(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-25
(54)【発明の名称】PRDM14タンパク質の発現をダウンレギュレートする標的化siRNA製剤を使用する癌処置
(51)【国際特許分類】
C12N 15/113 20100101AFI20221018BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20221018BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20221018BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20221018BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20221018BHJP
A61K 31/7105 20060101ALI20221018BHJP
A61K 31/7115 20060101ALI20221018BHJP
A61K 31/712 20060101ALI20221018BHJP
A61K 9/127 20060101ALI20221018BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20221018BHJP
A61K 45/06 20060101ALI20221018BHJP
A61K 38/12 20060101ALI20221018BHJP
C12N 15/115 20100101ALN20221018BHJP
C07K 5/12 20060101ALN20221018BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
A61K48/00
A61P35/00
A61P35/02
A61K45/00
A61K31/7105
A61K31/7115
A61K31/712
A61K9/127
A61K47/02
A61K45/06
A61K38/12
C12N15/115 Z
C07K5/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022502022
(86)(22)【出願日】2020-07-09
(85)【翻訳文提出日】2022-03-08
(86)【国際出願番号】 US2020041473
(87)【国際公開番号】W WO2021007465
(87)【国際公開日】2021-01-14
(32)【優先日】2019-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】322010888
【氏名又は名称】アライズ プレシジョン メディシン,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ブックバインダー,ロニー
(72)【発明者】
【氏名】ニルス,ブラッド
(72)【発明者】
【氏名】ヌネズ,ニコール
(72)【発明者】
【氏名】コギンス,ニコール
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイシュ,ナレンドラ ケー.
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA19
4C076AA95
4C076BB11
4C076CC27
4C076DD26A
4C084AA13
4C084AA19
4C084AA23
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4C084ZB261
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4C084ZB271
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4C084ZC752
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086EA16
4C086MA03
4C086MA05
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB27
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA15
4H045CA40
4H045EA28
(57)【要約】
【解決手段】PRDM腫瘍性タンパク質遺伝子の発現をダウンレギュレートし、腫瘍成長を阻害する新規なsiRNAを含む癌の処置のための医薬製剤。PRDM14mRNAを破壊するために設計され、かつ選択されたsiRNAが記載されている。siRNAは、腫瘍細胞の表面上の受容体に、siRNAペイロードとのナノ粒子の特異的結合を与える腫瘍特異的な標的化リガンドを装備した1つ以上の標的化薬物送達システムによって送達される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号2~27を含む、癌細胞においてヒトPRDM14遺伝子の発現を阻害するように構成された、単離した二本鎖低分子干渉RNA(siRNA)であって、ここで、ヌクレオチドは、RNA、DNA、およびハイブリッドRNA:DNAの組み合わせであってもよく、かつ鎖は、16-30のヌクレオチド長である、低分子干渉RNA(siRNA)。
【請求項2】
siRNAは、部位特異的な塩基修飾を含む1つ以上の化学修飾を含む、請求項1に記載のsiRNA。
【請求項3】
前記化学修飾は、以下の
a.糖上の2’位置へのOメチル基の添加と、
b.糖の2’位置へのフッ素原子の添加と、
c.siRNAガイドアンチセンス鎖の3’末端での硫黄原子の酸素への置換と、の少なくとも1つを含む、請求項2に記載のsiRNA。
【請求項4】
癌細胞においてPRDM14遺伝子の発現を阻害するための医薬組成物であって、該医薬組成物は、
a.PRDM14遺伝子発現をダウンレギュレートする二本鎖siRNAと、
b.siRNAを複合化する担体と、
c.追加の治療薬と、
d.癌細胞特異的な標的化リガンドと、を含む、医薬組成物
【請求項5】
前記担体はリン酸カルシウムベースのものである、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記標的化リガンドは、タンパク質、ペプチド、およびアプタマーの群から選択される、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記標的化リガンドは、環化ポリペプチドを含む、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記標的化リガンドは、アミノ酸配列DMPGTVLPを含む、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記標的化リガンドは、アミノ酸配列DMPGTVLPを含む環化ポリペプチドを含む、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記担体はリポソーム性である、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項11】
リポソームはペグ化されている、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項12】
追加の治療薬をさらに含む、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記担体は、エラスチン様タンパク質(ELP)を有するポリペプチド、アセンブリドメイン(AD)、腫瘍特異的細胞標的化ドメイン(CTD)、およびカチオン核酸結合ドメイン(NBD)を含むナノ粒子担体である、請求項4の医薬組成物。
【請求項14】
前記CTDは、アミノ酸配列DMPGTVLPを含む、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項15】
結合された治療薬を有する薬物結合ドメイン(DBD)をさらに含む、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項16】
癌細胞においてPRDM14遺伝子の発現を阻害するための医薬組成物の治療上有効な量を投与することによってヒト癌患者を処置する方法であって、該医薬組成物は、
a.PRDM14遺伝子発現をダウンレギュレートする二本鎖siRNAと、
b.siRNAと追加の治療薬を複合化する担体と、
c.癌細胞特異的な標的化リガンドと、を含み、
d.ここで、癌細胞型は、乳癌、肺癌、食道癌、膵臓癌、卵巣癌、腎臓癌、膀胱癌、腎癌、生殖細胞癌、血液癌、白血病、頭部癌、頚部癌、および子宮頚癌の群から選択される、方法。
【請求項17】
前記担体はリン酸カルシウムベースのものである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記担体は、
a.エラスチン様タンパク質(ELP)を有するポリペプチドと、
b.アセンブリドメイン(AD)と、
c.腫瘍特異的な細胞標的化ドメイン(CTD)と、
d.カチオン核酸結合ドメイン(NBD)と、を含むナノ粒子担体である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記ナノ粒子担体は、リポソーム性である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
癌細胞の成長を抑制するために、PRDM14の発現を阻害するためにARIZ siRNAを充填された薬物送達システムを含む医薬組成物。
【請求項21】
前記ARIZ siRNAは、
a.ARIZ-022と、
b.ARIZ-023と、
c.ARIZ-024と、
d.ARIZ-025と、
e.ARIZ-026と、
f.ARIZ-032と、
g.ARIZ-033と、
h.ARIZ-034と、
i.ARIZ-038と、
j.ARIZ-039と、
k.ARIZ-040と、
l.ARIZ-044と、
m.ARIZ-061を含む群から選択される、請求項20に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医学の分野に属する。特に、本発明は癌処置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の抗癌剤治療の効果は限られている。一般的に使用される抗癌剤は、腫瘍の一時的な寛解をもたらし、患者の寿命を延ばすのに役立つ可能性があるが、ほとんどの場合、治癒的ではない。それらはしばしば癌を完全には排除せず、腫瘍はその後再び出現する可能性がある。低分子化学療法は現在、癌に対して最も広く使われている処置であるが、その作用は大部分が非特異的である。化学療法剤は、正常で健康な細胞および組織に巻き添え被害を引き起こし、深刻なオフターゲット毒作用を有する。結果的に、患者は毒性のため重い副作用に苦しむ。免疫ベースの治療法は、毒性を減少させ、生存率を改善することが期待されていたが、その見込みにもかかわらず、癌治療および良好な長期患者転帰の見通しを少しずつ改善しただけであった。標的化療法および免疫療法は、従来の化学療法の補足手段または代替的手段としてますます使用されているが、癌は一般に適応して急速に耐性を発達させ、標的化療法の効果を逃れるため、そのような療法は一般に長期的な有効性を欠いている。前述の理由で、化学療法、免疫療法、および標的化治療が治癒的であることは稀である。
【0003】
アメリカ癌協会の癌統計センターは、2019年に1,762,450の新しい癌の症例および606,880の癌による死亡を推定している。癌による高い死亡率は、癌の進行を効果的に未然に防ぐことができる新しい治療法の緊急の必要性を浮き彫りにしている。米国のすべての新しい癌症例の15%は、女性の乳癌である(Cancer.gov)。国立衛生研究所によると、これらの乳癌の症例は、毎年50%以上増加すると予想されており、新しい診断の割合は2030年までに年間44万人の女性を超えると予測されている(Cancer.gov)。さらに、2017年だけでもこの疾患の結果として40,000人以上の乳癌の女性が亡くなる(Cancer.gov)。これらの驚異的な数字は、この複雑な疾患と戦うための新しい介入の必要性を浮き彫りにしている。アメリカ癌協会によると、ほとんどの乳癌化学療法は非特異的であり、標的化学療法は乳癌症例の30%未満に適用可能である。さらに、単一点変異などの遺伝的欠陥の遺伝によって発生する乳癌はわずか5%であり、遺伝暗号自体の変更ではなく、遺伝子発現の変更によって引き起こされるエピジェネティクスなどの他の要因によって発生する乳癌の発症および治療についてさらに調査する必要がある。
【0004】
低分子干渉RNA(siRNA)は、細胞内の標的遺伝子を特異的に発現抑制する潜在力を有する。siRNA療法の実施を成功させる上での主な障害の1つは、体内の関連する作用部位に有効量のsiRNAを送達することが困難なことである。siRNAは、わずか21~23ヌクレオチドの小分子であり、腎臓による体外への排出、ヌクレアーゼやリゾチームなどの内因性酵素による分解、免疫系による攻撃を受けやすい傾向がある。さらに、裸のsiRNAの治療活性は、インビボの半減期が非常に短く、体のクリアランスが速いため、利用するのが困難である。従って、成功は、適切なsiRNAを一致させて特定の問題のある遺伝子を抑制し、同時に新規siRNAを標的部位(癌細胞など)に送達する可能性を最大化する送達システムを提供する能力によって推進される。
【0005】
上記を考慮して、癌に関与する遺伝子の発現を調節および阻害し、siRNAベースの治療の能力および有効性を促進するための分子組成物および方法が必要である。本発明は、このようなニーズなどに対応するものである。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、癌において発現される遺伝子を標的とするsiRNA分子を含む医薬組成物、およびそのような組成物を使用してそのような遺伝子の発現を発現抑制し、それによって癌性細胞の産生を阻害する方法を含む。本発明の実施形態は、PRDM14遺伝子の発現をノックダウンするように設計されたsiRNAが充填された標的化薬物送達システムを含む新しい化学物質を含む。PRDM14は、PRDM14タンパク質をコードするマスター調節遺伝子である。PRDM14の調節異常は、乳癌や肺癌、その他の癌など、いくつかの種類の癌に強く関係している。
【0007】
PRDM14遺伝子の発現を調節するように設計された、関連する薬物送達システムを含む本発明による新薬の開発は、効果的な長期治療、さらには特定の種類の癌の治療に対する差し迫った利用可能な化学療法と免疫療法は一般的に満たすことができないという必要性、を満たすことが期待される。本発明に係るこれらの新薬は、特定の癌細胞を標的とする補完的な薬物送達システムを使用することによって増強することができる効果的な解決策を提供し、それによって毒性の副作用および健康な細胞および組織への損傷を最小限に抑える。
【0008】
本発明は、一例として、PRDM14遺伝子の調節異常によって引き起こされる癌の種類を治療するために最適化された特徴の組み合わせを有する製剤中の新規のsiRNAを提供する。本発明は、選択された抗PRDM14 siRNA治療ペイロードの、癌細胞特異的標的化リガンドで配列された1つ以上の送達システムへの複合体形成を提供する。
【0009】
いくつかの実施形態では、本発明は、癌細胞部位に優先的にsiRNAを送達するために、ナノ粒子薬物送達ビヒクルと協調してsiRNAを含む。ナノ粒子薬物送達システムは、siRNAを循環中の分解と除去から保護し、標的となる癌細胞へのsiRNAの内在化を仲介する。さらに、本発明に係る薬物送達システムは、ナノ粒子表面状で表示された標的化リガンドを含む場合がある。
【0010】
他の実施形態では、本発明に係る薬物送達システムは、非粒子状担体(例えば、アプタマー)を使用して、siRNAを特定の種類の癌細胞に選択的に標的化する。
【0011】
標的化リガンドは、腫瘍細胞または癌幹細胞の表面上で高度に発現される特有の受容体または他の部分を標的とする。標的化リガンドは、癌細胞を正常な非癌細胞から区別する。リガンドは、タンパク質、ペプチド、アプタマー、または好ましくは高い特異性および親和性で標的化された癌細胞に結合することができる他のクラスの分子であり得る。標的化のアプローチは、癌性細胞を正常な健康な細胞から区別し、癌部位での薬物の優先的な送達と蓄積をもたらし、従って、治療効果を高め、患者への毒性を最小限に抑える。
【0012】
1つ以上の抗PRDM14 siRNAに加えて、薬物送達システムは、化学療法剤、または癌細胞の増殖および拡散を阻害、殺傷、または停止するのを助ける任意のコンパニオンペイロードなどの他の治療薬を組み込むことができる。
【0013】
上記の新規の特徴の組み合わせを提供することにより、本発明は、調節異常のPRDM14によって引き起こされるものを含む特定の癌の治療のための効果的な医薬組成物を提供することによって緊急の必要性を満たす。本発明は、現在の処置オプションの欠点に対処し、特定の癌に苦しむ無数の人々に救済を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、PRDM14 mRNAに対して相補性を有するsiRNAペイロードを含むナノ粒子薬物送達システムを含む、本発明の1つの実施形態による例を示す。
【
図2】
図2は、発明特定事項に係る、アミノ酸配列DMPGTVLPDを有する環化ペプチド標的化リガンドを含むsiRNA送達システムを示し、これは、乳癌細胞に高い特異性および親和性で結合する。
【
図3】
図3は、本発明に係る、抗PRDM14 siRNAsを有するトランスフェクション後に乳癌細胞(細胞株MCF-7)の細胞の生存率アッセイ結果を示す。
【
図4】
図4は、本発明に係る、抗PRDM14 siRNAでのトランスフェクション後の対照細胞(細胞株CCD112、正常結腸線維芽細胞)の細胞生存率アッセイの結果を示す。
【
図5】
図5は、本発明に係る、抗PRDM14 siRNAでのトランスフェクション後の肺癌細胞(細胞株A549)の細胞生存率アッセイの結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態は、ヒトおよび動物の様々な癌を処置するために新規な化学成分を含む。特に、本発明は、PRDM14遺伝子の発現を発現抑制するように設計されたsiRNAを充填された標的化薬物送達システムを含み、それにより癌性増殖を阻害する。
【0016】
第1の態様では、本発明は、ヒトPRDM14遺伝子配列(本明細書に配列番号1、およびRefSeq Accession番号:NM_024504として同定されている)の隣接部分に相補的である配列を有する16-30ヌクレオチド長である単離されたオリゴリボヌクレオチド(siRNA)を含む。
【0017】
以下の表1は、発明特定事項に係る、PRDM14遺伝子の発現をダウンレギュレートし、かつ癌成長を阻害するために設計されたsiRNA配列を表記する。ある実施形態では、部位特異的な塩基および骨格の修飾をsiRNAに組み込んで、siRNAを分解および排除から保護し、免疫原性を防ぎ、オフターゲット効果の可能性を最小限に抑えることができる。
【0018】
図1は、PRDM14 mRNAに対して相補性を有するsiRNAペイロードを含むナノ粒子薬物送達システムを含む、本発明の1つの実施形態による例を示す。ナノ粒子は、siRNAのための担体および薬物送達システムとして働く。ナノ粒子は、健康な細胞ではなく、特定の型の癌細胞への親和性を有する標的化剤を含む。いったんナノ粒子が癌細胞と結合すると、ナノ粒子はsiRNAを癌細胞へと放出し、その死を引き起こす。siRNAと標的化剤を有する複数のナノ粒子は、健康な細胞への害を回避する間に標的とされた癌細胞を有効に死滅させるのに十分な投与量で対象に導入される。
【0019】
図2は、発明特定事項に係る、アミノ酸配列DMPGTVLPDを有する環化ペプチド標的化リガンドを含むsiRNA送達システムを示し、これは、高い特異性および親和性で乳癌細胞に結合する。この抗PRDM14 siRNA ARIZ-026(配列番号10および11)は、第5の実施形態に関して以下でさらに論じられ、(チオール-マレイミド-PEG)リンカーを介して環化標的化リガンドc(DMPGTVLPD)にコンジュゲートされ得る。c(DMPGTVLPD)は、高い特異性および親和性で乳癌細胞と結合することを実証されたDMPGTVLPDペプチドの環化されたバージョンである。結果として生じたc(DMPGTVLPD)-PEG-MAL-siRNA分子は
図2に例示される。
【0020】
ある実施形態では、発明の医薬組成物は、単一のsiRNAペイロードを有しても良い。他の実施形態では、医薬組成物は、治療用有効性を増強するために1つのsiRNAペイロード以上に含むことがある。まだ他の実施形態では、医薬組成物は、癌治療の有効性を高めるために、PRDM14以外の標的遺伝子に対して向けられた追加のsiRNAをさらに含み得る。さらに別の実施形態では、医薬組成物は、化学療法剤などの従来の抗癌剤、または治療効果を増強し得る任意の他のコンパニオンペイロードをさらに含み得る。発明特定事項は、腫瘍内注射、皮下注射、静脈内および吸入を含む、対象への医薬組成物の導入のための様々な手段を含む。患者の治療に選ばれる方法は、患者の状態および癌の種類に基づいて決定される。
【0021】
以下の表1に表記されているsiRNAは、患者に送達されると、リポソームなどの薬物送達システム、または脂質、シクロデキストリン、キトサン、炭水化物ポリマー、エラスチン様ポリマー(ELP)、カルシウムリン酸ポリマー、またはそれらの組み合わせで構成されるナノ粒子を介して増強される場合がある。
【0022】
siRNAは、コンパニオンペイロードとともに、癌特異的標的化ナノ粒子またはアプタマーなどの他の型の癌標的化薬物送達システムを介して癌細胞に優先的に送達され、正常で健康な細胞の損傷を回避し、裸のsiRNAを分解し、循環系のペイロード全体を安定させ、癌細胞へのsiRNAの効率的な内在化を仲介する。
【0023】
siRNAの送達に関連するナノ粒子は、脂質、リポソーム、糖、デキストラン、リン酸カルシウム、キトサン、ペプチド、およびプラスチックポリマーを含むがこれらに限定されない担体材料の組み合わせから組み立てることができる。
【0024】
ある実施形態では、医薬組成物は、正常で健康な細胞よりも癌細胞用のsiRNAペイロードの選択性を増強するために癌細胞標的化リガンドをさらに含む。標的化リガンドは、癌細胞表面上で特異的に過剰発現され、癌細胞を正常細胞から相違を示す受容体、または他の部分に結合するために選択されている。ある実施形態では、標的化リガンドは、ポリペプチド、アプタマー、または高い特異性および親和性で標的化された癌細胞に結合することができる他のクラスの分子であり得るが、これらに限定されない。
【0025】
ある実施形態では、標的化リガンドは、ペプチド(例えば、乳癌細胞に高い特異性および親和性で結合するための、線状または環状形態のペプチドDMPGTVLP)であり得るが、これに限定されない。
【0026】
ある実施形態では、ナノ医薬品粒子は、siRNAとリン酸カルシウム担体材料との複合体形成によって形成される。他の実施形態では、ナノ粒子はエラスチン様ポリペプチド(ELP)から組み立てられることがある。さらに別の実施形態では、薬物送達システムはリポソーム性であってもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達システムは、血流中の薬物の寿命を延ばし、免疫系による破壊から薬物送達システムを保護するために、保護層でコーティング(例えば、リポソームのPEG化)され得る。
【0027】
発明特定事項は、主に、PRDM14遺伝子の調節異常によって引き起こされる癌の処置に方向付けられているが、他の癌が影響を受ける可能性がある。ある実施形態では、医薬組成物は、乳房、肺、食道、膵臓、卵巣、腎臓、膀胱、腎、生殖細胞、白血病、頭部および頸部、または子宮頚の癌に苦しむ患者を処置するために製剤されることがあるが、それに制限されない。
【0028】
好ましい実施形態では、部位特異的な塩基および骨格修飾を有する抗PRDM14siRNAは、化学療法コンパニオンペイロードとともにELPベースのナノ粒子に複合体化され、DMPGTVLP標的化リガンドを使用して乳癌細胞を標的化する。
【0029】
以下に提供される表1は、発明特定事項に係るPRDM14発現に対して方向付けられたsiRNA複式のリストであり、ここで、4=2’OMe-U;ボールド体=ホスホロチオエート;およびP=ホスフェートである。
【0030】
【0031】
【0032】
以下の実施形態は、発明特定事項に係る医薬組成物の予想される使用および有効性を記載している。
【0033】
発明特定事項に係る第1の実施形態では、組成物は、ヒト乳癌細胞(細胞株MCF-7)を死滅させるために本発明に係るsiRNAの使用および有効性を説明して記載されている。
図3のチャートで示される結果は、インビトロの実験作業を反映する。
【0034】
MCF-7癌細胞は、96ウェルプレート(1,000個の細胞/ウェル)にプレーティングされ、24時間後、MCF-7癌細胞は、0.3μlのリポフェクタミン(Invitrogen,Inc.)を使用して、20nMのsiRNA(ARIZ-040(配列番号22と23)、ARIZ-044(配列番号24と25)、およびARIZ-026(配列番号10と11)を含む)でトランスフェクトされた。液体媒体は、2日後に交換され、および4日後、未処理細胞に対するパーセント細胞生存率が決定された。対照として、正常な結腸線維芽細胞細胞(細胞株CC112)は、siRNAの同じセットで処置された。
【0035】
図3および
図4のチャートを参照すると、ARIZ-040(配列番号22と23)、ARIZ-0044(配列番号24と25)、およびARIZ-026(配列番号10と11)を含む様々なsiRNAにさらされた後の正常な結腸線維芽細胞(細胞株CCD112)と比較したMCF-7乳癌細胞の結果として生じる細胞生存率が示される。
【0036】
したがって、示されるように、抗PRDM14 siRNA(ARIZ-040(配列番号22と23)、ARIZ-0044(配列番号24と25)、およびARIZ-026(配列番号10と11))は、スクランブルさられたsiRNA陰性対照と比較して、MCF-7乳癌細胞を死滅させるのに効果的であった。結果はさらに、発明特定事項およびこの第1の実施形態に係る抗PRDM14 siRNAが、正常な結腸線維芽細胞の死滅が最小限であったため、癌細胞を特異的に攻撃することを実証している。
【0037】
発明特定事項に係る第2の実施形態では、
図5を参照すると、組成物は、ヒト肺癌細胞(細胞A549)を死滅させるためのsiRNAsの使用および有効性を説明して記載されている。
図4のチャートで示される結果は、インビトロの結果を反映する。
【0038】
A549癌細胞は、96ウェルプレート(1,000個の細胞/ウェル)にプレーティングされ、24時間後、A549癌細胞は、0.3μlのリポフェクタミン(Invitrogen,Inc.)を使用して、20nMのsiRNAs(ARIZ-040(配列番号22と23)、ARIZ-0044(配列番号24と25)およびARIZ-026(配列番号10と11))でトランスフェクトされた。液体媒体は、2日後に交換され、および4日後、パーセント細胞の生存率は未処理細胞に対する決定された。
【0039】
図5のチャートは、ARIZ-040(配列番号22と23)、ARIZ-0044(配列番号24と25)およびARIZ-026(配列番号10と11)を含むsiRNAにさらされた後に生じるA549肺癌細胞の細胞生存率を示している。したがって、本発明に係る抗PRDM14 siRNAは、スクランブルされたsiRNA陰性対照と比較してA549肺癌細胞を死滅させるのに効果的であった。
【0040】
第3の実施形態では、記載された発明特定事項はとりわけ乳癌細胞を対象としている。本発明の第3の実施形態に係る医薬組成物の投与のための潜在的な臨床アナログを説明すると、部位特異的な塩基および骨格修飾を有する抗PRDM14 siRNA(ARIZ-061(配列番号26と27))は、薬物結合ドメインを介して標的とされたナノ粒子に結合した化学療法コンパニオンペイロードと共にELPベースのナノ粒子に複合体化され、その後、DMPGTVLP標的化リガンドで乳癌細胞に標的化され得る。
【0041】
第3の実施形態は、腫瘍にsiRNAまたは他の薬物を標的化するためのタンパク質ナノ粒子系を含む。送達システムの基本は、siRNAの核酸に曝露されると自己集合するエラスチン様ペプチド(ELP)である。標準的な遺伝子工学技術によって、特異的な標的化ペプチドがELPのコア構造に融合されている。ELPは、負電荷を帯びたsiRNAの結合のためのカチオン核酸結合ドメイン(NBD)と、ナノ粒子への個々のポリペプチド分子の自己集合を制御するアセンブリドメイン(AD)と、ペプチド標的化リガンドを含む細胞標的化ドメイン(CTD)とを含む。ELPはさらに、より大きな治療効果のためにコンパニオンペイロード(例えば、化学療法剤)を複合化することを可能にする薬物結合ドメイン(DBD)を含んでいてもよい。
【0042】
ELPベースのナノ粒子は、CTD内に標的化ペプチドDMPGTVLPを含むように操作されたELP構築物と、化学療法薬ドキソルビシンを結合する薬物結合ドメインとを用いて形成することができる。DMPGTVLPリガンドは、高い特異性と親和性で乳癌細胞に結合することによって、乳癌細胞を標的とする。ナノ粒子は、抗PRDM14 siRNA ARIZ-061(配列番号26と27)および治療上有効な量のドキソルビシンを有する複合体として形成される。設計されたsiRNAの効力を評価するために、このようにして生成された薬物製剤は、300万個の乳房転移性腫瘍細胞を雌マウスに皮下注射し、10日間にわたって腫瘍を成長させることによって形成された腫瘍を有するヌードマウスに投与される。処置は、薬物製剤の最大5回の注射からなり、各注射は10マイクロリットルの1nmolのsiRNAを腫瘍に直ちに、または5mg/kgのsiRNAを静脈内に送達する。同様の腫瘍を持つ同数のマウスには、陰性対照として、スクランブルされたsiRNA配列を含むナノ粒子が注射される。処置された腫瘍は、4週間の投与後に摘出され、測定され、重量が測定される。腫瘍におけるPRDM14 mRNAの発現は、標準的な分析方法を用いてqPCRにより測定されることになる。腫瘍中のPRDM14タンパク質の発現は、標準的な分析法を用いるウエスタンブロット法により測定されることになる。
【0043】
発明特定事項に係る、抗PRDM siRNA、ARIZ-061を含有する新規な製剤を投与したマウスの腫瘍は、スクランブルsiRNAで処置したマウスと比較して大きさと受領が50%~90%小さくなる。ARIZ-061に基づき抗PRDM siRNA製剤で処置したマウスの腫瘍中でのPRDM14 mRNAおよびPRDM14タンパク質の発現は、陰性対照と比較して50%~90%低下する。
【0044】
第4の実施形態では、記載された発明特定事項は、具体的には肺癌細胞に関するものである。この第4の実施形態は、発明特定事項に係る、siRNAに影響を及ぼす癌処置用の標的化された自己組織化ナノ粒子薬物送達システムを含んでおり(ARIZ-044(配列番号24と25))、siRNAは、チオール-マレイミド-PEGリンカーを介して環状ペプチド標的化リガンドに直接コンジュゲートされ、ナノ粒子は、標的受容体を発現する癌細胞にsiRNAペイロードを特異的に送達することが可能である。
【0045】
この第4の実施形態は、siRNAを抱えるナノ粒子をヒト肺癌腫瘍に対して特異的に標的化するべく、リガンドとして小さなシクロペプチド(シクロ(Arg-Gly-Asp)-d-Phe-Lys[PEG-MAL])(cRGD)に影響を及ぼす。cRGDは、インテグリンαvβ3受容体を特異的に標的とする。この受容体は、ヒトにおいて肺癌腫瘍を含む多くの種類の固形腫瘍上で過剰発現される。c(RGD)は、VEGF受容体2(VEGFR2)を対象とするsiRNAにコンジュゲートされる。VEGFR2は、内皮管の増殖と移動をもたらし、その結果として腫瘍の血管新生と血管成長を促進するシグナル伝達経路に関与する。c(RGD)/siRNAナノ粒子は、siRNAをA549肺癌細胞へ運び、インビトロとインビボの両方でVEGFR2遺伝子を発現抑制する。癌を抱えるマウスでは、静脈注射されたcRGD-siRNA分子は、先天性免疫応答を生じさせず、生体内で腫瘍組織へと分布する。siRNAを抱えるナノ粒子の静脈内注射は、マウスモデル系における腫瘍成長および血管新生を阻害する。cRGD-siRNAsの連続全身送達は、腫瘍中の対応するmRNA(45%~50%)とタンパク質(45%~65%)のダウンレギュレーションのほか、全体的な腫瘍体積の減少(70%~90%)をもたらした。
【0046】
c(RGD)-siRNAナノ粒子は、抗PRDM14 siRNA ARIZ-044(配列番号24と25)を使用して形成される。c(RGD)-siRNAは、A549肺癌腫瘍を抱えるマウスに静脈内注射される。その後、マウスは、処置における任意の有毒作用についてモニタリングされ、治療の有効性を判定するために腫瘍サイズが測定される。腫瘍中のPRDM14 mRNAおよびPRDM14タンパク質の発現が、解析される。
【0047】
この第4の実施形態に基づいて、抗PRDM14 siRNA(ARIZ-044(配列番号24と25))を有するc(RGD)-siRNAナノ粒子で処置されたマウスの腫瘍は、対照の非標的化siRNA分子にコンジュゲートしたcRGDを注射された対照のマウスの腫瘍よりもサイズが70%~90%小さくなる。c(RGD)誘導性抗PRDM14 siRNAで処置されたマウスのA549肺癌腫瘍におけるPRDM14 mRNAおよびPRDM14タンパク質の発現は、陰性対照と比べて50%以上減少する。
【0048】
第5の実施形態では、記載される発明特定事項は、特に、乳癌細胞に関する。
図2を再び参照すると、この第5の実施形態は、癌処置のための標的化薬物送達システムを含み、このシステムは、抗PRDM14 siRNAペイロード(ARIZ-026(配列番号10と11))を癌細胞に特異的に送達する標的化リガンドを表示するためのカルシウムホスホシリケートナノ担体(NanoJacket)を含む。
【0049】
リン酸カルシウムナノ粒子は、治療目的のために、標的化癌細胞にsiRNAを送達するための担体ビヒクルとして機能する。本明細書で「siRNA NanoJacket」と呼ばれるこれらのナノ粒子は、安定しており無毒である。siRNA NanoJacketは、動物モデルにおけるヒト乳癌細胞に対して効果的であることが示されている。ペプチド、抗体、またはアプタマーなどの、腫瘍を特異的に標的とする部分をNanoJacket表面に結合することによって、治療効果を増大させることができる。
【0050】
抗PRDM14 siRNA ARIZ-026(配列番号10と11)は、チオール-マレイミド-PEGリンカーによって環化された標的化リガンドc(DMPGTVLPD)にコンジュゲートされ得る。c(DMPGTVLPD)は、高い特異性および親和性で乳癌細胞に結合することが示されたDMPGTVLPDペプチドの環化されたバージョンである。結果として生じるc(DMPGTVLPD)-PEG-MAL-siRNA分子を、
図2に例示する。c(DMPGTVLPD)-PEG-MAL-siRNA分子は、標的化リン酸カルシウムNanoJacket粒子へと組み立てられる。siRNA効力を評価するために、このように生成された薬物製剤は、300万の乳房転移性腫瘍細胞をメスのマウスに皮下注射し、10日の期間にわたって腫瘍を増殖させることによって形成された腫瘍を有するヌードマウスに投与される。その処置は薬物製剤の最大5回の注射からなり、各注射は、10マイクロリットルの1nmolのsiRNAを腫瘍に、または5mg/kgを静脈内に送達する。同様の腫瘍を抱える同数のマウスに、陰性対照としてスクランブルsiRNA配列を含むナノ粒子を注射する。4週間の投与後に腫瘍を取り出し、測定し、秤量する。腫瘍におけるPRDM14 mRNAの発現を、標準分析法を使用してqPCRによって測定する。腫瘍におけるPRDM14タンパク質の発現を、標準分析法を使用してウェスタンブロッティングによって測定する。
【0051】
第5の実施形態に係る、抗PRDM siRNAを含有する製剤を投与したマウスの腫瘍は、スクランブルsiRNAで処置したマウスと比較して大きさと重量が50%~90%小さくなる。抗PRDM siRNA製剤で処置したマウスの腫瘍中でのPRDM14 mRNAおよびPRDM14タンパク質の発現は、陰性対照と比較して50%~90%低下する。
【0052】
第6の実施形態では、記載される発明特定事項は、特に、乳癌細胞に関する。この第6の実施形態は、本発明に係る乳癌処置のための標的化薬物送達システムの使用の例証を提供し、このシステムは、アプタマーがヌクレオリン受容体を標的とし、そしてsiRNAが癌毒性6量体シード配列(seed sequence)を含む、アプタマー/siRNA製剤を含む。
【0053】
ヌクレオリンは、癌細胞および腫瘍に関連する血管中で過剰発現されることで知られている受容体である。それは、腫瘍形成および血管新生を補助する様々なプロセスに関係している。その過剰発現は、乳癌を含む様々なヒトの癌で実証されている。抗PRDM14 siRNAは、ヌクレオリン受容体に強くかつ特異的に結合するように選択された、RNAアプタマーを使用して、乳癌細胞を標的とする。
【0054】
ヌクレオリンを特異的に標的とするRNAアプタマーは、SELEX法を使用してRNAライブラリから単離される。このように同定されたアプタマーは、16ヌクレオチドの「粘着性」3’末端を含むように合成され、そしてアンチセンス(ガイド)鎖の3’末端上の相補的な「粘着性」末端によって、抗PRDM siRNAに結合される。siRNAは、癌毒性6量体シード配列でさらに設計される。
【0055】
siRNA効力を評価するために、このように生成されたアプタマー/siRNA複合体は、300万の乳房転移性腫瘍細胞をメスのマウスに皮下注射し、10日の期間にわたって腫瘍を増殖させることによって形成された腫瘍を有するヌードマウスに投与される。その処置は薬物製剤の最大5回の注射からなり、各注射は、10マイクロリットルの1nmolのsiRNAを腫瘍に、または5mg/kgを静脈内に送達する。同様の腫瘍を抱える同数のマウスに、陰性対照としてスクランブルsiRNA配列を含むアプタマー/siRNA複合体を注射する。3週間の投与後に腫瘍を取り出し、測定し、秤量する。腫瘍におけるPRDM14 mRNAの発現を、標準分析法を使用してqPCRによって測定する。腫瘍におけるPRDM14タンパク質の発現を、標準分析法を使用してウェスタンブロッティングによって測定する。
【0056】
発明特定事項に係る、抗PRDM siRNAを含有するこの第6の実施形態に係る製剤を投与したマウスの腫瘍は、スクランブルsiRNAで処置したマウスと比較して大きさと重量が50%~90%小さくなる。抗PRDM siRNA製剤で処置したマウスの腫瘍中でのPRDM14 mRNAおよびPRDM14タンパク質の発現は、陰性対照と比較して50%~90%低下する。
【0057】
第7の実施形態では、記載された発明特定事項は、乳癌細胞へ特に方向付けられる。第7の実施形態は例示する、癌治療用のサイル療法系、抗PRDM14 siRNAを用いる複雑にされた、含むリポソームのsiRNA/ファージ融合タンパク質担体、と仲間の化学療法のペイロード、複合体ここで、特異的に癌細胞にsiRNAペイロードを送達されるために標的化リガンドを表示する。
【0058】
サイル療法ナノ担体は、リポソーム粒子の中へのリン脂質分子を用いる自分で集まるペプチド標的化リガンドを運ぶ景観ファージ融合タンパク質を含む。ナノ粒子は、などの1つ以上薬物ペイロードを囲む、化学療法剤あるいは治療上活性なポリヌクレオチド。ファージ融合タンパク質は異種の標的とするペプチドを表示するファージpVIIIコートタンパク質である。ペプチドVEEGGYIAAを表示する景観ファージ融合タンパク質は、ヒトMCF-7乳癌細胞へ選択的に制限する。これらのナノ粒子は、MCF-7乳癌細胞への抗PRDM14 siRNAを標的とし、かつPRDM14を発現抑制するためにてこ入れされる。
【0059】
リポソーム・ベースのsiRNA/ファージ融合タンパク質に標的とされた粒子は、VEEGGYIAAペプチドを表示し、かつMCF-7乳癌細胞に抗PRDM14 siRNAを送達されるために構築される。ナノ粒子は治療上化学療法剤ドキソルビシンの有効量を含有するために初代siRNAペイロードに加えて製剤される。このように産生された製剤は、MCF-7乳癌腫瘍を運ぶマウスに静脈内に投与される。siRNA効能を評価するために、このように産生された薬物製剤は、300万の乳房転移性腫瘍細胞を用いる雌のマウスを皮下注射し腫瘍が10日の期間の間増大することを可能にすることにより形成された腫瘍を用いるヌードマウスに投与される。その処置は、薬物製剤の最大5つの注射、腫瘍の中への1のnmol siRNAを10マイクロリットル押し流す各注射あるいは5mg/kgから静脈内でなる。同様の腫瘍を運ぶ等しい数のマウスは、陰性対照として掻き混ぜられたsiRNA配列を含有しているナノ粒子を注入される。腫瘍は4週間の投与の後に削除され、測定され、重要だった。腫瘍中のPRDM14 mRNAの発現は標準分析法を使用して、qPCRによって測定される。腫瘍中のPRDM14タンパク質の発現は標準分析法を使用して、ウェスタンブロッティングによって測定される。
【0060】
表Iの抗PRDM siRNAを含有している製剤を投薬されたマウスの腫瘍は、サイズ、および掻き混ぜられたsiRNAを用いる処置されたマウスの腫瘍より重量において50%から90%小さくなる。抗PRDMのsiRNA製剤を用いる処置されたマウスの腫瘍中のPRDM14 mRNAとPRDM14タンパク質の発現は、陰性対照と比較して、50%~90%還元される。
【0061】
発明特定事項のいくつかの実施形態は前述の詳細な説明で記載されているが、本発明は開示された実施形態に制限されていないが、本発明の範囲から逸脱することなく、多数の再構成、修正、および置換ができることが理解される。
【0062】
本明細書の全体にわたり、単語「含む(comprise)」、または「含む(comprises)」もしくは「含むこと(comprising)」などの変形は、明示された要素、整数、または工程、もしくは要素、整数、または工程の群の包含を示唆するが、任意の他の要素、整数、または工程、もしくは要素、整数、または工程の群の排除を示唆しないことが、理解される。
【0063】
関連するインビトロの実験作業は、記載された実施形態のための結果の評価を裏付ける。
【0064】
本発明の前述の記載された説明は、当業者がその様々な実施形態を作成および使用することを可能にする一方で、当業者は本明細書における特定の実施形態、方法、および例の変形、組み合わせ、および同等物の存在を理解し認識するだろう。従って、本発明は、上記の記載された実施形態、方法、および例によって制限されるべきではなく、特許請求される本発明の範囲および精神の範囲内のすべての実施形態および方法によって限定されるべきである。
【国際調査報告】