、10~15ヌクレオチド、10~20ヌクレオチド、20ヌクレオチドの長さ、または10~25ヌクレオチドの長さのASOを提供し、連続ヌクレオチド配列は、配列番号1もしくは配列番号3またはその天然バリアントなどのSTAT3転写産物の相補体の領域に対して、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有する。したがって、例えば、ASOは、配列番号1の配列またはその一部を有する単鎖核酸分子にハイブリダイズする。いくつかの態様では、ASOは、配列番号3の配列またはその一部を有する単鎖核酸分子にハイブリダイズする。
【0123】
ASOは、哺乳類STAT3タンパク質をコードする核酸(例えば、配列番号1または配列番号3)の同等の領域に十分に相補的(完全に相補的)である連続ヌクレオチド配列を含み得る。ASOは、配列番号3のヌクレオチドX-Yに対応する核酸配列またはその核酸配列内の領域に十分に相補的(完全に相補的)である連続ヌクレオチド配列を含み得、XとYは、図1に示すように、それぞれ開始部位と終了部位である。
【0124】
ASOは、哺乳類STAT3タンパク質(例えば、配列番号2)をコードするmRNAの同等の領域に十分に相補的(完全に相補的)である連続ヌクレオチド配列を含み得る。ASOは、配列番号1もしくは3のヌクレオチドX-Yに対応するmRNA配列またはその配列内の領域に十分に相補的(完全に相補的)である連続ヌクレオチド配列を含み得、XとYは、それぞれ開始部位と終了部位である。
【0125】
いくつかの態様では、本開示のASOのヌクレオチド配列または連続ヌクレオチド配列は、STAT3に対して配列番号100~199から選択される配列(すなわち、図1の配列)に対して少なくとも約80%の配列同一性、例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%の配列同一性、少なくとも約97%の配列同一性、少なくとも約98%の配列同一性、少なくとも約99%の配列同一性、例えば、約100%の配列同一性(相同性)を有する。いくつかの態様では、ASOは、本明細書の他の箇所に記載されている設計、または本明細書の他の箇所に示されている化学構造を有する。
【0126】
いくつかの態様では、ASO(またはその連続ヌクレオチド部分)は、STAT3に対して配列番号100~199またはその少なくとも10連続ヌクレオチドの領域からなる群から選択される配列のうちの1つから選択されるか、またはそれらを含み、ASO(またはその連続ヌクレオチド部分)は、任意選択で、対応するSTAT3転写産物(例えば、配列番号1または配列番号3)と比較した場合、1、2、3、または4つのミスマッチを含み得る。
【0127】
いくつかの態様では、ASOは、配列番号100(例えば、ASO-STAT3-2559)、配列番号101(例えば、ASO-STAT3-2556)、配列番号102(例えば、ASO-STAT3-2557)、配列番号103(例えば、ASO-STAT3-1046)、配列番号104(例えば、ASO-STAT3-351)、配列番号105(例えば、ASO-STAT3-450)、配列番号106(例えば、ASO-STAT3-2558)、配列番号107(例えば、ASO-STAT3-2558)、配列番号108(例えば、ASO-STAT3-865)、配列番号109(例えば、ASO-STAT3-894)、配列番号110(例えば、ASO-STAT3-1778)、配列番号111(例えば、ASO-STAT3-2558)、配列番号112(例えば、ASO-STAT3-1482)、配列番号113(例えば、ASO-STAT3-892)、配列番号114(例えば、ASO-STAT3-2262)、配列番号115(例えば、ASO-STAT3-2267)、配列番号116(例えば、ASO-STAT3-411)、配列番号117(例えば、ASO-STAT3-2267)、配列番号118(例えば、ASO-STAT3-896)、配列番号119(例えば、ASO-STAT3-2555)、配列番号120(例えば、ASO-STAT3-525)、配列番号121(例えば、ASO-STAT3-1766)、配列番号122(例えば、ASO-STAT3-1114)、配列番号123(例えば、ASO-STAT3-2557)、配列番号124(例えば、ASO-STAT3-995)、配列番号125(例えば、ASO-STAT3-2263)、配列番号126(例えば、ASO-STAT3-511)、配列番号127(例えば、ASO-STAT3-511)、配列番号128(例えば、ASO-STAT3-1043)、配列番号129(例えば、ASO-STAT3-1780)、配列番号130(例えば、ASO-STAT3-458)、配列番号131(例えば、ASO-STAT3-894)、配列番号132(例えば、ASO-STAT3-1779)、配列番号133(例えば、ASO-STAT3-2274)、配列番号134(例えば、ASO-STAT3-1039)、配列番号135(例えば、ASO-STAT3-1238)、配列番号136(例えば、ASO-STAT3-1239)、配列番号137(例えば、ASO-STAT3-516)、配列番号138(例えば、ASO-STAT3-1238)、配列番号139(例えば、ASO-STAT3-1034)、配列番号140(例えば、ASO-STAT3-1239)、配列番号141(例えば、ASO-STAT3-1113)、配列番号142(例えば、ASO-STAT3-1484)、配列番号143(例えば、ASO-STAT3-2556)、配列番号144(例えば、ASO-STAT3-461)、配列番号145(例えば、ASO-STAT3-2273)、配列番号146(例えば、ASO-STAT3-1783)、配列番号147(例えば、ASO-STAT3-891)、配列番号148(例えば、ASO-STAT3-510)、配列番号149(例えば、ASO-STAT3-2115)、配列番号150(例えば、ASO-STAT3-1482)、配列番号151(例えば、ASO-STAT3-986)、配列番号152(例えば、ASO-STAT3-893)、配列番号153(例えば、ASO-STAT3-1237)、配列番号154(例えば、ASO-STAT3-1111)、配列番号155(例えば、ASO-STAT3-1236)、配列番号156(例えば、ASO-STAT3-2557)、配列番号157(例えば、ASO-STAT3-2264)、配列番号158(例えば、ASO-STAT3-1234)、配列番号159(例えば、ASO-STAT3-1241)、配列番号160(例えば、ASO-STAT3-524)、配列番号161(例えば、ASO-STAT3-890)、配列番号162(例えば、ASO-STAT3-1114)、配列番号163(例えば、ASO-STAT3-1108)、配列番号164(例えば、ASO-STAT3-409)、配列番号165(例えば、ASO-STAT3-1356)、配列番号166(例えば、ASO-STAT3-1231)、配列番号167(例えば、ASO-STAT3-2267)、配列番号168(例えば、ASO-STAT3-1238)、配列番号169(例えば、ASO-STAT3-1237)、配列番号170(例えば、ASO-STAT3-522)、配列番号171(例えば、ASO-STAT3-2266)、配列番号172(例えば、ASO-STAT3-1998)、配列番号173(例えば、ASO-STAT3-881)、配列番号174(例えば、ASO-STAT3-513)、配列番号175(例えば、ASO-STAT3-1107)、配列番号176(例えば、ASO-STAT3-1235)、配列番号177(例えば、ASO-STAT3-882)、配列番号178(例えば、ASO-STAT3-1112)、配列番号179(例えば、ASO-STAT3-521)、配列番号180(例えば、ASO-STAT3-1110)、配列番号181(例えば、ASO-STAT3-1475)、配列番号182(例えば、ASO-STAT3-894)、配列番号183(例えば、ASO-STAT3-519)、配列番号184(例えば、ASO-STAT3-2553)、配列番号185(例えば、ASO-STAT3-2552)、配列番号186(例えば、ASO-STAT3-883)、配列番号187(例えば、ASO-STAT3-842)、配列番号188(例えば、ASO-STAT3-851)、配列番号189(例えば、ASO-STAT3-2265)、配列番号190(例えば、ASO-STAT3-520)、配列番号191(例えば、ASO-STAT3-985)、配列番号192(例えば、ASO-STAT3-524)、配列番号193(例えば、ASO-STAT3-1106)、配列番号194(例えば、ASO-STAT3-517)、配列番号195(例えば、ASO-STAT3-1721)、配列番号196(例えば、ASO-STAT3-1113)、配列番号197(例えば、ASO-STAT3-992)、配列番号198(例えば、ASO-STAT3-993)、または配列番号199(例えば、ASO-STAT3-1104)からなる群から選択される配列を含む。
【0128】
いくつかの態様では、ASOは、配列番号100に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-2559)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号101に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-2556)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号102に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-2557)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号103に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-1046)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号104に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-351)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号105に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-450)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号106に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-2558)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号107に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-2558)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号108に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-865)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号109に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-894)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号110に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-1778)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号111に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-2558)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号112に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-1482)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号113に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-892)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号114に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-2262)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号115に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-2267)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号116に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-411)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号117に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-2267)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号118に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-896)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号119に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-2555)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号120に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-525)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号121に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-1766)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号122に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-1114)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号123に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-2557)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号124に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-995)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号125に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-2263)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号126に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-511)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号127に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-511)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号128に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-1043)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号129に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-1780)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号130に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-458)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号131に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-894)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号132に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-1779)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号133に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-2274)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号134に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-1039)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号135に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-1238)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号136に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-1239)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号137に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-516)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号138に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-1238)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号139に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-1034)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号140に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-1239)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号141に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-1113)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号142に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-1484)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号143に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-2556)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号144に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-461)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号145に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-2273)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号146に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-1783)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号147に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-891)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号148に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-510)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号149に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-2115)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号150に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-1482)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号151に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-986)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号152に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-893)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号153に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-1237)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号154に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-1111)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号155に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-1236)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号156に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-2557)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号157に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-2264)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号158に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-1234)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号159に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-1241)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号160に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-524)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号161に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-890)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号162に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-1114)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号163に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-1108)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号164に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-409)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号165に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-1356)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号166に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-1231)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号167に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-2267)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号168に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-1238)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号169に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-1237)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号170に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-522)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号171に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-2266)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号172に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-1998)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号173に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-881)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号174に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-513)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号175に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-1107)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号176に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-1235)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号177に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-882)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号178に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-1112)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号179に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-521)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号180に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-1110)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号181に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-1475)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号182に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-894)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号183に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-519)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号184に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-2553)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号185に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-2552)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号186に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-883)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号187に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-842)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号188に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-851)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号189に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-2265)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号190に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-520)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号191に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-985)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号192に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-524)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号193に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-1106)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号194に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-517)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号195に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-1721)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号196に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-1113)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号197に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-992)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号198に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-993)を含む。いくつかの態様では、

ASOは、配列番号199に記載の配列(例えば、ASO-STAT3-1104)を含む。
【0129】
いくつかの態様では、本開示のASOは、標的核酸配列(例えば、STAT3転写産物)に結合し、STAT3転写産物の発現を、細胞における正常な(すなわち、対照)発現レベルと比較して、少なくとも10%または20%、例えば、正常な発現レベル(例えば、ASOに曝露されていない細胞での発現レベル)と比較して、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%阻害または低減することができる。
【0130】
いくつかの態様では、本開示のASOは、細胞を25μMのASOと接触させる場合、ASOと接触させない(例えば、生理食塩水と接触させる)細胞と比較して、細胞において、in vitroでのSTAT3 mRNAの発現を、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%低減することができる。
【0131】
いくつかの態様では、ASOは、標的配列にハイブリダイズする場合、1、2、3、または4(またはそれ以上)のミスマッチを許容し、それでも標的に十分に結合して、所望の効果、すなわち、標的mRNA及び/またはタンパク質の下方制御を示すことができる。不一致は、例えば、ASOヌクレオチド配列の長さの増加及び/またはヌクレオチド類似体の数の増加によって補償することができ、これらは本明細書中の他の箇所に開示されている。
【0132】
いくつかの態様では、本開示のASOは、標的配列にハイブリダイズする場合、3つ以下のミスマッチを含む。他の態様では、連続ヌクレオチド配列は、標的配列にハイブリダイズする場合、2つ以下のミスマッチを含む。他の態様では、連続ヌクレオチド配列は、標的配列にハイブリダイズする場合、複数のミスマッチを含む。
【0133】
II.C. ASOの長さ
ASOは、合計10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30連続ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含み得る。ASO、または連続ヌクレオチド配列の長さについて範囲が与えられる場合、その範囲は、例えば、10と30の両方を含む、10~30の(またはその間の)範囲で提供される下限及び上限の長さを含むことを理解されたい。
【0134】
いくつかの態様では、ASOは、合計で約14~20、14、15、16、17、18、19、または20連続ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含む。特定の態様では、ASOは、合計で約20連続ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含む。特定の態様では、本開示のASOは、14ヌクレオチド長である。特定の態様では、ASOは、13ヌクレオチド長である。特定の態様では、ASOは、12ヌクレオチド長である。特定の態様では、ASOは、11ヌクレオチド長である。特定の態様では、ASOは、10ヌクレオチド長である。特定の態様では、本開示のASOは、15ヌクレオチド長である。特定の態様では、本開示のASOは、16ヌクレオチド長である。特定の態様では、本開示のASOは、17ヌクレオチド長である。特定の態様では、本開示のASOは、18ヌクレオチド長である。特定の態様では、本開示のASOは、19ヌクレオチド長である。
【0135】
いくつかの態様では、ASOは、長さが約10~約50ヌクレオチド、例えば、約10~約45、約10~約40、約10~約35、または約10~約30の連続ヌクレオチド配列を含む。特定の態様では、ASOは、21ヌクレオチド長である。特定の態様では、ASOは、22ヌクレオチド長である。特定の態様では、ASOは、23ヌクレオチド長である。特定の態様では、ASOは、24ヌクレオチド長である。特定の態様では、ASOは、25ヌクレオチド長である。特定の態様では、ASOは、26ヌクレオチド長である。特定の態様では、ASOは、27ヌクレオチド長である。特定の態様では、ASOは、28ヌクレオチド長である。特定の態様では、ASOは、29ヌクレオチド長である。特定の態様では、ASOは、30ヌクレオチド長である。特定の態様では、ASOは、31ヌクレオチド長である。特定の態様では、ASOは、32ヌクレオチド長である。特定の態様では、ASOは、33ヌクレオチド長である。特定の態様では、ASOは、34ヌクレオチド長である。特定の態様では、ASOは、35ヌクレオチド長である。特定の態様では、ASOは、36ヌクレオチド長である。特定の態様では、ASOは、37ヌクレオチド長である。特定の態様では、ASOは、38ヌクレオチド長である。特定の態様では、ASOは、39ヌクレオチド長である。特定の態様では、ASOは、40ヌクレオチド長である。特定の態様では、ASOは、41ヌクレオチド長である。特定の態様では、ASOは、42ヌクレオチド長である。特定の態様では、ASOは、43ヌクレオチド長である。特定の態様では、ASOは、44ヌクレオチド長である。特定の態様では、ASOは、45ヌクレオチド長である。特定の態様では、ASOは、46ヌクレオチド長である。特定の態様では、ASOは、47ヌクレオチド長である。特定の態様では、ASOは、48ヌクレオチド長である。特定の態様では、ASOは、49ヌクレオチド長である。特定の態様では、ASOは、50ヌクレオチド長である。
【0136】
II.D. ヌクレオシド及びヌクレオシド類似体
本開示の一態様では、ASOは、1つ以上の天然ヌクレオシド類似体を含む。本明細書中で使用する「ヌクレオシド類似体」とは、糖及び/または塩基部分の修飾による、DNAまたはRNAヌクレオシドなどの天然ヌクレオシドのバリアントである。類似体は、原則として、オリゴヌクレオチドに関して、天然ヌクレオシドに対して単に「サイレント」または「同等」である可能性があり、すなわち、オリゴヌクレオチドが標的遺伝子発現を阻害するように働く方法に機能的影響を及ぼさない。それにもかかわらず、そのような「同等の」類似体は、例えば、それらが、製造がより容易もしくは安価であるか、または保管もしくは製造条件に対してより安定であるか、またはタグまたは標識を表す場合に有用であり得る。しかしながら、いくつかの態様では、類似体は、例えば、標的への結合親和性を増加させ、及び/または細胞内ヌクレアーゼに対する耐性を増加させ、及び/または細胞への輸送しやすさを高めることによって、ASOが発現を阻害するように作用する方法に機能的な影響を及ぼす。ヌクレオシド類似体の特定の例は、例えば、Freier & Altmann;Nucl.Acid Res.,1997,25,4429-4443及びUhlmann;Curr.Opinion in Drug Development,2000,3(2),293-213、ならびにスキーム1に記載されている。本開示のASOは、1つより多くの、2つより多くの、3つより多くの、4つより多くの、5つより多くの、6つより多くの、7つより多くの、8つより多くの、9つより多くの、10個より多くの、11個より多くの、12個より多くの、13個より多くの、14個より多くの、15個より多くの、16個より多くの、18個より多くの、19個より多くの、または20個より多くのヌクレオシド類似体を含み得る。いくつかの態様では、ASO中のヌクレオシド類似体は同じである。いくつかの態様では、ASO中のヌクレオシド類似体は異なっている。ASOのヌクレオチド類似体は、以下のヌクレオシド類似体のいずれか1つまたは組み合わせとすることができる。
【0137】
いくつかの態様では、ヌクレオシド類似体は、2’-O-アルキル-RNA;2’-O-メチルRNA(2’-OMe);2’-アルコキシ-RNA;2’-O-メトキシエチル-RNA(2’-MOE);2’-アミノ-DNA;2’-フルオロ-RNA;2’-フルオロ-DNA;アラビノ核酸(ANA);2’-フルオロ-ANA;二環式ヌクレオシド類似体;またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、ヌクレオシド類似体は、糖修飾ヌクレオシドを含む。いくつかの態様では、ヌクレオシド類似体は、二環式糖を含むヌクレオシドを含む。いくつかの態様では、ヌクレオシド類似体は、LNAを含む。
【0138】
いくつかの態様では、ヌクレオシド類似体は、拘束エチルヌクレオシド(cEt)、2’,4’-拘束2’-O-メトキシエチル(cMOE)、α-L-LNA、β-D-LNA、2’-O,4’-C-エチレン架橋核酸(ENA)、アミノ-LNA、オキシ-LNA、チオ-LNA、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。いくつかの態様では、ASOは、1つ以上の5’-メチルシトシン核酸塩基を含む。
【0139】
II.D.1.核酸塩基
核酸塩基という用語は、核酸ハイブリダイゼーションにおいて水素結合を形成するヌクレオシド及びヌクレオチドに存在するプリン(例えば、アデニン及びグアニン)及びピリミジン(例えば、ウラシル、チミン及びシトシン)部分を含む。本開示に関して、核酸塩基という用語はまた、天然核酸塩基とは異なり得るが、核酸ハイブリダイゼーション時に機能する修飾された核酸塩基を包含する。いくつかの態様では、核酸塩基部分は、核酸塩基を改変または置換することによって改変される。これに関連して、「核酸塩基」とは、アデニン、グアニン、シトシン、チミジン、ウラシル、キサンチン及びヒポキサンチンなどの天然核酸塩基、ならびに非天然バリアントの両方を指す。そのようなバリアントは、例えば、Hirao et al.,(2012)Accounts of Chemical Research vol 45 page 2055 and Bergstrom(2009)Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry Suppl.37 1.4.1に記載されて いる。
【0140】
いくつかの態様では、核酸塩基部分は、プリンまたはピリミジンを、置換プリンまたは置換ピリミジン、例えば、イソシトシン、偽イソシトシン、5-メチル-シトシン、5-チオゾロ-シトシン、5-プロピニル-シトシン、5-プロピニル-ウラシル、5-ブロモウラシル、5-チアゾロ-ウラシル、2-チオ-ウラシル、2’チオ-チミン、イノシン、ジアミノプリン、6-アミノプリン、2-アミノプリン、2,6-ジアミノプリン、及び2-クロロ-6-アミノプリンから選択される核酸塩基などの修飾プリンまたはピリミジンに変更することによって修飾される。
【0141】
核酸塩基部分は、対応する各核酸塩基、例えば、A、T、G、C、またはUの文字コードによって示され得、各文字は、場合により、同等の機能の修飾核酸塩基を含み得る。例えば、例示されたオリゴヌクレオチドにおいて、核酸塩基部分は、A、T、G、C、及び5-メチルシトシンから選択される。任意選択で、LNAギャップマーの場合、5-メチルシトシンLNAヌクレオシドを使用してもよい。
【0142】
II.D.2. 糖修飾
本開示のASOは、修飾糖部分、すなわち、DNA及びRNAに認められるリボース糖部分と比較した場合に、糖部分の修飾を有する1つ以上のヌクレオシドを含み得る。主に、親和性及び/またはヌクレアーゼ耐性などのオリゴヌクレオチドの特定の特性を向上させることを目的として、リボース糖部分を修飾した多数のヌクレオシドが作製されてきた。
【0143】
そのような修飾には、例えば、ヘキソース環(HNA)、または通常リボース環(LNA)上のC2’及びC4’炭素の間にビラジカル架橋を有する二環式環での置換によって、リボース環構造が修飾されるもの、または、通常、C2’とC3’の炭素間の結合を欠く非結合リボース環(例えば、UNA)が含まれる。他の糖修飾ヌクレオシドとして、例えば、ビシクロヘキソース核酸(WO2011/017521)または三環系核酸(WO2013/154798)が挙げられる。修飾ヌクレオシドには、例えば、ペプチド核酸(PNA)またはモルフォリノ核酸の場合に、糖部分が非糖部分で置き換えられているヌクレオシドも含まれる。
【0144】
糖修飾には、リボース環の置換基を水素以外の基、またはRNAヌクレオシドに天然に存在する2’-OH基に変更することによって行われる修飾も含まれる。置換基は、例えば、2’、3’、4’、または5’位に導入してもよい。修飾糖部分を有するヌクレオシドには、2’置換ヌクレオシドなどの2’修飾ヌクレオシドも含まれる。実際、2’置換ヌクレオシドの開発に多くの焦点が当てられており、ヌクレオシド耐性の強化や親和性の強化など、オリゴヌクレオチドに組み込むと、多くの2’置換ヌクレオシドが有益な特性を有することがわかっている。
【0145】
II.D.2.a. 2’修飾ヌクレオシド
2’糖修飾ヌクレオシドとは、2’位にHまたは-OH以外の置換基を有する(2’置換ヌクレオシド)か、または2’結合ビラジカルを含み、2’置換ヌクレオシド及びLNA(2’-4’ビラジカル架橋)ヌクレオシドを含むヌクレオシドである。例えば、2’修飾糖は、結合親和性(例えば、親和性増強2’糖修飾ヌクレオシド)を増強し、及び/またはオリゴヌクレオチドに対するヌクレアーゼ耐性を高め得る。2’置換修飾ヌクレオシドの例は、2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA(MOE)、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-RNA、2’-フルオロ-DNA、アラビノ核酸(ANA)、及び2’-フルオロ-ANAヌクレオシドである。さらなる例については、例えば、Freier & Altmann;Nucl.Acid Res.,1997,25,4429-4443;Uhlmann,Curr.Opinion in Drug Development,2000,3(2),293-213;及びDeleavey and Damha,Chemistry and Biology 2012,19,937を参照されたい。以下は、いくつかの2’置換修飾ヌクレオシドの図である。
【化1】
【0146】
II.D.2.b. ロックド核酸ヌクレオシド(LNA)
LNAヌクレオシドは、ヌクレオシドのリボース糖環(すなわち、2’-4’架橋)のC2’とC4’の間にリンカー基(ビラジカルまたは架橋と呼ばれる)を含む修飾ヌクレオシドであり、リボース環の立体配座を制限する。これらのヌクレオシドは、文献では架橋核酸または二環式核酸(BNA)とも呼ばれる。リボースのコンフォメーションのロックは、LNAが相補的なRNAまたはDNA分子のオリゴヌクレオチドに組み込まれる場合のハイブリダイゼーションの親和性の向上(二重鎖の安定化)に関連している。これは、オリゴヌクレオチド/相補体の二本鎖の融解温度を測定することによって日常的に決定することができる。
【0147】
非限定的な例示的なLNAヌクレオシドは、WO99/014226,WO00/66604,WO98/039352,WO2004/046160,WO00/047599,WO2007/134181,WO2010/077578,WO2010/036698,WO2007/090071,WO2009/006478,WO2011/156202,WO2008/154401,WO2009/067647,WO2008/150729,Morita et al.,Bioorganic & Med.Chem.Lett.12,73-76,Seth et al.,J.Org.Chem.2010,Vol 75(5) pp.1569-81,及びMitsuoka et al.,Nucleic Acids Research 2009,37(4),1225-1238に開示されている。
【0148】
いくつかの態様では、本開示のASOの修飾ヌクレオシドまたはLNAヌクレオシドは、式IまたはIIの一般的な構造を有する:
【化2】

式中、
Wは、-O-、-S-、-N(R)-、-C(R)-から選択され、特に-O-であり;
Bは、核酸塩基または修飾核酸塩基部分であり;
Zは、隣接するヌクレオシドまたは5’末端基へのヌクレオシド間結合であり;
Z*は、隣接するヌクレオシドまたは3’末端基へのヌクレオシド間結合であり;
、R、R、R及びR5*は、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミル、アジド、複素環及びアリールから独立して選択され;ならびに
X、Y、R及びRは、本明細書で定義されている通りである。
【0149】
いくつかの態様では、-X-Y-、Rは、水素またはアルキル、特に水素またはメチルである。いくつかの態様では、-X-Y-、Rは、水素またはアルキル、特に水素またはメチルである。-X-Y-の他の態様では、RとRの一方または両方が水素である。-X-Y-のさらなる態様では、RとRの一方のみが水素である。-X-Y-のいくつか態様では、RとRの一方がメチルであり、他方が水素である。-X-Y-の特定の態様では、RとRは、両方とも同時にメチルである。
【0150】
いくつかの態様では、-X-、Rは、水素またはアルキル、特に水素またはメチルである。いくつかの態様では、-X-、Rは、水素またはアルキル、特に水素またはメチルである。-X-の他の態様では、RとRの一方または両方が水素である。-X-の特定の態様では、RとRの一方のみが水素である。-X-の特定の態様では、RとRの一方がメチルであり、他方が水素である。-X-の他の態様では、RとRは、両方とも同時にメチルである。
【0151】
いくつかの態様では、-Y-、Rは、水素またはアルキル、特に水素またはメチルである。特定の態様では、-Y-、Rは、水素またはアルキル、特に水素またはメチルである。-Y-の他の態様では、RとRの一方または両方が水素である。-Y-のいくつかの態様では、RとRの一方のみが水素である。-Y-の他の態様では、RとRの一方がメチルであり、他方が水素である。-Y-のいくつかの態様では、RとRは、両方とも同時にメチルである。
【0152】
いくつかの態様では、R、R、R、R及びR5*は、水素及びアルキル、特に水素及びメチルから独立して選択される。
【0153】
いくつかの態様では、R、R、R、R及びR5*は、すべて同時に水素である。
【0154】
いくつかの態様では、R、R、Rはすべて同時に水素であり、R及びR5*の一方は水素であり、他方は上記で定義された通りであり、特にアルキル、より具体的にはメチルである。
【0155】
いくつかの態様では、R、R、Rは、すべて同時に水素であり、R及びR5*の一方は水素であり、他方はアジドである。
【0156】
いくつかの態様では、-X-Y-は-O-CH-であり、Wは酸素であり、R、R、R、R及びR5*は、すべて同時に水素である。そのようなLNAヌクレオシドは、WO99/014226、WO00/66604、WO98/039352及びWO2004/046160に開示されており、これらはすべて参照により本明細書に援用され、当技術分野でβ-D-オキシLNA及びα-L-オキシLNAヌクレオシドとして一般的に知られているものを含む。
【0157】
いくつかの態様では、-X-Y-は-S-CH-であり、Wは酸素であり、R、R、R、R及びR5*は、すべて同時に水素である。そのようなチオLNAヌクレオシドは、参照により本明細書に援用されるWO99/014226及びWO2004/046160に開示されている。
【0158】
いくつかの態様では、-X-Y-は-NH-CH-であり、Wは酸素であり、R、R、R、R及びR5*は、すべて同時に水素である。そのようなチオLNAヌクレオシドは、参照により本明細書に援用されるWO99/014226及びWO2004/046160に開示されている。
【0159】
いくつかの態様では、-X-Y-は、-O-CHCH-または-OCHCHCH-であり、Wは酸素であり、R、R、R、R及びR5*は、すべて同時に水素である。そのようなLNAヌクレオシドは、WO00/047599及びMorita et al.,Bioorganic & Med.Chem.Lett.12,73-76に開示されており、これらは参照により本明細書に援用され、2’-O-4’C-エチレン架橋核酸(ENA)として当技術分野で一般的に知られているものを含む。
【0160】
いくつかの態様では、-X-Y-は-O-CH-であり、Wは酸素であり、R、R、Rは、すべて同時に水素であり、R及びR5*の一方は水素であり、他方は水素ではなく、例えば、アルキル、例えば、メチルである。そのような5’置換LNAヌクレオシドは、WO2007/134181に開示されており、これは参照により本明細書に援用される。
【0161】
いくつかの態様では、-X-Y-は-O-CR-であり、R及びRの一方または両方が水素ではなく、特にメチルなどのアルキルであり、Wは酸素であり、R、R、Rは、すべて同時に水素であり、R及びR5*の一方は水素であり、他方は水素ではなく、特にアルキル、例えば、メチルである。そのようなビス修飾LNAヌクレオシドは、WO2010/077578に開示されており、これは参照により本明細書に援用される。
【0162】
いくつかの態様では、-X-Y-は-O-CH(CH-O-CH)-である(「2’O-メトキシエチル二環式核酸」、Seth et al.,J.Org.Chem.2010,Vol 75(5)pp.1569-81)。
【0163】
いくつかの態様では、-X-Y-は-O-CHR-であり、Wは酸素であり、R、R、R、R及びR5*は、すべて同時に水素である。そのような6’置換LNAヌクレオシドは、WO2010/036698及びWO2007/090071に開示されており、これらはいずれも参照により本明細書に援用される。そのような6’置換LNAヌクレオシドにおいて、Rは、特にC1-C6アルキルであり、例えば、メチルである。
【0164】
いくつかの態様では、-X-Y-は-O-CH(CH-O-CH)-であり、Wは酸素であり、R、R、R、R及びR5*は、すべて同時に水素である。そのようなLNAヌクレオシドは、環状MOE(cMOE)としても当技術分野では知られており、WO2007/090071に開示されている。
【0165】
いくつかの態様では、-X-Y-は-O-CH(CH)-である。
【0166】
いくつかの態様では、-X-Y-は-O-CH-O-CH-である(Seth et al.,J.Org.Chem 2010 op.cit.)。
【0167】
いくつかの態様では、-X-Y-は-O-CH(CH)-であり、Wは酸素であり、R、R、R、R及びR5*は、すべて同時に水素である。そのような6’-メチルLNAヌクレオシドは、cETヌクレオシドとしても当技術分野で知られており、いずれも参照により本明細書に援用されるWO2007/090071(β-D)及びWO2010/036698(α-L)に開示されているように、(S)-cETまたは(R)-cETジアステレオ異性体のいずれかであり得る。
【0168】
いくつかの態様では、-X-Y-は-O-CR-であり、RもRも水素ではなく、Wは酸素であり、R、R、R、R及びR5*は、すべて同時に水素である。特定の態様では、R及びRは両方とも同時にアルキルであり、特に両方とも同時にメチルである。そのような6’ジ置換LNAヌクレオシドは、参照により本明細書に援用されるWO2009/006478に開示されている。
【0169】
いくつかの態様では、-X-Y-は-S-CHR-であり、Wは酸素であり、R、R、R、R及びR5*は、すべて同時に水素である。そのような6’置換チオLNAヌクレオシドは、WO2011/156202に開示されており、これは参照により本明細書に援用される。そのような6’置換チオLNAの特定の態様では、Rはアルキル、特にメチルである。
【0170】
いくつかの態様では、-X-Y-は-C(=CH)C(R)-であり、Wは酸素であり、R、R、R、R及びR5*は、すべて同時に水素である。そのようなビニルカルボLNAヌクレオシドは、WO2008/154401及びWO2009/067647に開示されており、これらはいずれも参照により本明細書に援用される。
【0171】
いくつかの態様では、-X-Y-は-N(OR)-CH-であり、Wは酸素であり、R、R、R、R5及びR5*は、すべて同時に水素である。いくつかの態様では、Rは、メチルなどのアルキルである。そのようなLNAヌクレオシドは、N置換LNAとしても知られており、WO2008/150729に開示されており、これは参照により本明細書に援用される。
【0172】
いくつかの態様では、-X-Y-は-O-NCH-である(Seth et al.,J.Org.Chem 2010 op.cit.)。
【0173】
いくつかの態様では、-X-Y-はON(R)- -N(R)-O-、-NR-CR-CR-、または-NR-CR-であり、Wは酸素であり、R、R、R、R及びR5*は、すべて同時に水素である。いくつかの態様では、Rはアルキル、例えばメチルである。(Seth et al.,J.Org.Chem 2010 op.cit.)。
【0174】
いくつかの態様では、R及びR5*は、両方とも同時に水素である。他の態様では、RとR5*の一方が水素であり、他方がアルキル、例えば、メチルである。そのような態様では、R、R及びRは、特に水素であり得、-X-Y-は、特に-O-CH-または-O-CHC(R-、例えば-O-CH(CH)-であり得る。
【0175】
いくつかの態様では、-X-Y-は--CR-O-CR-、例えば、-CH-O-CH-であり、Wは酸素であり、R、R、R、R及びR5*は、すべて同時に水素である。そのような態様では、Rは、特にメチルなどのアルキルであり得る。そのようなLNAヌクレオシドは、立体配座制限ヌクレオチド(CRN)としても知られており、WO2013/036868に開示されており、これは参照により本明細書に援用される。
【0176】
いくつかの態様では、-X-Y-は-O-CR-O-CR-、例えば、-O-CH-O-CH-であり、Wは酸素であり、R、R、R、R及びR5*は、すべて同時に水素である。特定の態様では、Rは、特にメチルなどのアルキルであり得る。そのようなLNAヌクレオシドは、COCヌクレオチドとしても知られており、Mitsuoka et al.,Nucleic Acids Research 2009,37(4),1225-1238に開示されており、これは参照により本明細書に援用される。
【0177】
特に明記されていない限り、LNAヌクレオシドはβ-Dまたはα-Lステレオアイソフォームであってもよいと認識される。
【0178】
LNAヌクレオシドの特定の例をスキーム1に示す。
スキーム1
【化3】
【0179】
他の箇所に記載されているように、本開示のいくつかの態様では、オリゴヌクレオチド中のLNAヌクレオシドは、β-D-オキシ-LNAヌクレオシドである。
【0180】
II.E. ヌクレアーゼ媒介分解
ヌクレアーゼ媒介分解とは、そのような配列と二重鎖を形成する場合に相補的ヌクレオチド配列の分解を媒介することができるオリゴヌクレオチドを指す。
【0181】
いくつかの態様では、オリゴヌクレオチドは、標的核酸のヌクレアーゼ媒介分解を介して機能し得、本開示のオリゴヌクレオチドは、ヌクレアーゼ、特にエンドヌクレアーゼ、好ましくは、RNaseHなどのエンドリボヌクレアーゼ(RNase)を動員することができる。ヌクレアーゼ媒介メカニズムを介して作動するオリゴヌクレオチド設計の例は、通常、少なくとも5または6個のDNAヌクレオシドの領域を含み、親和性増強ヌクレオシド、例えばギャップマーが片側または両側に隣接しているオリゴヌクレオチドである。
【0182】
II.F. RNaseH活性及び動員
アンチセンスオリゴヌクレオチドのRNaseH活性とは、相補的RNA分子と二重鎖を形成する場合にRNaseHを動員し、相補的RNA分子の分解を誘導する能力を指す。WO01/23613は、RNaseH活性を決定するためのin vitroでの方法を提供し、これを使用して、RNaseHを動員する能力を判定してもよい。通常、オリゴヌクレオチドは、相補的な標的核酸配列が提供される場合、試験対象の修飾オリゴヌクレオチドと同じ塩基配列を有するが、DNA単量体のみを含み、オリゴヌクレオチド内のすべての単量体間にホスホロチオエート結合を有するオリゴヌクレオチドを使用し、pmol/l/分による測定で、WO01/23613の実施例91~95によって提供される方法論を使用する場合に測定される初期速度の少なくとも5%、例えば少なくとも10%または20%超の初期速度を有する場合、RNaseHを動員できると見なされる。
【0183】
いくつかの態様では、オリゴヌクレオチドは、相補的標的核酸が提供される場合に、pmol/l/分で測定されるRNaseH初期速度が、例えば、試験対象のオリゴヌクレオチドと同じ塩基配列を有するが、2’置換を含まないDNA単量体のみを含み、オリゴヌクレオチド中のすべての単量体間にホスホロチオエート結合を有するオリゴヌクレオチドを使用し、WO01/23613の実施例91~95によって提供される方法論を使用する場合に測定される初期速度の20%未満、例えば10%未満、例えば5%未満である場合、RNaseHを動員することが本質的に不可能であると見なされる。
【0184】
II.G. ASO設計
本開示のASOは、ヌクレオシド及びヌクレオシド類似体の両方を含むヌクレオチド配列を含み得、ギャップマーの形態であり得る。いくつかの態様では、ASOは、ギャップマーである。いくつかの態様では、ASOは、ミックスマーである。いくつかの態様では、ASOは、トータルマーである。本開示のASOと共に使用することができるギャップマーの構成の例は、米国特許出願公開第2012/0322851号に記載されており、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0185】
本明細書中で使用する用語「ギャップマー」とは、1つ以上の親和性増強修飾ヌクレオシド(フランク)が5’及び3’に隣接するRNaseH動員オリゴヌクレオチド(ギャップ)の領域を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを指す。用語「LNAギャップマー」とは、親和性増強修飾ヌクレオシドの少なくとも1つがLNAヌクレオシドであるギャップマーオリゴヌクレオチドである。用語「混合ウィングギャップマー」とは、フランク領域が少なくとも1つのLNAヌクレオシド及び少なくとも1つのDNAヌクレオシドまたは非LNA修飾ヌクレオシド、例えば、2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA(MOE)、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-RNA、2’-フルオロ-DNA、アラビノ核酸(ANA)、及び2’-フルオロ-ANAヌクレオシド(複数可)などの少なくとも1つの2’置換修飾ヌクレオシドを含むLNAギャップマーを指す。
【0186】
いくつかの態様では、標的領域に対するASOの親和性を増強することに加えて、いくつかのヌクレオシド類似体はまた、RNase(例えば、RNaseH)の結合及び切断を媒介する。α-L-LNA単量体はある程度RNaseH活性を動員するため、いくつかの態様では、α-L-LNA単量体を含むASOのギャップ領域(例えば、本明細書で言及される領域B)は、RNaseHによって認識及び切断可能な少数の単量体からなり、ミックスマー構造により高い柔軟性が導入される。
【0187】
II.H. ギャプマー設計
いくつかの態様では、本開示のASOはギャップマーであり、本明細書において領域B(B)と呼ばれるRNaseHなどのRNaseを動員することができるヌクレオチド(例えば、1つ以上のDNA)の連続したストレッチを含み、領域Bは、5’及び3’の両方において、領域Bの連続するヌクレオチドのストレッチに対してヌクレオシド類似体の領域が5’及び3’側から隣接し、これらの領域は、それぞれ領域A(A)及びC(C)と呼ばれる。いくつかの態様では、ヌクレオシド類似体は、糖修飾ヌクレオシド(例えば、高親和性糖修飾ヌクレオシド)である。特定の態様では、領域A及びCの糖修飾ヌクレオシドは、標的核酸に対するASOの親和性を増強する(すなわち、親和性増強2’糖修飾ヌクレオシド)。いくつかの態様では、糖修飾ヌクレオシドは、LNA及び/または2’-MOEなどの高親和性2’糖修飾などの2’糖修飾ヌクレオシドである。
【0188】
ギャップマーでは、領域Bの5’及び3’のほとんどのヌクレオシドはDNAヌクレオシドであり、それぞれ領域A及びCのヌクレオシド類似体(例えば、高親和性糖修飾ヌクレオシド)に隣接して配置される。いくつかの態様では、領域A及びCは、領域Bから最も離れた末端(すなわち、領域Aの5’末端及び領域Cの3’末端)にヌクレオシド類似体を有することによってさらに定義され得る。
【0189】
いくつかの態様では、本開示のASOは、式(5’から3’方向に)A-B-Cのヌクレオチド配列を含み、式中:(A)(5’領域または第1のウィング配列)は、少なくとも1つのヌクレオシド類似体(例えば、3~5個のLNAユニット)を含み;(B)は、少なくとも4つの連続ヌクレオシド(例えば、4-24 DNAユニット)を含み、RNaseを動員することができ(プレmRNAまたはmRNA標的などの相補的RNA分子と二重鎖形成する場合);そして(C)(3’領域または第2のウィング配列)は、少なくとも1つのヌクレオシド類似体(例えば、3~5個のLNAユニット)を含む。
【0190】
いくつかの態様では、領域Aは、LNAなどの3~5個のヌクレオシド類似体を含み、領域Bは、6~24個(例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、または14個)のDNAユニットからなり、領域Cは、LNAなどの3つまたは4つのヌクレオシド類似体からなる。そのような設計は、(A-B-C)3-14-3、3-11-3、3-12-3、3-13-3、4-9-4、4-10-4、4-11-4、4-12-4、及び5-10-5を含む。いくつかの態様では、ASOは、LLLDLLL、LLLLDLLLL、またはLLLLLDLLLLLの設計を有し、Lはヌクレオシド類似体であり、DはDNAであり、nは4~24の任意の整数であり得る。いくつかの態様では、nは、6~14の間の任意の整数であり得る。いくつかの態様では、nは、8~12の間の任意の整数であり得る。いくつかの態様では、nは、6~14の間の任意の整数であり得る。いくつかの態様では、nは、8~12の間の任意の整数であり得る。いくつかの態様では、ASOは、LLLMMDnMMLLL、LLLMDnMLLL、LLLLMMDnMMLLLL、LLLLMDnMLLLL、LLLLLLMMDnMMLLLLL、またはLLLLLLMDnMLLLLLの設計を有し、式中、DはDNAであり、nは3~15の間の任意の整数であり得、LはLNAであり、Mは2’MOEである。
【0191】
さらなるギャップマーの設計は、WO2004/046160、WO2007/146511、及びWO2008/113832に開示されており、これらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0192】
II.I. ヌクレオチド間結合
本明細書に記載のASOの単量体は、結合基を介して一緒に結合する。好適には、各単量体は、結合基を介して3’隣接単量体に結合する。
【0193】
当業者は、本開示に関して、ASOの末端の5’単量体は、5’末端基を含む場合も含まない場合もあるが、5’結合基を含まないことを理解するであろう。
【0194】
いくつかの態様では、連続ヌクレオチド配列は、1つ以上の修飾されたヌクレオシド間結合を含む。用語「結合基」または「ヌクレオシド間結合」とは、2つのヌクレオシドを共有結合することができる基を意味することを意図している。非限定的な例として、リン酸基及びホスホロチオエート基が挙げられる。
【0195】
本開示のASOのヌクレオシドまたはその連続ヌクレオシド配列は、結合基を介して一緒に結合する。好適には、各ヌクレオシドは、結合基を介して3’隣接ヌクレオシドに結合する。
【0196】
いくつかの態様では、ヌクレオシド間結合を、その通常のホスホジエステルから、RNaseHによって切断可能なホスホロチオエートなどのヌクレアーゼ攻撃に対してより耐性のあるものに改変し、標的遺伝子の発現を減少させる際のアンチセンス阻害の経路も可能にする。いくつかの態様では、ヌクレオシド間結合の少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%が修飾される。
【0197】
III. 細胞外小胞、例えば、エキソソーム
本明細書において、STAT3アンタゴニストを含むEV(例えばエキソソーム)を開示する。いくつかの態様では、STAT3アンタゴニストは、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)である。ASOは、本明細書に記載の任意のASOまたはその機能的断片であり得る。特定の態様では、ASOは、標的細胞におけるSTAT3 mRNAまたはSTAT3タンパク質のレベルを低下させる。
【0198】
いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)は、免疫細胞を標的とする。いくつかの態様では、免疫細胞は、マクロファージ、樹状細胞、B細胞、T細胞、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。特定の態様では、本開示のEVは、腫瘍細胞を標的とする。特定の態様では、EV(例えばエキソソーム)は、マクロファージを標的とする。特定の態様では、EV(例えばエキソソーム)は、樹状細胞を標的とする。特定の態様では、EV(例えばエキソソーム)は、B細胞を標的とする。特定の態様では、EV(例えばエキソソーム)は、T細胞を標的とする。
【0199】
いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)は、がんの治療を必要とする対象のがんを治療する。いくつかの態様では、がんは、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜癌、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、頭頸部扁平上皮癌、結腸直腸癌、リンパ腫、白血病、肝癌、神経膠芽細胞腫、メラノーマ、骨髄腫基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄質癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝細胞癌、胆管癌、絨毛癌、セミノーマ、胚性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣癌、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、神経膠芽細胞腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、メラノーマ、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、急性骨髄性白血病、胃癌、肝細胞癌、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0200】
上記に記載されるように、EV、例えば、エキソソームは、本明細書に記載される、直径が約20~300nmの間の細胞外小胞である。特定の態様では、本開示のEV、例えば、エキソソームは、約20~290nm、20~280nm、20~270nm、20~260nm、20~250nm、20~240nm、20~230nm、20~220nm、20~210nm、20~200nm、20~190nm、20~180nm、20~170nm、20~160nm、20~150nm、20~140nm、20~130nm、20~120nm、20~110nm、20~100nm、20~90nm、20~80nm、20~70nm、20~60nm、20~50nm、20~40nm、20~30nm、30~300nm、30~290nm、30~280nm、30~270nm、30~260nm、30~250nm、30~240nm、30~230nm、30~220nm、30~210nm、30~200nm、30~190nm、30~180nm、30~170nm、30~160nm、30~150nm、30~140nm、30~130nm、30~120nm、30~110nm、30~100nm、30~90nm、30~80nm、30~70nm、30~60nm、30~50nm、30~40nm、40~300nm、40~290nm、40~280nm、40~270nm、40~260nm、40~250nm、40~240nm、40~230nm、40~220nm、40~210nm、40~200nm、40~190nm、40~180nm、40~170nm、40~160nm、40~150nm、40~140nm、40~130nm、40~120nm、40~110nm、40~100nm、40~90nm、40~80nm、40~70nm、40~60nm、40~50nm、50~300nm、50~290nm、50~280nm、50~270nm、50~260nm、50~250nm、50~240nm、50~230nm、50~220nm、50~210nm、50~200nm、50~190nm、50~180nm、50~170nm、50~160nm、50~150nm、50~140nm、50~130nm、50~120nm、50~110nm、50~100nm、50~90nm、50~80nm、50~70nm、50~60nm、60~300nm、60~290nm、60~280nm、60~270nm、60~260nm、60~250nm、60~240nm、60~230nm、60~220nm、60~210nm、60~200nm、60~190nm、60~180nm、60~170nm、60~160nm、60~150nm、60~140nm、60~130nm、60~120nm、60~110nm、60~100nm、60~90nm、60~80nm、60~70nm、70~300nm、70~290nm、70~280nm、70~270nm、70~260nm、70~250nm、70~240nm、70~230nm、70~220nm、70~210nm、70~200nm、70~190nm、70~180nm、70~170nm、70~160nm、70~150nm、70~140nm、70~130nm、70~120nm、70~110nm、70~100nm、70~90nm、70~80nm、80~300nm、80~290nm、80~280nm、80~270nm、80~260nm、80~250nm、80~240nm、80~230nm、80~220nm、80~210nm、80~200nm、80~190nm、80~180nm、80~170nm、80~160nm、80~150nm、80~140nm、80~130nm、80~120nm、80~110nm、80~100nm、80~90nm、90~300nm、90~290nm、90~280nm、90~270nm、90~260nm、90~250nm、90~240nm、90~230nm、90~220nm、90~210nm、90~200nm、90~190nm、90~180nm、90~170nm、90~160nm、90~150nm、90~140nm、90~130nm、90~120nm、90~110nm、90~100nm、100~300nm、110~290nm、120~280nm、130~270nm、140~260nm、150~250nm、160~240nm、170~230nm、180~220nm、または190~210nmの直径を有する。本明細書に記載のEV(例えばエキソソーム)のサイズは、以下に記載する方法に従って測定することができる。
【0201】
いくつかの態様では、本開示のEV(例えばエキソソーム)は、内(内腔)表面及び外面を含む二脂質膜(「EV(例えばエキソソーム)膜」)を含む。特定の態様では、内(内腔)表面は、EV(例えばエキソソーム)の内部コアに面する。特定の態様では、外面は、プロデューサー細胞または標的細胞のエンドソーム、多小胞体、または膜/細胞質と接触し得る。
【0202】
いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)膜は、脂質及び脂肪酸を含む。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)膜は、リン脂質、糖脂質、脂肪酸、スフィンゴ脂質、ホスホグリセリド、ステロール、コレステロール、及びホスファチジルセリンを含む。
【0203】
いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)膜は、内部リーフレット及び外部リーフレットを含む。内部及び外部リーフレットの組成物は、当技術分野で公知のトランスバイレイヤー(transbilayer)分布アッセイによって決定することができ、例えば、Kuypers et al. Biohim Biophys Acta 1985 819:170を参照されたい。いくつかの態様では、外部リーフレットの組成物は、およそ70~90%のコリンリン脂質、およそ0~15%の酸性リン脂質、及びおよそ5~30%のホスファチジルエタノールアミンである。いくつかの態様では、内部リーフレットの組成物は、およそ15~40%のコリンリン脂質、およそ10~50%の酸性リン脂質、及びおよそ30~60%のホスファチジルエタノールアミンである。
【0204】
いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)膜は、グリカンなどの1つ以上の多糖類を含む。
【0205】
いくつかの態様では、本開示のEV(例えばエキソソーム)は、ASOを含み、ASOは、EVの外面またはEVの内腔表面のいずれかで、足場部分を介してEVに連結する。
【0206】
いくつかの態様では、ASOを含むEV(例えばエキソソーム)は、ASOとエキソソーム膜との間に固定部分(任意選択でリンカーを含む)を含む。いくつかの態様では、ASOは、外来である。いくつかの態様では、ASOは、プロデューサー細胞によって産生されるエキソソームの一部ではない。
【0207】
いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)は、少なくとも1つのASOを含む。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)は、少なくとも2つのASO、例えば、第1のヌクレオチド配列を含む第1のASO及び第2のヌクレオチド配列を含む第2のASOを含む。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)は、少なくとも3つのASO、少なくとも4つのASO、少なくとも5つのASO、少なくとも6つのASO、または6つを超えるASOを含む。いくつかの態様では、第1のASO、第2のASO、第3のASO、第4のASO、第5のASO、第6のASO、及び/または第NのASOのそれぞれが異なる。
【0208】
いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)は、第1のASO及び第2のASOを含み、第1のASOは、第1の転写産物中の第1の標的配列に相補的である第1のヌクレオチド配列を含み、第2のASOは、第1の転写産物の第2の標的配列に相補的な第2のヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、第1の標的配列は、第2の標的配列と重複しない。いくつかの態様では、第1の標的配列は、転写産物の5’UTR内にある少なくとも1つのヌクレオチドを含み、第2の標的配列は、5’UTR内にあるヌクレオチドを含まない。いくつかの態様では、第1の標的配列は、転写産物の3’UTR内にある少なくとも1つのヌクレオチドを含み、第2の標的配列は、3’UTR内にあるヌクレオチドを含まない。いくつかの態様では、第1の標的配列は、転写産物の5’UTR内にある少なくとも1つのヌクレオチドを含み、第2の標的配列は、3’UTR内にある少なくとも1つのヌクレオチドを含む。
【0209】
いくつかの態様では、第1のASOは、エキソン-イントロン接合部内の配列を標的とし、第2のASOは、エキソン-イントロン接合部内の配列を標的とする。いくつかの態様では、第1のASOは、エキソン-イントロン接合部内の配列を標的とし、第2のASOは、エキソン内の配列を標的とする。いくつかの態様では、第1のASOは、エキソン-イントロン接合部内の配列を標的とし、第2のASOは、イントロン内の配列を標的とする。いくつかの態様では、第1のASOは、エキソン内の配列を標的とし、第2のASOは、エキソン内の配列を標的とする。いくつかの態様では、第1のASOは、イントロン内の配列を標的とし、第2のASOは、エキソン内の配列を標的とする。いくつかの態様では、第1のASOは、イントロン内の配列を標的とし、第2のASOは、イントロン内の配列を標的とする。
【0210】
いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)は、第1のASO及び第2のASOを含み、第1のASOは、第1の転写産物中の第1の標的配列に相補的である第1のヌクレオチド配列を含み、第2のASOは、第2の転写産物の第2の標的配列に相補的な第2のヌクレオチド配列を含み、第1の転写産物は、第2の転写産物と同じ遺伝子の産物ではない。
【0211】
いくつかの態様では、本開示のASOは、ホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマー(PMO)またはペプチド結合ホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマー(PPMO)を含む。
【0212】
リンカーの非限定的な例は、本明細書中の他の箇所に開示されている。
【0213】
III.A. 固定部分(AM)
1つ以上の固定部分(AM)を使用して、ASOを本開示のEVに固定することができる。いくつかの態様では、ASOは、固定部分に直接またはリンカーを介して連結される。いくつかの態様では、ASOを、「反応性基」(RG;例えば、アミン、チオール、ヒドロキシ、カルボン酸、またはアジド)と「反応性部分」(RM;例えば、マレイミド、コハク酸塩、NHS)との間の反応を介して、固定部分またはリンカーの組み合わせに結合させることができる。例えば以下のようないくつかの潜在的な合成ルートが想定される:
[AM]-/反応性部分/ + /反応性基/-[ASO]
[AM]-[リンカー]n-/反応性部分/ + /反応性基/-[ASO]
[AM]-/反応性部分/ + /反応性基/-[リンカー]n-[ASO]
[AM]-[リンカー]n-/反応性部分/ + /反応性基/-[リンカー]n-[ASO]
【0214】
固定部分は、EV(例えばエキソソーム)の脂質二重層に挿入することができ、エキソソームへのASOの充填が可能になる。現在、極性ASOの送達媒体としてのエキソソームの商業化に対する主な障害は、充填の効率が非常に低いことである。この障害は、極性ASOを、エキソソームに充填する前に修飾することで克服することができる。したがって、本明細書に記載するように、ASOの修飾は、それらのエキソソームへの充填を促進する。
【0215】
本明細書に記載の修飾極性ASOをエキソソームに充填する方法は、例えば、エレクトロポレーションまたはカチオン性脂質トランスフェクションによって非修飾ASOをエキソソームに導入する方法について、以前に報告された充填効率と比較して、充填効率を有意に向上させる。
【0216】
いくつかの態様では、修飾は、ASOの疎水性を、天然(非修飾)ASOと比較して、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、または少なくとも約10倍だけ増加させる。いくつかの態様では、修飾は、ASOの疎水性を、天然(非修飾)ASOと比較して、少なくとも約1桁、少なくとも約2桁、少なくとも約3桁、少なくとも約4桁、少なくとも約5桁、少なくとも約6桁、少なくとも約7桁、少なくとも約8桁、少なくとも約9桁、または少なくとも約10桁だけ増加させる。
【0217】
いくつかの態様では、修飾は、天然(非修飾)ASO、例えば、対応する非修飾ASOと比較して、ASOの疎水性を、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約175%、少なくとも約200%、少なくとも約250%、少なくとも約300%、少なくとも約350%、少なくとも約400%、少なくとも約450%、少なくとも約500%、少なくとも約600%、少なくとも約700%、少なくとも約800%、少なくとも約900%、または少なくとも約1000%増加させる。疎水性の増加は、任意の好適な方法を使用して評価することができる。例えば、疎水性は、水などの水性溶媒への溶解度と比較した、オクタノールなどの有機溶媒への溶解度の割合を測定することによって決定することができる。
【0218】
いくつかの態様では、固定部分をASOに化学的に結合させ、その疎水性特性を増強することができる。例示的な態様では、固定部分は、ステロール(例えばコレステロール)、GM1、脂質、ビタミン、小分子、ペプチド、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、部分は脂質である。いくつかの態様では、固定部分は、ステロール、例えば、コレステロールを含む。追加の疎水性部分は、例えば、リン脂質、リゾリン脂質、脂肪酸、またはビタミン(例えば、ビタミンDまたはビタミンE)を含む。
【0219】
いくつかの態様では、固定部分は、直接または1つ以上のリンカーを介して、ASOの末端で複合体化される(すなわち、「末端修飾」)。他の態様では、固定部分を、ASOの他の部分と複合体化する。
【0220】
いくつかの態様では、ASOは、検出可能な標識を含み得る。例示的な標識には、蛍光標識及び/または放射性標識が含まれる。ASOが蛍光標識されているいくつかの態様では、検出可能な標識は、例えば、Cy3であり得る。検出可能な標識をASOに追加することは、エキソソームを標識化し、それらの生体内分布を追跡する方法として使用することができる。他の態様では、例えば、エキソソーム脂質及び/またはエキソソームペプチドを標識することによって、検出可能な標識をエキソソームに直接結合させることができる。
【0221】
ASOの様々な成分(すなわち、固定部分、リンカーとリンカーの組み合わせ、及びASO)は、アミド、エステル、エーテル、チオエーテル、ジスルフィド、ホスホルアミデート、ホスホトリエステル、ホスホロジチオエート、メチルホスホネート、ホスホジエステル、またはホスホロチオエート結合、あるいは任意のまたは他の結合によって連結することができる。
【0222】
いくつかの態様では、ASOの異なる成分は、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート、N-4-マレイミド酪酸、S-(2-ピリジルジチオ)システアミン、ヨードアセトキシスクシンイミド、N-(4-マレイミドブチルオキシ)スクシンイミド、N-[5-(3’-マレイミドプロピルアミド)-1-カルボキシペンチル]イミノ二酢酸、N-(5-アミノペンチル)-イミノ二酢酸などの二官能性リンカー(すなわち、2つの官能基を含むリンカー)を使用するリンカーであり得る。
【0223】
III.B.1. 固定部分
EV(例えばエキソソーム)の表面にASOを固定することができる好適な固定部分は、以下で詳細に記載するように、例えば、ステロール(例えば、コレステロール)、脂質、リゾリン脂質、脂肪酸、または脂溶性ビタミンを含む。
【0224】
いくつかの態様では、固定部分は脂質であり得る。脂質固定部分は、当技術分野で公知の任意の脂質、例えば、パルミチン酸またはグリコシルホスファチジルイノシトールであり得る。いくつかの態様では、脂質は、脂肪酸、ホスファチド、リン脂質(例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、またはホスファチジルエタノールアミン)、またはその類似体(例えば、ホスファチジルコリン、レシチン、ホスファチジルエタノールアミン、セファリン、もしくはホスファチジルセリンまたはその類似体もしくはその部分、例えば、その部分的に加水分解された部分)である。いくつかの態様では、固定部分はコレステロールである。
【0225】
一般的に、固定部分は、化学的に結合させる。しかしながら、固定部分を、酵素的にASOに結合させることができる。いくつかの態様では、細胞培養条件の改変を介して固定部分をASOに結合させることができる。例えば、ミリスチン酸が制限されている培地を使用することにより、短鎖及び不飽和を含む他のいくつかの脂肪酸をN末端グリシンに結合させることができる。例えば、BKチャネルでは、ミリスチン酸は、ヒドロキシエステル結合を介して、翻訳後に内部のセリン/トレオニンまたはチロシン残基に結合することが報告されている。
【0226】
固定部分は、化学的に実行可能な任意の位置、例えば、ASOの5’及び/または3’末端で、リンカーの組み合わせを介して直接的または間接的にASOと複合体化することができる。一態様では、固定部分を、ASOの3’末端にのみ複合体化させる。一態様では、固定部分を、ASOの5’末端にのみ複合体化させる。一態様では、固定部分を、ASOの3’末端でも5’末端でもない位置で複合体化させる。
【0227】
以下の表に示す本開示の方法を実施するために使用することができるいくつかのタイプの膜アンカー:
【表1】
【0228】
いくつかの態様では、本開示の固定部分は、本明細書に開示する2つ以上のタイプの固定部分を含み得る。例えば、いくつかの態様では、固定部分には、2つの脂質、例えば、リン脂質と脂肪酸、または2つのリン脂質、または2つの脂肪酸、または脂質とビタミン、またはコレステロールとビタミンなどを含ませることができ、これらはまとめて6~80の炭素原子(すなわち、6~80の同等の炭素数(ECN))を有する。
【0229】
いくつかの態様では、固定部分の組み合わせ、例えば、脂質(例えば、脂肪酸)の組み合わせは、6~80、8~80、10~80、12~80、14~80、16~80、18~80、20~80、22~80、24~80、26~80、28~80、30~80、4~76、6~76、8~76、10~76、12~76、14~76、16~76、18~76、20~76、22~76、24~76、26~76、28~76、30~76、6~72、8~72、10~72、12~72、14~72、16~72、18~72、20~72、22~72、24~72、26~72、28~72、30~72、6~68、8~68、10~68、12~68、14~68、16~68、18~68、20~68、22~68、24~68、26~68、28~68、30~68、6~64、8~64、10~64、12~64、14~64、16~64、18~64、20~64、22~64、24~64、26~64、28~64、30~64、6~60、8~60、10~60、12~56、14~56、16~56、18~56、20~56、22~56、24~56、26~56、28~56、30~56、6~52、8~52、10~52、12~52、14~52、16~52、18~52、20~52、22~52、24~52、26~52、28~52、30~52、6~48、8~48、10~48、12~48、14~48、16~48、18~48、20~48、22~48、24~48、26~48、28~48、30~48、6~44、8~44、10~44、12~44、14~44、16~44、18~44、20~44、22~44、24~44、26~44、28~44、30~44、6~40、8~40、10~40、12~40、14~40、16~40、18~40、20~40、22~40、24~40、26~40、28~40、30~40、6~36、8~36、10~36、12~36、14~36、16~36、18~36、20~36、22~36、24~36、26~36、28~36、30~36、6~32、8~32、10~32、12~32、14~32、16~32、18~32、20~32、22~32、24~32、26~32、28~32、または30~32のECNを有する。
【0230】
III.B.1.a. コレステロール及び他のステロール
いくつかの態様では、固定部分は、ステロール、ステロイド、ホパノイド、ヒドロキシステロイド、セコステロイド、または親油性を有するその類似体を含む。いくつかの態様では、固定部分は、植物ステロール、マイコステロール、または動物ステロールなどのステロールを含む。例示的な動物ステロールとして、コレステロール及び24S-ヒドロキシコレステロールが挙げられ;例示的な植物ステロールとして、エルゴステロール(マイコステロール)、カンペステロール、シトステロール、及びスチグマステロールが挙げられる。いくつかの態様では、ステロールは、エルゴステロール、7-デヒドロコレステロール、コレステロール、24S-ヒドロキシコレステロール、ラノステロール、シクロアルテノール、フコステロール、サリンゴステロール、カンペステロール、β-シトステロール、シトスタノール、コプロスタノール、アベナステロール、またはスチグマステロールから選択される。ステロールは、遊離ステロール、アシル化(ステロールエステル)、アルキル化(ステリルアルキルエーテル)、硫酸化(ステロール硫酸塩)、またはそれ自体がアシル化可能なグリコシド部分(ステリルグリコシド)に結合している(アシル化ステロールグリコシド)として見出され得る。
【0231】
いくつかの態様では、固定部分は、ステロイドを含む。いくつかの態様では、ステロイドは、ジヒドロテストステロン、ウバオール、ヘシゲニン、ジオスゲニン、プロゲステロン、またはコルチゾールから選択される。
【0232】
例えば、ステロールは、ステロールの利用可能な-OH基において、直接またはリンカーの組み合わせを介してASOに複合体化させてもよい。例示的なステロールは、以下に示す一般的な骨格を有する:
【化4】
【0233】
さらなる例として、エルゴステロールは以下の構造を有する:
【化5】
【0234】
コレステロールは、以下の構造を有する:
【化6】
【0235】
したがって、いくつかの実施形態では、ステロールまたはステロイドの遊離-OH基を使用して、ASOを直接またはリンカーの組み合わせを介して、ステロール(例えば、コレステロール)またはステロイドに複合体化する。
【0236】
III.B.1.b. 脂肪酸
いくつかの態様では、固定部分は脂肪酸である。いくつかの態様では、脂肪酸は、短鎖、中鎖、または長鎖脂肪酸である。いくつかの態様では、脂肪酸は飽和脂肪酸である。いくつかの態様では、脂肪酸は不飽和脂肪酸である。いくつかの態様では、脂肪酸はモノ不飽和脂肪酸である。いくつかの態様では、脂肪酸は、ω-3(オメガ-3)またはω-6(オメガ-6)脂肪酸などの多価不飽和脂肪酸である。
【0237】
いくつかの態様では、脂質、例えば、脂肪酸は、C-C60鎖を有する。いくつかの実施形態では、脂質、例えば、脂肪酸は、C-C28鎖を有する。いくつかの態様では、脂質は、C-C40鎖を有する。いくつかの態様では、脂質は、C-C12またはC-C12鎖を有する。いくつかの態様では、脂質は、C-C40鎖を有する。いくつかの態様では、脂肪酸は、C-C40、C-C38、C-C36、C-C34、C-C32、C-C30、C-C30、C-C28、C-C28、C-C26、C-C26、C-C24、C-C24、C-C24、C-C24、C10-C24、C-C22、C-C22、C-C22、C-C22、C10-C22、C-C20、C-C20、C-C20、C-C20、C10-C20、C-C18、C-C18、C-C18、C-C18、C10-C18、C12-C18、C14-C18、C16-C18、C-C16、C-C16、C-C16、C-C16、C10-C16、C12-C16、C14-C16、C-C15、C-C15、C-C15、C-C15、C-C15、C10-C15、C11-C15、C12-C15、C13-C15、C-C14、C-C14、C-C14、C-C14、C-C14、C10-C14、C11-C14、C12-C14、C-C13、C-C13、C-C13、C-C13、C-C13、C-C13、C10-C13、C10-C13、C11-C13、C-C12、C-C12、C-C12、C-C12、C-C12、C-C12、C10-C12、C-C11、C-C11、C-C11、C-C11、C-C11、C-C11、C-C10、C-C10、C-C、C-C、C-C、C-C、C-C、C-C、またはC-C鎖を有する。いくつかの態様では、脂肪酸は、C、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20、C21、C22、C23、C24、C25、C26、C27、C28、C29、C30、C31、C32、C33、C34、C35、C36、C37、C38、C39、C40、C41、C42、C43、C44、C45、C46、C47、C48、C49、C50、C51、C52、C53、C54、C55、C56、C57、C58、C59、またはC60を有する。
【0238】
いくつかの態様では、固定部分は2つの脂肪酸を含み、それらのそれぞれは、独立して、前述の範囲または数の炭素原子のいずれか1つを有する鎖を有する脂肪酸から選択される。いくつかの態様では、脂肪酸の1つは、独立して、C6-C21鎖を有する脂肪酸であり、そして1つは、独立して、C12-C36鎖を有する脂肪酸である。いくつかの実施形態では、各脂肪酸は、独立して、11、12、13、14、15、16、または17個の炭素原子の鎖を有する。
【0239】
好適な脂肪酸として、飽和直鎖脂肪酸、飽和分岐脂肪酸、不飽和脂肪酸、ヒドロキシ脂肪酸、及びポリカルボン酸が挙げられる。いくつかの態様では、そのような脂肪酸は、最大32個の炭素原子を有する。
【0240】
有用な飽和直鎖脂肪酸の例として、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ヘキサコサン酸、オクタコサン酸、トリアコンタン酸及びn-ドトリアコンタン酸などの偶数の炭素原子を有するもの、ならびにプロピオン酸、n-吉草酸、エナント酸、ペラルゴン酸、ヘンデカン酸、トリデカン酸、ペンタデカン酸、ヘプタデカン酸、ノナデカン酸、ヘネイコサン酸、トリコサン酸、ペンタコサン酸、及びヘプタコサン酸などの奇数の炭素原子を有するものが挙げられる。
【0241】
好適な飽和分岐脂肪酸の例として、イソ酪酸、イソカプロン酸、イソカプリル酸、イソカプリン酸、イソラウリン酸、11-メチルドデカン酸、イソミリスチン酸、13-メチル-テトラデカン酸、イソパルミチン酸、15-メチル-ヘキサデカン酸、イソステアリン酸、17-メチルオクタデカン酸、イソアラシン酸、19-メチル-エイコサン酸、α-エチル-ヘキサン酸、α-ヘキシルデカン酸、α-ヘプチルウンデカン酸、2-デシルテトラデカン酸、2-ウンデシルテトラデカン酸、2-デシルペンタデカン酸、2-ウンデシルペンタデカン酸、及びFineオキソコール1800酸(Nissan Chemical Industries, Ltd.製)が挙げられる。好適な飽和奇数炭素分岐脂肪酸として、イソブチル基で終結するアンテイソ脂肪酸、例えば、6-メチル-オクタン酸、8-メチル-デカン酸、10-メチル-ドデカン酸、12-メチル-テトラデカン酸、14-メチルヘキサデカン酸、16-メチルオクタデカン酸、18-メチル-エイコサン酸、20-メチル-ドコサン酸、22-メチル-テトラコサン酸、24-メチル-ヘキサコサン酸、及び26-メチルオクタコサン酸が挙げられる。
【0242】
好適な不飽和脂肪酸の例として、4-デセン酸、カプロレイン酸、4-ドデセン酸、5-ドデセン酸、ラウロレイン酸、4-テトラデセン酸、5-テトラデセン酸、9-テトラデセン酸、パルミトレイン酸、6-オクタデセン酸、オレイン酸、9-オクタデセン酸、11-オクタデセン酸、9-エイコセン酸、シス-11-エイコセン酸、セトレイン酸、13-ドコセン酸、15-テトラコセン酸、17-ヘキサコセン酸、6,9,12,15-ヘキサデカテトラエン酸、リノール酸、リノレン酸、α-エレオステアリン酸、β-エレオステアリン酸、プニカ酸、6,9,12,15-オクタデカテトラエン酸、パリナリン酸、5,8,11,14-エイコサテトラエン酸、5,8,11,14,17-エイコサペンタエン酸、7,10,13,16,19-ドコサペンタエン酸、4,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸などが挙げられる。
【0243】
好適なヒドロキシ脂肪酸の例として、α-ヒドロキシラウリン酸、α-ヒドロキシミリスチン酸、α-ヒドロキシパルミチン酸、α-ヒドロキシステアリン酸、ω-ヒドロキシラウリン酸、α-ヒドロキシアラキン酸、9-ヒドロキシ-12-オクタデセン酸、リシノール酸、α-ヒドロキシベヘン酸、9-ヒドロキシ-トランス-10,12-オクタデカジエン酸、カモレン酸(kamolenic acid)、イプロリン酸、9,10-ジヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸などが挙げられる。
【0244】
好適なポリカルボン酸の例として、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、D,L-リンゴ酸などが挙げられる。
【0245】
いくつかの態様では、各脂肪酸は、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ヘンイコシル酸、ベヘン酸、トリコシル酸、リグノセリン酸、ペンタコシル酸、セロチン酸、ヘプタコシル酸、モンタン酸、ノナコシル酸、メリシン酸、ヘナトリアコンチル酸、ラッセル酸、プシル酸、ゲジン酸、セロプラスチック酸、ヘキサトリアコンチル酸、ヘプタトリアコンタン酸、またはオクタトリアコンタン酸から独立して選択される。
【0246】
いくつかの態様では、各脂肪酸は、α-リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リノール酸、γ-リノール酸、ジホモ-γ-リノール酸、アラキドン酸、ドコサテトラエン酸、パルミトレイン酸、バクセン酸、パウリン酸、オレイン酸、エライジン酸、ゴンドイン酸、エルカ酸(eurcic acid)、ネルボン酸、ミード酸、アドレン酸、ボセオペンタエン酸、オズボンド酸、サルジン酸、ニシン酸、ドコサヘキサエン酸、またはテトラコサノールペンタエン酸、または別のモノ不飽和または多価不飽和脂肪酸から独立して選択される。
【0247】
いくつかの態様では、脂肪酸の一方または両方が、必須脂肪酸である。特定の必須脂肪酸の有益な健康効果を考慮すると、開示する治療的に充填されたエキソソームの治療効果は、そのような脂肪酸を治療薬に含めることによって増加され得る。いくつかの態様では、必須脂肪酸は、リノレン酸、γ-リノレン酸、ジホモ-γ-リノレン酸、アラキドン酸、アドレン酸、ドコサペンタエンn-6酸、α-リノレン酸、ステアリドン酸、20:4n-3酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエンn-3酸、またはドコサヘキサエン酸からなる群から選択されるn-6またはn-3必須脂肪酸である。
【0248】
いくつかの態様では、各脂肪酸は、独立して、all-cis-7,10,13-ヘキサデカトリエン酸、α-リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサトリエン酸、エイコサテトラエン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、テトラコサペンタエン酸、テトラコサヘキサエン酸、またはリポ酸から選択される。他の態様では、脂肪酸は、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、またはリポ酸から選択される。脂肪酸の他の例として、all-cis-7,10,13-ヘキサデカトリエン酸、α-リノレン酸(ALAまたはall-cis-9,12,15-オクタデカトリエン酸)、ステアリドン酸(STDまたはall-cis-6,9,12,15-オクタデカテトラエン酸)、エイコサトリエン酸(ETEまたはall-cis-11,14,17-エイコサトリエン酸)、エイコサテトラエン酸(ETAまたはall-cis-8,11,14,17-エイコサテトラエン酸)、エイコサテトラエン酸(EPA)、ドコサペンタエン酸(DPA、クルパノドン酸またはall-cis-7,10,13,16,19-ドコサペンタエン酸)、ドコサヘキサエン酸(DHAまたはオールシス-4,7,10,13、16,19-ドコサヘキサエン酸)、テトラコサペンタエン酸(all-cis-9,12,15,18,21-ドコサヘキサエン酸)、またはテトラコサヘキサエン酸(ニシン酸またはall-cis-6,9,12,15,18,21-テトラコセン酸)が挙げられる。いくつかの態様では、脂肪酸は、リポ酸などの中鎖脂肪酸である。
【0249】
脂肪酸鎖は鎖の長さが大きく異なり、例えば、短いものから非常に長いものまで、鎖の長さによって分類され得る。短鎖脂肪酸(SCFA)は、炭素数が約5以下の脂肪酸(例えば、酪酸)である。いくつかの態様では、脂肪酸はSCFAである。中鎖脂肪酸(MCFA)は、約6~12個の炭素の鎖を有する脂肪酸を含み、中鎖トリグリセリドを形成することができる。いくつかの態様では、脂肪酸はMCFAである。長鎖脂肪酸(LCFA)は、炭素数13~21の脂肪酸を含む。いくつかの態様では、脂肪酸はLCFAである。いくつかの態様では、脂肪酸はLCFAである。超長鎖脂肪酸(VLCFA)は、22個以上の炭素、例えば、22~60、22~50、または22~40個の炭素の鎖を有する脂肪酸を含む。いくつかの態様では、脂肪酸はVLCFAである。
【0250】
III.B.1.c. リン脂質
いくつかの態様では、固定部分は、リン脂質を含む。リン脂質は、すべての細胞膜の主成分である脂質のクラスである。それらは両親媒性の特徴のために脂質二重層を形成することができる。リン脂質分子の構造は、一般的に、2つの疎水性脂肪酸「テール」とリン酸基からなる親水性「ヘッド」からなる。例えば、リン脂質は、次式に記載の脂質であり得る:
【化7】

式中、Rはリン脂質部分を表し、RとRは、不飽和の有無にかかわらず、同じかまたは異なり得る脂肪酸部分を表す。
【0251】
リン脂質部分は、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、2 リゾホスファチジルコリン、及びスフィンゴミエリンからなる非限定的基から選択され得る。
【0252】
特定のリン脂質は、脂質二重層、例えば、エキソソーム膜の脂質二重層への融合を促進し得る。例えば、カチオン性リン脂質は、膜の1つ以上の負に荷電したリン脂質と相互作用し得る。リン脂質の膜への融合は、脂質含有組成物の1つ以上の要素が膜に結合するか、または膜を通過することを可能にし得る。
【0253】
脂肪酸部分は、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、α-リノレン酸、エルカ酸、フィタン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ベヘン酸、ドコサペンタエン酸、及びドコサヘキサエン酸からなる非限定的基から選択され得る。
【0254】
本開示において固定部分として使用するリン脂質は、天然または非天然のリン脂質であり得る。分岐、酸化、環化、及びアルキンを含む修飾及び置換を有する天然種を含む非天然リン脂質種もまた企図される。例えば、リン脂質は、1つ以上のアルキン(例えば、1つ以上の二重結合が三重結合で置き換えられているアルケニル基)で官能化または架橋され得る。適切な反応条件下で、アルキン基は、アジドへの曝露時に銅触媒による付加環化反応を受け得る。
【0255】
リン脂質には、グリセロリン脂質、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、及びホスファチジン酸が含まれるが、これらに限定されない。
【0256】
本明細書に開示する固定部分で使用することができるリン脂質の例には、以下が含まれる。
・ ホスファチジルエタノールアミン:例えば、ジラウロイルホスファチジルエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン、1-パルミトイル-2-オレイルホスファチジルエタノールアミン、1-オレイル-2-パルミトイルホスファチジルエタノールアミン、及びジエルコイルホスファチジルエタノールアミン;
・ ホスファチジルグリセロール:例えば、ジラウロイルホスファチジルグリセロール、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、ジステアロイルホスファチジルグリセロール、ジオレオイルホスファチジルグリセロール、1-パルミトイル-2-オレイル-ホスファチジルグリセロール、1-オレイル-2-パルミトイルホスファチジルグリセロール、及びジエルコイルホスファチジルグリセロール;
・ ホスファチジルセリン:例えば、ジラウロイルホスファチジルセリン、ジミリストイルホスファチジルセリン、ジパルミトイルホスファチジルセリン、ジステアロイルホスファチジルセリン、ジオレオイルホスファチジルセリン、1-パルミトイル-2-オレイル-ホスファチジルセリン、1-オレイル-2-パルミトイル-ホスファチジルセリン、及びジエルコイルホスファチジルセリン;
・ ホスファチジン酸:例えば、ジラウロイルホスファチジン酸、ジミリストイルホスファチジン酸、ジパルミトイルホスファチジン酸、ジステアロイルホスファチジン酸、ジオレオイルホスファチジン酸、1-パルミトイル-2-オレイルホスファチジン酸、1-オレイル-2-パルミトイル-ホスファチジン酸、及びジエルコイルホスファチジン酸;ならびに、
・ ホスファチジルイノシトール:例えば、ジラウロイルホスファチジルイノシトール、ジミリストイルホスファチジルイノシトール、ジパルミトイルホスファチジルイノシトール、ジステアロイルホスファチジルイノシトール、ジオレオイルホスファチジルイノシトール、1-パルミトイル-2-オレイル-ホスファチジルイノシトール、1-オレイル-2-パルミトイルホスファチジルイノシトール、及びジエルコイルホスファチジルイノシトール。
【0257】
リン脂質は、対称型または非対称型であり得る。本明細書中で使用する場合、用語「対称リン脂質」は、一致する脂肪酸部分を有するグリセロリン脂質、及び可変脂肪酸部分及びスフィンゴシン骨格の炭化水素鎖が同等の数の炭素原子を含むスフィンゴ脂質を含む。本明細書中で使用する場合、用語「非対称リン脂質」は、リゾ脂質、異なる脂肪酸部分(例えば、異なる数の炭素原子及び/または不飽和(例えば、二重結合)を有する脂肪酸部分)を有するグリセロリン脂質、ならびにスフィンゴシン骨格の可変脂肪酸部分及び炭化水素鎖が異なる数の炭素原子を含むスフィンゴ脂質を含む(例えば、可変脂肪酸部分は、炭化水素鎖よりも少なくとも2つ多い炭素原子を含むか、または炭化水素鎖よりも少なくとも2つ少ない炭素原子を含む)。
【0258】
いくつかの態様では、固定部分は、少なくとも1つの対称リン脂質を含む。対称リン脂質は、以下からなる非限定的な群から選択され得る。
1,2-ジプロピオニル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(03:0 PC)、
1,2-ジブチリル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(04:0 PC)、
1,2-ジペンタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(05:0 PC)、
1,2-ジヘキサノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(06:0 PC)、
1,2-ジヘプタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(07:0 PC)、
1,2-ジオクタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(08:0 PC)、
1,2-ジノナノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(09:0 PC)、
1,2-ジデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(10:0 PC)、
1,2-ジウンデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(11:0 PC、DUPC)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(12:0 PC)、
1,2-ジトリデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(13:0 PC)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(14:0 PC、DMPC)、
1,2-ジペンタデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(15:0 PC)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(16:0 PC、DPPC)、
1,2-ジフィタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(4ME 16:0 PC)、
1,2-ジヘプタデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(17:0 PC)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0 PC、DSPC)、
1,2-ジノナデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(19:0 PC)、
1,2-ジアラキドイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(20:0 PC)、
1,2-ジヘンアラキドイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(21:0 PC)、
1,2-ベヘノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(22:0 PC)、
1,2-ジトリコサノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(23:0 PC)、
1,2-ジリグノセロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(24:0 PC)、
1,2-ジミリストレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(14:1 (Δ9-Cis) PC)、
1,2-ジミリステライドイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(14:1 (Δ9-Trans) PC)、
1,2-ジパルミトレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(16:1 (Δ9-Cis) PC)、
1,2-ジパルミテライドイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(16:1 (Δ9-Trans) PC)、
1,2-ジペトロセレノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:1 (Δ6-Cis) PC)、
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:1 (Δ9-Cis) PC、DOPC)、
1,2-ジエライドイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:1 (Δ9-Trans) PC)、
1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:2 (Cis) PC、DLPC)、
1,2-ジリノレノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:3 (Cis) PC、DLnPC)、
1,2-ジエイコセノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(20:1 (Cis) PC)、
1,2-ジアラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(20:4 (Cis) PC、DAPC)、
1,2-ジエルコイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(22:1 (Cis) PC)、
1,2-ジドコサヘキサノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(22:6 (Cis) PC、DHAPC)、
1,2-ジネルボノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(24:1 (Cis) PC)、
1,2-ジヘキサノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(06:0 PE)、
1,2-ジオクタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(08:0 PE)、
1,2-ジデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(10:0 PE)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(12:0 PE)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(14:0 PE)、
1,2-ジペンタデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(15:0 PE)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(16:0 PE)、
1,2-ジフィタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(4ME 16:0 PE)、
1,2-ジヘプタデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(17:0 PE)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(18:0 PE、DSPE)、
1,2-ジパルミトレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(16:1 PE)、
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(18:1 (Δ9-Cis) PE、DOPE)、
1,2-ジエライドイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(18:1 (Δ9-Trans) PE)、
1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(18:2 PE、DLPE)、
1,2-ジリノレノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(18:3 PE、DLnPE)、
1,2-ジアラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(20:4 PE、DAPE)、
1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(22:6 PE、DHAPE)、
1,2-ジ-O-オクタデセニル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0 ジエーテル PC)、
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-rac-(1-グリセロール)ナトリウム塩(DOPG)、及びそれらの任意の組み合わせ。
【0259】
いくつかの態様では、固定部分は、DLPC、DMPC、DOPC、DPPC、DSPC、DUPC、18:0 ジエーテル PC、DLnPC、DAPC、DHAPC、DOPE、4ME 16:0 PE、DSPE、DLPE、DLnPE、DAPE、DHAPE、DOPG、及びそれらの任意の組み合わせからなる非限定的な基から選択される少なくとも1つの対称リン脂質を含む。
【0260】
いくつかの態様では、固定部分は、少なくとも1つの非対称リン脂質を含む。非対称リン脂質は、以下からなる非限定的な群から選択され得る。
1-ミリストイル-2-パルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(14:0-16:0 PC、MPPC)、
1-ミリストイル-2-ステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(14:0-18:0 PC、MSPC)、
1-パルミトイル-2-アセチル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(16:0-02:0 PC)、
1-パルミトイル-2-ミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(16:0-14:0 PC、PMPC)、
1-パルミトイル-2-ステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(16:0-18:0 PC、PSPC)、
1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(16:0-18:1 PC、POPC)、
1-パルミトイル-2-リノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(16:0-18:2 PC、PLPC)、
1-パルミトイル-2-アラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(16:0-20:4 PC)、
1-パルミトイル-2-ドコサヘサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(14:0-22:6 PC)、
1-ステアロイル-2-ミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0-14:0 PC、SMPC)、
1-ステアロイル-2-パルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0-16:0 PC、SPPC)、
1-ステアロイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0-18:1 PC、SOPC)、
1-ステアロイル-2-リノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0-18:2 PC)、
1-ステアロイル-2-アラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0-20:4 PC)、
1-ステアロイル-2-ドコサヘサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0-22:6 PC)、
1-オレオイル-2-ミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:1-14:0 PC、OMPC)、
1-オレオイル-2-パルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:1-16:0 PC、OPPC)、
1-オレオイル-2-ステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:1-18:0 PC、OSPC)、
1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(16:0-18:1 PE、POPE)、
1-パルミトイル-2-リノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(16:0-18:2 PE)、
1-パルミトイル-2-アラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(16:0-20:4 PE)、
1-パルミトイル-2-ドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(16:0-22:6 PE)、
1-ステアロイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(18:0-18:1 PE)、
1-ステアロイル-2-リノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(18:0-18:2 PE)、
1-ステアロイル-2-アラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(18:0-20:4 PE)、
1-ステアロイル-2-ドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(18:0-22:6 PE)、
1-オレオイル-2-コレステリルヘミスクシノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(OChemsPC)、及び
それらの任意の組み合わせ。
【0261】
より顕著なヌクレアーゼ耐性、細胞取り込み効率、及びより顕著なRNA干渉効果を提供するために、ホスファチジルエタノールアミン、例えば、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、1-パルミトイル-2-オレイル-ホスファチジルエタノールアミン、及びジオレオイルホスファチジルエタノールアミンを固定部分として使用してもよい。
【0262】
脂質(例えば、リン脂質)及びリンカーの組み合わせまたはBAM、例えば、ASOの結合部位は、脂質及びリンカーまたはASOのタイプに従って好適に選択され得る。脂質の疎水性基以外の任意の位置は、化学結合によってリンカーまたはASOに連結され得る。例えば、ホスファチジルエタノールアミンを使用する場合、ホスファチジルエタノールアミンのアミノ基とリンカーまたはASOとの間にアミド結合などを形成することにより連結を行ってもよい。ホスファチジルグリセロールを使用する場合、グリセロール残基のヒドロキシル基とリンカーまたはASOとの間にエステル結合、エーテル結合などを形成することによって連結を行ってもよい。ホスファチジルセリンを使用する場合、セリン残基のアミノ基またはヒドロキシル基とリンカーまたはASOとの間にエステル結合、アミド結合またはエステル結合などを形成することによって連結を行ってもよい。ホスファチジン酸を使用する場合、リン酸残基とリンカーまたはASOとの間にリン酸エステル結合などを形成することによって連結を行ってもよい。ホスファチジルイノシトールを使用する場合、イノシトール残基のヒドロキシル基とリンカーまたはASOとの間にエステル結合、エーテル結合などを形成することによって連結を行ってもよい。
【0263】
III.B.1.d. リゾ脂質(例えば、リゾリン脂質)
いくつかの態様では、固定部分は、リン脂質、例えば、リゾリン脂質を含む。リゾ脂質は、一般的に加水分解によって一方または両方の脂肪アシル鎖が除去された脂質の誘導体である。リゾリン脂質は、一方または両方の脂肪アシル鎖が加水分解によって除去された脂質の誘導体である。
【0264】
いくつかの態様では、固定部分は、一方または両方のアシル鎖が加水分解によって除去された上記のリン脂質のいずれかを含み、したがって、得られるリゾリン脂質は、一方の脂肪酸アシル鎖を含むか、またはまったく含まない。
【0265】
いくつかの態様では、固定部分は、リゾグリセロリン脂質、リゾグリコスフィンゴ脂質、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルイノシトール、またはリゾホスファチジルセリンを含む。
【0266】
いくつかの態様では、固定部分は、以下からなる非限定的な基から選択されるリゾ脂質を含む。
1-ヘキサノイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(06:0 Lyso PC)、
1-ヘプタノイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(07:0 Lyso PC)、
1-オクタノイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(08:0 Lyso PC)、
1-ノナノイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(09:0 Lyso PC)、
1-デカノイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(10:0 Lyso PC)、
1-ウンデカノイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(11:0 Lyso PC)、
1-ラウロイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(12:0 Lyso PC)、
1-トリデカノイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(13:0 Lyso PC)、
1-ミリストイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(14:0 Lyso PC)、
1-ペンタデカノイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(15:0 Lyso PC)、
1-パルミトイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(16:0 Lyso PC)、
1-ヘプタデカノイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(17:0 Lyso PC)、
1-ステアロイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0 Lyso PC)、
1-オレオイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:1 Lyso PC)、
1-ノナデカノイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(19:0 Lyso PC)、
1-アラキドイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(20:0 Lyso PC)、
1-ベヘノイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(22:0 Lyso PC)、
1-リグノセロイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(24:0 Lyso PC)、
1-ヘキサコサノイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(26:0 Lyso PC)、
1-ミリストイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(14:0 Lyso PE)、
1-パルミトイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(16:0 Lyso PE)、
1-ステアロイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(18:0 Lyso PE)、
1-オレオイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(18:1 Lyso PE)、
1-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(C16 Lyso PC)、及び
それらの任意の組み合わせ。
【0267】
III.A.1.e. ビタミン
いくつかの態様では、固定部分は、親油性ビタミン、例えば、葉酸、ビタミンA、ビタミンE、またはビタミンKを含む。
【0268】
いくつかの態様では、固定部分はビタミンAを含む。ビタミンAは、レチノール、レチナール、レチノイン酸、及びいくつかのプロビタミンAカロテノイド(特にβカロチン)を含む不飽和栄養有機化合物の群である。いくつかの態様では、固定部分は、レチノールを含む。いくつかの態様では、固定部分は、レチノイドを含む。レチノイドは、ビタミンAのビタミン剤であるか、または化学的に関連している化合物の一種である。いくつかの態様では、固定部分は、第1世代レチノイド(例えば、レチノール、トレチノイン、イソトレチノイン、またはアリトレチノイン)、第2世代レチノイド(例えば、エトレチナートまたはアシトレチン)、第3世代レチノイド(例えば、アダパレン、ベキサロテン、またはタザロテン)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【化8】
【0269】
いくつかの態様では、固定部分はビタミンEを含む。トコフェロールはメチル化フェノールのクラスであり、その多くはビタミンE活性を有する。したがって、いくつかの態様では、固定部分は、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール、またはそれらの組み合わせを含む。
【化9】

【化10】

【化11】

【化12】
【0270】
トコトリエノールは、ビタミンE活性も有する。トコトリエノールとトコフェロールの重要な化学的構造の違いは、トコトリエノールは、トコフェロールの飽和側鎖に対して、3つの炭素-炭素二重結合を有する不飽和イソプレノイド側鎖を有することである。いくつかの態様では、固定部分は、α-トコトリエノール、β-トコトリエノール、γ-トコトリエノール、δ-トコトリエノール、またはそれらの組み合わせを含む。トコトリエノールは以下の式で表すことができる。
【化13】

アルファ(α)-トコトリエノール:R1=Me、R2=Me、R3=Me;
ベータ(β)-トコトリエノール:R1=Me、R2=H、R3=Me;
ガンマ(γ)-トコトリエノール:R1=H、R2=Me、R3=Me;
デルタ(δ)-トコトリエノール:R1=H、R2=H、R3=Me。
【0271】
いくつかの態様では、固定部分はビタミンKを含む。化学的に、ビタミンKファミリーは、2-メチル-1.4-ナフトキノン(3-)誘導体を含む。ビタミンKは、2つの天然ビタミン:ビタミンKとビタミンKを含む。ビタミンK(フィトナジオン、フィロキノン、または(E)-フィトナジオンとしても知られる)の構造は、フィチル基の存在によって特徴づけられる。ビタミンK(メナキノン)の構造は、6~13個のイソプレニル単位を含み得る分子内に存在するポリイソプレニル側鎖によって特徴づけられる。したがって、ビタミンKは、イソプレノイド原子群でできた炭素側鎖の長さが異なる、いくつかの関連する化学サブタイプからなる。MK-4は、ビタミンKの最も一般的な形態である。MK-7、MK-8、MK-9などの長鎖型は、発酵食品で主流である。MK-10~MK-13などの長鎖型のビタミンKは、細菌によって合成されるが、それらは十分に吸収されず、生物学的機能がほとんどない。天然型のビタミンKに加えて、ビタミンK(メナジオン;2-メチルナフタレン-1,4-ジオン)、ビタミンK、ビタミンKなどのいくつかの合成型のビタミンKが存在する。
【0272】
したがって、いくつかの態様では、固定部分は、ビタミンK、K(例えば、MK-4、MK-5、MK-6、MK-7、MK-8、MK-9、MK-10、MK-11、MK-12、またはMK-13)、K、K、K、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【化14】
【0273】
III.A.2. リンカーの組み合わせ
いくつかの態様では、ASOは、リンカーの組み合わせ(開裂性及び/または非開裂性リンカーの任意の組み合わせを含み得る)を介して、本明細書に開示する疎水性膜固定部分に連結される。リンカーの組み合わせの主な機能は、固定部分とBAM標的との間に最適な間隔を提供することである。例えば、ASOの場合、リンカーの組み合わせにより、立体障害を減らし、ASOを配置して、mRNAやmiRNAなどの標的核酸と相互作用できるようにされるべきである。
【0274】
リンカーは開裂しやすい場合があり(「開裂性リンカー」)、それにより、生体活性分子の遊離を促進する。したがって、いくつかの態様では、本明細書に開示するリンカーの組み合わせは、開裂性リンカーを含み得る。そのような開裂性リンカーは、例えば、生体活性分子が活性状態を維持する条件下で、酸誘導性の開裂、光誘導性の開裂、ペプチダーゼ誘導性の開裂、エステラーゼ誘導性の開裂、及びジスルフィド結合の開裂をしやすい。代替的に、リンカーは、実質的に開裂に対して耐性がある(「非開裂性リンカー」)場合がある。いくつかの態様では、開裂性リンカーは、スペーサーを含む。いくつかの態様では、スペーサーはPEGである。
【0275】
いくつかの態様では、リンカーの組み合わせは、本明細書に開示する少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または少なくとも6つ以上の異なるリンカーを含む。いくつかの態様では、リンカーの組み合わせにおけるリンカーは、エステル結合(例えば、ホスホジエステルまたはホスホロチオエートエステル)によって連結され得る。
【0276】
いくつかの態様では、リンカーは、固定部分とBAM、例えば、ASOとの間の直接結合である。
【0277】
III.B.2.a. 非開裂性リンカー
いくつかの態様では、リンカーの組み合わせは、「非開裂性リンカー」を含む。非開裂性リンカーは、本開示の修飾された生体活性分子の2つ以上の成分(例えば、生体活性分子及び固定部分;生体活性分子及び開裂性リンカー;固定部分及び開裂性リンカー)を安定した共有結合方式で連結することができる任意の化学部分であり、開裂性リンカーについての上記のカテゴリーには分類されない。したがって、非開裂性リンカーは、実質的に、酸誘導性の開裂、光誘導性の開裂、ペプチダーゼ誘導性の開裂、エステラーゼ誘導性の開裂、及びジスルフィド結合の開裂に対して耐性である。
【0278】
さらに、非開裂性とは、リンカー中またはリンカーに隣接する化学結合の、酸、光解離性開裂剤、ペプチダーゼ、エステラーゼ、またはジスルフィド結合を開裂する化学的もしくは生理学的化合物に誘導される開裂に耐える能力を指す。いくつかの態様では、生体活性分子を、別のリンカー、例えば、自壊牲リンカーを介してリンカーに結合させる。
【0279】
いくつかの態様では、リンカーの組み合わせは、例えば、テトラエチレングリコール(TEG)、ヘキサエチレングリコール(HEG)、ポリエチレングリコール(PEG)、スクシンイミド、またはそれらの任意の組み合わせを含む非開裂性リンカーを含む。いくつかの態様では、非開裂性リンカーは、生体活性分子を非開裂性リンカーに連結するためのスペーサーユニットを含む。
【0280】
いくつかの態様では、1つ以上の非開裂性リンカーは、一緒に連結されるより小さなユニット(例えば、HEG、TEG、グリセロール、C2~C12アルキルなど)を含む。一態様では、結合は、エステル結合(例えば、ホスホジエステルまたはホスホロチオエートエステル)または他の結合である。
III.B.2.b. エチレングリコール(HEG、TEG、PEG)
【0281】
いくつかの態様では、リンカーの組み合わせは、非開裂性リンカーを含み、非開裂性リンカーは、式R-(O-CH-CH-またはR-(0-CH-CH-O-(式中、Rは、水素、メチルまたはエチルであり、nは、2~200の値を有する)によって特徴づけられるポリエチレングリコール(PEG)を含む。いくつかの態様では、リンカーはスペーサーを含み、スペーサーはPEGである。
【0282】
いくつかの態様では、PEGリンカーは、オリゴエチレングリコール、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール(TEG)、ペンタエチレングリコール、またはヘキサエチレングリコール(HEG)リンカーである。
【0283】
いくつかの態様では、nは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、189、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、または200の値を有する。
【0284】
いくつかの態様では、nは、2~10、10~20、20~30、30~40、40~50、50~60、60~70、70~80、80~90、90~100、100~110、110~120、120~130、130~140、140~150、150~160、160~170、170~180、180~190、または190~200の間である。
【0285】
いくつかの特定の態様では、nは、3~200、3~20、10~30、または9~45の値を有する。
【0286】
いくつかの態様では、PEGは、分岐PEGである。分岐PEGは、中央コア群から発出する3~10個のPEG鎖を有する。
【0287】
特定の実施形態では、PEG部分は、単分散ポリエチレングリコールである。本開示に関して、単分散ポリエチレングリコール(mdPEG)は、単一の、定義された鎖長及び分子量を有するPEGである。mdPEGは通常、クロマトグラフィーによる重合混合物からの分離によって生成される。特定の式では、単分散PEG部分に略語mdPEGが割り当てられる。
【0288】
いくつかの態様では、PEGは、Star PEGである。Star PEGは、中央コア群から発出する10~100個のPEG鎖を有する。
【0289】
いくつかの態様では、PEGは、Comb PEGである。Comb PEGは、通常、ポリマー主鎖にグラフトされた複数のPEG鎖を有する。
【0290】
特定の態様では、PEGは、100g/mol~3000g/mol、特に100g/mol~2500g/mol、より具体的にはおよそ100g/mol~2000g/molのモル質量を有する。特定の態様では、PEGは、200g/mol~3000g/mol、特に300g/mol~2500g/mol、より具体的にはおよそ400g/mol~2000g/molのモル質量を有する。
【0291】
いくつかの態様では、PEGは、PEG100、PEG200、PEG300、PEG400、PEG500、PEG600、PEG700、PEG800、PEG900、PEG1000、PEG1100、PEG1200、PEG1300、PEG1400、PEG1500、PEG1600、PEG1700、PEG1800、PEG1900、PEG2000、PEG2100、PEG2200、PEG2300、PEG2400、PEG2500、PEG1600、PEG1700、PEG1800、PEG1900、PEG2000、PEG2100、PEG2200、PEG2300、PEG2400、PEG2500、PEG2600、PEG2700、PEG2800、PEG2900、またはPEG3000である。特定の一態様では、PEGはPEG400である。別の特定の態様では、PEGはPEG2000である。
【0292】
いくつかの態様では、本開示のリンカーの組み合わせは、いくつかのPEGリンカー、例えば、PEG、HEG、またはTEGリンカーに隣接する開裂性リンカーを含み得る。
【0293】
いくつかの態様では、リンカーの組み合わせは、(HEG)n及び/または(TEG)nを含み、式中、nは、1~50の整数であり、各ユニットは、例えば、リン酸エステルリンカー、ホスホロチオエートエステル結合、またはそれらの組み合わせを介して接続される。
【0294】
III.B.2.c. グリセロール及びポリグリセロール(PG)
いくつかの態様では、リンカーの組み合わせは、式((R-O-(CH-CHOH-CHO)-)(式中、R3は、水素、メチルまたはエチルであり、nは、3~200の値を有する)で記述されるグリセロール単位またはポリグリセロール(PG)を含む開裂性リンカーを含む。いくつかの態様では、nは、3~20の値を有する。いくつかの態様では、nは、10~30の値を有する。
【0295】
いくつかの態様では、PGリンカーは、ジグリセロール、トリグリセロール、テトラグリセロール(TG)、ペンタグリセロール、またはヘキサグリセロール(HG)リンカーである。
【0296】
いくつかの態様では、nは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、189、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、または200の値を有する。
【0297】
いくつかの態様では、nは、2~10、10~20、20~30、30~40、40~50、50~60、60~70、70~80、80~90、90~100、100~110、110~120、120~130、130~140、140~150、150~160、160~170、170~180、180~190、または190~200の間である。
【0298】
これらの実施形態のいくつかの代替では、nは、9~45の値を有する。いくつかの態様では、異種部分は、式(R-O-(CH-CHOR-CH-O)-)によって記述される分岐ポリグリセロールであり、式中、Rは、式(R-O-(CH-CHOH-CH-O)-)によって記述される水素または直鎖状グリセロール鎖であり、Rは、水素、メチルまたはエチルである。いくつかの態様では、異種部分は、式(R-O-(CH-CHOR-CH-O)-)によって記述される超分岐ポリグリセロールであり、式中、Rは、式(R-O-(CH-CHOR-CH-O)-)によって記述される水素またはグリセロール鎖であり、Rは、水素または式(R-O-(CH-CHOR-CH-O)-)で記述されるグリセロール鎖であり、Rは、水素または式(R-O-(CH-CHOH-CH-O)-)で記述される直鎖状グリセロール鎖であり、Rは、水素、メチル、またはエチルである。超分岐グリセロール及びその合成方法は、Oudshorn et al.(2006)Biomaterials 27:5471-5479;Wilms et al.(20100 Acc.Chem.Res.43,129-41、及びそこに引用される参考文献に記載されている。
【0299】
特定の態様では、PGは、100g/mol~3000g/mol、特に100g/mol~2500g/mol、より具体的にはおよそ100g/mol~2000g/molのモル質量を有する。特定の態様では、PGは、200g/mol~3000g/mol、特に300g/mol~2500g/mol、より具体的にはおよそ400g/mol~2000g/molのモル質量を有する。
【0300】
いくつかの態様では、PGは、PG100、PG200、PG300、PG400、PG500、PG600、PG700、PG800、PG900、PG1000、PG1100、PG1200、PG1300、PG1400、PG1500、PG1600、PG1700、PG1800、PG1900、PG2000、PG2100、PG2200、PG2300、PG2400、PG2500、PG1600、PG1700、PG1800、PG1900、PG2000、PG2100、PG2200、PG2300、PG2400、PG2500、PG2600、PG2700、PG2800、PG2900、またはPG3000である。特定の一態様では、PGはPG400である。別の特定の態様では、PGはPG2000である。
【0301】
いくつかの態様では、リンカーの組み合わせは、(グリセロール)n、及び/または(HG)n及び/または(TG)nを含み、式中、nは、1~50の整数であり、各ユニットは、例えば、リン酸エステルリンカー、ホスホロチオエートエステル結合、またはそれらの組み合わせを介して接続される。
【0302】
III.B.2.d. 脂肪族(アルキル)リンカー
いくつかの態様では、リンカーの組み合わせは、少なくとも1つの脂肪族(アルキル)リンカー、例えば、プロピル、ブチル、ヘキシル、またはC2-C10アルキルまたはC2-C6アルキルなどのC2-C12アルキルを含む。
【0303】
いくつかの態様では、リンカーの組み合わせは、アルキル鎖、例えば、非置換アルキルを含む。いくつかの態様では、リンカーの組み合わせは、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキルアリールアルキル、アルキルアリールアルケニル、アルキルアリールアルキニル、アルケニルアリールアルキル、アルケニルレイルアルケニル、アルケニルアリールアルキニル、アルキニルアリールアルキル、アルキニルアリールアルケニル、アルキニルアリールアルキニル、アルキルヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールアルケニル、アルキルヘテロアリールアルキニル、アルケニルヘテロアリールアルキル、アルケニルヘテロアリールアルケニル、アルケニルヘテロアリールアルキニル、アルキニルヘテロアリールアルキル、アルキニルヘテロアリールアルケニル、アルキニルヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロシクリルアルキル、アルキルヘテロシクリルアルケニル、アルキルヘテロシクリルアルキニル、アルケニルヘテロシクリルアルキル、アルケニルヘテロシクリルアルケニル、またはアルケニルヘテロシクリルアルキニルを含む。
【0304】
任意選択で、これらの成分を置換する。置換基には、アルコール、アルコキシ(メトキシ、エトキシ、及びプロポキシなど)、直鎖または分岐鎖アルキル(C1-C12アルキルなど)、アミン、アミノアルキル(アミノC1-C12アルキルなど)、ホスホルアミダイト、ホスフェート、ホスホルアミデート、ホスホロジチオエート、チオホスフェート、ヒドラジド、ヒドラジン、ハロゲン(F、Cl、Br、またはIなど)、アミド、アルキルアミド(アミドC1-C12アルキルなど)、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボン酸無水物、カルボン酸ハロゲン化物、エーテル、ハロゲン化スルホニル、イミデートエステル、イソシアネート、イソチオシアネート、ハロホルメート、カルボジイミド付加物、アルデヒド、ケトン、スルフヒドリル、ハロアセチル、アルキルハライド、アルキルスルホネート、C(=O)CH=CHC(=O)(マレイミド)、チオエーテル、シアノ、糖(マンノース、ガラクトース、及びグルコースなど)、α,β-不飽和カルボニル、アルキル水銀、またはα,β-不飽和スルホンが含まれる。
【0305】
それ自体でまたは別の置換基の一部としての用語「アルキル」とは、別途指示のない限り、表記される炭素原子の数(例えば、C10は、1~10個の炭素を意味する)を有する直鎖または分岐鎖炭化水素を意味する。通常、アルキル基は、1~24個の炭素原子を有し、例えば、1~10個の炭素原子、1~8個の炭素原子、または1~6個の炭素原子を有する。「低級アルキル」基とは、1~4個の炭素原子を有するアルキル基である。用語「アルキル」には、二価及び多価ラジカルが含まれる。例えば、用語「アルキル」には、例えば、アルキル基が二価であることを式が示す場合、または置換基が結合して環を形成する場合など、適切な場合には常に「アルキレン」が含まれる。アルキルラジカルの例として、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、ならびに同族体及び異性体、例えば、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル及びn-オクチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0306】
それ自体で、または別の置換基の一部としての用語「アルキレン」は、二価(ジラジカル)アルキル基を意味し、アルキルは本明細書中で定義される。「アルキル」は、-CHCHCHCH-によって例示されるが、これに限定されない。通常、アルキル基は、1~24個の炭素原子を有し、例えば、10個以下の炭素原子(例えば、1~8個または1~6個の炭素原子)を有する。「低級アルキレン」基とは、1~4個の炭素原子を有するアルキレン基である。
【0307】
それ自体で、または別の置換基の一部としての用語「アルケニル」とは、2~24個の炭素原子及び少なくとも1つの二重結合を有する直鎖または分枝鎖炭化水素ラジカルを指す。一般的なアルケニル基は、2~10個の炭素原子と少なくとも1つの二重結合を有する。一実施形態では、アルケニル基は、2~8個の炭素原子または2~6個の炭素原子と、1~3個の二重結合を有する。例示的なアルケニル基として、ビニル、2-プロペニル、1-ブタ-3-エニル、クロチル、2-(ブタジエニル)、2,4-ペンタジエニル、3-(1,4-ペンタジエニル)、2-イソペンテニル、1-ペント-3-エニル、1-ヘキサ-5-エニルなどが挙げられる。
【0308】
それ自体で、または別の置換基の一部としての用語「アルキニル」とは、2~24個の炭素原子及び少なくとも1つの三重結合を有する直鎖または分枝鎖の不飽和または多価不飽和炭化水素ラジカルを指す。一般的なアルキニル基は、2~10個の炭素原子と少なくとも1つの三重結合を有する。本開示の一態様では、アルキニル基は、2~6個の炭素原子及び少なくとも1つの三重結合を有する。例示的なアルキニル基として、プロプ-1-イニル、プロプ-2-イニル(すなわち、プロパルギル)、エチニル及び3-ブチニルが挙げられる。
【0309】
用語「アルコキシ」、「アルキルアミノ」及び「アルキルチオ」(またはチオアルコキシ)は、それらの従来の意味において使用され、それぞれ、酸素原子、アミノ基、または硫黄原子を介して分子の残部に付加されるアルキル基を指す。
【0310】
それ自体で、または別の用語との組み合わせでの用語「ヘテロアルキル」は、指定される数の炭素原子(例えば、C-C10、またはC-C)、ならびに例えば、N、O、S、Si、B及びP(一実施形態では、N、O及びS)から選択される少なくとも1つのヘテロ原子からなる、安定した直鎖もしくは分岐鎖炭化水素ラジカルを意味し、窒素、硫黄及びリン原子は、任意選択で酸化されていてもよく、窒素原子(複数可)は、任意選択で四級化されていてもよい。ヘテロ原子(複数可)は、ヘテロアルキル基の任意の内部位置に配置される。ヘテロアルキル基の例として、-CH-CH-O-CH、-CH-CH-NH-CH、-CH-CH-N(CH)-CH、-CH-S-CH-CH、-CH-CH-S(O)-CH、-CH-CH-S(O)-CH、-CH=CH-O-CH、-CH-Si(CH、-CH-CH=N-OCH、及び-CH=CH-N(CH)-CHが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、-CH-NH-OCH及び-CH-O-Si(CHなど、最大2個のヘテロ原子が連続し得る。
【0311】
同様に、それ自体で、または別の置換基の一部としての用語「ヘテロアルキレン」とは、ヘテロアルキルに由来する二価のラジカルを意味し、-CH-CH-S-CH-CH-及び-CH-S-CH-CH-NH-CH-が例として挙げられるが、これらに限定されない。通常、ヘテロアルキル基は3~24個の原子(水素を除く炭素及びヘテロ原子)を有する(3~24員のヘテロアルキル)。別の例では、ヘテロアルキル基は、合計で3~10個の原子(3~10員のヘテロアルキル)または3~8個の原子(3~8員のヘテロアルキル)を有する。用語「ヘテロアルキル」には、例えば、ヘテロアルキル基が二価であることを式が示す場合、または置換基が結合して環を形成する場合など、適切な場合には常に「ヘテロアルキレン」が含まれる。
【0312】
それ自体で、または他の用語と組み合わせての用語「シクロアルキル」とは、3~24個の炭素原子を有する、例えば、3~12個の炭素原子を有する飽和または不飽和の非芳香族炭素環式ラジカルを表す(例えば、C-CシクロアルキルまたはC-Cシクロアルキル)。シクロアルキルの例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、1-シクロヘキセニル、3-シクロヘキセニル、シクロヘプチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。用語「シクロアルキル」は、ノルボルニル、アダマンチル及びビシクロ[2.2.1]ヘプチルなどの架橋された多環式(例えば、二環式)構造も含む。「シクロアルキル」基は、アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアリール(例えば、ピリジル)及び非芳香族(例えば、炭素環式または複素環式)環から選択される少なくとも1つ(例えば、1~3)の他の環に融合させることができる。「シクロアルキル」基が縮合アリール、ヘテロアリールまたは複素環を含む場合、「シクロアルキル」基は、炭素環を介して分子の残りの部分に結合する。
【0313】
それ自体で、または他の用語と組み合わせての用語「ヘテロシクロアルキル」、「複素環式」、「複素環」、または「ヘテロシクリル」とは、例えば、N、O、S、Si、B及びP(例えば、N、O及びS)から選択される(その場合、窒素、硫黄及びリン原子は、任意選択で酸化され、窒素原子(複数可)は、任意選択で四級化される)少なくとも1つ及び最大5つのヘテロ原子(例えば、窒素、酸素及び硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子)を含む炭素環式の非芳香族環(例えば、3~8員環及び例えば、4、5、6または7員環)、または当業者に公知の安定した組み合わせで、少なくとも1つ及び最大10個のヘテロ原子(例えば、N、O及びSから選択される1~5個のヘテロ原子)を含む4~8員環の縮合環系を表す。例示的なヘテロシクロアルキル基として、縮合フェニル環が挙げられる。「複素環」基が、縮合アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキル環を含む場合、「複素環」基は、複素環を介して分子の残りの部分に結合する。ヘテロ原子は、複素環が分子の残りの部分に結合する位置を占め得る。
【0314】
本開示の例示的なヘテロシクロアルキルまたは複素環式基として、モルホリニル、チオモルホリニル、チオモルホリニルS-オキシド、チオモルホリニルS,S-ジオキシド、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピロリジニル、ピロリニル、イミダゾリジニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピペリジニル、ホモピペリジニル、ホモモルホリニル、ホモチオモルホリニル、ホモチオモルホリニルS,S-ジオキシド、オキサゾリジノニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピロリル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロフリル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチエニルS-オキシド、テトラヒドロチエニルS,S-ジオキシド、ホモチオモルホリニルS-オキシド、1-(1,2,5,6-テトラヒドロピリジル)、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、4-モルホリニル、3-モルホリニル、テトラヒドロフラン-2-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、テトラヒドロチエン-2-イル、テトラヒドロチエン-3-イル、1-ピペラジニル、2-ピペラジニルなどが挙げられる。
【0315】
「アリール」とは、単一の環(例えば、フェニル)を有するか、または他の芳香族もしくは非芳香族環(例えば、1~3個の他の環)に融合している5、6または7員の芳香族炭素環基を意味する。「アリール」基が非芳香族環(1,2,3,4-テトラヒドロナフチルなど)またはヘテロアリール基を含む場合、「アリール」基は、アリール環(例えば、フェニル環)を介して分子の残りの部分に結合する。アリール基は、任意選択で置換される(例えば、本明細書に記載の1~5個の置換基で)。一例では、アリール基は、6~10個の炭素原子を有する。アリール基の非限定的な例として、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、キノリン、インダニル、インデニル、ジヒドロナフチル、フルオレニル、テトラリニル、ベンゾ[d][1,3]ジオキソリルまたは6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾ[a]シクロヘプテニルが挙げられる。一実施形態では、アリール基は、フェニル、ベンゾ[d][1,3]ジオキソリル及びナフチルから選択される。さらに別の実施形態では、アリール基はフェニルである。
【0316】
用語「アリールアルキル」または「アラルキル」とは、アリール基またはヘテロアリール基がアルキル基に結合して-アルキル-アリール及び-アルキル-ヘテロアリールのラジカルを生成する、そのようなラジカルを含むことを意味し、アルキル、アリール及びヘテロアリールは、本明細書中で定義される。例示的な「アリールアルキル」または「アラルキル」基として、ベンジル、フェネチル、ピリジルメチルなどが挙げられる。
【0317】
「アリールオキシ」とは、-O-アリール基を意味し、アリールは、本明細書中で定義されるとおりである。一例では、アリールオキシ基のアリール部分は、フェニルまたはナフチルである。一実施形態では、アリールオキシ基のアリール部分はフェニルである。
【0318】
用語「ヘテロアリール」または「ヘテロ芳香族」とは、N、O、S、Si及びB(例えば、N、O及びS)から選択される少なくとも1つのヘテロ原子(例えば、1~5個のヘテロ原子、例えば、1~3個のヘテロ原子)を含む多不飽和の5、6または7員の芳香族部分を指し、窒素及び硫黄原子は任意選択で酸化され、窒素原子(複数可)は任意選択で四級化される。「ヘテロアリール」基は、単一の環であり得るか、または他のアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環(例えば、1~3個の他の環)に融合され得る。「ヘテロアリール」基が縮合アリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環を含む場合、「ヘテロアリール」基は、ヘテロアリール環を介して分子の残りの部分に結合する。ヘテロアリール基は、炭素またはヘテロ原子を通して、分子の残りの部分に結合し得る。
【0319】
一例では、ヘテロアリール基は、4~10個の炭素原子と、O、S及びNから選択される1~5個のヘテロ原子を有する。ヘテロアリール基の非限定的な例として、ピリジル、ピリミジニル、キノリニル、ベンゾチエニル、インドリル、インドリニル、ピリダジニル、ピラジニル、イソインドリル、イソキノリル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、イミダゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、インドリジニル、インダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、フラニル、チエニル、ピロリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソチアゾリル、ナフチリジニル、イソクロマニル、クロマニル、テトラヒドロイソキノリニル、イソインドリニル、イソベンゾテトラヒドロフラニル、イソベンゾテトラヒドロチエニル、イソベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ピリドピリジル、ベンゾテトラヒドロフラニル、ベンゾテトラヒドロチエニル、プリニル、ベンゾジオキソリル、トリアジニル、プテリジニル、ベンゾチアゾリル、イミダゾピリジル、イミダゾチアゾリル、ジヒドロベンジソキサジニル、ベンジソキサジニル、ベンゾキサジニル、ジヒドロベンズイソチアジニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、クロモニル、クロマノニル、ピリジル-N-オキシド、テトラヒドロキノリニル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロキノリノニル、ジヒドロイソキノリノニル、ジヒドロクマリニル、ジヒドロイソクマリニル、イソインドリノニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾキサゾリノニル、ピロリルN-オキシド、ピリミジニルN-オキシド、ピリダジニルN-オキシド、インドリルN-オキシド、ピラジニルN-オキシド、キノリニルN-オキシド、インドリルN-オキシド、インドリニルN-オキシド、イソキノリルN-オキシド、キナゾリニルN-オキシド、キノキサリニルN-オキシド、フタラジニルN-オキシド、イミダゾリルN-オキシド、イソキサゾリルN-オキシド、オキサゾリルN-オキシド、チアゾリルN-オキシド、インドリジニルN-オキシド、インダゾリルN-オキシド、ベンゾチアゾリルN-オキシド、ベンズイミダゾリルN-オキシド、ピロリルN-オキシド、オキサジアゾリルN-オキシド、チアジアゾリルN-オキシド、トリアゾリルN-オキシド、テトラゾリルN-オキシド、ベンゾチオピラニルS-オキシド、ベンゾチオピラニルS,S-ジオキシドが挙げられる。例示的なヘテロアリール基として、イミダゾリル、ピラゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、及びピリジルが挙げられる。他の例示的なヘテロアリール基として、1‐ピロリル、2‐ピロリル、3‐ピロリル、3‐ピラゾリル、2‐イミダゾリル、4‐イミダゾリル、ピラジニル、2‐オキサゾリル、4‐オキサゾリル、2‐フェニル‐4‐オキサゾリル、5‐オキサゾリル、3‐イソオキサゾリル、4‐イソオキサゾリル、5‐イソオキサゾリル、2‐チアゾリル、4‐チアゾリル、5‐チアゾリル、2‐フリル、3‐フリル、2‐チエニル、3‐チエニル、2‐ピリジル、3‐ピリジル、ピリジン-4-イル、2‐ピリミジル、4‐ピリミジル、5‐ベンゾチアゾリル、プリニル、2‐ベンズイミダゾリル、5‐インドリル、1‐イソキノリル、5‐イソキノリル、2‐キノキサリニル、5‐キノキサリニル、3‐キノリル、及び6‐キノリルが挙げられる。上記のアリール及びヘテロアリール環系の各々に関する置換基は、下記の許容されるアリール基の置換基の群から選択される。
【0320】
脂肪族リンカーの例として、以下の構造が挙げられる:
-O-CO-O-
-NH-CO-O-
-NH-CO-NH-
-NH-(CHn1
-S-(CHn1
-CO-(CHn1-CO-
-CO-(CHn1-NH-
-NH-(CHn1-NH-
-CO-NH-(CHn1-NH-CO-
-C(=S)-NH-(CHn1-NH-CO-
-C(=S)-NH-(CHn1-NH-C-(=S)-
-CO-O-(CHn1-O-CO-
-C(=S)-O-(CHn1-O-CO-
-C(=S)-O-(CHn1-O-C-(=S)-
-CO-NH-(CHn1-O-CO-
-C(=S)-NH-(CHn1-O-CO-
-C(=S)-NH-(CHn1-O-C-(=S)-
-CO-NH-(CHn1-O-CO-
-C(=S)-NH-(CHn1-CO-
-C(=S)-O-(CHn1-NH-CO-
-C(=S)-NH-(CHn1-O-C-(=S)-
-NH-(CHCHO)n2-CH(CHOH)-
-NH-(CHCHO)n2-CH
-NH-(CHCHO)n2-CH-CO-
-O-(CHn3-S-S-(CHn4-O-P(=O)
-CO-(CHn3-O-CO-NH-(CHn4
-CO-(CHn3-CO-NH-(CHn4
-(CH2)n1NH-
-C(O)(CH2)n1NH-
-C(O)-(CH2)n1-C(O)-
-C(O)-(CH2)n1-C(O)O-
-C(O)-O-
-C(O)-(CH2)n1-NH-C(O)-
-C(O)-(CH2)n1
-C(O)-NH-
-C(O)-
-(CH2)n1-C(O)-
-(CH2)n1-C(O)O-
-(CH2)n1
-(CH2)n1-NH-C(O)-
n1は、1~40の整数である(例えば、2~20、または2~12);n2は、1~20の整数である(例えば、1~10、または1~6);n3とn4は、同じでも異なっていてもよく、1~20の整数である(例えば、1~10、または1~6)。
【0321】
いくつかの態様では、リンカーの組み合わせは、(C3)n、(C4)n、(C5)n、(C6)n、(C7)n、もしくは(C8)n、またはそれらの組み合わせを含み、式中、nは、1~50の整数であり、各ユニットは、例えば、リン酸エステルリンカー、ホスホロチオエートエステル結合、またはそれらの組み合わせを介して接続される。
【0322】
III.B.3. 開裂性リンカー
いくつかの態様では、本明細書に開示するASOの異なる成分は、開裂性リンカーによるリンカーであり得る。開裂性リンカーという用語は、切断または開裂し得る少なくとも1つの結合または化学結合を含むリンカーを指す。本明細書中で使用する場合、開裂という用語は、2つ以上の比較的小さい分子を生成する方法で、比較的大きい分子内の1つ以上の化学結合を切断することを指す。開裂は、例えば、ヌクレアーゼ、ペプチダーゼ、プロテアーゼ、ホスファターゼ、オキシダーゼ、またはレダクターゼによって、または特定の物理化学的条件、例えば、酸化還元環境、pH、活性酸素種の存在、または特定の波長の光によって媒介され得る。
【0323】
いくつかの態様では、本明細書中で使用する用語「開裂性」とは、例えば、ホスホジエステル及びジスルフィドなどの急速に分解可能なリンカーを指し、一方、用語「非開裂性」とは、例えば、より安定の結合、例えば、ヌクレアーゼ耐性ホスホロチオエートを指す。
【0324】
いくつかの態様では、開裂性リンカーは、ジヌクレオチドまたはトリヌクレオチドリンカー、ジスルフィド、イミン、チオケタール、val-citジペプチド、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0325】
いくつかの態様では、開裂性リンカーは、バリン-アラニン-p-アミノベンジルカルバメートまたはバリン-シトルリン-p-アミノベンジルカルバメートを含む。
【0326】
III.B.3.a. 酸化還元開裂性リンカー
いくつかの態様では、リンカーの組み合わせは、酸化還元開裂性リンカーを含む。非限定的な例として、開裂性リンカーの1つのタイプは、還元または酸化の際に開裂する酸化還元開裂性結合基である。
【0327】
いくつかの態様では、酸化還元開裂性リンカーは、ジスルフィド結合を含み、すなわち、それは、ジスルフィド開裂性リンカーである。
【0328】
酸化還元開裂性リンカーは、例えば、細胞内メルカプタン、オキシダーゼ、またはレダクターゼによって還元することができる。
【0329】
III.B.3.b. 活性酸素種(ROS)開裂性リンカー
いくつかの態様では、リンカーの組み合わせは、例えば、活性化好中球などの炎症過程によって生成される、スーパーオキシド(Of)または過酸化水素(H2O2)などの活性酸素種(ROS)によって切断され得る開裂性リンカーを含み得る。いくつかの態様では、ROS開裂性リンカーは、チオケタール開裂性リンカーである。例えば、米国特許8,354,455B2を参照されたい(その全体が参照により本明細書に援用される)。
【0330】
III.B.3.c. pH依存性の開裂性リンカー
いくつかの態様では、リンカーは、酸性条件下(pH<7)で選択的に開裂する結合基である酸開裂性結合基を含む「酸不安定性リンカー」である。
【0331】
非限定的な例として、酸開裂性結合基は、酸性環境、例えば、約6.0、5.5、5.0以下で開裂する。いくつかの態様では、pHは約6.5以下である。いくつかの態様では、リンカーは、一般的な酸、例えば、ペプチダーゼ(基質特異的であり得る)またはホスファターゼとして作用することができる酵素などの薬剤によって開裂する。細胞内では、エンドソームやリソソームなどの特定の低pHオルガネラが、酸開裂性結合基に開裂環境を提供することができる。ヒト血清のpHは7.4であるが、細胞の平均pHはわずかに低く、約7.1~7.3の範囲である。エンドソームも5.5~6.0の範囲の酸性pHを有し、リソソームはさらに酸性のpHで約5.0である。したがって、pH依存性の開裂性リンカーは、当技術分野では、エンドソーム的に不安定なリンカーと呼ばれることがある。
【0332】
酸開裂性基は、一般式-C=NN-、C(O)O、または-OC(O)を有し得る。別の非限定的な例では、エステル酸素(アルコキシ基)に結合した炭素が、例えば、アリール基、置換アルキル基、または第三級アルキル基、例えば、ジメチルペンチルまたはt-ブチルに結合している場合。酸開裂性結合基の例として、アミン、イミン、アミノエステル、安息香酸イミン、ジオルトエステル、ポリホスホエステル、ポリホスファゼン、アセタール、ビニルエーテル、ヒドラゾン、シス-アコニテート、ヒドラジド、チオカルバモイル、イミジン、アジドメチル-メチルマレイン無水物、チオプロピオネート、マスク化エンドソーム溶解剤、シトラコニル基、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。ジスルフィド結合もpHの影響を受ける。
【0333】
いくつかの態様では、リンカーは、低pH不安定性ヒドラゾン結合を含む。そのような酸不安定性結合は、複合体、例えば抗体薬物複合体の分野で広く使用されてきた。例えば、Zhou et al,Biomacromolecules 2011,12,1460-7;Yuan et al,Acta Biomater.2008,4,1024-37;Zhang et al,Acta Biomater.2007,6,838-50;Yang et al,J.Pharmacol. Exp. Ther.2007,321,462-8;Reddy et al,Cancer Chemother. Pharmacol.2006,58,229-36;Doronina et al,Nature Biotechnol.2003,21,778-84を参照のこと。
【0334】
特定の実施形態では、リンカーは、以下から選択される低pH不安定性結合を含む:酸性環境(例えば、pHが7未満、約4を超える)で不安定であり、ジオール及びケトンを形成するケタール;酸性環境(例えば、pHが7未満、約4を超える)で不安定であり、ジオールとアルデヒドを形成するアセタール;酸性環境(例えば、pHが7未満、約4を超える)で不安定であり、アミン及びアルデヒドまたはケトンを形成するイミンまたはイミニウム;酸性条件下で不安定なシリコン-酸素-炭素結合;シリコン-窒素(シラザン)結合;シリコン-炭素結合(例えば、アリールシラン、ビニルシラン、及びアリルシラン);マレアメート(無水マレイン酸誘導体とアミンから合成されるアミド結合);オルトエステル;ヒドラゾン;酸触媒による加水分解を受けるように設計された活性化カルボン酸誘導体(例えば、エステル、アミド);またはビニルエーテル。
【0335】
さらなる例は、米国特許第9,790,494B2号及び第8,137,695B2号に見出すことができ、これらの内容は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0336】
III.B.3.d. 酵素的開裂性リンカー
いくつかの態様では、リンカーの組み合わせは、細胞内または細胞外酵素、例えば、プロテアーゼ、エステラーゼ、ヌクレアーゼ、アミダーゼによって開裂され得るリンカーを含み得る。リンカーの組み合わせのうちの特定のリンカーを開裂させることができる酵素の範囲は、リンカーの特定の結合及び化学構造に依存する。したがって、ペプチドリンカーは、例えば、ペプチダーゼによって開裂させることができ、エステル結合を含むリンカーは、例えば、エステラーゼによって切断することができ;アミド結合を含むリンカーは、例えば、アミダーゼによって開裂させることができる;などである。
【0337】
III.B.3.e. プロテアーゼ開裂性リンカー
いくつかの態様では、リンカーの組み合わせは、プロテアーゼ開裂性リンカー、すなわち、内在性プロテアーゼによって開裂され得るリンカーを含む。特定のペプチドのみが細胞の内側または外側で容易に開裂される。例えば、Trout et al.,79 Proc.Natl.Acad.Sci.USA,626-629(1982)及びUmemoto et al.43 Int.J.Cancer,677-684(1989)を参照されたい。開裂性リンカーは、α-アミノ酸単位、及び化学的には、1つのアミノ酸のカルボキシレートと第二のアミノ酸のアミノ基の間のアミド結合であるペプチド結合からなる開裂部位を含み得る。他のアミド結合、例えば、カルボキシレートとリジンのα-アミノ酸基の間の結合は、ペプチド結合ではないと理解され、非開裂性であると見なされる。
【0338】
いくつかの態様では、プロテアーゼ開裂性リンカーは、プロテアーゼ、例えば、ネプリライシン(CALLAまたはCDlO)、チメットオリゴペプチダーゼ(TOP)、ロイコトリエンA4ヒドロラーゼ、エンドテリン変換酵素、ste24プロテアーゼ、ニューロライシン、ミトコンドリア中間ペプチダーゼ、間質性コラゲナーゼ、コラゲナーゼ、ストロメリシン、マクロファージエラスターゼ、マトリライシン、ゲラチナーゼ、メプリン、プロコラーゲンC-エンドペプチダーゼ、プロコラーゲンN-エンドペプチダーゼ、ADAM及びADAMTメタロプロテイナーゼ、ミエリン関連メタロプロテイナーゼ、エナメリシン、腫瘍壊死因子α変換酵素、インスリジン、ナルディライジン、ミトコンドリアプロセシングペプチダーゼ、マグノリシン、ダクチリシン様メタロプロテアーゼ、好中球コラゲナーゼ、マトリックスメタロペプチダーゼ、膜型マトリックスメタロプロテイナーゼ、SP2エンドペプチダーゼ、前立腺特異的抗原(PSA)、プラスミン、ウロキナーゼ、ヒト線維芽細胞活性化タンパク質(FAPα)、トリプシン、キモトリプシン、カルデクリン、膵臓エラスターゼ、膵臓エンドペプチダーゼ、エンテロペプチダーゼ、白血球エラスターゼ、骨髄芽球、キマーゼ、トリプターゼ、グランザイム、角質層キモトリプシン酵素、アクロシン、カリクレイン、補体成分及び因子、補体第二経路c3/c5コンバターゼ、マンノース結合タンパク質関連セリンプロテアーゼ、凝固因子、トロンビン、プロテインc,u及びt型プラスミノーゲンアクチベーター、カテプシンG、ヘプシン、プロスタシン、肝細胞増殖因子活性化エンドペプチダーゼ、サブチリシン/ケキシン型プロタンパク質コンバターゼ、フューリン、プロタンパク質コンバターゼ、プロリルペプチダーゼ、アシルアミノアシルペプチダーゼ、ペプチジルグリカミナーゼ、シグナルペプチダーゼ、n末端求核性アミノヒドロラーゼ、20sプロテアソーム、γ-グルタミルトランスペプチダーゼ、ミトコンドリアエンドペプチダーゼ、ミトコンドリアエンドペプチダーゼIa、htra2ペプチダーゼ、マトリプターゼ、サイト1プロテアーゼ、レグマイン、カテプシン、システインカテプシン、カルパイン、ユビキチンイソペプチダーゼT、カスパーゼ、グリコシルホスファチジルイノシトールタンパク質トランスアミダーゼ、腫瘍凝固促進因子、プロホルモンチオールプロテアーゼ、γ-グルタミルヒドロラーゼ、ブレオマイシンヒドロラーゼ、セプラーゼ、カテプシンB、カテプシンD、カテプシンL、カテプシンM、プロテイナーゼK、ペプシン、キモシン、ガストリクシン、レニン、ヤプシン及び/またはマプシン、前立腺特異抗原(PSA)、または任意の一般的なAsp-N、Glu-C、Lys-CもしくはArg-Cプロテアーゼの切断部位を含む。例えば、Cancer Res.77(24):7027-7037(2017)を参照されたい(その全体が参照により本明細書に援用される)。
【0339】
いくつかの態様では、開裂性リンカー成分は、1~10個のアミノ酸残基を含むペプチドを含む。これらの態様では、ペプチドは、プロテアーゼによるリンカーの開裂を可能にし、それによって、リソソーム酵素などの細胞内プロテアーゼへの曝露時に生体活性分子の放出を促進する(Doronina et al.(2003)Nat.Biotechnol.21:778-784)。例示的なペプチドとして、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド、ペンタペプチド、及びヘキサペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0340】
ペプチドは、天然型及び/または非天然型アミノ酸残基を含み得る。用語「天然型アミノ酸」とは、Ala、Asp、Cys、Glu、Phe、Gly、His、He、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gin、Arg、Ser、Thr、Val、Trp、及びTyrを指す。「非天然型アミノ酸」(すなわち、アミノ酸が天然に存在しない)としては、非限定的な例として、ホモセリン、ホモアルギニン、シトルリン、フェニルグリシン、タウリン、ヨードチロシン、セレノ―システイン、ノルロイシン(「Nle」)、ノルバリン(「Nva」)、β-アラニン、L-またはD-ナフタレン、オルニチン(「Orn」)などが挙げられる。ペプチドは、特定の酵素、例えば、腫瘍関連プロテアーゼ、カテプシンB、C、及びD、またはプラスミンプロテアーゼによる酵素的開裂のために設計及び最適化され得る。
【0341】
アミノ酸には、天然及び非天然アミノ酸のD型も含まれる。「D-」は、天然型(「L-」)アミノ酸における配置に対立するものとして、「D」(右旋性の)配置を有するアミノ酸を示す。天然及び非天然アミノ酸は、商業的に入手(Sigma Chemical Co.,Advanced Chemtech)してもよいし、当技術分野で公知の方法を用いて合成してもよい。
【0342】
例となるジペプチドとして、バリン-アラニン、バリン-シトルリン、フェニルアラニン-リジン、N-メチル-バリン-シトルリン、シクロヘキシルアラニン-リジン、及びβ-アラニン-リジンが挙げられるが、これらに限定されない。例となるトリペプチドとして、グリシン-バリン-シトルリン(gly-val-cit)及びグリシン-グリシン-グリシン(gly-gly-gly)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0343】
III.B.3.f. エステラーゼ開裂性リンカー
いくつかのリンカーは、エステラーゼによって開裂される(「エステラーゼ開裂性リンカー」)。特定のエステルだけが細胞内または細胞外に存在するエステラーゼ及びアミダーゼによって開裂され得る。エステルは、カルボン酸及びアルコールの縮合によって形成される。単純エステルは、単純アルコール、例えば、脂肪族アルコール、ならびに小環状及び小芳香族アルコールで生成されるエステルである。エステル系開裂性結合基の例として、アルキレン、アルケニレン、及びアルキニレン基のエステルが挙げられるが、これらに限定されない。エステル開裂性結合基は、一般式-C(O)O-または-OC(O)-を有する。
【0344】
III.B.3.g. ホスファターゼ開裂性リンカー
いくつかの態様では、リンカーの組み合わせは、リン酸基を分解または加水分解する薬剤によって開裂されるリン酸系開裂性結合基を含み得る。細胞内リン酸基を開裂させる薬剤の例は、細胞内ホスファターゼなどの酵素である。リン酸系結合基の例は、-O-P(O)(OR)-O-、-O-P(S)(OR)-O-、-O-P(S)(SR)-O-、-S-P(O)(OR)-O-、-O-P(O)(OR)-S-、-S-P(O)(OR)-S-、-O-P(S)(OR)-S-、-SP(S)(OR)-O-、-OP(O)(R)-O-、-OP(S)(R)-O-、-SP(O)(R)-O-、-SP(S)(R)-O-、-SP(O)(R)-S-、または-OP(S)(R)-S-である。
【0345】
様々な態様において、Rは、以下のいずれかである:NH、BH、CH、C1-6アルキル、C6-10アリール、C1-6アルコキシ及びC6-10アリール-オキシ。いくつかの態様では、C1-6アルキル及びC6-10アリールは非置換である。さらなる非限定的な例は、-O-P(O)(OH)-O-、-O-P(S)(OH)-O-、-O-P(S)(SH)-O-、-S-P(O)(OH)-O-、-O-P(O)(OH)-S-、-S-P(O)(OH)-S-、-O-P(S)(OH)-S-、-S-P(S)(OH)-O-、-O-P(O)(H)-O-、-O-P(S)(H)-O-、-S-P(O)(H)-O-、-SP(S)(H)-O-、-SP(O)(H)-S-、-OP(S)(H)-S-、または-O-P(O)(OH)-O-である。
【0346】
III.B.3.h. 光活性化開裂性リンカー
いくつかの態様では、組み合わせリンカーは、光活性化開裂性リンカー、例えば、ニトロベンジルリンカーまたはニトロベンジル反応性基を含むリンカーを含む。
【0347】
III.B.3.i. 自壊牲リンカー
いくつかの態様では、リンカーの組み合わせは、自壊牲リンカーを含む。いくつかの態様では、本開示のEV(例えばエキソソーム)における自壊牲リンカーは、プロテアーゼ開裂性リンカーの酵素的切断後に1,4除去を受ける。いくつかの態様では、本開示のEV(例えばエキソソーム)における自壊牲リンカーは、プロテアーゼ開裂性リンカーの酵素的切断後に1,6除去を受ける。いくつかの態様では、自壊牲リンカーは、例えば、p-アミノベンジル(pAB)誘導体、例えば、p-アミノベンジルカルバメート(pABC)、p-アミノベンジルエーテル(PABE)、p-アミノベンジルカーボネート、またはそれらの組み合わせである。
【0348】
特定の態様では、自壊牲リンカーは、芳香族基を含む。いくつかの態様では、芳香族基は、ベンジル、シンナミル、ナフチル、及びビフェニルからなる群から選択される。いくつかの態様では、芳香族基は複素環式である。他の態様では、芳香族基は、少なくとも1つの置換基を含む。いくつかの態様では、少なくとも1つの置換基は、F、Cl、I、Br、OH、メチル、メトキシ、NO、NH、NO3+、NHCOCH、N(CH、NHCOCF、アルキル、ハロアルキル、C-Cアルキルハライド、カルボキシレート、サルフェート、スルファメート、及びスルホネートからなる群から選択される。他の態様では、芳香族基内の少なくとも1つのCは、N、O、またはC-R*で置換され、式中、R*は、独立して、F、Cl、I、Br、OH、メチル、メトキシ、NO、NH、NO3+、NHCOCH、N(CH、NHCOCF、アルキル、ハロアルキル、C-Cアルキルハライド、カルボキシレート、サルフェート、スルファメート、及びスルホネートから選択される。
【0349】
いくつかの態様では、自壊牲リンカーは、アミノベンジルカルバメート基(例えば、パラアミノベンジルカルバメート)、アミノベンジルエーテル基、またはアミノベンジルカーボネート基を含む。一態様では、自壊牲リンカーは、p-アミノベンジルカルバメート(pABC)である。
【0350】
pABCは、自壊牲部位特異的プロドラッグ活性化のための最も効率的で最も普及しているコネクター結合である(例えば、Carl et al. J.Med.Chem.24:479-480(1981);WO1981/001145;Rautio et la,Nature Reviews Drug Discovery 7:255-270(2008);Simplicio et al.,Molecules 13:519-547(2008)を参照のこと)。
【0351】
いくつかの態様では、自壊牲リンカーは、生体活性分子(例えば、ASO)をプロテアーゼ切断可能な基質(例えば、Val-Cit)に接続する。特定の態様では、pABC自壊牲リンカーのカルバメート基を、生体活性分子(例えば、ASO)のアミノ基に接続し、pABC自壊牲リンカーのアミノ基を、プロテアーゼ切断可能な基質に接続する。
【0352】
アミノベンジル基の芳香環は、任意選択で、芳香環上の1つ以上の(例えば、R及び/またはR)置換基で置換することができ、これにより、さもなければ環を形成する4つの非置換炭素のうちの1つに結合している水素が置換される。本明細書中で使用する場合、記号「R」(例えば、R、R、R、R)は、本明細書中に記載するような置換基を表す一般的な略語である。
【0353】
置換基は、p-アミノベンジル基の自壊牲能力を向上させることができる(Hay et al.,J.Chem Soc.,Perkin Trans.1:2759-2770(1999);Sykes et al. J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1:1601-1608(2000)も参照のこと)。
【0354】
自壊性除去は、例えば、1,4除去、1,6除去(例えば、pABC)、1,8除去(例えば、p-アミノ-シンナミルアルコール)、β-除去、環化除去(例えば、4-アミノブタノールエステル及びエチレンジアミン)、環化/ラクトン化、環化/ラクトール化などを介して起こり得る。例えば、Singh et al. Curr.Med.Chem.15:1802-1826(2008);Greenwald et al. J.Med.Chem.43:475-487(2000)を参照のこと。
【0355】
いくつかの態様では、自壊牲リンカーは、例えば、シンナミル、ナフチル、またはビフェニル基を含み得る(例えば、Blencowe et al. Polym.Chem.2:773-790(2011)を参照のこと)。いくつかの態様では、自壊牲リンカーは、複素環を含む(例えば、米国特許第7,375,078号;第7,754,681号を参照のこと)。多数のホモ芳香族(例えば、Carl et al. J.Med.Chem.24:479(1981);Senter et al. J.Org.Chem.55:2975(1990);Taylor et al. J.Org.Chem.43:1197(1978);Andrianomenjanahary et al. Bioorg.Med.Chem.Lett.2:1903(1992)を参照のこと)、及びクマリン(例えば、Weinstein et al. Chem.Commun.46:553(2010)を参照のこと)、フラン、チオフェン、チアゾール、オキサゾール、イソキサゾール、ピロール、ピラゾール(例えば、Hay et al. J.Med.Chem.46:5533(2003)を参照のこと)、ピリジン(例えば、Perry-Feigenbaum et al. Org.Biomol.Chem.7:4825(2009)を参照のこと)、イミダゾン(例えば、Nailor et al. Bioorg.Med.Chem.Lett. Z:1267(1999);Hay and Denny,Tetrahedron Lett.38:8425(1997)を参照のこと)、及びトリアゾール(例えば、Bertrand and Gesson,J.Org.Chem.72:3596(2007)を参照のこと)に基づく、水性及び生理学的条件下の両方で自壊性であるヘテロ芳香族基は、当技術分野で公知である。米国特許第7,691,962号;第7,091,186号;米国特許公開第US2006/0269480号;US2010/0092496;US2010/0145036;US2003/0130189;US2005/0256030)も参照のこと。
【0356】
いくつかの態様では、本明細書に開示するリンカーの組み合わせは、タンデムに複数の自壊牲リンカー、例えば、2つ以上のpABCユニットを含む。例えば、de Groot et al. J.Org.Chem.66:8815-8830(2001)を参照のこと。いくつかの態様では、本明細書に開示するリンカーの組み合わせは、蛍光発生プローブに連結された自壊牲リンカー(例えば、p-アミノベンジルアルコールまたはp-カルボキシベンズアルデヒドもしくはグリオキシル酸のヘミチオアミナール誘導体)を含み得る(例えば、Meyer et al. Org.Biomol.Chem.8:1777-1780(2010)を参照のこと)。
【0357】
自壊性リンカー中の置換基が、左から右へ記述されるそれらの従来の化学式によって指定される場合、それらは、構造を右から左へ記述することによって得られるであろう化学的に同一な置換基を等しく包括する。例えば、「-CHO-」は、「-OCH-」も指定することを意図する。
【0358】
自壊性の置換基、例えば、上述のp-アミノベンジル自壊牲リンカー内のR及び/またはR置換基は、例えば、アルキル、アルキレン、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアミノ、アルキルチオ、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールなどを含み得る。本開示の化合物が複数の置換基を含む場合、各置換基は、独立して選択される。
【0359】
いくつかの特定の態様では、自壊牲リンカーを、以下の式を有する開裂性ペプチドリンカーに結合し、その組み合わせは、以下の式を有し:
-A-Y
式中、各-A-は、独立してアミノ酸単位であり、aは、独立して1~12の整数であり;-Y-は自壊牲スペーサーであり、yは、1または2である。いくつかの態様では、-A-は、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド、ペンタペプチド、またはヘキサペプチドである。いくつかの態様では、-A-は、バリン-アラニン、バリン-シトルリン、フェニルアラニン-リジン、N-メチルバリン-シトルリン、シクロヘキシルアラニン-リジン、及びβ-アラニン-リジンからなる群から選択される。いくつかの態様では、-A-は、バリン-アラニンまたはバリン-シトルリンである。
【0360】
いくつかの態様では、自壊牲リンカー-Y-は、以下の式を有し:
【化15】

式中、各Rは、独立して、C1-8アルキル、-O-(C1-8アルキル)、ハロゲン、ニトロ、またはシアノであり;mは、0~4の整数である。いくつかの態様では、mは、0、1、または2である。いくつかの態様では、mは0である。
【0361】
いくつかの態様では、開裂性リンカーは、バリン-アラニン-p-アミノベンジルカルバメートまたはバリン-シトルリン-p-アミノベンジルカルバメートである。
【0362】
III.B.4. 反応性部分(RM)
本開示のASOは、それらの成分間の化学合成または化学反応のいずれかを介して生成される。例えば、いくつかの態様では、反応性基(例えば、マレイミド)を含む固定部分は、マレイミド反応基を含むASOと反応して、本開示の疎水的に修飾されたASOを生成し得、固定部分を、エキソソームの膜の脂質二重層に挿入し、それによってASOをエキソソームの表面に結合させてもよい。
【0363】
本開示の疎水的に修飾されたASOの任意の成分または成分の群には、少なくとも1つのRG及び/またはRMを含ませることができ、これにより、1つの反応または一連の反応によって成分を結合させて、本開示の疎水的に修飾されたASOを得ることができる。疎水的に修飾されたASOを生成するための例示的な合成スキームは、以下を含む:
[AM]-/RG/ + /RM/-[ASO] → [AM]-[ASO]
[AM]-/RM/ + /RG/-[ASO] → [AM]-[ASO]
[AM]-[L]-/RM/ + /RG/-[ASO] → [AM]-[L]-[ASO]
[AM]-[L]-/RG/ + /RM/-[ASO] → [AM]-[L]-[ASO]
[AM]-/RM/ + /RG/-[L]-[ASO] → [AM]-[L]-[ASO]
[AM]-/RG/ + /RM/-[L]-[ASO] → [AM]-[L]-[ASO]
[AM]-[L]-/RM/ + /RG/-[L]-[ASO] → [AM]-[L]-[L]-[ASO]
[AM]-[L]-/RG/ + /RM/-[L]-[ASO] → [AM]-[L]-[L]-[ASO]
式中、[AM]は固定部分、[ASO]はアンチセンスオリゴヌクレオチド、[L]はリンカーまたはリンカーの組み合わせ、/RM/は反応性部分、/RG/は反応性基である。示した概略図のいずれにおいても、ASOを、例えば、その5’端または3’端を介して結合させることができる。
【0364】
ASOの合成における中間体の生成のための例示的な合成スキームは、以下を含む:
[AM]-/RM/ + /RG/-[L] → [AM]-[L]
[AM]-/RG/ + /RM/-[L] → [AM]-[L]
[L]-/RM/ + /RG/-[L] → [L]-[L]
[L]-/RG/ + /RM/-[L] → [L]-[L]
[L]-/RM/ + /RG/-[ASO] → [L]-[ASO]
[L]-/RG/ + /RM/-[ASO] → [L]-[ASO]
式中、[AM]は固定部分、[ASO]はアンチセンスオリゴヌクレオチド、[L]はリンカーまたはリンカーの組み合わせ、/RM/は反応性部分、/RG/は反応性基である。示した概略図のいずれにおいても、ASOを、例えば、その5’端または3’端を介して結合させることができる。
【0365】
いくつかの態様では、反応性基「/RG/」は、例えば、アミノ基、チオール基、ヒドロキシル基、カルボン酸基、またはアジド基であり得る。これらの反応性基と反応することができる特定の反応性部分「/RM/」を、以下により詳細に記載する。
【0366】
[AM]-(/RM/)n + (/RG/-[L]-[ASO])n → [AM]-[L]-[ASO]
【0367】
本明細書に開示する固定部分、リンカーもしくはリンカーの組み合わせ、またはASOのいずれかを、反応性部分、例えば、アミノ反応性部分(例えば、NHS-エステル、p-ニトロフェノール、イソチオシアネート、イソシアネート、またはアルデヒド)、チオール反応性部分(例えば、アクリレート、マレイミド、またはピリジルジスルフィド)、ヒドロキシ反応性部分(例えば、イソチオシアネートまたはイソシアネート)、カルボン酸反応性部分(例えば、エポキシド)、またはアジド反応性部分(例えば、アルキン)と複合体化することができる。
【0368】
本明細書に開示する2つの成分(例えば、固定部分とASO、または固定部分とリンカー、または固定部分とリンカー、または2つのリンカー、またはリンカーとASO、または2つの固定部分)を共有結合するために使用できる例示的な反応性部分として、例えば、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート、N-4-マレイミド酪酸、S-(2-ピリジルジチオ)システアミン、ヨードアセトキシスクシンイミド、N-(4-マレイミドブチリルオキシ)スクシンイミド、N-[5-(3’-マレイミドプロピルアミド)-1-カルボキシペンチル]イミノ二酢酸、N-(5-アミノペンチル)イミノ二酢酸、及び1’-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホルアミダイト)が挙げられる。二官能性リンカー(2つの官能基を含むリンカー)も使用することができる。
【0369】
いくつかの態様では、固定部分、リンカー、またはASOは、末端オキシアミノ基、例えば、-ONH2、ヒドラジノ基、-NHNH2、メルカプト基(すなわち、SHまたはチオール)、またはオレフィン(例えば、CH=CH2)を含み得る。いくつかの態様では、固定部分、リンカー、またはASOは、例えば、末端位置に、求電子性部分、例えば、アルデヒド、ハロゲン化アルキル、メシレート、トシレート、ノシレート、もしくはブロシレートを、または活性化カルボン酸エステル、例えば、NHSエステル、ホスホルアミダイト、もしくはペンタフルオロフェニルエステルを含み得る。いくつかの態様では、共有結合は、リガンドの求核性基、例えば、ヒドロキシル、チオールまたはアミノ基を求電子性基とカップリングすることによって形成することができる。
【0370】
本発明は、当技術分野で公知のものを含むがこれらに限定されない、あらゆる種類の反応性基及び反応性部分に適している。
【0371】
本明細書中で使用する用語「保護基」とは、ヒドロキシル、アミノ及びチオール基を含むがこれらに限定されない反応性基を、合成手順中の望ましくない反応から保護することが当技術分野で公知である、不安定な化学部分を指す。保護基は、通常、他の反応部位での反応中に部位を保護するために選択的及び/または直交して使用され、その後、除去して、保護されていない基を残すか、またはさらなる反応に利用できるようにすることができる。当技術分野で公知の保護基は、一般的に、Greene and Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,3rd edition,John Wiley & Sons,New York(1999)に記載されている。
【0372】
さらに、様々な合成ステップを代替の順番または順序で実行して、所望の化合物を取得してもよい。本明細書に記載の化合物を合成するのに有用な合成化学変換及び保護基の方法論(保護及び脱保護)は当技術分野で公知であり、例えば、R.Larock,Comprehensive Organic Transformations,VCH Publishers(1989);T.W.Greene and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,2d. Ed.,John Wiley and Sons(1991);L.Fieser and M.Fieser,Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons(1994);ならびにL.Paquette,ed.,Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons(1995)、及びその後続の版に記載されている方法が挙げられる。
【0373】
当技術分野で公知の固相合成を追加的または代替的に使用してもよい。自動合成技術を含む適切な固相技術は、F.Eckstein(ed.),Oligonucleotides and Analogues,a Practical Approach,Oxford University Press,New York(1991)及びToy,P.H.;Lam,Y(ed.),Solid-Phase Organic synthesis,concepts,Strategies,and Applications,John Wiley & Sons,Inc.New Jersey(2012)に記載されている。
【0374】
いくつかの態様では、反応性基は、以下に記載する複数の反応性部分と代替的に反応することができる。
【0375】
III.B.4.a. アミン反応性部分
いくつかの態様では、反応性部分はアミン反応性部分である。本明細書中で使用する場合、用語「アミン反応性部分」とは、アミノ部分を有する反応性基、例えば、第一級アミンと反応することができる化学基を指す。例示的なアミン反応性部分は、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(NHS-エステル)、p-ニトロフェノール、イソチオシアネート、イソシアネート、及びアルデヒドである。第一級アミンと反応する代替の反応性部分もまた、当技術分野で周知である。いくつかの態様では、アミン反応性部分を、本開示の固定部分、リンカーの組み合わせ、またはASOの末端位置に結合させることができる。
【0376】
いくつかの態様では、アミン反応性部分はNHS-エステルである。通常、NHS-エステル反応性部分は、反応性基の第一級アミンと反応して、安定したアミド結合とN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を生成する。
【0377】
いくつかの態様では、アミン反応性部分はp-ニトロフェノール基である。通常、p-ニトロフェノール反応性部分は、反応性基の第一級アミンと反応して、安定なカルバメート部分とp-ニトロフェノールを生成する活性化カルバメートである。
【0378】
いくつかの態様では、アミン反応性部分はイソチオシアネートである。通常、イソチオシアネートは、反応性基の第一級アミンと反応して、安定したチオ尿素部分を生成する。
【0379】
いくつかの態様では、アミン反応性部分はイソシアネートである。通常、イソシアネートは、反応性基の第一級アミンと反応して、安定した尿素部分を生成する。
【0380】
いくつかの態様では、アミン反応性部分はアルデヒドである。通常、アルデヒドは第一級アミンと反応してシッフ塩基を形成し、これをさらに還元して還元的アミノ化により共有結合を形成することができる。
【0381】
III.B.4.b. チオール反応性部分
いくつかの態様では、反応性部分はチオール反応性部分である。本明細書中で使用する場合、用語「チオール反応性部分」とは、チオール部分(またはメルカプト基)を有する反応性基と反応することができる化学基を指す。例示的なチオール反応性部分は、アクリレート、マレイミド、及びピリジルジスルフィドである。チオールと反応する代替の反応性部分もまた、当技術分野で周知である。いくつかの態様では、チオール反応性部分を、本開示の固定部分、リンカーの組み合わせ、またはASOの末端位置に結合させることができる。
【0382】
いくつかの態様では、チオール反応性部分はアクリレートである。通常、アクリレートは、アクリレートのカルボニルの炭素βにおいてチオールと反応して、安定した硫化物結合を形成する。
【0383】
いくつかの態様では、チオール反応性部分はマレイミドである。通常、マレイミドは、アクリレートのカルボニルの炭素βのいずれかにおいてチオールと反応して、安定した硫化物結合を形成する。
【0384】
いくつかの態様では、チオール反応性部分はピリジルジスルフィドである。通常、ピリジルジスルフィドは、ピリジルの硫黄原子βにおいてチオールと反応して、安定したジスルフィド結合及びピリジン-2-チオンを形成する。
【0385】
III.B.4.c. ヒドロキシ反応性部分
いくつかの態様では、反応性部分はヒドロキシル反応性部分である。本明細書中で使用する場合、用語「ヒドロキシル反応性部分」とは、ヒドロキシル部分を有する反応性基と反応することができる化学基を指す。例示的なヒドロキシル反応性部分は、イソチオシアネート及びイソシアネートである。ヒドロキシル部分と反応する代替の反応性部分もまた、当技術分野で周知である。いくつかの態様では、ヒドロキシル反応性部分を、本開示の固定部分、リンカーの組み合わせ、またはASOの末端位置に結合させることができる。
【0386】
いくつかの態様では、ヒドロキシル反応性部分はイソチオシアネートである。通常、イソチオシアネートは、反応性基のヒドロキシルと反応して、安定したカルバモチオエート部分を生成する。
【0387】
いくつかの態様では、アミン反応性部分はイソシアネートである。通常、イソシアネートは、反応性基のヒドロキシルと反応して、安定したカルバメート部分を生成する。
【0388】
III.B.4.d. カルボン酸反応性部分
いくつかの態様では、反応性部分はカルボン酸反応性部分である。本明細書中で使用する場合、用語「カルボン酸反応性部分」とは、カルボン酸部分を有する反応性基と反応することができる化学基を指す。例示的なカルボン酸反応性部分はエポキシドである。カルボン酸部分と反応する代替の反応性部分もまた、当技術分野で周知である。いくつかの態様では、カルボン酸反応性部分を、本開示の固定部分、リンカーの組み合わせ、またはASOの末端位置に結合させることができる。
【0389】
いくつかの態様では、カルボン酸反応性部分はエポキシドである。通常、エポキシドは、エポキシドの炭素原子のいずれかにおいて反応性基のカルボン酸と反応して、2-ヒドロキシエチルアセテート部分を形成する。
【0390】
III.B.4.e. アジド反応性部分
いくつかの態様では、反応性部分はアジド反応性部分である。本明細書中で使用する場合、用語「アジド反応性部分」とは、アジド部分を有する反応性基と反応することができる化学基を指す。例示的なアジド反応性部分はアルキンである。アジド部分と反応する代替の反応性部分もまた、当技術分野で周知である。いくつかの態様では、カルボン酸反応性部分を、本開示の固定部分、リンカーの組み合わせ、またはASOの末端位置に結合させることができる。
【0391】
いくつかの態様では、アジド反応性部分はアルキンである。通常、アルキンは、「クリックケミストリー」とも呼ばれる1,3-双極子付加環化反応を介して反応基のアジドと反応し、1,2,3-トリアゾール部分を形成する。
【0392】
III.B.5. 具体的な実施例及びトポロジー
本開示の特定の態様では、リンカーの組み合わせは、次式のリンカーからなる。
[アルキルリンカー]m-[PEG1]n-[PEG2]o
式中、m、n、及びoは、0または1であり、m、n、またはoの少なくとも1つはゼロではない。そのような式による例示的なリンカーの組み合わせは、C6-TEG-HEG、C6-HEG、C6-TEG、C6、TEG-HEG、TEG、C8-TEG-HEG、C8-HEG、C8-TEG、及びC8である。
【0393】
いくつかの態様では、リンカーの組み合わせは、1つ以上の開裂性リンカー、例えば、酵素開裂性リンカー及び自壊牲リンカーと組み合わせた、非開裂性リンカー(例えば、TEGまたはHEG)を含む。
【0394】
特定の態様では、リンカーの組み合わせは、以下に示すように、TEG(非開裂性リンカー)-Val-Cit(開裂性リンカー)-pAB(自壊牲リンカー)のリンカーの組み合わせを含む。
【化16】
【0395】
固定部分とリンカーの組み合わせの特定の組み合わせを以下の表に示す。
【表2】

【表3】
【0396】
本開示のASOなどの特定のオリゴヌクレオチドを、以下に例示する。
[コレステロール]-[TEG]-[HEG]-[ASO]
【化17】

[コレステロール]-[SMal]-[Val-Cit]-[pAB]-[ASO]
【化18】

[コレステロール]-[TEG]-[Val-Cit]-[C6]-[ASO]
【化19】

[コレステロール]-[TEG]-[SS]-[C6]-[ASO]
【化20】

式中、[コレステロール]はコレステロール固定部分、[TEG]はTEG非開裂性リンカー、[HEG]はHEG非開裂性リンカー、[SS]はジスルフィド酸化還元開裂性リンカー、[C6]はアルキル非開裂性リンカー、[SMal]はS-マレイミド、[Val-Cit]はバリン-シトルリン開裂性リンカー、[pAB]はpAB自壊牲リンカーである。いくつかの態様では、本開示のASOは、上記に示す例示的な構造に記載の構造を有し、1つ以上の成分が、実施例に示すものと同じクラスの成分によって置き換えられている。例えば、[コレステロール]固定部分を、本明細書に開示する別の固定部分に置換することができ、[TEG]を、本明細書に開示する別の高分子非開裂性リンカー(例えば、HEG、PEG、PG)に置換することができ、[Val-Cit]を、別のペプチダーゼ開裂性リンカーに置き換えることができ、または[pAB]を別の自壊牲リンカーに置き換えることができる。
【0397】
III.B.6. 足場部分
1つ以上の足場部分をEVに発現させることができる。いくつかの態様では、1つ以上の足場部分を使用して、ASOを本開示のEVに固定する。他の態様では、1つ以上の足場部分を使用して、ASOに加えて、タンパク質または分子をEVに固定する。したがって、本開示のEVは、ASOを連結する固定部分、及びタンパク質または分子を連結する足場部分、例えば、標的化部分を含む。いくつかの態様では、ASOを、足場部分に連結する。いくつかの態様では、EVは、複数の足場部分を含む。いくつかの態様では、第1のASOを第1の足場部分に連結し、第2のASOを第2の足場部分に連結する。いくつかの態様では、第1の足場部分と第2の足場部分は同じタイプの足場部分であり、例えば、第1及び第2の足場部分は、いずれもScaffoldXタンパク質である。いくつかの態様では、第1の足場部分と第2の足場部分は異なるタイプの足場部分であり、例えば、第1の足場部分はScaffoldYタンパク質、第2の足場部分はScaffoldXタンパク質である。いくつかの態様では、第1の足場部分は、本明細書に開示するScaffoldYである。いくつかの態様では、第1の足場部分は、本明細書に開示するScaffoldXである。いくつかの態様では、第2の足場部分は、本明細書に開示するScaffoldYである。いくつかの態様では、第2の足場部分は、本明細書に開示するScaffoldXである。
【0398】
いくつかの態様では、EVは、1つ以上の足場部分を含み、これは、ASOをEV(例えばエキソソーム)に(例えば、内腔表面または外面のいずれかに)固定することができる。特定の態様では、足場部分はポリペプチド(「足場タンパク質」)である。特定の態様では、足場タンパク質は、エキソソームタンパク質またはその断片を含む。他の態様では、足場部分は非ポリペプチド部分である。いくつかの態様では、足場タンパク質は、膜貫通タンパク質、内在性タンパク質及び末梢タンパク質などの、エキソソーム膜上で濃縮された様々な膜タンパク質を含む。それらには、様々なCDタンパク質、トランスポーター、インテグリン、レクチン、及びカドヘリンが含まれる。特定の態様では、足場部分(例えば、足場タンパク質)は、ScaffoldXを含む。他の態様では、足場部分(例えば、エキソソームタンパク質)は、ScaffoldYを含む。さらなる態様では、足場部分(例えば、エキソソームタンパク質)は、ScaffoldXとScaffoldYの両方を含む。
【0399】
III.C.1. ScaffoldX改変EV(例えばエキソソーム)
いくつかの態様では、本開示のEV(例えばエキソソーム)は、その組成が改変された膜を含む。例えば、それらの膜組成は、膜のタンパク質、脂質、またはグリカン含有量を変更することによって改変することができる。
【0400】
いくつかの態様では、表面改変EV(例えばエキソソーム)は、PEG誘発融合及び/または超音波融合などの化学的及び/または物理的方法によって生成される。他の態様では、表面改変EV(例えばエキソソーム)を、遺伝子改変によって生成する。遺伝子改変されたプロデューサー細胞または遺伝子改変された細胞の子孫から産生されるEV(例えばエキソソーム)は、改変された膜組成物を含み得る。いくつかの態様では、表面改変EV(例えばエキソソーム)は、より高いもしくはより低い密度(例えば、より高い数)で足場部分(例えば、エキソソームタンパク質、例えば、ScaffoldX)を有するか、または足場部分のバリアントもしくは断片を含む。
【0401】
例えば、表面(例えば、ScaffoldX)改変EVは、足場部分(例えば、エキソソームタンパク質、例えば、ScaffoldX)またはそのバリアントもしくは断片をコードする外来性配列で形質転換された細胞(例えば、HEK293細胞)から作成することができる。外来性配列から発現する足場部分を含むEVは、改変された膜組成物を含み得る。
【0402】
足場部分の様々な修飾または断片を、本開示の態様に使用することができる。例えば、結合剤への親和性が増強されるように修飾された足場部分は、結合剤を使用して精製することができる表面改変EVを生成するために使用することができる。EV及び/または膜に、より効果的に標的化するように修飾された足場部分を使用することができる。エキソソーム膜への特異的かつ効果的な標的化に必要な最小限の断片を含むように修飾された足場部分も使用することができる。
【0403】
足場部分は、融合分子、例えば、ScaffoldXとASOとの融合分子として発現するように改変することができる。例えば、融合分子は、ASOに連結された、本明細書に開示する足場部分(例えば、ScaffoldX、例えば、PTGFRN、BSG、IGSF2、IGSF3、IGSF8、ITGB1、ITGA4、SLC3A2、ATPトランスポーター、またはその断片もしくはバリアント)を含み得る。
【0404】
いくつかの態様では、本明細書に記載の表面(例えば、ScaffoldX)改変EVは、当技術分野で公知のEVと比較して優れた特性を示す。例えば、表面(例えば、ScaffoldX)改変されたEVは、天然のEVまたは従来のエキソソームタンパク質を使用して生産されるEVに比べて、表面上により高度に濃縮された修飾タンパク質を含む。さらに、本開示の表面(例えば、ScaffoldX)改変EVは、天然のEVまたは従来のエキソソームタンパク質を使用して生産されるEVに比べて、より大きい、より特異的な、またはより制御された生物活性を有し得る。
【0405】
いくつかの態様では、ScaffoldXは、プロスタグランジンF2受容体負レギュレーター(PTGFRNポリペプチド)を含む。PTGFRNタンパク質は、CD9パートナー1(CD9P-1)、Glu-Trp-Ile EWIモチーフ含有タンパク質F(EWI-F)、プロスタグランジンF2α受容体調節タンパク質、プロスタグランジンF2α受容体関連タンパク質、またはCD315とも呼ばれ得る。ヒトPTGFRNタンパク質(Uniprot登録番号Q9P2B2)の全長アミノ酸配列を、配列番号301として表2に示す。PTGFRNポリペプチドは、シグナルペプチド(配列番号301のアミノ酸1~25)、細胞外ドメイン(配列番号301のアミノ酸26~832)、膜貫通ドメイン(配列番号301のアミノ酸833~853)、及び細胞質ドメイン(配列番号301のアミノ酸854~879)を含む。成熟PTGFRNポリペプチドは、シグナルペプチドを含まない配列番号301、すなわち、配列番号301のアミノ酸26~879からなる。いくつかの態様では、本開示に有用なPTGFRNポリペプチド断片は、PTGFRNポリペプチドの膜貫通ドメインを含む。他の態様では、本開示に有用なPTGFRNポリペプチド断片は、PTGFRNポリペプチドの膜貫通ドメイン、及び(i)膜貫通ドメインのN末端の少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150アミノ酸、(ii)膜貫通ドメインのC末端の少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、または少なくとも25アミノ酸、または(i)と(ii)の両方を含む。
【0406】
いくつかの態様では、PTGFRNポリペプチドの断片は、IgVなどの1つ以上の機能的または構造的ドメインを欠いている。
【0407】
他の態様では、ScaffoldXは、配列番号301のアミノ酸26~879と、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるアミノ酸配列を含む。他の態様では、ScaffoldXは、配列番号302と、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるアミノ酸配列を含む。他の態様では、ScaffoldXは、1つのアミノ酸変異、2つのアミノ酸変異、3つのアミノ酸変異、4つのアミノ酸変異、5つのアミノ酸変異、6つのアミノ酸変異、または7つのアミノ酸変異を除いて、配列番号302のアミノ酸配列を含む。変異は、置換、挿入、欠失、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。いくつかの態様では、ScaffoldXは、配列番号302のアミノ酸配列、及び配列番号302のN末端及び/またはC末端の1アミノ酸、2アミノ酸、3アミノ酸、4アミノ酸、5アミノ酸、6アミノ酸、7アミノ酸、8アミノ酸、9アミノ酸、10アミノ酸、11アミノ酸、12アミノ酸、13アミノ酸、14アミノ酸、15アミノ酸、16アミノ酸、17アミノ酸、18アミノ酸、19アミノ酸、もしくは20アミノ酸またはそれ以上を含む。
【0408】
他の態様では、ScaffoldXは、配列番号301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、または318と、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるアミノ酸配列を含む。他の態様では、ScaffoldXは、1つのアミノ酸変異、2つのアミノ酸変異、3つのアミノ酸変異、4つのアミノ酸変異、5つのアミノ酸変異、6つのアミノ酸変異、または7つのアミノ酸変異を除いて、配列番号301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、または318のアミノ酸配列を含む。変異は、置換、挿入、欠失、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。いくつかの態様では、ScaffoldXは、配列番号301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、または318のアミノ酸配列、及び配列番号301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、または318のN末端及び/またはC末端の1アミノ酸、2アミノ酸、3アミノ酸、4アミノ酸、5アミノ酸、6アミノ酸、7アミノ酸、8アミノ酸を含む。、9アミノ酸、10アミノ酸、11アミノ酸、12アミノ酸、13アミノ酸、14アミノ酸、15アミノ酸、16アミノ酸、17アミノ酸、18アミノ酸、19アミノ酸、もしくは20アミノ酸またはそれ以上を含む。
【表4】
【0409】
他の態様では、ScaffoldXは、配列番号319、320、321、322、323、323、または325と、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるアミノ酸配列を含む。他の態様では、ScaffoldXは、1つのアミノ酸変異、2つのアミノ酸変異、3つのアミノ酸変異、4つのアミノ酸変異、5つのアミノ酸変異、6つのアミノ酸変異、または7つのアミノ酸変異を除いて、配列番号319、320、321、322、323、323、または325のアミノ酸配列を含む。変異は、置換、挿入、欠失、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。いくつかの態様では、ScaffoldXは、配列番号319、320、321、322、323、323、または325のアミノ酸配列、及び配列番号319、320、321、322、323、323、または325のN末端及び/またはC末端の1アミノ酸、2アミノ酸、3アミノ酸、4アミノ酸、5アミノ酸、6アミノ酸、7アミノ酸、8アミノ酸を含む。、9アミノ酸、10アミノ酸、11アミノ酸、12アミノ酸、13アミノ酸、14アミノ酸、15アミノ酸、16アミノ酸、17アミノ酸、18アミノ酸、19アミノ酸、もしくは20アミノ酸またはそれ以上を含む。
【表5-1】

【表5-2】
【0410】
いくつかの態様では、ScaffoldXは、配列番号303によって表されるベイシジン(BSGタンパク質)を含む。BSGタンパク質は、5F7、コラゲナーゼ刺激因子、細胞外マトリックスメタロプロテイナーゼインデューサー(EMMPRIN)、白血球活性化抗原M6、OK血液型抗原、腫瘍細胞由来コラゲナーゼ刺激因子(TCSF)、またはCD147としても知られる。ヒトBSGタンパク質のUniprot番号はP35613である。BSGタンパク質のシグナルペプチドは、配列番号303のアミノ酸1~21である。配列番号303のアミノ酸138~323は細胞外ドメインであり、アミノ酸324~344は膜貫通ドメインであり、配列番号303のアミノ酸345~385は細胞質ドメインである。
【0411】
他の態様では、ScaffoldXは、配列番号303のアミノ酸22~385と、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、BSGポリペプチドの断片は、IgV、例えば、配列番号303のアミノ酸221~315などの1つ以上の機能的または構造的ドメインを欠いている。他の態様では、ScaffoldXは、配列番号326、327、または328と、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるアミノ酸配列を含む。他の態様では、ScaffoldXは、1つのアミノ酸変異、2つのアミノ酸変異、3つのアミノ酸変異、4つのアミノ酸変異、5つのアミノ酸変異、6つのアミノ酸変異、または7つのアミノ酸変異を除いて、配列番号326、327、または328のアミノ酸配列を含む。変異は、置換、挿入、欠失、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。いくつかの態様では、ScaffoldXは、配列番号326、327、または328のアミノ酸配列、及び配列番号326、327、または328のN末端及び/またはC末端の1アミノ酸、2アミノ酸、3アミノ酸、4アミノ酸、5アミノ酸、6アミノ酸、7アミノ酸、8アミノ酸を含む。、9アミノ酸、10アミノ酸、11アミノ酸、12アミノ酸、13アミノ酸、14アミノ酸、15アミノ酸、16アミノ酸、17アミノ酸、18アミノ酸、19アミノ酸、もしくは20アミノ酸またはそれ以上を含む。
【0412】
いくつかの態様では、ScaffoldXは、免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー8(IgSF8またはIGSF8タンパク質)を含み、これは、CD81パートナー3、Glu-Trp-Ile EWIモチーフ含有タンパク質2(EWI-2)、ケラチノサイト関連膜貫通タンパク質4(KCT-4)、LIR-D1、プロスタグランジン調節様タンパク質(PGRL)またはCD316としても知られる。全長のヒトIGSF8タンパク質は、Uniprotの登録番号Q969P0であり、本明細書中では配列番号304として示す。ヒトIGSF8タンパク質は、シグナルペプチド(配列番号304のアミノ酸1~27)、細胞外ドメイン(配列番号304のアミノ酸28~579)、膜貫通ドメイン(配列番号304のアミノ酸580~600)、及び細胞質ドメイン(配列番号304のアミノ酸601~613)を有する。
【0413】
他の態様では、ScaffoldXは、配列番号304のアミノ酸28~613と、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IGSF8タンパク質は、IgVなどの1つ以上の機能的または構造的ドメインを欠いている。他の態様では、ScaffoldXは、配列番号330、331、332、または333と、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるアミノ酸配列を含む。他の態様では、ScaffoldXは、1つのアミノ酸変異、2つのアミノ酸変異、3つのアミノ酸変異、4つのアミノ酸変異、5つのアミノ酸変異、6つのアミノ酸変異、または7つのアミノ酸変異を除いて、配列番号330、331、332、または333のアミノ酸配列を含む。変異は、置換、挿入、欠失、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。いくつかの態様では、ScaffoldXは、配列番号330、331、332、または333のアミノ酸配列、及び配列番号330、331、332、または333のN末端及び/またはC末端の1アミノ酸、2アミノ酸、3アミノ酸、4アミノ酸、5アミノ酸、6アミノ酸、7アミノ酸、8アミノ酸を含む。、9アミノ酸、10アミノ酸、11アミノ酸、12アミノ酸、13アミノ酸、14アミノ酸、15アミノ酸、16アミノ酸、17アミノ酸、18アミノ酸、19アミノ酸、もしくは20アミノ酸またはそれ以上を含む。
【0414】
いくつかの態様では、本開示のScaffoldXは、Glu-Trp-Ile EWIモチーフ含有タンパク質3(EWI-3)としても知られる免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー3(IgSF3またはIGSF3タンパク質)を含み、配列番号309のアミノ酸配列として示される。ヒトIGSF3タンパク質は、シグナルペプチド(配列番号309のアミノ酸1~19)、細胞外ドメイン(配列番号309のアミノ酸20~1124)、膜貫通ドメイン(配列番号309のアミノ酸1125~1145)、及び細胞質ドメイン(配列番号309のアミノ酸1146~1194)を有する。
【0415】
他の態様では、ScaffoldXは、配列番号309のアミノ酸28~613と、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IGSF3タンパク質は、1つ以上の機能ドメインまたは構造ドメイン、例えば、IgVを欠失している。
【0416】
いくつかの態様では、本開示のためのScaffoldXは、インテグリンβ1(ITGB1タンパク質)(フィブロネクチン受容体サブユニットβ、糖タンパク質IIa(GPIIA)、VLA-4サブユニットβ、またはCD29としても知られ、配列番号305のアミノ酸配列として示される)を含む。ヒトITGB1タンパク質は、シグナルペプチド(配列番号305のアミノ酸1~20)、細胞外ドメイン(配列番号305のアミノ酸21~728)、膜貫通ドメイン(配列番号305のアミノ酸729~751)、及び細胞質ドメイン(配列番号305のアミノ酸752~798)を有する。
【0417】
他の態様では、ScaffoldXは、配列番号305のアミノ酸21~798と、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、ITGB1タンパク質は、1つ以上の機能ドメインまたは構造ドメイン、例えば、IgVを欠失している。
【0418】
他の態様では、ScaffoldXは、シグナルペプチド(配列番号306のアミノ酸1~33)を含まない配列番号306と、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるアミノ酸配列を有するITGA4タンパク質を含む。いくつかの態様では、ITGA4タンパク質は、1つ以上の機能的または構造的ドメイン、例えば、IgVを欠失している。
【0419】
他の態様では、ScaffoldXは、シグナルペプチドを含まない配列番号307と、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるアミノ酸配列を有するSLC3A2タンパク質を含む。いくつかの態様では、SLC3A2タンパク質は、1つ以上の機能的または構造的ドメイン、例えば、IgVを欠失している。
【0420】
他の態様では、ScaffoldXは、シグナルペプチドを含まない配列番号310と、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるアミノ酸配列を有するATP1A1タンパク質を含む。いくつかの態様では、ATP1A1タンパク質は、1つ以上の機能的または構造的ドメイン、例えば、IgVを欠失している。
【0421】
他の態様では、ScaffoldXは、シグナルペプチドを含まない配列番号311と、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるアミノ酸配列を有するATP1A2タンパク質を含む。いくつかの態様では、ATP1A2タンパク質は、1つ以上の機能的または構造的ドメイン、例えば、IgVを欠失している。
【0422】
他の態様では、ScaffoldXは、シグナルペプチドを含まない配列番号312と、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるアミノ酸配列を有するATP1A3タンパク質を含む。いくつかの態様では、ATP1A3タンパク質は、1つ以上の機能的または構造的ドメイン、例えば、IgVを欠失している。
【0423】
他の態様では、ScaffoldXは、シグナルペプチドを含まない配列番号313と、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるアミノ酸配列を有するATP1A4タンパク質を含む。いくつかの態様では、ATP1A4タンパク質は、1つ以上の機能的または構造的ドメイン、例えば、IgVを欠失している。
【0424】
他の態様では、ScaffoldXは、シグナルペプチドを含まない配列番号314と、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるアミノ酸配列を有するATP2B1タンパク質を含む。いくつかの態様では、ATP2B1タンパク質は、1つ以上の機能的または構造的ドメイン、例えば、IgVを欠失している。
【0425】
他の態様では、ScaffoldXは、シグナルペプチドを含まない配列番号315と、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるアミノ酸配列を有するATP2B2タンパク質を含む。いくつかの態様では、ATP2B2タンパク質は、1つ以上の機能的または構造的ドメイン、例えば、IgVを欠失している。
【0426】
他の態様では、ScaffoldXは、シグナルペプチドを含まない配列番号316と、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるアミノ酸配列を有するATP2B3タンパク質を含む。いくつかの態様では、ATP2B3タンパク質は、1つ以上の機能的または構造的ドメイン、例えば、IgVを欠失している。
【0427】
他の態様では、ScaffoldXは、シグナルペプチドを含まない配列番号317と、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるアミノ酸配列を有するATP2B4タンパク質を含む。いくつかの態様では、ATP2B4タンパク質は、1つ以上の機能的または構造的ドメイン、例えば、IgVを欠失している。
【0428】
他の態様では、ScaffoldXは、シグナルペプチドを含まない配列番号318と、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるアミノ酸配列を有するIGSF2タンパク質を含む。いくつかの態様では、IGSF2タンパク質は、1つ以上の機能的または構造的ドメイン、例えば、IgVを欠失している。
【0429】
他のScaffoldXタンパク質の非限定的な例は、2019年2月5日に発行された米国特許第US10195290B1号に記載されており、その全体が参照により援用される。
【0430】
いくつかの態様では、配列は、天然タンパク質のN末端から少なくとも5、10、50、100、200、300、400、500、600、700、または800アミノ酸を欠く足場部分の断片をコードする。いくつかの態様では、配列は、天然タンパク質のC末端から少なくとも5、10、50、100、200、300、400、500、600、700、または800アミノ酸を欠く足場部分の断片をコードする。いくつかの態様では、配列は、天然タンパク質のN末端とC末端の両方から少なくとも5、10、50、100、200、300、400、500、600、700、または800アミノ酸を欠く足場部分の断片をコードする。いくつかの態様では、配列は、天然タンパク質の1つ以上の機能的または構造的ドメインを欠く足場部分の断片をコードする。
【0431】
いくつかの態様では、足場部分、例えば、ScaffoldX、例えば、PTGFRNタンパク質を、1つ以上の異種タンパク質に連結する。1つ以上の異種タンパク質を、足場部分のN末端に連結することができる。1つ以上の異種タンパク質を、足場部分のC末端に連結することができる。いくつかの態様では、1つ以上の異種タンパク質を、足場部分のN末端とC末端の両方に連結する。いくつかの態様では、異種タンパク質は哺乳類タンパク質である。いくつかの態様では、異種タンパク質はヒトタンパク質である。
【0432】
いくつかの態様では、ScaffoldXを使用して、任意の部分、例えば、ASOを、内腔表面及びEV(例えばエキソソーム)の外面に同時に連結することができる。例えば、PTGFRNポリペプチドを使用して、EV(例えば、エキソソーム)の外面に加えて、内腔内部(例えば、内腔表面)のASOを連結することができる。したがって、特定の態様では、ScaffoldXは、例えば、内腔表面上のASO及びEV(例えばエキソソーム)の外面上のASOの二重の目的に使用することができる。いくつかの態様では、ScaffoldXは、EVの内腔表面上及び/またはEVの外面上にASOを固定することができる足場タンパク質である。
【0433】
III.C.2. ScaffoldY改変EV(例えばエキソソーム)
いくつかの態様では、本開示のEV(例えばエキソソーム)は、天然のEV(例えばエキソソーム)とは異なる内部空間(すなわち、内腔)を含む。例えば、EV(例えばエキソソーム)の内腔表面の組成が、天然のエキソソームの組成とは異なるタンパク質、脂質、またはグリカン含有量を有するように、EVを変化させることができる。
【0434】
いくつかの態様では、改変EV(例えばエキソソーム)は、足場部分(例えば、エキソソームタンパク質、例えば、ScaffoldY)をコードする外来性配列、またはEV(例えばエキソソーム)の内腔表面の組成または内容を変化させる足場部分の修飾もしくは断片で形質転換された細胞から生成され得る。EV(例えばエキソソーム)の内腔表面で発現させることができるエキソソームタンパク質の様々な修飾または断片を、本開示の態様に使用することができる。
【0435】
いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)の内腔表面を変化させることができるエキソソームタンパク質として、ミリストイル化アラニンリッチプロテインキナーゼC基質(MARCKS)タンパク質、ミリストイル化アラニンリッチプロテインキナーゼC基質様1(MARCKSL1)タンパク質、脳酸可溶性タンパク質1(BASP1)タンパク質、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0436】
いくつかの態様では、ScaffoldYは、MARCKSタンパク質(Uniprot登録番号P29966)を含む。MARCKSタンパク質は、プロテインキナーゼC基質(80kDaタンパク質、軽鎖)としても知られる。全長のヒトMARCKSタンパク質は、332アミノ酸の長さであり、アミノ酸残基152~176にカルモジュリン結合ドメインを含む。いくつかの態様では、ScaffoldYは、MARCKSL1タンパク質(Uniprot登録番号P49006)を含む。MARCKSL1タンパク質は、MARCKS様タンパク質1、及びマクロファージのミリストイル化アラニンリッチCキナーゼ基質としても知られる。全長のヒトMARCKSL1タンパク質は、195アミノ酸の長さである。MARCKSL1タンパク質は、脂質結合及びカルモジュリン結合に関与するエフェクタードメインを、アミノ酸残基87~110に有する。いくつかの態様では、ScaffoldYは、BASP1タンパク質(Uniprot登録番号P80723)を含む。BASP1タンパク質は、22kDa神経組織富化酸性タンパク質または神経軸索膜タンパク質NAP-22としても知られる。全長のヒトBASP1タンパク質配列(異性体1)は、227アミノ酸の長さである。選択的スプライシングによって生成される異性体は、配列番号403のアミノ酸88~141を欠失している(異性体1)。
【表6】
【0437】
成熟BASP1タンパク質配列は、配列番号403の最初のMetを欠失しており、したがって配列番号403のアミノ酸2~227を含む。同様に、成熟MARCKS及びMARCKSL1タンパク質も、それぞれ配列番号401及び402の最初のMetを欠失している。したがって、成熟MARCKSタンパク質は、配列番号401のアミノ酸2~332を含む。成熟MARCKSL1タンパク質は、配列番号402のアミノ酸2~227を含む。
【0438】
他の態様では、本開示に有用なScaffoldYは、配列番号403のアミノ酸2~227と、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるアミノ酸配列を含む。他の態様では、ScaffoldYは、配列番号404~567のいずれか1つと、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるアミノ酸配列を含む。他の態様では、本開示に有用なScaffoldYは、1つのアミノ酸変異、2つのアミノ酸変異、3つのアミノ酸変異、4つのアミノ酸変異、5つのアミノ酸変異、6つのアミノ酸変異、または7つのアミノ酸変異を除いて、配列番号403のアミノ酸配列を含む。他の態様では、本開示に有用なScaffoldYは、1つのアミノ酸変異、2つのアミノ酸変異、3つのアミノ酸変異、4つのアミノ酸変異、5つのアミノ酸変異、6つのアミノ酸変異、または7つのアミノ酸変異を除いて、配列番号403のアミノ酸残基1のMet以外の配列番号403のアミノ酸配列を含む。変異は、置換、挿入、欠失、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。いくつかの態様では、本開示に有用なScaffoldYは、配列番号404~567のいずれか1つのアミノ酸配列、及び配列番号404~567のN末端及び/またはC末端の1アミノ酸、2アミノ酸、3アミノ酸、4アミノ酸、5アミノ酸、6アミノ酸、7アミノ酸、8アミノ酸、9アミノ酸、10アミノ酸、11アミノ酸、12アミノ酸、13アミノ酸、14アミノ酸、15アミノ酸、16アミノ酸、17アミノ酸、18アミノ酸、19アミノ酸、もしくは20アミノ酸またはそれ以上を含む。
【0439】
いくつかの態様では、配列番号404~567のいずれかのタンパク質配列は、本開示のためのScaffoldY(例えば、ASOに連結された足場部分)であるのに十分である。
【0440】
いくつかの態様では、本開示に有用なScaffoldYは、GXKLSKKKを有するペプチドを含み、配列中、Xはアラニンまたは任意の他のアミノ酸(配列番号404)である。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)は、(G)(π)(ξ)(Φ/π)(S/A/G/N)(+)(+)の配列を有するペプチドを含み、配列中、各括弧内の位置はアミノ酸を表し、πは(Pro、Gly、Ala、Ser)からなる群から選択される任意のアミノ酸、ξは(Asn、Gln、Ser、Thr、Asp、Glu、Lys、His、Arg)からなる群から選択される任意のアミノ酸、Φは、(Val、Ile、Leu、Phe、Trp、Tyr、Met)からなる群から選択される任意のアミノ酸、(+)は、(Lys、Arg、His)からなる群から選択される任意のアミノ酸であり;そして、5位は(+)ではなく、そして6位は(+)でも(AspまたはGlu)でもない。さらなる態様では、本明細書に記載のEV(例えば改変エキソソーム)は、(G)(π)(X)(Φ/π)(+)(+)の配列を有するペプチドを含み、配列中、各括弧内の位置はアミノ酸を表し、πは(Pro、Gly、Ala、Ser)からなる群から選択される任意のアミノ酸、Xは、任意のアミノ酸、Φは、(Val、Ile、Leu、Phe、Trp、Tyr、Met)からなる群から選択される任意のアミノ酸、(+)は、(Lys、Arg、His)からなる群から選択される任意のアミノ酸であり;そして、5位は(+)ではなく、そして6位は(+)でも(AspまたはGlu)でもない。アミノ酸の命名法については、Aasland et al.,FEBS Letters 513(2002)141-144を参照されたい。
【0441】
他の態様では、ScaffoldXは、配列番号404~567のいずれか1つと、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0442】
本明細書に記載のScaffoldY改変EV(例えばエキソソーム)は、配列番号404~567に記載の配列で形質転換された細胞から生成することができる。
【0443】
いくつかの態様では、本開示に有用なScaffoldYタンパク質は、「N末端ドメイン」(ND)及び「エフェクタードメイン」(ED)を含み、ND及び/またはEDは、EV(例えばエキソソーム)の内腔表面に会合する。いくつかの態様では、本開示に有用なScaffoldYタンパク質は、細胞内ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞外ドメインを含み;細胞内ドメインは、「N末端ドメイン」(ND)及び「エフェクタードメイン」(ED)を含み、ND及び/またはEDは、EV(例えばエキソソーム)の内腔表面に結合する。本明細書中で使用する場合、用語「会合する」とは、膜成分への共有結合を含まない、足場タンパク質とEV(例えばエキソソーム)の内腔表面との間の相互作用を指す。例えば、本開示に有用な足場は、例えば、脂質アンカー(例えば、ミリスチン酸)を介して、EVの内腔表面、及び/または負に荷電した膜リン脂質の頭部と静電的に相互作用する多塩基性ドメインと会合することができる。他の態様では、ScaffoldYタンパク質は、N末端ドメイン(ND)及びエフェクタードメイン(ED)を含み、NDは、EVの内腔表面に会合し、EDは、イオン性相互作用によりEVの内腔表面に会合し、EDは、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、または少なくとも7つの連続塩基性アミノ酸、例えば、リジン(Lys)を順番に含む。
【0444】
他の態様では、ScaffoldYタンパク質は、N末端ドメイン(ND)及びエフェクタードメイン(ED)を含み、NDは、EV(例えばエキソソーム)の内腔表面に会合し、EDは、イオン性相互作用によりEVの内腔表面に会合し、EDは、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、または少なくとも7つの連続塩基性アミノ酸、例えば、リジン(Lys)を順番に含む。
【0445】
いくつかの態様では、NDは、脂質化を介して、例えばミリストイル化を介して、EV(例えばエキソソーム)の内腔表面に会合する。いくつかの態様では、NDは、N末端にGlyを有する。いくつかの態様では、N末端Glyはミリストイル化されている。
【0446】
いくつかの態様では、EDは、イオン性相互作用を介して、EV(例えばエキソソーム)の内腔表面に会合する。いくつかの態様では、EDは、静電相互作用を介して、特に引力静電相互作用を介して、EV(例えばエキソソーム)の内腔表面に会合する。
【0447】
いくつかの態様では、EDは、(i)塩基性アミノ酸(例えば、リジン)、または(ii)ポリペプチド配列において互いに隣接する2つ以上の塩基性アミノ酸(例えば、リジン)を含む。いくつかの態様では、塩基性アミノ酸は、リジン(Lys;K)、アルギニン(Arg、R)、またはヒスチジン(His、H)である。いくつかの態様では、塩基性アミノ酸は(Lys)nであり、nは、1~10の整数である。
【0448】
他の態様では、EDのN末端がNDのC末端でリジンに直接連結している場合、すなわち、リジンがEDのN末端にあり、NDのC末端のリジンに融合している場合、EDは少なくともリジンを含み、NDはC末端にリジンを含む。他の態様では、EDのN末端が、リンカー、例えば、1つ以上のアミノ酸によってNDのC末端に連結している場合、EDは、少なくとも2つのリジン、少なくとも3つのリジン、少なくとも4つのリジン、少なくとも5つのリジン、少なくとも6つのリジン、または少なくとも7つのリジンを含む。
【0449】
いくつかの態様では、EDは、K、KK、KKK、KKKK(配列番号405)、KKKKK(配列番号406)、R、RR、RRR、RRRR(配列番号407);RRRRR(配列番号408)、KR、RK、KKR、KRK、RKK、KRR、RRK、(K/R)(K/R)(K/R)(K/R)(配列番号409)、(K/R)(K/R)(K/R)(K/R)(K/R)(配列番号410)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、EDは、KK、KKK、KKKK(配列番号405)、KKKKK(配列番号406)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、NDは、G:X2:X3:X4:X5:X6に記載のアミノ酸配列を含み、GはGlyを表し;「:」はペプチド結合を表し;X2~X6のそれぞれは、独立してアミノ酸を表し、X6は、塩基性アミノ酸を表す。いくつかの態様では、X6アミノ酸は、Lys、Arg、及びHisからなる群から選択される。いくつかの態様では、X5アミノ酸は、Pro、Gly、Ala、及びSerからなる群から選択される。いくつかの態様では、X2アミノ酸は、Pro、Gly、Ala、及びSerからなる群から選択される。いくつかの態様では、X4は、Pro、Gly、Ala、Ser、Val、Ile、Leu、Phe、Trp、Tyr、Gln、及びMetからなる群から選択される。
【0450】
いくつかの態様では、ScaffoldYタンパク質は、N末端ドメイン(ND)及びエフェクタードメイン(ED)を含み、NDは、G:X2:X3:X4:X5:X6に記載のアミノ酸配列を含み、GはGlyを表し;「:」はペプチド結合を表し;X2~X6のそれぞれは、独立してアミノ酸であり;X6は塩基性アミノ酸を含み、EDはペプチド結合によってX6に連結し、EDのN末端に少なくとも1つのリジンを含む。
【0451】
いくつかの態様では、ScaffoldYタンパク質のNDは、G:X2:X3:X4:X5:X6のアミノ酸配列を含み、GはGlyを表し;「:」はペプチド結合を表し;X2は、Pro、Gly、Ala、及びSerからなる群から選択されるアミノ酸を表し;X3は任意のアミノ酸を表し;X4は、Pro、Gly、Ala、Ser、Val、Ile、Leu、Phe、Trp、Tyr、Gln、及びMetからなる群から選択されるアミノ酸を表し;X5は、Pro、Gly、Ala、及びSerからなる群から選択されるアミノ酸を表し;X6は、Lys、Arg、及びHisからなる群から選択されるアミノ酸を表す。
【0452】
いくつかの態様では、X3アミノ酸は、Asn、Gln、Ser、Thr、Asp、Glu、Lys、His、及びArgからなる群から選択される。
【0453】
いくつかの態様では、NDとEDを、リンカーによって結合する。いくつかの態様では、リンカーは、1つ以上のアミノ酸を含む。いくつかの態様では、用語「リンカー」とは、ペプチドまたはポリペプチド配列(例えば、合成ペプチドまたはポリペプチド配列)または非ポリペプチド、例えば、アルキル鎖を指す。いくつかの態様では、2つ以上のリンカーをタンデムに連結することができる。一般的に、リンカーは柔軟性を提供するか、または立体障害を防止/改善する。リンカーは通常、開裂せず;しかしながら、特定の態様では、そのような開裂が望ましい場合がある。したがって、いくつかの態様では、リンカーは、リンカーの配列内に位置するか、またはリンカー配列のいずれかの末端でリンカーに隣接し得る、1つ以上のプロテアーゼ開裂性部位を含み得る。NDとEDをリンカーで結合する場合、EDは、少なくとも2つのリジン、少なくとも3つのリジン、少なくとも4つのリジン、少なくとも5つのリジン、少なくとも6つのリジン、または少なくとも7つのリジンを含む。
【0454】
いくつかの態様では、リンカーは、ペプチドリンカーである。いくつかの態様では、ペプチドリンカーは、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約10、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約45、少なくとも約50、少なくとも約55、少なくとも約60、少なくとも約65、少なくとも約70、少なくとも約75、少なくとも約80、少なくとも約85、少なくとも約90、少なくとも約95、または少なくとも約100アミノ酸を含み得る。
【0455】
いくつかの態様では、リンカーは、グリシン/セリンリンカーである。いくつかの態様では、ペプチドリンカーは、式[(Gly)n-Ser]mによるグリシン/セリンリンカーであり、nは、1~100の任意の整数であり、mは、1~100の任意の整数である。いくつかの態様では、グリシン/セリンリンカーは、式[(Gly)x-Sery]zで記載され、xは、1~4の整数であり、yは0または1であり、zは、1~50の整数である。いくつかの態様では、ペプチドリンカーは、配列Gnを含み、nは、1~100の整数であり得る。いくつかの態様では、ペプチドリンカーは、配列(GlyAla)nを含み得、nは、1~100の整数である。他の態様では、ペプチドリンカーは、配列(GlyGlySer)nを含み得、nは、1~100の整数である。
【0456】
いくつかの態様では、ペプチドリンカーは、合成、すなわち非天然である。一態様では、ペプチドリンカーは、アミノ酸の第1の直鎖配列を、天然には連結していないか、または天然には遺伝的に融合していないアミノ酸の第2の直鎖配列に、連結または遺伝的に融合するアミノ酸配列を含むペプチド(またはポリペプチド)(例えば、天然または非天然ペプチド)を含む。例えば、一態様では、ペプチドリンカーは、天然ポリペプチドの修飾形態である非天然ポリペプチド(例えば、付加、置換または欠失などの変異を含む)を含み得る。
【0457】
他の態様では、ペプチドリンカーは、非天然アミノ酸を含み得る。さらに他の態様では、ペプチドリンカーは、天然には存在しない直鎖配列中に存在する天然アミノ酸を含み得る。さらに他の態様では、ペプチドリンカーは、天然のポリペプチド配列を含み得る。
【0458】
本開示はまた、ScaffoldYタンパク質に連結されたASOを含む単離された細胞外小胞(EV)(例えばエキソソーム)を提供し、ScaffoldYタンパク質は、ND-EDを含み:NDは、G:X2:X3:X4:X5:X6を含み;Gは、Glyを表し;「:」は、ペプチド結合を表し;X2は、Pro、Gly、Ala、及びSerからなる群から選択されるアミノ酸を表し;X3は、任意のアミノ酸を表し;X4は、Pro、Gly、Ala、Ser、Val、Ile、Leu、Phe、Trp、Tyr、Glu、及びMetからなる群から選択されるアミノ酸を表し;X5は、Pro、Gly、Ala、及びSerからなる群から選択されるアミノ酸を表し;X6は、Lys、Arg、及びHisからなる群から選択されるアミノ酸を表し;「-」は、任意選択のリンカーを表し;EDは、(i)ペプチド結合または1つ以上のアミノ酸によってX6に連結されている少なくとも2つの連続リジン(Lys)、または(ii)ペプチド結合によりX6に直接連結する少なくとも1つのリジンを含むエフェクタードメインである。
【0459】
いくつかの態様では、X2アミノ酸は、Gly及びAlaからなる群から選択される。いくつかの態様では、X3アミノ酸はLysである。いくつかの態様では、X4アミノ酸は、LeuまたはGluである。いくつかの態様では、X5アミノ酸は、Ser及びAlaからなる群から選択される。いくつかの態様では、X6アミノ酸はLysである。いくつかの態様では、X2アミノ酸は、Gly、Ala、またはSerであり;X3アミノ酸は、LysまたはGluであり;X4アミノ酸は、Leu、Phe、Ser、またはGluであり;X5アミノ酸は、SerまたはAlaであり;X6アミノ酸はLysである。いくつかの態様では、「-」リンカーは、ペプチド結合または1つ以上のアミノ酸を含む。
【0460】
いくつかの態様では、足場タンパク質中のEDは、Lys(K)、KK、KKK、KKKK(配列番号405)、KKKKK(配列番号406)、Arg(R)、RR、RRR、RRRR(配列番号407);RRRRR(配列番号408)、KR、RK、KKR、KRK、RKK、KRR、RRK、(K/R)(K/R)(K/R)(K/R)(配列番号409)、(K/R)(K/R)(K/R)(K/R)(K/R)(配列番号410)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0461】
いくつかの態様では、ScaffoldYタンパク質は、(i)GGKLSKK(配列番号411)、(ii)GAKLSKK(配列番号412)、(iii)GGKQSKK(配列番号413)、(iv)GGKLAKK(配列番号414)、または(v)それらの任意の組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0462】
いくつかの態様では、ScaffoldYタンパク質のNDは、(i)GGKLSK(配列番号415)、(ii)GAKLSK(配列番号416)、(iii)GGKQSK(配列番号417)、(iv)GGKLAK(配列番号418)、または(v)それらの任意の組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、足場タンパク質中のEDは、K、KK、KKK、KKKG(配列番号419)、KKKGY(配列番号420)、KKKGYN(配列番号421)、KKKGYNV(配列番号422)、KKKGYNVN(配列番号423)、KKKGYS(配列番号424)、KKKGYG(配列番号425)、KKKGYGG(配列番号426)、KKKGS(配列番号427)、KKKGSG(配列番号428)、KKKGSGS(配列番号429)、KKKS(配列番号430)、KKKSG(配列番号431)、KKKSGG(配列番号432)、KKKSGGS(配列番号433)、KKKSGGSG(配列番号434)、KKSGGSGG(配列番号435)、KKKSGGSGGS(配列番号436)、KRFSFKKS(配列番号437)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0463】
いくつかの態様では、本開示に有用なScaffoldYタンパク質のポリペプチド配列は、(i)GGKLSKK(配列番号411)、(ii)GAKLSKK(配列番号412)、(iii)GGKQSKK(配列番号413)、(iv)GGKLAKK(配列番号414)、または(v)それらの任意の組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸配列からなる。
【0464】
いくつかの態様では、ScaffoldYタンパク質は、(i)GGKLSKKK(配列番号438)、(ii)GGKLSKKS(配列番号439)、(iii)GAKLSKKK(配列番号440)、(iv)GAKLSKKS(配列番号441)、(v)GGKQSKKK(配列番号442)、(vi)GGKQSKKS(配列番号443)、(vii)GGKLAKKK(配列番号444)、(viii)GGKLAKKS(配列番号445)、及び(ix)それらの任意の組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0465】
いくつかの態様では、本開示に有用なScaffoldYタンパク質のポリペプチド配列は、(i)GGKLSKKK(配列番号438)、(ii)GGKLSKKS(配列番号439)、(iii)GAKLSKKK(配列番号440)、(iv)GAKLSKKS(配列番号441)、(v)GGKQSKKK(配列番号442)、(vi)GGKQSKKS(配列番号443)、(vii)GGKLAKKK(配列番号444)、(viii)GGKLAKKS(配列番号445)、及び(ix)それらの任意の組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸配列からなる。
【0466】
いくつかの態様では、ScaffoldYタンパク質は、少なくとも約8、少なくとも約9、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約16、少なくとも約17、少なくとも約18、少なくとも約19、少なくとも約20、少なくとも約21、少なくとも約22、少なくとも約23、少なくとも約24、少なくとも約25、少なくとも約26、少なくとも約27、少なくとも約28、少なくとも約29、少なくとも約30、少なくとも31、少なくとも約32、少なくとも約33、少なくとも約34、少なくとも約35、少なくとも約36、少なくとも約37、少なくとも約38、少なくとも約39、少なくとも約39、少なくとも約40、少なくとも約41、少なくとも約42、少なくとも約43、少なくとも約44、少なくとも約50、少なくとも約46、少なくとも約47、少なくとも約48、少なくとも約49、少なくとも約50、少なくとも約55、少なくとも約60、少なくとも約65、少なくとも約70、少なくとも約75、少なくとも約80、少なくとも85、少なくとも約90、少なくとも約95、少なくとも約100、少なくとも約105、少なくとも約110、少なくとも約115、少なくとも約120、少なくとも約125、少なくとも約130、少なくとも約135、少なくとも約140、少なくとも約145、少なくとも約150、少なくとも約155、少なくとも約160、少なくとも約165、少なくとも約170、少なくとも約175、少なくとも約180、少なくとも約185、少なくとも約190、少なくとも約195、少なくとも約200、少なくとも約205、少なくとも約210、少なくとも約215、少なくとも約220、少なくとも約225、少なくとも約230、少なくとも約235、少なくとも約240、少なくとも約245、少なくとも約250、少なくとも約255、少なくとも約260、少なくとも約265、少なくとも約270、少なくとも約275、少なくとも約280、少なくとも約285、少なくとも約290、少なくとも約295、少なくとも約300、少なくとも約305、少なくとも約310、少なくとも約315、少なくとも約320、少なくとも約325、少なくとも約330、少なくとも約335、少なくとも約340、少なくとも約345、または少なくとも約350アミノ酸の長さである。
【0467】
いくつかの態様では、ScaffoldYタンパク質は、約5~約10、約10~約20、約20~約30、約30~約40、約40~約50、約50~約60、約60~約70、約70~約80、約80~約90、約90~約100、約100~約110、約110~約120、約120~約130、約130~約140、約140~約150、約150~約160、約160~約170、約170~約180、約180~約190、約190~約200、約200~約210、約210~約220、約220~約230、約230~約240、約240~約250、約250~約260、約260~約270、約270~約280、約280~約290、約290~約300、約300~約310、約310~約320、約320~約330、約330~約340、または約340~約350アミノ酸の長さである。
【0468】
いくつかの態様では、ScaffoldYタンパク質は、(i)GGKLSKKKKGYNVN(配列番号446)、(ii)GAKLSKKKKGYNVN(配列番号447)、(iii)GGKQSKKKKGYNVN(配列番号448)、(iv)GGKLAKKKKGYNVN(配列番号449)、(v)GGKLSKKKKGYSGG(配列番号450)、(vi)GGKLSKKKKGSGGS(配列番号451)、(vii)GGKLSKKKKSGGSG(配列番号452)、(viii)GGKLSKKKSGGSGG(配列番号453)、(ix)GGKLSKKSGGSGGS(配列番号484)、(x)GGKLSKSGGSGGSV(配列番号455)、または(xi)GAKKSKKRFSFKKS(配列番号456)を含む。
【0469】
いくつかの態様では、本開示に有用なScaffoldYタンパク質のポリペプチド配列は、(i)GGKLSKKKKGYNVN(配列番号446)、(ii)GAKLSKKKKGYNVN(配列番号447)、(iii)GGKQSKKKKGYNVN(配列番号448)、(iv)GGKLAKKKKGYNVN(配列番号449)、(v)GGKLSKKKKGYSGG(配列番号450)、(vi)GGKLSKKKKGSGGS(配列番号451)、(vii)GGKLSKKKKSGGSG(配列番号452)、(viii)GGKLSKKKSGGSGG(配列番号853)、(ix)GGKLSKKSGGSGGS(配列番号484)、(x)GGKLSKSGGSGGSV(配列番号855)、または(xi)GAKKSKKRFSFKKS(配列番号456)からなる。
【0470】
本開示に有用なScaffoldYタンパク質の非限定的な例を以下に記載する。いくつかの態様では、ScaffoldYタンパク質は、配列番号411、438、446~567のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、ScaffoldYタンパク質は、配列番号411、438、446~567のいずれか1つのアミノ酸配列からなる。
【0471】
いくつかの態様では、本開示に有用なScaffoldYタンパク質は、N末端Metを含まない。いくつかの態様では、ScaffoldYタンパク質は、脂質アンカーとして機能する足場タンパク質のN末端に、脂質化アミノ酸、例えば、ミリストイル化アミノ酸を含む。いくつかの態様では、足場タンパク質のN末端のアミノ酸残基はGlyである。N末端Glyの存在は、N-ミリストイル化の絶対的な要件である。いくつかの態様では、足場タンパク質のN末端のアミノ酸残基は合成である。いくつかの態様では、足場タンパク質のN末端のアミノ酸残基は、グリシン類似体、例えば、アリルグリシン、ブチルグリシン、またはプロパルギルグリシンである。
【0472】
足場タンパク質の非限定的な例は、2019年5月23日に公開されたWO/2019/099942及び2020年5月22日に公開されたWO/2020/101740に見出すことができ、これらはその全体が参照により援用される。
【0473】
III.D. 標的化部分
いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)は、標的化部分、例えば、外来性標的化部分を含む。いくつかの態様では、標的化部分は、ペプチド、抗体もしくはその抗原結合断片、化合物、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、標的化部分は、マイクロタンパク質、設計されたアンキリンリピートタンパク質(ダーピン)、アンチカリン、アドネクチン、アプタマー、ペプチド模倣分子、受容体の天然リガンド、ラクダナノボディ、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、標的化部分は、全長抗体、単一ドメイン抗体、重鎖のみ抗体(VHH)、単鎖抗体、サメ重鎖のみ抗体(VNAR)、scFv、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2、またはそれらの任意の組み合わせを含む外来性標的化部分を含む。いくつかの態様では、抗体は単鎖抗体である。
【0474】
いくつかの態様では、標的化部分は、エキソソームを、肝臓、心臓、肺、脳、腎臓、中枢神経系、末梢神経系、筋肉、骨、関節、皮膚、腸、膀胱、膵臓、リンパ節、脾臓、またはそれらの任意の組み合わせに標的化する。いくつかの態様では、標的化部分は、エキソソームを、腫瘍細胞、樹状細胞、T細胞、B細胞、マクロファージ、ニューロン、肝細胞、クッパー細胞、骨髄系細胞(例えば、好中球、単球、またはマクロファージ)、造血幹細胞、またはそれらの任意の組み合わせに標的化する。
【0475】
いくつかの態様では、標的化部分を、足場タンパク質によってEV(例えばエキソソーム)に連結する。いくつかの態様では、足場部分は、本明細書に開示する任意の足場タンパク質である。いくつかの態様では、足場タンパク質はScaffoldXである。いくつかの態様では、足場タンパク質はScaffoldYである。
【0476】
III.E. リンカー
上記のように、本開示の細胞外小胞(EV)(例えば、エキソソーム及びナノ小胞)は、目的の分子(例えば、ASO)をEVに連結する(例えば、外面または内腔表面上に)1つ以上のリンカーを含み得る。いくつかの態様では、ASOを、直接または足場部分(例えば、ScaffoldXまたはScaffoldY)を介してEVに連結する。特定の態様では、ASOを、リンカーにより、足場部分に連結する。特定の態様では、ASOを、リンカーにより、第2の足場部分に連結する。
【0477】
特定の態様では、ASOを、ScaffoldXを介してエキソソームの外面に連結する。さらなる態様では、ASOを、ScaffoldXまたはScaffoldYを介してエキソソームの内腔表面に連結する。リンカーは当技術分野で公知の任意の化学部分であり得る。
【0478】
本明細書中で使用する場合、用語「リンカー」とは、ペプチドまたはポリペプチド配列(例えば、合成ペプチドまたはポリペプチド配列)または非ポリペプチド、例えば、アルキル鎖を指す。いくつかの態様では、2つ以上のリンカーをタンデムに連結することができる。複数のリンカーが存在する場合、各リンカーは同じでも異なっていてもよい。一般的に、リンカーは柔軟性を提供するか、または立体障害を防止/改善する。リンカーは通常、開裂せず;しかしながら、特定の態様では、そのような開裂が望ましい場合がある。したがって、いくつかの態様では、リンカーは、リンカーの配列内に位置するか、またはリンカー配列のいずれかの末端でリンカーに隣接し得る、1つ以上のプロテアーゼ開裂性部位を含み得る。
【0479】
いくつかの態様では、リンカーは、ペプチドリンカーである。いくつかの態様では、ペプチドリンカーは、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約10、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約45、少なくとも約50、少なくとも約55、少なくとも約60、少なくとも約65、少なくとも約70、少なくとも約75、少なくとも約80、少なくとも約85、少なくとも約90、少なくとも約95、または少なくとも約100アミノ酸を含み得る。
【0480】
いくつかの態様では、ペプチドリンカーは、合成、すなわち非天然である。一態様では、ペプチドリンカーは、アミノ酸の第1の直鎖配列を、天然には連結していないか、または天然には遺伝的に融合していないアミノ酸の第2の直鎖配列に、連結または遺伝的に融合するアミノ酸配列を含むペプチド(またはポリペプチド)(例えば、天然または非天然ペプチド)を含む。例えば、一態様では、ペプチドリンカーは、天然ポリペプチドの修飾形態である非天然ポリペプチド(例えば、付加、置換または欠失などの変異を含む)を含み得る。
【0481】
リンカーは開裂しやすい場合があり(「開裂性リンカー」)、それにより、生体活性分子(例えば、ASO)の遊離を促進する。
【0482】
いくつかの態様では、リンカーは「還元感受性リンカー」である。いくつかの態様では、還元感受性リンカーは、ジスルフィド結合を含む。いくつかの態様では、リンカーは、「酸不安定性リンカー」である。いくつかの態様では、酸不安定性リンカーは、ヒドラゾンを含む。好適な酸不安定性リンカーはまた、例えば、cis-アコニット酸リンカー、ヒドラジドリンカー、チオカルバモイルリンカー、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0483】
いくつかの態様では、リンカーは、非開裂性リンカーを含む。
【0484】
いくつかの態様では、リンカーは、アクリルホスホルアミダイト(例えば、Acrydite(商標))、アデニル化、アジド(NHSエステル)、ジゴキシゲニン(NHSエステル)、コレステロール-TEG、I-LINKER(商標)、アミノ修飾因子(例えば、アミノ修飾因子C6、アミノ修飾因子C12、アミノ修飾因子C6 dT、またはUni-Link(商標)アミノ修飾剤)、アルキン、5’ヘキシニル、5-オクタジエニルdU、ビオチン化(例えば、ビオチン、ビオチン(アジド)、ビオチンdT、ビオチン-TEG、デュアルビオチン、PCビオチン、またはデスチオビオチン)、チオール修飾(チオール修飾剤C3 S-S、ジチオールまたはチオール修飾剤C6 S-S)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0485】
いくつかの態様では、リンカーは、ネロリドール、ファルネソール、リモネン、リナロール、ゲラニオール、カルボン、フェンコン、またはメントールなどのテルペン;パルミチン酸やミリスチン酸などの脂質;コレステロール;オレイル;レチニル;コレステリル残基;コール酸;アダマンタン酢酸;1-ピレン酪酸;ジヒドロテストステロン;1,3-ビス-O(ヘキサデシル)グリセロール;ゲラニルオキシヘキシル基;ヘキサデシルグリセロール;ボルネオール;1,3-プロパンジオール;ヘプタデシル基;O3-(オレオイル)リトコール酸;O3-(オレオイル)コレン酸;ジメトキシトリチル;フェノキサジン、マレイミド部分、グルコリニダーゼタイプ、CL2A-SN38タイプ、葉酸;炭水化物;ビタミンA;ビタミンE;ビタミンK、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0486】
III.F. 屈性部分を含む改変EV
いくつかの態様では、本明細書に開示するEV(例えばエキソソーム)を表面改変して、例えば、免疫親和性リガンドまたは同族受容体リガンドの組み込みを介して、その特性、例えば、生体内分布を調整することができる。例えば、本明細書に開示するEV(例えば、エキソソーム)は、それらを特定の細胞型、例えば、シュワン細胞、感覚ニューロン、運動ニューロン、髄膜マクロファージ、もしくは腫瘍細胞に向かわせるように表面改変することができ、または特定の区画、例えば、CNS(髄腔内区画の保持を向上させるために)または腫瘍微小環境へのそれらの移行を増強するように表面改変することができる。
【0487】
いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)は、(i)本明細書に開示するASO、及び(ii)生体内分布修飾剤または標的化部分を含む。いくつかの態様では、生体内分布修飾剤または標的化部分は、単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHH及び/またはvNARを含む。本明細書中で使用する場合、用語「生体内分布修飾剤」及び「標的化部分」は、同じ意味で使用され、in vivoまたはin vitroでの(例えば、異なる品種の細胞の混合培養物中での)細胞外小胞(例えば、エキソソーム、ナノ小胞)の分布を改変することができる薬剤を指す。いくつかの態様では、標的化部分は、EV(例えばエキソソーム)の向性を変化させる、すなわち、標的部分は「向性部分」である。本明細書中で使用する場合、用語「向性部分」とは、EV(例えばエキソソーム)上で発現すると、EV天然の挙動を変更及び/または増強する標的化部分を指す。例えば、いくつかの態様では、向性部分は、特定の細胞、組織、または器官へのEV(例えばエキソソーム)の取り込みを促進することができる。
【0488】
EV(例えばエキソソーム)は、個別の細胞型及び組織への優先的な取り込みを示し、それらの向性は、標的細胞の表面の受容体と相互作用するタンパク質をそれらの表面に加えることによって指示することができる。向性部分は、タンパク質、ペプチド、脂質、もしくは炭水化物などの生体分子、または合成分子を含み得る。例えば、いくつかの態様では、向性部分は、親和性リガンド、例えば、抗体(抗CD19ナノボディ、抗CD22ナノボディ、抗CLEC9Aナノボディ、または抗CD3ナノボディなど)、VHHドメイン、ファージディスプレイペプチド、フィブロネクチンドメイン、ラクダ科ナノボディ、及び/またはvNARを含み得る。いくつかの態様では、向性部分は、例えば、合成ポリマー(例えば、PEG)、天然のリガンド/分子(例えば、CD40L、アルブミン、CD47、CD24、CD55、CD59)、及び/または組換えタンパク質(例えば、XTEN)を含み得る。
【0489】
いくつかの態様では、向性部分は、細胞によるEV(例えばエキソソーム)の取り込みを増加させることができる。いくつかの態様では、細胞によるEV(例えばエキソソーム)の取り込みを増加させることができる向性部分として、リンパ球抗原75(DEC205またはCD205としても知られる)、C型レクチンドメインファミリー9メンバーA(CLEC9A)、C型レクチンドメインファミリー6(CLEC6)、C型レクチンドメインファミリー4メンバーA(DCIRまたはCLEC4Aとしても知られる)、樹状細胞特異的細胞間接着分子-3-グラビング非インテグリン(DC-SIGNまたはCD209としても知られる)、レクチン型酸化LDL受容体1(LOX-1)、コラーゲン構造を有するマクロファージ受容体(MARCO)、C型レクチンドメインファミリー12メンバーA(CLEC12A)、C型レクチンドメインファミリー10メンバーA(CLEC10A)、DC-アシアロ糖タンパク質受容体(DC-ASGPR)、DC免疫受容体2(DCIR2)、Dectin-1、マクロファージマンノース受容体(MMR)、BDCA-2(CD303、CLEC4C)、Dectin-2、BST-2(CD317)、ランゲリン、CD206、CD11b、CD11c、CD123、CD304、XCR1、AXL、SIGLEC6、CD209、SIRPA、CX3CR1、GPR182、CD14、CD16、CD32、CD34、CD38、CD10、抗CD3抗体、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0490】
いくつかの態様では、中枢神経系への向性が望まれる場合、本開示のEV(例えばエキソソーム)は、特定の中枢神経系組織または細胞へのEV(例えばエキソソーム)の向性を増加させる組織または細胞特異的標的リガンドを含み得る。いくつかの態様では、細胞はグリア細胞である。いくつかの態様では、グリア細胞は、オリゴデンドロサイト、星状細胞、上衣細胞、ミクログリア細胞、シュワン細胞、サテライトグリア細胞、嗅覚鞘細胞、またはそれらの組み合わせである。いくつかの態様では、細胞は神経幹細胞である。いくつかの態様では、シュワン細胞へのEV(例えばエキソソーム)の向性を増加させる細胞特異的標的リガンドは、シュワン細胞表面マーカー、例えば、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、ミエリンタンパク質ゼロ(P0)、P75NTR、NCAM、PMP22、またはそれらの任意の組み合わせに結合する。いくつかの態様では、細胞特異的向性部分は、抗体またはその抗原結合部分、アプタマー、またはシュワン細胞の表面に発現する受容体のアゴニストもしくはアンタゴニストを含む。
【0491】
いくつかの態様では、生体内分布修飾剤または標的化部分は、腫瘍細胞上に発現する抗原に結合する抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、生体内分布修飾剤または標的化部分は、腫瘍微小環境内に発現する抗原に結合する抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、生体内分布修飾剤または標的化部分は、メソセリンまたはその断片に結合する抗原結合部分を含む。メソセリンまたはその断片に結合することができる当技術分野で公知の任意の抗原結合部分を、本明細書に開示するEVにおいて使用することができる。いくつかの態様では、生体内分布修飾剤または標的化部分は、CD33またはその断片に結合する抗原結合部分を含む。CD33またはその断片に結合することができる当技術分野で公知の任意の抗原結合部分を、本明細書に開示するEVにおいて使用することができる。特定の態様では、CD33またはその断片に結合する抗原結合部分は、その全体が参照により本明細書に援用される米国特許第5,877,296号に開示されている抗CD33結合部分から選択される。CD33は、骨髄細胞とリンパ系細胞の両方で発現する膜貫通型受容体である。CD33は、シアル酸に結合し、したがってシアル酸結合免疫グロブリン型レクチン(SIGLEC)ファミリーのメンバーである。CD33は、細胞間相互作用を媒介し、免疫細胞を休止状態に維持する役割を果たす。結合すると、タンパク質の細胞質ゾル部分に存在するCD33の免疫受容抑制性チロシンモチーフ(ITIM)がリン酸化され、SHPホスファターゼなどのSrc相同性2(SH2)ドメイン含有タンパク質のドッキングサイトとして機能する。これは、細胞内の食作用を阻害するカスケードをもたらし得る。構造的には、CD33の細胞外部分には2つの免疫グロブリンドメインが含まれ、細胞外部分にはITIMが含まれる。CD33の同義語として、シアル酸結合Ig様レクチン3、SIGLEC3、SIGLEC-3、gp67、及びp67が挙げられるが、これらに限定されない。
【0492】
CD33の配列も当技術分野で公知である。ヒトCD33の標準的なアミノ酸配列は、配列番号900(UniProt識別子:P20138-1)に記載されている。選択的スプライシングから生じるヒトCD33のアイソフォーム:(i)アイソフォーム2(UniProt識別子:P20138-3;配列番号901);(ii)アイソフォーム3(UniProt識別子:P20138-2;配列番号902);(iii)アイソフォームX1(GenBank登録番号XP_011525833.1;配列番号903);(iv)アイソフォームX2(GenBank登録番号XP_016882998.1;配列番号904);及び(v)アイソフォームX4(GenBank登録番号XP_016882999.1;配列番号905)が知られている。いくつかの態様では、本明細書に開示する標的化部分は、本明細書に開示するヒトCD33タンパク質の1つ以上に結合することができる。
【0493】
向性部分が存在することにより(単独で、またはCD47などの抗食作用シグナルの存在及び特定の投与経路の使用と組み合わせて)、所望の標的細胞または組織へのEV(例えばエキソソーム)の向性が誘発されることから、原則として、本開示のEV(例えばエキソソーム)を特定の標的細胞または組織(例えば、CNSの細胞または末梢神経のシュワン細胞)に向かわせることができる少なくとも1つの向性部分を含む本開示のEV(例えばエキソソーム)を、当技術分野で公知の任意の好適な投与方法(例えば、静脈内注射または注入)を用いて投与することができる。
【0494】
特定の態様では、例えば、EV(例えばエキソソーム)の外面上の足場部分、例えば、ScaffoldXタンパク質またはその断片に、向性部分を連結、例えば、マレイミド部分を介して化学的に連結する。抗食作用シグナル(例えば、CD47及び/またはCD24)、半減期延長部分(例えば、アルブミンまたはPEG)、またはそれらの任意の組み合わせを、本開示のEV(例えばエキソソーム)の外面に結合させることによって、向性をさらに向上させることができる。特定の態様では、例えば、EV(例えばエキソソーム)の外面上の足場部分、例えば、ScaffoldXタンパク質またはその断片に、抗食作用シグナルを連結、例えば、マレイミド部分を介して化学的に連結する。
【0495】
薬物動態、生体内分布、特に所望の組織または解剖学的位置における向性及び保持は、適切な投与経路(例えば、中枢神経系への向性を向上させるための髄腔内投与または眼内投与)を選択することによっても達成することができる。
【0496】
いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)は、少なくとも2つの異なる向性部分を含む。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)は、3つの異なる向性部分を含む。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)は、4つの異なる向性部分を含む。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)は、5つ以上の異なる向性部分を含む。いくつかの態様では、向性部分の1つ以上は、細胞によるEV(例えばエキソソーム)の取り込みを増加させる。いくつかの態様では、各向性部分を、足場部分、例えば、ScaffoldXタンパク質またはその断片に結合させる。いくつかの態様では、複数の向性部分を、同じ足場部分、例えば、ScaffoldXタンパク質またはその断片に結合させることができる。いくつかの態様では、いくつかの向性部分を、足場部分、例えば、ScaffoldXタンパク質またはその断片にタンデムに結合させることができる。いくつかの態様では、本明細書に開示する向性部分またはその組み合わせを、足場部分、例えば、ScaffoldXタンパク質またはその断片に、リンカーまたはスペーサーを介して結合させる。いくつかの態様では、リンカーもしくはスペーサーまたはそれらの組み合わせを、本明細書に開示する2つの向性部分の間に挿入する。
【0497】
本開示のEV(例えばエキソソーム)を異なる神経系細胞型に向かわせることができる向性部分の非限定的な例を以下に開示する。
【0498】
III.F.1. シュワン細胞を標的とする向性部分
いくつかの態様では、向性部分は、シュワン細胞を標的とすることができる。いくつかの態様では、本明細書に開示するEV(例えばエキソソーム)を、シュワン細胞標的に向かわせる向性部分は、例えば、トランスフェリン受容体(TfR)、アポリポプロテインD(ApoD)、ガレクチン1(LGALS1)、ミエリンプロテオリピドタンパク質(PLP)、グリピカン1、またはシンデカン3を標的とする。いくつかの態様では、本開示のEV(例えばエキソソーム)をシュワン細胞に向かわせる向性部分は、トランスフェリン、またはその断片、バリアントもしくは誘導体である。
【0499】
いくつかの態様では、本開示の向性部分は、トランスフェリン受容体(TfR)を標的とする。トランスフェリン受容体、例えば、TfR1またはTfR2は、トランスフェリンの担体タンパク質である。トランスフェリン受容体は、受容体を介したエンドサイトーシスにより、トランスフェリン-イオン錯体を内在化することにより、鉄分を移入する。
【0500】
TfR1(例えば、UniProt P02786 TFR1_Humanを参照のこと)またはトランスフェリン受容体1(表面抗原分類71すなわちCD71としても知られる)は、血液脳関門(BBB)の内皮細胞に発現する。TfR1は、赤血球、単球、肝細胞、腸細胞、及び赤血球などの様々な細胞で発現することが知られており、腫瘍細胞(非小細胞肺癌、結腸癌、及び白血病)などの急速に分裂する細胞において、ならびに急性呼吸困難症候群(ARDS)などの障害の影響を受けた組織において上方制御される。TfR2は、主に肝臓と赤血球の細胞で発現し、肺、脾臓、筋肉ではあまり認められず、TfR1と45%の同一性及び66%の類似性を有する。TfR1は、膜貫通型受容体であり、ジスルフィド結合を有する分子量90kDaの760残基のホモ二量体を形成する。トランスフェリンに対する親和性は、2つの受容体型間で異なり、TfR1に対する親和性は、TfR2の親和性に比べて少なくとも25~30倍高い。
【0501】
TfR1に結合すると、大きな分子、例えば、抗体が脳内に移動する。いくつかのTfR1標的抗体は、鉄分の取り込みを妨げることなく、血液脳関門を通過することが示されている。それらの中には、マウス抗ラットTfR抗体OX26及びラット抗マウスTfR抗体8D3がある。抗体-TfR相互作用の親和性は、BBBの内皮細胞を介したトランスサイトーシス輸送の成功を決定するために重要である。一価のTfR相互作用は、細胞内ソーティング経路の変化によりBBB輸送に有利に働く。リソソームへの輸送をリダイレクトする二価相互作用の結合力効果。また、TfR結合親和性を低下させると、TfRからの解離が直接促進され、TfR結合抗体の脳実質への曝露が増加する。例えば、その全体が参照により本明細書に援用される米国特許第8,821,943号を参照されたい。したがって、いくつかの態様では、本開示の向性部分は、TfRを標的とする、例えば、標的TfR1を標的とすることができるリガンド、例えば、トランスフェリン、またはTfRに特異的に結合することができる抗体もしくは他の結合分子を含み得る。いくつかの態様では、トランスフェリン受容体を標的とする抗体は、低親和性抗トランスフェリン受容体抗体である(例えば、その全体が参照により本明細書に援用されるUS20190202936A1を参照のこと)。
【0502】
いくつかの態様では、向性部分は、トランスフェリン受容体のリガンド、例えば、登録番号NM001063、XM002793、XM039847、NM002343またはNM013900などとしてGenBankで入手可能なヒトトランスフェリン、またはそのバリアント、断片、もしくは誘導体の全部または一部(例えば、結合部分)を含む。
【0503】
いくつかの態様では、向性部分は、トランスフェリン受容体標的化部分、すなわち、トランスフェリン受容体に向けられた標的化部分を含む。好適なトランスフェリン受容体標的化部分として、血清トランスフェリン、ラクトトランスフェリン(ラクトフェリン)オボトランスフェリン、またはメラノトランスフェリンなどのトランスフェリンまたはトランスフェリンバリアントが挙げられるが、これらに限定されない。トランスフェリンは、血清トランスフェリン、ラクトトランスフェリン(ラクトフェリン)、オボトランスフェリン、及びメラノトランスフェリンなど、脊椎動物に認められる非ヘム鉄結合タンパク質のファミリーである。血清トランスフェリンは、分子量が約80kDaの糖タンパク質であり、分岐して複数のアンテナで終端し、それぞれが末端シアル酸残基を有する2つのN結合型多糖鎖を有する単一のポリペプチド鎖を含む。2つの主要なドメイン、すなわち約330アミノ酸のNドメインと約340アミノ酸のCドメインがあり、それぞれが2つのサブドメイン、N1とN2、及びC1とC2に分けられる。トランスフェリンの受容体結合は、グリコシル化に関係なく、Cドメインを介して起こる。
【0504】
いくつかの態様では、向性部分は、血清トランスフェリンまたはトランスフェリンバリアント、例えば、ヘキサシアロトランスフェリン、ペンタシアロトランスフェリン、テトラシアロトランスフェリン、トリシアロトランスフェリン、ジシアロトランスフェリン、モノシアロトランスフェリン、もしくはアシアロトランスフェリン、または糖鎖欠損トランスフェリン(CDT)、例えば、アシアロ、モノシアロもしくはジシアロトランスフェリン、または糖鎖フリートランスフェリン(CFT)、例えば、アシアロトランスフェリンであるが、これらに限定されない。いくつかの態様では、向性部分は、トランスフェリンのN末端ドメイン、トランスフェリンのC末端ドメイン、天然のトランスフェリンのグリコシル化、天然(野生型)のトランスフェリンに比べて低いグリコシル化を有するトランスフェリンバリアント、グリコシル化なし、トランスフェリンの少なくとも2つのN末端ローブ、トランスフェリンの少なくとも2つのC末端ローブ、Nドメインの少なくとも1つの変異、Cドメインの少なくとも1つの変異、変異体が天然のトランスフェリンよりもトランスフェリン受容体に対してより弱い結合能力を有する変異、及び/または変異体が天然のトランスフェリンよりもトランスフェリン受容体に対してより強い結合能力を有する変異、または前述の任意の組み合わせである。
【0505】
いくつかの態様では、トランスフェリン受容体を標的とする向性部分は、抗トラスフェリン受容体可変新規抗原受容体(vNAR)、例えば、一般的なモチーフ構造(FW1-CDR1-FW2-3-CDR3-FW4)を有する結合ドメインを含む。例えば、US2017-0348416を参照されたい(その全体が参照により本明細書に援用される)。vNARは、サメの適応免疫系の重要な成分である。わずか11kDaのこれらの単一ドメイン構造は、動物界で最小のIgG様タンパク質であり、分子工学及び生物製剤の創薬のための優れたプラットフォームを提供する。vNARの属性には、標的に対する高い親和性、発現の容易さ、安定性、溶解性、多重特異性、及び固形組織への浸透能力の増加が含まれる。Ubah et al. Biochem.Soc.Trans.(2018)46(6):1559-1565を参照のこと。
【0506】
いくつかの態様では、向性部分は、TfR1に特異的に結合することができるvNARドメインを含み、vNARドメインは、US2017-0348416の表1の任意の1つのCDR3ペプチドと組み合わせたUS2017-0348416の表1の任意の1つのCDR1ペプチドを有するvNAR足場を含むか、または本質的にそれからなる。
【0507】
いくつかの態様では、本開示の向性部分は、ApoDを標的とする。主に肝臓で産生される他のリポタンパク質とは異なり、アポリポタンパク質Dは、主に脳、小脳、及び末梢神経で産生される。ApoDは169アミノ酸の長さで、20アミノ酸の分泌ペプチドシグナルを含む。ApoDは、2つのグリコシル化部位(アスパラギン45及び78)を含み、成熟タンパク質の分子量は20~32kDaである。ApoDは、プロゲステロン及びプレグネノロンなどのステロイドホルモンに比較的強い親和性で結合し、エストロゲンに弱い親和性で結合する。アラキドン酸(AA)は、プロゲステロンやプレグネノロンよりもはるかに優れた親和性を有するApoDリガンドである。他のApoDリガンドとして、E-3-メチル-2-ヘキセン酸、レチノイン酸、スフィンゴミエリン及びスフィンゴ脂質が挙げられる。したがって、いくつかの態様では、本開示の向性部分は、ApoDを標的とすることができるリガンド、例えば、ApoDに特異的に結合することができる抗体または他の結合分子を含む。
【0508】
いくつかの態様では、本開示の向性部分は、ガレクチン1を標的とする。ガレクチン-1タンパク質は、135アミノ酸の長さである。したがって、いくつかの態様では、本開示の向性部分は、ガレクチン1を標的とすることができるリガンド、例えば、ガレクチン1に特異的に結合することができる抗体または他の結合分子を含む。
【0509】
いくつかの態様では、本開示の向性部分は、PLPを標的とする。PLPは、CNS由来の主要なミエリンタンパク質である。PLPは、ミエリンの多層構造の形成または維持において重要な役割を果たす。ミエリン鞘は多層膜であり、軸索インパルス伝導の効率を大幅に高める絶縁体として機能する神経系に特有のものである。PLPは、276~280アミノ酸の高度に保存された疎水性タンパク質であり、4つの膜貫通セグメント、2つのジスルフィド結合を含み、脂質(哺乳類では少なくとも6つのパルミチン酸基)に共有結合する。したがって、いくつかの態様では、本開示の向性部分は、PLPを標的とすることができるリガンド、例えば、PLPに特異的に結合することができる抗体または他の結合分子を含む。
【0510】
いくつかの態様では、本開示の向性部分は、グリピカン1を標的とする。したがって、いくつかの態様では、本開示の向性部分は、グリピカン1を標的とすることができるリガンド、例えば、グリピカン1に特異的に結合することができる抗体または他の結合分子を含む。いくつかの態様では、本開示の向性部分は、シンデカン3を標的とする。したがって、いくつかの態様では、本開示の向性部分は、シンデカン3を標的とすることができるリガンド、例えば、シンデカン3に特異的に結合する抗体または他の結合分子を含む。
【0511】
III.F.2. 感覚ニューロンを標的とする向性部分
いくつかの態様では、本明細書に開示する向性部分は、本明細書に開示するEV(例えばエキソソーム)を感覚ニューロンに向かわせることができる。いくつかの態様では、本明細書に開示するEV(例えばエキソソーム)を感覚ニューロンに向かわせる向性部分は、Trk受容体、例えば、TrkA、TrkB、TrkC、またはそれらの組み合わせを標的とする。
【0512】
Trk(トロポミオシン受容体キナーゼ)受容体は、哺乳類の神経系のシナプス強度と可塑性を調節するチロシンキナーゼのファミリーである。Trk受容体の一般的なリガンドは、神経系の機能に重要な成長因子のファミリーであるニューロトロフィンである。これらの分子の結合は、非常に特異的である。ニューロトロフィンの各タイプは、対応するTrk受容体に対して異なる結合親和性を有する。したがって、いくつかの態様では、本明細書に開示するEV(例えばエキソソーム)を感覚ニューロンに向かわせる向性部分は、ニューロトロフィンを含む。
【0513】
ニューロトロフィンは、ホモ二量体としてTrk受容体に結合する。したがって、いくつかの態様では、向性部分は、本明細書に開示する少なくとも2つのニューロトロフィンを、例えば、タンデムに含む。いくつかの態様では、向性部分は、本明細書に開示する少なくとも2つのニューロトロフィンを、例えば、タンデムに含み、それらは、足場タンパク質、例えば、プロテインXにリンカーを介して結合している。いくつかの態様では、足場タンパク質、例えば、プロテインXをニューロトロフィン(例えば、ニューロトロフィンホモ二量体)に接続するリンカーは、少なくとも10アミノ酸の長さを有する。いくつかの態様では、足場タンパク質、例えば、プロテインXをニューロトロフィン(例えば、ニューロトロフィンホモ二量体)に接続するリンカーは、少なくとも25アミノ酸、少なくとも30アミノ酸、少なくとも35アミノ酸、少なくとも40アミノ酸、少なくとも45アミノ酸、または少なくとも50アミノ酸の長さを有する。
【0514】
いくつかの態様では、ニューロトロフィンは、ニューロトロフィン前駆体、すなわち、プロニューロトロフィンであり、これは、後で切断されて、成熟タンパク質を生成する。
【0515】
神経成長因子(NGF)は、最初に同定され、おそらく最も良好に特徴決定されたニューロトロフィンファミリーのメンバーである。NGFは、末梢神経系の感覚及び交感神経ニューロンの発達に顕著な影響を及ぼす。脳由来神経栄養因子(BDNF)は、NGFと同様の神経栄養活性を有し、主にCNSで発現し、心臓、肺、骨格筋、末梢の坐骨神経で検出されている(Leibrock,J.et al.,Nature,341:149-152(1989))。ニューロトロフィン-3(NT-3)は、NGFファミリーの第3のメンバーであり、主に海馬の錐体ニューロンと顆粒ニューロンのサブセットで発現し、小脳、大脳皮質、ならびに肝臓及び骨格筋などの末梢組織で検出されている(Ernfors,P.et al.,Neuron 1: 983-996(1990))。ニューロトロフィン-4(NT-415とも呼ばれる)は、ニューロトロフィンファミリーの中で最も多様なメンバーである。ニューロトロフィン-6(NT-5)は硬骨魚に認められ、p75受容体に結合する。
【0516】
いくつかの態様では、TrkBを標的とするニューロトロフィンは、例えば、NT-4もしくはBDNF、またはその断片、バリアント、または誘導体を含む。いくつかの態様では、TrkAを標的とするニューロトロフィンは、例えば、NGF、またはその断片、バリアント、または誘導体を含む。いくつかの態様では、TrkCを標的とするニューロトロフィンは、例えば、NT-3、またはその断片、バリアント、または誘導体を含む。
【0517】
いくつかの態様では、向性部分は、脳由来神経栄養因子(BDNF)を含む。いくつかの態様では、BDNFは、天然のBDNFのバリアント、例えば、2アミノ酸のカルボキシル短縮型バリアントである。いくつかの態様では、向性部分は、BDNFの全長119アミノ酸配列を含む(HSDPARRGELSVCDSISEWVTAADKKTAVDMSGGTVTVLEKVPVSKGQLKQYFYETKCNPMGYTKEGCRGIDKRHWNSQCRTTQSYVRALTMDSKKRIGWRFIRIDTSCVCTLTIKRGR;配列番号711)。いくつかの態様では、BDNFの1アミノ酸カルボキシ短縮型バリアントを利用する(配列番号711のアミノ酸1~118)。
【0518】
いくつかの態様では、向性部分は、天然のBDNFのカルボキシ短縮型バリアント、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または10超のアミノ酸がBDNFのカルボキシ末端に存在しないバリアントを含む。BDNFバリアントには、完全な119アミノ酸のBDNF、短縮されたカルボキシル末端を有する117もしくは118アミノ酸のバリアント、短縮されたアミノ末端を有するバリアント、またはタンパク質バリアントが依然として高い親和性でTrkB受容体に結合する限りにおいて、最大約20%、約30、もしくは約40%のアミノ酸組成の変化を有するバリアントが含まれる。
【0519】
いくつかの態様では、向性部分は、BDNFの2アミノ酸カルボキシ短縮型バリアント(配列番号711のアミノ酸1~117)を含む。いくつかの態様では、向性部分は、BDNFの3アミノ酸カルボキシ短縮型バリアント(配列番号711のアミノ酸1~116)を含む。いくつかの態様では、向性部分は、BDNFの4アミノ酸カルボキシ短縮型バリアント(配列番号711のアミノ酸1~115)を含む。いくつかの態様では、向性部分は、BDNFの5アミノ酸カルボキシ短縮型バリアント(配列番号711のアミノ酸1~114)を含む。いくつかの態様では、向性部分は、配列番号711の配列、またはその短縮バージョン、例えば、1アミノ酸もしくは2アミノ酸短縮型カルボキシル末端を有する117もしくは118アミノ酸のバリアント、または短縮型アミノ末端を有するバリアントと、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または約100%同一であるBDNFを含む。例えば、米国特許第8,053,569B2号を参照されたい(その全体が参照により本明細書に援用される)。
【0520】
いくつかの態様では、向性部分は、神経成長因子(NGF)を含む。いくつかの態様では、NGFは、天然のNGFのバリアント、例えば、短縮型バリアントである。いくつかの態様では、向性部分は、タンパク質の26kDaのβサブユニットを含み、これは、生物学的に活性である7S NGF複合体の唯一の成分である。いくつかの態様では、向性部分は、βNGFの全長120アミノ酸配列(SSSHPIFHRGEFSVCDSVSVWVGDKTTATDIKGKEVMVLGEVNINNSVFKQYFFETKCRDPNPVDSGCRGIDSKHWNSYCTTTHTFVKALTMDGKQAAWRFIRIDTACVCVLSRKAVRRA;配列番号712)を含む。いくつかの態様では、向性部分は、天然のNGFのカルボキシ短縮型バリアント、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または10超のアミノ酸がNGFのカルボキシ末端に存在しないバリアントを含む。NGFバリアントには、完全な120アミノ酸のNGF、短縮されたカルボキシル末端を有する、より短いアミノ酸のバリアント、短縮されたアミノ末端を有するバリアント、または向性部分が依然として高い親和性でTrkB受容体に結合する限りにおいて、最大約20%、約30%、もしくは約40%のアミノ酸組成の変化を有するバリアントが含まれる。いくつかの態様では、向性部分は、配列番号712の配列、またはその短縮バージョンと、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または約100%同一であるNGFを含む。
【0521】
いくつかの態様では、向性部分は、ニューロトロフィン-3(NT-3)を含む。いくつかの態様では、NT-3は、天然のNT-3のバリアント、例えば、短縮型バリアントである。いくつかの態様では、向性部分は、NT-3の全長119アミノ酸配列(YAEHKSHRGEYSVCDSESLWVTDKSSAIDIRGHQVTVLGEIKTGNSPVKQYFYETRCKEARPVKNGCRGIDDKHWNSQCKTSQTYVRALTSENNKLVGWRWIRIDTSCVCALSRKIGRT;配列番号713)を含む。いくつかの態様では、向性部分は、天然のNT-3のカルボキシ短縮型バリアント、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または10超のアミノ酸がNT-3のカルボキシ末端に存在しないバリアントを含む。NT-3バリアントには、完全な119アミノ酸のNT-3、短縮されたカルボキシル末端を有する、より短いアミノ酸のバリアント、短縮されたアミノ末端を有するバリアント、または向性部分が依然として高い親和性でTrkC受容体に結合する限りにおいて、最大約20%、約30%、もしくは約40%のアミノ酸組成の変化を有するバリアントが含まれる。いくつかの態様では、向性部分は、配列番号713の配列、またはその短縮バージョンと、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または約100%同一であるNT-3を含む。
【0522】
いくつかの態様では、向性部分は、ニューロトロフィン-4(NT-4)を含む。いくつかの態様では、NT-4は、天然のNT-4のバリアント、例えば、短縮型バリアントである。いくつかの態様では、向性部分は、NT-4の全長130アミノ酸配列(GVSETAPASRRGELAVCDAVSGWVTDRRTAVDLRGREVEVLGEVPAAGGSPLRQYFFETRCKADNAEEGGPGAGGGGCRGVDRRHWVSECKAKQSYVRALTADAQGRVGWRWIRIDTACVCTLLSRTGRA;配列番号714)を含む。いくつかの態様では、向性部分は、天然のNT-4のカルボキシ短縮型バリアント、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または10超のアミノ酸がNT-4のカルボキシ末端に存在しないバリアントを含む。NT-4バリアントには、完全な130アミノ酸のNT-4、短縮されたカルボキシル末端を有する、より短いアミノ酸のバリアント、短縮されたアミノ末端を有するバリアント、または向性部分が依然として高い親和性でTrkB受容体に結合する限りにおいて、最大約20%、約30%、もしくは約40%のアミノ酸組成の変化を有するバリアントが含まれる。いくつかの態様では、向性部分は、配列番号714の配列、またはその短縮バージョンと、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または約100%同一であるNT-4を含む。
【0523】
NGF及びNGF関連組換え分子の構造/機能関係研究により、NGF領域25~36の変異が、他のβヘアピンループ及び非ループ領域とともに、NGF/NGF受容体相互作用に有意に影響を及ぼすことが示された(Ibanez et al.,EMBO J.,10,2105-2110,(1991))。この領域に由来する小さなペプチドが、モック受容体への結合及び生物学的応答に影響を与えることにおいてNGFを模倣することが示されている(LeSauteur et al. J.Biol.Chem.270,6564-6569,1995)。NGFのβループ領域に対応する環化ペプチドの二量体は、生存促進及びNGF阻害活性の両方を有するという点で部分的NGFアゴニストとして作用し、一方、単量体及び直鎖状ペプチドは不活性であったことが見出された(Longo et al.,J.Neurosci. Res.,48,1-17,1997)。したがって、いくつかの態様では、本開示の向性部分は、そのようなペプチドを含む。
【0524】
環状ペプチドも、NGF、BDNF、NT3及びNT-4/5のβループ領域を模倣するように設計及び合成されている。これらの環状ペプチドの特定の単量体、二量体、またはポリマーは、生理学的条件下でニューロトロフィン受容体に結合する三次元構造を有し得る。神経細胞表面受容体に結合し、内在化されるニューロトロフィンのこれらの構造類似体のすべては、本開示による化合物の結合剤Bとして機能して、複合体化した治療部分TMを神経系に送達することができる。したがって、いくつかの態様では、本開示の向性部分は、そのような環状ペプチドまたはその組み合わせを含む。
【0525】
いくつかの態様では、神経細胞表面受容体に結合して内在化し得る、神経細胞表面受容体に対する抗体はまた、Trk受容体に結合する向性部分として機能し得る。例えば、モノクローナル抗体(MAb)5C3は、ヒトp140 TrkA受容体のNGFドッキング部位に特異的であり、ヒトTrkB受容体との交差反応性はない。MAb 5C3とそのFabは、in vitroでNGFの効果を模倣し、in vivoでヒトTrk-A陽性腫瘍を画像化する(Kramer et al.,Eur. J.Cancer,33,2090-2091,(1997))。Mab 5C3可変領域の分子クローニング、組換え、変異誘発、及びモデリング研究により、その相補性決定領域(CDR)の3つ以下がTrkAへの結合に関連していることが示された。組換えCDR及びCDR様合成ポリペプチドを用いたアッセイにより、それらがインタクトなMab5C3と同様のアゴニスト生物活性を有することが示された。p75受容体に対するモノクローナル抗体MC192も神経栄養効果があることが示されている。したがって、これらの抗体及びその機能的に同等の断片はまた、本開示の向性部分として機能し得る。
【0526】
いくつかの態様では、非天然アミノ酸または他の有機分子を組み込むことによって合成されるペプチド模倣物もまた、本開示の向性部分として機能し得る。
【0527】
他のニューロトロフィンは当技術分野で公知である。したがって、いくつかの態様では、標的部分は、線維芽細胞成長因子(FGF)-2及び他のFGF、エリスロポエチン(EPO)、肝細胞成長因子(HGF)、表皮成長因子(EGF)、トランスフォーミング成長因子(TGF)-a、TGF-(3、血管内皮成長因子(VEGF)、インターロイキン-1受容体アンタゴニスト(IL-lra)、繊毛神経栄養因子 (CNTF)、グリア由来神経栄養因子(GDNF)、ニュールツリン、血小板由来成長因子(PDGF)、ヘレグリン、ニューレグリン、アルテミン、ペルセフィン、インターロイキン、顆粒球-コロニー刺激因子(CSF)、顆粒球-マクロファージ-CSF、ネトリン、カルジオトロフィン-1、ヘッジホッグ、白血病抑制因子(LIF)、ミッドシン、プレイオトロフィン、骨形態形成タンパク質(BMP)、ネトリン、サポシン、セマホリン、及び幹細胞因子(SCF)からなる群から選択されるニューロトロフィンを含む。
【0528】
いくつかの態様では、本明細書に開示するEV(例えばエキソソーム)を感覚ニューロンに向かわせる向性部分は、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)ペプチドを含む。
【0529】
III.F.3. 運動ニューロンを標的とする向性部分
いくつかの態様では、本明細書に開示する向性部分は、本明細書に開示するEV(例えばエキソソーム)を運動ニューロンに向かわせることができる。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)を本明細書に開示するモーターに向かわせる向性部分は、狂犬病ウイルス糖タンパク質(RVG)ペプチド、標的軸索移入(TAxI)ペプチド、P75Rペプチド、またはTet-Cペプチドを含む。
【0530】
いくつかの態様では、向性部分は、狂犬病ウイルス糖タンパク質(RVG)ペプチドを含む。例えば、米国特許出願公開2014-00294727を参照されたい(その全体が参照により本明細書に援用される)。いくつかの態様では、RVGペプチドは、RVGのアミノ酸残基173~202(YTIWMPENPRPGTPCDIFTNSRGKRASNG;配列番号601)またはそのバリアント、断片、もしくは誘導体を含む。いくつかの態様では、向性部分は、配列番号601の断片である。そのような配列番号601の断片は、例えば、配列番号601のN末端及び/またはC末端から欠失させた1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のアミノ酸を有し得る。配列番号601に由来する機能的断片は、配列番号601からN末端及び/またはC末端アミノ酸を連続的に欠失させ、得られたペプチド断片の機能、例えば、アセチルコリン受容体への結合能力及び/または血液脳関門を介して伝達する能力を評価することによって同定することができる。いくつかの態様では、向性部分は、配列番号601、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16または15アミノ酸の長さの断片を含む。いくつかの態様では、向性部分は、長さが15ペプチド未満の、配列番号601の断片を含む。
【0531】
RGVペプチドの「バリアント」、例えば配列番号601は、構造及び機能において、分子全体、またはその断片のいずれかに実質的に類似している分子を指すことを意味する(すなわち、機能は、BBBを通過または移行する能力である)。RVGペプチドのバリアントは、配列番号601の参照アミノ酸とは異なる変異または修飾を含み得る。いくつかの態様では、配列番号601のバリアントは、本明細書に開示するような配列番号601の断片である。いくつかの態様では、RVGバリアントは、配列番号601の異なるアイソフォームであり得るか、または異なる異性体アミノ酸を含み得る。バリアントは、当技術分野で周知の方法を使用して単離または生成された、天然の、合成の、組換えの、または化学的に修飾されたポリヌクレオチドまたはポリペプチドであり得る。RVGバリアントは、保存的または非保存的なアミノ酸変化を含み得る。例えば、米国特許第9,757,470号を参照されたい(その全体が参照により本明細書に援用される)。
【0532】
いくつか態様では、向性部分は、標的軸索移入(TAxI)ペプチドを含む。いくつかの態様では、TAxIペプチドは、配列SACQSQSQMRCGGG(配列番号602)の環化TAxIペプチドである。例えば、Sellers et al.(2016)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 113:2514-2519、及び米国特許第9,056,892号を参照のこと(その全体が参照により本明細書に援用される)。本明細書に記載のTAxI輸送ペプチドは、任意の長さであってよい。一般的に、輸送ペプチドは長さが6~50アミノ酸であり、より一般的には、長さが10~20アミノ酸である。いくつかの態様では、TAxI輸送ペプチドは、アミノ酸配列QSQSQMR(配列番号603)、ASGAQAR(配列番号604)、PF、またはTSTAPHLRLRLTSR(配列番号605)を含む。任意選択で、TAxI輸送ペプチドは、送達構築物または担体への組み込みを容易にするための隣接配列、例えばリンカーをさらに含む。一態様では、ペプチドはシステインに隣接している。いくつかの態様では、TAxI輸送ペプチドは、核への送達を容易にするために選択された追加の配列をさらに含む。例えば、核への送達を促進するペプチドは核局在化シグナル(NLS)である。通常、このシグナルは、PPKKRKV(配列番号606)などの正に荷電したリジンまたはアルギニンのいくつかの短い配列からなる。一態様では、NLSは、アミノ酸配列PKKRKV(配列番号607)を有する。
【0533】
いくつかの態様では、本開示の向性部分は、以下の表に開示するペプチドBBBシャトルを含む。例えば、Oller-Salvia et al.(2016)Chem.Soc.Rev.45,4690-4707、及びJafari et al.(2019)Expert Opinion on Drug Delivery 16:583-605を参照されたい(その全体が参照により本明細書に援用される)。
【表7】
【0534】
III.G. 抗食作用シグナル
体の免疫系による、投与されたEV(例えばエキソソーム)のクリアランスは、投与されたEV(例えばエキソソーム)治療の有効性を低下させ得る。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)の表面を改変して、免疫系の細胞、例えば、マクロファージによるEV(例えばエキソソーム)の取り込みを制限または遮断する。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)の表面を改変して、マクロファージによるEV(例えばエキソソーム)の取り込みを阻害する1つ以上の表面抗原を発現させる。いくつかの態様では、表面抗原を、EV(例えばエキソソーム)の外面と会合させる。
【0535】
本開示において有用な表面抗原には、細胞を「自己」細胞として標識する抗原が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの態様では、表面抗原は、抗食作用シグナルを含む。いくつかの態様では、抗食作用シグナルは、CD47、CD24、その断片、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。特定の態様では、抗食作用シグナルは、CD24、例えば、ヒトCD24を含む。いくつかの態様では、抗食作用シグナルは、CD24(例えば、ヒトCD24)の断片を含む。特定の態様では、EV(例えばエキソソーム)を改変して、EV(例えばエキソソーム)の外面上でCD47またはその断片を発現させる。
【0536】
本明細書中で使用する場合、CD47(白血球表面抗原CD47及びインテグリン関連タンパク質(IAP)とも呼ばれる)は、体内の多くの細胞に認められる膜貫通タンパク質である。CD47は、CD47を発現する特定の細胞が外来細胞ではないことを知らせるシグナルを免疫細胞、特に骨髄細胞に伝達することから、しばしば「don’t eat me」シグナルと呼ばれる。CD47はSIRPAの受容体であり、未成熟樹状細胞の成熟を防ぎ、成熟樹状細胞によるサイトカイン産生を阻害する。CD47とSIRPGの相互作用は、細胞間接着を媒介し、スーパー抗原依存性のT細胞を介した増殖を促進し、T細胞の活性化を共刺激する。CD47は、血小板上のTHBS1の接着受容体として作用することによる細胞接着と、インテグリンの調節の両方に役割を果たすことも知られている。CD47は、海馬の記憶形成とシナプス可塑性にも重要な役割を果たす(類似性による)。さらに、CD47は、膜輸送及び/またはインテグリン依存性シグナル伝達において役割を果たし、赤血球の早期除去を防ぎ、ウイルス感染後に誘発される膜透過性の変化に関与し得る。
【0537】
いくつかの態様では、本明細書に開示するEV(例えばエキソソーム)を改変して、EV(例えばエキソソーム)の表面上でヒトCD47を発現させる。ヒトCD47及び様々な既知のアイソフォームの標準的なアミノ酸配列は、表3に示されている(UniProtKB-Q08722;配列番号629~632)。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)を改変して、配列番号629に記載のアミノ酸配列またはその断片を含むポリペプチドを発現させる。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)を改変して、配列番号630に記載のアミノ酸配列またはその断片を含むポリペプチドを発現させる。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)を改変して、配列番号631に記載のアミノ酸配列またはその断片を含むポリペプチドを発現させる。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)を改変して、配列番号632に記載のアミノ酸配列またはその断片を含むポリペプチドを発現させる。
【表8】
【0538】
いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)を改変して、EV(例えばエキソソーム)の表面上で全長CD47を発現させる。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)を改変して、EV(例えばエキソソーム)の表面上にCD47の断片を発現させ、その場合、断片は、CD47、例えば、ヒトCD47の細胞外ドメインを含む。マクロファージによる食作用を遮断及び/または阻害する能力を保持するCD47の任意の断片を、本明細書に開示するEV(例えばエキソソーム)に使用することができる。いくつかの態様では、断片は、標準的なヒトCD47配列のアミノ酸19~約141(例えば、配列番号629のアミノ酸19~141)を含む。いくつかの態様では、断片は、標準的なヒトCD47配列のアミノ酸19~約135(例えば、配列番号629のアミノ酸19~135)を含む。いくつかの態様では、断片は、標準的なヒトCD47配列のアミノ酸19~約130(例えば、配列番号629のアミノ酸19~130)を含む。いくつかの態様では、断片は、標準的なヒトCD47配列のアミノ酸19~約125(例えば、配列番号629のアミノ酸19~125)を含む。
【0539】
いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)を改変して、標準的なヒトCD47配列(例えば、配列番号629のアミノ酸19~141)のアミノ酸19~約141に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチドを発現させる。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)を改変して、標準的なヒトCD47配列(例えば、配列番号629のアミノ酸19~135)のアミノ酸19~約135に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチドを発現させる。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)を改変して、標準的なヒトCD47配列(例えば、配列番号629のアミノ酸19~130)のアミノ酸19~約130に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチドを発現させる。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)を改変して、標準的なヒトCD47配列(例えば、配列番号629のアミノ酸19~125)のアミノ酸19~約125に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチドを発現させる。
【0540】
いくつかの態様では、CD47またはその断片を改変して、CD47及びそのリガンドSIRPαの親和性を増加させる。いくつかの態様では、CD47の断片は、ベルクロ(登録商標)-CD47を含む(例えば、その全体が参照により本明細書に援用されるHo et al.,JBC 290:12650-63(2015)を参照されたい)。いくつかの態様では、ベルクロ(登録商標)-CD47は、野生型ヒトCD47配列(配列番号629)と比較してC15S置換を含む。
【0541】
いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)は、EV(例えばエキソソーム)の表面上に、未修飾のEV(例えばエキソソーム)よりも高いレベルで発現するCD47またはその断片を含む。いくつかの態様では、CD47またはその断片を、足場タンパク質と融合させる。本明細書に開示する任意の足場タンパク質を使用して、EV(例えばエキソソーム)の表面上にCD47またはその断片を発現させることができる。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)を改変して、ScaffoldXタンパク質のN末端に融合したCD47の断片を発現させる。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)を改変して、PTGFRNのN末端に融合したCD47の断片を発現させる。
【0542】
いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)は、EV(例えばエキソソーム)の表面上に、少なくとも約20分子、少なくとも約30分子、少なくとも約40、少なくとも約50、少なくとも約75、少なくとも約100、少なくとも約125、少なくとも約150、少なくとも約200、少なくとも約250、少なくとも約300、少なくとも約350、少なくとも約400、少なくとも約450、少なくとも約500、少なくとも約750、または少なくとも約1000分子のCD47を含む。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)は、EV(例えばエキソソーム)の表面上に、少なくとも約20分子のCD47を含む。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)は、EV(例えばエキソソーム)の表面上に、少なくとも約30分子のCD47を含む。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)は、EV(例えばエキソソーム)の表面上に、少なくとも約40分子のCD47を含む。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)は、EV(例えばエキソソーム)の表面上に、少なくとも約50分子のCD47を含む。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)は、EV(例えばエキソソーム)の表面上に、少なくとも約100分子のCD47を含む。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)は、EV(例えばエキソソーム)の表面上に、少なくとも約200分子のCD47を含む。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)は、EV(例えばエキソソーム)の表面上に、少なくとも約300分子のCD47を含む。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)は、EV(例えばエキソソーム)の表面上に、少なくとも約400分子のCD47を含む。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)は、EV(例えばエキソソーム)の表面上に、少なくとも約500分子のCD47を含む。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)は、EV(例えばエキソソーム)の表面上に、少なくとも約1000分子のCD47を含む。
【0543】
いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)は、EV(例えばエキソソーム)の表面上に、少なくとも約20分子、少なくとも約30分子、少なくとも約40、少なくとも約50、少なくとも約75、少なくとも約100、少なくとも約125、少なくとも約150、少なくとも約200、少なくとも約250、少なくとも約300、少なくとも約350、少なくとも約400、少なくとも約450、少なくとも約500、少なくとも約750、または少なくとも約1000分子のCD47を含む。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)は、EV(例えばエキソソーム)の表面上に少なくとも約20分子のCD47を含む。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)は、EV(例えばエキソソーム)の表面上に少なくとも約30分子のCD47を含む。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)は、EV(例えばエキソソーム)の表面上に少なくとも約40分子のCD47を含む。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)は、EV(例えばエキソソーム)の表面上に少なくとも約50分子のCD47を含む。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)は、EV(例えばエキソソーム)の表面上に少なくとも約100分子のCD47を含む。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)は、EV(例えばエキソソーム)の表面上に少なくとも約200分子のCD47を含む。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)は、EV(例えばエキソソーム)の表面上に少なくとも約300分子のCD47を含む。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)は、EV(例えばエキソソーム)の表面上に少なくとも約400分子のCD47を含む。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)は、EV(例えばエキソソーム)の表面上に少なくとも約500分子のCD47を含む。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)は、EV(例えばエキソソーム)の表面上に少なくとも約1000分子のCD47を含む。
【0544】
いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)の表面上でCD47またはその断片を発現させることにより、CD47またはその断片を発現しないEV(例えばエキソソーム)と比較して、骨髄細胞によるEV(例えばエキソソーム)の取り込みを低下させる。いくつかの態様では、CD47またはその断片を発現するEV(例えばエキソソーム)の、骨髄細胞による取り込みは、CD47またはその断片を発現しないEV(例えばエキソソーム)の、骨髄細胞による取り込みと比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%低下する。
【0545】
いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)の表面上でCD47またはその断片を発現させることにより、CD47またはその断片を発現しないEV(例えばエキソソーム)と比較して、骨髄細胞によるEV(例えばエキソソーム)の取り込みを低下させる。いくつかの態様では、CD47またはその断片を発現するEV(例えばエキソソーム)の、骨髄細胞による取り込みは、CD47またはその断片を発現しないEV(例えばエキソソーム)の、骨髄細胞による取り込みに比べて、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%低下する。
【0546】
いくつかの態様では、CD47またはその断片を発現するEV(例えばエキソソーム)のin vivo半減期は、CD47またはその断片を発現しないEV(例えばエキソソーム)のin vivo半減期に比べて増加する。いくつかの態様では、CD47またはその断片を発現するEV(例えばエキソソーム)のin vivo半減期は、CD47またはその断片を発現しないEV(例えばエキソソーム)のin vivo半減期に比べて、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約4.5倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、または少なくとも約10倍増加する。
【0547】
いくつかの態様では、循環、例えば、血漿中のCD47またはその断片を発現するEV(例えばエキソソーム)は、循環、例えば、血漿中でCD47またはその断片を発現しないEV(例えばエキソソーム)に比べて増加する。いくつかの態様では、CD47またはその断片を発現するEV(例えばエキソソーム)の循環、例えば、血漿中の保持は、CD47またはその断片を発現しないEV(例えばエキソソーム)の循環、例えば、血漿中の保持に比べて、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約4.5倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、または少なくとも約10倍増加する。
【0548】
いくつかの態様では、CD47またはその断片を発現するEV(例えばエキソソーム)は、CD47または断片を発現しないエキソソームと比較した場合、変化した生体内分布を有する。いくつかの態様では、変化した生体内分布は、内皮細胞、T細胞への取り込みの増加、または骨格筋、心筋、横隔膜、腎臓、骨髄、中枢神経系、肺、脳脊髄液(CSF)、またはそれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない様々な組織における蓄積の増加をもたらす。
【0549】
IV. 改変エキソソームの生産のためのプロデューサー細胞
EV(例えばエキソソーム)は、in vitroで増殖させた細胞または対象の体液から産生することができる。EV(例えばエキソソーム)をin vitro細胞培養物から産生する場合、様々なプロデューサー細胞、例えば、HEK293細胞、CHO細胞、及びMSCを使用することができる。特定の態様では、プロデューサー細胞は、樹状細胞、マクロファージ、B細胞、マスト細胞、好中球、クッパー-ブロウィッツ細胞、これらの細胞のいずれかに由来する細胞、またはそれらの任意の組み合わせではない。
【0550】
ヒト胎児腎臓293細胞は、HEK293、HEK-293、293細胞、またはより正確にはHEK細胞とも呼ばれ、組織培養で増殖させたヒト胎児腎臓細胞に由来する特定の細胞株である。HEK293細胞は、オランダのライデンにあるAlex van der Ebの研究室で、正常ヒト胎児腎臓細胞の培養物にせん断アデノウイルス5DNAをトランスフェクトすることによって1973年に生成された。細胞を培養し、アデノウイルスでトランスフェクトした。その後の分析では、ウイルスゲノムの左側アームから約4.5キロベースを挿入することで形質転換がもたらされ、それにより、ヒト19番染色体に組み込まれることが示された。HEK293及び5つの誘導細胞株のゲノムとトランスクリプトームの包括的な研究では、HEK293トランスクリプトームをヒトの腎臓、副腎、下垂体、及び中枢神経組織のトランスクリプトームと比較した。HEK293パターンは、多くのニューロン特性を有する副腎細胞のパターンに最もよく似ていた。HEK293細胞は複雑な核型を有し、各染色体の2つ以上のコピーを示し、様式上の染色体数は64である。それらは、一倍体のヒト配偶子の染色体数の3倍未満を含む低三倍体として説明される。染色体異常には、X染色体の合計3つのコピーと、17番染色体と22番染色体の4つのコピーが含まれる。EVの生産に有用なHEK293細胞のバリアントには、HEK293F、HEK293FT、及びHEK293Tが含まれるが、これらに限定されない。
【0551】
プロデューサー細胞は、本明細書に記載のEVを産生するためにASOをコードする外来性配列を含むように遺伝子改変することができる。遺伝子改変されたプロデューサー細胞は、一過性または安定的な形質転換によって外来性配列を含み得る。外来性配列は、プラスミドとして形質転換することができる。いくつかの態様では、外来性配列はベクターである。外来性配列は、標的部位またはランダム部位で、プロデューサー細胞のゲノム配列に安定的に組み込むことができる。いくつかの態様では、安定した細胞株を、内腔改変エキソソームの産生のために生成する。
【0552】
外来性配列は、エキソソームタンパク質をコードする内在性配列の上流(5’末端)または下流(3’末端)内にあるプロデューサー細胞のゲノム配列に挿入することができる。当技術分野で公知の様々な方法を、外来性配列をプロデューサー細胞に導入するために使用することができる。例えば、様々な遺伝子編集方法(例えば、相同組換え、トランスポゾン媒介系、loxP-Cre系、CRISPR/Cas9またはTALENを使用する方法)を使用して改変する細胞は、本開示の範囲内にある。
【0553】
外来性配列は、本明細書に開示する足場部分またはその断片またはバリアントをコードする配列を含み得る。足場部分をコードする配列の追加のコピーを導入して、本明細書に記載のエキソソーム(例えば、EV(例えばエキソソーム)の表面または内腔表面上に、より高密度の足場部分を有する)を生成することができる。足場部分の改変または断片をコードする外来性配列を導入して、足場部分の改変または断片を含む内腔改変型及び/または表面改変型のエキソソームを生成することができる。
【0554】
いくつかの態様では、プロデューサー細胞を、ASOに連結された足場部分をコードする1つ以上のベクターで改変、例えば、トランスフェクトすることができる。
【0555】
いくつかの態様では、本開示のEV(例えばエキソソーム)(例えば、表面改変型及び/または内腔改変型エキソソーム)を、本明細書に開示する全長の成熟足場部分またはASOに連結された足場部分をコードする配列で形質転換した細胞から産生することができる。本明細書に記載の1つ以上のエキソソームタンパク質のいずれも、プラスミド、ゲノムに挿入された外来性配列、または合成メッセンジャーRNA(mRNA)などの他の外来性核酸から発現させることができる。
【0556】
V.医薬組成物
本明細書において、所望の程度の純度を有する本開示のEV(例えばエキソソーム)、及び薬学的に許容される担体または賦形剤を、対象への投与に適した形態で含む医薬組成物を提供する。薬学的に許容される賦形剤または担体は、部分的には、投与する特定の化合物によって、及び組成物を投与するために使用する特定の方法によって決定することができる。したがって、複数の細胞外小胞を含む医薬組成物の多種多様な好適な製剤が存在する。(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.21st ed.(2005)を参照されたい)。医薬組成物は一般的に滅菌して製剤化され、米国食品医薬品局のすべての適正製造基準(GMP)規制に完全に準拠する。
【0557】
いくつかの態様では、医薬組成物は、本明細書に記載の1つ以上の治療薬及びエキソソームを含む。特定の態様では、EV(例えばエキソソーム)を、薬学的に許容される担体中で1つ以上の追加の治療薬と共投与する。いくつかの態様では、本開示のためのASOと1つ以上の追加の治療薬を、同じEVで投与することができる。他の態様では、本開示のためのASOと1つ以上の追加の治療薬を、異なるEVで投与する。例えば、本開示は、ASOを含むEV及び追加の治療薬を含むEVを含む医薬組成物を含む。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)を含む医薬組成物を、追加の治療薬(複数可)の投与の前に投与する。他の態様では、EV(例えばエキソソーム)を含む医薬組成物を、追加の治療薬(複数可)の投与の後に投与する。さらなる態様では、EV(例えばエキソソーム)を含む医薬組成物を、追加の治療薬(複数可)と同時に投与する。
【0558】
許容される担体、賦形剤、または安定剤は、レシピエント(例えば、動物またはヒト)に対し、用いる用量及び濃度で非毒性であり、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル、またはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリジンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース、またはデキストリンを含む他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;ショ糖、マンニトール、トレハロース、またはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);及び/またはTWEEN(登録商標)、PLURONICS(登録商標)、またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含む。
【0559】
担体または希釈剤の例として、水、生理食塩水、リンガー溶液、デキストロース溶液、及び5%ヒト血清アルブミンが挙げられるが、これらに限定されない。薬学的活性物質のためのそのような媒体及び化合物の使用は、当技術分野で公知である。任意の従来の培地または化合物が本明細書に記載の細胞外小胞と不適合でない限り、組成物におけるその使用が企図される。補助的な治療薬もまた、組成物中に組み込むことができる。一般的には、医薬組成物を、その意図する投与経路に適合するように製剤化する。EV(例えばエキソソーム)を、非経口、局所、静脈内、経口、皮下、動脈内、皮内、経皮、直腸内、頭蓋内、腹腔内、鼻腔内、腫瘍内、筋肉内経路または吸入剤によって投与することができる。特定の態様では、エキソソームを含む医薬組成物を、例えば、注射によって静脈内投与する。EV(例えばエキソソーム)を、任意選択で、EV(例えばエキソソーム)が意図される疾患、障害または病態の治療に少なくとも部分的に有効である他の治療薬と組み合わせて投与することができる。
【0560】
溶液または懸濁液は、以下の成分を含み得る:水、生理食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒などの滅菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗微生物化合物;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸(EDTA)などのキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩、またはリン酸塩などの緩衝液、及び塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの浸透圧の調整のための化合物。塩酸や水酸化ナトリウムなどの酸または塩基でpHを調整することができる。製剤は、アンプル、使い捨てシリンジ、またはガラス製もしくはプラスチック製の複数回投与バイアルに入れることができる。
【0561】
注射可能な使用に適した医薬組成物として、滅菌水溶液(水溶性の場合)または分散液及び滅菌粉末が挙げられる。静脈内投与の場合、好適な担体として、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF,Parsippany,N.J.)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。組成物は、一般的に、容易に注射可能である程度まで、無菌かつ流動性である。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、及びそれらの好適な混合物を含有する、溶媒または分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散液の場合には必要とされる粒径を維持することによって、及び界面活性剤の使用によって、維持することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌化合物及び抗真菌化合物、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどによって達成され得る。所望される場合、等張化合物、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールなどのポリアルコール、及び塩化ナトリウムを、組成物に添加することができる。注射可能な組成物の長期吸収は、吸収を遅延させる化合物、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを組成物中に含めることによってもたらされ得る。
【0562】
滅菌注射溶液は、所望により、EV(例えばエキソソーム)を、有効量で、かつ本明細書中に列挙されるか、または当技術分野で公知の1つ以上の成分を含む適切な溶媒中に、組み込むことによって調製することができる。一般的に、分散液は、EV(例えばエキソソーム)を、塩基性の分散媒と任意の所望の他の成分とを含有する滅菌ビヒクル中に組み込むことによって調製される。滅菌注射溶液の調製のための滅菌粉末の場合、調製方法は、真空乾燥及び凍結乾燥であり、活性成分と任意の追加の所望の成分を事前に滅菌濾過した溶液から、粉末が得られる。EV(例えばエキソソーム)は、EV(例えばエキソソーム)の持続性または拍動性放出を可能にするような様式で製剤化され得るデポー注射またはインプラント製剤の形態で投与することができる。
【0563】
エキソソームを含む組成物の全身投与は、経粘膜手段によることもできる。経粘膜投与のために、浸透すべき障壁に適切な浸透剤を製剤に使用する。そのような浸透剤は、一般的に当技術分野で公知であり、例えば、経粘膜投与のための、界面活性剤、胆汁酸塩、及びフシジン酸誘導体を含む。経粘膜投与は、例えば、点鼻薬の使用を通じて達成され得る。
【0564】
特定の態様では、EV(例えばエキソソーム)を含む医薬組成物を、医薬組成物の恩恵を受けるであろう対象に静脈内投与する。特定の他の態様では、組成物を、リンパ系に、例えば、リンパ内注射によってまたは結節内注射によって(例えば、Senti et al.,PNAS 105(46):17908(2008)を参照されたい)、または筋肉内注射によって、皮下注射によって、腫瘍内注射によって、胸腺もしくは肝臓への直接注射による皮下投与によって投与する。
【0565】
特定の態様では、エキソソームを含む医薬組成物を、液体懸濁液として投与する。特定の態様では、医薬組成物を、投与に続いてデポーを形成できる製剤として投与する。特定の好ましい態様では、デポーは、EV(例えばエキソソーム)を循環中に徐放するか、またはデポー形態のままである。
【0566】
通常、薬学的に許容される組成物は、汚染物質を含まないように高度に精製され、生体適合性があり、毒性がなく、対象への投与に適している。水が担体の成分である場合、水は高度に精製され、エンドトキシンなどの汚染物質を含まないように処理される。
【0567】
薬学的に許容される担体は、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアガム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシ安息香酸塩、プロピルヒドロキシ安息香酸塩、タルク、ステアリン酸マグネシウム、及び/または鉱油であり得るが、これらに限定されない。医薬組成物は、潤滑剤、湿潤剤、甘味料、風味増強剤、乳化剤、懸濁剤、及び/または防腐剤をさらに含み得る。
【0568】
本明細書に記載の医薬組成物は、本明細書に記載のEV(例えばエキソソーム)、及び任意選択で、薬学的に活性な薬剤または治療薬を含む。治療薬は、生物学的薬剤、小分子薬剤、または核酸薬剤であり得る。いくつかの態様では、追加の治療薬は、追加のSTAT3アンタゴニストである。いくつかの態様では、STAT3アンタゴニストは、本明細書に開示する任意のSTAT3アンタゴニストである。いくつかの態様では、追加のSTAT3アンタゴニストは、抗STAT3抗体である。いくつかの態様では、追加のSTAT3アンタゴニストは、小分子である。特定の態様では、追加の治療薬は、抗がん療法である。そのような抗がん療法の非限定的な例として、外科的療法、化学療法、放射線療法、凍結療法、ホルモン療法、免疫療法、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0569】
いくつかの態様では、追加のSTAT3アンタゴニストは、ASOを含む。いくつかの態様では、追加のSTAT3アンタゴニストは、本明細書に記載の任意のASOを含む。
【0570】
本明細書に記載のEV(例えばエキソソーム)を含む医薬組成物を含む剤形を提供する。いくつかの態様では、剤形は、静脈内注射用の液体懸濁液として製剤化される。いくつかの態様では、剤形は、腫瘍内注射用の液体懸濁液として製剤化される。
【0571】
特定の態様では、エキソソームの製剤を、残留複製能のある(residual replication-competent)核酸を損傷するために、放射線、例えば、X線、γ線、β粒子、α粒子、中性子、陽子、元素核、紫外線に曝露させる。
【0572】
特定の態様では、エキソソームの製剤を、1、5、10、15、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、または100kGy超の照射線量を使用するγ照射に曝露させる。
【0573】
特定の態様では、エキソソームの製剤を、0.1、0.5、1、5、10、15、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000、または10000mSv超の照射線量を使用するX線照射に曝露させる。
【0574】
VI. キット
本明細書に記載の1つ以上のエキソソームを含むキットも本明細書に提供する。いくつかの態様では、本明細書において、本明細書に記載の医薬組成物の1つ以上の成分、例えば、本明細書中に提供する1つ以上のエキソソームで満たされた1つ以上の容器と、任意選択で使用説明書を含む医薬パックまたはキットを提供する。いくつかの態様では、キットは、本明細書に記載の医薬組成物、及び任意の予防薬または治療薬、例えば、本明細書に記載の予防薬または治療薬を含む。いくつかの態様では、キットは、本明細書に開示する任意の方法に従ってEVを投与するための説明書をさらに含む。いくつかの態様では、キットは、造血に関連する疾患または病態の治療に使用するためのキットである。
【0575】
VII. EVの製造方法
いくつかの態様では、本開示はまた、本明細書に記載のEVの製造方法に関する。いくつかの態様では、方法は:プロデューサー細胞からEV(例えばエキソソーム)を取得し(プロデューサー細胞は、EV(例えばエキソソーム)の1つ以上の成分(例えば、ASO)を含む);そして、任意選択で、得られたEV(例えばエキソソーム)を単離することを含む。いくつかの態様では、方法は:本明細書に開示するEVの1つ以上の成分(例えば、ASO)を導入することによってプロデューサー細胞を改変し;改変したプロデューサー細胞から、EV(例えばエキソソーム)を取得し;そして、任意選択で、取得したEV(例えばエキソソーム)を単離することを含む。さらなる態様では、方法は:プロデューサー細胞からEVを取得し;取得したEVを単離し;単離したEVを改変することを含む。特定の態様では、方法は、単離したEVを医薬組成物に製剤化することをさらに含む。
【0576】
VII.A. プロデューサー細胞を改変する方法
上記のように、いくつかの態様では、EVの産生方法は、1つ以上の部分(例えば、ASO)で産生細胞を改変することを含む。特定の態様では、1つ以上の部分は、ASOを含む。いくつかの態様では、1つ以上の部分は、本明細書に開示する足場部分(例えば、ScaffoldXまたはScaffoldY)をさらに含む。
【0577】
いくつかの態様では、プロデューサー細胞は、哺乳類細胞株、植物細胞株、昆虫細胞株、真菌細胞株、または原核細胞株であり得る。特定の態様では、プロデューサー細胞は、哺乳類細胞株である。哺乳類細胞株の非限定的な例として:ヒト胎児腎(HEK)細胞株、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、HT-1080細胞株、HeLa細胞株、PERC-6細胞株、CEVEC細胞株、線維芽細胞株、羊膜細胞株、上皮細胞株、間葉系幹細胞(MSC)細胞株、及びそれらの組み合わせが挙げられる。特定の態様では、哺乳類細胞株は、HEK-293細胞、BJヒト包皮繊維芽細胞、fHDF線維芽細胞、AGE.HN(登録商標)神経前駆細胞、CAP(登録商標)羊膜細胞、脂肪性間葉系幹細胞、RPTEC/TERT1細胞、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、プロデューサー細胞は初代細胞である。特定の態様では、初代細胞は、初代哺乳類細胞、初代植物細胞、初代昆虫細胞、初代真菌細胞、または初代原核細胞であり得る。
【0578】
いくつかの態様では、プロデューサー細胞は、抗原提示細胞、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、マクロファージ、Tヘルパー細胞、または制御性T細胞(Treg細胞)などの免疫細胞ではない。他の態様では、プロデューサー細胞は、抗原提示細胞(例えば、樹状細胞、マクロファージ、B細胞、マスト細胞、好中球、クッパー-ブロウィッツ細胞、またはそのような細胞のいずれかに由来する細胞)ではない。
【0579】
いくつかの態様では、1つ以上の部分は、導入遺伝子またはmRNAであり得、トランスフェクション、ウイルス形質導入、エレクトロポレーション、押し出し、超音波処理、細胞融合、または当技術分野で公知の他の方法によってプロデューサー細胞に導入することができる。
【0580】
いくつかの態様では、1つ以上の部分を、トランスフェクションによってプロデューサー細胞に導入する。いくつかの態様では、1つ以上の部分を、カチオン性脂質及びポリマーなどの合成高分子を使用して好適なプロデューサー細胞中に導入することができる(Papapetrou et al.,Gene Therapy 12:S118-S130(2005))。いくつかの態様では、カチオン性脂質は、電荷相互作用を通じて1つ以上の部分と複合体を形成する。これらの態様のいくつかでは、正に荷電した複合体は、負に荷電した細胞表面に結合し、エンドサイトーシスによって細胞に取り込まれる。いくつかの他の態様では、カチオン性ポリマーを用いて、プロデューサー細胞をトランスフェクトすることができる。これらの態様のいくつかでは、カチオン性ポリマーは、ポリエチレンイミン(PEI)である。特定の態様では、リン酸カルシウム、シクロデキストリン、またはポリブレンなどの化学物質を使用して、1つ以上の部分をプロデューサー細胞に導入することができる。1つ以上の部分はまた、粒子媒介性トランスフェクション、「遺伝子銃」、微粒子銃(biolistic)、または粒子衝撃技術などの物理的方法を使用してプロデューサー細胞中に導入することができる(Papapetrou et al.,Gene Therapy 12:S118-S130(2005))。例えば、βガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、ルシフェラーゼ、または緑色蛍光タンパク質などのレポーター遺伝子を使用して、プロデューサー細胞のトランスフェクション効率を評価することができる。
【0581】
特定の態様では、1つ以上の部分を、ウイルス形質導入によってプロデューサー細胞に導入する。モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、レンチウイルス、及びスプマウイルスを含む多くのウイルスを、遺伝子導入ビヒクルとして使用することができる。ウイルス媒介性遺伝子導入ビヒクルは、レトロウイルス系ベクターと同様に、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス及びヘルペスウイルスなどのDNAウイルスに基づくベクターを含む。
【0582】
特定の態様では、1つ以上の部分を、エレクトロポレーションによってプロデューサー細胞に導入する。エレクトロポレーションは、細胞膜に一時的な孔を作成し、細胞内に様々な分子を導入することを可能にする。いくつかの態様では、DNA及びRNAならびにポリペプチド及び非ポリペプチド治療薬を、エレクトロポレーションによってプロデューサー細胞内に導入することができる。
【0583】
特定の態様では、1つ以上の部分を、マイクロインジェクションによってプロデューサー細胞に導入する。いくつかの態様では、ガラス製マイクロピペットを使用して、顕微鏡レベルで、1つ以上の部分をプロデューサー細胞内に注射することができる。
【0584】
特定の態様では、1つ以上の部分を、押し出しによってプロデューサー細胞に導入する。
【0585】
特定の態様では、1つ以上の部分を、超音波処理によってプロデューサー細胞に導入する。いくつかの態様では、プロデューサー細胞を、高強度音波に曝露し、細胞膜の一時的な破壊を引き起こして、1つ以上の部分を充填することができる。
【0586】
特定の態様では、1つ以上の部分を、細胞融合によってプロデューサー細胞に導入する。いくつかの態様では、1つ以上の部分を、電気的細胞融合によって導入する。他の態様では、ポリエチレングリコール(PEG)を使用して、プロデューサー細胞を融合させる。さらなる態様では、センダイウイルスを使用して、プロデューサー細胞を融合させる。
【0587】
いくつかの態様では、1つ以上の部分を、低張溶解によってプロデューサー細胞に導入する。そのような態様では、プロデューサー細胞を、低イオン強度緩衝液に曝露し、それらを破裂させて1つ以上の部分を充填することができる。他の態様では、低張溶液に対する制御された透析を使用して、プロデューサー細胞を膨潤させ、プロデューサー細胞膜に孔を作成することができる。プロデューサー細胞を、その後、膜のリシーリング(resealing)を可能にする条件に曝露する。
【0588】
いくつかの態様では、1つ以上の部分を、界面活性剤処理によってプロデューサー細胞に導入する。特定の態様では、1つ以上の部分の充填を可能にする孔を作成することによってプロデューサー細胞膜を一時的に損わせる穏やかな界面活性剤で、プロデューサー細胞を処理する。プロデューサー細胞に充填した後、界面活性剤を洗い流し、それによって膜をリシールする。
【0589】
いくつかの態様では、1つ以上の部分を、受容体媒介性エンドサイトーシスによってプロデューサー細胞に導入する。特定の態様では、プロデューサー細胞は、1つ以上の部分の結合時に受容体及び関連する部分の内部移行を誘導する表面受容体を有する。
【0590】
いくつかの態様では、1つ以上の部分を、濾過によってプロデューサー細胞に導入する。特定の態様では、プロデューサー細胞及び1つ以上の部分に、プロデューサー細胞より小さい孔径のフィルターを強制的に通過させ、プロデューサー細胞膜の一時的な破壊を引き起こし、1つ以上の部分がプロデューサー細胞に入ることを可能にする。
【0591】
いくつかの態様では、プロデューサー細胞を、いくつかの凍結融解サイクルに供し、細胞膜破壊を生じさせ、1つ以上の部分の充填を可能にする。
【0592】
VII.B. EV(例えばエキソソーム)の改変方法
いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)の生成方法は、1つ以上の部分をEVに直接導入することによって、単離されたEVを改変することを含む。特定の態様では、1つ以上の部分は、ASOを含む。いくつかの態様では、1つ以上の部分は、本明細書に開示する足場部分(例えば、ScaffoldXまたはScaffoldY)を含む。
【0593】
特定の態様では、1つ以上の部分を、トランスフェクションによってプロデューサー細胞に導入する。いくつかの態様では、1つ以上の部分を、カチオン性脂質及びポリマーなどの合成高分子を使用してEV中に導入することができる(Papapetrou et al.,Gene Therapy 12:S118-S130(2005))。特定の態様では、リン酸カルシウム、シクロデキストリン、またはポリブレンなどの化学物質を使用して、1つ以上の部分をEVに導入することができる。
【0594】
特定の態様では、1つ以上の部分を、エレクトロポレーションによってEVに導入する。いくつかの態様では、EV膜に一時的な孔を生じさせ、1つ以上の部分の充填を可能にする電界に、EVを曝露する。
【0595】
特定の態様では、1つ以上の部分を、マイクロインジェクションによってEVに導入する。いくつかの態様では、ガラス製マイクロピペットを使用して、顕微鏡レベルで、1つ以上の部分を直接、EV内に注射することができる。
【0596】
特定の態様では、1つ以上の部分を、押し出しによってEVに導入する。
【0597】
特定の態様では、1つ以上の部分を、超音波処理によってEVに導入する。いくつかの態様では、EVを、高強度音波に曝露し、EV膜の一時的な破壊を引き起こして、1つ以上の部分を充填することができる。
【0598】
いくつかの態様では、1つ以上の部分を、EVの表面と複合体化することができる。複合体化は、当技術分野で公知の方法により、化学的または酵素的に達成することができる。
【0599】
いくつかの態様では、EVは、化学的に複合体化された1つ以上の部分を含む。化学的複合体化は、リンカーを使用するか使用しないかに関わらず、1つ以上の部分を別の分子に共有結合させることによって達成することができる。そのような複合体の形成は、当技術分野の範囲内であり、複合体化を達成するための様々な技法が知られており、特定の技法の選択は複合体化させる物質によって導かれる。特定の態様では、ポリペプチドをEVと複合体化させる。いくつかの態様では、脂質、炭水化物、核酸、及び小分子のような非ポリペプチドを、EVと複合体化させる。
【0600】
いくつかの態様では、1つ以上の部分を、低張溶解によってEVに導入する。そのような態様では、EVを、低イオン強度緩衝液に曝露し、それらを破裂させて1つ以上の部分を充填することができる。他の態様では、低張溶液に対する制御された透析を使用して、EVを膨潤させ、EV膜に孔を作成することができる。EVを、その後、膜のリシーリング(resealing)を可能にする条件に曝露する。
【0601】
いくつかの態様では、1つ以上の部分を、界面活性剤処理によってEVに導入する。特定の態様では、1つ以上の部分の充填を可能にする孔を作成することによってEV膜を一時的に損わせる穏やかな界面活性剤で、細胞外小胞を処理する。EVに充填した後、界面活性剤を洗い流し、それによって膜をリシールする。
【0602】
いくつかの態様では、1つ以上の部分を、受容体媒介性エンドサイトーシスによってEVに導入する。特定の態様では、EVは、1つ以上の部分の結合時に受容体及び関連する部分の内部移行を誘導する表面受容体を有する。
【0603】
いくつかの態様では、1つ以上の部分を、機械焚きによってEVに導入する。特定の態様では、細胞外小胞は、金マイクロキャリアなどの重い粒子または荷電粒子に結合させた1つ以上の部分を用いて衝撃され得る。これらの態様のいくつかでは、粒子は、粒子がEV膜を横断するように機械的または電気的に加速され得る。
【0604】
いくつかの態様では、細胞外小胞を、いくつかの凍結融解サイクルに供し、EV膜破壊を生じさせ、1つ以上の部分の充填を可能にする。
【0605】
VII.C. EV(例えばエキソソーム)の単離方法
いくつかの態様では、本明細書に開示するEVの生成方法は、プロデューサー細胞からEVを単離することを含む。特定の態様では、EVは、プロデューサー細胞から細胞培地中に放出される。EVの単離のすべての既知の様式は、本明細書での使用に適すると思われることが企図される。例えば、電荷(例えば、電気泳動分離)、サイズ(例えば、濾過、分子ふるいなど)、密度(例えば、通常の遠心分離または勾配遠心分離)、Svedberg定数(例えば、外力を伴うまたは伴わない沈降など)に基づく分離を含め、EVの物理的特性を用いて、EVを培地または他の供給源材料から分離することができる。代替的にまたは追加的に、単離は、1つ以上の生物学的特性に基づくことができ、表面マーカーを使用し得る方法(例えば、沈殿、固相への可逆的結合、FACS分離、特異的リガンド結合、非特異的リガンド結合、アフィニティ精製など)を含む。
【0606】
単離及び濃縮は、一般的に連続遠心分離を含む、一般的かつ非選択的様式で行うことができる。あるいは、単離及び濃縮は、EVまたはプロデューサー細胞特異的表面マーカーを使用するような、より特異的かつ選択的な様式で行うことができる。例えば、特異的表面マーカーは、免疫沈降、FACSソーティング、アフィニティ精製、及びビーズ結合リガンドを用いた磁気分離において使用され得る。
【0607】
いくつかの態様では、サイズ排除クロマトグラフィーを利用して、EVを単離することができる。サイズ排除クロマトグラフィー技法は、当技術分野で公知である。例示的で非限定的な技法を、本明細書に提供する。いくつかの態様では、ボイド容積画分は単離され、目的のEVを含む。さらに、いくつかの態様では、当技術分野で一般に公知のように、(1つ以上のクロマトグラフィー画分の)遠心分離技法によるクロマトグラフィー分離後にEVをさらに単離することができる。いくつかの態様では、例えば、密度勾配遠心分離を利用して、細胞外小胞をさらに単離することができる。特定の態様では、プロデューサー細胞由来のEVを他の起源のEVからさらに分離することが望ましい場合がある。例えば、プロデューサー細胞に特異的な抗原抗体を使用する免疫吸着剤捕捉により、プロデューサー細胞由来のEVを非プロデューサー細胞由来のEVから分離することができる。
【0608】
いくつかの態様では、EVの単離は、示差遠心分離、サイズに基づく膜濾過、免疫沈降、FACSソーティング、及び磁気分離を含むがこれらに限定されない方法の組み合わせを含み得る。
【0609】
VII.D. 使用方法
本開示はまた、本明細書中に開示するEV(例えばエキソソーム)(例えば、本開示のASOを含む)を、対象に投与することを含む、疾患または障害を予防及び/または治療することを必要とする対象における疾患または障害を予防及び/または治療する方法を提供する。本開示はさらに、細胞(例えば、腫瘍細胞)におけるSTAT3タンパク質発現を低減及び/または阻害する方法(in vitroまたはin vivoでの)を提供する。特定の態様では、STAT3タンパク質発現を低減及び/または阻害するin vitroでの方法は、本明細書中に開示するEV、ASO、複合体、または医薬組成物を、STAT3タンパク質を発現する細胞に接触させることを含む。特定の態様では、STAT3タンパク質発現を低減及び/または阻害するin vivoでの方法は、本開示のEV、ASO、複合体、または医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0610】
いくつかの態様では、細胞との接触、または対象への投与は、STAT3 mRNA及び/またはSTAT3タンパク質の発現を低減及び/または阻害する。特定の態様では、STAT3 mRNAは、投与後に、ASOに曝露されていない細胞におけるSTAT3 mRNA発現と比較して、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約100%減少する。いくつかの態様では、STAT3タンパク質は、投与後に、ASOに曝露されていない細胞におけるSTAT3タンパク質の発現と比較して、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%減少する。本明細書に記載されるように、STAT3 mRNA及び/またはSTAT3タンパク質は、野生型またはそのバリアントであり得る。
【0611】
本開示に有用なASOは、STAT3転写産物の1つ以上の領域(例えば、プレmRNAまたはmRNA)に特異的にハイブリダイズし、細胞内のSTAT3タンパク質発現を低下及び/または阻害することができる。したがって、そのようなASO(例えば、本明細書に開示するEV)を含むEV(例えばエキソソーム)は、STAT3タンパク質の発現の増加に関連する任意の疾患または障害の予防及び/または治療に有用であり得る。
【0612】
いくつかの態様では、本発明の方法で治療することができる疾患または障害には、がんが含まれる。特定の態様では、がんは、STAT3タンパク質の発現の増加に関連している。本開示で治療することができるがんの非限定的な例として、結腸直腸癌、肺癌(例えば、非小細胞肺癌(NSCLC))、膵臓癌、白血病、子宮癌、卵巣癌、膀胱癌、胆管癌、胃癌、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。他の例として、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮細胞肉腫、滑膜腫、中皮癌、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、頭頸部扁平上皮癌、結腸直腸癌、リンパ腫、白血病、肝癌、神経膠芽細胞腫、メラノーマ、骨髄腫基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄質癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝細胞腫、胆管癌、絨毛癌、セミノーマ、胚性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣癌、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、神経膠芽細胞腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、メラノーマ、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、急性骨髄性白血病、肝細胞癌、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0613】
がんを有する対象に投与する場合、特定の態様では、本開示のEV(例えばエキソソーム)は、免疫応答を上方制御し、対象の免疫系の腫瘍標的化を増強することができる。いくつかの態様では、治療しようとするがんは、白血球(T細胞、B細胞、マクロファージ、樹状細胞、単球)の腫瘍微小環境への浸潤、すなわち、いわゆる「hot tumor」または「炎症性腫瘍」により特徴付けられる。いくつかの態様では、治療しようとするがんは、腫瘍微小環境への低レベルもしくは検出不可能なレベルの白血球浸潤、すなわち、いわゆる「cold tumor」または「非炎症性腫瘍」により特徴付けられる。いくつかの態様では、組成物を、「cold tumor」を「hot tumor」に変換するのに十分な量及び時間投与し、すなわち、前記投与により、腫瘍微小環境への白血球(T細胞など)の浸潤が生じる。特定の態様では、がんは、膀胱癌、子宮頸癌、腎細胞癌、精巣癌、結腸直腸癌、肺癌、頭頸部癌、及び卵巣癌、リンパ腫、肝臓癌、神経膠芽細胞腫、メラノーマ、骨髄腫、白血病、膵臓癌、またはそれらの組み合わせを含む。他の用語「遠位腫瘍」または「遠隔腫瘍」とは、元の(すなわち原発性)腫瘍から遠隔にある臓器または遠隔にある組織、例えばリンパ節に広がった腫瘍を指す。いくつかの態様では、本開示のEVは、転移性の広がりの後に腫瘍を治療する。
【0614】
いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)を、対象の循環系に静脈内投与する。いくつかの態様では、EVを、好適な液体に注入し、対象の静脈中に投与する。
【0615】
いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)を、対象の循環系に動脈内投与する。いくつかの態様では、EVを、好適な液体に注入し、対象の動脈中に投与する。
【0616】
いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)を、髄腔内投与によって対象に投与する。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)を、髄腔内投与によって投与し、その後、機械的対流力を胴体に加える。例えば、Verma et al.,Alzheimer’s Dement.12:e12030(2020)を参照のこと(その全体が参照により本明細書に援用される)。したがって、本開示の特定の態様は、EV(例えばエキソソーム)を髄腔内注射によって対象に投与し、続いて、対象の胴体に機械的対流力を適用することを含む、EV(例えばエキソソーム)を、それを必要とする対象に投与する方法に関する。いくつかの態様では、機械的対流力は、高頻度胸壁または胸腰部振動呼吸クリアランス装置(例えば、Smart VestまたはSmart Wrap,ELECTROMED INC,New Prague,MN,USA)を使用して達成される。いくつかの態様では、機械的対流力、例えば、振動ベストは、髄腔内に投与したEV(例えばエキソソーム)が神経のさらに下へ広がることを促進し、したがって、EV(例えばエキソソーム)をより良好に神経へ送達することができる。
【0617】
いくつかの態様では、エキソソームの区画内及び区画間生体内分布を、エキソソームの区画送達後に対象に作用する外来性の体外力によって操作することができる。これには、例えば、体の区画または全身の打診、振動、振盪、またはマッサージを適用することによる機械的対流の適用が含まれる。例えば、髄腔内投与に続いて、振動する機械的ジャケットを含むいくつかの手段による胸壁振動の適用は、神経軸に沿って、または脳神経及び脊髄神経に沿ってエキソソームの生体内分布を広げることができ、これは、薬物運搬エキソソームによる神経障害の治療に役立ち得る。
【0618】
いくつかの態様では、振動ジャケットまたは他の同様の手段を介した外部の機械的対流力の適用を使用して、髄腔内空間の脳脊髄液から末梢循環へとエキソソーム及び他の物質を除去することができる。この態様は、除去するために、内在性の有毒なエキソソーム、ならびに他の有害な高分子、例えば、βアミロイド、タウ、α-シヌクレイン、TDP43、ニューロフィラメント、及び過剰な脳脊髄液を、髄腔内から末梢に除去するのに役立つ。
【0619】
いくつかの態様では、脳室内経路を介して送達されるエキソソームを、同時に腰椎穿刺を組み込み、脳室-腰椎灌流を可能にすることによって、神経軸全体に移行させることができ、その場合、腰椎穿刺でCSFの既存の脊髄軸柱を抜き去ることを可能にする一方で、エキソソーム投与後に追加の流体を脳室に注入する。脳室-腰部灌流は、軟髄膜癌及び他の疾患を治療するために、ICV投与したエキソソームが神経軸全体に沿って広がり、くも膜下腔を完全にカバーすることを可能にすることができる。
【0620】
いくつかの態様では、外部の体外集束超音波、熱エネルギー(熱)または低温の適用を用いて、これらの現象に高感受性であるように設計されたエキソソームの区画の薬物動態及び薬物放出特性を操作してもよい。
【0621】
いくつかの態様では、常磁性材料を含むように設計されたエキソソームの区画内挙動及び生体内分布を、磁石または磁場の外部印加によって操作することができる。
【0622】
いくつかの態様では、EVが脳脊髄液(CSF)に到達するように、脊柱管またはくも膜下腔への注射を介してEVを投与する。
【0623】
いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)を、対象の1つ以上の腫瘍内に腫瘍内投与する。
【0624】
いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)を、鼻腔内投与によって対象に投与する。いくつかの態様では、EVを、局所投与または全身投与のいずれかの形態で、鼻を通して吹き込むことができる。特定の態様では、EVを鼻スプレーとして投与する。
【0625】
いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)を、腹腔内投与によって対象に投与する。いくつかの態様では、EVを、好適な液体に注入し、対象の腹膜中に投与する。いくつかの態様では、腹腔内投与は、リンパ管へのEVの分布をもたらす。いくつかの態様では、腹腔内投与は、胸腺、脾臓、及び/または骨髄へのEVの分布をもたらす。いくつかの態様では、腹腔内投与は、1つ以上のリンパ節へのEVの分布をもたらす。いくつかの態様では、腹腔内投与は、頸部リンパ節、鼠径部リンパ節、縦隔リンパ節、または胸骨リンパ節のうちの1つ以上へのEVの分布を生じる。いくつかの態様では、腹腔内投与は、膵臓へのEVの分布をもたらす。
【0626】
いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)を、眼球周囲投与によって対象に投与する。いくつかの態様では、sを、眼球周囲組織に注射する。眼球周囲薬物投与は、結膜下、前テノン嚢下、後テノン嚢下、及び眼球後投与の経路を含む。
【0627】
VIII.A. 脳腫瘍の治療方法
本開示の特定の態様は、脳腫瘍の治療を必要とする対象における脳腫瘍の治療方法に関する。いくつかの態様では、方法は、本明細書に開示するように、治療有効量のEV(例えばASO)を含むエキソソームを対象に投与することを含む。いくつかの態様では、本明細書に開示するように、EV(例えばエキソソーム)により、治療薬(例えば、ASO)をCNSに標的化送達して脳腫瘍を治療することができる。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)により、対象における免疫応答を上方制御し、それにより、神経免疫学的障害に対する対象の免疫応答を増強することができる。いくつかの態様では、組成物を、対象に、腫瘍内投与または髄腔内投与する。
【0628】
また、本明細書において、対象における脳腫瘍の転移の予防方法を提供する。方法は、本明細書に開示する治療有効量の組成物を対象に投与することを含み、組成物は、対象の1つの場所にある脳腫瘍が、対象の別の場所にある1つ以上の腫瘍の成長を促進するのを予防することができる。いくつかの態様では、組成物を、1つの場所の第1の腫瘍に腫瘍内投与または髄腔内投与し、第1の腫瘍に投与した組成物が、第2の場所での1つ以上の腫瘍の転移を予防する。
【0629】
いくつかの態様では、本明細書に開示するEV(例えばエキソソーム)を投与することにより、対象の腫瘍の成長が抑制及び/または低減される。いくつかの態様では、脳腫瘍の成長(例えば、腫瘍の体積または重量)は、参照(例えば、ASOを含まないEV(例えばエキソソーム)投与後の対応する対象における腫瘍体積)と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約100%低下する。
【0630】
本明細書中で使用する場合、用語「脳腫瘍」とは、脳内(例えば、髄膜内)の細胞の異常な成長を指す。脳腫瘍は、原発性または続発性脳腫瘍に分類され得る。「原発性脳腫瘍」とは、脳内で発生する脳腫瘍を指す。「続発性脳腫瘍」とは、脳外の原発部位で発生したがん細胞が脳に転移した(すなわち、広がった)結果である脳腫瘍を指す。特に明記されていない限り、脳腫瘍という用語は、原発性脳腫瘍と続発性脳腫瘍の両方を指し得る。
【0631】
いくつかの態様では、本開示で治療することができる脳腫瘍は、聴神経腫瘍、脈絡叢腫瘍、頭蓋咽頭腫、胚芽腫、神経膠腫、髄芽腫、髄膜腫、小児脳腫瘍、松果体芽細胞腫、下垂体腫瘍、またはそれらの組み合わせを含む。
【0632】
特定の態様では、本開示で治療することができる脳腫瘍は、神経膠腫を含む。本明細書中で使用する場合、用語「神経膠腫」とは、脳または脊椎のグリア細胞で始まる腫瘍のタイプを指す。いくつかの態様では、神経膠腫は、それらが組織学的特徴を共有する特定のタイプの細胞によって分類され得る。したがって、本明細書に開示するEV(例えばエキソソーム)で治療することができる神経膠腫は、上衣腫(上衣細胞)、星状細胞腫(星状細胞)、乏突起神経膠腫(オリゴデンドロサイト)、脳幹神経膠腫(例えば、びまん性内在性橋神経膠腫)、視神経膠腫、混合神経膠腫、乏突起星細胞腫、またはそれらの任意の組み合わせとして分類され得る。特定の態様では、星状細胞腫は、多形性膠芽腫(GBM)を含む。
【0633】
本明細書に開示する神経膠腫は、腫瘍の病理学的評価によって決定されるそれらの悪性度に従ってさらに分類され得る。いくつかの態様では、脳腫瘍標本の神経病理学的評価及び診断を、中枢神経系の腫瘍のWHO分類に従って行う。いくつかの態様では、本開示で治療することができる神経膠腫は、低悪性度神経膠腫を含む。「低悪性度神経膠腫」[WHOグレードII]は、高分化型(未分化ではない)であり、良性の傾向を示し、患者の予後を改善する傾向がある。しかしながら、いくつかの態様では、低悪性度神経膠腫は、均一な再発率を有し、時間の経過とともに悪性度が上昇し得るため、悪性として分類すべきである。いくつかの態様では、治療することができる神経膠腫は、高悪性度神経膠腫を含む。「高悪性度神経膠腫」[WHOグレードIII~IV]神経膠腫は、未分化または退形成性であり、悪性であり、予後が不良である。使用されている多数の評価システムの中で、星状細胞腫の世界保健機関(WHO)の評価システムが最も一般的であり、腫瘍は、I(最も進行の遅い疾患-最良の予後)~IV(最も進行した疾患-最も悪い予後)に評価される。高悪性度神経膠腫の非限定的な例には、未分化星状細胞腫及び多形性膠芽腫が含まれる。
【0634】
いくつかの態様では、本明細書に開示するEV(例えばエキソソーム)を使用して、WHO評価システムの下で決定される、神経膠腫グレードI、グレードII、グレードIII、グレードIV、またはそれらの組み合わせを治療することができる。特定の態様では、本明細書に開示するEV(例えばエキソソーム)を使用して、任意のタイプの神経膠腫を治療することができる。
【0635】
いくつかの態様では、本方法によって治療可能な神経膠腫は、脳幹神経膠腫の一種であるびまん性内在性橋神経膠腫(DIPG)である。びまん性内在性橋神経膠腫は、主に5歳~7歳の子供に発症する。DIPGの生存期間中央値は12か月未満である。腫瘍の除去を試みる手術は、通常、DIPGでは不可能であるか、または推奨されない。その性質上、これらの腫瘍は脳幹全体に拡散して侵入し、正常な神経細胞間で成長する。
【0636】
他の態様では、本方法によって治療可能な神経膠腫は、IDH1及びIDH2変異型神経膠腫である。IDH1またはIDH2のいずれかに変異を有する神経膠腫の患者は、野生型IDH1/2遺伝子を有する神経膠腫の患者と比較して、比較的良好な生存率を有する。WHOグレードIIIの神経膠腫では、IDH1/2変異型神経膠腫は、約3.5年の予後中央値を有し、一方、IDH1/2野生型神経膠腫は、1.5年の全生存期間中央値しか有さない。神経膠芽細胞腫では、差異がより大きくなる。
【0637】
いくつかの態様では、本開示で治療することができる神経免疫学的障害は、腫瘍性髄膜炎を含む。本明細書中で使用する場合、「腫瘍性髄膜炎」とは、元の腫瘍部位から、脳及び脊髄を覆う薄い組織膜である硬膜及び軟膜に広がった腫瘍を指す。いくつかの態様では、髄膜から神経に、そして神経内に延びる結合組織神経鞘もまた関与するようになり得る。腫瘍性髄膜炎は、がん性髄膜炎、軟膜癌腫、軟膜癌腫症、軟膜転移、軟膜疾患(LMD)、軟膜癌、髄膜癌腫症、及び髄膜転移としても知られる。特定の態様では、腫瘍性髄膜炎は、白血病によって引き起こされる。いくつかの態様では、腫瘍性髄膜炎は、メラノーマ、乳癌、肺癌、胃腸癌、またはそれらの組み合わせによって引き起こされる。特定の態様では、腫瘍性髄膜炎は、神経膠腫によって引き起こされる。
【0638】
本開示を実施する際には、別段に示されていない限り、細胞生物学、分子生物学、遺伝子導入生物学、微生物学、組換えDNA、及び免疫学の、当技術分野の範囲内にある従来の技法を用いることになる。そのような技法は、文献で十分に説明されている。例えば、Sambrook et al.,ed.(1989)Molecular Cloning A Laboratory Manual(2nd ed.;Cold Spring Harbor Laboratory Press);Sambrook et al.,ed.(1992)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,(Cold Springs Harbor Laboratory,NY);D.N.Glover ed.,(1985)DNA Cloning,Volumes I and II;Gait,ed.(1984)Oligonucleotide Synthesis;Mullis et al. 米国特許第4,683,195号;Hames and Higgins, eds.(1984)Nucleic Acid Hybridization;Hames and Higgins,eds.(1984)Transcription And Translation;Freshney(1987)Culture Of Animal Cells(Alan R. Liss,Inc.);Immobilized Cells And Enzymes(IRL Press)(1986);Perbal(1984)A Practical Guide To Molecular Cloning;the treatise,Methods In Enzymology(Academic Press,Inc.,N.Y.);Miller and Calos eds.(1987)Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells,(Cold Spring Harbor Laboratory);Wu et al.,eds.,Methods In Enzymology,Vols.154 and 155;Mayer and Walker,eds.(1987)Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology(Academic Press,London);Weir and Blackwell,eds.,(1986)Handbook Of Experimental Immunology,Volumes I-IV;Manipulating the Mouse Embryo,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,(1986););Crooke,Antisense drug Technology:Principles,Strategies and Applications,2nd Ed.CRC Press(2007)及びAusubel et al.(1989)Current Protocols in Molecular Biology(John Wiley and Sons,Baltimore,Md.)を参照されたい。
【0639】
上記で引用したすべての参考文献、及び本明細書中で引用するすべての参考文献は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0640】
下記の実施例は、例示として示されており、限定するために示されているものではない。
【実施例
【0641】
実施例1:STAT3 mRNA発現の分析
本明細書に開示する例示的なASOは、STAT3タンパク質をコードするSTAT3転写産物を特異的に標的とするように設計された。図1を参照されたい。本開示のASOを、IL-6で刺激されたPANC-1細胞においてSTAT3 mRNA発現を低下させるそれらの能力について試験した。PANC-1細胞を細胞培養培地中で増殖させ、20,000細胞/ウェルの密度で96ウェルプレートに播種した。ASOを、2つの別々のコホートで試験した:2回の投与または5回の投与を、それぞれ最終濃度20nM及び2nMでPANC-1細胞(表4を参照のこと)に行った。このアッセイでは、Lipofectamine2000トランスフェクションと48時間の処理サイクルを使用し、37℃及び5%COでインキュベートした。次いで、分岐DNAアッセイを使用してmRNA発現の分析を行った。
【0642】
概して、試験した各ASOは、GADPH mRNA発現への影響を最小限としながら、PANC-1細胞におけるSTAT3 mRNA発現を低下させることができた(表4、図2A~2N、及び図3を参照のこと)。
【表9】
【0643】
実施例2:エキソソームの構築
本明細書に記載のエキソソームを生成するために、ヒト胎児腎臓(HEK)細胞株(例えば、HEK293SF)を使用する。ScaffoldX、ScaffoldY、及び/または目的の薬剤に結合した固定部分で安定的に細胞をトランスフェクトする。
【0644】
トランスフェクション時に、HEK細胞を、化学的に定義された培地で7日間、高密度に増殖させる。次いで、調整された細胞培養液を回収し、300~800×gで5分間、室温で遠心分離して、細胞と大きな破片を除去する。培地上清に1000U/LのBENZONASE(登録商標)を添加し、水浴中で37℃、1時間インキュベートする。上清を回収し、16,000×gで4℃、30分間遠心分離して、残存する細胞破片及び他の大きな汚染物質を除去する。次いで、上清を133,900×gで4℃、3時間超遠心分離し、エキソソームをペレット化する。上清を廃棄し、残留培地をチューブの底から吸引する。ペレットを200~1000μLのPBS(-Ca -Mg)に再懸濁する。
【0645】
エキソソーム集団をさらに濃縮するために、ペレットを密度勾配精製(スクロースまたはOPTIPREP(商標))で処理する。
【0646】
SW41Tiローターに配置された12mL Ultra-Clear(344059)チューブ内で、勾配を200,000×gで4℃、16時間スピンして、エキソソーム画分を分離する。
【0647】
次いで、エキソソーム層を最上層から緩やかに取り除き、38.5mL Ultra-Clear(344058)チューブ内の約32.5mL PBS中で希釈し、133,900×gで4℃、3時間、再度超遠心分離して、精製されたエキソソームをペレット化する。得られたペレットを、最小量のPBS(約200μL)に再懸濁し、4℃で保存する。
【0648】
OPTIPREP(商標)グラジエントの場合、SW41Tiローター用の12mL Ultra-Clear(344059)チューブ内の等量の10%、30%、45% OPTIPREP(商標)を用いて、3層無菌勾配を調製する。ペレットをOPTIPREP(商標)グラジエントに加えて、200,000×gで4℃、16時間超遠心分離して、エキソソーム画分を分離する。次いで、エキソソーム層を、チューブの上層約3mLから穏やかに回収する。
【0649】
エキソソーム画分を、38.5mLのUltra-Clear(344058)チューブ中の約32mLのPBSに希釈し、133,900×gで4℃、3時間超遠心分離して、精製されたエキソソームをペレット化する。次いで、ペレット化したエキソソームを、最小量のPBS(約200μL)に再懸濁し、使用する準備ができるまで4℃で保存する。
【0650】
実施例3:Exo-STAT3-ASOを使用した腫瘍モデルの治療
腫瘍細胞をBALB/cマウスの脇腹に皮下移植した。移植の6日後、マウスをExo-STAT3-ASO(すなわち、遊離STAT3-ASO(すなわち、EVに関連付けられていない)またはPBSで腫瘍内処置した。マウスに対し、6日間連続して処置の単回投与を行った(すなわち、腫瘍接種後6~12日目から処置した)。次いで、様々な時点で動物内の腫瘍体積を評価した。
【0651】
図4A~4Cに示すように、Exo-STAT3-ASO-MOE及び遊離STAT3 ASO MOEで処置したマウスは、PBS対照で処置したマウスと比較して、移植後13日にわたって腫瘍増殖が減少した。これらの結果は、本明細書に開示するEV(例えばエキソソーム)が、STAT3特異的ASOを腫瘍細胞に効果的に送達し、それによって腫瘍増殖を減少させることができることを示唆している。
【0652】
実施例4:Exo-STAT3-ASO処置マウスにおけるSTAT3遺伝子発現の分析
本明細書に記載の(すなわち、STAT3特異的ASOを含む)EV(例えばエキソソーム)のノックダウン効率をさらに特徴づけるために、細胞を以下のうちの1つで処置した:(1)PBS;(2)野生型EV(「HEK Exo」);(3)スクランブル対照ASO(「スクランブルExo ASO」)を含むEV;(4)C188-9(100mg/kg);(5)STAT3特異的ASO(「Stat3 Exo ASO」)を含むEV;(6)4μgの用量のSTAT3特異的ASOのみ(すなわち、EVに連結されていない)(「Stat 3遊離ASO」);及び(7)8μgの用量のSTAT3特異的ASOのみ(「Stat 3遊離ASO2×」)。
【0653】
図5に示すように、STAT3-Exo-ASO処置細胞では、PBS処置対照と比較してSTAT3 mRNA発現におよそ40%のノックダウンがあった。対照的に、より高い用量(すなわち、8μg)でも、STAT3特異的ASOのみで処置した細胞におけるSTAT3 mRNA発現は、PBS対照と比較して最大で約25%減少していた。これらの結果は、本明細書に開示するEVが、標的細胞におけるSTAT3 mRNA発現を低減及び/または阻害するSTAT3特異的ASOの能力を向上させ得ることを示唆している。
【0654】
次に、本明細書に開示するEV(すなわち、STAT3特異的ASOを含む)の抗腫瘍効果をさらに理解するために、実施例3の動物を殺処分し、以下の細胞集団の浸潤を腫瘍中で評価した:i)全CD45+細胞;(ii)CD45+マクロファージ(CD11bF40/80/CD45)、及び(iii)骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)(Ly6GCD11b/IA/IE)。図6A~6Cに示すように、浸潤性CD45+細胞及びMDSC/CD45+細胞の両方の割合の有意な増加が、PBS及びExo-STAT3-ASO-MOE処置の間で観察された。観察された増加は、CD45+細胞の集団内のマクロファージの割合の対応する減少と関連していた(図6Bを参照のこと)。対照的に、腫瘍マウスをSTAT3特異的ASOのみ(すなわち、EVに連結していない)で処置しても、評価した様々な細胞集団の浸潤に対して最小限の影響しか及ぼさなかった。
【0655】
さらに、図7A及び7Bに示すように、MDSCの浸潤の増加は、主に、顆粒球(gMDSC)の集団の増加によるものであった。実際、STAT3特異的ASO(すなわち、Exo-STAT3-ASO-MOE)を含むEVで処置したマウス由来の腫瘍は、単球MDSCの集団が減少していた(図7Bを参照)。
【0656】
最後に、上記の結果が本明細書に開示するEV(すなわち、STAT3特異的ASOを含む)に関連することを確認するために、STAT3 mRNA発現を、異なる処置群由来の動物の腫瘍において評価した。図8に示すように、STAT3 mRNAは、PBS及びスクランブルされたExo-ASO対照の両方と比較して、Exo-STAT-3ASO処置マウスにおいて有意に減少していた(図8)。
【0657】
まとめると、上記の結果は、本明細書に記載のEV(例えばエキソソーム)が、in vivoで標的細胞にSTAT3特異的ASOを効果的に送達し、標的細胞においてSTAT3転写産物を成功裏にノックダウンさせることができることを示している。データはさらに、STAT3発現の減少が抗腫瘍免疫応答の増加(例えば、腫瘍体積の減少、顆粒球MDSCを含むCD45+細胞の浸潤の増加、及びマクロファージ及び単球MDSCの浸潤の減少)に関連していることを示している。
【0658】
実施例5:Exo-STAT3はM2マクロファージを再分極化することができる
PBMCから単離した単球を培養し、M2マクロファージに分化させ、そしてExo-STAT3-ASOの濃度を増加させて48時間処置した:(i)スクランブル対照ASO(「スクランブル」)を含むEV(例えばエキソソーム)または(ii)STAT3特異的ASOのみ(すなわち、EVに会合していない)(「遊離ASO」)で処置した細胞を、対照として使用した。「遊離ASO」群では、ASOはEVに存在するSTAT3特異的ASOの最高濃度(つまり、1.25×10nM)で使用した。
【0659】
Exo-STAT3-ASOによるこれらの初代ヒトM2マクロファージのin vitro処置は、qPCRによって測定されるSTAT3 mRNAの用量依存的ノックダウンを誘導した(図12A)。Exo-STAT3-ASO処置は、初代ヒトマクロファージにおける同等用量の遊離ASOよりも高いレベルのノックダウンをもたらした。
【0660】
次に、減少したSTAT3 mRNA発現がマクロファージの分極化に何らかの影響を及ぼしたかどうかを評価するために、本明細書に開示するEV(すなわち、STAT3特異的ASOを含む)またはSTAT3特異的ASOのみで処置した後のLPS刺激ヒト初代マクロファージで、炎症性サイトカイン応答を測定した。マクロファージを培養して48時間処置し、培地からサイトカインを検出した。図12B~12Dに示すように、Exo-STAT3処置は、対照群(すなわち、未処置及びスクランブル対照ASOを含むEVで処置した)と比較して、TNF-α(2×)、IL-23(5×)、及びIL-12p40(37×)の用量依存的な増加をもたらした。
【0661】
まとめると、上記の結果は、本明細書に記載のEV(例えばエキソソーム)がSTAT3特異的ASOをマクロファージに効果的に送達し、STAT3転写産物のノックダウンを成功させ、M2マクロファージをより炎症誘発性の表現型に再分極させることができることを示している。
【0662】
実施例6:Hep3B肝細胞におけるExo-STAT3-ASOノックダウン
本明細書に開示するEV(すなわち、STAT3特異的ASOを含む)が肝癌の治療に有用であるかどうかを評価するために、Hep3B肝細胞を、高濃度のExo-STAT3-ASO(すなわち、EVの外面に連結されたSTAT3特異的ASOを含む)で処置した。処置の約48時間後、STAT3及びmcl1(STAT3下流の標的遺伝子)のmRNA発現をqPCRで測定した。STAT3タンパク質の発現も、AlphaLISA surefire Ultraキットを使用して評価した。
【0663】
図13Aに示すように、Exo-STAT3-ASOで処置したすべての細胞について、対照細胞と比較して、STAT3 mRNA発現の有意な減少(およそ60%のノックダウン)があった。減少したSTAT3 mRNA発現は、mcl1 mRNA(35~65%阻害)(図13B)及びSTAT3タンパク質(35%阻害)(図13C)の両方の減少した発現と関連していた。
【0664】
これらの結果から、本明細書に開示するEV(すなわち、STAT3特異的ASOを含む)が、肝細胞を含む様々な細胞型におけるSTAT3発現を低減するのに有効であり得ることが確認される。
【0665】
実施例7:Exo-STAT3-ASOを使用した肝癌マウスモデルの処置
上記の実施例6で提供されたin vitroデータに加えて、本明細書に開示するEVの抗腫瘍効果を、ヒト肝癌の動物モデルにおいて評価した。簡潔に述べると、Hep3Bヒト肝癌細胞をマウスの脇腹に皮下移植した。移植後、マウスを腫瘍内でExo-STAT3-ASO(すなわち、外面に連結したScaffoldX(PTGFRN)に融合したSTAT3特異的ASOを含む)を2日ごとに3回処置した。対照動物には、以下のいずれかを処置した:(i)天然EV;(ii)STAT3特異的ASOのみ(すなわち、EVに連結していない);及び(iii)STAT3特異的ASOのみを含む(すなわち、ScaffoldXに融合していない)天然EV。次いで、STAT3 mRNAの発現を動物の腫瘍溶解物中で評価した。
【0666】
図14に示すように、最大のノックダウンは、EVを使用してSTAT3特異的ASOを送達した動物において観察された。Exo-STAT3-ASO処置の結果、腫瘍溶解物内で3μgのSTAT3 ASOの3回処置後にヒトSTAT3が35%ノックダウンされた(図14)。
【0667】
上記の結果は、本明細書に記載のEV(例えばエキソソーム)が、in vivoで標的細胞にSTAT3特異的ASOを効果的に送達し、標的細胞におけるSTAT3転写産物のノックダウンの成功をもたらすことができ、がん、特に肝癌などの異常なSTAT3活性に関連する疾患において効果的な治療を提供することができることを示している。
【0668】
実施例8:Exo-STAT3-ASOを使用した肝細胞癌マウスモデルの処置
Hepa1-6マウスを使用して、腫瘍を治療するためのExo-STAT3-ASOのin vivo有効性を試験する。Hepa1-6系統は、肝細胞癌の同所性マウスモデルである。Hepa1-6マウス肝癌モデルを使用して、肝腫瘍の増殖速度を低下させるためのExo-STAT3-ASO投与の静脈内送達を評価する。
【0669】
実施例9:Exo-STAT3-ASOを使用した結腸癌マウスモデルの処置
IL-6駆動でマクロファージリッチな皮下CT26マウス結腸直腸癌モデルを使用して、マクロファージにおけるSTAT3ノックダウンが抗腫瘍効果を駆動することを示す。CT26腫瘍細胞は、BALB/cマウスの脇腹に皮下移植する。移植の8日後、マウスを、腫瘍内にてexo-STAT3-ASOもしくは遊離STAT3 ASOで、または腹腔内にて抗PD1抗体もしくは抗CSF1R抗体で処置する(群あたりn=10マウス)。対照として、2つの群のマウスをexoASOスクランブルまたはPBSで処置する。腫瘍体積の幾何平均を分析する。
【0670】
実施例10:AML細胞におけるCD33標的化エキソソームの取り込みの増加
本明細書に記載するように、EV(例えばエキソソーム)を、特定の細胞に対するEVの親和性を改変及び/または増強することができる標的化部分を含むように改変することができる。CD33+細胞を標的化するようにEV(例えばエキソソーム)を改変することができるかどうかを評価するために、ScaffoldX(PTGFRN)に融合した抗CD33標的化部分をEVの外面に連結させ、様々なAML細胞による取り込みを評価した。
【0671】
最初に、ALFA Nb-抗CD33抗体(例えば、hP67.6-AF568)(その全体が参照により本明細書に援用される米国特許第5,877,296号を参照のこと)を使用して、AML細胞上のCD33発現を測定した。MV4-11及びKG1細胞は、細胞あたりそれぞれ204,000及び76,000のCD33を含むと測定された。
【0672】
次に、Octetを使用して、抗CD33標的化部分を含むEV(例えばエキソソーム)がCD33に結合する能力を確認した。図15に示すように、試験した様々なEV(例えばエキソソーム)の中で、ScaffoldXに融合され、EVの外面に連結された抗CD33標的化部分を含むEVは、最大の結合を示した(図15の「PrX」及び「PrX-AF568」を参照のこと)。
【0673】
次いで、AML細胞における抗CD33標的化部分を含むEVの取り込みを評価するために、ALFAプラグアンドプレイシステムを使用して、抗CD33 ALFAタグ付き抗体をALFA Nbエキソソームに外部から充填した。フローサイトメトリーの読み取りの前に、100k細胞/ウェルをNHS-Alexa Fluor 568標識エキソソームとともに、1.0e6~1.56e4の範囲のMOIで、2つ組でインキュベートした。低レベルのCD33を発現するKG1細胞(図16B)と比較して、CD33高発現MV4-11 AML細胞(図16A)における抗CD33抗体結合ALFA Nbエキソソームの取り込みの増加が観察された。RAW264.7細胞を陽性対照として使用した(図16C)。CD33を標的とするエキソソームでは取り込みの増加が観察され、MOIが低いほど倍率変化が大きかった(図16E~16G)。
【0674】
上記の結果からは、抗CD33抗体をEV(例えばエキソソーム)の外面に連結することにより、AML細胞などのCD33+細胞に対するEVの向性を増強することができることが確認される。
【0675】
本出願を通して、様々な刊行物が、著者名及び日付によって、または特許番号もしくは特許公開番号によって括弧内に参照される。これらの刊行物の開示は、本明細書に記載され、請求される開示の日付の時点で、当業者に公知の最新技術をより完全に記載するために、参照によりその全体が本出願に援用される。しかしながら、本明細書における参考文献の引用は、そのような参考文献が本開示の先行技術であることを承認するものとして解釈されるべきではない。
図1-1】
図1-2】
図1-3】
図1-4】
図1-5】
図1-6】
図1-7】
図1-8】
図1-9】
図2-1】
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図3
図4
図5
図6
図7
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図9-1】
図9-2】
図10
図11A
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図12-1】
図12-2】
図13
図14
図15
図16-1】
図16-2】
【配列表】
2022544934000001.app
【国際調査報告】