(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-24
(54)【発明の名称】大幅の極薄金属リチウムストリップを調製するためのグラビアコーティング装置及びその方法
(51)【国際特許分類】
B05C 1/08 20060101AFI20221017BHJP
H01M 4/1395 20100101ALI20221017BHJP
B05C 9/14 20060101ALI20221017BHJP
B05C 15/00 20060101ALI20221017BHJP
B05D 1/28 20060101ALI20221017BHJP
B05D 3/12 20060101ALI20221017BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20221017BHJP
【FI】
B05C1/08
H01M4/1395
B05C9/14
B05C15/00
B05D1/28
B05D3/12 C
B05D7/24 302A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022511371
(86)(22)【出願日】2020-08-17
(85)【翻訳文提出日】2022-03-18
(86)【国際出願番号】 CN2020109438
(87)【国際公開番号】W WO2021032035
(87)【国際公開日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】201910769329.7
(32)【優先日】2019-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521228710
【氏名又は名称】北京▲衛▼▲藍▼新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING WEILION NEW ENERGY TECHNOLOGY CO., LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】李文俊
(72)【発明者】
【氏名】李永▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】侯宝▲鵬▼
(72)【発明者】
【氏名】丁▲澤▼▲鵬▼
(72)【発明者】
【氏名】李丹▲栄▼
(72)【発明者】
【氏名】何▲亜▼菲
(72)【発明者】
【氏名】李超
(72)【発明者】
【氏名】▲ユ▼会根
【テーマコード(参考)】
4D075
4F040
4F042
5H050
【Fターム(参考)】
4D075AC25
4D075AC28
4D075AC33
4D075AC84
4D075AC88
4D075AC96
4D075BB05Z
4D075CA48
4D075DA04
4D075DB02
4D075DB04
4D075DB06
4D075DC19
4D075EB01
4F040AA22
4F040AB04
4F040AC01
4F040BA26
4F040CB01
4F040CB06
4F040CB16
4F040CB23
4F040CB27
4F040CB34
4F040DA05
4F040DA16
4F040DB12
4F040DB26
4F040DB27
4F042AA22
4F042AB00
4F042BA14
4F042BA18
4F042BA19
4F042CA01
4F042CA08
4F042DB17
4F042DC01
4F042DC03
4F042DD25
4F042DD46
4F042DD47
4F042DE01
4F042DE06
4F042DF23
4F042DH03
5H050AA19
5H050BA16
5H050CB12
5H050GA02
5H050GA03
5H050GA29
5H050HA14
(57)【要約】
リチウム金属材料の製造技術分野に関する、大幅の極薄金属リチウムストリップを製造するためのグラビアコーティング装置及びその方法である。この装置は、リチウム溶融タンク(17)、マイクログラビアローラー(5)、巻き出し装置、基材バックアップローラー(7)、ホットプレス装置及び巻取り装置を含む。マイクログラビアローラー(5)の下部は、リチウム溶融タンク(17)内の溶融リチウムに浸漬されている。マイクログラビアローラー(5)の片側にはホットスクレーパー(6)が配置されており、ホットスクレーパー(6)の端部がマイクログラビアローラー(5)のローラー表面に接触している。基材バックアップローラー(7)は、マイクログラビアローラー(5)の斜め上に配置されている。巻き出し装置は、基材バックアップローラー(7)の片側に配置されている。巻取り装置は、基材バックアップローラー(7)の上に配置されている。ホットプレス装置は、基材バックアップローラー(7)と巻取り装置との間に配置され、巻き出し装置上の基材は、基材バックアップローラー(7)とホットプレス装置を通過して巻取り装置に巻かれる。この装置は、構造が簡単で設計が合理的であり、コーティングの均一性を効果的に改善し、厚さ1~50μmの極薄金属リチウムストリップの自動製造を実現し、作業効率と製品品質を大幅に向上させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大幅の極薄金属リチウムストリップを製造するためのグラビアコーティング装置であって、リチウム溶融タンクと、マイクログラビアローラーと、巻き出し装置と、基材バックアップローラーと、ホットプレス装置と、巻取り装置とを含み;前記マイクログラビアローラーの下部が、前記リチウム溶融タンク内の溶融リチウムを基材上に移すために前記リチウム溶融タンク内の溶融リチウムに浸漬されており;前記マイクログラビアローラーの片側には溶融リチウムをかき落とすためのホットスクレーパーが配置され、前記ホットスクレーパーの端部がマイクログラビアローラーのローラー表面に接触しており;前記基材バックアップローラーが、前記マイクログラビアローラーの斜め上に配置され;前記巻き出し装置が、前記基材バックアップローラーの片側に配置され、前記巻取り装置が、前記基材バックアップローラーの上に配置され、前記ホットプレス装置が、前記基材バックアップローラーと前記巻取り装置との間に配置され、前記巻き出し装置上の基材が、前記基材バックアップローラーと前記ホットプレス装置を通過して前記巻取り装置に巻かれることを特徴とする、グラビアコーティング装置。
【請求項2】
前記巻き出し装置は、処理される基材を巻き付けるための巻き出しローラーと、巻き出し自差修正装置と、巻き出し張力検出ローラーと、第1のガイドローラーとを含み、前記巻き出し自差修正装置は、前記巻き出し張力検出ローラーと前記巻き出しローラーとの間に配置され、前記第1のガイドローラーは、前記巻き出し張力検出ローラーと前記基材バックアップローラーとの間に配置され、前記巻き出しローラー上の基材は、巻き出し自差修正装置、巻き出し張力検出ローラー、第1のガイドローラー、基材バックアップローラー、及びホットプレス装置を順番に通過して巻取り装置に巻かれることを特徴とする、請求項1に記載の大幅の極薄金属リチウムストリップを製造するためのグラビアコーティング装置。
【請求項3】
前記巻取り装置は、極薄金属リチウムストリップを巻取るための巻取ローラーと、巻取自差修正装置と、巻取張力検出ローラーと、第2のガイドローラーとを含み、前記巻取自差修正装置は、前記巻取張力検出ローラーと前記巻取ローラーとの間に配置され、前記第2のガイドローラーは、前記巻取張力検出ローラーと前記ホットプレス装置との間に配置され、配合によって得られた極薄金属リチウムストリップは、前記巻取張力検出ローラー及び巻取自差修正装置を順番に通過して前記巻取ローラーに巻かれることを特徴とする、請求項1または2に記載の大幅の極薄金属リチウムストリップを製造するためのグラビアコーティング装置。
【請求項4】
前記ホットプレス装置は、ホットプレスアッパーローラー及びホットプレスロワーローラーを含み、前記ホットプレスアッパーローラーと前記ホットプレスロワーローラーは上下に平行に配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の大幅の極薄金属リチウムストリップを製造するためのグラビアコーティング装置。
【請求項5】
プレシェーピング装置と第3のガイドローラーとをさらに含み、前記第3のガイドローラーと前記プレシェーピング装置が前記基材バックアップローラーと前記ホットプレス装置との間に順次配置され、前記プレシェーピング装置が、上下に平行に配置されているプレシェーピングアッパーローラーとプレシェーピングロワーローラーとを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の大幅の極薄金属リチウムストリップを製造するためのグラビアコーティング装置。
【請求項6】
密閉作業室と、前記密閉作業室に不活性ガスを供給するための不活性ガス供給装置とをさらに含み、前記リチウム溶融タンク、前記マイクログラビアローラー、前記巻き出し装置、前記基材バックアップローラー、前記巻取り装置、前記ホットプレス装置、及び前記不活性ガス供給装置がいずれも前記密閉作業室に配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の大幅の極薄金属リチウムストリップを製造するためのグラビアコーティング装置。
【請求項7】
前記リチウム溶融タンク、前記マイクログラビアローラー、及び前記ホットスクレーパー内にはすべて加熱装置が設けられ、前記リチウム溶融タンク、前記マイクログラビアローラー、及び前記ホットスクレーパーはすべて銅製であり、前記リチウム溶融タンクの内面、前記マイクログラビアローラー及び前記ホットスクレーパーの外面は、ステンレス鋼の薄膜でメッキされていることを特徴とする、請求項1または2に記載の大幅の極薄金属リチウムストリップを製造するためのグラビアコーティング装置。
【請求項8】
前記基材バックアップローラーは、耐熱ゴム製であることを特徴とする、請求項1または2に記載の大幅の極薄金属リチウムストリップを製造するためのグラビアコーティング装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載のグラビアコーティング装置を使用して製造する、大幅の極薄金属リチウムストリップを製造する方法であって、
a、巻き出し装置上の基材を、基材バックアップローラー及びホットプレス装置に順番に通過させて巻取り装置に巻き付け、基材に張力をかけるステップと、
b、マイクログラビアローラー、ホットスクレーパー、及びホットプレス装置を予熱し、リチウム溶融タンク内の溶融リチウムを不活性ガス下で190~400℃に加熱して溶融状態を維持するステップと、
c、マイクログラビアローラー、巻き出しローラー、及び巻取りローラーを始動し、基材に張力をかけて巻取りローラーに向かって移動するように巻き取り速度を調整し、移動中にマイクログラビアローラー上の溶融リチウムが基材の表面に均一に配合され、基材がホットプレス装置を通過するときに、基材上の溶融リチウムが基材の表面に均一に圧延され、巻き取った後、片面がリチウムでコーティングされた極薄の金属リチウムストリップを得るステップと
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項10】
ステップbにおける前記マイクログラビアローラー及び前記ホットスクレーパーの加熱温度が190~230℃であり、前記ホットプレス装置の加熱温度が100~130℃であることを特徴とする、請求項9に記載の大幅の極薄金属リチウムストリップを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム金属材料の製造技術分野に関する。具体的には、大幅の極薄金属リチウムストリップを製造するためのグラビアコーティング装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
新エネルギー車や無人航空機の急速な発展に伴い、高エネルギー密度の材料として金属リチウムが登場した。現在、正極材料に合わせて負極材料として金属リチウムを使用する場合、リチウム含有量が高いためリチウム電池のエネルギー密度を向上させることができないので、極薄リチウム負極はそのエネルギー密度を改善するものとしてトレンドになっている。
【0003】
現在、大量生産されているリチウムストリップは、幅が狭く、プロセス工程が比較的複雑であり、厚みが一般的に50um以上と比較的厚く、表面の厚みの均一性が悪い。CHINA ENERGY LITHIUM CO.,LTDはリチウムストリップの有効厚さを10~20umにしたが、リチウムストリップの製造プロセスにおいて補佐として表面潤滑剤を追加する必要があるため、得られた金属リチウムストリップは、表面に薄膜が付着し、潤滑剤は高価であり、金属リチウムの性能に影響を与えるため、極薄型金属リチウムの工業的要件及び使用性能を満たすことができない。また、従来技術では、リチウムインゴットを溶融してからキャスト法、または浸漬めっき法、または蒸着法で処理した後、圧延して極薄のリチウムストリップを得るプロセスもあるが、同様の方法は操作中の制御が複雑であり、操作に対する要求が高く、最終的な圧延プロセスは、基本的に従来の金属リチウムストリップの製造とは区別がつかず、あまり革新的ではない。別のプロセスは、リチウムを溶融した後、アルゴンガスまたは押出装置を介して溶融リチウムを基材に押し出して噴霧し、押し出し速度及び基材の移動速度を制御することにより、極薄の金属リチウムストリップを得る方法である。この方法では、押し出し速度と基材の移動速度とのマッチングの調整要求が高く、デバッグが難しく、コストが高い。また、金属リチウムを粉末にして噴霧することもあるが、リチウムの活性が強いため、その粉末状態が反応して爆発しやすく、危険性が高く、工業生産の可能性が低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術の欠点を克服するために、本発明は、大幅の極薄金属リチウムストリップを調製するためのグラビアコーティング装置及びその方法を提供することを目的とする。当該グラビアコーティング装置は、構造が簡単であり、設計が合理的であり、コーティングの均一性を効果的に向上させ、金属リチウムストリップの自動連続生産を実現し、作業効率と製品品質を大幅に改善し、従来技術における極薄金属リチウムストリップの困難な調製、高コスト、及び低品質の問題を効果的に解決できる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明で採用された技術構成は以下の通りである。
【0006】
大幅の極薄金属リチウムストリップを製造するためのグラビアコーティング装置であって、リチウム溶融タンクと、マイクログラビアローラーと、巻き出し装置と、基材バックアップローラー(支持ロール)と、ホットプレス装置と、巻取り装置とを含み;前記マイクログラビアローラーの下部が、前記リチウム溶融タンク内の溶融リチウムを基材上に移すために前記リチウム溶融タンク内の溶融リチウムに浸漬されており;前記マイクログラビアローラーの片側には溶融リチウムをかき落とすためのホットスクレーパーが配置され、前記ホットスクレーパーの端部がマイクログラビアローラーのローラー表面に接触しており;前記基材バックアップローラーが、前記マイクログラビアローラーの斜め上に配置され;前記巻き出し装置が、前記基材バックアップローラーの片側に配置され、前記巻取り装置が、前記基材バックアップローラーの上に配置され、前記ホットプレス装置が、前記基材バックアップローラーと前記巻取り装置との間に配置され、前記巻き出し装置上の基材が、前記基材バックアップローラーと前記ホットプレス装置を通過して前記巻取り装置に巻かれる、グラビアコーティング装置。
【0007】
本発明の好ましい実施形態として、前記巻き出し装置は、処理される基材を巻き取るための巻き出しローラーと、巻き出し自差修正装置と、巻き出し張力検出ローラーと、第1のガイドローラーとを含み、前記巻き出し自差修正装置は、前記巻き出し張力検出ローラーと前記巻き出しローラーとの間に配置され、前記第1のガイドローラーは、前記巻き出し張力検出ローラーと前記基材バックアップローラーとの間に配置され、前記巻き出しローラー上の基材は、前記巻き出し自差修正装置、前記巻き出し張力検出ローラー、第1のガイドローラー、基材バックアップローラー、及びホットプレス装置を順番に通過して前記巻取り装置に巻かれる。
【0008】
本発明の好ましい実施形態として、前記巻取り装置は、極薄金属リチウムストリップを巻取るための巻取ローラーと、巻取自差修正装置と、巻取張力検出ローラーと、第2のガイドローラーとを含み、前記巻取自差修正装置は、前記巻取張力検出ローラーと前記巻取ローラーとの間に配置され、前記第2のガイドローラーは、前記巻取張力検出ローラーと前記ホットプレス装置との間に配置され、配合によって得られた極薄金属リチウムストリップは、前記巻取張力検出ローラー及び巻取自差修正装置を順番に通過して前記巻取ローラーに巻かれる。
【0009】
本発明の好ましい実施形態として、前記ホットプレス装置は、ホットプレスアッパーローラー及びホットプレスロワーローラーを含み、前記ホットプレスアッパーローラーと前記ホットプレスロワーローラーは上下に平行に配置されている。
【0010】
本発明の好ましい実施形態として、本発明の装置は、プレシェーピング装置と第3のガイドローラーとをさらに含み、前記第3のガイドローラーと前記プレシェーピング装置が前記基材バックアップローラーと前記ホットプレス装置との間に順次配置され、前記プレシェーピング装置が、上下に平行に配置されているプレシェーピングアッパーローラーとプレシェーピングロワーローラーとを含む。
【0011】
本発明の好ましい実施形態として、本発明の装置は、密閉作業室と、前記密閉作業室に不活性ガスを供給するための不活性ガス供給装置とをさらに含み、前記リチウム溶融タンク、前記マイクログラビアローラー、前記巻き出し装置、前記基材バックアップローラー、前記巻取り装置、前記ホットプレス装置、及び前記不活性ガス供給装置がいずれも前記密閉作業室内に配置されている。ここで、前記不活性ガス供給装置によって供給される不活性ガスはアルゴンガスである。
【0012】
本発明の好ましい実施形態として、前記リチウム溶融タンク、前記マイクログラビアローラー、及び前記ホットスクレーパーにはすべて加熱装置が設けられ、前記リチウム溶融タンク、前記マイクログラビアローラー、及び前記ホットスクレーパーはすべて銅製であり、前記リチウム溶融タンクの内面、前記マイクログラビアローラー及び前記ホットスクレーパーの外面は、ステンレス鋼のフィルムでメッキされている。
【0013】
本発明の好ましい実施形態として、前記基材バックアップローラーは、耐熱ゴム製である。
【0014】
本発明は、上記のグラビアコーティング装置を使用して製造する、大幅の極薄金属リチウムストリップを製造する方法をさらに提供し、該方法は具体的には、次のステップ:
a、巻き出し装置上の基材を、基材バックアップローラー及びホットプレス装置に順番に通過させて巻取り装置に巻き付け、基材に張力をかけるステップ、
b、マイクログラビアローラー、ホットスクレーパー、及びホットプレス装置を予熱し、リチウム溶融タンク内の溶融リチウムを不活性ガス下で190~400℃に加熱して溶融状態を維持するステップ、及び
c、マイクログラビアローラー、巻き出しローラー、及び巻取りローラーを始動し、基材に張力をかけて巻取りローラーに向かって移動するように巻き取り速度を調整し、移動中にマイクログラビアローラー上の溶融リチウムが基材の表面に均一に配合され、基材がホットプレス装置を通過するときに、基材上の溶融リチウムが基材の表面に均一にプレスされ、巻き取った後、片面がリチウムでコーティングされた極薄の金属リチウムストリップを得るステップ
を含む。
【0015】
本発明の好ましい実施形態として、ステップbにおけるマイクログラビアローラー及びホットスクレーパーの加熱温度が190~230℃であり、ホットプレス装置の加熱温度が100~130℃である。
【発明の効果】
【0016】
従来技術と比較して、本発明の有益な効果は次のとおりである。
【0017】
本発明に記載の大幅の極薄金属リチウムストリップを製造するためのグラビアコーティング装置及びその方法は、マイクログラビアローラー上の溝を使用し、巻き取り及び巻き出し速度を調整することにより、溶融リチウムを基材の表面に移し、さらに、プレシェーピング及びホットプレスプロセスにより、厚さ1~50μmの均一な極薄金属リチウムストリップを得ることができる。また、本発明のグラビアコーティング装置は、構造が簡単で設計が合理的であり、コーティングの均一性を効果的に向上させ、大幅の極薄金属リチウムストリップの自動連続生産を実現でき、従来の押出法と比較して、リチウムインゴットを押出するために高い圧力装置を必要とせず、製造プロセスにおいて装置の剛性機能への要求が少ないので、製造されるリチウムストリップの幅が制限されない。従来の浸漬めっき法と比較して、事前に大量の金属リチウムを溶融する必要がないので、基材を溶融リチウムに浸して大量の溶融リチウムの蓄積による発火現象を回避でき、安全性が高い。また、基材を溶融リチウムに浸す必要がないため、基材への高温の影響を効果的に低減できる。本発明は、マイクログラビアローラーを介して溶融リチウムを基材に移すことによって、コーティングの均一性を効果的に向上させるとともに、作業効率と製品品質を大幅に改善し、従来技術における極薄金属リチウムストリップの高コスト、複雑なプロセス、リチウムストリップ表面の低い均一性、及び低い製造効率などの問題を効果的に解決できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の大幅の極薄金属リチウムストリップを調製するためのグラビアコーティング装置の構造概略図である;
【0019】
符号の説明:
1、巻き出しローラー;2、巻き出し自差修正装置;3、巻き出し張力検出ローラー;4、第1のガイドローラー;5、マイクログラビアローラー;6、ホットスクレーパー;7、基材バックアップローラー;8、第3のガイドローラー;9、プレシェーピングアッパーローラー;10、プレシェーピングロワーローラー;11、ホットプレスアッパーローラー;12、ホットプレスロワーローラー;13、第2のガイドローラー;14、巻取り張力検出ローラー;15、巻取り自差修正装置;16、巻取りローラー;17、リチウム溶融タンク;18、密閉作業室;19、リチウム材料ローラー;20、仕込みローラー;21、第4のガイドローラー。
【発明を実施するための形態】
【0020】
添付の図面及び特定の実施形態を参照して、以下で本発明をさらに詳細に説明する。
【0021】
図1を参照すると、本発明の大幅の極薄金属リチウムストリップを製造するためのグラビアコーティング装置は、金属リチウムインゴットを溶融するためのリチウム溶融タンク17と、溶融リチウムを基材の表面に移すためのマイクログラビアローラー5と、基材を供給するための巻き出し装置と、マイクログラビアローラー5と合わせるための基材バックアップローラー7と、基材上の溶融リチウムを均一に圧延するためのホットプレス装置と、極薄金属リチウムストリップを巻き取るための巻取り装置とを含む。
【0022】
具体的には、リチウム溶融タンク17内に、金属リチウムインゴットを溶融するための加熱装置が配置されている。好ましくは、リチウム溶融タンク17は銅製であり、その内面は、ステンレス鋼の薄膜がめっきされており、溶融金属リチウムの溶融状態の安定性、熱分布の均一性、及び熱伝導の瞬時性を効果的に確保することができる。
図2を参照すると、マイクログラビアローラー5のローラー表面には、マイクログラビアローラー5の軸方向に平行に配置された複数の溝が均等に設けられており、複数の溝が間隔を置いて配置され、溶融リチウムを基材の表面に移すように溶融リチウムを収容している。好ましくは、溝の断面は長方形または半円形である。マイクログラビアローラー5の下部は、リチウム溶融タンク17内の溶融リチウムを基材の表面に移すためにリチウム溶融タンク17内の溶融リチウムに浸漬されている。マイクログラビアローラー5の片側には、マイクログラビアローラー5の表面の溶融リチウムをかき落とすためのホットスクレーパー6が配置され、ホットスクレーパー6の端部がマイクログラビアローラー5のローラー表面に密着するように接触しているが、マイクログラビアローラー5の表面上の余分な溶融リチウムをすべてかき落とすように、互いに干渉しない。マイクログラビアローラー5及びホットスクレーパー6上の溶融リチウムが少ないため、溶融リチウムがマイクログラビアローラー5及びホットスクレーパー6上で凝固しやすい。マイクログラビアローラー5及びホットスクレーパー6のいずれも、内部に加熱装置が配置されており、マイクログラビアローラー5及びホットスクレーパー6を加熱することにより、マイクログラビアローラー5及びホットスクレーパー6上の溶融リチウムを常に溶融状態に保ち、一定の粘度を持たせることができる。同様に、マイクログラビアローラー5及びホットスクレーパー6は両方とも銅製であり、マイクログラビアローラー5及びホットスクレーパー6の外面は、熔融金属リチウムの溶融状態の安定性、熱分布の均一性、及び熱伝導の瞬間性を確保するためにステンレス鋼の薄膜でめっきされている。基材バックアップローラー7は、マイクログラビアローラーの斜め上に配置され、製造中、基材バックアップローラー7のローラー表面はマイクログラビアローラー5のローラー表面と密着している。好ましくは、マイクログラビアローラー5が基材バックアップローラー7をわずかに変形させてマイクログラビアローラー5上の溝内の溶融リチウムが全て基材の表面に移されるように、基材バックアップローラー7は耐熱ゴム製である。巻き出し装置は、基材バックアップローラー7の片側に配置され、巻取り装置は、基材バックアップローラー7の上に配置され、ホットプレス装置は、基材バックアップローラー7と巻取り装置との間に配置され、巻き出し装置上の基材は、基材バックアップローラー7とホットプレス装置を通過して巻取り装置に巻かれる。上記の構成から分かるように、本発明はマイクログラビアローラー5上の溝を使用してリチウム溶融タンク17内の溶融リチウムを基材の表面に移し、その後、マイクログラビアローラー5の表面の余分な溶融リチウムをホットスクレーパー6でかき落とし、さらに基材上の溶融リチウムをホットプレス装置で均一に圧延することによって、極薄金属リチウムストリップを製造でき、ステップが少なく、操作が簡単であり、自動連続生産を実現でき、製造コストの削減に有益である。
【0023】
より具体的には、巻き出し装置は、処理される基材を巻き付けるための巻き出しローラー1と、巻き出し自差修正装置2と、巻き出し張力検出ローラー3と、第1のガイドローラー4とを含み、巻き出し自差修正装置2は、巻き出し張力検出ローラー3と巻き出しローラー1との間に配置され、第1のガイドローラー4は、巻き出し張力検出ローラー3と基材バックアップローラー7との間に配置され、巻き出しローラー1上の基材は、巻き出し自差修正装置2、巻き出し張力検出ローラー3、第1のガイドローラー4、及び基材バックアップローラー7を順番に通過して巻取り装置に巻かれる。ここで、上記基材は、ステンレス鋼箔、銅箔、鋼箔、鉄箔、及びその他の材料を含むがこれらに限定されない、金属リチウムと一定の親和性を有するが金属リチウムと反応しない耐酸化性で再利用可能な箔である。同様に、巻取り装置は、極薄金属リチウムストリップを巻取るための巻取ローラー16と、巻取自差修正装置15と、巻取張力検出ローラー14と、第2のガイドローラー13とを含み、巻取自差修正装置15は、巻取張力検出ローラー14と巻取ローラー16との間に配置され、第2のガイドローラー13は、巻取張力検出ローラー14とホットプレス装置との間に配置され、配合によって得られた極薄金属リチウムストリップは、ホットプレス装置、第2のガイドローラー13、巻取張力検出ローラー14、及び巻取自差修正装置15を順番に通過して巻取ローラー16に巻かれる。
【0024】
具体的には、ホットプレス装置は、ホットプレスアッパーローラー11及びホットプレスロワーローラー12を含み、ホットプレスアッパーローラー11とホットプレスロワーローラー12は上下に平行に配置されている。ホットプレスアッパーローラー11とホットプレスロワーローラー12との間にギャップがあり、ギャップの幅は、基材の厚さと予想されるコーティングの厚さとの合計に等しい。ホットプレスアッパーローラー11とホットプレスロワーローラー12の両方内に加熱装置が設けられており、ホットプレスアッパーローラー11とホットプレスロワーローラー12を加熱することにより、基材表面の溶融リチウムが冷却されて凝固して均一に圧延できないことを効果的に防止することができ、これによって、基材の溶融リチウムの溶融状態を保ち、基材の表面に均一かつ平坦に配合されることを確保できる。さらに、溶融リチウムがホットプレスアッパーローラー11及びホットプレスロワーローラー12に付着するのを防ぐために、ホットプレスアッパーローラー11及びホットプレスロワーローラー12の表面に特殊な表面コーティング処理を施すことができる。例えば、ホットプレスアッパーローラー11及びホットプレスロワーローラー12の表面は、銅、ニッケル、及びアルミナでめっきすることができるが、上記の材料に限定されない。これによって、溶融リチウムがホットプレスアッパーローラー11及びホットプレスロワーローラー12に汚染せず、及びリチウム材料の浪費を回避でき、製造コストを削減するのに有益である。
【0025】
マイクログラビアローラー5は、製造中に基材バックアップローラー7を圧迫するため、基材バックアップローラー7上の基材は、溝の押し出しにより、しわやムラが発生しやすい。基材のわずかな変形がリチウムストリップの性能に影響を与えるのを防ぐために、本発明の装置はまた、基材をシェービングするためのプレシェーピング装置と、基材に張力をかけるための第3のガイドローラー8とを含む。第3のガイドローラー8及びプレシェーピング装置は、基材バックアップローラー7とホットプレス装置との間に順次に配置され、第3のガイドローラー8とプレシェーピング装置との配合により、わずかに変形した基材をプレシェーピングして基材を平坦に保つことができ、これによって、後続のホットプレスプロセスを容易にすることができる。具体的には、プレシェーピング装置は、相対的に回転可能なプレシェーピングアッパーローラー9とプレシェーピングロワーローラー10とを含み、プレシェーピングアッパーローラー9とプレシェーピングロワーローラー10とが上下に平行に配置されている。プレシェーピングアッパーローラー9とプレシェーピングロワーローラー10との間は、基材が通過することができる。
【0026】
本発明の製造装置は、密閉作業室18と、密閉作業室18に不活性ガスを供給するための不活性ガス供給装置とをさらに含み、リチウム溶融タンク17、マイクログラビアローラー5、巻き出し装置、基材バックアップローラー7、ホットプレス装置、プレシェーピング装置、巻取り装置、及び不活性ガス供給装置は、溶融リチウムが酸化されず、溶融リチウムの安全性を確保するように、いずれも密閉作業室18内に配置されている。好ましくは、不活性ガス供給装置によって供給される不活性ガスはアルゴンガスである。本発明はまた、リチウム材料をリチウム溶融タンク17に輸送するための仕込み装置を含む。該仕込み装置は、順番に配置されているリチウム材料ローラー19、2つの仕込みローラー20、及び2つの第4のガイドローラー21を含む。リチウム材料ローラー19上のリチウム材料ストリップは、2つの仕込みローラー20と2つの第4のガイドローラー21との間のギャップを順番に通過し、次いで、リチウム溶融タンク17内に入り、仕込みローラー20によって駆動されて、リチウム溶融タンク17にリチウム材料ストリップ(リチウムロッドでもあり得る)を連続的に輸送する。
【0027】
上記製造装置の加工工程は次の通りである。まず、巻き出しローラー1、巻き出し自差修正装置2、巻き出し張力検出ローラー3、ガイドローラー、マイクログラビアローラー5、及び基材バックアップローラー7の間のローラーギャップをそれぞれ通過させ、次に、第3のガイドローラー8、プレシェーピング装置、ホットプレス装置、巻取張力検出ローラー14、巻取自差修正装置15、及び巻取ローラー16を通過させる。基材のスレッディングが終わったら、まず、ホットスクレーパー6の端がマイクログラビアローラー5のローラー面に干渉することなく接触するように、ホットスクレーパー6とマイクログラビアローラー5との間の距離を調整し、マイクログラビアローラー5の表面の余分な溶融リチウムをかき落とす。次に、基材バックアップローラー7とマイクログラビアローラー5との間のローラー間ギャップを調整することによって、マイクログラビアローラー5が基材バックアップローラー7を圧迫し、基材バックアップローラー7をわずかに変形させる。これによって、マイクログラビアローラー5の溝内の溶融リチウムが完全に基材の表面に移すことが確保できる。そして、リチウム溶融タンク17を190~400℃に加熱してリチウムインゴットを溶解し、溶融金属リチウムの溶融状態及び溶融リチウムの粘度を確保し、マイクログラビアローラー5及びホットスクレーパー6を190~230℃に加熱し、ホットプレス装置を100~130℃に加熱してからマイクログラビアローラー5を始動し、溶融リチウムに連続的に浸し、溝内の溶融リチウムを基材の表面に移す。冷却後、溶融金属リチウムでコーティングされた基材は、平坦性を確保するためにプレシェーピング装置によってプレシェーピングされる。次に、ホットプレス装置によりホットプレスし、基材上の溶融リチウムを均一かつ平坦に圧延するとともに、巻き取りローラー16を始動し、その巻き取り速度を連続的に調整して、極薄金属リチウムストリップを得ることができる。
【0028】
本発明はまた、上記のグラビアコーティング装置を使用して製造する、大幅の極薄金属リチウムストリップを製造する方法を提供する。該方法は主に、基材をマイクログラビアローラー5と基材バックアップローラー7との間に通してから、マイクログラビアローラー5の表面にある余分な溶融リチウムをホットスクレーパー6によってかき落とし、次に、プレシェーピング及びホットプレスプロセスを使用して、基材上で溶融リチウムを均一に圧延し、自然冷却後、極薄の金属リチウムストリップが得られる。具体的には、次のステップ:
a、巻き出し装置上の基材を、基材バックアップローラー7及びホットプレス装置に順番に通過させて巻取り装置に巻き付け、基材に張力をかけるステップ、
b、マイクログラビアローラー5及びホットスクレーパー6上の溶融リチウムを溶融状態に保ち、一定の粘度を持たせるように、マイクログラビアローラー5及びホットスクレーパー6を190~230℃に予熱し、基材上の溶融リチウムを均一且つ平坦に圧延できるように、ホットプレス装置を100~130℃に予熱し、リチウム溶融タンク17内の溶融リチウムを不活性ガス下で190~400℃に加熱して溶融状態を維持するステップ、及び
c、マイクログラビアローラー5、巻き出しローラー1、及び巻取りローラー16を始動し、基材に張力をかけて巻取りローラー16に向かって移動するように巻き取り速度を調整し、移動中にマイクログラビアローラー5上の溶融リチウムが基材の表面に均一に配合され、基材がホットプレス装置を通過するときに、基材上の溶融リチウムが基材の表面に均一に圧延され、巻き取った後、片面がリチウムでコーティングされた極薄の金属リチウムストリップを得るステップを含む。
【0029】
これから見ると、本発明に記載の大幅の極薄金属リチウムストリップを製造するためのグラビアコーティング装置及びその方法は、マイクログラビアローラー5上の溝を使用し、巻き取り及び巻き出し速度を調整することにより、溶融リチウムを基材の表面に移し、その後、プレシェーピング及びホットプレスプロセスにより、厚さ1~50μmの均一な極薄金属リチウムストリップを得ることができる。ステップが少なく、操作が簡単であり、コーティングの均一性を効果的に向上させ、極薄金属リチウムストリップの自動連続生産を実現でき、作業効率と製品品質を大幅に改善できる。
【0030】
上記の実施形態は、本発明の好ましい実施形態にすぎず、それによって本発明の保護範囲を限定してはならない。当業者が本発明に基づいたいかなる実質的ではない変更及び置換はすべて本発明の保護範囲内である。
【国際調査報告】