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特表2022-544935細胞外小胞-NLRP3アンタゴニスト
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-24
(54)【発明の名称】細胞外小胞-NLRP3アンタゴニスト
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/113 20100101AFI20221017BHJP
   C12N 15/115 20100101ALI20221017BHJP
   C12N 1/00 20060101ALI20221017BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20221017BHJP
   C12Q 1/6813 20180101ALI20221017BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20221017BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20221017BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20221017BHJP
   A61P 13/10 20060101ALI20221017BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20221017BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20221017BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20221017BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20221017BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20221017BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20221017BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20221017BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20221017BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20221017BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20221017BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20221017BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20221017BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20221017BHJP
   A61K 31/341 20060101ALI20221017BHJP
   A61K 31/713 20060101ALI20221017BHJP
【FI】
C12N15/113 Z
C12N15/113 140Z
C12N15/115 Z
C12N1/00 Z
C12Q1/02
C12Q1/6813 Z
A61P29/00
A61P1/16
A61P1/04
A61P13/10
A61P13/12
A61P9/10 101
A61P9/00
A61P9/10
A61P17/00
A61P19/02
A61P25/28
A61P25/16
A61P25/14
A61P21/00
A61P25/00
A61P3/00
A61K48/00
A61K31/7088
A61K31/341
A61K31/713
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022508817
(86)(22)【出願日】2020-08-14
(85)【翻訳文提出日】2022-03-30
(86)【国際出願番号】 US2020046556
(87)【国際公開番号】W WO2021030773
(87)【国際公開日】2021-02-18
(31)【優先権主張番号】62/886,876
(32)【優先日】2019-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/989,541
(32)【優先日】2020-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ベルクロ
(71)【出願人】
【識別番号】520170759
【氏名又は名称】コディアック バイオサイエンシーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】リム, ジョアン
(72)【発明者】
【氏名】カーウィン, キャサリン
(72)【発明者】
【氏名】ブルーム, ウェンディ
(72)【発明者】
【氏名】サティヤナラヤナン, スリラム
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルマ, アジャイ
【テーマコード(参考)】
4B063
4B065
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA18
4B063QA19
4B063QA20
4B063QQ02
4B063QQ08
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR32
4B063QR35
4B063QR48
4B063QS34
4B063QX02
4B065AA99X
4B065AC20
4B065BA30
4B065CA23
4B065CA24
4B065CA44
4C084AA13
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA021
4C084ZA022
4C084ZA161
4C084ZA162
4C084ZA361
4C084ZA362
4C084ZA661
4C084ZA662
4C084ZA751
4C084ZA811
4C084ZA812
4C084ZA891
4C084ZA892
4C084ZA941
4C084ZA942
4C084ZB111
4C084ZB112
4C084ZC211
4C084ZC412
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA03
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA55
4C086MA66
4C086NA13
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA36
4C086ZA66
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZA94
4C086ZB11
4C086ZC21
(57)【要約】
本開示はNLRP3アンタゴニストを含む細胞外小胞、例えば、エクソソームに関する。いくつかの態様では、NLRP3アンタゴニストはアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を含む。本明細書で提供されているのはまた、エクソソームを生成する方法、及びエクソソームを使用して疾患または障害を治療する及び/または予防する方法である。本開示はNLRP3アンタゴニストを含む細胞外小胞(EV)、例えば、エクソソームに関する。いくつかの態様では、NLRP3アンタゴニストはアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を含む。本開示の特定の態様では、細胞外小胞は足場タンパク質をさらに含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外因性NLRP3アンタゴニストを含む細胞外小胞。
【請求項2】
前記外因性NLRP3アンタゴニストが化合物、siRNA、shRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、タンパク質、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項1に記載の細胞外小胞。
【請求項3】
マクロファージ、骨髄由来抑制細胞(MDSC)、単球、好塩基球、好中球、好酸球、及びそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される細胞を標的とする、請求項1または2に記載の細胞外小胞。
【請求項4】
血清におけるIL-1ベータの発現を低減する、請求項1~3のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項5】
慢性炎症または自己炎症を治療する、請求項1~4のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項6】
線維症を治療する、請求項1~5のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項7】
前記線維症が、肝線維症(NASH)、肝硬変、肺線維症、嚢胞性線維症、慢性潰瘍性大腸炎/IBD、膀胱線維症、腎臓線維症、CAPS(マックルウェルズ症候群)、心房線維症、心筋内線維症、古い心筋梗塞、グリア瘢痕、動脈硬化、関節線維症、クローン病、デュプイトレン収縮、ケロイド線維症、縦隔線維症、骨髄線維症、ペイロニー病、腎性全身性線維症、進行性大規模線維症、後腹膜線維症、強皮症/全身性硬化症、癒着性関節包炎及びそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される、請求項6に記載の細胞外小胞。
【請求項8】
肝線維症(NASH)を治療する、請求項1~7のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項9】
神経変性疾患を治療する、請求項1~4のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項10】
前記神経変性疾患がアルツハイマー病、パーキンソン病、プリオン病、運動神経疾患、ハンチントン病、脊髄小脳失調、脊髄性筋萎縮症、及びそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される、請求項9に記載の細胞外小胞。
【請求項11】
代謝障害/CVDを治療する、請求項1~4のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項12】
前記代謝障害/CVDが、酸-塩基不均衡、代謝性脳疾患、カルシウム代謝障害、DNA修復欠損障害、グルコース代謝障害、高乳酸血症、鉄代謝障害、脂質代謝障害、吸収不良症候群、代謝症候群X、先天性代謝異常、ミトコンドリア病、リン代謝障害、ポルフィリア症、タンパク質恒常性欠乏症、代謝性皮膚疾患、消耗症候群、水電解質不均衡、及びそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される、請求項11に記載の細胞外小胞。
【請求項13】
急性炎症を治療する、請求項1~4のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項14】
CAPS(マックルウェルズ症候群)を治療する、請求項1~4のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項15】
前記外因性NLRP3アンタゴニストが小分子である、請求項1~14のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項16】
前記小分子が、MCC950、タニラスト、オリドニン、CY-09、ベイ11-7082、パルテノリド、3,4-メチレンジオキシ-β-ニトロスチレン(MNB)、β-ヒドロキシブチレート(BHB)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、I型インターフェロン、及びそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される、請求項15に記載の細胞外小胞。
【請求項17】
前記外因性NLRP3アンタゴニストが式(I)を含む、請求項15または16に記載の細胞外小胞:
【化27】
【請求項18】
前記外因性NLRP3アンタゴニストがMCC950を含む、請求項15~17のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項19】
前記外因性NLRP3アンタゴニストがアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項20】
前記ASOがNLRP3転写物内の核酸配列に相補性である長さ10~30ヌクレオチドの連続するヌクレオチド配列を含む、請求項19に記載の細胞外小胞。
【請求項21】
前記連続するヌクレオチド配列が前記NLRP3転写物内の前記核酸配列に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%相補性である、請求項20に記載の細胞外小胞。
【請求項22】
前記ASOが、ヒト細胞(例えば、免疫細胞)にてNLRP3タンパク質の発現を低減することができ、その際、前記ヒト細胞が前記NLRP3タンパク質を発現する、請求項19~21のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項23】
前記NLRP3タンパク質発現が前記ASOに曝露されていないヒト細胞におけるNLRP3タンパク質の発現と比べて、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低減する、請求項22に記載の細胞外小胞。
【請求項24】
前記ASOが、ヒト細胞(例えば、免疫細胞)にてNLRP3 mRNAのレベルを低減することができ、その際、前記ヒト細胞は前記NLRP3 mRNAを発現する、請求項19~23のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項25】
前記NLRP3 mRNAのレベルが、前記ASOに曝露されていないヒト細胞におけるNLRP3 mRNAのレベルと比べて少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低減する、請求項24に記載の細胞外小胞。
【請求項26】
前記ASOがギャップマー、ミックスマー、またはトータルマーである、請求項19~25のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項27】
前記ASOが1以上のヌクレオシド類似体を含む、請求項19~26のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項28】
前記ヌクレオシド類似体の1以上が、2’-O-アルキル-RNA;2’-O-メチルRNA(2’-OMe);2’-アルコキシ-RNA;2’-O-メトキシエチル-RNA(2’-MOE);2’-アミノ-DNA;2’-フルオロ-RNA;2’-フルオロ-DNA;アラビノ核酸(ANA);2’-フルオロ-ANA;または二環式ヌクレオシド類似体を含む、請求項27に記載の細胞外小胞。
【請求項29】
前記ヌクレオシド類似体の1以上が糖修飾ヌクレオシドである、請求項27または28に記載の細胞外小胞。
【請求項30】
前記糖修飾ヌクレオシドが親和性を増強する2’糖修飾ヌクレオシドである、請求項29に記載の細胞外小胞。
【請求項31】
前記ヌクレオシド類似体の1以上が二環式糖を含むヌクレオシドを含む、請求項27~30のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項32】
前記ヌクレオシド類似体の1以上がLNAを含む、請求項27~30のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項33】
前記ヌクレオチド類似体の1以上が制約されたエチルヌクレオシド(cEt)、2’,4’-制約された2’-O-メトキシエチル(cMOE)、α-L-LNA、β-D-LNA、2’-O,4’-C-エチレン架橋核酸(ENA)、アミノ-LNA、オキシ-LNA、チオ-LNA、及びそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される、請求項27~32のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項34】
前記ASOが1以上の5’-メチル-シトシン核酸塩基を含む、請求項19~33のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項35】
前記連続するヌクレオチド配列が(i)5’非翻訳領域(UTR);(ii)コード領域;または(iii)前記NLRP3転写物の3’UTRの範囲内の核酸配列に相補性である、請求項20~34のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項36】
前記連続するヌクレオチド配列が(i)配列番号3のヌクレオチド1~534(ii)配列番号3のヌクレオチド448~2193;(iii)配列番号3のヌクレオチド2125~3036;(iv)配列番号3のヌクレオチド2987~3990;(v)配列番号3の3996~4456;(vi)配列番号3のヌクレオチド106~334;(vii)配列番号3のヌクレオチド648~2113;(viii)配列番号3のヌクレオチド2225~2956;(ix)配列番号3のヌクレオチド2987~3810;(x)配列番号3の3996~4376;(xi)配列番号3のヌクレオチド156~284;(xii)配列番号3のヌクレオチド698~2063;(xiii)配列番号3のヌクレオチド2275~2906;(xiv)配列番号3のヌクレオチド3037~3760;(xv)配列番号3の4046~4326;(xvi)配列番号3のヌクレオチド196~244;(xvii)配列番号3のヌクレオチド738~2003;(xviii)配列番号3のヌクレオチド2315~2866;(xix)配列番号3のヌクレオチド3077~3720;または(xx)配列番号3の4086~4286を含む核酸配列に相補性である、請求項20~35のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項37】
前記連続するヌクレオチド配列が(i)配列番号3のヌクレオチド206~234;(ii)配列番号3のヌクレオチド748~2013;(iii)配列番号3のヌクレオチド2325~2856;(iv)配列番号3のヌクレオチド3087~3710;または(v)配列番号3の4096~4276の範囲内の核酸配列に相補性である、請求項20~36のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項38】
前記連続するヌクレオチド配列が図1A及び1Bの配列から選択される配列に相補性のヌクレオチド配列を含む、請求項20~37のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項39】
前記連続するヌクレオチド配列が前記NLRP3の転写物の範囲内のヌクレオチド配列に完全に相補性である、請求項20~38のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項40】
前記ASOが1または2のミスマッチを伴う、配列番号101~200から選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項19~39のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項41】
前記ASOが図3の設計から成る群から選択される設計を有し、その際、大文字は糖修飾ヌクレオシドであり、小文字はDNAである、請求項19~40のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項42】
前記ASOが14から20ヌクレオチドの長さである、請求項19~41のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項43】
前記連続するヌクレオチド配列が1以上の修飾されたヌクレオシド間結合を含む、請求項20~42のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項44】
前記1以上の修飾されたヌクレオシド間結合がホスホロチオエート間結合である、請求項43に記載の細胞外小胞。
【請求項45】
ヌクレオシド間結合の少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%が修飾されている、請求項43または44に記載の細胞外小胞。
【請求項46】
前記ASOにおける前記ヌクレオシド間結合のそれぞれがホスホロチオエート結合である、請求項45に記載の細胞外小胞。
【請求項47】
アンカー部分をさらに含む、請求項1~46のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項48】
前記NLRP3アンタゴニストが前記アンカー部分に連結されている、請求項47に記載の細胞外小胞。
【請求項49】
さらに外因性標的指向化部分を含む、請求項1~48のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項50】
前記外因性標的指向化部分がペプチド、抗体またはその抗原結合断片、化合物、RNAアプタマー、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項49に記載の細胞外小胞。
【請求項51】
前記外因性標的指向化部分がペプチドを含む、請求項49または50に記載の細胞外小胞。
【請求項52】
前記外因性標的指向化部分がマイクロタンパク質、設計されたアンキリン反復タンパク質(ダーピン)、アンチカリン、アドネクチン、アプタマー、ペプチド模倣分子、受容体の天然リガンド、ラクダ科ナノボディ、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項49~51のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項53】
前記外因性標的指向化部分が完全長抗体、単一ドメイン抗体、重鎖のみ抗体(VHH)、単鎖抗体、サメ重鎖のみ抗体(VNAR)、scFv、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項49~52のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項54】
前記抗体が単鎖抗体である、請求項53に記載の細胞外小胞。
【請求項55】
前記外因性標的指向化部分が肝臓、心臓、肺、脳、腎臓、中枢神経系、末梢神経系、筋肉、骨、関節、皮膚、腸、膀胱、膵臓、リンパ節、脾臓、血液、骨髄、またはそれらの任意の組み合わせを標的にしてエクソソームを向かわせる、請求項49~54のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項56】
前記外因性標的指向化部分が、腫瘍細胞、樹状細胞、T細胞、B細胞、マクロファージ、ニューロン、肝細胞、クッパー細胞、造血幹細胞、骨髄系細胞(例えば、好中球、単球、マクロファージ、造血幹細胞、MDSC(例えば、単球MDSCまたは顆粒球MDSC))、またはそれらの任意の組み合わせを標的にしてエクソソームを向かわせる、請求項49~55のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項57】
前記EVが前記外因性標的指向化部分を前記EVに連結する足場部分を含む、請求項49~56のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項58】
前記アンカー部分及び/または前記足場部分が足場Xである、請求項47~57のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項59】
前記アンカー部分及び/または前記足場部分が足場Yである、請求項47~57のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項60】
前記足場Xが、前記EVの内腔表面及び/または前記EVの外面に前記NLRP3アンタゴニストを固定することができる足場タンパク質である、請求項58に記載の細胞外小胞。
【請求項61】
前記足場XがプロスタグランジンF2受容体負の調節因子(PTGFRNタンパク質);バシギン(BSGタンパク質);免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバー2(IGSF2タンパク質);免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー3(IGSF3タンパク質);免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー8(IGSF8タンパク質);インテグリンベータ1(ITGB1タンパク質);インテグリンアルファ-4(ITGA4タンパク質);4F2細胞表面抗原重鎖(SLC3A2タンパク質);ATP輸送タンパク質のクラス(ATP1A1タンパク質、ATP1A2タンパク質、ATP1A3タンパク質、ATP1A4タンパク質、ATP1B3タンパク質、ATP2B1タンパク質、ATP2B2タンパク質、ATP2B3タンパク質、ATP2B4タンパク質);それらの機能的な断片;及びそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される、請求項58または60に記載の細胞外小胞。
【請求項62】
前記アンカー部分及び/または前記足場部分がPTGFRNタンパク質またはその機能的な断片である、請求項47~61のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項63】
前記アンカー部分及び/または前記足場部分が配列番号202に示されるようなアミノ酸配列を含む、請求項47~62のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項64】
前記アンカー部分及び/または前記足場部分が、配列番号201と少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含む、請求項47~63のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項65】
前記足場Yが前記EVの内腔表面及び/または前記EVの外面に前記NLRP3アンタゴニストを固定することができる足場タンパク質である、請求項59に記載の細胞外小胞。
【請求項66】
前記足場Yがミリストイル化アラニンリッチプロテインキナーゼC基質(MARCKSタンパク質)、ミリストイル化アラニンリッチプロテインキナーゼC基質様1(MARCKSL1タンパク質)、脳酸可溶性タンパク質1(BASP1タンパク質)、それらの機能的な断片、及びそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される、請求項59または65に記載の細胞外小胞。
【請求項67】
前記足場YがBASP1タンパク質またはその機能的な断片である、請求項59、65及び66のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項68】
前記足場YがN末端ドメイン(ND)及びエフェクタードメイン(ED)を含み、前記ND及び/または前記EDが前記EVの内腔表面と会合する、請求項59、65~67のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項69】
前記NDがミリストイル化を介してエクソソームの内腔表面と会合する、請求項68に記載の細胞外小胞。
【請求項70】
前記EDがイオン性相互作用を介してエクソソームの内腔表面と会合する、請求項68または69に記載の細胞外小胞。
【請求項71】
前記EDが配列にて(i)塩基性アミノ酸1つまたは(ii)2以上の塩基性アミノ酸を含み、前記塩基性アミノ酸がLys、Arg、His、及びそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される、請求項68~70のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項72】
前記塩基性アミノ酸が(Lys)nであり、その際、nが1~10の整数である、請求項71に記載の細胞外小胞。
【請求項73】
前記EDがLys(K)、KK、KKK、KKKK(配列番号305)、KKKKK(配列番号306)、Arg(R)、RR、RRR、RRRR(配列番号307)、RRRRR(配列番号308)、KR、RK、KKR、KRK、RKK、KRR、RRK、(K/R)(K/R)(K/R)(K/R)(配列番号309)、(K/R)(K/R)(K/R)(K/R)(K/R)(配列番号310)、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項68~72のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項74】
前記NDがG:X2:X3:X4:X5:X6に示されるアミノ酸配列を含み、その際、GはGlyを表し;「:」はペプチド結合を表し;X2からX6のそれぞれは独立してアミノ酸であり;X6は塩基性アミノ酸を含む、請求項68~73のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項75】
(i)X2がPro、Gly、Ala、及びSerから成る群から選択される;
(ii)X4がPro、Gly、Ala、Ser、Val、Ile、Leu、Phe、Trp、Tyr、Gln、及びMetから成る群から選択される;
(iii)X5がPro、Gly、Ala、及びSerから成る群から選択される;
(iv)X6がLys、Arg、及びHisから成る群から選択される;または
(v)(i)~(iv)の任意の組み合わせである、請求項74に記載の細胞外小胞。
【請求項76】
前記NDがG:X2:X3:X4:X5:X6のアミノ酸配列を含み、その際、
(i)GはGlyを表し;
(ii)「:」はペプチド結合を表し;
(iii)X2はPro、Gly、Ala、及びSerから成る群から選択されるアミノ酸であり;
(iv)X3はアミノ酸であり;
(v)X4はPro、Gly、Ala、Ser、Val、Ile、Leu、Phe、Trp、Tyr、Gln、及びMetから成る群から選択されるアミノ酸であり;
(vi)X5はPro、Gly、Ala、及びSerから成る群から選択されるアミノ酸であり;かつ
(vii)X6はLys、Arg、及びHisから成る群から選択されるアミノ酸である、請求項68~75のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項77】
X3がAsn、Gln、Ser、Thr、Asp、Glu、Lys、His、及びArgから成る群から選択される、請求項74~76のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項78】
前記ND及び前記EDがリンカーによって連結される、請求項68~77のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項79】
前記リンカーが1以上のアミノ酸を含む、請求項78に記載の細胞外小胞。
【請求項80】
前記NDが(i)GGKLSKK(配列番号311)、(ii)GAKLSKK(配列番号312)、(iii)GGKQSKK(配列番号313)、(iv)GGKLAKK(配列番号314)、または(v)GGKLSK(配列番号315)、またはそれらの任意の組み合わせから成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項68~79のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項81】
前記NDが(i)GGKLSKKK(配列番号338)、(ii)GGKLSKKS(配列番号339)、(iii)GAKLSKKK(配列番号340)、(iv)GAKLSKKS(配列番号341)、(v)GGKQSKKK(配列番号342)、(vi)GGKQSKKS(配列番号343)、(vii)GGKLAKKK(配列番号344)、(viii)GGKLAKKS(配列番号345)、及び(ix)それらの任意の組み合わせから成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項80に記載の細胞外小胞。
【請求項82】
前記NDがアミノ酸配列GGKLSKK(配列番号311)を含む、請求項68~81のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項83】
前記足場Yが、少なくとも約8、少なくとも約9、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約16、少なくとも約17、少なくとも約18、少なくとも約19、少なくとも約20、少なくとも約21、少なくとも約22、少なくとも約23、少なくとも約24、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約45、少なくとも約50、少なくとも約55、少なくとも約60、少なくとも約65、少なくとも約70、少なくとも約75、少なくとも約80、少なくとも約85、少なくとも約90、少なくとも約95、少なくとも約100、少なくとも約105、少なくとも約110、少なくとも約120、少なくとも約130個、少なくとも約140、少なくとも約150、少なくとも約160、少なくとも約170、少なくとも約180、少なくとも約190、または少なくとも約200のアミノ酸の長さである、請求項59及び65~82のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項84】
前記足場Yが、(i)GGKLSKKKKGYNVN(配列番号346)、(ii)GAKLSKKKKGYNVN(配列番号347)、(iii)GGKQSKKKKGYNVN(配列番号348)、(iv)GGKLAKKKKGYNVN(配列番号349)、(v)GGKLSKKKKGYSGG(配列番号350)、(vi)GGKLSKKKKGSGGS(配列番号351)、(vii)GGKLSKKKKSGGSG(配列番号352)、(viii)GGKLSKKKSGGSGG(配列番号353)、(ix)GGKLSKKSGGSGGS(配列番号354)、(x)GGKLSKSGGSGGSV(配列番号355)、または(xi)GAKKSKKRFSFKKS(配列番号356)を含む、請求項59及び65~83に記載の細胞外小胞。
【請求項85】
前記足場Yが、(i)GGKLSKKKKGYNVN(配列番号346)、(ii)GAKLSKKKKGYNVN(配列番号347)、(iii)GGKQSKKKKGYNVN(配列番号348)、(iv)GGKLAKKKKGYNVN(配列番号349)、(v)GGKLSKKKKGYSGG(配列番号350)、(vi)GGKLSKKKKGSGGS(配列番号351)、(vii)GGKLSKKKKSGGSG(配列番号352)、(viii)GGKLSKKKSGGSGG(配列番号353)、(ix)GGKLSKKSGGSGGS(配列番号354)、(x)GGKLSKSGGSGGSV(配列番号355)、または(xi)GAKKSKKRFSFKKS(配列番号356)から成る、請求項59及び65~84に記載の細胞外小胞。
【請求項86】
前記足場YがN末端でMetを含まない、請求項59及び65~85に記載の細胞外小胞。
【請求項87】
前記足場Yが前記足場タンパク質のN末端にてミリストイル化アミノ酸残基を含む、請求項59及び65~86のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項88】
前記足場YのN末端におけるアミノ酸残基がGlyである、請求項87に記載の細胞外小胞。
【請求項89】
前記外因性NLRP3アンタゴニストが前記EVの外面にて前記アンカー部分及び/または前記足場部分に連結される、請求項47~88のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項90】
前記外因性NLRP3アンタゴニストが前記EVの内腔表面にて前記アンカー部分及び/または前記足場部分に連結される、請求項47~89のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項91】
前記アンカー部分がステロール、GM1、脂質、ビタミン、小分子、ペプチド、またはそれらの組み合わせを含む、請求項47~90のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項92】
前記アンカー部分がコレステロールを含む、請求項47~90のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項93】
前記アンカー部分がリン脂質、リゾリン脂質、脂肪酸、ビタミン(例えば、ビタミンD及び/またはビタミンE)、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項47~90のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項94】
前記外因性NLRP3アンタゴニストがリンカーによって前記アンカー部分及び/または前記足場部分に連結される、請求項47~93のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項95】
前記外因性NLRP3アンタゴニストがリンカーによって前記EVに連結される、請求項1~94のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項96】
前記リンカーがポリペプチドである、請求項94または95に記載の細胞外小胞。
【請求項97】
前記リンカーが非ポリペプチド部分である、請求項94または95に記載の細胞外小胞。
【請求項98】
前記リンカーがエチレングリコールを含む、請求項94または95に記載の細胞外小胞。
【請求項99】
前記リンカーが、HEG、TEG、PEG、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項98に記載の細胞外小胞。
【請求項100】
前記リンカーがアクリルホスホルアミダイト(例えば、ACRYDITE(商標))、アデニル化、アジド(NHSエステル)、ジゴキシゲニン(NHSエステル)、コレステロール-TEG、I-LINKER(商標)、アミノ修飾因子(例えば、アミノ修飾因子C6、アミノ修飾因子C12、アミノ修飾因子C6 dT、またはUni-Link(商標)アミノ修飾剤)、アルキン、5’ヘキシニル、5-オクタジイニルdU、ビオチン化(例えば、ビオチン、ビオチン(アジド)、ビオチンdT、ビオチン-TEG、デュアルビオチン、PCビオチン、またはデスチオビオチン)、チオール修飾(チオール修飾因子C3 S-S、ジチオールまたはチオール修飾因子C6 S-S)、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項94または95に記載の細胞外小胞。
【請求項101】
前記リンカーが切断可能なリンカーである、請求項94~100のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項102】
前記リンカーがバリン-アラニン-p-アミノベンジルカルバメートまたはバリン-シトルリン-p-アミノベンジルカルバメートを含む、請求項101に記載の細胞外小胞。
【請求項103】
前記リンカーが(i)マレイミド部分、及び(ii)バリン-アラニン-p-アミノベンジルカルバメートまたはバリン-シトルリン-p-アミノベンジルカルバメートを含む、請求項94~102のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項104】
前記EVがエクソソームである、請求項1~103のいずれか1項に記載の細胞外小胞。
【請求項105】
NLRP3転写物内の核酸配列に相補性である長さ10~30ヌクレオチドの連続するヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)。
【請求項106】
前記ASOの前記連続するヌクレオチド配列が前記NLRP3転写物内の前記核酸配列に少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%相補性である、請求項105に記載のASO。
【請求項107】
ヒト細胞(例えば、免疫細胞)にてNLRP3タンパク質の発現を低減することができ、その際、前記ヒト細胞が前記NLRP3タンパク質を発現する、請求項105または106のいずれか1項に記載のASO。
【請求項108】
前記NLRP3タンパク質の発現が前記ASOに曝露されていないヒト細胞におけるNLRP3タンパク質の発現と比べて、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低減する、請求項107に記載のASO。
【請求項109】
ヒト細胞(例えば、免疫細胞)にてNLRP3 mRNAのレベルを低減することができ、その際、前記ヒト細胞は前記NLRP3 mRNAを発現する、請求項105~108のいずれか1項に記載のASO。
【請求項110】
前記NLRP3 mRNAのレベルが、前記ASOに曝露されていないヒト細胞におけるNLRP3 mRNAのレベルと比べて少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低減する、請求項109に記載のASO。
【請求項111】
ギャップマー、ミックスマー、またはトータルマーである、請求項105~110のいずれか1項に記載のASO。
【請求項112】
1以上のヌクレオシド類似体を含む、請求項105~111のいずれか1項に記載のASO。
【請求項113】
前記ヌクレオシド類似体の1以上が、2’-O-アルキル-RNA;2’-O-メチルRNA(2’-OMe);2’-アルコキシ-RNA;2’-O-メトキシエチル-RNA(2’-MOE);2’-アミノ-DNA;2’-フルオロ-RNA;2’-フルオロ-DNA;アラビノ核酸(ANA);2’-フルオロ-ANA;または二環式ヌクレオシド類似体(LNA)を含む、請求項112に記載のASO。
【請求項114】
前記ヌクレオシド類似体の1以上が糖修飾ヌクレオシドである、請求項112または113に記載のASO。
【請求項115】
前記糖修飾ヌクレオシドが親和性を増強する2’糖修飾ヌクレオシドである、請求項114に記載のASO。
【請求項116】
前記ヌクレオシド類似体の1以上が二環式糖を含むヌクレオシドを含む、請求項112~115のいずれか1項に記載のASO。
【請求項117】
前記ヌクレオシド類似体の1以上がLNAを含む、請求項112~116のいずれか1項に記載のASO。
【請求項118】
前記LNAが制約されたエチルヌクレオシド(cEt)、2’,4’-制約された2’-O-メトキシエチル(cMOE)、α-L-LNA、β-D-LNA、2’-O,4’-C-エチレン架橋核酸(ENA)、アミノ-LNA、オキシ-LNA、チオ-LNA、及びそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される、請求項117に記載のASO。
【請求項119】
1以上の5’-メチル-シトシン核酸塩基を含む、請求項105~118のいずれか1項に記載のASO。
【請求項120】
前記ASOが配列番号101~配列番号200のいずれか1つを含む、請求項105~119のいずれか1項に記載のASO。
【請求項121】
前記ASOが図3の設計から成る群から選択される設計を有し、その際、大文字は糖修飾ヌクレオシドであり、小文字はDNAである、請求項105~120のいずれか1項に記載のASO。
【請求項122】
前記ASOが14~20ヌクレオチドの長さである、請求項105~121のいずれか1項に記載のASO。
【請求項123】
前記連続するヌクレオチド配列が1以上の修飾されたヌクレオシド間結合を含む、請求項105~122のいずれか1項に記載のASO。
【請求項124】
前記1以上の修飾されたヌクレオシド間結合がホスホロチオエート間結合である、請求項123に記載のASO。
【請求項125】
ヌクレオシド間結合の少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%が修飾されている、請求項123または124に記載のASO。
【請求項126】
前記ASOにおける前記ヌクレオシド間結合のそれぞれがホスホロチオエート結合である、請求項125に記載のASO。
【請求項127】
前記ASOが少なくとも1つの非ヌクレオチド部分または非ポリヌクレオチド部分に共有結合する、請求項105~126のいずれか1項に記載のASOを含むコンジュゲート。
【請求項128】
前記非ヌクレオチド部分または非ポリヌクレオチド部分がタンパク質、脂肪酸鎖、糖残基、糖タンパク質、ポリマー、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項127に記載のコンジュゲート。
【請求項129】
請求項105~128のいずれか1項に記載のASOまたは請求項125もしくは126に記載のコンジュゲートを含む細胞外小胞。
【請求項130】
請求項1~104及び129のいずれか1項に記載の細胞外小胞、請求項105~126のいずれか1項に記載のASO、または請求項127もしくは128に記載のコンジュゲートと、薬学的に許容される希釈剤、担体、塩、または補助剤とを含む医薬組成物。
【請求項131】
前記薬学的に許容される塩がナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項130に記載の医薬組成物。
【請求項132】
さらに、少なくとも1つの追加の治療剤を含む、請求項130または131に記載の医薬組成物。
【請求項133】
前記追加の治療剤がNLRP3アンタゴニストである、請求項135に記載の医薬組成物。
【請求項134】
前記外因性NLRP3アンタゴニストが化合物、siRNA、shRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、タンパク質、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項133に記載の医薬組成物。
【請求項135】
前記外因性NLRP3アンタゴニストが抗NLRP3抗体またはその断片である、請求項133または134に記載の医薬組成物。
【請求項136】
前記外因性NLRP3アンタゴニストが小分子である、請求項133または134に記載の医薬組成物。
【請求項137】
前記小分子が、MCC950、タニラスト、オリドニン、CY-09、ベイ11-7082、パルテノリド、3,4-メチレンジオキシ-β-ニトロスチレン(MNB)、β-ヒドロキシブチレート(BHB)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、I型インターフェロン、及びそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される、請求項136に記載の医薬組成物。
【請求項138】
前記外因性NLRP3アンタゴニストが式(I)を含む、請求項136または137に記載の医薬組成物:
【化28】
【請求項139】
前記外因性NLRP3アンタゴニストがMCC950を含む、請求項136~138のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項140】
前記外因性NLRP3アンタゴニストがアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を含む、請求項133または134に記載の医薬組成物。
【請求項141】
請求項1~104及び129のいずれか1項に記載の細胞外小胞、請求項105~126のいずれか1項に記載のASO、または請求項127もしくは128に記載のコンジュゲート、または請求項130~140のいずれか1項に記載の医薬組成物と、使用説明書とを含む、キット。
【請求項142】
請求項1~104及び129のいずれか1項に記載の細胞外小胞、請求項105~126のいずれか1項に記載のASO、または請求項127もしくは128に記載のコンジュゲート、または請求項130~140のいずれか1項に記載の医薬組成物と、使用説明書とを含む、診断用キット。
【請求項143】
細胞にてNLRP3タンパク質の発現を阻害する、または低減する方法であって、NLRP3タンパク質を発現している前記細胞に請求項1~104及び129のいずれか1項に記載の細胞外小胞、請求項105~126のいずれか1項に記載のASO、または請求項127もしくは128に記載のコンジュゲート、または請求項130~140のいずれか1項に記載の医薬組成物を投与することを含み、その際、前記細胞における前記NLRP3タンパク質の発現は前記投与の後に阻害される、または低減される、前記方法。
【請求項144】
前記ASOが前記投与の後に前記細胞にてNLRP3 mRNAの発現を阻害する、または低減する、請求項143に記載の方法。
【請求項145】
NLRP3 mRNAのレベルが前記ASOに曝露されていない細胞におけるNLRP3 mRNAのレベルと比べて前記投与の後、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約100%低減される、請求項144に記載の方法。
【請求項146】
NLRP3タンパク質の前記発現が前記ASOに曝露されていない細胞におけるNLRP3タンパク質の発現と比べて前記投与の後、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%低減される、請求項143~145のいずれか1項に記載の方法。
【請求項147】
疾患または障害の1以上の症状の軽減、改善、または治療を必要とする対象にてそれを行う方法であって、有効量の、請求項1~104及び129のいずれか1項に記載の細胞外小胞、請求項105~126のいずれか1項に記載のASO、または請求項127もしくは128に記載のコンジュゲート、または請求項130~140のいずれか1項に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項148】
疾患または障害の治療を必要とする対象にてそれを行うための薬物の製造における請求項1~104及び129のいずれか1項に記載の細胞外小胞、請求項105~126のいずれか1項に記載のASO、または請求項127もしくは128に記載のコンジュゲート、または請求項130~140のいずれか1項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項149】
疾患または障害の治療を必要とする対象にてそれを行うことで使用するための請求項1~104及び129のいずれか1項に記載の細胞外小胞、請求項105~126のいずれか1項に記載のASO、または請求項127もしくは128に記載のコンジュゲート、または請求項130~140のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項150】
前記細胞外小胞、前記ASO、前記コンジュゲート、または前記医薬組成物が心臓内に、経口で、非経口で、髄腔内に、脳室内に、肺に、局所で、または心室内に投与される、請求項143~147のいずれか1項に記載の方法、請求項148に記載の使用、または請求項149に記載の使用のための組成物。
【請求項151】
前記疾患または障害が線維症、炎症、神経変性疾患、代謝障害/CVD、及びそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項147に記載の方法、請求項148に記載の使用、または請求項149に記載の使用のための組成物。
【請求項152】
前記疾患または障害が線維症を含む、請求項147に記載の方法、請求項148に記載の使用、または請求項149に記載の使用のための組成物。
【請求項153】
前記疾患または障害が、肝線維症(NASH)、肝硬変、肺線維症、嚢胞性線維症、慢性潰瘍性大腸炎/IBD、膀胱線維症、腎臓線維症、CAPS(マックルウェルズ症候群)、心房線維症、心筋内線維症、古い心筋梗塞、グリア瘢痕、動脈硬化、関節線維症、クローン病、デュプイトレン収縮、ケロイド線維症、縦隔線維症、骨髄線維症、ペイロニー病、腎性全身性線維症、進行性大規模線維症、後腹膜線維化症、強皮症/全身性硬化症、癒着性関節包炎及びそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される線維症を含む、請求項147に記載の方法、請求項148に記載の使用、または請求項149に記載の使用のための組成物。
【請求項154】
前記疾患または障害が慢性炎症、自己炎症、急性炎症、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項147に記載の方法、請求項148に記載の使用、または請求項149に記載の使用のための組成物。
【請求項155】
前記疾患または障害が神経変性疾患を含む、請求項147に記載の方法、請求項148に記載の使用、または請求項149に記載の使用のための組成物。
【請求項156】
前記疾患または障害がアルツハイマー病、パーキンソン病、プリオン病、運動神経疾患、ハンチントン病、脊髄小脳失調、脊髄性筋萎縮症、及びそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される神経変性疾患を含む、請求項147に記載の方法、請求項148に記載の使用、または請求項149に記載の使用のための組成物。
【請求項157】
前記疾患または障害が代謝障害/CVDを含む、請求項147に記載の方法、請求項148に記載の使用、または請求項149に記載の使用のための組成物。
【請求項158】
前記疾患または障害が、酸-塩基不均衡、代謝性脳疾患、カルシウム代謝障害、DNA修復欠損障害、グルコース代謝障害、高乳酸血症、鉄代謝障害、脂質代謝障害、吸収不良症候群、代謝症候群X、先天性代謝異常、ミトコンドリア病、リン代謝障害、ポルフィリア症、タンパク質恒常性欠乏症、代謝性皮膚疾患、消耗症候群、水電解質不均衡、及びそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される代謝障害/CVDを含む、請求項147に記載の方法、請求項148に記載の使用、または請求項149に記載の使用のための組成物。
【請求項159】
炎症性腎障害の1以上の症状の軽減、改善、または治療を必要とする対象にてそれを行う方法であって、有効量の、請求項1~104及び129のいずれか1項に記載の細胞外小胞、請求項105~126のいずれか1項に記載のASO、または請求項127もしくは128に記載のコンジュゲート、または請求項130~140のいずれか1項に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項160】
炎症性腎障害の治療を必要とする対象にてそれを行うための薬物の製造における請求項1~104及び129のいずれか1項に記載の細胞外小胞、請求項105~126のいずれか1項に記載のASO、または請求項127もしくは128に記載のコンジュゲート、または請求項130~140のいずれか1項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項161】
炎症性神経障害が、多発性硬化症(MS)、アルツハイマー型認知症、筋萎縮性側索硬化症、化学療法誘発性末梢神経障害、またはそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項159に記載の方法、または請求項160に記載の使用。
【請求項162】
前記細胞外小胞または前記ASOが前記対象にてM2マクロファージ極性化を誘導する、請求項159に記載の方法または請求項160に記載の使用。
【請求項163】
前記細胞外小胞または前記ASOが神経にて骨髄炎症を軽減する、請求項159に記載の方法または請求項160に記載の使用。
【請求項164】
前記細胞外小胞または前記ASOが髄鞘にて骨髄炎症を軽減する、請求項159に記載の方法または請求項160に記載の使用。
【請求項165】
前記細胞外小胞または前記ASOが歯根、神経及び/または筋肉の1以上にてマクロファージの流入を減らす、請求項159に記載の方法または請求項160に記載の使用。
【請求項166】
前記細胞外小胞または前記ASOが歯根、神経及び/または筋肉の1以上にてマクロファージの食作用を減らす、請求項159に記載の方法または請求項160に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
EFS-WEBを介して電子的に提出された配列表への参照
本出願とともに提出されたASCIIテキストファイル(名称:4000_059PC02_Seqlisting_ST25.txt;サイズ:359,750バイト、及び作成日:2020年8月13日)における電子的に提出された配列表の内容はその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
関連出願の相互参照
本PCT出願は、2019年8月14日に出願された米国仮出願第62/886,876号、及び2020年3月13日に出願された同第62/989,541号の優先権の利益を主張するものであり、これらの各々の内容はその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0003】
本開示はNLRP3アンタゴニストを含む細胞外小胞(EV)、例えば、エクソソームに関する。いくつかの態様では、NLRP3アンタゴニストはアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を含む。本開示の特定の態様では、細胞外小胞は足場タンパク質をさらに含む。
【背景技術】
【0004】
エクソソームはすべての真核細胞によって天然に生成される小さな細胞外小胞である。エクソソームは、内部空間(すなわち、内腔)を囲む膜を含む。薬物送達ビヒクルとして、EV、例えば、エクソソームは多くの治療分野における新しい治療法として、従来の薬物送達方法を超える多くの利点を提供する。特に、エクソソームは、異なる種に投与された場合でも本質的に免疫原性が低い。
【0005】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは試験管内または生体内で標的遺伝子の発現を調節する強力な手段として登場してきた。しかしながら、生体内でのASOの安定性と標的指向化を改善する必要性が残っている。
【0006】
したがって、新しくかつさらに効果的な操作されたEV(例えば、エクソソーム)、特に疾患に関連する遺伝子(例えば、がんの場合はN)の発現を低減させることができる治療剤を送達するのに使用できるものは、EVに基づく技術の治療上の使用及びその他の応用をさらに良好に可能にするために必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の特定の態様は外因性NLRP3アンタゴニストを含む細胞外小胞を対象とする。いくつかの態様では、外因性NLRP3アンタゴニストは化合物、siRNA、shRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、タンパク質、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0008】
特定の態様では、細胞外小胞は、マクロファージ、骨髄由来抑制細胞(MDSC)、単球、好塩基球、好中球、好酸球、及びそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される細胞を標的とする。
【0009】
特定の態様では、細胞外小胞は血清におけるIL-1ベータの発現を低減する。特定の態様では、細胞外小胞は慢性炎症または自己炎症を治療する。
【0010】
特定の態様では、細胞外小胞は線維症を治療する。いくつかの態様では、線維症は、肝線維症(NASH)、肝硬変、肺線維症、嚢胞性線維症、慢性潰瘍性大腸炎/IBD、膀胱線維症、腎臓線維症、CAPS(マックルウェルズ症候群)、心房線維症、心筋内線維症、古い心筋梗塞、グリア瘢痕、動脈硬化、関節線維症、クローン病、デュプイトレン収縮、ケロイド線維症、縦隔線維症、骨髄線維症、ペイロニー病、腎性全身性線維症、進行性大規模線維症、後腹膜炎、強皮症/全身性硬化症、癒着性関節包炎及びそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される。特定の態様では、細胞外小胞は肝線維症(NASH)を治療する。
【0011】
特定の態様では、細胞外小胞は神経変性疾患を治療する。いくつかの態様では、神経変性疾患はアルツハイマー病、パーキンソン病、プリオン病、運動神経疾患、ハンチントン病、脊髄小脳失調、脊髄性筋萎縮症、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、及びそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される。
【0012】
特定の態様では、細胞外小胞は代謝障害/CVDを治療する。いくつかの態様では、代謝障害/CVDは、酸-塩基不均衡、代謝性脳疾患、カルシウム代謝障害、DNA修復欠損障害、グルコース代謝障害、高乳酸血症、鉄代謝障害、脂質代謝障害、吸収不良症候群、代謝症候群X、先天性代謝異常、ミトコンドリア病、リン代謝障害、ポルフィリア症、タンパク質恒常性欠乏症、代謝性皮膚疾患、消耗症候群、水電解質不均衡、及びそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される。
【0013】
特定の態様では、細胞外小胞は急性炎症を治療する。特定の態様では、細胞外小胞はCAPS(マックルウェルズ症候群)を治療する。
【0014】
いくつかの態様では、外因性NLRP3アンタゴニストは小分子である。いくつかの態様では、小分子は、MCC950、トラニラスト、オリドニン、CY-09、ベイ11-7082、パルテノリド、3,4-メチレンジオキシ-β-ニトロスチレン(MNB)、β-ヒドロキシブチレート(BHB)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、I型インターフェロン、及びそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される。いくつかの態様では、外因性NLRP3アンタゴニストは式(I)を含む:
【化1】
【0015】
いくつかの態様では、外因性NLRP3アンタゴニストはMCC950を含む。
【0016】
いくつかの態様では、外因性NLRP3アンタゴニストはアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を含む。いくつかの態様では、ASOはNLRP3転写物内の核酸配列に相補性である長さ10~30ヌクレオチドの連続するヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、連続するヌクレオチド配列はNLRP3転写物内の核酸配列に少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%相補性である。
【0017】
いくつかの態様では、ASOは、ヒト細胞(例えば、免疫細胞)におけるNLRP3タンパク質の発現を低減させることができ、その際、ヒト細胞はNLRP3タンパク質を発現する。いくつかの態様では、NLRP3タンパク質発現はASOに曝露されていないヒト細胞におけるNLRP3タンパク質の発現と比べて、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低減する。
【0018】
いくつかの態様では、ASOはヒト細胞(例えば、免疫細胞)にてNLRP3 mRNAのレベルを低減することができ、その際、ヒト細胞はNLRP3 mRNAを発現する。いくつかの態様では、NLRP3 mRNAのレベルは、ASOに曝露されていないヒト細胞におけるNLRP3 mRNAのレベルと比べて少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低減する。
【0019】
いくつかの態様では、ASOはギャップマー、ミキサー、またはトータルマーである。いくつかの態様では、ASOは1以上のヌクレオシド類似体を含む。いくつかの態様では、ヌクレオシド類似体の1以上は、2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチルRNA(2’-OMe)、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA(2’-MOE)、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-RNA、2’-フルオロ-DNA、アラビノ核酸(ANA)、2’-フルオロ-ANA、または二環式ヌクレオシド類似体を含む。いくつかの態様では、ヌクレオシド類似体の1以上は糖修飾ヌクレオシドである。いくつかの態様では、糖修飾ヌクレオシドは親和性を増強する2’糖修飾ヌクレオシドである。いくつかの態様では、ヌクレオシド類似体の1以上は二環式糖を含むヌクレオシドである。いくつかの態様では、ヌクレオシド類似体の1以上はLNAを含む。いくつかの態様では、ヌクレオチド類似体の1以上は、制約されたエチルヌクレオシド(cEt)、2’,4’-制約された2’-O-メトキシエチル(cMOE)、α-L-LNA、β-D-LNA、2’-O,4’-C-エチレン架橋核酸(ENA)、アミノ-LNA、オキシ-LNA、チオ-LNA、及びそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される。いくつかの態様では、ASOは1以上の5’-メチル-シトシン核酸塩基を含む。
【0020】
いくつかの態様では、連続するヌクレオチド配列は(i)5’非翻訳領域(UTR)、(ii)コード領域、または(iii)NLRP3転写物の3’UTRの範囲内の核酸配列に相補性である。いくつかの態様では、連続するヌクレオチド配列は(i)配列番号3のヌクレオチド1~534(ii)配列番号3のヌクレオチド448~2193、(iii)配列番号3のヌクレオチド2125~3036、(iv)配列番号3のヌクレオチド2987~3990、(v)配列番号3の3996~4456、(vi)配列番号3のヌクレオチド106~334、(vii)配列番号3のヌクレオチド648~2113、(viii)配列番号3のヌクレオチド2225~2956、(ix)配列番号3のヌクレオチド2987~3810、(x)配列番号3の3996~4376、(xi)配列番号3のヌクレオチド156~284、(xii)配列番号3のヌクレオチド698~2063、(xiii)配列番号3のヌクレオチド2275~2906、(xiv)配列番号3のヌクレオチド3037~3760、(xv)配列番号3の4046~4326、(xvi)配列番号3のヌクレオチド196~244、(xvii)配列番号3のヌクレオチド738~2003、(xviii)配列番号3のヌクレオチド2315~2866、(xix)配列番号3のヌクレオチド3077~3720、または(xx)配列番号3の4086~4286を含む核酸配列に相補性である。いくつかの態様では、連続するヌクレオチド配列は(i)配列番号3のヌクレオチド206~234、(ii)配列番号3のヌクレオチド748-2013、(iii)配列番号3のヌクレオチド2325~2856、(iv)配列番号3のヌクレオチド3087~3710、または(v)配列番号3の4096~4276の範囲内の核酸配列に相補性である。
【0021】
いくつかの態様では、連続するヌクレオチド配列は、図1A及び1Bの配列から選択される配列に相補性のヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、連続するヌクレオチド配列はNLRP3転写物内のヌクレオチド配列に完全に相補性である。いくつかの態様では、ASOは1または2のミスマッチを伴う、配列番号101~200から選択されるヌクレオチド配列を含む。
【0022】
いくつかの態様では、ASOは図3の設計から成る群から選択される設計を有し、その際、大文字は糖修飾ヌクレオシドであり、小文字はDNAである。いくつかの態様では、ASOは14~20ヌクレオチドの長さである。いくつかの態様では、連続するヌクレオチド配列は1以上の修飾されたヌクレオシド間結合を含む。いくつかの態様では、1以上の修飾されたヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合である。いくつかの態様では、ヌクレオシド間結合の少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%が修飾されている。いくつかの態様では、ASOにおけるヌクレオシド間結合のそれぞれはホスホロチオエート結合である。
【0023】
いくつかの態様では、細胞外小胞はアンカー部分をさらに含む。いくつかの態様では、外因性NLRP3アンタゴニストはアンカー部分に連結されている。
【0024】
いくつかの態様では、細胞外小胞は外因性標的指向化部分をさらに含む。いくつかの態様では、外因性標的指向化部分はペプチド、抗体またはその抗原結合断片、化合物、RNAアプタマー、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、外因性標的指向化部分はペプチドを含む。
【0025】
いくつかの態様では、外因性標的指向化部分は、マイクロタンパク質、設計されたアンキリン反復タンパク質(ダーピン)、アンチカリン、アドネクチン、アプタマー、ペプチド模倣分子、受容体の天然リガンド、ラクダ科ナノボディ、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0026】
いくつかの態様では、外因性標的指向化部分は、完全長抗体、単一ドメイン抗体、重鎖のみ抗体(VHH)、単鎖抗体、サメ重鎖のみ抗体(VNAR)、scFv、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0027】
いくつかの態様では、抗体は単鎖抗体である。
【0028】
いくつかの態様では、外因性標的指向化部分は、肝臓、心臓、肺、脳、腎臓、中枢神経系、末梢神経系、筋肉、骨、関節、皮膚、腸、膀胱、膵臓、リンパ節、脾臓、血液、骨髄、またはそれらの任意の組み合わせを標的にしてエクソソームを向かわせる。
【0029】
いくつかの態様では、外因性標的指向化部分は、腫瘍細胞、樹状細胞、T細胞、B細胞、マクロファージ、ニューロン、肝細胞、クッパー細胞、造血幹細胞、骨髄系細胞(例えば、好中球、単球、マクロファージ、造血幹細胞、MDSC(例えば、単球MDSCまたは顆粒球MDSC))、またはそれらの任意の組み合わせを標的にしてエクソソームを向かわせる。
【0030】
いくつかの態様では、EVは外因性標的指向化部分をEVに連結する足場部分を含む。いくつかの態様では、アンカー部分及び/または足場部分は足場Xである。いくつかの態様では、アンカー部分及び/または足場部分は足場Yである。
【0031】
いくつかの態様では、足場Xは、EVの内腔表面及び/またはEVの外面に外因性NLRP3アンタゴニストを固定することができる足場タンパク質である。
【0032】
いくつかの態様では、足場Yは、EVの内腔表面及び/またはEVの外面に外因性NLRP3アンタゴニストを固定することができる足場タンパク質である。
【0033】
いくつかの態様では、外因性NLRP3アンタゴニストはEVの外面におけるアンカー部分及び/または足場部分に連結されている。いくつかの態様では、外因性NLRP3アンタゴニストはEVの内腔表面におけるアンカー部分及び/または足場部分に連結されている。
【0034】
いくつかの態様では、アンカー部分は、ステロール、GM1、脂質、ビタミン、小分子、ペプチド、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、アンカー部分はコレステロールを含む。いくつかの態様では、アンカー部分は、リン脂質、リゾリン脂質、脂肪酸、ビタミン(例えば、ビタミンD及び/またはビタミンE)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、外因性NLRP3アンタゴニストはリンカーによってアンカー部分及び/または足場部分に連結されている。いくつかの態様では、外因性NLRP3アンタゴニストはリンカーによってEVに連結されている。いくつかの態様では、リンカーはポリペプチドである。いくつかの態様では、リンカーは非ポリペプチド部分である。いくつかの態様では、リンカーはエチレングリコールを含む。いくつかの態様では、リンカーはHEG、TEG、PEG、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0035】
いくつかの態様では、リンカーは、アクリルホスホルアミダイト(例えば、Acrydite(商標))、アデニル化、アジド(NHSエステル)、ジゴキシゲニン(NHSエステル)、コレステロール-TEG、I-LINKER(商標)、アミノ修飾因子(例えば、アミノ修飾因子C6、アミノ修飾因子C12、アミノ修飾因子C6 dT、またはUni-Link(商標)アミノ修飾剤)、アルキン、5’ヘキシニル、5-オクタジイニルdU、ビオチン化(例えば、ビオチン、ビオチン(アジド)、ビオチンdT、ビオチン-TEG、デュアルビオチン、PCビオチン、またはデスチオビオチン)、チオール修飾(チオール修飾剤C3 S-S、ジチオールまたはチオール修飾剤C6 S-S)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0036】
いくつかの態様では、リンカーは切断可能なリンカーである。いくつかの態様では、リンカーは、バリン-アラニン-p-アミノベンジルカルバメートまたはバリン-シトルリン-p-アミノベンジルカルバメートを含む。いくつかの態様では、リンカーは(i)マレイミド部分及び(ii)バリン-アラニン-p-アミノベンジルカルバメートまたはバリン-シトルリン-p-アミノベンジルカルバメートを含む。
【0037】
いくつかの態様では、EVはエクソソームである。
【0038】
本開示の特定の態様は、NLRP3転写物内の核酸配列に相補性である長さ10~30ヌクレオチドの連続するヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を対象とする。いくつかの態様では、その連続するヌクレオチド配列はNLRP3転写物内の核酸配列に少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%相補性である。
【0039】
いくつかの態様では、ASOはヒト細胞(例えば、免疫細胞)にてNLRP3タンパク質の発現を低減することができ、その際、ヒト細胞はNLRP3タンパク質を発現する。いくつかの態様では、NLRP3タンパク質の発現はASOに曝露されていないヒト細胞におけるNLRP3タンパク質の発現と比べて、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低減する。
【0040】
特定の態様では、ASOはヒト細胞(例えば、免疫細胞)にてNLRP3 mRNAのレベルを低減することができ、その際、ヒト細胞はNLRP3 mRNAを発現する。いくつかの態様では、NLRP3 mRNAのレベルは、ASOに曝露されていないヒト細胞におけるNLRP3 mRNAのレベルと比べて少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100低減する。
【0041】
いくつかの態様では、ASOはギャップマー、ミックスマー、またはトータルマーである。いくつかの態様では、ASOは1以上のヌクレオシド類似体を含む。いくつかの態様では、ヌクレオシド類似体の1以上は、2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチルRNA(2’-OMe)、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA(2’-MOE)、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-RNA、2’-フルオロ-DNA、アラビノ核酸(ANA)、2’-フルオロ-ANA、または二環式ヌクレオシド類似体(LNA)を含む。いくつかの態様では、ヌクレオシド類似体の1以上は糖修飾ヌクレオシドである。いくつかの態様では、糖修飾ヌクレオシドは親和性を増強する2’糖修飾ヌクレオシドである。いくつかの態様では、ヌクレオシド類似体の1以上は二環式糖を含むヌクレオシドである。いくつかの態様では、ヌクレオシド類似体の1以上はLNAを含む。いくつかの態様では、LNAは制約されたエチルヌクレオシド(cEt)、2’,4’-制約された2’-O-メトキシエチル(cMOE)、α-L-LNA、β-D-LNA、2’-O,4’-C-エチレン架橋核酸(ENA)、アミノ-LNA、オキシ-LNA、チオ-LNA、及びそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される。いくつかの態様では、ASOは1以上の5’-メチル-シトシン核酸塩基を含む。
【0042】
いくつかの態様では、ASOは配列番号101~配列番号200のいずれか1つを含む。いくつかの態様では、ASOは図3の設計から成る群から選択される設計を有し、その際、大文字は糖修飾ヌクレオシドであり、小文字はDNAである。いくつかの態様では、ASOは14~20ヌクレオチドの長さである。いくつかの態様では、連続するヌクレオチド配列は1以上の修飾されたヌクレオシド間結合を含む。いくつかの態様では、1以上の修飾されたヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合である。いくつかの態様では、ヌクレオシド間結合の少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%が修飾されている。いくつかの態様では、ASOにおけるヌクレオシド間結合のそれぞれはホスホロチオエート結合である。
【0043】
本開示の特定の態様は、少なくとも1つの非ヌクレオチド部分または非ポリヌクレオチド部分に共有結合している、本明細書で開示されているASOを含むコンジュゲートを対象とする。いくつかの態様では、非ヌクレオチド部分または非ポリヌクレオチド部分は、タンパク質、脂肪酸鎖、糖残基、糖タンパク質、ポリマー、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0044】
本開示の特定の態様は、本明細書で開示されているASOまたは本明細書で開示されているコンジュゲートを含む細胞外小胞を対象とする。
【0045】
本開示の特定の態様は、本明細書で開示されている細胞外小胞、本明細書で開示されているASO、または本明細書で開示されているコンジュゲートと、薬学的に許容される希釈剤、担体、塩、または補助剤とを含む医薬組成物を対象とする。いくつかの態様では、薬学的に許容される塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、医薬組成物はさらに、少なくとも1つの追加の治療剤を含む。
【0046】
いくつかの態様では、追加の治療剤は外因性NLRP3アンタゴニストである。いくつかの態様では、外因性NLRP3アンタゴニストは化合物、siRNA、shRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、タンパク質、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの態様では、外因性NLRP3アンタゴニストは抗NLRP3抗体またはその断片である。いくつかの態様では、外因性NLRP3アンタゴニストは小分子である。
【0047】
いくつかの態様では、小分子はMCC950、タニラスト、オリドニン、CY-09、ベイ11-7082、パルテノリド、3,4-メチレンジオキシ-β-ニトロスチレン(MNB)、β-ヒドロキシブチレート(BHB)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、I型インターフェロン、及びそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される。
【0048】
いくつかの態様では、外因性NLRP3アンタゴニストは式(I)を含む:
【化2】
【0049】
いくつかの態様では、外因性NLRP3アンタゴニストはMCC950を含む。
【0050】
いくつかの態様では、外因性NLRP3アンタゴニストはアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を含む。
【0051】
本開示の特定の態様は、本明細書で開示されている細胞外小胞、本明細書で開示されているASO、または本明細書で開示されているコンジュゲート、または本明細書で開示されている医薬組成物と、使用のための説明書とを含むキットを対象とする。
【0052】
本開示の特定の態様は、本明細書で開示されている細胞外小胞、本明細書で開示されているASO、または本明細書で開示されているコンジュゲート、または本明細書で開示されている医薬組成物と、使用のための説明書とを含む診断用キットを対象とする。
【0053】
本開示の特定の態様は、NLRP3タンパク質を発現している細胞に本明細書で開示されている細胞外小胞、本明細書で開示されているASO、本明細書で開示されているコンジュゲート、または本明細書で開示されている医薬組成物投与することを含む、細胞にてNLRP3タンパク質の発現を阻害する、または低減する方法を対象とし、その際、細胞におけるNLRP3タンパク質の発現は投与後に阻害される、または低減される。
【0054】
いくつかの態様では、ASOは、投与後に細胞にてNLRP3 mRNAの発現を阻害する、または低減する。いくつかの態様では、NLRP3 mRNAのレベルは、ASOに曝露されていない細胞におけるNLRP3 mRNAのレベルと比べて投与後に少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約100%低減する。
【0055】
いくつかの態様では、NLRP3タンパク質の発現はASOに曝露されていない細胞におけるNLRP3タンパク質の発現と比べて投与後に少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%低減する。
【0056】
本開示の特定の態様は、疾患または障害の1以上の症状の軽減、改善、または治療を必要とする対象にてそれを行う方法であって、有効量の、本明細書で開示されている細胞外小胞、本明細書で開示されているASO、本明細書で開示されているコンジュゲート、または本明細書で開示されている医薬組成物を対象に投与することを含む、方法を対象とする。
【0057】
本開示の特定の態様は、疾患または障害の治療を必要とする対象においてそれを行うための薬物の製造での、本明細書で開示されている細胞外小胞、本明細書で開示されているASO、本明細書で開示されているコンジュゲート、または本明細書で開示されている医薬組成物の使用を対象とする。
【0058】
本開示の特定の態様は、疾患または障害の治療を必要とする対象においてそれを行うことで使用するための、本明細書で開示されている細胞外小胞、本明細書で開示されているASO、本明細書で開示されているコンジュゲート、または本明細書で開示されている医薬組成物を対象とする。
【0059】
いくつかの態様では、細胞外小胞、ASO、コンジュゲート、または医薬組成物は心臓内に、経口で、非経口で、髄腔内に、脳室内に、肺に、局所で、または心室内に投与される。
【0060】
いくつかの態様では、疾患または障害は、線維症、炎症、神経変性疾患、代謝障害/CVD、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。いくつかの態様では、疾患または障害は線維症を含む。いくつかの態様では、疾患または障害は、肝線維症(NASH)、肝硬変、肺線維症、嚢胞性線維症、慢性潰瘍性大腸炎/IBD、膀胱線維症、腎臓線維症、CAPS(マックルウェルズ症候群)、心房線維症、心筋内線維症、古い心筋梗塞、グリア瘢痕、動脈硬化、関節線維症、クローン病、デュプイトレン収縮、ケロイド線維症、縦隔線維症、骨髄線維症、ペイロニー病、腎性全身性線維症、進行性大規模線維症、後腹膜線維化症、強皮症/全身性硬化症、癒着性関節包炎及びそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される線維症を含む。
【0061】
いくつかの態様では、疾患または障害は、慢性炎症、自己炎症、急性炎症、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、疾患または障害は神経変性疾患を含む。いくつかの態様では、疾患または障害はアルツハイマー病、パーキンソン病、プリオン病、運動神経疾患、ハンチントン病、脊髄小脳失調、脊髄性筋萎縮症、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、神経障害痛及びそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される神経変性疾患を含む。
【0062】
いくつかの態様では、疾患または障害は代謝障害/CVDを含む。いくつかの態様では、疾患または障害は、酸-塩基不均衡、代謝性脳疾患、カルシウム代謝障害、DNA修復欠損障害、グルコース代謝障害、高乳酸血症、鉄代謝障害、脂質代謝障害、吸収不良症候群、代謝症候群X、先天性代謝異常、ミトコンドリア病、リン代謝障害、ポルフィリア症、タンパク質恒常性欠乏症、代謝性皮膚疾患、消耗症候群、水電解質不均衡、及びそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される代謝障害/CVDを含む。
【0063】
本開示の特定の態様は、炎症性神経障害の1以上の症状の軽減、改善、または治療を必要とする対象にてそれを行う方法であって、有効量の、本明細書で開示されている細胞外小胞、本明細書で開示されているASO、本明細書で開示されているコンジュゲート、または本明細書で開示されている医薬組成物を対象に投与することを含む、方法を対象とする。
【0064】
本開示の特定の態様は、炎症性神経障害の治療を必要とする対象においてそれを行うための薬物の製造での、有効量の、本明細書で開示されている細胞外小胞、本明細書で開示されているASO、本明細書で開示されているコンジュゲート、または本明細書で開示されている医薬組成物の使用を対象とする。
【0065】
いくつかの態様では、炎症性神経障害は、多発性硬化症(MS)、アルツハイマー型認知症、筋萎縮性側索硬化症、神経障害性痛、化学療法誘発性末梢神経障害、またはそれらの任意の組み合わせから選択される。いくつかの態様では、細胞外小胞またはASOは対象にてM2マクロファージ極性化を誘導する。いくつかの態様では、細胞外小胞またはASOは神経にて骨髄炎症を軽減する。いくつかの態様では、細胞外小胞またはASOは髄鞘にて骨髄炎症を軽減する。いくつかの態様では、細胞外小胞またはASOは歯根、神経、及び/または筋肉の1以上へのマクロファージの流入を減らす。いくつかの態様では、細胞外小胞またはASOは歯根、神経、及び/または筋肉の1以上にてマクロファージの食作用を減らす。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1-1】NLPR3転写物を標的とする種々のASO配列を収載する表である。表には、次の情報が含まれる(左から右へ):(i)説明、(ii)特定の設計または化学構造のないASO配列、(iii)ASO配列のみに指定された配列番号、(iv)ヌクレオチド数(NT)でのASOの長さ、(ii)NLPR3転写物配列(配列番号3)上の標的開始及び終了の位置。ASOは5’から3’である。化学構造における記号は次の通りである:NbはLNAを意味し、dNはDNAを意味し、5MdCは5-メチル-dCを意味し、NmはMOEを意味し、sはホスホロチオエートを意味する。
図1-2】(続き)
図1-3】(続き)
図2A】ヒト単球におけるIL-1β産生のグラフ表示である。NLRP3経路はLPSで3時間、ATPで3時間処理することによって各試料型で活性化した。次に、示されているように、試料をMCC950の漸増濃度(log、μM)で処理し、IL-1βレベル(pg/mL)を測定した。
図2B】ヒトM0マクロファージにおけるIL-1β産生のグラフ表示である。NLRP3経路はLPSで3時間、ATPで3時間処理することによって各試料型で活性化した。次に、示されているように、試料をMCC950の漸増濃度(log、μM)で処理し、IL-1βレベル(pg/mL)を測定した。
図2C】マウスBMDMにおけるIL-1β産生のグラフ表示である。NLRP3経路はLPSで3時間、ATPで3時間処理することによって各試料型で活性化した。次に、示されているように、試料をMCC950の漸増濃度(log、μM)で処理し、IL-1βレベル(pg/mL)を測定した。
図3A】マウスの腹腔内LPS負荷の投薬及び試料採取のスケジュールを示す予定表である。
図3B】漸増量のMCC950の投与後のマウス血清における血清IL-1βレベルのグラフ表示である。
図4A】mNLRP3のASOのNo.1への曝露後のマウスJ774.1細胞におけるマウスNLRP3転写物のノックダウン(開始レベルに対するパーセントとして残りのNLRP3転写物によって測定される)を示す。
図4B】mNLRP3のASOのNo.3への曝露後のマウスJ774.1細胞におけるマウスNLRP3転写物のノックダウン(開始レベルに対するパーセントとして残りのNLRP3転写物によって測定される)を示す。
図4C】mNLRP3のASOのNo.4(図4C)への曝露後のマウスJ774.1細胞におけるマウスNLRP3転写物のノックダウン(開始レベルに対するパーセントとして残りのNLRP3転写物によって測定される)を示す。
図4D】mNLRP3のASOのNo.8への曝露後のマウスJ774.1細胞におけるマウスNLRP3転写物のノックダウン(開始レベルに対するパーセントとして残りのNLRP3転写物によって測定される)を示す。
図4E】mNLRP3のASOのNo.11への曝露後のマウスJ774.1細胞におけるマウスNLRP3転写物のノックダウン(開始レベルに対するパーセントとして残りのNLRP3転写物によって測定される)を示す。
図4F】mNLRP3のASOのNo.16への曝露後のマウスJ774.1細胞におけるマウスNLRP3転写物のノックダウン(開始レベルに対するパーセントとして残りのNLRP3転写物によって測定される)を示す。
図4G】mNLRP3のASOのNo.19への曝露後のマウスJ774.1細胞におけるマウスNLRP3転写物のノックダウン(開始レベルに対するパーセントとして残りのNLRP3転写物によって測定される)を示す。
図4H】mNLRP3のASOのNo.21への曝露後のマウスJ774.1細胞におけるマウスNLRP3転写物のノックダウン(開始レベルに対するパーセントとして残りのNLRP3転写物によって測定される)を示す。
図4I】mNLRP3のASOのNo.29への曝露後のマウスJ774.1細胞におけるマウスNLRP3転写物のノックダウン(開始レベルに対するパーセントとして残りのNLRP3転写物によって測定される)を示す。
図4J】mNLRP3のASOのNo.33への曝露後のマウスJ774.1細胞におけるマウスNLRP3転写物のノックダウン(開始レベルに対するパーセントとして残りのNLRP3転写物によって測定される)を示す。
図4K】mNLRP3のASOのNo.35への曝露後のマウスJ774.1細胞におけるマウスNLRP3転写物のノックダウン(開始レベルに対するパーセントとして残りのNLRP3転写物によって測定される)を示す。
図4L】mNLRP3のASOのNo.41への曝露後のマウスJ774.1細胞におけるマウスNLRP3転写物のノックダウン(開始レベルに対するパーセントとして残りのNLRP3転写物によって測定される)を示す。
図4M】mNLRP3のASOのNo.43への曝露後のマウスJ774.1細胞におけるマウスNLRP3転写物のノックダウン(開始レベルに対するパーセントとして残りのNLRP3転写物によって測定される)を示す。
図4N】mNLRP3のASOのNo.48への曝露後のマウスJ774.1細胞におけるマウスNLRP3転写物のノックダウン(開始レベルに対するパーセントとして残りのNLRP3転写物によって測定される)を示す。
図4O】mNLRP3のASOのNo.55への曝露後のマウスJ774.1細胞におけるマウスNLRP3転写物のノックダウン(開始レベルに対するパーセントとして残りのNLRP3転写物によって測定される)を示す。
図4P】mNLRP3のASOのNo.59への曝露後のマウスJ774.1細胞におけるマウスNLRP3転写物のノックダウン(開始レベルに対するパーセントとして残りのNLRP3転写物によって測定される)を示す。
図4Q】mNLRP3のASOのNo.67への曝露後のマウスJ774.1細胞におけるマウスNLRP3転写物のノックダウン(開始レベルに対するパーセントとして残りのNLRP3転写物によって測定される)を示す。
図4R】mNLRP3のASOのNo.70への曝露後のマウスJ774.1細胞におけるマウスNLRP3転写物のノックダウン(開始レベルに対するパーセントとして残りのNLRP3転写物によって測定される)を示す。
図4S】mNLRP3のNo.76への曝露後のマウスJ774.1細胞におけるマウスNLRP3転写物のノックダウン(開始レベルに対するパーセントとして残りのNLRP3転写物によって測定される)を示す。
図4T】mNLRP3のASOのNo.83への曝露後のマウスJ774.1細胞におけるマウスNLRP3転写物のノックダウン(開始レベルに対するパーセントとして残りのNLRP3転写物によって測定される)を示す。
図4U】mNLRP3のASOのNo.89への曝露後のマウスJ774.1細胞におけるマウスNLRP3転写物のノックダウン(開始レベルに対するパーセントとして残りのNLRP3転写物によって測定される)を示す。
図4V】mNLRP3のASOのNo.98への曝露後のマウスJ774.1細胞におけるマウスNLRP3転写物のノックダウン(開始レベルに対するパーセントとして残りのNLRP3転写物によって測定される)を示す。
図5A】HEK細胞におけるmNLRP3の発現を駆動するためのHiBit融合マウスNLRP3レポーター構築物の概略図である。
図5B】ASOのNo.16、19、70、98、及び43への曝露後のHEK細胞におけるmNLRP3レポーターのノックダウンを示す。
図6A】MCC950を使用したNLRP3阻害がマウスBMDMにおけるIL-1b分泌のレベルに及ぼす影響を示す。
図6B】MCC950を使用したNLRP3阻害がマウスBMDMにおけるIL-1b分泌のレベルに及ぼす影響を示す。
図6C】LPS、ATP、及び種々の濃度での選択されたmNLRP3のASOによる処理後の、BMDMにおけるIL-1b分泌のグラフ表示である。
図6D】LPS、ATP、及び種々の濃度での選択されたmNLRP3のASOによる処理後の、生存率のグラフ表示である。
図7】[図7A]マウスモデルでのLPS誘導性(図7A)急性腹膜炎におけるMCC950を使用したNLRP3阻害の結果を示す。[図7B]マウスモデルでのLPS誘導性(図7A)急性腹膜炎におけるMCC950を使用したNLRP3阻害の結果を示す。
図8】[図8A]LPS誘導性急性腹膜炎マウスモデルの治療に使用されるASOを負荷したエクソソームについての各ASO構築物のNTAカウントのグラフ表示である。[図8B]LPS誘導性急性腹膜炎マウスモデルの治療に使用されるASOを負荷したエクソソームについての各ASO構築物のエクソソームあたりのASO分子の数のグラフ表示である。[図8C]LPS誘導性急性腹膜炎マウスモデルの治療に使用されるASOを負荷したエクソソームについての各ASO構築物のASO濃度のグラフ表示である。
図9A】血清における(図9A~9B及び9E)または腹腔洗浄(図9C~9E)によるマウスNLRP3を標的とするエクソ・ASOの投与に続くIL-1β誘導の低減を表すグラフである。
図9B】同上。
図9C】同上。
図9D】同上。
図9E】同上。
図10A】血清におけるマウスNLRP3を標的とするエクソ・ASOの投与に続くTNFαのレベルを表すグラフである。
図10B】血清におけるマウスNLRP3を標的とするエクソ・ASOの投与に続くIL-6のレベルを表すグラフである。
図10C】腹腔洗浄によるマウスNLRP3を標的とするエクソ・ASOの投与に続くTNFαのレベルを表すグラフである。
図10D】腹腔洗浄によるマウスNLRP3を標的とするエクソ・ASOの投与に続くIL-6のレベルを表すグラフである。
図11】5nM及び20nMの投与でヒトNLRP3を標的とする100の候補ASOによるHEKレポーター細胞株におけるヒトNLRP3発現のノックダウンパーセントを示す散布図である。
図12A】A~Cは、図11で特定された上位30のASOの漸増濃度の投与後のHiBitレポーターHEK細胞株を使用して測定したNLRP3発現への影響を示す折れ線グラフである。
図12B】同上。
図12C】同上。
図13A】2nM、10nM、または50nMのヒトNLRP3のASOスクランブル(Scr2)による処理に続く培養初代ヒトM0マクロファージについての平均IL-1β分泌パーセント及び細胞生存率を示す散布図である。
図13B】2nM、10nM、または50nMのヒトNLRP3のASO 1664による処理に続く培養初代ヒトM0マクロファージについての平均IL-1β分泌パーセント及び細胞生存率を示す散布図である。
図13C】2nM、10nM、または50nMのヒトNLRP3のASO 3094)による処理に続く培養初代ヒトM0マクロファージについての平均IL-1β分泌パーセント及び細胞生存率を示す散布図である。
図13D】2nM、10nM、または50nMのヒトNLRP3のASO 2672による処理に続く培養初代ヒトM0マクロファージについての平均IL-1β分泌パーセント及び細胞生存率を示す散布図である。
図13E】特に、2nMの濃度での各ヒトNLRP3のASOと接触した同じドナーからの細胞と、混ぜたASOと接触した細胞とを比較した、培養ヒトM2マクロファージにおけるIL-1β分泌パーセントを示す折れ線グラフである。
図13F】特に、2nMの濃度での各ヒトNLRP3のASOと接触した同じドナーからの細胞と、混ぜたASOと接触した細胞とを比較した、培養ヒトM2マクロファージにおけるIL-1β分泌パーセントを示す折れ線グラフである。
図13G】特に、2nMの濃度での各ヒトNLRP3のASOと接触した同じドナーからの細胞と、混ぜたASOと接触した細胞とを比較した、培養ヒトM2マクロファージにおけるIL-1β分泌パーセントを示す折れ線グラフである。
図13H】特に、10nMの濃度での各ヒトNLRP3のASOと接触した同じドナーからの細胞と、混ぜたASOと接触した細胞とを比較した、培養ヒトM2マクロファージにおけるIL-1β分泌パーセントを示す折れ線グラフである。
図13I】特に、10nMの濃度での各ヒトNLRP3のASOと接触した同じドナーからの細胞と、混ぜたASOと接触した細胞とを比較した、培養ヒトM2マクロファージにおけるIL-1β分泌パーセントを示す折れ線グラフである。
図13J】特に、10nMの濃度での各ヒトNLRP3のASOと接触した同じドナーからの細胞と、混ぜたASOと接触した細胞とを比較した、培養ヒトM2マクロファージにおけるIL-1β分泌パーセントを示す折れ線グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0067】
本開示の特定の態様はNLRP3アンタゴニストを含む細胞外小胞(EV)、例えば、エクソソームを対象とする。いくつかの態様では、NLRP3アンタゴニストはアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を含む。いくつかの態様では、ASOはNLRP3転写物内の核酸配列に相補性である長さ10~30ヌクレオチドの連続するヌクレオチド配列を含む。
【0068】
I. 定義
本説明がさらに容易に理解され得るために、特定の用語を最初に定義する。さらなる定義は、詳細な説明の全体を通して示されている。
【0069】
「a」または「an」実体という用語は、その実体の1以上を指し、例えば、「ヌクレオチド配列(a nucleotide sequence)」は1以上のヌクレオチド配列を表すと理解されることに留意されるべきである。したがって、「a」(または「an」)、「1以上」、及び「少なくとも1つ」という用語は、本明細書では相互交換可能に使用することができる。
【0070】
さらに、本明細書で使用されるときの「及び/または」は、もう一方の特徴または成分を伴った、または伴わない、2つの特定の特徴または成分のそれぞれの特定の開示として解釈される。したがって、本明細書で「A及び/またはB」のような表現で使用されるとき「及び/または」という用語は、「A及びB」、「AまたはB」、「A」(単独)、及び「B」(単独)を含むように意図される。同様に、「A、B、及び/またはC」のような表現で使用されるとき「及び/または」という用語は、以下の態様:A、B、及びC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);及びC(単独)のそれぞれを包含するように意図される。
【0071】
本明細書のどこで態様が「含む」という言葉で説明されようと、そうでない場合は「から成る」及び/または「から本質的に成る」という用語で説明される類似の態様も提供されることが理解される。
【0072】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は本開示が関係する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。例えば、Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology,Juo,Pei-Show,2nd ed.,2002,CRC Press;The Dictionary of Cell and Molecular Biology,3rd ed.,1999,Academic Press;及びOxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology,Revised,2000,Oxford University Pressは当業者に本開示で使用される用語の多数の一般的な辞書を提供する。
【0073】
単位、接頭辞、及び記号は国際単位系(SI)で承認された形式で示される。数値範囲はその範囲を定義する数を含むものとする。別段の指示がない限り、ヌクレオチド配列は左から右に5’から3’の向きで書かれている。アミノ酸配列はアミノからカルボキシの方向で左から右に書かれている。本明細書で提供される見出しは、本明細書全体を参照することによって有することができる本開示の種々の態様の制約ではない。したがって、すぐ下で定義される用語は明細書全体を参照することによってさらに完全に定義される。
【0074】
「約」という用語は、およそ、大まかに、そばに、または領域内で、を意味するように本明細書で使用される。「約」という用語が数値範囲と併せて使用されるとき、それは、説明される数値を超える、及びそれ未満の境界を伸展させることによってその範囲を修飾する。一般に、「約」という用語は、例えば、10%の上下(高いまたは低い)の変動によって明記される値を上回る、及び下回る数値を修飾することができる。例えば、「ASOは、ASOの投与後に細胞におけるNLRP3タンパク質の発現を少なくとも約60%低減する」と述べられている場合、NLRP3レベルは50%~70%の範囲で低減することを意味する。
【0075】
「アンチセンスオリゴヌクレオチド」(ASO)という用語は、ヌクレオチド間結合を介して互いに共有結合している、天然に存在するヌクレオシドまたはその修飾形態のようなヌクレオシドのオリゴマーまたはポリマーを指す。本開示に有用なASOは少なくとも1つの天然に存在しないヌクレオシドを含む。ASOは標的核酸に少なくとも部分的に相補性であるので、ASOは標的核酸配列とハイブリッド形成する。
【0076】
「核酸」または「ヌクレオチド」という用語は複数の核酸を包含するように意図される。いくつかの態様では、「核酸」または「ヌクレオチド」という用語は生体内または試験管内での標的配列、例えば、プレmRNA、mRNA、またはDNAを指す。この用語が標的配列における核酸またはヌクレオチドを指す場合、核酸またはヌクレオチドは細胞内で天然に存在する配列であり得る。他の態様では、「核酸」または「ヌクレオチド」は本開示のASOにおける配列を指す。この用語がASOにおける配列を指す場合、核酸またはヌクレオチドは天然に存在し得ない、すなわち、化学的に合成され得る、酵素的に生成され得る、組換えにより生成され得る、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。いくつかの態様では、ASOにおける核酸またはヌクレオチドは、合成でまたは組換えで産生されるが、天然に存在する配列またはその断片ではない。いくつかの態様では、ASOにおける核酸またはヌクレオチドは、自然界で天然に存在しない少なくとも1つのヌクレオシド類似体を含有するので、天然には存在しない。
【0077】
本明細書で使用されるとき「ヌクレオチド」という用語は、糖部分と、塩基部分と、ホスフェートまたはホスホロチオエートのヌクレオチド間連結基のような共有連結基(連結基)とを含むグリコシドを指し、DNAまたはRNAのような天然に存在するヌクレオチド、及び修飾された糖部分及び/または塩基部分を含む、本明細書では「ヌクレオチド類似体」とも呼ばれる天然に存在しないヌクレオチドの双方を対象にする。本明細書では、単一ヌクレオチドは単量体またはユニットと呼ばれ得る。特定の態様では、「ヌクレオチド類似体」という用語は修飾された糖部分を有するヌクレオチドを指す。修飾された糖部分(例えば、LNA)を有するヌクレオチドの非限定的な例は本明細書の他の場所に開示されている。他の態様では、「ヌクレオチド類似体」という用語は修飾された核酸塩基部分を有するヌクレオチドを指す。修飾された核酸塩基部分を有するヌクレオチドには、5-メチル-シトシン、イソシトシン、シュードイソシトシン、5-ブロモウラシル、5-プロピニルウラシル、6-アミノプリン、2-アミノプリン、イノシン、ジアミノプリン、及び2-クロロ-6-アミノプリンが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの態様では、「ヌクレオチド」、「ユニット」及び「単量体」という用語は相互交換可能に使用される。ヌクレオチドまたは単量体の配列に言及する場合、言及されるのは、A、T、G、CまたはUのような塩基の配列、及びそれらの類似体であることが認識されるであろう。
【0078】
本明細書で使用される「ヌクレオシド」という用語は、糖部分及び塩基部分を含むグリコシドを指すのに使用されるので、ASOのヌクレオチド間のヌクレオチド間結合によって共有結合されるヌクレオチドユニットを指すときに使用することができる。バイオテクノロジーの分野では、「ヌクレオチド」という用語は核酸の単量体またはユニットを指すのに使用されることが多い。ASOの文脈では、「ヌクレオチド」という用語は、塩基のみ、すなわち、シトシン(DNA及びRNA)、グアニン(DNA及びRNA)、アデニン(DNA及びRNA)、チミン(DNA)及びウラシル(RNA)を含む核酸塩基配列を指すことができ、糖骨格とヌクレオチド間結合の存在が絶対的である。同様に、特にヌクレオチド間連結基の1以上が修飾されているオリゴヌクレオチドの場合、「ヌクレオチド」という用語は「ヌクレオシド」を指すことができる。例えば、ヌクレオシド間の結合の存在または性質を特定する場合でさえ、「ヌクレオチド」という用語を使用することができる。
【0079】
本明細書で使用されるとき「ヌクレオチドの長さ」という用語は所与の配列におけるヌクレオチド(単量体)の総数を意味する。例えば、ASO-NLRP3-206の配列(配列番号101)は20ヌクレオチドを有し;したがって、配列のヌクレオチドの長さは20である。したがって、「ヌクレオチドの長さ」という用語は本明細書では「ヌクレオチド数」と相互交換可能に使用される。
【0080】
当業者が認識するように、オリゴヌクレオチドの5’末端ヌクレオチドは5’末端基を含むことができるが、5’ヌクレオチド間連結基を含まない。
【0081】
本明細書に記載されている化合物はいくつかの不斉中心を含有することができ、光学的に純粋なエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、例えば、ラセミ体、ジアステレオ異性体の混合物、ジアステレオ異性体ラセミ体またはジアステレオ異性体ラセミ体の混合物の形態で存在することができる。いくつかの態様では、不斉中心は不斉炭素原子であり得る。「不斉炭素原子」という用語は4つの異なる置換基を持つ炭素原子を意味する。カーン・インゴルド・プレログ条約によれば、不斉炭素原子は「R」または「S」の配置にすることができる。
【0082】
本明細書で使用されるとき、「二環式糖」という用語は、4~7員環の2つの原子をつないで第2の環を形成して、二環式構造をもたらす架橋を含む4~7員環を含む修飾糖部分を指す。いくつかの態様では、架橋はLNAヌクレオシドで観察されるように、ヌクレオシドのリボース糖環のC2’とC4’を接続する(すなわち、2’-4’架橋)。
【0083】
本明細書で使用されるとき、「コード領域」または「コード配列」は、アミノ酸に翻訳可能なコドンから成るポリヌクレオチドの一部である。「終止コドン」(TAG、TGA、またはTAA)は通常、アミノ酸に翻訳されないものの、コード領域の一部と見なすことができるが、隣接する配列、例えば、プロモーター、リボソーム結合部位、転写ターミネーター、イントロン、非翻訳領域(「UTR」)などはコード領域の一部ではない。コード領域の境界は通常、得られたポリペプチドのアミノ末端をコードする5’末端の開始コドンと、得られたポリペプチドのカルボキシル末端をコードする3’末端の翻訳終止コドンとによって決定される。
【0084】
本明細書で使用されるとき「非コード領域」という用語はコード領域ではないヌクレオチド配列を意味する。非コード領域の例には、プロモーター、リボソーム結合部位、転写ターミネーター、イントロン、非翻訳領域(「UTR」)、非コードエクソンなどが挙げられるが、これらに限定されない。一部のエクソンは、各転写物の5’非翻訳領域(5’UTR)または3’非翻訳領域(3’UTR)の全体または一部であり得る。非翻訳領域は、転写物を効率的に翻訳し、翻訳速度と転写物の半減期を制御するために重要である。
【0085】
ヌクレオチド配列の文脈で使用される場合の「領域」という用語はその配列の区域を指す。例えば、「ヌクレオチド配列内の領域」または「ヌクレオチド配列の相補体内の領域」という表現は、ヌクレオチド配列より短いが、それぞれ特定のヌクレオチド配列またはヌクレオチド配列の相補体の範囲内に位置する少なくとも10ヌクレオチドより長い配列を指す。「部分配列(sub-sequence)」または「部分配列(subsequence)」という用語はヌクレオチド配列の領域を指すこともできる。
【0086】
「下流」という用語はヌクレオチド配列を指す場合、核酸またはヌクレオチド配列が参照ヌクレオチド配列の3’側に位置することを意味する。特定の態様では、下流のヌクレオチド配列は転写の開始点に続く配列に関係する。例えば、遺伝子の翻訳開始コドンは転写開始部位の下流に位置する。
【0087】
「上流」という用語は、参照ヌクレオチド配列の5’側に位置するヌクレオチド配列を指す。
【0088】
本明細書で使用されるとき、「調節領域」という用語は、コード領域の上流(5’非コード配列)、内部、または下流(3’非コード配列)に位置し、転写、RNAプロセシング、安定性、または関連するコード領域の翻訳に影響を与えるヌクレオチド配列を指す。調節領域には、プロモーター、翻訳リーダー配列、イントロン、ポリアデニル化認識配列、RNAプロセシング部位、エフェクター結合部位、UTR、及びステム・ループ構造を挙げることができる。コード領域が真核細胞での発現を目的としている場合、ポリアデニル化シグナル及び転写終結配列は通常、コード配列の3’側に位置する。
【0089】
本明細書で使用されるとき「転写物」という用語は、DNAの転写によって合成され、プロセシング後にメッセンジャーRNA(mRNA)になる、すなわち、前駆体メッセンジャーRNA(プレmRNA)、及びプロセシングされたmRNA自体になる一次転写物を指すことができる。「転写物」という用語は、「プレmRNA」及び「mRNA」と相互交換可能に使用することができる。DNA鎖が一次転写物に転写された後、新しく合成された一次転写物はいくつかの方法で修飾され、成熟した機能的な形態に変換されて、さまざまなタンパク質やmRNA、tRNA、rRNA、lncRNA、miRNAのようなRNAを作り出す。したがって、「転写物」という用語には、エクソン、イントロン、5’UTR、及び3’UTRを含めることができる。
【0090】
本明細書で使用されるとき「発現」という用語は、ポリヌクレオチドが遺伝子産物、例えば、RNAまたはポリペプチドを産生するプロセスを指す。これには、限定しないで、ポリヌクレオチドのメッセンジャーRNA(mRNA)への転写及びmRNAのポリペプチドへの翻訳が含まれる。発現は「遺伝子産物」を作り出す。本明細書で使用されるとき、遺伝子産物は遺伝子の転写によって生成される核酸、例えば、メッセンジャーRNA、または転写物から翻訳されるポリペプチドのいずれかであり得る。本明細書に記載されている遺伝子産物にはさらに、転写後修飾、例えば、ポリアデニル化もしくはスプライシングによる核酸、または翻訳後修飾、例えば、メチル化、グリコシル化、脂質の付加、他のタンパク質サブユニットとの会合、もしくはタンパク質分解切断によるポリペプチドが含まれる。
【0091】
2以上の核酸の文脈における「同一」または「同一性」パーセントという用語は、配列同一性の一部として保存的アミノ酸置換を考慮せずに、最大の対応について比較した及び並べた(必要に応じてギャップを導入する)ときに、同一である、または同一であるヌクレオチドもしくはアミノ酸残基の特定のパーセンテージを有する2以上の配列を指す。同一性パーセントは、配列比較ソフトウェアまたはアルゴリズムを使用して、または目視検査によって測定することができる。アミノ酸配列またはヌクレオチド配列の配列比較を得るために使用することができる種々のアルゴリズム及びソフトウェアが当該技術分野で知られている。
【0092】
配列比較アルゴリズムのそのような非限定的な例の1つはKarlin et al.,1990,Proc.Natl.Acad.Sci.,87:2264-2268に記載され、Karlin et al.,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.,90:5873-5877で変更され、かつNBLAST and XBLAST programs(Altschul et al.,1991,Nucleic Acids Res.,25:3389-3402)に組み込まれているアルゴリズムである。特定の態様では、Altschul et al.,1997,Nucleic Acids Res.25:3389-3402.BLAST-2,WU-BLAST-2(Altschul et al.,1996,Methods in Enzymology,266:460-480)に記載されているようなGapped BLASTを使用することができ、ALIGN,ALIGN-2(Genentech,South San Francisco,California)またはMegalign(DNASTAR)は配列を並べるのに使用することができる追加の公的に利用できるソフトウェアプログラムである。特定の態様では、2つのヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、GCGソフトウェアパッケージにおけるGAPプログラムを使用して(例えば、NWSgapdna.CMPマトリックスならびに40、50、60、70、または90のギャップ加重及び1、2、3、4、5、または6の長さ加重を使用して)決定される。特定の代替の態様では、Needleman及びWunsch(J.Mol.Biol.48:444-453(1970))のアルゴリズムを組み込んでいるGCGソフトウェアパッケージにおけるGAPプログラムを使用して2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントを決定することができる(例えば、Blosum 62マトリックスまたはPAM250マトリックスのいずれか、ならびに16、14、12、10、8、6、または4のギャップ加重及び1、2、3、4、5の長さ加重を使用して)。あるいは、特定の態様では、ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列の間の同一性パーセントはMyers及びMiller(CABIOS,4:11-17(1989))のアルゴリズムを使用して決定される。例えば、同一性パーセントは、ALIGNプログラム(バージョン2.0)を使用し、残基表、12のギャップ長ペナルティ及び4のギャップペナルティを持つPAM120を使用して決定することができる。当業者は、特定の配列比較ソフトウェアによって最大整列のための適切なパラメーターを決定することができる。特定の態様では、配列比較ソフトウェアの初期設定パラメーターが使用される。
【0093】
特定の態様では、第1のヌクレオチド配列の第2のヌクレオチド配列に対する同一性のパーセンテージ「X」は、100×(Y/Z)として算出され、その際、Yは第1及び第2の配列の配列比較において同一の一致としてスコア付けされたアミノ酸残基の数であり(目視検査または特定の配列比較プログラムによって並べたとき)、Zは第2の配列における残基の総数である。第1の配列の長さが第2の配列よりも長い場合、第1の配列の第2の配列に対する同一性パーセントは第2の配列の第1の配列に対する同一性パーセントよりも高いであろう。
【0094】
ポリヌクレオチド参照配列と整列する単一のポリヌクレオチド標的配列内のさまざまな領域は、それぞれ、それら自体の配列同一性パーセントを有することができる。配列同一性パーセント値は少数第2位で四捨五入されることが知られている。例えば、80.11、80.12、80.13、及び80.14は80.1に切り捨てられる一方で、80.15、80.16、80.17、80.18、及び80.19は80.2に切り上げられる。また、長さの値は常に整数であることも知られている。
【0095】
本明細書で使用されるとき、「相同」及び「相同性」という用語は、「同一性」及び「同一」という用語と相互交換可能である。
【0096】
「その天然に存在する変異型」という用語は、例えば、マウス、サル、及びヒトのような哺乳動物のような定義された分類群内に天然に存在するNLRP3ポリペプチド配列またはNLRP3核酸配列(例えば、転写物)の変異型を指す。通常、ポリヌクレオチドの「天然に存在する変異型」に言及する場合、その用語はまた、染色体の転座または複製によって染色体位置1q44にて見いだされる247、416、156~247、449、108でのNLRP3をコードするゲノムDNA(すなわち、GenBank受入番号NC_000001.11のヌクレオチド247、416、156~247、449、108)、及びそれに由来するmRNAのようなRNAの任意の対立遺伝子変異型も包含することができる。「天然に存在する変異型」は、NLRP3 mRNAの選択的スプライシングに由来する変異型も含むことができる。特定のポリペプチド配列に言及する場合、例えば、この用語はまた、タンパク質の天然に存在する形態を含み、したがって、例えば、シグナルペプチド切断、タンパク質分解切断、グリコシル化、等のような同時修飾または翻訳後修飾によって処理され得る形態を含む。
【0097】
本開示のASO(またはその領域)と、本明細書で開示されているもののような哺乳動物NLRP3(例えば、NLRP3遺伝子)をコードする核酸の標的領域との間の「相補性」の程度を決定する際に、「相補性」の程度(また、「相同性」または「同一性」)は、ASO(またはその領域)の配列とそれと最もよく整列する標的領域(または標的領域の逆相補体)の配列との間の同一性パーセンテージ(または相同性パーセンテージ)として表される。パーセンテージは2つの配列間で同一である整列した塩基の数を数え、ASO内の連続する単量体の総数で割り、100を掛けることによって算出される。そのような比較において、ギャップが存在する場合、そのようなギャップは、本開示のASOと標的領域との間でギャップ内の単量体の数が異なる領域ではなく、単にミスマッチであることが好ましい。
【0098】
本明細書で使用されるとき「相補体」という用語は参照配列に相補性の配列を示す。相補性は、それが2つのDNAまたはRNAの配列間で共有される特性であるようにDNAの複製及び転写の基本原理であることが周知であるので、互いに逆平行に整列すると、配列の各位置でのヌクレオチド塩基は鏡を見て物事の逆を見るのと同じように相補性であろう。したがって、例えば、5’「ATGC」3’の配列の相補体は、3’「TACG」5’または5’「GCAT」3’と書くことができる。本明細書で使用されるとき「逆相補体」、「逆相補性の」、及び「逆相補性」という用語は、「相補性」、「相補性の」、及び「相補性」という用語と相互交換可能である。いくつかの態様では、「相補性の」という用語は、NLRP3転写物内の連続する核酸配列に対する100%の一致または相補性(すなわち、完全に相補性の)を指す。いくつかの態様では、「相補性」という用語は、NLRP3転写物内の連続する核酸配列に対する少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の一致または相補性を指す。
【0099】
特定の配列のヌクレオチドに異なる番号を付けることができるけれども、2つの別個の核酸またはヌクレオチドの配列を参照する場合、「に対応している」及び「に対応する」という用語は、相同性及び/または機能性に基づいて互いに対応するまたは類似する配列の領域を明確にするために使用することができる。例えば、遺伝子転写物の異なるアイソフォームは、その番号付けが選択的スプライシング及び/または他の修飾に基づいてそれぞれのアイソフォームで異なることができるヌクレオチド配列の類似のまたは保存された部分を有することができる。加えて、核酸またはヌクレオチドの配列を特徴づける(例えば、遺伝子転写物、及び翻訳開始コドンから配列の番号付けを開始するかどうか、または5’UTRを含めるかどうか)ときに、異なる番号付けシステムを使用できることが認識されている。さらに、遺伝子または遺伝子転写物のさまざまな変異型の核酸またはヌクレオチドの配列は変化し得ることが認識されている。しかしながら、本明細書で使用されるとき、核酸またはヌクレオチドの配列の相同性及び/または機能性を共有する変異型の領域は互いに「対応する」と見なされる。例えば、配列番号1(「参照配列」)のヌクレオチドXからYに対応するNLRP3転写物のヌクレオチド配列は、配列番号1のヌクレオチドXからYと同一の配列または同様の配列を有するNLRP3転写物配列、例えば、NLRP3のプレmRNAまたはmRNAを指し、その際、Xは開始部位であり、Yは終止部位である(図1に示されるように)。当業者は、NLRP3転写物配列を配列番号1と整列させることによってNLRP3転写物配列における対応するX及びYの残基を特定することができる。
【0100】
「対応するヌクレオチド類似体」及び「対応するヌクレオチド」という用語は、ヌクレオチド類似体及び天然に存在するヌクレオチドにおける核酸塩基が同じ対形成またはハイブリッド形成する能力を有することを示すように意図される。例えば、ヌクレオチドの2-デオキシリボース単位がアデニンに連結されている場合、「対応するヌクレオチド類似体」は、アデニンに連結されたペントース単位(2-デオキシリボースとは異なる)を含有する。
【0101】
ASO化学の注釈は次の通りである:ベータ-D-オキシLNAヌクレオチドはOxyBによって示され、その際、Bはチミン(T)、ウリジン(U)、シトシン(C)、5-メチルシトシン(MC)、アデニン(A)またはグアニン(G)のようなヌクレオチド塩基を指定するので、OxyA、OxyT、OxyMC、OxyC及びOxyGが含まれる。DNAヌクレオチドはDNAbによって示され、その際、低級塩基bはチミン(T)、ウリジン(U)、シトシン(C)、5-メチルシトシン(MC)、アデニン(A)またはグアニン(G)のようなヌクレオチド塩基を指定するので、DNAa、DNAt、DNA及びDNAgが含まれる。Cまたはcの前の文字Mは5-メチルシトシンを示す。「s」という文字はホスホロチオエートヌクレオチド間結合を示す。
【0102】
「ASO番号」または「ASO No.」という用語は本明細書で使用されるとき、成分、例えば、ヌクレオシド(例えば、DNA)、ヌクレオシド類似体(例えば、ベータ-D-オキシ-LNA)、核酸塩基(例えば、A、T、G、C、U、またはMC)、及び主鎖構造(例えば、ホスホロチオエートまたはホスホロジエステル)の詳細な化学構造を有するヌクレオチド配列に与えられる固有の番号を指す。例えば、ASO-NLRP3-206はNLRP3-206(配列番号101)を指すことができる。
【0103】
「効力」は通常、特に明記しない限り、IC50またはEC50の値としてμM、nM、またはpMで表される。効力は阻害率という点で表すこともできる。IC50は治療用分子の阻害濃度の中央値である。EC50はビヒクルまたは対照(例えば、生理食塩水)と比べた治療用分子の有効濃度の中央値である。機能的アッセイでは、IC50は生物学的応答、例えば、mRNAの転写またはタンパク質発現を、治療用分子によって達成される生物学的応答の50%まで低減する治療用分子の濃度である。機能的アッセイでは、EC50は生物学的応答、例えば、mRNAの転写またはタンパク質発現の50%を生じる治療用分子の濃度である。IC50またはEC50は当該技術分野で知られているいくつもの手段によって計算することができる。
【0104】
本明細書で使用されるとき、例えば、NLRP3遺伝子転写物及び/またはNLRP3タンパク質の発現を「阻害する」という用語は、細胞または組織におけるNLRP3遺伝子転写物及び/またはNLRP3タンパク質の発現を低減するASOを指す。いくつかの態様では、「阻害する」という用語はNLRP3遺伝子転写物またはNLRP3タンパク質の完全な阻害(100%阻害または検出不可能なレベル)を指す。他の態様では、「阻害する」という用語は、細胞または組織におけるNLRP3遺伝子転写物及び/またはNLRP3タンパク質の発現の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%の阻害を指す。
【0105】
本明細書で使用されるとき、「細胞外小胞」または「EV」という用語は内部空間を囲い込む膜を含む細胞由来の小胞を指す。細胞外小胞はそれらが由来する細胞よりも小さい直径を有するすべての膜結合小胞(例えば、エクソソーム、ナノ小胞)を含む。いくつかの態様では、細胞外小胞は直径が20nM~1000nMの範囲であり、内部空間(すなわち、内腔)内で、細胞外小胞の外面に表示されて、及び/または膜をまたいでのいずれかで種々の高分子ペイロードを含むことができる。いくつかの態様では、ペイロードは、核酸、タンパク質、炭水化物、脂質、小分子、及び/またはそれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの態様では、細胞外小胞は足場部分を含む。例として、かつ限定することなく、細胞外小胞には、アポトーシス小体、細胞の断片、直接的操作または間接的操作による細胞由来の小胞(例えば、連続押出またはアルカリ溶液での処理による)、小胞化オルガネラ、及び生細胞により産生される小胞(例えば、直接原形質膜出芽または後期エンドソームの原形質膜との融合による)が含まれる。細胞外小胞は、生きているもしくは死んだ生物、外植された組織もしくは器官、原核細胞または真核細胞、及び/または培養された細胞に由来することができる。いくつかの態様では、細胞外小胞は1以上の導入遺伝子産物を発現する細胞によって生成される。
【0106】
本明細書で使用されるとき、「エクソソーム」という用語は直径が20~300nm(例えば、40~200nm)の細胞外小胞を指す。エクソソームは、内部空間(すなわち、内腔)を囲い込む膜を含み、いくつかの態様では、直接の原形質膜出芽によって、または後期エンドソームと原形質膜との融合によって、細胞(例えば、産生細胞)から生成され得る。いくつかの態様では、エクソソームは足場部分を含む。以下に記載されているように、エクソソームは、産生細胞に由来することができ、そのサイズ、密度、生化学的パラメーター、またはそれらの組み合わせに基づいて産生細胞から単離され得る。いくつかの態様では、本開示のEV、例えば、エクソソームは、1以上の導入遺伝子産物を発現する細胞によって生成される。
【0107】
本明細書で使用されるとき、「ナノ小胞」という用語は、20~250nm(例えば、30~150nm)の直径を持つ細胞外小胞を指し、ナノ小胞が操作なしでは細胞によって産生されないように直接的操作または間接的操作によって細胞(例えば、産生細胞)から生成される。ナノ小胞を産生する細胞の適切な操作には、連続押出、アルカリ溶液による処理、超音波処理、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの態様では、ナノ小胞の産生は産生細胞の破壊をもたらすことができる。いくつかの態様では、本明細書に記載されているナノ小胞の集団は、原形質膜からの直接出芽または後期エンドソームの原形質膜との融合によって産生細胞から導出される小胞を実質的に含まない。いくつかの態様では、ナノ小胞は足場部分を含む。ナノ小胞は、いったん産生細胞から導出されると、そのサイズ、密度、生化学的パラメーター、またはそれらの組み合わせに基づいて産生細胞から単離することができる。
【0108】
本明細書で使用されるとき、「表面操作されたEV、例えば、エクソソーム」(例えば、足場Xで操作されたEV、例えば、エクソソーム)は、操作されたEV、例えば、エクソソームの表面が操作前のEV、例えば、エクソソームの表面、または天然に存在するEV、例えば、エクソソームの表面と異なるようにその組成で修飾されたEV、例えば、エクソソームの膜または表面を持つEV、例えば、エクソソームを指す。操作することは、EV、例えば、エクソソームの表面、またはEV、例えば、エクソソームの膜であり得るので、EV、例えば、エクソソームの表面が変化する。例えば、膜はタンパク質、脂質、小分子、炭水化物などの組成で修飾される。組成は、化学的な、物理的な、または生物学的な方法によって、または化学的な、物理的な、または生物学的な方法によって以前にまたは同時に修飾された細胞から生成されることによって変化させることができる。具体的には、組成は、遺伝子工学によって、または遺伝子工学によって以前に修飾された細胞から生成されることによって変化させることができる。いくつかの態様では、表面操作されたEV、例えば、エクソソームは、EV、例えば、エクソソームの表面に対して露出することができる、またはEV、例えば、エクソソームの表面で露出された部分に対する固定点(付着)であり得る外因性タンパク質(すなわち、EV、例えば、エクソソームが天然に発現しないタンパク質)またはその断片または変異型を含む。いくつかの態様では、表面操作されたEV、例えば、エクソソームは、EV、例えば、エクソソームの表面に対して露出することができる、またはEV、例えば、エクソソームの表面で露出された部分に対する固定点(付着)であり得る天然のエクソソームタンパク質(例えば、足場X)またはその断片または変異型のさらに高い発現(例えば、さらに高い数)を含む。
【0109】
本明細書で使用されるとき、「内腔操作されたEV、例えば、エクソソーム」(例えば、足場Yで操作されたEV、例えば、エクソソーム)は、操作されたEV、例えば、エクソソームの内腔が操作前のEV、例えば、エクソソームの内腔、または天然に存在するEV、例えば、エクソソームの内腔と異なるようにその組成で修飾されたEV、例えば、エクソソームの膜または内腔を持つEV、例えば、エクソソームを指す。操作することは、EV、例えば、エクソソームの内腔が変化するようにEV、例えば、エクソソームの内腔または膜にて直接的であり得る。例えば、膜はタンパク質、脂質、小分子、炭水化物などの組成で修飾されるので、EV、例えば、エクソソームの内腔が修飾される。組成は、化学的な、物理的な、または生物学的な方法によって、または化学的な、物理的な、または生物学的な方法によって以前に修飾された細胞から生成されることによって変化させることができる。具体的には、組成は、遺伝子工学によって、または遺伝子工学によって以前に修飾された細胞から生成されることによって変化させることができる。いくつかの態様では、内腔操作されたエクソソームは、EV、例えば、エクソソームの内腔にて露出することができる、またはEV、例えば、エクソソームの内層で露出された部分に対する固定点(付着)であり得る外因性タンパク質(すなわち、EV、例えば、エクソソームが天然に発現しないタンパク質)またはその断片または変異型を含む。いくつかの態様では、内腔操作されたEV、例えば、エクソソームは、EV、例えば、エクソソームの内腔に対して露出することができる、またはエクソソームの内腔で露出された部分に対する固定点(付着)であり得る天然のエクソソームタンパク質(例えば、足場Xまたは足場Y)またはその断片または変異型のさらに高い発現を含む。
【0110】
「修飾された」という用語は、本明細書に記載されているEV、例えば、エクソソームの文脈で使用される場合、EV、例えば、エクソソーム及び/または産生細胞の改変または操作を指すので、修飾されたEV、例えば、エクソソームは天然に存在するEV、例えば、エクソソームとは異なる。いくつかの態様では、本明細書に記載されている修飾されたEV、例えば、エクソソームは、天然に存在するEV、例えば、エクソソームの膜と比べて、タンパク質、脂質、小分子、炭水化物などの組成が異なる膜を含む(例えば、膜は天然のエクソソームタンパク質のさらに高い密度または数を含み、及び/または膜はエクソソームでは天然に見いだされないタンパク質、例えば、ASOを含む)。特定の態様では、膜へのそのような修飾は、EV、例えば、エクソソーム(例えば、本明細書に記載されている表面操作されたEV、例えば、エクソソーム)の外面を変化させる。特定の態様では、膜に対するそのような修飾は、EV、例えば、エクソソーム(例えば、本明細書に記載されている内腔操作されたEV、例えば、エクソソーム)の内腔を変化させる。
【0111】
本明細書で使用されるとき、「足場部分」という用語は、EV、例えば、エクソソームの内腔表面または外面のいずれかにペイロードまたは目的の他の化合物(例えば、ASO)を固定するのに使用することができる分子を指す。特定の態様では、足場部分は合成分子を含む。いくつかの態様では、足場部分は非ポリペプチド部分を含む。他の態様では、足場部分はEV、例えば、エクソソームに天然に存在する脂質、炭水化物、またはタンパク質を含む。いくつかの態様では、足場部分はEV、例えば、エクソソームに天然には存在しない脂質、炭水化物、またはタンパク質を含む。特定の態様では、足場部分は足場Xである。いくつかの態様では、足場部分は足場Yである。さらなる態様では、足場部分は、足場X及び足場Yの双方を含む。本開示とともに使用することができる他の足場部分の非限定的な例には:アミノペプチダーゼN(CD13);ネプリライシン、膜メタロエンドペプチダーゼ(MME);エクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼファミリーメンバー1(ENPP1);ニューロピリン-1(NRP1);CD9、CD63、CD81、PDGFR、GPIアンカータンパク質、ラクタドヘリン(MFGE8)、LAMP2、及びLAMP2Bが挙げられる。
【0112】
本明細書で使用されるとき、「足場X」という用語はエクソソームの表面上で最近同定されているエクソソームタンパク質を指す。例えば、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第10,195,290号を参照のこと。足場Xタンパク質の非限定的な例には、プロスタグランジンF2受容体ネガティブレギュレーター(「PTGFRNタンパク質」);バシギン(「BSGタンパク質」);免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバー2(「IGSF2タンパク質」);免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー3(「IGSF3タンパク質」);免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバー8(「IGSF8タンパク質」);インテグリンベータ1(「ITGB1タンパク質」);インテグリンアルファ-4(「ITGA4タンパク質」);4F2細胞表面抗原重鎖(「SLC3A2タンパク質」);ATP輸送タンパク質のクラス(「ATP1A1タンパク質」、「ATP1A2タンパク質」、「ATP1A3タンパク質」、「ATP1A4タンパク質」、「ATP1B3タンパク質」、「ATP2B1タンパク質」、「ATP2B2タンパク質」、「ATP2B3タンパク質」、「ATP2Bタンパク質」)及びそれらの機能的な断片が挙げられる。いくつかの態様では、足場Xタンパク質は、タンパク質全体またはその断片(例えば、機能的断片、例えば、EV、例えば、エクソソームの外面または内腔表面上に別の部分を固定することができる最小断片)であり得る。いくつかの態様では、足場Xは部分(例えば、ASO)をエクソソームの外面または内腔表面に固定することができる。
【0113】
本明細書で使用されるとき、「足場Y」という用語は、エクソソームの内腔内で新たに同定されたエクソソームタンパク質を指す。例えば、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる国際公開番号WO/2019/099942を参照のこと。足場Yタンパク質の非限定的な例には、ミリストイル化されたアラニンに富むプロテインキナーゼC基質(「MARCKSタンパク質」);ミリストイル化されたアラニンに富むプロテインキナーゼC基質様1(「MARCKSL1タンパク質」);脳の酸可溶性タンパク質1(「BASP1タンパク質」)が挙げられる。いくつかの態様では、足場Yタンパク質はタンパク質全体またはその断片(例えば、機能的断片、例えば、エクソソームの内腔表面に部分を固定することができる最小断片)であり得る。いくつかの態様では、足場Yは部分(例えば、ASO)をEV、例えば、エクソソームの内腔表面に固定することができる。いくつかの態様では、足場Yは部分(例えば、ASO)をEV、例えば、エクソソームの外面に固定することができる。
【0114】
本明細書中で使用されるとき、タンパク質(例えば、治療用タンパク質、足場X、または足場Y)の「断片」という用語は、天然に存在する配列よりも短いタンパク質のアミノ酸配列、天然に存在するタンパク質と比べてN及び/またはC末端を欠失した、またはタンパク質の一部を欠失したアミノ酸配列を指す。本明細書で使用されるとき、「機能的断片」という用語はタンパク質機能を保持するタンパク質断片を指す。したがって、いくつかの態様では、足場Xタンパク質の機能的断片は部分をEV、例えばエクソソームの内腔表面または外面に固定する能力を保持する。同様に、特定の態様では、足場Yタンパク質の機能的断片はEV、例えば、エクソソームの内腔表面または外面に部分を固定する能力を保持する。断片が機能的断片であるかどうかは、ウエスタンブロット、FACS分析、及び、例えばGFPのような自家蛍光タンパク質との断片の融合を含む、EV、例えば、エクソソームのタンパク質含量を決定するための任意の既知の方法によって評価することができる。特定の態様では、足場Xタンパク質の機能的断片は、天然に存在する足場Xタンパク質の能力、例えば、部分を固定する能力の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または少なくとも約100%を保持する。いくつかの態様では、足場Yタンパク質の機能的断片は天然に存在する足場Yタンパク質の能力、例えば、別の分子を固定する能力の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または少なくとも約100%を保持する。
【0115】
本明細書で使用されるとき、分子(例えば、機能性分子、抗原、足場X及び/または足場Y)の「変異型」という用語は、当該技術分野で既知の方法による比較の際に、別の分子と特定の構造的及び機能的同一性を共有する分子を指す。例えば、タンパク質の変異型は、別のタンパク質における置換、挿入、欠失、フレームシフトまたは再構成を含むことができる。
【0116】
いくつかの態様では、足場Xの変異型は、完全長の成熟したPTGFRN、BSG、IGSF2、IGSF3、IGSF8、ITGB1、ITGA4、SLC3A2、またはATP輸送タンパク質、またはPTGFRN、BSG、IGSF2、IGSF3、IGSF8、ITGB1、ITGA4、SLC3A2、またはATP輸送タンパク質の断片(例えば、機能的断片)に対して少なくとも約70%の同一性を有する変異型を含む。いくつかの態様では、PTGFRNの変異型またはPTGFRNの断片の変異型は、配列番号301に係るPTGFRNまたはその機能的断片と少なくとも約70%,少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または、少なくとも約99%の配列同一性を共有する。いくつかの態様では、BSGの変異型またはBSGの断片の変異型は、配列番号303に係るBSGまたはその機能的断片と少なくとも約70%,少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または、少なくとも約99%の配列同一性を共有する。いくつかの態様では、IGSF2の変異型またはIGSF2の断片の変異型は、配列番号308に係るIGSF2またはその機能的断片と少なくとも約70%,少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または、少なくとも約99%の配列同一性を共有する。いくつかの態様では、IGSF3の変異型またはIGSF3の断片の変異型は、配列番号309に係るIGSF3またはその機能的断片と少なくとも約70%,少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または、少なくとも約99%の配列同一性を共有する。いくつかの態様では、IGSF8の変異型またはIGSF8の断片の変異型は、配列番号304に係るIGSF8またはその機能的断片と少なくとも約70%,少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または、少なくとも約99%の配列同一性を共有する。いくつかの態様では、ITGB1の変異型またはITGB1の断片の変異型は、配列番号305に係るITGB1またはその機能的断片と少なくとも約70%,少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または、少なくとも約99%の配列同一性を共有する。いくつかの態様では、ITGA4の変異型またはITGA4の断片の変異型は、配列番号306に係るITGA4またはその機能的断片と少なくとも約70%,少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または、少なくとも約99%の配列同一性を共有する。いくつかの態様では、SLC3A2の変異型またはSLC3A2の断片の変異型は、配列番号307に係るSLC3A2またはその機能的断片と少なくとも約70%,少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または、少なくとも約99%の配列同一性を共有する。いくつかの態様では、ATP1A1の変異型またはATP1A1の断片の変異型は、配列番号310に係るATP1A1またはその機能的断片と少なくとも約70%,少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または、少なくとも約99%の配列同一性を共有する。いくつかの態様では、ATP1A2の変異型またはATP1A2の断片の変異型は、配列番号311に係るATP1A2またはその機能的断片と少なくとも約70%,少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または、少なくとも約99%の配列同一性を共有する。いくつかの態様では、ATP1A3の変異型またはATP1A3の断片の変異型は、配列番号312に係るATP1A3またはその機能的断片と少なくとも約70%,少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または、少なくとも約99%の配列同一性を共有する。いくつかの態様では、ATP1A4の変異型またはATP1A4の断片の変異型は、配列番号313に係るATP1A4またはその機能的断片と少なくとも約70%,少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または、少なくとも約99%の配列同一性を共有する。いくつかの態様では、ATP1B3の変異型またはATP1B3の断片の変異型は、配列番号314に係るATP1B3またはその機能的断片と少なくとも約70%,少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または、少なくとも約99%の配列同一性を共有する。いくつかの態様では、ATP2B1の変異型またはATP2B1の断片の変異型は、配列番号315に係るATP2B1またはその機能的断片と少なくとも約70%,少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または、少なくとも約99%の配列同一性を共有する。いくつかの態様では、ATP2B2の変異型またはATP2B2の断片の変異型は、配列番号316に係るATP2B2またはその機能的断片と少なくとも約70%,少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または、少なくとも約99%の配列同一性を共有する。いくつかの態様では、ATP2B3の変異型またはATP2B3の断片の変異型は、配列番号317に係るATP2B3またはその機能的断片と少なくとも約70%,少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または、少なくとも約99%の配列同一性を共有する。いくつかの態様では、ATP2B4の変異型またはATP2B4の断片の変異型は、配列番号318に係るATP2B4またはその機能的断片と少なくとも約70%,少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または、少なくとも約99%の配列同一性を共有する。いくつかの態様では、本明細書で開示されている足場Xタンパク質の変異型または足場Xタンパク質の断片の変異型は、EV、例えば、エクソソームに特異的に向けられる能力を保持する。いくつかの態様では、足場Xは1以上の変異、例えば、保存的アミノ酸置換を含む。
【0117】
いくつかの態様では、足場Yの変異型はMARCKS、MARCKSL1、BASP1またはMARCKS、MARCKSL1、もしくはBASP1の断片に対して少なくとも70%の同一性を有する変異型を含む。いくつかの態様では、MARCKSの変異型またはMARCKSの断片の変異型は、配列番号401に係るMARCKSまたはその機能的断片と少なくとも約70%,少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または、少なくとも約99%の配列同一性を共有する。いくつかの態様では、MARCKSL1の変異型またはMARCKSL1の断片の変異型は、配列番号402に係るMARCKSL1またはその機能的断片と少なくとも約70%,少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または、少なくとも約99%の配列同一性を共有する。いくつかの態様では、BASP1の変異型またはBASP1の断片の変異型は、配列番号403に係るBASP1またはその機能的断片と少なくとも約70%,少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または、少なくとも約99%の配列同一性を共有する。いくつかの態様では、足場Yタンパク質の変異型または足場Yタンパク質の断片の変異型はEV、例えば、エクソソームの内腔表面を特異的に向けられる能力を保持する。いくつかの態様では、足場Yは1以上の変異、例えば、保存的アミノ酸置換を含む。
【0118】
「保存的アミノ酸置換」とは、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基に置換される置換である。塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む類似の側鎖を有するアミノ酸残基ファミリーが当該技術分野において定義されている。したがって、ポリペプチドにてアミノ酸が同じ側鎖ファミリーからの別のアミノ酸で置換されている場合、その置換は保存的であると見なされる。別の態様では、ひと続きのアミノ酸は、側鎖ファミリーメンバーの順序及び/または組成が異なる構造的に類似したひと続きで保守的に置き換えることができる。
【0119】
2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチドの配列間の「配列同一性パーセント」または「同一性パーセント」という用語は、2つの配列の最適な配列比較のために導入しなければならない追加または欠失(すなわち、ギャップ)を考慮に入れ、比較ウィンドウ上で配列によって共有される同一の一致位置の数を指す。一致した位置とは、標的配列と参照配列の双方で同一のヌクレオチドまたはアミノ酸が提示されている任意の位置である。ギャップはヌクレオチドまたはアミノ酸ではないので、標的配列で提示されるギャップはカウントされない。同様に、参照配列からのヌクレオチドまたはアミノ酸ではなく、標的配列のヌクレオチドまたはアミノ酸がカウントされるため、参照配列に提示されたギャップはカウントされない。
【0120】
「配列同一性のパーセンテージ」という用語は、双方の配列において同一のアミノ酸残基または核酸塩基が存在する位置の数を決定し、一致した位置の数を得て、一致した位置の数を比較ウィンドウにおける位置の総数で割り、結果に100を乗じて、配列同一性のパーセンテージを得ることによって算出される。配列の比較及び2つの配列間の配列同一性パーセントの決定は、オンライン使用及びダウンロード用の双方で容易に入手可能なソフトウェアを使用して達成されてもよい。好適なソフトウェアプログラムは、さまざまな情報源から、タンパク質とヌクレオチドの配列の双方の配列比較に利用できる。配列同一性パーセントを決定するのに好適なプログラムの1つは、米国政府の国立バイオテクノロジー情報センターBLAST Webサイト(blast.ncbi.nlm.nih.gov)から入手可能なプログラムのBLASTスイートの一部であるbl2seqである。Bl2seqは、BLASTNまたはBLASTPのアルゴリズムのいずれかを使用して2つの配列間の比較を行う。BLASTNは核酸配列を比較するのに使用される一方で、BLASTPはアミノ酸配列を比較するのに使用される。他の好適なプログラムは、例えば、バイオインフォマティクスプログラムのEMBOSSスイートの一部であるNeedle,Stretcher,Water,or Matcherであり、欧州バイオインフォマティクス研究所(EBI)(www.ebi.ac.uk/Tools/psa)からも入手できる。
【0121】
ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの参照配列と整列する単一のポリヌクレオチドまたはポリペプチドの標的配列内のさまざまな領域は、それぞれ、それら自体の配列同一性パーセントを有することができる。配列同一性パーセント値は少数第2位で四捨五入されることが知られている。例えば、80.11、80.12、80.13、及び80.14は80.1に切り捨てられる一方で、80.15、80.16、80.17、80.18、及び80.19は80.2に切り上げられる。また、長さの値は常に整数であることも知られている。
【0122】
当業者は、配列同一性パーセントの計算のための配列比較の生成が、一次配列データによって排他的に決定される二元配列-配列比較に限定されないことを理解するであろう。配列の配列比較は複数の配列の配列比較から導き出すことができる。複数の配列の配列比較を生成するための好適なプログラムの1つは、www.clustal.orgから入手できるClustalW2である。もう1つの好適なプログラムは、www.drive5.com/muscle/から入手できるMUSCLEである。ClustalW2とMUSCLEは、例えば、EBIから代替的に入手できる。
【0123】
配列の配列比較は、配列データを、構造データ(例えば、結晶学的タンパク質構造)、機能データ(例えば、突然変異の位置)、または系統発生データのような異種情報源からのデータと統合することによって生成することができることも理解されるであろう。異種データを統合して多重配列の配列比較を生成するのに好適なプログラムはwww.tcoffee.orgで入手できるT-Coffeeであり、例えば、EBIから代替的に入手できる。配列同一性パーセントを計算するために使用される最終的な配列比較は、自動または手動のいずれかでキュレートされてもよいことも理解されるであろう。
【0124】
ポリヌクレオチド変異型は、コード領域、非コード領域、またはその双方に改変を含有することができる。一態様では、ポリヌクレオチド変異型は、サイレント置換、付加、または欠失を生じるが、コードされたポリペプチドの特性または活性を変化させない改変を含有する。別の態様では、ヌクレオチド変異型は、遺伝子コードの縮重によるサイレント置換によって生成される。他の態様では、5~10、1~5、または1~2のアミノ酸が任意の組み合わせで置換され、欠失し、または付加されている変異型。種々の理由で、例えば、特定の宿主のコドン発現を最適化するために(ヒトmRNAのコドンを他の宿主、例えば、E.coliのような細菌宿主に変更する)ポリヌクレオチド変異型を作り出すことができる。
【0125】
天然に存在する変異型は「対立遺伝子変異型」と呼ばれ、生物の染色体上の特定の遺伝子座を占める遺伝子のいくつかの代替形態の1つを指す(Genes II,Lewin,B.,ed.,John Wiley & Sons,New York(1985))。これらの対立遺伝子変異型は、ポリヌクレオチド及び/またはポリペプチドのレベルのいずれかで変化することができ、本開示に含まれる。あるいは、天然に存在しない変異型は、突然変異誘発技術によって、または直接合成によって作り出すことができる。
【0126】
タンパク質工学及び組換えDNA技術の既知の方法を使用して、ポリペプチドの特性を改善するまたは改変するために変異型を生成することができる。例えば、生物学的機能を実質的に失うことなく、分泌されたタンパク質のN末端またはC末端から1以上のアミノ酸を欠失させることができる。その全体が参照によって本明細書に組み込まれるRon et al.,J.Biol.Chem.268:2984-2988(1993)は、3、8、または27のアミノ末端アミノ酸残基を欠失させた後でさえ、ヘパリン結合活性を有する変異型KGFタンパク質を報告した。同様に、インターフェロンガンマは、このタンパク質のカルボキシ末端から8~10のアミノ酸残基を欠失させた後、最大10倍高い活性を示した。(Dobeli et al.,J.Biotechnology 7:199-216(1988)(その全体が参照によって本明細書に組み込まれる))。
【0127】
さらに、豊富な証拠は、変異型が天然に存在するタンパク質と同様の生物活性を保持することが多いことを実証している。例えば、Gayle及び共同研究者(その全体が参照によって本明細書に組み込まれるJ.Biol.Chem 268:22105-22111,(1993))は、ヒトサイトカインIL-1aの広範な突然変異分析を行った。彼らは無作為突然変異誘発を使用して、分子の全長にわたって変異型ごとに平均2.5アミノ酸の変化を示す3,500を超える個々のIL-1a突然変異型を生成した。考えられるすべてのアミノ酸位置で複数の突然変異を調べた。研究者らは、「分子のほとんどは、[結合活性または生物活性]にほとんど影響を与えることなく改変されてもよい」ことを見いだした。(要約を参照)実際、調べた3,500を超えるヌクレオチド配列のうち23の固有のアミノ酸配列のみが、野生型とは活性が大幅に異なるタンパク質を作り出した。
【0128】
上記のように、ポリペプチド変異型には、例えば、修飾されたポリペプチドが含まれる。修飾には、例えば、アセチル化、アシル化、ADP-リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスホチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合架橋の形成、システインの形成、ピログルタミン酸の形成、ホルミル化、γ-カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、ペグ化(その全体が参照によって本明細書に組み込まれるMei et al.,Blood,116:270-79,(2010))、タンパク質分解プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アルギニル化及びユビキチン化のようなタンパク質へのアミノ酸の転移-RNA介在性付加が挙げられる。いくつかの態様では、足場X及び/または足場Yは任意の好都合な位置で修飾される。
【0129】
本明細書で使用されるとき、「に連結される」または「にコンジュゲートされる」という用語は相互交換可能に使用され、第1の部分と第2の部分、例えば、それぞれ足場XとASO、例えば、細胞外小胞の中または上に発現される足場部分とASO、及び例えば、細胞外小胞の内腔表面内または外面上の、それぞれ足場X(例えば、PTGFRNタンパク質)とASOの間にそれぞれ形成される共有結合または非共有結合を指す。
【0130】
「被包された」という用語、またはこの用語の文法的に異なる形態(例えば、被包化、または被包すること)は、2つの部分を化学的にまたは物理的に連結せずに第2の部分(例えば、EV、例えば、エクソソーム)の内部に第1の部分を有する状態またはプロセスを指す。いくつかの態様では、「被包された」という用語は、「の内腔の中で」と相互交換可能に使用することができる。第1の部分(例えば、ASO)を第2の部分(例えば、EV、例えば、エクソソーム)に被包する非限定的な例は本明細書の他の場所に開示されている。
【0131】
本明細書で使用されるとき、「産生細胞」という用語は、EV、例えば、エクソソームを生成するために使用される細胞を指す。産生細胞は、試験管内で培養された細胞、または生体内での細胞であり得る。産生細胞には、EV、例えば、エクソソームを生成するのに効果的であることが知られている細胞、例えば、HEK293細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、間葉系幹細胞(MSC)、BJヒト包皮線維芽細胞、fHDF線維芽細胞、AGE.HN(登録商標)神経前駆細胞、CAP(登録商標)羊膜細胞、脂肪間葉系幹細胞、及びRPTEC/TERT1細胞が挙げられるが、これらに限定されない。特定の態様では、産生細胞は抗原提示細胞ではない。いくつかの態様では、産生細胞は、樹状細胞、B細胞、肥満細胞、マクロファージ、好中球、クッパー・ブロウィッツ細胞、これらの細胞のいずれかに由来する細胞、またはそれらの任意の組み合わせではない。いくつかの態様では、本開示で有用なEV、例えば、エクソソームは、EV、例えば、エクソソームの表面に露出したMHCクラスIまたはクラスIIの分子に抗原を運ばないが、代わりに、足場X及び/または足場Yへの結合によってEV、例えば、エクソソームの内腔またはEV、例えば、エクソソームの表面に抗原を運ぶことができる。
【0132】
本明細書で使用されるとき、「単離する」、「単離された」、及び「単離すること」または「精製する」、「精製された」、及び「精製すること」、同様に「抽出された」及び「抽出すること」という用語は相互交換可能に使用され、所望のEV調製物の精製、例えば、選択または濃縮の1以上のプロセスを経験している所望のEVの調製(例えば、複数の既知または未知の量及び/または濃度)の状態を指す。いくつかの態様では、本明細書で使用されるとき単離することまたは精製することは、産生細胞を含有する試料からEVを取り出す、部分的に取り出す(例えば、画分)プロセスである。いくつかの態様では、単離されたEV組成物は検出可能な望ましくない活性を有さない、または代わりに、望ましくない活性のレベルもしくは量は許容されるレベルもしくは量である、もしくはそれを下回る。他の態様では、単離されたEV組成物は、許容される量及び/または濃度以上の所望のEVの量及び/または濃度を有する。他の態様では、単離されたEV組成物は、組成物が得られる出発材料(例えば、産生細胞調製物)と比べて濃縮される。この濃縮は、出発材料と比べて10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、99.99%、99.999%、99.9999%、または99.9999%超であり得る。いくつかの態様では、単離されたEV調製物は残留する生物学的産物を実質的に含まない。いくつかの態様では、単離されたEV調製物は、いかなる汚染生物物質も100%含まない、99%含まない、98%含まない、97%含まない、96%含まない、95%含まない、94%含まない、93%含まない、92%含まない、91%含まない、または90%含まない。残留生物学的産物は、非生物物質(化学物質を含む)または不要な核酸、タンパク質、脂質、もしくは代謝産物を含むことができる。残留生物学的産物を実質的に含まないことはまた、EV組成物が検出可能な産生細胞を含有しないことと、EVのみが検出可能であることとを意味することができる。
【0133】
本明細書で使用されるとき、「ペイロード」という用語はEVと接触する標的(例えば、標的細胞)に作用する薬剤を指す。EV、例えば、エクソソームに含めることができるペイロードの非限定的な例はASOである。EV、例えば、エクソソーム及び/または産生細胞に導入することができるペイロードには、例えば、ヌクレオチド(例えば、検出可能な部分もしくは毒素を含む、または転写を妨害するヌクレオチド)、核酸(例えば、酵素のようなポリペプチドをコードするDNAもしくはmRNAの分子、またはmiRNA、dsDNA、lncRNA、siRNAのような制御機能を有するRNA分子)、アミノ酸(例えば、検出可能な部分もしくは毒素を含むまたは翻訳を妨害するアミノ酸)、ポリペプチド(例えば、酵素)、脂質、炭水化物、小分子(例えば、小分子薬物及び毒素)のような薬剤が挙げられる。特定の態様では、ペイロードはASOを含む。本明細書で使用されるとき、「抗体」という用語は、天然であろうと、または部分的にもしくは全体的に合成で作られようと、そうでなかろうと、免疫グロブリン、及びその断片を包含する。この用語はまた、免疫グロブリン結合ドメインに相同である結合ドメインを有する任意のタンパク質も網羅する。「抗体」はさらに、抗原を特異的に結合し、認識する免疫グロブリン遺伝子またはその断片に由来するフレームワーク領域を含むポリペプチドを含む。本明細書で使用されるとき、「抗原」という用語は、対象に導入されるとそれ自体に対する免疫応答(細胞性または体液性)を引き出す任意の薬剤を指す。抗体という用語の使用は、全抗体、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、及び組換え抗体、それらの断片を含むことを意味し、さらに、例えば、scFv、(scFv)、Fab、Fab’、及びF(ab’)、F(ab1)、Fv、dAb、及びFd断片、ダイアボディ、及び抗体関連ポリペプチドのような、単鎖抗体、ヒト化抗体、マウス抗体、キメラ抗体、マウス-ヒト抗体、マウス-霊長類抗体、霊長類-ヒトモノクローナル抗体、抗イディオタイプ抗体、抗体断片を含む。抗体は、それらが所望の生物活性または機能を呈する限り、二重特異性抗体及び多重特異性抗体を含む。
【0134】
「個体」「対象」「宿主」及び「患者」という用語は、本明細書では相互交換可能に使用され、診断、処置または治療が所望される任意の哺乳動物対象、特にヒトを指す。本明細書に記載されている組成物及び方法は、ヒトの治療及び獣医学的用途の双方に適用可能である。いくつかの態様では、対象は哺乳動物であり、他の態様では、対象はヒトである。本明細書で使用されるとき、「哺乳動物対象」には、限定しないでヒト、愛玩動物(例えば、イヌ、ネコなど)、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマなど)及び実験動物(例えば、サル、ラット、マウス、ウサギ、モルモットなど)を含むすべての哺乳動物が含まれる。
【0135】
「医薬組成物」という用語は、有効成分の生物活性が有効になるような形態であり、かつ組成物が投与される対象に対して許容できない程度に毒性である追加の成分を含有しない調製物を指す。そのような組成物は無菌であり得る。
【0136】
本明細書で使用されるとき、「実質的に含まない」という用語は、EV、例えば、エクソソームを含む試料が、質量/体積(m/v)の濃度パーセンテージによる10%未満の高分子を含むことを意味する。一部の画分は、0.001%未満、0.01%未満、0.05%未満、0.1%未満、0.2%未満、0.3%未満、0.4%未満、0.5%未満、0.6%未満、0.7%未満、0.8%未満、0.9%未満、1%未満、2%未満、3%未満、4%未満、5%未満、6%未満、7%未満、8%未満、9%未満、または10%(m/v)未満の高分子を含有してもよい。
【0137】
本明細書で使用されるとき、「高分子」という用語は、核酸、混入したタンパク質、脂質、炭水化物、代謝産物、またはそれらの組み合わせを意味する。
【0138】
本明細書で使用されるとき、「従来のエクソソームタンパク質」という用語は、CD9、CD63、CD81、PDGFR、GPIアンカータンパク質、ラクタドヘリン(MFGE8)、LAMP2、及びLAMP2B、その断片、またはそれに結合するペプチドを含むが、これらに限定されない、エクソソームに富むことが以前に知られているタンパク質を意味する。
【0139】
本明細書で使用されるとき「投与すること」は薬学的に許容される経路を介して本明細書で開示されているEV、例えば、エクソソームを含む組成物を対象に与えることを意味する。投与の経路は、例えば、静脈内注射及び静脈内注入のような静脈内投与であり得る。投与の追加経路には、例えば、皮下での、筋肉内での、経口での、経鼻での、及び肺への投与が挙げられる。EV、例えば、エクソソームは、少なくとも1つの賦形剤を含む医薬組成物の一部として投与することができる。
【0140】
例えば、ASOまたは細胞外小胞の、本明細書で開示されているような「有効量」は、具体的に述べられた目的を実施するのに十分な量である。「有効量」は、記述された目的に関連して経験的なかつ日常的な方法で決定することができる。
【0141】
本明細書で使用されるとき、「治療する」、「治療」または「治療すること」は、例えば、疾患または状態の重症度の減少;疾患の経過期間の短縮;疾患または状態と関連する1つ以上の症状の改善または排除;疾患または状態を伴う対象にとっての有益な効果の提供を指し、必ずしも疾患または状態の治癒を必要としない。この用語はまた、疾患または状態またはその症状の予防または防止も含む。一態様では、「治療すること」または「治療」は、造血の誘導を必要とする対象にてそれを行うことを含む。いくつかの態様では、疾患または状態は造血またはその欠乏に関連する。特定の態様では、疾患または状態はがんである。いくつかの態様では、治療することは、がんを有する対象における造血を増強し、その際、増強された造血は、対象における1以上の免疫細胞の増殖及び/または分化の増加を含む。
【0142】
本明細書で使用されるとき「防止する」または「防止すること」は特定の転帰の発生または重症度を減らすまたは軽減することを指す。いくつかの態様では、転帰を防止することは予防的治療を介して達成される。いくつかの態様では、本明細書に記載されているASOを含むEV、例えば、エクソソームは予防的に対象に投与される。いくつかの態様では、対象はがんを発症するリスクがある。いくつかの態様では、対象は造血系疾患を発症するリスクがある。
【0143】
II. アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)
本開示は、哺乳動物NLRP3をコードする核酸分子、例えば、NLRP3核酸、例えば、NLRP3プレmRNAを含むNLRP3転写物、及びNLRP3 mRNA、または哺乳動物NLRP3をコードするそのような核酸分子の天然に存在する変異型の機能を調節するのに使用するためにアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を採用する。本開示の文脈における「ASO」という用語は、2以上のヌクレオチドの共有結合によって形成される分子(すなわち、オリゴヌクレオチド)を指す。
【0144】
ASOは、長さが10~20、14~20、16~20、または15~25ヌクレオチドのような約10~約30の連続するヌクレオチド配列を含む。特定の態様では、ASOは20ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、ASOは18ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、ASOは19ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、ASOは17ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、ASOは16ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、ASOは15ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、ASOは14ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、ASOは13ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、ASOは12ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、ASOは11ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、ASOは10ヌクレオチドの長さである。
【0145】
いくつかの態様では、ASOは、長さが約10~約50ヌクレオチド、例えば、約10~約45、約10~約40、約10または約35、または約10~約30の連続するヌクレオチド配列を含む。特定の態様では、ASOは21ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、ASOは22ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、ASOは23ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、ASOは24ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、ASOは25ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、ASOは26ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、ASOは27ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、ASOは28ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、ASOは29ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、ASOは30ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、ASOは31ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、ASOは32ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、ASOは33ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、ASOは34ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、ASOは35ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、ASOは36ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、ASOは37ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、ASOは38ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、ASOは39ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、ASOは40ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、ASOは41ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、ASOは42ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、ASOは43ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、ASOは44ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、ASOは45ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、ASOは46ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、ASOは47ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、ASOは48ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、ASOは49ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、ASOは50ヌクレオチドの長さである。
【0146】
本明細書で使用されるとき「アンチセンスASO」、「アンチセンスオリゴヌクレオチド」、及び「オリゴマー」という用語は、「ASO」という用語と相互交換可能である。
【0147】
配列番号への言及には、特定の核酸塩基配列が含まれるが、任意の設計または完全な化学構造は含まれない。さらに、本明細書の図に開示されているASOは、代表的な設計を示すが、別段の指示がない限り、図に示されている特定の設計に限定されない。例えば、特許請求の範囲(または本明細書)が配列番号101に言及する場合、それは配列番号101のヌクレオチド配列のみを含む。本明細書で開示されている任意のASOの設計は、配列番号XXとして書くことができ、その際、第1のヌクレオチド、第2のヌクレオチド、第3のヌクレオチド、5’末端から1番目のヌクレオチド、2番目のヌクレオチド、及びのN番目のヌクレオチドのそれぞれは、修飾されたヌクレオチド、例えば、LNAであり、かつ他のヌクレオチドはそれぞれ、修飾されていないヌクレオチド(例えば、DNA)である。
【0148】
種々の態様では、本開示のASOはRNA(ユニット)を含まない。いくつかの態様では、ASOは1以上のDNAユニットを含む。一態様では、本開示に係るASOは線形分子である、または線形分子として合成される。いくつかの態様では、ASOは一本鎖分子であり、例えば、同じASO内の同等の領域(すなわち、二本鎖)に相補性である、例えば、少なくとも3、4、または5の連続するヌクレオチドの短い領域を含まない-この点で、ASOは(本質的に)二本鎖ではない。いくつかの態様では、ASOは本質的に二本鎖ではない。いくつかの態様では、ASOはsiRNAではない。種々の態様では、本開示のASOは連続するヌクレオチド領域から完全に成ることができる。したがって、いくつかの態様では、ASOは実質的に自己相補性ではない。
【0149】
他の態様では、本開示はASOの断片を含む。例えば、本開示は、本明細書で開示されているASOの少なくとも1つのヌクレオチド、少なくとも2つの連続するヌクレオチド、少なくとも3つの連続するヌクレオチド、少なくとも4つの連続するヌクレオチド、少なくとも5つの連続するヌクレオチド、少なくとも6つの連続するヌクレオチド、少なくとも7つの連続するヌクレオチド、少なくとも8つを含む。連続するヌクレオチド、または少なくとも9つの連続するヌクレオチドを含む。本明細書で開示されている配列のいずれかの断片は本開示の一部として企図される。
【0150】
II.A. 標的
好適には、本開示のASOは、NLRP3 mRNAまたはNLRP3タンパク質の発現を下方調節する(例えば、減らすまたは除去する)ことができる。この点で、本開示のASOは通常、哺乳類細胞、例えば、ヒト細胞、例えば、免疫細胞(例えば、マクロファージ、樹状細胞、B細胞、及び/またはT細胞)にてNLRP3 mRNAのレベルの低減を介してNLRP3インフラマソームの形成を阻止するのでその活性を遮断することができる。特に、本開示は、NLRP3プレmRNAの1以上の領域(例えば、イントロン領域、エクソン領域、及び/またはエクソン・イントロン接合領域)を標的とするASOを対象とする。別段の指示がない限り、本明細書で使用されるとき「NLRP3」という用語は、1以上の種(例えば、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ウシ、及びクマ)に由来するNLRP3を指すことができる。
【0151】
NLRP3(NLRP3)はNLRファミリーパイリンドメイン含有3としても知られている。NLRP3/NLRP3の同義語が知られており、それらにはNLRP3;C1orf7;CIAS1;NALP3;PYPAF1;ヌクレオチド結合オリゴマー化ドメイン、ロイシンリッチ反復及びパイリンドメイン含有3;低温誘導自己炎症性症候群1タンパク質;クリオピン;NACHT、LRR及びPYDドメイン含有タンパク質3;アンジオテンシン/バソプレシン受容体AII/AVP様;キャタピラータンパク質1.1;CLR1.1;低温誘導自己炎症性症候群1タンパク質;及びPYRIN含有APAF1様タンパク質1が含まれる。ヒトNLRP3遺伝子の配列は公表されているGenBank受入番号NC_000001.11:247416156-247449108のもとで見いだすことができる。ヒトNLRP3遺伝子は、染色体位置1q44の247,416,156~247,449,108に見いだされる。
【0152】
ヒトNLRP3プレmRNA転写物の配列(配列番号1)は、染色体1q44の残基247,416,156~247,449,108の逆相補体に相当する。NLRP3 mRNAの配列(GenBank受入番号NM_001079821.2)は、配列番号3のヌクレオチド「t」がmRNAでは「u」として示されていることを除いて配列番号3(表1)で提供される。ヒトNLRP3タンパク質の配列は、公表されている受入番号:Q96P20(標準配列、配列番号1;表1)、Q96P20-2(配列番号4)、Q96P20-3(配列番号5)、Q96P20-4(配列番号6)、Q96P20-5(配列番号7)、及びQ96P20-6(配列番号8)のもとで見いだすことができ、これらのそれぞれはその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0153】
ヒトNLRP3の遺伝子産物の天然変異型が知られている。例えば、ヒトNLRP3タンパク質の天然変異型は、D21H、I174T、V200M、R262L、4262P、R262W、L266H、D305G、D305N、L307P、Q308K、F311S、T350M、A354V、L355P、E356D、H360R、T407P、T438I、T438N、A441T、A441V、R490K、F525C、F525L、G571R、Y572C、F575S、E629G、L634F、M664T、Q705K、Y861C、及びR920Q、及びそれらの任意の組み合わせから選択される1以上のアミノ酸置換を含有することができる。選択的スプライシングから生じるヒトNLRP3タンパク質の追加の変異型も当該技術分野で知られている。NLRP3アイソフォーム1(識別子:UniProtのQ96P20-2)は、標準配列(配列番号3)と以下:配列番号3と比べて残基721~777及び836~892の欠失のように異なる。NLRP3アイソフォーム3(識別子:Q96P20-3)の配列は、標準配列(配列番号3)と以下:配列番号3と比べて残基720~1036の欠失のように異なる。NLRP3アイソフォーム4(識別子:Q96P20-4)の配列は標準配列(配列番号3)とは以下:配列番号3と比べて残基721~777の欠失のように異なる。NLRP3アイソフォーム5(識別子:Q96P20-5)の配列は標準配列(配列番号3)とは以下:配列番号3と比べて残基836~892の欠失のように異なる。NLRP3アイソフォーム6(識別子:Q96P20-6)の配列は標準配列(配列番号3)とは以下:配列番号3と比べて残基776~796の欠失のように異なる。したがって、本開示のASOは、NLRP3の天然変異型タンパク質の発現を減らすまたは阻害するように設計することができる。
【0154】
ASOの標的核酸配列の例はNLRP3プレmRNAである。配列番号1は、ヒトNLRP3ゲノム配列(すなわち、染色体1q44のヌクレオチド247、416、156~247、449、108の逆相補体)を表す。配列番号1は、配列番号1のヌクレオチド「t」がプレmRNAにおいて「u」として示されることを除いてNLRP3プレmRNA配列と同一である。特定の態様では、「標的核酸」はNLRP3タンパク質をコードする核酸または天然に存在するその変異型のイントロン、及びそれに由来するRNA核酸、例えば、プレmRNAを含む。特定の態様では、「標的核酸」はNLRP3タンパク質をコードする核酸または天然に存在するその変異型のエクソン領域、及びそれに由来するRNA核酸、例えば、プレmRNAを含む。さらに他の態様では、「標的核酸」は、NLRP3タンパク質をコードする核酸または天然に存在するその変異型のエクソン・イントロン接合部、及びそれに由来するRNA核酸、例えば、プレmRNAを含む。いくつかの態様では、例えば、研究または診断において使用される場合、「標的核酸」は、上記のDNAまたはRNAの核酸標的に由来するcDNAまたは合成オリゴヌクレオチドであり得る。NLRP3プレmRNAによってコードされるヒトNLRP3タンパク質配列は配列番号3として示される。他の態様では、標的核酸はNLRP3タンパク質をコードする核酸または天然に存在するその変異型の非翻訳領域、例えば5’UTR、3’UTR、またはその双方を含む。
【0155】
いくつかの態様では、本開示のASOはNLRP3転写物、例えば、配列番号1のイントロン内の領域とハイブリッド形成する。特定の態様では、本開示のASOはNLRP3転写物、例えば、配列番号1のエクソン内の領域とハイブリッド形成する。他の態様では、本開示のASOはNLRP3転写物、例えば、配列番号1のエクソン・イントロン接合部内の領域とハイブリッド形成する。いくつかの態様では、本開示のASOはNLRP3転写物、例えば、配列番号1内の領域(例えば、イントロン、エクソン、またはエクソン・イントロン接合部)とハイブリッド形成し、その際、ASOは本明細書の他の場所に記載されているような式:5’A-B-C3’に係る設計を有する。
【0156】
いくつかの態様では、ASOはNLRP3タンパク質の特定のアイソフォーム(例えば、アイソフォーム1)をコードするmRNAを標的とする。いくつかの態様では、ASOはNLRP3タンパク質のすべてのアイソフォームを標的とする。他の態様では、ASOはNLRP3タンパク質の2つのアイソフォーム(例えば、アイソフォーム1とアイソフォーム2、アイソフォーム3とアイソフォーム4、及びアイソフォーム5とアイソフォーム6)を標的とする。
【0157】
いくつかの態様では、ASOは、NLRP3転写物、例えば、配列番号1に対応する領域内の核酸配列に相補性である連続するヌクレオチド配列(例えば、長さ10~30ヌクレオチド、例えば、長さ20ヌクレオチド)を含む。いくつかの態様では、ASOは、NLRP3転写物(「標的領域」)の核酸配列または配列内の領域とハイブリッド形成する隣接ヌクレオチド配列を含み、その際、核酸配列は、(i)配列番号3のヌクレオチド1~534;(ii)配列番号3のヌクレオチド448~2193;(iii)配列番号3のヌクレオチド2125~3036;(iv)配列番号3のヌクレオチド2987~3990;または(v)配列番号3の3996~4456に対応し、任意で、ASOは本明細書(例えば、セクションII.G)に記載されている設計の1つまたは本明細書の他の場所に示されている化学構造を有する。
【0158】
いくつかの態様では、ASOはNLRP3転写物の核酸配列またはその配列内の領域(「標的領域」)とハイブリッド形成する連続するヌクレオチド配列を含み、その際、核酸配列は、(i)配列番号3のヌクレオチド106~334;(ii)配列番号3のヌクレオチド648~2113;(iii)配列番号3のヌクレオチド2225~2956;(iv)配列番号3のヌクレオチド2987~3810;または(v)配列番号3の3996~4376に対応し、任意で、ASOは本明細書に記載されている設計の1つまたは本明細書の他の場所に示される化学構造を有する。
【0159】
いくつかの態様では、ASOはNLRP3転写物の核酸配列またはその配列内の領域(「標的領域」)とハイブリッド形成する連続するヌクレオチド配列を含み、その際、核酸配列は、(i)配列番号3のヌクレオチド156~284;(ii)配列番号3のヌクレオチド698~2063;(iii)配列番号3のヌクレオチド2275~2906;(iv)配列番号3のヌクレオチド3037~3760;または(v)配列番号3の4046~4326に対応し、任意で、ASOは本明細書に記載されている設計の1つまたは本明細書の他の場所に示される化学構造を有する。
【0160】
いくつかの態様では、ASOはNLRP3転写物の核酸配列またはその配列内の領域(「標的領域」)とハイブリッド形成する連続するヌクレオチド配列を含み、その際、核酸配列は、(i)配列番号3のヌクレオチド196~244;(ii)配列番号3のヌクレオチド738~2003;(iii)配列番号3のヌクレオチド2315~2866;(iv)配列番号3のヌクレオチド3077~3720;または(v)配列番号3の4086~4286に対応し、任意で、ASOは本明細書(例えば、セクションII.G)に記載されている設計の1つまたは本明細書の他の場所に示される化学構造を有する。
【0161】
いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド206~225(例えば、ASO-NLRP3-206;配列番号101)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド208~227(例えば、ASO-NLRP3-208;配列番号102)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド214~233(例えば、ASO-NLRP3-214;配列番号103)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド748~767(例えば、ASO-NLRP3-748;配列番号104)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド825~844(例えば、ASO-NLRP3-825;配列番号105)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド892~911(例えば、ASO-NLRP3-892;配列番号106)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド898~917(例えば、ASO-NLRP3-898;配列番号107)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド899~918(例えば、ASO-NLRP3-899;配列番号108)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド900~919(例えば、ASO-NLRP3-900;配列番号109)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド902~921(例えば、ASO-NLRP3-902;配列番号110)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド903~922(例えば、ASO-NLRP3-903;配列番号111)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド954~973(例えば、ASO-NLRP3-954;配列番号112)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド960~979(例えば、ASO-NLRP3-960;配列番号113)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド964~983(例えば、ASO-NLRP3-964;配列番号114)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド966~985(例えば、ASO-NLRP3-966;配列番号115)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド969~988(例えば、ASO-NLRP3-969;配列番号116)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド970~989(例えば、ASO-NLRP3-970;配列番号117)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド971~990(例えば、ASO-NLRP3-971;配列番号118)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1016~1035(例えば、ASO-NLRP3-1016;配列番号119)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1021~1040(例えば、ASO-NLRP3-1021;配列番号120)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1028~1047(例えば、ASO-NLRP3-1028;配列番号121)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1103~1122(例えば、ASO-NLRP3-1103;配列番号122)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1108~1127(例えば、ASO-NLRP3-1108;配列番号123)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1113~1132(例えば、ASO-NLRP3-1113;配列番号124)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1159~1178(例えば、ASO-NLRP3-1159;配列番号125)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1173~1192(例えば、ASO-NLRP3-1173;配列番号126)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1197~1216(例えば、ASO-NLRP3-1197;配列番号127)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1204~1223(例えば、ASO-NLRP3-1204;配列番号128)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1227~1246(例えば、ASO-NLRP3-1227;配列番号129)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1232~1251(例えば、ASO-NLRP3-1232;配列番号130)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1239~1258(例えば、ASO-NLRP3-1239;配列番号131)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1240~1259(例えば、ASO-NLRP3-1240;配列番号132)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1241~1260(例えば、ASO-NLRP3-1241;配列番号133)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1242~1261(例えば、ASO-NLRP3-1242;配列番号134)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1313~1332(例えば、ASO-NLRP3-1313;配列番号135)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1314~1333(例えば、ASO-NLRP3-1314;配列番号136)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1341~1360(例えば、ASO-NLRP3-1341;配列番号137)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1343~1362(例えば、ASO-NLRP3-1343;配列番号138)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1346~1365(例えば、ASO-NLRP3-1346;配列番号139)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1491~1510(例えば、ASO-NLRP3-1491;配列番号140)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1561~1580(例えば、ASO-NLRP3-1561;配列番号141)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1568~1587(例えば、ASO-NLRP3-1568;配列番号142)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1664~1683(例えば、ASO-NLRP3-1664;配列番号143)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1670~1689(例えば、ASO-NLRP3-1670;配列番号144)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1676~1695(例えば、ASO-NLRP3-1676;配列番号145)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1678~1697(例えば、ASO-NLRP3-1678;配列番号146)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1680~1699(例えば、ASO-NLRP3-1680;配列番号147)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1681~1700(例えば、ASO-NLRP3-1681;配列番号148)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1682~1701(例えば、ASO-NLRP3-1682;配列番号149)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1688~1707(例えば、ASO-NLRP3-1688;配列番号150)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1693~1712(例えば、ASO-NLRP3-1693;配列番号151)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1704~1723(例えば、ASO-NLRP3-1704;配列番号152)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1718~1737(例えば、ASO-NLRP3-1718;配列番号153)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1720~1739(例えば、ASO-NLRP3-1720;配列番号154)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1723~1742(例えば、ASO-NLRP3-1723;配列番号155)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1837~1856(例えば、ASO-NLRP3-1837;配列番号156)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1932~1951(例えば、ASO-NLRP3-1932;配列番号157)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1993~2012(例えば、ASO-NLRP3-1993;配列番号158)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド2325~2344(例えば、ASO-NLRP3-2325;配列番号159)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド2432~2451(例えば、ASO-NLRP3-2432;配列番号160)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド2472~2491(例えば、ASO-NLRP3-2472;配列番号161)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド2543~2562(例えば、ASO-NLRP3-2543;配列番号162)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド2638~2657(例えば、ASO-NLRP3-2638;配列番号163)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド2639~2658(例えば、ASO-NLRP3-2639;配列番号164)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド2667~2686(例えば、ASO-NLRP3-2667;配列番号165)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド2672~2691(例えば、ASO-NLRP3-2672;配列番号166)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド2699~2718(例えば、ASO-NLRP3-2699;配列番号167)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド2750~2769(例えば、ASO-NLRP3-2750;配列番号168)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド2755~2774(例えば、ASO-NLRP3-2755;配列番号169)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド2760~2779(例えば、ASO-NLRP3-2760;配列番号170)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド2830~2849(例えば、ASO-NLRP3-2830;配列番号171)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド2836~2855(例えば、ASO-NLRP3-2836;配列番号172)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3087~3106(例えば、ASO-NLRP3-3087;配列番号173)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3094~3113(例えば、ASO-NLRP3-3094;配列番号174)


に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3109~3128(例えば、ASO-NLRP3-3109;配列番号175)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3120~3139(例えば、ASO-NLRP3-3120;配列番号176)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3212~3231(例えば、ASO-NLRP3-3212;配列番号177)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3476~3495(例えば、ASO-NLRP3-3476;配列番号178)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3481~3500(例えば、ASO-NLRP3-3481;配列番号179)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3488~3507(例えば、ASO-NLRP3-3488;配列番号180)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3489~3508(例えば、ASO-NLRP3-3489;配列番号181)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3493~3512(例えば、ASO-NLRP3-3493;配列番号182)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3498~3517(例えば、ASO-NLRP3-3498;配列番号183)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3500~3519(例えば、ASO-NLRP3-3500;配列番号184)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3502~3521(例えば、ASO-NLRP3-3502;配列番号185)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3503~3522(例えば、ASO-NLRP3-3503;配列番号186)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3504~3523(例えば、ASO-NLRP3-3504;配列番号187)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3508~3527(例えば、ASO-NLRP3-3508;配列番号188)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3514~3533(例えば、ASO-NLRP3-3514;配列番号189)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3561~3580(例えば、ASO-NLRP3-3561;配列番号190)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3580~3599(例えば、ASO-NLRP3-3580;配列番号191)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3585~3604(例えば、ASO-NLRP3-3585;配列番号192)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3593~3612(例えば、ASO-NLRP3-3593;配列番号193)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3598~3617(例えば、ASO-NLRP3-3598;配列番号194)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3652~3671(例えば、ASO-NLRP3-3652;配列番号195)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3676~3695(例えば、ASO-NLRP3-3676;配列番号196)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3690~3709(例えば、ASO-NLRP3-3690;配列番号197)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド4096~4115(例えば、ASO-NLRP3-4096;配列番号198)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド4105~4124(例えば、ASO-NLRP3-4105;配列番号199)に対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド4256~4275(例えば、ASO-NLRP3-4256;配列番号200)に対応する。
【0162】
いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド206~225(例えば、ASO-NLRP3-206;配列番号101)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド208~227(例えば、ASO-NLRP3-208;配列番号102)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド214~233(例えば、ASO-NLRP3-214;配列番号103)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド748~767(例えば、ASO-NLRP3-748;配列番号104)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド825~844(例えば、ASO-NLRP3-825;配列番号105)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド892~911(例えば、ASO-NLRP3-892;配列番号106)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド898~917(例えば、ASO-NLRP3-898;配列番号107)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド899~918(例えば、ASO-NLRP3-899;配列番号108)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド900~919(例えば、ASO-NLRP3-900;配列番号109)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド902~921(例えば、ASO-NLRP3-902;配列番号110)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド903~922(例えば、ASO-NLRP3-903;配列番号111)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド954~973(例えば、ASO-NLRP3-954;配列番号112)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド960~979(例えば、ASO-NLRP3-960;配列番号113)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド964~983(例えば、ASO-NLRP3-964;配列番号114)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド966~985(例えば、ASO-NLRP3-966;配列番号115)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド969~988(例えば、ASO-NLRP3-969;配列番号116)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド970~989(例えば、ASO-NLRP3-970;配列番号117)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド971~990(例えば、ASO-NLRP3-971;配列番号118)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1016~1035(例えば、ASO-NLRP3-1016;配列番号119)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1021~1040(例えば、ASO-NLRP3-1021;配列番号120)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1028~1047(例えば、ASO-NLRP3-1028;配列番号121)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1103~1122(例えば、ASO-NLRP3-1103;配列番号122)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1108~1127(例えば、ASO-NLRP3-1108;配列番号123)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1113~1132(例えば、ASO-NLRP3-1113;配列番号124)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1159~1178(例えば、ASO-NLRP3-1159;配列番号125)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1173~1192(例えば、ASO-NLRP3-1173;配列番号126)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1197~1216(例えば、ASO-NLRP3-1197;配列番号127)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1204~1223(例えば、ASO-NLRP3-1204;配列番号128)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1227~1246(例えば、ASO-NLRP3-1227;配列番号129)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1232~1251(例えば、ASO-NLRP3-1232;配列番号130)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1239~1258(例えば、ASO-NLRP3-1239;配列番号131)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1240~1259(例えば、ASO-NLRP3-1240;配列番号132)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1241~1260(例えば、ASO-NLRP3-1241;配列番号133)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1242~1261(例えば、ASO-NLRP3-1242;配列番号134)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1313~1332(例えば、ASO-NLRP3-1313;配列番号135)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1314~1333(例えば、ASO-NLRP3-1314;配列番号136)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1341~1360(例えば、ASO-NLRP3-1341;配列番号137)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1343~1362(例えば、ASO-NLRP3-1343;配列番号138)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1346~1365(例えば、ASO-NLRP3-1346;配列番号139)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1491~1510(例えば、ASO-NLRP3-1491;配列番号140)に


3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1561~1580(例えば、ASO-NLRP3-1561;配列番号141)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1568~1587(例えば、ASO-NLRP3-1568;配列番号142)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1664~1683(例えば、ASO-NLRP3-1664;配列番号143)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1670~1689(例えば、ASO-NLRP3-1670;配列番号144)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1676~1695(例えば、ASO-NLRP3-1676;配列番号145)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1678~1697(例えば、ASO-NLRP3-1678;配列番号146)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1680~1699(例えば、ASO-NLRP3-1680;配列番号147)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1681~1700(例えば、ASO-NLRP3-1681;配列番号148)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1682~1701(例えば、ASO-NLRP3-1682;配列番号149)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1688~1707(例えば、ASO-NLRP3-1688;配列番号150)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1693~1712(例えば、ASO-NLRP3-1693;配列番号151)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1704~1723(例えば、ASO-NLRP3-1704;配列番号152)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1718~1737(例えば、ASO-NLRP3-1718;配列番号153)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1720~1739(例えば、ASO-NLRP3-1720;配列番号154)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1723~1742(例えば、ASO-NLRP3-1723;配列番号155)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1837~1856(例えば、ASO-NLRP3-1837;配列番号156)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1932~1951(例えば、ASO-NLRP3-1932;配列番号157)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド1993~2012(例えば、ASO-NLRP3-1993;配列番号158)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド2325~2344(例えば、ASO-NLRP3-2325;配列番号159)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド2432~2451(例えば、ASO-NLRP3-2432;配列番号160)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド2472~2491(例えば、ASO-NLRP3-2472;配列番号161)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド2543~2562(例えば、ASO-NLRP3-2543;配列番号162)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド2638~2657(例えば、ASO-NLRP3-2638;配列番号163)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド2639~2658(例えば、ASO-NLRP3-2639;配列番号164)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド2667~2686(例えば、ASO-NLRP3-2667;配列番号165)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド2672~2691(例えば、ASO-NLRP3-2672;配列番号166)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド2699~2618(例えば、ASO-NLRP3-2699;配列番号167)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド2750~2769(例えば、ASO-NLRP3-2750;配列番号168)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド2755~2774(例えば、ASO-NLRP3-2755;配列番号169)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド2760~2779(例えば、ASO-NLRP3-2760;配列番号170)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド2830~2849(例えば、ASO-NLRP3-2830;配列番号171)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド2836~2855(例えば、ASO-NLRP3-2836;配列番号172)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3087~3106(例えば、ASO-NLRP3-3087;配列番号173)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3094~3113(例えば、ASO-NLRP3-3094;配列番号174)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3109~3128(例えば、ASO-NLRP3-3109;配列番号175)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3120~3139(例えば、ASO-NLRP3-3120;配列番号176)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3212~3231(例えば、ASO-NLRP3-3212;配列番号177)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3476~3495(例えば、ASO-NLRP3-3476;配列番号178)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3481~3500(例えば、ASO-NLRP3-3481;配列番号179)に3’末端及び/または5’


末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3488~3507(例えば、ASO-NLRP3-3488;配列番号180)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3489~3508(例えば、ASO-NLRP3-3489;配列番号181)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3493~3512(例えば、ASO-NLRP3-3493;配列番号182)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3498~3517(例えば、ASO-NLRP3-3498;配列番号183)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3500~3519(例えば、ASO-NLRP3-3500;配列番号184に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3502~3521(例えば、ASO-NLRP3-3502;配列番号185)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3503~3522(例えば、ASO-NLRP3-3503;配列番号186)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3504~3523(例えば、ASO-NLRP3-3504;配列番号187)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3508~3527(例えば、ASO-NLRP3-3508;配列番号188)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3514~3533(例えば、ASO-NLRP3-3514;配列番号189)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3561~3580(例えば、ASO-NLRP3-3561;配列番号190)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3580~3599(例えば、ASO-NLRP3-3580;配列番号191)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3585~3604(例えば、ASO-NLRP3-3585;配列番号192)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3593~3612(例えば、ASO-NLRP3-3593;配列番号193)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3598~3617(例えば、ASO-NLRP3-3598;配列番号194)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3652~3671(例えば、ASO-NLRP3-3652;配列番号195)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3676~3695(例えば、ASO-NLRP3-3676;配列番号196)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド3690~3709(例えば、ASO-NLRP3-3690;配列番号197)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド4096~4115(例えば、ASO-NLRP3-4096;配列番号198)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド4105~4124(例えば、ASO-NLRP3-4105;配列番号199)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。いくつかの態様では、標的領域は配列番号3のヌクレオチド4256~4275(例えば、ASO-NLRP3-4256;配列番号200)に3’末端及び/または5’末端にて±10、±20、±30、±40、±50、±60、±70、±80、または±90ヌクレオチドに対応する。
【0163】
いくつかの態様では、本開示のASOはNLRP3転写物(例えば、ゲノム配列、配列番号1)内の複数の標的領域とハイブリッド形成する。いくつかの態様では、ASOはNLRP3転写物内の2つの異なる標的領域とハイブリッド形成する。いくつかの態様では、ASOはNLRP3転写物内の3つの異なる標的領域とハイブリッド形成する。複数の標的領域とハイブリッド形成する例示的なASOの配列、及びさまざまな標的領域の開始/終了の位置が図1に提供されている。いくつかの態様では、NLRP3転写物(例えば、ゲノム配列、配列番号1)内の複数の領域とハイブリッド形成するASOは、NLRP3転写物(例えば、ゲノム配列、配列番号1)内の単一領域とハイブリッド形成するASOと比べてNLRP3の発現をさらに強力に減らす(例えば、より低いEC50を有する)。
【0164】
いくつかの態様では、本開示のASOは生理学的条件下、すなわち、生体内条件下で標的核酸(例えば、NLRP3転写物)とハイブリッド形成することができる。いくつかの態様では、本開示のASOは試験管内で標的核酸(例えば、NLRP3転写物)とハイブリッド形成することができる。いくつかの態様では、本開示のASOはストリンジェントな条件下、試験管内で標的核酸(例えば、NLRP3転写物)とハイブリッド形成することができる。試験管内でのハイブリッド形成のストリンジェンシーの条件は、とりわけ、産生細胞の取り込み、RNAのアクセス可能性、温度、結合の自由エネルギー、塩濃度、及び時間に依存する(例えば、Stanley T Crooke,Antisense Drug Technology:Principles,Strategies and Applications,2nd Edition,CRC Press(2007)を参照のこと)。一般に、高ストリンジェントから中ストリンジェントな条件は、実質的に類似した核酸間のハイブリッド形成を可能にするが、異なる核酸間では可能にしない試験管内ハイブリッド形成に使用される。ストリンジェントなハイブリッド形成条件の例には、5×生理食塩水・クエン酸ナトリウム(SSC)緩衝液(0.75M塩化ナトリウム/0.075Mクエン酸ナトリウム)にて40℃で1時間ハイブリッド形成した後、40℃で1×SSCにて試料を10回洗浄すること及び室温で1×SSC緩衝液にて5回洗浄することが含まれる。生体内ハイブリッド形成条件は、アンチセンスオリゴヌクレオチドと標的配列とのハイブリッド形成を支配する細胞内条件(例えば、生理学的pH及び細胞内イオン条件)から成る。生体内条件は、比較的低ストリンジェントな条件によって試験管内で模倣することができる。例えば、ハイブリッド形成は、37℃で2×SSC(0.3M塩化ナトリウム/0.03Mクエン酸ナトリウム)、0.1%SDSにて試験管内で実施することができる。4×SSC、0.1%SDSを含有する洗浄溶液は37℃で使用することができ、最終洗浄は45℃で1×SSCにて行う。
【0165】
いくつかの態様では、本開示のASOは1以上の種(例えば、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ウシ、及びクマ)に由来するNLRP3転写物を標的とすることができる。特定の態様では、本明細書で開示されているASOは、ヒト及び齧歯類(例えば、マウスまたはラット)の双方のNLRP3転写物を標的とすることができる。したがって、いくつかの態様では、ASOはヒト及び齧歯類(例えば、マウスまたはラット)の双方においてNLRP3 mRNAまたはNLRP3タンパク質の発現を下方調節する(例えば、減らすまたは除去する)ことができる。いくつかの態様では、本明細書に記載されている任意のASOは少なくとも1つの非ヌクレオチドまたは非ポリヌクレオチドに共有結合されたASOを含むコンジュゲートの一部である。
【0166】
本開示の特定の態様は、本明細書で開示されているASOを含むコンジュゲートを対象とする。特定の態様では、コンジュゲートは少なくとも1つの非ヌクレオチドに共有結合したASOを含む。特定の態様では、コンジュゲートは少なくとも1つの非ポリヌクレオチド部分に共有結合したASOを含む。いくつかの態様では、非ヌクレオチド部分または非ポリヌクレオチド部分は、タンパク質、脂肪酸鎖、糖残基、糖タンパク質、ポリマー、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0167】
II.B. ASO配列
本開示のASOは、NLRP3転写物、例えば、配列番号1または配列番号3に対応するヌクレオチド配列の領域の相補体に対応する連続するヌクレオチド配列を含む。
【0168】
特定の態様では、本開示は、長さ10~30、例えば10~15ヌクレオチド、10~20ヌクレオチド、10~25ヌクレオチド、または長さ約20ヌクレオチドのASOを提供し、その際、連続するヌクレオチド配列は、NLRP3転写物、例えば、配列番号1または配列番号3または天然に存在するそれらの変異型の相補体の領域に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有する。したがって、例えば、ASOは、配列番号1または配列番号3の配列またはその一部を有する一本鎖核酸分子とハイブリッド形成する。
【0169】
ASOは、哺乳動物NLPR3タンパク質をコードする核酸(例えば、配列番号1または配列番号3)の同等の領域に完全に相補性(完璧に相補性)である連続するヌクレオチド配列を含むことができる。ASOは、配列番号1または配列番号3のヌクレオチドX-Yに対応する核酸配列またはその配列内の領域に完全に相補性(完璧に相補性)である連続するヌクレオチド配列を含むことができ、その際、X及びYは図1に示すように、それぞれ開始部位及び終了部位である。
【0170】
ASOは、哺乳動物NLPR3タンパク質をコードするmRNA(例えば、配列番号3)の同等の領域に完全に相補性(完璧に相補性)である連続するヌクレオチド配列を含むことができる。ASOは、配列番号3のヌクレオチドX-Yに対応するmRNA配列またはその配列内の領域に完全に相補性(完璧に相補性)である連続するヌクレオチド配列を含むことができ、その際、X及びYはそれぞれ開始部位及び終了部位である。
【0171】
いくつかの態様では、本開示のASOのヌクレオチド配列または連続するヌクレオチド配列は、配列番号101~200から選択される配列(すなわち、図1の配列)に対して少なくとも約80%の配列同一性、例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%の配列同一性、少なくとも約97%の配列同一性、少なくとも約98%の配列同一性、少なくとも約99%の配列同一性、例えば、約100%の配列同一性(相同)を有する。いくつかの態様では、ASOは、本明細書の他の場所に記載されている設計、または本明細書の他の場所に示されている化学構造(例えば、図1)を有する。
【0172】
いくつかの態様では、ASO(またはその連続するヌクレオチド部分)は、配列番号101~200またはその少なくとも10の連続するヌクレオチドの領域から成る群から選択される配列の1つから選択される、またはそれを含み、その際、ASO(またはその連続するヌクレオチド部分)は、対応するNLRP3転写物と比較したとき任意で1、2、3、または4のミスマッチを含むことができる。
【0173】
いくつかの態様では、ASOは配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号104、配列番号105、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112、配列番号113、配列番号114、配列番号115、配列番号116、配列番号117、配列番号118、配列番号119、配列番号120、配列番号121、配列番号122、配列番号123、配列番号124、配列番号125、配列番号126、配列番号127、配列番号128、配列番号129、配列番号130、配列番号131、配列番号132、配列番号133、配列番号134、配列番号135、配列番号136、配列番号137、配列番号138、配列番号139、配列番号140、配列番号141、配列番号142、配列番号143、配列番号144、配列番号145、配列番号146、配列番号147、配列番号148、配列番号149、配列番号150、配列番号151、配列番号152、配列番号153、配列番号154、配列番号155、配列番号156、配列番号157、配列番号158、配列番号159、配列番号160、配列番号161、配列番号162、配列番号163、配列番号164、配列番号165、配列番号166、配列番号167、配列番号168、配列番号169、配列番号170、配列番号171、配列番号172、配列番号173、配列番号174、配列番号175、配列番号176、配列番号177、配列番号178、配列番号179、配列番号180、配列番号181、配列番号182、配列番号183、配列番号184、配列番号185、配列番号186、配列番号187、配列番号188、配列番号189、配列番号190、配列番号191、配列番号192、配列番号193、配列番号194、配列番号195、配列番号196、配列番号197、配列番号198、配列番号199、または配列番号200から成る群から選択される配列を含む。
【0174】
いくつかの態様では、ASOは配列番号101に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号102に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号103に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号104に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号105に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号106に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号107に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号108に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号109に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号110に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号111に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号112に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号113に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号114に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号115に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号116に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号117に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号118に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号119に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号120に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号121に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号122に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号123に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号124に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号125に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号126に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号127に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号128に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号129に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号130に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号131に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号132に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号133に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号134に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号135に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号136に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号137に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号138に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号139に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号140に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号141に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号142に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号143に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号144に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号145に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号146に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号147に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号148に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号149に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号150に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号151に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号152に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号153に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号154に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号155に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号156に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号157に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号158に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号159に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号160に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号161に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号162に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号163に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号164に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号165に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号166に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号167に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号168に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号169に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号170に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号171に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号172に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号173に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号174に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号175に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号176に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号177に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号178に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号179に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号180に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号181に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号182に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号183に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号184に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号185に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号186に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号187に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号188に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号189に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号190に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号191に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号192に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号193に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号194に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号195に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号196に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号197に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号198に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号199に記載の配列を含む。いくつかの態様では、ASOは配列番号200に記載の配列を含む。
【0175】
いくつかの態様では、本開示のASOは、標的核酸配列(例えば、NLRP3転写物)に結合し、細胞における正常な(すなわち、対照)発現レベルと比べて、NLRP3転写物の発現を少なくとも10%または20%阻害する、または低減することができ、例えば、正常な発現レベル(例えば、ASOに曝されていない細胞における発現レベル)と比べて少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%阻害する、または低減することができる。
【0176】
いくつかの態様では、本開示のASOは、ASOと接触していない(生理食塩水との接触)細胞と比べて細胞をASOと接触させると、標的細胞にてNLRP3 mRNAの発現を試験管内で少なくとも20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%低減することができる。
【0177】
いくつかの態様では、ASOは、標的配列とハイブリッド形成するとき、1、2、3、または4(またはそれ以上)のミスマッチを許容し、それでも標的に十分に結合して所望の効果、すなわち、標的のmRNAの及び/またはタンパク質の下方調節を示すことができる。ミスマッチは、例えば、ASOヌクレオチド配列の長さの増加及び/またはヌクレオチド類似体の数の増加によって相殺することができ、これらは本明細書の他の場所に開示されている。
【0178】
いくつかの態様では、本開示のASOは標的配列とハイブリッド形成するとき3を超えるミスマッチは含まない。他の態様では、連続するヌクレオチド配列は標的配列とハイブリッド形成するとき2を超えるミスマッチは含まない。他の態様では、連続するヌクレオチド配列は標的配列とハイブリッド形成するとき1を超えるミスマッチは含まない。
【0179】
II.C. ASOの長さ
ASOは、合計10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30の連続するヌクレオチドの長さの連続するヌクレオチド配列を含むことができる。ASOまたは連続するヌクレオチド配列の長さについて範囲が与えられる場合、その範囲は、例えば10から30まで(またはその間の)範囲で提供される下限及び上限の長さを含み、10及び30の双方を含むことを理解すべきである。
【0180】
いくつかの態様では、ASOは、合計約14~20、14、15、16、17、18、19、または20連続ヌクレオチド長の連続するヌクレオチド配列を含む。特定の態様では、ASOは、合計約20連続ヌクレオチド長の連続するヌクレオチド配列を含む。特定の態様では、本開示のASOは14ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、本開示のASOは15ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、本開示のASOは16ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、本開示のASOは17ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、本開示のASOは18ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、本開示のASOは19ヌクレオチドの長さである。
【0181】
II.D. ヌクレオシド及びヌクレオシド類似体
本開示の一態様では、ASOは1以上の天然に存在しないヌクレオシド類似体を含む。本明細書で使用されるとき「ヌクレオシド類似体」は、糖部分及び/または塩基部分の修飾による、DNAまたはRNAのヌクレオシドのような天然ヌクレオシドの変異型である。類似体は、原則として、オリゴヌクレオチドの文脈において天然ヌクレオシドに対して単に「サイレント」または「同等」であってもよく、すなわち、オリゴヌクレオチドが標的遺伝子発現を阻害するように働く方法に機能的影響を有さない。それにもかかわらず、そのような「同等の」類似体は、例えば、それらが製造がさらに容易もしくは安価である、または保管もしくは製造の条件に対してさらに安定である、またはタグもしくは標識を表す場合に有用であり得る。しかしながら、いくつかの態様では、例えば、標的への結合親和性を高める及び/または細胞内ヌクレアーゼに対する耐性を高める、及び/または細胞への輸送の容易さの増やすことによって、類似体は、ASOが発現を阻害するように作用する方法に機能的な影響を有するであろう。ヌクレオシド類似体の具体例は、例えば、Freier & Altmann;Nucl.Acid Res.,1997,25,4429-4443及びUhlmann;Curr.Opinion in Drug Development,2000,3(2),293-213、及びスキーム1に記載されている。本開示のASOは、1を超える、2を超える、3を超える、4を超える、5を超える、6を超える、7を超える、8を超える、9を超える、10を超える、11を超える、12を超える、13を超える、14を超える、15を超える、16を超える、18を超える、19を超える、または20を超えるヌクレオシド類似体を含有することができる。いくつかの態様では、ASOにおけるヌクレオシド類似体は同じである。いくつかの態様では、ASOにおけるヌクレオシド類似体は異なる。ASOにおけるヌクレオチド類似体は、以下のヌクレオシド類似体のいずれか1つまたは組み合わせであり得る。
【0182】
いくつかの態様では、ヌクレオシド類似体は、2’-O-アルキル-RNA;2’-O-メチルRNA(2’-OMe);2’-アルコキシ-RNA;2’-O-メトキシエチル-RNA(2’-MOE);2’-アミノ-DNA;2’-フルオロ-RNA;2’-フルオロ-DNA;アラビノ核酸(ANA);2’-フルオロ-ANA;二環式ヌクレオシド類似体;またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、ヌクレオシド類似体は糖修飾ヌクレオシドを含む。いくつかの態様では、ヌクレオシド類似体は二環式糖を含むヌクレオシドを含む。いくつかの態様では、ヌクレオシド類似体はLNAを含む。
【0183】
いくつかの態様では、ヌクレオシド類似体は、制約されたエチルヌクレオシド(cEt)、2’,4’-制約された2’-O-メトキシエチル(cMOE)、α-L-LNA、β-D-LNA、2’-O,4’-C-エチレン架橋核酸(ENA)、アミノ-LNA、オキシ-LNA、チオ-LNA、及びそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される。いくつかの態様では、ASOは1以上の5’-メチル-シトシン核酸塩基を含む。
【0184】
II.D.1. 核酸塩基
核酸塩基という用語は、核酸ハイブリッド形成において水素結合を形成するヌクレオシド及びヌクレオチドに存在するプリン(例えば、アデニン及びグアニン)及びピリミジン(例えば、ウラシル、チミン及びシトシン)の部分を含む。本開示の文脈では、核酸塩基という用語はまた、天然に存在する核酸塩基とは異なってもよいが、核酸ハイブリッド形成中に機能的である修飾された核酸塩基も包含する。いくつかの態様では、核酸塩基部分は核酸塩基を修飾するまたは置換することによって修飾される。この文脈では、「核酸塩基」は、アデニン、グアニン、シトシン、チミジン、ウラシル、キサンチン及びヒポキサンチンのような天然に存在する核酸塩基、ならびに天然に存在しない変異型の双方を指す。そのような変異型は、例えば、Hirao et al.,(2012),Accounts of Chemical Research,vol 45 page 2055及びBergstrom,(2009),Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry Suppl.37 1.4.1.に記載されている。
【0185】
いくつかの態様では、核酸塩基部分は、プリンまたはピリミジンを、例えば、置換されたプリンまたは置換されたピリミジン、例えば、イソシトシン、偽イソシトシン、5-メチル-シトシン、5-チオゾロ-シトシン、5-プロピニル-シトシン、5-プロピニル-ウラシル、5-ブロモウラシル、5-チアゾロ-ウラシル、2-チオ-ウラシル、2’チオ-チミン、イノシン、ジアミノプリン、6-アミノプリン、2-アミノプリン、2,6-ジアミノプリン、及び2-クロロ-6-アミノプリンから選択される核酸塩基のような修飾されたプリンまたは修飾されたピリミジンに変更することによって修飾される。
【0186】
核酸塩基部分は対応する各核酸塩基用の文字コード、例えば、A、T、G、C、またはUによって示されてもよく、その際、各文字は任意で、同等の機能の修飾された核酸塩基を含んでもよい。例えば、例示されたオリゴヌクレオチドでは、核酸塩基部分はA、T、G、C、及び5-メチルシトシンから選択される。任意で、LNAギャップマーについては、5-メチル-シトシンLNAヌクレオシドが使用されてもよい。
【0187】
II.D.2. 糖修飾
本開示のASOは、修飾された糖部分、すなわち、DNA及びRNAに見られるリボース糖部分と比較した場合、糖部分の修飾を有する1以上のヌクレオシドを含むことができる。主に、親和性及び/またはヌクレアーゼ耐性のようなオリゴヌクレオチドの特定の特性を改善することを目的として、リボース糖部分が修飾された多数のヌクレオシドが作製されてきた。
【0188】
そのような修飾には、リボース環構造が、例えば、ヘキソース環による置換によって修飾されるもの(HNA)、または通常、リボース環上のC2’及びC4’炭素の間にビラジカル架橋を有する二環式環による置換によって修飾されるもの(LNA)、または通常、C2’とC3’炭素間の結合を欠く非結合リボース環による置換によって修飾されるもの(例えば、UNA)が挙げられる。他の糖修飾ヌクレオシドには、例えば、ビシクロヘキソース核酸(WO2011/017521)または三環系核酸(WO2013/154798)が挙げられる。修飾されたヌクレオシドにはまた、例えばペプチド核酸(PNA)またはモルフォリノ核酸の場合に、糖部分が非糖部分で置き換えられているヌクレオシドも含まれる。
【0189】
糖修飾としてはまた、リボース環の置換基を水素以外の基、すなわちRNAヌクレオシドに天然に見られる2’-OH基に変更することによって行われる修飾も挙げられる。置換基は、例えば、2’、3’、4’、または5’の位置に導入されてもよい。糖部分が修飾されたヌクレオシドには、2’置換ヌクレオシドのような2’修飾ヌクレオシドも含まれる。実際、2’置換ヌクレオシドの開発に多くの焦点が当てられており、ヌクレオシド耐性の強化や親和性の増強のような、オリゴヌクレオチドに組み込むと、多くの2’置換ヌクレオシドが有益な特性を有することがわかっている。
【0190】
II.D.2.a. 2’修飾ヌクレオシド
2’糖修飾ヌクレオシドは、2’位にHまたは-OH以外の置換基を有する(2’置換ヌクレオシド)、または2’結合ビラジカルを含むヌクレオシドであり、2’置換ヌクレオシド及びLNA(2’-4’ビラジカル架橋)ヌクレオシドが含まれる。例えば、2’修飾糖は、増強された結合親和性(例えば、親和性増強2’糖修飾ヌクレオシド)及び/またはオリゴヌクレオチドに対するヌクレアーゼ耐性の増加を提供してもよい。2’置換修飾ヌクレオシドの例は、2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA(MOE)、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-RNA、2’-フルオロ-DNA、アラビノ核酸(ANA)、及び2’-フルオロ-ANAヌクレオシドである。さらなる例については、例えば、Freier & Altmann;Nucl.Acid Res.,1997,25,4429-4443;Uhlmann,Curr.Opinion in Drug Development,2000,3(2),293-213;及びDeleavey and Damha,Chemistry and Biology,2012,19,937を参照のこと。以下は、いくつかの2’置換修飾ヌクレオシドの図解である。
【化3】
【0191】
II.D.2.b. ロックド核酸ヌクレオシド(LNA)
LNAヌクレオシドは、ヌクレオシドのリボース糖環のC2’とC4’の間(すなわち、2’-4’架橋)にリンカー基(ビラジカルまたは架橋と呼ばれる)を含む修飾ヌクレオシドであり、それはリボース環の高次構造を制約するまたはロックする。これらのヌクレオシドはまた、文献では架橋核酸または二環式核酸(BNA)とも呼ばれている。リボースの高次構造のロックは、LNAが相補性のRNAまたはDNA分子のオリゴヌクレオチドに組み込まれる場合のハイブリッド形成の親和性の向上(二重鎖の安定化)に関連している。これは、オリゴヌクレオチド/相補体二本鎖の融解温度を測定することによって日常的に決定することができる。
【0192】
非限定的な例示的なLNAヌクレオシドは、WO99/014226、WO00/66604、WO98/039352、WO2004/046160、WO00/047599、WO2007/134181、WO2010/077578、WO2010/036698、WO2007/090071、WO2009/006478、WO2011/156202、WO2008/154401、WO2009/067647、WO2008/150729、Morita et al.,Bioorganic & Med.Chem.Lett.12,73-76,Seth et al.,J.Org.Chem.2010,Vol 75(5),pp.1569-81、及びMitsuoka et al.,Nucleic Acids Research,2009,37(4),1225-1238にて開示されている。
【0193】
いくつかの態様では、本開示のASOの修飾ヌクレオシドまたはLNAヌクレオシドは式IまたはIIの一般的な構造を有する:
【化4】
式中、
Wは-O-、-S-、-N(R)-、-C(R)-、特に-O-から選択され;
Bは核酸塩基または修飾された核酸塩基部分であり;
Zは隣接するヌクレオシドまたは5’末端基へのヌクレオシド間結合であり;
Z*は隣接するヌクレオシドまたは3’末端基へのヌクレオシド間結合であり;
、R、R、R及びR5*は、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミル、アジド、複素環及びアリールから独立して選択され;かつ
X、Y、R及びRは本明細書で定義されている通りである。
【0194】
-X-Y-のいくつかの態様では、Rは水素またはアルキル、特に水素またはメチルである。-X-Y-のいくつかの態様では、Rは水素またはアルキル、特に水素またはメチルである。-X-Y-の他の態様では、RとRの一方または双方が水素である。-X-Y-のさらなる態様では、RとRの一方だけが水素である。-X-Y-のいくつかの態様では、RとRの一方がメチルであり、他方が水素である。-X-Y-の特定の態様では、RとRは双方とも同時にメチルである。
【0195】
-X-のいくつかの態様では、Rは水素またはアルキル、特に水素またはメチルである。-X-のいくつかの態様では、Rは水素またはアルキル、特に水素またはメチルである。-X-の他の態様では、RとRの一方または双方が水素である。-X-の特定の態様では、RとRの一方だけが水素である。-X-の特定の態様では、RとRの一方がメチルであり、他方が水素である。-X-の他の態様では、RとRは双方とも同時にメチルである。
【0196】
-Y-のいくつかの態様では、Rは水素またはアルキル、特に水素またはメチルである。-Y-の特定の態様では、Rは水素またはアルキル、特に水素またはメチルである。-Y-の他の態様では、RとRの一方または双方が水素である。-Y-のいくつかの態様では、RとRの一方だけが水素である。-Y-の他の態様では、RとRの一方がメチルであり、他方が水素である。-Y-のいくつかの態様では、RとRは双方とも同時にメチルである。
【0197】
いくつかの態様では、R、R、R、R及びR5*は独立して水素及びアルキル、特に水素及びメチルから選択される。
【0198】
いくつかの態様では、R、R、R、R及びR5*はすべて同時に水素である。
【0199】
いくつかの態様では、R、R、Rはすべて同時に水素であり、R及びR5*の一方は水素であり、他方は上記で定義された通りであり、特にアルキル、さらに具体的にはメチルである。
【0200】
いくつかの態様では、R、R、Rはすべて、同時に水素であり、R及びR5*の一方は水素であり、他方はアジドである。
【0201】
いくつかの態様では、-X-Y-は-O-CH-であり、Wは酸素であり、R、R、R、R及びR5*はすべて同時に水素である。そのようなLNAヌクレオシドは、すべて参照によって本明細書に組み込まれるWO99/014226、WO00/66604、WO98/039352、及びWO2004/046160にて開示されており、当該技術分野でベータ-D-オキシLNAヌクレオシド及びアルファ-L-オキシLNAヌクレオシドとして一般に知られているものを含む。
【0202】
いくつかの態様では、-X-Y-は-S-CH-であり、Wは酸素であり、R、R、R、R及びR5*はすべて同時に水素である。そのようなチオLNAヌクレオシドは、参照によって本明細書に組み込まれるWO99/014226及びWO2004/046160にて開示されている。
【0203】
いくつかの態様では、-X-Y-は-NH-CH-であり、Wは酸素であり、R、R、R、R及びR5*はすべて同時に水素である。そのようなアミノLNAヌクレオシドは、参照によって本明細書に組み込まれるWO99/014226及びWO2004/046160にて開示されている。
【0204】
いくつかの態様では、-X-Y-は-O-CHCH-、または-OCHCHCH-であり、Wは酸素であり、R、R、R、R及びR5*はすべて同時に水素である。そのようなLNAヌクレオシドは、参照によって本明細書に組み込まれるWO00/047599及びMorita et al.,Bioorganic & Med.Chem.Lett.12,73-76にて開示されており、当該技術分野で2’-O-4’C-エチレン架橋核酸(ENA)として一般に知られているものが含まれる。
【0205】
いくつかの態様では、-X-Y-は-O-CH-であり、Wは酸素であり、R、R、Rはすべて同時に水素であり、R及びR5*の一方は水素であり、他方はアルキル、例えば、メチルのように水素ではない。そのような5’置換LNAヌクレオシドは参照によって本明細書に組み込まれるWO2007/134181に開示されている。
【0206】
いくつかの態様では、-X-Y-は-O-CR-であり、式中、R及びRの双方は水素、特にメチルなどのアルキルではなく、Wは酸素であり、R、R、Rはすべて同時に水素であり、R及びR5*の一方は水素であり、他方は水素、特にアルキル、例えば、メチルではない。そのようなビス修飾LNAヌクレオシドは参照によって本明細書に組み込まれるWO2010/077578に開示されている。
【0207】
いくつかの態様では、-X-Y-は-O-CH(CH-O-CH)-(「2’O-メトキシエチル二環式核酸」、Seth et al.,J.Org.Chem.2010,Vol 75(5),pp.1569-81)である。
【0208】
いくつかの態様では、-X-Y-は-O-CHR-であり、Wは酸素であり、R、R、R、R及びR5*はすべて同時に水素である。そのような6’置換LNAヌクレオシドは双方とも参照によって本明細書に組み込まれるWO2010/036698及びWO2007/090071に開示されている。そのような6’置換LNAヌクレオシドでは、Rは特にメチルのようなC1-C6アルキルである。
【0209】
いくつかの態様では、-X-Y-は-O-CH(CH-O-CH)-であり、Wは酸素であり、R、R、R、R及びR5*はすべて同時に水素である。そのようなLNAヌクレオシドは、当該技術分野では環状MOE(cMOE)としても知られており、WO2007/090071に開示されている。
【0210】
いくつかの態様では、-X-Y-は-O-CH(CH)-である。
【0211】
いくつかの態様では、-X-Y-は-O-CH2-O-CH-(Seth et al.,J.Org.Chem 2010,op.cit.)である。
【0212】
いくつかの態様では、-X-Y-は-O-CH(CH)-であり、Wは酸素であり、R、R、R、R及びR5*はすべて同時に水素である。そのような6’-メチルLNAヌクレオシドは、当該技術分野ではcETヌクレオシドとしても知られており、双方とも参照によって本明細書に組み込まれるWO2007/090071(ベータ-D)及びWO2010/036698(アルファ-L)に開示されているように(S)-cETまたは(R)-cETジアステレオ異性体のいずれかであってもよい。
【0213】
いくつかの態様では、-X-Y-は-O-CR-であり、その際、RもRも水素ではなく、Wは酸素であり、R、R、R、R及びR5*はすべて同時に水素である。特定の態様では、R及びRは双方とも同時にアルキルであり、特に双方が同時にメチルである。そのような6’二置換LNAヌクレオシドは参照によって本明細書に組み込まれるWO2009/006478に開示されている。
【0214】
いくつかの態様では、-X-Y-は-S-CHR-であり、Wは酸素であり、R、R、R、R及びR5*はすべて同時に水素である。そのような6’置換チオLNAヌクレオシドは参照によって本明細書に組み込まれるWO2011/156202に開示されている。そのような6’置換チオLNAの特定の態様では、Rはアルキル、特にメチルである。
【0215】
いくつかの態様では、-X-Y-は-C(=CH)C(R)-であり、Wは酸素であり、R、R、R、R及びR5*はすべて同時に水素である。そのようなビニルカルボLNAヌクレオシドは双方とも参照によって本明細書に組み込まれるWO2018/154401及びWO2009/067647に開示されている。
【0216】
いくつかの態様では、-X-Y-は-N(OR)-CH-であり、Wは酸素であり、R、R、R、R及びR5*はすべて同時に水素である。いくつかの態様では、Rはメチルのようなアルキルである。そのようなLNAヌクレオシドはN置換LNAとしても知られており、参照によって本明細書に組み込まれるWO2008/150729に開示されている。
【0217】
いくつかの態様では、-X-Y-は-O-NCH-(Seth et al.,J.Org.Chem 2010 op.cit.)である。
【0218】
いくつかの態様では、-X-Y-はON(R)--N(R)-O-、-NR-CR-CR-、または-NR-CR-であり、Wは酸素であり、R、R、R、R及びR5*はすべて同時に水素である。特定の態様では、Rはメチルのようなアルキルである。(Seth et al.,J.Org.Chem 2010 op.cit.)
【0219】
いくつかの態様では、R及びR5*は双方とも同時に水素である。他の態様では、R及びR5*の一方が水素であり、他方がメチルのようなアルキルである。そのような態様では、R、R及びRは特に水素であることができ、-X-Y-は特に-O-CH-または-O-CHC(R-、例えば-O-CH(CH)-であり得る。
【0220】
いくつかの態様では、-X-Y-は-CR-O-CR-であり、例えば、-CH-O-CH-であり、Wは酸素であり、R、R、R、R及びR5*はすべて同時に水素である。そのような態様では、Rは、特にメチルのようなアルキルであり得る。そのようなLNAヌクレオシドは高次構造で制約があるヌクレオチド(CRN)としても知られており、参照によって本明細書に組み込まれるWO2013/036868に開示されている。
【0221】
いくつかの態様では、-X-Y-は-O-CR-O-CR-、例えば、-O-CH-O-CH-であり、Wは酸素であり、R、R、R、R及びR5*はすべて同時に水素である。特定の態様では、Rは特にメチルのようなアルキルであり得る。そのようなLNAヌクレオシドはCOCヌクレオチドとしても知られており、参照によって本明細書に組み込まれるMitsuoka et al.,Nucleic Acids Research 2009,37(4),1225-1238に開示されている。
【0222】
特に明記されていない限り、LNAヌクレオシドはベータ-Dまたはアルファ-Lのステレオアイソフォームであってもよいことが認識されるであろう。
【0223】
LNAヌクレオシドの特定の例をスキーム1に提示する。
スキーム1
【化5】
【0224】
他の場所で説明されているように、本開示のいくつかの態様では、オリゴヌクレオチドにおけるLNAヌクレオシドはベータ-D-オキシ-LNAヌクレオシドである。
【0225】
III.E. ヌクレアーゼが介在する分解
ヌクレアーゼが介在する分解は、相補性ヌクレオチド配列の分解に、そのような配列と二重鎖を形成するときに介在することができるオリゴヌクレオチドを指す。
【0226】
いくつかの態様では、オリゴヌクレオチドは、標的核酸のヌクレアーゼが介在する分解を介して機能してもよく、その際、本開示のオリゴヌクレオチドは、ヌクレアーゼ、特にエンドヌクレアーゼ、好ましくは、RNA分解酵素Hのようなエンドリボヌクレアーゼ(RNA分解酵素)を動員することができる。ヌクレアーゼが介在するメカニズムを介して作動するオリゴヌクレオチド設計の例は、通常少なくとも5または6のDNAヌクレオシドの領域を含み、親和性増強ヌクレオシド、例えばギャップマーが片側または両側に隣接しているオリゴヌクレオチドである。
【0227】
II.F. RNA分解酵素Hの活性及び動員
アンチセンスオリゴヌクレオチドのRNA分解酵素H活性は、相補性RNA分子と二重鎖になっているときにRNA分解酵素Hを動員し、相補性RNA分子の分解を誘導する能力を指す。WO01/23613は、RNA分解酵素H活性を決定するための試験管内方法を提供し、それはRNA分解酵素Hを動員する能力を決定するのに使用されてもよい。通常、相補性の標的核酸配列とともに提供された場合、試験対象の修飾オリゴヌクレオチドと同じ塩基配列を有するが、DNA単量体のみを含有し、オリゴヌクレオチド内のすべての単量体間にホスホロチオエート結合を持つオリゴヌクレオチドを使用し、WO01/23613の実施例91~95によって提供される方法論を使用する場合に決定される初期速度の少なくとも5%の、例えば、少なくとも10%のまたは20%を超えるpmol/l/分で測定されるような初期速度を有するのであれば、オリゴヌクレオチドはRNA分解酵素Hを動員することができると見なされる。
【0228】
いくつかの態様では、相補性の標的核酸配列が提供された場合、pmol/l/分で測定されるRNA分解酵素Hの初期速度が、試験対象のオリゴヌクレオチドと同じ塩基配列を有するが、2’置換のないDNA単量体のみを含有し、オリゴヌクレオチド内のすべての単量体間にホスホロチオエート結合を持つオリゴヌクレオチドを使用し、WO01/23613の実施例91~95によって提供される方法論を使用する場合に決定される初期速度の20%未満、例えば、10%未満、例えば、5%未満であれば、オリゴヌクレオチドはRNA分解酵素Hを本質的に動員することができないと見なされる。
【0229】
II.G. ASOの設計
本開示のASOは、ヌクレオシド及びヌクレオシド類似体の双方を含むヌクレオチド配列を含むことができ、ギャップマーの形態であり得る。本開示のASOとともに使用することができるギャップマーの構成の例は、米国特許出願公開第2012/0322851号に記載されている。
【0230】
本明細書で使用されるとき「ギャップマー」という用語は、1以上の親和性増強修飾ヌクレオシド(フランク)が5’及び3’に隣接するRNA分解酵素H動員オリゴヌクレオチド(ギャップ)の領域を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを指す。「LNAギャップマー」という用語は、親和性増強修飾ヌクレオシドの少なくとも1つがLNAヌクレオシドであるギャップマーオリゴヌクレオチドである。「混合ウィングギャップマー」という用語は、隣接領域が少なくとも1つのLNAヌクレオシド及び少なくとも1つのDNAヌクレオシドまたは非LNA修飾ヌクレオシド、例えば、少なくとも1つの2’置換修飾ヌクレオシド、例えば、2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA(MOE)、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-RNA、2’-フルオロ-DNA、アラビノ核酸(ANA)、及び2’-フルオロ-ANAヌクレオシド(複数可)を含むLNAギャップマーを指す。
【0231】
いくつかの態様では、本開示のASOはミックスマーの形態であり得る。いくつかの態様では、本開示のASOはトータルマーの形態であり得る。いくつかの態様では、標的領域に対するASOの親和性を増強することに加えて、いくつかのヌクレオシド類似体はまた、RNA分解酵素(例えば、RNA分解酵素H)の結合及び切断にも介在する。α-L-LNA単量体はある程度RNA分解酵素H活性を動員するので、いくつかの態様では、α-L-LNA単量体を含有するASOのギャップ領域(例えば、本明細書で言及される領域B)は、RNA分解酵素Hによって認識可能及び切断可能なより少数の単量体から成り、ミックスマー構造のさらなる柔軟性が導入されている。
【0232】
II.G.1. ギャプマーの設計
いくつかの態様では、本開示のASOはギャップマーであり、本明細書において領域B(B)と呼ばれるRNA分解酵素HのようなRNA分解酵素を動員することができるヌクレオチド(例えば、1以上のDNA)の連続した区間を含み、その際、領域Bは、領域Bのヌクレオチドの連続区間に対してヌクレオシド類似体5’及び3’の領域が5’及び3’の双方で隣接している。これらの領域はそれぞれ領域A(A)及びC(C)と呼ばれる。いくつかの態様では、ヌクレオシド類似体は糖修飾ヌクレオシド(例えば、高親和性の糖修飾ヌクレオシド)である。特定の態様では、領域A及びCの糖修飾ヌクレオシドは、標的核酸に対するASOの親和性を増強する(すなわち、親和性増強2’糖修飾ヌクレオシド)。いくつかの態様では、糖修飾ヌクレオシドは、LNA及び/または2’-MOEのような高親和性2’糖修飾のような2’糖修飾ヌクレオシドである。
【0233】
ギャップマーでは、領域Bの5’及び3’のほとんどのヌクレオシドはDNAヌクレオシドであり、それぞれ領域A及びCのヌクレオシド類似体(例えば、高親和性糖修飾ヌクレオシド)に隣接して配置される。いくつかの態様では、領域A及びCはさらに、領域Bから最も離れた末端(すなわち、領域Aの5’末端及び領域Cの3’末端)にヌクレオシド類似体を有することによって定義され得る。
【0234】
いくつかの態様では、本開示のASOは、式(5’から3’)A-B-Cのヌクレオチド配列を含み、式中、(A)(5’領域または第1のウィング配列)は少なくとも1つのヌクレオシド類似体(例えば、3-5LNA単位)を含み;(B)はRNA分解酵素を動員することができる(プレmRNAまたはmRNA標的のような相補性RNA分子と二重鎖で形成された場合)少なくとも4つの連続したヌクレオシド(例えば、4~24のDNA単位))を含み;(C)(3’領域または第2のウィング配列)は、少なくとも1つのヌクレオシド類似体(例えば、3~5のLNA単位)を含む。
【0235】
いくつかの態様では、領域AはLNAのような3~5のヌクレオシド類似体を含み、領域Bは6~24(例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、または14)のDNA単位から成り、領域CはLNAのような3または4のヌクレオシド類似体から成る。このような設計には、(A-B-C)3-14-3、3-11-3、3-12-3、3-13-3、4-9-4、4-10-4、4-11-4、4-12-4、及び5-10-5が含まれる。いくつかの態様では、ASOは、LLLDLLL、LLLLDLLLL、またはLLLLLDLLLLLの設計を有し、その際、Lはヌクレオシド類似体であり、DはDNAであり、nは4~24の任意の整数であり得る。いくつかの態様では、nは6~14の任意の整数であり得る。いくつかの態様では、nは8~12の任意の整数であり得る。いくつかの態様では、ASOはLLLMMDnMMLLL、LLLMDnMLLL、LLLLMMDnMMLLLL、LLLLMDnMLLLL、LLLLLLMMDnMMLLLLL、またはLLLLLLMDnMLLLLLの設計を有し、その際、DはDNAであり、nは3~15の任意の整数であることができ、LはLNAであり、Mは2’MOEである。
【0236】
さらなるギャップマーの設計は、WO2004/046160、WO2007/146511、及びWO2008/113832に開示されており、これらのそれぞれはその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0237】
II.H. ヌクレオチド間結合
本明細書に記載されているASOの単量体は連結基を介して一緒に結合される。好適には、各単量体は連結基を介して3’隣接単量体に連結される。
【0238】
当業者は、本開示の文脈において、ASOの末端の5’単量体が5’末端基を含んでもよいし、または含まなくてもよいが、5’連結基を含まないことを理解するであろう。
【0239】
いくつかの態様では、連続するヌクレオチド配列は1以上の修飾されたヌクレオシド間結合を含む。「連結基」または「ヌクレオシド間結合」という用語は、2つのヌクレオシドを一緒に共有結合することができる基を意味するように意図される。非限定的な例にはリン酸基及びホスホロチオエート基が挙げられる。
【0240】
本開示のASOのヌクレオシドまたはその隣接するヌクレオシド配列は連結基を介して一緒に結合される。好適には、各ヌクレオシドは連結基を介して3’隣接ヌクレオシドに連結される。
【0241】
いくつかの態様では、ヌクレオシド間結合は、その通常のホスホジエステルからホスホロチオエートのようなヌクレアーゼ攻撃に対してさらに耐性のあるものに修飾され、それはRNA分解酵素Hによって切断可能であり、標的遺伝子の発現を低減する際のアンチセンス阻害のその経路も可能にする。いくつかの態様では、ヌクレオシド間結合の少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%が修飾される。
【0242】
III. 細胞外小胞、例えば、エクソソーム
本明細書で開示されているのは、NLRP3アンタゴニストを含むEV、例えば、エクソソームである。いくつかの態様では、NLRP3アンタゴニストは化合物、siRNA、shRNA、ASO、タンパク質、またはそれらの任意の組み合わせである。ASOは本明細書に記載されている任意のASOまたはその機能的断片であり得る。特定の態様では、ASOは標的細胞におけるNLRP3 mRNAまたはNLRP3タンパク質のレベルを低減する。いくつかの態様では、本明細書に記載されているEV、例えば、エクソソームの投与は、標的細胞におけるNLRP3インフラマソームの形成を減らす、阻止する、または阻害する。
【0243】
いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは少なくとも1つのASOを含む。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは、少なくとも2つのASO、例えば、第1のヌクレオチド配列を含む第1のASO及び第2のヌクレオチド配列を含む第2のASOを含む。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは、少なくとも3つのASO、少なくとも4つのASO、少なくとも5つのASO、少なくとも6つのASO、または6つを超えるASOを含む。いくつかの態様では、第1のASO、第2のASO、第3のASO、第4のASO、第5のASO、第6のASO、及び/またはN番目のASOのそれぞれが異なる。
【0244】
いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは、第1のASO及び第2のASOを含み、第1のASOは第1の転写物中の第1の標的配列に相補性である第1のヌクレオチド配列を含み、第2のASOは第1の転写物の第2の標的配列に相補性である第2のヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、第1の標的配列は第2の標的配列と重複しない。いくつかの態様では、第1の標的配列は転写物の5’UTR内にある少なくとも1つのヌクレオチドを含み、第2の標的配列は、5’UTR内にあるヌクレオチドを含まない。いくつかの態様では、第1の標的配列は転写物の3’UTR内にある少なくとも1つのヌクレオチドを含み、第2の標的配列は、3’UTR内にあるヌクレオチドを含まない。いくつかの態様では、第1の標的配列は転写物の5’UTR内にある少なくとも1つのヌクレオチドを含み、第2の標的配列は、3’UTR内にある少なくとも1つのヌクレオチドを含む。
【0245】
いくつかの態様では、第1のASOはエクソン・イントロン接合部内の配列を標的とし、第2のASOはエクソン・イントロン接合部内の配列を標的とする。いくつかの態様では、第1のASOはエクソン・イントロン接合内の配列を標的とし、第2のASOはエクソン内の配列を標的とする。いくつかの態様では、第1のASOはエクソン・イントロン接合部内の配列を標的とし、第2のASOはイントロン内の配列を標的とする。いくつかの態様では、第1のASOはエクソン内の配列を標的とし、第2のASOはエクソン内の配列を標的とする。いくつかの態様では、第1のASOはイントロン内の配列を標的とし、第2のASOはエクソン内の配列を標的とする。いくつかの態様では、第1のASOはイントロン内の配列を標的とし、第2のASOはイントロン内の配列を標的とする。
【0246】
いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは第1のASO及び第2のASOを含み、その際、第1のASOは第1の転写物中の第1の標的配列に相補性である第1のヌクレオチド配列を含み、第2のASOは第2の転写物の第2の標的配列に相補性である第2のヌクレオチド配列を含み、第1の転写物は第2の転写物と同じ遺伝子の産物ではない。
【0247】
いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは免疫細胞を標的とする。いくつかの態様では、免疫細胞はマクロファージ、単球、樹状細胞、B細胞、T細胞、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。特定の態様では、EV、例えば、エクソソームは骨髄系細胞(例えば、好中球、骨髄由来抑制細胞(MDSC、例えば、単球MDSCまたは顆粒球MDSC)、単球、マクロファージ、造血幹細胞、好塩基球、好中球、または好酸球)、またはそれらの任意の組み合わせを標的とする。特定の態様では、EV、例えば、エクソソームはマクロファージを標的とする。特定の態様では、EV、例えば、エクソソームは樹状細胞を標的とする。特定の態様では、EV、例えば、エクソソームはB細胞を標的とする。特定の態様では、EV、例えば、エクソソームはT細胞を標的とする。
【0248】
いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームはNLRP3インフラマソームによって上方調節される1以上の遺伝子の発現を低減する。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは血清中のIL-1ベータの発現を低減する。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは対象にて炎症を減らす。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは慢性炎症の治療を必要とする対象にてそれを行う。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは自己炎症の治療を必要とする対象にてそれを行う。
【0249】
いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは線維症の治療を必要とする対象にてそれを行う。過剰なM2マクロファージの活性化は、筋線維芽細胞の増殖、EMT/EndoMTの活性化、及び細胞外マトリックスの沈着を促進するTGFβ及び成長因子の継続的な産生をもたらす。M2マクロファージは、創傷治癒と線維化促進プロセスの悪化との間の分断点を表す。いくつかの態様では、線維症は、肝線維症(NASH)、肝硬変、肺線維症、嚢胞性線維症、慢性潰瘍性大腸炎/IBD、膀胱線維症、腎臓線維症、CAPS(マックルウェルズ症候群)、心房線維症、心筋内線維症、古い心筋梗塞、グリア瘢痕、動脈硬化、関節線維症、クローン病、デュプイトレン収縮、ケロイド線維症、縦隔線維症、骨髄線維症、ペイロニー病、腎性全身性線維症、進行性大規模線維症、後腹膜線維症、強皮症/全身性硬化症、癒着性関節包炎及びそれらの任意の組み合わせから選択される。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは肝線維症(NASH)を治療する。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームはCAPS(マックルウェルズ症候群)を治療する。
【0250】
いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは、神経変性疾患を治療する。いくつかの態様では、神経変性疾患はアルツハイマー病、パーキンソン病、プリオン病、運動神経疾患、ハンチントン病、脊髄小脳失調、脊髄性筋萎縮症、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、神経障害痛、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0251】
いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは多発性硬化症(MS)の治療を必要とする対象にてそれを行う。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは、二次性進行性多発性硬化症(SPMS)における持続性髄膜リンパ構造の発生を減らす。
【0252】
いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームはアルツハイマー型認知症の治療を必要とする対象にてそれを行う。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームはアミロイドβの蓄積を減らすことを必要とする対象にてそれを行う。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームはTauの蓄積を減らすことを必要とする対象にてそれを行う。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームはAβの広がりを減らすことを必要とする対象にてそれを行う。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームはTauの広がりを減らすことを必要とする対象にてそれを行う。
【0253】
いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは筋萎縮性側索硬化症の治療を必要とする対象にてそれを行う。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは神経障害痛の治療を必要とする対象にてそれを行う。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは中枢神経系にて骨髄炎症を減らす。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは歯根、神経、及び/または筋肉の1以上へのマクロファージの流入を減らす。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは歯根、神経、及び/または筋肉の1以上にてマクロファージの食作用を減らす。
【0254】
いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは神経炎症性疾患の治療を必要とする対象にてそれを行う。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは炎症性神経障害の治療を必要とする対象にてそれを行う。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは神経にて骨髄炎症を減らす。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは髄鞘にて骨髄炎症を減らす。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは歯根、神経、及び/または筋肉の1以上へのマクロファージの流入を減らす。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは歯根、神経、及び/または筋肉の1以上にてマクロファージの食作用を減らす。
【0255】
いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは化学療法が誘導する末梢神経障害(CIPN)の治療を必要とする対象にてそれを行う。
【0256】
いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは代謝障害/CVDを治療する。いくつかの態様では、代謝障害/CVDは、酸-塩基不均衡、代謝性脳疾患、カルシウム代謝障害、DNA修復欠損障害、グルコース代謝障害、高乳酸血症、鉄代謝障害、脂質代謝障害、吸収不良症候群、代謝症候群X、先天性代謝異常、ミトコンドリア病、リン代謝障害、ポルフィリア症、タンパク質恒常性欠乏症、代謝性皮膚疾患、消耗症候群、水電解質不均衡、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0257】
上記に記載されているように、本明細書に記載されているEV、例えば、エクソソームは直径が約20~300nmの細胞外小胞である。本明細書に記載されているEV、例えば、エクソソームのサイズは以下に記載されている方法に従って測定することができる。
【0258】
いくつかの態様では、本開示のEV、例えば、エクソソームは、内部(内腔)表面及び外面を含む二脂質膜(「EV、例えば、エクソソーム、膜」)を含む。特定の態様では、内部(内腔)表面は、EV、例えば、エクソソームの内側コア(すなわち、内腔)に面する。特定の態様では、外部表面は、産生細胞または標的細胞のエンドソーム、多小胞体、または膜/細胞質と接触することができる。
【0259】
いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソーム、膜は脂質及び脂肪酸を含む。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソーム、膜は、リン脂質、糖脂質、脂肪酸、スフィンゴ脂質、ホスホグリセリド、ステロール、コレステロール、及びホスファチジルセリンを含む。
【0260】
いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソーム、膜は内側のリーフレット及び外側のリーフレットを含む。内側及び外側のリーフレットの組成は、当該技術分野で既知の二層間分布アッセイによって決定することができ、例えば、Kuypers et al.,Biohim Biophys Acta 1985 819:170を参照のこと。いくつかの態様では、外側リーフレットの組成は、およそ70~90%のコリンリン脂質、およそ0~15%の酸性リン脂質、及びおよそ5~30%のホスファチジルエタノールアミンである。いくつかの態様では、内側リーフレットの組成は、およそ15~40%のコリンリン脂質、およそ10~50%の酸性リン脂質、及びおよそ30~60%のホスファチジルエタノールアミンである。
【0261】
いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソーム、膜は、グリカンのような1以上の多糖類を含む。
【0262】
いくつかの態様では、本開示のEV、例えば、エクソソームは、ASOを含み、その際、ASOはEVの外面またはEVの内腔表面のいずれかで足場部分を介してEVに連結される。
【0263】
いくつかの態様では、ASOを含むEV、例えば、エクソソームはASOとエクソソーム膜との間に任意でリンカーを含むアンカー部分を含む。リンカーの非限定的な例は本明細書の他の場所に開示されている。
【0264】
III.A. NLRP3アンタゴニスト
本開示の特定の態様はNLRP3アンタゴニストを含むEV、例えば、エクソソームを対象とする。いくつかの態様では、NLRP3アンタゴニストは化合物、siRNA、shRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、タンパク質、またはそれらの任意の組み合わせから選択される。特定の態様では、NLRP3アンタゴニストはASO、例えば、本明細書で開示されている任意のASOである。
【0265】
いくつかの態様では、NLRP3アンタゴニストは、アンチセンスオリゴヌクレオチド、ホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマー(PMO)、またはペプチド結合ホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマー(PPMO)である。
【0266】
いくつかの態様では、NLRP3アンタゴニストは小分子である。いくつかの態様では、NLRP3はMCC950、タニラスト、オリドニン、CY-09、ベイ11-7082、パルテノリド、3,4-メチレンジオキシ-β-ニトロスチレン(MNB)、β-ヒドロキシブチレート(BHB)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、I型インターフェロン、及びそれらの任意の組み合わせから選択される(例えば、Cell Death and Disease 10:128,(2019)を参照のこと)。いくつかの態様では、NLRP3アンタゴニストは式:
【化6】
を含む。
【0267】
いくつかの態様では、NLRP3アンタゴニストはMCC950を含む(例えば、Nat.Med.21,248(2015)を参照のこと)。
【0268】
いくつかの態様では、NLRP3アンタゴニストは式:
【化7】
を含む。
【0269】
いくつかの態様では、NLRP3アンタゴニストはタニラストを含む(例えば、EMBO Mol.Med.10,e8689(2018)を参照のこと)。
【0270】
いくつかの態様では、NLRP3アンタゴニストは式:
【化8】
を含む。
【0271】
いくつかの態様では、NLRP3アンタゴニストはオリドニンを含む(例えば、Nat.Commun.9,2550(2018)を参照のこと)。
【0272】
いくつかの態様では、NLRP3アンタゴニストは式:
【化9】
を含む。
【0273】
いくつかの態様では、NLRP3アンタゴニストはCY-09を含む(例えば、J.Exp.Med.214,3219-3238(2017)を参照のこと)。
【0274】
いくつかの態様では、NLRP3アンタゴニストは式:
【化10】
を含む。
【0275】
いくつかの態様では、NLRP3アンタゴニストはベイ11-7082を含む(例えば、J.Biol.Chem.285,9792-9802(2010)を参照のこと)。
【0276】
いくつかの態様では、NLRP3アンタゴニストは式:
【化11】
を含む。
【0277】
いくつかの態様では、NLRP3アンタゴニストはパルテノリドを含む(例えば、J.Biol Chem.285:9792-9802(2010)を参照のこと)。
【0278】
いくつかの態様では、NLRP3アンタゴニストは式:
【化12】
を含む。
【0279】
いくつかの態様では、NLRP3アンタゴニストは、3,4-メチレンジオキシ-β-ニトロスチレン(MNB)を含む(例えば、J Biol Chem.289:1142-1150(2014)を参照のこと)。
【0280】
III.B. アンカー部分(AM)
1以上のアンカー部分(AM)を使用して、ASOを本開示のEVに固定することができる。いくつかの態様では、ASOはアンカー部分に直接、またはリンカーを介して連結される。いくつかの態様では、ASOは、「反応性部分」(RM;例えば、マレイミド、コハク酸塩、NHS)と「反応性基」(RG;例えば、アミン、チオール、ヒドロキシ、カルボン酸、またはアジド)の間の反応を介してアンカー部分またはリンカーの組み合わせに結合することができる。いくつかの潜在的な合成経路が想定されている。例えば、次の通りである。
[AM]-/反応性部分/ + /反応性基/-[ASO]
[AM]-[リンカー]n/反応性部分/ + /反応性基/-[ASO]
[AM]-/反応性部分/ + /反応性基/-[リンカー]n-[ASO]
[AM]-[リンカー]n-/反応性部分/ + /反応性基/-[リンカー]n-[ASO]
【0281】
アンカー部分はEV、例えば、エクソソームの脂質二重層に挿入することができ、ASOによるエクソソームの負荷を可能にする。現在、極性ASOの送達媒体としてのエクソソームの商業化に対する主な障害は非常に非効率的な負荷である。この障害は、極性ASOをエクソソームに負荷する前に修飾することによって克服することができる。したがって、本明細書に記載されているように、ASOの修飾はそれらのエクソソームへの負荷を容易にする。
【0282】
本明細書に記載されている修飾された極性ASOをエクソソームに負荷する方法は、例えば、電気穿孔法またはカチオン性脂質形質移入によって非修飾ASOをエクソソームに導入するために以前に報告された負荷効率と比べて、負荷効率を大幅に改善する。
【0283】
いくつかの態様では、修飾は、ネイティブ(非修飾)ASOと比べてASOの疎水性を少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約倍7、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、または少なくとも約10倍高める。いくつかの態様では、修飾は、ネイティブ(非修飾)ASOと比べてASOの疎水性を少なくとも約1桁、少なくとも約2桁、少なくとも約3桁、少なくとも約4桁、少なくとも約5桁、少なくとも約6桁、少なくとも約7桁、少なくとも約8桁、少なくとも約9桁、または少なくとも約10桁増やす。
【0284】
いくつかの態様では、修飾は、ネイティブ(非修飾)ASO、例えば、対応する非修飾のASOと比べてASOの疎水性を少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約175%、少なくとも約200%、少なくとも約250%、少なくとも約300%、少なくとも約350%、少なくとも約400%、少なくとも約450%、少なくとも約500%、少なくとも約600%、少なくとも約700%、少なくとも約800%、少なくとも約900%、または少なくとも約1000%高める。疎水性の上昇は任意の好適な方法を使用して評価することができる。例えば、疎水性は、水のような水性溶媒への溶解度と比べたとき、オクタノールのような有機溶媒における溶解度のパーセンテージを測定することによって決定することができる。
【0285】
いくつかの態様では、アンカー部分はその疎水性特性を増強するためにASOに化学的に結合させることができる。例示的な態様では、アンカー部分はステロール(例えば、コレステロール)、GM1、脂質、ビタミン、小分子、ペプチド、またはそれらの組み合わせである。いくつかの態様では、該部分は脂質である。いくつかの態様では、アンカー部分はステロール、例えば、コレステロールである。追加の疎水性部分には、例えば、リン脂質、リゾリン脂質、脂肪酸、またはビタミン(例えば、ビタミンDまたはビタミンE)が挙げられる。
【0286】
いくつかの態様では、アンカー部分は、直接または1以上のリンカーを介してASOの末端で結合される(すなわち、「末端修飾」)。他の態様では、アンカー部分はASOの他の部分に結合される。
【0287】
いくつかの態様では、ASOは検出可能な標識を含むことができる。例示的な標識には蛍光標識及び/または放射性標識が挙げられる。いくつかの態様では、ASOが蛍光標識される場合、検出可能な標識は、例えば、Cy3であり得る。検出可能な標識をASOに付加することは、エクソソームを標識し、それらの生体内分布を追跡する方法として使用することができる。他の態様では、検出可能な標識はエクソソームに直接、例えば、エクソソーム脂質及び/またはエクソソームペプチドを標識することによって結合させることができる。
【0288】
ASOのさまざまな成分(すなわち、アンカー部分、リンカーとリンカーの組み合わせ、及びASO)は、アミド結合、エステル結合、エーテル結合、チオエーテル結合、ジスルフィド結合、ホスホルアミデート結合、ホスホトリエステル結合、ホスホロジチオエート結合、メチルホスホネート結合、ホスホジエステル結合、またはホスホロチオエート結合、または代わりに、任意のもしくは他の結合によって連結することができる。
【0289】
いくつかの態様では、ASOのさまざまな成分は、例えば、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート、N-4-マレイミド酪酸、S-(2-ピリジルジチオ)システアミン、ヨードアセトキシスクシンイミド、N-(4-マレイミドブチルオキシ)スクシンイミド、N-[5-(3’-マレイミドプロピルアミド)-1-カルボキシペンチル]イミノ二酢酸、N-(5-アミノペンチル)-イミノ二酢酸等のような二官能性リンカー(すなわち、2つの官能基を含むリンカー)を使用するリンカーであり得る。
【0290】
III.B.1. アンカー部分
EV、例えば、エクソソームの表面にASOを固定することができる好適なアンカー部分は、以下で詳細に説明するように、例えば、ステロール(例えば、コレステロール)、脂質、リゾリン脂質、脂肪酸、または脂溶性ビタミンを含む。
【0291】
いくつかの態様では、アンカー部分は脂質であり得る。脂質アンカー部分は、当該技術分野で知られている任意の脂質、例えば、パルミチン酸またはグリコシルホスファチジルイノシトールであり得る。いくつかの態様では、脂質は、脂肪酸、ホスファチド、リン脂質(例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、またはホスファチジルエタノールアミン)、またはそれらの類似体(例えば、ホスファチジルコリン、レシチン、ホスファチジルエタノールアミン、セファリン、またはホスファチジルセリンまたはその類似体またはその一部、例えば、その部分的に加水分解された部分)である。
【0292】
一般的に、アンカー部分は化学的に結合される。しかしながら、アンカー部分は酵素的にASOに結合することができる。いくつかの態様では、細胞培養条件の変更によって、アンカー部分をASOに結合させることが可能である。例えば、ミリスチン酸が制限されている培地を使用することによって、短鎖及び不飽和を含む他のいくつかの脂肪酸をN末端グリシンに結合させることができる。例えば、BKチャネルでは、ミリステートは、ヒドロキシエステル結合を介して、翻訳後に内部のセリン/スレオニンまたはチロシンの残基に結合することが報告されている。
【0293】
アンカー部分は化学的に実行可能な任意の位置、例えば、ASOの5’及び/または3’末端にて直接ASOに、またはリンカーの組み合わせを介して間接的にASOに結合することができる。一態様では、アンカー部分はASOの3’末端のみに結合される。一態様では、アンカー部分はASOの5’末端のみに結合される。一態様では、アンカー部分はASOの3’末端または5’末端ではない位置に結合される。
【0294】
次の表に提示される本開示の方法を実施するために使用することができるいくつかのタイプの膜アンカー:
【表A】
【0295】
いくつかの態様では、本開示のアンカー部分は、本明細書で開示されている2以上のタイプのアンカー部分を含むことができる。例えば、いくつかの態様では、アンカー部分は2つの脂質、例えば、リン脂質と脂肪酸、または2つのリン脂質、または2つの脂肪酸、または脂質とビタミン、またはコレステロールとビタミンなどを含むことができ、まとめるとそれらは6~80の炭素原子(すなわち、6~80の等価炭素数(ECN))を有する。
【0296】
いくつかの態様では、アンカー部分の組み合わせ、例えば、脂質(例えば、脂肪酸)の組み合わせは、6~80、8~80、10~80、12~80、14~80、16~80、18~80、20~80、22~80、24~80、26~80、28~80、30~80、4~76、6~76、8~76、10~76、12~76、14~76、16~76、18~76、20~76、22~76、24~76、26~76、28~76、30~76、6~72、8~72、10~72、12~72、14~72、16~72、18~72、20~72、22~72、24~72、26~72、28~72、30~72、6~68、8~68、10~68、12~68、14~68、16~68、18~68、20~68、22~68、24~68、26~68、28~68、30~68、6~64、8~64、10~64、12~64、14~64、16~64、18~64、20~64、22~64、24~64、26~64、28~64、30~64、6~60、8~60、10~60、12~56、14~56、16~56、18~56、20~56、22~56、24~56、26~56、28~56、30~56、6~52、8~52、10~52、12~52、14~52、16~52、18~52、20~52、22~52、24~52、26~52、28~52、30~52、6~48、8~48、10~48、12~48、14~48、16~48、18~48、20~48、22~48、24~48、26~48、28~48、30~48、6~44、8~44、10~44、12~44、14~44、16~44、18~44、20~44、22~44、24~44、26~44、28~44、30~44、6~40、8~40、10~40、12~40、14~40、16~40、18~40、20~40、22~40、24~40、26~40、28~40、30~40、6~36、8~36、10~36、12~36、14~36、16~36、18~36、20~36、22~36、24~36、26~36、28~36、30~36、6~32、8~32、10~32、12~32、14~32、16~32、18~32、20~32、22~32、24~32、26~32、28~32、または30~32のECNを有する。
【0297】
III.B.1.a. コレステロール及び他のステロール
いくつかの態様では、アンカー部分は、ステロール、ステロイド、ホパノイド、ヒドロキシステロイド、セコステロイド、または親油性があるそれらの類似体を含む。いくつかの態様では、アンカー部分は、植物ステロール、菌類ステロール、または動物ステロールのようなステロールを含む。例示的な動物ステロールには、コレステロール及び24S-ヒドロキシコレステロールが含まれ;例示的な植物ステロールには、エルゴステロール(菌類ステロール)、カンペステロール、シトステロール、及びスチグマステロールが含まれる。いくつかの態様では、ステロールは、エルゴステロール、7-デヒドロコレステロール、コレステロール、24S-ヒドロキシコレステロール、ラノステロール、シクロアルテノール、フコステロール、サリンゴステロール、カンペステロール、β-シトステロール、シトスタノール、コプロスタノール、アベナステロール、またはスチグマステロールから選択される。ステロールは、遊離ステロール、アシル化(ステロールエステル)、アルキル化(ステリルアルキルエーテル)、硫酸化(ステロール硫酸塩)、またはそれ自体がアシル化できるグリコシド部分(ステリルグリコシド)に結合したもの(アシル化ステロールグリコシド)のいずれかとして見いだされてもよい。
【0298】
いくつかの態様では、アンカー部分はステロイドを含む。いくつかの態様では、ステロイドは、ジヒドロテストステロン、ウバオール、ヘシゲニン、ジオスゲニン、プロゲステロン、またはコルチゾールから選択される。
【0299】
例えば、ステロールはステロールの利用可能な-OH基にて、ASOに直接、またはリンカーの組み合わせを介して結合されてもよい。例示的なステロールは以下に示す一般的な骨格を有する:
【化13】
【0300】
さらなる例として、エルゴステロールは以下の構造を有する:
【化14】
【0301】
コレステロールは以下の構造を有する:
【化15】
【0302】
したがって、いくつかの実施形態では、ステロールまたはステロイドの遊離-OH基を使用して、ASOを直接またはリンカーの組み合わせを介して、ステロール(例えば、コレステロール)またはステロイドに結合する。
【0303】
III.B.1.b. 脂肪酸
いくつかの態様では、アンカー部分は脂肪酸である。いくつかの態様では、脂肪酸は短鎖脂肪酸、中鎖脂肪酸、または長鎖脂肪酸である。いくつかの態様では、脂肪酸は飽和脂肪酸である。いくつかの態様では、脂肪酸は不飽和脂肪酸である。いくつかの態様では、脂肪酸はモノ不飽和脂肪酸である。いくつかの態様では、脂肪酸は、ω-3(オメガ-3)またはω-6(オメガ-6)脂肪酸のような多価不飽和脂肪酸である。
【0304】
いくつかの態様では、脂質、例えば、脂肪酸はC~C60の鎖を有する。いくつかの態様では、脂質、例えば、脂肪酸はC2~28の鎖を有する。いくつかの態様では、脂肪酸はC2~40の鎖を有する。いくつかの態様では、脂肪酸はC~C12の鎖またはC~C12の鎖を有する。いくつかの態様では、脂肪酸はC~C40の鎖を有する。いくつかの態様では、脂肪酸は、C~C40、C~C38、C~C36、C~C34、C~C32、C~C30、C~C30、C~C28、C~C28、C~C26、C~C26、C~C24、C~C24、C~C24、C~C24、C10~C24、C~C22、C~C22、C~C22、C~C22、C10~C22、C~C20、C~C20、C6~20、C~C20、C10~C20、C~C18、C~C18、C~C18、C~C18、C10~C18、C12~C18、C14~C18、C16~C18、C~C16、C~C16、C~C16、C~C16、C10~C16、C12~C16、C14~C16、C~C15、C~C15、C~C15、C~C15、C~C15、C10~C15、C11~C15、C12~C15、C13~C15、C~C14、C~C14、C~C14、C~C14、C~C14、C10~C14、C11~C14、C12~C14、C~C13、C~C13、C~C13、C~C13、C~C13、C~C13、C10~C13、C10~C13、C11~C13、C~C12、C~C12、C~C12、C~C12、C~C12、C~C12、C10~C12、C~C11、C~C11、C~C11、C~C11、C~C11、C~C11、C~C10、C~C10、C~C、C~C、C~C、C~C、C~C、C~C、またはC~Cの鎖を有する。いくつかの態様では、脂肪酸は、C、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20、C21、C22、C23、C24、C25、C26、C27、C28、C29、C30、C31、C32、C33、C34、C35、C36、C37、C38、C39、C40、C41、C42、C43、C44、C45、C46、C47、C48、C49、C50、C51、C52、C53、C54、C55、C56、C57、C58、C59、またはC60の鎖を有する。
【0305】
いくつかの態様では、アンカー部分は2つの脂肪酸を含み、それらのそれぞれは、前述の炭素原子の範囲または数のいずれか1つを持つ鎖を有する脂肪酸から独立して選択される。いくつかの態様では、脂肪酸の1つは独立してC6~C21の鎖を持つ脂肪酸であり、かつ1つは独立してC12~C36の鎖を持つ脂肪酸である。いくつかの実施形態では、各脂肪酸は独立して、11、12、13、14、15、16、または17の炭素原子の鎖を有する。
【0306】
好適な脂肪酸には、飽和直鎖脂肪酸、飽和分岐鎖脂肪酸、不飽和脂肪酸、ヒドロキシ脂肪酸、及びポリカルボン酸が挙げられる。いくつかの態様では、そのような脂肪酸は最大32までの炭素原子を有する。
【0307】
有用な飽和直鎖脂肪酸の例には、例えば、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ヘキサコサン酸、オクタコサン酸、トリアコンタン酸及びn-ドトリアコンタン酸のような偶数の炭素原子を有するもの、ならびに例えば、プロピオン酸、n-吉草酸、エナント酸、ペラルゴン酸、ヘンデカン酸、トリデカン酸、ペンタデカン酸、ヘプタデカン酸、ノナデカン酸、ヘネイコサン酸、トリコサン酸、ペンタコサン酸、及びヘプタコサン酸のような奇数の炭素原子を有するものが挙げられる。
【0308】
好適な飽和分岐鎖脂肪酸の例には、イソ酪酸、イソカプロン酸、イソカプリル酸、イソカプリン酸、イソラウリン酸、11-メチルドデカン酸、イソミリスチン酸、13-メチル-テトラデカン酸、イソパルミチン酸、15-メチル-ヘキサデカン酸、イソステアリン酸、17-メチルオクタデカン酸、イソアラシン酸、19-メチル-エイコサン酸、α-エチル-ヘキサン酸、α-ヘキシルデカン酸、α-ヘプチルウンデカン酸、2-デシルテトラデカン酸、2-ウンデシルテトラデカン酸、2-デシルペンタデカン酸、2-ウンデシルペンタデカン酸、及びファインオキソコール1800酸(Nissan Chemical Industries,Ltdの製品)が挙げられる。好適な飽和奇数炭素分岐鎖脂肪酸には、イソブチル基で終結するアンテイソ脂肪酸、例えば、6-メチル-オクタン酸、8-メチル-デカン酸、10-メチル-ドデカン酸、12-メチル-テトラデカン酸、14-メチル-ヘキサデカン酸、16-メチル-オクタデカン酸、18-メチル-エイコサン酸、20-メチル-ドコサン酸、22-メチル-テトラコサン酸、24-メチル-ヘキサコサン酸、及び26-メチルオクタコサン酸が挙げられる。
【0309】
好適な不飽和脂肪酸の例には、4-デセン酸、カプロル酸、4-ドデセン酸、5-ドデセン酸、ラウロレイン酸、4-テトラデセン酸、5-テトラデセン酸、9-テトラデセン酸、パルミトール酸、6-オクタデセン酸、オレイン酸、9-オクタデセン酸、11-オクタデセン酸、9-エイコセン酸、シス-11-エイコセン酸、セトレイン酸、13-ドコセン酸、15-テトラコセン酸、17-ヘキサコセン酸、6,9,12,15-ヘキサデカテトラエン酸、リノール酸、リノレン酸、α-エレオステア酸、β-エレオステア酸、プニン酸、6,9,12,15-オクタデカテトラエン酸、パリナリン酸、5,8,11,14-エイコサテトラエン酸、5,8,11,14,17-エイコサペンタエン酸、7,10,13,16,19-ドコサペンタエン酸、4,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸などが挙げられる。
【0310】
好適なヒドロキシ脂肪酸の例には、α-ヒドロキシラウリン酸、α-ヒドロキシミリスチン酸、α-ヒドロキシパルミチン酸、α-ヒドロキシステアリン酸、ω-ヒドロキシラウリン酸、α-ヒドロキシアラキジン酸、9-ヒドロキシ-12-オクタデセン酸、リシノール酸、α-ヒドロキシベヘン酸、9-ヒドロキシ-トランス-10,12-オクタデカジエン酸、カモレン酸、イプロル酸、9,10-ジヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸などが挙げられる。
【0311】
好適なポリカルボン酸の例には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼラン酸、セバシン酸、D,L-リンゴ酸などが挙げられる。
【0312】
いくつかの態様では、各脂肪酸は独立して、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ヘネイコシル酸、ベヘン酸、トリコシル酸、リグノセリン酸、ペンタコシル酸、セロチン酸、ヘプタコシル酸、モンタン酸、ノナコシル酸、メリシン酸、ヘナトリアコンチル酸、ラセロイン酸、プシル酸、ゲジン酸、セロプラスチック酸、ヘキサトリアコンチル酸、ヘプタトリアコンタン酸、またはオクタトリアコンタン酸から選択される。
【0313】
いくつかの態様では、各脂肪酸は独立して、α-リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リノール酸、ガンマ-リノール酸、ジホモ-ガンマ-リノール酸、アラキドン酸、ドコサテトラエン酸、パルミトレイン酸、バクセン酸、パウリン酸、オレイン酸、エライジン酸、ゴンド酸、エルシン酸、ネルボン酸、ミード酸、アドレニン酸、ボセオペンタエン酸、オズボンド酸、サルジン酸、ヘリン酸、ドコサヘキサエン酸、またはテトラコサノールペンタエン酸、または別のモノ不飽和脂肪酸または多価不飽和脂肪酸から選択される。
【0314】
いくつかの態様では、脂肪酸の一方または双方は必須脂肪酸である。特定の必須脂肪酸の有益な健康効果を考慮して、開示された治療負荷エクソソームの治療上の利益は、そのような脂肪酸を治療剤に含めることによって増加させてもよい。いくつかの態様では、必須脂肪酸は、リノレン酸、γ-リノレン酸、ジホモ-γ-リノレン酸、アラキドン酸、アドレニン酸、ドコサペンタエンn-6酸、α-リノレン酸、ステアリドン酸、20:4n-3酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエンn-3酸、またはドコサヘキサエン酸から成る群から選択されるn-6またはn-3の必須脂肪酸である。
【0315】
いくつかの態様では、各脂肪酸は独立して、全-シス-7,10,13-ヘキサデカトリエン酸、α-リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサトリエン酸、エイコサテトラエン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、テトラコサペンタエン酸、テトラコサヘキサエン酸、またはリポ酸から選択される。他の態様では、脂肪酸はエイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、またはリポ酸から選択される。脂肪酸の他の例には、全-シス-7,10,13-ヘキサデカトリエン酸、α-リノレン酸(ALAまたは全-シス-9,12,15-オクタデカトリエン酸)、ステアリドン酸(STDまたは全-シス-6,9,12,15-オクタデカテトラエン酸)、エイコサトリエン酸(ETEまたは全-シス-11,14,17-エイコサトリエン酸)、エイコサテトラエン酸(ETAまたは全-シス-8,11,14,17-エイコサテトラエン酸)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサペンタエン酸(DPA、クルパノドン酸または全-シス-7,10,13,16,19-ドコサペンタエン酸)、ドコサヘキサエン酸(DHAまたは全-シス-4,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸)、テトラコサペンタエン酸(全-シス-9,12,15,18,21-ドコサヘキサエン酸)、またはテトラコサヘキサエン酸(ニシン酸または全-シス-6,9,12,15,18,21-テトラコセン酸)が挙げられる。いくつかの態様では、脂肪酸は、例えば、リポ酸のような中鎖脂肪酸である。
【0316】
脂肪酸鎖は鎖の長さが大きく異なり、鎖の長さに従って、例えば、短いものから非常に長いものまで分類されてもよい。短鎖脂肪酸(SCFA)は、約5以下の炭素の鎖を持つ脂肪酸(例えば、酪酸)である。いくつかの態様では、脂肪酸はSCFAである。中鎖脂肪酸(MCFA)には、中鎖トリグリセリドを形成することができる約6~12の炭素の鎖を持つ脂肪酸が含まれる。いくつかの態様では、脂肪酸はMCFAである。長鎖脂肪酸(LCFA)には13~21の炭素の鎖を持つ脂肪酸が含まれる。いくつかの態様では、脂肪酸はLCFAである。いくつかの態様では、脂肪酸はLCFAである。超長鎖脂肪酸(VLCFA)には、22~60、22~50、または22~40の炭素のような22以上の炭素の鎖を持つ脂肪酸が含まれる。いくつかの態様では、脂肪酸はVLCFAである。
【0317】
III.B.1.c. リン脂質
いくつかの態様では、アンカー部分はリン脂質を含む。リン脂質はすべての細胞膜の主成分である脂質のクラスである。それらは両親媒性の特徴のために脂質二重層を形成することができる。リン脂質分子の構造は一般に、2つの疎水性脂肪酸「尾部」とリン酸基から成る親水性「頭部」とから成る。例えば、リン脂質は次の式に従った脂質であり得る。
【化16】
式中、Rはリン脂質部分を表し、R及びRは不飽和を伴う、または伴わない、同じであってもよい、または異なってもよい脂肪酸部分を表す。
【0318】
リン脂質部分は、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、2リゾホスファチジルコリン、及びスフィンゴミエリンから成る非限定的な基から選択されてもよい。
【0319】
特定のリン脂質は、脂質二重層、例えば、エクソソーム膜の脂質二重層への融合を促進してもよい。例えば、カチオン性リン脂質は、膜の1以上の負に荷電したリン脂質と相互作用してもよい。リン脂質の膜への融合は、脂質含有組成物の1以上の要素が膜に結合する、または膜を通過することを可能にしてもよい。
【0320】
脂肪酸部分は、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、α-リノレン酸、エルカ酸、フィタン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ベヘン酸、ドコサペンタエン酸、及びドコサヘキサエン酸から成る非限定的な基から選択されてもよい。
【0321】
本開示においてアンカー部分として使用するリン脂質は、天然または非天然のリン脂質であり得る。分岐、酸化、環化、及びアルキンを含む修飾及び置換を持つ天然種を含む非天然リン脂質種もまた企図される。例えば、リン脂質は、1以上のアルキン(例えば、1以上の二重結合が三重結合で置き換えられているアルケニル基)で官能化されてもよく、またはそれに架橋されてもよい。適切な反応条件下で、アルキン基は、アジドへの曝露時に銅触媒による付加環化反応を受けてもよい。
【0322】
リン脂質には、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、及びホスファチジン酸のようなグリセロリン脂質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0323】
本明細書で開示されているアンカー部分で使用することができるリン脂質の例には以下が挙げられる。
・ホスファチジルエタノールアミン:例えば、ジラウロイルホスファチジルエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン、1-パルミトイル-2-オレイルホスファチジルエタノールアミン、1-オレイル-2-パルミトイルホスファチジルエタノールアミン及びジエルコイルホスファチジルエタノールアミン;
・ホスファチジルグリセロール:例えば、ジラウロイルホスファチジルグリセロール、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、ジステアロイルホスファチジルグリセロール、ジオレオイルホスファチジルグリセロール、1-パルミトイル-2-オレイル-ホスファチジルグリセロール、1-オレイル-2-パルミトイル-ホスファチジルグリセロール及びジエルコイルホスファチジルグリセロール;
・ホスファチジルセリン:例えば、ジラウロイルホスファチジルセリン、ジミリストイルホスファチジルセリン、ジパルミトイルホスファチジルセリン、ジステアロイルホスファチジルセリン、ジオレオイルホスファチジルセリン、1-パルミトイル-2-オレイル-ホスファチジルセリン、1-オレイル-2-パルミトイル-ホスファチジルセリン及びジエルコイルホスファチジルセリン;
・ホスファチジン酸:例えば、ジラウロイルホスファチジン酸、ジミリストイルホスファチジン酸、ジパルミトイルホスファチジン酸、ジステアロイルホスファチジン酸、ジオレオイルホスファチジン酸、1-パルミトイル-2-オレイルホスファチジン酸、1-オレイル-2-パルミトイル-ホスファチジン酸、及びジエルコイルホスファチジン酸;ならびに
・ホスファチジルイノシトール:例えば、ジラウロイルホスファチジルイノシトール、ジミリストイルホスファチジルイノシトール、ジパルミトイルホスファチジルイノシトール、ジステアロイルホスファチジルイノシトール、ジオレオイルホスファチジルイノシトール、1-パルミトイル-2-オレイル-ホスファチジルイノシトール、1-オレイル-2-パルミトイル-ホスファチジルイノシトール及びジエルコイルホスファチジルイノシトール。
【0324】
リン脂質は対称型または非対称型であってもよい。本明細書で使用されるとき、「対称リン脂質」という用語には、一致する脂肪酸部分を有するグリセロリン脂質、及び可変脂肪酸部分とスフィンゴシン骨格の炭化水素鎖が同等の数の炭素原子を含むスフィンゴ脂質が含まれる。本明細書で使用されるとき、「非対称リン脂質」という用語には、リゾ脂質、異なる脂肪酸部分(例えば、異なる数の炭素原子及び/または不飽和(例えば、二重結合)を有する脂肪酸部分)を有するグリセロリン脂質、ならびに可変脂肪酸部分及びスフィンゴシン骨格の炭化水素鎖が異なる数の炭素原子を含む(例えば、可変脂肪酸部分が炭化水素鎖よりも少なくとも2つ多い炭素原子を含む、または炭化水素鎖よりも少なくとも2つ少ない炭素原子を含む)スフィンゴ脂質が含まれる。
【0325】
いくつかの態様では、アンカー部分は少なくとも1つの対称リン脂質を含む。対称リン脂質は、
1,2-ジプロピオニル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(03:0 PC)、
1,2-ジブチリル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(04:0 PC)、
1,2-ペンタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(05:0 PC)、
1,2-ジヘキサノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(06:0 PC)、
1,2-ジヘプタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(07:0 PC)、
1,2-ジオクタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(08:0 PC)、
1,2-ジノナノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(09:0 PC)、
1,2-ジデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(10:0 PC)、
1,2-ジウンデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(11:0 PC、DUPC)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(12:0 PC)、
1,2-ジトリデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(13:0 PC)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(14:0 PC、DMPC)、
1,2-ジペンタデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(15:0 PC)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(16:0 PC、DPPC)、
1,2-ジフィタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(4ME 16:0 PC)、
1,2-ジヘプタデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(17:0 PC)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0 PC、DSPC)、
1,2-ジノナデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(19:0 PC)、
1,2-ジアラキドイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(20:0 PC)、
1,2-ジヘンアラキドイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(21:0 PC)、
1,2-ジベヘノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(22:0 PC)、
1,2-ジトリコサノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(23:0 PC)、
1,2-ジリグノセロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(24:0 PC)、
1,2-ジミリストレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(14:1(Δ9-シス)PC)、
1,2-ジミリステライドイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(14:1(Δ9-トランス)PC)、
1,2-ジパルミトレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(16:1(Δ9-シス)PC)、
1,2-ジパルミテライドイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(16:1(Δ9-トランス)PC)、
1,2-ジペトロセレノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:1(Δ6-シス)PC)、
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:1(Δ9-シス)PC、DOPC)、
1,2-ジエライドイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:1(Δ9-トランス)PC)、
1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:2(シス)PC、DLPC)、
1,2-ジリノレノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:3(シス)PC、DLnPC)、
1,2-ジエイコセノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(20:1(シス)PC)、
1,2-ジアラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(20:4(シス)PC、DAPC)、
1,2-ジエルコイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(22:1(シス)PC)、
1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(22:6(シス)PC、DHAPC)、
1,2-ジネルボノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(24:1(シス)PC)、
1,2-ジヘキサノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(06:0 PE)、
1,2-ジオクタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(08:0 PE)、
1,2-ジデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(10:0 PE)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(12:0 PE)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(14:0 PE)、
1,2-ジペンタデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(15:0 PE)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(16:0 PE)、
1,2-ジフィタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(4ME 16:0 PE)、
1,2-ジヘプタデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(17:0 PE)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(18:0 PE、DSPE)、
1,2-ジパルミトレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(16:1 PE)、
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(18:1(Δ9-シス)PE、DOPE)、
1,2-ジエライドイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(18:1(Δ9-トランス)PE)、
1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(18:2 PE、DLPE)、
1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(18:3 PE、DLnPE)、
1,2-ジアラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(20:4 PE、DAPE)、
1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(22:6 PE、DHAPE)、
1,2-ジ-O-オクタデセニル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0 ジエーテルPC)、
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-rac-(1-グリセロール)ナトリウム塩(DOPG)、及びそれらの任意の組み合わせから成る非限定的な群から選択されてもよい。
【0326】
いくつかの態様では、アンカー部分はDLPC、DMPC、DOPC、DPPC、DSPC、DUPC、18:0ジエーテルPC、DLnPC、DAPC、DHAPC、DOPE、4ME 16:0 PE、DSPE、DLPE、DLnPE、DAPE、DHAPE、DOPG及びそれらの任意の組み合わせから成る非限定的基から選択される少なくとも1つの対称リン脂質を含む。
【0327】
いくつかの態様では、アンカー部分は少なくとも1つの非対称リン脂質を含む。非対称リン脂質は、
1-ミリストイル-2-パルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(14:0-16:0 PC、MPPC)、
1-ミリストイル-2-ステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(14:0-18:0 PC、MSPC)、
1-パルミトイル-2-アセチル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(16:0-02:0 PC)、
1,2-パルミトイル-2-ミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(16:0-14:0 PC、PMPC)、
1-パルミトイル-2-ステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(16:0-18:0 PC、PSPC)、
1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(16:0-18:1 PC、POPC)、
1-パルミトイル-2-リノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(16:0-18:2 PC、PLPC)、
1-パルミトイル-2-アラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(16:0-20:4 PC)、
1-パルミトイル-2-ドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(14:0-22:6 PC)、
1-ステアロイル-2-ミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0-14:0 PC、SMPC)、
1-ステアロイル-2-パルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0-16:0 PC、SPPC)、
1-ステアロイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0-18:1 PC、SOPC)、
1-ステアロイル-2-リノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0-18:2 PC)、
1-ステアロイル-2-アラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0-20:4 PC)、
1-ステアロイル-2-ドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0-22:6 PC)、
1-オレオイル-2-ミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:1-14:0 PC、OMPC)、
1-オレオイル-2-パルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:1-16:0 PC、OPPC)、
1-オレオイル-2-ステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:1-18:0 PC、OSPC)、
1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(16:0-18:1 PE、POPE)、
1-パルミトイル-2-リノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(16:0-18:2 PE)、
1-パルミトイル-2-アラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(16:0-20:4 PE)、
1-パルミトイル-2-ドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(16:0-22:6 PE)、
1-ステアロイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(18:0-18:1 PE)、
1-ステアロイル-2-リノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(18:0-18:2 PE)、
1-ステアロイル-2-アラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(18:0-20:4 PE)、
1-ステアロイル-2-ドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(18:0-22:6 PE)、
1-オレオイル-2-コレステリルヘミスクシノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(OChemsPC)、及び
それらの任意の組み合わせから成る非限定的な群から選択されてもよい。
【0328】
さらに顕著なヌクレアーゼ耐性、細胞取り込み効率、及びさらに顕著なRNA干渉効果を提供するために、アンカー部分としてホスファチジルエタノールアミン、例えば、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、1-パルミトイル-2-オレイル-ホスファチジルエタノールアミン、及びジオレオイルホスファチジルエタノールアミンを使用してもよい。
【0329】
脂質(例えば、リン脂質)及びリンカーの組み合わせまたはBAM、例えば、ASOの結合部位は、脂質及びリンカーまたはASOのタイプに従って好適に選択されてもよい。脂質の疎水性基以外の任意の位置は、化学結合によってリンカーまたはASOに連結されてもよい。例えば、ホスファチジルエタノールアミンを使用する場合、ホスファチジルエタノールアミンのアミノ基とリンカーまたはASOとの間にアミド結合等を形成することによって連結を行ってもよい。ホスファチジルグリセロールを使用する場合、グリセロール残基のヒドロキシル基とリンカーまたはASOとの間にエステル結合、エーテル結合などを形成することによって連結を行ってもよい。ホスファチジルセリンを使用する場合、セリン残基のアミノ基またはカルボキシル基とリンカーまたはASOとの間にアミド結合、エステル結合等を形成することによって連結を行ってもよい。ホスファチジン酸を使用する場合、リン酸残基とリンカーまたはASOとの間にホスホエステル結合等を形成することによって連結を行ってもよい。ホスファチジルイノシトールを使用する場合、イノシトール残基のヒドロキシル基とリンカーまたはASOとの間にエステル結合、エーテル結合などを形成することによって連結を行ってもよい。
【0330】
III.B.1.d. リゾ脂質(例えば、リゾリン脂質)
いくつかの態様では、アンカー部分はリゾ脂質、例えば、リゾリン脂質を含む。リゾ脂質は、一般に加水分解によって一方または双方の脂肪アシル鎖が取り除かれている脂質の誘導体である。リゾリン脂質は、加水分解によって一方または双方の脂肪アシル鎖が取り除かれているリン脂質の誘導体である。
【0331】
いくつかの態様では、アンカー部分は、一方または双方のアシル鎖が加水分解によって取り除かれている上記で開示されているリン脂質のいずれかを含み、したがって、得られるリゾリン脂質は一方の脂肪酸アシル鎖を含まない、または脂肪酸アシル鎖を含まない。
【0332】
いくつかの態様では、アンカー部分は、リゾグリセロリン脂質、リゾグリコスフィンゴリオピド、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルイノシトール、またはリゾホスファチジルセリンを含む。
【0333】
いくつかの態様では、アンカー部分は、
1-ヘキサノイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(06:0 Lyso PC)、
1-ヘプタノイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(07:0 Lyso PC)、
1-オクタノイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(08:0 Lyso PC)、
1-ノナノイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(09:0 Lyso PC)、
1-デカノイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(10:0 Lyso PC)、
1-ウンデカノイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(11:0 Lyso PC)、
1-ラウロイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(12:0 Lyso PC)、
1-トリデカノイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(13:0 Lyso PC)、
1-ミリストイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(14:0 Lyso PC)、
1-ペンタデカノイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(15:0 Lyso PC)、
1-パルミトイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(16:0 Lyso PC)、
1-ヘプタデカノイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(17:0 Lyso PC)、
1-ステアロイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0 Lyso PC)、
1-オレオイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:1 Lyso PC)、
1-ノナデカノイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(19:0 Lyso PC)、
1-アラキドイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(20:0 Lyso PC)、
1-ベヘノイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(22:0 Lyso PC)、
1-リグノセロイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(24:0 Lyso PC)、
1-ヘキサコサノイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(26:0 Lyso PC)、
1-ミリストイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(14:0 Lyso PE)、
1-パルミトイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(16:0 Lyso PE)、
1-ステアロイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(18:0 Lyso PE)、
1-オレオイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(18:1 Lyso PE)、
1-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(C16 Lyso PC)、及び
それらの任意の組み合わせから成る非限定的な基から選択されるリゾ脂質を含む。
【0334】
III.B.1.e. ビタミン
いくつかの態様では、アンカー部分は、親油性ビタミン、例えば、葉酸、ビタミンA、ビタミンE、またはビタミンKを含む。
【0335】
いくつかの態様では、アンカー部分はビタミンAを含む。ビタミンAは、レチノール、レチナール、レチノイン酸、及びいくつかのプロビタミンAカロテノイド(特にベータカロテン)を含む不飽和栄養有機化合物の群である。いくつかの態様では、アンカー部分はレチノールを含む。いくつかの態様では、アンカー部分はレチノイドを含む。レチノイドは、ビタミンAのビタマーである、またはそれに化学的に関連している化合物の部類である。いくつかの態様では、アンカー部分は、第1世代レチノイド(例えば、レチノール、トレチノイン、イソトリーチノイン、またはアリトレチノイン)、第2世代レチノイド(例えば、エトレチナートまたはアシトレチン)、第3世代レチノイド(例えば、アダパレン、ベキサロテン、またはタザロテン)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【表B】
【0336】
いくつかの態様では、アンカー部分はビタミンEを含む。トコフェロールはメチル化フェノールの部類であり、その多くはビタミンE活性を有する。したがって、いくつかの態様では、アンカー部分はアルファ-トコフェロール、ベータ-トコフェロール、ガンマ-トコフェロール、デルタ-トコフェロール、またはそれらの組み合わせを含む。
【化17】
【0337】
トコトリエノールもビタミンE活性を有する。トコトリエノールとトコフェロールの間の重要な化学的構造の差異は、トコトリエノールは、トコフェロールの飽和側鎖に対比して3つの炭素-炭素二重結合を持つ不飽和イソプレノイド側鎖を有することである。いくつかの態様では、アンカー部分はアルファ-トコトリエノール、ベータ-トコトリエノール、ガンマ-トコトリエノール、デルタ-トコトリエノール、またはそれらの組み合わせを含む。トコトリエノールは以下の式で表すことができる
【化18】
アルファ(α)-トコトリエノール:R1=Me、R2=Me、R3=Me;
ベータ(β)-トコトリエノール:R1=Me、R2=H、R3=Me;
ガンマ(γ)-トコトリエノール:R1=H、R2=Me、R3=Me;
デルタ(δ)-トコトリエノール:R1=H、R2=H、R3=Me;
【0338】
いくつかの態様では、アンカー部分はビタミンKを含む。化学的に、ビタミンKファミリーは2-メチル-1.4-ナフトキノン(3-)誘導体を含む。ビタミンKには、2つの天然ビタマー:ビタミンKとビタミンKが含まれる。ビタミンK(フィトナジオン、フィロキノン、または(E)-フィトナジオンとしても知られている)の構造はフィチル基の存在によって特徴づけられる。ビタミンK(メナキノン)の構造は6~13のイソプレニル単位を含有することができる分子内に存在するポリイソプレニル側鎖によって特徴づけられる。したがって、ビタミンKはイソプレノイド原子団でできた炭素側鎖の長さが異なる、いくつかの関連する化学サブタイプから成る。MK-4はビタミンKの最も一般的な形態である。MK-7、MK-8及びMK-9のようなより長鎖型は発酵食品で主流である。MK-10からMK-13のような長鎖型のビタミンKは細菌によって合成されるが、それらは十分に吸収されず、生物学的機能をほとんど有さない。天然型のビタミンKに加えて、ビタミンK(メナジオン;2-メチルナフタレン-1,4-ジオン)、ビタミンK、及びビタミンKのようないくつかの合成型のビタミンKがある。
【0339】
したがって、いくつかの態様では、アンカー部分はビタミンK、K(例えば、MK-4、MK-5、MK-6、MK-7、MK-8、MK-9、MK-10、MK-11、MK-12、またはMK-13)、K、K、K、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【化19】
【0340】
III.B.2. リンカーの組み合わせ
いくつかの態様では、ASOは、切断可能及び/または切断不可のリンカーの任意の組み合わせを含むことができるリンカーの組み合わせを介して、本明細書で開示されている疎水性膜アンカー部分に連結される。リンカーの組み合わせの主な機能は、アンカー部分(単数)または部分(複数)とBAM標的との間に最適な間隔を提供することである。例えば、ASOの場合、リンカーの組み合わせは、立体障害を減らし、mRNAやmiRNAのような標的核酸と相互作用できるようにASOを配置するはずである。
【0341】
リンカーは切断しやすくてもよく(「切断可能リンカー」)、それによって生物学的に活性がある分子の放出を容易にする。したがって、いくつかの態様では、本明細書で開示されているリンカーの組み合わせは切断可能なリンカーを含むことができる。そのような切断可能なリンカーは、例えば、生物学的に活性がある分子が活性状態を維持する条件下で、酸誘導性の切断、光誘導性の切断、ペプチダーゼ誘導性の切断、エステラーゼ誘導性の切断、及びジスルフィド結合の切断の影響を受けやすい。代わりに、リンカーは、実質的に切断に対して耐性であってもよい(「切断不可のリンカー」)。いくつかの態様では、切断可能なリンカーはスペーサーを含む。いくつかの態様では、スペーサーはPEGである。
【0342】
いくつかの態様では、リンカーの組み合わせは、本明細書で開示されている少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または少なくとも6つ以上の異なるリンカーを含む。いくつかの態様では、リンカーの組み合わせにおけるリンカーは、エステル結合(例えば、ホスホジエステルまたはホスホロチオエートエステル)によって連結され得る。
【0343】
いくつかの態様では、リンカーは、アンカー部分とBAM、例えば、ASOとの間の直接結合である。
【0344】
III.B.2.a. 切断不可のリンカー
いくつかの態様では、リンカーの組み合わせは「切断不可のリンカー」を含む。切断不可のリンカーは、本開示の修飾された生物学的に活性がある分子の2以上の成分(例えば、生物学的に活性がある分子とアンカー部分;生物学的に活性がある分子と切断可能なリンカー;アンカー部分と切断可能なリンカー)を安定した共有方式で連結することができる任意の化学的部分であり、切断可能なリンカーについて上記で収載されたカテゴリーに入らない。したがって、切断不可のリンカーは、酸誘導性の切断、光誘導性の切断、ペプチダーゼ誘導性の切断、エステラーゼ誘導性の切断、及びジスルフィド結合の切断に対して実質的に耐性である。
【0345】
さらに、切断不可とは、環状ジヌクレオチド及び/または抗体がその活性を失わない条件下にてリンカー中またはリンカーに隣接する化学結合の、酸、光解離性切断剤、ペプチダーゼ、エステラーゼ、またはジスルフィド結合を切断する化学的もしくは生理学的な化合物によって誘導される切断に耐える能力を指す。いくつかの態様では、生物学的に活性がある分子は別のリンカー、例えば、自壊牲リンカーを介してリンカーに結合される。
【0346】
いくつかの態様では、リンカーの組み合わせは、例えば、テトラエチレングリコール(TEG)、ヘキサエチレングリコール(HEG)、ポリエチレングリコール(PEG)、スクシンイミド、またはそれらの任意の組み合わせを含む切断不可のリンカーを含む。いくつかの態様では、切断不可のリンカーは生物学的に活性がある分子を切断不可のリンカーに連結するためのスペーサーユニットを含む。
【0347】
いくつかの態様では、1以上の切断不可のリンカーは、一緒に連結されたさらに小さなユニット(例えば、HEG、TEG、グリセロール、C2~C12アルキルなど)を含む。一態様では、結合はエステル結合(例えば、ホスホジエステルまたはホスホロチオエートエステル)または他の結合である。
【0348】
III.B.2.b. エチレングリコール(HEG、TEG、PEG)
いくつかの態様では、リンカーの組み合わせは切断不可のリンカーを含み、その際、切断不可のリンカーは、Rが水素、メチルまたはエチルであり、nが2~200の値を有する式R-(O-CH-CH-またはR-(O-CH-CH-O-によって特徴づけられるポリエチレングリコール(PEG)を含む。いくつかの態様では、リンカーはスペーサーを含み、スペーサーはPEGである。
【0349】
いくつかの態様では、PEGリンカーは、オリゴエチレングリコール、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール(TEG)、ペンタエチレングリコール、またはヘキサエチレングリコール(HEG)のリンカーである。
【0350】
いくつかの態様では、nは2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17,18,19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、189、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、または200の値を有する。
【0351】
いくつかの態様では、nは2~10、10~20、20~30、30~40、40~50、50~60、60~70、70~80、80~90、90~100、100~110、110~120、120~130、130~140、140~150、150~160、160~170、170~180、180~190、または190~200である。
【0352】
いくつかの特定の態様では、nは3~200、3~20、10~30、または9~45の値を有する。
【0353】
いくつかの態様では、PEGは分岐PEGである。分岐PEGは中央のコア基から出ている3~10のPEG鎖を有する。
【0354】
特定の実施形態では、PEG部分は単分散ポリエチレングリコールである。本開示の文脈では、単分散ポリエチレングリコール(mdPEG)は、単一の、定義された鎖長及び分子量を有するPEGである。mdPEGは通常、クロマトグラフィーによる重合混合物からの分離によって生成される。特定の式では、単分散PEG部分に略語mdPEGが割り当てられる。
【0355】
いくつかの態様では、PEGは星型PEGである。星型PEGは中央のコア基から出ている10~100のPEG鎖を有する。
【0356】
いくつかの態様では、PEGは櫛型PEGである。櫛型PEGには通常、ポリマー主鎖にグラフトされた複数のPEG鎖を有する。
【0357】
特定の態様では、PEGは100g/モル~3000g/モル、特に100g/モル~2500g/モル、さらに具体的にはおよそ100g/モル~約2000g/モルのモル質量を有する。特定の態様では、PEGは200g/モル~3000g/モル、特に300g/モル~2500g/モル、さらに具体的にはおよそ400g/モル~約2000g/モルのモル質量を有する。
【0358】
いくつかの態様では、PEGは、PEG100、PEG200、PEG300、PEG400、PEG500、PEG600、PEG700、PEG800、PEG900、PEG1000、PEG1100、PEG1200、PEG1300、PEG1400、PEG1500、PEG1600、PEG1700、PEG1800、PEG1900、PEG2000、PEG2100、PEG2200、PEG2300、PEG2400、PEG2500、PEG1600、PEG1700、PEG1800、PEG1900、PEG2000、PEG2100、PEG2200、PEG2300、PEG2400、PEG2500、PEG2600、PEG2700、PEG2800、PEG2900、またはPEG3000である。特定の一態様では、PEGはPEG400である。別の特定の態様では、PEGはPEG2000である。
【0359】
いくつかの態様では、本開示のリンカーの組み合わせは、いくつかのPEGリンカー、例えば、PEG、HEG、またはTEGのリンカーに隣接する切断可能なリンカーを含むことができる。
【0360】
いくつかの態様では、リンカーの組み合わせは、(HEG)n及び/または(TEG)nを含み、その際、nは1~50の整数であり、各ユニットは、例えば、リン酸エステルリンカー、ホスホロチオエートエステル結合、またはそれらの組み合わせを介して接続される。
【0361】
III.B.2.c. グリセロール及びポリグリセロール(PG)
いくつかの態様では、リンカーの組み合わせは、R3は水素、メチルまたはエチルであり、及びnは3~200の値を有する式((R-O-(CH-CHOH-CHO)-)によって記載されるグリセロールユニットまたはポリグリセロール(PG)を含む切断不可のリンカーを含む。いくつかの態様では、nは3~20の値を有する。いくつかの態様では、nは10~30の値を有する。
【0362】
いくつかの態様では、PGリンカーは、ジグリセロール、トリグリセロール、テトラグリセロール(TG)、ペンタグリセロール、またはヘキサグリセロール(HG)のリンカーである。
【0363】
いくつかの態様では、nは2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17,18,19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、189、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、または200の値を有する。
【0364】
いくつかの態様では、nは2~10、10~20、20~30、30~40、40~50、50~60、60~70、70~80、80~90、90~100、100~110、110~120、120~130、130~140、140~150、150~160、160~170、170~180、180~190、または190~200である。
【0365】
これらの実施形態のいくつかの代替では、nは9~45の値を有する。いくつかの態様では、該異種の部分は、Rが水素である式(R-O-(CH-CHOR-CH-O)-)によって説明される分岐ポリグリセロール、またはRが水素、メチルもしくはエチルである式(R-O-(CH-CHOH-CH-O)-)によって説明される直鎖グリセロール鎖である。いくつかの態様では、異種の部分は、Rが水素である式(R-O-(CH-CHOR-CH-O)-)によって説明される超分岐ポリグリセロール、またはRが水素である式(R-O-(CH-CHOR-CH-O)-)によって説明されるグリセロール鎖、またはRが水素である式(R-O-(CH-CHOR-CH-O)-)によって説明されるグリセロール鎖、またはRが水素、メチルまたはエチルである式(R-O-(CH-CHOH-CH-O)-)によって説明される直鎖グリセロール鎖である。超分岐グリセロール及びその合成方法は、Oudshorn et al.(2006),Biomaterials 27:5471-5479;Wilms et al.(20100,Acc.Chem.Res.43,129-41及びそこに引用されている参考文献に記載されている。
【0366】
特定の態様では、PGは100g/モル~3000g/モル、特に100g/モル~2500g/モル、さらに具体的にはおよそ100g/モル~約2000g/モルのモル質量を有する。特定の態様では、PGは200g/モル~3000g/モル、特に300g/モル~2500g/モル、さらに具体的にはおよそ400g/モル~約2000g/モルのモル質量を有する。
【0367】
いくつかの態様では、PGは、PG100、PG200、PG300、PG400、PG500、PG600、PG700、PG800、PG900、PG1000、PG1100、PG1200、PG1300、PG1400、PG1500、PG1600、PG1700、PG1800、PG1900、PG2000、PG2100、PG2200、PG2300、PG2400、PG2500、PG1600、PG1700、PG1800、PG1900、PG2000、PG2100、PG2200、PG2300、PG2400、PG2500、PG2600、PG2700、PG2800、PG2900、またはPG3000である。特定の一態様では、PGはPG400である。別の特定の態様では、PGはPG2000である。
【0368】
いくつかの態様では、リンカーの組み合わせは、(グリセロール)n及び/または(HG)n及び/または(TG)nを含み、その際、nは1~50の整数であり、各ユニットは、例えば、リン酸エステルリンカー、ホスホロチオエートエステル結合、またはそれらの組み合わせを介して接続される。
【0369】
III.B.2.d. 脂肪族(アルキル)リンカー
いくつかの態様では、リンカーの組み合わせは、少なくとも1つの脂肪族(アルキル)リンカー、例えば、プロピル、ブチル、ヘキシル、またはC2-C10アルキルまたはC2-C6アルキルのようなC2-C12アルキルを含む。
【0370】
いくつかの態様では、リンカーの組み合わせはアルキル鎖、例えば、非置換アルキルを含む。いくつかの態様では、リンカーの組み合わせは、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキルアリールアルキル、アルキルアリールアルケニル、アルキルアリールアルキニル、アルケニルアリールアルキル、アルケニルレイルアルケニル、アルケニルアリールアルキニル、アルキニルアリールアルキル、アルキニルアリールアルケニル、アルキニルアリールアルキニル、アルキルヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールアルケニル、アルキルヘテロアリールアルキニル、アルケニルヘテロアリールアルキル、アルケニルヘテロアリールアルケニル、アルケニルヘテロアリールアルキニル、アルキニルヘテロアリールアルキル、アルキニルヘテロアリールアルケニル、アルキニルヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロシクリルアルキル、アルキルヘテロシクリルアルケニル、アルキルヘテロシクリルアルキニル、アルケニルヘテロシクリルアルキル、アルケニルヘテロシクリルアルケニル、またはアルケニルヘテロシクリルアルキニルを含む。
【0371】
任意で、これらの成分は置換される。置換基には、アルコール、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、及びプロポキシ)、直鎖または分岐鎖のアルキル(例えば、C1-C12アルキル)、アミン、アミノアルキル(例えば、アミノC1-C12アルキル)、ホスホルアミダイト、ホスフェート、ホスホルアミデート、ホスホロジチオエート、チオホスフェート、ヒドラジド、ヒドラジン、ハロゲン(例えば、F、Cl、Br、またはI)、アミド、アルキルアミド(例えば、アミドC1-C12アルキル)、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボン酸無水物、カルボン酸ハロゲン化物、エーテル、ハロゲン化スルホニル、イミデートエステル、イソシアネート、イソチオシアネート、ハロホルメート、カルボジュイミド付加物、アルデヒド、ケトン、スルフヒドリル、ハロアセチル、アルキルハロゲン化物、スルホン酸アルキル、C(=O)CH=CHC(=O)(マレイミド)、チオエーテル、シアノ、糖(例えば、マンノース、ガラクトース、及びグルコース)、α、β-不飽和カルボニル、アルキル水銀、またはα、β-不飽和スルホンが挙げられる。
【0372】
「アルキル」という用語は、それ自体でまたは別の置換基の一部として、特に明記しない限り、表記される炭素原子の数(例えば、C-C10は1~10の炭素を意味する)を有する直鎖または分岐鎖の炭化水素ラジカルを意味する。通常、アルキル基は、1~24の炭素原子を有し、例えば、1~10の炭素原子、1~8の炭素原子、または1~6の炭素原子を有する。「低級アルキル」基は1~4の炭素原子を有するアルキル基である。「アルキル」という用語には二価及び多価のラジカルが含まれる。例えば、「アルキル」という用語には、該当する場合には、例えば、式がアルキル基が二価であることを示す場合、または置換基が結合して環を形成する場合、「アルキレン」が含まれる。アルキルラジカルの例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、ならびに、例えば、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、及びn-オクチルの同族体及び異性体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0373】
「アルキレン」という用語は、それ自体で、または別の置換基の一部として、二価(ジラジカル)アルキル基を意味し、その際、アルキルは本明細書で定義されている。「アルキレン」は、-CHCHCHCH-によって例示されるが、これに限定されない。通常、「アルキレン」基は1~24の炭素原子を有し、例えば、10以下の炭素原子(例えば、1~8、または1~6の炭素原子)を有する。「低級アルキレン」基は1~4の炭素原子を有するアルキレン基である。
【0374】
「アルケニル」という用語は、それ自体で、または別の置換基の一部として2~24の炭素原子及び少なくとも1つの二重結合を有する直鎖または分枝鎖の炭化水素ラジカルを指す。典型的なアルケニル基は2~10の炭素原子と少なくとも1つの二重結合を有する。一実施形態では、アルケニル基は2~8の炭素原子または2~6の炭素原子と、1~3の二重結合とを有する。例示的なアルケニル基には、ビニル、2-プロペニル、1-ブタ-3-エニル、クロチル、2-(ブタジエニル)、2,4-ペンタジエニル、3-(1,4-ペンタジエニル)、2-イソペンテニル、1-ペント-3-エニル、1-ヘキサ-5-エニルなどが挙げられる。
【0375】
「アルキニル」という用語は、それ自体で、または別の置換基の一部として2~24の炭素原子及び少なくとも1つの三重結合を有する直鎖または分枝鎖の不飽和またはポリ不飽和の炭化水素ラジカルを指す。典型的な「アルキニル」基は2~10の炭素原子と少なくとも1つの三重結合を有する。本開示の一態様では、アルキニル基は2~6の炭素原子及び少なくとも1つの三重結合を有する。例示的なアルキニル基には、プロパ-1-イニル、プロパ-2-イニル(すなわち、プロパルギル)、エチニル及び3-ブチニルが挙げられる。
【0376】
「アルコキシ」、「アルキルアミノ」及び「アルキルチオ」(またはチオアルコキシ)という用語は、それらの従来の意味で使用され、それぞれ酸素原子、アミノ基またはイオウ原子を介して分子の残部に結合されるアルキル基を指す。
【0377】
「ヘテロアルキル」という用語は、それ自体でまたは別の用語と組み合わせて、指定された数の炭素原子(例えば、C-C10、またはC-C)及び、例えば、N、O、S、Si、B及びP(一実施形態では、N、O及びS)から選択される少なくとも1つのヘテロ原子から成る安定な直鎖または分岐鎖の炭化水素ラジカルを意味し、その際、窒素原子、イオウ原子及びリン原子は任意で酸化され、窒素原子(複数可)は任意で四級化される。ヘテロ原子(複数可)はヘテロアルキル基の任意の内部位置に配置される。ヘテロアルキル基の例には、-CH-CH-O-CH、-CH-CH-NH-CH、-CH-CH-N(CH)-CH、-CH-S-CH-CH、-CH-CH-S(O)-CH、-CH-CH-S(O)-CH、-CH=CH-O-CH、-CH-Si(CH、-CH-CH=N-OCH、及び-CH=CH-N(CH)-CHが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、-CH-NH-OCH及び-CH-O-Si(CHのように最大2つのヘテロ原子が連続してもよい。
【0378】
同様に、「ヘテロアルキレン」という用語は、それ自体でまたは別の置換基の一部として、-CH-CH-S-CH-CH-及び-CH-S-CH-CH-NH-CH-によって例示されるが、これらに限定されないようなヘテロアルキルに由来する二価のラジカルを意味する。通常、ヘテロアルキル基は3~24の原子(水素を除く炭素及びヘテロ原子)(3~24員環のヘテロアルキル)を有するであろう。別の例では、ヘテロアルキル基は、合計で3~10の原子(3~10員環のヘテロアルキル)または3~8の原子(3~8員環のヘテロアルキル)を有する。「ヘテロアルキル」という用語には、該当する場合には、例えば、式がヘテロアルキル基が二価であることを示す場合、または置換基が結合して環を形成する場合、「ヘテロアルキレン」が含まれる。
【0379】
「シクロアルキル」という用語は、それ自体で、または他の用語と組み合わせて3~24の炭素原子を有する、例えば、3~12の炭素原子(例えば、C-CシクロアルキルまたはC-Cシクロアルキル)を有する飽和または不飽和の非芳香族炭素環式ラジカルを表す。シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、1-シクロヘキセニル、3-シクロヘキセニル、シクロヘプチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。「シクロアルキル」という用語は、例えば、ノルボルニル、アダマンチル及びビシクロ[2.2.1]ヘプチルのような架橋された多環式(例えば、二環式)構造も含む。「シクロアルキル」基は、アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアリール(例えば、ピリジル)及び非芳香族(例えば、炭素環式または複素環式)の環から選択される少なくとも1つ(例えば、1~3)の他の環に縮合することができる。「シクロアルキル」基が縮合アリール、ヘテロアリールまたは複素環を含む場合、「シクロアルキル」基は、炭素環を介して分子の残部に結合される。
【0380】
「ヘテロシクロアルキル」、「複素環式」、「複素環」、または「ヘテロシクリル」という用語は、それ自体で、または他の用語と組み合わせて、例えば、N、O、S、Si、B及びPから選択される少なくとも1つ及び最大5つのヘテロ原子(例えば、N、O及びS)を含有する炭素環式の非芳香族環(例えば、3~8員環及び例えば、4、5、6または7員環)を表し、その際、窒素原子、イオウ原子及びリン原子は任意で酸化され、窒素原子(複数可)は任意で四級化される(例えば、窒素、酸素及びイオウから選択される1~4のヘテロ原子)、または当業者に知られている安定した組み合わせで少なくとも1つ及び最大10のヘテロ原子(例えば、N、O及びSから選択される1~5のヘテロ原子)を含有する4~8員環の縮合環系を表す。例示的なヘテロシクロアルキル基には縮合フェニル環が含まれる。「複素環」基が縮合アリール環、ヘテロアリール環またはシクロアルキル環を含む場合、「複素環」基は複素環を介して分子の残部に結合される。ヘテロ原子は複素環が分子の残部に結合される位置を占有することができる。
【0381】
本開示の例示的なヘテロシクロアルキル基または複素環基には、モルホリニル、チオモルホリニル、チオモルホリニルS-オキシド、チオモルホリニルS,S-ジオキシド、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピロリジニル、ピロリニル、イミダゾリジニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピペリジニル、ホモピペリジニル、ホモモルホリニル、ホモチオモルホリニル、ホモチオモルホリニルS,S-ジオキシド、オキサゾリジノニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピロリル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロフリル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチエニルS-オキシド、テトラヒドロチエニルS,S-ジオキシド、ホモチオモルホリニルS-オキシド、1-(1,2,5,6-テトラヒドロピリジル)、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、4-モルホリニル、3-モルホリニル、テトラヒドロフラン-2-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、テトラヒドロチエン-2-イル、テトラヒドロチエン-3-イル、1-ピペラジニル、2-ピペラジニルなどが挙げられる。
【0382】
「アリール」とは、単一の環(例えば、フェニル)を有する、または他の芳香族もしくは非芳香族の環(例えば、1~3の他の環)に縮合されている5、6または7員環の芳香族炭素環基を意味する。「アリール」基が非芳香族環(例えば、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル)またはヘテロアリール基を含む場合、「アリール」基はアリール環(例えば、フェニル環)を介して分子の残りの部分に結合される。アリール基は任意で置換される(例えば、本明細書に記載されている1~5の置換基で)。一例では、アリール基は6~10の炭素原子を有する。アリール基の非限定的な例には、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、キノリン、インダニル、インデニル、ジヒドロナフチル、フルオレニル、テトラリニル、ベンゾ[d][1,3]ジオキソリルまたは6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾ[a]シクロヘプテニルが挙げられる。一実施形態では、アリール基はフェニル、ベンゾ[d][1,3]ジオキソリル及びナフチルから選択される。さらに別の実施形態では、アリール基はフェニルである。
【0383】
「アリールアルキル」または「アラルキル」という用語は、アリール基またはヘテロアリール基がアルキル基に結合してラジカルである-アルキル-アリール及び-アルキル-ヘテロアリールを作り出すラジカルを含むことを意味し、その際、アルキル、アリール及びヘテロアリールは本明細書で定義されている。例示的な「アリールアルキル」基または「アラルキル」基には、ベンジル、フェネチル、ピリジルメチルなどが挙げられる。
【0384】
「アリールオキシ」とは、基-O-アリールを意味し、その際、アリールは本明細書で定義されている通りである。一例では、アリールオキシ基のアリール部分はフェニルまたはナフチルである。一実施形態では、アリールオキシ基のアリール部分はフェニルである。
【0385】
「ヘテロアリール」または「ヘテロ芳香族」という用語は、N、O、S、Si及びB(例えば、N、O及びS)から選択される少なくとも1つのヘテロ原子(例えば、1~5のヘテロ原子、例えば、1~3のヘテロ原子)を含有する多不飽和の5、6または7員環の芳香族部分を指し、その際、窒素原子及びイオウ原子は任意で酸化され、窒素原子(複数可)は任意で四級化される。「ヘテロアリール」基は、単一の環であり得る、または他のアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルの環(例えば、1~3の他の環)に縮合され得る。「ヘテロアリール」基が縮合アリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルの環を含む場合、「ヘテロアリール」基はヘテロアリール環を介して分子の残部に結合される。ヘテロアリール基は、炭素またはヘテロ原子を介して分子の残部に結合することができる。
【0386】
一例では、ヘテロアリール基は、4~10の炭素原子と、O、S及びNから選択される1~5のヘテロ原子を有する。ヘテロアリール基の非限定的な例には、ピリジル、ピリミジニル、キノリニル、ベンゾチエニル、インドリル、インドリニル、ピリダジニル、ピラジニル、イソインドリル、イソキノリル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、イミダゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、インドリジニル、インダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、フラニル、チエニル、ピロリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソチアゾリル、ナフチリジニル、イソクロマニル、クロマニル、テトラヒドロイソキノリニル、イソインドリニル、イソベンゾテトラヒドロフラニル、イソベンゾテトラヒドロチエニル、イソベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ピリドピリジル、ベンゾテトラヒドロフラニル、ベンゾテトラヒドロチエニル、プリニル、ベンゾジオキソリル、トリアジニル、プテリジニル、ベンゾチアゾリル、イミダゾピリジル、イミダゾチアゾリル、ジヒドロベンズイソオキサジニル、ベンズイソオキサジニル、ベンゾオキサジニル、ジヒドロベンズイソチアジニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、クロモニル、クロマノニル、ピリジル-N-オキシド、テトラヒドロキノリニル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロキノリノニル、ジヒドロイソキノリノニル、ジヒドロクマリニル、ジヒドロイソクマリニル、イソインドリノニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾオキサゾリノニル、ピロリルN-オキシド、ピリミジニルN-オキシド、ピリダジニルN-オキシド、ピラジニルN-オキシド、キノリニルN-オキシド、インドリルN-オキシド、インドリニルN-オキシド、イソキノリルN-オキシド、キナゾリニルN-オキシド、キノキサリニルN-オキシド、フタラジニルN-オキシド、イミダゾリルN-オキシド、イソキサゾリルN-オキシド、オキサゾリルN-オキシド、チアゾリルN-オキシド、インドリジニルN-オキシド、インダゾリルN-オキシド、ベンゾチアゾリルN-オキシド、ベンズイミダゾリルN-オキシド、ピロリルN-オキシド、オキサジアゾリルN-オキシド、チアジアゾリルN-オキシド、トリアゾリルN-オキシド、テトラゾリルN-オキシド、ベンゾチオピラニルS-オキシド、ベンゾチオピラニルS,S-ジオキシドが挙げられる。例示的なヘテロアリール基には、イミダゾリル、ピラゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、及びピリジルが挙げられる。他の例示的なヘテロアリール基には、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、3-ピラゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、ピラジニル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、2-フェニル-4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、2-ピリジル、3-ピリジル、ピリジン-4-イル、2-ピリミジル、4-ピリミジル、5-ベンゾチアゾリル、プリニル、2-ベンズイミダゾリル、5-インドリル、1-イソキノリル、5-イソキノリル、2-キノキサリニル、5-キノキサリニル、3-キノリル、及び6-キノリルが挙げられる。上記のアリール環系及びヘテロアリール環系の各々に関する置換基は、以下に記載されている許容されるアリール基置換基の群から選択される。
【0387】
脂肪族リンカーの例には以下の構造が挙げられる。
-O-CO-O-
-NH-CO-O-
-NH-CO-NH-
-NH-(CHn1
-S-(CHn1
-CO-(CHn1-CO-
-CO-(CHn1-NH-
-NH-(CHn1-NH-
-CO-NH-(CHn1-NH-CO-
-C(=S)-NH-(CHn1-NH-CO-
-C(=S)-NH-(CHn1-NH-C-(=S)-
-CO-O-(CHn1-O-CO-
-C(=S)-O-(CHn1-O-CO-
-C(=S)-O-(CHn1-O-C-(=S)-
-CO-NH-(CHn1-O-CO-
-C(=S)-NH-(CHn1-O-CO-
-C(=S)-NH-(CHn1-O-C-(=S)-
-CO-NH-(CHn1-O-CO-
-C(=S)-NH-(CHn1-CO-
-C(=S)-O-(CHn1-NH-CO-
-C(=S)-NH-(CHn1-O-C-(=S)-
-NH-(CHCHO)n2-CH(CHOH)-
-NH-(CHCHO)n2-CH
-NH-(CHCHO)n2-CH-CO-
-O-(CHn3-S-S-(CHn4-O-P(=O)
-CO-(CHn3-O-CO-NH-(CHn4
-CO-(CHn3-CO-NH-(CHn4
-(CH2)n1NH-
-C(O)(CH2)n1NH-
-C(O)-(CH2)n1-C(O)-
-C(O)-(CH2)n1-C(O)O-
-C(O)-O-
-C(O)-(CH2)n1-NH-C(O)-
-C(O)-(CH2)n1
-C(O)-NH-
-C(O)-
-(CH2)n1-C(O)-
-(CH2)n1-C(O)O-
-(CH2)n1
-(CH2)n1-NH-C(O)-
n1は1~40(例えば、2~20、または2~12)の整数であり、n2は、1~20(例えば、1~10、または1~6)の整数であり、n3及びn4は、同じでも異なってもよく、1~20(例えば、1~10、または1~6)の整数である。
【0388】
いくつかの態様では、リンカーの組み合わせは、(C3)n、(C4)n、(C5)n、(C6)n、(C7)n、または(C8)nまたはそれらの組み合わせを含み、その際、nは1~50の整数であり、各ユニットは、例えば、リン酸エステルリンカー、ホスホロチオエートエステル結合、またはそれらの組み合わせを介して接続される。
【0389】
III.B.3. 切断可能なリンカー
いくつかの態様では、本明細書で開示されているASOの異なる成分は切断可能なリンカーによるリンカーであり得る。切断可能なリンカーという用語は、破壊できるまたは切断できる少なくとも1つの結合または化学結合を含むリンカーを指す。本明細書で使用されるとき、切断という用語は、2以上の相対的に小さい分子を生成する方法で、相対的に大きい分子内の1以上の化学結合を壊すことを指す。切断には、例えば、ヌクレアーゼ、ペプチダーゼ、プロテアーゼ、ホスファターゼ、オキシダーゼ、またはレダクターゼが介在してもよく、または特定の物理化学的条件、例えば、酸化還元環境、pH、活性酸素種の存在、もしくは特定の波長の光が介在してもよい。
【0390】
いくつかの態様では、本明細書で使用されるとき「切断可能」という用語は、例えば、ホスホジエステル及びジスルフィドのような急速に分解可能なリンカーを指す一方で、「切断不可」という用語は、例えば、ヌクレアーゼ耐性ホスホロチオエートのようなさらに安定な結合を指す。
【0391】
いくつかの態様では、切断可能なリンカーは、ジヌクレオチドリンカーまたはトリヌクレオチドのリンカー、ジスルフィド、イミン、チオケタール、val-citジペプチド、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0392】
いくつかの態様では、切断可能なリンカーはバリン-アラニン-p-アミノベンジルカルバメートまたはバリン-シトルリン-p-アミノベンジルカルバメートを含む。
【0393】
III.B.3.a. レドックス切断可能なリンカー
いくつかの態様では、リンカーの組み合わせはレドックス切断可能なリンカーを含む。非限定的な例として、切断可能なリンカーの1つのタイプは、還元または酸化の際に切断されるレドックス切断可能な連結基である。
【0394】
いくつかの態様では、レドックス切断可能リンカーは、ジスルフィド結合を含有し、すなわち、それは、ジスルフィド切断可能リンカーである。
【0395】
レドックス切断可能なリンカーは、例えば、細胞内のメルカプタン、オキシダーゼ、またはレダクターゼによって還元することができる。
【0396】
III.B.3.b. 活性酸素種(ROS)で切断可能なリンカー
いくつかの態様では、リンカーの組み合わせは、例えば、活性化好中球のような炎症過程によって生成される、スーパーオキシド(Of)または過酸化水素(H2O2)のような活性酸素種(ROS)によって切断されてもよい切断可能なリンカーを含むことができる。いくつかの態様では、ROS切断可能リンカーはチオケタール切断可能リンカーである。例えば、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第8,354,455B2を参照のこと。
【0397】
III.B.3.c. pH依存性切断可能リンカー
いくつかの態様では、リンカーは、酸性条件下(pH<7)で選択的に切断される連結基である酸切断可能連結基を含む「酸不安定性リンカー」である。
【0398】
非限定的な例として、酸切断可能な連結基は、酸性環境、例えば、約6.0、5.5、5.0以下で切断される。いくつかの態様では、pHは約6.5以下である。いくつかの態様では、リンカーは、一般的な酸、例えば、ペプチダーゼ(基質特異的であってもよい)またはホスファターゼとして作用することができる酵素のような薬剤によって切断される。細胞内では、エンドソーム及びリソソームのような特定の低pH細胞小器官が酸で切断可能な連結基に切断環境を提供することができる。ヒト血清のpHは7.4であるが、細胞の平均pHはわずかに低く、約7.1~7.3の範囲である。エンドソームも5.5~6.0の範囲の酸性pHを有し、リソソームはさらに酸性のpHで約5.0である。したがって、pH依存性の切断可能なリンカーは当該技術分野ではエンドソームで不安定なリンカーと呼ばれることがある。
【0399】
酸切断可能な基は、一般式-C=NN-、C(O)O、または-OC(O)を有してもよい。別の非限定的な例では、エステル酸素(アルコキシ基)に結合した炭素が、例えば、アリール基、置換アルキル基、またはジメチルペンチルまたはt-ブチルのような第三級アルキル基に結合している場合。酸切断可能な連結基の例には、アミン、イミン、アミノエステル、安息香酸イミン、ジオルトエステル、ポリホスホエステル、ポリホスファゼン、アセタール、ビニルエーテル、ヒドラゾン、シス-アコニテート、ヒドラジド、チオカルバモイル、イミジン、アジドメチル-メチルマレイン酸無水物、チオプロピオネート、マスクされたエンドソーム溶解剤、シトラコニル基、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。ジスルフィド結合もpHの影響を受けやすい。
【0400】
いくつかの態様では、リンカーは低pHに不安定なヒドラゾン結合を含む。このような酸に不安定な結合は、コンジュゲート、例えば抗体薬物コンジュゲートの分野で広く使用されてきた。例えば、Zhou et al,Biomacromolecules 2011,12,1460-7;Yuan et al,Acta.Biomater.2008,4,1024-37;Zhang et al,Acta.Biomater.2007,6,838-50;Yang et al,J.Pharmacol.Exp.Ther.2007,321,462-8;Reddy et al,Cancer Chemother.Pharmacol.2006,58,229-36;Doronina et al,Nature Biotechnol.2003,21,778-84を参照のこと。
【0401】
特定の実施形態では、リンカーは、以下:酸性環境(例えば、pHが7未満、約4を超える)で不安定であり、ジオール及びケトンを形成するケタール;酸性環境(例えば、pHが7未満、約4を超える)で不安定であり、ジオール及びアルデヒドを形成するアセタール;酸性環境(例えば、pHが7未満、約4を超える)で不安定であり、アミン及びアルデヒドまたはケトンを形成するイミンまたはイミニウム;酸性条件下で不安定であるケイ素-酸素-炭素結合;ケイ素-窒素(シラザン)結合;ケイ素-炭素結合(例えば、アリールシラン、ビニルシラン、及びアリルシラン);マレアメート(無水マレイン酸誘導体とアミンから合成されるアミド結合);オルトエステル;ヒドラゾン;酸触媒による加水分解を受けるように設計された活性化カルボン酸誘導体(例えば、エステル、アミド);またはビニルエーテルから選択される低pH不安定性結合を含む。
【0402】
さらなる例は、その内容が全体として参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第9,790,494B2号及び同第8,137,695B2号に見いだすことができる。
【0403】
III.B.3.d. 酵素切断可能なリンカー
いくつかの態様では、リンカーの組み合わせは、細胞内または細胞外の酵素、例えば、プロテアーゼ、エステラーゼ、ヌクレアーゼ、アミダーゼによって切断可能なリンカーを含むことができる。リンカーの組み合わせにおける特定のリンカーを切断することができる酵素の範囲は、リンカーの特定の結合と化学構造に左右される。したがって、ペプチドリンカーは、例えば、ペプチダーゼによって切断することができ、エステル結合を含有するリンカーは、例えば、エステラーゼによって切断することができ;アミド結合を含有するリンカーは、例えば、アミダーゼによって切断することができる;等である。
【0404】
III.B.3.e. プロテアーゼ切断可能なリンカー
いくつかの態様では、リンカーの組み合わせはプロテアーゼ切断可能なリンカー、すなわち、内在性プロテアーゼによって切断され得るリンカーを含む。特定のペプチドのみが細胞の内側または外側で容易に切断される。例えば、Trout et al.,79 Proc.Natl.Acad.Sci.USA,626-629(1982)及びUmemoto et al.43 Int.J.Cancer,677-684(1989)を参照のこと。切断可能なリンカーは、α-アミノ酸単位及びペプチド結合で構成される切断可能な部位を含有することができ、ペプチド結合は、化学的には1つのアミノ酸のカルボキシレートと第2のアミノ酸のアミノ基との間のアミド結合である。他のアミド結合、例えば、カルボキシレートとリジンのα-アミノ酸基の間の結合は、ペプチド結合ではないと理解され、切断不可であると見なされる。
【0405】
いくつかの態様では、プロテアーゼ切断可能リンカーは、プロテアーゼ、例えば、ネプリリシン(CALLAまたはCD10)、チメットオリゴペプチダーゼ(TOP)、ロイコトリエンA4ヒドロラーゼ、エンドテリン変換酵素、ste24プロテアーゼ、ニューロリシン、ミトコンドリア中間ペプチダーゼ、間質性コラゲナーゼ、コラゲナーゼ、ストロメリシン、マクロファージエラスターゼ、マトリライシン、ゲラチナーゼ、メプリン、プロコラーゲンC-エンドペプチダーゼ、プロコラーゲンN-エンドペプチダーゼ、ADAM及びADAMTメタロプロテイナーゼ、ミエリン関連メタロプロテイナーゼ、エナメリシン、腫瘍壊死因子α変換酵素、インスリシン、ナルジリシン、ミトコンドリアプロセッシングペプチダーゼ、マグノリシン、ダクチリシン様メタロプロテアーゼ、好中球コラゲナーゼ、マトリックスメタロペプチダーゼ、膜型マトリックスメタロプロテイナーゼ、SP2エンドペプチダーゼ、前立腺特異的抗原(PSA)、プラスミン、ウロキナーゼ、ヒト線維芽細胞活性化タンパク質(FAPα)、トリプシン、キモトリプシン、カルデクリン、膵臓エラスターゼ、膵臓エンドペプチダーゼ、エンテロペプチダーゼ、白血球エラスターゼ、骨髄芽細胞、キマーゼ、トリプターゼ、グランザイム、角質層キモトリプシン酵素、アクロシン、カリクレイン、補体成分及び因子、代替補体経路c3/c5コンバターゼ、マンノース結合タンパク質関連セリンプロテアーゼ、凝固因子、トロンビン、プロテインc、u及びt型プラスミノーゲンアクチベーター、カテプシンG、ヘプシン、プロスタシン、肝細胞増殖因子活性化エンドペプチダーゼ、サブチリシン/ケキシン型プロタンパク質コンバターゼ、フリン、プロタンパク質コンバターゼ、プロリルペプチダーゼ、アシルアミノアシルペプチダーゼ、ペプチジルグリカミナーゼ、シグナルペプチダーゼ、n末端求核性アミノヒドロラーゼ、20代プロテアソーム、γ-グルタミルトランスペプチダーゼ、ミトコンドリアエンドペプチダーゼ、ミトコンドリアエンドペプチダーゼIa、htra2ペプチダーゼ、マトリプターゼ、サイト1プロテアーゼ、レグマイン、カテプシン、システインカテプシン、カルパイン、ユビキチンイソペプチダーゼT、カスパーゼ、グリコシルホスファチジルイノシトールタンパク質トランスアミダーゼ、がん凝血促進剤、プロホルモンチオールプロテアーゼ、γ-グルタミルヒドロラーゼ、ブレオマイシンヒドロラーゼ、セプラーゼ、カテプシンB、カテプシンD、カテプシンL、カテプシンM、プロテイナーゼK、ペプシン、キモシン、ガストリクシン、レニン、ヤプシン及び/またはマプシン、前立腺特異抗原(PSA)、または一般的に任意のAsp-N、Glu-C、Lys-CまたはArg-Cプロテアーゼについての切断部位を含む。例えば、その全体が参照によって本明細書に組み込まれるCancer Res.77(24):7027-7037(2017)を参照のこと。
【0406】
いくつかの態様では、切断可能なリンカー成分は1~10のアミノ酸残基を含むペプチドを含む。これらの態様では、ペプチドは、プロテアーゼによるリンカーの切断を可能にし、それによって、リソソーム酵素のような細胞内プロテアーゼへの曝露時に生物学的に活性がある分子の放出を容易にする(Doronina et al.(2003)Nat.Biotechnol.21:778-784)。例示的なペプチドには、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド、ペンタペプチド及びヘキサペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0407】
ペプチドは、天然に存在する及び/または天然に存在しないアミノ酸残基を含んでもよい。「天然に存在するアミノ酸」という用語は、Ala、Asp、Cys、Glu、Phe、Gly、His、He、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gin、Arg、Ser、Thr、Val、Trp、及びTyrを指す。「非天然型アミノ酸」(すなわち、アミノ酸が天然に存在しない)には、非限定的な例として、ホモセリン、ホモアルギニン、シトルリン、フェニルグリシン、タウリン、ヨードチロシン、セレノ-システイン、ノルロイシン(「Nle」)、ノルバリン(「Nva」)、ベータ-アラニン、L-またはD-ナフトアラニン、オルニチン(「Orn」)等が挙げられる。特定の酵素、例えば、腫瘍関連プロテアーゼ、カテプシンB、C、及びD、またはプラスミンプロテアーゼによる酵素的切断のためにペプチドを設計する及び最適化することができる。
【0408】
アミノ酸には天然アミノ酸及び非天然アミノ酸のD型も含まれる。「D-」は、天然に存在する(「L-」)アミノ酸における配置に対立するものとして、「D」(右旋性の)配置を有するアミノ酸を示す。天然及び非天然のアミノ酸は、商業的に購入(Sigma Chemical Co., Advanced Chemtech)することができ、当該技術分野で既知の方法を用いて合成することができる。
【0409】
例示的なジペプチドには、バリン-アラニン、バリン-シトルリン、フェニルアラニン-リジン、N-メチル-バリン-シトルリン、シクロヘキシルアラニン-リジン及びベータ-アラニン-リジンが挙げられるが、これらに限定されない。例示的なトリペプチドには、グリシン-バリン-シトルリン(gly-val-cit)及びグリシン-グリシン-グリシン(gly-gly-gly)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0410】
III.B.3.f. エステラーゼ切断可能なリンカー
一部のリンカーは、エステラーゼによって切断される(「エステラーゼ切断可能なリンカー」)。特定のエステルだけが細胞内または細胞外に存在するエステラーゼ及びアミダーゼによって切断され得る。エステルは、カルボン酸及びアルコールの縮合によって形成される。単純エステルは、単純アルコール、例えば、脂肪族アルコール、ならびに小環状及び小芳香族アルコールで生成されるエステルである。エステルに基づく切断可能な連結基の例には、アルキレン基、アルケニレン基、及びアルキニレン基のエステルが挙げられるが、これらに限定されない。エステル切断可能な連結基は一般式-C(O)O-または-OC(O)-を有する。
【0411】
III.B.3.g. ホスファターゼ切断可能なリンカー
いくつかの態様では、リンカーの組み合わせは、リン酸基を分解または加水分解する薬剤によって切断されるリン酸に基づく切断可能な連結基を含むことができる。細胞内リン酸基を切断する薬剤の例は細胞内ホスファターゼのような酵素である。リン酸に基づく連結基の例は、-O-P(O)(ORk)-O-、-O-P(S)(OR)-O-、-O-P(S)(SR)-O-、-SP(O)(OR)-O-、-O-P(O)(OR)-S-、-S-P(O)(OR)-S-、-O-P(S)(OR)-S-、-SP(S)(OR)-O-、-OP(O)(R)-O-、-OP(S)(R)-O-、-SP(O)(R)-O-、-SP(S)(R)-O-、-SP(O)(R)-S-、または-OP(S)(R)-S-である。
【0412】
種々の態様では、Rは、以下:NH、BH、CH、C1-6アルキル、C6-10アリール、C1-6アルコキシ及びC6-10アリール-オキシのいずれかである。いくつかの態様では、C1-6アルキル及びC6-10アリールは非置換である。さらなる非限定的な例は、-O-P(O)(OH)-O-、-O-P(S)(OH)-O-、-O-P(S)(SH)-O-、-S-P(O)(OH)-O-、-O-P(O)(OH)-S-、-S-P(O)(OH)-S-、-O-P(S)(OH)-S-、-S-P(S)(OH)-O-、-O-P(O)(H)-O-、-O-P(S)(H)-O-、-S-P(O)(H)-O-、-SP(S)(H)-O-、-SP(O)(H)-S-、-OP(S)(H)-S-、または-O-P(O)(OH)-O-である。
【0413】
III.B.3.h. 光活性化された切断可能なリンカー
いくつかの態様では、組み合わせリンカーは、光活性化された切断可能なリンカー、例えば、ニトロベンジルリンカーまたはニトロベンジル反応性基を含むリンカーを含む。
【0414】
III.B.3.i. 自壊型リンカー
いくつかの態様では、リンカーの組み合わせは自壊型リンカーを含む。いくつかの態様では、本開示のEV(例えば、エクソソーム)における自壊型リンカーは、プロテアーゼ切断可能リンカーの酵素的切断後に1,4脱離を受ける。いくつかの態様では、本開示のEV(例えば、エクソソーム)における自壊性リンカーは、本開示の該自壊性リンカーは、プロテアーゼ切断可能リンカーの酵素的切断後に1,6脱離を受ける。いくつかの態様では、自壊型リンカーは、例えば、p-アミノベンジルカルバメート(pABC)、p-アミノベンジルエーテル(PABE)、p-アミノベンジルカーボネート、またはそれらの組み合わせのようなp-アミノベンジル(pAB)誘導体である。
【0415】
特定の態様では、自壊型リンカーは芳香族基を含む。いくつかの態様では、芳香族基は、ベンジル、シンナミル、ナフチル、及びビフェニルから成る群から選択される。いくつかの態様では、芳香族基は複素環式である。他の態様では、芳香族基は少なくとも1つの置換基を含む。いくつかの態様では、少なくとも1つの置換基は、F、Cl、I、Br、OH、メチル、メトキシ、NO、NH、NO3+、NHCOCH、N(CH、NHCOCF、アルキル、ハロアルキル、C-Cアルキルハライド、カルボキシレート、サルフェート、スルファメート、及びスルホネートから成る群から選択される。他の態様では、芳香族基の少なくとも1つのCはN、OまたはC-R*で置換され、その際、R*はH、F、Cl、I、Br、OH、メチル、メトキシ、NO、NH、NO3+、NHCOCH、N(CH、NHCOCF、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン化C-Cアルキルハライド、カルボキシレート、スルフェート、スルファメート、及びスルホネートから独立して選択される。
【0416】
いくつかの態様では、自壊型リンカーは、アミノベンジルカルバメート基(例えば、パラアミノベンジルカルバメート)、アミノベンジルエーテル基、またはアミノベンジルカーボネート基を含む。一態様では、自壊型リンカーはp-アミノベンジルカルバメート(pABC)である。
【0417】
pABCは、自壊型の部位特異的プロドラッグ活性化のための最も効率的で最も普及しているコネクター結合である(例えば、Carl et al.J.Med.Chem.24:479-480(1981);WO1981/001145;Rautio et la,Nature Reviews Drug Discovery 7:255-270(2008);Simplicio et al.,Molecules 13:519-547(2008)を参照のこと)。
【0418】
いくつかの態様では、自壊型リンカーは生物学的に活性がある分子(例えば、ASO)をプロテアーゼ切断可能な基質(例えば、Val-Cit)に接続する。特定の態様では、pABC自壊型リンカーのカルバメート基は、生物学的に活性がある分子(例えば、ASO)のアミノ基に接続され、pABC自壊型リンカーのアミノ基はプロテアーゼ切断可能な基質に接続される。
【0419】
アミノベンジル基の芳香環は、任意で、芳香環上の1以上(例えば、R及び/またはR)置換基で置換することができ、それは、そうでなければ、環を形成する4つの非置換炭素のうちの1つに結合している水素を置換する。本明細書で使用されるとき、記号「R」(例えば、R、R、R、R)は、本明細書で記載されているような置換基を表す一般的な略語である。
【0420】
置換基は、p-アミノベンジル基の自壊能力を改善することができる(Hay et al.,J.Chem Soc.,Perkin Trans.1:2759-2770(1999);Sykes et al.J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1:1601-1608(2000)も参照のこと)。
【0421】
自壊型脱離は、例えば、1,4脱離、1,6脱離(例えば、pABC)、1,8脱離(例えば、p-アミノ-シンナミルアルコール)、β-脱離、環化-脱離(例えば、、4-アミノブタノールエステル及びエチレンジアミン)、環化/ラクトン化、環化/ラクトル化などを通して生じることができる。例えば、Singh et al.Curr.Med.Chem.15:1802-1826(2008);Greenwald et al.J.Med.Chem.43:475-487(2000)を参照のこと。
【0422】
いくつかの態様では、自壊型リンカーは、例えば、シンナミル基、ナフチル基、またはビフェニル基を含むことができる(例えば、Blencowe et al.Polym.Chem.2:773-790(2011)を参照のこと)。いくつかの態様では、自壊型リンカーは複素環を含む(例えば、米国特許第7,375,078号;同第7,754,681号を参照のこと)。多数のホモ芳香族(例えば、Carl et al.J.Med. Chem.24:479(1981);Senter et al.J.Org.Chem.55:2975(1990);Taylor et al.J.Org.Chem.43:1197(1978);Andrianomenjanahary et al.Bioorg.Med.Chem.Lett.2:1903(1992))、及びクマリン(例えば、Weinstein et al.,Chem.Commun.46:553(2010))、フラン、チオフェン、チアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピロール、ピラゾール(例えば、Hay et al.J.Med.Chem.46:5533(2003))、ピリジン(例えば、Perry-Feigenbaum et al.Org.Biomol.Chem.7:4825(2009))、イミダゾン(例えば、Nailor et al.Bioorg.Med.Chem.Lett.Z:1267(1999);Hay and Denny,Tetrahedron Lett.38:8425(1997))、及びトリアゾール(例えば、Bertrand and Gesson,J.Org.Chem.72:3596(2007))に基づくヘテロ芳香族基は水性条件下及び生理的条件下双方で自壊型であり、当該技術分野で知られている。米国特許第7,691,962号;同第7,091,186号;米国特許公開番号US2006/0269480;US2010/0092496;US2010/0145036;US2003/0130189;US2005/0256030)も参照のこと。
【0423】
いくつかの態様では、本明細書で開示されているリンカーの組み合わせは、タンデムの、例えば、2以上のpABCユニットにて1を超える自壊型リンカーを含む。例えば、de Groot et al.J.Org.Chem.66:8815-8830(2001)を参照のこと。いくつかの態様では、本明細書で開示されているリンカーの組み合わせは、蛍光発生プローブに連結された自壊型リンカー(例えば、p-アミノベンジルアルコールまたはp-カルボキシベンズアルデヒドもしくはグリオキシル酸のヘミチオアミナール誘導体)を含むことができる(例えば、Meyer et al.Org.Biomol.Chem.8:1777-1780(2010)を参照のこと)。
【0424】
自壊型リンカーにおける置換基が、左から右へ記述された、それらの従来の化学式によって特定される場合、それらは、構造を右から左へ記述することによって生じることになる化学的に同一な置換基を等しく包含する。例えば、「-CHO-」は「-OCH-」も列挙するように意図される。
【0425】
自壊型における置換基、例えば、上記で議論されたようなp-アミノベンジル自壊型リンカーにおけるR及び/またはR置換基には、例えば、アルキル、アルキレン、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアミノ、アルキルチオ、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールなどを挙げることができる。本開示の化合物が1を超える置換基を含む場合、各置換基は独立して選択される。
【0426】
いくつかの具体的な態様では、自壊型リンカーは切断可能なペプチドリンカーに結合され、以下の式を有し、その組み合わせは、以下の式を有する:
-A-Y
式中、各-A-は独立してアミノ酸単位であり、aは独立して1から12までの整数であり;-Y-は自壊型スペーサーであり、yは1または2である。いくつかの態様では、-A-は、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド、ペンタペプチド、またはヘキサペプチドである。いくつかの態様では、-A-は、バリン-アラニン、バリン-シトルリン、フェニルアラニン-リジン、N-メチルバリン-シトルリン、シクロヘキシルアラニン-リジン、及びベータ-アラニン-リジンから成る群から選択される。いくつかの態様では、-A-はバリン-アラニンまたはバリン-シトルリンである。
【0427】
いくつかの態様では、自壊型リンカー-Y-は以下の式を有する:
【化20】
式中、各Rは独立して、C1-8アルキル、-O-(C1-8アルキル)、ハロゲン、ニトロ、またはシアノであり;mは0から4までの整数である。いくつかの態様では、mは0、1、または2である。いくつかの態様では、mは0である。
【0428】
いくつかの態様では、切断可能なリンカーはバリン-アラニン-p-アミノベンジルカルバメートまたはバリン-シトルリン-p-アミノベンジルカルバメートである。
【0429】
III.B.4. 反応性部分(RM)
本開示のASOは、それらの成分間の化学合成または化学反応のいずれかを介して生成される。例えば、いくつかの態様では、反応性基(例えば、マレイミド)を含むアンカー部分は、マレイミド反応基を含むASOと反応して、本開示の疎水性に修飾されたASOを生成することができ、その際、アンカー部分は、エクソソームの膜の脂質二重層に挿入してもよく、それによってエクソソームの表面にASOを結合させる。
【0430】
本開示の疎水性に修飾されたASOの任意の成分または成分の群は、少なくともRG及び/またはRMを含むことができ、それにより、1つの反応または一連の反応を介した成分の結合を可能にし、本開示の疎水性に修飾されたASOが得られる。疎水性に修飾されたASOを生成するための例示的な合成スキーマには:
[AM]-/RG/+/RM/-[ASO]→[AM]-[ASO]
[AM]-/RM/+/RG/-[ASO]→[AM]-[ASO]
[AM]-[L]-/RM/+/RG/-[ASO]→[AM]-[L]-[ASO]
[AM]-[L]-/RG/+/RM/-[ASO]→[AM]-[L]-[ASO]
[AM]-/RM/+/RG/-[L]-[ASO]→[AM]-[L]-[ASO]
[AM]-/RG/+/RM/-[L]-[ASO]→[AM]-[L]-[ASO]
[AM]-[L]-/RM/+/RG/-[L]-[ASO]→[AM]-[L]-[L]-[ASO]
[AM]-[L]-/RG/+/RM/-[L]-[ASO]→[AM]-[L]-[L]-[ASO]が挙げられ、
式中、[AM]はアンカー部分であり、[ASO]はアンチセンスオリゴヌクレオチドであり、[L]はリンカーまたはリンカーの組み合わせであり、/RM/は反応性部分であり、/RG/は反応性基である。提供されている概略図のいずれにおいても、ASOは、例えば、その5’末端または3’末端を介して結合することができる。
【0431】
ASOの合成における中間体の生成のための例示的な合成スキーマには:
[AM]-/RM/+/RG/-[L]→[AM]-[L]
[AM]-/RG/+/RM/-[L]→[AM]-[L]
[L]-/RM/+/RG/-[L]→[L]-[L]
[L]-/RG/+/RM/-[L]→[L]-[L]
[L]-/RM/+/RG/-[ASO]→[L]-[ASO]
[L]-/RG/+/RM/-[ASO]→[L]-[ASO]が挙げられ、
式中、[AM]はアンカー部分であり、[ASO]はアンチセンスオリゴヌクレオチドであり、[L]はリンカーまたはリンカーの組み合わせであり、/RM/は反応性部分であり、/RG/は反応性基である。提供されている概略図のいずれにおいても、ASOは、例えば、その5’末端または3’末端を介して結合することができる。
【0432】
いくつかの態様では、反応性基「/RG/」は、例えば、アミノ基、チオール基、ヒドロキシル基、カルボン酸基、またはアジド基であり得る。これらの反応性基と反応することができる特定の反応性部分「/RM/」は、以下でさらに詳細に説明される。
【0433】
[AM]-(/RM/)n+(/RG/-[L]-[ASO])n→[AM]-[L]-[ASO]
【0434】
本明細書で開示されているアンカー部分、リンカーまたはリンカーの組み合わせ、またはASOのいずれかは、反応性部分、例えば、アミノ反応性部分(例えば、NHS-エステル、p-ニトロフェノール、イソチオシアネート、イソシアネート、またはアルデヒド)、チオール反応性部分(例えば、アクリレート、マレイミド、またはピリジルジスルフィド)、ヒドロキシ反応性部分(例えば、イソチオシアネートまたはイソシアネート)、カルボン酸反応性部分(例えば、エポキシド)、またはアジド反応性部分(例:アルキン)とコンジュゲートすることができる。
【0435】
本明細書で開示されている2つの成分(例えば、アンカー部分とASO、またはアンカー部分とリンカー、またはアンカー部分とリンカー、または2つのリンカー、またはリンカーとASO、または2つのアンカー部分)を共有結合するのに使用することができる例示的な反応性部分には、例えば、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート、N-4-マレイミド酪酸、S-(2-ピリジルジチオ)システアミン、ヨードアセトキシスクシンイミド、N-(4-マレイミドブチリルオキシ)スクシンイミド、N-[5-(3’-マレイミドプロピルアミド)-1-カルボキシペンチル]イミノ二酢酸、N-(5-アミノペンチル)イミノ二酢酸、及び1’-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホルアミダイト)が挙げられる。二官能性リンカー(2つの官能基を含有するリンカー)も使用できる。
【0436】
いくつかの態様では、アンカー部分、リンカー、またはASOは、末端オキシアミノ基、例えば、-ONH2、ヒドラジノ基、-NHNH2、メルカプト基(すなわち、SHまたはチオール)、またはオレフィン(例えば、CH=CH2)を含むことができる。いくつかの態様では、アンカー部分、リンカー、またはASOは、求電子製部分、例えば、末端位置にて、例えば、アルデヒド、ハロゲン化アルキル、メシレート、トシレート、ノシレート、またはブロシレート、または活性化カルボン酸エステル、例えば、NHSエステル、ホスホルアミダイト、またはペンタフルオロフェニルエステルを含むことができる。いくつかの態様では、共有結合は、リガンドの求核性基、例えば、ヒドロキシル基、チオール基またはアミノ基を求電子性基とカップリングすることによって形成することができる。
【0437】
本発明は、当該技術分野で知られているものを含むが、これらに限定されない、あらゆる種類の反応性基及び反応性部分に適している。
【0438】
本明細書で使用されるとき「保護基」という用語は、合成手順中の望ましくない反応に対して、ヒドロキシル基、アミノ基及びチオール基を含むが、これらに限定されない反応性基を保護することが当該技術分野で知られている不安定な化学部分を指す。保護基は通常、他の反応部位での反応中に部位を保護するために選択的及び/または直交して使用され、その後、除去されて、保護されていない基をそのまま、またはさらなる反応に利用できるようにすることができる。当該技術分野で知られている保護基は一般に、Greene and Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,3rd edition,John Wiley & Sons,New York(1999)に記載されている。
【0439】
さらに、種々の合成工程を代替の順序または順で実行して、所望の化合物を得ることができる。本明細書に記載されている化合物を合成するのに有用な合成化学変換及び保護基の方法論(保護及び脱保護)は当該技術分野で知られており、例えば、R.Larock,Comprehensive Organic Transformations,VCH Publishers(1989);T.W.Greene and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,2d.Ed.,John Wiley and Sons(1991);L.Fieser and M.Fieser,Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons(1994);及びL.Paquette,ed.,Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons(1995)、及びそれらに続く版に記載されているようなものに含まれる。
【0440】
当該技術分野で知られている固相合成が追加的または代替的に採用されてもよい。自動合成技術を含む好適な固相技術は、F.Eckstein(ed.),Oligonucleotides and Analogues,a Practical Approach,Oxford University Press,New York(1991)及びToy,P.H.;Lam,Y(ed.),Solid-Phase Organic synthesis,concepts,Strategies,and Applications,John Wiley & Sons,Inc.New Jersey(2012)に記載されている。
【0441】
いくつかの態様では、反応性基は、代わりに、以下に記載されている反応性部分の1を超えるものと反応することができる。
【0442】
III.B.4.a. アミン反応性部分
いくつかの態様では、反応性部分はアミン反応性部分である。本明細書で使用されるとき、「アミン反応性部分」という用語は、アミノ部分を有する反応性基、例えば、第1級アミンと反応することができる化学基を指す。例示的なアミン反応性部分は、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(NHS-エステル)、p-ニトロフェノール、イソチオシアネート、イソシアネート、及びアルデヒドである。第1級アミンと反応する代替の反応性部分もまた、当該技術分野で周知である。いくつかの態様では、アミン反応性部分は、本開示のアンカー部分、リンカーの組み合わせ、またはASOの末端位置に結合することができる。
【0443】
いくつかの態様では、アミン反応性部分はNHS-エステルである。通常、NHS-エステル反応性部分は反応性基の第1級アミンと反応して、安定したアミド結合とN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を生成する。
【0444】
いくつかの態様では、アミン反応性部分はp-ニトロフェノール基である。通常、p-ニトロフェノール反応性部分は、反応性基の第1級アミンと反応して安定なカルバメート部分とp-ニトロフェノールを生成する活性化カルバメートである。
【0445】
いくつかの態様では、アミン反応性部分はイソチオシアネートである。通常、イソチオシアネートは反応性基の第1級アミンと反応して、安定したチオ尿素部分を生成する。
【0446】
いくつかの態様では、アミン反応性部分はイソシアネートである。通常、イソシアネートは反応性基の第1級アミンと反応して、安定した尿素部分を生成する。
【0447】
いくつかの態様では、アミン反応性部分はアルデヒドである。通常、アルデヒドは第1級アミンと反応してシッフ塩基を形成し、これがさらに還元されて還元的アミノ化を介して共有結合を形成することができる。
【0448】
III.B.4.b. チオール反応性部分
いくつかの態様では、反応性部分はチオール反応性部分である。本明細書で使用されるとき、「チオール反応性部分」という用語は、チオール部分(またはメルカプト基)を有する反応性基と反応することができる化学基を指す。例示的なチオール反応性部分は、アクリレート、マレイミド、及びピリジルジスルフィドである。チオールと反応する代替の反応性部分もまた、当該技術分野で周知である。いくつかの態様では、チオール反応性部分は、本開示のアンカー部分、リンカーの組み合わせ、またはASOの末端位置に結合することができる。
【0449】
いくつかの態様では、チオール反応性部分はアクリレートである。通常、アクリレートは、アクリレートのカルボニルに対して炭素βでチオールと反応して安定したスルフィド結合を形成する。
【0450】
いくつかの態様では、チオール反応性部分はマレイミドである。通常、マレイミドは、カルボニルに対して炭素βでチオールと反応して安定したスルフィド結合を形成する。
【0451】
いくつかの態様では、チオール反応性部分はピリジルジスルフィドである。通常、ピリジルジスルフィドは、ピリジルに対してイオウ原子βでチオールと反応して、安定したジスルフィド結合とピリジン-2-チオンを形成する。
【0452】
III.B.4.c. ヒドロキシ反応性部分
いくつかの態様では、反応性部分はヒドロキシ反応性部分である。本明細書で使用されるとき、「ヒドロキシル反応性部分」という用語は、ヒドロキシル部分を有する反応性基と反応することができる化学基を指す。例示的なヒドロキシル反応性部分はイソチオシアネート及びイソシアネートである。ヒドロキシル部分と反応する代替の反応性部分もまた、当該技術分野で周知である。いくつかの態様では、ヒドロキシル反応性部分は、本開示のアンカー部分、リンカーの組み合わせ、またはASOの末端位置に結合することができる。
【0453】
いくつかの態様では、ヒドロキシル反応性部分はイソチオシアネートである。通常、イソチオシアネートは反応性基のヒドロキシルと反応して、安定したカルバモチオエート部分を生成する。
【0454】
いくつかの態様では、アミン反応性部分はイソシアネートである。通常、イソシアネートは反応性基のヒドロキシルと反応して、安定したカルバメート部分を生成する。
【0455】
III.B.4.d. カルボン酸反応性部分
いくつかの態様では、反応性部分はカルボン酸反応性部分である。本明細書で使用されるとき、「カルボン酸反応性部分」という用語は、カルボン酸部分を有する反応性基と反応することができる化学基を指す。例示的なカルボン酸反応性部分はエポキシドである。カルボン酸部分と反応する代替の反応性部分もまた、当該技術分野で周知である。いくつかの態様では、カルボン酸反応性部分は本開示のアンカー部分、リンカーの組み合わせ、またはASOの末端位置に結合することができる。
【0456】
いくつかの態様では、カルボン酸反応性部分はエポキシドである。通常、エポキシドはエポキシドの炭素原子のいずれかで反応性基のカルボン酸と反応して、酢酸2-ヒドロキシエチル部分を形成する。
【0457】
III.B.4.e. アジド反応性部分
いくつかの態様では、反応性部分はアジド反応性部分である。本明細書で使用されるとき、「アジド反応性部分」という用語は、アジド部分を有する反応性基と反応することができる化学基を指す。例示的なアジド反応性部分はアルキンである。アジド部分と反応する代替の反応性部分もまた、当該技術分野で周知である。いくつかの態様では、カルボン酸反応性部分は本開示のアンカー部分、リンカーの組み合わせ、またはASOの末端位置に結合することができる。
【0458】
いくつかの態様では、アジド反応性部分はアルキンである。通常、アルキンは、「クリックケミストリー」とも呼ばれる1,3-双極子付加環化反応を介して反応基のアジドと反応して、1,2,3-トリアゾール部分を形成する。
【0459】
III.B.5. 具体例及びトポロジー
本開示の具体的な態様では、リンカーの組み合わせは、式
[アルキルリンカー]m-[PEG1]n-[PEG2]oのリンカーから成り、
式中、m、n、及びoは0または1であり、m、n、またはoの少なくとも1つはゼロではない。そのような式に係る例示的なリンカーの組み合わせは、C6-TEG-HEG、C6-HEG、C6-TEG、C6、TEG-HEG、TEG、C8-TEG-HEG、C8-HEG、C8-TEG、及びC8である。
【0460】
いくつかの態様では、リンカーの組み合わせは、1以上の切断可能なリンカー、例えば、酵素的切断可能リンカー及び自壊型リンカーと組み合わせた、切断不可のリンカー(例えば、TEGまたはHEG)を含む。
【0461】
特定の態様では、リンカーの組み合わせは、以下に示すように、リンカーの組み合わせTEG(切断不可のリンカー)-Val-Cit(切断可能なリンカー)-pAB(自壊型リンカー)を含む。
【化21】
【0462】
アンカー部分とリンカーの組み合わせの具体的な組み合わせを以下の表に示す。
【表2】
【表3-1】
【0463】
本開示のASOのような具体的なオリゴヌクレオチドを以下に例示する。
[コレステロール]-[TEG]-[HEG]-[ASO]
【化22】
[コレステロール]-[SMal]-[Val-Cit]-[pAB]-[ASO]
【化23】
[コレステロール]-[TEG]-[Val-Cit]-[C6]-[ASO]
【化24】
[コレステロール]-[TEG]-[SS]-[C6]-[ASO]
【化25】
その際、[コレステロール]はコレステロールアンカー部分であり、[TEG]はTEG切断不可リンカーであり、[HEG]はHEG切断不可リンカーであり、[SS]はジスルフィドレドックス切断可能リンカーであり、[C6]はアルキル切断不可リンカーであり、[SMal]はS-マレイミドであり、[Val-Cit]はバリン-シトルリン切断可能リンカーであり、[pAB]はpAB自壊型リンカーである。いくつかの態様では、本開示のASOは、上記に提供された例示的な構造に係る構造を有し、1以上の構成要素が、実施例に示されるものと同じクラスの構成要素によって置き換えられている。例えば、[コレステロール]アンカー部分は、本明細書で開示されている別のアンカー部分によって置換することができ、[TEG]は本明細書で開示されている別の高分子切断不可リンカー(例えば、HEG、PEG、PG)によって置換することができ、[Val-Cit]は別のペプチダーゼ切断可能リンカーで置き換えることができ、または、[pAB]は別の自壊型リンカーによって置換することができる。
【0464】
III.C. 足場部分
1以上の足場部分をEVで発現させることができる。いくつかの態様では、1以上の足場部分を使用して本開示のEVにASOを固定する。他の態様では、1以上の足場部分を使用して、ASOに加えてタンパク質または分子をEVに固定する。したがって、本開示のEVは、ASOを連結するアンカー部分と、タンパク質または分子、例えば、標的指向化部分を連結する足場部分とを含む。いくつかの態様では、ASOは足場部分に連結される。いくつかの態様では、EVは1を超える足場部分を含む。いくつかの態様では、第1のASOは第1の足場部分に連結され、第2のASOは第2の足場部分に連結される。いくつかの態様では、第1の足場部分及び第2の足場部分は同じタイプの足場部分であり、例えば、第1及び第2の足場部分は双方とも足場Xタンパク質である。いくつかの態様では、第1の足場部分及び第2の足場部分は、異なるタイプの足場部分であり、例えば、第1の足場部分は足場Yタンパク質であり、第2の足場部分は足場Xタンパク質である。いくつかの態様では、第1の足場部分は本明細書で開示されている足場Yである。いくつかの態様では、第1の足場部分は本明細書で開示されている足場Xである。いくつかの態様では、第2の足場部分は本明細書で開示されている足場Yである。いくつかの態様では、第2の足場部分は本明細書で開示されている足場Xである。
【0465】
いくつかの態様では、EVは1以上の足場部分を含み、それは、ASOをEV、例えば、エクソソーム(例えば、内腔表面または外面のいずれかに)に固定することができる。特定の態様では、足場部分はポリペプチド(「足場タンパク質」)である。特定の態様では、足場タンパク質はエクソソームタンパク質またはその断片を含む。他の態様では、足場部分は非ポリペプチド部分である。いくつかの態様では、足場タンパク質には、エクソソーム膜で濃縮された種々の膜タンパク質、例えば、膜貫通タンパク質、内在性タンパク質及び周辺タンパク質が含まれる。それらは、種々のCDタンパク質、トランスポーター、インテグリン、レクチン、及びカドヘリンを含むことができる。特定の態様では、足場部分(例えば、足場タンパク質)は足場Xを含む。他の態様では、足場部分(例えば、エクソソームタンパク質)は足場Yを含む。さらなる態様では、足場部分(例えば、エクソソームタンパク質)は足場Xと足場Yの双方を含む。
【0466】
III.C.1. 足場Xを操作したFV、例えば、エクソソーム
いくつかの態様では、本開示のEV、例えば、エクソソームはその組成が改変された膜を含む。例えば、それらの膜組成は、膜のタンパク質、脂質、またはグリカンの含量を変更することによって改変することができる。
【0467】
いくつかの態様では、表面操作されたEV、例えば、エクソソームは化学物質によって及び/またはPEG誘導融合及び/または超音波融合のような物理的方法によって生成される。他の態様では、表面操作されたEV、例えば、エクソソームは遺伝子操作によって生成される。遺伝子操作された産生細胞または遺伝子操作された細胞の子孫から産生されるEV、例えば、エクソソームは改変された膜組成を含有することができる。いくつかの態様では、表面操作されたEV、例えば、エクソソームは、さらに高いまたはさらに低い密度(例えば、さらに高い数)で足場部分(例えば、エクソソームタンパク質、例えば、足場X)を有する、または足場部分の変異型もしくは断片を含む。
【0468】
例えば、表面操作されたEV(例えば、足場X操作されたEV)は、足場部分(例えば、エクソソームタンパク質、例えば、足場X)またはその変異型または断片をコードする外来性配列で形質転換された細胞(例えば、HEK293細胞)から産生され得る。外来性配列から発現される足場部分を含むEVは、改変された膜組成を含むことができる。
【0469】
足場部分の種々の修飾または断片を本開示の態様に使用することができる。例えば、結合剤への親和性が増強されるように修飾された足場部分は、結合剤を使用して精製することができる表面操作されたEVを生成するのに使用することができる。さらに効果的にEV及び/または膜に向けられるように修飾された足場部分を使用することができる。エクソソーム膜を特異的にかつ効率的に標的とするのに必要な最小限の断片を含むように修飾された足場部分も使用することができる
【0470】
足場部分は、融合分子、例えば、ASOに対する足場Xの融合分子として発現されるように操作することができる。例えば、融合分子は、ASOに連結された本明細書に開示されている足場部分(例えば、足場X、例えば、PTGFRN、BSG、IGSF2、IGSF3、IGSF8、ITGB1、ITGA4、SLC3A2、ATPトランスポーター、またはそれらの断片もしくは変異型)を含むことができる。
【0471】
いくつかの態様では、本明細書に記載されている表面が(例えば、足場X)操作されたEVは、当該技術分野で既知のEVと比べて優れた特性を示す。例えば、表面が(例えば、足場Xで)操作されたものは、天然に存在するEVまたは従来のエクソソームタンパク質を使用して産生されるEVよりもそれらの表面で高度に濃縮された修飾タンパク質を含有する。さらに、本開示の表面が(例えば、足場Xで)操作されたEVは、天然に存在するEVまたは従来のエクソソームタンパク質を使用して産生されるEVと比べて、さらに大きな、さらに特異的な、またはさらに制御された生物活性を有することができる。
【0472】
いくつかの態様では、足場XはプロスタグランジンF2受容体負調節因子(PTGFRNポリペプチド)を含む。PTGFRNタンパク質は、CD9パートナー1(CD9P-1)、Glu-Trp-Ile EWIモチーフ含有タンパク質F(EWI-F)、プロスタグランジンF2アルファ受容体調節タンパク質、プロスタグランジンF2アルファ受容体関連タンパク質またはCD315とも呼ばれる。ヒトPTGFRNタンパク質(Uniprot受入番号Q9P2B2)の完全長アミノ酸配列を配列番号301として表3に示す。PTGFRNポリペプチドは、シグナルペプチド(配列番号301のアミノ酸1~25)、細胞外ドメイン(配列番号301のアミノ酸26~832)、膜貫通ドメイン(配列番301のアミノ酸833~853)、及び細胞質ドメイン(配列番号301のアミノ酸854~879)を含有する。成熟PTGFRNポリペプチドは、シグナルペプチドを含まない配列番号301、すなわち、配列番号301のアミノ酸26~879から成る。いくつかの態様では、本開示に有用なPTGFRNポリペプチド断片はPTGFRNポリペプチドの膜貫通ドメインを含む。他の態様では、本開示に有用なPTGFRNポリペプチド断片は、PTGFRNポリペプチドの膜貫通ドメインならびに(i)該膜貫通ドメインのN末端に少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150のアミノ酸、(ii)該膜貫通ドメインのC末端に少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、または少なくとも25のアミノ酸、または(i)及び(ii)の双方を含む。
【0473】
いくつかの態様では、PTGFRNポリペプチドの断片は1以上の機能ドメインまたは構造ドメイン、例えば、IgVを欠く。
【0474】
他の態様では、足場Xは、配列番号301のアミノ酸26~879に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含む。他の態様では、足場Xは、配列番号302に対して少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含む。他の態様では、足場Xは1つのアミノ酸変異、2つのアミノ酸変異、3つのアミノ酸変異、4つのアミノ酸変異、5つのアミノ酸変異、6つのアミノ酸変異、または7つのアミノ酸変異を除いて配列番号302のアミノ酸配列を含む。変異は、置換、挿入、欠失、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。いくつかの態様では、足場Xは、配列番号302のアミノ酸配列及び配列番号302のN末端及び/またはC末端にて1アミノ酸、2アミノ酸、3アミノ酸、4アミノ酸、5アミノ酸、6アミノ酸、7アミノ酸、8アミノ酸、9アミノ酸、10アミノ酸、11アミノ酸、12アミノ酸、13アミノ酸、14アミノ酸、15アミノ酸、16アミノ酸、17アミノ酸、18アミノ酸、19アミノ酸、または20アミノ酸長いまたはそれより長いアミノ酸を含む。
【0475】
他の態様では、足場Xは、配列番号301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、または318に対して少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含む。他の態様では、足場Xは、1つのアミノ酸変異、2つのアミノ酸変異、3つのアミノ酸変異、4つのアミノ酸変異、5つのアミノ酸変異、6つのアミノ酸変異、または7つのアミノ酸変異を除いて、配列番号301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、または318のアミノ酸配列を含む。変異は、置換、挿入、欠失、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。いくつかの態様では、足場Xは、配列番号配列番号301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、または318のアミノ酸配列及び配列番号301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、または318のN末端及び/またはC末端にて1アミノ酸、2アミノ酸、3アミノ酸、4アミノ酸、5アミノ酸、6アミノ酸、7アミノ酸、8アミノ酸、9アミノ酸、10アミノ酸、11アミノ酸、12アミノ酸、13アミノ酸、14アミノ酸、15アミノ酸、16アミノ酸、17アミノ酸、18アミノ酸、19アミノ酸、または20アミノ酸長いまたはそれより長いアミノ酸を含む。
【表3-2】
【0476】
他の態様では、足場Xは、配列番号319、320、321、322、323、323、または325と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含む。他の態様では、足場Xは1つのアミノ酸変異、2つのアミノ酸変異、3つのアミノ酸変異、4つのアミノ酸変異、5つのアミノ酸変異、6つのアミノ酸変異、または7つのアミノ酸変異を除いて、配列番号319、320、321、322、323、323、または325のアミノ酸配列を含む。変異は、置換、挿入、欠失、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。いくつかの態様では、足場Xは、配列番号319、320、321、322、323、323、または325のアミノ酸配列及び配列番号319、320、321、322、323、323、または325のN末端及び/またはC末端にて1アミノ酸、2アミノ酸、3アミノ酸、4アミノ酸、5アミノ酸、6アミノ酸、7アミノ酸、8アミノ酸、9アミノ酸、10アミノ酸、11アミノ酸、12アミノ酸、13アミノ酸、14アミノ酸、15アミノ酸、16アミノ酸、17アミノ酸、18アミノ酸、19アミノ酸、または20アミノ酸長いまたはそれより長いアミノ酸を含む。
【0477】
いくつかの態様では、足場Xは配列番号303で表されるベイシジン(BSGタンパク質)を含む。BSGタンパク質は、5F7、コラゲナーゼ刺激因子、細胞外マトリックスメタロプロテイナーゼインデューサー(EMMPRIN)、白血球活性化抗原M6、OK血液型抗原、腫瘍細胞由来コラゲナーゼ刺激因子(TCSF)、またはCD147としても知られている。ヒトBSGタンパク質のUniprot番号はP35613である。BSGタンパク質のシグナルペプチドは配列番号303のアミノ酸1~21である。配列番号303のアミノ酸138~323は細胞外ドメインであり、アミノ酸324~344は膜貫通ドメインであり、配列番号303のアミノ酸345~385は細胞質ドメインである。
【0478】
他の態様では、足場Xは配列番号303のアミノ酸22~385と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、BSGポリペプチドの断片は1以上の機能ドメインまたは構造ドメイン、例えば、IgV、例えば、配列番号303の221~315を欠く。他の態様では、足場Xは配列番号326、327、または328と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含む。他の態様では、足場Xは1つのアミノ酸変異、2つのアミノ酸変異、3つのアミノ酸変異、4つのアミノ酸変異、5つのアミノ酸変異、6つのアミノ酸変異、または7つのアミノ酸変異を除いて、配列番号326、327、または328のアミノ酸配列を含む。変異は、置換、挿入、欠失、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。いくつかの態様では、足場Xは配列番号326、327、または328のアミノ酸配列及び配列番号326、327、または328のN末端及び/またはC末端にて1アミノ酸、2アミノ酸、3アミノ酸、4アミノ酸、5アミノ酸、6アミノ酸、7アミノ酸、8アミノ酸、9アミノ酸、10アミノ酸、11アミノ酸、12アミノ酸、13アミノ酸、14アミノ酸、15アミノ酸、16アミノ酸、17アミノ酸、18アミノ酸、19アミノ酸、または20アミノ酸長いまたはそれより長いアミノ酸を含む。
【0479】
いくつかの態様では、足場Xは、CD81パートナー3、Glu-Trp-Ile EWIモチーフ含有タンパク質2(EWI-2)、ケラチノサイト関連膜貫通タンパク質4(KCT-4)、LIR-D1、プロスタグランジン調節様タンパク質(PGRL)またはCD316としても知られる免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー8(IgSF8またはIGSF8タンパク質)を含む。完全長のヒトIGSF8タンパク質はUniprotの受入番号Q969P0であり、本明細書では配列番号304として示されている。ヒトIGSF8タンパク質は、シグナルペプチド(配列番号304のアミノ酸1~27)、細胞外ドメイン(配列番号304のアミノ酸28~579)、膜貫通ドメイン(配列番号304のアミノ酸580~600)、及び細胞質ドメイン(配列番号304のアミノ酸601~613)を有する。
【0480】
他の態様では、足場Xは配列番号304のアミノ酸28~613と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IGSF8タンパク質はIgVのような1以上の機能ドメインまたは構造ドメインを欠く。他の態様では、足場Xは、配列番号330、331、332、または333と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含む。他の態様では、足場Xは1つのアミノ酸変異、2つのアミノ酸変異、3つのアミノ酸変異、4つのアミノ酸変異、5つのアミノ酸変異、6つのアミノ酸変異、または7つのアミノ酸変異を除いて配列番号330、331、332、または333のアミノ酸配列を含む。変異は、置換、挿入、欠失、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。いくつかの態様では、足場Xは、配列番号330、331、332、または333のアミノ酸配列及び配列番号330、331、332、または333のN末端及び/またはC末端にて1アミノ酸、2アミノ酸、3アミノ酸、4アミノ酸、5アミノ酸、6アミノ酸、7アミノ酸、8アミノ酸、9アミノ酸、10アミノ酸、11アミノ酸、12アミノ酸、13アミノ酸、14アミノ酸、15アミノ酸、16アミノ酸、17アミノ酸、18アミノ酸、19アミノ酸、または20アミノ酸長いまたはそれより長いアミノ酸を含む。
【0481】
いくつかの態様では、本開示のための足場Xは、Glu-Trp-Ile EWIモチーフ含有タンパク質3(EWI-3)としても知られ、配列番号309のアミノ酸配列として示されている免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー3(IgSF3またはIGSF3タンパク質)を含む。ヒトIGSF3タンパク質は、シグナルペプチド(配列番号309のアミノ酸1~19)、細胞外ドメイン(配列番号309のアミノ酸20~1124)、膜貫通ドメイン(配列番号309のアミノ酸1125~1145)、及び細胞質ドメイン(配列番号309のアミノ酸1146~1194)を有する。
【0482】
他の態様では、足場Xは配列番号309のアミノ酸28~613と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IGSF3タンパク質はIgVのような1以上の機能ドメインまたは構造ドメインを欠く。
【0483】
いくつかの態様では、本開示のための足場Xはフィブロネクチン受容体サブユニットベータ、糖タンパク質IIa(GPIIA)、VLA-4サブユニットベータ、またはCD29としても知られ、配列番号305のアミノ酸配列として示されているインテグリンベータ-1(ITGB1タンパク質)を含む。ヒトITGB1タンパク質は、シグナルペプチド(配列番号305のアミノ酸1~20)、細胞外ドメイン(配列番号305のアミノ酸21~728)、膜貫通ドメイン(配列番号305のアミノ酸729~751)、及び細胞質ドメイン(配列番号305のアミノ酸752~798)を有する。
【0484】
他の態様では、足場Xは配列番号305のアミノ酸21~798と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、ITGB1タンパク質はIgVのような1以上の機能ドメインまたは構造ドメインを欠く。
【0485】
他の態様では、足場Xは、シグナルペプチド(配列番号306のアミノ酸1~33)を含まない配列番号306と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含むITGA4タンパクを含む。いくつかの態様では、ITGA4タンパク質はIgVのような1以上の機能ドメインまたは構造ドメインを欠く。
【0486】
他の態様では、足場Xは、シグナルペプチドを含まない配列番号307と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含むSLC3A2タンパク質を含む。いくつかの態様では、SLC3A2タンパク質はIgVのような1以上の機能ドメインまたは構造ドメインを欠く。
【0487】
他の態様では、足場Xは、シグナルペプチドを含まない配列番号310と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含むATP1A1タンパク質を含む。いくつかの態様では、ATP1A1タンパク質はIgVのような1以上の機能ドメインまたは構造ドメインを欠く。
【0488】
他の態様では、足場Xは、シグナルペプチドを含まない配列番号311と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含むATP1A2タンパク質を含む。いくつかの態様では、ATP1A2タンパク質はIgVのような1以上の機能ドメインまたは構造ドメインを欠く。
【0489】
他の態様では、足場Xは、シグナルペプチドを含まない配列番号312と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含むATP1A3タンパク質を含む。いくつかの態様では、ATP1A3タンパク質はIgVのような1以上の機能ドメインまたは構造ドメインを欠く。
【0490】
他の態様では、足場Xは、シグナルペプチドを含まない配列番号313と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含むATP1A4タンパク質を含む。いくつかの態様では、ATP1A4タンパク質はIgVのような1以上の機能ドメインまたは構造ドメインを欠く。
【0491】
他の態様では、足場Xは、シグナルペプチドを含まない配列番号314と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含むATP2B1タンパク質を含む。いくつかの態様では、ATP2B1タンパク質はIgVのような1以上の機能ドメインまたは構造ドメインを欠く。
【0492】
他の態様では、足場Xは、シグナルペプチドを含まない配列番号315と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含むATP2B2タンパク質を含む。いくつかの態様では、ATP2B2タンパク質はIgVのような1以上の機能ドメインまたは構造ドメインを欠く。
【0493】
他の態様では、足場Xは、シグナルペプチドを含まない配列番号316と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含むATP2B3タンパク質を含む。いくつかの態様では、ATP2B3タンパク質はIgVのような1以上の機能ドメインまたは構造ドメインを欠く。
【0494】
他の態様では、足場Xは、シグナルペプチドを含まない配列番号317と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含むATP2B4タンパク質を含む。いくつかの態様では、ATP2B4タンパク質はIgVのような1以上の機能ドメインまたは構造ドメインを欠く。
【0495】
他の態様では、足場Xは、シグナルペプチドを含まない配列番号318と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含むIGSF2タンパク質を含む。いくつかの態様では、IGSF2タンパク質はIgVのような1以上の機能ドメインまたは構造ドメインを欠く。
【0496】
他の足場Xタンパク質の非限定的な例は、その全体が参照によって組み込まれる2019年2月5日に発行された米国特許第10,195,290 B1号に見いだすことができる。
【0497】
いくつかの態様では、配列はネイティブタンパク質のN末端から少なくとも5、10、50、100、200、300、400、500、600、700、または800のアミノ酸を欠く足場部分の断片をコードする。いくつかの態様では、配列はネイティブタンパク質のC末端から少なくとも5、10、50、100、200、300、400、500、600、700、または800のアミノ酸を欠く足場部分の断片をコードする。一部の実施形態では、配列はネイティブタンパク質のN末端及びC末端の双方からの少なくとも5、10、50、100、200、300、400、500、600、700、または800のアミノ酸を欠く足場部分の断片をコードする。いくつかの態様では、配列はネイティブタンパク質の1以上の機能ドメインまたは構造ドメインを欠く足場部分の断片をコードする。
【0498】
いくつかの態様では、足場部分、例えば、足場X、例えば、PTGFRNタンパク質は1以上の異種タンパク質に連結される。1以上の異種タンパク質は足場部分のN末端に連結することができる。1以上の異種タンパク質は足場部分のC末端に連結することができる。いくつかの態様では、1以上の異種タンパク質は足場部分のN末端及びC末端の双方に連結される。いくつかの態様では、異種タンパク質は哺乳動物タンパク質である。いくつかの態様では、異種タンパク質はヒトタンパク質である。
【0499】
いくつかの態様では、足場Xを使用して、任意の部分、例えば、ASOをEV、例えば、エクソソームの内腔表面及び外面に同時に連結することができる。例えば、PTGFRNポリペプチドを使用してASOをEV、例えば、エクソソームの外面に加えて、内腔の内側(例えば、内腔表面)に連結することができる。したがって、特定の態様では、二重の目的のために、例えば、EV、例えば、エクソソームの内腔表面のASO及び外面のASOのために足場Xを使用することができる。いくつかの態様では、足場XはEVの内腔表面及び/またはEVの外面にASOを固定することができる足場タンパク質である。
【0500】
III.C.2. 足場Yを操作したFV、例えば、エクソソーム
いくつかの態様では、本開示のEV、例えば、エクソソームは天然に存在するEVのものとは異なる内部空間(すなわち、内腔)を含む。例えば、EV、例えば、エクソソームの内腔表面の組成が天然に存在するエクソソームのものとは異なるタンパク質、脂質、またはグリカンの含量を有するようにEVを変化させることができる。
【0501】
いくつかの態様では、操作されたEV、例えば、エクソソームは、EV、例えば、エクソソームの内腔表面の組成または含量を変化させる、足場部分(例えば、エクソソームタンパク質、例えば、足場Y)または足場部分の修飾もしくは断片をコードする外来性配列で形質転換された細胞から産生され得る。EV、例えば、エクソソームの内腔表面で発現され得るエクソソームタンパク質の種々の修飾または断片を本開示の態様に使用することができる。
【0502】
いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームの内腔表面を変化させることができるエクソソームタンパク質には、ミリストイル化アラニンリッチプロテインキナーゼC基質(MARCKS)タンパク質、ミリストイル化アラニンリッチプロテインキナーゼC基質様1(MARCKSL1)タンパク質、脳酸可溶性タンパク質1(BASP1)タンパク質、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0503】
いくつかの態様では、足場YはMARCKSタンパク質(Uniprot受入番号P29966)を含む。MARCKSタンパク質は、プロテインキナーゼC基質、80kDaタンパク質、軽鎖としても知られている。完全長のヒトMARCKSタンパク質は332アミノ酸の長さであり、アミノ酸残基152~176にカルモジュリン結合ドメインを含む。いくつかの態様では、足場YはMARCKSL1タンパク質(Uniprot受入番号P49006)を含む。MARCKSL1タンパク質はMARCKS様タンパク質1としても知られており、マクロファージのミリストイル化されたアラニンに富むCキナーゼ基質である。完全長のヒトMARCKSL1タンパク質は195アミノ酸の長さである。MARCKSL1タンパク質は、アミノ酸残基87~110で脂質結合及びカルモジュリン結合に関与するエフェクタードメインを有する。いくつかの態様では、足場YはBASP1タンパク質(Uniprot受入番号P80723)を含む。BASP1タンパク質は、22kDaの神経組織に富む酸性タンパク質または神経軸索膜タンパク質NAP-22としても知られている。完全長のヒトBASP1タンパク質配列(異性体1)は227アミノ酸の長さである。選択的スプライシングによって生成された異性体は、配列番号403からアミノ酸88~141が欠落している(異性体1)。表4は、本明細書で開示されている例示的な足場Yの完全長配列(すなわち、MARCKS、MARCKSL1、及びBASP1タンパク質)を提供する。
【表4】
【0504】
成熟BASP1タンパク質の配列は、配列番号403から最初のMetを欠いているので、配列番号403のアミノ酸2~227を含有する。同様に、成熟したMARCKS及びMARCKSL1タンパク質も、それぞれ配列番号401及び402からの最初のMetを欠く。したがって、成熟MARCKSタンパク質は配列番号401のアミノ酸2~332を含有する。成熟MARCKSL1タンパク質は配列番号402のアミノ酸2~227を含有する。
【0505】
他の態様では、本開示に有用な足場Yは配列番号403のアミノ酸2~227と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含む。他の態様では、足場Yは配列番号404~567のいずれか1つと少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含む。他の態様では、本開示に有用な足場Yは1つのアミノ酸変異、2つのアミノ酸変異、3つのアミノ酸変異、4つのアミノ酸変異、5つのアミノ酸変異、6つのアミノ酸変異、または7つのアミノ酸変異を除いて、配列番号403のアミノ酸配列を含む。他の実施態様では、本開示に有用な足場Yは1つのアミノ酸変異、2つのアミノ酸変異、3つのアミノ酸変異、4つのアミノ酸変異、5つのアミノ酸変異、6つのアミノ酸変異、または7つのアミノ酸変異を除いて、配列番号403のアミノ酸残基1でのMetを含まない配列番号403のアミノ酸配列を含む。変異は、置換、挿入、欠失、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。いくつかの態様では、本開示に有用な足場Yは、配列番号404~567のいずれか1つのアミノ酸配列ならびに配列番号404~567のN末端及び/またはC末端にて1アミノ酸、2アミノ酸、3アミノ酸、4アミノ酸、5アミノ酸、6アミノ酸、7アミノ酸、8アミノ酸、9アミノ酸、10アミノ酸、11アミノ酸、12アミノ酸、13アミノ酸、14アミノ酸、15アミノ酸、16アミノ酸、17アミノ酸、18アミノ酸、19アミノ酸、または20アミノ酸長いまたはそれより長いアミノ酸を含む。
【0506】
いくつかの態様では、配列番号404~567のいずれかのタンパク質配列は本開示のための足場Y(例えば、ASOに連結された足場部分)であるのに十分である。
【0507】
いくつかの態様では、本開示に有用な足場YはGXKLSKKKを伴うペプチドを含み、Xはアラニンまたは任意の他のアミノ酸(配列番号404)である。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは、(G)(π)(ξ)(Φ/π)(S/A/G/N)(+)(+)の配列を持つペプチドを含み、その際、各括弧内の位置はアミノ酸を表し、πは(Pro、Gly、Ala、Ser)から成る群から選択される任意のアミノ酸であり、ξは(Asn、Gln、Ser、Thr、Asp、Glu、Lys、His、Arg)から成る群から選択される任意のアミノ酸であり、Φは(Val、Ile、Leu、Phe、Trp、Tyr、Met)から成る群から選択された任意のアミノ酸であり、(+)は(Lys、Arg、His)から成る群から選択される任意のアミノ酸であり;5位は(+)ではなく、6位は(+)でもなく(AspまたはGlu)でもない。さらなる態様では、本明細書に記載されているエクソソーム(例えば、操作されたエクソソーム)は、(G)(π)(X)(Φ/π)(π)(+)(+)の配列を持つペプチドを含み、その際、各括弧内の位置はアミノ酸を表し、πは(Pro、Gly、Ala、Ser)から成る群から選択される任意のアミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Φは(Val、Ile、Leu、Phe、Trp、Tyr、Met)から成る群から選択される任意のアミノ酸であり、かつ(+)は(Lys、Arg、His)から成る群から選択される任意のアミノ酸であり;かつ5位は(+)ではなく、6位は(+)でもなく(AspまたはGlu)でもない。アミノ酸の命名法についてはAasland et al.,FEBS Letters 513(2002)141-144を参照のこと。
【0508】
他の態様では、足場Xは配列番号404~567のいずれか1つに対して少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含む。
【0509】
本明細書に記載されている足場Yで操作されたEV、例えば、エクソソームは配列番号404~567に示される配列で形質転換された細胞から生成することができる。
【0510】
いくつかの態様では、本開示に有用な足場Yタンパク質は、「N末端ドメイン」(ND)及び「エフェクタードメイン」(ED)を含み、ND及び/またはEDはEV、例えば、エクソソームの内腔表面と会合する。いくつかの態様では、本開示に有用な足場Yタンパク質は細胞内ドメインと膜貫通ドメインと細胞外ドメインとを含み、細胞内ドメインは「N末端ドメイン」(ND)及び「エフェクタードメイン」(ED)を含み、ND及び/またはEDはEV、例えば、エクソソームの内腔表面と会合する。本明細書で使用される、「と会合する」という用語は、足場タンパク質とEV、例えば、エクソソームの内腔表面との間の相互作用を指し、これは、膜成分への共有結合を伴わない。例えば、本開示に有用な足場はEVの内腔表面と、例えば、脂質アンカー(例えば、ミリスチン酸)及び/または膜リン脂質の負に電荷したヘッドと静電相互作用する多塩基ドメインを介して会合することができる。他の態様では、足場Yタンパク質はN末端ドメイン(ND)及びエフェクタードメイン(ED)を含み、その際、NDはEVの内腔表面と会合し、EDはイオン相互作用によってEVの内腔表面と会合し、EDは、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、または少なくとも7つの連続する塩基性アミノ酸、例えば、リジン(Lys)を順に含む。
【0511】
他の態様では、足場Yタンパク質は、N末端ドメイン(ND)及びエフェクタードメイン(ED)を含み、その際、NDはEVの内腔表面と会合し、EDはイオン相互作用によってEVの内腔表面と会合し、EDは少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、または少なくとも7つの連続する塩基性アミノ酸、例えば、リジン(Lys)を順に含む。
【0512】
いくつかの態様では、NDは脂質化を介して、例えば、ミリストイル化を介してEV、例えば、エクソソームの内腔表面と会合する。いくつかの態様では、NDはN末端にGlyを有する。いくつかの態様では、N末端Glyはミリストイル化される。
【0513】
いくつかの態様では、EDはイオン相互作用を介してEV、例えば、エクソソームの内腔表面と会合する。いくつかの態様では、EDは静電相互作用、特に誘引性の静電相互作用を介してEV、例えば、エクソソームの内腔表面と会合する。
【0514】
いくつかの態様では、EDは、(i)塩基性アミノ酸(例えば、リジン)、または(ii)ポリペプチド配列において互いに隣接する2以上の塩基性アミノ酸(例えば、リジン)を含む。いくつかの態様では、塩基性アミノ酸は、リジン(Lys;K)、アルギニン(Arg、R)、またはヒスチジン(His、H)である。いくつかの態様では、塩基性アミノ酸は(Lys)nであり、その際、nは1~10の整数である。
【0515】
他の態様では、EDのN末端がNDのC末端でリジンに直接連結されている場合、すなわち、リジンがEDのN末端にあり、NDのC末端のリジンに融合されている場合、EDは少なくともリジンを含み、NDはC末端にリジンを含む。他の態様では、EDのN末端がリンカー、例えば、1以上のアミノ酸によってNDのC末端に連結されている場合、EDは少なくとも2つのリジン、少なくとも3つのリジン、少なくとも4つのリジン、少なくとも5つのリジン、少なくとも6つのリジン、または少なくとも7つのリジンを含む。
【0516】
いくつかの態様では、EDは、K、KK、KKK、KKKK(配列番号405)、KKKKK(配列番号406)、R、RR、RRR、RRRR(配列番号407)、RRRRR(配列番号408)、KR、RK、KKR、KRK、RKK、KRR、RRK、(K/R)(K/R)(K/R)(K/R)(配列番号409)、(K/R)(K/R)(K/R)(K/R)(K/R)(配列番号410)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、EDは、KK、KKK、KKKK(配列番号405)、KKKKK(配列番号406)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、NDはG:X2:X3:X4:X5:X6に示されるアミノ酸配列を含み、その際、GはGlyを表し;「:」はペプチド結合を表し;X2からX6のそれぞれは、独立してアミノ酸を表し;X6は塩基性アミノ酸を表す。いくつかの態様では、選択されるX6アミノ酸はLys、Arg、及びHisから成る群から選択される。いくつかの態様では、X5アミノ酸は、Pro、Gly、Ala、及びSerから成る群から選択される。いくつかの態様では、X2アミノ酸はPro、Gly、Ala、及びSerから成る群から選択される。いくつかの態様では、X4はPro、Gly、Ala、Ser、Val、Ile、Leu、Phe、Trp、Tyr、Gln、及びMetから成る群から選択される。
【0517】
いくつかの態様では、足場Yタンパク質は、N末端ドメイン(ND)及びエフェクタードメイン(ED)を含み、その際、NDはG:X2:X3:X4:X5:X6に示されるアミノ酸配列を含み、その際、GはGlyを表し;「:」はペプチド結合を表し;X2からX6のそれぞれは、独立してアミノ酸であり;X6は塩基性アミノ酸を含み、EDはペプチド結合によってX6に連結され、EDのN末端に少なくとも1つのリジンを含む。
【0518】
いくつかの態様では、足場Yタンパク質のNDはG:X2:X3:X4:X5:X6のアミノ酸配列を含み、その際、GはGlyを表し;「:」はペプチド結合を表し;X2はPro、Gly、Ala、及びSerから成る群から選択されるアミノ酸を表し;X3は任意のアミノ酸を表し;X4は、Pro、Gly、Ala、Ser、Val、Ile、Leu、Phe、Trp、Tyr、Gln、及びMetから成る群から選択されるアミノ酸を表し;X5は、Pro、Gly、Ala、及びSerから成る群から選択されるアミノ酸を表し;X6は、Lys、Arg、及びHisから成る群から選択されるアミノ酸を表す。
【0519】
いくつかの態様では、X3アミノ酸はAsn、Gln、Ser、Thr、Asp、Glu、Lys、His、及びArgから成る群から選択される。
【0520】
いくつかの態様では、ND及びEDはリンカーによって結合される。いくつかの態様では、リンカーは1以上のアミノ酸を含む。いくつかの態様では、「リンカー」という用語は、ペプチドまたはポリペプチドの配列(例えば、合成のペプチドまたはポリペプチドの配列)または非ポリペプチド、例えば、アルキル鎖を指す。いくつかの態様では、2つ以上のリンカーをタンデムに連結することができる。一般に、リンカーは柔軟性を提供する、または立体障害を防止する/改善する。リンカーは通常、切断されないが、特定の態様では、そのような切断が望ましくてもよい。したがって、いくつかの態様では、リンカーは1以上のプロテアーゼ切断可能な部位を含むことができ、それはリンカーの配列内に配置することができ、またはリンカー配列のいずれかの末端でリンカーに隣接することができる。EDとNDがリンカーによって連結されている場合、EDは少なくとも2つのリジン、少なくとも3つのリジン、少なくとも4つのリジン、少なくとも5つのリジン、少なくとも6つのリジン、または少なくとも7つのリジンを含む。
【0521】
いくつかの実施形態では、リンカーはペプチドリンカーである。いくつかの態様では、ペプチドリンカーは、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約10、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約45、少なくとも約50、少なくとも約55、少なくとも約60、少なくとも約65、少なくとも約70、少なくとも約75、少なくとも約80、少なくとも約85、少なくとも約90、少なくとも約95、または少なくとも約100のアミノ酸を含むことができる。
【0522】
いくつかの態様では、リンカーはグリシン/セリンリンカーである。いくつかの態様では、ペプチドリンカーは、式[(Gly)n-Ser]mに係るグリシン/セリンリンカーであり、式中、nは1~100の任意の整数であり、mは1~100の任意の整数である。いくつかの態様では、グリシン/セリンリンカーは式[(Gly)x-Sery]zに従い、式中、xは1~4の整数であり、yは0または1であり、zは1~50の整数である。いくつかの態様では、ペプチドリンカーは配列Gnを含み、その際、nは1~100の整数であり得る。いくつかの態様では、ペプチドリンカーは配列(GlyAla)nを含み、その際、nは1~100の整数である。いくつかの態様では、該ペプチドリンカーは配列(GlyGlySer)nを含み、その際、nは1~100の整数である。
【0523】
いくつかの態様では、ペプチドリンカーは合成であり、すなわち天然に存在しない。一態様では、ペプチドリンカーは、天然には連結されない、または自然界では遺伝的に融合されないアミノ酸の第2の直鎖配列にアミノ酸の第1の直鎖配列を連結するまたは遺伝的に融合するアミノ酸配列を含むペプチド(またはポリペプチド)(例えば、天然に存在するまたは天然に存在しないペプチド)を含む。例えば、一態様では、ペプチドリンカーは、天然に存在するポリペプチドの修飾形態(例えば、付加、置換または欠失のような変異を含む)である天然に存在しないポリペプチドを含むことができる。
【0524】
他の態様では、ペプチドリンカーは天然に存在しないアミノ酸を含むことができる。さらに他の態様では、ペプチドリンカーは自然界では存在しない直鎖配列で存在する天然に存在するアミノ酸を含むことができる。他の態様では、ペプチドリンカーは天然に存在するポリペプチド配列を含むことができる。
【0525】
本開示はまた、足場Yタンパク質に連結されたASOを含む単離された細胞外小胞(EV)、例えば、エクソソームをも提供し、その際、足場Yタンパク質はND-EDを含み、NDはG:X2:X3:X4:X5:X6を含み、その際、GはGlyを表し;「:」はペプチド結合を表し;X2は、Pro、Gly、Ala、及びSerから成る群から選択されるアミノ酸を表し;X3は任意のアミノ酸を表し;X4は、Pro、Gly、Ala、Ser、Val、Ile、Leu、Phe、Trp、Tyr、Glu、及びMetから成る群から選択されるアミノ酸を表し;X5は、Pro、Gly、Ala、及びSerから成る群から選択されるアミノ酸を表し;X6は、Lys、Arg、及びHisから成る群から選択されるアミノ酸を表し;「-」は任意のリンカーを表し;EDは、(i)ペプチド結合または1以上のアミノ酸によってX6に連結されている少なくとも2つの連続するリジン(Lys)、または(ii)ペプチド結合によってX6に直接連結される少なくとも1つのリジンを含むエフェクタードメインである。
【0526】
いくつかの態様では、X2アミノ酸はGly及びAlaから成る群から選択される。いくつかの態様では、X3アミノ酸はLysである。いくつかの態様では、X4アミノ酸はLeuまたはGluである。いくつかの態様では、X5アミノ酸はSer及びAlaから成る群から選択される。いくつかの態様では、X6アミノ酸はLysである。いくつかの態様では、X2アミノ酸はGly、Ala、またはSerであり;X3アミノ酸はLysまたはGluであり;X4アミノ酸はLeu、Phe、Ser、またはGluであり;X5アミノ酸はSerまたはAlaであり;X6アミノ酸はLysである。いくつかの態様では、「-」リンカーはペプチド結合または1以上のアミノ酸を含む。
【0527】
いくつかの態様では、足場タンパク質におけるEDは、Lys(K)、KK、KKK、KKKK(配列番号405)、KKKKK(配列番号406)、Arg(R)、RR、RRR、RRRR(配列番号407)、RRRRR(配列番号408)、KR、RK、KKR、KRK、RKK、KRR、RRK、(K/R)(K/R)(K/R)(K/R)(配列番号409)、(K/R)(K/R)(K/R)(K/R)(K/R)(配列番号410)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0528】
いくつかの態様では、足場Yタンパク質は、(i)GGKLSKK(配列番号411)、(ii)GAKLSKK(配列番号412)、(iii)GGKQSKK(配列番号413)、(iv)GGKLAKK(配列番号414)、または(v)それらの任意の組み合わせから成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0529】
いくつかの態様では、足場Yタンパク質におけるNDは、(i)GGKLSK(配列番号415)、(ii)GAKLSK(配列番号416)、(iii)GGKQSK、(配列番号417)、(iv)GGKLAK(配列番号418)、または(v)それらの任意の組み合わせから成る群から選択されるアミノ酸配列を含み、かつ足場タンパク質におけるEDは、K、KK、KKK、KKKG(配列番号419)、KKKGY(配列番号420)、KKKGYN(配列番号421)、KKKGYNV(配列番号422)、KKKGYNVN(配列番号423)、KKKGYS(配列番号424)、KKKGYG(配列番号425)、KKKGYGG(配列番号426)、KKKGS(配列番号427)、KKKGSG(配列番号428)、KKKGSGS(配列番号429)、KKKS(配列番号430)、KKKSG(配列番号431)、KKKSGG(配列番号432)、KKKSGGS(配列番号433)、KKKSGGSG(配列番号434)、KKSGGSGG(配列番号435)、KKKSGGSGGS(配列番号436)、KRFSFKKS(配列番号437)を含む。
【0530】
いくつかの態様では、本開示で有用な足場Yのポリペプチド配列は、(i)GGKLSKK(配列番号411)、(ii)GAKLSKK(配列番号412)、(iii)GGKQSKK(配列番号413)、(iv)GGKLAKK(配列番号414)、または(v)それらの任意の組み合わせから成る群から選択されるアミノ酸配列から成る。
【0531】
いくつかの態様では、足場Yタンパク質は、(i)GGKLSKKK(配列番号438)、(ii)GGKLSKKS(配列番号439)、(iii)GAKLSKKK(配列番号440)、(iv)GAKLSKKS(配列番号441)、(v)GGKQSKKK(配列番号442)、(vi)GGKQSKKS(配列番号443)、(vii)GGKLAKKK(配列番号444)、(viii)GGKLAKKS(配列番号445)、及び(ix)それらの任意の組み合わせをから成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0532】
いくつかの態様では、本開示で有用な足場Yタンパク質のポリペプチド配列は、(i)GGKLSKKK(配列番号438)、(ii)GGKLSKKS(配列番号439)、(iii)GAKLSKKK(配列番号440)、(iv)GAKLSKKS(配列番号441)、(v)GGKQSKKK(配列番号442)、(vi)GGKQSKKS(配列番号443)、(vii)GGKLAKKK(配列番号444)、(viii)GGKLAKKS(配列番号445)、及び(ix)それらの任意の組み合わせをから成る群から選択されるアミノ酸配列から成る。
【0533】
いくつかの態様では、足場Yタンパク質は、少なくとも約8、少なくとも約9、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約16、少なくとも約17、少なくとも約18、少なくとも約19、少なくとも約20、少なくとも約21、少なくとも約22、少なくとも約23、少なくとも約24、少なくとも約25、少なくとも約26、少なくとも約27、少なくとも約28、少なくとも約29、少なくとも約30、少なくとも31、少なくとも約32、少なくとも約33、少なくとも約34、少なくとも約35、少なくとも約36、少なくとも約37、少なくとも約38、少なくとも約39、少なくとも約39、少なくとも約40、少なくとも約41、少なくとも約42、少なくとも約43、少なくとも約44、少なくとも約50、少なくとも約46、少なくとも約47、少なくとも約48、少なくとも約49、少なくとも約50、少なくとも約55、少なくとも約60、少なくとも約65、少なくとも約70、少なくとも約75、少なくとも約80、少なくとも85、少なくとも約90、少なくとも約95、少なくとも約100、少なくとも約105、少なくとも約110、少なくとも約115、少なくとも約120、少なくとも約125、少なくとも約130、少なくとも約135、少なくとも約140、少なくとも約145、少なくとも約150、少なくとも約155、少なくとも約160、少なくとも約165、少なくとも約170、少なくとも約175、少なくとも約180、少なくとも約185、少なくとも約190、少なくとも約195、少なくとも約200、少なくとも約205、少なくとも約210、少なくとも約215、少なくとも約220、少なくとも約225、少なくとも約230、少なくとも約235、少なくとも約240、少なくとも約245、少なくとも約250、少なくとも約255、少なくとも約260、少なくとも約265、少なくとも約270、少なくとも約275、少なくとも約280、少なくとも約285、少なくとも約290、少なくとも約295、少なくとも約300、少なくとも約305、少なくとも約310、少なくとも約315、少なくとも約320、少なくとも約325、少なくとも約330、少なくとも約335、少なくとも約340、少なくとも約345、または少なくとも約350アミノ酸の長さである。
【0534】
いくつかの態様では、足場Yタンパク質は、約5~約10、約10~約20、約20~約30、約30~約40、約40~約50、約50~約60、約60~約70、約70~約80、約80~約90、約90~約100、約100~約110、約110~約120、約120~約130、約130~約140、約140~約150、約150~約160、約160~約170、約170~約180、約180~約190、約190~約200、約200~約210、約210~約220、約220~約230、約230~約240、約240~約250、約250~約260、約260~約270、約270~約280、約280~約290、約290~約300、約300~約310、約310~約320、約320~約330、約330~約340、または約340~約350のアミノ酸の長さである。
【0535】
いくつかの態様では、足場Yタンパク質は、(i)GGKLSKKKKGYNVN(配列番号446)、(ii)GAKLSKKKKGYNVN(配列番号447)、(iii)GGKQSKKKKGYNVN(配列番号448)、(iv)GGKLAKKKKGYNVN(配列番号449)、(v)GGKLSKKKKGYSGG(配列番号450)、(vi)GGKLSKKKKGSGGS(配列番号451)、(vii)GGKLSKKKKSGGSG(配列番号452)、(viii)GGKLSKKKSGGSGG(配列番号853)、(ix)GGKLSKKSGGSGGS(配列番号484)、(x)GGKLSKSGGSGGSV(配列番号855)、または(xi)GAKKSKKRFSFKKS(配列番号456)を含む。
【0536】
いくつかの態様では、本開示で有用な足場Yタンパク質のポリペプチド配列は、(i)GGKLSKKKKGYNVN(配列番号446)、(ii)GAKLSKKKKGYNVN(配列番号447)、(iii)GGKQSKKKKGYNVN(配列番号448)、(iv)GGKLAKKKKGYNVN(配列番号449)、(v)GGKLSKKKKGYSGG(配列番号450)、(vi)GGKLSKKKKGSGGS(配列番号451)、(vii)GGKLSKKKKSGGSG(配列番号452)、(viii)GGKLSKKKSGGSGG(配列番号453)、(ix)GGKLSKKSGGSGGS(配列番号454)、(x)GGKLSKSGGSGGSV(配列番号455)、または(xi)GAKKSKKRFSFKKS(配列番号456)から成る。
【0537】
本明細書で開示されている本発明に有用な足場Yタンパク質の非限定的な例。いくつかの態様では、足場Yタンパク質は、配列番号411、438、446、及び455~567から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、足場Yタンパク質は、配列番号411、438、446、及び455~567から選択されるアミノ酸配列から成る。
【0538】
いくつかの態様では、本開示に有用な足場Yタンパク質はN末端Metを含有しない。いくつかの態様では、足場Yタンパク質は、脂質アンカーとして機能する足場タンパク質のN末端にて脂質化アミノ酸、例えば、ミリストイル化アミノ酸を含む。いくつかの態様では、足場タンパク質のN末端のアミノ酸残基はGlyである。N末端Glyの存在はN-ミリストイル化の絶対的な要件である。いくつかの態様では、足場タンパク質のN末端のアミノ酸残基は合成である。いくつかの態様では、足場タンパク質のN末端のアミノ酸残基は、グリシン類似体、例えば、アリルグリシン、ブチルグリシン、またはプロパルギルグリシンである。
【0539】
III.D. 標的指向化部分
いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは標的指向化部分、例えば、外因性標的指向化部分を含む。いくつかの態様では、外因性標的指向化部分は、ペプチド、抗体またはそれらの抗原結合断片、化合物、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、標的指向化部分は、マイクロタンパク質、設計されたアンキリン反復タンパク質(ダーピン)、アンチカリン、アドネクチン、アプタマー、ペプチド模倣分子、受容体の天然リガンド、ラクダ科ナノボディ、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、外因性標的指向化部分は、完全長抗体、単一ドメイン抗体、重鎖のみ抗体(VHH)、単鎖抗体、サメ重鎖のみ抗体(VNAR)、scFv、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、抗体は単鎖抗体である。
【0540】
いくつかの態様では、外因性標的指向化部分は、肝臓、心臓、肺、脳、腎臓、中枢神経系、末梢神経系、筋肉、骨、関節、皮膚、腸、膀胱、膵臓、リンパ節、脾臓、血液、骨髄、またはそれらの任意の組み合わせを標的にしてエクソソームを向かわせる。いくつかの態様では、外因性標的指向化部分は、腫瘍細胞、樹状細胞、T細胞、B細胞、マクロファージ、ニューロン、肝細胞、クッパー細胞、骨髄系細胞(例えば、好中球、単球、マクロファージ、または、MDSC(例えば、単球MDSCまたは顆粒球MDSC))、造血幹細胞またはそれらの任意の組み合わせを標的にしてエクソソームを向かわせる。
【0541】
いくつかの態様では、本開示のトロピズム部分はトランスフェリン受容体(TfR)を標的とする。トランスフェリン受容体、例えば、TfR1またはTfR2はトランスフェリンの担体タンパク質である。トランスフェリン受容体は、受容体が介在するエンドサイトーシスを介してトランスフェリン・イオン複合体を内部移行させることによって鉄を移入する。
【0542】
TfR1(例えば、Uniprot P02786TFR1_Humanを参照)またはトランスフェリン受容体1(分化クラスター71またはCD71としても知られている)は、血液脳関門(BBB)の内皮細胞にて発現される。TfR1は、例えば、赤血球、単球、肝細胞、腸細胞、赤血球系細胞のような種々の細胞で発現されることが知られており、腫瘍細胞(非小細胞肺癌、結腸癌、及び白血病)のような迅速に分裂している細胞ならびに急性呼吸困難症候群(ARDS)のような障害の影響を受けた組織にて上方調節される。TfR2は主に肝臓と赤血球系細胞で発現され、肺、脾臓、筋肉ではあまり見られず、TfR1との45%の同一性及び66%の類似性を有する。TfR1はジスルフィド結合により760残基のホモ二量体を形成し、分子量は90kDaの膜貫通型受容体である。トランスフェリンに対する親和性は2つの受容体型間で異なり、TfR1についての親和性はTfR2の親和性よりも少なくとも25~30倍高い。
【0543】
TfR1への結合は、例えば、抗体のような大きな分子の脳への移行を可能にする。一部のTfR1を標的とする抗体は、鉄の取り込みを妨げることなく、血液脳関門を通過することが示されている。それらの中には、マウス抗ラット-TfR抗体OX26及びラット抗マウス-TfR抗体8D3がある。抗体-TfR相互作用の親和性はBBBの内皮細胞を介したトランスサイトーシス輸送の成功を決定するのに重要である。一価のTfR相互作用は細胞内選別経路の変化によりBBB輸送に有利に働く。輸送をリソソームに向け直す二価相互作用の結合力効果。また、TfR結合親和性を低減すると、TfRからの解離が直接促進され、TfR結合抗体の脳実質への曝露が増加する。例えば、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第8,821,943号を参照のこと。したがって、いくつかの態様では、本開示のトロピズム部分は、トランスフェリンのようなTfRを標的とすることができる、例えば、TfR1を標的とすることができるリガンド、またはTfRに特異的に結合することができる抗体もしくは他の結合分子を含むことができる。いくつかの態様では、トランスフェリン受容体を標的とする抗体は、低親和性抗転移受容体抗体である(例えば、その全体が参照によって本明細書に組み込まれるUS20190202936A1を参照のこと)。
【0544】
いくつかの態様では、トロピズム部分は、トランスフェリン受容体のリガンド、例えば、特に受入番号NM001063、XM002793、XM039847、NM002343またはNM013900としてGenBankで入手可能なヒトトランスフェリンの全部または一部(例えば、結合部分)、またはその変異型、断片、または派生物を含む。
【0545】
いくつかの態様では、トロピズム部分はトランスフェリン受容体標的指向化部分、すなわち、トランスフェリン受容体に向けられた標的指向化部分を含む。好適なトランスフェリン受容体標的指向化部分には、血清トランスフェリン、ラクトトランスフェリン(ラクトフェリン)、オボトランスフェリン、またはメラノトランスフェリンのようなトランスフェリンまたはトランスフェリン変異型が挙げられるが、これらに限定されない。トランスフェリンは、脊椎動物に見られる非ヘム鉄結合タンパク質のファミリーであり、血清トランスフェリン、ラクトトランスフェリン(ラクトフェリン)、オボトランスフェリン、及びメラノトランスフェリンを含む。血清トランスフェリンは、分子量が約80kDaの糖タンパク質であり、分岐して複数のアンテナで終結し、それぞれが末端シアル酸残基を持つ2つのN結合型多糖鎖を持つ単一のポリペプチド鎖を含む。2つの主要なドメイン、約330アミノ酸のNドメインと約340アミノ酸のCドメインがあり、そのそれぞれが2つのサブドメイン、N1とN2、及びC1とC2に分割される。トランスフェリンの受容体結合は、グリコシル化にかかわりなく、Cドメインを介して発生する。
【0546】
いくつかの態様では、トロピズム部分は、ヘキサシアロトランスフェリン、ペンタシアロトランスフェリン、テトラシアロトランスフェリン、トリシアロトランスフェリン、ジシアロトランスフェリン、モノシアロトランスフェリン、またはアシアロトランスフェリン、または、アシアロ、モノシアロまたはジシアロトランスフェリンのような糖質欠損トランスフェリン(CDT)、またはアシアロトランスフェリンのような糖質を含まないトランスフェリン(CFT)のような、しかし、これらに限定されない血清トランスフェリンまたはトランスフェリン変異型である。いくつかの態様では、トロピズム部分は、トランスフェリンのN末端ドメイン、トランスフェリンのC末端ドメイン、ネイティブのトランスフェリンのグリコシル化、ネイティブ(野生型)トランスフェリンと比べて減少したグリコシル化、グリコシル化なし、トランスフェリンの少なくとも2つのN末端ローブ、トランスフェリンの少なくとも2つのC末端ローブ、Nドメインにおける少なくとも1つの変異、Cドメインにおける少なくとも1つの変異、変異型がネイティブトランスフェリンよりもトランスフェリン受容体に対して弱い結合親和力を有する変異、及び/または変異型がネイティブトランスフェリンよりもトランスフェリン受容体に対してより強い結合親和力を有する変異、または前述の任意の組み合わせを有するトランスフェリン変異型である。
【0547】
いくつかの態様では、トランスフェリン受容体を標的とするトロピズム部分は、抗トラスフェリン受容体可変新規抗原受容体(vNAR)、例えば、一般的なモチーフ構造(FW1-CDR1-FW2-3-CDR3-FW4)を持つ結合ドメインを含む。例えば、参照によってその全体が本明細書に組み込まれるU.S.2017-0348416を参照のこと。vNARはサメの適応免疫系の重要な成分である。わずか11kDaで、これら単一ドメイン構造は、動物界で最小のIgG様タンパク質であり、分子工学及び生物製剤の創薬のための優れたプラットフォームを提供する。vNARの属性には、標的に対する高親和性、発現の容易さ、安定性、溶解性、多重特異性、及び固体組織浸透可能性の増加が挙げられる。Ubah et al.Biochem.Soc.Trans.(2018)46(6):1559-1565を参照のこと。
【0548】
いくつかの態様では、トロピズム部分はTfR1に特異的に結合することができるvNARドメインを含み、その際、vNARドメインは、US2017-0348416の表1における任意の1つのCDR3ペプチドと組み合わせたUS2017-0348416の表1における任意の1つのCDR1ペプチドを持つvNAR足場を含む、または本質的にそれから成る。
【0549】
いくつかの態様では、標的指向化部分は足場タンパク質によってEV、例えば、エクソソームに連結される。いくつかの態様では、足場タンパク質は本明細書で開示されている任意の足場タンパク質である。いくつかの態様では、足場タンパク質は足場Xである。いくつかの態様では、足場タンパク質は足場Yである。
【0550】
III.E. リンカー
上記の通り、本開示の細胞外小胞(EV)(例えば、エクソソーム及びナノ小胞)は、目的の分子(例えば、ASO)を、EVに(例えば、外面または内腔表面に)連結する1以上のリンカーを含むことができる。いくつかの態様では、ASOは、直接、または足場部分(例えば、足場Xまたは足場Y)を介してEVに連結される。いくつかの態様では、ASOはリンカーによって足場部分に連結される。いくつかの態様では、ASOはリンカーによって第2の足場部分に連結される。
【0551】
特定の態様では、ASOは足場Xを介してエクソソームの外面に連結される。さらなる態様では、ASOは足場Xまたは足場Yを介してエクソソームの内腔表面に連結される。リンカーは当該技術分野で既知の任意の化学部分であり得る。
【0552】
本明細書で使用されるとき、「リンカー」という用語は、ペプチドもしくはポリペプチドの配列(例えば、合成ペプチドもしくはポリペプチドの配列)または非ポリペプチド、例えば、アルキル鎖を指す。いくつかの態様では、2つ以上のリンカーをタンデムに連結することができる。複数のリンカーが存在する場合、各リンカーは同じであり得、または異なり得る。一般に、リンカーは柔軟性を提供する、または立体障害を防止する/改善する。リンカーは通常、切断されないが、特定の態様では、そのような切断が望ましくてもよい。したがって、いくつかの態様では、リンカーはリンカーの配列内に位置する、またはリンカー配列のいずれかの末端でリンカーに隣接することができる、1以上のプロテアーゼ切断可能部位を含むことができる。
【0553】
いくつかの実施形態では、リンカー部分はペプチドリンカーである。いくつかの態様では、ペプチドリンカーは、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約10、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約45、少なくとも約50、少なくとも約55、少なくとも約60、少なくとも約65、少なくとも約70、少なくとも約75、少なくとも約80、少なくとも約85、少なくとも約90、少なくとも約95、または少なくとも約100のアミノ酸を含むことができる。
【0554】
いくつかの態様では、ペプチドリンカーは合成であり、すなわち天然に存在しない。一態様では、ペプチドリンカーは、天然に連結されない、または自然界で遺伝的に融合されないアミノ酸の第2の直鎖配列にアミノ酸の第1の直鎖配列を連結する、または遺伝的に融合するアミノ酸配列を含むペプチド(またはポリペプチド)(例えば、天然のペプチドまたは天然に存在しないペプチド)を含む。例えば、一態様では、ペプチドリンカーは、天然に存在するポリペプチドの修飾形態である(例えば、付加、置換または欠失のような変異を含む)天然に存在しないポリペプチドを含むことができる。
【0555】
リンカーは切断しやすくてもよく(「切断可能なリンカー」)、それによって生物学的に活性がある分子(例えば、ASO)の放出を容易にする。
【0556】
いくつかの態様では、リンカーは「還元感受性リンカー」である。いくつかの態様では、還元感受性リンカーはジスルフィド結合を含有する。いくつかの実施形態では、リンカーは「酸に不安定なリンカー」である。いくつかの態様では、酸に不安定なリンカーはヒドラゾンを含む。好適な酸不安定性リンカーはまた、例えば、シス-アコニットリンカー、ヒドラジドリンカー、チオカルバモイルリンカー、またはそれらの任意の組み合わせも含む。
【0557】
いくつかの態様では、リンカーは切断不可リンカーを含む。
【0558】
いくつかの態様では、リンカーは、アクリルホスホルアミダイト(例えば、ACRYDITE(商標))、アデニル化、アジド(NHSエステル)、ジゴキシゲニン(NHSエステル)、コレステロール-TEG、I-LINKER(商標)、アミノ修飾因子(例えば、アミノ修飾因子C6、アミノ修飾因子C12、アミノ修飾因子C6 dT、またはUni-Link(商標)アミノ修飾剤)、アルキン、5’ヘキシニル、5-オクタジイニルdU、ビオチン化(例えば、ビオチン、ビオチン(アジド)、ビオチンdT、ビオチン-TEG、デュアルビオチン、PCビオチン、またはデスチオビオチン)、チオール修飾(チオール修飾因子C3 S-S、ジチオールまたはチオール修飾因子C6 S-S)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0559】
いくつかの態様では、リンカーは、ネロリドール、ファルネソール、リモネン、リナロール、ゲラニオール、カルボン、フェンコン、またはメントールのようなテルペン;パルミチン酸やミリスチン酸のような脂質;コレステロール;オレイル;レチニル;コレステリル残基;コール酸;アダマンタン酢酸;1-ピレン酪酸;ジヒドロテストステロン;1,3-ビス-O(ヘキサデシル)グリセロール;ゲラニルオキシヘキシル基;ヘキサデシルグリセロール;ボルネオール;1,3-プロパンジオール;ヘプタデシル基;O3-(オレオイル)リトコール酸;O3-(オレオイル)コレン酸;ジメトキシトリチル;フェノキサジン、マレイミド部分、グルコリニダーゼタイプ、CL2A-SN38タイプ、葉酸;炭水化物;ビタミンA;ビタミンE;ビタミンK、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0560】
III.F. トロピズム部分を含む改変されたEV
いくつかの態様では、本明細書で開示されているEV、例えば、エクソソームは、その特性、例えば、生体内分布を調整するように、例えば、免疫親和性リガンドまたは同族受容体リガンドの組み込みを介して表面操作を行うことができる。例えば、本明細書で開示されているEV、例えば、エクソソームは、それらを特定の細胞型、例えば、シュワン細胞、感覚ニューロン、運動ニューロン、髄膜マクロファージ、または腫瘍細胞に向けるために表面操作を行うことができ、または、特定のコンパートメント、例えば、CNS(髄腔内コンパートメント保持を改善するため)または腫瘍微小環境へのそれらの遊走を高めるために表面操作を行うことができる。
【0561】
いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは、(i)本明細書で開示されているASO、及び(ii)生体内分布改変剤または標的指向化部分を含む。いくつかの態様では、生体内分布改変剤または標的指向化部分は単一ドメイン抗原結合部分、例えば、VHH及び/またはvNARを含む。ここで使用されるとき、「生体内分布改変剤」及び「標的指向化部分」という用語は相互交換可能に使用され、生体内または試験管内(例えば、異なる種類の細胞の混合培養)にて細胞外小胞(例えば、エクソソーム、ナノ小胞)の分布を改変することができる薬剤を指す。いくつかの態様では、標的指向化部分はEV(例えば、エクソソーム)のトロピズムを変化させる、すなわち、標的部分は「トロピズム部分」である。本明細書で使用されるとき、「トロピズム部分」という用語は、EV(例えば、エクソソーム)上で発現されると、EVの自然な動きを変化させる及び/または増強する標的指向化部分を指す。例えば、いくつかの態様では、トロピズム部分は特定の細胞、組織、または器官によって取り込まれるようにEV(例えば、エクソソーム)を促すことができる。
【0562】
EV、例えば、エクソソームは個別の細胞型及び組織にて優先的に取り込みを示し、それらのトロピズムは、標的細胞の表面の受容体と相互作用するタンパク質をそれらの表面に加えることによって指示され得る。トロピズム部分は、タンパク質、ペプチド、脂質、もしくは炭水化物のような生体分子、または合成分子を含むことができる。例えば、いくつかの態様では、トロピズム部分は親和性リガンド、例えば、抗体(例えば、抗CD19ナノボディ、抗CD22ナノボディ、抗CLEC9Aナノボディ、または抗CD3ナノボディ)、VHHドメイン、ファージディスプレイペプチド、フィブロネクチンドメイン、ラクダ科ナノボディ、及び/またはvNARを含むことができる。いくつかの態様では、トロピズム部分は、例えば、合成ポリマー(例えば、PEG)、天然のリガンド/分子(例えば、CD40L、アルブミン、CD47、CD24、CD55、CD59)、及び/または組換えタンパク質(例えば、XTEN)を含むことができる。
【0563】
いくつかの態様では、トロピズム部分は細胞によるEV、例えば、エクソソームの取り込みを増加させることができる。いくつかの態様では、細胞によるEV、例えば、エクソソームの取り込みを増加させることができるトロピズム部分は、リンパ球抗原75(DEC205またはCD205としても知られる)、C型レクチンドメインファミリー9メンバーA(CLEC9A)、C型レクチンドメインファミリー6(CLEC6)、C型レクチンドメインファミリー4メンバーA(DCIRまたはCLEC4Aとしても知られる)、樹状細胞特異的細胞間接着分子-3-グラビング非インテグリン(DC-SIGNまたはCD209としても知られる)、レクチン型酸化LDL受容体1(LOX-1)、コラーゲン構造を持つマクロファージ受容体(MARCO)、C型レクチンドメインファミリー12メンバーA(CLEC12A)、C型レクチンドメインファミリー10メンバーA(CLEC10A))、DC-アシアロ糖タンパク質受容体(DC-ASGPR)、DC免疫受容体2(DCIR2)、デクチン-1、マクロファージマンノース受容体(MMR)、BDCA-2(CD303、CLEC4C)、デクチン-2、BST-2(CD317)、ランゲリン、CD206、CD11b、CD11c、CD123、CD304、XCR1、AXL、SIGLEC 6、CD209、SIRPA、CX3CR1、GPR182、CD14、CD16、CD32、CD34、CD38、CD10、抗CD3抗体、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0564】
いくつかの態様では、中枢神経系へのトロピズムが望ましい場合、本開示のEV、例えば、エクソソームは、特定の中枢神経系の組織または細胞に対するEV、例えば、エクソソームのトロピズムを高める組織または細胞に特異的な標的リガンドを含むことができる。いくつかの態様では、細胞はグリア細胞である。いくつかの態様では、グリア細胞は、オリゴデンドロサイト、星状細胞、上衣細胞、ミクログリア細胞、シュワン細胞、衛星グリア細胞、嗅覚鞘細胞、またはそれらの組み合わせである。いくつかの態様では、細胞は神経幹細胞である。いくつかの態様では、シュワン細胞に対するEV、例えば、エクソソームのトロピズムを高める細胞特異的標的リガンドは、シュワン細胞の表面マーカー、例えば、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、ミエリンタンパク質ゼロ(P0)、P75NTR、NCAM、PMP22、またはそれらの任意の組み合わせに結合する。いくつかの態様では、細胞特異的なトロピズム部分は、シュワン細胞表面で発現される抗体もしくはその抗原結合断片、アプタマー、または受容体のアゴニストもしくはアンタゴニストを含む。
【0565】
いくつかの態様では、生体内分布改変剤または標的指向化部分は、腫瘍細胞上に発現される抗原に結合する抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、生体内分布改変剤または標的指向化部分は、腫瘍微細環境にて発現される抗原に結合する抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、生体内分布改変剤または標的指向化部分はメソテリンに結合する抗原結合部分を含む。メソテリンに結合することができる当該技術分野で知られている任意の抗原結合部分を、本明細書で開示されているEVで使用することができる。いくつかの態様では、生体内分布改変剤または標的指向化部分はCD33に結合する抗原結合部分を含む。CD3に結合することができる当該技術分野で知られる任意の抗原結合部分を、本明細書で開示されているEVで使用することができる。特定の態様では、CD33に結合する抗原結合部分は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,877,296号に開示されている抗CD33結合部分から選択される。
【0566】
原則として、本開示のEV、例えば、エクソソームを、特定の標的細胞または標的組織(例えば、CNSの細胞または末梢神経のシュワン細胞)に向かわせることができる少なくとも1つのトロピズム部分を含むEV、例えば、エクソソームは、トロピズム部分の存在(単独で、または抗食作用シグナル、例えば、CD47の存在及び特定の投与経路の使用との併用で)が所望の標的細胞または標的組織に対するEV、例えば、エクソソームのトロピズムを誘導するので、当該技術分野で既知の任意の好適な投与方法(例えば、静脈内の注射または注入)を使用して投与することができる。
【0567】
特定の態様では、トロピズム部分はマレイミド部分を介してEV、例えば、エクソソームの外面上の足場部分、例えば、足場Xタンパク質またはその断片に連結され、例えば、化学的に連結される。トロピズムは、抗食作用シグナル(例えば、CD47及び/またはCD24)、半減期延長部分(例えば、アルブミンまたはPEG)、またはそれらの任意の組み合わせを本開示のEV、例えば、エクソソームの外面に結合させることによってさらに改善することができる。特定の態様では、抗食作用シグナルは、例えば、マレイミド部分を介してEV、例えば、エクソソームの外面の足場部分、例えば、足場Xタンパク質またはその断片に連結され、例えば、化学的に連結される。
【0568】
所望の組織または解剖学的位置における薬物動態、生体内分布、特にトロピズム及び保持は、適切な投与経路(例えば、中枢神経系へのトロピズムを改善するための髄腔内投与または眼内投与)を選択することによって達成することもできる。
【0569】
いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは少なくとも2つの異なるトロピズム部分を含む。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは少なくとも3つの異なるトロピズム部分を含む。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは少なくとも4つの異なるトロピズム部分を含む。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは少なくとも5以上の異なるトロピズム部分を含む。いくつかの態様では、トロピズム部分の1以上は細胞によるEV、例えば、エクソソームの取り込みを増加させる。いくつかの態様では、各トロピズム部分は、足場部分、例えば、足場Xタンパク質またはその断片に結合される。いくつかの態様では、複数のトロピズム部分を、同じ足場部分、例えば、足場Xタンパク質またはその断片に結合することができる。いくつかの態様では、いくつかのトロピズム部分を、足場部分、例えば、足場Xタンパク質またはその断片にタンデムに結合することができる。いくつかの態様では、本明細書で開示されているトロピズム部分またはその組み合わせはリンカーまたはスペーサーを介して足場部分、例えば、足場Xタンパク質またはその断片に結合される。いくつかの態様では、リンカーまたはスペーサーまたはそれらの組み合わせは本明細書で開示されている2つのトロピズム部分の間に挿入される。
【0570】
本開示のEV、例えば、エクソソームを異なる神経系の細胞型に向けることができるトロピズム部分の非限定的な例を以下に開示する。
【0571】
III.F.1. シュワン細胞を標的とするトロピズム部分
いくつかの態様では、トロピズム部分はシュワン細胞を標的とすることができる。いくつかの態様では、トロピズム部分は、本明細書で開示されているEV、例えば、エクソソームをシュワン細胞標的例えば、トランスフェリン受容体(TfR)、アポリポタンパク質D(ApoD)、ガレクチン1(LGALS1)、ミエリンプロテオリピドタンパク質(PLP)、グリピカン1、またはシンデカン3に向ける。いくつかの態様では、本開示のEV、例えば、エクソソームをシュワン細胞に向けるトロピズム部分はトランスフェリン、またはその断片、変異型または誘導体である。
【0572】
いくつかの態様では、本開示のトロピズム部分はトランスフェリン受容体(TfR)を標的とする。トランスフェリン受容体、例えば、TfR1またはTfR2はトランスフェリンの担体タンパク質である。トランスフェリン受容体は、受容体が介在するエンドサイトーシスを介してトランスフェリンイオン複合体を内部移行させることによって鉄を移入する。
【0573】
TfR1(例えば、Uniprot P02786TFR1_Humanを参照)またはトランスフェリン受容体1(分化クラスター71またはCD71としても知られている)は、血液脳関門(BBB)の内皮細胞にて発現される。TfR1は、例えば、赤血球、単球、肝細胞、腸細胞、赤血球系細胞のような種々の細胞で発現されることが知られており、腫瘍細胞(非小細胞肺癌、結腸癌、及び白血病)のような迅速に分裂している細胞と同様に急性呼吸困難症候群(ARDS)のような障害の影響を受けた組織にて上方調節される。TfR2は主に肝臓と赤血球系細胞で発現され、肺、脾臓、筋肉ではあまり見られず、TfR1との45%の同一性及び66%の類似性を有する。TfR1はジスルフィド結合により760残基のホモ二量体を形成し、分子量は90kDaの膜貫通型受容体である。トランスフェリンに対する親和性は2つの受容体型間で異なり、TfR1についての親和性はTfR2の親和性よりも少なくとも25~30倍高い。
【0574】
TfR1への結合は、例えば、抗体のような大きな分子の脳への移行を可能にする。一部のTfR1を標的とする抗体は、鉄の取り込みを妨げることなく、血液脳関門を通過することが示されている。それらの中には、マウス抗ラット-TfR抗体OX26及びラット抗マウス-TfR抗体8D3がある。抗体-TfR相互作用の親和性は、BBBの内皮細胞を介したトランスサイトーシス輸送の成功を決定するのに重要である。一価のTfR相互作用は細胞内選別経路の変化によりBBB輸送に有利に働く。輸送をリソソームに向け直す二価相互作用の結合力効果。また、TfR結合親和性を低減すると、TfRからの解離が直接促進され、TfR結合抗体の脳実質への曝露が増加する。その全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第8,821,943号を参照のこと。したがって、いくつかの態様では、本開示のトロピズム部分は、トランスフェリンのようなTfRを標的とすることができる、例えば、TfR1を標的とすることができるリガンド、またはTfRに特異的に結合することができる抗体または他の結合分子を含むことができる。いくつかの態様では、トランスフェリン受容体を標的とする抗体は、低親和性抗転移受容体抗体である(例えば、その全体が参照によって本明細書に組み込まれるUS20190202936A1を参照のこと)。
【0575】
いくつかの態様では、トロピズム部分は、とりわけ、トランスフェリン受容体のリガンド、例えば、受入番号NM001063、XM002793、XM039847、NM002343またはNM013900としてGenBankで入手可能なヒトトランスフェリンの全部または一部(例えば、結合部分)、またはその変異型、断片、または派生物を含む。
【0576】
いくつかの態様では、トロピズム部分は、トランスフェリン受容体標的指向化部分、すなわち、トランスフェリン受容体に向けられた標的指向化部分を含む。好適なトランスフェリン受容体標的指向化部分には、血清トランスフェリン、ラクトトランスフェリン(ラクトフェリン)オボトランスフェリン、またはメラノトランスフェリンのようなトランスフェリンまたはトランスフェリン変異型が挙げられるが、これらに限定されない。トランスフェリンは、血清トランスフェリン、ラクトトランスフェリン(ラクトフェリン)、オボトランスフェリン、及びメラノトランスフェリンを含む、脊椎動物に見られる非ヘム鉄結合タンパク質のファミリーである。血清トランスフェリンは、分子量が約80kDaの糖タンパク質であり、分岐して複数のアンテナで終結し、それぞれが末端シアル酸残基を持つ2つのN結合型多糖鎖を持つ単一のポリペプチド鎖を含む。2つの主要なドメイン、約330アミノ酸のNドメインと約340アミノ酸のCドメインがあり、それぞれが2つのサブドメイン、N1とN2、及びC1とC2に分割される。トランスフェリンの受容体結合は、グリコシル化にかかわりなく、Cドメインを介して発生する。
【0577】
いくつかの態様では、トロピズム部分は、ヘキサシアロトランスフェリン、ペンタシアロトランスフェリン、テトラシアロトランスフェリン、トリシアロトランスフェリン、ジシアロトランスフェリン、モノシアロトランスフェリン、またはアシアロトランスフェリン、または、アシアロ、モノシアロまたはジシアロトランスフェリンのような糖質欠損トランスフェリン(CDT)、またはアシアロトランスフェリンのような糖質を含まないトランスフェリン(CFT)のような、しかし、これらに限定されない血清トランスフェリンまたはトランスフェリン変異型である。いくつかの態様では、トロピズム部分は、トランスフェリンのN末端ドメイン、トランスフェリンのC末端ドメイン、ネイティブのトランスフェリンのグリコシル化、ネイティブ(野生型)トランスフェリンと比べて減少したグリコシル化、グリコシル化なし、トランスフェリンの少なくとも2つのN末端ローブ、トランスフェリンの少なくとも2つのC末端ローブ、Nドメインにおける少なくとも1つの変異、Cドメインにおける少なくとも1つの変異、変異型がネイティブトランスフェリンよりもトランスフェリン受容体に対して弱い結合親和力を有する変異、及び/または変異型がネイティブトランスフェリンよりもトランスフェリン受容体に対してより強い結合親和力を有する変異、または前述の任意の組み合わせを有するトランスフェリン変異型である。
【0578】
いくつかの態様では、トランスフェリン受容体を標的とするトロピズム部分は、抗トラスフェリン受容体可変新規抗原受容体(vNAR)、例えば、一般的なモチーフ構造(FW1-CDR1-FW2-3-CDR3-FW4)を持つ結合ドメインを含む。例えば、参照によってその全体が本明細書に組み込まれるU.S.2017-0348416を参照のこと。vNARはサメの適応免疫系の重要な成分である。わずか11kDaで、これら単一ドメイン構造は、動物界で最小のIgG様タンパク質であり、分子工学及び生物製剤の創薬のための優れたプラットフォームを提供する。vNARの属性には、標的に対する高親和性、発現の容易さ、安定性、溶解性、多重特異性、及び固体組織浸透可能性の増加が挙げられる。Ubah et al.Biochem.Soc.Trans.(2018)46(6):1559-1565を参照のこと。
【0579】
いくつかの態様では、トロピズム部分は、TfR1に特異的に結合することができるvNARドメインを含み、その際、vNARドメインは、US2017-0348416の表1における任意の1つのCDR3ペプチドと組み合わせたUS2017-0348416の表1における任意の1つのCDR1ペプチドを持つvNAR足場を含む、または本質的にそれから成る。
【0580】
いくつかの態様では、本開示のトロピズム部分はApoDを標的とする。主に肝臓で産生される他のリポタンパク質とは異なり、アポリポタンパク質Dは主に脳、小脳、及び末梢神経で産生される。ApoDは169アミノ酸の長さで、20アミノ酸の分泌ペプチドシグナルを含む。それは2つのグリコシル化部位(アスパルギン45及び78)を含有し、成熟タンパク質の分子量は20から32kDaまでさまざまである。ApoDは、プロゲステロンやプレグネノロンのようなステロイドホルモンを相対的に強い親和性で結合し、エストロゲンには弱い親和性で結合する。アラキドン酸(AA)はプロゲステロンやプレグネノロンよりもはるかに優れた親和性を持つApoDリガンドである。他のApoDリガンドには、E-3-メチル-2-ヘキセン酸、レチノイン酸、スフィンゴミエリン、スフィンゴ脂質が挙げられる。したがって、いくつかの態様では、本開示のトロピズム部分は、ApoDを標的とすることができるリガンド、例えば、ApoDに特異的に結合することができる抗体または他の結合分子を含む。
【0581】
いくつかの態様では、本開示のトロピズム部分はガレクチン1を標的とする。ガレクチン-1タンパク質は135アミノ酸の長さである。したがって、いくつかの態様では、本開示のトロピズム部分は、ガレクチン1を標的とすることができるリガンド、例えば、ガレクチン1に特異的に結合することができる抗体または他の結合分子を含む。
【0582】
いくつかの態様では、本開示のトロピズム部分はPLPを標的とする。PLPはCNS由来の主要なミエリンタンパク質である。それは、ミエリンの多層構造の形成または維持において重要な役割を担う。ミエリン鞘は、軸索インパルス伝導の効率を大幅に高めるインシュレーターとして機能する神経系に特有の多層膜である。PLPは、4つの膜貫通セグメント、2つのジスルフィド結合を含有し、脂質(哺乳類では少なくとも6つのパルミチン酸基)を共有結合する276~280アミノ酸の高度に保存された疎水性タンパク質である。したがって、いくつかの態様では、本開示のトロピズム部分は、PLPを標的とすることができるリガンド、例えば、PLPに特異的に結合することができる抗体または他の結合分子を含む。
【0583】
いくつかの態様では、本開示のトロピズム部分はグリピカン1を標的とする。したがって、いくつかの態様では、本開示のトロピズム部分はグリピカン1を標的とすることができるリガンド、例えば、グリピカン1に特異的に結合することができる抗体または他の結合分子を含む。いくつかの態様では、本開示のトロピズム部分はシンデカン3を標的とする。したがって、いくつかの態様では、本開示のトロピズム部分はシンデカン3を標的とすることができるリガンド、例えば、シンデカン3に特異的に結合することができる抗体または他の結合分子を含む。
【0584】
III.F.2. 感覚ニューロンを標的とするトロピズム部分
いくつかの態様では、本明細書で開示されているトロピズム部分は本明細書で開示されているEV、例えば、エクソソームを感覚ニューロンに向けることができる。いくつかの態様では、本明細書で開示されているEV、例えば、エクソソームを感覚ニューロンに向けるトロピズム部分は、Trk受容体、例えば、TrkA、TrkB、TrkC、またはそれらの組み合わせを標的とする。
【0585】
Trk(トロポミオシン受容体キナーゼ)受容体は、哺乳類の神経系にてシナプス強度と可塑性を調節するチロシンキナーゼのファミリーである。Trk受容体の一般的なリガンドは、神経系の機能に重要な成長因子のファミリーであるニューロトロフィンである。これらの分子の結合は非常に特異的である。ニューロトロフィンの各タイプは対応するTrk受容体に対して異なる結合親和性を有する。したがって、いくつかの態様では、本明細書で開示されているEV、例えば、エクソソームを感覚ニューロンに向けるトロピズム部分はニューロトロフィンを含む。
【0586】
ニューロトロフィンはホモ二量体としてTrk受容体に結合する。したがって、いくつかの態様では、トロピズム部分は本明細書で開示されている少なくとも2つのニューロトロフィンを例えば、タンデムにて含む。いくつかの態様では、トロピズム部分はリンカーを介して足場タンパク質、例えば、タンパク質Xに結合される本明細書で開示されている少なくとも2つのニューロトロフィンを、例えば、タンデムで含む。いくつかの態様では、足場タンパク質、例えば、タンパク質Xをニューロトロフィン(例えば、ニューロトロフィンホモ二量体)に接続するリンカーは少なくとも10アミノ酸の長さを有する。いくつかの態様では、足場タンパク質、例えば、タンパク質Xをニューロトロフィン(例えば、ニューロトロフィンホモ二量体)に接続するリンカーは、少なくとも約25アミノ酸、少なくとも約30アミノ酸、少なくとも約35アミノ酸、少なくとも約40アミノ酸、少なくとも約45アミノ酸、または少なくとも約50アミノ酸の長さを有する。
【0587】
いくつかの態様では、ニューロトロフィンは、ニューロトロフィン前駆体、すなわち、プロニューロトロフィンであり、それは後で切断されて成熟タンパク質を生成する。
【0588】
神経成長因子(NGF)はニューロトロフィンファミリーの最初に同定され、おそらく最も特徴的なメンバーである。それは、末梢神経系の感覚ニューロン及び交感神経ニューロンの発達に顕著な影響を有する。脳由来神経栄養因子(BDNF)は、NGFと同様の神経栄養活性を有し、主にCNSで発現され、末梢の心臓、肺、骨格筋、坐骨神経で検出されている(Leibrock,J.et al.,Nature,341:149-152(1989))。ニューロトロフィン-3(NT-3)はNGFファミリーの第3のメンバーであり、主に海馬の錐体ニューロンと顆粒ニューロンのサブセットで発現され、小脳、大脳皮質、及び例えば、肝臓や骨格筋のような末梢組織で検出されている(Ernfors,P.et al.,Neuron 1:983-996(1990))。ニューロトロフィン-4(NT-415とも呼ばれる)はニューロトロフィンファミリーの中で最も変化しやすいメンバーである。ニューロトロフィン-6(NT-5)は硬骨魚に見られ、p75受容体に結合する。
【0589】
いくつかの態様では、TrkBを標的とするニューロトロフィンは、例えば、NT-4またはBDNF、またはそれらの断片、変異型、または誘導体を含む。いくつかの態様では、TrkAを標的とするニューロトロフィンは、例えば、NGFまたはその断片、変異型、または誘導体を含む。いくつかの態様では、TrkCを標的とするニューロトロフィンは、例えば、NT-3またはその断片、変異型、または誘導体を含む。
【0590】
いくつかの態様では、トロピズム部分は脳由来神経栄養因子(BDNF)を含む。いくつかの態様では、BDNFは、2アミノ酸のカルボキシル切り詰め変異型のようなネイティブBDNFの変異型である。いくつかの態様では、トロピズム部分はBDNFの完全長119アミノ酸配列(HSDPARRGELSVCDSISEWVTAADKKTAVDMSGGTVTVLEKVPVSKGQLKQYFYETKCNPMGYTKEGCRGIDKRHWNSQCRTTQSYVRALTMDSKKRIGWRFIRIDTSCVCTLTIKRGR;配列番号161)を含む。いくつかの態様では、BDNFの1アミノ酸カルボキシ切り詰め変異型(配列番号161のアミノ酸1~118)が利用される。
【0591】
いくつかの態様では、トロピズム部分はネイティブBDNFのカルボキシ切り詰め変異型、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または10を超えるアミノ酸がBDNFのカルボキシ末端には存在しない変異型を含む。BDNF変異型には、完全な119アミノ酸BDNF、切り詰めたカルボキシル末端を持つ117または118アミノ酸変異型、タンパク質変異型が依然として高い親和性でTrkB受容体に結合する限り、切り詰めたアミノ末端を持つ変異型、またはアミノ酸組成で最大約20%、約30、または約40%の変化を持つ変異型が含まれる。
【0592】
いくつかの態様では、トロピズム部分はBDNFの2アミノ酸カルボキシ切り詰め変異型(配列番号161のアミノ酸1~117)を含む。いくつかの態様では、トロピズム部分はBDNFの3アミノ酸カルボキシ切り詰め変異型(配列番号161のアミノ酸1~116)を含む。いくつかの態様では、トロピズム部分はBDNFの4アミノ酸カルボキシ切り詰め変異型(配列番号161のアミノ酸1~115)を含む。いくつかの態様では、トロピズム部分はBDNFの5アミノ酸カルボキシ切り詰め変異型(配列番号161のアミノ酸1~114)を含む。いくつかの態様では、トロピズム部分は、配列番号161の配列と少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、もしくは約100%同一であるBDNF、またはその切り詰め型、例えば、1もしくは2のアミノ酸が切り詰められたカルボキシル末端を持つ117もしくは118アミノ酸変異型、またはアミノ末端が切り詰められた変異型を含む。例えば、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第8,053,569B2を参照のこと。
【0593】
いくつかの態様では、トロピズム部分は神経成長因子(NGF)を含む。いくつかの態様では、NGFは切り詰め変異型のようなネイティブNGFの変異型である。いくつかの態様では、トロピズム部分は生物学的に活性がある7S NGF複合体の唯一の成分であるタンパク質の26kDaベータサブユニットを含む。いくつかの態様では、トロピズム部分は、ベータNGFの完全長120アミノ酸配列(SSSHPIFHRGEFSVCDSVSVWVGDKTTATDIKGKEVMVLGEVNINNSVFKQYFFETKCRDPNPVDSGCRGIDSKHWNSYCTTTHTFVKALTMDGKQAAWRFIRIDTACVCVLSRKAVRRA;配列番号162)を含む。いくつかの態様では、トロピズム部分はネイティブNGFのカルボキシ切り詰め変異型、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または10を超えるアミノ酸がNGFのカルボキシ末端には存在しない変異型を含む。NGF変異型には、完全な120アミノ酸NGF、トロピズム部分が依然として高い親和性でTrkB受容体に結合する限り、切り詰めたカルボキシル末端を持つさらに短いアミノ酸変異型、切り詰めたアミノ末端を持つ変異型、またはアミノ酸組成で最大約20%、約30、または約40%の変化を持つ変異型が含まれる。いくつかの態様では、トロピズム部分は、配列番号162の配列と少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、もしくは約100%同一であるNGF、またはその切り詰め型を含む。
【0594】
いくつかの態様では、トロピズム部分はニューロトロフィン-3(NT-3)を含む。いくつかの態様では、NT-3は切り詰め変異型のようなネイティブNT-3の変異型である。いくつかの態様では、トロピズム部分はNT-3の完全長119アミノ酸配列(YAEHKSHRGEYSVCDSESLWVTDKSSAIDIRGHQVTVLGEIKTGNSPVKQYFYETRCKEARPVKNGCRGIDDKHWNSQCKTSQTYVRALTSENNKLVGWRWIRIDTSCVCALSRKIGRT;配列番号163)を含む。いくつかの態様では、トロピズム部分はネイティブNT-3のカルボキシ切り詰め変異型、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または10を超えるアミノ酸がNT-3のカルボキシ末端には存在しない変異型を含む。NT-3変異型には、完全な119アミノ酸NT-3、トロピズム部分が依然として高い親和性でTrkC受容体に結合する限り、切り詰めたカルボキシル末端を持つさらに短いアミノ酸変異型、切り詰めたアミノ末端を持つ変異型、またはアミノ酸組成で最大約20%、約30、または約40%の変化を持つ変異型が含まれるいくつかの態様では、トロピズム部分は、配列番号163の配列と少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、もしくは約100%同一であるNT-3、またはその切り詰め型を含む。
【0595】
いくつかの態様では、トロピズム部分はニューロトロフィン-4(NT-4)を含む。いくつかの態様では、NT-4は切り詰め変異型のようなネイティブNT-4の変異型である。いくつかの態様では、トロピズム部分は、NT-4の完全長130アミノ酸配列(GVSETAPASRRGELAVCDAVSGWVTDRRTAVDLRGREVEVLGEVPAAGGSPLRQYFFETRCKADNAEEGGPGAGGGGCRGVDRRHWVSECKAKQSYVRALTADAQGRVGWRWIRIDTACVCTLLSRTGRA;配列番号164)を含む。いくつかの態様では、トロピズム部分はネイティブNT-4のカルボキシ切り詰め変異型、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または10を超えるアミノ酸がNT-4のカルボキシ末端には存在しない変異型を含む。NT-4変異型には、完全な130アミノ酸NT-4、トロピズム部分が依然として高い親和性でTrkB受容体に結合する限り、切り詰めたカルボキシル末端を持つさらに短いアミノ酸変異型、切り詰めたアミノ末端を持つ変異型、またはアミノ酸組成で最大約20%、約30、または約40%の変化を持つ変異型が含まれる。いくつかの態様では、トロピズム部分は、配列番号164の配列と少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、もしくは約100%同一であるNT-4、またはその切り詰め型を含む。
【0596】
NGF及びNGF関連組換え分子の構造/機能の関係研究は、NGF領域25~36の変異が他のβヘアピンループ及び非ループ領域とともに、NGF/NGF受容体相互作用に有意に影響することを示した(Ibanez et al.,EMBO J.,10,2105-2110,(1991))。この領域に由来する小型ペプチドは、モック受容体への結合及び生物学的応答に影響を与えることにおいてNGFを模倣することが実証されている(LeSauteur et al.J.Biol.Chem.270,6564-6569,1995)。NGFのβループ領域に対応する環化ペプチドの二量体は、単量体及び線状ペプチドが不活性である一方で、生存促進及びNGF阻害活性の双方を有するという点で部分的NGFアゴニストとして作用することが見いだされた(Longo et al.,J.Neurosci.Res.,48,1-17,1997)。したがって、いくつかの態様では、本開示のトロピズム部分はそのようなペプチドを含む。
【0597】
環状ペプチドも、NGF、BDNF、NT3及びNT-4/5のβループ領域を模倣するように設計され、合成されている。これらの環状ペプチドの特定の単量体、二量体、またはポリマーは、生理学的条件下でニューロトロフィン受容体に結合する三次元構造を有することができる。神経細胞表面受容体に結合し、内部移行されるニューロトロフィンのこれらの構造類似体のすべては、本開示に係る化合物の結合剤Bとして機能して、結合した治療部分TMを神経系に送達することができる。したがって、いくつかの態様では、本開示のトロピズム部分はそのような環状ペプチドまたはそれらの組み合わせを含む。
【0598】
いくつかの態様では、受容体に結合することができ、内部移行されることができる神経細胞表面受容体に対する抗体はまた、Trk受容体に結合するトロピズム部分として役立つこともできる。例えば、モノクローナル抗体(MAb)5C3は、ヒトp140 TrkA受容体のNGFドッキング部位に特異的であり、ヒトTrkB受容体との交差反応性はない。Mab 5C3とそのFabは試験管内でNGFの効果を模倣し、生体内でヒトTrk-A陽性腫瘍を画像化する(Kramer et al.,Eur.J.Cancer,33,2090-2091,(1997))。Mab 5C3可変領域の分子クローニング、組換え、突然変異誘発及びモデリングの研究により、その相補性決定領域(CDR)の3以下がTrkAへの結合に関連していることが示された。組換えCDR及びCDR様合成ポリペプチドを用いたアッセイは、それらがインタクトのMab 5C3と同様のアゴニスト生物活性を有することを示した。p75受容体に対するモノクローナル抗体MC192も神経栄養効果を有することが実証されている。したがって、これらの抗体及びそれらの機能的に同等の断片はまた、本開示のトロピズム部分として役立つことができる。
【0599】
いくつかの態様では、非天然アミノ酸または他の有機分子を組み込むことによって合成されるペプチド模倣体もまた、本開示のトロピズム部分に役立つことができる。
【0600】
他のニューロトロフィンは当該技術分野で知られている。したがって、いくつかの態様では、標的部分は、線維芽細胞増殖因子(FGF)-2及び他のFGF、エリスロポエチン(EPO)、肝細胞増殖因子(HGF)、上皮増殖因子(EGF)、形質転換増殖因子(TGF)-α、TGF-(3、血管内皮増殖因子(VEGF)、インターロイキン-1受容体アンタゴニスト(IL-1ra)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、膠細胞由来神経栄養因子(GDNF)、ニュールツリン、血小板由来増殖因子(PDGF)、ヘレグリン、ニューレグリン、アルテミン、パーセフィン、インターロイキン、顆粒球コロニー刺激因子(CSF)、顆粒球マクロファージCSF、ネトリン、カルジオトロフィン-1、ヘッジホッグ、白血病抑制因子(LIF)、ミドルカイン、プレイオトロフィン、骨形成タンパク質(BMP)、ネトリン、サポシン、セマフォリン、及び幹細胞因子(SCF)から成る群から選択されるニューロトロフィンを含む。
【0601】
いくつかの態様では、本明細書で開示されているEV、例えば、エクソソームを感覚ニューロンに向けるトロピズム部分は水痘帯状ヘルペスウイルス(VZV)ペプチドを含む。
【0602】
III.F.3. 運動ニューロンを標的とするトロピズム部分
いくつかの態様では、本明細書で開示されているトロピズム部分は本明細書で開示されているEV、例えば、エクソソームを運動ニューロンに向けることができる。いくつかの態様では、本明細書で開示されているEV、例えば、エクソソームを運動に向けるトロピズム部分は、狂犬病ウイルス糖タンパク質(RVG)ペプチド、標的軸索移入(TAxI)ペプチド、P75Rペプチド、またはTet-Cペプチドを含む。
【0603】
いくつかの態様では、トロピズム部分は狂犬病ウイルス糖タンパク質(RVG)ペプチドを含む。例えば、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許出願公開2014-00294727を参照のこと。いくつかの態様では、RVGペプチドは、RVGのアミノ酸残基173~202(YTIWMPENPRPGTPCDIFTNSRGKRASNG;配列番号601)またはその変異型、断片、または誘導体を含む。いくつかの態様では、トロピズム部分は配列番号601の断片である。配列番号601のそのような断片は、例えば、配列番号601のN末端及び/またはC末端から欠失させた1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10のアミノ酸を有することができる。配列番号601に由来する機能的断片は、配列番号601からN末端及び/またはC末端のアミノ酸を順次欠失させ、得られるペプチド断片の機能、例えば、アセチルコリン受容体に結合するペプチド断片の機能及び/または血液脳関門を介して伝わる能力を評価することによって同定され得る。いくつかの態様では、トロピズム部分は配列番号601の28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16または15アミノ酸の長さの断片を含む。いくつかの態様では、トロピズム部分は15ペプチドの長さに満たない配列番号601の断片を含む。
【0604】
RVGペプチドの「変異型」、例えば、配列番号601は構造及び機能が分子全体、またはその断片に実質的に類似している分子を指すことを意味し、すなわち、機能はBBBを通って通過するまたは移行する能力である。RVGペプチドの変異型は、配列番号601の参照アミノ酸とは異なる突然変異または修飾を含有することができる。いくつかの態様では、配列番号601の変異型は本明細書で開示されているような配列番号601の断片である。いくつかの態様では、RVG変異型は配列番号601の異なるアイソフォームであり得る、または異なる異性体アミノ酸を含むことができる。変異型は、当該技術分野で周知の方法を使用して単離されるまたは生成される天然に存在する、合成の、組換えの、または化学的に修飾されたポリヌクレオチドまたはポリペプチドであり得る。RVG変異型には、保存的または非保存的なアミノ酸の変化を含めることができる。例えば、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第9,757,470参照のこと。
【0605】
いくつかの態様では、トロピズム部分は標的軸索移入(TAxI)ペプチドを含む。いくつかの態様では、TAxIペプチドは、配列SACQSQSQMRCGGG(配列番号602)の環化TAxIペプチドである。例えば、その全体が参照によって本明細書に組み込まれるSellers et al.(2016),Proc.Natl.Acad.Sci.USA.113:2514-2519及び米国特許第9,056,892号を参照のこと。本明細書に記載されているTAxI輸送ペプチドは任意の長さであってもよい。通常、輸送ペプチドは、長さが6から50アミノ酸の間であり、さらに通常、長さが10から20アミノ酸の間である。いくつかの態様では、TAxI輸送ペプチドは、アミノ酸配列QSQSQMR(配列番号603)、ASGAQAR(配列番号604)、PF、またはTSTAPHLRLRLTSR(配列番号605)を含む。任意で、TAxI輸送ペプチドはさらに、送達構築物または担体、例えばリンカーへの組み込みを容易にするための隣接配列を含む。一態様では、ペプチドはシステインに隣接する。いくつかの態様では、TAxI輸送ペプチドはさらに、核への送達を容易にするために選択される追加の配列を含む。例えば、核送達を容易にするペプチドは核局在化シグナル(NLS)である。通常、このシグナルは、PPKKRKV(配列番号606)のような正に荷電したリジンまたはアルギニンのいくつかの短い配列から成る。一態様では、NLSはアミノ酸配列PKKRKV(配列番号607)を有する。
【0606】
いくつかの態様では、本開示のトロピズム部分は、配列番号608~627及びそれらの任意の組み合わせから選択される配列を有するペプチドBBBシャトルを含む。例えば、その全体が参照によって本明細書に組み込まれるOller-Salvia et al.(2016),Chem.Soc.Rev.45,4690-4707、及びJafari et al.(2019),Expert Opinion on Drug Delivery,16:583-605を参照のこと。
【表C】
【0607】
III.G. 抗食作用シグナル
体の免疫系による投与されたEV、例えば、エクソソームのクリアランスは、投与されたEV、例えば、エクソソーム、治療の有効性を低下させ得る。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームの表面は、免疫系の細胞、例えば、マクロファージによるEV、例えば、エクソソームの取り込みを制限または遮断するように改変される。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームの表面は、マクロファージによるEV、例えば、エクソソームの取り込みを阻害する1以上の表面抗原を発現するように改変される。いくつかの態様では、表面抗原はEV(例えば、エクソソーム)の外面と会合する。
【0608】
本開示で有用な表面抗原には、細胞を「自己」細胞として標識する抗原が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの態様では、表面抗原は、抗食作用シグナルを含む。いくつかの態様では、抗食作用シグナルは、CD47、CD24、それらの断片、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。特定の態様では、抗食作用シグナルはCD24、例えば、ヒトCD24を含む。いくつかの態様では、抗食作用シグナルは、CD24、例えば、ヒトCD24の断片を含む。特定の態様では、EV、例えば、エクソソームは、EV、例えば、エクソソームの外面上でCD47またはその断片を発現するように改変される。
【0609】
本明細書で使用されるとき、白血球表面抗原CD47及びインテグリン関連タンパク質(IAP)とも呼ばれるCD47は体内の多くの細胞に見られる膜貫通タンパク質である。CD47は、CD47を発現する特定の細胞が外来細胞ではないことを免疫細胞、特に骨髄細胞に知らせるシグナルであるので、「私を食べないで」シグナルと呼ばれることが多い。CD47は、SIRPAの受容体であり、これに結合することで、未熟樹状細胞の成熟を防ぎ、成熟樹状細胞によるサイトカイン産生を阻害する。CD47のSIRPGとの相互作用は細胞間接着に介在し、スーパー抗原依存性のT細胞介在性増殖を増強し、T細胞の活性化を共刺激する。CD47は、血小板上のTHBS1の接着受容体として作用することによる細胞接着と、インテグリンの調節の双方で役割を担うことも知られている。CD47はまた、海馬の記憶形成とシナプス可塑性にて重要な役割を担う(類似性による)。加えて、CD47は、膜輸送及び/またはインテグリン依存性シグナル伝達にて役割を担い、赤血球の早期崩壊を防ぎ、ウイルス感染後に誘発される膜透過性の変化に関与することができる。
【0610】
いくつかの態様では、本明細書で開示されているEV、例えば、エクソソームは、EV、例えば、エクソソームの外面上でヒトCD47を発現するように改変される。ヒトCD47及び種々の既知のアイソフォーム(UniprotKB-Q08722)の標準的なアミノ酸配列は本明細書にて配列番号629~632として提供されている。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは、配列番号629に示されるアミノ酸配列またはその断片を含むポリペプチドを発現するように改変される。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは配列番号630に示すアミノ酸配列またはその断片を含むポリペプチドを発現するように改変される。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは配列番号631に示すアミノ酸配列またはその断片を含むポリペプチドを発現するように改変される。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは配列番号632に示すアミノ酸配列またはその断片を含むポリペプチドを発現するように改変される。
【0611】
いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームはEV、例えば、エクソソームの外面上で完全長CD47を発現するように改変される。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは、EV、例えば、エクソソームの表面上にCD47の断片を発現するように改変され、その際、断片はCD47、例えば、ヒトCD47の細胞外ドメインを含む。マクロファージによる食作用を遮断する及び/または阻害する能力を保持するCD47の任意の断片を、本明細書で開示されているEV、例えば、エクソソームで使用することができる。いくつかの態様では、断片は標準的なヒトCD47配列のアミノ酸19~約141(例えば、配列番号629のアミノ酸19~141)を含む。いくつかの態様では、断片は標準的なヒトCD47配列のアミノ酸19~約135(例えば、配列番号629のアミノ酸19~135)を含む。いくつかの態様では、断片は標準的なヒトCD47配列のアミノ酸19~約130(例えば、配列番号629のアミノ酸19~130)を含む。いくつかの態様では、断片は標準的なヒトCD47配列のアミノ酸19~約125(例えば、配列番号629のアミノ酸19~125)を含む。
【0612】
いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは、標準的なヒトCD47配列のアミノ酸19~約141(例えば、配列番号629のアミノ酸19~141)に対して少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチドを発現するように改変される。いくつかの態様では、該EV、例えば、エクソソームは、標準的なヒトCD47配列のアミノ酸19~約135(例えば、配列番号629のアミノ酸19~135)に対して少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチドを発現するように改変される。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは、標準的なヒトCD47配列のアミノ酸19~約130(例えば、配列番号629のアミノ酸19~130)に対して少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチドを発現するように改変される。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは、標準的なヒトCD47配列のアミノ酸19~約125(例えば、配列番号629のアミノ酸19~125)に対して少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチドを発現するように改変される。
【0613】
いくつかの態様では、CD47またはその断片はCD47及びそのリガンドSIRPαの親和性を高めるように修飾される。いくつかの態様では、CD47の断片は、ベルクロ-CD47を含む(例えば、その全体が参照によって本明細書に組み込まれるHo et al.,JBC,290:12650-63(2015)を参照のこと)。いくつかの態様では、ベルクロ-CD47は野生型ヒトCD47配列(配列番号629)と比べてC15S置換を含む。
【0614】
いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは、EV、例えば、エクソソームの表面上に改変されていないEV、例えば、エクソソームよりも高いレベルで発現されるCD47またはその断片を含む。いくつかの態様では、CD47またはその断片は足場タンパク質と融合される。本明細書で開示されている任意の足場タンパク質を使用してEV、例えば、エクソソームの表面上にCD47またはその断片を発現させることができる。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは足場Xタンパク質のN末端に融合されたCD47の断片を発現するように改変される。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームはPTGFRNのN末端に融合されたCD47の断片を発現するように改変される。
【0615】
いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームはEV、例えば、エクソソームの表面上に少なくとも約20分子、少なくとも約30分子、少なくとも約40、少なくとも約50、少なくとも約75、少なくとも約100、少なくとも約125、少なくとも約150、少なくとも約200、少なくとも約250、少なくとも約300、少なくとも約350、少なくとも約400、少なくとも約450、少なくとも約500、少なくとも約750、または少なくとも約1000分子のCD47を含む。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームはEV、例えば、エクソソームの表面上に少なくとも約20分子のCD47を含む。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームはEV、例えば、エクソソームの表面上に少なくとも約30分子のCD47を含む。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームはEV、例えば、エクソソームの表面上に少なくとも約40分子のCD47を含む。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームはEV、例えば、エクソソームの表面上に少なくとも約50分子のCD47を含む。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームはEV、例えば、エクソソームの表面上に少なくとも約100分子のCD47を含む。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームはEV、例えば、エクソソームの表面上に少なくとも約200分子のCD47を含む。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームはEV、例えば、エクソソームの表面上に少なくとも約300分子のCD47を含む。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームはEV、例えば、エクソソームの表面上に少なくとも約400分子のCD47を含む。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームはEV、例えば、エクソソームの表面上に少なくとも約500分子のCD47を含む。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームはEV、例えば、エクソソームの表面上に少なくとも約1000分子のCD47を含む。
【0616】
いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームの表面上でのCD47またはその断片の発現は、CD47またはその断片を発現していないEV、例えば、エクソソームと比べて骨髄細胞によるEV、例えば、エクソソームの取り込みの低減をもたらす。いくつかの態様では、CD47またはその断片を発現するEV、例えば、エクソソームの骨髄細胞による取り込みは約CD47またはその断片を発現していないEV、例えばエクソソームの骨髄細胞による取り込みと比べて少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%低減する。
【0617】
いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームの表面上でのCD47またはその断片の発現は、CD47またはその断片を発現していないEV、例えば、エクソソームと比べてEV、例えば、エクソソームの肝臓への局在化の低下をもたらす。いくつかの態様では、CD47またはその断片を発現しているEV、例えば、エクソソームの肝臓への局在化はCD47またはその断片を発現していないEV、例えば、エクソソームの肝臓への局在化と比べて少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%低減する。
【0618】
いくつかの態様では、CD47またはその断片を発現しているEV、例えば、エクソソームの生体内半減期は、CD47またはその断片を発現しないEV、例えば、エクソソームの生体内半減期と比べて増加する。いくつかの態様では、CD47またはその断片を発現しているEV、例えば、エクソソームの生体内半減期はCD47またはその断片を発現しないEV、例えばエクソソームの生体内半減期と比べて少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約4.5倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、または少なくとも約10倍増加する。
【0619】
いくつかの態様では、CD47またはその断片を発現しているEV、例えば、エクソソームの循環、例えば、血漿における滞留は、CD47またはその断片を発現しないEV、例えば、エクソソームの循環、例えば、血漿における滞留と比べて増加する。いくつかの態様では、CD47またはその断片を発現するEV、例えば、エクソソームの循環、例えば、血漿における滞留はCD47またはその断片を発現しないEV、例えばエクソソームの循環、例えば、血漿における滞留と比べて少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約4.5倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、または少なくとも約10倍増加する。
【0620】
いくつかの態様では、CD47またはその断片を発現しているエクソソームはCD47またはその断片を発現しないエクソソームと比べた場合、変化した生体内分布を有する。いくつかの態様では、変化した生体内分布は内皮細胞、T細胞への取り込みの増加、または骨格筋、心筋、横隔膜、腎臓、骨髄、中枢神経系、肺、脳脊髄液(CSF)、またはそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない種々の組織における蓄積の増加をもたらす。
【0621】
IV.操作されたエクソソームの生産のための産生細胞
試験管内で増殖した細胞または対象の体液から本開示のEV、例えば、エクソソームを産生することができる。エクソソームが試験管内細胞培養から産生される場合、種々の産生細胞、例えば、HEK293細胞、CHO細胞、及びMSCを使用することができる。特定の態様では、産生細胞は、樹状細胞、マクロファージ、B細胞、マスト細胞、好中球、クッパー・ブロウィッツ細胞、これらの細胞のいずれかに由来する細胞、またはそれらの任意の組み合わせではない。
【0622】
ヒト胚性腎臓293細胞は、HEK293、HEK-293、293細胞、またはそれほど具体的ではなくHEK細胞とも呼ばれ、組織培養で増殖したヒト胚性腎臓細胞に由来する特定の細胞株である。
【0623】
HEK293細胞は、オランダのライデンにあるAlex van der Ebの研究室にてせん断アデノウイルス5DNAによる正常ヒト胚性腎臓細胞の培養物の形質移入によって1973年に生成された。細胞を培養し、アデノウイルスで形質移入した。その後の分析では、ウイルスゲノムの左腕から約4.5キロベースを挿入することで形質転換がもたらされ、ヒト第19染色体に組み込まれたことが示された。
【0624】
HEK293及び5つの派生細胞株のゲノムとトランスクリプトームの包括的な研究では、HEK293トランスクリプトームをヒトの腎臓、副腎、下垂体、及び中枢神経組織のトランスクリプトームと比較した。HEK293のパターンは多くのニューロン特性を有する副腎細胞のパターンに最もよく似ていた。
【0625】
HEK293細胞は複雑な核型を有し、各染色体の2つ以上のコピーを示し、形式染色体数は64である。それらは、一倍体のヒト配偶子の染色体数の3倍未満を含有する低三倍体として説明されている。染色体異常にはX染色体の合計3つのコピーと、第17染色体及び第22染色体の4つのコピーとが含まれる。
【0626】
EVの産生に有用なHEK293細胞の変異型には、HEK293F、HEK293FT、及びHEK293Tが挙げられるが、これらに限定されない。
【0627】
産生細胞は、本明細書に記載されているEVを産生するためにASOをコードする外因性配列を含むように遺伝子操作することができる。遺伝子操作された産生細胞は、一過性のまたは安定した形質転換によって外因性配列を含有することができる。外因性配列はプラスミドとして形質転換され得る。いくつかの態様では、外因性配列はベクターである。外因性配列は、標的部位または無作為部位で産生細胞のゲノム配列に安定して組み込むことができる。いくつかの態様では、安定した細胞株は内腔で操作されたエクソソームの産生のために生成される。
【0628】
外因性配列は、エクソソームタンパク質をコードする内在性配列の上流(5’末端)または下流(3’末端)内に位置する産生細胞のゲノム配列に挿入することができる。当該技術分野で知られている種々の方法を、外因性配列を産生細胞に導入するために使用することができる。例えば、種々の遺伝子編集方法(例えば、相同組換え、トランスポゾン介在システム、loxP-Creシステム、CRISPR/Cas9またはTALENを使用する方法)を使用して改変された細胞は本開示の範囲内にある。
【0629】
外因性配列は、本明細書で開示されている足場部分またはその断片または変異型をコードする配列を含むことができる。足場部分をコードする配列の追加のコピーを導入して、本明細書に記載されているエクソソーム(例えば、EV、例えば、エクソソームの表面または内腔表面にてさらに高密度の足場部分を有する)を産生することができる。足場部分の修飾または断片をコードする外因性配列を導入して、足場部分の修飾または断片を含有する内腔が操作された及び/または表面が操作されたエクソソームを産生することができる。
【0630】
いくつかの態様では、ASOに連結された足場部分をコードする1以上のベクターで産生細胞を改変することができ、例えば、形質移入することができる。
【0631】
いくつかの態様では、本開示のEV、例えば、エクソソーム(例えば、表面が操作された及び/または内腔が操作されたエクソソーム)は、本明細書で開示されている完全長、成熟足場部分またはASOに連結された足場部分をコードする配列で形質転換された細胞から産生され得る。本明細書に記載されている足場部分のいずれかは、プラスミド、ゲノムまたは他の外因性核酸に挿入された外因性配列、例えば、合成メッセンジャーRNA(mRNA)から発現され得る。
【0632】
V.医薬組成物
本明細書で提供されているのは、所望の純度を有する本開示のEV、例えば、エクソソームと、薬学的に許容される担体または賦形剤とを含む、対象への投与に好適な形態での医薬組成物である。薬学的に許容される賦形剤または担体は、投与される特定の組成物によって、ならびに組成物を投与するのに使用される特定の方法によってある程度決定され得る。したがって、複数の細胞外小胞を含む医薬組成物の多種多様な好適な製剤がある。(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.21st ed.(2005)を参照のこと)。医薬組成物は一般に滅菌して製剤化され、米国食品医薬品局のすべての適正製造基準(GMP)規制に完全に準拠する。
【0633】
いくつかの態様では、医薬組成物は本明細書に記載されている1以上の治療剤及びエクソソームを含む。特定の態様では、EV、例えば、エクソソームは、薬学的に許容される担体中で1以上の追加の治療剤と同時投与される。いくつかの態様では、ASO及び本開示のための1以上のさらなる治療剤は同じEVで投与され得る。他の態様では、本開示のためのASO及び1以上の追加の治療剤は異なるEVで投与される。例えば、本開示は、ASOを含むEVと追加の治療剤を含むEVとを含む医薬組成物を含む。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームを含む医薬組成物は追加の治療剤(複数可)の投与の前に投与される。他の態様では、EV、例えば、エクソソームを含む医薬組成物は追加の治療剤(複数可)の投与の後に投与される。さらなる態様では、EV、例えば、エクソソームを含む医薬組成物は追加の治療剤(複数可)と同時に投与される。
【0634】
許容される担体、賦形剤、または安定剤は、受容者(例えば、動物またはヒト)に対して採用される用量及び濃度で非毒性であり、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸のような緩衝剤;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル、またはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルパラベンのようなアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンのようなタンパク質;ポリビニルピロリドンのような親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジンのようなアミノ酸;単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む他の炭水化物;EDTAのようなキレート剤;ショ糖、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトールのような糖;ナトリウムのような塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);及び/またはTWEEN(登録商標)、PLURONICS(登録商標)、もしくはポリエチレングリコール(PEG)のような非イオン性界面活性剤を含む。
【0635】
担体または希釈剤の例には、水、生理食塩水、リンガー溶液、デキストロース溶液、及び5%ヒト血清アルブミンが挙げられるが、これらに限定されない。薬学的活性物質のためのそのような媒体及び化合物の使用は当該技術分野で周知である。任意の従来の培地または化合物が本明細書に記載されている細胞外小胞と不適合でない限り、組成物におけるその使用が企図される。補助的な治療剤もまた組成物に組み込まれ得る。通常、医薬組成物はその意図される投与経路に適合するように製剤化される。EV、例えば、エクソソームは、非経口、局所、静脈内、経口、皮下、動脈内、皮内、経皮、直腸内、頭蓋内、腹腔内、鼻腔内、腫瘍内、筋肉内の経路または吸入剤によって投与され得る。特定の態様では、エクソソームを含む医薬組成物は、例えば、注射によって静脈内投与される。EV、例えば、エクソソームは任意で、EV、例えば、エクソソームが意図される疾患、障害または状態の治療に少なくとも部分的に有効である他の治療剤と併用して投与され得る。
【0636】
溶液または懸濁液は、以下の成分:水、生理食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒のような滅菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンのような抗菌化合物;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムのような抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸(EDTA)のようなキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩、またはリン酸塩のような緩衝液;及び塩化ナトリウムまたはデキストロースのような浸透圧の調整のための化合物を含むことができる。pHは、塩酸や水酸化ナトリウムのような酸または塩基で調整することができる。調製物は、アンプル、使い捨てシリンジ、またはガラスもしくはプラスチックから作製された複数回用量バイアルに封入され得る。
【0637】
注射可能な使用に好適な医薬組成物には、滅菌水溶液(水溶性の場合)または分散液及び滅菌粉末が含まれる。静脈内投与については、好適な担体には、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF,Parsippany,N.J.)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。組成物は一般に、容易な注射可能性が存在する程度まで無菌で流動性である。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール等)、及びそれらの好適な混合物を含有する溶媒または分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティングの使用によって、分散液の場合には必要とされる粒径の維持によって、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物の作用の防止は、種々の抗菌化合物及び抗真菌化合物、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール等によって達成され得る。所望される場合、等張化合物、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールのようなポリアルコール、及び塩化ナトリウムは、組成物に添加され得る。注射可能な組成物の長期吸収は、吸収を遅延させる化合物、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを組成物中に含めることによってもたらされ得る。
【0638】
滅菌注射可能溶液は、所望されるように、本明細書に列挙されたまたは当該技術分野で知られている1以上の成分とともにEV、例えば、エクソソームを有効量で、かつ適切な溶媒に組み込むことによって調製され得る。一般に、分散液は、細胞外小胞を、基本的な分散媒と任意の所望の他の成分とを含有する滅菌ビヒクルにEV、例えば、エクソソームを組み込むことによって調製される。滅菌注射可能溶液の調製のための滅菌粉末の場合、調製方法は、事前に滅菌濾過されたその溶液から有効成分に加えて任意の追加的な所望の成分の粉末が得られる真空乾燥及び凍結乾燥である。EV、例えば、エクソソームはEV、例えば、エクソソームの持続性または拍動性の放出を可能にするような様式で製剤化することができるデポー注射またはインプラント調整物の形態で投与され得る。
【0639】
エクソソームを含む組成物の全身投与は経粘膜手段によることもできる。経粘膜投与のために、浸透すべき障壁に適切な浸透剤が製剤で使用される。そのような浸透剤は一般に当該技術分野で既知であり、例えば、経粘膜投与のための、洗剤、胆汁酸塩、及びフシジン酸誘導体を含む。経粘膜投与は、例えば、点鼻剤の使用を介して達成され得る。
【0640】
特定の態様では、EV、例えば、エクソソームを含む医薬組成物は、医薬組成物の恩恵を受けるであろう対象に静脈内投与される。特定の他の態様では、組成物は、例えば、リンパ内注射によってリンパ系に、または結節内注射によって(例えば、Senti et al.,PNAS,105(46):17908(2008)を参照のこと)、または筋肉内注射によって、皮下投与によって、胸腺もしくは肝臓への直接注射によって投与される。
【0641】
特定の態様では、エクソソームを含む医薬組成物は液体懸濁液として投与される。特定の態様では、医薬組成物は投与に続いてデポーを形成することができる製剤として投与される。特定の好ましい態様では、デポーはEV、例えば、エクソソームを循環中に徐々に放出する、またはデポー形態のままである。
【0642】
通常、薬学的に許容される組成物は、汚染物質を含まないように高度に精製され、生体適合性があり、毒性がなく、対象への投与に適している。水が担体の構成要素である場合、水は高度に精製され、例えば、エンドトキシンのような汚染物質がないように処理される。
【0643】
薬学的に許容される担体は、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアガム、リン酸カルシウム、アルギネート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシ安息香酸塩、プロピルヒドロキシ安息香酸塩、タルク、ステアリン酸マグネシウム、及び/または鉱油であり得るが、これらに限定されない。医薬組成物はさらに、滑沢剤、湿潤剤、甘味料、風味増強剤、乳化剤、懸濁剤及び/または保存剤を含むことができる。
【0644】
いくつかの態様では、本明細書に記載されている医薬組成物は薬学的に許容される塩を含む。いくつかの態様では、薬学的に許容される塩はナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0645】
本明細書に記載されている医薬組成物は、本明細書に記載されているEV、例えば、エクソソームと、任意で、追加の薬学的に活性がある薬剤または治療剤とを含む。追加の治療剤は生物学的薬剤、小分子薬剤、または核酸薬剤であり得る。いくつかの態様では、追加の治療剤は追加のNLRP3アンタゴニストである。いくつかの態様では、NLRP3アンタゴニストは本明細書で開示されている任意のNLRP3アンタゴニストである。いくつかの態様では、追加のNLRP3アンタゴニストは抗NLRP3抗体である。いくつかの態様では、追加のNLRP3アンタゴニストは小分子である。いくつかの態様では、追加のNLRP3アンタゴニストは本明細書で開示されている小分子である。いくつかの態様では、追加のNLRP3アンタゴニストは、MCC950、タニラスト、オリドニン、CY-09、ベイ11-7082、パルテノリド、3,4-メチレンジオキシ-β-ニトロスチレン(MNB)、β-ヒドロキシブチレート(BHB)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、I型インターフェロン、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。いくつかの態様では、追加のNLRP3アンタゴニストは以下の式を含む:
【0646】
【化26】
【0647】
いくつかの態様では、追加のNLRP3アンタゴニストはMCC950を含む。
【0648】
いくつかの態様では、追加のNLRP3アンタゴニストはASOを含む。いくつかの態様では、追加のNLRP3アンタゴニストは本明細書に記載されている任意のASOを含む。
【0649】
本明細書に記載されているEV、例えば、エクソソームを含む医薬組成物を含む剤形が提供される。いくつかの態様では、剤形は静脈内注射用の液体懸濁液として製剤化される。いくつかの態様では、剤形は腫瘍内注射用の液体懸濁液として製剤化される。
【0650】
特定の態様では、エクソソームの調製物は残存複製能のある核酸に損傷を与えるために、放射線、例えば、X線、ガンマ線、ベータ粒子、アルファ粒子、中性子、陽子、元素核、紫外線に曝される。
【0651】
特定の態様では、エクソソームの調製物は、1、5、10、15、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100kGy、または100kGyを超える照射線量を使用するガンマ照射に曝される。
【0652】
特定の態様では、エクソソームの調製物は、0.1、0.5、1、5、10、15、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000mSv、または10000mSvを超える照射線量を使用するX線照射に曝される。
【0653】
VI.キット
本明細書で提供されているのはまた、本明細書に記載されている1以上のエクソソームを含むキットである。いくつかの態様では、本明細書で提供されているのは、本明細書で提供されている1以上のエクソソームのような本明細書に記載されている医薬組成物の1以上の成分で満たされた1以上の容器、任意での使用説明書を含む医薬のパックまたはキットである。いくつかの態様では、キットは、本明細書に記載されている医薬組成物、及び本明細書に記載されているもののような任意の予防剤または治療剤を含有する。いくつかの態様では、キットはさらに、本明細書で開示されている任意の方法に従ってEVを投与するための説明書を含む。いくつかの態様では、キットは造血に関連する疾患または状態の治療で使用するためのものである。いくつかの態様では、キットは診断用キットである。
【0654】
VII. 使用方法
特定の態様では、本開示は、本明細書で開示されているEV(例えば、エクソソーム)を(例えば、本開示のASOを含む)対象に投与することを含む、疾患または障害の予防及び/または治療を必要とする対象においてそれを行う方法を提供する。本明細書に記載されているように、本開示に有用なASOは、NLRP3転写物(例えば、プレmRNAまたはmRNA)の1以上の領域と特異的にハイブリッド形成し、細胞におけるNLRP3タンパク質発現の低減及び/または阻害をもたらすことができる。したがって、そのようなASOを含むEV(例えば、エクソソーム)(例えば、本明細書で開示されているEV)は、NLRP3タンパク質の高い発現に関連する任意の疾患または障害を予防する及び/または治療するのに有用であり得る。
【0655】
いくつかの態様では、本発明の方法で治療することができる疾患または障害は炎症の増加を特徴とする。いくつかの態様では、本開示で治療することができる疾患または障害は線維症を含む。いくつかの態様では、本開示で治療することができる疾患または障害は膵炎を含む。
【0656】
いくつかの態様では、EV(例えば、エクソソーム)は対象の循環系に静脈内投与される。いくつかの態様では、EVは好適な液体に注入され、対象の静脈中に投与される。いくつかの態様では、EV(例えば、エクソソーム)は対象の循環系に動脈内投与される。いくつかの態様では、EVは好適な液体に注入され、対象の動脈中に投与される。
【0657】
いくつかの態様では、EV(例えば、エクソソーム)は髄腔内投与によって対象に投与される。いくつかの態様では、EV(例えば、エクソソーム)は、髄腔内投与によって投与され、その後、機械的対流力が胴体に適用される。例えば、その全体が参照によって本明細書に組み込まれるVerma et al.,Alzheimer’s Dement.12:e12030(2020)を参照のこと。したがって、本開示の特定の態様は、髄腔内注射によってEV、例えば、エクソソームを対象に投与し、続いて、対象の胴体に機械的対流力を適用することを含む、EV、例えば、エクソソームを投与することを必要とする対象にそれを行う方法を対象とする。いくつかの態様では、機械的対流力は、高周波の胸壁または腰椎の振動呼吸クリアランス装置(例えば、Smart VestまたはSmart Wrap,ELECTROMED INC,New Prague,MN,USA)を使用して達成される。いくつかの態様では、機械的対流力、例えば、振動ベストは、髄腔内に投与されたEV、例えば、エクソソームの、神経のさらに下への広がりを促進するので、さらに良好なEV、例えば、エクソソームの神経への送達を可能にする。
【0658】
いくつかの態様では、エクソソームのコンパートメント内及びコンパートメントを介した生体内分布は、エクソソームのコンパートメント送達後に対象に作用する外因性の体外力によって操作することができる。これには、例えば、体のコンパートメントまたは全身の打診、振動、振盪、またはマッサージを適用することによる機械的対流の適用が含まれる。例えば、髄腔内投与に続いて、振動する機械的ジャケットを含むいくつかの手段による胸壁振動の適用は、神経軸に沿って、または脳神経及び脊髄神経に沿ってエクソソームの生体内分布を広げることができ、これは薬物運搬エクソソームによる神経障害の治療に役立ち得る。
【0659】
いくつかの態様では、振動ジャケットまたは他の同様の手段を介した外的な機械的対流力の適用を使用して、髄腔内空間の脳脊髄液から末梢循環に向かってエクソソーム及び他の物質を排除することができる。この態様は、内在性の有毒なエクソソームや、ベータアミロイド、タウ、α-シヌクレイン、TDP43、ニューロフィラメント、及び過剰な脳脊髄液のような他の有害な高分子を排泄のために髄腔内から末梢に排除するのに役立つことができる。
【0660】
いくつかの態様では、脳室内経路を介して送達されるエクソソームは、腰椎穿刺を同時に組み込み、エクソソーム投与後に追加の流体が脳室に注入される一方で、既存の脊髄軸のCSFを外に出すことが腰椎穿刺である脳室腰部灌流を可能にすることによって神経軸全体にわたって移動させることができる。脳室腰部灌流は、軟髄膜の炎症や他の疾患を治療するために、ICV投与したエクソソームが神経軸全体に沿って広がり、くも膜下の空間を完全に覆うことを可能にすることができる。
【0661】
いくつかの態様では、外部の体外集束超音波、熱エネルギー(熱)または寒冷の適用を使用して、これらの現象に敏感であるように設計されたエクソソームのコンパートメント薬物動態及び薬物放出特性を操作してもよい。
【0662】
いくつかの態様では、常磁性材料を含有するように設計されたエクソソームのコンパートメント内挙動及び生体内分布は、磁石または磁場の外部適用によって操作することができる。
【0663】
いくつかの態様では、EVは、EVが脳脊髄液(CSF)に到達するように脊柱管またはくも膜下腔への注射を介して投与される。いくつかの態様では、EV(例えば、エクソソーム)は対象の1以上の腫瘍に腫瘍内投与される。いくつかの態様では、EV(例えば、エクソソーム)は鼻腔内投与によって対象に投与される。いくつかの態様では、EVは局所投与または全身投与のいずれかの形態で鼻を通して吹き込むことができる。特定の態様では、EVは鼻スプレーとして投与される。いくつかの態様では、EV(例えば、エクソソーム)は腹腔内投与によって対象に投与される。いくつかの態様では、EVは好適な液体に注入され、対象の腹膜中に注射される。いくつかの態様では、腹腔内投与はリンパ管へのEVの分布をもたらす。いくつかの態様では、腹腔内投与は、胸腺、脾臓、及び/または骨髄へのEVの分布をもたらす。いくつかの態様では、腹腔内投与はEVの1以上のリンパ節への分布をもたらす。いくつかの態様では、腹腔内投与は、頸部リンパ節、鼠径部リンパ節、縦隔リンパ節、または胸骨リンパ節のうちの1以上へのEVの分布をもたらす。いくつかの態様では、腹腔内投与は膵臓へのEVの分布をもたらす。いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームは眼球周囲投与によって対象に投与される。いくつかの態様では、sは眼球周囲組織に注射される。眼球周囲薬物投与には、結膜下、前テノン嚢下、後テノン嚢下、及び眼球後投与の経路が挙げられる。
【0664】
VIII. EVの製造方法
いくつかの態様では、本開示はまた、本明細書に記載されているEVを製造する方法も対象とする。いくつかの態様では、方法は、例えば、産生細胞からEV、例えば、エクソソームを取得し、その際、産生細胞はEV、例えば、エクソソーム(例えば、ASO)の1以上の構成成分を含有することと;任意で、得られたEV、例えば、エクソソームを単離することとを含む。いくつかの態様では、方法は本明細書で開示されているEVの1以上の構成成分(例えば、ASO)を導入することによって産生細胞を改変することと;改変された産生細胞からEV、例えば、エクソソームを得ることと;任意で、得られたEV、例えば、エクソソームを単離することとを含む。さらなる態様では、方法は、産生細胞からEVを得することと;得られたEVを単離することと;単離されたEVを改変することとを含む。特定の態様では、方法はさらに、単離されたEVを医薬組成物に製剤化することを含む。
【0665】
VIII.A. 産生細胞を改変する方法
上記の通り、いくつかの態様では、EVの製造方法は、1以上の部分(例えば、ASO)で産生細胞を改変することを含む。特定の態様では、1以上の部分がASOを含む。いくつかの態様では、1以上の部分はさらに、本明細書で開示されている足場部分(例えば、足場Xまたは足場Y)を含む。
【0666】
いくつかの態様では、産生細胞は、哺乳類細胞株、植物細胞株、昆虫細胞株、真菌細胞株、または原核細胞株であり得る。特定の態様では、産生細胞は哺乳類細胞株である。哺乳類細胞株の非限定的な例には、ヒト胚性腎臓(HEK)細胞株、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、HT-1080細胞株、HeLa細胞株、PERC-6細胞株、CEVEC細胞株、線維芽細胞株、羊膜細胞株、上皮細胞株、間葉系幹細胞(MSC)細胞株及びそれらの組み合わせが挙げられる。特定の態様では、哺乳類細胞株は、HEK-293細胞、BJヒト包皮線維芽細胞、fHDF線維芽細胞、AGE.HN(登録商標)神経前駆細胞、CAP(登録商標)羊膜細胞、脂肪性間葉系幹細胞、RPTEC/TERT1細胞、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、産生細胞は初代細胞である。特定の態様では、初代細胞は、初代哺乳類細胞、初代植物細胞、初代昆虫細胞、初代真菌細胞、または初代原核細胞であり得る。
【0667】
特定の態様では、産生細胞は、例えば、抗原提示細胞、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、マクロファージ、Tヘルパー細胞、または制御性T細胞(Treg細胞)のような免疫細胞ではない。他の態様では、産生細胞は、抗原提示細胞(例えば、樹状細胞、マクロファージ、B細胞、マスト細胞、好中球、クッパー・ブロウィッツ細胞、または任意のそのような細胞に由来する細胞)ではない。
【0668】
いくつかの態様では、1以上の部分は、導入遺伝子またはmRNAであることができ、形質移入、ウイルス形質導入、電気穿孔法、押し出し、超音波処理、細胞融合、または当業者に知られている他の方法によって産生細胞に導入され得る。
【0669】
いくつかの態様では、1以上の部分は形質移入によって産生細胞に導入される。いくつかの態様では、1以上の部分は、好適な産生細胞に、合成高分子、例えば、カチオン性脂質及びポリマーを使用して導入することができる(Papapetrou et al.,Gene Therapy,12:S118-S130(2005))。いくつかの態様では、カチオン性脂質は電荷相互作用を介して1以上の部分との複合体を形成する。これらの態様のいくつかでは、正に荷電した複合体は負に荷電した細胞表面に結合し、エンドサイトーシスによって細胞により取り込まれる。いくつかの他の態様では、カチオン性ポリマーを用いて産生細胞に形質移入することができる。これらの態様のいくつかでは、カチオン性ポリマーはポリエチレンイミン(PEI)である。特定の態様では、リン酸カルシウム、シクロデキストリン、またはポリブレンのような化学物質を使用して1以上の部分を産生細胞に導入することができる。1以上の部分はまた、物理的方法、例えば、粒子介在性形質移入、「遺伝子銃」、バイオリステック法、または粒子衝撃技術(Papapetrou et al.,Gene Therapy,12:S118-S130(2005))を使用して産生細胞に導入することもできる。例えば、ベータガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、ルシフェラーゼ、または緑色蛍光タンパク質のようなレポーター遺伝子を使用して産生細胞の形質移入効率を評価することができる。
【0670】
特定の態様では、1以上の部分はウイルス形質導入によって産生細胞に導入される。モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、レンチウイルス、及びスプマウイルスを含む多くのウイルスを、遺伝子導入ビヒクルとして使用することができる。ウイルス介在性遺伝子導入ビヒクルは、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス及びヘルペスウイルスのようなDNAウイルスに基づくベクター、ならびにレトロウイルスに基づくベクターを含む。
【0671】
特定の態様では、1以上の部分は電気穿孔法によって産生細胞に導入される。電気穿孔法は、細胞膜に一時的な孔を作り出し、細胞中への種々の分子の導入を可能にする。いくつかの態様では、DNA及びRNA、ならびにポリペプチド及び非ポリペプチドの治療剤は電気穿孔法によって産生細胞に導入され得る。
【0672】
特定の態様では、1以上の部分は微量注入法によって産生細胞に導入される。いくつかの態様では、ガラス製マイクロピペットを使用して顕微鏡レベルで1以上の部分を産生細胞に注入することができる。
【0673】
いくつかの態様では、1以上の部分は押し出しによって産生細胞に導入される。
【0674】
いくつかの態様では、1以上の部分は超音波処理によって産生細胞に導入される。いくつかの態様では、産生細胞は、高強度音波に曝露され、細胞膜の一時的な破壊を引き起こして、1以上の部分の負荷を可能にする。
【0675】
いくつかの態様では、1以上の部分は細胞融合によって産生細胞に導入される。いくつかの態様では、1以上の部分は電気的細胞融合によって産生細胞に導入される。他の態様では、ポリエチレングリコール(PEG)を使用して産生細胞を融合させる。さらなる態様では、センダイウイルスを使用して産生細胞を融合させる。
【0676】
いくつかの態様では、1以上の部分は低張溶解によって産生細胞に導入される。そのような態様では、産生細胞は低イオン強度緩衝液に曝露され、それらを破裂させて1以上の成分の負荷を可能にすることができる。他の態様では、低張溶液に対する制御透析を使用して産生細胞を膨潤させ、産生細胞の膜に孔を作り出すことができる。産生細胞は、その後、膜の再封鎖を可能にする条件に曝露される。
【0677】
いくつかの態様では、1以上の成分は界面活性剤処理によって産生細胞に導入される。特定の態様では、産生細胞は、孔を作り出すことによって産生細胞膜を一時的に傷つけ、1以上の部分の負荷を可能にする中性界面活性剤で処理される。産生細胞が負荷された後、界面活性剤は洗い流され、それによって膜を再封鎖する。
【0678】
いくつかの態様では、1以上の部分は受容体介在性エンドサイトーシスによって産生細胞に導入される。特定の態様では、産生細胞は、1以上の部分の結合の際に受容体及び会合した部分の内部移行を誘導する表面受容体を有する。
【0679】
いくつかの態様では、1以上の部分は濾過によって産生細胞に導入される。特定の態様では、産生細胞及び1以上の部分は産生細胞より小さい孔径のフィルターを通され、産生細胞の膜の一時的な破壊を引き起こし、1以上の部分が産生細胞に入れるようにする。
【0680】
いくつかの態様では、産生細胞はいくつかの凍結融解サイクルに曝され、細胞膜破壊を生じ、1以上の部分の負荷を可能にする。
【0681】
VIII.B. EV、例えば、エクソソームを改変する方法
いくつかの態様では、EV、例えば、エクソソームを生成する方法は、1以上の部分をEVに直接導入することによって単離されたEVを改変することを含む。特定の態様では、1以上の部分はASOを含む。いくつかの態様では、1以上の部分は本明細書で開示されている足場部分(例えば、足場Xまたは足場Y)を含む。
【0682】
いくつかの態様では、1以上の部分は形質移入によってEVに導入される。いくつかの態様では、1以上の部分は、カチオン性脂質及びポリマーのような合成高分子を使用してEVに導入することができる(Papapetrou et al.,Gene Therapy,12:S118-S130(2005))。特定の態様では、リン酸カルシウム、シクロデキストリン、またはポリブレンのような化学物質を使用して1以上の部分をEVに導入することができる。
【0683】
いくつかの態様では、1以上の部分は電気穿孔法によってEVに導入される。いくつかの態様では、EVはEV膜に一時的な孔を生じさせる電場に曝露され、1以上の部分の負荷を可能にする。
【0684】
特定の態様では、1以上の部分は微量注入法によってEVに導入される。いくつかの態様では、ガラス製マイクロピペットを使用して1以上の部分を顕微鏡レベルでEVに直接注入することができる。
【0685】
いくつかの態様では、1以上の部分は押し出しによってEVに導入される。
【0686】
いくつかの態様では、1以上の部分は超音波処理によってEVに導入される。いくつかの態様では、EVは高強度音波に曝露され、EV膜の一時的な破壊を引き起こして、1以上の部分の負荷を可能にする。
【0687】
いくつかの態様では、1以上の部分をEVの表面に結合させることができる。複合体化は、当該技術分野で既知の方法により、化学的または酵素的に達成され得る。
【0688】
いくつかの態様では、EVは化学的に結合される1以上の部分を含む。化学的複合体化は、リンカー使用を伴って、または伴わずに、1以上の部分を別の分子に共有結合させることによって達成され得る。そのような複合体の形成は熟練者の技能の範囲内であり、複合体化を達成するための種々の技法が既知であり、特定の技法の選択は複合体化される材料によって導かれる。特定の態様では、ポリペプチドはEVに結合される。いくつかの態様では、脂質、炭水化物、核酸、及び小分子のような非ポリペプチドはEVに複合体化される。
【0689】
いくつかの態様では、1以上の部分は低張溶解によってEVに導入される。そのような態様では、EVはそれらを破裂させて1以上の部分の負荷を可能にする低イオン強度緩衝液に曝露され得る。他の態様では、低張溶液に対する制御透析を使用して、EVを膨潤させ、EVの膜に孔を作り出すことができる。EVは、その後、膜の再封鎖を可能にする条件に曝露される。
【0690】
いくつかの態様では、1以上の部分は界面活性剤処理によってEVに導入される。特定の態様では、細胞外小胞は、孔を作り出すことによってEVの膜を一時的に傷つけ、1以上の部分の負荷を可能にする中性界面活性剤で処理される。EVが負荷された後、界面活性剤は洗い流され、それによって膜を再封鎖する。
【0691】
いくつかの態様では、1以上の部分は、受容体介在性エンドサイトーシスによってEVに導入される。特定の態様では、EVは1以上の部分の結合の際に受容体及び会合した部分の内部移行を誘導する表面受容体を有する。
【0692】
いくつかの態様では、1以上の部分は機械焚きによってEVに導入される。特定の態様では、細胞外小胞は、金マイクロキャリアのような重い粒子または荷電粒子に付着された1以上の部分を浴びせられ得る。これらの態様のいくつかでは、粒子は、粒子がEVの膜を横断するように機械的または電気的に加速され得る。
【0693】
いくつかの態様では、細胞外小胞は、いくつかの凍結融解サイクルに曝され、EVの膜破壊を生じ、1以上部分の負荷を可能にする。
【0694】
VIII.C. EV、例えば、エクソソームを単離する方法
いくつかの態様では、本明細書で開示されているEVを生成する方法は、産生細胞からEVを単離することを含む。特定の態様では、EVは産生細胞によって細胞培養培地中に放出される。EVの単離のすべての既知の様式は本明細書での使用に好適であると思われることが企図される。例えば、EVの物理的性質は、電荷(例えば、電気泳動分離)、サイズ(例えば、濾過、分子ふるい等)、密度(例えば、通常遠心分離のまたは勾配遠心分離)、Svedberg定数(例えば、外力を伴うまたは伴わない沈降等)に基づく分離を含む、培地または他の供給源材料からそれらを分離するために採用され得る。代わりにまたはさらに、単離は1以上の生物学的特性に基づくことができ、表面マーカーを採用することができる方法(例えば、沈殿、固相への可逆的結合、FACS分離、特異的リガンド結合、非特異的リガンド結合、アフィニティ精製等)を含む。
【0695】
単離及び濃縮は、通常、連続遠心分離を含む、一般的かつ非選択的様式で行われ得る。あるいは、単離及び濃縮は、EVまたは産生細胞に特異的な表面マーカーを使用することのような、さらに特異的かつ選択的な様式で行われ得る。例えば、特異的表面マーカーは、免疫沈降、FACS選別、アフィニティ精製、及びビーズ結合リガンドによる磁気分離において使用され得る。
【0696】
いくつかの態様では、EVを単離するためにサイズ排除クロマトグラフィーを使用することができる。サイズ排除クロマトグラフィー技法は、当該技術分野で既知である。例示的で非限定的な技法は本明細書で提供されている。いくつかの態様では、空隙容積画分が単離され、目的のEVを含む。さらに、いくつかの態様では、EVはさらに、当該技術分野で一般に知られている(1つ以上のクロマトグラフィー画分の)遠心分離技術によるクロマトグラフィー分離後に単離され得る。いくつかの態様では、例えば、密度勾配遠心分離を利用して細胞外小胞をさらに単離することができる。特定の態様では、他の起源のEVから産生細胞由来のEVをさらに分離することが望ましくてもよい。例えば、産生細胞に特異的な抗原抗体を用いた免疫吸着捕捉によって非産生細胞由来のEVから産生細胞由来のEVを分離することができる。
【0697】
いくつかの態様では、EVの単離は、分画遠心法、サイズに基づく膜濾過、免疫沈降、FACS選別、及び磁気分離を含むが、これらに限定されない方法の組み合わせを含むことができる。
【0698】
本開示の実践は、別段の指示がない限り、細胞生物学、細胞培養、分子生物学、遺伝子導入生物学、微生物学、組換えDNA及び免疫学の従来の技法を採用し、それらは当該技術分野の技能の範囲内にある。そのような技法は文献で充分に説明されている。例えば、Sambrook et al.,ed.(1989),Molecular Cloning A Laboratory Manual(2nd ed.;Cold Spring Harbor Laboratory Press);Sambrook et al.,ed.(1992),Molecular Cloning:A Laboratory Manual,(Cold Springs Harbor Laboratory,NY);D.N.Glover ed.,(1985),DNA Cloning,Volumes I and II;Gait,ed.(1984),Oligonucleotide Synthesis;Mullis et al.米国特許第4,683,195号;Hames and Higgins,eds.(1984),Nucleic Acid Hybridization;Hames and Higgins,eds.(1984),Transcription And Translation;Freshney(1987),Culture Of Animal Cells (Alan R.Liss,Inc.);Immobilized Cells And Enzymes(IRL Press)(1986);Perbal(1984),A Practical Guide To Molecular Cloning;the treatise,Methods In Enzymology(Academic Press,Inc.,N.Y.);Miller and Calos eds.(1987),Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells,(Cold Spring Harbor Laboratory);Wu et al.,eds.,Methods In Enzymology,Vols.154 and 155;Mayer and Walker,eds.(1987),Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology (Academic Press,London);Weir and Blackwell,eds.,(1986) Handbook Of Experimental Immunology,Volumes I-IV;Manipulating the Mouse Embryo,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,(1986););Crooke,Antisense drug Technology:Principles, Strategies and Applications,2nd Ed.CRC Press (2007)、及びin Ausubel et al.(1989) Current Protocols in Molecular Biology(John Wiley and Sons,Baltimore,Md.)を参照のこと。
【0699】
上で引用されたすべての参考文献、ならびに本明細書で引用されたすべての参考文献はその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0700】
以下の実施例は、例示として示されており、限定するために示されているものではない。
【実施例
【0701】
実施例1:NLRP3 mRNA及び/またはNLRP3タンパク質の低減の試験管内分析
本明細書で開示されている例示的なASOはNLRP3転写物を特異的に標的とするように設計された。図1を参照のこと。レポーターの上流にヒトNLRP3コード配列を含有するレポーター細胞株にてNLRP3 mRNA及び/またはNLRP3タンパク質の発現をノックダウンする能力について開示されているASOを調べる。NLRP3特異的siRNAを陽性対照として使用する。
【0702】
簡単に説明すると、NLRP3を発現しているレポーター細胞株を細胞培養培地で増殖させ、96ウェルプレートに播種する。次に、本明細書で開示されている1以上のASOを含む異なる濃度のEV(例えば、エクソソーム)(「EV-ASO」)で細胞を処理する。そのようなEVを製造するための方法は本開示の他の場所で提供されている。EV-ASO処理の約3日後に細胞を回収し、RNA及び/またはタンパク質を細胞から精製する。次に、細胞内のNLRP3 mRNA及び/またはNLRP3タンパク質の発現レベルを、qPCR及びウエスタンブロットのようなアッセイを使用して定量化する。
【0703】
実施例2:エクソソームの構築
本明細書に記載されているエクソソームを生成するために、ヒト胚性腎臓(HEK)細胞株(例えば、HEK293SF)を使用する。目的の薬剤(例えば、抗原、アジュバント、または免疫調節剤)に連結された足場X、足場Y、及び/またはアンカー部分で安定して細胞に形質移入する。
【0704】
形質移入の際、HEK細胞は化学的に定義された培地にて7日間高密度で増殖させる。その後、馴化細胞培養培地を回収し、300~800×gで室温にて5分間遠心分離して、細胞と大きな破片を除去する。培地の上清に1000U/LのBENZONASE(登録商標)を加え、これを水槽にて37℃で1時間インキュベートする。上清を回収し、4℃にて16,000×gで30分間遠心分離して、残余の細胞残屑及び他の大きな混入物質を除去する。次に、上清を133,900×gで4℃にて3時間超遠心分離し、エクソソームを沈殿させる。上清を捨て、残留培地をチューブの底から吸引する。沈殿物を200~1000μLのPBS(-Ca-Mg)に再懸濁させる。
【0705】
エクソソーム集団をさらに濃縮するために、沈殿物を密度勾配精製(スクロースまたはOPTIPREP(商標))を介して処理した。
【0706】
SW 41 Tiローターに配置した12mLのUltra-Clear(344059)チューブ内でこの勾配を4℃にて200,000×gで16時間遠沈し、エクソソーム画分を分離する。
【0707】
次いで、エクソソーム層を、その最上層から徐々に取り出し、38.5mLのUltra-Clear(344058)チューブ内にて約32.5mLのPBSで希釈し、4℃にて133,900×gで3時間再び超遠心分離し、精製されたエクソソームを沈殿させる。得られた沈殿物を最小量のPBS(約200μL)に再懸濁させ、4℃で保存する。
【0708】
OPTIPREP(商標)勾配については、SW 41 Tiローター用の12mLのUltra-Clear(344059)チューブにて3層無菌勾配を等量の10%、30%、及び45%のOPTIPREP(商標)にて調製する。沈殿物をこのOPTIPREP(商標)勾配に加え、4℃にて200,000×gで16時間超遠心分離し、エクソソーム画分を分離する。そのエクソソーム層を、次いでチューブの上層約3mLから穏やかに回収する。
【0709】
そのエクソソーム画分を38.5mLのUltra-Clear(344058)チューブにて約32mLのPBSで希釈し、4℃にて133,900×gで3時間超遠心分離し、精製されたエクソソームを沈殿させる。次いで、沈殿させたエクソソームを最小量のPBS(約200μL)に再懸濁させ、使用の準備が整うまで4℃で保存する。
【0710】
実施例3:NLRP3のASOの設計
マウス及びヒトのASOは、NLRP3(遺伝子ID番号114548)の発現を標的とするように設計された。標的配列は、ヒトNLRP3については参照配列NM_004895を使用し、マウスNLRP3についてはNM_145827.4を使用して選択した。発生期の転写物の全長にわたってASOのtillingを行うことによって、考えられるASOのリストを各遺伝子に対して生成した。長さが15、16、17、18、19、または20の核酸塩基を有するASOを生成した。
【0711】
ASOは、次の特性:すべてのスプライス形態にヒットする必要がある;低い自己二量体化エネルギー(狙いどおりの活性);GGGGモチーフなし(合成の問題を引き起こすことができる);オリゴにおける3未満のCpGジヌクレオチド(潜在的な免疫刺激);8塩基未満のパリンドローム配列(潜在的な二量体化及び免疫刺激);既知のmiRNAとlncRNA、及び新生と成熟の双方の転写物を含む、任意の遺伝子への的外れのヒットにおける2を超えるミスマッチと17以下の連続する塩基;反復配列との重複なし;及び一般集団で0.01MAF以上のSNPと重複なし、に基づいて優先順位を付けた。追加の基準には、予測される種の交差反応性(例えば、ヒト、カニクイザル、アカゲザル、ラット、マウスの転写物);及び成熟転写物における3以下のミスマッチ(mm)、lnc転写物における3以下のmm、miRNAにおける3以下のmm、及び発生期転写物における3以下のmmの的外れ(OT)のフィルターが含まれた。
【0712】
実施例4:NLRP3 mRNA及び/またはNLRP3タンパク質の低減の生体内分析
生体内でNLRP3 mRNA及び/またはNLRP3タンパク質のレベルを低減することにおける本明細書で開示されている1以上のASOを含むEV(例えば、エクソソーム)の効力を評価するために、線維症マウスモデルを使用する。本明細書で開示されているASOは、種々の投薬計画でマウスに投与されるであろう。マウスは線維症の症状についてモニターされる。最終的にマウスを屠殺し、NLRP3 mRNA及び/またはNLRP3タンパク質のレベルを種々の細胞で評価する。
【0713】
実施例5:ヒト初代単球及びマクロファージにおける機能的アッセイ
NLRP3経路の活性化はヒトの単球及びマクロファージによるIL-1β産生を誘導する。ヒト全血から単離した単球、ならびに単球を使用して6日間M-CSFで成熟させたM0マクロファージを使用して実証されたように、NLRP3経路の活性化は200ng/mLのLPSで3時間刺激した後、5mMのATPとともに一晩インキュベートすることによって達成することができる。IL-1β産生の誘導は、MCC950及び遊離薬物による処理のIC50値によって阻害することができる(図2A~2B)。IL-1β濃度はアルファLISAアッセイを使用して決定される。
【0714】
NLRP3経路の活性化後のヒト細胞によるIL-1β産生と同様に、マウス骨髄由来マクロファージもIL-1βを産生するが、それは200ng/mLのLPSで3時間刺激した後、5mMのATPとともに3時間インキュベートすることによって達成することができる(図2C)。
【0715】
実施例6:生体内腹膜炎モデル
腹腔内LPS負荷はマウスでIL-1βの産生を誘導し、それは負荷の3時間後に体循環で検出することができる。LPS負荷マウスの血清中のIL-1βの誘導は、負荷の1時間前に腹腔内投与されたMCC950で前処理することによって阻害することができる(図3A~3B)。
【0716】
実施例7:神経炎症におけるCNSマクロファージ抑制とM2極性化
神経炎症関連神経障害の治療にて本明細書で開示されている1以上のASOを含むEV(例えば、エクソソーム)の効力を評価するために、多発性硬化症(例えば、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAM))、化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー型認知症、及びその他の炎症性神経障害(実験的自己免疫性神経炎(EAN)など)のマウスモデルが使用される。本明細書で開示されているASOは種々の投薬計画でマウスに投与されるであろう。マウスは、神経炎症を含む疾患の症状についてモニターされる。最終的にマウスを屠殺し、NLRP3 mRNA及び/またはNLRP3タンパク質のレベルを種々の細胞で評価する。M2マクロファージの極性化、ならびにマクロファージの局在化及び活性化もモニターされる。
【0717】
実施例8:マウスモデルでのNLRP3の標的とされた低減
マウスNLRP3転写物のコンピューターによる解析を使用して100の候補NLRP3のASOを生成した。マウスJ774.1細胞を試験管内にて5nMまたは20nMの各候補NLRP3のASOで処理した。NLRP3の発現はqRT-PCRを使用して測定し、少なくとも50%のノックダウンを生じる約30のASOがさらなる解析に供された。次に、実績の高い上位22のASOを、マウスJ774.1細胞にて種々の濃度の7点用量設定に供し、NLRP3の発現をqRT-PCRで再度測定した(図4A~4V)。7点用量設定の後の上位10候補を以下の表5に収載する。
【表5】
【0718】
HEKレポーター細胞株にマウスNLRP3レポーター構築物(図5A)を形質移入して、実績の上位5つのマウスASO(ASO番号16、19、70、98、及び43、図5B)の11の濃度でNLRP3ノックダウンをアッセイした。5つのASOはすべて、HEKレポーター細胞株でNLRP3の用量依存性のノックダウンを示すことができ、ASO番号98が最も強力なノックダウンを有した。
【0719】
骨髄由来マクロファージ(BMDM)を使用して、NLRP3のノックダウンがNLRP3経路の活性化に対して下流の効果を有するどうかを判定することができる(図6A~6B)。ASO-RNAiMAX複合体の一部として漸増濃度の実績の上位5つのマウスASO(ASO番号16、19、70、98、及び43)でBMDMに形質移入した。形質移入の2日後、細胞BMDMを200ng/mLのLPSで処理した。3時間後、BMDMを5mMのATPで処理した。ATP処理の3時間後、IL-1β分泌を測定した。陰性対照(未処理のBMDM及びASOなしまたはスクランブルASOのいずれかで処理したBMDM)は高レベルの分泌されたIL-1βを示した(図6C)。逆に、各マウスNLRP3のASOは調べたすべての用量でIL-1β分泌の低減を誘発した(図6C)。マウスNLRP3のASOで処理したBMDMは生存率の上昇も示した(図6D)。
【0720】
MCC950小分子NLRP3阻害剤を使用するNLRP3経路の阻害は、マウスモデルにおいてLPS誘発性急性腹膜炎を軽減する(図7A~7B)。以下の表6のスケジュールに従って、MCC950、またはASO(ASO番号16、19、70、及び98から選択)を負荷したエクソソームの2つの用量をマウスに投与した。NTAカウント、エクソソームあたりのASO分子の数、及び各ASO構築物のASO濃度を図8A~8Cに示す。マウスNLRP3を標的とする4つのエクソASOはすべて、血清にてまたは腹膜洗浄液によって測定されるようにIL-1β誘導を低減した(図9A~9E)。TNF-α及びIL-6は、PBSで処理された対照と比べて、NLRP3を標的とするエクソASOによって減少することが見いだされなかった(図10A~10C)。これらのデータはNLRP3阻害がNLRP3経路に特異的であることを示している。
【表6】
【0721】
実施例9:ヒト細胞におけるNLRP3の目的とする低減
ヒトNLRP3転写物のコンピューターによる解析を使用して100の候補NLRP3のASOを生成した。HEKレポーター細胞を試験管内にて5nMまたは20nMの各候補NLRP3のASOで処理した。処理したASOの約4分の1は少なくとも50%のノックダウンをもたらした(図11)。次に、実績の高い上位30のASOを、HEKレポーター細胞にて種々の濃度の7点用量設定に供し、NLRP3の発現についてアッセイした(図12A~12C)。7点用量設定の後の上位11候補を以下の表7に収載する。
【表7】
【0722】
全血から分離されたヒト単球を使用して実績上位のASOをさらに分析した。単離された単球はM-CSFで7~8日間培養した。次に、細胞を播種し、一晩培養した。次に、細胞を0日目にMCC950で処理した、または-2日目にヒトNLRP3のASOを発現するRNAiMAX構築物で細胞に形質移入した(またはPTGFRNを過剰発現するエクソソームに負荷されたASOで処理した)。0日目(MCC950処理した細胞のMCC950処理の1時間後)に細胞を200ng/mLのLPSで処理した。3時間後、細胞を5mMのATPで処理した。3時間後、アルファLISAを使用してIL-1βレベルを測定した。コレステロールタグ付きASOを、PTGFRNを過剰発現するエクソソームとともにインキュベートしてエクソソームの表面にASOを負荷した。
【0723】
3つのhNLRP3のASO(3094、2672、及び1664)のそれぞれは、IL-1β誘導の用量依存性の減少を誘発した(図13A~13J)。ほとんどのドナー細胞集団において、hNLRP3のASOは2nM(図13E~13G)及び10nM(図13H~15J)にてASOスクランブル対照と比べてIL-1β分泌を低減した。細胞生存率は2nM及び10nMのASOの低用量で安定したままであったが、細胞生存率は調べた3つのASOすべて及びスクランブルASO対照について50nMのASO最高用量で低減した(図13A~13D)。
【0724】
参照による組み込み
本出願に引用された刊行物、特許、特許出願、及び他の文書はすべて、あたかも各個別の刊行物、特許、特許出願、または他の文書があらゆる目的のために参照によって組み込まれるように個別に指示されるのと同じ程度に、あらゆる目的のためにそれらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0725】
均等物
種々の具体的な態様が説明され、記載されてきたが、上記明細書は制約的ではない。本発明(複数可)の精神及び範囲から逸脱することなく、種々の変更を行うことができることが理解されるであろう。多くの変型は、本明細書を考慮すれば当業者に明らかとなるであろう。
図1-1】
図1-2】
図1-3】
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I
図4J
図4K
図4L
図4M
図4N
図4O
図4P
図4Q
図4R
図4S
図4T
図4U
図4V
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図10A
図10B
図10C
図10D
図11
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図13F
図13G
図13H
図13I
図13J
【配列表】
2022544935000001.app
【国際調査報告】