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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-24
(54)【発明の名称】バッテリー状態診断装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/48 20060101AFI20221017BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20221017BHJP
   G01R 31/392 20190101ALI20221017BHJP
【FI】
H01M10/48 P
H02J7/00 Q
G01R31/392
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022510869
(86)(22)【出願日】2021-04-29
(85)【翻訳文提出日】2022-02-21
(86)【国際出願番号】 KR2021005493
(87)【国際公開番号】W WO2021246655
(87)【国際公開日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】10-2020-0067296
(32)【優先日】2020-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ヒュン-ジュン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヨン-ドク
(72)【発明者】
【氏名】キム、デ-スー
(72)【発明者】
【氏名】ジー、ス-ウォン
【テーマコード(参考)】
2G216
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
2G216BA26
5G503BA01
5G503BB02
5G503CA11
5G503EA05
5G503EA09
5G503GD03
5G503GD06
5H030AA10
5H030AS01
5H030AS08
5H030AS11
5H030FF22
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
(57)【要約】
本発明は、バッテリーが充電及び放電する状況でそれぞれ得られた微分プロファイルに基づいてバッテリーの状態を多様な側面から診断するバッテリー状態診断装置及び方法を提供することを目的とする。本発明の一態様によれば、バッテリーの充電に関連する第1微分プロファイル及びバッテリーの放電に関連する第2微分プロファイルをともに考慮してバッテリーの状態を診断するため、バッテリーの状態をより正確に診断することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーの充電中に前記バッテリーの電圧と容量とに対する第1プロファイルを取得し、前記バッテリーの放電中に前記バッテリーの電圧と容量とに対する第2プロファイルを取得するように構成されたプロファイル取得部と、
前記第1プロファイル及び前記第2プロファイルを前記バッテリーの電圧と微分容量とに対する第1微分プロファイル及び第2微分プロファイルにそれぞれ変換するように構成された微分プロファイル変換部と、
前記第1微分プロファイルに含まれた複数のピークのうち第1ターゲットピークを決定し、決定された第1ターゲットピークと予め設定された第1基準ピークとを比べた結果に基づいて前記バッテリーの第1状態を診断し、前記第2微分プロファイルに含まれた複数のピークのうち第2ターゲットピークを決定し、決定された第2ターゲットピークと予め設定された第2基準ピークとを比べた結果に基づいて前記バッテリーの第2状態を診断し、診断された第1状態及び診断された第2状態のうち少なくとも一つを用いて前記バッテリーの状態を診断するように構成された制御部と、を含む、バッテリー状態診断装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第1状態を保留状態または負極退化状態と診断し、
前記第2状態を正常状態、正極退化状態及び負極退化状態のうちいずれか一つと診断するように構成された、請求項1に記載のバッテリー状態診断装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記診断された第1状態が前記保留状態である場合、前記第2状態を診断するように構成された、請求項2に記載のバッテリー状態診断装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第1基準ピークの電圧値を基準にして所定の基準電圧を設定し、
前記第1ターゲットピークの電圧値が前記基準電圧を超過する場合、前記第1状態を前記負極退化状態と診断し、
前記第1ターゲットピークの電圧値が前記基準電圧以下である場合、前記第1状態を前記保留状態と診断するように構成された、請求項3に記載のバッテリー状態診断装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第2基準ピークの電圧値を基準にして所定の基準区間を設定し、
前記第2ターゲットピークの電圧値が前記基準区間の上限よりも大きければ、前記第2状態を前記負極退化状態と診断し、
前記第2ターゲットピークの電圧値が前記基準区間の下限よりも小さければ、前記第2状態を前記正極退化状態と診断し、
前記第2ターゲットピークの電圧値が前記基準区間に属すれば、前記第2状態を前記正常状態と診断するように構成された、請求項3または4に記載のバッテリー状態診断装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記第2基準ピークの微分容量値を基準にして所定の微分容量区間を設定し、
前記第2ターゲットピークの電圧値が前記基準区間の上限よりも大きく、且つ、前記第2ターゲットピークの微分容量値が前記微分容量区間の下限よりも小さければ、前記第2状態を前記負極退化状態と診断し、
前記第2ターゲットピークの電圧値が前記基準区間の下限よりも小さく、且つ、前記第2ターゲットピークの微分容量値が前記微分容量区間の上限よりも大きければ、前記第2状態を前記正極退化状態と診断し、
前記第2ターゲットピークの電圧値が前記基準区間に属し、且つ、前記第2ターゲットピークの微分容量値が前記微分容量区間に属すれば、前記第2状態を前記正常状態と診断するように構成された、請求項5に記載のバッテリー状態診断装置。
【請求項7】
複数のサイクルにおいて、前記微分プロファイル変換部によって変換された複数の第1微分プロファイル及び複数の第2微分プロファイルを保存するように構成された保存部をさらに含み、
前記制御部は、
前記保存部に保存された前記複数の第1微分プロファイルのそれぞれから前記第1ターゲットピークを決定し、決定された複数の第1ターゲットピークのサイクル毎の電圧の変化に基づいて前記バッテリーの第3状態をさらに診断し、前記保存部に保存された前記複数の第2微分プロファイルのそれぞれから前記第2ターゲットピークを決定し、決定された複数の第2ターゲットピークのサイクル毎の電圧の変化及び微分容量の変化に基づいて前記バッテリーの第4状態をさらに診断し、診断された第3状態及び診断された第4状態のうち少なくとも一つを用いてバッテリーの退化加速状態をさらに診断するように構成された、請求項1から6のいずれか一項に記載のバッテリー状態診断装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記第3状態を保留状態または負極退化加速状態と診断し、
前記第4状態を正常状態、正極退化加速状態及び前記負極退化加速状態のうちいずれか一つと診断するように構成された、請求項7に記載のバッテリー状態診断装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記複数の第1ターゲットピークのサイクル毎の電圧が増加する場合、前記第3状態を前記負極退化加速状態と診断するように構成された、請求項8に記載のバッテリー状態診断装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記診断された第3状態が前記保留状態である場合、前記バッテリーの前記第4状態を診断するように構成された、請求項8または9に記載のバッテリー状態診断装置。
【請求項11】
前記制御部は、
前記複数の第2ターゲットピークの前記サイクル毎の電圧値が増加し、且つ、前記複数の第2ターゲットピークのサイクル毎の微分容量値が減少する場合、前記第4状態を前記負極退化加速状態と診断し、
前記複数の第2ターゲットピークの前記サイクル毎の電圧値が減少し、且つ、前記複数の第2ターゲットピークの前記サイクル毎の微分容量値が増加する場合、前記第4状態を正極退化加速状態と診断するように構成された、請求項10に記載のバッテリー状態診断装置。
【請求項12】
請求項1から11のうちいずれか一項に記載のバッテリー状態診断装置を含む、バッテリーパック。
【請求項13】
バッテリーの充電中に前記バッテリーの電圧と容量とに対する第1プロファイルを取得し、前記バッテリーの放電中に前記バッテリーの電圧と容量とに対する第2プロファイルを取得するプロファイル取得段階と、
前記第1プロファイル及び前記第2プロファイルを前記バッテリーの電圧と微分容量とに対する第1微分プロファイル及び第2微分プロファイルにそれぞれ変換する微分プロファイル変換段階と、
前記第1微分プロファイルに含まれた複数のピークのうち第1ターゲットピークを決定し、決定された第1ターゲットピークと予め設定された第1基準ピークとを比べた結果に基づいて前記バッテリーの第1状態を診断する第1状態診断段階と、
前記第2微分プロファイルに含まれた複数のピークのうち第2ターゲットピークを決定し、決定された第2ターゲットピークと予め設定された第2基準ピークとを比べた結果に基づいて前記バッテリーの第2状態を診断する第2状態診断段階と、
診断された第1状態及び診断された第2状態のうち少なくとも一つを用いて前記バッテリーの状態を診断するバッテリー状態診断段階と、を含む、バッテリー状態診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリー状態診断装置及び方法に関し、より詳しくは、バッテリープロファイルに基づいてバッテリーの状態を診断するバッテリー状態診断装置及び方法に関する。
【0002】
本出願は、2020年6月3日付け出願の韓国特許出願第10-2020-0067296号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
近年、ノートパソコン、ビデオカメラ、携帯電話などのような携帯用電子製品の需要が急激に伸び、電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星などの開発が本格化するにつれて、繰り返して充放電可能な高性能バッテリーに対する研究が活発に行われている。
【0004】
現在、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウムバッテリーなどのバッテリーが商用化しているが、中でもリチウムバッテリーはニッケル系のバッテリーに比べてメモリ効果が殆ど起きず充放電が自在であって、自己放電率が非常に低くてエネルギー密度が高いという長所から脚光を浴びている。
【0005】
しかし、バッテリーは充電や放電が繰り返されるにつれて退化が進む。例えば、バッテリーの正極側では、電解液が酸化するか結晶構造が破壊されてバッテリーが退化し得る。負極側では、金属リチウムが析出されてバッテリーが退化し得る。従来より、バッテリーの充電過程で得られるバッテリープロファイルに基づいてバッテリーの退化を診断した。
【0006】
図1は、バッテリープロファイルの一例を概略的に示した図である。図2は、バッテリー微分プロファイルの一例を概略的に示した図である。
【0007】
具体的には、図1は、バッテリーの電圧(V)と容量(Q)とに基づいたバッテリープロファイルを示した図である。図2は、図1のバッテリープロファイルに基づいた微分プロファイルであって、バッテリーの電圧(V)と微分容量(dQ/dV)とに対する微分プロファイルを示した図である。
【0008】
例えば、図1において、バッテリープロファイルのa地点の電圧値はVa[V]であり、容量値はQa[mAh]であり得る。
【0009】
図2の微分プロファイルは複数のピークを有し得る。例えば、図2の微分プロファイルには第1ピークp1、第2ピークp2、第3ピークp3及び第4ピークp4が含まれ得る。そして、図2の第1ピークp1、第2ピークp2、第3ピークp3及び第4ピークp4は、図1のa地点、b地点、c地点及びd地点にそれぞれ対応するピークであり得る。
【0010】
従来もバッテリーの微分プロファイルに含まれたピークの挙動に基づいてバッテリーの状態を診断した。ただし、従来は充電プロファイル(充電過程で得られたプロファイル)または放電プロファイル(放電過程で得られたプロファイル)を用いてバッテリーの状態を診断するか、または、それぞれのピーク毎にバッテリーの正極退化または負極退化を制限的に診断した。
【0011】
したがって、バッテリーの微分プロファイルに含まれたピークの挙動に基づいて、バッテリー状態をより正確に且つ多様な側面から診断するための技術の開発が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、バッテリーの充電及び放電状況でそれぞれ得られた微分プロファイルに基づいてバッテリーの状態を多様な側面から診断するバッテリー状態診断装置及び方法を提供することを目的とする。
【0013】
本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解でき、本発明の実施形態によってより明らかに分かるであろう。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示される手段及びその組合せによって実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様によるバッテリー状態診断装置は、バッテリーの充電中にバッテリーの電圧と容量とに対する第1プロファイルを取得し、バッテリーの放電中にバッテリーの電圧と容量とに対する第2プロファイルを取得するように構成されたプロファイル取得部と、プロファイル取得部から第1プロファイル及び第2プロファイルを受信し、第1プロファイル及び第2プロファイルをバッテリーの電圧と微分容量とに対する第1微分プロファイル及び第2微分プロファイルにそれぞれ変換するように構成された微分プロファイル変換部と、微分プロファイル変換部から第1微分プロファイル及び第2微分プロファイルを受信し、第1微分プロファイルに含まれた複数のピークのうち第1ターゲットピークを決定し、決定された第1ターゲットピークと予め設定された第1基準ピークとを比べた結果に基づいてバッテリーの第1状態を診断し、第2微分プロファイルに含まれた複数のピークのうち第2ターゲットピークを決定し、決定された第2ターゲットピークと予め設定された第2基準ピークとを比べた結果に基づいてバッテリーの第2状態を診断し、診断された第1状態及び診断された第2状態のうち少なくとも一つを用いてバッテリーの状態を診断するように構成された制御部と、を含む。
【0015】
制御部は、第1状態を保留状態または負極退化状態と診断し、第2状態を正常状態、正極退化状態及び負極退化状態のうちいずれか一つと診断するように構成され得る。
【0016】
制御部は、診断された第1状態が保留状態である場合、第2状態を診断するように構成され得る。
【0017】
制御部は、第1基準ピークの電圧値を基準にして所定の基準電圧を設定し、第1ターゲットピークの電圧値が基準電圧を超過する場合、第1状態を負極退化状態と診断し、第1ターゲットピークの電圧値が基準電圧以下である場合、第1状態を保留状態と診断するように構成され得る。
【0018】
制御部は、第2基準ピークの電圧値を基準にして所定の基準区間を設定し、第2ターゲットピークの電圧値が基準区間の上限よりも大きければ、第2状態を負極退化状態と診断し、第2ターゲットピークの電圧値が基準区間の下限よりも小さければ、第2状態を正極退化状態と診断し、第2ターゲットピークの電圧値が基準区間に属すれば、第2状態を正常状態と診断するように構成され得る。
【0019】
制御部は、第2基準ピークの微分容量値を基準にして所定の微分容量区間を設定し、第2ターゲットピークの電圧値が基準区間の上限よりも大きく、且つ、第2ターゲットピークの微分容量値が微分容量区間の下限よりも小さければ、第2状態を負極退化状態と診断し、第2ターゲットピークの電圧値が基準区間の下限よりも小さく、且つ、第2ターゲットピークの微分容量値が微分容量区間の上限よりも大きければ、第2状態を正極退化状態と診断し、第2ターゲットピークの電圧値が基準区間に属し、且つ、第2ターゲットピークの微分容量値が微分容量区間に属すれば、第2状態を正常状態と診断するように構成され得る。
【0020】
本発明の他の態様によるバッテリー状態診断装置は、複数のサイクルにおいて、微分プロファイル変換部によって変換された複数の第1微分プロファイル及び複数の第2微分プロファイルを保存するように構成された保存部をさらに含み得る。
【0021】
制御部は、保存部に保存された複数の第1微分プロファイルのそれぞれから第1ターゲットピークを決定し、決定された複数の第1ターゲットピークのサイクル毎の電圧の変化に基づいてバッテリーの第3状態をさらに診断し、保存部に保存された複数の第2微分プロファイルのそれぞれから第2ターゲットピークを決定し、決定された複数の第2ターゲットピークのサイクル毎の電圧の変化及び微分容量の変化に基づいてバッテリーの第4状態をさらに診断し、診断された第3状態及び診断された第4状態のうち少なくとも一つを用いてバッテリーの退化加速状態をさらに診断するように構成され得る。
【0022】
制御部は、第3状態を保留状態または負極退化加速状態と診断し、第4状態を正常状態、正極退化加速状態及び負極退化状態のうちいずれか一つと診断するように構成され得る。
【0023】
制御部は、複数の第1ターゲットピークのサイクル毎の電圧が増加する場合、第3状態を負極退化加速状態と診断するように構成され得る。
【0024】
制御部は、診断された第3状態が保留状態である場合、バッテリーの第4状態を診断するように構成され得る。
【0025】
制御部は、複数の第2ターゲットピークのサイクル毎の電圧値が増加し、且つ、複数の第2ターゲットピークのサイクル毎の微分容量値が減少する場合、第4状態を負極退化加速状態と診断し、複数の第2ターゲットピークのサイクル毎の電圧値が減少し、且つ、複数の第2ターゲットピークのサイクル毎の微分容量値が増加する場合、第4状態を正極退化加速状態と診断するように構成され得る。
【0026】
本発明の他の一態様によるバッテリーパックは、本発明の一態様によるバッテリー状態診断装置を含む。
【0027】
本発明のさらに他の一態様によるバッテリー状態診断方法は、バッテリーの充電中にバッテリーの電圧と容量とに対する第1プロファイルを取得し、バッテリーの放電中にバッテリーの電圧と容量とに対する第2プロファイルを取得するプロファイル取得段階と、第1プロファイル及び第2プロファイルをバッテリーの電圧と微分容量とに対する第1微分プロファイル及び第2微分プロファイルにそれぞれ変換する微分プロファイル変換段階と、第1微分プロファイルに含まれた複数のピークのうち第1ターゲットピークを決定し、決定された第1ターゲットピークと予め設定された第1基準ピークとを比べた結果に基づいてバッテリーの第1状態を診断する第1状態診断段階と、第2微分プロファイルに含まれた複数のピークのうち第2ターゲットピークを決定し、決定された第2ターゲットピークと予め設定された第2基準ピークとを比べた結果に基づいてバッテリーの第2状態を診断する第2状態診断段階と、診断された第1状態及び診断された第2状態のうち少なくとも一つを用いてバッテリーの状態を診断するバッテリー状態診断段階と、を含む。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一態様によれば、バッテリーの充電に関連する第1微分プロファイルとバッテリーの放電に関連する第2微分プロファイルとをすべて考慮してバッテリーの状態を診断するため、バッテリーの状態をより正確に診断することができる。
【0029】
また、本発明の一態様によれば、バッテリーの退化のみを診断するのではなく、充放電サイクルに応じたバッテリーの退化加速も追跡診断することができる長所がある。
【0030】
本発明の効果は上記の効果に制限されず、他の効果は特許請求の範囲の記載から当業者に明確に理解できるであろう。
【0031】
本明細書に添付される次の図面は、発明の詳細な説明と共に本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするものであるため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】バッテリープロファイルの一例を概略的に示した図である。
図2】バッテリー微分プロファイルの一例を概略的に示した図である。
図3】本発明の一実施形態によるバッテリー状態診断装置を概略的に示した図である。
図4】本発明の一実施形態によるバッテリー状態診断装置が取得した基準プロファイルを概略的に示した図である。
図5】本発明の一実施形態によるバッテリー状態診断装置が取得した第1基準プロファイル及び第1バッテリーの第1微分プロファイルを概略的に示した図である。
図6】本発明の一実施形態によるバッテリー状態診断装置が取得した第2基準プロファイル及び第1バッテリーの第2微分プロファイルを概略的に示した図である。
図7】本発明の一実施形態によるバッテリー状態診断装置がバッテリーの状態を診断する過程を概略的に示した図である。
図8】本発明の一実施形態によるバッテリー状態診断装置が取得した第1基準プロファイル及び第2バッテリーの第1微分プロファイルを概略的に示した図である。
図9】本発明の一実施形態によるバッテリー状態診断装置が取得した第2基準プロファイル及び第2バッテリーの第2微分プロファイルを概略的に示した図である。
図10】本発明の一実施形態によるバッテリー状態診断装置が取得した第3バッテリー及び第4バッテリーの微分プロファイルを概略的に示した図である。
図11】本発明の一実施形態によるバッテリー状態診断装置を含むバッテリーパックの例示的構成を示した図である。
図12】本発明の他の実施形態によるバッテリー状態診断方法を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0034】
したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0035】
また、本発明の説明において、関連公知構成または機能についての具体的な説明が本発明の要旨を不明瞭にし得ると判断される場合、その詳細な説明は省略する。
【0036】
第1、第2などのように序数を含む用語は、多様な構成要素のうちある一つをその他の要素と区別するために使われたものであり、これら用語によって構成要素が限定されることはない。
【0037】
明細書の全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは特に言及されない限り、他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0038】
また、明細書に記載された制御部のような用語は少なくとも一つの機能や動作を処理する単位を意味し、ハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの組合せで具現され得る。
【0039】
さらに、明細書の全体において、ある部分が他の部分と「連結(接続)」されるとするとき、これは「直接的な連結(接続)」だけではなく、他の素子を介在した「間接的な連結(接続)」も含む。
【0040】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。
【0041】
図3は、本発明の一実施形態によるバッテリー状態診断装置100を概略的に示した図である。
【0042】
図3を参照すると、本発明の一実施形態によるバッテリー状態診断装置100は、プロファイル取得部110、微分プロファイル変換部120及び制御部130を含み得る。
【0043】
ここで、バッテリーは、バッテリーセルまたはバッテリーモジュールを含み得る。具体的には、バッテリーセルは、負極端子及び正極端子を備え、物理的に分離可能な一つの独立したセルを意味する。一例として、一つのパウチ型リチウムポリマーセルをバッテリーセルとして見なし得る。また、バッテリーモジュールは、一つ以上のバッテリーセルが直列及び/または並列で接続されたセルアセンブリであり得る。
【0044】
プロファイル取得部110は、バッテリーの充電中にバッテリーの電圧と容量とに対する第1プロファイルを取得するように構成され得る。また、プロファイル取得部110は、バッテリーの放電中にバッテリーの電圧と容量とに対する第2プロファイルを取得するように構成され得る。
【0045】
例えば、第1プロファイルは、バッテリーの充電中に得られたバッテリーの電圧及び電流に基づいたプロファイルであって、バッテリーの電圧と容量とに対するバッテリープロファイルであり得る。第2プロファイルは、バッテリーの放電中に得られたバッテリーの電圧及び電流に基づいたプロファイルであって、バッテリーの電圧と容量とに対するバッテリープロファイルであり得る。
【0046】
微分プロファイル変換部120は、プロファイル取得部110から第1プロファイル及び第2プロファイルを受信するように構成され得る。
【0047】
例えば、微分プロファイル変換部120とプロファイル取得部110とは、互いに通信可能に接続され得る。そして、微分プロファイル変換部120は、プロファイル取得部110から第1プロファイル及び第2プロファイルを受信し得る。
【0048】
微分プロファイル変換部120は、第1プロファイル及び第2プロファイルをバッテリーの電圧と微分容量とに対する第1微分プロファイル及び第2微分プロファイルにそれぞれ変換するように構成され得る。
【0049】
具体的には、微分プロファイル変換部120は、バッテリーの電圧と容量とに対する第1プロファイルを変換してバッテリーの電圧と微分容量(dQ/dV)とに対する第1微分プロファイルを取得し得る。また、微分プロファイル変換部120は、バッテリーの電圧と容量とに対する第2プロファイルを変換してバッテリーの電圧と微分容量とに対する第2微分プロファイルを取得し得る。
【0050】
図4図6を参照して微分プロファイル変換部120によって変換された微分プロファイルの例を説明する。
【0051】
図4は、本発明の一実施形態によるバッテリー状態診断装置100が取得した基準プロファイルを概略的に示した図である。図5は、本発明の一実施形態によるバッテリー状態診断装置100が取得した第1基準プロファイル10及び第1バッテリーの第1微分プロファイル11を概略的に示した図である。図6は、本発明の一実施形態によるバッテリー状態診断装置100が取得した第2基準プロファイル20及び第1バッテリーの第2微分プロファイル21を概略的に示した図である。
【0052】
図4図6の実施形態において、基準プロファイルは参照セルに対する微分プロファイルであり得る。具体的には、第1基準プロファイル10は、参照セルの充電過程で得られた微分プロファイルである。そして、第2基準プロファイル20は、参照セルの放電過程で得られた微分プロファイルである。望ましくは、第1基準プロファイル10及び第2基準プロファイル20は予め保存されていてもよい。
【0053】
また、望ましくは、参照セルはBOL(Beginning of Life)状態のバッテリーであって、退化していないバッテリーであり得る。例えば、参照セルは、製造または出荷直後のバッテリーであるか、または、所定の充放電サイクル(例えば、10サイクル)未満だけ駆動されたバッテリーであり得る。
【0054】
図4図6の実施形態において、第1微分プロファイル11及び第2微分プロファイル21は、第1バッテリーに対する微分プロファイルであり得る。具体的には、第1微分プロファイル11は、第1バッテリーの充電過程で得られた微分プロファイルである。そして、第2微分プロファイル21は、第1バッテリーの放電過程で得られた微分プロファイルである。
【0055】
制御部130は、微分プロファイル変換部120から第1微分プロファイル11及び第2微分プロファイル21を受信するように構成され得る。
【0056】
例えば、制御部130は、微分プロファイル変換部120と通信可能に接続され得る。そして、制御部130は、微分プロファイル変換部120から第1微分プロファイル11及び第2微分プロファイル21を取得し得る。
【0057】
図5及び図6の実施形態において、制御部130は、微分プロファイル変換部120から第1微分プロファイル11及び第2微分プロファイル21を取得し得る。
【0058】
制御部130は、第1微分プロファイル11に含まれた複数のピークのうち第1ターゲットピークtp11を決定するように構成され得る。
【0059】
図5を参照すると、第1微分プロファイル11には複数のピークが含まれ得る。第1微分プロファイル11に含まれたピークは、傾き(電圧変化量に応じた微分容量の変化量)が0である地点であり得る。望ましくは、第1微分プロファイル11に含まれたピークは、傾きが0でありながら、ピークを基準にして低電位側の傾きは正であって、高電位側の傾きは負である地点であり得る。例えば、図5の実施形態において、第1微分プロファイル11に含まれたピークとは、上方に凸状のポイントを意味し得る。
【0060】
図5の実施形態において、制御部130は、第1微分プロファイル11に含まれた複数のピークのうち電圧値が3.44[V]であるピークを第1ターゲットピークtp11として決定し得る。
【0061】
具体的には、図1を参照すると、バッテリーの充電が開始されれば、初期抵抗によってバッテリーの電圧が急激に増加し、a地点からバッテリーの電圧が徐々に増加し得る。そして、図1及び図2を参照すると、a地点に対応するピークが第1ピークp1であり得る。制御部130は、第1微分プロファイル11において第1ピークp1に対応するピークを第1ターゲットピークtp11として決定し得る。
【0062】
具体的な例として、負極活物質として黒鉛が使われたバッテリーの微分プロファイルでは、最も低電位側に位置したピークが第1ターゲットピークtp11として決定され得る。他の例として、負極活物質として黒鉛及びシリコンが使われたバッテリーの微分プロファイルでは、低電位側から二番目に位置したピークが第1ターゲットピークtp11として決定され得る。すなわち、第1ターゲットピークtp11は、微分プロファイルにおける位置、バッテリーの活物質の種類、及びバッテリーの充電開始時、初期抵抗による急激な電圧上昇が終わる地点を考慮して決定され得る。
【0063】
制御部130は、決定された第1ターゲットピークtp11と予め設定された第1基準ピークrp1とを比べた結果に基づいてバッテリーの第1状態を診断するように構成され得る。
【0064】
ここで、第1基準ピークrp1は、第1基準プロファイル10に含まれた複数のピークのうちいずれか一つに予め設定され得る。具体的には、第1基準プロファイル10に含まれた複数のピークのうち図2の第1ピークp1に対応するピークが第1基準ピークrp1に予め設定され得る。すなわち、第1基準プロファイル10の第1基準ピークrp1と第1微分プロファイル11の第1ターゲットピークtp11とは互いに対応するピークであり得る。
【0065】
例えば、図5の実施形態において、第1基準ピークrp1の電圧値は3.44[V]であり、第1ターゲットピークtp11の電圧値は3.44[V]であり得る。
【0066】
制御部130は、第1基準ピークrp1の電圧値と第1ターゲットピークtp11の電圧値とを比較し、第1基準ピークrp1の微分容量値と第1ターゲットピークの微分容量値とを比較し得る。そして、制御部130は、比較結果に基づいて、バッテリーの第1状態を保留状態または負極退化状態と診断するように構成され得る。
【0067】
ここで、保留状態とは、制御部130がバッテリーの第1状態を正常状態、正極退化状態、または負極退化状態と決定できなかった状態を意味し得る。すなわち、保留状態は、制御部130がバッテリーの状態に対する決定を留保した状態であり得る。
【0068】
仮に、バッテリーの正極が退化したと仮定する。バッテリーの充電過程において、正極側から脱離したリチウムイオンは負極側に挿入され得る。そして、正極でのリチウムイオンの脱離は、正極のコアよりは正極の表面から先に生じ得る。正極の表面からリチウムイオンが脱離するときには抵抗の影響を少なく受けるため、バッテリーの正極が退化しても、充電初期にはバッテリーの電圧値及び微分容量値が参照セルの電圧値及び微分容量値と同じであるかまたは非常に近似し得る。したがって、第1基準ピークrp1と第1ターゲットピークtp11とを比べた結果に基づいてはバッテリーの正極の退化を正確に診断できない。このような理由から、制御部130は、第1基準ピークrp1と第1ターゲットピークtp11とを比べた結果に基づいて、バッテリーの第1状態を保留状態または負極退化状態と診断し得る。
【0069】
制御部130は、第2微分プロファイル21に含まれた複数のピークのうち第2ターゲットピークtp12を決定するように構成され得る。
【0070】
望ましくは、制御部130は、診断された第1状態が保留状態である場合、第2状態を診断するように構成され得る。
【0071】
例えば、診断された第1状態が負極退化状態である場合、制御部130は、バッテリーの状態を負極退化状態と診断し得る。具体的には、制御部130は、バッテリーの状態を可用リチウムが損失された状態と診断し得る。一方、診断された第1状態が保留状態である場合は、制御部130は、バッテリーの放電に関連する第2微分プロファイル21に基づいてバッテリーの状態を補足的に診断し得る。
【0072】
図6を参照すると、第2微分プロファイル21には複数のピークが含まれ得る。第2微分プロファイル21に含まれたピークは、傾き(電圧変化量に応じた微分容量の変化量)が0である地点であり得る。望ましくは、第2微分プロファイル21に含まれたピークは、傾きが0でありながら、ピークを基準にして低電位側の傾きは負であって、高電位側の傾きは正である地点であり得る。例えば、図6の実施形態において、第2微分プロファイル21に含まれたピークとは、下方に凸状のポイントを意味し得る。
【0073】
第1微分プロファイル11のピークは上方に凸状のポイントである一方、第2微分プロファイル21のピークは下方に凸状のポイントであることは、充電と放電とによる微分容量の符号の相違に基づくことに留意する。例えば、図4を参照すると、充電過程では電圧値が低電位から高電位に上昇し、容量値が低容量から高容量に上昇し得る。したがって、微分容量値は正の値で表され得る。逆に、放電過程では電圧値が高電位から低電位に下落し、容量値が高容量から低容量に下落し得る。したがって、微分容量値は負の値で表され得る。
【0074】
以下、説明の便宜上、充電に関連するプロファイル(例えば、第1基準プロファイル10及び第1微分プロファイル11)の微分容量値は正の値であり、放電に関連するプロファイル(例えば、第2基準プロファイル20及び第2微分プロファイル21)の微分容量値は負の値であるとして説明する。ただし、このような解釈によって、放電に関連するプロファイルの微分容量値を絶対値に置換された正の値として解釈することが制限されないことに留意する。
【0075】
具体的には、放電末期では電圧が急激に減少し得る。制御部130は、第2微分プロファイル21に含まれた複数のピークのうち第2プロファイルの放電末期でバッテリーの電圧が急激に降下し始める地点に対応するピークを第2ターゲットピークtp12として決定し得る。
【0076】
図6の実施形態において、制御部130は、第2微分プロファイル21に含まれた複数のピークのうち電圧値が3.34[V]である位置のピークを第2ターゲットピークtp12として決定し得る。
【0077】
すなわち、制御部130によって決定された第1微分プロファイル11の第1ターゲットピークtp11と第2微分プロファイル21の第2ターゲットピークtp12とは互いに対応するピークであり得る。図5及び図6の実施形態において、第1ターゲットピークtp11の電圧値と第2ターゲットピークtp12の電圧値とが相異なる理由は、第1ターゲットピークtp11はバッテリーの充電過程で得られた第1プロファイル及び第1微分プロファイル11に基づいたピークであり、第2ターゲットピークtp12はバッテリーの放電過程で得られた第2プロファイル及び第2微分プロファイル21に基づいたピークであるからである。
【0078】
制御部130は、決定された第2ターゲットピークtp12と予め設定された第2基準ピークrp2を比べた結果によってバッテリーの第2状態を診断するように構成され得る。
【0079】
ここで、第2基準ピークrp2は、第2基準プロファイル20に含まれた複数のピークのうちいずれか一つに予め設定され得る。具体的には、第2基準プロファイル20に含まれた複数のピークのうち図5の第1基準ピークrp1に対応するピークが第2基準ピークrp2に予め設定され得る。すなわち、第2基準プロファイル20の第2基準ピークrp2と第2微分プロファイル21の第2ターゲットピークtp12とは互いに対応するピークであり得る。
【0080】
例えば、図6の実施形態において、第2基準ピークrp2の電圧値は3.38[V]であり、微分容量値は-5であり得る。そして、第2ターゲットピークtp12の電圧値は3.34[V]であり、微分容量値は-3.1であり得る。
【0081】
望ましくは、制御部130は、第2状態を正常状態、正極退化状態及び負極退化状態のうちいずれか一つと診断するように構成され得る。
【0082】
一般的に、バッテリーの負極が退化した場合(具体的には、可用リチウムが損失された場合)、バッテリーの放電末期で、負極側からのリチウムイオンの脱離に抵抗が大きく作用し得る。例えば、放電初期は負極の表面からリチウムイオンが脱離するが、放電末期では負極のコアからリチウムイオンが脱離するため、放電初期よりも放電末期でリチウムイオンの脱離に抵抗が大きく影響を及ぼし得る。このような放電末期でのリチウムイオンの脱離に関連する抵抗は、負極が退化するほどさらに大きく作用し得るため、放電末期で第2ターゲットピークtp12の電圧値及び微分容量値が変更され得る。したがって、制御部130は、第2基準ピークrp2と第2ターゲットピークtp12とを比べた結果に基づいてバッテリーの負極退化を診断することができる。
【0083】
また、バッテリーの正極が退化した場合、正極で反応可能な面積が減少したため正極容量が損失され得る。このような正極容量の損失によって、放電末期では過電圧の影響で第1ターゲットピークtp11の電圧値及び微分容量値が変更され得る。したがって、制御部130は、第2基準ピークrp2と第2ターゲットピークtp12とを比べた結果に基づいてバッテリーの負極退化だけでなく、正極退化も診断することができる。
【0084】
制御部130は、診断された第1状態及び診断された第2状態のうち少なくとも一つを用いてバッテリーの状態を診断するように構成され得る。
【0085】
図7は、本発明の一実施形態によるバッテリー状態診断装置100がバッテリーの状態を診断する過程を概略的に示した図である。
【0086】
図7を参照すると、制御部130は、第1基準ピークrp1と第1ターゲットピークtp11とを比べた結果に基づいてバッテリーの第1状態を診断し得る。診断された第1状態が負極退化状態である場合、制御部130は、バッテリーの状態を負極退化状態と診断し得る。
【0087】
一方、診断された第1状態が保留状態である場合、制御部130は、第2基準ピークrp2と第2ターゲットピークtp12とを比べた結果に基づいてバッテリーの第2状態を診断し得る。診断された第2状態は、正常状態、正極退化状態または負極退化状態であり得る。
【0088】
例えば、図5の実施形態において、第1基準ピークrp1と第1ターゲットピークtp11との電圧値及び微分容量値が同一であると仮定する。制御部130は、第1基準ピークrp1と第1ターゲットピークtp11との電圧値及び微分容量値が同一であるため、第1バッテリーの第1状態を保留状態と診断し得る。その後、診断された第1バッテリーの第1状態が保留状態であるため、制御部130は、第2基準ピークrp2と第2ターゲットピークtp12との電圧値及び微分容量値を比較し得る。
【0089】
図6の実施形態において、第2基準ピークrp2の電圧値が第2ターゲットピークtp12の電圧値よりも大きいと仮定する。また、第2基準ピークrp2の微分容量値が第2ターゲットピークtp12の微分容量値よりも小さいと仮定する。制御部130は、第2基準ピークrp2と第2ターゲットピークtp12との電圧値及び微分容量値を比べた結果に基づいて、第1バッテリーの第2状態を正極退化状態と診断し得る。したがって、制御部130は、第1バッテリーの状態を正極退化状態と診断し得る。
【0090】
本発明の一実施形態によるバッテリー状態診断装置100は、バッテリーの充電過程で得られた第1微分プロファイル11及びバッテリーの放電過程で得られた第2微分プロファイル21をすべて考慮してバッテリーの状態を正確に診断できる。すなわち、バッテリー状態診断装置100は、バッテリーの充電状況及び放電状況をすべて考慮してバッテリーの状態を診断できるため、充電状況または放電状況のみを考慮してバッテリーの状態を診断する場合よりもバッテリーの状態をより正確に診断することができる。
【0091】
また、バッテリー状態診断装置100は、診断されたバッテリーの状態に基づいて、バッテリーの退化がさらに進行しないように、バッテリーの充電状態の上限及び下限、温度、充電C-レート、放電C-レートのうち少なくとも一つを調節し得る。例えば、制御部130は、バッテリーに対する充電C-レート及び/または放電C-レートを下げ得る。また、制御部130は、バッテリーの充電状態の上限を下げ、充電状態の下限を上げ得る。また、制御部130は、バッテリーの温度を一定温度だけ高く維持させ得る。
【0092】
一方、バッテリー状態診断装置100に備えられた制御部130は、本発明で実行される多様な制御ロジックを実行するため、当業界に知られたプロセッサ、ASIC(application‐specific integrated circuit、特定用途向け集積回路)、他のチップセット、論理回路、レジスタ、通信モデム、データ処理装置などを選択的に含み得る。また、制御ロジックがソフトウェアとして具現されるとき、制御部130はプログラムモジュールの集合として具現され得る。このとき、プログラムモジュールはメモリに保存され、制御部130によって実行され得る。メモリは、制御部130の内部または外部に備えられ得、周知の多様な手段で制御部130と接続され得る
【0093】
以下、制御部130が第1基準ピークrp1及び第1ターゲットピークtp11を用いてバッテリーの第1状態及び第2状態を診断する構成を具体的に説明する。
【0094】
制御部130は、第1基準ピークrp1の電圧値を基準にして所定の基準電圧を設定するように構成され得る。
【0095】
例えば、図5の実施形態において、第1バッテリーの実際状態が正常状態または正極退化状態であっても、第1基準ピークrp1の電圧値と第1ターゲットピークtp11の電圧値とが同一でないことがあり得る。すなわち、第1バッテリーの電圧を測定する過程で発生し得る誤差によって、第1基準ピークrp1の電圧値と第1ターゲットピークtp11の電圧値とが同じものにならないことがある。したがって、制御部130は、第1バッテリーの電圧を測定する過程で発生し得る誤差を考慮して、第1基準ピークrp1の電圧値を基準にして所定の基準電圧を設定し得る。
【0096】
例えば、第1基準ピークrp1の電圧値が3.44[V]である場合、制御部130は、基準電圧を3.45[V]に設定し得る。
【0097】
そして、制御部130は、第1ターゲットピークtp11の電圧値と基準電圧とを比較し得る。
【0098】
例えば、第1ターゲットピークtp11の電圧値が基準電圧を超える場合、制御部130は、第1状態を負極退化状態と診断するように構成され得る。
【0099】
他の例として、第1ターゲットピークtp11の電圧値が基準電圧以下である場合、制御部130は、第1状態を保留状態と診断するように構成され得る。
【0100】
図5の実施形態において、第1基準ピークrp1の電圧値は3.44[V]であり、基準電圧は3.45[V]であり、第1ターゲットピークtp11の電圧値は3.44[V]であり得る。第1ターゲットピークtp11の電圧値(3.44[V])が基準電圧(3.45[V])未満であるため、制御部130は、第1バッテリーの第1状態を保留状態と診断し得る。その後、制御部130は、第2基準ピークrp2と第2ターゲットピークtp12とを比べて第1バッテリーの第2状態を診断し得る。
【0101】
まず、制御部130は、第2基準ピークrp2の電圧値を基準にして所定の基準区間を設定するように構成され得る。ここで、基準区間は、バッテリーの電圧を測定する過程で発生し得る誤差を考慮して設定され得る。
【0102】
例えば、図6の実施形態において、第2基準ピークrp2の電圧値が3.38[V]である場合、制御部130は、基準区間を3.37[V]以上3.39[V]以下に設定し得る。
【0103】
そして、制御部130は、第2ターゲットピークtp12の電圧値と基準区間とを比較し得る。
【0104】
例えば、第2ターゲットピークtp12の電圧値が基準区間の上限よりも大きければ、制御部130は、第2状態を負極退化状態と診断するように構成され得る。
【0105】
他の例として、第2ターゲットピークtp12の電圧値が基準区間の下限よりも小さければ、制御部130は、第2状態を正極退化状態と診断するように構成され得る。
【0106】
さらに他の例として、第2ターゲットピークtp12の電圧値が基準区間に属すれば、制御部130は、第2状態を正常状態と診断するように構成され得る。
【0107】
図6の実施形態において、第2基準ピークrp2の電圧値は3.38[V]であり、基準区間は3.37[V]以上3.39[V]以下であり、第2ターゲットピークtp12の電圧値は3.34[V]であり得る。第2ターゲットピークtp12の電圧値(3.34[V])が基準区間の下限(3.37[V])未満であるため、制御部130は、第1バッテリーの第2状態を正極退化状態と診断し得る。
【0108】
すなわち、図5及び図6を参照すると、第1微分プロファイル11に基づいた場合は第1バッテリーの第1状態が保留状態と診断されたが、第2微分プロファイル21に基づいた場合は第1バッテリーの第2状態が正極退化状態と診断され得る。
【0109】
したがって、本発明の一実施形態によるバッテリー状態診断装置100は、第1微分プロファイル11及び第2微分プロファイル21をともに考慮してバッテリーの状態を診断するため、バッテリーの状態をより正確に診断することができる。
【0110】
制御部130は、バッテリーの第2状態を診断するとき、第2ターゲットピークtp12の電圧値だけでなく、微分容量値をさらに考慮し得る。
【0111】
まず、制御部130は、第2基準ピークrp2の微分容量値を基準にして所定の微分容量区間を設定するように構成され得る。ここで、微分容量区間は、バッテリーの容量を測定し、測定された容量を微分容量に変換する過程で発生し得る誤差を考慮して設定され得る。
【0112】
例えば、図6の実施形態において、第2基準ピークrp2の微分容量値が-5である場合、制御部130は、微分容量区間を-5.5以上-4.5以下に設定し得る。
【0113】
そして、制御部130は、第2ターゲットピークtp12の電圧値を基準区間と比較し、微分容量値を微分容量区間と比較し得る。
【0114】
例えば、第2ターゲットピークtp12の電圧値が基準区間の上限よりも大きく、且つ、第2ターゲットピークtp12の微分容量値が微分容量区間の下限よりも小さければ、制御部130は、第2状態を負極退化状態と診断するように構成され得る。
【0115】
他の例として、第2ターゲットピークtp12の電圧値が基準区間の下限よりも小さく、且つ、第2ターゲットピークtp12の微分容量値が微分容量区間の上限よりも大きければ、制御部130は、第2状態を正極退化状態と診断するように構成され得る。
【0116】
さらに他の例として、第2ターゲットピークtp12の電圧値が基準区間に属し、且つ、第2ターゲットピークtp12の微分容量値が微分容量区間に属すれば、制御部130は、第2状態を正常状態と診断するように構成され得る。
【0117】
図6の実施形態において、第2基準ピークrp2の電圧値は3.38[V]であり、基準区間は3.37[V]以上3.39[V]以下であり、第2ターゲットピークtp12の電圧値は3.34[V]であり得る。また、第2基準ピークrp2の微分容量値は-5であり、微分容量区間は-5.5以上-4.5以下であり、第2ターゲットピークtp12の微分容量値は-3.1であり得る。第2ターゲットピークtp12の電圧値(3.34[V])が基準区間の下限(3.37[V])よりも小さく、且つ、第2ターゲットピークtp12の微分容量値(-3.1)が微分容量区間の上限(-4.5)よりも大きいため、制御部130は、第1バッテリーの第2状態を正極退化状態と診断し得る。
【0118】
本発明の一実施形態によるバッテリー状態診断装置100は、第1微分プロファイル11及び第2微分プロファイル21をともに考慮してバッテリーの状態を診断するだけでなく、第2微分プロファイル21でバッテリーの電圧値及び微分容量値をともに考慮してバッテリーの状態を診断できる。したがって、バッテリーの状態をより正確に診断することができる。
【0119】
以下、図8及び図9を参照して制御部130が第2バッテリーの状態を診断する実施形態を説明する。
【0120】
図8は、本発明の一実施形態によるバッテリー状態診断装置100が取得した第1基準プロファイル10及び第2バッテリーの第1微分プロファイル12を概略的に示した図である。図9は、本発明の一実施形態によるバッテリー状態診断装置100が取得した第2基準プロファイル20及び第2バッテリーの第2微分プロファイル22を概略的に示した図である。
【0121】
図8の実施形態において、第1基準ピークrp1の電圧値は3.44[V]であり、基準電圧は3.45[V]に設定され、第2バッテリーの第1ターゲットピークtp21の電圧値は3.46[V]であり得る。第2バッテリーの第1ターゲットピークtp21の電圧値(3.46[V])が基準電圧(3.45[V])よりも大きいため、制御部130は、第2バッテリーの第1状態を負極退化状態と診断し得る。そして、第2バッテリーの第2状態は診断されなくなり得る。
【0122】
上記とは異なって、図8の実施形態において、第2バッテリーの第1ターゲットピークtp21の電圧値が3.45[V]であると仮定する。この場合、第2バッテリーの第1ターゲットピークtp21の電圧値(3.45[V])が基準電圧(3.45[V])と同一であるため、制御部130は、第2バッテリーの第1状態を保留状態と診断し得る。すなわち、第2バッテリーの第1ターゲットピークtp21の電圧値が第1基準ピークrp1の電圧値の誤差範囲に属する場合、制御部130は、第2バッテリーの第2状態を診断し得る。
【0123】
図9の実施形態において、第2基準ピークrp2の電圧値は3.38[V]であり、基準区間は3.37[V]以上3.39[V]以下であり、第2ターゲットピークtp22の電圧値は3.4[V]であり得る。また、第2基準ピークrp2の微分容量値は-5であり、微分容量区間は-5.5以上-4.5以下であり、第2ターゲットピークtp22の微分容量値は-6.4であり得る。第2ターゲットピークtp22の電圧値(3.4[V])が基準区間の上限(3.39[V])よりも大きく、且つ、第2ターゲットピークtp22の微分容量値(-6.4)が微分容量区間の下限(-5.5)よりも小さいため、制御部130は、第2バッテリーの第2状態を負極退化状態と診断し得る。
【0124】
本発明の一実施形態によるバッテリー状態診断装置100は、第1微分プロファイル12を用いてバッテリーの状態を診断した後、第2微分プロファイル22を用いてバッテリーの状態を補足的にさらに診断するため、バッテリーの状態をより正確に診断することができる。
【0125】
以下、制御部130がバッテリーの退化加速状態を診断する実施形態について説明する。ただし、説明の便宜上、上述した内容と重複する説明は省略する。
【0126】
まず、図3を参照すると、本発明の一実施形態によるバッテリー状態診断装置100は保存部140をさらに含み得る。
【0127】
保存部140は、複数のサイクルにおいて、微分プロファイル変換部120によって変換された複数の第1微分プロファイル及び複数の第2微分プロファイルを保存するように構成され得る。
【0128】
具体的には、保存部140は、微分プロファイル変換部120と通信可能に接続され得る。微分プロファイル変換部120は、バッテリーの充放電サイクル毎に第1微分プロファイルと第2微分プロファイルを取得し、これらを保存部140に保存し得る。すなわち、保存部140にはバッテリーの充放電サイクル毎に第1微分プロファイルと第2微分プロファイルが保存され得る。
【0129】
また、保存部140は、制御部130がバッテリーの状態を診断するのに必要なプログラム及びデータなどを保存し得る。すなわち、保存部140は、バッテリー状態診断装置100の各構成要素が動作及び機能を実行するのに必要なデータ、若しくは、プログラムまたは動作及び機能が実行される過程で生成されるデータなどを保存し得る。保存部140は、データを記録、消去、更新及び読出できると知られた公知の情報記録手段であれば、その種類に特に制限がない。一例として、情報記録手段にはRAM、フラッシュ(登録商標)メモリ、ROM、EEPROM、レジスタなどが含まれ得る。また、保存部140は、制御部130によって実行可能なプロセスが定義されたプログラムコードを保存し得る。
【0130】
制御部130は、保存部140と通信可能に接続され得る。具体的には、制御部130は、保存部140にアクセスして、保存部140に保存された複数の第1微分プロファイル及び複数の第2微分プロファイルを取得し得る。
【0131】
制御部130は、保存部140に保存された複数の第1微分プロファイルのそれぞれから第1ターゲットピークを決定するように構成され得る。
【0132】
例えば、一つの同じバッテリーに対し、第3バッテリーとは充放電サイクル回数が100回であるときのバッテリーを意味し、第4バッテリーとは充放電サイクル回数が200回であるときのバッテリーを意味し得る。
【0133】
制御部130は、保存部140にアクセスして第3バッテリーの第1微分プロファイル13を取得し得る。また、制御部130は、第4バッテリーの第1微分プロファイル14を取得し得る。そして、制御部130は、第3バッテリーの第1微分プロファイル13から第1ターゲットピークを決定し、第4バッテリーの第1微分プロファイル14から第1ターゲットピークを決定し得る。
【0134】
制御部130は、決定された複数の第1ターゲットピークのサイクル毎の電圧の変化に基づいてバッテリーの第3状態をさらに診断するように構成され得る。
【0135】
例えば、制御部130は、第3状態を保留状態または負極退化加速状態と診断するように構成され得る。具体的には、制御部130は、複数の第1ターゲットピークのサイクル毎の電圧が増加する場合、第3状態を負極退化加速状態と診断するように構成され得る。
【0136】
バッテリーの負極が退化するほど、第1ターゲットピークの電圧値は高電位側に移動し得る。したがって、制御部130は、充放電サイクル回数が増加するほど複数の第1ターゲットピークの電圧が増加すれば、バッテリーの第3状態を負極退化加速状態と診断し得る。
【0137】
その後、制御部130は、保存部140に保存された複数の第2微分プロファイルのそれぞれから第2ターゲットピークを決定するように構成され得る。
【0138】
制御部130は、保存部140にアクセスして第3バッテリーの第2微分プロファイル23を取得し得る。また、制御部130は、第4バッテリーの第2微分プロファイル24を取得し得る。そして、制御部130は、第3バッテリーの第2微分プロファイル23から第2ターゲットピークを決定し、第4バッテリーの第2微分プロファイル24から第2ターゲットピークを決定し得る。
【0139】
制御部130は、決定された複数の第2ターゲットピークのサイクル毎の電圧の変化及び微分容量の変化に基づいてバッテリーの第4状態をさらに診断するように構成され得る。
【0140】
具体的には、制御部130は、第4状態を正常状態、正極退化加速状態及び負極退化状態のうちいずれか一つと診断するように構成され得る。
【0141】
例えば、制御部130は、複数の第2ターゲットピークのサイクル毎の電圧値が増加し、且つ、複数の第2ターゲットピークのサイクル毎の微分容量値が減少する場合、第4状態を負極退化加速状態と診断するように構成され得る。
【0142】
他の例として、複数の第2ターゲットピークのサイクル毎の電圧値が減少し、且つ、複数の第2ターゲットピークのサイクル毎の微分容量値が増加する場合、第4状態を正極退化加速状態と診断するように構成され得る。
【0143】
さらに他の例として、複数の第2ターゲットピークのサイクル毎の電圧値が同一であり、複数の第2ターゲットピークのサイクル毎の微分容量値が同一である場合、第4状態を退化非加速状態と診断するように構成され得る。
【0144】
制御部130は、診断された第3状態及び診断された第4状態の少なくとも一つを用いてバッテリーの退化加速状態をさらに診断するように構成され得る。
【0145】
望ましくは、制御部130は、診断された第3状態が保留状態である場合、バッテリーの第4状態を診断するように構成され得る。
【0146】
すなわち、診断されたバッテリーの第3状態が負極退化加速状態である場合、制御部130は、バッテリーの状態を負極退化加速状態と診断し得る。逆に、診断されたバッテリーの第3状態が保留状態である場合、制御部130は、バッテリーの第4状態を診断し、診断された第4状態に基づいてバッテリーの状態を診断し得る。
【0147】
本発明の一実施形態によるバッテリー状態診断装置100は、バッテリーの退化如何だけではなく、バッテリーの退化加速如何を診断できる。したがって、バッテリー状態診断装置100は、診断された退化加速如何に基づいて、バッテリーの退化が加速しないように、バッテリーの上端充電状態、下端充電状態、温度、充電C-レート及び放電C-レートのうち少なくとも一つを調節することができる。
【0148】
以下、図10を参照して制御部130が第1バッテリーの退化加速を診断する具体的な実施形態を説明する。
【0149】
図10は、本発明の一実施形態によるバッテリー状態診断装置100が取得した第3バッテリー及び第4バッテリーの微分プロファイルを概略的に示した図である。
【0150】
図10の実施形態において、第1バッテリーに対し、第3バッテリーとは充放電サイクル回数が100回であるときの第1バッテリーを意味し、第4バッテリーは充放電サイクル回数が200回であるときの第1バッテリーを意味し得る。
【0151】
制御部130は、第1微分プロファイル13から第3バッテリーの第1ターゲットピークtp31を決定し得る。また、制御部130は、第1微分プロファイル14から第4バッテリーの第1ターゲットピークtp41を決定し得る。第3バッテリーの第1ターゲットピークtp31の電圧値と第4バッテリーの第1ターゲットピークtp41の電圧値とは3.44[V]であり得る。
【0152】
第3バッテリーの第1ターゲットピークtp31の電圧値と第4バッテリーの第1ターゲットピークtp41の電圧値とが3.44[V]と同一であるため、制御部130は、第1バッテリーの第3状態を保留状態と診断し得る。すなわち、制御部130は、第1バッテリーの充放電サイクル回数が200回であるとき、第1バッテリーの第3状態を保留状態と診断し得る。
【0153】
そして、診断された第3状態が保留状態であるため、制御部130は、第3バッテリーの第2ターゲットピークtp32と第4バッテリーの第2ターゲットピークtp42との電圧値及び微分容量値を比べて、第1バッテリーの第4状態を診断し得る。
【0154】
まず、制御部130は、第2微分プロファイル23から第3バッテリーの第2ターゲットピークtp32を決定し得る。また、制御部130は、第2微分プロファイル24から第4バッテリーの第2ターゲットピークtp42を決定し得る。
【0155】
例えば、図10の実施形態において、第3バッテリーの第2ターゲットピークtp32の電圧値は3.35[V]であり、微分容量値は-37であり得る。また、第4バッテリーの第2ターゲットピークtp42の電圧値は3.31[V]であり、微分容量値は-25であり得る。
【0156】
第3バッテリーの第2ターゲットピークtp32の電圧値(3.35[V])は第4バッテリーの第2ターゲットピークtp42の電圧値(3.31[V])よりも大きく、且つ、第3バッテリーの第2ターゲットピークtp32の微分容量値(-37)は第4バッテリーの第2ターゲットピークtp42の微分容量値(-25)よりも小さいため、制御部130は、第1バッテリーの第4状態を正極退化加速状態と診断し得る。すなわち、制御部130は、第1バッテリーの充放電サイクル回数が200回であるとき、第1バッテリーの第4状態を正極退化加速状態と診断し得る。
【0157】
結果的に、制御部130は、第1バッテリーの状態を正極退化加速状態と診断し得る。
【0158】
このように、本発明の一実施形態によるバッテリー状態診断装置100は、バッテリーの退化を診断するだけではなく、充放電サイクルに応じたバッテリーの退化加速如何も追跡診断することができる。
【0159】
本発明によるバッテリー状態診断装置100は、BMS(Battery Management System:バッテリー管理システム)に適用され得る。すなわち、本発明によるBMSは、上述したバッテリー状態診断装置100を含み得る。このような構成において、バッテリー状態診断装置100の各構成要素のうち少なくとも一部は、従来のBMSに含まれた構成の機能を補完するか又は追加することで具現され得る。例えば、バッテリー状態診断装置100のプロファイル取得部110、微分プロファイル変換部120、制御部130及び保存部140はBMSの構成要素として具現され得る。
【0160】
図11は、本発明の一実施形態によるバッテリー状態診断装置100を含むバッテリーパック1の例示的構成を示した図である。
【0161】
図11を参照すると、バッテリー状態診断装置100は、バッテリーパック1に備えられ得る。すなわち、本発明によるバッテリーパック1は、上述したバッテリー状態診断装置100及び一つ以上のバッテリーBを含み得る。また、バッテリーパック1は、バッテリーBの電圧及び/または電流を測定するように構成された測定部200、バッテリーBを充電及び/または放電させるように構成された充放電部300、電装品(リレー、ヒューズなど)及びケースなどをさらに含み得る。また、バッテリーパック1は、バッテリーBの温度が上昇するように熱を発散可能な発熱ユニット(図示せず)をさらに含み得る。
【0162】
具体的には、測定部200は、第1センシングラインSL1及び第2センシングラインSL2を通じてバッテリーBの電圧を測定するように構成され得る。また、測定部200は、電流測定ユニットAと連結された第3センシングラインSL3を通じてバッテリーBの電流を測定し得る。プロファイル取得部110は、測定部200からバッテリーBの電圧情報及び電流情報を取得することで、第1プロファイル及び第2プロファイル取得し得る。
【0163】
図12は、本発明の他の実施形態によるバッテリー状態診断方法を概略的に示した図である。バッテリー状態診断方法の各段階はバッテリー状態診断装置100によって実行できる。
【0164】
図12を参照すると、バッテリー状態診断方法は、プロファイル取得段階S100、微分プロファイル変換段階S200、第1状態診断段階S300、第2状態診断段階S400、及びバッテリー状態診断段階S500を含み得る。
【0165】
プロファイル取得段階S100は、バッテリーの充電中にバッテリーの電圧と容量とに対する第1プロファイルを取得し、バッテリーの放電中にバッテリーの電圧と容量とに対する第2プロファイルを取得する段階であって、プロファイル取得部110によって実行できる。
【0166】
例えば、第1プロファイル及び第2プロファイルは、バッテリーの電圧と容量とに対するプロファイルであり得る。
【0167】
微分プロファイル変換段階S200は、第1プロファイル及び第2プロファイルをバッテリーの電圧と微分容量とに対する第1微分プロファイル11及び第2微分プロファイル21にそれぞれ変換する段階であって、微分プロファイル変換部120によって実行できる。
【0168】
例えば、第1微分プロファイル11及び第2微分プロファイル21は、バッテリーの電圧と微分容量とに対するプロファイルであり得る。
【0169】
第1状態診断段階S300は、第1微分プロファイル11に含まれた複数のピークのうち第1ターゲットピークtp11を決定し、決定された第1ターゲットピークtp11と予め設定された第1基準ピークrp1とを比べた結果に基づいてバッテリーの第1状態を診断する段階であって、制御部130によって実行できる。
【0170】
望ましくは、制御部130は、保留状態または負極退化状態とバッテリーの第1状態を診断し得る。
【0171】
例えば、制御部130は、第1基準ピークrp1の電圧値を基準にして所定の基準電圧を設定し得る。第1ターゲットピークtp11の電圧値が基準電圧を超過すると、制御部130は、第1状態を負極退化状態と診断し得る。逆に、第1ターゲットピークtp11の電圧値が基準電圧以下であると、制御部130は、第1状態を保留状態と診断し得る。
【0172】
第2状態診断段階S400は、第2微分プロファイル21に含まれた複数のピークのうち第2ターゲットピークtp12を決定し、決定された第2ターゲットピークtp12と予め設定された第2基準ピークrp2とを比べた結果に基づいてバッテリーの第2状態を診断する段階であって、制御部130によって実行できる。
【0173】
望ましくは、制御部130は、診断された第1状態が保留状態である場合、第2状態を診断し得る。
【0174】
例えば、制御部130は、第2基準ピークrp2の電圧値を基準にして所定の基準区間を設定し得る。第2ターゲットピークtp12の電圧値が基準区間の上限よりも大きければ、制御部130は、第2状態を負極退化状態と診断し得る。第2ターゲットピークtp12の電圧値が基準区間の下限よりも小さければ、制御部130は、第2状態を正極退化状態と診断し得る。または、第2ターゲットピークtp12の電圧値が基準区間に属すれば、制御部130は、第2状態を正常状態と診断し得る。
【0175】
バッテリー状態診断段階S500は、診断された第1状態及び診断された第2状態の少なくとも一つを用いてバッテリーの状態を診断する段階であって、制御部130によって実行できる。
【0176】
制御部130は、診断された第1状態が負極退化状態であれば、バッテリーの状態を負極退化状態と診断し得る。一方、制御部130は、診断された第1状態が保留状態であれば、診断された第2状態に応じてバッテリーの状態を正常状態、正極退化状態、または負極退化状態と診断し得る。
【0177】
上述した本発明の実施形態は、装置及び方法のみによって具現されるものではなく、本発明の実施形態の構成に対応する機能を実現するプログラムまたはそのプログラムが記録された記録媒体を通じても具現され得、このような具現は上述した実施形態の記載から当業者であれば容易に具現できるであろう。
【0178】
以上のように、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【0179】
また、上述した本発明は、本発明が属する技術分野で通常の知識を持つ者により、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で様々な置換、変形及び変更が可能であって、上述した実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、多様な変形のため各実施形態の全部または一部が選択的に組み合わせられて構成され得る。
【符号の説明】
【0180】
1:バッテリーパック
100:バッテリー状態診断装置
110:プロファイル取得部
120:微分プロファイル変換部
130:制御部
140:保存部
200:測定部
300:充放電部
B:バッテリー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】