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特表2022-545076ハイスループット気相成長デバイス及び気相成長方法
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  • 特表-ハイスループット気相成長デバイス及び気相成長方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-25
(54)【発明の名称】ハイスループット気相成長デバイス及び気相成長方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20221018BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
H01L21/31 B
C23C16/44 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022510171
(86)(22)【出願日】2019-11-21
(85)【翻訳文提出日】2022-04-15
(86)【国際出願番号】 CN2019119929
(87)【国際公開番号】W WO2021031425
(87)【国際公開日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】201910759403.7
(32)【優先日】2019-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515291465
【氏名又は名称】中国科学院上海微系統与信息技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 衛民
(72)【発明者】
【氏名】兪 文傑
(72)【発明者】
【氏名】朱 雷
(72)【発明者】
【氏名】王 イツエイ
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030CA12
4K030CA17
4K030EA04
4K030EA06
4K030GA06
4K030HA01
4K030KA12
4K030KA39
5F045AA15
5F045AC16
5F045DP27
5F045DQ12
5F045EF05
5F045EF09
5F045EM10
5F045GB04
5F045GB09
(57)【要約】
ハイスループット気相成長デバイス及び気相成長方法では、回転テーブル(2)が反応チャンバ(1)内に位置している。また、ガス導入装置(3)が前記反応チャンバ(1)内に位置するとともに、回転テーブル(2)の上方に位置している。ガス導入装置(3)にはいくつかの貫通孔(31)が設けられている。また、ガス隔離構造(4)が、上部チャンバ(11)を互いに隔離された隔離ガスチャンバ(111)と反応ガスチャンバ(112)に分割する。隔離ガス導入経路(5)が隔離ガスチャンバ(111)内に隔離ガスを導入するとともに、反応ガス導入経路(6)を通じて前記反応ガスチャンバ(112)内に反応ガスを導入することで、基板のうちの前記反応ガスチャンバ(112)に対応する領域に薄膜堆積を行う。ハイスループット気相成長デバイスは、1つの隔離ガス供給系及び1つの反応ガス隔離系という2つのガス供給系を使用するだけでよいため、構造がシンプルで実現しやすく、隔離度にも優れている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイスループット気相成長デバイスであって、
反応チャンバと、
前記反応チャンバ内に位置し、基板を搭載して前記基板を回転させるために用いられる回転テーブルと、
前記反応チャンバ内に位置するとともに、前記回転テーブルの上方に位置し、且つ前記回転テーブルとの間に間隔を有するガス導入装置であって、前記反応チャンバを上部チャンバと下部チャンバに分割し、前記上部チャンバと前記下部チャンバを連通させる貫通孔がいくつか設けられているガス導入装置と、
前記上部チャンバ内に位置して、前記上部チャンバを互いに隔離された隔離ガスチャンバと反応ガスチャンバに分割するガス隔離構造であって、前記ガス導入装置の中心が前記反応ガスチャンバの外側に位置し、いくつかの前記貫通孔が、それぞれ前記隔離ガスチャンバ及び前記反応ガスチャンバを前記下部チャンバと連通させるガス隔離構造と、
前記反応チャンバのチャンバ壁に位置して、前記隔離ガスチャンバと連通する隔離ガス導入経路と、
前記反応チャンバのチャンバ壁に位置して、前記反応ガスチャンバと連通する反応ガス導入経路と、を含むことを特徴とするハイスループット気相成長デバイス。
【請求項2】
前記反応ガスチャンバの底部の面積は前記隔離ガスチャンバの底部の面積よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のハイスループット気相成長デバイス。
【請求項3】
前記ガス導入装置の中心は前記回転テーブルの中心と上下対応していることを特徴とする請求項1に記載のハイスループット気相成長デバイス。
【請求項4】
前記ガス隔離構造は、
一端が前記反応チャンバの内壁と接触し、他端が前記上部チャンバ内へ延伸する第1ガス隔離プレートと、
一端が前記反応チャンバの内壁と接触し、他端が前記上部チャンバ内へ延伸する第2ガス隔離プレートであって、前記第1ガス隔離プレートとの間に間隔を有している第2ガス隔離プレートと、
一端が前記第1ガス隔離プレートにおける前記反応チャンバの内壁から離間する一端に接続され、他端が前記第2ガス隔離プレートにおける前記反応チャンバの内壁から離間する一端に接続される第3ガス隔離プレートと、を含み、
前記第1ガス隔離プレートの高さ、前記第2ガス隔離プレートの高さ、及び前記第3ガス隔離プレートの高さは、いずれも前記ガス導入装置の上面から前記反応チャンバの上部までの距離と同じであることを特徴とする請求項1に記載のハイスループット気相成長デバイス。
【請求項5】
前記ガス隔離構造は円弧状ガス隔離プレートを含み、前記円弧状ガス隔離プレートの両端は前記反応チャンバの内部に接続されており、前記円弧状ガス隔離プレートの高さは、前記ガス導入装置の上面から前記反応チャンバの上部までの距離と同じであることを特徴とする請求項1に記載のハイスループット気相成長デバイス。
【請求項6】
前記ハイスループット気相成長デバイスは、更に、
前記隔離ガス導入経路に接続されて、前記隔離ガスチャンバ内に隔離ガスを供給するために用いられる隔離ガス供給系と、
前記反応ガス導入経路に接続されて、前記反応ガスチャンバ内に反応ガスを供給するために用いられる反応ガス供給系と、を含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のハイスループット気相成長デバイス。
【請求項7】
前記ハイスループット気相成長デバイスは、更に、前記基板の上面に堆積される薄膜について、元素成分、薄膜の厚み、微細構造を含む特性評価を実施するためのリアルタイム測定装置を含み、前記リアルタイム測定装置の測定端は、前記反応チャンバ内に位置するとともに、前記回転テーブルと前記ガス導入装置の間に位置することを特徴とする請求項1に記載のハイスループット気相成長デバイス。
【請求項8】
気相成長方法であって、
請求項1ないし9のいずれか1項に記載のハイスループット気相成長デバイスを提供するステップS1と、
前記隔離ガス導入経路を通じて前記隔離ガスチャンバ内に隔離ガスを導入するとともに、前記反応ガス導入経路を通じて前記反応ガスチャンバ内に反応ガスを導入することで、前記基板のうちの前記反応ガスチャンバに対応する領域に薄膜堆積を行うステップS2と、
前記回転テーブルを使用して前記基板を予め定められた角度だけ回転させて、前記基板のうち薄膜堆積が行われていない領域を前記反応ガスチャンバの真下まで回転させることで、前記基板のうちの前記反応ガスチャンバに対応する領域に薄膜堆積を行うステップS3と、
ステップS3を少なくとも1回繰り返すことで、前記基板における複数の異なる領域にそれぞれ薄膜堆積を行うステップS4と、を含むことを特徴とする気相成長方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気相成長の技術分野に属し、特に、ハイスループット気相成長デバイス及び気相成長方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイスループット気相成長(CVD又はALDを含む)装置は、多元素薄膜材料の製造に用いられており、短時間のうちに大量の元素成分の組み合わせを実現可能なことから、多元素材料体系についてより包括的な研究を実施可能である。また、応用ニーズに基づいて最適な成分の組み合わせを選別可能であり、材料の研究開発コストを低下させられる。
【0003】
従来のハイスループット気相成長デバイスは、一般的に、絶縁ガスを使用して複数の微小領域の隔離を実現することで、各微小領域内に異なるガスを同時に導入して堆積反応実験を行っている。しかし、従来のハイスループット気相成長デバイスは、2つ以上のガス供給系を設計及び製造せねばならず、構造が複雑で、実際の応用が難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来技術の欠点に鑑みて、本発明の目的は、従来技術のハイスループット気相成長デバイスに存在する2つ以上のガス導入系を設計及び製造せねばならないため、構造が複雑化し、実際の応用が難しいとの課題を解決するために、ハイスループット気相成長デバイス及び気相成長方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的及びその他関連の目的を実現するために、本発明は、ハイスループット気相成長デバイスを提供する。前記ハイスループット気相成長デバイスは、反応チャンバと、前記反応チャンバ内に位置し、基板を搭載して前記基板を回転させるために用いられる回転テーブルと、前記反応チャンバ内に位置するとともに、前記回転テーブルの上方に位置し、且つ前記回転テーブルとの間に間隔を有するガス導入装置であって、前記反応チャンバを上部チャンバと下部チャンバに分割し、前記上部チャンバと前記下部チャンバを連通させる貫通孔がいくつか設けられており、ガス導入装置と、前記上部チャンバ内に位置して、前記上部チャンバを互いに隔離された隔離ガスチャンバと反応ガスチャンバに分割するガス隔離構造であって、前記ガス導入装置の中心が前記反応ガスチャンバの外側に位置し、いくつかの前記貫通孔が、それぞれ前記隔離ガスチャンバ及び前記反応ガスチャンバを前記下部チャンバと連通させるガス隔離構造と、前記反応チャンバのチャンバ壁に位置して、前記隔離ガスチャンバと連通する隔離ガス導入経路と、前記反応チャンバのチャンバ壁に位置して、前記反応ガスチャンバと連通する反応ガス導入経路、を含む。
【0006】
選択的に、前記反応ガスチャンバの底部の面積は前記隔離ガスチャンバの底部の面積よりも小さい。
【0007】
選択的に、前記ガス導入装置の中心は前記回転テーブルの中心と上下対応している。
【0008】
選択的に、前記ガス隔離構造は、一端が前記反応チャンバの内壁と接触し、他端が前記上部チャンバ内へ延伸する第1ガス隔離プレートと、一端が前記反応チャンバの内壁と接触し、他端が前記上部チャンバ内へ延伸する第2ガス隔離プレートであって、前記第1ガス隔離プレートとの間に間隔を有している第2ガス隔離プレートと、一端が前記第1ガス隔離プレートにおける前記反応チャンバの内壁から離間する一端に接続され、他端が前記第2ガス隔離プレートにおける前記反応チャンバの内壁から離間する一端に接続される第3ガス隔離プレート、を含む。
【0009】
前記第1ガス隔離プレートの高さ、前記第2ガス隔離プレートの高さ、及び前記第3ガス隔離プレートの高さは、いずれも前記ガス導入装置の上面から前記反応チャンバの上部までの距離と同じである。
【0010】
選択的に、前記ガス隔離構造は円弧状ガス隔離プレートを含む。前記円弧状ガス隔離プレートの両端は前記反応チャンバの内部に接続されている。前記円弧状ガス隔離プレートの高さは、前記ガス導入装置の上面から前記反応チャンバの上部までの距離と同じである。
【0011】
選択的に、前記ハイスループット気相成長デバイスは、更に、前記隔離ガス導入経路に接続されて、前記隔離ガスチャンバ内に隔離ガスを供給するために用いられる隔離ガス供給系と、前記反応ガス導入経路に接続されて、前記反応ガスチャンバ内に反応ガスを供給するために用いられる反応ガス供給系、を含む。
【0012】
選択的に、前記ハイスループット気相成長デバイスは、更に、前記基板の上面に堆積される薄膜について、元素成分、薄膜の厚み、微細構造を含む特性評価を実施するためのリアルタイム測定装置を含む。前記リアルタイム測定装置の測定端は、前記反応チャンバ内に位置するとともに、前記回転テーブルと前記ガス導入装置の間に位置する。
【0013】
本発明は、更に、気相成長方法を提供する。前記気相成長方法は、以下のステップS1、ステップS2、ステップS3、及びステップS4を含む。
【0014】
ステップS1において、上記いずれかの方案で記載したハイスループット気相成長デバイスを提供する。
【0015】
ステップS2において、前記隔離ガス導入経路を通じて前記隔離ガスチャンバ内に隔離ガスを導入するとともに、前記反応ガス導入経路を通じて前記反応ガスチャンバ内に反応ガスを導入することで、前記基板のうちの前記反応ガスチャンバに対応する領域に薄膜堆積を行う。
【0016】
ステップS3において、前記回転テーブルを使用して前記基板を予め定められた角度だけ回転させて、前記基板のうち薄膜堆積が行われていない領域を前記反応ガスチャンバの真下まで回転させることで、前記基板のうちの前記反応ガスチャンバに対応する領域に薄膜堆積を行う。
【0017】
ステップS4において、ステップS3を少なくとも1回繰り返すことで、前記基板における複数の異なる領域にそれぞれ薄膜堆積を行う。
【発明の効果】
【0018】
上述したように、本発明のハイスループット気相成長デバイス及び気相成長方法は、以下の有益な効果を有する。
【0019】
本発明のハイスループット気相成長デバイスは、1つの隔離ガス供給系及び1つの反応ガス隔離系という2つのガス供給系を使用するだけでよいため、構造がシンプルで実現しやすく、隔離度にも優れている。また、本発明のハイスループット気相成長デバイスは、集積性能に優れており、例えばリアルタイム測定装置等のその他の装置を集積可能なため、機能がより万全となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の実施例1で提供するハイスループット気相成長デバイスの平面構造の概略図を示す。
図2図2は、本発明の実施例1で提供するハイスループット気相成長デバイスの断面構造の概略図を示す。
図3図3は、本発明の実施例2で提供する気相成長方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、特定の具体的実施例によって、本発明の実施形態につき説明する。なお、本技術を熟知する者であれば、本明細書に開示されている内容から本発明のその他の利点及び効果を容易に理解可能である。
【0022】
図1ないし図3を参照する。周知すべき点として、本明細書に添付の図面に記載した構造、比率、大きさ等は、本技術を熟知する者の理解及び閲覧のために、明細書に開示した内容と組み合わせるものにすぎず、本発明で実施可能な限定条件を規定するものではない。よって、技術上の実質的意味はない。あらゆる構造の補足、比率関係の変更又は大きさの調整は、本発明により発生し得る効果及び達成可能な目的に影響しないことを前提に、いずれも本発明で開示する技術内容がカバーし得る範囲に含まれる。また、本明細書で引用する「上」、「下」、「左」、「右」、「中央」及び「一の」等の用語は、記載を明瞭化するためのものにすぎず、本発明で実施可能な範囲を限定するものではない。これらの相対関係の変更又は調整は、技術内容が実質的に変更されない場合、本発明で実施可能な範疇とみなされる。
【実施例1】
【0023】
図1及び図2を参照する。本発明は、ハイスループット気相成長デバイスを提供する。前記ハイスループット気相成長デバイスは、反応チャンバ1と、前記反応チャンバ1内に位置し、基板(図示しない)を搭載して前記基板を回転させるために用いられる回転テーブル2と、前記反応チャンバ1内に位置するとともに、前記回転テーブル2の上方に位置し、且つ前記回転テーブル2との間に間隔を有するガス導入装置3、を含む。前記ガス導入装置3は、前記反応チャンバ1を上部チャンバ11と下部チャンバ12に分割する。前記ガス導入装置3には、前記上部チャンバ11と前記下部チャンバ12を連通させる貫通孔31がいくつか設けられており、。また、前記ハイスループット気相成長デバイスは、前記上部チャンバ11内に位置して、前記上部チャンバ11を互いに隔離された隔離ガスチャンバ111と反応ガスチャンバ112に分割するガス隔離構造4を含む。前記ガス導入装置3の中心は前記反応ガスチャンバ112の外側に位置し、いくつかの前記貫通孔31が、それぞれ前記隔離ガスチャンバ111及び前記反応ガスチャンバ112を前記下部チャンバ12と連通させる。また、前記ハイスループット気相成長デバイスは、前記反応チャンバ1のチャンバ壁に位置して、前記隔離ガスチャンバ111と連通する隔離ガス導入経路5と、前記反応チャンバ1のチャンバ壁に位置して、前記反応ガスチャンバ112と連通する反応ガス導入経路6、を含む。本発明で記載するハイスループット気相成長デバイスは、1つの隔離ガス供給系及び1つの反応ガス隔離系という2つのガス供給系を使用するだけでよいため、構造がシンプルで実現しやすく、隔離度にも優れている。また、本発明における前記ハイスループット気相成長デバイスは、集積性能に優れており、例えばリアルタイム測定装置等のその他の装置を集積可能なため、機能がより万全となる。
【0024】
一例として、前記回転テーブル2は駆動装置(図示しない)に接続される。前記回転テーブル2は、回転が必要な際に前記駆動装置により駆動されて回転を実現する。
【0025】
一例において、いくつかの前記貫通孔31は、前記ガス導入装置3に均一に分布させればよい。
【0026】
別の例において、前記隔離ガスチャンバ111における前記反応ガスチャンバ112と隣接する領域に対応する前記貫通孔31の分布密度は、前記隔離ガスチャンバ111におけるその他の領域に対応する前記貫通孔31の分布密度よりも大きい。前記隔離ガスチャンバ111における前記反応ガスチャンバ112と隣接する領域に対応する前記貫通孔31の分布密度によって、隔離ガスは隔離効果に優れたガスカーテンを形成可能となる。これにより、反応ガスが前記基板のその他の領域に堆積するとの事態が防止される。
【0027】
一例として、前記ガス導入装置3の形状及びサイズは、前記反応チャンバ1内部の形状及びサイズと同一である。これにより、前記ガス導入装置3の側辺をいずれも前記反応チャンバ1の内壁と接触させることで、前記上部チャンバ11と前記下部チャンバ12が前記貫通孔31のみを介して連通するよう保証する。
【0028】
一例として、前記反応ガスチャンバ112の底部の面積は前記隔離ガスチャンバ111の底部の面積よりも小さい。
【0029】
一例として、前記ガス導入装置3の中心は前記回転テーブル2の中心と上下対応している。前記ガス導入装置3の中心は前記反応ガスチャンバ112の外側に位置し、且つ前記ガス導入装置3の中心は前記回転テーブル2の中心と上下対応しているため、薄膜堆積を行う際には、前記回転テーブルを選択することで、前記基板の異なる領域に薄膜堆積を実施可能となる。
【0030】
一例において、引き続き図1を参照する。前記ガス隔離構造4は、一端が前記反応チャンバ1の内壁と接触し、他端が前記上部チャンバ11内へ延伸する第1ガス隔離プレート41と、一端が前記反応チャンバ1の内壁と接触し、他端が前記上部チャンバ11内へ延伸する第2ガス隔離プレート42、を含み得る。前記第2ガス隔離プレート42は、前記第1ガス隔離プレート41との間に間隔を有している。また、前記ガス隔離構造4は、一端が前記第1ガス隔離プレート41における前記反応チャンバ1の内壁から離間する一端に接続され、他端が前記第2ガス隔離プレート42における前記反応チャンバ1の内壁から離間する一端に接続される第3ガス隔離プレート43を含み得る。前記第1ガス隔離プレート41の高さ、前記第2ガス隔離プレート42の高さ、及び前記第3ガス隔離プレート43の高さは、いずれも前記ガス導入装置3の上面から前記反応チャンバ1の上部までの距離と同じである。
【0031】
更なる例において、前記ガス隔離構造4は円弧状ガス隔離プレート(図示しない)を含む。前記円弧状ガス隔離プレートの両端は前記反応チャンバ1の内部に接続されている。また、前記円弧状ガス隔離プレートの高さは、前記ガス導入装置3の上面から前記反応チャンバ1の上部までの距離と同じである。
【0032】
一例として、前記ハイスループット気相成長デバイスは、更に、前記隔離ガス導入経路5に接続されて、前記隔離ガスチャンバ111内に隔離ガスを供給するために用いられる隔離ガス供給系(図示しない)と、前記反応ガス導入経路6に接続されて、前記反応ガスチャンバ112内に反応ガスを供給するために用いられる反応ガス供給系(図示しない)、を含む。
【0033】
一例として、前記隔離ガス供給系は、隔離ガス源(図示しない)及び第1供給ライン81を含み得る。前記第1供給ライン81は、一端が前記隔離ガス源に接続され、他端が前記隔離ガス導入経路5に接続される。前記隔離ガス供給系が前記隔離ガスチャンバ111内に供給する隔離ガスにはアルゴン(Ar)ガスが含まれ得るが、これに限らない。
【0034】
一例として、前記反応ガス供給系は、キャリアガス源(図示しない)、前駆体源(図示しない)、反応ガス源、第2供給ライン82、第3供給ライン83、第4供給ライン85、第6供給ライン86、第7供給ライン87及び第8供給ライン88を含み得る。前記第3供給ライン83及び前記第4供給ライン84は、いずれも一端が前記キャリアガス源に接続され、他端が前記反応ガス導入経路6に接続される。前記第2供給ラインは、一端が前記反応ガス源に接続され、他端が前記第3供給ライン83と連通している。前記第6供給ライン86は、一端が前記前駆体源に接続され、他端が前記第4供給ライン84と連通している。前記第5供給ライン85は、一端が前記キャリアガス源に接続され、他端が前記第6供給ライン86と連通している。前記第7供給ライン87は、一端が前記キャリアガス源に接続され、他端が前記第4供給ライン84と連通している。前記第8供給ライン88は、一端が前記キャリアガス源に接続され、他端が前記第7供給ライン84と連通している。前記反応ガス供給系は、キャリアガスの補助の下で、前記反応ガス及び反応前駆体を前記反応ガスチャンバ112内に供給するために用いられる。
【0035】
一例として、前記ハイスループット気相成長デバイスは、更にリアルタイム測定装置7を含む。前記リアルタイム測定装置7は、前記基板の上面に堆積される薄膜について、元素成分、薄膜の厚み、微細構造を含む(ただし、これらに限らない)特性評価等を実施するために用いられる。前記リアルタイム測定装置7の測定端は、前記反応チャンバ1内に位置するとともに、前記回転テーブル2と前記ガス導入装置3の間に位置する。具体的に、前記リアルタイム測定装置9は、オージェ電子分光装置(AES)を含み得るが、これに限らない。
【0036】
本実施例で記載するハイスループット気相成長デバイスの動作原理は、次の通りである。即ち、前記回転テーブル2を使用して前記基板の第1堆積領域を前記反応ガスチャンバ112の真下まで回転させる。次に、前記反応ガス供給系を使用して前記反応ガスチャンバ112内に前記反応ガス及び前記反応前駆体を供給し、且つ、前記隔離ガス供給系を使用して前記隔離ガスチャンバ111内に前記隔離ガスを供給する。前記隔離ガスは、前記貫通孔31を通じて前記下部チャンバ12内に進入し、ガスカーテンを形成する。また、前記反応ガス及び前記反応前駆体は、前記貫通孔31を通じて前記下部チャンバ12内に進入する。前記隔離ガスにより形成されたガスカーテンに遮断されて、前記反応ガス及び前記反応前駆体は、前記基板のうち前記反応ガスチャンバ112の真下に位置する前記第1堆積領域にのみ薄膜堆積を行う。そして、前記第1堆積領域の薄膜堆積が終了したあと、前記回転テーブル2を使用して前記基板の第2堆積領域を前記反応ガスチャンバ112の真下まで回転させて、前記第2堆積領域に薄膜堆積を行う。このようにして、薄膜堆積プロセスが終了するまで上記のステップを繰り返すことで、前記基板の異なる領域内で薄膜堆積を実現可能である。
【0037】
本発明で記載するハイスループット気相成長デバイスは、1つの前記隔離ガス供給系及び1つの前記反応ガス隔離系という2つのガス供給系を使用するだけでよいため、構造がシンプルで実現しやすく、隔離度にも優れている。また、本発明で記載するハイスループット気相成長デバイスは、集積性能に優れており、例えばリアルタイム測定装置等のその他の装置を集積可能なため、機能がより万全となる。
【実施例2】
【0038】
図1ないし図2と合わせて図3を参照する。本発明は、気相成長方法を提供する。前記気相成長方法は以下のステップS1、ステップS2、ステップS3、及びステップS4を含む。
【0039】
ステップS1において、実施例1で記載したハイスループット気相成長デバイスを提供する。
【0040】
ステップS2において、前記隔離ガス導入経路を通じて前記隔離ガスチャンバ内に隔離ガスを導入するとともに、前記反応ガス導入経路を通じて前記反応ガスチャンバ内に反応ガスを導入することで、前記基板のうちの前記反応ガスチャンバに対応する領域に薄膜堆積を行う。
【0041】
ステップS3において、前記回転テーブルを使用して前記基板を予め定められた角度だけ回転させて、前記基板のうち薄膜堆積が行われていない領域を前記反応ガスチャンバの真下まで回転させることで、前記基板のうちの前記反応ガスチャンバに対応する領域に薄膜堆積を行う。
【0042】
ステップS4において、ステップS3を少なくとも1回繰り返すことで、前記基板における複数の異なる領域にそれぞれ薄膜堆積を行う。
【0043】
図1ないし図2と合わせて図3のステップS1を参照すると、ステップS1では、実施例1で記載したハイスループット気相成長デバイスを提供する。前記ハイスループット気相成長デバイスの具体的構造については実施例1を参照するものとし、ここでは改めて詳述しない。
【0044】
図1ないし図2と合わせて図3を参照すると、ステップS2では、前記隔離ガス導入経路5を通じて前記隔離ガスチャンバ111内に隔離ガスを導入するとともに、前記反応ガス導入経路6を通じて前記反応ガスチャンバ112内に反応ガスを導入することで、前記基板のうちの前記反応ガスチャンバ112に対応する領域(例えば、実施例1で記載した第1堆積領域)に薄膜堆積を行う。
【0045】
説明すべき点として、前記反応ガスチャンバ112内に前記反応ガスを導入するのと同時に、前記反応ガスチャンバ112内に反応前駆体を導入してもよい。
【0046】
具体的に、前記隔離ガスチャンバ111内に導入された前記隔離ガスは、前記貫通孔31を通じて前記下部チャンバ12に進入し、ガスカーテンを形成する。また、前記反応ガス及び前記反応前駆体は、前記貫通孔31を通じて前記下部チャンバ12内に進入する。前記隔離ガスにより形成されたガスカーテンに遮断されて、前記反応ガス及び前記反応前駆体は、前記基板のうち前記反応ガスチャンバ112の真下に位置する領域にのみ薄膜堆積を行う。
【0047】
図1ないし図2と合わせて図3のステップS3を参照すると、ステップS3では、前記回転テーブル2を使用して前記基板を予め定められた角度だけ回転させて、前記基板のうち薄膜堆積が行われていない領域(例えば、実施例1における前記第2堆積領域)を前記反応ガスチャンバ112の真下まで回転させることで、前記基板のうちの前記反応ガスチャンバ112に対応する領域に薄膜堆積を行う。
【0048】
図1ないし図2と合わせて図3のステップS4を参照すると、ステップS4では、ステップS3を少なくとも1回繰り返すことで、前記基板における複数の異なる領域にそれぞれ薄膜堆積を行う。
【0049】
以上述べたように、本発明は、ハイスループット気相成長デバイス及び気相成長方法を提供する。前記ハイスループット気相成長デバイスは、反応チャンバと、前記反応チャンバ内に位置し、基板を搭載して前記基板を回転させるために用いられる回転テーブルと、前記反応チャンバ内に位置するとともに、前記回転テーブルの上方に位置し、且つ前記回転テーブルとの間に間隔を有するガス導入装置であって、前記反応チャンバを上部チャンバと下部チャンバに分割し、前記上部チャンバと前記下部チャンバを連通させる貫通孔がいくつか設けられておりガス導入装置と、前記上部チャンバ内に位置して、前記上部チャンバを互いに隔離された隔離ガスチャンバと反応ガスチャンバに分割するガス隔離構造であって、前記ガス導入装置の中心が前記反応ガスチャンバの外側に位置し、いくつかの前記貫通孔が、それぞれ前記隔離ガスチャンバ及び前記反応ガスチャンバを前記下部チャンバと連通させるガス隔離構造と、前記反応チャンバのチャンバ壁に位置して、前記隔離ガスチャンバと連通する隔離ガス導入経路と、前記反応チャンバのチャンバ壁に位置して、前記反応ガスチャンバと連通する反応ガス導入経路、を含む。本発明のハイスループット気相成長デバイスは、1つの隔離ガス供給系及び1つの反応ガス隔離系という2つのガス供給系を使用するだけでよいため、構造がシンプルで実現しやすく、隔離度にも優れている。また、本発明のハイスループット気相成長デバイスは、集積性能に優れており、例えばリアルタイム測定装置等のその他の装置を集積可能なため、機能がより万全となる。
【0050】
上記の実施例は、本発明の原理と効果を例示的に説明したものにすぎず、本発明を制限するものではない。本技術を熟知する者であれば、いずれも本発明の精神及び範疇を逸脱することなく、上記の実施例を補足又は変更可能である。よって、当業者が本発明で開示した精神及び技術思想を逸脱することなく完了するあらゆる等価の補足又は変形は、いずれも本発明の請求項によりカバーされる。
【符号の説明】
【0051】
1 反応チャンバ
11 上部チャンバ
111 隔離ガスチャンバ
112 反応ガスチャンバ
12 下部チャンバ
2 回転テーブル
3 ガス導入装置
31 貫通孔
4 ガス隔離構造
41 第1ガス隔離プレート
42 第2ガス隔離プレート
43 第3ガス隔離プレート
5 隔離ガス導入経路
6 反応ガス導入経路
7 リアルタイム測定装置
81 第1供給ライン
82 第2供給ライン
83 第3供給ライン
84 第4供給ライン
85 第5供給ライン
86 第6供給ライン
87 第7供給ライン
88 第8供給ライン
図1
図2
図3
【国際調査報告】