(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-25
(54)【発明の名称】商品保護インサートおよびその使用
(51)【国際特許分類】
A23B 7/00 20060101AFI20221018BHJP
A23L 3/3463 20060101ALI20221018BHJP
A23L 3/358 20060101ALI20221018BHJP
A23B 7/14 20060101ALI20221018BHJP
A23L 3/3454 20060101ALI20221018BHJP
A23L 3/3571 20060101ALI20221018BHJP
A01G 7/00 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
A23B7/00
A23L3/3463
A23L3/358
A23B7/14
A23L3/3454
A23L3/3571
A01G7/00 602Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022508791
(86)(22)【出願日】2020-08-20
(85)【翻訳文提出日】2022-02-22
(86)【国際出願番号】 IL2020050916
(87)【国際公開番号】W WO2021033190
(87)【国際公開日】2021-02-25
(32)【優先日】2019-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522053595
【氏名又は名称】リヴァ バイオ プロテクション テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ハンマー,イファト
【テーマコード(参考)】
4B021
4B169
【Fターム(参考)】
4B021LA01
4B021LW02
4B021LW10
4B021MK02
4B021MK04
4B021MK05
4B021MK06
4B021MK08
4B021MK16
4B021MP05
4B021MP10
4B169AA04
4B169AB04
4B169HA07
4B169KA01
4B169KB10
4B169KC16
4B169KC22
4B169KC23
4B169KC31
4B169KC40
(57)【要約】
本開示は、栄養素組成物を保持する個別の基質形成材料を含み、栄養素組成物が、基質上において1つ以上のバクテリオシン産生細菌の選択的成長を補助するための栄養素の組み合わせを含み、外部から添加された微生物を本質的に含まない、保護インサートを提供する。また、保護される商品および本明細書に開示の保護インサートを含む消費者商品パッケージ、ならびに本明細書に開示のインサートを利用して、商品を保護する方法も本明細書に開示される。
【選択図】図なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
栄養素組成物を保持する個別の基質形成材料を含む保護インサートであって、前記栄養素組成物は、前記基質上において1つ以上のバクテリオシン産生細菌の選択的成長を補助するための栄養素の組み合わせを含み、外部から添加された微生物を本質的に含まない、保護インサート。
【請求項2】
固体または半固体の形態であり、腐敗しやすい商品製品の近くに配置するのに好適である、請求項1に記載の保護インサート。
【請求項3】
前記基質形成材料が、寒天、グアーガム、キサンタンガム、ジェランガム、カラギーナン、ゼラチン、デキストリンおよびデンプンから選択される、請求項1または2に記載の保護インサート。
【請求項4】
前記栄養素組成物が、窒素含有化合物、炭水化物、無機ミネラルおよび塩、脂肪酸、ならびにビタミンのうちの1つ以上を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の保護インサート。
【請求項5】
前記栄養素組成物が、少なくとも窒素含有化合物を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の保護インサート。
【請求項6】
前記窒素含有化合物が、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、およびタンパク質加水分解物のうちの1つ以上を含む、請求項5に記載の保護インサート。
【請求項7】
前記窒素含有化合物の供給源が、動物抽出物、微生物抽出物、および植物抽出物のいずれか1つまたはそれらの組み合わせである、請求項5または6に記載の保護インサート。
【請求項8】
前記栄養素組成物が、1つ以上の炭水化物を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の保護インサート。
【請求項9】
前記炭水化物が、単糖、二糖、オリゴ糖、およびそれらの組み合わせのうちのいずれか1つを含む、請求項8に記載の保護インサート。
【請求項10】
前記炭水化物が、マンニトール、アラビノース、キシロース、グルコース、ガラクトース、マルトース、ラフィノース、スクロース、ラクトース、フラクトオリゴ糖(FOS)、ソルビトール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項9に記載の保護インサート。
【請求項11】
前記栄養素組成物が、無機ミネラルおよび塩を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の保護インサート。
【請求項12】
前記無機ミネラルおよび塩が、リン酸塩、カリウム、カルシウム、亜鉛、マグネシウム、マンガンおよび鉄の塩の任意の1つまたはそれらの組み合わせを含む、請求項11に記載の保護インサート。
【請求項13】
前記栄養素組成物が、脂肪酸を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の保護インサート。
【請求項14】
前記脂肪酸が、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60およびポリソルベート80のいずれか1つまたはそれらの組み合わせを含む、請求項12に記載の保護インサート。
【請求項15】
前記栄養素組成物が、少なくとも1つのビタミンを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の保護インサート。
【請求項16】
前記少なくとも1つのビタミンが、ナイアシン(ビタミンB13)、パントテン酸カルシウム(ビタミンB5のカルシウム塩)、ピロキシジン(ビタミンB6)およびビタミンB12のいずれか1つまたはそれらの組み合わせを含む、請求項15に記載の保護インサート。
【請求項17】
前記栄養素組成物が、緩衝剤を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の保護インサート。
【請求項18】
前記緩衝剤が、リン酸、クエン酸、乳酸およびグリシンのいずれか1つまたはそれらの組み合わせを含む、請求項17に記載の保護インサート。
【請求項19】
5.5および7の範囲のpHを有する、請求項1~18のいずれか一項に記載の保護インサート。
【請求項20】
前記商品の周囲に少なくとも部分的に露出された前記個別の基質形成材料を保持するための固体担体デバイスを含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の保護インサート。
【請求項21】
保存される商品と、請求項1~20のいずれか一項に記載の保護インサートと、を含む消費者商品パッケージ。
【請求項22】
前記商品が、野菜または果物を含む、請求項21に記載の消費者商品パッケージ。
【請求項23】
同じ条件下で前記保護インサートを含まずに、前記商品が梱包および保管されたときに、同じ商品と比較して、少なくとも10%延長された貯蔵寿命を有する、請求項21または22に記載の消費者商品パッケージ。
【請求項24】
土壌を保持しているプランターと、前記土壌中の請求項1~20のいずれか一項に記載の保護インサートと、を含む消費者商品パッケージ。
【請求項25】
消費者商品を保存する方法であって、請求項1~20のいずれか一項に記載の前記保護インサートの近くに前記商品を保持することを含む、方法。
【請求項26】
前記商品が、成長中の植物であり、前記保護インサートが、前記成長中の植物が成長する土壌中に配置される、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、商品の品質を改善する際に使用するための商品保護デバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在開示されている主題の背景として関連すると考えられる参考文献を以下に示す。
-国際公開第93/09676号
-特開61,030,550号
-米国特許出願公開第20150272145号
-米国特許第10,226,061号
-国際公開第15/187638号
-米国特許出願公開第2013/236603号
-独国特許出願公開第102010021027号
-米国特許第7,795,000号
-米国特許第8,038,990号
-国際公開第04/030624号
-国際公開第14/170621号
-国際公開第14/114805号
-国際公開第14/209912号
-米国特許第8,617,625号
-国際公開第14/145369号
-米国特許第5,989,601号
-国際公開第00/60947号
-スペイン国発明特許第19951101号
-ベルギー国発明特許第1018502号。
【0003】
本明細書における上記の参考文献の承認は、これらが現在開示されている主題の特許性に何らかの方法で関連があることを意味するものとして推論されるべきではない。
【背景】
【0004】
食品業界は、代替の非化学的食品保存方法、ならびに商品の品質を改善させるための非化学的方法を常に模索している。
【0005】
国際特許出願公開第93/09676号は、望ましくない病原菌および腐敗菌の成長を競争的に阻害するために、有効量の生の衛生的で非病原性の非腐敗細菌(L.delbrueckiiまたはHafnia alvei)を肉に接種する、肉などの食料製品を保存する方法を開示している。
【0006】
特開第61,030,550号には、食品と共にフィルム包装材料に保管された寒天またはゼラチン上に固定化された生乳酸菌(LAB)を開示している。
【0007】
米国特許出願公開第20150272145号では、非病原性向精神性乳酸菌の集団を含む溶液を、細菌集団の成長を可能にして、腐敗を防ぐことができる細菌培養物を形成するのに十分である条件下および期間でインキュベートすること;細菌培養物に糖類を加えること、および細菌培養物をインキュベートし、生肉または生魚介類で形成された細菌培養物を混合することによって、腐敗に耐性のある生肉または生魚介類を調製するための方法を記載している。
【0008】
米国特許第10,226,061号は、微生物脱酸素剤の使用による包装食品の貯蔵寿命の延長および品質について記載している。
【0009】
食品の保存における生菌の使用について記載している他の刊行物としては、国際出願公開番号15/187638号、米国特許出願公開第2013/236603号、独国特許出願公開第102010021027号、米国特許第7,795,000号;米国特許第8,038,990号;国際公開第04/030624号、国際公開第14/170621号、国際公開第14/114805号、国際特許公開第14/209912号、米国特許第8,617,625号、国際公開第14/145369号、米国特許第5,989,601号、国際公開第00/60947号、スペイン国発明特許第19951101号、ベルギー国発明特許第1018502号が挙げられる。
【発明の概要】
【0010】
本開示は、パッケージに外部から添加された生菌を使用せずに、商品を含むパッケージ内の選択された細菌の成長を刺激することによって、消費者商品および生鮮食料製品の貯蔵寿命を延長させることを目的とし、これによって高コストおよび産業プラント内での生菌の取り扱いの複雑さを排除する。
【0011】
その第1の態様によれば、本開示は、栄養素組成物を保持する個別の基質形成材料を含む保護インサートを提供し、栄養素組成物は、基質上において1つ以上のバクテリオシン産生細菌の選択的成長を補助するための栄養素の組み合わせを含み、外部から添加された微生物を本質的に含まない。
【0012】
第2の態様によれば、本開示は、保護される消費者商品および本明細書に開示の保護インサートを含むパッケージを提供する。
【0013】
第3の態様によれば、本開示は、消費者商品を保護する方法を提供し、この方法は、本明細書に開示の保護インサートを商品の近くに保持するパッケージ内に、商品を梱包することを含む。
【0014】
最後に、第4の態様によれば、作物収量を改善する方法が開示され、この方法は、作物が栽培される土壌に、本明細書に開示の少なくとも1つのインサートを導入すること、および作物がインサートの存在下で成長できるようにすることを含む。
【0015】
本明細書に開示される主題をよりよく理解し、それが実際にどのように実行され得るかを例示するために、ここでは、添付の図面を参照して、非限定的な例としてのみ実施形態について記載する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】保管12日後の2つのキュウリの袋の画像であり、左側の袋(
図1A)は、表2の非限定的な例の保護インサートと共に保管され、右側の袋(
図1B)は、陰性対照として(インサートを含まないで保管)作用する。
【
図1B】保管12日後の2つのキュウリの袋の画像であり、左側の袋(
図1A)は、表2の非限定的な例の保護インサートと共に保管され、右側の袋(
図1B)は、陰性対照として(インサートを含まないで保管)作用する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の開示は、病原体と競合し、抗菌性バクテリオシンを産生するプロバイオティクス細菌の能力を理解することに基づく。しかし、これまでに説明したように生細菌細胞を添加する代わりに、周囲環境に本質的に存在する細菌の自然成長は、本開示によれば、特に所望の細菌の成長を選択的に促進する比較的安価な栄養素のブレンドを使用することによって刺激される。
【0018】
バクテリオシンは、とりわけ乳酸菌(LAB)またはバチルス種などの他の細菌によって産生される強力な抗菌ペプチドであり、主にグラム陽性菌に対して活性がある。それらの産生は、微生物株および培養条件の両方に対して感度が高い。いくつかの単離、精製、または排泄されたバクテリオシンは、食品の保存において工業的に使用されており、FDAに承認されているものはほとんどない。それらは、ヒトの胃腸管によって容易に分解され、発酵目的または栄養価を高めるために食料製品に一般的に使用されるため、安全であると考えられている。
【0019】
したがって、本開示によれば、バクテリオシン産生細菌の成長、とりわけ、食品の保存/保護のために、または作物/植物の成長および収量を補助するために、選択的な栄養素ブレンドが提供される。具体的には、本開示は、その第1の態様に従って、栄養素組成物を保持する個別の基質形成材料を含む食品保護および/または保存インサートを提供し、栄養素組成物は、基質上に1つ以上のバクテリオシン産生細菌の選択的成長を補助するための栄養素の組み合わせを含み、外部から添加された微生物を本質的に含まない。
【0020】
本開示の文脈において、「個別の基質形成材料」に言及する場合、物理的に保持、可視化、または移動することができ、それが保持されている商品に物理的に接続されていない個別の固体または半固体の物体を指すと理解されるものとする。
【0021】
本開示の文脈において、「外部から添加された微生物を本質的に含まない」に言及する場合、いずれの微生物もインサートに添加されず、インサート上に見られる微生物は、保護および/もしくは保存期間中、または成長期間(例えば、植物の成長を補助するために使用される場合)中に成長したもののみであることを理解されたい。換言すれば、使用前、例えば保存する商品を梱包する前のインサートには、検出可能な微生物が含まれてはならない。
【0022】
本開示の文脈において、「保護インサート」という用語は、商品上の病原性またはさもなければ望ましくない細菌の微生物成長の結果として、消費者商品を腐敗から保護するために使用される単位形態を意味する。商品は、工業的に生産された食品、生鮮製品、作物(栽培/成長期間中も)などの任意の食用材料、および腐敗する/腐る傾向を有する非食用商品、例えば、化粧品、在宅ケア製品および薬物などであり得る。
【0023】
上記のすべては、本明細書では、まとめて「商品」と称する。
【0024】
保護インサートは、環境中(空気中、すなわち空気中の細菌、土壌中、商品自体)に自然に存在する、ヒトに優しいバクテリオシン産生細菌の成長を選択的に補助するように設計されている。理論に拘束されるものではないが、インサート上で選択的に成長し、商品の内部または周囲に(水蒸気またはバイオフィルム形成のいずれかによって)拡散するバクテリオシン産生細菌は、他の腐敗菌または病原菌と競合し、抗菌性バクテリオシンを分泌することによって、商品の品質の保存を可能にすると考えられている。
【0025】
本開示の文脈において、「バクテリオシン産生細菌(bacteriocin-producing bacterium)」または「バクテリオシン産生細菌(bacteriocin producing bacteria)」は、それらの代謝を介して抗菌活性を有するペプチドを産生する任意の細菌または細菌のコンソーシアムを意味する。簡潔にするために、以下では、バクテリオシン産生細菌に言及するとき、2つ以上のそのような細菌のコンソーシアムを包含することも理解されるものとする。
【0026】
いくつかの実施例では、バクテリオシン産生細菌は、乳酸菌(LAB)を含む。そのような細菌は、とりわけ、腐敗微生物および病原性細菌など、望ましくない微生物の成長を阻害する能力を有することが知られている。この阻害活性は、抗菌化合物として作用するこれらのLABによって分泌される代謝産物の結果である。これらの化合物としては、有機酸、ジアセチル、過酸化水素、およびバクテリオシンが挙げられる。
【0027】
他のいくつかの例では、バクテリオシン産生細菌は、バチルス種のメンバーを含む。
【0028】
いくつかの例では、保護インサートを利用して、梱包された商品における病原性微生物および/または腐敗微生物の成長を防止し、それにより商品の貯蔵寿命を延長させることができる。
【0029】
いくつかの例では、本明細書に開示の保護インサートは、同じ条件下で、保護インサートを含まずに保管されている同じ商品パッケージの貯蔵寿命と比較して、商品の貯蔵寿命を少なくとも10%、時には少なくとも20%、時には少なくとも30%、時には少なくとも50%、時には少なくとも60%、時には少なくとも70%、時には少なくとも80%、時には少なくとも90%、時には100%延長させる。
【0030】
本開示の文脈において、腐敗微生物に言及する場合、それは、商品の品質に望ましくない変化を引き起こす(食品などの商品を劣化させ、不快な臭い、味、およびテクスチャを発生させる、例えば、果物および野菜が粥状になるもしくは粘液状になる、または肉が悪臭を放つ)が、消費しても毒性のない微生物を包含していると理解されるものとする。腐敗微生物は、典型的には、特に食品に言及する場合、商品の感覚特性に影響を与えるガス、酸、硫黄化合物、および窒素化合物を代謝する。
【0031】
病原性微生物に言及するとき、消費するのに有害である微生物を包含し、消費された場合には、有害であるかもしくは致命的である毒素を産生する微生物を包含するものと理解されるものとする。病原性微生物のいくつかの非限定的な例としては、カンピロバクター、サルモネラ、大腸菌、ウェルシュ菌、バチラス・セレウス、リステリアモノサイトゲネス、赤痢菌属、スタフィロコッカス・アウレウス、ストレプトコッカスおよびビブリオ細菌が挙げられる。
【0032】
半固体インサートに言及する場合、それは、変形可能であり非流体ユニット形態、すなわち、可撓、柔軟であり、容易に曲げられ、再成形可能であると理解されるものとし、一方で、固体形態に言及する場合、剛性構造(すなわち非柔軟性であり、圧力を印加時に形状が変化しない)を包含すると理解されるものとする。インサートの物理的特性、すなわち、半固体または固体(または、換言すれば、非液体)は、とりわけ、栄養素組成物を保持するために使用される基質形成材料の種類に依存する。これに関連して、インサートは、全体として半固体または固体であるが、その中の栄養素組成物は、ゲル、半ゲル、液体、流体(例えば、粉末)形態などの非固体形態であり得ることに留意されたい。これは、例えば、固体または半固体の基質材料上に非固体栄養素組成物を保持することによって達成される。
【0033】
本開示の文脈において、「基質形成材料」という用語は、好適な条件下で液体、具体的には本明細書に開示される栄養素が分散または溶解される水溶液を保持することができるマトリックスを形成する食品グレードの材料を意味する。
【0034】
いくつかの例では、基質形成材料は、ゲルまたはゼリー状材料を含むか、またはゲルまたはゼリー状材料である。いくつかの例では、基質形成材料は、典型的には、微生物成長のための基質として使用されるゲルまたはゼリー状材料である。
【0035】
いくつかの例では、基質形成材料は、寒天(アガー-アガー)、グアーガム、キサンタンガム、ジェランガム、カラギーナン、ゼラチン、デキストリンおよびデンプンからなる群を含むか、またはそれらから選択される。
【0036】
ある特定の例では、基質形成材料はアガー-アガー、すなわち海藻に由来するゼラチン状(ゼリー状)炭水化物材料であり、典型的には、細菌培養培地のベースとして、および多くの食料製品の安定剤および増粘剤として使用される。
【0037】
いくつかの例では、基質形成材料の量は、組成物の総重量の0.1%~5%であり、時には0.5%~2%、時には0.6%~3%、時には0.7%~2.5、時には0.8~1.7%、または任意の他の範囲の0.1%~5%の範囲内である。
【0038】
基質は、水の存在下で、食品グレードの成分(例えば、商品が食品である場合)などのヒトの使用に好適である成分の組み合わせを保持することができるマトリックスまたは足場を形成する。
【0039】
特に、本開示の文脈において、「食品グレード」という用語は、ヒトの消費のために許容され承認されている任意の材料を意味する。
【0040】
栄養素組成物中の栄養素は、バクテリオシン産生細菌の成長を選択的に促進するように選択され、後者は、前述のように、望ましくない微生物の成長を阻害または防止する。換言すれば、基質によって保持される選択的栄養素の存在下で、主に、所望のバクテリオシン産生細菌のみが効果的に成長される。
【0041】
本開示の文脈において、バクテリオシン産生細菌の成長を選択的に促進することに言及する場合、酵母、腸球菌などの他の微生物の検出可能な量がなく、または10CFU/gr未満、あるいは5CFU/grよりも少ない成長で、この細菌のみの成長が主に可能になることが理解されるものとする。
【0042】
基質によって保持される栄養素組成物は、異なる種類の物質を含み、これらは、それぞれ、バクテリオシン産生細菌への成長に必要な異なる栄養素要素の供給源として作用する。
【0043】
いくつかの例では、栄養素組成物は、1つ以上の窒素含有化合物を含み、これは、所望のバクテリオシン産生細菌が成長するための窒素源として作用する。
【0044】
いくつかの例では、窒素含有化合物は、アミノ酸、短いペプチド、ポリペプチド、およびタンパク質加水分解物のいずれか1つまたは組み合わせである。これらは、様々な供給源から得ることができる。
【0045】
いくつかの例では、窒素含有化合物の供給源は、牛肉抽出物および/またはカゼイン加水分解物などの動物供給源である。
【0046】
いくつかの例では、窒素含有化合物の供給源は、酵母抽出物などの微生物抽出物である。
【0047】
いくつかの例では、窒素含有化合物の供給源は、マメ科植物抽出物などの植物抽出物である。この文脈において、マメ科植物は、これらに限定されないが、エンドウ豆、ヒヨコマメ、ジャガイモ、大豆、豆などの任意の種類のマメ科植物であり得る。
【0048】
いくつかの例では、窒素含有化合物は、1つ以上の抽出物と、異なる供給源からの1つ以上の加水分解物との組み合わせを含む。
【0049】
いくつかの例では、窒素含有源は、少なくともタンパク質加水分解物、時には好ましくはペプトンを含む。
【0050】
いくつかの例では、窒素含有源は、少なくとも酵母抽出物を含む。
【0051】
いくつかの例では、窒素含有源は、少なくとも動物抽出物を含む。
【0052】
いくつかの例では、窒素含有源は、少なくとも植物抽出物を含む。
【0053】
いくつかの例では、窒素含有源は、少なくともタンパク質加水分解物および酵母抽出物を含む。
【0054】
いくつかの例では、窒素含有源は、タンパク質加水分解物、酵母抽出物、および動物抽出物または植物抽出物の少なくとも1つの組み合わせを含む。
【0055】
いくつかの例では、窒素含有化合物/供給源の量は、それが単一の供給源である場合も、供給源の組み合わせである場合も、インサートの総重量の0.1%~20%であり、時には0.5%~10%、時には0.5%~5%、時には1%~5%、時には1%~3%、時には0.5%~3%、時には0.1%~3%、または任意の他の範囲の0.1%~20%の範囲内である。
【0056】
いくつかの例では、炭水化物は、炭素源として作用する炭素含有化合物である。
【0057】
いくつかの例では、炭素含有化合物は、糖類であるか、またはそれを含み、これらとしては、とりわけ、単糖の任意の1つまたは組み合わせ、例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、キシロース、アラビノース;二糖類、例えば、スクロース、ラクトース、マルトース、イソマルツロース、トレハロース、トレアルロースおよびトレハロース;およびオリゴ糖、すなわち、ラフィノース(三糖)オリゴフルクトース(FOS)、ガラクトオリゴ糖(GOS)、グルコオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、マルトトリオースなどの典型的な3~10個の単糖を含むものが挙げられる。
【0058】
他の炭水化物としては、マンニトールおよびソルビトールなどの糖アルコールが挙げられ得る。
【0059】
いくつかの例では、炭水化物/炭素含有化合物は、少なくともグルコース、または少なくともグルコースおよびFOSの組み合わせを含む。
【0060】
いくつかの例では、炭水化物の量は、それが単一の供給源である場合も、炭水化物の組み合わせである場合も、インサート組成物の総重量の0.5%~5%の範囲内であり、時には1%~5%、時には0.5%~4%、時には0.5%~2.5%、時には1%~4%、時には1%~3%、時には1%~2.5%、または任意の他の範囲の0.5%~5%の範囲内である。
【0061】
いくつかの例では、無機塩は、ミネラルである。これらとしては、これらに限定されないが、リン酸塩、カリウム、カルシウム、亜鉛、マグネシウム、マンガン、および鉄の塩が挙げられ得る。
【0062】
いくつかの例では、そのようなミネラル/無機塩の供給源は、酵母抽出物である。特に、酵母抽出物は、ミネラル、ビタミン、および/または消化された核酸など、本開示の文脈においていくつかの種類の栄養素を提供すると見なすことができる。
【0063】
いくつかの例では、栄養素組成物は、少なくとも、硫酸マンガンなどのマンガン塩を含む。
【0064】
いくつかの例では、栄養素組成物は、少なくとも、硫酸マグネシウムなどのマグネシウム塩を含む。
【0065】
いくつかの例では、栄養素組成物は、少なくとも、酢酸ナトリウムなどのナトリウム塩を含む。
【0066】
いくつかの例では、栄養素組成物は、少なくとも、リン酸水素二カリウムなどのカリウム塩を含む。
【0067】
いくつかの例では、栄養素組成物は、少なくとも、クエン酸三アンモニウムなどのアンモニウム塩を含む。
【0068】
いくつかの例では、栄養素組成物は、少なくとも、マンガン塩およびマグネシウム塩の組み合わせを含む。
【0069】
いくつかの例では、無機ミネラル/無機塩の量は、それが単一の無機構成成分または無機物の組み合わせである場合、組成物の総重量の0.005%~5%の範囲内であり、時には、0.01~2%から0.02~1%、時には、0.005%~2%、時には、0.05%~1%、時には、0.01%~3%、または任意の他の範囲の0.005%~5%の範囲内である。
【0070】
いくつかの例では、栄養素組成物は、少なくとも1つの界面活性剤/乳化剤を含む。
【0071】
いくつかの例では、界面活性剤/乳化剤は、脂肪酸または脂肪酸エステル、あるいは食品規制(E番号)の下で許容される任意の他の界面活性剤/乳化剤であるか、またはそれらを含む。
【0072】
本発明の文脈において、「脂肪酸」という用語は、単純な脂肪酸、すなわち、カルボン酸のヘッド基および飽和または不飽和のいずれかである脂肪族テールを有し、さらに複合脂肪酸を有するものを意味し、ここで、ヘッド基は、ポリオキシエチレン基などの巨大分子で置換されている。このような脂肪酸は、栄養素組成物の界面活性剤および/または乳化剤としても使用され得る。
【0073】
脂肪族鎖は、最大5個の炭素原子のテールを有する短鎖脂肪酸、6~12個の炭素のテールを含む中鎖脂肪酸、典型的にはテールに13~21個の炭素原子を含む長鎖脂肪酸、および脂肪族テールに22個以上の炭素を含む超長鎖脂肪酸など、任意の数の炭素原子を含み得る。
【0074】
いくつかの例では、栄養素組成物の脂肪酸構成成分は、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、およびポリソルベート80のうちの1つまたはそれらの組み合わせを含む。
【0075】
いくつかのさらなる例において、脂肪酸構成成分は、少なくともポリソルベート80を含む。
【0076】
いくつかの例では、界面活性剤/乳化剤の量は、それが単一の界面活性剤/乳化剤またはいくつかのそのような添加剤の組み合わせである場合、組成物の総重量の0.001%~5%の範囲内であり、時には0.005%~3%、時には0.01%~2%、時には0.01%~3%、時には0.05%~3%、時には0.05%~2%、時には0.01%~1%、時には0.05%~1%、時には0.06%~0.11%、または任意の他の範囲の0.001%~5%の範囲内である。
【0077】
場合によっては、栄養素組成物は、1つ以上のビタミンの存在も必要とする。ビタミンは、生物の適切な機能および代謝に重要であることが知られており、したがって、非常に少量であっても必須である。
【0078】
栄養素組成物は、これらに限定されないが、ナイアシン(ビタミンB13)、パントテン酸カルシウム(ビタミンB5のカルシウム塩)、ピロキシジン(ビタミンB6)およびビタミンB12のいずれか1つまたはそれらの組み合わせを含み得る。いくつかの例では、栄養素組成物は、少なくともパンテノ酸カルシウムを含む。
【0079】
いくつかの例では、ビタミン構成成分は、少なくともナイアシンを含む。
【0080】
いくつかの例では、ビタミンは、ナイアシンとパンテノ酸カルシウムとの組み合わせを含む。
【0081】
いくつかの例では、ビタミンの量は、0.0001~5%の範囲内であり、時には0.0001%~3%、時には0.005%~5%、時には0.008%~2%、および任意の他の範囲の0.0001%~5%である。特に、ビタミンは、酵母抽出物から得ることができるが、以下の表2の非限定的な例に示すとおり、外部から添加することもできる。
【0082】
栄養素組成物はまた、いくつかの例によれば、緩衝剤を含む。緩衝剤の目的は、とりわけ、栄養素組成物のpHを、所望のバクテリオシン産生細菌の成長を補助するpH範囲内に維持することである。いくつかの例では、緩衝剤は、リン酸、クエン酸、乳酸、およびグリシンのいずれか1つまたは組み合わせを含む。
【0083】
いくつかの例では、緩衝剤は、少なくともグリシンを含む。
【0084】
緩衝剤の量は、使用する剤の種類によって異なる。いくつかの例では、量は、5.5~7の範囲内、時には5.5~6.5、時には5.6~6、時には5.7~6.1、時には約5.8±2の範囲内のpHをもたらすように選択される。
【0085】
保護インサートには、追加の成分が含まれ得る。
【0086】
いくつかの例では、栄養素組成物に添加される防腐剤の量は、組成物の総重量の0.01%~0.1%の範囲内であり、時には0.05%~0.1%、時には0.02%~0.08%、または任意の他の範囲の0.01%~0.1%の範囲内である。使用する防腐剤により、量が異なり得る。
【0087】
いくつかの例では、栄養素組成物は、LABの不活化細胞抽出物も含み、これは、インサート上でのLABの成長を補助するのを助け得る。そのような不活化細胞抽出物の例としては、これらに限定されないが、ラクトバチルス・ラクティスの抽出物、およびラクトバチルス・サリバリウスの抽出物が挙げられ得る。
【0088】
さらにいくつかの他のまたは追加の例では、栄養素組成物は、1つ以上の防腐剤(成長阻害剤)を含む。防腐剤の非限定的な例としては、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、塩化ナトリウム、乳酸ナトリウム、バクテリオシン、長鎖ポリリン酸塩、クエン酸アンモニウムおよび酢酸ナトリウムが挙げられる。
【0089】
一例では、保護添加剤は、ソルビン酸カリウムである。
【0090】
上記のように、インサートは、典型的には、半固体または固体の形態であるが、栄養素組成物は、インサートによって保持されている限り、液体、流体の固体形態であり得ることに留意されたい。
【0091】
本明細書に開示される保護インサートは、様々なLABの成長を補助できる。LABの例としては、ラクトバチルス・プランタルム、ラクトバチルス・ラクティス、ラクトバチルス・ブレビスが挙げられる。
【0092】
いくつかの例では、インサートは、LAB以外の、バチルス種などの細菌の成長を刺激および/または補助する。これらには、これらに限定されないが、バチルス・サブティリス、バチルス・プミリス(Bacillus Pumilis)、バチルスサフェンシス(Bacillus Safensis)、バチルス・チューリンゲンシス、バチルス・アミロリケファシエンス、バチルス・リケニフォルミス、バチルス・メガテリウム、バチルス・コアグランス、およびバチルス・ブレビスが挙げられる。
【0093】
理論に拘束されるものではないが、選択的成長は、他の望ましくない微生物の成長を阻害する条件を生成すると共に、所望の細菌に特異的な特定の栄養要件(すなわち、本明細書に開示される栄養素組成物)を提供することによって達成される。このような条件には、例えば、防腐剤、pH制御剤、酸素制御および温度制御のいずれか1つまたは組み合わせが含まれる。
【0094】
いくつかの例では、選択的成長は、酸素レベルを制御すること、例えば、商品を保持するパッケージの透過性を監視するかまたは特別に設計することによる、保管温度を制御することによる、特別に選択されたpH調整剤などを使用して、pHを制御することによる、任意の1つまたは組み合わせによって、補助または達成することができる。
【0095】
インサートの異なる構成成分間の比率は、保存する商品、保管条件(温度、湿度など)、および刺激が望まれるバクテリオシン産生微生物の種類によって異なり得る。
【0096】
栄養素組成物は、当技術分野で知られている任意の方法によって調製することができる。いくつかの例では、インサートは、均質な混合物が形成されるまで、栄養素組成物の成分を基質形成材料と混合することによって調製される。
【0097】
表1A~1Bは、本開示のいくつかの例に従って、インサート中に含まれるいくつかの構成成分の例示的で非限定的な範囲を提供する。
【表1】
【表2】
【0098】
保護インサートは、例えば、立方体、円盤、粉末など、任意の形態または形状にさせ得る。
【0099】
いくつかの例では、インサートの表面は、成長する細菌による表面のくぼみが容易に存在する(habitation)程度まで粗面化され、それにより、バクテリオシン産生細菌のインサートへのより良好な付着が可能になる。この目的のために、時には、栄養素組成物を保持している基質は、例えば機械的摩耗技術によって、その表面で積極的に粗面化され得る。典型的には、消費者商品が冷却される場合(例えば、保管中)、粗面化はさらに重要であり、このため、粗面化により、バクテリオシン産生細菌の基質の表面のみへの付着が容易になる。
【0100】
いくつかの例では、保護インサートは、担体デバイス内に配置される。これは、例えば、担体デバイスを商品または商品を保持するパッケージに接着させることによって、保存される商品の近くにインサートが容易に保持されるためである。
【0101】
担体デバイスは、内部でインサートが固定されるオープントレイ状デバイス、穴が開いているかもしくは他の方法で密封されていないサシェ、ネット状構造、またはインサートを所定の位置に保持しながら、商品を取り巻く環境へのインサートの露出を維持する任意の他の担体構成であってもよい。
【0102】
担体デバイスは、任意の生体適合性/生体許容性(bio-acceptable)材料からのものであり得、そのような利用可能な材料は、多種多様であり、特に関連するのは、食品産業、例えば包装産業で使用されることが知られているものである。例えば、担体は、紙(セルロースベース材料)、アルミニウム、ゴム、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリスチレンなどから形成され得る。
【0103】
いくつかの例では、担体デバイスは、その上で所望の細菌の成長を促進させるために、インサートに露出されたその表面上に粗い部分を有し得る。
【0104】
インサートは、食品などの様々な消費者商品に組み込むことができる。したがって、本明細書に開示されているものは、保存される商品および本明細書に開示の保護インサートを含むパッケージ、ならびに商品を保護する方法であり、本方法は、本明細書に開示の保護インサートを商品の近くに保持するパッケージ内に、商品を梱包することを含む。
【0105】
いくつかの例では、保存/保護される商品は、食品を含む。
【0106】
いくつかの例では、保存/保護される食品は、海洋動物の肉、赤身の肉、鶏肉、および肉のビーガン代替品などの肉製品である。
【0107】
いくつかの例では、保護される食品は、収穫された作物、例えば、果物、野菜、種子および穀物、ならびにすでに皮をむいた果物および野菜である。
【0108】
いくつかの例では、保存/保護される食品は、乳製品または乳製品のビーガン代替品である。
【0109】
いくつかの例では、インサートには、調理済みの食事、サラダなど、簡単に調理できる(ready to cook)食品またはすぐに食べられる(ready to eat)食品が梱包される。
【0110】
いくつかの例では、保護インサートには、高い水活性を有し、したがって微生物による腐敗に対してより脆弱である消費者商品が梱包される。そのような製品の例としては、これらに限定されないが、生鮮製品、食料製品(チーズ、肉、サラダ、スプレッド)、化粧品およびトイレ用品など、在宅介護用洗浄製品が挙げられる。
【0111】
いくつかの例では、インサートには、そうでなければ冷蔵庫内での保管が必要になる消費者商品が梱包される。保護インサートが存在する場合、このような製品は、室温で保管され得る。そのような製品の例としては、これらに限定されないが、サラダスプレッド、肉、魚、チーズ、果物および野菜、皮をむき、切断済みの果物および野菜が挙げられ得る。
【0112】
いくつかの例では、商品としては、作物が挙げられる。保護インサートは、土壌に組み込むことができ、植物の成長を促進する細菌を刺激し、これにより、植物が疾患からさらに保護される。
【0113】
いくつかの例では、商品としては、通常は化学物質と共に保存されているクレンジング溶液などの自宅ケア製品が挙げられる。
【0114】
いくつかの例では、商品としては、軟膏、ゲル、クリーム、ローション、または溶液の形態の薬物が挙げられ、これらは通常、化学物質と共に保存される。
【0115】
非制限的実施形態の詳細な説明
実施例1-食品保護インサート組成物
表2に従って、食品保護インサートを調製した。
【表3】
【0116】
栄養素インサートは、すべての成分を混合し、それを逆浸透水に懸濁して混合物を形成することによって調製した。次に、混合物を撹拌しながら100℃に達するまで加熱した。混合物を1~2分間沸騰させて確実に完全に溶解させた後、完全に混合しながら混合物を50℃まで冷却し、無菌条件下で0.5~25gの量で担体デバイスに注いだ。担体デバイスに入れると、インサート組成物を室温まで冷却させた。
【0117】
実施例2-食品保護インサートを使用した食品の保存
実施例2A-キュウリの保存
表2の栄養素インサートを含むプラスチック製オープンチューブをキュウリの袋の中に配置した。対照として、インサートを含まないキュウリの袋を使用した。
【0118】
処置された袋(保護インサートを含む)および対照の袋は、両方とも、周囲環境(室温)に維持した。
図1A~
図1Bは、12日後の2つの袋を示している。左側の袋は、保護インサートを含み(「保存されている」、
図1A)、同じ重量のキュウリを含むがインサートを含まない陰性対照の袋(「対照」、
図1B)である。
【0119】
保護インサートは、カビの発生がないことから明らかなように、キュウリの貯蔵寿命を少なくとも7日間延長させる。理論に拘束されるものではないが、カビの発生がないことは、インサート組成物によって刺激され、インサート基質上でバチルス・プミルスが成長した結果(データは示されていない)であると考えられている。
【0120】
実施例2B-イチゴの保存
表2の栄養素インサートを含むプラスチックチューブを、粘着ラベルによってイチゴの袋の内側に付着させた。対照として、インサートを含まないイチゴの袋を使用した。
【0121】
2つの袋を室温で12日間維持した。
【0122】
インサートは、酢酸エチルの特徴的な匂いによって検出される酵母の発育がないことから明らかなように、イチゴの微生物の貯蔵寿命が少なくとも3日延長した。The Institute for food microbiology Haifaで実施された別の実験では、実際に、インサートが酵母の成長を阻害することが示された。理論に拘束されるものではないが、果実にカビがないことは、インサートの栄養素組成物によって刺激され、基質上でバチルス・サブティリスが成長した結果であると考えられている。
【0123】
実施例2C-タヒニスプレッドの保存
表2の保護インサートを含むサシェを、防腐剤を含まないタヒニスプレッドの袋の中に配置した。サシェは、粘着ラベルで蓋に付着させた。
【0124】
インサートにより、スプレッドの貯蔵寿命が、冷蔵で3日から室温で5日に延長される。理論に拘束されるものではないが、スプレッドの安定性は、基質上でバチルス・サブスティリスが成長した結果であると考えられている。
【0125】
実施例3-保護インサート中で使用するための追加の組成物
実施例1と同様の方法で、異なるレベルの効率で追加の組成物を調製し、これらを表3A~3Bに提供する。
【表4】
【表5】
【0126】
実施例4-貯蔵寿命の研究
表2のインサートが貯蔵寿命の延長に及ぼす影響は、事前に梱包されたキュウリで判定される。具体的には、約1kgのキュウリ12パックを以下の群に分割する。
群I-表2のインサートが事前に袋に入っている6パック;「処置群」。
群II-インサートを含まない6パック、「参照群」。
【0127】
キュウリの袋は、25℃、周囲の湿度条件で14日間保管させる。
【0128】
処置群および参照群のサンプルは、以下の試験方法を使用して、0日目、7日目、および14日目に分析される。各試験は、2回繰り返される。
-ディープシーケンシング(ハイスループットシーケンシング)。
-PCAでスプレッドプレート法を使用した合計カウント。
-腸内細菌科の総数。
-バチルス数。
-乳酸菌数。
-外観の定性的評価。
【0129】
処置されたキュウリ中のマイクロバイオーム組成物は、参照と比較して異なり、対照群と比較して、より多くのバチルス種および乳酸菌種と、低レベルの腸内細菌およびカビの数を含むことが予想される。換言すれば、これらの結果は、本明細書に開示の処置により、キュウリのより長い貯蔵寿命が可能になることを示すであろう。
【0130】
実施例5-土壌処置
土壌のインサートの効果も調査される。この目的のために、新鮮な土壌を含む4つのプランターボックスを使用する。
試験群-それぞれ、表2のインサート組成物を含む2つのプランター(土壌1リットルあたり2つのインサート)。
群I-それぞれ、表2のインサート組成物を含む、1リットルの土壌が入った2つのプランター;「処置群」
群II--インサートを含まずに、1リットルの土壌が入った2つのプランター;「参照群」。
【0131】
各プランターにはバジル種が植えられている。
【0132】
プランターボックスは、植え付けから21日間、指定された温室に配置する。
【0133】
処置群および参照群の土壌サンプルは、0日目および21日目に、次の試験方法を使用して分析される。
-ディープシーケンシング(ハイスループットシーケンシング)。
-PCAでスプレッドプレート法を使用した合計カウント。
-腸内細菌科の総数。
-バチルス数。
-乳酸菌数。
-外観の定性的評価。
【0134】
処置された土壌中のマイクロバイオーム組成物は、参照と比較して異なり、対照群と比較して、より多くのバチルス種および乳酸菌種と、低レベルの腸内細菌およびカビの数を含むことが予想される。換言すれば、これらの結果は、本明細書に開示された土壌の処置により、植物の成長が改善されるであろうことを示す。
【国際調査報告】